説明

6員環を有するヌクレオチドアナログ

【課題】核酸に標識を組込むために使用されるか、またはその特性に影響を及ぼす新たな化合物を提供する。
【解決手段】式I:


式中、Lは連結部分であり、Bは複素環式塩基であり、R1は標識又は固相であり、R2は-Hおよび-OR6からなる群より選択され、R3は(1)保護基、(2)固相に共有結合された連結部分、(3)ホスホルアミダイト、(4)H-ホスホネート、または(5)トリホスフェートR4は連結部分であり、R6は(1)-H、(2)保護基、(3)固相に共有結合された連結部分、(4)ホスホルアミダイト、および(5)H-ホスホネートからなる群より選択され、YはO、S、NR5およびCR5aR5b、R5はアルキル、等から選択される、を有する化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸に取り込まれ得る6員環を含む化合物に関する。特に、6員環は、シクロヘキサン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピランまたはピペリジンの誘導体である。これらの化合物は、オリゴマー化合物を構築するために使用され得る。本発明は、さらに、ハイブリダイゼーションのため、およびプローブとしてのこれらのオリゴマー化合物の使用に関する。さらに、オリゴマー化合物を使用する核酸の検出のための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
分子診断の分野で、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた標的核酸の検出は、重要な役割を果たす。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型(HBV)またはC型(HCV)肝炎ウイルスの存在についての血液バンクについて日常的に行われているスクリーニングは、PCRに基づく診断の大規模使用の例である。PCRに基づく分析のための自動化システムは、しばしば、PCRプロセスの間の生成物増幅の実時間検出を利用する。このような方法の鍵は、レポーター基または標識を担持する修飾オリゴヌクレオチドの使用である。
【0003】
その最も簡単な形態では、PCRは、対鎖にハイブリダイズし、そして標的核酸中の目的の領域である標的配列に隣接している2つのオリゴヌクレオチドプライマーを使用する、特異的核酸配列の酵素的合成のインビトロ法である。連続して行われる一連の反応工程は、鋳型変性、プライマーアニーリングを包含し、そしてDNAポリメラーゼ(DNA:デオキシリボ核酸)によるアニーリングしたプライマーの伸長を含み、これにより、その末端がプライマーの5'末端によって定義される特異的なフラグメントの指数的蓄積を生じる。
【0004】
一方では、PCR工程によって生じたDNA増幅産物の検出を、別個の作業工程で達成し得る。これらは、それらの電気泳動移動性に関して増幅フラグメントの特徴付けおよび/またはハイブリダイゼーションプローブを用いる固体支持体に付着した変性増幅産物の分析を含み得る。
【0005】
他方では、DNA増幅産物の検出を、いわゆる「均一」アッセイシステムで行い得る。「均一」アッセイシステムは、標的配列が増幅される間にシグナルを発生するレポーター分子または標識を含む。「均一」アッセイシステムについての例は、TaqMan(登録商標)システムである(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。簡潔には、その方法は、二重標識プローブおよびTaqDNAポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性に基づく。プローブは、PCR工程によって増幅されるべき標的配列と相補的であり、そして各重合サイクル工程の間に2つのPCRプライマーの間に配置される。プローブは、それに付着した2つの蛍光標識を有する。1つは、6-カルボキシフルオレセン(FAM)のようなレポーター色素であり、そしてそれは、第二の蛍光色素である6-カルボキシ-テトラメチル-ローダミン(TAMRA)の空間的な接近により、エネルギー転移により消光されるそれの発光スペクトルを示す。各増幅サイクルの過程で、プライマーが結合したDNA鎖を伸長する工程においてTaqDNAポリメラーゼは、アニーリングしたプローブを置換および分解するが、その後者は、ポリメラーゼの固有の5'-3'エキソヌクレアーゼ活性による。この機構は、TAMRAの消光活性からレポーター色素をも遊離する。結果として、蛍光活性は、プローブの切断の増加とともに増大し、そしてこれは形成されたPCR産物の量に比例する。したがって、放出された蛍光標識の強度を検出しながら、増幅された標的配列を測定する。
【0006】
蛍光色素分子の間のエネルギー転移の類似の原理は、いわゆる「分子ビーコン」(例えば、特許文献4参照)を用いた「均一」アッセイに適合する。これらは、標的核酸に結合するときに、その蛍光が、回復させられる消光させられた蛍光団を内部に有するヘアピン形状の核酸分子である(例えば、特許文献4参照)。分子のループ部分がPCR工程の標的配列内の領域に相補的なプローブ配列であるような方法で、それらを設計する。そのステムは、プローブ配列の末端での相補的なアーム配列のアニーリングにより形成される。蛍光部分は、一方のアームの末端に連結させられ、そして消光部分は、他方のアームの末端に連結させられる。
【0007】
ステムは、互いにごく近傍にこれらの2つの部分を維持し、そして蛍光団の蛍光を、エネルギー転移によって消光させる。消光部分は、非蛍光発色団であり、そしてそれが発色団から熱として受け取るエネルギーを発生するので、プローブは、発光できない。プローブが標的分子に遭遇すると、ステムハイブリッドより長くて、そしてより安定であるハイブリッドを形成し、そしてそれの厳密さと長さは、ステムハイブリッドが同時に存在することを妨げる。したがって、分子ビーコンは、ステムを分解させる自発的な構造の再構築を受け、そして蛍光団およびクエンチャーに、互いから移転させ、そして検出され得る蛍光を回復させる。
【0008】
「均一」アッセイシステムについてのいっそう多くの例は、LightCycler(登録商標)装置(例えば、特許文献5参照)で使用されるフォーマットにより供され、それらのいくつかは、しばしば「キシングプローブ」フォーマットと呼ばれる。さらに、この原理もまた、2つの相互作用する色素に基づく。しかし、ドナー色素が、蛍光共鳴エネルギー転移によってアクセプター色素を励起させるという点で特徴的である。例示的な方法は、ハイブリダイゼーションプローブとして2つの修飾オリゴヌクレオチドを使用する。これらは、PCR工程で標的配列に隣接している内部配列にハイブリダイズする。5'に配置された修飾オリゴヌクレオチドは、その3'末端に標識としてドナー色素を有する。3'に配置された修飾オリゴヌクレオチドは、その5'末端にアクセプター色素を有する。増幅サイクルの過程での標的配列に対する2つの修飾オリゴヌクレオチドの頭部から尾部への配向性でのアニーリングにより、ドナーおよびアクセプター色素は、ごく近傍に存在する。単色光パルスの手順によるドナー色素の特定の励起により、アクセプター色素の蛍光が検出され、これにより形成されたPCR産物の量についての測定が得られる。
【0009】
別のアッセイフォーマットは、いわゆる「アレイ」フォーマットである。「アレイ」は、デバイスでの利用可能な位置の配置である(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9および特許文献10参照)。位置の数は、数個から少なくとも数十万までの範囲に入り得る。最も重要な点は、各位置が、総じて独立の反応部位を表すことである。各位置は、例えば、「オリゴマー化合物」として核酸を担持し、そしてそれは、第二の核酸、特に標的核酸についての結合パートナーとして役割を果たし得る。それの製造の方法が開示されている(例えば、特許文献11、および非特許文献1、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16参照)。別の開発では、非常に小さな領域でオリゴヌクレオチドプローブの非常に大きなアレイを作製する方法が開示されている(例えば、特許文献6、特許文献9、特許文献10参照)。「DNAチップ」と呼ばれる大量のオリゴヌクレオチドプローブの微細作製アレイは、広範な用途についておおいなる見込みを提供する(例えば、特許文献8および特許文献7参照)。その方法の基本的な工程は、対照および処理サンプルから核酸を単離し、そして増幅工程の間に組み込まれる様々の蛍光色素で標識することである。さらに詳細には、これは記述される方法により行われ(例えば、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20参照)、それにより二本鎖cDNAを、細菌T7-プロモーターを含むプライマーを用いて合成し、そして標識RNAを、リボヌクレオシドトリホスフェートの存在下で転写させ、それにより標識を、ヌクレオシドトリホスフェートのいくつかに付着させる。その後、これらの標識核酸を任意に断片化させ、混合し、そして整列させたオリゴマー化合物にハイブリダイズさせる。その後、光学デバイスを、各個別のスポットについての各色素の相対的強度を測定するために使用する。2つのプローブの間の蛍光レベルの比は、サンプルの間の相対的遺伝子発現を示す。これらの工程により、研究者らは、一度に単独遺伝子の効果を見るよりむしろ同時に遺伝子のセット全体を評価され得る。その後、特定の遺伝子の非常に異なる発現を、ノーザンブロットまたは定量的RT-PCRのような従来の手順によって追跡され得る。複数の実験から得られるデータが、他の機能が未知である遺伝子に機能情報を割当てるために組み合せられ得る。様々な状態にわたって類似の発現プロファイルを示す遺伝子は、共通の生理学的または代謝経路に関係するようである。機能についての情報を反映する同時発現される遺伝子の群の検出を可能にするクラスター分析プログラムが開発された。
【0010】
「均一」アッセイシステムで使用されるオリゴマー化合物または修飾オリゴヌクレオチドは、レポーター分子としての色素のような標識がそれに連結されているヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、または非ヌクレオチド化合物、すなわち、モノマー単位を含む。このようなモノマー単位の特性は、それらが、
(1)核酸の糖リン酸重合体骨格に連結および/または組み込まれ得、
(2)それの相補的標的配列との修飾オリゴヌクレオチドの対合を妨げず、
(3)1つ以上の標識の付着のための官能基を供給する
ことである。
【0011】
これらの要求は、ヌクレオチド、修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチド化合物によって満たされ得る。さらに、TaqMan(登録商標)フォーマットには、オリゴマー化合物が、鋳型依存性DNAポリメラーゼの5'-3'エンドヌクレアーゼ活性によって消化され得ることが必要である。種々の修飾ヌクレオチドもまた、オリゴマー化合物に組み込まれて、それらのハイブリダイゼーション作用または安定性に影響を与える(例えば、特許文献21参照)。
【0012】
数種の化合物、およびモノマー単位として核酸に組込むそれらの使用法は、当該分野で公知である。このような化合物は、レポーター基または標識の共有結合するための官能基および/または連結部分を提供する。オリゴマー化合物の化学合成の過程で、例えば、ホスホジエステルを生じるホスホルアミダイトに基づく化学により、「非ヌクレオチド化合物」または「修飾ヌクレオチド」の骨格構造を、「オリゴヌクレオチド」骨格に連結させる。これにより、所定の組込み化合物は、新たに発生した「修飾オリゴヌクレオチド」内の「修飾ヌクレオチド」または「非ヌクレオチド化合物」を表す。標識は、それに限定されないが、骨格構造上に、または骨格を反応基に連結する「連結部分」上に存在するアミノ官能基により例示される、連結部分の反応基により結合される。標識は、「修飾オリゴヌクレオチド」の合成の前に、またはその後に、標識が結合される予定である官能基から任意の保護基を除去することにより、化合物に共有結合させることができる。種々の「修飾ヌクレオチド」もまた、それらのハイブリダイゼーション作用または安定性に影響を与えるオリゴマー化合物に組込むことができる(例えば、特許文献21参照)。
【0013】
いくつかの文献は、6員環を含む修飾ヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドへのそれらの組込みを開示する:
【0014】
1,5無水ヘキシトールヌクレオシドアナログおよびそれの医薬上の用途を開示する(例えば、特許文献22参照)。別の1,5-無水ヘキシトールまたはヘキシトールヌクレオシドアナログが開示されている(例えば、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10参照)。抗ウイルス性テトラヒドロピランが開示されている(例えば、特許文献23参照)。6員環を含むデオキシアデノシンビスホスフェート誘導体が開示されている(例えば、非特許文献11参照)。
【0015】
6員の少なくとも部分的に不飽和である炭素環ヌクレオシド化合物を開示している(例えば、特許文献24参照)。医薬用途は、最初に考慮される。ヌクレオシドアナログを含む別のシクロヘキサンまたはシクロヘキセンが開示されている(例えば、非特許文献12、非特許文献13、非特許文献14、非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21、非特許文献22、非特許文献23、非特許文献24、非特許文献25参照)。
【0016】
1,5無水ヘキシトールヌクレオシドアナログから構成されるか、またはそれを含むオリゴマーおよびそれらの用途が開示されている(例えば、特許文献25参照)。相補的配列に特異的に結合する配列を示す1,5無水ヘキシトールヌクレオチドアナログから構成されるか、またはそれを含むオリゴマーに関する(例えば、特許文献26参照)。さらに、その合成、そして核酸の診断、ハイブリダイゼーション、単離、部位特異的DNA修飾および治療薬におけるそれらの用途が開示されている。核酸を含む別のヘキシトールまたは1,5-無水ヘキシトールが開示されている(例えば、非特許文献26、非特許文献27、非特許文献28、非特許文献29、非特許文献30、非特許文献31、非特許文献32、非特許文献33、非特許文献34、非特許文献35、非特許文献36、非特許文献37、非特許文献38、非特許文献39、非特許文献40、非特許文献41、非特許文献42、非特許文献43参照)。ピラノシルオリゴマーも開示されている(例えば、特許文献27、特許文献28参照)。
【0017】
シクロヘキセン核酸、RNAに対するそれらのハイブリダイゼーション作用、ならびに診断および治療における用途が開示されている(例えば、特許文献29参照)。核酸を含む別のシクロヘキサンまたはシクロヘキセンが開示されている(例えば、非特許文献44、非特許文献25参照)。
【0018】
核酸標識のための種々の化合物が開示されている(例えば、特許文献30および特許文献31参照)。
【0019】
6員環を含むが、6員環のC4原子でさらにメチレン基を含む、一般式を含む核酸誘導体が開示されている(例えば、特許文献32参照)。6員アザ糖を含むヌクレオチドモノマーおよびそれらを含むオリゴマーが開示されている(例えば、特許文献33および非特許文献45参照)。
【特許文献1】米国特許第5,210,015号明細書
【特許文献2】米国特許第5,804,375号明細書
【特許文献3】米国特許第5,487,972号明細書
【特許文献4】米国特許第6,103,476号明細書
【特許文献5】米国特許第6,174,670号明細書
【特許文献6】米国特許第5,143,854号明細書
【特許文献7】米国特許第6,022,963号明細書
【特許文献8】米国特許第6,156,501号明細書
【特許文献9】国際公開第90/15070号パンフレット
【特許文献10】国際公開第92/10092号パンフレット
【特許文献11】欧州特許出願公開第0476014号明細書
【特許文献12】国際公開第89/10977号パンフレット
【特許文献13】国際公開第89/11548号パンフレット
【特許文献14】米国特許第5,202,231号明細書
【特許文献15】米国特許第5,002,867号明細書
【特許文献16】国際公開第93/17126号パンフレット
【特許文献17】米国特許第5,545,522号明細書
【特許文献18】米国特許第5,716,785号明細書
【特許文献19】米国特許第5,891,636号明細書
【特許文献20】米国特許第6,291,170号明細書
【特許文献21】国際公開第02/12263号パンフレット
【特許文献22】国際公開第93/25565号パンフレット
【特許文献23】米国特許第5,314,893号明細書
【特許文献24】国際公開第01/18003号パンフレット
【特許文献25】国際公開第96/05213号パンフレット
【特許文献26】国際公開第97/30064号パンフレット
【特許文献27】国際公開第98/25943号パンフレット
【特許文献28】国際公開第99/15509号パンフレット
【特許文献29】国際公開第01/49687号パンフレット
【特許文献30】国際公開第97/27317号パンフレット
【特許文献31】国際公開第02/072779号パンフレット
【特許文献32】欧州特許第0468352号明細書
【特許文献33】国際公開第01/02417号パンフレット
【非特許文献1】Hoheisel,J.D.,TIBTECH,(1997年),15巻,465-469頁
【非特許文献2】Verheggan,I.ら,Nucleosides & Nucleotides,(1996年),15巻,325-335頁
【非特許文献3】Verheggen,I.ら,J. of Med.Chem.,(1993年),36巻,2033-2040頁
【非特許文献4】Peres-Perez,M.-J.ら,Bioorg.& Med. Chem. Letters,(1996年),6巻,1457-1460頁
【非特許文献5】Vastmans,K.ら,Collect.Symp.シリーズ2,(1999年),156-160頁
【非特許文献6】Andersen,M.W.ら,Pergamon,Tetrahedron Lett.,(1996年),37巻,8147-8150頁
【非特許文献7】Ostrowski,T.ら,J.Med.Chem.,(1998年),41巻,4343-4353頁
【非特許文献8】Allart,B.ら,Tetrahedron,(1999年),55巻,6527-6546頁
【非特許文献9】De Bouvere,B.ら,Liebigs Ann./Recueil,(1997年),1453-1461頁
【非特許文献10】Verheggen,I.ら,J. Med.Chem.,(1995年),38巻,826-835頁
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【非特許文献27】Pochet,S.ら,Nucleosides & Nucleotides,(1999年),18巻,1015-1017頁
【非特許文献28】Kozlov,I.A.ら,Chemistry,(2000年),6巻,151-155頁
【非特許文献29】Vandermeeren,M.ら,Biochem.Pharm.,(2000年),59巻,655-663頁
【非特許文献30】Hendrix,C.ら,Chem.Eur.J.,(1997年),3巻,1513-1520頁
【非特許文献31】Allart,B.ら,Chem.Eur.J.,(1999年),8巻,2424-2431頁
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【非特許文献34】Van Aerschot,A.ら,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,(1995年),34巻,1338-1339頁
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【非特許文献38】Kozlov,I.A.ら,J.Am.Chem.Soc.,(1999年),121巻,1108-1109頁
【非特許文献39】Herdewijn,P.ら,Nucl.Acids Symp.,シリーズ31,(1994年),161-162頁
【非特許文献40】Lescrinier,E.ら,Helvetica Chimica Acta,(2000年),83巻,1291-1310頁
【非特許文献41】Kozlov,I.A.ら,J.Am.Chem.Soc.,(1999年),121巻,5856-5859頁
【非特許文献42】De Winter,H.ら,J.Am.Chem.Soc.,(1998年),120巻,5381-5394頁
【非特許文献43】Atkins,D.ら,Pharmazie,(2000年),55巻,615-617頁
【非特許文献44】Wang,J.ら,J.Am.Chem.Soc.,(2000年),122巻,8595-8602頁
【非特許文献45】Jung,K.-E.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,(1999年),9巻,3407-3410号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
核酸への標識の組込みのために使用されるか、または修飾オリゴヌクレオチドの特性に影響を与える化合物は、それらが、
(a)塩基の対合を妨害し得る、
(b)十分な厳密さの骨格構造を提供し得ない、
(c)低い水溶解性を生じる疎水性構造を主に提供し得る、
(d)化学的修飾に対して限られた影響のみを提供し得る、または
(e)エナンシオマーの混合物を含み得る
ように、注意深く選択されなければならない。
【0021】
したがって、核酸に標識を組込むために使用されるか、またはそれらの特性に影響を及ぼす新たな化合物を提供することが、本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0022】
すなわち、本発明の要旨は、以下である:
〔1〕式I:
【化1】


