説明

A−87774化合物又はその塩を含有する除草性組成物

【課題】種々の雑草に対し高い除草効果を有する除草性組成物を提供する。
【解決手段】ストレプトマイセス属の微生物が生産する物質から単離されたA−87774化合物又はその塩と、第2除草性化合物として、例えばグリホサート、グルホシネート、ビアラホス等のアミノ酸系除草性化合物、パラコート等のビピリジウム系除草性化合物を含有する組成物。水和剤として製剤し、土壌処理又は茎葉処理に使用することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、A−87774化合物又はその塩、及び
第2除草性化合物として、
(A1)シクロヘキサンジオンオキシム系除草性化合物、
(A2)アリロキシフェノキシプロピオン酸系除草性化合物、
(A3)スルホニルウレア系除草性化合物、
(A4)スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系除草性化合物、
(A5)ピリミジニルサリチル酸系除草性化合物、
(A6)トリアゾロピリミジン系除草性化合物、
(A7)イミダゾリノン系除草性化合物、
(A8)フェニルカーバメート系除草性化合物、
(A9)ウラシル系除草性化合物、
(A10)ウレア系除草性化合物、
(A11)トリアジノン系除草性化合物、
(A12)トリアジン系除草性化合物、
(A13)ビピリジウム系除草性化合物、
(A14)ジフェニルエーテル系除草性化合物、
(A15)トリアゾリノン系除草性化合物、
(A16)オキサジアゾール系除草性化合物、
(A17)ピリミジンジオン系除草性化合物、
(A18)ピラゾール系除草性化合物、
(A19)トリケトン系除草性化合物、
(A20)アミノ酸系除草性化合物、
(A21)ジニトロアニリン系除草性化合物、
(A22)クロロアセトアミド系除草性化合物、
(A23)チオカーバメート系除草性化合物、
(A24)ピリジンカルボン酸系除草性化合物、
(A25)キノリンカルボン酸系除草性化合物、
(A26)フェノキシカルボン酸系除草性化合物、若しくは
(A27)アイオキシニル、ブロモキシニル、ジクロベニル、アミカルバゾン、クロリダゾン、ベンタゾン、カルブチレート、プロパニル、ピリデート、ピラフルフェンエチル、シニドンエチル、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン、ピコリナフェン、アクロニフェン、フルリドン、ノルフルラゾン、ジフルフェニカン、ベフルブタミド、フルロクロリドン、フルルタモン、イソキサフルトール、クロマゾン、アシュラム、ジチオピル、チアゾピル、ジカンバ、ベナゾリン、ジフルフェンゾピル、ナプタラム、ナプロパミド、テトラピオン、ピノキサデン、ピロキサスルホン、インダジフラム、アミノシクロピラクロール、及び6−クロロ−3−(2−シクロプロピル−6−メチルフェノキシ)−4−ピリダジニル 4−モルホリンカルボキシレートからなる群より選択される除草性化合物
又はそれらの塩のうち、少なくとも1種類の化合物又はそれらの塩を含有する除草性組成物、及び該除草性組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、農耕地用及び非農耕地用除草剤として数多くの除草剤が実用化され、単剤及び混合剤として広く一般に使用されている。しかしながら、雑草の種類は多種に及び、また各雑草の発芽及び生育時期は一様ではなく、一回の除草剤散布ですべての雑草を防除することは非常に困難である。したがって、除草剤としては、多くの種類の雑草を枯殺できる、すなわち殺草スペクトルが広く、生育の進んだ雑草にも有効で、抑草効果が一定期間維持できる薬剤の出現が強く要望されている。
【0003】
除草剤としては、以下に説明する薬剤が従来使用されている。
【0004】
シクロヘキサンジオンオキシム系はよく知られた除草剤の分類である。(A1)シクロヘキサンジオンオキシム系除草性化合物は、例えば、ブトロキシジム、プロフォキシジム、クレトジム、テプラロキシジム、トラルコキシジム、セトキシジム、シクロキシジムであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 126-127、808-809、185-186、936-937、982-983、887-888、223-224頁に記載されている。
【0005】
アリロキシフェノキシプロピオン酸系はよく知られた除草剤の分類である。(A2)アリロキシフェノキシプロピオン酸系除草性化合物は、例えば、プロパキザホップ、キザロホップ、ハロキシホップ、フルアジホップブチル、フルアジホップ−P−ブチル、シハロホップブチル、クロジナホッププロパルギル、ジクロホップメチル、フェノキサプロップ−P−エチルであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 818-819、875-876、524-526、443-444、444-446、229-230、186-187、293-295、414-415頁に記載されている。
【0006】
スルホニルウレア系はよく知られた除草剤の分類である。(A3)スルホニルウレア系除草性化合物は、例えば、アミドスルフロン、アジムスルフロン、トリフロキシスルフロン、ベンスルフロンメチル、シクロスルファムロン、フルピルスルフロンメチル、フォーラムスルフロン、クロリムロンエチル、エタメトスルフロンメチル、ハロスルフロンメチル、ニコスルフロン、クロルスルフロン、エトキシスルフロン、イマゾスルフロン、オキサスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、トリトスルフロン、シノスルフロン、フラザスルフロン、ヨードスルフロンメチル、プリミスルフロンメチル、リムスルフロン、チフェンスルフロンメチル、メソスルフロンメチル、メトスルフロンメチル、プロスルフロン、トリアスルフロン、トリフルスルフロンメチル、スルホスルフロン、トリベヌロンメチル、トリフロキシスルフロンであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 27-28、46-47、1008-1009、73-74、222-223、470-471、494-495、161-162、376-377、523-524、702-703、176-177、386-387、560-561、731-732、847-848、1022、184-185、437-438、573-574、800-801、881-882、963-965、630、677-678、836-837、990-991、1014-1015、913-915、996-998、1008-1009頁に記載されている。また、フルセトスルフロン(CAS No.412928-75-7)、プロピリスルフロン(CAS No.570415-88-2)も、(A3)スルホニルウレア系除草性化合物である。さらに下記一般式、
【化1】


で表される化合物も、(A3)スルホニルウレア系除草性化合物である。
【0007】
スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系はよく知られた除草剤の分類である。(A4)スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系除草性化合物は、例えば、フルカルバゾン、プロポキシカルバゾンであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 447-448、831-832頁に記載されている。また、チエンカルバゾンメチル(CAS No.317815-83-1)も、(A4)スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系除草性化合物である。
【0008】
ピリミジニルサリチル酸系はよく知られた除草剤の分類である。(A5)ピリミジニルサリチル酸系除草性化合物は、例えば、ビスピリバック、ピリベンゾキシム、ピリチオバック、ピリフタリド、ピリミノバックメチルであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 96-97、852-853、865-866、860-861、863-864頁に記載されている。また、ピリミスルファン(CAS No.221205-90-9)も、(A5)ピリミジニルサリチル酸系除草性化合物である。
【0009】
トリアゾロピリミジン系はよく知られた除草剤の分類である。(A6)トリアゾロピリミジン系除草性化合物は、例えば、クロランスラムメチル、ジクロスラム、フロラスラム、フルメトスラム、メトスラム、ペノキススラムであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 197-198、297-298、440-441、459-460、673-674、753-754頁に記載されている。
【0010】
イミダゾリノン系はよく知られた除草剤の分類である。(A7)イミダゾリノン系除草性化合物は、例えば、イマザピック、イマザピル、イマザメタベンズメチル、イマザキン、イマザモックス、イマゼタピルであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 554-555、555-556、551-552、557-558、552-553、558-560頁に記載されている。
【0011】
フェニルカーバメート系はよく知られた除草剤の分類である。(A8)フェニルカーバメート系除草性化合物は、例えば、デスメディファム、フェンメディファムであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 274-275、762-763頁に記載されている。
【0012】
ウラシル系はよく知られた除草剤の分類である。(A9)ウラシル系除草性化合物は、例えば、ブロマシル、レナシル、ターバシルであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 106-107、597-598、937-938頁に記載されている。
【0013】
ウレア系はよく知られた除草剤の分類である。(A10)ウレア系除草性化合物は、例えば、メタベンチアズロン、クロロトルロン、フルオメツロン、イソプロツロン、イソウロン、ジウロン、リニュロンであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 644-645、170-171、463-464、584-585、586、347-348、599-600頁に記載されている。また、テブチウロン(CAS No.34014-18-1)も、(A10)ウレア系除草性化合物である。
【0014】
トリアジノン系はよく知られた除草剤の分類である。(A11)トリアジノン系除草性化合物は、例えば、ヘキサジノン、メタミトロン、メトリブジンであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 539-540、639-640、675-676頁に記載されている。
【0015】
トリアジン系はよく知られた除草剤の分類である。(A12)トリアジン系除草性化合物は、例えば、アメトリン、アトラジン、ジメタメトリン、シアナジン、プロメトリン、シマジン、シメトリンであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 25-26、39-41、319-320、215-216、812-813、891-892、893-894頁に記載されている。
