説明

5HT2Cレセプター関連疾患の処置に有用なベンズアゼピン誘導体

【課題】5HT2Cレセプターの調節因子である式(I)の特定の1−置換−2,3,4,5−テトラヒドロ−3−ベンズアゼピン誘導体を提供すること。
【解決手段】本発明の化合物は、肥満および関連障害のような5HT2Cレセプターに関連する疾患、状態または障害の予防または処置に有用である。5HT2Cレセプターは、5HT2C媒介性レセプターの疾患および障害(例えば、肥満、摂食障害、精神学的障害、アルツハイマー病、性機能障害、およびこれらに関連する障害)の予防ならびに/または処置に対する確認され十分に認められたレセプター標的である。本発明は、5HT2Cレセプターに結合し、5HT2Cレセプターの活性を調節する化合物、およびそれらの用途を説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、5HT2cレセプターの調節因子である、特定の置換−2,3,4,5−テトラヒドロ−3−ベンズアゼピン誘導体に関する。従って、本発明の化合物は、5HT2Cレセプターの関連の疾患、状態または障害(例えば、肥満および関連障害)の予防または処置のために有用である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
肥満は、合併症(例えば、II型糖尿病、高血圧症、脳卒中、特定の形態の癌および胆嚢疾患であるが、これらに限定されない)から起こる、罹患率および死亡率のリスクを増加させる生命にかかわる障害である。
【0003】
肥満は、西洋世界において主要な医療問題になっており、いくつかの第三世界の国々においてますます問題になっている。肥満の人々の数の増加は、高脂肪含有量の食物に対する好みの増加(これは、より重要な因子であり得る)に大きく起因する。しかしまた、ほとんどの人々の生活の活性の低下にも大きく起因する。最近の10年間で、USAでの肥満の発生率は30%増加し、現在USAの人口の約30%が肥満と考えられる。肥満に関連した健康への関心意識が高まっているにも関わらず、過体重または肥満の個体の割合は、増加し続けている。実際、過体重と決められる小児および青年の割合は、1970年代初めから二倍より多く、現在、小児および青年の約13%が深刻な過体重である。公衆衛生の観点からの最も重大な関心は、過体重の小児が、過体重または肥満の成人に成長し、従って主要な健康の問題について大きな危険性を有するということである。従って、過体重または肥満である個体の数は増加し続けるようである。
【0004】
誰かが過体重または肥満であると分類されるかどうかは、一般に、その人の肥満度指数(BMI)に基づいて決定される。この肥満度指数(BMI)は、その人の体重(キログラム、Kg)をその人の身長の二乗(メートルの二乗、m)で割ることによって計算される。従って、BMIの単位は、Kg/mである。このBMIは、身長および体重のいずれの他の指標よりも、体脂肪と深く関連している。人が25〜30kg/mの範囲のBMIを有している場合、それらの人々は過体重であると考えられる。30kg/m超えるBMIを有する人は、肥満および肥満症であると分類され、さらに3つのクラス(クラスI(約30〜約34.9kg/mのBMI)、クラスII(約35〜約39.9kg/mのBMI)、およびクラスIII(約40kg/m以上)に分けられる。完全な分類については、以下の表1を参照のこと。
【0005】
(表1)
(肥満度指数(BMI)による体重の分類)
【0006】
【表1】


【0007】
個体についてのBMIが増加する場合、正常なBMIを有する個体と相対して、罹患率および死亡率のリスクは増加する。従って、過体重および肥満の個体(約25kg/m以上のBMI)は、身体的病気のリスクが増加する。身体的病気としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない;高血圧、心臓血管疾患(特に、高血圧症)、高血中コレステロール、異脂肪血症、II型(非インスリン依存性)糖尿病、インスリン耐性、グルコース不耐症、高インスリン血症、冠状心臓病、狭心症、うっ血性心不全、脳卒中、胆石、胆嚢炎(cholescystitis)および胆石症、通風、変形性関節症、閉塞性睡眠時無呼吸および呼吸の問題、いくつかの型の癌(例えば、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌、および結腸癌)、妊娠合併症(complications of pregnancy)、質の悪い女性の性と生殖に関する健康(例えば、月経不順、不妊症、排卵不順)、生殖の疾患(例えば、男性および女性両方の性機能不全(男性の勃起不全を含む))、膀胱制御の問題(例えば、ストレス性失禁)、尿酸腎石症、心理学的障害(例えば、うつ病、摂食障害、歪んだ体の像(distorted body image)、および低い自己評価)。研究は、体重の小幅な減少でさえ、他の病気(例えば、冠状心臓病であるが、これに限定されない)の発症の危険性を顕著に減少させることに対応し得ることを示している。
【0008】
上で言及したとおり、肥満は、心臓血管疾患の発症のリスクを増加させる。冠状動脈不全、アテローム疾患、および心不全は、肥満によって誘導される心臓血管性合併症の中心である。冠状性疾患の発生率は、30%過体重である50歳未満の被験体において、2倍である。糖尿病患者は、30%の寿命の短縮に直面する。45歳を過ぎると、糖尿病の人々は、糖尿病でない人々よりも有意な心臓疾患を有する可能性が約3倍であり、脳卒中を有する可能性は5倍まで上がる。これらの知見は、NIDDMおよび冠状心臓病についての危険因子と、肥満の予防に基づくこれらの状態を予防するために組み込まれたアプローチの潜在的価値との間の内部の関係を強調する[Perry,I.J.ら,BMJ 310,560−564(1995)]。仮に人口の全体が理想的な体重を有する場合、冠状不全のリスクは25%減少し、そして心不全および脳血管障害発作(cerebral vascular accident)のリスクは、35%減少すると推定される。
【0009】
糖尿病はまた、腎疾患、眼疾患および神経系の問題の発症に関与している。腎疾患は、腎症とも呼ばれ、腎臓の「濾過機能」が損傷を受け、そして過剰量のタンパク質が尿中へリークする場合に起こり、いずれは腎臓が機能しなくなる。糖尿病はまた、網膜への損傷の主要な原因であり、白内障および緑内障のリスクを増加させる。最終的に、糖尿病は、神経損傷(特に、脚および足における神経損傷)に関連する。このことは、痛みを感じる能力に支障をきたし、深刻な感染の原因となる。まとめると、糖尿病の合併症は、国家の主要な死亡原因の1つである。
【0010】
過体重または肥満である個体のための処置の第一の方針は、食事のアドバイスおよび生活様式のアドバイス(例えば、食事の脂肪含有量を減らすこと、および身体的活性を上昇させること)を提供することである。しかし、多くの患者は、これらを持続することを困難と感じ、これらの努力の結果を持続するために、薬物療法のさらなる助けを必要とする。
【0011】
ごく最近の市販の製品は、効能の欠如または受容できない副作用の特徴が原因で、肥満のための処置として成功していない。現在までに最も成功した薬物は、間接的に作用する5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)アゴニストd−フェンフルラミン(ReduxTM)であったが、しかし、3分の1までの患者集団の心臓弁欠陥の報告によって、1998年にFDAによって取り消された。
【0012】
加えて、以下の2つの薬物が、USAおよびヨーロッパにおいて最近販売されている:Orlistant(XenicalTM)(膵臓のリパーゼを阻害することによって、脂肪の吸収を妨げる薬物)、およびSibutramine(ReductilTM)(5−HT/ノルアドレナリン再取り込みインヒビター)。しかし、これらの製品に関連する副作用は、これらの長期の有効性を制限し得る。XenicalTMでの処置は、一部の患者において胃腸の窮迫を誘導することが報告される一方、Sibutramineは、一部の患者において血圧の上昇と関連する。
【0013】
セロトニン(5−HT)神経伝達は、健康と精神医学的障害との両方において、神経生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たす。5−HTは、ここしばらくの間、摂食行動の調節と関連付けられている。5−HTは、満腹(fullness)または飽満(satiety)の感覚を誘導することによって、摂食をより早く止め、より少ないカロリーが消費されるように働く。5HT2Cレセプターに対する5−HTの刺激作用が、摂食の制御およびd−フェンフルラミンの抗肥満効果において重要な役割を果たすことが示されている。この5HT2Cレセプターは脳(特に、辺縁構造、錐体外路経路、視床および視床下部(すなわち、PVNおよびDMH)、ならびに主に脈絡叢)において高密度で発現し、そして末梢組織においては低い密度で発現するか、または存在しないので、選択的な5HT2Cレセプターアゴニストは有効であり得、安全な抗肥満剤であり得る。5HT2Cノックアウトマウスはまた、認識機能障害を伴う過体重であり、発作に対して感受性であり、従って、5HT2Cレセプター関連の疾患または障害における5HT2Cレセプターアゴニストの明確な使用を確立する。
【0014】
この5HT2Cレセプターは、強迫性障害、うつ病のいくつかの形態、およびてんかんにおいて役割を果たす。従って、5HT2Cレセプターアゴニストは、抗パニック性特性および性機能障害の処置に有用な特性を有し得る。加えて、5HT2Cレセプターアゴニストは、摂食障害(例えば、神経性食欲不振および神経性大食症であるが、これらに限定されない)を有する個体の精神医学的症候および精神医学的行動の処置に有用である。神経性食欲不振を有する個体は、社会的隔離を示す場合が多い。食欲不振の個体は、うつ病、不安、強迫、完璧主義、および固定の認知様式(rigid cognitive style)ならびに性的無関心の症候を示す場合が多い。他の摂食障害としては、神経性食欲不振、神経性大食症、過食症障害(強迫性摂食(compulsive eating))およびED−NOS(すなわち、他に特定されていない摂食障害−公式な診断を特定されていないもの)が挙げられる。ED−NOSと診断された個体は、異型の摂食障害(個体が、特定の診断について、一部の判断基準を除いて満たす状況を含む)を有する。食物および体重に関してその個体が行うことは、正常でも健康的でもない。
【0015】
加えて、5HT2Cレセプターはまた、他の疾患、状態および障害(例えば、アルツハイマー病(AD))に関連する。現在、アルツハイマー病(AD)に処方される治療剤は、酵素アセチルコリンエステラーゼを阻害することによって作用するコリン様作用剤である。この結果生じる効果は、アセチルコリンのレベルの上昇であり、これは、ADの患者でニューロン機能およびニューロン認識を適度に改善する。コリン作用性脳ニューロンの機能障害が、ADの早期の症状発現であるにもかかわらず、これらの薬剤を用いてこの疾患の進行を遅くする試みは、ささやかな成功しか収めていない。これはおそらく、投与され得る用量が、末梢のコリン作用性の副作用(例えば、震え、悪心、嘔吐、および口渇)によって制限されるからである。さらに、ADの進行に伴って、これらの薬剤は、持続的なコリン作用性ニューロンの減少がその原因で有効性を失う傾向がある。
【0016】
従って、特に、現在の治療で観察される副作用を伴わずに認識を改善すること、および疾患の進行を遅らせるかまたは阻害することによって、症候を緩和する際に、
ADにおいて有益な効果を有する薬剤についての必要性が存在する。従って、脳においてのみ発現されるセロトニン5HT2Cレセプターは、魅力的な標的である。
【0017】
ADの主要な特徴は、脳の選択された領域におけるアミロイド沈着物で構成される老人性斑の形成である。新規の治療は、これらの老人性斑の生成を防ぐことに焦点を当てるべきである。主にβ−アミロイドペプチド(Aβ)で構成されるアミロイド沈着物は、斑の中心(plaque center)を占める。Aβは、より大きなアミロイド前駆体タンパク質(APP)に由来する40〜43残基のペプチドである[Selkoe DJら,Ann Rev Neurosci,1994,17:489−517]。APPは、脳細胞において高レベルで存在する遍在性の膜貫通糖タンパク質である。APPはまた、分泌型形態としても存在する。APPのAβ領域の切断によって、長いN末端フラグメント(分泌型APP、APPs)が、細胞外空間に分泌される。Aβ生成の速度は、APP分泌の速度と反比例的に関連するようである。いくつかの細胞培養物において、APP分泌は、分泌型Aβの減少によって起こった([Buxbaum JDら,Proc Nat Acad Sci,1993,90:9195−9198;Gabuzda Dら,J Neurochem,1993,61:2326−2329;Hung AYら,J
Biol Chem,1993,268:22959−22962;およびWolf BAら,J Biol Chem,1995,270:4916−4922])。このことは、AAPの分泌型APPへの刺激された分泌プロセッシングが、潜在的なアミロイド形成性誘導体または斑の形成の減少と関連していることを示唆する。
【0018】
APPsは、血漿および脳脊髄液において見出される[Ghiso Jら,Biochem Biophys Res Comm,1989,163:430−437;およびPodlisny MBら,Biochem Biophys Res Commun,1990,167:1094−1101]。膜結合型APPおよびAPPsの両方の存在比を考慮すると、膜結合型APPおよびAPPsは、重要な生物学的機能を有する可能性がある。APP機能についての最近の知見は、APPがニューロンの構造および機能ならびにシナプスの構造および機能を維持するために決定的に必要とされることを示す。膜結合型APPは、レセプター様構造を有することが示唆されており[Kang Jら,Nature,1987,325:733−736]、GTP結合タンパク質と複合体形成し得る細胞質ドメインを有することが示唆されている[Nishimoto I.ら,Nature,1993,362:75−79]。膜埋め込み型の全長APPはまた、細胞接着機能を有し得る[Qiu W.ら,J Neurosci,1995,15:2157−2167]。
【0019】
APPsは、インビトロで神経栄養性かつ神経保護性であることが示される[Mattson MPら,Neuron,1993,10:243−254;およびQiu W.ら,J Neurosci,1995,15:2157−2167]。APPsについて他に提案される機能としては、血液凝固の調節[Cole GMら,Biochem Biophys Res Commun,1990,170:288−295;Smith
RPら,Science,1990,248:1126−1128;およびVan Nostrandら,Science,1990,248:745−748]、創傷治療[Cunningham JMら,Histochemistry,1991,95:513−517]、細胞外プロテアーゼ活性[Oltersdorf Tら,Nature(London),1989,341:144−147;およびVan Nostrand
WEら,Nature,1989,341:546−548]、神経突起伸長[Jin
L.ら,J Neurosci,1994,14:5461−5470;およびRobakis NKら,in Molecular Biology of Alzheimer’s Disease.(T.Miyatake,D.J.SelkoeおよびY.Ihara(編)),1990,179−188頁,Elsevier Science
Publishers B.V.,Amsterdam]、細胞接着性[Schubert Dら,Neuron,1989,3:689−694]、細胞増殖、[Bhasin R.ら,Proc Natl Acad Sci USA,1991,88:10307−10311;およびSaitoh T.,Cell,1989,58:615−622]、および分化[Araki W.ら,Biochem Biophys Res Commun,1991,181:265−271;Milward EAら,Neuron,1991,9:129−137;およびYamamoto Kら,J Neurobiol,1994,25:585−594]が挙げられる。
【0020】
上記非選択的セロトニン5HT2Cアゴニストデキスノルフェンフルラミン(DEXNOR)は、繰り返しの投与を受けてインビボでのAβ産物のレベルを減少させながら、モルモットにおいてアミロイド前駆体タンパク質(APPs)分泌を刺激する[Arjona Aら,「Effect of a 5HT2C serotonin agonist,dexnorfenfluramine,on amyloid precursor protein metabolism in guinea pigs,」Brain Res,2002,951:135−140]。モルモットAPPおよびヒトAPPが、98%の配列相同性を示し[Beck Mら,Biochem Biophys Acta,1997,1351:17−21]、そのタンパク質は、同様にプロセッシングされ[Beck M.ら,Neuroscience,1999,95:243−254]、そしてAβペプチド配列が同一である[Johnstone EMら,Brain
Res Mol Brain Res,1991,10:299−305]という理由で、モルモットが選択された。DEXNORが非選択的であるにもかかわらず、観察される効果は、選択的セロトニン5HT2Cアンタゴニストによって弱められる一方で、選択的セロトニンHT2AアンタゴニストはDEXNOR効果を逆転させない。このことは、上記セロトニン5HT2Cレセプターが、この効果について最も関連性のある標的であることを示している。
【0021】
加えて、5−HTは、セロトニン5HT2Aレセプターおよび5HT2Cレセプターを介したAPPsエクトドメイン分泌を刺激する[Nitsch RMら,J Biol Chem,1996,271(8):4188−4194]。この研究において、研究者らは、セロトニン5HT2Aレセプターまたは5HT2Cレセプターを安定に発現する3T3繊維芽細胞をセロトニン(5−HT)で刺激した。5−HTは、両方の細胞株において用量依存性の様式で、APPs分泌を増加させた。APPs分泌の最大刺激は、約4倍で最高に達した。選択的セロトニン5HT2Aアンタゴニストおよび5HT2Cアンタゴニストは、各細胞株において効果を遮断した。
【0022】
セロトニン5HT2Cレセプターアゴニストは、ADを処置するため、および老人性斑を防ぐために有効であり得る。添付の特許請求の範囲についての支持は、Aβが、神経毒性であり、かつADに関連する老人性斑において重要な成分であることが公知であるという事実に由来し、APPs分泌およびAβレベルは、反比例的に関連するようにみえ、そしてセロトニン5HT2Cアゴニストは、セロトニン5HT2Cレセプターを安定に発現する細胞株において、インビトロのAPPsのレベル上昇させる一方、インビボのセロトニン5HT2Cアゴニストは、モルモットの脳脊髄液中で測定される場合、APPsのレベルを上昇させ、そしてAβのレベルを減少させるという事実に由来する。
【0023】
ADを処置するためにセロトニン5HT2Cレセプターでのアゴニスト活性を有する本発明の化合物の使用を支持する証拠が存在する。本発明の化合物は、単独またはADのために代表的に処方される別の薬剤(例えば、AChEインヒビターであるが、これらに限定されない)と組み合わせて使用され得る。
【0024】
5HT2Cレセプターの機能に関連し得る別の疾患、障害または状態は、勃起不全(ED)である。勃起不全は、性交、射精、または両方のために十分な硬さの勃起を達成または維持することが出来ない。合衆国の推定2000万〜3000万の男性が、生涯のある時期にこの状態を有する。この状態の有病率は、年齢と共に増加する。40歳の男性のうちの5%が、EDを報告している。この比率は、65歳までに15%と25%との間に増加し、75歳以上の男性では55%まで増加する。
【0025】
勃起不全は、多くの個別の問題から生じ得る。これらの問題としては、欲求または性欲の減少、勃起の持続が不可能なこと、早漏、射出の欠如、およびオルガズムに達することが不可能なことが挙げられる。1つより多くのこれらの問題は、高い頻度で同時に現れる。この状態は、他の疾患状態(代表的には、慢性状態)の二次的な状態、泌尿生殖器系または内分泌系の特異的な障害の結果、薬理学的薬剤(例えば、抗高血圧薬、抗うつ薬、抗精神病薬など)を用いた処置の二次的な状態、または精神医学的問題の結果であり得る。勃起不全は、器官的な場合、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、および高血圧症に関連する血管の不規則(vascular irregularity)が主に原因である。
【0026】
男性および女性の性機能障害の処置のための、セロトニン5HT2Cアゴニストの使用についての証拠が存在する。このセロトニン5HT2Cレセプターは、知覚情報、中枢モノアミン作動性系の調節、および神経内分泌性反応の調節、不安、摂食行動、および脳脊髄液生成物の処理ならびに組み込みに関連する[Tecott,L.H.ら,Nature 374:542−546(1995)]。加えて、このセロトニン5HT2Cレセプターは、ラット、サル、およびヒトにおける陰茎勃起の媒介に関連している。
【0027】
5HT2Cレセプター陰茎勃起を媒介する正確な機構は、不明なままである。しかし、陰茎勃起の媒介におけるセロトニン5HT2Cレセプターの役割を支持する、間接的および直接的な良好な証拠が存在する。解剖学的な研究は、陰茎が、脊髄に位置する交感神経核および副交感神経核からの自律神経支配を受けることを示している[Pescatori ESら,J Urol 1993;149:627−32]。同調して、実験データおよび臨床データは、陰茎勃起が、脊髄反射によって制御されていることを支持する。より詳しい分析は、麻酔下のネコにおいて、5HT脊髄レセプターの活性化が、外陰部反射を促進することを示した[Danuser HおよびThor KB,Br J Pharmacol 1996;118:150−4]。従って、5HT2Cレセプターの刺激は、前勃起性(proerectile)であることが示されていて[Millan MJら,European Journal of Pharmacology 1997;325]、そして5HT2Cレセプターは、前勃起性の脊髄の副交感神経性ニューロンに関して記載されている[Bancila Mら、Neuroscience 1999;92:1523−37]。
【0028】
間接的な証拠は、選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)の使用によって誘導される副作用の研究および報告からもたらされる。SSRIは、セロトニン5HT2Cレセプターにおけるアンタゴニスト作用を示している[Jenckら、EuropeanJournal of Pharmacology 231:223−229(1993);Lightlowlerら、European Journal of Pharmacology 296:137−43(1996);およびPalvimaki,E.ら,Psychopharmacology 126:234−240(1996)]。ヒトにおいて注目されるSSRIの多くの悪い副作用には、陰茎勃起を達成することの困難を増加させることがある。SSRIが多くの薬理学的特性を有するにもかかわらず、5HT2CレセプターにおけるSSRIのアンタゴニスト効果は、陰茎勃起の阻害と関連し得ることが考えられている[Palvimaki,E.ら,Psychopharmacology 126:234−240(1996)]。
【0029】
さらなる証拠が、セロトニン5HT2Cレセプターについての公知のアゴニスト活性を有する種々の化合物を用いた研究からもたらされる。ラットおよびアカゲザルでの薬理学的研究は、セロトニン−5HT2Cレセプターのアゴニストの前勃起性特性の直接的な証拠を提供する[Millan MJら,European Journal of Pharmacology 1997;325;およびPomerantzら,European Journal of Pharmacology 243:227−34(1993)]。これらの前勃起性効果は、それぞれ、セロトニン5HT2Aレセプターおよびセロトニン5HT2Bレセプターに対するアンタゴニストによって影響されない。セロトニン5HT2Cレセプターのアンタゴニストは、5−HT2Cアゴニストの前勃起性効果を弱める。この阻害作用は、5−HT2Cレセプターに対する各アンタゴニストの親和性に対応する。加えて、セロトニン5HT2Aレセプターおよびセロトニン5HT2Bレセプターのアゴニストは、陰茎勃起を誘発しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
要約すると、5HT2Cレセプターは、5HT2C媒介性レセプターの疾患および障害(例えば、肥満、摂食障害、精神学的障害、アルツハイマー病、性機能障害、およびこれらに関連する障害)の予防ならびに/または処置に対する確認され十分に認められたレセプター標的である。選択的5HT2Cレセプターアゴニストのニーズに安全に対処し得る選択的5HT2Cレセプターアゴニストについての必要性が存在することが理解され得る。本発明は、これらの重要な目的、ならびに他の重要な目的に関する。
【課題を解決するための手段】
【0031】
(発明の要旨)
本発明は、5HT2Cレセプターに結合し、5HT2Cレセプターの活性を調節する化合物、およびそれらの用途を説明する。本明細書中で使用される場合、用語5HT2Cレセプターは、GeneBank受託番号AF498983に見出されるヒト配列、天然に存在する対立遺伝子改変体、哺乳動物オルソログ、およびこれらの組換え変異体を含む。
【0032】
本発明の一局面は、式(I):
【0033】
【化2】

