説明

Aβ42低下薬としてのジェミナル二置換NSAID誘導体

本発明は、式(I)[式中、Aは、プロピオン酸NSAID若しくは酢酸NSAIDのベースとなる分子又はその誘導体であり、Xは、−COH、1H−テトラゾール−5−イル又は2H−テトラゾール−5−イルであり、R及びRは、それぞれ独立して、C1〜6アルキル及びC3〜6シクロアルキルからなる群から選択される]で表される化合物又はその製薬上許容される塩、並びに、該化合物を含有する医薬組成物及び該化合物を使用する方法を包含する。本発明の化合物は、Aβ42のレベルを低下させ、従って、アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させるのに有用である。
【化31】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アルツハイマー病は、認識力と機能性が著しく損なわれる脳の神経変性疾患である。この疾患を患うと、記憶と学習された機能の退歩が進むようになる。アルツハイマー病は、コリン作動性ニューロンに影響を及ぼし、また、セロトニン作動性系、ノルアドレナリン作動性系及び別の中枢神経伝達物質系にも影響を及ぼす複合的な病気である。アルツハイマー病の発現は、記憶障害を越えて広がり、例えば、人格の変化、神経筋の変化、発作などを発現し、また、時には、精神病的な特徴を示すこともある。
【0002】
ADに特徴的な病理学上の特徴は、脳内に神経原線維錯綜と老人斑が存在していることである。アミロイドβポリペプチド(AP)は、アミロイド斑の主要な構成成分であり、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の改変したプロセシングに由来する。Aβは、主として、2つの形態(Aβ40及びAβ42)からなる。Aβ40が主要な形態であるが、最近得られた証拠は、Aβ42が病原性の形態であることを示唆している。Aβ40及びAβ42の他に、Aβのプロセシングにより、Aβ39、Aβ38、Aβ37及びAβ34などの別のAβ形態も生成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、非ステロイド系抗炎症薬のジェミナル二置換誘導体を包含し、ここで、該誘導体は、Aβ42のレベルを低下させ、従って、アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させるのに有用である。さらにまた、本発明の化合物は、シクロオキシゲナーゼ活性に対する効力が弱いので、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)に関連する胃腸の副作用がない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式(I):
【0005】
【化10】

[式中、Aは、プロピオン酸NSAID若しくは酢酸NSAIDのベースとなる分子又はその誘導体であり、Xは、−COH、1H−テトラゾール−5−イル又は2H−テトラゾール−5−イルであり、R及びRは、それぞれ独立して、C1〜6アルキル及びC3〜6シクロアルキルからなる群から選択される]で表される化合物又はその製薬上許容される塩、並びに、該化合物を含有する医薬組成物及び該化合物を使用する方法を包含する。本発明の化合物は、Aβ42のレベルを低下させ、従って、アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させるのに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、式(I):
【0007】
【化11】

[式中、
Xは、−COH、1H−テトラゾール−5−イル又は2H−テトラゾール−5−イルであり;
各Rは、Aの置換可能ないずれかの位置に置換することができ、また、各Rは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、NH、メチル、エチル、メトキシ及びCFからなる群から選択され;
及びRは、それぞれ独立して、C1〜6アルキル及びC3〜6シクロアルキルからなる群から選択され;
及び
Aは、
【0008】
【化12】




からなる群から選択され、ここで、上記38)については、Rは、図示されているようにAにおいて置換しており、また、Zは、フェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニルからなる群から選択される]
で表される化合物又はその製薬上許容される塩を包含する。
【0009】
上記1)〜38)に示されている結合点は、−(R)(R)−Xに対する結合の点である。Rは、上記1)〜38)上の適切ないずれかの位置に置換することができる。
【0010】
本発明の一実施形態には、式(I)[式中、R及びRは、それぞれC1〜4アルキルである]で表される化合物が包含される。
【0011】
本発明の別の実施形態には、式(I)[式中、Xは−COHである]で表される化合物が包含される。
【0012】
本発明の別の実施形態には、式(I)[式中、Xは、1H−テトラゾール−5−イル又は2H−テトラゾール−5−イルである]で表される化合物が包含される。
【0013】
本発明の別の実施形態には、式(I)[式中、Aは、
【0014】
【化13】

である]
で表される化合物が包含される。この実施形態には、式(I)[式中、Rは存在しない]で表される化合物が包含される。さらに、この実施形態には、式(I)[式中、R及びRは、それぞれC1〜4アルキルである]で表される化合物が包含される。
【0015】
本発明の別の実施形態には、式(I)[式中、Aは、
【0016】
【化14】

である]
で表される化合物が包含される。この実施形態には、式(I)[式中、Rは存在しない]で表される化合物が包含される。さらに、この実施形態には、式(I)[式中、R及びRは、それぞれC1〜4アルキルである]で表される化合物が包含される。
【0017】
本発明の別の実施形態には、式(I)[式中、Aは、
【0018】
【化15】

であり、2つの付加的なR基は、上記Aの置換可能ないずれかの位置に置換することができる]で表される化合物が包含される。この実施形態には、式(I)[式中、Rは存在しない]で表される化合物が包含される。さらに、この実施形態には、式(I)[式中、R及びRは、それぞれC1〜4アルキルである]で表される化合物が包含される。
【0019】
本発明の別の実施形態には、式(I)[式中、Aは、
【0020】
【化16】

である]で表される化合物が包含される。
【0021】
本発明の別の実施形態には、式(I)[式中、R及びRは、それぞれC1〜4アルキルである]で表される化合物が包含される。
【0022】
本発明の別の実施形態には、下記群:
【0023】
【化17】