【0016】
ビピリジウム系はよく知られた除草剤の分類である。(A13)ビピリジウム系除草性化合物は、例えば、パラコート、ジクワットであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 742-743、341-342頁に記載されている。
【0017】
ジフェニルエーテル系はよく知られた除草剤の分類である。(A14)ジフェニルエーテル系除草性化合物は、例えば、アシフルオフェン、ビフェノックス、ホメサフェン、ラクトフェン、オキシフルオルフェンであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 11-12、86-87、492-493、596-597、738-739頁に記載されている。
【0018】
トリアゾリノン系はよく知られた除草剤の分類である。(A15)トリアゾリノン系除草性化合物は、例えば、カルフェントラゾンエチル、スルフェントラゾンであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 143-144、910-911頁に記載されている。
【0019】
オキサジアゾール系はよく知られた除草剤の分類である。(A16)オキサジアゾール系除草性化合物は、例えば、オキサジアルギル、オキサジアゾンであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 728-729、727-728頁に記載されている。
【0020】
ピリミジンジオン系はよく知られた除草剤の分類である。(A17)ピリミジンジオン系除草性化合物は、例えば、ブタフェナシルであり、The Pesticide Manual 13th Edition 120-121頁に記載されている。また、サフルフェナシル(CAS No.372137-35-4)も、(A17)ピリミジンジオン系除草性化合物である。
【0021】
ピラゾール系はよく知られた除草剤の分類である。(A18)ピラゾール系除草性化合物は、例えば、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ベンゾフェナップであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 844-845、848-849、81頁に記載されている。また、トプラメゾン(CAS No.210631-68-8)、ピラスルフォトール(CAS No.365400-11-9)も、(A18)ピラゾール系除草性化合物である。
【0022】
トリケトン系はよく知られた除草剤の分類である。(A19)トリケトン系除草性化合物は、例えば、メソトリオン、スルコトリオン、ベンゾビシクロン、であり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 631-632、908-909、80頁に記載されている。また、テフリルトリオン(CAS No.473278-76-1)、テンボトリオン(CAS No.335104-84-2)、ビシクロピロン(CAS No.352010-68-5)も、(A19)トリケトン系除草性化合物である。
【0023】
アミノ酸系はよく知られた除草剤の分類である。(A20)アミノ酸系除草性化合物は、例えば、グリホサート、グルホシネート、ビアラホスであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 513-516、511-512、89-90頁に記載されている。
【0024】
ジニトロアニリン系はよく知られた除草剤の分類である。(A21)ジニトロアニリン系除草性化合物は、例えば、ベンフルラリン、エタルフルラリン、ペンディメタリン、ブトラリン、オリザリン、トリフルラリンであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 66-67、375-376、752-753、124-125、723-724、1012-1014頁に記載されている。
【0025】
クロロアセトアミド系はよく知られた除草剤の分類である。(A22)クロロアセトアミド系除草性化合物は、例えば、アセトクロール、ブタクロール、アラクロール、ジメタクロール、ジメテナミド、プロパクロール、テニルクロール、メタザクロール、メトラクロール、S-メトラクロール、プレチラクロール、ペトキサミドであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 89、118-120、17-19、317-318、320-322、813-814、956、641-642、668-669、669-670、799-800、760-761頁に記載されている。
【0026】
チオカーバメート系はよく知られた除草剤の分類である。(A23)チオカーバメート系除草性化合物は、例えば、ベンチオカーブ、ブチレート、エスプロカルブ、モリネート、ジメピペレート、オルベンカルブ、プロスルホカルブ、トリアレートであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 966-967、128-129、373、683-684、316-317、722、835-836、989-990頁に記載されている。
【0027】
ピリジンカルボン酸系はよく知られた除草剤の分類である。(A24)ピリジンカルボン酸系除草性化合物は、例えば、トリクロピル、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラムであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 1001-1002、194-195、478-481、782-785頁に記載されている。また、アミノピラリド(CAS No.150114-71-9)も、(A24)ピリジンカルボン酸系除草性化合物である。
【0028】
キノリンカルボン酸系はよく知られた除草剤の分類である。(A25)キノリンカルボン酸系除草性化合物は、例えば、キンクロラック、キンメラックであり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 869-870、870-871頁に記載されている。
【0029】
フェノキシカルボン酸系はよく知られた除草剤の分類である。(A26)フェノキシカルボン酸系除草性化合物は、例えば、クロメプロップ、MCPA、MCPB、2,4−DB、であり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 192、610-613、614-616、264-266頁に記載されている。また、2,4−Dも、(A26)フェノキシカルボン酸系除草性化合物であり、SHIBUYA INDEX 8th Edition 193頁に記載されている。
【0030】
アイオキシニル、ブロモキシニル、ジクロベニル、アミカルバゾン、クロリダゾン、ベンタゾン、カルブチレート、プロパニル、ピリデート、ピラフルフェンエチル、シニドンエチル、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン、ピコリナフェン、アクロニフェン、フルリドン、ノルフルラゾン、ジフルフェニカン、ベフルブタミド、フルロクロリドン、フルルタモン、イソキサフルトール、クロマゾン、アシュラム、ジチオピル、チアゾピル、ジカンバ、ベナゾリン、ジフルフェンゾピル、ナプタラム、ナプロパミドはいずれも公知の除草性化合物であり、それぞれThe Pesticide Manual 13th Edition 574-576、111-113、281-282、26-27、159-160、77-79、591-592、816-817、857-858、843-844、181-182、460-461、461-462、785-786、13、476-477、711-712、310-311、60-61、477-478、482-483、589-590、191、38-39、346-347、961-962、278-280、62-64、311-312、697-698、696-697頁に記載されている。
【0031】
テトラピオン(CAS No.756-09-2)、ピノキサデン(CAS No.243973-20-8)、ピロキサスルホン(CAS No.447399-55-5)、インダジフラム(CAS No.950782-86-2)、アミノシクロピラクロール(CAS No.858954-83-3)は、いずれも公知の除草性化合物である。
【0032】
6−クロロ−3−(2−シクロプロピル−6−メチルフェノキシ)−4−ピリダジニル 4−モルホリンカルボキシレートは、公知の除草性化合物である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】WO03/016286A1
【非特許文献】
【0034】
【非特許文献1】The Pesticide Manual 13th Edition
【非特許文献2】SHIBUYA INDEX 8th Edition
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明者らは、従来の除草剤の上記問題点を改良する目的で、探索を鋭意進めた結果、新規化合物であるA−87774化合物又はその塩、及び特定の第2除草性化合物又はそれらの塩を有効成分として配合することによって、殺草スペクトルを拡大するとともに、相乗的作用により、より少量の有効成分で主要雑草を防除できることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0036】
すなわち、本発明は、A−87774−1、A−87774−2及びA−87774−3から選択されるA−87774化合物又はその塩、及び
第2除草性化合物として、
(A1)シクロヘキサンジオンオキシム系除草性化合物、
(A2)アリロキシフェノキシプロピオン酸系除草性化合物、
(A3)スルホニルウレア系除草性化合物、
(A4)スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系除草性化合物、
(A5)ピリミジニルサリチル酸系除草性化合物、
(A6)トリアゾロピリミジン系除草性化合物、
(A7)イミダゾリノン系除草性化合物、
(A8)フェニルカーバメート系除草性化合物、
(A9)ウラシル系除草性化合物、
(A10)ウレア系除草性化合物、
(A11)トリアジノン系除草性化合物、
(A12)トリアジン系除草性化合物、
(A13)ビピリジウム系除草性化合物、
(A14)ジフェニルエーテル系除草性化合物、
(A15)トリアゾリノン系除草性化合物、
(A16)オキサジアゾール系除草性化合物、
(A17)ピリミジンジオン系除草性化合物、
(A18)ピラゾール系除草性化合物、
(A19)トリケトン系除草性化合物、
(A20)アミノ酸系除草性化合物、
(A21)ジニトロアニリン系除草性化合物、
(A22)クロロアセトアミド系除草性化合物、
(A23)チオカーバメート系除草性化合物、
(A24)ピリジンカルボン酸系除草性化合物、
(A25)キノリンカルボン酸系除草性化合物、
(A26)フェノキシカルボン酸系除草性化合物、若しくは
