7α−アルキル化された19−ノルステロイドの調製方法
本発明は、医薬化合物、例えばフルベストラントの調製において有用な方法、及びフルベストラントの調製方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、医薬化合物、例えばフルベストラント(fulvestrant)の調製において有用な新規方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景:
化学療法よりも低い毒性である、乳癌患者を処理するための効果的治療手段の必要性がますます認識されている。多くの乳癌のホルモン依存性の発見以来、内分泌療法が集中的に研究されて来た。
【0003】
フルベストラントは、乳癌の処理において有意な進歩を提供する純粋な抗エストロゲンである。その純粋なアンタゴニスト活性にかかわらず、卵巣摘出されたラットに対する研究は、フルベストラントが、骨膜形成を低めるためにエストロゲンのように作用するタモキシフェンに比較して、エストロゲン様又は抗エストロゲン性効果を変更しないことを確めた。フルベストラントはまた、乳房組織以外の標的器官に対していくらかの明確な利点を有する。
【0004】
フルベストラントは、エストラジオールに類似する化学構造を有するステロイド性の純粋な抗エストロゲンである。エストロゲン受容体(ER)機能の研究は、ERに結合するエストラジオールが一連の現象を開始することを示している。フルベストラントは、ERを支配し、そしてエストロゲン−刺激された遺伝子活性化を妨げ、従って細胞周期競争のために必須のエストロゲン関連工程を妨げることにより、エストロゲン作用を拮抗する。
フルベストラント、すなわち7−α−[9−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルスルフィニル)ノニル]−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールは、次の式を有する:
【0005】
【化1】
【0006】
WO特許出願番号02/32922号は、例えばフルベストラントの調製のために有用な中間体を調製するための方法を記載し、ここで前記方法は、化合物の芳香族化を包含し、そしてその後、必要なら又は所望には、1又は複数の次の段階、(i)いずれかの保護基を除去し;(ii)前駆体基を異なったそのような基に転換することにより実施される。
【0007】
EP特許番号0138504号は、エストラジオールの7α−置換された誘導体、及び抗エストロゲン活性を有する関連するステロイドに関する。アメリカ特許番号4659516号、EP特許番号0138504号及びBowler, Steroids 1989, 54, 71は、ステロイド、例えばフルベストラントの製造方法を記載し、それによれば、エストラ−4,6−ジエン−3−オンへのアルキル基の1,6−接合体付加が1.2:1の比の7αエピマー:7βエピマー(単離された)を付与した。WO02/92322号においては、産業規模に基づいてこの工程を用いて得られるエピマーの比は、1.9:1である。
【0008】
アメリカ特許第6288051号は、7α−(5−メチルアミノペンチル)−エストラトリエンを記載する。
フルベストラント及び他の7α−アルキル化された19−ノルステロイドの改良された調製方法についての必要性が当業界において存続する。
【発明の開示】
【0009】
発明の要約:
本発明は、下記式(I):
【化2】
【0010】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、Br, Cl, I、イソチオウロニウムの遊離塩基形もしくは塩形、又はSHから成る群から選択され;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物に関する。
【0011】
1つの態様においては、nは9であり、R1がBrであり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4がヒドロキシであり、そしてR5がメチルである。
1つの態様においては、nは9であり、R1はBrであり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
1つの態様においては、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
【0012】
1つの態様においては、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。
1つの態様においては、nは9であり、R1はSHであり、R2、R3及びR6は水素であり、R4はセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
1つの態様においては、nは9であり、R1はSHであり、R2、R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。
【0013】
本発明はまた、下記式:
【化3】
で表わされる化合物にも関する。
【0014】
本発明はまた、下記式(II):
【化4】
【0015】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、O又はSのいずれかであり;
R1は、C1-10ハロアルキル又はヒドロキシ保護基であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法にも関し、ここで前記方法は、
【0016】
a)下記式(III ):
【化5】
【0017】
[式中、R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]で表わされる19−ノル−アンドロサ−4,6−ジエン−3−オンと、エーテル性溶媒とを組合し、溶液を得:
b)前記溶液を、約−60℃〜約30℃の温度に冷却し;
c)エーテル性溶媒中、下記式(IV):
【0018】
【化6】
【0019】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、O又はSのいずれかであり;
R1は、C1-10ハロアルキル又はヒドロキシ保護基であり;
zは、式R7Mの金属ハロゲン化物であり、ここでMは金属原子であり、そしてR7はハロゲン原子である]
で表わされる化合物の溶液を、前記段階b)の溶液に滴下し、反応混合物を得;
【0020】
f)前記反応混合物を反応停止し;そして
g)式(II)の化合物を回収することを含んで成る。
【0021】
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、XはOであり、R1はtert−ブチル−ジメチルシリル(TBDMS)であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、nは5であり、XはOであり、R1はTBDMSであり、R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、XはSであり、R1は-(CH2)3CF2CF3であり、R2、R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
【0022】
前記方法の1つの態様においては、Mは、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、銅−リチウム及びチタンから成る群から選択された金属原子である。
前記方法の1つの態様においては、Mはマグネシウムである。
前記方法の1つの態様においては、R7は、Cl, Br及びIから成る群から選択される。
前記方法の1つの態様においては、R7はBrである。
前記方法の1つの態様においては、銅触媒は、段階a)において、式(III )の19−ノル−アンドロスタ−4,6−ジエン−3−オン及びエーテル性溶媒と組合される。
前記方法の1つの態様においては、前記銅触媒は、Cu(I)Y(Yは、Cl, Br又はIである)の形で存在する。
【0023】
前記方法の1つの態様においては、前記銅触媒は、Cu(I)Clである。
前記方法の1つの態様においては、段階e)で得られた式(II)の化合物は、約2.5:1〜約12.1:1の比の7α−エピマー:7β−エピマーを有する。
前記方法の1つの態様においては、段階e)で得られた式(II)の化合物は約12.1:1の比の7α−エピマー:7β−エピマーを有する。
前記方法の1つの態様においては、段階a)におけるエーテル性溶媒は、ジエチルエーテル、THF及びグリム(glyme)から成る群から選択される。
【0024】
前記方法の1つの態様においては、前記エーテル性溶媒は、THFである。
前記方法の1つの態様においては、前記段階b)の溶液は、約-20℃〜約-10℃の温度に冷却される。
前記方法の1つの態様においては、前記段階d)における反応混合物は、NH4Cl, HCl, 水、酢酸、及びNH4ClとNH4OHとの混合物から成る群から選択された試薬の1つにより反応停止される。
【0025】
前記方法の1つの態様においては、前記反応混合物は酢酸により反応停止される。
前記方法の1つの態様においては、段階e)で得られる式(II)の化合物を、フルベストラント(fulvestrant)に転換することをさらに含んで成る。
本発明はさらに、
【0026】
下記式(V):
【化7】
【0027】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0028】
下記式(II):
【化8】
【0029】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、Oであり;
R1は、ヒドロキシ保護基であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、式(V)の化合物への転換のために十分な時間、組合すことを含んで成る。
【0030】
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R1はtert−ブチル−ジメチルシリル(TBDMS)であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、前記式(II)の化合物は、約10〜約12℃の温度でアセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物と組合される。
前記方法の1つの態様においては、前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る。
【0031】
本発明はさらに、下記式(VI):
【化9】
【0032】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0033】
式(VI)[R4がC1-6アシルオキシである]で表わされる化合物と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で組合すことを含んで成る。
前記方法の1つの態様においては、R2, R3及びR6は水素であり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、前記鉱酸はHBrである。
前記方法の1つの態様においては、前記温度は約60℃である。
前記方法の1つの態様においては、前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る。
【0034】
本発明はさらに、下記式(I):
【化10】
【0035】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、イソチオウロニウムの遊離塩基形又は塩形であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の生成方法に関し、ここで前記方法は、
【0036】
下記式(VI):
【化11】
【0037】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖のC1-4アルコール、C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合し;そして式(I)の化合物を回収することを含んで成る。
【0038】
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。
【0039】
前記方法の1つの態様においては、前記溶媒は、トルエン、キシレン、ベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物から成る群から選択される。
前記方法の1つの態様においては、前記溶媒は、トルエン及びイソプロパノール又はジメチルアセトアミドの混合物である。
前記方法の1つの態様においては、前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る。
【0040】
本発明はさらに、下記式(VII ):
【化12】
【0041】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0042】
下記式(I):
【化13】
【0043】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、イソチオウロニウムの遊離塩基形又は塩形であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、塩基とを、周囲温度で非極性プロトン性有機溶媒の存在下で組合すことを含んで成る。
【0044】
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、前記塩基は、アルカリ金属塩基である。
【0045】
前記方法の1つの態様においては、前記塩基は、NaOHである。
前記方法の1つの態様においては、前記非プロトン性極性有機培養は、ジメチルアセトアミド又はアセトニトリルである。
前記方法の1つの態様においては、前記非プロトン性極性有機溶媒は、ジメチルアセトアミドである。
前記方法の1つの態様においては、前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る。
【0046】
本発明はさらに、下記式(I):
【化14】
【0047】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、-S-(CH2)3CF2CF3であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0048】
下記式(VII ):
【化15】
【0049】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを周囲温度で組合わし;その得られる反応物と塩基とを、有機溶媒の存在下で組合し;そして式(I)の化合物を回収することを含んで成る。
【0050】
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、前記塩基は、アルカリ金属塩基である。
前記方法の1つの態様においては、前記塩基は、KOHである。
前記方法の1つの態様においては、前記有機溶媒は、C1-6アルコールである。
前記方法の1つの態様においては、前記有機溶媒は、メタノールである。
前記方法の1つの態様においては、前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る。
【0051】
本発明の方法はさらに、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9294:
【化16】
【0052】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せ、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【化17】
【0053】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化18】
【0054】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0055】
【化19】
【0056】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0057】
【化20】
【0058】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で組合せ、下記式9354:
【0059】
【化21】
【0060】
で表わされる化合物を得;
h)化合物9354と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合せ、下記式9388:
【0061】
【化22】
【0062】
で表わされる化合物を供給し、そして化合物9388を回収し;
i)化合物9388と、塩基とを周囲温度で組合せ、下記式9389:
【0063】
【化23】
【0064】
で表わされる化合物を得;
j)化合物9839と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを、周囲温度で組合せ、第2の反応混合物を供給し、そして次に、その第2反応混合物と塩基とを組合し、下記第9304:
【0065】
【化24】
【0066】
で表わされる化合物を得;そして
k)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
本発明の方法はさらに、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9294:
【0067】
【化25】
【0068】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せ、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【0069】
【化26】
【0070】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化27】
【0071】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0072】
【化28】
【0073】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0074】
【化29】
【0075】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、第9383:HS(CH2)3CF2CF3 (9383)とを組合せ、下記式9363:
【0076】
【化30】
【0077】
で表わされる化合物を供給し;
h)化合物9363及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを、周囲温度で組合せ、下記式9304:
【0078】
【化31】
【0079】
で表わされる化合物を得;そして
i)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
【0080】
本発明の方法はさらに、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9294:
【化32】
【0081】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せ、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【0082】
【化33】
【0083】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化34】
【0084】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0085】
【化35】
【0086】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0087】
【化36】
【0088】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合せ、下記式9361:
【0089】
【化37】
【0090】
で表わされる化合物を供給し、そして化合物9361を回収し;
h)化合物9361と、塩基とを周囲温度で組合せ、下記式9362:
【0091】
【化38】
【0092】
で表わされる化合物を得;
i)化合物9362と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを、周囲温度で組合せ、第2の反応混合物を供給し、そして次に、その第2反応混合物と塩基とを組合せ、下記第9363:
【0093】
【化39】
【0094】
で表わされる化合物を得;
j)化合物9363及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを周囲温度で組合せ、下記式:9304:
【0095】
【化40】
【0096】
で表わされる化合物を得:そして
h)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
【0097】
本発明の方法はさらに、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9363:
【化41】
【0098】
で表わされる化合物と、C1-4アルコール及びエーテル性溶媒、及び酸化剤の水溶液とを、約5℃で約12時間、反応せしめ、下記式9368:
【0099】
【化42】
【0100】
で表わされる化合物を供給し;そして
b)化合物9368及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを組合せ、フルベスタントを得ることを含んで成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0101】
発明の特定の記載:
用語“前駆体基”とは、本明細書において使用される場合、他の官能基に容易に転換され得る官能基を意味する。従って、用語“基R4又はその前駆体基”とは、基R4、又はR4に容易に転換され得る基を意味する。代表的な例として、エステルは、それがアルコールを供給するために容易な加水分解され得るので、アルコールのための前駆体基である。
【0102】
用語“ヒドロキシ保護基”又は“保護されたヒドロキシ”とは、本明細書において使用される場合、ヒドロキシルの水素、すなわち−OH基の水素を置換でき、そして次に、連続的に除去され、そしてヒドロキシル基を再形成するために水素により置換され得る基を意味する。ヒドロキシル保護基は、分子の他の部分で反応を行うために、典型的には必要である所定の組の条件下でのヒドロキシルの反応を妨げる。分子の他の部分での反応の後、ヒドロキシル保護基は除去され、ヒドロキシル基が供給される。適切なヒドロキシ保護基の列挙は、Protective Groups in Organic Synthesis, Third Edition, John Wiley, New York 1999に見出され得る。代表的なヒドロキシル保護基は、アルキル又はアリールエーテル、シリルエーテル及びエステルを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0103】
代表的なヒドロキシル保護基は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:
メチルエーテル、例えばメトキシメチル;メチルチオメチル;t−ブチルチオメチル;(フェニルジメチルジイル)メトキシ−メチル;ベンジルオキシメチル;p−メトキシベンジル−オキシメチル;(4−メトキシフェノキシ)メチル;グアヤコールメチル;t−ブトキシメチル;4−ペンテニルオキシメチル;シロキシメチル;2−メトキシエトキシメチル;2,2,2−トリクロロエトキシメチル;ビス(2−クロロエトキシ)メチル;2−(トリメチルシリル)エトキシメチル;テトラヒドロピラン−2−イル;3−ブロモテトラヒドロプラン−2−イル;1−メトキシシクロヘキシル;4−メトキシテトラヒドロピラン;4−メトキシテトラヒドロチオピラン−2−イル;4−メトキシテトラヒドロチオピラン−2−イル−S, S−ジオキシド;1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル;1,4−ジオキサン−2−イル−S, S−ジオキシド;1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル;1,4−ジオキサン−2−イル;テトラヒドロフラニル;テトラヒドロチオフラニル;及び2,3,3a, 4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル(但し、それらだけには限定されない);
【0104】
エチルエーテル、例えば1−エトキシエチル;1−(2−クロロエトキシ)エチル;1−メチル−1−メトキシエチル;1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル;2,2,2−トリクロロエチル;2−トリメチルシリルエチル;2−(フェニルセレニル)エチル;t−ブチル;アリル;p−クロロフェニル;−メトキシフェニル;及び2,4−ジニトロフェニル(但しそれらだけには限定されない);
【0105】
