説明

6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸の結晶形

本発明は、6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸、その医薬的に許容される塩、またはその溶媒和物を提供する。更に式:


[式中、ZはNまたはCR4B;KおよびLは独立してOまたはS;Arは適宜置換されたアリールまたはヘテロアリール;A1、A2、g、およびQは結合;並びにR2、R4a、R4c、およびR16は明細書に定義]の置換スピロ−ヒダントイン化合物の製造方法を提供する。製造方法には、N置換グリシン化合物およびメチレン前駆体化合物のアルケン化合物との反応が含まれる。式IおよびIIの置換スピロ−ヒダントイン化合物は、免疫疾患および/または炎症疾患の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は米国仮出願第60/636,012号(2004年12月14日出願)の優先権を主張し、その内容は本明細書にそのまま引用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸、その医薬的に許容される塩または溶媒和物の結晶形を提供する。医薬組成物、並びに抗炎症性および/または免疫疾患のピリジル置換スピロ−ヒダントイン化合物を用いた治療方法も、本発明の目的物である。また、より一般的に置換されるスピロ−ヒダントイン化合物(ピリジル置換スピロ−ヒダントイン化合物を含む)を製造するのに有用な方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
免疫応答における重要なイベントには、白血球の疾患部位への移動が含まれる。炎症反応の間、白血球は損傷部位に集められ、細胞間および細胞−基質間接着を含む一連の細胞間相互作用によって溢出される。白血球のこれらの細胞間相互作用を阻害する化合物の投与によって、炎症性疾患または免疫疾患の治療への道が提供される。
【0004】
重要な接着機能を果たす分子の特定のファミリーは、インテグリンである。インテグリンは細胞表面に発現され、細胞間および細胞−基質間接着において機能する。インテグリンはアルファ−ベータのヘテロダイマーであり、各インテグリンはベータ(β)サブユニットに非共有結合されたアルファ(α)サブユニットを有する。β2またはCD18サブユニットを有する4つの公知のインテグリンが存在し、CD11/CD18インテグリンサブファミリー、すなわちリンパ球機能関連抗原1(LFA−1)(CDlla/CD18またはαLβ2);マクロファージ抗原1(Mac−1)(CDllb/CD18またはαMβ2);p150,95(CDllc/CD18またはαXβ2);およびαDβ2を含む。インテグリンのCDll/CD18ファミリーはまた、様々な白血球細胞の表面に発現されるのでロイコインテグリンと呼ばれ、多数の炎症関連細胞間相互作用を媒介する。Diamond et al., 「The Dynamic Regulation of Integrin Adhesiveness」 Current Biology, Vol. 4 (1994) at pp. 506-532を参照。
【0005】
活性化されると、インテグリンは細胞外のリガンドに結合し、接着を誘導する。LFA−1およびMac−1のリガンドには、細胞間接着分子(ICAM)ICAM−1が含まれる。主要なCDll/CD18インテグリンはLFA−1であり、それはまたICAM−2およびICAM−3に結合する。CD18インテグリン、特にLFA−1と、ICAMの相互作用は、抗原掲示、T細胞増殖、および内皮と活性化された白血球の間の接着を媒介し、これは白血球が循環器系から組織の中へ移動するのに必要である。CD18インテグリン、ICAM、および/またはLFA−1:ICAM相互作用を阻害する化合物によって、炎症性疾患または免疫疾患の治療における広範囲の有用性が示されている。報告によれば、抗炎症剤として使用するためのLFA−1/ICAMを阻害する化合物には、チアジアゾールを基本骨格とする化合物(Pharmacia & Upjohn Co.によって出願された国際公開番号WO 99/20,618, 「Thiadiazole Amides Useful as Anti-Inflammatory Agents」;および、Pharmacia and UpjohnによるWO 99/20,617も参照);並びにフェニル環およびピラゾール環に結合したチアゾール化合物(Sanfilippo et al., 「Novel Thiazole Based Heterocycles as Inhibitors of LFA-1/ICAM-1 Mediated Cell Adhesion」 J. Med. Chem., Vol. 38 (1995) at pp.1057-1059)が含まれる。報告によれば、ICAMのCD18インテグリンとの結合に対するアンタゴニストである小さな分子には、様々なベンジルアミンおよび2−ブロモベンゾイルトリプトファン化合物(Genentech, Inc.によって出願された、国際公開番号WO99/49,856, 「Antagonists for Treatment of CDll/CD18 Adhesion Receptor Mediated Disorders」を参照)、および1−(3,5−ジクロロフェニル)イミダゾリジン(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals, Inc.によって出願された、国際公開番号WO98/39303, 「Small Molecules Useful in the Treatment of Inflammatory Disease」を参照、Boehringerの特許出願WO 01/07052、WO 01/07048、WO 01/07044、WO 01/06984、およびWO 01/07440もまた参照)が含まれる。ヒダントイン化合物は、国際公開番号WO 00/59880、WO 00/39081、WO 02/02522、およびWO 02/02539(すべてAbbott Laboratoriesによる)において開示される。LFA−1アンタゴニスト化合物もまた、WO 02/059114(Genentechによる)、WO 02/42294(Celltechによる)、WO 01/51508(Science and Technology corporationによる)、WO 00/21920およびWO 01/58853(両方ともHoffmann-LaRocheによる)、WO 99/11258, WO 00/48989、およびWO 02/28832(すべてNovartisによる)において特許請求されている。ヒダントイン化合物は、国際公開番号WO 01/30781 A2(2001年5月3日に公開)「Inhibitors of αLβ2 Mediated Cell Adhesion」において田辺製薬株式会社によって開示され、国際公開番号WO 02/44181(2002年6月6日に公開)「Hydantoin Compounds Useful as Anti-Inflammatory Agents」において本出願の譲受人によって開示される。
【0006】
したがって、CD18インテグリン、ICAM、および/またはLFA−1:ICAM相互作用を阻害する化合物は、炎症性疾患または免疫疾患の治療において広範囲の有用性を示しうる。米国特許出願公開2004/0009998 A1(本明細書に引例として引用され、本出願に割り当てられる)は、ロイコインテグリンおよび/またはICAMのアンタゴニストであるアリールまたはヘテロアリール置換スピロ−ヒダントイン化合物を開示しており、例えば、これらの化合物がLFA−1:ICAM相互作用を阻害することを開示している。該引例はまた、これらのスピロ−ヒダントインを製造するための様々な方法、例えば、保護基の導入および続く除去を含んだ多段階の合成も開示されている。
【0007】
CD18インテグリン、ICAM、および/またはLFA−1:ICAM相互作用の公知の阻害剤と比較して、改善された医薬的特徴を有する新規な化合物を見出すことが望ましい。例えば、LFA−1:ICAM相互作用の改善された阻害を示す新規な化合物を見出すことが好ましい。また、有利で改善された医薬的特徴を有する化合物を見出すことも望ましく、好ましい。かかる特徴には、これらに限らないが、(a)医薬的特性;(b)投与的要求;(c)血液濃度のピークと谷の特性を減らすファクター;(d)受容体での活性薬物の濃度を増加させるファクター(例えば、増加した代謝安定性);(e)臨床上の薬物間相互作用の傾向を減少させるファクター;(f)副作用の潜在性を減少させるファクター;および/または(g)生産コストまたは採算性を改善するファクターが含まれる。
【0008】
置換スピロ−ヒダントイン化合物を製造するため新規でおよび/または改善された方法も提供することが当該技術分野で望まれている。かかる方法は、これらに制限されないが、a)大スケール製造、例えばパイロットプラントまたは工業スケールへの容易な適用;b)中間体および/または最終化合物の純度の改善を可能にするプロセス工程および/または技術;および/または c)より少ないプロセス工程を特徴としうる。
【0009】
(発明の概要)
本発明は、式:
【化1】

[式中、
16は、
【化2】

であり;および
17およびqは以下と同義]
の結晶性置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)、そのエナンチオマー、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを提供する。式IIの化合物、特に式IIdの化合物がいくつかの望ましい医薬的特徴を有することが発見された。かかる特徴には、これらに制限されないが、以下で記載される肝臓ミクロソームおよびCYPアッセイにおける試験でそれぞれ示されるような代謝の高安定性および/または薬物間相互作用の低リスクが含まれる。
【0010】
本発明はまた、式:
【化3】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)、そのエナンチオマー、その医薬的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグの結晶形も提供する。
【0011】
本発明はまた、式IIの化合物(式IIdの化合物の結晶形を含む)、および医薬的に許容される担体または希釈剤を含む、免疫または炎症性疾患の治療に有用な医薬組成物に関する。更に本発明は、式IIの化合物(式IIdの化合物を含む)の結晶形の治療上の有効量を治療が必要な患者に投与することからなる免疫または炎症性疾患の治療方法に関する。
【0012】
更に本発明は、式:
【化4】

[式中、Ar、A1、A2、G、K、L、Q、R’、R2、R4a、R4c、R16、およびZは以下の定義と同義]
の置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)の製造方法であって、
式:
【化5】

[式中、記号は上記と同義]
のアルケン化合物(III)を
i)メチレン前駆体化合物および
ii)式:
【化6】

[式中、記号は上記と同義]
のN−置換グリシン化合物(IV)
と接触させて、置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和化合物もしくはプロドラッグを得ることを特徴とする製造方法を提供する。
【0013】
式IおよびIIで表される置換スピロ−ヒダントイン化合物、例えば、スピロ−ヒダントイン化合物(IId)は、免疫または炎症性疾患の治療に有用である。
【0014】
(発明の詳細な説明)
以下は、本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる用語の定義である。本明細書中で化学基または用語に与えられる最初の定義は、特に断りがなければ、個別にまたは他の化学基の一部として、本明細書および特許請求の範囲を通して化学基または用語に適用する。
【0015】
用語「アルキル」とは、1から12個の炭素原子、好ましくは1から8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基をいう。低級アルキル基、すなわち1から4個の炭素原子のアルキル基が最も好ましい。記号「C」の後の下付き文字に数字が現れた場合は、その下付き文字は、特定の化学基が含みうる炭素原子の数をより特異的に定義する。例えば、「C1-6アルキル」は、1から6個の炭素原子をもつ直鎖および分枝鎖のアルキル基を示し、それは例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルなどである。下付き文字「0」とは結合をいう。したがって、用語ヒドロキシ(C0-2)アルキルまたは(C0-2)ヒドロキシアルキルには、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、およびヒドロキシエチルが含まれる。
【0016】
用語「置換アルキル」は、ハロ(例えば、トリフルオロメチル)、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、オキソ(=O)、−ORa、−SRa、(=S)、−NRab、−N(アルキル)3+、−NRaSO2、−NRaSO2c、−SO2c、−SO2NRab、−SO2NRaC(=O)Rb、−SO3H、−PO(OH)2、−C(=O)Ra、−CO2a、−C(=O)NRab、−C(=O)(C1-4アルキレン)NRab、−C(=O)NRa(SO2)Rb、−CO2(C1-4アルキレン)NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaCO2b、−NRa(C1-4アルキレン)CO2b、=N−OH、=N−O−アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリールから選択される1つ、2つ、または3つの置換基を有する上記で定義されたアルキル基を示し、その中でRaおよびRbは、水素、アルキル、アルケニル、−CO2H、−CO2(アルキル)、C3-7シクロアルキル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、ナフチル、4から7員環ヘテロシクロ、および5から6員環ヘテロアリールから選択され、あるいは同一の窒素原子に結合する場合は結合してヘテロシクロまたはヘテロアリールを形成してもよく、並びにRcはRaおよびRbと同じ化学基から選択されるが、水素ではない。水素以外である各RaおよびRb基、並びに各Rc基は、Ra、Rb、および/またはRcの、いずれの利用できる炭素原子または窒素原子に結合する最大3つまでの置換基をさらに適宜有し、前記置換基は、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF3、−O(C1-6アルキル)、−OCF3、−C(=O)H、−C(=O)(C1-6アルキル)、−CO2H、−CO2(C1-6アルキル)、−NHCO2(C1-6アルキル)、−S(C1-6アルキル)、−NH2、−NH(C1-6アルキル)、−N(C1-6アルキル)2、−N(CH33+、−SO2(C1-6アルキル)、−C(=O)(C1-4アルキレン)NH2、−C(=O)(C1-4アルキレン)NH(アルキル)、−C(=O)(C1-4アルキレン)N(C1-4アルキル)2、C3-7シクロアルキル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、ナフチル、4から7員環ヘテロシクロ、または5から6員環ヘテロアリールから選択される。置換アルキルがアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、またはヘテロアリール基で置換される場合は、前記環構造は以下に定義され、したがって置換基を持たないか、1つ、2つ、または3つの置換基を有しうるが、これもまた以下に定義される。
【0017】
記号「CO2」が本明細書中で用いられる場合は、これは−C(=O)−O−基をいうことを意味すると当業者に理解されている。
【0018】
用語「アルキル」が、「アリールアルキル」のような他の化学基とともに用いられる場合は、この結合によって、置換アルキルが含む少なくとも一つの置換基がより特異的に定義される。例えば、「アリールアルキル」とは、少なくとも一つの置換基がアリールである上記で定義される置換アルキル基、例えばベンジルをいう。したがって、用語アリール(C0-4)アルキルには、少なくとも一つのアリール置換基を有する置換低級アルキルが含まれ、他の化学基に直接結合したアリール、すなわちアリール(C0)アルキルもまた含まれる。
【0019】
用語「アルケニル」とは、2から12個の炭素原子および少なくとも一つの二重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基をいう。2から6個の炭素原子のアルケニル基で一つの二重結合を有するものが最も好ましい。
【0020】
用語「アルキニル」とは、2から12個の炭素原子および少なくとも一つの三重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基をいう。2から6個の炭素原子のアルキニル基で一つの三重結合を有するものが最も好ましい。
【0021】
用語「アルキレン」は、1から12個の炭素原子、好ましくは1から8個の炭素原子を有する二価の直鎖または分枝鎖の炭化水素基を示し、例えば、{−CH2−}nであり、その中でnは1から12であり、好ましくは1−8である。低級アルキレン基、すなわち1から4個の炭素原子のアルキレン基が最も好まれる。用語「アルケニレン」および「アルキニレン」とは、それぞれ上記で定義されるアルケニル基およびアルキニル基の二価の基をいう。
【0022】
置換アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基が引用される場合は、これらの化学基は置換アルキル基において上記で定義される1から3個の置換基で置換される。
【0023】
用語「ヘテロアルキレン」とは、2から12個の炭素原子、好ましくは2から8個の炭素原子を有する飽和および不飽和の二価の直鎖または分枝鎖の炭化水素基をいうために本明細書中で用いられ、その中で直鎖の1または2個の炭素原子は、−O−、−S−、−S(=O)−、−SO2−、−NH−、および−NHSO2−から選択されるヘテロ原子によって置換される。したがって、用語「ヘテロアルキレン」には、以下に定義される二価のアルコキシ、チオアルキル、およびアミノアルキル基、並びにアルキル鎖においてヘテロ原子の組み合わせを有するアルキレン基およびアルケニレン基が含まれる。例として、本明細書中で「ヘテロアルキレン」は、−CH2−NH−、−S−(CH21-5NH−CH2−、−O−(CH21-5S(=O)−CH2−などの化学基を含みうる。好ましくは、ヘテロアルキレンは−O−および−S−から同時に選択される二つの隣接原子を有さない。下付き文字が用語ヘテロアルキレンとともに用いられる場合、例えば、C2-3ヘテロアルキレンのような場合は、下付き文字はヘテロ原子の他の化学基における炭素原子の数を示す。したがって、例えば、C1-2ヘテロアルキレンには、−NH−CH2−、−CH2−NH−CH2−、−CH2−CH2−NH−、−S−CH2−、−CH2−S−CH2−、−O−CH2−NH−CH2−、−CH2−O−CH2−などの化学基が含まれうる。
【0024】
用語「置換ヘテロアルキレン」は、上記で定義されるヘテロアルキレン基を示し、その中でヘテロアルキレン鎖において少なくとも一つの窒素または炭素原子は水素以外の化学基に結合する(または、で置換される)。ヘテロアルキレン鎖における炭素原子は、置換アルキル基において上記で列挙されたものから選択される化学基で置換され得、またはアルキルもしくは置換アルキル基でさらに置換されうる。ヘテロアルキレン鎖の窒素原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シアノ、および−A1−Q−A2−R16から選択される化学基で置換され得、その中でA1は結合、C1-2アルキレン、またはC2-3アルケニレンであり;Qは結合、−C(=O)−、−C(=O)NRd−、−C(=S)NRd−、−SO2−、−SO2NRd−、−CO2−、または−NRdCO2−であり;A2は結合、C1-3アルキレン、C2-3アルケニレン、−C1-4アルキレン−NRd−、−C1-4アルキレン−NRdC(=O)−、−C1-4アルキレン−S−、−C1-4アルキレン−SO2−、または−C1-4アルキレン−O−であり、その中で前記A2アルキレン基は、分枝鎖または直鎖であり、置換アルキレンにおいて本明細書中で定義されるように適宜置換され;各R16は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、またはシクロアルキルであり;並びにRdは、本明細書中で定義されるように、水素、アルキル、および置換アルキルから選択されるが、但し、A1、Q、およびA2がそれぞれ結合である場合は、R16は水素ではない。R16がアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロの場合は、これらの環も同様に、これらの用語の定義において以下で定義されるように、1から3個の化学基で適宜置換される。
【0025】
用語「アルコキシ」とは、アルキル鎖中に一つまたは二つの酸素原子(−O−)を有する上記で定義されるアルキルまたは置換アルキル基をいう。例えば、用語「アルコキシ」には、化学基−O−C1-12アルキル、−(C1-6アルキレン)−O−C1-6アルキル、−(C1-4アルキレン−O−C1-4アルキレン)−O−C1-4アルキルなどが含まれる。
【0026】
用語「チオアルキル」または「アルキルチオ」とは、アルキル鎖中に一つまたは二つの硫黄原子を有する上記で定義されるアルキルまたは置換アルキル基をいう。例えば、用語「チオアルキル」または「アルキルチオ」には、化学基−S−C1-12アルキル、−(S−C1-6アルキレン)−S−C1-6アルキルなどが含まれる。
【0027】
用語「アミノアルキル」または「アルキルアミノ」とは、アルキル鎖中に一つまたは二つの窒素(−NR−)原子を有する上記で定義されるアルキルまたは置換アルキル基をいう。例えば、用語「アミノアルキル」には、化学基−NR−C1-12アルキル、−NR−C1-6アルキレン−NR−C1-6アルキルなどが含まれる(ここで、Rは好ましくは水素であるが、上記で定義されるアルキルまたは置換アルキルを含みうる)。下付き文字がアルコキシ、チオアルキルまたはアミノアルキルに関して用いられる場合は、その下付き文字は、ヘテロ原子の他でその化学基が含みうる炭素原子の数を示す。したがって、例えば、一価のC1-2アミノアルキルには、化学基−CH2−NH2、−NH−CH3、−(CH22−NH2、−NH−CH2−CH3、−CH2−NH−CH3、および−N−(CH32が含まれる。低級アミノアルキルには、1から4個の炭素原子を有するアミノアルキルが含まれる。「アミノ」とはNH2基をいう。
【0028】
アルコキシ、チオアルキル、またはアミノアルキル基は一価または二価でありうる。「一価」によって、その化学基が一つの原子価(すなわち、他の化学基と結合することができる能力)を有することが意味され、「二価」によって、その化学基が二つの原子価を有することが意味される。したがって、例えば、一価のアルコキシには、−O−C1-12アルキル、−C1-6アルキレン−O−C1-6アルキル、−C1-4アルキレン−O−C1-4アルキレン−O−C1-4アルキルのような化学基が含まれるのに対し、二価のアルコキシには、−O−C1-12アルキレン−、−C1-6アルキレン−O−C1-6アルキレン−、−C1-4アルキレン−O−C1-4アルキレン−O−C1-4アルキレン−などのような化学基が含まれる。
【0029】
アルコキシ、チオアルキル、およびアミノアルキルの選択は当業者によってなされ、安定な化合物を提供することが理解されるべきである。
【0030】
用語「アシル」は、有機基に結合したカルボニル基、特に、−C(=O)Re基、並びに二価の化学基−C(=O)−または−C(=O)Re−を示し、これらは有機基に結合する。Re基は、本明細書で定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、置換アルキル、置換アルケニル、または置換アルキニル、あるいは必要に応じて、対応する二価の化学基、例えば、アルキレン、アルケニレンなどから選択されうる。したがって、アルケン化合物(III)、および置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)および(II)において、Gが「アシル」でありうることが列挙される場合は、Gとして−C(=O)−並びに化学基−C(=O)Re−または−ReC(=O)−の選択が含まれることが意図され、その中で、この例においては、Re基は二価の化学基、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、二価のアミノアルキル、置換アルキレン、置換アルケニレン、または置換アルキニレンから選択される。
【0031】
用語「アルコキシカルボニル」とは、カルボキシ基(−C(=O)−O−または−O−C(=O)−)が有機基に結合したもの(CO2e)、並びにアルケン化合物(III)、および置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)および(II)において有機基と結合する二価の化学基−CO2−、−CO2e−をいい、その中でReはアシルとして上記で定義される。カルボキシ基が結合する有機基は、一価(例えば、−CO2−アルキルまたは−OC(=O)アルキル)、あるいは二価(例えば、−CO2−アルキレン、−OC(=O)アルキレンなど)でありうる。したがって、アルケン化合物(III)、および置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)および(II)において、Gが「アルコキシカルボニル」でありうることが列挙される場合は、Gとして−CO2−並びに化学基−CO2e−または−ReCO2−の選択が含まれることが意図され、その中で、この例においては、Re基は二価の化学基、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、二価のアミノアルキル、置換アルキレン、置換アルケニレン、または置換アルキニレンから選択される。
【0032】
用語「アミド」または「アミジル」は、−C(=O)NRab基を示し、その中で化学基RaおよびRbは、置換アルキル基の定義において上記で列挙されるように定義される。
【0033】
用語「スルホニル」とは、有機基に結合したスルホキシド基、特に、一価の−S(O)1-2−Re基、または有機基に結合した二価の−S(O)1-2−基をいう。したがって、アルケン化合物(III)、および置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)および(II)において、Gが「スルホニル」でありうることが列挙される場合は、Gとして−S(=O)−または−SO2−、並びに化学基−S(=O)Re−、−ReS(=O)−、−SO2e−、または−ReSO2−の選択が含まれることが意図され、その中で、この例においては、Re基はアシル基およびアルコキシカルボニル基として上記で列挙されるものから選択される。
【0034】
用語「スルホンアミジル」とは、−S(O)2NRab基をいい、その中で化学基RaおよびRbは、置換アルキル基として上記で定義される。また、スルホンアミジル基は二価であり、その場合にRa基およびRb基の一つは結合である。したがって、アルケン化合物(III)、および置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)および(II)において、Gがスルホンアミジルでありうることが述べられる場合は、Gは−S(O)2NRa−基であることが意図される。
【0035】
用語「シクロアルキル」とは、1から4個の環、および一つの環に3から8個の炭素を含む完全に飽和または一部飽和した環状炭化水素基をいう。完全に飽和したシクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれる。一部飽和したシクロアルキル基の例には、シクロブテニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニルが含まれる。「置換シクロアルキル」とは、一つまたはそれ以上の置換基、好ましくは1から4個の置換基で置換されたシクロアルキル基をいい、置換はいずれの結合可能な部位でもよい。置換の例には、これらに限らないが、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、オキソ(=O)、−ORa、−SRa、(=S)、−NRab、−N(アルキル)3+、−NRaSO2、−NRaSO2c、−SO2c、−SO2NRab、−SO2NRaC(=O)Rb、−SO3H、−PO(OH)2、−C(=O)Ra、−CO2a、−C(=O)NRab、−C(=O)(C1-4アルキレン)NRab、−C(=O)NRa(SO2)Rb、−CO2(C1-4アルキレン)NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaCO2b、−NRa(C1-4アルキレン)CO2b、=N−OH、=N−O−アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリールが含まれ、その中でRa、RbおよびRcは置換アルキル基として上記で定義されるものであり、これらはまた同様に置換アルキル基の定義において上記で列挙されるように適宜置換される。用語「シクロアルキル」にもまた、それに縮合した第二の環(例えば、ベンゾ、ヘテロシクロ、またはヘテロアリール環を含む)を有し、あるいは3から4個の炭素原子の炭素−炭素架橋を有するような環が含まれる。シクロアルキルがさらなる環で置換される場合(またはそれに縮合する第二の環を有する場合)、前記環は同様に、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF3、−O(C1-4アルキル)、−OCF3、−C(=O)H、−C(=O)(C1-4アルキル)、−CO2H、−CO2(C1-4アルキル)、−NHCO2(C1-4アルキル)、−S(C1-4アルキル)、−NH2、−NH(C1-4アルキル)、−N(C1-4アルキル)2、−N(C1-4アルキル)3+、−SO2(C1-4アルキル)、−C(=O)(C1-4アルキレン)NH2、−C(=O)(C1-4アルキレン)NH(アルキル)、および/または−C(=O)(C1-4アルキレン)N(C1-4アルキル)2の一つから二つで適宜置換される。
【0036】
用語「シクロアルキル」には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなど、並びに以下の環構造:
【化7】

