説明

59位にアミノ酸置換を有するインスリン様増殖因子−1(IGF−1)の類似体

本発明は、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)の新規類似体、前記の類似体を含有する医薬組成物、ならびにIGF−1受容体に仲介される病気、例えば低身長の処置、糖尿病療法、神経変性疾患の処置、および軟骨の修復のための前記の類似体の使用に関する。より詳細には、本発明は59位にアミノ酸置換を有するIGF−1の新規類似体、例えば(Asn59)hIGF-1(1-70)-OH (SEQ ID NO:1)、および本明細書で定められる他の置換(単数または複数)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)の新規類似体、前記の類似体を含有する医薬組成物、ならびにIGF−1受容体に仲介される病気、例えば低身長の処置、糖尿病療法、神経変性疾患の処置、および軟骨の修復のための前記の類似体の使用に関する。より詳細には、本発明は59位にアミノ酸置換を有するIGF−1の新規類似体、例えば(Asn59)hIGF-1(1-70)-OH、および本明細書で定められる他の置換(単数または複数)に関する。
【背景技術】
【0002】
IGF−1は、インスリン様および分裂促進的増殖の生物学的活性を有する70アミノ酸のポリペプチドホルモンである。このホルモンは、筋骨格系、肝臓、腎臓、腸、神経系組織、心臓、および肺を含む様々な組織において細胞の増殖を増進する。
【0003】
野生型IGF−1は、3個の鎖内ジスルフィド架橋を有する次のアミノ酸配列を有し、ここで残基対A6およびA48、A47およびA52、ならびにA18およびA61の側鎖はそれぞれジスルフィド結合を形成している(SEQ ID NO:50):
【0004】
【化1】

【0005】
IGF−1は多種多様な体組織に存在するが、それは通常はそれがIGF結合タンパク質(IGFBP)に結合した不活性な形で見付かる。6種類の関連するIGFBPが知られており、IGFBP1〜IGFBP6と名付けられている。例えば、Holly and Martin, “インスリン様増殖因子結合タンパク質:それらの精製、分析および制御の方法論的観点の総説” Growth Regul., 4(補遺1):20-30 (1994)を参照。IGFBPは、IGF−1の作用に対して阻害性および/または刺激性の作用を及ぼすことにより、IGF−1の制御において重要な役割を果たしている。例えば、循環するIGF−1の約90%はIGFBP−3および酸に不安定なサブユニット(submit)を含有する3分子複合体で存在する。そのような複合体内のIGF−1は表面受容体に結合することができず、従って生物学的に不活性である。また、3分子複合体内に存在するIGF−1は複合体化していないIGF−1よりも実質的に長い半減期を有する。
【0006】
IGF−1の作用の混乱は、神経変性障害、例えば運動ニューロン疾患(すなわち、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、)筋ジストロフィーおよび多発性硬化症、軟骨障害、例えば骨関節炎、骨疾患、例えば骨粗鬆症、炎症性障害、例えばリウマチ性関節炎、器官に対する、例えば心臓、脳、または肝臓に対する虚血傷害等を含む多くの生理障害の一因となっている可能性がある。
【0007】
当業者には周知であるように、IGF−1の既知の、および可能性のある用途は様々であり、多数である。例えば、いくつかの研究は、神経変性の病気の処置のための可能性のある療法剤としてのIGF−1の用途に関して報告している。例えば、Kanje et al., Brain Res., 486:396-398 (1989); Hantai et al., J. Neurol. Sci., 129:122-126 (1995); Contreras et al., Pharmac. Exp. Therap., 274:1443-1499 (1995); Di Giulio et al., Society for Neuroscience, 22:1960 (1996); Di Giulio et al., Society for Neuroscience, 23:894 (1997); Hsu et al., Biochem. Mol. Med., 60(2):142-148 (1997); Gorio et al., Neuroscience, 82:1029-1037 (1998)を参照。IGF−1療法は、ALS、発作、てんかん、パーキンソン病、アルツハイマー病、急性外傷性傷害および外傷、老化、疾患、または傷害と関係する他の障害を含む多数の神経学的な病気において示されてきた。例えば米国特許第5,093,137号;第5,652,214号;第5,703,045号;国際公開番号WO90/1483およびWO93/02695を参照。
【0008】
様々な他の病気に関するIGF−1療法の使用が多くの刊行物において言及されてきた。例えば、Schalch et al., “Modern Concepts of Insulin-Like Growth Factors”、Spencer編(Elsevier、ニューヨーク), pp. 705-714 (1991); Clemmons and Underwood, J. Clin. Endocrinol. Metab., 79(1):4-6 (1994);およびLangford et al., Eur. J. Clin. Invest., 23(9):503-516 (1993)(例えばインスリン抵抗性状態および糖尿病に言及している);およびO’Shea et al., Am. J. Physiol., 264:F917-F922 (1993)(例えば低減した腎機能に言及している)を参照。米国特許第7,258,864号(低身長に言及している);米国特許第5,110,604号および米国特許第5,427,778号(傷の治癒に言及している);米国特許第5,126,324号(心臓障害および成長遅延に言及している);米国特許第5,368,858号(例えば軟骨の欠陥または病変に言及している);米国特許第5,543,441号および米国特許第5,550,188号(組織の増大に言及している);米国特許第5,686,425号(例えば瘢痕組織、局在型の筋機能障害、および尿失禁に言及している);ならびに米国特許第5,656,598号(例えば骨の成長に言及している)も参照。国際公開番号WO91/12018(例えば腸障害に言及している);WO92/09301およびWO92/14480(例えば傷の治癒に言及している);WO93/08828(例えば虚血、低酸素症、または神経変性と関係するニューロンの損傷に言及している);WO94/16722(例えばインスリン抵抗性に言及している);WO96/02565A1(例えば骨形成の促進に関する、および骨再形成の制御に関するIGF/IGFBP複合体に言及している);米国特許出願公開番号2003/0100505(例えば骨粗鬆症に言及している);ならびに米国特許出願公開番号2005/0043240(肥満に言及している)も参照。
【0009】
IGF−1療法は多くの生理学的適応に関して用いられてきたが、結果は時々予測不能であった。短期の有益な作用は時々持続せず(例えばMiller et al., Kidney International, 46:201-207 (1994)参照)、特に高い用量および/または長期の投与の結果として望ましくない副作用がもたらされる可能性がある(例えばJabri et al., Diabetes, 43:369-374 (1994);Wilton, Acta Paediatr., 393:137-141 (1992)参照)。高レベルのIGF−1は前立腺癌の危険性を増大させることも報告されている(Chan et al., Science, 278:563-566 (1998))。
【0010】
従って、当技術において、IGF−1および/またはインスリン様増殖因子結合タンパク質に結合する他のタンパク質に応答性の病気を処置するためのよりよい方法に関する必要性が存在する。本発明はこれらの必要性を満たし、さらに他の関連する利点を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,093,137号
【特許文献2】米国特許第5,652,214号
【特許文献3】米国特許第5,703,045号
【特許文献4】国際公開番号WO90/1483
【特許文献5】国際公開番号WO93/02695
【特許文献6】米国特許第7,258,864号
【特許文献7】米国特許第5,110,604号
【特許文献8】米国特許第5,427,778号
【特許文献9】米国特許第5,126,324号
【特許文献10】米国特許第5,368,858号
【特許文献11】米国特許第5,543,441号
【特許文献12】米国特許第5,550,188号
【特許文献13】米国特許第5,686,425号
【特許文献14】米国特許第5,656,598号
【特許文献15】国際公開番号WO91/12018
【特許文献16】国際公開番号WO92/09301
【特許文献17】国際公開番号WO92/14480
【特許文献18】国際公開番号WO93/08828
【特許文献19】国際公開番号WO94/16722
【特許文献20】国際公開番号WO96/02565A1
【特許文献21】米国特許出願公開番号2003/0100505
【特許文献22】米国特許出願公開番号2005/0043240
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Holly and Martin, “インスリン様増殖因子結合タンパク質:それらの生成、分析および制御の方法論的観点の総説” Growth Regul., 4(補遺1):20-30 (1994)
【非特許文献2】Kanje et al., Brain Res., 486:396-398 (1989)
【非特許文献3】Hantai et al., J. Neurol. Sci., 129:122-126 (1995)
【非特許文献4】Contreras et al., Pharmac. Exp. Therap., 274:1443-1499 (1995)
【非特許文献5】Di Giulio et al., Society for Neuroscience, 22:1960 (1996)
【非特許文献6】Di Giulio et al., Society for Neuroscience, 23:894 (1997)
【非特許文献7】Hsu et al., Biochem. Mol. Med., 60(2):142-148 (1997)
【非特許文献8】Gorio et al., Neuroscience, 82:1029-1037 (1998)
【非特許文献9】Schalch et al., “Modern Concepts of Insulin-Like Growth Factors”、Spencer編(Elsevier、ニューヨーク), pp. 705-714 (1991)
【非特許文献10】Clemmons and Underwood, J. Clin. Endocrinol. Metab., 79(1):4-6 (1994)
【非特許文献11】Langford et al., Eur. J. Clin. Invest., 23(9):503-516 (1993)
【非特許文献12】O’Shea et al., Am. J. Physiol., 264:F917-F922 (1993)
【非特許文献13】Miller et al., Kidney International, 46:201-207 (1994)
【非特許文献14】Jabri et al., Diabetes, 43:369-374 (1994)
【非特許文献15】Wilton, Acta Paediatr., 393:137-141 (1992)
【非特許文献16】Chan et al., Science, 278:563-566 (1998)
【発明の概要】
【0013】
本発明の発明者らにより発見されたように、化学的に不安定であり、容易に酸化され得る野生型IGF−1の59位のメチオニン残基を本明細書で記述するように他のアミノ酸で置き換えることにより(例えば(Asn59)hIGF-1(1-70)-OH)、結果として得られるIGF−1の類似体は化学的により安定であり、従って生成、精製、保管等の間により酸化を受けにくい。
【0014】
1観点において、本発明は次の式(I)のIGF−1のペプチド変種(すなわち類似体)に向けられており、
H-A-1-A1-A2-A3-A4-A5-A6-A7-A8-A9-A10-A11-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A21-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A31-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A41-A42-A43-A44-A45-A46-A47-A48-A49-A50-A51-A52-A53-A54-A55-A56-A57-A58-A59-A60-A61-A62-A63-A64-A65-A66-A67-A68-A69-A70-A71-R1
(I)
ここで:
A-1はMet、Serであり、または欠失しており;
A1はGly、Ala、Asn、Asp、Gln、Gluであり、または欠失しており;
A2はPro、Ala、Arg、Asp、Gln、Glu、Lysであり、または欠失しており;
A3はGlu、Ala、Asp、Glnであり、または欠失しており;
A4はThr、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、Serであり;
A5はLeu、Acc、Ala、Ile、またはValであり;
A6はCys、D-Cys、hCys、D-hCys、β-Me-Cys、D-β-Me-Cys、N-Me-Cys、D-N-Me-Cys、Ala、Pen、またはD-Penであり;
A7はGly、Ala、Asn、Asp、GlnまたはGluであり;
A8はAla、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A9はGlu、Ala、Asp、またはGlnであり;