から選択される化合物又は上記の何れかの製薬上許容される塩が包含される。
【0024】
本発明の別の実施形態には、式(I)[式中、R及びRは、それぞれメチルである]で表される化合物が包含される。
【0025】
本発明の別の実施形態には、式(I)[式中、Rはメチルであり、Rはエチルである]で表される化合物が包含される。
【0026】
本発明には、さらにまた、製薬上許容される担体と組み合わせて式(I)の化合物を含有している医薬組成物も包含される。
【0027】
本発明の別の実施形態には、アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させることを必要としている患者のアルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させる方法が包含され、ここで、該方法は、該患者に、アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させるのに有効な量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる。
【0028】
本発明の別の実施形態には、アルツハイマー病の治療を必要としている患者のアルツハイマー病を治療する方法が包含され、ここで、該方法は、該患者に、アルツハイマー病を治療するのに有効な量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる。
【0029】
本明細書の目的ために、式(I)中のAの構造の中に窒素原子が存在する場合、該窒素原子の原子価を満たすために充分な水素原子かR基が存在していていることは理解される。
【0030】
用語「アルキル」は、直鎖構造又は分枝鎖構造及びそれらを組み合わせたものを意味し、示されている数の炭素原子を含んでいる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、エイコシル及び3,7−ジエチル−2,2−ジメチル−4−プロピルノニルなどを挙げることができる。
【0031】
用語「シクロアルキル」は、場合により直鎖構造又は分枝鎖構造と組み合わされた環状構造を意味し、示されている数の炭素原子を含んでいる。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロドデシルメチル及び2−エチル−1−ビシクロ[4.4.0]デシルなどを挙げることがでいる。
【0032】
本明細書の目的ために、用語「AD」は、アルツハイマー病の略号である。
【0033】
当業者であれば、アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させるための治療を必要としている患者を容易に確認することができる。ADの臨床症状には、例えば、進行する失見当、記憶喪失及び失語症などがある。最終的には、無能力になり、話すことができなくなり、また、動くことができなくなる。ADの病理学的な指標には、例えば、神経原線維錯綜、老人斑及びアミロイド血管障害の存在などがある。ADの進行を防止するということは、ADの臨床症状及び/又は病理学的指標の発現又はさらなる進行を防止することを意味する。例えば、ADの臨床症状又は病理学的指標を有さない個人は、臨床症状又は病理学的指標を示すようになるのを防止することができる。さらに、ADの軽症状態にある個人は、ADのさらに重症な状態へと進行するのを防止することができる。ADの進行を遅らせるということは、ADに関連する症状及び/又は病理学的指標の発現時期を遅くすることを意味するか、又は、臨床症状及び病理学的指標の進行速度により決定されるADの進行の速度を遅くすることを意味する。ADの進行を逆転するということは、AD状態の重症度を低くすることを意味する。即ち、個人のADの状態が、重症状態から重症度の低い状態へ変化したことを意味し、これは、臨床症状又は病理学的指標の低減により示される。
【0034】
個人は、ADの進行を避けるための予防的手段として、Aβ42低下薬を摂取することを選択することができる。例えば、ADに対する遺伝的素因を有する個人は、Aβ42低下薬を摂取して、ADの進行を防止するか又は遅らせることができる。遺伝的素因は、既知方法に基づいて確認することができる。例えば、ある個人がADの家族歴を有する場合、該個人は、ADに対する遺伝的素因を有すると判断することができる。さらにまた、ADに対する遺伝的素因には、APP遺伝子、プレセニリン−I若しくはプレセニリン−2遺伝子又はアポリポタンパク質E遺伝子などの特定の遺伝子における点突発変異も包含される。そのような突然変異は、個人の、家族性AD(FAD)の早期発症、ADが進行するリスクの増大、又は、AD発症低年齢化の素因となり得る。(以下の文献を参照されたい:Cotranら,(1999)Robbins Pathologic Basis of Disease,Sixth Edition,W.B.Saunders Companyの第1332頁の表30−2;及び、米国特許第5,455,169号)。さらに、ADの臨床症状を有するか又はADであると診断された個人は、Aβ42低下薬を摂取して、ADのさらなる進行を防止することができるか若しくは遅らせることがきるか、さらには、該疾患の病理学的状態を逆転することができる。
【0035】
ADの診断は、既知方法の何れかを用いて行うことができる。典型的には、ADは、臨床的評価と病理学的評価を組み合わせて診断する。例えば、ADの進行又は重症度は、Mohsら((1996) Int Psychogeriatr 8:195−203)によって記述されている簡易知能試験(MMSE);Galaskoら((1997) Alzheimer Dis Assoc Disord,11 suppl 2:S33−9)によって記述されているアルツハイマー病評価尺度認知機能検査(ADAS−cog);McKhannら((1984) Neurology 34:939−944)によって記述されているアルツハイマー病共同研究/日常生活動作尺度(ADCS−ADL);及び、Folsteinら((1975) J Psychiatr Res 12:189−198)によって記述されているNINCDS−ADRDA基準を用いて決定することができる。さらに、脳の種々の領域を評価することを可能にし、また、老人斑と神経原線維錯綜の頻度を評価することを可能にする方法を用いることができる。これらの方法は、Braakら((1991) Acta Neuropathol 82:239−259);Khachaturian((1985) Arch Neuro 42:1097−1105);Mirraら((1991) Neurology 41:479−486);及び、Mirraら((1993) Arch Pathol Lab Med 117:132−144)によって記述されている。
【0036】

