説明

6−ハロおよび6−アルコキシニコチン誘導体の合成および位置選択的置換

本発明は、ニコチン性アセチルコリン受容体を調節する活性化合物、およびその製造方法を提供する。それらの活性化合物を調製する方法は、種々の中間体化合物を利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2006年3月29日出願の米国特許仮出願第60/787116号の恩典を主張するものであり、その開示全体は引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、ニコチン性アセチルコリン受容体を調節する活性化合物、およびその製造方法を提供する。それらの活性化合物を調製する方法は、種々の中間体化合物を利用する。
【0003】
本発明は、ニコチン性アセチルコリン受容体を調節するための活性な化合物の合成に有用な方法および中間体に関する。
【背景技術】
【0004】
アセチルコリン受容体は、神経内分泌機能、呼吸、気分、運動制御および機能、注目および注意、集中、記憶および認知、ならびに物質乱用を含む、様々な生理的および行動的機能の調節に関与する。アセチルコリン受容体の配位子は、注意、認知、欲求、物質乱用、記憶、錐体外路機能、心血管機能、疼痛、ならびに胃腸運動性および機能に影響を与えることが実証されている。ニコチンを結合するアセチルコリン受容体、すなわちニコチン性アセチルコリン受容体の分布は、筋肉、自律神経節、胃腸管、および心血管系に見出される(例えば、米国特許第5594011号を参照のこと)。
【0005】
アセチルコリン受容体は、特にアルツハイマー病、およびパーキンソン病、ならびに認知症、運動機能障害、および認知機能障害を伴う疾患を罹患している患者の脳において減少していることが示されている。アセチルコリン受容体と神経系障害との間のそのような相関は、アセチルコリン受容体を調節する化合物が、多くのヒト神経系障害に有益な治療効果を有することを示唆している。SIBIA Neuroscienceに譲渡されたMcDonald et al.の米国特許第5594011号は、ニコチン性アセチルコリン受容体を調節するSIB−1508Yなどの化合物を記載している。そのような化合物は、特にパーキンソン病に有用である。McDonald et al.の米国特許第5723477号も参照されたい。残念なことに、ニコチン類似体は合成が困難な化合物であり、ニコチン類似体を製造する新しい方法、ならびにニコチン類似体の合成に有用な中間体が引き続き求められている。
【発明の開示】
【0006】
本発明の第1の態様は、式Ia
【化1】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
は、H、アルキル、アリール、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され、好ましくはHであり、
およびRは独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、アミノ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)有機金属中間体化合物を形成するために、式IIa、IIb、IIc、またはIId
【化2】

の化合物を、金属塩基を用いてメタル化するステップ、および次いで
(b)式Iaの化合物を生成するために、有機金属中間体化合物を求電子剤と反応させるステップ
を含む方法である。
【0007】
本発明の第2の態様は、式III
【化3】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、SiR202122、SnR202122、ハロ、アミノ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルであり、
は、H、アルキル、またはアリールである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)式IIIの化合物を形成するために、下式
【化4】

(式中、Xはハロである。)
の化合物を、任意であるが好ましくは塩基、任意であるが好ましくはアルコール(例えば、ROH)の存在下、および任意であるが好ましくは金属触媒で処理するステップ
を含む方法である。
【0008】
本発明の第3の態様は、式III
【化5】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、SiR202122、SnR202122、ハロ、アミノ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルであり、
は、H、アルキル、またはアリールである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)有機金属中間体化合物を形成するために、下式
【化6】

の化合物を、金属塩基を用いてメタル化するステップ、および次いで
(b)式IIIの化合物を生成するために、有機金属中間体化合物を求電子剤と反応させるステップ
を含む方法である。
【0009】
本発明の第4の態様は、式III
【化7】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、SiR202122、SnR202122、ハロ、アミノ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルであり、
は、H、アルキル、またはアリールである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)式IIIの化合物を形成するために、下式
【化8】

(式中、Xはハロである。)
の化合物を、求核クロスカップリング試薬、および任意であるが好ましくは金属触媒で処理するステップ
を含む方法である。
【0010】
本発明の第5の態様は、式Ia
【化9】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
は、H、アルキル、アリール、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され、好ましくはHであり、
およびRは独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、アミノ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)式Iaの化合物を形成するために、下式
【化10】

(式中、Xはハロである。)
の化合物を、求核クロスカップリング試薬、および金属触媒で処理するステップ
を含む方法である。
【0011】
本発明の第6の態様は、式VI
【化11】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアミノ、ハロ、アルコキシ、またはアリールオキシ、SiR202122、SnR202122、ハロ、またはアルコキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはアルキニル、SiR202122、SnR202122、ハロ、またはアルコキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアミノ、ハロ、アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、またはアシルである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)式VIの化合物を形成するために、下式
【化12】

(式中、Xは、アルキルスズ、アルキルシラン、アルキルボラン、ボロン酸、または金属ハロゲン化物である。)
の化合物を、クロスカップリング相手、および金属触媒で処理するステップ
を含む方法である。
【0012】
本発明の第7の態様は、式VI
【化13】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアミノ、ハロ、アルコキシ、またはアリールオキシ、SiR202122、SnR202122、ハロ、またはアルコキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはアルキニル、SiR202122、SnR202122、ハロ、またはアルコキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアミノ、ハロ、アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、またはアシルである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)式VIの化合物を形成するために、式IV
【化14】

(式中、Xはハロ、好ましくはヨードである。)
の化合物を、アミン、任意であるが好ましくは塩基、および任意であるが好ましくは金属触媒で、または求核クロスカップリング試薬および任意であるが好ましくは金属触媒で処理するステップ
を含む方法である。
【0013】
本発明のさらなる態様は、式A
【化15】