A10はLeu、Acc、Ala、Ile、またはValであり;
A11はVal、Ala、Ile、またはLeuであり;
A12はAsp、Ala、Arg、Asn、Gln、Glu、またはLysであり;
A13はAla、Asn、Asp、Gln、Glu、Ile、Leu、またはValであり;
A14はLeu、Acc、Ala、Ile、またはValであり;
A15はGln、Ala、Asn、Asp、またはGluであり;
A16はPhe、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、Trp、またはTyrであり;
A17はVal、Ala、IleまたはLeuであり;
A18はCys、D-Cys、hCys、D-hCys、β-Me-Cys、D-β-Me-Cys、N-Me-Cys、D-N-Me-Cys、Ala、Pen、またはD-Penであり;
A19はGly、Ala、Asn、Asp、Gln、またはGluであり;
A20はAsp、Ala、Asn、Gln、またはGluであり;
A21はArg、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A22はGly、Ala、Asn、Asp、Gln、またはGluであり;
A23はPhe、Ala、Trp、またはTyrであり;
A24はTyr、Ala、Phe、またはTrpであり;
A25はPhe、Ala、Trp、またはTyrであり;
A26はAsn、Ala、Asp、Gln、Glu、Ser、またはThrであり;
A27はLys、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、またはProであり;
A28はPro、Ala、Arg、またはLysであり;
A29はThr、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはSerであり;
A30はGly、Ala、Asn、Asp、Gln、またはGluであり;
A31はTyr、Ala、Phe、またはTrpであり;
A32はGly、Ala、Asn、Asp、Gln、またはGluであり;
A33はSer、Ala、Thr、またはValであり;
A34はSer、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはThrであり;
A35はSer、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはThrであり;
A36はArg、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A37はArg、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A38はAla、Asn、Asp、Gln、またはGluであり;
A39はPro、Ala、Arg、またはGluであり;
A40はGln、Ala、Asn、Asp、またはGluであり;
A41はThr、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはSerであり;
A42はGly、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A43はIle、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A44はVal、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Ile、Leu、またはLysであり;
A45はAsp、Ala、Arg、Asn、Gln、Glu、またはLysであり;
A46はGlu、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、またはLysであり;
A47はCys、D-Cys、hCys、D-hCys、β-Me-Cys、D-β-Me-Cys、N-Me-Cys、D-N-Me-Cys、Ala、Pen、またはD-Penであり;
A48はCys、D-Cys、hCys、D-hCys、β-Me-Cys、D-β-Me-Cys、N-Me-Cys、D-N-Me-Cys、Ala、Pen、またはD-Penであり;
A49はPhe、Ala、Arg、Ile、Leu、Lys、Ser、Thr、Trp、Tyr、またはValであり;
A50はArg、Ala、Lys、Ser、またはThrであり;
A51はSer、Aib、Ala、Arg、Lys、またはThrであり;
A52はCys、D-Cys、hCys、D-hCys、β-Me-Cys、D-β-Me-Cys、N-Me-Cys、D-N-Me-Cys、Ala、Pen、またはD-Penであり;
A53はAsp、Ala、Arg、Asn、Gln、Glu、Lys、Ser、またはThrであり;
A54はLeu、Acc、Ala、Ile、またはValであり;
A55はArg、Ala、Ile、Leu、Lys、Phe、Trp、Tyr、またはValであり;
A56はArg、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A57はLeu、Acc、Ala、Ile、またはValであり;
A58はGlu、Acc、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、またはLysであり;
A59はAcc、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Ile、Leu、Lys、Nle、Ser、D-Ser、Thr、Trp、Tyr、またはValであり;
A60はTyr、Ala、Phe、またはTrpであり;
A61はCys、D-Cys、hCys、D-hCys、β-Me-Cys、D-β-Me-Cys、N-Me-Cys、D-N-Me-Cys、Ala、Pen、またはD-Penであり;
A62はAla、Asn、Asp、Gln、Glu、Ile、Leu、またはValであり;
A63はPro、D-Pro、Ala、Ser、Thrであり、または欠失しており;
A64はLeu、D-Leu、des-Leu、Ala、Ile、Valであり、または欠失しており;
A65はLys、D-Lys、des-Lys、Ala、Arg、Ile、Leu、Valであり、または欠失しており;
A66はPro、D-Pro、Alaであり、または欠失しており;
A67はAla、D-Ala、Aibであり、または欠失しており;
A68はLys、D-Lys、Ala、Arg、Ile、Leu、Valであり、または欠失しており;
A69はSer、D-Ser、Aib、Ala、Thrであり、または欠失しており;
A70はAla、D-Ala、Asn、Asp、Gln、Gluであり、または欠失しており;
A71はAsn、Ala、Asp、Gln、Glu、Lys、Ser、Thrであり、または欠失しており;そして
R1はOHまたはNH2であり;
ただし、
残基対A6およびA48、A47およびA52、ならびにA18およびA61の側鎖はそれぞれジスルフィド結合を形成しており;そして
さらに、A59がLeu、Ile、Nle、Thr、またはValのいずれかである場合、その類似体は本明細書で定めるような少なくとも1個の追加のアミノ酸置換または付加を含有する。
【0015】
式(I)において、好ましいアミノ酸置換および付加は以下のように定められる:
A-1はMet、Serであり、または欠失しており;
A1はGlyであり、または欠失しており;
A2はPro、Lysであり、または欠失しており;
A3はGluであり、または欠失しており;
A4はThrであり;
A5はLeuであり;
A6はCys、hCys、β-Me-Cys、N-Me-Cys、またはPenであり;
A7はGlyであり;
A8はAlaであり;
A9はGluであり;
A10はLeuであり;
A11はValであり;
A12はAspであり;
A13はAlaであり;
A14はLeuであり;
A15はGlnであり;
A16はPheであり;
A17はValであり;
A18はCys、hCys、β-Me-Cys、N-Me-Cys、またはPenであり;
A19はGlyであり;
A20はAspであり;
A21はArgであり;
A22はGlyであり;
A23はPheであり;
A24はTyrであり;
A25はPheであり;
A26はAsnであり;
A27はLys、Arg、またはProであり;
A28はProまたはLysであり;
A29はThrであり;
A30はGlyであり;
A31はTyrであり;
A32はGlyであり;
A33はSerであり;
A34はSerであり;
A35はSerであり;
A36はArgであり;
A37はArgであり;
A38はAlaであり;
A39はProであり;
A40はGlnであり;
A41はThrであり;
A42はGlyであり;
A43はIleであり;
A44はValであり;
A45はAspであり;
A46はGluであり;
A47はCys、hCys、β-Me-Cys、N-Me-Cys、またはPenであり;
A48はCys、hCys、β-Me-Cys、N-Me-Cys、またはPenであり;
A49はPhe、Arg、Leu、またはThrであり;
A50はArgまたはSerであり;
A51はSer、Aib、Arg、またはThrであり;
A52はCys、hCys、β-Me-Cys、N-Me-Cys、またはPenであり;
A53はAsp、Arg、またはSerであり;
A54はLeuまたはA6cであり;
A55はArgまたはTyrであり;
A56はArgまたはGlnであり;
A57はLeuであり;
A58はGluまたはArgであり;
A59はA6c、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Ile、Leu、Nle、Ser、D-Ser、Trp、またはTyrであり;
A60はTyrまたはPheであり;
A61はCys、hCys、β-Me-Cys、N-Me-Cys、またはPenであり;
A62はAlaまたはAsnであり;
A63はPro、D-Pro、Thrであり、または欠失しており;
A64はLeu、D-Leu、des-Leuであり、または欠失しており;
A65はLys、D-Lys、des-Lys、Argであり、または欠失しており;
A66はPro、D-Proであり、または欠失しており;
A67はAla、D-Ala、Aibであり、または欠失しており;
A68はLys、D-Lys、Argであり、または欠失しており;
A69はSer、D-Ser、Aib、Thrであり、または欠失しており;
A70はAla、D-Ala、Gluであり、または欠失しており;そして
A71はAsp、Glu、Lys、Serであり、または欠失している。
【0016】
式(I)に含まれる化合物の部分集合は、A59がAsnである化合物を含む。
式(I)に含まれる化合物の別の部分集合は、A59がLeuである化合物を含み、ここで前記の化合物はArg27、Arg65、Arg68、Leu49、β-Me-Cys47、β-Me-Cys52、Thr51、Thr69、Asp71、Glu71、Lys71、およびSer71からなるグループから選択される少なくとも1個の追加のアミノ酸置換または付加を含有する。
【0017】
式(I)に含まれる化合物のさらに別の部分集合は、A59がNleである化合物を含み、ここで前記の化合物はAib51、Aib67、Aib69、A6c54、N-Me-Cys47、N-Me-Cys48、Pen52、およびPen61からなるグループから選択される少なくとも1個の追加のアミノ酸置換を含有する。
【0018】
式(I)に含まれる化合物のさらに別の部分集合は、A59がIleである化合物を含み、ここで前記の化合物はArg58、Arg49、Arg51、およびArg53からなるグループから選択される少なくとももう1個のアミノ酸置換を含有する。
【0019】
式(I)に含まれる化合物のさらに別の部分集合は、A59がArg、Asp、A6c、Gln、Glu、Ser、Trp、またはTyrである化合物を含む。
式(I)の好ましい化合物は以下のものである:
実施例1: (Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:1)
実施例2: (Asn59)hIGF-1(1-62)-OH; (SEQ ID NO:2)
実施例3: (Asn59)hIGF-1(4-70)-OH; (SEQ ID NO:3)
実施例4: (Pro27, Lys28, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:4)
実施例5: (Pro27, Lys28, Asn59)hIGF-1(1-62)-OH; (SEQ ID NO:5)
実施例6: (Ser53, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:6)
実施例7: (Ser-Gly1, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:7)
実施例8: (Asn59, Thr63, des-Leu64, des-Lys65, Glu70)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:8)
実施例9: (Tyr55, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:9)
実施例10: (Thr49, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:10)
実施例11: (Asn59, 62)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:11)
実施例12: (Asn59, Phe60)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:12)
実施例13: (Ser50, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:13)
実施例14: (Gln56, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:14)
実施例15: (Asn59, D-Pro63)hIGF-1(1-70)-OH;
