説明

8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−CD]インドール−6−オンのリン酸塩の多形性及び非晶質形態

本発明は、式(I)
【化1】


によって表される8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩の新規な多形性及び非晶質形態、並びにそれらの製造方法に関する。このような多形性形態は、医薬組成物の成分であることができ、癌のような疾患状態を含むポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ活性が介在する哺乳動物の疾患状態を治療するために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年9月22日に出願された米国仮出願第60/612,459号及び2005年5月9日に出願された米国仮出願第60/679,296号の利益を主張するもので、これらの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩の新規な多形性及び非晶質形態及びその製造方法に関する。また、本発明は、少なくとも1つの多形性又は非晶質形態を含んなる医薬組成物並びにこのような多形性及び非晶質形態及び組成物の治療上又は予防上の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
式1
【化1】

によって表される化合物8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンは、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の小分子阻害剤である。式1の化合物及びその塩は、米国特許第6,495,541号;PCT出願第PCT/IB2004/000915号、国際公開第WO 2004/087713号;及び米国仮特許出願第60/612,457号に記載されたように製造することができ、これらの開示はそれらの全体として参照により本明細書に組み込まれている。
【0004】
これまで、PARPファミリーにおけるDNA配列の相同性によって18種の酵素が確認されており、7種の生化学的及び酵素的性質が研究されており:PARP−1及びPARP−2はDNA鎖切断によって刺激され、PARP−3はPARP−1と相互作用し、そして中心体、PARP−4、別名vault PARP(VPARP)は、最も大きいPARPであり、細胞質の貯蔵室(cytoplasmic vaults)と関連しており、タンキラーゼ1及び2(PARP−5a及び5b)は、テロメアのタンパク質と関連しており、そしてPARP−7(TiPARP)の機能は今のところ明確ではないが、それはT細胞の機能に含まれる可能性があり、ポリ(ADP−リボシル化)ヒストンであることができる(Ame JC, Splenlehauer C and de Murcia G. The PARP Superfamily. Bioessays 26 882−893 (2004))。薬理学研究は、式1の化合物がPARP−1(Ki=1.4nM)及びPARP−2(Ki=0.17nM)の阻害剤であることを示した。PARP酵素間のアミノ酸配列における構造類似性に基づいて、式1の化合物は、ファミリーの他の構成メンバーにもおそらく高親和性で結合する。
【0005】
DNAにおける一本又は二本鎖切断の酵素が介在する修復は、放射線療法又は細胞毒性の薬物に対する耐性の潜在的機構であり、その機構はDNA損傷に左右される。従って、DNA修復酵素の阻害は、これらの薬剤を増強するための戦略である。PARPファミリーの最も特徴のわかっている構成メンバーであるPARP−1は、DNA損傷により活性化されて、ADP−リボース断片をNAD+から多くの受容体タンパク質に運搬するのに介在する核酵素である。DNA損傷を受けた程度に応じて、PARP−1活性化及びその後のポリ(ADP−リボシル)化は、損傷を受けたDNAの修復に介在するか又は細胞死を誘発する。DNA損傷が中程度の場合、PARP−1は、DNA修復過程において重要な役割を果たす。これに対して、大量のDNA損傷の場合には、PARP−1の過剰活性化によりATPプールが減少し(NAD+を補充するため)、最終的に壊死によって細胞死に至る(Tentori L, Portarena I, Graziani G. Potential applications of poly(ADP−ribose) polymerase (PARP) inhibitors. Pharmacol Res 2002, 45, 73−85)。このPARPの活性化により、AIF(アポトーシス誘発因子)が放出されて、カスパーゼに依存しないアポトーシスの経路を起動することがある。(Hong SJ, Dawson TM and Dawson VL. Nuclear and mitochondrial conversations in cell death: PARP−1 and AIF. Trends in Pharmacological Sciences 25 259−264 (2004))。
【0006】
PARP−1の二つの役割の結果として、この酵素の阻害剤、例えば式1によって表される8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンは、化学増感剤(例えば抗癌治療の後、DNA修復を予防することによって)としての又は酸化性若しくは一酸化窒素誘発性ストレス及びその後のPARP活性化過剰を含む種々の疾患及び中毒状態の治療としての役割を有することができる。このような状態には、神経性及び神経変性障害(例えばパーキンソン病、アルツハイマー病)(Love S, Barber R, Wilcock GK. Increased poly(ADP−ribosyl)ation of nuclear proteins in Alzheimer's disease. Brain 1999;122:247−53; Mandir AS, Przedborski S, Jackson−Lewis V, et al. Poly(ADP−ribose) polymerase activation mediates 1−methyl−4−phenyl−1,2,3,6−tetrahydropyridine (MPTP)−induced parkinsonism. Proc Natl Acad Sci USA 1999;96:5774−9);心臓血管障害(例えば心筋梗塞、虚血性再灌流障害)(Pieper AA, Walles T, Wei G, et al. Myocardial postischemic injury is reduced by poly(ADP−ribose) polymerase−1 gene disruption. J Mol Med 2000;6:271−82; Szabo G, Bahrle S, Stumpf N, et al. Poly(ADP−ribose)polymerase inhibition reduces reperfusion injury after heart transplantation. Circ Res 2002;90:100−6; U.S. Patent 6,423,705);炎症性疾患、(Szabo C, Dawson V. Role of poly(ADP−ribose) synthetase in inflammation and ischaemia−reperfusion. TIPS 1998;19:287−98);糖尿病の血管機能障害(Soriano FG, Virag L, Szabo C. Diabetic endothelial dysfunction: role of reactive oxygen and nitrogen species production and poly(ADP−ribose) polymerase activation. J Mol Med 2001;79:437−48);関節炎(Szabo C, Virag L, Cuzzocrea S, et al. Protection against peroxynitrite−induced fibroblast injury and arthritis development by inhibition of poly(ADP−ribose) synthase. Proc Natl Acad Sci USA 1998;95:3867−72);及びシスプラチン誘発性腎毒性(Racz I, Tory K, Gallyas F, et al. BGP−15 − a novel poly(ADP−ribose) polymerase inhibitor − protects against nephrotoxicity of cisplatin without compromising its antitumor activity. Biochem Pharmacol 2002;63:1099−111)が含まれる。さらにまた、BRCA2が不十分な腫瘍細胞では、PARP−1阻害剤単独に対して急激に感受性となることがわかっている(Bryant HE, Schultz N, Thomas HD, Parker KM, Flower D, Lopez E, Kyle S, Meuth M, Curtin NJ and Helleday T. “Specific killing of BRCA2 deficient tumors with inhibitors of poly(ADP−ribose)polymerase,” Nature: in press)。PARP阻害剤は、β細胞及びHGF遺伝子におけるReg遺伝子の発現誘発の強化にも含まれ、従って、ランゲルハンス島の膵臓β細胞の増殖を促進し、細胞のアポトーシスを抑制する(米国特許出願公報2004/0091453; PCT公報第WO 02/00665号)。さらに、PARP阻害剤は、化粧品、特にアフターサンローションにも使用される(PCT公報第WO 01/82877号)。市販のPARP阻害剤は、今のところない。
【0007】
癌は、依然として医学的な要求があまり満たされてない疾患である。細胞毒性を有する化学療法は、多くの癌、特に末期の疾患にとって全身性治療の柱として残っている。しかしながら、進行した又は転移性疾患の患者では、細胞毒性を有する化学療法の薬剤又は処方計画のほとんどは、総生存率を高めるのに有効ではない。さらにまた、細胞毒性薬に伴う治療濃度域の狭さのため、最適に満たない有効性と共に有意な毒性を生じる。従って、十分に許容しうる用量で細胞毒性の薬物の有効性を高める化学増感剤は、癌患者の重要な要求を満たす。“Therapeutic Combinations Comprising Poly(ADP−Ribose) Polymerases Inhibitor”と題された米国仮特許出願第60/612,458号及び同第60/683,006号は、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの医薬の組み合わせを記載しており、その開示はその全体で参照により本明細書に組み込まれている。
【0008】
哺乳動物に投与するための8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンを含む医薬組成物を製造するには、この化合物を信頼できる製剤として受け入れられる物理特性を有する形態で製造する必要がある。従って、高められた性質、例えば改善された溶解性又は生物学的利用能並びに熱、水分及び光に対する安定性を有する8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの改良された形態を提供することが当分野で必要とされている。
【0009】
一態様において、本発明は、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩の6種の多形性形態及び1種の非晶質形態を提供する。
【0010】
一実施態様において、本発明は、塩が形態Iの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0011】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態IIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0012】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態IIIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0013】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態IVの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0014】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態Vの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0015】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態VIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0016】
別の実施態様において、本発明は、塩が実質的に純粋な非晶質形態である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩を提供する。
【0017】
別の実施態様において、本発明は、塩が回折角(2θ)10.9、19.3、22.9及び25.0でピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態Iの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0018】
別の実施態様において、本発明は、塩が回折角(2θ)11.2、14.0、20.1及び23.1でピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態IIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0019】
