説明

A型プロアントシアニジンオリゴマー画分及びその製造方法

【課題】ピーナッツ渋皮を原材料としたA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする高生理活性画分を、安価に、かつ効率的に製造する方法、及び、該生理活性画分の機能性素材としての利用を提供すること。
【解決手段】ピーナッツ渋皮熱水抽出液をポリスチレン系合成吸着剤で吸着処理し、該吸着剤を10〜50容量%のエタノールで溶出処理した後、60〜100容量%エタノールで可溶性成分を溶出分取することにより、A型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分を製造する。該製造方法により、生体内での吸収性・安定性に優れ、活性低下の少ない高生理活性のプロアントシアニジンを、安価に、かつ効率的に製造することができる。該生理活性画分は、そのオリゴマー画分が、従来のピーナッツ渋皮由来プロアントシアニジンと比較して、抗酸化性、肝機能障害抑制作用のような機能性素材として高い生理活性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピーナッツ渋皮を原材料としたA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする高生理活性画分、及びその製造方法、並びに該高生理活性画分の機能性素材としての利用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロアントシアニジンは、従来より「縮合型タンニン」或いは「非加水分解性タンニン」と呼ばれていた化合物で、植物体に含まれるポリフェノールの一種として知られている。その構造は、一般的にはカテキンまたはエピカテキンなどのフラバン−3−オール構造を有する化合物を構成単位として、それらが複数個縮重合した結合様式をとっている。結合様式の違いから、大きくB型(単位間の炭素通しの結合が4β→8または4β→6のみ)およびA型(単位間に4β→8および2β→O→7または4β→6および2β→O→7の結合を少なくとも1つ有する)に分けられている(非特許文献1〜2)。
【0003】
B型プロアントシアニジンは、ブドウ種子、リンゴ、松樹皮、カカオなど多くの植物体への存在が知られ(非特許文献3〜6)、既にこれらプロアントシアニジンを含む抽出物が、食品添加物、健康食品、化粧品素材などに利用されている。一方、A型プロアントシアニジンは、B型プロアントシアニジンに比較すると、含有されている植物体は非常に限られており、クランベリー、シナモン、ピーナッツ渋皮など数種類しか知られておらず(非特許文献4,7〜9)、抽出物としての利用もまだ少ない。これらプロアントシアニジンは、既に様々な機能性・生理活性を有することが認められており、主なところでは抗酸化性、抗変異原性、動脈硬化抑制、抗腫瘍性、美白作用、糖尿病合併症抑制作用、免疫調整機能、尿路感染症予防などが挙げられる(非特許文献6,10〜11)。
【0004】
ピーナッツ渋皮抽出物の機能性・生理活性に関しては、これまでに発毛育毛、消臭、抗腫瘍性、抗肥満、抗アレルギー、美白作用、ヒアルロニダーゼ活性阻害、プラーク生成抑制、抗HIV作用、血小板増殖活性、抗酸化性などが報告されている(特許文献1〜9、非特許文献9,12〜13)。しかしながら、肝機能障害改善作用については未だ報告はされておらず、また、開示された特許文献においても、機能性成分まで特定しているものは殆どなく、特定していても実際に生体内に摂取または投与した場合の吸収性まで検証したものは皆無であった。
【0005】
生体内への吸収性については、B型プロアントシアニジンの場合は、種類によって差はあるが、その構成単位であるカテキン、エピカテキンに比較して、生体内条件下での安定性が悪く、実際の吸収率は著しく低いことが報告されている(非特許文献14〜16)。吸収される成分は、トリマー(3量体)以下の低分子のものに限られ、分子量の大きいポリマー類は吸収されにくいとされ、また、吸収された成分の一部は消化管の粘膜上皮細胞や肝臓においてグルクロン酸抱合、硫酸抱合などの抱合化反応やメチル化反応を受けて血流に入り、末梢組織へと運搬され、最終的に腎臓を経て尿中に排出されると考えられている。抱合化型またはメチル化型と未反応の遊離型の割合は、物質によって異るとされているが、遊離型と比べて抗酸化性などの活性機能は著しく弱められると考えられている(非特許文献17)。ピーナッツ渋皮に代表されるA型プロアントシアニジンの代謝及び体内動態については、研究途上であり殆ど明らかになっていないのが実情である。
【0006】
ピーナッツ渋皮からのA型プロアントシアニジンの工業的な抽出法および精製法に関しては、溶媒抽出法、発酵抽出法、合成吸着剤による吸着処理法などが用いられてきた。溶媒抽出法としては、例えば、水、熱水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、プロピレングリコールのような低級アルコール類;エチルエーテル、ジオキサンのようなエーテル類、アセトンのようなケトン類等の抽出溶媒を用いて抽出する方法が知られている(特許文献5,7,9〜10,13〜16)。発酵抽出法としては、例えば、酵母を添加発酵させ、抽出分離する方法が知られている(特許文献11、17)。また、合成吸着剤による吸着処理法としては、ピーナッツ渋皮を熱水抽出した抽出液を、ダイアイオンHP20に吸着させた後、アセトンで溶出し、更に、水及びエタノールに可溶の成分を分取する方法が知られている(特許文献8)。
【0007】