ベンジルエーテル、例えばベンジル;p−メトキシベンジル;3,4−ジメトキシベンジル;o−ニトロベンジル;p−ニトロベンジル;p−ハロベンジル;2,6−ジクロロベンジル;p−シアノベンジル;p−フェニルベンジル;2−及び4−ピコリル;3−メチル−2−ピコリル−N−オキシド;ジフェニルメチル;p, p’−ジニトロベンズヒドリル;5−ジベンゾスベリル;トリフェニルメチル;α−ナフチルジフェニルメチル;p−メトキシフェニルジフェニルメチル;ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル;トリ(p−メトキシフェニル)メチル;4−(4’−ブロモフェナシルオキシ)フェニルジフェニルメチル;4、4、4’−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル;4、4’、4’’−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル;4、4’、4’’−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル;3−(イミダゾール−1−イルメチル)ビス(4’、4’’−ジメトキシフェニル)メチル;1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル;9−アントリル;9−(9−フェニル)キサンテニル;9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル;1,3−ベンゾジチオラン−2−イル;及びベンズイソチアゾイルS, S−ジオキシド(但しそれらだけには限定されない);
【0106】
シリルエーテル、例えばトリメチルシリル;トリエチルシリル;トリイソプロピルシリル;ジメチルイソプロピルシリル;ジエチルイソプロプルシリル;ジメチルセキシルシリル;t−ブチルジメチルシリル;t−ブチル−ジフェニルシリル;トリベンジルシリル;トリ−p−キシルシリル;トリフェニルシリル;ジフェニルメチルシリル及びt−ブチルメトキシフェニルシリル(但しそれらだけには限定されない);
【0107】
エステル、例えばホルメート;ベンゾイルホルメート;アセテート;クロロアセテート;トリクロロアセテート;メトキシアセテート;トリフェニルメトキシアセテート;フェノキシアセテート;p−クロロフェノキシアセテート;p−(ホスフェート)フェニルアセテート;3−フェニルプロプロネート;4−オキソペンタノエート(レプリネート);4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート;ピハロエート;アダマントエート;クロトネート;4−メトキシクロトネート;ベンゾエート;p−フェニルベンゾエート;及び2,4,6−トリメチルベンゾエート(但しそれらだけには限定されない);
【0108】
カーボネート、例えばメチルカーボネート;9−フルオレニル−メチルカーボネート;エチルカーボネート;2,2,2−トリクロロエチルカーボネート;2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート;2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート;2−(トリフェニルホスホノ)エチルカーボネート;イソブチルカーボネート;ビニルカーボネート;アリルカーボネート;p−ニトロフェニルカーボネート;ベンジルカーボネート;p−メトキシベンジルカーボネート;3,4−ジメトキシベンジルカーボネート;o−二オロベンジルカーボネート;p−ニトロベンジルカーボネート;S−ベンジルチオカーボネート;4−エトキシ−1−ナフチルカーボネート;及びメチルジチオカーボネート(但しそれらだけには限定されない);
【0109】
助力された分解を有する保護基、例えば2−ヨードベンゾエート;4−アジドブチレート;4−ニトロ−4−メチルペンタノエート;o−(ジブロモメチル)ベンゾエート;2−ホルミルベンゼンスルホネート;2−(メチルチオメトキシ)エチルカーボネート;4−(メチルチオメトキシ)−ブチレート及び2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート(但しそれらだけには限定されない);
【0110】
その他のエステル、例えば2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセテート;2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)フェノキシアセテート;2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)−フェノキシ−アセテート;クロロジフェニルアセテート;イソブチレート;モノスクシノエート;(E)−2−メチル−2−ブテノエート(チグロエート);o−(メトキシカルボニル)ベンゾエート;p−ベンゾエート;a−ナフトエート;ニトレート;アルキルN, N, N’, N’−テトラメチルホスホロジアミデート;N−フェニルカルバメート;ボレート;ジメチルホスフィノチオイル及び2,4−ジニトロフェニル−スルフェネート(但しそれらだけには限定されない);
【0111】
スルホネート、例えばメタンスルホネート(メシレート);ベンジルスルホネート及びトシレート(但しそれらだけには限定されない);及び
シリル誘導体、例えばジ−t−ブチルシリレン基;1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサニリデン)誘導体;テトラ−t−ブトキシジシロキサン−1,3−ジイリデン誘導体;環状カーボネート;環状ボロネート;エチルボロネート及びフェニルボロネート(但しそれらだけには限定されない)。
【0112】
好ましいヒドロキシ保護基は、SiR8R9R10(式中、R8, R9及びR10は、1〜6個の原子を含むアルキル又は枝分れ鎖のアルキルである)である。最も好ましくは、R8及びR9はメチルであり、そしてR10はt−ブチルである。
本明細書を通して、本発明の化合物の環は、下記に示されるようにステロイドの環を企画するために従来使用される文字により企画される:
【0113】
【化43】
【0114】
従って、ステロイドのA環は、上記に示されるような式の化合物の最も左側の環である。
用語“芳香族化”とは、本明細書において使用される場合、芳香族でない、すなわち不飽和化されているか又は部分的に飽和化されている環構造を、芳香族である環システム、すなわち4n+2の分離されたII電子の環状雲を有する環システムに変更することを意味する。
【0115】
本発明の1つの観点は、下記式(I):
【化44】
【0116】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、Br, Cl, I、イソチオウロニウムの遊離塩基又は塩形、又はSHから成る群から選択され;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物である。
【0117】
好ましくは、nは9であり、R1はBrであり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は、図7における化合物9354に対応する。
好ましくは、nは9であり、R1はBrであり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は、図6における化合物9342に対応する。
【0118】
好ましくは、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は、図8における化合物9361に対応する。
好ましくは、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は、図9における化合物9388に対応する。
【0119】
好ましくは、nは9であり、R1はSHであり、R2、R3及びR6は水素であり、R4はセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は、図8における化合物9362に対応する。
好ましくは、nは9であり、R1はSHであり、R2、R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は、図9における化合物9389に対応する。
【0120】
本発明のもう1つの観点は、下記式:
【化45】
【0121】
で表わされる化合物である。
本発明のもう1つの観点は、下記式(II):
【化46】
【0122】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、O又はSのいずれかであり;
R1は、C1-10ハロアルキル又はヒドロキシ保護基であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、C1-6アシルオキシである]で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式(III ):
【0123】
【化47】
【0124】
[式中、R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;そして
R4は、C1-6アシルオキシである]で表わされる19−ノル−アンドロサ−4,6−ジエン−3−オンと、エーテル性溶媒とを組合し、溶液を得;そして
b)エーテル性溶媒中、下記式(IV):
【0125】
【化48】
【0126】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、O又はSのいずれかであり;
R1は、C1-10ハロアルキル又はヒドロキシ保護基であり;
zは、式R7Mの金属ハロゲン化物であり、ここでMは金属原子であり、そしてR7はハロゲン原子である]で表わされる化合物の溶液を、前記段階a)の溶液に滴下し、反応混合物を得ることを含んで成る。
【0127】
1つの態様においては、前記溶液は、約−60℃〜約30℃の温度に冷却される。
1つの態様においては、前記方法は、反応混合物を反応停止することを含んで成る。
1つの態様においては、本発明はさらに、式(II)の化合物を回収することを含んで成る。
式(IV)の化合物及び式(III )の化合物を組合した後、得られる反応混合物が、当業者に知られている従来の方法を用いて分析され、反応の完結が決定され得る。例えば、反応混合物は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、質量分析法(MS)又は核磁気共鳴(NMR)により分析され得る。
【0128】
1つの態様においては、式(III )の化合物の溶液への式(IV)の化合物の添加は、少なくとも約1分の時間にわたって行われる。典型的には、式(III )の化合物の溶液への式(IV)の化合物の添加は、少なくとも約30分、好ましくは少なくとも約60分、より好ましくは少なくとも90分及び最も好ましくは少なくとも約120分間にわたって行われる。好ましくは、添加は、混合物におけるいずれの実質的な色彩変化を妨げるのに十分に遅い。より遅い添加は、より良好な異性体割合が得られる(他の因子は未変化である)ことが見出された。しかしながら、添加時間は、実質的な関係(例えば、利用できる反応体の効果的使用)により支配され得、そして5時間以上に添加の時間を延長することは通常、適切ではない。
【0129】
もう1つの態様においては、式(III )の化合物の溶液への式(IV)の化合物の添加は、特定の速度で、すなわち式(IVi)の化合物のモル当量/式(III )の化合物の当量・時間単位で行われる。例えば、式(III )の化合物の溶液への式(IV)の化合物の添加の平均速度は、約0.001〜約1モル当量の式(IV)の化合物/式(III )の化合物の当量・分の範囲であり得る。好ましくは、添加の平均速度は、約0.002〜約0.100モル当量の式(IV)の化合物/式(III )の化合物の当量・分の範囲である。より好ましくは、添加の平均速度は、約0.005〜約0.0.020モル当量の式(IV)の化合物/式(III )の化合物の当量・分の範囲である。
【0130】
好ましくは、nは9であり、XはOであり、R1はtert−ブチル−ジメチルシリル(TBDMS)であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(III )の化合物は、図1における化合物9294に対応し、前記式(IV)の化合物は図1における化合物9318に対応し、そして得られる式(III )の化合物は図1における化合物9295に対応する。
【0131】
他方では、nは5であり、XはOであり、R1はTBDMSであり、R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(III )の化合物は、図2における化合物9294に対応し、前記式(IV)の化合物は図2における化合物9339に対応し、そして得られる式(II)の化合物は図2における化合物9340に対応する。
他方では、nは9であり、XはSであり、R1は-(CH2)3CF2CF3であり、R2、R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(III )の化合物は、図3における化合物9294に対応し、前記式(IV)の化合物は図3における化合物9330に対応し、そして得られる式(II)の化合物は図3における化合物9331に対応する。
【0132】
式(IV)の化合物におけるMは、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、銅−リチウム(すなわち、リチウムジアルキル銅試薬)及びチタンから成る群から選択された金属原子である。好ましくは金属原子はMgである。Mはマグネシウムである。R7は、Cl, Br及びIから成る群から選択されたハロゲン原子である。好ましくは、R7はBrである。
金属がMgである場合、銅触媒は好ましくCu(I)Y(式中、YはCl、Br又はIである)の形、及び最も好ましくはCu(I)Clの形で使用されるべきである。
本発明により得られた式(II)の化合物は、約2.5:1〜約12.1:1の比の7α−エピマー:7β−エピマーを有する。
【0133】
1つの態様において、式(II)の化合物は、少なくとも約3:1の比(異性体比)の7αエピマー:7βエピマーを有する。好ましくは、式(II)の化合物は、少なくとも約7:1の比の7αエピマー:7βエピマーを有する。より好ましくは、式(II)の化合物は、少なくとも約10:1の比の7αエピマー:7βエピマーを有する。最も好ましくは、式(II)の化合物は、少なくとも約12:1の比の7αエピマー:7βエピマーを有する。
エーテル性溶媒は、ジエチルエーテル、THF及びグリム(glyme)から成る群から選択される。前記エーテル性溶媒は、THFである。
【0134】
好ましくは、前記段階b)の溶液が、約-20℃〜約-10℃の温度に冷却される。
式(IV)の化合物のエーテル性溶液は、その局部的蓄積を回避するために滴下される。反応混合物は、同じ理由のために一定して攪拌される。式(IV)の化合物の滴下は、高い7α/7β−エピマー比をもたらす。
前記段階d)における反応混合物は、NH4Cl, HCl, 水、酢酸、及びNH4ClとNH4OHとの混合物から成る群から選択された試薬の1つにより反応停止される。前記反応混合物は酢酸により反応停止される。
【0135】
式(II)の化合物は、当業界において知られているいずれかの方法により回収され得る。好ましくは、微量の使用される触媒は、例えばアンモニアとの反応、続いて、溶媒の蒸発による反応混合物からの式(II)の化合物の分離により除去される。式(II)の化合物は、当業界において知られているいずれかの方法、例えばクロマトグラフィーにより精製され得る。
上記のようにして得られる化合物9295及び9331はさらに、フルベストラントに転換され得る。
【0136】
本発明のもう1つの観点は、下記式(V):
【化49】
【0137】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、C1-6アシルオキシである]で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0138】
下記式(II):
【化50】
【0139】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、Oであり;
R1は、ヒドロキシ保護基であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、C1-6アシルオキシである]で表わされる化合物と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、式(V)の化合物への転換のために十分な時間、組合すことを含んで成る。
【0140】
好ましくは、nは9であり、R1はtert−ブチル−ジメチルシリル(TBDMS)であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(II)の化合物は図4における化合物9295に対応し、そして前記式(V)の化合物は、図4における化合物9341に対応する。
【0141】
好ましくは、前記式(II)の化合物は、約10〜約12℃の温度でアセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物と組合される。式(V)の化合物は、当業界において知られているいずれの方法により得られ、そして次に、それはトルエンへの溶解、及び反応の間に形成される副生成物の除去により、さらに精製され得る。
式(V)の化合物はまた、図5に示されるように、中間体の形成を通しても調製され得る。
上記のようにして得られる化合物9341はさらに、フルベストラントに転換され得る。
【0142】
本発明のもう1つの観点は、下記式(VI)
【化51】
【0143】
[式中、R4は、ヒドロキシである]で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
式(VI)[R4がC1-6アシルオキシである]で表わされる化合物と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で組合すことを含んで成る。
【0144】
好ましくは、R2, R3及びR6は水素であり、そしてR5はメチルである。R4がアセチルオキシである式(IV)の前記化合物は、図7における化合物9342に対応し、そしてR4がヒドロキシである式(VI)の前記化合物は、図7における化合物9354に対応する。
好ましくは、鉱酸はHBrである。好ましくは、反応の温度は約60℃である。
上記のようにして得られる化合物9354はさらに、フルベストラントに転換され得る。
【0145】
本発明のさらなる観点は、下記式(I):
【化52】
【0146】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、イソチオウロニウムの遊離塩基又は塩形であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、ヒドロキシ又はC1-6アシルオキシのいずれかである]で表わされる化合物の生成方法であって、
下記式(VI):
【0147】
【化53】
【0148】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、ヒドロキシ又はC1-6アシルオキシのいずれかである]で表わされる化合物と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖のC1-4アルコール、C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合し;そして式(I)の化合物を回収することを含んで成る。
【0149】
好ましくは、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(VI)の化合物は図8における化合物9342に対応し、そして前記式(I)の化合物は、図8における化合物9361に対応する。
【0150】
好ましくは、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(VI)の化合物は図9における化合物9354に対応し、そして前記式(I)の化合物は、図9における化合物9388に対応する。
【0151】
C1-6芳香族炭化水素は、トルエン、キシレン又はベンゼンである。直鎖又は枝分れ鎖のC1-4アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール又はブタノールであり得る。C1-4アルキルアミドは、ジメチルアセトアミドである。最も好ましくは、溶媒は、トルエン及びイソプロパノール又はジメチルアセトアミドの混合物である。
上記のようにして得られる化合物9361及び9388はさらに、フルベストラントに転換され得る。
【0152】
本発明の1つの観点は、下記式(VII ):
【化54】
【0153】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、ヒドロキシ又はC1-6アシルオキシのいずれかである]で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0154】
下記式(I):
【化55】
【0155】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、イソチオウロニウムの遊離塩基又は塩形であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、ヒドロキシ又はC1-6アシルオキシのいずれかである]で表わされる化合物と、塩基とを、周囲温度で非極性プロトン性有機溶媒の存在下で組合すことを含んで成る。
【0156】
好ましくは、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(VII)の化合物は図8における化合物9362に対応し、そして前記式(I)の化合物は、図8における化合物9361に対応する。
好ましくは、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(VII)の化合物は図9における化合物9389に対応し、そして前記式(I)の化合物は、図9における化合物9388に対応する。
【0157】
好ましくは、塩基は、アルカリ金属の塩基、例えばNaOH及びKOHである。最も好ましくは、塩基はNaOHである。非プロトン性極性有機溶媒は、ジメチルアセトアミド又はアセトニトリルであり得る。好ましくは、非プロトン性極性有機溶媒はジメチルアセトアミドである。
上記のようにして得られる化合物9362及び9389はさらに、フルペストラントに転換され得る。
【0158】
本発明のもう1つの観点は、下記式(I):
【化56】
【0159】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、-S-(CH2)3CF2CF3であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、ヒドロキシ又はC1-6アシルオキシのいずれかである]で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0160】
下記式(VII ):
【化57】
【0161】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、ヒドロキシ又はC1-6アシルオキシのいずれかである]で表わされる化合物と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを周囲温度で組合わし;その得られる反応物と塩基とを、有機溶媒の存在下で組合し;そして式(I)の化合物を回収することを含んで成る。
【0162】
1つの態様においては、式(VII )の化合物及び4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートは、周囲温度で接触せしめられる。
好ましくは、nは9であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は図8における化合物9363に対応し、そして前記式(VII)の化合物は、図8における化合物9362に対応する。
【0163】
好ましくは、nは9であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は図9における化合物9304に対応し、そして前記式(VII)の化合物は、図9における化合物9389に対応する。
好ましくは、塩基アルカリ金属の塩基、例えばNaOH及びKOHである。最も好ましくは、塩基はKOHである。好ましくは、有機溶媒はC1-6アルコールである。最も好ましくは、有機溶媒はメタノールである。
上記のようにして得られる化合物9363及び9304はさらに、フルベストラントに転換される。
本発明のもう1つの観点は、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前期方法は、
a)下記式9294:
【0164】
【化58】
【0165】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せて、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【0166】
【化59】
【0167】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化60】
【0168】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0169】
【化61】
【0170】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0171】
【化62】
【0172】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で組合せ、下記式9354:
【0173】
【化63】
【0174】
で表わされる化合物を得;
h)化合物9354と、次の式9383:HS(CH3)CF2CF3(9383)で表わされる化合物とを、アミド及びアルカリ塩基の存在下で組合せ、下記式9304:
【0175】
【化64】
【0176】
で表わされる化合物を得:そして
i)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
