説明

7−アミノアルキリデニル−複素環式キノロンおよびナフチリドン

【課題】耐性菌に対して有効な幅広いスペクトルを示す新規抗菌物質の提供。
【解決手段】次式I


[式中、Rは、水素、ヒドロキシおよびアルコキシから選択され、Rは、水素であり、RおよびRは、独立して、水素、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ等からせんたくされ、Rは、水素、ハロゲン、アルキル等を表し、Rは、独立して、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ等を表す]で表される化合物、またはこれの光学異性体、ジアステレオマーまたは鏡像異性体、薬学的に受け入れられる塩、水化物またはプロドラッグ。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2003年9月22日付けで出願した仮出願出願番号60/504,924(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の特典を35 U.S.C.§119(e)の下で請求するものである。
【技術分野】
【0002】
本主題発明は新規な抗菌性化合物、それらの組成物およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
抗菌性がある、即ち微生物、例えば細菌などを死滅させるか或はそれらの増殖または繁殖を抑制し得ると述べられている化合物が化学文献および医学文献に記述されている。そのような抗菌物質が例えば非特許文献1、2、3、4および5に記述されている。
【0004】
そのような抗菌物質が示す作用の機構は多様である。しかしながら、それらは1種以上の様式、即ち細胞壁の合成もしくは修復を抑制するか、細胞壁の透過性を変化させるか、蛋白質合成を抑制するか、或は核酸の合成を抑制することで機能すると一般に考えられている。例えばベータ−ラクタム抗菌物質は細菌の中で起こる絶対必要なペニシリン結合蛋白質(PBP)(これは細胞壁合成に関与している)を阻害することで作用する。別の例として、キノロンは、少なくともある程度ではあるがDNAの合成を抑制して細胞の複製を妨害することで作用する。
【0005】
抗菌物質が示す薬理学的特徴およびそれらが所定の臨床使用に適するか否かは多様である。例えば、抗菌物質の種類(およびある種類の中の員)は、1)いろいろな種類の微生物に対して示す相対的効力、2)微生物耐性の発生をもたらし易いこと、および3)薬理学的特徴、例えば生体利用性および生体内分布などの点で多様であり得る。従って、所定の臨床状況に適切な抗菌物質を選択するにはいろいろな要因を分析する必要があり、そのような要因には、関与する有機体の種類、望まれる投与方法、治療すべき感染の場所および他の考慮が含まれる。
【0006】
しかしながら、改良された抗菌物質を製造しようとするそのような試みによってもたらされた結果の多くは曖昧である。実際、製造された抗菌物質の中で抗菌活性のスペクトル、微生物耐性の回避および薬理学の点で臨床的に真に受け入れられる抗菌物質は僅かである。従って、耐性菌に対して有効な幅広いスペクトルを示す抗菌物質が継続して求められている。
【0007】
抗菌活性を有する1,4−ジヒドロキノロン、ナフチリジンまたは関連複素環式部分が本技術分野でいくつか知られておりかつ下記の引用文献に記述されている:非特許文献6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、特許文献1、非特許文献16、17、18、特許文献2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35。
【0008】
一連のジヒドロキノロン、ナフチリジンおよび関連複素環式抗菌物質が特許文献36に記述されている。特に、式
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、RおよびR8’は、水素、アルキル、置換アルキル、アルキルアミノまたはアラルキルであり、Rは、水素、アルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アラルキルまたはトリハロアルキルであり、そしてXは、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミノまたは置換アミノである]
で表される化合物の開示に興味が持たれる。
【0011】

【0012】
【化2】

【0013】
[式中、WはC1−3アルキリデンであり、そしてRおよびRは水素またはアルキルである]
で表される1,4−ジヒドロキノロンおよびナフチリジン抗菌物質が特許文献11に開示されている。
【0014】
−ピペリジニル、C−アゼチジニルまたはC−ピロリジニル置換基を有するキノロン抗菌物質が特許文献5および1に開示されており、それらは式
【0015】
【化3】

【0016】
で表される。特に、Rがアミノ、アミノアルキルまたは置換アミノアルキルでありそし
てRが水素、C−Cアルカニル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C縮合もしくはスピロ環状アルキル環から選択される化合物に興味が持たれる。キノロンカルボン酸の7位に置換ピペリジンを有する化合物の場合のとりわけ好適な置換基は3−アミノ−4−メチル、3−アミノ−4,4−ジメチル、3−アミノ−4−スピロシクロプロピル、3−アミノ−6−シクロプロピル、3−アミノメチル、4−アミノメチルおよび3−メチルアミノである。キノロンカルボン酸核の7位に置換ピロリジンを有する化合物の場合の好適な置換基には、3−(1−アミノエチル)、3−アミノメチル、4−(1−アミノエチル)−2,2−ジメチルおよび2−アミノメチルが含まれる。キノロンカルボン酸の7位にアゼチジン置換基を有する化合物では、置換基である3−アミノ、3−アミノメチルおよび3−(1−アミノ−1−メチル)エチルを有する化合物が好適な例に含まれる。
【0017】
特許文献37に式
【0018】
【化4】

【0019】
[式中、Bは、−CH−、−(CHまたは−(CH−であり、Rは、水素、C−Cアルキル、ヒドロキシまたはC−Cアルコキシであり、Wは、ヒドロキシ、C−Cアルコキシまたは式RN−(CH−(ここで、nは0または1であり、そしてRおよびRは、同一もしくは異なり、各々、水素原子、C−Cアルキル基またはアラルキル基を表す)で表される基であり、そしてmは1または2であり、各記号は特許文献37の明細書の中に定義されている通りである]
で表される化合物が開示されている。キノロンカルボン酸の7位にピペリジン置換基が存在する場合、置換基である4−アミノ−3−メチル、4−メチルアミノ−3−メチル、4−ヒドロキシ−3−メチルを有する化合物がそれの好適な例に含まれる。
【0020】

【0021】
【化5】

【0022】
[式中、R21、R22およびR23は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アミノ、C−Cアルキル、C−CアルコキシまたはアミノC−Cアルキルであるが、それらの2個が互いに一緒になってスピロ環を形成していてもよく、そしてnは1または2である]
で表される抗ウイルス性化合物が特許文献38に開示されている。
【0023】

【0024】
【化6】

【0025】
[式中、RおよびRは、同一もしくは異なってもよく、各々、水素原子または低級アルキルを表し、mは0または1であり、n’は1または2であり、n”は1、2、3または4であり、そしてR8は水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ基または低級アルコキシ基である]
で表される抗ウイルス性化合物が特許文献39に開示されている。
【0026】

【0027】
【化7】

【0028】
[式中、Zはアミノ基であり、Rは水素、(場合によりヒドロキシル化されてもよい低級アルキル)基、カルボン酸、アルキル炭酸またはアリールスルホン酸に由来するアシル基、またはアリールアミノカルボニル基であり、Rは酸素原子であり、そしてnは0または1である]
で表される化合物が特許文献40に開示されている。
【0029】
抗生物質治療薬に耐性のある細菌の感染の例が過去に報告されていて、それが現在では先進国世界の公衆衛生にとって大きな脅威になっている。医科学では微生物耐性の発生(恐らくは抗菌物質を長期間に渡って極度に用いた結果としてもたらされる)の関心が増大している。「耐性」は、所定の抗菌物質の作用にあまり敏感でない有機体がある集団の所定微生物種の中に存在するとして定義可能である。特に感染率が相対的に高くかつ抗菌物質の極度の使用が一般的である環境、例えば病院および養護施設などでそのような耐性に関心が持たれている。例えば、非特許文献19を参照のこと。
【0030】
病原性細菌は数種の異なる機構を通して耐性を取得することが知られており、そのような機構には、細菌の酵素が抗生物質を不活性にすること(例えばβ−ラクタマーゼはペニシリンおよびセファロスポリンの加水分解をもたらす)、排出ポンプを利用して抗生物質を除去すること、変異および遺伝子組換えによって抗生物質の標的を変えること[例えばネイセリア・ゴノロエアエ(Neiserria gonorrhoeae)におけるペニシリン耐性)、および耐性標的を作り出す外部源から容易に転移可能な遺伝子を取得すること(例えば黄色ブドウ球菌におけるメチシリン耐性)が含まれる。実質的にあらゆる市販抗生物質に耐性のある特定のグラム陽性病原菌、例えばバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)などが存在する。
【0031】
従って、現存の抗菌物質が耐性の脅威に打ち勝つ能力は限られている。このように、耐性菌に対して使用可能な新規な抗菌物質を提供することができれば、これは有益である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】米国特許第6329391号
【特許文献2】日本特開06263754
【特許文献3】ヨーロッパ特許公開487030
【特許文献4】国際特許公開WO 0248138
【特許文献5】国際特許公開WO 9914214
【特許文献6】米国特許公開2002/0049192
【特許文献7】国際特許公開WO 02085886
【特許文献8】ヨーロッパ特許公開572259
【特許文献9】国際特許公開WO 0136408
【特許文献10】米国特許第5677456号
【特許文献11】ヨーロッパ特許公開362759
【特許文献12】米国特許第5688791号
【特許文献13】米国特許第4894458号
【特許文献14】ヨーロッパ特許公開677522
【特許文献15】米国特許第4822801号
【特許文献16】米国特許第5256662号
【特許文献17】米国特許第5017581号
【特許文献18】ヨーロッパ特許公開304087
【特許文献19】国際特許公開WO 0136408
【特許文献20】国際特許公開WO 02085886
【特許文献21】日本特開01090184
【特許文献22】国際特許公開WO 9209579
【特許文献23】国際特許公開WO 0185728
【特許文献24】ヨーロッパ特許公開343524
【特許文献25】日本特開10130241
【特許文献26】ヨーロッパ特許公開413455
【特許文献27】国際特許公開WO 0209758
【特許文献28】国際特許公開WO 0350107
【特許文献29】国際特許公開WO 9415933
【特許文献30】国際特許公開WO 9222550
【特許文献31】日本特開 07300472
【特許文献32】国際特許公開WO 0314108
【特許文献33】国際特許公開WO 0071541
【特許文献34】国際特許公開WO 0031062
【特許文献35】米国特許第5869670号
【特許文献36】WO 03050107
【特許文献37】ヨーロッパ特許公開241206A2
【特許文献38】ヨーロッパ特許公開0394553B1
【特許文献39】ヨーロッパ特許公開0572259A1
【特許文献40】国際特許公開WO9324479
【非特許文献】
【0033】
【非特許文献1】Antibiotics,Chemotherapeutics,and Antibacterial Agents for Disease Control(M.Greyson、編集者、1982)、
【非特許文献2】E.Gale他、The Molecular Basis of Antibiotic Action、第2版(1981)
【非特許文献3】Recent Research Developments in Antimicrobial Agents & Chemotherapy(S.G.Pandalai、編集者、2001)
【非特許文献4】Quinolone Antimicrobial Agents(John S Wolfson、David C Hooper、編集者、1989)
【非特許文献5】F.O’Grady、H.P.Lambert、R.G.Finch、D.Greenwood、Martin Dedicoat、「Antibiotic and Chemotherapy」、第7版、(1997)
【非特許文献6】R.Albrecht、Prog.Drug Research、21巻、9頁(1977)
【非特許文献7】J.Wolfson他、「The Fluoroquinolones:Structures,Mechanisms of Action and Resistance,and Spectra of Activity In Vitro」、Antimicrob.Agents and Chemother.、28巻、581頁(1985)
【非特許文献8】G.Klopman他、Antimicrob.Agents and Chemother.、31巻、1831頁(1987)
【非特許文献9】M.P.Wentland他、Ann.Rep.Med.Chem.、20巻145頁(1986)
【非特許文献10】J.B.Cornett他、Ann.Rep.Med.Chem.、21巻、139頁(1986)
【非特許文献11】P.B.Fernandes他、Ann.Rep.Med.Chem.、22巻、117頁(1987)
【非特許文献12】A.Koga他、「Structure−Activity Relationships of Antibacterial 6,7−and 7,8−Disubstituted 1−alkyl−1,4−dihydro−4−oxoquinoline−3−carboxylic Acids」、J.Med.Chem.23巻、1358−1363頁(1980)
【非特許文献13】J.M.Domagala他、J.Med.Chem.、31巻、991頁(1988)
【非特許文献14】T.Rosen他、J.Med.Chem.、31巻、1598頁(1988)
【非特許文献15】B.Ledoussal他、「Non 6−Fluoro Substituted Quinolone Antibacterials:Structure and Activity」、J.Med.Chem.、35巻、198−200頁(1992)
【非特許文献16】A.M Emmerson他,“The quinolones:Decades of development and use”,J.Antimicrob. Chemother.,51巻,13−20頁(2003)
【非特許文献17】J.Ruiz,“Mechanisms of resistance to quinolones:target alterations,decreased accumulation and DNA gyrase protection”J.Antimicrob.Chemother.51巻,1109−1117頁(2003)
【非特許文献18】Y.Kuramoto他,“A Novel Antibacterial 8−Chloroquinolone with a Distorted Orientation of the N1−(5−Amino−2,4−difluorophenyl) Group”J.Med.Chem.46巻,1905−1917頁(2003)
【非特許文献19】W.Sanders,Jr.他、「Inducible Beta−lactamases:Clinical and Epidemilogic Implications for the Use of Newer Cephalosporins」、Review of Infectious Diseases、830頁(1988)
【発明の概要】
【0034】
発明の要約
本出願者らは、耐性菌に対して有効でありかつ従来技術よりも有意な活性利点を示す新規な一連のキノロンおよび関連化合物を見いだした。特に、本発明は、式(I)
【0035】
【化8】