(A27)アイオキシニル、ブロモキシニル、ジクロベニル、アミカルバゾン、クロリダゾン、ベンタゾン、カルブチレート、プロパニル、ピリデート、ピラフルフェンエチル、シニドンエチル、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン、ピコリナフェン、アクロニフェン、フルリドン、ノルフルラゾン、ジフルフェニカン、ベフルブタミド、フルロクロリドン、フルルタモン、イソキサフルトール、クロマゾン、アシュラム、ジチオピル、チアゾピル、ジカンバ、ベナゾリン、ジフルフェンゾピル、ナプタラム、ナプロパミド、テトラピオン、ピノキサデン、ピロキサスルホン、インダジフラム、アミノシクロピラクロール、及び6−クロロ−3−(2−シクロプロピル−6−メチルフェノキシ)−4−ピリダジニル 4−モルホリンカルボキシレートからなる群より選択される除草性化合物
又はそれらの塩のうち、少なくとも1種類の化合物又はそれらの塩を含有する除草性組成物に関する。
本発明はまた、雑草の除草方法であって、雑草又は土壌に上記除草性組成物を処理する方法に関する。本発明は更にまた、上記の化合物A−87774−1、化合物A−87774−2及び化合物A−87774−3から選択されるA−87774化合物又はその塩を含む除草性組成物であって、上記に記載の第2除草性化合物と組み合わせて用いられる組成物に関する。
【発明の効果】
【0037】
本発明の除草性組成物は、広い殺草スペクトルを有し、非農耕地、畑地及び果樹園で問題となる種々の雑草、例えば、イヌホウズキ及びチョウセンアサガオのようなナス科雑草、イチビ及びアメリカキンゴジカのようなアオイ科雑草、マルバアサガオ及びセイヨウヒルガオのようなヒルガオ科雑草、イヌビユ及びアオゲイトウのようなヒユ科雑草、オナモミ、ブタクサ、ノボロギク及びヒメジョオンのようなキク科雑草、カラシナ及びナズナのようなアブラナ科雑草、シロザ及びアカザのようなアカザ科雑草、フィールドパンジーのようなスミレ科雑草、ハコベのようなナデシコ科雑草、シロツメクサ、クサネム及びエビスグサのようなマメ科雑草、スベリヒユのようなスベリヒユ科雑草、オオイヌノフグリのようなゴマノハグサ科雑草、ホトケノザのようなシソ科雑草、コニシキソウのようなトウダイグサ科雑草、イヌビエ、セイバンモロコシ、メヒシバ、オヒシバ、スズメノカタビラ、スズメノテッポウ、カラスムギ、ボウムギ、ライグラス、エノコログサ及びギョウギシバのようなイネ科雑草、コゴメガヤツリ及びキハマスゲのようなカヤツリグサ科雑草、ツユクサ及びマルバツユクサのようなツユクサ科雑草、スギナのようなトクサ科雑草に対して優れた除草活性を示し、特に主要な雑草であるイヌビエ、スズメノテッポウ、スズメノカタビラ、エノコログサ及びイチビに対して、予測されない除草活性(相乗作用)を有する。本発明の除草性組成物は、予測されない相乗作用を有し、少ない有効成分量および使用回数で、雑草の発芽及び成長を抑制したり、雑草を枯殺したりすることができるので、雑草防除作業に要する労力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、化合物A−87774−1の1H−核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図2】図2は、同化合物の13C−核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図3】図3は、同化合物の赤外吸収スペクトルを示す。
【図4】図4は、化合物A−87774−2の1H−核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図5】図5は、同化合物の13C−核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図6】図6は、同化合物の赤外吸収スペクトルを示す。
【図7】図7は、化合物A−87774−3の1H−核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図8】図8は、同化合物の13C−核磁気共鳴スペクトルを示す。
【図9】図9は、同化合物の赤外吸収スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の有効成分の1つであるA−87774化合物は、A−87774−1、A−87774−2及びA−87774−3から選択される。これらの化合物はストレプトマイセス(Streptomyces)に属する微生物の培養液中に存在する新規化合物である。A−87774−1、A−87774−2、及びA−87774−3は、いずれも除草活性を有する。
【0040】
本発明に用いられる新規な化合物A−87774−1は、以下の性状:
1)分子量:668、
2)分子式:C1829417PS2
3)重水中で測定したときの1H―核磁気共鳴スペクトル(δppm):5.86(1H,d,J=5.9Hz)、5.59(1H,d,J=11.0Hz)、4.56(1H,q,J=6.9Hz)、4.42(1H,dd,J=11.2,2.9Hz)、4.38(1H,dd,J=11.2,3.7Hz)、4.30〜4.27(2H,m)、4.24〜4.23(2H,m)、4.07(1H,d,J=10.1Hz)、3.97(1H,dd,J=12.7,2.1Hz)、3.61(1H,dd,J=11.3,10.3Hz)、3.55(1H,m)、3.52(1H,m)、3.33(1H,dd,J=11.4,1.8Hz)、2.72(1H,dd,J=7.0,6.6Hz)、1.42(3H,d,J=6.9Hz)、
4)重水中で測定したときの13C−核磁気共鳴スペクトル(δppm):178.6(s)、174.0(s)、154.8(s)、91.4(s)、89.2(d)、87.6(d)、80.8(d)、74.8(d)、73.5(d)、70.2(d)、70.2(d)、70.0(t)、63.7(d)、60.6(d)、53.8(t)、36.5(t)、30.3(t)、18.3(q)、
5)KBrディスクで測定したときの赤外線吸収スペクトル(νmaxcm−1):3423,1703,1639,1487,1450,1406,1383,1339,1258,1217,1184,1088,1067,937,899,827,536、及び
6)比旋光度:[α]D24+40.0°(c,0.22、HO中)
を有する。
【0041】
本発明に用いられる新規な化合物A−87774−2は、以下の性状:
1)分子量:666、
2)分子式:C1827417PS2
3)重水中で測定したときの1H−核磁気共鳴スペクトル(δppm):7.73(1H,d,J=8.1Hz)、5.91(1H,d,J=2.4Hz)、5.90(1H,d,J=8.1Hz)、5.60(1H,d,J=10.8Hz)、4.57(1H,q,J=6.9Hz)、4.55(1H,d,J=11.4Hz)、4.46(1H,dd,J=11.2,2.2Hz)、4.34〜4.32(3H,m)、4.22(1H,d,J=12.6Hz)、4.07(1H,d,J=10.1Hz)、3.96(1H,dd,J=12.6,1.7Hz)、3.61(1H,dd,J=11.4,10.1Hz)、3.32(1H,d,J=11.4Hz)、1.42(3H,d,J=6.9Hz)、
4)重水中で測定したときの13C−核磁気共鳴スペクトル(δppm):178.6(s)、166.3(s)、151.8(s)、141.7(d)、102.8(d)、91.3(s)、89.3(d)、89.2(d)、81.5(d)、74.8(d)、73.5(d)、73.4(d)、69.5(d)、69.4(t)、63.7(d)、60.6(d)、53.8(t)、18.3(q)、
5)KBrディスクで測定したときの赤外線吸収スペクトル(νmaxcm−1):3399,1706,1455,1405,1346,1266,1185,1087,1067,934,900,826,534、及び
6)比旋光度:[α]D24+47.2°(c,1.0、HO中)
を有する。
【0042】
本発明に用いられる新規な化合物A−87774−3は、以下の性状:
1)分子量:828、
2)分子式:C2437422PS2
3)重水中で測定したときの1H−核磁気共鳴スペクトル(δppm):7.74(1H,d,J=8.1Hz)、5.94(1H,d,J=5.3Hz)、5.91(1H,d,J=8.1Hz)、5.60(1H,d,J=11.0Hz)、5.01(1H,br.s)、4.57(1H,q,J=6.9Hz)、4.57(1H,m)、4.50〜4.48(3H,m)、4.41(1H,m)、4.22(1H,d,J=12.5Hz)、4.07(1H,d,J=10.1Hz)、4.04(1H,dd,J=3.3,1.8Hz)、3.96(1H,dd,J=12.5,1.3Hz)、3.87(1H,d,J=12.3Hz)、3.85(1H,m)、3.71(1H,dd,J=12.3,4.4Hz)、3.63〜3.61(3H,m)、3.32(1H,d,J=11.4Hz)、1.42(3H,d,J=6.9Hz)、
4)重水中で測定したときの13C−核磁気共鳴スペクトル(δppm):178.6(s)、166.3(s)、151.8(s)、141.6(d)、102.9(d)、100.3(d)、91.3(s)、89.2(d)、89.1(d)、80.2(d)、74.8(d)、74.1(d)、73.8(d)、73.5(d)、72.2(d)、70.3(d)、69.9(d)、69.3(t)、66.8(d)、63.7(d)、61.0(t)、60.6(d)、53.7(t)、18.3(q)、
5)KBrディスクで測定したときの赤外線吸収スペクトル(νmaxcm−1):3396,1705,1402,1340,1265,1184,1090,1063,937,899,825,538、及び
6)比旋光度:[α]D24+78.7°(c,1.0、HO中)
を有する。
【0043】
本発明の除草性組成物の有効成分の1つであるA−87774化合物は、A−87774−1、A−87774−2又はA−87774−3であり、好ましくは、A−87774−2である。
【0044】
本発明に用いられる化合物A−87774の塩は、A−87774化合物の除草作用を損なわない限り任意の塩であることができる。A−87774化合物の塩は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;又はイソプロピルアミン又はトリエチルアミンのような有機アミンとの塩であり得、好ましくは、ナトリウム塩である。
【0045】
本発明に用いられる化合物A−87774は、微生物を培養して、その培養物から単離することができる。
【0046】
本発明に用いられる化合物A−87774の製造法において用いられるストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する菌株としては、例えば、ストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.)SANK 61805株を挙げることができる。SANK 61805株の菌学的特徴は、次のとおりである。なお、SANK 61805株の形態的性質、各種培養基上の諸性質、生理学的性質、化学分類学的性質及び16SrRNA遺伝子などの分類学的解析は、放線菌の分類と同定(日本放線菌学会編、日本学会事務センター刊、2001年)に記載された方法に従った。
【0047】
1.形態学的特徴