(式中、
は、H、アルキル、アリール、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され、
は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルである。)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。
【0014】
本発明のさらなる態様は、式A
【化16】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
は、H、アルキル、アリール、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され、
、R、およびRは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルであり、
ただしRおよびR、またはRおよびRいずれかが、共に縮合環を形成する。)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。
【0015】
本発明のさらなる態様は、薬学的に許容される担体に、本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを含む組成物である。
【0016】
本発明のさらなる態様は、殺虫剤担体に、本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを含む組成物である。
【0017】
本発明のさらなる態様は、それを必要としている対象において神経障害を治療する方法であって、前記障害を治療するのに有効な量の本明細書に記載の活性化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを前記対象に投与することを含む方法である。
【0018】
本発明のさらなる態様は、昆虫を殺す方法であって、殺虫有効量の本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを昆虫に投与することを含む方法である。
【0019】
本発明のさらなる態様は、ヒト対象においてタバコの喫煙などの喫煙の中止を促進する方法であって、前記対象において喫煙の中止を促進するのに有効な量(例えば、対象の喫煙欲求または渇望を低減するのに有効な量)で、本明細書に記載の活性化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを前記対象に投与することを含む方法である。
【0020】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載の疾患または障害を治療する薬剤を調製するための、本明細書に記載の化合物または活性化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグの使用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本明細書で用いられる「アルキル」は、約1から12個までの範囲で炭素原子を有する、直鎖もしくは分岐鎖、またはシクロアルキル基を指す。「低級アルキル」は、約1から4個までの範囲で炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖アルキル基を指す。アルキルおよび低級アルキルは、本明細書に別段の指定のない限り置換または非置換であってよく、「置換アルキル」は、さらに1つまたは複数の、ヒドロキシ、アルコキシ(低級アルキル基)、アリール、メルカプト(低級アルキル基)、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシル、カルバメート、スルホニル、スルホンアミドなどの置換基を有するアルキルまたは低級アルキル基を指す。代表的なアルキルの例には、これに限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどが含まれる。
【0022】
本明細書で用いられる「アルコキシ」は、式RO−の化合物を指し、式中、Rは上述のアルキルまたは低級アルキル(別段の指定のない限り置換または非置換であってよい)である。
【0023】
「アルケニル」は、上述のとおりであり(別段の指定のない限り置換または非置換であってよい)、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、アルキルまたは低級アルキル基などの直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基を指す。
【0024】
「アルキニル」は、上述のとおりであり(別段の指定のない限り置換または非置換であってよい)、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、アルキルまたは低級アルキル基などの直鎖または分岐鎖ヒドロカルビル基を指す。
【0025】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを指す。
【0026】
本明細書で用いられる「アリール」は、1つまたは複数の芳香環を有する単環式炭素環系または二環式炭素環縮合環系を指す。アリールの例には、これに限定されるものではないが、アズレニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、テトラヒドロナフチルなどが含まれる。アリール基は、別段の指定のない限り置換または非置換であってよく、置換されているとき、例えばアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルチオ、アルキニル、アリール、アリールオキシ、アジド、アリールアルコキシ、アリールアルキル、アリールオキシ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、メルカプト、ニトロ、スルファミル、スルホ、スルホナート、−NR’R’’(式中、R’およびR’’は独立して、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルキル、およびホルミルから選択される)、および−C(O)NR’R’’(式中、R’およびR’’は独立して、水素、アルキル、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルキル、およびホルミルから選択される)から独立して選択された1、2、3、4、または5個の置換基で置換されていることができる。
【0027】
本明細書で用いられる「アリールオキシ」は、式RO−の化合物を指し、式中、Rは上述のアリール(別段の指定のない限り置換または非置換であってよい)である。
【0028】
本明細書で用いられる「アシル」は、式−C(O)−R基の基(radical)を指し、式中、Rは、R’、OR’、またはNR’R’’であり、R’およびR’’は、アルキル、アリール、アリールアルキルなどの任意の適切な置換基である(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基、ベンゾイル基、またはアルキルベンゾイル基など)。
【0029】
本明細書で用いられる「アルキリデン鎖」は、直鎖、分岐鎖、および/または環式、もしくは多環式であることができる二官能性有機基(例えば、2または3から8、12、または16個の炭素原子を含有する)を指し、その二官能性有機基は、置換または非置換であってよく、飽和または不飽和であってよく、N、O、Si、およびSからなる群から選択された1、2、または3個のヘテロ原子を場合により含有してもよい。例には、これに限定されるものではないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アルカリーレン、およびアラルキレンが含まれる。例えば、米国特許第6946533号を参照されたい。
【0030】
共に縮合環を形成する2つの置換基(例えば、RおよびR、またはRおよびR)に関して、本明細書で用いられる「縮合環」は、本明細書に記載のアルキリデン鎖を共に形成する2つの基を指す。縮合環は、芳香族または脂肪族であることができる。そのような縮合環の例には、これに限定されるものではないが、以下が含まれ、
【化17】

式中、各Xは独立して、C(R’)、N、O、SiR’、およびSからなる群から選択され、各R’は独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、およびハロからなる群から選択されるか、またはR’の隣接対は次いで本明細書に定義されるさらなる縮合環を形成し(親環と共に次いで3または4個の縮合環系を形成する)、および/またはR’の1または2個の隣接対は共に共有結合を形成する。
【0031】
上述した縮合環の特定の例には、これに限定されるものではないが、以下が含まれ、
【化18】

式中、各R’は独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、およびハロからなる群から選択されるか、またはR’の隣接対は次いで本明細書に定義されるさらなる縮合環を形成し(親環と共に次いで3または4個の縮合環系を形成する)、および/またはR’の1または2個の隣接対は共に共有結合を形成する(例えば、芳香縮合環を形成する)。
【0032】
本明細書で用いられる「求核クロスカップリング試薬」は、所望の置換基(例えば、R、Rなど)を提供する、任意の適切なクロスカップリング試薬であることができる。例には、これに限定されるものではないが、RSnR202122、RSiR202122、RBR2324、RMgX、およびRZnX(R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、Xはハロである)、またはRSnR202122、RSiR202122、RBR2324、RMgX、およびRZnX(R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、Xはハロである)が含まれる。
【0033】
本明細書で用いられる「金属触媒」は、任意の適切な金属触媒であることができ、これに限定されるものではないが、Pd、Ni、Cu、Rh、Pt、Feなどの錯体が含まれる。
【0034】
メタル化に関して本明細書で用いられる「塩基」は、以下で述べる任意の適切な金属塩基であることができる。クロスカップリング反応に関して本明細書で用いられる「塩基」は、任意の適切な塩基であることができ、これに限定されるものではないが、KCO、CsCO、ナトリウムt−ブトキシドなどが含まれる。
【0035】
本明細書で用いられる「金属塩基」は、アルキルリチウム塩基であることができ、その例はBuLi−LiDMAEとして知られ、例えばP.Gros、J.Org.Chem.67、234〜237(2002)に記載されている、BuLiおよびMeN(CHOLiからなる塩基性試薬であり、本明細書では塩基Aと称されることもある。本発明の方法を行うのに適切な別の塩基は、リチウムジ−t−ブチルテトラメチルピペリジノジンケート(TMP−ジンケート)であり、例えばY.Kondo、J.Am.Chem.Soc.121、3539〜3540に記載され、本明細書では塩基Bと称されることもある。
【0036】
本明細書で用いられる「クロスカップリング相手」には、有機ハロゲン化物(例えば、RX(Rは付加される基であり、Xはハロである)、ならびに求電子剤として働くことのできる対応するスルホナート、ホスホナート、トシラートなどが含まれる。
【0037】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される塩」は、指定された化合物の遊離酸および塩基の生物学的有効性を保持し、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない塩である。薬学的に許容される塩の例には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩(dioate)、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、およびマンデル酸塩が含まれる。
【0038】
本明細書で用いられる「薬学的に許容されるプロドラッグ」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずにヒトおよび下等動物の組織に接触して用いるのに適し、妥当なリスク/ベネフィット比に相応し、それらの意図される使用に有効である本発明の化合物のプロドラッグ、ならびに可能な場合、本発明の化合物の両性イオン形態である。「プロドラッグ」という用語は、例えば血中の加水分解によって、インビボで急速に転換されて、上式の親化合物を生じる化合物を指す。充分な議論はT.Higuchi and V.Stella、Prodrugs as Novel delivery Systems、A.C.S. Symposium Series Vol.14、ならびにEdward B.Roche ed、Bioreversible Carriers in Drug Design、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987に提供され、いずれも参照により本明細書に組み込まれる。さらに米国特許第6680299号も参照されたい。対象によってインビボで本明細書に記載の活性化合物の活性を有する活性薬物に代謝されるプロドラッグの例には、プロドラッグが、そのような基が化合物に存在する場合、アルコールまたはカルボン酸基のエステルであるもの、そのような基が化合物に存在する場合、アルコール基のアセタールまたはケタールであるもの、そのような基が化合物に存在する場合、アミン基のN−Mannich塩基またはイミン、あるいはそのような基が化合物に存在する場合、カルボニル基のSchiff塩基、オキシム、アセタール、エノールエステル、オキサゾリジン、またはチアゾリジンであるものが含まれ、例えば米国特許第6680324号および米国特許第6680322号に記載されているものなどである。
【0039】
本明細書で用いられる「治療」は、患者の状態の改善(例えば、1つまたは複数の症状において)、疾患の進行の遅延などを含む、疾患を罹患している患者に利益を与える任意の種類の治療を指す。
【0040】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される」とは、疾患の重症度および治療の必要性に照らして過度に有害な副作用を伴わずに、その化合物または組成物が、本明細書に記載の治療を達成するために対象に投与されるのに適していることを意味する。
【0041】
本明細書で用いられる「ハロゲン化剤」は、任意の適切なハロゲン化剤であることができ、これに限定されるものではないが、I、CCl、I(CHCl、Br(CClBr、N−ブロモコハク酸イミド、Br、N−ヨードコハク酸イミド、CCl、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントインなどが含まれる。
【0042】
本明細書で用いられる「求電子剤」は、付加または置換反応によって、本明細書に記載の別の中間体に所望の置換基を付加する任意の試薬である。例には、これに限定されるものではないが、アルキルハロゲン化物、アルデヒド、ケトン、エステル、アミド、カルボナートなどが含まれ、例えば下式の化合物などであり、
【化19】