【0037】
本発明の医薬組成物は、活性成分として、式(I)で表される化合物又はその製薬上許容される塩を含有し、さらにまた、製薬上許容される担体及び場合により別の治療用成分も含有することができる。用語「製薬上許容される塩」は、無機塩基及び有機塩基を包含する製薬上許容される非毒性の塩基から調製された塩を意味する。無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩(manganic salts)、第一マンガン塩(manganous)、カリウム塩、ナトリウム塩及び亜鉛塩などを挙げることができる。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩が特に好ましい。製薬上許容される非毒性の有機塩基から誘導される塩としては、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、置換アミン(天然置換アミンを包含する)、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン誘導体、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン及びトロメタミンなどの塩を挙げることができる。
【0038】
以下の治療方法についての議論において、式(I)で表される化合物について言及されている場合、それが製薬上許容される塩も包含することは理解されるであろう。
【0039】
医薬組成物
【0040】
上記活性成分を含有している医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性の懸濁液剤、分散性の粉剤若しくは顆粒剤、エマルション剤、硬質若しくは軟質のカプセル剤、又は、シロップ剤若しくはエリキシル剤などとして、経口用途に適する形態であり得る。経口用途用の組成物は、医薬組成物の製造に関する技術分野で既知のいずれかの方法に従って調製することが可能である。そのような組成物には、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1種以上の物質を含有させて、医薬的に見た目が良く、風味の良い調製物を提供することができる。錠剤は、錠剤の製造に適する非毒性で製薬上許容される賦形剤と混合された状態で、上記活性成分を含有する。そのような賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;例えば、コーンスターチ又はアルギン酸などの造粒剤及び崩壊剤;例えば、デンプン、ゼラチン又はアラビアゴムなどの結合剤;及び、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクなどの滑沢剤などであり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよいか、又は、既知の技術でコーティングを施して、消化管における崩壊及び吸収を遅延させ、それによって比較的長期間にわたる持続的な作用を提供させることができる。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いることができる。それらは、米国特許第4,256,108号、米国特許第4,166,452号及び米国特許第4,265,874号に記載の技術によりコーティングして、制御放出用の浸透性治療用錠剤を形成させることもできる。
【0041】
経口用途用の製剤は、前記活性成分を、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンなどの不活性固体希釈剤と混合した硬質ゼラチンカプセルとして、又は、前記活性成分を、例えば、落花生油、液体パラフィン若しくはオリーブ油などのオイル媒体又は水と混合した軟質ゼラチンカプセルとしても提供することができる。
【0042】
水性懸濁液剤は、水性懸濁液を製造するのに適する賦形剤と混合された状態で活性材料を含有する。そのような賦形剤は、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムなどの懸濁化剤であり;分散剤又は湿潤剤は、例えばレシチンなどの天然ホスファチド、又は、例えばステアリン酸ポリオキシエチレンなどの脂肪酸とアルキレンオキシドとの縮合生成物、又は、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールなどの長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、又は、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなどの脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、又は、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンなどの脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物などであり得る。水性懸濁液剤は、さらにまた、p-ヒドロキシ安息香酸エチル又はp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピルなどの1種以上の保存薬、1種以上の着色剤、1種以上の矯味矯臭剤、並びに、ショ糖、サッカリン若しくはアスパルテームなどの1種以上の甘味剤を含有することもできる。
【0043】
油性懸濁液剤は、上記活性成分を、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油などの植物油、又は、例えば液体パラフィンなどの鉱物油に懸濁させることにより製剤することができる。油性懸濁液剤には、例えば蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールなどの増粘剤を含有させることができる。上記で記載したものなどの甘味剤、及び矯味矯臭剤を加えて、風味の良い経口用調製物を提供することができる。このような組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えることで保存することができる。
【0044】
水を添加して水性懸濁液剤を調製するのに適する分散性の粉末及び顆粒により、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び1種以上の保存剤と混合された状態の上記活性成分が提供される。適する分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤は、すでに上記で例示されている。さらに別の賦形剤、例えば、甘味剤、矯味矯臭剤及び着色剤なども存在させることができる。
【0045】
本発明の医薬組成物は、さらにまた、水中油型エマルションの形態とすることもできる。その油相は、例えばオリーブ油若しくは落花生油などの植物油、又は、例えば液体パラフィンなどの鉱物油、又は、これらの混合物とすることができる。適する乳化剤は、例えばダイズレシチンなどの天然ホスファチド、並びに、例えばモノオレイン酸ソルビタンなどの脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導されるエステル若しくは部分エステル、並びに、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどの前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物であり得る。前記エマルション剤は、さらにまた、甘味剤及び矯味矯臭剤を含有することもできる。
【0046】
シロップ剤及びエリキシル剤は、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はショ糖などの甘味剤を加えて製剤することができる。そのような製剤には、さらにまた、粘滑剤、保存剤、矯味矯臭剤及び着色剤を含有させることもできる。本発明の医薬組成物は、無菌の注射可能な水性又は油性の懸濁液の形態とすることができる。この懸濁液剤は、上記で記載した適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて、既知技術に従って製剤することができる。さらにまた、無菌の注射可能な調製物は、非毒性で非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中における無菌の注射可能な溶液又は懸濁液であることも可能であり、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液などとすることもできる。使用可能な許容されるビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液などがある。さらに、無菌の固定油も溶媒又は懸濁用媒体として慣習的に用いられる。このためには、合成モノグリセリド又はジグリセリドなどを包含する任意の低刺激性固定油を使用することができる。さらに、注射可能物質の調製物には、オレイン酸などの脂肪酸も用ることができる。
【0047】
式(I)の化合物は、該薬物を直腸内投与するための坐剤の形態で投与することもできる。そのような組成物は、該薬物を、常温では固体であるが直腸内の温度では液体であることで直腸内で融解して前記薬剤を放出する適切な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製することができる。そのような材料は、カカオバター及びポリエチレングリコール類である。
【0048】
局所用途には、式(I)の化合物を含有するクリーム剤、軟膏剤、ゼリー剤、溶液剤又は懸濁液剤などが用いられる。(本出願の目的のために、局所用途には、口内洗浄剤及びうがい薬も包含される)。
【0049】
短い半減期を有し得る本発明の化合物を含む徐放性医薬製剤を用いて、好都合には1日1回を基準として投与することが可能な製剤を提供することができる。本発明で利用可能な該徐放性製剤は、例えば、1993年6月10日に公開されたWO93/10771号に開示されている。
【0050】
投与量レベル
【0051】
アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させるのには、1日当たり体重1kg当たり約0.01mg〜約140mgの投与量レベルが有効であるか、又は、1日当たり患者1人当たり約0.5mg〜約7gの投与量レベルが有効である。例えば、本発明の化合物は、1日当たり体重1kg当たり該化合物の約0.01〜50mgの範囲の量で投与し得るか、又は、1日当たり患者1人当たり約0.5mg〜約3.5g、好ましくは、1日当たり患者1人当たり2.5mg〜1gの範囲の量で投与し得る。
【0052】
担体材料と組み合わせて単一投与形態を製造することができる活性成分の量は、処置を受ける宿主及び特定の投与方法に応じて変わる。例えば、ヒトの経口投与用の製剤は、適切で且つ都合がよい量の担体材料と混合された状態で約0.5mg〜5gの活性薬剤を含むことができ、ここで、担体材料の量は組成物全体の約5%〜約95%で変動し得る。投与単位形態は、概して、約1mg〜約500mgの活性成分を含み、典型的には、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgの活性成分を含む。
【0053】
しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の投与量レベルが、年齢、体重、身体全体の健康状態、性別、規定食、投与時間、投与経路、排出速度、薬物の組合せ及び治療を受けている特定の疾患の重症度などを包含する様々な要因に依存するということは理解されるであろう。
【0054】
光学異性体−ジアステレオマー
【0055】
式(I)の化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでいる場合があり、従って、ラセミ化合物及びラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物並びに個々のジアステレオマーとして存在し得る。本発明は、式(I)の化合物のそのような全ての異性体形態を包含するものである。
【0056】
本明細書に記載されている化合物の中にはオレフィン性二重結合を含んでいるものがあるが、そのような化合物は、特に別段の規定がなされていない限り、E幾何異性体及びZ幾何異性体のいずれも包含するものである。
【0057】
本明細書に記載されている化合物の中には、水素が異なった位置に結合して存在し得るものがあり、それらは互変異性体と称される。そのようなものの例は、ケト−エノール互変異性体として知られているケトンとそのエノール形態であり得る。個々の互変異性体及びその混合物は、式(I)の化合物に包含される。
【0058】
式(I)の化合物は、例えば、適切な溶媒(例えば、メタノール又は酢酸エチル又はそれらの混合物など)からの分別結晶により、エナンチオマーのジアステレオマー対に分離することができる。そのようにして得られたエナンチオマーの対は、慣習的な手段により、例えば、分割剤(resolving agent)として光学活性な酸を使用することにより、個々の立体異性体に分離することができる。
【0059】
あるいは、立体配置が知られている光学的に純粋な出発物質又は試薬を用いる立体特異的合成により、一般式(I)の化合物の任意のエナンチオマーを得ることができる。
【0060】
合成方法
【0061】
スキーム1に示してあるように、NSAID類のジェミナル二置換誘導体は、親化合物の酸を標準的なフィッシャーのエステル化反応に付して対応するエステルとし、得られたエステルを、次いで、強塩基と共溶媒(例えば、HMPA又はDMPU)と適切なアルキル化剤を用いてアルキル化することにより、該酸化合物から容易に合成される。得られたエステルは、次いで、標準的な条件下で加水分解するか、又は、さらに容易な方法で、カリウムトリメチルシラノラートを用いて加水分解する。
【0062】
スキーム1: 酸性NSAID類をアルキル化するための一般的なスキーム
【0063】
【化18】