別の実施態様において、本発明は、塩が回折角(2θ)10.7、11.0、19.4及び25.1でピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態IIIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0020】
別の実施態様において、本発明は、塩が回折角(2θ)8.2、16.5、23.0及び24.8でピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態IVの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0021】
別の実施態様において、本発明は、塩が回折角(2θ)10.8、14.8、21.6及び25.8でピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態Vの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0022】
別の実施態様において、本発明は、塩が回折角(2θ)14.8、20.0、22.3及び23.5でピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態VIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0023】
別の実施態様において、本発明は、塩が本質的に図1に示したのと同じ回折角(2θ)でピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態Iの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0024】
別の実施態様において、本発明は、塩が本質的に図4に示したのと同じ回折角(2θ)でピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態IIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0025】
別の実施態様において、本発明は、塩が本質的に図7に示したのと同じ回折角(2θ)でピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態IIIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0026】
別の実施態様において、本発明は、塩が本質的に図10に示したのと同じ回折角(2θ)でピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態IVの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0027】
別の実施態様において、本発明は、塩が本質的に図13に示したのと同じ回折角(2θ)
でピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態Vの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0028】
別の実施態様において、本発明は、塩が本質的に図18に示したのと同じ回折角(2θ)でピークを含むX線粉末回折パターンを有する形態VIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を提供する。
【0029】
別の実施態様において、本発明は、非晶質形態が結晶質形態の特徴である鋭いピークを全く有することなく4〜40°の範囲の回折角(2θ)で広いピークを示すX線粉末回折パターンを有する、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩の非晶質形態を提供する。より詳しくは、非晶質形態は、本質的に図21に示したのと同じX線粉末回折パターンを有することを特徴とする。さらにより詳しくは、非晶質形態は、本質的に図23に示したのと同じシフトピーク(cm-1)を含むラマンスペクトルを特徴とする。
【0030】
別の実施態様において、本発明は、固体形態が以下の形態:多形体形態I、II、III、IV、V、VI及び非晶質形態のうちの少なくとも2つを含む、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩の固体形態を提供する。
【0031】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態Iの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0032】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態IIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0033】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態IIIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0034】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態IVの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0035】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態Vの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0036】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態VIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0037】
別の実施態様において、本発明は、塩が実質的に純粋な非晶質形態である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0038】
別の実施態様において、本発明は、固体形態が以下の形態:多形体形態I、II、III、IV、V、VI又は非晶質形態のうちの少なくとも2つを含む、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩の固体形態を含んでなる医薬組成物を提供する。
【0039】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態Iの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することからなる、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ活性が介在する哺乳動物の疾患状態の治療方法を提供する。
【0040】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態IIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することからなる、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ活性が介在する哺乳動物の疾患状態の治療方法を提供する。
【0041】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態IIIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することをからなる、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ活性が介在する哺乳動物の疾患状態の治療方法を提供する。
【0042】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態IVの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することをからなる、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ活性が介在する哺乳動物の疾患状態の治療方法を提供する。
【0043】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態Vの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することをからなる、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ活性が介在する哺乳動物の疾患状態の治療方法を提供する。
【0044】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態VIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することをからなる、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ活性が介在する哺乳動物の疾患状態の治療方法を提供する。
【0045】
別の実施態様において、本発明は、塩が実質的に純粋な非晶質形態である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することをからなる、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ活性が介在する哺乳動物の疾患状態の治療方法を提供する。
【0046】
別の実施態様において、本発明は、固体形態が以下の形態:多形体の形態I、II、III、IV、V、VI及び非晶質形態のうちの少なくとも2つを含む、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩の固体形態を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することをからなる、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ活性が介在する哺乳動物の疾患状態の治療方法を提供する。
【0047】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態Iの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物における癌の治療方法を提供する。
【0048】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態IIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物における癌の治療方法を提供する。
【0049】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態IIIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物における癌の治療方法を提供する。
【0050】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態IVの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物における癌の治療方法を提供する。
【0051】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態Vの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物における癌の治療方法を提供する。
【0052】
別の実施態様において、本発明は、塩が形態VIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物における癌の治療方法を提供する。
【0053】
別の実施態様において、本発明は、塩が実質的に純粋な非晶質形態である8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物における癌の治療方法を提供する。
【0054】
別の実施態様において、本発明は、固体形態が以下の形態:多形体の形態I、II、III、IV、V、VI又は非晶質形態のうちの少なくとも2つを含む、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩の固体形態を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することからなる、哺乳動物における癌の治療方法を提供する。
【0055】
別の実施態様において、本発明は、剤形が凍結乾燥粉末注射剤であり、この剤形は、注射用滅菌水で再構成してpH8.0〜3.0で1.0〜4.5mg/mlの遊離塩基として8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの最終濃度が得られる、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンを含んでなる剤形を提供する。
【0056】
別の実施態様において、本発明は、剤形が凍結乾燥粉末注射剤であり、この剤形は、注射用滅菌水で再構成してpH5.0〜6.0で2〜3mg/mlの遊離塩基として8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの最終濃度が得られる、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンを含んでなる剤形を提供する。
【0057】
定義
用語「化合物I」は、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩のことである。用語「式1の化合物」は、遊離塩基8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのことである。
用語「活性剤」又は「活性成分」は、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オン(「化合物I)のリン酸塩の多形性形態、又は8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オン(化合物I)のリン酸塩の2つ又はそれ以上の多形性形態又は非晶質形態を含む固体形態のことである。
