説明

5HTR2CmRNA編集機構の変更のマーカーとしての5HTR2Cおよび/またはADARを発現する細胞を含有する末梢組織サンプル、ならびにその適用

本発明は、患者において、特にセロトニン2C受容体(5HTR2C)のADAR依存性A−to−I mRNA編集というmRNA編集の機構の変更に関連する病状を、該mRNA(5HTR2C mRNAなど)および/またはRNAに作用するアデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminases acting on RNA, ADAR)を発現する細胞を含有する末梢(peripherical)組織サンプル(皮膚および/または血液組織サンプルなど)から推定するためのin vitro法に関する。本発明はさらに、薬剤が脳組織においてin vivoで5HTR2C mRNAの編集を改変することができるかどうかを特定するため、または脳組織における5HTR2C mRNA編集の機構の変更に関連する病状の予防もしくは治療を意図した薬剤の有効性を制御するための方法を含み、これらの方法は該末梢(peripherical)組織マーカーの手段を含む。特定の態様において、本発明は、必要とされる場合に5HTR2C mRNA編集率またはプロフィールが、編集部位を含む特定のmRNAフラグメントをPCR、好ましくはネステッドPCRにより増幅した後に、一本鎖コンフォメーション多型(SSCP)法によって決定され、与えられた分析条件下で、該末梢(peripherical)組織からこの編集された5HTR2C mRNAの編集率および/またはプロフィールを得ることを可能とする、このような方法に関する。最後に、本発明は、該ネステッドPCRにおいて実現に寄与する特定の核酸プライマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、患者において、特にセロトニン2C受容体(5HTR2C)のADAR依存性A−to−I mRNA編集というmRNA編集の機構の変更に関連する病状を、該mRNA(5HTR2C mRNAなど)および/またはRNAに作用するアデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminases acting on RNA, ADAR)を発現する細胞を含有する末梢(peripherical)組織サンプル(皮膚および/または血液組織サンプルなど)から推定するためのin vitro法に関する。本発明はさらに、薬剤が脳組織においてin vivoで5HTR2C mRNAの編集を改変することができるかどうかを特定するため、または脳組織における5HTR2C mRNA編集の機構の変更に関連する病状の予防もしくは治療を意図した薬剤の有効性を制御するための方法を含み、これらの方法は該末梢(peripherical)組織マーカーの手段を含む。特定の態様において、本発明は、必要とされる場合に5HTR2C mRNA編集率またはプロフィールが、編集部位を含む特定のmRNAフラグメントをPCR、好ましくはネステッドPCRにより増幅した後に、一本鎖コンフォメーション多型(SSCP)法によって決定され、与えられた分析条件下で、該末梢(peripherical)組織からこの編集された5HTR2C mRNAの編集率および/またはプロフィールを得ることを可能とする、このような方法に関する。最後に、本発明は、該ネステッドPCRにおいて実現に寄与する特定の核酸プライマーに関する。
【0002】
遺伝的関連研究、ノックアウトマウスおよび剖検は、神経精神疾患におけるセロトニン2C受容体(5HTR2C)の関わりを示唆している。第一に、5HTR2Cの機能的対立遺伝子多型(Cys23Ser)は鬱病および双極性障害に関連している(Lerer et al., 2001, Mol. Psychiatry, 6:579-585)。第二に、5HT2Cセロトニン受容体を欠いたマウスは特発性痙攣、認知障害および摂食行動の異常な制御を示す(Tecott et al., 1995, Nature, 374:542-546)。これらの動物はまた、繰り返すストレスに対して過敏に反応する(Chou-green et al., 2003, Physiol. Behav., 79:217-226)。第三に、双極性障害または統合失調症に罹患している患者の剖検脳において、5−HT2Cセロトニン受容体のRNA発現はダウンレギュレーションされている(Iwamoto et al., 2004, Mol. Psychiatry, 9:406-416; Castensson et al., 2003, Biol. Psychiatry, 54:1212-1221)。
【0003】
また、5HTR2CのRNA編集も、精神病の病態生理学および抗鬱薬の作用に関与すると思われる(Seeburg, 2002, Neuron, 35:17-20)。5HTR2Cの第二の細胞内ループをコードする領域では5つのアデノシン残基が編集され、この受容体配列の3つの異なる位置にアミノ酸置換をもたらし得る。これらのアミノ酸残基の組合せ置換は、異なるG共役効率を有する最大24の異なる5HTR2Cタンパク質イソ型を生じる(Price et al, 2001, J. Biol. Chem., 276:44663-44668)。マウスでは、C57BL/6および129sv近交系に比べて、BALB/c系統は、それらのストレス反応性における違いの基礎となり得る、異なる前脳基底核新皮質5HTR2Cプレ−mRNA編集パターンを示す。さらに、BALB/cマウスは、抑鬱状態の自殺者の脳で検出されたものに似た、ストレスにより誘発される5HTR2Cプレ−mRNA編集の変化を示す(Englander et al., 2005, J. Neurosci., 25:648-651)。実際、統合失調症、鬱病患者および自殺者で、剖検脳において、5HTR2Cの変更されたRNA編集が報告されている(Niswender et al., 2001, Neuropsychopharmacology, 24:478-491; Sodhi et al., 2001, Mol. Psychiatry, 6:373-379; Gurevich et al., 2002, Neuron, 34:349-356)。さらに、インターフェロンはC型肝炎の治療に用いられるが、患者においてこの分子の副作用として鬱病の症状が見られる場合が多く、Yang et al.は、この分子が5HTR2Cの編集を著しく変更することを示している(Tohda et al., 2006, J. Pharmacol. Sci., 100, 427-432参照)。
【0004】
これまでの研究で、5HTR2Cは主として脳、特に、脈絡膜叢、前頭皮質、大脳辺縁領域、基底核および視床下部で発現される(Tohda et al., 1996, Neurosci. Res., 24:189-193; Julius et al., 1988, 241:558-564; Pasqualetti et al., 1999, Neuroscience, 92:601-611)。この発現の脳特異的パターンは、5HTR2C RNA編集と精神医学的症状の間にある潜在的関連の検討を死後研究に制限する。より容易に利用でき、CNSにおけるHTR2Cの編集状態をモニタリングすることができ、精神医学的状態の異なる患者において定量分析を可能とする組織の探索において、Marazzitiおよび共同研究者らは、休止中のリンパ球において5HTR2C mRNAの存在を検出した(Marazziti et al., 2001, Neuropsychobiology, 43:123-126)。残念ながら、これらの細胞では、RT−PCR/サザンブロッティングによって明らかにされるような5HTR2Cの発現レベルは、さらなる定量的RNA編集分析のためには低すぎる。
【0005】
最近、Slominskiおよび共同研究者らは、ヒト皮膚および培養皮膚由来細胞がL−トリプトファンをセロトニンへ変換し、セロトニンをN−アセチル−セロトニンとメラトニンへ代謝する能力を有することを示した(Slominski et al, 2002, FASEB J., 16:896-898)。彼らは、ネステッドRT−PCRにより、この皮膚のセロトニン作動性/メラトニン作動性代謝経路の受容体をコードする遺伝子の発現をさらに試験した。完全なヒト皮膚ならびに正常および病的な培養皮膚細胞は主として、セロトニン受容体の5−HT2Bおよび5HT7イソ型をコードする遺伝子を発現する。他のセロトニン受容体イソ型の発現は優勢でなく、5HTR2Cの検出はまれであった(Slominski et al., 2003, J. Cell. Phys., 196:144-153)。
【0006】
ADAR(RNAに作用するアデノシンデアミナーゼ)遺伝子ファミリーのメンバーは、アデノシン残基をイノシンへ変換するRNA編集の一形態に関与している。RNA編集のプロセスは、mRNAにおいて転写後塩基変化をもたらす、真核生物で広く見られる現象である。哺乳類では、部位選択的なアデノシンからイノシンへの修飾を特徴とする一種のRNA編集を受けることが確認される遺伝子の数が増えている。
【0007】
A−to−I編集基質としては、AMPA型グルタミン酸受容体(GluR2およびGluR4)ならびにGタンパク質共役セロトニン受容体(5HTR2Cなど)をコードする脳特異的転写物がある。GluRサブユニットB(GluR−B)では、ある1つの編集場所(Q/R部位)はイオンチャネルのCa2+−透過性を制御し、別の場所(R/G部位)は受容体の脱感作速度を調節する。正常な脳機能にはこのAMPA受容体の特性が重要である。正常な脳機能には正確なRNA編集が重要であるため、編集活性の調節欠如は、神経変性疾患または腫瘍形成(癲癇性認知症(epilepsie cognitif)、腫瘍、夢遊病(sleep waking)、気分障害性摂食)などの病態生理学的プロセスの進行に影響を及ぼし得る(Maas S et al. (1996) J. Biol. Chem 271, 12221-26; Sergeeva OA et al. (2007) Cell Mol Neurobiol. 27:669-680)。
【0008】
ホスホジエステラーゼのイソ酵素としてT細胞のレベルで同定されている別のADAR A−to−I編集基質がホスホジエステラーゼ8A1である。6〜7部位の編集が確認されており、病態(紅斑性狼瘡)において、また、薬剤作用(インターフェロンα)の後に調節され得る。
【0009】
このイソ酵素は脳に存在することに注目することが重要である(Orlowski RJ et al, 8A1 gene transcripts of systemic lupus erythematosus T lymphocytes. Immunology 2008 in press; Wang P et al., phosphodiesterase 8A (PDEA8) splice variants: cloning, gene organization and tissue distribution. (2001) Gene 280 183-194)。
【0010】
これらのADAR脳特異的基質のうち、5HTR2C mRNAのA−to−I編集は、細胞内ループIIドメイン内に位置する3つのアミノ酸残基の置換をもたらし、受容体のGタンパク質共役機能に劇的な変更をもたらす(Yang W et al., Brain Res Mol Brain Res. 2004, 124(1):70-78)。ADAR1、ADAR2、ADAR3およびADAT1と呼ばれる4つのA−to−I RNA編集酵素が哺乳類からクローニングされている。ADAR1イソ型およびADAR2は、種々の細胞および組織で広く発現し、脳および脾臓で最も発現が高く、5HTR2C mRNA編集に関与する必須のADARである(ADAR3は唯一脳で同定され、そのデアミナーゼ活性はまだ確認されておらず、ADAT1はtRNAを標的とする)。5HTR2C mRNAは、5つの近接したアデノシン残基(A、B、C、DおよびE編集部位と呼ばれる)で編集され、32の異なるmRNA変異体と非編集Ile156−Asn158− Ile160(INI)イソ型から完全編集Val156−Gly158−Val160(VGV)イソ型まで、24の異なるタンパク質イソ型を生じさせる。ADAR1単独がAおよびB編集部位に関与し、ADAR1とADAR2の双方がEおよびC編集部位に関与し、ADAR2単独がD編集部位に関与することが知られている(Dracheva et al., Molecular Psychiatry, 2007, 1-10)。
【0011】
インターフェロン−α(IFN−α)は慢性ウイルス性肝炎に関して処置される患者に重篤な鬱病およびある種の悪性腫瘍をしばしば引き起こすことが知られている。ヒト膠芽腫細胞系統におけるRNA編集に対するIFN−αの効果が観察されている(Yang et al., Beyond the Identification of Transcribed Sequences: Functional, Evolutionary and Expression Analysis, 12th International Workshop, October 25-28, 2002, Washington, DC, Intracellular Trafficking of A Few Inflammation-Inducible ADARl Isoform)。in vivoにおいてBalb/cマウスでも、in vitroにおいてヒト膠芽腫細胞系統でADAR1 150の発現の強力なアクチベーターであることが知られている(Yang W. et al., 2004)インターフェロンαの投与も背側前頭皮質における5HTR2Cの編集プロフィールに結果としての変化を誘発することが見られた。