従来のこれらのA型プロアントシアニジンの抽出法は、いずれも抽出溶媒を用いて、プロアントシアニジンを包括的に抽出分離しているだけであるため、抽出分離されたプロアントシアニジンの生理活性や、機能性素材として用いる場合のその他の特性において、満足のいくものではなかった。
【0008】
一方で、リンゴ、ナシ、モモのようなバラ科植物の果実由来のポリフェノール成分を含有する原料を、ポリスチレン系樹脂より構成される吸着樹脂に吸着させ、これを水、アルカリ、アルコール類、エステル類、ケトン類、或いはそれらの混合液の所定の溶出液を使用して所望のポリフェノール群毎に分離、精製する方法が知られている(特許文献12)。該方法は、上記のようにリンゴ抽出物などのB型プロアントシアニジンの分離、精製に用いられているものであるが、該方法を、実際にA型プロアントシアニジンを主とするピーナッツ渋皮抽出物が適用可能かどうかを検討してみたところ、分画パターンがまるで異なり、その方法での分画は不可能であった。
【0009】
以上のように、従来のA型プロアントシアニジンの抽出法としてしられているものは、いずれも抽出溶媒を用いて、プロアントシアニジンを包括的に抽出分離しているにとどまるものであり、抽出分離されたプロアントシアニジンの生理活性や、機能性素材として用いる場合のその他の特性に着目して、有効な生理活性を有する成分を、効率よく選択的に分離・精製する方法は提供されていない。
【0010】
【特許文献1】特開2005−255611号公報。
【特許文献2】特開2005−073889号公報。
【特許文献3】特開2004−149431号公報。
【特許文献4】特開2004−026719号公報。
【特許文献5】再表03/020295号公報。
【特許文献6】特開2002−145757号公報
【特許文献7】特許3472172号公報。
【特許文献8】特許3010258号公報。
【特許文献9】特許3217278号公報。
【特許文献10】特開2004−269487号公報。
【特許文献11】特開2004−329061号公報。
【特許文献12】特開2000−016951号公報。
【特許文献13】特開2001−247428号公報。
【特許文献14】特開2004−217558号公報。
【特許文献15】特開2004−277350号公報。
【特許文献16】特開2005−237203号公報。
【特許文献17】特開平9−221484号公報。
【非特許文献1】E. Haslam, The Flavonoids, Advances in Research Since 1975, Chapman & Hall, London(1982) p.417。
【非特許文献2】西岡 五夫, 化学と生物 Vol.24,No.7,p.428-439,1986。
【非特許文献3】M. Bourzeix, D. Weyland, N. Heredia, Bulletin de I’O.I.V., p.669-670, 1172(1986)。
【非特許文献4】R.S. Thompson, D. Jacques, E. Haslam, R.J.N. Tanner, J. Chem.Soc. PerkinI, 11, 1387(1972)。
【非特許文献5】J.Masquelier, Natural products as medicinal agents, Planta Med.1980, p.242-256。
【非特許文献6】滝沢 登志男, 最近のカカオポリフェノール研究, 明治製菓研究年報 No.37, p.1-14, 1998。
【非特許文献7】木村 進, 中林 敏郎, 加藤 博通編著, 食品の変色の化学, 光琳(1995), p.50-54。
【非特許文献8】J.J. Karchesy, R.W. Hemingway, Condensed tannins: (4β→8 ; 2β→O→7)-linked procyanidins in Arachis hypogaea L. J. Agric. Food Chem. 1986, 34 (6), p.966-970。
【非特許文献9】H. Lou, Y. Yamazaki, T. Sasaki, M. Uchida, H. Tanaka, S. Oka,A-type proanthocyanidins from peanut skins. Phytochemistry 1999, 51, p.297-308。
【非特許文献10】有賀 敏明, プロアントシアニジンの抗酸化機能および疾病予防機能とその利用, 日本油化学会誌 第48巻, 第10号, p.1087-1096, 1999。
【非特許文献11】L.Y. Foo, A.B. Howell, N. Vorsa, A-type proanthocyanidin trimers from cranberry that inhibit adherence of uropathogenic P-fimbriated Escherichia coli. J. Nat. Prod. 2000, 63(9), p.1225-1228。
【非特許文献12】佐々木 務, 藤田 文, 岡 修一, ピーナツ種皮エキスの生理機能とその利用, 食品と開発 Vol.35, No.9, p.60-62, 2000。
【非特許文献13】岡 修一 他, 落花生種皮熱水抽出液の生物活性, 和漢医薬学雑誌 15、 p.444-445, 1998。
【非特許文献14】Q.Y. Zhu, R.R. Holt, S.A.Lazarus, J.L. Ensunsa, J.F. Hammer-stone, H.H. Schmitz, C.L. Keen, Stability of flavan-3-ols epicatechin and catechin and related dimeric procyanidins derived from cocoa. J. Agric.Food Chemistry2002, 50, p.1700-1705。
