説明

6−ジ置換アミノ−7−デアザキサンチン化合物の製造方法

【課題】糖尿病等の治療薬の中間体として有用な6−ジ置換アミノ−7−デアザキサンチン化合物の製造方法、およびその中間体、並びに該化合物を用いる6−ジ置換アミノ−5−ベンジル−7−デアザキサンチン誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】
式(1)(式中、RおよびRは、同一または異なって、C1-6アルキル基等を表す。)で表される化合物と、二級アミン類と、オルト蟻酸エステルを反応させて、式(3)で表される化合物(RはC1-6アルキル基等、RはC1-6アルキル基等を表す。)を得た後、式(3)で表される化合物を、亜ジチオン酸ナトリウム等を用いて還元し、式(4)で表される化合物を製造する方法;および必要に応じて保護された式(4)の化合物をホスフィン化合物等の存在下にベンジルアルコール類と反応させ、必要に応じて脱保護反応を行って式(6)で表される化合物を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病等の治療薬の中間体として有用な6−ジ置換アミノ−7−デアザキサンチン化合物の製造方法、およびその中間体、並びに該化合物を用いる6−ジ置換アミノ−5−ベンジル−7−デアザキサンチン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病等の治療薬として期待されるジペプチジルペプチダーゼ−IV(以下に「DPP−IV」と記す)阻害薬の一つとして、6−ジ置換アミノ−5−ベンジル−7−デアザキサンチン誘導体が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。当該文献には、当該化合物の製造方法として、例えば、下記[化1]および[化2]に示す製造方法が開示されている。
しかしながら、これらの製造方法は工程数が多く、全収率が低いこと、および化合物Aの製造においては、化合物(1−5)、(1−7)、(1−8)および(1−9)が結晶ではないため、大きいスケールでの製造では精製が困難であることから、工業生産の観点から満足できるものではない。
【0003】
【化1】

【0004】
【化2】

【0005】
6−(2−ジメチルアミノビニル)−5−ニトロウラシル誘導体をパラジウムカーボン存在下で接触還元すると6−ジメチルアミノ−7−デアザキサンチン化合物が生成することが、非特許文献1および2に開示されている(下記[化3]および[化4]参照)。しかしながら、非特許文献1に開示される製造方法においては、ジメチルアミノ基が脱離した7−デアザキサンチン化合物が主生成物として得られ(収率31%〜84%)、6位にジメチルアミノ基を有する7−デアザキサンチン化合物は、その副生成物として得られるに過ぎない(収率0%〜16%)。非特許文献2も同様の結果を開示しており、4例中3例はジメチルアミノ基が脱離した7−デアザキサンチン化合物のみが生成し(収率14%〜36%)、1例のみがジメチルアミノ基が脱離した7−デアザキサンチン化合物(収率16%)と共に6−ジメチルアミノ−7−デアザキサンチン化合物(収率22%)が生成している。さらに、これらの化合物を選択的に効率よく製造する方法についての記載や示唆はいずれの文献にもない。
【0006】
【化3】


(式中、RおよびRは、以下の基を表す:R=R=メチル基;R=メチル基、R=シクロヘキシル基;R=水素原子、R=ブチル基;R=水素原子、R=メチル基;R=水素原子、R=プロピル基;またはR=R=プロピル基。)
【0007】
【化4】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2006/068163号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2009/113423号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Chem. Pharm. Bull., 1974, 22, 2593
【非特許文献2】J. Med. Chem., 1994, 37, 1526
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、短工程かつ簡便であり、工業生産に適した6−ジ置換アミノ−5−ベンジル−7−デアザキサンチン誘導体の新規な製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討の結果、出発原料として下記式(1)で表される化合物を用い、これに下記式(2)で表されるアミンと、オルト蟻酸エステルを反応させた後、該生成物を特定の還元剤で還元することにより、下記式(4)で表される6−ジ置換アミノ−7−デアザキサンチン化合物が効率よく得られることを見出した。さらに、ホスフィン化合物とアゾ化合物の共存下、下記式(4a)で表される化合物と式(5)で表されるベンジルアルコールを反応させることにより、糖尿病等の治療薬として期待される6−ジ置換アミノ−5−ベンジル−7−デアザキサンチン誘導体(6)を効率よく製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明によれば、6−ジ置換アミノ−7−デアザキサンチン化合物の製造方法および該製法で製造される化合物を用いる6−ジ置換アミノ−5−ベンジル−7−デアザキサンチン誘導体の新規な製造法が提供される。
〔1〕下記工程(1)および工程(2)を含む、式(4):
【0013】
【化5】


(式中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよいヘテロアリール基を表し、Rは、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、または置換されていてもよい複素環基を表し、Rは、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよいヘテロアリール基を表すか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノ基を形成していてもよい。)で表される化合物の製造方法:
(1)式(1):
【0014】
【化6】


(式中、R、およびRは前記記載と同義である。)で表される化合物と、式(2):
【0015】
【化7】


(式中、R、およびRは前記記載と同義である。)で表される化合物と、オルト蟻酸エステルを反応させて、式(3):
【0016】
【化8】


(式中、R、R、R、およびRは前記記載と同義である。)で表される化合物を製造する工程、
(2)式(3)で表される化合物を、還元性金属、還元性金属塩、還元性金属および還元性金属塩の混合物、亜ジチオン酸ナトリウム、または硫化ナトリウムを用いて還元し、式(4)で表される化合物を製造する工程。
〔2〕RおよびRが、同一または異なって、水素原子、またはC1-6アルキル基である、〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕Rが、1〜3個のハロゲン原子またはC1-6アルコキシ基で置換されていてもよいC1-6アルキル基であり、Rが、C1-6アルキル基(該基は、1〜3個のハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、保護されていてもよいアミノ基、または保護されていてもよい水酸基で置換されていてもよい。)、C3-7シクロアルキル基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、保護されていてもよいアミノ基、または保護されていてもよい水酸基で置換されていてもよい。)、または複素環基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、保護されていてもよいアミノ基、または保護されていてもよい水酸基で置換されていてもよい。)である〔1〕または〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕RおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4員〜7員の環状アミノ基[該基は、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、同一または異なる1〜2個のC1-6アルキルで置換されていてもよいアミノ基、アリール基(該基は、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ、または1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、同一または異なる1〜2個のC1-6アルキルで置換されていてもよいアミノカルボニル基、同一または異なる1〜2個のC1-6アルキルで置換されていてもよいアミノスルホニル基、保護されていてもよいアミノ基、または保護されていてもよい水酸基で置換されていてもよい。]を形成している、〔1〕または〔2〕に記載の製造方法。
〔5〕RおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピペリジノ基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、保護されていてもよいアミノ基、または保護されていてもよい水酸基で置換されていてもよい。)を形成している、〔4〕に記載の製造方法。
〔6〕オルト蟻酸エステルが、オルト蟻酸トリ(C1-6アルキル)である、〔1〕〜〔5〕いずれか一項に記載の製造方法。
〔7〕〔1〕の式(3)で表される化合物を製造する工程において、さらに酸を添加して反応を行なう〔1〕〜〔6〕いずれか一項に記載の製造方法。
〔8〕式(6):
【0017】
【化9】


(式中、R11、およびR21は、同一または異なって、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよいヘテロアリール基を表し、R31は、C1-6アルキル基(該基は、ハロゲン原子またはC1-6アルコキシ基で置換されていてもよい。)、C3-7シクロアルキル基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、またはC1-6アルコキシ基で置換されていてもよい。)、または複素環基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、またはC1-6アルコキシカルボニル基で置換されていてもよい。)を表し、R41は、C1-6アルキル基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)、C3-7シクロアルキル基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)、複素環基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)、アリール基(該基は、ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)、またはヘテロアリール基(該基は、ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)を表すか、あるいはR31およびR41は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4員〜7員の環状アミノ基[該基は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、ジ−C1-6アルキルアミノ基、アリール基(該基は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、ジ−C1-6アルキルアミノカルボニル基、ジ−C1-6アルキルアミノスルホニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。]を形成していてもよく、Rは、1つまたは複数存在し、複数存在する場合はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、ジ−C1-6アルキルアミノ基、アリール基(該基は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、ジ−C1-6アルキルアミノカルボニル基、ジ−C1-6アルキルアミノスルホニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基を表す。)で表される化合物の製造方法であって、ホスフィン化合物およびアゾ化合物の存在下、またはホスホラン化合物の存在下、
式(4a):
【0018】
【化10】