【0012】
編集プロセスの一般的修飾の迅速かつバリデートされた予測パラメーターを可能とするためには、
ヒト脳組織において、被験患者から容易に得ることができる生体サンプルからこれらのADAR基質、特に、AMPA型グルタミン酸受容体または5HTR2C mRNAの編集率またはプロフィールの変更を外挿することを可能とすること(ここで、この生体サンプルにおいて決定されたこれらのADAR基質の編集率またはプロフィールは脳生体サンプルから得られるものと相関させることができる);および/または
被験患者から容易に得ることができる生体サンプルに存在するマーカーを同定すること(ここで、該サンプル中の該マーカーの定性的および/または定量的分析は、脳組織におけるこれらのADAR基質の編集率またはプロフィールの変更と相関させることができ、このような生体サンプルおよび会合したマーカーはCNS(中枢神経系)に見られる受容体編集のリポーターとして使用可能である)
がやはり望ましい。
【0013】
これはまさに本発明の目的である。
【0014】
本発明は、脳におけるmRNA編集(該mRNA編集はADAR依存性A−to−I mRNA編集である)の病理的変化を評価するための方法であって、細胞を含有する末梢(peripherical)組織からなる生体サンプルの群から選択される単一の生体サンプルまたは2種類の異なる生体サンプルが用いられる方法に関する。
【0015】
本発明はまた、脳におけるmRNA編集(該mRNA編集はADAR依存性A−to−I mRNA編集である)の病理学的変更を評価するための方法であって、単一の、または会合したリポーターサンプルとして、
哺乳類由来の皮膚サンプルなどの、第一の、細胞を含有する末梢(peripherical)組織;または/および
哺乳類由来の血液サンプルなどの、第二の、細胞を含有する末梢(peripherical)組織、
が用いられる方法に関する。
【0016】
好ましい実施態様では、その編集がADAR依存性A−to−I mRNA編集である該編集mRNAは、AMPA型グルタミン酸受容体、Gタンパク質共役セロトニン受容体およびPDEA8をコードするmRNAからなる群から選択されるmRNAである。
【0017】
好ましい実施態様では、脳におけるmRNA編集の病理学的変更の評価は、
該末梢(peripherical)生体サンプルにおける該mRNAの編集率またはその編集形態のプロフィール;および/または
該末梢(peripherical)生体サンプルで発現されるADARの性質または/および量
により決定される。
【0018】
より好ましい実施態様では、ADAR依存性A−to−I mRNA編集を有する該mRNA は5HTR2C mRNAである。
【0019】
本発明者らは、末梢(血液など)におけるADAR発現の変化の測定が脳における編集の重要な変更を推定できることを見出した。
【0020】
本発明者らは、例えば5HTR2C mRNA編集の決定および/または皮膚および/または血液組織サンプルなど、5HTR2Cおよび/またはADARを発現する細胞を含有する末梢(peripherical)組織で発現されるADAR活性の決定が、脳組織における5HTR2C mRNA編集の機構の変更のリポーターマーカーとして、従って、CNSで発現されるセロトニン作動系(serotinergic system)の多段階代謝経路の病理学的変更を評価するために使用可能である。
【0021】
本発明者らは、哺乳類5HTR2Cの編集を担う必須のADAR(2つのADAR1イソ型(以下、ADAR1−150kDタンパク質およびADAR1−110kDタンパク質としての「ADAR1−150」および「ADAR1−110」と呼ばれる)とADAR2である)は総て、該細胞を含有する末梢(peripherical)組織、特に、血液サンプル白血球で、定性的および/または定量的分析を行うのに、また、細胞を含有する末梢(peripherical)組織およびADARを、このCNSで発現されるセロトニン作動系(serotinergic system)の多段階代謝経路の病理学的変更を評価するためのリポーターサンプルおよびマーカーとして使用するのに十分な量で発現されることを実証した。
【0022】
本発明者らはまた、先行技術で皮膚サンプルに関して示されたもの(Slominski et al, 2003, J. Cell Phy., 196, 144-153)とは対照的に、皮膚サンプル細胞などの細胞を含有するある特定の末梢(peripherical)組織は、5HTR2C mRNAの編集率またはプロフィール、ならびに所望により含まれるADARの性質および/または量を評価するために検出および分析するのに十分な5HTR2C mRNAを発現する。
【0023】
結局のところ、
細胞を含有する皮膚および/または血液組織サンプルなど、これらのADARを発現する細胞を含有する末梢(peripherical)組織における、ADAR酵素、特に、ADAR1イソ型(特に、「ADAR1−150」および「ADAR1−110」)ならびにADAR2の変更されたまたは正常な発現の決定(性質および/または量);および/または
細胞を含有する皮膚および/または血液組織サンプルなど、5HTR2C mRNA編集を発現する細胞を含有する末梢(peripherical)組織における、5HTR2C mRNAの編集形態の5HTR2C mRNA編集率またはプロフィールの決定
は、脳組織における5HTR2C mRNA編集の機構の変更のリポーターマーカーとして、従って、患者のCNSで発現されるセロトニン作動系(serotinergic system)の多段階代謝経路の病理学的変更を評価するためのリポーターサンプルとして使用可能である。
【0024】
最後に、細胞を含有する皮膚および/または血液組織サンプルなど、細胞を含有する1以上の末梢(peripherical)組織サンプルにおいて、ADAR酵素の変更された、または正常な発現の決定は、単独で、または5HTR2C mRNAの編集形態の5HTR2C mRNA編集率またはプロフィールの決定と組み合わせて、
in vitroにおいて患者がセロトニン2C受容体(5HTR2C)のmRNA編集の機構の変更に関連する病状を呈するかどうか、または病状を発症するリスクがあるかどうかを決定するため;
in vitroにおいて患者により示される病状が5HTR2CのmRNA編集の機構の変更に関連するかどうかを決定するため;
脳組織において5HTR2C mRNA編集を調節し得る化合物、好ましくは、それを必要とする患者の脳組織において正常な5HTR2C mRNA編集を回復させ得る化合物を選択するため;または
哺乳類においてin vitroで、5HTR2CのmRNA編集の機構の変更に関連する病状の予防または治療に用いられる薬剤の有効性を決定するため
のリポーターサンプルおよびマーカーとして使用可能である。
【0025】
細胞を含有する「末梢(peripherical)組織」とは、本明細書では、脳組織以外の、好ましくは、一般に、採取が容易な器官または組織の生検、皮膚サンプル、全血サンプル、尿サンプル、唾液サンプル、内部頬組織サンプル、膣もしくは内部頬剥離細胞診または塗沫標本などの採取が容易な組織を表すものとする。細胞を含有する皮膚および/または血液サンプルは、本発明の実現に寄与する好ましい末梢(peripherical)組織サンプルである。
【0026】
これらの2つのマーカーの関連(ADARと5HTR2C mRNA編集)とは、ADAR発現が5HTR2C mRNA編集の決定に用いられる細胞と同タイプの細胞(例えば、皮膚細胞)で分析可能であること、またはADAR発現があるタイプの細胞(例えば、血液細胞サンプル)で分析可能であり、5HTR2C mRNA編集の決定が別のタイプの細胞(例えば、皮膚細胞サンプル)で行われることを意図する。
【0027】
各マーカーは単独で、そのマーカーの決定が、細胞を含有する皮膚および/または血液組織サンプルなどの細胞を含有する末梢(peripherical)組織サンプルにおいてその発現を脳組織における5HTR2C mRNAの編集率またはプロフィールと相関させるのに十分かどうかに使用することができる。
【0028】
例えば、白血球などの血液組織サンプル細胞におけるADARの変更された、または正常な発現の決定は、脳組織における5HTR2C mRNA編集の機構の変更のリポーターマーカーとして単独で使用可能である(得られる相関は単一のマーカーを用いれば十分である)。
【0029】
別の例では、5HTR2C mRNA編集率または5HTR2C mRNAの編集形態のプロフィールの決定、または5HTR2C mRNAおよびADARを発現する細胞を含有する皮膚組織サンプルにおけるADARの変更された、または正常な発現の決定も、得られる、脳における5HTR2C mRNA編集の機構の変更のリポーターマーカーとして単独で使用可能である(得られる相関は単一のマーカーを用いれば十分である)。
【0030】
5HTR2C mRNA編集を調節し得る化合物を選択するための方法を考えれば、このような化合物を評価および選択するための5HTR2C mRNAおよび/またはADARを発現する末梢(peripherical)組織の細胞は、5HTR2C mRNAおよび/またはADARの発現が、例えばこの5HTR2C mRNAおよび/またはADARの病的発現を模倣するために変更されている細胞系統または組換え細胞系統であり得る。特にこの態様には、皮膚または血液組換え細胞または細胞系統が使用可能である。
【0031】
特に、本発明は、脳などのCNSで発現される5HTR2C mRNA編集系の病理学的変更を評価するための単一の、または会合したリポーターサンプルとしての、哺乳類、好ましくはヒト、マウスまたはラット由来の皮膚サンプル(皮膚細胞または組織または生検)など、5HTR2C mRNAおよび/またはADARを発現する1つの末梢(peripherical)組織の使用を含む。
【0032】
より詳しくは、本発明は、
皮膚細胞などの末梢(peripherical)組織サンプルにおける5HTR2C mRNAの編集率または編集形態のプロフィールを決定すること;または所望により、また、会合マーカーとして用いる場合には、
該末梢(peripherical)組織サンプルで発現されるADARの性質または/および量を決定すること
による、脳などのCNSで発現される5HTR2C mRNA編集系の病理学的変更を評価するための単一の、または会合したリポーターサンプルとしての、哺乳類、好ましくはヒト、マウスまたはラット由来の皮膚サンプルなどの5HTR2C mRNAおよび/またはADARを発現する1つの末梢(peripherical)組織の使用を含む。
【0033】
別の特定の実施態様では、本発明は、脳などのCNSで発現される5HTR2C mRNA編集系の病理学的変更を評価するための単一の、または会合したリポーターサンプルとしての、哺乳類、好ましくはヒト、マウスまたはラット血液サンプル由来の全血サンプル、より好ましくは白血球などの第二の末梢(peripherical)組織サンプルの使用を含む。
【0034】
より詳しくは、本発明は、
血液細胞などの第二の末梢(peripherical)組織サンプルにおける5HTR2C mRNAの編集率または編集形態のプロフィールを決定すること;または所望により、また、会合マーカーとして用いる場合には、
該第二の末梢(peripherical)組織サンプルで発現されるADARの性質または/および量を決定すること
により、脳などのCNSで発現される5HTR2C mRNA編集系の病理学的変更を評価するための単一の、または会合したリポーターサンプルとしての、哺乳類、好ましくはヒト、マウスまたはラット末梢(peripherical)組織サンプル由来の全血サンプルなど、該第二の末梢(peripherical)組織の使用を含む。
【0035】
第一の態様において、本発明は、in vitroにおいて、患者が5HTR2CのmRNA編集の機構の変更に関連する病状を呈するかどうか、または病状を発症するリスクがあるかどうかを特定するための方法に向けられ、この方法は、
a)被験患者から皮膚細胞および/または血液細胞などの細胞を含有する末梢(peripherical)組織を含有する生体サンプルを得る工程;
b)該5HTR2C mRNAの少なくとも編集形態または非編集形態の編集率、および/または皮膚細胞および/または血液細胞などの細胞を含有する末梢(peripherical)組織の該サンプルで発現されるADARの性質または/および量を決定する工程;
c)該患者がこのような病状を呈するかどうか、または病状を発症するリスクがあるかどうかを、該5HTR2C mRNAのこの編集形態または非編集形態に関して工程b)で得られた編集率を比較することにより、かつ/または該サンプル(細胞を含有する末梢(peripherical)組織)で発現されたADARの性質または/および量を、5HTR2C mRNAの特徴的な対照編集率、または正常患者もしくはこのmRNA編集の機構の変更に関連する病状を示す患者に関して得られた発現ADARプロフィールと比較することにより特定する工程を含む。