実施例16: (Asn59, D-Leu64)hIGF-1(1-70)-OH;
実施例17: (Asn59, D-Lys65)hIGF-1(1-70)-OH;
実施例18: (Asn59, D-Pro66)hIGF-1(1-70)-OH;
実施例19: (Asn59, D-Ala67)hIGF-1(1-70)-OH;
実施例20: (Asn59, D-Lys68)hIGF-1(1-70)-OH;
実施例21: (Asn59, D-Ser69)hIGF-1(1-70)-OH;
実施例22: (Asn59, D-Ala70)hIGF-1(1-70)-OH;
実施例23: (Arg27, 65, 68, Leu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:15)
実施例24: (Leu59, Arg65, 68)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:16)
実施例25: (Leu49, 59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:17)
実施例26: (β-Me-Cys52, Leu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:18)
実施例27: (β-Me-Cys47, Leu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:19)
実施例28: (Leu59, Glu71)hIGF-1(1-71)-OH; (SEQ ID NO:20)
実施例29: (Leu59, Asp71)hIGF-1(1-71)-OH; (SEQ ID NO:21)
実施例30: (Leu59, Lys71)hIGF-1(1-71)-OH; (SEQ ID NO:22)
実施例31: (Leu59, Ser71)hIGF-1(1-71)-OH; (SEQ ID NO:23)
実施例32: (Leu59, Thr69)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:24)
実施例33: (Thr51, Leu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:25)
実施例34: (N-Me-Cys47, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:26)
実施例35: (Nle59, Aib69)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:27)
実施例36: (N-Me-Cys48, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:28)
実施例37: (Nle59, Aib67)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:29)
実施例38: (hCys52, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:30)
実施例39: (Aib51, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:31)
実施例40: (Pen52, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:32)
実施例41: (Nle59, Pen61)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:33)
実施例42: (A6c54, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:34)
実施例43: (Arg53, Ile59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:35)
実施例44: (Arg49, Ile59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:36)
実施例45: (Arg51, Ile59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:37)
実施例46: (Arg58, Ile59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:38)
実施例47: (A6c59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:39)
実施例48: (Asp59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:40)
実施例49: (Trp59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:41)
実施例50: (Ser59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:42)
実施例51: (Tyr59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:43)
実施例52: (Glu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:44)
実施例53: (Gln59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:45)
実施例54: (Arg59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:46)および
実施例55: (Met-Gly1, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH (SEQ ID NO:47)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本出願は以下の一般に理解されている略語を用いる:
Acc: 1-アミノ-1-シクロ(C3-C9)アルキルカルボン酸
Accには以下のものが含まれる:
A3c: 1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸
A4c: 1-アミノ-1-シクロブタンカルボン酸
A5c: 1-アミノ-1-シクロペンタンカルボン酸
A6c: 1-アミノ-1-シクロヘキサンカルボン酸
Aib: α-アミノイソ酪酸
AlaまたはA: アラニン
ArgまたはR: アルギニン
AsnまたはN: アスパラギン
AspまたはD: アスパラギン酸
CysまたはC: システイン
シスチン: システインのジスルフィド2量体
hCys: ホモシステイン
β-Me-Cys: ベータ-メチル-システイン、すなわち、(2S, 3S)-2-アミノ-3-メルカプト酪酸
N-Me-Cys: N-メチル-システイン
GlnまたはQ: グルタミン
GluまたはE: グルタミン酸
GlyまたはG: グリシン
IleまたはI: イソロイシン
LeuまたはL: ロイシン
des-Leu: 欠失したLeu
LysまたはK: リシン
des-Lys: 欠失したLys
MetまたはM: メチオニン
Nle: ノルロイシン
Pen: ペニシラミン
PheまたはF: フェニルアラニン
ProまたはP: プロリン
SerまたはS: セリン
ThrまたはT: スレオニン
TrpまたはW: トリプトファン
TyrまたはY: チロシン
ValまたはV: バリン。
【0021】
この開示における全てのアミノ酸の略語(例えばAla)は-NR-CR’(R”)-CO-の構造を表しており、ここでR’およびR”はそれぞれ独立して水素またはアミノ酸の側鎖(例えば、Alaに関してはR’ = HおよびR” = CH3)であり、ここで、プロリン、すなわち
【0022】
【化2】

【0023】
を除いてR = HまたはCH3である。
この発明のペプチドは別の形式、例えば(Asn59)hIGF-1(1-70)-OH (SEQ ID NO:1)によっても表され、それはカッコの間に置かれた天然の配列から置換されたアミノ酸(すなわち、野生型IGF−1の59位のMetの代わりにAsn)を有する。カッコ内に見出される範囲は、その類似体において見出されるアミノ酸を表す。例えば、“IGF-1(4-68)-OH”(SEQ ID NO:48)は、その類似体が野生型IGF−1に関するペプチド配列に対応するアミノ酸4〜68で構成されることを示す。“IGF-1(1-70)-NH2”(SEQ ID NO:49)における“NH2”は、そのペプチドのC末端がアミド化されていることを示す。“IGF-1(1-70)”または“IGF-1(1-70)-OH”は、そのC末端が遊離酸であることを示す(SEQ ID NO:50)。
【0024】
本明細書において用いられる特定の他の略語を以下のように定義する:
Act: アセトニトリル
Boc: tert-ブチルオキシカルボニル
BSA: ウシ血清アルブミン
DCM: ジクロロメタン
DIPEA: ジイソプロピルエチルアミン
DMEM: ダルベッコ変法イーグル培地
DMF: ジメチルホルムアミド
DTT: ジチオスレイトール(dithiothrieitol)
ESI: エレクトロスプレーイオン化
FCS: ウシ胎児血清
Fmoc: 9-フルオレニルメチルオキシカルボニル
HBTU: 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
HOBt: N-ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
LC-MS: 液体クロマトグラフィー質量分析
MPAA: 4-メルカプトフェニル酢酸
NMP: N-メチルピロリジノン
OtBu: O-tert-ブチルエステル
Pbf: 2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル
QC: 品質管理
tBu: tert-ブチル
TCA: トリクロロ酢酸
TCEP トリス-2-カルボキシエチル-ホスフィン
TIS: トリイソプロピルシラン
TFA: トリフルオロ酢酸
Tris: 2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール
Trt: トリチル
UV分光法: 紫外分光法。
【0025】
“アルキル”は1個以上の炭素原子を含有する炭化水素基を指し、ここで多数の炭素原子は、もし存在するならば、単結合によりつながっている。その例にはメチル、エチル、プロピル、およびブチルが含まれるが、それらに限定されない。アルキル炭化水素基は直鎖であってよく、または1個以上の分枝もしくは環式基を含有していてよく、その例にはイソプロピルおよびtertブチルが含まれるが、それらに限定されない。
【0026】
“置換されたアルキル”は、炭化水素基の1個以上の水素原子が、ハロゲン、OH、CN、SH、NH2、NHCH3、NO2、1〜6個のハロゲンで置換された(C1-2)アルキル、CF3、OCH3、OCF3、および(CH2)0-4-COOHからなるグループから選択される1個以上の置換基で置き換えられているアルキルを指す。異なる態様において、1、2、3または4個の置換基が存在する。
【0027】
“アリール”は、共役パイ電子系を有する少なくとも1個の環を有し、3個までの共役した、または縮合した環系を含有する、場合により置換された芳香族基を指す。アリールには炭素環式アリール、ヘテロ環式アリールおよびビアリール基が含まれる。好ましくは、アリールは5または6員環である。ヘテロ環式アリールに関して好ましい原子は、1個以上の硫黄、酸素および/または窒素である。アリールの例には、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インドール、キノリン、2-イミダゾール、および9-アントラセンが含まれる。アリールの置換基は、-C1-20アルキル、-C1-20アルコキシ、ハロゲン、-OH、-CN、-SH、-NH2、-NO2、ハロゲンで置換された-C1-20アルキル、-CF3、-OCF3、および-(CH2)0-20-COOHからなるグループから選択される。異なる態様において、アリールは0、1、2、3または4個の置換基を含有する。
【0028】
“アルキル−アリール”は、“アリール”に結合した“アルキル”を指す。
合成手順
本発明の例示したIGF−1の類似体は、第1工程であるペプチド断片合成、第2工程であるライゲーション、および第3工程であるフォールディングにより調製された。以下の合成手順は、どのようにして熟練した化学者が本発明の例示したIGF−1の類似体のいずれか1種類を調製することを可能にするかを説明する。
【0029】
A) (Gln56、Asn59)hIGF-1(48-70)-OH、すなわち、Cys-Phe-Arg-Ser-Cys-Asp-Leu-Arg-Gln-Leu-Glu-Asn-Tyr-Cys-Ala-Pro-Leu-Lys-Pro-Ala-Lys-Ser-Ala-OH (SEQ ID NO:51)のペプチド断片合成
Fmocに基づく固相ペプチド合成を用いて、Liberty Peptide Synthesizer (CEM;米国ノースキャロライナ州マシューズ)上で、マイクロ波支援を用いて表題のペプチド断片を組み立てた。最初の14残基の断片、すなわち、hIGF−1の残基57〜70、またはC末端酸ペプチドを、Fmoc-Ala-Wang樹脂(0.72 meq/g)を用いて0.1 mmoleスケールで合成した。次いで得られたペプチド断片を、伸長および識別のために、4つの0.25 mmoleのバッチに分けた。1.36 gの樹脂試料を50-mLコニカルチューブの中に、15 mLのDMFおよびDCMの1:1溶液と共に置き、それを合成機中の所定の位置の中に入れた。次いでその樹脂を、合成機の自動化されたプロセスにより反応容器に移した。1.0-mmoleスケールでの合成のための標準的なLibertyプロトコルを用いた。そのプロトコルには、DMF中の0.1M HOBtを含有する20% ピペリジン20 mLを用いた処理によるN末端のFmoc保護基の除去が含まれていた。マイクロ波電力(45ワット、最大温度75℃)および窒素による泡立て(3秒間オン、7秒間オフ)の最初の脱保護の工程は30秒間続いた。反応容器から液体を排出し(drained)、DMFで数回、完全に洗浄した。次いで、成長するペプチドに添加される次のアミノ酸(サイクル1)である、DMF中0.2Mのストック溶液として調製された(Fmoc-Ser(tBu)-OH)を添加した(15 mL、3当量)。6.0 mLのDMF中0.45M (3当量)HBTUを添加し、続いて3.0 mLのNMP中2M (6当量) DIPEAを添加した。カップリングの工程は、マイクロ波電力(20ワット、最大温度75℃)および脱保護工程におけるものと同程度の窒素による泡立てを用いて5分間の期間の間行った。次いで反応容器から液体を排出して廃棄し、カップリングの工程を繰り返した。
