説明

6−(2,4,6−トリハロフェニル)トリアゾロピリミジン、その製造方法、および植物病原性真菌類を防除するためのその使用、ならびにその物質を含有している農薬

本発明は次の式(I)で表される6-(2,4,6-トリハロフェニル)トリアゾロピリミジンに関する。式中の各置換基は次のとおり定義される:R1は、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、フェニル、ナフチル、あるいはO、NおよびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含んでいる5員もしくは6員飽和、部分不飽和または芳香族へテロ環を表し;R2は水素、またはR1で記載した基のうちのひとつであり;R1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒に5員もしくは6員ヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成していてもよくこの形成された基はNを介して結合されておりまたO、NおよびSからなる群から選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を環構成員として含んでいてもよく;R1および/またはR2は明細書の記載に従って置換されていてもよく;L1、L2、L3は塩素またはフッ素を表しこの場合少なくとも1つの基は塩素であり;Xは、シアノ、アルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルコキシまたはハロアルケニルオキシを表す。本発明はまた、そのような化合物の製造方法、そのような化合物を含有している農薬、および植物病原性真菌類を防除するためのそのような化合物の使用にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次の式I
【化1】

【0002】
[式中の各置換基は以下に定義されているとおりである:
R1は、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-ハロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-ハロシクロアルキル、C2〜C8-アルケニル、C2〜C8-ハロアルケニル、C3〜C6-シクロアルケニル、C3〜C6-ハロシクロアルケニル、C2〜C8-アルキニル、C2〜C8-ハロアルキニル、フェニル、ナフチル、あるいはO、NおよびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含んでいる5員もしくは6員飽和、部分不飽和または芳香族ヘテロ環であり、
R2は水素、またはR1で記載した基のうちのひとつであり、
R1とR2はまた、それらが結合している窒素原子と一緒に5員もしくは6員ヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成していてもよく、その形成された基はNを介して結合されており、またO、NおよびSからなる群から選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を環構成員として含んでいてもよくおよび/またはハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-ハロアルケニル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-ハロアルコキシ、C3〜C6-アルケニルオキシ、C3〜C6-ハロアルケニルオキシ、(エキソ)-C1〜C6-アルキレンおよびオキシ-C1〜C3-アルキレンオキシからなる群から選択される1個または複数個の置換基を有していてもよく;
R1および/またはR2は、1〜4個の同じまたは異なる基Raを有していてもよく、
Raは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルキルカルボニル、C3〜C6-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-ハロアルコキシ、C1〜C6-アルコキシカルボニル、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-アルキルアミノ、ジ-C1〜C6-アルキルアミノ、C2〜C8-アルケニル、C2〜C8-ハロアルケニル、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C8-アルキニル、C2〜C8-ハロアルキニル、C3〜C6-アルキニルオキシ、オキシ-C1〜C3-アルキレンオキシ、C3〜C8-シクロアルケニル、フェニル、ナフチル、あるいはO、NおよびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含んでいる5員もしくは6員の飽和、部分不飽和または芳香族ヘテロ環であり、これらの脂肪族基、脂環式基または芳香族基はそれら自体部分的または完全にハロゲン化されていてもよく;
L1、L2、L3は互いに独立に塩素またはフッ素でありこの場合少なくとも1つの基は塩素であり;
Xは、シアノ、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-アルコキシ、C3〜C4-アルケニルオキシ、C1〜C2-ハロアルコキシまたはC3〜C4-ハロアルケニルオキシである]
で表される6-(2,4,6-トリハロフェニル)トリアゾロピリミジンに関する。
【0003】
加えて、本発明はこれらの化合物の調製方法、これらの化合物を含んでいる組成物、および植物病原性有害真菌類を防除するためのその使用にも関する。
【背景技術】
【0004】
5-ハロ-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)トリアゾロピリミジンは、FR-A 2 784 381に一般化されて記載されている。5-シアノ-および5-アルコキシトリアゾロピリミジンは、WO 02/083677に開示されている。7位に光学的に活性なアミノ置換基をもつトリアゾロピリミジンは、WO 02/38565に、一般化されて提案されている。
【0005】
上記した文献に開示されている化合物は、有害真菌類を防除するのに適している。
【発明の開示】
【0006】
しかしながらその作用は、必ずしもすべての点において完全に十分なものではない。本発明の目的は、改良された作用および/または広くなった活性のスペクトルをもつ化合物を提供することにある。
【0007】
本発明者は、この目的が、冒頭に定義した化合物によって達成されることを見出した。さらに、その調製方法、それを含んでいる組成物、および化合物Iを用いることによる有害真菌類の防除方法も見出した。
【0008】
本発明による化合物は、トリアゾロピリミジン骨格の5位における置換基によって、上記した文献に開示されている化合物とは区別される。
【0009】
式Iで表される化合物は、公知の化合物と比較して、有害真菌類に対して向上した効果および/または有害真菌類に対してより広くなった活性スペクトルを有している。
【0010】
本発明によるこの化合物は、いろいろな方法で得ることができる。都合よくは、この化合物は、FR-A 2 784 381に記載されている式IIの5-ハロ-6-(2,4,6-トリハロフェニル)トリアゾロピリミジンから出発して、化合物M-X(式III)と反応させることで得られる。この化合物IIIは、導入される基Xの内容に応じて、無機シアン化物またはアルコキシドを表す。この反応は、不活性溶媒の存在下で好都合に行われる。式III中のカチオンMはほとんど重要でない。実用上の理由から、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩が通常好ましい。
【化2】

【0011】
反応温度は通常0〜120℃、好ましくは10〜40℃である[参照:J. Heterocycl. Chem., Vol. 12, pp. 861-863 (1975)]。
【0012】
R2が水素である場合は、脱離可能な保護基が、IIIと反応させる前に好都合に導入される[参照:Greene, Protective Groups in Organic Chemistry, J. Wiley & Sons (1981)]。
【0013】
好適な溶媒としては、エーテル(例えばジオキサン、ジエチルエーテル、および好ましくはテトラヒドロフラン)、アルコール(例えばメタノールやエタノール)、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)、芳香族炭化水素(例えばトルエン)、またはアセトニトリルが挙げられる。
【0014】
式IにおいてXがC1〜C4-アルキルである化合物は、以下に示す合成経路によって好都合に得ることができる。
【化3】

