説明

6−置換−Δ6−プレグナンの真菌酸化による19−ノル−10β−カルボン酸の製造方法

6−置換−Δ6−プレグナンの真菌酸化による19−ノル−10β−カルボン酸の製造方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式Iの6−置換−Δ6−プレグナンを真菌酸化して式IIの19−ノル−10β−カルボン酸を生成し、続いて式IIIの19−ノル−6−置換−Δ6−プレグナンを製造するための化学的脱炭酸反応段階に関する。
【背景技術】
【0002】
19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン(ノメゲストロール(nomegestrol))及び関連する式IIIの分子は、薬理学的に活性な19−ノルステロイドを合成するための有用なステロイド中間体である。例えば、19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン(ノメゲストロール)は、女性の健康ステロイドである酢酸ノメゲストロール(19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン17アセテート)の合成に使用することができる。
【0003】
米国特許第4,284,720号は、アンドロスタン又はプレグナン系列の10−メチルステロイドをニグロスポラ属(Nigrospora)の真菌培養物を用いる発酵によって対応する19−ヒドロキシステロイドに変換することを開示している。
【0004】
19−ノル−ステロイドは19−ヒドロキシステロイドから化学的に合成されてきた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一般的に、本発明は、式Iの6−置換−Δ6−プレグナンを真菌酸化して式IIの19−ノル−10β−カルボン酸を生成するための実用的方法、続いて式IIIの19−ノル−6−置換−Δ6−プレグナンを製造するための化学的脱炭酸反応段階を提供する。
【0006】
すなわち、本発明は、式I
【化1】

(式中:
1はH、OH、R−C(O)O−、−CH2OCH3、CH3CH(OR)O−からなる群から選択され;
RはC1−C8アルキル基であり;
2はH、F、Cl、Br及びCH3−から選択され;
3はH又はCH2=であり、
4は−CH2OH又は−CH3であり、
5は−CHO、−CH2OH又はCH3である)
の6−置換−Δ6−プレグナンを、式Iの6−置換−Δ6−プレグナンの19炭素を酸化できるニグロスポラ属の種を含む生物変換反応培養物と接触させることを含む:
【0007】
式Iの6−置換−Δ6−プレグナンの真菌酸化による式II
【化2】

(式中:
1はH、OH、R−C(O)O−、−CH2OCH3、CH3CH(OR)O−からなる群から選択され;
RはC1−C8アルキル基であり;
2はH、F、Cl、Br及びCH3−から選択され;
3はH又はCH2=であり、
4は−CH2OH又は−CH3であり、
5は−CHO、−CH2OH又はCH3である)
の19−ノル−10β−カルボン酸の製造方法を提供する。
【0008】
定義
以下の定義及び説明は明細書及び請求項の両者を含めて、この書類全体を通して用いられる用語のためのものである。
全ての温度は摂氏度である。
「r.p.m.」は毎分の回転数を指す。
「TLC」は薄層クロマトグラフィーを指す。
「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを指す。
「psig」は平方インチゲージ当たりのポンドを指す。
「RO」は逆浸透を指す。
【0009】
溶剤混合物が用いられる場合、溶剤の比は容量/容量(v/v)である。溶剤への固体の溶解性が用いられる場合、用いられる固体と溶剤との比は重量/容量(wt/v)である。
【0010】
一般的に、本発明は、式I
【化3】

(式中:
1はH、OH、R−C(O)O−、−CH2OCH3、CH3CH(OR)O−からなる群から選択され;
RはC1−C8アルキル基であり;
2はH、F、Cl、Br及びCH3−から選択され;
3はH又はCH2=であり、
4は−CH2OH又は−CH3であり、
5は−CHO、−CH2OH又はCH3である)
の6−置換−Δ6−プレグナンを真菌酸化による、式II
【化2】