【化8】

などが含まれ、これらは環のいずれの可能な原子で適宜置換されうる。好ましいシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、
【化9】

が含まれる。
【0037】
用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードをいう。
【0038】
用語「ハロアルキル」は一つまたはそれ以上のハロ置換基を有する置換アルキルを意味する。例えば、「ハロアルキル」には、モノ、ビ、およびトリフルオロメチルが含まれる。
【0039】
用語「ハロアルコキシ」は、一つまたはそれ以上のハロ置換基を有するアルコキシ基を意味する。例えば、「ハロアルコキシ」には、OCF3が含まれる。
【0040】
用語「アリール」とは、フェニル、ビフェニル、1−ナフチル、および2-ナフチルをいう。用語「アリール」には、置換基を有さない環、またはハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、−ORa、−SRa、(=S)、−NRab、−N(アルキル)3+、−NRaSO2、−NRaSO2c、−SO2c、−SO2NRab、−SO2NRaC(=O)Rb、−SO3H、−PO(OH)2、−C(=O)Ra、−CO2a、−C(=O)NRab、−C(=O)(C1-4アルキレン)NRab、−C(=O)NRa(SO2)Rb、−CO2(C1-4アルキレン)NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaCO2b、−NRa(C1-4アルキレン)CO2b、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリールから選択される1つ、2つ、または3つの置換基を有する環が含まれ、その中でRa、Rb、およびRcは上記の置換アルキル基で定義されるものであり、これらはまた同様に、上記で列挙されるように適宜置換される。また、アリール、特にフェニル基に結合した二つの置換基は、結合して、縮合またはスピロ環、例えばシクロペンチルまたはシクロヘキシル、あるいは縮合ヘテロシクロまたはヘテロアリールのようなさらなる環を形成しうる。アリールがさらなる環で置換される場合(またはそれに縮合した第二の環を有する場合)、前記環は同様に、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF3、O(C1-4アルキル)、OCF3、C(=O)H、C(=O)(C1-4アルキル)、CO2H、CO2(C1-4アルキル)、−NHCO2(C1-4アルキル)、−S(C1-4アルキル)、−NH2、−NH(C1-4アルキル)、−N(C1-4アルキル)2、−N(C1-4アルキル)3+、−SO2(C1-4アルキル)、−C(=O)(C1-4アルキレン)NH2、−C(=O)(C1-4アルキレン)NH(アルキル)、および/または−C(=O)(C1-4アルキレン)N(C1-4アルキル)2の一つから二つで適宜置換される。
【0041】
したがって、アリール基の例には:
【化10】

などが含まれ、それは適宜、いずれの可能な炭素原子または窒素原子で置換されうる。好ましいアリール基は適宜置換されたフェニルである。
【0042】
用語「ヘテロシクロ」または「ヘテロ環状」は、置換および無置換の、非芳香族性の3から7員単環式基、7から11員二環式基、並びに10から15員三環式基を示し、その中で少なくとも一つの環は少なくとも一つのヘテロ原子(O、SまたはN)を有する。ヘテロ原子を含むヘテロシクロ基の各環には、一つまたは二つの酸素原子または硫黄原子、および/または、1から4個の窒素原子が含まれうるが、但し各環におけるヘテロ原子の総数は4またはそれ以下であり、また、但し環が少なくとも一つの炭素原子を含む。二環式基および三環式基を完成させる縮合環は、炭素原子のみを含みうるが、飽和、一部飽和、または不飽和であってもよい。窒素原子および硫黄原子は適宜酸化され、窒素原子は適宜四級化されうる。ヘテロシクロ基は、いずれの可能な窒素原子または炭素原子に結合しうる。ヘテロシクロ環には、置換基が含まれないか、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、オキソ(=O)、−ORa、−SRa、(=S)、−NRab、−N(アルキル)3+、−NRaSO2、−NRaSO2c、−SO2c、−SO2NRab、−SO2NRaC(=O)Rb、−SO3H、−PO(OH)2、−C(=O)Ra、−CO2a、−C(=O)NRab、−NRaC(=O)Rb、−C(=O)(C1-4アルキレン)NRab、−C(=O)NRa(SO2)Rb、−CO2(C1-4アルキレン)NRab、−NRaCO2b、−NRa(C1-4アルキレン)CO2b、=N−OH、=N−O−アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリールから選択される一つ、二つまたは三つの置換基が含まれうるが、その中でRa、RbおよびRcは、置換アルキル基について上記で定義されるものであり、これらはまた同様に、上記で列挙されるように適宜置換される。ヘテロシクロがさらなる環で置換される場合、前記環は同様に、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF3、O(C1-4アルキル)、OCF3、C(=O)H、C(=O)(C1-4アルキル)、CO2H、CO2(C1-4アルキル)、−NHCO2(C1-4アルキル)、−S(C1-4アルキル)、−NH2、−NH(C1-4アルキル)、−N(C1-4アルキル)2、−N(C1-4アルキル)3+、−SO2(C1-4アルキル)、−C(=O)(C1-4アルキレン)NH2、−C(=O)(C1-4アルキレン)NH(アルキル)、および/または−C(=O)(C1-4アルキレン)N(C1-4アルキル)2の1から2つで適宜置換される。
【0043】
単環式基の例には、アゼチジニル、ピロリジニル、オキセタニル、イミダゾリニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジル、2−オキソピロロジニル(2-oxopyrrolodinyl)、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、4−ピペリドニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラン、およびテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニルなどが含まれる。二環式ヘテロシクロ基の例には、キヌクリジニルが含まれる。
【0044】
アルケン化合物(III)、および置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)および(II)における好ましいヘテロシクロ基には、
【化11】

が含まれ、それは適宜置換されうる。
【0045】
用語「ヘテロアリール」は、置換および無置換芳香族5または6員単環式基、9または10員二環式基、並びに11から14員三環式基を示し、それは少なくとも一つの環において少なくとも一つのヘテロ原子(O、S、またはN)を有する。ヘテロ原子を含むヘテロアリール基の各環には、一つまたは二つの酸素原子または硫黄原子および/または1から4個の窒素原子が含まれうるが、但し各環におけるヘテロ原子の総数は4つまたはそれ以下であり、各環は少なくとも一つの炭素原子を有する。二環式基および三環式基を完成させる縮合環は、炭素原子のみを含みうるが、飽和、一部飽和、または不飽和であってもよい。窒素原子および硫黄原子は適宜酸化され、窒素原子は適宜四級化されうる。二環式または三環式ヘテロアリール基には、少なくとも一つの完全な芳香環が含まれていなければならないが、他の縮合環は芳香族または非芳香族でありうる。ヘテロアリール基は、いずれの環のいずれの可能な窒素原子または炭素原子に結合しうる。ヘテロアリール環構造には、置換基が含まれないか、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、−ORa、−SRa、(=S)、−NRab、−N(アルキル)3+、−NRaSO2、−NRaSO2c、−SO2c、−SO2NRab、−SO2NRaC(=O)Rb、−SO3H、−PO(OH)2、−C(=O)Ra、−CO2a、−C(=O)(C1-4アルキレン)NRab、−C(=O)NRab、−C(=O)NRa(SO2)Rb、−CO2(C1-4アルキレン)NRab、−NRaC(=O)Rb、−NRaCO2b、−NRa(C1-4アルキレン)CO2b、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリールから選択される一つ、二つまたは三つの置換基が含まれうるが、その中でRa、RbおよびRcは、置換アルキル基について上記で定義されるものであり、これらはまた同様に、上記で列挙されるように適宜置換される。ヘテロアリールがさらなる環で置換される場合、前記環は同様に、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF3、−O(C1-4アルキル)、−OCF3、−C(=O)H、−C(=O)(C1-4アルキル)、−CO2H、−CO2(C1-4アルキル)、−NHCO2(C1-4アルキル)、−S(C1-4アルキル)、−NH2、−NH(C1-4アルキル)、−N(C1-4アルキル)2、−N(C1-4アルキル)3+、−SO2(C1-4アルキル)、−C(=O)(C1-4アルキレン)NH2、−C(=O)(C1-4アルキレン)NH(アルキル)、および/または−C(=O)(C1-4アルキレン)N(C1-4アルキル)2の1から2つで適宜置換される。
【0046】
単環式ヘテロアリール基の例には、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル(pyrazolinyl)、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニルなどが含まれる。
【0047】
二環式ヘテロアリール基の例には、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフラニル、クロモニル(chromonyl)、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジル、ジヒドロイソインドリル、テトラヒドロキノリニルなどが含まれる。
【0048】
三環式ヘテロアリール基の例には、カルバゾリル、ベンゾイドリル(benzidolyl)、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどが含まれる。
【0049】
アルケン化合物(III)、および置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)および(II)において、好ましいヘテロシクロ基には、
【化12】

