説明

7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンおよびその使用

本発明において、新規の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−α]ピリジニル−6−イル−置換テトラヒドロイソキノリンが説明される。これらの化合物および結晶形態SA1およびN−2は、様々な神経疾患および生理疾患の治療に使用される。本発明において、これらの化合物および結晶形態SA−1およびN−2を形成する方法も説明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年5月12日に出願された米国特許仮出願第61/177,474号の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、様々な神経疾患および精神疾患を治療するための化合物、結晶形態、組成物、および方法、ならびに複合療法における化合物および結晶形態の使用に関する。特に、本発明は、そのような化合物、結晶形態、組成物、および方法に関し、化合物は、新規の[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジニル−6−イル置換テトラヒドロイソキノリン誘導体である。これらの化合物および結晶形態SA−1およびN−2を形成する方法も、本発明において説明される。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
モノアミン再取り込み阻害薬は、再取り込みに関与する輸送体、つまり、セロトニン輸送体(SERT)、ノルエピネフリン輸送体(NET)、およびドーパミン輸送体(DAT)のうちの1つまたは複数に結合することによって、脳内のセロトニン(5−HT)、ノルエピネフリン(NE)、および/またはドーパミン(DA)の細胞外レベルを上昇させ、それによって、シナプス間隙からの神経伝達物質の再取り込みを遮断する。モノアミン再取り込み阻害薬は、多数のCNS疾患、特に、大鬱病性障害(MDD)の治療に対する有用性が証明されている、既知の薬物群である。
【0004】
約50年前の三環系抗鬱薬(TCA)の導入以降、非常に向上した安全性プロファイルを有するモノアミン再取り込み阻害薬が、鬱病の治療を著しく向上させた。TCAは、非常に有効な抗鬱剤であるが、TCAと、ムスカリン、ヒスタミン、およびアドレナリン受容体との相互作用に起因して、心血管への作用、抗コリン作用、および鎮静といった副作用が一般的である。1980年代の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の革新的導入により、高度に向上した安全性プロファイルのために、はるかに大規模な患者集団の治療が可能になった。過去数十年の間、NEまたはDAの再取り込みを選択的に遮断する阻害薬、または3つの神経伝達物質のうちの2つは、同時に、鬱病、不安、強迫神経症(OCD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、疼痛、および尿失禁を含む、CNS障害の治療に使用可能になった。モノアミン再取り込み阻害薬に関する2つの代表的な最近の概説(Liu and Molino,Annual Reports in Medicinal Chemistry,42:13(2007)、Walter,Drug Dev.Res.,65:97(2005))は、モノアミン再取り込み阻害薬の領域における歴史および最近の開発について要約している。
【0005】
現在、患者の30〜40%が、現在使用可能な抗鬱剤による治療に反応しないため、モノアミン再取り込み阻害薬の分野における主要な努力は、抗鬱効果の向上に集中している。追加の主要な目的は、作用の発現を強化することである。現在の抗鬱剤は、通常、臨床効果が見られるまで、2〜6週間の治療を必要とする。DA再取り込み阻害薬または二重NE/DA再取り込み阻害薬がSSRIと複合される、増強方法を探究する臨床試験により、SSRI治療単独が無効である鬱病患者における有用性の向上がもたらされた(Patkar et.al,J.Clin.Psychopharmacol.,26:653(2006)、Zisook et al,Biol. Psychiat.,59:203(2006))。これらのような臨床試験の結果の向上は、5−HT、NE、およびDAの再取り込みを同時に遮断する、阻害薬の開発に対する相当の注目を妥当なものとする。鬱病を治療するより良い薬物に対する継続的な必要性および新しい臨床適応の機会に起因して、新規のモノアミン再取り込み阻害薬を発見する努力は、衰えることなく続いている。
【0006】
注意欠陥多動性障害の治療に現在使用されているメチルフェニデートは、DATの阻害に選択的であることが知られている。また米国特許第5,444,070号は、パーキンソン病、コカインおよびアンフェタミンを含む薬物中毒または乱用の治療として、ドーパミン再取り込みの選択的阻害薬を開示する。
【0007】
選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(NARI)も開示されている。米国特許第6,352,986号は、注意欠陥多動性障害(ADHD)、嗜癖障害、およびレボキセチンによる精神活性物質使用障害の治療方法について説明する。また、アトモキセチン(STRATTERA(登録商標))は、現在、ADHD用の選択的NET再取り込み阻害薬として市販されている。
【0008】
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用が、鬱病の治療において有効であることが示されている。セルトラリン、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、フルオキセチン、およびフルボキサミンは、鬱病、強迫神経症、およびパニック発作等の疾患を治療するために使用される、よく知られているSSRIの例である。SSRIクラスの治療薬に関して、いくつかの問題が知られており、作用の遅発、望ましくない副作用、およびSSRI治療に反応しないかなりの数の集団のサブセットの存在が挙げられる。新しいSSRIの臨床開発における最近の努力は、SSRIの射精遅延副作用を利用することによる、早漏(PE)の治療に焦点が当てられている。SSRIは、この状態を治療するために、認可外の薬として処方されているが、作用の速やかな発現および迅速なクリアランスを伴うSSRIは、PEの応需型治療に好適であり得る。ダポキセチン(LY210448,6)という、半減期の短いフルオキセチンに構造的に関連するSSRIが、臨床試験において、中度〜重度のPE患者に対して有効かつ一般的に忍容性が良好な治療であることが報告されている(Feret,Formulary,40:227(2005)、Pryor et al,Lancet,368:929(2006))。
【0009】
DAT、NET、およびSERT再取り込みの選択的阻害薬は、互いに共投与されてもよく、または他の薬物と共投与されてもよい。米国特許第5,532,244号は、強迫神経症、鬱病、および肥満の治療に対する、セロトニン1A拮抗薬と、セロトニン再取り込み阻害薬との併用を開示する。ニューロキニン−1受容体拮抗薬と、セロトニンまたはノルエピネフリン再取り込み阻害薬との併用が、ADHDの治療に関して、米国特許第6,121,261号において開示されている。米国特許第4,843,071号は、肥満、薬物乱用、またはナルコレプシーの治療において、ノルエピネフリン前駆体と、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬との併用を開示する。米国特許第6,596,741号は、多様な状態の治療に対して、ニューロキニン−1受容体拮抗薬またはセロトニン−1A拮抗薬のいずれかと、NE、DA、または5−HT阻害薬との併用を開示する。
【0010】
神経伝達物質の1つまたは複数を同時に阻害する化合物の使用も有利である。二重NETおよびSERT再取り込み阻害薬デュロキセチンの抗鬱特性が、欧州特許第EP273658号において開示されている。ベンラファクシンは、鬱病の治療に対する、NEおよび5−HTの両方の再取り込み阻害薬として、米国特許第4,535,186号において開示されている。米国特許第6,635,675号は、慢性疲労症候群および線維筋痛症候群の治療に対する、二重NEおよび5−HT再取り込み阻害薬ミルナシプランの使用を開示する。さらに、二重NEおよび5−HT再取り込み阻害薬が、鬱病の治療に対して、米国特許第6,136,083号においても開示されている。本明細書において具体的に記述されない、変動比率でNE、DAおよび5−HTの再取り込みを阻害する化合物も有利であろうことが認識される。
【0011】
認可される最初のSNRI薬として、ベンラファキシンは、鬱病および不安障害に対する第1選択薬の1つとなった。活性代謝物であるデスベンラファキシンも、大鬱病性障害の治療のために臨床開発中である。前臨床研究も、デスベンラファキシンが、更年期障害と関連付けられる血管運動症状(例えば、火照りおよび寝汗)を軽減する際に有効であり得ることを示す(Sorbera,et al,Drugs of Future.,31:304(2006)、Albertazzi,J.Br.Menopause Soc.,12:7(2006))。デスベンラファキシンは、線維筋痛および神経障害痛、ならびに更年期障害と関連付けられる血管運動症状の治療のために、臨床開発中であることが報告されている。
【0012】
大鬱病性障害の治療に加えて、デュロキセチンは、米国において、痛みを伴う糖尿病性神経障害の治療に対する第1の薬剤として認可された。欧州では、女性の腹圧性尿失禁にも使用されている。2007年、米国において、デュロキセチンは、全般性不安障害の治療に対して認可された。最近では、線維筋痛の管理に対して、FDAにより認可された。
【0013】
ミルナシプランは、現在、米国外の数カ国において、抗鬱薬として使用するために入手可能である。また、線維筋痛症候群の治療におけるその潜在的な役割を評価するために、臨床開発中である。
【0014】
10年を越える使用を経て、ブプロピオンは、第1選択の治療としての使用に適した安全かつ有効な抗鬱薬であると考えられる。さらに、禁煙および季節性情動障害に対して認可されている。SSRIによって誘導される性機能障害の治療のために、認可外の薬としても処方される。ブプロピオンは、非定型抗鬱薬と呼ばれる場合が多い。モノアミン輸送体に対する親和性は、他のモノアミン再取り込み阻害薬と比較して、はるかに低い。ブプロピオンの作用機構は、依然として不明であるが、活性代謝物の結果として、ドーパミンおよびノルエピネフリン再取り込み輸送体の阻害に関連し得る。最近報告された臨床試験において、ブプロピオン持続放出(XL)は、大鬱病性障害の患者において、同様の寛解率、ならびに病院不安および鬱尺度(HAD)の総スコアを有するエスシタロプラムのものよりも著しく優れた性的忍容性プロファイルを有した(Clayton et al.J.Clin.Psychiatry,67:736(2006))。
【0015】
複合療法または「トリプル阻害薬」のいずれかを通して、3つのモノアミンのすべての再取り込みを阻害することによって疾病を治療することも、同様に臨床利益を有し得る。トリプル阻害薬は、次世代抗鬱薬となると考えられる(Liang and Richelson,Primary Psychiatry,15(4):50(2008))。ドーパミン強化成分を抗鬱治療に組み込む根拠は、観察されるドーパミン作動性機能の不全、ドーパミン作動薬と従来の抗鬱薬との複合療法の成功、および慢性的な抗鬱薬投与に起因するドーパミン受容体の感受性の増加を含む(Skolnick et al.,Life Sciences,73:3175−3179(2003))。SSRIとノルアドレナリンおよびドーパミン再取り込み阻害薬との複合療法は、治療抵抗性の鬱病患者において、より有用であることが示された(Lam et al,J.Clin.Psychiatry,65(3):337−340(2004))。ブプロピオンおよびSSRIまたはSNRIの組み合わせを使用する臨床研究は、SSRI、SNRI、またはブプロピオン単独での治療が無効である患者において、MDDの治療に対する有用性の向上を示した(Zisook et al,Biol. Psychiat.,59:203(2006)、Papkostas,Depression and Anxiety,23:178−181(2006)、Trivedi et al,New Engl.J.Med.,354:1243(2006))。即時放出および持続放出処方の両方でメチルフェニデートを使用する他の研究は、治療抵抗性の鬱病において、それが増強剤として有効であることを示した(Patkar et al,J.Clin.Psychopharmacol.,26:653(2006)、Masand et al,Depression and Anxiety,7:89(1998))。さらに、ブプロピオン−SRと、SSRIまたはノルエピネフリンおよびドーパミン再取り込み阻害薬のいずれかとの複合は、単剤療法よりも性的機能不全を誘導しないことが分かった(Kennedy et al,J.Clin.Psychiatry,63(3):181−186(2002))。したがって、NEおよび5−HTの再取り込みに加えて、DAの再取り込みに対する阻害活性は、DATよりもNETおよびSERTに対して選択的である他の混合阻害薬よりも、抗鬱作用が速やかに発現することが予想される。PCT国際公開第WO03/101453号および第WO97/30997号は、3つのモノアミン輸送体のすべてに対して活性である、化合物群を開示する。また、PCT国際特許公開第WO03/049736号は、それぞれDA、NE、および5−HT輸送体に対して同様の活性を示す、一連の4置換ピペリジンを開示する。ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(Axford et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,13:3277−3280(2003))、およびアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(Skolnick et al.,Eur.J.Pharm.,461:99−104(2003))は、3つのモノアミン輸送体のトリプル阻害薬としても説明される。1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンは、臨床試験において、鬱病の治療に有用であることが示されている(Beer et al,J.Clin.Pharmacol.,44:1360−1367(2004))。現在広く使用されている抗肥満薬シブトラミンは、3つの輸送体DAT、SERT、およびNETのすべての阻害を通して作用すると考えられる(Ryan,Pharmacotherapy of Obesity,245−266(2004))。
【0016】
線維筋痛および糖尿病性神経障害の治療用SNRIに対する最近の薬物認可は、神経障害痛の治療におけるこの薬物群の実用性を強化する。この薬物群の利用が今後開発される他の主に未開発の領域は、性的機能不全、例えば、早漏、過敏性腸症候群、肥満、神経変性疾患、例えば、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、ならびに薬物乱用および中毒を含む。
【0017】
依然として、ノルエピネフリン、ドーパミン、およびセロトニンの再取り込みを遮断し、様々な神経および精神疾患を治療する化合物に対する多大なニーズがある。
【0018】
本発明は、この目的を達成することに向けられる。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、式Iの化合物であって、