用語「周囲温度」は、実験室の設定で典型的に使用される温度条件のことである。これには、約20〜約30℃付近の温度範囲が含まれる。
用語「非晶質」は、化合物の非結晶形態のことである。
用語「水性塩基」は、すべての有機又は無機塩基のことである。水性塩基としては、例えば金属炭酸水素塩、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどが含まれるが、これらだけではない。
用語「芳香族溶媒」は、芳香族部分を有する有機溶媒のことであり、例えばベンゼン、トルエン、キシレン異性体又はそれらの混合物などが含まれるがこれらだけではない。
用語「化学安定性」は、特定の化合物がその化学的完全性を維持する一種の安定性のことであり、熱安定性、光安定性及び水分安定性が含まれるが、これらに限定されない。
用語「検出可能な量」は、例えばX線粉末回折、示差走査熱量測定法、HPLC、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)、ラマン分光法などのような慣用の技術を用いて検出することができる量又は単位容積当たりの量のことである。
【0058】
「湿気に曝露する」なる用語は、加湿設備、湿気室又は相対湿度を制御することができるすべての装置中で物質を水蒸気に曝露する過程のことである。また、その用語は、貯蔵中に物質が周囲の湿気に曝露される過程にも適用することができる。
【0059】
用語「癌」には、肺癌、骨癌、膵癌、皮膚癌、頭部又は頚部の癌、皮膚又は眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、大腸癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、上皮小体癌、副腎癌、軟組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性又は急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓又は尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸の腫瘍、脳幹部神経膠腫、下垂体腺腫、又は前記癌の1つ又はそれ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されるわけではない。前記方法の別の実施態様において、前記異常細胞増殖は、良性増殖性疾患であり、乾癬、良性前立腺肥大又は再狭窄が含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
用語「不活性溶媒」は、溶液又はスラリー中の他の成分と化学的に反応しないすべての溶媒又はスラリーの液体成分のことである。不活性溶媒には、例えば非プロトン性溶媒、例えば芳香族溶媒、酢酸エチル、アセトン、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサン、テラハイドロフラン(THF)などが含まれるが、これらだけではない。プロトン性溶媒には、例えばメタノール、エタノール、プロパノール異性体、ブタノール異性体などが含まれるが、これらだけではない。
【0061】
用語「ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)活性が介在する」は、PARP活性によって制御、調節又は阻害される生物学的又は分子的過程のことである。ある種の用途では、癌と関連するPARP活性の阻害が、好ましい。本発明は、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オン(化合物I)のリン酸塩の多形性形態又は化合物Iの2つ又はそれ以上の多形性形態を含む固体形態を投与することによって、例えば哺乳動物におけるPARP活性を調節又は阻害する方法を含む。化合物Iの多形体、又は化合物Iの2つ又はそれ以上の多形性形態を含む固体形態の活性又は有効性は、例えば米国特許第6,495,541号及び米国仮特許出願第60/612,458号に記載されたように測定することができ、これらの開示は全体として参照により本明細書に組み込まれている。
【0062】
用語「最小限の量」は、所定の温度で物質を完全に溶解するのに必要な溶媒で最少量のことである。
【0063】
本明細書に使用される「多形体」なる用語は、同じ化合物の異なる結晶質形態及び同じ化合物の擬似多形体(pseudo−polymorphs)、例えば水和物(例えば結晶構造中に存在する結合水)及び溶媒和物(例えば水以外の結合溶媒)を含む他の固体分子的形態のことである。異なる結晶質多形体は、格子中分子の異なる充填により異なる結晶構造を有する。これにより、異なる結晶対称及び/又は単位格子パラメータが生じ、これらは結晶又は粉末のX線回折の特徴のような物理特性に直接影響を与える。異なる多形体は、例えば、一般に異なる設定の角度で回析し、強度の値が異なる。従ってX線粉末回折は、異なる多形体又は複数の多形体を含む固体形態を、再現可能な及び信頼できるやり方で同定するために用いることができる(S. Byrn et al, Pharmaceutical Solids: A Strategic Approach to Regulatory Considerations, Pharmaceutical research, Vol. 12, No. 7, p. 945−954, 1995; J. K. Haleblian and W. McCrone, Pharmacetical Applications of Polymorphism, Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 58, No. 8, p. 911−929, 1969)。結晶質多形性形態は、医薬産業、そして特に適切な剤形の開発に関与する産業にとって興味深い。臨床又は安定性研究中に多形性形態が一定に保持されない場合、使用する又は研究された正確な剤形は、ロットごとに比較できない可能性がある。また、化合物を臨床研究又は市販製品に用いる場合、存在する不純物が望ましくない毒物学上の効果は生じることがあるため、選択された多形性形態を有する化合物を高純度で製造する方法があることは望ましい。ある種の多形性形態は、高められた熱力学的安定性を示すことができ、又は多量に高純度でより容易に製造することができ、従って医薬組成物中に含めるのにより適している。ある種の多形体は、異なる格子エネルギーのための吸湿性傾向の欠如、改善された溶解性、及び高められた溶解速度といったような他の好都合な物理特性を示すことがある。
【0064】
用語「ピーク強度」は、得られたX線回折パターンの範囲内の相対的なシグナル強度のことである。相対的なピーク強度に影響を及ぼしうる要因は、試料の厚さ及び選択方位である(すなわち、結晶質粒子では、ランダムに分散されない)。
【0065】
本明細書に用いる「ピークの位置」なる用語は、X線粉末回折実験で測定され、観察されたX線の反射位置のことである。ピークの位置は、単位格子の寸法と直接関係がある。それらのそれぞれのピークの位置によって同定されたピークは、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オン(化合物I)のリン酸塩の種々の多形性形態I、II、III、IV、V及びVIについての回折パターンから得られた。
【0066】
用語「PEG」は、ポリ(エチレングリコール)のことである。ポリマー鎖の長さ及びさらに粘度の範囲が異なるPEGが商業的に入手可能である。PEG 400は、アルコール、アセトン、ベンゼン、クロロホルム、酢酸、CCl4及び水に可溶性である。
【0067】
用語「医薬上許容しうる、担体、希釈剤又は賦形剤」は、医薬組成物を形成するため、特定の医薬品と共に含めることができ、そして固体又は液体であることができる物質(又は複数の物質)のことである。典型的な固体担体は、乳糖、ショ糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などである。典型的な液体担体は、シロップ、落花生油、オリーブ油、水などである。同じように、担体又は希釈剤としては、当分野で知られている時間遅延物質すなわち徐放性物質、例えば単独又はワックス入りのモノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸メチルなどが含まれうる。
【0068】
用語「医薬組成物」は、本明細書に記載した1つ又はそれ以上の化合物又は多形体、又はその生理学上/医薬上許容しうる塩又は溶媒和物と、他の化学成分、例えば生理学上/医薬上許容しうる担体及び賦形剤との混合物のことである。医薬組成物の目的は、生体への化合物の投与を促進することである。
用語「再結晶する」は、必要に応じて、加熱しながら第1の溶媒中に固体を完全に溶解し、次いで通常、溶液を冷却することによって又は固体があまり可溶性でない第2の溶媒を加えることによって沈殿を誘発する過程のことである。
用語「相対湿度」は、その温度及び圧力で保持することができる水蒸気の最大量に対する所定の温度での空気中の水蒸気量の比率をパーセンテージとして表示したものである。
用語「相対的な強度」は、試料X線回折パターンから誘導された強度値のことである。回折パターンについて完全な縦軸範囲スケールを100の値に設定する。このスケール強度上で約50%〜約100%の間の強度を有するピークを非常に強い(vs)と称し;約50%〜約25%の間の強度を有するピークを強い(s)と称する。典型的な回折パターンには、さらなるより弱いピークが存在し、そしてこれはまた得られた多形体の特徴でもある。
用語「スラリー」は、液体媒体、典型的に水又は有機溶媒中に懸濁された固体物質のことである。
用語「から分離する」は、所望の薬剤を他の所望でない薬剤から単離する、合成における工程のことであり、以下の工程:濾過、特定の溶媒又は水による洗浄、加熱しながら及び/又は真空下での乾燥が含まれるがこれらに限定されない。
【0069】
8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オン(化合物I)のリン酸塩の特定の多形性形態に関する「実質的に純粋な」なる用語は、多形性形態が化合物Iの他の多形性形態を含む不純物を10質量%未満、好ましくは5質量%未満、好ましくは3質量%未満、好ましくは1質量%未満含むことを意味する。このような純度は、例えばX線粉末回折によって測定することができる。
【0070】
「有効量」は、有意に増殖を阻害する及び/又は真核細胞、例えば哺乳動物、昆虫、植物又は真菌の細胞の脱分化を予防し、そして示された有用性、例えば具体的な治療処置について有効である薬剤の量を意味するものとする。
【0071】
用語「治療上有効量」は、治療する障害の1つ又はそれ以上の症状をある程度緩和する、投与される化合物又は多形体の量のことである。癌の治療に関して、治療上有効量は、以下の効果の少なくとも1つを有する量のことである:
(1) 腫瘍のサイズを縮小する;
(2) 腫瘍転移を阻害する(すなわちある程度遅らせる、好ましくは停止する);
(3) 腫瘍成長をある程度阻害する(すなわちある程度遅らせる、好ましくは停止する)及び
(4) 癌と関連する1つ又はそれ以上の症状をある程度緩和する(又は、好ましくは除去する)。
【0072】
用語「2シータ値」又は「2θ」は、X線回折実験の実験的な構成に基づくピークの位置のことであり、回折パターンにおける一般的な横軸の単位である。反射光が回析される場合、入射光がある格子面で角度シータ(θ)を形成する時、反射光を角度2シータ(2θ)で記録する実験的な構成が必要である。
用語「治療する」、「治療すること」及び「治療」は、増殖亢進障害及び/又はその付随する症状を軽減又は抑制する方法のことである。特に癌に関して、これらの用語は、単に癌に影響を受けた個体の平均余命が延びる又は疾患の症状の1つ又はそれ以上が軽減されることを意味する。
用語「真空下で」は、実験室のオイル又はオイルを含まないダイヤフラム型真空ポンプによって入手可能な典型的な圧力のことである。
用語「X線粉末回折パターン」は、そこから誘導される、実験的に観察された回折図又はパラメータのことである。X線粉末回折パターンは、ピークの位置(横軸)及びピークの強度(縦軸)によって特徴づけられる。
【0073】
驚くべきことに、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オン(化合物I)のリン酸塩は、複数の多形性結晶質形態で存在できることが見出された。これらの形態は、癌を含む、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)活性が介在する、哺乳動物の疾患状態の治療用に処方された生成物に用いることができる。それぞれの形態は、生物学的利用能、安定性又は製造加工性において他のものよりも1つ又はそれ以上の利点を有することができる。化合物Iの結晶質多形性形態は、他の多形性形態よりも大量生産及び取扱いにより適していると考えられることがわかった。また、化合物Iの非晶質形態が得られる。本明細書には、これらの多形性形態及び非晶質形態を高純度で製造する方法が記載されている。また、実質的に化合物Iの他の多形性形態を含まない化合物Iのそれぞれの多形性及び非晶質形態の製造方法が提供される。さらに、本発明は、上で議論したような異なる多形性形態及び非晶質形態の化合物Iを含んでなる医薬製剤、及びこのような医薬製剤を投与することによる、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)活性が介在する哺乳動物の疾患状態の治療方法を提供する。
【0074】
I.8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オン(化合物I)のリン酸塩の多形性形態
本発明は、化合物Iのいくつかの多形体結晶質形態を提供する。化合物Iのそれぞれの結晶質形態は、以下:X線粉末回折パターン(すなわち、種々の回折角(2θ)でのX線回折ピーク);示差走査熱量測定法(DSC)のサーモグラムの吸熱により説明される融点開始(及び水和形態についての脱水の開始);FT−IRスペクトルダイアグラムパターン;ラマンスペクトルダイアグラムパターン;水溶解度;International Conference on Harmonization (ICH)の高輝度の光条件下での光安定度;並びに物理的及び化学的貯蔵安定性の1つ又はそれ以上によって特徴づけることができる。例えば、化合物Iの多形性形態I、II、III、IV、V及びVIの試料は、それぞれそれらのX線粉末回折パターンにおけるピークの位置及び相対強度によって特徴づけた。X線粉末回折パラメータは、化合物Iの多形性形態I、II、III、IV、V及びVIのそれぞれについて異なる。従って、化合物Iのこれらの多形性形態は、X線粉末回折を用いて区別することができる。