【0036】
好ましい実施態様では、該病状は、精神病、統合失調症、鬱病、鬱性自殺または異常な摂食挙動からなる群から選択される。
【0037】
第2の態様において、本発明は、in vitroにおいて、患者により示される病状が5HTR2CのmRNA編集の機構の変更に関連するかどうかを決定する方法に関し、この方法は、
a)該病状を示す患者から皮膚細胞および/または血液細胞などの細胞を含有する末梢(peripherical)組織を含有する生体サンプルを得る工程;
b)5HTR2C mRNAの少なくとも1つの編集形態または非編集形態の編集率、および/または皮膚細胞および/または血液細胞などの細胞を含有する末梢(peripherical)組織の該サンプルで発現されるADARの性質または/および量を決定する工程;
c)該患者がこのような病状を呈するかどうか、または病状を発症するリスクがあるかどうかを、該5HTR2C mRNAのこの編集形態または非編集形態に関して工程b)で得られた編集率を比較することにより、かつ/または該末梢組織サンプルで発現されたADARの性質または/および量を、5HTR2C mRNAの特徴的な対照編集率、または正常患者もしくはこのmRNA編集の機構の変更に関連しないことが知られている病状を示す患者に関して得られた発現ADARプロフィールと比較することにより特定する工程
を含む。
【0038】
一般的態様において、本発明は、
哺乳類においてin vitroで、患者がmRNAの編集(その編集はADAR依存性A−to−I編集である)の機構の変更に関連する病状を呈するかどうか、または病状を発症するリスクがあるかどうかを特定する方法;
哺乳類においてmRNAの編集(その編集はADAR依存性A−to−I編集である)を調節する薬剤をin vitroで特定する方法;
哺乳類において、患者においてin vitroで、mRNAの編集(その編集はADAR依存性A−to−I編集である)の機構の変更に関連する病状の予防または治療のために用いられる薬剤の有効性を決定する方法;
哺乳類において、患者が、mRNAの編集(その編集はADAR依存性A−to−I編集である)の機構の変更をもたらす、またはそれにより誘発される病状の処置に応答するか応答しないかを決定する方法であって、
a)被験患者から細胞を含有する末梢(peripherical)生体サンプル、特に、血液細胞を含有する生体サンプルを得る工程;
b)該末梢(peripherical)生体サンプルで発現されるADARの性質または/および量を決定する工程;
c)該サンプルで発現されるADARの性質または/および量を、正常患者またはこのmRNA編集の機構の変更に関連する病状を示す患者で得られる発現ADARプロフィールの特徴的な対照と比較する工程
を含む方法に向けられる。
【0039】
本発明のこれら上記の方法の好ましい実施態様では、該編集mRNAは、AMPA型グルタミン酸受容体、Gタンパク質共役セロトニン受容体およびPDEA8をコードするmRNAからなる群から選択されるmRNAである。
【0040】
第三の態様において、本発明は、哺乳類においてin vivoで5HTR2C mRNAの編集を調節する薬剤をin vitroで特定する方法であって、
a)該哺乳類に5HTR2C mRNA編集の候補モジュレーターを投与する工程;
b)該哺乳類から、皮膚細胞および/または血液細胞などの細胞を含有する末梢(peripherical)組織を含有する生体サンプルを得る工程;および
c)該モジュレーターの、
該5HTR2C mRNAの少なくとも1つの編集形態または非編集形態の編集率に対する;および/または
皮膚細胞および/または血液細胞などの該末梢(peripherical)組織サンプルで発現されるADARの性質または/および量
に対する効果を、
工程b)の生体サンプルから得られたこの編集形態または非編集形態に関する編集率および/または発現されるADARの性質または/および量を、該哺乳類の細胞を含有する対照末梢(peripherical)組織から得られた編集率および/または発現されるADARの性質または/および量と比較することにより決定する工程
を含む方法に向けられる。
【0041】
この第三の態様において、本発明はまた、哺乳類において5HTR2C mRNAの編集を調節する薬剤をin vitroで特定する方法であって、
a)皮膚細胞系統および/または血液細胞系統(所望により、これらの細胞は組換え細胞または細胞系統であり得る)などの細胞を含有する末梢(peripherical)組織を含有する生体サンプルを得る工程;
b)該5HTR2C mRNA編集の候補モジュレーターの存在下で該生体サンプルを接触させる工程;および
c)該モジュレーターの、
該5HTR2C mRNAの少なくとも1つの編集形態または非編集形態の編集率に対する;および/または
該末梢(peripherical)組織サンプルで発現されるADARの性質または/および量
に対する効果を、
工程b)の生体サンプルから得られたこの編集形態または非編集形態に関する編集率および/または発現されるADARの性質または/および量を、該哺乳類の皮膚細胞および/または血液細胞などの細胞を含有する対照末梢(peripherical)組織から得られた編集率および/または発現されるADARの性質または/および量と比較することにより決定する工程
を含む方法も含む。
【0042】
この第三の態様において、本発明はまた、抗鬱薬、抗精神病薬、抗肥満薬、抗ウイルス感染薬などの処置、脳編集調節に対する有意な作用を提供し、自殺、治療耐性、誘発慢性などの特定されるリスクを誘発することが確認されている処置により誘発される調節の編集プロセスの変更を検出するためのこれら上記の方法の実行を含み得る。
【0043】
第四の態様において、本発明は、哺乳類においてin vitroで、5HTR2CのmRNA編集の機構の変更に関連する病状の予防または治療に用いられる薬剤の有効性を決定する方法であって、
a)該哺乳類から、皮膚細胞および/または血液細胞などの細胞を含有する末梢(peripherical)組織を含有する生体サンプルを得、該5HTR2C mRNAの少なくとも1つの編集形態または非編集形態に関する編集率、および/または皮膚細胞および/または血液細胞などの該末梢(peripherical)組織サンプルにおいて発現されるADARの性質または/および量を決定する工程;
b)該哺乳類に病状の予防または治療を意図した薬剤を投与する工程;
c)該哺乳類から処置中または/および処置後に該末梢(peripherical)組織サンプルの新たなサンプルを得、該5HTR2C mRNAの少なくとも1つの編集形態または非編集形態に関する編集率、および/または工程a)で選択されたサンプルにおいて発現されるADARの性質または/および量を決定する工程;および
d)該薬剤の有効性を、工程a)の生体サンプルから得られた編集率および/または発現されるADARの性質または/および量を工程c)で得られたものと比較することにより決定する工程(この編集率および/または発現されるの性質または/および量の調節は、処置の有効性に関して有意な正常患者で見られるものに近い、またはそれに相当する編集率および/または発現ADARの性質または/および量をもたらす)
を含む方法を含む。
【0044】
この態様において、本発明は、患者が5HTR2CのmRNA編集の機構の変更をもたらす、またはそれを誘発する病態の処置に応答するか応答しないかを決定するための方法であって、
e)処置期間(すなわち、15日、30日、2か月、6か月など)の後に編集率またはプロフィールおよび/または発現ADARの性質または/および量の修飾を、処置の開始前の編集率またはプロフィールおよび/または発現ADARの性質または/および量と比較することにより観察することにより、その患者がその処置に応答するか応答しないかを決定する工程をさらに含む方法に関する。
【0045】
このような方法により、患者がその薬剤に応答しないことを迅速に決定する、または患者がその薬剤に応答する場合にはその処置を継続することができれば、薬剤の処置期間が不要に長引くことが避けられる。
【0046】
編集とは、遺伝子に含まれる情報が転写後に修飾される機構である。一般用語「mRNA編集」には、翻訳の際にタンパク質に組み込まれるアミノ酸の性質または数に関して変化をもたらすこれらのmRNAの配列の修飾を含み、タンパク質配列は、その合成を指令する遺伝子からはもはや推測することはできない。5HTR2CのプレメッセンジャーRNAは、5HTR2Cの第二の細胞内ループに位置するアミノ酸の組み込みを指令する最終的なmRNAとなるものの一部において、ある特定のアデノシン(A)の特異的酵素修飾を受け得る。実際、主要転写物の5番目のエキソンの遠位および5番目のイントロンの近位は、2つの酵素酵素ADAR1とADAR2(二本鎖RNA依存性アデノシンデアミナーゼ)により潜在的に認識されるステム−ループ構造を形成することができ、これにより、スプライシングされる前にプレメッセンジャーRNAを編集することができる。この編集はAの脱アミノ化により生じ、これらが次にイノシン(I)へと変換される。ひと度、スプライシングが完了すれば、編集を受けたAを含んだmRNAの部分はこの時にはIを含む。5HTR2C mRNAが翻訳されると、IはGと読まれると思われる。実際、AからIへと脱アミノ化を受ける5HTR2C mRNAからのcDNAのin vitro合成の際、逆転写酵素は通常はAの反対側に組み込まれるはずのdTの代わりにIの反対側にdCを組み込む。結局、二本鎖cDNAの形成をもたらす第二鎖の合成の際に、第一鎖に組み込まれている各dCの反対側にdGが導入される。このようにして得られた二本鎖cDNAの配列決定により、編集を受けるmRNAにおけるAからIへの最初の脱アミノ化のためにdAのdGでの置換が見られ得る。結局、mRNAの編集は、コドンの意味の改変をもたらし、AがIに置換され、従って、Gとして読み取られると考えられる(より具体的には、ヒト5HTR2Cの編集に関しては、Fitzgerald et al, Neuropsychopharmacology, 1999, 21(2S), 82S-90S参照)。
【0047】
従って、皮膚サンプルにおける編集率の制御による5HTR2CのmRNA編集の機構の変更の決定は、皮膚で発現されるセロトニン作動系の多段階代謝経路の変更にも重要であり、脳で発現されるセロトニン作動系のリポーターとして使用可能である。
【0048】
よって、第六の態様において、本発明はまた、ADAR1および/またはADAR2酵素などの5HTR2CのmRNA編集に関与するタンパク質の作用機構の変更を、皮膚サンプルまたは血液サンプルなどの細胞を含有する末梢(peripherical)組織由来のこの5HTR2C mRNAの編集率を、本発明の上記の方法で実行または記載されるような該5HTR2C mRNAの編集形態または非編集形態の編集率を決定するための方法により決定することにより制御するための方法を含む。
【0049】
本発明は脳および/または末梢機能を変更する病状における推定可能な関わりを有するその調節の一般的変更を診断および追跡するための編集プロセスの末梢マーカーの使用に向けられる。この主な目標は、非排他的例として、収束的剖検または間接的臨床証拠(例えば、インターフェロン処置により誘発される抑鬱状態)のいずれかの後に、編集調節の変更がそれらの病状(例えば、鬱病および自殺の場合)に寄与することが示唆されている患者において治療を推定および方向付ける新たな能力に到達することである(特に、この目的の実現に寄与する戦略に関しては実施例1を参照)。
【0050】
「編集RNA」とは、本明細書において、少なくとも1つのアデノシンがアデノシンデアミナーゼによりイノシンへと脱アミノ化されているRNA配列を表すものとする。
【0051】
「編集率」とは、同じサンプルに存在する編集形態および非編集形態のmRNAの総量に対して少なくとも1つの編集部位を含み得るmRNAの編集形態または非編集形態それぞれのパーセンテージを示すものとする。
【表1】


【0052】
本発明の方法の好ましい実施態様では、患者または哺乳類はヒト、マウスまたはラット、好ましくはヒトである。
【0053】
本発明の方法の好ましい実施態様では、皮膚細胞はケラチノサイト、メラノサイト、繊維芽細胞、ランゲルハンス細胞およびメルケル細胞からなる群から選択され、皮膚組織は表皮および真皮からなる群から選択される。
【0054】
ケラチノサイトはHaCaT細胞などのヒト不死化細胞に由来してよく、あるいはメラノサイトはヒト不死化細胞または黒色腫に由来する。
【0055】
本発明の方法の好ましい実施態様では、ケラチノサイトは新生児の皮膚、真皮または毛包に由来し、メラノサイトは表皮または毛包に由来し、繊維芽細胞は真皮または乳頭毛包に由来する。
【0056】
本発明の方法のより好ましい実施態様では、皮膚細胞、培養皮膚由来細胞または皮膚組織はまぶたまたは耳の皮膚に由来する。
【0057】
本発明の方法の好ましい実施態様では、5HTR2C mRNAの編集部位は、配列5’-AUA CGU AAU CCU AUU-3’(配列番号33)を有するヒト5HTR2C mRNAフラグメントの1、3、7、8および13位に存在するヌクレオチドから選択される。
【0058】