式中、*で示される炭素原子がSまたはR配置にある、化合物、
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】形態SA−1の実験および模擬粉末X線回折(PXRD)パターン(T=室温でCuKα λ=1.54178Å)を説明する。
【図2】形態SA−1の示差走査熱量測定(DSC)パターンを説明する。
【図3】形態SA−1の熱重量分析(TGA)を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
本発明は、式(I)の化合物であって、

式中、
*で示される炭素原子がRまたはS配置にある、化合物、
またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0022】
上記および本発明の説明全体で使用する、以下の用語は、他に指定のない限り、以下の意味を有することが理解されるものとする。
【0023】
用語「本発明の化合物」および均等表現は、明細書において前述されるように、一般式(I)の化合物を包含することを意味し、当該表現は、文脈がそれを許す場合、薬学的に許容される塩、および水和物等の溶媒和物を含む。同様に、中間体に関する言及は、文脈がそれを許す場合、それら自体が明記されるか否かにかかわらず、それらの塩、および溶媒和物を包含することを意味する。明確にするために、文脈がそれを許す場合、特定の例が本文中に示される場合があるが、これらの例は、単に例証であり、文脈がそれを許す場合、他の例を除外することを意図しない。
【0024】
用語「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物の比較的非毒性の、無機、および有機酸付加塩、ならびに塩基付加塩を意味する。これらの塩は、化合物の最終単離および精製中に、原位置で調製され得る。特に、酸付加塩は、その遊離塩基形態の精製化合物を、適切な有機または無機酸と個別に反応させ、それによって形成される塩を単離することによって調製され得る。典型的な酸付加塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸、スルファミン酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、プロピオン酸塩、メチレン−ビス−b−ヒドロキシナフトエ酸塩、ゲンチシン酸塩、イセチオン酸塩、ジ−p−トルオイル酒石酸、メタン−スルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、およびラウリル硫酸キナ酸塩等が挙げられる(例えば、参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Berge et al.,″Pharmaceutical Salts,″J.Pharm.Sci.,66:1−9(1977)およびRemington′s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418を参照)。塩基付加塩は、その酸形態の精製化合物を、適切な有機または無機塩基と個別に反応させ、それによって形成された塩を単離することによって調製することもできる。塩基付加塩には、薬学的に許容される金属およびアミン塩が挙げられる。適切な金属塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、マグネシウム、およびアルミニウム塩が挙げられる。ナトリウムおよびカリウム塩が好適である。適切な無機塩基付加塩は、例えば、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、および水酸化亜鉛を含む、金属塩基から調製される。適切なアミン塩基付加塩は、安定した塩を形成するために十分な塩基性を有するアミンから調製され、好ましくは、医学的使用に対するそれらの低い毒性および受容性に起因して、医薬化学において頻繁に使用される、それらのアミンを含み、例えば、アンモニア、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、エフェンアミン、デヒドロアビエチルアミン、N−エチルピペリジン、ベンジルアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、塩基アミノ酸、例えば、リシンおよびアルギニン、ジシクロヘキシルアミン等である。
【0025】
用語「実質的に純粋」は、化学的純度および形態純度を指す。例えば、実質的に純粋な形態SA−1(または形態N−2)は、形態SA−1の少なくとも約95重量%、好ましくは、少なくとも約98重量%、より好ましくは、少なくとも約99重量%、および式(I)のS−鏡像異性体とは異なる化学構造を有する、他の化合物の約5重量%未満、好ましくは、約2重量%未満、およびより好ましくは、約1重量%未満を含む。追加として、実質的に純粋な形態SA−1(または形態N−2)は、形態SA−1の少なくとも約95重量%、好ましくは、少なくとも約98重量%、より好ましくは、少なくとも約99重量%、および式(I)のS−鏡像異性体の任意の他の結晶形態の約5重量%未満、好ましくは、約2重量%未満、およびより好ましくは、約1重量%未満を含む。これは、形態SA−1(または形態N−2)が、好ましくは、他の化合物の少なくとも約5重量%未満、および任意の他の形態の約5重量%未満を含有することを意味する(「フェーズ均一性」とも呼ばれる)。
【0026】
用語「治療上有効量」は、シナプスにおいて、セロトニン、ノルエピネフリン、またはドーパミンのレベルを増加させ、それによって所望の治療効果をもたらすことにおいて有効な本発明の化合物の量を説明することを意味する。そのような量は、概して、決定および説明するために本明細書で提供される説明を考慮して、当業者の権限内で多数の因子に従って変動する。これらは、制限なしに、特定の被検体、ならびにその年齢、体重、身長、全身的な身体状態、および病歴、使用される特定の化合物、ならびにそれが製剤される担体、およびそのために選択される投与経路、ならびに治療される状態の性質および重篤度を含む。
【0027】
用語「薬学的組成物」は、式(I)の化合物、および投与モードおよび投与形態の性質に応じて、薬学的に許容される担体、希釈剤、アジュバント、賦形剤、または媒体、例えば、保存剤、充填剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、潤滑剤、および分散剤を含む少なくとも1つの成分を含む組成物を意味する。懸濁剤の例には、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、アガー−アガー、およびトラガカント、またはこれらの物質の混合が挙げられる。微生物の作用を回避することは、様々な抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等によって保証され得る。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム等を含むことも望ましい場合がある。注入可能な医薬品形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされ得る。適切な担体、希釈剤、溶媒、または媒体の例には、水、エタノール、ポリオール、それらの適切な混合、植物油(例えば、オリーブ油)、および注入可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。賦形剤の例には、ラクトース、乳糖、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、および第二リン酸カルシウムが挙げられる。崩壊剤の例には、スターチ、アルギニン酸、および特定のケイ酸複合体が挙げられる。潤滑剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、ならびに高分子重量ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0028】
用語「薬学的に許容される」は、合理的な医療判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等なしに、ヒトおよび下位動物の細胞と接触させて使用するために適切であり、妥当な利益/リスク比に相応することを意味する。
【0029】
用語「薬学的に許容される投与形態」は、本発明の化合物の投与形態を意味し、例えば、錠剤、糖衣錠、粉末、エリキシル、シロップ、懸濁液を含む液体製剤、スプレー、吸入錠剤、トローチ、エマルション、溶液、顆粒、カプセル、および坐薬、ならびにリポソーム製剤を含む注入用液体製剤が挙げられる。技術および製剤は、概して、Remington′s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,の最新版において見出され得る。
【0030】
本発明の好適な一実施形態において、式(I)の化合物は、(+)立体異性体である。
【0031】
本発明の別の好適な実施形態において、式(I)の化合物は、(−)立体異性体である。
【0032】
本発明のより好適な別の実施形態は、*で示される炭素原子がR配置にある、式(I)の化合物である。
【0033】
本発明のより好適な別の実施形態は、*で示される炭素原子がS配置にある、式(I)の化合物である。
【0034】
本発明のより好適な別の実施形態において、式(I)の化合物は、(S)(+)立体異性体である。
【0035】
本発明のさらに別の好適な実施形態において、式(I)の化合物は、(R)(−)立体異性体である。
【0036】
本発明の別の好適な実施形態は、*で示される炭素原子がSまたはR配置にある、式(I)の立体異性化合物の混合である。
【0037】
本発明の化合物の単一鏡像異性体、ラセミ混合物を含む鏡像異性体の任意の混合、またはジアステレオマー(いずれも分離され、任意の混合物として)も、本発明の範囲内に含まれる。
【0038】
本発明の範囲は、本化合物の活性代謝物も包含する。
【0039】
本発明は、原子、例えば、CまたはHのうちの1つまたは複数が、その原子の対応する放射性同位体で置換される(例えば、Cは14Cで置換され、HはHで置換される)か、または、その原子の安定同位体で置換される(例えば、Cは13C置換され、HはHで置換される)、式(I)の化合物も含む。そのような化合物は、多様な潜在的用途、例えば、潜在的薬剤が神経伝達物質タンパク質に結合する能力を決定する際の基準および試薬としての用途を有する。さらに、安定同位体の場合、そのような化合物は、式(I)の化合物の生物学的特性、例えば、薬理学的特性および/または薬物速度論的特性を好適に修飾する可能性を有する。放射性同位体を化合物に組み込むための適切な部位の選択に関する詳細は、当業者に知られている。
【0040】
本発明の別の態様は、本明細書に記載されるように、7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジニル−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンの結晶形態、特に、形態SA−1または形態N−2に関する。明らかにするために、rac−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジニル−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンの遊離塩基ラセミ化合物は、式(I)によって表される。形態SA−1およびN−2は、本明細書に記載されるように、式(I)((S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジニル−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン)のS−エナンチオマーの特定の結晶形態である。
【0041】
したがって、本発明の一実施形態は、形態SA−1に関する。本発明の本実施形態の一態様は、形態SA−1に関し、以下の単位セルパラメータを特徴とする。
セル寸法:
a=11.0668(9)Å
b=7.3750(6)Å
c=15.3927(14)Å
α=90°
β=100.594(7)°
γ=90°
空間群:単斜晶系、P2
体積:1234.90(18)Å
Z、算出密度:2、1.363Mg/m
【0042】
本発明の本実施形態の別の態様は、形態SA−1に関し、表6の原子座標に列挙される単位セル内の部分原子座標を特徴とする。
【0043】
本発明の本実施形態のさらなる態様は、米国標準技術局(NIST)または他の適切な標準によって較正された2θで、回転キャピラリーを有する回折計(cuKα)によって収集される高品質パターンに基づいて、約20℃〜約25℃の温度で、5.8±0.1、8.1±0.1、9.1±0.1、10.8±0.1、11.7±0.1、13.0±0.1、13.3±0.1、14.5±0.1、15.1±0.1、15.4±0.1、16.2±0.1、および16.8±0.1の2θの値において、粉末X線回折パターンにおける特性ピークを有する、形態SA−1に関する。
【0044】
本発明の本実施形態の別の態様は、通常、85℃で発生する吸熱分解を伴う融解を特徴とする、形態SA−1に関する。
【0045】
本発明の本実施形態のさらなる態様は、実質的に純粋な形態SA−1に関する。
【0046】
本発明の別の実施形態は、形態N−2に関する。本発明の本実施形態の一態様は、以下の単位セルパラメータを特徴とする、形態N−2に関する。
セル寸法:
a=7.1183(2)Å
b=21.2160(7)Å
c=26.3602(9)Å
α=90°
β=90°
γ=90°
空間群:斜方晶系、P2
体積:3981.0(2)Å
Z、算出密度:8、1.441Mg/m
【0047】
本発明の本実施形態の別の態様は、表8の原子座標に列挙される単位セル内の部分原子座標を特徴とする、形態N−2に関する。
【0048】
本発明の本実施形態のさらなる態様は、NISTまたは他の適切な標準によって較正された2θで、回転キャピラリーを有する回折計(cuKα)によって収集される高品質パターンに基づいて、約20℃〜約25℃の温度で、8.3±0.1、8.9±0.1、10.9±0.1、14.2±0.1、14.7±0.1、16.7±0.1、17.3±0.1、18.0±0.1、18.4±0.1、18.8±0.1、20.2±0.1、および21.9±0.1の2θの値において、粉末X線回折パターンにおける特性ピークを有する、形態N−2に関する。
【0049】
本発明の本実施形態の別の態様は、通常、約250℃で発生する吸熱分解を伴う融解を特徴とする、形態N−2に関する。
【0050】
本発明の本実施形態のさらなる態様は、実質的に純粋な形態N−2に関する。
【0051】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される、治療上有効量の式(I)の化合物または結晶形態、および薬学的に許容される担体を含有する、薬学的組成物である。
【0052】
本発明の別の態様は、セロトニン、ノルエピネフリン、またはドーパミンの利用能の減少によって形成されるか、またはそれに依存する疾患を治療する方法に関する。方法は、治療上有効量の式(I)の化合物、式(I)の化合物の結晶形態、またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む。本発明の方法は、注意欠陥多動性障害(ADHD)、認知障害、不安障害、全般性不安障害(GAD)、パニック障害、双極性障害もしくは躁鬱病または躁鬱性障害、強迫神経症(OCD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害、社会恐怖症、単純恐怖症、月経前不快気分障害(PMDD)、社会不安障害(SAD)、大鬱病性障害(MDD)、産後鬱、気分変調、アルツハイマー病、パーキンソン病、または精神病に関連する鬱、核上麻痺、摂食障害、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、むちゃ食い障害、糖尿病、虚血性疾患、疼痛、薬物乱用障害、薬物依存、ニコチン中毒、コカイン中毒、アンフェタミン中毒、アルコール中毒、レッシュナイハン症候群、神経変性病、パーキンソン病、黄体期後期症候群またはナルコレプシー、精神科的症状、怒り、拒絶過敏症、運動障害、錐体外路症候群、チック障害、下肢静止不能症候群(RLS)、遅発性ジスキネジー、核上麻痺、睡眠関連摂食障害(SRED)、夜食症候群(NES)、腹圧性尿失禁(SUI)、偏頭痛、神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害、腰痛、線維筋痛症候群(FS)、変形性関節炎痛、関節炎痛、慢性疲労症候群(CFS)、性機能障害、早漏、男性性的不能、体温調節障害(例えば、更年期障害に関連する火照り)、および過敏性腸症候群(IBS)を含むが、これらに限定されない、様々な神経および精神疾患を罹患する被検体を治療することができる。
【0053】
本明細書において提供される化合物/結晶形態は、それらが、他の神経化学物質の輸送体タンパク質よりも親和性の高い特定の神経化学物質の輸送体タンパク質に選択的に結合する能力に少なくとも部分的に起因して、これらおよび他の疾患の治療に特に有用である。
【0054】
本発明の別の実施形態において、上記方法は、治療上有効量のセロトニン1A受容体拮抗薬、またはその薬学的に許容される塩を投与することをさらに含む。適切なセロトニン1A受容体拮抗薬には、WAY100135およびスピペロンが挙げられる。WAY100135(N−(t−ブチル)−3−[a−(2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]−2フェニルプロパンアミド)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Abou−Gharbiaらの米国特許第4,988,814号において、セロトニン1A受容体に対する親和性を有するものとして開示される。また、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Cliffe et al.,J Med Chem 36:1509−10(1993)は、化合物が、セロトニン1A拮抗薬であることを示した。スピペロン(8−[4−(4−フルオロフェニル)−4−オキソブチル]−1−フェニル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−4−one)は、よく知られている化合物であり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第3,155,669号および第3,155,670号において開示される。セロトニン1A拮抗薬としてのスピペロンの活性は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Middlemiss et al.,Neurosc and Biobehav Rev.16:75−82(1992)において説明される。
【0055】
本発明の別の実施形態において、上記方法は、治療上有効量の選択的ニューロキニン−1受容体拮抗薬、またはその薬学的に許容される塩を投与することをさらに含む。本発明において、式(I)の化合物または結晶形態と併用され得るニューロキニン−1受容体拮抗薬は、例えば、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,373,003号、第5,387,595号、第5,459,270号、第5,494,926号、第5,162,339号、第5,232,929号、第5,242,930号、第5,496,833号、および第5,637,699号、PCT国際特許公開WO第90/05525号、第90/05729号、第94/02461号、第94/02595号、第94/03429号、第94/03445号、第94/04494号、第94/04496号、第94/05625号、第94/07843号、第94/08997号、第94/10165号、第94/10167号、第94/10168号、第94/10170号、第94/11368号、第94/13639号、第94/13663号、第94/14767号、第94/15903号、第94/19320号、第94/19323号、第94/20500号、第91/09844号、第91/18899号、第92/01688号、第92/06079号、第92/12151号、第92/15585号、第92/17449号、第92/20661号、第92/20676号、第92/21677号、第92/22569号、第93/00330号、第93/00331号、第93/01159号、第93/01165号、第93/01169号、第93/01170号、第93/06099号、第93/09116号、第93/10073号、第93/14084号、第93/14113号、第93/18023号、第93/19064号、第93/21155号、第93/21181号、第93/23380号、第93/24465号、第94/00440号、第94/01402号、第94/26735号、第94/26740号、第94/29309号、第95/02595号、第95/04040号、第95/04042号、第95/06645号、第95/07886号、第95/07908号、第95/08549号、第95/11880号、第95/14017号、第95/15311号、第95/16679号、第95/17382号、第95/18124号、第95/18129号、第95/19344号、第95/20575号、第95/21819号、第95/22525号、第95/23798号、第95/26338号、第95/28418号、第95/30674号、第95/30687号、第95/33744号、第96/05181号、第96/05193号、第96/05203号、第96/06094号、第96/07649号、第96/10562号、第96/16939号、第96/18643号、第96/20197号、第96/21661号、第96/29304号、第96/29317号、第96/29326号、第96/29328号、第96/31214号、第96/32385号、第96/37489号、第97/01553号、第97/01554号、第97/03066号、第97/08144号、第97/14671号、第97/17362号、第97/18206号、第97/19084号、第97/19942号、第97/21702号、および第97/49710号、および英国特許出願第2 266 529号、第2 268 931号、第2 269 170号、第2 269 590号、第2 271 774号、第2 292 144号、第2 293168号、第2 293 169号、および第2 302 689号、欧州特許公開EP第0 360 390号、第0 517 589号、第0 520 555号、第0 522 808号、第0 528 495号、第0 532 456号、第0 533 280号、第0 536 817号、第0 545 478号、第0 558 156号、第0 577 394号、第0 585 913号、第0 590 152号、第0 599 538号、第0 610 793号、第0 634 402号、第0 686 629号、第0 693 489号、第0 694 535号、第0 699 655号、第0 394 989号、第0 428 434号、第0 429 366号、第0 430 771号、第0 436 334号、第0 443 132号、第0 482 539号、第0 498 069号、第0 499 313号、第0 512 901号、第0 512 902号、第0 514 273号、第0 514 274号、第0 514 275号、第0 514 276号、第0 515 681号、第0 699 674号、第0 707 006号、第0 708 101号、第0 709 375号、第0 709 376号、第0 714 891号、第0 723 959号、第0 733 632号および第0 776 893号において完全に説明される。そのような化合物の調製は、前述の特許および公開において完全に説明される。
【0056】
本発明の別の実施形態において、上記方法は、治療上有効量のノルエピネフリン前駆体またはその薬学的に許容される塩を投与することをさらに含む。適切なノルエピネフリン前駆体には、L−チロシンおよびL−フェニルアラニンが挙げられる。
【0057】
本発明の別の実施形態は、それを必要とする患者において、シナプスのノルエピネフリン取り込みを阻害する方法である。方法は、本明細書に記載されるように、治療上有効な阻害量の式(I)の化合物または結晶形態を投与することを含む。
【0058】
本発明の別の実施形態は、それを必要とする患者において、シナプスのセロトニン取り込みを阻害する方法である。方法は、本明細書に記載されるように、治療上有効な阻害量の式(I)の化合物または結晶形態を投与することを含む。
【0059】
本発明の別の実施形態は、それを必要とする患者において、シナプスのドーパミン取り込みを阻害する方法である。方法は、本明細書に記載されるように、治療上有効な阻害量の式(I)の化合物または結晶形態を投与することを含む。
【0060】
本発明の別の実施形態は、式(I)の化合物の(+)立体異性体が用いられる、本明細書に記載の治療方法である。
【0061】
本発明の別の実施形態は、式(I)の化合物の(−)立体異性体が用いられる、本明細書に記載の治療方法である。
【0062】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載されるように、式(I)の化合物または結晶形態を含むキットであり、少なくとも1つの化合物は、セロトニン1A受容体拮抗薬化合物、選択的ニューロキニン−1受容体拮抗薬化合物、およびノルエピネフリン前駆体化合物から成る群から選択される。
【0063】
本発明の別の実施形態は、それを必要とする患者において、上述の実施形態において言及される疾患を治療する方法に関する。方法は、本明細書に記載されるように、トリプル作用ノルエピネフリン、ドーパミン、およびセロトニン取り込み阻害薬として機能する、治療上有効な阻害量の式(I)の化合物または結晶形態を投与することによって、シナプスのノルエピネフリン、ドーパミン、およびセロトニン取り込みを阻害することを含む。
【0064】
本発明の別の実施形態は、哺乳動物において、セロトニン取り込みを阻害するための方法に関する。方法は、本明細書に記載されるように、薬学的有効量の式(I)の化合物または結晶形態を、セロトニンの神経伝達の増加を必要とする哺乳動物に投与することを含む。
【0065】
本発明の別の実施形態は、哺乳動物において、ドーパミン取り込みを阻害するための方法に関する。方法は、本明細書に記載されるように、薬学的有効量の式(I)の化合物または結晶形態を、ドーパミンの神経伝達の増加を必要とする哺乳動物に投与することを含む。
【0066】
本発明の別の実施形態は、哺乳動物において、ノルエピネフリン取り込みを阻害するための方法に関する。方法は、本明細書に記載されるように、薬学的有効量の式(I)の化合物または結晶形態を、ノルエピネフリンの神経伝達の増加を必要とする哺乳動物に投与することを含む。
【0067】
本発明の別の実施形態は、ヒトの喫煙欲求を抑制する方法に関する。方法は、本明細書に記載されるように、有効用量の式(I)の化合物または結晶形態を、喫煙欲求を軽減するように、そのような抑制を必要とするヒトに投与することを含む。
【0068】
本発明の別の実施形態は、ヒトのアルコール消費欲求を抑制する方法に関する。方法は、本明細書に記載されるように、有効用量の式(I)の化合物または結晶形態を、アルコール消費欲求を軽減するように、そのような抑制を必要とするヒトに投与することを含む。
【0069】
本発明の別の実施形態は、式(I)の生成化合物の調製のためのプロセスに関する。本プロセスは、式(II)の第1の中間化合物:

を、生成化合物を生成するために有効な条件下で、酸で処理することを含む。
【0070】
適切な酸には、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、およびL−酒石酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
当然のことながら、明らかにするために個別の実施形態の文脈において記載される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよい。反対に、簡略するために単一の実施形態の文脈において記載される本発明の様々な特徴は、個別または任意の適切な小結合において提供されてもよい。
【0072】
本発明に従う化合物、例えば、開始物質、中間体、または生成物は、本明細書に記載のとおり、または、これまで使用されているかもしくは文献に記載されている方法を意味する周知の方法の適用または適合によって、調製される。
【0073】
本発明に従う有用な化合物は、これまで使用されているか、または文献に記載される方法、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Larock,Comprehensive Organic Transformations,Wiley−VCH publishers,New York(1989)によって記載されるものを意味する周知の方法の適用または適合によって調製されてもよい。
【0074】
1つまたは複数の窒素環原子を含有する基を含む、式(I)の化合物は、当該基の1つまたは複数の窒素環原子が、好ましくは、過酸、例えば、酢酸中で過酢酸と反応させるか、またはジクロロメタン等の不活性溶媒中のm−クロロペルオキシ安息香酸と反応させることによって、約室温から還流温度、好ましくは昇温で、N酸化物に酸化される、対応する化合物に変換され得る。
【0075】
以下に記載される反応において、反応性官能基、例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオ、またはカルボキシ基が、最終生成物中に所望される場合、それらを保護して、それらが不要に反応に関与することを回避することが必要な場合がある。従来の保護基は、慣例に従って使用され得る(例えば、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Wuts et al.,Protective Groups in Organic Chemistry(4th Edition),Wiley(2006)、およびMcOmie,Protective Groups in Organic Chemistry,Plenum Press(1973))。
【0076】
本発明の式(I)の新規のテトラヒドロイソキノリン再取り込み阻害薬は、スキーム1に描写される合成経路によって調製され得る。

【0077】
1−(3−メトキシフェニル)−N−メチルメタンアミンは、トリエチルアミンの存在下で、3,4−ジクロロフェナシルブロミドと反応して、1−(3,4−ジクロロフェニル)−2−((3−メトキシベンジル)(メチル)アミノ)エタノンを生じる。水素化ホウ素ナトリウムよるこのケトンの還元は、1−(3,4−ジクロロフェニル)−2−((3−メトキシベンジル)(メチル)アミノ)エタノールを産出し、酸媒介環化を経て、4−(3,4−ジクロロフェニル)−7−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを生じる。このラセミテトライソキノリン誘導体は、キラルHPLCまたは超臨界流体クロマトグラフィ(SFC)を介して分離され、単一のエナンチオマーを生じ得る。代替として、キラル分離は、キラル酸、例えば、ジ−p−トルオイル−D−酒石酸またはジ−p−トルオイル−L−酒石酸を使用する再結晶化によって達成され得る。
【0078】
4−(3,4−ジクロロフェニル)−7−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンは、還流下、48% HBrで処理することにより、対応するフェノールに変換される。次に、得られるフェノールは、対応するトリフラートに変換され、さらに対応するピナコールホウ酸誘導体4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチル−7−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンに変換される。1−クロロエチルクロロギ酸を使用する脱メチル化に続いて、Boc保護することにより、tert−ブチル4−(3,4−ジクロロフェニル)−7−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボン酸塩を生じる。鈴木カップリング条件下のBoc保護テトライソキノリンと、6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジンとの反応は、tert−ブチル7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボン酸塩を生じ、次に、TFAによって脱保護されて、7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンまたは式(I)を生じる。
【0079】
本発明において、式(I)の化合物を調製する代替合成経路は、スキーム2に描写される。

3−ホルミルフェニルボロン酸および6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジンの鈴木カップリングは、3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)ベンズアルデヒドを生じる。このアルデヒドは、還元的アミノ化を経て、2−(3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)ベンジルアミノ)−1−(3,4−ジクロロフェニル)エタノールを生じ、次に、硫酸媒介環化に供されて、7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを提供する。
【0080】
本発明のL−酒石酸塩を調製する合成経路は、スキーム3に描写される。