フルベストラントは、当業界において知られているいずれかの方法、例えば溶媒の蒸発により回収され、そしてC1-6芳香族添加水素からの結晶化により、さらに精製され得る。
【0177】
1つの態様においては、式9318の化合物の溶液は、式9294の化合物の溶液に、約−60℃〜約30℃の温度で添加される。
本発明のもう1つの観点は、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9294:
【0178】
【化65】
【0179】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せて、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【0180】
【化66】
【0181】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化67】
【0182】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0183】
【化68】
【0184】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0185】
【化69】
【0186】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で組合せ、下記式9354:
【0187】
【化70】
【0188】
で表わされる化合物を得;
h)化合物9354と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合せ、下記式9388:
【0189】
【化71】
【0190】
で表わされる化合物を供給し、そして化合物9388を回収し;
i)化合物9388と、塩基とを周囲温度で組合せ、下記式9389:
【0191】
【化72】
【0192】
で表わされる化合物を得;
j)化合物9839と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを、周囲温度で組合せ、第2の反応混合物を供給し、そして次に、その第2反応混合物と塩基とを組合し、下記第9304:
【0193】
【化73】
【0194】
で表わされる化合物を得;そして
k)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
【0195】
フルベストラントは、当業界において知られているいずれかの方法、例えば溶媒の蒸発により回収され、そしてC1-6芳香族添加水素からの結晶化により、さらに精製され得る。
1つの態様においては、式9318の化合物の溶液は、式9294の化合物の溶液に、約−60℃〜約30℃の温度で添加される。
本発明のもう1つの観点は、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9294:
【0196】
【化74】
【0197】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せて、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【0198】
【化75】
【0199】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化76】
【0200】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0201】
【化77】
【0202】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0203】
【化78】
【0204】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、第9383:HS(CH2)3CF2CF3 (9383)とを組合せ、下記式9363:
【0205】
【化79】
【0206】
で表わされる化合物を供給し;
h)化合物9363及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを、周囲温度で組合せ、下記式9304:
【0207】
【化80】
【0208】
で表わされる化合物を得;そして
i)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
【0209】
フルベストラントは、当業界において知られているいずれかの方法、例えば溶媒の蒸発により回収され、そしてC1-6芳香族添加水素からの結晶化により、さらに精製され得る。
1つの態様においては、式9318の化合物の溶液は、式9294の化合物の溶液に、約−60℃〜約30℃の温度で添加される。
本発明のもう1つの観点は、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9294:
【0210】
【化81】
【0211】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せて、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【0212】
【化82】
【0213】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化83】
【0214】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0215】
【化84】
【0216】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0217】
【化85】
【0218】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合せ、下記式9361:
【0219】
【化86】
【0220】
で表わされる化合物を供給し、そして化合物9361を回収し;
h)化合物9361と、塩基とを周囲温度で組合せ、下記式9362:
【0221】
【化87】
【0222】
で表わされる化合物を得;
i)化合物9362と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを、周囲温度で組合せ、第2の反応混合物を供給し、そして次に、その第2反応混合物と塩基とを組合し、下記第9363:
【0223】
【化88】
【0224】
で表わされる化合物を得;
j)化合物9353及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを周囲温度で組合せ、下記式:9304:
【0225】
【化89】
【0226】
で表わされる化合物を得:そして
h)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
フルベストラントは、当業界において知られているいずれかの方法、例えば溶媒の蒸発により回収され、そしてC1-6芳香族添加水素からの結晶化により、さらに精製され得る。
1つの態様においては、式9318の化合物の溶液は、式9294の化合物の溶液に、約−60℃〜約30℃の温度で添加される。
【0227】
本発明のもう1つの観点は、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9363:
【0228】
【化90】
【0229】
で表わされる化合物と、C1-4アルコール及びエーテル性溶媒、及び酸化剤の水溶液とを、約5℃で約12時間、反応せしめ、下記式9368:
【0230】
【化91】
【0231】
で表わされる化合物を供給し;そして
b)化合物9368及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを組合せ、フルベスタントを得ることを含んで成る。
本発明は、図13に図示される。
式9363の化合物は、本発明のいずれかの方法により製造され得る。
【実施例】
【0232】
EP138504を反復する比較例:
EP138504号の例1の方法に従って、−30℃に冷却された、24.2gの9−ブロモ−1−ノナノールTBDMS(すなわち、9−(ジメチル−t−ブチルシロキシ)−ノニルブロミド)から形成されたグリニャール試薬に、6.6gのヨウ化銅(I)を添加した。10分間の攪拌の後、テトラヒドロフラン中、10gの17βヒドロキシ−エストラ−4,6−ジエン−3−オンアセテート、Cp9294(すなわち、6−デヒドロ−19−ノルテストステロンアセテート)の溶液を添加し、そして攪拌を90分間、続けた。酢酸により反応停止した後、生成物17β−ヒドロキシ−7α−[9[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテート、Cp9295を、HPLC分析により試験し、そして2.3:1の比の7α/7βを有することを見出した。
【0233】
WO02/32922号を反復する比較例:
WO02/32922号の例2の方法に従って、得られる7α/7βの比は、2.5:1であった。
【0234】
例1:グリニャール試薬Cp9318(9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物)の調製:
100gの1−ブロモノナノール、33gのイミダゾール及び250gのジメチルホルムアミドの混合物に、70.2gのtert−ブチル−クロロジメチルシランを添加し、そしてその反応混合物を2時間、攪拌した。
【0235】
前記混合物を、750gの水及び220gのトルエンにより添加し、そして相を分離した。水性相を90gのトルエンにより再抽出した。組合された有機相を、100gの水により洗浄し、そして真空下で80℃で蒸発した。9−ブロモ−1−ノナノールTBDMSの残渣を、500gの無水テトラヒドロフランに溶解した。
攪拌機、加熱浴、冷却器、窒素雰囲気及び温度計を備えた2Lのフラスコに、10.88gのマグネシウム削り屑及び100gのテトラヒドロフランを充填し、そして45℃まで加熱した。
【0236】
少量の9−ブロモ−1−ノナノールTBDMSを添加し、反応を開始し、そして次に、残る溶液を、還流下で反応混合物を維持するような速度で滴下した。
添加を終了した後、反応混合物を、さらに1時間、還流し、次に約40℃に冷却し、そして窒素下でガラス濾過器を通して濾過し(いくらかの残渣マグネシウムを除去するために)、そして約1.15Lに希釈した。試薬の溶液を、窒素下で室温で保持した。
【0237】
例2:Cp9294からのCp9295の調製(図1に示される):
10gのナンドロロンアセテート、Cp9294(6−デヒドロ−17β−ヒドロキシ−エストラ−4,6−ジエン−3−オンアセテート)を、60gのテトラヒドロフランに溶解し、そして1.5gの塩化銅(I)を添加した。前記懸濁液を、窒素雰囲気下で−20℃に冷却し、そして9−ブロモ−1−ノナノールTBDMS(9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物)から形成されたグリニャール試薬Cp9318の約0.39M溶液117gを、120分間にわたって滴下した。次に、10gの酢酸を添加し、そして攪拌を室温で30分間、続けた。
【0238】
次に、フラスコを大気に開放し、そして73gの水中、10gの塩化アンモニウム及び15gの25%水酸化アンモニウム溶液の溶液を添加し、そして攪拌を2時間、続けた。相を分離し、そして上部相を、37gの水中、5gの塩化アンモニウムの溶液により洗浄した。上部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、油状残渣を得、これをジクロロメタン(100g)に溶解し、そしてさらに、50gの水により洗浄した。下部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、HPLC分析によれば、12.1:1の比の7α/7βを有する、16.9g(93%の理論量)の17β−ヒドロキシ−7α−[9−[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテートCp9295を含む油状物(26.0g)を得た。
【0239】
前記油状物をさらに、トリエン中、5%酢酸エチルにより溶出する、200gのシリカゲルを用いてのクロマトグラフィーにより精製した。溶媒の蒸発の後、主要画分は、HPLC分析によれば、96.4:3.6の比の7α/7βを有する、15.9g(87.5%)の17β−ヒドロキシ−7α−[9−[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテートを含む油状物(16.8g)としてCp9295を生成した。後での画分(0.5g)は、主に7β異性体(約1:3の比の7α/7β)を含んだ。
【0240】
9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物Cp9318を添加する速度は、次の通りであった:0.041モルの9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物を、120分間にわたって0.032モルのナンドロロンアセテートに添加した。これは、120分で1.28モル当量、又は約0.011モル当量/分として解釈される。
【0241】
例3:Cp9294からのCp9295の調製(図1に示される):
3gのナンドロロンアセテート、Cp9294(6−デヒドロ−17β−ヒドロキシ−エストラ−4,6−ジエン−3−オンアセテート)を、54gのテトラヒドロフランに溶解し、そして1gの塩化銅(I)を添加した。前記懸濁液を、窒素雰囲気下で−20℃に冷却し、そして9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物Cp9318(すなわち、9−ブロモ−1−ノナノールTBDMSからのグラニャール試薬)の約0.346M溶液146gを、75分間にわたって滴下した。次に、10gの酢酸を添加し、そして攪拌を室温で30分間、続けた。
【0242】
次に、フラスコを大気に開放し、そして73gの水中、10gの塩化アンモニウム溶液及び15gの25%水酸化アンモニウム溶液を添加し、そして攪拌を2時間、続けた。相を分離し、そして上部相を、37gの水中、5gの塩化アンモニウム溶液及び0.5gの25%水酸化アンモニウム溶液により再抽出した。上部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、油状残渣を得、これは、HPLCアッセイによれば、9.2:1の比の7α/7βを有する、16.2gの(89%の理論量)の17β−ヒドロキシ−7α−[9−[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテートCp9295を含んだ。
【0243】
例4:Cp9294からのCp9295の調製(図1に示される):
5gのナンドロロンアセテート、Cp9294(6−デヒドロ−17β−ヒドロキシ−エストラ−4,6−ジエン−3−オンアセテート)を、60gのテトラヒドロフランに溶解し、そして0.5gの塩化銅(I)を添加した。前記懸濁液を、窒素雰囲気下で−15℃に冷却し、そして9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物Cp9318(すなわち、9−ブロモ−1−ノナノールTBDMSからのグラニャール試薬)の約0.39M溶液90gを、120分間にわたって滴下した。さらに1時間後、5.4gの酢酸を添加し、そして攪拌を室温で60分間、続けた。
【0244】
次に、フラスコを大気に開放し、そして50gの水中、7gの塩化アンモニウム溶液及び10gの25%水酸化アンモニウム溶液を添加し、そして攪拌を12時間、続けた。相を分離し、そして上部相を、10gの水中、2gの塩化アンモニウムの溶液により洗浄した。次に、上部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、油状残渣を得、これをジクロロメタン(100g)に溶解し、そしてさらに、50gの水により洗浄した。下部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、HPLC分析によれば、7.1:1の比の7α/7βを有する、18.0gの油状物Cp9295を得た。
【0245】
例5:Cp9294からのCp9295の調製(図1に示される):
5gのナンドロロンアセテート、Cp9294(6−デヒドロ−17β−ヒドロキシ−エストラ−4,6−ジエン−3−オンアセテート)を、50gのテトラヒドロフランに溶解し、そして2.5gの塩化銅(I)を添加した。前記懸濁液を、窒素雰囲気下で−20℃に冷却し、そして9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物Cp9318(すなわち、9−ブロモ−1−ノナノールTBDMSからのグラニャール試薬)の約0.30M溶液85gを、−10〜−20℃で反応混合物の温度を維持しながら、120分間にわたって滴下した。
【0246】
60gのグリニャール試薬の添加の後、反応は、HPLC分析により不完全であるが、しかし8.0:1の比の7α/7βを有する生成物17β−ヒドロキシ−7α−[9−[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテートCp9295を含むことが示された。完全な添加及びさらなる1時間の攪拌の後、4.5gの酢酸を添加し、そして攪拌を室温で30分間、続けた。次に、フラスコを大気に開放し、そして80gの水中、7.5gの塩化アンモニウム溶液を添加し、そして攪拌を12時間、続けた。相を分離し、そして上部相を、10gの水中、2gの塩化アンモニウムの溶液により洗浄した。次に、上部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、HPLC分析によれば、7.7:1の比の7α/7βを有する、13.9gの油状物を得た。
【0247】
例6:Cp9294からのCp9331の調製(図3に示される):
10gのナンドロロンアセテート、Cp9294(6−デヒドロ−17β−ヒドロキシ−エストラ−4,6−ジエン−3−オンアセテート)を、60gのテトラヒドロフランに溶解し、そして1.5gの塩化銅(I)を添加した。前記懸濁液を、窒素雰囲気下で−20℃に冷却し、そして9−[(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル)チオ]ノニルマグネシウム臭化物Cp9330の約0.39M溶液117gを、120分間にわたって滴下した。次に、10gの酢酸を添加し、そして攪拌を室温で30分間、続けた。
【0248】
次に、フラスコを大気に開放し、そして73gの水中、10gの塩化アンモニウム溶液及び15gの25%水酸化アンモニウム溶液を添加し、そして攪拌を2時間、続けた。相を分離し、そして上部相を、37gの水中、5gの塩化アンモニウム溶液により洗浄した。上部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、油状残渣を得、これを、ジクロロメタン100gに溶解し、そしてさらに、50gの水により洗浄した。下部相の蒸発により、HPLCアッセイによれば、9.1:1の比の7α/7βを有する、17β−ヒドロキシ−7α−[9−[(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル)チオ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテートCp931を含む油状物を得た。
【0249】
例7:Cp9295からのCp9341の調製−直接的な合成(図4に示される):
例4の条件を用いて、75gの6−デヒドロナンドロロンから調製された190gの粗Cp9295(17β−ヒドロキシ−7α−[9−[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテート)を、100gのアセトニトリルに溶解し、そして10〜12℃でのトリフェニルホスフィンジブロミドの懸濁液(1200gのアセトニトリル中、240gのトリフェニルホスフィンへの140gの臭素の添加により調製された)に添加した。温度を周囲温度に上げ、そして0.5時間後、HPLCによれば、Cp9441への転換は完結する。
【0250】
前記懸濁液を1000gのトルエンにより希釈し、約112gの25%水酸化アンモニウム溶液により中和し、そして相を分離する。上部(有機)相を、水(100g)により洗浄し、そして次に、蒸発し、油状残渣を得る。その残渣をトルエンに取り、そしてほとんどのトリフェニルホスフィン酸化物副生成物を沈殿するために、5〜10℃で攪拌する。副生成物を濾過し、そしてトルエンによりすすぎ、そして濾液を、トルエンにより溶出するシリカゲル(1250g)上でのクロマトグラフィー処理により精製する。得られる純粋なCp9341の重量は84gである。
【0251】
例8:Cp9295からのCp9341の調製−間接的合成(図8に示される):
例4の条件を用いて、75gの6−デヒドロナンドロロンから調製された190gの粗Cp9295(17β−ヒドロキシ−7α−[9−[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテート)を、750gのメタノールに溶解し、そして窒素下で5〜10℃に冷却する。その溶液を、水(45g)中、塩酸の32%溶液(15g)により処理し、そして5〜10℃で30〜60分間、保持する。その反応混合物を、非発熱性蒸留水(45g)中、水酸化アンモニウムの25%溶液(15g)を充填することにより中和し、そして真空下で油状残渣に蒸発する。残渣をジクロロメタンに溶解し、水により抽出し、そして蒸発し、油状残渣を得た。得られる粗Cp9297の重量は約150gである。
【0252】
前記油状残渣を、ジクロロメタン(975g)及びトリエチルアミン(60g)に溶解し、0〜5℃に冷却し、そしてこの温度で、メタンスルホニルクロリド(48g)により処理する。
反応混合物の温度を、20〜25℃にし、そしてその混合物を、周囲温度で30〜60分間、攪拌する。
出発材料が無くなるにつれて、水(1125g)中、塩化ナトリウム(75g)の溶液を添加し、そしてその混合物を室温で2〜3時間、攪拌する。相を分離し、そして下部(有機)相を再び、水(1125g)中、塩化ナトリウム(75g)の溶液により抽出する。下部(有機)相を大気圧下で蒸発し、油状残渣を得る。得られる粗Cp9326の重量は約175gである。
【0253】
前記油状残渣を、アセトニトリル(375g)に溶解し、そして臭化リチウム(41.2g)を添加する。その混合物を、55〜60℃で1.5〜2時間、加熱し、真空下で蒸発し、油状残渣を得る。その残渣をトルエン(650g)に溶解し、そしてその溶液を、35〜40℃で0.5時間、水(1125g)中、塩化ナトリウム(75g)の溶液と共に攪拌する。相を分離し、そして上部(有機)相を水(375g)により洗浄し、そして次に、蒸発し、油状残渣を得る。得られる粗Cp9341の重量は、約165gである。
【0254】
必要とされる場合、生成物をさらに、トルエンにより溶出する。シリカゲル(1120g)上でのクロマトグラフィー処理により精製できる。得られる純粋なCp9341の重量は、95gである。
【0255】
例9:Cp9341の芳香族化によるCp9342の調製(図6に示される):
37gのCp9341及び6.15gの臭化リチウムを、629gのアセトニトリルに溶解し、そして18.5gの臭化銅(II)を添加する。その混合物を周囲温度で7時間、攪拌し、そして次に、942gの水中、74gの塩化アンモニウムの溶液により希釈する。その混合物をさらに、37gの水酸化アンモニウムの25%溶液及び185gの酢酸エチルにより希釈し、そして開口されたフラスコにおいて攪拌下に一晩、放置する。相を分離し、そして上部(有機)相を蒸発し、油状残渣を得、これを500gのジクロロメタンに溶解し、そして370gの水により洗浄する。相を分離し、そして下部(有機)相を蒸発し、油状残渣を得る。得られるCp9342の重量は36.5gである。
【0256】
例10:Cp9342からのCp9354の調製(図7に示される):
494gのメタノール中、61.7gのCp9342に、48%臭酸123.4gを添加し、そしてその混合物を60℃で0.8時間、加熱する。その混合物を5℃にゆっくりと冷却し、そしてCp9354の結晶により播種する。1時間後、その懸濁液を濾過し、そして結晶を、100gのメタノール及び30gの水の冷混合物によりすすぐ。60℃で真空下で一定重量に乾燥した後、46gのCp9354を得る。
【0257】
例11:Cp9360の調製:
1330gのジクロロメタン中、70.5gの4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールの溶液を、窒素下で冷却し、そして59gのトリエチルアミン、続いて54.5gのメタンスルホニルクロリドにより希釈する。その溶液を20℃で2時間、保持し、そして次に、1000gの水により希釈し、そして一晩、攪拌した。有機相の蒸発により、109gのCp9360を得た。
【0258】
例12:Cp9361、Cp9362及びCp9363を通してのCp9342からCp9304の調製(図8、及び図10の一部に示される):
29gのCp9342を、198gのトルエン及び99gのイソプロパノールにおいて、5.3g(1.25当量)のチオ尿素と共に80℃で加熱する。その反応混合物を、真空下で蒸発し、Cp9361である油状残渣を得、これを250gのジメチルアセトアミドにより希釈し、続いて13.7gのCp9360(例11において調製された)と組合し、そして22.3gの水酸化ナトリウム溶液(50%)により室温で1時間、処理し、Cp9363を得る。17−アセテート基の加水分解を、45gのメタノール中、5gの水酸化カリウムの溶液により室温で1時間、処理することにより行う。反応混合物を水により希釈し、そしてトルエン及び酢酸エチルの混合物(1:1)により抽出する。抽出物の蒸発により、36gの粗Cp9304を得る。