(式中、R11、R21、R31、およびR41は前記記載と同義である。)で表される化合物と、式(5):
【0019】
【化11】


(式中、Rは、前記記載と同義である。)で表される化合物を反応させる工程を含む製造方法。
〔9〕R11およびR21が、同一または異なって、C1-6アルキル基である、〔8〕に記載の製造方法。
〔10〕R31が、1〜3個のハロゲン原子またはC1-6アルコキシ基で置換されていてもよいC1-6アルキル基であり、R41が、C1-6アルキル基(該基は、1〜3個のハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)、C3-7シクロアルキル基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)、または複素環基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)である〔8〕または〔9〕に記載の製造方法。
〔11〕R31およびR41が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4員〜7員の環状アミノ基[該基は、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、ジ−C1-6アルキルアミノ基、アリール基(該基は、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ、または1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、C1-6アルコキシカルボニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。]を形成している、〔8〕または〔9〕に記載の製造方法。
〔12〕R31およびR41が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピペリジノ基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)を形成している、〔10〕に記載の製造方法。
〔13〕Rが、1つまたは複数存在し、複数存在する場合はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、または1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、である、〔8〕〜〔12〕いずれか一項に記載の製造方法。
〔14〕式(9):
【0020】
【化12】


(式中、RおよびRは、同一または異なって、C1-6アルキル基を表し、環Aは、フェニルまたは5員もしくは6員の複素環と縮合環を形成していてもよい4員〜7員の環状アミノ基を表し、Rは、アミノ基または水酸基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、または1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を表し、R10は、1つまたは複数存在し、複数存在する場合はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、または1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を表す。)で表される化合物の製造方法であって、ホスフィン化合物およびアゾ化合物の存在下、またはホスホラン化合物の存在下、
式(7):
【0021】
【化13】


(式中、R、R、およびRは、前記記載と同義であり、R11は、保護されたアミノ基または保護された水酸基を表す。)で表される化合物と、式(8):
【0022】
【化14】


(式中、R10は、前記記載と同義である。)で表される化合物を反応させる工程;および保護されたアミノ基または保護された水酸基を脱保護する工程を含む製造方法。
〔15〕6-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロ-5-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンの製造方法であって、ホスフィン化合物およびアゾ化合物の存在下、またはホスホラン化合物の存在下、6-[(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンと(2-クロロ-5-フルオロフェニル)メタノールを反応させる工程;および、該工程で得られる化合物を酸で処理する工程を含む製造方法。
さらに、本発明によれば、下記式(10)で表される新規な中間体が提供される。
〔16〕式(10):
【0023】
【化15】


(式中、RおよびRは、同一または異なって、C1-6アルキル基を表し、環Aは、フェニルまたは5員もしくは6員の複素環と縮合環を形成していてもよい4員〜7員の環状アミノ基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、または1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を表し、R11は、保護されたアミノ基または保護された水酸基を表す。)で表される化合物。
【発明の効果】
【0024】
市販されていて入手が容易な6−メチル−5−ニトロピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン類(1)、二級アミン類(2)およびオルト蟻酸エステルの反応生成物[エナミン(3)]を特定の還元剤を用いて還元すると、ジ置換アミノ基の脱離反応が抑えられて効率よく環化反応が進行し、6−ジ置換アミノ−5−ベンジル−7−デアザキサンチン誘導体の中間体(4)が短工程で効率良く得られる。また、該化合物の5位のベンジル化は、常法(例えば、ハロゲン化ベンジルと塩基を用いた反応)を用いると副生成物が多く、低収率であるところ、ホスフィン化合物とアゾ化合物の共存下、中間体(4a)とベンジルアルコール類(5)を反応させ、必要に応じて脱保護反応を行うと、6−ジ置換アミノ−5−ベンジル−7−デアザキサンチン誘導体(6)が収率良く製造できる。すなわち、本発明の製造方法を用いることにより、糖尿病等の治療薬の原薬として有用な6−ジ置換アミノ−7−デアザキサンチン誘導体を、公知の方法よりも短工程で効率良く製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。本明細書において「置換基」の定義における炭素の数を、例えば、「C1-6」などと表記する場合もある。具体的には、「C1-6アルキル」なる表記は、炭素数1から6のアルキル基と同義である。また、本明細書において、「置換されていてもよい」なる用語を特に明示していない置換基については、「非置換」の置換基を意味する。例えば、「C1-6アルキル」とは、「非置換」であることを意味する。
【0026】
本明細書において「基」なる用語は、1価基を意味する。例えば、「アルキル基」は、1価の飽和炭化水素基を意味する。また、本明細書における置換基の説明において、「基」なる用語を省略する場合もある。
尚、「置換されていてもよい」で定義される基における置換基は、特に数量に指定がない限り、置換可能な位置に、置換可能な数の範囲内で置換することができる。例えば、置換されていてもよいC1-6アルキル基がメチル基である場合、そのメチル基における置換可能な置換基数の範囲は1〜3である。置換されていてもよいアリール基がフェニル基である場合、そのフェニル基における置換可能な置換基数の範囲は1〜5である。また、置換基数が2以上の場合は、その置換基はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。さらに、特に指示した場合を除き、各々の基の説明はその基が他の基の一部分または置換基である場合にも該当する。
【0027】
「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。
【0028】
「C1-6アルキル基」は、炭素数1〜6個を有する直鎖または分枝状の飽和炭化水素基を意味する。好ましくは、「C1-4アルキル基」である。「C1-6アルキル基」の具体例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。
【0029】
「C3-7シクロアルキル基」は、炭素数3〜7個を有し、環状の飽和または不飽和炭化水素基を意味する。好ましくは、「C3-6シクロアルキル基」である。「C3-7シクロアルキル基」の具体例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロヘキシニル等が挙げられる。
【0030】
前記「C3-7シクロアルキル基」には、「C3-7シクロアルキル」とフェニルまたは5員もしくは6員の窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子を同じまたは異なって1個以上(例えば1〜4個)含有する環と縮環した基も包含される。該基の具体例としては、例えば、下記式で表される基等が挙げられる。これらのフェニルまたは5員もしくは6員の窒素原子、硫黄原子または酸素原子から選ばれるヘテロ原子を同じまたは異なって1個以上(例えば1〜4個)含有する環に置換されていてもよい置換基としては、「置換されていてもよいアリール基」、および「置換されていてもよいへテロアリール基」における置換基が含まれる。
【0031】
【化16】

【0032】
「アリール基」は、炭素数6〜10個を有する芳香族炭化水素基を意味する。好ましくは「C6アリール基」(フェニル)である。「アリール基」の具体例としては、例えば、フェニル、1−ナフチルまたは2−ナフチル等が挙げられる。
【0033】
前記「アリール基」には、フェニルと5員〜7員の窒素原子、硫黄原子または酸素原子から選ばれるヘテロ原子を同じまたは異なって1個以上(例えば1〜4個)含有する環、または5員〜7員のシクロアルキル環(シクロペンタン、またはシクロヘキサン)と縮環した基も包含される。該基の具体例としては、例えば、下記式で表される基等が挙げられる。
【0034】
【化17】


但し、縮環するアリール基の場合には、芳香環のみが「基」の結合手を有する。例えば、下記式
【0035】
【化18】


で表される「アリール基」の場合には、「基」が4−、5−、6−、または7−位で結合することを意味する。
【0036】
「ヘテロアリール基」としては、例えば、5員〜12員の単環式もしくは多環式の芳香族基等が挙げられ、該基は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子から選ばれるヘテロ原子を同じまたは異なって1個以上(例えば1〜4個)含有する。「多環式のヘテロアリール基」としては、2もしくは3環式の基が好ましく、2環式の基がより好ましい。多環式のヘテロアリール基は、前記単環式のへテロアリール基と芳香族環(ベンゼン、ピリジンなど)または非芳香族環(シクロヘキシルなど)とが縮環したものを含む。「ヘテロアリール基」の具体例としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
【0037】
【化19】

【0038】
前記式において環を横切る結合手は、「基」が該環における置換可能な位置で結合することを意味する。例えば、下記式
【0039】
【化20】


のヘテロアリール基の場合には、2−フリル基、または3−フリル基であることを意味する。
更に、「ヘテロアリール基」が多環式の基である場合において、例えば、下記式
【0040】
【化21】