【0036】
[式中、
nは、1から3の整数であり、
mは、1から3の整数であり、
zは、0から3の整数であり、
Rは、水素、ヒドロキシおよびアルコキシから選択され、
は、水素であり、
およびRは、独立して、水素、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキル、アルケニルおよびアルキニルから選択され、
は、水素、ハロゲン、アルキル、アリール、アルコキシおよびアルキルチオから選択され、
は、独立して、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシイミノおよびハロゲンから選択されるか、或はRとRが一緒になって4員から7員の炭素環状環を形成しており、ここで、前記環の各炭素原子は場合によりR12で置換されていてもよく、ここで、R12は、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ、
アルコキシイミノおよびヒドロキシイミノから成る群から選択され、
Eは、
1)
【0037】
【化9】

【0038】
ここで、
qは、1から3の整数であり、
およびRは、各々独立して、水素およびアルキルから選択されるか、或はRとRが一緒になって3から6員の炭素環状環を形成しているか、或はRまたはRのいずれかが独立してRまたはR10のいずれかと一緒になってRまたはR10が結合している窒素原子を含有する複素環式環を形成していてもよく、ここで、RおよびR10は、各々独立して、水素、アルキル、アシル、アルコキシカルボニルまたはスルホニルから選択されるか、或は、RとR10が一緒になってこれらが結合している窒素原子を含有する複素環式環を形成している、
2)
【0039】
【化10】

【0040】
ここで、
qは、この上で定義した通りであり、
およびRは、各々独立して、水素およびアルキルから選択されるか、或はRとRが一緒になって3から6員の炭素環状環を形成しており、そしてRは、水素、アルキル、アシル、アルコキシカルボニルまたはスルホニルから選択される、および
3)アルケニル、
から成る群から選択され、
Aは、NおよびC(R11)、ここで、R11は、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオおよびシアノから選択される、から選択され、
Xは、CおよびNから選択され、ここで、XがCの時にはaが二重結合でbが単結合であり、そしてXがNの時にはaが単結合でbが二重結合であり、そして
Yは、N(R)およびC(R)から選択されるが、但しYがN(R)の時にはXがCであり、そしてYがC(R)の時にはXがNであることを条件とし、ここで、Rは、C3からC6のシクロアルキル、C4からC6のヘテロシクロアルキル、アルキル、アルケン、6員のアリールおよび6員のヘテロアリールから選択されるが、但し
AがC(R11)であり、XがCでありそしてYがN(R)の時にはR11とRが一緒になって6員の複素環式環を形成していてもよいか、或は
AがC(R11)であり、XがCでありそしてYがN(R)の時にはRとRが一緒になって一環状もしくは二環状の複素環式環を形成していてもよいか、或は
AがC(R11)であり、XがCでありそしてYがN(R)の時にはRとRが一緒になって5員の複素環式環を形成していてもよい、
ことを条件とする]
に従う構造を有する化合物、またはこれの光学異性体、ジアステレオマーまたは鏡像異性体、薬学的に受け入れられる塩、水化物またはプロドラッグに関する。
【0041】
加うるに、また、本発明の化合物を出発材料として用いる方法も本発明に包含させる。
【0042】
本発明の化合物および本化合物を含有させた組成物は耐性菌に対して活性がある利点を有することで幅広い範囲の病原性微生物に対して有効な抗菌物質であることを見いだした。
【0043】
従って、本発明は、また、細菌感染によって引き起こされるか或はそれに起因する状態を有する被験体を治療する方法にも向けたものであり、この方法は、前記哺乳動物に式Iで表される化合物を治療的に有効な量で投与することを含んで成る。
【0044】
本発明は、更に、ある被験体が細菌感染によって引き起こされるか或はそれに起因する状態に苦しまないようにする方法にも向けたものであり、この方法は、前記被験体に式Iで表される化合物の薬剤組成物を予防的に有効な量で投与することを含んで成る。
【発明を実施するための形態】
【0045】
詳細な説明
本主題発明は式(I)
【0046】
【化11】

【0047】
[式中、a, b, n, m, z, R, R2, R3, R4, R5, R6, A, E, XおよびYは、この上に示した発明の要約の章で定義した通りである]
で表される化合物を提供するものである。
【0048】
この上で行った説明に関連して、特定の定義を下記の如く適用する。
【0049】
特に明記しない限り、本開示の全体に渡って用いる標準的命名法下で、表示する側鎖の末端部分を最初に記述した後に隣接する官能性を結合点に向かって記述する。
【0050】
特に明記しない限り、用語「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」を単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘わらず、それらに炭素原子数が1から8またはこの範囲内のいずれかの数である直鎖および分枝鎖を包含させる。用語「アルキル」は、直鎖もしくは分枝鎖炭化水素を指す。「アルケニル」は、炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する直鎖もしくは分枝鎖炭化水素を指す。「アルキニル」は、炭素−炭素三重結合を少なくとも1個有する直鎖もしくは分枝鎖炭化水素を指す。アルキル基には、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、3−(2−メチル)ブチル、2−ペンチル、2−メチ
ルブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシルおよび2−メチルペンチルが含まれる。「アルコキシ」基は、この上に記述した直鎖もしくは分枝鎖アルキル基から生じる酸素エーテルである。「シクロアルキル」基は環の炭素を3から8個、好適には環の炭素を5から7個含有する。そのようなアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル基およびアルコキシ基は、独立して、これらに限定するものでないが、ヒドロキシイミノ、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシ、オキソ、アルコキシイミノ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、CN、ニトロ、-OCOR13, -OR13, -SR13, -SOR13, -SO2R13, -COOR13, -NR13R14, -CONR13R14, -OCONR13R14, -NHCOR13, -NHCOOR13および-NHCONR13R14[ここで、R13およびR14は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、アラルキル、ヘテロアラルキルおよびヘテロシクロアルキルから選択されるか、或は、R14とR15が一緒になってこれらが結合している窒素原子を含有する複素環式環を形成していてもよい]を包含する群の一員で置換されていてもよい。
【0051】
本明細書で用いる如き用語「アシル」は、これを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘わらず、有機酸からヒドロキシル基が取り除かれることで生じた炭素原子数が2から6の有機基(分枝もしくは直鎖)を意味する。本明細書で用いる如き用語「Ac」は、これを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘わらず、アセチルを意味する。
【0052】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。(モノ−、ジ−、トリ−およびパー)ハロ−アルキルは、アルキル基が有する水素原子が独立してハロゲンに置き換わっていることで置換されたアルキル基である。
【0053】
「アリール」または「Ar」は、これを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘わらず、炭素環状芳香基であり、これには、これらに限定するものでないが、フェニル、1−もしくは2−ナフチルなどが含まれる。そのような炭素環状芳香基は、それが有する水素原子の中の1から3個が独立してアリール、ヘテロアリール、ハロゲン、OH、CN、メルカプト、ニトロ、アミノ、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキル−アミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、(モノ−、ジ−、トリ−およびパー)ハロ−アルキル、ホルミル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、C−C−アルキル−CO−O−、C−C−アルキル−CO−NH−またはカルボキサミドに置き換わっていることで置換されていてもよい。具体的なアリール基には、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、ベンジル、ベンゾイルオキシフェニル、カルボエトキシフェニル、アセチルフェニル、エトキシフェニル、フェノキシフェニル、ヒドロキシフェニル、カルボキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、メトキシエチルフェニル、アセトアミドフェニル、トリル、キシリル、ジメチルカルバミルフェニルなどが含まれる。「Ph」または「PH」はフェニルを表す。「Bz」はベンゾイルを表す。
【0054】
「ヘテロアリール」は、これを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘わらず、環の原子を5から10個有していてそれらの中の1個の環原子がS、OおよびNから選択され、0−2個の環原子がS、OおよびNから独立して選択される追加的ヘテロ原子でありそして残りの環原子が炭素である環状の完全不飽和基を指す。この基は環原子の中のいずれかを通して分子の残りと結合していてもよい。具体的なヘテロアリール基には、例えばピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサジアゾリル、チエニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソチアゾリル、N−オキソ−ピリジル、1,1−ジオキソチエニ
ル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル−N−オキサイド、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラニル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾジアジニル、ベンゾフラザニル、インダゾリル、インドリジニル、ベンゾフリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピロロピリジニル、フロピリジニル(例えばフロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,2−b]ピリジニルまたはフロ[2,3−b]ピリジニル)、イミダゾピリジニル(例えばイミダゾ[4,5−b]ピリジニルまたはイミダゾ[4,5−c]ピリジニル)、ナフチリジニル、フタラジニル、プリニル、ピリドピリジル、キナゾリニル、チエノフリル、チエノピリジルおよびチエノチエニルが含まれる。そのようなヘテロアリール基は、それが有する水素原子の中の1から3個が独立してアリール、ヘテロアリール、ハロゲン、OH、CN、メルカプト、ニトロ、アミノ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキル−アミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、(モノ−、ジ−、トリ−およびパー)ハロ−アルキル、ホルミル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、C−C−アルキル−CO−O−、C−C−アルキル−CO−NH−またはカルボキサミドに置き換わっていることで置換されていてもよい。
【0055】
ヘテロアリールはモノ−オキソで置換されていてもよく、それによって例えば4−オキソ−1H−キノリンがもたらされる。
【0056】
用語「複素環」、「複素環式」および「ヘテロシクロ」は、少なくとも1個の炭素原子含有環の中にヘテロ原子を少なくとも1個有する場合により置換されていてもよい完全飽和、部分飽和または非芳香の環状基を指し、これは例えば4から7員の一環状、7から11員の二環状または10から15員の三環状環系などである。ヘテロ原子を含有する複素環式基の各環は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択されるヘテロ原子を1、2または3個持っていてもよく、ここで、また、前記窒素および硫黄であるヘテロ原子は場合により酸化されていてもよい。前記窒素原子は場合により第四級化されていてもよい。そのような複素環式基はヘテロ原子または炭素原子のいずれかの所で結合し得る。そのような複素環式基は、それが有する水素原子の中の1から3個が独立してアリール、ヘテロアリール、ハロゲン、OH、CN、メルカプト、ニトロ、アミノ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキル−アミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、(モノ−、ジ−、トリ−およびパー)ハロ−アルキル、ホルミル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、C−C−アルキル−CO−O−、C−C−アルキル−CO−NH−またはカルボキサミドに置き換わっていることで置換されていてもよい。
【0057】
具体的な一環状複素環式基には、ピロジニル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、テトラヒドロフリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、4−ピペリドニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニルスルホン、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキサイド、チオモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラン、ジオキサニル、チエタニル、チイラニル、2−オキサゼピニル、アゼピニルなどが含まれる。具体的な二環状複素環式基には、キヌクリジニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(例えば3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル)、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、ベンゾピラニル、ジヒドロベンゾピラニル、インドリニル、クロモニル、クマリニル、イソクロマニル、イソインドリニル、ピペロニル、テトラヒドロキノリニルなどが含まれる。
【0058】
用語「炭素環状」は、炭素原子数が3から7の飽和もしくは不飽和(芳香ではない)一環状炭化水素環を指す。
【0059】
置換アリール、置換ヘテロアリールおよび置換複素環は、また、2番目の置換アリール、2番目の置換ヘテロアリールまたは2番目の置換複素環で置換されていてもよく、それによって、例えば4−ピラゾール−1−イル−フェニルまたは4−ピリジン−2−イル−フェニルなどがもたらされる。
【0060】
表示する炭素原子数(例えばC−CまたはC1−8)は、独立して、アルキルもしくはシクロアルキル部分またはより大きな置換基の中のアルキル部分(アルキルが接頭根として見られる)の中の炭素原子の数を指す。
【0061】
特に明記しない限り、ある分子の中の個々の場所に位置する如何なる置換基の定義も変数の定義もこの分子の中の他の場所の定義から独立していることを意図する。本分野の通常の技術者は化学的に安定でありかつ本技術分野で公知の技術ばかりでなく本明細書に挙げた方法を用いて容易に合成可能な化合物が得られるように本発明の化合物の置換基および置換様式を選択することができるであろうと理解する。
【0062】
用語「ヒドロキシ保護基」は、そのような目的に適することが本技術分野で知られる基を指す。通常用いるヒドロキシ保護基は、例えばT.H.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第2版、John Wiley & Sons、ニューヨーク(1991)(引用することによって本明細書に組み入れられる)などに開示されている。説明的ヒドロキシル保護基には、これらに限定するものでないが、テトラヒドロピラニル、ベンジル、メチルチオメチル、エチルチオメチル、ピバロイル、フェニルスルホニル、トリフェニルメチル、三置換シリル、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、トリ−イソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリ−t−ブチルシリル、メチルジフェニルシリル、エチルジフェニルシリル、t−ブチルジフェニルシリルなど、アシルおよびアロイル、例えばアセチル、ベンゾイル、ピバロイルベンゾイル、4−メトキシベンゾイル、4−ニトロベンゾイルおよびアリールアシルが含まれる。
【0063】
本発明に従う化合物が立体中心を少なくとも1つ有する場合、それらはそれに応じて鏡像異性体として存在する可能性がある。本化合物が立体中心を2つ以上持つ場合、それらは追加的にジアステレオマーとしても存在し得る。その上、本化合物の結晶形態のいくつかは同質異像として存在する可能性があり、そのように、それらを本発明に包含させることを意図する。加うるに、本化合物の数種は水と一緒に溶媒和物(即ち水化物)を形成するか或は一般的有機溶媒と一緒に溶媒和物を形成する可能性があり、そのような溶媒和物もまた本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0064】
本発明の化合物の数種はトランスおよびシス異性体を持つ可能性がある。加うるに、本発明に従う化合物の製造方法で立体異性体の混合物がもたらされる場合、通常技術、例えば調製用クロマトグラフィーなどを用いてそのような異性体を分離することも可能である。本化合物は単一の立体異性体としてか或は可能な数種の立体異性体の混合物としてラセミ混合物形態で調製可能である。ラセミ混合物ではない形態を合成または分割で得ることができる。例えば、そのような化合物に分割を標準技術を用いて受けさせてそれらの成分である鏡像異性体を得てもよく、例えば塩生成でジアステレオマー対を生じさせることなどを通して分割可能である。また、そのような化合物をキラル助剤と共有結合させた後、クロマトグラフィーで分離しそして/または結晶学的に分離しそして前記キラル助剤を除去することを通して、それらを分割することも可能である。別法として、そのような化合物にキラルクロマトグラフィーを用いた分割を受けさせることも可能である。
【0065】
語句「薬学的に受け入れられる塩」は、遊離塩基もしくは遊離酸の1種以上の塩(これらは適宜前記遊離塩基もしくは遊離酸の所望薬理学的活性を有しかつ生物学的にも他の様式でも望ましくないということはない)を指す。このような塩は無機もしくは有機酸から誘導可能である。無機酸の例は、塩酸、硝酸、臭化水素酸、硫酸または燐酸である。有機酸の例は、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、こはく酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸などである。その上、適切な塩は無機もしくは有機塩基、例えばKOH、NaOH、Ca(OH)、Al(OH)、ピペリジン、モルホリン、エチルアミン、トリエチルアミンなどの塩である。
【0066】
水をいろいろな量で含有する水和形態の本化合物、例えば水化物、半水化物およびセスキ水化物形態などの本化合物も本発明の範囲内に包含させる。本発明では、また、本発明の化合物のプロドラッグも本発明の範囲内に包含させる。そのようなプロドラッグは、一般に、インビボで容易に所望化合物に変化し得る本化合物の機能的誘導体である。このように、本発明の治療方法では、用語「投与」に、具体的に開示した化合物または具体的には開示することができなかったが患者に投与した後にインビボで指定化合物に変化する化合物を用いて記述したいろいろな疾患を治療することを包含させる。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製に通常の手順が例えば「Design of Prodrugs」、H.Bundgaard編集、Elsevier、1985に記述されている。
【0067】
用語「被験体」に、これらに限定するものでないが、如何なる動物も人工的な修飾を受けさせた動物も包含させる。特別な態様として、そのような被験体は人である。
【0068】
用語「薬剤に耐性がある」または「薬剤耐性」は、現在入手可能な抗菌物質、例えば抗生物質などを常規通りの有効な濃度で存在させた時に微生物が生存すると言った特徴を指す。
【0069】
表1に、式Iで表される好適な化合物の非限定リストを含める。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
化合物調製の一般的反応スキーム
本発明の化合物を製造する時、所望生成物の収率を高くする目的で合成段階の順序を変えてもよい。加うるに、本分野の技術者はまた合成を成功裏に行うには反応、溶媒および温度を賢明に選択することが重要な要素であることも認識するであろう。最適な条件などの決定は常規ではあるが、以下に示すスキームの指針を用いていろいろな化合物を同様な様式で生じさせることができることは理解されるであろう。
【0075】
本発明の化合物の調製で用いる出発材料は公知であるか、公開された合成方法を用いて製造可能であるか或は商業的製造供給元から入手可能である。
【0076】
有機化学技術分野の技術者は有機化合物の標準的操作をさらなる指導無しに容易に実施することができる、即ちそのような操作の実施は本分野の技術の範囲および実施の充分に範囲内であると理解する。それらには、これらに限定するものでないが、カルボニル化合物から相当するアルコールを生じさせる還元、酸化、アシル化、親電子および求核両方の芳香置換、エーテル化、エステル化および鹸化などが含まれる。そのような操作の例が標準的な教科書、例えばMarch,Advanced Organic Chemistry(Wiley),Carey and Sundberg,Advanced Organic Chemistry(2巻),Feiser & Feiser,Reagents for Organic Synthesis(16巻),L.Paquette,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis(8巻),Frost & Fleming,Comprehensive Organic Synthesis(9巻)などの中で考察されている。
【0077】
本分野の技術者は、特定の反応で分子中の他の官能性をマスクまたは保護しておくと反
応が最良に起こることでいくらか起こる望まれない副反応が回避されそして/または反応収率が高くなることを容易に理解するであろう。本分野の技術者は、しばしば、そのような収率の向上を達成するか或は望まれない反応を回避する目的で保護基を用いる。そのような操作の例を例えばT.Greene,Protecting Groups in Organic Synthesisに見ることができる。
【0078】
本発明の化合物を製造する時に有用な複素環核を生じさせるに適した一般的手順が下記の文献(全部引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている(文献内に挙げられている論文を包含):米国特許第6329391号、ヨーロッパ特許公開342849、国際特許公開WO 9711068、ヨーロッパ特許公開195316、ヨーロッパ特許公開1031569、米国特許第6025370号、ヨーロッパ特許公開153828、ヨーロッパ特許公開191451、ヨーロッパ特許公開153163、ヨーロッパ特許公開230053、ヨーロッパ特許公開976749、国際特許公開WO 0118005、国際特許公開WO 9407873、米国特許第4777253号、ヨーロッパ特許公開421668、国際特許公開WO 0248138、ヨーロッパ特許公開230295、国際特許公開WO 9914214、米国特許第20020049223、国際特許公開WO 9921849、国際特許公開WO 9729102、国際特許公開WO 0334980、国際特許公開WO 0209758、国際特許公開WO 9619472、ドイツ特許公開DE 3142854、国際特許公開WO 0334980、国際特許公開WO 0328665、ヨーロッパ特許公開47005、国際特許公開WO 0311450およびヨーロッパ特許公開688772。
【0079】
本主題発明の化合物の調製はいくつかの方法で実施可能である。本発明の化合物のいろいろな調製方法を以下のスキームIに示し、ここで、Lは脱離基、例えばフルオロまたはクロロなどである:
【0080】
【化12】