【0081】
式(I)の化合物は、当業者によく知られるように、キラル塩での結晶化によって、エナンチオマー強化(R)および(S)形態で得られ得るか、または代替として、市販のキラルカラムを用いるキラルHPLCによって単離されてもよい。
【0082】
当然のことながら、本発明に従う化合物は、非対称中心を含有し得る。これらの非対称中心は、独立して、RまたはS配置のいずれかであってもよく、そのような化合物は、偏光計において偏光面を回転させることができる。当該偏光面が、化合物によって反時計回りに回転される場合、化合物は、化合物の(−)立体異性体であると言われる。当該偏光面が、化合物によって時計回りに回転される場合、化合物は、化合物の(+)立体異性体であると言われる。本発明に従う有用な特定の化合物が、幾何異性も呈し得ることは、当業者に明らかとなるであろう。本発明は、上記式(I)の化合物の個別の幾何異性および立体異性体、ならびにラセミ混合物を含むそれらの混合物を含むことが理解される。そのような異性体は、周知の方法、例えば、クロマトグラフィ技術および再結晶化技術の適用または適合によって、それらの混合物から分離され得るか、またはそれらは、それらの中間体の適切な異性体から個別に調製される。
【0083】
本発明の放射性標識化合物は、当業者によく知られている多数の技術によって、例えば、1つまたは複数の放射性同位体をそこに組み込む開始物質を使用することによって合成される。安定した放射性同位体、例えば、炭素−14、トリチウム、ヨード−121、または別の放射性同位体が、合成的に導入された本発明の化合物は、ノルエピネフリン、ドーパミン、またはセロトニン輸送体およびそれらの取り込み機構が関与する疾患によって影響を受け得る、脳または中枢神経系の領域を識別するための有用な診断薬である。
【0084】
結晶形態は、例えば、適切な溶媒からの結晶化または再結晶化、昇華、溶解からの成長、別の相からの固体変換、超臨界流体からの結晶化、およびジェット噴射を含む、多様な方法によって調製され得る。溶媒混合物から結晶形態を結晶化または再結晶化する技術には、例えば、溶媒の蒸発、溶媒混合物の温度の低下、分子および/または塩の超飽和溶媒混合物の結晶シーディング、溶媒混合物の凍結乾燥、および溶媒混合物への抗溶媒(対溶媒)の添加が挙げられる。ハイスループット結晶化技術を用いて、多形体を含む結晶形態を調製してもよい。多形体を含む、薬物の結晶、調製方法、および薬物結晶の特性化は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Bryn et al.,Solid−State Chemistry of Drugs,2nd Edition,SSCI,West Lafayette,Indiana(1999)において論じられる。
【0085】
溶媒を用いる結晶化技術の場合、1つまたは複数の溶媒の選択は、通常、1つまたは複数の因子、例えば、化合物の溶解性、結晶化技術、および溶媒の蒸気圧、または実質的に純粋な結晶形態を生じる能力に依存する。溶媒の組み合わせが用いられてもよく、例えば、化合物は、第1の溶媒に溶解されて溶液を得て、続いて抗溶媒の添加によって、溶液中の化合物の溶解性を低下させて、結晶の形態を生じ得る。抗溶媒は、化合物が低い溶解性を有する溶媒である。
【0086】
結晶を調製する一方法において、化合物は、適切な溶媒中で懸濁および/または攪拌されて、スラリーを生じ、加熱されて、完全または部分溶解を促進し得る。本明細書で使用する、用語「スラリー」は、化合物の飽和溶液を意味し、追加量の化合物を含有して、特定の温度で、化合物の異種混合物および溶媒を生じ得る。
【0087】
種晶は、任意の結晶化混合物に添加されて、結晶化を促進し得る。シーディングを用いて、特定の多形体の成長を制御するか、または結晶生成物の粒径分布を制御し、および/または実質的に純粋な結晶形態を生じ得る。したがって、必要とされる種の量の計算は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Mullin et al.,″Programmed Cooling of Batch Crystallizers,″Chemical Engineering Science,26:369−377(1971)に記載されるように、使用可能な種のサイズ、および平均生成粒子の所望のサイズに依存する。一般に、小さい種は、バッチ内で結晶の成長を効果的に制御する必要がある。小さい種は、大きい結晶をふるい分け、粉砕、または微粉化することによって、または溶液の微結晶化によって生成されてもよい。結晶の粉砕または微粉化が、所望の結晶形態の結晶性に任意の変化(すなわち、非晶体または別の多形体に対する変化)をもたらさないことに注意すべきである。
【0088】
冷却した結晶化混合物は、真空下でろ過され得、単離された固体は、適切な溶媒、例えば、冷却再結晶化溶媒で洗浄され、窒素パージ下で乾燥して所望の結晶形態を生じ得る。単離された固体は、適切な分光法または分析法、例えば、固体核磁気共鳴、X線粉末回折等によって解析され、生成物の好適な結晶形態の形成を保証し得る。得られる結晶形態は、通常、結晶化手順において本来用いられる化合物の重量に基づいて、約70重量%単離収率を超える、好ましくは、約90重量%単離収率を超える量で生成される。生成物は、必要に応じて、共粉砕するか、またはメッシュスクリーンを通過させて、生成物を脱塊してもよい。
【0089】
結晶形態は、例えば、式(I)の化合物を調製するためのプロセスの反応媒体から直接調製されてもよい。これは、例えば、最終プロセスステップにおいて、溶媒または形態SA−1または形態N−2がそこから結晶化され得る溶媒の混合物を用いることによって達成され得る。代替として、結晶形態は、蒸留または溶媒添加技術によって得られてもよい。この目的に適した溶媒には、例えば、非極性溶媒およびアルコール等のプロトン性極性溶媒、およびケトン等の非プロトン性極性溶媒を含む極性溶媒が挙げられ、それらの詳細および選択は、当業者に知られている。
【0090】
試料中の複数の多形体の存在は、粉末X線回折(PXRD)または固形核磁気共鳴分光法(SSNMR)等の技術によって決定され得る。例えば、実験的に測定されたPXRDパターンにおける過剰ピークの存在は、模擬PXRDパターンと比較して、試料中の複数の多形体を示し得る。模擬PXRDは、単結晶X線データから計算され得る(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Smith,″A FORTRAN Program for Calculating X−Ray Powder Diffraction Patterns,″Lawrence Radiation Laboratory,Livermore,California,UCRL−7196(April 1963)を参照)。一態様において、形態SA−1または形態N−2は、模擬PXRDパターンに不在である過剰ピークから生じる、実験的に測定されるPXRDパターンにおいて、総ピーク領域の5%未満、好ましくは、2%未満、およびより好ましくは、1%未満で示される、フェーズ均一性を有する。
【0091】
好ましくは、結晶化技術は、実質的に純粋な形態SA−1または形態N−2を含む、生成物を提供する。結晶化物質は、組成物中の式(I)の化合物の重量に基づいて、好ましくは、形態SA−1/形態N−2の少なくとも95重量%を含む。残りの物質は、化合物の他の形態ならびに/もしくはその調製から生じる反応不純物および/または処理不純物を含み得る。反応不純物および/または処理不純物の存在は、当該技術分野において知られている分析法、例えば、クロマトグラフィ、核磁気共鳴分光法、質量分析法、または赤外線分光法によって決定され得る。
【0092】
形態SA−1および形態N−2は、当業者によく知られている、様々な技術を使用して特性化され得る。特性化方法の例には、単結晶X線回折、粉末X線回折(PXRD)、模擬粉末X線パターン(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Yin et al.,American Pharmaceutical Review,6(2):80(2003)、示差走査熱量測定(DSC)、固体13CNMR(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Earl et al.,J.Magn.Reson.,48:35−54(1982))、Raman分光法、赤外線分光法、吸湿等温線、熱重量分析(TGA)、およびホットステージ技術が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
形態は、形態SA−1または形態N−2の単結晶の単位セル測定値に基づく、単結晶X線回折を使用して、特性化および区別され得る。単位セルの詳細な説明は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Stout et al.,X−Ray Structure Determination: A Practical Guide,Macmillan Co.,New York(1968),Chapter 3において提供される。代替として、結晶格子内で空間関係にある原子の固有配置は、認められる部分原子座標に従って特徴付けられてもよい。結晶構造を特性化する別の手段は、粉末X線回折分析によってであり、回折プロファイルは、純粋な粉末物質を表す模擬プロファイルと比較され、いずれも同一の分析温度で実行され、対象形態の測定値は、一連の2θ値として特性化される。
【0094】
当業者であれば、X線回折パターンが、用いられる測定条件に応じて、測定誤差とともに得られ得ることを理解するであろう。特に、X線回折パターンにおける強度が、用いられる測定条件に応じて変動し得ることは、一般に知られている。さらに当然のことながら、相対強度も、実験条件に応じて変動する場合があり、したがって、正確な強度を考慮に入れるべきではない。さらに、従来のX線回折パターンの回折角の測定誤差は、通常、約5%以下であり、そのような測定誤差の程度は、前述の回折角に関するように考慮すべきである。結果として、本開示の結晶形態は、本明細書に開示される添付の図面に描写されるX線回折パターンと完全に同一のX線回折パターンを提供する結晶形態には限定されないことが理解される。X線回折パターンを提供する任意の結晶形態、および添付の図面に開示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムは、本開示の範囲内に含まれる。X線回折パターンの実質的同一性を確認する能力は、当業者の範囲内である。
【0095】
本発明は、本明細書に記載される化合物/結晶形態を含有する組成物を提供し、特に、治療上有効量の化合物/結晶形態と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を含む。
【0096】
本発明のさらなる目的は、本発明の新規複合療法を実行するために、一緒に効果的に利用され得る、複数の活性成分を有する(担体の有無にかかわらず)キットを提供することである。
【0097】
本発明の別の目的は、本発明に従って利用され得る複数の活性成分を含むため、それ自体で、有益な複合療法における利用に有効な、新規の薬学的組成物を提供することである。
【0098】
本発明は、疾患の治療に有用な2つ以上の活性成分を複合するキットまたは単一パッケージも提供する。キットは、式(I)の化合物または本明細書に記載される結晶形態(単独または薬学的に許容される希釈剤もしくは担体と組み合わせて)、およびセロトニン1A受容体拮抗薬、選択的ニューロキニン−1受容体拮抗薬、およびノルエピネフリン前駆体から選択される、追加の活性成分(単独または希釈剤もしくは担体と組み合わせて)を提供してもよい。
【0099】
実際に、本発明の化合物/結晶形態は、一般に、非経口、静脈内、皮下、筋肉内、結腸、鼻腔、腹腔内、肛門、または経口投与され得る。
【0100】
本発明に従う生成物は、最適な経路での投与を許可する形態で提示されてもよく、発明は、ヒトまたは動物用医薬での使用に適切な、本発明に従う少なくとも1つの生成物を含有する、薬学的組成物にも関する。これらの組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容されるアジュバントまたは賦形剤を使用して、慣習的な方法に従って調製され得る。アジュバントは、特に、希釈剤、滅菌水媒体、および様々な非毒性有機溶媒を含む。組成物は、錠剤、ピル、顆粒、粉末、水溶液または懸濁液、注入可能な溶液、エリキシル、またはシロップの形態で提示されてもよく、薬学的に許容される調製物を得るために、甘味剤、香味剤、着色剤、または安定剤から成る群から選択される1つまたは複数の薬剤を含有し得る。
【0101】
媒体の選択および媒体中の活性物質の含有量は、一般に、生成物の溶解性および化学特性、特定の投与モード、および薬学的実践において認められる条件に従って決定される。例えば、賦形剤、例えば、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、ならびに崩壊剤、例えば、スターチ、アルギニン酸、および潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、硫酸ラウリルナトリウム、およびタルクと組み合わされる特定の複合ケイ酸塩は、錠剤を調製するために使用され得る。カプセルを調製するために、ラクトースおよび高分子重量ポリエチレングリコールを使用することが有利である。水性懸濁液が使用される場合、それらは、乳化剤または懸濁を促進する薬剤を含有し得る。スクロース、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、およびクロロホルム等の希釈剤、およびそれらの混合物も使用され得る。
【0102】
非経口投与の場合、乳液、懸濁液、または植物油、例えば、胡麻油、ピーナッツ油、またはオリーブ油中の本発明に従う生成物の溶液、または水およびプロピレングリコール等の水性有機溶液、オレイン酸エチル等の注入可能な有機エステル、ならびに薬学的に許容される塩の滅菌水溶液が使用される。本発明に従う生成物の塩の溶液は、筋肉内または皮下注射によって投与するために特に有用である。純粋な蒸留水中の塩の溶液も含む水溶液は、静脈内投与に使用されてもよいが、但し、それらのpHは、適切に調整され、それらは、慎重に緩衝化され、十分な量のグルコースまたは塩化ナトリウムで等張にされ、それらは、加熱、放射、または精密ろ過によって滅菌されるものとする。
【0103】
本発明の化合物/結晶形態を含有する適切な組成物は、従来の手段によって調製され得る。例えば、本発明の化合物/結晶形態は、噴霧器または懸濁液もしくは溶液エアロゾルでの使用に適切な担体中に溶解または懸濁され得るか、または乾燥粉末吸入器での使用に適切な固形担体上に吸収または吸着されてもよい。
【0104】
肛門投与のための固形組成物は、知られている方法に従って製剤される坐薬を含み、少なくとも1つの式(I)の化合物/結晶形態を含有する。
【0105】
本発明の組成物中の活性成分のパーセンテージは様々であってよく、適切な用量が得られるように、比率を構成することが必要である。明らかに、いくつかの単位用量形態が、ほぼ同時に投与されてもよい。用いられる用量は、医師によって決定され、所望の治療効果、投与経路および治療期間、ならびに患者の状態に依存する。成人において、用量は、一般に、吸入では1日に体重1kg当り約0.01〜約100mg、好ましくは、体重1kg当り約0.01〜約10mg、経口投与では1日に体重1kg当り約0.01〜約100mg、好ましくは、体重1kg当り約0.1〜70mg、より好ましくは、体重1kg当り0.1〜10mg、および静脈内投与では1日に体重1kg当り約0.01〜約50mg、好ましくは、0.01〜10mgである。それぞれの特定例において、用量は、治療される被検体に特有の因子、例えば、年齢、体重、一般的な健康状態、および医薬の有用性を左右し得る他の特性に従って決定される。
【0106】
本発明に従う生成物は、所望の治療効果を得るために、必要な頻度で投与され得る。一部の患者は、より高いまたは低い用量に速やかに反応する場合があり、より弱い維持量が適切な場合がある。他の患者の場合、それぞれの特定患者の生理要件に従って、1日当り1〜4用量の割合で、長期治療を行う必要があり得る。一般に、活性生成物は、1日当り1〜4回、経口投与され得る。当然のことながら、他の患者の場合、1日当り1または2用量のみを処方することが必要であり得る。
【0107】
本発明は、シナプスのノルエピネフリン、ドーパミン、およびセロトニン取り込みを阻害する化合物を提供し、したがって、セロトニン、ノルエピネフリン、またはドーパミンの利用能の減少によって形成されるか、またはそれに依存する疾患の治療に有用であると考えられる。式(I)の化合物は、シナプスのノルエピネフリン、ドーパミン、およびセロトニン取り込みを阻害するが、任意の個別の化合物において、これらの阻害作用は、同一または大幅に異なる濃度または用量で呈され得る。結果として、式(I)の化合物は、シナプスのノルエピネフリン取り込みが実質的に阻害され得るが、シナプスのセロトニン取り込みまたはドーパミン取り込みが実質的に阻害されない用量、またはその逆の用量で、そのような疾患の治療に有用である。また、式(I)の化合物は、シナプスのドーパミン取り込みが実質的に阻害されるが、シナプスのノルエピネフリンまたはセロトニン取り込みが実質的に阻害されない用量、またはその逆の用量で、そのような疾患の治療に有用である。また反対に、式(I)の化合物は、シナプスのセロトニン取り込みが実質的に阻害されるが、シナプスのノルエピネフリンまたはドーパミン取り込みが実質的に阻害されない用量、またはその逆の用量で、そのような疾患の治療に有用である。式(I)の化合物は、シナプスのノルエピネフリン、ドーパミン、およびセロトニン取り込みが実質的に阻害される用量で、そのような疾患の治療にも有用であり得る。
【0108】
試験化合物がシナプスのノルエピネフリン、ドーパミン、およびセロトニン取り込みを阻害する濃度または用量は、当業者によく知られ、理解される標準的な分析および技術の使用によって容易に決定される。例えば、ラットにおける特定用量での阻害の程度は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Dudley,J Pharmacol Exp Ther,217:834−840(1981)の方法によって決定され得る。
【0109】
治療上有効な阻害用量は、シナプスのノルエピネフリン取り込み、シナプスのドーパミン取り込み、またはシナプスのセロトニン取り込みを実質的に阻害するか、またはノルエピネフリン、ドーパミン、およびセロトニン取り込みのうちの2つ以上のシナプスの取り込みを阻害するのに有効な用量である。治療上有効な阻害用量は、上述される試験システムにおいて得られる技術および類似結果を見出す従来の範囲を使用して、当業者によって容易に決定され得る。
【0110】
本発明の化合物は、類似疾患の治療に使用可能な他の化合物に対して、特に有益な治療指標を提供する。理論に制限される意図はないが、これは、少なくとも部分的に、神経伝達物質輸送体のうちの1つまたは2つに対して、例えば、他の神経化学物質の輸送体、例えば、ドーパミン輸送体タンパク質(「DAT」)およびノルエピネフリン輸送体タンパク質(「NET」)よりも、セロトニン輸送体タンパク質(「SERT」)に対して選択的に高い結合親和性を有する化合物に起因すると考えられる。
【0111】
結合親和性は、熟練者によく知られている多数の手段によって証明され、以下の実施例セクションに記載されるものを含むが、それらに限定されない。簡潔に言えば、例えば、輸送体タンパク質を発現する、HEK293E細胞等の細胞からのタンパク質含有抽出物は、タンパク質の放射性標識リガンドでインキュベートされる。放射性リガンドのタンパク質への結合は、他のタンパク質リガンド、例えば、本発明の化合物の存在下で可逆的であり、当該可逆性は、以下に記載されるように、タンパク質に対する化合物の結合親和性(IC50またはKi)を測定する手段を提供する。化合物の高いIC50/Ki値は、化合物が、IC50/Ki値の低い化合物の場合よりもタンパク質に対して低い結合親和性を有することを示し、逆に、低いIC50/Ki値は、結合親和性が高いことを示す。
【0112】
したがって、タンパク質に対する化合物選択性の差異は、それに対して化合物がより選択的であるタンパク質の場合、低いIC50/Kiによって示され、それに対して化合物が選択的でないタンパク質の場合、高いIC50/Kiによって示される。したがって、タンパク質Aに対してタンパク質Bよりも、化合物のIC50/Ki値の比が高いほど、前者に対する後者の化合物の選択性が優れている(当該化合物に対して、前者は、高いIC50/Kiを有し、後者は、低いIC50/Kiを有する)。
【0113】
本発明の化合物(「トリプル作用輸送体再取り込み阻害薬」)は、生体アミン輸送体、NET、DAT、またはSERTの3つすべてに対して、同時に強力な結合親和性を有する。例えば、本発明の化合物は、200nM未満の強力なNET、DAT、およびSERT IC50/Ki値を有する。
【0114】
3つの輸送体タンパク質、SERT、DAT、およびNETに対する化合物のインビボ親和性は、当業者によく知られている手段によって証明され、以下の実施例セクションに記載されるものを含むが、それらに限定されない。
【0115】
したがって、タンパク質のインビボでの化合物選択性における差異は、それに対して化合物がより選択的である輸送体タンパク質では、高い占有%値(または実施例セクションにおいて使用される[H]リガンド化合物の阻害率)によって示され、それに対して化合物が選択的でないタンパク質に対して、低い占有%(または実施例セクションにおいて使用される[H]リガンド化合物の阻害率)によって示される。
【0116】
本発明の化合物は、薬学的に実行可能な用量で、経口、静脈内、皮下、腹腔内、および筋肉内等であるがこれらに限定されない手段を介して投与される場合、生体アミン輸送体NET、DAT、またはSERTのうちの1つ、2つまたはすべてにおいて、統計的に有意な占有パーセント値を有する。
【0117】
本発明の化合物は、薬学的に実行可能な用量で、経口、静脈内、皮下、腹腔内、および筋肉内等であるがこれらに限定されない手段を介して投与される場合、生体アミン輸送体NET、DAT、またはSERTのうちの1つ、2つまたはすべてにおいて、10%〜100%の占有値を有する。好適な実施形態において、本発明の化合物は、生体アミン輸送体NET、DAT、またはSERTのうちの少なくとも1つにおいて、40%〜100%の占有値を有する。
【実施例】
【0118】
実施例1 7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、L−酒石酸塩の調製
ステップA:メタノール(1L)中の3−メトキシベンズアルデヒド(180g、1.32mol)溶液に、メチルアミンの40%水溶液(113mL、1.31mol)を添加し、続いて1時間、0℃で攪拌した。ホウ化水素ナトリウム(75g、1.98mol)を、0℃で何度かに分けて添加し、反応混合液を1時間攪拌した。溶液を少量に濃縮し、次に、水(200mL)で希釈して、得られる溶液を塩化メチレン(3x500mL)で抽出した。複合有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮し、粗N−メチルベンジルアミン(220g、定量的)を透明な油として得て、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。

