説明

A/D変換器および計測装置

【課題】処理負荷を抑えながら、複数のA/D変換回路を用いることで発生する変換誤差の影響を低減するA/D変換器を提供する。
【解決手段】受光回路20は、A/D変換処理の周期毎に、A/D変換回路のA/D変換開始順序を変更し、各周期でA/D変換されたデジタル信号について同位相のデジタル信号を加算する。例えば、A/D変換切替部22は、1周期目では、A/D変換回路21A、21B、21Cの順にA/D変換を行い、2周期目では、A/D変換回路21B、21C、21Aの順にA/D変換を行う。3周期目では、A/D変換回路21C、21A、21Bの順にA/D変換を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のA/D変換回路を用いて時分割によりA/D変換を行うA/D変換器、および当該A/D変換器を用いた計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器には、高速性が求められる。しかし、変換速度の速いA/D変換器は、非常に高価である。そこで従来、変換速度の比較的遅いA/D変換回路を複数並列に接続し、時分割でA/D変換を行う手法が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2を参照)。
【0003】
図1は、3つのA/D変換回路を用いて、変換速度を3倍にしたA/D変換器の構成を示す図である。この例では、30MHzで駆動するA/D変換回路を用いて、全体として90MHzで駆動するA/D変換器について説明する。同図に示すA/D変換器は、A/D変換回路11A、A/D変換回路11B、A/D変換回路11C、A/D変換切替部12、積分処理部13、メモリ14を備えている。
【0004】
A/D変換切替部12は、トリガ信号が入力されると、A/D変換回路11A、A/D変換回路11B、およびA/D変換回路11Cを順次制御してA/D変換を開始する。A/D変換切替部12は、主A/D変換クロックが入力される毎にA/D変換回路11A、A/D変換回路11B、およびA/D変換回路11Cに、それぞれ開始指令信号(副A/D変換クロック)を出力してA/D変換を行わせる。
【0005】
図2は、各信号を時系列に表したものである。A/D変換切替部12は、最初にトリガ信号および主A/D変換クロックが入力されたとき、A/D変換回路11Aに開始指令信号Aを出力する。A/D変換切替部12は、次に主A/D変換クロックが入力されると、開始指令信号Bを出力し、その次に主A/D変換クロックが入力されると開始指令信号Cを出力する。そして、次に主A/D変換クロックが入力されると開始指令信号Aの出力から繰り返す。このように、A/D変換回路11A、A/D変換回路11B、A/D変換回路11Cの順に繰り返しA/D変換を行わせる。この例では、A/D変換器は、主A/D変換クロックの入力9回を1周期とし、複数回(複数周期)のA/D変換処理を行う。各周期においてA/D変換されたデジタル信号は、積分処理部13で加算処理される。
【0006】
図3は、積分処理部13の積分処理を示す図である。同図に示す「A11」等の表示において、最初の「A」はA/D変換回路の識別子、次の十の位の数値は周期、一の位の数値は1周期中の変換順序を示す。積分処理部13は、各周期においてA/D変換されたデジタル信号について同位相のデジタル信号を加算する。例えば、1周期目の最初のA/D変換回路11Aの出力値(同図A11)、2周期目の最初のA/D変換回路11Aの出力値(同図A21)、3周期目の最初のA/D変換回路11Aの出力値(同図A31)を加算する。
【0007】
しかし、特許文献1にも記載されているように、A/D変換回路は、それぞれ固有のA/D変換誤差を有している。そのため、図3示すように、例えば、A/D変換回路11BがA/D変換回路11Aの出力値よりも大きい値を出力し、A/D変換回路11CがA/D変換回路11Aよりも小さい値を出力する場合、同位相の出力値を加算すると、誤差が拡大してしまう。
【0008】
そこで、特許文献1のA/D変換器では、予め各A/D変換回路の誤差を求め、誤差に相当する値を補正する処理が行われている。図4は、誤差測定、補正処理の動作を示すフローチャートである。同図(A)に示す誤差測定動作では、まずA/D変換器に入力するアナログ値が一定になるように設定する(s11)。その後、一定のアナログ値を入力して各A/D変換回路にA/D変換を行わせるダミーA/D変換を行う(s12)。積分処理部では、A/D変換回路A,B,Cのそれぞれの加算結果から、最大値を求める(s13)。そして、最大値を出力したA/D変換回路と、その他のA/D変換回路との差(誤差)を求める(s14)。最後に、求めた誤差から、加算回数分に相当する誤差(加算回数が3回であれば求めた誤差の3倍)を補正データとする(s15)。補正データは、A/D変換回路毎に個別に算出される。