【0081】
Eが
【0082】
【化13】

【0083】
でありそしてRおよびR10の中の少なくとも一方が水素の場合には所望生成物への選択的変換を起こさせる目的で末端窒素を保護しておく必要があり得る(スキームII)。そのような場合には、化合物Vの場合のように、末端アミン基をマスクする目的で、本分野の技術者に公知の標準的アミン保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ベンジル(Bn)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、2−トリメチルシリルエトキシカルボニル(Teoc)、N−ホルミル、N−アセチル、N−ベンゾイルまたはフタルイミドなどを用いてもよい。側鎖カップリング後、その保護基を本分野の技術者に公知の標準的条件下で除去することで所望生成物XIIを得ることができる。XIIにさらなる変換、例えばアルキル置換などを受けさせることで本発明の他の化合物VIIIなどを生じさせてもよい。
【0084】
【化14】

【0085】
XがNでありそしてYがC(R)である本発明の化合物を生じさせる方法を以下のスキームIIIに示す:
【0086】
【化15】

【0087】
この上と同様に、Eが
【0088】
【化16】

【0089】
でありそしてRおよびR10の中の少なくとも一方が水素の場合には所望生成物への選択的変換を起こさせる目的で末端窒素を保護しておく必要があり得る(スキームIV)。そのような場合には、化合物Vの場合のように、末端アミン基をマスクする目的で、本分野の技術者に公知の標準的アミン保護基、例えばt−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ベンジル(Bn)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、2−トリメチルシリルエトキシカルボニル(Teoc)、N−ホルミル、N−アセチル、N−ベンゾイルまたはフタルイミドなどを用いてもよい。側鎖カップリング後、その保護基を本分野の技術者に公知の標準的条件下で除去することで所望生成物VIIIを得ることができる。VIIIにさらなる変換、例えばアルキル置換などを受けさせることで本発明の他の化合物XIVなどを生じさせてもよい。
【0090】
【化17】

【0091】
場合により、スキームI−IVに示した条件下では側鎖アミンが複素環核(IIまたはX)への有効な付加が起こるに充分な反応性を示さず、特にAがC(R11)[ここで、R11はアルコキシである]の時に反応性を示さないことがあり得る。ルイス酸、例えばこれらに限定するものでないが、三フッ化ホウ素、トリアセトキシボレートおよび塩化リチウムなどを添加すると核が求核攻撃に対して活性化され得る。好適な活性化方法が米国特許第5,157,117号に記述されている。キノロン核をトリアセトキシボレート(溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、酢酸またはプロピオン酸など中でインサイチュで生じさせた)で処理した後、60℃から120℃の範囲の温度に1から24時間加熱する。溶媒を除去した後にジアシルキノリニルボレート(XV)を濾過で単離する。そのような好適な活性化方法をスキームVに示す。
【0092】
【化18】

【0093】
前駆体の調製−側鎖アミンIII
スキームVIに、Eが
【0094】
【化19】

【0095】
であり、RおよびRが水素でありそしてqが1である側鎖アミンIIIの合成を示す。三置換もしくは四置換アルキリデンXXの調製は、適切に置換されているケトン(XVI)にPeterson、WittigまたはWadsworth−Horner−Emmonsオレフィン化を塩基、例えばこれらに限定するものでないが、n−ブチルリチウム、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの存在下で−78℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキサイドまたは塩化メチレンなど中で1から24時間受けさせることを通して実施可能である。その結果として生じたエステル(XVII)に還元剤、例えばこれらに限定するものでないが、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリエチルホウ水素化リチウムまたはホウ水素化ナトリウムなどによる還元を0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、トルエン、塩化メチレンまたはテトラヒドロフランなど中で1から24時間受けさせることでq=1の相当するアルコールXVIIIを生じさせることができる。前記アルコールXVIIIから脱離基XIX、例えばこれらに限定するものでないが、クロライド、ブロマイド、メシレートまたはトシレートなどへの変換を標準的条件下で起こさせそして前記脱離基を適切に置換されているアミンに置き換える置換を0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイドまたはテトラヒドロフランなど中で1から24時間起こさせることで前記アルコールXVIIIをアミンXXに変化させる。保護基Pの除去を本分野の技術者に公知の標準的な条件下で起こさせるとEが
【0096】
【化20】

【0097】
であり、RおよびRが水素でありそしてqが1であるアミンIIIが生じる。別法として、光延(Mitsunobu)反応を用いて、前記アルコールXVIIIをフタルイミドおよびアゾジカルボン酸ジアルキルと反応させてそれの直接的置換を達成することでXXIを生じさせることも可能である。ヒドラジンによるフタルイミド(XXI)の脱保護を溶媒、例えばメタノールまたはエタノールなど中で起こさせることでRおよびR10が水素であるアミン(XX)を生じさせる。保護基PをXXIから本分野の技術者に公知の標準的条件下で除去することでRおよびRが水素でありそしてRとP”がこれらが結合している窒素と一緒になってフタルイミド基を形成しているアミンVを生じさせることができる。
【0098】
【化21】

【0099】
スキームXXIIに、式XVIIIで表されるアルコールからEがアルケニルである式IIIで表される化合物(LVIII)を生じさせる変換を示す。加うるに、このスキームに、Eが
【0100】
【化22】

【0101】
であり、RおよびRが水素でありそしてRがアシル、アルコキシカルボニルまたはスルホニルである式IIIで表される化合物(LX)の合成の概略も示す。アルコールXVIIIに数多くの適切な酸化剤、例えばDess−Martinペリオジナン(Periodinane)、Corey−Kim試薬またはSwem試薬などの中のいずれかを用いた酸化を受けさせることで相当するアルデヒド(LVI)を生じさせる。このアルデ
ヒドに塩基助長オレフィン化反応、例えばこれらに限定するものでないが、Wittig反応などを受けさせることでRが水素またはアルキルであるLVIIを生じさせることができる。保護基PをLVIIから本分野の技術者に公知の標準的条件下で除去することでEがアルケニルであるアミンIII(LVIII)を生じさせる。また、式XVIIIで表されるアルコールからEが
【0102】
【化23】

【0103】
であり、RおよびRが水素でありそしてRがアシル、アルコキシカルボニルまたはスルホニルである式IIIで表される化合物(LX)を生じさせる変換をスキームXXにも示す。アルコールXVIIIとアシル化剤をアミン塩基、例えばピリジンなどの存在下で−20℃から60℃の範囲の温度の不活性溶媒、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはトルエンなど中で1−48時間反応させることでEが
【0104】
【化24】

【0105】
であり、RおよびRが水素でありそしてRがアシルである式IIIで表される化合物(LIX)を生じさせる。アシル化剤には、酸ハライドおよび無水物、そして活性化剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、EDCl、BOP−Cl、BOP、PyBOPなどの存在下の酸が含まれる。式XVIIIで表されるアルコールをカルボニル化剤とアミン塩基、例えばピリジンなどの存在下で−20℃から60℃の範囲の温度の不活性溶媒、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはトルエンなど中で1−48時間反応させることでEが
【0106】
【化25】

