説明

5HT2Cレセプター関連障害の処置に有用な5HT2CレセプターのモジュレーターとしてのN−ビアリールピペラジン誘導体およびN−アリールヘテロアリールピペラジン誘導体

本発明は、5HT2Cレセプターのモジュレーターである式(Ia)の特定のビアリールピペラジン誘導体およびアリールヘテロアリールピペラジン誘導体に関する。したがって、本発明の化合物は、5HT2Cレセプター関連疾患または5HT2Cレセプター関連障害(例えば、肥満、アルツハイマー病、勃起機能不全および関連障害)の処置に有用である。薬学的に受容可能なキャリアーと組み合わせて、本発明の化合物を含む、薬学的組成物もまた提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、5HT2Cレセプターのモジュレーターである、特定のビアリールピペラジン誘導体およびアリールへテロアリールピペラジン誘導体に関する。したがって、本発明の化合物は、5HT2Cレセプターに関連する疾患または障害(例えば、肥満、アルツハイマー病、勃起機能不全および他の関連障害)の処置に有用である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
肥満は、随伴する疾患(例えば、II型糖尿病、高血圧、脳卒中、特定の種類の癌、および胆嚢疾患が挙げられるが、これらに限定されない)により生ずる罹患および死亡の危険性が上昇している、生命を脅かす障害である。
【0003】
肥満は、欧米諸国における主要なヘルスケア問題となっており、一部の第三世界においてもますますそうなりつつある。肥満の人の数の増加は、脂肪含有量の高い食物に対する好みが増大しているところが大きいが、多くの人々の生活における活動の低減によるところも大きく、このことがより重要な要因となり得る。過去10年間で米国における肥満の発生率は30%上昇し、現在米国の人口の約30%が肥満と考えられる。肥満と関連付けられる健康問題の認識が増大しているにも関わらず、過体重または肥満である個体の百分率は増加し続けている。実際に、1970年代初頭以来、過体重と定義される小児および思春期の人の百分率は2倍を超えており、現在、小児および思春期の人のうち約13パーセントが、深刻な過体重である。最も重大な懸念は、公衆衛生の観点からすると、過体重の小児達は、成長して過体重または肥満の大人になり、それゆえに、主要な健康問題のより大きな危険に曝されるということである。したがって、過体重または肥満である個体の数が増加し続けるものと思われる。
【0004】
ある人が過体重または肥満に分類されるかどうかは、一般的に、体重(キログラム(Kg))を身長の二乗(平方メートル(m))で除して計算される、その人のボディーマス指数(BMI)に基づいて決定される。したがって、BMIの単位は、Kg/mである。このBMIは、身長および体重の他のどのような指標よりも、高度に体脂肪と相関している。ある人が25kg/m〜30kg/mの範囲のBMIを有する場合、その人は過体重と見なされる。一方で、30kg/mを上回るBMIを有する人は、肥満と分類され、肥満はさらに、クラスI(約30kg/m〜約34.9kg/mのBMI)、クラスII(約35kg/m〜39.9kg/mのBMI)およびクラスIII(約40kg/m以上)の3つのクラスに分けられる;以下の完全な分類に関する表1を参照されたい。
【0005】
【表1】

ある個体のBMIが上昇するにつれ、正常なBMIを有する個体と比べて罹患および死亡の危険性が増す。したがって、過体重および肥満の個体(約25kg/m以上のBMI)は、身体の病気(例えば、高血圧、心血管疾患(特に高血圧症)、高血中コレステロール、異常脂血症(dyslipidemia)、II型(非インシュリン依存性)糖尿病、インシュリン抵抗性、グルコース不耐性、高インシュリン血症、冠動脈性心疾患、狭心症、鬱血性心不全、脳卒中、胆石、胆嚢炎(cholescystitis)および胆石症、痛風、骨関節症、閉塞性睡眠時無呼吸および呼吸に関連する問題、ある種の癌(例えば、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌)、妊娠の合併症、女性の生殖に関する不健康(例えば、月経不順、不妊症、不規則な排卵)、生殖に関する疾患(例えば、男性の勃起機能不全を含む、男性および女性の両方の性的機能不全)、膀胱制御の問題(例えば、ストレス失禁症)、尿酸腎石症、精神障害(例えば、鬱病、摂食障害、歪んだ身体像および低自尊心)が挙げられるが、これらに限定されない)の増大した危険に曝されている。体重の適度な減少であっても、他の病気(例えば、冠動脈性心疾患が挙げられるが、これに限定されない)を発生させる危険性の重大な減少に相当し得ることが、調査により示された。
【0006】
上述したように、肥満は、心血管疾患を発症する危険性を増大させる。冠動脈不全、アテローム性疾患および心不全は、肥満によって誘発される心血管合併症の主要なものである。冠動脈疾患の発生率は、30%の過体重である50歳未満の被験体で2倍になる。糖尿病の患者は、寿命の30%の減少に直面する。45歳以降、糖尿病の人は、重大な心疾患を有する可能性が糖尿病ではない人の約3倍高く、脳卒中を有する可能性は5倍まで高くなる。これらの知見は、NIDDMおよび冠動脈性心疾患に関する危険因子と、肥満の予防に基づくこれらの状態の予防に対する統合したアプローチの潜在的価値との間の相互関係を強調する(非特許文献1)。全人口が理想的な体重を有するのであれば、冠動脈不全の危険性は25%減少し、心不全および大脳血管偶発症候の危険性は35%減少すると推定される。
【0007】
糖尿病はまた、腎疾患、眼疾患および神経系の問題の発症とも関係付けられた。腎疾患(ネフロパシーとも呼ばれる)は、腎臓の「濾過機構」が損傷を受け、タンパク質が過剰量で尿中に漏れ入る場合に起こり、最終的に腎臓が働かなくなる。糖尿病はまた、網膜への損傷の主要原因であり、白内障および緑内障の危険性を増大させる。最後に、糖尿病は、痛みを感じる能力を妨げて深刻な感染症の一因となる、神経損傷(特に脚および足の神経損傷)と関連づけられる。以上のことから、糖尿病合併症は、国家の死亡の主要原因のうちの1つである。
【0008】
過体重または肥満である個体のための処置の第一線は、食事および生活様式についての助言(例えば、食事の脂肪含有量を減少させること、および身体活動を増加させること)を提供することである。しかしながら、多くの患者は、これらを続けることが困難であると気付き、これらの努力による結果を維持するために薬物療法によるさらなる助力を必要とする。
【0009】
現在市販される大部分の製品は、効力の不足、または容認し得ない副作用のプロフィールのために、肥満の処置としては不成功であった。これまでのところ最も成功した薬物は、間接的に作用する5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)アゴニストd−フェンフルラミン(ReduxTM)であったが、患者集団のうちの3分の1までの心臓弁不良の報告が、1998年にFDAによるその取り消しに繋がった。
【0010】
さらに、以下の2種の薬物が、最近、米国および欧州で売り出された:オルリスタット(Orlistat)(XenicalTM)という、膵臓リパーゼの阻害により脂肪の吸収を妨げる薬物、およびシブトラミン(ReductilTM)という、5−HT/ノルアドレナリン再取り込みインヒビター。しかしながら、これらの製品と関連する副作用が、それらの長期的な利用を制限し得る。XenicalTMを用いた処置は、一部の患者で胃腸の疲労を誘発することが報告され、一方で、シブトラミンは、一部の患者の血圧の上昇と関連付けられた。
【0011】
セロトニン(5−HT)神経伝達は、健康障害および精神医学的障害の両方における数多くの生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たす。5−HTは、しばらくの間は、摂食行動の制御に関連付けられている。5−HTは、満腹感または飽満感を誘発することによって作用し、その結果、摂食がより早期に終わり、より少ないカロリーが消費される。5HT2Cレセプターに対する5−HTの刺激作用が、摂食の制御およびd−フェンフルラミンの抗肥満効果に重要な役割を果たすことが示されている。5HT2Cレセプターは、脳(特に、辺縁系構造、錐体外路、視床および視床下部(すなわちPVNおよびDMH)、そして主に、脈絡叢)において高密度で発現され、末梢組織においては低密度で発現されるかまたは存在しないので、選択的5HT2Cレセプターアゴニストは効果的かつ安全な抗肥満剤であり得る。また、5HT2Cノックアウトマウスは、認知障害および発作に対する感受性を有する過体重であり、したがって、5HT2Cレセプター関連疾患または5HT2Cレセプター関連障害における5HT2Cレセプターアゴニストの明確な用途を確立している。
【0012】
5HT2Cレセプターは、強迫性障害、ある形態の鬱病、および癲癇において役割を果たす。したがって、5HT2Cレセプターアゴニストは、抗パニック特性、および性的機能不全の処置に有用な特性を有し得る。さらに、5HT2Cレセプターアゴニストは、摂食障害(例えば、神経性食欲不振および神経性大食症が挙げられるが、これらに限定されない)の個体における精神医学的な症状および行動の処置に有用である。神経性食欲不振の個体は、しばしば、社会的孤立を示している。食欲不振の個体は、しばしば、鬱病および不安の症状、強迫観念、完全主義の特徴および柔軟性のない認知スタイル、ならびに性的無関心を示す。他の摂食障害としては、神経性食欲不振、神経性大食症、食欲異常亢進障害(強迫摂食)およびED−NOS(すなわち、他に特定されない摂食障害−正式な診断)が挙げられる。ED−NOSと診断された個体は、その個体が、特定の診断についての基準のうちのほんの一部を除く全てを満たす状況を含む、非定型の摂食障害を有する。その個体が食物および体重に関して行っていることは、正常でも健全でもない。
【0013】
さらに、5HT2Cレセプターはまた、他の疾患、状態および障害;例えば、アルツハイマー病(AD)にも関与している。現在アルツハイマー病(AD)に対して処方される治療剤は、酵素アセチルコリンエステラーゼを阻害することによって作用するコリン様作動剤である。得られる効果は、アセチルコリンのレベルの上昇であり、これが、ADの患者において適度にニューロン機能および認知を改善する。コリン作動性脳ニューロンの機能不全は、ADの初期の症状発現であるが、恐らくは、投与され得る用量が、末梢のコリン作動性の副作用(例えば、震え、吐き気、嘔吐および口内乾燥)によって制限されるために、これらの薬剤を用いて疾患の進行を遅らさせる試みはささやかにしか成功しなかった。さらに、ADが進行するに連れて、継続するコリン作用性ニューロン喪失のために、これらの薬剤は、その有効性を喪失する傾向がある。
【0014】
したがって、現在の療法に観察される副作用を伴わず、ADにおいて(特に認知を改善し、疾患の進行を遅らせるかまたは阻害することによって、症状を緩和することにおいて)有益な効果を有する薬剤の必要性がある。したがって、もっぱら脳内で発現されるセロトニン5HT2Cレセプターは、魅力的な標的である。
【0015】
ADの主要な特徴は、脳の選択された領域におけるアミロイド沈着物でできた老人斑の形成である。新たな治療は、これらの老人斑の生成の予防に焦点を当てるべきである。主にβ−アミロイドペプチド(Aβ)からなるアミロイド沈着物が、斑の中心を占める。Aβは、より大きなアミロイド前駆体タンパク質であるAPPに由来する40〜43残基のペプチドである(非特許文献2)。APPは、脳細胞中に高レベルで存在する、遍在性の膜貫通糖タンパク質である。APPはまた、分泌型として存在する。APPのAβ領域における切断により、長いN末端フラグメント(分泌されるAPP、APPs)が、細胞外腔へと分泌される。Aβ生産速度は、APPs分泌速度と逆に関連するようである。いくつかの細胞培養物において、APPs分泌は、分泌されるAβの減少を伴った(非特許文献3〜6)、このことは、APPの分泌されるAPPsへの刺激された分泌プロセスが、潜在的なアミロイド生成誘導体の形成の減少すなわち斑の形成の減少と関連していることを示唆している。
【0016】
APPsは、血漿および脳脊髄液中に見出される(非特許文献7および8)。膜結合型のAPPおよびAPPsの両方の豊富さを考慮すると、これらは重大な生物学的機能を有すると思われる。APPの機能についての現在の知識は、APPがニューロンおよびシナプスの構造および機能の維持のために決定的に必要であることを示す。膜結合型APPは、レセプター様構造(非特許文献9)を、GTP結合タンパク質と複合し得る細胞質ドメイン(非特許文献10)とともに有することが示唆された。膜に埋め込まれた全長のAPPはまた、細胞接着機能も有し得る(非特許文献11)。
【0017】
APPsは、インビトロで神経栄養性であり、かつ神経保護性であることが示された(非特許文献12および11)。APPsについて提案された他の機能としては、血液凝固の制御(非特許文献13、14および15)、創傷治癒(非特許文献16)、細胞外プロテアーゼ活性(非特許文献17および18)、神経突起伸長(非特許文献19および20)、細胞接着性(非特許文献21)、細胞増殖(非特許文献22および23)、および分化(非特許文献24、25および26)が挙げられる。
【0018】
非選択的セロトニン5HT2Cアゴニストであるデクスノルフェンフルラミン(dexnorfenfluramine)(DEXNOR)は、モルモットにおいて、反復投与に続き、インビボでのAβ産生レベルを低下させながら、アミロイド前駆体タンパク質(APPs)分泌を刺激した(非特許文献27)。モルモットのAPPとヒトのAPPとは98%の配列相同性を示し(非特許文献28)、これらのタンパク質が同様にプロセシングされ(非特許文献29)、Aβペプチド配列が同一である(非特許文献30)ことから、モルモットが選択された。DEXNORは非選択的であるが、観察された効果は、選択的セロトニン5HT2Cアンタゴニストによって減ぜられ、その一方で、選択的セロトニンHT2AアンタゴニストはDEXNOR効果を逆転させなかったので、このことは、セロトニン5HT2Cレセプターがこの効果の最も関連性のある標的であることを示した。
【0019】
さらに、5−HTは、セロトニン5HT2Aレセプターおよびセロトニン5HT2Cレセプターを介してAPPs外部ドメイン分泌を刺激する(非特許文献31)。この研究では、研究者らは、セロトニン5HT2Aレセプターまたはセロトニン5HT2Cレセプターを安定的に発現させていた3T3繊維芽細胞をセロトニン(5−HT)で刺激した。5−HTは、両細胞株で用量依存的に、APPs分泌を増加させた。APPs分泌の最大刺激は、約4倍で頂点に達した。選択的セロトニン5HT2Aアンタゴニストおよび5HT2Cアンタゴニストが、各細胞株においてその効果を阻止した。
【0020】
セロトニン5HT2Cレセプターアゴニストは、ADを処置するのに有効であり得、かつ老人斑を予防するにも有効であり得る。この主張に対する支持は、Aβが神経毒性であってADに関与する老人斑における重要な成分であることが公知であり、APPs分泌とAβレベルとは逆に関連しているようであり、そしてインビボではセロトニン5HT2Cアゴニストがモルモットの脳脊髄液中で測定される場合にAPPsレベルを上昇させてAβのレベルを低下させるが、セロトニン5HT2Cアゴニストがセロトニン5HT2Cレセプターを安定的に発現させている細胞株におけるインビトロでのAPPsレベルを上昇させるという事実からくる。
【0021】
セロトニン5HT2Cレセプターにおいてアゴニスト活性を有する本発明の化合物をADの処置に使用することを支持する証拠がある。本発明の化合物は、単独でかまたはADに対して典型的に処方される別の1種以上の物質(例えば、AChEインヒビターであるが、これに限定されない)と組み合せて使用され得る。
【0022】
この5HT2Cレセプターの機能と関連付けられ得る別の疾患、障害または状態は、勃起機能不全(ED)である。勃起機能不全は、性交、射精またはその両方のために十分に堅い勃起を達成することも持続させることもできないことである。米国では推定2,000〜3,000万人の男性が、人生の一時期にこの状態になる。この状態の罹病率は、年齢とともに上昇する。40歳の男性のうちの5パーセントがEDを訴える。この率は、65歳までに15%〜25%に上昇し、75歳を超えた男性では55%まで上昇する。
【0023】
勃起機能不全は、数多くの異なる問題から起こり得る。これらの問題としては、情欲もしくは性欲の喪失、勃起を持続させることができないこと、早発射精、射精不足、およびオルガスムを達成することができないことが挙げられる。しばしば、これらの問題のうちの2つ以上が同時に現れる。これらの状態は、他の疾患状態(典型的には慢性状態)に対して続発性であるか、泌尿生殖系もしくは内分泌系の特定の障害の結果であるか、薬理学的薬剤(例えば、抗高血圧薬、抗鬱薬、抗精神病薬など)を用いた処置に対して続発性であるか、または精神医学的問題の結果であり得る。勃起機能不全は、器質性の場合、主に、アテローム硬化症、糖尿病および高血圧と関連する血管の不規則性に起因する。
【0024】
男性および女性における性的機能不全の処置のためのセロトニン5HT2Cアゴニストの使用に関する証拠がある。セロトニン5HT2Cレセプターは、感覚情報の処理および統合、中央モノアミン作動系の制御、および神経内分泌応答、不安、摂食行動および脳脊髄液産生の調整に関与している(非特許文献32)。さらに、セロトニン5HT2Cレセプターは、ラット、サルおよびヒトにおける陰茎勃起の媒介に関係付けられた。
【0025】
5HT2Cレセプターが陰茎勃起を媒介する正確な機序は、未だ知られていない。しかしながら、陰茎勃起の媒介におけるセロトニン5HT2Cレセプターの役割を支持する間接的および直接的な申し分のない証拠がある。陰茎が脊髄中に位置する交感神経および副交感神経の核からの自律神経支配を受けることが、解剖学的研究によって示された(非特許文献33)。一致して、陰茎勃起が脊髄反射によって制御されることを、実験データおよび臨床データが支持する。5HT脊髄レセプターの活性化が麻酔されたネコにおける陰部反射を促進することが、より綿密な分析により示された(非特許文献34)。したがって、5HT2Cレセプターの刺激は、勃起促進性(proerectile)であることが示され(非特許文献35)、勃起促進性の脊髄副交感神経ニューロン上にある5HT2Cレセプターが記載された(非特許文献36)。
【0026】
間接的証拠は、選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)の使用によって誘発される副作用の調査および報告から得られる。SSRIは、セロトニン5HT2Cレセプターにおけるアンタゴニスト作用を示した(非特許文献37、38および39)。ヒトにおいて示されたSSRIの最も有害な副作用の中でも、陰茎勃起を達成することの困難性が増大した。SSRIは豊富な薬理学的プロフィールを有するが、5HT2CレセプターにおけるSSRIのアンタゴニスト効果は、陰茎勃起の阻害に関連し得ると考えられる(非特許文献39)。
【0027】
さらなる証拠は、セロトニン5HT2Cレセプターに対する公知のアゴニスト活性を有する種々の化合物に関する研究から得られる。ラットおよびアカゲザルを用いて薬理学的研究が、セロトニン5HT2Cレセプターのアゴニストの勃起促進特性の直接的な証拠を提供する(非特許文献35および40)。これらの勃起促進効果は、セロトニン5HT2Aレセプターおよびセロトニン5HT2Bレセプターに対するそれぞれのアンタゴニストによって影響されなかった。これらのセロトニン5HT2Cレセプターのアンタゴニストは、5−HT2Cアゴニストの勃起促進効果を減じた。この阻害作用は、5−HT2Cレセプターに対する各アンタゴニストの親和性に対応した。さらに、セロトニン5HT2Aレセプターおよびセロトニン5HT2Bレセプターのアゴニストは、陰茎勃起を誘発しなかった。
【非特許文献1】Perry,I.J.,et al.BMJ、1995年、310、pp560−564
【非特許文献2】Selkoe DJ,et al.Ann Rev Neurosci、1994年、17:489−517
【非特許文献3】Buxbaum JD,et al.Proc Nat Acad Sci、1993年、90:9195−9198
【非特許文献4】Gabuzda D,et al.J Neurochem、1993年、61:2326−2329
【非特許文献5】Hung AY,et al.J Biol Chem、1993年、268:22959−22962
【非特許文献6】Wolf BA,et al.J Biol Chem、1995年、270:4916−4922
【非特許文献7】Ghiso J,et al.Biochem Biophys Res Comm、1989年、163:430−437
【非特許文献8】Podlisny MB,et al.Biochem Biophys Res Commun、1990年、167:1094−1101
【非特許文献9】Kang J,et al.Nature、1987年、325:733−736
【非特許文献10】Nishimoto I.,et al.Nature、1993年、362:75−79
【非特許文献11】Qiu W.,et al.J Neurosci、1995年、15:2157−2167
【非特許文献12】Mattson MP,et al.Neuron、1993年、10:243−254
【非特許文献13】Cole GM,et al.Biochem Biophys Res Commun、1990年、170:288−295
【非特許文献14】Smith RP,et al.Science、1990年、248:1126−1128
【非特許文献15】Van Nostrand et al.Science、1990年、248:745−748
【非特許文献16】Cunningham JM,et al.Histochemistry、1991年、95:513−517
【非特許文献17】Oltersdorf T,et al.Nature(London)、1989年、341:144−147
【非特許文献18】Van Nostrand WE,et al.Nature、1989年、341:546−548
【非特許文献19】Jin L.,et al.J Neurosci、1994年、14:5461−5470
【非特許文献20】Robakis NK,et al.、T.Miyatake,D.J.SelkoeおよびY.Ihara編、Molecular Biology of Alzheimer’s Disease、1990年、pp.179−188、Elsevier Science Publishers B.V.、Amsterdam
【非特許文献21】Schubert D,et al.Neuron、1989年、3:689−694
【非特許文献22】Bhasin R.,et al.Proc Natl Acad Sci USA、1991年、88:10307−10311
【非特許文献23】Saitoh T.,Cell、1989年、58:615−622
【非特許文献24】Araki W.,et al.Biochem Biophys Res Commun、1991年、181:265−271
【非特許文献25】Milward EA,et al.Neuron、1991年、9:129−137
【非特許文献26】Yamamoto K,et al.J Neurobiol、1994年、25:585−594
【非特許文献27】Arjona A,et al.「Effect of a 5HT2C serotonin agonist,dexnorfenfluramine,on amyloid precursor protein metabolism in guinea pigs」、Brain Res、2002年、951:135−140
【非特許文献28】Beck M.,et al.Biochem Biophys Acta、1997年、1351:17−21
【非特許文献29】Beck M.,et al.Neuroscience、1999年、95:243−254
【非特許文献30】Johnstone EM,et al.Brain Res Mol Brain Res、1991年、10:299−305
【非特許文献31】Nitsch RM,et al.J Biol Chem、1996年、271(8):4188−4194
【非特許文献32】Tecott,L.H.,et al.Nature、1995年、374:542−546
【非特許文献33】Pescatori ES,et al.J Urol、1993年、149:627−32
【非特許文献34】Danuser HおよびThor KB、Br J Pharmacol、1996年、118:150−4
【非特許文献35】Millan MJ,et al.European Journal of Pharmacology、1997年、325
【非特許文献36】Bancila M et al.Neuroscience、1999年、92:1523−37
【非特許文献37】Jenck et al.European Journal of Pharmacology 1993年、231:223−229
【非特許文献38】Lightlowler et al.European Journal of Pharmacology、1996年、296:137−43
【非特許文献39】Palvimaki,E.,et al.Psychopharmacology、1996年、126:234−240
【非特許文献40】Pomerantz,et al.European Journal of Pharmacology、1993年、243:227−34
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
要約すると、5HT2Cレセプターは、5HT2C媒介性レセプター疾患および5HT2C媒介性レセプター障害(例えば、肥満、摂食障害、精神医学的障害、アルツハイマー病、性的機能不全および性的機能不全に関連する障害)の予防および/または処置に対する、実証されかつ十分に容認されたレセプター標的である。これらの必要性に安全に取り組み得る選択的5HT2Cレセプターアゴニストの必要性が存在することが理解され得る。本発明は、これらならびに他の重要な目的に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0029】
(発明の要旨)
本発明は、5HT2Cレセプターに結合して5HT2Cレセプターを活性化させる化合物およびそれらの使用に関する。本明細書中で使用される場合、用語5HT2Cレセプターは、GeneBank登録番号AF498983に見出されるヒト配列、天然に存在する対立遺伝子改変体、哺乳動物オルソログ(ortholog)、およびそれらの組み換え変異体を含む。
【0030】
本発明の1つの局面は、式(Ia):
【0031】
【化2】