SANK 61805株は、ISP〔インターナショナル・ストレプトマイセス・プロジェクト(International Streptomyces Project)〕規定の寒天培地上28℃で14日間培養後、顕微鏡で観察した。基生菌糸は良好に伸長、分岐し、薄黄味茶、黄味茶乃至灰味黄茶色を示す。ノカルディア(Nocardia)属菌株様の菌糸断裂やジグザグ伸長は観察されない。気菌糸は単純分岐し、白、茶味灰乃至灰味黄茶を示す。本菌株は、気菌糸の先端に10乃至50個又はそれ以上の胞子連鎖を形成し、胞子連鎖の形態は直鎖状まれにらせん状を示す。走査型電子顕微鏡による観察での表面構造は平滑(smooth)状を示す。胞子は楕円形であり、その大きさは0.4乃至0.8×0.8乃至1.2μmである。また、気菌糸の車軸分岐、菌核や胞子のうなどの特殊器官は観察されない。
【0048】
2.各種培養基上の諸性質
各種培養基上で、28℃で14日培養後の本菌株の性状を表1に示す。色調の表示はマンセル方式による日本色彩研究所版「標準色票」のカラーチップ・ナンバーを表す。
【0049】
【表1】

【0050】
1)「G」、「AM」、「R」及び「SP」は、それぞれ、「生育」、「気菌糸」、「裏面」及び「可溶性色素」を示す。
2)性状の欄の括弧内の表示はマンセル方式による色調表示である。
【0051】
3.生理学的性質
28℃で培養した後、2乃至21日間に観察したSANK 61805株の生理学的性質を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
1)「培地1」は「トリプトン・イーストエキス・ブロス(ISP1)」を示す。
2)「培地2」は、「ペプトン・イーストエキス・鉄寒天(ISP6)」を示す。
3)「培地3」は、「チロシン寒天(ISP7)」を示す。
4)「培地4」は、「イーストエキス・麦芽エキス寒天(ISP2)」を示す。
また、プリドハム・ゴトリーブ寒天培地(ISP9)を使用して、28℃で、14日間培養した後に観察したSANK 61805株の炭素源の資化性を表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
「+」は、「利用する」を示し、「±」は、「弱く利用する」を示し、「−」は、「利用しない」を示す。
【0056】
4.菌体成分について
SANK 61805株の化学分類学的性状を、放線菌の分類と同定(Identification Manual of Actinomycetes)〔日本放線菌学会編、日本学会事務センター、49-82頁(2001)〕に従い検討した。その結果、細胞壁からLL−ジアミノピメリン酸が検出され、全細胞中の糖成分として特徴的なパターンは認められなかった。主要メナキノン分子種として、MK−9(H6)、MK−9(H8)が検出された。
【0057】
5.16S rRNA遺伝子解析
SANK 61805株の16S rRNA遺伝子の塩基配列(1325bp)を解読し、データベース検索を行った結果、SANK 61805株がストレプトマイセス属のクラスターに含まれることが確認された。
【0058】
ISP〔インターナショナル・ストレプトマイセス・プロジェクト(International Streptomyces Project)〕基準、ワックスマン著、ジ・アクチノミセテス(S. A. Waksman、The Actinomycetes)第2巻、ブキャナンとギボンズ編、バージーズ・マニュアル(R. E. Buchanan and N. E. Gibbons、Bergey's Manual of Determinative Bacteriology)第8版(1974年)、バージーズ・マニュアル(Bergey's Manual of Systematic Bacteriology)第 4 巻(1989年)、およびストレプトマイセス(Streptomyces)属放線菌に関する最近の文献によって同定を行い、本菌株が放線菌の中でもストレプトマイセス(Streptomyces)属に属すると判断した。そこで、本菌株をストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.)SANK 61805株と命名した。
【0059】
以上の結果から、本菌株をストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.)SANK 61805株(以下、本明細書において、「SANK 61805株」という。)と同定した。なお、本菌株は平成19年(2007年)6月19日に、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(住所:日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6)に国際寄託され、その受託番号はFERM BP−10840である。
【0060】
周知のとおり、放線菌は、自然界において又は人工的な操作(例えば、紫外線照射、放射線照射、化学薬品処理等)により、変異を起こし易く、本発明のSANK 61805株も同様に変異を起こし易い。本発明にいうSANK 61805株は、そのすべての変異株を包含する。又、これらの変異株の中には、遺伝学的方法、例えば組み換え、形質導入、形質転換等により得られたものも包含される。即ち、化合物A−87774−1、A−87774−2又はA−87774−3を生産する、SANK 61805株およびその変異株およびそれらと明確に区別されない菌株は、すべてSANK 61805株に包含されるものである。
【0061】
本発明のA−87774化合物を生産する菌株(生産菌)を培養するに際し、使用される培地は、炭素源、窒素源、無機イオンおよび有機栄養源から選択されたものを適宜含有する培地であり得、合成または天然培地の何れをも含む。
【0062】
該栄養源は、従来真菌類及び放線菌類の菌株の培養に利用されている公知のものであり得、微生物が資化できる炭素源、窒素源および無機塩を含む。
【0063】
具体的には、炭素源は、例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、マンニトール、グリセロール、デキストリン、オート麦、ライ麦、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ、トウモロコシ粉、大豆粉、綿実油、水飴、糖蜜、大豆油、クエン酸又は酒石酸であり得、単一に、あるいは併用して使用され得る。該炭素源は、一般には、培地量の1〜10重量%の範囲で用いられるが、この範囲に限定されない。
【0064】
また、窒素源は、一般に、蛋白質又はその水解物を含有する物質であり得る。好ましい窒素源は、例えば、大豆粉、フスマ、落花生粉、綿実粉、スキムミルク、カゼイン加水分解物、ファーマミン、魚粉、コーンスチープリカー、ペプトン、肉エキス、生イースト、乾燥イースト、イーストエキス、マルトエキス、ジャガイモ、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム又は硝酸ナトリウムであり得、単一に、あるいは併用して使用され得る。該窒素源は、培地量の0.2〜6重量%の範囲で用いられることが好ましい。
【0065】
更に、栄養無機塩は、ナトリウム、アンモニウム、カルシウム、ホスフェート、サルフェート、クロライド又はカーボネートのイオンを得ることのできる通常の塩類であり得る。又、該栄養無機塩は、カリウム、カルシウム、コバルト、マンガン、鉄、亜鉛、ニッケル又はマグネシウムのような微量の金属でもあり得る。
【0066】
尚、液体培養に際しては、シリコーン油、植物油又は界面活性剤のような消泡剤を使用することができる。
【0067】
A−87774化合物を生産する菌株(生産菌、特にSANK 61805株)を培養して、化合物A−87774−1、A−87774−2又はA−87774−3を生産するための培地のpHは、好ましくは5.0〜8.0である。
【0068】
A−87774化合物を生産するための培養温度は、生産菌(特にSANK 61805株)が目的物質を生産する範囲内で適宜変更し得るが、好ましくは、22〜36℃である。
【0069】
A−87774化合物は、生産菌(特にSANK 61805株)を好気的に培養し、培養物から採取することにより得られ、そのような培養法は、通常用いられる好気的培養法、例えば固体培養法、振とう培養法又は通気攪拌培養法であり得る。
【0070】
A−87774化合物は、生産菌(特にSANK 61805株)の培養液を液体と菌体に分離して、又は分離せずに、その物理化学的性質を利用して、濾液又は培養液から抽出することができ、好ましくは、液体と菌体とを分離した後、抽出する。分離は、例えば、遠心分離法又は珪藻土を濾過助剤とする濾過法により行うことができる。
【0071】
A−87774化合物を菌体から抽出する場合は、菌体に水溶液又は水溶性有機溶媒を添加し、攪拌した後、混合物を、例えば遠心分離法又は珪藻土を濾過助剤とする濾過法に付すことにより、液相を分離する。得られた液相から水溶性有機溶媒を留去し(好ましくは、減圧で留去し)、その後、下記培養液の濾液と同様の操作を行い、化合物A−87774−1、A−87774−2又はA−87774−3を得ることができる。抽出に用いられる水溶性有機溶媒は、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル又はテトラヒドロフラン或はこれらの混合溶媒であり得、水溶性有機溶媒の添加割合は、0乃至95容積%である。
【0072】
A−87774化合物は水溶性物質であり、その物理化学的性状を利用することにより、これらを濾液から抽出・精製することができる。吸着剤としては、例えば活性炭、あるいは合成吸着剤が使用される。このような合成吸着剤は、例えば、ダイヤイオンHP−20のようなHPシリーズ(三菱化学製)又はアンバーライトXAD−2のようなXADシリーズ(オルガノ社製)であり得る。A−87774化合物を含む液から上記の如き吸着剤の層を通過させて、含まれる不純物を吸着させて取り除くか、A−87774化合物を一旦吸着させた後、有機溶媒で溶出することもできる。溶出有機溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル又はテトラヒドロフランのような水溶性有機溶媒であり得、又、水とこれらの水溶性有機溶媒との混合溶媒、さらに酢酸、蟻酸又はアンモニア水を加えてpHを調節した溶媒も使用され得る。また、吸着剤を用いずに、水不混和性の有機溶媒、例えば、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、塩化メチレン又はブタノールなどを、単独で又は組み合わせて使用し、A−87774化合物を含む水溶液中に含まれる不純物を抽出し、除去することも可能である。
【0073】
このようにして得られるA−87774化合物の抽出分画を、通常の有機化合物の精製に用いられる方法に供すことにより、さらに精製することができる。そのような精製方法は、例えば、吸着、分配、陽イオン交換、陰イオン交換、ゲル濾過のようなカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーであり得、これらのクロマトグラフィーに用いる担体は、例えば、シリカゲル、アルミナ、フロリジル、セルロース、活性炭、ダウエックス50W、アンバーライトCG−400、セファデックスLH−20、セファデックスG−25又はシリカゲルC18であり得、これらを単独に又は任意の順序で組み合わせて用いることにより、A−87774化合物を効率よく、単離・精製することができる。
【0074】
本発明に用いられる第2除草性化合物は、
(A1)シクロヘキサンジオンオキシム系除草性化合物、
(A2)アリロキシフェノキシプロピオン酸系除草性化合物、
(A3)スルホニルウレア系除草性化合物、
(A4)スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系除草性化合物、
