説明

A2Aアゴニスト活性を有する修飾5’−リボース基を備えた2−プロピニルアデノシン類似体

本発明は下記一般式 (I)を有する化合物を提供する:


(I)
[式中、X、R1、R2、R7およびZは明細書に定義するとおり]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2004年8月2日出願の、「A2A アゴニスト活性を有する修飾5'-リボース基を備えた2-プロピニルアデノシン類似体および組成物」という標題の米国仮特許出願第60/598018号(その内容全体を引用により本出願に含める)からの優先権を主張する。
【0002】
政府基金
本明細書に記載された発明は、国立科学財団により授与された助成金番号(RO1-HL37942)の下で政府支援に基づきなされたものである。米国政府は本発明に一部権利を有する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
炎症応答は身体から有害な作用因子を除去する目的をもつ。感染、アレルゲン、自己免疫刺激などの炎症応答、移植組織、有害化学物質および毒素、虚血/再灌流、低酸素症、機械的および熱的外傷に対する免疫応答などを引き起こしうる広範な病因による傷害が存在する。炎症は通常非常に狭い局所的反応であって、その反応が傷害性作用因子および損傷組織の排除、希釈による減弱、および隔離に役割を果たす。体の応答が標的の作用因子を除去する過程で、または外傷による傷害に応答する過程で、宿主組織に不適切な損傷をもたらす場合、それが疾患の作用因子となる。
【0004】
例示として、炎症は数種の血管系疾患または損傷の発生機序の一要素であり、以下の例を包含する:虚血/再灌流損傷(N.G. Frangogiannis et al., Myocardial Ischemia: Mechanisms, Reperfusion, Protection (Myocardial ischemia:Mechanisms、Reperfusion、Protection), M. Karmazyn, ed., Birkhuser Verlag (1996), 236-284; H.S. Sharma et al., Med. of Inflamm., 6, 175 (1987))、アテローム性動脈硬化症(R. Ross, Thor. Surg., 64, 251 (1997); D.I. Walker et al., Brit. J. Surg., 59, 609 (1972);R.L. Pennell et al., J. Vasc. Surg., 2, 859 (1985))、およびバルーン血管形成術後の再狭窄(上記引用、R. Ross 参照)。炎症が関る細胞は白血球(すなわち、免疫系細胞−好中球、好酸球、リンパ球、単球、好塩基球、マクロファージ、樹状細胞、および肥満細胞)、血管内皮、血管平滑筋細胞、線維芽細胞、および筋細胞などである。
【0005】
白血球による腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)などの炎症性サイトカインの放出は、免疫系が感染などの病原侵入と闘う一つの手段である。TNFαは白血球および内皮細胞上での接着因子の発現と活性化を刺激し、炎症応答の高まりが好中球に二次的刺激の引き金を引き、接着好中球の酸化活性を増強する。上掲のシャーマ(Sharma)ら参照。さらに、マクロファージ/樹状細胞はリンパ球に対し提示する抗原を処理する補助細胞として作用する。リンパ球はそれによって刺激され、炎症誘発性細胞傷害性細胞として作用する。
【0006】
一般に、サイトカインは好中球を刺激し、酸化性(例えば、スーパーオキシドおよび二次生成物)および非酸化性(例えば、ミエロペルオキシダーゼおよびその他の酵素)炎症活性を増強する。サイトカインが不適切かつ過度に放出されると、組織損傷性酸化的および非酸化的生成物の放出を介して逆効果となる誇張された病原性作用を生じることとなる(K.G. Tracey et al., J. Exp. Med., 167, 1211 (1988); およびD.N. Maennel et al., Rev. Infect. Dis., 9 (suppl.5), S602-S606 (1987))。例えば、TNFαは好中球が血管壁に接着し、血管を通して損傷部位に移動し、その酸化的および非酸化的炎症性生成物を放出するのを誘発することができる。
【0007】
単球は炎症病巣にゆっくりと集まるが、条件が適えば、長期間滞留する補助細胞とマクロファージに成長する。炎症の引き金により刺激を受けると、単球/マクロファージは、組織を再構築し、周辺組織の機能を調節する一連のサイトカイン(TNFαを含む)、補体、脂質、活性酸化種、プロテアーゼおよび成長因子を産生し、分泌する。
【0008】
例えば、炎症性サイトカインは以下の疾患の病因であることが示されている:関節炎(C.A. Dinarello, Semin. Immunol., 4, 133 (1992));虚血(A. Seekamp et al., Agents-Actions-Supp., 41, 137 (1993));敗血症ショック(D.N. Maennel et al., Rev. Infect. Dis., 9(suppl. 5), S602-S606 (1987));喘息(N.M. Cembrzynska et al., Am. Rev. Respir. Dis., 147, 291 (1993));臓器移植拒絶(D.K. Imagawa et al., Transplantation, 51, 57 (1991));多発性硬化症(H.PHartung, Ann. Neurol., 33, 591 (1993));AIDS(T. Matsuyama et al., AIDS, 5, 1405 (1991));およびアルカリ熱傷眼(F. Miyamoto et al., OpHthalmic Res., 30, 168 (1997))。さらに、白血球中のスーパーオキシドの形成はヒト免疫不全ウイルス(HIV)複製の促進に関係するとされている(S. Legrand-Poels et al., AIDS Res. Hum. Retrovirus, 6, 1389 (1990))。
【0009】
アデノシンおよびアデノシン受容体・サブタイプを非選択的に活性化するある種アデノシン類似体が、好中球による炎症性酸化的生成物の産生を低下させることはよく知られている(B.N. Cronstein et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 451, 291 (1985); P.A. Roberts et al., Biochem. J., 227, 669 (1985); D.J. Schrier et al., J. Immunol., 137, 3284 (1986); B.N. Cronstein et al., Clinical Immunol. and Immunopath., 42, 76 (1987); M.A. Iannone et al., in Topics and Perspective in Adenosine Research, E. Gerlach et al., eds., Springer-Verlag, Berlin, p.286 (1987); S.T. McGarrity et al., J. Leukocyte Biol., 44, 411421 (9188); J. De La Harpe et al., J. Immunol., 143, 596 (1989); S.T. McGarrity et al., J. Immunol., 142, 1986 (1989); および C.P. Nelson et al., Br. J. PHarmacol., 97, 882 (1989))。例えば、アデノシンは、細菌性ペプチドの合成模擬体、f−met−leu−phe(fMLP)などの誘引物質および補体成分C5aにより刺激を受けた好中球からのスーパーオキシド放出を阻害することが示されている(B.N. Cronstein et al., J. Immunol., 135, 1366 (1985))。アデノシンは、TNFαが最初の引き金を引き、次いでf−met−leu−pheなどの二次刺激により刺激を受けたPMN (好中球)の大きく上昇した酸化的バーストを低下させることができる(G.W. Sullivan et al., Clin. Res., 41, 172A (1993))。さらに、アデノシンはT細胞株におけるHIV増殖率を低下させ得るとの報告がある(S. Sipka et al., Acta. Biochim. Biopys. Hung., 23, 75 (1988))。しかし、アデノシンがインビボで抗炎症活性を有するという証拠はない(G.S. Firestein et al., Clin. Res., 41, 170A (1993);およびB.N. Cronstein et al., Clin. Res., 41, 244A (1993))。
【0010】
好中球上にはアデノシン受容体の2以上のサブタイプが存在し、それがスーパーオキシド放出に対し逆の作用を有することが示唆されている(B.N. Cronstein et al., J. Clin. Invest., 85, 1150 (1990))。好中球上にA2A受容体の存在することは、バン・コーカーら(D.Van Calker et al., Eur. J. PHarmacology, 206, 285 (1991))が最初に証明した。
【0011】
A2Aアデノシン受容体(AR)のアゴニストとして益々強力、および/または選択的である化合物について、放射性リガンド結合アッセイおよび生理的応答に基づき、その開発が進行してきた。当初は、A2A受容体に対し選択性が小さいかまたは選択性をもたない化合物、例えば、アデノシンそれ自体またはアデノシンの5'−カルボキサミド、例えば、5'-N-エチルカルボキサミドアデノシン(NECA)が開発された(B.N. Cronstein et al., J. Immunol., 135, 1366 (1985))。後に、2−アルキルアミノ置換基を付加すると(例えば、CV1808およびCGS21680)、効力と選択性の上昇することが示された(M.F. Jarvis et al., J. PHarmacol. Exp. Ther,251, 888 (1989))。2−アルコキシ置換アデノシン誘導体、例えば、WRC-0090は冠状動脈A2A受容体におけるアゴニストとしてさらにより強力かつ選択的である(M. Ueeda et al., J. Med. Chem., 34, 1334 (1991))。2−アルキルヒドラジノアデノシン誘導体、例えば、SHA 211 (WRC-0474とも呼称)は冠状動脈A2A受容体におけるアゴニストとしても評価されている(K. Niiya et al., J. Med. Chem., 35, 4557 (1992))。
【0012】
比較的非特異的なアデノシン類似体、R-フェニルイソプロピルアデノシン(R-PIA)および2-クロロアデノシン(Cl-Ado)と、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤との組合せが好中球の酸化活性を低下させるという報告がある(M.A. Iannone et al., Topics and Perspectives in Adenosine Research, E. Garlach et al., eds., Springer-Verlag, Berlin, pp.286-298 (1987))。しかし、R-PIAおよびCl-Ado類似体は、実際には、A2Aアデノシン受容体の活性化因子であるよりもA1 アデノシン受容体のより強力な活性化因子であり、従って、“心ブロック”などの作用の原因となる心筋および他の組織上のA1 受容体の活性化に起因する副作用を引き起こす可能性がある。
【0013】
オルソンら(R.A. Olsson et al.)(米国特許第5278150号)は下記式で示される選択的アデノシンA2 受容体ゴニストを開示している:
【化1】

[式中、Ribはリボシルであり、R1はH、R2はシクロアルキルであり得る]。該化合物は高血圧、アテローム性動脈硬化症の治療に、また血管拡張剤として有用であると開示されている。
【0014】
オルソンら(Olsson et al.)(米国特許第5140015号)は下記式で示されるある種のアデノシンA2 受容体ゴニストを開示する:
【化2】

[式中、C(X)BRR2はCH2OHであり、R1はアルキル−またはアルコキシアルキルであり得る]。該化合物については、血管拡張剤または抗高血圧剤として有用であることが開示されている。
【0015】
リンデンら(Linden et al.)の米国特許第5877180号は、ある種の炎症性疾患、例えば、関節炎および喘息はA2Aアデノシン受容体の選択的アゴニストである化合物を、好ましくはIV型ホスホジエステラーゼ阻害剤と組合せて投与することにより有効に治療し得るという発見に基づいている。リンデンらの発明の態様は、下記式で示されるA2Aアデノシン受容体の有効量を投与することにより炎症性疾患を治療する方法を提供する:
【化3】

[式中のRおよびXは該特許に記載のとおりである]。
【0016】
一態様において、リンデンらの発明はIV型ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤をA2Aアデノシン受容体アゴニストと組合わせて投与することを含む。IV型ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤は下記式で示されるラセミおよび光学活性の4- (ポリアルコキシフェニル) -2-ピロリドンを含む:
【化4】

[式中のR’、R18、R19およびXは米国特許第4193926号に開示、記載のとおりである]。ロリプラムは上記式に包含される好適なIV型PDE阻害剤の一例である。
【0017】
クリスタリ(G. Cristalli)(米国特許第5593975号)は2-アリールエチニル、2-シクロアルキルエチニルまたは2-ヒドロキシアルキルエチニル誘導体を開示しているが、そこで、リボシド残基はカルボキシアミノまたは置換カルボキシアミノ(R3HNC(O)-)により置換されている。2-アルキニルプリン誘導体が宮坂ら(Miyasaka et al.)の米国特許第4956345号に開示されているが、ここで2-アルキニル基は(C3-C16)アルキルにより置換されている。'975特許の化合物は血管拡張剤であること、また血小板凝集を阻害すること、従って、抗虚血剤、抗アテローム性動脈硬化剤および高血圧用剤として有用であると開示されている。
【0018】
最近、リンデンらが米国特許第6232297号に下記一般式で示される化合物を開示した:
【化5】

[式中、各RはHであり、Xはエチルアミノカルボニルであり、またR1は4−カルボキシシクロヘキシルメチル(DWH-146a)、4-メトキシカルボニルシクロヘキシルメチル(DWH-146e)または4−アセトキシメチルシクロヘキシルメチル(JMR-193)である]。これらの化合物はA2Aアゴニストであると報告している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、治療用途に有用であって副作用が低減した選択的 A2 アデノシン受容体アゴニストが未だに必要とされている。さらに、ストレス試験またはその他の心室機能試験技術における薬理学的ストレッサーとしての使用に有用であって、好ましくは副作用が低減されており、化学的に安定であって短時間作用型の、選択的 A2 アデノシン受容体アゴニストが未だに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の概要
本発明は、哺乳類組織における炎症活性の治療のための化合物およびそれらを用いる方法を含む。炎症組織活性は病理学的作用因子によるものであるか、あるいは、物理的、化学的または熱的外傷、または医療での外傷、例えば、臓器、組織または細胞移植、血管形成術 (PCTA)、虚血/再灌流後の炎症、または移植術によるものであり得る。本発明の化合物は、新規クラスの、置換シクロアルキルおよびヘテロ環 (複素環) 部分によってエチン-2-イル位にて置換された、2-アルキニルアデノシン 誘導体を含む。好ましくは、リボシド残基は、N-(シクロアルキル)カルボキシアミノ (「アミノカルボニル」) 部分 (「X」)または5-または6-員環複素環の置換により、5’-位にて修飾されている。したがって、本発明は、有効量の1以上の本発明の化合物を投与することによる、哺乳類、例えば、ヒト対象における炎症応答の阻害方法、および、該応答の影響を受けやすい組織の保護方法を提供する。
【0021】
本発明の化合物またはその医薬上許容される塩は、一般式 (I)を有する:
【化6】

(I)
[式中、
Zは、CR3R4R5 またはNR4R5;
各R1は独立に、水素、ハロ、-ORa、-SRa、(C1-C8)アルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C3-8シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環(C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-、-CO2Ra、RaC(=O)O-、RaC(=O)-、-OCO2Ra、RaRbNC(=O)O-、RbOC(=O)N(Ra)-、RaRbN-、RaRbNC(=O)-、RaC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=S)N(Rb)-、-OPO3Ra、RaOC(=S)-、RaC(=S)-、-SSRa、RaS(=O)-、RaS(=O)2-、-N=NRa、または-OPO2Ra;
各R2 は独立に、 水素、ハロ、(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環(C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリール、またはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-; あるいは、
R1およびR2 およびそれらが結合している原子は、 C=O、C=SまたはC=NRc
【0022】
R4およびR5 はそれらが結合している原子と共に、非ペルオキシドオキシ (-O-)、チオ(-S-)、スルフィニル(-SO-)、スルフォニル(-S(O)2-) またはアミン(-NRa-) から選択される、1、2、3、または4のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい、3、4、5、6、7、8、9または10の環原子を有する、飽和または部分的に不飽和、または芳香環を形成する;
ここでR4およびR5を含む各環は1〜14のR6 基により置換されている;
ここで各R6 は独立に、 水素、ハロ、-ORa、-SRa、(C1-C8)アルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1-C8)シクロアルキル、(C1-C8)シクロアルキル(C1-C8)アルキレン -、(C6-C12)ビシクロアルキル、ヘテロ環またはヘテロ環 (C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール (C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-、-CO2Ra、RaC(=O)O-、RaC(=O)-、-OCO2Ra、RaRbNC(=O)O-、RbOC(=O)N(Ra)-、RaRbN-、RaRbNC(=O)-、RaC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=S)N(Rb)-、-OPO3Ra、RaOC(=S)-、RaC(=S)-、-SSRa、RaS(=O) -、-NNRa、-OPO2Ra、あるいは2つのR6 基およびそれらが結合している原子は、 C=O、またはC=S; あるいは2つのR6 基はそれらが結合している1または複数の原子と共に、炭素環または、1〜6の炭素原子および非ペルオキシドオキシ (-O-)、チオ(-S-)、スルフィニル(-SO-)、スルフォニル(-S(O)2-)、ホスフィン (-OP(O)2- 、またはアミン(-NRa-) から選択される1、2、3、または4のヘテロ原子を環中に含む複素環を形成していてもよい;
R3 は、水素、ハロ、-ORa、-SRa、(C1-C8)アルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)シクロアルキル(C1-C8)アルキレン-、ヘテロ環、ヘテロ環(C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-、-CO2Ra、RaC(=O)O-、RaC(=O)-、-OCO2Ra、RaRbNC(=O)O-、RbOC(=O)N(Ra)-、RaRbN-、RaRbNC(=O)-、RaC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=S)N(Rb)-、-OPO3Ra、RaOC(=S)-、RaC(=S)-、-SSRa、RaS(=O)-、RaS(=O)2-、-NNRa、-OPO2Ra; あるいはCR4R5 から形成される環がアリールまたはヘテロアリール あるいは部分的に不飽和である場合、R3 は存在しなくてもよい;
各R7 は独立に、 水素、(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)シクロアルキル(C1-C8)アルキレン-、ヘテロ環、ヘテロ環 (C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-;
Xは、-CH2ORe、-CO2Re、-CH2OC(O)Re、-C(O)NReRf、-CH2SRe、-C(S)ORe、-CH2OC(S)ReまたはC(S)NReRf -CH2N(Re)(Rf)、あるいは下記式を有する基;
【化7】

ここで各 Z1は、非ペルオキシド-O-、-S(O)p-、-C(R8)j-、または-N(R8) -;ただし、 少なくとも1つの Z1は、非ペルオキシド-O- 、 -S(O)p- 、または-N(R8) -;
各R8 は独立に、 水素、(C1-C8)アルキル、(C1-C8)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)アルキル(C3-C8)シクロアルキル、(C3-C8)シクロアルケニル、(C1-C8)アルキル(C3-C8)シクロアルケニル、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-; ここでR8のアルキルまたはアルケニル基はいずれも-O-、-S-、または-N(Ra)-により分断されていてもよい;
Reは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル;
Rf は、水素、(C1-C8)アルキル、または1-3の(C1-C8)アルコキシで置換された(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)アルキルチオ、アミノ酸、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン; そして、
ここで、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール、R1、R2、R3、R6、R7およびR8基はいずれも以下からなる群から選択される1以上 (例えば、1、2、3、または4) の置換基により炭素上で置換されていてもよい:ハロ、-ORa、-SRa、(C1-C8)アルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C3-C8)シクロアルキル、(C6-C12)ビシクロアルキル、ヘテロ環またはヘテロ環(C1-C8)アルキレン-、アリール、アリールオキシ、アリール (C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-、-CO2Ra、RaC(=O)O-、RaC(=O)-、-OCO2Ra、RaRbNC(=O)O-、RbOC(=O)N(Ra)-、RaRbN-、RaRbNC(=O)-、RaC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=S)N(Rb)-、-OPO3Ra、RaOC(=S)-、RaC(=S)-、-SSRa、RaS(=O)p-、RaRbN-S(O)p-、N=NRa、および-OPO2Ra;
ここで(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C6-C12)ビシクロアルキル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)アルカノイル、(C1-C8)アルキレン、またはヘテロ環はいずれも部分的に不飽和であってもよい;
RaおよびRb はそれぞれ独立に、 水素、(C1-C18)アルキル、または1-3の(C1-C18)アルコキシで置換された(C1-C18)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C18)アルキルチオ、アミノ酸、アリール、アリール(C1-C18)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C18)アルキレン;あるいは RaおよびRbは、それらが結合している窒素と共に、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、またはチオモルホリノ環を形成する;そして、
Rcは、水素または(C1-C6)アルキル;
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、または8; iは、1、または2; 各jは独立に、1、または2;および各pは独立に、0、1、または2]。
【0023】
別の態様において、本発明の化合物またはその医薬上許容される塩は一般式 (I)を有する:
【化8】