【0009】
同図(B)に示す補正処理では、まず、A/D変換処理が行われ、積分処理結果が出るまで待機する(s21)。その後、積分処理部は、取得した全A/D変換値に対し、各A/D変換回路に対応する補正データを加算する(s22)。よって、A/D変換回路毎の固有の誤差が解消される。
【0010】
なお、実際には、温度変化等により各A/D変換回路の誤差が変わるため、図4に示した誤差測定、補正処理は、A/D変換動作中にも都度(例えば数秒毎に)行う必要があり、処理負荷が大きくなる。
【特許文献1】特開2001−339303号公報
【特許文献2】特開平7−183809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明は、処理負荷を抑えながら、複数のA/D変換回路を用いることで発生する変換誤差の影響を低減するA/D変換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、複数のA/D変換回路と、A/D変換を開始させる開始指令信号を、前記複数のA/D変換回路に対して所定時間間隔で出力する開始信号生成手段と、1つのアナログ信号入力端子と、を備え、前記アナログ信号入力端子に前記複数のA/D変換回路を並列に接続したA/D変換器であって、前記開始信号生成手段は、前記複数のA/D変換回路を第1の順序で所定回数を1周期としてA/D変換させ、前記複数のA/D変換回路を第2の順序で前記所定回数A/D変換させる変換処理を繰り返し行わせ、前記第1の順序でA/D変換したデジタル信号と前記第2の順序でA/D変換したデジタル信号の同位相のデジタル信号をそれぞれ加算する加算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
このように、本発明では、A/D変換処理の周期毎に、A/D変換回路の開始順序を変更し、同位相のデジタル信号を加算する。例えば、1周期目の最初のA/D変換と2周期目の最初のA/D変換とで異なるA/D変換回路が用いられる。よって、同位相のデジタル信号を加算することにより生じる誤差拡大を防止することができる。また、加算回数とA/D変換回路の数が一致すれば変換誤差を相殺することもできる。なお、ここで言う誤差とは、A/D変換回路の絶対的な誤差(オフセット誤差)ではなく、同じ入力値に対して使用するA/D変換回路が異なることによって生じる相対的な出力値の誤差を言う。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のA/D変換回路を用いることで発生する変換誤差の影響を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明のA/D変換回路および計測装置に係る実施形態として、距離計測装置(レーザレーダ装置)について説明する。レーザレーダ装置は、例えば自動車に取り付けられ、自車前方にレーザ光を照射して、照射したレーザ光が物体から反射して戻るまでの時間から物体との距離を計測する。なお、本発明の計測装置は、レーザレーダ装置に限らず、信号を入力し、計測を行う装置であれば、どのような装置であってもよいものである。
【0016】
図5は、レーザレーダ装置の主要部を示すブロック図である。同図(A)に示すように、レーザレーダ装置は、制御回路30、LD(Laser Diode)駆動回路35、LD36、PD(Photo Diode)37、受光回路20、およびメモリ38を備えている。
【0017】
LD駆動回路35は、制御回路30からの計測開始指示に基づいて、LD36の発光を制御する。LD36から照射されるレーザ光は、同図(C)に示すように、検出対象としての物体(例えば、車両や路面)に反射する。物体に反射して戻ってきた反射光は、PD37によって受光される。PD37は、受光した反射光の強度に応じたアナログ信号を受光回路20に出力する。
【0018】