(A5)ピリミジニルサリチル酸系除草性化合物、
(A6)トリアゾロピリミジン系除草性化合物、
(A7)イミダゾリノン系除草性化合物、
(A8)フェニルカーバメート系除草性化合物、
(A9)ウラシル系除草性化合物、
(A10)ウレア系除草性化合物、
(A11)トリアジノン系除草性化合物、
(A12)トリアジン系除草性化合物、
(A13)ビピリジウム系除草性化合物、
(A14)ジフェニルエーテル系除草性化合物、
(A15)トリアゾリノン系除草性化合物、
(A16)オキサジアゾール系除草性化合物、
(A17)ピリミジンジオン系除草性化合物、
(A18)ピラゾール系除草性化合物、
(A19)トリケトン系除草性化合物、
(A20)アミノ酸系除草性化合物、
(A21)ジニトロアニリン系除草性化合物、
(A22)クロロアセトアミド系除草性化合物、
(A23)チオカーバメート系除草性化合物、
(A24)ピリジンカルボン酸系除草性化合物、
(A25)キノリンカルボン酸系除草性化合物、
(A26)フェノキシカルボン酸系除草性化合物、若しくは
(A27)アイオキシニル、ブロモキシニル、ジクロベニル、アミカルバゾン、クロリダゾン、ベンタゾン、カルブチレート、プロパニル、ピリデート、ピラフルフェンエチル、シニドンエチル、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン、ピコリナフェン、アクロニフェン、フルリドン、ノルフルラゾン、ジフルフェニカン、ベフルブタミド、フルロクロリドン、フルルタモン、イソキサフルトール、クロマゾン、アシュラム、ジチオピル、チアゾピル、ジカンバ、ベナゾリン、ジフルフェンゾピル、ナプタラム、ナプロパミド、テトラピオン、ピノキサデン、ピロキサスルホン、インダジフラム、アミノシクロピラクロール、及び6−クロロ−3−(2−シクロプロピル−6−メチルフェノキシ)−4−ピリダジニル 4−モルホリンカルボキシレートからなる群より選択される除草性化合物
又はそれらの塩である。
【0075】
本発明に用いられる第2除草性化合物は、好ましくは、
(A2)アリロキシフェノキシプロピオン酸系除草性化合物として、プロパキザホップ、キザロホップ、ハロキシホップ、フルアジホップブチル、フルアジホップ-P-ブチル、又はフェノキサプロップ-P-エチル、
(A3)スルホニルウレア系除草性化合物として、フォーラムスルフロン、ニコスルフロン、トリトスルフロン、ヨードスルフロンメチル、リムスルフロン、メソスルフロンメチル、メトスルフロンメチル、トリベヌロンメチル、又はトリフロキシスルフロン、
(A6)トリアゾロピリミジン系除草性化合物として、フロラスラム、又はメトスラム、
(A9)ウラシル系除草性化合物として、ブロマシル、
(A10)ウレア系除草性化合物として、イソウロン、ジウロン、又はリニュロン、
(A12)トリアジン系除草性化合物として、アメトリン、又はアトラジン、
(A13)ビピリジウム系除草性化合物として、パラコート、又はジクワット、
(A15)トリアゾリノン系除草性化合物として、カルフェントラゾンエチル、又はスルフェントラゾン、
(A19)トリケトン系除草性化合物として、スルコトリオン、
(A20)アミノ酸系除草性化合物として、グリホサート、グルホシネート、又はビアラホス、
(A21)ジニトロアニリン系除草性化合物として、ペンディメタリン、又はトリフルラリン、
(A22)クロロアセトアミド系除草性化合物として、アセトクロール、アラクロール、メトラクロール、又はS−メトラクロール、
(A26)フェノキシカルボン酸系除草性化合物として、2,4−D、又はMCPB、或いは
(A27)ジクロベニル、カルブチレート、ピラフルフェンエチル、ジフルフェニカン、クロマゾン、アシュラム、ジチオピル、及びテトラピオンからなる群より選択される除草性化合物
或いはそれらの塩である。
【0076】
本発明に用いられる第2除草性化合物は、より好ましくは、
(A2)アリロキシフェノキシプロピオン酸系除草性化合物として、フェノキサプロップ-P-エチル、
(A3)スルホニルウレア系除草性化合物として、ニコスルフロン、
(A6)トリアゾロピリミジン系除草性化合物として、フロラスラム、
(A9)ウラシル系除草性化合物として、ブロマシル、
(A10)ウレア系除草性化合物として、イソウロン、ジウロン、又はリニュロン、
(A12)トリアジン系除草性化合物として、アトラジン、
(A13)ビピリジウム系除草性化合物として、パラコート、
(A15)トリアゾリノン系除草性化合物として、カルフェントラゾンエチル、
(A19)トリケトン系除草性化合物として、スルコトリオン、
(A20)アミノ酸系除草性化合物として、グリホサート、グルホシネート、又はビアラホス、
(A21)ジニトロアニリン系除草性化合物として、ペンディメタリン、又はトリフルラリン、
(A22)クロロアセトアミド系除草性化合物として、メトラクロール、
(A26)フェノキシカルボン酸系除草性化合物として、2,4−D、又はMCPB、或いは
(A27)ジクロベニル、カルブチレート、ピラフルフェンエチル、ジフルフェニカン、クロマゾン、アシュラム、ジチオピル、及びテトラピオンからなる群より選択される除草性化合物
或いはそれらの塩である。
【0077】
本発明に用いられる第2除草性化合物は、最も好ましくは、
(A9)ウラシル系除草性化合物として、ブロマシル、
(A10)ウレア系除草性化合物として、イソウロン、又はジウロン、
(A13)ビピリジウム系除草性化合物として、パラコート、
(A20)アミノ酸系除草性化合物として、グリホサート、グルホシネート、又はビアラホス、或いは
(A27)ジクロベニル、及びカルブチレートからなる群より選択される除草性化合物
或いはそれらの塩である。
【0078】
本発明の除草性組成物は、A−87774化合物又はその塩、及び上記の特定の第2除草性化合物又はそれらの塩を含有することにより、広い殺草スペクトルを有し、また相乗的な除草効果を示す。
【0079】
本発明の除草性組成物は、広い殺草スペクトルを有し、具体的には、非農耕地、畑地及び果樹園で問題となる種々の雑草、例えば、イヌホウズキ及びチョウセンアサガオのようなナス科雑草、イチビ及びアメリカキンゴジカのようなアオイ科雑草、マルバアサガオ及びセイヨウヒルガオのようなヒルガオ科雑草、イヌビユ及びアオゲイトウのようなヒユ科雑草、オナモミ、ブタクサ、ノボロギク及びヒメジョオンのようなキク科雑草、カラシナ及びナズナのようなアブラナ科雑草、シロザ及びアカザのようなアカザ科雑草、フィールドパンジーのようなスミレ科雑草、ハコベのようなナデシコ科雑草、シロツメクサ、クサネム及びエビスグサのようなマメ科雑草、スベリヒユのようなスベリヒユ科雑草、オオイヌノフグリのようなゴマノハグサ科雑草、ホトケノザのようなシソ科雑草、コニシキソウのようなトウダイグサ科雑草、イヌビエ、セイバンモロコシ、メヒシバ、オヒシバ、スズメノカタビラ、スズメノテッポウ、カラスムギ、ボウムギ、ライグラス、エノコログサ及びギョウギシバのようなイネ科雑草、コゴメガヤツリ及びキハマスゲのようなカヤツリグサ科雑草、ツユクサ及びマルバツユクサのようなツユクサ科雑草、スギナのようなトクサ科雑草に対して除草活性を示す。
【0080】
本発明の除草性組成物は、非農耕地、畑地及び果樹園のみならず、水田、桑園及び山林においても使用することができる。
【0081】
本発明の除草性組成物においては、A−87774化合物と第2除草性化合物は広い範囲の混合比で配合することができるが、その混合比は、例えば、A−87774化合物またはその塩1質量部に対して、第2除草性化合物0.005〜1000質量部の割合であり、好ましくは、0.01〜500質量部であり、より好ましくは、0.02〜200質量部である。このような混合比で本発明の除草性組成物は、相乗的な除草効果を示す。
【0082】
本発明の除草性組成物は、農薬製剤として慣用される製剤にして施用することができる。そのような製剤は、例えば、乳剤、水和剤、顆粒水和剤、水溶剤、液剤、粉剤、粒剤、懸濁剤、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、又はポリマー物質によるカプセル剤であり得る。
【0083】
本発明の除草性組成物におけるA−87774化合物又はその塩の含有量は、その製剤の種類に応じて適宜決定することができるが、例えば0.1−80質量%であり、好ましくは1−30質量%である。
本発明の除草性組成物における第2除草性化合物又はそれらの塩の含有量は、例えば0.1−80質量%であり、好ましくは1−60質量%である。
【0084】
本発明の除草性組成物は、当業者にとっては通例の方法で上記のような各種固形及び液状製剤に製剤化することができる。このような製剤には、適当な添加剤及び担体を含有させることができる。固形剤に含有させるそのような添加剤及び担体は、例えば、大豆粉、小麦粉、澱粉及び結晶セルロースのような植物性粉末;珪藻土、燐灰土、石膏、タルク、ベントナイト、ゼオライト及びクレイのような鉱物性粉末;安息酸ソーダ、尿素、炭酸カルシウム及び芒硝のような有機若しくは無機化合物であり得る。又、液状剤に含有させる添加剤及び担体は、例えば、大豆油、ナタネ油及び綿実油のような植物油;鉱物油;ケロシン、キシレン及びトルエンのような芳香族炭化水素類;ホルムアミド及びジメチルホルムアミドのようなアミド類;エチレングリコールアセテート及びコハク酸ジエチルのようなエステル類;メチルイソブチルケトン及びアセトンのようなケトン類;エチレングリコールエチルエーテルのようなエーテル類;エチレングリコール及びイソプロパノールのようなアルコール類;ジメチルスルホキシド;トリクロルエチレン;又は水であり得る。液状剤を均一且つ安定にするために、各種界面活性剤を添加しても良い。
【0085】
適当な非イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸のスクロースエステル、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール及びオレイルアルコールのような高級脂肪族アルコールの酸化エチレン重合付加物、イソオクチルフェノール及びノニルフェノールのようなアルキルフェノールの酸化エチレン重合付加物、ブチルナフトール及びオクチルナフトールのようなアルキルナフトールの酸化エチレン重合付加物、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸のような高級脂肪酸の酸化エチレン重合付加物、ステアリル燐酸及びジラウリル燐酸のようなモノ若しくはジアルキル燐酸の酸化エチレン重合付加物、ドデシルアミン及びステアリン酸アミドのような高級脂肪族アミンの酸化エチレン重合付加物、ソルビタンのような多価アルコールの高級脂肪酸エステル、及びその酸化エチレン重合付加物並びに酸化エチレンと酸化プロピレンの共重合体を挙げることができる。
【0086】
適当な陰イオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びオレイルアルコール硫酸エステルアミン塩のようなアルキル硫酸エステル塩、スルホコハク酸ジオクチルエステルナトリウム、オレイン酸ナトリウム及びステアリン酸ナトリウムのような肪酸塩類、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、メチレンビスナフタレンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルアリールスルホン酸塩を挙げることができる。又、適当な陽イオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪族アミン、第4級アンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩類を挙げることができる。