【0119】
ステップB:塩化メチレン(100mL)中のステップAからの上記アミン(6.2g、41.00mmol)溶液に、3,4−ジクロロフェナシル臭化物(10.0g、37.3mmol)を添加し、トリエチルアミン(5.20mL、37.31mmol)を添加する前に、得られる混合物を0℃で1時間攪拌し、続いて0℃で1時間攪拌した。反応混合液を水(100mL)で希釈した後、水相を追加の塩化メチレン(3x75mL)で抽出した。複合抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過および濃縮して、1−(3,4−ジクロロフェニル)−2−((3−メトキシベンジル)(メチル)アミノ)エタノン(15.08g)を薄黄色の油として得て、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。

【0120】
ステップC:メタノール(150mL)中のステップBからのケトン(最大37mmol)溶液に、ホウ化水素ナトリウム(2.11g、55.79mmol)を0℃で何度かに分けて添加した。反応混合液を最初に2時間攪拌した後、水(100mL)で希釈し、塩化メチレン(3x300mL)で抽出した。複合有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮乾燥させて、粗アルコール(14.14g)を黄色の油として得て、これをさらなる精製なしに次のステップで使用した。

【0121】
ステップD:塩化メチレン(200mL)中のステップCからのアルコール(最大37mmol)溶液に、濃縮硫酸(12mL、235mol)を添加し、混合液を0℃で28時間攪拌した。6N NaOH溶液をpHが最大9になるまで添加することによって、反応液をクエンチした。水相を追加の塩化メチレン(3x)で抽出した。複合有機抽出物を塩水(3x)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、ろ過および濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィにより精製して(1:1:1:〜1:1:2ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル)、4−(3,4−ジクロロフェニル)−7−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(7.0g、3ステップ後59%)を薄黄色の油として得た。

望ましくない5−メトキシ異性体も単離された(1.20g、3ステップ後10%)。
【0122】
ステップE:上記ステップDからのラセミ4−(3,4−ジクロロフェニル)−7−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(7.0g)を、調製キラルHPLC(CHIRALPAK ADカラム、80:20:0.1ヘプタン/2−プロパノール/ジエチルアミンを溶離剤として使用する)によって溶解し、(+)−エナンチオマー([α]25+31.9°(c0.49、メタノール))(3.68g)を無色の油として、および(−)−エナンチオマー(3.99g)を無色の油として得た。
【0123】
ステップF:酢酸(20mL)および48%臭化水素酸水溶液(50mL)の混合液中の(+)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−7−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(3.68g、11.42mmol)の溶液を、8時間還流させた。氷冷反応混合液を、pHが約8〜9に到達するまで、水酸化ナトリウムの濃縮水溶液および重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で塩基性化し、ジクロロメタン(3x)で抽出した。複合抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させてろ過し、真空で濃縮して、粗アルコール(2.6g)を黄色い固体として得た。

【0124】
ステップG:ジクロロメタン(60mL)中の上記ステップFからのフェノール(2.1g、6.81mmol)およびピリジン(0.72mL、8.85mmol)の溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.37mL、8.14mmol)を−78℃で添加した。反応液を0℃に加温し、1時間攪拌した。反応混合液を水(20mL)で希釈し、ジクロロメタン(3x)で抽出した。複合抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過および濃縮して、粗トリフラートを黄色の油として得た。

【0125】
ステップH:ジメチルスルホキシド(35mL)中の上記ステップGからのトリフラート(最大6.8mmol)、ビス(ピナコラート)ジボロン(2.07g、8.15mmol)、および酢酸カリウム(2.05g、20.8mmol)の混合液を、アルゴンで脱気した。この混合液に、ジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(0.40g、0.55mmol)を添加した。得られる混合液をアルゴンで脱気した後、85℃で2時間加熱した。冷却反応混合液を、酢酸エチル(150mL)で希釈した。得られる溶液を、水(2x40mL)、塩水(1x40mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、ろ過し、真空で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィカラムによる精製(溶離剤、1:1:1〜1:1:2ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル)は、所望のボロン酸エステル(2.6g、2ステップ後91%)を黄色の固体として生じた。

【0126】
ステップI:ジクロロエタン(80mL)中のステップFからのボロン酸エステル(2.6g、6.22mmol)およびプロトンスポンジ(2.6g、12.1mmol)の溶液に、0℃で、1−クロロギ酸クロロエチル(2.4mL、22.1mmol)を添加した。混合液を0℃で15分間攪拌した後、40分間還流し、真空で濃縮した。残渣を、シリカゲルの短いパッドを通してろ過し(溶離剤、1:1:1ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル)、ろ液を真空で濃縮した。残渣をメタノール(160mL)で希釈し、加熱して1時間還流させ、真空で濃縮して4−(3,4−ジクロロフェニル)−7−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを茶色の泡として得た。
【0127】
ステップJ:ジクロロメタン(120mL)中のステップIからの生成物(最大6.2mmol)、(Boc)O(3.60g、16.4mmol)、トリエチルアミン(1.5mL、10.7mmol)、およびDMAP(0.26g、2.20mmol)の溶液を、室温で4時間攪拌した。反応液を、水(50mL)の添加によってクエンチした後、水相を追加のジクロロメタン(2x100mL)で抽出した。複合抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過して、真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィによる精製(溶離剤、47.5:47.5:5〜1:1:1ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル)は、boc保護テトラヒドロイソキノリン(1.82g、3ステップ後58%)を白い泡として得た。