受光回路20は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、制御回路30に出力する。制御回路30は、積分処理部31および測距制御部32を機能的に備えている。積分処理部31は、本発明の加算手段に相当し、受光回路20から入力されるデジタル信号の加算処理を行う。測距制御部32は、レーザ光を照射してからその反射光を受光するまでの所用時間に基づいて物体との距離を計測する。通常、レーザレーダ装置は、1回の発光だけでは反射光の強度が微弱であり、ノイズとの差別化が困難であるため、複数回の発光、計測を行い、受光回路20の出力値を加算する処理を行う。
【0019】
図5(B)に示すように、受光回路20は、PD37に並列に接続されるA/D変換回路21A、A/D変換回路21B、およびA/D変換回路21Cを備えている。また、受光回路20は、各A/D変換回路に接続されるA/D変換切替部22を備えている。この受光回路20と、制御回路30における積分処理部31により、本発明のA/D変換器が実現される。また、PD37からのアナログ信号入力が、本発明のアナログ信号入力端子に相当する。
【0020】
測距制御部32は、LD駆動回路35に計測開始指示を行うと同時に、A/D変換切替部22にトリガ信号を出力する。また、測距制御部32は、駆動周波数(本実施形態では90MHz)に応じてA/D変換切替部22に主A/D変換クロックを出力する。
【0021】
A/D変換切替部22は、本発明の開始信号生成手段に相当し、トリガ信号が入力されると、A/D変換回路21A、A/D変換回路21B、およびA/D変換回路21Cを順次制御してA/D変換を開始する。A/D変換切替部22は、主A/D変換クロックが入力される毎にA/D変換回路21A、A/D変換回路21B、およびA/D変換回路21Cに、それぞれ開始指令信号(副A/D変換クロック)を出力してA/D変換を行わせる。各A/D変換回路への開始指令信号は、30MHzの周波数で出力される。
【0022】
図6は、各信号を時系列に表したものである。同図(A)に示すように、A/D変換切替部22は、最初にトリガ信号および主A/D変換クロックが入力されたとき、A/D変換回路21Aに開始指令信号Aを出力する。A/D変換切替部22は、次に主A/D変換クロックが入力されると、A/D変換回路21Bに開始指令信号Bを出力する。その次に主A/D変換クロックが入力されると、A/D変換回路21Cに開始指令信号Cを出力する。そして、次に主A/D変換クロックが入力されると開始指令信号Aの出力から繰り返す。このように、A/D変換切替部22は、A/D変換回路21A、A/D変換回路21B、A/D変換回路21Cの順に繰り返しA/D変換を行わせる。受光回路20は、主A/D変換クロックの入力9回を計測の1周期とし、複数周期のA/D変換処理を行う。なお、本実施形態では、説明を容易にするため、1周期に9回のA/D変換を行う例を示すが、実際には1周期のA/D変換回数はさらに多数行うものである。
【0023】
各周期においてA/D変換された後のデジタル信号は、制御回路30の積分処理部31で加算処理される。積分処理部31は、各計測周期におけるトリガ信号出力からの経過時間に対応してデジタル信号を積算し、メモリ38に記録する。すなわち、積分処理部31は、各周期における同位相のデジタル信号を加算する処理を行う。
【0024】
ここで、本実施形態の受光回路20は、A/D変換処理の周期毎に、A/D変換回路のA/D変換開始順序を変更する。例えば、同図(B)に示すように、A/D変換切替部22は、2周期目では、主A/D変換クロックが入力されたとき、最初にA/D変換回路21Bに開始指令信号Bを出力する。なお、A/D変換切替部22は、最初のトリガ信号および主A/D変換クロックが入力されたときは開始指令信号を出力せず、1クロックだけ休止する。すなわち、A/D変換切替部22は、1周期目において最後にA/D変換回路21Cに開始指令信号Cを出力し、その前のクロックではA/D変換回路21Bに開始指令信号Bを出力している。よって、2周期目の最初のクロックについては、A/D変換回路21Bを駆動させることができないため、1クロック経過後にA/D変換を行わせる。この分のずれは積分処理部31で補正する。つまり、積分処理部31は、2周期目においては、トリガ信号が出力された後、1クロック経過後に出力されるデジタル信号を1周期目の最初のデジタル信号と同位相として扱う。
【0025】
A/D変換切替部22は、次に主A/D変換クロックが入力されると、A/D変換回路21Cに開始指令信号Cを出力する。その次に主A/D変換クロックが入力されると、A/D変換回路21Aに開始指令信号Aを出力する。そして、次に主A/D変換クロックが入力されると開始指令信号Bの出力から繰り返す。このように、A/D変換切替部22は、2周期目においては、A/D変換回路21B、A/D変換回路21C、A/D変換回路21Aの順に繰り返しA/D変換を行わせる。