本発明の方法の好ましい実施態様では、編集率は、ヒト5HTR2C mRNAの編集および非編集形態のうち少なくとも1つ、好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、2、22、23、24、25、26、27、28、29、30または32に関して決定される。
【0059】
より好ましい実施態様では、編集率は該5HTR2C mRNAの編集および非編集形態(32形態)総てに関して決定される。
【0060】
本発明の方法の好ましい実施態様では、該5HTR2C mRNAの各編集および非編集形態の編集率は、
A)皮膚細胞系統、培養皮膚由来細胞もしくは皮膚組織などの皮膚細胞サンプル、または白血球などの血液細胞の全RNAを抽出し、その後、適当であればそのmRNAを生成する工程;
B)工程A)で抽出されたRNAを逆転写する工程;および
C)工程B)で得られたcDNAを、編集され得る編集部位を含有する5HTR2C mRNAフラグメントに特異的な少なくとも1対のプライマー(このプライマー対はRNA抽出物中に存在する可能性のある総ての編集形態および非編集形態を増幅し得るように選択される)を用いてPCR増幅する工程
を含む方法により決定される。
【0061】
本発明の方法のより好ましい実施態様では、該5HTR2C mRNAの各編集および非編集形態の編集率は、
A)皮膚細胞系統、培養皮膚由来細胞もしくは皮膚組織などの皮膚細胞サンプル、または白血球などの血液細胞サンプルの全RNAを抽出し、その後、適当であればそのmRNAを生成する工程;
B)工程A)で抽出されたRNAを逆転写する工程;および
C)工程B)で得られたcDNAを、編集され得る編集部位を含有する5HTR2C mRNAフラグメントに特異的な少なくとも1対のプライマー(このプライマー対はRNA抽出物中に存在する可能性のある総ての編集形態および非編集形態を増幅し得るように選択される)を用いてPCR増幅する工程
(ここで、工程Bの逆転写は5HTR2C遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いることで行われる)
を含む方法により決定される。
【0062】
工程B)のより好ましい実施態様では、5HTR2C遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーは配列5’-TTCGTCCCTCAGTCCAATCAC-3’(配列番号34)を有する。
【0063】
本発明の方法の好ましい実施態様では、工程C)において、PCR増幅工程は2回のPCRを含むネステッドPCRであり、ここで、1回目のPCRは200bp〜300bpの間、好ましくは225bp〜275bpの間、より好ましくは240bp〜260bpの間(250bpが最も好ましい)の長さを有するPCR核酸産物をもたらすプライマーセットにより行われる。
【0064】
本発明の方法のより好ましい実施態様では、工程C)において、PCR増幅工程は2回のPCRを含むネステッドPCRであり、ここで、2回目のPCRは90bp〜160bpの間、好ましくは100bp〜140bpの間、より好ましくは110bp〜140bpの間の長さを有する最終PCR核酸産物をもたらすプライマーセットにより行われる。110bp〜138bpの間の配列長を有する最終PCR産物が最も好ましい。
【0065】
本発明の方法のさらにまた好ましい実施態様では、工程C)において、PCR増幅工程は2回のPCRを含むネステッドPCRであり、ここで、1回目のPCRは以下のプライマーセット:ヒトでは、
PCR9フォワード:5’-TGTCCCTAGCCATTGCTGATATGC-3’、配列番号35;
PCR10リバース:5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTAGTC-3’、配列番号36;
また、マウスまたはラットでは、
PCR9フォワード:5’-TGTCCCTAGCCATTGCTGATATGC-3’、配列番号35;
PCR10リバース:5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTAGTC-3’、配列番号36、
により行われ、2回目のPCRは以下のプライマーセット:ヒトでは、
PCR18フォワード:5’-ATGTGCTATTTTCAACAGCGTCCATC-3’、配列番号37;
PCR2リバース:5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTA-3’、配列番号38;
また、マウスまたはラットでは、
PCR1フォワード:5’-TTTGTGCCCCGTCTGGAT-3’、配列番号39;
PCR4リバース:5’-GCCTTAGTCCGCGAATTG-3’、配列番号40
により行われる。
【0066】
ネステッドPCRにより、ヒト編集および非編集ヒト5HTR2C mRNAの総てのイソ型を増幅するための用いられる以下の2つのプライマーセットが本発明に、好ましくは、2回目のPCRに用いられるプライマーセットに含まれる:
1回目:
PCR9フォワード:5’-TGTCCCTAGCCATTGCTGATATGC-3’(配列番号35);
PCR10リバース:5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTAGTC-3’(配列番号36);
および2回目:
PCR18フォワード:5’-ATGTGCTATTTTCAACAGCGTCCATC-3’(配列番号37);
PCR2リバース:5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTA-3’(配列番号38)。
【0067】
1回のPCRが存在する場合のPCR増幅工程で用いられる、または2回のPCRを有するネステッドPCRである場合に2回目に用いられるプライマーは好ましくは標識され、より好ましくは、C6−FAM(MWG)またはVIC(Applied Biosystem)などの蛍光団で標識される。
【0068】
本発明の方法のさらにまた好ましい実施態様では、該5HTR2C mRNAの各編集および非編集形態の編集率は、該mRNAの編集および非編集型の個々の形態それぞれの編集プロフィールを提供し得るSSCP法により決定され、該SSCP法は工程A)、B)およびC)の後に
D)適当であれば、工程C)で得られたPCR産物を精製する工程;
E)適当であれば、工程D)で得られたPCR産物を定量する工程;
F)特に加熱した後に急冷することにより、二本鎖DNAを一本鎖DNAへ解離させる工程;
G)キャピラリー電気泳動により一本鎖DNAを分離する工程;および
H)蛍光を読み取り、適当であれば、蛍光リーダーに関連づけた取り込み系の手段によりプロフィールデータを取得することにより編集プロフィールを得る工程
を含むことを特徴とする。
【0069】
5カ所の編集部位を含む5HTR2C cDNAフラグメントの種々の編集形態に相当する種々の一本鎖DNAの電気泳動移動プロフィールを得ることを、本明細書では「編集プロフィール」と呼ぶ。
【0070】
好ましい実施態様では、病状のリスク、5HTR2C mRNA編集の変更に関連する病状または供試薬剤の効果を決定するための、請求項1〜4の工程c)で用いられる5HTR2C mRNAの対照または標準編集率または編集プロフィールは、同じ方法および供試生体サンプルに用いたものと同じ与えられた条件下で該mRNAの編集および非編集型の個々の形態のそれぞれに関して得られる特徴的な編集率またはプロフィールである。
【0071】
一般的な方法では、供試生体サンプル中に存在する編集および非編集型の個々の形態それぞれの品質および/または量を、上記のSCCP法などの同じ方法で、供試生体サンプルに用いたものと同じ条件下で得られる、これらの編集および非編集形態のそれぞれの既知の定性的および/または定量的混合物の編集率またはプロフィールと比較することにより評価することができる。
【0072】
別の態様において、本発明は単離された核酸に向けられ、この核酸は、
配列ATGTGCTATTTTCAACAGCGTCCATC(配列番号37)を含むか、または有し、好ましくは、多くて100ヌクレオチド、より好ましくは、90、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、29、28、27および26ヌクレオチドを有するか;あるいは
配列番号37のフラグメントnt5〜nt14、好ましくは配列番号37のフラグメントnt4〜nt14、nt3〜nt14、nt2〜nt14、nt1−nt14、nt5〜nt15、nt5〜nt16、nt5〜nt17、nt5〜nt16、nt5〜nt17、nt5〜nt18、nt5〜nt19、nt5〜nt20、nt5〜nt21、nt5〜nt22、nt5〜nt23、nt5〜nt24、nt5〜nt25を含む。
【0073】
さらなる実施態様において、本発明の単離された核酸は標識され、好ましくは蛍光団で標識される。
【0074】
この態様において、本発明は、本発明の核酸の、プライマーまたはプローブとしての、好ましくは、PCR増幅法におけるプライマーとしての、より好ましくは、ネステッドPCRにおける第二のプライマーとしての使用を含む。
【0075】
本発明は、好ましくはヒト、ラットまたはマウスにおいて、より好ましくはヒトにおいて哺乳類5HTR2C mRNA編集率またはプロフィールを決定するためのキットに関し、該キットは本発明の核酸を含む。
【0076】
本発明の方法の好ましい実施態様では、単独、または発現ADARの性質および/または量と組み合わせて決定するために選択される細胞は、白血球(blood white cells)または白血球(leucocytes)であるか、または遠心分離後に得られる全血サンプルのバッフィーコートに由来する。
【0077】
好ましい実施態様では、工程b)において、ADAR発現産物はADAR1、イソ型150および/または110であり、ADAR2遺伝子発現産物は好ましくは、DAR1、イソ型150kDおよび/または110kDタンパク質、およびADAR2タンパク質をコードするマウス、ラットまたはヒト遺伝子の発現産物である。ヒトが最も好ましい。
【0078】
タンパク質イソ型150kDおよび110kDをコードするADAR1 mRNA核酸配列、およびADAR2タンパク質をコードするADAR2 mRNA核酸配列およびそのアミノ酸配列はヒト、マウスまたはラットでは当業者に周知である。
【0079】
例えば、受託番号の下、Genbankに表される以下の配列が特に挙げられる:ADAR1では:
ヒト:NM_001111.3;NM_001025107.1
マウス:NM_019655.2;NM_001038587.2、
ADAR2では:
ヒト:NM_001112.2;NM_015833.2;NM_015834.2およびNM_001033049.1、
マウス:NM_130895.2;NM_01024837;INM_01024838.1;NM_01024840.1およびNM_001024839.1。
【0080】
より好ましい実施態様では、工程b)において、ADAR発現産物はADAR mRNAである。
【0081】
よって、本発明は、工程b)において、ADAR mRNAの決定が
A)血液サンプル細胞の全RNAを抽出した後、適当であれば、mRNAを精製する工程;
B)工程A)で抽出されたRNAを、オリゴdTプライマーによって逆転写させる工程;および
C)工程B)で得られたcDNAを、定量および/または定性分析される各ADAR mRNAに特異的な少なくとも1対のプライマーを用いてPCR増幅する工程
を含む方法によって行われる。
【0082】
好ましい実施態様では、ADAR mRNA PCR増幅に特異的なプライマー対は、
ヒトADAR1−150イソ型mRNAの増幅には:
EX1A 34pフォワード:5’-GCCTCGCGGGCGCAATGAATCC-3’(配列番号41)、
EX2 578mリバース:5’-CTTGCCCTTCTTTGCCAGGGAG-3’(配列番号42);
ヒトADAR1−110イソ型mRNAの増幅には:
EX1B 534pフォワード:5’-CGAGCCATCATGGAGATGCCCTCC-3’(配列番号43)、
EX2 804mリバース:5’-CATAGCTGCATCCTGCTTGGCCAC-3’(配列番号44);
ヒトADAR2 mRNAの増幅には:
ADAR2 1274pフォワード:5’-GCTGCGCAGTCTGCCCTGGCCGC-3’(配列番号45)、
ADAR2 1486mリバース:5’-GTCATGACGACTCCAGCCAGCAC-3’(配列番号46);
マウスADAR1−150イソ型mRNAの増幅には:
EX1A 19pフォワード:5’-GTCTCAAGGGTTCAGGGGACCC-3’(配列番号47)、
EX2 646mリバース:5’-CTCCTCTAGGGAATTCCTGGATAC-3’(配列番号48);
マウスADAR1−110イソ型mRNAの増幅には:
EX1B 72pフォワード:5’-TCACGAGTGGGCAGCGTCCGAGG-3’(配列番号49)、
EX2 646mリバース:5’-CTCCTCTAGGGAATTCCTGGATAC-3’(配列番号48);および
マウスADAR2 mRNAの増幅には:
EX7 1281pフォワード:5’-GCTGCACAGTCTGCCTTGGCTAC-3’(配列番号50)、
EX9 1622mリバース:5’-GCATAAAGAAACCTGAGCAGGGAC-3’(配列番号51)
からなる群から選択される。
【0083】