【0128】
ステップK:乾燥フラスコに、ステップJからのボロン酸エステル(0.8g、1.59mmol)、6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン(0.35g、1.78mmol)、炭酸セシウム(0.97g、2.98mmol)、およびジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(87mg、0.12mmol)を入れた。フラスコをアルゴンで覆った後、DMF(20mL)および水(4mL)を添加し、短時間の超音波処理を行った。反応混合液を80℃に1時間加熱した。冷却反応混合液を水(20mL)で希釈し、水層をジクロロメタン(3x60mL)で抽出した。複合有機相を真空で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィによる精製(溶離剤、1:1:1〜1:1:2ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル)は、Boc保護7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(0.86g、定量)を白い泡として生じた。
【0129】
ステップL:エタノール(10mL)中のBoc保護7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(0.85g、1.72mmol)および濃縮塩酸(4.0mL)の溶液を、室温で1時間攪拌した。反応混合液を、真空で濃縮乾燥させた。残渣をジクロロメタン(14mL)およびTFA(10mL)の混合液に溶解し、室温で1時間攪拌した後、真空で濃縮した。それによって得られシロップを、ジクロロメタンで希釈し、pHが8〜9になるまで、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で処理した。水相を追加のジクロロメタン(3x)で抽出し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させて、ろ過し、真空で濃縮して、7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(0.59g、87%)を白い泡として得た。
【0130】
ステップM:エタノール中のステップBからの生成物(0.59g、1.49mmol)の溶液に、L−酒石酸(0.22g、1.49mmol)を添加した。スラリーをろ過した。ケーキをエタノールで洗浄し、乾燥させて、7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン,L−酒石酸塩(0.49g、59%、AUC HPLC 99%より大)を白い固体として得た。[[α]25+9.0°(c 0.11、メタノール)]。

【0131】
(−)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンのL−酒石酸塩は、(+)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン,L−酒石酸塩([α]24−6.0°(c 0.10、メタノール))の合成に関して記載される類似のステップに従って、(−)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−7−メトキシ−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを使用することにより調製した。
【0132】
実施例2 実施例1の代替合成
ステップA:ジメチルスルホキシド(200mL)中の実施例1のステップGからのトリフラート(9.5g、21.6mmol)およびビス(ピナコラート)ジボロン(6.6g、25.9mmol)の溶液に、酢酸カリウム(6.4g、64.8mmol)を添加した。溶液をアルゴンで5分間脱気した後、ジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(1.6g、2.2mmol)をそれに添加した。反応混合液をアルゴンで5分間脱気し、80℃で1時間加熱した後、室温に冷却した。この溶液に、6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−α]ピリジン(4.8g、23.8mmol)および炭酸セシウム(21.1g、87mLの水中64.8mmol)水溶液を添加した。得られる溶液をアルゴンで脱気した後、ジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(0.8g、1.1mmol)をそれに添加した。反応混合液をアルゴンで脱気し、80℃で1時間加熱した。反応中に、暗色の粘性油が形成された。暗色の上澄み溶液を注ぎ出し、水で希釈して、酢酸エチル(3x)で抽出し、これを硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮した。残った油をジクロロメタンに溶解し、得られる溶液を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、真空で濃縮した。複合粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィ(100%酢酸エチル〜92:7.2:0.8酢酸エチル/メタノール/水酸化アンモニウム)によって精製し、7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−α]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(7.7g、87%、AUC HPLC 97.6%)を茶色の泡として得た。

【0133】
ステップB:1,2−ジクロロエタン(180mL)中の上記ステップAからの7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−α]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(7.2g、17.6mmol)の溶液に、0℃で、プロトンスポンジ(3.8g、17.6mmol)を添加し、続いて、1−クロロギ酸クロロエチル(2.3mL、21.1mmol)を添加した。添加後、反応溶液を、0℃で20分間、室温で14時間攪拌した。追加の1−クロロギ酸クロロエチル(0.5mL、4.6mmol)を、反応溶液に添加した。反応溶液をさらに3時間攪拌した後、0℃に冷却して、水性塩酸(1N)で洗浄した。酸洗浄中に、沈殿物が形成された。有機抽出物を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、真空で濃縮した。得られる残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィ(ジクロロメタン〜95:4.5:0.5のジクロロメタン/メタノール/水酸化アンモニウム)によって精製し、2バッチの部分的に精製されたカルバミン酸中間体を得て、これをメタノールに溶解し、1時間還流させた。反応溶液を真空で濃縮し、得られる粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル〜88:10.2:0.8酢酸エチル/メタノール/水酸化アンモニウム)および調製薄層クロマトグラフィ(酢酸エチル/メタノール/水酸化アンモニウム90:9:1)の組み合わせによって精製し、所望のdes−メチルテトラヒドロイソキノリン(3.8g、54%、AUC HPLC 98.7%)を薄ピンク色の泡として得た。

【0134】
ステップC:エタノール(80mL)中の上記ステップBからのdes−メチルテトラヒドロイソキノリン(3.75g、9.48mmol)の溶液に、活性化炭素(3.0g)を添加し、室温で30分間攪拌した。炭素をろ過によって除去し、得られるろ液を真空で濃縮した。得られる油をエタノール(60mL)に溶解し、エタノール(20mL)中のL−酒石酸(1.44g、9.5mmol)の溶液を添加した。その時直ちに、白い沈殿物が形成された。スラリーを室温で10分間攪拌し、ろ過した。得られるケーキを、熱いエタノール(70℃)中で3時間攪拌し、ろ過した。得られるケーキを真空で50〜60℃で40時間乾燥させて、(+)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−α]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンL−酒石酸塩(3.7g、73%、AUC HPLC 250nmで99.4%)を、オフホワイトの固体として得た。[α]23+16.8°(c 0.13、メタノール):

【0135】
実施例3 実施例1(塩酸)の代替合成
ステップA:1Lの丸底フラスコに、2−アミノ−5−ブロモピリジン(100g、578mmol)、DMF−DMA(101mL、751mmol)および2−プロパノール(200mL)を添加した。混合液を加熱し、3時間還流させて、透明な暗色溶液を得た。次に、50℃に冷却し、塩酸ヒドロキシルアミン(52.2g、751mmol)を添加した。混合液を50℃で一晩攪拌し、黄色の懸濁液を得た。沈殿物をろ過によって収集した。黒いろ液を濃縮し、残渣をEtOH(20mL)中で20分間攪拌した。固体をろ過によって収集した。複合固体をオーブンで乾燥させて、N−(5−ブロモピリジン−2−イル)−N′−ヒドロキシホルムイミドアミドを、砂色の固体として得た(94g、収率75%)。
【0136】
ステップB:N−(5−ブロモピリジン−2−イル)−N′−ヒドロキシホルムイミドアミドを、THF(1L)に溶解する。溶液に、10℃で、トリフルオロ酢酸無水物(106mL、751mmol)をゆっくり添加し、反応温度を20℃以下に制御する。添加が完了した後、混合液を室温に加温し、2時間攪拌した。反応が終了した後、NaCO水溶液でクエンチして、7より高いpHに調整した。有機溶媒を減圧下で除去した後、生成物をDCM(4x300mL)で抽出した。複合有機層を、NaSO上で乾燥させ、濃縮乾燥した。残渣をエチルエーテル(100mL)中で攪拌し、生成物6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジンを、ろ過によってオフホワイトの固体として収集した(50g、収率58%)。
【0137】
ステップC:DMSO(600mL)および水(50mL)中の3−ホルミルフェニルボロン酸(21.41g、143mmol)、6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン(28.27g、143mmol)の混合液に、Pd(dppf)Cl(5.83g、7.14mmol)およびCsCO(116g、357mmol)を添加した。反応温度は、添加後45℃に到達した。HPLCは、開始物質が、15分後に消費されたことを示した。反応液を水(400mL)で希釈した。黒い沈殿物をろ過によって収集し、DCM(300mL)に溶解して、塩水(200mL)で洗浄した。水層をDCM(100mL)で逆抽出した。複合有機層を、セライトパッドを通してろ過し、ろ液を濃縮して、黒い固体混合物を得た。生成物は、メタノール中で再結晶化し、3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)ベンズアルデヒド(27.4g、123mmol、収率86%)を、薄灰色の固体として得た。m/z=224.0[M+1];

【0138】
ステップD:α−ブロモ−3,4′−ジクロロアセトフェノン(26.7g、100mmol)、ヘキサメチレンテトラミン(HMTA)(13.97g、100mmol)およびNaI(0.5g)の混合液を、室温で一晩攪拌した。HPLC分析は、開始物質の消費を示した。アンモニウム中間体を、ろ過によって白い固体として収集し、アセトンで洗浄して、乾燥させた(36g、収率89%)。
【0139】
EtOH(500mL)中の中間体(36g、88mmol)の溶液に、12N HCl(75mL、0.9mol)を添加した。混合液を76℃で一晩攪拌した後、室温に冷却した。生成物2−アミノ−1−(3,4−ジクロロフェニル)塩酸エタノンを、ろ過によって結晶固体として得た(20.2g、収率95%)。

【0140】
ステップE:MeOH(200mL)中の2−アミノ−1−(3,4−ジクロロフェニル)塩酸エタノン(50g、208mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(7.86g、208mmol)を0℃でゆっくり添加した。HPLCは、10分後に100%変換を示した。DCM/MeOH(180mL/50mL)中の3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)ベンズアルデヒド(46.4g、208mmol)の溶液を、前述の溶液に一度に室温で添加した。混合溶液を、室温で2時間攪拌した後、水素化ホウ素ナトリウム(7.86g、208mmol)を添加した。HPLCは、10分後に100%変換を示した。溶媒の大部分を除去し、残渣をDCM/NHOH(4N)(1L/1L)に溶解した。有機層を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させて、約250mLに濃縮した。DCM溶液中の生成物2−(3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)ベンジルアミノ)−1−(3,4−ジクロロフェニル)エタノールを、さらなる精製なしに次のステップで使用した(HPLC領域92%)。m/z=413.1[M+1];

【0141】
ステップF:3Lの丸底フラスコ中の濃縮硫酸(500g、5.0mol)の溶液を、氷浴で0℃に冷却した。フラスコに、DCM(250mL)中の2−(3−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)ベンジルアミノ)−1−(3,4−ジクロロフェニル)エタノール(79g、0.191mol)の溶液を滴下添加した。添加は、30分で終了し、反応温度は、10〜20℃の範囲に制御した。添加中に、DCMを窒素ガスで吹き払った。DCMの蒸発は、反応温度の低下を助けた。混合溶液を、室温で一晩攪拌した。HPLCは、開始物質が残存しないことを示した。7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンおよび5−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンのHPLC面積比は、75:25であった。反応混合液を0℃に冷却した。イソプロパノール(2L)を、溶液にゆっくり添加し、温度を0℃より下に維持した。固体(所望の異性体92%純度)が、ろ過によって得られた。次に、固体をAcOEt(1L)に溶解し、NHOHでpHを10に調整した。水層をEtOAcで2回抽出した。複合有機層を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させて濃縮した。残渣をEtOH(250mL)に溶解した後、1.1等量のメタンスルホン酸(20.20g、0.21モル)を添加し、溶液を一晩攪拌した。得られる沈殿物、メタンスルホン酸塩(純度98%)をろ過した。これを水に溶解し、NHOHでpHを10に調整した後、AcOEtで2回抽出した。複合抽出物を水で洗浄し、NaSO上で乾燥させた。溶媒の除去後、7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンが、非晶質状態で得られた(40.8g、収率54%)。m/z=395.0[M+1];

【0142】
ステップG:DMF(30mL)中の7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(25.2g、63.8mmol)の溶液に、ジ−tert−重炭酸ブチル(13.91g、63.8mmol)を添加した。反応混合液を室温で1時間攪拌した後、AcOEt(500mL)を添加した。溶液を塩水および水で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥させた。溶媒の除去後、固体rac−tert−ブチル7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボン酸塩(30.6g、61.8mmol、収率97%)を、MeOHからの再結晶化によって得た。m/z=495.1[M+1];

【0143】
ステップH:Chiralpak AS−Hカラム上のキラルSFC分離(3x25cm、5μm、溶離剤:CO2/(MeOH/TEA=100/0.2(v/v))=75/25、220nm)は、(+)−tert−ブチル7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−カルボン酸塩(99.7% ee)を産出した。
【0144】
ステップI:DCM(150mL)中のステップHからの(+)−エナンチオマー(32.41g、65.43mmol)の溶液に、塩化水素−EtOH溶液(2.5N、250mL)およびEtOH500mLを添加した。反応混合液を70℃で2時間攪拌した。溶媒の除去後、残渣を1000mLのAcOEt中で1時間還流させた。生成物(+)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−塩酸テトラヒドロイソキノリン(27.4g、収率97%)が、ろ過および乾燥後に得られた。m/z=395.1[M+1];