粗生成物を、トルエン/酢酸エチル(95:5)により抽出する。シリカゲル(290g)上でのクロマトグラフィー処理により精製し、21gの純粋なCp9304を得た。
【0259】
例13:Cp9342からのCp9304の調製(図10に示される):
40gのCp9360(例11に従って調製された)を、14.8gのチオ尿素及び345gのジメチルアセトアミドと共に80℃で16時間、加熱し、400gのCp9383の10%溶液を得た。
Cp9383の10%溶液90.7gに、76gのジメチルアセトアミド中、18.5gのCp9342の溶液を添加し、そしてその混合物を室温に冷却し、そして9gの水酸化ナトリウムの50%溶液により0.6時間、処理した。15gの酢酸による中和の後、その反応混合物を水中に注ぎ、そしてトルエンにより抽出した。有機相の蒸発により、30gのCp9363を得た。
【0260】
30gのCp9363を、185gのメタノールに窒素下で溶解し、そしてその溶液を、メタノール中、9.25gの水酸化カリウムの溶液により室温で4時間、処理した。13.9gの酢酸による中和の後、その混合物を真空下で蒸発し、次にジクロロメタンに溶解し、水により抽出し、そして蒸発し、粗Cp9304を得た。
粗生成物を、トルエン/酢酸エチル(95:5)による溶出する、シリカゲル上でのクロマトグラフィー処理により精製し、精製されたCp9304を得た。
【0261】
例14:Cp9354からのCp9304の調製−間接的工程(図9に示される):
100gのジメチルアセトアミド中、10gのCp9354及び1.91gのチオ尿素の混合物(Cp9388を得るための)を、80℃で16時間、加熱し、20/25℃に冷却し、そして5.3gのCp9360(例10におけるようにして調製された)、続いて5.05gの水酸ナトリウムの50%溶液により処理した。1時間後、反応混合物を7.5gの酢酸により中和し、水により希釈し、そしてトルエン/酢酸エチル(1:1)により抽出した。真空下での有機相の蒸発により、Cp9304の油状残渣を得た。
粗生成物を、トルエン/酢酸エチル(95:5)により溶出する、シリカゲル上でのクロマトグラフィー処理により精製し、精製されたCp9304を得た。
【0262】
例15:Cp9354からのCp9304の調製−直接的工程(図11に示される):
100gのジエンチルアセトアミド中、20.5gのCp9354の溶液に、Cp9383(例10に従ってCp9382から調製された)の10%溶液109g、続いて水酸化ナトリウムの50%溶液10.3gを添加した。1時間後、反応混合物を、15gの酢酸により中和し、水により希釈し、そしてトルエン/酢酸エチル(1:1)により抽出した。真空下での有機相の蒸発により、30gのCp9304を得た。粗生成物を、トルエン/酢酸エチル(95:5)により溶出する、シリカゲル(250g)上でのクロマトグラフィー処理により精製し、25.3gの純粋なCp9304を得た。
【0263】
例16:Cp9363からのフルベストラント(Cp9305)の調製−間接的工程(図12に示される):
320gのテトラヒドロフラン及び81gのメタノール中、40.5gのCp9363の溶液を、5℃に冷却し、そして183gの水中、27gの過ヨウ酸ナトリウム(メタ)の温溶液により処理した。前記混合物を室温で一晩、放置し、真空下で濃縮し、そして次に、ジクロロメタンに溶解し、水により抽出し、そして蒸発し、40gのCp9368(フルベストラント17−アセテート)を得た。
【0264】
Cp9368(40g)の油状残渣を、320gのメタノールに窒素下で溶解し、そして128gのメタノール中、20gの水酸化カリウムの溶液により室温で3時間、処理した。30gの酢酸による中和の後、反応混合物を真空下で濃縮し、そして次に、ジクロロメタンに溶解し、水により抽出し、そして蒸発した。油状残渣を、400gのトルエンから結晶化し、次に真空下で一定の重量に乾燥した。26.6gのフルベストラントを得た。
【0265】
例17:Cp9304からのフルベストラント(Cp9305)の調製−直接的工程(図9に示される):
328gのテトラヒドロフラン及び82gのメタノール中、41gのCp9304の溶液を、5℃に冷却し、そして185gの水中、27gの過ヨウ酸ナトリウム(メタ)の温溶液により処理した。前記混合物を室温で一晩、放置し、真空下で濃縮し、そして次に、ジクロロメタンに溶解し、水により抽出し、蒸発し、そしてトルエンから結晶化し、28gのCp9305(フルベストラント)を得た。さらなる精製を、酢酸エチルからの再結晶化によりもたらすことができる。
【0266】
本発明は、本発明の少数の観点の例として意図される例に開示される特定の態様により本発明の範囲を制限されるものではなく、そして機能的に同等であるいずれかの態様は、本発明の範囲内である。実際、本明細書に示され、そして記載されるそれらの修飾の他に、本発明の種々の修飾は、本発明の範囲内である。
多くの文献が引用されており、それらの開示は、引用により本明細書に組込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0267】
【図1】図1は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【図2】図2は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【図3】図3は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【図4】図4は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【図5】図5は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【0268】
【図6】図6は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【図7】図7は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【図8】図8は、本発明の方法に従ってフルベストラントの製造方法を図示する。
【図9】図9は、本発明の方法に従ってフルベストラントの製造方法を図示する。
【図10】図10は、本発明の方法に従ってフルベストラントの製造方法を図示する。
【図11】図11は、本発明の方法に従ってフルベストラントの製造方法を図示する。
【図12】図12は、本発明の方法に従ってフルベストラントの製造方法を図示する。
【図13】図13は、本発明の方法に従ってフルベストラントの製造方法を図示する。
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、医薬化合物、例えばフルベストラント(fulvestrant)の調製において有用な新規方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景:
化学療法よりも低い毒性である、乳癌患者を処理するための効果的治療手段の必要性がますます認識されている。多くの乳癌のホルモン依存性の発見以来、内分泌療法が集中的に研究されて来た。
【0003】
フルベストラントは、乳癌の処理において有意な進歩を提供する純粋な抗エストロゲンである。その純粋なアンタゴニスト活性にかかわらず、卵巣摘出されたラットに対する研究は、フルベストラントが、骨膜形成を低めるためにエストロゲンのように作用するタモキシフェンに比較して、エストロゲン様又は抗エストロゲン性効果を変更しないことを確めた。フルベストラントはまた、乳房組織以外の標的器官に対していくらかの明確な利点を有する。
【0004】
フルベストラントは、エストラジオールに類似する化学構造を有するステロイド性の純粋な抗エストロゲンである。エストロゲン受容体(ER)機能の研究は、ERに結合するエストラジオールが一連の現象を開始することを示している。フルベストラントは、ERを支配し、そしてエストロゲン−刺激された遺伝子活性化を妨げ、従って細胞周期競争のために必須のエストロゲン関連工程を妨げることにより、エストロゲン作用を拮抗する。
フルベストラント、すなわち7−α−[9−(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチルスルフィニル)ノニル]−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールは、次の式を有する:
【0005】
【化1】
【0006】
WO特許出願番号02/32922号は、例えばフルベストラントの調製のために有用な中間体を調製するための方法を記載し、ここで前記方法は、化合物の芳香族化を包含し、そしてその後、必要なら又は所望には、1又は複数の次の段階、(i)いずれかの保護基を除去し;(ii)前駆体基を異なったそのような基に転換することにより実施される。
【0007】
EP特許番号0138504号は、エストラジオールの7α−置換された誘導体、及び抗エストロゲン活性を有する関連するステロイドに関する。アメリカ特許番号4659516号、EP特許番号0138504号及びBowler, Steroids 1989, 54, 71は、ステロイド、例えばフルベストラントの製造方法を記載し、それによれば、エストラ−4,6−ジエン−3−オンへのアルキル基の1,6−接合体付加が1.2:1の比の7αエピマー:7βエピマー(単離された)を付与した。WO02/92322号においては、産業規模に基づいてこの工程を用いて得られるエピマーの比は、1.9:1である。
【0008】
アメリカ特許第6288051号は、7α−(5−メチルアミノペンチル)−エストラトリエンを記載する。
フルベストラント及び他の7α−アルキル化された19−ノルステロイドの改良された調製方法についての必要性が当業界において存続する。
【発明の開示】
【0009】
発明の要約:
本発明は、下記式(I):
【化2】
【0010】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、Br, Cl, I、イソチオウロニウムの遊離塩基形もしくは塩形、又はSHから成る群から選択され;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物に関する。
【0011】
1つの態様においては、nは9であり、R1がBrであり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4がヒドロキシであり、そしてR5がメチルである。
1つの態様においては、nは9であり、R1はBrであり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
1つの態様においては、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
【0012】
1つの態様においては、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。
1つの態様においては、nは9であり、R1はSHであり、R2、R3及びR6は水素であり、R4はセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
1つの態様においては、nは9であり、R1はSHであり、R2、R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。
【0013】
本発明はまた、下記式:
【化3】
で表わされる化合物にも関する。
【0014】
本発明はまた、下記式(II):
【化4】
【0015】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、O又はSのいずれかであり;
R1は、C1-10ハロアルキル又はヒドロキシ保護基であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法にも関し、ここで前記方法は、
【0016】
a)下記式(III ):
【化5】
【0017】
[式中、R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]で表わされる19−ノル−アンドロサ−4,6−ジエン−3−オンと、エーテル性溶媒とを組合し、溶液を得:
b)前記溶液を、約−60℃〜約30℃の温度に冷却し;
c)エーテル性溶媒中、下記式(IV):
【0018】
【化6】
【0019】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、O又はSのいずれかであり;
R1は、C1-10ハロアルキル又はヒドロキシ保護基であり;
zは、式R7Mの金属ハロゲン化物であり、ここでMは金属原子であり、そしてR7はハロゲン原子である]
で表わされる化合物の溶液を、前記段階b)の溶液に滴下し、反応混合物を得;
【0020】
f)前記反応混合物を反応停止し;そして
g)式(II)の化合物を回収することを含んで成る。
【0021】
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、XはOであり、R1はtert−ブチル−ジメチルシリル(TBDMS)であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、nは5であり、XはOであり、R1はTBDMSであり、R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、XはSであり、R1は-(CH2)3CF2CF3であり、R2、R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
【0022】
前記方法の1つの態様においては、Mは、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、銅−リチウム及びチタンから成る群から選択された金属原子である。
前記方法の1つの態様においては、Mはマグネシウムである。
前記方法の1つの態様においては、R7は、Cl, Br及びIから成る群から選択される。
前記方法の1つの態様においては、R7はBrである。
前記方法の1つの態様においては、銅触媒は、段階a)において、式(III )の19−ノル−アンドロスタ−4,6−ジエン−3−オン及びエーテル性溶媒と組合される。
前記方法の1つの態様においては、前記銅触媒は、Cu(I)Y(Yは、Cl, Br又はIである)の形で存在する。
【0023】
前記方法の1つの態様においては、前記銅触媒は、Cu(I)Clである。
前記方法の1つの態様においては、段階e)で得られた式(II)の化合物は、約2.5:1〜約12.1:1の比の7α−エピマー:7β−エピマーを有する。
前記方法の1つの態様においては、段階e)で得られた式(II)の化合物は約12.1:1の比の7α−エピマー:7β−エピマーを有する。
前記方法の1つの態様においては、段階a)におけるエーテル性溶媒は、ジエチルエーテル、THF及びグリム(glyme)から成る群から選択される。
【0024】
前記方法の1つの態様においては、前記エーテル性溶媒は、THFである。
前記方法の1つの態様においては、前記段階b)の溶液は、約-20℃〜約-10℃の温度に冷却される。
前記方法の1つの態様においては、前記段階d)における反応混合物は、NH4Cl, HCl, 水、酢酸、及びNH4ClとNH4OHとの混合物から成る群から選択された試薬の1つにより反応停止される。
【0025】
前記方法の1つの態様においては、前記反応混合物は酢酸により反応停止される。
前記方法の1つの態様においては、段階e)で得られる式(II)の化合物を、フルベストラント(fulvestrant)に転換することをさらに含んで成る。
本発明はさらに、
【0026】
下記式(V):
【化7】
【0027】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0028】
下記式(II):
【化8】
【0029】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、Oであり;
R1は、ヒドロキシ保護基であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、式(V)の化合物への転換のために十分な時間、組合すことを含んで成る。
【0030】
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R1はtert−ブチル−ジメチルシリル(TBDMS)であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、前記式(II)の化合物は、約10〜約12℃の温度でアセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物と組合される。
前記方法の1つの態様においては、前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る。
【0031】
本発明はさらに、下記式(VI):
【化9】
【0032】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0033】
式(VI)[R4がC1-6アシルオキシである]で表わされる化合物と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で組合すことを含んで成る。
前記方法の1つの態様においては、R2, R3及びR6は水素であり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、前記鉱酸はHBrである。
前記方法の1つの態様においては、前記温度は約60℃である。
前記方法の1つの態様においては、前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る。
【0034】
本発明はさらに、下記式(I):
【化10】
【0035】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、イソチオウロニウムの遊離塩基形又は塩形であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の生成方法に関し、ここで前記方法は、
【0036】
下記式(VI):
【化11】
【0037】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖のC1-4アルコール、C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合し;そして式(I)の化合物を回収することを含んで成る。
【0038】
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。
【0039】
前記方法の1つの態様においては、前記溶媒は、トルエン、キシレン、ベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物から成る群から選択される。
前記方法の1つの態様においては、前記溶媒は、トルエン及びイソプロパノール又はジメチルアセトアミドの混合物である。
前記方法の1つの態様においては、前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る。
【0040】
本発明はさらに、下記式(VII ):
【化12】
【0041】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0042】
下記式(I):
【化13】
【0043】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、イソチオウロニウムの遊離塩基形又は塩形であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、塩基とを、周囲温度で非極性プロトン性有機溶媒の存在下で組合すことを含んで成る。
【0044】
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、前記塩基は、アルカリ金属塩基である。
【0045】
前記方法の1つの態様においては、前記塩基は、NaOHである。
前記方法の1つの態様においては、前記非プロトン性極性有機培養は、ジメチルアセトアミド又はアセトニトリルである。
前記方法の1つの態様においては、前記非プロトン性極性有機溶媒は、ジメチルアセトアミドである。
前記方法の1つの態様においては、前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る。
【0046】
本発明はさらに、下記式(I):
【化14】
【0047】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、-S-(CH2)3CF2CF3であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0048】
下記式(VII ):
【化15】
【0049】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを周囲温度で組合わし;その得られる反応物と塩基とを、有機溶媒の存在下で組合し;そして式(I)の化合物を回収することを含んで成る。
【0050】
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、nは9であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。
前記方法の1つの態様においては、前記塩基は、アルカリ金属塩基である。
前記方法の1つの態様においては、前記塩基は、KOHである。
前記方法の1つの態様においては、前記有機溶媒は、C1-6アルコールである。
前記方法の1つの態様においては、前記有機溶媒は、メタノールである。
前記方法の1つの態様においては、前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る。
【0051】
本発明の方法はさらに、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9294:
【化16】
【0052】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せ、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【化17】
【0053】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化18】
【0054】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0055】
【化19】
【0056】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0057】
【化20】
【0058】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で組合せ、下記式9354:
【0059】
【化21】
【0060】
で表わされる化合物を得;
h)化合物9354と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合せ、下記式9388:
【0061】
【化22】
【0062】
で表わされる化合物を供給し、そして化合物9388を回収し;
i)化合物9388と、塩基とを周囲温度で組合せ、下記式9389:
【0063】
【化23】
【0064】
で表わされる化合物を得;
j)化合物9839と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを、周囲温度で組合せ、第2の反応混合物を供給し、そして次に、その第2反応混合物と塩基とを組合し、下記第9304:
【0065】
【化24】
【0066】
で表わされる化合物を得;そして
k)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
本発明の方法はさらに、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9294:
【0067】
【化25】
【0068】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せ、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【0069】
【化26】
【0070】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化27】
【0071】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0072】
【化28】
【0073】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0074】
【化29】
【0075】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、第9383:HS(CH2)3CF2CF3 (9383)とを組合せ、下記式9363:
【0076】
【化30】
【0077】
で表わされる化合物を供給し;
h)化合物9363及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを、周囲温度で組合せ、下記式9304:
【0078】
【化31】
【0079】
で表わされる化合物を得;そして
i)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
【0080】
本発明の方法はさらに、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9294:
【化32】