【0087】
本発明の除草性組成物には、殺草スペクトラムを広げるため、あるいは除草効果持続期間を延長するために他の除草剤も配合することができる。配合する除草剤は、例えば、ペントキサゾン、ブタミホス、アニロホス、ピペロホス、フェントラザミド、インダノファン、カフェンストロール、フルフェナセット、メフェナセット、フェノキサスルホン、イプフェンカルバゾン、オキサジクロメホン、エトベンザニド、ピリブチカルブ、ナプロアニリド、エトフメセート、ベンフレセート、ブロモブチド、ダイムロン、クミルロン、メチオゾリン、シンメチリン、ペラルゴン酸、又はドレクスレラ モノセラスであり得る。
【0088】
本発明の除草性組成物は、雑草の発芽前又は生育期に土壌処理、茎葉処理又は湛水処理することができる。土壌処理には、土壌表面処理、土壌混和処理などがあり、茎葉処理には、植物体の上方からの処理のほか、作物に付着しないように雑草に限って処理する極部処理などがあり、湛水処理には、粒剤やフロアブル剤の使用や水面への潅注処理などがある。
【0089】
本発明の除草性組成物の施用量は、A−87774化合物若しくはその塩として、5−5000g/ha、好ましくは、10−2000g/haであり、第2除草性化合物若しくはその塩として、1−10000g/ha、好ましくは、2−6000g/haに相当する量である。
【0090】
本発明の除草性組成物は、例えば、植物成長調節剤、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は肥料などと混合して使用することもできる。
【0091】
また、本発明においては、A−87774化合物又はその塩、及び上記特定の第2除草性化合物又はそれらの塩のそれぞれの含む製剤を同時に別々に使用してもよく、一方の有効成分を含む製剤を先に使用し他方の有効成分を含む製剤を後で使用してもよい。使用の順番は任意である。
【0092】
A−87774化合物又はその塩を含む製剤、及び第2除草性化合物を含む製剤を別々に使用する場合、その施用量は、A−87774化合物若しくはその塩として、5−5000g/haであり、好ましくは10−2000g/haであり、第2除草性化合物若しくはそれらの塩として、1−10000g/haであり、好ましくは2−6000g/haに相当する量である。
【実施例】
【0093】
次に実施例、製剤例及び試験例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0094】
実施例1
化合物A−87774−1及びA−87774−2の単離
(1)SANK 61805株の培養
下記培地組成で示される培地80mLを500mL容三角フラスコに入れ、121℃で、30分間加熱滅菌した。それぞれの培地にStreptomyces sp. SANK 61805株をスラントより1白金耳接種し、28℃で、210rpmで3日間回転振盪培養し、種培養液を得た。同じ組成の培地80mLを500mL容三角フラスコ100本に入れ、121℃で、30分間加熱滅菌し、これを室温まで冷却した。これに上記種培養液0.5mLを接種し、28℃で、210rpmで8日間回転振盪培養した。
【0095】
培地組成
可溶性澱粉 40g
グルコース 10g
大豆粉 10g
イーストエキス 4.5g
コーンスチープリカー 2.5g
リン酸二水素カリウム 0.5g
リン酸マグネシウム八水和物 0.05g
硫酸亜鉛七水和物 0.01g
硫酸ニッケル六水和物 0.001g
塩化コバルト六水和物 0.001g
CB−442(消泡剤) 0.05g
水道水 1000mL
滅菌前pH 7.5
【0096】
(2)化合物A−87774−1及びA−87774−2の単離
下記の方法にて活性成分の単離を行った。単離にあたっては、4cm角のポットに入れた水田土で7日間栽培したカラシナに、それぞれの分画画分の0.5mL溶液を散布し、その除草効果にて活性成分を追跡した。
上記(1)で得られた培養液8Lを遠心分離機(7500×g)によって、菌体と液体部とに分けた。菌体部をメタノールと攪拌した後、珪藻土上で濾過した。濾液を減圧下で濃縮した後、培養液液体部と合わせて5Lまで濃縮し、ダイヤイオンHP−20カラム(内径6cm、長さ31cm)に通し、通過した液とカラムを洗浄した水2.8Lを合わせた。これをDowex 50W×8カラム(H型:内径6cm、長さ33cm)に通し、通過した液とカラムを洗浄した水2Lを合わせた。次に、これを活性炭カラム(内径6cm、長さ20cm)に通し、活性成分を吸着させた。カラムを1Lの水、2Lのメタノール/水(3/1)で洗浄した後、2.5Lのメタノール/2.8%アンモニア水(4/1)で活性成分を溶出した。溶出液から、減圧下で溶媒を留去して得た固形物を水80mLに溶解し、Amberite CG−400 typeIカラム(Cl型:内径4cm、長さ22cm)に通した。カラムを1Lの0.02N−HCl、1Lの0.01M−NaClを含む0.02N−HClで順次洗浄した後、1.3Lの0.6M−NaClを含む0.02N−HClで活性成分を溶出した。NaClを除くため、これを再度活性炭カラム(内径3cm、長さ20cm)に通し、カラムを1Lの水で洗浄した後、1.5Lのメタノール/2.8%アンモニア水(4/1)で活性成分を溶出し、減圧下で溶媒を留去して、383mgの固形物を得た。
【0097】
この固形物をセファデックスG−25カラムクロマトグラフィーで精製した。すなわち、アセトニトリル、水及び酢酸の混合溶媒(容量混合比:73/27/0.1)で平衡化したセファデックスG−25カラム(内径2.5cm、長さ41cm)に、固形物を1mLの水に溶解してから載せ、同じ混合溶媒で溶出し、溶出液を12mLずつ分画した。除草活性を有する活性成分は、49から89番目に溶出したので、この分画の溶媒を減圧下で留去し、固形物130mgを得た。
【0098】
この固形物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。HPLCカラムとして資生堂CAPCELL−PAK C18 UG120Å(内径2cm、長さ25cm)を用い、溶離液としてアセトニトリル、水及び酢酸の混合溶媒(容量混合比:4/96/0.1)を用い、カラムオーブン温度40℃、流速15mL/分で溶出させることにより、保持時間5.6〜9.6分に溶出する化合物A−87774−2の白色粉末11.3mgと、5.6分以前に溶出する化合物A−87774−1を含む画分81.3mgを得た。後者を再度、資生堂CAPCELL−PAK C18 UG120Å(内径1cm、長さ25cm)とアセトニトリル、水及び酢酸の混合溶媒(容量混合比:3/97/0.1)を用いたHPLC(カラムオーブン温度40℃、流速5mL/分)にて精製し、13.4〜16.6分に溶出する化合物A−87774−1の白色粉末2.4mgを得た。
【0099】
この化合物A−87774−1及びA−87774−2は、前述した、分子量、分子式、重水中で測定したときのH−核磁気共鳴スペクトル、重水中で測定したときの13C−核磁気共鳴スペクトル、KBrディスクで測定したときの赤外線吸収スペクトル及び比旋光度を有していた。化合物A−87774−1の1H−核磁気共鳴スペクトル、13C−核磁気共鳴スペクトル及び赤外吸収スペクトルを、それぞれ、図1、図2及び図3に示し、化合物A−87774−2の1H−核磁気共鳴スペクトル、13C−核磁気共鳴スペクトル及び赤外吸収スペクトルを、それぞれ、図4、図5及び図6に示す。なお、内部標準物質として、A−87774−1およびA−87774−2の1H−核磁気共鳴スペクトル及び13C−核磁気共鳴スペクトルには、メタノールを添加した。
測定装置は、下記の通りである。
核磁気共鳴スペクトル:JEOL ECA500
赤外吸収スペクトル:SHIMADZU FTIR−8400
比旋光度:JASCO DIP−360
また、NMRの測定条件は、下記の通りである。
周波数 H:500.16MHz,13C:125.77MHz
測定温度,積算回数:
A−87774−1 H:23.9℃,8回
13C:24.6℃,21600回
A−87774−2 H:23.1℃,8回
13C:24.6℃,46000回
【0100】
実施例2
化合物A−87774−3の単離
(1)SANK 61805株の培養
上記の実施例1(1)と同じ組成の培地80mLを500mL容三角フラスコ4本に入れ、121℃で、30分間加熱滅菌した。それぞれの培地にStreptomyces sp. SANK 61805株をスラントより1白金耳接種し、28℃で、210rpmで回転振盪培養した。7日目と14日目にグリセロールを2%相当になるように添加し、22日間培養を行った。
【0101】
(2)化合物A−87774−3の単離
上記(1)で得られた培養液320mLを遠心分離機(7500×g)によって、菌体と液体部とに分けた。菌体部をメタノールと攪拌した後、珪藻土上で濾過した。濾液を減圧下で濃縮した後、培養液液体部と合わせて濃縮した。これを活性炭カラム(内径1.6cm、長さ16cm)に通し、活性成分を吸着させた。カラムを120mLの水、メタノール/水(1/1)、メタノールで順次洗浄した後、120mLのメタノール/2.8%アンモニア水(4/1)で活性成分を溶出した。これを濃縮した後、3mLの水に溶解し、Dowex 50W×8カラム(H型:内径1.2cm、長さ9.5cm)に通し、通過した液とカラムを洗浄した水50mLを合わせた。次に、これをAmberite CG−400 typeIカラム(Cl型:内径1.8cm、長さ12cm)に通した。カラムに60mLの0.02N−HCl、80mLの0.01M−NaClを含む0.02N−HCl、200mLの0.6M−NaClを含む0.02N−HClを順次流し、20mLずつ分取したところ、活性成分が5から14番目の画分に溶出した。NaClを除くためこの画分を再度活性炭カラム(内径1.2cm、長さ10cm)に通し、カラムを50mLの水で洗浄した後、50mLのメタノール/2.8%アンモニア水(4/1)で活性成分を溶出し、減圧下で溶媒を留去して、237mgの固形物を得た。
【0102】
この固形物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。HPLCカラムとして資生堂CAPCELL−PAK C18 UG120Å(内径2cm、長さ25cm)を用い、溶離液としてアセトニトリル、水及び酢酸の混合溶媒(容量混合比:3/97/0.4)を用い、カラムオーブン温度40℃、流速10mL/分で溶出させることにより、保持時間12.5〜16.8分に溶出する化合物A−87774−3の白色粉末7.3mgを得た。
【0103】
この化合物A−87774−3は、前述した、分子量、分子式、重水中で測定したときのH−核磁気共鳴スペクトル、重水中で測定したときの13C−核磁気共鳴スペクトル、KBrディスクで測定したときの赤外線吸収スペクトル及び比旋光度を有していた。化合物A−87774−3の1H−核磁気共鳴スペクトル、13C−核磁気共鳴スペクトル及び赤外吸収スペクトルを、それぞれ、図7、図8び図9に示す。なお、内部標準物質として、A−87774−3の1H−核磁気共鳴スペクトルにはアセトンを添加し、A−87774−3の13C−核磁気共鳴スペクトルには、酢酸を添加した。