によって表されるような特定のビアリールピペラジン誘導体およびアリールヘテロアリールピペラジン誘導体、またはそれらの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物に関し;
ここで:
は、HまたはC1〜4アルキルであり;
、R、RおよびRは、各々独立して、H、C1〜4アルキル、C1〜4ハロアルキルまたはハロゲンであるが、但し、少なくとも1つの基はH以外であり;そして
Arは、C1〜4アシル、C1〜4アシルオキシ、C1〜4アシルチオキシ、C2〜4アルケニル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルカルボキサミド、C1〜4アルキルスルフィニル、C1〜4アルキルスルホンアミド、C1〜4アルキルスルホニル、C1〜4アルキルチオ、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、カルボ−C1〜4−アルコキシ、カルボキサミド、シアノ、C2〜6ジアルキルアミノ、C1〜4ハロアルコキシ、C1〜4ハロアルキル、C1〜4ハロアルキルスルフィニル、C1〜4ハロアルキルスルホニル、C1〜4ハロアルキルチオ、ハロゲン、ヒドロキシルおよびチオールからなる群より独立して選択される、1個、2個、3個、4個または5個の置換基で必要に応じて置換されている、アリールまたはヘテロアリールである。
【0032】
本発明の別の局面は、薬学的に受容可能なキャリアーと組み合せた本発明の化合物を含む薬学的組成物に関する。
【0033】
本発明の別の局面は、5HT2Cレセプターを活性化させる方法に関し、この方法は、レセプターを治療有効量の本発明の化合物と接触させる工程を包含する。一部の実施形態において、この化合物は、5HT2Cレセプターのアゴニストである。
【0034】
本発明の別の局面は、5HT2Cレセプター関連障害を処置する方法に関し、この方法は、そのような処置を必要とする個体に、有効量の本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0035】
本発明の別の局面は、中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸を処置する方法に関し、この方法は、そのような処置を必要とする個体に、治療有効量の本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0036】
本発明の別の局面は、個体の食物摂取を減少させる方法に関し、この方法は、個体に、治療有効量の本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0037】
本発明の別の局面は、個体において飽満を誘発する方法に関し、この方法は、個体に、治療有効量の本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0038】
本発明の別の局面は、個体の体重増加を制御する方法に関し、この方法は、体重制御を受けている個体に、治療有効量の本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0039】
本発明の別の局面は、薬学的組成物を生成する方法に関し、この方法は、本発明の化合物と薬学的に受容可能なキャリアーとを混合する工程を包含する。
【0040】
本発明の別の局面は、治療によるヒトまたは動物の身体の処置の方法における使用のための本発明の化合物に関する。
【0041】
本発明の別の局面は、治療によるヒトまたは動物の身体の5HT2Cレセプター関連障害の処置の方法における使用のための本発明の化合物に関する。
【0042】
本発明の別の局面は、治療によるヒトまたは動物の身体の中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の処置の方法における使用のための本発明の化合物に関する。
【0043】
本発明の別の局面は、5HT2Cレセプター関連障害の処置における使用のための医薬の生成のための本発明の化合物の使用に関する。
【0044】
本発明の別の局面は、中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の処置における使用のための医薬の生成のための本発明の化合物の使用に関する。
【0045】
一部の実施形態において、中枢神経系の障害は、鬱病、非定型鬱病、双極性障害、不安障害、強迫性障害、社会恐怖症またはパニック状態、睡眠障害、性的機能不全、精神病、精神分裂病、片頭痛および頭の痛みまたは他の痛みに関連した他の状態、上昇した頭蓋内圧、癲癇、人格障害、アルツハイマー病、加齢性行動障害、認知症に関連する行動障害、器質性精神障害、小児の精神障害、攻撃性、加齢性記憶障害、慢性疲労症候群、薬物嗜癖およびアルコール嗜癖、肥満、過食症、神経性食欲不振および月経前緊張症からなる群より選択される。
【0046】
一部の実施形態において、中枢神経系の障害は、肥満である。
【0047】
一部の実施形態において、中枢神経系の障害は、アルツハイマー病である。
【0048】
一部の実施形態において、中枢神経系の障害は、男性の勃起機能障害である。
【0049】
一部の実施形態において、中枢神経系への損傷は、外傷、脳卒中、神経変性疾患、毒性CNS疾患または感染性CNS疾患である。
【0050】
一部の実施形態において、中枢神経系への損傷は、脳炎または髄膜炎である。
【0051】
一部の実施形態において、心血管障害は、血栓症である。
【0052】
一部の実施形態において、胃腸障害は、胃腸運動の機能不全である。
【0053】
一部の実施形態において、個体は、哺乳動物である。一部の実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。一部の実施形態において、ヒトは、約18.5〜約45のボディーマス指数を有する。一部の実施形態において、ヒトは、約25〜約45のボディーマス指数を有する。一部の実施形態において、ヒトは、約30〜約45のボディーマス指数を有する。一部の実施形態において、ヒトは、約35〜約45のボディーマス指数を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
(発明の詳細な説明)
(定義)
明確性および一貫性のために、以下の定義が本特許文書全体にわたり使用される。
【0055】
「アゴニスト」は、レセプター(例えば、5HT2Cレセプター)と相互作用してレセプターを活性化させ、そのレセプターに特有の生理学的応答または薬理学的応答を起こす部分を意味するものとする。例えば、部分がそのレセプターと結合すると細胞内応答を活性化する場合、または膜に対するGTP結合を向上させる場合である。
【0056】
用語「アンタゴニスト」は、アゴニスト(例えば、内因性リガンド)と同じ位置でレセプターと競合的に結合するが、レセプターの活性型によって起こされる細胞内応答を活性化させず、そのため、アゴニストまたは部分アゴニストによる細胞内応答を阻害し得る部分を意味することが意図される。
【0057】
(化学基、部分またはラジカル)
用語「C1〜4アシル」は、カルボニルに結合したアルキルラジカルを意味し、ここで、アルキルの定義は、本明細書中に記載されるものと同じ定義を有する;一部の例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、イソ−ブタノイルなどが挙げられる。
【0058】
用語「C1〜4アシルオキシ」は、酸素原子と結合したアシルラジカルを意味し、ここで、アシルは、本明細書中に記載されたものと同じ定義を有する;一部の例としては、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブタノイルオキシ、イソ−ブタノイルオキシなどが挙げられる。
【0059】
用語「C1〜4アシルチオキシ」は、酸素原子と結合したチオアシル[すなわち、アルキル−C(=S)−]ラジカルを意味する;一部の例としては、アセチルチオオキシ[すなわち、CHC(=S)O−]、プロピオニルチオオキシ、イソ−ブタノイルチオオキシなどが挙げられる。
【0060】
用語「C2〜4アルケニル」は、2個〜4個の炭素を含むラジカルであって、ここで、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合が存在するラジカルを意味し、一部の実施形態は3個の炭素を有し、そして、一部の実施形態は2個の炭素を有する。E異性体およびZ異性体、ならびにE異性体とZ異性体との混合物がともに、用語「アルケニル」に包含される。アルケニルの例としては、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ブテニルなどが挙げられる。
【0061】
用語「C1〜4アルコキシ」は、本明細書中で使用される場合、酸素原子に直接的に結合した、本明細書中に定義される通りのラジカルアルキルを意味する。例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、イソ−ブトキシなどが挙げられる。
【0062】
用語「C1〜4アルキル」は、直鎖状または分枝状の炭素ラジカルであって、それぞれ1個〜8個の炭素または1個〜4個の炭素を含む、炭素ラジカルを意味し、一部の実施形態は1個〜6個の炭素であり、一部の実施形態は1個〜3個の炭素であり、そして、一部の実施形態は、1個または2個の炭素である。アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、sec−ペンチル、ネオ−ペンチル、ペント−3−イル、2−メチル−ブト−1−イル、1,2−ジメチル−プロプ−1−イル、n−ヘキシル、イソ−ヘキシル、sec−ヘキシル、ネオ−ヘキシル、1−エチル−2−メチル−プロプ−1−イル、1,2,2−トリメチル−プロプ−1−イル、1,1,2−トリメチル−プロプ−1−イル、1−エチル−1−メチル−プロプ−1−イル、1,1−ジメチル−ブト−1−イル、1,2−ジメチル−ブト−1−イル、2,3−ジメチル−ブト−1−イル、2,2−ジメチル−ブト−1−イル、1,3−ジメチル−ブト−1−イル、ヘキサ−3−イル(hex−3−yl)、2−メチル−ペント−1−イル、3−メチル−ペント−1−イルなどが挙げられる。
【0063】
用語「C1〜4アルキルカルボキサミド」は、アミドと結合した単一のアルキル基を意味し、ここで、アルキルは、本明細書中に見出されるものと同じ定義を有する。C1〜5アルキルカルボキサミドは、以下によって示され得る:
【0064】
【化3】


【0065】
用語「C1〜4アルキルスルフィニル」は、式:−S(O)−のスルホキシドラジカルと結合したアルキルラジカルを意味し、ここで、このアルキルラジカルは、本明細書中に記載されるものと同じ定義を有する。例としては、メチルスルフィニル、エチルスルフィニルなどが挙げられる。
【0066】
用語「C1〜4アルキルスルホンアミド」は、以下の基をいう:
【0067】
【化4】