式中、Lはヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基又はチオール基である反応性基を含む連結部分であり、
Bは複素環式塩基であり、
R1はR2、R3、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、R1は標識又は固相であり、
R2はR1、R3、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、R2は-Hおよび-OR6からなる群より選択され、
R3はR1、R2、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、R3
(1)保護基、
(2)固相に共有結合された連結部分、
(3)ホスホルアミダイト、
(4)H-ホスホネート、および
(5)トリホスフェート
からなる群より選択され、
R4はR1、R2、R3、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、R4は-H、-OH、アルキル、ハロゲン、-O-R5、-S-R5、NR5R5a、標識または固相に共有結合された連結部分であり、
R6はR1、R2、R3、R4、R5、R5a、およびR5bから独立し、R6
(1)-H
(2)保護基、
(3)固相に共有結合された連結部分、
(4)ホスホルアミダイト、および
(5)H-ホスホネート
からなる群より選択され、
YはO、S、NR5およびCR5aR5bからなる群より選択され、
R5、R5aおよびR5bは互いに独立し、R1、R2、R3、R4およびR6から独立し、R5はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、保護基または-Hから独立して選択され、R5aおよびR5bはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、または-Hから独立して選択される、
を有する化合物、
〔2〕連結部分Lが炭素原子、酸素原子または窒素原子および前記反応性基を含むことを特徴とする〔1〕記載の化合物、
〔3〕R1が標識であることを特徴とする〔1〕または〔2〕記載の化合物、
〔4〕YがO、S、またはCR5aR5bであることを特徴とする〔1〕〜〔3〕いずれか記載の化合物、
〔5〕R3がトリホスフェートであり、R2が-OR6(式中、R6は-Hである)であり、R4が-Hまたは-OHであることを特徴とする〔1〕〜〔4〕いずれか記載の化合物、
〔6〕式II:
【化2】


で表される〔4〕または〔5〕記載の化合物、
〔7〕R2がR1、R3、R4、R5、R5a、R5b、およびR6から独立し、R2が-OR6(式中、R6はホスホルアミダイトである)であり;
R3がR1、R2、R4、R5、R5a、R5b、およびR6から独立し、R3が保護基または連結部分に共有結合された固相である
ことを特徴とする〔1〕〜〔4〕いずれか記載の化合物、
〔8〕式:
S-B-L-R7
式中、Sは6員環を含む部分であり、
Bは複素環式塩基であり、
Lはヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基又はチオール基である反応性基を含む連結部分であり、
R7は標識または固相であり、
6員環がシクロヘキサン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピランまたはピペリジンの誘導体である、
を有するモノマー単位を含んでなるオリゴマー化合物、
〔9〕式III:
【化3】