【化13】

などが含まれ、それはいずれの可能な炭素原子または窒素原子で適宜置換されうる。
【0050】
断りがなければ、特定の名前が付けられたアリール(例えば、フェニル)、シクロアルキル(例えば、シクロヘキシル)、ヘテロシクロ(例えば、ピロリジニル)またはヘテロアリール(例えば、イミダゾリル)について引用される場合、特に断りがなければ、必要に応じて、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリール基について上記で列挙されたものから選択される0から3個、好ましくは0−2個の置換基を有する環がその引用に含まれることを意図している。
【0051】
用語「ヘテロ原子」には、酸素、硫黄、および窒素が含まれる。
【0052】
用語「炭素環」は、全環の全原子が炭素である飽和または不飽和単環または二環を意味する。したがって、その用語には、シクロアルキルおよびアリール環が含まれる。炭素環は置換されうるが、その場合、その置換基はシクロアルキル基およびアリール基について上記で列挙されるものから選択される。
【0053】
用語「不飽和」が本明細書中で環または化学基を示すのに用いられる場合、その環または化学基は完全に不飽和または一部不飽和でありうる。
【0054】
本明細書を通して、その化学基および置換基は、当業者によって選択され、医薬的に許容される化合物として有益な化合物およびその安定な部分を提供し、および/または医薬的に許容される化合物の製造に有益な中間体化合物を提供しうる。
【0055】
式IからIVの化合物は、これもまた本発明の範囲内である塩を形成しうる。特に断りがなければ、式IからIVの一つの化合物の引用には、その塩の引用が含まれるものと理解される。用語「塩」とは、無機および/または有機の酸および塩基で形成される酸性塩および/または塩基性塩をいう。また、用語「塩」には双性イオン分子(分子内塩)が含まれうるが、それは例えば、式IからIVの化合物がアミンまたはピリジンまたはイミダゾール環のような塩基性部分と、カルボン酸のような酸性部分の両方を含む場合である。医薬的に許容される(すなわち、無毒性、生理的に許容される)塩が好まれ、それは例えば、そのカチオンが塩の毒性または生物活性に対して有意に寄与しないような、許容される金属およびアミン塩である。しかしながら、他の塩も、例えば単離段階または精製段階において有用でありうるし、製造の間用いられてもよく、したがって本発明の範囲内であると意図される。式IからIVの化合物の塩は、例えば、塩が沈殿するような溶媒中、または後に凍結乾燥する水性溶媒中で、式IからIVの化合物にある量の酸または塩基、例えば当量を反応させることによって形成されうる。
【0056】
酸付加塩の例には、酢酸塩(酢酸またはトリハロ酢酸、例えばトリフルオロ酢酸で形成されるもの)、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩(camphorsulfonate)、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコへプタン酸塩(glucoheptanoate)、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩(hemisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩(塩酸で形成)、臭化水素酸塩(臭化水素で形成)、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩(マレイン酸で形成)、メタンスルホン酸塩(メタンスルホン酸で形成)、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩(例えば硫酸で形成されるもの)、スルホン酸塩(例えば本明細書中で言及されるもの)、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩のようなトルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩などが含まれる。
【0057】
塩基性塩の例には、アンモニウム塩;ナトリウム、リチウム、およびカリウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウムおよびマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;バリウム、亜鉛、およびアルミニウム塩;トリアルキルアミン(例えばトリエチルアミン)、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、1−エフェンアミン(1-ephenamine)、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、デヒドロアビエチルアミン(dehydroabietylamine)、N−エチルピペリジン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、または類似する医薬的に許容されるアミンのような有機塩基(例えば、有機アミン)との塩;並びにアルギニン、リシンのようなアミノ酸の塩などが含まれる。塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド(例えば、塩化、臭化、およびヨウ化物のメチル、エチル、プロピル、およびブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸化物のジメチル、ジエチル、ジブチル、およびアミル)、長鎖ハライド(例えば、塩化、臭化、およびヨウ化物のデシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリル)、アラルキルハライド(例えば、臭化物のベンジルおよびフェネチル)などのような試薬で四級化されうる。好ましい塩には、一塩酸、硫酸水素、メタンスルホン酸、リン酸、または硝酸の塩が含まれる。
【0058】
式IおよびIIの化合物のプロドラッグおよび溶媒和化合物もまた意図される。用語「プロドラッグ」とは、患者への投与において、代謝過程または化学過程によって化学的変換を受けて式IまたはIIの化合物、並びに/あるいはその塩および/または溶媒和化合物を生ずる化合物をいう。例えば、カルボキシ基を含む化合物は、プロドラッグとして役立つ生理的に加水分解可能なエステルを形成し、体内で加水分解されることによって、自ら式IまたはIIの化合物を生じうる。このようなプロドラッグは、好ましくは経口的に投与されるが、それは多くの場合、加水分解は消化酵素の影響の下で主に起こるからである。非経口投与は、エステル自身が活性である場合、または血液中で加水分解が起こるような場合に用いられうる。式IIおよびIIIの化合物の、生理的に加水分解可能なエステルの例には、C1-6アルキルベンジル、4−メトキシベンジル、インダニル、フタリル、メトキシメチル、C1-6アルカノイルオキシ−C1-6アルキル(例えばアセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、またはプロピオニルオキシメチル)、C1-6アルコキシカルボニルオキシ−C1-6アルキル(例えばメトキシカルボニル−オキシメチルまたはエトキシカルボニルオキシメチル)、グルシルオキシメチル、フェニルグルシルオキシメチル、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)−メチル、並びに、例えばペニシリンおよびセファロスポリンの技術分野において用いられる他の周知な生理的に加水分解可能なエステルが含まれる。このようなエステルは、当該技術分野で公知の通常の技術によって製造されうる。
【0059】
式IおよびIIの化合物およびその塩は互変異性型で存在しうるが、その中で水素原子はその分子の他の部分へと転位され、その結果としてその分子の原子間の化学結合が再配置される。存在しうる限りにおいて、すべての互変異性型が本発明の中に含まれると理解されるべきである。ジアステレオマーの生成物が製造される場合、通常の方法、例えばクロマトグラフィーまたは分別結晶によって分割されうる。化合物(I)および(II)は、遊離型または水和型でありうる。
【0060】
式IおよびIIの化合物もまたプロドラッグ型を有しうる。インビボで変換されて生物活性薬剤(すなわち、式IおよびIIの化合物)を与えるいずれの化合物も、本発明の範囲内および精神であるプロドラッグである。
【0061】
プロドラッグの様々な型は、当該技術分野で周知である。このようなプロドラッグ誘導体の例として、以下を参照せよ(それらのそれぞれは本明細書中に引用される):
a)H. Bundgaardによって出版されたDesign of Prodrugs, (Elsevier, 1985)、および、K. Widder, et al.によって出版されたMethods in Enzymology, Vol. 112, pp. 309-396, (Academic Press, 1985);
b)Krosgaard-LarsenおよびH. Bundgaardによって出版されたA Textbook of Drug Design and Development, Chapter 5, 「Design and Application of Prodrugs」, by H. Bundgaard, pp. 113-191 (1991);並びに
c)H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, Vol. 8, pp. 1-38 (1992)。
【0062】
式IおよびIIの化合物の溶媒和化合物(例えば、水和物)もまた、本発明の範囲内であることがさらに理解されるべきである。溶媒和の方法は、当該技術分野で一般に公知である。
【0063】
本明細書で用いられるような「多形」とは、同じ化学組成を有するが、結晶を形成する分子、原子、および/またはイオンの異なる空間的配置を有する結晶形をいう。
【0064】
本明細書で用いられるように結晶形に言及するのに用いる「実質的に純粋」は、化合物の重さを基準に、90重量%以上の純度を有する化合物の結晶形のサンプルを意味し、例えば、90、91、92、93、94、95、96、97、98、および99重量%以上、また約100重量%の化合物である。残りの物質は、化合物の他の形体および/または反応不純物および/またはその製造から生じた工程での不純物からなる。例えば、化合物IIdの結晶形は、現時点で当該技術分野で公知で一般的に受け入れられている方法によって測定されるように、化合物IIdの結晶形の90重量%以上の純度を有する実質的に純粋であると考えてよい。残る10重量%以下の物質は、化合物IIdの他の形体および/または反応不純物および/または工程での不純物からなる。反応不純物および/または工程での不純物の存在は、当該技術分野で公知の分析技術、例えば、クロマトグラフィ、核磁気共鳴スペクトル、マススペクトル、または赤外吸収スペクトルで決定されうる。
【0065】
本明細書で用いられるような「溶媒和物」とは、結晶構造に取り込まれた溶媒分子を更に含む分子、原子、および/またはイオンの結晶形をいう。溶媒の例は、水を含んだ結晶形である水和物がある。溶媒和物における溶媒分子は、規則的な配列および/または不定な配列で存在しうる。溶媒和物は、溶媒分子の化学量論量または非化学量論量で含まれうる。例えば、溶媒分子の非化学量論量での溶媒和物は溶媒和物から溶媒が一部損失したことによるかもしれない。
【0066】
本発明は、式:
【化14】

[式中、
16は、
【化15】

であり;
各R17は独立して、−OR18、−NR1819、−C(=O)R18、−CO218、−C(=O)NR1819、−NR18C(=O)R19、−NR18C(=O)OR19、−S(O)p19、−NR18SO219、および/または−SO2NR1819であり;好ましくは各R17は独立して、−OR18、−C(=O)R18、−CO218、および/または−C(=O)NR1819であり;更に好ましくは少なくとも1つのR17は−CO218であり;
18およびR19は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、および/または置換シクロアルキルであり;
qは1、2、または3であり;および
pは1または2である]
の結晶性置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)、そのエナンチオマー、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを提供する。
【0067】
本明細書で用いられるような置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)のエナンチオマーまたはエナンチオマーのいずれかの比の混合物(エナンチオマーのラセミ体混合物を含む)を表す。置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)のエナンチオマーは、式:
【化16】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIa)および式:
【化17】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIb)によって表される。
【0068】
置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIa)が好ましい。
【0069】
一つの態様において、各R17が独立して、−OR18、−C(=O)R18、−CO218、および/または−C(=O)NR1819であり;好ましくは少なくとも1つのR17が−CO218であり;より好ましくは少なくとも1つのR17が−CO2Hであり;R18およびR19が独立して、水素、アルキル、および/または置換アルキルであり;およびR16およびqが上記と同義である、置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)が提供される。
【0070】
この態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIa)で表されるエナンチオマーが好ましい。
【0071】
別の態様において、各R17が独立して、−OR18、−C(=O)R18、−CO218、および/または−C(=O)NR1819であり、好ましくは少なくとも1つのR17が−CO218であり;より好ましくは少なくとも1つのR17が−CO2Hであり;R18およびR19が独立して、水素、アルキル、および/または置換されたアルキルであり;
qが1であり;およびR16が上記と同義である、置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)を提供する。
【0072】
この態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIa)で表されるエナンチオマーが好ましい。
【0073】
別の態様において、R16
【化18】

であり;各R17が独立して、−OR18、−C(=O)R18、−CO218、および/または−C(=O)NR1819であり;好ましくは少なくとも1つのR17が−CO218であり;より好ましくは少なくとも1つのR17が−CO2Hであり;R18およびR19が独立して、水素、アルキル、および/または置換されたアルキルであり;およびqが1である、置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)を提供する。
【0074】
この態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIa)で表されるエナンチオマーが好ましい。
【0075】
更に別の態様において、
置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)は、式:
【化19】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)である。
【0076】
置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)は、エナンチオマーまたはその混合物((エナンチオマーのラセミ体混合物を含む)を表す。置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)のエナンチオマーは、式:
【化20】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)および式:
【化21】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIe)で表される。置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)が好ましい。
【0077】
式IIのピリジルで置換されたスピロ−ヒダントイン化合物には、特に結晶性および非結晶性の化合物(IId)が含まれ、公知のピリジルで置換されたスピロ−ヒダントイン化合物と比較して、予期せぬ望ましい薬理特性を示す。かかる特性には、LFA−1:ICAM相互作用の阻害における改善が含まれる。他の特性には、望ましくない薬物間相互作用のリスクの減少と代謝の安定性の増加が含まれる。例えば米国特許出願公開2004/0009998 A1に、式:
【化22】

の化合物を開示する。
【0078】
本明細書に記載されるCYPおよび肝臓ミクロソームアッセイによれば(下記参照)、本化合物、4−[(5S*,9R*)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−7−ピリジン−2−イル−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリルは、0.11マイクロモル濃度のCYP 2C19値および0.2 nmol/分/mgの代謝速度(ヒト肝臓ミクロソーム)をそれぞれ有する。これとは対照的に、本発明の式IIの化合物、例えば化合物(IId)は、38.2±2.22マイクロモル濃度の驚くべき高いCYP 2C19値を有しており、このことは薬物間の相互作用のリスクがずっと低いことを示しており、そして0.01±0.01nmol/分/mgの代謝速度(ヒト肝臓ミクロソーム)を有しており、このことはずっと高い代謝の安定性を示していることが発見された。
【0079】
本発明は、6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸(置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId))の結晶形を提供する。置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の様々な結晶形が製造され、これらの実施例の単位格子データおよび他の特性を表1aおよび1bに作表している。
【0080】
置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)は、本質的に1つの結晶形から成って提供されうる。例えば、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の重量に基づいて、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の結晶形の90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%で、1つの結晶形で提供されうる。
【0081】
結晶形の製造の手順は、当該技術分野で公知である。結晶形は様々な方法によって製造されうるが、それには、例えば、適当な溶媒からの結晶化または再結晶化、昇華、融解からの成長、固体以外から固体への状態変換、超臨界流体からの結晶化、および噴射スプレーが含まれる。溶媒混合物からの結晶形の結晶化または再結晶化のための技術には、例えば、溶媒の蒸発、溶媒混合物の温度の低下、分子および/または塩の過飽和溶媒混合物への種晶の付加、溶媒混合物の凍結乾燥、および溶媒混合物への貧溶媒(countersolvents)の付加が含まれる。ハイスループット結晶化技術は、多形を含む結晶形の製造に用いられうる。
【0082】
多形を含む薬物の結晶、製造方法、および薬物の結晶のキャラクタリゼーションは、Solid-State Chemistry of Drugs, S. R. Byrn, R.R. Pfeiffer, and J.G. Stowell, 2nd Edition, SSCI, West Lafayette, Indiana (1999)において議論される。
【0083】
溶媒を用いる結晶化技術のために、溶媒の選択は一般に一つまたはそれ以上の因子に依存し、その因子は例えば、化合物の溶解度、結晶化技術、および溶媒の蒸気圧である。溶媒は組み合わせて用いてもよく、例えば、化合物は第一の溶媒の中に可溶化されて溶液を得、続いて貧溶媒の付加によって溶液中の化合物の溶解度を減少させ、結晶の形成が得られうる。貧溶媒は、化合物が低溶解度を有する溶媒である。結晶を製造するための適当な溶媒には、極性および非極性溶媒が含まれる。結晶化のための溶媒の例には、例えば、メシチレン、シス−デカリン、p−キシレン、m−キシレン、トルエン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、テトラクロロエテン、ベンゼン、n−デカン、n−ドデカン、二硫化炭素、ブチルアミン、ジエチルエーテル、メチル第三ブチルエーテル、トリエチルアミン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、アニソール、o−ジクロロベンゼン、ギ酸エチル、トリクロロエテン、安息香酸メチル、ヨードベンゼン、クロロベンゼン、エタン酸メチル、ジメチルジスルフィド、1,1−ジクロロエタン、フルオロベンゼン、エチルフェニルエーテル、酢酸エチル、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1−ヨードブタン、1,1,1−トリクロロエタン、エタン酸プロピル、ジエチルスルフィド、ジクロロメタン、エタン酸ブチル、メタン酸メチル、ブロモホルム、ジブロモメタン、m−クレゾール、2−メトキシエタノール、1−ブタノール、プロパン酸、モルフォリン、2−メチル−2−プロパノール、ペンタン酸、酢酸、2-プロパノール、1−プロパノール、1−オクタノール、エタノール、メチルエチルケトン、2,4−ジメチルピリジン、アセトフェノン、2,6−ジメチルピリジン、3−ペンタノン、2−ペンタノン、4−メチルピリジン、アセトン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ピロリジノン、ピリジン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゾニトリル、プロパンニトリル、アセトニトリル、ブタンニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、アニリン、ベンジルアルコール、ギ酸、エチレングリコール、メタノール、ジエチルアミン、ジヨードメタン、グリセロール、水、ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸t−ブチル、ヘキサクロロアセトン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、t−ブチルアルコール、ヘキサメチルホスホラミド、2−ブタノール、2−ニトロエタノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2−エトキシエタノール、ネオペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、シクロヘキサノール、フェノール、ジエチレングリコール、1−、2−、または3−ペンタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、およびメチルt−ブチルエーテルが含まれる。
【0084】
結晶を製造するための一つの方法において、化合物は適当な溶媒の中で懸濁および/または撹拌されてスラリーを得るが、それは加熱されて溶解を促進しうる。用語「スラリー」は、本明細書中で用いられるように、化合物の飽和溶液を意味し、それはまた化合物の付加的な量を含み、所定の温度で化合物および溶媒の不均一な混合物が得られうる。
【0085】
種晶はいずれの結晶化混合物にも加えられ、結晶化を促進しうる。種晶の添加は、特定の多形の成長を調節し、または結晶性生成物の粒子サイズ分布を調節するのに用いてもよい。したがって、必要な種晶の量の計算は、利用できる種晶のサイズおよび平均的な生成物粒子の目的のサイズに依存し、これは例えば、「Programmed Cooling of Batch Crystallizers」, J. W. Mullin and J. Nyvlt, Chemical Engineering Science, 1971, 26, 369-377に記載されている。一般に、小さなサイズの種晶は、バッチにおける結晶の成長を効果的に調節するのに必要である。小さなサイズの種晶は、大きな結晶のふるい分け、粉砕、または微粉化、あるいは溶液の微結晶化によって生成しうる。結晶の粉砕または微粉化は、目的の結晶形からの結晶化度においていずれの変化(すなわち、アモルファスまたは別の多形への変化)ももたらさないことに注意を払うべきである。
【0086】
冷却された結晶化混合物は真空下でろ過されてもよく、単離された固形物は適当な溶媒、例えば冷却した再結晶溶媒で洗浄してもよく、窒素でパージしながら乾燥して目的の結晶形を得てもよい。単離された固形物は、適当な分光学的技術または分析技術、例えば、固体核磁気共鳴法、示差走査熱量測定、X線粉末回折などによって分析し、生成物の好ましい結晶形の形成を確かめてもよい。結果として生じる結晶形は、本来結晶化の手順において用いられる化合物の重量に基づいて、単離収率約70重量パーセント、好ましくは単離収率90重量パーセント以上の量で、典型的には製造される。生成物は、必要であればともに粉砕され、または網目スクリーンを通過して生成物を粉々にしてもよい。
【0087】
結晶形は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)を製造するための最終段階の反応系から直接製造されうる。これは、例えば置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)が結晶化されうる溶媒または溶媒混合物を、本方法の最終段階で用いることによって達成されうる。もう一つの方法として、結晶形は蒸留または溶媒付加技術によって得られうる。好ましくは、かかる技術は置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)を製造する最終工程に続いて行いうる。この目的のための適当な溶媒には、例えば前述の非極性溶媒および極性溶媒が含まれ、例えば、アルコールのようなプロトン性極性溶媒、およびケトンのような非プロトン性極性溶媒が含まれる。
【0088】
結晶形のサンプルは、実質的に純粋な相均一性をもって提供され得、単一の多形の優位な量の存在、および適宜1またはそれ以上の他の多形のごく少量の存在を示している。サンプル中1つより多い多形の存在は、粉末X線回折(XRPD)または固体核磁気共鳴スペクトルのような技術によって決定されうる。例えば、実験的に測定されたXRPDパターンのシミュレートされたXRPDパターンとの比較で余分のピークの存在は、サンプル中1より多い多形を示しうる。シミュレートされたXRPDは、単一結晶X線データから計算されうる(参照:Smith, D.K., 「A FORTRAN Program for Calculating X-Ray Powder Diffraction Patterns」 Lawrence Radiation Laboratory, Livermore, California, UCRL-7196 (April 1963))。好ましくは、結晶形は、シミュレートされたXRPDパターンにはない余分のピークに起因する実験的に測定されたXRPDパターンにおいて、全ピーク面積の10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満を示すような実質的に純粋な相均一性を有する。最も好ましくは、シミュレートされたXRPDパターンにはない余分のピークに起因する実験的に測定されたXRPDパターンにおいて、全ピーク面積の1%未満を示すような実質的に純粋な相均一性を有する結晶形である。
【0089】
本発明の1つの態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の結晶形が提供される。この結晶形は無溶媒結晶であり、本明細書では「N−4」型として言及され、それには置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)および/またはその双性イオンが含まれる。1つの態様において、結晶形は本質的にN−4型からなって提供される。この態様において、結晶形は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の重量に基づいて、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)のN−4型の90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%である。
【0090】
本発明の別の態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の異なる結晶形を提供する。この結晶形は水和物の結晶であり、「H−1」型として本明細書に言及され、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)および/またはその双性イオン、並びに水を含む。1つの態様において、本質的にH−1型からなる結晶形が提供される。この態様において、結晶形は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の重量に基づいて、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)のH−1型の90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%である。
【0091】
本発明の別の態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の結晶性溶媒和物体が提供される。この結晶形はクロロホルム溶媒和物であり、本明細書では「CHF−2」型として言及され、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)およびクロロホルムを含む。
【0092】
本発明の更に別の態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の結晶性の塩の形体が提供される。この結晶形は置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の塩酸塩であり、「H3.5−1」型として本明細書で言及される。H3.5−1型は、1分子の置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)、1分子のHCl、および3.5分子の水から形成された単位格子を有する。
【0093】
本発明の更なる態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の異なる結晶性の塩の形体が提供される。この結晶形は置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の塩酸塩であり、「H4−1」型として本明細書で言及される。H4−1型は、2分子の置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)、1分子のHCl、および4分子の水から形成された単位格子を有する。
【0094】
スピロ−ヒダントイン化合物(IId)のいくつかの結晶形の単位格子パラメーターは表1aおよび1bに作表している。N−4およびH−1結晶形の断片的な原子座標は表2および3にそれぞれ作表されている。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
表1の注釈:
Tは結晶の温度。
Zは各単位格子中の置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の分子数。
mはモル体積。
SGは結晶空間群。
calcは計算上の密度
MPは融点または分解温度。
【0098】
【表3】