(式中、R、R1、R2、R3、R4は式IのR、R1、R2、R3、R4と同一である)の19−ノル−10β−カルボン酸の製造に関する。
【0011】
式Iの6−置換−Δ6−プレグナンの19炭素を酸化できるニグロスポラ属の全ての糸状菌を、式IIの19−ノル−10β−カルボン酸の製造に使用することができる。実施例1の手順は、ニグロスポラ属の特定の糸状菌が、式Iの6−置換−Δ6−プレグナン
の19炭素を酸化できるかどうかを決定するために使用することができる。
【0012】
続いて、式IIの19−ノル−10β−カルボン酸を回収し、そして化学的に脱炭酸反応させて式III
【化5】

(式中、R、R1、R2、R3、R4は式IのR、R1、R2、R3、R4と同一である)の19−ノル−6−置換−Δ6−プレグナンを製造することができる。
【0013】
本発明者らは、式Iの6−置換−Δ6−プレグナンと、ニグロスポラの特定の菌株、特にニグロスポラ・スフェリカ(Nigrospora sphaerica) ATCC 12772、ニグロスポラ・ゴルレンコアヌム(Nigrospora gorlenkoanum) ATCC 24718 及びニグロスポラ・オリゼ(Nigrospora oryzae) ATCC 42775 との接触が式IIの19−ノル−10β−カルボン酸を生成したことを見出した。
【0014】
本発明の方法において、生物変換反応培地は界面活性剤及び高レベルの炭素源を含む。界面活性剤は、非イオンアミド、非イオンエステル、例えばエトキシル化アルキルフェノール及びポリオキシエチレンソルビタンエステル、乳化ろう、非イオンエトキシル化物、トリスチリルフェノールエトキシル化物、アルコールエトキシル化物、例えばオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、エトキシル化メルカプタン、キャップドエトキシル化物、ブロックコポリマー及び逆コポリマーを包含する非イオン洗剤からなる群から選択される。好ましくは、エトキシル化アルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビタンエステル又はオクチルフェノキシポリエトキシエタノールが界面活性剤として用いられる。使用される非イオン洗剤濃度は、約0.1mL/L又は0.1g/L〜約4mL/L又は4g/Lであってよいが、典型的には約1mL/L又は1g/L〜約2mL/L又は2g/Lである。
【0015】
炭素源は、単糖、二糖、三糖、多糖加水分解物及び糖アルコールからなる群から選択される。典型的には、グルコースが炭素源として用いられる。炭素源の濃度は、約2g/L〜約100g/Lであってよいが、典型的には約5g/L〜約60g/Lである。
【0016】
好ましくは、真菌を、当技術分野で認められた任意の手順を用いて、好気性条件下の深部培養で生育させ、そして酸化反応をその場で行わせる。所望のニグロスポラ属真菌を、当業者に公知の条件、方法、炭素源及び窒素源を用いて培養する。一般的に、真菌19−酸化に備えて、一次及び二次増殖性種培養手順が用いられる。別法として、一次増殖性種培養物を、真菌19−酸化の生物変換反応培地に接種するために直接用いることができる。
【0017】
一次増殖性種培養物を、約20℃〜約37℃(好ましくは約28℃)及び約3.0〜約7.5のpHで約24〜約96時間(好ましくは約48〜72時間)の期間インキュベートする。二次増殖性種培地に、約0.006%〜約0.25%[v/v]、しかし典型的には約0.012%〜約0.1%[v/v]の一次増殖性種培養物を接種し、そして約20℃〜約37℃(好ましくは約28℃)で約36〜約72時間(好ましくは約48〜60時間)の期間インキュベートする。二次種培地のpHは約3.0〜約7.5であってよいが、好ましくは約5.0〜約7.0である。二次増殖性種培地と同一でも異なってもよい生物変換反応培地に、約1%〜約10%[v/v](好ましくは約3%〜約5%)の二次増殖性種培養物を接種する。約12〜約72時間(好ましくは約16〜約24時間)の初期インキュベーション期間の後、式Iのステロイド基質、好ましくは微粉末化物を生物変換反応培養物に加える。式Iの微粉末化ステロイド基質は、乾燥粉末又は水性スラリーとして、一度の添加、一連の添加又は連続供給のいずれかとして添加することができる。式Iの微粉末化ステロイド基質を1g/Lより高い、より好ましくは2g/Lより高い、よりいっそう好ましくは4g/Lより高い濃度で用いることが好ましい。式Iのステロイド基質から式IIの19−酸化生成物を形成するための生物変換反応を約1〜約9日間、しかし典型的には約2〜約6日間進行させる。変換反応は当業者に公知のクロマトグラフィー方法、例えばHPLCにより監視することができる。好適なHPLC方法は実施例1に提供されている。
【0018】
式Iのステロイド基質から式IIの19−酸化生成物を生成する生物変換反応が終了したとき、当技術分野で認められた多数の手順の何れか一つを用いて式IIの化合物を回収することができる。好ましくは、全体の又は濾過した発酵物を、式IIの生成物が酸形態になるまでpHを下方に調節することにより、水非混和性有機溶剤、例えば塩化メチレンで抽出する。次いで、水非混和性有機溶剤を蒸発により濃縮する。次いで、式IIのカルボン酸生成物がイオン化されるまでpHを上方に調節する(pH8〜9)ことにより、式IIの生成物を水中に抽出する。この水性抽出物を水混和性溶剤、例えばメタノールで希釈し、そして式IIの生成物が酸形態になるまでpHを下方に調節する(pH3〜4)。式IIの粗生成物を水混和性溶剤の蒸発により徐々に結晶化させる。
【0019】