で表される場合には、2−ベンゾフリル、または3−ベンゾフリルの他に、4−、5−、6−または7−ベンゾフリルであってもよい。
【0041】
但し、芳香環と非芳香族環(ピペリジンなど)とが縮環する多環式へテロアリール基の場合には、芳香環のみが「基」の結合手を有する。例えば、下記式
【0042】
【化22】



で表される「多環式のヘテロアリール基」の場合には、「基」が2−、3−、または4−位で結合することを意味する。「ヘテロアリール基」は、5員〜10員の単環式もしくは多環式の芳香族基が好ましく、5員もしくは6員の単環式の芳香族基が更に好ましい。
【0043】
「複素環基」としては、例えば、フェニルまたは6員のヘテロアリールと縮合環を形成してもよい、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同種または異種の原子を1〜3個有する3員〜7員の複素環基等が挙げられる。前記窒素原子、酸素原子および硫黄原子はいずれも環を構成する原子である。単環の複素環基は、飽和または部分不飽和のいずれであってもよい。好ましくは飽和複素環基であり、さらに好ましくは5員もしくは6員の飽和複素環基である。具体的には、ピラニル、テトラヒドロフリル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキソチオモルホリニル、ヘキサメチレンイミニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、またはテトラヒドロピラニル等が挙げられる。該基は、環を構成する窒素原子が、「基」の結合手となることはない。すなわち、該基には、例えば、1−ピロリジノ基などの概念は包含されない。
【0044】
縮合環を形成している窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される同種または異種の原子を1〜3個有する3員〜7員の複素環基としては、例えば、前掲の5員もしくは6員の単環の複素環基とフェニルまたは6員のヘテロアリールが縮合した二環式の9員もしくは10員の「複素環」が挙げられる。6員の芳香族炭化水素としては、ベンゼンなどが挙げられる。6員のヘテロアリールとしては、ピリジン、ピリミジンまたはピリダジン等が挙げられる。具体的には、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロプリニル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾジオキサニル、イソインドリニル、インダゾリル、ピロロリジニル、テトラヒドロキノリニル、デカヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、テトラヒドロナフチリジニルまたはテトラヒドロピリドアゼピニル等が挙げられる。これらのフェニルまたは6員のヘテロアリールに置換されていてもよい置換基としては、「置換されていてもよい0アリール基」、および「置換されていてもよいへテロアリール基」における置換基が含まれる。
【0045】
「C1-6アルコキシ基」の「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同義である。好ましくは、「C1-4アルコキシ基」である。「C1-6アルコキシ基」の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。
【0046】
「C1-6アルキルスルホニル基」の「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同義である。好ましくは、「C1-4アルキルスルホニル基」である。「C1-6アルキルスルホニル基」の具体例としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニルまたはヘキシルスルホニル等が挙げられる。
【0047】
「アリールオキシ基」の「アリール」部分は、前記「アリール」と同義である。「アリールオキシ基」の具体的としては、フェノキシ、1−ナフチルオキシまたは2−ナフチルオキシ等が挙げられる。
【0048】
「ヘテロアリールオキシ基」の「ヘテロアリール」部分は、前記「ヘテロアリール」と同義である。好ましくは、「5〜6員の単環式のヘテロアリールオキシ基」などが挙げられる。「ヘテロアリールオキシ基」の具体例としては、例えば、ピリジルオキシ、イミダゾリルオキシ、チアゾリルオキシ等が挙げられる。
【0049】
「C1-6アルコキシカルボニル基」の「C1-6アルコキシ」部分は、前記「C1-6アルコキシ」と同義である。好ましくは、「C1-4アルコキシカルボニル基」などが挙げられる。「C1-4アルコキシカルボニル基」の具体例としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル等が挙げられる。
【0050】
「4員〜7員の環状アミノ基」は、フェニルまたは5員もしくは6員の複素環と縮合環を形成していてもよい4員〜7員からなる環状のアミノ基を意味する。該環の窒素原子が直接「基」の結合手となる基を意味する。好ましくは、5員〜7員であり、更に好ましくは5員もしくは6員である。単環の環状のアミノ基の具体例としては、例えば、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオモルホリノオキシド、チオモルホリノジオキシド、ピペラジノ等が挙げられる。尚、該基には、部分不飽和を含む環である環状アミノ基も含まれる。
【0051】
フェニルまたは5員もしくは6員の複素環と縮合環を形成している環状のアミノ基の具体例としては、下記で表される「基」等が挙げられる。これらのフェニルまたは5員もしくは6員の複素環に置換されていてもよい置換基としては、「置換されていてもよいC6-10アリール基」、および「置換されていてもよいへテロアリール基」における置換基が含まれる。
【0052】
【化23】

【0053】
「置換されていてもよいC1-6アルキル基」における置換基としては、例えば、
(a)ハロゲン原子、
(b)C1-4アルコキシ基(該基は、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい)、
(c)C3-7シクロアルキル基、
(d)ジ−C1-6アルキルアミノ基、
(e)アリール基(該基は、
(e1)ハロゲン原子、
(e2)C1-4アルキル(該基は、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。)、または
(e3)C1-4アルコキシ(該基は、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。)で置換されていてもよい。)、
(f)アリールオキシ基(該基は、前記(e1)〜(e3)からなる群から選択される基で置換されていてもよい。)、
(g)ヘテロアリール基(該基は、前記(e1)〜(e3)からなる群から選択される基で置換されていてもよい。)、
(h)ヘテロアリールオキシ基(該基は、前記(e1)〜(e3)からなる群から選択される基で置換されていてもよい。)、
(i)保護されていてもよいアミノ基、または
(j)保護されていてもよい水酸基等が挙げられる。
好ましくは、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基(該基は、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい)、アリール基(該基は、ハロゲン原子、C1-4アルキル(該基は、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。)、またはC1-4アルコキシ(該基は、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。)で置換されていてもよい。)、保護されていてもよいアミノ基、または保護されていてもよい水酸基である。
【0054】
「置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基」、「置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノ基」、「置換されていてもよいアリール基」、「置換されていてもよいへテロアリール基」および「置換されていてもよい複素環基」における置換基としては、例えば、
(a2)ハロゲン原子、
(b2)C1-4アルキル基(該基は、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。)、
(c2)C1-4アルコキシ基(該基は、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。)、
(d2)ジ−C1-6アルキルアミノ基
(e2)アリール基(該環は、
(e21)ハロゲン原子、
(e22)C1-4アルコキシ(該基は、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。)、または
(e23)C1-4アルキル(該基は、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。)で置換されていてもよい。)、
(f2)C1-4アルコキシカルボニル基、
(g2)同一または異なる1〜2個のC1-4アルキルで置換されていてもよいアミノカルボニル基、
(h2)C1-4アルキルスルホニル基、
(i2)同一または異なる1〜2個のC1-4アルキルで置換されていてもよいアミノスルホニル基、
(j2)保護されていてもよいアミノ基、または
(k2)保護されていてもよい水酸基等が挙げられる。
好ましくは、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基(該基は、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい)、C1-4アルキル基(該基は、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい)、保護されていてもよいアミノ基、または保護されていてもよい水酸基である。
式(2)の化合物の定義では、「置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノ基」における置換基としては、前記(a2)、(b2)、(c2)、(d2)、(e2)、(f2)、(g2)、(h2)もしくは(i2)で挙げられる基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基等が好ましい。
【0055】
「保護された水酸基」の具体例としては、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリルなど)、アセタール型保護基(例えば、テトラヒドロピラン−2−イル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチルなど)、アルコキシカルボニル基(例えば、tert−ブトキシカルボニルなど)、1個または2個のメトキシ基で置換されていてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジルなど)などで置換された水酸基が挙げられる。
【0056】
「保護されたアミノ基」の具体例としては、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルなど)、アルケニルオキシカルボニル基(例えば、ビニルオキシカルボニルなど)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニルなど)、アラルキル基(例えば、ベンジル、4−メトキシベンジル、3,5−ジメトキシベンジルなど)、アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイルなど)、アリールスルホニル基(例えば、p−トルエンスルホニル、ベンゼンスルホニルなど)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニルなど)などで置換されたアミノ基が挙げられる。好ましくは、(C1-6アルコキシ)カルボニル基、アリル(C1-4アルキル)オキシカルボニル基、アリル(C1-4アルキル)カルボニル基およびC1-4アルキルで置換されていてもよいアリールスルホニル基で置換されたアミノ基であり、さらに好ましくは、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル、p−トルエンスルホニル、ベンゼンスルホニルで置換されたアミノ基が挙げられる。
【0057】
本発明の製造法を説明する。
【0058】
製造法
式(4)で表される化合物は、式(1)で表される化合物を出発原料として用い、以下のとおりの2工程で製造できる。
【0059】
【化24】