【0068】
用語「C1〜4アルキルスルホニル」は、式:−S(O)−のスルホンラジカルと結合したアルキルラジカルを意味し、ここで、このアルキルラジカルは、本明細書中に記載されるものと同じ定義を有する。例としては、メチルスルホニル、エチルスルホニルなどが挙げられる。
【0069】
用語「C1〜4アルキルチオ」は、式:−S−のスルフィドと結合したアルキルラジカルを意味し、ここで、このアルキルラジカルは、本明細書中に記載されるものと同じ定義を有する。例としては、メチルスルファニル(すなわち、CHS−)、エチルスルファニル、イソプロピルスルファニルなどが挙げられる。
【0070】
用語「C1〜4アルキルアミノ」は、アミノラジカルと結合した1個のアルキルラジカルを意味し、ここで、このアルキルラジカルは、本明細書中に記載されるものと同じ意味を有する。一部の例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノなどが挙げられる。
【0071】
用語「アリール」は、6個〜10個の環炭素を含む芳香族環ラジカルを意味する。例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0072】
用語「カルボ−C1〜4−アルコキシ」は、カルボン酸のアルキルエステルであって、アルキル基がC1〜4のものをいう。例としては、カルボメトキシ、カルボエトキシ、カルボイソプロポキシなどが挙げられる。
【0073】
用語「カルボキサミド」は、基−CONHをいう。
【0074】
用語「シアノ」は、基−CNを意味する。
【0075】
用語「C2〜6ジアルキルアミノ」は、同じかまたは異なるC1〜3アルキルラジカルのうちの2つで置換されているアミノを意味し、ここで、アルキルラジカルは、本明細書中に記載されるものと同じ定義を有する。一部の例としては、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノなどが挙げられる。
【0076】
用語「C1〜4ハロアルコキシ」は、本明細書中で定義される通りのハロアルキルであって、酸素と直接的に結合して、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシなどを形成するものを意味する。
【0077】
用語「アミノ」は、基−NHを意味する。
【0078】
用語「C1〜4ハロアルキル」は、本明細書中で定義されるアルキル基であって、このアルキルが、少なくとも1つのハロゲンで置換されたものから、式C2n+1(式中、Lはハロゲンである)によって表される完全に置換されたものまでを意味する;1つより多くのハロゲンが存在する場合、それらのハロゲンは同じであっても異なっていてもよく、F、Cl、BrまたはIより選択され得る。例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチルなどが挙げられる。
【0079】
用語「C1〜4ハロアルキルスルフィニル」は、式:−S(O)−のスルホキシドと結合したハロアルキルラジカルを意味し、ここで、このアルキルラジカルは、本明細書中に記載されるものと同じ定義を有する。例としては、トリフルオロメチルスルフィニル、2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル、2,2−ジフルオロエチルスルフィニルなどが挙げられる。
【0080】
用語「C1〜4ハロアルキルスルホニル」は、式:−S(O)−のスルホンと結合したハロアルキルを意味し、ここで、ハロアルキルは、本明細書中に記載されるものと同じ定義を有する。例としては、トリフルオロメチルスルホニル、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル、2,2−ジフルオロエチルスルホニルなどが挙げられる。
【0081】
用語「C1〜4ハロアルキルチオ」は、1つ以上のハロゲンで置換されているアルキルチオラジカルを意味する。例としては、トリフルオロメチルチオ、1,1−ジフルオロエチルチオ、2,2,2−トリフルオロエチルチオなどが挙げられる。
【0082】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、F、Cl、BrおよびIを意味する。
【0083】
用語「ヘテロアリール」は、単一の環、縮合した2つの環または縮合した3つの環であり得る芳香族環系であって、少なくとも1つの環炭素が、O、SおよびN(これらに限定されない)からなる群より選択されるヘテロ原子で置換されており、ここで、このNが、H、C1〜4アシルまたはC1〜4アルキルで必要に応じて置換され得るものを意味する。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、ベンゾフラニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリン、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、1H−ベンズイミダゾール、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、このヘテロアリール原子は、基O、S、NHおよびNより選択される;例としては、ピロール、インドールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
用語「ヒドロキシル」は、基−OHをいう。
【0085】
用語「チオール」は、基−SHを意味する。
【0086】
「組成物」は、少なくとも2種の化合物または2種の成分を含む物質を意味するものとする;例えば、薬学的組成物は組成物であるが、これに限定するわけではない。
【0087】
「接触させる」または「接触させること」は、インビトロ系であるかインビボ系であるかによらず、示された部分を一緒にすることを意味するものとする。したがって、5HT2Cレセプターを本発明の化合物と「接触させること」は、5HT2Cレセプターを有する本発明の化合物の個体(好ましくは、ヒト)への投与、ならびに、例えば、5HT2Cレセプターを含む細胞調製物またはより精製された調製物を含むサンプルに、本発明の化合物を導入することを含む。
【0088】
「処置を必要とする」は、本明細書中で使用される場合、個体または動物が処置を必要とするかまたは処置から恩恵を受けるとの、医療提供者(例えば、ヒトの場合には、医師、看護師、看護実施者など;非ヒト哺乳動物を含む動物の場合には、獣医師)によってなされる判断をいう。この判断は、種々の要因に基づいてなされ、これらの要因は、医療提供者の専門的見解の領域であるが、本発明の化合物によって処置し得る疾患、状態または障害の結果として、個体または動物が病気である、または病気になるという認識を含む。したがって、本発明の化合物は、保護的または予防的な様式で使用され得る;あるいは、本発明の化合物は、その疾患、状態または障害を緩和、阻害または改善するために使用され得る。
【0089】
「個体」は、本明細書中で使用される場合、任意の動物(哺乳動物、好ましくは、マウス、ラット、他の齧歯動物、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、そして、最も好ましくは、ヒトを含む)をいう。
【0090】
「薬学的組成物」は、少なくとも1種の活性成分を含む組成物を意味するものとし、活性成分を含むことにより、この組成物は、哺乳動物(例えば、ヒトであるが、これに限定されない)における特定の有効な結果についての調査が容易になる。当業者は、ある活性成分が、当業者の必要性に基づく所望の有効な結果を有するかどうかを決定するのに適した技術を理解し、識別する。
【0091】
「治療有効量」は、本明細書中で使用される場合、研究者、獣医師、医師または他の臨床医師によって求められる、組織、系、動物、個体またはヒトにおける生物学的応答または薬物応答を誘発する活性化合物または薬学的物質の量をいい、この応答としては以下のうちの1つ以上が挙げられる:
(1)疾患を予防すること;例えば、疾患、状態または障害の素因があり得るが、まだその疾患の病状も総体的症状も、経験も提示もしていない個体において、その疾患、状態または障害を予防すること、
(2)疾患を阻害すること;例えば、疾患、状態または障害の病状または総体的症状を経験または提示している個体において、その疾患、状態または障害を阻害すること(すなわち、その病状および/または総体的症状のさらなる発展を抑止すること)、ならびに
(3)疾患を改善すること;例えば、疾患、状態または障害の病状または総体的症状を経験または提示している個体において、その疾患、状態または障害を改善すること(すなわち、その病状および/または総体的症状を逆転させること)。
【0092】
(本発明の化合物)
本発明の1つの局面は、式(Ia):
【0093】
【化5】

によって表される通りの特定のビアリールピペラジン誘導体およびアリールヘテロアリールピペラジン誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物に関する;ここで、Ar、R、R、R、RおよびRは、本明細書中、上記および下記に記載されるものと同じ定義を有する。
【0094】
明確性のために、別個の実施形態の文脈で記載されている本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合せて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈で記載されている本発明の特定の種々の特徴はまた、別個に、または任意の適切なその部分組み合わせでも提供され得る。本明細書中に記載される一般化学式[例えば、(Ia)、(Ic)、(Ie)など]中に含まれる可変部分(例えば、Ar、R、R、R、R、Rなど)によって表される化学基に関する実施形態の全ての組み合せは、まるでそれらが明示的に開示されているかのごとく、そのような組合せが安定的な化合物(すなわち、単離され、特徴付けられ、生物学的活性について試験され得る化合物)をもたらす化合物を包含する範囲まで、本発明によって具体的に包含される。さらに、そのような可変部分を記載している実施形態に列挙される化学基の全ての部分組み合わせ、ならびに本明細書中に記載される用途および医学的適応症の部分組み合わせもまた、まるでそのような化学基の部分組み合わせならびに用途および医学的適応症の部分組み合わせの各々が、本明細書中に明示的に開示されているかのごとく、本発明によって具体的に包含される。
【0095】
本明細書中で使用される場合、「置換された(置換されている)」は、化学基のうちの少なくとも1つの水素原子が、非水素置換基または非水素基によって置換されていることを示し、この非水素置換基または非水素基は、一価または二価であり得る。この置換基または基が二価である場合、この基が、別の置換基または基でさらに置換されていることが理解される。本明細書中の化学基が「置換された(置換されている)」場合、この化学基は、原子価いっぱいまでの置換を有し得る;例えば、メチル基は、1個、2個または3個の置換基によって置換され得、メチレン基は、1個または2個の置換基によって置換され得、フェニル基は、1個、2個、3個、4個または5個の置換基によって置換され得、ナフチル基は、1個、2個、3個、4個、5個、6個または7個の置換基で置換され得るなど。同様に、「1つ以上の置換基で置換された(置換されている)」は、1つの置換基から、基によって物理的に許容される総数までの置換基によるその基の置換をいう。さらに、基が1つより多くの基で置換される場合、それらは、同一であっても異なっていてもよい。
【0096】
式(Ia)の化合物は、1つ以上のキラル中心を有し得、したがって、鏡像異性体および/またはジアステレオ異性体として存在し得ることが理解され、そして評価される。本発明は、全てのそのような鏡像異性体、ジアステレオ異性体およびそれらの混合物(ラセミ体を含むが、これに限定されない)にまで拡張され、これらを包含することが理解される。したがって、本発明の1つの実施形態は、式(Ia)の化合物および本開示の全体にわたって使用されるR鏡像異性体である式の化合物に関する。さらに、本発明の1つの実施形態は、式(Ia)の化合物および本開示の全体にわたって使用されるS鏡像異性体である式の化合物に関する。式(Ia)の化合物および本開示の全体にわたって使用される式の化合物が、他の場合が指定されるか示されない限り、全ての個々の鏡像異性体およびそれらの混合物を表すことが意図されると理解される。
【0097】
本発明の一部の実施形態は、RがHである化合物に関する。一部の実施形態は、以下に示される通りの式(Ic)によって表され得:
【0098】
【化6】

ここで、式(Ic)中の各可変部分は、本明細書中、上記および下記に記載されるものと同じ意味を有する。
【0099】
本発明の一部の実施形態は、RがC1〜4アルキルである化合物に関する。一部の実施形態において、Rはメチルである。
【0100】
本発明の一部の実施形態は、R、R、RおよびRが、各々独立して、H、CH、CHCH、CH(CH、CHCHCH、CFまたはハロゲンであるが、但し、少なくとも1つの基が、H以外である化合物に関する。
【0101】
本発明の一部の実施形態は、R、RおよびRが、各々独立して、H、C1〜4アルキル、C1〜4ハロアルキルまたはハロゲンであり;そして、Rが、H、CH、CHCH、CH(CH、CHCHCHまたはCFであるが、但し、少なくとも1つのR、R、RおよびR基が、H以外である化合物に関する。
【0102】
本発明の一部の実施形態は、R、RおよびRが、各々独立して、H、C1〜4アルキル、C1〜4ハロアルキルまたはハロゲンであり;そして、Rが、H、CFまたはFであるが、但し、少なくとも1つのR、R、RおよびR基が、H以外である化合物に関する。
【0103】
本発明の一部の実施形態は、Rがハロゲンである化合物に関する。一部の実施形態において、Rは、FまたはClである。
【0104】
本発明の一部の実施形態は、RがCFである化合物に関する。
【0105】
本発明の一部の実施形態は、RがCHである化合物に関する。
【0106】
本発明の一部の実施形態は、Rがハロゲンであり;そして、R、RおよびRが、各々Hである化合物に関する。一部の実施形態において、Rは、FまたはClであり;そして、R、RおよびRは、各々Hである。
【0107】
本発明の一部の実施形態は、以下に例示される通りの(Ie)の化合物に関し:
【0108】
【化7】

ここで、式(Ie)中のAr、RおよびRは、本明細書中、上記および下記に記載されるものと同じ意味を有する。
【0109】
本発明の一部の実施形態は、Rがハロゲンである化合物に関する。一部の実施形態において、RはFである。
【0110】
本発明の一部の実施形態は、RがCFである化合物に関する。
【0111】
本発明の一部の実施形態は、RがCHである化合物に関する。
【0112】
本発明の一部の実施形態は、Rがハロゲンであり;そして、R、RおよびRが、各々Hである化合物に関する。一部の実施形態において、Rは、Fであり;そして、R、RおよびRは、各々Hである。
【0113】
本発明の一部の実施形態は、以下に例示される通りの(Ig)の化合物に関し:
【0114】
【化8】

ここで、式(Ig)中のAr、RおよびRは、本明細書中、上記および下記に記載されるものと同じ意味を有する。
【0115】
本発明の一部の実施形態は、RがCH以外の基である化合物に関する。
【0116】
本発明の一部の実施形態は、Rがハロゲンである化合物に関する。一部の実施形態において、RはFである。
【0117】
本発明の一部の実施形態は、RがCFである化合物に関する。
【0118】
本発明の一部の実施形態は、RがCHである化合物に関する。
【0119】
本発明の一部の実施形態は、Rがハロゲンであり;そして、R、RおよびRが、各々Hである化合物に関する。一部の実施形態において、RはFであり;そして、R、RおよびRは、各々Hである。
【0120】
本発明の一部の実施形態は、以下に例示される通りの(Ii)の化合物に関し:
【0121】
【化9】

ここで、式(Ii)中のAr、RおよびRは、本明細書中、上記および下記に記載されるものと同じ意味を有する。
【0122】
本発明の一部の実施形態は、Rがハロゲンである化合物に関する。一部の実施形態において、RはFである。
【0123】
本発明の一部の実施形態は、RがCFである化合物に関する。
【0124】
本発明の一部の実施形態は、RがCHである化合物に関する。
【0125】
本発明の一部の実施形態は、Rがハロゲンであり;そして、R、RおよびRが、各々Hである化合物に関する。一部の実施形態において、RはFであり;そして、R、RおよびRは、各々Hである。
【0126】
本発明の一部の実施形態は、以下に例示される通りの(Ik)の化合物に関し:
【0127】
【化10】

ここで、式(Ik)中のAr、RおよびRは、本明細書中、上記および下記に記載されるものと同じ意味を有する。
【0128】
本発明の一部の実施形態は、Arが、C1〜4アシル、C1〜4アシルオキシ、C1〜4アシルチオキシ、C2〜4アルケニル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルカルボキサミド、C1〜4アルキルスルフィニル、C1〜4アルキルスルホンアミド、C1〜4アルキルスルホニル、C1〜4アルキルチオ、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、カルボ−C1〜4−アルコキシ、カルボキサミド、シアノ、C2〜6ジアルキルアミノ、C1〜4ハロアルコキシ、C1〜4ハロアルキル、C1〜4ハロアルキルスルフィニル、C1〜4ハロアルキルスルホニル、C1〜4ハロアルキルチオ、ハロゲン、ヒドロキシルおよびチオールからなる群より独立して選択される、1個、2個、3個、4個または5個の置換基で必要に応じて置換されている、チエニル、フラニル、フェニルまたはピリジニルである化合物に関する。
【0129】
本発明の一部の実施形態は、Arが、ハロゲンで必要に応じて置換されているチエニル、フラニル、フェニルまたはピリジニルである化合物に関する。
【0130】
本発明の一部の実施形態は、Arが、チオフェン−3−イル、フラン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、ピリジン−3−イルおよびチオフェン−2−イルからなる群より選択される化合物に関する。
【0131】
本発明の一部の実施形態は、Arが、チオフェン−3−イル、フラン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、ピリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニルおよび4−トリフルオロメチルフェニルからなる群より選択される化合物に関する。
【0132】
本発明の一部の実施形態は、Arがフェニル以外の基である化合物に関する。
【0133】
本発明の一部の実施形態は:
がHであり;
、R、RおよびRが、各々独立して、Hまたはハロゲンであるが、但し、少なくとも1つの基がハロゲンであり;そして、
Arが、ハロゲンで必要に応じて置換されている、チエニル、フラニル、フェニルまたはピリジニルである
化合物に関する。
【0134】
本発明の一部の実施形態は:
がHであり;
、R、RおよびRが、各々独立して、Hまたはハロゲンであるが、但し、少なくとも1つの基がハロゲンであり;そして、
Arが、チオフェン−3−イル、フラン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、ピリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニルおよび4−トリフルオロメチルフェニルからなる群より選択される
化合物に関する。
【0135】
本発明の一部の実施形態は:
がHであり;
、R、RおよびRが、各々独立して、Hまたはハロゲンであるが、但し、少なくとも1つの基がハロゲンであり;そして、
Arが、チオフェン−3−イル、フラン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、ピリジン−3−イルおよびチオフェン−2−イルからなる群より選択される
化合物に関する。
【0136】
本発明の一部の実施形態は:
がHであり;
が、FまたはClであり;
、RおよびRが、各々Hであり;そして、
Arが、チオフェン−3−イル、フラン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、ピリジン−3−イルおよびチオフェン−2−イルからなる群より選択される
化合物に関する。
【0137】
本発明の一部の実施形態は:
がHであり;
が、FまたはClであり;
、RおよびRが、各々Hであり;そして、
Arが、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニルおよび4−フルオロフェニルからなる群より選択される
化合物に関する。
【0138】
本発明の一部の実施形態は:
がHであり;
がFであり;
、RおよびRが、各々Hであり;そして、
Arが、チオフェン−3−イル、フラン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、ピリジン−3−イルおよびチオフェン−2−イルからなる群より選択される
化合物に関する。
【0139】
本発明の一部の実施形態は:
がHであり;
がFであり;
、RおよびRが、各々Hであり;そして、
Arが、チオフェン−3−イル、フラン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、ピリジン−3−イルおよびチオフェン−2−イルからなる群より選択される
化合物に関する。
【0140】
本発明の一部の実施形態は:
がHであり;
が、Fであり;
、RおよびRが、各々Hであり;そして、
Arが、チオフェン−3−イル、フラン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、ピリジン−3−イルおよびチオフェン−2−イルからなる群より選択される
化合物に関する。
【0141】
本発明の一部の実施形態は、以下の表2に提示される化合物に関する。
【0142】
【表2−1】