【0107】
であり、RおよびRが水素でありそしてRがアルコキシカルボニルである式IIIで表される化合物(LIX)に変化させることができる。カルボニル化剤にはクロロホルメート、フルオロホルメート、アジドホルメートおよびピロカーボネートが含まれる。式XVIIIで表されるアルコールを塩化スルホニルまたは無水スルホン酸とアミン塩基、例えばピリジンなどの存在下で−20℃から60℃の範囲の温度の不活性溶媒、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはトルエンなど中で1−48時間反応させることでEが
【0108】
【化26】

【0109】
であり、RおよびRが水素でありそしてRがスルホニルである式IIIで表される化合物(LIX)に変化させることができる。保護基PをLIXから本分野の技術者に公知の標準的条件下で除去することでEが
【0110】
【化27】

【0111】
であり、RおよびRが水素でありそしてRがアシル、アルコキシカルボニルまたはスルホニルであるアミンIII(LX)を生じさせる。
【0112】
【化28】

【0113】
スキームVIIに、塩基助長オレフィン化反応、例えばこれらに限定するものでないが、Wittig、Wadsworth−Horner−EmmonsまたはPetersonオレフィン化手順を用いてケトンXVIからオレフィンXXを生じさせる直接的変換を示す。別法として、オレフィンメタセシス手順を用い、適切に置換されているアミンXXIIIを用いることで、末端オレフィンXXIIからアミンXXを生じさせることも可
能である。保護基PをXXから本分野の技術者に公知の標準的な条件下で除去することでEが
【0114】
【化29】

【0115】
でありそしてRおよびRが水素であるアミンIIIを生じさせる。
【0116】
【化30】

【0117】
スキームVIIIに、二酸化セレンを用いてXXIVからアリルアルコールXXVを生じさせるヒドロキシル化を示す。この変換を場合により共酸化剤、例えばt−ブチルヒドロパーオキサイドなどの存在下で25℃から150℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、塩化メチレン、トルエンまたはテトラヒドロフランなど中で実施する。保護基PをXXVから本分野の技術者に公知の標準的な条件下で除去することでEが
【0118】
【化31】

【0119】
でありそしてRの1つがヒドロキシであるアミンIIIを生じさせる。
【0120】
【化32】

【0121】
スキームIXに、Peterson、WittigまたはWadsworth−Horner−Emmonsオレフィン化手順を用いて適切に置換されているケトン(XVI)にオレフィン化を塩基、例えばこれらに限定するものでないが、n−ブチルリチウム、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの存在下で−78℃からから120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキサイドまたは塩化メチレンなど中で1から24時間受けさせることを通してRがこの上で定義した通りであるα,β−不飽和カルボニル化合物XXVIを生じさせることを示す。その結果として生じたカルボニル化合物(XXVI)に還元剤、例えばこれらに限定するものでないが、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリエチルホウ水素化リチウムまたはホウ水素化ナトリウムなどによる還元を0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、トルエン、塩化メチレンまたはテトラヒドロフランなど中で1から24時間受けさせることで相当するアルコールXXVIIを生じさせることができる。別法として、前記カルボニル化合物に適切に置換されている有機金属剤(RM[ここで、Mは金属である])、例えば有機リチウム種またはグリニヤール試薬などによる求核付加を受けさせることでRがアルキルである相当するアルコールXXVIIを生じさせることも可能である。後者の変換に適した溶媒には、温度が−78℃から20℃の範囲のジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはトルエンが含まれ、時間は30分から48時間である。RまたはRの一方が水素の場合、XXVIIが有するアルコール官能基(functionality)から脱離基、例えばこれらに限定するものでないが、XXVIIIの場合のようなブロマイド、メシレートまたはトシレートなどへの変換を標準的条件下で起こさせそして前記脱離基を適切に置換されているアミンに置き換える置換を0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイドまたはテトラヒドロフランなど中で1から24時間起こさせることで前記アルコールXXVIIをアミンXXXに変化させる。保護基PをXXXから本分野の技術者に公知の標準的な条件下で除去することでEが
【0122】
【化33】

【0123】
でありそしてRおよびRの一方が水素であるアミンIIIを生じさせる。別法として
、RまたはRの一方が水素の場合、光延反応を用いて、前記アルコールXXVIIをフタルイミドおよびアゾジカルボン酸ジアルキルと反応させてそれの直接的置換を達成した後にヒドラジンによるフタルイミドの脱保護を溶媒、例えばメタノールまたはエタノールなど中で起こさせることでアミンXXXを生じさせることも可能である。保護基PをXXIXから本分野の技術者に公知の標準的条件下で除去することでRが水素でありそしてRとP”がこれらが結合している窒素と一緒になってフタルイミド基を形成しているアミンVを生じさせることができる。
【0124】
【化34】

【0125】
スキームXに、RがハロゲンであるXXXVIの調製を示す。Rが水素であるアルキリデンXXXIにハロゲン置換を適切なハロゲン化剤、例えばこれらに限定するものでないが、1−ブロモ−2,5−ピロリジンジオン、1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オンおよび臭化テトラアルキルアンモニウムまたは塩化チオニルなどを用いて受けさせることでXXXIIを生じさせることができる。アルキリデンXXXIIに還元剤、例えばこれらに限定するもの
でないが、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリエチルホウ水素化リチウムまたはホウ水素化ナトリウムなどによる還元を0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、トルエン、塩化メチレンまたはテトラヒドロフランなど中で1から24時間受けさせることで相当するアルコールXXXIIIを生じさせることができる。別法として、前記カルボニル化合物に適切に置換されている有機金属剤、例えば有機リチウム種またはグリニヤール試薬などによる求核付加を受けさせることでRがアルキルである相当するアルコールXXXIIIを生じさせることも可能である。後者の変換に適した溶媒には、温度が−78℃から20℃の範囲のジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはトルエンが含まれ、時間は30分から48時間である。RまたはRの一方が水素の場合、XXXIIIが有するアルコール官能から脱離基、例えばこれらに限定するものでないが、XXXIVの場合のようなブロマイド、メシレートまたはトシレートなどへの変換を標準的条件下で起こさせそして前記脱離基を適切に置換されているアミンに置き換える置換を0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイドまたはテトラヒドロフランなど中で1から24時間起こさせることでXXXIVをアミンXXXVIに変化させる。保護基PをXXXVIから本分野の技術者に公知の標準的な条件下で除去することでEが
【0126】
【化35】

【0127】
でありそしてRおよびRの一方が水素であるアミンIIIを生じさせる。別法として、RまたはRの一方が水素の場合、光延反応を用いて、前記アルコールXXXIIIをフタルイミドおよびアゾジカルボン酸ジアルキルと反応させてそれの直接的置換を達成した後にヒドラジンによるフタルイミドの脱保護を溶媒、例えばメタノールまたはエタノールなど中で起こさせることでアミンXXXVIを生じさせることも可能である。保護基PをXXXVから本分野の技術者に公知の標準的条件下で除去することでRが水素でありそしてRとP”がこれらが結合している窒素と一緒になってフタルイミド基を形成しているアミンVを生じさせることができる。
【0128】
【化36】

【0129】
スキームXIに、Eが
【0130】
【化37】

【0131】
であり、RおよびRが水素でありそしてRが置換もしくは分枝鎖アルキルである側鎖アミンIIIの合成を示す。スキームXIでは、Rが水素またはアルキルであるハロゲン置換カルボニル化合物XXXVIIの調製をハロゲン置換カルボニル化合物XXXI
Iの場合と同様な様式で実施してもよい。Rが水素またはアルキルであるカルボニル化合物XXXVIIに還元剤、例えばこれらに限定するものでないが、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリエチルホウ水素化リチウムまたはホウ水素化ナトリウムなどによる還元を0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、トルエン、塩化メチレンまたはテトラヒドロフランなど中で1から24時間受けさせることでRが水素またはアルキルであり、Rの一方が水素でもう一方のRがヒドロキシである相当するアルコールXXXVIIIを生じさせることができる。別法として、Rがアルキルである前記カルボニル化合物XXXVIIに適切に置換されている有機金属剤、例えば有機リチウム種またはグリニヤール試薬などによる求核付加を受けさせることでRがアルキルであり、Rの一方がアルキルでもう一方のRがヒドロキシルである相当するアルコールXXXVIIIを生じさせることも可能である。最後に、Rが水素またはアルキルであるカルボニル化合物XXXVIIまたはRが水素またはアルキルであり、Rの一方が水素でもう一方のRがヒドロキシルであるアルコールXXXVIIIに求核フッ素置換用反応体、例えばこれらに限定するものでないが、(N−エチルエタンアミナト)トリフルオロ硫黄(DAST)または三フッ化ビス(2−メトキシエチル)アミノ硫黄(Deoxofluor)を用いたフッ素置換を0℃から60℃の範囲の温度の適切な溶媒、例えば塩化メチレンなど中で1から24時間受けさせることでXXXVIII[カルボニル化合物XXXVIIを基質として用いた場合にはRが水素またはアルキルでRがフッ素であり、そしてアルコールXXXVIIIを基質として用いた場合にはRが水素またはアルキルであり、Rの一方が水素でもう一方のRがフッ素である]を生じさせることも可能である。ハロゲン置換アルキリデンXXXVIIIにカルボニル化を遷移金属触媒、例えばこれらに限定するものでないが、酢酸パラジウム、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルまたはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどの存在下で2番目の添加剤、例えばメタノールなどを場合により溶媒として存在させるか或は溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、ジメチルスルホキサイドまたはテトラヒドロフランなど中で一酸化炭素雰囲気下0℃から120℃の範囲の温度で1から24時間受けさせることでエステルXXXIXを生じさせることができる。XXXIXに還元剤、例えばこれらに限定するものでないが、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリエチルホウ水素化リチウムまたはホウ水素化ナトリウムなどによる還元を0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、トルエン、塩化メチレンまたはテトラヒドロフランなど中で1から24時間受けさせることでq=1の相当するアルコールXLを生じさせることができる。このアルコールXLから脱離基XLI、例えばこれらに限定するものでないが、ブロマイド、メシレートまたはトシレートなどへの変換を標準的条件下で起こさせそして前記脱離基を適切に置換されているアミンに置き換える置換を0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイドまたはテトラヒドロフランなど中で1から24時間起こさせることで前記アルコールXLをアミンXLIIIに変化させる。保護基PをXLIIIから本分野の技術者に公知の標準的な条件下で除去することでEが
【0132】
【化38】

【0133】
であり、RおよびRが水素でありそしてRがCRであるアミンIIIを生じさせる。別法として、光延反応を用いて、前記アルコールXLをフタルイミドおよびアゾジカルボン酸ジアルキルと反応させてそれの直接的置換を達成することでXLIIを
生じさせることも可能である。ヒドラジンによるフタルイミドXLIIの脱保護を溶媒、例えばメタノールまたはエタノールなど中で起こさせることでアミンXLIIIを生じさせる。保護基PをXLIIから本分野の技術者に公知の標準的条件下で除去することでRおよびRが水素であり、RとP”がこれらが結合している窒素と一緒になってフタルイミド基を形成しておりそしてRがCRであるアミンVを生じさせることができる。
【0134】
【化39】

【0135】
スキームXIIに、Eが
【0136】
【化40】

【0137】
であり、RまたはRの一方が水素でもう一方がアルキルであり、Rが置換もしくは分枝鎖アルキルでありそしてqが1である側鎖アミンIIIの合成を示す。この上に記述した如く調製した化合物XXXVIIIにカルボニル化を遷移金属触媒、例えばこれらに限定するものでないが、酢酸パラジウム、ジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルまたはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどの存在下で有機金属試薬RM[ここで、Rはこの上で定義した通りであり、それには、水素化トリブチル錫またはアルキルインジウム試薬(Organic Letters 2003、5(7)、1103−1106)などの如き試薬が含まれる]を存在させて0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、メタノール、ジメチルスルホキサイドまたはテトラヒドロフランなど中で一酸化炭素雰囲気下1から24時間受けさせることでRがこの上で定義した通りであるXLIVを生じさせることができる。カルボニル化合物XLIVに還元剤、例えばこれらに限定するものでないが、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリエチルホウ水素化リチウムまたはホウ水素化ナトリウムなどによる還元を0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、トルエン、塩化メチレンまたはテトラヒドロフランなど中で1から24時間受けさせることで相当するアルコールXLVを生じさせることができる。別法として、前記カルボニル化合物に適切に置換されている有機金属試薬、例えば有機リチウム種またはグリニヤール試薬などによる求核付加を受けさせることでRがアルキルである相当するアルコールXLVを生じさせることも可能である。後者の変換に適した溶媒には、温度が−78℃から20℃の範囲のジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはトルエンが含まれ、時間は30分から48時間である。RまたはRの一方が水素の場合、XLVが有するアルコール官能から脱離基、例えばこれらに限定するものでないが、XLVIの場合のようなブロマイド、メシレートまたはトシレートなどへの変換を標準的条件下で起こさせそして前記脱離基を適切に置換されているアミンに置き換える置換を0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイドまたはテトラヒドロフランなど中で1から24時間起こさせることで前記アルコールXLVをアミンXLVIIIに変化させる。保護基PをXLVIIIから本分野の技術者に公知の標準的な条件下で除去することでEが
【0138】
【化41】

