説明

5員複素環化合物を有効成分とする抗ガン剤および新規5員複素環化合物

【課題】5員複素環化合物を有効成分として含有する抗ガン剤および新規5員複素環化合物を提供する。
【解決手段】式(I)で表されるチオフェン誘導体やγ−ラクタム誘導体等の5員複素環化合物またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗ガン剤および新規化合物。
【化1】


(式中、Xが硫黄原子を表すとき、RおよびRは、NR1a1b等を、Rは水素原子等を、Rはアルカノイル、アロイル等を表し、Xが−N=C(R34)(R35)を表すとき、Rはケトン等を表す)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5員複素環化合物を有効成分として含有する抗ガン剤および新規5員複素環化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ガン(悪性新生物)による死亡は1981年には国民の死亡原因の第1位となった。衛生環境の改善や医学の進歩により、脳血管障害、心疾患、感染症などによる死亡が減少する一方で、ガンによる死亡は増加している。そのため多くの研究者たちによって抗ガン剤の開発が行われてきた。現在、様々な抗ガン剤が臨床で使用され、ガン治療の中心的役割を担っている。
【0003】
近年、化合物ライブラリーを用いた抗ガン剤の開発が盛んにおこなわれ、様々なスクリーニング系を用いて抗ガン作用をもつ化合物がスクリーニングされ、抗ガン剤として開発されている。
従来、下記構造式等で示されるチオフェン誘導体が知られているが、抗ガン剤としては知られていない(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0004】
【化1】

【0005】
また、下記構造式で示されるチオフェン誘導体が知られているが、抗ガン剤としては知られていない(例えば、非特許文献3参照)。
【0006】
【化2】

【0007】
(式中、Rはメチル基、フェニル基等を、Rは4−ブロモフェニル基等を表す)
さらに、下記構造式で示される化合物が抗ガン剤として知られている(例えば、特許文献1、非特許文献4参照。)。しかし、本発明で使用される化合物とは、フェニル基が置換基を有していない点で異なっている。
【0008】
【化3】

【0009】
(式中、Rは、水素原子、フェニル基を表し、Rは、水素原子またはハロゲン原子を表す)
【0010】
【特許文献1】特開昭60−142921号公報
【非特許文献1】Tetrahedron Lett.、 1969、 5067-5068
【非特許文献2】Indian J. Chem.、 1974、 1-3
【非特許文献3】Agric. Biol. Chem.、 1986、 50、 1757-1764
【非特許文献4】J. f. prakt. Chem.、 1983、 325、 143-14
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これまで開発された抗ガン剤などを用いたガン治療においては、上記の如くガンの死亡数を減らすには至らず、また既存の抗ガン剤により十分な効果が得られないガン種も多く存在する。
そのためさらなる治療の進歩が必要であるが、類似の化学構造を持つ抗ガン剤は、抗腫瘍スペクトラム、抗ガン剤耐性スペクトラムも類似するため、新規の化学構造式を持つ抗ガン剤の開発は重要である。
化合物ライブラリーのスクリーニングでは、スクリーニング手法を変えることで、生物学的活性、化学構造の相違した化合物が選択されると考えられるが、実際には共通の化学構造を持ち、類似の生物学的活性を持つ抗ガン剤が多く存在している。
このような問題に鑑み、本発明者らは、肺ガン株PC−9とPC−9から樹立した抗ガン剤耐性株(ゲフィティニブ耐性株)を同時に用いた感受性試験をスクリーニング系に用い、それぞれの化合物の細胞毒性を特徴づけた。また、同時に選択された化合物の一部の化合物での新規性を確認した。PC−9細胞は上皮増殖因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor; EGFR)を発現し、その生存はEGFRからのシグナルに強く依存している。一方、PC−9/ZDはその依存度が著しく減弱した細胞である。この開発により既存抗ガン剤とは違う特徴を有する抗ガン剤を開発することができる。
本発明の課題は、このような背景のもとになされたものであって、新しい生物学的活性を持つ新規抗ガン剤および新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、これまでに合成した様々な化合物の抗ガン作用をスクリーニングした。上記スクリーニングを続けた結果、本発明者らは、チオフェンの2位にアミノ基を、5位にアシル基を有するチオフェン誘導体、あるいは、γ−ラクタムのN位にアゾメチン基が置換したγ−ラクタム誘導体等の、ある種の5員複素環化合物に抗がん作用があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は、
(1) 式(I)
【化4】

{式中、
およびRは、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、OR(式中、Rは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基または置換若しくは非置換のアロイル基を表す)、NR(式中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは非置換のアリールスルホニル基またはRおよびRが一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、N(R)C(=Q)NR1011(式中、Qは、酸素原子、硫黄原子またはイミノ基を表し、Rは、水素原子または置換若しくは非置換のアルキル基を表し、R10およびR11は、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR10およびR11が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、COOR12(式中、R12は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表す)、C(=Q)NR1314(式中、Qは、酸素原子または硫黄原子を表し、R13およびR14は、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR13およびR14が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、S(O)15(式中、R15は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表し、jは、0、1または2を表す)、SONR1617(式中、R16およびR17は、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR16およびR17が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子を表すか、または、RおよびRは、一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく(以下、RおよびRが結合して環を形成する際のRおよびRの結合をZという);
は、RおよびRが結合して環を形成する際の、当該環の置換基を表し、該置換基は、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、OR18(式中、R18は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基または置換若しくは非置換のアロイル基を表す)、NR1920(式中、R19およびR20は、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは非置換のアリールスルホニル基またはR19およびR20が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、N(R21)C(=Q)NR2223(式中、Qは、酸素原子、硫黄原子またはイミノ基を表し、R21は、水素原子または置換若しくは非置換のアルキル基を表し、R22およびR23は、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR22およびR23が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、COOR24(式中、R24は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表す)、C(=Q)NR2526(式中、Qは、酸素原子または硫黄原子を表し、R25およびR26は、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR25およびR26が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、S(O)27(式中、R27は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表し、kは、0、1または2を表す)、SONR2829(式中、R28およびR29は、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR28およびR29が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、ニトロ基、シアノ基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる基を表し;
mは、0〜5の整数を表し、mが2以上の場合、Rは、同一または異なっていてもよく;
ここで、
Xが、硫黄原子を表すとき、
とRおよびRとRが結合している炭素原子間は、二重結合を表し、
と炭素原子との結合は、単結合を表し、ここで、
は、NR1a1b(式中、R1aおよびR1bは、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは非置換のアリールスルホニル基、または、R1aおよびR1bが一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)を表し、
は、COR4a[式中、R4aは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、OR30(式中、R30は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表す)、NR3132(式中、R31およびR32は、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR31およびR32が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、COOR33(式中、R33は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表す)または式(II)
【化5】

(式中、R1a、R1b、R、R、R、Zおよびmは、前記と同義である)
で表される基を表す]、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子を表すか、
または、
Xが、−N=C(R34)(R35)(式中、R34は、置換アリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表し、R35は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表す)を表すとき、
とRおよびRとRが結合している炭素原子間は、単結合を表し、
と炭素原子との結合は、二重結合を表し、ここで、
は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、OR(式中、Rは、前記と同義である)、NR(式中、RおよびRは、前記と同義である)、N(R)C(=Q)NR1011(式中、R、R10、R11およびQは、前記と同義である)、COOR12(式中、R12は、前記と同義である)、C(=Q)NR1314(式中、R13、R14およびQは、前記と同義である)、S(O)15(式中、R15およびjは、前記と同義である)、SONR1617(式中、R16およびR17は、前記と同義である)、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、
は、酸素原子または硫黄原子を表す}
で表される5員複素環誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗ガン剤や、
(2) 式(I)で表される化合物が、下記式(Ia)
【化6】

(式中、R1a、R1b、R、R、R4a、R、Zおよびmは、前記と同義である)
で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする上記(1)記載の抗ガン剤や、
(3) 式(Ia)で表される化合物が、下記式(Iaa)
【化7】