測定装置は、下記の通りである。
核磁気共鳴スペクトル:JEOL ECA500
赤外吸収スペクトル:SHIMADZU FTIR−8400
比旋光度:JASCO DIP−360
また、NMRの測定条件は、下記の通りである。
周波数 H:500.16MHz,13C:125.77MHz
測定温度,積算回数:
A−87774−1 H:23.1℃,64回
13C:23.9℃,48000回
【0104】
製剤例1
水和剤
化合物A−87774−2(2.5質量部)、カープレックス#80D(塩野義製薬株式会社製、10質量部)、ゴーセノールGL05−S(日本合成化学株式会社製、2質量部)、ニューコール291PG(ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、日本乳化剤株式会社製、0.5質量部)、ネオゲンパウダー(第一工業製薬株式会社製、5質量部)、ラジオライト#200(昭和化学工業株式会社製、10質量部)及びH微粉(啓和炉材株式会社製、70質量部)を充分に混合した。エアーミル(株式会社セイシン企業製、SK-JET O MIZER model 0101)にて、混合物を粉砕し、化合物A−87774−2(2.5%)の水和剤を得た。
【0105】
製剤例2
水和剤
化合物A−87774−2(0.25質量部)、グリホサートイソプロピルアミン塩(5質量部)、カープレックス#80D(塩野義製薬株式会社製、10質量部)、ゴーセノールGL05−S(日本合成化学株式会社製、2質量部)、ニューコール291PG(ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、日本乳化剤株式会社製、0.5質量部)、ネオゲンパウダー(第一工業製薬株式会社製、5質量部)、ラジオライト#200(昭和化学工業株式会社製、10質量部)及びH微粉(啓和炉材株式会社製、67.25質量部)を充分に混合した。エアーミル(株式会社セイシン企業製、SK-JET O MIZER model 0101)にて、混合物を粉砕し、化合物A−87774−2(0.25%)・グリホサートイソプロピルアミン塩(5%)の水和剤を得た。
【0106】
試験例1
茎葉散布試験
150cm2のポットに土壌を充填し、イヌビエ、スズメノテッポウ、スズメノカタビラ、及びイチビを播種し温室内で生育させた。播種12日後(各雑草の1〜2葉期)に、化合物A−87774−2及び、グリホサート、グルホシネート、ビアラホス、又はパラコートの所定薬量を、0.01%(v/v)のグラミンSを含む水溶液に希釈して茎葉散布した。なお、グリホサートはイソプロピルアミン塩の原体を、ビアラホスはハービー液剤(登録商標。明治製菓株式会社製)を、その他の化合物は原体を用いて調製した。処理14日後に下記判定基準に従って除草効果を判定した。その結果を表4に示す。表中、調査結果にColbyの式(Weeds 15、P20-22、1967)による、2種の化合物を混合したときの相加的効果を表す値(期待値)を併記した。実際の実験結果が期待値を上回る場合、相乗作用がある組み合わせを意味する。
【0107】
判定基準
0:生育抑制率 0〜13%
1:生育抑制率 14〜22%
2:生育抑制率 23〜31%
3:生育抑制率 32〜40%
4:生育抑制率 41〜49%
5:生育抑制率 50〜58%
6:生育抑制率 59〜67%
7:生育抑制率 68〜76%
8:生育抑制率 77〜85%
9:生育抑制率 86〜94%
10:生育抑制率 95〜100%
【0108】
【表4】

【0109】
試験例2
土壌処理試験
150cm2のポットに土壌を充填し、イヌビエ、スズメノテッポウ、及びイチビを播種した。播種翌日に、化合物A−87774−2及び、ブロマシル、ジウロン、イソウロン、カルブチレート、ジクロベニルの所定薬量を、水に希釈して土壌処理した。なお、ブロマシル、及びイソウロンは製剤例1に準じて調製した水和剤を、カルブチレートはバックアップ粒剤(登録商標。株式会社エス・ディー・エス バイオテック製)を、その他の化合物は原体を用いて調製した。処理30日後に上記判定基準に従って除草効果を判定した。その結果を表5に示す。なお、表4と同様に、Colbyの式による期待値を表中に併記した。
【0110】
【表5】

【0111】
試験例3
茎葉散布試験
150cm2のポットに土壌を充填し、イヌビエ、エノコログサ、及びイチビを播種した。播種14日後(各雑草の1〜2葉期)に、化合物A−87774−2及び、2,4−D、MCPB、カルフェントラゾンエチル、ピラフルフェンエチル、スルコトリオン、アシュラム、フロラスラム、ニコスルフロン、フェノキサプロップ−P−エチル、又はテトラピオンの所定薬量を、0.01%(v/v)のグラミンSを含む水溶液に希釈して茎葉散布した。なお、化合物ピラフルフェンエチルはエコパートフロアブル(登録商標。日本農薬株式会社製)を、アシュラムはアージラン液剤(登録商標。石原産業株式会社製)を、フロラスラムはブロードスマッシュSC(ダウ・ケミカル日本株式会社製)を、ニコスルフロンはワンホープ乳剤(登録商標。石原産業株式会社製)を、その他の化合物は原体を用いて調製した。処理10日後に上記判定基準に従って除草効果を判定した。その結果を表6に示す。なお、表4と同様に、Colbyの式による期待値を表中に併記した。
【0112】
【表6】

【0113】
試験例4
150cm2のポットに土壌を充填し、イヌビエ、スズメノテッポウ、及びイチビを播種した。播種翌日に、化合物A−87774−2及び、アトラジン、リニュロン、ジフルフェニカン、ペンディメタリン、トリフルラリン、ジチオピル、クロマゾン、又はメトラクロールの所定薬量を、水に希釈して土壌処理した。なお、アトラジン、及びペンディメタリンは製剤例1に準じて調製した水和剤を、トリフルラリンはトレファノサイド乳剤(ダウ・ケミカル日本株式会社製)を、その他の化合物は原体を用いて調製した。処理20日後に上記判定基準に従って除草効果を判定した。その結果を表7に示す。なお、表4と同様に、Colbyの式による期待値を表中に併記した。
【0114】
【表7】

【0115】
試験例1〜4から明らかなように、A−87774化合物と、第2除草性化合物又はそれらの塩を含有する除草性組成物は、試験した雑草に対して優れた除草効果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の除草性組成物は、農園芸用除草剤として用いることができ、殺草スペクトルを拡大するとともに、より少量の有効成分で主要雑草を防除可能にすることから、農園芸用除草剤として優れたものである。
【受託番号】
【0117】
FERM BP−10840

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記性状:
1)分子量:668、
2)分子式:C1829417PS2
3)重水中で測定したときの1H−核磁気共鳴スペクトル(δppm):5.86(1H,d,J=5.9Hz)、5.59(1H,d,J=11.0Hz)、4.56(1H,q,J=6.9Hz)、4.42(1H,dd,J=11.2,2.9Hz)、4.38(1H,dd,J=11.2,3.7Hz)、4.30〜4.27(2H,m)、4.24〜4.23(2H,m)、4.07(1H,d,J=10.1Hz)、3.97(1H,dd,J=12.7,2.1Hz)、3.61(1H,dd,J=11.3,10.3Hz)、3.55(1H,m)、3.52(1H,m)、3.33(1H,dd,J=11.4,1.8Hz)、2.72(1H,dd,J=7.0,6.6Hz)、1.42(3H,d,J=6.9Hz)、
4)重水中で測定したときの13C−核磁気共鳴スペクトル(δppm):178.6(s)、174.0(s)、154.8(s)、91.4(s)、89.2(d)、87.6(d)、80.8(d)、74.8(d)、73.5(d)、70.2(d)、70.2(d)、70.0(t)、63.7(d)、60.6(d)、53.8(t)、36.5(t)、30.3(t)、18.3(q)、
5)KBrディスクで測定したときの赤外線吸収スペクトル(νmaxcm−1):3423,1703,1639,1487,1450,1406,1383,1339,1258,1217,1184,1088,1067,937,899,827,536、及び
6)比旋光度:[α]D24+40.0°(c,0.22、HO中)
を有する化合物A−87774−1
又は、下記性状:
1)分子量:666、
2)分子式:C1827417PS2
3)重水中で測定したときの1H−核磁気共鳴スペクトル(δppm):7.73(1H,d,J=8.1Hz)、5.91(1H,d,J=2.4Hz)、5.90(1H,d,J=8.1Hz)、5.60(1H,d,J=10.8Hz)、4.57(1H,q,J=6.9Hz)、4.55(1H,d,J=11.4Hz)、4.46(1H,dd,J=11.2,2.2Hz)、4.34〜4.32(3H,m)、4.22(1H,d,J=12.6Hz)、4.07(1H,d,J=10.1Hz)、3.96(1H,dd,J=12.6,1.7Hz)、3.61(1H,dd,J=11.4,10.1Hz)、3.32(1H,d,J=11.4Hz)、1.42(3H,d,J=6.9Hz)、
4)重水中で測定したときの13C−核磁気共鳴スペクトル(δppm):178.6(s)、166.3(s)、151.8(s)、141.7(d)、102.8(d)、91.3(s)、89.3(d)、89.2(d)、81.5(d)、74.8(d)、73.5(d)、73.4(d)、69.5(d)、69.4(t)、63.7(d)、60.6(d)、53.8(t)、18.3(q)、
5)KBrディスクで測定したときの赤外線吸収スペクトル(νmaxcm−1):3399,1706,1455,1405,1346,1266,1185,1087,1067,934,900,826,534、及び
6)比旋光度:[α]D24+47.2°(c,1.0、HO中)
を有する化合物A−87774−2
又は、下記性状:
1)分子量:828、
2)分子式:C2437422PS2
3)重水中で測定したときの1H−核磁気共鳴スペクトル(δppm):7.74(1H,d,J=8.1Hz)、5.94(1H,d,J=5.3Hz)、5.91(1H,d,J=8.1Hz)、5.60(1H,d,J=11.0Hz)、5.01(1H,br.s)、4.57(1H,q,J=6.9Hz)、4.57(1H,m)、4.50〜4.48(3H,m)、4.41(1H,m)、4.22(1H,d,J=12.5Hz)、4.07(1H,d,J=10.1Hz)、4.04(1H,dd,J=3.3,1.8Hz)、3.96(1H,dd,J=12.5,1.3Hz)、3.87(1H,d,J=12.3Hz)、3.85(1H,m)、3.71(1H,dd,J=12.3,4.4Hz)、3.63〜3.61(3H,m)、3.32(1H,d,J=11.4Hz)、1.42(3H,d,J=6.9Hz)、
4)重水中で測定したときの13C−核磁気共鳴スペクトル(δppm):178.6(s)、166.3(s)、151.8(s)、141.6(d)、102.9(d)、100.3(d)、91.3(s)、89.2(d)、89.1(d)、80.2(d)、74.8(d)、74.1(d)、73.8(d)、73.5(d)、72.2(d)、70.3(d)、69.9(d)、69.3(t)、66.8(d)、63.7(d)、61.0(t)、60.6(d)、53.7(t)、18.3(q)、
5)KBrディスクで測定したときの赤外線吸収スペクトル(νmaxcm−1):3396,1705,1402,1340,1265,1184,1090,1063,937,899,825,538、及び