【0015】
この5-アルキル-7-ヒドロキシ-6-フェニルトリアゾロピリミジンVIは、2-アミノトリアゾールIVとケトエステルV[式中、RはC1〜C4-アルキルであり、L1〜L3は式Iに対して定義したとおりである]とから得られる。式VおよびVIにおいては、X1はC1〜C4-アルキルである。この容易に得ることができる2-フェニルアセト酢酸エステル(X1=CH3であるV)を使用して、本発明の好ましい化合物である5-メチル-7-ヒドロキシ-6-フェニルトリアゾロピリミジンが得られる[参照:Chem. Pharm. Bull., 9, 801 (1961)]。2-アミノトリアゾールIVは市販されている。出発物質Vは、EP A 10 02 788に記載されている条件下で好都合に調製される。
【0016】
このようにして得られた5-アルキル-7-ヒドロキシ-6-フェニルトリアゾロピリミジンは、ハロゲン化剤[HAL]を用いて、WO A 94/20501に記載されている条件の下で、式VIIで表わされるハロピリミジン(式中、Halは、ハロゲン原子好ましくは臭素原子または塩素原子特に塩素原子である)に変換される。好都合なハロゲン化剤[HAL]は塩素化剤や臭素化剤であり、例えばオキシ臭化リン、オキシ塩化リン、塩化チオニル、臭化チオニルまたは塩化スルフリルである。
【化4】

【0017】
この反応は通常0〜150℃、好ましくは80〜125℃で行われる[参照:EP-A 770 615]。
【化5】

【0018】
VIIとアミンVIII(式中のR1とR2は式Iに対して定義したのと同じである)との反応は、好ましくは不活性溶媒例えばエーテル(例えばジオキサン、ジエチルエーテル、好ましくはテトラヒドロフラン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)、または芳香族炭化水素(例えばトルエン)の存在下に、温度0〜70℃、好ましくは10〜35℃で好都合に行われる[参照:WO A 98/46608]。
【0019】
好ましいのは、塩基、例えば第三級アミン(例えばトリエチルアミン)、または無機アミン(例えば炭酸カリウム)を使用することである。また、式VIIIで表される過剰のアミンが、塩基として作用することも可能である。
【0020】
別の方法として、式IにおいてXがC1〜C4-アルキルである化合物は、Xがハロゲン特に塩素である化合物Iと式IXで表されるマロネート(マロン酸エステル)とから得ることもできる。式IX中、X"は水素またはC1〜C3-アルキルであり、RはC1〜C4-アルキルである。この2つの化合物は、式Xで表される化合物に変換されそして化合物Iに脱カルボキシル化される[参照:US 5 994 360]。
【化6】

【0021】
マロネートIXは、文献[J. Am. Chem. Soc. 64 (1942), 2714;J. Org. Chem. 39 (1974), 2172;Helv. Chim. Acta 61 (1978), 1565]に載っているが、引用した文献に従って調製することもできる。
【0022】
このあとのエステルXの加水分解は、一般的に慣用の条件下で行われる。様々な構造要素にもよるが、化合物Xのアルカリまたは酸加水分解が有利である。エステル加水分解の条件下では、Iへの完全なまたは部分的な脱カルボキシル化がすでに起こっていることがある。
【0023】
この脱カルボキシル化は、通常、不活性溶媒中適切であれば酸の存在下に温度20℃〜180℃好ましくは50℃〜120℃で行われる。
【0024】
好適な酸は、塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、p-トルエンスルホン酸である。好適な溶媒は、水、脂肪族炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンおよび石油エーテル)、芳香族炭化水素(例えばトルエン、o-、m-およびp-キシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルムおよびクロロベンゼン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、アニソールおよびテトラヒドロフラン)、ニトリル(例えばアセトニトリルおよびプロピオニトリル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンおよびt-ブチルメチルケトン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールおよびt-ブタノール)ならびにジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドである。特に好ましいのは、この反応が、塩酸または酢酸中で行われることである。また、記載した溶媒の混合物を用いることも可能である。
【0025】
式IにおいてXがC1〜C4-アルキルである化合物は、式IにおいてXがハロゲンである式Iで表される5-ハロトリアゾロピリミジンと式XIで表される有機金属試薬とをカップリングさせることで得ることもできる。1つの実施形態では、この反応は、遷移金属の触媒作用、例えばNiもしくはPdの触媒作用により行われる。
【化7】