(式中、R、R、R、およびRは前記記載と同義である。)
【0060】
工程(A−1)
式(1)で表される化合物と、式(2)で表されるアミンと、オルト蟻酸エステルを用いて反応を行うことにより、式(3)で表される化合物を製造することができる。
オルト蟻酸エステルの具体例としては、例えば、オルト蟻酸トリアルキル、オルト蟻酸ジエチルフェニル等が挙げられ、オルト蟻酸トリ(C1-6アルキル)(例えば、オルト蟻酸トリメチル、オルト蟻酸トリエチル、オルト蟻酸トリプロピル、オルト蟻酸トリブチルなど)が好ましい。
【0061】
アミン(2)の使用量は、式(1)で表される化合物に対して、通常1.0〜5.0モル倍量であり、好ましくは1.5〜2.5モル倍量である。
オルト蟻酸エステルの使用量は、通常1.0モル倍量以上であり、その上限は特になく、例えば溶媒を兼ねて大過剰量用いてもよい。
【0062】
反応は無溶媒もしくは溶媒を用いて行い、溶媒の具体例としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒等が挙げられ、これらの溶媒は単独でまたは2種以上混合して用いられる。
【0063】
反応温度は通常0℃〜300℃、好ましくは70℃〜150℃である。反応時間は、特に限定されないが、10分から1日程度であり、通常10分から5時間程度で反応が終了する。
【0064】
本工程では、反応を加速させるために酸を添加して行うことができる。酸の使用量は、式(1)で表される化合物に対して、0.5〜2モル倍量の範囲が挙げられ、好ましくは0.5〜1モル倍量の範囲である。酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸などの炭素数1〜6個を有する低級カルボン酸;カンファースルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸;塩酸、硫酸などの無機酸が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜6個を有する低級カルボン酸(酢酸など)およびスルホン酸(カンファースルホン酸など)が挙げられる。
【0065】
工程(A−2)
式(3)で表される化合物を、特定の反応条件下で還元することにより、式(4)で表される化合物を合成することができる。具体的には、鉄、亜鉛、スズ、マグネシウム、インジウム等の還元性金属、または二塩化スズ、三塩化チタン等の還元性金属塩を用いて還元する方法;亜ジチオン酸ナトリウムまたは硫化ナトリウムを用いて還元する方法等が挙げられる。
【0066】
還元性金属または還元性金属塩を用いて還元する場合において、該還元性金属および還元性金属塩は、単独もしくは組み合わせて使用することができる。該還元性金属および還元性金属塩の使用量は、式(3)で表される化合物に対して、0.5〜5モル倍量の範囲が挙げられ、好ましくは1〜3モル倍量の範囲である。
また、通常、添加物として塩酸、硫酸、酢酸、水酸化ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、塩化アンモニウム、硫化アンモニウム、アンモニア水等を使用する。添加物の使用量は、式(3)で表される化合物に対して、0.5〜20モル倍量の範囲が挙げられ、好ましくは1.0〜10モル倍量の範囲である。
反応は無溶媒もしくは溶媒を用いて行い、溶媒の具体例としては、例えば水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;メタノールやイソプロパノールなどのアルコール系溶媒等が挙げられ、これらの溶媒は単独でまたは2種以上混合して用いられる。
反応温度は通常-78℃〜300℃、好ましくは-20℃〜150℃である。反応時間は、特に限定されないが、10分から1日程度であり、通常10分から10時間程度で反応が終了する。
【0067】
亜ジチオン酸ナトリウムまたは硫化ナトリウムを用いて還元する場合、その使用量としては、化合物(3)に対して、通常1.0-5.0モル倍が用いられる。好ましくは1.0〜2.5モル倍量である。
反応は無溶媒もしくは溶媒を用いて行い、溶媒の具体例としては、例えば水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;メタノールやイソプロパノールなどのアルコール系溶媒等が挙げられ、これらの溶媒は単独でまたは2種以上混合して用いられる。
反応温度は通常-78℃〜300℃、好ましくは-20℃〜150℃である。反応時間は、特に限定されないが、10分から1日程度であり、通常10分から10時間程度で反応が終了する。
【0068】
式(3)で表される化合物は、水素添加触媒を用いた接触還元法によっても製造できる。
接触還元法に用いる水素添加触媒の具体例としては、パラジウム触媒、白金触媒、ニッケル触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、およびオスミウム触媒などが挙げられる。具体的には、例えば、パラジウム−カーボン、パラジウム−ブラック、パラジウム炭素−エチレンジアミン複合体、パラジウム−フィブロイン、水酸化パラジウム−カーボン、水酸化パラジウム、酸化パラジウム、酸化白金、プラチナ−カーボン、プラチナ−ブラック、
ラネーニッケル、ロジウム−カーボン、ロジウム−アルミナ、ルテニウム−カーボン、オスミウム−カーボン、およびLindlar触媒等が挙げられる。該水素添加触媒の使用量は、化合物(3)に対して、金属基準で通常0.01重量%から20重量%が用いられる。好ましくは0.5重量%から10重量%である
本法を行う場合には、触媒能を抑えるために、ジメチルスルホキシドやエチレンジアミン等の被毒化剤を添加することができる。被毒化剤の使用量は、式(3)で表される化合物に対して、1.0〜5.0モル倍量の範囲が挙げられ、好ましくは2.0〜3.0モル倍量の範囲である。
反応は無溶媒もしくは溶媒を用いて行い、溶媒の具体例としては、例えば水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;メタノールやイソプロパノールなどのアルコール系溶媒等が挙げられ、これらの溶媒は単独でまたは2種以上混合して用いられる。
反応温度は通常-78℃〜300℃、好ましくは-20℃〜150℃である。反応時間は、特に限定されないが、10分から1日程度であり、通常10分から5時間程度で反応が終了する。
【0069】
式(6)で表される化合物は、式(4a)で表される化合物を出発原料として用い、以下のとおりの1工程で製造できる。
【0070】
【化25】