【0075】
本発明のそれぞれの多形体の形態についてのX線粉末回折パターンは、それぞれ40kV及び30mA又は40kV及び40mAで操作するCu X線源を具備したShimadzu XRD−6000 又は Bruker Discover D8 X線回折計で測定した。Shimadzu XRD−6000 X線回折計については、試料を試料ホルダー中に置き、次いで充填してガラススライドでなめらかにした。分析中、試料を60rpmで回転させて0.04度刻みで1分当たり5度又は0.02度刻みで1分当たり2度で、4〜40度の角度(θ〜2θ)で分析した。限られた物質しか入手可能でない場合、試料をケイ素プレート(0バックグラウンド)に置き、回転させることなく分析した。ピーク位置及び強度の帰属によって特徴づけられたX線回折ピークを、化合物Iの多形性形態のそれぞれのX線粉末回折図から得た。Bruker Discover D8について、試料をガラススライドに置き、秤量紙でなめらかにした。試料を4〜40°の角度で分析した(θ〜2θ)。当業者は、ピークの位置(2θ)が、装置間でいくらかの変動性、典型的には0.1°ほどを示すことを認める。従って、多形性形態を特性X線粉末回折ピークによって記載する場合、ピークの位置(2θ)は、このような変動性を包含するものとして理解しなければならない。同じように、本発明の固体形態が、所定の図に示されたものと本質的に同じX線粉末回折パターンを有すると記載された場合、用語「本質的に同一」は、回折ピークの位置におけるこのような装置間変動性を包含するものとする。さらに、当業者は、相対的なピーク強度が、結晶化度、選択方位、製造された試料表面、及び当業者に知られている他の要因による変動性に加え、装置間変動性も示すことを認めており、質的な基準としてのみ取り扱うべきである。
【0076】
また、化合物Iの異なる多形性形態は、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて区別される。DSCは、温度を増加させて試料溶液と適当な参照溶媒との間の熱エネルギーの取り込みにおける差を測定する。DSCサーモグラムは、典型的に試料を加熱するにつれ、吸熱(エネルギー取り込みを示す)によって、そしてまた発熱(エネルギー放出を示す)によって特徴づけられる。
【0077】
DSC(示差走査熱量測定法)サーモグラフは、TA instrument DSC Q1000及びMettler Toledo DSC821e instrumentを用いて25〜250℃の温度範囲にわたって5℃/分の走査速度で得た。DSC分析では、密閉され、一つの穴をあけたアルミ製の気密性パン中で試料を計量した。いくつかの要因に応じて、本発明の化合物によって示される吸熱は、添付の図に記載された吸熱より上又は下で融解する結晶質多形体について約0.01〜5℃ほど変化しうる。このような変動に対して原因となる要因としては、DSC分析を実施する加熱速度(すなわち走査速度)、DSC開始温度を定めて測定するやり方、使用する較正標準、機器の較正、相対湿度及び試料の化学的純度が含まれる。また、すべての得られた試料について、観察された吸熱は、機器ごとに異なる可能性があるが;しかしながら、機器が同じように較正されると、一般に本明細書に定義された範囲内にある。
【0078】
ラマン散乱スペクトルは、カイザー光学機械(ラマンRXN1)から散発性のラマン分光計を用いることにより得られた。励起光源は、785nm外側性窩洞を安定化されたダイオードレーザーであった。検出器は、電荷結合素子(CCD)であった。分解能は、4cm-1であった。
【0079】
赤外線スペクトルは、Bruker Vector33 FT−IR分光光度計で記録した。薬剤物質の試料を臭化カリウムと共に粉砕し、圧縮してペレットにした。ペレットを4000cm-1から400cm-1まで走査した。主要なピークは、3400-1〜500cm-1の間で記録された。
【0080】
また、化合物Iの異なる多形性形態は、異なる安定性及び異なる溶解性によって特徴づけることもできる。
【0081】
一実施態様において、本発明の多形性形態は実質的に純粋であり、これは、化合物Iのそれぞれの多形性形態が、化合物Iの他の多形性形態を含む不純物を10質量%未満、例えば5質量%未満、又は例えば3質量%未満、又はさらに例えば1質量%未満含むことを意味する。
【0082】
また、本発明の固体形態は、複数の多形性形態を含むこともできる。当業者は、所定の化合物の結晶質形態が、単一の多形体の実質的に純粋な形態で存在することができ、そして2つ又はそれ以上の異なる多形体を含む結晶質形態で存在することもできることを認める。固体形態が2つ又はそれ以上の多形体を含む場合、X線回折パターンは、本発明の個々の多形体のそれぞれのピークの特徴を有する。例えば、2つの多形体を含む固体形態は、すなわち実質的に純粋な多形性形態に対応する2つのX線回折パターンのコンボルーションであるX線粉末回折パターンを有する。一実施態様において、例えば、第1および第2の多形性形態を含んでなる本発明の固体形態は、少なくとも10%の第1の多形体を含む。さらなる実施態様において、固体形態は少なくとも20%の第1の多形体を含む。なおさらなる実施態様は、少なくとも30%、少なくとも40%又は少なくとも50%の第1の多形体を含む。当業者は、量が変化したいくつかの個々の多形体の多くのこのような組み合わせが可能であることを認める。
【0083】
以下の説明において、種々の多形体についてのX線回折及び赤外吸収データが得られる。測定された回折角は小数点以下2桁まで報告されるが、回折角の正確さは前述のように±0.1°であると認識すべきである。
【0084】
A.多形性形態IV(メタノール溶媒和物)
化合物Iの多形性形態IVは、メタノール中の式1によって表される化合物8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンをリン酸化することによって製造することができる。
化合物Iの多形性形態IVは、相対湿度75%下40℃で少なくとも3ヵ月間物理的に及び化学的に安定である。
化合物Iの多形性形態IVは、pH 5.4で4.5mg/mlの水溶解度を有する。
形態IVのX線粉末回折パターンは、本明細書に記載したように測定され、ピークは、以下の回折角(2θ)付近で見出された:8.20, 13.52, 14.88, 16.48, 18.08, 19.14, 20.26,
21.06, 22.08, 23.00, 24.80, 25.54, 26.42, 27.14, 28.36, 29.02, 29.92, 30.58, 32.48, 33.42, 34.8, 35.32, 36.22, 36.78, 37.44, 39.08。図10は、形態IVについてのX線粉末回折パターンを提供する。
形態IVの赤外吸収スペクトルは、本明細書に記載したように測定され、帯域は、以下の位置(cm-1)付近で見出された:536.57, 600.07, 634.53, 657.47, 792.30, 840.23, 859.36, 873.69, 896.83, 951.68, 1021.79, 1092.70, 1135.05, 1215.91,1259.88, 1320.12, 1352.07, 1366.62, 1418.17, 1449.57, 1468.60, 1508.23, 1578.49, 1613.42, 2366.47, 2741.05, 3020.46, 3316.12。図11は、多形性形態IVの赤外吸収スペクトルを提供する。
図12に示した形態IVについてのDSCサーモグラムは、走査速度5℃/分で、204.0℃で吸熱開始を示す。
【0085】
B.多形性形態I(水和物A)
化合物Iの多形性形態Iは、水和物である。化合物Iの多形性形態Iは、多形性形態IV
(MeOH溶媒和物)を水で処理することによって製造することができる。
化合物Iの多形性形態Iは、相対湿度75%下40℃で少なくとも3ヵ月間化学的に安定であるが、この条件で1週間後に形態III(水和物B)に転化する。形態Iは、周囲条件で少なくとも3ヵ月間物理的に安定である。
化合物Iの多形性形態Iは、pH 5.4で2.8mg/mlの水溶解度を有する。
形態1のX線粉末回折パターンは、本明細書に記載したように測定され、ピークは、以下の回折角(2θ)付近で見出された:10.56, 10.88, 11.14, 11.54, 13.46, 13.90, 14.30, 15.20, 16.34, 17.12, 18.02, 19.30, 20.02, 20.72, 21.22, 21.76, 22.50, 22.94, 23.70, 24.00, 24.32, 25.02, 25.54, 26.22, 26.60, 27.20, 27.76, 29.02, 29.38, 29.74, 31.26, 31.76, 32.12, 33.52, 35.78。図1は、形態IについてX線粉末回折パターンを提供する。
形態Iの赤外吸収スペクトルは、本明細書に記載したように測定され、帯域は、以下の位置(cm-1)付近で見出された:520.70, 605.60, 669.72, 705.80, 785.46, 840.18, 870.55, 895.86, 958.01, 1017.72, 1066.76, 1131.33, 1220.68, 1257.70, 1321.43, 1346.32, 1366.48, 1421.79, 1452.75, 1476.19, 1509.10, 1578.58, 1609.21。図2は、多形性形態Iの赤外吸収スペクトルを提供する。
図3に示した形態IについてDSCサーモグラム、走査速度5℃/分で、202℃で吸熱開始を示す。
【0086】
C.多形性形態II(無水形態)
化合物Iの多形性形態IIは、無水の形態である。形態IIは、形態Iの脱水によって製造することができる。
化合物Iの多形性形態IIは、周囲条件で少なくとも3ヵ月間物理的に安定である。形態IIは、相対湿度75%下40℃で1週間後に又は相対湿度90%下25℃で一夜して形態III(水和物B)に転化されうる。
化合物Iの多形性形態IIは、pH 5.4で3.0mg/mlの水溶解度を有する。形態IIのpH溶解度研究は、pH範囲3.0〜8.0で実施した。本研究に用いる緩衝液系は、pH 3.0及び4.0では50mMリン酸アンモニウムであり、そしてpH 5.0〜8.0では50mMリン酸ナトリウム緩衝液である。溶解度の結果を表1及び図15に示した。形態IIの溶解度は、pHが3.0から8.0へ増加するにつれて減少することがわかった。形態IIは、リン酸塩であり、pH溶解度研究ではリン酸緩衝液を用いるため、これらの緩衝液系中で測定された溶解度は、共通イオン効果のため水への溶解度より低い。
【表1】

【0087】
形態IIのX線粉末回折パターンは、本明細書に記載したように測定され、ピークは以下の回折角(2θ)付近で見出された:7.02, 11.22, 12.12, 14.00, 14.44, 15.36, 18.12, 20.12, 20.92, 22.52, 23.12, 25.28, 26.96, 28.00, 30.02, 31.40, 32.04, 33.72, 34.62, 36.66, 37.26, 39.04。図4は、形態IIについてのX線粉末回折パターンを提供する。
【0088】
形態IIの赤外吸収スペクトルは、本明細書に記載したように測定され、帯域は以下の位置(cm-1)付近で見出された:514.55, 552.15, 595.96, 662.04, 683.16, 784.79, 842.83, 878.85, 958.55, 1017.68, 1057.72, 1129.87, 1259.81, 1320.16, 1342.76, 1367.10, 1455.18, 1508.93, 1578.68, 1610.29, 2345.53, 2375.37, 2756.52, 3015.19, 3277.71。図5は、多形性形態IIの赤外吸収スペクトルを提供する。
図6に示した形態IIについてのDSCサーモグラムは、走査速度5℃/分で、205℃で吸熱開始を示した。
【0089】
D.多形性形態III(水和物B)
化合物Iの多形性形態IIIは、水和物である。化合物Iの多形性形態IIIは、形態I又は形態IIの水和によって製造することができる。
化合物Iの多形性形態IIIは、相対湿度75%下40℃で少なくとも3ヵ月間物理的に及び化学的に安定である。
化合物Iの多形性形態IIIは、pH 5.4で2.7mg/mlの水溶解度を有する。
形態IIIのX線粉末回折パターンは、本明細書に記載したように測定され、ピークは以下の回折角(2θ)付近で見出された:10.66, 10.96, 11.62, 13.54, 15.28, 16.42, 19.36, 20.80, 21.30, 21.86, 22.56, 23.28, 23.78, 24.06, 24.42, 25.12, 26.30, 26.62, 27.32, 27.84, 28.32, 29.10, 29.50, 29.80, 30.24, 31.84, 32.20, 32.58, 35.86。図7は、形態IIIについてのX線粉末回折パターンを提供する。
形態IIIの赤外吸収スペクトルは、本明細書に記載したように測定され、帯域は以下の位置(cm-1)付近で見出された:521.02, 545.63, 599.97, 672.96, 704.78, 786.38, 811.92, 839.21, 870.68, 897.67, 956.56, 1017.24, 1076.05, 1131.23, 1222.77, 1256.88, 1325.51, 1346.28, 1365.33, 1421.86, 1451.44, 1478.91, 1509.39, 1578.35, 1607.08, 2300.20, 2346.17, 2502.23, 2828.24, 3011.62, 3299.59, 3536.14。図8は、多形性形態IIIの赤外吸収スペクトルを提供する。
図9に示した形態IIIについてのDSCサーモグラムは、走査速度5℃/分で、203℃で吸熱開始を示す。
【0090】
E.多形体の形態V(水和物C)
化合物Iの多形性形態Vは、形態IIの安定性研究中、相対湿度75%下40℃で6ヵ月間保存した時に形成された。化合物Iの多形性形態Vは、室温で少なくとも3ヵ月間物理的に及び化学的に安定である。
化合物Iの多形性形態Vは、pH 5.4で3.0mg/mlの水溶解度を有する。