【0026】
式XIでは、MはY価の金属イオン例えばB、ZnまたはSnであり、X"はC1〜C3-アルキルである。この反応は、例えば、次の文献にある方法と同じようにして行うことができる:J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 (1994), 1187, 同文献 1 (1996), 2345;WO A 99/41255;Aust. J. Chem. 43 (1990), 733;J. Org. Chem. 43 (1978), 358;J. Chem. Soc. Chem. Commun. (1979), 866;Tetrahedron Lett. 34 (1993), 8267;同文献 33 (1992), 413。
【0027】
得られる反応混合物は通常の方法で後処理され、例えば水と混合し、その相を分離し、そして適切であれば得られた粗生成物をクロマトグラフィ精製する。中間体および最終生成物の一部は無色または少し茶色をした粘稠な油状物の形態で得られる。そしてこれから、減圧下および中程度の高温下で、揮発性の成分が除去されて精製される。中間体および最終生成物が固形物として得られる場合は、精製は、再結晶または摩砕によっても行うことができる。
【0028】
上記した経路により個々の化合物Iが得られない場合は、それらは他の化合物Iを誘導体化することにより調製することができる。
【0029】
この合成で異性体の混合物が得られる場合は、個々の異性体は、場合によっては、施用のための後処理中に、あるいは施用において(例えば光、酸または塩基の作用下で)、互いの異性体に変換されることがあるので、異性体の分離は一般には必ずしも必要なものでもない。施用の後にもそのような変換が起こることがある。例えば、植物の処理中に、処理された植物中で、あるいは防除されるべき有害真菌類中で起こることがある。
【0030】
上記式中に記載されている記号の定義においては集合的な用語を使用した。この集合的な用語は一般に以下の置換基を表す。
【0031】
ハロゲン:フッ素、塩素、臭素およびヨウ素;
アルキル:1〜4、6または8個の炭素原子をもつ飽和、直鎖もしくは分枝鎖炭化水素基、例えばC1〜C6-アルキルで、例えばメチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピルおよび1-エチル-2-メチルプロピル;
ハロアルキル:(上記した)1〜2、4、6または8個の炭素原子をもつ直鎖または分枝鎖アルキル基でこの場合これらの基にある水素原子が上記したハロゲン原子で部分的または完全に置換されたもので、好ましくはC1〜C2-ハロアルキルで、例えばクロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-クロロエチル、1-ブロモエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1-トリフルオロプロパ-2-イル;
アルケニル:2〜4、6、8または10個の炭素原子と任意の位置に1つまたは2つの二重結合をもつ不飽和直鎖または分枝鎖炭化水素基で、例えばC2〜C6-アルケニルで、例えばエテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-メチルエテニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-メチル-1-ブテニル、2-メチル-1-ブテニル、3-メチル-1-ブテニル、1-メチル-2-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-メチル-3-ブテニル、2-メチル-3-ブテニル、3-メチル-3-ブテニル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、1,2-ジメチル-1-プロペニル、1,2-ジメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-プロペニル、1-エチル-2-プロペニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-メチル-1-ペンテニル、2-メチル-1-ペンテニル、3-メチル-1-ペンテニル、4-メチル-1-ペンテニル、1-メチル-2-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニル、3-メチル-2-ペンテニル、4-メチル-2-ペンテニル、1-メチル-3-ペンテニル、2-メチル-3-ペンテニル、3-メチル-3-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-メチル-4-ペンテニル、2-メチル-4-ペンテニル、3-メチル-4-ペンテニル、4-メチル-4-ペンテニル、1,1-ジメチル-2-ブテニル、1,1-ジメチル-3-ブテニル、1,2-ジメチル-1-ブテニル、1,2-ジメチル-2-ブテニル、1,2-ジメチル-3-ブテニル、1,3-ジメチル-1-ブテニル、1,3-ジメチル-2-ブテニル、1,3-ジメチル-3-ブテニル、2,2-ジメチル-3-ブテニル、2,3-ジメチル-1-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-3-ブテニル、3,3-ジメチル-1-ブテニル、3,3-ジメチル-2-ブテニル、1-エチル-1-ブテニル、1-エチル-2-ブテニル、1-エチル-3-ブテニル、2-エチル-1-ブテニル、2-エチル-2-ブテニル、2-エチル-3-ブテニル、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル、1-エチル-1-メチル-2-プロペニル、1-エチル-2-メチル-1-プロペニルおよび1-エチル-2-メチル-2-プロペニル;
ハロアルケニル:(上記した)2〜8個の炭素原子と任意の位置に1つまたは2つの二重結合をもつ不飽和直鎖または分枝鎖炭化水素基でこの場合これらの基にある水素原子が上記したハロゲン原子特にフッ素、塩素および臭素で部分的または完全に置換されたもの;
アルキニル:2〜4、6または8個の炭素原子と任意の位置に1つまたは2つの三重結合をもつ直鎖または分枝鎖炭化水素基で、例えばC2〜C6-アルキニルで、例えばエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-メチル-2-ブチニル、1-メチル-3-ブチニル、2-メチル-3-ブチニル、3-メチル-1-ブチニル、1,1-ジメチル-2-プロピニル、1-エチル-2-プロピニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、1-メチル-2-ペンチニル、1-メチル-3-ペンチニル、1-メチル-4-ペンチニル、2-メチル-3-ペンチニル、2-メチル-4-ペンチニル、3-メチル-1-ペンチニル、3-メチル-4-ペンチニル、4-メチル-1-ペンチニル、4-メチル-2-ペンチニル、1,1-ジメチル-2-ブチニル、1,1-ジメチル-3-ブチニル、1,2-ジメチル-3-ブチニル、2,2-ジメチル-3-ブチニル、3,3-ジメチル-1-ブチニル、1-エチル-2-ブチニル、1-エチル-3-ブチニル、2-エチル-3-ブチニルおよび1-エチル-1-メチル-2-プロピニル;
シクロアルキル:3〜6または8個の炭素環構成員をもつ一環式または二環式炭化水素基で、例えばC3〜C8-シクロアルキルで、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル;
O、NおよびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含んでいる5員もしくは6員飽和、部分不飽和または芳香族へテロ環:
・1〜3個の窒素原子および/または1個の酸素もしくは硫黄原子または1個または2個の酸素原子および/または硫黄原子を含んでいる5員もしくは6員へテロシクリルで、例えば2-テトラヒドロフラニル、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロチエニル、3-テトラヒドロチエニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、3-イソオキサゾリジニル、4-イソオキサゾリジニル、5-イソオキサゾリジニル、3-イソチアゾリジニル、4-イソチアゾリジニル、5-イソチアゾリジニル、3-ピラゾリジニル、4-ピラゾリジニル、5-ピラゾリジニル、2-オキサゾリジニル、4-オキサゾリジニル、5-オキサゾリジニル、2-チアゾリジニル、4-チアゾリジニル、5-チアゾリジニル、2-イミダゾリジニル、4-イミダゾリジニル、2-ピロリン-2-イル、2-ピロリン-3-イル、3-ピロリン-2-イル、3-ピロリン-3-イル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、1,3-ジオキサ-5-イル、2-テトラヒドロピラニル、4-テトラヒドロピラニル、2-テトラヒドロチエニル、3-ヘキサヒドロピリダジニル、4-ヘキサヒドロピリダジニル、2-ヘキサヒドロピリミジニル、4-ヘキサヒドロピリミジニル、5-ヘキサヒドロピリミジニルおよび2-ピペラジニル;
・1〜4個の窒素原子または1〜3個の窒素原子と1個の硫黄もしくは酸素原子を含んでいる5員へテロアリール:炭素原子に加えて1〜4個の窒素原子または1〜3個の窒素原子と1個の硫黄もしくは酸素原子を環構成員として含むことができる5員環へテロアリール基で、例えば2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリルおよび1,3,4-トリアゾール-2-イル;
・1〜3個または1〜4個の窒素原子を含んでいる6員へテロアリール:炭素原子に加えて1〜3個または1〜4個の窒素原子を環構成員として含むことができる6員環へテロアリール基で、例えば2-ピリジニル、3-ピリジニル、4-ピリジニル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニルおよび2-ピラジニル;
アルキレン:二重結合を介して骨格に結合されている1〜4または6個の炭素原子をもつ飽和直鎖または分枝鎖炭化水素基で、例えば=CH2、=CH-CH3、=CH-CH2-CH3
オキシアルキレンオキシ:1〜3個のCH2基から形成される非分枝二価の鎖でこの場合両方の価が骨格に酸素原子を介して結合されており、例えばOCH2O、OCH2CH2OおよびOCH2CH2CH2O。
【0032】
本発明の範囲には、キラル中心をもっている式Iで表される化合物の(R)-および(S)-異性体およびラセミ化合物も包含される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
式Iで表されるトリアゾロピリミジンの意図される使用を鑑みると、置換基が、それぞれの場合単独でまたは組み合せで、以下の意味をもっているのが特に好ましい。
【0034】
好ましいのは、R1がC1〜C4-アルキル、C2〜C6-アルケニルまたはC1〜C8-ハロアルキルである化合物Iである。
【0035】
好ましいのは、R1が基Aである化合物Iである:
【化8】

【0036】
式中
Z1は、水素、フッ素またはC1〜C6-フルオロアルキルであり、
Z2は、水素またはフッ素であるか、または
Z1とZ2は、一緒に二重結合を形成しており;
qは、0または1であり;
R3は、水素またはメチルである。
【0037】
さらに、好ましいのは、R1が、C1〜C4-アルキルで置換されていてもよいC3〜C6-シクロアルキルである化合物Iである。
【0038】
特に好ましいのは、R2が水素である化合物Iである。
【0039】
同様に好ましいのは、R2がメチルまたはエチルである化合物Iである。
【0040】
R1および/またはR2がキラル中心をもつハロアルキルまたはハロアルケニル基を含んでいる場合は、その(S)異性体がこれらの基については好ましい。R1またはR2中にキラル中心をもつハロゲン無しのアルキル基またはアルケニル基の場合は、好ましいのは(R)配置の異性体である。
【0041】
好ましいのはさらに式IにおいてL1、L2およびL3が塩素である化合物である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態は、次の式I.1で表される化合物に関するものである:
【化9】