【0145】
実施例4 一次結合分析
膜の調製
hSERT、hDAT、またはhNETタンパク質のいずれかを発現する組み換えHEK−293細胞は、T−175フラスコから以下のように採取した。培地をフラスコから除去し、細胞をCaおよびMgを含まないHBSSで洗浄した。次に、ピペッティングおよび剥離の組み合わせで引き上げる前に、必要に応じて、細胞を5〜10分間、10mM Tris−Cl、pH 7.5、5mM EDTA中でインキュベートした。細胞懸濁液を、遠心分離ボトルに収集し、30秒間Polytronホモジナイザで均質化した。懸濁液を、30分間、32,000×g、4℃で遠心分離した。上澄みを移し、ペレットを50mM Tris−Cl、pH 7.5、1mM EDTA中で10秒間、再懸濁および均質化した。次に、懸濁液を再度30分間、32,000xg、4℃で遠心分離した。上澄みを移し、ペレットを50mM Tris−Cl、pH7.5、1mM EDTA中で再懸濁し、短時間均質化した。ブラッドフォード分析(Bio−rad)を行い、50mM Tris−Cl、pH 7.5、1mM EDTAで膜調製物を2mg/mLに希釈した。アリコートを調製した後、凍結させて、−80℃で保管した。
【0146】
SERT 放射線リガンド結合分析
化合物を、所望の最高分析濃度の100倍の濃度で100% DMSOに溶解し、100% DMSO中で1:3に連続希釈し、各溶液の0.4μL/ウェルをNuncポリプロピレン、丸底384ウェルプレートに分注した。100%阻害は、DMSOに溶解された0.4μL/ウェルの1mM フルオキセチンで定義される。20μL/ウェルの2x膜調製物(50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KCl中の15μg/mL)および20μL/ウェルの2x放射性リガンド溶液(50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KCl中の520pM [125I]RTI−55)を、各ウェルに添加し、反応液を1時間、室温でインキュベートした。次に、分析プレートの内容物を、0.5% PEIで少なくとも1時間事前処理したMillipore MultiscreenHTS GF/Bフィルタープレートに移した。プレートを真空ろ過し、4℃に冷却された100μL/ウェル 50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KClの7回洗浄で洗浄した。ろ過および洗浄は、90秒未満で完了した。プレートを一晩空気乾燥し、12μL/ウェルのMicroScintシンチレーション液を添加し、プレートをTriluxにおいてカウントした。
【0147】
DAT 放射性リガンド結合分析
化合物を所望の最高分析濃度の100倍の濃度で100% DMSOに溶解し、100% DMSO中で1:3に連続希釈し、各溶液の0.4μL/ウェルをNuncポリプロピレン、丸底384ウェルプレートに分注した。100%阻害は、DMSOに溶解された0.4μL/ウェルの1mM GBR−12935で定義される。20μL/ウェルの2x膜調製物(30mM リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.9、4℃中12.5μg/mL)および20μL/ウェルの2x放射性リガンド溶液(30mM リン酸ナトリウム緩衝液、pH7.9、4℃中250pM [125I]RTI−55)を、各ウェルに添加し、反応液を1時間、室温でインキュベートした。次に、分析プレートの内容物を、0.5% PEIで少なくとも1時間事前処理したMillipore MultiscreenHTS GF/Bフィルタープレートに移した。プレートを真空ろ過し、4℃に冷却された100μL/ウェル 50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KClの7回洗浄で洗浄した。ろ過および洗浄は、90秒未満で完了した。プレートを一晩空気乾燥し、12μL/ウェルのMicroScintシンチレーション液を添加し、プレートをTriluxにおいてカウントした。
【0148】
NET 放射性リガンド結合分析
化合物を所望の最高分析濃度の100倍の濃度で100% DMSOに溶解し、100% DMSO中で1:3に連続希釈し、各溶液の1.0μL/ウェルをNuncポリプロピレン、丸底384ウェルプレートに分注した。100%阻害は、DMSOに溶解された1.0μL/ウェルの10mM デシプラミンで定義される。50μL/ウェルの2x膜調製物(50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KCl中0.4mg/mL)および50μL/ウェルの2x放射性リガンド溶液(50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KCl中の4nM [H]ニソキセチン)を、ウェルに添加し、反応液を1時間、室温でインキュベートした。次に、分析プレートの内容物を、0.5% PEIで少なくとも1時間事前処理したMillipore MultiscreenHTS GF/Bフィルタープレートに移した。プレートを真空ろ過し、4℃に冷却された100μL/ウェルの50mM Tris−Cl、pH7.5、120mM NaCl、5mM KClの7回洗浄で洗浄した。ろ過および洗浄は、90秒未満で完了した。プレートを一晩空気乾燥し、12μL/ウェルのMicroScintシンチレーション液を添加し、プレートをTriluxにおいてカウントした。
【0149】
データ分析
原データを、各プレートで実行される0%(DMSOのみ)および100%(選択的阻害薬)阻害薬を定義する対照ウェルを使用して、阻害%に標準化した。各プレートは、3重複で行い、それによって生成された濃度反応曲線は、各化合物のIC50値を決定するために、4つのパラメータ用量反応等式Y=Bottom+(Top−Bottom)/(1+10^((LogIC50−X)*HillSlope))を使用して適合させた。各分析に選択される放射性リガンド濃度は、各分析に対して、飽和結合分析によって決定されるK濃度に対応する。
【0150】
実施例5 占有率分析
脳組織収集および輸送体占有率評価のための一般的な手順は、以下のように端的に説明される。マウスはCO中の窒息によって、ラットは断頭術によって、およびイヌは安楽死溶液のIV注入によって犠牲死させた。マウスおよびラットの場合、脳を頭蓋骨から除去した後、前脳組織(脳幹および小脳の除去)を、SERT、NET、およびDAT占有率評価に使用した。イヌにおいて、線条体をDAT占有率について分析し、残りの前脳組織(線条体、脳幹、および小脳を含まない)を、SERTおよびNET占有率評価に使用した。脳組織を冷却したイソペンタン中で凍結させ、均質化するまで−80℃で保管した。
【0151】
脳組織を解凍した後、ポリトロンホモジナイザ(Kinematica)を使用して均質化した。試料アリコートを速やかに凍結させ、−80℃で保管した。各試料のタンパク質含有量は、Coomassieタンパク質分析キット(Pierce)を使用して測定した。
【0152】
占有率評価のためのエクスビボ結合の日に、凍結試料アリコートを解凍し、ニードル均質化して、表1に要約される分析条件下で、SERT、NET、およびDAT結合のために100μgの組織をインキュベートした。インキュベーション後、氷冷分析緩衝液の添加およびFPXLR−196フィルターを使用するBrandel Cell Harvesterを通す急速ろ過によって、反応を終了させた。フィルターを、氷冷インキュベーション緩衝液で2回洗浄し、ウェル当り200μLのシンチレーション液を添加する前に、透明なプレートに打ち込んだ。放射性リガンドを、Wallac Microbeta液体シンチレーションカウンタを使用して測定した。
【0153】
(表1)セロトニン、ノルエピネフリン、およびドーパミン輸送体占有率に関するエクスビボ結合分析条件

【0154】
特異的結合は、各試料中の総結合の値から非特異的結合の値を差し引くことによって計算した。占有%は、(1−処理される薬物中の特異的結合/処理される媒体中の特異的結合)x100%として計算した。インビボ占有EC50(50%占有をもたらす化合物の総血漿濃度)を推定する場合、占有値対血漿濃度のプロットを、以下の等式に従う非線形回帰を使用して、一部位結合モデルに適合させた。占有%=Emax*C/(EC50+C)、式中、Emaxは最大特異的結合であり、Cは薬物濃度であり、EC50は50%結合部位占有に必要とされる、総血漿濃度である。非線形回帰は、GraphPad Prism version 3.00(GraphPad Software,San Diego,Calif.)を使用して行った。
【0155】
結果は、以下の表2に示される。
【0156】
(表2)IC50および占有値

【0157】
実施例6 インビボ動作分析
全試験
すべての動物を、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる、Committee on Animals of the Bristol−Myers Squibb CompanyのガイドラインおよびGuide for Care and Use of Laboratory Animals,Institute of Animal Laboratory Resources,1996に従って維持した。研究プロトコルは、Bristol−Myers Squibb Company Institutional Animal Care and Use Committeeによって承認された。
【0158】
マウス尾部懸吊分析
雄のスイスウェブスターマウスを、一定温度(21〜23℃)および湿度(50±10%)、12時間の明暗周期で維持された室内で、ケージ当り3〜4匹収容した。研究を通して、動物は、水および食糧に自由にアクセスした。試験の日に、動物を試験室に入れ、1時間順応させた。試験を開始するために、尾部に一片のテープを取り付け、次に、それを防音室の天井のフックに取り付けた。Med Associatesソフトウェアを使用して、不動性を自動的に記録した。化合物は、セッション前の固定された前処理間隔で、急性投与した。
【0159】
マウス尾部懸吊研究における実施例1 (+)−エナンチオマーの最小有効用量は、10mg/kgであった。
【0160】
ラット強制水泳試験
雄のスプラーグドーリーラットを、一定温度(21〜23℃)および湿度(50±10%)、12時間の明暗周期で維持された室内で、対で収容した。研究を通して、動物は、水および食糧に自由にアクセスした。実験を開始する2日前に、それぞれ2分間、動物を処理する。試験の初日に、ラットを水泳タンク(Pyrexシリンダ 高さ46cmx直径21cm、24〜26℃の範囲の水を30cm入れた)に、15分間入れた(水泳前セッション)。15分のセッションの最後に、ラットを乾かし、それらのホームケージに移した。2回目の試験水泳前に、次の24時間の3つの時点(23.5、5、および1時間)で、化合物を投与する。この水泳試験の期間は5分であり、動物の動作をビデオ撮影し、活発な動作(不動性、水泳、登坂)を採点する。5分の試験セッション中、各5秒期間の最後に、ラットの動作を以下のうちの1つとして採点する。不動性(ラットは、もがくことなく水中に浮遊したままであり、頭部を水上に維持するために必要な運動のみを行った)、水泳(ラットは、頭部を水上に維持するために必要な程度以上に、活発な水泳動作を行った、例えば、シリンダ内を動き回った)、または登坂(ラットは、通常、シリンダ壁に向けて、前足を水から出し入れして活発に運動した)。化合物は、既定のコードによってのみ識別され、実験者は、実験を通して(ビデオテープの採点中を含む)、盲検状態である。
【0161】
ラットおよびマウスの自発運動
2つの種に関して上述される条件に従って、動物を収容する。試験装置は、8つのフォトビームの中断を検出する、Digiscan活動モニタを備えたPlexiglas室(Omnitech Electronics,Columbus,Ohio)で構成される。水平活動は、計60分間、5分間隔で記録し、網羅される総距離として表す(cm)。化合物は、試験前に固定された規定間隔で急性投与する。
【0162】
実施例7 (S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンL−酒石酸(L−酒石酸塩)の単結晶の調製
(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンL−酒石酸塩(20mg)を、バイアル中で加熱しながら、メタノール(8mL)に溶解した。次に、蒸留水(2mL)を、上記の透明な溶液に添加した。得られる溶液に蓋をし、室温で放置した。(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンL−酒石酸塩の針状結晶は、数日以内に、空気中にゆっくり蒸発した後に得られた。
【0163】
実施例8 (S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩一イソプロパノール酸塩一水和物(HCL塩、形態SA−1)の単結晶の調製
(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩(20mg)を、バイアル中で加熱しながら、イソプロパノール(10mL)に溶解した。次に、蒸留水(2mL)を、上記の透明な溶液に添加した。得られる溶液に蓋をし、室温で放置した。(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩一イソプロパノール酸塩一水和物塩の長い針状結晶は、数日以内に、空気中にゆっくり蒸発した後に得られた。針状結晶は、ろ過によって母液から分離し、湿式ケーキを、45℃および100mmHgの条件下で、16時間オーブンで乾燥させた。
【0164】
実施例9 (S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩(HCl塩、形態N−2)の単結晶の調製
(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩(20mg)を、バイアル中で加熱しながら、メタノール(8mL)に溶解した。次に、蒸留水(2mL)を、上記の透明な溶液に添加した。得られる溶液に蓋をし、室温で放置した。(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩の針状単結晶は、数日以内に、空気中にゆっくり蒸発した後に得られた。
【0165】
実施例10 X線結晶学による単結晶分析
(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンL−酒石酸(L−酒石酸塩)および(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩(HCl塩、形態N−2)結晶のデータは、グラファイト単色化Cu Kα放射線(λ=1.54178Å)を備えるSMART CCD回折計上で、225Kおよび室温でそれぞれ収集した。(S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩一イソプロパノール酸塩一水和物(HCl塩、形態SA−1)のデータは、グラファイト単色化Cu Kα放射線(λ=1.54178Å)を備えるX8−ApexII回折計上で、室温で収集した(APEX−II 1.0−28、Bruker CCDデバイス用データ収集ソフトウェアBruker AXS Inc.,Madison,Wisconsin,US. SAINT PLUS、Bruker CCDデバイス用処理ソフトウェア、Bruker AXS Inc.,Madison,Wisconsin,US)。最終単位セルパラメータは、全体データセットを使用して決定した。
【0166】
すべての構造は、直接法によって解決し、全マトリクス最小二乗法によって、SHELXTLソフトウェアパッケージ(Sheldrick,GM. 1997,SHELXTL.Structure Determination Programs. Version 5.10、Bruker AXS,Madison,Wisconsin,USA.)を使用して精密化した。精密化において最小化される関数は、Σw(|Fo|−|Fc|)であった。Rは、Σ||Fo|−|Fc||/Σ|Fo|として定義されるが、Rw=[Σw(|Fo|−|Fc|)/Σw|Fo|1/2であり、wは、認められる強度の誤差に基づく適切な重み関数である。差フーリエマップを、精密化の全段階で試験した。L−酒石酸塩形態で、ペンダントフェニル環上のクロロ原子のうちの1つは、2つの位置において、それぞれ50%占有率で無秩序化される。酒石酸分子も無秩序化されるが、うまくモデル化することができなかった。メタノール分子の数は、無秩序に起因して識別され得ない。すべての非水素原子は、異方性熱変位パラメータで精密化した。水素結合と関連付けられる水素原子は、最終差フーリエマップ内で位置付けられたが、他の水素原子の位置は、標準的な結合長および角度を用いて、理想形状から計算した。それらは、割り当てられた等方性温度因子であり、固定パラメータを用いる構造因子計算に含まれる。
【0167】
L−酒石酸塩形態の結晶データは、表3に示され、部分原子座標は、表4に列挙される。形態SA−1の結晶データは、表5に示され、部分原子座標は、表6に列挙される。形態N−2の結晶データは、表7に示され、部分原子座標は、表8に列挙される。座標におけるわずかな変動は可能であり、本開示の範囲内であると考えられることは、当業者に理解されるはずである。
【0168】
(表3)L−酒石酸塩形態の結晶データ
実験式 C40 H40 Cl2 N8 O8
式重量 831.70
温度 225(1) K
波長 1.54178 Å
結晶系、空間基 斜方晶系、C2221
単位セル寸法 a = 7.6264(10) Å α = 90°
b = 38.942(5) Å β = 90°
c = 24.449(3) Å γ = 90°
体積 7261.1(16) Å3
Z, 算出密度 8, 1.522 Mg/m3
吸収係数 2.195 mm-1
F(000) 3472
データ収集のθ範囲 2.27〜66.20°
限界指数 -8<=h<=8, -45<=k<=42, -22<=l<=28
収集された/固有の反射 24815 / 6156 [R(int) = 0.1027]
精密化法 F^2に関する全マトリクス最小二乗
データ/拘束/パラメータ 6156 / 2 / 323
F^2に関する適合度 2.340
最終R指数[I>2sigma(I)] R1 = 0.2345, wR2 = 0.4418
R指数(全データ) R1 = 0.3127, wR2 = 0.4595
絶対構造パラメータ 0.00(11)
減衰係数 0.0075(9)
最大差ピークおよびホール 0.991および-0.773 e. Å-3
【0169】
(表4)L−酒石酸形態の原子座標
L−酒石酸形態の原子座標(x10)および相当する等方性変位パラメータ(Åx10)。U(eq)は、直交Uijテンソルのトレースの1/3として定義される。