式中、Rは、付加される基(例えば、R、R、Rなど)であり、Xは、ハロまたはスルホナートであり、R’は、H、アルキル、アリールなどの任意の適切な置換基であり、OR’は一般に脱離基として働く。
【0043】
本明細書で引用したすべての米国特許文献の開示は、それらの全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0044】
本発明の反応は、任意の適切な有機溶媒で行うことができ、選択される特定の溶媒は、一部にはその反応に選択される塩基によって決定される。例えば、塩基Aを用いる反応は、好ましくはヘキサンまたはトルエンなどの非極性非プロトン性溶媒で行われる。塩基Bを用いる反応は、好ましくはテトラヒドロフランなどのエーテル溶媒で行われる。反応は好都合には、所望であれば「ワンポット」反応として行うことができる。反応の時間および温度は重要でないが、例えば−80℃から100℃、1から24時間の持続期間であることができる。
【0045】
活性化合物、中間体、および製造方法。上述のとおり、本発明の第1の態様は、式Iaの化合物を製造する方法であり、
【化20】

式中、
nは、0、1、2、または3であり、
は、H、アルキル、アリール、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され、好ましくはHであり、
およびRは独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、アミノ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルである。
【0046】
この方法は、
(a)式IIa、IIb、IIc、またはIIdの化合物を、
【化21】

金属塩基を用いてメタル化して、有機金属中間体化合物を形成すること、および次いで
(b)有機金属中間体化合物を求電子剤と反応させて、式Iaの化合物を生成することを含む。
【0047】
本発明の第2の態様は、式IIIの化合物を製造する方法であり、
【化22】

式中、
nは、0、1、2、または3であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、SiR202122、SnR202122、ハロ、アミノ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルであり、
は、H、アルキル、またはアリールである。
【0048】
この方法は、
(a)下式の化合物(式中、Xはハロであり、好ましくはヨードである)を、
【化23】

アルコール(例えば、ROH)、塩基、および金属触媒で処理して、式IIIの化合物を形成することを含む。
【0049】
本発明の第3の態様は、式IIIの化合物を製造する別の方法であり、
【化24】

式中、
nは、0、1、2、または3であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、SiR202122、SnR202122、ハロ、アミノ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルであり、
は、H、アルキル、またはアリールである。
【0050】
この方法は、
(a)下式の化合物を、
【化25】

金属塩基を用いてメタル化して、有機金属中間体化合物を形成すること、および次いで
(b)有機金属中間体化合物を求電子剤と反応させて、式IIIの化合物を生成することを含む。
【0051】
本発明の第4の態様は、式IIIの化合物を製造する方法であり、
【化26】

式中、
nは、0、1、2、または3であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、SiR202122、SnR202122、ハロ、アミノ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルであり、
は、H、アルキル、またはアリールである。
【0052】
この方法は、
(a)下式の化合物(式中、Xはハロであり、好ましくはヨードである)を、
【化27】

求核クロスカップリング試薬、および金属触媒で処理して、式IIIの化合物を形成することを含む。
【0053】
本発明の第5の態様は、式Iaの化合物を製造する別の方法であり、
【化28】

式中、
nは、0、1、2、または3であり、
は、H、アルキル、アリール、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され、好ましくはHであり、
およびRは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、アミノ、SiR202122、SnR202122からなる群から独立して選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルである。
【0054】
この方法は、
(a)下式の化合物(式中、Xはハロであり、好ましくはヨードである)を、
【化29】

求核クロスカップリング試薬、および金属触媒で処理して、式Iaの化合物を形成することを含む。
【0055】
本発明の第6の態様は、式VIの化合物を製造する方法であり、
【化30】

式中、
nは、0、1、2、または3であり、
およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアミノ、ハロ、アルコキシ、またはアリールオキシ、SiR202122、SnR202122、ハロ、またはアルコキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはアルキニル、SiR202122、SnR202122、ハロ、またはアルコキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアミノ、ハロ、アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、またはアシルである。
【0056】
この方法は、
(a)下式の化合物(式中、Xは、アルキルスズ、アルキルシラン、アルキルボラン、ボロン酸、または金属ハロゲン化物、例えば−SnR202122、−SiR202122、−BR2324、−MgX、または−ZnX、好ましくは−SnR202122であり、R20、R21、R22、R23、およびR24はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシである)を、
【化31】

適切な有機ハロゲン化物(RX)、または他のクロスカップリング相手、および金属触媒で処理して、式VIの化合物を形成することを含む。
【0057】
本発明の第7の態様は、式VIの化合物を製造する方法であり、
【化32】

式中、
nは、0、1、2、または3であり、
およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアミノ、ハロ、アルコキシ、またはアリールオキシ、SiR202122、SnR202122、ハロ、またはアルコキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
は、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはアルキニル、SiR202122、SnR202122、ハロ、またはアルコキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアミノ、ハロ、アミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、またはアシルである。
【0058】
この方法は、
(a)式IVの化合物(式中、Xはハロであり、好ましくはヨードである)を、
【化33】

アミン、塩基、および金属触媒で、または求核クロスカップリング試薬および金属触媒で処理して、式VIの化合物を形成することを含む。
【0059】
本発明のさらなる態様は、
【化34】

式中、
は、H、アルキル、アリール、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され、
は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルである式Aの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。
【0060】
本発明のさらなる態様は、
【化35】

式中、
nは、0、1、2、または3であり、
は、H、アルキル、アリール、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され、
、R、およびRは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルであり、
ただしRおよびR、またはRおよびRのいずれかが、共に縮合環を形成する式Aの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。
【0061】
本明細書に記載の方法によって生成することのできる化合物の例には、これに限定されるものではないが、以下のものが含まれる。
【化36】

【化37】

【化38】

【0062】
縮合環化合物。本発明はさらに縮合環化合物を製造する方法を提供し、これは以下の一般スキームに従って行うことができ、ここでXVは転換され、縮合二環式構造XVIIIを生じる。
【化39】