[式中、R2aおよびR3aは、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、OR(式中、Rは、前記と同義である)、NR(式中、RおよびRは、前記と同義である)、N(R)C(=Q)NR1011(式中、Q、R、R10およびR11は、前記と同義である)、COOR12(式中、R12は、前記と同義である)、C(=Q)NR1314(式中、Q、R13およびR14は、前記と同義である)、S(O)15(式中、R15およびnは、前記と同義である)、SONR1617(式中、R16およびR17は、前記と同義である)、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、R1a、R1bおよびR4aは、前記と同義である]
で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする上記(1)または(2)のいずれか記載の抗ガン剤や、
(4) R1aおよびR1bは、一方が水素原子を、他方が置換若しくは非置換のアリール基を、R2aは、水素原子またはCOOR12a(式中、R12aは、アルキル基を表す)を、R3aは、アルキル基またはNR7a8a(式中、R7aおよびR8aは、同一または異なって、アルキル基を表す)を、R4aは、アリール基であるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする上記(3)記載の抗ガン剤や、
(5) Zが、−(CH)n−Y−[式中、Yは、単結合または−N(R)−(式中、Rは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル基または置換若しくは非置換のアリールスルホニル基を表す)を表し、nは、2〜6の整数を表す]で表される5員複素環誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする上記(1)または(2)いずれか記載の抗ガン剤や、
(6) Yが単結合を、nが3〜5の整数である式(Ia)で表される化合物が、下記式(Iab)
【化8】

(式中、pは、1〜3の整数を表し、R1a、R1b、R4a、Rおよびmは、前記と同義である)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする上記(1)、(2)または(5)のいずれか記載の抗ガン剤や、
(7) R1aおよびR1bは、一方が水素原子を、他方が置換若しくは非置換のアリール基を、R4aが置換若しくは非置換のアリール基またはOR30a(式中、R30aはアルキル基を表す)であるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする上記(6)記載の抗ガン剤や、
(8) Yが−N(R)−を、nが2〜4の整数である式(Ia)で表される化合物が、下記式(Iac)
【化9】

(式中、qは、1〜3の整数を表し、R1a、R1b、R4a、R、Rおよびmは、前記と同義である)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする上記(1)、(2)または(5)のいずれか記載の抗ガン剤や、
(9) R1aおよびR1bは、一方が水素原子を、他方が置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基または置換若しくは非置換のアロイル基を、R4aが置換若しくは非置換のアリ−ル基を、Rがアルキル基であるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする上記(9)記載の抗ガン剤や、
(10) 式(Ia)で表される化合物が、下記式(Iad)
【化10】

(式中、R1a、R1b、R、R、R、Zおよびmは、前記と同義である)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする上記(1)または(2)のいずれか記載の抗ガン剤や、
(11) R1aおよびR1bは、一方が水素原子を、他方が置換若しくは非置換のアリール基を表し、Rは、COOR12a(式中、R12aは、前記と同義である)を、Rがアルキル基を表すか、または、Zがトリメチレン基であるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする上記(10)記載の抗ガン剤や、
(12) m=0またはRが、置換若しくは非置換のアルキル基若しくは置換若しくは非置換のアリール基であるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする上記(1)、(2)または(5)〜(11)のいずれか記載の抗ガン剤や、
(13) 式(I)で表される化合物が、下記式(Ib)
【化11】

(式中、R、R2a、R3a、R、R34およびR35は、前記と同義である)で表されるγ−ラクタム誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする上記(1)記載の抗ガン剤や、
(14) RおよびR2aが水素原子を、R3aがハロゲン原子を、Rが酸素原子を、R34が置換アリール基を、R35が非置換アリール基であるγ−ラクタム誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする上記(13)記載の抗ガン剤に関する。
【0014】
また、本発明は、
(15) 式(IA)
【化12】

(式中、Rは、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアリール基または置換若しくは非置換のアロイル基を表し、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはアルキルを表し、Rは、置換若しくは非置換のアルキル基または置換若しくは非置換のアリール基を表す)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩や、
(16) Rがフェニル基、4−クロロフェニル基またはナフチル基を表し、RおよびRがメチル基を表し、Rがフェニル基であることを特徴とする上記(15)記載のチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩に関する。
【0015】
また、本発明は、
(17) 式(IB)
【化13】

(式中、RおよびRは、前記と同義である)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩や、
(18) RおよびRがフェニル基であることを特徴とする上記(17)記載のチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩に関する。
【0016】
また、本発明は、
(19) 式(IC)
【化14】

(式中、Rは、アルキル基を表し、qは、1〜3の整数を表し、RおよびRは、前記と同義である)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩や、
(20) Rがメチル基、フェニル基またはベンゾイル基を表し、Rがフェニル基を表し、Rがメチル基またはエチル基であることを特徴とする上記(19)記載のチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩に関する。
【0017】
また、本発明は、
(21) 式(ID)
【化15】

(式中、Rは、アルコキシカルボニル基を表し、Rはアルキル基を表すか、Zがトリメチレン基、テトラメチレン基またはペンタメチレン基を表し、Rは、前記と同義である)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩や、
(22) Rがフェニル基を表し、Rがメトキシカルボニル基を、Rがメチル基であるか、または、Zがトリメチレン基であることを特徴とする上記(21)記載のチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩に関する。
さらに、本発明は、
(23) 式(IE)
【化16】

(式中、Rは、ハロゲン原子を表し、Rは、置換アリール基を表し、Rは、置換若しくは非置換のアリール基を表す)で表されるγ−ラクタム誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩や、
(24) Rが臭素原子を表し、Rが2−クロロフェニル基を表し、Rがフェニル基であることを特徴とする上記(23)記載のγ−ラクタム誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の5員複素環化合物またはそれらの薬理学的に許容される塩は、優れた抗ガン活性を有し、肺がん、乳がん、肝臓がんなどの種々の腫瘍の予防、治療剤として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の抗ガン剤として使用される式(I)で表される化合物[以下、化合物(I)という。他の式番号の化合物についても同様である]等における各基の定義について具体例について説明するが、これらは本発明の好ましい例を示すものであって、勿論これらによって限定されるものではない。
【0020】
アルキル基およびアルキルスルホニル基のアルキル部分としては、例えば、直鎖若しくは分岐状の炭素数1〜8のアルキル、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等が、または、炭素数3〜8の環状アルキル、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
【0021】
アルケニル基としては、例えば、直鎖または分岐状の炭素数2〜6のアルケニル、具体的には、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、メタクリル、ブテニル、1,3−ブタジエニル、クロチル、ペンテニル、ヘキセニル等が挙げられる。
【0022】
アリール基およびアリールスルホニル基のアリール部分としては、例えば、炭素数6〜14のアリール、具体的には、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。
【0023】
脂環式複素環基は、同一または異なって、少なくとも1以上の異項原子、例えば、窒素、酸素、硫黄等を含み、飽和または一部不飽和結合が存在してもよい3〜8員の脂環式複素環基であり、単環性あるいは該単環性の複素環基が複数またはアリール基もしくは芳香族複素環基と縮合した多環性の縮合脂環式複素環基であってもよい。単環性の脂環式複素環基としては、例えば、アジリジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ジヒドロチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、1,3−ジオキソラニル、チオラニル、オキサゾリジル、チアゾリジニル、ピペリジノ、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリノ、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、オキサチアニル、オキサジアジニル、チアジアジニル、ジチアジニル、ホモピペリジニル、アゼピニル、ジヒドロアゾシニル等が例示され、多環性の縮合脂環式複素環基としては、例えば、インドリニル、イソインドリニル、クロマニル、イソクロマニル、キヌクリジニル等を挙げることができる。
【0024】
芳香族複素環基は、同一または異なって、少なくとも1以上の異項原子、例えば、窒素、酸素、硫黄等を含む5員または6員の芳香族複素環基からなり、該芳香族複素環基は、単環性または該単環性芳香族複素環基が複数またはアリール基と縮合した多環性の縮合芳香族複素環基、例えば、二環性もしくは三環性芳香族複素環基であってもよい。単環性の芳香族複素環基の具体例としては、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル等が挙げられ、多環性の縮合芳香族複素環基としては、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル、プリニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ピリドピリミジニル、ピリミドピリミジニル、プテリジニル、アクリジニル、チアントレニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル等を挙げることができる。
【0025】
含窒素複素環基としては、前記脂環式複素環基または芳香族複素環基であって、異項原子として少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、具体的には、アジリジニル、ピロリジニル、ピペリジノ、ホモピペリジノ、ピペラジニル、ホモピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル等を挙げることができる。
【0026】
アルカノイル基としては、例えば、直鎖または分岐状の炭素数1〜8のアルカノイル、具体的には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル等を挙げることができる。
アロイル基は、炭素数7〜15のアロイル、例えば、ベンゾイル、フタロイル、ナフトイル等を挙げることができる。
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
【0027】
およびRが一緒になって形成される環としては、例えば、脂環式炭化水素環または含窒素複素環が挙げられ、具体的には、Zが、−(CH)n−Y−(式中、Yおよびnは、前記と同義である)である環が好ましい。
脂環式炭化水素環としては、Yが単結合を、nが3〜5の整数である下記式(III)
【0028】
【化17】

【0029】
(式中、R、mおよびpは、前記と同義である)
で表される化合物が好ましく、また、含窒素複素環としては、Yが−N(R)−を、nが2〜4の整数である下記式(IV)
【0030】
【化18】