【非特許文献15】R.R. Holt, S.A. Lazarus, M.C. Sullards, Q.Y. Zhu, D.D.Schramm, J.F. Hammerstone, C.G. Fraga, H. Schmitz, C.L. Keen, Procyanidin dimmer B2 [epicatechin-(4β-8)-epicatechin] in human plasma after the consumption of a flavanol-rich cocoa.Am. J. Clin. Nutr. 2002, 76, p.798-804。
【非特許文献16】S Baba, N. Osakabe, A. Yasuda, T. Takizawa, T. Nakamura, J. Terao, Cocoa powder enhances the level of antioxidative activity in rat plazma. Brit. J. Nutr. 2000, 84, p.673-680。
【非特許文献17】宮澤 陽夫, 天然抗酸化物質の吸収と代謝(解説)化学と生物 Vol.38,No.2, p.104-114, 2000。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、ピーナッツ渋皮を原材料としたA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする高生理活性画分を、安価に、かつ効率的に製造する方法、及び、該機能性素材としての機能及び特性に優れたA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする高生理活性画分を機能性素材として利用する方法を提供することにある。
【0012】
すなわち、従来より市場に提供されてきたプロアントシアニジンは、様々な分子量を持つ成分の混合物であり、生体内への吸収性に優れた分子量画分である低分子画分(以下、活性オリゴマー画分と呼ぶ)のみを有するものではない。また、従来の方法により取得された、B型プロアントシアニジンのようなプロアントシアニジンにおいては、生体内での安定性・吸収性が悪く、吸収された成分も抱合化などによりその生理活性の低下が起こる。そこで、本発明の課題は、高生理活性を有するとともに、生体内での吸収性・安定性に優れ、活性低下の少ない高生理活性のプロアントシアニジンを、安価に、かつ効率的に製造する方法、及び、該高生理活性のプロアントシアニジンを高機能性の素材として利用する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討する中で、ピーナッツ渋皮熱水抽出液を、特定の合成吸着剤で吸着処理し、該吸着剤を、特定の抽出溶媒を用いて、異なる濃度による溶出処理を行なうことにより、機能性素材としての機能及び特性に優れた高生理活性の画分を分離することが可能であり、かつ該高生理活性の画分を効率的に取得することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。本発明の製造方法は、ピーナッツ渋皮熱水抽出液をポリスチレン系合成吸着剤で吸着処理し、該吸着剤を10〜50容量%のエタノール(以下、エタノールの濃度の%表示は、「容量%」を意味する。)で溶出処理した後、60〜100%エタノールで可溶性成分を溶出分取することを特徴とするA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分の製造方法からなる。
【0014】
すなわち、本発明者は上記のとおり検討を重ねた結果、ピーナッツ渋皮に含まれるA型プロアントシアニジンの生体内吸収に優れた活性オリゴマー画分を、効率良く選択的に分離精製する方法を見い出した。そして、そのオリゴマー画分が生体内の吸収性、安定性に優れ、かつ、抱合化されずに生理活性を保持した遊離型のままで血漿中に存在することを確認した。更に、そのオリゴマー画分が、従来のように、分画していない未処理のピーナッツ渋皮由来プロアントシアニジンと比較して、抗酸化性、肝機能障害抑制作用のような機能性素材としての生理活性において優れていることも併せて確認した。
【0015】
本発明において、ピーナッツ渋皮熱水抽出液を吸着処理するための、吸着剤としては、ポリスチレン系合成吸着剤が用いられ、該ポリスチレン系合成吸着剤としては、セパビーズSP825(樹脂細孔半径50〜60Å)等(他メーカーの同等品)を好ましい吸着剤として挙げることができる。また、本発明において、ピーナッツ渋皮熱水抽出液をポリスチレン系合成吸着剤で吸着処理した吸着剤は、10〜50%のエタノールでの溶出処理による洗浄処理と、60〜100%エタノールで可溶性成分を溶出分取する2段階の溶出処理を行なうが、特に好ましい吸着剤の溶出処理としては、30容量%のエタノールで溶出処理した後、80%エタノールで可溶性成分を溶出分取する処理を挙げることができる。
【0016】
本発明の生理活性画分は、ピーナッツ渋皮に由来する、2〜5量体の分子群で構成されているA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分で、高い生理活性を有すると共に、生体内での吸収性、安定性、活性維持能が高く、機能性素材としての生理活性において優れた特性を有する。特に、生理活性画分として、優れた抗酸化性、及び、肝機能障害抑制作用を有する。本発明の生理活性画分は、飲食品、健康食品、飼料、医薬組成物における優れた活性、特性を有する機能性素材として用いることができる。