【0030】
Fmoc-Cys(Trt)-OHに関するカップリングプロトコルは、標準的なプロトコルをわずかに修正したバージョンであった。Cys残基に関して、最初の2分間はマイクロ波を適用しなかった。続いて4分間のマイクロ波のセッション(20ワット、最大温度50℃)を行った。シークエンス全体を通して二重カップリングの方法を用いて、全てのアミノ酸を同様に導入した。表題ペプチド断片に関する最初のSerに続く合成サイクルは以下の通りであった:サイクル2、Fmoc-Lys(Boc)-OH; サイクル3、Fmoc-Ala-OH; サイクル4、Fmoc-Pro-OH; サイクル5、Fmoc-Lys(Boc)-OH; サイクル6、Fmoc-Leu-OH; サイクル7、Fmoc-Pro-OH; サイクル8、Fmoc-Ala-OH; サイクル9、Fmoc-Cys(Trt)-OH; サイクル10、Fmoc-Tyr(tBu)-OH; サイクル11、Fmoc-Asn(Trt)-OH; サイクル12、Fmoc-Glu(OtBu)-OH;およびサイクル13、Fmoc-Leu-OH。
【0031】
一度最初のペプチド断片が完成したら、DMFを溶媒として用いてその樹脂を50-mLコニカルチューブに戻した。その樹脂を手作業で均等に4つの試料に分け、それを4本の50-mLコニカルチューブの中に入れ、次いでそれを合成機の中に戻した。表題ペプチドの残りの部分を、0.25-mmoleスケールで合成した。用いたプロトコルはより大きいスケールでの合成に関して用いられたプロトコルと同じであったが、より少ない量の試薬を用いた。N末端Fmoc保護基の除去は、10 mLのDMF中20%ピペリジンおよび0.1M HOBtを含有する溶液を用いた処理で構成されていた。窒素による泡立て(3秒間オン、7秒間オフ)を伴うマイクロ波電力(45ワット、最大温度75℃)の最初の脱保護の工程は30秒間続いた。次いで反応容器から液体を排出し、DMFで数回、完全に洗浄した。次いで、DMF中0.2Mのストック溶液として調製された次のアミノ酸(サイクル14)を、成長するペプチドに導入した(Fmoc-Gln(tBu)-OH)(5.0 mL、4当量)。次いで2.0 mLのDMF中HBTUの0.45M溶液(4当量)を添加し、続いて1.0 mLのNMP中DIPEAの2M溶液(8当量)を添加した。
【0032】
Fmoc-Cys(Trt)-OHおよびFmoc-Arg(Pbf)-OHに関するカップリングプロトコルは、標準的なプロトコルをわずかに修正したバージョンであった。Cys残基のカップリングに関して、最初に、最初の2分間はマイクロ波電力をオフにし、次いで4分間オンにした(20ワット、最大温度50℃)。Arg残基のカップリングに関して、最初のカップリングではマイクロ波電力を用いなかったが、2番目の標準的なカップリング工程が必要であった。サイクル14、16および21は、カップリングの工程のすぐ後でキャッピングの手順を用い、それは共にNMP中の0.015M HOBTを含有する0.5M無水酢酸7 mlおよび2M DIPEA 2 mlを添加し、一方で多段階マイクロ波プロトコル(最大温度65℃で50ワットを30秒間、次いで電力無しを30秒間、最大温度65℃で50ワットを30秒間、次いで電力無しを30秒間)を利用することを含んでいた。表題ペプチド断片に関するGlnの後の合成サイクルは以下の通りであった:サイクル15、Fmoc-Arg(Pbf)-OH; サイクル16、Leu-OH; サイクル17、Fmoc-Asp(OtBu)-OH; サイクル18、Fmoc-Cys(Trt)-OH; サイクル19、Fmoc-Ser(tBu)-OH; サイクル20、Fmoc-Arg(Pbf)-OH; サイクル21、Fmoc-Phe-OH;およびサイクル22、Fmoc-Cys(Trt)-OH。
【0033】
ペプチドのバックボーンの完成の後、N末端のFmoc保護基を除去し、樹脂を再度DMFで洗浄した。次いで移動用の溶媒としてDMFを用いて樹脂を50-mLコニカルチューブに戻した。
【0034】
その樹脂を焼結ガラスフリットを有する反応容器の中に移した。DMFを除去し、樹脂をDCMで大規模に(extensively)洗浄した。そのペプチド断片を、以下の試薬を用いた処理により切断および脱保護した:5% TIS : 5%水: 90% TFA。反応を一定の振盪の下で室温で3時間進行させた。次いでその溶液を濾過して50-mLコニカルチューブの中に入れた。窒素ガス流を用いた蒸発によりTFAを低減させた。40 mLの冷エチルエーテルの添加およびそれに続く冷却遠心機(Sorvall Legend RT; Thermo Fisher、米国カリフォルニア州サンノゼ)内での4℃において3000 rpmで30分間の遠心分離により、ペプチド断片を沈殿させた。得られたペレットを0.1% TFA水中で溶解させた後、C18逆相カラム(Luna、10μm、250×21.2 mmカラム)を備えた分取HPCLにより、10 mL/分の流速で50分間にわたる0〜60%アセトニトリル(0.1% TFA)の勾配を利用して精製した。その精製されたペプチド断片を、1mL/分の流速で30分間にわたる5〜80%アセトニトリル(0.08% TFA)の勾配を用いるHPLC(Luna C18、3μm、4.6×100 mmカラム)により、および質量分析(LCQ Advantage; Thermo Fisher、米国カリフォルニア州サンノゼ)により分析した。そのペプチド断片を続いて凍結乾燥させ、将来の使用のために−50℃で保管した。
【0035】
B) hIGF-1(1-47)-チオエステル、すなわち、Gly-Pro-Glu-Thr-Leu-Cys-Gly-Ala-Glu-Leu-Val-Asp-Ala-Leu-Gln-Phe-Val-Cys-Gly-Asp-Arg-Gly-Phe-Tyr-Phe-Asn-Lys-Pro-Thr-Gly-Tyr-Gly-Ser-Ser-Ser-Arg-Arg-Ala-Pro-Gln-Thr-Gly-Ile-Val-Asp-Glu-Cys-チオエステル-プロピオニル-Leu-NH2 (SEQ ID NO:52)のペプチド断片合成
N末端ペプチド断片、すなわち、hIGF−1の残基1〜47を、固相ペプチド合成に基づくBoc化学を用いて組み立てた。標準的なFastBocプロトコルを動かすように修正されたABI 433Aペプチド合成機(Applied Biosystems;米国カリフォルニア州フォスターシティ)を、0.5-mmoleスケールでの合成のために利用した。0.645 mgの0.77 meq/gのTampal樹脂を含有する反応容器を合成機の上に置いた。樹脂を膨潤させるため、DMFを導入した。ABI FastBoc 0.5プロトコルを用いて断片を精製した。それぞれのサイクルは、ニート(neat) TFAを用いたN末端Boc保護基の脱ブロッキング(deblocking)およびそれに続く大規模なDMF洗浄で構成されていた。次いでそれぞれのアミノ酸の予め包装された2.0-mmole (4当量)のカートリッジを0.40M HBTUおよびDMF中で溶解させた。それぞれのアミノ酸が完全に溶解した後、その溶液を自動的に活性化容器に移した。DIPEA溶液(ニート)を活性化容器に導入し、延長された期間の間樹脂に曝露した。その反応容器を空にし、樹脂をDMFで洗浄した。Arg/Asnカートリッジに関して、溶解性を確実にするために延長された活性化時間が必要であった。加えて、Gln残基のカップリングの直後に付加されたあらゆるアミノ酸は、脱ブロッキングプロトコルの前および後の両方でDCMにより洗浄された。そのカップリング時間は30分間であった。表題ペプチド断片に関して以下のアミノ酸を用いた:Boc-Arg(Tos)-OH、Boc-Asp(cHex)-OH、Boc-Glu(cHex)-OH、Boc-Asn(Xan)-OH、Boc-Cys(4Me-Bzl)-OH、Boc-Lys(ClZ)-OH、Boc-Gln-OH、Boc-Ser(OBzl)-OH、Boc-Thr(OBzl)-OH、およびBoc-Tyr(BrZ)-OH。
【0036】
最後のカップリングサイクルの後、樹脂をDCMで洗浄し、乾燥させた。10 mLのフッ化水素およびアニソールによる処理を用いてペプチド断片を脱保護し、樹脂から切り離した。反応を70分間進行させ、その時点で窒素の流れによりフッ化水素を吹き飛ばした。残留物をエーテルで洗浄し、次いでそのペプチドを10〜15 mlのTFA中で溶解させた。そのTFAを濾過して40 mLの冷エチルエーテルの中に入れ、続いて冷却遠心機(Sorvall Legend RT; Thermo Fisher、米国カリフォルニア州サンノゼ)内で4℃において3000 rpmで30分間遠心分離することにより、ペプチド断片を沈殿させた。得られたペレットを0.1% TFA水中で溶解させ、C18逆相カラム(Luna、10μm、250×21.2 mmカラム)を備えた分取HPCLにより、10 mL/分の流速で120分間にわたる20〜40%アセトニトリル(0.1% TFA)の勾配を利用して精製した。その精製されたペプチド断片を、1 mL/分の流速で30分間の5〜80%アセトニトリル(0.08% TFA)の勾配を用いるHPLC(Luna C18、3μm、4.6×100 mmカラム)により、および質量分析(LCQ Advantage; Thermo Fisher、米国カリフォルニア州サンノゼ)により分析した。そのペプチド断片を続いて凍結乾燥させ、将来の使用のために−50℃で保管した。
【0037】
C)一般的なライゲーションの手順
完全長のhIGF−1類似体を化学的ライゲーション法により構築し、それはN末端のチオエステル断片、例えばhIGF-1(1-47)-S-(CH2)2C(O)-Leu-NH2(SEQ ID NO:52)およびそのN末端にシステイン残基を含有するC末端の断片、例えば(Gln56、Asn59)hIGF-1(48-70)-OH (SEQ ID NO:51)の間で自然に起こる。
【0038】
表題ペプチドに関するプロセスを開始するため、5.5 mgのC末端hIGF−1断片を、1.5-mLエッペンドルフチューブ中で、ライゲーション緩衝液(200mMリン酸ナトリウム、pH 8.5、6M塩酸グアニジン)中で溶解させた。この溶液に、100μLのTCEP溶液(40 mg/mL)を添加し、その混合物をボルテックスした。その混合物を、6.5 mgのN末端hIGF−1チオエステル断片を含有する2番目のエッペンドルフチューブに移した。反応物を完全に混合した。少量の試料(5μL)を取り出し、LC-MS (LCQ Deca XP;Thermo Fisher、米国カリフォルニア州サンノゼ)により分析した。その反応混合物に、100μLのMPAA溶液(20 mg/mL)を添加し、続いて混合した。LC-MSを用いて反応の進行を追跡するため、定期的に試料(5μL)を抜き取った。おおよそ3.5時間後、その反応がほぼ完了した際に、9.5 mLの0.1% TFA水の添加によりその混合物を停止し(quenched)、希釈した。ライゲーション生成物を、SemiPrep-HPLC (Vydac 218TP101510、C18、10〜15μm、10×250 mm)により、5mL/分の流速で40分間にわたる5〜80%アセトニトリル(0.1% TFA)の勾配を用いて精製した。生成物のピークを凍結乾燥し、−50℃で保管した。フォールディングされていないライゲーション生成物の質量を、物理的測定により決定した。
【0039】
D) 実施例14、すなわち、(Gln56、Asn59)hIGF-1(1-70)-OH (SEQ ID NO:14)に関する一般的なフォールディングの手順(グルタチオン酸化還元対)
上記の工程C)のライゲーションプロセスにより調製されたタンパク質を、ライゲーション緩衝液(200mMリン酸ナトリウム、pH 8.5、6M塩酸グアニジン)中で溶解させて1 mg/mLの濃度にした。次いでフォールディング緩衝液(100mMトリス、pH 8.5、1mM酸化型グルタチオン、10mM還元型グルタチオン)を添加して、最終的なタンパク質濃度を0.25 mg/mLにした。3時間かけてフォールディングプロセスを起こさせた。その後、反応混合物がpH3以下に達するまでTFAを滴加することにより、反応を停止した。次いで生成物をSemiPrep-HPLC (Vydac 218TP101510、C18、10〜15μm、10×250 mmカラム)により、5 mL/分の流速で40分間にわたる5〜60%アセトニトリル(0.1% TFA)の勾配を用いて精製した。生成物を凍結乾燥した。生成物を0.1% TFA水中で再溶解させ、次いで280 nmの吸光度を測定する(NanoDrop ND1000分光光度計)ことにより、タンパク質含有量を決定した。次いでそのタンパク質をQCに関して分析した(HPLCおよびMS)。
【0040】
E) 実施例7、すなわち、(Ser-Gly1、Asn59)hIGF-1(1-70)-OH (SEQ ID NO:7)からの(グリオキシリル(glyoxylyl)-Gly1、Asn59)hIGF-1 (1-70)-OH (SEQ ID NO:53)の形成のための酸化の手順