【0143】
【表2−2】

【0144】
【表2−3】

【0145】
【表2−4】

さらに、本発明の個々の化合物および化学物質類(例えば、式(Ia)およびその関連式)は、全てのその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および特に水和物を包含する。
【0146】
本発明は、本明細書中に開示される各化合物および一般式の、各ジアステレオ異性体、各鏡像異性体およびそれらの混合物を、まるでそれらが各キラル原子(例えば、炭素)に対して特定の立体化学記号と共に各々個々に開示されたかのごとく包含することが理解される。
【0147】
本発明の式(Ia)の化合物は、図1および図2の一般合成スキームならびに当業者に使用されている関連性のある刊行文献の手順に従って調製され得る。これらの反応のための典型的な試薬および手順が、下記の実施例に示される。保護および脱保護は、当該技術分野において一般的に知られている手順によって実施され得る(例えば、Greene,T.W.and Wuts,P.G.M.,Protecting Groups in Organic Synthesis,3rd Edition,1999[Wiley];本明細書中にその全体が参考として援用される)。
【0148】
本発明はまた、本発明の特定の化合物における構造的不斉の結果として生ずる、ジアステレオ異性体および光学異性体(例えば、鏡像異性体の混合物(ラセミ混合物を含む)、ならびに個々の鏡像異性体およびジアステレオ異性体)を包含する。個々の異性体の分離または個々の異性体の選択的合成は、当該技術分野の専門家に周知である種々の方法(例えば、鏡像異性体を分離するためのキラルHPLC)の適用によって達成される。
【0149】
本明細書中の様々な箇所において、本発明の化合物の一部として存在する置換基が、群または範囲で開示される。本発明は、そのような群および範囲のメンバーの各々のあらゆる部分組み合わせ(subcombination)を含むことが特に意図される。例えば、用語「C1〜4アルキル」は、メチル、エチル、CアルキルおよびCアルキルを、それぞれ別個に開示することが特に意図される。
【0150】
(方法および用途)
本発明の1つの局面は、5HT2Cレセプターを活性化する方法に関し、この方法は、このレセプターを、治療有効量または治療有効用量の本明細書中に記載される通りの化合物と接触させる工程を包含する。好ましくは、本発明の化合物は、5HT2Cレセプターのアゴニストである。
【0151】
本発明の別の局面は、個体における5HT2Cレセプター関連疾患の処置の方法に関し、この方法は、そのような処置を必要とするその個体に、治療有効量または治療有効用量の本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。一部の実施形態において、この5HT2Cレセプター関連疾患は、中枢神経系の障害、中枢神経系への損傷、心血管障害、胃腸障害、尿崩症および睡眠時無呼吸からなる群より選択される。一部の実施形態において、この個体は、哺乳動物である。好ましくは、この哺乳動物は、ヒトである。
【0152】
一部の実施形態において、この5HT2Cレセプター関連疾患は、鬱病、非定型鬱病、双極性障害、不安、不安障害、強迫性障害、社会恐怖症、パニック状態、注意欠陥多動性障害、破壊的行動障害、衝動制御障害、境界人格異常、睡眠障害(例えば、睡眠時無呼吸)、自閉症、発作性障害、緘黙症、選択性緘黙症、小児期不安障害、男性の性的機能不全(例えば、早発射精および勃起困難または勃起機能不全)、女性の性的機能不全、精神病、精神分裂病、片頭痛および頭の痛みまたは他の痛みに関連した他の状態、上昇した頭蓋内圧、癲癇、人格障害、アルツハイマー病、加齢性行動障害、認知症に関連する行動障害、老年性認知症、器質性精神障害、小児精神障害、攻撃性、加齢性記憶障害、記憶喪失、慢性疲労症候群、薬物嗜癖およびアルコール嗜癖、アルコール依存症、タバコ乱用、体重減少、肥満、過食症、神経性大食症、神経性食欲不振、過食障害、月経前緊張症、月経前症候群(PMSまたは黄体後期不快気分障害)、外傷後症候群、脊髄損傷、中枢神経系の損傷(例えば、外傷、脳卒中、神経変性疾患または毒性もしくは感染性障害(例えば、血栓症)、胃腸障害(例えば、胃腸運動の機能不全)、尿崩症、およびII型糖尿病からなる群より選択される。
【0153】
一部の実施形態において、5HT2Cレセプター関連疾患は、高血圧、高血圧症、高血中コレステロール、異常脂血症、II型(非インシュリン依存性)糖尿病、インシュリン抵抗性、グルコース不耐性、高インシュリン血症、冠動脈性心疾患、狭心症、鬱血性心不全、脳卒中、胆石、胆嚢炎(cholescystitis)および胆石症、痛風、骨関節症、閉塞性睡眠時無呼吸および呼吸に関連する問題、ある種の癌(例えば、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌)、妊娠の合併症、女性の生殖に関する不健康(例えば、月経不順、不妊症、不規則な排卵)、膀胱制御の問題(例えば、ストレス失禁症)、尿酸腎石症、精神障害(例えば、鬱病、摂食障害、歪んだ身体像および低自尊心)からなる群より選択される。
【0154】
一部の実施形態において、5HT2Cレセプター関連疾患は、摂食障害(例えば、神経性食欲不振および神経性大食症が挙げられるが、これらに限定されない)の個体における精神医学的症状および精神医学的行動からなる群より選択される。摂食障害の個体は、しばしば、社会的孤立を示している。例えば、食欲不振の個体は、しばしば、鬱病の症状、不安、強迫観念、完全主義の特徴および柔軟性のない認知スタイル、ならびに性的無関心を示す。神経性食欲不振、神経性大食症に加えて、他の摂食障害としては、過食障害(強迫摂食)およびED−NOS(すなわち、他に特定されない摂食障害−正式な診断)が挙げられる。ED−NOSと診断された個体は、その個体が、特定の診断についての基準のうちのほんの一部を除く全てを満たす状況を含む、非定型の摂食障害を有する。本質的に、その個体が食物および体重に関して行っていることは、正常でも健全でもない。
【0155】
一部の実施形態において、5HT2Cレセプター関連疾患は、運動選手の食欲不振(anorexia athletica)(強迫的運動)、身体醜形障害(ビゴレキシア(bigorexia))、小児食欲不振の感染誘発性自己免疫亜型、神経性オルトレキシア(orthorexia nervosa)、夜間摂食症候群、夜間睡眠関連摂食障害、反芻症候群、大食症候群、プラダー=ビリー症候群、異食症および周期性嘔吐症候群からなる群より選択される。
【0156】
本発明の別の局面は、個体の食物摂取を減少させる方法に関し、この方法は、個体に、治療有効量または治療有効用量の本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。一部の実施形態において、個体は哺乳動物である。好ましくは、哺乳動物は、ヒトである。さらなる実施形態において、ヒトは、約18.5〜約45のボディーマス指数を有する。さらなる実施形態において、ヒトは、約25〜約45のボディーマス指数を有する。さらなる実施形態において、ヒトは、約30〜約45のボディーマス指数を有する。さらなる実施形態において、ヒトは、約35〜約45のボディーマス指数を有する。
【0157】
本発明の別の局面は、個体において飽満を誘発する方法に関し、この方法は、個体に、治療有効量または治療有効用量の本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。一部の実施形態において、個体は哺乳動物である。好ましくは、哺乳動物は、ヒトである。さらなる実施形態において、ヒトは、約18.5〜約45のボディーマス指数を有する。さらなる実施形態において、ヒトは、約25〜約45のボディーマス指数を有する。さらなる実施形態において、ヒトは、約30〜約45のボディーマス指数を有する。さらなる実施形態において、ヒトは、約35〜約45のボディーマス指数を有する。
【0158】
本発明の別の局面は、個体の体重増加を制御する方法に関し、この方法は、体重制御を受けている個体に、治療有効量または治療有効用量の本発明の化合物またはその薬学的組成物を投与する工程を包含する。一部の実施形態において、この個体は哺乳動物である。好ましくは、この哺乳動物は、ヒトである。さらなる実施形態において、このヒトは、約18.5〜約45のボディーマス指数を有する。さらなる実施形態において、このヒトは、約25〜約45のボディーマス指数を有する。さらなる実施形態において、このヒトは、約30〜約45のボディーマス指数を有する。さらなる実施形態において、このヒトは、約35〜約45のボディーマス指数を有する。
【0159】
本発明の別の局面は、薬学的組成物を生成する方法に関し、この方法は、少なくとも1種の本発明の化合物と少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアーとを混合する工程を包含する。
【0160】
本発明の別の局面は、治療によるヒトまたは動物の身体の中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の処置の方法における使用のための、本明細書中に記載される通りの化合物に関する。
【0161】
本発明の別の局面は、中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の処置または予防における使用のための医薬の製造のための、本明細書中に記載される通りの化合物の使用に関する。
【0162】
一部の実施形態において、中枢神経系の障害は、鬱病、非定型鬱病、双極性障害、不安障害、強迫性障害、社会恐怖症またはパニック状態、睡眠障害、性的機能不全、精神病、精神分裂病、片頭痛および頭の痛みまたは他の痛みに関連した他の状態、上昇した頭蓋内圧、癲癇、人格障害、アルツハイマー病、加齢性行動障害、認知症に関連する行動障害、器質性精神障害、小児精神障害、攻撃性、加齢性記憶障害、慢性疲労症候群、薬物嗜癖およびアルコール嗜癖、肥満、過食症、神経性食欲不振および月経前緊張症からなる群より選択される。さらなる実施形態において、中枢神経系の障害は、肥満である。さらなる実施形態において、中枢神経系の障害は、アルツハイマー病である。さらなる実施形態において、性的機能不全は、男性の勃起機能不全である。
【0163】
一部の実施形態において、中枢神経系への損傷は、外傷、脳卒中、神経変性疾患、毒性CNS疾患または感染性CNS疾患による。さらなる実施形態において、中枢神経系への損傷は、脳炎または髄膜炎による。
【0164】
一部の実施形態において、心血管障害は、血栓症である。
【0165】
一部の実施形態において、胃腸障害は、胃腸運動の機能不全である。
【0166】
本発明の別の局面は、薬学的組成物を生成する方法に関し、この方法は、少なくとも1種の本発明の化合物と少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリアーを混合する工程を包含する。
【0167】
本発明の別の局面は、治療によるヒトまたは動物の身体の処置の方法における使用のための、本明細書中に記載される通りの化合物に関する。
【0168】
本発明の別の局面は、治療によるヒトまたは動物の身体の中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の処置の方法における使用のための、本明細書中に記載される通りの化合物に関する。
【0169】
本発明の別の局面は、中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の処置における使用のための医薬の製造のための、本明細書中に記載される通りの化合物の使用に関する。
【0170】
本発明の別の局面は、ADおよびAD関連障害の処置のための、セロトニン5HT2Cレセプターにおけるアゴニスト活性を有する本発明の化合物の使用に関する。本発明の化合物は、単独でかまたはADに対して典型的に処方される別の1種以上の薬剤(例えば、AChEインヒビターが挙げられるが、これに限定されない)と組み合せて使用され得る。
【0171】
(併用療法−予防および処置)
本発明の情況において、式(Ia)の化合物またはその薬学的組成物は、本明細書中に記載される通りの疾患、状態および/または障害と関連する5HT2Cレセプターを活性化させるために利用され得る。例えば、5HT2Cレセプターを活性化させることは、食物摂取を減少させ、飽満(すなわち、満腹感)を誘発し、体重増加を制御し、体重を減少させ、かつ/あるいは、レシピエントが体重を減少させ、かつ/または体重を維持するように代謝に作用することによる、肥満および/または過体重の処置に有用である。したがって、そのような化合物および薬学的組成物は、体重増加が構成要素である障害および/または疾患(例えば、本明細書中に列挙される疾患および/または障害)の情況で使用され得る。さらに、本発明の化合物および組成物は、アルツハイマー病、勃起機能不全ならびに本明細書中に記載される他の5HT2Cレセプター関連疾患および/または5HT2Cレセプター関連障害の予防および/または処置のために使用され得る。
【0172】
本発明の化合物は、単独の活性薬学的物質として投与され得る(すなわち、単一療法)が、これらの化合物はまた、本明細書中に記載される疾患/状態/障害の処置のための他の薬学的物質と組み合せて使用(すなわち、併用療法)され得る。したがって、本発明の別の局面は、予防および/または処置の方法を含み、この方法は、予防および/または処置を必要とする個体に、治療有効量の本発明の化合物(例えば、式(Ia))を、本明細書中に記載される通りの1種以上のさらなる薬学的物質と組み合せて投与する工程を包含する。
【0173】
本発明の化合物と組み合せて使用され得る適切な薬学的物質としては、抗肥満剤(例えば、アポリポタンパク質−B分泌/ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(アポ−B/MTP)インヒビター、MCR−4アゴニスト、コレシストキニン−A(CCK−A:cholescystokinin−A)アゴニスト、セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込みインヒビター(例えば、シブトラミン)、交感神経様作動薬、βアドレナリン作動性レセプターアゴニスト、ドーパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン)、メラニン細胞刺激ホルモンレセプターアナログ、カンナビノイド1レセプターアンタゴニスト[例えば、SR141716:N−(ピペリジン−1−イル)−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド]、メラニン濃縮ホルモンアンタゴニスト、レプトン(OBタンパク質)、レプチンアナログ、レプチンレセプターアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、リパーゼインヒビター(例えば、テトラヒドロリプスタチン(tetrahydrolipstatin)(すなわち、オルリスタット))、食欲減退剤(例えば、ボンベシンアゴニスト)、ニューロペプチド−Yアンタゴニスト、甲状腺ホルモン様剤(thyromimetic agent)、デヒドロエピアンドロステロンもしくはそのアナログ、グルココルチコイドレセプターアゴニストもしくはアンタゴニスト、オレキシン(orexin)レセプターアンタゴニスト、ウロコルチン結合タンパク質アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1レセプターアゴニスト、毛様体神経栄養因子(ciliary neutrotrophic factor)(例えば、AxokineTM、Regeneron Pharmaceuticals,Inc.,Tarrytown,NYおよびProcter & Gamble Company,Cincinnati,OHから入手可能)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)、グレリン(ghrelin)レセプターアンタゴニスト、ヒスタミン3レセプターアンタゴニストもしくはリバースアゴニスト、ニューロメディンUレセプターアゴニスト、ノルアドレナリン作動剤(例えば、フェンテルミン、マチンドールなど)および食欲抑制剤(例えば、ブプロピオン(bupropion))が挙げられる。
【0174】
下記に示される薬剤を含む他の抗肥満剤は、当業者に周知であるか、または本開示を考慮すれば直ちに明らかとなる。
【0175】
一部の実施形態において、抗肥満剤は、オルリスタット、シブトラミン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、フェンテルミンおよびプソイドエフェドリンからなる群より選択される。さらなる実施形態において、本発明の化合物および併用療法は、運動および/または賢明な食事と共に投与される。
【0176】
本発明の化合物と他の抗肥満剤、食欲減退剤、食欲抑制剤および関連薬剤との併用療法の範囲は、上記に列挙された薬剤に限定されず、原則として、過体重および肥満の個体の処置に有用な、任意の薬学的物質または薬学的組成物との任意の組合せを含むことが理解される。
【0177】
抗肥満剤に加えて、本発明の化合物と組み合せて使用され得る他の適切な薬学的物質としては、随伴疾患の処置に有用な薬剤が挙げられる。例えば、過体重または肥満の個体は、随伴する疾患(例えば、鬱血性心不全、II型糖尿病、アテローム硬化症、異常脂血症、高インシュリン血症、高血圧症、インシュリン抵抗性、高血糖症、網膜症、ネフロパシーおよびニューロパシーが挙げられるが、これらに限定されない)により生ずる罹患および死亡の危険性を上昇させる。本明細書中に挙げられる疾患のうちの1種以上に対する処置は、以下:スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアニド、α−グルコシダーゼインヒビター、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター−γ(すなわち、PPAR−γ)アゴニスト、インシュリン、インシュリンアナログ、HMG−CoAレダクターゼインヒビター、コレステロール降下薬(例えば、フィブラート:フェノフィブラート、ベザフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラートなどを含む;胆汁酸金属イオン封鎖剤:コレスチラミン、コレスチポールなどを含む;および、ナイアシン)、抗血小板剤(例えば、アスピリンおよびアデノシン二リン酸レセプターアンタゴニスト:クロピドグレル、チクロピジンなどを含む)、アンギオテンシン変換酵素インヒビター、アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストおよびアディポネクチン(これらに限定されない)という薬物のクラスに属する当該技術分野において公知の1種以上の薬学的物質の使用を含む。本発明の1つの局面に従い、本発明の化合物は、本明細書中に挙げられる薬物のクラスのうちの1つ以上に属する薬学的物質または薬剤と組み合せて使用され得る。
【0178】
本発明の化合物と他の薬学的物質との併用療法の範囲は、本明細書中、上記または下記に列挙される薬学的物質に限定されず、原則として、過体重および肥満の個体と関連づけられる疾患、状態または障害の処置に有用な任意の薬学的物質または薬学的組成物との任意の組合せを含むことが理解される。
【0179】
本発明の一部の実施形態は、本明細書中に記載される通りの疾患、障害または状態の処置の方法を含み、この方法は、そのような処置を必要とする個体に、治療有効量または治療有効用量の本発明の化合物を、スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアニド、α−グルコシダーゼインヒビター、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター−γ(すなわち、PPAR−γ)アゴニスト、インシュリン、インシュリンアナログ、HMG−CoAレダクターゼインヒビター、コレステロール降下薬(例えば、フィブラート:フェノフィブラート、ベザフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラートなどを含む;胆汁酸金属イオン封鎖剤:コレスチラミン、コレスチポールなどを含む;および、ナイアシン)、抗血小板剤(例えば、アスピリンおよびアデノシン二リン酸レセプターアンタゴニスト:クロピドグレル、チクロピジンなどを含む)、アンギオテンシン変換酵素インヒビター、アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストおよびアディポネクチンからなる群より選択される少なくとも1種の薬学的物質と組み合せて投与する工程を包含する。一部の実施形態において、本発明の方法は、本発明の化合物を含み、薬学的物質は、別個に投与される。さらなる実施形態において、本発明の化合物と薬学的物質とは、一緒に投与される。
【0180】
本発明の化合物と組み合せて使用され得る適切な薬学的物質としては、α−グルコシダーゼインヒビターが挙げられる。α−グルコシダーゼインヒビターは、膵臓および/または小腸(small intesting)中の消化酵素(例えば、α−アミラーゼ、マルターゼ、α−デキストリナーゼ、スクラーゼなど)を競合的に阻害する薬物のクラスに属する。α−グルコシダーゼインヒビターによる可逆阻害は、デンプンおよび糖類の消化を遅延させることによって血中グルコースレベルを抑制するか、減少させるか、さもなければ低下させる。α−グルコシダーゼインヒビターの一部の代表的な例としては、アカルボース、N−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル)バリオールアミン(valiolamine)(一般名;ボグリボース)、ミグリトール、および当該技術分野において公知のα−グルコシダーゼインヒビターが挙げられる。
【0181】
本発明の化合物と共に使用され得る適切な薬学的物質としては、スルホニル尿素が挙げられる。スルホニル尿素(SU)は、細胞膜中のSUレセプターを介してインシュリン分泌のシグナルを伝達することによって、膵臓β細胞からのインシュリンの分泌を促進する薬物である。スルホニル尿素の例としては、グリブリド、グリピジド、グリメピリド、および当該技術分野において公知の他のスルホニル尿素が挙げられる。
【0182】
本発明の化合物と組み合せて使用され得る適切な薬学的物質としては、メグリチニドが挙げられる。メグリチニドは、安息香酸誘導体であり、インシュリン分泌促進物質の新規のクラスを代表する。これらの物質は、食後高血糖症を標的とし、HbA1Cを減少させることにおいて、スルホニル尿素と同等の効力を示す。メグリチニドの例としては、レパグリニド(repaglinide)、ナテグリニドおよび当該技術分野において公知の他のメグリチニドが挙げられる。