【0031】
(式中、R、R、mおよびqは、前記と同義である)
で表される化合物が好ましい。
【0032】
ここで、アルキル基、アルケニル基、アリール基、脂環式複素環基、芳香族複素環基、アルカノイル基、アロイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基および含窒素複素環基における置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、脂環式複素環基、芳香族複素環基、アルカノイル基、アロイル基、OR(式中、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、脂環式複素環基、芳香族複素環基、アルカノイル基またはアロイル基を表す)、NR(式中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、脂環式複素環基、芳香族複素環基、アルカノイル基、アロイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはRおよびRが一緒になって、含窒素複素環基を表す)、N(R)C(=Q)NR(式中、Qは、酸素原子、硫黄原子またはイミノ基を表し、Rは、水素原子またはアルキル基を表し、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、脂環式複素環基、芳香族複素環基またはRおよびRが一緒になって、含窒素複素環基を表す)、COOR(式中、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、脂環式複素環基または芳香族複素環基を表す)、C(=Q)NR(式中、Qは、酸素原子または硫黄原子を表し、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、脂環式複素環基、芳香族複素環基またはRおよびRが一緒になって、含窒素複素環基を表す)、S(O)(式中、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、脂環式複素環基または芳香族複素環基を表し、lは、0、1または2を表す)、SONR(式中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、脂環式複素環基、芳香族複素環基またはRおよびRが一緒になって、含窒素複素環基を表す)、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子等から適宜選択される。
【0033】
また、置換基としてのアルキル基、アルケニル基、アリール基、脂環式複素環基、芳香族複素環基、アルカノイル基、アロイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基および含窒素複素環基等は、さらに置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記した置換基と同様のものが挙げられる。
【0034】
これら置換基の置換数としては、同一または異なって、最大各基に存在する水素原子の数まで可能であるが、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
【0035】
化合物(I)の薬理学的に許容される塩としては、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩等が挙げられ、酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の各無機酸塩、および、有機酸としてのギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、安息香酸等のカルボン酸類、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸類が挙げられる。金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等の各アルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等の各アルカリ土類金属塩、アルミニウム、亜鉛等の各金属塩が、アンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の各塩が、有機アミン塩としては、トリエチルアミン、ピペリジン、モルホリン、トルイジン等の各塩が挙げられる。
【0036】
本発明の抗ガン剤として使用される化合物としては、化合物(I)であれば特に制限されないが、化合物(I)において、下記式(Ia)
【0037】
【化19】

【0038】
(式中、R1a、R1b、R、R、R4a、R、Zおよびmは、前記と同義である)
で表されるチオフェン誘導体が好ましく使用される。
【0039】
また、化合物(Ia)において、下記式(Iaa)
【0040】
【化20】

【0041】
(式中、R1a、R1b、R2a、R3aおよびR4aは、前記と同義である)
で表される化合物が好ましく、さらには、R1aおよびR1bは、一方が水素原子を、他方が置換若しくは非置換のアリール基を、R2aは、水素原子またはCOOR12a(式中、R12aは、アルキル基を表す)を、R3aは、アルキル基またはNR7a8a(式中、R7aおよびR8aは、同一または異なって、アルキル基を表す)を、R4aは、アリール基で表される化合物が、より好ましく使用される。
【0042】
なお、式(Iaa)において、下記式(IA)
【0043】
【化21】

【0044】
(式中、R、R、RおよびRは、前記と同義である)
で表される化合物は、新規化合物であり、本発明の抗ガン剤として好適に使用することができる。
【0045】
また、化合物(Ia)において、下記式(Iab)
【0046】
【化22】

【0047】
(式中、R1a、R1b、R4a、R、mおよびpは、前記と同義である)
で表される化合物が抗ガン剤として好ましく、さらには、R1aおよびR1bは、一方が水素原子を、他方が置換若しくは非置換のアリール基を、R4aが置換若しくは非置換のアリール基またはOR30a(式中、R30aはアルキル基を表す)である化合物が、より好ましく使用される。
【0048】
なお、式(Iab)において、下記式(IB)
【0049】
【化23】

【0050】
(式中、式中、RおよびRは、前記と同義である)
で表される化合物は、新規化合物であり、本発明の抗ガン剤として好適に使用することができる。
また、化合物(Ia)において、下記式(Iac)
【0051】
【化24】

(式中、R1a、R1b、R4a、R、R、mおよびqは、前記と同義である)
で表される化合物が抗ガン剤として好ましく、さらには、R1aおよびR1bは、一方が水素原子を、他方が置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基または置換若しくは非置換のアロイル基を、R4aが置換若しくは非置換のアリ−ル基を、Rがアルキル基である化合物が、より好ましく使用される。
【0052】
なお、式(Iac)において、下記式(IC)
【0053】
【化25】

【0054】
(式中、式中、R、R、Rおよびqは、前記と同義である)
で表される化合物は、新規化合物であり、本発明の抗ガン剤として好適に使用することができる。
【0055】
また、化合物(Ia)において、下記式(Iad)
【0056】
【化26】

【0057】
(式中、R1a、R1b、R、R、R、Zおよびmは、前記と同義である)
で表される化合物が抗ガン剤として好ましく、さらには、R1aおよびR1bは、一方が水素原子を、他方が置換若しくは非置換のアリール基を表し、Rは、COOR12a(式中、R12aは、前記と同義である)を、Rはアルキル基を表すか、または、Zがトリメチレン基である化合物が、より好ましく使用される。
【0058】
なお、式(Iad)において、下記式(ID)
【0059】
【化27】

【0060】
(式中、R、R、RおよびZは、前記と同義である)
で表される化合物は、新規化合物であり、本発明の抗ガン剤として好適に使用することができる。
【0061】
また、式(I)で表される化合物が、下記式(Ib)
【0062】
【化28】

【0063】
(式中、R、R2a、R3a、R、R34およびR35は、前記と同義である)
で表されるγ−ラクタム誘導体が抗ガン剤として好ましく、さらに、化合物(Ib)において、RおよびR2aが水素原子を、R3aがハロゲン原子を、R34が置換アリール基を、R35が非置換アリール基である化合物が、より好ましく使用される。
【0064】
なお、式(Ib)において、下記式(IE)
【0065】
【化29】

【0066】
(式中、R、RおよびRは、前記と同義である)
【0067】
で表される化合物は、新規化合物であり、本発明の抗ガン剤として好適に使用することができる。
【0068】
次に、本発明の抗ガン剤として使用することができる化合物(I)の製造法について説明する。
【0069】
製造法1.
[化合物(Iaa)の製造法]
化合物(Iaa)は、下記製造工程に従い、製造することができる。
【化30】

(式中、R36は、アルキル基を表し、Qは、ハロゲン原子を表し、R1a、R2a、R3aおよびR4aは、前記と同義である)
ここで、アルキル基およびハロゲン原子は、前記と同義である。
【0070】
(工程a)
チオキソ化合物(2)は、常法により、ケトン(1)と五硫化リン等のチオ化剤とを適当な不活性溶媒、例えばクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒中反応させることにより得ることができる。なお、化合物(1)は、試薬として、あるいは、例えば、R3aがNRである化合物は、アミン(RNH)を、常法によりアシル化することにより、入手可能である。
【0071】
(工程b)
アルキルチオ化合物(3)は、化合物(2)とヨウ化メチル、臭化メチル、塩化メチル、ジメチル硫酸、ヨウ化エチル等のアルキル化剤とをトリエチルアミン、ピリジン等の塩基の存在下、適当な不活性溶媒、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒中、反応させることにより得ることができる。
【0072】
(工程c)
エナミノチオ化合物(5)は、化合物(3)とイソチオシアナート(4)とを、適当な不活性溶媒,例えばクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒中反応させることにより得ることができる。
【0073】
(工程d)
目的のチオフェン(Iaa)(R1b=H)は、非特許文献1または2に記載の方法に準じて、化合物(5)とアシルメチルハライド(6)とをトリエチルアミン等の塩基の存在下、適当な不活性溶媒、例えばクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒もしくはこれらの混合溶媒中、反応させることにより得ることができる。なお、化合物(6)は、試薬として入手可能であり、また、対応するアセトフェノン誘導体を、例えば、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、N−クロロスクシンイミド(NCS)、臭素等のハロゲン化剤を用い、酸化的ハロゲン化により得ることもできる。
該製造法で得られる化合物(Iaa)の具体例を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
製造法2.
[化合物(Iab)の製造法]
化合物(Iab)は、下記製造工程に従い、製造することができる。
【0076】
【化31】