形態VのX線粉末回折パターンは、本明細書に記載したように測定され、ピークは以下の回折角(2θ)付近で見出された:8.64, 9.05, 10.26, 10.56, 10.84, 13.88,14.85, 15.24, 16.24, 16.59, 17.07, 18.26, 18.56, 19.26, 19.56, 20.31, 21.16, 21.61, 22.38, 22.96, 23.40, 24.04, 24.34, 24.92, 25.46, 25.78, 26.22, 26.59, 27.10, 27.60, 27.88, 28.24, 29.03, 30.08, 30.44, 31.54, 32.08, 32.52, 36.45, 36.90, 37.14, 37.58, 37.74, 38.30, 39.00。図13は、形態Vのエックス線粉末回折パターンを提供する。
形態Vの赤外吸収スペクトルは、本明細書に記載したように測定され、帯域は以下の位置(cm-1)付近で見出された:955.28, 1019.70, 1045.84, 1067.25, 1092.06, 1104.99, 1133.50, 1260.13, 1320.27, 1366.85, 1418.85, 1450.75, 1470.01, 1579.05, 1613.39, 1632.61, 2761.48, 3024.44, 3278.09, 3312.93。図16は、多形性形態Vの赤外吸収スペクトルを提供する。
図17に示した形態VについてのDSCサーモグラムは、199.40℃で吸熱があり、それぞれ57.29℃及び110.73℃の2つの脱溶媒和ピークを有した。
【0091】
F.多形体の形態VI
化合物Iの多形性形態VIは、形態IIの水性スラリーを取り、100℃で一夜加熱することによって製造することができる。図14で示すように、転化は80℃から始まり、100℃で一夜保持した後に完了した。
形態VIのX線粉末回折パターンは、本明細書に記載したように測定され、ピークは以下の回折角(2θ)付近で見出された:8.44, 8.71, 14.78, 15.10, 15.73, 16.06, 16.24, 16.9, 17.2, 19.99, 22.32, 22.60, 22.94, 23.49, 23.84, 24.55, 25.30, 25.48, 27.74, 26.02, 27.47, 27.84, 28.10, 28.40, 34.02, 35.12, 35.54, 35.88。図18は、多形性形態VIのX線粉末回折図を提供する。
形態VIの赤外吸収スペクトルは、本明細書に記載したように測定され、帯域は以下の位置(cm-1)付近で見出された:535.82, 786.11, 841.00, 954.18, 1020.17, 1133.96, 1216.98, 1260.79, 1320.11, 1367.35, 1418.66, 1450.88, 1470.60, 1508.44, 1579.24, 1613.51, 2410.94, 2760.82, 3025.77, 3277.18。図19は、多形性形態VIの赤外吸収スペクトルを提供する。
図20に示した形態VIについてのDSCサーモグラムは、219.68℃で吸熱があり、それぞれ88.42℃、112℃の2つの脱溶媒和ピークを有した。
【0092】
G.非晶質形態
非晶質形態は、化合物Iの水溶液を凍結乾燥することによって製造することができる。
非晶質形態のX線粉末回折パターンは、結晶質形態の鋭いピークの特徴が全くなく、4から40°までの典型的な非晶質の幅広いハンプ−ピークを特徴としている。図21は、非晶質形態についてのX線散剤回折パターンを提供する。
図22に示した非晶質形態の赤外吸収スペクトルは、本明細書に記載したように測定され、帯域は以下の位置(cm-1)付近で見出された:433, 505, 518, 596, 609, 664, 674, 705, 746, 785, 856, 896, 937, 955, 1020, 1066, 1106, 1132, 1217, 1260, 1319, 1349, 1367, 1419, 1452, 1472, 1508, 1579, 2300, 2349, 2407, 2830, 3031, 3256。
図23に示した非晶質形態についてのラマンスペクトル図は、1068、1323、1350、1371、1453、1556、1581、1616付近でのラマンシフトピーク(cm−1)を含む。
図24に示した非晶質形態についてのDSCサーモグラムは、孤立ピークの欠如が顕著である。
【0093】
II. 本発明の医薬組成物
本発明の活性剤(すなわち、本明細書に記載された化合物Iの多形体、又は2つ若しくはそれ以上のこのような多形体又は非晶質形態を含んでなる固体形態)は、哺乳動物の医学的使用に適した医薬組成物に処方することができる。化合物Iの多形性形態I、II、III、IV、V、VI、及び非晶質形態のいずれかの有効な投与量を患者に提供するために、すべての適切な投与経路を用いることができる。例えば、経口又は非経口製剤などを用いることができる。剤形としては、化合物Iのカプセル剤、錠剤、分散剤、懸濁剤など、例えば腸溶コートカプセル剤及び/又は錠剤、カプセル剤及び/又は腸溶コートペレットを含んでなる錠剤が含まれる。全ての剤形では、化合物Iの多形性形態I、II、III、IV、V、VI及び非晶質形態を他の適切な成分と混合することができる。組成物は、単位剤形で都合よく存在することができ、医薬分野で知られているなんらかの方法によって製造される。本発明の医薬組成物は、治療上有効量の活性剤及び1つ又はそれ以上の不活性な医薬上許容しうる担体、及び場合により他のいずれの治療成分、安定剤などを含む。担体は、製剤の他の成分と適合し、レシピエントに不当に有害でないという点で医薬上許容されなければならない。組成物は、さらに希釈剤、緩衝液、結合剤、崩壊剤、増粘剤、潤滑剤、保存剤(抗酸化剤を含む)、着香剤、矯味剤、無機塩(例えば塩化ナトリウム)、抗菌剤(例えば塩化ベンザルコニウム)、甘味剤、静電防止剤、界面活性剤(例えば、ポリソルベート、例えば「TWEEN 20」及び「TWEEN 80」、プルロニックス、例えばF68及びF88、BASFから入手可能)、ソルビタンエステル、脂質(例えばリン脂質、例えばレシチン及び他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸及び脂肪酸エステル、ステロイド(例えばコレステロール))、及びキレート剤(例えば、EDTA、亜鉛及び他のこのような適切なカチオン)を含むことができる。本発明の組成物に使用するのに適した他の医薬賦形剤及び/又は添加剤は、“Remington: The Science & Practice of Pharmacy”, 19th ed., Williams & Williams, (1995)中、及びthe “Physician's Desk Reference”, 52nd ed., Medical Economics, Montvale, NJ (1998)中、及び“Handbook of Pharmaceutical Excipients”, Third Ed., Ed. A.H. Kibbe, Pharmaceutical Press, 2000中に記載されている。本発明の活性剤は、経口、直腸、局所、鼻の、眼の、又は非経口(腹腔内、静脈内、皮下又は筋内注射を含む)投与に適したものを含む組成物中に処方することができる。
【0094】
製剤中の活性剤の量は、剤形、治療する状態、標的患者集団、及び他の要件を含む種々の要因に応じて変化し、そして一般に当業者によって容易に決定される。治療上有効量は、PARP酵素を調節、制御又は阻害するのに必要な量である。実際には、これは、特定の活性剤、治療する状態のひどさ、患者集団、製剤の安定性などに応じて広く変化する。組成物は、一般に活性剤約0.001質量%〜約99質量%、好ましくは活性剤約0.01%〜約5質量%、そしてより好ましくは活性剤約0.01%〜2質量%を含み、そして組成物中に含まれる賦形剤/添加剤の相対的な量にも左右される。
【0095】
本発明の医薬組成物は、慣用の方法に従って活性成分として活性剤の治療上有効量を1つ又はそれ以上の適当な医薬担体と合わせることによって製造された慣用の剤形で投与される。これらの方法には、適当な成分を混合、造粒及び圧縮又は溶解して所望の製剤にすることが含まれうる。
【0096】
使用した医薬担体は、固体又は液体のいずれかであることができる。典型的な固体担体としては、砂糖(例えば乳糖、ショ糖、マンニトール又はソルビトール)、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などが含まれる。典型的な液体担体としては、シロップ剤、ラッカセイ油、オリーブ油、水などが含まれる。同じように、担体は、当分野で知られている時間遅延又は徐放性物質、例えばモノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルを単独で又はワックス、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸メチルなどと共に含むことができる。
【0097】
種々の医薬形態を使用することができる。従って、固体担体を用いる場合、製剤は、粉末又はペレットの形態で硬質ゼラチンカプセル中に入れられて又はトローチ若しくはロゼンジの形態で錠剤化される。固体担体の量は変化しうるが、一般に約25mg〜約1gである。液体担体を用いる場合、製剤は、シロップ剤、乳剤、軟質ゼラチンカプセル、滅菌注射溶液又はアンプル若しくはバイアル瓶中の懸濁剤又は非水性液体の懸濁剤の形態であることができる。
【0098】
安定な水溶性剤形を得るには、化合物Iを、有機又は無機酸の水溶液、例えばコハク酸又はクエン酸の0.3M溶液に溶解することができる。可溶性の塩形態が入手可能でない場合、活性剤を、適切な共溶媒又は共溶媒の組み合わせに溶解することができる。適切な共溶媒の例としては、総容積の0〜60%の範囲の濃度でアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリソルベート80、グリセリンなどが含まれるが、これらに限定されない。組成物は、適当な水性賦形剤、例えば水又は等張食塩水又はデキストロース溶液中の化合物Iの溶液の形態であることもできる。
【0099】
本発明の組成物に用いる活性剤の実際の投与量は、使用する特定の結晶質形態、処方する特定の組成物、投与方式及び特定の部位、ホスト及び治療する疾患に応じて変化することは明らかである。当業者は、薬剤についての実験データを考慮して慣用の投与量−測定試験を用いて所定の設定条件に最適な投与量を確認することができる。経口投与では、一般に使用される典型的な日用量は、適当な間隔で繰り返される治療単位を伴って、約0.001〜約1000mg/kg体重、より好ましくは約0.001〜約50mg/kg体重である。プロドラッグの投与は、十分に活性形態の質量レベルと化学的に同等の質量レベルで典型的に投薬される。本発明の実施において、最も適切な投与経路及び治療用量の規模は、治療する疾患の性質及びひどさに左右される。また、用量及び用量頻度は、個々の患者の年齢、体重及び反応に応じて変化しうる。一般に、適切な経口剤形は、総日用量5mg〜250mgの用量範囲を包含することができ、1回一用量又は等しく分割された用量で投与される。好ましい投与量の範囲は、10mg〜80mgである。一般に、適切な非経口剤形は、総日用量5mg〜200mgの用量範囲を包含することができ、1回一用量又は等しく分割された用量で投与される。好ましい投与量範囲は、10mg〜100mgである。
【0100】
本発明の組成物は、医薬組成物を製造するための一般に知られているやり方、例えば混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作成、すりつぶす、乳化、カプセル化、捕捉又は凍結乾燥のような慣用の技術を用いて製造することができる。医薬組成物は、活性化合物を医薬上用いることができる製剤に処理するのを促進する賦形剤及び補助剤から選ぶことができる1つ又はそれ以上の生理学上許容しうる担体を用いて慣用のやり方で処方することができる。
【0101】
経口投与では、活性剤を当分野で知られている医薬上許容しうる担体と合わせることによって化合物を容易に処方することができる。このような担体により、本発明の化合物を、治療する患者が経口摂取するための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、ゲル、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして処方することが可能となる。経口使用のための医薬製剤は、活性剤との混合物中で固体賦形剤を用い、生成した混合物を場合により粉砕し、そして適切な補助剤を加えた後に顆粒混合物を処理し、必要に応じて、錠剤又は糖衣錠核にすることによって得ることができる。適切な賦形剤としては、充填剤、例えば乳糖、ショ糖、マンニトール又はソルビトールを含む糖類;及びセルロース製剤、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、ゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム又はポリビニルピロリドン(PVP)が含まれる。所望により、崩壊剤、例えば架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを加えることができる。
【0102】
糖衣錠核は、適切なコーティングを施される。このために、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を場合により含むことができる濃縮された糖溶液を用いることができる。活性剤の異なる組み合わせを確認する又は特徴づけるために、錠剤又は糖衣錠コーティングに染料又は顔料を加えることができる。
【0103】
経口的に用いることができる医薬製剤としては、ゼラチンでできたプッシュ−フィット型カプセル剤の他にゼラチン及び可塑剤、例えばグリセロール又はソルビトールでできた軟質封入カプセル剤が含まれる。プッシュ−フィット型カプセル剤は、充填剤、例えば乳糖、結合剤、例えばデンプン、及び/又は潤滑剤、例えばタルク又はステアリン酸マグネシウム、及び場合により安定剤との混合物中で活性成分を含むことができる。軟質カプセル剤では、適切な液体、例えば脂肪油、流動パラフィン又は液体ポリエチレングリコール中に活性剤を溶解又は懸濁することができる。さらに、安定剤を加えることができる。経口投与用の全ての製剤は、このような投与に適した投与量でなければならない。口内投与では、組成物は、慣用のやり方で処方された錠剤又はロゼンジの形態をとることができる。