(I)
[式中:
Zは、CR3R4R5 またはNR4R5;
各R1 は独立に、 水素、ハロ、-ORa、-SRa、(C1-C8)アルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C3-8シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環(C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-、-CO2Ra、RaC(=O)O-、RaC(=O)-、-OCO2Ra、RaRbNC(=O)O-、RbOC(=O)N(Ra)-、RaRbN-、RaRbNC(=O)-、RaC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=S)N(Rb)-、-OPO3Ra、RaOC(=S)-、RaC(=S)-、-SSRa、RaS(=O)-、RaS(=O)2-、-N=NRa、または-OPO2Ra;
各R2は独立に、水素、ハロ、(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環(C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-;あるいは、
R1およびR2 およびそれらが結合している原子は、C=O、C=SまたはC=NRc
【0024】
R4およびR5はそれらが結合している原子と共に、非ペルオキシドオキシ (-O-)、チオ(-S-)、スルフィニル(-SO-)、スルフォニル(-S(O)2-) またはアミン(-NRa-) から選択される1、2、3、または4のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい、3、4、5、6、7、8、9または10の環原子を有する飽和または部分的に不飽和、または芳香環を形成する;
ここで、R4およびR5を含む各環は1〜14のR6 基により置換されている;
ここで各R6 は独立に、水素、ハロ、-ORa、-SRa、(C1-C8)アルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1-C8)シクロアルキル、(C1-C8)シクロアルキル(C1-C8)アルキレン-、(C6-C12)ビシクロアルキル、ヘテロ環またはヘテロ環 (C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール (C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-、-CO2Ra、RaC(=O)O-、RaC(=O)-、-OCO2Ra、RaRbNC(=O)O-、RbOC(=O)N(Ra)-、RaRbN-、RaRbNC(=O)-、RaC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=S)N(Rb)-、-OPO3Ra、RaOC(=S)-、RaC(=S)-、-SSRa、RaS(=O)-、-NNRa、-OPO2Ra、あるいは2つのR6 基およびそれらが結合している原子は、 C=O、またはC=S; あるいは2つのR6 基 はそれらが結合している1または複数の原子と共に、炭素環または、1〜6の炭素原子および非ペルオキシドオキシ (-O-)、チオ(-S-)、スルフィニル(-SO-)、スルフォニル(-S(O)2-)、ホスフィン (-OP(O)2-、またはアミン(-NRa-) から選択される1、2、3、または4のヘテロ原子を環中に含む複素環を形成していてもよい;
R3 は、水素、ハロ、-ORa、-SRa、(C1-C8)アルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)シクロアルキル(C1-C8)アルキレン-、ヘテロ環、ヘテロ環(C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-、-CO2Ra、RaC(=O)O-、RaC(=O)-、-OCO2Ra、RaRbNC(=O)O-、RbOC(=O)N(Ra)-、RaRbN-、RaRbNC(=O)-、RaC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=S)N(Rb)-、-OPO3Ra、RaOC(=S)-、RaC(=S)-、-SSRa、RaS(=O)-、RaS(=O)2-、-NNRa、-OPO2Ra; あるいはCR4R5 から形成される環がアリールまたはヘテロアリールあるいは部分的に不飽和である場合、R3 は存在しなくてもよい;
各R7 は独立に、 水素、(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)シクロアルキル(C1-C8)アルキレン-、ヘテロ環、ヘテロ環 (C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-;
Xは、-CH2ORe、-CO2Re、-CH2OC(O)Re、-C(O)NReRf、-CH2SRe、-C(S)ORe、-CH2OC(S)ReまたはC(S)NReRf、-CH2N(Re)(Rf)、または下記式を有する基:
【化9】

ここで各 Z1は、非ペルオキシド-O-、-S(O)p-、-C(R8)j-、または-N(R8) -;ただし、 少なくとも1つの Z1は、非ペルオキシド-O-、 -S(O)p- 、または-N(R8) -;
各R8 は独立に、 水素、(C1-C8)アルキル、(C1-C8)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)アルキル(C3-C8)シクロアルキル、(C3-C8)シクロアルケニル、(C1-C8)アルキル(C3-C8)シクロアルケニル、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-; ここでR8のアルキルまたはアルケニル基はいずれも-O-、-S-、または-N(Ra) -により分断されていてもよい ;
Reは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル;
Rf は、水素、(C1-C8)アルキル、または1-3の(C1-C8)アルコキシで置換された(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)アルキルチオ、アミノ酸、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン; そして、
ここで、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール、R1、R2、R3、R6、R7およびR8基はいずれも炭素上で1以上 (例えば、1、2、3、または4) の以下からなる群から選択される置換基により置換されていてもよい:ハロ、-ORa、-SRa、(C1-C8)アルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C3-C8)シクロアルキル、(C6-C12)ビシクロアルキル、ヘテロ環またはヘテロ環(C1-C8)アルキレン-、アリール、アリールオキシ、アリール (C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-、-CO2Ra、RaC(=O)O-、RaC(=O)-、-OCO2Ra、RaRbNC(=O)O-、RbOC(=O)N(Ra)-、RaRbN-、RaRbNC(=O)-、RaC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=S)N(Rb)-、-OPO3Ra、RaOC(=S)-、RaC(=S)-、-SSRa、RaS(=O)p-、RaRbN-S(O)p- 、N=NRa、および-OPO2Ra;
ここで(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C6-C12)ビシクロアルキル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)アルカノイル、(C1-C8)アルキレン、またはヘテロ環はいずれも、部分的に不飽和であってもよい;
RaおよびRb はそれぞれ独立に、 水素、(C1-C8)アルキル、または1-3の(C1-C8)アルコキシで置換された(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)アルキルチオ、アミノ酸、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン;または、RaおよびRbは、それらが結合している窒素と共に、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、またはチオモルホリノ環を形成する;そして、
Rc は、水素または(C1-C6)アルキル;
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、または8; iは、1、または2;各j は独立に、1、または2;そして各p は独立に、 0、1、または2;]。
【0025】
本発明は、医療において使用する式Iの化合物、好ましくは炎症の治療または哺乳類の組織を炎症応答(例えば、アレルギー、外傷または虚血/再灌流損傷)などの炎症から保護する際に使用する式Iの化合物を提供するものであり、また、ヒトなどの哺乳類における炎症と関連する病理学的症状または症候による炎症応答の治療用医薬品の調製のための式Iの化合物の使用を提供する。
【0026】
また、本発明は、好ましくは、白血球が介在する炎症応答の相乗的低下を導き出すために、これらの化合物とIV型ホスホジエステラーゼ阻害剤とを組合せ使用することも包含する。
【0027】
また、本発明は、有効量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩と、医薬上許容される希釈剤または担体とを組合わせてなる医薬組成物、また所望により、IV型ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤と組合せてなる医薬組成物を提供する。好ましくは、該組成物は単位用量形態で提供される。
【0028】
さらに、本発明はヒトなどの哺乳類における病的状態または症候を予防または治療する治療方法であって、A2Aアデノシン受容体の活性が関係するとされ、また当該受容体のアゴニズムが望まれる場合に、式Iの化合物またはその医薬上許容される塩の有効量をかかる治療の必要な哺乳類に投与することを含む方法を提供する。A2Aアデノシン受容体を活性化すると、好中球、肥満細胞、単球/マクロファージ、血小板、T細胞および/または好酸球に影響を与えることにより炎症を阻害すると信じられる。これら炎症性細胞の阻害は組織傷害後の組織を保護する。
【0029】
さらに、本発明は、A2A アデノシン受容体アゴニストとともに有効量の好適な抗生物質、抗真菌剤または抗ウイルス剤を投与することを含む生物学的疾患の治療のための治療方法を提供する。抗生物質耐性細菌、または特定のウイルス、例えば、SARSまたはエボラを引き起こすウイルスによる感染の場合にあり得るように、抗病原剤が知られていない場合、A2A アゴニストを単独で用いて炎症を軽減させることができる。所望により、該方法はIV型PDE阻害剤の投与を含む。A2A アデノシン受容体アゴニストは、治療症状、例えば、敗血症により起こる炎症、例えば、生物兵器によるテロ兵器、例えば、 炭疽病、野兎病、大腸菌による病気、ペスト等の治療において抗生物質を投与された際のヒト尿毒症症候群の補助療法を提供しうる。本発明はまた、致死的な、細菌、真菌およびウイルス感染、例えば、炭疽病、野兎病、大腸菌類による病気およびペストの治療のための補助療法も提供し、該方法は、選択的、A2A アデノシン受容体アゴニストとともに、抗細菌剤、抗真菌剤または抗ウイルス剤を投与することを含む。
【0030】
本発明は、単独で、または疾患殺活性薬と組み合わせて、炎症を引き起こす生物学的疾患を治療するための治療方法を提供する。これらには抗生物質と組み合わせた細菌が含まれ、これらに限定されないが、炭疽病、野兎病、ペスト、ライム病を引き起こす細菌および炭疽菌が挙げられる。抗ウイルス治療を伴うかまたは伴わない、ウイルスも含まれ、これらに限定されないが、RSV、重症急性呼吸器症候群 (SARS)、インフルエンザおよびエボラを引き起こすものが挙げられる。抗酵母または抗真菌剤を伴うかまたは伴わない、酵母および真菌感染も含まれる。
【0031】
抗細菌剤、抗真菌剤または抗ウイルス剤はA2A アデノシン受容体アゴニストとともに共投与 (例えば、同時投与) してもよく、あるいはそれらは混合物として同時投与してもよく、逐次的に投与してもよい。A2A アデノシン受容体アゴニストの逐次投与は抗細菌剤、抗真菌剤または抗ウイルス剤よりも前であってもよく、抗細菌剤、抗真菌剤または抗ウイルス剤の投与の数分後から約 48 時間後であってもよい。好ましくはA2A アデノシン受容体アゴニストの投与は約 24 時間以内であり、より好ましくは約 12 時間以内である。
【0032】
本発明の方法はまた、感染症ショックだけでなく、敗血症、重症敗血症、および潜在的には、全身性炎症反応症候群の患者の治療に有用であろう。A2AAR アゴニストは炎症カスケードの初期において複数の抗炎症効果を発揮し、したがってA2AAR アゴニストの短期過程により、重篤な、生命を脅かすヒトの感染性および炎症性障害、例えば、吸入性炭疽病、野兎病、大腸菌類による障害およびペストにおいて、大いなる利益がもたらされるであろう。
【0033】
A2AAR アゴニストの抗炎症効果が、髄膜炎、腹膜炎および関節炎の実験モデルにおいてインビボで実証された。細菌敗血症の致死的となりうる症候群は救急処置室において一般的な問題となりつつある。敗血症および感染症ショックは、今では米国における11番目の死因であり、その頻度が増えつつある。現在の評価によると、毎年約 900,000の新規症例の敗血症 (およそ 60%はグラム陰性)が米国において起こっており、その死亡率はおよそ35%と見積もられることが示されている。さらに、最近の臨床試験において評価された死亡率は、およそ25%であり、患者のおよそ 10 %がその基礎疾患により死亡している。ショックは毎年およそ 200,000症例起こっており、それに起因する死亡率は46 % (死亡数92000)である。敗血症は、毎年50-100億ドルの医療支出の原因であると評価されている。現在では、非冠状動脈集中治療室における入院患者のなかで、敗血症はもっとも一般的な死因であることが広く認識されている。敗血症症候群は非常に重要な公衆衛生問題である。A2AAR アゴニストは、罹患率および死亡率を低下させるための新規かつ特有の補助療法アプローチとしての用途を有すると期待される。この治療により全身性炭疽病、野兎病、大腸菌類による病気およびペストの結果が改善されると確信される。
【0034】
本発明のA2A アデノシン 受容体アゴニストは、好中球、マクロファージおよびT 細胞活性化を阻害することが出来、それゆえ細菌およびウイルス感染により起こる炎症が低減される。抗生物質または抗ウイルス剤とともに該化合物は、敗血症または溶血性尿毒症症候群またはその他の炎症症状に起因する死亡を予防し、その死亡率を低減させうる。アデノシン A2A アゴニストの効果は、IV型ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えば、ロリプラムにより増強される。
【0035】
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩を、医薬上許容される希釈剤または担体と組み合わせて含む、医薬組成物を提供する。好ましくは、該組成物は単位用量形態(unit dosage form)にて存在し、非経口、例えば、経静脈内投与に適用しうる。
【0036】
本発明はまた、医学療法における使用(例えば、致死的である可能性のある細菌感染、例えば、炭疽病、野兎病、大腸菌類による病気、ペスト、またはその他の細菌またはウイルス 感染の治療、および細菌および/またはウイルス感染によって起こる全身性中毒の治療における補助剤としての使用)のための式Iの化合物、ならびに、細菌またはウイルスにより哺乳類、例えば、ヒトにおいて起こる炎症を軽減させるため、またはその治療のための医薬の調製のための式Iの化合物の使用を提供する。本発明の化合物はまた、細菌またはウイルス病原体が直接、または抗生物質または抗ウイルス剤での治療の結果として炎症をもたらす全身性中毒の治療にも有用である。
【0037】
敗血症は、毒素産生細菌またはウイルスによる血流の圧倒的な感染により起こる重篤な病気である。炎症として顕在化しうる感染は、細菌またはウイルス病原体によって直接起こり得るし、あるいはその治療、即ち、抗細菌または抗ウイルス剤による処置による病原体の殺傷に起因しても起こりうる。敗血症は、感染に対する体の応答としてみることも出来る。感染は微生物即ち「病原菌」(通常は細菌)の体内への侵入によって起こり得、それは、特定の体の部位 (例えば、歯の膿瘍)に限定されることもあるし、血流に広く行き渡ることもある(しばしば「敗血症」または「血液中毒」と称される)。
全身性中毒または炎症性ショックは、しばしば感染症ショック; 菌血症ショック; 内毒素ショック; 敗血症ショック;または ワームショックと称される。
【0038】
感染症ショックは、圧倒的な感染が低血圧および低血流をもたらす場合に起こる重篤な異常症状である。重要な臓器、例えば、脳、心臓、腎臓、および肝臓の機能が不良となったり機能しなくなることもあり得る。感染症ショックは高齢者および幼い子供においてもっともよく起こる。また、基礎疾患を有するヒトにおいても起こる。あらゆる細菌生物が感染症ショックを起こしうる。真菌およびウイルスもこの症状を起こしうる。細菌、真菌 またはウイルスによって放出される毒素も直接組織損傷をおこし得、低血圧および/または臓器機能の不良を導きうる。これら毒素はまた、体からの激しい炎症応答をおこし得、それに起因して感染症ショックが起こる。
【0039】
別の側面において、本発明はまた重症急性呼吸器症候群 (SARS)の治療方法も提供し、該方法は、該治療を必要とする哺乳類に、抗炎症有効量の A2A アデノシン 受容体アゴニストを、所望によりPDE-IV 阻害剤、例えば、ロリプラムとともに投与することを含む。
【0040】
本発明は、哺乳類、例えば、ヒトまたは家畜における、冠状動脈狭窄の存在を検出し、そしてその重篤度を評価するための化合物およびその使用方法を提供する。好ましくは、本発明の化合物は冠状動脈疾患の検出および評価のための薬理学的ストレス試験において有用な薬理学的ストレス誘導剤またはストレッサーとして使用される。ストレス誘導剤として有用な本発明の特定の化合物は強力かつA2A アデノシン 受容体に選択的であるが、同時に短時間作用型であるため、試験プロセスの後に体から迅速に除去される。
【0041】
したがって、本発明は、哺乳類、例えば、ヒト対象における冠状動脈狭窄の存在および重篤度を検出する方法を提供し、該方法は、 (1)一定量の1以上の一般式 (I) の化合物を投与すること、および(2) 該冠状動脈狭窄の検出および/または重篤度の測定のために該哺乳類に対して技術を実施することを含む。
【0042】
本発明は、医学診断手順において使用するため、好ましくはヒト対象における冠状動脈狭窄の存在を検出し、そしてその重篤度を評価することにおいて使用するための式(I)の化合物を提供する。本発明は、臨床灌流イメージング技術とともに、冠状動脈疾患の診断および程度の評価に利用できる血管拡張医薬の調製のための式(I)の化合物の使用を提供する。好ましい灌流イメージング技術は、平面または単光子放出コンピュータ断層撮影法 (SPECT) ガンマカメラシンチグラフィー、陽電子放出型断層撮影法 (PET)、核磁気共鳴 (NMR) 像法、磁気共鳴映像法 (MRI) イメージング、灌流 コントラスト心エコー図法、デジタル・サブトラクション血管撮影法 (DSA)および超高速X 線 CT (CINE CT)である。
【0043】
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩を、医薬上許容される希釈剤または担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。好ましくは、組成物は単位用量形態にて存在し、非経口、例えば、経静脈内投与に適合しうるものである。
【0044】
発明の詳細な説明
特に断りのない限り、以下の定義を用いる。ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードである。アルキル、アルコキシ、アラルキル、アルキルアリール等は、直鎖状および分枝状の両方のアルキル基を示す;しかし個々のラジカル、例えば、「プロピル」に対する言及は、直鎖状ラジカルのみを含み、分枝状異性体、例えば、「イソプロピル」は別に言及する。アリールには、フェニルラジカルまたは、少なくとも1つの環が芳香族である約9〜10の環原子を有するオルト縮合 二環式炭素環ラジカルが含まれる。ヘテロアリールは、炭素およびそれぞれ非ペルオキシド酸素、硫黄、およびN(X)からなる群から選択される4つのヘテロ原子の1つからなる5または6の環原子を含む単環式芳香環の環炭素を介して結合したラジカル、ここでXは非存在即ちH、O、(C1-C4)アルキル、フェニルまたはベンジル、ならびに、約 8〜10のそれらに由来する環原子のオルト縮合 二環式 ヘテロ環のラジカル、特に、ベンズ誘導体または、プロピレン、トリメチレン、またはテトラメチレンジラジカルのそれに対する縮合に由来するものを含む。
【0045】
当業者であれば、式(I)の化合物は2以上のキラル中心を有し、そして光学活性およびラセミ形態にて単離されうることを理解するであろう。好ましくは、式(I)のリボシド部分はDリボース由来である。化合物のなかには多形を示しうるものもある。本発明は、本明細書に記載する有用な特性を有する、本発明の化合物のあらゆるラセミ、光学活性、多形、または立体異性体形態あるいはそれらの混合物を含むこと、光学活性形態の調製方法 (例えば、再結晶技術、または酵素的技術によるラセミ形態の分割、光学活性出発物質からの合成、不斉合成、またはキラル固定相を用いるクロマトグラフィー分離による方法)および本明細書に記載する試験または当該技術分野において周知のその他の類似の試験を用いるアデノシンアゴニスト活性を測定する方法は、当該技術分野において周知であることを理解されたい
【0046】
炎症応答の内、式Iの化合物により、所望によりV型PDE阻害剤とともに処置(予防的処置を含む)し得る炎症は以下に起因する炎症である:
(a)自己免疫刺激(自己免疫疾患)、例えば、紅斑性狼瘡、多発性硬化症、子宮内膜症による不妊症、I型糖尿病(膵島破壊からの糖尿病および下腿潰瘍など糖尿病の炎症性帰結を含む)、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、骨粗しょう症およびリウマチ様関節炎;
(b)喘息、枯草熱、鼻炎、ツタウルシ(poison ivy)、春季結膜炎およびその他の好酸球介在症状などのアレルギー性疾患;
(c)乾癬、接触性皮膚炎、湿疹、感染性皮膚潰瘍、開放創の治癒、蜂織炎などの皮膚疾患;
(d)敗血症、感染症ショック、脳炎、感染性関節炎、内毒素ショック、グラム陰性ショック、ヤリッシュ−ヘルクスハイマー反応、炭疽、ペスト、野兎病、エボラ、帯状疱疹、毒素ショック、脳性マラリア、細菌性髄膜炎、急性呼吸促迫症候群 (ARDS)、慢性閉塞性肺疾患 (COPD)、ライム病、HIV感染症、(TNFα−増強HIV増殖、逆転写酵素阻害活性のTNFα阻害)などの感染性疾患;
(e)せきそう病:癌およびHIVの二次的悪液質;
(f)移植片拒絶反応を伴う臓器、組織または細胞の移植(例えば、骨髄、角膜、腎臓、肺、肝臓、心臓、皮膚、膵島)、移植片対宿主反応;
(g)薬物療法による有害作用、例えば、アンホテリシンB処置による有害作用、免疫抑制処置(例えば、インターロイキン−2処置)による有害作用、OKT3処置、対比色素、抗生物質による有害作用、GM-CSF処置による有害作用、シクロスポリン処置による有害作用、およびアミノグリコシド処置による有害作用、免疫抑制に起因する口内炎と粘膜炎;
(h)心血管系病態、例えば、炎症応答に誘発されるかまたは悪化する循環系疾患、例えば、虚血、アテローム性動脈硬化、末梢血管疾患、血管形成術後の再狭窄、炎症性大動脈瘤、脈管炎、発作、脊髄損傷、うっ血性心不全、出血性ショック、虚血/再灌流傷害、くも膜下出血後の血管痙攣、脳血管事故後の血管痙攣、胸膜炎、心膜炎、および糖尿病の心臓血管系合併症;
(i)腹膜透析による心膜炎を伴う透析;
(j)痛風;および
(k)やけど、酸、アルカリなどによる化学的または熱的外傷。
【0047】
本発明の化合物の使用が特に有利であり、効果的であるのは、虚血/再灌流損傷が、血管系施術または血栓崩壊により引き起こされた場合の炎症応答を制限することである。さらに、本発明の化合物の使用が特に有利であり、効果的であるのは、臓器、組織または細胞の移植、すなわち、同種または異種組織を哺乳類レシピエントに移植すること、循環系病理による自己免疫疾患と炎症性病態およびその処置、例えば、血管形成術、ステント配置、シャント配置または組織移植接木などによる炎症応答を制限することである。予想外に、式(I)で示される1種以上の化合物の投与が、炎症応答の発生後、例えば、対象が炎症応答を起こす病態または外傷に侵された後に有効であることが判明した。
【0048】
リガンド結合受容体部位を含む組織または細胞は、特異的受容体のサブタイプに対する被験化合物の選択性の測定、血中または他の生理的体液中の生物活性化合物量の測定に使用可能であるし、あるいは受容体部位活性化と関連する疾患または病態処置のための可能性のある治療薬剤の同定手段として、当該薬剤と当該リガンド−受容体複合体とを接触させ、リガンドの置換度合いおよび/または薬剤の結合度合い、または当該薬剤に対する細胞応答(例えば、cAMP蓄積)を測定することにより、使用することができる。
【0049】
ラジカル、置換基、および範囲について以下に例示する具体的かつ好適な意味は説明のためのみのものである;その意味は他の定義された意味またはラジカルおよび置換基について定義された範囲内での他の意味を除外するものではない。
【0050】
具体的には、(C1-C8)アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、ペンチル、3-ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル等であり得る。 本明細書において使用する場合、「(C1-C8)アルコキシ」という語は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、ペントキシ、3-ペントキシ、ヘキシルオキシ、1-メチルヘキシルオキシ、へプチルオキシ等であり得る。
【0051】
本明細書において使用する場合、「シクロアルキル」という語は、ビシクロアルキル (ノルボニル、2.2.2-ビシクロオクチル等)およびトリシクロアルキル (アダマンチル等)であり得、1-2のN、OまたはSを含んでいてもよい。シクロアルキルはまた、(シクロアルキル)アルキルも含む。したがって、(C3-C6)シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等でありうる。具体的には、(C6-C12)ビシクロアルキル には、ノルボニル、2.2.2-ビシクロオクチル 等が含まれる。
【0052】
本明細書において使用する場合、「(C1-C8)アルコキシ」という語は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、ペントキシ、3-ペントキシ、ヘキシルオキシ; 等でありうる。
【0053】
本明細書において使用する場合、「(C2-C6)アルケニル」という語は、ビニル、アリル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル等であり得る。
本明細書において使用する場合、「(C2-C6)アルキニル」という語は、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル等であり得る。
【0054】
本明細書において使用する場合、「(C1-C8)アルカノイル」という語は、アセチル、プロパノイル、ブタノイル等であり得る。
【0055】
本明細書において使用する場合、「ハロ(C1-C8)アルキル」という語は、ヨードメチル、ブロモメチル、クロロメチル、フルオロメチル、トリフルオロメチル、2-クロロエチル、2-フルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル等であり得る。
【0056】
本明細書において使用する場合、「ヒドロキシ(C1-C6)アルキル」という語は、ヒドロキシメチル、1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシエチル、1-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、1-ヒドロキシブチル、4-ヒドロキシブチル、1-ヒドロキシペンチル、5-ヒドロキシペンチル、1-ヒドロキシヘキシル、6-ヒドロキシヘキシル等であり得る。
【0057】
本明細書において使用する場合、「(C1-C8)アルキルチオ」という語は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ等であり得る。
【0058】
本明細書において使用する場合、「アリール」という語には、フェニル、インデニル、インダニル、ナフチル等が含まれる。さらに、アリールには、少なくとも1つの環が芳香族であり、約 9〜10の環原子を有するオルト縮合二環式炭素環ラジカルが含まれる。「アリール」という語は、約8〜10のそれらが由来する環原子のオルト縮合二環式ヘテロ環のラジカルも含み得、特に、ベンズ-誘導体または、プロピレン、トリメチレン、またはテトラメチレンジラジカルがそれに縮合することにより誘導されるものが挙げられる。
【0059】
本明細書において使用する場合、「ヘテロアリール」という語は、炭素およびそれぞれ非ペルオキシド酸素、硫黄、およびN(Y)からなる群から選択される1、2、3、または4のヘテロ原子からなる5または6の 環原子を含む単環式 芳香環であり得、ここで、Yは、非存在またはH、O、(C1-C8)アルキル、フェニルまたはベンジルである。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾイル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル、(またはそのN オキシド)、チエニル、ピリミジニル (またはそのN オキシド)、インドリル、イソキノリル(またはそのN オキシド)、キノリル (またはそのN オキシド) 等が挙げられる。「ヘテロアリール」という語には、約8〜10のそれが由来する環原子のオルト縮合二環式ヘテロ環のラジカル、特に、ベンズ-誘導体または、プロピレン、トリメチレン、またはテトラメチレンジラジカルがそれに縮合して得られるものも含まれうる。ヘテロアリールの例としては、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、オキサゾイル、イソキサゾイル、チアゾリル、イソチアゾイル、ピラキソリル、ピロリル、ピラジニル、テトラゾリル、ピリジル (またはそのN オキシド)、チエンチル、ピリミジニル (またはそのN オキシド)、インドリル、イソキノリル (またはそのN オキシド)、キノリル (またはそのN オキシド)等が挙げられる。
【0060】
本明細書において使用する場合、複素環 X 環における、
【化10】