式中、Lはヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基又はチオール基である反応性基を含む連結部分であり、
Bは複素環式塩基であり、
R7はR5、R5a、R5b、R8、R9、R10、およびR11から独立し、R7は標識又は固相であり、
R8はR5、R5a、R5b、R7、R9、R10、およびR11から独立し、R8は-Hおよび-OR11からなる群より選択され、
R9およびR11は互いに独立し、R5、R5a、R5b、R7、R8またはR10から独立し、R9およびR11
(1)-H、
(2)固相に共有結合された連結部分、
(3)ホスフェート、および
(4)ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドを有するホスホジエステル
からなる群より選択され、
R10はR5、R5a、R5b、R7、R8、R9およびR11から独立し、R10は-H、-OH、アルキル、ハロゲン、-O-R5、-S-R5、NR5R5a、標識または固相に共有結合された連結部分であり、
YはO、S、NR5およびCR5aR5bからなる群より選択され、
R5、R5aおよびR5bは互いに独立し、R7、R8、R9、R10およびR11から独立し、R5はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、保護基または-Hから独立して選択され、R5aおよびR5bはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、または-Hから独立して選択される、
を有するモノマー単位を有する〔8〕記載のオリゴマー化合物、
〔10〕連結部分Lが炭素原子、酸素原子または窒素原子および前記反応性基を含むことを特徴とする〔9〕記載のオリゴマー化合物、
〔11〕R7が標識であることを特徴とする〔8〕〜〔10〕いずれか記載のオリゴマー化合物、
〔12〕R8が-OR11であり、R9およびR11がオリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドであり、R10が-Hまたは-OHであることを特徴とする〔9〕〜〔11〕いずれか記載のオリゴマー化合物、
〔13〕二重結合が存在しない場合、YがO、SまたはCR5aR5bであることを特徴とする〔9〕〜〔12〕いずれか記載のオリゴマー化合物、
〔14〕異なる配列を有する複数のオリゴマー化合物のアレイを含んでなる、標的核酸とオリゴマー化合物との間の相互作用を分析するための組成物であり、該オリゴマー化合物が〔8〕〜〔13〕いずれか記載のオリゴマー化合物であり、R7が固相であるか、あるいはR9、R10またはR11が該固相に共有結合された連結部分である、組成物、
〔15〕R2が-OR6であり、R3およびR6がホスホルアミダイト、連結部分に共有結合された固相または保護基である、〔1〕〜〔7〕いずれか記載の化合物の〔8〕〜〔13〕いずれか記載のオリゴマー化合物の化学合成のための使用、
〔16〕核酸の標識化のための〔1〕〜〔7〕いずれか記載の化合物の使用、
〔17〕相補核酸とのハイブリダイゼーション反応における、〔8〕〜〔13〕いずれか記載のオリゴマー化合物または〔14〕記載の組成物の使用、
〔18〕プライマー、プローブまたは捕捉プローブとしての〔8〕〜〔13〕いずれか記載のオリゴマー化合物の使用、
〔19〕(a)ターミナルトランスフェラーゼまたはポリメラーゼの存在下、R3がトリホスフェートである〔1〕〜〔7〕いずれか記載の化合物を、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドの3'末端のヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドの伸長可能なOH基とインキュベートし、それにより該化合物が伸長可能なOH基に結合され、それによりピロホスフェートが放出される工程、
(b)任意に、ターミナルトランスフェラーゼまたはポリメラーゼの存在下、工程(a)の生成物の3'末端の伸長可能なOH基をヌクレオシドトリホスフェートまたは修飾ヌクレオシドトリホスフェートとインキュベートし、それにより該ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドが3'-OH基に結合され、それによりピロホスフェートが放出される工程、
(c)任意に、工程(a)または(b)あるいは両方を繰り返す工程、ならびに
(d)オリゴマー化合物を単離する工程
を含む、〔8〕〜〔13〕いずれか記載のオリゴマー化合物の酵素的合成のための方法、
〔20〕(a)標的核酸を含むと推測されるサンプルを提供する工程、
(b)標的核酸の一部または全部と本質的に相補的な〔8〕〜〔13〕いずれか記載のオリゴマー化合物を提供する工程、
(c)任意に、鋳型依存性DNAポリメラーゼおよびプライマーを用いて標的核酸を増幅する工程、
(d)オリゴマー化合物が標的核酸に結合する条件下でサンプルとオリゴマー化合物とを接触させる工程、ならびに
(e)標的核酸の存在、非存在または量の基準として標的核酸とオリゴマー化合物との間の結合生成物またはハイブリダイゼーションの程度を測定する工程
を含む、サンプルにおける標的核酸の検出のための方法、
〔21〕工程(e)において、ハイブリダイゼーションの程度が、鋳型依存性DNAポリメラーゼによるエキソヌクレアーゼ加水分解により標的核酸にハイブリダイズされたオリゴマー化合物から放出された第一または第二蛍光標識の定量により測定される、〔20〕記載の方法、
〔22〕少なくとも1つのサイクリング工程を実施する工程であって、ここで、サイクリング工程が増幅工程およびハイブリダイズ工程を含み、ここで、該増幅工程がサンプルとプライマーとを接触させて、標的核酸が該サンプル中に存在する場合、増幅生成物を生成する工程を含み、ここで、該ハイブリダイズ工程が該サンプルと1対のプローブとを接触させる工程を含み、ここで、少なくとも1つのプローブが6員環を含むモノマー単位を含有してなるオリゴマー化合物であり、ここで、該プローブ対のメンバーが互いにわずか5ヌクレオチド以内で該増幅生成物にハイブリダイズし、ここで、該プローブ対の第一プローブがドナー蛍光標識で標識され、該プローブ対の第二プローブが対応するアクセプター蛍光標識で標識される、工程;
ならびに該第一プローブのドナー蛍光標識と該第二プローブのアクセプター蛍光標識との間の蛍光共鳴エネルギー転移の存在または非存在を検出する工程であって、ここで、蛍光共鳴エネルギー転移の存在がサンプル中の標的核酸の存在の指標であり、蛍光共鳴エネルギー転移の非存在がサンプル中の標的核酸の非存在の指標である、工程
を含む、〔20〕記載の方法、
〔23〕a)分析対象のサンプルから標的核酸を提供する工程、
b)標的核酸から二本鎖相補DNAを合成する工程、
c)〔1〕〜〔7〕いずれか記載の化合物およびヌクレオシドトリホスフェートの存在下で標的核酸を増幅し、それにより標識された標的核酸が得られる工程、
d)標識された標的核酸をオリゴマー化合物のアレイに画定された位置でハイブリダイズする工程、ならびに
e)各画定された位置での蛍光強度を測定し、それにより標的核酸の存在または量が測定される工程
を含む、サンプル中の標的核酸の存在または量を測定するための方法、
〔24〕鋳型依存性ポリメラーゼ、
プライマーセット、
ヌクレオチド、および
〔8〕〜〔13〕いずれか記載のオリゴマー化合物(式中、R7は標識である)
を含有してなるパーツキット。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、核酸に標識を組込むために使用されるか、またはそれらの特性に影響を及ぼす新たな化合物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、6員環部分を含む化合物、特に、オリゴマー化合物を構築するために使用され得るヘキシトールまたはシクロヘキセン部分を含む特定の化合物に関する。本発明は、さらに、ハイブリダイゼーションのための、そしてプローブとしてのこれらのオリゴマー化合物の使用に関する。さらに、オリゴマー化合物が使用されるサンプル中の核酸の検出方法を、開示する。ヘキシトール構造は、特に有用な特性として、親水性骨格構造を提供する。さらに、ヘキシトールおよびシクロヘキセン構造は、効率的な化学的合成を行うことができ、ヌクレアーゼによる分解に対する安定性が増強され、そして脱プリン反応に安定である。
【0025】
当業者の技術の範囲内である分子生物学および核酸化学の従来の技術は、文献中で説明されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989年;Gait, M.J., Oligonucleotide Synthesis,編集(1984年);Hames, B.D.およびHiggins, S.J.、Nucleic Acid Hybridization, 編集(1984年);および一連のMethods in Enzymology, Academic Press, Inc.を参照のこと。その全ては、参考として本明細書中に援用される。本明細書中に明示される上記および下記の両方の全ての特許、特許出願、および出版物は参考として本明細書中に援用される。
【0026】
当該分野で公知のように、「ヌクレオシド」は、塩基-糖の組合せである。ヌクレオシドの塩基部分は、通常は複素環式塩基である。このような(複素環式)塩基の2つの最も一般的なクラスは、天然の(複素環式)塩基であるプリンおよびピリミジンであり、すなわち、それらは自然界に存在している。さらに詳細には、重要な天然の(複素環式)塩基は、グアニン、シトシン、チミン、アデニン、ウラシルまたはメチルシトシンでさえある。
【0027】
「ヌクレオチド」は、さらに、ヌクレオシドの糖部分に共有結合されたリン酸基を含む「ヌクレオシド」である。ペントフラノシル糖を含む「ヌクレオシド」については、リン酸基は、糖の2'、3'、または5'ヒドロキシル部分のいずれかに連結され得る。「ヌクレオチド」は、「オリゴヌクレオチド」の「モノマー単位」であり、さらに一般には、「オリゴマー化合物」、または「ポリヌクレオチド」として本明細書中に示され、さらに一般的には、「ポリマー化合物」として示される。それらについての別の一般的表現は、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)である。
【0028】
「修飾ヌクレオチド」(または「ヌクレオチドアナログ」)は、いくつかの修飾により天然の「ヌクレオチド」とは異なるが、しかし、なお(複素環式)塩基、ペントフラノシル糖、リン酸部分、(複素環式)塩基様、ペントフラノシル糖様およびリン酸様の部分またはそれの組合せから構成される。ペントフラノシル糖様部分は、例えば、1,5無水ヘキシトールまたはシクロヘキセニル部分である。例えば、「標識」は、「ヌクレオチド」の塩基部分に連結され、それにより「修飾ヌクレオチド」が得られ得る。「ヌクレオチド」中の天然の(複素環式)塩基もまた、非天然の(複素環式)塩基、すなわち、自然界には存在しない(複素環式)塩基により置換され、それにより「修飾ヌクレオチド」が同様に得られ得る。その後、「修飾ヌクレオチド」は、(複素環式)塩基様部分、または天然の(複素環式)塩基に類似する「塩基アナログ」を含む。「塩基アナログ」は、通常は、自然界には存在せず、すなわち、言い換えると非天然であるが、しかしこれは、構造的に微細な差があるものに置換することができる。本発明により、複素環式塩基は、天然または非天然であり得る。用語「修飾ヌクレオチド」または「ヌクレオチドアナログ」は、本出願で相互交換可能に使用される。
【0029】
「修飾ヌクレオチド」(または「ヌクレオシドアナログ」)は、「修飾ヌクレオチド」(または「ヌクレオチドアナログ」)について上に概説された様式でのいくつかの変更により天然のヌクレオシドとは異なる。
【0030】
「非ヌクレオチド化合物」は、天然の「ヌクレオチド」とは異なるが、しかし本発明の意味で、「ヌクレオチド」に類似して、なお、「オリゴマー化合物」の「モノマー単位」であることができる。したがって、「非ヌクレオチド化合物」は、「ヌクレオチド」を有する「オリゴマー化合物」を形成することができなくてはならない。「非ヌクレオチド化合物」でさえ、塩基様、ペントフラノシル糖様またはリン酸様部分を含み得るが、しかし、その全てが、同時に、「非ヌクレオチド化合物」中に存在するわけではない。
【0031】
本発明によれば、「オリゴマー化合物」は、「ヌクレオチド」のみ、または「非天然の化合物」、さらに詳細には、「修飾ヌクレオチド」(または「ヌクレオチドアナログ」または「非ヌクレオチド化合物」単独またはそれらの組合せであり得る「モノマー単位」から構成される化合物である。「オリゴヌクレオチド」および「修飾オリゴヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチドアナログ」)は、本発明の状況では「オリゴマー化合物」の小集団である。
【0032】
本発明の状況では、用語「オリゴヌクレオチド」は、「モノマー単位」として複数の「ヌクレオチド」から形成される「ポリヌクレオチド」に該当する。すなわち、「オリゴヌクレオチド」は、「モノマー単位」を有するリボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)の「オリゴマー化合物」または「ポリマー化合物」の特定の小集団に属する。本発明によれば、用語「オリゴヌクレオチド」は、自然界に存在している「ヌクレオチド」から構成される「オリゴヌクレオチド」をのみ含む。リン酸基は、一般に、「オリゴヌクレオチド」のヌクレオシド間骨格を形成するといわれる。RNAおよびDNAの正常な連結または骨格は、3'から5'へのホスホジエステル結合である。
【0033】
「修飾オリゴヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチドアナログ」)は、「モノマー単位」として1つ以上の「ヌクレオチド」、1つ以上の「非ヌクレオチド化合物」または「修飾ヌクレオチド」を保有する「オリゴマー化合物」の別の特定の小集団に属する。したがって、用語「修飾オリゴヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチドアナログ」)は、「オリゴヌクレオチド」に実質的に類似の手段で機能する構造に該当し、そして本出願を通して相互交換可能に使用される。合成の観点から、「修飾オリゴヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチドアナログ」)は、例えば、リン酸骨格、リボース単位またはヌクレオチド塩基の適切な修飾による「オリゴヌクレオチド」の化学的修飾により作製され得る(UhlmannおよびPeyman, Chemical Reviews 90巻(1990年)543頁;Verma, S.およびEckstein,F., Annu. Rev. Biochem. 67巻(1998年)99-134頁)。代表的修飾としては、ホスホジエステル・ヌクレオシド間結合の代わりにホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、ホスホトリエステルまたはホスホルアミダイトヌクレオシド間結合;天然のプリンおよびピリミジン塩基の代わりにデアザまたはアザプリンおよびピリミジンが挙げられ、ピリミジン塩基は、5または6位に置換基を有している;プリン塩基は、7-デアザプリンとして、2、6または8位または7位で、置換基が改変されている;糖は、例えば、それらの2'位に置換基を有している;または炭素環式または非環式糖アナログを有している。本発明の概念と一致する他の修飾は、当業者に公知である。このような「修飾オリゴヌクレオチド」(または「オリゴヌクレオチドアナログ」)は、天然の「オリゴヌクレオチド」(または天然系統のように合成「オリゴヌクレオチド」)と、なお構造的には異なるが、機能的には、相互交換可能であると最も適切に記述される。さらに詳細には、例示的な修飾は、Verma, S.およびEckstein, F.、Annu. Rev. Biochem. 67巻(1998年)99-134頁または国際公開第02/12263号パンフレットに開示される。さらに、ヌクレオシド単位が、ヌクレオシド間リン酸結合または糖リン酸結合と置換する基を介して連結される修飾を行うことができる。このような連結は、Verma, S.およびEckstein, F.、Annu. Rev. Biochem. 67巻(1998年)99-134頁に開示されるものが挙げられる。リン酸結合以外が、ヌクレオシド単位を連結するために利用される場合、このような構造は、「オリゴヌクレオシド」とも記載される。
【0034】
本発明の「オリゴヌクレオチド」および「修飾オリゴヌクレオチド」としての「オリゴマー化合物」は、当該分野で主に記述され、そして当業者に公知であるように合成することができる。特定の配列のオリゴマー化合物を作製する方法は、当該分野で知られており、そして例えば、適切である場合には、適切な配列のクローニングおよび限定、ならびに直接的な化学的合成が挙げられる。化学合成方法としては、例えば、Narang, S.A.ら、Methods in Enzymology 68巻(1979年)90-98頁により記述されるホスホトリエステル法、Brown, E.L.ら、Methods in Enzymology 68巻(1979年)109-151頁により開示されるホスホジエステル法、Beaucage, S.L.およびCaruthers, M.H.ら、Tetrahedron Letters 22巻(1981年)1859-1862頁で開示されるホスホルアミダイト法、Gareggら、Chem. Scr. 25巻(1985年)280頁に開示されるH-ホスホネート法、および米国特許第4,458,066号に開示される固体支持体法が挙げられ得る。
【0035】
上記のように、「核酸」は、当業者に知れられているような「ヌクレオチド」の重合化合物である。それは、分析されるべきサンプル中の「核酸」を示すために本明細書中に使用され、すなわち、サンプル中のそれの存在、非存在または量が測定されるはずである。したがって、言い換えると、「核酸」は、標的であり、したがって、「標的核酸」と示すこともできる。例えば、血液が、ヒト免疫不全ウイルスを含むかどうかを決定しなければならない場合、「標的核酸」は、ヒト免疫不全ウイルスの核酸である。
【0036】
用語「プライマー」は、当業者に公知のとおり本明細書中で使用され、そして主として「オリゴヌクレオチド」に対する「オリゴマー化合物」に該当するが、しかし鋳型依存性DNAポリメラーゼによって、DNA合成を「感作する」ことができる「修飾オリゴヌクレオチド」にも該当し、すなわち、例えば、オリゴヌクレオチドの3'末端は、遊離3'OH基を提供するとそれに対して、さらに、「ヌクレオチド」が、3'から5'までのホスホジエステル結合を樹立する鋳型依存性DNAポリメラーゼによって連結され、それによりデスオキシヌクレオシドトリホスフェートが使用され、そしてそれによりピロホスフェートが放出される。
【0037】
用語「プローブ」は、設計または選択により、「標的核酸」に特異的に(すなわち、優先的に)定義された予め決定されたストリンジェンシーの下で、それらがハイブリダイズするようにする特異的ヌクレオチド配列を含む合成によってまたは生物学的に生成された核酸(DNAまたはRNA)に該当する。「プローブ」は、「捕捉プローブ」として同定でき、そしてそれが、標的核酸を「捕捉」して、その結果、標的核酸をその検出を不明瞭にする可能性がある望ましくない材料から分離することができることを意味する。いったん分離が達成されると、捕捉「標的核酸」の検出は、適切な手順を使用して達成され得る。「捕捉プローブ」は、多くの場合、固相にすでに連結されている。したがって、特定の例は、複数の「捕捉プローブ」が、標識cRNAまたはcDNAを「捕捉する」「固相」に連結されているマイクロアレイ状態である。
【0038】
「アルキル」基は、好ましくは、直鎖状、分岐または環状形態のいずれかに整列させられている1から10個までの炭素原子を含むアルキル基から選択される。アルキル基の実際の長さは、アルキル基が配置される特定の位置での立体状態による。立体的な拘束がある場合、アルキル基は一般的には小さく、メチルおよびエチル基が最も好ましい。
【0039】
「アルケニル」基は、好ましくは、2から10個までの炭素原子を含むアルケニル基から選択される。選択については、アルキル基と同様の配慮を適用する。それらは、直鎖状、分岐および環状でもあり得る。最も好ましいアルケニル基は、エチレン基である。アルケニル基には1つより多くの二重結合が存在し得る。
【0040】
「アルキニル」基は、好ましくは、2から10個までの炭素原子を有する。さらに、それらの炭素原子は、直鎖状、分岐および環状手段で配列され得る。アルキニル基には1つより多くの三重結合が存在し得る。最も好ましいアルキニル基は、プロピニルである。
【0041】
「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」基は全て、未置換または置換のいずれかであり得る。上記のようなヘテロ原子での置換は、水溶液中での溶解性の増大を助ける。
【0042】
「保護基」は、官能性部分に(例えば、それにより水素を置換するヒドロキシル基中の酸素、アミノ基中の窒素、またはチオール基中の硫黄に)連結されて、その官能基が望ましくない方法で反応することから保護する化学基である。保護基は、それが、形成される分子の生物学的活性を破壊することなく除去され、ここで核酸の結合は、核酸に化合物を結合させ得るという事実によってさらに定義される。適切な保護基は、当業者に公知である。本発明の好ましい保護基は、フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、ジメトキシトリチル-(DMT)、モノメトキシトリチル-、トリフルオロアセチル-、レブリニル-、またはシリル-基である。例えば、ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの5'末端にあるヒドロキシル基についての好ましい保護基は、トリチル基、例えば、ジメトキシトリチル(DMT)から選択される。式Iでの環外アミノ基での好ましい保護基は、アシル基であり、最も好ましいのは、ベンゾイル基(Bz)、フェノキシアセチルまたはアセチルまたはホルミルであり、そして例えば、N,N-ジアルキルホルムアミジン基としてのアミジン保護基は、優先的に、ジメチル-、ジイソブチル-、およびジ-n-ブチルホルムアミジン基である。好ましいO保護基は、アロイル基、ジフェニルカルバモイル基、アシル基、およびシリル基である。これらの中でも、最も好ましいのは、ベンゾイル基である。好ましいシリル基は、トリメチルシリル、トリエチルシリルおよび第三級ブチル-ジメチルシリルのようなトリアルキルシリル基である。別の好ましいシリル基は、トリメチルシリル-オキシ-メチル基(TOM)(国際公開第99/09044号パンフレット)である。さらに、好ましい保護基は、オルト・ニトロ-ベンジル、2-(4-ニトロフェニル)エトキシカルボニル(NPEOC)、2-ニトロフェニル-プロピルオキシ-カルボニル(NPPOC)(Giegrichら、Nucleosides & Nucleotides 17巻(1998年)1987頁)などの光活性化化合物、およびアリルオキシカルボニルである。
【0043】
多くの場合に「レポーター基」として呼ばれる「標識」は、一般に、核酸、特に本発明の「オリゴマー化合物」または「修飾オリゴヌクレオチド」を作る基、ならびに液体、すなわち、サンプル(「標識」を連結している核酸は、化合物を結合する標識核酸、標識プローブ、またはただのプローブとも称される)の残りと見分けられる、そこへ結合したあらゆる核酸である。「ハプテン(ビオチンまたはジゴキシゲニンのような)、酵素(アルカリホスファターゼまたはペルオキシダーゼのような)または蛍光色素(フルオレセインまたはローダミンのような)は、中でも、非放射性指標分子として、あるいは言い換えると非放射性「標識」として適切であることが十分に立証された。これらの「シグナル基」または「標識」は、種々の方法により、核酸に連結させられるかまたはその中に組込まれ得る。本発明の好ましい「標識」は、フルオレセイン色素、ローダミン色素、シアニン色素、およびクマリン色素のような色素であるか、またはビオチンのようなハプテンである。一般的な定義によると、「ハプテン」は、それ自体は、免疫原(免疫反応を引き起こすことができる)でない低分子であるが、しかし抗原の少なくとも1つの要素を有し、そして抗体または別の大きな担体分子と結合して、免疫原性となることができる。
【0044】
用語「連結部分」は、「ヌクレオチド」、「修飾ヌクレオチド」または「非ヌクレオチド化合物」での連結部位に使用されることが意図される部分(例えば、「固相」または「標識」)を結合する原子の群に該当する。これは、例えば、「ヌクレオチド」または「修飾ヌクレオチド」の塩基、糖またはリン酸部分、または「非ヌクレオチド化合物」または「修飾ヌクレオチド」の塩基様、糖様またはリン酸様部分であり得る。「連結部分」は、本発明の「オリゴマー化合物」、特に「修飾オリゴヌクレオチド」が、「固相」または「標識」による主要な障害なしに、測定されるべき「標的核酸」に結合することができる柔軟性を提供する。例えば、ドイツ国特許第3943522号に開示されているような連続エチレンオキシ単位を基本とする「連結部分」、特に疎水性でないものは、当業者に公知である。本発明の状況では、連結部分は、例えば、「固相」または「標識」への連結点にある反応性基を含む。
【0045】
本発明によると、「固相」は、オリゴヌクレオチド合成のために使用される場合は、細孔性ガラス(CPG)、ポリスチレンまたはシリカゲルであり得る。
【0046】
本明細書中に使用される場合、「蛍光共鳴エネルギー転移関係」および類似の用語は、「標的核酸」への「ドナー蛍光標識」で標識された「オリゴマー化合物」および「アクセプター蛍光標識」で標識された別の「オリゴマー化合物」の隣接ハイブリダイゼーションをいい、その結果、「ドナー蛍光標識」は、「アクセプター蛍光標識」が測定可能な蛍光放出を生じるように「アクセプター蛍光標識」に共鳴エネルギーを転移させることができる。「ドナー蛍光標識」および「アクセプター蛍光標識」が、大きすぎる距離により隔てられて空間を空けられる場合、「ドナー蛍光標識」は「アプセプター蛍光標識」に共鳴エネルギーを転移させることができず、その結果「アクセプター蛍光標識」は測定可能な蛍光を発生させ、したがって、「ドナー蛍光標識」および「アクセプター蛍光標識」は、共鳴エネルギー転移関係にはない。
【0047】
「アレイ」によって、デバイス上のアドレス指定可能な位置の整列が意味される(例えば、米国特許第5,143,854号、米国特許第6,022,963号、米国特許第6,156,501号、国際公開第90/15070号パンフレット、国際公開第92/10092号パンフレットを参照)。その位置を、二次元アレイ、三次元アレイ、または他のマトリックスフォーマットで整列させることができる。位置の数は、数個から少なくとも数十万までの範囲にあり得る。最も重要には、各位置は、総体的に独立な反応部位を表す。各位置は、例えば、第二の核酸、特に標的核酸についての結合パートナーとして役割を果たすことができる「オリゴマー化合物」として核酸を担持する。それらの製造のための方法は、欧州特許公開番号第0476014号およびHoheisel, J.D.、TIBTECH(1997年)、15巻、465-469号、国際公開第89/10977号パンフレット、国際公開第89/11548号パンフレット、米国特許第5,202,231号、米国特許第5,002,867号、国際公開第93/17126号パンフレットに記述される。別の開発が、非常に小さな領域でオリゴヌクレオチドプローブの非常に大きなアレイを作製する方法を提供した。(米国特許第5,143,854号、国際公開第90/15070号パンフレット、国際公開第第92/10092号パンフレット)。「DNAチップ」と呼ばれる多数のオリゴヌクレオチドプローブの微細作製アレイは、広範で多様な用途について大きな可能性を提供する(例えば、米国特許第6,156,501号および米国特許第6,022,963号を参照)。
【0048】
本発明の状況においては、「ハイブリダイゼーション」は、相補的ヌクレオチドの間の、ワトソン-クリック、ホグスティーンまたは逆相ホグスティーン水素結合であり得る水素結合を意味するであろう。例えば、アデニンおよびチミンは、水素結合の形成により対合する相補的核酸塩基である。本明細書中で使用される場合、「相補的」は、2つのヌクレオチドの間の配列相補性にも該当する。例えば、オリゴヌクレオチドの特定の位置にあるヌクレオチドが、DNAまたはRNA分子の同じ位置で、ヌクレオチドと水素結合する能力がある場合、それによりオリゴヌクレオチドおよびDNAまたはRNAは、その位置で互いに相補的であると見なされる。各分子での十分な数の対応の位置が、互いに水素結合され得るヌクレオチドによって占有される場合、オリゴヌクレオチドおよびDNAまたはRNAは、互いに相補的である。したがって、「特異的にハイブリダイズされ得る」および「相補的」は、安定でそして特異的な結合がオリゴヌクレオチドとDNAまたはRNA標的との間に起こるような十分な程度の相補性を示すために使用される用語である。オリゴヌクレオチドは、特異的にハイブリダイズされ得るその標的DNA配列に100%相補的である必要はないことが分かる。標的DNAまたはRNA分子に対するオリゴヌクレオチドの結合が、標的DNAまたはRNAの正常な機能を妨害する場合には、オリゴヌクレオチドは、特異的にハイブリダイズすることができ、そして特異的結合が望まれる条件下、すなわち、インビボアッセイまたは治療的処置の場合には生理学的条件下で、またはインビトロアッセイの場合でアッセイが行われる条件下で、非標的配列に対するオリゴヌクレオチドの非特異的結合を避けるために十分な程度の相補性がある。
【0049】
「反応性基」は、別の分子上での別の基と反応し、そしてそれに結合する能力のある基である。好ましい「反応性基」は、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基、アミノ基またはチオール基である。
【0050】
本発明の態様では、化学的または酵素的合成により核酸に組込むことができる化合物を提供する。したがって、本発明の態様では、式Iの化合物が提供され、式Iは
【0051】
【化4】


