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6価クロム簡易定量法
説明

6価クロム簡易定量法

【課題】試料中に含まれる6価クロムの含有量範囲を簡易に特定することができる6価クロム簡易定量法を提供する。
【解決手段】それぞれ6価クロムと反応して変色する変色剤を含むと共に試料を溶解させる酸の含有量がそれぞれ異なる複数のテスト溶液を試料に別々に接触させ、テスト溶液の変色を検出し、試料に含まれる6価クロムの含有量範囲を特定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中の6価クロムを簡易に定量する6価クロム簡易定量法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、6価クロムの検出技術としては、6価クロムを溶出する溶出部と、溶出した6価クロムと反応する反応部とを有した検知体が記載されている(例えば、特許文献1参照)。この検知体では、溶出部に水や薬液を保持させ、反応部に変色剤を含有させて溶出部と反応部とを積層させている。そして、この検知体の溶出部の表面を試料に接触させることにより、反応部の変色を検出して試料に含まれる6価クロムの有無を定性的に測定している。
【特許文献1】特開2007−139497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の検知体では、6価クロムの定性的な検出であるため、試料中に含まれる6価クロムの有無を知ることができるが、試料中にどの程度の6価クロムが含まれているかという定量的な測定をすることができなかった。
【0004】
そこで、この発明は、試料中に含まれる6価クロムの含有量範囲を簡易に測定することができる6価クロム簡易定量法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の6価クロム簡易定量法は、6価クロムと反応して変色する変色剤を含むと共に試料を溶解させる酸の含有量がそれぞれ異なる複数のテスト溶液を前記試料に別々に接触させ、前記テスト溶液の変色を検出し、前記試料に含まれる6価クロムの含有量範囲を特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、試料中に含まれる6価クロムの含有量範囲を簡易に特定することができる6価クロム簡易定量法を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施の形態に係る6価クロム簡易定量法について説明する。
【0008】
本実施の形態の6価クロム簡易定量法は、6価クロムと反応して変色する変色剤としてのジフェニルカルバジドを含むと共に試料を溶解させる酸としてのリン酸の含有量がそれぞれ異なる複数のテスト溶液を試料に別々に接触させ、テスト溶液の変色を検出し、その検出結果に基づいて試料に含まれる6価クロムの含有量範囲を特定する。
【0009】
(試料)
試料は、鉄(または鉄系合金)からなる母材上に鉄の防錆としての亜鉛めっき、さらにその上に亜鉛めっきの防錆としての化成処理皮膜が形成された部品を用いる。
【0010】
(テスト溶液)
テスト溶液は、変色剤と、有機溶剤と、酸と、水とから構成されている。変色剤としてはジフェニルカルバジドを用い、有機溶剤としてはアセトン、エタノールを用い、酸としてはリン酸を用いる。複数のテスト溶液としては、ジフェニルカルバジド(0.4g)、アセトン(20ml)、エタノール(20ml)が混合された混合液に対して、0.3ml,0.05ml,0.03ml,0.005mlと異なる量のリン酸を混合させ、水によって全量を同一(80ml)にしたリン酸の体積(容量)濃度が0.375%テスト溶液、0.0625%テスト溶液、0.0375%テスト溶液、0.00625%テスト溶液を用いる。なお、テスト溶液の混合はジフェニルカルバジド、アセトン、エタノール、リン酸または水の順で混合させ、テスト溶液の使用期限は調製後8時間としている(ISO3613参照)。
【0011】
(基準試料)
温水(沸騰水)中に試料を浸漬し皮膜中の成分を温水中に取り出す温水抽出により、6価クロムの含有量の測定結果が0.02μg/cm,0.06μg/cm,0.09μg/cmとそれぞれ異なる基準試料を用いる。
【0012】
(テスト溶液の6価クロムに対する反応測定)
試料中に6価クロムが含まれる場合は、6価クロムとジフェニルカルバジドとが反応してクロム−ジフェニルカルバゾン錯体を形成する。この錯体形成に要する時間は反応溶液のpHにより変化する(詳細にはpHが高いと反応に要する時間が長くなる)。この反応溶液のpHは、酸濃度によって変えることができる。また、変色(発色)反応が進行している段階のある時間において、pHの低い反応溶液とpHの高い反応溶液とでは、両者の間に発色強度の差が生じる。つまり、ある反応時間において、pHの違いにより発色している状態と発色していない状態を作り出すことができる。このことから、テスト溶液の酸濃度を変えることにより、6価クロムの検出力を変化させることができる。
【0013】
そこで、酸濃度を変えるものとしてリン酸を用いた。すなわち、錯体形成に要する時間は反応溶液のリン酸濃度により変化する。平衡状態での吸光度は6価クロム濃度に依存するが、平衡状態に達する前の時間帯ではリン酸濃度の低下と共に吸光度は小さくなる。これは、平衡状態に達するまでに要する時間がリン酸濃度の低下と共に長くなり、反応速度が小さくなるからである(図2参照)。従って、テスト溶液と基準試料との反応過程においては、発色反応の平衡状態に達する前に呈色の判定を行うことにより、反応速度差によって呈色が確認できる6価クロム濃度を区別することができ、6価クロムの検出感度を調節することができる。