【0139】
であり、RおよびRの一方が水素でもう一方がアルキルであり、Rが置換もしくは分枝鎖アルキルでありそしてqが1であるアミンIIIを生じさせる。別法として、RまたはRの一方が水素の場合、光延反応を用いて、前記アルコールXLVをフタルイミドおよびアゾジカルボン酸ジアルキルと反応させてそれの直接的置換を達成した後にヒドラジンによるフタルイミドの脱保護を溶媒、例えばメタノールまたはエタノールなど中で
起こさせることでアミンXLVIIIを生じさせることができる。保護基PをXLVIIIから本分野の技術者に公知の標準的条件下で除去することでRおよびRの一方が水素でもう一方がアルキルであり、RとP”がこれらが結合している窒素と一緒になってフタルイミド基を形成しており、Rが置換もしくは分枝鎖アルキルでありそしてqが1であるアミンVを生じさせることができる。
【0140】
【化42】

【0141】
スキームXIIIに、塩基助長Stork−JungビニルシランRobinson環付加プロトコル(Tetrahedron Letters、2001、42、9123)を用いたケトンXVIaからオレフィンLIIIへの変換を示す。ケトンXVIaとヨウ化アリルXLIX[ここで、Rはアルキル基でありそしてP’はヒドロキシ保護基である]の縮合(Tetrahedron Letters、2001、42、9123)
を起こさせることでアルキル置換ケトンLを生じさせる。ケトンLにエポキシ化剤、例えばこれらに限定するものでないが、ジメチルジオキシランまたはm−クロロ過安息香酸などによるエポキシ化を受けさせることでオキシランLIを生じさせる。LIに作用剤、例えばこれらに限定するものでないが、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウムまたはピリジニウムポリ(フッ化水素)などおよび酸水溶液を用いたプロトデシリル化(protodesilylation)を受けさせて付随的にエポキシド環の開環を起こさせることでケトンLIIを生じさせる。LIIの環付加は、LIIに塩基、例えばこれらに限定するものでないが、ナトリウムメトキサイドなどによる処理を受けさせてLIIIを生じさせることで達成可能である。α,β−不飽和ケトンLIIIに還元剤、例えばこれらに限定するものでないが、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリエチルホウ水素化リチウムまたはホウ水素化ナトリウムなどによる還元を0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、トルエン、塩化メチレンまたはテトラヒドロフランなど中で1から24時間受けさせることで、ヒドロキシ保護基を除去した後にR12の一方が水素でもう一方のR12がヒドロキシである相当するアルコールLIVを生じさせることができる。別法として、LIIIに適切に置換されている有機金属試薬、例えば有機リチウム種またはグリニヤール試薬などによる求核付加を受けさせることで、ヒドロキシ保護基を除去した後にR12の一方がアルキルでもう一方のR12がヒドロキシである相当するアルコールLIVを生じさせることも可能である。後者の変換に適した溶媒には、温度が−78℃から20℃の範囲のジエチルエーテル、テトラヒドロフランまたはトルエンが含まれ、時間は30分から48時間である。最後に、カルボニル化合物LIIIに求核フッ素置換用反応体、例えばこれらに限定するものでないが、(N−エチルエタンアミナト)トリフルオロ硫黄(DAST)または三フッ化ビス(2−メトキシエチル)アミノ硫黄(Deoxofluor)を用いたフッ素置換を0℃から60℃の範囲の温度の適切な溶媒、例えば塩化メチレンなど中で1から24時間受けさせることで、ヒドロキシ保護基を除去した後にR12がフッ素であるアルコールLIVを生じさせることができる。
【0142】
【化43】

【0143】
アルコールLIVから脱離基、例えばこれらに限定するものでないが、ブロマイド、メシレートまたはトシレートなどへの変換は標準的条件下で実施可能である。前記脱離基を適切に置換されているアミンに置き換える置換を0℃から120℃の範囲の温度の溶媒、例えばこれらに限定するものでないが、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイドまたはテトラヒドロフランなど中で1から24時間起こさせることでLIVをアミンLVに変化させる。保護基PをLVから本分野の技術者に公知の標準的な条件下で除去することでEが
【0144】
【化44】

【0145】
であり、RおよびRが水素でありそしてRとRが一緒になって6員の炭素環状環
を形成しておりそしてqが1である相当する第二級アミンIIIを生じさせる。
【0146】
別法として、光延反応を用いて、前記アルコールLIVが有するヒドロキシル基をフタルイミドおよびアゾジカルボン酸ジアルキルと反応させることでそれの直接的置換を達成した後にヒドラジンによるフタルイミドの脱保護を溶媒、例えばメタノールまたはエタノールなど中で起こさせることでRおよびR10が水素であるアミンLVを生じさせることも可能である。
【実施例】
【0147】
実験章
前駆体の調製−複素環核
複素環核、例えば1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−6,7−ジフルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−キノリン−3−カルボン酸、7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ナフトピリジン−3−カルボン酸、9,10−ジフルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de]−1,4−ベンズオキサジン−6−カルボン酸、1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−6,7−ジフルオロ−4−オキソ−キノリン−3−カルボン酸、7−クロロ−1−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ナフチリジン−3−カルボン酸および1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−7−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−キノリン−3−カルボン酸などの全部を文献の方法(この上に示した複素環核調製の一般的手順に関する考察を参照)に従って調製するか或は商業源から購入した。
【0148】
前駆体の調製A−ジアシルキノリニルボレートの調製
【0149】
【化45】

【0150】
化合物19(式XV: L = F, A = C-OMe, R1 = シクロプロピル, R2 = H, R3 = F, R4=H )
ジアシルキノリニルボレートの調製を米国特許第5,157,117号に報告されている手順で実施した。ホウ酸(2.4g、38.7ミリモル)と無水酢酸(13.8mL、146ミリモル)と塩化亜鉛(52mg、0.38ミリモル)の混合物を110℃に1.5時間温め、酢酸(51mL)で処理した後、110℃で更に1時間撹拌した。その結果として得た混合物を60℃に冷却し、1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−6,7−ジフルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−キノリン−3−カルボン酸(18)(7.3g、25.9ミリモル)および酢酸(26mL)で処理した。その結果として生じた溶液を60℃に5時間温め、室温に冷却した後、真空下で濃縮した。その残留物を水(50mL)で処理した後、固体を濾過で集めた。その結果として得た固体を水(3x50mL)で洗浄した後、乾燥させることで表題の化合物を白色固体として得て、これをそのまま次の反応で用いた。
【0151】
この上に示した手順と同じ手順を用いて表2に挙げる個々の複素環カルボン酸の各々を相当するジアシルボレート誘導体(17、21、23および83)に変化させた。
【0152】
【表5】

【0153】
前駆体の調製B−側鎖III
【0154】
【化46】

【0155】
スキームXIVの化合物27:
4−(2−エトキシ−2−オキソエチリデン)ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(24)の調製をSato他、Heterocycles、2001、54、747に記述されている手順に従って実施した。
【0156】
4−(2−ヒドロキシエチリデン)ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(25)の調製をSato他、Heterocycles、2001、54、747に記述されている手順に従って実施した。
【0157】
4−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イル)エチリデン]−ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(26)の調製をSynthesis 1995、756から採用した手順で実施した。25(250mg、1.10ミリモル)とフタルイミド(208mg、1.40ミリモル)とトリフェニルホスフィン(366mg、1.40ミリモル)を乾燥THF(10mL)に入れることで生じさせた溶液に窒素下の暗所でアゾジカルボン酸ジエチル(0.25mL、1.40ミリモル)をシリンジで添加することによる処理を受けさせた。5時間後の反応混合物を水(10mL)で処理し、酢酸エチル(50mL)で希釈し、10%の重炭酸ナトリウム水溶液(2x25mL)で洗浄した後、乾燥(MgSO)させた。フラッシュクロマトグラフィー(0−30%の酢酸エチル/ヘキサン)による精製で表題の化合物(389mg、78%)を白色発泡体として得た。MS 357(M+H)。
【0158】
トリフルオロ酢酸4−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イル)エチリデン]−1−ピペリジン(27)
26(380mg、1.03ミリモル)をCHCl(50mL)に溶解させることで生じさせた室温の溶液をトリフルオロ酢酸(1mL)で処理した。1時間後の反応混合物に濃縮を真空下で受けさせることで表題の化合物27(363mg、100%)を油と
して得た。MS 257(M+H)。
【0159】
1−(t−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジノンを表3に挙げる個々のホスホノアセテートの各々と反応させそしてその生成物に27の合成に示した手順に類似した手順を受けさせることで相当するアルコール(28−30、84)および誘導化アミン(31−33、85)を生じさせた。
【0160】
【表6】

【0161】
【化47】

【0162】
(2−オキソ−テトラヒドロフラン−3−イル)−ホスホン酸ジエチルエステル(86;スキームXXIII)の調製をMurphy 他. Chemical Communications1996, 6, 737-8に記述されている手順に従って実施した。
【0163】
4−(2−オキソ−ジヒドロフラン−3−イリデン)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(87;スキームXXIII)の調製をSato他. Heterocycles, 2001, 54, 747に記述されている手順に類似した手順で実施した。 MS = 267 (M + H).
【0164】
【化48】

【0165】
3,3−ジメチル−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(88;スキームXXIV)の調製をVice他. J. Org. Chem. 2001, 66, 2487-2492に記述されている手順に従って実施した。
【0166】
4−(2−エトキシ−1−フルオロ−2−オキソエチリデン)−3,3−ジメチルピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(89;スキームXXIV)の調製をSato他l. Heterocycles, 2001, 54, 747に記述されている手順に類似した手順で実施した。
【0167】
【化49】

【0168】
4−(1−エトキシカルボニル−ブテ−3−エニリデン)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(90;スキームXXV)
水素化ナトリウム(1.50g、37.6ミリモル)をTHF(100mL)に入れることで生じさせた0℃のスラリーに窒素下でホスホノ酢酸トリエチル(8.12mL、37.6ミリモル)をシリンジで加えることによる処理を注意深く受けさせた。30分後の反応混合物を臭化アリル(3.3mL、37.6ミリモル)で処理した後、その結果として得た混合物を12時間かけて25℃になるまで温めた。その結果として得た混合物を再び0℃に冷却し、水素化ナトリウム(1.50g、37.6ミリモル)で処理した後、その結果として生じたスラリーを0℃で30分間撹拌した。1−(t−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジノン(5.0g、25ミリモル)をTHF(50mL)に入れることで生じさせた溶液をカニューレで10分間かけて加えた後、その結果として生じた溶液を12時間かけて25℃になるまで温めた。この反応物に15%の重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)を添加して反応をクエンチさせた後、その結果として得た混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、15%の重炭酸ナトリウム水溶液(2x100mL)で洗浄した後、真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(0−50%のEtOAc/ヘキサン)による精製で表題の化合物(1.93g、25%)を黄色油として得た:MS(M+H)=310。
【0169】
4−(1−エトキシカルボニル−3−メチル−ブテ−3−エニリデン)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(91;スキームXXV)の調製を臭化アリルの代わりに塩化メチルアリルを用いる以外は90に関して記述した手順に従って実施した。
【0170】
【化50】

【0171】
(1−ベンジル−ピペリジン−4−イリデン)ブロモ酢酸エチルエステル(92;スキームXXVI)
水素化ナトリウム(1.50g、37.6ミリモル)をTHF(100mL)に入れることで生じさせた0℃のスラリーに窒素下でホスホノ酢酸トリエチル(8.12mL、37.6ミリモル)をシリンジで加えることによる処理を注意深く受けさせた。30分後の反応混合物に臭素(1.95mL、37.6ミリモル)を滴下漏斗から10分かけて加えることによる処理を受けさせた後、その結果として生じた混合物を3時間撹拌した。この反応混合物を水素化ナトリウム(1.50g、37.6ミリモル)で処理した後、その結果として生じたスラリーを0℃で30分間撹拌した。1−ベンジルピペリジン−4−オン(5.0g、25ミリモル)をTHF(50mL)に入れることで生じさせた溶液をカニューレで10分間かけて加えた後、その結果として生じた溶液を12時間かけて25℃になるまで温めた。この反応物に15%の重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)を添加して反応をクエンチさせた後、その結果として得た混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、15%の重炭酸ナトリウム水溶液(2x100mL)で洗浄した後、真空下で濃縮した。クロマトグラフィー(0−50%のEtOAc/ヘキサン)による精製で表題の化合物(6.35g、74%)を赤色−オレンジ色の油として得た:MS(M=H)=339。
【0172】
表6に挙げるアルコールの調製を4−(2−エトキシ−2−オキソエチリデン)ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(24)の代わりに相当するエチリデンカルボン酸エステルを用いる以外は4−(2−ヒドロキシエチリデン)ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(25)に関して記述した様式と同様な様式で実施した。
【0173】
【表7】

【0174】
【化51】

【0175】
2−ピペリジン−4−イリデン−エタノールトリフルオロアセテート(103;スキームXXVII)
25(191mg、0.5ミリモル)の溶液をCHCl(10mL)に溶解させ、室温においてトリフルオロ酢酸(0.5mL)で処理した。1時間後の反応混合物に濃縮を真空下で受けさせることで表題の化合物(64mg、100%)を油として得た。MS
129(M+H)。
【0176】
2−ピペリジン−4−イリデン−プロパン−1−オールトリフルオロアセテート(105;スキームXXVII)の調製を29を用いる以外は103に関して記述した手順に従って実施した。MS 142(M+H)。
【0177】
2−フルオロ−2−ピペリジン−4−イリデン−エタノールトリフルオロアセテート(104;スキームXXVII)の調製を28を用いる以外は103に関して記述した手順に従って実施した。MS 146(M+H)。
【0178】
【化52】