(式I)
【0052】
(式中、Lは連結部分であり、
Bは複素環式塩基であり、
R1はR2、R3、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、
R1
(1)保護基、
(2)標識、
(3)固相、および
(4)-H
からなる群より選択され、
R2はR1、R3、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、
R2は-Hおよび-OR6からなる群より選択され、
R3はR1、R2、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、
R3
(1)保護基、
(2)固相に共有結合された連結部分、
(3)ホスホルアミダイト、
(4)H-ホスホネート、および
(5)トリホスフェート
からなる群より選択され、
R4はR1、R2、R3、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、R4は-H、-OH、アルキル、ハロゲン、-O-R5、-S-R5、NR5R5a、標識または固相に共有結合された連結部分であり、
R6はR1、R2、R3、R4、R5、R5a、およびR5bから独立し、
R6
(1)-H
(2)保護基、
(3)固相に共有結合された連結部分、
(4)ホスホルアミダイト、および
(5)H-ホスホネート
からなる群より選択され、
6員環のC1原子とYとの間の点線は二重結合の任意の存在を示し、二重結合が存在する場合YはCR5aであり、
あるいは二重結合が存在しない場合YはO、S、NR5およびCR5aR5bからなる群より選択され、
R5、R5aおよびR5bは互いに独立し、R1、R2、R3、R4およびR6から独立し、R5はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、保護基または-Hから独立して選択され、R5aおよびR5bはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、または-Hから独立して選択される)
である。
【0053】
好ましくは、R6およびR3は、両方とも固相、両方ともホスホルアミダイト、両方ともH-ホスホネート、またはホスホルアミダイトおよびH-ホスホネート、または固相およびホスホルアミダイト、または固相およびH-ホスホネートではない。好ましくは、R1、R3およびR6からなる群より選択される1つの残基が、固相である場合、それによりR1、R3、またはR6からなる群より選択される他の2つの残基は固相ではない。当業者は、核酸中に組込むことができるそれらの特性に影響を与えない式Iに示した化合物を十分に認識している。
【0054】
本発明の別の好ましい態様では、本発明の式Iの化合物でのR4は、-HまたはOHである。
【0055】
好ましい態様では、本発明の式Iの化合物での複素環式塩基は、天然または非天然複素環式塩基である。好ましくは、天然の複素環式塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルまたはメチルシトシンである。さらに好ましくは、天然の複素環式塩基は、ピリミジンまたは7-デアザプリンであり、さらに好ましくはウラシルである。好ましくは、ピリミジン、特にウラシルのC5原子、または7-デアザプリンの7-位は、連結部分Lの連結点である。
【0056】
式Iでの連結部分Lの特性は、基R1がBから十分な距離を空けるように設計され、その結果
(a)本発明の化合物がポリメラーゼにより認識され、そしてR3がトリホスフェートである場合には、重合反応の間に成長しつつある核酸鎖に組込むことができ、
(b)本発明の化合物は、核酸鎖にいったん組込まれると、好ましくは、相補的塩基に塩基対合することができ、すなわち、増幅反応により生成されるプローブのハイブリダイゼーション能力は、好ましくは、有意には影響をうけないべきであり;そして
(c)基R1の挿入が意図されない場合は、相互作用または消光効果を避けるためには、基R1を標的核酸から離して保つ。
【0057】
別の好ましい態様では、本発明の化合物での連結部分Lは、炭素、酸素または窒素原子および反応性基を含む。好ましくは、反応性基は、カルボキシル、アミノ、チオールまたはヒドロキシル基である。Lは、好ましくは、任意に置換され、そして任意に断続的な炭化水素鎖誘導体であり、そして好ましくは、2個より多くの炭素原子、好ましくは3個より多くの炭素原子、そして好ましくは30個までの炭素原子長である。任意の断裂は、-CH=CH-、-C≡C-、-NH-、-CONH-、-S-、-O-、-SO2-、ウレイド、フェニレン、シクロヘキシレンおよび式-CH=CH-NH-、-CH=CH-CH2-NH-、-NH-C(=NH2)+-、-NH-C(=NH2)+-NH-および-C(=O)-O-の基である。懸念を回避するために、1,2-、1,3-および1,4-フェニレン基は、それぞれ、2、3および4個の炭素原子長とみなされる。任意の断裂は、鎖の合成を促進するおよび/またはより多くの親水性要素を提供するために組込まれて、鎖の直鎖状構造を維持し、そしてそれ自体での折畳みを防止する。好ましくは、連結部分は、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アミノアリルまたはアクリルアミド部分の誘導体である。さらに好ましくは、連結部分は、C2〜C10、C3〜C10またはC4〜C10アルキルの誘導体である。
【0058】
ヌクレオシドトリホスフェート上の連結部分Lの付着の部位は、塩基部分上にある。ハイブリダイゼーションを妨害しないために、Lが、シトシンのC4上のC5、C6またはアミノ基;ウリジンのC4に結合したC5、C6または酸素;チミンのC4に結合したC5メチル、C6または酸素;アデニンのC6上のN7、C8またはアミノ基;グアニンのC6に結合したN7、C8または酸素、あるいはデアザアデニンまたはデアザグアニンのC7であるDNA二重らせんの深いほうの溝で露出されると考えられる原子のものに連結されるべきであることが好ましい。
【0059】
別の態様では、R1は、R2、R3、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立であり、R1は、保護基、標識、または固相である。別の態様では、R1は、R2、R3、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立であり、R1は、保護基または固相である。別の態様では、R1は、R2、R3、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立であり、R1は、保護基または標識である。最も好ましい態様では、本発明の式Iの化合物中のR1は、標識である。
【0060】
好ましくは、標識は、色素またはハプテンであり、好ましくは蛍光色素である。好ましくは、色素は、
(1)フルオレセイン色素、
(2)ローダミン色素、
(3)シアニン色素、
(4)クマリン色素、および
(5)アゾ色素
からなる群より選択される。
【0061】
好ましくは、ハプテンは、ビオチンである。
【0062】
本発明によると、好ましい化合物は、酵素の使用により核酸中に容易に組込むことができる化合物である。したがって、非常に好ましい態様では、本発明の式Iの化合物で、R3は、トリホスフェートであり、R2は、-OR6(式中、R6は-Hである)であり、そしてR4は、-Hまたは-OHである。
【0063】
本発明の別の非常に好ましい態様では、二重結合が、本発明の式Iの化合物中に存在しない場合は、Yは、O、SまたはCR5aR5bである。最も好ましくは、YはOである。本発明の非常に好ましい化合物は、式II
【0064】
【化5】


(式II)
【0065】
により表される。
【0066】
用語「H/OH」は、-Hまたは-OHが存在する場合があることに注目すべきであり、言い換えると、-Hまたは-OHであり得る残基Kと記載することができる。
【0067】
本発明の別の非常に好ましい態様では、シクロヘキセン誘導体を提供し、すなわち、6員環のC1原子とYの間の点線は、本発明の式Iの化合物中に二重結合が存在することを表し、それによりYは、CR5aであり、そしてR5bは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、または-Hから選択される。好ましくは、R5aは、-Hである。
【0068】
本発明の好ましい態様では、本発明のオリゴマー化合物の化学合成に適切なホスホルアミダイトを提供する。これは、さらに具体的には、式Iを有している本発明の化合物である。式中、R2は、R1、R3、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立であり、そしてR2は、-OR6(式中、R6はホスホルアミダイトである)であり、そしてR3は、R1、R2、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立であり、そしてR3は、保護基または連結部分に共有結合させられた固相である。好ましくは、R3は、保護基である。
【0069】
本発明の別の態様では、式S-B-L-R7を有しているモノマー単位を含むオリゴマー化合物を提供する。式中、Sは、6員環を含む部分であり、Bは、複素環式塩基であり、Lは、連結部分であり、そしてR7は、標識、保護基または固相である。好ましくは、6員環は、シクロヘキサン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピランまたはピペリジンの誘導体である。好ましくは、R7は、標識または固相であり、さらに好ましくは、R7は、標識である。
【0070】
本発明の好ましい態様では、式IIIを有しているモノマー単位を有するオリゴマー化合物を提供する。
【0071】
【化6】