【0081】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せ、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【0082】
【化33】
【0083】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化34】
【0084】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0085】
【化35】
【0086】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0087】
【化36】
【0088】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合せ、下記式9361:
【0089】
【化37】
【0090】
で表わされる化合物を供給し、そして化合物9361を回収し;
h)化合物9361と、塩基とを周囲温度で組合せ、下記式9362:
【0091】
【化38】
【0092】
で表わされる化合物を得;
i)化合物9362と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを、周囲温度で組合せ、第2の反応混合物を供給し、そして次に、その第2反応混合物と塩基とを組合せ、下記第9363:
【0093】
【化39】
【0094】
で表わされる化合物を得;
j)化合物9363及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを周囲温度で組合せ、下記式:9304:
【0095】
【化40】
【0096】
で表わされる化合物を得:そして
h)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
【0097】
本発明の方法はさらに、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9363:
【化41】
【0098】
で表わされる化合物と、C1-4アルコール及びエーテル性溶媒、及び酸化剤の水溶液とを、約5℃で約12時間、反応せしめ、下記式9368:
【0099】
【化42】
【0100】
で表わされる化合物を供給し;そして
b)化合物9368及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを組合せ、フルベスタントを得ることを含んで成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0101】
発明の特定の記載:
用語“前駆体基”とは、本明細書において使用される場合、他の官能基に容易に転換され得る官能基を意味する。従って、用語“基R4又はその前駆体基”とは、基R4、又はR4に容易に転換され得る基を意味する。代表的な例として、エステルは、それがアルコールを供給するために容易な加水分解され得るので、アルコールのための前駆体基である。
【0102】
用語“ヒドロキシ保護基”又は“保護されたヒドロキシ”とは、本明細書において使用される場合、ヒドロキシルの水素、すなわち−OH基の水素を置換でき、そして次に、連続的に除去され、そしてヒドロキシル基を再形成するために水素により置換され得る基を意味する。ヒドロキシル保護基は、分子の他の部分で反応を行うために、典型的には必要である所定の組の条件下でのヒドロキシルの反応を妨げる。分子の他の部分での反応の後、ヒドロキシル保護基は除去され、ヒドロキシル基が供給される。適切なヒドロキシ保護基の列挙は、Protective Groups in Organic Synthesis, Third Edition, John Wiley, New York 1999に見出され得る。代表的なヒドロキシル保護基は、アルキル又はアリールエーテル、シリルエーテル及びエステルを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0103】
代表的なヒドロキシル保護基は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:
メチルエーテル、例えばメトキシメチル;メチルチオメチル;t−ブチルチオメチル;(フェニルジメチルジイル)メトキシ−メチル;ベンジルオキシメチル;p−メトキシベンジル−オキシメチル;(4−メトキシフェノキシ)メチル;グアヤコールメチル;t−ブトキシメチル;4−ペンテニルオキシメチル;シロキシメチル;2−メトキシエトキシメチル;2,2,2−トリクロロエトキシメチル;ビス(2−クロロエトキシ)メチル;2−(トリメチルシリル)エトキシメチル;テトラヒドロピラン−2−イル;3−ブロモテトラヒドロプラン−2−イル;1−メトキシシクロヘキシル;4−メトキシテトラヒドロピラン;4−メトキシテトラヒドロチオピラン−2−イル;4−メトキシテトラヒドロチオピラン−2−イル−S, S−ジオキシド;1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル;1,4−ジオキサン−2−イル−S, S−ジオキシド;1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル;1,4−ジオキサン−2−イル;テトラヒドロフラニル;テトラヒドロチオフラニル;及び2,3,3a, 4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル(但し、それらだけには限定されない);
【0104】
エチルエーテル、例えば1−エトキシエチル;1−(2−クロロエトキシ)エチル;1−メチル−1−メトキシエチル;1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル;2,2,2−トリクロロエチル;2−トリメチルシリルエチル;2−(フェニルセレニル)エチル;t−ブチル;アリル;p−クロロフェニル;−メトキシフェニル;及び2,4−ジニトロフェニル(但しそれらだけには限定されない);
【0105】
ベンジルエーテル、例えばベンジル;p−メトキシベンジル;3,4−ジメトキシベンジル;o−ニトロベンジル;p−ニトロベンジル;p−ハロベンジル;2,6−ジクロロベンジル;p−シアノベンジル;p−フェニルベンジル;2−及び4−ピコリル;3−メチル−2−ピコリル−N−オキシド;ジフェニルメチル;p, p’−ジニトロベンズヒドリル;5−ジベンゾスベリル;トリフェニルメチル;α−ナフチルジフェニルメチル;p−メトキシフェニルジフェニルメチル;ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル;トリ(p−メトキシフェニル)メチル;4−(4’−ブロモフェナシルオキシ)フェニルジフェニルメチル;4、4、4’−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル;4、4’、4’’−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル;4、4’、4’’−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル;3−(イミダゾール−1−イルメチル)ビス(4’、4’’−ジメトキシフェニル)メチル;1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル;9−アントリル;9−(9−フェニル)キサンテニル;9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル;1,3−ベンゾジチオラン−2−イル;及びベンズイソチアゾイルS, S−ジオキシド(但しそれらだけには限定されない);
【0106】
シリルエーテル、例えばトリメチルシリル;トリエチルシリル;トリイソプロピルシリル;ジメチルイソプロピルシリル;ジエチルイソプロプルシリル;ジメチルセキシルシリル;t−ブチルジメチルシリル;t−ブチル−ジフェニルシリル;トリベンジルシリル;トリ−p−キシルシリル;トリフェニルシリル;ジフェニルメチルシリル及びt−ブチルメトキシフェニルシリル(但しそれらだけには限定されない);
【0107】
エステル、例えばホルメート;ベンゾイルホルメート;アセテート;クロロアセテート;トリクロロアセテート;メトキシアセテート;トリフェニルメトキシアセテート;フェノキシアセテート;p−クロロフェノキシアセテート;p−(ホスフェート)フェニルアセテート;3−フェニルプロプロネート;4−オキソペンタノエート(レプリネート);4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート;ピハロエート;アダマントエート;クロトネート;4−メトキシクロトネート;ベンゾエート;p−フェニルベンゾエート;及び2,4,6−トリメチルベンゾエート(但しそれらだけには限定されない);
【0108】
カーボネート、例えばメチルカーボネート;9−フルオレニル−メチルカーボネート;エチルカーボネート;2,2,2−トリクロロエチルカーボネート;2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート;2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート;2−(トリフェニルホスホノ)エチルカーボネート;イソブチルカーボネート;ビニルカーボネート;アリルカーボネート;p−ニトロフェニルカーボネート;ベンジルカーボネート;p−メトキシベンジルカーボネート;3,4−ジメトキシベンジルカーボネート;o−二オロベンジルカーボネート;p−ニトロベンジルカーボネート;S−ベンジルチオカーボネート;4−エトキシ−1−ナフチルカーボネート;及びメチルジチオカーボネート(但しそれらだけには限定されない);
【0109】
助力された分解を有する保護基、例えば2−ヨードベンゾエート;4−アジドブチレート;4−ニトロ−4−メチルペンタノエート;o−(ジブロモメチル)ベンゾエート;2−ホルミルベンゼンスルホネート;2−(メチルチオメトキシ)エチルカーボネート;4−(メチルチオメトキシ)−ブチレート及び2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート(但しそれらだけには限定されない);
【0110】
その他のエステル、例えば2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセテート;2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)フェノキシアセテート;2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)−フェノキシ−アセテート;クロロジフェニルアセテート;イソブチレート;モノスクシノエート;(E)−2−メチル−2−ブテノエート(チグロエート);o−(メトキシカルボニル)ベンゾエート;p−ベンゾエート;a−ナフトエート;ニトレート;アルキルN, N, N’, N’−テトラメチルホスホロジアミデート;N−フェニルカルバメート;ボレート;ジメチルホスフィノチオイル及び2,4−ジニトロフェニル−スルフェネート(但しそれらだけには限定されない);
【0111】
スルホネート、例えばメタンスルホネート(メシレート);ベンジルスルホネート及びトシレート(但しそれらだけには限定されない);及び
シリル誘導体、例えばジ−t−ブチルシリレン基;1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサニリデン)誘導体;テトラ−t−ブトキシジシロキサン−1,3−ジイリデン誘導体;環状カーボネート;環状ボロネート;エチルボロネート及びフェニルボロネート(但しそれらだけには限定されない)。
【0112】
好ましいヒドロキシ保護基は、SiR8R9R10(式中、R8, R9及びR10は、1〜6個の原子を含むアルキル又は枝分れ鎖のアルキルである)である。最も好ましくは、R8及びR9はメチルであり、そしてR10はt−ブチルである。
本明細書を通して、本発明の化合物の環は、下記に示されるようにステロイドの環を企画するために従来使用される文字により企画される:
【0113】
【化43】
【0114】
従って、ステロイドのA環は、上記に示されるような式の化合物の最も左側の環である。
用語“芳香族化”とは、本明細書において使用される場合、芳香族でない、すなわち不飽和化されているか又は部分的に飽和化されている環構造を、芳香族である環システム、すなわち4n+2の分離されたII電子の環状雲を有する環システムに変更することを意味する。
【0115】
本発明の1つの観点は、下記式(I):
【化44】
【0116】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、Br, Cl, I、イソチオウロニウムの遊離塩基又は塩形、又はSHから成る群から選択され;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物である。
【0117】
好ましくは、nは9であり、R1はBrであり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は、図7における化合物9354に対応する。
好ましくは、nは9であり、R1はBrであり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は、図6における化合物9342に対応する。
【0118】
好ましくは、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は、図8における化合物9361に対応する。
好ましくは、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は、図9における化合物9388に対応する。
【0119】
好ましくは、nは9であり、R1はSHであり、R2、R3及びR6は水素であり、R4はセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は、図8における化合物9362に対応する。
好ましくは、nは9であり、R1はSHであり、R2、R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は、図9における化合物9389に対応する。
【0120】
本発明のもう1つの観点は、下記式:
【化45】
【0121】
で表わされる化合物である。
本発明のもう1つの観点は、下記式(II):
【化46】
【0122】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、O又はSのいずれかであり;
R1は、C1-10ハロアルキル又はヒドロキシ保護基であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、C1-6アシルオキシである]で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式(III ):
【0123】
【化47】
【0124】
[式中、R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;そして
R4は、C1-6アシルオキシである]で表わされる19−ノル−アンドロサ−4,6−ジエン−3−オンと、エーテル性溶媒とを組合し、溶液を得;そして
b)エーテル性溶媒中、下記式(IV):
【0125】
【化48】
【0126】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、O又はSのいずれかであり;
R1は、C1-10ハロアルキル又はヒドロキシ保護基であり;
zは、式R7Mの金属ハロゲン化物であり、ここでMは金属原子であり、そしてR7はハロゲン原子である]で表わされる化合物の溶液を、前記段階a)の溶液に滴下し、反応混合物を得ることを含んで成る。
【0127】
1つの態様においては、前記溶液は、約−60℃〜約30℃の温度に冷却される。
1つの態様においては、前記方法は、反応混合物を反応停止することを含んで成る。
1つの態様においては、本発明はさらに、式(II)の化合物を回収することを含んで成る。
式(IV)の化合物及び式(III )の化合物を組合した後、得られる反応混合物が、当業者に知られている従来の方法を用いて分析され、反応の完結が決定され得る。例えば、反応混合物は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、質量分析法(MS)又は核磁気共鳴(NMR)により分析され得る。
【0128】
1つの態様においては、式(III )の化合物の溶液への式(IV)の化合物の添加は、少なくとも約1分の時間にわたって行われる。典型的には、式(III )の化合物の溶液への式(IV)の化合物の添加は、少なくとも約30分、好ましくは少なくとも約60分、より好ましくは少なくとも90分及び最も好ましくは少なくとも約120分間にわたって行われる。好ましくは、添加は、混合物におけるいずれの実質的な色彩変化を妨げるのに十分に遅い。より遅い添加は、より良好な異性体割合が得られる(他の因子は未変化である)ことが見出された。しかしながら、添加時間は、実質的な関係(例えば、利用できる反応体の効果的使用)により支配され得、そして5時間以上に添加の時間を延長することは通常、適切ではない。
【0129】
もう1つの態様においては、式(III )の化合物の溶液への式(IV)の化合物の添加は、特定の速度で、すなわち式(IVi)の化合物のモル当量/式(III )の化合物の当量・時間単位で行われる。例えば、式(III )の化合物の溶液への式(IV)の化合物の添加の平均速度は、約0.001〜約1モル当量の式(IV)の化合物/式(III )の化合物の当量・分の範囲であり得る。好ましくは、添加の平均速度は、約0.002〜約0.100モル当量の式(IV)の化合物/式(III )の化合物の当量・分の範囲である。より好ましくは、添加の平均速度は、約0.005〜約0.0.020モル当量の式(IV)の化合物/式(III )の化合物の当量・分の範囲である。
【0130】
好ましくは、nは9であり、XはOであり、R1はtert−ブチル−ジメチルシリル(TBDMS)であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(III )の化合物は、図1における化合物9294に対応し、前記式(IV)の化合物は図1における化合物9318に対応し、そして得られる式(III )の化合物は図1における化合物9295に対応する。
【0131】
他方では、nは5であり、XはOであり、R1はTBDMSであり、R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(III )の化合物は、図2における化合物9294に対応し、前記式(IV)の化合物は図2における化合物9339に対応し、そして得られる式(II)の化合物は図2における化合物9340に対応する。
他方では、nは9であり、XはSであり、R1は-(CH2)3CF2CF3であり、R2、R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(III )の化合物は、図3における化合物9294に対応し、前記式(IV)の化合物は図3における化合物9330に対応し、そして得られる式(II)の化合物は図3における化合物9331に対応する。
【0132】
式(IV)の化合物におけるMは、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、銅−リチウム(すなわち、リチウムジアルキル銅試薬)及びチタンから成る群から選択された金属原子である。好ましくは金属原子はMgである。Mはマグネシウムである。R7は、Cl, Br及びIから成る群から選択されたハロゲン原子である。好ましくは、R7はBrである。
金属がMgである場合、銅触媒は好ましくCu(I)Y(式中、YはCl、Br又はIである)の形、及び最も好ましくはCu(I)Clの形で使用されるべきである。
本発明により得られた式(II)の化合物は、約2.5:1〜約12.1:1の比の7α−エピマー:7β−エピマーを有する。
【0133】
1つの態様において、式(II)の化合物は、少なくとも約3:1の比(異性体比)の7αエピマー:7βエピマーを有する。好ましくは、式(II)の化合物は、少なくとも約7:1の比の7αエピマー:7βエピマーを有する。より好ましくは、式(II)の化合物は、少なくとも約10:1の比の7αエピマー:7βエピマーを有する。最も好ましくは、式(II)の化合物は、少なくとも約12:1の比の7αエピマー:7βエピマーを有する。
エーテル性溶媒は、ジエチルエーテル、THF及びグリム(glyme)から成る群から選択される。前記エーテル性溶媒は、THFである。
【0134】
好ましくは、前記段階b)の溶液が、約-20℃〜約-10℃の温度に冷却される。
式(IV)の化合物のエーテル性溶液は、その局部的蓄積を回避するために滴下される。反応混合物は、同じ理由のために一定して攪拌される。式(IV)の化合物の滴下は、高い7α/7β−エピマー比をもたらす。
前記段階d)における反応混合物は、NH4Cl, HCl, 水、酢酸、及びNH4ClとNH4OHとの混合物から成る群から選択された試薬の1つにより反応停止される。前記反応混合物は酢酸により反応停止される。
【0135】
式(II)の化合物は、当業界において知られているいずれかの方法により回収され得る。好ましくは、微量の使用される触媒は、例えばアンモニアとの反応、続いて、溶媒の蒸発による反応混合物からの式(II)の化合物の分離により除去される。式(II)の化合物は、当業界において知られているいずれかの方法、例えばクロマトグラフィーにより精製され得る。
上記のようにして得られる化合物9295及び9331はさらに、フルベストラントに転換され得る。
【0136】
本発明のもう1つの観点は、下記式(V):
【化49】
【0137】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、C1-6アシルオキシである]で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0138】
下記式(II):
【化50】
【0139】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、Oであり;
R1は、ヒドロキシ保護基であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、C1-6アシルオキシである]で表わされる化合物と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、式(V)の化合物への転換のために十分な時間、組合すことを含んで成る。
【0140】
好ましくは、nは9であり、R1はtert−ブチル−ジメチルシリル(TBDMS)であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(II)の化合物は図4における化合物9295に対応し、そして前記式(V)の化合物は、図4における化合物9341に対応する。
【0141】
好ましくは、前記式(II)の化合物は、約10〜約12℃の温度でアセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物と組合される。式(V)の化合物は、当業界において知られているいずれの方法により得られ、そして次に、それはトルエンへの溶解、及び反応の間に形成される副生成物の除去により、さらに精製され得る。
式(V)の化合物はまた、図5に示されるように、中間体の形成を通しても調製され得る。
上記のようにして得られる化合物9341はさらに、フルベストラントに転換され得る。
【0142】
本発明のもう1つの観点は、下記式(VI)
【化51】
【0143】
[式中、R4は、ヒドロキシである]で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
式(VI)[R4がC1-6アシルオキシである]で表わされる化合物と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で組合すことを含んで成る。
【0144】
好ましくは、R2, R3及びR6は水素であり、そしてR5はメチルである。R4がアセチルオキシである式(IV)の前記化合物は、図7における化合物9342に対応し、そしてR4がヒドロキシである式(VI)の前記化合物は、図7における化合物9354に対応する。
好ましくは、鉱酸はHBrである。好ましくは、反応の温度は約60℃である。
上記のようにして得られる化合物9354はさらに、フルベストラントに転換され得る。
【0145】
本発明のさらなる観点は、下記式(I):
【化52】
【0146】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、イソチオウロニウムの遊離塩基又は塩形であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、ヒドロキシ又はC1-6アシルオキシのいずれかである]で表わされる化合物の生成方法であって、
下記式(VI):
【0147】
【化53】
【0148】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、ヒドロキシ又はC1-6アシルオキシのいずれかである]で表わされる化合物と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖のC1-4アルコール、C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合し;そして式(I)の化合物を回収することを含んで成る。
【0149】
好ましくは、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(VI)の化合物は図8における化合物9342に対応し、そして前記式(I)の化合物は、図8における化合物9361に対応する。