フォールディングされたhIGF−1類似体の質量を、0.1% TFA水中での280 nmの吸光度(NanoDrop ND1000分光光度計)により決定した。上記の工程D)のフォールディングプロセスにより調製されたタンパク質を50mMイミダゾール緩衝液(pH 7.0)中で再溶解させ、終濃度2 mg/mL (2.66×10-4M)にした。イミダゾール緩衝液中で溶解させた過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4) (4当量)を添加し、得られた溶液を穏やかに混合した。反応を室温で、さらなる撹拌無しで進行させた。5分後、10当量のエチレングリコールの添加により反応を停止した。その混合物を室温で15分間静置した。その混合物を0.1% TFA水で希釈して10 mLの終体積にした。次いで生成物をSemiPrep-HPLC (Vydac 218TP101510、C18、10〜15μm、10×250 mmカラム)により、5 mL/分の流速で40分間の5〜60%アセトニトリル(0.1% TFA)の勾配を用いて精製した。次いで生成物を凍結乾燥し、必要になるまで−50℃で保管した。
【0041】
F) 実施例27、すなわち、(β-Me-Cys47、Leu59)hIGF-1(1-70)-OH (SEQ ID NO:19)に関する合成手順
表題タンパク質を、hIGF(1-46)-チオ-プロピオニル-Leu-NH2 (SEQ ID NO:54)およびC末端断片、すなわち、(β-Me-Cys47、Leu59)hIGF-1(47-70) (SEQ ID NO:55)を用いた自然な化学的ライゲーションにより組み立てた。タンパク質のチオエステル(7.4 mg、1.45μmole)およびC末端断片(3.8 mg、1.38μmole)をライゲーション緩衝液(200mMリン酸ナトリウム中6M塩酸グアニジン、pH 8.5、400μL)およびTCEP (80μL、40 mg/mL、pH 7)中で溶解させた。MPAA触媒を添加した(80μL、20 mg/mL、pH 7)。反応の進行を、Luna C18(2)カラム(5μm、4.6×100 mm)を有するLCQ Deca XP LC-MS (Thermo Finnigan)上で、30分間の5〜80%アセトニトリル(0.1% TFA)の勾配を用いて監視した。dH2O、0.1% TFA (v/v)を用いて反応を停止して1:10希釈した。粗製の混合物を遠心分離し、1.0-μmガラスフィルターを通過させて全てのMPAA沈殿物を除去した。完全長タンパク質を、Vydac C18 (10μm、10×250 mm)上で5mL/分の流速で40分間の5〜60%B直線勾配を用いて精製した。タンパク質をUV分光法(NanoDrop ND1000分光光度計)により定量化し、将来の使用のために凍結乾燥した。
【0042】
保管したタンパク質(1.8 mg、235 nmole)を、pH 8.5を有する200mM H2PO4-、6Mグアニジウム-HCl溶液中で溶解させて1.0 mg/mLの濃度にした。フォールディング緩衝液(100mMトリス、10mMグルタチオン、1mM酸化型グルタチオン、pH 8.5)をその溶液に、250 μg/mLの最終的なタンパク質濃度が得られるまで添加した。その混合物を室温で保温し、一方でHPLCにより監視した。(安定したHPLCプロフィールにより可視化されるように)一度平衡に達したら、酢酸またはTFAのどちらかの中で攪拌して溶液をpH 3にすることにより、反応を停止した。その溶液を、まず1.0-μmガラスフィルター、次いでセミ分取(semi-preparative)カラムを用いて精製した。
【0043】
そのフォールディングされたタンパク質を、5mL/分の流速で40分間の5〜60%B直線勾配を用いて精製した。タンパク質をUVにより定量化し(NanoDrop ND1000分光光度計)、凍結乾燥した。おおよそ92μgの精製された生成物が得られ、これは5%の収率に相当する。タンパク質の質量をFinnigan LCQ Advantage MAX MSで確かめた。
【0044】
G) 実施例36、すなわち、(N-Me-Cys48, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH (SEQ ID NO:28)に関する合成手順
表題タンパク質を、hIGF-1(1-47)-チオ-プロピオニル-Leu-NH2 (SEQ ID NO:52)およびC末端断片、すなわち、(N-Me-Cys48, Nle59)hIGF-1(48-70) (SEQ ID NO:56)を用いた自然な化学的ライゲーションを利用して組み立てた。タンパク質のチオエステル(4.3 mg、824 nmole)およびC末端断片(2.1 mg、790 nmole)をライゲーション緩衝液(400μL、200mMリン酸ナトリウム中6M塩酸グアニジン、pH 8.5)およびTCEP (80μL、40 mg/mL、pH 7)中で溶解させた。MPAA触媒を添加した(80μL、20 mg/mL、pH 7)。反応の進行を、30分間の5〜80%アセトニトリル(0.1% TFA)の勾配を有する、Luna C18(2)カラム(5μm、4.6×100 mm)を有するFinnigan LCQ Deca XP LC-MSを用いて監視した。dH2O、0.1% TFA (v/v)を用いて反応を停止して1:10希釈した。粗製の混合物を遠心分離し、1.0μmガラスフィルターを通過させて全てのMPAA沈殿物を除去した。完全長タンパク質を、Vydac C18 (10μm、10×250 mm)を用いて、5mL/分の流速で40分間の5〜60%B直線勾配で精製した。タンパク質をUVにより定量化し(NanoDrop ND1000分光光度計)、将来の使用のために凍結乾燥した。
【0045】
保管したタンパク質を、200mM H2PO4-、6Mグアニジウム-HCl溶液(pH 8.5)を用いて、1.0 mg/mLの濃度が得られるまで溶解させた。フォールディング緩衝液(100mMトリス、10mMグルタチオン、1mM酸化型グルタチオン、pH 8.5)をその溶液に、250 μg/mLの最終的なタンパク質濃度が得られるまで添加した。その混合物を室温で保温し、一方でHPLCにより監視した。(安定したHPLCプロフィールにより可視化されるように)一度平衡に達したら、酢酸またはTFAのどちらかを用いて反応を停止し、pH 3にした。その溶液を、まず1.0-μmガラスフィルター、次いでセミ分取カラムを用いて精製した。
【0046】
そのフォールディングされたタンパク質を、5mL/分の流速で40分間の5〜60%B直線勾配を用いて精製した。タンパク質をUVにより定量化し(NanoDrop ND1000分光光度計)、凍結乾燥した。おおよそ0.415 mgの精製された生成物が得られ、これは10.6%の収率に相当する。タンパク質の質量をFinnigan LCQ Advantage MAX MSで確かめた。
【0047】
当業者は、本発明の他のペプチドを、上記の実施例で開示された合成手順に類似した合成手順を用いて調製することができる。本明細書において例示されている化合物に関する物理的データを表1に示す。
【0048】
表1
【0049】
【表1−1】

【0050】
【表1−2】

【0051】
機能アッセイ
A)インビトロIGF−1受容体結合アッセイ
天然のIGF−1受容体を発現するヒトMCF-7細胞の、20 mlの氷冷した50mM Tris-HCl中でのBrinkman Polytron (米国ニューヨーク州ウエストバリー)を用いたホモジナイゼーション(設定6、15秒間)により、放射性リガンド結合試験のための膜を調製した。ホモジネートを遠心分離(39,000 g / 10分間)により2回洗浄し、最終的なペレットを2.5mM MgCl2および0.1% BSAを含有する50mM Tris-HCl中で再懸濁した。
【0052】
アッセイのため、分割量(aliquots)を0.05nM [125I]IGF-1と共に保温した。時には未標識の競合する試験ペプチドが含まれた。最終的なアッセイ体積は0.25 mlであった。120分間の保温(20℃)期間の後、結合した[125I]IGF-1(約2000 Ci/mmol、Perkin Elmer Life Sciences、米国マサチューセッツ州ボストン)を、3000 rpmで10分間の遠心分離により、遊離の放射性粒子から分離した。上清をデカントし、ペレット中に捕えられた放射性粒子をガンマ分光法(Wallac LKB、米国メリーランド州ゲイザースバーグ)により計数した。特異的な結合を、結合した総[125I]IGF-1から100nM IGF-1の存在下で結合した[125I]IGF-1を引いたものとして定義した。
【0053】
本明細書で例示した化合物に関するインビトロIGF−1受容体結合データ(すなわちIC50値)を表2に示す。
B)インビトロIGF−1生理活性アッセイ
マウス3T3/R細胞(米国カリフォルニア州ロサンゼルスにあるUCLAのDr. E. Rozengurtから得た)を24ウェルプレートで培養し(DMEM + 10% FCS)、2日間培養状態を維持した。
【0054】
アッセイのため、培地を除去し、血清を含まないDMEMで1回洗浄した。次いで24時間血清を欠乏させた。欠乏の後、[3H]チミジンおよびIGF−1ペプチドを添加した。次いで細胞を37℃で24時間培養した。
【0055】
培養の終了時点で、培地を吸引した。次いで細胞を氷冷した0.9% NaCl溶液で洗浄した。次いで氷冷した5% TCA溶液を添加し、4℃で30分間保温した。TCAを吸引し、ウェルを95%エタノールと共に4時間保温した。次いで培地を放射活性計数のために液体シンチレーションバイアルに移した。
【0056】
本明細書において例示されている化合物に関するインビトロIGF−1生理活性データ(すなわち、EC50値)も表2に示す。
C)U2OS細胞におけるインスリン受容体交差反応性に関するIGF−1ペプチドのインビトロスクリーニング
U2OS細胞(カタログ# 93-0466C3、DiscoveRX Corporation、米国カリフォルニア州フリモント)を、アッセイの16時間前に、96ウェルポリ-D-リシンプレートにおいて血清を含まないアッセイ培地中で6×105細胞/mLで蒔いた。野生型インスリン(カタログ# 10908、Sigma、米国ミズーリ州セントルイス)、野生型IGF−1(Increlex(登録商標)、Tercica、Inc.、米国カリフォルニア州ブリスベーン)、または本出願で開示した試験IGF−1ペプチドを、10μM(マイクロモーラー)〜0.15nm(ナノモーラー)の用量範囲で添加し、5%COで37℃において3時間培養した。PathHunter(商標)試薬(カタログ# 93-001、DiscoveRX)を製造業者の説明書に従って調製し、それぞれのウェルに添加した。プレートを室温で1時間保温した。Envision 2104マルチラベルプレートリーダー(PerkinElmer、Inc.、米国マサチューセッツ州ウォルサム)上で発光を読み取った。それぞれの試験ペプチドの活性を分析し、最大/最小(最大/最小)値として報告した。本明細書において例示されている化合物に関するインビトロインスリン受容体交差反応性データ(すなわち最大/最小値)も表2に示す。
【0057】
本明細書において例示されている化合物の多くが、4.59 nMのIC50値、3.75 nMのEC50値、および2.1の最大/最小値を有する野生型IGF−1よりも有意に強力であることが分かった。
【0058】
表2
【0059】
【表2−1】

【0060】
【表2−2】

【0061】
投与
この発明のIGF−1の類似体は、医薬的に許容できる塩類の形で提供することができる。そのような塩類の例には、有機酸(例えば酢酸、乳酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、またはパモ酸(pamoic acid))、無機酸(例えば塩酸、硫酸、またはリン酸)およびポリマー性の酸(例えばタンニン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはポリ乳酸−ポリグリコール酸のコポリマー類)により形成される塩類が含まれるが、それらに限定されない。
【0062】
本発明のペプチドの塩を作る典型的な方法は当技術で周知であり、標準的な塩交換の方法により成し遂げることができる。例えば、本発明のペプチドのTFA塩(TFA塩は分取HPLCを用いてTFAを含有する緩衝溶液で溶離することによるペプチドの精製の結果得られる)は別の塩に、例えばそのペプチドを少量の0.25 N酢酸水溶液中で溶解することにより酢酸塩に変換された。得られた溶液をSemiPrep HPLCカラム(Zorbax, 300 SB, C-8)に適用する。そのカラムを、(1)0.1N酢酸アンモニウム水溶液で0.5時間、(2)0.25N酢酸水溶液で0.5時間、および(3)4 ml/分の流速における直線勾配(30分間にわたる20%〜100%の溶液B)(溶液Aは0.25 N酢酸水溶液であり、溶液Bは80:20比率のアセトニトリル/水中0.25 N酢酸である)を用いて溶離する。ペプチドを含有する画分を集め、凍結乾燥させる。
【0063】
この発明の組成物中の有効成分の用量は異なっていてよい;しかし、有効成分の量は適切な剤形が得られるようなものである必要がある。選択される用量は、望まれる療法的作用に、投与経路に、および処置の期間に依存する。投与は熟練した有能な医師により容易に決定される。
【0064】
この発明の化合物は、経口、非経口(例えば筋内、腹膜内、静脈内または皮下の注射、または埋め込み)、経鼻、膣内、直腸内、舌下、または局所的投与経路により投与することができ、それぞれの投与経路に適した剤形を提供するために医薬的に許容できるキャリヤーと共に配合することができる。
【0065】
経口投与のための固体剤形には、カプセル、錠剤、丸剤、粉末および顆粒が含まれる。そのような固体剤形において、有効化合物は少なくとも1種類の不活性な医薬的に許容できるキャリヤー、例えばスクロース、ラクトースまたはデンプンと混合される。そのような剤形はそのような不活性な希釈剤以外の追加の物質、例えば潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムも含むことができ、それが通常の慣習である。カプセル、錠剤および丸剤の場合、その剤形は緩衝剤も含んでいてよい。錠剤および丸剤はさらに腸溶コーティングを用いて調製することができる。
【0066】
経口投与のための液体剤形には、当技術で一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば水を含有する、医薬的に許容できる乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、エリキシルおよび同様のものが含まれるが、それらに限定されない。そのような不活性な希釈剤の他に、組成物は補助剤、例えば湿潤剤、乳濁化および懸濁化剤、ならびに甘味料、香味料および香料も含むことができる。