(式III)
【0072】
式中、Lは共有結合連結部分であり、
Bは複素環式塩基であり、
R7はR5、R5a、R5b、R8、R9、R10、およびR11から独立し、
R7
(1)保護基、
(2)標識、
(3)固相、および
(4)-H
からなる群より選択され、
R8はR5、R5a、R5b、R7、R9、R10、およびR11から独立し、
R8は-Hおよび-OR11からなる群より選択され、
R9およびR11は互いに独立し、R5、R5a、R5b、R7、R8またはR10から独立し、
R9およびR11
(1)-H、
(2)固相に共有結合された連結部分、
(3)リン酸塩、および
(4)ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドを有するホスホジエステル
からなる群より選択され、
R10はR5、R5a、R5b、R7、R8、R9およびR11から独立し、R10は-H、-OH、アルキル、ハロゲン、-O-R5、-S-R5、NR5R5a、標識または固相に共有結合された連結部分であり、
6員環のC1原子とYとの間の点線は二重結合の任意の存在を示し、二重結合が存在する場合YはCR5aであり、
あるいは二重結合が存在しない場合YはO、S、NR5およびCR5aR5bからなる群より選択され、
R5、R5aおよびR5bは互いに独立し、R7、R8、R9、R10およびR11から独立し、R5はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、保護基または-Hから独立して選択され、R5aおよびR5bはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、または-Hから独立して選択される。
【0073】
好ましくは、モノマーのみが考慮される場合を除き、R8がOR11である場合は、R8およびR9は、両方とも-Hはでないか、またはR9およびR11は、両方とも-Hではない。当業者は、本発明には無意味な化合物、すなわち、R9およびR11は、両方ともホスフェートでないか、または-Hおよびホスフェートではない化合物を十分に認識している。好ましくは、R7、R9、R10、およびR11からなる群より選択される1つの残基が、固相または固相に共有結合された連結部分である場合は、それによりR7、R9、R10およびR11からなる群より選択される他の残基は、固相または固相に共有結合された連結部分でない。
【0074】
ホスフェートまたはトリホスフェート残基は、チオホスフェートまたはα-チオ-トリホスフェートなどの修飾ホスフェートまたはホスフェートのアナログでもあり得る。
【0075】
好ましい態様では、本発明の式IIIのオリゴマー化合物中の複素環式塩基は、天然または非天然の複素環式塩基である。好ましくは、天然の複素環式塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルまたはメチル-シトシンである。さらに好ましくは、天然の複素環式塩基は、ピリミジンまたは7-デアザプリンであり、さらに好ましくはウラシルである。好ましくは、ピリミジン、特にウラシルのC5原子、または7-デアザプリンの7位は、連結部分Lの連結点である。
【0076】
好ましくは、R7は、標識または固相であり、さらに好ましくは、R7は、標識である。
【0077】
式Iでの連結部分Lの特性は、基R1がBから十分な距離を空けるように設計され、その結果
(a)本発明の化合物がポリメラーゼにより認識され、そしてR3がトリホスフェートである場合には、重合反応の間に成長しつつある核酸鎖に組込むことができ、
(b)本発明の化合物は、核酸鎖にいったん組込まれると、好ましくは、相補的塩基に塩基対合することができ、すなわち、増幅反応により生成されるプローブのハイブリダイゼーション能力は、好ましくは、有意には影響をうけないべきであり;そして
(c)基R1の挿入が意図されない場合は、相互作用または消光効果を避けるためには、基R1を標的核酸から離して保つ。
【0078】
別の好ましい態様では、本発明の化合物での連結部分Lは、炭素、酸素または窒素原子および反応性基を含む。好ましくは、反応性基は、カルボキシル、アミノ、チオールまたはヒドロキシル基である。Lは、好ましくは、任意に置換され、そして任意に断続的な炭化水素鎖誘導体であり、そして好ましくは、2個より多くの炭素原子、好ましくは3個より多くの炭素原子、そして好ましくは30個までの炭素原子長である。任意の断裂は、-CH=CH-、-C≡C-、-NH-、-CONH-、-S-、-O-、-SO2-、ウレイド、フェニレン、シクロヘキシレンおよび式-CH=CH-NH-、-CH=CH-CH2-NH-、-NH-C(=NH2)+-、-NH-C(=NH2)+-NH-および-C(=O)-O-の基である。懸念を回避するために、1,2-、1,3-および1,4-フェニレン基は、それぞれ、2、3および4個の炭素原子長とみなされる。任意の断裂は、鎖の合成を促進するおよび/またはより多くの親水性要素を提供するために組込まれて、鎖の直鎖状構造を維持し、そしてそれ自体での折畳みを防止する。好ましくは、連結部分は、C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、C2〜C10アルキニル、アミノアリルまたはアクリルアミド部分の誘導体である。さらに好ましくは、連結部分は、C2〜C10、C3〜C10またはC4〜C10アルキルの誘導体である。
【0079】
ヌクレオシドトリホスフェート上の連結部分Lの付着の部位は、塩基部分上にある。ハイブリダイゼーションを妨害しないために、Lが、シトシンのC4上のC5、C6またはアミノ基;ウリジンのC4に結合したC5、C6または酸素;チミンのC4に結合したC5メチル、C6または酸素;アデニンのC6上のN7、C8またはアミノ基;グアニンのC6に結合したN7、C8または酸素、あるいはデアザアデニンまたはデアザグアニンのC7であるDNA二重らせんの深いほうの溝で露出されると考えられる原子のものに連結されるべきであることが好ましい。
【0080】
別の好ましい態様では、本発明の式IIIの化合物中のR7は、標識である。好ましくは、標識は、色素またはハプテンであり、好ましくは蛍光色素である。さらに好ましくは、色素は、
(1)フルオレセイン色素、
(2)ローダミン色素、
(3)シアニン色素、
(4)クマリン色素、および
(5)アゾ色素
からなる群より選択される。
【0081】
好ましくは、ハプテンは、ビオチンである。
【0082】
本発明の非常に好ましい態様では、化合物は、修飾オリゴヌクレオチドであり、それにより本発明の式IIIの化合物では、R8は、-OR11であり、そしてR9およびR11は、オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドであり、そしてR10は、-Hまたは-OHである。
【0083】
本発明の好ましい態様では、二重結合が存在しない場合は、Yは、O、SまたはCR5aR5bである。本発明の非常に好ましい態様では、本発明の化合物は、ヘキシトール誘導体であり、すなわち二重結合が存在しない場合は、本発明の式IIIの化合物中のYはOである。
【0084】
本発明の非常に好ましい態様では、本発明の化合物は、シクロヘキセニル誘導体であり、すなわち、6員環のC1原子とYの間の点線は、二重結合が存在することを表し、それによりYは、CR5aであり、そしてR5bは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、または-Hから選択される。好ましくは、R5aは、-Hである。
【0085】
LightCycler(登録商標)装置で使用されるフォーマットでの使用のために、本発明の化合物は、好ましくは、その合成の間にオリゴマー化合物の3'-末端または5'-末端に向けられる。
【0086】
TaqMan(登録商標)フォーマットで使用するためには、好ましくは、本発明のオリゴマー化合物に連結された標識R7は、本発明のオリゴマー化合物の5'-末端または3'-末端で、本発明のオリゴマー化合物の内部に配置される場合がある。
【0087】
標識は好ましくは蛍光標識であり、好ましくは、フルオレセインまたはローダミン色素である。本発明のオリゴマー化合物は、1つの標識の放出波長が、別の標識の吸収波長と重なる他の標識をさらに含む場合がある。好ましくは、オリゴマー化合物はさらに、蛍光標識の蛍光放出を消光させる消光剤として作用する第二の標識をさらに含む、そしてそれは、フルオレセインであり得る。好ましくは、消光剤は、蛍光ローダミンまたはシアニン色素またはダブシル(「暗色消光剤(Dark quencher)」)のような非蛍光標識である。最も好ましい態様では、本発明のオリゴマー化合物は、酵素的には伸長されず、主に米国特許第5,210,015号、米国特許第5,487,972号または米国特許第5,804,375号に示されているTaqMan(登録商標)フォーマットにおいてプローブとして使用され得る。好ましくは、オリゴマー化合物の3'末端でのモノマー単位は、2',3'-ジデオキシヌクレオチドまたは3'-リン酸化ヌクレオチドである。好ましくは、TaqMan(登録商標)フォーマットで使用するためには、標識、好ましくは蛍光標識を有する本発明によるモノマー単位、ならびに別の標識、好ましくは第二の蛍光標識を有する第二のモノマー単位は、本発明のオリゴマー化合物の内部に、あるいは、本発明のオリゴマー化合物の5'末端および/または3'末端に配置され得る。したがって、本発明の好ましい態様では、本発明のオリゴマー化合物は、
(1)ヌクレオチドに連結させた第二の標識を有している連結部分、または
(2)修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチド化合物に連結させた第二の標識を有している連結部分
であるモノマー単位を含む修飾オリゴヌクレオチドを含む。好ましくは、第二の標識は、好ましくは蛍光であり、そして好ましくは、
(1)フルオレセイン色素、
(2)ローダミン色素、
(3)シアニン色素、
(4)クマリン色素、および
(5)アゾ色素
からなる群より選択される第二の色素である。
【0088】
好ましくは、本発明のオリゴマー化合物は、酵素的に拡張され得ない。したがって、好ましくは、オリゴマー化合物の3'末端にあるモノマー単位は、2',3'-ジデオキシ-ヌクレオチドまたは3'-リン酸化ヌクレオチドである。
【0089】
当業者は、本発明の化合物の、または本発明のオリゴマー化合物の6員環が、さらなる置換基を保持することができ、そしてなお、本発明の方法において機能的である場合があることを十分に認識している。特に、6員環、連結部分もなお、さらに、ハロゲン、チオール、ヒドロキシル、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール置換基を保持することができ、それにより、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール置換基は、任意に、ヘテロ原子、または任意にさらなる置換基で置換されたヘテロアリール置換基を含むことができる場合もある。好ましいのは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、アミノアルキル、ハロゲン、アジド、ヒドロキシル、カルボキシル、またはアミノ部分から選択される、式IまたはIIIの6員環のC5原子にあるさらなる置換基である。これらの化合物は、それらが、例えば、LightCycler(登録商標)装置でまたはTaqMan(登録商標)装置で使用されるアッセイフォーマットで、またはホスホルアミダイドまたは固相連結化合物を利用する本発明の化学合成法において、記載したような相補的オリゴヌクレオチドを用いた単純なハイブリダイゼーション実験により本発明の方法または使用で使用することができるかどうかを試験することができる。
【0090】
本発明のオリゴマー化合物は、当該分野で主に記載されており、そして当業者に公知のとおりに合成することができ、したがって、特に好ましい構築ブロックは、本発明の化合物である。特定の配列のオリゴヌクレオチドおよび修飾オリゴヌクレオチドとしてオリゴマー化合物を作製する方法は、当該分野で知られており、そして例えば、適切な配列のクローニングおよび制限、ならびに直接的な化学合成が挙げられる。化学合成法としては、例えば、Narang, S.A.ら、Methods in Enzymology 68巻(1979年)90-98頁により記述されるホスホトリエステル法、Brown, E.L.ら、Methods in Enzymology 68巻(1979年)109-151頁により開示されるホスホジエステル法、Beaucageら、Tetrahedron Letters 22巻(1981年)1859年に開示されるホスホルアミダイト法、Gareggら、Chem.Scr. 25巻(1985年)280頁に開示されるH-ホスホネート法、および米国特許第4,458,066号に開示される固体支持体法が挙げられる。特に好ましいのは、ホスホルアミダイト法である。したがって、本発明の別の態様では、
(a)R2が-OR6であり、R6がホスホルアミダイトであり、R3が保護基である本発明の化合物を提供する工程、
(b)固相に結合されたヌクレオシドまたは修飾ヌクレオシドの-OH基を別の-0H基によって提供する工程、あるいは固相に結合されたオリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドの-OH基を該オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドの3'末端の該ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドの別の-OH基によって提供する工程、
(c)ホスホルアミダイトのリン原子を遊離-OH基と反応させて、亜リン酸エステルを形成し、該亜リン酸エステルをホスホトリエステルに酸化する工程、
(d)任意に、工程(c)の任意の未反応-OH基を別の化合物と反応させて、次工程における工程(c)の未反応5'-OH基の任意のさらなる反応(「キャッピング」反応)を防止する工程、
(e)任意に、工程(d)の生成物のヒドロキシル保護基の除去後、ヌクレオシド、修飾ヌクレオシドまたは本発明の化合物(式中、R2は-OR6であり、R6はホスホルアミダイトであり、R3は保護基である)のホスホルアミダイト誘導体を用いて工程(c)〜(d)を繰り返して、遊離-OH基を提供する工程、ならびに
(f)固相からオリゴマー化合物を切断し、保護基を除去し、ホスホトリエステルをホスホジエステルに変換する工程、ならびに
(g)オリゴマー化合物を単離する工程
を含む、本発明のオリゴマー化合物の化学合成のための方法を提供する。
【0091】
これらの反応工程を行う方法は、当業者に公知である。
【0092】
本発明の別の好ましい態様では、
(a)ターミナルトランスフェラーゼまたはポリメラーゼの存在下、R3がトリホスフェートである本発明の化合物を、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドの3'末端のヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドの好ましくは伸長可能なOH基とインキュベートし、それにより該化合物が好ましくは伸長可能なOH基に結合され、それによりピロホスフェートが放出される工程、
(b)任意に、ターミナルトランスフェラーゼまたはポリメラーゼの存在下、工程(a)の生成物の3'末端の好ましくは伸長可能なOH基をヌクレオシドトリホスフェートまたは修飾ヌクレオシドトリホスフェートとインキュベートし、それにより該ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドが好ましくは伸長可能なOH基に結合され、それによりピロホスフェートが放出される工程、
(c)任意に、工程(a)または(b)あるいは両方を繰り返す工程、ならびに
(d)オリゴマー化合物を単離する工程
含む、本発明のオリゴマー化合物の酵素的合成のための方法を提供する。
【0093】
ターミナルトランスフェラーゼを使用する場合には、本発明の酵素的合成法の工程(b)および(c)は、好ましくは行われない。
【0094】
本発明の別の好ましい態様では、標的核酸とオリゴマー化合物との間の相互作用を分析するための組成物は、様々の配列を有する複数の本発明のオリゴマー化合物のアレイを含む。最も好ましくは、オリゴマー化合物は、本発明のオリゴマー化合物であり、すなわち、それは、式III(式中、R7は、固相であるか、またはR9、R10、またはR11は、固相に共有結合した連結部分である)を有している化合物であり、すなわち、これらの残基は、固相への連結点である。
【0095】
本発明の好ましい態様では、式I(式中、R2が-OR6であり、そしてR6がホスホルアミダイトであり、そしてR3が連結部分に共有結合した連結部分または保護基である)を有している本発明の化合物を、本発明のオリゴマー化合物の化学合成に使用する。
【0096】
本発明の別の好ましい態様では、本発明の化合物を、核酸の標識、すなわち、核酸への標識修飾ヌクレオチドの酵素的組込みに使用し、それにより、本発明のオリゴマー化合物の酵素的合成のための方法を、本発明の化合物のトリホスフェート誘導体を使用しながら使用する。さらに詳細には、式I(式中、R3は、トリホスフェートであり、R2は、-OR6であり、そしてR6は、-Hであり、そしてR4は、-Hまたは-OHである)を示す本発明の化合物を、標識核酸、すなわち、本発明のオリゴマー化合物の酵素的合成に使用する。
【0097】
さらに別の好ましい態様では、本発明のオリゴマー化合物または本発明の組成物を、相補的核酸とのハイブリダイゼーション反応、例えば、予め定められた位置で、固相に結合した複数のオリゴヌクレオチドへの本発明のオリゴマー化合物のハイブリダイゼーションで使用して、マイクロアレイを形成する。さらに別の好ましい態様では、本発明のオリゴマー化合物を、プライマー、プローブまたは捕捉プローブとして使用する。オリゴマー化合物への、6員環を含む本発明の化合物の組込みは、ヌクレアーゼによる切断およびプリン塩基の脱プリンに対する本発明のオリゴマー化合物の安定化に特に有用である。
【0098】
本発明のさらに別の好ましい態様では、固相に連結され、そして好ましくは、式IIIを示す化合物である本発明のオリゴマー化合物を提供する。これは、ヘキシトール核酸が主にRNAに結合するので、RNAの配列特異的捕捉に特に好ましい(Lescrinier, E.ら、Chem. Biol. 7巻(2000年)719-731頁)。
【0099】
本発明の別の態様では、
(a)標的核酸を含むと推測されるサンプルを提供する工程、
(b)標的核酸の一部または全部と本質的に相補的な本発明のオリゴマー化合物を提供する工程、
(c)任意に、鋳型依存性DNAポリメラーゼおよびプライマーを用いて標的核酸を増幅する工程、
(d)オリゴマー化合物が標的核酸に結合する条件下でサンプルとオリゴマー化合物とを接触させる工程、ならびに
(e)標的核酸の存在、非存在または量の基準として結合生成物または標的核酸とオリゴマー化合物との間のハイブリダイゼーションの程度を測定する工程
を含む、サンプル中の標的核酸の検出のための方法を提供する。
【0100】
好ましくは、この方法の工程(e)では、ハイブリダイゼーションの程度は、鋳型依存性DNAポリメラーゼによるエキソヌクレアーゼ加水分解により、標的核酸にハイブリダイズしたオリゴマー化合物から放出される第一または第二の蛍光標識の量によって測定される。したがって、好ましくは、本発明のオリゴマー化合物は、2つの標識、好ましくは2つの蛍光標識を含む。
【0101】
増幅は、好ましくは、検出可能な量まで標的核酸を特異的に増幅するポリメラーゼ連鎖反応で行われる。他の見込みのある増幅反応は、リガーゼ連鎖反応(LCR;Wu, D.Y.およびWallace, R.B.、Genomics 4巻(1989年)560-569頁;およびBarany, F.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88巻(1991年)189-193巻);ポリメラーゼリガーゼ連鎖反応(Barany, F.、PCR Methods and Appl. 1巻(1991年)5-16頁);Gap-LCR(国際公開第90/01069号パンフレット);修復連鎖反応(欧州特許第0439182号)、3SR(Kwoh, D.Y.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86巻(1989年)1173-1177頁;Guatelli, J.C.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87巻(1990年)1874-1878頁;国際公開第92/08808号パンフレット)およびNASBA(米国特許第5,130,238号)である。さらには、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介性増幅(TMA)、およびQβ増幅(概略については、例えば、Whelen, A.C.およびPersing, D.H.、Annu. Rev. Microbiol. 50巻(1996年)349-373頁;Abramson, R.D.およびMyers, T.W.、Current Opinion in Biotechnology 4巻(1993年)41-47頁を参照のこと)がある。
【0102】
好ましい鋳型依存性DNAポリメラーゼは、Taqポリメラーゼである。
【0103】
標的核酸の検出のための方法の好ましい態様では、TaqMan(登録商標)アッセイに使用されるフォーマットが想定され、ここでは、本発明のオリゴマー化合物を、プローブとして使用される。したがって、本発明のオリゴマー化合物は、R7として好ましくは蛍光標識、好ましくはフルオレセインである標識を含む。本発明のオリゴマー化合物は、さらに、蛍光標識の内の1つの放出波長が、蛍光標識の別の吸収波長と重なる他の蛍光標識を含む場合がある。好ましくは、オリゴマー化合物は、さらに、フルオレセインであり得る蛍光標識の蛍光放出を消光させる消光剤として作用する第二の蛍光標識を含む。好ましくは、消光剤は、蛍光ローダミンまたはシアニンである。消光剤は、非蛍光化合物またはダブシル(「暗色消光剤」)のような色素でもあり得る。本発明のオリゴマー化合物は、酵素的には伸長されることはなく、米国特許第5,210,015号、米国特許第5,487,972号または米国特許第5,804,375号に主に記載されているようにTaqMan(登録商標)フォーマットでのプローブとして使用され得る。好ましくは、オリゴマー化合物の3'末端にあるモノマー単位は、2',3'-ジデオキシヌクレオチドまたは3'-リン酸化ヌクレオチドである。好ましくは、TaqMan(登録商標)フォーマットで使用するためには、標識を有する本発明の化合物、ならびに標識を有する第二の化合物は、本発明の修飾オリゴヌクレオチドの内部に、または本発明の修飾オリゴヌクレオチドの5'末端および/または3'末端に配置され得る。TaqMan(登録商標)アッセイで使用されるフォーマットについての結果として、該方法の測定工程において、ハイブリダイゼーションに続いて起こる蛍光標識と第二の標識、すなわち、消光剤との間の空間関係は、好ましくは、核酸結合化合物の、鋳型依存性DNAポリメラーゼ、好ましくはTaqポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ加水分解により変化され、それにより、標識の放出がエキソヌクレアーゼ加水分解の結果として起こる。本発明のオリゴマー化合物と、標的核酸との間のハイブリダイゼーションの程度は、ハイブリダイゼーションに続いて起こる本発明のオリゴマー化合物から放出される標識の量によって決定される。したがって、本発明の好ましい態様は、工程(e)において、ハイブリダイゼーションの程度が、鋳型依存性DNAポリメラーゼによるエキソヌクレアーゼ加水分解によって核酸にハイブリダイズされたオリゴマー化合物から放出される標識の量で測定されることである。
【0104】
TaqMan(登録商標)アッセイフォーマットについてのさらなる詳細に関連する本発明の非常に好ましい態様では、
(a)一本鎖核酸を含むサンプルを、標的核酸の領域に相補的な配列および本発明のオリゴマー化合物を含むオリゴヌクレオチドと接触させ(ここで、R7は蛍光標識であり、オリゴマー化合物は第二の蛍光標識を含み、ここで、上記オリゴマー化合物は同じ標的核酸配列鎖の第二の領域に相補的な配列を含むが、オリゴヌクレオチドにより定義される核酸配列は含まない)、ハイブリダイゼーション条件の間に2本鎖の混合物を作製する工程(ここで、該2本鎖は、第一のオリゴヌクレオチドの3'末端がオリゴマー化合物の5'末端の上流であるように、オリゴヌクレオチドおよびオリゴマー化合物にアニールされた標的核酸を含む)、
(b)ポリメラーゼの5'から3'までのヌクレアーゼ活性がアリールされたオリゴマー化合物を切断し、標識フラグメントを放出させるのに十分な条件下で、5'から3'までのヌクレアーゼ活性を示す工程(a)の混合物を維持する工程、ならびに
(c)標識フラグメントの放出の検出および/または測定工程
を含む、サンプル中の標的核酸の検出のための方法を提供する。
【0105】
本発明の別の態様では、LightCycler(登録商標)装置で使用するためのフォーマットを、米国特許第6,174,670号で記述されるように提供する。LightCycler(登録商標)装置で使用するためのフォーマットで使用するためには、本発明の化合物は、好ましくは、3'-または5'末端に、すなわち、その合成の後のオリゴマー化合物の3'-または5'末端にあるモノマー単位にある。これらのフォーマットは、蛍光共鳴エネルギー転移技術(例えば、米国特許第4,996,143号、第5,565,322号、第5,849,489号および第6,162,603号を参照)を使用し、そしてドナーおよび対応のアクセプター蛍光標識が、互いに所定の距離内に配置される場合は2つの蛍光標識の間で起こるエネルギー転移を見ることができるか、別の方法で検出および/または定量することができるという事実に基づく。本明細書中で使用される場合、各々が蛍光標識を含み、それによりそれの少なくとも1つが本発明のオリゴマー化合物である2つのプローブは、標的核酸に対するプローブの相補性により決定される特定の位置にある増幅生成物にハイブリダイズすることができる。本発明のオリゴマー化合物の本発明による蛍光標識は、ドナーまたはアクセプター蛍光標識であり得る。適切な位置での増幅生成物に対するプローブのハイブリダイゼーションにより、FRETシグナルが発生する。蛍光分析は、例えば、光子計数エピ蛍光顕微鏡システム(特定の範囲で、蛍光放出を監視するための適切なダイクロミックミラーおよびフィルターを含む)、光電子増倍システム、または蛍光光度計を使用して行うことができる。エネルギー転移を開始する励起は、アルゴンイオンレーザー、高強度水銀(Hg)アーク灯、光ファイバー光源、または所望の範囲での励起のために適切に露光される他の高強度光源で行われ得る。ドナーおよび対応のアクセプター蛍光標識に関して本明細書中で使用される場合、「対応」は、ドナー蛍光標識の放出スペクトルと重なる励起スペクトルを示すアクセプター蛍光標識に該当する。したがって、十分な非放射性エネルギー転移が、その間で生じ得る。好ましい蛍光標識は、ドナー蛍光標識としてフルオレセインであり、それによりアクセプター蛍光標識は、ローダミンであるが、好ましくはシアニン色素、好ましくは米国特許第6,174,670号で記述されているCy5である。
【0106】
したがって、本発明の態様では、
少なくとも1つのサイクリング工程を実施する工程、ここで、サイクリング工程が増幅工程およびハイブリダイズ工程を含み、ここで、該増幅工程がサンプルとプライマーとを接触させて、標的核酸が該サンプル中に存在する場合、増幅生成物を生成する工程を含み、ここで、該ハイブリダイズ工程が該サンプルと1対のプローブとを接触させる工程を含み、ここで、該プローブ対のメンバーが互いにわずか5ヌクレオチド以内で該増幅生成物にハイブリダイズし、ここで、該プローブ対の第一プローブがドナー蛍光標識で標識され、該プローブ対の第二プローブが対応するアクセプター蛍光標識で標識され、該プローブのうちの1つが本発明のオリゴマー化合物である、
ならびに該第一プローブのドナー蛍光標識と該第二プローブのアクセプター蛍光標識との間の蛍光共鳴エネルギー転移の存在または非存在を検出する工程、ここで、FRETの存在がサンプル中の標的核酸の存在の指標であり、FRETの非存在がサンプル中の標的核酸の非存在の指標である
を含む、サンプル中の標的核酸の存在または非存在を検出する方法を提供する。
【0107】
したがって、本発明の好ましい態様では、サンプル中の標的核酸を検出する方法が提供され、該方法は、2つの核酸プローブの存在下で、ポリメラーゼ連鎖反応により核酸を増幅する工程、ここで、プローブが標的核酸の隣接領域にハイブリダイズする本発明のオリゴマー化合物であり、上記プローブの内の1つは、アクセプター蛍光標識で標識され、そして他方のプローブは、蛍光エネルギー転移対のドナー蛍光標識で標識され、その結果、標的核酸との2つのプローブのハイブリダイゼーションの際、ドナーおよびアクセプター蛍光標識が互いに25個のヌクレオチド以内であり、上記ポリメラーゼ連鎖反応は、標的核酸についての熱安定性ポリメラーゼ、ヌクレオチドおよびプライマーを、サンプルに添加し、そして少なくとも変性温度と伸長温度の間でサンプルを熱的にサイクリングさせる工程を含む;生物学的サンプルを、ドナー蛍光標識により吸収される波長にある光で励起させ、そして蛍光エネルギー転移対からの蛍光放出を検出する工程を含む。
【0108】
本発明の別の好ましい態様において、2つの核酸プローブの存在下で、ポリメラーゼ連鎖反応により核酸を増幅する工程(ここで、プローブが該核酸の隣接領域にハイブリダイズする本発明のオリゴマー化合物であり、該プローブの内の1つはアクセプター蛍光標識で標識され、他方のプローブは蛍光エネルギー転移対のドナー蛍光標識で標識され、その結果、標的核酸との2つのプローブのハイブリダイゼーションの際、ドナーおよびアクセプター蛍光標識が互いに25個のヌクレオチド以内である、該ポリメラーゼ連鎖反応は標的核酸についての熱安定性ポリメラーゼ、ヌクレオチドおよびプライマーを、サンプルに添加し、少なくとも変性温度と伸長温度の間でサンプルを熱的にサイクリングさせる工程を含む);サンプルをドナー標識により吸収される波長の光で励起させる工程ならびに蛍光エネルギー転移対からの温度依存性蛍光をモニターする工程を含むサンプル中の標的核酸を検出する方法が提供される。
【0109】
本発明の別の好ましい態様では、サンプル中の標的核酸の存在または量を測定する方法は、
a)分析対象のサンプルから標的核酸を提供する工程、
b)標的核酸から二本鎖相補DNAを合成する工程、
c)本発明の化合物およびヌクレオシドトリホスフェートの存在下で標的核酸を増幅し、それにより標識された標的核酸が得られる工程、
d)標識された標的核酸をオリゴマー化合物のアレイに画定された位置でハイブリダイズする工程、ならびに
e)各画定された位置での蛍光強度を測定し、それにより標的核酸の存在または量が測定される工程
を含む。これは、アレイフォーマットを使用する標的核酸の検出のために使用される方法である。好ましくは、米国特許第5,545,522号;第5,716,785号;米国特許第5,891,636号;米国特許第6,291,170号で記述される方法は、本発明の方法の工程b)およびc)で使用され、それにより、二本鎖cDNAは細菌T7-プロモーターを含有しているプライマーで合成され、標識RNAはリボヌクレオシドトリホスフェートの存在下で転写され、それにより標識はヌクレオシドトリホスフェートのいくつかに連結される。この場合には標的核酸は、好ましくはリボ核酸である。
【0110】
別の好ましい態様では、パーツキットが本発明により意図され、ここで、該キットは、好ましくは5'から3'までの外ヌクレオチド鎖分解性活性を有する鋳型依存性ポリメラーゼ、好ましくはTaqポリメラーゼ、プライマーセット、ヌクレオチドおよび本発明のオリゴマー化合物(好ましくはR7が標識である)を含む。当該分野で公知のかかるキットは、増幅手順の間に使用され得るプラスチック製品(例えば、96または384穴フォーマットのマイクロタイタープレートまたは例えばEppendorf, Hamburg, Germany製の通常の反応チューブなど)および本発明の方法を実施するための全ての他の試薬をさらに含む。