【表4】

【0099】
【表5】

【表6】

【0100】
様々な結晶形の粉末X線回折パターンにおいて見出されたピークは、表4〜8に挙げている。これらの表にはまた、ブラッグ(Bragg)則を用いて計算した各2θ値に対する格子面間隔(d-spacing)も挙げている。
【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【0101】
(製造方法)
式IIの置換スピロ−ヒダントイン化合物は、以下の反応式A〜Dに記載の例示される方法で製造してもよい。これらの反応の例示される試薬および手順は以下に示される。出発物質は市販品として入手可能であるか、当業者によって容易に製造できる。溶媒、温度、圧力、目的の化学基を有する出発物質、および他の反応条件は、当業者によって用いられるように容易に選択され得る。
【化23】

【0102】
ヒダントイン化合物1は、伝統的な条件下(例えば、無水酢酸還流下酢酸ナトリウム)、芳香族アルデヒド2とクネーフェナーゲル(Knoevenagel)縮合させて、アルケン化合物(IIIa)を得ることができ、これを酸性触媒下(例えば、トリフルオロ酢酸)アミン化合物4と反応させて、置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)が得られる。
【化24】

【0103】
スピロ−ヒダントイン化合物5は、アセトニトリルまたはアセトンのような溶媒中、室温から還流に昇温した温度で、アルキルハライド6と反応してアルキル化して、置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)を得ることができる。スピロ−ヒダントイン化合物5および置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)を製造する方法は、米国特許出願公開2004/0009998A1に記載されている。
【化25】

【0104】
スピロ−ヒダントイン化合物5は、極性溶媒の存在下、アルケン化合物(IIIa)をグリシンまたはグリシンエステル7、およびメチレン前駆体化合物と反応させて製造できる。該メチレン源はメチレン基の原型として用いられる。該メチレン前駆体化合物は、例えばメチレン前駆体化合物の分解を通して直接的に、または後にメチレン基を形成する中間体化合物の形成を通じて間接的に、メチレン基を提供しうる。メチレン前駆体化合物の例には、例えば、ホルムアルデヒド、ジメトキシメタン、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、およびヘキサメチレンテトラミンが含まれる。ホルムアルデヒドは、反応混合物に吹き込まれうる気体として、またはホルムアルデヒド水溶液として供給されうる。適当なグリシンエステルには、グリシンメチルエステルおよびグリシンエチルエステルのようなグリシンアルキルエステルが含まれる。グリシンが好ましい。
【0105】
あるいは、メチレン前駆体化合物およびグリシンまたはグリシンエステル化合物は、メチレン前駆体化合物およびグリシンまたはグリシンエステルの縮合生成物として提供されうる。メチレン前駆体化合物の適当な縮合生成物の例には、
【化26】

が含まれる。
【0106】
アルケン化合物(IIIa)は、いずれかの順序でこれらの成分を混ぜる、例えば、アルケン化合物(IIIa)をグリシンと合わせて混合物を形成し、次いでメチレン前駆体化合物をその混合物に加えることで、メチレン前駆体化合物、およびグリシンまたはグリシンエステルと接触させてもよい。アルケン化合物(IIIa)、メチレン前駆体化合物、およびグリシンまたはグリシンエステルは、反応の前に合わせてよく、あるいはこれらの成分の一つまたはそれ以上を反応工程中反応混合物に徐々に加えてもよい。
【0107】
反応は極性溶媒の存在下行う。本明細書で用いられるように、「極性溶媒」とは、誘電率が少なくとも15の溶媒をいう。好ましくは、極性溶媒は少なくとも30の誘電率を有する。適当な極性溶媒には、例えば、アセトン、アセトニトリル、1−ブタノール、2−ブタノール、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、イソブチルアルコール、メタノール、2−メトキシエタノール、メチルエチルケトン、1−メチル−2−ピロリジノン、1−プロパノール、2−プロパノール、テトラメチルウレア、またはそれらの混合物が含まれる。好ましい極性溶媒には、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、メタノール、メチルエチルケトン、1−メチル−2−ピロリジノン、またはそれらの混合物が含まれる。より好ましい極性溶媒は1−メチル−2−ピロリジノンである。典型的には反応は、極性溶媒および非極性溶媒を含む溶媒混合物中行いうる。本明細書で用いられるように、「非極性溶媒」とは、誘電率が15未満の溶媒をいう。好ましくは、非極性溶媒は10未満の誘電率を有し、より好ましくは5未満である。適当な非極性溶媒には、例えば、ベンゼン、トルエン、もしくはキシレン(オルト、メタ、パラ、またはそれらの混合物);アルカン類(例えば、ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサン);および塩化物溶媒(例えば、四塩化炭素およびクロロホルム)が含まれる。非極性溶媒の混合物を用いてもよい。適当な極性溶媒/非極性溶媒混合物の例には、重量に基づいて、約95:5〜約5:95の範囲、好ましくは約85:15〜約45:55の範囲、およびより好ましくは約75:25〜約55:45の範囲の極性溶媒/非極性溶媒の比が含まれる。好ましい極性溶媒/非極性溶媒混合物は、重量に基づいて、約63:33範囲の比の1−メチル−2−ピロリジノンおよびトルエンである。
【0108】
この反応の適当な反応温度には、約100℃〜約160℃の範囲の温度が含まれる。反応は、リガンドを用いてあるいは用いずに水または金属塩のような合成添加物の存在下行ってもよい。好ましくは反応混合物中の水の量は最小限である。例えば、反応混合物の重量に基づいて、3重量%未満、好ましくは2重量%未満、およびより好ましくは、1重量%未満を含む反応混合物を用いて、反応を実施してもよい。反応混合物中の水のレベルを最小限にする技術は当該技術分野で公知であり、例えば反応実施に先立ち試薬および溶媒から水を除去することが含まれる。反応混合物中の水の量はカールフィッシャー滴定で決定されうる。反応の程度は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)または核磁気共鳴検出のような適当な技術によってモニターし得る。
【0109】
方法の反応式Cは、スピロ−ヒダントイン化合物5を提供し、適宜スピロ−ヒダントイン化合物5のアミナールを提供する。スピロ−ヒダントイン化合物5のアミナールは、構造:
【化27】

[式中、
R’およびR”は置換基を表し、適宜R’およびR”は一緒になって環を形成してもよい]
を有する。1つの態様において、該アミナールはスピロ−ヒダントイン化合物5のアミナール二量体であり、2つの環のアミンとの間をメチレン架橋でつないだ2分子のスピロ−ヒダントイン化合物5の間に形成される。スピロ−ヒダントイン化合物5のアミナール二量体の例は
【化28】

である。
【0110】
反応完了後、反応混合物は、スピロ−ヒダントイン化合物5、および1またはそれ以上のスピロ−ヒダントイン化合物5のアミナールの混合物を含み得る。該アミナールは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、またはメタンスルホン酸のような酸を添加して反応混合物を酸性にして開裂し、より好収率でスピロ−ヒダントイン化合物5を提供してもよい。別のアミナール二量体の開裂方法は、重亜硫酸塩を添加することである。あるいは、該アミナールは、アミンまたはジアミン(例えば、エチレンジアミン、N−メチルジアミン、またはプロピレンジアミン)で処理して開裂してもよい。前記方法の組合せをアミナールの開裂に用いてもよい。スピロ−ヒダントイン化合物5は、反応混合物を約30℃以下の温度に冷却し、反応混合物からスピロ−ヒダントイン化合物5を濾取して得てもよい。生じたスピロ−ヒダントイン化合物5は塩として、例えば酸塩として得てもよく;有機溶媒およびおよび水系ワークアップでワークアップして、スピロ−ヒダントイン化合物5を得てもよい。
【0111】
方法の反応式Cは、適宜スピロ−ヒダントイン化合物5のエナンチオマーを分割して、個々のエナンチオマーを得る工程を含み得る。これらのエナンチオマーは、スピロ−ヒダントイン化合物5a:
【化29】

およびスピロ−ヒダントイン化合物5b:
【化30】

によって表される。
【0112】
スピロ−ヒダントイン化合物5のエナンチオマーは、当該技術分野で公知の様々な方法、例えば、伝統的な分割方法、SMB法(simulating moving bed)またはHPLCのようなキラルクロマトグラフィによる分割、または酵素分割で、ラセミ体混合物から分割してもよい。1つの制限されない態様において、スピロ−ヒダントイン化合物5のエナンチオマーは、スピロ−ヒダントイン化合物5のラセミ体混合物をエナンチオマーの酸と接触させて分割する。エナンチオマーの酸の例には、酒石酸;O−置換酒石酸、例えば、(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸、(+)−ジ−p−ベンゾイル−D−酒石酸、(+)−ジ−p−o−トルオイル−D−酒石酸、これらの酸のエナンチオマー、またはそれらの混合物が含まれる。好ましくは、(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸である。この態様において、スピロ−ヒダントイン化合物5のラセミ体混合物は、適当な溶媒中、例えば、メチル第三ブチルエーテル、塩化メチレン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、またはそれらの混合物中、混合物として提供され、エナンチオマーの酸と接触する。生じた混合物は種晶が加えられ、冷却して、スピロ−ヒダントイン化合物5のエナンチオマーおよび対応するエナンチオマーの酸によって形成される塩の結晶が形成される。エナンチオマー5aまたはエナンチオマー5bは、後の反応において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)または(II)の特定のエナンチオマーのような試薬として用いてもよい。
【0113】
本発明はまた、置換スピロ−ヒダントイン化合物(I):
【化31】

例えば、置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)または置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)を製造する方法も提供する。
【化32】

【0114】
本発明の製造方法は、
a)アルケン化合物(III)を
i)メチレン前駆体化合物および
ii)N−置換グリシン化合物(IV)
と接触させて、該置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを得ることを含む、但し、式中、
LおよびKは独立して、OまたはSであり;
ZはNまたはCR4bであり;
Arは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
Gは、結合、−O−、−S−、−NR1、C1-3アルキレン、C1-3置換アルキレン、二価アルコキシ、チオアルキル、アミノアルキル、スルホニル、スルホンアミジル、アシル、またはアルコキシカルボニルであり;
1は、結合、C1-2アルキレン、またはC2-3アルケニレンであり;
2は、結合、C1-3アルキレン、C2-3アルケニレン、−C1-4アルキレン−NR16−、−C1-4アルキレン−NR16C(=O)−、−C1-4アルキレン−S−、−C1-4アルキレン−SO2−、または−C1-4アルキレン−O−であり、その中でA2 アルキレン基は、分枝鎖または直鎖で、適宜置換されたアルキレンであり;
Qは、結合、−C(=O)−、−C(=O)NR16−、−C(=S)NR16−、−SO2−、−SO2NR16−、−CO2−、または−NR16CO2−であり;
1は、水素、アルキル、または置換アルキルであり;
2は、水素、アルキル、置換アルキル、OR12、−NR1213、−C(=O)R12、−CO212、−C(=O)NR1213、−NR12C(=O)R13、−NR12C(=O)OR13、−S(O)p13a、−NR12SO213a、−SO2NR1213、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
4a、R4b、およびR4cは独立して、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、ニトロ、シアノ、−SR14、−OR14、−NR1415、−NR14C(=O)R15、−CO214、−C(=O)R14、−C(=O)NR1415、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、および/または置換ヘテロアリールであり;
12、R13、R14、およびR15は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、および/または置換ヘテロシクロであるか;または(ii) R12がR13と一緒になって、および/またはR14がR15と一緒になって、ヘテロアリールまたはヘテロシクロ環を形成し;
13aは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、または置換ヘテロシクロであり;
16は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであるが、但しA1、Q、およびA2が各々結合である場合、R16は水素ではなく;
R’は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;および
pは1または2である。
【0115】
本明細書で用いられるように、置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)は、いずれかのエナンチオマー比(例えば、エナンチオマーのラセミ体混合物)である置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)のエナンチオマーまたはその混合物で表す。置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)のエナンチオマーは、式:
【化33】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物(Ia)および式:
【化34】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物(Ib)で表される。
【0116】
本発明の方法において、アルケン化合物(III)は、少なくとも1つのメチレン前駆体化合物、およびN−置換グリシン化合物(IV)と接触する。該メチレン前駆体化合物は、メチレン基源として用いられる。メチレン前駆体化合物は、直接的に、例えばメチレン前駆体化合物の分解を通して、または間接的に、後でメチレン基を形成する中間体化合物の形成を通して、メチレン基を提供しうる。メチレン前駆体化合物の例には、例えば、ホルムアルデヒド、ジメトキシメタン、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、およびヘキサメチレンテトラアミンが含まれる。ホルムアルデヒドは、反応混合物に吹き込むことができる気体として供給するか、またはホルムアルデヒド水溶液として供給されうる。好ましいメチレン前駆体化合物は、ヘキサメチレンテトラミンである。
【0117】
N−置換グリシン化合物(IV)は、N−置換グリシンまたはN−置換グリシンエステルであり、式IV:
【化35】