【0043】
式中
Gは、C2〜C6-アルキル(好ましくはエチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチルまたはt-ブチル)、C1〜C4-アルコキシメチル(好ましくはエトキシメチル)、またはC3〜C6-シクロアルキル(好ましくはシクロペンチルまたはシクロヘキシル)であり;
R2は、水素またはメチルであり;
Xは、式Iについて定義されたとおりであり、特にシアノ、メトキシまたはエトキシである。
【0044】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、次の式I.2で表される化合物に関するものである:
【化10】

【0045】
式中Yは水素またはC1〜C4-アルキル(好ましくはメチルおよびエチル)であり、Xは式Iに対して定義したとおりであり特にシアノ、メトキシまたはエトキシである。
【0046】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、R1とR2が、それらが結合している窒素原子と一緒に、Nを介して結合されている、またO、NおよびSからなる群から選択されるさらなるヘテロ原子を環構成員として含んでいてもよい、および/またはハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-ハロアルケニル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-ハロアルコキシ、C3〜C6-アルケニルオキシ、C3〜C6-ハロアルケニルオキシ、C1〜C6-アルキレンおよびオキシ-C1〜C3-アルキレンオキシからなる群から選択される1個または複数個の置換基を有していてもよい5員もしくは6員ヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成している化合物に関するものである。これらの化合物は、好ましくは式I.3に対応している:
【化11】

【0047】
式中、
Dは、窒素原子と一緒に、Nを介して結合されている、またO、NおよびSからなる群から選択されるさらなるヘテロ原子を環構成員として含んでいてもよい、および/またはハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-ハロアルケニル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-ハロアルコキシ、C3〜C6-アルケニルオキシ、C3〜C6-ハロアルケニルオキシ、(エキソ)-C1〜C6-アルキレンおよびオキシ-C1〜C3-アルキレンオキシからなる群から選択される1個または複数個の置換基を有していてもよい5員もしくは6員ヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成しており;
Xは、式Iに対して定義したとおりであり特にシアノ、メトキシまたはエトキシである。
【0048】
特に好ましいのは、式I.3において基L1、L2およびL3が以下のとおり定義されるものである:
L1は塩素であり、L2およびL3はフッ素である;
L1はフッ素であり、L2は塩素であり、L3はフッ素である;
L1およびL2はフッ素であり、L3は塩素である;または
L1は塩素であり、L2はフッ素であり、L3は塩素である。
【0049】
好ましいのはさらに、R1とR2が、それらが結合している窒素原子と一緒にピペリジニル、モルホリニルまたはチオモルホリニル環、特にピペリジニル環を形成している化合物Iであり、これらは、適切な場合は、1〜3個のハロゲン基、C1〜C4-アルキルまたはC1〜C4-ハロアルキル基で置換されている。特に好ましいのは、R1とR2が、それらが結合している窒素原子と一緒に4-メチルピペリジン環を形成している化合物である。
【0050】
本発明のさらなる好ましい目的物は、R1とR2が、それらが結合している窒素原子と一緒にピラゾール環を形成している化合物Iであり、このピラゾール環は、適切な場合は、1個または2個のハロゲン、C1〜C4-アルキルまたはC1〜C4-ハロアルキル基、好ましくは3,5-ジメチルまたは3,5-ジ(トリフルオロメチル)で置換されている。
【0051】
さらに、特に好ましいのは、式IにおいてR1がCH(CH3)-CH2CH3、CH(CH3)-CH(CH3)2、CH(CH3)-C(CH3)3、CH(CH3)-CF3、CH2C(CH3)=CH2、CH2CH=CH2、シクロペンチルまたはシクロヘキシルを表し;R2が水素またはメチルを表すか;またはR1とR2が一緒に-(CH2)2CH(CH3)(CH2)2-、(CH2)2CH(CF3)(CH2)2-または-(CH2)2O(CH2)2-を表す化合物である。
【0052】
特に好ましいのはさらに、Xが、シアノ、メトキシまたはエトキシ、特にシアノまたはメトキシを表す化合物Iである。
【0053】
式Iで表される化合物のもう1つの好ましい実施形態では、Xはメチルである。
【0054】
化合物の使用を鑑みた場合、特に好ましいのは、以下の表にまとめられている化合物Iである。加えて、1つの置換基に対してその表に記載されている各基は、それらが記載されている組み合せとは独立に、それ自体、当該の置換基の特に好ましい形態である。
【0055】
表 1
式IにおいてL1、L2およびL3が塩素であり、Xがシアノであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 2
式IにおいてL1がフッ素であり、L2およびL3が塩素であり、Xがシアノであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 3
式IにおいてL1が塩素であり、L2がフッ素であり、L3が塩素であり、Xがシアノであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 4
式IにおいてL1およびL2がフッ素であり、L3が塩素であり、Xがシアノであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 5
式IにおいてL1およびL3がフッ素であり、L2が塩素であり、Xがシアノであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 6
式IにおいてL1、L2およびL3が塩素であり、Xがメトキシであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 7
式IにおいてL1がフッ素であり、L2およびL3が塩素であり、Xがメトキシであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 8
式IにおいてL1が塩素であり、L2がフッ素であり、L3が塩素であり、Xがメトキシであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 9
式IにおいてL1およびL2がフッ素であり、L3が塩素であり、Xがメトキシであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 10
式IにおいてL1およびL3がフッ素であり、L2が塩素であり、Xがメトキシであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 11
式IにおいてL1、L2およびL3が塩素であり、Xがエトキシであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 12
式IにおいてL1がフッ素であり、L2およびL3が塩素であり、Xがエトキシであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 13
式IにおいてL1が塩素であり、L2がフッ素であり、L3が塩素であり、Xがエトキシであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 14
式IにおいてL1およびL2がフッ素であり、L3が塩素であり、Xがエトキシであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 15
式IにおいてL1およびL3がフッ素であり、L2が塩素であり、Xがエトキシであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 16
式IにおいてL1、L2およびL3が塩素であり、Xがメチルであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 17
式IにおいてL1がフッ素であり、L2およびL3が塩素であり、Xがメチルであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 18
式IにおいてL1が塩素であり、L2がフッ素であり、L3が塩素であり、Xがメチルであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 19
式IにおいてL1およびL2がフッ素であり、L3が塩素であり、Xがメチルであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
表 20
式IにおいてL1およびL3がフッ素であり、L2が塩素であり、Xがメチルであり、R1とR2の組み合せがそれぞれの化合物について表Aにあるひとつの行に対応している化合物
【表A】




