説明

9−アミノメチルテトラサイクリン化合物のプロドラッグ

【課題】9-アミノメチル置換テトラサイクリン化合物のプロドラッグ、その化合物の使用方法、およびそれらを含む薬学的組成物を提供する。
【解決手段】式(IV)の化合物、またはその薬学的に許容される塩:


式中、Q”が−(C=O)−E3−G3であり;E3は酸素、窒素または共有結合であり;かつG3はアルキル;複素環アルキル;アリール;アルキルカルボニルオキシアルキル;アリールカルボニルオキシアルキル;アルキルオキシカルボニルオキシアルキル;アリールアルキルカルボニルオキシアルキル;アルキルオキシアルキルカルボニルオキシアルキル;またはアルコキシアルコキシカルボニルオキシアルキルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は2004年4月27日付けで出願した米国特許仮出願第60/566,150号、2003年12月16日付けで出願した米国特許仮出願第60/530,123号、2003年11月25日付けで出願した米国特許仮出願第60/525,287号および2003年7月9日付けで出願した米国特許仮出願第60/486,017号の優先権を主張するものである。これらの特許出願のそれぞれの全ての内容が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
テトラサイクリン系抗生物質の開発は、世界の多くの地域から収集した土壌標本を、殺菌および/または静菌組成物を産生することができる微生物の有無に関して系統的にスクリーニングした直接の産物であった。これらの新規化合物の最初のものは、1948年にクロルテトラサイクリンの名前で紹介された。2年後、オキシテトラサイクリンが利用できるようになった。これらの化合物の化学構造の解明によって、それらが類似であることが確認され、1952年にこのグループの第三のメンバー、すなわちテトラサイクリンが産生される分析的基礎となった。初期のテトラサイクリンには存在した環結合メチル基が存在しない新しいファミリーのテトラサイクリン化合物は、1957年に調製され、1967年に販売されるようになり、1972年にはテトラサイクリンが用いられるようになった。
【0003】
最近、多様な治療条件および投与経路で有効な新規テトラサイクリン抗生物質組成物を開発するために研究努力が集中して行われている。最初に導入されたテトラサイクリン化合物と同等またはそれより有効であることが証明される可能性がある新規テトラサイクリン誘導体も同様に研究されている。例として、米国特許第2,980,584号(特許文献1);第2,990,331号(特許文献2);第3,062,717号(特許文献3);第3,165,531号(特許文献4);第3,454,697号(特許文献5);第3,557,280号(特許文献6):第3,674,859号(特許文献7);第3,957,980号(特許文献8);第4,018,889号(特許文献9);第4,024,272号(特許文献10);および第4,126,680号(特許文献11)が含まれる。これらの特許は、薬学的に活性なテトラサイクリンおよびテトラサイクリン誘導体組成物の範囲の代表的なものである。
【0004】
歴史的に、その最初の開発および導入後まもなく、テトラサイクリンは、リケッチア:多くのグラム陽性菌およびグラム陰性菌;ならびに鼠径リンパ肉芽腫、封入体性結膜炎およびオウム病の起因菌に対して薬理学的に非常に有効であることが判明した。したがって、テトラサイクリンは、「広域スペクトル」抗生物質として知られるようになった。その後、そのインビトロ抗菌活性、実験的感染症における有効性および薬理学的特性が確立されて、テトラサイクリンは一つのクラスとして、治療目的に広く用いられるようになった。しかし、主要なおよび少数の病気および疾患にテトラサイクリンをこのように幅広く使用したことから、共生および病原性の双方(例えば、肺炎球菌(pneumococci)とサルモネラ)の非常に感受性の高い細菌種においてもこれらの抗生物質に対する耐性が直ちに出現した。テトラサイクリン耐性菌の出現によって、選択される抗生物質としてのテトラサイクリンとテトラサイクリン類似体組成物の使用は全般的に減少した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第2,980,584号
【特許文献2】米国特許第2,990,331号
【特許文献3】米国特許第3,062,717号
【特許文献4】米国特許第3,165,531号
【特許文献5】米国特許第3,454,697号
【特許文献6】米国特許第3,557,280号
【特許文献7】米国特許第3,674,859号
【特許文献8】米国特許第3,957,980号
【特許文献9】米国特許第4,018,889号
【特許文献10】米国特許第4,024,272号
【特許文献11】米国特許第4,126,680号
【発明の概要】
【0006】
本発明は、少なくとも一部において、9-置換アミノメチルテトラサイクリン化合物のプロドラッグに関する。これらのプロドラッグは式(I)の化合物を含む:

式中、
Eは酸素、窒素または共有結合であり;
Gはアルキル; 複素環アルキル; アリール; アルキルカルボニルオキシアルキル; アリールカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシカルボニルオキシアルキル; アリールアルキルカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシアルキルカルボニルオキシアルキル; アルコキシアルコキシカルボニルオキシアルキルおよびその薬学的に許容される塩である。
【0007】
本発明は同様に、少なくとも一部において、式(II)のテトラサイクリン化合物に関する:

式中、
Q'はプロドラッグ部分およびその薬学的に許容される塩である。
【0008】
さらに、本発明は同様に、少なくとも一部において、式(III)のテトラサイクリン化合物に関する:

式中、
Qはプロドラッグ部分およびその薬学的に許容される塩である。
【0009】
本発明は同様に、少なくとも一部において、式(IV)のテトラサイクリン化合物に関する:

式中、
Q''はプロドラッグ部分およびその薬学的に許容される塩である。
【0010】
別の態様において、本発明は対象に本発明のテトラサイクリン化合物を投与することにより、対象においてテトラサイクリン反応状態を治療する方法を含む。さらなる態様において、テトラサイクリン化合物はインビボで代謝される。
【0011】
本発明は同様に、本発明の化合物および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも一部において、テトラサイクリン化合物のプロドラッグに関する。これらの化合物は所望のテトラサイクリン化合物をもたらすように、インビボで代謝されてもよい。本発明は、少なくとも一部において、本明細書で記述されるテトラサイクリン化合物に関し、テトラサイクリン化合物の使用方法およびテトラサイクリン化合物を含む薬学的組成物に関する。
【0013】
一つの態様において、本発明は式(I)のテトラサイクリン化合物に関する:

式中、
Eは酸素、窒素または共有結合であり;
Gはアルキル; 複素環アルキル; アリール; アルキルカルボニルオキシアルキル; アリールカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシカルボニルオキシアルキル; アリールアルキルカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシアルキルカルボニルオキシアルキル; アルコキシアルコキシカルボニルオキシアルキルおよびその薬学的に許容される塩である。
【0014】
一つの態様において、Eは共有結合である。さらなる態様において、Gはアルキル、例えば、メチルである。
【0015】
別の態様において、Eは窒素またはNHである。さらなる態様において、Gはアリール、例えば、置換または非置換フェニルである。さらなる態様において、Gは、例えば、テトラサイクリン化合物がその目的とする機能を実行可能にする置換基で置換される。可能な置換基の例としては、アルキル(ハロゲン化アルキルなどの置換アルキルを含む)、ニトロ、ハロゲンまたはアルコキシが挙げられる。
【0016】
他の態様において、Eは酸素である。
【0017】
さらなる態様において、Gはアルキルカルボニルオキシアルキルである。さらなる態様において、Gは式-(CH2)g-O-(C=O)-R1のものであり、式中、gは1〜5でありおよびR1はアルキルである。R1は置換または非置換アルキルであってよい。R1は分枝状、直鎖状または環状であってよい。さらなる態様において、gは1または2でありおよびR1はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、-(CH2)10-CH3または-(CH2)11CH3である。
【0018】
別のさらなる態様において、Gはアルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、-(CH2)10-CH3または-(CH2)11CH3である。
【0019】
別の態様において、Gはアリールカルボニルオキシアルキルである。別のさらなる態様において、Gは式: -(CH2)f-O-(C=O)-R2のものであり、式中、fは1〜5でありおよびR2はアリールである。さらなる態様において、fは1である。任意で、R2は置換または非置換フェニルである。可能な置換基の例としては、例えば、ハロゲン、アルコキシまたはアルキル(任意で、例えば、ハロゲンで置換された)が挙げられる。
【0020】
別の態様において、Gはアルキルオキシカルボニルオキシアルキルである。さらなる態様において、Gは式-(CH2)g-O-(C=O)-O-R3のものであり、式中、R3はアルキルでありおよびgは1〜5である。さらなる態様において、gは1である。別のさらなる態様において、R3はメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチルである。
【0021】
別の態様において、Gはアリールアルキルカルボニルオキシアルキルである。別のさらなる態様において、Gは式-(CH2)h'-O-(C=O)-(CH2)h-R4のものであり、式中、hは1〜5であり、h'は1〜5でありおよびR4はアリールである。さらなる態様において、h'は1でありおよびhは1または2である。別の態様において、R4は置換または非置換フェニルである。
【0022】
別の態様において、Gはアルキルオキシアルキルカルボニルオキシアルキルである。別のさらなる態様において、Gは式-(CH2)i'-O-(C=O)-(CH2)i-O-R5のものであり、式中、iおよびi'はそれぞれ独立して1〜5でありならびにR5はアルキルである。さらなる態様において、i'は1でありおよびiは1、2または3である。さらなる態様において、R5はメチルである。
【0023】
別の態様において、Gはアルコキシアルコキシアルキルカルボニルオキシアルキルである。Gの例は式-(CH2)j'-O-(C=O)-(CH2)j-O--(CH2)k-O-R6の部分を含み、式中、j、j'およびkはそれぞれ独立して1〜5でありならびにR6はアルキルである。さらなる態様において、jおよびj'はそれぞれ1でありならびにkは2である。別のさらなる態様において、R6はメチルである。
【0024】
さらなる態様において、Gは複素環アルキルである。
【0025】
さらなる態様において、Gが-(CH2)2-O-C(=O)-CH3または-CH2-O-(C=O)-C(CH3)3である場合、Eは酸素ではない。
【0026】
別のさらなる態様において、本発明の化合物は以下からなる群より選択される:

およびその薬学的に許容される塩。別の態様において、本発明の化合物はU.S.S.N.10/384,855号またはU.S.S.N.10/412,656号に記述されている化合物を含まない。
【0027】
さらなる態様において、EおよびGは、対象にテトラサイクリン化合物を投与後、テトラサイクリン化合物が下記式の化合物にインビボで代謝されるように選択される:

【0028】
「代謝される」という用語は、式(Ia)の化合物をもたらすような対象内部での任意のおよび全てのプロセスを含む。この機構としては、例えば、酵素分解、加水分解、エステラーゼによる切断などを挙げることができる。
【0029】
別の態様において、EおよびGはともにこれらが酸素、炭素および窒素からなる群より選択される3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の原子からなるように選択される。EおよびGはさらに、水素原子またはハロゲン原子を含んでもよい。
【0030】
別の態様において、本発明は式(II)のテトラサイクリン化合物に関する:

式中、
Q'はプロドラッグ部分およびその薬学的に許容される塩である。
【0031】
「プロドラッグ部分」という用語は、インビボで代謝されて所望のテトラサイクリン化合物(例えば、式Ia、IIa、IIIaまたはIVaの化合物)を形成できる部分を含む。プロドラッグ部分の例としては、カルボニル部分、カルバメート、アミドおよび同様のものが挙げられる。一つの態様において、プロドラッグ部分は酸素、炭素および窒素からなる群より選択される3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の原子からなる。プロドラッグ部分はさらに、水素原子、ハロゲン原子、またはテトラサイクリン化合物がその目的とする機能を実行可能にするその他の置換基を含んでもよい。
【0032】
さらなる態様において、Q'は下記式のものであり
-(C=O)-E1-G1
式中、
E1は酸素、窒素または共有結合であり;
G1はアルキル; 複素環アルキル; アリール; アルキルカルボニルオキシアルキル; アリールカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシカルボニルオキシアルキル; アリールアルキルカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシアルキルカルボニルオキシアルキル; またはアルコキシアルコキシカルボニルオキシアルキルである。
【0033】
別のさらなる態様において、E1は酸素である。別のさらなる態様において、G1はアルキルカルボニルオキシアルキルである。G1の例は式-(CH2)m-O-(C=O)-R7の部分を含み、式中、mは1〜5でありおよびR1はアルキルである。さらなる態様において、mは1である。別のさらなる態様において、R7はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、-(CH2)10-CH3または-(CH2)11CH3である。
【0034】
さらなる態様において、Q'は、対象にテトラサイクリン化合物を投与後、テトラサイクリン化合物が式(IIa)の化合物にインビボで代謝されるように選択される:

【0035】
別のさらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は以下である:

またはその薬学的に許容される塩。
【0036】
別の態様において、本発明は式(III)のテトラサイクリン化合物に関する:

式中:
Qはプロドラッグ部分およびその薬学的に許容される塩である。
【0037】
さらなる態様において、Qは-(C=O)-G2である。別の態様において、G2はアルキル; 複素環アルキル; アリール; アルキルカルボニルオキシアルキル; アリールカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシカルボニルオキシアルキル; アリールアルキルカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシアルキルカルボニルオキシアルキル; またはアルコキシアルコキシカルボニルオキシアルキルである。別の態様において、G2はアルキルオキシカルボニルアルキルまたはアルキルである。
【0038】
別の態様において、式IIIのテトラサイクリン化合物は以下である:

およびその薬学的に許容される塩。
【0039】
さらなる態様において、Qは、対象にテトラサイクリン化合物を投与後、テトラサイクリン化合物が式(IIIa)の化合物にインビボで代謝されるように選択される:

【0040】
本発明は同様に、少なくとも一部において、式(IV)のテトラサイクリン化合物に関する:

式中、
Q''はプロドラッグ部分およびその薬学的に許容される塩である。
【0041】
さらなる態様において、Q''は下記式のものであり
-(C=O)-E3-G3
式中、
E3は酸素、窒素または共有結合であり;
G3はアルキル; 複素環アルキル; アリール; アルキルカルボニルオキシアルキル; アリールカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシカルボニルオキシアルキル; アリールアルキルカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシアルキルカルボニルオキシアルキル; またはアルコキシアルコキシカルボニルオキシアルキルである。
【0042】
別のさらなる態様において、E3は酸素である。別のさらなる態様において、G3は置換もしくは非置換アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピルなど)または置換もしくは非置換アリール(例えば、置換もしくは非置換フェニルなど)である。
【0043】
さらなる態様において、本発明の化合物は以下を含む:

およびその薬学的に許容される塩。
【0044】
さらなる態様において、Q''は、対象にテトラサイクリン化合物を投与後、テトラサイクリン化合物が式(IVa)の化合物にインビボで代謝されるように選択される:

【0045】
本発明の化合物は、以下のスキームにおよび実施例に記述されているように、または当業者の技術の範囲内である手順に変更を加えて作製されてもよい。


【0046】
「アルキル」という用語には、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、分岐鎖アルキル基(イソプロピル、t-ブチル、イソブチル等)、シクロアルキル(脂環式)基(シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族が含まれる。アルキルという用語にはさらに、炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素の代わりに酸素、窒素、硫黄、またはリン原子をさらに含みうるアルキル基が含まれる。特定の態様において、直鎖または分岐鎖アルキルはその骨格に炭素原子6個またはそれ未満を有し(例えば、直鎖の場合C1-C6、分岐鎖の場合C3-C6)、より好ましくは4個またはそれ未満を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、その環構造に炭素原子3〜8個を有し、より好ましくは環構造に炭素5または6個を有する。用語C1-C6には、炭素原子1〜6個を含むアルキル基が含まれる。
【0047】
さらに、アルキルという用語には、「非置換アルキル」と「置換アルキル」の双方が含まれ、後者は炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素上の水素の代わりに置換基を有するアルキル部分を意味する。そのような置換基には、例えばアルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が含まれうる。シクロアルキルはさらに、例えば上記の置換基によって置換することができる。「アルキルアリール」または「アリールアルキル」部分は、アリールによって置換したアルキルである(例えば、フェニルメチル(ベンジル))。「アルキル」という用語にはまた、天然および非天然のアミノ酸の側鎖が含まれる。
【0048】
「アリール」という用語には、ヘテロ原子0〜4個を含んでもよい5-および6-員環の単環式芳香族基を含む基、例えばベンゼン、フェニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジン等が含まれる。さらに、「アリール」という用語には、多環式アリール基、例えば、三環式、二環式、例えばナフタレン、ベンズオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフスリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、またはインドリジンが含まれる。環構造にヘテロ原子を有するそれらのアリール基は、「アリール複素環」「複素環」、または「ヘテロアリール」、または「ヘテロ芳香族」とも呼ばれる。芳香環は、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって一つまたは複数の環の位置で置換することができる。アリール基は、多環(例えばテトラリン)を形成するために、芳香族でない脂環式または複素環に融合または架橋することができる。
【0049】
「アルケニル」という用語には、上記のアルキルと長さおよび可能性がある置換が類似であるが、少なくとも一つの二重結合を含む不飽和脂環式基が含まれる。
【0050】
例えば、「アルケニル」という用語には、直鎖アルケニル基(例えば、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル等)、分岐鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環式)基(シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキル、またはアルケニル置換シクロアルケニル基およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルケニル基が含まれる。アルケニルという用語には、さらに、炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素の代わりに酸素、窒素、硫黄、またはリン原子を含むアルケニル基が含まれる。特定の態様において、直鎖または分岐鎖アルケニル基は、その骨格に炭素原子6個またはそれ未満を有する(例えば、直鎖の場合C2-C6、分岐鎖の場合C3-C6)。同様に、シクロアルケニル基は、その環構造に炭素原子3〜8個を有してもよく、より好ましくは環構造に炭素5または6個を有する。C2-C6という用語には、炭素原子2〜6個を含むアルケニル基が含まれる。
【0051】
さらに、アルケニルという用語には、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の双方が含まれ、後者は炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素原子上の水素の代わりに置換基を有するアルケニル部分を意味する。そのような置換基は例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分となりうる。
【0052】
「アルキニル」という用語には、長さおよび可能性がある置換が上記のアルキルと類似であるが、少なくとも一つの三重結合を含む不飽和脂肪族基が含まれる。
【0053】
例えば、「アルキニル」という用語には、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、へプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等)、分岐鎖アルキニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルキニル基が含まれる。アルキニルという用語にはさらに、炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素の代わりに酸素、窒素、硫黄、またはリン原子を含むアルキニル基が含まれる。特定の態様において、直鎖または分岐鎖アルキニル基は、その骨格に炭素原子6個またはそれ未満を有する(例えば、直鎖の場合C2-C6、分岐鎖の場合C3-C6)。C2-C6という用語には、炭素原子2〜6個を含むアルキニル基が含まれる。
【0054】
さらに、アルキニルという用語には、「非置換アルキニル」および「置換アルキニル」の双方が含まれ、後者は炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素上の水素の代わりに置換基を有するアルキニル基を意味する。そのような置換基には、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が含まれうる。
【0055】
炭素数が明記されていなければ、本明細書において用いる「低級アルキル」は、先に定義したアルキル基であるがその骨格構造に炭素原子1〜5個を有する基を意味する。「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、例えば炭素原子2〜5個の鎖長を有する。
【0056】
「アシル」という用語には、アシルラジカル(CH3CO-)またはカルボニル基を含む化合物および部分が含まれる。「置換アシル」という用語には、一つまたは複数の水素原子がアルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって置換されているアシル基が含まれる。
【0057】
「アシルアミノ」という用語には、アシル部分がアミノ基に結合している部分が含まれる。例えば、この用語には、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイド基が含まれる。
【0058】
「アロイル」という用語には、カルボニル基に結合したアリールまたはヘテロ芳香族部分を有する化合物および部分が含まれる。アロイル基の例として、フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシ等が含まれる。
【0059】
「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」および「チオアルコキシアルキル」という用語には、炭化水素骨格の一つまたは複数の炭素の代わりに酸素、窒素、または硫黄原子をさらに含む、上記のアルキル基が含まれる。
【0060】
「アルコキシ」という用語には、酸素原子に共有結合した置換および非置換アルキル、アルケニル、およびアルキニル基が含まれる。アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびペントキシ基が含まれる。置換アルコキシ基の例として、ハロゲン化アルコキシ基が含まれる。アルコキシ基は、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分のような基によって置換することができる。ハロゲン置換アルコキシ基の例として、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ等が含まれる。
【0061】
「アミン」または「アミノ」という用語には、窒素原子が少なくとも一つの炭素またはヘテロ原子に共有結合している化合物が含まれる。「アルキルアミノ」という用語には、窒素原子が少なくとも一つのさらなるアルキル基に結合している基および化合物が含まれる。「ジアルキルアミノ」という用語には、窒素原子が少なくとも二つのさらなるアルキル基に結合している基が含まれる。「アリールアミノ」および「ジアリールアミノ」という用語には、窒素原子がそれぞれ、少なくとも一つまたは二つのアリール基に結合している基が含まれる。「アルキルアリールアミノ」「アルキルアミノアリール」、または「アリールアミノアルキル」という用語には、少なくとも一つのアルキル基および少なくとも一つのアリール基に結合しているアミノ基が含まれる。「アルカミノアルキル」という用語は、アルキル基にも結合している窒素原子に結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を意味する。
【0062】
「アミド」または「アミノカルボニル」という用語には、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合した窒素原子を含む化合物または部分が含まれる。この用語には、カルボニル基に結合したアミノ基に結合したアルキル、アルケニル、アリール、またはアルキニル基を含む「アルカミノカルボニル」または「アルキルアミノカルボニル」基が含まれる。これには、カルボニルまたはチオカルボニル基の炭素に結合したアミノ基に結合したアリールまたはヘテロアリール部分を含むアリールアミノカルボニル基が含まれる。「アルキルアミノカルボニル」、「アルケニルアミノカルボニル」、「アルキニルアミノカルボニル」、「アリールアミノカルボニル」「アルキルカルボニルアミノ」、「アルケニルカルボニルアミノ」、「アルキニルカルボニルアミノ」および「アリールカルボニルアミノ」は、「アミド」という用語に含まれる。アミドにはまた、ウレア基(アミノカルボニルアミノ)およびカルバメート(オキシカルボニルアミノ)が含まれる。
【0063】
「カルボニル」または「カルボキシ」という用語には、二重結合によって酸素原子に結合した炭素を含む化合物および部分が含まれる。カルボニルを含む部分の例として、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、アミド、エステル、無水物等が含まれる。
【0064】
「チオカルボニル」または「チオカルボキシ」という用語には、二重結合によって硫黄原子に結合した炭素を含む化合物および部分が含まれる。
【0065】
「エーテル」という用語には、異なる二つの炭素原子またはヘテロ原子に結合した酸素を含む化合物または部分が含まれる。例えば、この用語には、もう一つのアルキル基と共有結合した酸素原子に共有結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を意味する「アルコキシアルキル」が含まれる。
【0066】
「エステル」という用語には、カルボニル基の炭素に結合した酸素原子に結合した炭素またはヘテロ原子を含む化合物および部分が含まれる。「エステル」という用語には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル等のようなアルコキシカルボニル基が含まれる。アルキル、アルケニル、またはアルキニル基は上記の定義の通りである。
【0067】
「チオエーテル」という用語には、異なる二つの炭素またはヘテロ原子に結合した硫黄原子を含む化合物および部分が含まれる。チオエーテルの例として、アルクチオアルキル、アルクチオアルケニル、およびアルクチオアルキニルが含まれるが、これらに限定されるものではない。「アルクチオアルキル」という用語には、アルキル基に結合した硫黄原子に結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を有する化合物が含まれる。同様に、「アルクチオアルケニル」および「アルクチオアルキニル」という用語は、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基がアルキニル基に共有結合した硫黄原子に結合している化合物または部分を意味する。
【0068】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という用語には、-OHまたは-O-を有する基が含まれる。
【0069】
「ハロゲン」という用語には、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素等が含まれる。「過ハロゲン化」という用語は一般的に、全ての水素がハロゲン原子に置換されている部分を意味する。
【0070】
「ポリシクリル」または「多環式ラジカル」という用語は、二つまたはそれ以上の炭素が二つの隣接する環と共通している、例えば環が「融合環」である二つまたはそれ以上の環状環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはヘテロシクリル)を意味する。非隣接原子に結合している環は「架橋」環と呼ばれる。多環の環のそれぞれは、上記のような置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、シアノ、アミド、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリールまたは芳香族もしくはヘテロ芳香族部分によって置換することができる。
【0071】
「ヘテロ原子」という用語には、炭素または水素以外の如何なる元素の原子も含まれる。好ましいヘテロ原子は窒素、酸素、硫黄、およびリンである。
【0072】
「プロドラッグ部分」という用語には、インビボで活性基に代謝されうる部分およびインビボで有利に結合されたままである部分が含まれる。好ましくは、プロドラッグ部分は、インビボで例えばエステラーゼのような酵素、または他の代謝によってヒドロキシル基または他の都合のよい基に代謝される。プロドラッグおよびその使用例は当業者に周知である(例えば、Bergeら、(1977)、「薬学的な塩(Pharmaceutical Salts)」、J. Pharm. Sci. 66:1〜19)。プロドラッグは、化合物の最終的な単離および精製のあいだにインサイチューで、または精製化合物を適した薬剤と個々に反応させることによって調製することができる。ヒドロキシル基は、カルボン酸による処置によってエステルに変換することができる。プロドラッグ部分の例として、置換および非置換の分岐または非分岐低級アルキルエステル部分(例えば、プロピオン酸エステル)、低級アルケニルエステル、ジ-低級アルキル-アミノ低級アルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノ低級アルキルエステル(例えば、アセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシ低級アルキルエステル(例えば、ピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル(フェニルエステル)、アリール低級アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル)、置換(例えば、メチル、ハロ、またはメトキシ置換基による)アリールおよびアリール-低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、ジ-低級アルキルアミド、およびヒドロキシアミドが含まれる。好ましいプロドラッグ部分は、プロピオン酸エステルおよびアシルエステルである。
【0073】
本発明の化合物のいくつかの構造には、不斉炭素原子が含まれることが注目される。したがって、そうでないことを明記している場合を除き、そのような非対称性に由来する異性体(例えば、全てのエナンチオマーおよびジアステレオマー)が本発明の範囲に含まれる。そのような異性体は、古典的な分離技術および立体化学的に制御された合成によって実質的に純粋に得ることができる。さらに、本出願において考察した構造、他の化合物および部分には同様に、その全ての互変異性体が含まれる。
【0074】
本発明はまた、テトラサイクリン反応状態が治療されるように、本発明の化合物(例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)またはその他明細書に記載された化合物)の有効量を対象に投与することによって、対象におけるテトラサイクリン反応状態を治療する方法にも関する。
【0075】
本発明はまた、少なくとも部分において、式(Ia)、(IIa)、(IIIa)、または(IVa)の化合物をインビボで代謝した、式(I)、(II)、(III)、または(IV)のテトラサイクリン化合物の有効量を対象に投与する段階に関する。
【0076】
「テトラサイクリン化合物反応状態」または、「テトラサイクリン反応状態」は、例えば式(I)、(II)、(III)、(IV)の化合物、またはそうでなければ本明細書に記載の化合物のような、本発明の化合物を投与することにより、治療、予防、またはそうでなければ改善することができる状態を含む。テトラサイクリン化合物反応状態は、細菌、ウイルス、および真菌の感染(その他のテトラサイクリン化合物に耐性であるものを含む)、癌(例えば、前立腺、胸部、大腸、肺黒色腫、およびリンパ癌、ならびに米国特許第6,100,248号に記載されたものを含む(これらに限定されない)不必要な細胞の増殖によって特徴づけられるその他の障害)、関節炎、骨粗鬆症、糖尿病、嚢胞性線維症、神経疾患、ならびにテトラサイクリン化合物が活性であることが見出されるその他の状態(例えば、米国特許第5,789,395号;第5,834,450号;第6,277,061号、および第5,532,227号を参照されたい(これらのそれぞれは、参照により本明細書に明確に組み入れられる))を含む。本発明の化合物は、下痢、尿路感染症、皮膚および皮膚構造の感染、耳、鼻端および咽喉の感染、創傷感染、乳腺炎などの重要な哺乳類および獣医学の疾患を予防または制御するために使用されることができる。加えて、本発明のテトラサイクリン化合物を使用して新生物を治療するための方法も、含まれる(van der Bozertら、Cancer Res.、48:6686-6690(1988))。さらなる態様において、テトラサイクリン反応状態は、細菌感染ではない。他のテトラサイクリン化合物反応状態は、例えばU.S.S.N.10/196,010に記載のものを含む。
【0077】
また、テトラサイクリン化合物反応状態は、炎症性のプロセス関連状態(IPAS)を含む。「炎症性のプロセス関連状態」という用語は、炎症または炎症性の因子(例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、酸化窒素(NO)、TNF、インターロイキン、血漿タンパク質、細胞の防御系、サイトカイン、脂質代謝産物、プロテアーゼ、毒性のラジカル、接着分子、その他)に関与するか、または異常な量、例えば対象に有益なように変化させるのに有利でありうる量で存在する領域に存在する状態を含む。炎症性のプロセスは、損傷に対する生組織の反応である。炎症の原因は、物理的損傷、化学物質、微生物、組織ネクローシス、癌、またはその他の薬剤によるものであってもよい。急性の炎症は、持続が短く、ほんの数日だけ続く。しかし、より長く持続する場合、これは慢性の炎症と称してもよい。
【0078】
IPASは、炎症性の疾患を含む。炎症性の疾患は、一般に熱、発赤、膨潤、疼痛、および機能喪失によって特徴づけられる。炎症性の疾患の原因の例は、微生物の感染(例えば、細菌性の、および真菌性の感染)、物理的因子(例えば、熱傷、照射、および傷害)、化学的薬剤(例えば、毒素および腐食薬物質)、組織ネクローシス、および様々なタイプの免疫反応を含むが、これらに限定されない。
【0079】
炎症性の疾患の例は、骨関節炎、リウマチ様関節炎、急性および慢性の感染(ジフテリアおよび百日咳を含む細菌性のおよび真菌性のもの);急性および慢性の気管支炎、静脈洞炎、ならびに鼻風邪を含むその他の呼吸器感染;急性および慢性の胃腸炎および大腸炎;急性および慢性の膀胱炎および尿道炎;急性および慢性の皮膚炎;急性および慢性の結膜炎;急性および慢性の漿膜炎(心外膜炎、腹膜炎、滑膜炎、胸膜炎および腱炎);尿毒症性心膜炎;急性および慢性の胆嚢炎;急性および慢性の膣炎;急性および慢性のブドウ膜炎;薬物反応;昆虫刺症;熱傷(熱的な、化学的な、電気的なもの);ならびに日焼けを含むが、これらに限定されない。
【0080】
テトラサイクリン化合物反応状態は、NO関連状態を含む。「NO関連状態」という用語は、一酸化窒素(NO)または誘導性の一酸化窒素シンターゼ(iNOS)に関与または関連した状態を含む。NO関連状態は、異常な量のNOおよび/またはiNOSによって特徴づけられる状態を含む。好ましくは、NO関連状態は、例えば、式I、II、III、IVの化合物、もしくはそうでなければ本明細書に記載の本発明のテトラサイクリン化合物を投与することによって治療することができる。米国特許第6,231,894号;第6,015,804号;第5,919,774号;および第5,789,395号に記載された障害、疾患、および状態も、NO関連状態に含まれる。これらの特許のそれぞれの全ての内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0081】
NO関連状態のその他の例は、マラリア、老化、糖尿、血管発作、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、ハンチントン病)、心臓病(例えば、梗塞形成後の再灌流に関連した傷害)、若年型糖尿病、炎症性疾患、骨関節炎、リウマチ様関節炎、急性、および慢性の感染症(細菌性の、ウイルス性の、および真菌性のもの);嚢胞性線維症、急性および慢性の気管支炎、静脈洞炎、ならびに鼻風邪を含む呼吸器感染;急性および慢性の胃腸炎および大腸炎;急性および慢性の膀胱炎および尿道炎;急性および慢性の皮膚炎;急性および慢性の結膜炎;急性および慢性の漿膜炎(心外膜炎、腹膜炎、滑膜炎、胸膜炎、および腱炎);尿毒症性心膜炎;急性および慢性の胆嚢炎;急性および慢性の膣炎;急性および慢性のブドウ膜炎;薬物反応;昆虫刺症;熱傷(熱的な、化学的な、電気的なもの);ならびに日焼けを含むが、これらに限定されない。
【0082】
また、「炎症性プロセス関連状態」という用語は、1つの態様において、マトリックスメタロプロテイナーゼ関連状態(MMPAS)を含む。MMPASは、異常な量のMMPまたはMMP活性によって特徴づけられる状態を含む。また、これらには、例えば式(I)、(II)、(III)、(IV)、またはそうでなければ本明細書に記載のような、本発明の化合物を使用して治療されうるテトラサイクリン化合物反応状態を含む。
【0083】
マトリックスメタロプロテイナーゼ関連状態(「MMPAS」)の例は、動脈硬化、角膜の潰瘍形成、気腫、骨関節炎、多発性硬化症(Liedtkeら、Ann. Neurol. 1998、44:35-46;Chandlerら、J. Neuroimmunol. 1997、72:155-71)、骨肉腫、骨髄炎、気管支拡張症、慢性肺閉塞性疾患、皮膚および目の疾病、歯周炎、骨粗鬆症、リウマチ様関節炎、潰瘍性大腸炎、炎症性疾患、腫瘍増殖、および浸潤(Stetler-Stevensonら、Annu. Rev. Cell Biol. 1993、9:541-73;Tryggvasonら、Biochim. Biophys. Acta 1987、907:191-217;Liら、Mol. Carcinog. 1998、22:84-89)、転移、急性肺傷害、脳卒中、虚血、糖尿、大動脈または血管の動脈瘤、皮膚組織創傷、ドライアイ、骨および軟骨の分解(Greenwaldら、Bone 1998、22:33-38;Ryanら、Curr. Op. Rheumatol. 1996、8;238-247)を含むが、これらに限定されない。その他のMMPASは、米国特許第5,459,135号;第5,321,017号;第5,308,839号;第5,258,371号;第4,935,412号;第4,704,383号;第4,666,897号、およびRE第34,656号に記載されたものを含み、これらは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0084】
別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、癌である。本発明のテトラサイクリン化合物が治療するために有用でありうる癌の例は、全ての固体腫瘍、すなわち癌腫、例えば腺癌および肉腫を含む。腺癌は、腺組織に由来するか、または腫瘍細胞が認識できる腺構造を形成する癌腫である。肉腫は、その細胞が原繊維または同種体様の胚性結合組織に包埋されている腫瘍を広く含む。本発明の方法を使用して治療してもよい癌腫の例は、前立腺癌、胸部、卵巣、精巣、肺、大腸、および胸部の癌腫を含むが、これらに限定されない。本発明の方法は、これらの腫瘍タイプの治療に限定されず、あらゆる器官系に由来するどのような固体腫瘍にも及ぶ。治療可能な癌の例は、大腸癌、膀胱癌、乳癌、黒色腫、卵巣悪性腫瘍、前立腺癌、肺癌、およびその他の様々な癌も含むが、これらに限定されない。また、本発明の方法は、例えば前立腺、胸部、腎臓、卵巣、精巣、および大腸のものなどの腺癌における癌の増殖の阻害を引き起こす。
【0085】
ある態様において、本発明のテトラサイクリン反応状態は、癌である。本発明は、癌細胞増殖の阻害が起こるように、すなわち、細胞の増殖、侵襲性、転移、または腫瘍発生率が減少する、遅くなる、もしくは停止するように、テトラサイクリン化合物の有効量を投与することにより、癌に罹患しているか、または罹患する危険のある対象を治療するための方法に関する。阻害は、炎症性のプロセスの阻害、炎症性のプロセスのダウンレギュレーション、いくつかのその他の機構、または機構の組み合わせから生じてもよい。または、テトラサイクリン化合物は、癌再発を予防するために、例えば外科的切除もしくは放射線療法後の残留する癌を治療するために有用であってもよい。本発明に従って有用なテトラサイクリン化合物は、これらが、その他の癌治療と組み合わせて実質的に非毒性であるので、特に有利である。さらなる態様において、さらなる態様において、本発明の化合物は、化学療法剤および放射線療法(これらに限定されない)などの標準的な癌治療法と組み合わせて投与してもよい。
【0086】
別の治療的薬剤または治療「と組み合わせる」という用語は、テトラサイクリン化合物を他の薬剤または治療とともに同時投与すること、最初のテトラサイクリン化合物に続いて他の薬剤または治療を投与すること、および最初の他の薬剤または治療に続いてテトラサイクリン化合物を投与することを含む。他の薬剤は、当技術分野において既知である、テトラサイクリン反応状態の症状を治療する、予防する、または減少するどのような薬剤であってもよい。さらに、他方の薬剤は、テトラサイクリン化合物の投与と組み合わせて投与されるときに、患者に対して有益などのような薬剤であってもよい。1つの態様において、本発明の方法によって治療される癌は、米国特許第6,100,248号;第5,843,925号;第5,837,696号;または第5,668,122号に記載されているものを含み、これらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0087】