によって表される特定の置換−2,3,4,5−テトラヒドロ−3−ベンズアゼピン誘導体に関し:
ここで、
は、HまたはC1〜8アルキルである;
は、C1〜4アルキル、−CH−O−C1〜4アルキル、C1〜4ハロアルキル、またはCHOHである;そして
、R、R、およびRは、それぞれ独立にH、C1〜4アルキル、アミノ、シアノ、ハロゲン、C1〜4ハロアルキル、ニトロまたはOHである;または
これらの薬学的に受容可能な塩、水和物、および溶媒和物である;
ただし、Rが、C1〜4アルキル、−CH−O−C1〜4アルキル、およびCHOHである場合、RおよびRは、両方とも水素ではない。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態は、上記化合物がR鏡像異性体である式(I)の化合物である。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態は、上記化合物がS鏡像異性体である式(I)の化合物である。
【0036】
本発明の別の局面はまた、本発明の1種以上の化合物および1種以上の薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物に関する。
【0037】
本発明の別の局面は、5HT2Cレセプターを調節する方法であって、上記レセプターを本明細書中に記載の薬学的有効量または薬学的有効用量の化合物と接触させる工程を包含する方法に関する。好ましくは、本発明の化合物は、5HT2Cレセプターのアゴニストである。
【0038】
本発明の別の局面は、以下、中枢神経系;中枢神経系への損傷;心臓血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の障害を予防または処置する方法であって、そのような予防または処置を必要とする個体に対して薬学的有効量または薬学的有効用量の本発明の化合物あるいはこの薬学的に受容可能組成物を投与する工程を包含する方法に関する。
【0039】
本発明の別の局面は、個体の食物摂取を減少させる方法であって、上記個体に薬学的有効量または薬学的有効用量の本発明の化合物あるいはこの薬学的組成物を投与する工程を包含する方法に関する。
【0040】
本発明の別の局面は、個体において満腹を誘導する方法であって、上記個体に薬学的有効量または薬学的有効用量の本発明の化合物あるいはこれらの薬学的組成物を投与する工程を包含する方法に関する。
【0041】
本発明の別の局面は、個体の体重増加を制御する方法であって、体重の制御に苦しむ個体に薬学的有効量または薬学的有効用量の本発明の化合物あるいはこれらの薬学的組成物を投与する工程を包含する方法に関する。
【0042】
本発明の別の局面は、薬学的組成物を生成する方法であって、少なくとも1種の本発明の化合物と少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアとを混合する工程を包含する方法に関する。
【0043】
本発明の別の局面は、治療によってヒトの体または動物の体を処置する方法において使用するための、本明細書中に記載される化合物に関する。
【0044】
本発明の別の局面は、治療によってヒトの体または動物の体の、中枢神経系;中枢神経系への損傷;心臓血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の障害を予防または処置する方法において使用するための本明細書に記載される化合物に関する。
【0045】
本発明の別の局面は、中枢神経系;中枢神経系への損傷;心臓血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の障害を処置または予防する際に使用するための医薬の製造のための、本明細書中に記載の化合物の使用に関する。
【0046】
いくつかの実施形態において、中枢神経系の障害は、以下からなる群より選択される;うつ病、異型うつ病、双極性障害、不安障害、強迫性障害、社会恐怖またはパニック状態、睡眠障害、性機能障害、精神病、精神分裂病、片頭痛および頭痛または他の疼痛に関連する他の状態、頭蓋内圧の上昇、てんかん、人格障害、アルツハイマー病、年齢関連性行動障害、痴呆に関連する行動障害、器質性精神障害、小児期の精神障害、攻撃性、年齢関連性記憶障害、慢性疲労症候群、薬物嗜癖およびアルコール嗜癖、肥満、過食症、神経性食欲不振ならびに月経前緊張症。さらなる実施形態において、中枢神経系の障害は、肥満である。さらなる実施形態において、中枢神経系の障害は、アルツハイマー病である。さらなる実施形態において、性機能障害は、男性の勃起不全である。
【0047】
いくつかの実施形態において、中枢神経系への損傷は、外傷、脳卒中、神経変性障害、毒性CNS疾患または感染性CNS疾患による。さらなる実施形態において、中枢神経系への損傷は、脳炎または髄膜炎による。
【0048】
いくつかの実施形態において、心臓血管障害は、血栓症である。
【0049】
いくつかの実施形態において、胃腸障害は、胃腸運動性の機能不全である。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書中で言及された任意の疾患、状態、または障害の症候を軽減するための方法に関する。
【0051】
いくつかの実施形態において、上記個体は哺乳動物である。
【0052】
いくつかの実施形態において、上記個体は哺乳動物であり、好ましくは、その哺乳動物はヒトである。
【0053】
さらなる実施形態において、上記ヒトは、約18.5〜約45の肥満度指数を有する。
【0054】
さらなる実施形態において、上記ヒトは、約25〜約45の肥満度指数を有する。
【0055】
さらなる実施形態において、上記ヒトは、約30〜約45の肥満度指数を有する。
【0056】
さらなる実施形態において、上記ヒトは、約35〜約45の肥満度指数を有する。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
式(I)の化合物あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩、水和物および溶媒和物であって:
【化1】