式IIのステロイド化合物を化学的に脱炭酸反応させて式IIIのステロイド化合物を製造することができる。脱炭酸反応段階は当業者に公知の条件及び試薬を用いて行われる。一般的に、式IIの化合物を酸触媒と共に極性溶剤に溶解する。この混合物を加熱して所望の脱炭酸反応を生じさせる。典型的には、該カルボン酸を、水性メタノール中の塩酸の触媒量を用いて還流下に約30分間処理して、所望の脱炭酸反応を行う。しかしながら、該溶剤及び酸は決定的に重要ではない。カルボン酸基質及び酸触媒の両者を溶解する全ての溶剤が適している。好ましい溶剤は、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、アセトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、又はその水性混合物を包含する。メタノールが最も好ましい溶剤である。式IIの化合物を約10mg/mL〜約500mg/mL(好ましくは約100〜300mg/mL)の濃度で溶解する。
【0020】
適当な酸触媒は4.9未満のpKaを有する酸である。このような酸は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、氷酢酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸、ブロモ酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、ジクロロ酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸及びトリクロロ酢酸を包含する。メタノール中の酸の最終濃度は0.001N(pH3)〜0.1N(pH1)、好ましくは約0.01N(pH2)である。反応混合物を40℃〜80℃(好ましくは約50〜60℃)に約1〜約24時間(好ましくは4〜12時間)加熱する。式IIIの化合物は、この反応混合
物から当技術で認められた多数の手順の任意の一つを用いて回収することができる;好ましい手順は蒸発濃縮及び/又は冷却による結晶化である。
【0021】
脱炭酸反応は2段階で行うこともできる;最初に3−ケト−Δ5(10)中間体を与える脱炭酸反応、次いで化合物(III)への異性化。3−ケト−Δ5(10)中間体への脱炭酸反応は、DMSO中で室温(15〜25℃)において16時間攪拌することにより行うことができる。次いで3−ケト−Δ5(10)中間体を、上記のように4.9未満のpKaの酸で処理することにより化合物IIIに異性化させる。
【実施例】
【0022】
さらなる詳述がなくても、当業者は上記の説明を用いて本発明を最大限に実施できると信じられる。下記の詳細な実施例は種々の化合物をどのように製造するか及び/又は本発明の種々の方法をどのように実施するかを説明するものであり、そして単に説明的なものであると解釈すべきであって、前記の開示を限定するものとは決して解釈すべきではない。当業者は、反応体並びに反応条件及び技術の両者に関する上記手順からの適切な変更を即座に認めるであろう。
【0023】
実施例1
4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオンから19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン10β−カルボン酸への変換反応を、ニグロスポラ・スフェリカ ATCC 12772 の深部培養を用いて行い、次いで19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオンに脱炭酸反応させる。
【0024】
(A)一次種培養期
ニグロスポラ・スフェリカ ATCC 12772 の凍結した増殖性細胞を解凍し、ジャガイモ−デキストロース−寒天プレート(PDA)に移し、28℃で72時間インキュベートする。単一菌糸プラグ(直径6〜7mm)を用いて、100mLの一次種培地を含むシリコン処理した500mLの斑点付き振盪フラスコに接種する。一次種培地は(1リットルのRO水当たり):デキストリン50g;ダイズ粉35g;グルコース5g;塩化コバルト六水和物2mg;シリコーン消泡剤(SAG471)0.5mLからなる;前滅菌pH7.0〜7.2、水酸化ナトリウム(2N)で調節。一次種培地を含む振盪フラスコを、オートクレーブを用いて121℃で30分間滅菌する。ニグロスポラ・スフェリカ ATCC 12772 を、270r.p.m.(2'' 軌道ストローク)に設定した制御環境インキュベーター−シェーカーを用いて28℃で48時間インキュベートする。
【0025】
(B)二次種培養期
100ミリリットルの二次種培地をシリコン処理した500mLの斑点付き振盪フラスコ中で、0.2mLの増殖性一次種培養物(0.2%[v/v]の接種率)を用いて接種する。二次種培地は(1リットルのRO水当たり):グルコース30g;ダイズ粉12.5g;トウモロコシ浸漬固体10g;オクチルフェノキシポリエトキシエタノール0.25mL;シリコーン消泡剤(SAG471)0.5mLからなる;前滅菌pH6.5〜6.6、水酸化ナトリウム(2N)で調節。二次種培地を含む振盪フラスコを、オートクレーブを用いて121℃で30分間滅菌する。ニグロスポラ・スフェリカ ATCC 12772 を、270r.p.m.(2'' 軌道ストローク)に設定した制御環境インキュベーター−シェーカーを用いて28℃で約52時間インキュベートする。
【0026】
(C)ステロイドの生物変換反応
100ミリリットルのステロイド生物変換反応培地を、5mLの増殖性二次種培養物(5%[v/v]の接種率)を用いて接種する。ステロイド生物変換反応培地は、オクチルフェノキシポリエトキシエタノールを0.25mL/Lから2mL/Lに増加した以外は本質的に二次種培地と同一である。約22時間のインキュベーション後に、最少量0.2%[v/v]のオクチルフェノキシポリエトキシエタノール中にスラリー化した0.5gの微粉末化4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオンを、100mLの発酵物に加える。
【0027】