【0183】
本発明の化合物と組み合せて使用され得る適切な薬学的物質としては、ビグアニドが挙げられる。ビグアニドは、嫌気性解糖を刺激し、末梢組織中のインシュリンに対する感受性を上昇させ、腸からのグルコース吸収を阻害し、肝臓の糖新生を抑制し、そして、脂肪酸の酸化を阻害する薬物のクラスを代表する。ビグアニドの例としては、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン、および当該技術分野で公知のビグアニドが挙げられる。
【0184】
本発明の化合物と共に使用され得る適切な薬学的物質としては、α−グルコシダーゼインヒビターが挙げられる。α−グルコシダーゼインヒビターは、膵臓および/または小腸中の消化酵素(例えば、α−アミラーゼ、マルターゼ、α−デキストリナーゼ、スクラーゼなど)を競合的に阻害する。α−グルコシダーゼインヒビターによる可逆阻害は、デンプンおよび糖類の消化を遅延させることによって、血中グルコースレベルを抑制するか、減少させるか、さもなければ低下させる。α−グルコシダーゼインヒビターの例としては、アカルボース、N−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル)バリオールアミン(一般名;ボグリボース)、ミグリトール、および当該技術分野において公知のα−グルコシダーゼインヒビターが挙げられる。
【0185】
本発明の化合物と共に使用され得る適切な薬学的物質としては、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター−γ(すなわち、PPAR−γ)アゴニストが挙げられる。ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター−γアゴニストは、核内レセプターPPAR−γを活性化してグルコースの産生、輸送および利用の制御に関与するインシュリン応答性遺伝子の転写を調節する化合物のクラスを代表する。このクラスの薬剤はまた、脂肪酸代謝の調節を促進する。PPAR−γアゴニストの例としては、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、テサグリタザル(tesaglitazar)、ネトグリタゾン(netoglitazone)、GW−409544、GW−501516、および当該技術分野において公知のPPAR−γアゴニストが挙げられる。
【0186】
本発明の化合物と共に使用され得る適切な薬学的物質としては、HMG−CoAレダクターゼインヒビターが挙げられる。このHMG−CoAレダクターゼインヒビターは、ヒドロキシメチルグルタリルCoA(HMG−CoA)レダクターゼを阻害することにより、血中コレステロールレベルを低下させる薬物のクラスに属するスタチン化合物とも呼ばれる物質である。HMG−CoAレダクターゼは、コレステロールの生合成における律速酵素である。このスタチンは、LDLレセプターの活性を上方調節することにより、血清LDL濃度を低下させ、血液からLDLを取り除くことに関与する。スタチン化合物の一部の代表的な例としては、ロスバスタチン(rosuvastatin)、プラバスタチンおよびそのナトリウム塩、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン(atorvastatin)、フルバスタチン、セリバスタチン(cerivastatin)、ロスバスタチン、ピタバスタチン(pitavastatin)、BMSの「スーパースタチン」、および当該技術分野において公知のHMG−CoAレダクターゼインヒビターが挙げられる。
【0187】
本発明の化合物と共に使用され得る適切な薬学的物質としては、アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビターが挙げられる。アンギオテンシン変換酵素インヒビターは、アンギオテンシン変換酵素を阻害することによって血圧を低下させるばかりでなく、血中グルコースレベルも部分的に低下させる薬物のクラスに属する。アンギオテンシン変換酵素インヒビターの例としては、カプトプリル、エナラプリル、アラセプリル、デラプリル;ラミプリル(ramipril)、リシノプリル、イミダプリル、ベナゼプリル、セロナプリル(ceronapril)、シラザプリル、エナラプリラト、ホシノプリル、モベルトプリル(moveltopril)、ペリンドプリル、キナプリル、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、および当該技術分野において公知のアンギオテンシン変換酵素インヒビターが挙げられる。
【0188】
本発明の化合物と共に使用され得る適切な薬学的物質としては、アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストが挙げられる。アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストは、アンギオテンシンIIレセプターサブタイプ1(すなわち、AT1)を標的とし、高血圧症に対する有益な効果を示す。アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストの例としては、ロサルタン(およびカリウム塩形態)、および当該技術分野において公知のアンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストが挙げられる。
【0189】
本明細書中に引用される疾患のうちの1つ以上のための他の処置としては、以下に言及される薬物のクラスに属する当該技術分野において公知の薬学的物質の使用が挙げられるが、これらに限定されない:アミリンアゴニスト(例えば、プラムリンチド(pramlintide))、インシュリン分泌促進物質(例えば、GLP−1アゴニスト);エクセンディン−4(exendin−4);インシュリノトロピン(insulinotropin)(NN2211);ジペプチジルぺプチダーゼインヒビター(dipeptyl peptidase inhibitor)(例えば、NVP−DPP−728)、アシルCoAコレステロールアセチルトランスフェラーゼインヒビター(例えば、Ezetimibe、エフルシマイブ(eflucimibe)、および類似の化合物)、コレステロール吸収インヒビター(例えば、エゼチミブ(ezetimibe)、パマクエシド(pamaqueside)および類似の化合物)、コレステロールエステル輸送タンパク質インヒビター(例えば、CP−529414、JTT−705、CETi−1および類似の化合物)、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質インヒビター(例えば、インプリタピド(implitapide)および類似の化合物)、コレステロールモジュレーター(例えば、NO−1886および類似の化合物)、胆汁酸モジュレーター(例えば、GT103−279および類似の化合物)、およびスクアレンシンターゼインヒビター。
【0190】
スクアレン合成インヒビターは、スクアレンの合成を阻害することによって血中コレステロールレベルを低下させる薬物のクラスに属する。スクアレン合成インヒビターの例としては、(S)−α−[ビス[2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ)メトキシ]ホスフィニル]−3−フェノキシベンゼンブタンスルホン酸、一カリウム塩(BMS−188494)、および当該技術分野において公知のスクアレン合成インヒビターが挙げられる。
【0191】
(本発明の組成物)
さらなる局面によると、本発明はまた、1種以上の式(Ia)の化合物または本明細書中に開示された任意の式の化合物、および1種以上の薬学的に受容可能なキャリアーを含む薬学的組成物に関する。
【0192】
本発明の一部の実施形態は、薬学的組成物を産生する方法を含み、この方法は、少なくとも一種の本明細書中に開示される任意の化合物実施形態に従う化合物と、1種の薬学的に受容可能なキャリアーとを混合する工程を包含する。
【0193】
処方物は、任意の適切な方法により、典型的には、活性化合物と液体もしくは細かく分割された固体のキャリアーまたは両方とを、所定の割合で均一に混合し、さらに必要であれば、得られた混合物を所望の形状に形づくることにより、調製され得る。
【0194】
従来の賦形剤(例えば、結合剤、充填剤、受容可能な湿潤剤、打錠潤滑剤および崩壊剤)が、経口投与用の錠剤およびカプセル剤で使用され得る。経口投与用の液体調製物は、液剤、乳濁剤、水性もしくは油性の懸濁剤およびシロップ剤の形態であり得る。あるいは、経口調製物は、使用前に水または別の適切な液体ビヒクルで再構成され得る乾燥粉末の形態であり得る。さらなる添加物(例えば、懸濁化剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を含む)、保存剤、ならびに矯味矯臭剤および着色剤)が、液体調製物に添加され得る。非経口投薬形態は、適切な液体ビヒクルに本発明の化合物を溶解すること、およびその溶液を適切なバイアルまたはアンプルに充填して密閉する前に、フィルター滅菌することによって調製され得る。これらは、投薬形態を調製することに関する当該技術分野において周知の多数の適切な方法のごくわずかな例である。
【0195】
本発明の化合物は、当業者に周知の技術を使用して薬学的組成物へと処方され得る。本明細書中で言及されるもの以外の適切な薬学的に受容可能なキャリアーは、当該技術分野において公知である;例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2000,Lippincott Williams & Wilkins(Editors:Gennaro,A.R.,et al.)を参照されたい。
【0196】
本発明の化合物が、代替利用において、未処理または純粋な化学物質として投与されることもあり得るが、しかしながら、化合物または活性成分を、薬学的に受容可能なキャリアーをさらに含む薬学的処方物または組成物として与えることが好ましい。したがって、本発明の別の局面は、式(Ia)に従う少なくとも1種の化合物と組み合せて薬学的に受容可能なキャリアーを含む薬学的組成物に関する。
【0197】
本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは誘導体を、その一種以上の薬学的に受容可能なキャリアーおよび/または予防成分と共に含む薬学的処方物をさらに提供する。キャリアーは、その処方物の他の成分と適合し、そのレシピエントに過度に有害ではないという意味で「受容可能」でなければならない。
【0198】
薬学的処方物としては、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与(口腔投与および舌下投与を含む)、経膣投与もしくは非経口投与(筋肉内投与、皮下投与および静脈内投与を含む)に適した薬学的処方物、または吸入、ガス注入による投与もしくは経皮パッチによる投与に適した形態の薬学的処方物が挙げられる。経皮パッチは、薬物の最小の分解を伴う効率のよい様式で吸収に薬物を提示することにより、制御された速度で薬物を分配する。典型的に、経皮パッチは、不浸透性の裏打ち層、一重の感圧性接着剤およびリリースライナーを用いた除去可能保護層を含む。当業者は、当業者の必要に基づく所望の効果的な経皮パッチを製造するのに適した技術を理解し、識別する。
【0199】
本発明の化合物は、したがって、従来のアジュバント、キャリアーまたは希釈剤と一緒に、薬学的処方物およびそれらの単位投薬の形態にされ得、そのような形態で、経口用途のための固形(例えば、錠剤または充填カプセル剤)または液体(例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、ゲル剤もしくはこれらを充填したカプセル剤)として;直腸投与用に坐剤の形態で;あるいは非経口(皮下を含む)用途のための無菌注射可能液剤の形態で使用され得る。そのような薬学的組成物およびそれらの単位投薬形態は、さらなる活性化合物または成分の有無に関わらず、従来の成分を従来の割合で含み得、そしてそのような単位投薬形態は、意図された使用されるべき一日投薬量範囲と比例する任意の適切な有効量の活性成分を含み得る。
【0200】
経口投与用として、薬学的組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁剤または液剤の形態であり得る。薬学的組成物は、好ましくは、特定の量の活性成分を含む投薬単位の形態で作製される。そのような投薬単位の例は、従来の添加剤(例えば、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプン);結合剤(例えば、結晶性セルロース、セルロース誘導体、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチン);崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたはカルボキシメチルセルロースナトリウム);および滑沢剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウム)を含む、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤または懸濁剤である。活性成分はまた、例えば、食塩水、ブドウ糖または水が適切な薬学的に受容可能なキャリアーとして使用され得る組成物として注射により投与され得る。
【0201】
本発明の化合物またはその溶媒和物もしくは生理的機能性の誘導体が、薬学的組成物中の活性成分、特に、5HT2Cレセプターアゴニストとして使用され得る。用語「活性成分」は、「薬学的組成物」の文脈で定義され、一般的に薬学的利益を提供しないと認められる「不活性成分」とは対照的に、主要な薬理学的効果を提供する薬学的組成物の成分を意味するものとする。
【0202】
本発明の化合物を使用する場合の用量は、広範な限度内で変更され得、そして慣例により、そして医師に公知であるように、各々個々の症例の個体の状態に合わせて調整されるべきである。用量は、例えば、処置されようとする病気の性質および重篤度、患者の状態、使用される化合物、急性の病状が処置されるのかそれとも慢性の病状が処置されるのか、さらなる活性化合物が本発明の化合物に加えて投与されるのかどうかに依存する。本発明の代表的な用量としては、約0.001mg〜約5000mg、約0.001mg〜約2500mg、約0.001mg〜約1000mg、0.001mg〜約500mg、0.001mg〜約250mg、約0.001mg〜100mg、約0.001mg〜約50mg、および約0.001mg〜約25mgが挙げられるが、これらに限定されない。特に、比較的多量が必要であると見なされる場合、複数の用量、例えば、2回分、3回分または4回分の用量が、1日の間に投与され得る。個体に応じ、かつ患者の医師または医療提供者から適切と見なされる場合、本明細書中に記載される用量から上方または下方に外れることが必要であり得る。
【0203】
処置における使用のために必要とされる活性成分、その活性塩または水和物の量は、選択される特定の塩によるだけでなく、投与経路、処置されようとする状態の性質、ならびに患者の年齢および状態により変化し、最終的には主治医または臨床医の判断である。
【0204】
一般に、当業者は、どのようにモデル系(典型的に、動物モデル)で得られるインビボデータに基づいて別のもの(例えば、ヒト)の場合を推定するかを理解する。典型的に、動物モデルとしては、齧歯動物モデルが挙げられるが、これに限定されない。ある状況において、これらの推定は、単に、別のもの(例えば、哺乳動物、好ましくは、ヒト)と比較した動物モデルの体重に基づいてもよいが、より頻繁には、これらの推定は、ただ体重に基づくのではなく、種々の要因を組み込む。代表的な要因としては、患者の種類、年齢、体重、性別、食事および医学的状態、疾患の重篤度、投与経路、薬理学的考慮(例えば、使用される特定の化合物の活性、効力、薬物動態学プロフィールおよび毒性プロフィール)、薬物送達系が利用されるかどうか、急性的病状が処置されようとするのか、慢性的病状が処置されようとするのか、それとも予防が行われるのか、併用療法の一部としてさらなる活性化合物が式(Ia)の化合物に加えて投与されるのかどうかが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物および/または組成物で疾患状態を処置するための投薬レジメンは、上記のような種々の要因によって選択される。したがって、使用される実際の投薬レジメンは、広範に変化し得、したがって、好ましい投薬レジメンから外れ得、当業者は、これらの典型的な範囲以外の投薬量および投薬レジメンが試され得、適切な場合は、本発明の方法において使用され得ることを理解する。
【0205】
望ましい用量は、単一用量で与えられるかまたは適切な間隔で投与される分割された用量として(例えば、1日に2回、3回、4回またはより多くの分割用量(sub−dose)として)、好都合に与えられ得る。分割用量自体は、さらに(例えば、数多くの別個のおおざっぱに間隔をあけた投与へと)分割され得る。一日の用量は、特に、比較的多量が適切であるとして投与される場合、数回(例えば、2回、3回または4回)分の投与に分割され得る。適切であれば、個体の行動に依存し、示された1日の用量から上方または下方に外れることが必要であり得る。
【0206】
本発明の化合物は、広範な種々の経口投薬形態および非経口投薬形態で投与され得る。以下の投薬形態が、活性成分として、本発明の化合物または本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩のいずれかを含み得ることが、当業者に明らかとなる。
【0207】
本発明の化合物から薬学的組成物を調製することに関し、適切な薬学的に受容可能なキャリアーの選択は、固体、液体または両方の混合物のいずれかであり得る。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤および分散性顆粒剤が挙げられる。固体キャリアーは、希釈剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤またはカプセル化物質としても作用し得る、1種以上の物質であり得る。
【0208】
散剤において、キャリアーは、細かく分割された固体であり、細かく分割された活性成分との混合物となっている。
【0209】
錠剤において、活性成分は、必要な結合能を有するキャリアーと、適切な割合で混合され、望ましい形状および大きさに成形される。
【0210】
散剤および錠剤は、多様な百分率の活性化合物を含み得る。散剤または錠剤中の代表的な量は、0.5〜約90パーセントの活性化合物を含み得る;しかしながら、当業者は、この範囲以外の量が必要である場合を理解する。散剤および錠剤に適したキャリアーは、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点蝋、カカオ脂などである。用語「調製物」は、複数種のキャリアーの有無に関わらず、活性成分がキャリアーに囲まれ、したがって、活性成分がそのキャリアーと結合しているカプセルを提供するキャリアーとしてのカプセル化物質と活性化合物との処方物を含むことが意図される。同様に、カシェ剤およびトローチ剤が含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤およびトローチ剤は、経口投与に適した固体形態として使用され得る。
【0211】
坐剤を調製することに関し、低融点蝋(例えば、脂肪酸グリセリドの混合物またはカカオ脂)をまず融解し、(例えば、攪拌により)活性成分をそこで均一に分散させる。次いで、融解した均一の混合物を好都合な大きさの型に流し込み、冷却させ、それにより、凝固させる。
【0212】
経膣投与に適した処方物は、活性成分に加えて当該技術分野において適切であると知られているようなキャリアーを含む膣坐剤、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、パスタ剤、泡沫剤またはスプレー剤として与えられ得る。
【0213】
液体形態の調製物としては、液剤、懸濁剤および乳剤(例えば、水または水−プロピレングリコール溶液)が挙げられる。例えば、非経口注射液調製物は、ポリエチレングリコール水溶液中に液剤として処方され得る。注射可能調製物(例えば、無菌の注射可能な水性または油性の懸濁剤)は、適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を使用する公知の技術に従って処方され得る。この無菌の注射可能な調製物はまた、無毒性の非経口的に受容可能な希釈液または溶媒中の無菌注射可能溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油は、従来、溶媒または懸濁化媒体として使用されている。この目的のために、任意の低刺激性不揮発性油(合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む)が使用され得る。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)は、注射可能物の調製における使用を見出す。
【0214】
本発明に従う化合物は、したがって、非経口投与(例えば、注射(例えば、ボーラス注射または持続点滴)による)のために処方され得、アンプル剤、予め充填されたシリンジ(pre−filled syringe)、少容量の注入剤中の単位投薬形態でまたは添加された保存剤を含む多用量容器中で与えられ得る。薬学的組成物は、油性もしくは水性のビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤といった形態をとり得、処方剤(例えば、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤)を含み得る。あるいは、この活性成分は、適切なビヒクル(例えば、発熱物質を含まない無菌水)を用いた使用前の構成のための粉末形態であり得、無菌固体の無菌単離によって得られるか、または溶液から凍結乾燥によって得られる。
【0215】
経口使用に適した水性液剤は、水中に活性成分を溶解させ、望ましい場合は、適切な着色剤、矯味矯臭剤、安定剤および増粘剤を溶解させることにより調製され得る。
【0216】