ここで:
は、HまたはC1〜8アルキルであり;
は、C1〜4アルキル、−CH−O−C1〜4アルキル、C1〜4ハロアルキルまたはCHOHであり;そして、
、R、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C1〜4アルキル、アミノ、シアノ、ハロゲン、C1〜4ハロアルキル、ニトロまたはOHである;
ただしRがC1〜4アルキル、−CH−O−C1〜4アルキルおよびCHOHの場合は、RおよびRはどちらも水素ではない、化合物。
(項目2)
がHである、項目1に記載の化合物。
(項目3)
がC1〜8アルキルである、項目1に記載の化合物。
(項目4)
がメチルである、項目3に記載の化合物。
(項目5)
がエチルである、項目3に記載の化合物。
(項目6)
がn−プロピルである、項目3に記載の化合物。
(項目7)
がイソプロピルである、項目3に記載の化合物。
(項目8)
がn−ブチルである、項目3に記載の化合物。
(項目9)
がC1〜4アルキルである、項目1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
(項目10)
がメチルである、項目1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
(項目11)
がエチルである、項目1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
(項目12)
がイソプロピルである、項目1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
(項目13)
がn−プロピルである、項目1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
(項目14)
がC1〜4ハロアルキルである、項目1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
(項目15)
が−CFである、項目1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
(項目16)
がHである、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目17)
がC1〜4アルキルである、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目18)
が−CHである、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目19)
がアミノである、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目20)
がシアノである、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目21)
がハロゲンである、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目22)
がフッ素原子である、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目23)
が塩素原子である、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目24)
が臭素原子である、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目25)
がヨウ素原子である、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目26)
がC1〜4ハロアルキルである、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目27)
がCFである、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目28)
がニトロである、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目29)
が−OHである、項目1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
(項目30)
がHである、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目31)
がC1〜4アルキルである、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目32)
が−CHである、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目33)
がアミノである、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目34)
がシアノである、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目35)
がハロゲンである、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目36)
がフッ素原子である、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目37)
が塩素原子である、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目38)
が臭素原子である、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目39)
がヨウ素原子である、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目40)
がC1〜4ハロアルキルである、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目41)
がCFである、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目42)
がニトロである、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目43)
が−OHである、項目1〜29のいずれか1項に記載の化合物。
(項目44)
がHである、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目45)
がC1〜4アルキルである、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目46)
が−CHである、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目47)
がアミノである、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目48)
がシアノである、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目49)
がハロゲンである、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目50)
がフッ素原子である、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目51)
が塩素原子である、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目52)
が臭素原子である、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目53)
がヨウ素原子である、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目54)
がC1〜4ハロアルキルである、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目55)
がCFである、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目56)
がニトロである、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目57)
が−OHである、項目1〜43のいずれか1項に記載の化合物。
(項目58)
がHである、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目59)
がC1〜4アルキルである、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目60)
がCHである、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目61)
がアミノである、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目62)
がシアノである、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目63)
がハロゲンである、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目64)
がフッ素原子である、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目65)
が塩素原子である、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目66)
が臭素原子である、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目67)
がヨウ素原子である、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目68)
がC1〜4ハロアルキルである、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目69)
がCFである、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目70)
がニトロである、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目71)
が−OHである、項目1〜57のいずれか1項に記載の化合物。
(項目72)
6,8−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;6−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンおよび8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンからなる群より選択される、項目1に記載の化合物。
(項目73)
9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンである、項目1に記載の化合物。
(項目74)
N−メチル−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンおよびN−メチル−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンからなる群より選択される、項目1に記載の化合物。
(項目75)
前記化合物がR光学異性体である、項目1〜74のいずれか1項に記載の化合物。
(項目76)
前記化合物がS光学異性体である、項目1〜74のいずれか1項に記載の化合物。
(項目77)
項目1〜76のいずれか1項に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
(項目78)
5HT2Cレセプターを調節する方法であって、該方法は、該レセプターを、治療有効量の項目1〜76のいずれか1項に記載の化合物と接触させる工程を包含する、方法。
(項目79)
前記化合物が、前記レセプターのアゴニストである、項目78に記載の方法。
(項目80)
中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の予防または処置の方法であって、該方法はこのような予防または処置を必要としている個体に、治療有効量の項目1〜76のいずれか1項に記載の化合物または項目77に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目81)
前記中枢神経系の障害は、うつ病、異型うつ病、双極性障害、不安障害、強迫性障害、社会恐怖またはパニック状態、睡眠障害、性機能障害、精神病、精神分裂病、片頭痛、および頭痛または他の疼痛に関連する他の状態、頭蓋内圧上昇、てんかん、人格障害、アルツハイマー病、年齢関連性行動障害、痴呆に関連する行動障害、器質性精神障害、幼児期における精神障害、攻撃性、年齢関連性記憶障害、慢性疲労症候群、薬物嗜癖およびアルコール嗜癖、肥満、過食症、神経性食欲不振および月経前緊張からなる群より選択される、項目80に記載の方法。
(項目82)
前記中枢神経系の障害が肥満である、項目81に記載の方法。
(項目83)
前記中枢神経系の障害がアルツハイマー病である、項目81に記載の方法。
(項目84)
前記性機能障害が男性の勃起障害である、項目81に記載の方法。
(項目85)
前記中枢神経系への損傷が、外傷、脳卒中、神経変性疾患、中毒性CNS疾患または感染性CNS疾患によるものである、項目80に記載の方法。
(項目86)
前記中枢神経系への損傷が、脳炎または髄膜炎によるものである、項目80に記載の方法。
(項目87)
前記心血管障害が血栓症である、項目80に記載の方法。
(項目88)
前記心血管障害が、胃腸運動性の機能障害である、項目80に記載の方法。
(項目89)
前記個体が哺乳動物である、項目80〜88の1項に記載の方法。
(項目90)
前記哺乳動物がヒトである、項目89に記載の方法。
(項目91)
個体の食物摂取を減少させる方法であって、該方法は、該個体に治療有効量の項目1〜76のいずれか1項に記載の化合物または項目77に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目92)
前記個体が哺乳動物である、項目91の1つに記載の方法。
(項目93)
前記哺乳動物がヒトである、項目92に記載の方法。
(項目94)
個体における満腹感を誘発する方法であって、該方法は、該個体に治療有効量の項目1〜76のいずれか1項に記載の化合物または項目77に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目95)
前記個体が哺乳動物である、項目94の1つに記載の方法。
(項目96)
前記哺乳動物はヒトである、項目95に記載の方法。
(項目97)
個体の体重増加を調節する方法であって、該方法は、体重調節に苦しんでいる該個体に治療有効量の項目1〜76のいずれか1項に記載の化合物または項目77に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目98)
前記個体が哺乳動物である、項目97の1つに記載の方法。
(項目99)
前記哺乳動物がヒトである、項目98に記載の方法。
(項目100)
前記ヒトが約18.5〜約45の肥満度指数を有する、項目93、96および99のいずれか1項に記載の方法。
(項目101)
前記ヒトが約25〜約45の肥満度指数を有する、項目93、96および99のいずれか1項に記載の方法。
(項目102)
前記ヒトが約30〜約45の肥満度指数を有する、項目93、96および99のいずれか1項に記載の方法。
(項目103)
前記ヒトが約35〜約45の肥満度指数を有する、項目93、96および99のいずれか1項に記載の方法。
(項目104)
薬学的組成物を生成する方法であって、該方法は、項目1〜76のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物および薬学的に受容可能なキャリアを混合する工程を包含する、方法。
(項目105)
治療によるヒトまたは動物の身体の処置方法における使用のための、項目1〜76のいずれか1項に記載の化合物。
(項目106)
治療によるヒトまたは動物の身体の中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の予防または処置の方法において使用するための、項目1〜76のいずれか1項に記載の化合物。
(項目107)
項目106に記載の化合物であって、ここで前記中枢神経系の障害が、うつ病、異型うつ病、双極性障害、不安障害、強迫性障害、社会恐怖またはパニック状態、睡眠障害、性機能障害、精神病、精神分裂病、片頭痛および頭痛または他の疼痛に関連する他の状態、頭蓋内圧上昇、てんかん、人格障害、アルツハイマー病、年齢関連性行動障害、痴呆に関連する行動障害、器質性精神障害、幼児期における精神障害、攻撃性、年齢関連性記憶障害、慢性疲労症候群、薬物嗜癖およびアルコール嗜癖、肥満、過食症、神経性食欲不振および月経前緊張からなる群より選択される、化合物。
(項目108)
前記中枢神経系の障害が肥満である、項目107に記載の化合物。
(項目109)
前記中枢神経系の障害がアルツハイマー病である、項目107に記載の化合物。
(項目110)
前記性機能障害が男性における勃起障害である、項目107に記載の化合物。
(項目111)
前記中枢神経系への損傷が、外傷、脳卒中、神経変性疾患、中毒性CNS疾患または感染性CNS疾患によるものである、項目106に記載の化合物。
(項目112)
前記中枢神経系への損傷が脳炎または髄膜炎によるものである、項目106に記載の化合物。
(項目113)
前記心血管障害が血栓症である、項目106に記載の化合物。
(項目114)
前記胃腸障害が胃腸運動性の機能障害である、項目106に記載の化合物。
(項目115)
中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害、胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の処置または予防における使用のための医薬の製造のための、項目1〜76のいずれか1項に記載の化合物の使用。
(項目116)
項目115に記載の使用であって、ここで前記中枢神経系の障害が、うつ病、異型うつ病、双極性障害、不安障害、強迫性障害、社会恐怖またはパニック状態、睡眠障害、性機能障害、精神病、精神分裂病、片頭痛および頭痛または他の疼痛に関連する他の状態、頭蓋内圧上昇、てんかん、人格障害、アルツハイマー病、年齢関連性行動障害、痴呆に関連する行動障害、器質性精神障害、幼児期における精神障害、攻撃性、年齢関連性記憶障害、慢性疲労症候群、薬物嗜癖およびアルコール嗜癖、肥満、過食症、神経性食欲不振および月経前緊張からなる群より選択される、使用。
(項目117)
前記中枢神経系の障害が肥満である、項目116に記載の使用。
(項目118)
前記中枢神経系の障害がアルツハイマー病である、項目116に記載の使用。
(項目119)
前記性機能障害が男性における勃起障害である、項目116に記載の使用。
(項目120)
前記中枢神経系への損傷が、外傷、脳卒中、神経変性疾患、中毒性CNS疾患または感染性CNS疾患によるものである、項目115に記載の使用。
(項目121)
前記中枢神経系への損傷が、脳炎または髄膜炎によるものである、項目115に記載の使用。
(項目122)
前記心血管障害が血栓症である、項目115に記載の使用。
(項目123)
前記胃腸障害が胃腸運動性の機能障害である、項目115に記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0057】
(発明の詳細な説明)
(定義)
明瞭さおよび一貫性のために、以下の定義が本特許文書全体にわたって使用される。
【0058】
「アゴニスト」は、レセプター(例えば、5HT2cレセプター)と相互作用してそれを活性化し、そのレセプターの生理学的または薬理学的応答特性を開始する部分を意味する。例えば、そのレセプターとの結合の際に、部分が細胞内応答を活性化する場合、または膜へのGTP結合を増強する場合。
【0059】
用語「アンタゴニスト」は、アゴニスト(例えば、内因性リガンド)と同じ部位で、そのレセプターと競争的に結合するが、そのレセプターの活性型により開始される細胞内応答を活性化せず、それによってアゴニストまたは部分アゴニストによる細胞内応答を阻害し得る部分を意味することが意図される。アンタゴニストは、アゴニストまたは部分アゴニストの非存在下において、基準となる細胞内応答を減少させない。
【0060】
化学基、部分またはラジカル:
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖炭化水素、分枝炭化水素および環状炭化水素を含む炭化水素化合物を意味することが意図され、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、n−ヒキシル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。用語「C1〜8アルキル」とは、1〜8個の炭素原子を含むアルキル基をいう。同様に、用語「C1〜4アルキル」とは、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基をいう。本明細書全体にわたって、用語アルキルが、非環状炭化水素化合物および環状炭化水素化合物の両方を包含することが意図されることが理解される。本発明の化合物のいくつかの実施形態において、アルキル基は非環状である。さらなる実施形態において、アルキル基は環状であり、そしてさらなる実施形態において、アルキル基は環状および非環状の両方である。ここで、優先度は特定されず、用語「アルキル」は、環状および非環状の両方である基を意味することが意図される。
【0061】
用語「アミノ」は、基−NHを意味する。
【0062】
用語「シアノ」は、基−CNを意味する。
【0063】
用語「C1〜4ハロアルキル」は、本明細書中で定義される場合、アルキル基を意味し、ここでこのアルキル基は、少なくとも1つのハロゲンで置換され、そして式C2n+2で表されるように、完全にまで置換され、ここでLはハロゲンであり;1つ以上のハロゲンが存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよく、F、Cl、Br、またはIから選択され得る。例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチルなどが挙げられる。
【0064】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基またはヨード基を意味する。
【0065】
用語「ニトロ」とは、基−NOをいう。
【0066】
「組成物」は、少なくとも2種の化合物または2種の成分を含む物質を意味する;例えば、限定することなしに、薬学的組成物は組成物である。
【0067】
「接触させる」または「接触させること」は、インビトロ系またはインビボ系のいずれかにおいて、示された部分を一緒にもたらすことを意味する。従って、5HT2Cレセプターを本発明の化合物と「接触させること」は、本発明の化合物を5HT2Cレセプターを有する個体(好ましくは、ヒト)に投与すること、および、例えば、本発明の化合物を細胞を含むサンプルまたはより精製された5HT2Cレセプターを含む調製物に導入することを包含する。
【0068】
「予防または処置を必要とする」とは、本明細書中で使用される場合、介護者(例えば、ヒトの場合は、医師、看護師、ナースプラクティショナーなど;動物(非ヒト哺乳動物を含む)の場合は、獣医)によってなされる、個体または動物が予防もしくは処置を必要とするか、または予防もしくは処置から利益を受けるという判断をいう。この判断は、介護者の専門知識の領域にある種々の因子に基づいてなされるが、本発明の化合物により処置可能な疾患、状態または障害の結果として、個体もしくは動物が病気である、または病気になるであろうという、知見を含む。概して、「予防を必要とする」とは、介護者によってなされる、その個体が病気になるであろうという判断をいう。この文脈において、本発明の化合物は、保護様式または予防様式で使用される。しかし、「処置を必要とする」とは、その個体がすでに病気であるという介護者の判断であり、従って、本発明の化合物は、その疾患、状態または障害を軽減、抑制または改善するために使用される。
【0069】
「個体」とは、本明細書中で使用される場合、任意の動物(哺乳動物を含む)、好ましくはラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、そして最も好ましくはヒトをいう。
【0070】
「薬学的組成物」は、少なくとも1種の活性成分を含み、それによって、哺乳動物(例えば、ヒトであるが、これに限定されない)における特定の有効な結果についての研究に受け入れられる組成物を意味する。当業者は、熟練者のニーズに基づいてある活性成分が所望の有効な結果を有するかどうかを決定するために適切な技術を理解し、認識する。
【0071】
「治療有効量」とは、本明細書中で使用される場合、研究者、獣医、医師または他の臨床家により探求されている組織、器官系、動物、個体またはヒトにおいて、生物学的応答または薬剤応答を誘発する活性な化合物または薬学的薬剤の量をいう。これらは以下のうちの1つ以上を含む:
(1)疾患を予防すること;例えば、疾患、状態または障害にかかりやすい可能性があるが、まだその疾患の病状または総体症状が認められても示してもいない個体において、その疾患、状態または障害を予防すること、
(2)疾患を抑制すること;例えば、疾患、状態または障害の病状または総体症状が認められるかまたは示している個体において、その疾患、状態または障害を抑制すること(すなわち、病状および/または総体症状のさらなる進展を阻止すること)ならびに
(3)疾患を改善すること;例えば、疾患、状態または障害の病状または総体症状が認められるかまたは示している個体において、その疾患、状態または障害を改善すること(すなわち、病状および/または総体症状を後進させること)
(本発明の化合物)
本発明の1つの局面は、式(I):
【0072】
【化3】

によって表されるような特定の置換−2,3,4,5−テトラヒドロ−3−ベンズアゼピン誘導体あるいはその薬学的に受容可能な塩、水和物および溶媒和物に関し、
ここで:
は、HまたはC1〜8アルキルであり;
は、C1〜4アルキル、−CH−O−C1〜4アルキル、C1〜4ハロアルキルまたはCHOH;そして
、R、RおよびRは、各々独立して、H、C1〜4アルキル、アミノ、シアノ、ハロゲン、C1〜4ハロアルキル、ニトロまたはOHであり;
ただし、R2がC1〜4アルキル、−CH−O−C1〜4アルキルおよびCHOHの場合、RおよびRは両方とも水素ではない。
【0073】
いくつかの実施形態において、RがHであり、RがCHである場合、R、RおよびRはすべて水素ではあり得ず、Rは水素でもイソプロピルでもあり得ない。
【0074】
明瞭さのために別々の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが認識される。反対に、簡潔さのために単一の実施形態で記載される本発明の種々の特徴はまた、別々にまたは任意の適切な小さな組み合わせで提供される。
【0075】
式(I)の化合物が、1以上のキラル中心を有し得、それゆえ鏡像異性体および/またはジアステレオマーとして存在し得ることが理解され、認識される。本発明は、すべてのこのような鏡像異性体、ジアステレオマーおよびそれらの混合物(ラセミ体が挙げられるがこれに限定されない)まで広がり、包含することが理解される。従って、本発明の1つの実施形態は、式(I)の化合物、および本開示全体にわたって使用される式でRエナンチオマーである化合物に関する。さらに、本発明の1つの実施形態は、式(I)の化合物、および本開示全体にわたって使用される式でSエナンチオマーである化合物に関する。式(I)の化合物および本開示全体にわたって使用される式の化合物は、他に記載も示されもしない限り、個々のエナンチオマーおよびそれらの混合物のすべてを表すことが意図されることが理解される。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、RがHである。いくつかの実施形態において、化合物は、以下に示されるように、式(Ia):
【0077】
【化4】

によって表され得、ここで、式(Ia)中の各々の変数は、本明細書中(上記および下記)で記載されるものと同じ意味を有する。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがC1〜8アルキルである化合物である。いくつかの実施形態において、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、化合物は、以下に示されるように、式(Ib):
【0079】
【化5】

によって表され得、ここで、式(Ib)中の各々の変数は、本明細書中(上記および下記)で記載されるものと同じ意味を有する。
【0080】
いくつかの実施形態において、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、Rはn−プロピルである。いくつかの実施形態において、Rはイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはn−ブチルである。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがC1〜4アルキルである化合物である。いくつかの実施形態において、Rはメチルである。いくつかの実施形態において、化合物は、以下に示されるように、式(Ic):
【0082】
【化6】

によって表され得、ここで、式(Ic)中の各々の変数は、本明細書中(上記および下記)で記載されるものと同じ意味を有する。
【0083】
さらなる実施形態において、Rはエチルである。いくつかの実施形態において、Rはイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rはn−ブチルである。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがC1〜4ハロアルキルである化合物である。C1〜4ハロアルキル基の例としては、CHF、CHF、CF、CHCHF、CHCHF、CHCFおよびCFCFが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、Rは−CFである。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがHである化合物である。いくつかの実施形態において、RはC1〜4アルキルである。いくつかの実施形態において、Rはメチル(すなわち、−CH)である。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがアミノである化合物である。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがシアノである化合物である。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがハロゲンである化合物である。いくつかの実施形態において、Rはフッ素原子である。いくつかの実施形態において、化合物は、以下に示されるように、式(Ie):
【0089】
【化7】

によって表され得、ここで、式(Ie)中の各々の変数は、本明細書中(上記および下記)で記載されるものと同じ意味を有する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式(Ie)の化合物で、RがC1〜4である。さらなる実施形態において、RはCHである。
【0090】
いくつかの実施形態において、Rは塩素原子である。いくつかの実施形態において、化合物は、以下に示されるように、式(Ig):
【0091】
【化8】

によって表され得、ここで、式(Ig)中の各々の変数は、本明細書中(上記および下記)で記載されるものと同じ意味を有する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式(Ig)の化合物で、RがC1〜4である。さらなる実施形態において、RはCHである。
【0092】
いくつかの実施形態において、Rは臭素原子である。
【0093】
いくつかの実施形態において、Rはヨウ素原子である。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)の化合物においてRがC1〜4ハロアルキルである化合物である。いくつかの実施形態において、RはCFである。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)の化合物においてRがニトロである化合物である。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)の化合物においてRが−OHである化合物である。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)の化合物においてRがHである化合物である。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)の化合物においてRがC1〜4アルキルである化合物である。いくつかの実施形態において、Rはメチル(すなわち、−CH)である。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)の化合物においてRがアミノである化合物である。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)の化合物においてRがシアノである化合物である。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)の化合物においてRがハロゲンである化合物である。いくつかの実施形態において、Rはフッ素原子である。いくつかの実施形態において、化合物は、以下に示されるように、式(Ii):
【0102】
【化9】

によって表され得、ここで、式(Ii)中の各々の変数は、本明細書中(上記および下記)で記載されるものと同じ意味を有する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式(Ii)の化合物でRがC1〜4アルキルである。さらなる実施形態において、RはCHである。
【0103】
いくつかの実施形態において、Rは塩素原子である。いくつかの実施形態において、化合物は、以下に示されるように、式(Ik):
【0104】
【化10】

によって表され得、ここで、式(Ik)中の各々の変数は、本明細書中(上記および下記)で記載されるものと同じ意味を有する。いくつかの実施形態において、本発明のいくつかの実施形態は、式(Ik)の化合物でRがC1〜4アルキルである。さらなる実施形態において、RはCHである。
【0105】
いくつかの実施形態において、Rは臭素原子である。
【0106】
いくつかの実施形態において、Rはヨウ素原子である。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがC1〜4ハロアルキルである化合物である。いくつかの実施形態において、RはCFである。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがニトロである化合物である。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRが−OHである化合物である。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがHである化合物である。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがC1〜4アルキルである化合物である。いくつかの実施形態において、Rはメチル(すなわち、−CH)である。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがアミノである化合物である。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがシアノである化合物である。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがハロゲンである化合物である。いくつかの実施形態において、Rはフッ素原子である。いくつかの実施形態において、化合物は、以下に示されるように、式(Im):
【0115】
【化11】

によって表され得、ここで、式(Im)中の各々の変数は、本明細書中(上記および下記)で記載されるものと同じ意味を有する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式(Im)の化合物でRがC1〜4アルキルである。さらなる実施形態において、RはCHである。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがハロゲンである化合物である。いくつかの実施形態において、Rは塩素原子である。いくつかの実施形態において、化合物は、以下に示されるように、式(Io):
【0117】
【化12】

によって表され得、ここで、式(Io)中の各々の変数は、本明細書中(上記および下記)で記載されるものと同じ意味を有する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式(Io)の化合物でRがC1〜4アルキルである。さらなる実施形態において、RはCHである。
【0118】
いくつかの実施形態において、Rは臭素原子である。いくつかの実施形態において、Rはヨウ素原子である。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがC1〜4ハロアルキルである化合物である。いくつかの実施形態において、RはCFである。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがニトロである化合物である。
【0121】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRが−OHである化合物である。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがHである化合物である。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがC1〜4アルキルである化合物である。いくつかの実施形態において、Rは、−CHである。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがアミノである化合物である。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがシアノである化合物である。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがハロゲンである化合物である。いくつかの実施形態において、Rはフッ素原子である。いくつかの実施形態において、化合物は、以下に示されるように、式(Iq):
【0127】
【化13】