という記号は、1または2の二重結合を有し得、そして芳香族であってよい環を示す。X 環の非限定的な例としては以下等が挙げられる。
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】


【0061】
「ヘテロ環」という語は、一般に、3〜約 10の環原子を有し、飽和または部分的に不飽和であってよく、少なくとも1つ (例えば、1、2、または3) の酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子を含む、非芳香族複素環基を表す。具体的な、「ヘテロ環」基としては、酸素、窒素、および硫黄からなる群から選択される1以上のヘテロ原子を含む単環式、二環式、または三環式基が挙げられる。「ヘテロ環」基はまた、環原子に結合した1以上のオキソ基(=O)を含みうる。ヘテロ環基の非限定的な例としては、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン、1,4-ジチアン、2H-ピラン、2-ピラゾリン、4H-ピラン、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソクロマニル、イソインドリニル、モルホリン、ピペラジニル、ピペリジン、ピペリジル、ピラゾリジン、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジン、 ピロリン、キヌエリジン、チオモルホリン等が挙げられる。
【0062】
「アルキレン」という語は、二価の直鎖状または分枝状炭化水素鎖をいう(例えば、エチレン-CH2-CH2-)。
【0063】
「アリール(C1-C8)アルキレン」という語は、例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等を含む。
【0064】
種々の炭化水素含有部分の炭素原子含有量は、その部分の炭素原子の最少数および最大数を指定する接頭辞により示す;すなわち、接頭辞Ci−Cjとは整数“i”ないし整数“j”のそれらの末端数値を含む炭素原子数を含む部分を示す。従って、例えば、(C1-C8)アルキルは炭素原子がその数値も含めて1個ないし8個であるアルキルをいう。
【0065】
本発明の化合物は一般にIUPACまたはCAS命名法システムに従って命名する。略号は当業者に周知のものを使用し得る(例えば、“Ph”はフェニル、“Me”はメチル、“Et”はエチル、“h”は時間、“rt”は室温を意味する)。
【0066】
R1の具体的な意味は、水素、-OH、ハロ、-CH2OH、-OMe、-OAc、-NH2、-NHMe、-NMe2または-NHAcである。
【0067】
R1の別の具体的な意味は、水素、-OH、-F、-OMe、-OAc、-NH2、-NHMe、-NMe2 または-NHAcである。
【0068】
R1の別の具体的な意味は、水素、-OH、-F、-OMe、または-NH2である。
【0069】
R1の別の具体的な意味は、水素、-OH、-F、または-NH2である。
【0070】
R1のさらなる具体的な意味は、水素または-OHである。
【0071】
R2の具体的な意味は、水素、ハロ、または(C1-C8)アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシルまたはベンジルである。
【0072】
R2の別の具体的な意味は、水素、-F、メチル、エチルまたはプロピルである。
【0073】
R2の別の具体的な意味は、水素またはメチルである。
【0074】
R2のさらなる具体的な意味は、水素である。
【0075】
R1、R2 およびそれらが結合している炭素原子の具体的な意味は、カルボニル (C=O) である。
【0076】
R3の具体的な意味は、水素、OH、OMe、OAc、NH2、NHMe、NMe2 またはNHAcである。
【0077】
R3 の別の具体的な意味は、水素、OH、OMe、またはNH2である。
【0078】
R3の別の具体的な意味は、水素、OH、またはNH2である。
【0079】
R3のさらなる具体的な意味は、水素またはOHである。
【0080】
R4、R5 およびそれらが結合している原子を含む環の具体的な意味は、シクロペンタン、シクロヘキサン、ピペリジン、ジヒドロ-ピリジン、テトラヒドロ-ピリジン、ピリジン、ピペラジン、デカリン、テトラヒドロ-ピペラジン、ジヒドロ-ピペラジン、ピラジン、ジヒドロ-ピリミジン、テトラヒドロ-ピリミジン、ヘキサヒドロ-ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、ジヒドロ-イミダゾール、イミダゾリジン、ピラゾール、ジヒドロ-ピラゾール、およびピラゾリジンである。
【0081】
R4、R5 およびそれらが結合している原子を含む環のさらなる具体的な意味は、シクロヘキサン、ピペリジンまたはピペラジンである。
【0082】
R6 の具体的な意味は、(C1-C8)アルキル、置換(C1-C8)アルキル、ハロ、-ORa、-CO2Ra、-OCO2Ra、-C(=O)Ra、-OC(=O)Ra、-NRaRb、-C(=O)NRaRb、-OC(=O)NRaRb、またはアリールである。
【0083】
R6の別の具体的な意味は、(C1-C4)アルキル、クロロ、フルオロ、フェニル、-ORa、-CH2ORa、-CO2Ra、-CH2CO2Ra、-OCO2Ra、-CH2OCO2Ra、-C(=O)Ra、-CH2C(=O)Ra、-OC(=O)Ra、-CH2OC(=O)Ra、-NRaRb、-CH2NRaRb、-C(=O)NRaRb、-CH2C(=O)NRaRb、-OC(=O)NRaRb、または-CH2OC(=O)NRaRbである。
【0084】
R6の別の具体的な意味は、-OH、OMe、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、-CH2OH、フェニル、-OAc、-CH2OAc、-CO2H、-CO2Me、-CO2Et、-CO2i-Pr、-CO2i-Bu、-CO2t-Bu、-OCO2Me、-OCO2Et、-C(=O)CH3、-CONH2、-CONHMe、-CONMe2、-CONMeEt、-NH2、-NHMe、-NMe2、-NHEt、-N(Et)2、または-CH2N(CH3)2である。
【0085】
R6の別の具体的な意味は、-OH、OMe、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、-CH2OH、フェニル、-OAc、-CH2OAc、-CO2Me、-CO2 Et、-CO2i-Pr、-CO2i-Bu、-CO2t-Bu、-OCO2Me、-OCO2Et、-CONMe2、-CONMeEtである。
【0086】
Z 環上で置換されているR6 基の具体的な数は、1〜約 4の整数である。
【0087】
Raの具体的な意味は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、フェニルまたはベンジルである。
【0088】
Rbの具体的な意味は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、フェニルまたはベンジルである。
【0089】
Raの別の具体的な意味は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、またはtert-ブチルであり、Rb は、水素、またはメチルである。
【0090】
RaおよびRbの別の具体的な意味は、それらが結合している窒素と共に、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、またはチオモルホリノ 環を形成する。
【0091】
RaおよびRbの別の具体的な意味は、それらが結合している窒素と共に、ピロリジノ、ピペリジノ、またはモルホリノ環を形成する。
【0092】
R7の具体的な意味は、水素、(C1-C4)アルキル、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ジアリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン、またはジヘテロアリール(C1-C8)アルキレンである。
【0093】
R7の別の具体的な意味は、水素、メチル、エチル、3-ペンチル、フェニルCH2CH2-、(フェニル)2CHCH2-、ピリジルCH2-、ベンジル、または、
【化21】

である。
【0094】
R7の別の具体的な意味は、水素、3-ペンチル、ピリジルメチル、またはベンジルである。
【0095】
-N(R7)2の具体的な意味は、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ペンチルアミノ、ジフェニルエチルアミノ、ベンジルアミノ、または、
【化22】

(ピリジルメチルアミノ) である。
【0096】
具体的な一つのピリジルメチルアミノ 基は、
【化23】

である。
R7のさらなる具体的な意味は Hである。
【0097】
-N(R7)2の別の具体的な意味は、アミノ(NH2)、3-ペンチルアミノ、ジフェニルエチルアミノ、ピリジルメチルアミノ、ベンジルアミノ、または下記式を有する基:
【化24】

である。
【0098】
-N(R7)2の別の具体的な意味は、アミノ、ジフェニルエチルアミノ、ペンチルアミノまたはベンジルアミノである。
【0099】
-N(R7)2のさらに具体的な意味は、アミノである
【0100】
Xの具体的な意味は、-CH2ORe、-CO2Re、-CH2OC(O)Re、-C(O)NReRf、または-CH2N(Re)(Rf) である。
【0101】
Xの別の具体的な意味は、-CH2OReまたは-C(O)NReRfである。
【0102】
Xの別の具体的な意味は、
【化25】

【化26】

【化27】

である。
Xの別の具体的な意味は、
【化28】

【化29】

である。
Xの別の具体的な意味は、
【化30】


である。
R8の具体的な意味は、メチル、エチル、イソプロピル、イソプロペニル、-CH=CH2、CH2OH、プロピル、-CH2-CH=CH2、-CH=CH-CH3、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロプロピルメチル、シクロプロペニルメチル、シクロブチル、シクロブテニル、- (CH2)Y(CH2)nH、-(CH2)nCOOCH3、-(CH2)nCO(CH2)nH、ここでYは、O、S、N(CH2)nである。
【0103】
R8の別の具体的な意味は、(C1-C3)アルキル、CH2OH、 シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、-(CH2)2CO2CH3、-(CH2)2-3OH、-(CH2)2ハロゲンである。
【0104】
R8のさらなる具体的な意味は、メチル、エチル、プロピル、2-プロペニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、-(CH2)2CO2CH3、-(CH2)2-3OHである。
R8のさらなる具体的な意味は、メチル、エチル、シクロプロピルである。
【0105】
Reの具体的な意味は、シクロプロピル、またはシクロブチルである。
【0106】
Reの具体的な意味は、シクロプロピルである。
【0107】
Reの具体的な意味は、シクロブチルである。
【0108】
Rfの具体的な意味は、水素、または(C1-C8)アルキルである。
【0109】
Rfの別の具体的な意味は、水素、メチル、エチル、またはプロピルである。
【0110】
Rfの別の具体的な意味は、水素、またはメチルである。
【0111】
Rfの別の具体的な意味は、水素である。
【0112】
iの具体的な意味は1である。
【0113】
iの別の具体的な意味は2である。
【0114】
jの具体的な意味は1である。
【0115】
jの別の具体的な意味は 2である。
【0116】
mの具体的な意味は0、1、または2である。
【0117】
mのさらなる具体的な意味は0、または1である。
【0118】
R4、R5およびそれらが結合している原子を含む環の具体例は以下を含む:
【化31】

【化32】

【化33】

ここで、qは1〜14であり、Rd は水素、ただし、qが0の場合、Rdは水素ではない。
【0119】
R4、R5およびそれらが結合している原子を含む環のより具体的な例は以下を含む:
【化34】