【0111】
別の好ましい態様では、トリホスフェートであり、そして酵素により核酸に組込まれ得る本発明の化合物を含むパーツキットが提供される。キットは、例えば、リボヌクレオシドトリホスフェートおよびRNAポリメラーゼであり得るヌクレオシドトリホスフェートおよびポリメラーゼを含む。
【0112】
本発明の別の態様では、キットは、核酸を単離するためのさらなる試薬を含有する。したがって、キットは核酸に対する親和性を有する材料を含み得、好ましくは、核酸に対して親和性を有する材料はシリカ表面を有する材料を包む。好ましくは、シリカ表面を有する材料はガラスである。最も好ましくは、核酸に対する親和性を有する材料は、国際公開第96/41811号パンフレットまたは国際公開第01/37291号パンフレットに記述されるような磁性ガラス粒子を含む組成物である。キットは、細胞の溶解を可能にする例えば、カオトロピック剤、界面活性剤またはアルコールまたはその混合物を含む溶解緩衝液、および別に、望まれないタンパク質の消化のための、プロテアーゼ、例えば、プロテイナーゼKをさらに、または追加して包含し得る。本発明のキットのこれらの成分は、チューブまたは保存容器で個別に提供され得る。成分の特性により、これらは、単一のチューブまたは保存容器でも提供され得る。キットは、DNAまたはRNAが結合させられた場合の、磁性ガラス粒子の洗浄工程に適している洗浄溶液をさらに、または追加して含み得る。この洗浄溶液は、緩衝溶液中にエタノールおよび/またはカオトロピック剤を、または上記のようなエタノールおよび/またはカオトロピック剤を含まない酸性pHを示す溶液を含み得る。多くの場合、洗浄溶液または他の溶液は、使用前に希釈されるべき保存溶液として提供される。キットは、さらに、または追加して溶出剤または溶出緩衝液、すなわち、磁性ガラス粒子に結合したDNAまたはRNAを溶出するために溶液または緩衝液(例えば、10mM Tris、1mM EDTA、pH8.0)または純水を含む。さらに、核酸、すなわち、DNAまたはRNAの精製工程に使用され得るさらなる試薬または緩衝化溶液も存在し得る。
【0113】
以下の実施例、文献および図は、本発明の理解を助けるために提供され、その真の範囲は、添付の特許請求の範囲に示される。変更は、本発明の概念から逸脱せずに示される手順で行うことができることが理解される。
【実施例】
【0114】
1.調製例-ホスホルアミダイトの合成
N-Fmoc-N'-アクリリル-1,6-ジアミノヘキサン
1.26g(3ミリモル)のFmocジアミノヘキサン(Bachem Q 2045)を含有する90mlの無水(abs)クロロホルムに、1.70ml(12ミリモル)のトリエチルアミンを添加した。混合液を、0℃まで冷却し、そして300μl(3.6ミリモル)の塩化アクリル酸を滴下した。混合物を、室温まで加温させ、そして一晩攪拌した。懸濁液を濾過し、そして濾液を、回転エバポレーターで蒸発させた。残りを、溶出剤としてクロロホルム/メタノール4:1(シリカゲル上のTLC対照クロロホルム/メタノール4:1:Rf=0.75)を用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0115】
生成物を含む画分を収集し、そして乾固するまで蒸発させた。収量:440mg。
【0116】
1,5-無水-2-(5-(6-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ-ヘキシルカルバモイル)-ビニル)-ウラシル-1イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール
5.8mg(0.023ミリモル)の酢酸パラジウム(Aldrich 20,586-9)、13mg(0.05ミリモル)のトリフェニルホスフィン(Merck 808270)および86μl(0.61ミリモル)のトリエチルアミンを、15分間、16mlの無水ジオキサンで還流させた。その後、392mg(1ミリモル)のN-Fmoc-N'-アクリリル-1,6-ジアミノヘキサンおよび180mg(0.47ミリモル)の1,5-無水-2,3-ジデオキシ-2-(5-ヨードウラシル-1-イル)-D-アラビノ-ヘキシトール(Verheggen,I.ら、J. Med.Chem.38巻(1995年)826-835頁)を添加し、そして混合液を、80℃で3時間、加熱した。混合液を、室温まで冷却させ、そして濾過した。濾液を、回転エバポレーターを使用することによって、乾固するまで蒸発させた。残りを、溶出剤としてクロロホルム/メタノール5:1(TLCシリカゲル:クロロホルム/メタノール4:1:Rf=0.47)を用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製した。
生成物を含む画分を収集し、そして回転エバポレーターを使用して乾固するまで蒸発させた。収量:210mg。
【0117】
6-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)-1,5-無水-2-(5-(6-フルオレン-9-イルメトキシカルボニル-アミノ-ヘキシルカルバモイル)-ビニル)-ウラシル-1イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール
200mg(0.32ミリモル)の1,5-無水-2-(5-(6-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ-ヘキシルカルバモイル)-ビニル)-ウラシル-1イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトールを、3×5mlの無水ピリジンと同時蒸発させ、そしてその後、5mlの無水ピリジンに溶解させた。その後、140mg(0.39ミリモル)の4,4'-塩化ジメトキシトリチルを含有する5mlのピリジンを、攪拌しながら、15分以内で室温にて添加する。反応混合液を、さらに2時間、室温で攪拌した。その後、ピリジンを蒸発させ、そして残渣を、50mlの酢酸エチルで溶解させ、そして50mlの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)で二回洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、そして乾固するまで蒸発させた。残渣を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(n-ヘキサン/酢酸エチル/1%トリエチルアミン勾配)により精製した。生成物画分を合わせ、蒸発させ、そして高真空で乾燥させた。収量:235mg。
【0118】
6-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)-1,5-無水-2-(5-(6-フルオレン-9-イルメトキシカルボニル-アミノ-ヘキシルカルバモイル)-ビニル)-ウラシル-1イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール-4-O-[N,N-ジイソプロピル-(2-シアノエチル)]-ホスホルアミダイト
200mg(0.21ミリモル)の6-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)-1,5-無水-2-(5-(6-フルオレン-9-イルメトキシ-カルボニルアミノ-ヘキシルカルバモイル)-ビニル)-ウラシル-1イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトールを、Ar雰囲気下で、5mlのジクロロメタン中に溶解させた。その後、68μl(0.38ミリモル)のN-エチルジイソプロピルアミン、そして15分以内に、72mg(0.28ミリモル)のクロロ-2-シアノエチオキシ-ジイソプロピルアミノ-ホスファンを含有する5mlのジクロロメタンを添加した。反応混合液を、室温で1時間攪拌した。その後、10mlのジクロロメタンを添加した。反応混合液を、20mlの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)で二回洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、そして乾固するまで蒸発させた。残渣を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(n-ヘキサン/アセトン勾配)により精製した。生成物画分を合わせ、蒸発させ、そして高真空で乾燥させた。収量:170mg。
【0119】
2.調製例-トリホスフェートの合成
1,5-無水-2-(アデニン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール6モノホスフェートジリチウム塩
127mg(0.48ミリモル)の1,5-無水-2-(アデニン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール(Verheggen,I.ら、J. Med.Chem.36巻(1993年)2033-2040頁)を、12mlトリエチルホスフェートに溶解させ、そして260μlジイソプロピルエチルアミンを添加した。フラスコを、氷浴で、0〜4℃まで冷却し、36μlホスホルオキシクリロドを添加した。0〜4℃で10分間、攪拌した後、トリエチルアミン/酢酸緩衝液0.1M(pH8.5)を添加した。溶媒を、回転エバポレーターを使用して40℃で、0.1mbarで蒸発させた。残渣を、20mlの水に溶解させ、そして260nmでのUV/VIS検出器により監視しながら、DEAEセファデックスA25Cl上のイオン交換(緩衝液A水、緩衝液B 0.5M LiCl、100%Bまで60分での勾配)により精製した。対応の画分を収集し、そして減圧下で、1〜3mlの体積まで蒸発させた。生成物溶液を、200mlのアセトン/エタノールの2:1混合液に添加した。懸濁液を遠心分離し、生じたペレットをアセトンで3回洗浄して、LiClを除去し、その後、高真空で乾燥させた。収量120mg。
【0120】
1,5-無水-2-(6-(1,2,4-トリアゾール-4-イル)-プリン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール-6-モノホスフェート(Miles, W.M.ら、J. Am. Chem. Soc. 117巻(1995年)5951-5957頁に記述される方法)
5ml乾燥ピリジンを、120mg(0.34ミリモル)の1,5-無水-2-(アデニン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール6モノホスフェートジリチウム塩および250mg(1.2ミリモル)の1,2-ビス[(ジメチルアミノ)メチレン]ヒドラジンに添加し、そして混合液を、蒸発させた。
【0121】
2mlピリジンおよび173μl(1.36ミリモル)塩化トリエチルシリルを添加し、混合液を、24時間、100℃で加熱した。溶媒を、真空で蒸発させ、残渣を、水に溶解させ、そして260nmでのUV(紫外線)/VIS(可視光線)検出器により監視しながら、DEAEセファデックスA25Cl上のイオン交換クロマトグラフィー(緩衝液A水、緩衝液B 0.5M LiCl上での100%Bまで60分での勾配)により精製した。対応の画分を収集し、そして減圧下で乾固するまで蒸発させた。残りを、過剰塩化リチウムを除去せずに、次の合成工程に直接使用した。
【0122】
N6-(6-アミノヘキシル)-無水-2-(アデニン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール-6-モノホスフェートトリエチルアンモニウム塩
工程IIの残り(1,5-無水-2-(6-(1,2,4-トリアゾル-4-イル)-プリン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール-6-モノホスフェート)を、20mlの水に溶解させ、濾過し、そして80℃で15時間、1mlジアミノヘキサンと反応させた。混合液を、減圧下で蒸発させた。残渣を、5mlの0.1M重炭酸トリエチルアンモニウム(pH=8)に溶解させ、そして260nmで監視しながら、0.1mから0.3Mまでの重炭酸トリエチルアンモニウムの勾配形態を使用して、DEAEセファデックスA25上のイオン交換クロマトグラフィーにより精製した。適切な画分(TLC上でのニンヒドリンでの発色)を収集し、そして減圧下で蒸発させた。残渣を、水で希釈し、そして再度、真空で蒸発させた。この方法を、3回繰返した。収量80mg。
【0123】
N6-(6-トリフルオロアセトアミノヘキシル)-無水-2-(アデニン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール-6-モノホスフェート
80mg(0.12ミリモル)N6-(6-アミノヘキシル)-無水-2-(アデニン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール-6-モノホスフェートビストリエチルアンモニウム塩を、10mlの水に溶解させ、10mlのS-エチルトリフルオロチオアセテートを添加し、そして5M水酸化リチウムを用いてpHを10に調整した。混合液を、室温で4時間攪拌した。混合液を、25ml 0.1M重炭酸トリエチルアンモニウム(pH=8)で希釈した。溶液を、DEAEセファデックスカラムにかけ、そして260nmで監視しながら、0.1〜0.4Mまでの重炭酸トリエチルアンモニウム(pH8)の勾配で溶出させた。トリフルオロアセチル化生成物を含む画分を収集し、そして減圧下で蒸発させた。過剰の重炭酸トリエチルアンモニウムを、数回の水との同時蒸発により除去した。収量82mg。
【0124】
N6-(6-トリフルオロアセトアミノヘキシル)-無水-2-(アデニン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール-6-トリホスフェート
82mg(0.11ミリモル)N6-(6-トリフルオロアセトアミノヘキシル)-無水-2-(アデニン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール-6-モノホスフェートビストリエチルアンモニウム塩を、3ml乾燥DMF中に溶解させ、89mg(0.55ミリモル)カルボニルジイミダゾールを添加し、混合液を、室温で2時間攪拌した。0.5mlメタノールを添加し、そして混合液を、室温(RT)で20分間攪拌した。メタノールを減圧下での蒸発により除去した。その後、0.7mlの0.8Mビストリブチルアンモニウムピロホスフェートを含有するDMF(0.55ミリモル)溶液を添加した。混合液を、室温で、一晩攪拌した。溶媒を、回転エバポレーターを使用することにより、40℃で、0.1mbarで蒸発させた。残渣を、5mlの0.1M重炭酸トリエチルアンモニウム(pH=8)に溶解させた。溶液を、DEAEセファデックスカラムにかけ、そして260nmで監視しながら、0.1〜1Mまでの重炭酸トリエチルアンモニウム(pH8)の勾配で溶出させた。トリホスフェートを含む画分を収集し、そして減圧下で蒸発させた。過剰の重炭酸トリエチルアンモニウムを、数回の水との同時蒸発により除去した。収量69mg。
【0125】
N6-(6-アミノヘキシル)-無水-2-(アデニン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール-6-トリホスフェート
69mg(0.06ミリモル)N6-(6-トリフルオロアセトアミノヘキシル)-無水-2-(アデニン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール-6-トリホスフェートを、4mlの水に溶解させ、添加し、そしてpHを、6M NaOHで、11.5に調整した。混合液を、室温で4時間攪拌した。その後、pHを、2M HClでpH8に調整し、そして10mlの0.1M重炭酸トリエチルアンモニウム(pH=8)を添加した。溶液を、DEAEセファデックスカラムにかけ、そして260nmで監視しながら、0.1〜1.0Mまでの重炭酸トリエチルアンモニウム(pH8)の勾配で溶出させた。トリホスフェートを含む画分を収集し、そして真空で蒸発させた。アミノ基の存在を、ニンヒドリン反応により確認した。過剰な重炭酸トリエチルアンモニウムを、数回の水との同時蒸発により除去した。収量40mg。
【0126】
N6-(6-(6-ビオチンアミド-ヘキサノエート)アミドヘキシル)-無水-9H(アデニン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール-6-トリホスフェート
40mg(0.03ミリモル)N6-(6-アミノヘキシル)-無水-2-(アデニン-9-イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール-6-トリホスフェートテトラトリエチルアンモニウム塩を、250μlの0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液(pH8.5)に溶解させた。25mg(0.055ミリモル)ビオチンヘキサンカルボン酸NHSエステル(Sigma注文番号B2643)を含有する800μlのアミン非含有DMF溶液を添加した。混合液を、室温で一晩攪拌した。溶媒を、真空で蒸発させた。残りを、5mlの0.1M重炭酸トリエチルアンモニウム(pH=8)に溶解させた。溶液を、DEAEセファデックスカラムにかけ、そして260nmで監視しながら、0.2〜1.2M重炭酸トリエチルアンモニウム(pH8)による勾配で溶出させた。ビオチニル化トリホスフェートを含む画分を収集し、そして真空で蒸発させた。過剰の重炭酸トリエチルアンモニウムを、水との数回の同時蒸発により蒸発させた。収量15mg。NMR(Bruker DPX300、溶媒D2O)。1H [ppm]: 1.10-1.85 (m) [22H], 2.18 (m) [4 H], 2.45(d broad) [1H], 2.65(d) [1H], 2.85(dd) [1H], 3.08(m) [4H], 3.56(s,broad) [2H], 3.61 (m) [2H], 3.79(m) [1H], 4.08 (d) [1H], 4.28(m) [4H], 4.50 (dd) [1H],8.20 (s) [1H], 8.42(s) [1H], 31P [ppm]: - 21.77 (t); 10.08 (d); 9.50 (d)
【0127】
N6-(6-(6-ビオチンアミド-ヘキサノエート)アミドヘキシル)-9-[1R,3S,4R)-3-ヒドロキシ-4->-(テトラヒドロキシ-[1]トリホスホリルオキシメチル)シクロヘキセニル]アデニンテトラトリエチルアンモニウム塩
この化合物を、上記と同じ合成経路を使用することにより、9-[1R,3S,4R)-3-ヒドロキシ-4-ヒドロキシメチルシクロヘキセニル]アデニン(Wang,J.、Herdewijn,P.、J.Org.Chem.64巻(1999年)7820-7827頁)から合成した。
【0128】
NMR ( Bruker DPX 300, Solvent D2O) 1H [ppm]: 1.22 (t) [36H],1.30- 1.82 (m) [18H], 2.18 (m) [6 H], 2.51(s, broad) [1H], 2.68(d) [1H], 2.86(dd) [1H], 3.28(q) [24H], 3.56(s,broad) [2H], 3.90 (q) [1H], 3.79(m) [1H], 4.18 (m) [2H], 4.28(m) [1H], 4.50 (dd) [1H], 5.98 (dt) [1H], 6.21 (d) (1H), 8.13 (s) [1H], 8.21(s) [1H], 31P [ppm]: - 22.04 (t); -9.72 (d); 9.53 (d)
【0129】
1,5-無水-2-(ウラシル-1イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール6トリホスフェート
200mg(0.82ミリモル)1,5-無水-2-(ウラシル-1イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール(Verheggen,I.ら、J. Med.Chem.38巻(1995年)826-835頁)を、上記の手順により、150mg(0.44ミリモル)のモノホスフェートに変換した。モノホスフェートを、Moffat, J.G., Khorana, H.G. J. Am. Chem. Soc. 1961年、83巻、649-658頁に記載されている手順によりトリホスフェートに変換した。したがって、150mg(0.44ミリモル)の1,5-無水-2-(ウラシル-1イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール6モノホスフェートジリチウム塩を、Dowex H型50X8-100カラムを通過させることにより、遊離酸に変換した。これを、水で溶出させ、そして紫外線吸収画分を収集し、そして2mlまで濃縮した。2mlのtertブチルアルコールを添加し、そして混合液を、還流コンデンサーおよびゴム隔壁を具備した二首フラスコに移した。注射針を使用して、0.3ml(3ミリモル)モルホリンを添加した。混合液を、還流するまで加熱し、そして0.6mg(2.9ミリモル)ジクロロヘキシルカルボジイミドを含有する3ml tertブチルアルコール溶液を、2時間かけて滴下した。混合液を、15時間還流させた。混合液を、室温まで冷却し、そして濾過した。濾液を、2mlまで濃縮し、そして濃縮液を、ジエチルエーテルで三回抽出した。水相を、真空で乾固するまで蒸発させた。残渣を、5ml DMFに溶解させ、そして、2.8mlのビストリ-n-ブチルアンモニウムピロホスフェートの0.8M溶液を含有するDMF(2.2ミリモル)溶液に添加した。混合液を、室温で、アルゴン下で一晩攪拌した。回転エバポレーターを使用することにより、溶媒を、40℃で減圧下で蒸発させた。残渣を5mlの水に溶解させた。溶液を、DEAEにかけた。トリホスフェートを含む画分を収集し、そして真空セファデックスカラム下で5mlまで濃縮し、そして260nmで監視しながら、0.1〜1.2M塩化リチウムの勾配で溶出させた。生成物溶液を、400mlのアセトン/エタノールの2:1混合液に添加した。懸濁液を遠心分離し、得られたペレットを、アセトンで3回洗浄して、LiClを除去し、その後、高真空で乾燥させた。収量100mg。
【0130】
1,5-無水-2-(5-アミノアリル-ウラシル-1イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール6トリホスフェート
100mg(0.19ミリモル)の1,5-無水-2-(ウラシル-1イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール6トリホスフェートおよび106mg(0.33ミリモル)酢酸水銀IIを、5mlの0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5)中に溶解させた。混合液を、50℃で、4時間攪拌した。室温まで冷却した後、混合液を、40mlの水で希釈した。新たに作製した酢酸アリルアミン溶液(0.77ml(13ミリモル))を、4M酢酸で中和し、そして150mg(1.5ミリモル)ジカリウムテトラクロロパラジネートを添加し、そして混合液を、室温で、24時間攪拌した。反応混合液を、0.45μm膜フィルターを通して濾過し、そして濾液を、DEAE-セファデックスカラムにかけ、そしてそれを、260nmで監視しながら、0.1〜1M重炭酸トリエチルアンモニウム(pH8)の勾配で溶出させた。主要UVピークを収集し(ニンヒドリン反応陽性)、そしてRP18 Hypersilカラム上で、260nmで監視しながら、緩衝液100%A:0.1M酢酸トリエチルアンモニウム(pH8.0)から100%緩衝液B:0.1M酢酸トリエチルアンモニウム/アセトニトリル1:1までの勾配で逆相クロマトグラフィーによりさらに精製した。アミノアリルトリホスフェートを含む画分を収集し、そして真空で蒸発させた。アミノ基の存在を、ニンヒドリン反応により確証した。過剰酢酸トリエチルアンモニウムを、水との数回の同時蒸発により除去した。収量80mg。
【0131】
1,5-無水-2-(5-(6-ビオチンアミド-ヘキサノエートアミドアリル-ウラシル-1イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-ヘキシトール6トリホスフェート
80mg(0.08ミリモル)を、上記の手順によりビオチンヘキサカルボン酸NHSエステル(Sigma注文番号B2643)を含有するホウ酸緩衝液/DMFで標識した。
収量:10mg。
【0132】
NMR ( Bruker DPX 300, Solvent D2O) 1H [ppm]: 1.28 (t) [36H],1.66 (m) [10H], 1.92 (m) [1 H], 2.19(dd) [1H], 2.31(dd) [1H], 2.72(d) [1H], 2.95 (dd) [1H], 3.18(q) [24H], 3.28(m,) [2H], 3.59 (d,broad) [1H], 3.95(m) [2H], 4.21 (m) [2H], 4.40(dd [1H], 4.56 (dd) [1H], 4.70 (s) [1H], 6.20 (d) [1H], 6.38 (dt) (1H), 8.21 (s) [1H]
31P [ppm]: - 22.04 (t); -9.83 (d); 9.61 (d)
【0133】
3.機能上の実施例
組込み研究
2'デオキシ-NTPアナログであると考えられるビオチニル化hUTP、hATPおよびCeATP(図4参照)の組込み速度を、AMV逆転写酵素を使用して標識されたcDNAのドットブロット希釈列を介して標準ビオチン-16-dUTPと比較した。最初に、本発明者らは、ドットブロット希釈列に基づいて様々な比のビオチンhUTP:dUTPの影響を調査した(SA-AP/CPDを用いた検出)。本発明者らは、1:4比(=20%)が、標識するのに十分であることを見出した。この比を使用して、様々なアナログをビオチンdUTPと比較した。組込み効率は、ビオチンhATP<ビオチンhUTP=ビオチンdCeATP<ビオチンdUTPの順で増大する(図5a〜cを参照)。
【0134】
本発明者らが研究した別のアナログは、さらなるヒドロキシル基を有し、そしてしたがってリボヌクレオシドに類似するaUTPであった。本発明者らは、様々なRNAポリメラーゼを用いてビオチンaUTPの組込みを調査した。T7 RNAポリメラーゼは、ビオチンaUTPの組込みについての最高の選択である。しかし、組込み量は、ビオチンUTPと比較しておよそ25倍だけ低かった(図6を参照)。
【0135】
マイクロアレイに基づく発現プロファイリング実験
Bio-h-dUTPの性能を、マイクロアレイに基づく発現プロファイリング実験で試験した。この使用は、研究者に、平行して多くの遺伝子のmRNAレベルを監視するのを可能にする。この目的のために、オリゴヌクレオチドを、指示された方式で固体表面(すなわち、スライドガラス)に共有結合させた。次の工程では、このオリゴヌクレオチドのアレイを、定義されたサンプル(すなわち、組織、細胞株など)に由来する標的分子のプールとハイブリダイズさせる。標的の合成のために、総RNAを、サンプルから単離しなければならない。その後、mRNAを、オリゴdTプライマーでプライムし、続いて逆転写酵素を使用して酵素によってcDNAを合成した。この工程の間に、ビオチン標識ヌクレオチドを、cDNA鎖に挿入する。ハイブリダイゼーションのために、cDNAを精製し、そしてアレイにかけた。一晩、インキュベーションを行い、続いてストリンジェントな洗浄手順を行った。アレイの洗浄の後、蛍光団で標識されたストレプトアビジン結合体とともにインキュベーションを行った。シグナル検出のために、ハイブリダイズした標的分子の量を定量するために、スライドガラスを、共焦点レーザー走査顕微鏡を用いて走査した。コンピュータ処理分析を利用することにより、シグナル強度は、特定遺伝子を表す個別のオリゴヌクレオチドとに対応した。
【0136】
詳細な実験手順
個別のラット遺伝子(ラットのオリゴ試験セット)に特異的なオリゴヌクレオチドを含むガラス製アレイ(MWG-Biotech AG, Ebersberg, Germany)を、三連で配列した。キット手引により、RNeasy Kit(ドイツ国ヒルデンのキアゲン(QIAGEN))を利用することにより、RNA単離を行った。肝臓組織サンプルから単離された肝臓由来の100マイクログラムの総マウスRNAは、標識Bio-h-dUTPの組込みを含めて、cDNA合成キット(ドイツ国マンハイムのロッシュ(Roche))を使用して標的標品のための鋳型として利用した。標識手順:100μgの総RNAを、2μgのオリゴdT24マーと共に、18μl H2O中で70℃で10分間インキュベートし、氷上で冷却させた。5μl RT-緩衝液、4μl DTT、4μl dNTP(5mM A、G、Cおよび3mM T)、0.4μl Bio-h-dUTP、1.8μl AMV逆転写酵素、0.2μl RNAsin、3.5μl H2Oを含む反応混合物を添加し、そして42℃で1時間インキュベートした。10μlの1N NaOHを添加し、続いて65℃での10分のインキュベーションにより、標識反応を終結させた。
【0137】
10μlの1N HClおよび22μlの1M TrisHCl(pH=7.5)を用いて、溶液を中和した。標識標的の精製を、指示手引にしたがってHighPureスピンカラム(ドイツ国マンハイムのロッシュ)で行った。
【0138】
ガラス製アレイの製造業者の指示にしたがって、加湿チャンバー中で、16時間、アレイのハイブリダイゼーションを行った。
【0139】
ハイブリダイゼーションの後、アレイを、それぞれ、2×SSC+1%SDS、1×SSCおよび0.5×SSC中で30℃で5分間、三回洗浄した。
【0140】
2×SSCおよび1%カゼイン中で、30分間予備ブロッキング、ならびにストレプトアビジン-Cy3(1μg/ml)を含有する2×SSC+1%カゼインとの10分間のインキュベーションによって、抗体検出を行った。2×SSC+0.2%SDS中で5分間、二回、ならびに2×SSC中で5分間、一回、最終洗浄を行った。
【0141】
シグナル検出については、アレイを、PMT設定ならびに80の増加で、共焦点レーザースキャナー(米国ユニオンシティーのアクソン(Axon))で走査した。Imageneソフトウエア(米国マリナデルレイのバイオディスカバリー(BioDiscovery))を用いて、画像解析を行った。
【0142】
結果
予想されるとおり、標的配列のいずれとも適合しないプローブ配列を含む対照スポットはシグナルを示さず、したがって、ハイブリダイゼーション手順の内で特異性を確保する。さらに、肝臓で発現されることが知られていない遺伝子に対応するスポットは、低いかまたはシグナルなしを示した。他方では、広範な組織で発現される遺伝子、ならびに肝臓に特異的な遺伝子は、このアプローチでBio-h-dUTPの優れた性能を示すことが明らかに検出された(図7を参照)。
【0143】
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US 5,143,854
US 5,202,231
US 5,338,671
US 5,411,876
US 5,418,149
US 6,022,963
US 6,156,501
US 4,458,066
US 4,996,143
US 5,130,238
US 5,210,015
US 5,314,893
US 5,451,463
US 5,487,972
US 5,565,322
US 5,804,375
US 5,849,489
US 6,103,476
US 6,130,323
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【0144】
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1]式I:
【化7】