[式中、
1は、結合、C1-2アルキレン、またはC2-3アルケニレンであり;
2は、結合、C1-3アルキレン、C2-3アルケニレン、−C1-4アルキレン−NR16−、−C1-4アルキレン−NR16C(=O)−、−C1-4アルキレン−S−、−C1-4アルキレン−SO2−、またはC1-4アルキレン−O−であり、その中でA2 アルキレン基は、分枝鎖または直鎖で、適宜置換されたアルキレンであり;
Qは、結合、−C(=O)−、−C(=O)NR16−、−C(=S)NR16−、−SO2−、−SO2NR16−、−CO2−、またはNR16CO2−であり;
R’は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;および
16は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであるが、但しA1、Q、およびA2が各々結合である場合、R16は水素ではない]
で表される。
【0118】
アルケン化合物(III)は、いずれかの順序でこれらの成分を混ぜる、例えば、アルケン化合物(III)をN−置換グリシン化合物(IV)と合わせて混合物を形成し、次いでメチレン前駆体化合物をその混合物に加えることで、メチレン前駆体化合物、およびN−置換グリシン化合物(IV)と接触させてもよい。アルケン化合物(III)、メチレン前駆体化合物、およびN−置換グリシン化合物は、反応の前に合わせてよく、あるいはこれらの成分の一つまたはそれ以上を反応工程中反応混合物に徐々に加えてもよい。
【0119】
反応は典型的には、溶媒中、例えば1つまたはそれ以上の非極性溶媒、1つまたはそれ以上の極性溶媒、またはそれらの混合物中行う。好ましくは、反応は少なくとも1つの極性溶媒の存在下、および適宜少なくとも1つの非極性溶媒の存在下実施される。非極性溶媒の混合物を用いてもよい。適当な極性溶媒/非極性溶媒混合物の例には、重量に基づいて、約95:5〜約5:95の範囲、好ましくは約85:15〜約45:55の範囲、およびより好ましくは約75:25〜約55:45の範囲の極性溶媒/非極性溶媒の比が含まれる。好ましい極性溶媒/非極性溶媒混合物は、重量に基づいて、約63:33範囲の比の1−メチル−2−ピロリジノンおよびトルエンである。
【0120】
この反応の適当な反応温度には、約100℃〜約160℃の範囲の温度が含まれる。反応は、リガンドを用いてあるいは用いずに水または金属塩のような合成添加物の存在下行ってもよい。好ましくは反応混合物中の水の量は最小限である。例えば、反応混合物の重量に基づいて、3重量%未満、好ましくは2重量%未満、およびより好ましくは、1重量%未満を含む反応混合物を用いて、反応を実施してもよい。反応混合物中の水のレベルを最小限にする技術は当該技術分野で公知であり、例えば反応実施に先立ち試薬および溶媒から水を除去することが含まれる。反応混合物中の水の量はカールフィッシャー滴定で決定されうる。反応の程度は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)または核磁気共鳴検出のような適当な技術によってモニターし得る。
【0121】
本発明の方法には、置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)を分割し、式IaおよびIbで表される個々のエナンチオマーを提供する工程が適宜含まれうる。エナンチオマーを分割する適当な技術は、上記に記載される。
【0122】
1つの態様において、本発明の方法は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)[式中、ZはCR4bであり;KはOであり;LはOであり;およびAr、g、R2、R4a、R4b、R4c、A1、A2、Q、およびR16は上記と同義である]の製造を意図している。この態様の置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)は、式Ic:
【化36】

の構造を有する。
【0123】
本方法は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(Id):
【化37】

および置換スピロ−ヒダントイン化合物(Ie):
【化38】

によって表される置換スピロ−ヒダントイン化合物(Ic)のエナンチオマーのどちらかを製造するのに用いられうる。置換スピロ−ヒダントイン化合物(Id)が好ましい。
【0124】
別の異なる態様において、本発明の方法は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)[式中、ZはCR4bであり;KはOであり;LはOであり;Arはアリールまたは置換アリールであり、;Gは、結合、C1-3アルキレン、またはC1-3置換アルキレンであり;R2はアルキルまたは置換されたアルキルであり;およびR4a、R4c、A1、A2、Q、およびR16は上記と同義である]の製造を意図している。
【0125】
なお異なる態様において、本発明の方法は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)[式中、ZはCR4bであり;R4bはHまたは低級アルキルであり;KはOであり;LはOであり;Arは置換されたアリールであり;Gは結合またはメチレンであり;R2はアルキルまたは置換されたアルキルであり;R4aは、F、Cl、またはBrであり;R4cは、F、Cl、またはBrであり;A1はアルキレンであり;A2は結合であり;Qは結合であり;およびR16はヘテロシクロまたは置換ヘテロシクロである]の製造を意図している。
【0126】
好ましい態様において、本発明の方法は、式II:
【化39】

の構造を有する置換スピロ−ヒダントイン化合物の製造を意図している。
【0127】
この態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(Ii)は、
a)メチレン前駆体化合物、および式:
【化40】

の構造を有するN−置換グリシン化合物(IVa)を式:
【化41】

のアルケン化合物(IIIa)と反応させて、式:
【化42】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物(If)を得て;
b)置換スピロ−ヒダントイン化合物(If)のメチルエステルを加水分解して、置換スピロ−ヒダントイン化合物(Ii)を得ること
によって製造される。更に、この態様の方法には、工程bの前に、置換スピロ−ヒダントイン化合物(If)のエナンチオマーを分割して、置換スピロ−ヒダントインエナンチオマー(Ig)および(Ih):
【化43】

を得て、次いで工程bの中でエナンチオマー(Ig)またはエナンチオマー(Ih)を加水分解して、置換スピロ−ヒダントイン化合物(Ii)のそれぞれのエナンチオマーを得ることが含まれうる。置換スピロ−ヒダントイン化合物(Ii)のこれらのエナンチオマーは、置換スピロ−ヒダントイン化合物(Ij):
【化44】

およびスピロ−ヒダントイン化合物(Ik):
【化45】

で表される。
【0128】
あるいは、置換スピロ−ヒダントイン化合物(Ii)を分割して、分割したエナンチオマー成分として置換スピロ−ヒダントイン化合物(Ij)および(Ik)を得てもよい。この態様の方法は、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸を製造するのに適している。
【0129】
別の好ましい態様において、本発明の方法は、式IIc:
【化46】

の構造を有する置換スピロ−ヒダントイン化合物の製造を意図している。
【0130】
この態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)は、
a)メチレン前駆体化合物,および式:
【化47】

の構造を有するN−置換グリシン化合物(IVb)を式:
【化48】

のアルケン化合物(IIIa)と反応させて、式:
【化49】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIf)を得て;
b)置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIf)のエステルを加水分解して、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)を得ること
によって製造される。好ましいエステル基Rは、メチルまたはt−ブチルのようなアルキル基である。更に、この態様の方法には、工程bの前に、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIf)のエナンチオマーを分割して、置換スピロ−ヒダントインエナンチオマー(IIg)および(IIh):
【化50】