【0063】
前述の反応の特定の例は以下のとおりである。
【化40】

【0064】
本発明の方法によって製造することのできる縮合環化合物の特定の例には、これに限定されるものではないが、以下のものが含まれる。
【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【0065】
前述の塩およびプロドラッグも本発明の活性化合物の例である。
【0066】
医薬製剤。上記の活性化合物(塩およびプロドラッグを含む)は、公知の技法に従って医薬担体中で投与されるように製剤化することができる。例えば、Remington、The Science And Practice of Pharmacy(第9版、1995)を参照されたい。本発明による医薬製剤の製造において、活性化合物(生理的に許容される塩を含む)は典型的に、特に許容される担体と混合される。担体は当然ながら、製剤の他の任意の成分と相溶性であるという意味で許容されるべきであり、患者に有害であってはならない。担体は固体または液体、あるいは両方であってよく、好ましくは、0.01または0.5重量%から95重量%または99重量%の活性化合物を含有することのできる単位投与製剤、例えば錠剤として化合物と共に製剤化される。1種または複数の活性化合物を本発明の製剤に組み入れることができ、それらの製剤は、場合により1種または複数の補助成分を含む成分を混合することを含む、任意の周知の製薬の技法によって調製することができる。
【0067】
本発明の製剤には、経口、直腸、局所、口腔内(例えば、舌下)、膣内、非経口(例えば、皮下、筋内、皮内、または静脈内)、局所(すなわち、皮膚、および気道表面を含む粘膜表面の両方)、ならびに経皮投与に適したものが含まれるが、任意の所与の事例にもっとも適切な経路は、治療される状態の性質および重症度、ならびに使用される特定の活性化合物の性質によって決まる。
【0068】
経口投与に適した製剤は、それぞれが所定量の活性化合物を含有するカプセル剤、カシェ剤、ドロップ剤、または錠剤などの個別単位、粉末または顆粒として、水性または非水性液体の溶液または懸濁液として、あるいは水中油型または油中水型エマルションとして提供することができる。そのような製剤は、活性化合物と適切な担体(上記の1種または複数の補助成分を含有してもよい)を会合させるステップを含む、任意の適切な製薬方法で調製することができる。一般に、本発明の製剤は、活性化合物を均一かつ密接に液体担体または微細固体担体、あるいはその両方と混合し、その後、必要であれば得られた混合物を成形することによって調製される。例えば、錠剤は、場合により1種または複数の補助成分と共に、活性化合物を含有する粉末または顆粒を圧縮または成形することによって調製することができる。圧縮錠剤は、場合により結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、および/または界面活性剤/分散剤と混合した粉末または顆粒などの自由流動形態の化合物を、適切な機械で圧縮することによって調製できる。成形錠剤は、不活性液体結合剤で湿潤させた粉状化合物を、適切な機械で成形することによって製造することができる。
【0069】
口腔内(舌下)投与に適した製剤には、香味を付けた基剤、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカントに活性化合物を含むドロップ剤、ならびにゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤に化合物を含むトローチ剤が含まれる。
【0070】
非経口投与に適した本発明の製剤は、活性化合物の滅菌水性および非水性注射液を含み、それらの調剤は、好ましくは意図される受容者の血液と等張である。これらの調剤は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および製剤を意図される受容者の血液と等張にする溶質を含有することができる。水性または非水性滅菌懸濁液は、懸濁化剤および増粘剤を含むことができる。製剤は、単位投与または多回投与容器、例えば密封アンプルおよびバイアルで提供することができ、使用直前に滅菌液体担体、例えば生理食塩水または注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵することができる。即時注射液および懸濁液は、上に記載したような滅菌粉剤、顆粒剤、および錠剤から調製することができる。例えば、本発明の一態様において、密封容器に単位投与形態で式(I)の化合物またはその塩を含む注射可能で安定な滅菌組成物が提供される。化合物または塩は、適切な薬学的に許容される担体で再構成して、対象に注射するのに適した液体組成物を形成することのできる凍結乾燥物の形態で提供される。単位投与形態は典型的に、約10mgから約10gの化合物または塩を含む。化合物または塩が実質的に水に不溶である場合、充分な量の生理的に許容される乳化剤を、その化合物または塩を水性担体に乳化するのに充分な量で用いることができる。そのような有用な乳化剤の1つは、ホスファチジルコリンである。
【0071】
直腸投与に適した製剤は、好ましくは単位用量坐剤として提供される。これらの製剤は、活性化合物を1種または複数の従来の固体担体、例えばカカオバターと混合し、次いで、得られた混合物を成形することによって調製することができる。
【0072】
皮膚への局所適用に適した製剤は、好ましくは軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ペースト剤、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油剤の形態をとる。用いることのできる担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮促進剤(transdermal enhancer)、およびそれらの2種以上の組み合わせが含まれる。
【0073】
経皮投与に適した製剤は、長期間、受容者の表皮と密に接触したままでいるように適合させた個別のパッチとして提供することができる。経皮投与に適した製剤は、イオントフォレシスによって送達することもでき(例えば、Pharmaceutical Research 3(6):318(1986)参照)、典型的には場合により緩衝化した活性化合物の水溶液の形態をとる。適切な製剤は、クエン酸またはビス/トリス緩衝液(pH6)、あるいはエタノール/水を含み、0.1から0.2Mの活性成分を含有する。
【0074】
さらに、本発明は、本明細書に開示した化合物およびそれらの塩のリポソーム製剤を提供する。リポソーム懸濁液を形成する技術は、当分野で周知である。化合物またはその塩が水溶性塩である場合、従来のリポソーム技術を用いて、それを脂質小胞に組み入れることができる。そのような場合、化合物または塩が水溶性であるため、化合物または塩は、リポソームの親水性中心またはコア内に実質的に取り込まれることになる。用いる脂質層は任意の従来の組成物であってよく、コレステロールを含有しても、コレステロールを含有していなくてもよい。対象となる化合物または塩が水不溶性である場合、ここでも従来のリポソーム形成技術を用いて、リポソームの構造を形成する疎水性脂質二重層内に塩を実質的に取り込むことができる。いずれの場合も、生成されるリポソームは、標準的な音波破砕および均質化技法を用いることにより、大きさを小さくすることができる。
【0075】
当然ながら、本明細書に開示の化合物またはそれらの塩を含有するリポソーム製剤を凍結乾燥して、水などの薬学的に許容される担体で再構成してリポソーム懸濁液を再生することのできる凍結乾燥物を生成することができる。
【0076】
他の医薬組成物は、水性基剤エマルションなど、本明細書に開示の水不溶性化合物またはそれらの塩から調製することができる。そのような場合、組成物は、所望の量の化合物またはその塩を乳化する充分な量の薬学的に許容される乳化剤を含有することになる。特に有用な乳化剤には、ホスファチジルコリンおよびレシチンが含まれる。
【0077】
活性化合物(塩またはプロドラッグを含む)に加えて、医薬組成物は、pH調整添加剤などの他の添加剤を含有することができる。特に、有用なpH調整剤には、酸、例えば塩酸など、塩基、あるいは緩衝液、例えば乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、またはグルコン酸ナトリウムなどが含まれる。さらに組成物は、微生物保存剤を含有することができる。有用な微生物保存剤には、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびベンジルアルコールが含まれる。微生物保存剤は典型的に、複数回投与に用いるために設計されたバイアルに製剤を入れる場合に用いられる。当然ながら、示したように、本発明の医薬組成物は当分野で周知の技法を用いて凍結乾燥することができる。
【0078】
対象および治療。上記の障害または疾患を治療するために本発明の化合物で治療することのできる対象には、ヒト対象、および獣医学的目的で動物対象(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、サルなど)の両方が含まれる。
【0079】
本明細書に記載の本発明の化合物は、アセチルコリン受容体を調節する化合物として有用であり、ヒトおよび動物対象においてパーキンソン病、アルツハイマー病、運動機能障害、および認知機能障害などの神経障害を治療するのに有用な化合物を含む薬理学的および薬学的に活性な化合物として、禁煙プログラムの補助としてニコチンの代替物として用いる化合物として、殺虫剤などとして有用である。本発明の化合物は、上記のような実用性を有する化合物を製造するための中間体としても有用である。
【0080】
その使用が本発明の範囲内である任意の特定の化合物の治療有効量は、化合物および患者によってある程度多様であり、患者の状態および送達経路によって決まることになる。一般的な提案として、塩を用いる場合も含めて、すべての重量を活性化合物の重量に基づいて算出する場合、約0.1から約50mg/kgの用量が治療効果を有する。より高レベルでの毒性の懸念により、塩を用いる場合も含めて、すべての重量を活性塩基の重量に基づいて算出する場合、約10mg/kgまでなどの低レベルに静脈内用量が制限される可能性がある。経口投与では、約10mg/kgから約50mg/kgの用量を用いることができる。典型的に筋内注射では、約0.5mg/kgから5mg/kgの用量を用いることができる。静脈内または経口投与では、好ましい用量は化合物1μmol/kgから50μmol/kg、より好ましくは22μmol/kgおよび33μmol/kgである。治療期間は通常、1日1回で2〜3週間の期間、または状態が本質的に制御されるまでである。感染の再発の発生を防止または低減するために、より低い頻度でより低い用量を予防的に用いることができる。
【実施例】
【0081】
下記の非限定的な実施例において、本発明をより詳細に説明する。
【0082】
実施例1〜5
(S)−6−クロロニコチンの位置選択的(regioselective)置換
【化45】