によって表され得、ここで、式(Iq)中の各々の変数は、本明細書中(上記および下記)で記載されるものと同じ意味を有する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式(Iq)の化合物でRがC1〜4アルキルである。さらなる実施形態において、RはCHである。
【0128】
いくつかの実施形態において、Rは塩素原子である。いくつかの実施形態において、化合物は、以下に示されるように、式(Is):
【0129】
【化14】

によって表され得、ここで、式(Is)中の各々の変数は、本明細書中(上記および下記)で記載されるものと同じ意味を有する。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式(Is)の化合物でRがC1〜4アルキルである。さらなる実施形態において、RはCHである。いくつかの実施形態において、Rは臭素原子である。いくつかの実施形態において、Rはヨウ素原子である。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがC1〜4ハロアルキルである化合物である。いくつかの実施形態において、RはCFである。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRがニトロである化合物である。
【0132】
本発明のいくつかの実施形態は、式(I)においてRが−OHである化合物である。
【0133】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式(Ic)の化合物で、RがHまたはC1〜8アルキルであり、そしてR、R、RおよびRは、各々独立してHまたはハロゲンである。
【0134】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式(Ic)の化合物で、RがHまたはCHであり、そしてR、R、RおよびRは、各々独立してH、F、Cl、またはBrである。
【0135】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式(Ic)の化合物で、RがHであり、そしてRがH、F、ClまたはBrであり;RがHまたはClであり;;RがHであり;そしてRがHまたはClである。
【0136】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、式(Ic)の化合物で、RがCHであり、そしてRがH、F、ClまたはBrであり;RがHまたはClであり;;RがHであり;そしてRがHまたはClである。
【0137】
本出願は、米国仮特許出願番号60/479,280に関し、この仮特許出願は、参考としてその全体が援用される。
【0138】
本発明のなおさらなる実施形態は、表2に示されるような式(I)の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、水和物および溶媒和物である:
【0139】
【表2−1】