(式中、R11、R21、R31、およびR41およびRは前記記載と同義である。)
【0071】
工程(A−3)
ホスフィン化合物およびアゾ化合物の存在下、式(4a)で表される化合物と、式(5)で表されるベンジルアルコールを反応させることにより、式(6)で表される化合物を合成することができる。
【0072】
ベンジルアルコール(5)の使用量は、式(4a)で表される化合物に対して、通常1.0〜5.0モル倍量であり、好ましくは1.0〜2.0モル倍量である。
【0073】
ホスフィン化合物の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ヘキサメチルホスホラストリアミド、ヘキサエチルホスホラストリアミド等が挙げられる。ホスフィン化合物の使用量は、化合物(4a)に対して、通常1.0〜20.0モル倍量であり、好ましくは1.0〜3.0モル倍量である。
【0074】
アゾ化合物の具体例としては、光延反応に通常用いられるアゾ化合物であって、例えばジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソピロピルアゾジカルボキシレート等のアルキルアゾカルボキシレート化合物、またはN,N,N’,N’−テトラメチルアゾジカルボキサミド、N,N,N’,N’−テトライソプロピルアゾジカルボキサミド、1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン等のアゾジカルボキサミド化合物が挙げられる。好ましくは、N,N,N’,N’−テトラメチルアゾジカルボキサミド、または1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジンである。アゾ化合物の使用量は、化合物(4a)に対して、通常1.0〜20.0モル倍量であり、好ましくは1.0〜3.0モル倍量である。
【0075】
また、ホスフィン化合物およびアゾ化合物の共存の代替として、光延反応に通常用いられるホスホラン化合物であって、例えば(シアノメチレン)トリメチルホスホラン、(シアノメチレン)トリブチルホスホラン等の(シアノメチレン)ホスホラン化合物を用いることができる。ホスホラン化合物の使用量は、化合物(4a)に対して、通常1.0〜20.0モル倍量であり、好ましくは1.0〜3.0モル倍量である。
【0076】
反応は溶媒を用いて行い、溶媒の具体例としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルホルムアミド、N-メチル−2−ピロリノンなどのアミド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリルなどの二トリル溶媒等が挙げられ、これらの溶媒は単独でまたは2種以上混合して用いられる。
【0077】
反応温度は通常−78℃〜200℃、好ましくは0℃〜150℃である。反応時間は、特に限定されないが、10分から1日程度であり、通常10分から5時間程度で反応が終了する。
【0078】
式(4a)で表される化合物と式(5)で表される化合物との反応生成物に保護された水酸基および/または保護されたアミノ基が存在する場合は、常法あるいは文献(例えば、Green, T. W.およびWuts, P. G. M., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, Inc. (2007)等)に記載の方法により水酸基および/またはアミノ基の保護基を除去することができる。したがって、例えば、アミノ基を有する6−ジ置換アミノ−5−ベンジル−7−デアザキサンチン誘導体は、アルコキシカルボニル基で保護されたアミノ基を有する式(4a)で表される化合物と式(5)で表される化合物との反応生成物を酸(例えば、硫酸、塩酸等)で処理することにより製造することができる。好ましくは濃硫酸を用いることができる。
反応後の混合物に対し、「塩基を加えてpHを12〜14に調整する」、もしくは「反応生成物に対して溶解度の低い貧溶媒を加える」のどちらかの操作もしくは両方の操作を行なうことにより、反応生成物を抽出操作を行なうことなしに結晶として取得することができる。
塩基としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物が用いられる。貧溶媒としては、反応生成物を酸付加塩として取得する場合は、ヘキサン、ヘプタン、トルエン等の炭化水素系溶媒や、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒が、反応生成物をフリー体として取得する場合は水が用いられる。
【0079】
上記工程(A−1)の原料化合物である式(1)で表される化合物は、公知化合物であるか公知化合物から公知の方法(例えば、C. Esteve et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16 (2006) 3642等)により合成できる化合物である。
【0080】
式(4a)で表される化合物は、前記化合物(4)の製造方法で製造されるものであるか、あるいは常法に従って化合物(4)に保護基を導入して製造される化合物である。
【0081】
上記説明した各反応により得られる化合物は、慣用の分離手段である分別再結晶法、クロマトグラフィーを用いた精製方法、溶媒抽出法、再沈殿等により単離精製することができる。
【0082】
前記各反応により得られる本発明の化合物または原料化合物がラセミ体またはジアステレオマー混合物である場合には、常法、例えば欧州特許出願公開第455006号明細書に記載の方法等に従って各立体異性体に分離することができる。
【0083】
また、光学異性体は前記製造法の適切な工程で、光学活性カラムを用いた方法、分別結晶化法などの公知の分離工程を実施することで分離することができる。また、出発原料として光学活性体を使用することもできる。
【0084】
本発明の製造方法で得られる化合物が、光学異性体、立体異性体、ケトエノール体のような互変異性体、および/または幾何異性体を有する場合、本発明は、これらを含め全ての可能な異性体およびそれらの混合物を包含する。
【0085】
いずれの反応においても得られる生成物は、反応条件により酸付加塩または遊離塩基の形をとる。これらの生成物は常法により所望の酸付加塩または遊離塩基の形に変換することができる。
【0086】
本発明の製造方法で得られる化合物およびその塩は、水あるいは各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明に包含される。さらに、本発明では、本発明の製造方法に係わる化合物のあらゆる互変異性体、存在するあらゆる立体異性体、およびあらゆる態様の結晶形のものも包含している。
【実施例】
【0087】
以下に実施例および参考例により本発明の製造方法および製造中間体をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。尚、以下の参考例および実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
【0088】
実施例、参考例および明細書において以下の略語を使用することがある。
Boc:tert-ブトキシカルボニル基
Me:メチル基
Et:エチル基
DMSO:ジメチルスルホキシド
【0089】
HPLC測定条件に記載されている測定条件は以下の内容を表す。
カラム: Ascentis C18 ,2.7μm 4.6mmφ×100mm (SUPELCO)
移動層:
A液:10mM 酢酸アンモニウム水
B液:アセトニトリル
グラジェント条件:
【表1】


流量:1.0mL/min
検出器:UV(254nm)
カラム温度:40℃
尚、本条件におけるtert-ブチル (3R)-1-(1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)ピペリジン-3-イルカルバメートの保持時間は11.9分であった。
【0090】
参考例1
tert-ブチル 3-{(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-ピペリジン-1-イル}-2-シアノ-3-(メチルチオ)アクリレートの製造
【0091】
【化26】


tert-ブチル 2-シアノ-3,3-ビス(メチルチオ)アクリレート(140.0kg)のトルエン (129.3 L)溶液に、(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン(114.6kg)のトルエン溶液 (242.5 L)を加えて40〜50℃で攪拌した。7時間後、ヘプタン(458.5L)を加えて40〜50℃で攪拌した後、種晶を加えた。結晶析出後、ヘプタン (458.5L)を加えた。その後、氷浴にて2時間攪拌した後に、冷却したトルエン/ヘプタン(1:2)の混合溶媒(189 kg)を加え、ろ過することにより、表題の化合物(217.5kg、収率95.9%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 1.38 (9H, s), 1.41 (9H, s), 1.49-1.57 (2H, m), 1.80-1.87 (2H,m), 2.54 (3H, s), 3.15 (1H, dd, J= 12.2, 9.6 Hz), 3.20-3.25 (1H, m), 3.47 (1H, m), 3.61-3.71 (2H,m), 7.04 (1H, d, J= 7.0 Hz).
【0092】
参考例2
tert-ブチル 3-[(2-クロロ-5-フルオロベンジル)アミノ]-3-{(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-ピペリジン-1-イル}-2-シアノアクリレートの製造
【0093】
【化27】


参考例1の化合物 (218.0 kg)をアセトニトリル (178.5L)に溶かし、DBU (167.2kg)、および2-クロロ-5-フルオロベンジルアミン (105.4kg)のアセトニトリル(27.8L)溶液を加えて、50〜60℃で撹拌した。6時間後、トルエン(637.6L)で希釈し、水洗した。得られた有機層を8.5%硫酸水素カリウム水溶液、10%水酸化ナトリウム水溶液、水で洗浄した後、減圧濃縮することにより、表題の化合物(194.3kg、収率69.6%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.42 (9H, s), 1.42-1.45 (1H, m), 1.49 (9H, s), 1.61-1.71 (1H, m), 1.81-1.85 (1H, m), 1.96-2.00 (1H, m), 3.00 (1H, dd, J= 13.2, 9.6 Hz), 3.18 (1H, ddd, J= 10.4, 10.4, 2.8 Hz), 3.39 (1H, d, J=13.2 Hz), 3.65-3.67 (2H, m), 4.42 (1H, dd, J= 17.6, 5.6 Hz), 4.46 (1H, dd, J= 17.6, 6.4 Hz), 4.53 (1H, br s), 6.97 (1H, ddd, J= 8.8, 8.0, 2.8 Hz), 7.18 (1H, dd, J= 8.8, 2.8 Hz), 7.34 (1H, dd, J= 8.8, 5.2 Hz), 8.52 (1H, br s).
【0094】
参考例3
tert-ブチル 3-[(2-クロロ-5-フルオロベンジル)(2-エトキシ-2-オキソエチル)アミノ]-3-{(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-ピペリジン-1-イル}-2-シアノアクリレートの製造
【0095】
【化28】


参考例2の化合物 (194.0kg)をN, N‐ジメチルホルムアミド (346.4L)に溶かし、炭酸カリウム (184.4 kg)を加え室温で撹拌した。ブロモ酢酸エチル(89.1kg)を滴下した後に、30〜40℃で2時間攪拌した。ブロモ酢酸エチル(12.7kg)をさらに加え、30〜40℃で2時間攪拌した。トルエンを加え、水で洗浄後、減圧濃縮することにより、表題の化合物(224.1kg、収率98.8%)を得た。
MS (ESI+) 595 (M++1,40%)
IR (減衰全反射法)cm-1: 3315, 2958, 2933, 2867, 2193, 1741, 1681, 1675, 1587, 1508, 1475, 1448, 1099.
【0096】
参考例4
4-tert-ブチル 2-エチル 3-アミノ-1-(2-クロロ-5-フルオロベンジル)-5-{(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-ピペリジン-1-イル}-1H-ピロール-2,4-ジカルボキシレートの製造
【0097】
【化29】