本発明の方法の第2の態様では、工程b)において、ADAR発現産物はADARタンパク質である。
【0084】
よって、本方法の好ましい実施態様では、ADARタンパク質の決定は、
A)所望により、血液サンプル細胞に含まれる全タンパク質を抽出した後、適当であれば、タンパク質の精製工程を行う工程;および
B)血液サンプル細胞に含まれる各ADARタンパク質の存在、性質および/または濃度を、該ADARタンパク質を特異的に認識することができる抗体、好ましくは標識された抗体の実現により決定する工程
を含む方法により行われる。
【0085】
この検出または/および定量に使用可能なこれらの抗体としては、限定されるものではないが以下の抗体:
sc−33179抗ADAR1(H−176)ポリクローナル抗体-;または
sc−33180抗ADAR2(H−90)ポリクローナル抗体(Santa-Cruz)
が挙げられる。
【0086】
生体サンプルにおいて特定のタンパク質発現を分析または定量するためにはウエスタンブロッティングまたはエライザ法が使用可能である。このような方法は当業者に周知である。
【0087】
これらのブロットは、マウス、ヒトまたはラットADAR1−150またはADAR1−110、およびADAR2タンパク質の異なる特異的領域またはエピトープに特異的に向けられた抗体を用いて検出することができる。これらの抗体はポリクローナル抗体であっても、またはモノクローナル抗体であってもよく、必要であれば標識される。このような抗体は免疫原として組換えADARタンパク質またはそのフラグメントを用いて実験室で開発することができる。
【0088】
以下の例およびまた以下の図面および凡例は本発明の実施および使用を可能とするために当業者に十分な説明を提供するよう選択されたものである。これらの例は、本発明者らがその発明であるとする範囲に限定されるものではなく、以下の実施例が行われたということだけを示すものである。
【実施例】
【0089】
実施例1:実施戦略
かかる戦略の検証には以下を含めた:
1)マウスおよび/またはラットで得たコンバージェントな病理学的モデルにおいて行う、ある病状におけるヒト脳での編集プロセスの著しい変更の確認、ならびに死後観察による該病状におけるその病因関連性の検証。
2)診断上および治療上の調整に用いることができる非侵襲性レベルにおいて容易に利用できる末梢組織または細胞系統の同定。本発明ではこの戦略の検証を、A−関連編集調節の総てまたは一部の編集プロセスについての適切なマーカー:5−HT2cR mRNA編集プロフィール、編集酵素の異なるイソ型:ADARl −150、ADARl−I lO、ADAR2の発現についてのマーカーの測定:によって得た。
【0090】
本発明を検証するために得た結果の一例として表Iにマーカーのセットを要約する。これらのマーカーは、ヒト被験体および実験動物または細胞系統由来の提示供給源でのそれらの同定後に提示されている:
【0091】
表1:5HT2cRおよび編集酵素の発現レベル。本発明者らは血液サンプルにおいて編集酵素の発現レベルを容易に決定することができることを特に言及する。皮膚サンプルでは5−HT2cRは発現され、ADAR1および2の編集活性を受け、脳サンプルにおけるこの受容体の編集調節の全般的な状態の調査を完了することができる。
【表2】

【0092】
各マーカーについて、同じ組織または細胞サンプルからのウエスタンブロッティングによりmRNAの発現レベル、すなわち編集プロフィールの決定とタンパク質のマーカーの決定を果たす可能性を与えるためにサンプルを特に注意深く迅速に抽出する。
【0093】
表2に使用バイオマーカーの発現レベルの決定に用いる好ましいプロセスを要約する。
【0094】
【表3】

【0095】
次の実施例により典型的手法および結果を例示する。
【0096】
実施例2:一脳組織サンプルの完全編集プロフィールの獲得(図1)
製造業者の仕様書に従って(Qiagen Rneasy, Mini Kit)組織または細胞抽出物から全RNAを抽出し、精製した。抽出したRNAの量および純度を、GeneQuant分光光度計(PharmaciaBiotech)を用いて260nmでの吸光度と260/280nm比の両方を測定することにより評価した。ゲノムDNAによる汚染の可能性をなくすために、8μlの各RNA(88ng〜1.3μg間)をさらに、最終用量10μlにおいて1単位のDNアーゼI(Invitrogen)を用いて室温で15分間処理した。1μlの25mM EDTAを加えることによりこの反応を停止させ、その後、65℃で10分間加熱した。DNアーゼIで処理したRNA(10μl)の逆転写を、15単位のThermoScript逆転写酵素(ThermoScript RT-PCR System, Invitrogen)とオリゴ(dT)プライマーを終濃度2.5μMで用いて行った。
【0097】
1μlの逆転写産物において、250bpのフラグメントを生じる第1のPCR反応(最終用量 25μl)を、0.2単位のPlatinum Taq DNAポリメラーゼ(ThermoScript RT-PCR system, Invitrogen)とヒト5−HT2cR cDNAのエキソンIVおよびエキソンVそれぞれに配置される特異的プライマー(フォワードプライマー:5’-TGTCCCTAGCCATTGCTGATATGC-3’(配列番号35)およびリバースプライマー:5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTAGTC-3’(配列番号36);終濃度各0.2μM)を用いてさらに行った。PCRは、95℃で3分間の変性工程の後、35サイクル(95℃で15秒;60℃で30秒;72℃で20秒)、および72℃で2分の最終伸長工程を要した。増幅産物のアリコートを用いて、2%アガロース分析用ゲルにおいて増幅産物を調べた。
【0098】
第2のPCRおよびキャピラリー電気泳動(CE)による一本鎖cDNAフラグメントの分離
追加のネステッドPCRでは、RT−1st PCR産物、すなわち32のヒト5−HT2cR(または5HT2CR)イソ型標準を含む、プラスミドから増幅した250bp cDNA、の1/50希釈溶液1μlを鋳型として用いた。これらの32の標準は、ヒト5−HT2cRの非編集(NE)および編集イソ型に相当する。増幅を最終容量20μlにおいてHPLC精製蛍光プライマー(フォワードプライマー:FAM-ATGTGCTATTTTCAACAGCGTCCATC-3’(配列番号37);リバースプライマー:VIC-GC AATCTTCATGATGGCCTT A-3’(配列番号38);終濃度各0.2μM)と、0.2単位のPlatinum Pfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を用いて行った。
【0099】
VIC標識リバースプライマーは、ヒト、マウスおよびラットにおいて同一の5−HT2c受容体の相補配列とハイブリダイズする。一方、FAM標識フォワードプライマーの配列は、ヒトサンプルの場合に用いられるが、マウスのものとできる限り近いように設計した。より正確には、ヒトオリゴヌクレオチド配列の5番および6番の位置(ヒト参照U49516の1133番および1134番の位置)にあるT残基をそれぞれ、GおよびCへと変更した。
【0100】
上記の2つのプライマーを用いて得たPCR産物の両鎖の確率的フォールディング経路のシミュレーションを、Kinefoldサーバー(kinefold.curie.fr)を用いて行った。これらのシミュレーションでは、フォワード鎖およびリバース鎖について得られる最小自由エネルギー構造−ステムループ構造のループ中に組み込まれ、ステムのフォールディング後に、構造全体の他の場所に位置する相補配列とハイブリダイズすることが可能な編集領域−が、マウスサンプルでの使用に成功したマウスネステッドPCR産物で算出したものと非常に近いことが示された。このプライマーセットは、一本鎖コンフォメーション多型(CE−SSCP)による非変性キャピラリー電気泳動によるヒト5HTR2C mRNA編集のコンフォメーション解析に最適であることが示された。
【0101】
増幅フラグメントは127bp長である。RT−PCRに関しては、94℃で5分の最初の変性工程の後、増幅反応に35サイクル(94℃で15秒;55℃で30秒;68℃で20秒)および68℃で2分の最終伸長工程を要した。3100 Avantジェネティックアナライザー(Applied Biosystem)での次の解析の前に、この場合も、127bp長の増幅フラグメントの質を2%アガロースゲルにおいて評価した。
【0102】
標準的なイソ型(DEPC処理水での1/100希釈溶液1μl)に対応する蛍光PCR産物および11μlの脱イオン化ホルムアミドで希釈したサンプル(1μlの1/30希釈溶液)を、電気泳動図の保持時間の全範囲にわたるROX標識移動標準(MWG-BIOTECH, AG)(各0.5μl)の混合物に加えた。これらのROX標準はCEキャリブレーションに、続いて標準およびサンプルのピークの正確な重ね合わせを得るために用いた。95℃で2分の変性後、サンプルを直ちに氷上で冷却した。非変性CEを、ABI PRISM 3100−Avantジェネティックアナライザー(Applied Biosystem)で、7%"POP Conformational Analysis Polymer" (Applied Biosystem)、IX TBEを充填し、グリセロールを含まない80cm長のキャピラリーを通じて行った。予備泳動を15kVで3分間実施した後に、サンプルを2kVで15秒間注入し、電気泳動を20℃の制御温度において15kVで105分間実施した。これらの条件下で、FAM標識またはVIC標識鎖のいずれかを用いて得られる単一ssDNAコンフォメーションの結果として32の考えられるイソ型はそれぞれ明確に分解された。イソ型を明確に同定するために異なる保持時間を用いた。
【0103】
各脳サンプルにおける各イソ型の同定および相対定量
電気泳動シグナルを、インハウスソフトウエアを用いてさらに処理した。まず、各サンプルの電気泳動プロフィールの時間基準を、移動標準のROX標識鎖を用いて調整した。これによってFAM標識鎖およびVIC標識鎖により標準およびサンプルのシグナルを独自の時間基準において正確にデコンボリュートすることが可能となった。次いで、バックグラウンドを調整し減じた後、各シグナル下の全面積をノーマライズ化した。
【0104】
各イソ型の相対的割合を、デコンボリュートしマーライズした脳サンプル解析シグナルそれぞれのベストフィッティングにより処理した。これは、32の同様にデコンボリュートしノーマライズした標準解析シグナルにより表される積分シグナルの反復調整により実施した。計算は、SSCPシグナル
【数1】

(式中、R(t)、i∈{1, ....,N})
は標準シグナルおよびシグナルにおけるそれらそれぞれの%gであるという仮説Nに基づいた。ベストフィッティングは残差平方和(SSE)
【数2】

による平方和を最小にし、最小二乗統計解析により制御した。
【0105】
このベストフィッティングの結果を
【数3】

(式中、SSMは
【数4】

などの平均二乗和である)
などのr値を計算した後に統計学的に評価した。最大理論ベスフィッティングではr=1となる。
【0106】
総ての試験をブラインド条件下で行い、RT−PCRおよび第2のPCR反応では総てのサンプルを同じバッチでアッセイした。ベストフィッティングの結果より個々のサンプルに特異的な編集プロフィールを得、そしてそれは全解析シグナルの各編集および非編集形態の割合によって決定した。統計解析にはこれらの初期値を用いた。
【0107】
この方法により、発現されたmRNAイソ型それぞれの割合を得、抽出物中に存在する5−HT2c受容体の総数に占める割合として表される。
【0108】
本明細書では一例として32のヒトイソ型の同定表を示し、それにおいては各FAMおよびVIC標識鎖により一連の保持時間を示している(図1参照)。2つの鎖の使用により32の標準イソ型の全同定を解決することができることを言及するのは容易である。
【0109】
このプロセッシングの主な利点は、ある濃度の5HT2cR mRNAにおける5HT2cRイソ型発現物分布(編集プロフィール)の完全定量を与えることである。これは、単独アッセイから得られ、ある状況下でのこのプロフィールの特徴を容易に決定することを可能にする。
【0110】
この技術を用いて、自殺したことのある6名の鬱病患者群において鬱病患者群を特徴付ける特異的なサインを立証することができた。このサインは、脳の背側前頭前野において起こる編集プロセスの調節異常についての興味深い情報を与え、鬱病患者の皮膚および血液サンプルにおいて編集酵素の定常状態を探査する重要性を強く裏付ける。
【0111】
実施例3:ヒトおよびマウス皮膚における5HT2CR発現
5−HT2c受容体および編集酵素が皮膚に存在していることから、皮膚は末梢において5−HT2cR編集および編集酵素の発現レベルの両方を測定するための興味深い供給源であり得た。
【0112】
図2は、ヒト(A)またはマウス(B)皮膚サンプルからのポリA+RNAの抽出後に実施したRTPCRの典型的な対照を表している。
【0113】
第2ネステッドPCR産物のSSCP産物のキャピラリー電気泳動分離を適用することにより、ヒトおよびマウス皮膚では、ADARlおよびADAR2編集酵素は活性があるということ、そして病理学的または生理病理学的状態はこの末梢組織において5−HT2cRの編集調節を変更し得るということの証明が成し遂げられた。