化合物Iは殺菌剤として好適である。これらは、広い範囲の植物病原性菌類、特に子嚢菌綱[Ascomycetes]、不完全菌綱[Deuteromycetes]、卵菌綱[Oomycetes]および担子菌綱[Basidiomycetes]のクラスからの菌類に対する抜きん出た効果で区別される。一部のものは浸透的に作用し、それらは、植物保護において、葉面殺菌剤および土壌殺菌剤として使用することができる。
【0056】
これらは、コムギ、ライムギ、オオムギ、オートムギ、イネ、トウモロコシ、牧草、バナナ、ワタ、ダイズ、コーヒーの木、サトウキビ、ブドウの木、果物の木、観葉植物などの様々な作物植物、およびキュウリ、マメ、トマト、ジャガイモ、ウリなどの野菜、ならびにこれらの植物の種子につく数多くの菌類の防除において特に重要である。
【0057】
これらは、以下の植物の病気の防除に特に適している:
果物および野菜につくアルテルナリア種[Alternaria species]、
禾穀類、イネおよび芝生につくビポラリス種[Bipolaris species]およびドレクスレラ種[Drechslera species]、
禾穀類につくブルメリア・グラミニス[Blumeria graminis](ウドンコ病)、
イチゴ、野菜、観葉植物、およびブドウの木につくボトリチス・シネレア[Botrytis cinerea](灰色カビ病)、
ウリ科植物につくエリシフェ・シコラセアルム[Erysiphe cichoracearum]およびスファエロテカ・フリギネア[Sphaerotheca fuliginea]、
様々な植物につくフサリウム種[Fusarium species]およびベルチシリウム種[Verticillium species]、
禾穀類、バナナおよびラッカセイにつくマイコスファエレラ種[Mycosphaerella species]、
ジャガイモおよびトマトにつくフィトフトラ・インフェスタンス[Phytophthora infestans]、
ブドウの木につくプラスモパラ・ビチコーラ[Plasmopara viticola]、
リンゴの木につくポドスファエラ・ロイコトリカ[Podosphaera leucotricha]、
コムギおよびオオムギにつくシュードセルコスポレラ・ヘルポトリコイデス[Pseudocercosporella herpotrichoides]、
ホップおよびキュウリにつくシュードペロノスポラ種[Pseudoperonospora species]、
禾穀類につくプッシニア種[Puccinia species]、
イネにつくピリクラリア・オリザエ[Pyricularia oryzae]、
ワタ、イネおよび芝生につくリゾクトニア種[Rhizoctonia species]、
コムギにつくセプトリア・トリチシ[Septoria tritici]およびスタゴノスポラ・ノドラム[Stagonospora nodorum]、
ブドウの木につくウンシヌラ・ネカトール[Uncinula necator]、
禾穀類およびサトウキビにつくウスチラゴ種[Ustilago species]、
リンゴの木およびナシの木につくベンチュリア種[Venturia species](疥癬)。
【0058】
化合物Iは、材料(例えば木材、紙、塗料分散液、繊維、または織物)や保存製品の保護における有害菌類(例えばパエシロマイセス・バリオチイ[Paecilomyces variotii]など)の防除にも適している。
【0059】
化合物Iを用いるには、菌類、または菌類の攻撃から守るべき植物、種子、材料、もしくは土壌を、活性化合物の殺菌に有効な量で処理する。施用は、菌による材料、植物、または種子の感染の前および後のいずれでも行うことができる。
【0060】
殺菌性組成物は一般に活性化合物を重量で0.1〜95%、好ましくは0.5〜90%含んでいる。
【0061】
植物保護で用いる場合は、施用される量は、所望の効果の種類に応じて、1ヘクタール(ha)当たり活性化合物0.01〜2.0kgである。
【0062】
種子の処理では、種子100キログラム当たり1〜1000g、好ましくは5〜100gの活性化合物の量が一般に必要である。
【0063】
材料または保存製品の保護で用いる場合は、施用する活性化合物の量は、施用土地の種類および所望の効果によって決まる。材料の保護で通常に施用される量は、処理される材料1立米当たり、例えば活性化合物0.001g〜2kg、好ましくは0.005g〜1kgである。
【0064】
化合物Iは、慣用の製剤、例えば溶液剤、乳液剤、懸濁液剤、散剤、粉剤、ペースト剤、顆粒剤などに変換することができる。施用剤形は、その特定の意図する用途によって決まるものであり、それぞれの場合本発明による化合物の細かくて均一な分散が確実になされていなければならない。
【0065】
製剤は公知の方法、例えば、所望の場合は乳化剤や分散剤を用いて、本活性化合物を溶媒、および/または担体でのばすことにより調製される。好適である溶剤/助剤は基本的には以下である:
・水、芳香族溶剤(例えば、Solvessoの製品、キシレン)、パラフィン類(例えば、石油留分)、アルコール類(例えばメタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン類(例えば、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン)、ピロリドン(NMP、NOP)、酢酸エステル(二酢酸グリコール)、グリコール類、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸、および脂肪酸エステル(基本的には、溶剤混合物も用いることができる)、
・担体としては粉砕天然鉱物(例えば、カオリン、クレイ、タルク、チョーク)や粉砕合成鉱物(例えば、高度分散シリカ、シリケート);乳化剤としては非イオン性乳化剤やイオン性乳化剤(例えば、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルスルホネート、アリールスルホネートなど)、および分散剤としてはリグノ亜硫酸廃液やメチルセルロース。
【0066】
好適な界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびアンモニウム塩;アリールスルホン酸アルキル、硫酸アルキル、スルホン酸アルキル、硫酸脂肪アルコール;脂肪酸;および硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテル;さらにはスルホン化ナフタレンおよびナフタレン誘導体とホルムアルデヒドの縮合物、ナフタレンまたはナフタレンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドの縮合物;ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル;エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール;アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリルフェニルポリグリコールエーテル;アルキルアリールポリエーテルアルコール;アルコールと脂肪アルコール/エチレンオキシドの縮合物;エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグノ亜硫酸廃液、およびメチルセルロースである。
【0067】
直接散布可能な溶液剤、乳液剤、ペースト剤、またはオイル分散液剤を調製するのに適している物質は、中〜高沸点の石油留分例えばケロシンやディーゼルオイルさらにはコールタールオイル、および植物または動物由来の油、脂肪族、環状および芳香族炭化水素例えばトルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレンもしくはその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、イソホロン、強極性溶剤例えばジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、および水、である。
【0068】
粉剤、広域散布用材料および粉散性製品は、本活性物質と固体担体を混ぜるまたは同時に粉砕することによって調製することができる。
【0069】
粒剤(例えば、被覆粒剤[coated granule]、含浸粒剤[impregnated granule]、均質粒剤[homogeneous granule]など)は、本活性化合物を固体担体に結合させることにより調製することができる。固体担体の例は、鉱物質土類[mineral earth](例えば、シリカゲル、シリケート、タルク、カオリン、アタクレー[attaclay]、石灰石、石灰、チョーク、膠灰粘土、黄土、粘土、ドロマイト、ケイ藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウムなど)、粉砕された合成材料、肥料(例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素など)、栽培植物の産物(例えば、穀粉、樹皮粉、木粉、堅果殻粉など)、セルロース粉末、およびその他の固体担体である。
【0070】
一般に、本製剤は、本活性化合物を0.01〜95重量%、好ましくは0.1〜90重量%含んでいる。本活性化合物は、純度90%〜100%、好ましくは95%〜100%(NMRスペクトルによる)で用いる。
【0071】
以下は製剤の例である。
【0072】
1.水で希釈する製品
A 液剤[water-solbule concentrates](SL)
10重量部の本発明化合物を、水または水溶性溶媒に溶解させる。別法として、湿潤剤または他の補助剤を添加する。本活性化合物は、水で希釈すると溶解する。
【0073】
B 分散製剤[dispersible concentrates](DC)
20重量部の本発明化合物を、シクロヘキサノンに分散剤(例えば、ポリビニルピロリドン)を加えて溶解させる。水で希釈することにより、分散液が得られる。
【0074】
C 乳剤[emulsifiable concentrates](EC)
15重量部の本発明化合物を、キシレンにドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとヒマシ油エトキシレート(いずれも、5%濃度)を加えて溶解させる。水で希釈することにより、乳液が得られる。
【0075】
D エマルション製剤[emulsions](EW、EO)
40重量部の本発明化合物を、キシレンにドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムとヒマシ油エトキシレート(いずれも、5%濃度)を加えて溶解させる。この混合物を、乳化機(Ultraturrax)を用いて水に導入し、均質なエマルションとする。水で希釈することにより、乳液が得られる。
【0076】
E 懸濁製剤[suspensions](SC、OD)
撹拌下にあるボールミル内で、20重量部の本発明化合物に分散剤、湿潤剤および水または有機溶媒を添加して細分することにより、活性化合物の微細懸濁液が得られる。水で希釈することにより、活性化合物の安定した懸濁液が得られる。
【0077】
F 顆粒水和剤[water dispersible granule]および顆粒水溶剤[water-soluble granules](WG、SG)
50重量部の本発明化合物に分散剤および湿潤剤を添加して微粉砕し、専用の装置(例えば、押出機、噴霧塔、流動床など)を用いて顆粒水和剤または顆粒水溶剤とする。水で希釈することにより、本活性化合物の安定な分散液または溶液が得られる。
【0078】
G 水和剤[water-dispersible powders]および水溶剤[water-soluble powders](WP、SP)
ローター・ステーターミル[rotor-stator mill]内で、75重量部の本発明化合物に分散剤、湿潤剤およびシリカゲルを添加して粉砕する。水で希釈することにより、本活性化合物の安定な分散液または溶液が得られる。