6)比旋光度:[α]D24+78.7°(c,1.0、HO中)
を有する化合物A−87774−3
から選択されるA−87774化合物又はその塩、及び、
第2除草性化合物として、
(A1)シクロヘキサンジオンオキシム系除草性化合物、
(A2)アリロキシフェノキシプロピオン酸系除草性化合物、
(A3)スルホニルウレア系除草性化合物、
(A4)スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系除草性化合物、
(A5)ピリミジニルサリチル酸系除草性化合物、
(A6)トリアゾロピリミジン系除草性化合物、
(A7)イミダゾリノン系除草性化合物、
(A8)フェニルカーバメート系除草性化合物、
(A9)ウラシル系除草性化合物、
(A10)ウレア系除草性化合物、
(A11)トリアジノン系除草性化合物、
(A12)トリアジン系除草性化合物、
(A13)ビピリジウム系除草性化合物、
(A14)ジフェニルエーテル系除草性化合物、
(A15)トリアゾリノン系除草性化合物、
(A16)オキサジアゾール系除草性化合物、
(A17)ピリミジンジオン系除草性化合物、
(A18)ピラゾール系除草性化合物、
(A19)トリケトン系除草性化合物、
(A20)アミノ酸系除草性化合物、
(A21)ジニトロアニリン系除草性化合物、
(A22)クロロアセトアミド系除草性化合物、
(A23)チオカーバメート系除草性化合物、
(A24)ピリジンカルボン酸系除草性化合物、
(A25)キノリンカルボン酸系除草性化合物、
(A26)フェノキシカルボン酸系除草性化合物、若しくは
(A27)アイオキシニル、ブロモキシニル、ジクロベニル、アミカルバゾン、クロリダゾン、ベンタゾン、カルブチレート、プロパニル、ピリデート、ピラフルフェンエチル、シニドンエチル、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン、ピコリナフェン、アクロニフェン、フルリドン、ノルフルラゾン、ジフルフェニカン、ベフルブタミド、フルロクロリドン、フルルタモン、イソキサフルトール、クロマゾン、アシュラム、ジチオピル、チアゾピル、ジカンバ、ベナゾリン、ジフルフェンゾピル、ナプタラム、ナプロパミド、テトラピオン、ピノキサデン、ピロキサスルホン、インダジフラム、アミノシクロピラクロール、及び6−クロロ−3−(2−シクロプロピル−6−メチルフェノキシ)−4−ピリダジニル 4−モルホリンカルボキシレートからなる群より選択される化合物又はそれらの塩のうち、少なくとも1種類の化合物又はそれらの塩を含有する除草性組成物。
【請求項2】
A−87774化合物が、A−87774−2である、請求項1に記載の除草性組成物。
【請求項3】
第2除草性化合物が、
(A2)アリロキシフェノキシプロピオン酸系除草性化合物として、プロパキザホップ、キザロホップ、ハロキシホップ、フルアジホップブチル、フルアジホップ-P-ブチル、又はフェノキサプロップ-P-エチル、
(A3)スルホニルウレア系除草性化合物として、フォーラムスルフロン、ニコスルフロン、トリトスルフロン、ヨードスルフロンメチル、リムスルフロン、メソスルフロンメチル、メトスルフロンメチル、トリベヌロンメチル、又はトリフロキシスルフロン、
(A6)トリアゾロピリミジン系除草性化合物として、フロラスラム、又はメトスラム、
(A9)ウラシル系除草性化合物として、ブロマシル、
(A10)ウレア系除草性化合物として、イソウロン、ジウロン、又はリニュロン、
(A12)トリアジン系除草性化合物として、アメトリン、又はアトラジン、
(A13)ビピリジウム系除草性化合物として、パラコート、又はジクワット、
(A15)トリアゾリノン系除草性化合物として、カルフェントラゾンエチル、又はスルフェントラゾン、
(A19)トリケトン系除草性化合物として、スルコトリオン、
(A20)アミノ酸系除草性化合物として、グリホサート、グルホシネート、又はビアラホス、
(A21)ジニトロアニリン系除草性化合物として、ペンディメタリン、又はトリフルラリン、
(A22)クロロアセトアミド系除草性化合物として、アセトクロール、アラクロール、メトラクロール、又はS−メトラクロール、
(A26)フェノキシカルボン酸系除草性化合物として、2,4−D、又はMCPB、或いは
(A27)ジクロベニル、カルブチレート、ピラフルフェンエチル、ジフルフェニカン、クロマゾン、アシュラム、ジチオピル、及びテトラピオンからなる群より選択される化合物
或いはそれらの塩である、請求項1〜2のいずれか一項に記載の除草性組成物。
【請求項4】
第2除草性化合物が、
(A2)アリロキシフェノキシプロピオン酸系除草性化合物として、フェノキサプロップ−P−エチル、
(A3)スルホニルウレア系除草性化合物として、ニコスルフロン、
(A6)トリアゾロピリミジン系除草性化合物として、フロラスラム、
(A9)ウラシル系除草性化合物として、ブロマシル、
(A10)ウレア系除草性化合物として、イソウロン、ジウロン、又はリニュロン、
(A12)トリアジン系除草性化合物として、アトラジン、
(A13)ビピリジウム系除草性化合物として、パラコート、
(A15)トリアゾリノン系除草性化合物として、カルフェントラゾンエチル、
(A19)トリケトン系除草性化合物として、スルコトリオン、
(A20)アミノ酸系除草性化合物として、グリホサート、グルホシネート、又はビアラホス、
(A21)ジニトロアニリン系除草性化合物として、ペンディメタリン、又はトリフルラリン、
(A22)クロロアセトアミド系除草性化合物として、メトラクロール、
(A26)フェノキシカルボン酸系除草性化合物として、2,4−D、又はMCPB、或いは
(A27)ジクロベニル、カルブチレート、ピラフルフェンエチル、ジフルフェニカン、クロマゾン、アシュラム、ジチオピル、及びテトラピオンからなる群より選択される化合物
或いはそれらの塩である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の除草性組成物。
【請求項5】
第2除草性化合物が、
(A9)ウラシル系除草性化合物として、ブロマシル、
(A10)ウレア系除草性化合物として、イソウロン、又はジウロン、
(A13)ビピリジウム系除草性化合物として、パラコート、
(A20)アミノ酸系除草性化合物として、グリホサート、グルホシネート、又はビアラホス、或いは
(A27)ジクロベニル、及びカルブチレートからなる群より選択される化合物
或いはそれらの塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の除草性組成物。
【請求項6】
A−87774化合物1質量部に対する第2除草性化合物の配合比が、0.005〜1000質量部である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の除草性組成物。
【請求項7】
A−87774化合物1質量部に対する第2除草性化合物の配合比が、0.01〜500質量部である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の除草性組成物。
【請求項8】
A−87774化合物1質量部に対する第2除草性化合物の配合比が、0.02〜200質量部である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の除草性組成物。
【請求項9】
ナス科雑草、アオイ科雑草、ヒルガオ科雑草、ヒユ科雑草、キク科雑草、アブラナ科雑草、アカザ科雑草、スミレ科雑草、ナデシコ科雑草、マメ科雑草、スベリヒユ科雑草、ゴマノハグサ科雑草、シソ科雑草、トウダイグサ科雑草、イネ科雑草、カヤツリグサ科雑草、ツユクサ科雑草、又はトクサ科雑草の除草用である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の除草性組成物。
【請求項10】
イヌビエ、スズメノテッポウ、スズメノカタビラ、エノコログサ、又はイチビの除草用である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の除草性組成物。
【請求項11】
雑草の除草方法であって、雑草又は土壌に請求項1〜10のいずれか一項に記載の除草性組成物を処理する方法。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物A−87774−1、化合物A−87774−2及び化合物A−87774−3から選択されるA−87774化合物又はその塩を含む除草性組成物であって、第2除草性化合物として、
(A1)シクロヘキサンジオンオキシム系除草性化合物、
(A2)アリロキシフェノキシプロピオン酸系除草性化合物、
(A3)スルホニルウレア系除草性化合物、
(A4)スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系除草性化合物、
(A5)ピリミジニルサリチル酸系除草性化合物、
(A6)トリアゾロピリミジン系除草性化合物、
(A7)イミダゾリノン系除草性化合物、
(A8)フェニルカーバメート系除草性化合物、
(A9)ウラシル系除草性化合物、
(A10)ウレア系除草性化合物、
(A11)トリアジノン系除草性化合物、
(A12)トリアジン系除草性化合物、
(A13)ビピリジウム系除草性化合物、
(A14)ジフェニルエーテル系除草性化合物、
(A15)トリアゾリノン系除草性化合物、
(A16)オキサジアゾール系除草性化合物、
(A17)ピリミジンジオン系除草性化合物、
(A18)ピラゾール系除草性化合物、
(A19)トリケトン系除草性化合物、
(A20)アミノ酸系除草性化合物、
(A21)ジニトロアニリン系除草性化合物、
(A22)クロロアセトアミド系除草性化合物、
(A23)チオカーバメート系除草性化合物、
(A24)ピリジンカルボン酸系除草性化合物、
(A25)キノリンカルボン酸系除草性化合物、
(A26)フェノキシカルボン酸系除草性化合物、若しくは
(A27)アイオキシニル、ブロモキシニル、ジクロベニル、アミカルバゾン、クロリダゾン、ベンタゾン、カルブチレート、プロパニル、ピリデート、ピラフルフェンエチル、シニドンエチル、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン、ピコリナフェン、アクロニフェン、フルリドン、ノルフルラゾン、ジフルフェニカン、ベフルブタミド、フルロクロリドン、フルルタモン、イソキサフルトール、クロマゾン、アシュラム、ジチオピル、チアゾピル、ジカンバ、ベナゾリン、ジフルフェンゾピル、ナプタラム、ナプロパミド、テトラピオン、ピノキサデン、ピロキサスルホン、インダジフラム、アミノシクロピラクロール、及び6−クロロ−3−(2−シクロプロピル−6−メチルフェノキシ)−4−ピリダジニル 4−モルホリンカルボキシレートからなる群より選択される化合物
又はそれらの塩のうち、少なくとも1種類の化合物又はそれらの塩と組み合わせて用いられる組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−162477(P2012−162477A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22770(P2011−22770)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(303020956)三井化学アグロ株式会社 (70)
【Fターム(参考)】