(式中、R37およびR38は、同一または異なって、アルキル基、または、R37およびR38が一緒になって含窒素脂環式複素環基を表し、R1a、R4a、R、Q、mおよびpは、前記と同義である)
【0077】
ここで、含窒素脂環式複素環基は、ピロリジニル、ピペリジノ、ホモピペリジノ、ピペラジニル、ホモピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリノ等を表し、アルキル基は、前記と同義である。
【0078】
(工程e)
エナミン(9)は、ケトン(7)に二級アミン(8)を反応し得ることができる。反応は、無水ベンゼン、トルエンなどの炭化水素の溶媒中、水分離器を付して水が生成しなくなるまで加熱還流する。なお、化合物(7)は試薬として入手可能であり、また、例えば、ジカルボニル化合物から縮合、脱炭酸して得ることもできる。
【0079】
(工程f)
エナミノチオアミド(10)は、化合物(9)と化合物(4)を反応することにより得ることができる。反応は、前記した工程cの方法に準じて行うことができる。
【0080】
(工程g)
目的のチオフェン(Iab)(R1b=H)は、化合物(10)と化合物(6)とを反応することにより得ることができる。反応は、前記した工程dの方法に準じて行うことができる。
該製造法で得られる化合物(Iab)の具体例を表2に示す。
【0081】
【表2】

【0082】
製造法3.
[化合物(Iac)の製造法]
化合物(Iac)は、下記製造工程に従い、製造することができる。
【0083】
【化32】

(式中、R1a、R4b、R、R36、R、Q、mおよびqは、前記と同義である)
【0084】
(工程h)
環状チオアミド(12)は、環状アミド(11)にチオ化剤を反応することにより得ることができる。反応は、前記した工程aの方法に準じて行うことができる。
なお、化合物(11)は、例えば、4−置換アミノ酪酸、5−置換アミノ吉草酸から分子内閉環して合成できる。あるいは、試薬として入手可能である。
【0085】
(工程i)
環状エナミノチオアミド(13)は、化合物(12)とアルキル化剤とを反応することにより得ることができる。反応は、前記した工程bの方法に準じて行うことができる。
【0086】
(工程j)
チオアミド(14)は、化合物(13)に化合物(4)を反応することにより得ることができる。反応は、前記した工程cの方法に準じて行うことができる。
【0087】
(工程k)
目的のチオフェン(Iac)(R1c=H)は、化合物(14)と化合物(6)とを反応することにより得ることができる。反応は、前記した工程dの方法に準じて行うことができる。
【0088】
該製造法で得られる化合物(Iac)の具体例を表3に示す。
【0089】
【表3】

【0090】
製造法4.
[化合物(Iad)の製造法]
化合物(Ia)において、特に、化合物(II)が2個結合したビス体(Iad)は、下記製造工程に従い、製造することもできる。
【0091】
【化33】

(式中、Lは、前記と同義のSR36またはNR3738を表し、R1a、R1b、R、R、R、Z、mおよびQは、前記と同義である)
【0092】
(工程l)
目的のビス体(Iad)は、化合物(15)と化合物(6a)とを反応することにより得ることができる。反応は、前記した工程dの方法に準じて行うことができる。化合物(15)は、製造法1で得られる化合物(5)や、製造法2で得られる化合物(10)や、製造法3で得られる化合物(14)等を使用することができる。
該製造法で得られる化合物(Iad)の具体例を表4に示す。
【0093】
【表4】

【0094】
製造法5.
[化合物(Ib)の製造法]
化合物(Ib)は、下記製造工程に従い、製造することができる。
【0095】
【化34】

(式中、R、R2a、R3a、R、R34およびR35は、前記と同義であり、Q0aおよびQ0bは、同一または異なって、前記Qの定義と同義である)
【0096】
(工程m)
目的のピロール(Ib)は、特許文献1或いは非特許文献3または4に記載の方法に準じて、ヒドラゾン化合物(17)を反応に不活性な溶媒、例えば、ジクロロメタン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなど中、相関移動触媒として第四級アンモニウム塩、例えば、トリエチルベンジルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩などの触媒量存在下に、水酸化ナトリウム−ジクロロメタンの二相溶液または例えば、10〜50%水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強塩基の存在下に、攪拌しながら酸ハロゲン化合物(16)を滴下し反応することにより得ることができる。
【0097】
なお、化合物(16)は、炭素数4以上のラクトンから、文献(J.Heterocycle Chem.、1973、795)記載の方法に準じて、α,ω−ジハロゲノ酸を得、次いで、文献(Organic Synthesis、Coll.Vol.3、491、1955)記載の方法に準じて、チオニルクロライドまたはチオニルブロミド等で処理して、酸ハライドとして得られる。また、化合物(17)は、試薬として入手可能な芳香族および脂肪族ケトンとヒドラジンを、溶媒としてエタノール、メタノールのアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエンなどを使用し、室温または過熱して得られる。
該製造法で得られる化合物(Ib)の具体例を表5に示す。
【0098】
【表5】