リチウムtert-ブトキサイド(45.2kg)のtert-ブチルアルコール(621.4L)およびアセトニトリル (857.2L)溶液に、参考例3の化合物 (224.1 kg)のトルエン(112.0L)溶液を加え、20〜30℃にて2時間撹拌した。トルエン(776.3 L)を加えた後、反応液を20%酢酸水溶液にて洗浄し、減圧濃縮することにより表題の化合物(203.5kg、収率90.8%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.05 (3H, t, J= 6.8 Hz), 1.14-1.17 (2H, m), 1.34 (9H, s), 1.52-1.57 (1H, m), 1.57 (9H, s), 1.73 (2H, m), 2.74 (1H, m), 2.92-2.96 (1H, m), 3.07-3.17 (2H, m), 4.05 (2H, q, J= 6.8 Hz), 5.40 (2H, s), 6.02 (2H, s), 6.12 (1H, d, J= 7.6 Hz), 6.86 (1H, br s), 7.14 (1H, ddd, J= 8.8, 8.0, 2.8 Hz), 7.54 (1H, dd, J= 8.8, 5.2 Hz).
【0098】
参考例5
4-tert-ブチル 2-エチル 3-[(アミノカルボニル)アミノ]-1-(2-クロロ-5-フルオロベンジル)-5-{(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-ピペリジン-1-イル}-1H-ピロール-2,4-ジカルボキシレートの製造
【0099】
【化30】


参考例4の化合物 (204.0kg)を酢酸 (1283.5L)およびトルエン(414.0L)に溶かした混合物に対し、シアン酸カリウム (64.1kg)を水 (93.8kg)に溶かした溶液を40℃で滴下し、攪拌した。2時間後、室温まで戻し、トルエン (1123.4L)で希釈し、水で3回洗浄した。水酸化ナトリウム水溶液でpH 7-10に調製し、食塩水で洗浄後、減圧濃縮することにより表題の化合物(212.4kg、収率97.1%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 1.08 (3H, t, J= 7.2 Hz), 1.13-1.23 (2H, m), 1.33 (9H, s), 1.49-1.52 (1H, m), 1.52 (9H, s), 1.73 (1H, m), 2.77-2.86 (2H, m), 2.96 (1H, m), 4.06 (2H, q, J= 7.2 Hz), 5.40 (2H, s), 6.10 (1H, d, J= 6.8 Hz), 6.27 (2H, s), 6.82 (1H, d, H= 5.2 Hz), 7.15 (1H, ddd, J= 8.8, 8.0, 2.8 Hz), 7.55 (1H, dd, J= 8.8, 5.2 Hz).
【0100】
参考例6
tert-ブチル5-(2-クロロ-5-フルオロベンジル)-6-{(3R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-ピペリジン-1-イル}-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-2,3,4,5-テトラハイドロ-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキシレートの製造
【0101】
【化31】


参考例5の化合物 (212.0kg)のトルエン溶液に、N, N‐ジメチルホルムアミド(877.6 L)を加えた後、炭酸カリウム (114.8kg)、水 (8.5kg)を加え45〜50℃で攪拌した。5時間後、30℃まで冷却し炭酸カリウム (68.8kg)を追加した。ヨウ化メチル(141.5kg)を滴下、攪拌した。3時間後、トルエンで希釈し、水で洗浄、減圧濃縮した。得られた固体をイソプロパノール(1620L)中70℃まで昇温し、室温まで戻した。5℃で5時間攪拌した後に固体をろ過によって回収し、減圧乾燥することにより表題の化合物(172.1kg、収率88.3%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.18-1.26(2H, m),1.33(9H, s), 1.52-1.59(1H, m), 1.68-1.72 (1H, m), 2.66-2.74(2H, m), 2.81(1H, t, J=10 Hz), 2.94-2.96 (1H,m), 3.18 (3H,s), 3.18-3.20 (1H,m), 3.43 (3H,s), 5.49 (1H, d, J= 17.2 Hz), 5.56 (1H, d, J= 17.2 Hz), 6.28 (1H, d, J=7.6 Hz), 6.80 (1H, d, J= 6.8 Hz), 7.16 (1H, ddd, J= 8.4, 8.4, 3.2 Hz), 7.56 (1H, dd, J= 9.2, 5.2 Hz).
【0102】
参考例7
6-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロ-5-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンの製造
【0103】
【化32】


テトラヒドロフラン (204.7L)に濃硫酸 (60.9kg)を滴下した。その混合物に参考例6 の化合物 (181.4 kg)のテトラヒドロフラン(819.0L)溶液を55〜60℃で滴下し、攪拌した。2時間後、室温まで戻し、トルエン(460.8L)と水 (634.9L)を加えて分液した。水層にNaOH (46.8kg)、水 (187.2L)とテトラヒドロフラン(450.4L)を加えて分液後、有機層に2−プロパノールを加え、濃縮した後、水で洗浄し、さらに減圧濃縮した。残渣に2−プロパノール(1620.3L)を加えて70℃まで昇温した。0℃まで冷却し、2−プロパノールで洗浄後、減圧乾燥することにより表題の化合物(172.1kg、収率88.9%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.02-1.04(1H,m),1.38-1.48(3H,m),1.60-1.65(1H,m),1.73-1.77(1H,m),2.39(1H,dd,J=11.2,9.2Hz),2.59(1H,dd,J=11.2,2.4Hz),2.62-2.68(1H,m),2.86-2.89(1H,m),3.01(1H,dd,J=11.2,3.6Hz),3.15(3H,s),3.39(3H,s),5.43(2H,s),5.98(1H,s),6.19(1H,dd,J=9.5,3.0Hz),7.16(1H,ddd,J=8.6,8.4,3.0Hz),7.54(1H,dd,J=8.8,5.1Hz).
【0104】
実施例1−1
6-[(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン-1-イルビニル]-1,3-ジメチル-5-ニトロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンの製造
【0105】
【化33】


1,3,6-トリメチル-5-ニトロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(20.0g)と(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン(30.17g)のN,N−ジメチルアセトアミド(94.20g)溶液に、酢酸(3.02g)を加えた後、98±5℃でオルト蟻酸トリエチル(89.30g)を1時間で滴下した。2.5時間攪拌後、室温に戻し、トルエン(433g)と水(200g)を加えて分配抽出した。有機層を水(200g)で洗浄し、溶媒を減圧留去して得られる粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分離し、得られた粗生成物をトルエン(50g)にて再結晶を行うことにより、表題の化合物(30.5g,収率74.2%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.44(9H,s),1.60-1.67(1H, m), 1.76-1.82(1H,m), 1.94-1.98(1h, M), 3.04(1H,dd, J=11.5, 8.0Hz), 3.14-3.19(1H,m),3.28-3.32(1H,m), 3.37(3H,s),3.46(3H,s),3.61(1H,dd,J=13.0, 3.5 Hz), 3.68(1H, m), 4.57(1H, m), 4.79(1H,d,J=13.1Hz), 6.84(1H,d,J=13.1Hz).
【0106】
実施例1−2
6-[2-(ジメチルアミノ)ビニル]-1,3-ジメチル-5-ニトロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンの製造
【0107】
【化34】


1,3,6-トリメチル-5-ニトロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(2.99g)をトルエン(20mL)に懸濁し、N,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタール(5.15mL)を加えて、4.5時間加熱還流した。反応液を氷冷し、n-ヘプタン(20mL)を滴下した。1時間攪拌後、析出している結晶を濾取し、n-ヘプタン-トルエン(1:1, 6mL)で洗浄し、表題の化合物(3.65g、収率96 %)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 2.99 (6H,s), 3.37(3H,s), 3.47(3H,s), 4.51 (1H, d, J= 12.8Hz), 6.95 (1H, d, J= 12.8 Hz).
【0108】
実施例1−3
6-[(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン-1-イルビニル]-1,3-ジメチル-5-ニトロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(3a)の製造
1,3,6-トリメチル-5-ニトロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(99.6mg)と(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン(300.4mg)とオルト蟻酸トリエチル(444.6mg)のN,N−ジメチルアセトアミド(0.5mL)溶液に、Entry1には何も加えず、Entry2には10-カンファースルホン酸(58.1mg)を加えて、100℃で攪拌した。経時的にサンプリングしてHPLCにて分析を行い、反応追跡した。
化合物(3a)の反応収率をプロットした結果を[表1]に示す。
【表1】