【0017】
すなわち具体的には本発明は、(1)ピーナッツ渋皮熱水抽出液をポリスチレン系合成吸着剤で吸着処理し、該吸着剤を10〜50容量%のエタノールで溶出処理した後、60〜100容量%エタノールで可溶性成分を溶出分取することを特徴とするA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分の製造方法や、(2)ポリスチレン系合成吸着剤が、樹脂細孔半径38〜80Å(オングストローム)のポリスチレン系合成吸着剤であることを特徴とする上記(1)記載のA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分の製造方法や、(3)ピーナッツ渋皮熱水抽出液をポリスチレン系合成吸着剤で吸着処理した吸着剤を、30容量%のエタノールで溶出処理した後、80%エタノールで可溶性成分を溶出分取することを特徴とする上記(1)又は(2)記載のA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分の製造方法からなる。
【0018】
また本発明は、(4)ピーナッツ渋皮熱水抽出液をポリスチレン系合成吸着剤で吸着処理し、該吸着剤を10〜50容量%のエタノールで溶出処理した後、60〜100容量%エタノールで可溶性成分を溶出分取することにより得られる2〜5量体の分子群で構成されているA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分や、(5)上記(4)記載のA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分を有効成分とする肝機能障害抑制剤や、(6)上記(4)記載のA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分を有効成分とする生体内抗酸化剤や、(7)上記(4)記載のA型プロアントシアニジンオリゴマーを添加したことを特徴とする飲食品又は化粧品からなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、種々の有用な生理活性を有するA型プロアントシアニジンのオリゴマー画分を取得することができ、また、生体内吸収性、安定性等の特性に優れた機能性素材を提供することができる。また、本発明は、該高生理活性の画分を、安価かつ簡便に、更には効率的に取得する方法を提供する。すなわち、本発明の生理活性画分の製造方法は、製造工程中、有害な薬品は一切使用せず、ピーナッツ渋皮自体も食習慣のある素材であるので、その抽出物も安全かつ自由に使用することができ、また、その抽出・吸着・溶出分離などの処理操作も複雑な操作を必要とせず、安価かつ簡便、更には効率的に行なうことができる。
【0020】
特に、本発明の生理活性画分の製造方法は、豆菓子製造業において排出される湯のような未利用資源を利用して、安価かつ効率的に、機能性に優れたA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分の製造を可能とし、機能及び特性に優れた機能性素材の工業的な製造方法を提供する。すなわち、豆菓子製造業においては、渋皮付きのピーナッツを熱湯に浸漬して種皮を除去する湯剥き工程が採用されるが、ピーナッツ渋皮プロアントシアニジンの殆どは、該湯剥き工程の際に排出される湯の中に溶解していることから、本発明の生理活性画分の製造方法におけるピーナッツ渋皮抽出工程として、この湯を利用することができ、したがって、本発明の製造方法を豆菓子製造業における排出湯等に適用して、極めて安価に本発明の機能性素材を製造することが可能となる。このように本発明は、未利用資源を有効活用することにより、新たな産業の創出を促進することにも貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、ピーナッツ渋皮を原材料としたA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする高生理活性画分、及びその製造方法、並びに該高生理活性画分の機能性素材としての利用方法からなる。以下に、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0022】
(生理活性画分)
本発明により製造されるプロシアニジンオリゴマーは、フラバン骨格を持つ化合物((+)カテキンもしくは(−)エピカテキン等)を最小の構成単位とし、2〜5量体を中心として、13〜14量体程度まで存在するものである。そのうち2量体はプロシアニジンA類と呼称される化合物であり、結合様式は2つのフラバン骨格がC−C結合、及びC−O−C結合にて結合し、結合箇所は、基本的にはC環−A環が2箇所で結合している。同様の結合様式により複数のフラバン骨格が結合し、プロシアニジンオリゴマーを形成するものである。また構成するフラバン骨格の水素原子が、ランダムに水酸基やアルキル基等により置換されたものであっても、水酸基に没食子酸等が結合したものであってもかまわない。
【0023】
(原料)