別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、糖尿病、例えば若年型糖尿病、真正糖尿病、タイプI糖尿病、タイプII糖尿病、糖尿病性潰瘍、または他の糖尿病合併症である。さらなる態様において、タンパク質グリコシル化は、テトラサイクリン化合物の投与による影響を受けない。別の態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、インシュリン療法(しかし、これに限定されない)などの標準的な糖尿病患者の治療法と組み合わせて投与される。さらなる態様において、IPASは、米国特許第5,929,055号;および第5,532,227号に記載された疾患を含み、参照によりこれらの全体が本明細書に組み入れられる。
【0088】
別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、骨質量疾患である。骨質量疾患は、対象の骨が、骨形成、修復、またはリモデリングが有利である疾患および状態である疾患を含む。例えば、骨質量疾患は、骨粗鬆症(例えば、骨強度および密度の減少)、骨折、外科的手順に関連した骨形成(例えば、顔の再構成)、骨形成不全症(もろい骨の疾患)、低アルカリフォスファターゼ症、パジェット病、線維性骨異形成症、大理石骨病、骨髄腫骨疾患、および原発性上皮小体機能亢進症に関連するものなどの骨におけるカルシウムの欠乏を含む。骨質量疾患は、骨の形成、修復、またはリモデリングが対象に有利である全ての状態、ならびに本発明のテトラサイクリン化合物で治療することができる対象の骨または骨格系と関連したその他の全ての疾患を含む。さらなる態様において、骨質量疾患は、米国特許第5,459,135号;第5,231,017号;第5,998,390号;第5,770,588号;RE第34,656号;第5,308,839号;第4,925,833号;第3,304,227号;および第4,666,897号に記載されたものを含み、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0089】
別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、急性の肺傷害である。急性の肺傷害は、急性呼吸不全症候群(ARDS)、ポスト-ポンプ症候群(PPS)、および外傷を含む。外傷は、外因性の薬剤またはイベントによって引き起こされる生組織に対するあらゆる傷害を含む。外傷の例としては、挫滅傷害、硬い表面との接触、または切断もしくはその他の肺損傷を含むが、これらに限定されない。
【0090】
また、本発明は、本発明のテトラサイクリン化合物を投与することによって急性の肺傷害を治療するための方法に関する。
【0091】
また、本発明のテトラサイクリン反応状態は、慢性肺疾患を含む。本発明は、本明細書において記載されたものなどのテトラサイクリン化合物を投与することによって慢性肺疾患を治療するための方法に関する。本方法は、慢性肺疾患が治療されるように、対象にテトラサイクリン化合物の有効量を投与する段階を含む。慢性肺疾患の例は、喘息、嚢胞性繊維症、および気腫を含むが、これらに限定されない。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、米国特許第5,977,091号;第6,043,231号;第5,523,297号;および第5,773,430号に記載されたものなどの急性および/または慢性の肺疾患を治療するために使用され、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0092】
さらに別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、虚血、脳卒中、または虚血性脳卒中である。また、本発明は、本発明のテトラサイクリン化合物の有効量を投与することにより、虚血、脳卒中、または虚血性脳卒中を治療するための方法に関する。さらなる態様において、本発明の化合物は、米国特許第6,231,894号;第5,773,430号;第5,919,775号、または第5,789,395号に記載された疾患を治療するために使用され、参照により本明細書に組み入れられる。
【0093】
別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、皮膚創傷である。本方法は、少なくとも一部において、急性の外傷傷害(例えば、切断、熱傷、掻爬、その他)に対する上皮化された組織(例えば、皮膚、粘膜)の治癒反応を改善するための方法に関する。本方法は、本発明のテトラサイクリン化合物(これは、抗菌活性を有していてもよく、または有していなくてもよい)を使用して、急性の創傷を治癒するように上皮化された組織の能力を改善する段階を含んでもよい。本方法は、治癒組織のコラーゲン蓄積速度を増大させうる。また、本方法は、MMPのコラーゲン分解活性および/またはゲラチン融解活性を減少させることにより、上皮化された組織のタンパク分解活性を減少させてもよい。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、皮膚の表面に(例えば、局所的に)投与される。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、皮膚創傷、および例えば、米国特許第5,827,840号;第4,704,383号;第4,935,412号;第5,258,371号;第5,308,8391号;第5,459,135号;第5,532,227号;および第6,015,804号に記載されたものなどのその他のものを治療するために使用され、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0094】
また、神経疾患を含むテトラサイクリン化合物反応状態の例は、アルツハイマー病、アルツハイマー病(ピック病など)に関連した痴呆、パーキンソン病、およびその他のレビ散在性小体疾患、老人性痴呆、ハンチントン病、ジルドラトゥーレット症候群、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、進行性核上性麻痺、癲癇、およびクロイツフェルト-ヤコブ病などの精神神経性ならびに神経変性疾患の両方;高血圧および睡眠障害などの自律神経機能疾患、ならびにうつ病、精神分裂症、分裂情動性疾患、コルサコフ精神病、躁病、不安症疾患、または恐怖症疾患などの精神神経性疾患;学習障害または記憶障害、例えば健忘症もしくは加齢に関連した記憶喪失、注意欠陥障害、情緒異常疾患、主要な抑うつ性疾患、躁病、強迫神経障害、精神賦活性物質の使用による疾患、不安症、恐怖症、恐慌性障害、ならびに二極性情動障害、例えば重篤な二極性感情(気分)疾患(BP-1)、二極性感情神経疾患、例えば片頭痛および肥満症を含むが、これらに限定されない。さらなる神経疾患は、例えば精神障害(DSM)であり、アメリカ精神医学連合の診断上および統計学的マニュアルに一覧を示したものを含み、最新のバージョンのものは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0095】
さらに別の態様において、テトラサイクリン化合物反応状態は、対象(例えば、大動脈のもしくは血管の動脈瘤その他を有するか、またはリスクを有する対象)の血管組織における大動脈のまたは血管の動脈瘤である。テトラサイクリン化合物は、血管の動脈瘤の大きさを減少させることに有効であってもよく、または動脈瘤が予防されるように、動脈瘤の発症前に対象に投与されてもよい。1つの態様において、血管組織は、動脈、例えば大動脈、例えば腹大動脈である。さらなる態様において、本発明のテトラサイクリン化合物は、米国特許第6,043,225号および第5,834,449号に記載された疾患を治療するために使用され、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0096】
細菌感染は、多種多様なグラム陽性およびグラム陰性菌によって引き起こされうる。本発明の化合物は、その他のテトラサイクリン化合物に耐性であり得る生物体に対して、抗生物質として有用である。本発明のテトラサイクリン化合物の抗生の活性は、実施例2において、またはWaitz, J. A.、National Commission for Clinical Laboratory Standards、Document M7-A2、第10巻、第8号、pp. 13-20、第二版、Villanova、PA(1990)に記載されているインビトロの標準的なブロース希釈法を使用して決定してもよい。本発明の化合物は抗感染薬として用いてもよく、駆虫性、抗ウィルス性、抗真菌性、および/または抗生物活性を有する。
【0097】
また、本発明のテトラサイクリン化合物は、例えば、リケッチア多くのグラム陽性菌およびグラム陰性菌などのテトラサイクリン化合物;および鼠径リンパ肉芽腫、封入体結膜炎、オウム病に応答性の薬剤によって伝統的に治療される感染を治療するために使用されてもよい。テトラサイクリン化合物は、例えば、肺炎菌(K. pneumoniae,)、サルモネラ菌(Salmonella)、E. ヒラエ(E. hirae)、A. バウマニー(A. baumanii)、B. カタルハリス(B. catarrhalis)、インフルエンザ菌(H. influenzae)、緑膿菌(P. aeruginosa)、E. フェシウム(E. faecium)、大腸菌、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、またはE. フェカリス(E. faecalis)の感染を治療するために使用されてもよい。1つの態様において、テトラサイクリン化合物は、その他のテトラサイクリン系抗生物質化合物に耐性である細菌感染を治療するために使用される。本発明のテトラサイクリン化合物は、薬学的に許容される担体と共に投与されてもよい。
【0098】
化合物の「有効量」という用語は、テトラサイクリン化合物反応状態を治療するまたは予防するために必要なまたは十分なその量である。有効量は、患者の大きさおよび重量、疾患のタイプ、または特定の化合物のような要因に依存して変化し得る。例えば、化合物の選択は、「有効量」を構成するものに影響を及ぼし得る。当業者であれば、前述の因子を研究して、過剰な実験をすることなく、テトラサイクリン化合物の有効量に関する決定を行うことができると考えられる。
【0099】
本発明はまた、微生物感染症および関連疾患に対する治療方法にも関する。方法には、対象に一つまたは複数のテトラサイクリン化合物の有効量を投与することが含まれる。対象は、植物、または都合よくは、動物、例えば、哺乳類、例えば、ヒトのいずれかとなりうる。
【0100】
本発明の治療的方法において、本発明の一つまたは複数のテトラサイクリン化合物を単独で対象に投与してもよく、またはより典型的に、本発明の化合物は、従来の賦形剤、すなわち活性化合物と有害な反応をせず、そのレシピエントに対して有害でない非経口、経口、または他の所望の投与に適した薬学的に許容される有機もしくは無機担体物質と混合した薬学的組成物の一部として投与される。
【0101】
本発明はまた、テトラサイクリン化合物および任意で薬学的に許容される担体の治療的有効量を含む薬学的組成物にも関する。
【0102】
「薬学的に許容される担体」という用語には、その意図される機能を行うことができる、例えばテトラサイクリン反応状態を治療または予防する、テトラサイクリン化合物(複数)と同時投与することができる物質が含まれる。適した薬学的に許容される担体の例として、水、塩溶液、アルコール、植物油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、珪酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペトロエスラル(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が含まれるが、これらに限定されるものではない。薬学的調製物は滅菌して、望ましければ、本発明の活性化合物と有害に反応しない補助剤、例えば潤滑剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝剤、着色剤、着香料、および/または芳香物質等と混合することができる。
【0103】
本質的に塩基性である本発明のテトラサイクリン化合物は、様々な無機および有機酸と多様な塩を形成することができる。本質的に塩基性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために用いてもよい酸は、非毒性の酸付加塩、すなわち、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチネート、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、二酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシネート、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパルモエート[すなわち、1,1'-メチレン-ビス(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート]塩のような薬学的に許容される陰イオンを含む塩を形成することができる酸である。そのような塩は、対象、例えば哺乳類に投与するために薬学的に許容されなければならないが、実践においては、反応混合物から薬学的に許容されない塩として本発明のテトラサイクリン化合物をまず単離して、その後アルカリ試薬による処置によって遊離の塩基化合物にしてから、遊離の塩基を薬学的に許容される酸付加塩に変換することがしばしば望ましい。本発明の塩基化合物の酸付加塩は、水性溶媒において、またはメタノールもしくはエタノールのような適した有機溶媒中で選択した無機または有機酸の実質的に等量によって塩基性化合物を処置することによって容易に調製される。溶媒を注意深く蒸発させると、所望の固体の塩が容易に得られる。前述の実験の項に特に説明していない本発明の他のテトラサイクリン化合物の調製は、当業者に明らかである上記の反応の組み合わせを用いて行うことができる。
【0104】
前述の実験の項に特に記載していない本発明の他のテトラサイクリン化合物の調製は、当業者に明らかである上記の反応の組み合わせを用いて行うことができる。
【0105】
本質的に酸性である本発明のテトラサイクリン化合物は、広く多様な塩基との塩を形成することができる。本質的に酸性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される塩基性の塩を調製するために試薬として用いてもよい化学塩基は、そのような化合物と非毒性の塩基性塩を形成する塩基である。そのような非毒性の塩基性塩には、アルカリ金属陽イオン(例えば、カリウムおよびナトリウム)、およびアルカリ土類金属陽イオン(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)、アンモニアまたはN-グルカミン-(メグルミン)のような水溶性アミン溶液、ならびに薬学的に許容される有機アミンの低級アルキルアンモニウムおよびその他の塩基性塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。本質的に酸性である本発明のテトラサイクリン化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、従来の方法によって薬学的に許容される陽イオンによって形成してもよい。このように、これらの塩は、所望の薬学的に許容される陽イオンの水溶液によって本発明のテトラサイクリン化合物を処置して、好ましくは減圧下で、得られた溶液を蒸発乾固させることによって容易に調製してもよい。または、本発明のテトラサイクリン化合物の低級アルキルアルコール溶液を、所望の金属のアルコキシドと混合させて、その後溶液を蒸発乾固させてもよい。
【0106】
前述の実験の項に特に記載していない本発明の他のテトラサイクリン化合物の調製は、当業者に明らかである上記の反応の組み合わせを用いて行うことができる。
【0107】
本発明の化合物および薬学的に許容されるその塩は、経口、非経口、または局所経路のいずれかによって投与することができる。一般的に、これらの化合物は、最も好ましくは、治療すべき対象の体重および状態、ならびに選択した特定の投与経路に応じて、有効な用量で投与される。治療される対象の種および上記の薬剤に対するその個々の反応と共に、選択した薬学的製剤のタイプならびにそのような投与を行う時点および期間に応じて、容量を変更してもよい。
【0108】
本発明の薬学的組成物は、対象、例えば哺乳類におけるテトラサイクリン反応状態を治療するため、単独でまたは他の既知の組成物と併用して投与してもよい。好ましい哺乳類には、ペット(例えば、ネコ、イヌ、フェレット等)、家畜動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギ等)、実験動物(ラット、マウス、サル等)、および霊長類(チンパンジー、ヒト、ゴリラ)が含まれる。既知との組成物と「併用して」という用語には、本発明の組成物と既知の組成物との同時投与、本発明の組成物を先に投与した後、既知の組成物を投与すること、および既知の組成物を先に投与した後本発明の組成物の投与することが含まれると解釈される。テトラサイクリン反応状態を治療するための技術分野において既知の如何なる治療的組成物も本発明の方法において用いることができる。
【0109】
本発明の化合物は、単独でまたは薬学的に許容される担体もしくは希釈剤と併用して、これまでに述べた如何なる経路によって投与してもよい。例えば、本発明の新規治療物質は、広く多様な異なる投与剤形において都合よく投与することができる、すなわち、それらは錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、トローチ、硬キャンデー、粉末、スプレー、クリーム、軟膏、坐剤、ゼリー、ゲル、パスタ、ローション、軟膏、水性懸濁液、注射用溶液、エリキシル剤、シロップ等の形で様々な薬学的に許容される不活性担体と組み合わせてもよい。そのような担体には、固体希釈剤、または増量剤、滅菌水性培地および様々な非毒性の有機溶媒等が含まれる。その上、経口薬学的組成物は、適当な甘味料および/または着香料を加えることができる。一般的に、本発明の治療的に有効な化合物は重量で約5.0%〜約70%の範囲の濃度レベルのような投与剤形で存在する。
【0110】
経口投与の場合、微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよびグリシンのような様々な賦形剤を含む錠剤を、デンプン(および好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ、またはタピオカデンプン)、アルギン酸、および特定の複合シリカのような様々な崩壊剤と共に、ポリビニルピロリドン、ショ糖、ゼラチンおよびアカシアのような造粒結合剤と共に用いてもよい。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクのような潤滑剤はしばしば、打錠目的にとって非常に有用である。類似のタイプの固体組成物もまた、ゼラチンカプセルにおける増量剤として用いてもよい;これに関連して好ましい材料にはまた、高分子量ポリエチレングリコールと共に乳糖または乳糖(milk sugar)が含まれる。水性懸濁液および/またはエリキシル剤が経口投与にとって望ましい場合、活性成分を水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンのような希釈剤、およびその様々な類似の組み合わせと共に、甘味料または着香料、着色物質または色素、および望ましければ、乳化剤および/または懸濁剤と混合してもよい。
【0111】
非経口投与(腹腔内、皮下、静脈内、皮内、または筋肉内注射)の場合、本発明の治療化合物のゴマ油もしくはピーナッツ油溶液または水性プロピレングリコール溶液を用いてもよい。水溶液は必要であれば適当に緩衝能を有しなければならず(好ましくはpH8以上)、液体希釈剤を最初に等張にしなければならない。これらの水溶液は、静脈内注射の目的として適している。油性溶液は、関節内、筋肉内、および皮下注射目的にとって適している。滅菌条件でのこれらの全ての溶液の調製は、当業者に周知の標準的な薬学的技術によって容易に行われる。非経口投与の場合、適した調製物の例として、溶液、好ましくは油性または水性溶液と共に懸濁液、乳液、または坐剤を含むインプラントが含まれる。治療化合物は、注射剤に関して一般的に用いられる滅菌生理食塩液、または5%生理食塩液デキストロース溶液のような液体担体に分散されるような多数または単一の用量フォーマットで滅菌型として製剤化してもよい。
【0112】
さらに、同様に、皮膚の炎症状態を治療する場合、本発明の化合物を局所に投与することが可能である。局所投与方法の例として、経皮、口腔内、舌下適用が含まれる。局所適用の場合、治療化合物はふさわしくは、ゲル、軟膏、ローション、またはクリームのような薬理学的に不活性な局所担体に混合することができる。そのような局所担体には、水、グリセロール、アルコール、脂肪アルコール、トリグリセリド、脂肪酸エステル、または鉱油が含まれる。可能性がある他の局所担体は、流動パラフィン、イソプロピルパルミテート、ポリエチレングリコール、95%エタノール、5%モノラウリン酸ポリオキシエチレン水溶液、5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液等である。さらに、抗酸化剤、湿潤剤、粘度安定化剤等のような材料も望ましければ加えてもよい。
【0113】
腸内適用の場合、特に適しているのは、タルクおよび/または炭化水素担体結合剤等を有する錠剤、ドラジェまたはカプセルであり、担体は好ましくは乳糖、またはコーンスターチ、またはジャガイモデンプン、あるいはその組合せである。甘味媒体を用いる場合には、シロップ、エリキシル等を用いることができる。活性成分が異なるように崩壊するコーティング、例えば、微量封入、多剤コーティング等によって保護されている徐放性組成物を製剤化することができる。
【0114】
ヒト対象の治療の他に、本発明の治療方法は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタ等のような家畜;ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥等のような家禽;ならびにイヌおよびネコのようなペットを治療するために重要な獣医学応用を有するであろう。同様に、本発明の化合物は、植物のような動物以外の対象を処置するために用いてもよい。
【0115】
所定の治療において用いられる活性化合物の実際の好ましい量は、利用する特定の化合物、処方される特性の組成物、適用様式、特定の投与部位等に従って変化するであろうと認識される。所定の投与プロトコールに関して最適な投与速度は、前述のガイドラインに関して行われた従来の用量決定試験を用いて、当業者によって容易に確認することができる。
【0116】
一般的に、治療のための本発明の化合物は、これまでのテトラサイクリン治療において用いられた用量で対象に投与することができる。例えば、「医師用添付文書集(Physicians' Desk Reference)」を参照のこと。例えば、本発明の一つまたは複数の化合物の適した有効量は、1日にレシピエントの体重1kgあたり0.01〜100mg、好ましくは1日にレシピエントの体重1kgあたり0.1〜50mg、より好ましくは、1日にレシピエントと体重1kgあたり1〜20mgの範囲であろう。望ましい用量は、ふさわしくは1日1回、あるいは少量に分けて数回(例えば、少量の2〜5回)を1日を通して適当な間隔で、または他の適当なスケジュールで投与する。
【0117】
同様に通常の使用条件でその有効性を一般的に確実にするために、テトラサイクリンの投与に関して、通常の従来の既知の用法注意が守られることが理解される。インビボでヒトおよび動物の治療的治療のために特に用いる場合、医師は従来の既知の禁忌および毒性効果を防止するために全ての分別のある予防措置をとらなければならない。このように、胃腸の不快感および炎症、腎毒性、過敏反応、血液の変化、ならびにアルミニウム、カルシウム、およびマグネシウムイオンの吸収障害のこれまで認識されている有害反応は、従来のように適切に検討しなければならない。
【0118】
さらに、本発明はまた、式I、II、III、IVの化合物、またはそうでなければ本明細書に記載の化合物を薬剤の調製に用いることにも関する。薬剤には、薬学的に許容される担体が含まれてもよく、化合物は、有効量、例えばテトラサイクリン反応状態を治療するための有効量である。
【実施例】
【0119】
本発明の例示
本発明の化合物は、当業者の範囲内で下記の技法に改変を加えて下記に示すように作製してもよい。
【0120】
実施例1:9-アミノメチルミノサイクリンおよびこれらの誘導体の合成
トリフルオロ酢酸(1L)をアルゴンおよびテトラサイクリン下で2Lのフラスコに充填した。HCl(200g、1当量)およびN-ヒドロキシメチルフタルイミド(l00g)をフラスコに添加して攪拌した。一旦全ての固形物を溶解させて、H2SO4(200mL)を反応に添加した。反応は、5〜6時間で40〜50℃に加熱した。N-ヒドロキシメチルアミン(100g)を部分的に添加した。全ての出発原料が、2,9-ビス-アミノメチルフタルイミドミノサイクリンに変換されたことをHPLC解析で確認したときに、混合物を4Lのアセトンから沈殿させた。15〜20℃の発熱を観察した。1時間の攪拌後、固形物を濾過して、アセトン(200ml)によって洗浄し、ラテックスラバーダムを用いて乾燥した。固形物をメタノール(1L)/t-BME(2L)混合物に再びスラリー化して、トリエチルアミンを使用してpHを3にあわせた。固形物を濾過して、50mLのメタノールで洗浄した。収率は、97%の2,9-ビスアミノメチルフタルイミドテトラサイクリンであった。
【0121】
2,9-ビス-アミノメチルフタルイミドミノサイクリン(100g)を2Mのメチルアミンのメタノール(10当量)溶液に懸濁した。反応を2〜3時間室温で撹拌し、出発原料の2,9-ビスアミノメチルテトラサイクリンへの変換をポイントHPLC解析で確認した。反応混合物をt-BME(5体積)に注入し、30分間撹拌した。次に、懸濁液を濾過して、t-BME(200mL)で洗浄し、所望の産物、2,9-ビス-アミノメチルテトラサイクリンを単離した。
【0122】
2,9-ビス-アミノメチルミノサイクリン(40g)を200mLの水/メタノール1/9にスラリー化して、トリフルオロ酢酸を液滴で添加することによってpHを3に合わせた。混合物を1〜2時間で40℃に加熱した。2,9-ビス-アミノメチルミノサイクリンの9-アミノメチルテトラサイクリンへの加水分解をHPLC解析で確認するときに、反応を室温に戻して、トリエチルアミンを使用してpHを7にあわせた。イソプロピルアルコール(200mL)を添加して、固形物を沈降物させた。生成物を濾過して、50mLのIPA、続く100mLのジエチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥して9-アミノメチルミノサイクリンを単離した。
【0123】
9-[(2,2,-ジメチルプロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンジヒドロクロリド
9-ジメチルアミノミノサイクリン(200mg、1当量)、DMF、およびトリメチルアセトアルデヒド(45μl、1当量)を40mLのフラスコ中に合わせて撹拌した。次いで、トリエチルアミン(150μL、3当量)を添加した。数分間室温で攪拌後、NaBH(OAc)3(175mg、2当量)およびInCl3(9mg、0.1当量)を添加した。1時間後に、反応液は透明で赤かった。液体クロマトグラフィーにより、反応について単一の生成物を示した。反応をメタノールによって停止し、溶剤を除去して、生成物をカラムクロマトグラフィーを使用して精製した。
【0124】
実施例2: N-t-ブチルカルボニルオキシメチル(9-[(2,2, ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン)カルバメートの合成