【0109】
実施例2−1
6-[(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンの製造
【0110】
【化35】


1,3,6-トリメチル-5-ニトロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(4.50kg)と(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン(6.79kg)のN,N−ジメチルアセトアミド(21.20kg)溶液に、酢酸(0.68kg)を加えた後、98±5℃でオルト蟻酸トリエチル(20.09kg)を1時間で滴下した。2時間後、反応液を-15℃に冷却した。亜ジチオン酸ナトリウム(14.05kg)を加え、水(84.30kg)を2時間で滴下し、さらに0〜10℃で1時間攪拌した。反応液に濃塩酸(2.93kg)を加えて、pHを3.0以下に調整した。メタノール(4.46kg)を加えた後、50〜60℃で2時間攪拌した。反応液に水(28.10kg)を30分で滴下した。1時間攪拌後、析出している結晶を濾取し、結晶を水(23kg)で2回、メタノール(18kg)で2回洗浄し、減圧乾燥することにより表題の化合物(5.54kg、収率65.0%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.24-1.37(1H,m),1.40(9H,s),1.47-1.56(1H,m),1.69-1.72(1H,m),1.77-1.80(1H,m),2.59(1H,dd,J=12.0,10.0Hz),2.69-2.75(1H,m),3.19(3H,s),3.30(3H,s),3.42-3.45(1H,m),3.59-3.62(1H,m),3.66(1H,dd,J=12.0,4.0Hz),5.44(1H,d,J=1.6Hz),6.89(1H,d,J=8.0Hz),11.06(1H,br.s).
【0111】
実施例2−2
6-[(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンの製造
【0112】
【化36】


実施例1−1により得られる化合物(200mg)のN,N-ジメチルホルムアミド(2.0g)溶液に、塩化スズ(II)(231mg)と亜硫酸水素ナトリウム(127mg)を加えて、室温で23時間攪拌した。反応液をジメチルスルホキシドで希釈し、HPLCにて表題の化合物の含量分析を行い、収率79.9%と算出した。
【0113】
実施例2−3
6-[(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンの製造
【0114】
【化37】


実施例1−1により得られる化合物(200mg)のメタノール−トルエン(1:1,2.0g)溶液に、還元鉄(81.8mg)と酢酸(176mg)を加えて、40度で7時間攪拌した。反応液にクロロホルム−メタノール溶液(1:1,10mL)加えて、不要物を濾別した。HPLCにてろ液中の表題の化合物の含量分析を行い、収率75.7%と算出した。
【0115】
実施例2−4
6-(ジメチルアミノ)-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンの製造
【0116】
【化38】


実施例1−2により得られる化合物(501mg)のN,N−ジメチルアセトアミド(4.67mL)溶液に、亜ジチオン酸ナトリウム(1.20g)を加え、0℃で水(7.20g)を1時間で滴下し、さらに0〜10℃で1.5時間攪拌した。反応液に濃塩酸(0.3g)を加えて、pHを3.0以下に調整し、60℃で2時間攪拌した。さらに40℃で1時間攪拌し、析出している結晶を濾取した。結晶を水(1mL)で2回、メタノール(1mL)で2回洗浄し、減圧乾燥することにより表題の化合物(313.3mg、収率71.6%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:2.89(6H,s), 3.19(3H,s), 3.31(3H,s), 5.29(1H,d, J= 2.5 Hz), 10.86 (1H, brs).
【0117】
比較例1
6-[(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンの製造
【0118】
【化39】


実施例1−1により得られる化合物(200mg)のメタノール (1.27mL)溶液に、5%パラジウム炭素(20mg)とジメチルスルホキシド(0.9mL)を加えて、水素気流下、室温で24時間攪拌した。反応液にジメチルスルホキシド(6mL)を加えて触媒を濾別した。HPLCにてろ液中の表題の化合物の含量分析を行い、収率24.9%と算出した。また、同時に1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンの含量分析を行い、収率9.2%と算出した。
【0119】
実施例3−1
6-[(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン-1-イル]-5-(2-シアノベンジル)-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンの製造
【0120】
【化40】


実施例2−1により得られる化合物(25mg)と(2-シアノフェニル)メタノール(35mg)と1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(66mg)のテトラヒドロフラン(3mL)懸濁液に、室温でトリn−ブチルホスフィン(65μL)を加えて4時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルと水を加えて分配抽出した。有機層の溶媒を減圧留去して得られる粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分離精製して、表題の化合物(28.5mg,収率87%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.39(9H,s),1.42-1.50(1H,m),1.55-1.74(3H,m),2.65(1H,dd,J= 10.3
,7.0Hz),2.77(2H,m),3.19(1H,dd,J=11.0,2.5Hz),3.33(3H,s),3.44(3H,s),3.74(1H,m),4.62(1H,d,J=7.6Hz),5.59(1H,s),5.66(1H,d,J=16.5Hz),5.77(1H,d,J=16.5Hz),6.77(1H,d,J=7.8Hz),7.32(1H,dd,J=7.8,7.8Hz),7.45(1H,ddd,J=7.8,7.8,1.0Hz),7.65(1H,dd,J=7.8,1.0Hz).
【0121】
実施例3−2
6-[(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロ-5-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンの製造
【0122】
【化41】


実施例2−1により得られる化合物(5.00kg)と(2-クロロ-5-フルオロフェニル)メタノール(2.55kg)とN,N,N‘,N’−テトラメチルアゾジカルボキシアミド(3.42kg)のテトラヒドロフラン(100kg)懸濁液に、20〜30℃でトリn−ブチルホスフィン(4.30kg)を1時間で滴下した。3時間攪拌後、析出物を濾別後、テトラヒドロフラン(25.1kg)で濾上物を洗浄した。ろ液を減圧濃縮し、2-プロパノール(75kg)を加えて、さらに濃縮した。2-プロパノール(18.7kg)を加えて、45〜55℃に昇温した。水(84.35kg)を加えて、さらに1時間攪拌した。反応液を0〜10℃まで冷却した。10時間後、析出している結晶を濾取し、結晶を0〜10℃に冷却した2-プロパノール/水(1:1.5)混合液(10.0kg)と0〜10℃に冷却した2-プロパノール/n−ヘプタン(1:3)混合液(10.0kg)洗浄し、減圧乾燥することにより、表題の化合物(6.05kg、収率87.4%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.25-1.28(1H,m),1.33(9H,s),1.43-1.49(1H,m),1.66-1.74(2H,m),2.45(1H,dd,J=10.5,10.0Hz),2.58-2.63(1H,m),2.87-2.90(1H,m),3.02-3.06(1H,m),3.14(3H,s),3.39(3H,s),3.41(1H,m),5.37(1H,d,J=17.3Hz),5.43(1H,d,J=17.3Hz),6.01(1H,s),6.22(1H,dd,J=9.2,3.0Hz),6.78(1H,d,J=8.0Hz),7.14(1H,ddd,J=8.8,8.4,3.0Hz),7.53(1H,dd,J=8.8,5.1Hz).
【0123】
比較例2
6-[(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロベンジル)-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンの製造
【0124】
【化42】


実施例2−1により得られる化合物(100mg)のN,N-ジメチルアミノホルムアミド(3mL)懸濁液に、炭酸カリウム(73.2mg)を加えて、50℃で30分攪拌した。その後2-クロロ塩化ベンジル(50μL)を加えて、50℃で8時間攪拌した。室温に戻し、反応液に酢酸エチルと水を加えて分配抽出し、さらに水層を酢酸エチルで再抽出行った。有機層を合わせて溶媒を減圧留去し、得られた組成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、表題の化合物(47.6mg、収率35.8%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ: 1.42(9H,s),1.52-1.58(2H,m),1.66-1.68(2H,m),2.70-2.81(3H,m),3.06-3.09(1H,m),3.35(3H,s),3.47(3H,s),3.78(1H,s),5.56(1H,d,J=16.8Hz),5.59(1H,s),5.67(1H,d,J=16.8Hz),6.48(1H,d,J=7.2Hz),7.11(1H,ddd,7.5,7.2,1.4Hz),7.17(1H,ddd,J=7.8,7.5,1.7Hz),7.38(1H,dd,J=7.8,1.4Hz).
【0125】
実施例4
6-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロ-5-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンの製造
【0126】
【化43】