を得て、次いで工程bの中でエナンチオマー(IIg)またはエナンチオマー(IIh)を加水分解して、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)または(IIe)をそれぞれ得ることが含まれうる。あるいは、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)を分割して、分割したエナンチオマー成分として置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)および(IIe)を得てもよい。置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)が好ましい。この態様の方法は、6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸を製造するのに適している。
【0131】
本発明の方法において、出発物質は市販品として入手可能であるか、または当業者によって容易に製造できる。溶媒、温度、圧力、目的の化学基を有する出発物質、および他の反応条件は、当業者によって用いられるように容易に選択され得る。該製造方法は、より多くの量の置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)、例えば商業製造施設中で製造するためにスケールアップできる。
【0132】
(有用性)
本発明の方法を含むいずれかの方法で製造される式IIの化合物(式IIdの構造を有する化合物の結晶および非結晶を含む)、そのプロドラッグ、塩および溶媒和物は、LFA−1 アンタゴニストであり、LFA−1/ICAM相互作用を阻害する。本発明の化合物は、LFA−1、および/またはICAM、特にLFA−1:ICAM−1の作用に関連する様々な炎症性疾患および炎症性障害の治療において有用性を有する。用語「ロイコインテグリン/ICAM関連症状」は、LFA−1、および/またはICAM−1、ICAM−2、もしくはICAM−3の作用または量に関連するこれらの疾患または障害を示しやすくするために本明細書中で用いられる。本明細書中で用いられるように、用語「治療(処置)」には、予防および治療上の使用が含まれ、従って患者におけるロイコインテグリン/ICAM関連症状の病状の軽減、かかる症状に関連する確認可能な測定の改善、あるいはかかる症状またはその徴候の予防が含まれる。用語「患者」とは哺乳類、好ましくはヒトをいう。
【0133】
これらの阻害活性を考慮して、本発明の化合物は、T細胞および/または白血球の活性化、相互刺激、または浸潤を含む症状を治療するために用いられ得、これらに限定されないが、該症状には、皮膚、腹膜、滑膜、肺、腎臓、および心臓における白血球の流入を含む症状が含まれる。これらの化合物は、患者における特異的または非特異的免疫系の応答の結果として生じる症状を治療するために用いられうる。
【0134】
本発明の化合物で治療されうるロイコインテグリン/ICAM関連症状には、急性または慢性移植片対宿主反応(例えば、同種膵島移植(pancreatic islet allograft));並びに急性または慢性移植片拒絶反応(例えば、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、骨髄、角膜、小腸閉塞、皮膚同種移植、皮膚同種移植片、異種移植片、および/またはそのような器官に由来する細胞)が含まれる。また、これらの化合物は、これらに限らないが、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、変形性関節症、骨粗鬆症、糖尿病(例えば、インスリン依存糖尿病または若年発症型糖尿病)、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、アルツハイマー病、ショック、強直性脊椎炎、胃炎、結膜炎、膵炎(pancreatis)(急性または慢性)、多臓器障害症候群(multiple organ injury syndrome)(例えば、敗血症または外傷の二次症状)、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、再灌流傷害(例えば、心肺バイパスまたは腎臓透析のため)、急性糸球体腎炎、血管炎、熱傷(すなわち日焼け)、壊死性腸炎、顆粒球輸血関連症候群(granulocyte transfusion associated syndrome)、および/またはシェーグレン症候群を含む炎症症状の治療に有効でありうる。
【0135】
本発明の化合物は、皮膚の炎症症状の治療に用いられうる。このような症状には、これらに限らないが、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、じんま疹、強皮症(schleroderma)、乾癬、および急性炎症成分を伴う皮膚病が含まれる。
【0136】
本発明の化合物はまた、アレルギーおよび呼吸器の症状の治療にも用いられうる。このような症状には、これらに限らないが、喘息、肺線維症、アレルギー性鼻炎、酸素中毒、肺気腫、慢性気管支炎、急性呼吸窮迫症候群、およびいずれの慢性閉塞性肺疾患(COPD)も含まれる。
【0137】
本発明の化合物は、B型肝炎およびC型肝炎を含む肝炎感染の治療に有効でありうる。
【0138】
さらに、本発明の化合物は、自己免疫疾患および/または自己免疫疾患に関連する炎症の治療に有効でありうる。このような疾患には、これらに限らないが、器官組織自己免疫疾患(organ-tissue autoimmune disease)(例えば、レイノー症候群)、自己免疫性甲状腺炎、ぶどう膜炎、全身性エリテマトーデス、アジソン病、多腺性自己免疫疾患(autoimmune polyglandular disease)(多腺性自己免疫症候群としても知られる)、およびグラーブス病(Grave's disease)が含まれる。
【0139】
本発明の化合物は、癌の治療において、転移の治療またはサイトカイン療法とともに毒性を最小化するための補助として有効でありうる。
【0140】
本発明の化合物は、多数の症状の治療に有効でありうる。これらの症状には、これらに限らないが、性腺機能低下症、虚弱、性機能不全、癌およびAIDSに関連する消耗症候群のような消耗、並びに貧血が含まれる。これらの化合物はさらに、これらに限らないが、乳房、脳、皮膚、卵巣、子宮内膜、膀胱、前立腺、肺、結腸、リンパ系、肝臓および腎臓の癌を含む癌の治療にも有用性を有する。他の症状には、これらに限らないが、多毛症、アクネ、脂漏症、脱毛症、子宮筋腫、過剰有毛(hyperpilosity)、カヘキシー、多嚢胞性卵巣症候群、食欲不振、避妊、退薬症候群、妊娠中絶、および良性前立腺肥大が含まれる。前記化合物はまた抗血管新生薬としても有効であり、並びにタンパク質プレニルトランスフェラーゼ、特にファルネシルトランスフェラーゼのインヒビター、および癌遺伝子タンパク質Rasのプレニル化のインヒビターとしても有効である。したがって、これらの化合物は、本明細書中に引用されるWO 01/45704において示される疾患および障害の治療および/または予防に有効でありうる。
【0141】
要約すれば、本発明の化合物は、急性または慢性移植片対宿主反応、急性または慢性移植片拒絶反応、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、変形性関節症、骨粗鬆症、糖尿病、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、アルツハイマー病、ショック、強直性脊椎炎、胃炎、結膜炎、膵炎(pancreatis)、多臓器障害症候群(multiple organ injury syndrome)、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、再灌流傷害、急性糸球体腎炎、血管炎、熱傷、壊死性腸炎、顆粒球輸血関連症候群(granulocyte transfusion associated syndrome)、シェーグレン症候群、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、じんま疹、強皮症(schleroderma)、乾癬、喘息、肺線維症、アレルギー性鼻炎、酸素中毒、肺気腫、慢性気管支炎、急性呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、B型肝炎、C型肝炎、器官組織自己免疫疾患(organ-tissue autoimmune disease)、自己免疫性甲状腺炎、ぶどう膜炎、全身性エリテマトーデス、アジソン病、多腺性自己免疫疾患(autoimmune polyglandular disease)、およびグラーブス病(Grave's disease)の治療に特に有効でありうる。本発明の化合物は、急性または慢性移植片拒絶反応、リウマチ性関節炎、変形性関節症、糖尿病、喘息、炎症性腸疾患、乾癬、および慢性閉塞性肺疾患の治療にはより一層有効でありうる。
【0142】
抗炎症剤として用いられる場合は、本発明の化合物は炎症の発症前、炎症の開始時、炎症の開始後に投与されうる。予防的に用いられる場合は、これらの化合物はいずれの炎症反応または症状の前に(例えば、器官または組織移植よりも前、その時、またはその直後であるが、ただし器官の拒絶のいずれの症状の前に)与えられるのが望ましい。本化合物の投与は、炎症反応または炎症症状を予防または減弱しうる。
【0143】
本発明はまた、上記の疾患および障害を治療できる医薬組成物も提供する。本発明の組成物は他の治療剤を適宜含み、少なくとも一つの医薬的に許容される担体または希釈剤とともに製剤化されうる。このような製剤には、医薬製剤の技術分野で周知の技術に従って、例えば、通常の固体のベヒクルまたは液体のベヒクルあるいは希釈剤、並びに目的の投与の方法に適したタイプの医薬添加剤(例えば、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定剤、香料など)が用いられうる。
【0144】
本発明の化合物は、治療されるべき症状に適したいずれの方法によっても投与され、それは部位特異的治療の必要性または運搬されるべき薬物の量に依存しうる。局所投与は一般に皮膚関連疾患に好まれ、他の薬物運搬方法も意図されるが、癌性症状または前癌性症状には全身性治療が好まれる。例えば、本化合物は、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、またはシロップを含む液体製剤の剤形のように経口的に運搬され;溶液、懸濁液、ゲル、または軟膏の剤形のように局所的に運搬され;舌下に運搬され;バッカルに運搬され;皮下、静脈内、筋肉内、または胸骨内の注入、あるいは点滴技術(例えば、無菌注射水または無菌注射非水溶液または無菌注射懸濁液)のような非経口的に運搬され;吸入スプレーのように経鼻に運搬され;クリームまたは軟膏の剤形のように局所的に運搬され;坐薬の剤形のように直腸に運搬され;あるいはリポソームで運搬されうる。無毒性の医薬的に許容されるベヒクルまたは希釈剤を含む製剤が投与されうる。本化合物は、即時放出または持続放出に適した剤形で投与されうる。即時放出または持続放出は適当な医薬組成物とともに成し遂げられ、あるいは特に持続放出の場合には、皮下移植片または浸透圧ポンプのようなデバイスで成し遂げられる。
【0145】
局所投与のための例示的な組成物には、プラスチベース(登録商標)(ポリエチレンとともにゲル化される鉱油)のような局所担体が含まれる。
【0146】
経口投与のための例示的な組成物には、例えば、かさを分け与えるための微結晶性セルロース、懸濁剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロース、および当該技術分野で公知の甘味料または香料を含みうる懸濁剤が含まれ;および、例えば、微結晶性セルロース、第二リン酸カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、および/または乳糖、並びに/あるいは当該技術分野で公知の他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤、および滑沢剤を含みうる即時放出錠剤が含まれる。本発明の化合物はまた、例えば、成形され、圧縮され、または凍結乾燥された錠剤で、舌下および/またはバッカルの投与によって経口的にも運搬されうる。例示的な組成物には、マンニトール、乳糖、ショ糖、および/またはシクロデキストリンのような速溶性の希釈剤が含まれうる。このような製剤には、セルロース(アビセル(登録商標))またはポリエチレングリコール(PEG)のような高分子量の賦形剤;ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、および/または無水マレイン酸共重合体(例えば、ガントレッツ(登録商標))のような粘膜付着を促進する賦形剤;並びにポリアクリル酸共重合体(例えば、カルボポール934(登録商標))のような放出を調節する薬剤もまた含まれうる。滑沢剤、流動促進剤、香料、着色料、および安定剤もまた、製造および使用を容易にするために加えられうる。
【0147】
エアゾールまたは吸入を経た経鼻投与のための例示的な組成物には、例えば、ベンジルアルコールまたは他の適当な防腐剤を含みうる溶液、吸収および/またはバイオアベイラビリティを増強する吸収促進剤、並びに/あるいは当該技術分野で公知の他の可溶剤または分散剤が含まれる。
【0148】
非経口投与のための例示的な組成物には、例えば、マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンガー溶液、生理食塩液、あるいは他の適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤、並びに合成モノまたはジグリセリド、およびオレイン酸を含む脂肪酸のような、適当な無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒を含みうる注射液または懸濁剤が含まれる。
【0149】
直腸投与のための例示的な組成物には、例えば、カカオバター、合成グリセリドエステル、またはポリエチレングリコールのような適当な非刺激性賦形剤を含みうる坐薬が含まれ、それは常温では固体だが、直腸腔内では液化および/または溶解して薬剤を放出する。
【0150】
本発明の化合物の有効量は当業者によって決定され得、患者に対し1日あたり約0.05から100mg/キログラム(活性化合物/体重)の例示的な服用量が含まれ、それは単一用量、または1日あたり1回から4回のように個々の分割用量の形で投与されうる。いずれの特定の患者に対しても、特定の服用量および服用の頻度は変化しうるし、それは様々な要因に依存することが理解され、その要因には、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝的安定性および作用時間、生物種、年齢、体重、全般の健康状態、患者の性別および食事、投与の方法および時間、排泄速度、混合薬、並びに治療しようとする特定の症状およびその重症度が含まれる。治療のために好ましい対象には、動物で、最も好ましいのはヒトのような哺乳類種、および犬、猫、馬などの家畜、ロイコインテグリン/ICAM関連症状の患者、並びに/または上記のいずれの疾患または障害の患者も含まれる。
【0151】
本発明の化合物および組成物は、単独あるいは、互いに組み合わせて、および/または上記の疾患および障害の治療に有効な他の適当な治療剤、例えば、本発明の化合物と同一または異なる作用機序を有する第二の薬剤と組み合わせて用いられうる。このような他の治療剤の例には、抗炎症剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗酸化剤、並びにCOPDおよび喘息のような呼吸器の症状の治療に用いられる薬剤が含まれる。
【0152】
本発明の化合物と共に用いられうる適当な他の抗炎症剤の例には、アスピリン、クロモリン、ネドクロミル、テオフィリン、ジロートン、ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、インドメタシン、およびリポキシゲナーゼインヒビター;非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)(例えばイブプロフェンおよびナプロキシン(naproxin));TNF−αインヒビター(例えばテニダップおよびラパマイシンあるいはその誘導体)、またはTNF−αアンタゴニスト(例えば、インフリキシマブ、エンブレル(登録商標)、D2E7、ORl384)、サイトカインの修飾因子(例えばTNF−アルファ変換酵素[TACE]インヒビター、インターロイキン−1変換酵素(ICE)インヒビター、インターロイキン−1受容体アンタゴニスト)、プレドニゾン、デキサメサゾン、シクロオキシゲナーゼインヒビター(すなわち、ナプロキセン(登録商標)、セレブレックス(登録商標)、またはバイオックス(登録商標)のようなCOX−1および/またはCOX−2インヒビター)、CTLA4−Igアゴニスト/アンタゴニスト(LEA29Y)、CD40リガンドアンタゴニスト、IMPDHインヒビター(例えばミコフェノール酸[セルセプト(登録商標)]およびVX−497)、メトトレキサート(FK506)、インテグリンアンタゴニスト(例えば、アルファ−4ベータ−1、アルファ−V−ベータ−3)、細胞接着インヒビター、インターフェロンガンマアンタゴニスト、プロスタグランジン合成インヒビター、ブデソニド、クロファジミン、CNI−1493、CD4アンタゴニスト(例えば、プリリキシマブ)、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼインヒビター、タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)インヒビター、IKKインヒビター、過敏性腸症候群の治療法(例えば、米国特許番号6,184,231 B1において開示されるようなゼルマック(登録商標)、ゼルノーン(Zelnorn)(登録商標)、およびマキシK(登録商標)開口薬)、あるいはNF−κBインヒビター(米国特許番号4,200,750において開示されるようなカルフォスチン、CSAID、およびキノキサリン);解離ステロイド(disassociated steroids);ケモカイン受容体の修飾因子(CCRl、CCR2、CCR3、CCR4、およびCXCR2受容体アンタゴニストを含む);分泌性細胞質ホスホリパーゼA2インヒビター、グルココルチコイド、サリチル酸塩、一酸化窒素、および他の免疫抑制剤;並びにデオキシスーパーガリン(DSG)のような核移行インヒビターが含まれる。
【0153】
本発明の化合物は、喘息、COPD、およびアレルギー性鼻炎のような呼吸器の症状を治療するために用いられる他の薬剤と組み合わせて用いられ、そのような薬剤は、βアドレナリン作動薬(例えばアルブテロール、テルブタリン、ホルモテロール、サルブタモール、サルメテロール、ビトルテロール、ピルブテロール、およびフェノテロール);副腎皮質ステロイド(例えばベクロメタゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、フルチカゾン、フルニソリド、デキサメサゾン、プレドニゾン、およびデキサメサゾン);ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、アコレート[ザフィルルカスト(登録商標)]、およびシングレア[モンテルカスト(登録商標)]);ムスカリン性M3コリン作動性アンタゴニスト(例えば、スピリーバ(登録商標))、PDE4インヒビター(例えばロリプラム、シロミラスト[アリフロ(Ariflo)(登録商標)]、ピクラミラスト、またはロフルミラスト)、ヒスタミンH1アンタゴニスト、アレグラ(登録商標)(フェキソフェナジン)、クラリチン(登録商標)(ロラタジン(loratidine))、および/またはクラリネックス(登録商標)(デスロラタジン(desloratidine))でありうる。
【0154】
本発明の化合物とともに使用するための適当な抗ウイルス剤の例には、ヌクレオシドを基本成分とするインヒビター、プロテアーゼを基本成分とするインヒビター、およびウイルス集合インヒビターが含まれる。
【0155】
本発明の化合物と組み合わせて使用するための適当な抗骨粗鬆症剤の例には、アレンドロネート、リセドロン酸、PTH、PTHフラグメント、ラロキシフェン、カルシトニン、RANKリガンドアンタゴニスト、カルシウム感知受容体アンタゴニスト、TRAPインヒビター、選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM)およびAP−1インヒビターが含まれる。
【0156】
本発明の化合物と組み合わせて使用するための適当な抗酸化剤の例には、プロブコール、BO−653、ビタミンA、ビタミンE、AGI−1067、およびα−リポ酸のような脂質過酸化インヒビターが含まれる。
【0157】
本発明の化合物はまた、ビグアナイド(例えばメトホルミン)、グルコシダーゼインヒビター(例えばアカルボース)、インスリン(インスリン分泌促進物質またはインスリン増感剤を含む)、メグリチナイド(例えばレパグリニド)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリブリドおよびグリピジド)、ビグアナイド/グリブリド併用(例えば、グルコバンス)、チアゾリジンジオン(thiozolidinediones)(例えばトログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)、PPAR−アルファアゴニスト、PPAR−ガンマアゴニスト、PPARアルファ/ガンマデュアルアゴニスト、SGLT2インヒビター、脂肪酸結合タンパク質(aP2)のインヒビター(2000年3月6日に出願された米国出願番号09/519,079において開示され、本譲受人に譲渡)、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルカゴンホスホリラーゼ、およびジペプチジルペプチダーゼTV(DP4)インヒビターのような抗糖尿病剤とも組み合わせて用いられうる。
【0158】
また、本発明の化合物は、治療的有用性のために細胞内でcAMPまたはcGMPの量を増加させる薬剤とともに用いられうる。例えば、本発明の化合物は、PDElインヒビター(例えば、Journal of Medicinal Chemistry, Vol. 40, pp. 2196-2210 [1997]に記載されているインヒビター)、PDE2インヒビター、PDE3インヒビター(例えばレビジノン、ピモベンダン、またはオルプリノン)、PDE4インヒビター(上記で引用)、PDE7インヒビター、あるいは他のPDEインヒビター、例えばジピリダモール、シロスタゾール、シルデナフィル、デンブフィリン(denbutyline)、テオフィリン(1,2−ジメチルキサンチン)、アリフロ(ARIFLO)(登録商標)(すなわち、シス−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサン−1−カルボン酸)、アロフィリン(arofyline)、C−11294A、CDC−801、BAY−19−8004、シパムフィリン(cipamfylline)、SCH351591、YM−976、PD−189659、メシオプラム(mesiopram)、プマフェントリン(pumafentrine)、CDC−998、IC−485、およびKW−4490を含む、ホスホジエステラーゼインヒビターと組み合わせて用いられる場合に有利な効果を有しうる。
【0159】
虚血の治療における有用性を考慮して、本発明の化合物は、
エフラペプチン(efrapeptin)、オリゴマイシン、オートバーチンB(autovertin B)、アジド、および米国特許出願番号60/339,108に記載された化合物(2001年12月10日に出願され、本譲受人に譲渡)、を含むF10−ATPアーゼを阻害するための薬剤;
アルファ−またはベータ−アドレナリン遮断剤(例えばプロプラノロール、ナドロール、カルベジロール、およびプラゾシン)、
硝酸塩(例えば、硝酸ナトリウム)、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、およびニトロ血管拡張剤のような抗狭心症薬;
クラスI薬剤(例えばプロパフェノン)を含む抗不整脈剤;
クラスII薬剤(プロプラノロール);
クラスIII薬剤(例えばソタロール、ドフェチリド、アミオダロン、アジミリドおよびイブチリド);
クラスIV薬剤(例えばジルチアゼム(ditiazem)およびベラパミル);
AchインヒビターおよびK+チャネル開口薬のKν1サブファミリーのインヒビター(例えばIKurインヒビター;例えば、2000年12月5日に出願された米国出願番号09/729,731に開示された化合物)のようなK+チャネルの修飾因子;および
コネキシン(connexions)のようなギャップ結合の修飾因子;
アスピリン、ワルファリン、キシメラグトラン(ximelagtran)、低分子量ヘパリン(例えばロベノックス、エノキサパライン(enoxaparain)、およびダルテパリン)を含む抗凝固剤または抗血栓剤;
GPIIb/GPIIIa遮断剤(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド、およびチロフィバン)ような抗血小板剤、
トロンボキサン受容体アンタゴニスト(例えば、イフェトロバン)、
P2Y1およびP2Y12アンタゴニスト(例えば、クロピドグレル、チクロピジン、CS−747、およびアスピリン/クロピドグレル併用)、並びに
因子Xaインヒビター(例えば、フォンダプリヌクス(fondaprinux));並びに
Na+/H+交換インヒビター、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸トリクリナフェン(ethacrynic acid tricrynafen)、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミン(musolimine)、ブメタニド、トリアムトレネネ(triamtrenene)、並びにアミロライドのような利尿剤
と組み合わせて用いられうる。
【0160】
本発明の化合物はまた、VEGF受容体のインヒビターの化合物のような抗血管新生薬と組み合わせても有効であり、あるいはパクリタキセル、アドリアマイシン、エポシロン、シスプラチン、およびカルボプラチンのような抗腫瘍剤と併用しても有効でありうる。本発明の化合物と組み合わせて用いられうる抗癌剤および他の細胞毒の例には以下のものが含まれる:ドイツ特許番号4138042.8;WO 97/19086、WO 98/22461、WO 98/25929、WO 98/38192、WO 99/01124、WO 99/02224、WO 99/02514、WO 99/03848、WO 99/07692、WO 99/27890、WO 99/28324、WO 99/43653、WO 99/54330、WO 99/54318、WO 99/54319、WO 99/65913、WO 99/67252、WO 99/67253、およびWO 00/00485において見られるエポシロン誘導体;WO 99/24416において見られるサイクリン依存性キナーゼインヒビター;並びにWO 97/30992およびWO 98/54966において見られるプレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター。
【0161】
本発明の化合物を他の治療剤と組み合わせると、相加相乗効果を有することが立証されうる。その組み合わせは投与の効き目を増加し、または起こりうる副作用を軽減するための用量を減少させるのに有利でありうる。
【0162】
本発明の化合物と組み合わせて用いられる場合に、上記の他の治療剤は、例えば、米医薬品便覧(PDR)に示される量で、または当業者によって決定された量で用いられうる。本発明の方法において、このような他の治療剤は、本発明の化合物の投与より前、同時に、またはその後に投与されうる。
【0163】
本明細書にて実施例として記載されている式IIの構造を有する本発明の置換スピロ−ヒダントイン化合物は、以下に記載されるアッセイにおいて試験され、LFA−1および/またはICAM−の阻害剤としての測定できうるレベルの活性を示し、並びに薬物間の相互作用の低いリスクおよび高い代謝安定性を有していることを示した。
【0164】
H1−ヒーラ細胞接着アッセイ
H1ヒーラ細胞を、ヴェルセン(Gibco, Grand Island, NY)を用いてその成長フラスコから遊離した。遠心分離の後に、DMEM(Invitrogen)、10%ウシ胎仔血清(Hyclone, Logan, UT)、1%Pen−Strep(Invitrogen)、および1%L−グルタミン(Invitrogen)からなる成長培地に細胞を再懸濁し、96穴プレートに5,000細胞/ウェルに成長させるために蒔いた(プレートした)。
【0165】
その翌日、HSB−2細胞は、RPMI1640(Invitrogen)、10%FCS、1%Pen−Strep、および1%L−グルタミンからなる成長培地中で、2×l05/mlに分配した。その翌日(3日目)、細胞を8分間534×gで遠心分離し、洗浄し、5×107/mlでHBSS中再懸濁した。カルセイン−AM、10μM(Molecular Probes, Eugene, OR)、および100nMホルボールミリスチン酸アセテート(SIGMA, St. Louis, MO)を標識活性化混合物に添加した。30分間37℃でインキュベートした後に、10mlのHBSS(Invitrogen)を添加し、細胞を上記のように遠心分離した。細胞ペレットを次いで再懸濁し、カウントした。
【0166】
HSB−2細胞が標識される間、培地をH1ヒーラ細胞から吸引し、プレートをHBSSで一度洗浄し、その後50μlのHBSSを添加した。化合物溶液、DMSO、または抗CD18抗体を含む追加の50μlのHBSSを、次いで各ウェルに添加した。H1ヒーラ細胞へ、100μl中200,000個のHSB−2細胞/ウェルを添加し、その後暗室で30分間インキュベートした。そのウェルを次いで三回洗浄し、付着していない細胞を除去した。蛍光プレートリーダーを次いで用いて、付着したHSB−2細胞の数を決定した。化合物に起因するパーセント阻害は、0%阻害としての対照培地および100%阻害としての抗体遮断接着(antibody blocked adhesion)を用いて計算した。
【0167】
HUVEC接着アッセイ
1日目に、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)(passage 3, Clonetics, San Diego, CA)を、成長させるためにEGM培地キット(bullet kit)(Clonetics)を含むT−75フラスコの中へ入れた。HUVECが90%集密である場合(典型的には4日目)、96穴組織培養プレートは、0.1M酢酸中に希釈した2.5μg/mlマウスIV型コラーゲン(Trevigen, Gaithersburg, MD)を100μl/ウェルで被覆した。少なくとも3時間インキュベートした後、コラーゲンを除去し、プレートをHBSSで三回洗浄した。HUVECフラスコをトリプシン処理し、HUVECを、4日後に用いるために1250細胞/200μl/ウェルでコラーゲン被覆ウェルに蒔いた(プレートした)。使用の20時間前に、培地を除去し、細胞を200μlの10nM PMA/EGMで刺激した。細胞が90%集密である場合、PMA含有培地を除去し、ウェルをHBSSで洗浄し、50μlHBSSをウェルに添加した。化合物溶液、DMSO、またはブロッキング抗CD18(blocking anti-CD18)を含む追加の50μlを、次いで各ウェルに添加した。
【0168】
末梢血単核細胞(PBMC)は、通常の健康なボランティアから集められたEDTAで処理した血液から単離した。特に、20mLのEDTAで処理した血液を、EDTAを含んだRPMIで希釈し、該血液に12mlのリンフォ セパレーション培地(Lympho Separation Media)(Mediatech,Herndon,VA)で層を重ね、25分間720×gで遠心分離してPBMCを分離した。界面で増大した細胞(PBMC)をきれいな50 mLのコニカルチューブに移し、RPMIで希釈し、10分間615×gでスピンさせてペレットにした。PBMCは次いで成長培地で2回洗浄し、10mLの成長培地中に再懸濁させ、T−225フラスコに加えた。
【0169】
植物性血球凝集素(PHA)芽細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)をPHA(Sigma)で刺激して調製し、3日後該細胞は、rIL−2を含む成長培地に1から6に希釈された(最終濃度0.01μg/ml)。PHA芽細胞は、1週間成長させ、HUVEC接着アッセイを行う前の日に5×105/mlに分割した。次の日、該細胞を8分間534×gで遠心分離し、洗浄し、5×107/mlでHBSS中再懸濁させた。活性化および標識のために、カルセイン−AM(10μM)および100nM PMAを加え、該細胞を37℃で30分間インキュベートした。10mLのHBSS加えた後、該細胞を遠心分離し、再懸濁させ、カウントした。
【0170】
HUVEC細胞へ、100μl中200,000個の標識した活性化PHA芽細胞/ウェルを添加し、その後暗室で30分間インキュベートした。付着していない細胞を除去するため、ウェルをHBSSで三回洗浄した。蛍光プレートリーダーを用いて、付着したPHA芽細胞の数を決定した。化合物に起因するパーセント阻害は、0%阻害とした対照培地および100%阻害とした抗体遮断接着(antibody blocked adhesion)で計算した。
【0171】
CYPアッセイ
CYPアッセイは文献[Drug Metabolism and Disposition, 28, 1440-1448 (2000)]の方法に従って実施した。
【0172】
肝臓ミクロソームアッセイ
マウスおよびラットの肝臓ミクロソームはXenoTech LLC(Kansas City, KS)から購入し、ヒト肝臓ミクロソームはBD Gentest(Woburn, MA)から入手した。
【0173】
様々な種の肝臓ミクロソームの酸化的代謝は、以下の条件下実験された:3μM 試験化合物(有機溶媒含量<0.1%)、1mg/mL ミクロソームのタンパク質、1mM β−ニコチンアミド アデニン リン酸ジヌクレオチド(β−NADPH)、100mM リン酸緩衝液(pH 7.4)、および6.7mM 塩化マグネシウム。反応(n=3)は、NADPHを加えて開始し、続いて37℃で20分間インキュベートした。サンプルの分画(0.1 mL)を0、5、および20分に取り、反応を3倍量のアセトニトリルを加えて終わらせた。サンプルは分析するまで−20℃に保存した。
【0174】
肝臓ミクロソームの酸化速度は、以下の式から決定した。
速度(nmol/分/mg タンパク質)=k*0/Cタンパク質
式中、
k(1/分)は、式:y=y0*exp(−k*t)を用いた非直線回帰から見積もられた化合物残存率%(y)−時間(t)曲線の代謝回転速度であり、
0は初期の薬物濃度(μM)であり、および
タンパク質はミクロソームタンパク質濃度(mg/mL)である。
【0175】
代謝速度は以下のように「瓶に入れる」(分類する)。