【0014】
上記のことから、リン酸濃度がそれぞれ異なる各テスト溶液を基準試料と接触させ、クロム−ジフェニルカルバゾン錯体を形成させてテスト溶液の変色を観測した。なお、テスト溶液の変色の観測については、目視で行われ、試料表面にテスト溶液を滴下させ試料表面のテスト溶液の発色を観測する、試料表面にテスト溶液を滴下させテスト溶液のみを時計皿に移して観測する、試料表面にテスト溶液を滴下させテスト溶液を綿棒で吸い取って綿棒を観測するなど種々の方法があるが、本実施の形態ではテスト溶液を含ませた綿棒で試料表面を拭き取り綿棒を観測した。この観測条件は、拭き取り面積を10±2mm×4±1mm、拭き取り回数を2往復、観測までの時間を1分とした。
【0015】
(テスト溶液の反応による6価クロムの含有量範囲の特定)
測定の結果を図1に示す。なお、図中に示す○は目視でテスト溶液の変色を確認できたものを示し、×は目視でテスト溶液の変色を確認できなかったものを示す。
【0016】
一般に定性的に使用される基準組成のテスト溶液(ジフェニルカルバジド0.4g、アセトン20ml、エタノール20ml、リン酸20ml、水20mlを混合した溶液:ISO3613参照)では、すべての基準試料に対してテスト溶液の変色を確認することができた。リン酸含有量0.3mlである0.375%テスト溶液では、すべての基準試料に対してテスト溶液の変色を確認することができたが、リン酸含有量0.05mlである0.0625%テスト溶液では、6価クロムの含有量が0.02μg/cmの基準試料でテスト溶液の変色を確認することができなかった。また、リン酸含有量0.03mlである0.0375%テスト溶液では、6価クロムの含有量が0.02μg/cm,0.06μg/cmの基準試料でテスト溶液の変色を確認することができず、リン酸含有量0.005mlである0.00625%テスト溶液では、すべての基準試料に対してテスト溶液の変色を確認することができなかった。
【0017】
この測定結果から、基準組成のテスト溶液で変色しない場合は、試料中に6価クロムが含まれていないことがわかる。また、基準組成のテスト溶液で変色する場合は、0.375%テスト溶液を接触させて変色しない場合は、試料中に含まれる6価クロムが0μg/cm以上0.02μg/cm未満の6価クロムが含まれていることがわかる。また、0.375%テスト溶液で変色する場合は、0.0625%テスト溶液を接触させて変色しない場合は、試料中に0.02μg/cm以上0.06μg/cm未満の6価クロムが含まれていることがわかる。また、0.0625%テスト溶液で変色する場合は、0.0375%テスト溶液を接触させて変色しない場合は、試料中に0.06μg/cm以上0.09μg/cm未満の6価クロムが含まれていることがわかる。また、0.0375%テスト溶液で変色する場合は、0.09μg/cm以上の6価クロムが含まれていることがわかる。
【0018】
(試料に対する6価クロムの含有量範囲の測定)
まず、リン酸含有量の最も多い0.0375%テスト溶液を試料に接触させ、テスト溶液の変色を観測する。次に、テスト溶液に変色がある場合には次にリン酸含有量が多い0.0625%テスト溶液を試料に接触させ、テスト溶液の変色を観測する。このような操作をリン酸含有量の最も多いテスト溶液からリン酸含有量の少ないテスト溶液へテスト溶液の変色が観測されなくなるまで順次繰り返す。
【0019】
このようにリン酸含有量が異なる複数のテスト溶液を用いることにより、試料中に含まれる6価クロムの含有量範囲を簡易に特定することができる。なお、リン酸含有量が異なるテスト溶液をさらに多く用いることによって、より詳細に試料中に含まれる6価クロムの含有量範囲を特定することができる。
【0020】
このような6価クロム簡易定量法では、リン酸の含有量が異なる複数のテスト溶液を試料に接触させることによって6価クロムの含有量範囲を特定することができるので、複雑な操作を適用することなく、試料中にどの程度6価クロムが含まれているかを容易に検知することができる。従って、試料中に含まれる6価クロムの含有量範囲を簡易に測定することができる。
【0021】
なお、本発明ではテスト溶液を4つとしているが、これに限られるものではなく、酸の含有量が異なるテスト溶液を増やすことによって、より正確に試料中の6価クロムの含有量範囲を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一実施例の6価クロムの含有量範囲の測定における結果を示す図である。
【図2】吸光度の時間変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6価クロムと反応して変色する変色剤を含むと共に試料を溶解させる酸の含有量がそれぞれ異なる複数のテスト溶液を前記試料に別々に接触させ、前記テスト溶液の変色を検出し、前記試料に含まれる6価クロムの含有量範囲を特定することを特徴とする6価クロム簡易定量法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−198326(P2009−198326A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40486(P2008−40486)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】