生物変換反応培養物を、毎日基準で19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン10β−カルボン酸についてHPLCを用いてアッセイする。100ミリリットルの全発酵物を3mLの温アセトニトリルで抽出する。細胞を水性アセトニトリル混合物から遠心(3,000xgで10分間)により分離し、5μLの抽出物をHPLCカラム上に注入する。HPLCの条件は下記のとおりである:C18逆相カラム(150×4.6mm)を備えたSpectra−Physicsクロマトグラフ;カラム温度30℃;移動相(定組成)アセトニトリル/0.25%リン酸(55/45[v/v]);流速=0.5mL/分;検出287nm;実行時間=20分。4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオンから19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン10β−カルボン酸への生物変換反応は約2日間で終了する。
【0028】
(D)回収及び脱炭酸反応の手順
五つの100mL発酵物から収穫した全発酵物を、pHを4に下方調節することにより250mLの塩化メチレンで抽出する。廃発酵物をさらに200mLの塩化メチレンで再抽出する。濃い塩化メチレン抽出物を遠心により回収し、次いでプールし、精製し、蒸発により約50mLに濃縮する。次いで、生成物である19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン10β−カルボン酸を、pHを9に上方調節することにより50mLの水中に抽出する。この濃い水溶液を50mLの水で希釈し、pHを4に下方調節する。メタノールの蒸発により粗生成物を結晶化させる。水性スラリーから固体を濾過により回収し、15mLの水で洗浄し、乾燥して、1.22gの粗結晶性19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン10β−カルボン酸を得る。
【0029】
1.22gの粗19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン10β−カルボン酸を、0.1mLの85%リン酸を含む4mLのメタノールに溶解し、反応混合物を55℃に加熱する。反応混合物を、毎時基準で粗19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオンについてHPLCを用いてアッセイする。5マイクロリットルの反応混合物を1mLのアセトニトリル中に希釈し、5μLをHPLCカラム上に注入する。HPLCの条件は上記のとおりである。19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン10β−カルボン酸から19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオンへの脱炭酸反応は約4時間で終了する。反応混合物を −10℃に冷却し、結晶を濾過し、1mLの −10℃メタノールで洗浄して、0.72gの純度99.4%の19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオンを得る。
【0030】
実施例2
4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオンから19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン10β−カルボン酸への変換を、ニグロスポラ・ゴルレンコアヌム ATCC 24718 の深部培養を用いて行い、次いで脱炭酸反応させて19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオンにする。
【0031】
実施例1に記載した条件下で、1.18gの粗結晶性19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン10β−カルボン酸を生成させる。次いで、この材料を0.75gの純度99.7%の19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオンに変換する。
【0032】
実施例3
4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオンから19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン10β−カルボン酸への変換を、ニグロスポラ・オリゼ ATCC 42775 の深部培養を用いて行い、次いで脱炭酸反応させて19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオンにする。
【0033】
実施例1に記載した条件下で、1.20gの粗結晶性19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオン10β−カルボン酸を生成させる。次いで、この材料を0.65gの純度99.2%の19−ノル−4,6−プレグナジエン−6−メチル−17α−オール−3,20−ジオンに変換する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(式中:
1はH、OH、R−C(O)O−、−CH2OCH3、CH3CH(OR)O−からなる群から選択され;
RはC1−C8アルキル基であり;
2はH、F、Cl、Br及びCH3−から選択され;
3はH又はCH2=であり、
4は−CH2OH又は−CH3であり、
5は−CHO、−CH2OH又はCH3である)
の6−置換−Δ6−プレグナンを、式Iの6−置換−Δ6−プレグナンの19炭素を酸化できるニグロスポラ属の種を含む生物変換反応培地と接触させることを含む、
式Iの6−置換−Δ6−プレグナンの真菌酸化による、式II
【化2】