経口使用に適した水性懸濁剤は、粘性物質(例えば、天然もしくは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたは他の周知の懸濁化剤)と共に、水中で細かく分割された活性成分を分散させることにより作製され得る。
【0217】
使用直前に経口投与用の液体形態の調製物に変換されることが意図される固形形態の調製物もまた、含まれる。そのような液体形態としては、液剤、懸濁剤および乳剤が挙げられる。これらの調製物は、活性成分に加えて、着色剤、矯味矯臭剤、安定剤、緩衝剤、人工および天然甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
【0218】
表皮への局所投与用に、本発明に従う化合物は、軟膏剤、クリーム剤もしくはローション剤として処方されてもよく、または経皮パッチとして処方されてもよい。
【0219】
軟膏剤およびクリーム剤は、例えば、水性基剤もしくは油性基剤を用い、適切な増粘剤および/またはゲル化剤を添加して、処方され得る。ローション剤は、水性または油性の基剤を用いて処方され得、一般に、1種以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤または着色剤も含む。
【0220】
口腔中の局所投与に適した処方物としては、風味を付けた基剤(通常は、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント)中に活性成分を含むトローチ剤(lozenge);不活性基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア)中の活性成分を含むトローチ剤(pastille);ならびに適切な液体キャリアーに活性成分を含む含そう薬(mouthwash)が挙げられる。
【0221】
液剤または懸濁剤は、従来の手段により(例えば、ドロッパー、ピペットまたはスプレーを用いて)鼻腔に直接的に適用される。これらの処方物は、単一用量形態または多用量形態で提供され得る。ドロッパーまたはピペットの場合、適切な所定容量の液剤または懸濁剤を投与する処方は、患者により達成され得る。スプレー剤の場合、この処方は、例えば、計量噴霧スプレーポンプにより達成され得る。
【0222】
気道への投与はまた、活性成分が適切なプロペラントを含む加圧パックで提供されるエアロゾル処方物により達成され得る。式(Ia)の化合物またはそれらを含む薬学的組成物が、エアロゾルとして(例えば、鼻エアロゾルとして)または吸入により投与される場合は、この投与は、例えば、スプレー、ネブライザー、ポンプネブライザー、吸入装置、計量吸入器または乾燥粉末吸入器を使用して実行され得る。式(Ia)の化合物の投与のためのエアロゾルとしての製薬形態は、当業者に周知のプロセスによって調製され得る。それらの調製に対し、通常の添加物(例えば、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、生物学的利用能を増大させるための吸収エンハンサー、可溶化剤、分散剤およびその他、そして適切である場合は、通常のプロペラント(例えば、二酸化炭素、CFC類(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンまたはジクロロテトラフルオロエタン)などが挙げられる)を使用した、例えば、水、水/アルコール混合物または適切な食塩水溶液中の式(Ia)の化合物の液剤または分散剤が使用され得る。エアロゾルはまた、好都合に、界面活性剤(例えば、レシチン)を含み得る。薬物の用量は、計量バルブの供給により制御され得る。
【0223】
鼻腔内処方物を含め、気道への投与が意図される処方物において、本化合物は、一般的に、例えば、約10ミクロン以下の小粒径を有する。そのような粒径は、当該技術分野において公知の手段により(例えば、微粉化により)得られ得る。望ましい場合は、活性成分の徐放を与えるように適合された処方物が使用され得る。
【0224】
あるいは、これらの活性成分は、乾燥粉末(例えば、適切な粉末基剤(例えば、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)およびポリビニルピロリドン(PVP))中の本化合物の粉末混合物)の形態で提供され得る。便宜上、粉末キャリアーは、鼻腔中でゲルを形成する。粉末組成物は、単位用量形態で(例えば、カプセル剤またはカートリッジ剤(例えばゼラチンのカプセル剤またはカートリッジ剤)、またはブリスターパック(ここから粉末が吸入器により投与され得る)中の単位用量形態で)提示され得る。
【0225】
薬学的調製物は、好ましくは単位投薬形態である。そのような形態において、調製物は、適量の活性成分を含有する単位用量へとさらに分割される。この単位用量形態は、包装された調製物であり得、このパッケージは、分離した量の調製物を含む(例えば、包装した錠剤、カプセル剤およびバイアル中またはアンプル中の散剤)。また、単位投薬形態は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤もしくはトローチ剤それ自体であり得るか、または包装された形態中の適切な数の任意のこれらカプセル剤、錠剤、カシェ剤もしくはトローチ剤であり得る。
【0226】
経口投与用には錠剤またはカプセル剤、そして静脈内投与用には液体剤が、好ましい組成物である。
【0227】
本発明に従う化合物は、必要に応じて、無機酸および有機酸を含む薬学的に受容可能な無毒性酸から調製された薬学的に受容可能な酸付加塩を含む薬学的に受容可能な塩として存在し得る。代表的な酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ジクロロ酢酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、シュウ酸、パモン酸(pamoic acid)、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸(sulfiric acid)、酒石酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸など(例えば、Journal of Pharmaceutical Science,66,2 (1977)に列挙される薬学的に受容可能な塩;本明細書中に参考としてその全体が援用される)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0228】
酸付加塩が、化合物合成の直接的生成物として得られ得る。代替の方法では、適切な酸を含む適切な溶媒中に、遊離塩基が溶解され、そして塩は溶媒をエバポレートするかあるいは塩と溶媒とを分離することにより単離され得る。本発明の化合物は、当業者に公知の方法を使用して、標準的な低分子量溶媒と共に溶媒和物を形成し得る。
【0229】
本発明の化合物は、「プロドラッグ」へと変換され得る。用語「プロドラッグ」は、当該技術分野において公知の特定の化学基で改変されている化合物であって、個体に投与された場合に、これらの基が生体内変換を受けて親化合物を与える化合物をいう。したがって、プロドラッグは、化合物の特性を変更または除去するために、一時的に使用される1種以上の特殊な無毒性保護基を含有する本発明の化合物と考えられ得る。一般に、「プロドラッグ」アプローチは、経口吸収を促進するために利用される。詳細な検討は、T.Higuchi and V.Stella,“Pro−drugs as Novel Delivery Systems,”Vol.14 of the A.C.S.Symposium SeriesおよびBioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に提供されており、これらは共に、本明細書中に参考としてその全体が援用される。
【0230】
本発明の一部の実施形態は、「併用療法」用の薬学的組成物を生成する方法を含み、この方法は、本明細書中に開示された任意の化合物実施形態に従う少なくとも1種の化合物と、本明細書中に記載される通りの少なくとも1種の薬学的物質と、1種の薬学的に受容可能なキャリアーとを混合する工程を包含する。
【0231】
一部の実施形態において、薬学的物質は:アポリポタンパク質−B分泌/ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(アポ−B/MTP)インヒビター、MCR−4アゴニスト、コレシストキニン−A(CCK−A)アゴニスト、セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込みインヒビター(例えば、シブトラミン)、交感神経様作動薬、βアドレナリンレセプターアゴニスト、ドーパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン)、メラニン細胞刺激ホルモンレセプターアナログ、カンナビノイド1レセプターアンタゴニスト[例えば、SR141716:N−(ピペリジン−1−イル)−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド]、メラニン濃縮ホルモンアンタゴニスト、レプトン(OBタンパク質)、レプチンアナログ、レプチンレセプターアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、リパーゼインヒビター(例えば、テトラヒドロリプスタチン(すなわち、オルリスタット))、食欲減退剤(例えば、ボンベシンアゴニスト)、ニューロペプチド−Yアンタゴニスト、甲状腺ホルモン様剤、デヒドロエピアンドロステロンもしくはそのアナログ、グルココルチコイドレセプターアゴニストもしくはグルココルチコイドレセプターアンタゴニスト、オレキシンレセプターアンタゴニスト、ウロコルチン結合タンパク質アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1レセプターアゴニスト、毛様体神経栄養因子(ciliary neutrotrophic factor)(例えば、AxokineTM)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)、グレリンレセプターアンタゴニスト、ヒスタミン3レセプターアンタゴニストもしくはリバースアゴニスト、ニューロメディンUレセプターアゴニスト、ノルアドレナリン食欲減退剤(例えば、フェンテルミン、マチンドールなど)および食欲抑制剤(例えば、ブプロピオン)からなる群より選択される。さらなる実施形態において、薬学的物質は、オルリスタット、シブトラミン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、フェンテルミンおよびプソイドエフェドリンからなる群より選択される。
【0232】
一部の実施形態において、薬学的物質は:スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアニド、α−グルコシダーゼインヒビター、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター−γ(すなわち、PPAR−γ)アゴニスト、インシュリン、インシュリンアナログ、HMG−CoAレダクターゼインヒビター、コレステロール降下薬(例えば、フィブラート:フェノフィブラート、ベザフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラートなどを含む;胆汁酸金属イオン封鎖剤:コレスチラミン、コレスチポールなどを含む;および、ナイアシン)、抗血小板剤(例えば、アスピリンおよびアデノシン二リン酸レセプターアンタゴニスト:クロピドグレル、チクロピジンなどを含む)、アンギオテンシン変換酵素インヒビター、アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストおよびアディポネクチンからなる群より選択される。
【0233】
5HT2Cレセプターアゴニストが薬学的組成物中で活性成分として利用される場合、これらはヒトにおいてだけでなく、他の非ヒト哺乳動物においての使用もまた意図されることに留意されたい。実際、動物の健康管理の分野における近年の進歩は、薬剤(例えば、5HT2Cレセプターアゴニスト)の、飼育動物(例えば、ネコおよびイヌ)における肥満および関連障害の処置のための使用、および何ら疾患でも障害でもないことが明らかな場合の他の飼育動物(例えば、食用動物(例えば、ウシ、ニワトリ、魚など))における使用が考慮されていることを示している。当業者は、そのような設定におけるそのような化合物の有用性を容易に理解すると考えられる。
【0234】
(他の有用性)
本発明の別の目的は、放射性画像化(radio−imaging)においてだけではなく、組織サンプル中(ヒトを含む)の5HT2Cレセプターの位置を特定しその量を測るため、および放射標識化合物の結合を阻害することにより5HT2Cレセプターリガンドを同定するための、インビトロおよびインビボの両方におけるアッセイにおいても有用である、式(Ia)の放射標識化合物に関する。そのような放射標識化合物を包含する新規の5HT2Cレセプターアッセイを開発することが、本発明のさらなる目的である。
【0235】
本発明は、式(Ia)の同位体標識化合物および本明細書中の任意の部分的な部類(例えば、式(Ia)〜式(Ik)が挙げられるが、これらに限定されない)を包含する。「同位体標識」または「放射標識」化合物は、1つ以上の原子が、自然界に典型的に見出される(すなわち、自然界に存在する)原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子で置き換えられているかまたは取り換えられている事実以外は、本明細書中に開示される化合物と同一の化合物である。本発明の化合物中に組み込まれ得る適切な放射性核種としては、H(重水素の代わりにDとも記される)、H(三重水素の代わりにTとも記される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125Iおよび131Iが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の放射標識化合物中に組み込まれる放射性核種は、その放射標識化合物の特定の適用に依存する。例えば、インビトロ5HT2Cレセプター標識アッセイおよび競合アッセイのためには、H、14C、82Br、125I、131Iまたは35Sを組み込む化合物が、一般的に最も有用である。放射性画像化用途のためには、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Brまたは77Brが、一般的に最も有用である。
【0236】
「放射標識化合物」または「標識化合物」は、少なくとも1種の放射性核種を組み込んだ式(Ia)の化合物である;一部の実施形態において、この放射性核種は、H、14C、125I、35Sおよび82Brからなる群より選択されることが理解される。
【0237】
本発明の特定の同位体標識化合物は、化合物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。一部の実施形態において、放射性核種のHおよび/または14C同位体が、これらの調査において有用である。さらに、より重たい同位体(例えば、重水素(すなわち、H))との置換は、より大きな代謝安定性(例えば、インビボ半減期の増大または投薬必要量の低減)から生じる特定の治療上の利点を与え得、したがって、ある状況において好まれ得る。本発明の同位体標識化合物は、一般的に、上記スキームおよび下記実施例に開示される手順と類似した手順に従うことにより、非同位体標識試薬を同位体標識試薬で置き換えることによって調製され得る。有用な他の合成方法が、以下に検討される。さらに、本発明の化合物中に示される原子の全てが、そのような原子のうちの最も一般に存在する同位体か、またはより少ない放射性同位体もしくは非放射活性同位体のいずれかであり得ることが理解されるべきである。
【0238】
放射性同位体を有機化合物に組み込むための合成方法が、本発明の化合物に適用可能であり、これらの方法は、当該技術分野において周知である。これらの合成方法(例えば、活性レベルのトリチウムを標的分子に取り込む合成方法)は、以下の通りである:
A.トリチウムガスを用いた触媒還元−この手順は、通常、高い比活性の生成物を生じ、ハロゲン化した前駆体または不飽和の前駆体を必要とする。
【0239】
B.水素化ホウ素ナトリウム[H]を用いた還元−この手順は、かなり安価であり、還元可能な官能基(例えば、アルデヒド、ケトン、ラクトン、エステルなど)を含む前駆体を必要とする。
【0240】
C.水素化アルミニウムリチウム[H]を用いた還元−この手順は、生成物に、ほぼ理論上の比活性を与える。また、この手順は、還元可能な官能基(例えば、アルデヒド、ケトン、ラクトン、エステルなど)を含む前駆体を必要とする。
【0241】
D.トリチウムガス曝露標識化−この手順は、交換可能なプロトンを含む前駆体を適切な触媒の存在下においてトリチウムガスに曝露させることを含む。
【0242】
E.ヨウ化メチル[H]を用いたN−メチル化−この手順は、通常、高い比活性のヨウ化メチル(H)で適切な前駆体を処置することによって、O−メチルまたはN−メチル(H)生成物を調製するために使用される。この方法は、一般に、より高い比活性(例えば、約70〜90Ci/mmolなど)を可能にする。
【0243】
活性レベルの125Iを標的分子に組み込むための合成方法としては以下が挙げられる:
A.サンドマイヤー反応および類似の反応−この手順は、アリールアミンまたはヘテロアリールアミンをジアゾニウム塩(例えば、テトラフルオロホウ酸塩)に、次いで、Na125Iを使用した125I標識化合物へと変換する。代表的な手順が、Zhu,D.−G.らにより、J.Org.Chem.2002,67,943−948に報告された。
B.フェノールのオルト125ヨウ素化−この手順は、Collier,T.L.らにより、J.Labeled Compd Radiopharm.1999,42,S264−S266に報告されるように、フェノールのオルト位において125Iの組み込みを可能とする。
C.臭化アリールおよび臭化ヘテロアリールと125Iとの交換−この方法は、一般的に、二段階のプロセスである。第一工程は、例えば、ハロゲン化トリアルキルスズまたはヘキサアルキル二スズ[例えば、(CHSnSn(CH]の存在下において、Pd触媒反応[すなわち、Pd(PhP)]を用いた、またはアリールもしくはヘテロアリールリチウムを通じた、臭化アリールまたは臭化ヘテロアリールの対応するトリアルキルスズ中間体への変換である。代表的な手順は、Bas,M.−D.らにより、J.Labeled Compd Radiopharm.2001,44,S280−S282において報告された。
【0244】
式(Ia)の放射標識5HT2Cレセプター化合物をスクリーニングアッセイに使用して、化合物を同定/評価し得る。一般的に、新たに合成または同定された化合物(すなわち、試験化合物)は、「式(Ia)の放射標識化合物」が有する、5HT2Cレセプターへの結合を減少させる能力について評価し得る。したがって、試験化合物が有する、5HT2Cレセプターと結合することについて「式(Ia)の放射性化合物」と競合する能力は、結合親和性と直接関係づけられる。
【0245】
本発明の標識化合物は、5HT2Cレセプターと結合する。1つの実施形態において、標識化合物は、約500μM未満のIC50を有し、別の実施形態において、標識化合物は、約100μM未満のIC50を有し、さらに別の実施形態において、標識化合物は、約10μM未満のIC50を有し、なおさらに別の実施形態において、標識化合物は、約1μM未満のIC50を有し、標識インヒビターは、約0.1μM未満のIC50を有する。
【0246】
開示されるレセプターおよび方法の他の用途は、とりわけこの開示の検討に基づき当業者に明らかとなる。
【0247】
認識されるように、本発明の方法の工程は、特定の回数を実施する必要は全くなく、特定の順序で実施する必要も全くない。本発明のさらなる目的、利点、および新規の特徴が、以下の本発明の実施例を調べれば、当業者に明らかとなる。本発明の実施例は、例示を目的とするものであり、限定するためのものではない。
【実施例】
【0248】
(実施例1)
(細胞内IP蓄積アッセイ)
HEK293細胞を、25μlのリポフェトアミン(lipofectamine)を使用して、16μgのヒト5HT2CレセプターcDNAを含む、または含まない(コントロール)、15cm無菌皿中でトランスフェクトした[例えば、Saltzman,A.G.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.181,1469−1478(1991)を参照されたい]。次いで、細胞を、37℃/5%COにて3〜4時間インキュベートし、次いで、トランスフェクション培地を除去し、100μlのDMEMで置き換えた。次いで、細胞を100cm無菌皿にプレーティングした。翌日、55K/0.2mLの密度で細胞を96ウェルPDLマイクロタイタープレートにプレーティングした。6時間後、培地をイノシトールを含まないDMEM中の[H]イノシトール(0.25uCi/ウェル)と交換し、これらのプレートを、37℃/5%COにて一晩中、インキュベートした。翌日、ウェルを吸引し、試験化合物を含む200μlのDMEM、10μMのパルジリン、および10mMのLiClを適切なウェルに加えた。次いで、プレートを37℃/5%COにて3時間インキュベートし、続いて、吸引し、そして新たな氷冷停止溶液(1M KOH、19mM Na−ホウ酸、3.8mM EDTA)を各ウェルへ添加した。プレートを氷上に5〜10分間保持し、これらのウェルを200μlの新たな氷冷の中和溶液(7.5%HCl)の添加により中和した。次いで、プレートをさらなる処理が所望されるまで凍らせておいた。次いで、この分解産物を1.5mLのエッペンドルフチューブへと移し、1mL/チューブのクロロホルム/メタノール(1:2)を加えた。この溶液を15秒間ボルテックスし、上相をBiorad AG1−X8TM陰イオン交換樹脂(100〜200メッシュ)に適用した。まず樹脂を1:1.25のW/Vにて水で洗浄し、0.9mLの上相をカラムに充填した。次いで、このカラムを10mLの5mMミオ−イノシトール、および10mLの5mM Na−ホウ酸/60mM Na−ギ酸で洗浄した。イノシトール三リン酸を、2mLの0.1M ギ酸/1M ギ酸アンモニウムを用いて、10mLのシンチレーションカクテルを含むシンチレーションバイアルに溶離した。これらのカラムを10mLの0.1M ギ酸/3M ギ酸アンモニウムで洗浄し、ddHOで2度すすぐことによって再生し、4℃にて水中に保管した。
【0249】
数種の代表的な化合物についてのIP蓄積アッセイ中の生物活性を、以下の表3に示す。
【0250】
【表3】

