説明

A2Bアデノシン受容体拮抗物質を用いる肝疾患の予防および処置の方法

【課題】A2Bアデノシン受容体拮抗物質を用いる肝疾患の予防および処置の方法の提供。
【解決手段】肝線維症は、多くの肝臓病に共通の態様であり、肝臓内における瘢痕組織の形成と定義される。本発明は、A2Bアデノシン受容体拮抗物質を用いて肝線維症を予防および処置する方法、ならびにアルコールの乱用、外科的処置、ウィルス性肝炎、肝毒性薬剤の摂取に起因する肝臓障害、またはその他の肝臓病の処置および予防におけるA2Bアデノシン受容体拮抗物質の使用に関する。本発明は、この方法に使用される薬学的組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本願は、本明細書において、その全体が参考として援用される2006年3月17日に出願された米国仮特許出願第60/783,575号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、A2Bアデノシン受容体拮抗物質を使用する肝疾患を予防および処置する方法に関する。本発明は、アルコールの乱用、外科的処置、ウィルス性肝炎、肝毒性薬剤の摂取によって生じる肝臓障害、またはその他の肝疾患の処置および予防に用途がある。本発明はさらに、この方法に使用される薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
肝臓病は、壊死、脂肪症、線維症、および胆汁うっ滞を含む多様な形態を取る可能性があり、形態はこれらだけに限らない。その他の形態の肝疾患は、化学療法剤および抗癌剤、抗生物質、鎮痛薬、制吐薬などの肝毒性医薬品の摂取、並びにその他の投薬に起因する可能性がある。また、アルコールおよび薬剤の乱用も、肝疾患の公知の原因である。肝臓病の代表的な原因としては、ウィルスおよびアルコール性肝炎、ウィルソン病、血色素症、脂肪症、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が挙げられるが、これらだけに限らない。
【0004】
肝繊維症は、すべてとは言えないが多くの肝臓病に共通の態様であり、肝臓内における瘢痕組織の形成と定義される。瘢痕化は、肝臓が肝臓毒素の摂取によって、慢性肝炎または身体の傷害の結果として生じた細胞傷害を修復しようとする時に発現する。肝繊維症は、外科的処置および肝毒性薬剤療法、つまり肝臓置換もしくは修復、または化学療法の結果として生じる場合もある。多くの場合、肝繊維症は、肝組織の永久的な瘢痕化を生じ、これは、一般に肝硬変と呼ばれる。
【0005】
最近の研究で、アデノシンは肝繊維症の発現および進行にある役割を果たすことが明らかになった。Chunn等(非特許文献1)は、アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損マウスでは肝繊維症が増加することに気付いた。Chunn等が使用するマウスは、部分ADA酵素活性を有し、それによって長期にわたってアデノシンを蓄積するように遺伝子組換えが行われる。
【0006】
アデノシンは、自然発生的なヌクレオシドであり、A、A2A、A2B、およびAとして公知のアデノシン受容体ファミリーと相互作用することによってその生物学的効果を発揮し、これらのファミリーはすべて、重要な生理学的プロセスを調整する。様々な受容体の中で、A2Bアデノシン受容体は、血管新生因子および炎症性サイトカインおよびケモカインの合成および放出を調整することが実証され、マスト細胞活性化、血管拡張、および細胞増殖の調節との関係を介して、炎症状態に最も著しく関与すると考えられる(非特許文献2;非特許文献3を参照のこと)。
【0007】
意外なことに、A2Bアデノシン受容体拮抗物質は、肝臓病の予防および処置にも有用である。したがって、効力があり、完全または部分的に選択可能なA2B拮抗物質である化合物、つまりA2Bアデノシン受容体を抑制する化合物を投与することによって、肝臓病を処置および/または予防する方法を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Chunn等(2006)Am.J.Physiol Lung Cell MoI Physiol,290(3):L579−87
【非特許文献2】Adenosine A2B Receptors as Therapeutic Targets,Drug Dev Res 45:198
【非特許文献3】Feoktistov等、Trends Pharmacol Sci 19:148−153
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明の一実施態様では、肝臓病を処置および予防するための方法であって、治療効果のある量のA2Bアデノシン受容体拮抗物質を、前記処置および予防を必要としている哺乳動物に投与することによって肝臓病を処置および予防するための方法を提供する。肝臓病は、壊死、線維症、胆汁うっ滞、肝硬変、ウィルスおよびアルコール性肝炎、ウィルソン病、血色素症、脂肪症、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の形態を取り得るか、または外科的処置もしくは肝毒性物質による薬物療法、つまり肝臓置換もしくは修復、または化学療法の結果である場合がある。
【0010】
本発明の第2実施態様では、化学療法または放射線の肝毒性副作用を減少させる方法であって、治療効果のある量のA2Bアデノシン受容体拮抗物質を、こうした処置を受ける哺乳動物に投与することによって、化学療法または放射線の肝毒性副作用を減少させる方法を提供する。
【0011】
本発明の別の実施態様では、必要としている哺乳動物に対し、式Iまたは式IIの構造を有する治療効果のある量のA2Bアデノシン受容体拮抗物質を投与することによって、肝臓病を処置および予防する方法を提供する:
【0012】
【化3】