【0179】
4−(2−エトキシカルボニルオキシ−1−フルオロエチリデン)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチル(106;スキームXXVIII)
アルコール28(0.5064g、2.064ミリモル)をCHCl(10mL)に入れて、これに室温でピリジン(0.23mL、2.8ミリモル)に続いてクロロ蟻酸エチル(0.22mL、2.2ミリモル)を加えた。撹拌を一晩行った後、飽和NHCl水溶液(10mL)を加えて、その混合物をCHCl(5x10mL)で抽出し、NaSOで乾燥させ、濃縮した後、シリカ使用クロマトグラフィー(20%のEtOAc/ヘキサンを溶離剤として)にかけることで表題の化合物106(0.4546g、69%)を透明な油として得た。MS 318(M+H)。
【0180】
4−(2−エトキシカルボニルオキシ−1−フルオロ−エチリデン)−ピペリジン(107;スキームXXVIII)
化合物106(0.1787g、0.5631ミリモル)をCHCl(3mL)に入れて、これにTFA(0.56mL、7.3ミリモル)を加え、この混合物を3時間撹拌した後、全揮発性材料を真空下で除去することで粗表題化合物を得て、これをさらなる精製無しに用いた。MS 218(M+H)。
【0181】
【化53】

【0182】
4−(1−クロロ−2−オキソエチリデン)−ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチル(108;スキームXXIX)
アルコール30(6.01g、23.0ミリモル)をCHClに入れて、これに室温でDess−Martin試薬(21.17g、49.9ミリモル)を空気に開放された状態で加えて、その反応混合物を一晩撹拌した後、この混合物を飽和Na水溶液(60mL)そして飽和NaHCO水溶液(3x30mL)で洗浄した。その有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮した後、シリカ使用クロマトグラフィー(25%のEtOAc/ヘキサンを溶離剤として)にかけることで表題の化合物108(5.22g、88%)を白色の結晶性固体として得た。MS 260(M+H)。
【0183】
4−(1−クロロ−2−プロペニリデン)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチル(109;スキームXXIX)
臭化メチルトリフェニルホスホニウム(5.51g、15.4ミリモル)をTHF(40mL)に入れて、これを0℃でナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(15.4mL、THF中1.0M)で処理して20分間撹拌した後、化合物108(2.05g、7.89ミリモル)をTHF(15mL)に入れてカニューレで添加し、その混合物を3時間撹拌した後、室温になるまで温めた。この混合物に飽和NHCl水溶液(20mL)を加えて反応をクエンチさせた後、その水層にEtOAc(6x20mL)による抽出を受けさせた。その有機層を一緒にしてNaSOで乾燥させ、濃縮した後、シリカ使用クロマトグラフィー(0−10%のMeOH/CHClを用いた勾配溶離)にかけることで表題の化合物109(1.94g、96%)を白色の結晶性固体とし得た。MS
258(M+H)。
【0184】
4−(1−クロロ−2−プロペニリデン)ピペリジンTFA塩(110;スキームXXIX)
化合物109(0.1415g、0.5489ミリモル)をCHCl(5mL)に入れて、これにTFA(0.55mL、7.1ミリモル)を加え、この混合物を3時間撹
拌した後、全揮発性材料を真空下で除去した。そのようにして得た粗表題化合物をさらなる精製無しに用いた。MS 158(M+H)。
【0185】
表7に挙げる保護アミンの調製を4−(2−ヒドロキシエチリデン)ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(25)の代わりに相当するアルコールを用いる以外は4−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イル)エチリデン]−ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(26)に関して記述した様式と同様な様式で実施した。
【0186】
【表8】

【0187】
表8に挙げるアミンの調製を4−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イル)エチリデン]−ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(26)の代わりに相当する保護アミンを用いる以外はトリフルオロ酢酸4−[2−(1
,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イル)エチリデン]−1−ピペリジン(27)に関して記述した様式と同様な様式で実施した。
【0188】
【表9】

【0189】
【化54】

【0190】
塩酸2−(2−ブロモ−2−ピペリジン−4−イリデニルエチル)イソインドール−1,3−ジオン(120;スキームXXX)
102(0.50g、1.17ミリモル)とクロロ蟻酸1−クロロエチル(0.7mL、6.2ミリモル)をジクロロエタン(10mL)に入れることで生じさせた混合物を還流温度に2時間温めた。その結果として生じた溶液を室温になるまで冷却した後、真空下で濃縮した。その残留物をメタノール(50mL)に溶解させた後、還流温度に2時間温めた。その反応混合物を室温になるまで冷却した後、真空下で濃縮することで白色固体を得た。その残留物をジエチルエーテル(2x)で洗浄した後、乾燥させることで表題の化合物(432mg、100%)をオレンジ色の油として得た。MS 336(M+H)。
【0191】
スキームXVの化合物Z−37およびE−37:
(E/Z)−クロロ(1−ベンジル−3−ピロリジニリデン)酢酸エチル(34)
調製を1−(t−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジノンの代わりに1−ベンジル−ピロリジン−3−オンを用いかつホスホノ酢酸トリエチルの代わりに2−クロロホスホノ酢酸トリエチルを用いる以外は24の合成と同じ手順で実施した。MS 280(M+H)。
【0192】
(E/Z)−2−(1−ベンジル−3−ピロリジニリデン)−2−クロロエタノール(35)
調製を24の代わりに34を用いる以外は25の合成と同じ手順で実施した。MS 283(M+H)。
【0193】
【化55】

【0194】
(E/Z)−2−[2−(1−ベンジル−3−ピロリジニリデン)−2−クロロエチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(E−36およびZ−36)
調製を25の代わりに35(1.58g)を用いる以外は26の合成と同じ手順で実施した。E/Z異性体にMPLC(0−45%の酢酸エチル/ヘキサン)による分離を受けさせることでZ−36[430mg、MS 367(M+H)]を赤色がかった油として得かつE−36[420mg、MS 367(m+H)]を赤色がかった油として得た。
【0195】
塩酸(E)−2−[2−クロロ−2−(3−ピロリジニリデン)エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(E−37)
E−36(0.430g、1.45ミリモル)とクロロ蟻酸1−クロロエチル(0.7mL、6.2ミリモル)をジクロロエタン(10mL)に入れることで生じさせた混合物を還流温度に2時間温めた。その結果として生じた溶液を室温になるまで冷却した後、真空下で濃縮した。その残留物をメタノール(50mL)に溶解させた後、還流温度に2時間温めた。その反応混合物を室温になるまで冷却した後、真空下で濃縮することで白色固体を得た。その残留物をジエチルエーテル(2x)で洗浄した後、乾燥させることでE−37(200mg、50%)を褐色の油として得た。MS 277(M+H)。
【0196】
塩酸(Z)−2−[2−クロロ−2−(3−ピロリジニリデン)エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(Z−37)
調製をE−36の代わりにZ−36を用いる以外はE−37の合成と同じ手順で実施した。MS 277(M+H)]。
【0197】
【化56】

【0198】
スキームXVIの化合物39および41:
(E)−4−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)エチリデン]−3−ヒドロキシ−ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(38)
SeO(0.5g、6.06ミリモル)をCHCl(5mL)に入れることで生じさせた0℃のスラリーにt−ブチルヒドロパーオキサイド(2.5mL、9.09ミリモル、5−6M、ウンデカン中10%)をシリンジで加えることによる処理を受けさせた。20分後の反応混合物をエチリデン26(1.44g、4.04ミリモル)をCHCl(15mL)に入れることで生じさせた溶液で処理した後、その結果として得た混合物を室温で12時間撹拌した。この反応物に15%のチオ硫酸ナトリウム水溶液(15mL)を添加することで反応を注意深くクエンチさせた後、その反応混合物をCHCl(25mL)で希釈した。層分離を起こさせた後、その有機層を15%のチオ硫酸ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0−75%の酢酸エチル/ヘキサン)による精製で表題の化合物38(0.51g、33%)を白色の固体として得た。MS
373(M+H)。
【0199】
(E)−4−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)エチリデン]−3−ヒドロキシピペリジン(39)
調製を26の代わりに38を用いる以外は27の合成と同じ手順で実施した。MS 273(M+H)]。
【0200】
(E)−4−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2
−イル)エチリデン]−3−メトキシイミノ−ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(40)
38(0.51g、1.37ミリモル)をCHCl(15mL)に入れることで生じさせた25℃の溶液をDess−Martinペリオジナン(0.254g、0.60ミリモル)で処理した。1時間後の反応混合物をCHCl(25mL)で希釈し、10%のNaHCO水溶液(3x25mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、真空下で濃縮した。その残留物をさらなる精製無しに次の段階で用いた。その残留物をピリジン(6mL)とメタノール(36mL)に入れることで生じさせた25℃の溶液を塩酸メトキシアミン(0.835g、6.0ミリモル)で処理した。2分後の反応混合物を還流に5時間温め、酢酸エチル(25mL)で希釈し、10%のNaHCO水溶液(3x25mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、真空下で濃縮することで40(230mg、42%)をオレンジ色の残留物として得た。その残留物をさらなる精製無しに次の段階で用いた。MS 400(M+H)。
【0201】
(E)−4−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)エチリデン]−3−メトキシイミノピペリジン(41)
調製を26の代わりに40を用いる以外は27の合成と同じ手順で実施した。MS 300(M+H)]。
【0202】
【化57】

【0203】
スキームXVIIの化合物43:
(Z)−4−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)−1−メチルエチリデン]−3−ヒドロキシ−ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(42)
SeO(1.3g、11.4ミリモル)をCHCl(15mL)に入れることで生じさせた0℃のスラリーにt−ブチルヒドロパーオキサイド(4mL、22ミリモル、5−6M、ウンデカン中10%)をシリンジで加えることによる処理を受けさせた。20分後の反応混合物をエチリデン29(3.4g、9.1ミリモル)をCHCl(15mL)に入れることで生じさせた溶液で処理した後、その結果として得た混合物を室温で12時間撹拌した。この反応物に15%のチオ硫酸ナトリウム水溶液(15mL)を添加することで反応を注意深くクエンチさせた後、その反応混合物をCHCl(25mL)で希釈した。層分離を起こさせた後、その有機層を15%のチオ硫酸ナトリウム水溶液(15mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0−75%の酢酸エチル/ヘキサン)による精製で表題の化合物42(1.2g、34%)を白色の固体として得た。MS 387(M+H)。
【0204】
(Z)−4−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)1−メチル−エチリデン]−3−ヒドロキシピペリジン(43)
調製を26の代わりに42を用いる以外は27の合成と同じ手順で実施した。MS 287(M+H)]。
【0205】
【化58】

【0206】
スキームXVIIIの化合物48
t−ブチル−3−フルオロ−4−オキソピペリジニル−1−カルボキシレート(44)の調製を米国特許第5837715号に従って実施した。
【0207】
(E/Z)−4−(2−エトキシ−2−オキソエチリデン)−3−フルオロピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(45)
調製を1−(t−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジノンの代わりに44を用いる以外は24の合成と同じ手順で実施した。MS 288(M+H)。
【0208】
(E/Z)−4−(2−ヒドロキシエチリデン)−3−フルオロピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(46)
調製を24の代わりに45を用いる以外は25の合成と同じ手順で実施した。MS 246(M+H)。
【0209】
(E/Z)−4−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イル)エチリデン]−3−フルオロピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(47)
調製を25の代わりに46を用いる以外は26の合成と同じ手順で実施した。MS 375(M+H)。
【0210】
トリフルオロ酢酸(E/Z)−4−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イル)エチリデン]−3−フルオロピペリジン(48)
調製を26の代わりに47を用いる以外は27の合成と同じ手順で実施した。MS 2
75(M+H)。
【0211】
【化59】

【0212】
スキームXIXの化合物Z−53およびE−53:
1−[3−メチル−1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニリデニル]−1−フルオロ酢酸エチル(50)
調製を1−(t−ブトキシカルボニル)−4−ピペリジノンの代わりに49を用いかつホスホノ酢酸トリエチルの代わりに2−フルオロホスホノ酢酸トリエチルを用いる以外は24の合成と同じ手順で実施した。MS 292(M+H)。
【0213】
2−[3−メチル−1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニリデニル]−2−フルオロエタノール(E−51およびZ−51)
50(2.68g、9.19ミリモル)をテトラヒドロフラン(50mL)に入れることで生じさせた0℃の溶液を窒素下でSuper−Hydride(商標)溶液(23mL、23ミリモル、テトラヒドロフラン中1.0M、Aldrich)で処理した。1時間後の反応混合物をメタノール(10mL)で注意深く処理し、酢酸エチル(50mL)で希釈し、10%のNaHCO水溶液(3x50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、真空下で濃縮した。MPLC(シリカゲル、0−50%の酢酸エチル/ヘキサン)による精製でZ−異性体51(0.84g、37%)(MS 250(M+H))を無色の油として得かつE−異性体51(0.97g、42%)(MS 250(M+H))を無色の油として得た。
【0214】
(Z)−2−[2−(3−メチル−1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニリデニル)−2−フルオロエチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(Z−52)
調製を25の代わりにZ−51を用いる以外は26の合成と同じ手順で実施した。MS
379(M+H)]。
【0215】
(E)−2−[2−(3−メチル−1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニリデニル)−2−フルオロエチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(E−52)
調製を25の代わりにE−51を用いる以外は26の合成と同じ手順で実施した。MS
379(M+H)]。
【0216】
塩酸(Z)−2−[2−フルオロ−2−(3−メチル−4−ピペリジニリデニル)−エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(Z−53)
Z−52(0.550g、1.45ミリモル)とクロロ蟻酸1−クロロエチル(0.63mL、5.8ミリモル)をジクロロエタン(15mL)に入れることで生じさせた混合物を還流温度に2時間温めた。その結果として生じた溶液を室温になるまで冷却した後、真空下で濃縮した。その残留物をメタノール(50mL)に溶解させた後、還流温度に2時間温めた。その反応混合物を室温になるまで冷却した後、真空下で濃縮することで白色固体を得た。その残留物をジエチルエーテル(2x)で洗浄した後、乾燥させることでZ−53(260mg、55%)を白色の固体として得た。MS 289(M+H)。
【0217】
塩酸(E)−2−[2−フルオロ−2−(3−メチル−4−ピペリジニリデニル)−エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(E−53)
調製をZ−52の代わりにE−52を用いる以外はZ−52の合成と同じ手順で実施した。MS 289(M+H)]。
【0218】
【化60】