【0067】
非経口投与のためのこの発明に従う製剤には、無菌の水溶液または非水溶液、懸濁液、乳濁液および同様のものが含まれるが、それらに限定されない。非水性溶媒またはビヒクルの例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油およびトウモロコシ油、ゼラチン、ならびに注射可能な有機エステル類、例えばオレイン酸エチルが含まれる。そのような剤形は補助剤、例えば保存、湿潤、乳濁化および分散剤も含んでいてよい。製剤は例えば細菌を保持するフィルターを通す濾過により、組成物に滅菌剤を組み込むことにより、組成物を照射することにより、および/または組成物を加熱することにより滅菌されてよい。本明細書で記述した新規IGF−1類似体を含有する医薬組成物は、滅菌水または何らかの他の無菌の注射可能な媒体に使用の直前に溶解させることができる無菌の固体組成物の形で製造することもできる。
【0068】
直腸内または膣内投与のための組成物は好ましくは坐剤であり、それは有効物質に加えて賦形剤、例えばカカオ脂(coca butter)または坐剤ワックスを含有していてよい。
経鼻または舌下投与のための組成物も、当技術で周知の標準的な賦形剤を用いて調製される。
【0069】
さらに、この発明の化合物は徐放性組成物、例えば下記の特許および特許出願において記述されている徐放性組成物で投与することができる。米国特許第5,672,659号は、生理活性薬剤およびポリエステルを含む徐放性組成物を教示する。米国特許第5,595,760号は、生理活性薬剤をゲル化可能な(gelable)形で含む徐放性組成物を教示する。米国特許第5,821,221号は、生理活性薬剤およびキトサンを含むポリマー性徐放性組成物を教示する。米国特許第5,916,883号は、生理活性薬剤およびシクロデキストリンを含む徐放性組成物を教示する。PCT公開第WO99/38536号は、生理活性薬剤の吸収性徐放性組成物を教示する。PCT公開第WO00/04916号は、療法剤、例えばペプチドを含む微粒子を水中油プロセスで作るためのプロセスを教示する。PCT公開第WO00/09166号は、療法剤、例えばペプチドおよびリン酸化ポリマーを含む複合体を教示する。PCT公開第WO00/25826号は、療法剤、例えばペプチドおよび重合可能ではないラクトンを有するポリマーを含む複合体を教示する。
【0070】
さらに、米国特許第7,258,864号において開示されている発明は、インスリン様増殖因子−1欠損症(IGFD)を有する対象を処置するための方法であって、ヒトの小児の対象に有効量の修飾されていないIGF−1を投与することを含む方法を特徴とし、ここで、その対象は以下のように特性付けられ:a)IGF−1による処置の時点で、またはIGF−1による最初の処置の前に、対応する年齢および性別に関する通常の平均値よりも少なくとも約2標準偏差(SD)下である身長を有している、または有していた、ならびにb)IGF−1による処置の時点で、またはIGF−1による最初の処置の前に、通常の平均レベルの少なくとも約−1SD下のIGF−1の血中レベルを有している、または有していた;ここで、その対象はラロン症候群または部分的成長ホルモン不感性症候群を有しておらず、ここで、前記の投与はその対象においてIGFDを処置するのに有効である。
【0071】
同様に、WO2006/130769において開示されている発明は、特発性低身長(ISS)を有する対象を処置するための方法であって、部分的な内因性成長ホルモン活性またはシグナル伝達により特性付けられるISSを患うヒトの小児の対象にその対象において成長を促進するのに有効な量のIGF−1を投与することを含む方法を特徴とし、ここで、その対象はさらに以下のように特性付けられる:a)IGF−1による処置の時点で、またはIGF−1による最初の処置の前に、同じ年齢および性別の対象に関する通常の平均身長よりも少なくとも約2.0標準偏差(SD)下である身長を有している、または有していた、ならびにb)同じ年齢および性別の対象に関して少なくとも通常であるGHおよびIGF−1の血中レベルを有している。
【0072】
さらに、本明細書で開示した新規類似体は単独で、または熟練した医師により決定される別の療法剤との組み合わせで投与することができる。
別途定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的な用語はこの発明が属する技術の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。また、本明細書で言及された全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献をそれぞれそのまま本明細書に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のIGF−1の類似体、またはその医薬的に許容できる塩、
H-A-1-A1-A2-A3-A4-A5-A6-A7-A8-A9-A10-A11-A12-A13-A14-A15-A16-A17-A18-A19-A20-A21-A22-A23-A24-A25-A26-A27-A28-A29-A30-A31-A32-A33-A34-A35-A36-A37-A38-A39-A40-A41-A42-A43-A44-A45-A46-A47-A48-A49-A50-A51-A52-A53-A54-A55-A56-A57-A58-A59-A60-A61-A62-A63-A64-A65-A66-A67-A68-A69-A70-A71-R1
(I)
ここで:
A-1はMet、Serであり、または欠失しており;
A1はGly、Ala、Asn、Asp、Gln、Gluであり、または欠失しており;
A2はPro、Ala、Arg、Asp、Gln、Glu、Lysであり、または欠失しており;
A3はGlu、Ala、Asp、Glnであり、または欠失しており;
A4はThr、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、Serであり;
A5はLeu、Acc、Ala、Ile、またはValであり;
A6はCys、D-Cys、hCys、D-hCys、β-Me-Cys、D-β-Me-Cys、N-Me-Cys、D-N-Me-Cys、Ala、Pen、またはD-Penであり;
A7はGly、Ala、Asn、Asp、GlnまたはGluであり;
A8はAla、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A9はGlu、Ala、Asp、またはGlnであり;
A10はLeu、Acc、Ala、Ile、またはValであり;
A11はVal、Ala、Ile、またはLeuであり;
A12はAsp、Ala、Arg、Asn、Gln、Glu、またはLysであり;
A13はAla、Asn、Asp、Gln、Glu、Ile、Leu、またはValであり;
A14はLeu、Acc、Ala、Ile、またはValであり;
A15はGln、Ala、Asn、Asp、またはGluであり;
A16はPhe、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、Trp、またはTyrであり;
A17はVal、Ala、IleまたはLeuであり;
A18はCys、D-Cys、hCys、D-hCys、β-Me-Cys、D-β-Me-Cys、N-Me-Cys、D-N-Me-Cys、Ala、Pen、またはD-Penであり;
A19はGly、Ala、Asn、Asp、Gln、またはGluであり;
A20はAsp、Ala、Asn、Gln、またはGluであり;
A21はArg、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A22はGly、Ala、Asn、Asp、Gln、またはGluであり;
A23はPhe、Ala、Trp、またはTyrであり;
A24はTyr、Ala、Phe、またはTrpであり;
A25はPhe、Ala、Trp、またはTyrであり;
A26はAsn、Ala、Asp、Gln、Glu、Ser、またはThrであり;
A27はLys、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、またはProであり;
A28はPro、Ala、Arg、またはLysであり;
A29はThr、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはSerであり;
A30はGly、Ala、Asn、Asp、Gln、またはGluであり;
A31はTyr、Ala、Phe、またはTrpであり;
A32はGly、Ala、Asn、Asp、Gln、またはGluであり;
A33はSer、Ala、Thr、またはValであり;
A34はSer、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはThrであり;
A35はSer、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはThrであり;
A36はArg、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A37はArg、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A38はAla、Asn、Asp、Gln、またはGluであり;
A39はPro、Ala、Arg、またはGluであり;
A40はGln、Ala、Asn、Asp、またはGluであり;
A41はThr、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはSerであり;
A42はGly、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A43はIle、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A44はVal、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Ile、Leu、またはLysであり;
A45はAsp、Ala、Arg、Asn、Gln、Glu、またはLysであり;
A46はGlu、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、またはLysであり;
A47はCys、D-Cys、hCys、D-hCys、β-Me-Cys、D-β-Me-Cys、N-Me-Cys、D-N-Me-Cys、Ala、Pen、またはD-Penであり;
A48はCys、D-Cys、hCys、D-hCys、β-Me-Cys、D-β-Me-Cys、N-Me-Cys、D-N-Me-Cys、Ala、Pen、またはD-Penであり;
A49はPhe、Ala、Arg、Ile、Leu、Lys、Ser、Thr、Trp、Tyr、またはValであり;
A50はArg、Ala、Lys、Ser、またはThrであり;
A51はSer、Aib、Ala、Arg、Lys、またはThrであり;
A52はCys、D-Cys、hCys、D-hCys、β-Me-Cys、D-β-Me-Cys、N-Me-Cys、D-N-Me-Cys、Ala、Pen、またはD-Penであり;
A53はAsp、Ala、Arg、Asn、Gln、Glu、Lys、Ser、またはThrであり;
A54はLeu、Acc、Ala、Ile、またはValであり;
A55はArg、Ala、Ile、Leu、Lys、Phe、Trp、Tyr、またはValであり;
A56はArg、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、またはLysであり;
A57はLeu、Acc、Ala、Ile、またはValであり;
A58はGlu、Acc、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、またはLysであり;
A59はAcc、Ala、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Ile、Leu、Lys、Nle、Ser、D-Ser、Thr、Trp、Tyr、またはValであり;
A60はTyr、Ala、Phe、またはTrpであり;
A61はCys、D-Cys、hCys、D-hCys、β-Me-Cys、D-β-Me-Cys、N-Me-Cys、D-N-Me-Cys、Ala、Pen、またはD-Penであり;
A62はAla、Asn、Asp、Gln、Glu、Ile、Leu、またはValであり;
A63はPro、D-Pro、Ala、Ser、Thrであり、または欠失しており;
A64はLeu、D-Leu、des-Leu、Ala、Ile、Valであり、または欠失しており;
A65はLys、D-Lys、des-Lys、Ala、Arg、Ile、Leu、Valであり、または欠失しており;
A66はPro、D-Pro、Alaであり、または欠失しており;
A67はAla、D-Ala、Aibであり、または欠失しており;
A68はLys、D-Lys、Ala、Arg、Ile、Leu、Valであり、または欠失しており;
A69はSer、D-Ser、Aib、Ala、Thrであり、または欠失しており;
A70はAla、D-Ala、Asn、Asp、Gln、Gluであり、または欠失しており;
A71はAsn、Ala、Asp、Gln、Glu、Lys、Ser、Thrであり、または欠失しており;そして
R1はOHまたはNH2であり;
ただし、
残基対A6およびA48、A47およびA52、ならびにA18およびA61の側鎖はそれぞれジスルフィド結合を形成しており;そして
さらに、A59がLeu、Ile、Nle、Thr、またはValのいずれかである場合、その類似体は少なくとも1個の追加のアミノ酸置換または付加を含有する。
【請求項2】
請求項1に記載のIGF−1の類似体、またはその医薬的に許容できる塩、ここで
A-1はMet、Serであり、または欠失しており;
A1はGlyであり、または欠失しており;
A2はPro、Lysであり、または欠失しており;