【0125】
チオ炭酸O-クロロメチルエステルS-エチルエステル
アルゴン雰囲気下のクロロギ酸クロロメチル(32ml, 0.36mol)の乾燥エーテル(663ml)溶液に、撹拌しながら0℃でエタンチオール(27ml, 0.36mol)およびトリエチルアミン(51ml, 0.36mol)のエーテル(147ml)を添加した。エタンチオールおよびトリエチルアミンの全てを添加した後、この混合液を室温まで加温して、さらに2時間撹拌した。次いでこの混合液を氷浴上で冷却し、固形物をろ過により除去した。このろ液を濃縮して生成物55グラムを得、これをさらなる精製なしで使用した。
【0126】
チオ炭酸O-ヨードメチルエステルS-エチルエステル
この未精製のチオ炭酸O-クロロメチルエステルS-エチルエステル(5g, 32.5mmol)をヨウ化ナトリウム(7.3g, 48.7mmol)の溶液に添加し、40℃で3時間撹拌した。生じた固形物をろ過により除去し、そのろ液を濃縮した。この残渣をヘキサンと水(3:1, 100ml:30ml)との間で0℃にて分配した。この有機層を分離し、無色となるまで5% NaHCO3、1% Na2S2O3で洗浄し、その後、これを水で洗浄した。この有機層をMgSO4で乾燥させた。次いでこれをろ過し濃縮して、粗材料7グラムを得た。
【0127】
2,2-ジメチルプロピオン酸エチルスルファニルカルボニルオキシメチルエステル
NaHCO3(3.21g, 38.2mmol)、Bu4NHSO4(6.49g, 19.1mmol)、BuCO2H(1.95g, 19.1mmol)、水(38.5ml)およびジクロロメタン(38.5ml)の混合液を室温で1時間撹拌する。未精製のチオ炭酸O-ヨードメチルエステルS-エチルエステル(3.5g, 14.26mmol)のジクロロメタン(7ml)溶液を0.5時間かけて添加することで、その温度を30℃未満に維持した。次いでこの混合液を室温でさらに1.5時間撹拌した。この有機層を分離し、水で2回洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。この残渣をエーテル中で16時間撹拌し、ろ過し、エーテルで洗浄した。次いでこのろ液を濃縮して、生成物2gを得た。
【0128】
クロロギ酸t-ブチルカルボニルオキシメチル
2,2-ジメチルプロピオン酸エチルスルファニルカルボニルオキシメチルエステル(1.84g, 8.4mmol)に塩化スルフリル(0.68ml, 8.4mmol)を0〜5℃で撹拌しながら5分かけて添加した。次いでこの溶液を室温でさらに45分間撹拌した。次いでEtSClを室温で蒸留により取り出した。この試薬をさらなる精製なしで使用した。
【0129】
N-t-ブチルカルボニルオキシメチル(9-[(2,2, ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン)カルバメート
9-[(2,2, ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン(0.1g, 0.15mmol)、NaHCO3(63mg, 0.75mmol)水(1ml)およびジクロロメタン(20ml)の混合液に上記のクロロギ酸塩(44mg, 0.225mmol)を添加した。この反応をHPLCによりモニターした。反応が終了した後、溶媒を留去した。この残渣をアセトニトリルに再溶解し、HPLC(C18, MeCN-Water)により精製した。この反応によって生成物25mgが得られた。
【0130】
実施例3: N-t-ブチルカルボニルオキシ(1-エチル) (9-[(2,2, ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン)カルバメートの合成