(式中:
1はH、OH、R−C(O)O−、−CH2OCH3、CH3CH(OR)O−からなる群から選択され;
RはC1−C8アルキル基であり;
2はH、F、Cl、Br及びCH3−から選択され;
3はH又はCH2=であり、
4は−CH2OH又は−CH3である)
の19−ノル−10β−カルボン酸の製造方法。
【請求項2】
ニグロスポラ属の種がニグロスポラ・スフェリカ ATCC 12772、ニグロスポラ・ゴルレンコアヌム ATCC 24718 及びニグロスポラ・オリゼ ATCC 42775 から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ニグロスポラ属の種がニグロスポラ・スフェリカ ATCC 12772 である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ニグロスポラ属の種がニグロスポラ・ゴルレンコアヌム ATCC 24718 である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ニグロスポラ属の種がニグロスポラ・オリゼ ATCC 42775 である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
5が −CHOである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
5が −CH2OHである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
5がCH3である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
式IIの化合物を適当な溶剤中で4.9未満のpKaの酸で処理する段階を含む、式IIの化合物を脱炭酸反応させて式III
【化3】

(式中:
1はH、OH、R−C(O)O−、−CH2OCH3、CH3CH(OR)O−からなる群から選択され;
RはC1−C8アルキル基であり;
2はH、F、Cl、Br及びCH3−から選択され;
3はH又はCH2=であり、
4は−CH2OH又は−CH3であり、
5は−CHO、−CH2OH又はCH3である)
の19−ノル−6−置換−Δ6−プレグナンを生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
4.9未満のpKaの酸が塩酸であり、そして適当な溶剤がメタノールである、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2006−515518(P2006−515518A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500301(P2006−500301)
【出願日】平成16年1月9日(2004.1.9)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000107
【国際公開番号】WO2004/065612
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】