本発明のA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分の製造に用いられる原料となるのはピーナッツの渋皮である。ピーナッツの渋皮は、食経験はあるものの、一般的に食用としての利用は少なく、特に菓子製造時には廃棄物として大量に排出される。本発明の生理活性画分の製造方法においては、このピーナッツの渋皮を熱水で抽出した抽出液を原料として用いる。また、豆菓子製造業において菓子を製造する際には、渋皮の剥皮工程として、熱水(95℃程度)にてピーナッツ(渋皮付き)を浸積処理(数分)しているが、この剥皮処理水(産業廃棄物:渋皮熱水抽出液)を、上記ピーナッツの渋皮の熱水抽出液として利用することができる。該剥皮処理水を利用すれば、製造コストはかなり安価に抑えることができる。原料として使用するピーナッツは、ラッカセイ属に属するものであれば、その種類は問わない。好ましいのはラッカセイ属に属するラッカセイ(Arachis.hypogaea)である。また、生産地や収穫時期等についても特に制限するものではない。
【0024】
(吸着・溶出処理)
本発明の生理活性画分の製造方法は、ピーナッツ渋皮熱水抽出液をポリスチレン系合成吸着剤で吸着処理し、該吸着剤を濃度の異なるエタノールで溶出処理し、可溶性成分を溶出分取することよりなる。本発明の方法において用いるピーナッツ渋皮熱水抽出液は、熱水抽出条件、方法等(処理温度、時間)は特に制限するものではないが、好ましくは熱水の温度が90〜95℃程度である。本発明の方法における合成吸着剤による吸着処理は、カラムクロマトの形態で処理することが好ましいが、該カラムクロマトの充填剤は、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体から構成されるポリスチレン系合成吸着剤が用いられる。本発明の方法において用いられる好ましいポリスチレン系合成吸着剤としては、樹脂の細孔半径が好ましくは38〜80Å(オングストローム)、更に、好ましくは50〜70Å、最も好ましいくは50〜60Åである。本発明の方法において用いられる好ましいポリスチレン系合成吸着剤として、セパビーズSP825(樹脂細孔半径50〜60Å)等を挙げることができる。
【0025】
本発明の製造方法におけるポリスチレン系合成吸着剤を用いた吸着処理について説明すると、例えばピーナッツ渋皮熱水抽出液を、セパビーズSP825を充填したカラムにチャージし、水洗後、30容量%エタノールにて高分子プロシアニジンを溶出・除去し、更に、80容量%エタノールを用いて溶出することにより、本発明のプロシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分を溶出させることができる。一般的に分子量の小さいプロシアニジンは、酢酸エチルによって抽出されることが知られているが、上記方法で製造したプロシアニジンオリゴマーは、酢酸エチル可溶性成分を約42%と高含有するものである。更に、質量分析においても2〜5量体を多量に含むことを確認することができた。また、高分子プロシアニジンの溶出・除去に使用するエタノール濃度は10〜50%であり、プロシアニジンオリゴマー溶出に使用するエタノールの濃度は60〜100容量%である。ともに製造するプロアントシアニジンオリゴマーの回収率や構成成分の分子量(プロシアニジンの重合度)を考慮し、目的に合わせて、上記濃度の範囲内で、最適な濃度のエタノール溶液を選択することができる。
【0026】
(生理活性画分)
本発明において製造したA型プロアントシアニジンオリゴマー生理活性画分は、活性酸素消去能やラジカル消去活性、抗酸化活性等の高活性の生理活性を有する。生体内において、脂質の過酸化や余剰な活性酸素は様々な疾病を引き起こすことが明らかにされており、本発明により製造される生理活性画分は、このような脂質の過酸化や余剰な活性酸素に対する活性酸素消去剤や抗酸化剤として利用することができる。具体的に、活性酸素による障害が原因とされる主な疾患として血管系疾患(動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中)、アレルギー性疾患、炎症、肝障害、白内障、糖尿病、リウマチ等をあげることができるが、本発明により製造される生理活性画分はこれらの予防のために使用する有効な活性成分として使用することができる。特に本生理活性画分に含まれるプロシアニジンの二量体は、その大部分が包合体化されずに血漿中に吸収されることを、動物実験により確認しており、血漿中で高い抗酸化機能を発揮することを明らかにしている。また、活性酸素が原因とされる皮膚のトラブルとして、シミ、そばかす、アトピー性皮膚炎、肌荒れ等をあげることができるが、本発明により製造される化合物は化粧品成分としてこれらの疾患の予防等に使用することができる。更に、本生理活性画分は食品添加物として、食品中に含まれる成分の酸化防止剤としても使用することができる。
【0027】
(生理活性画分の利用)
本発明により製造される生理活性画分は、種々の用途において、機能性素材として用いることができる。該機能性素材の利用に際しては、それぞれの用途において、適宜、形態或いは添加量を変えて用いることができる。例えば、本発明により製造される生理活性画分を用いて食品を製造する場合には、食品の形態、種類及び目的(機能性食品、健康食品、健康志向食品、通常の加工食品)に合わせて添加量(おおよそ0.01%〜99%の範囲)を調節することができる。食品の形態としては、種類を限定するものではなく、飲料を含むすべての加工食品に添加・活用することができる。また、カプセルや錠剤、粉末状の食品であってもかまわない。また、本発明により得られる生理活性画分を化粧品類に利用する場合には、クリーム、ローション、化粧水、洗顔料、石けん、シャンプー等のような種々の形態の化粧品に利用することができる。
【0028】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