【0064】
カプロフェン(caprofen)及びインドメタシンのジェミナル二置換誘導体の製造に用いることができる方法については、スキーム2及びスキーム3に示してある。
【0065】
スキーム2: カプロフェン誘導体の合成
【0066】
【化19】

【0067】
スキーム3: インドメタシン誘導体の合成
【0068】
【化20】

【0069】
式(I)[式中、Xはテトラゾリルである]で表されるフルルビプロフェンの製造方法は、下記スキーム4により構成し得る。
【0070】
スキーム4: フルルビプロフェン誘導体の合成
【0071】
【化21】

【0072】
本発明の別のテトラゾリル誘導体の製造方法は、当業者であれば、上記方法から理解することができる。
【0073】
(実施例)
【0074】
代表的な実施例
【0075】
以下の非限定的な実施例により、さらに、本発明を例証する。
【0076】
実施例1
【0077】
2−(2−フルオロ−1,1'−ビフェニル−4−イル)−2−メチルプロパン酸
【0078】
【化22】

【0079】
メタノール(120mL)中の2−フルオロ−α−メチル−4−ビフェニル酢酸(5.00g, 20.5mmol)に、濃HSO(0.1mL)を添加し、得られた溶液を、12時間加熱還流した。冷却後、固体状のNaHCO(約5g)を添加した。得られた懸濁液を10分間撹拌し、濾過した。濾液を蒸発乾燥させた。残渣を酢酸エチル(約100mL)で抽出し、濾過し、蒸発乾燥させて、該メチルエステルを無色の油状物として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.46(2H, m), 7.26−7.38(4H, m), 7.04−7.09(2H, m), 3.68(1H, q, J=7.2Hz), 3.63(3H, s), 1.46(3H, d, J=7.2Hz)。
【0080】
該メチルエステル(2−(2−フルオロ−1,1'−ビフェニル−4−イル)プロパン酸メチル)(1.00g, 3.87mmol)をTHF(7mL)に溶解させた溶液を−78℃に冷却し、それに、リチウムジイソプロピルアミド(THF中の0.64M溶液;7.8mL, 1.3当量)を滴下して加えた。得られた橙色/赤色の溶液を−78℃で30分間撹拌した。次いで、氷浴を用いて0℃まで昇温させた後、乾燥ヘキサメチルホスホルアミド(1mL)を添加した。0℃でさらに30分経過した後、ヨウ化メチル(482μL, 7.74mmol)を一度に添加した。その際、赤色が完全に消失するのが観察された。撹拌をさらに30分間継続し、その時点で、飽和NHCl水溶液を添加した。得られたスラリーをEtOAc(50mL)で希釈した。有機相を水で洗浄した後、ブラインで洗浄し、脱水した(MgSO)。濾液を蒸発乾燥させて、所望のアルキル化生成物を無色の油状物として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.47(2H, m), 7.29−7.38(4H, m), 7.06−7.18(2H, m), 3.62(3H, s), 1.54(6H, s)。
【0081】
上記で単離した油状物(200mg, 0.734mmol)をTHF(2mL)中に入れ、それに、カリウムトリメチルシラノラート(90%工業用原体;110mg;0.771mmol)を添加した。得られた溶液を45℃に2時間加熱した。70mgの試薬をさらに添加し、加熱をさらに30分間継続した。この溶液を冷却し、EtOAc(10mL)で希釈し、0.5MのHClで約pH3に酸性化した。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機相を合して脱水し(MgSO)、濾過し、蒸発乾燥させて、所望の酸(2−(2−フルオロ−1,1'−ビフェニル−4−イル)−2−メチルプロパン酸)を無色の粉状物として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.53(2H, m), 7.45−7.35(4H, m), 7.26−7.21(2H, m), 1.64(6H, s)。
【0082】
実施例2
【0083】
2−メチル−2−(3−フェノキシ−フェニル)−プロピオン酸
【0084】
【化23】