【0140】
【表2−2】


【0141】
本発明のいくつかの実施形態は、以下:6,8−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;6−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアセピン;8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;および8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンからなる群より選択される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、水和物および溶媒和物である。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態は、以下:6,8−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;6−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアセピン;8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;および9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンからなる群より選択される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、水和物および溶媒和物である。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態は、以下:N−メチル−6,8−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;N−メチル−6−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアセピン;N−メチル−8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;N−メチル−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;およびN−メチル−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンからなる群より選択される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、水和物および溶媒和物である。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態は、以下:(R)−6,8−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;(R)−6−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアセピン;(R)−8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;(R)−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;および(R)−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンからなる群より選択される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、水和物および溶媒和物である。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態は、以下:(S)−6,8−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;(S)−6−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアセピン;(S)−8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;(S)−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;および(S)−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンからなる群より選択される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、水和物および溶媒和物である。
【0146】
本発明のいくつかの実施形態は、以下:(R)−N−メチル−6,8−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;(R)−N−メチル−6−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアセピン;(R)−N−メチル−8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;(R)−N−メチル−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;および(R)−N−メチル−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンからなる群より選択される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、水和物および溶媒和物である。
【0147】
本発明のいくつかの実施形態は、以下:(S)−N−メチル−6,8−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;(S)−N−メチル−6−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアセピン;(S)−N−メチル−8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;(S)−N−メチル−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン;および(S)−N−メチル−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンからなる群より選択される式(I)の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、水和物および溶媒和物である。
【0148】
本明細書中の種々の場所において、本発明の化合物の置換体が、群または範囲で開示される。本発明が、そのような群および範囲のメンバーの各々の小さな組み合わせおよびいかなる個々の小さな組み合わせも包含することが明確に意図される。例えば、用語「C1〜4アルキル」は、メチル、エチル、CアルキルおよびCアルキルが独立してそして別々に開示されることが明確に意図される。
【0149】
(方法および用途)
本発明の1つの局面は、5HT2cレセプターを調節する方法に関し、この方法は、このレセプターを治療有効量または治療有効用量の本明細書中に記載される化合物と接触させる工程を包含する。好ましくは、本発明の化合物は、5HT2Cレセプターのアゴニストである。
【0150】
本発明の別の局面は、個体における5HT2cレセプター関連疾患の予防または処置の方法に関し、この方法は、このような予防または処置を必要とする個体に、治療有効量または治療有効用量の本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、その5HT2cレセプター関連疾患は、中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症および睡眠時無呼吸からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、その個体は哺乳動物である。好ましくは、その哺乳動物はヒトである。
【0151】
いくつかの実施形態において、その5HT2cレセプター関連疾患は、うつ病、異型うつ病、双極性障害、不安、不安障害、強迫性障害、社会恐怖、パニック状態、注意欠陥多動性障害、分裂行動障害、衝動調節障害、境界性人格障害、睡眠障害(例えば、睡眠時無呼吸)、自閉症、発作障害、無言症、選択的無言症、幼児期不安障害、男性における性機能障害(例えば、早発射精および勃起困難または勃起障害)、女性における性機能障害、精神病、統合失調症、片頭痛および頭痛または他の疼痛に関連した状態、頭蓋内圧上昇、てんかん、人格障害、アルツハイマー病、年齢関連性行動障害、痴呆に関連する行動障害、高齢性痴呆、器質性精神障害、幼児期における精神障害、攻撃性、年齢関連性記憶障害、記憶喪失、慢性疲労症候群、薬物嗜癖およびアルコール嗜癖、アルコール依存症、タバコ乱用、体重減少、肥満、過食症、神経性過食症、神経性食欲不振、摂食障害、月経前緊張、月経前症候群(PMSまたは黄体期後期精神症状)、外傷後症候群、脊髄損傷、中枢神経系への損傷(例えば、外傷、脳卒中、神経変性疾患または中毒性疾患および感染性疾患(例えば、血栓症))、胃腸障害(例えば、胃腸運動性の機能障害)、尿崩症、およびII型糖尿病からなる群より選択される。
【0152】
いくつかの実施形態において、その5HT2cレセプター関連疾患は、高血圧、高血圧症、高血中コレステロール、異脂肪血症、II型(非インスリン依存性)糖尿病、インスリン耐性、グルコース不耐性、高インスリン血症、冠動脈心疾患、狭心症、うっ血性心不全、脳卒中、胆石、胆嚢炎(cholescystitis)および胆石症、痛風、変形関節炎、閉塞性睡眠時無呼吸および呼吸の問題、いくつかの型の癌(例えば、子宮体癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌)、妊娠合併症、女性の生殖健康障害(例えば、月経不順、不妊症、変則的排卵)、膀胱制御の問題(例えば、緊張性失禁)、尿酸腎石症、心理的障害(例えば、うつ病、摂食障害、歪んだ身体イメージ、および低い自己評価)からなる群より選択される。
【0153】
いくつかの実施形態において、5HT2cレセプター関連疾患は、例えば神経性食欲不振および神経性過食症(しかし、これらに制限されない)のような摂食障害の個体における精神医学的症状および行動からなる群より選択される。摂食障害の個体は、しばしば社会的な隔離を示す。例えば、食欲不振の個体は、抑圧、不安、強迫観念、完璧主義の特質、および強固な認知様式ならびに性的無関心の症状を示す。神経性食欲不振および神経性過食症に加えて、他の摂食障害としては、過食障害(強迫性摂食)およびED−NOS(すなわち、特定不能の摂食障害−公式の診断法)が挙げられる。ED−NOSと診断された個体は、その個体が特定の診断に関する全てだが少数の基準を満たすような状況を含む異型の摂食障害を有する。本質的に、その個体が食事および体重に関してする事は、正常でも健常でもない。
【0154】
いくつかの実施形態において、5HT2cレセプター関連疾患は、食欲不振運動症(anorexia athletica)(強迫性運動)、身体醜形障害(bigorexia)、小児における食欲不振の感染誘発性自己免疫サブタイプ、健康食品への病的執着(orthorexia nervosa)、夜食症、夜行性睡眠関連摂食障害、反すう性症候群、大食症候群(gourmand syndrome)、Prader−Willi症候群、異食症および周期性嘔吐症候群からなる群より選択される。
【0155】
本発明の別の局面は、個体における食物摂取を減少させる方法に関し、この方法は、治療有効量または治療有効用量の本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、その個体は哺乳動物である。好ましくは、その哺乳動物はヒトである。さらなる実施形態において、そのヒトは、約18.5〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施形態において、そのヒトは、約25〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施形態において、そのヒトは、約30〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施形態において、そのヒトは、約35〜約45の肥満度指数を有する。
【0156】
本発明の別の局面は、個体における満腹感を誘発する方法に関し、この方法は、その個体へ治療有効量または治療有効用量の本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、その個体は哺乳動物である。好ましくは、その哺乳動物はヒトである。さらなる実施形態において、約18.5〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施形態において、そのヒトは、約25〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施形態において、そのヒトは、約30〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施形態において、そのヒトは、約35〜約45の肥満度指数を有する。
【0157】
本発明の別の局面は、個体における体重増加を調節する方法に関し、この方法は、体重の調節に苦しんでいる個体に、治療有効量または治療有効用量の本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、その個体は哺乳動物である。好ましくは、その哺乳動物はヒトである。さらなる実施形態において、そのヒトは、約18.5〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施形態において、そのヒトは、約25〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施形態において、そのヒトは、約30〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施形態において、そのヒトは、約35〜約45の肥満度指数を有する。
【0158】
本発明の別の局面は、薬学的組成物を作製する方法に関し、この方法は、少なくとも1つの本発明の化合物および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアを混合する工程を包含する。
【0159】
本発明の別の局面は、治療によるヒトまたは動物身体の、中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の予防または処置の方法における使用のための、本明細書中に記載される化合物に関する。
【0160】
本発明の別の局面は、中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の処置または予防における使用のための医薬の製造のための、本明細書中に記載の化合物の使用に関する。
【0161】
いくつかの実施形態において、その中枢神経の障害は、うつ病、異型うつ病、双極性障害、不安障害、強迫性障害、社会恐怖またはパニック状態、睡眠障害、性機能障害、精神病、精神分裂病、片頭痛および頭痛または他の疼痛に関連する他の状態、頭蓋内圧上昇、てんかん、人格障害、アルツハイマー病、年齢関連性行動障害、痴呆に関連する行動障害、器質性精神障害、幼児期における精神障害、攻撃性、年齢関連性記憶障害、慢性疲労症候群、薬物嗜癖およびアルコール嗜癖、肥満、過食症、神経性食欲不振および月経前緊張からなる群より選択される。さらなる実施形態において、その中枢神経系の障害は肥満である。さらなる実施形態において、その中枢神経系の障害はアルツハイマー病である。さらなる実施形態において、その性機能障害は男性の勃起障害である。
【0162】
いくつかの実施形態において、その中枢神経系の障害は、外傷、脳卒中、神経変性疾患、中毒性CNS疾患または感染性CNS疾患によるものである。さらなる実施形態において、その中枢神経系の障害は、脳炎または髄膜炎によるものである。
【0163】
いくつかの実施形態において、その心血管障害は血栓症である。
【0164】
いくつかの実施形態において、その胃腸障害は胃腸運動性の機能障害である。
【0165】
本発明の別の局面は、薬学的組成物を作製する方法に関し、その方法は、本発明の少なくとも1つの化合物および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアを混合する工程を包含する。
【0166】
本発明の別の局面は、治療によるヒトまたは動物身体の処置の方法における使用のための、本明細書中に記載の化合物に関する。
【0167】
本発明の別の局面は、治療によるヒトまたは動物身体の中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の予防または処置の方法における使用のための、本明細書中に記載の化合物に関する。
【0168】
本発明の別の局面は、中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の処置または予防における使用のための医薬の製造のための、本明細書中に記載の化合物の使用に関する。
【0169】
本発明の別の局面は、ADおよびAD関連疾患の処置および/または予防のための、セロトニン5HT2Cレセプターにおいてアゴニスト活性を有する本発明の化合物の使用に関する。本発明の化合物は、単独で、あるいはADのために代表的に処方される別の薬剤(例えばAChEインヒビターであるが、それに限定されない)と組み合わせて、使用され得る。
【0170】
(組み合わせ治療−予防および処置)
本発明の状況において、式(I)の化合物またはその薬学的組成物は、本明細書中に記載の5HT2Cレセプターに関連する疾患、状態および/または障害の活性を調節するために利用され得る。5HT2Cレセプター関連疾患の活性調節の例としては、食物摂取を減少させることによる肥満および/または過体重の予防または処置、満腹感(すなわち、十分な感覚)の誘発、体重増加の調節、体重の減少ならびに/またはレシピエントが体重を減少させるそして/または体重を維持するように代謝に影響することが挙げられる。従って、このような化合物および薬学的組成物は、体重増加が本明細書中に列挙されるような疾患および/または障害の構成要素である障害および/または疾患の状況において、使用され得る。さらに、本発明の化合物および組成物は、アルツハイマー病、勃起障害ならびに本明細書中に記載の他の5HT2Cレセプター関連疾患および/または障害の予防および/または処置のために使用され得る。
【0171】
本発明の化合物は単独の活性な薬剤として投与され得る(すなわち、単独療法)が、それらはまた、本明細書中に記載される疾患/状態/障害の処置のための他の薬剤との組み合わせ(すなわち、併用療法)でも使用され得る。従って、本発明の別の局面は、予防および/または処置の必要な個体に、治療有効量の本発明の化合物(例えば式(I))を、本発明書中に記載される1つ以上のさらなる薬剤と組み合わせて投与する工程を包含する予防および/または処置の方法を含む。
【0172】
本発明の化合物と組み合わせて使用され得る適切な薬剤としては、アポリポタンパク質/ミクロソームトリグリセリド移送たんぱく質(apo−B/MTP)インヒビターのような抗肥満薬剤、MCR−4アゴニスト、コレシストキニン(cholescystokinin)−A(CCK−A)アゴニスト、セロトニンおよびノルピネフリン再取り込みインヒビター(例えば、シブトラミン)、交感神経様作用薬、βアドレナリン作動性レセプターアゴニスト、ドーパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン)、メラニン細胞刺激ホルモンレセプターアナログ、カンナビノイド1レセプターアンタゴニスト[例えば、SR141716:N−(ピペリジン−1−イル)−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド]、メラニン凝集ホルモンアンタゴニスト、レプトン(leptone)(OBタンパク質)、レプチンアナログ、レプチンレセプターアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、リパーゼインヒビター(例えば、テトラヒドロリプスタチン、すなわちOrlistat)、食欲低下薬(例えば、ボンベシンアゴニスト)、神経ペプチド−Yアンタゴニスト、甲状腺様作用薬(thyromimetic)剤、デヒドロエピアンドロステロンまたはそのアナログ、糖質コルチコイドレセプターアゴニストまたはアンタゴニスト、オレキシンレセプターアンタゴニスト、ウロコルチン結合タンパク質アンタゴニスト、グルカゴン−様ペプチド−1レセプターアゴニスト、毛様体神経栄養因子(例えば、Regeneron Pharmaceuticals,Inc.,Tarrytown,NYおよびProcter&Gamble Company,Cincinnati,OHより利用可能のAxokineTM)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)、グレリンレセプターアンタゴニスト、ヒスタミン3レセプターアンタゴニストまたはリバースアゴニスト、ニューロメディンUレセプターアゴニスト、ノルアドレナリン作動性食欲低下薬(例えば、フェンテルミン、マジンドールなど)ならびに食欲抑制薬(例えばブプロピオン)が挙げられる。
【0173】
以下に述べられる薬剤を含む他の抗肥満薬は、当業者にとって周知であるか、本発明の開示の時点で容易に明白となる。
【0174】
いくつかの実施形態において、その抗肥満薬は、オルリパスタト(orlistat)、シブトラミン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチンおよびプソイドエフェドリンからなる群より選択される。さらなる実施形態において、本発明の化合物および併用療法は、運動および/または良識的な食餌と併せて、投与され得る。
【0175】
本発明の化合物と、他の肥満抑制剤、食欲抑制剤、食欲抑制剤および関連する薬剤との併用療法の範囲は、上記に列挙されるものに限定されないが、原則的に、過体重および肥満個体の治療にとって有用な任意の薬学的薬剤または薬学的組成物との任意の組み合わせを含む。
【0176】
肥満抑制剤に加え、本発明の化合物と組み合わせて使用され得る他の適切な薬学的薬剤としては、合併症を処置するのに有用な薬剤が挙げられる。例えば、過体重または肥満である個体は、合併症(例えば、うっ血性心不全、II型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、異脂肪血症、高インスリン血症、高血圧症、インスリン抵抗性、高血糖、網膜症、腎症および神経病であるが、これらに限定されない)から生じる罹患率および死亡率の危険性が増加する。本明細書中で引用される疾患のうちの1つ以上についての処置は、以下(これらに限定されない)に関する薬物のクラスに属する当該分野で公知の1種以上の薬学的薬剤の使用を含む:スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアナイド、α−グルコシダーゼインヒビター、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター−γ(すなわち、PPAR−γ)アゴニスト、インスリン、インスリンアナログ、HMG−CoAレダクターゼインヒビター、コレステロール降下剤(例えば、以下を含むフィブラート:フェノフィブラート、ベザフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブレートなど;以下を含む胆汁酸金属イオン封鎖剤:コレスチラミン、コレスチポールなど;およびナイアシン)、抗血小板薬(例えば、以下を含むアスピリンおよびアデノシン二リン酸レセプターアンタゴニスト:クロピドグレル、チクロピジンなど)、アンジオテンシン変換酵素インヒビター、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニストおよびアディポネクチン。本発明の一局面に従うと、本発明の化合物は、本明細書中に言及される薬物のうちのクラスの1種以上に属する薬学的薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0177】
本発明の化合物と他の薬学的薬剤との併用療法の範囲は、本明細書中の前述または後述で列挙される範囲に限定されないが、原則的に、過体重および肥満個体に関連する疾患、状態または障害を処置するために有用な任意の薬学的薬剤または薬学的組成物との任意の組み合わせを含むことが理解される。
【0178】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書中で記載されるような疾患、障害または状態を予防または処置するための方法を包含し、この方法は、このような予防または処置を必要とする個体に、治療有効量の本発明の化合物と、以下の群より選択される少なくとも1種以上の薬学的薬剤とを組み合わせて投与する工程を包含する:スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアナイド、α−グルコシダーゼインヒビター、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター−γ(すなわち、PPAR−γ)アゴニスト、インスリン、インスリンアナログ、HMG−CoAレダクターゼインヒビター、コレステロール降下剤(例えば、以下を含むフィブラート:フェノフィブラート、ベザフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブレートなど;以下を含む胆汁酸金属イオン封鎖剤:コレスチラミン、コレスチポールなど;およびナイアシン)、抗血小板薬(例えば、以下を含むアスピリンおよびアデノシン二リン酸レセプターアンタゴニスト:クロピドグレル、チクロピジンなど)、アンジオテンシン変換酵素インヒビター、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニストおよびアディポネクチン。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本発明の化合物を包含し、上記薬学的薬剤は、別個に投与される。さらなる実施形態において、本発明の化合物および薬学的薬剤は、一緒に投与される。
【0179】
本発明の化合物と併せて使用され得る適切な薬学的薬剤としては、α−グルコシダーゼインヒビターが挙げられる。α−グルコシダーゼインヒビターは、膵臓および/または小腸における消化酵素(例えば、α−アミラーゼ、マルターゼ、α−デキストリナーゼ、スクラーゼなど)を競合阻害する薬物のクラスに属する。α−グルコシダーゼインヒビターによる可逆的阻害は、デンプンおよび糖の消化を遅延させることによって血糖値を、遅らせるか、減少させるか、または他の場合には低下させる。α−グルコシダーゼインヒビターのいくつかの代表的な例としては、アカルボース、N−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル)バリオラミン(valiolamine)(属名;ボグリボース(voglibose))、ミグリトール(miglitol)、および当該分野で公知のa−グルコ
シダーゼインヒビターが挙げられる。
【0180】
本発明の化合物と併せて使用され得る適切な薬学的薬剤としては、スルホニル尿素が挙げられる。スルホニル尿素(SU)は、細胞膜のSUレセプターを介したインスリン分泌のシグナルを伝達することのよって、膵臓β細胞からのインスリン分泌を促進する薬物である。このスルホニル尿素の例としては、グリブリド、グリピジド、グリメピリド(glimepiride)および当該分野で公知の他のスルホニル尿素が挙げられる。
【0181】
本発明の化合物と併せて使用され得る適切な薬学的薬剤としては、メグリチニドが挙げられる。このメグリチニドは、インスリン分泌促進物質の新規クラスを代表する安息香酸誘導体である。これらの薬剤は、食後の高血糖を標的とし、HbA1cを低下させる際にスルホニル尿素と匹敵する効力を示す。メグリチニドの例としては、レパグリニド、ナテグリニドおよび当該分野で公知の他のメグリチニドが挙げられる。
【0182】
本発明の化合物と併せて使用され得る適切な薬学的薬剤としては、ビグアナイドが挙げられる。このビグアナイドは、嫌気的解糖を刺激し、末梢組織におけるインスリンに対する感受性を増加させ、腸からのグルコース吸収を阻害し、肝臓のグルコース新生を抑制し、そして脂肪酸酸化を阻害する薬物のクラスを代表する。ビグアナイドの例としては、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン、および当該分野で公知のビグアナイドが挙げられる。
【0183】
本発明の化合物と併せて使用され得る適切な薬学的薬剤としては、α−グルコシダーゼインヒビターが挙げられる。このα−グルコシダーゼインヒビターは、膵臓および/または小腸における消化酵素(例えば、α−アミラーゼ、マルターゼ、α−デキストリナーゼ、スクラーゼなど)を競合阻害する。α−グルコシダーゼインヒビターによる可逆的阻害は、デンプンおよび糖の消化を遅延させることによって血糖値を、遅らせるか、減少させるか、または他の場合には低下させる。α−グルコシダーゼインヒビターの例としては、アカルボース、N−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル)バリオラミン(属名;ボグリボース)、ミグリトール、および当該分野で公知のa−グルコシダーゼインヒビターが
挙げられる。
【0184】
本発明の化合物と併せて使用され得る適切な薬学的薬剤としては、ペルオキソーム増殖因子活性化レセプターγ(すなわち、PPAR−γ)アゴニストが挙げられる。このペルオキソーム増殖因子活性化レセプターγは、核内レセプターPPAR−γを活性化し、その結果、グルコース産生、グルコース輸送およびグルコース利用の制御に関与するインスリン応答性遺伝子の転写を調節する化合物のクラスを代表する。このクラスの薬剤はまた、脂肪酸代謝の調節を促進する。PPAR−γアゴニストの例としては、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、テサグリタザル、ネトグリタゾン、GW−409544、GW−501516および当該分野で公知のPPAR−gアゴニストが挙げられる。
【0185】
本発明の化合物と併せて使用され得る適切な薬学的薬剤としては、HMG−CoAレダクターゼインヒビターが挙げられる。このHMG−CoAレダクターゼインヒビターはまた、ヒドロキシメチルグルタリルCoA(HMG−CoA)レダクターゼを阻害することによって、血中コレステロールレベルを低下させる薬物のクラスに属するスタチン化合物と称される薬剤である。HMG−CoAレダクターゼは、コレステロール生合成における律速酵素である。このスタチンは、LDLレセプターの活性をアップレギュレーションすることによって血清LDL濃度を低下させ、血中からのLDL除去に関与する。このスタチン化合物のいくつかの代表的な例としては、ロスバスタチン、プラバスタチンおよびそのナトリウム塩、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、BMSの「スーパースタチン」、および当該分野で公知のHMG−CoAレダクターゼインヒビターが挙げられる。
【0186】
本発明の化合物と併せて使用され得る適切な薬学的薬剤としては、アンジオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターが挙げられる。このアンジオテンシン変換酵素インヒビターは、血糖値を部分的に低下させ、そしてアンジオテンシン変換酵素を阻害することによって血圧を低下させる薬物のクラスに属する。このアンジオテンシン変換酵素インヒビターの例としては、カプトプリル、エナラプリル、アラセプリル、デラプリル;ラミプリル、リシノプリル、イミダプリル、ベナゼプリル、セロナプリル、シラザプリル、エナラプリラット、フォシノプリル、モベルトプリル(moveltopril)、ペリンドプリル、キナプリル、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、および当該分野で公知のアンジオテンシン変換酵素インヒビターが挙げられる。
【0187】
本発明の化合物と併せて使用され得る適切な薬学的薬剤としては、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニストが挙げられる。アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニストは、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニストサブサイプ1(すなわち、AT1)を標的とし、高血圧に対する有益な効果を示す。アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニストの例としては、ロサルタン(およびそのカリウム塩形態)、および当該分野で公知のアンジオテンシンIIレセプターアンタゴニストが挙げられる。
【0188】
本明細書中に言及される疾患のうちの1種以上のための他の処置は、以下(これらに限定されない)に参照される薬物のクラスに属する当該分野で公知の薬学的薬剤の使用を包含する:アミリンアゴニスト(例えば、プラムリンチド)、インスリン分泌促進物質(例えば、GLP−1アゴニスト);エキシジン−4(exendin−4);インスリノトロピン(insulinotropin)(NN2211);ジペプチルペプチダーゼインヒビター(例えば、NVP−DPP−728)、アセチルCoAコレステロールアセチルトランスフェラーゼインヒビター(例えば、エゼチミブ、エフルシミブ(eflucimibe)、および類似化合物),コレステロール吸収インヒビター(例えば、エゼチミブ、パマクエシド(pamaqueside)および類似化合物)、コレステロールエステル転移タンパク質インヒビター(例えば、CP−529414、JTT−705、CETi−1、および類似化合物), ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質インヒビター(例えば、イムプリタピド(implitapide)、および類似化合物)、コレステロール調節因子(例えば、NO−1886、および類似化合物)、胆汁酸調節因子(例えば、GT103−279および類似化合物)ならびにスクアレンシンターゼインヒビター。
【0189】
スクアレン合成インヒビターは、スクアレンの合成を阻害することによって血中コレステロールレベルを低下させる薬物のクラスに属する。このスクアレン合成インヒビターの例としては、(S)−α−[ビス[2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ)メトキシ]ホスフィニル]−3−フェノキシベンゼンブタンスルホン酸、モノカリウム塩(BMS−188494)および当該分野で公知のスクアレン合成インヒビターが挙げられる。
【0190】
(本発明の組成物)
さらなる局面に従うと、本発明はまた、式(I)または本明細書中で開示される任意の式の1つ以上の化合物、および1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物に関する。
【0191】
本発明のいくつかの実施形態は、薬学的組成物を製造するための方法を包含し、この方法は、本明細書中に開示される化合物の実施形態のいずれかに従う少なくとも1つの化合物と、薬学的に受容可能なキャリアとを混合する工程を包含する。
【0192】
処方物は、任意の適切な方法(代表的には、必要な割合で活性化合物と、液体または細粉された固体キャリアあるいはその両方とを均一に混合し、次いで、必要な場合、この得られた混合物を所望の形状に形成する工程)によって調製され得る。
【0193】
慣用的な賦形剤(例えば、結合剤、充填剤、受容可能な湿潤剤、錠剤の滑剤潤および錠剤分解物質)は、経口投与のための錠剤およびカプセル剤で使用され得る。経口投与のための液体調製物は、溶液、乳濁液、水性懸濁液または油性懸濁液、およびシロップ剤の形態であり得る。あるいは、経口調製物は、使用前の水または別の適切な液体ビヒクルを用いて再構成され得る乾燥散剤の形態であり得る。さらなる添加剤(例えば、懸濁剤または乳化剤)は、非水性ビヒクル(食用油を含む)、防腐剤、および香味剤および着色剤)が、液体調製物に添加され得る。非経口的投薬形態は、適切なバイアルまたはアンプルを充填および封着する前に、適切な溶液中に本発明の化合物を溶解し、かつ液体をフィルター濾過する工程によって調製され得る。これらは、投薬形態を調製するための、当該分野で周知の多くの適切な方法のうちのごくわずかな例である。
【0194】
本発明の化合物は、当業者で周知の技術を使用して薬学的組成物中に処方され得る。本明細書中で述べられるキャリア以外の適切な薬学的に受容可能なキャリアは、当該分野で公知である;例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,第20版,2000,Lippincott Williams & Wilkins,(編集者:Gennaro,A.R.ら)を参照のこと。
【0195】
予防または処置に使用するために本発明の化合物は、代替的な使用において未加工の化学薬品または純粋な化学薬品として投与され得ることが考えられるが、上記化合物または活性成分を、薬学的に受容可能なキャリアをさらに包含する薬学的処方物または薬学的組成物として示すことが好ましい。
【0196】
従って、本発明は、薬学的処方物をさらに提供し、この処方物は、1種以上のその薬学的に受容可能なキャリアおよび/または予防成分と一緒に、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは誘導体を含有する。上記キャリアは、上記処方物の他の成分と適合性であり、かつそのレシピエントに対して過度に有害ではないという意味で「受容可能」でなければならない。
【0197】
薬学的処方物としては、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与(頬側投与および舌下投与を含む)、膣投与もしくは非経口投与(筋肉内投与、皮下投与および静脈内投与を含む)にとって適切な薬学的処方物、または吸入、ガス注入、または経皮貼布による投与にとって適切な形態の薬学的処方物が挙げられる。経皮貼布は、薬物の分解を最小にする効率的な様式で薬物に吸収を提供することによって制御速度で薬物を分配する。代表的に、経皮貼布は、浸透性の裏層、単一の圧力感受性接着および剥離ライナーを有する取り外し可能な保護層を含む。当業者は、当業者のニーズに基づく所望の有効な経皮貼布を製造するために適切な技術を理解し、認識する。
【0198】
従って、本発明の化合物は、従来のアジュバント、キャリア、または希釈剤と一緒に薬学的処方物の形態、およびその単位投薬量に置かれ得、このような形態において、全ての経口使用のための、固体(例えば、錠剤もしくは充填されたカプセル剤)または液体(例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、エリクサー、ゲルまたは同一物を充填したカプセル)として、使用され得るか、直腸投与のための坐剤の形態において使用され得るか;または非経口(皮下を含む)使用のための滅菌注射用溶液の形態で使用され得る。このような薬学的組成物およびその単位投薬量形態は、さらなる活性化合物または活性成分を含むか、またはそれを含まずに従来の割合で、従来の成分を含み得、そして、このような単位投薬量形態は、使用されるべき意図される日投薬量範囲に相応の、任意の適切な有効量の活性成分を含み得る。
【0199】
経口投与のための薬学的組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁液または液体の形態であり得る。この薬学的組成物は、好ましくは、特定量の活性成分を含む投薬量単位の形態で製造される。このような投薬量単位の例は、慣用的な添加剤(例えば、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプン);結合剤(例えば、結晶性セルロース、セルロース誘導体、アラビアゴム、トウモロコシデンプンまたはゼラチン);崩壊剤(disintegrator)(例えば、トウモロコシデンプン、ジャ
ガイモデンプンまたはカルボキシメチル−セルロースナトリウム);および滑剤(例えば、滑石またはステアリン酸マグネシウム)を有するカプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤または懸濁液である。上記活性成分はまた、組成物として注射によって投与され得、ここで、例えば、生理食塩水、ブドウ糖または水が、適切な薬学的に受容可能なキャリアとして使用され得る。
【0200】
本発明の化合物またはその溶媒和物もしくは生理学的に機能性の誘導体が、薬学的組成物中の活性成分(特に、5HT2Cレセプターアゴニスト)として使用され得る。用語「活性成分」とは、「薬学的組成物」の文脈において定義され、薬学的な利点を提供しないと一般的に認識される「不活化成分」と相反して、主要な薬理学的効果を提供する薬学的組成物の成分を意味するべきである。
【0201】
本発明の化合物を使用する場合、上記用量は、広範な限定範囲で変化し得、各個体症例の個々の状態に調整されるべきことは、慣習的であり、医師にとっても公知である。例えば、上記用量は、処置される病気の性質および重篤度、患者の状態、使用される化合物、または急性疾患状態もしくは慢性疾患状態が処置されるか否かもしくは予防が実行されるか否か、あるいはさらなる活性化合物が本発明の化合物に加えて投与されるか否かに依存する。本発明の代表的用量は、約0.001mg〜約5000mg、約0.001〜約2500mg、約0.001〜約1000mg、0.001〜約500mg、0.001mg〜約250mg、約0.001mg〜100mg、約0.001mg〜約50mg、および約0.001mg〜約25mgが挙げられるが、これらに限定されない。特に、比較的多い量(例えば、2回用量、3回用量または4回用量)が必要と判断された場合、複数回用量が、1日の間に投与され得る。個体に依存して、そして患者の医師または介護者から適切であると判断される場合、本明細書中に記載される用量から上方または下方に逸脱することが必要であり得る。
【0202】
処置に使用するために必要な、活性成分、活性な塩またはその水和物の量は、選択される特定の塩によってのみだけでなく、また投与経路、処置される状態の性質ならびに患者の年齢および状態で変化し、そして結局は、主治医または臨床医の判断による。
【0203】
概して、当業者は、モデル系(代表的に、動物モデル)で得られたインビボデータを別の系(例えば、ヒト)に対して推定する方法を理解する。代表的に、動物モデルとしては、げっ歯動物モデルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの環境において、これらの推定は、単に、別のもの(例えば、哺乳動物、好ましくはヒト)と比較した動物モデルの体重に基づき得るが、多くの場合、これらの推定は、単純に体重に基づかず、種々の因子を組み入れる。代表的な因子としては、患者の、型、年齢、体重、性別、食習慣および医学的状態、疾患の重篤度、投与経路、使用される特定の化合物の薬理学的考慮(例えば、活性、効力、薬物動態プロフィールおよび毒性プロフィール)、薬物送達システムが利用されるか否か、急性疾患状態もしくは慢性疾患状態が処置されるか否かまたは予防が実行されるか否か、あるいはさらなる活性化合物が、併用療法の一部として式(I)の化合物に加えて投与されるか否かが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物および/または組成物を用いて疾患状態を処置するための投薬レジメンは、上記に記載される種々の因子に従って選択される。従って、実際の使用される投薬レジメンは、広範に変化し得、それ故、好ましい投薬レジメンから逸脱し得、そして当業者は、これらの典型的な範囲以外の投薬量および投薬レジメンが、試験され得、適切な場合、本発明の方法において使用され得ることを認識する。
【0204】
所望の用量は、慣用的に1回用量で与えられ得るか、または適切な間隔で投与される分割用量(例えば、1日あたり、2回、3回、4回またはそれ以上のサブ用量(sub−dose))として与えられ得る。サブ用量自体は、例えば、多くの、別々におおまかに分けられた投与へとさらに分割され得る。特に、比較的多い量が適切であるとして投与される場合、日用量は、数回(例えば、2回、3回または4回)の部分投与へと分割され得る。適切な場合、個体の性質に依存して、示される日用量から上方または下方に逸脱することが必要であり得る。
【0205】
本発明の化合物は、多種多様な経口投薬形態および非経口投薬形態で投与され得る。以下の用量形態は、活性成分として、本発明の化合物または本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩のいずれかを含み得ることは、当業者にとって明らかである。
【0206】
本発明の化合物から薬学的組成物を調製するために、適切な薬学的に受容可能なキャリアの選択は、固体、液体または両方の混合物のいずれかであり得る。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤(cachet)、坐剤および分散性顆粒剤が挙げられる。固体キャリアは、希釈剤、香味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤またはカプセル封入材料としてまた作用し得る1種以上の物質であり得る。
【0207】
散剤において、上記キャリアは、細粉された活性成分との混合物である細粉された固体である。
【0208】
錠剤において、活性成分は、適切な割合で必要な結合能力を有するキャリアと混合され、所望の形状およびサイズに小型化される。
【0209】
上記散剤および錠剤は、種々の百分率での量の活性化合物を含み得る。散剤および錠剤における代表的な量は、上記活性成分の0.5%〜約90%を含み得るが;当業者は、この範囲外の量が必要である場合を認知する。散剤および錠剤のための適切なキャリアは、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、カカオバターなどである。用語「調製物」は、カプセル剤(この中に、キャリアを含むか、または含まない活性成分は、キャリアによって囲まれており、従って、そのキャリアと会合する)を提供するキャリアとしてのカプセル化材料を有する活性化合物の処方物を含むことが意図される。同様に、カシェ剤およびロゼンジが含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびロゼンジは、経口投与にとって適切な固体形態として使用され得る。
【0210】
坐剤を調製するための、低融点ロウ(例えば、脂肪酸グリセリドまたはカカオバターの混合物)は、最初に融解され、そしてその活性成分が、撹拌することによって、その中へ均一に分散される。次いで、溶融した均一混合物は、都合よいサイズの型に注入され、冷却され、それによって、凝固される。
【0211】
膣投与にとって適切な処方物は、活性成分に加え、適切であることが当業者に公知であるキャリアを含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡沫または噴霧として示され得る。
【0212】
液体形態の調製物としては、溶液、懸濁液、および乳濁液(例えば、水、または水−プロピレングリコール溶液)が挙げられる。例えば、非経口的注射液体調製物は、水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液として処方され得る。注射用調製物(例えば、滅菌注射用の水性懸濁液または油性懸濁液)は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して公知の技術に従って処方され得る。上記滅菌注射用調製物はまた、無毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌した注射用の溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であり得る。水、リンガー溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液は、使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒である。さらに、滅菌した固定油は、溶媒または懸濁媒体として慣用的に使用される。この目的のために、任意の無菌の固定油(合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む)が、使用され得る。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)が、注射用調製物における使用を見出す。
【0213】
従って、本発明に従う化合物は、(例えば、注射((例えば、ボーラス注射または持続吸入))によって)非経口投与のために処方され得、添加された防腐剤を有する、アンプル、事前充填したシリンジ、小容量の注入または複数回用量容器における単位用量形態で存在し得る。薬学的組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、または乳濁液のような形態を取り、処方剤(例えば、懸濁剤、安定化剤、および/または分散剤)を含み得る。あるいは、上記活性成分は、散剤形態であり得、これは、使用前に、適切なビヒクル(例えば、滅菌の発熱物質なしの水)を用いて構成するために、滅菌固体の無菌的単離によってか、または溶液からの凍結乾燥によって得られる。
【0214】
経口使用にとって適切な水性溶液は、水中に活性成分を溶解させる工程、および所望の場合、適切な着色剤、香味剤、安定化剤および増粘剤を添加する工程によって調製され得る。
【0215】
経口使用にとって適切な水性懸濁液は、粘稠性材料(例えば、天然ゴムまたは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、または他の周知の懸濁剤)を有する水中に細粉した活性成分を分散させる工程によって作製され得る。
【0216】
また、使用の直前に、経口投与のための液体形態処方物に変換されることが意図される固体形態調製物が、含まれる。このような液体形態としては、溶液、懸濁液、および乳濁液が挙げられる。これらの調製物は、活性成分に加え、着色剤、香味剤、安定化剤、緩衝材、人工甘味料および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
【0217】
表皮に局所投与するための、本発明に従う化合物は、軟膏剤、クリームまたはローション剤としてか、または経皮貼布として処方され得る。
【0218】
軟膏剤およびクリームは、例えば、適切な増粘剤および/またはゲル化剤の添加を伴って、水性基剤または油性基剤とともに処方され得る。ローションは、水性基剤または油性基剤とともに処方され得、また概して、1種以上の乳濁剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、または着色剤を含み得る。
【0219】
口での局所投与にとって適切な処方物としては、香味の付いた基剤(通常、スクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントゴム)中に活性剤を含むロゼンゲ;不活性基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴム)中に活性成分を含む香錠;ならびに適切な液体キャリア中に活性成分を含むうがい薬が挙げられる。
【0220】
溶液または懸濁液は、例えば、ドロッパー、ピペットまたはスプレーを用いた慣用的な手段によって鼻腔に直接適用される。上記処方物は、単回用量形態または複数回用量形態で提供され得る。ドロッパーまたはピペットの後者の場合、これは、適切な所定容量の上記溶液または懸濁液を投与する患者によって達成され得る。スプレーの場合、これは、例えば、定量噴霧器スプレーポンプによって達成され得る。
【0221】
気道への投与は、エアロゾル処方物(ここで、活性成分は、適切な噴霧剤を有する加圧パック中に提供される)によって達成され得る。式(I)の化合物またはそれらを含有する薬学的組成物が、エアロゾル(例えば、鼻エアロゾル)としてか、または吸入によって投与される場合、これは、例えば、スプレー、噴霧器、ポンプ式噴霧器、吸入装置、定量吸入器または乾燥散剤吸入器を使用して実行され得る。エアロゾルとしての式(I)の化合物の投与のための薬学的形態は、当業者に周知のプロセスによって調製され得る。これらの調製物のために、例えば、水、水/アルコール混合物または適切な生理食塩水中の式(I)の化合物の溶液または分散物は、慣習的な添加剤(例えば、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、バイオアベイラビリティーを増加させるための吸収促進剤(enhancer)、可溶化剤、分散剤、および他のもの)および適切な場合、慣習的な噴霧剤(例えば、二酸化炭素、CFC(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、またはジクロロテトラフルオロメタン)が挙げられる)などを使用して、使用され得る。上記エアロゾルはまた、慣例的に、界面活性剤(例えば、レシチン)を含み得る。薬物の用量は、定量バルブの提供により制御され得る。
【0222】
気道への投与のために意図される処方物(鼻腔内処方物を含む)において、上記化合物は、概して、微粒子サイズ(例えば、10ミクロンのオーダー以下)を有する。このような粒子サイズは、当該分野で公知の手段によって(例えば、微粉化によって)得られ得る。所望の場合、活性成分の持続放出を提供するように適応された処方物が、使用され得る。
【0223】
あるいは、上記活性成分は、乾燥散剤(例えば、適切な散剤基剤(例えば、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)およびポリビニルピロリドン(PVP))中の上記化合物の混合散剤)の形態で提供され得る。好都合なことに、上記散剤キャリアは、鼻腔においてゲルを形成する。上記散剤組成物は、例えば、ゼラチン、またはブリスター包装の、例えば、カプセルまたはカートリッジ(これらから、散剤は、吸入によって投与され得る)における単位用量形態で存在し得る。
【0224】
薬学的調製物は、好ましくは、単位投薬量形態である。このような形態において、上記調製物は、適切な量の活性成分を含む単位用量へ細分される。上記単位投薬量形態は、包装された調製物、分散した量の調製物を含む包装物(例えば、包装された、錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の散剤)であり得る。
【0225】
また、上記単位投薬量形態は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、あるいはロゼンゲ自体であり得るか、または上記単位投薬量形態は、包装形態の適切な数の、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、あるいはロゼンゲ自体のいずれかであり得る。
【0226】
経口投与のための錠剤またはカプセル剤、および静脈内投与のための液体は、好ましい組成物である。
【0227】
本発明に従う化合物は、必要に応じて、無機酸および有機酸を含む薬学的に受容可能な無毒の酸から調製される薬学的に受容可能な酸付加塩を含む薬学的に受容可能な塩として存在し得る。代表的な酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン(camphorsulfonic)酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ジクロロ酢酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫(sulfiric)酸、酒石酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸など(例えば、Journal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)に列挙されたそれらの薬学的に受容可能な塩;その全体が、本明細書中に参考として援用される)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0228】
酸付加塩は、化合物の合成の直接的生成物として得られ得る。代替的方法では、遊離塩基は、適切な酸を含む適切な溶媒中に溶解され得、そして上記塩は、上記溶媒をエバポレートさせる工程または他に上記塩および溶媒を分離する工程によって単離され得る。本発明の化合物は、当業者に公知の方法を使用して、標準的低分子量溶媒での溶媒和物を形成し得る。
【0229】
本発明の化合物は、「プロドラッグ」に変換され得る。用語「プロドラッグ」とは、当該分野で公知の特定の化学基で改変されている化合物をいい、個体へ投与される場合、これらの基は、親化合物を与えるように生体内変換を受ける。従って、プロドラッグは、1種以上の専門的な無毒の保護基(これは、化合物の特性を変化させるか、または除去するための一過性様式において使用される)含む本発明の化合物とみなされ得る。概して、「プロドラッグ」アプローチは、経口吸収を容易にするように利用される。徹底的な考察は、T.HiguchiおよびV.Stella,「Pro−drugs as Novel Delivery Systems,」the A.C.S.Symposium Series第14巻,ならびにBioreversible Carriers in
Drug Design,Edward B.Roche(編),American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987(これらの両方の全体が、本明細書中に参考として援用される)に提供される。
【0230】
本発明のいくつかの実施形態は、「併用療法」のための薬学的組成物を生成するための方法を包含し、この方法は、本明細書中に開示される任意の化合物の実施形態に従う、少なくとも1種の化合物と、本明細書中に記載される少なくとも1種の薬学的薬剤と、薬学的に受容可能なキャリアとを混合する工程を包含する。
【0231】
いくつかの実施形態において、上記薬学的薬剤は、以下からなる群より選択される:アポリポタンパク質−B分泌/ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(apo−B/MTP)インヒビター、MCR−4アゴニスト、コレスサイトキニン(cholescystokinin)−A(CCK−A)アゴニスト、セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込みインヒビター(例えば、シブトラミン(sibutramine))、交感神経様作用剤(sympathomimetic agenst)、βアドレナリン作用性レセプターアゴニスト、ドパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン)、メラニン細胞刺激ホルモンレセプターアナログ、カンナビノイド1レセプターアンタゴニスト[例えば、SR141716:N−(ピペリジン−1−イル)−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド]、メラニン凝集ホルモンアンタゴニスト、レプトン(OBタンパク質)、レプチンアナログ、レプチンレセプターアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、リパーゼインヒビター(例えば、テトラヒドロリプスタチン(tetrahydrolipstatin)、すなわち、オルリスタット(orlistat))、食欲抑制剤(例えば、ボンベシンアゴニスト)、神経ペプチド−Yアンタゴニスト、甲状腺模倣剤(thyromimetic agent)、デヒドロエピアンドロステロンまたはそれらのアナログ、糖質コルチコイドレセプターアゴニストまたは糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト、オレキシンレセプターアンタゴニスト、ウロコルチン(urocortin)結合タンパク質アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1レセプターアゴニスト、毛様体神経栄養因子(例えば、AxokineO)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)、グレリンレ
セプターアンタゴニスト、ヒスタミン3レセプターアンタゴニストまたはヒスタミン3レセプターリバースアゴニスト、ニューロメディンUレセプターアゴニスト、ノルアドレナリン作動性食欲抑制剤(例えば、フェンテルミン、マチンドールなど)および食欲抑制薬(appetite suppressants)(例えば、ブプロピオン)。さらなる実施形態において、上記薬学的薬剤は、オルリスタット、シブトラミン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、および偽エフェドリンからなる群より選択される。
【0232】
いくつかの実施形態において、上記薬学的薬剤は、以下からなる群より選択される:スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアナイド、α−グルコシダーゼインヒビター、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター−γ(すなわち、PPAR−γ)アゴニスト、インスリン、インスリンアナログ、HMG−CoAレダクターゼインヒビター、コレステロール降下剤(例えば、以下を含むフィブラート:フェノフィブラート、ベザフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブレートなど;以下を含む胆汁酸金属イオン封鎖剤:コレスチラミン、コレスチポールなど;およびナイアシン)、抗血小板薬(例えば、以下を含むアスピリンおよびアデノシン二リン酸レセプターアンタゴニスト:クロピドグレル、チクロピジンなど)、アンジオテンシン変換酵素インヒビター、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニストおよびアディポネクチン。
【0233】
5HT2Cレセプターアゴニストは、薬学的組成物中の活性成分として利用される場合、これは、ヒトだけではなく、同様に他の非ヒト哺乳動物においても使用が意図されることに注意する。実際、動物の健康管理の領域における近年の進歩は、家畜(例えば、ネコおよびイヌ)の肥満の治療のための5HT2Cレセプターアゴニスト、および疾患または障害が明らかではない他の家畜(例えば、食用の動物(例えば、ウシ、ニワトリ、魚など))における5HT2Cレセプターアゴニストの使用について考慮することを要求する。当業者は、このような設定でこのような化合物の有用性を理解することが、容易に考えられる。
【0234】
(本発明の化合物の調製)
以下に概略される例示された合成において、上記標識置換基は、式(I)および、本明細書中に記載されるような亜属の式の、本発明の化合物の定義に示されるのと同一物である。
【0235】
当業者は、本発明の多種多様な化合物が、後述のスキームI〜スキームVに従って調製され得ることを認識する。1つの代表的な合成は、以下のスキームIに示され、この式IついてRは、メチルである:
【0236】
【化15】