【0104】
鼻腔内又は吸入による投与では、本発明に従って使用するための化合物は、適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガスを用いて加圧パック又はネブライザーからエアゾールスプレーの形態で都合よく供給することができる。加圧されたエーロゾル剤の場合、投薬単位は、計量された量を供給するためにバルブを設けて測定することができる。吸入器又は注入器などに使用するためのゼラチンのカプセル剤及びカートリッジは、化合物及び適切な粉末基剤、例えば乳糖又はデンプンの粉末混合物を含んで処方することができる。
【0105】
活性剤は、注射による、例えばボーラス注射又は連続的な注入による非経口投与用に処方することができる。注射用の製剤は、単位剤形中、例えばアンプル中又は多回用量容器中で保存剤を加えて提示することができる。組成物は、油性又は水性賦形剤中の懸濁剤、液剤又は乳剤のような形態をとることができ、処方剤、例えば懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤を含むことができる。
【0106】
非経口投与用の医薬組成物としては、活性剤の懸濁剤が含まれ、そして適当な油性注射懸濁剤として製造することができる。適切な親油性溶媒又は賦形剤としては、脂肪油、例えばゴマ油又は合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル又はトリグリセリド又はリポソームが含まれる。水性注射懸濁剤は、懸濁剤の粘度を高める物質、例えばカルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストランを含むことができる。また、場合により、懸濁剤は、適切な安定剤又は高度に濃縮された溶液の製造を可能にするための活性剤の溶解度を高める薬剤を含むことができる。
【0107】
眼への投与では、化合物が十分な時間、眼の表面に接触して維持され、化合物が、例えば前眼房、後眼房、硝子体、眼房水、硝子体液、角膜、虹彩/毛様体、レンズ、脈絡膜/網膜及びセレラ(selera)を含む眼の角膜及び内部領域に浸透できるように、活性剤は医薬上許容しうる眼用の賦形剤中に供給される。医薬上許容しうる眼の賦形剤は、例えば軟膏剤、植物油又は封入物質であることができる。また、本発明の活性剤は、硝子体液及び房水又は結膜下に直接注射することもできる。
【0108】
別法として、活性成分は、使用前に適切な賦形剤、例えば発熱物質なしの滅菌水を用いて構成するための粉末形態であることができる。また、化合物は、例えば慣用の坐剤基剤、例えばカカオ脂又は他のグリセリドを含む、坐剤又は停留浣腸剤のような直腸又は膣用の組成物に処方することができる。
【0109】
また、上記の製剤に加えて、多形性形態は、デボー製剤として処方することができる。このような長時間作用性の製剤は、移植(例えば、皮下に又は筋内)又は筋内注射によって投与することができる。従って、例えば多形性形態は、適切なポリマー性若しくは疎水性物質(例えば、許容しうる油中の乳剤として)若しくはイオン交換樹脂を用いて、又はやや難溶性の誘導体として、例えばやや難溶性の塩として処方することができる。
【0110】
さらに、活性剤は、治療剤を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスのような持続放出系を用いて供給することができる。種々の持続放出物質は確立されており、そして当業者に知られている。持続放出カプセル剤は、その化学的性質に応じて、数週間から100日にわたって化合物を放出する。治療薬の化学的性質及び生物学的安定性に応じて、タンパク質安定化のさらなる戦略を使用することができる。
【0111】
また、医薬組成物は、適切な固体又はゲル相担体又は賦形剤を含むことができる。このような担体又は賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン及びポリマー、例えばポリエチレングリコールが含まれる。
【0112】
III.本発明の多形体の使用方法
本発明の化合物Iの多形性形態は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の活性の介在に有用である。より詳しくは、多形性形態は、その機構がDNA損傷に左右される放射線療法又は細胞毒の有効性を高める化学増感剤として有用である。これらの薬物としては、テモゾロマイド(SCHERING)、イリノテカン(PFIZER)、トポテカン(GLAXO SMITHKLINE)、シスプラチン(BRISTOL MEYERS SQUIBB; AM PHARM PARTNERS; BEDFORD; GENSIA SICOR PHARMS; PHARMACHEMIE)、及び塩酸ドキソルビシン(AM PHARM PARTNERS; BEDFORD; GENSIA; SICOR PHARMS; PHARMACHEMIE; ADRIA; ALZA)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0113】
また、本発明の化合物Iの多形性形態は、β細胞中のReg遺伝子及びHGF遺伝子の発現誘発を高め、これにより、ランゲルハンス島の膵臓β細胞の増殖を促進し、細胞のアポトーシスを抑制するのに有用である。さらに、本発明の化合物Iの多形性形態は、化粧品、例えばアフターサンローションの製造に有用である。
【0114】
本発明の薬剤の治療上有効量は、PARPの調節又は制御が介在する疾患を治療するために、典型的に医薬組成物の形態で投与することができる。「有効量」は、このような治療を必要とするヒトを含む哺乳動物に投与した時に、1つ又はそれ以上のPARP酵素の活性が介在する疾患について治療を行うのに十分な薬剤の量を意味するものとする。従って、本発明の化合物の治療上有効量は、その活性が介在する疾患状態が軽減又は緩和されるように1つ又はそれ以上のPARP酵素の活性を調節、制御又は阻害するのに十分な量である。所定の化合物の有効量は、疾患状態及びそのひどさ並びに治療を必要とする哺乳動物の独自性及び状態(例えば体重)といったような要因に応じて変化しうるが、当業者により常法に従って決定することができる。「治療」は、1つ又はそれ以上のPARP酵素の活性によって少なくとも部分的に影響を受ける、ヒトを含む哺乳動物における疾患状態を少なくとも緩和することを意味するものとし、そして特に哺乳動物が疾患状態にかかりやすいことがわかったが、まだかかったと診断されていない時に、哺乳動物において生じる疾患状態を予防すること;疾患状態を調節及び/又は阻害する;及び/又は疾患状態を緩和する。典型的な疾患状態には癌が含まれる。
【0115】
PARP活性のモジュレーターとしての化合物Iの多形性形態の活性は、in vivo及び/又はin vitroアッセイを含む当業者に入手可能ないずれかの方法によって測定することができる。活性測定に適したアッセイの例としては、米国特許第6,495,541号及び米国仮特許出願第60/612,458号に記載されたものが含まれ、これらの開示はそれらの全体で参照により本明細書に組み込まれている。
【0116】
また、本発明は、PARP活性が介在する疾患状態、例えば癌及び種々の疾患並びに酸化性又は一酸化窒素誘発性ストレス及びその後のPARP活性化過剰を含む中毒状態を治療する治療方法に関する。このような状態には、神経性の及び神経変性障害(例えばパーキンソン病、アルツハイマー病)、心臓血管障害(例えば心筋梗塞、虚血性再灌流障害)、糖尿病の血管機能障害、シスプラチン誘発性腎毒性が含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明の治療方法は、多形性形態のいずれか又は上記議論した医薬組成物を含んでなる医薬組成物の治療上有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することからなる。
【0117】
また、本発明は、多形性形態のいずれか、又は上記議論した医薬組成物を抗腫瘍剤、抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤及び抗増殖剤から選ばれる1つ又はそれ以上の物質の治療上有効量と組み合わせて含んでなる医薬組成物の治療上有効量を治療の必要な哺乳動物に投与することからなる、PARP活性が介在する疾患状態を治療する組み合わせ治療方法に関する。このような物質としては、PCT公報第WO 00/38715号、同第WO 00/38716号、同第WO 00/38717号、同第WO 00/38718号、同第WO 00/38719号、同第WO 00/38730号、同第WO 00/38665号、同第WO 00/37107号及び同第WO 00/38786号に開示されたものが含まれ、これらの開示はそれらの全体で参照により本明細書に組み込まれている。
【0118】
抗腫瘍剤の例としては、テモゾロマイド(SCHERING)、イリノテカン(PFIZER)、トポテカン(GLAXO SMITHKLINE)、シスプラチン(BRISTOL MEYERS SQUIBB; AM PHARM PARTNERS; BEDFORD; GENSIA SICOR PHARMS; PHARMACHEMIE)、及び塩酸ドキソルビシン(AM PHARM PARTNERS; BEDFORD; GENSIA; SICOR PHARMS; PHARMACHEMIE; ADRIA; ALZA)が含まれる。
【0119】
抗腫瘍剤のさらなる例としては、分裂阻害剤、例えばビンカアルカロイド誘導体、例えばビンブラスチンビノレルビン、ビンデスシン及びビンクリスチン;コルシンアルコシン、ハリコンドリン、N−ベンゾイルトリメチル−メチルエーテル、コルヒチン酸、ドラスタチン10、マイスタンシン、リゾキシン、タキサン、例えばタキソール(パクリタキセル)、ドセタキセル(タキソテール)、2'−N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]グルタラメート(タキソール誘導体)、チオコルキシン、トリチルシステイン、テニポシド、メトトレキセート、アザチオプリン、フルオロウリシル、シトシンアラビノシド、2'2'−ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)、アドリアマイシン及びミタマイシンが含まれる。アルキル化剤、例えばカルボプラチン、オキシプラチン、イプロプラチン、N−アセチル−DL−サルコシル−L−ロイシンのエチルエステル(Asaley又はAsalex)、1,4−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルバミン酸、2,5−ビス(1−アジリジニル)−3,6−ジオキソ、ジエチルエステル(ジアジクオン)、1,4−ビス(メタンスルホニルオキシ)ブタン(ビスルファン又はロイコスルファン)、クロロゾトシン、クロメソン(clomesone)、シアノモルホリノドキソルビシン、シクロジソン、ジアンヒドログラクチトール、フルオロドーパン、ヘプスルファム、マイトマイシンC、ヒカンテオンマイトマイシンC、マイトゾールアミド、1−(2−クロロエチル)−4−(3−クロロプロピル)−ピペラジン二塩酸塩、ピペラジンジオン、ピポブロマン、ポルフィロマイシン、スピロヒダントインマスタード、テロキシロン、テトラプラチン、チオテパ、トリエチレンメラミン、ウラシルナイトロジェンマスタード、ビス(3−メシルオキシプロピル)アミン塩酸塩、マイトマイシン、ニトロソ尿素剤、例えばシクロヘキシル−クロロエチルニトロソ尿素、メチルシクロヘキシル−クロロエチルニトロソ尿素、1−(2−クロロエチル)−3−(2,6−ジオキソ−3−ピペリジル)−1−ニトロソ尿素、ビス(2−クロロエチル)ニトロソ尿素、プロカルバジン、ダカルバジン、ナイトロジェンマスタード関連の化合物、例えばメクロロエタミン、シクロホスファミド、イフォサミド(ifosamide)、メルファラン、クロランブシル、リン酸エストラムスチンナトリウム、及びストルプトゾイン。DNA代謝拮抗剤、例えば5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素、2−[(3ヒドロキシ−2−ピリノジニル)メチレン]−ヒドラジンカルボチオアミド、デオキシフルオロウリジン、5−ヒドロキシ−2−ホルミルピリジンチオセミカルバゾン、アルファ−2'−デオキシ−6−チオグアノシン、アフィジコリングリシネート、5−アザデオキシシチジン、ベータ−チオグアニンデオキシリボシド、シクロシチジン、グアナゾロ、イノシングリコジアルデヒド、マクベシンII、ピラゾールイミダゾール、クラドリビン、ペントスタチン、チオグアニン、メルカプトプリン、ブレオマイシン、2−クロロデオキシアデノシン、チミジル酸シンターゼの阻害剤、例えばラルチトレキセド及びペメトレキセド二ナトリウム、クロファラビン、フロクスウリジン及びフルダラビン。DNA/RNA代謝拮抗剤、例えばL−アラノシン、5−アザシチジン、アシビシン、アミノプテリン及びその誘導体、例えばN−[2−クロロ−5−[[(2,4−ジアミノ−5−メチル−6−キナゾリニル)メチル]アミノ]ベンゾイル]−L−アスパラギン酸、N−[4−[[(2,4−ジアミノ−5−エチル−6−キナゾリニル)メチル]アミノ]ベンゾイル]−L−アスパラギン酸、N−[2−クロロ−4−[[(2,4−ジアミノプテリジニル)メチル]アミノ]ベンゾイル]−L−アスパラギン酸、可溶性のベーカーのアンチフォル(Baker's antifol)、ジクロロアリルローソン、ブレキナル、フトラフ、ジヒドロ−5−アザシチジン、メトトレキセート、N−(ホスホノアセチル)−L−アスパラギン酸テトラナトリウム塩、ピラゾフラン、トリメトレキサート、プリカマイシン、アクチノマイシンD、クリプトフィシン、及び類似体、例えばクリプトフィシン−52又は例えば欧州特許出願第239362号に開示された好ましい代謝拮抗剤の1つ、例えばN−(5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル)−L−グルタミン酸;成長因子阻害剤;細胞周期阻害剤;挿入抗生剤、例えばアドリアマイシン及びブレオマイシン;タンパク質、例えばインターフェロン;及び抗ホルモン、例えば抗卵胞ホルモン、例えばNolvadexTM(タモキシフェン)又は例えば抗アンドロゲン、例えばCasodexTM(4'−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ2−メチル−3'−(トリフルオロメチル)プロピオンアニリド)。このような共同治療は、治療の個々の成分を同時に、逐次的に又は別々に投与するやり方で実施することができる。