【化46】

【0083】
実施例1
(S)−5,6−ジクロロニコチン(II)
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(2.96mmol、500μL、1.1当量)の無水THF(3.0mL)溶液を、−78℃でn−ブチルリチウム(1.1当量)で処理した。−78℃で1時間後、(S)−6−クロロニコチン(2.69mmol、530mg、1.0当量)を滴加した。−78℃で1時間後、ヘキサクロロエタン(3.23mmol、770mg、1.2当量)の無水THF(3.0mL)溶液を、−78℃で混合物に添加した。−78℃で1時間後、反応物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液3.0mLでクエンチした。水層を塩化メチレン(2×15mL)で抽出した。合わせた有機層を炭酸カリウムで乾燥した。減圧下で蒸発させて溶媒を除去して、淡黄色の油を得た。生成物をラジアルPLC(1%TEA/20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、淡黄色の油542mg(収率87%)を得た:[α]24−134(c0.8,CHCl);IR(ニート)2968,2781,1547,1420,1392,1329,1149,1042cm−1H NMR(300MHz,CDCl)8.20(d,1H,J=2.4Hz),7.81(d,1H,J=2.4Hz),3.23(dt,1H,J=2.1,8.4Hz),3.11(t,1H,J=8.4Hz),2.32(q,1H,J=8.4Hz),2.25−2.19(m,1H),2.17(s,3H),2.00−1.60(m,3H);13C NMR(75MHz,CDCl)δ147.8,146.9,140.4,137.9,130.8,67.6,57.1,40.6,35.7,22.9;HRMS C1012Cl([M+H])計算値231.0456,実測値231.0457。
【0084】
実施例2
(S)−6−クロロ−4−ヨードニコチン(III)
(S)−6−クロロニコチン(200mg、1.02mmol、1.0当量)を、−78℃でn−ブチルリチウム(1.22mmol、1.2当量)のTHF(3mL)溶液に添加した。1時間後、ヨウ素(310mg、1.22mmol、1.2当量)のTHF(30分間4Å分子ふるい上に保持)溶液を混合物に添加した。−78℃で5分後、反応物を重炭酸ナトリウム飽和溶液でクエンチし、混合物を室温に温めた。混合物を塩化メチレン(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。蒸発により溶媒を除去し、生成物をラジアルPLC(1%TEA/20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、白色の結晶として生成物198mg(60%)を得た(mp100−101℃):[α]27−141(c3.45,CHCl);IR(CDCl)2961,2936,2804,1553,1531,1438,1361,1111,827cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ8.37(s,1H),7.74(s,1H),3.34(t,J=8.4Hz,1H),3.24(dt,J=8.2Hz,J=2.0Hz,1H),2.44−2.30(m,2H),2.20(s,3H),1.92−1.76(m,2H),1.50−1.40(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ149.7,149.1,141.0,112.5,71.7,57.0,40.7,33.9,22.9;HRMS C1012INCl[M+H]:計算値322.9812,実測値322.9804。
【0085】
実施例3
(S)−6−クロロ−4−(トリブチルスタンニル)ニコチン(IV)
(S)−6−クロロニコチン(100mg、0.51mmol、1.0当量)を、−78℃でn−ブチルリチウム(0.61mmol、1.2当量)のTHF(3mL)溶液に添加した。1時間後、塩化トリブチルスズ(165μL、0.61mmol、1.2当量)をニートで混合物に添加した。−78℃で5分後、反応物を重炭酸ナトリウム飽和溶液でクエンチし、混合物を室温に温めた。混合物を塩化メチレン(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。蒸発により溶媒を除去し、生成物をラジアルPLC(1%TEA/20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、無色の油125mg(51%)を得た:[α]27−81(c3.9,CHCl);IR(CDCl)2955,2922,2871,2851,2778,1556,1450,1357,1108,1055cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ8.42(s,1H),7.29(s,1H),3.24(dt,J=2.4Hz,J=9.2Hz,1H),2.97(t,J=8.4Hz,1H),2.28(q,J=9.2Hz,1H),2.15−2.06(m,1H),2.13(s,1H),1.98−1.90(m,1H),1.82−1.76(m,1H),1.64−1.56(m,1H),1.51−1.46(m,6H),1.33(q,J=7.2Hz,6H),1.11−1.07(m,6H),0.89(t,J=7.2Hz,9H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ157.0,149.6,148.5,144.2,131.3,72.0,57.0,41.0,36.8,29.2,27.6,22.6,13.9,11.2;HRMS C2239ClNSn[M+H]:計算値487.1902,実測値487.1881。
【0086】
実施例4
(S)−5,6−ジクロロ−4−ヨードニコチン(V)
n−BuLi(0.713mmol、1.1当量)のヘキサン溶液を、−78℃で(S)−5,6−ジクロロニコチン(150mg、0.65mmol、1.0当量)のTHF(2mL)溶液に添加した。−78℃で1時間後、ヨウ素(200mg、0.78mmol、1.2当量)の溶液を−78℃で混合物に添加した。−78℃で5分後、反応物を重炭酸ナトリウム飽和溶液(1mL)およびチオ硫酸ナトリウム飽和溶液(1mL)でクエンチした。混合物をすぐに塩化メチレン(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層を炭酸カリウムで乾燥し、濾過した。蒸発により溶媒を除去し、生成物をラジアルPLC(1%TEA/10%EtOAc/ヘキサン)で精製して、白色の固体185mg(80%)を得た(mp107−108℃):[α]27−158(c1.6,CHCl);IR(薄膜)2969,2944,2844,2786,1539,1512,1456,1397,1357,1341,1183,1155cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ8.28(s,1H),3.43(t,J=8.4Hz,1H),3.27(dt,J=2.0,8.2Hz,1H),2.52−2.35(m,2H),2.24(s,3H),1.94−1.76(m,2H),1.50−1.40(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ146.8,146.5,144.3,135.2,117.5,73.5,57.0,40.8,33.8,23.0;HRMS C1011ClIN([M+H])計算値356.9422,実測値356.9420。
【0087】
実施例5
(S)−6−クロロ−2−ヨードニコチン(VI)
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(0.76mmol、129μL、3.0当量)の無水THF(1.0mL)溶液を、−78℃でn−ブチルリチウム(3.0当量)で処理した。−78℃で1時間後、(S)−6−クロロニコチン(50mg、0.25mmol、1.0当量)の無水THF(0.5mL)溶液を−78℃で滴加した。−78℃で1時間後、ヨウ素(70mg、0.275mmol、1.1当量)の無水THF(1.0mL、4Å分子ふるいで乾燥)溶液を、−78℃で添加した。得られた混合物をこの温度で1時間攪拌した後、重炭酸ナトリウム飽和水溶液1mLおよびチオ硫酸ナトリウム飽和水溶液1mLでクエンチした。水層を塩化メチレン(2×5mL)で抽出した。合わせた有機層を炭酸カリウムで乾燥した。減圧下で蒸発させて溶媒を除去して、黄色の油を得た。生成物をラジアルPLC(シリカゲル、1%TEA/ヘキサン)で精製して、無色の油78mg(97%)を得た:[α]28.5−147(c1.5,CHCl);IR(ニート)2967,2942,2787,1563,1539,1412,1310cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ7.70(d,J=8.4Hz,1H),7.27(d,J=8.4Hz,1H),3.33(t,J=8.0Hz,1H),3.24(dt,J=2.4,8.0Hz,1H),2.46−2.36(m,2H),2.19(s,3H),1.90−1.82(m,2H),1.50−1.38(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ148.8,143.4,138.1,134.5,124.2,71.8,57.0,40.6,33.9,23.1;HRMS C1012INCl([M+H])計算値322.9812,実測値322.9808。
【0088】
実施例6〜7
(S)−5−クロロニコチンの合成および位置選択的置換
【化47】