(式I)
式中、Lは連結部分であり、
Bは複素環式塩基であり、
R1はR2、R3、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、R1
(1)保護基、
(2)標識、
(3)固相、および
(4)-H
からなる群より選択され、
R2はR1、R3、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、R2は-Hおよび-OR6からなる群より選択され、
R3はR1、R2、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、R3
(1)保護基、
(2)固相に共有結合された連結部分、
(3)ホスホルアミダイト、
(4)H-ホスホネート、および
(5)トリホスフェート
からなる群より選択され、
R4はR1、R2、R3、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、R4は-H、-OH、アルキル、ハロゲン、-O-R5、-S-R5、NR5R5a、標識または固相に共有結合された連結部分であり、
R6はR1、R2、R3、R4、R5、R5a、およびR5bから独立し、R6
(1)-H
(2)保護基、
(3)固相に共有結合された連結部分、
(4)ホスホルアミダイト、および
(5)H-ホスホネート
からなる群より選択され、
6員環のC1原子とYとの間の点線は二重結合の任意の存在を示し、二重結合が存在する場合YはCR5aであり、
あるいは二重結合が存在しない場合YはO、S、NR5およびCR5aR5bからなる群より選択され、
R5、R5aおよびR5bは互いに独立し、R1、R2、R3、R4およびR6から独立し、R5はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、保護基または-Hから独立して選択され、R5aおよびR5bはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、または-Hから独立して選択される
を有する化合物。
[2]連結部分Lが炭素原子、酸素原子または窒素原子および反応性基を含むことを特徴とする[1]記載の化合物。
[3]R1が標識であることを特徴とする[1]または[2]記載の化合物。
[4]6員環のC1原子とYとの間の点線が二重結合の存在を示し、YがCR5aであり、R5aがアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、または-Hから選択されることを特徴とする[1]〜[3]いずれか記載の化合物。
[5]二重結合が存在しない場合、YがO、S、またはCR5aR5bであることを特徴とする[1]〜[3]いずれか記載の化合物。
[6]R3がトリホスフェートであり、R2が-OR6(式中、R6は-Hである)であり、R4が-Hまたは-OHであることを特徴とする[1]〜[5]いずれか記載の化合物。
[7]式II:
【化8】