【0131】
チオ炭酸O-イソプロペニルエステルS-エチルエステル
アルゴン下のクロロギ酸イソプロペニル(5g, 41.5mmol)の乾燥エーテル(70ml)溶液に、撹拌しながら0℃でエタンチオール(3.1ml, 41.5mmol)およびトリエチルアミン(5.77ml, 41.5mmol)のエーテル(20ml)を添加した。次いでこの混合液を室温まで加温し、さらに2時間撹拌した。次いでこの混合液を氷浴上で冷却した。固形物をろ過して除去し、このろ液を濃縮して生成物4.9グラムを得、これをさらなる精製なしで使用した。
【0132】
チオ炭酸O-(1-クロロエチル)エステルS-エチルエステル
このエステル(4.8g, 33mmol)のエーテル-クロロホルム(100ml:100ml)溶液に氷浴上で40分間HClガスを通気した。次いでこの溶液をオーバーナイトで室温まで加温した。この溶液に30分間アルゴンを通気することによって、過剰なHClを除去した。次いでこの溶液を濃縮し、さらなる精製なしで使用した。
【0133】
2,2-ジメチルプロピオン酸エチルスルファニルカルボニルオキシ(1-エチル)エステル
ピバリン酸(24g, 0.238mol)、Hg(OAc)2 (22.7g, 71.4mmol)およびチオ炭酸O-(1-クロロエチル)エステルS-エチルエステル(4g, 23.8mmol)のジクロロメタン(300ml)混合液を室温で48時間撹拌した。水100mlを添加し、その有機層を分離し、pH>7まで0.5 N NaOHで洗浄し、塩水で洗浄し、水で洗浄し、次いでNa2SO4で乾燥し、ろ過し、濃縮した。次いでこの残渣をシリカゲル(EtOAc:ヘキサン, 1:20)により精製して、生成物3グラムを得た。
【0134】
クロロギ酸t-ブチルカルボニルオキシ(1-エチル)
このチオエステル(1.47g, 6.28mmol)に塩化スルフリル(0.61ml, 7.5mmol)を0〜5℃で撹拌しながら5分かけて添加した。全ての試薬を添加後、この溶液を室温でさらに45分間撹拌した。次いでEtSClを室温で蒸留により取り出した。この生成物をさらなる精製なしで次のステップに使用した。
【0135】
N-t-ブチルカルボニルオキシ(1-エチル) (9-[(2,2, ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン)カルバメート
このクロロギ酸塩(0.45g, 2.16mmol)を9-[(2,2, ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン(0.6g, 1mmol)、NaHCO3(0.42g, 2.7mmol)水(6ml)およびジクロロメタン(60ml)の混合液に添加した。この反応の終了後、溶媒を蒸留により除去した。この残渣をアセトニトリルに再溶解し、HPLC(C18, MeCN-Water)により精製して、生成物100mgを得た。
【0136】
実施例4: 5-アセチル-9-(4-トリフルオロメチル-ピペリジン-1-イルメチル)-ドキシサイクリンの合成