[ピーナッツ渋皮を原料とした生理活性画分の調製]
(試験方法)
豆菓子製造時に排出されるピーナッツ渋皮剥皮処理水(渋皮付きピーナッツを95℃の熱水にて3〜5分間抽出)7Lを、ポアサイズ10μmのフィルターにてろ過し、これを渋皮熱水抽出液とした。充填材としてセパビーズSP825(三菱化学製)を充填し、蒸留水にて平衡化したカラム(充填材容量1L)に渋皮熱水抽出液をチャージ(送液)後、蒸留水3Lにて洗浄した。続いて、30%エタノール1.5Lにて成分を溶出させた後、更に、80%エタノール1.5Lにて残存成分をすべて溶出させた(溶出条件1)。30%、80%エタノール溶出画分について、エタノールを除去後、凍結乾燥することで、それぞれ4.0g及び2.3gの粉末を得た。
【0030】
カテキン類や低分子のプロシアニジンは、酢酸エチルにて分画できることが知られており、該凍結乾燥粉末のプロシアニジンの重合度を、酢酸エチル分画により推定した。すなわち、それぞれエタノール溶出凍結乾燥粉末を、蒸留水に溶解し、酢酸エチルにて分画した。これをさらに2回実施後、酢酸エチル画分を合わせ、少量の蒸留水にて洗浄した。硫酸ナトリウム(無水)にて脱水した後、濃縮乾固し、酢酸エチルを除去した。これに少量の温水(40〜60℃蒸留水)を加え溶解し、凍結乾燥により酢酸エチル可溶性画分を調製した(酢酸エチル分画率が高いほどプロシアニジンオリゴマーの含有率が高くなる)。30%エタノール溶出粉末の酢酸エチル分画率は11.1%であり、80%エタノール溶出粉末の酢酸エチル分画率は42.2%であった。
【0031】
予備試験として、同様のスケール、方法にて、10%エタノールにて成分を溶出させた後、80%エタノールで溶出させた場合(溶出条件2)、更に、20容量%エタノールにて溶出後、80容量%エタノールにて溶出させた場合(溶出条件3)、50%エタノールにて溶出後、80容量%エタノールにて溶出させた場合(溶出条件4)についても実験を行った。また、比較のため合成吸着剤としてダイヤイオンHP20を使用し、80容量%エタノールのみにて溶出した場合(溶出条件5)についても実験を行った。
【0032】
(結果)
溶出条件2において、10%エタノール溶出粉末は0.4g、酢酸エチル分画率は0.84%、80%エタノール溶出粉末は5.3g、酢酸エチル分画率は24.1%であった。溶出条件3において20%エタノール溶出粉末は1.6g、酢酸エチル分画率は2.8%であった。80%エタノール溶出粉末は6.0g、酢酸エチル分画率は25.8%であった。溶出条件4において50%エタノール溶出粉末は5.5g、酢酸エチル分画率は18.9%であった。80%エタノール溶出粉末は0.2g、酢酸エチル分画率は30.2%であった。溶出条件5において80%エタノール溶出粉末は7.1g、酢酸エチル分画率は13.5%であった(いずれの溶出条件においても、酢酸エチルにて分画される構成成分はほぼ同じであることを確認している)。
【0033】
以上の結果について、溶出条件とポリフエノールの収量との関係を図1に、及び、溶出条件と調製ポリフエノールの酢酸エチル分画率との関係を図2に示した。
また、溶出条件1(30%エタノールにて溶出後、80%エタノールにて溶出させた場合)にて調製したポリフェノールのESI−MS(Electrspray Ionization Mass Spectyometry:ESI-MS)クロマトグラムを図3に、及び、溶出条件5(合成吸着剤としてダイヤイオンHP20を使用し、80%エタノールのみにて溶出した場合)にて調製したポリフェノールのESI−MSクロマトグラムを図4に示した。
【0034】
(評価)
図1より最初の溶出(ステップ1)に使用するエタノールの濃度が高くなるにつれて、溶出するポリフェノール量も多くなることがわかる(それにともない、その後の80%エタノールにより溶出するポリフェノールの量は低下する)。また80%エタノールにて溶出した(ステップ2)ポリフェノールの酢酸エチル分画率は、最初の溶出に使用したエタノールの濃度が30%の場合、最も高くなることがわかった。ステップ1の低濃度エタノールは酢酸エチルに溶解しない高分子のプロアントシアニジンを溶出・除去するために使用する。ピーナッツ渋皮に含まれるA型プロアントシアニジンの場合、今回の試験方法では高分子のプロアントシアニジンを溶出・除去するのに30%エタノールが最も適していることがわかった。
【0035】
溶出条件1と、対照である溶出条件5を比較した場合、溶出条件1の80%エタノールにて溶出されるポリフェノール量は約3分の1となるが、調製したポリフェノールの酢酸エチル分画率は約3倍となることがわかる。溶出条件1で調製したポリフェノール(80%エタノール溶出)と溶出条件5で調製したポリフェノールのESI−MSクロマトグラム(図3、図4)に示されるように、溶出条件1にて調製したポリフェノールは分子量150〜2000の低分子プロアントシアニジン(A型)のイオン強度が約2.5倍に増加するとともに、プロアントシアニジン2量体(A型、MW:576)が最もよく抽出されていることがわかる。
【実施例2】
【0036】
[ピーナッツ渋皮を原料とした生理活性画分の活性評価試験]
(A.ピーナッツ渋皮熱水抽出液よりの生理活性画分の調製)
ピーナッツ渋皮熱水抽出液をダイヤイオンHP20(三菱化学製、樹脂細孔半径260Å)カラムクロマトグラフィーにて処理し、該カラムを、80%エタノールにて残存成分を溶出させたものをポリフェノール画分とした。ポリフェノール画分を酢酸エチルにて抽出し、温水に可溶な成分を低分子プロシアニジン画分とした。このピーナッツ渋皮低分子プロシアニジン画分をHPLCにて分析した結果を、図5(ピーナッツ渋皮低分子プロシアニジン画分及びラット血漿HPLCクロマトグラム)に示す。