【0099】
なお、各工程における反応温度、時間は、使用する試薬、溶媒などにより適宜選択すればよく、例えば、−78℃〜用いた溶媒の沸点の間の温度で、5分〜48時間反応させればよい。
【0100】
上記製造法において、定義した基が実施方法の条件下で変化するかまたは方法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で常用される保護基の導入および脱離方法等を用いることにより目的化合物を得ることができる。また、化合物(I)の中には、これを合成中間体としてさらに別の誘導体(I)へ導くことができるものもある。
【0101】
上記各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される精製法、例えば、中和、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。また、中間体においては、特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
【0102】
化合物(I)の中には、光学異性体などが存在するものもあるが、本発明は、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を本発明の抗ガン剤として使用することができる。
化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られる場合には、適当な有機溶媒に溶解もしくは懸濁させ、酸または塩基を加えて通常の方法により塩を形成させればよい。
また、化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩は、水あるいは各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明の抗ガン剤として使用することができる。
化合物(I)またはそれらの薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤とすることが望ましく、該医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種もしくは二種以上の担体と混合し、製剤学の常法により製造することができる。
投与経路としては、経口投与または吸入投与、静脈内投与などの非経口投与が挙げられる。
【0103】
投与形態としては、錠剤、注射剤などが挙げられ、錠剤は、例えば乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、界面活性剤、グリセリン等の、各種添加剤を混合し、常法に従い製造すればよく、吸入剤は、例えば乳糖等を添加し、常法に従い製造すればよい。注射剤は、水、生理食塩水、植物油、可溶化剤、保存剤等を添加し、常法に従い製造すればよい。
【0104】
化合物(I)またはそれらの薬理学的に許容される塩の有効量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、通常成人一人当たり、0.001mg〜500mg、好ましくは0.1mg〜300mg、より好ましくは1mg〜200mgを、一日一回ないし数回に分けて投与する。
【0105】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
なお、構造決定に用いたHならびに13C−NMR スペクトル測定は、JEOL JNM-AL300(300MHz)を使用し、chemical shiftはテトラメチルシラン(TMS)を内部標準としたδ値(ppm)で示し、J値はHzで示した。マススペクトルの測定は、FAB−MSスペクトルはJEOL JMS-DX303HF Mass Spectrometerを、EI−MSスペクトルはJEOL JMS-BU20(GC-mate)を使用した。
【実施例1】
【0106】
5−アニリノ−2−ベンゾイル−3−ジメチルアミノチオフェン (化合物1a) の合成
(工程1)
3−ジメチルアミノ−3−メチルスファニル−N−フェニルチオアクリルアミド(化合物A:化合物(5)において、R1a=フェニル、R2a=H、R3a=NMe、R36=Meである化合物)の合成
無水ベンゼン40mLに五硫化リン10g(45mmole)とジメチルアミド22.2g(0.23mole)を加え、50〜60℃に加熱した。このまま2時間保ち、冷却後、ヨウ化メチル43.4g(0.30mol)を加え、30分間還流した。ベンゼンを留去後、残渣にフェニルイソチオシアネート(34.5g,0.25mol)を溶解したジクロロメタン50mlを加え、12時間攪拌した。溶媒留去後、水100mLを加え、ついで、ジクロロメタン100mL x2で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で処理し、化合物Aを55g(収率31%)得た。
mp 64-66℃、
Mass (EI) 252 (M+)、
1H-NMR (DMSO-d6) d: 2.20 (s, CH3, 3H), 2.50 (s, CH3 x 2, 6H), 4.2 (s, CH, 1H), 5.2 ((br, NH, 1H), 6.43-6.63 (m, CH x 3, 3H), 6.98-7.04 (m, CH x 2, 2H).
【0107】
(工程2)
工程1で得られる化合物Aの50mg(2mmol)のジクロロメタン溶液10mlにトリエチルアミン0.28ml(2mmol)を加え、攪拌下、ベンゾイルメチルクロリド(2mmol)を徐々に加え、12時間、室温で攪拌した。反応後、水洗し(20mlx2)、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をエタノール−ベンゼンの混合溶媒で再結晶し、化合物(1a)を0.39g(収率61%)得た。
mp 175-176 ℃、
IR νmax (cm-1) 3252 (NH)、
Mass (EI), 322 (M+)、
1H-NMR (DMSO-d6) δ:2.87 (t, CH3x2, 6H), 6.21 (s,CH, 1H)、6.96 (t, CHx2, 2H, J=7.2 Hz), 7.16 (d, CHx2, 2H, J=8.1 Hz), 7.31 (t, CHx2, 2H, J=7.7 Hz), 7.37-7.48 (m, CHx3, 3H), 7.61 (d, CHx2, 2H, J=7.2 Hz),9.71 (s, NH, 1H)、
元素分析( C19H18N2OS)計算値: C, 70.78; H, 5.63; N, 8.69. 実測値: C, 71.11; H, 5.88; N, 8.39.
【実施例2】
【0108】
2−ベンゾイル−5−(4−クロロアニリノ)−3−ジメチルアミノチオフェン (化合物2a)の合成
実施例1の工程1に準じて製造したN−(4−クロロフェニル)−3−ジメチルアミノ−3−メチルスルファニルチオアクリルアミド(化合物B:化合物(5)において、R1a=4−クロロフェニル、R2a=H、R3a=NMe、R36=Meである化合物)57mg(2mmol)のジクロロメタン溶液10mlにトリエチルアミン0.28ml(2mmol)を加え、攪拌下、ベンゾイルメチルクロリド(2mmol)を徐々に加え、10時間、室温で攪拌した。反応後、水洗し(20mlx2)、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をエタノール−ベンゼンの混合溶媒で再結晶し、化合物(2a)を0.40g(収率56%)得た。
mp 208-209 ℃、
IR νmax (cm-1) 3249 (NH)、
Mass (EI), 356 (M+) 、
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.87 (t, CH3 x2, 6H), 6.25 (s,CH, 1H)、7.17 (d, CHx2, 2H, J=8.6 Hz), 7.33 (d, CHx2, 2H, J=8.6 Hz), 7.31 (t, CHx2, 2H, J=7.7 Hz), 7.41-7.49 (m, CHx3, 3H), 7.63 (d, CHx2, 2H, J=7.1 Hz), 9.80 (s, NH, 1H)、
元素分析(C19H17ClN2OS)計算値:C, 63.95; H, 4.80; N, 7.85. 測定値: C, 63.55; H, 4.55; N, 8.17.
【実施例3】
【0109】
2−ベンゾイル−3−ジメチルアミノ−5−ナフチルチオフェン(化合物3a)の合成
実施例1の工程1に準じて製造したN−(4−ナフチル)−3−ジメチルアミノ−3−メチルスルファニルチオアクリルアミド(化合物C:化合物(5)において、R1a=β−ナフチル、R2a=H、R3a=NMe、R36=Meである化合物)60mg(2mmol)のジクロロメタン溶液10mlにトリエチルアミン0.28ml(2mmol)を加え、攪拌下、ベンゾイルメチルクロリド(2mmol)を徐々に加え、12時間、室温で攪拌した。反応後、水洗し(20mlx2)、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をエタノール−ベンゼンの混合溶媒で再結晶し、化合物(3a)を0.42g(収率56%)得た。
mp 206-207 ℃、
IR νmax (cm-1) 3249 (NH)、
Mass (EI), 372 (M+) 、
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.85 (t, CH3x2, 6H), 6.25 (s,CH, 1H)、7.10-7.52 (m, arom, 12H), 9.71 (s, NH, 1H)、
元素分析( C23H20N2OS): 計算値C, 74.16; H, 5.41; N, 7.52. 実測値 C, 73.88; H, 5.14; N, 7.20.
【実施例4】
【0110】
5−アニリノ−2−ベンゾイル−4−カルボメトキシ−3−メチルチオフェン(化合物4a)の合成
実施例1の工程1に準じて製した2−カルボメトキシ−3−メチル−3−モルホリノ−N−フェニルチオアクリルアミド(化合物D:化合物(5)において、R1a=フェニル、R2a=COOMe、R3a=Me、SR35=モルホリノである化合物)640mg(2mmol)のジクロロメタン溶液20mlにトリエチルアミン0.28ml(2mmol)を加え、攪拌下、ベンゾイルメチルクロリド308mg(2mmol)を徐々に加え、10時間、室温で攪拌した。反応後、水洗し(20mlx2)、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をエタノール−ベンゼンの混合溶媒で再結晶し、化合物(4a)を0.36g(収率51%)得た。
mp 138-140℃、
IR νmax (cm-1) 3355 (NH)、1630(C=O),
Mass (EI), 351 (M+) 、
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.78 (s, CH3, 3H), 3.93 (s, CH3, 3H),7.21―7.46(m, arom, 10H), 10.63 (s, NH, 1H)
【実施例5】
【0111】
2−アニリノ−7−ベンゾイル−5,6−ジヒドロ−4H―シクロペンタ[c]チオフェン(化合物1b)の合成
実施例1の工程1に準じて製造した2−モルホリン−4−イル−シクロペンタ−1−エンカルボチオ酸 フェニルアミド(化合物E:化合物(10)において、R1a=フェニル、(R=H、NR3738=モルホリノ、p=1である化合物)0.45g(2mmol)のジクロロメタン溶液10mlにトリエチルアミン0.28ml(2mmol)を加え、攪拌下、ベンゾイルメチルクロリド0.31g(2mmol)を徐々に加え、10時間、室温で攪拌した。反応後、水洗し(10mlx2)、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をエタノール−ベンゼンの混合溶媒で再結晶し、化合物(1b)を40mg(収率62%)得た。
mp 223-224℃、
IR νmax (cm-1) 3270 (NH)、
UVλ406.0 nm、
Mass (EI) 319 (M+)、
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.94-3.01 (m, CH2 x 2, 4H), 3.81 (t, CH2, 2H, J=8.1 Hz), 7.46-7.61 (m、CH x 6, 6H),7.68 (t, CHx2, 2H, J=6.6. Hz), 7.88 (t, CHx2, 2H, J=6.6. Hz), 11.22 (s, NH, 1H)、
元素分析( C20H17NOS)計算値: C, 75.21; H, 5.37; N; N, 4.39. 実測値: C, 75.15; H, 5.44; N, 4.26.
【実施例6】
【0112】
1−アニリノ−9−ベンゾイル−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾ[c]チオフェン(化合物2b)の合成
実施例1の工程1に準じて製造した2−モルホリン−4−イル−シクロヘキサ−1−エンカルボチオ酸 フェニルアミド(化合物F:化合物(10)においてR1a=フェニル、(R=H、NR3738=モルホリノ、p=2である化合物)0.48g(2mmol)のジクロロメタン溶液10mlにトリエチルアミン0.28ml(2mmol)を加え、攪拌下、ベンゾイルメチルクロリド0.31g (2mmol)を徐々に加え、12時間、室温で攪拌した。反応後、水洗し(10mlx2)、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をエタノール−ベンゼンの混合溶媒で再結晶し、化合物(2b)を0.35g(収率53%)得た。
mp 194-195℃、
IR νmax (cm-1) 3250 (NH)、
UVλ 402.5 nm、
Mass (EI) 333 (M+) 、
1H-NMR (DMSO-d6) δ:1.63-1.87 (m, CH2x2, 4H), 2.49 (t, CH2, 2H, J=6.1 Hz), 2.95 (t, CH2, 2H, J=6.1 Hz),6.19 (s, NH, 1H), 6.63-7.81 (m, aromx2, 10H)、
元素分析(C21H19NOS)計算値: C, 75.64; H, 5.74; N, 4.20. 実測値: C, 75.73; H, 5.80; N, 4.08.
【実施例7】
【0113】
1−アニリノ−10−ベンゾイル−1−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−シクロペンタ[c] チオフェン(化合物3b)の合成
実施例1の工程1に準じて製造した2−モルホリン−4−イル−シクロヘプタ−1−エンカルボチオ酸 フェニルアミド(化合物G:化合物(10)においてR1a=フェニル、(R=H、NR3738=モルホリノ、p=3である化合物)0.48g(2mmol)のジクロロメタン溶液10mlにトリエチルアミン0.28ml(2mmol)を加え、攪拌下、ベンゾイルメチルクロリド0.31g(2mmol)を徐々に加え、13時間、室温で攪拌した。反応後、水洗し(10mlx2)、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をエタノール−ベンゼンの混合溶媒で再結晶し、化合物(3b)を0.35g(収率51%)得た。
mp 113-115℃、
IR νmax (cm-1) 3250 (NH)、
Mass (EI) 347 (M+) 、
1H-NMR (DMSO-d6) δ:2.91( m, CH2x3, 6H), 2.56 (t, CH2, 2H, J=5.5 Hz), 2.93 (t, CH2, 2H, J=5.5 Hz), 7.13 (s, NH, 1H), 6.76-7.91 (m, aromx2, 10H)、
元素分析( C22H21NOS)計算値: C, 76.05; H, 6.10; N, 4.0. 実測値: C, 76.02, H, 6.15; N, 3.81,
【実施例8】
【0114】
エチル 2−オキソ−2−(3−フェニルアミノ)−5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[c]チオフェン−1−イル)アセテート(化合物4b)の合成
実施例1の工程1に準じて製造した化合物Eの576mg(2mmol)のジクロロメタン溶液20mlにトリエチルアミン0.28ml(2mmol)を加え、攪拌下、エチル3−ブロモ−2−オキソプロパノエート390mg(2mmol)を徐々に加え、10時間、室温で攪拌した。反応後、水洗し(20mlx2)、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をエタノール−ベンゼンの混合溶媒で再結晶し、化合物(4b)を0.31g(収率49%)得た。
mp 138-140℃、
IR νmax (cm-1) 3252 (NH)、1723, 1615 (C=O),