【0150】
好ましくは、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(VI)の化合物は図9における化合物9354に対応し、そして前記式(I)の化合物は、図9における化合物9388に対応する。
【0151】
C1-6芳香族炭化水素は、トルエン、キシレン又はベンゼンである。直鎖又は枝分れ鎖のC1-4アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール又はブタノールであり得る。C1-4アルキルアミドは、ジメチルアセトアミドである。最も好ましくは、溶媒は、トルエン及びイソプロパノール又はジメチルアセトアミドの混合物である。
上記のようにして得られる化合物9361及び9388はさらに、フルベストラントに転換され得る。
【0152】
本発明の1つの観点は、下記式(VII ):
【化54】
【0153】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、ヒドロキシ又はC1-6アシルオキシのいずれかである]で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0154】
下記式(I):
【化55】
【0155】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、イソチオウロニウムの遊離塩基又は塩形であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、ヒドロキシ又はC1-6アシルオキシのいずれかである]で表わされる化合物と、塩基とを、周囲温度で非極性プロトン性有機溶媒の存在下で組合すことを含んで成る。
【0156】
好ましくは、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(VII)の化合物は図8における化合物9362に対応し、そして前記式(I)の化合物は、図8における化合物9361に対応する。
好ましくは、nは9であり、R1はイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はヒドロキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(VII)の化合物は図9における化合物9389に対応し、そして前記式(I)の化合物は、図9における化合物9388に対応する。
【0157】
好ましくは、塩基は、アルカリ金属の塩基、例えばNaOH及びKOHである。最も好ましくは、塩基はNaOHである。非プロトン性極性有機溶媒は、ジメチルアセトアミド又はアセトニトリルであり得る。好ましくは、非プロトン性極性有機溶媒はジメチルアセトアミドである。
上記のようにして得られる化合物9362及び9389はさらに、フルペストラントに転換され得る。
【0158】
本発明のもう1つの観点は、下記式(I):
【化56】
【0159】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、-S-(CH2)3CF2CF3であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、ヒドロキシ又はC1-6アシルオキシのいずれかである]で表わされる化合物の調製方法に関し、ここで前記方法は、
【0160】
下記式(VII ):
【化57】
【0161】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2、R3、R5及びR6は、上記で定義された通りであり;
R4は、ヒドロキシ又はC1-6アシルオキシのいずれかである]で表わされる化合物と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを周囲温度で組合わし;その得られる反応物と塩基とを、有機溶媒の存在下で組合し;そして式(I)の化合物を回収することを含んで成る。
【0162】
1つの態様においては、式(VII )の化合物及び4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートは、周囲温度で接触せしめられる。
好ましくは、nは9であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は図8における化合物9363に対応し、そして前記式(VII)の化合物は、図8における化合物9362に対応する。
【0163】
好ましくは、nは9であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4はアセチルオキシであり、そしてR5はメチルである。前記式(I)の化合物は図9における化合物9304に対応し、そして前記式(VII)の化合物は、図9における化合物9389に対応する。
好ましくは、塩基アルカリ金属の塩基、例えばNaOH及びKOHである。最も好ましくは、塩基はKOHである。好ましくは、有機溶媒はC1-6アルコールである。最も好ましくは、有機溶媒はメタノールである。
上記のようにして得られる化合物9363及び9304はさらに、フルベストラントに転換される。
本発明のもう1つの観点は、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前期方法は、
a)下記式9294:
【0164】
【化58】
【0165】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せて、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【0166】
【化59】
【0167】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化60】
【0168】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0169】
【化61】
【0170】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0171】
【化62】
【0172】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で組合せ、下記式9354:
【0173】
【化63】
【0174】
で表わされる化合物を得;
h)化合物9354と、次の式9383:HS(CH3)CF2CF3(9383)で表わされる化合物とを、アミド及びアルカリ塩基の存在下で組合せ、下記式9304:
【0175】
【化64】
【0176】
で表わされる化合物を得:そして
i)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
フルベストラントは、当業界において知られているいずれかの方法、例えば溶媒の蒸発により回収され、そしてC1-6芳香族添加水素からの結晶化により、さらに精製され得る。
【0177】
1つの態様においては、式9318の化合物の溶液は、式9294の化合物の溶液に、約−60℃〜約30℃の温度で添加される。
本発明のもう1つの観点は、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9294:
【0178】
【化65】
【0179】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せて、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【0180】
【化66】
【0181】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化67】
【0182】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0183】
【化68】
【0184】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0185】
【化69】
【0186】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で組合せ、下記式9354:
【0187】
【化70】
【0188】
で表わされる化合物を得;
h)化合物9354と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合せ、下記式9388:
【0189】
【化71】
【0190】
で表わされる化合物を供給し、そして化合物9388を回収し;
i)化合物9388と、塩基とを周囲温度で組合せ、下記式9389:
【0191】
【化72】
【0192】
で表わされる化合物を得;
j)化合物9839と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを、周囲温度で組合せ、第2の反応混合物を供給し、そして次に、その第2反応混合物と塩基とを組合し、下記第9304:
【0193】
【化73】
【0194】
で表わされる化合物を得;そして
k)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
【0195】
フルベストラントは、当業界において知られているいずれかの方法、例えば溶媒の蒸発により回収され、そしてC1-6芳香族添加水素からの結晶化により、さらに精製され得る。
1つの態様においては、式9318の化合物の溶液は、式9294の化合物の溶液に、約−60℃〜約30℃の温度で添加される。
本発明のもう1つの観点は、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9294:
【0196】
【化74】
【0197】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せて、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【0198】
【化75】
【0199】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化76】
【0200】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0201】
【化77】
【0202】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0203】
【化78】
【0204】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、第9383:HS(CH2)3CF2CF3 (9383)とを組合せ、下記式9363:
【0205】
【化79】
【0206】
で表わされる化合物を供給し;
h)化合物9363及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを、周囲温度で組合せ、下記式9304:
【0207】
【化80】
【0208】
で表わされる化合物を得;そして
i)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
【0209】
フルベストラントは、当業界において知られているいずれかの方法、例えば溶媒の蒸発により回収され、そしてC1-6芳香族添加水素からの結晶化により、さらに精製され得る。
1つの態様においては、式9318の化合物の溶液は、式9294の化合物の溶液に、約−60℃〜約30℃の温度で添加される。
本発明のもう1つの観点は、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9294:
【0210】
【化81】
【0211】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せて、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【0212】
【化82】
【0213】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化83】
【0214】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【0215】
【化84】
【0216】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【0217】
【化85】
【0218】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合せ、下記式9361:
【0219】
【化86】
【0220】
で表わされる化合物を供給し、そして化合物9361を回収し;
h)化合物9361と、塩基とを周囲温度で組合せ、下記式9362:
【0221】
【化87】
【0222】
で表わされる化合物を得;
i)化合物9362と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを、周囲温度で組合せ、第2の反応混合物を供給し、そして次に、その第2反応混合物と塩基とを組合し、下記第9363:
【0223】
【化88】
【0224】
で表わされる化合物を得;
j)化合物9353及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを周囲温度で組合せ、下記式:9304:
【0225】
【化89】
【0226】
で表わされる化合物を得:そして
h)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る。
フルベストラントは、当業界において知られているいずれかの方法、例えば溶媒の蒸発により回収され、そしてC1-6芳香族添加水素からの結晶化により、さらに精製され得る。
1つの態様においては、式9318の化合物の溶液は、式9294の化合物の溶液に、約−60℃〜約30℃の温度で添加される。
【0227】
本発明のもう1つの観点は、フルベストラントの調製方法に関し、ここで前記方法は、
a)下記式9363:
【0228】
【化90】
【0229】
で表わされる化合物と、C1-4アルコール及びエーテル性溶媒、及び酸化剤の水溶液とを、約5℃で約12時間、反応せしめ、下記式9368:
【0230】
【化91】
【0231】
で表わされる化合物を供給し;そして
b)化合物9368及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを組合せ、フルベスタントを得ることを含んで成る。
本発明は、図13に図示される。
式9363の化合物は、本発明のいずれかの方法により製造され得る。
【実施例】
【0232】
EP138504を反復する比較例:
EP138504号の例1の方法に従って、−30℃に冷却された、24.2gの9−ブロモ−1−ノナノールTBDMS(すなわち、9−(ジメチル−t−ブチルシロキシ)−ノニルブロミド)から形成されたグリニャール試薬に、6.6gのヨウ化銅(I)を添加した。10分間の攪拌の後、テトラヒドロフラン中、10gの17βヒドロキシ−エストラ−4,6−ジエン−3−オンアセテート、Cp9294(すなわち、6−デヒドロ−19−ノルテストステロンアセテート)の溶液を添加し、そして攪拌を90分間、続けた。酢酸により反応停止した後、生成物17β−ヒドロキシ−7α−[9[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテート、Cp9295を、HPLC分析により試験し、そして2.3:1の比の7α/7βを有することを見出した。
【0233】
WO02/32922号を反復する比較例:
WO02/32922号の例2の方法に従って、得られる7α/7βの比は、2.5:1であった。
【0234】
例1:グリニャール試薬Cp9318(9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物)の調製:
100gの1−ブロモノナノール、33gのイミダゾール及び250gのジメチルホルムアミドの混合物に、70.2gのtert−ブチル−クロロジメチルシランを添加し、そしてその反応混合物を2時間、攪拌した。
【0235】
前記混合物を、750gの水及び220gのトルエンにより添加し、そして相を分離した。水性相を90gのトルエンにより再抽出した。組合された有機相を、100gの水により洗浄し、そして真空下で80℃で蒸発した。9−ブロモ−1−ノナノールTBDMSの残渣を、500gの無水テトラヒドロフランに溶解した。
攪拌機、加熱浴、冷却器、窒素雰囲気及び温度計を備えた2Lのフラスコに、10.88gのマグネシウム削り屑及び100gのテトラヒドロフランを充填し、そして45℃まで加熱した。
【0236】
少量の9−ブロモ−1−ノナノールTBDMSを添加し、反応を開始し、そして次に、残る溶液を、還流下で反応混合物を維持するような速度で滴下した。
添加を終了した後、反応混合物を、さらに1時間、還流し、次に約40℃に冷却し、そして窒素下でガラス濾過器を通して濾過し(いくらかの残渣マグネシウムを除去するために)、そして約1.15Lに希釈した。試薬の溶液を、窒素下で室温で保持した。
【0237】
例2:Cp9294からのCp9295の調製(図1に示される):
10gのナンドロロンアセテート、Cp9294(6−デヒドロ−17β−ヒドロキシ−エストラ−4,6−ジエン−3−オンアセテート)を、60gのテトラヒドロフランに溶解し、そして1.5gの塩化銅(I)を添加した。前記懸濁液を、窒素雰囲気下で−20℃に冷却し、そして9−ブロモ−1−ノナノールTBDMS(9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物)から形成されたグリニャール試薬Cp9318の約0.39M溶液117gを、120分間にわたって滴下した。次に、10gの酢酸を添加し、そして攪拌を室温で30分間、続けた。
【0238】
次に、フラスコを大気に開放し、そして73gの水中、10gの塩化アンモニウム及び15gの25%水酸化アンモニウム溶液の溶液を添加し、そして攪拌を2時間、続けた。相を分離し、そして上部相を、37gの水中、5gの塩化アンモニウムの溶液により洗浄した。上部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、油状残渣を得、これをジクロロメタン(100g)に溶解し、そしてさらに、50gの水により洗浄した。下部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、HPLC分析によれば、12.1:1の比の7α/7βを有する、16.9g(93%の理論量)の17β−ヒドロキシ−7α−[9−[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテートCp9295を含む油状物(26.0g)を得た。
【0239】
前記油状物をさらに、トリエン中、5%酢酸エチルにより溶出する、200gのシリカゲルを用いてのクロマトグラフィーにより精製した。溶媒の蒸発の後、主要画分は、HPLC分析によれば、96.4:3.6の比の7α/7βを有する、15.9g(87.5%)の17β−ヒドロキシ−7α−[9−[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテートを含む油状物(16.8g)としてCp9295を生成した。後での画分(0.5g)は、主に7β異性体(約1:3の比の7α/7β)を含んだ。
【0240】
9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物Cp9318を添加する速度は、次の通りであった:0.041モルの9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物を、120分間にわたって0.032モルのナンドロロンアセテートに添加した。これは、120分で1.28モル当量、又は約0.011モル当量/分として解釈される。
【0241】
例3:Cp9294からのCp9295の調製(図1に示される):
3gのナンドロロンアセテート、Cp9294(6−デヒドロ−17β−ヒドロキシ−エストラ−4,6−ジエン−3−オンアセテート)を、54gのテトラヒドロフランに溶解し、そして1gの塩化銅(I)を添加した。前記懸濁液を、窒素雰囲気下で−20℃に冷却し、そして9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物Cp9318(すなわち、9−ブロモ−1−ノナノールTBDMSからのグラニャール試薬)の約0.346M溶液146gを、75分間にわたって滴下した。次に、10gの酢酸を添加し、そして攪拌を室温で30分間、続けた。
【0242】
次に、フラスコを大気に開放し、そして73gの水中、10gの塩化アンモニウム溶液及び15gの25%水酸化アンモニウム溶液を添加し、そして攪拌を2時間、続けた。相を分離し、そして上部相を、37gの水中、5gの塩化アンモニウム溶液及び0.5gの25%水酸化アンモニウム溶液により再抽出した。上部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、油状残渣を得、これは、HPLCアッセイによれば、9.2:1の比の7α/7βを有する、16.2gの(89%の理論量)の17β−ヒドロキシ−7α−[9−[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテートCp9295を含んだ。
【0243】
例4:Cp9294からのCp9295の調製(図1に示される):
5gのナンドロロンアセテート、Cp9294(6−デヒドロ−17β−ヒドロキシ−エストラ−4,6−ジエン−3−オンアセテート)を、60gのテトラヒドロフランに溶解し、そして0.5gの塩化銅(I)を添加した。前記懸濁液を、窒素雰囲気下で−15℃に冷却し、そして9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物Cp9318(すなわち、9−ブロモ−1−ノナノールTBDMSからのグラニャール試薬)の約0.39M溶液90gを、120分間にわたって滴下した。さらに1時間後、5.4gの酢酸を添加し、そして攪拌を室温で60分間、続けた。
【0244】
次に、フラスコを大気に開放し、そして50gの水中、7gの塩化アンモニウム溶液及び10gの25%水酸化アンモニウム溶液を添加し、そして攪拌を12時間、続けた。相を分離し、そして上部相を、10gの水中、2gの塩化アンモニウムの溶液により洗浄した。次に、上部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、油状残渣を得、これをジクロロメタン(100g)に溶解し、そしてさらに、50gの水により洗浄した。下部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、HPLC分析によれば、7.1:1の比の7α/7βを有する、18.0gの油状物Cp9295を得た。
【0245】
例5:Cp9294からのCp9295の調製(図1に示される):
5gのナンドロロンアセテート、Cp9294(6−デヒドロ−17β−ヒドロキシ−エストラ−4,6−ジエン−3−オンアセテート)を、50gのテトラヒドロフランに溶解し、そして2.5gの塩化銅(I)を添加した。前記懸濁液を、窒素雰囲気下で−20℃に冷却し、そして9−(ジメチル−tert−ブチルシリルオキシ)ノニルマグネシウム臭化物Cp9318(すなわち、9−ブロモ−1−ノナノールTBDMSからのグラニャール試薬)の約0.30M溶液85gを、−10〜−20℃で反応混合物の温度を維持しながら、120分間にわたって滴下した。
【0246】
60gのグリニャール試薬の添加の後、反応は、HPLC分析により不完全であるが、しかし8.0:1の比の7α/7βを有する生成物17β−ヒドロキシ−7α−[9−[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテートCp9295を含むことが示された。完全な添加及びさらなる1時間の攪拌の後、4.5gの酢酸を添加し、そして攪拌を室温で30分間、続けた。次に、フラスコを大気に開放し、そして80gの水中、7.5gの塩化アンモニウム溶液を添加し、そして攪拌を12時間、続けた。相を分離し、そして上部相を、10gの水中、2gの塩化アンモニウムの溶液により洗浄した。次に、上部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、HPLC分析によれば、7.7:1の比の7α/7βを有する、13.9gの油状物を得た。
【0247】
例6:Cp9294からのCp9331の調製(図3に示される):
10gのナンドロロンアセテート、Cp9294(6−デヒドロ−17β−ヒドロキシ−エストラ−4,6−ジエン−3−オンアセテート)を、60gのテトラヒドロフランに溶解し、そして1.5gの塩化銅(I)を添加した。前記懸濁液を、窒素雰囲気下で−20℃に冷却し、そして9−[(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル)チオ]ノニルマグネシウム臭化物Cp9330の約0.39M溶液117gを、120分間にわたって滴下した。次に、10gの酢酸を添加し、そして攪拌を室温で30分間、続けた。
【0248】
次に、フラスコを大気に開放し、そして73gの水中、10gの塩化アンモニウム溶液及び15gの25%水酸化アンモニウム溶液を添加し、そして攪拌を2時間、続けた。相を分離し、そして上部相を、37gの水中、5gの塩化アンモニウム溶液により洗浄した。上部相を分離し、そして溶媒を減圧下で蒸発し、油状残渣を得、これを、ジクロロメタン100gに溶解し、そしてさらに、50gの水により洗浄した。下部相の蒸発により、HPLCアッセイによれば、9.1:1の比の7α/7βを有する、17β−ヒドロキシ−7α−[9−[(4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル)チオ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテートCp931を含む油状物を得た。