【化35】

【化36】

【化37】


-C(R3)R4R5 を含む環の具体的な意味は、2-メチルシクロヘキサン、2,2-ジメチルシクロヘキサン、2-フェニルシクロヘキサン、2-エチルシクロヘキサン、2,2-ジエチルシクロヘキサン、2-tert-ブチルシクロヘキサン、3-メチルシクロヘキサン、3,3-ジメチルシクロヘキサン、4-メチルシクロヘキサン、4-エチルシクロヘキサン、4-フェニルシクロヘキサン、4-tert-ブチルシクロヘキサン、4-カルボキシメチルシクロヘキサン、4-カルボキシエチルシクロヘキサン、3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン、2,4-ジメチルシクロペンタン、4-シクロヘキサンカルボン酸、4-シクロヘキサンカルボン酸エステル、または4-メチルオキシアルカノイル-シクロヘキサンである。
【0120】
-C(R3)R4R5を含む環の具体的な意味は、4-ピペリジン、4-ピペリデン-1-カルボン酸、4-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル、4-ピペリジン-1-カルボン酸エチルエステル、4-ピペリジン-1-カルボン酸プロピルエステル、4-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1-ピペリジン、1-ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸エチルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸プロピルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル、3-ピペリジン、3-ピペリデン-1-カルボン酸、3-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル、3-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1,4-ピペラジン、4-ピペラジン-1-カルボン酸、4-ピペラジン-1-カルボン酸メチルエステル、4-ピペラジン-1-カルボン酸エチルエステル、4-ピペラジン-1-カルボン酸プロピルエステル、4-ピペラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1,3-ピペラジン、3-ピペラジン-1-カルボン酸、3-ピペラジン-1-カルボン酸メチルエステル、3-ピペラジン-1-カルボン酸エチルエステル、3-ピペラジン-1-カルボン酸プロピルエステル、3-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル、1-ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル、1-ピペリジン-3-カルボン酸プロピルエステルまたは1-ピペリジン-3-カルボン酸 tert-ブチルエステルである。
【0121】
R4およびR5を含む環の具体的な意味は、2-メチルシクロヘキサン、2,2-ジメチルシクロヘキサン、2-フェニルシクロヘキサン、2-エチルシクロヘキサン、2,2-ジエチルシクロヘキサン、2-tert-ブチルシクロヘキサン、3-メチルシクロヘキサン、3,3-ジメチルシクロヘキサン、4-メチルシクロヘキサン、4-エチルシクロヘキサン、4-フェニルシクロヘキサン、4-tert-ブチルシクロヘキサン、4-カルボキシメチルシクロヘキサン、4-カルボキシエチルシクロヘキサン、3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン、2,4-ジメチルシクロペンタン、4-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル、4-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル 4-ピペリジン、4-ピペラジン-1-カルボン酸メチルエステル、4-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸 tert-ブチルエステル、tert-ブチルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル、または1-ピペリジン-4-カルボン酸 tert-ブチルエステル、3-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル、3-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、3-ピペリジン、3-ピペラジン-1-カルボン酸メチルエステル、3-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル、1-ピペリジン-3-カルボン酸 tert-ブチルエステルである。
【0122】
本発明の具体的な化合物は、式(IA)を含む。
【化38】

(IA)
式(IA)において、 nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18である。別の群の具体的な化合物において、nは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18である。
【0123】
本発明の具体的な化合物は式(IB)を含む。
【化39】

(IB)
式(IB)において、 kは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18である。
【0124】
本発明の具体的な化合物は、式(IC)を含む。
【化40】

(IC)
式(IC)において、lは、0、1、2、3、または4である。
【0125】
別の本発明の具体的な化合物は以下を含む。
【化41】

;
【化42】

;
【化43】

;
【化44】


本発明のさらなる化合物は以下の 表 1に示す:
表 1
【化45】

【表1】

表 2
【化46】

【表2】

表 3
【化47】

R1 = R2 = H、R7 = NH2
【表3−1】

【表3−2】






【表3−3】







【表3−4】








【表3−5】












【表3−6】








【表3−7】

表 4
【化48】

【表4−1】



































【表4−2】



















【表4−3】
















【表4−4】















【表4−5】















【表4−6】

以下の略号を本発明において用いる。
2-Aas:2-アルキニルアデノシン;
125I-ABA:N6- (4-アミノ-3-125ヨード-ベンジル)アデノシン
APCI:大気圧化学的イオン化
ATL146e:4-{3- [6-アミノ-9- (5-エチルカルバモイル-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロ-フラン-2-イル)-9H-プリン-2-イル]-プロプ-2-イニル}シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル;
CCPA:2-クロロ-N6-シクロペンチルアデノシン;
CGS21680:2- [4- (2-カルボキシエチル)フェネチルアミノ] -5'-N-エチルカルボキサミドアデノシン;
Cl-IB-MECA:N6-3-ヨード-2-クロロベンジルアデノシン-5' -N-メチルウロンアミド;
CPA :N6-シクロペンチルアデノシン
DMF:ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMSO-d6:重水素化ジメチルスルホキシド
EtOAc:酢酸エチル
eq:当量
GPCR :G タンパク質共役受容体; hA2AAR、組換え ヒト A2A アデノシン 受容体;
IADO:2-ヨードアデノシン
125I-APE:2-[2- (4-アミノ-3 [125I]ヨードフェニル)エチルアミノ]アデノシン;
NECA:5'-N-エチルカルボキサミドアデノシン;
IB-MECA:N6-3-ヨードベンジルアデノシン-5' -N-メチルウロンアミド;
2-ヨードアデノシン:5- (6-アミノ-2-ヨード-プリン-9-イル) -3,4-ジヒドロキシテトラヒドロ-フラン-2カルボン酸エチルアミド
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
HRMS:高分解能質量分析
125I-ZM241385:125I-4- (2- [7-アミノ-2- [2-フリル][1,2,4]トリアゾロ[2,3-a][1,3,5] -トリアジン-5-イル-アミノ]エチル)フェノール;
INECA:2-ヨード-N-エチルカルボキサミドアデノシン
LC/MS:液体クロマトグラフィー/質量分析
m.p.:融点
MHz:メガヘルツ
MRS1220:N- (9-クロロ-2-フラン-2-イル- [1,2,4]トリアゾロ[1,5-c] -キナゾリン- 5-イル)-2-フェニルアセトアミド;
MS:質量分析
NECA:N-エチルカルボキサミドアデノシン
NMR:核磁気共鳴
RP-HPLC:逆相高速液体クロマトグラフィー
TBAF:テトラブチルアンモニウムフルオリド
TBS:tert-ブチルジメチルシリル
TBDMSCl:tert-ブチルジメチルシリルクロリド
TEA:トリエチルアミン
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
p-TSOH:パラ-トルエンスルホン酸
XAC:8- (4- ((2-アミノエチル)アミノカルボニル-メチルオキシ)フェニル) -1-3-ジプロピルキサンチン;
【0126】
本発明の実施に有用な具体的なIV型ホスホジエステラーゼ (PDE) 阻害剤としては以下が含まれる:下記式のラセミおよび光学活性 4-(ポリアルコキシフェニル)-2-ピロリドン:
【化49】

ここで、R’、R18、R19およびX は米国特許第4,193,926号において開示および記載されている通りである。ロリプラムは上記式に含まれる好適な IV型PDE阻害剤の一例である。
【0127】
本発明の実施に有用なPDE IV 阻害剤のさらなる非限定的な例としてはこれらに限定されないが下記式を有する化合物およびその改変体が挙げられる。
【化50】

【化51】

【化52】

【0128】
本発明はさらに、以下からなる群から選択される1以上のメンバーと組み合わせて式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する: (a) 以下からなる群から選択される、ロイコトリエン 生合成阻害剤、5-リポキシゲナーゼ (5-LO) 阻害剤、および5-リポキシゲナーゼ 活性化タンパク質 (FLAP) アンタゴニスト:ジロートン; ABT-761; フェンロートン; テポキサリン; Abbott-79175; Abbott-85761; 式(5.2.8)の N-(5-置換)-チオフェン-2-アルキルスルホンアミド; 式(5.2.10)の 2,6-ジ-tert-ブチルフェノールヒドラゾン; 式(5.2.11)の Zeneca ZD-2138; 式(5.2.12)のSB-210661; ピリジニル-置換 2-シアノナフタレン化合物 L-739,010; 2-シアノキノリン化合物 L-746,530; インドールおよびキノリン化合物 MK-591、MK-886、およびBAY x 1005; (b) 以下からなる群から選択されるロイコトリエンLTB4、LTC4、LTD4、およびLTE4に対する受容体アンタゴニスト:フェノチアジン-3-オン化合物 L-651,392; アミジノ 化合物 CGS-25019c; ベンゾキサゾラミン化合物 オンタゾラスト; ベンゼンカルボキシミダミド 化合物 BIIL 284/260; 化合物 ザフィルルカスト、アブルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、ヴェルルカスト (MK-679)、RG-12525、Ro-245913、イラルカスト (CGP 45715A)、およびBAY x 7195; (d) 5-リポキシゲナーゼ (5-LO) 阻害剤;および5-リポキシゲナーゼ 活性化タンパク質 (FLAP) アンタゴニスト; (e) 5-リポキシゲナーゼ (5-LO) 二重阻害剤および血小板活性化因子 (PAF)アンタゴニスト; (f) テオフィリン およびアミノフィリン; (g) COX-1 阻害剤(NSAID); および一酸化窒素 NSAID; (h) COX-2 選択的 阻害剤 ロフェコキシブ; (i) 以下からなる群から選択される全身性副作用が少ない吸入糖質コルチコイド:プレドニソン、プレドニソロン、フルニソリド、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾンジプロピオナート、ブデソニド、フルチカゾンプロピオナート、および モメタゾンフロアート; (j) 血小板活性化因子 (PAF) アンタゴニスト; (k) 内在性炎症性物質に対して活性のモノクローナル抗体; (l) 以下からなる群から選択される抗-腫瘍壊死因子 (TNFα)薬:エタネルセプト、インフリキシマブ、およびD2E7; (m) VLA-4 アンタゴニストを含む接着分子阻害剤; (n) 以下からなる群から選択される免疫抑制剤:シクロスポリン、アザチオプリン、およびメトトレキサート;または(O)以下からなる群から選択される抗-痛風薬:コルヒチン。
【0129】
本発明の化合物は一般に下記反応工程図1Aおよび1Bに図示した方法に従い調製し得る。出発物質はこれら工程図に記載した手法、下記一般的方法に記載の手法により、または有機化学分野の当業者に周知の手法に従って調製し得る。反応工程図1Aおよび1Bに使用した変動記号は本明細書または請求項に記載のとおりである。
【0130】
アルキニルシクロアルカノール類の調製につき、反応工程図1Aに説明する。適切なシクロアルカノン(jが0〜5の場合)の溶液をTHFなどの溶媒中に調製する。溶媒中の適切なハロゲン化エチニルマグネシウム化合物の溶液を該シクロアルカノンに加える。添加後に、この溶液を約20℃で約20時間撹拌する。反応は出発原料が消尽するまでTLCによりモニターする。反応を水でクエンチし、砂とシリカの栓上で濾過し、EtOAcなどの溶媒で洗浄し、蒸発させて生成物を得る。一般に、2種の生成物が形成されるが、これはアルキン(mが上記定義のとおりであり、m1とm2の合計が0ないし約7である)がケトンに対してアキシャル/エクアトリアル付加したことにより形成される異性体である。この化合物はEtOAc/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、生成物とする。
【0131】
工程図 1A
アルキン前駆体の一般的合成経路
【化53】

2-アルキニルアデノシン類の調製につき、反応工程図1Bに説明する。火炎乾燥丸底容器に、5−(6−アミノ−2-ヨードプリン−9−イル)−3,4−ジヒドロキシテトラヒドロフラン−2-カルボン酸エチルアミド(NECA 2-ヨードアデノシン)とDMFなどの溶媒を窒素下で容れる。適切なアルキン(Rが−(CR1R2)m Z基の場合)をアセトニトリルに溶解し、TEA、5モル%Pd(PPh3)4およびCuIを加える。溶媒はすべて完全に脱気する。
【0132】
この溶液を室温で24時間撹拌し、HPLCにて完結するまでモニターする。もしこの時間内で反応が完結しない場合には、追加の触媒、CuIおよびTEAを加える。反応完結後に、溶媒を高減圧下で除去し、残渣を少量のDMFに採る。この生成物は分取シリカTLCにて単離する。生成物をRP-HPLCにより精製する。
【0133】
工程図 1B
【化54】