例えば、任意の多種多様な置換基R、R、RおよびRを有する適切に置換された2−フェニルエチルアミノ化合物Aを利用することによって、対応する置換された1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(化合物H)は、調製され得る。その後の工程において、化合物Hは、例えば、過剰のホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物(例えば、パラホルムアルデヒド(メチル化用)または高次アルデヒド)で処理して、その後、当該分野で公知の方法に従ってNaBHCNまたは類似の還元剤を用いて還元することにより、容易にアルキル化され得る。
【0237】
さらに、多数の合成転換が、スキームIに例示される経路の種々の段階で行われて、さらなる式(I)の化合物が調製され得る。例えば、化合物Eは、本発明の多くの化合物(R=−CHOHを含む)に転換され得る。この場合、化合物Eの二重結合は、当該分野で公知の方法(例えば、ジボラン、ジシアミルボランなど)を使用してハイドロボレーションされて、酸化ワークアップ(すなわち、H)の後、第一級アルコールが得られ得る。N保護は、本発明の所望の化合物が得られるように除去され得るか、または塩基の存在下でハロゲン化アルキルを使用した当該分野で公知の方法(例えば、Williamson ether procedure)を使用して、上記第一級アルコールは、その後エーテルに変換され得ることのいずれかが行われる。この例において、N保護は、式(I)(ここで、Rは、CHO−C1−4アルキル基である)の化合物を生じるように除去され得る。あるいは、第一級アルコールは、当該分野で公知の試薬(例えば、ジアルキルアミノイオウ三フッ化物など)を使用してフッ素化され得る。特定のジアルキルアミノイオウ三フッ化物としては、ビス(2−メトキシエチル)アミノ−イオウ三フッ化物、(ジエチルアミノ)イオウ三フッ化物、(ジメチルアミノ)イオウ三フッ化物、モルホリノイオウ三フッ化物(morpholinosulfur trifluoride)などが挙げられるが、これらに限定されない。フッ素化剤を用いた処理は、式(I)(ここで、Rは、−CHFである)のモノフルオロアルキル化合物を生じ得る。さらに、化合物Eから調製された第一級アルコールは、さらに酸化されて対応するアルデヒドを生じ得、そして同様の様式で、次いで、式(I)(Rは、−CHFである)のジフルオロアルキル化合物に変換され得る。
【0238】
反応スキームIIは、以下に提供され、この反応スキームIIは、これらの例示的転換を示し、限定することは、意図されない:
【0239】
【化16】