【0249】
例7:Cp9295からのCp9341の調製−直接的な合成(図4に示される):
例4の条件を用いて、75gの6−デヒドロナンドロロンから調製された190gの粗Cp9295(17β−ヒドロキシ−7α−[9−[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテート)を、100gのアセトニトリルに溶解し、そして10〜12℃でのトリフェニルホスフィンジブロミドの懸濁液(1200gのアセトニトリル中、240gのトリフェニルホスフィンへの140gの臭素の添加により調製された)に添加した。温度を周囲温度に上げ、そして0.5時間後、HPLCによれば、Cp9441への転換は完結する。
【0250】
前記懸濁液を1000gのトルエンにより希釈し、約112gの25%水酸化アンモニウム溶液により中和し、そして相を分離する。上部(有機)相を、水(100g)により洗浄し、そして次に、蒸発し、油状残渣を得る。その残渣をトルエンに取り、そしてほとんどのトリフェニルホスフィン酸化物副生成物を沈殿するために、5〜10℃で攪拌する。副生成物を濾過し、そしてトルエンによりすすぎ、そして濾液を、トルエンにより溶出するシリカゲル(1250g)上でのクロマトグラフィー処理により精製する。得られる純粋なCp9341の重量は84gである。
【0251】
例8:Cp9295からのCp9341の調製−間接的合成(図8に示される):
例4の条件を用いて、75gの6−デヒドロナンドロロンから調製された190gの粗Cp9295(17β−ヒドロキシ−7α−[9−[[1,1−ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]ノニル]−エストル−4−エン−3−オンアセテート)を、750gのメタノールに溶解し、そして窒素下で5〜10℃に冷却する。その溶液を、水(45g)中、塩酸の32%溶液(15g)により処理し、そして5〜10℃で30〜60分間、保持する。その反応混合物を、非発熱性蒸留水(45g)中、水酸化アンモニウムの25%溶液(15g)を充填することにより中和し、そして真空下で油状残渣に蒸発する。残渣をジクロロメタンに溶解し、水により抽出し、そして蒸発し、油状残渣を得た。得られる粗Cp9297の重量は約150gである。
【0252】
前記油状残渣を、ジクロロメタン(975g)及びトリエチルアミン(60g)に溶解し、0〜5℃に冷却し、そしてこの温度で、メタンスルホニルクロリド(48g)により処理する。
反応混合物の温度を、20〜25℃にし、そしてその混合物を、周囲温度で30〜60分間、攪拌する。
出発材料が無くなるにつれて、水(1125g)中、塩化ナトリウム(75g)の溶液を添加し、そしてその混合物を室温で2〜3時間、攪拌する。相を分離し、そして下部(有機)相を再び、水(1125g)中、塩化ナトリウム(75g)の溶液により抽出する。下部(有機)相を大気圧下で蒸発し、油状残渣を得る。得られる粗Cp9326の重量は約175gである。
【0253】
前記油状残渣を、アセトニトリル(375g)に溶解し、そして臭化リチウム(41.2g)を添加する。その混合物を、55〜60℃で1.5〜2時間、加熱し、真空下で蒸発し、油状残渣を得る。その残渣をトルエン(650g)に溶解し、そしてその溶液を、35〜40℃で0.5時間、水(1125g)中、塩化ナトリウム(75g)の溶液と共に攪拌する。相を分離し、そして上部(有機)相を水(375g)により洗浄し、そして次に、蒸発し、油状残渣を得る。得られる粗Cp9341の重量は、約165gである。
【0254】
必要とされる場合、生成物をさらに、トルエンにより溶出する。シリカゲル(1120g)上でのクロマトグラフィー処理により精製できる。得られる純粋なCp9341の重量は、95gである。
【0255】
例9:Cp9341の芳香族化によるCp9342の調製(図6に示される):
37gのCp9341及び6.15gの臭化リチウムを、629gのアセトニトリルに溶解し、そして18.5gの臭化銅(II)を添加する。その混合物を周囲温度で7時間、攪拌し、そして次に、942gの水中、74gの塩化アンモニウムの溶液により希釈する。その混合物をさらに、37gの水酸化アンモニウムの25%溶液及び185gの酢酸エチルにより希釈し、そして開口されたフラスコにおいて攪拌下に一晩、放置する。相を分離し、そして上部(有機)相を蒸発し、油状残渣を得、これを500gのジクロロメタンに溶解し、そして370gの水により洗浄する。相を分離し、そして下部(有機)相を蒸発し、油状残渣を得る。得られるCp9342の重量は36.5gである。
【0256】
例10:Cp9342からのCp9354の調製(図7に示される):
494gのメタノール中、61.7gのCp9342に、48%臭酸123.4gを添加し、そしてその混合物を60℃で0.8時間、加熱する。その混合物を5℃にゆっくりと冷却し、そしてCp9354の結晶により播種する。1時間後、その懸濁液を濾過し、そして結晶を、100gのメタノール及び30gの水の冷混合物によりすすぐ。60℃で真空下で一定重量に乾燥した後、46gのCp9354を得る。
【0257】
例11:Cp9360の調製:
1330gのジクロロメタン中、70.5gの4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールの溶液を、窒素下で冷却し、そして59gのトリエチルアミン、続いて54.5gのメタンスルホニルクロリドにより希釈する。その溶液を20℃で2時間、保持し、そして次に、1000gの水により希釈し、そして一晩、攪拌した。有機相の蒸発により、109gのCp9360を得た。
【0258】
例12:Cp9361、Cp9362及びCp9363を通してのCp9342からCp9304の調製(図8、及び図10の一部に示される):
29gのCp9342を、198gのトルエン及び99gのイソプロパノールにおいて、5.3g(1.25当量)のチオ尿素と共に80℃で加熱する。その反応混合物を、真空下で蒸発し、Cp9361である油状残渣を得、これを250gのジメチルアセトアミドにより希釈し、続いて13.7gのCp9360(例11において調製された)と組合し、そして22.3gの水酸化ナトリウム溶液(50%)により室温で1時間、処理し、Cp9363を得る。17−アセテート基の加水分解を、45gのメタノール中、5gの水酸化カリウムの溶液により室温で1時間、処理することにより行う。反応混合物を水により希釈し、そしてトルエン及び酢酸エチルの混合物(1:1)により抽出する。抽出物の蒸発により、36gの粗Cp9304を得る。
粗生成物を、トルエン/酢酸エチル(95:5)により抽出する。シリカゲル(290g)上でのクロマトグラフィー処理により精製し、21gの純粋なCp9304を得た。
【0259】
例13:Cp9342からのCp9304の調製(図10に示される):
40gのCp9360(例11に従って調製された)を、14.8gのチオ尿素及び345gのジメチルアセトアミドと共に80℃で16時間、加熱し、400gのCp9383の10%溶液を得た。
Cp9383の10%溶液90.7gに、76gのジメチルアセトアミド中、18.5gのCp9342の溶液を添加し、そしてその混合物を室温に冷却し、そして9gの水酸化ナトリウムの50%溶液により0.6時間、処理した。15gの酢酸による中和の後、その反応混合物を水中に注ぎ、そしてトルエンにより抽出した。有機相の蒸発により、30gのCp9363を得た。
【0260】
30gのCp9363を、185gのメタノールに窒素下で溶解し、そしてその溶液を、メタノール中、9.25gの水酸化カリウムの溶液により室温で4時間、処理した。13.9gの酢酸による中和の後、その混合物を真空下で蒸発し、次にジクロロメタンに溶解し、水により抽出し、そして蒸発し、粗Cp9304を得た。
粗生成物を、トルエン/酢酸エチル(95:5)による溶出する、シリカゲル上でのクロマトグラフィー処理により精製し、精製されたCp9304を得た。
【0261】
例14:Cp9354からのCp9304の調製−間接的工程(図9に示される):
100gのジメチルアセトアミド中、10gのCp9354及び1.91gのチオ尿素の混合物(Cp9388を得るための)を、80℃で16時間、加熱し、20/25℃に冷却し、そして5.3gのCp9360(例10におけるようにして調製された)、続いて5.05gの水酸ナトリウムの50%溶液により処理した。1時間後、反応混合物を7.5gの酢酸により中和し、水により希釈し、そしてトルエン/酢酸エチル(1:1)により抽出した。真空下での有機相の蒸発により、Cp9304の油状残渣を得た。
粗生成物を、トルエン/酢酸エチル(95:5)により溶出する、シリカゲル上でのクロマトグラフィー処理により精製し、精製されたCp9304を得た。
【0262】
例15:Cp9354からのCp9304の調製−直接的工程(図11に示される):
100gのジエンチルアセトアミド中、20.5gのCp9354の溶液に、Cp9383(例10に従ってCp9382から調製された)の10%溶液109g、続いて水酸化ナトリウムの50%溶液10.3gを添加した。1時間後、反応混合物を、15gの酢酸により中和し、水により希釈し、そしてトルエン/酢酸エチル(1:1)により抽出した。真空下での有機相の蒸発により、30gのCp9304を得た。粗生成物を、トルエン/酢酸エチル(95:5)により溶出する、シリカゲル(250g)上でのクロマトグラフィー処理により精製し、25.3gの純粋なCp9304を得た。
【0263】
例16:Cp9363からのフルベストラント(Cp9305)の調製−間接的工程(図12に示される):
320gのテトラヒドロフラン及び81gのメタノール中、40.5gのCp9363の溶液を、5℃に冷却し、そして183gの水中、27gの過ヨウ酸ナトリウム(メタ)の温溶液により処理した。前記混合物を室温で一晩、放置し、真空下で濃縮し、そして次に、ジクロロメタンに溶解し、水により抽出し、そして蒸発し、40gのCp9368(フルベストラント17−アセテート)を得た。
【0264】
Cp9368(40g)の油状残渣を、320gのメタノールに窒素下で溶解し、そして128gのメタノール中、20gの水酸化カリウムの溶液により室温で3時間、処理した。30gの酢酸による中和の後、反応混合物を真空下で濃縮し、そして次に、ジクロロメタンに溶解し、水により抽出し、そして蒸発した。油状残渣を、400gのトルエンから結晶化し、次に真空下で一定の重量に乾燥した。26.6gのフルベストラントを得た。
【0265】
例17:Cp9304からのフルベストラント(Cp9305)の調製−直接的工程(図9に示される):
328gのテトラヒドロフラン及び82gのメタノール中、41gのCp9304の溶液を、5℃に冷却し、そして185gの水中、27gの過ヨウ酸ナトリウム(メタ)の温溶液により処理した。前記混合物を室温で一晩、放置し、真空下で濃縮し、そして次に、ジクロロメタンに溶解し、水により抽出し、蒸発し、そしてトルエンから結晶化し、28gのCp9305(フルベストラント)を得た。さらなる精製を、酢酸エチルからの再結晶化によりもたらすことができる。
【0266】
本発明は、本発明の少数の観点の例として意図される例に開示される特定の態様により本発明の範囲を制限されるものではなく、そして機能的に同等であるいずれかの態様は、本発明の範囲内である。実際、本明細書に示され、そして記載されるそれらの修飾の他に、本発明の種々の修飾は、本発明の範囲内である。
多くの文献が引用されており、それらの開示は、引用により本明細書に組込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0267】
【図1】図1は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【図2】図2は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【図3】図3は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【図4】図4は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【図5】図5は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【0268】
【図6】図6は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【図7】図7は、本発明の方法に従って、フルベストラントの調製において有用な中間体の製造方法を図示する。
【図8】図8は、本発明の方法に従ってフルベストラントの製造方法を図示する。
【図9】図9は、本発明の方法に従ってフルベストラントの製造方法を図示する。
【図10】図10は、本発明の方法に従ってフルベストラントの製造方法を図示する。
【図11】図11は、本発明の方法に従ってフルベストラントの製造方法を図示する。
【図12】図12は、本発明の方法に従ってフルベストラントの製造方法を図示する。
【図13】図13は、本発明の方法に従ってフルベストラントの製造方法を図示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、Br, Cl, I、イソチオウロニウムの遊離塩基形もしくは塩形、又はSHから成る群から選択され;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物。
【請求項2】
nが9であり、R1がBrであり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がヒドロキシであり、そしてR5がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nが9であり、R1がBrであり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項4】
nが9であり、R1がイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項5】
nが9であり、R1がイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がヒドロキシであり、そしてR5がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項6】
nが9であり、R1がSHであり、R2、R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項7】
nが9であり、R1がSHであり、R2、R3及びR6が水素であり、R4がヒドロキシであり、そしてR5がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項8】
下記式:
【化2】
で表わされる化合物。
【請求項9】
下記式(II):
【化3】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、O又はSのいずれかであり;
R1は、C1-10ハロアルキル又はヒドロキシ保護基であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法であって、
c)下記式(III ):
【化4】
[式中、R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる19−ノル−アンドロサ−4,6−ジエン−3−オンと、エーテル性溶媒とを一緒にして、溶液を得:
d)前記溶液を、約−60℃〜約30℃の温度に冷却し;
e)エーテル性溶媒中、下記式(IV):
【化5】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、O又はSのいずれかであり;
R1は、C1-10ハロアルキル又はヒドロキシ保護基であり;
zは、式R7Mの金属ハロゲン化物であり、ここでMは金属原子であり、そしてR7はハロゲン原子である]
で表わされる化合物の溶液を、前記段階b)の溶液に滴下して、反応混合物を得;
f)前記反応混合物を反応停止(quench)し;そして
g)式(II)の化合物を回収する;
ことを含んで成る方法。
【請求項10】
nが9であり、XがOであり、R1がtert−ブチル−ジメチルシリル(TBDMS)であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項9記載の方法。
【請求項11】
nが5であり、XがOであり、R1がTBDMSであり、R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項9記載の方法。
【請求項12】
nが9であり、XがSであり、R1が-(CH2)3CF2CF3であり、R2、R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項9記載の方法。
【請求項13】
Mが、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、銅−リチウム及びチタンから成る群から選択された金属原子である請求項9記載の方法。
【請求項14】
Mがマグネシウムである請求項13記載の方法。
【請求項15】
R7が、Cl, Br及びIから成る群から選択される請求項9記載の方法。
【請求項16】
R7がBrである請求項15記載の方法。
【請求項17】
銅触媒が、段階a)において、式(III )の19−ノル−アンドロスタ−4,6−ジエン−3−オン及びエーテル性溶媒と組合される請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記銅触媒が、Cu(I)Y(Yは、Cl, Br又はIである)の形で存在する請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記銅触媒が、Cu(I)Clである請求項18記載の方法。
【請求項20】
段階e)で得られた式(II)の化合物が、約2.5:1〜約12.1:1の比の7α−エピマー:7β−エピマーを有する請求項9記載の方法。
【請求項21】
段階e)で得られた式(II)の化合物が約12.1:1の比の7α−エピマー:7β−エピマーを有する請求項20記載の方法。
【請求項22】
段階a)におけるエーテル性溶媒が、ジエチルエーテル、THF及びグリム(glyme)から成る群から選択される請求項9記載の方法。
【請求項23】
前記エーテル性溶媒が、THFである請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記段階b)の溶液が、約-20℃〜約-10℃の温度に冷却される請求項9記載の方法。
【請求項25】
前記段階d)における反応混合物が、NH4Cl, HCl, 水、酢酸、及びNH4ClとNH4OHとの混合物から成る群から選択された試薬の1つにより反応停止される請求項9記載の方法。
【請求項26】
前記反応混合物が酢酸により反応停止される請求項25記載の方法。
【請求項27】
段階e)で得られる式(II)の化合物を、フルベストラント(fulvestrant)に転換することをさらに含んで成る請求項9記載の方法。
【請求項28】
下記式(V):
【化6】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法であって、
下記式(II):
【化7】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、Oであり;
R1は、ヒドロキシ保護基であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、式(V)の化合物への転換のために十分な時間、一緒にすることを含んで成る方法。
【請求項29】
nが9であり、R1がtert−ブチル−ジメチルシリル(TBDMS)であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記式(II)の化合物が、約10〜約12℃の温度でアセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物と組合される請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る請求項28記載の方法。
【請求項32】
下記式(VI):
【化8】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法であって、
式(VI)[R4がC1-6アシルオキシである]で表わされる化合物と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で一緒にすることを含んで成る方法。
【請求項33】
R2, R3及びR6が水素であり、そしてR5がメチルである請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記鉱酸がHBrである請求項32記載の方法。
【請求項35】
前記温度が約60℃である請求項32記載の方法。
【請求項36】
前記得られる生物をフルベストラント(fulvestrant)に転換することをさらに含んで成る請求項32記載の方法。
【請求項37】
下記式(I):
【化9】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、イソチオウロニウムの遊離塩基形又は塩形であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の生成方法であって、
下記式(VI):
【化10】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖のC1-4アルコール、C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを一緒にし;そして式(I)の化合物を回収する;
ことを含んで成る方法。
【請求項38】
nが9であり、R1がイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項37記載の方法。
【請求項39】
nが9であり、R1がイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がヒドロキシであり、そしてR5がメチルである請求項37記載の方法。
【請求項40】
前記溶媒が、トルエン、キシレン、ベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項37記載の方法。
【請求項41】
前記溶媒が、トルエン及びイソプロパノール又はジメチルアセトアミドの混合物である請求項37記載の方法。
【請求項42】
前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る請求項38又は39記載の方法。
【請求項43】
下記式(VII ):
【化11】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法であって、
下記式(I):
【化12】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、イソチオウロニウムの遊離塩基形又は塩形であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、塩基とを、周囲温度で非極性プロトン性有機溶媒の存在下で一緒にすることを含んで成る方法。
【請求項44】
nが9であり、R1がイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項43記載の方法。
【請求項45】
nが9であり、R1がイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がヒドロキシであり、そしてR5がメチルである請求項43記載の方法。
【請求項46】
前記塩基が、アルカリ金属塩基である請求項43記載の方法。
【請求項47】
前記塩基が、NaOHである請求項43記載の方法。
【請求項48】
前記非プロトン性極性有機培養が、ジメチルアセトアミド又はアセトニトリルである請求項43記載の方法。
【請求項49】
前記非プロトン性極性有機溶媒が、ジメチルアセトアミドである請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る請求項44又は45記載の方法。
【請求項51】
下記式(I):
【化13】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、-S-(CH2)3CF2CF3であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法であって、
下記式(VII ):
【化14】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを周囲温度で一緒にし;その得られる反応物と塩基とを、有機溶媒の存在下で組合し;そして式(I)の化合物を回収することを含んで成る方法。
【請求項52】
nが9であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項51記載の方法。
【請求項53】
nが9であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項51記載の方法。
【請求項54】
前記塩基が、アルカリ金属塩基である請求項51記載の方法。
【請求項55】
前記塩基が、KOHである請求項51記載の方法。
【請求項56】
前記有機溶媒が、C1-6アルコールである請求項51記載の方法。
【請求項57】
前記有機溶媒が、メタノールである請求項51記載の方法。
【請求項58】
前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る請求項52又は53記載の方法。