医薬上許容される塩の例は、生理的に許容されるアニオンを形成する酸により形成される有機酸付加塩であり、例えば、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタール酸塩、およびα−グリセロリン酸塩などである。適切な無機塩を形成することも可能であり、その例は、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、および炭酸塩などである。
【0134】
医薬上許容される塩は技術的に周知の標準的手法により、例えば、アミンなどの十分に塩基性の化合物と、生理的に許容されるアニオンを生じる好適な酸とを反応させることにより入手し得る。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も調製し得る。
【0135】
式Iの化合物は医薬組成物として製剤化し、ヒト患者などの哺乳類宿主に、選択した投与経路に適合する様々な形態で、すなわち、経口または非経口的に、静脈内、筋肉内、局所または皮下経路で投与し得る。
【0136】
従って、本発明の化合物は全身的に、例えば、経口的に、不活性な希釈剤または吸収可能な可食担体などの医薬上許容される媒体と組合わせて投与し得る。該化合物は硬もしくは軟殻ゼラチンカプセルに封入するか、錠剤に圧縮するか、または患者の食事に際し食源に混入してもよい。経口治療投与のためには、活性化合物を1種以上の賦形剤と組合せ、摂食可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル剤、エリキシル、懸濁液、シロップ、カシェ剤などの形態で使用し得る。かかる組成物および製剤は少なくとも0.1%の活性化合物を含有すべきである。該組成物および製剤のパーセントは、勿論、変更可能であるが、便利さの点で、一定の単位用量形態重量の約2%ないし約60%とし得る。かかる治療的に有用な組成物中の活性化合物の量は、有効な投与レベルが得られるようにする。
【0137】
錠剤、トローチ、ピル、カプセルなどは以下のものを含有してもよい:結合剤、例えば、トラガカントガム、アラビアゴム、トウモロコシデンプンまたはゼラチン;賦形剤、例えば、リン酸二カルシウム;崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アルギン酸など;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;および甘味剤、例えば、スクロース、フルクトース、ラクトースまたはアスパルテーム、または着香料、例えば、ペパーミント、冬緑油、またはチェリー香料などを添加し得る。単位用量形態がカプセルである場合、上記のタイプの材料に加えて、液状担体、例えば、植物油またはポリエチレングリコールなどを含有し得る。種々の他の材料がコーティング剤として、または固体の単位用量形態の物理的形状を変更するために存在し得る。例えば、錠剤、ピル、またはカプセル剤はゼラチン、ロウ、セラックまたは糖などにより被覆し得る。シロップまたはエリキシルは活性化合物と、甘味剤としてのスクロースまたはフルクトース、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素およびチェリーまたはオレンジ香料などの着香料を含有し得る。勿論、単位用量形態の調製に使用する材料は医薬上許容されるものであり、かつ使用した量で実質的に無毒であるべきである。さらに、該活性化合物は持続性放出製剤およびディバイスに取り込ませてもよい。
【0138】
活性化合物はまた静脈内または腹腔内に注入または注射により投与することもできる。該活性化合物またはその塩の溶液は水溶液として、必要により非毒性界面活性剤と混合して調製することができる。分散液もまたグリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、およびその混合物中で、また油中で調製し得る。通常の保存および使用条件下に、これらの製剤は微生物の増殖を防ぐために保存剤を含有する。
【0139】
注射または注入に好適な医薬投与形態は、有効成分を含有する無菌の水溶液もしくは分散液または無菌の粉末剤であり得、これらは用時調製に適した無菌の注射または注入可能な溶液または分散液、選択肢としてリポソームに封入したものである。すべての事例において、最終の投与形態は、調製と保存条件下で無菌、液状かつ安定でなければならない。液体担体または媒体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリルエステル、およびその好適な混合物からなる溶媒または液体分散媒体であり得る。適当な流動度は、例えば、リポソームの形成により、分散液の場合には必要な粒径を維持することにより、または界面活性剤の使用により維持することができる。微生物作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどにより実施し得る。多くの場合に、等張剤、例えば、糖、緩衝剤または塩化ナトリウムなどを含ませることが好ましい。注射用組成物の長時間吸収は吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中で使用することにより達成し得る。
【0140】
無菌の注射用溶液は、必要量の活性化合物を適切な溶媒中に、必要に応じて、上に列挙した他の成分と共に取り込み、次いで無菌濾過することにより調製する。無菌の注射用溶液調製のための無菌粉末の場合、好適な調製法は真空乾燥と凍結乾燥技法であり、これにより先に無菌濾過した溶液中に存在す活性成分と他の必要な成分とからなる粉末を生じる。
【0141】
局所投与用には、本発明の化合物が液状である場合、純粋な形状で使用しうる。しかし、一般には、皮膚治療上許容される担体と組合わせた組成物または製剤として、皮膚に投与することが望ましいが、それらは固体であっても、液体であっても、あるいは皮膚用パッチであってもよい。
【0142】
有用な固体担体は微粉末化した固体、例えば、タルク、クレー、微結晶セルロース、シリカ、アルミナなどである。有用な液体担体は水、アルコールまたはグリコール、または水−アルコール/グリコール混合物などであるが、これらに本発明の化合物を有効なレベルで溶解または分散し得、選択肢として非毒性界面活性剤を補助に使用する。芳香剤およびさらなる抗微生物剤などの佐剤を加えて、所定用途の性質を最適化することができる。得られる液体組成物は吸収性パッドから供給するか、包帯と他の手当て用品に染み込ませて使用するか、またはポンプ式もしくはエアロゾル式噴霧器により罹患領域に噴霧することができる。
【0143】
粘稠化剤、例えば、合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩とエステル、脂肪アルコール、改質セルロースまたは改質鉱物材料などを液状担体と共に使用し、塗布可能なペースト、ゲル、軟膏、石鹸などを形成し、使用者の皮膚に直接適用する。
【0144】
有用な皮膚科用組成物の例は、式Iの化合物を皮膚に送達するために使用し得るものであり、以下の米国特許に記載されている:Jacquet et al., 米国特許第4,608,392号;Geria, 米国特許第4,992,478号;Smith et al., 米国特許第4,559,157号;およびWortzman, 米国特許第4,820,508号。
【0145】
式Iの化合物の有用な投与量はそのインビトロ活性と、動物モデルでのインビボ活性を比較することにより決定し得る。マウスおよびその他の動物における有効投与量のヒトについての外挿法は技術上既知である;例えば、米国特許第4,938,949号参照。IV型PDE阻害剤の有用な投与量は技術上既知である。例えば、米国特許第5,877,180号、第12欄参照。
【0146】
一般に、ローションなどの液体組成物中の式(I)の化合物の濃度は、約0.1〜25重量%、好ましくは、約0.5〜10重量%である。ゲル剤または粉末剤など準固体または固体組成物中の濃度は約0.1〜5重量%、好ましくは、約0.5〜2.5重量%である。
【0147】
治療用に必要な化合物の量、またはその活性塩もしくは誘導体の量は、選択した特定の塩によるだけでなく、投与経路、処置すべき症状の性質、および患者の年齢と症状により変わり、最終的には主治医または臨床医の裁量による。
【0148】
しかし、一般に、適切な用量は1日当たり、体重につき約0.5ないし100μg/kgの範囲、例えば、約10ないし約75μg/kgの範囲であり、さらには1日当たりレシピエントの体重1kgにつき、3ないし約50μg、好ましくは、6〜90μg/kg/日の範囲、最も好ましくは、15〜60μg/kg/日の範囲である。
【0149】
該化合物は便益上単位用量形態で投与する;例えば、単位用量形態当たり活性成分を5〜1000μg、便益的には10〜750μg、最も便益的には50〜500μg含有する。
【0150】
理想的には、活性成分は、活性化合物のピーク血漿濃度が約0.1ないし約10 nM、好ましくは、約0.2ないし約10 nM、最も好ましくは、約0.5ないし約5 nMとなるように投与すべきである。このことは活性成分の0.05〜5%溶液、選択肢として塩溶液として静脈内注射するか、または活性成分約1〜100μgを含有するボーラス剤として経口投与することにより達成し得る。所望の血中レベルは、約0.01〜5.0μg/kg/hrとする連続的注入によるか、または活性成分約0.4〜15μg/kgを含有する断続的注入により維持し得る。
【0151】
所望の用量は、単回投与量で、または適切な間隔、例えば、1日当たり2回、3回、4回またはそれ以上の準用量で投与する分割投与量として便益的に提供し得る。準用量それ自体はさらに分割して、例えば、個々にゆるやかな間隔とした多くの投与回数とすることができる;例えば、空気吸入器からの多回数吸入、または目に対する複数滴の投与による。例えば、炎症を引き起こす傷害の後に、長期間、本発明組成物を静脈内投与することが望ましい。
【0152】
A2Aアデノシン受容体・アゴニスト(またはアンタゴニスト)として作用する本発明の所定化合物の能力は、技術上周知の薬理学モデルを用いるか、または下記の試験法を用いて決定し得る。
【0153】
本発明の化合物およびそれを含む組成物は薬理学的ストレッサーとして投与され、心筋灌流の側面を測定するいくつかの非侵襲的診断手順のいずれか一つとともに使用される。例えば、静脈内アデノシンは心筋 虚血の重篤度を評価するためのタリウム-201 心筋灌流像法とともに使用できる。この場合、いくつかの異なる放射性医薬品のいずれか一つによりタリウム-201を置換できる(例えば、テクネチウム-99m-標識化放射性医薬品 (即ち、Tc-99m-セスタミビ、Tc-99m-テボロキシム)、ヨウ素-123-標識化放射性医薬品、例えば、 I-123-IPPA またはBMIPP、ルビジウム-82、窒素-13等)。同様に、放射性核種心室造影と組み合わせて本発明の化合物の一つを薬理学的ストレッサーとして投与して、心筋収縮機能不全の重篤度を評価することが出来る。この場合、放射性核種心室造影研究は、右心室および/または左心室の初回通過またはゲート平衡研究であり得る。同様に、心エコー検査と組み合わせて、式(I)の化合物を薬理学的ストレッサーとして投与して、局所壁運動異常の存在を評価することが出来る。同様に、活性化合物を冠状動脈血流の侵襲的測定、例えば、心臓カテーテルによる測定と組み合わせて薬理学的ストレッサーとして投与して、狭窄冠状動脈の機能的意義を評価することが出来る。
【0154】
本方法は、典型的には、1以上の式(I)の化合物の、経静脈内投与による、冠状動脈拡張を提供するのに有効な用量(およそ 0.25-500、好ましくは 1-250 mcg/kg/分)での投与を含む。しかし、侵襲的設定におけるその使用は、一回投与量0.5-50 mcgでの該薬物の心臓内投与を含みうる。
【0155】
好ましい方法は、運動の代わりとしての、ヒトにおける冠状動脈疾患の存在の検出および/または重篤度の評価のための心筋灌流像法と組み合わせた式(I)の化合物の使用を含み、ここで心筋灌流像法は以下のいくつかの技術のいずれかによって行われる:例えば、平面シンチグラフィーを用いる放射性医薬品心筋灌流像法または単光子放出コンピュータ断層撮影法 (SPECT)、陽電子放射断層撮影法 (PET)、核磁気共鳴 (NMR) 像法、灌流コントラスト心エコー図法、デジタル・サブトラクション血管撮影法 (DSA)、または超高速X 線 CT (CINE CT)。
【0156】
ヒトにおける虚血性心室機能不全の存在の検出および/または重篤度の評価のための、像法と組み合わせた、運動の代わりとしての式(I)の化合物の使用を含む方法も提供され、ここで、虚血性心室機能不全は以下のいくつかの試験技術のいずれかによって測定される::例えば、心エコー検査、コントラスト心室造影、または放射性核種心室造影。心筋機能不全は、冠状動脈疾患、心室機能不全、非疾患冠状動脈と狭窄冠状動脈を流れる血流の相違等であり得る。
また、ヒトにおける冠状動脈の血管拡張能 (予備能) を評価するための冠状動脈血流速度を測定する手段と組み合わせた、冠状動脈充血性物質としての式(I)の化合物の使用を含む方法も提供され、ここで、冠状動脈血流速度は以下のいくつかの技術のいずれかによって測定される:例えば、ドップラー血流カテーテルまたはデジタル・サブトラクション血管撮影法。
【0157】
以下の詳細な実施例を参照して本発明をさらに説明するが、これらは本発明を説明するためのものであって、制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0158】
[好適な態様の説明]
融点はすべてトマス・フーバー(Thomas Hoover)キャピラリー融点測定装置により測定し、未補正である。核磁気共鳴スペクトルはプロトンについて(1H NMR)300 MHz GE分光光度計にて記録した。化学シフト値はテトラメチルシランを基準としてppm(parts per million)で表わす。データの記録は、s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、およびm=マルチプレットとする。質量分析はフィンニガン(Finnigan) LcQクラッシックにて測定した。高分解能質量分析(HRMS)データはネブラスカ質量分析センターが提供した。分析用HPLCはウオーターズ・シンメトリーC8(2.1×150mm)カラムによるウオーターズ2690セパレーション・モジュール上、室温にて実施した。化合物は0.5%酢酸含有70:30アセトニトリル:水により200μl/分で溶出し、ウオーターズ486チューナブル・デテクターにより214nmでUV検出した。分取HPLCは島津ディスカバリーHPLCでShim-pack VP-ODS C18(20x100mm)カラムにより室温で操作実施した。化合物は20〜80%水(0.1%TFA)/メタノール勾配により15分にわたり30ml/分で溶出し、SPD10A VPチューナブル・デテクターにより214 nmでUV検出した。ここで提示した最終化合物はすべてHPLCにより98%を超える純度であると判定した。フラッシュ・クロマトグラフィーはシリシル(Silicyle)60Aゲル(230−400メッシュ)上、またはRTサイエンティフィック、マンチェスターNHの再使用可能クロマトグラフィーカラムとシステムを使用して実施した。分析用薄層クロマトグラフィーはメルク・キーゼルゲル60F254アルミナシート上で実施した。分取薄層クロマトグラフィーはシリカゲルによる1000ミクロンのアナルテック・ユニプレート(Analtech Uniplate)上で実施した。反応はすべて特に断りのない限り、火炎乾燥ガラス器具中、窒素気流下に行った。
【0159】
一般的方法 1:アルキニルシクロヘキサノールの調製
【化55】

50 mLの THF中の10 mmolの 適当な シクロヘキサノンの溶液に、THF中の60 mL (30 mmol)の0.5 M エチニルマグネシウムブロミドを添加した。溶液を20℃で20時間撹拌して放置し、その時点で TLC によりすべての出発物質が消費されたことが示された。反応を5 mLの水でクエンチし、砂とシリカの栓でろ過し、EtOAcで洗浄し、蒸発させて黄色油を得、これは通常、TLC w/ 20% EtOAc/ヘキサン上で2つのスポットを含んでおり、これらをバニリンで可視化した。これら2つの生成物は通常アルキンのケトンへのアキシャル/エクアトリアル付加によって形成される異なる異性体であった。化合物を10% EtOAc/ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、透明油または白色固体を50-80% 収率にて得た。
【0160】
一般的方法 2:プロパルギルピペラジン(piperadines)およびピペラジン(piperazines)の調製
【化56】

【0161】
20mL アセトニトリル中の10.0 mmolの適当なピペラジン(piperazine)またはピペラジン(piperadine) の溶液に、12.0 mmolの プロパルギル ブロミド (80% トルエン中に安定化)および50.0 mmolの 無水炭酸カリウムを添加した。反応混合物をろ過し、蒸発させて乾燥させた。残渣を50 mLの ジクロロメタン/水中で処理し、有機層を除いた。水層をさらなる 3 x 25 mL ジクロロメタンで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、ろ過し、濃縮して粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。
【0162】
一般的方法 3:修飾ピペラジン(piperadines)およびピペラジン(piperazines) の調製
【化57】

【0163】
100 mgの適当な Boc-保護ピペラジン(piperazine)またはピペラジン(piperadine)、それぞれJR3275/JR3255 に、2-4 mLの 無水 TFAを添加した。溶液を6 時間撹拌して放置し、その後、TFA を減圧下で除去し、黄色油を得た。この油を10 mLの ジクロロメタン中で処理し、これに10-倍過剰の TEAおよび3 当量の適当な求電子試薬を添加した。黄色溶液をr.t.で12 時間撹拌して放置し、その後、溶媒を除去し、生成物を酢酸エチル/ヘキサンの5%-30% グラジエントを用いて1.1x30cm14 g RTSI カラムにより精製した。
【0164】
一般的方法 4:2-AA(2-アルキニルアデノシン) の調製
【化58】

【0165】
窒素下で炎で乾燥させた 25 mL 丸底に2-ヨード アデノシン 類似体 (40 mg)を充填し、2 mLの DMFに溶解した。適当な アルキン (およそ 0.1mL)を次いで添加し、そして4mLの アセトニトリルおよび0.1mLの TEAを添加した。3つのすべての溶媒は少なくとも 24 時間窒素により脱気した。この溶液に5 mole % Pd(PPh3)4 および6 mole % ヨウ化銅を添加した。帯黄色溶液を24 時間 室温で、あるいはHPLCにより完了するまで撹拌して放置した。反応がこの時点で完了していない場合、さらなる触媒、CuI、およびTEA を添加した。反応が完了した後、溶媒を高減圧下で除去し、赤/黒残渣を少量の DMF中で処理した。この溶液を分取シリカ TLC プレート (Analtech 1000 ミクロン、20cm x 20cm)に添加し、まず120 mLの 40% ヘキサン/CH2Cl2で溶出し、次いで、40 mLの MeOHの添加後に溶出した。プレートの中央のUV 活性バンド (通常黄色)を回収し、ゆっくりと4 x 25 mL 20% MeOH/CH2Cl2で洗浄し、濃縮した。この生成物を次いでRP-HPLCにより精製し、無水 エチルエーテルによる粉砕後、固体を得た。
【0166】
工程図 1:5’エステル 類似体の調製
【化59】

アルコール中の化合物 1.1の冷却溶液に、約 5 当量の氷冷 塩化チオニルを添加する。この溶液を撹拌して放置し、徐々に約 12 時間で室温とする。溶媒を次いで減圧下で除去し、1.2を白色固体として得る。この固体を次いで一般的方法 4にしたがって処理して 化合物 1.3を得る。
【0167】
工程図 2:5' アミド 類似体の調製
【化60】

メタノール中の化合物 1.1の冷却溶液に、約 5 当量の氷冷塩化チオニルを添加する。この溶液を撹拌して放置し、約 12 時間で徐々にr.tとする。溶媒を次いで減圧下で除去して化合物 1.2を得、これを適当な アミン (NHRaRb)に0℃で溶解し、数時間 あるいは完了するまで撹拌して放置する。溶媒を次いで減圧下で除去し、生成物を結晶化またはメタノールとジクロロメタンとのグラジエントを用いるクロマトグラフィーにより精製し、2.2を白色固体として得る。この固体を一般的方法 4にしたがって処理して、化合物 2.3を得る。
【0168】
工程図 3: 4' トリアゾールの調製
【化61】

ヒドラジン水和物 (1 当量)を乾燥DMF中の1.1 (1 当量)、HBTU (1 当量)および DIEA (2.5 当量)の撹拌溶液に添加し、溶液を約 24 時間撹拌して放置する。抽出処理後、3.2が単離できる。3.2を一般的方法 4にしたがって処理すると3.3が得られ、これを次いでEtOHに溶解し、エチルアセトイミデートヒドロクロリドおよびTEAで処理し、約 16時間還流すると、クロマトグラフィーおよび50 % ギ酸を用いる6時間の脱保護の後に3.4が得られる。
【0169】
工程図 4: 4’-1,2,4-オキサジアゾールの調製
【化62】

塩化ピバロイルをDCMおよびTEA中の1.1の冷却溶液に添加し、数時間撹拌して放置する。アンモニアガスを溶液に吹き込み、単離および精製後に4.2を得る。4.2 を一般的方法 4にしたがって処理すると4.3が得られ、これを次いで無水アセトニトリル中で処理し、TEA およびDMAPを添加する。氷冷溶液に注意深くPOCl3を添加する。約 30 分間の撹拌後、DMFを溶液に添加し、混合物を95℃に約 24時間加熱する。精製により4.4を得、これにEtOHに溶解した後、炭酸カリウムおよびヒドロキシルアミンヒドロクロリドを添加する。この溶液を約 24時間還流して 4.5を精製後に得る。4.5の適当な カルボン酸/無水物対による処理により、還流および50% ギ酸を用いる脱保護の後に4.6を得る。
【0170】
工程図 5:4’-1,3,4 オキサジアゾールの調製
【化63】

塩化ピバロイルをTHFおよびDIEA中の1.1の溶液に 0℃で添加する。数時間の撹拌後、適当なヒドラジンを添加し、混合物を約 3日間撹拌して放置して5.2を得る。この生成物を一般的方法 4にしたがって処理すると5.3が得られ、これをDMFに溶解し、POCl3で0℃で数時間処理すると、精製および50% ギ酸による脱保護の後、5.4が得られる。
【0171】
工程図 6: 4’-1,3 オキサゾールの調製
【化64】

塩化ピバロイルを、DCMおよびDIEA中の1.1の溶液に0℃で添加する。数時間の撹拌後、適当な 1,2-ヒドロキシル アミンを添加し、混合物を約 24時間撹拌して放置し、6.2を得る。この生成物を一般的方法 4にしたがって処理すると6.3が得られる。この生成物をDCMに溶解し、PDC、4オングストローム分子ふるい、およびAcOHで処理してアルコールをケトンに変換する。この中間体を次いでPOCl3 による処理および50 % ギ酸中での6時間の加熱の後のトルエン中での還流により6.4に変換する。
【0172】
工程図 7: 4'-1,3,4 チアジアゾールの調製
【化65】

塩化ピバロイルをTHFおよびDIEA中の1.1の溶液に 0℃で添加する。数時間の撹拌後、適当なヒドラジンを添加し、混合物をさらに数時間撹拌して放置して7.2を得る。この生成物を一般的方法 4にしたがって処理すると7.3が得られ、これをアセトニトリルに溶解し、Lawessons試薬で50℃で約 1日処理すると精製および50 % ギ酸での6 時間の脱保護の後7.4が得られる。
【0173】
工程図 8: 4'-テトラゾールの調製
【化66】

塩化ピバロイルをDCMおよびTEA中の1.1の冷却溶液に添加し、撹拌して数時間放置する。アンモニアガスを溶液に通気し、単離および精製後4.2を得る。4.2 を次いで無水 アセトニトリル中で処理し、TEAおよびDMAPを添加する。氷冷溶液に注意深くPOCl3を添加する。約 30 分間の撹拌後、DMF を溶液に添加し、混合物を95℃に約 24時間加熱する。精製により4.4を得、これにトルエン、アジドトリメチルシラン、およびジブチルスズオキシドを添加し、混合物を60℃に約 15 時間加熱し、8.5を得る。8.5の適当な アルキルハライドおよび炭酸カリウムによる処理により、還流および50 % ギ酸による6時間の脱保護の後8.6 が得られる。
【0174】
調製 1: [4-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシメチル)-シクロヘキシル]-メタノール (83)
【化67】

【0175】
DMF (40 mL)中の79 (4.0 g、27.8 mmol)を含む100 mL フラスコに、TBDMSCl (3.56 g、23.6 mmol)およびイミダゾール (3.79 g、55.6 mmol) を添加した。反応を25 ℃でf16時間撹拌して放置し、その後 LiBr飽和水溶液(50 mL) を添加し、反応物をエーテル(2 x 50 mL)で抽出した。エーテル層をプールし、LiBr (2 x 35 mL)で再び抽出した。エーテル層は透明となった。エーテル層を減圧下で濃縮し、生成物を1:2 エーテル/石油 エーテルで溶出するシリカゲルカラムでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、83 (3.80 g、62%)を均質な油として得た。
1H NMR (CDCl3) δ 3.46 (d、J = 6.2 Hz、2 H)、3.39 (d、J = 6.2 Hz、2 H)、1.95 -1.72 (m、4 H)、1.65 (m1 H)、1.40 (m1 H)、1.03 - 0.89 (m、4 H)、0.88 (s、9 H)、0.04 (s、6 H); 13C NMR (CDCl3) δ 69.2、69.1、41.2、41.1、29.5、26.5、18.9、-4.8;
APCI m/z (rel 強度) 259 (MH+、100)
【0176】
調製 2: トルエン-4-スルホン酸 4-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシメチル)-シクロヘキシルメチルエステル (84)
【化68】

【0177】
CHCl3 (30 mL)中の83 (3.4 g、13.2 mmol)を含む100 mL フラスコに、トシルクロリド (3.26 g、17.1 mmol)およびピリジン (3.2 mL、39.6 mmol) を添加した。反応を25 ℃で14時間撹拌して放置し、その後、反応を減圧下で濃縮し、湿った白色固体を得た。この固体にエーテル (50 mL)を添加し、固体をろ過し、次いでさらにエーテル (2 x 50 mL) で洗浄した。エーテル層をプールし、減圧下で濃縮し、透明油を得、これを1:4 エーテル/石油 エーテルで溶出するシリカゲルカラムでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、84 (4.5 g、83 %)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3) δ 7.78 (d、J = 7.7、2 H)、7.33 (d、J = 7.7 Hz、2 H)、3,81 (d、J = 6.2 Hz、2H)、3.37 (d、J = 6.2、2 H)、2.44 (s、3 H)、1.95 1.72 (m、4 H)、1.65 (m1 H)、1.40 (m、1H)、1.03 - 0.89 (m、4 H)、0.88 (s、9 H)、0.04 (s、6 H);
13C NMR (CDCl3) δ 145.1、133.7、130.3、128.4、75.8、68.9、40.7、38.0、29.1、26.5、22.1、18.9、-4.9;
APCI m/z (rel 強度) 413 (MH+、100)
【0178】
調製 3: (4-プロプ-2-イニル-シクロヘキシル)-メタノール (86)
【化69】