【0176】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の態様を説明するものであるが、特許請求の範囲を制限する意図はない。引用を容易にするため、以下の略語が本明細書中用いられる。
略号:
EtOH=エタノール
HCl=塩酸
HPLC=高速液体クロマトグラフィ
kg=キログラム
L=リットル
mol=モル
TBME=t−ブチルメチルエーテル
THF=テトラヒドロフラン
【0177】
製造1
3−(3,5−ジクロロフェニル)−l−メチルイミダゾリジン−2,4−ジオン
【化51】

トリエチルアミン(0.78kg、7.75mol)を、15−30分間攪拌しながら、サルコシンエチル塩酸塩(sarcosine ethylene hydrochloride)(1.00kg、6.51mol)の塩化メチレン(6.00L)希懸濁液に加えた。室温で1.5−2.0時間攪拌後、該混合物をろ過して、生じたトリエチルアミン塩酸塩を除いた。塩のケーキを塩化メチレン(2.00L)で洗浄した。濾液を0−5℃に冷却した。
【0178】
3,5−ジクロロフェニルイソシアネート(1.47kg、7.81mol)の塩化メチレン溶液を20−25℃で調製した。該溶液を上記冷却した濾液にゆっくり30−60分間で加えた。温度を添加中10℃以下に保った。添加後、該混合物を20−25℃で12−14時間攪拌した。反応の完了はHPLCで行った。反応完了したとき、TBME(16.00L)を1回で加えた。生じた懸濁液を20−25℃で2−3時間攪拌し、次いでろ過した。ろ過ケーキをTBME(4.50L)で洗浄し、最大40℃で恒量になるまで乾燥した。上記ろ過ケーキの水懸濁液(17.0L,10L/kg投入量)を調製し、20−25℃で少なくとも16時間攪拌した。該懸濁液をろ過し、ろ過ケーキを水(3×1.36L)で洗浄し、最大40℃で恒量になるまで乾燥した。白色結晶性固形物として3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(1.52kg、90%)。
mp=202-204℃.
1H NMR (DMSO-d6): 7.66 (IH, m), 7.51 (2H, m), 4.10 (2H, s), 3.35 (3H, s).
13C NMR (DMSO-d6): 8炭素(169.30, 155.00, 134.98, 134.15, 127.59, 125.30, 51.75, 29.79).
元素分析 C10H8Cl2N2O2 : 計算値: C, 46.35; H, 3.11; N, 10.81; Cl, 27.36. 実測値: C, 46.43; H, 2.92; N, 10.73; Cl, 27.33.
【0179】
製造2
(E)−4−((1−(3,5−ジクロロフェニル)−3−メチル−2, 5−ジオキソイミダゾリジン−4−イリデン)メチル)ベンゾニトリル
【化52】

3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(1.00kg、3.86mol)、4−シアノベンズアルデヒド(0.70kg、5.79mol)およびピロリドン(0.27kg、3.86mmol)の混合物を、20−24時間78℃の温度でEtOH(13.00L)中還流した。反応の完了はHPLCで行った。反応完了したとき、該懸濁液を65℃に冷却し、THF(4.33L)を5−10分間で加えた。該懸濁液を3−4時間20−25℃に冷却し、次いでろ過した。ろ過ケーキをEtOH(4×2.00L)で洗浄し、最大40℃で恒量になるまで乾燥した。綿状の黄色結晶性固形物として(E)−4−((1−(3,5−ジクロロフェニル)−3−メチル−2, 5−ジオキソイミダゾリジン−4−イリデン)メチル)ベンゾニトリルを得た(1.24kg、86%)。
mp=239-241℃.
1H NMR (DMSO-d6): 8.07 (2H, d, J=8.3Hz), 7.86 (2H, d, J=8.4Hz), 7.72 (IH, m), 7.59 (2H, m), 6.72 (1H, s), 3.35 (3H, s).
13C NMR (DMSO-d6): 14炭素(159.80, 151.48, 137.64, 133.83, 133.70, 131.80, 130.80, 130.68, 127.71, 125.51, 118.83, 114.48, 110.32, 26.72).
元素分析 C18H11Cl2N3O2 : 計算値: C, 58.08; H, 2.97; N, 11.29; Cl, 19.05. 実測値: C, 58.14; H, 2.72; N, 11.14; Cl, 19.15.
【0180】
実施例1
4−[(5S*,9R*)−7−ベンジル−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル
【化53】

(E)−4−((1−(3,5−ジクロロフェニル)−3−メチル−2,5−ジオキソイミダゾリジン−4−イリデン)メチル)ベンゾニトリル(1.05g,2.82 mmol)、ヘキサメチレンテトラミン(0.395g, 2.82 mmol)、N−ベンジルグリシン(1.17g,7.05 mmol)、トルエン(5 mL)、および1−メチル−2−ピロリジノン(NMP,10 mL)no混合物を140℃に加熱した。反応の評価をHPLCでモニターした。72時間後、反応を完了しないまま止めた。生成物の出発物質((E)−4−((1−(3,5−ジクロロフェニル)−3−メチル−2,5−ジオキソイミダゾリジン−4−イリデン)メチル)ベンゾニトリル)に対する比は、1.36:1であった。混合物のマススペクトルでは、目的生成物の存在が示された。該混合物を水で洗浄し、トルエンに抽出した。不純な生成物が油状物として得られた。得られた生成物の標準物質に対する比較は、HPLCで行った。目的の(5S,9R)異性体の不要な異性体に対する比は19:1であった。
【0181】
製造3
6−クロロニコチン酸tert−ブチルの製造
【化54】

6−クロロニコチン酸(12.0g,76mmol)および塩化チオニル(65mL)の混合物を、3.0時間還流下加熱した。過剰の塩化チオニルを減圧留去し、残った液体をジクロロメタン(20mL)で希釈し、次いでtert−ブチルアルコール(71 mL,760 mmol)のジクロロメタン(40 mL)溶液に加えた。該混合物にトリエチルアミン(31.7 mL,760 mmol)およびN,N−ジメチルピリジン(0.5 g, 4.0 mmol)を加え、該反応混合物を窒素下還流して終夜(14時間)攪拌した。該溶液をジクロロメタン(200 mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し(3×100 mL)、水で洗浄し(3×100 mL)、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮して、黄色の固形物として製造物3を得た(11.4 g, 70.3%)。生成物を分析用HPLCに付した[保持時間=3.18分(カラム:YMC ODS 4.6×50mm(4分);溶媒A=10%MeOH,90%H2O,0.2%H3PO4;溶媒B=90%MeOH,10%H2O,0.2%H3PO4)およびLCMS M+1=214]。生成物の純度は約96%であった。主な不純物は6−クロロニコチン酸イソプロピルであり、分析用HPLCで保持時間=2.88分、LC/MSがM+1=200であった。
【0182】
製造4
4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル
【化55】

製造物4は、WO 03/029245中の実施例15Aによって製造した。
【0183】
実施例2a
6−[(5S*,9R*)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸tert−ブチル
【化56】

製造物2(14.5 g,34.9 mmol)および6−クロロニコチン酸t−ブチル(8.0 g, 35.6 mmol)の混合物のジメチルアセトアミド(50 mL)溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(11.3 g, 87.3 mmol)を加えた。反応混合物を窒素下112℃で18時間攪拌した。冷却後、該混合物を攪拌しながら氷水(200 mL)にゆっくり加えた。更に10分間攪拌した後、生じた沈殿物を吸引ろ過で集めて、水(3×20 mL)で洗浄した。粗生成物を乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィ(5%および10%酢酸エチル/ジクロロメタン混液で溶離)で精製し、黄色の固形物として実施例1化合物を得た(15.8 g,76.5%)。生成物を分析用HPLCに付した[保持時間=3.91分(カラム:YMC ODS 4.6×50mm(4分);溶媒A=10%MeOH,90%H2O,0.2%H3PO4;溶媒B=90%MeOH,10%H2O,0.2%H3PO4)およびLCMS M+1=592]。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 1.59 (s, 9H); 3.26 (s, 3H); 3.95-4.25 (m, 5H); 6.47 (d, 1H, J = 9.0 Hz); 6.81-6.82 (m, 2H); 7.29-7.30 (m, 1H); 7.40(d, 2H, J = 8.0 Hz); 7.70 (d, 2H, J = 8.0 Hz); 8.08(dd, 1H, J = 9.0および2.4 Hz);および8.82(d, 1H, J = 2.4 Hz).
【0184】
実施例2b
6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸tert−ブチル
【化57】

3頚フラスコに、6−クロロニコチン酸(53.0 g, 336 mmol)、4−(ジメチルアミノ)−ピリジン(3.03 g, 24.6 mmol)、およびテトラヒドロフラン(350 mL)を投入した。フラスコの内容物を62.5℃に加熱し、二炭酸ジ−tert−ブチル(200.2 g, 917 mmol)のテトラヒドロフラン(240 mL)溶液を、4.6時間かけてゆっくり加えた。フラスコの内容物を約1時間62.5℃に保ち、次いで21℃に冷却した。6−クロロニコチン酸tert−ブチル(16.4 g, 76.8 mmol)を含んでいる該溶液の一部(219mL)を、1N NaOH(150 mL)およびメチルtert−ブチルエーテル(150 mL)と21℃で混合した。この混合物に、4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル 1/2(+)−DTTA塩(37.4 mmol,61.5 mmol)を加えた。10分間混合後、分液処理し、水層を除去し、有機層を常圧下蒸留した。220 mLの蒸留物を集めた後、220 mLのメチルtert−ブチルエーテルを加え直し、蒸留を再開した。更に250mLの蒸留物を集めた後、100 mLのn−メチル−2−ピロリジノンを加え、蒸留を容器内の温度が90℃に上昇するまで続けた。ジイソプロピルエチルアミン(27 mL, 155 mmol)を次いで加え、該混合物を110℃ for 約17時間加熱した。粗製の反応混合物の一部(48 mL)を分液ロートに移し、ヘプタン:シクロヘキサン(3.4:1、31 mL)で2回抽出した。上層を除去し、下層をメチルtert−ブチルエーテル(36mL)およびH2O(24 mL)の混合液で3回抽出した。下層の水層を除去した。上層にメチルtert−ブチルエーテル(40 mL)を加え、蒸留フラスコにろ過して戻した。メチルtert−ブチルエーテルのほとんどを蒸留して除いた後、該混合物をメチルtert−ブチルエーテル:イソプロピルアルコール(1:1)で全量169 mLに希釈した。p−トルエンスルホン酸(0.358 g)を次いでこの溶液に加え、ゆっくり加熱しながら溶かした。該溶液を次いで結晶が現れるまで冷却し、攪拌した。第2のp−トルエンスルホン酸(0.424 g)を加え、生じたスラリーを更に21℃で30分間攪拌し、次いで濾過し、メチルtert−ブチルエーテル:イソプロピルアルコール(1:1、25 mL)で2回洗浄した。白色結晶として生成物を単離し(3.34 g,収率86%)、真空乾燥器中40℃で乾燥した。
【0185】
実施例3
6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸
【化58】

実施例2a化合物(15.5 g, 26.2 mmol)のジクロロメタン(50 mL)溶液に、0〜5℃でトリフルオロ酢酸(50 mL)を攪拌しながら滴下して加えた。添加完了後、氷水浴を除き、該混合物を室温で3.5時間攪拌した。溶媒を次いで減圧留去し、得られた残渣をジクロロメタン(400 mL)および水(100 mL)で希釈した。10分間攪拌後、水層のpHを飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で8〜9に調節した。該混合物を15分間攪拌し、pHを再確認し、確かに塩基性であった。pHを次いで1N塩酸水溶液で4〜5に調節した。15分間攪拌後、有機層を集めて、水層をジクロロメタン(50 mL)で抽出した。有機相を合わせて、食塩水(100 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮して固形の粗生成物を得て、それをクロロホルム(55 mL)に溶かし、終夜室温でゆっくり攪拌した。該混合物を氷浴中30分間攪拌し、生じた沈殿物を吸引濾過で集めた。生じた白色の結晶を冷クロロホルム(2×5 mL)で洗浄し、減圧乾燥し、実施例3の化合物を得た(11.49g)。実施例3の化合物の第2の収量を、母液の濃縮および先に概説したような方法によって得た(0.6 g,全収率:86.1%)。生成物を分析用HPLCに付した[保持時間=3.23分(カラム:YMC ODS 4.6×50mm(4分);溶媒A=10%MeOH,90%H2O,0.2%H3PO4;溶媒B=90%MeOH,10%H2O,0.2%H3PO4)およびLCMS M+1=536]。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ = 3.20(s, 3H); 4.01(d, 1H, J = 12.4 Hz); 4.18-4.21(m, 3H); 4.37 (t, 1H, J = 9.3 Hz); 6.69 (d, 1H, J = 8.5 Hz); 6.81 (s, 2H); 7.48 (d, 2H, J= 8.5 Hz); 7.64 (s, 1H); 7.89(d, 2H, J = 8.3 Hz); 8.03 (d, 1H, J = 8.8 Hz); 8.69(s, 1H); および12.59(s, 1H).
【0186】
実施例4
6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸
【化59】

火炎で乾燥した2Lの4頚丸底フラスコ(磁気攪拌子、冷却器、および内部温度計を備える)に、攪拌しながら6−クロロニコチン酸(47.5 g, 0.301 mol)を加えた。ジクロロメタン(500 mL)を加え、続いて1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(48.0 mL, 0.226 mol)を加えた。次に、クロロトリメチルシラン(1.7 mL, 0.013 mol)を加え、反応混合物を素早く攪拌しながら激しく加熱還流した(一定の窒素気流を塩化アンモニウム塩を追い出すのに用いた)。ジクロロメタンの量は、必要に応じて維持された。4.5時間後、反応混合物は赤みがかった橙色で、澄明であった。該溶液を室温に冷却し、還流冷却器を真空ラインの付いた250 mLのバンプトラップ(bump-trap)に置き換えて、反応混合物を素早く攪拌しながら減圧濃縮し、黄褐色の固形物を得た(内部温度はヒートガンで10〜20℃に維持した)。生じた固形物はフラスコの温度を室温に維持しながら、高真空下1時間乾燥そうした。
【0187】
トリメチルシリルエステルを含んだ2Lの4頚丸底フラスコ(冷却器、磁気攪拌子、および内部温度計を備える)に、無水ジメチルアセトアミド(600 mL)を攪拌しながら加えた。該溶液に、製造物4(70.0 g, 0.169 mol)、続いてジイソプロピルジエチルアミン(73.3 mL, 0.421 mol)およびジメチルアミノピリジン(1.03 g, 8.50 mmol)を加えた。反応混合物を18時間90℃に加熱し、27℃に冷却し、無水メタノール(140 mL)でクエンチした(クエンチの間、内部温度が34℃に上昇した)。該混合物を20分間室温で攪拌し、還流冷却器を真空ラインの付いたバンプトラップ(250 mL)に置き換えて、揮発物を1.5時間41℃に加熱しながら減圧留去した。生じたジメチルアセトアミド溶液を室温に冷却し、素早く攪拌した水(600 mL)にゆっくり加えた。400 mLを加えた後、生成物が沈澱し始めた。水をすべて加えた後、濃赤色のガム状物がフラスコの底に観察された。DMA/水層を三角フラスコに移し、20分間攪拌し、粗フリットロート(coarse fritted funnel)で減圧下濾過した。得られた灰白色の固形物を水で数回洗浄した。上記濃赤色のガム状物をDMA(350〜400 mL)に溶かし、素早く攪拌しながら水(400 mL)にゆっくり加えた。生じた懸濁液を25分間攪拌し、粗フリットロートで吸引濾過し、生じた灰白色の固形物を水で数回洗浄した。該固形物を終夜フリットロートで減圧乾燥した。濾液中の沈殿物を吸引濾過して集め、空気乾燥した。全3サンプルはHPLCで共通しているとわかったので、すべてを合わせて、生成物を得た(72 g)。合わせた物質を真空乾燥器中72時間減圧下70℃に加熱して、灰白色の固形物として実施例4の化合物を得た(71g)。該化合物は、HPLC[保持時間=2.99分(カラム:Chromolith SpeedROD 4.6×50mm(4分);溶媒A=10%MeOH,90%H2O,0.2%H3PO4;溶媒B=90%MeOH,10%H2O,0.2%H3PO4)]で分析して、>98%の純度であった。
【0188】
実施例4化合物(65 g)のクロロホルム(1800 mL)懸濁液を、マントルヒーターおよびヒートガンを用いて激しく加熱還流し、溶液を形成した(45分)。生じた暗赤色の溶液に活性炭素(6.5 g)を加え、該混合物を更に30分間加熱還流した。反応混合物を約40℃に冷却し、活性炭素のパッドの付いたセライトトラップのパッド(650 mLのフリットロート、該フリットロートは少し加温)で、生成物/活性炭素溶液の温度を〜40℃に維持して濾過した。濾過を完了後、セライト/活性炭素をクロロホルム(4×)で洗浄した。該溶液を、内部温度を室温付近に維持しながら、溶液が〜500 g残るまで減圧濃縮した。濾液の量を、クロロホルムを加えて840 gに調整し、8 mLのクロロホルムに対して1gの生成物の比となった。該均一な溶液を終夜室温で攪拌した。生じた細かな白色の沈殿物を吸引濾過して集めて、白色の結晶性固形物として生成物を得た(55 g)。生成物を真空乾燥器中、減圧(実験室レベルの真空)下120℃で19時間乾燥した。残留する溶媒を分析したところ、なお8.9%のクロロホルムが存在していることがわかった。その物質を次いで高真空ポンプの付いた真空乾燥器で、15時間110℃に加熱し、白色の固形物として44.2g(68%)を得て、それを実施例4の化合物と提示した。残留する溶媒を分析したところ、わずか0.20%のクロロホルムしか残っていないことがわかった。粉末X線回折パターンおよび顕微鏡で、該物質が結晶であることがわかった。生成物を分析用HPLCに付した[保持時間=2.99分(カラム:Chromolith SpeedROD 4.6×50mm(4分);溶媒A=10%MeOH,90%H2O,0.2%H3PO4;溶媒B=90%MeOH,10%H2O,0.2%H3PO4),LC/MS M+1=536]。
【0189】
実施例5
6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸
【化60】