実施例3−2により得られる化合物(5.00kg)の2-プロパノール(10.0kg)懸濁液に、水(5.0kg)を加え、60〜70℃で濃硫酸(1.92kg)を1時間で滴下した。5時間後、20%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを13.0に調整した。反応液を45〜55℃で接種し、水(20.0kg)を加えた。1時間保温後、さらに水(25.0kg)を加え、5〜10℃にまで冷却した。1時間後、析出している結晶を濾取し、結晶を0〜10℃に冷却した2-プロパノール/水(1:5)混合液(7.5kg)と水(15.0kg)と2-プロパノール/n−ヘプタン(1:3)混合液(7.5kg)洗浄し、減圧乾燥することにより、表題の化合物(3.79kg、収率93.9%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.02-1.04(1H,m),1.38-1.48(3H,m),1.60-1.65(1H,m),1.73-1.77(1H,m),2.39(1H,dd,J=11.2,9.2Hz),2.59(1H,dd,J=11.2,2.4Hz),2.62-2.68(1H,m),2.86-2.89(1H,m),3.01(1H,dd,J=11.2,3.6Hz),3.15(3H,s),3.39(3H,s),5.43(2H,s),5.98(1H,s),6.19(1H,dd,J=9.5,3.0Hz),7.16(1H,ddd,J=8.6,8.4,3.0Hz),7.54(1H,dd,J=8.8,5.1Hz).
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の製造方法および中間体を用いることにより、糖尿病等の治療薬の原薬として有用な6−ジ置換アミノ−5−ベンジル−7−デアザキサンチン誘導体を、短工程で効率良く製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程(1)および工程(2)を含む、式(4):
【化1】


(式中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよいヘテロアリール基を表し、Rは、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、または置換されていてもよい複素環基を表し、Rは、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよいヘテロアリール基を表すか、あるいはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、置換されていてもよい4員〜7員の環状アミノ基を形成していてもよい。)で表される化合物の製造方法:
(1)式(1):
【化2】


(式中、R、およびRは前記記載と同義である。)で表される化合物と、式(2):
【化3】


(式中、R、およびRは前記記載と同義である。)で表される化合物と、オルト蟻酸エステルを反応させて、式(3):
【化4】


(式中、R、R、R、およびRは前記記載と同義である。)で表される化合物を製造する工程、
(2)式(3)で表される化合物を、還元性金属、還元性金属塩、還元性金属および還元性金属塩の混合物、亜ジチオン酸ナトリウム、または硫化ナトリウムを用いて還元し、式(4)で表される化合物を製造する工程。
【請求項2】
およびRが、同一または異なって、水素原子、またはC1-6アルキル基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
が、1〜3個のハロゲン原子またはC1-6アルコキシ基で置換されていてもよいC1-6アルキル基であり、Rが、C1-6アルキル基(該基は、1〜3個のハロゲン原子、C1-6アルキル基、保護されていてもよいアミノ基、または保護されていてもよい水酸基で置換されていてもよい。)、C3-7シクロアルキル基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、保護されていてもよいアミノ基、または保護されていてもよい水酸基で置換されていてもよい。)、または複素環基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基、保護されていてもよいアミノ基、または保護されていてもよい水酸基で置換されていてもよい。)である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
およびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4員〜7員の環状アミノ基[該基は、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、同一または異なる1〜2個のC1-6アルキルで置換されていてもよいアミノ基、アリール基(該基は、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ、または1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、同一または異なる1〜2個のC1-6アルキルで置換されていてもよいアミノカルボニル基、同一または異なる1〜2個のC1-6アルキルで置換されていてもよいアミノスルホニル基、保護されていてもよいアミノ基、または保護されていてもよい水酸基で置換されていてもよい。]を形成している、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項5】
およびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピペリジノ基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、保護されていてもよいアミノ基、または保護されていてもよい水酸基で置換されていてもよい。)を形成している、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
オルト蟻酸エステルが、オルト蟻酸トリ(C1-6アルキル)である、請求項1〜5いずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1の式(3)で表される化合物を製造する工程において、さらに酸を添加して反応を行なう請求項1〜6いずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
式(6):
【化5】


(式中、R11、およびR21は、同一または異なって、置換されていてもよいC1-6アルキル基、置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよいヘテロアリール基を表し、R31は、C1-6アルキル基(該基は、ハロゲン原子またはC1-6アルコキシ基で置換されていてもよい。)、C3-7シクロアルキル基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、またはC1-6アルコキシ基で置換されていてもよい。)、または複素環基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、またはC1-6アルコキシカルボニル基で置換されていてもよい。)を表し、R41は、C1-6アルキル基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)、C3-7シクロアルキル基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)、複素環基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)、アリール基(該基は、ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)、またはヘテロアリール基(該基は、ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)を表すか、あるいはR31およびR41は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4員〜7員の環状アミノ基[該基は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、ジ−C1-6アルキルアミノ基、アリール基(該基は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、ジ−C1-6アルキルアミノカルボニル基、ジ−C1-6アルキルアミノスルホニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。]を形成していてもよく、Rは、1つまたは複数存在し、複数存在する場合はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、ジ−C1-6アルキルアミノ基、アリール基(該基は、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、C1-6アルコキシカルボニル基、C1-6アルキルスルホニル基、ジ−C1-6アルキルアミノカルボニル基、ジ−C1-6アルキルアミノスルホニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基を表す。)で表される化合物の製造方法であって、ホスフィン化合物およびアゾ化合物の存在下、またはホスホラン化合物の存在下、
式(4a):
【化6】


(式中、R11、R21、R31、およびR41は前記記載と同義である。)で表される化合物と、式(5):
【化7】


(式中、Rは、前記記載と同義である。)で表される化合物を反応させる工程を含む製造方法。
【請求項9】
11およびR21が、同一または異なって、C1-6アルキル基である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
31が、1〜3個のハロゲン原子またはC1-6アルコキシ基で置換されていてもよいC1-6アルキル基であり、R41が、C1-6アルキル基(該基は、1〜3個のハロゲン原子、C1-6アルコキシ基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)、C3-7シクロアルキル基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)、または複素環基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)である請求項8または9に記載の製造方法。
【請求項11】
31およびR41が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4員〜7員の環状アミノ基[該基は、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、ジ−C1-6アルキルアミノ基、アリール基(該基は、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルコキシ、または1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-4アルキルで置換されていてもよい。)、C1-6アルコキシカルボニル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。]を形成している、請求項8または9に記載の製造方法。
【請求項12】
31およびR41が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピペリジノ基(該基は、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、保護されたアミノ基、または保護された水酸基で置換されていてもよい。)を形成している、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
が、1つまたは複数存在し、複数存在する場合はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、または1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基、である、請求項8〜12いずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
式(9):
【化8】


(式中、RおよびRは、同一または異なって、C1-6アルキル基を表し、環Aは、フェニルまたは5員もしくは6員の複素環と縮合環を形成していてもよい4員〜7員の環状アミノ基を表し、Rは、アミノ基または水酸基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、または1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を表し、R10は、1つまたは複数存在し、複数存在する場合はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、または1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を表す。)で表される化合物の製造方法であって、ホスフィン化合物およびアゾ化合物の存在下、またはホスホラン化合物の存在下、
式(7):
【化9】


(式中、R、R、およびRは、前記記載と同義であり、R11は、保護されたアミノ基または保護された水酸基を表す。)で表される化合物と、式(8):
【化10】


(式中、R10は、前記記載と同義である。)で表される化合物を反応させる工程;および保護されたアミノ基または保護された水酸基を脱保護する工程を含む製造方法。
【請求項15】
6-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロ-5-フルオロベンジル)-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンの製造方法であって、ホスフィン化合物およびアゾ化合物の存在下、またはホスホラン化合物の存在下、6-[(3R)-3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-1H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオンと(2-クロロ-5-フルオロフェニル)メタノールを反応させる工程;および、該工程で得られる化合物を酸で処理する工程を含む製造方法。
【請求項16】
式(10):
【化11】


(式中、RおよびRは、同一または異なって、C1-6アルキル基を表し、環Aは、フェニルまたは5員もしくは6員の複素環と縮合環を形成していてもよい4員〜7員の環状アミノ基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、または1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基を表し、R11は、保護されたアミノ基または保護された水酸基を表す。)で表される化合物。


【公開番号】特開2012−254945(P2012−254945A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127568(P2011−127568)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】