式(I)の化合物の調製についての別の代表的な合成経路は、以下の反応スキームIIIに示される:
【0240】
【化17】

例えば、任意の多種多様な置換基R、R、RおよびRを有する適切に置換された2−フェニルエチルアミノ化合物Aを利用することによって、対応する1−置換−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン[すなわち、式(Ia)の化合物]は、調製され得る。スキームIIIは、本発明の化合物へR基を導入するための1つの一般的経路を例示する。化合物Aは、多くの方法のうちの1つ(例えば、当業者に利用可能な、一般的に公知のカップリング剤のうちの1つ)を使用してカルボン酸誘導体を用いてアシル化される。特に有用な方法は、後述の実施例に記載されるような酸塩化物を使用する。カルボン酸誘導体は、脱離基(すなわち、Lg)へ変換され得る脱離基または部分を有するように選択される。この得られた化合物Kは、ルイス酸(例えば、塩化アルミニウム)の存在下で環化される。反応後、本発明の化合物(ここで、Rは、Hである[すなわち、式(Ia)の化合物]が得られる。
【0241】
本発明の化合物を調製するために使用され得る1つの代替的な合成アプローチは、化合物L(すなわち、Rは、Hである)を利用する。この方法において、上記アミド窒素は、当該分野で公知の任意の数の方法を使用して最初にアルキル化されるか(R基を提供する、化合物N)、または保護される(すなわち、化合物O)。次いで、Rは、それぞれ、化合物Pおよび化合物Qを提供するようにアルキル化反応を介して導入される。アルキル化反応は、例えば、DMF/NaH、および式R−Lg(ここで:Rは、本明細書中で記載されるような同一の意味を有し、そしてLgは、当該分野で公知の脱離基(例えば、Cl、Br、I、OMs、OTsなど)である)のアルキル化剤を使用して塩基性条件下で実行され得る。このアルキル化剤の例としては、CHI、CHOMs、CHOTs、CHCHI、CFCHI、CFI、CHOCHClなどが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なアルキル化例は、Orito,K.およびMatsuzaki,T.Tetrahedron,1980,36,81,1017−1021によって報告されており、その全体が、本明細書中に参考として援用される。窒素が保護される場合(すなわち、化合物Q)の例において、上記保護基は、最初に除去され、上記アミドが還元されて本発明の化合物(ここで、Rは、Hである)が提供される。窒素がアルキル化される場合(すなわち、化合物P)の例において、次いで上記アミドが単に還元されて、Rがアルキルである化合物が提供される。この方法は、以下のスキームIVおよびスキームVに例示される:
【0242】
【化18】

【0243】
【化19】

当業者は、本発明の多種多様な化合物が、スキームI〜スキームVに従って調製され得ることを認識する。
【0244】
保護基は、本発明のいくつかの化合物を合成する間、種々の機能性が必要とされ得る。従って、多種多様な合成転換にとって適切である代表的な保護基は、GreeneおよびWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,John Wiley & Sons,New York,1999(その開示の全体が、本明細書中に参考として援用される)に開示される。
【0245】
本明細書中に記載されるように、本発明の化合物は、種々の形態(例えば、鏡像異性体およびラセミ体)で存在し得る。光学活性形態は、ラセミ体の変換によって得られ得、鏡像異性体を得るために、当該分野で公知の方法を使用した、キラルクロマトグラフィーまたは不斉合成によって分離され得ることが理解される。
【0246】
(他の有用性)
本発明の他の目的は、式(I)の放射標識化合物に関し、この化合物は、放射画像化において有用であるだけでなく、組織サンプル(ヒトを含む)における5HT2Cレセプターを局在決定し、定量するための、および放射標識化合物の結合を阻害することによって5HT2Cレセプターリガンドを同定するための、インビトロおよびインビボ両方のアッセイにおいても有用である。このような放射標識化合物を含む新規5HT2Cレセプターアッセイを開発することは、本発明のさらなる目的である。
【0247】
本発明は、式(I)および本明細書中の任意の亜属(例えば、式(Ia)〜式(Is)であるが、これらに限定されない)の同位体標識化合物を包含する。「同位体」または「放射標識」化合物は、本明細書中で開示される化合物と同一である化合物であるが、ただし、1つ以上の原子が、代表的に、天然に見出される(すなわち、天然に存在する)原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換わるか、または置換されるという事実を除く。本発明の化合物中に取り込まれ得る適切な放射性核種としては、H(また、ジュウテリウムについてDと記載される)、H(また、トリチウムについてTと記載される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125Iおよび131Iであるが、これらに限定されない。完全な放射標識化合物中に取り込まれる放射性核種は、その放射標識化合物の特定の適用に依存する。例えば、インビトロ5HT2Cレセプター標識および競合アッセイについては、H、14C、82Br、125I、131I、または35Sを取り込む化合物が、概して最も有用である。放射画像化適用については、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Brまたは77Brが、概して最も有用である。
【0248】
「放射性標識」または「標識化合物」が、少なくとも1つの放射性核種を組み込んだ式(I)の化合物であることが理解される:いくつかの実施形態において、放射性核種は、H、14C、125I、35Sおよび82Brからなる群より選択される。
【0249】
本発明の特定の同位体標識化合物は、化合物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。いくつかの実施形態において、放射性核種H同位体および/または14C同位体は、これらの研究において有用である。さらに、より重い同位体(例えば、重水素(すなわち、H))での置換は、より大きな代謝安定性から生じる特定の治療的利点(例えば、増加したインビボ半減期または減少した投薬量要件)を与え得、従って、特定の状況において好ましくあり得る。本発明の同位体標識化合物は、一般的に、上記スキームおよび下記の実施例に記載される手順に類似の手順に従って、非同位体標識試薬を、同位体標識試薬で置換することによって、調製され得る。有用な他の合成方法は、以下に考察される。さらに、本発明の化合物で示される原子全てが、このような原子の最も一般的に存在する同位体であり得るか、またはよりまれな放射性同位体もしくは非放射性活性同位体であり得るかのいずれかであることが理解される。
【0250】
放射性同位体を有機化合物中に組み込むための合成方法は、本発明の化合物に適用可能であり、当該分野において周知である。これらに合成方法(例えば、活性レベルのトリチウムを標的分子に組み込む)は、以下のとおりである:
A.トリチウムガスでの触媒的還元−この手順は、通常高い比放射能の生成物を生じ、ハロゲン化前駆体または不飽和前駆体を必要とする。
【0251】
B.水素化ホウ素ナトリウム[H]での還元−この手順は、かなり安価であり、アルデヒド、ケトン、ラクトン、エステルなどのような還元可能な官能基を含む前駆体を必要とする。
【0252】
C.水素化リチウムアルミニウム[H]−この手順は、最も理論的な比放射能で生成物を提供する。これもまた、アルデヒド、ケトン、ラクトン、エステルなどのような還元可能な官能基を含む前駆体を必要とする。
【0253】
D.トリチウムガス曝露標識化−この手順は、適切な触媒の存在下で交換可能なプロトンを含む前駆体をトリチウムガスに曝露する工程を包含する。
【0254】
E.ヨウ化メチル[H]を使用するN−メチル化−この手順は、通常、適切な前駆体を高い比放射能のヨウ化メチル(H)で処理することによって、O−メチル生成物またはN−メチル生成物(H)を調製するために使用される。この方法は、一般的に、例えば、約70〜90Ci/mmolのような高い比放射能を可能にする。
【0255】
活性レベルの125Iを標的分子に組み込むための合成方法は以下を含む:
A.サンドマイヤーおよび類似の反応−この手順は、アリールアミンまたはヘテロアリールアミンをジアゾニウム塩(例えば、テトラフルオロホウ酸塩)に変換し、続いて、Na125Iを使用して、125I標識化合物に変換する。代表的な手順は、Zhu,D.−G. and co−workers、J.Org.Chem.2002,67,943−948によって報告される。
【0256】
B.フェノールのオルト125ヨウ素化−この手順は、フェノールのオルト位における125Iの組み込みを可能にし、Collier,T.L.and co−workers、J.Labeled Compd Radiopharm.1999,42,S264−S266によって報告される。
【0257】
C.125Iでのアリールブロミドおよびヘテロアリールブロミドの交換−この方法は、一般的に、2工程プロセスである。第1工程は、トリアルキルスズハライドまたはヘキサアルキルスズ[例えば、(CHSnSn(CH]の存在下で、例えば、Pd触媒反応[すなわち、Pd(Ph3P)4]を使用して、またはアリールリチウムもしくはヘテロアリールリチウムによって、アリールブロミドまたはヘテロアリールブロミドを、対応するトリアルキルスズ中間体へ変換する工程である。代表的な手順は、Bas,M.−D.and co−workers、J.Labeled Compd Radiopharm.2001,44,S280−S282によって報告される。
【0258】
式(I)の放射性標識5HT2Cレセプター化合物は、化合物を同定/評価するためのスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。一般的に、新規に合成されたまたは同定された化合物(すなわち、試験化合物)は、5HT2Cレセプターへの「式(I)の放射性標識化合物」の結合を減少させる能力について評価され得る。従って、5HT2Cレセプターへの結合について、「式(I)の放射性標識化合物」と競合する試験化合物の能力は、その結合親和性に直接相関する。
【0259】
本発明の標識化合物は、5HT2Cレセプターに結合する。1つの実施形態において、標識化合物は、約500μM未満のIC50を有し、別の実施形態において、標識化合物は、約100μM未満のIC50を有し、なお別の実施形態において、標識化合物は、約10μM未満のIC50を有し、なお別の実施形態において、標識化合物は、約1μM未満のIC50を有し、さらになお別の実施形態において、標識化合物は、約0.1μM未満のIC50を有する。
【0260】
開示されるレセプターおよび方法の他の用途は、とりわけ、本開示の詳しく読むことに基づいて、当業者に明らかになる。
【0261】
理解されるように、本発明の方法の工程は、任意の特定の回数または任意の特定の順序で行われる必要はない。本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴は、以下の実施例をよく読んで、当業者に明らかになる。
【実施例】
【0262】
(実施例1)
細胞内IP蓄積アッセイ):
HEK293細胞を、25μlのリポフェクトアミンを使用して、16μgのヒト5HT2CレセプターcDNAを含むかまたは含まない15cm滅菌皿中にトランスフェクトした[例えば、Saltzman,A.G.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.181,1469−1478(1991)を参照のこと]。次いで、細胞を、37℃/5%COで3〜4時間、インキュベートし、次いで、トランスフェクション培地を除去し、100μlのDMEMで置換した。次いで、細胞を100cm滅菌皿上にプレートした。次の日に、細胞を、55K/0.2mlの密度で、96ウェルPDLマイクロタイターウェルプレートにプレートした。6時間後、培地を、イノシトールを含まないDMEM中で、[H]イノシトール(0.25uCi/ウェル)で交換し、プレートを37℃5%COで一晩インキュベートした。次の日に、ウェルをアスピレートし、試験化合物を含む200μlのDMEM、10μMパルギリン、および10mM LiClを適切なウェルに添加した。次いで、プレートを37℃/5%COで3時間インキュベートし、続いて、アスピレートし、新鮮な氷冷停止溶液(1M KOH、19mM Naボレート、3.8mM EDTA)を各ウェルに添加した。プレートを氷上で5〜10分間維持し、そしてウェルを、200μlの新鮮な氷冷中和溶液(7.5%HCl)の添加によって中和した。次いで、プレートをさらなる処理が望まれるまで、凍結させた。次いで、溶解物を1.5mlエッペンドルフ管中に移し、そして1mlのクロロホルム/メタノール(1:2)/チューブを添加した。この溶液を15秒間ボルテックスし、上相をBiorad AG1−X8TMアニオン交換樹脂(100〜200メッシュ)に適用した。最初に、樹脂を1:1.25W/Vの水で洗浄し、そして0.9mlの上相をカラムに充填した。次いで、カラムを10mlの5mMミオ−イノシトールおよび10mlの5mM Naボレート/60mM Naホルメートで洗浄した。イノシトールトリスホスフェートを、2mlの0.1Mギ酸/1Mギ酸アンモニウムを有する10mlのシンチレーションカクテルを含むシンチレーションバイアル中に溶出した。このカラムを、10mlの0.1Mギ酸・3Mギ酸アンモニウムで洗浄することによって再生し、そしてddHOで2回リンスし、水中4℃で保存した。
【0263】
いくつかの代表的な化合物についてのIP蓄積アッセイにおける生物学的活性を以下の表3に示す。
【0264】
【表3】

実施例の化合物の大部分は、IP蓄積アッセイにおいて、約11nMと約5μMとの間の範囲の活性を示した。
【0265】
(実施例2)
(食物を与えない(food−deprived)ラットにおける食物摂取の阻害)
雄性Sprague0Dawleyラット(250〜350g)を、試験の前の一晩、食物を与えない。食物を与えない前に、その動物の体重を量り、体重に従って、群のバランスを取るために処置群に分けた。試験の日に、動物を個々のケージ(敷きわら無し)中に、9:00amに、水に自由にアクセスさせて配置する。10:00amに、動物に、試験化合物を注射し(p.o.、i.p.、またはs.c.)、薬物投与の60分後(p.o.)または30分後(i.p.およびs.c.)のいずれかで、皿に予め秤量した量の食物を与える。異なる時点にわたる食物消費を、食物を与えてから、1時間後、2時間後、4時間後、および6時間後に、食物カップを秤量することによって決定する。従って、食物消費を、p.o.研究において、注射の2時間後、3時間後、5時間後および7時間後に測定し、i.p.研究およびs.c.研究において、注射の1.5時間後、2.5時間後、4.5時間後および6.5時間後に測定する。
【0266】
(実施例3)
(本発明の選択された化合物の合成)
(実施例3.1:(R,S)6,8−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアセピン(本明細書中において、化合物1とも呼ばれる)の調製)
【0267】
【化20】

(工程1:2−クロロ−N−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]プロピオンアミドの調製)
ジクロロメタン(20mL)中の2,4−ジクロロフェネチルアミン(1.0g、5.3mmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(0.82g、6.3mmol)および2−クロロプロピオニル(0.67mL、5.3mmol)で連続的に処理し、そして20℃で4時間撹拌した。この混合物を、ジクロロメタン(50mL)で希釈し、10%水性HCl、ブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濃縮し、1.5gの所望の生成物を褐色油状物として得た。MS C1112ClNO+Hについての計算値:280観測値:280。
【0268】
(工程2:6,8−ジクロロ−1−メチル−2−オキソ−2,3,5−トリヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
ニートな2−クロロ−N−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]プロピオンアミド(2.5g、9.1mmol)およびAlCl(3.6g、27mmol)を、150℃で18時間、撹拌しながら加熱した。生成物混合物を、水(10ml)でクエンチし、ジクロロメタン(100mL)で希釈し、有機相を分離し、ブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、1.9gの褐色油状物を得た。MS C1111ClNO+Hについての計算値:244,観測値:244。
【0269】
(工程3:6,8−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
テトラヒドロフラン(50mL)中の6,8−ジクロロ−1−メチル−2−オキソ−2,3,5−トリヒドロ−1H−3ーベンズアゼピン(1.9g、7.8mmol)の溶液を、THF(20.0ml、20.0mmol)中の1M ボランで処理し、20℃で5時間撹拌した。この混合物をメタノール(10mL)でクエンチし、濃HCl(0.2mL)で酸性化し、メタノール(3×100mlL)で共沸し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中、5%メタノール)は、1.0gの透明な油状物を生じた。H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.20(s,1H),6.90(s,1H),4.30(bs,1H),3.92(m,1H),3.51(m,1H),3.37(m,2H),3.03(m,1H),2.77(m,2H),1.31(d,J=8 Hz,3H)。MS C1113ClN+Hについての計算値:230,観測値:230。
【0270】
(実施例3.2(R,S)6−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(化合物2)の調製)
【0271】
【化21】

化合物2を、化合物1の調製について記載された手順と類似の手順を使用して調製した。(R,S)6−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンを、無色油状物として、2−クロロフェネチルアミンから得た。H NMR(400 MHz,CDCl)δ7.17(d,J=8 Hz,1H),6.93(m,2H),3.97(bs,1H),3.79(m,1H),3.3−3.1(m,3H),2.95(d,J=11Hz,1H),2.8−2.6(m,2H),1.3(d,J=8Hz, 3H)。MS C1114ClN+Hについての計算値:196,観測値:196。
【0272】
(実施例3.3;(R,S)8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(化合物3)の調製)
【0273】
【化22】

(工程1:N−トリフルオロアセチル−8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
1,2−ジクロロエタン(15mL)中のN−トリフルオロアセチル−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(2.5g、8.5mmol)の溶液を、Selectfluor(3.9g、11mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸(8mL、90mmol)で処理し、60時間、75℃で撹拌した。生成物の混合物を水(200mL)中に注ぎ、EtOAc(200mL)で抽出し、有機相を飽和水性NaHCO(2×100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の6%EtOAc、シリカ)によって精製し、0.6gの白色固体を得た。C1312ClFNO+Hについての計算値:310,観測値:310。
【0274】
(工程2:8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
メタノール(3mL)中のN−トリフルオロアセチル−8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(160mg、0.22mmol)の溶液を、15%水性NaOH(2mL)で処理し、3.5時間、25℃で撹拌した。生成物混合物を濃縮し、3回、CHCl(5mL)で抽出し、NaSOで乾燥し、濃縮し、93mgの透明油状物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.06(dd,J=8,8Hz,1H),6.75(d,J=8Hz,1H), 3.58(m,1H),3.25−3.15(m,3H),2.93(d,J=13Hz, 1H)2.75−2.60(m,3H),1.96(bs,1H),1.33(d,J=8Hz,3H)。MS C1113ClFN+Hについての計算値:214,観測値:214。
【0275】
(実施例3.4(R,S)8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(化合物4)の調製)
【0276】
【化23】

化合物4を、化合物1の調製について、本明細書中で記載した手順と類似の手順を使用して調製した。(R,S)8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンを、3,4−ジクロロフェネチルアミンから、無色油状物として得たH NMR(400 MHz,CDCl)δ7.40(d,J=8Hz,1H),7.16(d,J=8Hz,1H),4.17(m,1H),3.55(m,2H),3.5−3.3(m,2H),3.2−3.0(m,2H),1.43(d,J=7Hz,3H)。MS C1113ClN+Hについての計算値:230,観測値:230。
【0277】
(実施例3.5 (S)−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(化合物5)の調製)
【0278】
【化24】