Mass (EI), 315 (M+) 、
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.39 (t, CH3, J= 7.6Hz, 3H), 2.43 (t, CH2, J=7.0Hz, 2H), 2.56-2.58 (m, CH2, 2H), 2.96 (t, CH2, J=6.9Hz, 2H), 4.35 (q, CH2, J=7.3 Hz, 2H), 6.59 (s, NH, 1H), 7.08 (t, CH,J=7.3Hz, 1H), 7.21-7.39 (m, arom, 4H)
【実施例9】
【0115】
エチル 2−オキソ−2−(3−フェニルアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロ−4H−シクロヘプタ[c]チオフェン−1−イル)アセテート(化合物5b)の合成
実施例1の工程1に準じて製造した化合物Gの316mg(1mmol)、エチル3−ブロモ−2−オキソプロパノエート195mg(1mmol)より化合物(5b)を0.18g(収率52%)得た。
mp 149-150℃、
IR νmax (cm-1) 3248 (NH)、1730, 1618 (C=O),
Mass (EI), 343 (M+) 、
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.17-1-71 (m, CH2x2, 4H), 1.32 (t, CH3, J= 7.1Hz, 3H), 2.59 (t, CH2, J=6.3 Hz, 2H), 3.08 (t, CH2, 2H), J=6.3 Hz, 2H), 4.27 (q, CH2, J=7.1 Hz, 2H), 6.38 (s, NH, 1H), 7.01 (t, CH,J=7.1 Hz, 1H), 7.19-7.31 (m, arom, 4H).
【実施例10】
【0116】
4−アニリノ−6−ベンゾイルアミノ−1−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−チエノ[3,4−b]ピロール化合物(1c)の合成
実施例1の工程1に準じて製造した1−メチル−2−メチルスルファニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボチオ酸 フェニルアミド(化合物H:化合物(14)においてR1a=フェニル、(R=H、R36=R=Me、q=1である化合物)0.53g(2mmol)のジクロロメタン溶液10ml にトリエチルアミン0.7ml(2mmol)を加え、攪拌下、ベンゾイルメチルクロリド0.31g(2mmol)を徐々に加え、12時間、室温で攪拌した。反応後、水洗し(10mlx2)、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をエタノール−ベンゼンの混合溶媒で再結晶し、化合物(1c)を0.29g(収率54%)得た。
mp 167-168℃、
IR νmax (cm-1) 3260 (NH)、
Mass (EI) 334 (M+)、
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.71 (t, CH2, 2H, J=8.2 Hz), 2.96 (s, N-CH3, 3H), 3.81 (t, CH2, 2H, J=8.1 Hz), 6.91 (t, CH, 1H ,J=7.1 Hz), 7.08 (d, CHx2, 2H, J=8.1 Hz), 7.26 (t, CHx2, 2H, J=7.8 Hz), 7.39-7.49 (m, CHx3, 3H), 7.60 (t, CHx3, 3H, J=6.6 Hz), 9.01 (s, NH, 1H)、
元素分析( C20H18N2OS)計算値: C, 71.83; H, 5.42; N, 8.38. 実測値: C, 72.13, H, 5.49, N; 7.98.
【実施例11】
【0117】
6−ベンゾイル−4−ベンゾイルアミノ−1−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−チエノ[3,4−b]ピロール(化合物2c)の合成
実施例1の工程1に準じて製造したN−(1−メチル−2−メチルスルファニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボチオイル)フェニルアミド(化合物I:化合物(14)において、R1a=ベンゾイル、(R=H、R36=R=Me、q=1である化合物)0.53g(2mmol)のジクロロメタン溶液10mlにトリエチルアミン0.7ml(2mmol)を加え、攪拌下、ベンゾイルメチルクロリド0.31g(2mmol)を徐々に加え、12時間、室温で攪拌した。反応後、水洗し(10mlx2)、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をエタノール−ベンゼンの混合溶媒で再結晶し、化合物(2c)を36g(収率54%)得た。
mp 167-168℃、
IR νmax (cm-1) 3260 (NH)、Mass (EI) 334 (M+)、
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.71 (t, CH2, 2H, J=8.2 Hz), 2.96 (s, N-CH3, 3H), 3.81 (t, CH2, 2H, J=8.1 Hz), 6.91 (t, CH, 1H,J=7.1 Hz), 7.08 (d, CHx2, 2H, J=8.1 Hz), 7.26 (t, CHx2, 2H, J=7.8 Hz), 7.39-7.49 (m, CHx3, 3H), 7.60 (t, CHx3, 3H, J=6.6 Hz), 9.01 (s, NH, 1H)、
元素分析(C20H18N2OS )計算値: C, 71.83; H, 5.42; N, 8.38. 実測値: C, 72.13, H, 5.49, N; 7.98.
【実施例12】
【0118】
4−アニリノ−6−ベンゾイル−1−エチル−2,3−ジヒドロ−1H−チエノ[3,4−b]ピロール(3c)の合成
実施例1の工程1に準じて製法した1−エチル−2−メチルスルファニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボチオ酸 フェニルアミド(化合物J:化合物(14)において、R1a=フェニル、(R=H、R36=Me、R=Et、q=1である化合物)0.56g(2mmol)のジクロロメタン溶液10mlにトリエチルアミン0.7ml(2mmol)を加え、攪拌下、ベンゾイルメチルクロリド0.31g(2mmol)を徐々に加え、11時間、室温で攪拌した。反応後、水洗し(10mlx2)、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をエタノール−ベンゼンの混合溶媒で再結晶し、化合物(3c)を40mg(収率57%)得た。
mp 173-174 ℃、
IR νmax (cm-1) 3245(NH)、
Mass (EI) 348 (M+) 、
1H-NMR (DMSO-d6) δ:0.99 (t, CH3CH2, 3H, J=7.1 Hz), 2.71 (t, CH3CH2, 2H, J=8.1 Hz), 3.57 (t,CH2, 2H, J=8.1 Hz)、3.86 (t, NCH2, 2H, J=7.1 Hz), 6.89 (t, CH, 1H, J=7.2 Hz), 7.06 (t, CH, 1H, J=7.2 Hz), 7.24 (t, CHx2, 2H, J=7.8 Hz), 7.38-7.46 (m, CHx3, 3H), 7.58 (d, CHx2, 2H, J=6.8 Hz), 8.98 (s, NH, 1H)
13C-NMR (DMSO-d6) δ: CH3 (12.06), CH2 (23.91, 43.93, 57.91), CH (94.47, 117.38, 121.39, 127.62, 129.19), -C- (128.03, 130.41, 141.88, 143.87,) C=O (159.99)
元素分析(C22H21NOS)計算値: C, 76.05; H, 6.10; N, 4.0. 実測値: C, 76.32, H, 6.15; N, 3.81.
【実施例13】
【0119】
6−ベンゾイル−1−エチル−4−メチルアミノ−2,3−ジヒドロ−1H−チエノ[3,4−b]ピロール(化合物4c)の合成
実施例1の工程1に準じて製造した1−エチル−2−メチルスルファニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボチオ酸 メチルアミド(化合物K:化合物(14)において、R1a=R36=Me、(R=H、R=Et、q=1である化合物)0.53g(2mmol)のジクロロメタン溶液10mlにトリエチルアミン0.7ml(2mmol)を加え、攪拌下、ベンゾイルメチルクロリド0.31g(2 mmol)を徐々に加え、12時間、室温で攪拌した。反応後、水洗し(10mlx2)、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をエタノール−ベンゼンの混合溶媒で再結晶し、化合物(4c)を0.33g(収率57%)得た。
mp 167-168 ℃、
IR νmax (cm-1) 3270 (NH)、
Mass (EI) 286 (M+)、
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 0.97 (t, CH2CH3 ,3H, J=7.1 Hz), 2.49-2.70 (m, N-CH3+ CH2, 5H), 3.55 (t, CH2, 2H, J=7.0 Hz), 3.79 (t, N-CH2, 2H, J=8.3 Hz), 6.83 (d, NH, 1H, J=4.8 Hz), 7.38-7.44 (m,CHx3, 3H)、7.53-7.56 (m, CHx2, 2H)、
元素分析(C21H18N2OS)計算値: C, 67.10; H, 6.33; N, 9.78. 測定値:C, 66.80; H, 6.73; N, 10.09.
【実施例14】
【0120】
1,2−ビス[3−(フェニルアミノ)−4−カルボメトキシ−5−チオフェン−1−イル]エタン−1,2−ジオン(化合物1d)の合成
実施例1の工程1に準じて製造した化合物D320mg(1mmol)、1,4−ブロモエタン−2,3−ジオン121mg(0.5mmol)より化合物(1d)を0.26g(収率47%)得た。
mp 175-176℃、
IR νmax (cm-1) 3233 (NH)、1665 (C=O),
Mass (EI), 549 (M+)
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.78-1.80 (d, CH3 x 2, J= 5.4 Hz, 4H), 2.45-2.47 (d, CH2 x 2, J=5.4 Hz, 4H), 3.11 (s, CH2x 2, 4H), 6.40 (s, NH, 1H), 7.04-7.09 (m, CHx2, 2H), 7.26-7.39 (m, arom, 8H).
【実施例15】
【0121】
1,2−ビス[3−(フェニルアミノ)−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[c]チオフェン−1−イル]エタン−1,2−ジオン(化合物2d)の合成
実施例1の工程1に準じて製した化合物Eの576mg(2mmol)のジクロロメタン溶液20mlにトリエチルアミン0.28ml(2mmol)を加え、攪拌下、1,4−ブロモエタン−2,3−ジオン486mg(2mmol) を徐々に加え、10時間、室温で攪拌した。反応後、水洗し(20mlx2)、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ジクロロメタンを減圧留去し、残渣をエタノール−ベンゼンの混合溶媒で再結晶し、化合物(2d)を0.24g(収率49%)得た。
mp 210-211℃、
IR νmax (cm-1) 3332 (NH)、1663 (C=O),
FAB-Mass: m/z 487 (M+1)、
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.78-1.80 (d, CH3 x 2, J= 5.4 Hz, 4H), 2.45-2.47 (d, CH2x 2, J=5.4 Hz, 4H), 3.11 (s, CH2 x 2, 4H), 6.40 (s, NH, 1H), 7.04-7.09 (m, CHx2, 2H), 7.26-7.39 (m, arom, 8H).
【実施例16】
【0122】
3−ブロモ−1−{[(2−クロロフェニル)−フェニル−メチレン]−アミノ}−ピロリジン−2−オン(化合物1e)の合成
[(2−クロロフェニル)−フェニル−メチレン]ヒドラジン(化合物L:化合物(17)において、R34=2−クロロフェニル、R35=フェニルである化合物)1.15g(5mmol)をCHCl30mLおよび5%NaOH4mLの混合溶媒に溶解し、氷冷下、激しく攪拌しながら、2,4−ジブロモ酪酸クロリド(化合物M:化合物(16)において、R=R2a=H、R3a=Q0a=Br、Q0b=Cl)1.32g(5mmol)を徐々に滴下し、さらに5%NaOH(8mL)およびベンジルエチルアンモニウムクロライド(BTEAC)(10mg)を加え、室温下5時間攪拌し、反応後、残渣をエタノールから再結晶し、化合物(1e)を1.66g(収率85%)得た。
mp152-153 ℃、
IR νmax (cm-1) 1650 (C=O)、
Mass (EI) 390 (M+), 392, 394、
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.16 (m, CH2x2, 4H), 3.77 (m, CH2, 2H), 4.38 (m, CH, 1H) 7.18-7.7.76 (m, arom, 9H)、
元素分析(C18H16N2OBrCl)計算値: C, 55.20; H, 4.12; N, 7.15. 実測値: C, 55.10; H, 4.21; N, 7.19.
【実施例17】
【0123】
3−ブロモ−1−{[(4−クロロフェニル)−フェニル−メチレン]−アミノ}−ピロリジン−2−オン(化合物2e)の合成
[(4−クロロフェニル)−フェニル−メチレン]ヒドラジン(化合物N:化合物(17)において、R34=4−クロロフェニル、R35=フェニル)1.15g (5mmol)をCHCl30mLおよび5%NaOH4mLの混合溶媒に溶解し、氷冷下、激しく攪拌しながら、2,4−ジブロモ酪酸クロリド1.32g(5mmol)を徐々に滴下し、さらに5%NaOH(8mL)およびBTEAC(10mg)を加え、室温下5時間攪拌し、反応後、残渣をジクロロメタン−ヘキサンから再結晶し化合物(2e)を1.17g(収率60%)得た。
mp119-120 ℃、
IR νmax (cm-1) 1650 (C=O)、
Mass (EI) 390 (M+), 392, 394、
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.16 (m, CH2x2, 4H), 3.62 (m, CH2, 2H), 4.42 (m, CH, 1H) 7.29-7.61 (m, arom, 9H)、
元素分析(C18H16N2OBrCl)計算値: C, 55.20; H, 4.12; N, 7.15. 実測値:C, 55.30; H, 4.14; N, 7.22.
【実施例18】
【0124】
抗ガン試験
ヒト肺ガン株PC−9およびPC−9/ZDを、それぞれ96ウェルのマイクロプレートに1ウェルあたり1000個播種した。培地の量は1ウェルあたり135μLとした。その後、COインキュベーターで、CO濃度5.0%で、37.0℃で24時間培養した。
試験化合物は、最高濃度が200μ/mlとなるように細胞培養液で希釈調整し、その後3倍希釈により調整した試験化合物調整液15μLを各ウエルに加え、試験化合物濃度が0〜20μg/mlになるように培地全量を150μLとし、COインキュベーターで、72時間培養した。その後、各ウェルに20μLの燐酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈した5%の3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)溶液を加え、さらに4時間培養した。培養後、上清を取り除き、各ウェルに200μLのDMSO溶液を加えて発色させ、マイクロプレートリーダー(Molecular Devices社製)を用いて、570nmにおける吸光度を測定することにより、細胞株の生存率を測定した。
各試験化合物の吸光度の平均値をコントロールの平均値で割ることにより、各試験化合物における増殖抑制率を計算し、これから50%細胞増殖抑制濃度(IC50)を算出した。それぞれの試験化合物のIC50値を表6に示す。
【0125】
【表6】