本発明の特定の化合物は、IP蓄積アッセイにおいて、約200nM未満のEC50値を有する。
【0251】
本発明の化合物は、5HT2Aレセプターおよび5HT2Bレセプターと比較して5HT2Cレセプターに対して選択的である;例えば、化合物1は、5HT2Aレセプターに対して約10μMより大きなEC50値を有し、5HT2Bレセプターに対して本質的に不活性であり、そして、化合物10は、5HT2Aレセプターに対して約10μMより大きなEC50値を有し、5HT2Bレセプターに対して本質的に不活性である。
【0252】
(実施例2)
(ラットにおける基礎食物摂取の阻害)
試験前、一晩中、オスのSprague−Dawleyラット(250〜350g)に餌を与えない。食料不足に先立ち、これらの動物を計量し、体重により群の釣り合いをとるために、処置群へと分ける。試験当日、9:00am、水に自由にアクセスできる個々のケージ(寝藁なし)に、動物を入れる。10:00AM、動物に試験化合物を注射し(p.o.、i.p.またはs.c.)、次いで、薬物投与の60分後(p.o.)または30分後(i.p.およびs.c.)、予め計量された量の食物を皿に入れて提示する。異なる時点までの食物消費を、食物が提示されてから1時間後、2時間後、4時間後および6時間後の食物カップを計量することにより決定する。したがって、食物消費をp.o.調査においては注射の2時間後、3時間後、5時間後および7時間後に測定し、i.p.調査およびs.c.調査においては注射の1.5時間後、2.5時間後、4.5時間後および6.5時間後に測定する。
【0253】
(実施例3 本発明の選択された化合物の合成)
本発明の化合物についての合成の例示図は、図1および図2において示され、これらの図で使用される記号は、本開示全体にわたり使用されるのと同じ定義を有する。
【0254】
本発明の化合物およびそれらの合成を、以下の実施例によってさらに例示する。以下の実施例を、本発明を更に定義するためではあるが、これらの実施例の詳細に本発明を限定することなく提供する。本明細書中、上記および下記に記載される化合物は、CS Chem Draw Ultra Version 7.0.1またはAutoNom 2000に従って命名される。特定の状況においては一般名を使用し、これらの一般名を当業者が識別すると理解される。
【0255】
(化学)
プロトン核磁気共鳴(H NMR)スペクトルを、4種の核自動切換え可能プローブおよびz−勾配を備えたVarian Mercury Vx−400、またはQNP(Quad Nucleus Probe)もしくはBBI(Broad Band Inverse)およびz−勾配を備えたBruker Avance−400において記録した。残留溶媒シグナル(residual solvent signal)を基準として使用し、化学シフトを百万分率(ppm)で与える。NMRの略語は、以下のとおり使用される:s=一重線、d=二重線、dd=二重の二重線、dt=二重の三重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、br=広幅。マイクロ波照射は、Emyrs Synthesizer(Personal Chemistry)を使用して実施された。薄層クロマトグラフィー(TLC)をシリカゲル60F254(Merck)を用いて実施し、分取薄層クロマトグラフィー(分取TLC)をPK6Fシリカゲル60A 1mmプレート(Whatman)を使用して実施し、そして、カラムクロマトグラフィーを、Kieselgel60、0.063〜0.200mm(Merck)を使用してシリカゲルカラムを用いて実施した。エバポレーションを、Buchi回転エバポレーターを用いて真空中で行った。Celite 545(登録商標)をパラジウム濾過の間使用した。
【0256】
LCMS仕様:1)PC:HPLCポンプ;LC−10AD VP、Shimadzu Inc.;HPLCシステムコントローラー:SCL−10A VP,Shimadzu Inc;UV−検出器:SPD−10A VP,Shimadzu Inc;自動試料採取器:CTC HTS,PAL,Leap Scientific;質量分析計:Turbo Ion Spray源AB/MDS Sciexを備えたAPI 150EX;ソフトウェア:Analyst 1.2。2)Mac:HPLC−ポンプ:LC−8A VP,Shimadzu Inc;HPLCシステムコントローラー:SCL−10A VP,Shimadzu Inc.UV−検出器:SPD−10A VP,Shimadzu Inc;自動試料採取器:215 Liquid Handler,Gilson Inc;質量分析計:Turbo Ion Spray源AB/MDS Sciexを備えたADI 150EX;ソフトウェア:Masschrom1.5.2。
【0257】
(実施例3.1)
(1−(3−フルオロ−5−チオフェン−3−イル−フェニル)−ピペラジン(化合物1)の調製)
(工程A:3−(3−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)−チオフェンの調製)
トルエン(9.2mL)およびエタノール(2.4mL)中の1,3−ジブロモ−5−フルオロベンゼン(0.50g、1.99mmol)と、3−チオフェンボロン酸(0.254g、1.99mmol)と、2.0M 炭酸ナトリウム水(1.99mL、3.97mmol)と、Pd(PPh(115mg、0.10mmol)との溶液を、マイクロ波により100℃にて1.5時間加熱した。生成物の混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、濾過し、水(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させて濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の2%EtOAc、シリカ)により、透明な油状体として400mgの純粋な生成物を得た。
【0258】
(工程B:1−(3−フルオロ−5−チオフェン−3−イル−フェニル)−ピペラジン(化合物1)の調製)
トルエン(1.0mL)中の3−(3−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)−チオフェン(100mg、0.47mmol)と、ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(88mg、0.47mmol)と、tert−ブトキシドナトリウム(68mg、0.71mmol)と、ヘキサン中の10%P(t−Bu)(0.06mL、0.023mmol)と、Pd(dba)(13mg、0.014mmol)との溶液を、マイクロ波により100℃にて5時間加熱した。この粗生成物の混合物をシリカのプラグに通して濾過し、ヘキサン(20mL)中の5%EtOAcで溶離し、次いで、純粋なEtOAc(20mL)で溶離し、次いで、合わせた溶液を濃縮した。この生成物をCHCl(1.0mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(0.5mL)で3時間処理し、次いで、NaHCOのカラムに通し、濃縮した。この生成物をHPLCで精製し、次いで、エーテル中の2M HClで粉砕し、48mgの白色固体を得た。H NMR(400 MHz,CD3OD)δ7.69(s,1H),7.49−7.44(m,2H),7.11(s,1H),6.95(d,J=10 Hz,1H),6.71(d,J=11Hz,1H),3.50(m,4H),3.38(m,4H).C1415FNS+HについてのMS計算値:263,実測値:263。
【0259】
(実施例3.2)
(1−(3−フルオロ−5−フラン−3−イル−フェニル)−ピペラジン(化合物2)の調製)
実施例3.1と同じ一般手順により、3−フランボロン酸から白色固体として1−(3−フルオロ−5−フラン−3−イル−フェニル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ7.94(s,1H),7.55(s,1H),7.00(s,1H),6.85(d,J=10 Hz,1H),6.81(s,1H),6.67(d,J=11Hz,1H),3.49−3.47(m,4H),3.39−3.36(m,4H).C1415FNO+HについてのMS計算値:247,実測値:247。
【0260】
(実施例3.3)
(1−(5−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物3)の調製)
実施例3.1と同じ一般手順により、フェニルボロン酸から白色固体として1−(5−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ7.60(d,J=7 Hz,2H),7.43(dd,J=7,7 Hz,2H),7.36(dd,J=7,7 Hz,1H),7.04(s,1H),6.88(d,J=10 Hz,1H),6.77(d,J=11 Hz,1H),3.52−3.49(m,4H),3.39−3.37(m,4H).C1617FN+HについてのMS計算値:257,実測値:257。
【0261】
(実施例3.4)
(1−(5,2’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物4)の調製)
実施例3.1と同じ一般手順により、2−フルオロフェニルボロン酸から白色固体として1−(5,2’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ7.48(dd,J=8,8 Hz,1H),7.47(dd,J=8,8 Hz,1H),7.40−7.34(m,1H),7.24(dd,J=8,8 Hz,1H),7.18(dd,J=11,8 Hz,1H),6.96(s,1H),6.82(s,1H),6.79(s,1H),3.49(m,4H),3.38(m,1H).C1616+HについてのMS計算値:275,実測値:275。
【0262】
(実施例3.5)
(1−(5,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物5)の調製)
実施例3.1と同じ一般手順により、3−フルオロフェニルボロン酸から白色固体として1−(5,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ7.56−7.43(m,2H),7.37(d,J=10 Hz,1H),7.13−7.08(m,1H),7.05(s,1H),6.92(d,J=10 Hz,1H),6.80(d,J=12 Hz,1H),3.52(m,4H),3.37(m,1H).C1616+HについてのMS計算値:275,実測値:275。
【0263】
(実施例3.6)
(1−(5,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル−ピペラジン(化合物6)の調製)
実施例3.1と同じ一般手順により、4−フルオロフェニルボロン酸から白色固体として1−(5,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ7.61(m,1H),7.16(dd,J=9,9 Hz,2H),7.01(s,1H),6.86(d,J=10 Hz,1H),6.76(d,J=12 Hz,1H),3.51(m,4H),3.38(m,4H).C1616+HについてのMS計算値:275,実測値:275。
【0264】
(実施例3.7)
(1−(2−フルオロ−5−チオフェン−3−イル−フェニル)−ピペラジン(化合物7)の調製)
実施例3.1と同じ一般手順により、3−チオフェンボロン酸と4−ヨード−2−クロロ−1−フルオロベンゼンとから白色固体として1−(2−フルオロ−5−チオフェン−3−イル−フェニル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ7.60(s,1H),7.48(m,1H),7.42(m,1H),7.36−7.31(m,2H),7.13(dd,J=12,8 Hz,1H),3.43−3.37(m,8H).C1415FNS+HについてのMS計算値:263,実測値:263。
【0265】
(実施例3.8)
(1−(2−フルオロ−5−ピリジン−3−イル−フェニル)−ピペラジン(化合物8)の調製)
実施例3.1と同じ一般手順により、3−ピリジンボロン酸と4−ヨード−2−クロロ−1−フルオロベンゼンとから白色固体として1−(2−フルオロ−5−ピリジン−3−イル−フェニル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ9.09(s,1H),8.76(d,J=5 Hz,1H),6.68(d,J=8 Hz,1H),7.99(dd,J=8,5 Hz,1H),7.49−7.44(m,2H),7.30(dd,J=12,9 Hz,1H),3.44(bs,8H).C1516FN+HについてのMS計算値:258,実測値:258。
【0266】
(実施例3.9)
(1−(2−フルオロ−5−フラン−3−イル−フェニル)−ピペラジン(化合物9)の調製)
実施例3.1と同じ一般手順により、3−ピリジンボロン酸と4−ヨード−2−クロロ−1−フルオロベンゼンとから白色固体として1−(2−フルオロ−5−フラン−3−イル−フェニル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ7.88(s,1H),7.55(s,1H),7.25−7.21(m,2H),7.10(dd,J=12,9Hz,1H),6.78(s,1H),3.42−3.38(m,4H),3.38−3.34(m,4H).C1415FNO+HについてのMS計算値:247,実測値247。
【0267】
(実施例3.10)
(1−(4−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物10)の調製)
実施例3.1と同じ一般手順により、フェニルボロン酸と4−ヨード−2−クロロ−1−フルオロベンゼンから白色固体として1−(4−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ7.62(m,2H),7.37(m,1H),7.21−7.15(m,4H),7.02(m,1H),3.55−3.44(m,4H),3,43−3.36(m,4H).C1617FN+HについてのMS計算値:257,実測値:257。
【0268】
(実施例3.11)
(1−(2−フルオロ−5−チオフェン−2−イル−フェニル)−ピペラジン(化合物11)の調製)
実施例3.1と同じ一般手順により、2−チオフェンボロン酸と4−ヨード−2−クロロ−1−フルオロベンゼンから白色固体として1−(2−フルオロ−5−チオフェン−2−イル−フェニル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ7.38−7.28(m,4H),7.13(dd,J=12,8 Hz,1H),7.08(dd,J=5,3 Hz,1H),3.43−3.36(m,8H).C1415FNS+HについてのMS計算値:263,実測値:263。
【0269】
(実施例3.12)
(1−(6−フルオロ−ビフェニル−3−イル)ピペラジン(化合物12)の調製)
実施例3.1と同じ一般手順により、フェニルボロン酸と2−ブロモ−4−クロロ−1−フルオロベンゼンから白色固体として1−(6−フルオロ−ビフェニル−3−イル)ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ7.53(m,2H),7.42(m,2H),7.36(m,1H),7.13−7.00(m,3H),3.37(s,8H).C1617FN+HについてのMS計算値:257,実測値:257。
【0270】
(実施例3.13)
(1−(4−フルオロ−3−ピリジン−3−イル−フェニル)−ピペラジン(化合物13)の調製)
実施例3.1と同じ一般手順により、3−ピリジンボロン酸と2−ブロモ−4−クロロ−1−フルオロベンゼンから白色固体として1−(4−フルオロ−3−ピリジン−3−イル−フェニル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ9.08(s,1H),8.84(d,J=6 Hz,1H),8.73(d,J=8 Hz,1H),8.09(dd,J=8,6 Hz,1H),7.30−7.20(m,3H),3.48−3.39(m,8H).C1516FN+HについてのMS計算値:258,実測値:258。
【0271】
(実施例3.14)
(1−(2−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物14)の調製)
(工程A:1−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−ピペラジンの調製)
トルエン(12mL)中の3−クロロ−2−フルオロヨード−ベンゼン(1.53g、6.0mmol)と、ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.39g、7.5mmol)と、tert−ブトキシドナトリウム(0.86g、9.0mmol)と、BINAP(0.19g、0.30mmol)と、Pd(dba)(0.14g、0.15mmol)との溶液を、マイクロ波により140℃にて20分間加熱した。この粗生成物の混合物をセライトに通して濾過し、EtOAc(100mL)で希釈し、濃縮し、次いで、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中5〜30%EtOAc、シリカ)により精製して、0.90gの白色固体を得た。
【0272】
(工程B:1−(2−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物14)の調製)
THF(1.0mL)中の1−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−ピペラジン(105mg、0.33mmol)と、フェニルボロン酸(71mg、0.66mmol)と、KPO(216mg、1.0mmol)と、2−ジクロロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリ−i−プロピル−1,1’−ビフェニル(8mg、0.016mmol)と、Pd(OAc)(1.8mg、0.008mmol)との溶液を、マイクロ波により140℃にて30分間加熱した。この粗生成物の混合物を、セライトに通して濾過し、EtOAc(20mL)で溶離し、次いで濃縮した。この粗生成物の混合物を、CHCl(1mL)中に溶解させ、30分間、トリフルオロ酢酸(1mL)で処理し、濃縮し、次いで、HPLCにより精製して、白色固体として74mgのTFA塩を得た。H NMR(400 MHz,DMSO−d)δ7.50(d,J=8 Hz,2H),7.44(dd,J=8,8 Hz,2H),7.40(dd,J=8,8 Hz,1H),7.23(dd,J=6,6 Hz,1H),7.13(m,2H),3.26(m,8H).C1617FN+HについてのMS計算値:257,実測値:257。
【0273】
(実施例3.15)
(1−(2,2’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物15)の調製)
実施例3.14と同じ一般手順により、2−フルオロフェニルボロン酸から白色固体として、1−(2,2’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,DMSO−d)δ7.52−7.42(m,2H),7.35−7.17(m,4H),7.09(d,J=8 Hz,1H),3.34(bs,8H).C1616+HについてのMS計算値:275,実測値:275。
【0274】
(実施例3.16)
(1−(2,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物16)の調製)
実施例3.14と同じ一般手順により、3−フルオロフェニルボロン酸から白色固体として、1−(2,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,DMSO−d)δ7.53(m,1H),7.41−7.35(m,2H),7.29−7.13(m,4H),3.27(bs,8H).C1616+HについてのMS計算値:275,実測値:275。
【0275】
(実施例3.17)
(1−(2,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物17)の調製)
実施例3.14と同じ一般手順により、4−フルオロフェニルボロン酸から白色固体として、4−フルオロフェニルボロン酸から白色固体として1−(2,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,DMSO−d)δ7.58(m,2H),7.31(dd,J=9,9 Hz,2H),7.23(dd,J=8,8 Hz,1H),7.18−7.10(m,2H),3.27(bs,8H).C1616+HについてのMS計算値:275,実測値:275。
【0276】
(実施例3.18)
(1−(2−クロロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物18)の調製)
実施例3.14と同じ一般手順により、フェニルボロン酸と1−ブロモ−2,3−ジクロロベンゼンとから白色固体として1−(2−クロロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,DMSO−d)δ7.49−7.37(m,6H),7.25(d,J=8 Hz,1H),7.12(d,J=8 Hz,1H),3.28(bs,4H),3.22(bs,4H).C1617ClN+HについてのMS計算値:273,実測値:273。
【0277】
(実施例3.19)
(1−(5−フルオロ−2’−メチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物19)の調製)
実施例3.14と同じ一般手順により、2−トリルボロン酸から白色固体として1−(5−フルオロ−2’−メチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ7.27−7.15(m,4H),6.77(d,J=12 Hz,1H),6.73(s,1H),6.96(s,1H),6.58(d,J=9 Hz,1H),3.47(m,4H),3.36(m,4H),2.24(s,3H).C1719FN+HについてのMS計算値:271,実測値: 271。
【0278】
(実施例3.20)
(1−(5−フルオロ−3’−メチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物20)の調製)
実施例3.14と同じ一般手順により、3−トリルボロン酸から白色固体として1−(5−フルオロ−3’−メチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ7.41(s,1H),7.38(d,J=8 Hz,1H),7.31(dd,J=8,8 Hz,1H),7.18(d,J=8 Hz,1H),7.02(s,1H),6.87(d,J=8 Hz,1H),6.76(d,J=10 Hz,3.50(m,4H),3.39(m,4H),2.40(s,3H).C1719FN+HについてのMS計算値:271,実測値:271。
【0279】
(実施例3.21)
(1−(5−フルオロ−4’−メチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物21)の調製)
実施例3.14と同じ一般手順により、4−トリルボロン酸から白色固体として1−(5−フルオロ−4’−メチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,CDOD)δ7.60(d,J=8 Hz,2H),7.27(d,J=8 Hz,2H),7.05(s,1H),6.92(d,J=10 Hz,1H),6.83(d,J=12 Hz,1H),3.49(m,8H),2.35(s,3H).C1719FN+HについてのMS計算値:271,実測値:271。