【0037】
図中、(a)は、ピーナッツ渋皮低分子プロシアニジン画分の場合を、(b)は、低分子プロシアニジン画分投与ラット血漿(脱包合無処理)の場合を、(c)は、低分子プロシアニジン画分投与ラット血漿(脱包合処理)の場合を、(d)は、コントロールラット血漿の場合を示す。また、まる数字の1は(+)カテキンを、2は(−)エピカテキンを、3〜5はプロシアニジン2量体(MW576)を、6はフェスチン(内部標準試料)を示す。図に示されるように、ピーナッツ渋皮低分子プロシアニジン画分のHPLC分析結果により、(+)カテキン、(−)エピカテキン、プロシアニジンA類(MW576)等6種類程度存在することを示している。
【0038】
(B.低分子プロシアニジン画分の生体吸収性)
実験動物は7週齢、初期体重230gのウイスター系雄ラットを使用した((株)日本クレアより購入)。飼育は23±1℃、湿度55±5%、照明は12時間明暗サイクルで調節された実験飼育室にて行った。実験群は蒸留水を投与した群、低分子プロシアニジン画分を投与し、20分後に採血する群、40分後に採血する群、70分後に採血する群の4群とした。試料の投与は、一週間基本食を給与した後、12時間の絶食後ゾンデを用い胃内に強制的に経口投与した。また、実験に用いたラット数は各群5〜6匹とし、投与量は760mg/kgとした。採血はネンブタール麻酔下、腹部大動脈より行い、血漿中のポリフェノール成分をHPLC(ECD)、ESI−MSにて分析した。
【0039】
各血漿中に、(+)カテキン、(−)エピカテキン、及びプロシアニジン2量体(MW576)を3種類確認することができた(図5)。プロシアニジン低分子画分を経口投与した場合のラット血漿中の(+)カテキン、(−)エピカテキン濃度の経時変化を、図6に示した。図6に示されるように、画分(+)カテキン、(−)エピカテキンは血漿中の濃度が、投与後20〜40分で最大となり、70分では減少した。また、血漿中の(+)カテキン、(−)エピカテキンは、大部分がグルクロン酸、もしくはグルクロン硫酸包合体として検出される(グルクロニダーゼ−サルファターゼにより脱包合)。
【0040】
ピーナッツ渋皮プロシアニジン2量体(MW576)3種は、包合体を形成せずに血漿中から検出されることを発見した。ポリフェノール類は包合体を形成することにより、その生理活性(ラジカル消去、活性酸素消去等)、が著しく低下する。これらプロシアニジン2量体は包合体化されずに、血漿中に吸収されることから非常に高い生理機能が期待できる。これは全く新規な知見である。また、低分子プロシアニジンを調製する際に使用したポリフェノール画分(高分子プロシアニジンを多量に含む)をラットに同様に経口投与したところ、投与量を低分子プロシアニジン画分の約2倍にしても、血漿中にポリフェノール成分を確認することはできなかった。
【0041】
(C.低分子プロシアンジン画分の生体内抗酸化作用)
(B)にて調製した、投与40分後の血漿を、AAPH(水溶性ラジカル)にて処理し、血漿中脂質の過酸化反応を誘導した。過酸化脂質はデタミナーLPO(協和メディックス)にて測定した。該ラット血漿の脂質過酸化抵抗性について、AAPHにて脂質過酸化を誘導し、血漿中の過酸化脂質を定量した結果を、図7に示す。図7より、低分子プロシアニジン画分を経口投与したラット血漿は著しく、脂質の過酸化を抑制することがわかった。血漿中の脂質、リポタンパク質等の過酸化反応は、動脈硬化等の血栓症をはじめとした多くの血管系疾患に関与しており、これらに疾患に対して、さらに血管の保護作用としてピーナッツ渋皮低分子プロシアニジン画分が非常に有効であると考えられる。
【0042】
(D.低分子プロシアニジン画分の肝障害抑制作用)
実験動物は日本SLC(株)から購入し、8週齢、初体重35gのICR系雄マウスを用いた。実験群は基本食を与えた群、基本食を与えた後肝障害を誘発する群、低分子プロシアニジン画分を添加した飼料(1%)を給与した後、肝障害を誘発する群の3群とした。それぞれの群のマウス数は7匹とした。各飼料を3日間給与した後、肝障害誘発群には四塩化炭素をオリーブオイルと等量混合し、60μLを腹腔内投与した。四塩化炭素投与24時間後にネンブタール麻酔下、心臓穿刺により採血し、各種分析に使用した。飼育室は22±1℃、湿度40〜60%とし、飼料と水は実験期間中自由摂取とした。血漿のGOT(グルタミン酸−オキサロ酢酸トランスフェラーゼ)、GPT(グルタミン酸−ピルビン酸トランスフェラーゼ)活性は市販のキット(GOT−UV、GPT−UV テストワコー)を用いて測定した。酵素活性はI.U(国際単位=μ mol/min/L)で示した。
【0043】
ポリフェノール成分は肝臓に蓄積し、メチル化や包合体化といった代謝を受けることが知られている。図8に、マウス血漿のGPT活性について、四塩化炭素にて肝障害を誘導、血漿中のGPT活性を測定した結果を示す。また、図9に、マウス血漿のGOT活性について、四塩化炭素にて肝障害を誘導、血漿中のGOT活性を測定した結果を示す。低分子プロシアニジン画分を1%混合した飼料を投与したマウスは、試料を投与していない群と比較し、GOTが減少する傾向がみられた(T検定0.05<p<0.1)。また、GPTに関しても、統計的に有意ではないが、低い傾向を示し、低分子プロシアニジン画分は肝機能障害の緩和効果が期待できる。
【実施例3】
【0044】
[本発明画分を活用した健康食品の開発(ピーナッツパウダー)]
(試験方法)