【0089】
実施例6
(S)−5−クロロニコチン(VII)
(S)−5,6−ジクロロニコチン(74mg、0.32mmol、1.0当量)1.0M塩酸溶液の酢酸(2mL)溶液に、亜鉛粉末(84mg、1.28mmol、4.0当量)を添加した。出発原料が消失するまで、懸濁液を60℃で攪拌した(約2時間、10%水酸化アンモニウム溶液による共スポットを用いてTLCでモニター)。反応物を室温に冷まし、減圧下で酢酸を除去した。残留物を脱イオン水および塩化メチレンに溶解し、pH=10まで固体炭酸ナトリウムを添加した。混合物を塩化メチレンで抽出した。合わせた有機層を炭酸カリウムで乾燥し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、減圧下で溶媒を除去した。生成物をラジアルPLC(1%TEA/50%EtOAc/ヘキサン)で精製して、淡黄色の油41mg(収率65%)を得た:[α]31−148(c0.9,CHCl);IR(ニート)2968,2944,2780,1581,1563,1453,1418,1354,1292,1214,1100,1044,1022,882,709cm−1H NMR(400Hz,CDCl)δ8.44(d,J=2.4Hz,1H),8.40(d,J=1.6Hz,1H),7.71(dd,J=2.4Hz,J=1.6Hz,1H),3.23(dt,J=2.4,8.4Hz,1H),3.11(t,J=8.0Hz,1H),2.32(q,J=8.4Hz,1H),2.26−2.18(m,1H),2.18(s,3H),2.01−1.8(m,1H),1.88−1.76(m,1H),1.7−1.64(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ147.7,147.5,141.0,134.7,132.5,68.3,57.1,40.6,35.6,22.9;HRMS C1013ClN([M+H])計算値197.0846,実測値197.0853。
【0090】
実施例7
(S)−5−クロロ−4−ヨードニコチン(VIII)
(S)−5−クロロニコチン(50mg、0.251mmol、1.0当量)のTHF(1.0mL)溶液を、−78℃でn−BuLi(0.28mmol、1.1当量)のTHF(1.0mL)溶液に添加した。−78℃で1時間後、ヨウ素(77mg、0.302mmol、1.2当量)のTHF(1mL)溶液を混合物に−78℃で添加した。−78℃で5分後、反応物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液(1mL)およびチオ硫酸ナトリウム飽和水溶液(1mL)でクエンチした。混合物を温め、混合物を塩化メチレン(3×2mL)で抽出した。合わせた有機層を炭酸カリウムで乾燥し、セライトおよびシリカゲルで濾過し、減圧下で濃縮した。生成物をラジアルPLC(1%TEA/20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、白色の固体29mg(65%)を得た(mp136−137℃):[α]30−150(c1.5,CHCl);IR(ニート)2972,2941,2832,2807,1392,1219,1149,1051cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ8.44(s,1H),8.41(s,1H),3.48(t,J=8.4Hz,1H),3.28(m,1H),2.51−2.34(m,2H),2.25(s,3H),1.98−1.78(m,2H),1.54−1.42(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ146.9,146.8,144.8,137.3,115.5,73.5,57.1,40.8,33.8,23.0;HRMS C1012ClIN[M+H]計算値322.9812,実測値322.9801。
【0091】
実施例8〜10
(S)−6−メトキシニコチンの合成および位置選択的置換
【化48】

【0092】
実施例8
(S)−6−メトキシニコチン(IX)
15mLの圧力容器にCuI(99.5mg、0.52mmol、0.1当量)、1,10−フェナントロリン(190mg、1.05mmol、0.2当量)、CsCO(3.4g、10.45mmol、2.0当量)、および(S)−6−ヨードニコチン(1.51g、5.23mmol、1.0当量)のメタノール5mL溶液を加えた。その管を密封し、反応混合物を110℃で20時間攪拌した。得られた混合物を室温に冷却し、セライトプラグを通して酢酸エチルで濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物をラジアルPLC(1%TEA/20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、透明の油870mg(87%)を得た:[α]31−139(c0.98,CHCl);IR(ニート)2968,2945,2775,1608,1495,1282,1029,831cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ8.01(d,J=2.4Hz,1H),7.6(dd,J=8.4,2.4Hz,1H),6.71(d,8.4Hz,1H),3.91(s,3H),3.20(td,J=11.2,2.4Hz,1H),2.97(t,J=11Hz,1H),2.25(q,J=8.4Hz,1H),2.17−2.14(m,1H),2.13(s,3H),1.88−1.98(m,1H),1.74−1.82(m,1H),1.64−1.71(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ22.6,34.9,40.4,53.5,57.1,68.5,111.2,131.3,137.9,146.2,163.9;HRMS C1116O[M+H]計算値193.1341,実測値193.1347。
【0093】
実施例9
(S)−5−クロロ−6−メトキシニコチン(X)
新しく蒸留したTHF(5mL)中のt−BuLi(7.33mL(1.7Mペンタン溶液)、10.83mmol、4.0当量)の溶液に、−78℃でブロモメシチレン(830μL、5.41mmol、2.0当量)を滴加した。混合物を−78℃で1時間攪拌した後、(S)−6−メトキシニコチン(500μL、2.71mmol、1.0当量)を滴加し、温度を0℃に上昇させた。混合物を0℃で2時間攪拌し、その後、−78℃に冷却した。ヘキサクロロエタン(1.41g、5.95mmol)のTHF(2mL)溶液を混合物に添加した。−78℃で20分後、反応物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液5mLでクエンチした。混合物を塩化メチレン(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層を炭酸カリウムで乾燥し、セライトで濾過した。溶媒を減圧下で除去して、淡黄色の油を得た。粗生成物をラジアルPLC(1%TEA/2%EtOAc/ヘキサン)で精製して、透明の油536mg(88%)を得た:[α]31−148(c1.4,CHCl);IR(ニート)2971,2777,1598,1477,1402,1348,1070,1018cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ7.90(d,J=1.6Hz,1H),7.67(d,J=1.6Hz,1H),3.98(s,3H),3.19(td,J=8.6,2.0Hz,1H),2.99(t,J=8Hz,1H),2.25(q,J=9.0Hz,1H),2.17−2.14(m,1H),2.12(s,3H),1.86−1.96(m,1H),1.74−1.82(m,1H),1.62−1.71(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ22.7,35.2,40.5,54.5,57.0,57.1,67.1,67.9,118.7,133.1,137.5,143.8,159.0;HRMS C1115ClNO[M+H]計算値227.0951,実測値227.0954。
【0094】
実施例10
(S)−5−クロロ−4−ヨード−6−メトキシニコチン(XI)
(S)−5−クロロ−6−メトキシニコチン(50.0mg、0.22mmol、1.0当量)の無水THF(2mL)溶液を、−78℃でn−BuLi(130μL(2.5Mヘキサン溶液)、0.27mmol、1.2当量)を滴加して処理した。−78℃で1時間後、ヨウ素(67.4mg、0.27mmol、1.2当量)のTHF(1mL)溶液を添加し、混合物をさらに10分間攪拌した。反応物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液3mLでクエンチした。生成物を塩化メチレン(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をチオ硫酸ナトリウム飽和溶液3mLで洗浄し、炭酸カリウムで乾燥し、セライトで濾過した。溶媒を減圧下で除去して残留物を得て、それをラジアルPLC(2%MeOH/CHCl)で精製して、白色の固体64.9mg(83%)を得た(mp87−94℃):[α]30−122(c1.0,CHCl);IR(ニート)2942,2787,1564,1464,1369,1025cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ8.07(s,1H),4.01(s,3H),3.37(t,J=8.0Hz,1H),3.24(td,J=8.0,1.8Hz,1H),2.39−2.45(m,1H),2.34(q,J=8.4Hz,1H),2.23(s,3H),1.74−1.92(m,2H),1.4−1.5(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ22.8,34.1,40.8,54.9,57.0,73.1,117.5,123.0,136.8,143.7,158.6。
【0095】
実施例11〜14
(S)−4−アリール(ヘテロアリール)ニコチン誘導体の調製
【化49】