【0079】
2.希釈せずに施用する製品
H 粉剤[dust](DP)
5重量部の本発明化合物を微粉砕し、95%の微粉砕カオリンと充分に混合する。これにより散粉製品(dustable product)が得られる。
【0080】
I 粒剤[granules](GR、FG、GG、MG)
0.5重量部の本発明化合物を微粉砕し、95.5%の担体と組み合わせる。現在の方法は、押出、噴霧乾燥、または流動床である。これにより、希釈せずに施用する顆粒が得られる。
【0081】
J ULV溶液剤(UL)
10重量部の本発明化合物を、有機溶媒(例えば、キシレン)に溶解させる。これにより、希釈せずに施用する製品が得られる。
【0082】
本活性化合物は、散布[spraying]、噴霧[atomizing]、散粉[dusting]、広域散布[broadcasting]、または散水[watering]により、その製剤の形態または該製剤から調製された施用の形態例えば直接散布可能な溶液、粉末、懸濁液若しくは分散液、乳液、油性分散液、ペースト、粉散性製品、広域散布用製品、または顆粒の形態で使用することができる。施用の形態は、もっぱらその意図された用途に依存するが、いずれの場合も、本発明の活性化合物が確実に可能な限り微細に分散されるようなものであるべきである。
【0083】
水性の施用形態のものは、乳剤、ペースト剤、または水和剤(散布用粉剤[spray powders]、油性分散剤)から、水を加えることにより調製することができる。乳液、ペースト、または油性分散液を調製するには、本物質を、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤、または乳化剤を用いて、そのまま水にあるいは油または溶媒に溶解させて均質化することができる。しかしながら、活性物質、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤もしくは乳化剤、およびおそらくは水で希釈するのに適している溶媒もしくは油、を含んでいる濃厚物を調製することもできる。
【0084】
直ぐに使える調製物中における本活性化合物の濃度は、比較的広い範囲で変り得る。一般に、それらは、0.0001〜10%、好ましくは、0.01〜1%である。
【0085】
本活性化合物は、超微量散布(ULV[ultra-low volume])法で用いても成功することができ、活性化合物95重量%超の製剤あるいは添加物なしの本活性化合物そのものを施用することができる。
【0086】
本活性化合物には、必要であれば、また、使用直前に、各種のタイプの油、湿潤剤、アジュバント、除草剤、殺菌剤、他の農薬、殺菌剤などを添加することもできる(タンクミックス)。これらの薬剤は、本発明による調製物に、1:10〜10:1の重量比で加えることができる。
【0087】
本発明による調製物は、殺菌剤としての施用形態において、他の活性化合物例えば除草剤、殺虫剤、生長調節剤、殺菌剤、あるいは肥料とも、一緒に存在させることもできる。殺菌剤としての施用形態にある化合物Iまたはそれを含んでいる調製物を他の殺菌剤と混ぜると、多くの場合、殺菌活性スペクトルの拡大が得られる。
【0088】
本発明による化合物と一緒に使用することができる殺菌剤についての下記リストは、可能な組合せを例示することを目的とするものであって、それらを限定するものではない。
【0089】
・ アシルアラニン系、例えば、ベナラキシル、メタラキシル、オフレース、またはオキサジキシル;
・ アミン誘導体、例えば、アルジモルフ、ドジン、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、フェンプロピジン、グアザチン、イミノクタジン、スピロキサミン、またはトリデモルフ;
・ アニリノピリミジン系、例えば、ピリメタニル、メパニピリム、またはシロジニル:
・ 抗生物質、例えば、シクロヘキシミド、グリセオフルビン、カスガマイシン、ナタマイシン、ポリオキシン、またはストレプトマイシン;
・ アゾール系、例えば、ビテルタノール、ブロモコナゾール(bromoconazole)、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニトロコナゾール(dinitroconazole)、エニルコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、ヘキサコナゾール、イマザリル、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロクロラズ、プロチオコナゾール(prothioconazole)、テブコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリフルミゾール、またはトリチコナゾール;
・ ジカルボキシイミド系、例えば、イプロジオン、ミクロゾリン、プロシミドン、またはビンクロゾリン;
・ ジチオカーバメート系、例えば、フェルバム、ナバム、マネブ、マンコゼブ、メタム、メチラム、プロピネブ、ポリカーバメート、チラム、ジラム、またはジネブ;
・ ヘテロ環化合物、例えば、アニラジン、ベノミル、ボスカリド、カルベンダジン、カルボキシン、オキシカルボキシン、シアゾファミド、ダゾメット、ジチアノン、ファモキサドン、フェナミドン、フェナリモール、フベリダゾール、フルトラニル、フラメトピル、イソプロチオラン、メプロニル、ヌアリモール、プロベナゾール、プロキナジド(proquinazid)、ピリフェノックス、ピロキロン、キノキシフェン、シルチオファム、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート-メチル、チアジニル、トリシクラゾール、またはトリホリン;
・ 銅殺菌剤、例えば、ボルドー液、酢酸銅、オキシ塩化銅、または塩基性硫酸銅;
・ ニトロフェニル誘導体、例えば、ビナパクリル、ジノカップ、ジノブトン、またはニトロフタル-イソプロピル;
・ フェニルピロール系、例えば、フェンピクロニル、またはフルジオキソニル;
・ 硫黄;
・ その他の殺菌剤、例えば、アシベンゾラル-S-メチル、ベンチアバリカルブ、カルプロパミド、クロロタロニル、シフルフェナミド、シモキサニル、ダゾメット、ジクロメジン、ジクロシメット、ジエトフェンカルブ、エジフェンホス、エタボキサム、フェンヘキサミド、酢酸フェンチン、フェノキサニル、フェリムゾン、フルアジナム、ホセチル、ホセチル-アルミニウム、イプロバリカルブ、ヘキサクロロベンゼン、メトラフェノン、ペンシクロン、プロパモカルブ、フタリド、トルクロホス-メチル、キントゼン、またはゾキサミド;
・ ストロビルリン系、例えば、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、またはトリフロキシストロビン;
・ スルフェン酸誘導体、例えば、キャプタホール、キャプタン、ジクロフルアニド、ホルペット、またはトリルフルアニド;
・ シンナミド系(cinnamides)および類似化合物、例えば、ジメトモルフ、フルメトベル(flumetover)、またはフルモルフ(flumorph)。
【実施例】
【0090】
合成の実施例
以下の合成の実施例に示されている手順を用いて、出発化合物を適切に変換することで、さらなる化合物Iを得ることができる。
【0091】
実施例 1:5-シアノ-6-(2,4,6-トリクロロフェニル)-7-(4-メチルピペリジニル)-1,2,4-トリアゾロ[1,5a]ピリミジンの調製
アセトニトリル3 mL中5-クロロ-6-(2,4,6-トリクロロフェニル)-7-(4-メチルピペリジニル)-1,2,4-トリアゾロ[1,5a]ピリミジン[参照:US 6,242,451]0.4 g(0.92ミリモル)とシアン化テトラブチルアルミニウム1.2 g(4.6ミリモル)の溶液を60℃にて5時間撹拌した。このあとその溶媒を留去し、その残留物を、アセトニトリル/水の混合物を用いたシリカゲルRP-18上の分取MPLCにより精製した。これにより、表題化合物0.2 gを、融点が177〜179℃である無色の固形物として得た。
【0092】
1H-NMR (CDCl3, δ[ppm]): 8.55 (s, 1H); 7.6 (s, 2H); 3.8 (m, 2H); 2.9 (m, 2H) 1.7 (m, 2H); 1.6 (m, 1H); 1.4 (m, 2H); 1.0 (d, 3H)。
【0093】
実施例 2:5-メトキシ-6-(2,4,6-トリクロロフェニル)-7-(4-メチルピペリジニル)-1,2,4-トリアゾロ[1,5a]ピリミジンの調製
30%濃度のナトリウムメトキシド溶液1 gを、メタノール3 mL中5-クロロ-6-(2,4,6-トリクロロフェニル)-7-(4-メチルピペリジニル)-1,2,4-トリアゾロ[1,5a]ピリミジン[参照:US 6,242,451]0.2 g(0.46ミリモル)溶液に加え、得られた混合物を60℃にて2.5時間撹拌した。これの溶媒を除去したあと、その残留物を、アセトニトリル/水の混合物を用いたシリカゲルRP-18上の分取MPLCにより精製した。これにより、表題化合物0.02 gを、黄色の樹脂状物として得た。
【0094】
1H-NMR (CDCL3, δ[ppm]): 8.25 (s, 1H); 7.5 (s, 2H); 4.0 (s, 3H); 3.55 (d, broad, 2H); 2.8 (t, broad, 2H); 1.6 (d, broad, 2H); 1.5 (m, 1H); 1.25-1.4 (m, 2H); 0.95 (d, 3H)。
【0095】
有害真菌類に対する作用例
式Iの化合物の殺菌作用を下記の試験で立証した。
【0096】
各活性化合物を、溶媒対乳化剤の体積比が99対1にあるアセトンおよび/またはDMSO対乳化剤Uniperol[登録商標] EL(乳化作用と分散作用があるエトキシル化アルキルフェノール系湿潤剤)を用いて10mLにされた、活性化合物25 mgを含むストック溶液として調製した。混合物を水で100mlにした。このストック溶液を、記載した溶媒/乳化剤/水の混合物で、後に述べる活性化合物濃度に希釈した。
【0097】
作用例 1:ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)によって引き起こされるオオムギの網斑病に対する活性、保護的施用
オオムギ栽培品種「Hanna」の鉢植えの苗木の葉に、後に述べる活性化合物濃度の水性懸濁液を流れ落ちる程度までスプレーした。このスプレーコーティングが乾いたあと24時間に、試験植物に、網斑病の病原体であるピレノホラ[ドレクスレラと同じ]・テレスの胞子水性懸濁液を接種した。試験植物をこのあと、温度が20〜24℃で相対雰囲気湿度が95〜100%にある温室に入れた。6日後、病気の発生の程度を、目により、葉の全面積の感染%で決定した。
【0098】
この試験では、実施例1の化合物250ppmで処理した植物は約1%の感染を示したが、処理していない植物は90%感染していた。
【0099】
作用例 2:ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)によって引き起こされるピーマンの葉の灰色カビ病に対する活性、保護的施用
ピーマン栽培品種「Neusiedler Ideal Elite」の苗木に、2〜3葉が十分育ったあと、後に述べる活性化合物濃度の水性懸濁液を流れ落ちる程度までスプレーした。次の日、処理した植物に、2%バイオモールド[biomold]水溶液中に1.7×106胞子/mLを含有するボトリチス・シネレアの胞子懸濁液を接種した。この植物をこのあと22〜24℃で高雰囲気湿度にある暗黒気候順化チャンバーに入れた。5日後には、葉に対する真菌の感染の程度は目により%で決定することができた。
【0100】
この試験では、実施例1の化合物250ppmで処理した植物は約7%の感染を示したが、処理していない植物は100%感染していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式I
【化1】