(式II)
で表される[5]または[6]記載の化合物。
[8]R2がR1、R3、R4、R5、R5a、R5b、およびR6から独立し、R2が-OR6(式中、R6はホスホルアミダイトである)であり;
R3がR1、R2、R4、R5、R5a、R5b、およびR6から独立し、R3が保護基または連結部分に共有結合された固相である
ことを特徴とする[1]〜[5]いずれか記載の化合物。
[9]式:
S-B-L-R7
式中、Sは6員環を含む部分であり、
Bは複素環式塩基であり、
Lは連結部分であり、
R7は標識、保護基または固相である
を有するモノマー単位を含んでなるオリゴマー化合物。
[10]6員環がシクロヘキサン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピランまたはピペリジンの誘導体である[9]記載のオリゴマー化合物。
[11]式III:
【化9】


(式III)
式中、Lは連結部分であり、
Bは複素環式塩基であり、
R7はR5、R5a、R5b、R8、R9、R10、およびR11から独立し、R7
(1)保護基、
(2)標識、および
(3)固相
からなる群より選択され、
R8はR5、R5a、R5b、R7、R9、R10、およびR11から独立し、R8は-Hおよび-OR11からなる群より選択され、
R9およびR11は互いに独立し、R5、R5a、R5b、R7、R8またはR10から独立し、R9およびR11
(1)-H、
(2)固相に共有結合された連結部分、
(3)ホスフェート、および
(4)ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドを有するホスホジエステル
からなる群より選択され、
R10はR5、R5a、R5b、R7、R8、R9およびR11から独立し、R10は-H、-OH、アルキル、ハロゲン、-O-R5、-S-R5、NR5R5a、標識または固相に共有結合された連結部分であり、
6員環のC1原子とYとの間の点線は二重結合の任意の存在を示し、二重結合が存在する場合YはCR5aであり、
あるいは二重結合が存在しない場合YはO、S、NR5およびCR5aR5bからなる群より選択され、
R5、R5aおよびR5bは互いに独立し、R7、R8、R9、R10およびR11から独立し、R5はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、保護基または-Hから独立して選択され、R5aおよびR5bはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、または-Hから独立して選択される
を有するモノマー単位を有する[9]または[10]記載のオリゴマー化合物。
[12]連結部分Lが炭素原子、酸素原子または窒素原子および反応性基を含むことを特徴とする[11]記載のオリゴマー化合物。
[13]R7が標識であることを特徴とする[9]〜[12]いずれか記載のオリゴマー化合物。
[14]R8が-OR11であり、R9およびR11がオリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドであり、R10が-Hまたは-OHであることを特徴とする[11]〜[13]いずれか記載のオリゴマー化合物。
[15]二重結合が存在しない場合、YがO、SまたはCR5aR5bであることを特徴とする[11]〜[14]いずれか記載のオリゴマー化合物。
[16]6員環のC1原子とYとの間の点線が二重結合の存在を示し、YがCR5aであり、R5aがアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、または-Hから選択されることを特徴とする[11]〜[14]いずれか記載のオリゴマー化合物。
[17]異なる配列を有する複数のオリゴマー化合物のアレイを含んでなる、標的核酸とオリゴマー化合物との間の相互作用を分析するための組成物であり、該オリゴマー化合物が[10]〜[15]いずれか記載のオリゴマー化合物であり、R7が固相であるか、あるいはR9、R10またはR11が該固相に共有結合された連結部分である、組成物。
[18]R2が-OR6であり、R3およびR6がホスホルアミダイト、連結部分に共有結合された固相または保護基である、[1]〜[8]いずれか記載の化合物の[10]〜[15]いずれか記載のオリゴマー化合物の化学合成のための使用。
[19]核酸の標識化のための[1]〜[8]いずれか記載の化合物の使用。
[20]相補核酸とのハイブリダイゼーション反応における、[9]〜[16]いずれか記載のオリゴマー化合物または[17]記載の組成物の使用。
[21]プライマー、プローブまたは捕捉プローブとしての[9]〜[16]いずれか記載のオリゴマー化合物の使用。
[22](a)ターミナルトランスフェラーゼまたはポリメラーゼの存在下、R3がトリホスフェートである[1]〜[8]いずれか記載の化合物を、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドの3'末端のヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドの伸長可能なOH基とインキュベートし、それにより該化合物が伸長可能なOH基に結合され、それによりピロホスフェートが放出される工程、
(b)任意に、ターミナルトランスフェラーゼまたはポリメラーゼの存在下、工程(a)の生成物の3'末端の伸長可能なOH基をヌクレオシドトリホスフェートまたは修飾ヌクレオシドトリホスフェートとインキュベートし、それにより該ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドが3'-OH基に結合され、それによりピロホスフェートが放出される工程、
(c)任意に、工程(a)または(b)あるいは両方を繰り返す工程、ならびに
(d)オリゴマー化合物を単離する工程
を含む、[9]〜[16]いずれか記載のオリゴマー化合物の酵素的合成のための方法。
[23](a)標的核酸を含むと推測されるサンプルを提供する工程、
(b)標的核酸の一部または全部と本質的に相補的な[9]〜[16]いずれか記載のオリゴマー化合物を提供する工程、
(c)任意に、鋳型依存性DNAポリメラーゼおよびプライマーを用いて標的核酸を増幅する工程、
(d)オリゴマー化合物が標的核酸に結合する条件下でサンプルとオリゴマー化合物とを接触させる工程、ならびに
(e)標的核酸の存在、非存在または量の基準として標的核酸とオリゴマー化合物との間の結合生成物またはハイブリダイゼーションの程度を測定する工程
を含む、サンプルにおける標的核酸の検出のための方法。
[24]工程(e)において、ハイブリダイゼーションの程度が、鋳型依存性DNAポリメラーゼによるエキソヌクレアーゼ加水分解により標的核酸にハイブリダイズされたオリゴマー化合物から放出された第一または第二蛍光標識の定量により測定される、[23]記載の方法。
[25]少なくとも1つのサイクリング工程を実施する工程であって、ここで、サイクリング工程が増幅工程およびハイブリダイズ工程を含み、ここで、該増幅工程がサンプルとプライマーとを接触させて、標的核酸が該サンプル中に存在する場合、増幅生成物を生成する工程を含み、ここで、該ハイブリダイズ工程が該サンプルと1対のプローブとを接触させる工程を含み、ここで、少なくとも1つのプローブが6員環を含むモノマー単位を含有してなるオリゴマー化合物であり、ここで、該プローブ対のメンバーが互いにわずか5ヌクレオチド以内で該増幅生成物にハイブリダイズし、ここで、該プローブ対の第一プローブがドナー蛍光標識で標識され、該プローブ対の第二プローブが対応するアクセプター蛍光標識で標識される、工程;
ならびに該第一プローブのドナー蛍光標識と該第二プローブのアクセプター蛍光標識との間の蛍光共鳴エネルギー転移の存在または非存在を検出する工程であって、ここで、蛍光共鳴エネルギー転移の存在がサンプル中の標的核酸の存在の指標であり、蛍光共鳴エネルギー転移の非存在がサンプル中の標的核酸の非存在の指標である、工程
を含む、[23]記載の方法。
[26]a)分析対象のサンプルから標的核酸を提供する工程、
b)標的核酸から二本鎖相補DNAを合成する工程、
c)[1]〜[8]いずれか記載の化合物およびヌクレオシドトリホスフェートの存在下で標的核酸を増幅し、それにより標識された標的核酸が得られる工程、
d)標識された標的核酸をオリゴマー化合物のアレイに画定された位置でハイブリダイズする工程、ならびに
e)各画定された位置での蛍光強度を測定し、それにより標的核酸の存在または量が測定される工程
を含む、サンプル中の標的核酸の存在または量を測定するための方法。
[27]鋳型依存性ポリメラーゼ、
プライマーセット、
ヌクレオチド、および
[9]〜[16]いずれか記載のオリゴマー化合物(式中、R7は標識である)
を含有してなるパーツキット。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】塩基としてウラシル、反応性基としてFMOC保護アミノ基を有する連結部分、および6員環としてテトラヒドロピランを含むホスホルアミダイト誘導体の合成。
【図2】1,5-無水-2-(5-(6-ビオチンアミド-ヘキサノエートアミドアリル-ウラシル-1イル)-2,3-ジデオキシ-D-アラビノ-へキシトール6トリホスフェートの合成。
【図3】塩基としてアデニン、ハプテンとしてビオチン、連結部分および6員環としてテトラヒドロピランを含む図2の化合物に類似のトリホスフェート誘導体の合成。
【図4】実施例1.3.1での組込み研究のために合成された物質の概要。
【図5a】組込み研究のドットブロット(実施例1.3.1を参照)。
【図5b】組込み研究のドットブロット(実施例1.3.1を参照)。
【図5c】組込み研究のドットブロット(実施例1.3.1を参照)。
【図6】組込み研究のドットブロット(実施例1.3.1を参照)。
【図7】ラット組織に由来するBio-h-dUTP標識cDNAを用いたハイブリダイゼーションの後のガラス製アレイの画像(四角形:陰性対照スポット;円:肝臓、腎臓中で発現されたニューロンのカンナビノイドアクセプターについてのプローブ;肝臓で発現されたアルファ-1ミクログロブリン/ビクニンambpおよび全組織で発現されたGapd)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


式中、Lはヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基又はチオール基である反応性基を含む連結部分であり、
Bは複素環式塩基であり、
R1はR2、R3、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、R1は標識又は固相であり、
R2はR1、R3、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、R2は-Hおよび-OR6からなる群より選択され、
R3はR1、R2、R4、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、R3
(1)保護基、
(2)固相に共有結合された連結部分、
(3)ホスホルアミダイト、
(4)H-ホスホネート、および
(5)トリホスフェート
からなる群より選択され、
R4はR1、R2、R3、R5、R5a、R5bおよびR6から独立し、R4は-H、-OH、アルキル、ハロゲン、-O-R5、-S-R5、NR5R5a、標識または固相に共有結合された連結部分であり、
R6はR1、R2、R3、R4、R5、R5a、およびR5bから独立し、R6
(1)-H
(2)保護基、
(3)固相に共有結合された連結部分、
(4)ホスホルアミダイト、および
(5)H-ホスホネート
からなる群より選択され、
YはO、S、NR5およびCR5aR5bからなる群より選択され、
R5、R5aおよびR5bは互いに独立し、R1、R2、R3、R4およびR6から独立し、R5はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、保護基または-Hから独立して選択され、R5aおよびR5bはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、または-Hから独立して選択される、
を有する化合物。
【請求項2】
連結部分Lが炭素原子、酸素原子または窒素原子および前記反応性基を含むことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1が標識であることを特徴とする請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
YがO、S、またはCR5aR5bであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の化合物。
【請求項5】
R3がトリホスフェートであり、R2が-OR6(式中、R6は-Hである)であり、R4が-Hまたは-OHであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の化合物。
【請求項6】
式II:
【化2】


で表される請求項4または5記載の化合物。
【請求項7】
R2がR1、R3、R4、R5、R5a、R5b、およびR6から独立し、R2が-OR6(式中、R6はホスホルアミダイトである)であり;
R3がR1、R2、R4、R5、R5a、R5b、およびR6から独立し、R3が保護基または連結部分に共有結合された固相である
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の化合物。
【請求項8】
式:
S-B-L-R7
式中、Sは6員環を含む部分であり、
Bは複素環式塩基であり、
Lはヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基又はチオール基である反応性基を含む連結部分であり、
R7は標識または固相であり、
6員環がシクロヘキサン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピランまたはピペリジンの誘導体である、
を有するモノマー単位を含んでなるオリゴマー化合物。
【請求項9】
式III:
【化3】


式中、Lはヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基又はチオール基である反応性基を含む連結部分であり、
Bは複素環式塩基であり、
R7はR5、R5a、R5b、R8、R9、R10、およびR11から独立し、R7は標識又は固相であり、
R8はR5、R5a、R5b、R7、R9、R10、およびR11から独立し、R8は-Hおよび-OR11からなる群より選択され、
R9およびR11は互いに独立し、R5、R5a、R5b、R7、R8またはR10から独立し、R9およびR11
(1)-H、
(2)固相に共有結合された連結部分、
(3)ホスフェート、および
(4)ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドを有するホスホジエステル
からなる群より選択され、
R10はR5、R5a、R5b、R7、R8、R9およびR11から独立し、R10は-H、-OH、アルキル、ハロゲン、-O-R5、-S-R5、NR5R5a、標識または固相に共有結合された連結部分であり、
YはO、S、NR5およびCR5aR5bからなる群より選択され、
R5、R5aおよびR5bは互いに独立し、R7、R8、R9、R10およびR11から独立し、R5はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、保護基または-Hから独立して選択され、R5aおよびR5bはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、または-Hから独立して選択される、
を有するモノマー単位を有する請求項8記載のオリゴマー化合物。
【請求項10】
連結部分Lが炭素原子、酸素原子または窒素原子および前記反応性基を含むことを特徴とする請求項9記載のオリゴマー化合物。
【請求項11】
R7が標識であることを特徴とする請求項8〜10いずれか記載のオリゴマー化合物。
【請求項12】
R8が-OR11であり、R9およびR11がオリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドであり、R10が-Hまたは-OHであることを特徴とする請求項9〜11いずれか記載のオリゴマー化合物。
【請求項13】
YがO、SまたはCR5aR5bであることを特徴とする請求項9〜12いずれか記載のオリゴマー化合物。
【請求項14】
異なる配列を有する複数のオリゴマー化合物のアレイを含んでなる、標的核酸とオリゴマー化合物との間の相互作用を分析するための組成物であり、該オリゴマー化合物が請求項8〜13いずれか記載のオリゴマー化合物であり、R7が固相であるか、あるいはR9、R10またはR11が該固相に共有結合された連結部分である、組成物。
【請求項15】
R2が-OR6であり、R3およびR6がホスホルアミダイト、連結部分に共有結合された固相または保護基である、請求項1〜7いずれか記載の化合物の請求項8〜13いずれか記載のオリゴマー化合物の化学合成のための使用。
【請求項16】
核酸の標識化のための請求項1〜7いずれか記載の化合物の使用。
【請求項17】
相補核酸とのハイブリダイゼーション反応における、請求項8〜13いずれか記載のオリゴマー化合物または請求項14記載の組成物の使用。
【請求項18】
プライマー、プローブまたは捕捉プローブとしての請求項8〜13いずれか記載のオリゴマー化合物の使用。
【請求項19】
(a)ターミナルトランスフェラーゼまたはポリメラーゼの存在下、R3がトリホスフェートである請求項1〜7いずれか記載の化合物を、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドの3'末端のヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドの伸長可能なOH基とインキュベートし、それにより該化合物が伸長可能なOH基に結合され、それによりピロホスフェートが放出される工程、
(b)任意に、ターミナルトランスフェラーゼまたはポリメラーゼの存在下、工程(a)の生成物の3'末端の伸長可能なOH基をヌクレオシドトリホスフェートまたは修飾ヌクレオシドトリホスフェートとインキュベートし、それにより該ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドが3'-OH基に結合され、それによりピロホスフェートが放出される工程、
(c)任意に、工程(a)または(b)あるいは両方を繰り返す工程、ならびに
(d)オリゴマー化合物を単離する工程
を含む、請求項8〜13いずれか記載のオリゴマー化合物の酵素的合成のための方法。
【請求項20】
(a)標的核酸を含むと推測されるサンプルを提供する工程、
(b)標的核酸の一部または全部と本質的に相補的な請求項8〜13いずれか記載のオリゴマー化合物を提供する工程、
(c)任意に、鋳型依存性DNAポリメラーゼおよびプライマーを用いて標的核酸を増幅する工程、
(d)オリゴマー化合物が標的核酸に結合する条件下でサンプルとオリゴマー化合物とを接触させる工程、ならびに
(e)標的核酸の存在、非存在または量の基準として標的核酸とオリゴマー化合物との間の結合生成物またはハイブリダイゼーションの程度を測定する工程
を含む、サンプルにおける標的核酸の検出のための方法。
【請求項21】
工程(e)において、ハイブリダイゼーションの程度が、鋳型依存性DNAポリメラーゼによるエキソヌクレアーゼ加水分解により標的核酸にハイブリダイズされたオリゴマー化合物から放出された第一または第二蛍光標識の定量により測定される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つのサイクリング工程を実施する工程であって、ここで、サイクリング工程が増幅工程およびハイブリダイズ工程を含み、ここで、該増幅工程がサンプルとプライマーとを接触させて、標的核酸が該サンプル中に存在する場合、増幅生成物を生成する工程を含み、ここで、該ハイブリダイズ工程が該サンプルと1対のプローブとを接触させる工程を含み、ここで、少なくとも1つのプローブが6員環を含むモノマー単位を含有してなるオリゴマー化合物であり、ここで、該プローブ対のメンバーが互いにわずか5ヌクレオチド以内で該増幅生成物にハイブリダイズし、ここで、該プローブ対の第一プローブがドナー蛍光標識で標識され、該プローブ対の第二プローブが対応するアクセプター蛍光標識で標識される、工程;
ならびに該第一プローブのドナー蛍光標識と該第二プローブのアクセプター蛍光標識との間の蛍光共鳴エネルギー転移の存在または非存在を検出する工程であって、ここで、蛍光共鳴エネルギー転移の存在がサンプル中の標的核酸の存在の指標であり、蛍光共鳴エネルギー転移の非存在がサンプル中の標的核酸の非存在の指標である、工程
を含む、請求項20記載の方法。
【請求項23】
a)分析対象のサンプルから標的核酸を提供する工程、
b)標的核酸から二本鎖相補DNAを合成する工程、
c)請求項1〜7いずれか記載の化合物およびヌクレオシドトリホスフェートの存在下で標的核酸を増幅し、それにより標識された標的核酸が得られる工程、
d)標識された標的核酸をオリゴマー化合物のアレイに画定された位置でハイブリダイズする工程、ならびに
e)各画定された位置での蛍光強度を測定し、それにより標的核酸の存在または量が測定される工程
を含む、サンプル中の標的核酸の存在または量を測定するための方法。
【請求項24】
鋳型依存性ポリメラーゼ、
プライマーセット、
ヌクレオチド、および
請求項8〜13いずれか記載のオリゴマー化合物(式中、R7は標識である)
を含有してなるパーツキット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−149605(P2009−149605A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273072(P2008−273072)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【分割の表示】特願2004−110224(P2004−110224)の分割
【原出願日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】