【0085】
2−(3−フェノキシ−フェニル)−プロピオン酸カルシウム水和物(5.00g, 9.57mmol)をメタノール(150mL)に懸濁させた懸濁液に濃HSO(1.1mL)を添加し、得られたゼラチン状の溶液を4時間加熱還流した。その溶液を冷却した後、濾過し、蒸発乾燥させた。残渣をEtOAcに溶解させ、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、脱水し(MgSO)、蒸発させて、2−(3−フェノキシ−フェニル)−プロピオン酸メチルを無色の油状物として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.34(2H, m), 7.26(1H, m), 7.11(1H, m), 6.99−7.02(4H, m), 6.87(1H, m), 3.70(1H, q, J=7.2Hz), 3.67(3H, s), 1.58(3H, d, J=7.2Hz)。
【0086】
2−(3−フェノキシ−フェニル)−プロピオン酸メチル(1.00g, 3.90mmol)をTHF(7mL)に溶解させた溶液を−78℃に冷却し、それに、リチウムジイソプロピルアミド(THF中0.64M溶液;7.8mL, 1.3当量)を滴下して加えた。得られた溶液を−78℃で30分間撹拌した後、氷浴を用いて0℃まで昇温させ、次いで、乾燥ヘキサメチルホスホルアミド(1mL)を添加した。0℃でさらに30分経過した後、ヨウ化メチル(482μL, 7.74mmol)を一度に添加した。さらに1時間撹拌を継続し、その時点で、飽和NHCl水溶液を添加した。得られたスラリーをEtOAc(50mL)で希釈した。有機相を水で洗浄した後、ブラインで洗浄し、脱水した(MgSO)。濾液を蒸発乾燥させて、所望のアルキル化生成物を無色の油状物として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.33(2H, m), 7.27(1H, m), 6.80−7.13(5H, m), 6.86(1H, m), 3.65(3H, s), 1.55(6H, s)。
【0087】
2−メチル−2−(3−フェノキシ−フェニル)−プロピオン酸メチル(712mg, 2.63mmol)をTHF(8mL)に溶解させた溶液に、カリウムトリメチルシラノラート(90%工業用原体;563mg;1.5当量)を添加し、得られた溶液を45℃に5時間加熱した。その溶液を冷却し、EtOAc(15mL)で希釈し、2MのHClで約pH3に酸性化した。有機層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。有機相を合して脱水し(MgSO)、濾過し、蒸発乾燥させて、所望の酸である2−メチル−2−(3−フェノキシ−フェニル)−プロピオン酸を無色の粉状物として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.25−7.35(3H, m), 7.08−7.16(3H, m), 7.01(2H, dd, J=7.7, 0.6Hz), 6.86(1H, dd, J=8.1, 2.3Hz), 1.58(6H, s)。
【0088】
実施例3
【0089】
2−(4−イソブチル−フェニル)−2−メチル−プロピオン酸
【0090】
【化24】

【0091】
2−(4−イソブチル−フェニル)−プロピオン酸(5.00g, 24.2mmol)を無水MeOH(150mL)に溶解させた溶液に、濃HSO(触媒として)を添加し、5時間加熱還流した。冷却後、その溶液を蒸発乾燥させた。残渣を塩化メチレンに溶解させ、脱水し(MgSO)、濾過し、蒸発させて、2−(4−イソブチル−フェニル)−プロピオン酸メチルを無色の油状物として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.19(2H, d, J=8.1Hz), 7.09(2H, d, J=8.1Hz), 3.71(1H, q, J=7.2Hz), 3.66(3H, s), 2.44(2H, d, J=7.2Hz), 1.84(1H, app. 7重線, J=6.7Hz), 1.48(3H, d, J=7.2Hz), 0.90(6H, d, J=6.6Hz)。
【0092】
2−(4−イソブチル−フェニル)−プロピオン酸メチル(1.00g;4.54mmol)をTHF(8mL)に溶解させた溶液を−78℃に冷却し、それに、リチウムジイソプロピルアミド(THF中の0.64M溶液;9.25, 1.3当量)を滴下して加えた。得られた溶液を−78℃で30分間撹拌した。次いで、氷浴を用いて0℃まで昇温させた後、乾燥ヘキサメチルホスホルアミド(1mL)を添加した。0℃でさらに30分経過した後、ヨウ化メチル(565μL, 9.08mmol)を1度に添加した。さらに1時間撹拌を継続し、その時点で、飽和NHCl水溶液を添加した。得られたスラリーをEtOAc(50mL)で希釈し、有機相を水で洗浄した後、ブラインで洗浄し、脱水した(MgSO)。濾液を蒸発乾燥させて、所望のアルキル化生成物を無色の油状物として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.23(2H, d, J=8.3Hz), 7.09(2H, d, J=8.3Hz), 3.65(3H, s), 2.44(2H, d, J=7.2Hz), 1.85(1H, app. 7重線, J=6.8Hz), 1.56(6H, s), 0.90(6H, d, J=6.6Hz)。
【0093】
先に単離した油状物(666mg, 2.84mmol)をTHF(9mL)に溶解させた溶液に、カリウムトリメチルシラノラート(90%工業用原体;608mg;1.5当量)を添加し、得られた溶液を45℃に5時間加熱した。その溶液を冷却し、EtOAc(15mL)で希釈し、2MのHClで約pH3に酸性化した。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機相を合して脱水し(MgSO)、濾過し、蒸発乾燥させて、所望の酸である2−(4−イソブチル−フェニル)−2−メチル−プロピオン酸を無色の粉状物として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.31(2H, d, J=8.2Hz), 7.11(2H, d, J=8.2Hz), 2.45(2H, d, J=7.2Hz), 1.85(1H, app. 7重線, J=6.8Hz), 1.59(6H, s), 0.90(6H, d, J=6.6Hz)。
【0094】
実施例4
【0095】
2−(6−クロロ−9H−カルバゾール−2−イル)−2−メチル−プロピオン酸
【0096】
【化25】