【0120】
抗血管新生剤としては、MMP−2(マトリックス−メタロプロテアーゼ2)の阻害剤、MMP−9(マトリックス−メタロプロテアーゼ9)の阻害剤、及びCOX−II(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤が含まれる。有用なCOX−II阻害剤の例としては、CELEBREXTM(アレコキシブ)、ヴァルデコキシブ及びロフェコキシブが含まれる。有用なマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤の例は、WO 96/33172(1996年10月24日公開)、WO 96/27583(1996年3月7日公開)、欧州特許出願第97304971.1号(1997年7月8日出願)、欧州特許出願第99308617.2号(1999年10月29日出願)、WO 98/07697(1998年2月26日公開)、WO 98/03516(1998年1月29日公開)、WO 98/34918(1998年8月13日公開)、WO 98/34915(1998年8月13日公開)、WO 98/33768(1998年8月6日公開)、WO 98/30566(1998年7月16日公開)、欧州特許公報606,046(1994年7月13日公開)、欧州特許公報931,788(1999年7月28日公開)、WO 90/05719(1990年5月331日公開)、WO 99/52910(1999年10月21日公開)、WO 99/52889(1999年10月21日公開)、WO 99/29667(1999年6月17日公開)、PCT国際特許出願第PCT/IB98/01113号(1998年7月21日出願)、欧州特許出願第99302232.1号(1999年3月25日出願)、英国特許出願第9912961.1号(1999年6月3日出願)、米国仮出願第60/148,464号(1999年8月12日出願)、米国特許第5,863,949号(1999年1月26日発行)、米国特許第5,861,510号(1999年1月19日発行)、及び欧州特許公報780,386(1997年6月25日公開)に記載されており、これらはすべてそれらの全体で参照により本明細書に組み込まれている。好ましいMMP−2及びMMP−9阻害剤は、MMP−1を阻害する活性を少ししか又は全く有しないものである。他のマトリックスメタロプロテアーゼ(すなわちMMP−1、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MMP−11、MMP−12及びMMP−13)と比較して選択的にMMP−2及び/又はMMP−9を阻害するものがより好ましい。
【0121】
MMP阻害剤の例としては、AG−3340、RO 32−3555、RS 13−0830、及び以下の化合物:3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−シクロペンチル)−アミノ]−プロピオン酸;3−エキソ−3−[4−(4−フルオロフェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;(2R,3R)1−[4−(2−クロロ−4−フルオロベンジルオキシ)−ベンゼンスルホニル]−3−ヒドロキシ−3−メチル−ピペリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド;4−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロピラン−4−カルボン酸ヒドロキシアミド;3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−シクロブチル)−アミノ]−プロピオン酸;4−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロピラン−4−カルボン酸ヒドロキシアミド;3−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロピラン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;(2R,3R)1−[4−(4−フルオロ−2−メチル−ベンジルオキシ)−ベンゼンスルホニル]−3−ヒドロキシ−3−メチル−ピペリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド;3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−1−メチルエチル)−アミノ]−プロピオン酸;3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−ヒドロキシカルバモイル−テトラヒドロピラン−4−イル)−アミノ]−プロピオン酸;3−エキソ−3−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;3−エンド−3−[4−(4−フルオロフェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;3−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロフラン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;及びそれらの医薬上許容しうる塩、溶媒和物及び水和物が含まれる。
【0122】
シグナル伝達阻害剤の例としては、EGFR(上皮成長因子受容体)反応を阻害できる薬剤、例えばEGFR抗体、EGF抗体、及びEGFR阻害剤である分子;VEGF(血管内皮成長因子)阻害剤;及びerbB2受容体阻害剤、例えば、erbB2受容体に結合する有機分子又は抗体、例えばHERCEPTINTM (Genentech, Inc. of South San Francisco, California, USA)が含まれる。
【0123】
EGFR阻害剤は、例えばWO 95/19970(1995年7月27日公開)、WO 98/14451(1998年4月9日公開)、WO 98/02434(1998年1月22日公開)、米国特許第5,747,498号(1998年5月5日発行)に記載されている。EGFR阻害剤としては、モノクローナル抗体C225及び抗EGFR 22Mab(ImClone Systems Incorporated of New York, New York, USA)、化合物ZD−1839(AstraZeneca)、BIBX−1382 (Boehringer Ingelheim)、MDX−447 (Medarex Inc. of Annandale, New Jersey, USA)、及びOLX−103 (Merck & Co. of Whitehouse Station, New Jersey, USA)、VRCTC−310 (Ventech Research)及びEGF融合毒物(Seragen Inc. of Hopkinton, Massachusetts)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0124】
VEGF阻害剤、例えばSU−5416及びSU−6668 (Sugen Inc. of South San Francisco, California, USA)は、組成物と組み合わせる又は併用投与することができる。VEGF阻害剤は、例えばWO 99/24440(1999年5月20日公開)、PCT国際出願PCT/IB99/00797(1999年5月3日出願)、WO 95/21613(1995年8月17日公開)、WO 99/61422(1999年12月2日公開)、米国特許第5,834,504号(1998年11月10日発行)、WO 98/50356(1998年11月12日公開)、米国特許第5,883,113号(1999年3月16日発行)、米国特許第5,886,020号(1999年3月23日発行)、米国特許第5,792,783号(1998年8月11日発行)、WO 99/10349(1999年3月4日公開)、WO 97/32856(1997年9月12日公開)、WO 97/22596(1997年6月26日公開)、WO 98/54093(1998年12月3日公開)、WO 98/02438(1998年1月22日公開)、WO 99/16755(1999年4月8日公開)、及びWO 98/02437(1998年1月22日公開)に記載されており、これらはすべてそれらの全体で参照により本明細書に組み込まれている。いくつかの具体的なVEGF阻害剤の他の例は、IM862(Cytran Inc. of Kirkland, Washington, USA);抗VEGFモノクローナル抗体ビバシズマブ(Genentech, Inc. of South San Francisco, California);及びアンギオザイム(angiozyme)、リボザイムからの合成リボザイム(Boulder, Colorado)及びカイロン(Emeryville, California)である。
【0125】
ErbB2受容体阻害剤、例えばGW−282974 (Glaxo Wellcome plc)、及びモノクローナル抗体Ar−209(Aronex Pharmaceuticals Inc. of The Woodlands, Texas, USA)及び2B−1(Chiron)は、組成物と組み合わせて投与することができる。このようなerbB2阻害剤としては、WO 98/02434(1998年1月22日公開)、WO 99/35146(1999年7月15日公開)、WO 99/35132(1999年7月15日公開)、WO 98/02437(1998年1月22日公開)、WO 97/13760(1997年4月17日公開)、WO 95/19970(1995年7月27日公開)、米国特許第5,587,458号(1996年12月24日発行)、及び米国特許第5,877,305号(1999年3月2日発行)に記載されたものが含まれ、これらはそれぞれその全体で参照により本明細書に組み込まれている。また、本発明に有用なErbB2受容体阻害剤は、1999年1月27日に出願された米国仮出願第60/117,341号、及び1999年1月27日に出願された米国仮出願第60/117,346号に記載されており、これらは、いずれもそれらの全体で参照により本明細書に組み込まれている。
【0126】
使用できる他の抗増殖剤としては、酵素ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼの阻害剤及び受容体チロシンキナーゼPDGFrの阻害剤が含まれ、以下の米国の特許出願に開示及び請求された化合物が含まれる:同第09/221946号(1998年12月28日出願);同第09/454058号(1999年12月2日出願);同第09/501163号(2000年2月9日出願);同第09/539930号(2000年3月31日出願);同第09/202796号(1997年5月22日出願);同第09/384339号(1999年8月26日出願);及び同第09/383755号(1999年8月26日出願);及び以下の米国仮特許出願に開示及び請求された化合物:同第60/168207号(1999年11月30日出願);同第60/170119号(1999年12月10日出願);同第60/177718号(2000年1月21日出願);同第60/168217号(1999年11月30日出願)、及び同第60/200834号(2000年5月1日出願)。前記特許出願及び仮特許出願はそれぞれそれらの全体で参照により本明細書に組み込まれている。
【0127】
また、本発明の組成物は、異常細胞増殖又は癌の治療に有用な他の薬剤と共に用いることができ、これには、抗腫瘍性の免疫反応を高めることができる薬剤、例えばCTLA4(細胞障害性リンパ球抗原4)抗体、及びCTLA4を遮断できる他の薬剤;及び抗増殖剤、例えば他のファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤が含まれるがこれらに限定されない。本発明に使用できる具体的なCTLA4抗体としては、米国仮出願第60/113,647号(1998年12月23日出願)に記載されたものが含まれ、そしてそれは全体で参照により本明細書に組み込まれている。
【0128】
全ての引用文献の開示は、それらの全体で参照により本明細書に組み込まれている。
【0129】
実施例
以下の実施例では、本発明の異なる多形性形態、すなわち多形性形態I、II、III、IV、V、VI、及び化合物Iの非晶質形態の製造をさらに説明するが、本明細書に定義された又は特許請求の範囲に請求された本発明の範囲を限定するものではない。特に明記しない限り、全ての温度は、摂氏の度で記載し、すべての部及びパーセンテージは質量による。
【0130】
実施例1:化合物Iの多形性形態IV(メタノール溶媒和物)の製造及び特性評価
化合物Iの多形性形態IVを以下の方法によって製造した。式1によって表される化合物8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オン(1.65g,5.10mmol,1.0当量)及びメタノール(200mL)を500mL丸底フラスコに入れた。透明な溶液が得られるまで混合物を撹拌した(〜10分)。メタノール中の0.5Mリン酸溶液(11.0mL,5.87mmol,1.15当量,メタノール11.0mLに85%リン酸0.7gを溶解することによって製造した)を加えた。生成した混合物を、周囲温度で30分間撹拌した。得られた固形物を濾過し、45℃で乾燥して8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩の多形性形態IV(1.43g)を得た。
図10は、化合物Iの多形性形態IVのX線粉末回折図である。図11は、多形性形態IVの赤外吸収スペクトルである。化合物Iの多形性形態IVを示差走査熱量測定法によってさらに特性評価した(図12)。
【0131】
実施例2:化合物Iの多形性形態I(水和物A)の製造及び特性評価
化合物Iの多形性形態Iは、以下の方法によって製造した。水10mLでスラリー化した化合物Iの多形性形態IV(メタノール溶媒和物)(1.0g)を50mL丸底フラスコに入れ、周囲温度で18〜24時間撹拌した。得られた固体を濾過し、45℃で乾燥し、化合物I(0.67g)の多形性形態Iを得た。生成物についてメタノールが存在しないことをNMRによって分析した。