[式中の各置換基は以下に定義されているとおりである:
R1は、C1〜C8-アルキル、C1〜C8-ハロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-ハロシクロアルキル、C2〜C8-アルケニル、C2〜C8-ハロアルケニル、C3〜C6-シクロアルケニル、C3〜C6-ハロシクロアルケニル、C2〜C8-アルキニル、C2〜C8-ハロアルキニル、フェニル、ナフチル、あるいはO、NおよびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含んでいる5員もしくは6員の飽和、部分不飽和または芳香族ヘテロ環であり、
R2は水素、またはR1で記載した基のうちのひとつであり、
R1とR2はまた、それらが結合している窒素原子と一緒に5員もしくは6員ヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成していてもよく、その形成された基はNを介して結合されており、またO、NおよびSからなる群から選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を環構成員として含んでいてもよくおよび/またはハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-ハロアルケニル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-ハロアルコキシ、C3〜C6-アルケニルオキシ、C3〜C6-ハロアルケニルオキシ、(エキソ)-C1〜C6-アルキレンおよびオキシ-C1〜C3-アルキレンオキシからなる群から選択される1個または複数個の置換基を有していてもよく;
R1および/またはR2は、1〜4個の同じまたは異なる基Raを有していてもよく、
Raは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルキルカルボニル、C3〜C6-シクロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-ハロアルコキシ、C1〜C6-アルコキシカルボニル、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-アルキルアミノ、ジ-C1〜C6-アルキルアミノ、C2〜C8-アルケニル、C2〜C8-ハロアルケニル、C2〜C6-アルケニルオキシ、C2〜C8-アルキニル、C2〜C8-ハロアルキニル、C3〜C6-アルキニルオキシ、オキシ-C1〜C3-アルキレンオキシ、C3〜C8-シクロアルケニル、フェニル、ナフチル、あるいはO、NおよびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含んでいる5員もしくは6員の飽和、部分不飽和または芳香族ヘテロ環であり、これらの脂肪族基、脂環式基または芳香族基はそれら自体部分的または完全にハロゲン化されていてもよく;
L1、L2、L3は互いに独立に塩素またはフッ素でありこの場合少なくとも1つの基は塩素であり;
Xは、シアノ、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-アルコキシ、C3〜C4-アルケニルオキシ、C1〜C2-ハロアルコキシまたはC3〜C4-ハロアルケニルオキシである。]
で表される6-(2,4,6-トリハロフェニル)トリアゾロピリミジン。
【請求項2】
Xがシアノ、C1〜C4-アルコキシ、C3〜C4-アルケニルオキシ、C1〜C2-ハロアルコキシまたはC3〜C4-ハロアルケニルオキシである、請求項1に記載の式Iで表される化合物。
【請求項3】
Xがシアノである、請求項1または2に記載の式Iで表される化合物。
【請求項4】
Xがメチルである、請求項1に記載の式Iで表される化合物。
【請求項5】
Xがメトキシである、請求項1または2に記載の式Iで表される化合物。
【請求項6】
R1とR2が以下のとおり定義される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の式Iで表される化合物:
R1は、CH(CH3)-CH2CH3、CH(CH3)-CH(CH3)2、CH(CH3)-C(CH3)3、CH(CH3)-CF3、CH2C(CH3)=CH2、CH2CH=CH2、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであり;
R2は、水素またはメチルであるか;または
R1とR2は一緒に-(CH2)2CH(CH3)(CH2)2-、-(CH2)2CH(CF3)(CH2)2-または-(CH2)2O(CH2)2-を形成している。
【請求項7】
次の式I.1
【化2】