【0097】
2−(6−クロロ−9H−カルバゾール−2−イル)−プロピオン酸(356mg, 1.30mmol)のメタノール溶液(50mL)に濃HSO(触媒として)を添加し、その混合物を12時間加熱還流した。得られた溶液を蒸発乾燥させ、残渣を、カラムクロマトグラフィー(0から20%までのEtOAc:ヘキサン)で精製して、該メチルエステルを無色の油状物として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 8.16(1H, s), 7.98(1H, d, J=1.3Hz), 7.94(1H, d, J=8.1Hz), 7.27−7.36(3H, m), 7.17(1H, d, J=8.1Hz), 3.89(1H, q, J=7.1Hz), 3.69(3H, s), 1.59(3H, d, J=7.1Hz)。
【0098】
2−(6−クロロ−9H−カルバゾール−2−イル)−プロピオン酸メチル(353mg, 1.23mmol)をTHF(3mL)に溶解させた溶液を−78℃に冷却し、それに、リチウムジイソプロピルアミド(THF中の0.64M溶液;4.04mL, 2.1当量)を滴下して加えた。得られた溶液を−78℃で30分間撹拌した。次いで、氷浴を用いて0℃まで昇温させた後、乾燥ヘキサメチルホスホルアミド(1mL)を添加した。0℃でさらに30分経過した後、ヨウ化メチル(84.2μL, 1.35mmol)を1度に添加した。さらに1時間撹拌を継続し、その時点で、飽和NHCl水溶液を添加した。得られたスラリーをEtOAcで希釈し、有機相を水で洗浄し、脱水した(MgSO)。濾液を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィー(0から20%までのEtOAc:ヘキサン)で精製して、少量のビス−アルキル化カルバゾールと一緒に所望のアルキル化生成物を得た。
(主要生成物)H NMR(500MHz, CDCl)δ 8.06(1H, s), 7.98(1H, d, J=1.0Hz), 7.95(1H, d, J=8.2Hz), 7.40(1H, m), 7.34(2H, m), 7.23(1H, dd, J=8.5, 1.5Hz), 3.66(3H, s), 1.67(6H, s)。
【0099】
2−(6−クロロ−9H−カルバゾール−2−イル)−2−メチル−プロピオン酸メチルをTHF(1.5mL)に溶解させた溶液に、カリウムトリメチルシラノラート(189mg;2.5当量)を添加し、この混合物を50℃に3時間加熱した。得られた溶液をEtOAcで希釈し、2MのHClで約pH3に酸性化した。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機相を合して脱水し(MgSO)、濾過し、蒸発乾燥させて、所望の酸である2−(6−クロロ−9H−カルバゾール−2−イル)−2−メチル−プロピオン酸を無色の固体として得た。
H NMR(500MHz, MeOD)δ 7.98(1H, d, J=1.8Hz), 7.96(1H, d, J=8.1Hz), 7.47(1H, d, J=1.5Hz), 7.37(1H, d, J=8.6Hz), 7.29(1H, dd, J=8.6, 2.1Hz), 7.21(1H, d, J=8.4, 1.7Hz), 1.63(6H, s)。
【0100】
実施例5
【0101】
2−[1−(4−クロロ−ベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−2−メチル−プロピオン酸
【0102】
【化26】

【0103】
5−メトキシ−2−メチルインドール(2.5g, 15.5mmol)をTHF(30mL)に溶解させた溶液を氷冷し、それに、n−ブチルリチウム(ヘキサン中の2.5M溶液;6.25mL, 16.28mmol)を滴下して加えた。20分経過した後、ZnCl(エーテル中の1M溶液;15.5mL, 1.0当量)を添加し、得られた溶液を0℃で2時間撹拌した。次いで、溶媒を除去し、残渣を無水トルエン(30mL)に溶解させ、それに、臭化2−ブロモイソブチリル(1.93mL, 16.28mmol)を添加した。この混合物を周囲温度で24時間撹拌した。得られた溶液を、1M HCl(100mL)とEtOAc(100mL)の間で分配させた。有機相を分離し、水で洗浄し、脱水し(MgSO)、濾過し、蒸発乾燥させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(0から25%までのEtOAc:ヘキサン)で精製して、2.0gの2−ブロモ−1−(5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−2−メチル−プロパン−1−オンを黄色の固体として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 8.52(1H, s), 7.97(1H, d, J=2.2Hz), 7.21(1H, d, J=8.8Hz), 6.87(1H, dd, J=8.8, 2.2Hz), 3.91(3H, s), 2.67(3H, s), 2.13(6H, s)。
【0104】
NaOH(1.6g)をEtOH(13.4mL)と水(3.3mL)に溶解させた溶液に、上記臭化物(500mg;1.61mmol)を少量ずつ1時間かけて添加した。この溶液を濃縮し、残渣を、NaHCO溶液(3:1 水:飽和NaHCO水溶液)とジエチルエーテルの間で分配させた。有機層を希NaHCO溶液でさらに2回抽出し、水層を4MのHClで慎重にpH3まで酸性化した。酸性の水相をジエチルエーテル(×3)で抽出し、脱水し(MgSO)、濾過し、蒸発させて、2−(5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−2−メチル−プロピオン酸を橙色の泡状物として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.64(1H, s), 7.13(1H, d, J=8.7Hz), 7.07(1H, d, J=2.2Hz), 6.77(1H, dd, J=8.7, 2.2Hz), 3.74(3H, s), 2.44(3H, s), 1.75(6H, s);LCMS(EI)248(M+H)
【0105】
2−(5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−2−メチル−プロピオン酸(150mg, 0.611mmol)をTHF(4mL)に溶解させた溶液を氷冷し、それに、KHMDS(トルエン中の0.5M溶液;3.1mL, 1.55mmol)を添加し、得られた溶液を0℃で20分間撹拌した。塩化4−クロロベンゾイル(85.4uL, 0.672mmol)を添加し、この溶液を周囲温度まで昇温させた。30分経過した後、飽和NHCl水溶液を添加した。水層を希HClで酸性化し、EtOAcで抽出した。有機相を脱水し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー(0から30%までのアセトン:ヘキサン)で精製して、2−[1−(4−クロロ−ベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール−3−イル]−2−メチル−プロピオン酸を橙色の泡状物として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.69(2H, d, J=8.4Hz), 7.46(2H, d, J=8.4Hz), 7.08(1H, d, J=2.4Hz), 6.91(1H, d, J=9.0Hz), 6.66(1H, dd, J=9.0, 2.4Hz), 3.74(3H, s), 2.39(3H, s), 1.79(6H, s);LCMS(EI)386(M+H)
【0106】
実施例6
【0107】
5−[1−(2−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−1−メチル−エチル]−2H−テトラゾール
【0108】
【化27】