(工程1:(S)−N−トリフルオロアセチル−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
(S)−N−トリフルオロアセチル−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンを、化合物7の調製について本明細書中で記載した手順と類似の手順を使用して、(S)−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンから調製した(1つの例外は、D−酒石酸を使用して、分割工程を行ったことである)。H NMR(400MHz,CDCl,回転異性体の混合物)δ7.27(m,1H),6.96(m,1H),4.26(bm,0.6H),4.19−4.03(m,1.7H),3.92−3.87(m,0.8H)3.75−3.69(m,0.8H),3.47−3.22(m,2H),2.91(m,1H), 1.28−1.25(m,3H)。MS C1313ClFNO+Hについての計算値:292,観測値:292。
【0279】
(工程2:(S)−N−トリフルオロアセチル−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
ジクロロメタン(10mL)中の(S)−N−トリフルオロアセチル−9−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(0.62g、2.1mmol)の溶液を、N−クロロスクシイミド(0.284g、2.1mmol)およびトリフルオロメタンスルホン酸(0.639g、4.2mmol)で処理した。反応物を16時間、20℃で攪拌し、水(20mL)で希釈し、ジクロロメタン(25mL)で抽出した。有機物をMgSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮した。HPLC生成を行い、0.078gの白色固体を得た。H NMR(400MHz,CDCl,回転異性体の混合物)δ7.32−7.25(m,1H),6.97−6.93(m,1H),4.27−4.24(m,0.6H),4.19−4.13(m,1H),4.08−4.01(m,1H),3.91−3.86(0.8H,m),3.74−3.69(m,0.8H),3.45−3.37(m,1H),3.31−3.21(m,1H),2.96−2.80(m,1H),1.28−1.22(m,3H)。MS C1312l2NO+Hについての計算値:326,観測値:326。
【0280】
(工程3:(S)−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
メタノール(10mL)中の(S)−N−トリフルオロアセチル−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(0.270g、1.2mmol)の溶液を、15%水性NaOH(10mL)で処理し、3.5時間、25℃で攪拌した。生成物混合物を濃縮し、3回、CHCl(25mL)で抽出し、NaSOで乾燥し、濃縮して、0.270gの透明な油状物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.40(d,J=8Hz,1H),7.16(d,J=8Hz, 1H),4.17(m,1H),3.55(m,2H),3.5−3.3(m,2H),3.2−3.0(m,2H),1.43(d,J=7Hz,3H)。MS C1113ClN+Hについての計算値:230,観測値:230。
【0281】
(実施例3.6 (S)−8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(化合物6)の調製)
【0282】
【化25】

(工程1:(S)−N−トリフルオロアセチル−8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
1,2−ジクロロエタン(15mL)中の(S)−N−トリフルオロアセチル−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(2.5g、8.5mmol)の溶液を、Selectfluor(3.9g、11mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸(8mL、90mmol)で処理し、60時間、75℃で撹拌した。生成物の混合物を水(200mL)中に注ぎ、EtOAc(200mL)で抽出し、有機相を飽和水性NaHCO(2×100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の6%EtOAc、シリカ)によって精製し、0.6gの白色固体を得た。C1312ClFNO+Hについての計算値:310,観測値:310。
【0283】
(工程2:(S)−8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
メタノール(3mL)中の(S)−N−トリフルオロアセチル−8−クロロ−9−フルオロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(160mg、0.22mmol)の溶液を、15%水性NaOH(2mL)で処理し、3.5時間、25℃で撹拌した。生成物混合物を濃縮し、3回、CHCl(5mL)で抽出し、NaSOで乾燥し、濃縮し、93mgの透明油状物を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.06(dd,J=8,8Hz,1H),6.75(d,J=8Hz,1H),3.58(m,1H),3.25−3.15(m,3H),2.93(d,J=13Hz,1H)2.75−2.60(m,3H),1.96(bs,1H),1.33(d,J=8Hz,3H)。MS C1113ClFN+Hについての計算値:214,観測値:214。
【0284】
(実施例3.7:(R)−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(化合物7)の調製)
【0285】
【化26】

(工程1:2−(4−クロロフェニル)エチル−N−2−クロロプロピオンアミドの調製)
還流凝縮器および添加漏斗を備えた1リットル三ツ口丸底フラスコに、アルゴンバルーン下で、連続的に、2−(4−クロロフェニル)エチルアミン(30g、193mmol)、400mLアセトニトリル、トリエチルアミン(19.5g、193mmol)および80mLアセトニトリルを添加した。透明無色の溶液を攪拌し、0℃に冷却した。5mLアセトニトリル中の2−クロロプオピオニルクロリド(24.5g、193mmol、蒸留)を、20分にわたってゆっくり添加し、白色気体の発生、白色沈殿の形成、および反応混合物の薄い黄色への色の変化を生じた。さらに10mLのアセトニトリルを使用して、添加漏斗をリンスした。この混合物を0℃で30分間攪拌し、次いで、室温に温め、さらに1時間激しく攪拌した。黄色の反応混合物をロータリーエバポレーターで、トリエチルアミン塩酸塩を含む固体(76.36g)に濃縮した。この物質を100mLの酢酸エチルおよび200mL水にとり、激しく攪拌した。層を分離し、水層をさらに100mLの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を25mLの飽和ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして淡い黄褐色の固体(41.6g、88%)に濃縮した。酢酸エチル−ヘキサン8:2のTLCは、プレートの経路の3分の2で主要なスポットを、そしてベースラインに小さなスポットを示した。ベースラインスポットを以下のように除去した:この物質を40mLの酢酸エチルにとり、溶液が曇るまでヘキサンを添加した。0℃に冷却し、白色結晶固体(40.2g、85%収率)を得た。この生成物は、既知の化合物である(Hasan et al.,Indian J.Chem.,1971,9(9),1022)、CAS Registry No.34164−14−2。LC/MSは、2.45分に生成物を与えた;246.1 M+HH NMR(CDCl):δ7.2(dd,4H,Ar),6.7(br S,1H,NH),4.38(q,1H,CHCH),3.5(q,2H,ArCHNH),2.8(t,2H,ArCH),1.7(d,3H,CH)。13C NMR(CDCl):169(1C,C=O),136(1C,Ar−Cl),132(1C,Ar),130(2C,Ar),128(2C,Ar),56(1C,CHCl),40(1C,CHN),34(1C,CHAr), 22(1C,CH)。
【0286】
(工程2:8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン−2−オンの調製)
2−(4−クロロフェニル)エチル−N−2−クロロプロピオンアミド(10g、40.6mmol)および塩化アルミニウム(16g、119.9mmol)を、アルゴンバルーン、攪拌装置および加熱装置を備える乾燥100mL丸底フラスコに添加した。白色固体を91℃でバブリングしながら黄褐色油状物に溶融させた(注記:不純な開始物質を使用する場合、黒いタールが生じるが、清浄な生成物がなお単離され得る)。この混合物を加熱し、150℃で12時間攪拌した。反応をLC/MSで追いかけ、5分の反応時間で、5−95%w/0/01%TFA(水/MeCN(50:50)中)から、開始物質は、2.45分(246.M)、生成物は、2.24分(209.6M)である。室温に冷却した後、反応混合物を10mLのMeOH、続く、5mLの5%HCl水および5mLの酢酸エチルのゆっくりした添加でクエンチした。得られた層の分離後、水層を二回の10mL酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして黄褐色固体(6.78g、80%収率)に濃縮した。LC/MSは、1つのピークを2.2分に209.6MIで示した。この物質を酢酸エチルでとり、セライトおよびKieselgel60(60mLブッフナー漏斗上の0.5インチプラグ)で濾過し、濾液をヘキサン/酢酸エチルで再結晶化させ、最終生成物を得た(4.61g、54%収率)。H NMR(CDCl):δ7.3−7.1(m,3H,Ar),5.6(br s,1H,NH),4.23(q,1H,CHCH),3.8(m,1H,ArCHNH),3.49(m,1H,ArCHNH),3.48(m,1H,ArCCHNH),3.05(m,1H,ArCCHNH),1.6(d,3H,CH)。13C NMR(CDCl):178(1C,C=O),139(1C,Ar),135(1C,Ar),130,129(2C,Ar),126(2C,Ar),42(1C,C),40(1C,CHN),33(1C,CHAr),14(1C,CH)。
【0287】
(工程3:8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン−2−オン(150mg、0.716mmol、HPLCまたは再結晶によって精製)を、2Mボラン−テトラヒドロフラン溶液(2mL、2.15mmol)を有する50mL丸底フラスコに添加した。この混合物を10時間室温で、アルゴンバルーン下で攪拌した。LC/MSは、主要ピークとして所望の生成物を示し、葯5%の開始物質がなお存在した。反応混合物を5mLメタノールでクエンチし、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。この手順を、メタノール添加およびエバポレーションで繰り返した。この混合物をロータリーエバポレーターでエバポレートさせ、2時間後、減圧し、白色固体として生成物を得た(117mg、70%収率)。H NMR(CDCl):δ10.2(br s,1H),9.8(br s,1H),7.14(dd,1H,J=2,8Hz),7.11(d,1H,J=2Hz),7.03(d,1H,J=8Hz),3.6(m,2H),3.5(m,2H),2.8−3.0(m,3H),1.5(d,3H,J=7Hz)。LC/MS:1.41分,196.1 M + Hおよび139主要フラグメント。
【0288】
(工程4:(R)−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンのL−(+)−酒石酸塩の調製)
清浄な乾燥50mL丸底フラスコに、11.5g(0.06mol)の8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンを、2.23g(0.015mol)のL−(+)−酒石酸に対して添加した。懸濁液を56gのtert−ブタノールおよび6.5mLのHOで希釈した。この混合物を加熱還流(75〜78℃)し、10分間攪拌して、無色溶液を得た。この溶液をゆっくり室温に(1時間で)冷却し、3時間室温で攪拌した。懸濁液を濾過し、そして残留物を2回アセトン(10mL)で洗浄した。生成物を60℃で減圧(50mbar)で乾燥し、6.3gの酒石酸塩(ee=80)を得た。この酒石酸塩を56gのtert−ブタノールおよび6.5mLのHOに添加した。得られた懸濁液を加熱還流し、1〜2gのHOを添加して、無色溶液を得た。この溶液をゆっくり室温に冷却し(1時間にわたる)、そして3時間室温で攪拌した。懸濁液を濾過し、残留物を2回、アセトン(10mL)で洗浄した。生成物を、減圧(50mbar)下で60℃で乾燥させ4.9g(48%収率)の生成物(ee>98.9)を得た。
【0289】
(工程5:遊離アミン−(R)−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの塩への変換)
8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンのL−酒石酸塩(300mg、0.87mmol)を、50%水酸化ナトリウム溶液(114μL、2.17mmol)を有する25mLの丸底フラスコに追加の2mLの水とともに、添加した。この混合物を3分間室温で攪拌した。溶液を塩化メチレン(5mL)で2回抽出した。合わせた有機抽出物を水(5mL)で洗浄し、ポンプでエバポレートして乾固させ、遊離アミン(220mg粗製重量)を得た。LC/MS196(M+H)。
【0290】
(工程6:(R)−N−トリフルオロアセチル−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
ジクロロメタン(50mL)中の(R)−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(1.0g、4.31mmol)の溶液を、0℃で、ピリジン(1.0mL)および無水トリフルオロ酢酸(1.35g、6.46mmol)で処理した。これを20℃に温め、3時間攪拌し、1M HCl(25mL)で希釈した。これを、ジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、有機物をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、オフホワイト色の固体として1.7gを得た。H NMR(400MHz,CDCl,回転異性体の混合物)δ7.27(m,1H),6.96(m,1H),4.26(bm,0.6H),4.19−4.03(m,1.7H),3.92−3.87(m,0.8H),3.75−3.69(m,0.8H),3.47−3.22(m,2H),2.91(m,1H),1.28−1.25(m,3H)。MS C1313ClFNO+Hについての計算値:292,観測値:292。
【0291】
(工程7:(R)−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン)
化合物7を、(R)−N−トリフルオロアセチル−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンから、化合物5の調製について、本明細書中で記載された類似の2工程手順を利用して、調製した。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.40(d,J=8Hz,1H),7.16(d,J=8Hz,1H),4.17(m,1H),3.55(m,2H),3.5−3.3(m,2H),3.2−3.0(m,2H),1.43(d,J=7Hz,3H)。MS C1113ClN+Hについての計算値:230,観測値:230。
【0292】
(実施例3.8:(S)−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(化合物8)の調製)
【0293】
【化27】

(工程1:(S)−N−トリフルオロアセチル−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
ジクロロエタン(7mL)中のジクロロエタン(7mL)中の(S)−N−トリフルオロアセチル−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(0.875g、3.0mmol)の溶液を、N−ブロモスクシンイミド(0.284g、2.1mmol)およびトリフルオロメタンスルホン酸(0.639g、4.2mmol)で処理した。反応物を室温で16時間攪拌し、酢酸エチル(20mL)で希釈し、そして水(2×10mL)で抽出した。有機物をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中5%EtOAc、シリカ)によって、0.13gの無色油状物を得た。MS C1312BrClFNO+Hについての計算値:370,観測値:370。
【0294】
(工程2:(S)−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
化合物8を、(S)−N−トリフルオロアセチル−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンから、化合物5の調製について本明細書中に記載される類似の手順を使用して、調製した。(S)−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンを、(S)−N−トリフルオロアセチル−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンから得た。H NMR(400 MHz, CDCl)δ7.17(d,J=8Hz,1H),6.92(d,J=8Hz,1H), 3.92−3.87(m,1H),3.29−3.20(m,2H),3.11(dd,J=14,5Hz,1H),2.99(dd,J=14,2Hz,1H),2.74−2.65(m,2H),1.32(d,J=7Hz,3H)。MS C1113BrClN+Hについての計算値: 274,観測値:274。
【0295】
(実施例3.9:(R)−N−メチル−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(化合物9)の調製)
【0296】
【化28】

ジクロロエタン(3mL)中の(R)−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピン(0.05g、0.20mmol)の溶液を、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(0.073g、0.35mmol)およびホルムアルデヒド(0.017mL、37%水溶液)で処理した。これを、20℃で2時間攪拌した。反応物を15%NaOHで希釈し、酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。有機物をMgSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、0.42gを油状物として得た。 H NMR(400MHz,CDCl)δ7.19(d,J=8Hz,1H),6.89(d,J=8Hz,1H),3.91−3.88(m,1H),3.28(ddd,J=15,12,2Hz,1H),2.99−2.88(m,2H),2.68(ddd,J=15,5,1Hz,1H),2.36−2.32(m,4H),2.13(t,J=11Hz,1H),1.27(d,J=7Hz,3H)。MS C1215ClN+Hについての計算値:243,観測値:243。
【0297】
(実施例3.10:(S)−N−メチル−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
【0298】
【化29】

(工程1:(S)−N−メチル−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンの調製)
化合物10を、(S)−8,9−ジクロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンから、化合物9の調製ついての本明細書中に記載の類似の手順を使用して、調製した。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.19(d,J=8Hz,1H),6.89(d,J=8Hz,1H),3.91−3.88(m,1H),3.28(ddd,J=15,12,2Hz,1H),2.99−2.88(m,2H),2.68(ddd,J=15,5,1Hz,1H),2.36−2.32(m,4H),2.13(t,J=11Hz,1H),1.27(d,J=7Hz,3H)。MS C1215ClN+Hについての計算値:243,観測値:243。
【0299】
(実施例3.11:(S)−N−メチル−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロー1H−3−ベンズアゼピン(化合物11)の調製)
【0300】
【化30】

化合物11を、(S)−9−ブロモ−8−クロロ−1−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピンから、化合物9の調製について本明細書中に記載される類似の手順を使用して、調製した。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.18(d,J=8Hz,1H),6.92(d,J=8Hz,1H),3.94−3.88(m,1H),3.29(ddd,J=15,12,2Hz,1H),2.98−2.93(m,1H),2.90(ddd,J=15,6,1Hz,1H),2.36−2.32(m,4H)2.13(t,J=11Hz,1H),1.33(d,J=7Hz,3H)。MS C1215ClN+Hについての計算値:288,観測値:288。
【0301】
(実施例4 本発明の選択された化合物についてのエナンチオマーの分離)
本発明の化合物は、20mm×250mm Chiralcel ODキラルカラムを有するVarian ProStar HPLCシステムを使用して、種々の濃度のヘキサン中のイソプロパノール(IPA)(例えば、ヘキサン中5%IPA、ヘキサン中1%IPAなどの濃度)中の0.2%ジエチルアミンで溶出して、それぞれのエナンチオマーに分離され得る。
【0302】
本明細書において言及されるかまたは参照される特許、出願、印刷された刊行物、および他の刊行された文書のそれぞれがその全体において、本明細書中で参考として援用されることが理解される。
【0303】
当業者は、多くの変更および改変が、本発明の好ましい実施形態に対してなされ得、このような変更および改変が、本発明の精神から逸脱することなしになされ得ることを理解する。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲内であるこのような等価な変更全てを網羅することが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2011−162564(P2011−162564A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−118521(P2011−118521)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【分割の表示】特願2006−517455(P2006−517455)の分割
【原出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(500478097)アリーナ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (97)
【Fターム(参考)】