A3はGluであり、または欠失しており;
A4はThrであり;
A5はLeuであり;
A6はCys、hCys、β-Me-Cys、N-Me-Cys、またはPenであり;
A7はGlyであり;
A8はAlaであり;
A9はGluであり;
A10はLeuであり;
A11はValであり;
A12はAspであり;
A13はAlaであり;
A14はLeuであり;
A15はGlnであり;
A16はPheであり;
A17はValであり;
A18はCys、hCys、β-Me-Cys、N-Me-Cys、またはPenであり;
A19はGlyであり;
A20はAspであり;
A21はArgであり;
A22はGlyであり;
A23はPheであり;
A24はTyrであり;
A25はPheであり;
A26はAsnであり;
A27はLys、Arg、またはProであり;
A28はProまたはLysであり;
A29はThrであり;
A30はGlyであり;
A31はTyrであり;
A32はGlyであり;
A33はSerであり;
A34はSerであり;
A35はSerであり;
A36はArgであり;
A37はArgであり;
A38はAlaであり;
A39はProであり;
A40はGlnであり;
A41はThrであり;
A42はGlyであり;
A43はIleであり;
A44はValであり;
A45はAspであり;
A46はGluであり;
A47はCys、hCys、β-Me-Cys、N-Me-Cys、またはPenであり;
A48はCys、hCys、β-Me-Cys、N-Me-Cys、またはPenであり;
A49はPhe、Arg、Leu、またはThrであり;
A50はArgまたはSerであり;
A51はSer、Aib、Arg、またはThrであり;
A52はCys、hCys、β-Me-Cys、N-Me-Cys、またはPenであり;
A53はAsp、Arg、またはSerであり;
A54はLeuまたはA6cであり;
A55はArgまたはTyrであり;
A56はArgまたはGlnであり;
A57はLeuであり;
A58はGluまたはArgであり;
A59はA6c、Arg、Asn、Asp、Gln、Glu、Ile、Leu、Nle、Ser、D-Ser、Trp、またはTyrであり;
A60はTyrまたはPheであり;
A61はCys、hCys、β-Me-Cys、N-Me-Cys、またはPenであり;
A62はAlaまたはAsnであり;
A63はPro、D-Pro、Thrであり、または欠失しており;
A64はLeu、D-Leu、des-Leuであり、または欠失しており;
A65はLys、D-Lys、des-Lys、Argであり、または欠失しており;
A66はPro、D-Proであり、または欠失しており;
A67はAla、D-Ala、Aibであり、または欠失しており;
A68はLys、D-Lys、Argであり、または欠失しており;
A69はSer、D-Ser、Aib、Thrであり、または欠失しており;
A70はAla、D-Ala、Gluであり、または欠失しており;そして
A71はAsp、Glu、Lys、Serであり、または欠失している。
【請求項3】
請求項2に記載のIGF−1の類似体、ここで、前記類似体は以下のものである:
(Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:1)
(Asn59)hIGF-1(1-62)-OH; (SEQ ID NO:2)
(Asn59)hIGF-1(4-70)-OH; (SEQ ID NO:3)
(Pro27, Lys28, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:4)
(Pro27, Lys28, Asn59)hIGF-1(1-62)-OH; (SEQ ID NO:5)
(Ser53, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:6)
(Ser-Gly1, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:7)
(Asn59, Thr63, des-Leu64, des-Lys65, Glu70)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:8)
(Tyr55, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:9)
(Thr49, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:10)
(Asn59, 62)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:11)
(Asn59, Phe60)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:12)
(Ser50, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:13)
(Gln56, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:14)
(Asn59, D-Pro63)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Leu64)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Lys65)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Pro66)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Ala67)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Lys68)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Ser69)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Ala70)hIGF-1(1-70)-OH;
(Arg27, 65, 68, Leu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:15)
(Leu59, Arg65, 68)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:16)
(Leu49, 59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:17)
(β-Me-Cys52, Leu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:18)
(β-Me-Cys47, Leu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:19)
(Leu59, Glu71)hIGF-1(1-71)-OH; (SEQ ID NO:20)
(Leu59, Asp71)hIGF-1(1-71)-OH; (SEQ ID NO:21)
(Leu59, Lys71)hIGF-1(1-71)-OH; (SEQ ID NO:22)
(Leu59, Ser71)hIGF-1(1-71)-OH; (SEQ ID NO:23)
(Leu59, Thr69)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:24)
(Thr51, Leu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:25)
(N-Me-Cys47, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:26)
(Nle59, Aib69)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:27)
(N-Me-Cys48, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:28)
(Nle59, Aib67)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:29)
(hCys52, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:30)
(Aib51, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:31)
(Pen52, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:32)
(Nle59, Pen61)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:33)
(A6c54, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:34)
(Arg53, Ile59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:35)
(Arg49, Ile59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:36)
(Arg51, Ile59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:37)
(Arg58, Ile59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:38)
(A6c59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:39)
(Asp59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:40)
(Trp59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:41)
(Ser59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:42)
(Tyr59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:43)
(Glu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:44)
(Gln59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:45)
(Arg59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:46)もしくは
(Met-Gly1, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:47)
またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項4】
A59がAsnである、請求項2に記載のIGF−1の類似体、またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項5】
請求項4に記載のIGF−1の類似体、ここで、前記類似体は以下のものである:
(Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:1)
(Asn59)hIGF-1(1-62)-OH; (SEQ ID NO:2)
(Asn59)hIGF-1(4-70)-OH; (SEQ ID NO:3)
(Pro27, Lys28, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:4)
(Pro27, Lys28, Asn59)hIGF-1(1-62)-OH; (SEQ ID NO:5)
(Ser53, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:6)
(Ser-Gly1, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:7)
(Asn59, Thr63, des-Leu64, des-Lys65, Glu70)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:8)
(Tyr55, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:9)
(Thr49, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:10)
(Asn59, 62)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:11)
(Asn59, Phe60)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:12)
(Ser50, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:13)
(Gln56, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:14)
(Asn59, D-Pro63)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Leu64)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Lys65)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Pro66)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Ala67)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Lys68)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Ser69)hIGF-1(1-70)-OH;