【0109】
1−ブロモ−2−フルオロ−4−メチル−ベンゼン(5.0g, 26.45mmol)とN−ブロモスクシンイミド(4.94g, 27.75mmol)と過酸化ベンゾイル(100mg)を四塩化炭素(75mL)に溶解させた溶液を、3時間加熱還流し、冷却し、濾過した。残渣をシリカゲルのプラグに通し、ヘキサンで溶離させた。溶媒を蒸発させることで乾燥させて、無色の油状物を得た。この粗生成物(1.73g, 6.46mmol)とシアン化ナトリウム(317mg, 6.46mmol)をエタノール(17mL)と水(3mL)の混合物中で4時間加熱還流した。冷却後、この溶液を蒸発乾燥させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の0%から10%までのEtOAc)で精製して、(4−ブロモ−3−フルオロ−フェニル)−アセトニトリルを淡橙色の固体として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.56(1H, m), 7.12(1H, d, J=8.9Hz), 7.02(1H, d, J=8.9Hz), 3.73(3H, s)。
【0110】
(4−ブロモ−3−フルオロ−フェニル)−アセトニトリル(457mg, 2.14mmol)と炭酸ナトリウム(1.00g, 9.45mmol)とフェニルボロン酸(781mg, 6.41mmol)を含んでいる、水(3mL)とトルエン(10mL)の2相混合物を、窒素で10分間スパージし、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(250mg)を添加した。この混合物を48時間加熱還流した。冷却後、得られた溶液をEtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機相を脱水し(MgSO)、濾過し、蒸発乾燥させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の0%から10%までのEtOAc)で精製して、(2−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−アセトニトリルを無色の固体として得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.54(2H, m), 7.46(3H, m), 7.40(1H, m), 7.17(2H, m), 3.79(3H, s)。
【0111】
先に単離したビフェニル(328mg, 1.55mmol)を乾燥THF(7mL)中に入れ、それに、0℃で、NaHMDS(THF中の1.0M溶液;3.41mL, 3.41mmol)を滴下して加えた。15分経過した後、ヨウ化メチル(212μL, 3.41mmol)を添加し、その溶液を周囲温度まで昇温させた。2時間撹拌した後、飽和NHCl水溶液を添加して反応混合物をクエンチし、EtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機相を分離し、脱水し(MgSO)、濾過し、蒸発乾燥させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の0%から10%までのEtOAc)で精製して、2−(2−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−2−メチル−プロピオニトリルを得た。
H NMR(500MHz, CDCl)δ 7.55(2H, m), 7.47(3H, m), 7.40(1H, m), 7.36(1H, m), 7.27(1H, m), 1.77(6H, s)。
【0112】
乾燥トルエン(2.5mL)中の2−(2−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−2−メチル−プロピオニトリル(100mg, 0.418mmol)とアジドトリメチルシラン(222μL, 1.672mmol)とジブチルスズオキシド(20mg)の混合物を、密封容器内で、マイクロ波照射下に、150℃で1000秒間加熱した。得られた溶液を、次いで、EtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機相を分離し、脱水し(MgSO)、濾過し、蒸発乾燥させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(EtOAc)で精製して、標題化合物の5−[1−(2−フルオロ−ビフェニル−4−イル)−1−メチル−エチル]−2H−テトラゾールを無色の粉状物として得た。
H NMR(500MHz, CDOD)δ 7.50(2H, m), 7.40−7.46(3H, m), 7.35(1H, m), 7.05−7.12(2H, m), 1.87(6H, s);LCMS(EI)283.1(M+H), 324.2(M+Na+HO)
【0113】
本発明のさらなる化合物を以下の表に例示する。
【0114】
【化28】


【0115】
生物学的活性を確認するためのアッセイ
【0116】
Aβ1−40及びAβ1−42のレベルを測定するためのプロトコル
【0117】
第1日目
【0118】
・ β−セクレターゼで切断されている形態のAPPを過剰に発現するSHSY5Y神経芽細胞腫細胞(ATCC)を、約50%〜60%の密集度となるまで増殖させる。あるいは、APP695を過剰に発現するCHO細胞又はHEK細胞を使用することも可能である(Beherら, J.Neurochem. 2002)。
・ 細胞の培地を替え、酪酸ナトリウム(10mM)を添加して約4時間後、細胞を収穫し、カウントし、35000細胞/ウェルで、96ウェルプレートの10%FBS(加熱処理したもの)と50mMのHEPESと1%グルタミンを加えてある100μLのMEM(HEPES及びフェノールレッド非含有)に播種する。
(CHO又はHEKに対しては、誘導は必要ない)
・ 被験化合物の200mM原液を用いてDMSOで希釈し、100%DMSO中の60mM、20mM、6mM及び2mMの最終濃度とする。
・ 上記希釈化合物の10μLを化合物希釈培地[50mMのHEPESと1%グルタミンを加えてあるMEM(HEPES及びフェノールレッド非含有)]で182μLまで希釈する。
・ この希釈物の10μLを、播種後1〜2時間の上記細胞に添加する。A1−D1及びE12からH12までのウェルの中の細胞には、化合物希釈培地中の5.5%DMSO(10μL)を添加する。A12−D12のウェルには、5.5%DMSO/化合物希釈培地中の2mMのL−685458(10μL)を添加する。
・ 37℃、5%COで一晩インキュベーションする。
【0119】
第2日目
【0120】
データの読み取りには、Origen ECLシステム(Igen Europe Inc., UK)を使用する。
【0121】
ウェブサイト:http://www.igen.com/jumppage.htm
カタログ番号 310800
以下のように、適切なOrigen抗体混合物を作製する:
Aβ40:1プレート当たり、2.75mLのOrigenバッファー、1μg/mLのRu−G2−10、4μg/mLの4G8−Bio(Clarke及びShearman,J.Neuroscience Methods,2000)
Aβ42:1プレート当たり、2.75mLのOrigenバッファー、0.5μg/mLのRu−G2−11、4μg/mLの4G8−Bio(Clarke及びShearman,J.Neuroscience Methods,2000)
・ 10μLの培地を40μLのOrigenバッファー(PBS,2%BSA、0.2%Tween−20)と一緒に、Aβ40を測定するための新たなOrigenプレートに移す。*Origenバッファーの原液は、2日よりも古いものであってはならない。
・ 50μLの培地を、Aβ42を測定するための新たなOrigenプレートに移す。
・ 25μLの適切なOrigenミックスをプレートに添加して、そのプレートを4℃で振盪機上に一晩保存する。
・ 該細胞及び残りの培地に、5μLの10×MTS/PESを添加した後、インキュベーターに戻す。混合し、次いで、約4時間後、プレートを492nmで読み取る。
・ (注意:別の細胞系については、30分後にプレートをチェックすること。CHO細胞及びHEK細胞は、黄色のMTS混合物を茶色がかった紫色のホルマザンに急速に変換する。理想的には、吸光度は、0.3〜0.6単位であるべきである)
【0122】
第3日目
【0123】
・ Origenプレートリーダーを校正する。
・ ストレプトアビジンダイナビーズプレミックスを以下のように作製する:
Aβ40及びAβ42:1プレート当たり2.75mLのOrigenバッファーに、400μg/mL(110μL)のストレプトアビジンダイナビーズを入れる。
・ 1ウェル当たり25μLのビーズプレミックスを添加し、室温下、振盪機上で15分間インキュベーションする。(プレートが複数の場合、開始時刻をずらして、確実に15分間のインキュベーションを実施する)
・ 全てのウェルに、150μLのOrigenバッファーを入れる(空のウェルには、250μL)。
・ Origenリーダーで、プレートを読み取る(1プレート当たり、約10分の時間をかける)。
【0124】
上記アッセイ条件を用いて、本発明の化合物がAβ40のレベルに比較してAβ42のレベルを選択的に低減することが示された。従って、本発明の化合物は、アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させるのに有用である。
【0125】
別の実施形態では、本発明は、式(I'):
【0126】
【化29】