【0179】
ガス注入チューブおよびドライアイス冷却器を備えた3首 250 mL フラスコを-78 ℃に冷却し、液体アンモニア (40 mL)を充填した。反応混合物にリチウムワイヤー (600 mg、86.4 mmol) を添加して濃青色溶液を得た。混合物を1時間撹拌して放置した。活性炭乾燥チューブを通したアセチレンを、リチウムが反応して溶液が無色とまるまでアンモニアに添加し、その時点でアセチレン流を止め、アセチレン注入チューブおよび冷却器を除き、フラスコに温度計を装着した。DMSO (20 mL) を添加し、アンモニアを温水浴で混合物の温度が30 ℃となるまで蒸発させた。溶液をこの温度で、溶液の泡立ちが止まるまで2 時間撹拌した。混合物を5 ℃に冷却し、DMSO (10 mL)中の化合物 84 (11.25 g、27.3 mmol)を添加した。温度を5 ℃に維持した。混合物を5 ℃で0.5 時間撹拌して放置した。次いで溶液を徐々に室温まで昇温させさらに 18 時間撹拌した。褐色/黒色反応混合物をゆっくりと 氷 (300 g) の上に注ぎ、エーテル (4 x 100 mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して黄色油を得た。油を次いでTHF (200 mL)に溶解し、TBAF 水和物 (11.20 g、35.5mmol)を添加したところ褐色系の色に変化した。溶液を24 時間N2 雰囲気下で撹拌して放置した。撹拌後、反応を水 (200 mL)でクエンチし、エーテル (3 x 100 mL) で抽出した。エーテル抽出物を合し、減圧下で濃縮した。粗生成物を1:1 エーテル/石油 エーテルで溶出するシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーにより精製し、86 (3.91 g、93%)を黄色油として得た。
1H NMR (CDCl3) δ 3.45 (d、J = 6.2、2 H)、2.10 (d、J = 6.2、2 H)、1.9 (s、1 H)、1.94 - 1.69 (m、4 H)、1.52- 1.34 (m、2H)、1.16 - 0.83 (m、4 H);
13C NMR (CDCl3) δ 83.8、69.5、69.0、40.8、37.7、32.3、29.7、26.5
【0180】
調製 4: (4-プロプ-2-イニルシクロヘキシル)メチルアセテート (87)
【化70】

【0181】
6 mL DMF中の960 mg (6.31 mmol)の86の溶液に0.62 mL (7.57 mmol) ピリジンおよび0.78 mL (8.27mmol) 無水酢酸を添加した。反応を一晩 室温で撹拌して放置した。16 時間後、出発物質はまだ残っていた。反応混合物を75 ℃で 3 時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、黄色油を得、これを 1:3 エーテル/石油 エーテルで溶出するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、1.12 g (91%)の87を油として得た。
1H NMR (CDCl3) δ3.87 (d、J = 6.2 Hz、2 H)、206 (d、J = 4.3 Hz、2 H)、203 (s、3 H)、1.98 - 1.93 (m、1H)、1.92- 1.83 (m、2H)、1.83 - 1.74 (m、2H)、1.63 - 1.36 (m、2H)、1.12-0.90 (m、4 H);
13C NMR (CDCl3) δ 171.7、83.7、69.9、69.6、37.4、37.3、32.1、29.7、26.5、21.4;
APCI m/z (rel 強度) 195 (M+、30)、153 (M+、70)、135 (M+、100)
【0182】
調製 5: 4-プロプ-2-イニル-シクロヘキサンカルボン酸 (88)
【化71】

【0183】
1.5 M H2SO4 (2.6 mL、150 mmol)中のクロム トリオキシド (600 mg、6.0 mmol)の溶液を5 ℃に冷却し、アセトン (15 mL)中の86の溶液(280 mg、1.84 mmol) に添加した。混合物を室温まで昇温させ、一晩撹拌して放置した。イソプロパノール (4 mL) を緑色/黒色溶液に添加したところ、1時間後には淡青色に変わった。水 (15 mL)を添加した後、溶液をCHCl3 (6 x 25 mL)で抽出した。有機層をプールし、減圧下で濃縮して白色固体を得た。固体をエーテル (50 mL)に溶解し、1 M NaOH (2 x 30 mL)で抽出した。塩基による抽出物をプールし、10% HClで酸性にし、エーテル (3 x 30mL)で再び抽出した。エーテル層を合し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して白色固体を得た。生成物をアセトン/水から再結晶させ、 88 (222 mg、73%)を白色針状物として得た: mp 84-85 ℃;
1H NMR (CDCl3) δ 2.30 -2.23 (m、1H)、2.17 - 2.11 (m、2H)、2.07-2.03 (m、2H)、1.97 - 1.91 (m、3H)、1.51-1.39 (m、3 H)、1.13 -1.01 (m、2H);
13C NMR (CDCl3) δ 182.5、83.8、69.6、40.7、37.7、32.3、29.6、26.5;
APCI m/z (rel 強度) 165 (M-、100)
【0184】
調製 6: メチル 4-プロプ-2-イニルシクロヘキサンカルボキシラート (89)
【化72】

【0185】
7:3 CH2Cl2:MeOH (10 mL)中の88 (240 mg、1.45mmol) の溶液に0.2 ml アリコットにおけるTMS ジアゾメタン (ヘキサン中20 M) (0.9 mL、1.8 mmol)を色が黄色に維持されるまで添加した。反応をさらに0.25 時間 室温で撹拌して放置した。撹拌後、氷酢酸を溶液が無色となるまで滴下した。反応を減圧下で濃縮して油とし、これをエーテル:石油 エーテル (1:9)を用いるシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して89 (210 mg、80%)を透明油として得た。
1H NMR (CDCl3) δ 3.60 (s、3H)、2.25 - 2.13 (m、1H)、208 - 1.94 (m、3 H)、1.95 - 1.90 (m、2H)、1.49 - 1.31 (m、3 H)、1.10 - 0.93 (m、2H);
13C NMR (CDCl3) δ 176.7、83.3、69.8、51.9、43.4、36.7、31.9、29.2、26.3;
APCI m/z (rel 強度) 181 (MH+、100)
【0186】
調製 7: トランス[4 -(1-プロパルギル)シクロヘキシルメチル]メチルカーボネート (90)
【化73】

【0187】
収率: 345 mg、81%。
1H NMR (CDCl3) δ 0.98-1.07、1.40-1.52、1.57-1.70、1.78-1.93 (4 x m、10H、シクロヘキシル)、1.96 (t、1H、アセチレン)、2.10 (dd、2H、-C6H10CH2CCH)、3.78 (s、3H、-OCH3)、3.96 (d、-C6H10CH2O-)
【0188】
調製 8: トランス[4 -(1-プロパルギル)シクロヘキシルメチル]イソ-ブチルカーボネート (91)
【化74】

【0189】
収率: 433 mg、83%。
1H NMR (CDCl3) δ 0.95 (d、4H、-OCH2CH(CH3)2)、0.98-1.09、1.40-1.51、1.57-1.70、1.78-1.93 (4 x m、10H、シクロヘキシル)、1.94-2.04 (m、1H、-OCH2CH(CH3)2)、1.96 (t、1H、アセチレン)、2.10 (dd、2H、-C6H10CH2CCH)、3.91、3.95 (2 x d、4H、-OCH2CH(CH3)2、-C6H10CH2O-)
【0190】
調製 9: トランス[4 -(1-プロパルギル)シクロヘキシルメチル] ベンジルカーボネート (92)
【化75】

【0191】
収率: 340 mg、69%。
1H NMR (CDCl3) δ 0.97-1.08、1.40 -1.49、1.55-1.69、1.77-1.93 (4 x m、10H、シクロヘキシル)、1.96 (t、1H、アセチレン)、2.10 (dd、2H、-C6H10CH2CCH)、3.98 (d、-C6H10CH2O-)、5.15 (s、2H、-OCH2Ph)、7.33-7.40 (m、5H、Ar)
【0192】
調製 10: 4-(トルエン-4-スルフォニルオキシメチル)-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル (JR3215)
【化76】

【0193】
クロロホルム、50 mL中のN-Boc-4-ピペリジンメタノール、5.0 g (23.2 mmol)の溶液を調製した。5.6 mLの ピリジン (69.6 mmol)中のトルエン スルフォニル クロリド、5.75 g (30.2 mmol)を添加した。溶液を窒素下で撹拌し、24 時間撹拌して放置した。標準的処理およびクロマトグラフィー精製により標題化合物を得た。収率 6.0g
【0194】
調製 11: (R)-1-エチニル-(R)-3-メチル-シクロヘキサノール (JR3217A)、(S)-1-エチニル-(R)-3-メチル-シクロヘキサノール (JR3217B)
【化77】

【0195】
50 mLの THF中の1.0 g (8.9 mmol) (R) (+) 3-メチル-シクロヘキサノンの溶液にTHF中の54 mL (26.7 mmol)の 0.5 M エチニルマグネシウムブロミドを添加した。溶液を20 ℃で20 時間撹拌して放置した。TLCによる分析により、出発物質が消費されたことが示された。反応を5 mLの 水でクエンチし、砂とシリカの栓でろ過し、EtOAcで洗浄し、蒸発させて 1.15 g の2つのスポット (r.f.:0.33 (マイナー、JR3217A)および0.25 (メジャー、JR3217B)、20% EtOAc/ヘキサン)を含む黄色油を得、これをバニリンで可視化した。化合物を10% EtOAc/ヘキサンを用いるフラッシュクロマトグラフィー(225 mL シリカ)により精製し、JR3217AおよびJR3217Bを得た。
【0196】
調製 12: 1-プロプ-2-イニル-ピペリジン-2-カルボン酸メチルエステル (JR3249)
【化78】

【0197】
標題化合物を4.0g (22.3 mmol)のメチルピペコリナート ヒドロクロリドから出発して一般的方法 2にしたがって調製した。
【0198】
調製 13: 1-プロプ-2-イニル-ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル (JR3245)
【化79】

【0199】
100 mL ジクロロメタン中のメチル イソニペコテート 3.5g (24.4 mmol、3.30 mL)の溶液に、TEA (1.5 eq、36.6 mmol、5.1 mL)、プロパルギル ブロミド (3.0eq、73.2 mmol、6.5 ml) を室温で36 時間かけて添加した。反応を35 mL 水でクエンチし、透明溶液を得た。溶液をジクロロメタン 2x25 mLで抽出し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を蒸発させて黄色油を得た。r.f. (40% EtOAc/ヘキサン) 0.26はバニリンによりかすかに白色に染色し、出発物質 r.f. 0.05はバニリンにより黄色に染色する。生成物は抽出後純粋であるようであった。
【0200】
調製 14: 1-プロプ-2-イニル-ピペリジン-4-カルボン酸エチルエステル (JR3271)
【化80】

【0201】
標題化合物を2.0g (12.7 mmol)のエチル イソニペコテートから出発して一般的方法 2にしたがって調製した。
【0202】
調製 15: 4-プロプ-2-イニル-ピペラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル (JR3275)
【化81】

【0203】
60 mL アセトニトリル中の10.0 g (54.8 mmol)のtert-ブチル-1-ピペラジンカルボキシラートの溶液に5.20 mL (60.4 mmol) プロパルギル ブロミドおよび37.9 g (274 mmol) 無水炭酸カリウムを添加した。さらにプロパルギル ブロミド1.5mLを室温で36 時間撹拌後に添加した。残渣を蒸発させて乾燥させた。ジクロロメタン50 mL、および水50 mLを添加した。反応混合物をCH2Cl2、4 x 40 mLで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させて褐色油を得た。油をジクロロメタンに溶解し、ヘキサン/酢酸エチル グラジエントを用いたRT Scientific system により精製し、5.5 g (46%)の黄色油を得、これは最終的には放置させて結晶化した。
【0204】
調製 16: 4-シアノメチル-ピペラジン-1-カルボン酸エチルエステル (JR3287)
【化82】

【0205】
25 mLの CH3CN中の3g (19.0 mmol)のエチル N-ピペラジンカルボキシラートの溶液に1.57g (1.32 mL 20.1mmol)の2-クロロアセトニトリル および15.6g (95mmol) K2CO311/2H2Oを添加した。懸濁液を室温で16 時間撹拌した。反応を TLCを用いて分析した(35% 酢酸エチル/ヘキサン、生成物 r.f. 0.38 に対して出発物質. r.f. 0.02)。 分析により反応が完了したことが示された。黄金色溶液を蒸発させて乾燥させた。残渣をCH2Cl2/H2Oで抽出し、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。
【0206】
調製 17: 1-シクロヘキシル-4-プロプ-2-イニル-ピペラジン (JR4019)
【化83】

【0207】
標題化合物を3g (17.9 mmol)の1-シクロヘキシルピペラジンから出発して一般的方法 2にしたがって調製した。
【0208】
調製 18: 1-プロプ-2-イニル-ピペラジン (JR4029)
【化84】

【0209】
窒素下で炎で乾燥させた 25 mL 丸底 フラスコに、2.1 gの4-プロプ-2-イニル-ピペラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステルを添加した。この固体に5 mLの 98% TFAを1 mL部分ずつ添加した。溶液はワインレッドとなり、発泡し、発煙した。さらなる部分のTFAを添加したところこの活性は収まった。第三部分のTFAを添加した後、わずかな発泡のみが起こった。溶液を窒素下で 室温でさらに1時間撹拌して放置し、減圧下で蒸発させて、生成物を濃赤色シロップとして得た。推定定量的収率1.16 gであった。残渣を20 mL ジクロロメタンに懸濁し、さらに精製せずに直接化合物、JR4031、JR4033、およびJR4035の調製に用いた。
【0210】
調製 19: 4-プロプ-2-イニル-ピペラジン-1-カルボン酸メチルエステル (JR4031)
【化85】

【0211】
標題化合物を385 mg (3.1 mmol)のJR4029から出発してメチルクロロホルメートを用いて一般的方法 3にしたがって調製した。
【0212】
調製 20: 4-プロプ-2-イニル-ピペラジン-1-カルボン酸イソブチルエステル (JR4035)
【化86】

【0213】
標題化合物を385 mg (3.1 mmol)のJR4029から出発してイソブチルクロロホルメートを用いて一般的方法 3にしたがって調製した。
【0214】
調製 21: 3,3-ジメチル-1-(4-プロプ-2-イニル-ピペリジン-1-イル)-ブタン-1-オン(JR4041)
【化87】

【0215】
標題化合物をtert-ブチルエステル (JR3257)から出発してtert-ブチルアセチルクロリドを用いて一般的方法 3にしたがって調製した。
【0216】
調製 22: 1 (4-プロプ-2-イニル-ピペラジン-1-イル)-エタノン (JR4043)
【化88】

【0217】
標題化合物を385 mg (3.1 mmol)のJR4029から出発してアセチル クロリドを用いて一般的方法 3にしたがって調製した。
【0218】
以下の中間体化合物は本明細書に記載する一般的方法 1および適当な出発物質を用いて調製される。
【0219】
(R)-1-エチニル-3-tert-ブチル-シクロヘキサノール (JR3255A)、(S)-1-エチニル-3-tert-ブチル-シクロヘキサノール (JR3255B)
【化89】

【0220】
トルエン-4-スルホン酸 4-プロプ-2-イニル-シクロヘキシルメチルエステル (JR3077)
【化90】

【0221】
1-エチル-4-プロプ-2-イニル-シクロヘキサン (JR3083)
【化91】

【0222】
1-(4-プロプ-2-イニル-シクロヘキシル)-エタノン (JR3115)
【化92】

【0223】
1,1-ジシクロヘキシル-プロプ-2-イン-1-オール (JR3127)
【化93】

【0224】
1-シクロヘキシル-プロプ-2-イン-1-オール (JR3129)
【化94】

【0225】
4-エチル-1-エチニル-シクロヘキサノール (JR3143)
【化95】

【0226】
1-エチニル-3-メチル-シクロヘキサノール
【化96】

【0227】
1-エチニル-3,3,5,5-テトラメチル-シクロヘキサノール (JR3151)
【化97】

【0228】
1-エチニル-4-フェニル-シクロヘキサノール (JR3153)
【化98】

【0229】
1-エチニル-2-メチル-シクロヘキサノール (JR3167B)
【化99】

【0230】
4-tert-ブチル-1-エチニル-シクロヘキサノール (JR3191)
【化100】

【0231】
1-エチニル-3,3-ジメチル-シクロヘキサノール (JR3193)
【化101】

【0232】
4-ヒドロキシメチル-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル (JR3199)
【化102】

【0233】
4-プロプ-2-イニル-ピペラジン-1-カルボン酸エチルエステル (JR3211)
【化103】

【0234】
4-プロプ-2-イニル-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル (JR3257)
【化104】

【0235】
4-プロプ-2-イニル-ピペリジン-1-カルボン酸エチルエステル (JR3267B)
【化105】

【0236】
2-(4-プロプ-2-イニル-ピペラジン-1-イル)-ピリミジン (JR3277)
【化106】

【0237】
1-(4-プロプ-2-イニル-ピペリジン-1-イル)-エタノン (JR4037)
【化107】

【0238】
2,2-ジメチル-1-(4-プロプ-2-イニル-ピペリジン-1-イル)-プロパン-1-オン (JR4039)
【化108】

【0239】
実施例 1: 4-{3-[6-アミノ-9-(5-シクロプロピルカルバモイル-3,4-ジヒドロキシ-テトラヒドロ-フラン-2-イル)-9H-プリン-2-イル]-プロプ-2-イニル}-シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
【0240】
【化109】

MS: m/z 499.3 (M+H)+
【0241】
実施例 2: 4-{3-[6-アミノ-9-(5-シクロプロピルカルバモイル-3,4-ジヒドロキシ-テトラヒドロ-フラン-2-イル)-9H-プリン-2-イル]-プロプ-2-イニル}-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル
【0242】
【化110】

MS: m/z 500.4 (M+H)+
【0243】
実施例 3: 5-[6-アミノ-2-(1-ヒドロキシ-3-メチル-シクロヘキシルエチニル)-プリン-9-イル]-3,4-ジヒドロキシ-テトラヒドロ-フラン-2-カルボン酸 シクロプロピルアミド
【0244】
【化111】

MS: m/z 457.4 (M+H)+
【0245】
実施例 4: 5-(6-アミノ-2-ヨード-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシ-テトラヒドロ-フラン-2- カルボン酸 シクロプロピルアミド
【0246】
【化112】