【0026】
また、同図(C)に示すように、A/D変換切替部22は、3周期目では、主A/D変換クロックが入力されたとき、最初にA/D変換回路21Cに開始指令信号Cを出力する。そして、A/D変換回路21Aに開始指令信号Aを出力する。さらに、A/D変換回路21Bに開始指令信号Bを出力する。このように、A/D変換切替部22は、3周期目においては、A/D変換回路21C、A/D変換回路21A、A/D変換回路21Bの順に繰り返しA/D変換を行わせる。なお、3周期目においても、A/D変換切替部22は、最初のトリガ信号および主A/D変換クロックが入力されたときは開始指令信号を出力せず、1クロックだけ休止する。また、積分処理部31は、3周期目においても、トリガ信号が出力された後、1クロック経過後に出力されるデジタル信号を1周期目の最初のデジタル信号と同位相として扱う。
【0027】
図7は、積分処理部31の積分処理を示す図である。積分処理部31は、各周期でA/D変換されたデジタル信号について同位相のデジタル信号を加算する。例えば、1周期目の最初のA/D変換回路21Aの出力値(同図A11)、2周期目の最初のA/D変換回路21Bの出力値(同図B21)、3周期目の最初のA/D変換回路21Cの出力値(同図C31)を加算する。
【0028】
図7に示す例では、同じ入力値であっても、A/D変換回路21Bは、A/D変換回路21Aよりも大きい値を出力し、A/D変換回路21Cは、A/D変換回路21Aよりも小さい値を出力する相対的な誤差を有している。しかし、A/D変換処理の周期毎に、A/D変換開始順序を変更しているため、積分処理部31は、同位相のデジタル信号を加算すると、それぞれA/D変換回路21A,21B、21Cの出力値を加算することになるため、変換誤差を相殺することができる。
【0029】
なお、変換順序は、上記の例に限るものではなく、各位相におけるA/D変換回路のA/D変換回数が同数になるようにすれば、どのような順序であってもよい。例えば1周期目にA/D変換回路21A,21B,21Cの順にA/D変換を行い、2周期目にA/D変換回路21C,21A,21Bの順にA/D変換を行い、3周期目にA/D変換回路21B,21C,21Aの順にA/D変換を行うようにしてもよい。
【0030】
なお、上記例では、計測回数(加算回数)が、A/D変換回路の数の整数倍に一致するようにしているが、必ずしも一致させる必要はない。例えば、A/D変換回路の数が3つで4周期の計測を行うと、1周期分だけ誤差が発生するが、3周期分の誤差は相殺されているため、全体としての変換誤差は低減することができる。特に、計測回数が多くなり、加算回数が多くなるにつれ、変換誤差の影響は小さくなる。また、A/D変換回路の数は3つ以上であってもよい。
【0031】
図8を用いて、A/D変換回路間の相対的な誤差の影響について説明する。図8は、レーザ反射光の反射強度を時間軸上で表した図である。同図に示すグラフの縦軸(強度)は、積分処理部31が積分した後のメモリ38に記録されている値である。
【0032】
測距制御部32は、同図(A)示すように、しきい値を超える反射強度が存在した場合、LD36の発光を開始した時間(発光タイミング)から、最も高い反射強度が得られる時間(受光タイミング)までの時間差を求め、この時間差に基づいて物体との距離を求める。
【0033】
ここで、従来の図3に示したような加算処理を行うと、A/D変換回路の相対的な誤差が大きくなり、図8(B)に示すように、反射強度の波形が変わる。そのため、実際にはノイズを示す反射強度であったとしてもしきい値を超える場合があり、物体との距離を正確に計測することができない。
【0034】
また、従来の図4に示したように補正データを加算して誤差を解消する手法では、図8(C)に示すように、反射強度が全体として高くなってしまい、やはり実際にはノイズを示す反射強度であったとしてもしきい値を超える状況が発生する。また、ノイズの影響を避けるためにしきい値を高くすると、実際の物体の反射強度を検出することができなくなる可能性がある。
【0035】
これに対し、本実施形態の受光回路20は、図7に示したように、A/D変換処理の周期毎に、A/D変換回路のA/D変換開始順序を変更し、各周期でA/D変換されたデジタル信号について同位相のデジタル信号を加算するため、補正データを加算する必要なく、相対的な誤差を低減することができる。よって、処理負荷を抑えながらも、図8(B)や図8(C)に示したような状況が発生することがない。