[式中、
Gは、C2〜C6-アルキル、C1〜C4-アルコキシメチルまたはC3〜C6-シクロアルキルであり;
R2は、水素またはメチルであり;
Xは、シアノ、メチル、メトキシまたはエトキシであり、
L1、L2およびL3は、請求項1で定義したとおりである。]
で表される化合物。
【請求項8】
次の式I.2
【化3】

[式中、Yは水素またはC1〜C4-アルキルであり、Xはシアノ、メチル、メトキシまたはエトキシであり、L1、L2およびL3は請求項1で定義したとおりである。]
で表される化合物。
【請求項9】
次の式I.3
【化4】

[式中、
Dは窒素原子と一緒に5員もしくは6員ヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成しており、この場合その形成された基はNを介して結合されており、またO、NおよびSからなる群から選択される1個のさらなるヘテロ原子を環構成員として含んでいてもよくおよび/またはハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-ハロアルケニル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-ハロアルコキシ、C3〜C6-アルケニルオキシ、C3〜C6-ハロアルケニルオキシ、(エキソ)-C1〜C6-アルキレンおよびオキシ-C1〜C3-アルキレンオキシからなる群から選択される1個または複数個の置換基を有していてもよく;
Xはシアノ、メチル メトキシまたはエトキシであり、
L1、L2およびL3は請求項1で定義したとおりである。]
で表される化合物。
【請求項10】
請求項9において、
L1が塩素であり、L2とL3がフッ素である;
L1がフッ素であり、L2が塩素であり、L3がフッ素である;
L1とL2がフッ素であり、L3が塩素である;または
L1が塩素であり、L2がフッ素であり、L3が塩素である;
式I.3で表される化合物。
【請求項11】
L1、L2およびL3が塩素である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の式I、I.1、I.2またはI.3で表される化合物。
【請求項12】
請求項2に記載の式Iで表される化合物の調製方法であって、次の式II
【化5】

[式中Halはハロゲン原子である]
で表される5-ハロ-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)トリアゾロピリミジンと次の式III
M-X III
[式中Mはアンモニウム、テトラアルキルアンモニウムまたはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属カチオンであり、Xは請求項2で定義したとおりである]
で表される化合物とを反応させることを含む方法。
【請求項13】
XがC1〜C4-アルキルである請求項1に記載の式Iで表される化合物の調製方法であって、次の式IV
【化6】

で表される2-アミノトリアゾールと次の式V
【化7】

[式中RおよびX1は互いに独立してC1〜C4-アルキルであり、L1、L2およびL3は請求項1で定義したとおりである]
で表されるケトエステルとを反応させて次の式VI
【化8】

で表される5-アルキル-7-ヒドロキシ-6-フェニルトリアゾロピリミジンを得、VIをハロゲン化剤でハロゲン化して次の式VII
【化9】

[式中Halはハロゲン原子である]
で表されるハロピリミジンを得、そしてVIIと次の式VIII
【化10】

[式中R1とR2は式Iで定義したとおりである]
で表されるアミンとを反応させることを含む方法。
【請求項14】
請求項1または2に記載の式Iで表される化合物と、固体または液体の担体とを含んでいる組成物。
【請求項15】
請求項1または2に記載の式Iで表される化合物を1〜1000 g/100 kgの量で含んでいる種子。
【請求項16】
植物病原性有害真菌類の防除方法であって、請求項1または2に記載の式Iで表される化合物の有効量で、真菌類、あるいは真菌類の攻撃から守られるべき物質、植物、土壌または種子を処理することを含む方法。

【公表番号】特表2007−514680(P2007−514680A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544307(P2006−544307)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014208
【国際公開番号】WO2005/058903
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】