【0247】
実施例 5: 細胞培養と膜調製
10%ウシ胎児血清、2.5μg/mlアンホテリシンBおよび50μg/mlゲンタマイシンを補足したグレース培地中、Sf9細胞を50%N2/50%O2気流内で培養した。ウイルス感染は2.5×106細胞/mlの密度で行い、それぞれ用いたウイルスにつき2回感染させた。感染細胞は感染の3日後に採集し、昆虫PBS(PBS pH6.3)で2回洗浄した。次いで、細胞を溶解バッファー(20mM-HEPES pH7.5、150mM-NaCl、3mM-MgCl2、1mM-β−メルカプトエタノール(BME)、5μg/mlロイペプチン、5μg/mlペプスタチンA、1μg/mlアプロチニン、および0.1mM−PMSF)に再懸濁し、−80℃での保存のためにスナップ凍結した。細胞を氷上で解凍し、溶解バッファーにて総容量30mlとし、N2キャビテーション(600psi、20分間)によりバーストさせた。低速遠心分離を行って未溶解細胞を除去し(1000×g、10分間)、次いで高速遠心分離(17,000×g、30分間)を行った。最終遠沈からのペレットを、20mM-HEPES(pH8)、100mM-NaCl、1%グリセロール、2μg/mlロイペプチン、2μg/mlペプスタチンA、2μg/mlアプロチニン、0.1mM−PMSFおよび10μM-GDP含有のバッファー中に、小型ガラスホモジェナイザーによりホモゲナイズし、26ゲージ針を通過させた。膜を分割し、液体N2中でスナップ凍結し、−80℃に保存した。ヒトA1AR (CHO K1 細胞)またはA3 AR (HEK 293 細胞)を安定に発現する細胞からの膜を記載(Robeva et al., 1996)どおりに調製した。
【0248】
実施例 6: 放射性リガンド結合アッセイ
【0249】
Sf9細胞膜における組換えヒトA2A受容体に対する放射性リガンド結合は、放射標識アゴニスト125I-APE(Luthin et al., 1995)または放射標識アンタゴニスト125I−ZM241385(125I−ZM)のいずれかを使用して実施した。高親和性GTPγS−感受性状態のA1およびA3ARを検出するために、我々はアゴニスト125I−ABA (Linden et al., 1985; Linden et al., 1993)を使用した。結合実験は5μg(A2A)または25μg(A1およびA3)膜タンパク質により、50μM−GTPγSの存在下または不存在下に、1U/mlアデノシンデアミナーゼおよび5mM-MgCl2含有の総容量0.1mlのHEバッファー(20 mM−HEPESおよび1 mM−EDTA)中で、3回を一組として実施した。ミリポア・マルチスクリーン(登録商標)96穴GF/Cフィルタープレート中、膜と放射性リガンドとを室温で3時間(アゴニストの場合)または2時間(アンタゴニストの場合)インキュベートした;アッセイは細胞採取器(ブランデル(Brandel)、ゲティスバーク、メリーランド)上、迅速濾過して終了し、次いで、氷冷10 mMトリス−HCl (pH7.4)、10mM-MgCl2により30秒間、4×150μlで洗浄した。非特異結合は50μM−NECAの存在下に測定した。競合結合アッセイは記載(Robeva et al., 1996)どおりに、0.5〜1 nM 125I-APE、125I−ZM241385、または125I−ABAを用い実施した。我々は各段階希釈の後、高活性の疎水性化合物がピペットチップを通して移行するのを防止するために、チップを交換するのが場合により重要であることを見出した。単一部位に結合する競合化合物に対するKi値は、すでに記載(Linden, 1982)された放射性リガンドと競合化合物の消尽に対して補正したIC50値から導いた。
【0250】
リンデン(Linden J, 1982):非標識化合物の50%が放射性標識に置換わるために必要な濃度から解離定数を計算;J Cycl Nucl Res 8: 163-172。
【0251】
リンデンら:[125I]アミノベンジルアデノシン、心臓においてアデノシン受容体に対する特異的結合を改善した新しい放射性リガンド;Linden J, Patel A and Sadek S, Circ Res 56: 279-284 (1985)。
【0252】
リンデンら:広範囲に組織分布するヒツジA3アデノシン受容体の分子クローニングと機能的発現;Linden J, Taylor HE, Robeva AS, Tucker AL, Stehle JH, Rivkees SA, Fink JS and Reppert SM, Mol Pharmacol 44: 524-532 (1993)。
【0253】
ルーチンら:新しい放射性リガンド、2-[2-(4−アミノ−3−[125I]ヨードフェニル)エチルアミノ]アデノシンとアデノシンA2A受容体との2つの親和状態の特性化;Luthin DR, Olsson RA, Thompson RD, Sawmiller DR and Linden J, Mol Pharmacol 47: 307-313 (1995)。
【0254】
ロベバら:ヘキサヒスチジンとFLAGエピトープをもつ二重タグ化組換えA1−およびA2A−アデノシン受容体。効率的一般タンパク質精製手法の開発;Robeva AS, Woodard R, Luthin DR, Taylor HE and Linden J, Biochem Pharmacol 51: 545-555 (1996)。
【0255】
化学発光法:好中球酸化活性の測定法であるルミノール増幅化学発光は、顆粒酵素ミエロペルオキシダーゼのスーパーオキシド産生と動態化に依存する。光は次亜塩素酸や活性化した好中球が生成する一重項酸素などの不安定な高エネルギー酸素種から放出される。
【0256】
0.1%ヒト血清アルブミン(HA)、アデノシンデアミナーゼ(1U/mL)およびロリプラム(100nM)を含有するハンクス平衡塩溶液に懸濁した精製ヒト好中球(2×106/ml)を水浴中、rhTNF (10U/ml)の存在下または不存在下に15分間(37℃)インキュベートした。インキュベーションに次いで、50LのHAとルミノール(最終濃度100M)を容れたウエル(白壁透明底部96穴組織培養プレート、コースター#3670;2ウエル/条件)に、アデノシンアゴニスト(最終アゴニスト濃度0.01〜1000nM)の存在下または不存在下に、PMN100L部分を移した。プレートを5分間(37℃)インキュベートし、次いでfMLP (HA中50 l;最終濃度1M)をすべてのウエルに加えた。
【0257】
ピーク化学発光はビクター1420マルチラベル・カウンターにより、ワラック(Wallac)ワークステーション・ソフトウエアを用い、化学発光モードで測定した。データはアデノシンアゴニスト不存在下の活性のパーセントとしてのピーク化学発光として表す。EC50はPRISMソフトウエアにより決定した。すべての化合物につき、3種の別個の供与体からのPMNにより試験した。結果を表 5に要約する。
【0258】
表 5
A2A アゴニストについての結合親和性および選択性
【表5】

【0259】
1 - ロリプラム無しでの実施例 7に記載のヒト 好中球 実験
2- ロリプラム有りでの実施例 7に記載のヒト 好中球 実験
【0260】
実施例 7: 好中球酸化活性に対するA2Aアゴニストの作用
A.材料
【0261】
f−met−leu−phe(fMLP)、ルミノール、スーパーオキシドジスムターゼ、シトクロムC、フィブリノーゲン、アデノシンデアミナーゼ、およびトリパンブルーはシグマ・ケミカルから入手した。フィコール−ハイパックはICN (オーロラ、オハイオ)から、またカーディナル・サイエンティフィック(Cardinal Scientific)(サンタフェ、ニューメキシコ)およびアキュレート・ケミカルズ・アンド・サイエンティフィック(Accurate Chemicals and Scientific)(ウエスターバリー、ニューヨーク)から購入した。エンドトキシン(リポポリサッカリド;大腸菌K235)はリスト・バイオロジカルス(List Biologicals)(キャンプベル、カリフォルニア)から入手した。ハンクス平衡塩溶液(HBSS)およびカブトガニアメーバ様細胞溶解物アッセイキットはバイオウイッテイカー(BioWittaker)(ウオーカーズビル、メリーランド)から入手した。ヒト血清アルブミン(HSA)はカッター・バイオロジカル(Cutter Biological)(エルクハート、インディアナ)から入手した。組換えヒト腫瘍壊死因子−アルファは大日本製薬(株)(大阪、日本)から供給を受けた。ZM241385(4−(2-[7−アミノ−2-(2-フリル)[1,2,4]トリアゾロ[2,3−a][1,3,5]トリアジン−5−イルアミノ]エチル)フェノール)はサイモン・パウチャー(Simon Poucher)(ゼネカ製薬、チェシャー、英国)から恵与頂いた。原液(1 mMと10 mM/DMSO)を調製して、−20℃で保存した。
【0262】
B.ヒト好中球調製
5個好中球当たり<1個の血小板と<50 pg/mlのエンドトキシン(カブトガニアメーバ様細胞溶解物アッセイ)含有の精製好中球(好中球が約98%であり、その>95%がトリパンブルー排除により生存し得る)は、1工程フィコール−ハイパック分離手法により、正常ヘパリン処置(10 U/ml)静脈血から入手した(A. Ferrante et al., J. Immunol. Meth., 36, 109 (1980))。
【0263】
C.感作刺激ヒト好中球からの炎症反応性酸素種の放出、化学発光
ルミノール増感化学発光(好中球酸化活性の測定法)は、リソソームの顆粒酵素ミエロペルオキシダーゼのスーパーオキシド産生と動態化の両方に依存する。光は活性化した好中球が生成する不安定な高エネルギー酸素種から放出される。精製した好中球(5〜10×105/ml)は、0.1%ヒト血清アルブミン含有ハンクス平衡塩溶液(1ml)中、被験A2Aアゴニストと共に、ロリプラムの存在下または不存在下、また腫瘍壊死因子アルファ(1U/ml)の存在下または不存在下に、37℃で30分間、振盪水浴中でインキュベートした。次いで、ルミノール(1×10−4M)増感f−met−leu−phe(1 mcM)刺激化学発光をクロノログ(Chronolog)(登録商標)フォトメータ(クロノ−ログ・コープ(Crono-log Corp.)、ヘイバータウン、ペンシルベニア)により、37℃、2〜4分間で読み取った。化学発光は、腫瘍壊死因子アルファ存在下のサンプルに比較して、またアゴニストまたはロリプラム不存在下のサンプルと比較して、相対的ピーク発光(=曲線の高さ)として記録する。
【0264】
実施例 8. インビボでのラット血圧実験
【0265】
スプラグ−ドーリー系ラット(平均体重250〜300g)を麻酔し、頚静脈および頚動脈カテーテルを同側に埋め込み、該動物を24〜48時間意識回復させた。各実験に先立ち、ベースラインとなる血圧読取りを30分間で確立し、各薬物注射は媒体対照により始める。薬物は200μl容量の塩溶液とし、頚静脈カテーテルからボーラスI.V.として注入し、カテーテルはさらに300μlの塩溶液にて洗い込む。血圧測定のために、頚動脈カテーテルの中心線にディジ−メッド(Digi-Med)血圧計の圧力変換器を取り付ける。心収縮期圧、拡張期圧、平均圧、および心拍数のすべてを同時に30〜60秒間隔で記録する。データは平均血圧がベースラインに戻り、それが20分間一定となるまで記録する。データは薬物注入直前の10分間平均した平均血圧の関数として表す。血圧は化合物の強度ならびに生物学的半減期を決定する手段として経時的に記録し、プロットする。
【0266】
実施例1および2の化合物を以下に示す対照化合物に対して試験した:
【化113】

結果を図1-2に示す。
【0267】
すべての刊行物、特許、および特許文献は、参照により個々に取り込まれたものとして、参照により本明細書の一部とする。本発明は様々な具体的かつ好適な態様と技法を参照して記載してある。しかし、本発明の精神と範囲を維持しつつ、多くの改変と修飾をなし得ることも理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0268】
【図1】図1は、本発明の化合物の投与後のその他のA2A アゴニストの投与後と比較したラットにおける血圧の低下をモニターすることによる、A2A アゴニストの作用の持続時間を示す。
【図2】図2は、本発明の化合物の経口投与後の、その他のA2A アゴニストの経口投与後と比較したラットにおける血圧の低下をモニターすることによる、A2A アゴニストの作用の持続時間を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する化合物またはその医薬上許容される塩:
【化1】

(I)
[式中:
Zは、CR3R4R5 またはNR4R5;
各R1 は独立に、水素、ハロ、-ORa、-SRa、(C1-C8)アルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C3-8シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環(C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-、-CO2Ra、RaC(=O)O-、RaC(=O)-、-OCO2Ra、RaRbNC(=O)O-、RbOC(=O)N(Ra)-、RaRbN-、RaRbNC(=O)-、RaC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=S)N(Rb)-、-OPO3Ra、RaOC(=S)-、RaC(=S)-、-SSRa、RaS(=O)-、RaS(=O)2-、-N=NRa、または-OPO2Ra;
各R2 は独立に、水素、ハロ、(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環(C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-;あるいは、
R1およびR2 およびそれらが結合している原子は、 C=O、C=SまたはC=NRc
R4およびR5 はそれらが結合している原子と共に、環中に非ペルオキシドオキシ(-O-)、チオ(-S-)、スルフィニル(-SO-)、スルフォニル(-S(O)2-)またはアミン(-NRa-)から選択される1、2、3、または4のヘテロ原子を含んでいてもよい3、4、5、6、7、8、9または10の環原子を有する、飽和または部分的に不飽和の環、または芳香環を形成する;
ここでR4およびR5を含む各環は1〜14のR6 基により置換されている; ここで各R6 は独立に、水素、ハロ、-ORa、-SRa、(C1-C8)アルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1-C8)シクロアルキル、(C1-C8)シクロアルキル(C1-C8)アルキレン-、(C6-C12)ビシクロアルキル、ヘテロ環またはヘテロ環 (C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-、-CO2Ra、RaC(=O)O-、RaC(=O)-、-OCO2Ra、RaRbNC(=O)O-、RbOC(=O)N(Ra)-、RaRbN-、RaRbNC(=O)-、RaC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=S)N(Rb)-、-OPO3Ra、RaOC(=S)-、RaC(=S)-、-SSRa、RaS(=O)-、-NNRa、-OPO2Ra、あるいは2つのR6 基 およびそれらが結合している原子は、 C=O、またはC=S; あるいは2つのR6 基 はそれらが結合している1または複数の原子と共に、環中に1〜6の炭素原子および 1、2、3、または4の非ペルオキシドオキシ(-O-)、チオ(-S-)、スルフィニル(-SO-)、スルフォニル(-S(O)2-)、ホスフィン (-OP(O)2-、またはアミン(-NRa-)から選択されるヘテロ原子を含む炭素環または複素環を形成していてもよい;
R3 は、水素、ハロ、-ORa、-SRa、(C1-C8)アルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)シクロアルキル(C1-C8)アルキレン-、ヘテロ環、ヘテロ環(C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-、-CO2Ra、RaC(=O)O-、RaC(=O)-、-OCO2Ra、RaRbNC(=O)O-、RbOC(=O)N(Ra)-、RaRbN-、RaRbNC(=O)-、RaC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=S)N(Rb)-、-OPO3Ra、RaOC(=S)-、RaC(=S)-、-SSRa、RaS(=O)-、RaS(=O)2-、-NNRa、-OPO2Ra; あるいはCR4R5 から形成される環がアリールまたはヘテロアリールあるいは部分的に不飽和である場合、R3 は存在しなくてもよい;
各R7 は独立に、水素、(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)シクロアルキル(C1-C8)アルキレン-、ヘテロ環、ヘテロ環 (C1-C8)アルキレン-、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-;
Xは、-CH2ORe、-CO2Re、-CH2OC(O)Re、-C(O)NReRf、-CH2SRe、-C(S)ORe、-CH2OC(S)Reまたは-C(S)NReRf-CH2N(Re)(Rf)、または下記式を有する基:
【化2】