【0036】
次に、図9は、レーザレーダ装置の計測動作を示すフローチャートである。測距制御部32がトリガ信号を出力すると、この動作を開始する。まず、A/D変換切替部22は、最初にA/D変換を行うA/D変換回路としてA/D変換回路21Aを選択する(s31)。そして、積分処理部31は、メモリ38を初期化する(s32)。
【0037】
測距制御部32は、LD駆動回路35を駆動させ、LD36を発光させる(s33)。受光回路20は、測距制御部32から主A/D変換クロックを入力し、上記s31における選択処理で選択されたA/D変換回路でA/D変換処理を行う(s34)。積分処理部31は、受光回路20から出力されたデジタル信号出力値を積分する(s35)。その後、A/D変換切替部22は、次のA/D変換回路を選択する(s36)。例えば、A/D変換回路21Aを駆動している場合、A/D変換回路21Bを選択し、A/D変換回路21Bを駆動している場合、A/D変換回路21Cを選択し、A/D変換回路21Cを駆動している場合、A/D変換回路21Aを選択する。
【0038】
以上のようなA/D変換処理、積分処理、A/D変換回路の選択処理を所定回数(1周期分)繰り返す(s37)。A/D変換切替部22は、1周期分の処理が終了した後、どのA/D変換回路で最後にA/D変換を行ったか判断する(s38)。A/D変換回路21AでA/D変換を行っていた場合、A/D変換回路21Bを選択する(s39)。A/D変換回路21BでA/D変換を行っていた場合、A/D変換回路21Cを選択する(s40)。A/D変換回路21CでA/D変換を行っていた場合、A/D変換回路21Aを選択する(s41)。そして、所定積分回数(図6、図7の例では3回)、LD36の発光から処理を繰り返す(s42)。
【0039】
以上のようにして、本実施形態の受光回路は、A/D変換処理の周期毎に、A/D変換回路のA/D変換開始順序を変更する。積分処理部では、同位相のデジタル信号を加算すると、それぞれの周期において異なるA/D変換回路の出力値を加算することになり、A/D変換回路間の相対的な変換誤差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】3つのA/D変換回路を用いて、変換速度を3倍にしたA/D変換器の構成を示す図である。
【図2】各信号を時系列に表した図である。
【図3】積分処理部13の積分処理を示す概念図である。
【図4】従来の誤差測定、補正処理の動作を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係るレーザレーダ装置の主要部を示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る各信号を時系列に表した図である。
【図7】本実施形態に係る積分処理部31の積分処理を示す概念図である。
【図8】レーザ反射光の強度を時間軸上で表した図である。
【図9】レーザレーダ装置の計測動作を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のA/D変換回路と、
A/D変換を開始させる開始指令信号を、前記複数のA/D変換回路に対して所定時間間隔で出力する開始信号生成手段と、
1つのアナログ信号入力端子と、を備え、
前記アナログ信号入力端子に前記複数のA/D変換回路を並列に接続したA/D変換器であって、
前記開始信号生成手段は、前記複数のA/D変換回路を第1の順序で所定回数を1周期としてA/D変換させ、前記複数のA/D変換回路を第2の順序で前記所定回数A/D変換させる変換処理を繰り返し行わせ、
前記第1の順序でA/D変換したデジタル信号と前記第2の順序でA/D変換したデジタル信号の同位相のデジタル信号をそれぞれ加算する加算手段と、を備えたA/D変換器。
【請求項2】
請求項1に記載のA/D変換器を用いた計測装置であって、前記所定回数が、1回の計測に必要な時間に相当する計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−62597(P2010−62597A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223018(P2008−223018)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】