[式中、
Zは、フェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニルからなる群から選択され;
Xは、−COH、1H−テトラゾール−5−イル又は2H−テトラゾール−5−イルであり;
及びRは、それぞれ独立して、エチル又はメチルであり;
及び
各Rは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、NH、メチル、エチル、メトキシ及びCFからなる群から選択される]
で表される化合物又はその製薬上許容される塩を包含する。
【0127】
本発明の一実施形態には、式中のZがフェニルである式(I')の化合物が包含される。
【0128】
本発明の別の実施形態には、式中のR基が存在しない式(I')の化合物が包含される。
【0129】
本発明の別の実施形態には、式中のR及びRがそれぞれメチルである式(I')の化合物が包含される。
【0130】
本発明の別の実施形態には、式中のXが−COHである式(I')の化合物が包含される。
【0131】
本発明の別の実施形態には、式中のXが1H−テトラゾール−5−イル又は2H−テトラゾール−5−イルである式(I')の化合物が包含される。
【0132】
本発明の別の実施形態には、式中のRがフルオロ、クロロ及びブロモからなる群から選択される式(I')の化合物が包含される。
【0133】
本発明の別の実施形態には、式(I'a):
【0134】
【化30】

[式中、
Xは、−COH、1H−テトラゾール−5−イル又は2H−テトラゾール−5−イルであり;
及びRは、それぞれ独立して、エチル又はメチルである]
で表される化合物又はその製薬上許容される塩が包含される。
【0135】
本発明の別の実施形態には、製薬上許容される担体と組み合わせて式(I')の化合物を含有している医薬組成物が包含される。
【0136】
本発明の別の実施形態には、アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させることを必要としている患者のアルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させる方法が包含され、ここで、該方法は、該患者に、アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させるのに有効な量の式(I')の化合物を投与することを含んでなる。
【0137】
本発明の別の実施形態には、アルツハイマー病の治療を必要としている患者のアルツハイマー病を治療する方法が包含され、ここで、該方法は、該患者に、アルツハイマー病を治療するのに有効な量の式(I')の化合物を投与することを含んでなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Xは、−COH、1H−テトラゾール−5−イル又は2H−テトラゾール−5−イルであり;
各Rは、Aの置換可能ないずれかの位置に置換することができ、また、各Rは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、NH、メチル、エチル、メトキシ及びCFからなる群から選択され;
及びRは、それぞれ独立して、C1〜6アルキル及びC3〜6シクロアルキルからなる群から選択され;
及び
Aは、
【化2】



からなる群から選択され、ここで、上記38)については、Rは、図示されているようにAにおいて置換しており、また、Zは、フェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニルからなる群から選択される]
で表される化合物又はその製薬上許容される塩。
【請求項2】
及びRが、それぞれC1〜4アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが−COHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Xが、1H−テトラゾール−5−イル又は2H−テトラゾール−5−イルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Aが
【化3】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
基が存在しない、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
及びRが、それぞれC1〜4アルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
Aが
【化4】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
基が存在しない、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
及びRが、それぞれC1〜4アルキルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
Aが
【化5】

であり、2つの付加的なR基が、上記Aの置換可能ないずれかの位置に置換することができる、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
基が存在しない、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
及びRが、それぞれC1〜4アルキルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
Aが
【化6】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
及びRが、それぞれC1〜4アルキルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
下記群:
【化7】


から選択される化合物又は上記の何れかの製薬上許容される塩。
【請求項17】
及びRが、それぞれメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
がメチルであり、Rがエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
製薬上許容される担体と組み合わせて請求項1に記載の化合物を含有している医薬組成物。
【請求項20】
アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させることを必要としている患者のアルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させる方法であって、該患者に、アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させるのに有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項21】
アルツハイマー病の治療を必要としている患者のアルツハイマー病を治療する方法であって、該患者に、アルツハイマー病を治療するのに有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項22】
式(I'):
【化8】

[式中、
Zは、フェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル及びテトラヒドロチエニルからなる群から選択され;
Xは、−COH、1H−テトラゾール−5−イル又は2H−テトラゾール−5−イルであり;
及びRは、それぞれ独立して、エチル又はメチルであり;
及び
各Rは、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、NH、メチル、エチル、メトキシ及びCFからなる群から選択される]
で表される、請求項1に記載の化合物、又はその製薬上許容される塩。
【請求項23】
Zがフェニルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
基が存在しない、請求項22に記載の化合物。
【請求項25】
及びRが、それぞれメチルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項26】
Xが−COHである、請求項22に記載の化合物。
【請求項27】
Xが、1H−テトラゾール−5−イル又は2H−テトラゾール−5−イルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項28】
が、フルオロ、クロロ及びブロモからなる群から選択される、請求項22に記載の化合物。
【請求項29】
式(I'a):
【化9】

[式中、
Xは、−COH、1H−テトラゾール−5−イル又は2H−テトラゾール−5−イルであり;
及びRは、それぞれ独立して、エチル又はメチルである]
で表される、請求項22に記載の化合物、又はその製薬上許容される塩。
【請求項30】
製薬上許容される担体と組み合わせて請求項22に記載の化合物を含有している医薬組成物。
【請求項31】
アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させることを必要としている患者のアルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させる方法であって、該患者に、アルツハイマー病の進行を防止するか又は遅らせるか又は逆転させるのに有効な量の請求項22に記載の化合物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項32】
アルツハイマー病の治療を必要としている患者のアルツハイマー病を治療する方法であって、該患者に、アルツハイマー病を治療するのに有効な量の請求項22に記載の化合物を投与することを含んでなる、前記方法。

【公表番号】特表2006−517925(P2006−517925A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500855(P2006−500855)
【出願日】平成16年1月9日(2004.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/000424
【国際公開番号】WO2004/064771
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】