250 mLの丸底フラスコに、6−クロロニコチン酸(2.35g, 15 mmol)、製造物4(4.15 g, 10.0 mmol)、ジメチルアセトアミド(40 mL)、およびジイソプロピルエチルアミン(3.2 g, 25.0 mmol)を加えた。反応混合物を窒素下110℃で30時間攪拌した後、室温に冷却し、攪拌しながら氷水(200 mL)にゆっくり加えた。生じた白色のスラリーを、吸引ろ過で濾過し、生成物を水(3×20 mL)で洗浄した。生じた粗生成物を60℃で16時間真空乾燥し、白色の固形物として実施例6化合物を得た(4.6g, 87%)。該粗生成物をクロロホルム(25 mL)に再溶解し、終夜室温で攪拌し、次いで4℃で30分間攪拌した。生じた白色の結晶を吸引濾過して集め、冷クロロホルム(2×5 mL)で洗浄し、60℃で真空乾燥し、実施例5の化合物を得た(2.95 g,収率54%)。実施例5の化合物の第2の収量(0.52g)を、母液の濃縮によって得た。
LCMS (M+1)+ = 536.
1H-NMR (DMSO-D6, 500 MHz)δ 8.68 (s, 1H), 8.31 (s, 1H), 8.00 (s, 2H), 7.90 (s, 1H), 7.63 (s, 2H), 6.84 (s, 2H), 4.37 (t, J=9.9Hz, 1H), 4.16(d, J= 9.9 Hz, 3H), 4.00(d, J=12.1Hz, 1H), 3.19 (s, 3H);
13C-NMR (DMSO-D6, 500 MHz) δ 170.81, 166.46, 158.01, 152.81, 150.37, 139.08, 137.81, 133.65, 132.88, 132.15, 128.83, 127.64, 124.46, 114.62, 110.73, 105.48, 48.03, 46.75, 45.24, 24.73.
【0190】
実施例6
6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸
【化61】

250 mLの丸底フラスコに、6−ヨードニコチン酸(373.3mg, 1.5 mmol)、製造物4(414 mg, 1 mmol)、ジメチルアセトアミド(2 mL)およびジイソプロピルエチルアミン(320 mg, 2.5 mmol)を加えた。反応混合物を窒素下110℃で16時間攪拌した後、室温に冷却し、攪拌しながら氷水(2mL)にゆっくり加えた。生じた白色のスラリーを、吸引ろ過で濾過し、生成物を水(3×2mL)で洗浄した。生じた粗生成物を60℃で16時間真空乾燥し、白色の固形物として実施例6化合物を得た(472 mg, 88%)。該粗生成物をクロロホルム(25 mL)に再溶解し、終夜室温で攪拌し、次いで4℃で30分間攪拌した。生じた白色の結晶を吸引濾過して集め、冷クロロホルム(2×5 mL)で洗浄し、60℃で真空乾燥し、実施例6の化合物を得た(347 mg,収率75%)。
LCMS (M+1)+ = 536.
1H-NMR (DMSO-D6, 500 MHz) δ 8.68 (s, 1H), 8.31 (s, 1H), 8.00 (s, 2H), 7.90 (s, 1H), 7.63 (s, 2H), 6.84 (s, 2H), 4.37 (t, J=9.9Hz, 1H), 4.16(d, J= 9.9 Hz, 3H), 4.00(d, J=12.1Hz, 1H), 3.19 (s, 3H);
13C-NMR (DMSO-D6, 500 MHz) δ 170.81, 166.46, 158.01, 152.81, 150.37, 139.08, 137.81, 133.65, 132.88, 132.15, 128.83, 127.64, 124.46, 114.62, 110.73, 105.48, 48.03, 46.75, 45.24, 24.73.
【0191】
実施例7
6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸
【化62】

2Lの三頚丸底フラスコに、6−クロロニコチン酸(37.8g,0.24 mol)、ジクロロメタン(360 mL)、ヘキサメチルジシラザン(28.61g,0.177 mol)、およびクロロトリメチルシラン(1.11g, 10 mmol)を加えた。生じたスラリーを窒素雰囲気下、淡茶褐色溶液が得られるまで、3時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧留去し、淡茶褐色のシロップを得て、冷却して固形化した。
【0192】
このフラスコに、製造物4(49.68g, 0.119mol)、ジメチルアセトアミド(500 mL)、およびジイソプロピルエチルアミン(38.73g, 0.299 mmol)を加えた。反応混合物を窒素下90℃で18時間攪拌した後、室温に冷却した。次に、メタノール(200mL)を攪拌しながら加えた。温度は25℃〜35℃に上げられた。揮発性溶媒(MeOHおよびメチルトリメトキシシラン)は減圧留去し、生じた混合物を攪拌しながらDI水(600 mL)にゆっくり加えた。生じた白色のスラリーを吸引濾過で濾過し、生成物を水(3×20 mL)で洗浄した。該生成物を乾燥し、白色の固形物として実施例7の化合物を得た(62.88g, 98%)。
LCMS (M+1)+ = 536.
1H-NMR (DMSO-D6, 500 MHz) δ 8.68 (s, 1H), 8.31 (s, 1H), 8.00 (s, 2H), 7.90 (s, 1H), 7.63 (s, 2H), 6.84 (s, 2H), 4.37 (t, J=9.9Hz, 1H), 4.16(d, J= 9.9 Hz, 3H), 4.00(d, J=12.1Hz, 1H), 3.19 (s, 3H);
13C-NMR (DMSO-D6, 500 MHz) δ 170.81, 166.46, 158.01, 152.81, 150.37, 139.08, 137.81, 133.65, 132.88, 132.15, 128.83, 127.64, 124.46, 114.62, 110.73, 105.48, 48.03, 46.75, 45.24, 24.73.
【0193】
実施例8
6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸
【化63】

250 mLの丸底フラスコに、6−クロロニコチン酸(7.24g, 45.9 mmol)、ジメチルアセトアミド(45 mL)、ジイソプロピルエチルアミン(7.61 g, 56.9 mmol)、およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(16.9g, 45.9mmol)を加えた。該混合物を窒素雰囲気下3時間加熱した。
【0194】
該フラスコに製造物4(9.47g, 22.8 mmol)を加え、反応混合物を窒素下95℃で30時間攪拌し、室温に冷却し、攪拌しながら氷水(200 mL)にゆっくり加えた。生じた白色のスラリーを吸引濾過で濾過し、生成物を水(3×20 mL)で洗浄した。生成物を60℃で16時間真空乾燥し、白色の固形物として実施例8の化合物を得た(11.98g, 98%)。
LCMS (M+1)+ = 536.
1H-NMR (DMSO-D6, 500 MHz) δ 8.68 (s, 1H), 8.31 (s, 1H), 8.00 (s, 2H), 7.90 (s, 1H), 7.63 (s, 2H), 6.84 (s, 2H), 4.37 (t, J=9.9Hz, 1H), 4.16(d, J= 9.9 Hz, 3H), 4.00(d, J=12.1Hz, 1H), 3.19 (s, 3H);
13C-NMR (DMSO-D6, 500 MHz) δ 170.81, 166.46, 158.01, 152.81, 150.37, 139.08, 137.81, 133.65, 132.88, 132.15, 128.83, 127.64, 124.46, 114.62, 110.73, 105.48, 48.03, 46.75, 45.24, 24.73.
【0195】
実施例9
6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸の結晶形
置換スピロ−ヒダントイン化合物(IId)の様々な結晶形を製造し、これらの実施例の単位格子データおよび他の特性を表1aおよび1bに作表している。単位格子パラメーターは単結晶X線結晶学的分析から得た。単位格子詳細な量は書籍[Chapter 3 of Stout & Jensen, X-Ray Structure Determination: a Practical Guide, (MacMillian, 1968)]で見いだせる。N−4およびH−1形のフラクション原子配座は、表2および3に作表されている。
【0196】
N−4形の結晶は80℃で酢酸ブチル溶液から再結晶された。
【0197】
H−1形の結晶をPEG400:0.1M NaH2PO4水(4:1)の水溶液(pH=7)から成長させた。
【0198】
CHF−2形の結晶をクロロホルム溶液から成長させた。
【0199】
塩酸塩形の結晶H3.5−1は、HCl水およびアルコール溶液から製造した。
【0200】
塩酸塩形の結晶H4−1は、1.2当量のHClを含むエタノール溶液から製造した。
【0201】
DMA/H2Oから実施例9の化合物の再結晶:粗生成物(54g)をDMA(325 mL)に溶かし、活性炭素(5.4g)を加えた。該混合物を室温で30分間攪拌し、活性炭素をセライトパッドで濾過して除いた。生じた澄明な溶液を95℃に加熱し、H2O(325 mL)をわずかに濁った溶液っが得られるまでこの温度でゆっくり加えた。該混合物を室温までゆっくり冷やし、次いで4℃で30分間冷やした。白色の結晶を吸引濾過して集め、DMA/H2O(1:/1比, 2×100 mL)、次いでH2O(3×300 mL)で洗浄し、60℃で真空乾燥し、実施例9の化合物を得た(49.1g,収率91%)。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】図1は、6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸のN−4結晶形の観察された、およびシミュレートされた粉末X線回折パターン(T=25℃でCuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図2】図2は、6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸の一水和物結晶形(H−1)の観察された、およびシミュレートされた粉末X線回折パターン (T=25℃でCuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図3】図3は、6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸のクロロホルム溶媒和結晶形(CHF−2)の観察された、およびシミュレートされた粉末X線回折パターン(T=−50℃でCuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図4】図4は、6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸のHCl塩の結晶性水和物形(H3.5−1)の観察された、およびシミュレートされた粉末X線回折パターン (T=25℃でCuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図5】図5は、6−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イル]ニコチン酸の1/2HCl塩の結晶形(H4−1)の観察された、およびシミュレートされた粉末X線回折パターン (T=−50℃でCuKα λ=1.5418Å)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

の構造を有する化合物(IId)の結晶形、そのエナンチオマー、その医薬的に許容される塩または溶媒和物。
【請求項2】
本質的に単結晶形からなる、請求項1の結晶形。
【請求項3】
該結晶形が実質的に純粋な形状である、請求項1の結晶形。
【請求項4】
N−4型を含む、請求項1の結晶形。
【請求項5】
本質的にN−4型からなる、請求項4の結晶形。
【請求項6】
該N−4型が実質的に純粋な形状である、請求項4の結晶形。
【請求項7】
結晶形が約+25℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられる、請求項1の結晶形。
【請求項8】
約25℃の温度において、10.3、13.1、21.0、22.0、22.8、および29.3からなる群から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の3つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられる、請求項1の結晶形。
【請求項9】
約22℃の温度において、10.3、13.1、21.0、22.0、22.8、および29.3からなる群から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられる、請求項8の結晶形。
【請求項10】
実質的に表2に記載される原子座標の分画によって特徴づけられる、請求項1の結晶形。
【請求項11】
式:
【化2】

の化合物の一水和物の結晶形。
【請求項12】
H−1型を含む請求項11の結晶形。
【請求項13】
本質的にH−1型からなる請求項12の結晶形。
【請求項14】
該H−1型が実質的に純粋な形状である、請求項12の結晶形。
【請求項15】
結晶形が約+25℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられる、請求項11の結晶形。
【請求項16】
約25℃の温度において、5.34、9.45、11.1、12.8、15.5、23.5、および25.0からなる群から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の3つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられる、請求項11の結晶形。
【請求項17】
約22℃の温度において、5.34、9.45、11.1、12.8、15.5、23.5、および25.0からなる群から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられる、請求項16の結晶形。
【請求項18】
実質的に表3に記載される原子座標の分画によって特徴づけられる、請求項11の結晶形。
【請求項19】
請求項1または11の少なくとも一つの化合物、および医薬的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項20】
請求項1または11の化合物の治療上の有効量を哺乳類に投与することを含む、哺乳類における炎症性疾患または免疫疾患の治療方法。
【請求項21】
炎症性疾患または免疫疾患が、急性または慢性移植片対宿主反応、急性または慢性移植片拒絶反応、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、変形性関節症、骨粗鬆症、糖尿病、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、アルツハイマー病、ショック、強直性脊椎炎、胃炎、結膜炎、膵炎、多臓器障害症候群、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、再灌流傷害、急性糸球体腎炎、血管炎、熱傷、壊死性腸炎、顆粒球輸血関連症候群、シェーグレン症候群、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、じんま疹、強皮症、乾癬、喘息、肺線維症、アレルギー性鼻炎、酸素中毒、肺気腫、慢性気管支炎、急性呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、B型肝炎、C型肝炎、器官組織自己免疫疾患、自己免疫性甲状腺炎、ぶどう膜炎、全身性エリテマトーデス、アジソン病、多腺性自己免疫疾患、およびグレーブス病から選択される、請求項20の方法。
【請求項22】
炎症性疾患または免疫疾患が、急性または慢性移植片拒絶反応、リウマチ性関節炎、変形性関節症、糖尿病、喘息、炎症性腸疾患、乾癬、および慢性閉塞性肺疾患から選択される、請求項21の方法。
【請求項23】
式:
【化3】

[式中、
LおよびKは独立して、OまたはSであり;
ZはNまたはCR4bであり;
Arは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
Gは、結合、−O−、−S−、−NR1、C1-3アルキレン、C1-3置換アルキレン、二価アルコキシ、チオアルキル、アミノアルキル、スルホニル、スルホンアミジル、アシル、またはアルコキシカルボニルであり;
1は、結合、C1-2アルキレン、またはC2-3アルケニレンであり;
2は、結合、C1-3アルキレン、C2-3アルケニレン、−C1-4アルキレン−NR16−、−C1-4アルキレン−NR16C(=O)−、−C1-4アルキレン−S−、−C1-4アルキレン−SO2−、またはC1-4アルキレン−O−であり、その中でA2アルキレン基は分枝鎖または直鎖であり、適宜置換アルキレンであり;
Qは、結合、−C(=O)−、−C(=O)NR16−、−C(=S)NR16−、−SO2−、−SO2NR16−、−CO2−、または−NR16CO2−であり;
1は、水素、アルキル、または置換アルキルであり;
2は、水素、アルキル、置換アルキル、−OR12、−NR1213、−C(=O)R12、−CO212、−C(=O)NR1213、−NR12C(=O)R13、−NR12C(=O)OR13、−S(O)p13a、−NR12SO213a、−SO2NR1213、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
4a、R4b、およびR4cは独立して、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、ニトロ、シアノ、−SR14、−OR14、−NR1415、−NR14C(=O)R15、−CO214、−C(=O)R14、−C(=O)NR1415、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、および/または置換ヘテロアリールであり;
12、R13、R14、およびR15は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、および/または置換ヘテロシクロであるか;あるいは(ii)R12がR13と一緒になって、および/またはR14がR15と一緒になって、ヘテロアリールまたはヘテロシクロ環を形成し;
13aは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、または置換ヘテロシクロであり;
16は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであるが、但し、A1、Q、およびA2が各々結合である場合、R16は水素ではなく;
R’は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;および
pは1または2である]
の置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)の製造方法であって、
式:
【化4】

[式中、記号は上記と同義]
のアルケン化合物(III)を
i)メチレン前駆体化合物および
ii)式:
【化5】

[式中、記号は上記と同義]
のN−置換グリシン化合物(IV)
と接触させて、置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和化合物を得ることを特徴とする方法。
【請求項24】
メチレン前駆体化合物が、ホルムアルデヒド、ヘキサメチレントリアミン、ジメトキシメタン、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、またはそれらの混合物である、請求項23の方法。
【請求項25】
アルケン化合物(III)、メチレン前駆体化合物が、少なくとも1つの極性溶媒の存在下、式(IV)のN置換グリシン化合物と接触することを特徴とする、請求項23の方法。
【請求項26】
該極性溶媒が、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、またはそれらの混合物である、請求項25の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの極性溶媒および少なくとも1つの非極性溶媒を含む反応混合液中実施される、請求項23の方法。
【請求項28】
スピロ−ヒダントイン化合物(I)を分割して、少なくとも1つの分割したエナンチオマーを提供する工程を更に含む、請求項23の方法。
【請求項29】
置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)を分割して、式:
【化6】

の構造の分割したエナンチオマー、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を得る、請求項28の方法。
【請求項30】
ZがCR4bであり;
KがOであり;および
LがOである、請求項23の方法。
【請求項31】
Gが、結合、C1-3アルキレン、またはC1-3置換アルキレンであり;
Arが、アリールまたは置換アリールであり;および
2が、アルキルまたは置換アルキルである、請求項30の方法。
【請求項32】
1が結合またはC1-2アルキレンであり;
2が結合であり;
Qが、結合、−C(=O)−、−C(=O)NR16−、−C(=S)NR16−、−SO2−、−SO2NR16−、−CO2−、または−NR16CO2−であり;および
16が、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである、請求項31の方法。
【請求項33】
16が、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである、請求項32の方法。
【請求項34】
置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)が、式:
【化7】

の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項33の方法。
【請求項35】
置換スピロ−ヒダントイン化合物(I)が、式:
【化8】

の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項33の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−523154(P2008−523154A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546859(P2007−546859)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/045251
【国際公開番号】WO2006/065908
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】