ここで各 Z1は、非ペルオキシド-O-、-S(O)p-、-C(R8)j-、または-N(R8)-;ただし、 少なくとも1つの Z1は、非ペルオキシド-O-、 -S(O)p- 、または-N(R8) -;
各R8 は独立に、水素、(C1-C8)アルキル、(C1-C8)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)アルキル(C3-C8)シクロアルキル、(C3-C8)シクロアルケニル、(C1-C8)アルキル(C3-C8)シクロアルケニル、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-; ここでR8のアルキルまたはアルケニル基はいずれも-O-、-S-、または-N(Ra)-により分断されていてもよい;
Reは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル;
Rf は、水素、(C1-C8)アルキル、または1-3の(C1-C8)アルコキシで置換された(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)アルキルチオ、アミノ酸、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン;そして、
ここでアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリール、基R1、R2、R3、R6、R7およびR8はいずれも炭素上で以下からなる群から選択される1以上 (例えば、1、2、3、または4) の置換基により置換されていてもよい:ハロ、-ORa、-SRa、(C1-C8)アルキル、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C3-C8)シクロアルキル、(C6-C12)ビシクロアルキル、ヘテロ環またはヘテロ環(C1-C8)アルキレン-、アリール、アリールオキシ、アリール(C1-C8)アルキレン-、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン-、-CO2Ra、RaC(=O)O-、RaC(=O)-、-OCO2Ra、RaRbNC(=O)O-、RbOC(=O)N(Ra)-、RaRbN-、RaRbNC(=O)-、RaC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=O)N(Rb)-、RaRbNC(=S)N(Rb)-、-OPO3Ra、RaOC(=S)-、RaC(=S)-、-SSRa、RaS(=O)p-、RaRbN-S(O)p-、N=NRa、および-OPO2Ra;
ここで(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C6-C12)ビシクロアルキル、(C1-C8)アルコキシ、(C1-C8)アルカノイル、(C1-C8)アルキレン、またはヘテロ環はいずれも、部分的に不飽和であってもよい;
RaおよびRb はそれぞれ独立に、水素、(C1-C18)アルキル、または1-3の(C1-C8)アルコキシで置換された(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)アルキルチオ、アミノ酸、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン;あるいはRaおよびRbは、それらが結合している窒素と共に、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、またはチオモルホリノ環を形成する;そして、
RaおよびRb はそれぞれ独立に、水素、(C1-C8)アルキル、または1-3の(C1-C8)アルコキシで置換された(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)アルキルチオ、アミノ酸、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレン;あるいはRaおよびRbは、それらが結合している窒素と共に、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、またはチオモルホリノ 環を形成する;そして、
Rc は、水素または(C1-C6)アルキル;
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、または8; iは1または2;各j は独立に、1または2;そして各p は独立に、0、1、または2]。
【請求項2】
R1が、水素、-OH、ハロ、-CH2OH、-OMe、-OAc、-NH2、-NHMe、-NMe2 または-NHAcである、請求項1の化合物。
【請求項3】
R1が、水素、-OH、-OMe、フルオロ、または-NH2である、請求項1または2の化合物。
【請求項4】
R1が、水素、-OH、フルオロ、または-NH2である、請求項1-3のいずれかの化合物。
【請求項5】
R1が、水素または-OHである、請求項1-5のいずれかの化合物。
【請求項6】
R2が、水素、ハロ、または(C1-C8)アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシルまたはベンジルである、請求項1-6のいずれかの化合物。
【請求項7】
R2が、水素、フルオロ、メチル、エチルまたはプロピルである、請求項1-6のいずれかの化合物。
【請求項8】
R2が、水素またはメチルである、請求項1-7のいずれかの化合物。
【請求項9】
R2が、水素である、請求項1-8のいずれかの化合物。
【請求項10】
R1、R2およびそれらが結合している炭素原子がカルボニル (C=O)である、請求項 1の化合物。
【請求項11】
R3が、水素、OH、OMe、OAc、NH2、NHMe、NMe2 またはNHAcである、請求項1-10のいずれかの化合物。
【請求項12】
R3が、水素、OH、OMe、またはNH2である、請求項1-11のいずれかの化合物。
【請求項13】
R3が、水素、OH、またはNH2である、請求項1-12のいずれかの化合物。
【請求項14】
R3が、水素またはOHである、請求項1-13 のいずれかの化合物。
【請求項15】
R4、R5 およびそれらが結合している原子を含む環が、シクロペンタン、シクロヘキサン、ピペリジン、ジヒドロ-ピリジン、テトラヒドロ-ピリジン、ピリジン、ピペラジン、デカリン、テトラヒドロ-ピペラジン、ジヒドロ-ピペラジン、ピラジン、ジヒドロ-ピリミジン、テトラヒドロ-ピリミジン、ヘキサヒドロ-ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、ジヒドロ-イミダゾール、イミダゾリジン、ピラゾール、ジヒドロ-ピラゾール、またはピラゾリジンである、請求項1-14のいずれかの化合物。
【請求項16】
R4およびR5およびそれらが結合している原子を含む環が、シクロヘキサン、ピペリジン、またはピペラジンである、請求項1-15いずれかの化合物。
【請求項17】
R6が、(C1-C8)アルキル、置換(C1-C8)アルキル、ハロ、-ORa、-CO2Ra、-OCO2Ra、-C(=O)Ra、-OC(=O)Ra、-NRaRb、-C(=O)NRaRb、-OC(=O)NRaRb、またはアリールであり、ここで置換(C1-C8)アルキルが、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C8)アルキレン-、ハロ(C1-C8)アルキレン-、- (CH2)1-2ORa、- (CH2)1-2C(=O)ORa、- (CH2)1-2OC(=O)Ra、- (CH2)1-2C(=O)Ra、- (CH2)1-2OCO2Ra、- (CH2)1-2NRaRb、または-(CH2)1-2OC(=O)NRaRbである、請求項1-16のいずれかの化合物。
【請求項18】
R6が、(C1-C4)アルキル、クロロ、フルオロ、フェニル、-ORa、-CH2ORa、-CO2Ra、-CH2CO2Ra、-OCO2Ra、-CH2OCO2Ra、-C(=O)Ra、-CH2C(=O)Ra、-OC(=O)Ra、-CH2OC(=O)Ra、-NRaRb、-CH2NRaRb、-C(=O)NRaRb、-CH2C(=O)NRaRb、-OC(=O)NRaRb、または-CH2OC(=O)NRaRbである、請求項1-17のいずれかの化合物。
【請求項19】
R6が、OH、OMe、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、-CH2OH、フェニル、-OAc、-CH2OAc、-CO2H、-CO2Me、-CO2Et、-CO2i-Pr、-CO2i-Bu、-CO2t-Bu、-OCO2Me、-OCO2Et、-C(=O)CH3、-CONH2、-CONHMe、-CONMe2、-CONMeEt、-NH2、-NHMe、-NMe2、-NHEt、-N(Et)2、または-CH2N(CH3)2である、請求項1-18のいずれかの化合物。
【請求項20】
R6が、OH、OMe、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、-CH2OH、フェニル、-OAc、-CH2OAc、-CO2Me、-CO2Et、-CO2i-Pr、-CO2i-Bu、-CO2t-Bu、-OCO2Me、-OCO2Et、-CONMe2、-CONMeEtである、請求項1-19のいずれかの化合物。
【請求項21】
Z 環上で置換されたR6 基の数が1〜約 4の整数である、請求項1-20のいずれかの化合物。
【請求項22】
Raが、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、フェニルまたはベンジルである、請求項1-21のいずれかの化合物。
【請求項23】
Rbが、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、フェニルまたはベンジルである、請求項1-22のいずれかの化合物。
【請求項24】
Raが、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、またはtert-ブチルであり、Rb が、水素、またはメチルである、請求項1-23のいずれかの化合物。
【請求項25】
RaおよびRb が、それらが結合している窒素と共に、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、またはチオモルホリノ環を形成する、請求項1-24のいずれかの化合物。
【請求項26】
RaおよびRbが、それらが結合している窒素と共に、ピロリジノ、ピペリジノ、またはモルホリノ環を形成する、請求項1-25のいずれかの化合物。
【請求項27】
R7が、水素、(C1-C4)アルキル、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ジアリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリール(C1-C8)アルキレン、またはジヘテロアリール(C1-C8)アルキレンである、請求項1-26のいずれかの化合物。
【請求項28】
R7が、水素、メチル、エチル、3-ペンチル、フェニルCH2CH2-、(フェニル)2CHCH2-、ピリジルCH2-、ベンジル、または
【化3】

である、請求項1-27のいずれかの化合物。
【請求項29】
R7が、水素、3-ペンチル、ピリジルメチル、またはベンジルである、請求項1-28のいずれかの化合物。
【請求項30】
R7が Hである、請求項1-29のいずれかの化合物。
【請求項31】
N(R7)2が、アミノ (NH2)、3-ペンチルアミノ、ジフェニルエチルアミノ、ピリジルメチルアミノ、ベンジルアミノ、または下記式を有する基:
【化4】

である、請求項1-30のいずれかの化合物。
【請求項32】
-N(R7)2が、アミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ジフェニルアミノ、ペンチルアミノ、またはベンジルアミノである、請求項1-31のいずれかの化合物。
【請求項33】
N(R7)2 がアミノである、請求項1-32のいずれかの化合物。
【請求項34】
Xが、-CH2ORe、-CO2Re、-CH2OC(O)Re、-C(O)NReRf、または-CH2N(Re)(Rf)である、請求項1-33のいずれかの化合物。
【請求項35】
Xが、-CH2OReまたは-C(O)NReRfである、請求項1-34のいずれかの化合物。
【請求項36】
Xが:
【化5】

【化6】

【化7】

である、請求項1-35のいずれかの化合物。
【請求項37】
Xが:
【化8】

【化9】

である、請求項1-36のいずれかの化合物。
【請求項38】
Xが:
【化10】

である、請求項1-37のいずれかの化合物。
【請求項39】
R8が、メチル、エチル、イソプロピル、イソプロペニル、-CH=CH2、CH2OH、プロピル、-CH2-CH=CH2、-CH=CH-CH3、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロプロピルメチル、シクロプロペニルメチル、シクロブチル、シクロブテニル、-(CH2)Y(CH2)nH、-(CH2)nCOOCH3、-(CH2)nCO(CH2)nHであり、YがO、S、N(CH2)nである、請求項1-38 のいずれかの化合物。
【請求項40】
R8が、(C1-C3)アルキル、CH2OH、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、-(CH2)2CO2CH3、-(CH2)2-3OH、-(CH2)2ハロゲンである、請求項1-39のいずれかの化合物。
【請求項41】
R8が、メチル、エチル、プロピル、2-プロペニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、-(CH2)2CO2CH3、-(CH2)2-3OHである、請求項1-40のいずれかの化合物。
【請求項42】
R8が、メチル、エチル、シクロプロピルである、請求項1-41のいずれかの化合物。
【請求項43】
Reが、シクロプロピルまたはシクロブチルである、請求項1-42のいずれかの化合物。
【請求項44】
Reがシクロプロピルである、請求項1-43のいずれかの化合物。
【請求項45】
Reがシクロブチルである、請求項1-44 のいずれかの化合物。
【請求項46】
Rfが、水素、または(C1-C8)アルキルである、請求項1-45のいずれかの化合物。
【請求項47】
Rfが、水素、メチル、エチル、またはプロピルである、請求項1-46のいずれかの化合物。
【請求項48】
Rf が、水素、またはメチルである、請求項1-47のいずれかの化合物。
【請求項49】
Rfが、水素である、請求項1-48のいずれかの化合物。
【請求項50】
iが1である、請求項1-49のいずれかの化合物。
【請求項51】
iが2である、請求項1-50のいずれかの化合物。
【請求項52】
jが1である、請求項1-51のいずれかの化合物。
【請求項53】
jが2である、請求項1-52のいずれかの化合物。
【請求項54】
mが 0、1、または2である、請求項1-53のいずれかの化合物。
【請求項55】
mが0、または1である、請求項1-54のいずれかの化合物。
【請求項56】
R4、R5およびそれらが結合している原子を含む環が、
【化11】

【化12】

【化13】

を含み、q が1〜14であり、Rd が水素である、請求項1-55のいずれかの化合物、ただし、q が0の場合、Rdは水素ではない。
【請求項57】
R4、R5およびそれらが結合している原子を含む環が、
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

を含む、請求項1-56のいずれかの化合物。
【請求項58】
-C(R3)R4R5を含む環が、2-メチルシクロヘキサン、2,2-ジメチルシクロヘキサン、2-フェニルシクロヘキサン、2-エチルシクロヘキサン、2,2-ジエチルシクロヘキサン、2-tert-ブチルシクロヘキサン、3-メチルシクロヘキサン、3,3-ジメチルシクロヘキサン、4-メチルシクロヘキサン、4-エチルシクロヘキサン、4-フェニルシクロヘキサン、4-tert-ブチルシクロヘキサン、4-カルボキシメチルシクロヘキサン、4-カルボキシエチルシクロヘキサン、3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン、2,4-ジメチルシクロペンタン、4-シクロヘキサンカルボン酸、4-シクロヘキサンカルボン酸 エステルまたは4-メチルオキシアルカノイル-シクロヘキサンである、請求項1-57のいずれかの化合物。
【請求項59】
-C(R3)R4R5を含む環が、4-ピペリジン、4-ピペリデン-1-カルボン酸、4-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル、4-ピペリジン-1-カルボン酸エチルエステル、4-ピペリジン-1-カルボン酸プロピルエステル、4-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1-ピペリジン、1-ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸エチルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸プロピルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル、3-ピペリジン、3-ピペリデン-1-カルボン酸、3-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル、3-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1,4-ピペラジン、4-ピペラジン-1-カルボン酸、4-ピペラジン-1-カルボン酸メチルエステル、4-ピペラジン-1-カルボン酸エチルエステル、4-ピペラジン-1-カルボン酸プロピルエステル、4-ピペラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1,3-ピペラジン、3-ピペラジン-1-カルボン酸、3-ピペラジン-1-カルボン酸メチルエステル、3-ピペラジン-1-カルボン酸エチルエステル、3-ピペラジン-1-カルボン酸プロピルエステル、3-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル、1-ピペリジン-3-カルボン酸エチルエステル、1-ピペリジン-3-カルボン酸プロピルエステルまたは1-ピペリジン-3-カルボン酸 tert-ブチルエステルである、請求項1-58のいずれかの化合物。
【請求項60】
R4およびR5を含む環が、2-メチルシクロヘキサン、2,2-ジメチルシクロヘキサン、2-フェニルシクロヘキサン、2-エチルシクロヘキサン、2,2-ジエチルシクロヘキサン、2-tert-ブチルシクロヘキサン、3-メチルシクロヘキサン、3,3-ジメチルシクロヘキサン、4-メチルシクロヘキサン、4-エチルシクロヘキサン、4-フェニルシクロヘキサン、4-tert-ブチルシクロヘキサン、4-カルボキシメチルシクロヘキサン、4-カルボキシエチルシクロヘキサン、3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサン、2,4-ジメチルシクロペンタン、4-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル、4-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル 4-ピペリジン、4-ピペラジン-1-カルボン酸メチルエステル、4-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸 tert-ブチルエステル、tert-ブチルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル、1-ピペリジン-4-カルボン酸 tert-ブチルエステル、3-ピペリジン-1-カルボン酸メチルエステル、3-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、3-ピペリジン、3-ピペラジン-1-カルボン酸メチルエステル、3-ピペリジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル、1-ピペリジン-3-カルボン酸メチルエステル、または1-ピペリジン-3-カルボン酸 tert-ブチルエステルである、請求項1-59のいずれかの化合物。
【請求項61】
RaおよびRbがそれぞれ独立に、水素、(C1-C8)アルキル、または1-3の(C1-C8)アルコキシで置換された(C1-C8)アルキル、(C3-C8)シクロアルキル、(C1-C8)アルキルチオ、アミノ酸、アリール、アリール(C1-C8)アルキレン、ヘテロアリールまたはヘテロアリール(C1-C8)アルキレンである;あるいはRaおよびRbが、それらが結合している窒素と共に、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、またはチオモルホリノ環を形成する、請求項 1の化合物。
【請求項62】
下記式を有する請求項 1の化合物またはその医薬上許容される塩:
【化18】

【化19】

【化20】


【請求項63】
炎症応答を阻害するための治療方法であって、該治療を必要とする哺乳類に、抗炎症有効量の請求項1-62のいずれかの化合物を投与することを含む方法。
【請求項64】
請求項1-62のいずれかの化合物を、医薬上許容される担体と組み合わせて含む治療用組成物。
【請求項65】
さらにIV型ホスホジエステラーゼ阻害剤を含む、請求項 64の組成物。
【請求項66】
IV型ホスホジエステラーゼ阻害剤が、ロリプラム、シロミラスト、またはロフルミラストである、請求項 65の組成物。
【請求項67】
担体が液体担体である、請求項64-66のいずれかの組成物。
【請求項68】
経口、静脈内、眼内、非経口、エアロゾルまたは経皮投与に適している請求項64-67のいずれかの組成物。
【請求項69】
A2A アデノシン 受容体の活性が関係しており、かかる活性のアゴニズムが望ましい、哺乳類における病的症状または症候の予防または治療のための方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1-62のいずれかの化合物を投与することを含む方法。
【請求項70】
哺乳類が、ヒトまたはウマである、請求項 69の方法。
【請求項71】
病的症状または症候が、自己免疫刺激(自己免疫疾患)、アレルギー性疾患、皮膚疾患、感染性疾患、消耗性疾患、臓器移植、組織または細胞移植、開放創、薬物療法による有害作用、心血管症状、透析、痛風; 化学的外傷、または熱的外傷によって起こるものである、請求項 69または70の方法 。
【請求項72】
病的症状が開放創である、請求項 71の方法。
【請求項73】
病的症状または症候が炎症である、請求項 69の方法。
【請求項74】
炎症が病原性生物によって起こる、請求項 73の方法。
【請求項75】
炎症がウイルス性生物によって起こる、請求項 73の方法。
【請求項76】
有効量の抗病原剤の投与をさらに含む、請求項 73 の方法。
【請求項77】
病原体が細菌であり、抗病原剤が抗生物質である、請求項 74の方法。
【請求項78】
病原体がウイルスであり、抗病原剤が抗ウイルス剤である、請求項 75の方法。
【請求項79】
病原体が 酵母または真菌であり、抗病原剤が抗真菌剤である、請求項 75の方法。
【請求項80】
炎症が大腸菌によって起こる、請求項 77の方法。
【請求項81】
細菌が溶血性尿毒症症候群を起こす、請求項 77の方法。
【請求項82】
以下を含む、哺乳類における心筋灌流異常を診断する方法:
(a)非経口的に該哺乳類に一定量の請求項1-62のいずれかの化合物を投与すること; および、
(b)該哺乳類に対して、冠状動脈狭窄の存在の検出のため、冠状動脈狭窄の重篤度の評価のため、あるいはその両方のための技術を実施すること。
【請求項83】
哺乳類がヒトまたはウマである請求項 82の方法。
【請求項84】
該心筋機能不全が、冠状動脈疾患、心室機能不全および非疾患冠状動脈と狭窄冠状動脈との血流における相違からなる群から選択される、請求項 82または83の方法。
【請求項85】
冠状動脈疾患の存在の検出および重篤度の評価のための該技術が、放射性医薬品心筋灌流像法、心室機能像法、または冠状動脈血流速度測定技術からなる群から選択される請求項 82 または83の方法。
【請求項86】
該放射性医薬品心筋灌流像法が、平面シンチグラフィー、単光子放出コンピュータ断層撮影法 (SPECT)、陽電子放出型断層撮影法 (PET)、核磁気共鳴 (NMR) 像法、灌流コントラスト心エコー図法、デジタル・サブトラクション血管撮影法 (DSA)および超高速X 線 CT (CINE CT)からなる群から選択される請求項 85の方法。
【請求項87】
放射性医薬品が、該放射性医薬品心筋灌流像法とともに用いられ、かつ、放射性医薬品がタリウム-201、テクネチウム-99m、窒素-13、ルビジウム-82、ヨウ素-123および酸素-15からなる群から選択される放射性核種を含む、請求項 86の方法。
【請求項88】
該放射性医薬品心筋灌流像法がシンチグラフィーであり、該放射性医薬品がタリウム-201である、請求項 87の方法。
【請求項89】
該心室機能像法技術が、心エコー検査、コントラスト心室造影および放射性核種心室造影からなる群から選択される、請求項 85 の方法。
【請求項90】
該心室機能像法技術が心エコー検査である、請求項 89の方法。
【請求項91】
該冠状動脈血流速度測定方法が、ドップラー血流カテーテル、デジタル・サブトラクション血管撮影法および放射性医薬品イメージング技術からなる群から選択される、請求項 85の方法。
【請求項92】
該冠状動脈血流速度測定方法が、ドップラー血流カテーテルである、請求項 86の方法。
【請求項93】
以下の工程を含む請求項 83 の方法:
(a)該ヒトに、経静脈内投与またはボーラス注入法により、冠状動脈拡張を提供するのに有効な量の式Iの化合物を投与する工程;
(b) 該ヒトに、タリウム-201またはテクネチウム-99mを含む放射性医薬品を投与する工程;および、
(c)冠状動脈疾患の存在の検出および重篤度の評価のために該ヒトに対してシンチグラフィーを実施する工程。
【請求項94】
放射性医薬品がTc-99m-セスタミビである、請求項 93 の方法。
【請求項95】
A3 アデノシン 受容体の活性が関係しており、かかる活性のアゴニズムが望ましい哺乳類における病的症状または症候の予防または治療方法であって、該哺乳類に有効量の請求項1-62 のいずれかの化合物を投与することを含む方法。
【請求項96】
医学療法における使用のための請求項1-62のいずれかの化合物。
【請求項97】
医学療法が炎症応答の阻害である、請求項1-62のいずれかの化合物。
【請求項98】
炎症応答が、A2A アデノシン 受容体活性が関係しており、かかる活性のアゴニズムが望ましい哺乳類における病的症状または症候に起因する、請求項 97の化合物。
【請求項99】
炎症応答の治療に有用な医薬の調製のための請求項1-62の化合物の使用。
【請求項100】
医薬がIV型ホスホジエステラーゼ阻害剤を含む、請求項 99の使用。
【請求項101】
ホスホジエステラーゼ阻害剤がロリプラムである、請求項 99の使用。
【請求項102】
医薬が液体担体を含む、請求項 101の使用。
【請求項103】
医薬が、非経口、エアロゾルまたは経皮投与に適している、請求項99-102のいずれかの使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−508360(P2008−508360A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524924(P2007−524924)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/027479
【国際公開番号】WO2006/015357
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(501149684)ユニバーシティ オブ バージニア パテント ファウンデーション (35)
【出願人】(507036843)アデノシン・セラピューティクス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】Adenosine Therapeutics LLC
【Fターム(参考)】