【0280】
(実施例3.22)
(1−(5−フルオロ−2’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物22)の調製)
実施例3.14と同じ一般手順により、2−フルオロフェニルボロン酸から白色固体として1−(5−フルオロ−2’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,DMSO−d)δ7.36(dd,J=7,7 Hz,1H),7.31(d,J=7 Hz,1H),7.12(d,J=7 Hz,1H),7.02(dd,J=7,7 Hz,1H),6.86(s,1H),6.82(d,J=12Hz,1H),6.79(d,J=10 Hz,1H),3.77(s,3H),3.42(m,4H),3.23(m,4H).C1719O+HについてのMS計算値:287,実測値:287。
【0281】
(実施例3.23)
(1−(5−フルオロ−3’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物23)の調製)
実施例3.14と同じ一般手順により、3−フルオロフェニルボロン酸から白色固体として1−(5−フルオロ−3’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,DMSO−d)δ7.37(dd,J=8,8 Hz,1H),7.25(d,J=8 Hz,1H),7.21(s,1H),7.06(s,1H),6.98−6.94(m,2H),6.85(d,J=12 Hz,1H),3.83(s,3H),3.49(m,4H),3.24(m,4H).C1719O+HについてのMS計算値:287,実測値:287。
【0282】
(実施例3.24)
(1−(5−フルオロ−4’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物24)の調製)
実施例3.14と同じ一般手順により、4−フルオロフェニルボロン酸から白色固体として1−(5−フルオロ−4’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,DMSO−d)δ7.64(d,J=8 Hz,2H),7.03(s,1H),7.01(d,J=8 Hz,2H),6.90(d,J=10Hz,1H),6.79(d,J=12 Hz,1H),3.80(s,3H),3.48(m,4H),3.24(m,4H).C1719O+HについてのMS計算値:287,実測値:287。
【0283】
(実施例3.25)
(1−(5−フルオロ−2’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物25)の調製)
実施例3.14と同じ一般手順により、2−フルオロフェニルボロン酸から白色固体として1−(5−フルオロ−2’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,DMSO−d)δ7.84(d,J=8 Hz,1H),7.73(dd,J=8,8 Hz,1H),7.63(dd,J=8,8 Hz,1H),7.44(d,J=8 Hz,1H),6.92(d,J=12 Hz,1H),6.74(s,1H),6.60(d,J=10 Hz,1H),3.43(m,4H),3.22(m,4H).C1716+HについてのMS計算値:325,実測値:325。
【0284】
(実施例3.26)
(1−(5−フルオロ−3’−トリフロオロメチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物26)の調製)
実施例3.14と同じ一般手順により、3−フルオロフェニルボロン酸から白色固体として1−(5−フルオロ−3’−トリフロオロメチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,DMSO−d)δ8.02(s,2H),7.77−7.68(m,2H),7.15(s,1H),7.06(d,J=10 Hz,1 H),6.92(d,J=12 Hz,1H),3.51(m,4H),3.25(m,4 H).C1716+HについてのMS計算値:325,実測値:325。
【0285】
(実施例3.27)
(1−(5−フルオロ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン(化合物27)の調製)
実施例3.14と同じ一般手順により、4−フルオロフェニルボロン酸から白色固体として1−(5−フルオロ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H NMR(400 MHz,DMSO−d)δ7.93(d,J=8 Hz,2H),7.82(d,J=8 Hz,2H),7.14(s,1H),7.04(d,J=10 Hz,1H),6.94(d,J=12 Hz,1H),3.51(m,4H),3.25(m,4H).C1716+HについてのMS計算値:325,実測値:325。
【0286】
本明細書中に言及または参照される各特許、出願、印刷された刊行物、および他の公開された文書の各々は、それらの全体が本明細書中に参考として援用されることが意図される。
【0287】
数多くの変更および修正が本明細書の好ましい実施形態に対して成され得、そしてそのような変更および修正は、本発明の精神から逸脱することなく成され得ることを当業者は理解する。したがって、添付された特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲内に入るような等価なバリエーションを包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0288】
図中に示され、例示される合成において、標記した置換基は、本明細書中に記載されるとおりの式(Ia)およびその亜種の式の本発明の化合物の定義に示されるものと同じ識別名を有する。
【図1】図1は、中間体および本発明の化合物の調製のための2つの一般合成スキームを示す。本発明の化合物への1つの経路は、当該技術分野において公知の適切な結合条件の下で、必要に応じて置換されている1,3−ジハロベンゼンとアリールボロン酸またはヘテロアリールボロン酸とを結合し、続いて、モノ保護ピペラジンと結合する工程を含む。PGは保護基を示し、1つの特に有用な基はBOC基である。この保護基は除去されて、RがHである、本発明の化合物を提供する。本発明の化合物への別の経路は、必要に応じて置換されている1,3−ジハロベンゼンとモノ保護ピペラジンとを結合すること、脱保護すること、続いて、アリールボロン酸またはヘテロアリールボロン酸と結合することを含む。当該技術分野において公知の同様な結合方法もまた、種々の結合のために使用され得、そして、ハロとしては、例えば、I、BrおよびClが挙げられ、ハロは、特定の合成条件の下で、トリフレート基で置換され得ることが理解される。続く工程において、ピペラジン(ここで、RはHである)は、Rをアルキル基として導入するためにアルキル化され得る;Rとしてアルキル基を導入するための代替方法は、図2に示される。
【図2】図2は、中間体およびRがアルキル基である本発明の化合物の調製のための2つの一般合成スキームを示す。図2に示される経路は、保護基がRで置換されること以外は図1に記載される経路と同様である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia):
【化1】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、その溶媒和物もしくはその水和物であって:
ここで:
は、HまたはC1〜4アルキルであり;
、R、RおよびRは、各々独立して、H、C1〜4アルキル、C1〜4ハロアルキルまたはハロゲンであるが、但し、少なくとも1つの基はH以外であり:そして
Arは、C1〜4アシル、C1〜4アシルオキシ、C1〜4アシルチオキシ、C2〜4アルケニル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルカルボキサミド、C1〜4アルキルスルフィニル、C1〜4アルキルスルホンアミド、C1〜4アルキルスルホニル、C1〜4アルキルチオ、アミノ、C1〜4アルキルアミノ、カルボ−C1〜4アルコキシ、カルボキサミド、シアノ、C2〜6ジアルキルアミノ、C1〜4ハロアルコキシ、C1〜4ハロアルキル、C1〜4ハロアルキルスルフィニル、C1〜4ハロアルキルスルホニル、C1〜4ハロアルキルチオ、ハロゲン、ヒドロキシルおよびチオールからなる群より独立して選択される、1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つの置換基で必要に応じて置換されている、アリールまたはヘテロアリールである、
化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、その溶媒和物もしくはその水和物である。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、RがHである、化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、RがC1〜4アルキルである、化合物。
【請求項4】
請求項3に記載の化合物であって、Rがメチルである、化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の化合物であって、Rがハロゲンであり;そして、R、RおよびRが、各々Hである、化合物。
【請求項6】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の化合物であって、Rが、FまたはClであり;そして、R、RおよびRが、各々Hである、化合物。
【請求項7】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の化合物であって、Rが、ハロゲンであり;そして、R、RおよびRが、各々Hである、化合物。
【請求項8】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の化合物であって、RがFであり;そしてR、RおよびRが、各々Hである、化合物。
【請求項9】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の化合物であって、Rがハロゲンであり;そして、R、RおよびRが、各々Hである、化合物。
【請求項10】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の化合物であって、RがFであり;そして、R、RおよびRが、各々Hである、化合物。
【請求項11】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の化合物であって、Rがハロゲンであり;そして、R、RおよびRが、各々Hである、化合物。
【請求項12】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の化合物であって、RがFであり;そして、R、RおよびRが、各々Hである、化合物。
【請求項13】
請求項1〜12のうちのいずれか1項に記載の化合物であって、Arが、ハロゲンで必要に応じて置換されている、チエニル、フラニル、フェニルまたはピリジニルである、化合物。
【請求項14】
請求項1〜12のうちのいずれか1項に記載の化合物であって、Arが、チオフェン−3−イル、フラン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、ピリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニルおよび4−フルオロメチルフェニルからなる群より選択される、化合物。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物であって:
がHであり;
、R、RおよびRが、各々独立してHまたはハロゲンであるが、但し、少なくとも1つの基がハロゲンであり;そして、
Arが、ハロゲンで必要に応じて置換されている、チエニル、フラニル、フェニルまたはピリジニルである、
化合物。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物であって:
がHであり;
、R、RおよびRは、各々独立してHまたはハロゲンであるが、但し、少なくとも1つの基はハロゲンであり;そして
Arは、チオフェン−3−イル、フラン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、ピリジン−3−イル、チオフェン−2−イル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニルおよび4−トリフルオロメチルフェニルからなる群より選択される、化合物。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物であって:
はHであり;
は、FまたはClであり;
、RおよびRは、各々Hであり;そして
Arは、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニルおよび4−フルオロフェニルからなる群より選択される、
化合物。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、その溶媒和物もしくはその水和物であって:
1−(3−フルオロ−5−チオフェン−3−イル−フェニル)−ピペラジン;
1−(3−フルオロ−5−フラン−3−イル−フェニル)−ピペラジン;
1−(2−フルオロ−5−チオフェン−3−イル−フェニル)−ピペラジン;
1−(2−フルオロ−5−ピリジン−3−イル−フェニル)−ピペラジン;
1−(2−フルオロ−5−フラン−3−イル−フェニル)−ピペラジン;
1−(2−フルオロ−5−チオフェン−2−イル−フェニル)−ピペラジン;
1−(4−フルオロ−3−ピリジン−3−イル−フェニル)−ピペラジン;
1−(5−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(5,2’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(5,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(5,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(4−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(6−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(2−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(2,2’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(2,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(2,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(2−クロロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(5−フルオロ−2’−メチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(5−フルオロ−3’−メチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(5−フルオロ−4’−メチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(5−フルオロ−2’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(5−フルオロ−3’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(5−フルオロ−4’−メトキシ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(5−フルオロ−2’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(5−フルオロ−3’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;および
1−(5−フルオロ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン
からなる群より選択される、化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、その溶媒和物もしくはその水和物。
【請求項19】
薬学的に受容可能なキャリアーと組み合わせて、請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項20】
有効量の請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物または請求項19に記載の薬学的組成物を、5HT2Cレセプター関連障害の処置を必要とする個体に投与する工程を包含する、5HT2Cレセプター関連障害を処置する方法。
【請求項21】
前記5HT2Cレセプター関連障害が、中枢神経系の障害、中枢神経系への損傷、心血管障害、胃腸障害、尿崩症または睡眠時無呼吸である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記中枢神経系の障害が、鬱病、非定型鬱病、双極性障害、不安障害、強迫性障害、社会恐怖症またはパニック状態、睡眠障害、性的機能不全、精神病、精神分裂病、片頭痛および頭の痛みまたは他の痛みに関連した他の状態、上昇した頭蓋内圧、癲癇、人格障害、アルツハイマー病、加齢性行動障害、認知症に関連する行動障害、器質性精神障害、小児精神障害、攻撃性、加齢性記憶障害、慢性疲労症候群、薬物嗜癖およびアルコール嗜癖、肥満、過食症、神経性食欲不振および月経前緊張症からなる群より選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記中枢神経系の障害が、肥満である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記中枢神経系の障害が、アルツハイマー病である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記中枢神経系の障害が、男性の勃起機能不全である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
請求項20〜25のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記個体が、哺乳動物である、方法。
【請求項27】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
個体に、治療有効量の請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物または請求項23に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、個体の食物摂取を減少させる方法。
【請求項29】
個体に、治療有効量の請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物または請求項23に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、個体において飽満を誘発する方法。
【請求項30】
体重制御を受けている個体に、治療有効量の請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物または請求項23に記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、個体の体重増加を制御する方法。
【請求項31】
前記個体が、哺乳動物である、請求項28、29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1種の請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物と薬学的に受容可能なキャリアーとを混合する工程を包含する、薬学的組成物を生成する方法。
【請求項34】
治療によるヒトまたは動物の身体の処置方法における使用のための、請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
治療によるヒトまたは動物の身体の5HT2Cレセプター関連障害の処置方法における使用のための、請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
治療によるヒトまたは動物の身体の中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の処置方法における使用のための、請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項37】
治療によるヒトまたは動物の身体の肥満の処置方法における使用のための、請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項38】
治療によるヒトまたは動物の身体のアルツハイマー病の処置方法における使用のための、請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項39】
治療によるヒトまたは動物の身体の男性の勃起機能不全の処置方法における使用のための、請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項40】
5HT2Cレセプター関連障害の処置における使用のための医薬の製造のための、請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項41】
中枢神経系の障害;中枢神経系への損傷;心血管障害;胃腸障害;尿崩症または睡眠時無呼吸の処置における使用のための医薬の製造のための、請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項42】
肥満の処置における使用のための医薬の製造のための、請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項43】
アルツハイマー病の処置における使用のための医薬の製造のための、請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項44】
男性の勃起機能不全の処置における使用のための医薬の製造のための、請求項1〜18のうちのいずれか1項に記載の化合物の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2008−523075(P2008−523075A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545598(P2007−545598)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/044293
【国際公開番号】WO2006/065600
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(500478097)アリーナ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (97)
【Fターム(参考)】