【0114】
実施例4:ADAR1およびADAR2イソ型の発現の位置および性質
先のバリデーション実験により推定されたように、ADAR1およびADAR2の発現はマウスおよびヒト皮膚の皮膚サンプルで発現されることが分かった。
【0115】
図3は、ADAR1 150、ADAR1 110およびADAR2のRT/PCR同定の対照の一例を示す。
【0116】
ヒトにおいて、少量の血液を採取した後、編集酵素の発現のレベルを同定し、容易に定量することが可能であった。
【0117】
新鮮な採取血液1ml当たり1〜2×10の白血球の典型的収率で、5ml量で、逆転写反応に関して十分全RNAを単離することができる。血液サンプル(5ml)をヘパリン処理した試験管に採取する。以下のプロトコールステップは無菌条件下ですぐに行わなければならない。抗凝固サンプル材料を等量の0.9%NaCl無菌溶液または1×PBS無菌溶液、またはRPMI 1640無菌培養培地で希釈する。分離媒体(例えば、フィコール−パークプラス、GE Healthcare Bio-Sciences AB、参照番号:17−1440−02または17−1440−03)を使用直前に室温まで温め、遮光しなければならない。15ml LeucoSep試験管(Greiner Bio-One、参照番号:163 289または163 290)に3mlの分離媒体を入れる。室温、1000gで30秒遠心分離する(その後、分離媒体は試験管の有孔バリアの下へ行く)。予め分離媒体を入れたLeucoSep試験管を用いると、上述のステップを取り消すことができる(参照番号:163 288または227 288)。これらの試験管を単にRTまで温める。上述の希釈材料サンプル(平衡塩溶液またはRPMI1640中で1:2、上記参照)を15mlのLeucoSep試験管に注意深く注ぐ。室温、1000gで10分、または室温、800gで15分間、スイングバケットローターで遠心分離する。
【0118】
遠心分離のスイッチオフ制御
遠心分離後、パスツールピペットにより富化細胞画分(リンパ球/PBMC=ホワイトリング)を採取する。この富化細胞画分を10mlの1×PBS無菌溶液で洗浄した後、250gで10分遠心分離する。洗浄工程を2回繰り返す。最後の遠心分離では、ペレットを、1ml 1×PBS無菌溶液に再懸濁させることによりマイクロ遠心管(1.5mlエッペンドルフ管)に採取しなければならない。最後の遠心分離(室温、250gで10分)後、上清を廃棄し、この富化細胞画分の「乾燥」ペレットをすぐにRNAレーザーRNA安定化試薬(Qiagen、参照番号:76104または76106)で覆う。浸漬したペレットを2〜8℃で保存し、リンパ球/PBMC遺伝子発現プロフィールをこの温度で最大4週間安定化させることができる。RNAレーザー試薬中でサンプルを輸送する場合は、ペレットが常に試薬中に浸漬した状態を維持するように確保する。輸送の際は試験管をまっすぐ維持するか、または安定化溶液で試験管を完全に満たす。輸送中、試験管はブルーアイスパックを満たしたポリスチレンボックスで維持することができる。より良い溶液は1mlのTRIzol試薬(Invitrogen、参照番号:15596−026)中に富化細胞画分のペレットをそのまま横たえ、室温で維持し、輸送することができる。この溶解試薬はフェノールを含み、サンプル試験管はしっかり密閉しなければならない。実際、備品供給者(Invitrogen)が記載しているように、TRIzol試薬(上記参照)中の白血球溶解液は、後に、全RNA(水相)およびタンパク質(有機相)の双方を抽出することが可能である。試験管は、室温またはドライアイス中で輸送することができる。
【0119】
バリデーションの一例を図4に示し、ヒト脳、皮膚およびCD4およびCD8血液細胞サンプルにおける編集酵素のRTPCR産物の対照が示されている。
【0120】
従って、ヒトにおいて、図5に示されている対照実験に表されているように、脳(剖検)、皮膚および血液サンプル(診断研究)における編集酵素の発現を正確に分析することができる。
【0121】
表2の総ての要素がバリデートされ、十分な生理病理学または薬理病理学的モデルから得られるディープバリデーションを用い、ヒトにおけるいくつかの病態の診断および処置におけるバイオマーカーとしての、血液および皮膚編集酵素発現および皮膚の5−HT2/C編集プロフィールの分析の厳密な条件および限界の解明が可能となる。
【0122】
実施例5:患者対照サンプルと比較した場合の、自殺鬱病患者剖検脳サンプルにおける5−HT2c受容体のイソ型の分析
図1に示された分析プロセスは、剖検脳サンプルにおける5−HT2c受容体の総てのイソ型の分析を可能とする。6人の対照患者および注意深く選択した自殺鬱病患者の研究は、(1)特異的な脳領域が編集型および非編集型5−HT2CRイソ型の特異的分布パターンを示すこと、および(2)この分布パターンがヒト前側帯状皮質および背側前頭皮質で有意に変更され、これらが大鬱の病態生理学に関与していることを示した。イソ型の特徴におけるこれらの変化を表3に示し、これらは前側帯状皮質において見られる効果を示す。重要なことに、この技術は、対照と比べて増加方向または減少方向の双方でイソ型の優勢度の劇的変化を評価することができ、それらの変化の基礎にある潜在的な酵素の機能不全に洞察を与える。ここでは、例えば、ADARI活性(A部位とB部位を特異的に編集し、C部位には特異性が低い)がアップレギュレーションされている。
【0123】
表3:対照および自殺鬱病患者患者で得られた編集プロフィール。両群(各n=6)の患者で全編集プロフィールを評価した。結果は、全イソ型のパーセントとしてのイソ型の優勢度を示し、平均±SEMで示される。全イソ型の分布と個々の編集部位に応じた分布、の徴候の2つの側面をANOVA IIにより分析した。
【表4】

【0124】
実施例6:マウスにおけるインターフェロンα2処置は血液におけるADAR1発現の有意な増加を誘発する。この末梢効果はまた皮膚および脳においても確認される。
この実験はBalb/cJマウスで行った。20,000IU用量のマウスαインターフェロンをIP経路により注射し、注射後3時間、6時間および8時間の時点でマウス群(n=8)を犠牲にした。対照群(n=8)は0時間の時点で犠牲にした。血液、皮膚および脳は、RNA分解を避けるためすぐに処理した。各組織サンプルから全RNAを抽出し、誘導型ADAR1をコードする特異的mRNAを、参照としてGAPDH内因性遺伝子を用い、QPCRにより定量した。これらの結果を図6にまとめる。それらは明らかに、インターフェロンで処置したマウスの血液サンプルにおいてADAR1発現の有意な増加が見られ、皮膚サンプルおよび前頭皮質でも増幅応答が見られることを示す。
【0125】
さらに、5−HT2cRの編集プロフィールを、8時間目に犠牲にした対照およびインターフェロン処置マウスの前頭領域において従前に記載された(実施例2参照)方法に従って調べた。表4では、以下のことが容易に分かる。
1)これらの実験条件では、脳においてADAR1発現誘導がすぐに見られた後、5−HT2cRの編集プロセスの有意な初期の変更が8時間目に見られる。ABCDおよびACDイソ型を含む12の編集イソ型の群では有意な増加が見られた。それらは全5−HT2cR mRNAの30%を占める。
2)この群の編集部位の割合の分析は、明らかに、編集されていることが判明したA、BおよびC部位の割合において有意な増加を示す。それらは主としてADAR1のより大きな活性によるものであると解釈することができる。これは分析が、もっぱらADAR1によるものであるこの群のイソ型に限られた場合に確認されたものである。
【0126】
表4:インターフェロン処置後の5−HT2cR mRNAの編集プロフィールの変更の分析。それぞれにおいて、全編集プロフィールを、受容体の全特異的mRNAにおける各編集イソ型の割合として評価した。表されている結果は注射後8時目に犠牲にした対照およびインターフェロン処置マウスの平均±SEMである。p値はスチューデント検定から算出した。編集イソ型の合計からインターフェロン処置群で増加したことが分かり、A、B、C、DおよびE部位の割合からこの群のイソ型で編集されたこと、およびもっぱらADAR1の特異的作用の結果であるこの群のイソ型により表されるmRNAの相対的割合が分かる。
【0127】
最後に、末梢(血液)におけるADAR発現における変化の評価は脳における編集の重要な変更の推定を可能とし、これはいくつかの治療分野ですでに用いられているいくつかの処置様式に対する二次的効果を説明し得るという提案が理にかなったものとなる。
【0128】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】ヒト被験体の対照群の個々の前側帯状皮質シグナルのそれぞれから算出された電気泳動SSCPシグナルの平均(黒い線)(実験データ)。これらのシグナルの平均値+SEMに相当する曲線も示す(緑の線)。横座標(abcissae)は、10000点の時間基準(6.2点/秒)を表し、縦座標は全シグナルのノーマライゼーション後の任意の蛍光単位で示す。示されたシグナルは、FAM(左の部分)およびVIC(右の部分)標識された鎖に相当する。個々の標準で見られた電気泳動シグナルのいくつかの典型例がそれらの対応するFAMおよびVIC標識における陰性として表されている。図の左および右部分の表は、ユニークな基準時間に適用された、FAM(左)またはVIC(右)プローブで標識された特定の編集イソ型の各標準一本鎖の異なる主要な電気泳動ピーク(最大値)の位置を表している。確認されたピークの2つの最大値は、それらの間隔が上記に定義した基準時間の15以上の点であった場合には分離することができる。1つの標識鎖の電気泳動パターンからピークが分離できない場合があり、それ以外からは分離分解されたことに注意(これらの場合は同じ色で識別される)。
【図2】ヒトおよびマウス皮膚における5−HT2cR転写物の同定。(A)ヒトまぶたポリA+RNAから調製されたcDNA(レーン1〜3)を、2つの特異的プライマーPCR9およびPCR10を用いて1回目のPCRにより増幅した。次に、これらの第一の産物に対してプライマーPCR18およびPCR2を用いてネステッドPCRを行った(レーン6〜8)。得られた産物を2%アガロースゲル上で分離した。増幅産物の推定サイズは1回目および2回目のPCRでそれぞれ250bpおよび127bp長である。各プライマーセットについて陰性対照(レーン4および9)および陽性対照(レーン5および10)が示されている。100bp DNAラダー/マーカーがMで示されている。(B)Balb/cマウス皮膚ポリA+RNAから調製されたcDNAを、1回目のPCRにより、2つの遺伝子特異的プライマーPCR9およびPCR10を用いて増幅した(レーン1〜6)。次に、これらの最初の増幅物に対してプライマーPCR1およびPCR4を用い、2回目のPCRを行った(レーン9〜14)。各プライマーセットについて陰性対照(レーン7および15)および陽性対照(レーン8および16)が示されている。得られた産物を2%アガロースゲル上で分離した。増幅産物の推定サイズは1回目および2回目のPCRでそれぞれ250bpおよび138bp長である。Mは100bp DNAラダー/マーカーである。
【図3】Balb/cマウス血液および皮膚においてADARイソ酵素のmRNAが明らかに同定される。(A)全血RNAから調製されたcDNA(レーン4)および皮膚RNAから調製されたcDNA(3つの異なる時点、すなわち、それぞれ30分、2時間および4時間の逆転写に相当するレーン1〜3)を、ADAR1の構成型(p110)および誘導型(p150)に特異的プライマーを用いて、PCRにより増幅した。2%アガロースゲル上で分離した、得られた増幅産物はそれぞれ674bp(p150イソ型)および683bp(p110イソ型)長である。陰性対照(レーン5)および100bp DNAラダー/マーカー(M)を示す。追加免疫対比は、全血細胞において転写された構成型のADAR1に相当する微弱なバンドの検出を可能とする(レーン4、p110)。(B)(A)と同様であるが、皮膚および全血におけるADAR2転写物に相当するPCR増幅が示される。PCR産物は366bp長である。ここでもまた、全血で、構成型のADAR1に相当する極めて微弱なバンドが見られた(レーン4、p110)。
【図4】ヒト白血球における誘導型ADAR1転写物の同定。(A)ヒト末梢血白血球全RNAから(レーン10)、またヒト血液画分によりノーマライズされたライブラリーから(レーン1〜9)調製されたcDNAを、誘導型のADAR1(p150)特異的なプライマーを用いてPCRにより増幅した。得られた産物を2%アガロースゲル上で分離した。増幅産物の推定サイズは544bp長である。レーン1および6;2および7;3および8はそれぞれ、休止中および活性型の単核細胞、休止中および活性型のCD4+、ならびに休止中および活性型のCD8+細胞に相当する。レーン4および5:休止中CD14+およびCD19+細胞。レーン9:活性型CD19+細胞。レーン11:対照として用いたヒト胎盤由来cDNA。100bp DNAラダー/マーカーがMで示されている。PCR陽性(ヒト胎盤cDNAを伴うG3PDHプライマー、レーン13)およびPCR陰性対照(レーン12)を示す。(B)(A)の繰り返し。レーン1〜9は(A)のレーン1〜9と同じ。レーン10:ヒト胎盤cDNA。