図1は、化合物Iの多形性形態IのX線粉末回折図である。図2は、多形性形態Iの赤外吸収スペクトルである。化合物Iの多形性形態Iを、示差走査熱量測定法(図3)によってさらに特性評価した。
【0132】
実施例3:化合物Iの多形性形態II(無水形態)の製造及び特性評価
(a) 形態Iを60℃で一夜加熱することによって;
(b) 形態Iを真空下、室温で一夜保持することによって;又は
(c) 形態Iを相対湿度0%下、25℃で5時間にわたって保持することによって:
形態IIを製造した。
図4は、化合物Iの多形性形態IIのX線粉末回折図である。図5は、多形性形態IIの赤外吸収スペクトルである。化合物Iの多形性形態IIを示差走査熱量測定法(図6)によってさらに特性評価した。
乾燥剤を用いて形態IIを2〜8℃で保存した。
【0133】
実施例4:化合物Iの多形性形態III(水和物B)の製造及び特性評価
(a) 形態Iを25℃で5時間にわたって相対湿度90%に曝露することによって;
(b) 形態Iを40℃で1週間相対湿度75%に曝露することによって;又は
(c) 形態IIを40℃で一夜、相対湿度75%に曝露することによって:
化合物Iの多形性形態IIIを製造した。
図7は、化合物Iの多形性形態IIIのX線粉末回折図である。図8は、多形性形態IIIの赤外吸収スペクトルである。
化合物Iの多形性形態IIIを示差走査熱量測定法によってさらに特性評価した(図9)。
【0134】
実施例5:化合物Iの多形性形態V(水和物C)の製造及び特性評価
形態IIの安定性研究中に相対湿度75%の下、40℃で6ヵ月の期間保存した時に化合物Iの多形性形態Vが形成された。化合物Iの多形性形態Vは、室温で少なくとも3ヵ月間、物理的に及び化学的に安定である。
化合物Iの多形性形態Vは、pH 5.4で3.0mg/mlの水溶解度を有する。
図13は、形態VのX線粉末回折パターンを提供する。図16は、化合物Iの多形性形態Vの赤外吸収スペクトルである。形態VについてのDSCサーモグラムは、199.40℃で吸熱を有し、2つの脱溶媒和ピークは、それぞれ57.29℃及び110.73℃であった(図17)。
【0135】
実施例6:化合物Iの多形性形態VIの製造及び特性評価
化合物Iの多形性形態VIは、形態IIの水性スラリーを取り、100℃で一夜加熱することによって製造することができる。図14で示すように、転化は80℃で開始し、100℃で一夜保持した後完了した。
多形性形態VIは、上記の特徴を有する。図18は、化合物Iの多形性形態VIのX線粉末回折図である。図19は、化合物Iの多形性形態VIの赤外吸収スペクトルである。図20は、化合物Iの多形性形態VIの示差走査熱量測定法(DSC)のプロファイルである。
【0136】
実施例7:医薬組成物を製造するための化合物Iの多形性形態II(無水の形態)の使用
A.完全な組成物
化合物Iの多形性形態II(無水の形態)を臨床用途用の凍結乾燥粉末注射剤12mg/バイアル瓶(遊離塩基として)の製造に使用し、以下に示す。
薬剤生成物を、まず最初に凍結乾燥用の化合物Iの溶液として処方した。凍結乾燥用の化合物Iの溶液の定量的組成物を表2に示した。
【表2】

【0137】
化合物Iの凍結乾燥粉末注射剤の定量的単位組成物を表3に示した。
【表3】

【0138】
B.過剰量
化合物Iの凍結乾燥粉末注射剤の臨床的な組成物,12mg/バイアル瓶(遊離塩基として)は、理論上過剰量の0.45mg/バイアル瓶(遊離塩基として)を含む。この過剰量は、注射用滅菌水6mL(SWFI)で再構成した際にバイアル瓶中の実体積を補い、そして2.02mg/ml(遊離塩基として)の薬剤溶液の供給を確実にする。
【0139】
C.容器
注射用の化合物Iの凍結乾燥された粉末、12mg/バイアル瓶(遊離塩基として)のパッケージングシステムの成分を、以下に記載する:
成分 説明
バイアル瓶 10mL/20mm,I型アンバーガラスバイアル
栓 20mm 4432/50(未コーティングのクロロブチル)B2−40栓1319デザイン
シール 20mmアルミニウムオーバーカップ
【0140】
D.剤形選択についての薬剤学及び理論的根拠の展開
凍結乾燥粉末注射剤は、投与するための慣用の剤形である。臨床的な製剤は、増量剤及び張度調整剤としてマンニトールを含む。SWFI(6mL)で薬剤生成物を再構成して透明な(低張性の)2.02mg/ml(遊離塩基として)の溶液を得た。再構成された薬剤生成物を注入用の許容しうる等張性の滅菌希釈剤で希釈した。
臨床的な薬剤生成物は、最初はSWFI(4mL)で再構成して透明な(等張性の)3mg/ml(遊離塩基として)の溶液を得るように設計されていた。薬剤生成物の安定性評価中に、構成された溶液中で曇り/濁りの事象が観察されたので、研究した。曇り/濁りは、薬剤物質の多形体(水和物B)の薬剤結晶化に起因する。多形性形態III(水和物B)の水溶解度は、pH5.4で2.7mg/mlであり、従って最初の目標となる製剤再構成濃度(3mg/ml)に非常に近い。SWFI再構成容積を4mLから6mLに変えて完全に薬物が溶解するようにした。構成した薬剤生成物溶液で得られた最終濃度は、多形性形態III(水和物B)の水溶解度よりも十分に下の2.02mg/ml(遊離塩基として)であった。
【0141】
E.臨床的な製造処方(製造方法)、製造過程の制御及び構築方法
化合物Iの凍結乾燥粉末注射剤、12mg/バイアル瓶(遊離塩基として) の製造方法を以下にまとめた。現在の臨床的なバッチサイズは、製造運転当たり9.3Lである。製造処方は、臨床的な組成物(表2及び表3参照)と同様である。
a) 調合容器に注射用水(WFI)の総量の約75%を加えた。
b) 混合しながらWFI中のマンニトールの必要な量を加えて完全に溶解した。
c) WFI/マンニトール溶液を約58℃に加温し、化合物Iの薬剤物質の必要な量を加え、そして完全に溶解するまで混合した。
d) 溶液をWFIにより最終的な容積(質量)にし、10分間混合し、そして室温に溶液をさました。
e) 製造過程の制御試験用のアリコートを採取した(すなわち外観、pH、密度及びUVアッセイ)。
f) 0.45μm及び0.22μmメンブランフィルターに通して凍結乾燥用のバルク溶液を滅菌濾過し、そして無菌条件下で10mL/20mm,I型アンバーガラスバイアルに4.15mL(過剰充填0.15mLを含む)を充填した。
g) 充填されたバイアル瓶を部分的に栓を挿入して凍結乾燥した。
h) 凍結乾燥サイクルの終わりに、窒素を充填し、室温でわずかな真空下でバイアル瓶に栓をした。
i) アルミニウムオーバーキャップをした凍結乾燥されたバイアル瓶を封入した。
j) 冷凍庫にバイアル瓶を置いた。
【0142】
実施例8:化合物Iの非晶質形態の製造及び特性評価
化合物Iの多形性形態II(無水形態)を注射用滅菌水に4.46mg/mlの濃度で溶解することによって化合物Iの非晶質形態を製造した。この溶液2mLを10mLの透明なI型バイアル瓶中に充填し、FTS LyoStar Lyophilizer (S/N LSACC3)中で凍結乾燥した。凍結乾燥サイクルは、以下に記載した通りである。
生成物は、−50℃に凍結し、続いて−30℃、−20℃及び−15℃でそれぞれ12時間真空乾燥し、一次乾燥工程を完了した。真空加圧は、200mtorrで保持した。生成物を、さらに25℃及び真空200mtorrで24時間乾燥し、二次乾燥工程を完了した。
化合物Iの非晶質形態を白色/黄色がかった凍結乾燥されたケークとして得た。化合物Iの非晶質形態を注射用滅菌水2mLで再構成して透明な黄色溶液を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オン(化合物I)のリン酸塩の多形性形態I(水和物A)のX線粉末回折図である。
【図2】化合物Iの多形性形態I(水和物A)の赤外吸収スペクトルである。
【図3】化合物Iの多形性形態I(水和物A)の示差走査熱量測定法(DSC)のプロファイルである。典型的なプロファイルは、走査速度5℃/分で、202℃で始まる吸熱を示す。
【図4】化合物Iの多形性形態II(無水形態)のX線粉末回折図である。
【図5】化合物Iの多形性形態II(無水形態)の赤外吸収スペクトルである。
【図6】化合物Iの多形性形態II(無水形態)の示差走査熱量測定法(DSC)のプロファイルである。典型的なプロファイルは、走査速度5℃/分で、205℃で始まる吸熱を示す。
【図7】化合物Iの多形性形態III(水和物B)のX線粉末回折図である。
【図8】化合物Iの多形性形態III(水和物B)の赤外吸収スペクトルである。
【図9】化合物Iの多形性形態III(水和物B)の示差走査熱量測定法(DSC)のプロファイルである。典型的なプロファイルは、走査速度5℃/分で、203℃で始まる吸熱を示す。
【図10】化合物Iの多形性形態IV(MeOH溶媒和物)のX線粉末回折図である。
【図11】化合物Iの多形性形態IV(MeOH溶媒和物)の赤外吸収スペクトルである。
【図12】化合物Iの多形性形態IV(MeOH溶媒和物)の示差走査熱量測定法(DSC)のプロファイルである。典型的なプロファイルは、5℃/分の走査速度で、204℃で始まる吸熱を示す。
【図13】化合物Iの多形性形態V(水和物C)のX線粉末回折図である。
【図14】化合物Iの多形性形態V(水和物C)の水性スラリーのラマン研究である。
【図15】化合物Iの多形性形態II(無水形態)のpH溶解度プロフィルである。
【図16】化合物Iの多形性形態V(水和物C)の赤外吸収スペクトルである。
【図17】化合物Iの多形性形態V(水和物C)の示差走査熱量測定法(DSC)のプロファイルである。
【図18】化合物Iの多形性形態VIのX線粉末回折図である。
【図19】化合物Iの多形性形態VIの赤外吸収スペクトルである。
【図20】化合物Iの多形性形態VIの示差走査熱量測定法(DSC)のプロファイルである。
【図21】化合物Iの非晶質形態のX線粉末回折図である。
【図22】化合物Iの非晶質形態の赤外吸収スペクトルである。
【図23】化合物Iの非晶質形態のラマンスペクトル図である。
【図24】化合物Iの非晶質形態の示差走査熱量測定法(DSC)のプロファイルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩が形態Iの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩。
【請求項2】
塩が形態IIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩。
【請求項3】
塩が形態IIIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩。
【請求項4】
塩が形態IVの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩。
【請求項5】
塩が形態Vの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩。
【請求項6】
塩が形態VIの実質的に純粋な多形体である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの結晶質リン酸塩。
【請求項7】
塩が回折角(2θ)10.9、19.3、22.9及び25.0でピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項1記載の塩。
【請求項8】
塩が回折角(2θ)11.2、14.0、20.1及び23.1でピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項2記載の塩。
【請求項9】
塩が回折角(2θ)10.7、11.0、19.4及び25.1でピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項3記載の塩。
【請求項10】
塩が回折角(2θ)8.2、16.5、23.0及び24.8でピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項4記載の塩。
【請求項11】
塩が回折角(2θ)10.8、14.8、21.6及び25.8でピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項5記載の塩。
【請求項12】
塩が回折角(2θ)14.8、20.0、22.3及び23.5でピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項6記載の塩。
【請求項13】
固体形態が以下の形態:多形体形態I、II、III、IV、V、VI又は非晶質形態の少なくとも2つを含む、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩の固体形態。
【請求項14】
塩が実質的に純粋な非晶質形態である、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項記載の塩を含む医薬組成物。
【請求項16】
剤形が凍結乾燥粉末注射剤であり、この剤形は注射用滅菌水で再構成すると、pH8.0〜3.0で1.0〜4.5mg/mlの遊離塩基として8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの最終濃度が得られる、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンを含む剤形。
【請求項17】
治療の必要な患者においてポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ活性が介在する疾患を治療する医薬の製造における、請求項1〜14のいずれか1項に記載の治療上有効量の塩の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2008−513436(P2008−513436A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531869(P2007−531869)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002941
【国際公開番号】WO2006/033007
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【出願人】(500069552)キャンサー リサーチ テクノロジー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】