【0219】
4−(2−オキソ−プロピリデン)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(54)
調製を国際特許公開WO 0285901に記述されている手順と同じ手順で実施した。
【0220】
4−(1−クロロ−2−オキソ−プロピリデン)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(55)
塩化テトラブチルアンモニウム(11.1g、40.1ミリモル)をCHCl(50mL)に入れることで生じさせた25℃のスラリーを1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(17.0g、40.1ミリモル)で処理した後、その結果として生じた明黄色の溶液を10分間撹拌した。この反応混合物を54をCHCl(50mL)に入れることで生じさせた溶液で処理した後、その結果として生じた溶液を3時間撹拌した。その明黄色の溶液を10%の重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)の中に注意深く注ぎ込み、CHCl(50mL)で希釈することで沈澱を誘発し、濾過した後、その沈澱物を廃棄した。その結果として得た透明な溶液を10%の重炭酸ナトリウム水溶液(1x100mL)そして食塩水(1x100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、真空下で濃縮した。MPLC(0−40%の酢酸エチル/ヘキサン)による精製で55(1.24g、34%)を無色の油として得た。MS 274(M+H)。
【0221】
4−(1−クロロ−2−ヒドロキシプロピリデン)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(56)
55(1.24g、4.53ミリモル)をエタノール(25mL)に入れることで生じさせた25℃の溶液をホウ水素化ナトリウム(102mg、2.72ミリモル)で処理した。1時間後の反応混合物を真空下で濃縮し、酢酸エチル(40mL)で希釈し、5%の塩酸水溶液(1x25mL)で注意深く処理し、層分離を起こさせた後、乾燥(MgSO)させた。その結果として得た溶液に濃縮を真空下で受けさせることで56(902.1mg、72%)を無色の残留物として得て、これをさらなる精製無しに用いた。MS 298(M+Na)。
【0222】
4−[1−クロロ−2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−プロピリデン]ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(57)
調製を25の代わりに56を用いる以外は26の合成と同じ手順で実施した。MS 427(M+Na)]。
【0223】
2−[(2−クロロ−1−メチル−2−(4−ピペリジニリデン)エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(58)
調製を26の代わりに56を用いる以外は27の合成と同じ手順で実施した。MS 305(M+H)]。
【0224】
【化61】

【0225】
1−[1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イリデン]−1−フルオロ酢酸エチル(122;R=F)
NaH(油中60%、115mg、2.87ミリモル)を無水THF(6mL)に入れて、これに0℃で2−フルオロ−2−ホスホノ酢酸トリエチル(0.63mL、3.10ミリモル)を加えた。撹拌を15分間行った後、ケトン121(562mg、2.37ミリモル)を無水THF(6mL)に入れることで生じさせた溶液を加えた。この反応物を室温に温めた後、一晩撹拌した。この反応物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、飽和NaHCO(2x100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、真空下で濃縮した。その粗材料をクロマトグラフィー(100% CHCl)にかけることでエステル122(R=F)を黄色の油(392mg、66%)として得た。MS 326(M+H)。
【0226】
1−[1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イリデン]−1−クロロ酢酸エチル(123;R=Cl)
これの調製を2−フルオロ−2−ホスホノ酢酸トリエチルの代わりに2−クロロ−2−ホスホノ酢酸トリエチルを用いる以外はこの上に記述した手順と同じ様式で実施した。エステル123(R=Cl)を白色の固体として単離した(77%)。MS 342、344(M+H)。
【0227】
2−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イリデン)−2−フルオロエタノール(124;R=F)
エステル122(R=F)(510mg、1.56ミリモル)をトルエン(8mL)に入れることで生じさせた−78℃の溶液にDIBAL(トルエン中1M、4.2mL、4.2ミリモル)を数分かけて加えた。この反応物を5時間撹拌した後、それにトルエン中のメタノール溶液をゆっくり添加することで反応をクエンチさせた。その反応物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、NaOH(1N、2x50mL)そして水(50mL)
で洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、真空下で濃縮することでアルコール124(R=F、289mg、65%)をエーテル/ヘキサンと一緒にすり潰した後に淡黄色の固体として得た。MS 284(M+H)。
【0228】
2−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イリデン)−2−クロロエタノール(125;R=Cl)
これの調製をエステル122(R=F)の代わりにエステル123(R=Cl)を用いる以外はこの上に記述した手順と同じ様式で実施した。アルコール125(R=Cl)をクロマトグラフィー(20%の酢酸エチル/ヘキサン)で白色固体として単離した(53%)。MS 300、302(M+H)。
【0229】
2−[2−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イリデン)−2−フルオロエチル]イソインドール−1,3−ジオン(126;R=F)
アルコール124(R=F)(1.00g、3.533ミリモル)とトリフェニルホスフィン(1.14g、4.34ミリモル)とフタルイミド(0.648g、4.527ミリモル)を無水THF(30mL)に入れることで生じさせた0℃の溶液にDIAD(0.89mL、4.489ミリモル)を加えた。この反応物を室温に温めて36時間撹拌した。揮発物を蒸発させた後、その残留物をシリカゲル使用クロマトグラフィー(5%の酢酸エチル/ヘキサン)にかけることでフタルイミド126(R=F)(952mg、65%)を白色の固体として得た。MS 413(M+H)。
【0230】
2−[2−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イリデン)−2−クロロエチル]イソインドール−1,3−ジオン(127;R=Cl)
これの調製を光延反応でアルコール124(R=F)の代わりにアルコール125(R=Cl)を用いる以外はこの上に記述した手順と同じ様式で実施した。フタルイミド127(R=Cl)をクロマトグラフィー(15%の酢酸エチル/ヘキサン)で白色固体として単離した(68%)。MS 429、431(M+H)。
【0231】
塩酸2−(2−アゼチジン−3−イリデン−2−フルオロエチル)イソインドール−1,3−ジオン(128;R=F)
フタルイミド126(R=F)(350mg、0.8491ミリモル)とACE−Cl(0.50mL、4.65ミリモル)を1,2−ジクロロエタン(20mL)に入れて窒素雰囲気下で還流温度に24時間加熱した。冷却後、揮発物を蒸発させた後、その結果として得た残留物にメタノール(25mL)を加えた。これを還流温度に3時間加熱した後、メタノールを蒸発させることで128(R=F)をベージュ色の粉末として得た(230mg、96%)。MS 247(M+H)。
【0232】
塩酸2−(2−アゼチジン−3−イリデン−2−クロロエチル)イソインドール−1,3−ジオン(129;R=Cl)
これの調製を反応でフタルイミド126(R=F)の代わりにフタルイミド127(R=Cl)を用いる以外はこの上に記述した手順と同じ様式で実施した。この化合物を白色粉末として単離した(86%)。MS 263、265(M+H)。
【0233】
【化62】

【0234】
4−(1,2−ジクロロエチリデン)ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(131;R=Cl)
30(R=Cl)(4.24g、16.20ミリモル)とトリエチルアミン(6.8mL、48.60ミリモル)をCHCl(120mL)に入れることで生じさせた0℃の溶液を塩化メタンスルホニル(1.9mL、24.30ミリモル)で処理した後、室温に温めて一晩撹拌した。その結果として得た混合物に飽和NaHCO水溶液(100mL)を添加することで反応をクエンチさせた後、生成物をCHClで抽出した。フラッシュクロマトグラフィー(0−20%の酢酸エチル/ヘキサン)による精製で表題の化合物(3.1g、68%)を白色固体として得た。
【0235】
4−(2−クロロ−1−フルオロエチリデン)ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(130;R=F)
これの調製をアルコール30(R=Cl)の代わりにアルコール28(R=F)を用いる以外はこの上に記述した手順と同じ様式で実施した。
【0236】
4−[2−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−1−クロロエチリデン]ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(133;R=Cl;R=メチル;R10=ベンジル)
131(R=Cl)(600mg、2.14ミリモル)とトリエチルアミン(1.5mL、10.71ミリモル)をアセトニトリル(18mL)に入れることで生じさせた室温の溶液をN−ベンジルメチルアミン(0.45mL、3.43ミリモル)で処理した後、一晩撹拌した。その結果として得た混合物に濃縮を真空下で受けさせた後、その残留物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、水(2x10mL)で洗浄した後、乾燥(MgSO)させた。フラッシュクロマトグラフィー(0−15%の酢酸エチル/ヘキサン)による精製で表題の化合物(690mg、88%)を白色の固体として得た。MS 365(M+H)。
【0237】
4−[2−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−1−フルオロエチリデン]ピペリジニル−1−カルボン酸t−ブチル(132;R=F;R=メチル;R10=ベンジル)
これの調製を塩化物131(R=Cl)の代わりに塩化物130(R=F)を用いる以外はこの上に記述した手順と同じ様式で実施した。MS 349(M+H)。
【0238】
N−ベンジル−N−メチル−(2−クロロ−2−ピペリジン−4−イリデン)エチルアミン(135;R=Cl)
133(R=Cl)(690mg、1.89ミリモル)をCHCl(15mL)に溶解させることで生じさせた室温の溶液をトリフルオロ酢酸(1.5mL)で処理した。5時間後の反応混合物に濃縮を真空下で受けさせることで表題の化合物(定量的)を油として得て、これをさらなる精製無しに次の段階で用いた。MS 265(M+H)。
【0239】
N−ベンジル−N−メチル−(2−フルオロ−2−ピペリジン−4−イリデン)エチルアミン(134;R=F)
これの調製をアミン133(R=Cl)の代わりにアミン132(R=F)を用いる以外はこの上に記述した手順と同じ様式で実施した。MS 249(M+H)。
【0240】
表9に、この上に詳述した手順と類似した手順で調製したBoc保護アミン(136−147)および誘導化アミン(148−159)を挙げる。
【0241】
【表10】