【0170】
(表5)HCl塩: 形態SA−1の結晶データ
実験式 C24 H26 Cl3 N4 O2
式重量 508.84
温度 298(2) K
波長 1.54178 Å
結晶系、空間基 単斜晶系、P21
単位セル寸法 a = 11.0668(9) Å α = 90°
b = 7.3750(6) Å β = 100.594(7)°
c = 15.3927(14) Å γ = 90°
体積 1234.90(18) Å3
Z, 算出密度 2, 1.363 Mg/m3
吸収係数 3.595 mm-1
F(000) 530
データ収集のθ範囲 4.06〜61.98°
限界指数 -12<=h<=12, -7<=k<=6, -17<=l<=15
収集された/固有の反射 3911 / 2687 [R(int) = 0.0253]
θに対する完全性 = 61.98 89.5 %
精密化法 F^2に関する全マトリクス最小二乗
データ/拘束/パラメータ 2687 / 1 / 306
F^2に関する適合度 1.035
最終R指数[I>2sigma(I)] R1 = 0.0382, wR2 = 0.0994
R指数(全データ) R1 = 0.0423, wR2 = 0.1027
絶対構造パラメータ 0.02(2)
最大差ピークおよびホール 0.270および-0.201 e. Å-3
【0171】
(表6)HCl塩: 形態SA−1の原子座標
形態SA−1の原子座標(x10)および相当する等方性変位パラメータ(Åx10)。U(eq)は、直交Uijテンソルのトレースの1/3として定義される。


【0172】
(表7)HCl塩: 形態N−2の結晶データ
実験式 C21 H17 Cl3 N4
式重量 431.74
温度 298(2) K
波長 1.54178 Å
結晶系、空間基 斜方晶系, P212121
単位セル寸法 a = 7.1183(2) Å α = 90°
b = 21.2160(7) Å β = 90°
c = 26.3602(9) Å γ = 90°
体積 3981.0(2) Å3
Z, 算出密度 8, 1.441 Mg/m3
吸収係数 4.283 mm-1
F(000) 1776
結晶サイズ 0.16 x 0.07 x 0.06 mm
データ収集のθ範囲 2.67〜44.53°
限界指数 -6<=h<=5, -19<=k<=18, -23<=l<=23
収集された/固有の反射 9626 / 2985 [R(int) = 0.0700]
θに対する完全性 = 44.53 95.3 %
データ/拘束/パラメータ 2985 / 0 / 505
F^2に関する適合度 1.031
最終R指数[I>2sigma(I)] R1 = 0.0580, wR2 = 0.1446
R指数(全データ) R1 = 0.0780, wR2 = 0.1669
絶対構造パラメータ 0.10(4)
最大差ピークおよびホール 0.260および-0.278 e. Å-3
【0173】
(表8)HCl塩: 形態N−2の原子座標
形態N−2の原子座標(x10)および相当する等方性変位パラメータ(Åx10)。U(eq)は、直交Uijテンソルのトレースの1/3として定義される。


【0174】
実施例11 形態SA−1およびN−2の粉末X線回折
X線粉末回折(PXRD)データは、Bruker C2 GADDSを使用して得た。放射線は、Cu Kα(40KV、40MA)であった。試料検出器距離は、15cmであった。粉末試料を、直径1mm以下の密閉ガラス毛細管に入れ、毛細管をデータ収集中に回転させた。少なくとも1000秒の試料曝露時間で、32035°のデータを収集した。得られる二次元回折アークを統合して、従来の一次元PXRDを形成した。形態SA−1の単結晶データから算出されたPXRDパターンおよび模擬パターンの結果は、図1に示される。
【0175】
表9は、形態SA−1((S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩一イソプロパノール酸塩一水和物)および形態N−2((S)−7−([1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン一塩酸塩を説明する、特徴的PXRDピークを列挙する。特に、表9は、NISTまたは他の適切な標準で較正された2θを有する回転毛細管を備える、回折形(cuKα)を用いて収集された高品質パターンに基づいて、室温での特徴的な回折ピーク位置(20±0.1°)を示す。
【0176】
(表9)

【0177】
実施例12 形態SA−1の示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(DSC)実験は、TA Instruments(商標)モデルQ1000または2920において行った。試料(約2〜6mg)を、針を刺した密閉したアルミ皿に計量し、1/100ミリグラムまで正確に記録して、DSCに移した。装置は、窒素ガス50mL/分でパージした。データは、室温〜300℃、10℃/分の加熱率で収集した。下方を指している吸熱ピークでプロットを形成した。結果が図2に示される。
【0178】
実施例13 形態SA−1の熱重量分析
結果が図3に示される。
【0179】
好適な実施形態が、本明細書において詳細に図示および説明されたが、様々な修正、追加、置換等が、本発明の精神から逸脱することなく行われ得ること、およびしたがって、それらは、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内であると考えられることが、当業者に明らかとなるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、

式中、
で示される炭素原子が、RまたはS配置にある、化合物、
またはその薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物。
【請求項2】
(+)立体異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(−)立体異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
S配置にある、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R配置にある、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
(S)(+)立体異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
(R)(−)立体異性体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
薬学的に許容される担体と、治療上有効量の請求項1に記載の化合物とを含む、薬学的組成物。
【請求項9】
ノルエピネフリン、ドーパミン、またはセロトニンの利用能の減少によって形成されるか、またはそれに依存する疾患を治療する方法であって、治療上有効量の請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項10】
前記疾患が、注意欠陥多動性障害(ADHD)、認知障害、不安障害、全般性不安障害(GAD)、パニック障害、双極性障害もしくは躁鬱病または躁鬱性障害、強迫神経症(OCD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害、社会恐怖症、単純恐怖症、月経前不快気分障害(PMDD)、社会不安障害(SAD)、大鬱病性障害(MDD)、産後鬱、気分変調、アルツハイマー病、パーキンソン病、または精神病に関連する鬱、核上麻痺、摂食障害、肥満、神経性食欲不振、神経性過食症、むちゃ食い障害、糖尿病、虚血性疾患、疼痛、薬物乱用障害、薬物依存、ニコチン中毒、コカイン中毒、アンフェタミン中毒、アルコール中毒、レッシュナイハン症候群、神経変性病、パーキンソン病、黄体期後期症候群またはナルコレプシー、精神科的症状、怒り、拒絶過敏症、運動障害、錐体外路症候群、チック障害、下肢静止不能症候群(RLS)、遅発性ジスキネジー、核上麻痺、睡眠関連摂食障害(SRED)、夜食症候群(NES)、腹圧性尿失禁(SUI)、偏頭痛、神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害、腰痛、線維筋痛症候群(FS)、変形性関節炎痛、関節炎痛、慢性疲労症候群(CFS)、性機能障害、早漏、男性性的不能、体温調節障害(例えば、更年期障害に関連する火照り)、および過敏性腸症候群(IBS)から成る群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
治療上有効量のセロトニン1A受容体拮抗薬、またはその薬学的に許容される塩を投与することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記セロトニン1A受容体拮抗薬が、WAY100135およびスピペロンから成る群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
治療上有効量の選択的ニューロキニン−1受容体拮抗薬、またはその薬学的に許容される塩を投与することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
治療上有効量のノルエピネフリン前駆体、またはその薬学的に許容される塩を投与することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記ノルエピネフリン前駆体が、L−チロシンおよびL−フェニルアラニンから成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、(+)立体異性体である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、(−)立体異性体である、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、S配置にある、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、R配置にある、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が、(S)(+)立体異性体である、請求項9に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が、(R)(−)立体異性体である、請求項9に記載の化合物。
【請求項22】
患者において、シナプスのノルエピネフリン取り込みを阻害する方法であって、治療上有効な阻害量の請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項23】
前記化合物が、(+)立体異性体である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物が、(−)立体異性体である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が、(S)(+)立体異性体である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が、(R)(−)立体異性体である、請求項22に記載の化合物。
【請求項27】
患者において、シナプスのセロトニン取り込みを阻害する方法であって、治療上有効な阻害量の請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項28】
前記化合物が、(+)立体異性体である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記化合物が、(−)立体異性体である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、(S)(+)立体異性体である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記化合物が、(R)(−)立体異性体である、請求項27に記載の化合物。
【請求項32】
患者において、シナプスのドーパミン取り込みを阻害する方法であって、治療上有効な阻害量の請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項33】
前記化合物が、(+)立体異性体である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が、(−)立体異性体である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物が、(S)(+)立体異性体である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記化合物が、(R)(−)立体異性体である、請求項32に記載の化合物。
【請求項37】
ヒトの喫煙欲求を抑制する方法であって、喫煙欲求を軽減するのに有効な量の請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、そのような抑制を必要とするヒトに投与することを含む、方法。
【請求項38】
前記化合物が、(+)立体異性体である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記化合物が、(−)立体異性体である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記化合物が、(S)(+)立体異性体である、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記化合物が、(R)(−)立体異性体である、請求項37に記載の化合物。
【請求項42】
ヒトのアルコール消費欲求を抑制する方法であって、アルコール消費欲求を軽減するのに有効な量の請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、そのような抑制を必要とするヒトに投与することを含む、方法。
【請求項43】
前記化合物が、(+)立体異性体である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記化合物が、(−)立体異性体である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記化合物が、(S)(+)立体異性体である、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記化合物が、(R)(−)立体異性体である、請求項42に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−526825(P2012−526825A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510933(P2012−510933)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/034379
【国際公開番号】WO2010/132442
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(509002589)アルバニー モレキュラー リサーチ, インコーポレイテッド (14)
【Fターム(参考)】