(Asn59, D-Ala70)hIGF-1(1-70)-OH;もしくは
(Met-Gly1, Asn59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:47)
またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項6】
A59がLeuである、請求項2に記載のIGF−1の類似体、またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項7】
前記の少なくとももう1個のアミノ酸置換または付加がArg27、Arg65、Arg68、Leu49、β-Me-Cys47、β-Me-Cys52、Thr51、Thr69、Asp71、Glu71、Lys71、およびSer71からなるグループから選択される、請求項6に記載のIGF−1の類似体、またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のIGF−1の類似体、ここで、前記類似体は以下のものである:
(Arg27, 65, 68, Leu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:15)
(Leu59, Arg65, 68)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:16)
(Leu49, 59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:17)
(β-Me-Cys52, Leu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:18)
(β-Me-Cys47, Leu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:19)
(Leu59, Glu71)hIGF-1(1-71)-OH; (SEQ ID NO:20)
(Leu59, Asp71)hIGF-1(1-71)-OH; (SEQ ID NO:21)
(Leu59, Lys71)hIGF-1(1-71)-OH; (SEQ ID NO:22)
(Leu59, Ser71)hIGF-1(1-71)-OH; (SEQ ID NO:23)
(Leu59, Thr69)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:24)もしくは
(Thr51, Leu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:25)
またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項9】
A59がNleである、請求項2に記載のIGF−1の類似体、またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項10】
前記の少なくとももう1個のアミノ酸置換がAib51、Aib67、Aib69、Pen52、Pen61、A6c54、N-Me-Cys47、およびN-Me-Cys48からなるグループから選択される、請求項9に記載のIGF−1の類似体、またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載のIGF−1の類似体、ここで、前記類似体は以下のものである:
(N-Me-Cys47, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:26)
(Nle59, Aib69)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:27)
(N-Me-Cys48, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:28)
(Nle59, Aib67)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:29)
(hCys52, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:30)
(Aib51, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:31)
(Pen52, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:32)
(Nle59, Pen61)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:33)もしくは
(A6c54, Nle59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:34)
またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項12】
A59がIleである、請求項2に記載のIGF−1の類似体、またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項13】
前記の少なくとももう1個のアミノ酸置換がArg49、Arg51、Arg53、およびArg58からなるグループから選択される、請求項12に記載のIGF−1の類似体、またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載のIGF−1の類似体、ここで、前記類似体は以下のものである:
(Arg53, Ile59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:35)
(Arg49, Ile59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:36)
(Arg51, Ile59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:37)もしくは
(Arg58, Ile59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:38)
またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項15】
A59がArg、Asp、A6c、Gln、Glu、Ser、Trp、またはTyrである、請求項2に記載のIGF−1の類似体、またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項16】
請求項15に記載のIGF−1の類似体、ここで、前記類似体は以下のものである:
(A6c59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:39)
(Asp59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:40)
(Trp59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:41)
(Ser59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:42)
(Tyr59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:43)
(Glu59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:44)
(Gln59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:45)もしくは
(Arg59)hIGF-1(1-70)-OH; (SEQ ID NO:46)
またはその医薬的に許容できる塩。
【請求項17】
有効量の請求項1〜16のいずれか1項に記載の類似体を含む医薬組成物。
【請求項18】
さらに医薬的に許容できるキャリヤーを含む、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
それを必要とする対象においてIGF−1受容体から作動薬作用を引き出す方法であって、前記の対象に療法上有効量の請求項1〜16のいずれか1項に記載の類似体または請求項17もしくは請求項18に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項20】
IGF−1受容体結合により仲介される病気または疾患を処置するための方法であって、それを必要とする対象に療法上有効量の請求項1〜16のいずれか1項に記載の類似体または請求項17もしくは請求項18に記載の医薬組成物を投与する段階を含む方法。
【請求項21】
インスリン受容体結合により仲介される病気または疾患を処置するための方法であって、それを必要とする対象に療法上有効量の請求項1〜16のいずれか1項に記載の類似体または請求項17もしくは請求項18に記載の医薬組成物を投与する段階を含む方法。
【請求項22】
インスリン様増殖因子の1種類以上のインスリン様増殖因子結合タンパク質への結合を阻害することにより病気または疾患を処置するための方法であって、それを必要とする対象に療法上有効量の請求項1〜16のいずれか1項に記載の類似体または請求項17もしくは請求項18に記載の医薬組成物を投与する段階を含む方法。
【請求項23】
前記の病気または疾患が、低身長、肥満、体重の減少、悪液質、食欲不振、神経変性障害、線維症と関連する病気、軟骨障害、骨疾患、炎症性障害、腸障害、インスリン抵抗性、糖尿病、糖尿病性ケトアシドーシス、ラブソン・メンデンホール症候群、網膜症、先端巨大症、線維筋過形成、および心障害からなるグループから選択される、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
低身長の処置を必要とする前記の対象がインスリン様増殖因子−1欠損症(IGFD)を有するヒトの小児の対象であり、前記の投与がヒトの小児の対象においてIGFDを処置するのに有効である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記のヒトの小児の対象が以下:
その対象が、請求項1〜16のいずれか1項に記載の類似体または請求項17もしくは請求項18に記載の医薬組成物を用いる処置の時点で、またはそれを用いる最初の処置の前に、同じ年齢および性別の対象に関する通常の平均身長よりも少なくとも約2.0標準偏差(SD)下である身長を有している、または有していた、ならびに
その対象が、請求項1〜16のいずれか1項に記載の類似体または請求項17もしくは請求項18に記載の医薬組成物を用いる処置の時点で、またはそれを用いる最初の処置の前に、同じ年齢および性別のヒトの小児の対象に関する通常の平均レベルの少なくとも約−1SD下のIGF−1の血中レベルを有している、または有していた;
のように特性付けられる、前記方法。
【請求項26】
特発性低身長(ISS)を有する対象を処置するための方法であって、部分的な内因性成長ホルモン活性またはシグナル伝達により特性付けられるISSを患うヒトの小児の対象にその対象において成長を促進するのに有効な量の請求項1〜16のいずれか1項に記載の類似体または請求項17もしくは請求項18に記載の医薬組成物を投与することを含み、その対象がさらに以下:
その対象が、請求項1〜16のいずれか1項に記載の類似体または請求項17もしくは請求項18に記載の医薬組成物を用いる処置の時点で、またはそれを用いる最初の処置の前に、同じ年齢および性別の対象に関する通常の平均身長よりも少なくとも約2.0標準偏差(SD)下である身長を有している、または有していた、ならびに
その対象が、請求項1〜16のいずれか1項に記載の類似体または請求項17もしくは請求項18に記載の医薬組成物を用いる処置の時点で、またはそれを用いる最初の処置の前に、同じ年齢および性別の対象に関して少なくとも通常であるGHおよびIGF−1の血中レベルを有している;
のように特性付けられる、前記方法。
【請求項27】
前記の神経変性障害がALS、多発性硬化症、筋ジストロフィー、糖尿病性ニューロパシー、脱髄性末梢ニューロパシー、パーキンソン病、アルツハイマー病、および外傷性脊髄損傷の後遺症からなるグループから選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記の軟骨障害が骨関節炎である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記の骨疾患が骨粗鬆症である、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記の炎症性障害がリウマチ性関節炎である、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記の糖尿病がI型糖尿病またはII型糖尿病である、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記の心障害がアテローム性動脈硬化症である、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記の線維症と関連する病気が硬変、全身性硬化症、または甲状腺眼症である、請求項23に記載の方法。

【公表番号】特表2012−533622(P2012−533622A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521623(P2012−521623)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/002062
【国際公開番号】WO2011/011072
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(509120469)イプセン ファルマ ソシエテ パール アクシオン サンプリフィエ (51)
【氏名又は名称原語表記】IPSEN PHARMA S.A.S.
【住所又は居所原語表記】65 Quai Georges Gorse,F−92100 Boulogne Billancourt FRANCE
【Fターム(参考)】