【実施例19】
【0126】
化合物(1a)10mg、乳糖70mg、デンプン15mg、ポリビニルアルコール4mgおよびステアリン酸マグネシウム1mg(計100mg)からなる組成を用い、常法により、錠剤を調製する。
【実施例20】
【0127】
常法により、化合物(2e)70mg、精製大豆油50mg、卵黄レシチン10mgおよびグリセリン25mgからなる組成に、全容量100mLとなるよう注射用蒸留水を添加し、バイアルに充填後、加熱滅菌して注射剤を調製する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

{式中、
およびRは、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、OR(式中、Rは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基または置換若しくは非置換のアロイル基を表す)、NR(式中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは非置換のアリールスルホニル基またはRおよびRが一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、N(R)C(=Q)NR1011(式中、Qは、酸素原子、硫黄原子またはイミノ基を表し、Rは、水素原子または置換若しくは非置換のアルキル基を表し、R10およびR11は、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR10およびR11が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、COOR12(式中、R12は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表す)、C(=Q)NR1314(式中、Qは、酸素原子または硫黄原子を表し、R13およびR14は、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR13およびR14が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、S(O)15(式中、R15は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表し、jは、0、1または2を表す)、SONR1617(式中、R16およびR17は、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR16およびR17が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子を表すか、または、RおよびRは、一緒になって置換基を有していてもよい環を形成してもよく(以下、RおよびRが結合して環を形成する際のRおよびRの結合をZという);
は、RおよびRが結合して環を形成する際の、当該環の置換基を表し、該置換基は、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、OR18(式中、R18は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基または置換若しくは非置換のアロイル基を表す)、NR1920(式中、R19およびR20は、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは非置換のアリールスルホニル基またはR19およびR20が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、N(R21)C(=Q)NR2223(式中、Qは、酸素原子、硫黄原子またはイミノ基を表し、R21は、水素原子または置換若しくは非置換のアルキル基を表し、R22およびR23は、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR22およびR23が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、COOR24(式中、R24は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表す)、C(=Q)NR2526(式中、Qは、酸素原子または硫黄原子を表し、R25およびR26は、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR25およびR26が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、S(O)27(式中、R27は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表し、kは、0、1または2を表す)、SONR2829(式中、R28およびR29は、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR28およびR29が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、ニトロ基、シアノ基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる基を表し;
mは、0〜5の整数を表し、mが2以上の場合、Rは、同一または異なっていてもよく;
ここで、
Xが、硫黄原子を表すとき、
とRおよびRとRが結合している炭素原子間は、二重結合を表し、
と炭素原子との結合は、単結合を表し、ここで、
は、NR1a1b(式中、R1aおよびR1bは、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは非置換のアリールスルホニル基、または、R1aおよびR1bが一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)を表し、
は、COR4a[式中、R4aは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、OR30(式中、R30は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表す)、NR3132(式中、R31およびR32は、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基またはR31およびR32が一緒になって、置換若しくは非置換の含窒素複素環基を表す)、COOR33(式中、R33は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表す)または式(II)
【化2】