【0242】
【表11】

【0243】
最終的生成物の製造
7−[4−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロナフチリジン−3−カルボ
ン酸(1)
アミン31(612mg、1.57ミリモル)とトリエチルアミン(0.7mL、5.0ミリモル)をアセトニトリル(4mL)に入れることで生じさせた溶液を窒素下で7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ナフトピリジン−3−カルボン酸(222mg、0.787ミリモル)で処理した後、この反応混合物を12時間撹拌した。その結果として得た混合物に濃縮を真空下で受けさせた後、その残留物を水(3x10mL)で洗浄した。その残留物を15分間乾燥させた。固体を集め、メタノール(5mL)に入れて再懸濁させた後、その反応混合物をヒドラジン(1mL)で処理した。5分後の反応混合物を還流するまで温めて、その結果として得た混合物を1時間撹拌した。この反応混合物に濃縮を真空下で受けさせ、それを水で希釈した後、固体を濾過で集めた。オフホワイトの生成物を水(3x20mL)で洗浄し、一晩乾燥させることで表題の化合物1を得た(40.4mg、13%)。MS 391(M+H)。
【0244】
7−[4−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸のトリフルオロ酢酸塩(5)
アミン31(311mg、0.80ミリモル)とトリエチルアミン(0.55mL、4.0ミリモル)をアセトニトリル(4mL)に入れることで生じさせた溶液を窒素下でジアセチルキノリニルボレート17(300mg、0.60ミリモル)で処理した。5分後の反応混合物を還流するまで温めた後、この反応混合物を12時間撹拌した。その結果として得た混合物を室温になるまで冷却し、真空下で濃縮した後、その残留物を水(3x10mL)で洗浄した。その残留物をテトラヒドロフラン(3mL)に溶解させた後、室温で10%の塩酸水溶液(5mL)で処理した。30分後の反応混合物に濃縮を真空下で受けさせた後、それを水(10mL)で希釈して、固体を濾過で集めた。その固体状残留物を水(3x5mL)で洗浄した後、15分間乾燥させた。その固体を集めて、メタノール(5mL)に再懸濁させた後、その反応混合物をヒドラジン(1mL)で処理した。5分後の反応混合物を還流温度になるまで温めた後、その結果として得た混合物を1時間撹拌した。この反応混合物に濃縮を真空下で受けさせた後、その残留物をHPLC(逆相C−18カラム、0−55%のアセトニトリル/トリフルオロ酢酸含有量が0.1%の水)で精製することで5のトリフルオロ酢酸塩(61.3mg、20%)を明黄色の固体として得た。MS 390(M+H)。
【0245】
7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)アゼチジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−[1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸(80)
7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ナフチリジン−3−カルボン酸(57mg、0.2016ミリモル)とアミン128(R=F)(67mg、0.2389ミリモル)とトリエチルアミン(0.5mL)をアセトニトリル(10mL)に入れて還流温度に一晩加熱した。冷却後、揮発物を蒸発させ、その残留物を水(25mL)に入れて懸濁させた。その結果として生じた固体を濾過で集めた後、乾燥させた。その固体にエタノール(5mL)に続いてヒドラジン(0.01mL、0.3138ミリモル)を加えた。この反応混合物を還流温度に1時間加熱した後、揮発物を蒸発させた。その残留物に水(15mL)を加えた後、その結果として生じた固体を濾過で集め、追加的水で洗浄した後、乾燥させることで87(49.1mg、69%)をオフホワイトの粉末として得た。MS 363(M+H)。
【0246】
7−[3−(2−アミノ−1−フルオロ−エチリデン)アゼチジン−1−イル]−1−シクロプロピル−8−ジフルオロメトキシ−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(160)
アミン128(R=F)(83mg、0.2923ミリモル)とジアセチルキノリニ
ルボレート83(111mg、0.2413ミリモル)とトリエチルアミン(0.5mL)をアセトニトリル(10mL)に入れることで生じさせた溶液を還流温度に一晩加熱した。揮発物を蒸発させた後、その残留物にTHF(5mL)および10%のHCl水溶液(4mL)を加えた。この混合物を約1時間撹拌した。その結果として生じ固体を濾過で集め、水で洗浄した後、乾燥させた。その固体にエタノール(4mL)およびヒドラジン(0.01mL)を加えた後、その反応物を還流温度に1.5時間加熱した。エタノールを真空下で蒸発させた後、その残存する材料に水(20mL)を加えた。固体を集めた後、乾燥させることで160を黄色固体として得た(20%)。MS 428(M+H)。
【0247】
7−{4−[2−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−1−クロロエチリデン]ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸のトリフルオロ酢酸塩(161)
アミン135(1.89ミリモル)とトリエチルアミン(1.2mL、8.59ミリモル)をアセトニトリル(15mL)に入れることで生じさせた溶液を窒素下でジアセチルキノリニルボレート19(727mg、1.72ミリモル)で処理した。5分後の反応混合物を還流温度にまで温めた後、この反応混合物を24時間撹拌した。その結果として得た混合物を室温になるまで冷却した後、真空下で濃縮した。その残留物をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解させ、室温で10%の塩酸水溶液(5mL)で処理した後、一晩撹拌した。その結果として得た混合物に濃縮を真空下で受けさせた後、その残留物をHPLC(逆相C−18カラム、30−90%のアセトニトリル/トリフルオロ酢酸含有量が0.1%の水)で精製することで161のトリフルオロ酢酸塩(632mg、56%)を黄色の固体として得た。MS 540(M+H)。
【0248】
7−{4−[2−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−1−クロロエチリデン]ピペリジン−1−イル}−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−[1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸(162)
アミン135(0.48ミリモル)とトリエチルアミン(0.28mL、2.0ミリモル)をアセトニトリル(7mL)に入れることで生じさせた溶液を窒素下で7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−[1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸(113mg、0.40ミリモル)で処理した。5分後の反応混合物を還流温度にまで温めた後、この反応混合物を24時間撹拌した。その結果として得た混合物を室温になるまで冷却し、真空下で濃縮した後、その残留物を水で希釈した。生成物を濾過で集めた後、水そして少量のメタノールで洗浄することで表題の化合物(178mg、87%)を白色の固体として得た。MS 511(M+H)。
【0249】
7−[4−(2−ヒドロキシエチリデン)ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロナフチリジン−3−カルボン酸(163)
アミン103(256mg、1.06ミリモル)とトリエチルアミン(0.5mL、3.55ミリモル)をアセトニトリル(4mL)に入れることで生じさせた溶液を窒素下で7−クロロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−ナフチリジン−3−カルボン酸(200mg、0.71ミリモル)で処理した後、この反応混合物を16時間撹拌した。その結果として得た混合物に濃縮を真空下で受けさせ、その残留物を水(3x10mL)で洗浄した後、一晩乾燥させることで表題の化合物163(105mg、40%)を得た。MS 374(M+H)。
【0250】
7−[4−(ヒドロキシエチリデン)ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(164)
アミン103(146mg、0.61ミリモル)とトリエチルアミン(0.55mL、4.0ミリモル)をアセトニトリル(4mL)に入れることで生じさせた溶液を窒素下で
ジアセチルキノリニルボレート17(125mg、0.60ミリモル)で処理した。5分後の反応混合物を還流温度にまで温めた後、この反応混合物を12時間撹拌した。その結果として得た混合物を室温になるまで冷却し、真空下で濃縮した後、その残留物を水(3x10mL)で洗浄した。その残留物をテトラヒドロフラン(3mL)に溶解させ、室温で10%の塩酸水溶液(5mL)で処理した。30分後の反応混合物に濃縮を真空下で受けさせ、それを水(10mL)で希釈した後、固体を濾過で集めた。その固体状残留物を水(3x5mL)で洗浄した後、15分間乾燥させた。固体を集めることで157(5.1mg、2.2%)を明黄色の固体として得た。MS 373(M+H)。
【0251】
表4に、この上に詳述した実験手順で調製した本発明の追加的化合物を挙げる。ナフチリジン2−4、59−63、69および173−176の場合には、これらの調製で化合物1に関して示した実験手順に類似した手順を用いた。ナフチリジン171、172および185の場合には、163に関して示した手順に類似した手順を用いた。ナフチリジン81、183および184の場合には、80に関して示した実験手順に類似した手順を用いた。ナフチリジン165−170、177−182および186の場合には、これらの調製で162に関して示した手順に類似した手順を用いた。キノロン6−15、64−66、70、71、73、78、187、188、201−204、206−208および210の場合には、これらの調製で化合物5に関して示した実験手順に類似した手順を用いた。キノロン76、77、189、205および209の場合には、これらの調製で160に関して示した手順に類似した手順を用いた。キノロン190−200の場合には、161に関して示した手順に類似した手順を用いた。キノロン211の場合には、これの調製で163に関して示した手順に類似した手順を用いた。
【0252】
【表12】

【0253】
【表13】

【0254】
【表14】

【0255】
【表15】

【0256】
【化63】

【0257】
7−[4−(1−クロロ−2−メチルアミノエチリデン)ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸のトリフルオロ酢酸塩(72)
154(160mg、0.24ミリモル)を1,2−ジクロロエタン(4mL)に溶解させることで生じさせた溶液を窒素下でクロロ蟻酸1−クロロエチル(0.8mL、7.3ミリモル)で処理した。5分後の反応混合物を還流温度にまで温めた後、この反応混合物を3時間撹拌した。その結果として得た混合物を室温になるまで冷却した後、それに濃縮を真空下で受けさせた。その残留物をテトラヒドロフラン(5mL)に溶解させ、NaHCOおよび水を室温で添加することでpH>7に調整した後、一晩撹拌した。その結果として得た混合物に濃縮を真空下で受けさせた後、その残留物をHPLC(逆相C−18カラム、35−90%のアセトニトリル/トリフルオロ酢酸含有量が0.1%の水)で精製することで72のトリフルオロ酢酸塩(37mg、27%)を黄色の固体として得た。MS 450(M+H)。
【0258】
表10に、この上に示した手順に類似した手順で調製した最終的生成物(74、75、79、213−220)を挙げる。
【0259】
【表16】

【0260】
【化64】

【0261】
1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−7−[4−(2−メチルアミノエチリデン)ピペリジン−1−イル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸のトリフルオロ酢酸塩(221)
161(70mg、0.11ミリモル)をメタノール/蟻酸(体積/体積=20/1)(14mL)に入れることで生じさせた室温の溶液を窒素下で10%Pd/C(35mg、7.3ミリモル)で処理した後、3時間撹拌した。その結果として得た混合物を濾過した後、真空下で濃縮した。その残留物をHPLC(逆相C−18カラム、35−90%のアセトニトリル/トリフルオロ酢酸含有量が0.1%の水)で精製することで221のトリフルオロ酢酸塩(8.3mg、15%)を黄色の固体として得た。MS 416(M+H)。
【0262】
【化65】

【0263】
7−[4−(2−アミノ−1−フルオロエチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−8−ジフルオロメトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(68)
アミン31(534mg、1.94ミリモル)とキノロン67(587mg、1.46ミリモル)(EP1031569に記述されているようにして調製)と炭酸セシウム(717mg、2.2ミリモル)と(1S)−[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[ジフェニルホスフィン](137mg、0.22ミリモル)をトルエン(75mL)に入れることで生じさせた溶液をPd(dba)(66mg、0.072ミリモル)で処理した後、この反応混合物を還流するまで温めた。12時間後に結果として得た
混合物を室温になるまで冷却し、真空下で濃縮した後、その残留物を水(3x10mL)で洗浄した。MPLC(0−100%の酢酸エチル/ヘキサン)による精製で黄色の残留物を得た。その残留物を濃塩酸(5mL)に溶解させた後、還流するまで温めた。3時間後の反応混合物に濃縮を真空下で受けさせ、それを水(10mL)で希釈した後、固体を濾過で集めた。その固体状残留物を水(3x5mL)で洗浄した後、15分間乾燥させた。固体を集め、メタノール(5mL)に入れて再懸濁させた後、その反応混合物をヒドラジン(1mL)で処理した。5分後の反応混合物を還流するまで温めた後、その結果として得た混合物を1時間撹拌した。この反応混合物に濃縮を真空下で受けさせた後、HPLC(逆相C−18カラム、0−55%のアセトニトリル/トリフルオロ酢酸含有量が0.1%の水)による精製を受けさせることで表題の化合物68のトリフルオロ酢酸塩(75mg、12%)を明黄色の固体として得た。MS 438(M+H)。
【0264】
【化66】

【0265】
7−[4−(2−アセチルアミノ−エチリデン)−ピペリジン−1−イル]−1−シクロプロピル−6−フルオロ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−[1,8]ナフチリジン−3−カルボン酸(222)
59(25mg、0.067ミリモル)と無水酢酸(94μL、0.100ミリモル)をピリジン(1mL)に入れることで生じさせた混合物を25℃で12時間撹拌した。その結果として得た混合物に濃縮を真空下で受けさせ、その残留物を水(3x10mL)で洗浄した後、一晩乾燥させることで表題の化合物222(15mg、54%)を得た。MS 415(M+H)。
【0266】
生物学的活性
本発明に記述した化合物は新規な構造を有することが理由で抗菌活性を有し、ヒトおよび動物における細菌感染を治療するための抗菌物質として用いるに有用である。
【0267】
最小発育阻止濃度(MIC)は、本技術分野で幅広く用いられているインビトロ抗菌活性指標である。National Committee for Clinical Laboratory Standards(NCCLS)による試験方法に従う微量希釈ブロス方法(microdilution broth method)を用いて本化合物がインビトロで示す抗菌活性を測定した。この方法はNCCLS Document M7−A4、17巻、No.2、「Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Test for Bacteria that Grow Aerobically−−Fourth Edition」(これは引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0268】
この方法では、カチオン調整しておいたMueller−Hintonブロスを用いて
一連の2倍希釈を受けさせた薬剤を微量希釈用トレーの中の穴に加える。活発に増殖しているブロス培養物の濁りが試験有機体を穴に加えた後の最終濃度が約5x10CFU/穴になるように調整することで試験有機体の調製を行う。
【0269】
前記微量希釈用トレーに接種を受けさせた後、これらのトレーを35℃で16−20時間インキュベートし、次に読み取りを行う。MICは、試験有機体の増殖の完全な抑制をもたらす最も低い試験化合物濃度である。試験化合物を入れておいた穴の中で起こる増殖の度合を各トレーで用いた増殖対照穴(試験化合物が入っていない)の増殖の度合と比較する。表5に挙げるように、本発明の化合物に試験をいろいろな病原性細菌に対して受けさせた結果、活性の範囲は試験を受けさせた有機体に依存していた。
【0270】
【表17】

【0271】
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

【化2】

【化3】

から成る群から選択される化合物、またはこれの光学異性体、ジアステレオマーまたは鏡像異性体、薬学的に受け入れられる塩、もしくは水化物。
【請求項2】
式:
【化4】

またはこれの光学異性体、ジアステレオマーまたは鏡像異性体、薬学的に受け入れられる
塩、もしくは水化物。
【請求項3】
式:
【化5】

またはこれの光学異性体、ジアステレオマーまたは鏡像異性体、薬学的に受け入れられる塩、もしくは水化物。
【請求項4】
式:
【化6】

またはこれの光学異性体、ジアステレオマーまたは鏡像異性体、薬学的に受け入れられる塩、もしくは水化物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物を含み、哺乳動物に治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物を投与して細菌感染により引き起こされるかまたはそれに起因する患者の症状を処置するための製薬剤。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物を含み、患者に治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物を投与して細菌感染により引き起こされるかまたはそれに起因する患者の症状を予防するための製薬剤。

【公開番号】特開2012−162529(P2012−162529A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−50624(P2012−50624)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【分割の表示】特願2006−526944(P2006−526944)の分割
【原出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】