粉末ピーナッツ(市販品)89.5重量%に、粉末ハチミツ5重量%、イソマルトオリゴ糖5重量%、これに本発明画分0.5重量%となるように添加することで、健康食品として利用可能な機能性ピーナッツパウダーを調製することができた。
【実施例4】
【0045】
[本発明画分を活用した健康志向豆菓子類の開発]
(試験方法)
ピーナッツ(小粒種)600gに各製品配合割合に対応した調味粉類625gをよび、本発明画分6gを配合し、成形・加工することで、健康志向な豆菓子類(焙煎黒糖豆、ハバネロ豆)を調製することができた。
【実施例5】
【0046】
[本発明画分を活用した健康志向チョコレートの開発]
(試験方法)
チョコレートに本発明画分を0.5〜2重量%となるように配合し、加工することで、健康志向なチョコレート菓子を試作・調製することができた。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例のピーナッツ渋皮を原料とした生理活性画分の溶出・分画試験の結果について、溶出条件とポリフエノールの収量との関係を示す図である。
【図2】本発明の実施例のピーナッツ渋皮を原料とした生理活性画分の溶出・分画試験の結果について、溶出条件と調製ポリフエノールの酢酸エチル分画率との関係を示す図である。
【図3】本発明の実施例のピーナッツ渋皮を原料とした生理活性画分の溶出・分画試験の結果において、溶出条件3(20%エタノールにて溶出後、80%エタノールにて溶出させた場合)にて調製したポリフェノールのESI−MSクロマトグラムを示す図である。
【図4】本発明の実施例のピーナッツ渋皮を原料とした生理活性画分の溶出・分画試験の結果において、溶出条件5(合成吸着剤としてダイヤイオンHP20を使用し、80%エタノールのみにて溶出した場合)にて調製したポリフェノールのESI−MSクロマトグラムを示す図である。
【図5】本発明の実施例のピーナッツ渋皮を原料とした生理活性画分の生理活性試験において、ピーナッツ渋皮低分子プロシアニジン画分をHPLCにて処理した結果のピーナッツ渋皮低分子プロシアニジン画分及びラット血漿のHPLCクロマトグラムを示す図である。
【図6】本発明の実施例のピーナッツ渋皮を原料とした生理活性画分の生理活性試験において、プロシアニジン低分子画分を経口投与した場合のラット血漿中の(+)カテキン、(−)エピカテキン濃度の経時変化を示す図である。
【図7】本発明の実施例のピーナッツ渋皮を原料とした生理活性画分の生理活性試験において、ラット血漿の脂質過酸化抵抗性について、AAPHにて脂質過酸化を誘導し、血漿中の過酸化脂質を定量した結果を示す図である。
【図8】本発明の実施例のピーナッツ渋皮を原料とした生理活性画分の生理活性試験において、マウス血漿のGPT活性について、四塩化炭素にて肝障害を誘導、血漿中のGPT活性を測定した結果を示す図である。
【図9】本発明の実施例のピーナッツ渋皮を原料とした生理活性画分の生理活性試験において、マウス血漿のGOT活性について、四塩化炭素にて肝障害を誘導、血漿中のGOT活性を測定した結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーナッツ渋皮熱水抽出液をポリスチレン系合成吸着剤で吸着処理し、該吸着剤を10〜50容量%のエタノールで溶出処理した後、60〜100容量%エタノールで可溶性成分を溶出分取することを特徴とするA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分の製造方法。
【請求項2】
ポリスチレン系合成吸着剤が、樹脂細孔半径38〜80Å(オングストローム)のポリスチレン系合成吸着剤であることを特徴とする請求項1記載のA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分の製造方法。
【請求項3】
ピーナッツ渋皮熱水抽出液をポリスチレン系合成吸着剤で吸着処理した吸着剤を、30容量%のエタノールで溶出処理した後、80%エタノールで可溶性成分を溶出分取することを特徴とする請求項1又は2記載のA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分の製造方法。
【請求項4】
ピーナッツ渋皮熱水抽出液をポリスチレン系合成吸着剤で吸着処理し、該吸着剤を10〜50容量%のエタノールで溶出処理した後、60〜100容量%エタノールで可溶性成分を溶出分取することにより得られる2〜5量体の分子群で構成されているA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分。
【請求項5】
請求項4記載のA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分を有効成分とする肝機能障害抑制剤。
【請求項6】
請求項4記載のA型プロアントシアニジンオリゴマーを主要成分とする生理活性画分を有効成分とする生体内抗酸化剤。
【請求項7】
請求項4記載のA型プロアントシアニジンオリゴマーを添加したことを特徴とする飲食品又は化粧品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−156265(P2008−156265A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345941(P2006−345941)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(593022021)山形県 (34)
【出願人】(397043880)株式会社でん六 (2)
【出願人】(392022097)日東ベスト株式会社 (7)
【Fターム(参考)】