アルゴン雰囲気下の9-ホルミルドキシサイクリン(472mg, 1mmol)のDMF 30mL溶液に、三塩化インジウム(22mg, 0.1mmol)およびトリフルオロメチルピペリジンHCl(379mg, 2mmol)を添加した。トリエチルアミンを添加することによって、この反応混合液のpHを8.5に調整した。次いでこの反応混合液を室温で撹拌した。この反応はHPLC/LCMSの使用によってモニターし、4時間で完了した。次いで溶媒を蒸発させて、得られた粗材料を次にジエチルエーテル/MeOH (100/10mL)を用いて沈殿させた。この沈殿物のろ過によって黄色の粉末を得、これをさらなる精製なしで次のステップに使用した。
【0137】
9-(4-トリフルオロメチル-ピペリジン-1-イルメチル)-ドキシサイクリン(300mg)の氷酢酸3mLの溶液に、液体HF(2mL)を0℃で添加した。次いで反応混合液をドラフト中に24時間放置した。反応の完了をHPLC/LCMSにより確認した。この反応混合液に空気をフラッシングすることによって、過剰なHFを除去した。得られた粗材料を調整用HPLCにを用いて精製し、所望の化合物を得た。LC-MS (M+1 650)
【0138】
実施例5:インビトロ最小阻止濃度(MIC)アッセイ
以下のアッセイを用いて、一般的な細菌に対して化合物の有効性を決定する。各化合物2mgをDMSO 100 μlに溶解する。次に、溶液を、化合物の最終濃度が200 μg/mlとなるように陽イオン調節ミューラー・ヒントンブロス(CAMHB)に加える。化合物溶液を容量50 μlに希釈して、試験化合物濃度は.098 μg/mlとなる。吸光度(OD)測定は、試験株の新鮮な対数期ブロス培養から行う。希釈は、1×106 CFU/mlの最終細胞密度が得られるように希釈する。OD=1では、異なる属の細胞密度はおよそ以下となるはずである:
大腸菌 1×109 CFU/ml
黄色ブドウ球菌 5×108 CFU/ml
腸球菌種 2.5×109 CFU/ml
細胞懸濁液50 μlをマイクロタイタープレートの各ウェルに加える。最終的な細胞密度は約5×105 CFU/mlとなるはずである。これらのプレートを35℃でアンビエント・エア・インキュベータ内で約18時間インキュベートする。プレートをマイクロプレートリーダーによって読みとり、必要であれば肉眼で検分した。MICは、増殖を阻害する化合物の最小濃度として定義される。
【0139】
同等物
当業者は、本明細書に記載の特定の技法に対して、単なる日常的な実験を用いて無数の同等物を認識する、または確認することができるであろう。そのような同等物は、本発明の範囲内であり、添付の特許請求の範囲に含まれると見なされる。本明細書において引用した全ての参考文献、特許、および特許出願の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。それらの特許、出願、および他の文書の適当な成分、プロセス、および方法を、本発明およびその態様に関して選択してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のテトラサイクリン化合物:

式中、
Eは酸素、窒素または共有結合であり;
Gはアルキル; 複素環アルキル; アリール; アルキルカルボニルオキシアルキル; アリールカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシカルボニルオキシアルキル; アリールアルキルカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシアルキルカルボニルオキシアルキル; アルコキシアルコキシカルボニルオキシアルキルおよびその薬学的に許容される塩である。
【請求項2】
Eが共有結合である、請求項1記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項3】
Gがアルキルである、請求項2記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項4】
Eが窒素である、請求項1記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項5】
Gがアリールである、請求項4記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項6】
Gが置換フェニルである、請求項5記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項7】
Eが酸素である、請求項1記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項8】
Gがアルキルカルボニルオキシアルキルである、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項9】
Gが式-(CH2)g-O-(C=O)-R1のものであり、式中、gは1〜5でありおよびR1はアルキルである、請求項8記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項10】
gが1である、請求項9記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項11】
R1がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、-(CH2)10-CH3または-(CH2)11CH3である、請求項10記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項12】
R1がシクロアルキルである、請求項10記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項13】
gが2である、請求項9記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項14】
R1がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、-(CH2)10-CH3または-(CH2)11CH3である、請求項13記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項15】
Gがアルキルである、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項16】
Gがメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、-(CH2)10-CH3または-(CH2)11CH3である、請求項14記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項17】
Gがアリールカルボニルオキシアルキルである、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項18】
Gが式: -(CH2)f-O-(C=O)-R2のものであり、式中、fは1〜5でありおよびR2はアリールである、請求項17記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項19】
fが1である、請求項18記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項20】
R2が置換または非置換フェニルである、請求項19記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項21】
フェニルがハロゲン、アルコキシまたはアルキルからなる群より選択される1つまたは複数の置換基で置換される、請求項20記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項22】
Gがアルキルオキシカルボニルオキシアルキルである、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項23】
Gが式-(CH2)-O-(C=O)-O-R3のものであり、式中、R3はアルキルである、請求項22記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項24】
R3がメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチルである、請求項23記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項25】
Gがアリールアルキルカルボニルオキシアルキルである、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項26】
Gが式-(CH2)-O-(C=O)-(CH2)h-R4のものであり、式中、hは1〜5でありおよびR4はアリールである、請求項25記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項27】
hが1または2である、請求項26記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項28】
R4がフェニルである、請求項27記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項29】
Gがアルキルオキシアルキルカルボニルオキシアルキルである、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項30】
Gが式-(CH2)-O-(C=O)-(CH2)i-O-R5のものであり、式中、iは1〜5でありおよびR5はアルキルである、請求項29記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項31】
iが1、2または3である、請求項30記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項32】
R5がメチルである、請求項31記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項33】
Gがアルコキシアルコキシアルキルカルボニルオキシアルキルである、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項34】
Gが式-(CH2)-O-(C=O)-(CH2)j-O--(CH2)k-O-R6の式のものであり、式中、jおよびkはそれぞれ1〜5であり、ならびにR6はアルキルである、請求項33記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項35】
jが1であり、およびkは2である、請求項34記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項36】
R6がメチルである、請求項35記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項37】
Gが複素環アルキルである、請求項7記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項38】
式(II)のテトラサイクリン化合物:

式中、
Q'はプロドラッグ部分およびその薬学的に許容される塩である。
【請求項39】
Q'が下記式のものである、請求項38記載のテトラサイクリン化合物:
-(C=O)-E1-G1
式中、
E1は酸素、窒素または共有結合であり;
G1はアルキル; 複素環アルキル; アリール; アルキルカルボニルオキシアルキル; アリールカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシカルボニルオキシアルキル; アリールアルキルカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシアルキルカルボニルオキシアルキル; またはアルコキシアルコキシカルボニルオキシアルキルである。
【請求項40】
E1が酸素である、請求項39記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項41】
G1がアルキルカルボニルオキシアルキルである、請求項40記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項42】
Gが式-(CH2)m-O-(C=O)-R7のものであり、式中、mは1〜5でありおよびR1はアルキルである、請求項41記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項43】
mが1である、請求項42記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項44】
R7がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、-(CH2)10-CH3または-(CH2)11CH3である、請求項43記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項45】
式(III)のテトラサイクリン化合物:

式中、
Qはプロドラッグ部分およびその薬学的に許容される塩である。
【請求項46】
Qが-(C=O)-G2である、請求項45記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項47】
G2がアルキルオキシカルボニルアルキルまたはアルキルである、請求項45記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項48】
式(IV)のテトラサイクリン化合物:

式中、
Q''がプロドラッグ部分およびその薬学的に許容される塩である。
【請求項49】
Q''が下記式のものである、請求項48記載のテトラサイクリン化合物:
-(C=O)-E3-G3
式中、
E3は酸素、窒素または共有結合であり;
G3はアルキル; 複素環アルキル; アリール; アルキルカルボニルオキシアルキル; アリールカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシカルボニルオキシアルキル; アリールアルキルカルボニルオキシアルキル; アルキルオキシアルキルカルボニルオキシアルキル; またはアルコキシアルコキシカルボニルオキシアルキルである。
【請求項50】
E3が酸素である、請求項49記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項51】
G3が置換または非置換アルキルである、請求項49記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項52】
G3が置換または非置換アリールである、請求項49記載のテトラサイクリン化合物。
【請求項53】
以下からなる群より選択される、テトラサイクリン化合物:


およびその薬学的に許容される塩。
【請求項54】
対象においてテトラサイクリン反応状態を治療する方法であって、対象が治療されるような有効量の請求項1、38、45、48または53のいずれか一項記載のテトラサイクリン化合物を対象に投与する段階を含む方法。
【請求項55】
テトラサイクリン反応状態が細菌感染、ウイルス感染または寄生虫感染である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
細菌感染が大腸菌と関連する、請求項55記載の方法。
【請求項57】
細菌感染が黄色ブドウ球菌(S. aureus)と関連する、請求項55記載の方法。
【請求項58】
細菌感染がE.フェカーリス(E. faecalis)と関連する、請求項55記載の方法。
【請求項59】
細菌感染がその他のテトラサイクリン系抗生物質に耐性である、請求項54記載の方法。
【請求項60】
細菌感染がグラム陽性細菌感染である、請求項55記載の方法。
【請求項61】
細菌感染がグラム陰性細菌感染である、請求項55記載の方法。
【請求項62】
対象がヒトである、請求項54記載の方法。
【請求項63】
テトラサイクリン化合物が薬学的に許容される担体とともに投与される、請求項54記載の方法。
【請求項64】
テトラサイクリン化合物がインビボで代謝される、請求項54記載の方法。
【請求項65】
テトラサイクリン化合物が下記式の化合物にインビボで代謝される、請求項64記載の方法:

【請求項66】
治療的有効量の請求項1、38、45、48または53のいずれか一項記載のテトラサイクリン化合物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。

【公開番号】特開2011−153142(P2011−153142A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26689(P2011−26689)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【分割の表示】特願2006−518681(P2006−518681)の分割
【原出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(500127209)パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (50)
【Fターム(参考)】