【請求項59】
フルベストラントの調製方法であって、
a)下記式9294:
【化15】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを一緒にし、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【化16】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化17】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【化18】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【化19】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で組合せ、下記式9354:
【化20】
で表わされる化合物を得;
h)化合物9354と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合せ、下記式9388:
【化21】
で表わされる化合物を供給し、そして化合物9388を回収し;
i)化合物9388と、塩基とを周囲温度で組合せ、下記式9389:
【化22】
で表わされる化合物を得;
j)化合物9839と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを、周囲温度で組合し、第2の反応混合物を供給し、そして次に、その第2反応混合物と塩基とを組合せ、下記第9304:
【化23】
で表わされる化合物を得;そして
k)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る方法。
【請求項60】
フルベストラントの調製方法であって、
a)下記式9294:
【化24】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを一緒にして、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【化25】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化26】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【化27】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【化28】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、第9383:HS(CH2)3CF2CF3 (9383)とを組合せ、下記式9363:
【化29】
で表わされる化合物を供給し;
h)化合物9363及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを、周囲温度で組合せ、下記式9304:
【化30】
で表わされる化合物を得;そして
i)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る方法。
【請求項61】
フルベストラントの調製方法であって、
a)下記式9294:
【化31】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せ、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【化32】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化33】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【化34】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【化35】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合せ、下記式9361:
【化36】
で表わされる化合物を供給し、そして化合物9361を回収し;
h)化合物9361と、塩基とを周囲温度で組合せ、下記式9362:
【化37】
で表わされる化合物を得;
i)化合物9362と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを、周囲温度で組合せ、第2の反応混合物を供給し、そして次に、その第2反応混合物と塩基とを組合し、下記第9363:
【化38】
で表わされる化合物を得;
j)化合物9363及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを周囲温度で組合せ、下記式:9304:
【化39】
で表わされる化合物を得:そして
h)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る方法。
【請求項62】
フルベストラントの調製方法であって、
a)下記式9363:
【化40】
で表わされる化合物と、C1-4アルコール及びエーテル性溶媒、及び酸化剤の水溶液とを、約5℃で約12時間、反応せしめ、下記式9368:
【化41】
で表わされる化合物を供給し;そして
b)化合物9368及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを組合し、フルベスタントを得ることを含んで成る方法。
【請求項1】
下記式(I):
【化1】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、Br, Cl, I、イソチオウロニウムの遊離塩基形もしくは塩形、又はSHから成る群から選択され;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物。
【請求項2】
nが9であり、R1がBrであり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がヒドロキシであり、そしてR5がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nが9であり、R1がBrであり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項4】
nが9であり、R1がイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項5】
nが9であり、R1がイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がヒドロキシであり、そしてR5がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項6】
nが9であり、R1がSHであり、R2、R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項7】
nが9であり、R1がSHであり、R2、R3及びR6が水素であり、R4がヒドロキシであり、そしてR5がメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項8】
下記式:
【化2】
で表わされる化合物。
【請求項9】
下記式(II):
【化3】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、O又はSのいずれかであり;
R1は、C1-10ハロアルキル又はヒドロキシ保護基であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法であって、
c)下記式(III ):
【化4】
[式中、R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる19−ノル−アンドロサ−4,6−ジエン−3−オンと、エーテル性溶媒とを一緒にして、溶液を得:
d)前記溶液を、約−60℃〜約30℃の温度に冷却し;
e)エーテル性溶媒中、下記式(IV):
【化5】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、O又はSのいずれかであり;
R1は、C1-10ハロアルキル又はヒドロキシ保護基であり;
zは、式R7Mの金属ハロゲン化物であり、ここでMは金属原子であり、そしてR7はハロゲン原子である]
で表わされる化合物の溶液を、前記段階b)の溶液に滴下して、反応混合物を得;
f)前記反応混合物を反応停止(quench)し;そして
g)式(II)の化合物を回収する;
ことを含んで成る方法。
【請求項10】
nが9であり、XがOであり、R1がtert−ブチル−ジメチルシリル(TBDMS)であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項9記載の方法。
【請求項11】
nが5であり、XがOであり、R1がTBDMSであり、R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項9記載の方法。
【請求項12】
nが9であり、XがSであり、R1が-(CH2)3CF2CF3であり、R2、R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項9記載の方法。
【請求項13】
Mが、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、銅−リチウム及びチタンから成る群から選択された金属原子である請求項9記載の方法。
【請求項14】
Mがマグネシウムである請求項13記載の方法。
【請求項15】
R7が、Cl, Br及びIから成る群から選択される請求項9記載の方法。
【請求項16】
R7がBrである請求項15記載の方法。
【請求項17】
銅触媒が、段階a)において、式(III )の19−ノル−アンドロスタ−4,6−ジエン−3−オン及びエーテル性溶媒と組合される請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記銅触媒が、Cu(I)Y(Yは、Cl, Br又はIである)の形で存在する請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記銅触媒が、Cu(I)Clである請求項18記載の方法。
【請求項20】
段階e)で得られた式(II)の化合物が、約2.5:1〜約12.1:1の比の7α−エピマー:7β−エピマーを有する請求項9記載の方法。
【請求項21】
段階e)で得られた式(II)の化合物が約12.1:1の比の7α−エピマー:7β−エピマーを有する請求項20記載の方法。
【請求項22】
段階a)におけるエーテル性溶媒が、ジエチルエーテル、THF及びグリム(glyme)から成る群から選択される請求項9記載の方法。
【請求項23】
前記エーテル性溶媒が、THFである請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記段階b)の溶液が、約-20℃〜約-10℃の温度に冷却される請求項9記載の方法。
【請求項25】
前記段階d)における反応混合物が、NH4Cl, HCl, 水、酢酸、及びNH4ClとNH4OHとの混合物から成る群から選択された試薬の1つにより反応停止される請求項9記載の方法。
【請求項26】
前記反応混合物が酢酸により反応停止される請求項25記載の方法。
【請求項27】
段階e)で得られる式(II)の化合物を、フルベストラント(fulvestrant)に転換することをさらに含んで成る請求項9記載の方法。
【請求項28】
下記式(V):
【化6】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法であって、
下記式(II):
【化7】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
Xは、Oであり;
R1は、ヒドロキシ保護基であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、C1-6アシルオキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、式(V)の化合物への転換のために十分な時間、一緒にすることを含んで成る方法。
【請求項29】
nが9であり、R1がtert−ブチル−ジメチルシリル(TBDMS)であり、R2、 R3及びR6は水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記式(II)の化合物が、約10〜約12℃の温度でアセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物と組合される請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る請求項28記載の方法。
【請求項32】
下記式(VI):
【化8】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシであり;
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法であって、
式(VI)[R4がC1-6アシルオキシである]で表わされる化合物と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で一緒にすることを含んで成る方法。
【請求項33】
R2, R3及びR6が水素であり、そしてR5がメチルである請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記鉱酸がHBrである請求項32記載の方法。
【請求項35】
前記温度が約60℃である請求項32記載の方法。
【請求項36】
前記得られる生物をフルベストラント(fulvestrant)に転換することをさらに含んで成る請求項32記載の方法。
【請求項37】
下記式(I):
【化9】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、イソチオウロニウムの遊離塩基形又は塩形であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の生成方法であって、
下記式(VI):
【化10】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖のC1-4アルコール、C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを一緒にし;そして式(I)の化合物を回収する;
ことを含んで成る方法。
【請求項38】
nが9であり、R1がイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項37記載の方法。
【請求項39】
nが9であり、R1がイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がヒドロキシであり、そしてR5がメチルである請求項37記載の方法。
【請求項40】
前記溶媒が、トルエン、キシレン、ベンゼン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項37記載の方法。
【請求項41】
前記溶媒が、トルエン及びイソプロパノール又はジメチルアセトアミドの混合物である請求項37記載の方法。
【請求項42】
前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る請求項38又は39記載の方法。
【請求項43】
下記式(VII ):
【化11】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法であって、
下記式(I):
【化12】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、イソチオウロニウムの遊離塩基形又は塩形であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、塩基とを、周囲温度で非極性プロトン性有機溶媒の存在下で一緒にすることを含んで成る方法。
【請求項44】
nが9であり、R1がイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項43記載の方法。
【請求項45】
nが9であり、R1がイソチオウロニウムの臭化水素塩であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がヒドロキシであり、そしてR5がメチルである請求項43記載の方法。
【請求項46】
前記塩基が、アルカリ金属塩基である請求項43記載の方法。
【請求項47】
前記塩基が、NaOHである請求項43記載の方法。
【請求項48】
前記非プロトン性極性有機培養が、ジメチルアセトアミド又はアセトニトリルである請求項43記載の方法。
【請求項49】
前記非プロトン性極性有機溶媒が、ジメチルアセトアミドである請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る請求項44又は45記載の方法。
【請求項51】
下記式(I):
【化13】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R1は、-S-(CH2)3CF2CF3であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物の調製方法であって、
下記式(VII ):
【化14】
[式中、nは、3〜14の範囲の整数であり;
R2は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、又はC2-6アルキニルのいずれかであり;
R4は、ヒドロキシ、又はC1-6アシルオキシのいずれかであり、
R5は、C1-6アルキルであり;そして
R6は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシ、又はハロのいずれかである]
で表わされる化合物と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを周囲温度で一緒にし;その得られる反応物と塩基とを、有機溶媒の存在下で組合し;そして式(I)の化合物を回収することを含んで成る方法。
【請求項52】
nが9であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項51記載の方法。
【請求項53】
nが9であり、R2、 R3及びR6が水素であり、R4がアセチルオキシであり、そしてR5がメチルである請求項51記載の方法。
【請求項54】
前記塩基が、アルカリ金属塩基である請求項51記載の方法。
【請求項55】
前記塩基が、KOHである請求項51記載の方法。
【請求項56】
前記有機溶媒が、C1-6アルコールである請求項51記載の方法。
【請求項57】
前記有機溶媒が、メタノールである請求項51記載の方法。
【請求項58】
前記得られる生物をフルベストラントに転換することをさらに含んで成る請求項52又は53記載の方法。
【請求項59】
フルベストラントの調製方法であって、
a)下記式9294:
【化15】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを一緒にし、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【化16】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化17】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【化18】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【化19】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6アルコール及び鉱酸とを、約50〜約70℃の温度で組合せ、下記式9354:
【化20】
で表わされる化合物を得;
h)化合物9354と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合せ、下記式9388:
【化21】
で表わされる化合物を供給し、そして化合物9388を回収し;
i)化合物9388と、塩基とを周囲温度で組合せ、下記式9389:
【化22】
で表わされる化合物を得;
j)化合物9839と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを、周囲温度で組合し、第2の反応混合物を供給し、そして次に、その第2反応混合物と塩基とを組合せ、下記第9304:
【化23】
で表わされる化合物を得;そして
k)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る方法。
【請求項60】
フルベストラントの調製方法であって、
a)下記式9294:
【化24】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを一緒にして、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【化25】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化26】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【化27】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【化28】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、第9383:HS(CH2)3CF2CF3 (9383)とを組合せ、下記式9363:
【化29】
で表わされる化合物を供給し;
h)化合物9363及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを、周囲温度で組合せ、下記式9304:
【化30】
で表わされる化合物を得;そして
i)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る方法。
【請求項61】
フルベストラントの調製方法であって、
a)下記式9294:
【化31】
で表わされる化合物と、エーテル性溶媒とを組合せ、溶液を得;
b)エーテル性溶媒中、下記式9318:
【化32】
で表わされる化合物の溶液を、段階a)の溶液に滴下し、下記式9295:
【化33】
で表わされる化合物を含んで成る第1の反応混合物を得;
c)前記第1の反応混合物を反応停止し;
d)化合物9295を回収し;
e)化合物9295と、アセトニトリル及びトリフェニルホスフィン二臭化物とを、化合物9295を、下記式9341:
【化34】
で表わされる化合物に転換するのに十分な時間、組合せ;
f)化合物9341と、臭化リチウム及び臭化銅の混合物とを、アセトニトリル下で反応せしめることにより、化合物9341のA環を芳香族化し、下記式9342:
【化35】
で表わされる化合物を得;
g)化合物9342と、C1-6芳香族炭化水素、直鎖又は枝分れ鎖C1-4アルキルアミド及びそれらの混合物から選択された溶媒、及びチオ尿素とを組合せ、下記式9361:
【化36】
で表わされる化合物を供給し、そして化合物9361を回収し;
h)化合物9361と、塩基とを周囲温度で組合せ、下記式9362:
【化37】
で表わされる化合物を得;
i)化合物9362と、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−オールメシレートとを、周囲温度で組合せ、第2の反応混合物を供給し、そして次に、その第2反応混合物と塩基とを組合し、下記第9363:
【化38】
で表わされる化合物を得;
j)化合物9363及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを周囲温度で組合せ、下記式:9304:
【化39】
で表わされる化合物を得:そして
h)化合物9304、及びC1-4アルコール及びエーテル性溶媒の混合物と、酸化剤の水溶液とを、約5℃の温度で約12時間、組合せ、フルベスタントを供給することを含んで成る方法。
【請求項62】
フルベストラントの調製方法であって、
a)下記式9363:
【化40】
で表わされる化合物と、C1-4アルコール及びエーテル性溶媒、及び酸化剤の水溶液とを、約5℃で約12時間、反応せしめ、下記式9368:
【化41】
で表わされる化合物を供給し;そして
b)化合物9368及びC1-4アルコールと、アルカリ塩基とを組合し、フルベスタントを得ることを含んで成る方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−506805(P2007−506805A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534484(P2006−534484)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/026715
【国際公開番号】WO2006/015081
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(505216117)シコール インコーポレイティド (35)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/026715
【国際公開番号】WO2006/015081
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(505216117)シコール インコーポレイティド (35)
【Fターム(参考)】
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