【図5】ヒト背側前頭皮質、皮膚およびCD4+およびCD8+血液細胞におけるADAR1 p110、ADAR1 p150およびADAR2転写物の同定。(A)ヒトCD4+およびCD8+血液画分によりノーマライズされたライブラリー由来のcDNA(レーン1および2);DPFC全RNAから調製したもの(レーン3および4)およびヒトまぶたポリA+RNAから調製したもの(レーン5)をそれぞれADAR1 p110およびADAR1 p150用の2つの特異的プライマーセットEX1B 534p/EX2 804mおよびEX1A 34p/EX2 578mを用いてPCRにより増幅した。得られた産物を1.75%アガロースゲル上で分離した。増幅産物の推定サイズは270bp(ADAR1 p110)および566bp(ADAR1 p150)である。各プライマーセットについて陰性対照(レーン6)および陽性対照(レーン7、ヒト胎盤cDNA)が示されている。100bp DNAラダー/マーカーをMで示す。(B)A)と同様のcDNAを、それぞれADAR2およびG3PDH(陽性対照)のために、遺伝子特異的プライマーセットADAR2 1274p/ADAR2 1486mおよびG3PDH−F/G3PDH−Rを用いてPCRにより増幅した。得られた産物を1.75%アガロースゲルネガティブ上で分離した。ADAR2の推定サイズは212bp長である。
【図6】t0におけるインターフェロンα2aマウスインターフェロンの1回のIP注射(20000IU)後の前頭皮質(図6A)、皮膚(図6B)および血液(図6C)サンプルにおいてQPCRにより測定された特異的mRNAにおけるADAR1の濃度の上昇。効果は、1においてノーマライズされた対照値からの増加倍率として表されている。p<0.05。
【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図4A】

【図4B】

【図5A】

【図5B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳におけるmRNA編集(該mRNA編集はADAR依存性A−to−I mRNA編集である)の病理的変化を評価するための方法であって、細胞を含有する末梢組織からなる生体サンプルの群から選択される単一の生体サンプルまたは2種類の異なる生体サンプルが用いられる、方法。
【請求項2】
前記の細胞を含有する末梢組織が、皮膚サンプル、全血サンプル、白血球(blood white cells)、白血球(leucocytes)もしくはバッフィーコート由来細胞を含有する血液サンプル、尿サンプル、唾液サンプル、内部頬組織サンプル、膣または内部頬剥離細胞診または塗沫標本からなる群から選択される哺乳類生体組織である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の細胞を含有する末梢組織が、皮膚サンプル、全血サンプル、またはバッフィーコートを含有する血液サンプルからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
該編集mRNAが、AMPA型グルタミン酸受容体、Gタンパク質共役セロトニン受容体およびPDEA8をコードするmRNAからなる群から選択されるmRNAである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
脳におけるmRNA編集の病理学的変更の評価が、
該サンプルにおける該mRNAの編集率またはその編集形態のプロフィール;および/または
該サンプルで発現されるADARの性質または/および量
により決定される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ADAR依存性A−to−I mRNA編集を有する該mRNA が5HTR2C mRNAである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
患者が5HTR2CのmRNA編集の機構の変更に関連する病状を呈するかどうか、または病状を発症するリスクがあるかどうかをin vitroにおいて特定するための請求項6に記載の方法、または方法であって、
a)被験患者から皮膚細胞を含有する生体サンプルおよび/または血液細胞を含有する生体サンプルを得る工程;
b)該5HTR2C mRNAの少なくとも1つの編集形態、または非編集形態の編集率、および/または前記皮膚細胞および/または血液細胞サンプルで発現されたADARの性質または/および量を決定する工程;
c)該5HTR2C mRNAのこの編集形態または非編集形態に関して工程b)で得られた編集率を比較することにより、かつ/または該サンプルで発現されたADARの性質または/および量を、5HTR2C mRNAの特徴的な対照編集率、または正常患者もしくはこのmRNA編集の機構の変更に関連する病状を示す患者に関して得られた発現ADARプロフィールと比較することにより、患者がこのような病状を呈するかどうか、または病状を発症するリスクがあるかどうかを特定する工程
を含む、方法。
【請求項8】
該病状が、精神病、統合失調症、鬱病、鬱性自殺または異常な摂食挙動からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
in vitroにおいて、患者により示される病状が5HTR2CのmRNA編集の機構の変更に関連するかどうかを決定するための請求項6〜8に記載の方法であって、
a)該病状を示す患者から皮膚細胞および/または血液細胞を含有する生体サンプルを得る工程;
b)5HTR2C mRNAの少なくとも1つの編集形態または非編集形態の編集率、および/または皮膚細胞および/または血液細胞の該サンプルで発現されるADARの性質または/および量を決定する工程;
c)該患者がこのような病状を呈するかどうか、または病状を発症するリスクがあるかどうかを、該5HTR2C mRNAのこの編集形態または非編集形態に関して工程b)で得られた編集率を比較することにより、かつ/または該サンプルで発現されたADARの性質または/および量を、5HTR2C mRNAの特徴的な対照編集率、または正常患者もしくはこのmRNA編集の機構の変更に関連しないことが知られている病状を示す患者に関して得られた発現ADARプロフィールと比較することにより特定する工程
を含む、方法。
【請求項10】
哺乳類においてin vivoで5HTR2C mRNAの編集を調節する薬剤をin vitroで特定するための請求項6〜8に記載の方法であって、
a)該哺乳類に5HTR2C mRNA編集の候補モジュレーターを投与する工程;
b)該哺乳類から脳組織サンプル、皮膚細胞および/または血液細胞を含有する生体サンプルを得る工程;および
c)該モジュレーターの、
該5HTR2C mRNAの少なくとも1つの編集形態または非編集形態の編集率に対する効果;および/または
該脳組織サンプル、皮膚細胞および/または血液細胞のサンプルで発現されたADARの性質または/および量に対する効果
を、この編集形態または非編集形態の編集率、および/または工程b)において生体サンプルから得られた発現ADARの性質または/および量を該哺乳類の対照サンプル、皮膚細胞および/または血液細胞から得られた編集率、および/または発現ADARの性質または/および量と比較することにより決定する工程
を含む、方法。
【請求項11】
哺乳類において5HTR2C mRNAの編集を調節する薬剤をin vitroで特定するための請求項6〜8に記載の方法であって、
a)哺乳類脳組織サンプル、皮膚細胞系統および/または血液細胞系統(所望により、これらの細胞は組換え細胞または細胞系統であり得る)を含有する生体サンプルを得る工程;
b)該5HTR2C mRNA編集の候補モジュレーターの存在下で該生体サンプルを接触させる工程;および
c)該モジュレーターの、
該5HTR2C mRNAの少なくとも1つの編集形態または非編集形態の編集率に対する効果;および/または
該脳組織サンプル、皮膚細胞および/または血液細胞のサンプルで発現されたADARの性質または/および量に対する効果
を、この編集形態または非編集形態の編集率、および/または工程b)において生体サンプルから得られた発現ADARの性質または/および量を該哺乳類の対照脳組織サンプル、皮膚細胞および/または血液細胞から得られた編集率、および/または発現ADARの性質または/および量と比較することにより決定する工程
を含む、方法。
【請求項12】
5HTR2CのmRNA編集の機構の変更に関連する病状の予防または治療のために用いられる薬剤の有効性を患者においてin vitroで決定するための、請求項6〜8に記載の方法であって、
a)該患者から皮膚細胞および/または血液細胞を含有する生体サンプルを得、該5HTR2C mRNAの少なくとも1つの編集形態または非編集形態の編集率、および/または該皮膚細胞および/または血液細胞サンプルで発現されたADARの性質または/および量を決定する工程;
b)該患者に病状の予防または治療を意図した薬剤を投与する工程;
c)処置中または/および処置後に該患者から皮膚細胞および/または血液細胞を含有する新たな生体サンプルを得、該5HTR2C mRNAの少なくとも1つの編集形態または非編集形態の編集率、および/または工程a)で選択されたサンプルで発現されたADARの性質または/および量を決定する工程;および
d)該薬剤の有効性を、工程a)の生体サンプルから得られた編集率、および/または発現されたADARの性質または/および量を工程c)で得られたものと比較することにより決定する工程(正常患者で見られるものに近いまたは等しい編集率および/または発現されたADARの性質または/および量をもたらす編集率および/または発現されたADARの性質または/および量の調節が処置の有効性に重要である)
を含む、方法。
【請求項13】
患者が5HTR2CのmRNA編集の機構の変更をもたらす、またはそれを誘発する病態の処置に応答するか応答しないかを決定するための請求項12に記載の方法であって、
e)処置期間(すなわち、15日、30日、2か月、6か月など)の後に編集率またはプロフィールおよび/または発現ADARの性質または/および量の修飾を、処置の開始前の編集率またはプロフィールおよび/または発現ADARの性質または/および量と比較することにより観察することにより、その患者がその処置に応答するか応答しないかを決定する工程
をさらに含む、方法。
【請求項14】
患者または哺乳類がヒト、マウスまたはラット、好ましくはヒトである、請求項1〜13に記載の方法。
【請求項15】
皮膚細胞がケラチノサイト、メラノサイト、繊維芽細胞、ランゲルハンス細胞およびメルケル細胞からなる群から選択され、皮膚組織が表皮および真皮からなる群から選択される、請求項2〜14に記載の方法。
【請求項16】
ケラチノサイトがHaCaT細胞などのヒト不死化細胞に由来し、あるいはメラノサイトがヒト不死化細胞または黒色腫に由来する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ケラチノサイトが新生児の皮膚、真皮または毛包に由来し、メラノサイトが表皮または毛包に由来し、繊維芽細胞が真皮または乳頭毛包に由来する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
皮膚細胞、培養皮膚由来細胞または皮膚組織がまぶたまたは耳の皮膚に由来する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
編集率が、ヒト5HTR2C mRNAの編集および非編集形態のうち少なくとも1つ、好ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、2、22、23、24、25、26、27、28、29、30または32個に関して決定される、請求項6〜18に記載の方法。
【請求項20】
編集率が該5HTR2C mRNAの編集および非編集形態総てに関して決定される、請求項6〜19に記載の方法。
【請求項21】
該5HTR2C mRNAの各編集および非編集形態の編集率が、
A)皮膚細胞系統、培養皮膚由来細胞または皮膚組織の全RNAを抽出し、その後、適当であればそのmRNAを生成する工程;
B)工程A)で抽出されたRNAを逆転写する工程;および
C)工程B)で得られたcDNAを、編集され得る編集部位を含有する5HTR2C mRNAフラグメントに特異的な少なくとも1対のプライマー(このプライマー対はRNA抽出物中に存在する可能性のある総ての編集形態および非編集形態を増幅し得るように選択される)を用いてPCR増幅する工程
を含む方法により決定される、請求項6〜20に記載の方法。
【請求項22】
該5HTR2C mRNAの各編集および非編集形態の編集率が、
A)皮膚細胞系統、培養皮膚由来細胞または皮膚組織の全RNAを抽出し、その後、適当であればそのmRNAを生成する工程;
B)工程A)で抽出されたRNAを逆転写する工程;および
C)工程B)で得られたcDNAを、編集され得る編集部位を含有する5HTR2C mRNAフラグメントに特異的な少なくとも1対のプライマー(このプライマー対はRNA抽出物中に存在する可能性のある総ての編集形態および非編集形態を増幅し得るように選択される)を用いてPCR増幅する工程
(ここで、工程Bの逆転写は5HTR2C遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いることで行われる)