【化50】

【0096】
実施例11
(S)−4−ベンゾフラン−6−クロロニコチン(XII)
(S)−6−クロロ−4−(トリブチルスタンニル)ニコチン(217mg、0.45mol、1.0当量)、2−ヨードベンゾフラン(131mg、0.54mmol、1.2当量)、Pd(PPh(52mg、0.04mmol、10%)、CuI(17mg、0.09mmol、20%)のトルエン(3mL)溶液を20分間窒素で脱気した。次いで、混合物を80℃に加熱し、その温度で44時間攪拌した。反応物を室温に冷まし、次いで、水酸化アンモニウムと塩化アンモニウムの1:1混合物の溶液2mLを添加した。混合物を塩化メチレン(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を炭酸カリウムで乾燥し、セライトで濾過した。溶媒を減圧下で除去した。残留物を塩基性アルミナのカラムクロマトグラフィで精製して(1%TEA/2%EtOAc/ヘキサン)、白色の固体71.5mg(51%)を得た(mp103−110℃):[α]29−148(c0.9,CHCl);IR 2975,2952,2846,2785,1584,1446,1097,872,748cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ8.86(d,J=0.8Hz,1H),7.68(dd,J=7.2,1.2Hz,2H),7.59(dd,J=8.8,0.8Hz,1H),7.40(td,J=7.6,1.2Hz,1H),7.31(td,J=8.8,0.8Hz,1H),7.10(d,J=0.8Hz,1H),3.71(t,J=8.4Hz,1H),3.27(t,J=8.4Hz,1H),2.40−2.48(m,1H),2.35(q,J=9.2Hz,1H),2.20(s,3H),1.95−2.05(m,1H),1.80−1.90(m,1H),1.70−1.80(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ23.4,35.3,40.8,57.1,65.4,108.9,111.7,121.8,121.9,123.7,126.0,128.5,135.5,139.7,150.0,151.1,151.4,155.3;HRMS C1817ClNO[M+H]計算値313.1108,実測値313.1118。
【0097】
実施例12
(S)−6−クロロ−4−フェニルニコチン(XIII)
(S)−6−クロロ−4−ヨードニコチン(50mg、0.16mol、1.0当量)、フェニルボロン酸(28mg、0.23mmol、1.5当量)、Pd(PPh(18mg、0.02mmol、10%)、および炭酸カリウム(43mg、0.31mmol、2.0当量)のトルエン(3mL)溶液を15分間窒素で脱気した。混合物を3日間加熱還流した。反応物を室温に冷まし、水1mLを添加し、混合物を塩化メチレン(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、セライトで濾過した。溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をラジアルPLC(1%TEA/20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、淡黄色の油24mg(56%)を得た:[α]30−151(c1.5,CHCl);IR(ニート)2971,2945,2838,2785,1580,1455,1097,1044cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ8.67(s,1H),7.43−7.4(m,3H),7.19−7.2(m,2H),7.11(s,1H),3.04−3.22(m,2H),2.01−2.18(m,2H),2.06(s,3H),1.84−1.92(m,1H),1.60−1.72(m,2H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ22.9,35.8,40.4,56.8,64.9,124,128.4(2C),128.5(3C),136,137.6,149.1,150.2,152.7;HRMS C1617ClN[M+H]計算値273.1159,実測値273.1147。
【0098】
実施例13
(S)−4−ベンゾフラン−5−クロロ−6−メトキシニコチン(XIV)
(S)−5−クロロ−4−ヨード−6−メトキシニコチン(40mg、0.11mol、1.0当量)、2−(トリブチルスタンニル)ベンゾフラン(55mg、0.14mmol、1.2当量)、Pd(PPh(131mg、0.01mmol、10%)、およびCuI(4mg、0.02mmol、20%)のトルエン(3mL)溶液を15mL圧力容器に入れ、20分間窒素で脱気した。管を密封し、反応混合物を95℃で2日間攪拌した。混合物を室温に冷まし、水酸化アンモニウムと塩化アンモニウムの1:1混合物の溶液2mLを添加した。混合物を塩化メチレン(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層を炭酸カリウムで乾燥し、セライトで濾過した。粗生成物をラジアルPLC(1%TEA/10%EtOAc/ヘキサン)で精製して、透明の油30mg(77%)を得た:[α]31−109(c1.5,CHCl);IR(ニート)2946,2839,2780,1573,1469,1453,1385,1294,1092,1023,748cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ8.45(s,1H),7.67(dt,J=7.6,0.8Hz,1H),7.55(d,J=8Hz,1H),7.36(td,J=7.6,1.6Hz,1H),7.31(td,J=7.6,0.8Hz,1H),6.88(s,1H),4.08(s,3H),3.14(td,J=8.0,1.2Hz,1H),3.00(t,J=8.0Hz,1H),2.15(s,3H),2.09−2.11(m,2H),1.84−1.93(m,1H),1.62−1.75(m,2H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ22.9,35.9,40.6,54.7,56.9,66.2,108.8,111.7,117.7,121.6,123.4,125.0,128.3,133.7,139.5,144.3,149.4,155.1,158.7。
【0099】
実施例14
(S)−5−クロロ−6−メチル−4−(2−フェニルアミノ)ニコチン(XV)
(S)−5−クロロ−6−メチル−4−ヨードニコチン(100mg、0.297mmol、1.0当量)、Pddba(14mg、0.015mmol、5%)、炭酸セシウム(145mg、0.445mmol、1.5当量)、2−(ピナコールボラン)アニリン(65mg、0.297mmol、1.0当量)、およびキサントホス(18mg、0.030mmol、10%)の1,4−ジオキサン(4mL)溶液を圧力管に入れ、15分間アルゴンで脱気した。混合物を110℃に温め、14時間攪拌した。反応物を室温に冷まし、脱イオン水(5mL)に注ぎ入れた。混合物を塩化メチレン(3×3mL)で抽出した。合わせた有機層を炭酸カリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。生成物をラジアルPLC(1%TEA/75%EtOAc/ヘキサン)で精製して、オフホワイト色の泡状物69mg(77%)を得た:[α]30−117(c1.9,CHCl);IR(ニート)3464,3338,3218,2971,2944,2844,2784,1652,1632,1615,1582,1506,1498,1452,1382,1305,1182,1082,908,748,735cm−1H NMR(400MHz,CDCl)δ8.72および8.69(ロトマー,s,1H),7.26−7.21(m,1H),6.86−6.82(m,2H),6.78(dd,J=1.2,8.4Hz,1H),3.39(bs,2H),3.13(t,J=7.6Hz,1H),2.96(t,J=8.0Hz,1H),2.68(s,3H),2.16−2.06(m,1H),2.13(s,3H),2.06−1.96(m,1H),1.90−1.76(m,1H),1.68−1.54(m,2H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ154.9,147.2,146.7(ロトマーによる),145.4,144.0,142.7,138.2(ロトマーによる),137.9,131.1,129.9(ロトマーによる),129.8(ロトマーによる),129.7,129.2,121.8,121.8(ロトマーによる),118.7,118.5(ロトマーによる),115.8,115.6(ロトマーによる),66.6(ロトマーによる),66.0,57.0,56.8(ロトマーによる),40.8,40.6,35.4(ロトマーによる),35.1,23.5,22.8,22.7(ロトマーによる);HRMS C1720ClN([M+H])計算値302.1424,実測値302.1429。
【0100】
実施例15〜16
(S)−6−アミノまたは6−アルキル(アリール)ニコチン誘導体の調製
【化51】