(式中、R1a、R1b、R、R、R、Zおよびmは、前記と同義である)
で表される基を表す]、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子を表すか、
または、
Xが、−N=C(R34)(R35)(式中、R34は、置換アリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表し、R35は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基または置換若しくは非置換の芳香族複素環基を表す)を表すとき、
とRおよびRとRが結合している炭素原子間は、単結合を表し、
と炭素原子との結合は、二重結合を表し、ここで、
は、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、OR(式中、Rは、前記と同義である)、NR(式中、RおよびRは、前記と同義である)、N(R)C(=Q)NR1011(式中、R、R10、R11およびQは、前記と同義である)、COOR12(式中、R12は、前記と同義である)、C(=Q)NR1314(式中、R13、R14およびQは、前記と同義である)、S(O)15(式中、R15およびjは、前記と同義である)、SONR1617(式中、R16およびR17は、前記と同義である)、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、
は、酸素原子または硫黄原子を表す}
で表される5員複素環誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗ガン剤。
【請求項2】
式(I)で表される化合物が、下記式(Ia)
【化3】

(式中、R1a、R1b、R、R、R4a、R、Zおよびmは、前記と同義である)
で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする請求項1記載の抗ガン剤。
【請求項3】
式(Ia)で表される化合物が、下記式(Iaa)
【化4】

[式中、R2aおよびR3aは、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、OR(式中、Rは、前記と同義である)、NR(式中、RおよびRは、前記と同義である)、N(R)C(=Q)NR1011(式中、Q、R、R10およびR11は、前記と同義である)、COOR12(式中、R12は、前記と同義である)、C(=Q)NR1314(式中、Q、R13およびR14は、前記と同義である)、S(O)15(式中、R15およびnは、前記と同義である)、SONR1617(式中、R16およびR17は、前記と同義である)、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、R1a、R1bおよびR4aは、前記と同義である]
で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする請求項1または2のいずれか記載の抗ガン剤。
【請求項4】
1aおよびR1bは、一方が水素原子を、他方が置換若しくは非置換のアリール基を、R2aは、水素原子またはCOOR12a(式中、R12aは、アルキル基を表す)を、R3aは、アルキル基またはNR7a8a(式中、R7aおよびR8aは、同一または異なって、アルキル基を表す)を、R4aは、アリール基であるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする請求項3記載の抗ガン剤。
【請求項5】
Zが、−(CH)n−Y−[式中、Yは、単結合または−N(R)−(式中、Rは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換の脂環式複素環基、置換若しくは非置換の芳香族複素環基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアロイル基、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル基または置換若しくは非置換のアリールスルホニル基を表す)を表し、nは、2〜6の整数を表す]で表される5員複素環誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする請求項1または2いずれか記載の抗ガン剤。
【請求項6】
Yが単結合を、nが3〜5の整数である式(Ia)で表される化合物が、下記式(Iab)
【化5】

(式中、pは、1〜3の整数を表し、R1a、R1b、R4a、Rおよびmは、前記と同義である)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする請求項1、2または5のいずれか記載の抗ガン剤。
【請求項7】
1aおよびR1bは、一方が水素原子を、他方が置換若しくは非置換のアリール基を、R4aが置換若しくは非置換のアリール基またはOR30a(式中、R30aはアルキル基を表す)であるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする請求項6記載の抗ガン剤。
【請求項8】
Yが−N(R)−を、nが2〜4の整数である式(Ia)で表される化合物が、下記式(Iac)
【化6】

(式中、qは、1〜3の整数を表し、R1a、R1b、R4a、R、Rおよびmは、前記と同義である)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする請求項1、2または5のいずれか記載の抗ガン剤。
【請求項9】
1aおよびR1bは、一方が水素原子を、他方が置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基または置換若しくは非置換のアロイル基を、R4aが置換若しくは非置換のアリ−ル基を、Rがアルキル基であるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする請求項9記載の抗ガン剤。
【請求項10】
式(Ia)で表される化合物が、下記式(Iad)
【化7】

(式中、R1a、R1b、R、R、R、Zおよびmは、前記と同義である)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする請求項1または2のいずれか記載の抗ガン剤。
【請求項11】
1aおよびR1bは、一方が水素原子を、他方が置換若しくは非置換のアリール基を表し、Rは、COOR12a(式中、R12aは、前記と同義である)を、Rがアルキル基を表すか、または、Zがトリメチレン基であるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする請求項10記載の抗ガン剤。
【請求項12】
m=0またはRが、置換若しくは非置換のアルキル基若しくは置換若しくは非置換のアリール基であるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする請求項1、2または5〜11のいずれか記載の抗ガン剤。
【請求項13】
式(I)で表される化合物が、下記式(Ib)
【化8】

(式中、R、R2a、R3a、R、R34およびR35は、前記と同義である)で表されるγ−ラクタム誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする請求項1記載の抗ガン剤。
【請求項14】
およびR2aが水素原子を、R3aがハロゲン原子を、Rが酸素原子を、R34が置換アリール基を、R35が非置換アリール基であるγ−ラクタム誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする請求項13記載の抗ガン剤。
【請求項15】
式(IA)
【化9】

(式中、Rは、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルカノイル基、置換若しくは非置換のアリール基または置換若しくは非置換のアロイル基を表し、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはアルキルを表し、Rは、置換若しくは非置換のアルキル基または置換若しくは非置換のアリール基を表す)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項16】
がフェニル基、4−クロロフェニル基またはナフチル基を表し、RおよびRがメチル基を表し、Rがフェニル基であることを特徴とする請求項15記載のチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項17】
式(IB)
【化10】

(式中、RおよびRは、前記と同義である)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項18】
およびRがフェニル基であることを特徴とする請求項17記載のチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項19】
式(IC)
【化11】

(式中、Rは、アルキル基を表し、qは、1〜3の整数を表し、RおよびRは、前記と同義である)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項20】
がメチル基、フェニル基またはベンゾイル基を表し、Rがフェニル基を表し、Rがメチル基またはエチル基であることを特徴とする請求項19記載のチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項21】
式(ID)
【化12】

(式中、Rは、アルコキシカルボニル基を表し、Rはアルキル基を表すか、Zがトリメチレン基、テトラメチレン基またはペンタメチレン基を表し、Rは、前記と同義である)で表されるチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項22】
がフェニル基を表し、Rがメトキシカルボニル基を、Rがメチル基であるか、または、Zがトリメチレン基であることを特徴とする請求項21記載のチオフェン誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項23】
式(IE)
【化13】

(式中、Rは、ハロゲン原子を表し、Rは、置換アリール基を表し、Rは、置換若しくは非置換のアリール基を表す)で表されるγ−ラクタム誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項24】
が臭素原子を表し、Rが2−クロロフェニル基を表し、Rがフェニル基であることを特徴とする請求項23記載のγ−ラクタム誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩。


【公開番号】特開2009−256274(P2009−256274A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109599(P2008−109599)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【出願人】(590001452)国立がんセンター総長 (80)
【出願人】(508120938)学校法人銀杏学園 熊本保健科学大学 (1)
【Fターム(参考)】