を含む方法により決定される、請求項6〜20に記載の方法。
【請求項23】
工程B)において、5HTR2C遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーが配列5’-TTCGTCCCTCAGTCCAATCAC-3’(配列番号34)を有する、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
工程C)において、PCR増幅工程が2回のPCRを含むネステッドPCRであり、ここで、1回目のPCRが200bp〜300bpの間、好ましくは225bp〜275bpの間、より好ましくは240bp〜260bpの間の長さを有するPCR核酸産物をもたらすプライマーセットにより行われる、請求項21または22に記載の方法。
【請求項25】
工程C)において、PCR増幅工程が2回のPCRを含むネステッドPCRであり、ここで、2回目のPCRが90bp〜160bpの間、好ましくは100bp〜140bpの間、より好ましくは110bp〜138bpの間の長さを有する最終PCR核酸産物をもたらすプライマーセットにより行われる、請求項21〜23に記載の方法。
【請求項26】
工程C)において、PCR増幅工程が2回のPCRを含むネステッドPCRであり、1回目のPCRが次のプライマーセット:
フォワードプライマー5’-TGTCCCTAGCCATTGCTGATATGC-3’(配列番号35)と、
リバースプライマー5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTAGTC-3’(配列番号36)
により行われる、請求項21〜25に記載の方法。
【請求項27】
工程C)において、PCR増幅工程が2回のPCRを含むネステッドPCRであり、2回目のPCRが次のプライマーセット:
フォワードプライマー5’-ATGTGCTATTTTCAACAGCGTCCATC-3’、配列番号37;と
リバースプライマー5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTA-3’、配列番号38;
また、
フォワードプライマー5’-TTTGTGCCCCGTCTGGAT-3’、配列番号39;
リバースプライマー5’-GCCTTAGTCCGCGAATTG-3’、配列番号40
により行われる、請求項21〜25に記載の方法。
【請求項28】
工程C)において、PCR増幅工程が2回のPCRを含むネステッドPCRであり、1回目のPCRが次のプライマーセット:
マウスまたはラットでは、
フォワード:5’-TGTCCCTAGCCATTGCTGATATGC-3’、配列番号35;
リバース:5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTAGTC-3’、配列番号36;
ヒトでは、
フォワード:5’-TGTCCCTAGCCATTGCTGATATGC-3’、配列番号35;
リバース:5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTAGTC-3’、配列番号36、
により行われ、および
2回目のPCRが以下のプライマーセット:
マウスまたはラットでは、
フォワード:5’-TTTGTGCCCCGTCTGGAT-3’、配列番号39;
リバース:5’-GCCTTAGTCCGCGAATTG-3’、配列番号40;および
ヒトでは、
フォワード:5’-ATGTGCTATTTTCAACAGCGTCCATC-3’、配列番号37;
リバース:5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTA-3’、配列番号38
により行われる、請求項21〜25に記載の方法。
【請求項29】
工程C)において、PCR増幅工程で用いられるプライマー(ネステッドPCRの場合には2回目)が標識され、好ましくは、蛍光団で標識される、請求項21〜28に記載の方法。
【請求項30】
該5HTR2C mRNAの各編集および非編集形態の編集率が、該mRNAの編集および非編集型の個々の形態それぞれの編集プロフィールを提供し得るSSCP法により決定され、該SSCP法が工程A)、B)およびC)の後に
D)適当であれば、工程C)で得られたPCR産物を精製する工程;
E)適当であれば、工程D)で得られたPCR産物を定量する工程;
F)特に加熱した後に急冷することにより、二本鎖DNAを一本鎖DNAへ解離させる工程;
G)キャピラリー電気泳動により一本鎖DNAを分離する工程;および
H)蛍光を読み取り、適当であれば、蛍光リーダーに関連づけた取り込み系の手段によりプロフィールデータを取得することにより編集プロフィールを得る工程
を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
病状のリスク、5HTR2C mRNA編集の変更に関連する病状または供試薬剤の効果の決定に用いられる5HTR2C mRNAの対照または標準編集率または編集プロフィールが、供試生体サンプルに用いられたものと同じ方法および与えられた条件下での該mRNAの編集および非編集型の個々の形態のそれぞれに関して得られる特徴的な編集率またはプロフィールである、請求項6〜30に記載の方法。
【請求項32】
供試生体サンプル中に存在する編集および非編集型の個々の形態それぞれの品質および/または量を供試生体サンプルに用いたものと同じ方法および同じ条件下で得られる、これらの編集および非編集形態のそれぞれの既知の定性的および/または定量的混合物の編集率またはプロフィールと比較することにより評価される、請求項6〜31に記載の方法。
【請求項33】
患者が脳におけるmRNA編集(該mRNA編集はA−to−I編集ADARに依存する)の機構の変更に関連する病状を呈するかどうか、または病状を発症するリスクがあるかどうかをin vitroで特定するための方法であって、
a)被験患者から細胞を含有する血液サンプルを得る工程;
b)血液サンプル細胞に含まれるRNA発現産物に作用するアデノシンデアミナーゼ(ADAR)を決定する工程;および
c)該患者がこのような病状を呈するかどうか、または病状を発症するリスクがあるかどうかを、被験患者で得られた発現ADARの量および/または質を、正常患者またはこのmRNA編集の機構の変更に関連する病状を示す患者の血液サンプルで得られた発現ADARの量および/または質と比較することにより特定する工程
を含む、方法。
【請求項34】
該編集mRNAが、AMPA型グルタミン酸受容体、Gタンパク質共役セロトニン受容体およびPDEA8をコードするmRNAからなる群から選択されるmRNAである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
該編集mRNAが5HTR2C、好ましくは、ヒト5HTR2CをコードするmRNAである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ADARを発現する血液サンプル細胞が白血球(blood white cells)、白血球(leucocytes)またはバッフィーコート由来細胞である、請求項33〜35に記載の方法。
【請求項37】
ADAR発現産物がADAR1、イソ型150および/または110であり、ADAR2遺伝子発現産物が好ましくは、DAR1、イソ型150kDおよび/または110kDタンパク質、およびADAR2タンパク質をコードするヒト遺伝子の発現産物である、請求項1〜36に記載の方法。
【請求項38】
ADAR発現産物がADAR mRNAである、請求項1〜37に記載の方法。
【請求項39】
ADAR mRNAの決定が、
A)該血液サンプル細胞の全RNAを抽出し、その後、適当であれば、mRNAを精製する工程;
B)工程A)で抽出されたRNAを逆転写させる工程;および
C)工程B)で得られたcDNAを、定量および/または定性分析される各ADAR mRNAに特異的な、少なくとも1対のプライマーを用いてPCR増幅する工程
を含む方法により行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
工程C)において、ADAR mRNA PCR増幅に特異的なプライマー対が、
ヒトADAR1−150イソ型mRNAの増幅には:
EX1A 34pフォワード:5’-GCCTCGCGGGCGCAATGAATCC-3’(配列番号41)、
EX2 578mリバース:5’-CTTGCCCTTCTTTGCCAGGGAG-3’(配列番号42);
ヒトADAR1−110イソ型mRNAの増幅には:
EX1B 534pフォワード:5’-CGAGCCATCATGGAGATGCCCTCC-3’(配列番号43)、
EX2 804mリバース:5’-CATAGCTGCATCCTGCTTGGCCAC-3’(配列番号44);
ヒトADAR2 mRNAの増幅には:
ADAR2 1274pフォワード:5’-GCTGCGCAGTCTGCCCTGGCCGC-3’(配列番号45)、
ADAR2 1486mリバース:5’-GTCATGACGACTCCAGCCAGCAC-3’(配列番号46);
マウスADAR1−150イソ型mRNAの増幅には:
EX1A 19pフォワード:5’-GTCTCAAGGGTTCAGGGGACCC-3’(配列番号47)、
EX2 646mリバース:5’-CTCCTCTAGGGAATTCCTGGATAC-3’(配列番号48);
マウスADAR1−110イソ型mRNAの増幅には:
EX1B 72pフォワード:5’-TCACGAGTGGGCAGCGTCCGAGG-3’(配列番号49)、
EX2 646mリバース:5’-CTCCTCTAGGGAATTCCTGGATAC-3’(配列番号48);および
マウスADAR2 mRNAの増幅には:
EX7 1281pフォワード:5’-GCTGCACAGTCTGCCTTGGCTAC-3’(配列番号50)、
EX9 1622mリバース:5’-GCATAAAGAAACCTGAGCAGGGAC-3’(配列番号51)
からなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
ADAR発現産物がADARタンパク質である、請求項1〜37に記載の方法。
【請求項42】
工程b)において、ADARタンパク質の決定が、
A)所望により、血液サンプル細胞に含まれる全タンパク質を抽出した後、適当であれば、タンパク質の精製工程を行う工程;および
B)血液サンプル細胞に含まれる各ADARタンパク質の存在および/または濃度を、該ADARタンパク質を特異的に認識することができる抗体、好ましくは標識された抗体の実現により決定する工程
を含む方法により行われる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
配列ATGTGCTATTTTCAACAGCGTCCATC(配列番号37)を含む、もしくは有するか;または
配列番号37のフラグメントnt5〜nt14を含む、
単離された核酸。
【請求項44】
プライマーまたはプローブとしての請求項43に記載の核酸の使用。
【請求項45】
ヒト編集および編集5HTR2C mRNAのイソ型を増幅するための2回目のネステッドPCRプライマーセット:
フォワード:5’-ATGTGCTATTTTCAACAGCGTCCATC-3’(配列番号37)、
リバース:5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTA-3’(配列番号38)。
【請求項46】
ネステッドPCRによりヒト編集および非編集ヒト5HTR2C mRNAの総てのイソ型を増幅するためのプライマーセット:
1回目:
フォワード:5’-TGTCCCTAGCCATTGCTGATATGC-3’(配列番号35);
リバース:5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTAGTC-3’(配列番号36);
および2回目:
フォワード:5’-ATGTGCTATTTTCAACAGCGTCCATC-3’(配列番号37);
リバース:5’-GCAATCTTCATGATGGCCTTA-3’(配列番号38)。
【請求項47】
好ましくは蛍光団で標識される、請求項43、45および46に記載の単離された核酸またはプライマーセット。
【請求項48】
請求項43もしくは47に記載の核酸、または請求項45、46もしくは47のプライマーセットを含む、哺乳類5HTR2C mRNA編集率またはプロフィールの決定のためのキット。

【図6】
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【図1】
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【公表番号】特表2010−528672(P2010−528672A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511663(P2010−511663)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057519
【国際公開番号】WO2008/152146
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(505031783)
【氏名又は名称原語表記】BIOCORTECH
【Fターム(参考)】