【0101】
実施例15
(S)−6−モルホリノニコチン(XVI)
(S)−6−ブロモニコチン(287mg、1.2mmol)、モルホリン(125μL、1.4mmol、1.2当量)、ナトリウムt−ブトキシド(160mg、1.7mmol、1.4当量)、Pd(dba)(65mg、0.07mmol、6%)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp、59mg、0.4mmol、12%)、およびトルエン(5mL)の混合物を乾燥フラスコに入れ、窒素で20分間パージした。次いで、反応混合物を80℃に加熱した。24時間後、反応混合物を室温に冷まし、水2mLで洗浄した。混合物を塩化メチレン(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、セライトプラグおよびシリカで濾過した。溶媒を減圧下で除去して、粗生成物を得た。ラジアルPLC(1%TEA/10%EtOAc/ヘキサン)で精製して、淡黄色の油195mg(66%)を得た。[α]29−128(c1.64,CHCl);H NMR(400MHz,CDCl)δ8.0(d,J=2Hz,1H),7.46(dd,J=8.6,2.0Hz,1H),6.56(d,J=8.4Hz,1H),3.72(t,J=5.2Hz,4H),3.39(t,J=5.2Hz,4H),3.11(td,J=9.0,2.0Hz,1H),2.85(t,J=8.8Hz,1H),2.13(q,J=8.8Hz,1H),2.04(s,3H),2.03−1.95(m,1H),1.8−1.9(m,1H),1.55−1.7(m,2H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ22.2,34.5,40.2,45.7,56.8,66.7,68.4,107.2,127.8,136.6,147.4,159.2;IR 2995,2850,2781,1603,1496,1447,1249,1120,945cm−1;HRMS C1421O(MH)計算値248.1763,実測値248.1776。
【0102】
実施例16
(S)−5−クロロ−6−メチルニコチン(XVII)
(S)−5,6−ジクロロニコチン(800mg、3.461mmol)、炭酸カリウム(718mg、5.192mmol、1.5当量)、Pd(PPh(400mg、0.346mmol、0.1当量)、およびトリメチルボロキシン(480μL、3.461mmol、1.0当量)の1,4−ジオキサン(5mL)溶液を15分間アルゴンで脱気し、その後、110℃で3日間攪拌した。混合物を室温に冷まし、脱イオン水(4mL)に注ぎ入れ、CHCl(3×3mL)で抽出した。合わせた有機層をKCOで乾燥し、セライトパッドおよびシリカで濾過し、濃縮した。生成物をラジアルPLC(1%TEA/50%EtOAc/ヘキサン)で精製して、淡黄色の油512mg(70%)を得た。[α]29−155(c0.75,CHCl);IR(ニート)2969,2946,2840,2779,1594,1460,1396,1335,1216,1056,902,722cm−1H NMR(300MHz,CDCl)δ8.28(d,J=2.1Hz,1H),7.66(d,J=2.1Hz,1H),3.23(t,J=8.25Hz,1H),3.06(t,J=8.1Hz,1H),2.60(s,3H),2.30(q,J=8.4Hz,1H),2.21−2.17(m,1H),2.17(s,3H),2.00−1.90(m,1H),1.90−1.80(m,1H),1.80−1.65(m,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ155.0,146.8,138.5,135.5,131.8,68.2,57.2,40.6,35.5,22.8,22.6;HRMS C1115ClN([M+H])計算値211.1002,実測値211.1004。
【0103】
実施例17
(S)−ブレビコリン(XVIII)
【化52】

【0104】
(S)−5−クロロ−6−メチル−4−[(2−アミノ)フェニル]ニコチン(25mg、0.082mmol)、Pddba(8mg、0.008mmol、0.1当量)、(2−ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン(6mg、0.016mmol、0.2当量)、および炭酸セシウム(40mg、0.124mmol、1.5当量)のジオキサン(2mL)溶液を15分間アルゴンで脱気し、その後、23時間100℃に温めた。反応混合物を室温に冷まし、重炭酸ナトリウム飽和水溶液に注ぎ入れた。生成物を塩化メチレン(3×3mL)で抽出した。合わせた有機層を炭酸カリウムで乾燥し、セライトで濾過し、濃縮した。生成物をラジアルPLC(10%MeOH/CHCl)で精製して、白色の固体18mg(80%)を得た(mp228−229℃)。[α]31−165(c0.62,EtOH);H NMR(400MHz,CDCl)δ9.04(bs,1H),8.49(s,1H),8.45(d,J=8.0Hz,1H),7.56−7.48(m,1H),7.53(s,1H),7.31−7.25(m,1H),3.91(t,J=8.0Hz,1H),3.39(t,J=8.0Hz,1H),2.83(s,3H),2.50−2.40(m,2H),2.30(s,3H),2.14−2.02(m,1H),2.00−1.50(m,2H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ140.5,137.2,134.8,131.4,127.8,126.7,125.8,122.2,120.2,111.7,104.3,68.0,57.4,41.1,33.3,22.9,20.3。
注記:これは公知の化合物である。Mahboobi,S.;Wiegrebe,W.;Popp,A.J.Nat.Prod.1999、62、577、およびそこに引用されている参考文献。
【0105】
上記は本発明を例示するものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明は添付の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の等価物もそこに含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ia
【化1】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
は、H、アルキル、アリール、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され、
およびRは独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)有機金属中間体化合物を形成するために、式IIa、IIb、IIc、またはIId
【化2】

の化合物を、金属塩基を用いてメタル化するステップ、および次いで
(b)式Iaの化合物を生成するために、有機金属中間体化合物を求電子剤と反応させるステップ
を含む方法。
【請求項2】
式III
【化3】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、SiR202122、SnR202122、ハロ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルであり、
は、H、アルキル、またはアリールである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)式IIIの化合物を形成するために、下式
【化4】

(式中、Xはハロである。)
の化合物を、アルコール、塩基、および金属触媒で処理するステップ
を含む方法。
【請求項3】
式III
【化5】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、SiR202122、SnR202122、ハロ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルであり、
は、H、アルキル、またはアリールである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)有機金属中間体化合物を形成するために、下式
【化6】

の化合物を、金属塩基を用いてメタル化するステップ、および次いで
(b)式IIIの化合物を生成するために、有機金属中間体化合物を求電子剤と反応させるステップ
を含む方法。
【請求項4】
式III
【化7】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、SiR202122、SnR202122、ハロ、アミノ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルであり、
は、H、アルキル、またはアリールである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)式IIIの化合物を形成するために、下式
【化8】

(式中、Xはハロである。)
の化合物を、求核クロスカップリング試薬、および金属触媒で処理するステップ
を含む方法。
【請求項5】
式Ia
【化9】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
は、H、アルキル、アリール、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され、好ましくはHであり、
およびRは独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、アミノ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)式Iaの化合物を形成するために、下式
【化10】

(式中、Xはハロである。)
の化合物を、求核クロスカップリング試薬、および金属触媒で処理するステップ
を含む方法。
【請求項6】
式VI
【化11】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアミノ、ハロ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、またはアルキニルであり、
は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアミノ、ハロ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、またはアシルである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)式VIの化合物を形成するために、下式
【化12】

(式中、Xは、アルキルスズ、アルキルシラン、アルキルボラン、ボロン酸、または金属ハロゲン化物である。)
の化合物を、クロスカップリング相手、および金属触媒で処理するステップ
を含む方法。
【請求項7】
式VI
【化13】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、SiR202122、SnR202122、ハロ、またはアルコキシであり、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
は、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、またはヘテロアリールであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルである。)
の化合物を製造する方法であって、
(a)式VIの化合物を形成するために、式IV
【化14】

(式中、Xはハロである。)
の化合物を、アミン、塩基、および金属触媒で、または求核クロスカップリング試薬および金属触媒で処理するステップ
を含む方法。
【請求項8】
式A
【化15】

(式中、
は、H、アルキル、アリール、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され、
は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
およびRはそれぞれ独立して、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルである。)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項9】
とRが、いずれもRと同じではない、請求項8に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項10】
薬学的に許容される担体に請求項8に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを含む組成物。
【請求項11】
式A
【化16】

(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
は、H、アルキル、アリール、アルコキシ、およびハロからなる群から選択され、
、R、およびRは、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロ、SiR202122、SnR202122からなる群から選択され、R20、R21、およびR22はそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ハロ、ヒドロキシ、またはアルコキシであり、
は、H、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシ、シアノ、またはアシルであり、
ただしRおよびR、またはRおよびRのいずれかが、共に縮合環を形成する。)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項12】
およびRが、共に縮合環を形成する請求項11に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項13】
およびRが、共に縮合環を形成する請求項11に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項14】
nが、0である請求項11に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ。
【請求項15】
薬学的に許容される担体に請求項11に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを含む組成物。

【公表番号】特表2009−531442(P2009−531442A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502954(P2009−502954)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/007585
【国際公開番号】WO2007/126826
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508290987)ノース・キャロライナ・ステイト・ユニヴァーシティ (7)
【Fターム(参考)】