ここで:
R1およびR2は、水素、任意に置換されたアルキル、または−D−E基から独立して選択され、この場合、Dは共有結合またはアルキレンであり、Eは、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアルケニル、または任意に置換されたアルキニルであり、ただし、Dが共有結合であるとき、Eがアルコキシである可能性はないことが条件であり;
は、水素、任意に置換されたアルキル、または任意に置換されたシクロアルキルであり;
Xは、任意に置換されたアリーレンであるか、または任意に置換されたヘテロアリーレンであり;
Yは、共有結合、または1つの炭素原子が、−O−、−S−、もしくは−NH−と任意に置換可能なアルキレンであり、ヒドロキシ、アルコキシ、任意に置換されたアミノ、またはRがヒドロキシ、アルコキシ、もしくはアミノである−CORと任意に置換され;
Zは、任意に置換された単環式アリール、または任意に置換された単環式ヘテロアリールであるか;あるいは、
Zは、Xが任意に置換されたヘテロアリーレンであり、Yが共有結合である場合は水素である。
【0013】
本発明のさらに別の実施態様では、治療効果のある量のA2Bアデノシン受容体拮抗物質、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体を含む製剤処方を提供する。この処方は、好ましくは経口投与のための処方である。
【0014】
式IおよびIIの1つの好ましい群の化合物は、RおよびRが別個に水素、任意に置換された低級アルキルである化合物であるか、Dが共有結合もしくはアルキレンであり、Eが任意に置換されたフェニル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、もしくは任意に置換されたアルキニルである−D−E基であり、特にRが水素である化合物である。
【0015】
この群の中では、第1に好ましいクラスの化合物としては、RおよびRが、別個に、シクロアルキルと任意に置換された低級アルキル、好ましくはn−プロピルであり、Xが任意に置換されたフェニレンである化合物が挙げられる。このクラスの中では、好ましいサブクラスの化合物は、Yが、アルキレンであり、たとえば、炭素原子が、酸素、好ましくは−O−CH−と置換され、特に酸素がフェニレンに対する付着点であるアルキレンである化合物である。このサブクラスの中では、Zは、任意に置換されたオキサジアゾール、特に任意に置換された[1,2,4]−オキサジアゾール−3−イル、特に、任意に置換されたフェニルまたは任意に置換されたピリジルと置換された[1,2,4]−オキサジアゾール−3−イルであることが好ましい。
【0016】
第2の好ましいクラスの化合物としては、Xが任意に置換された1,4−ピラゾレンである化合物が挙げられる。このクラスの中で、好ましいサブクラスの化合物は、Yが共有結合またはアルキレン、特に低級アルキレンであり、Zが水素、任意に置換されたフェニル、任意に置換されたピリジル、または任意に置換されたオキサジアゾールである化合物である。このサブクラスの中で、1つの好ましい実施態様としては、Rが、シクロアルキルと任意に置換された低級アルキルであり、Rが水素である化合物が挙げられる。より好ましい実施態様としては、Yが−(CH)−または−CH(CH)−であり、Zが任意に置換されたフェニル、またはYが−(CH)−または−CH(CH)−であり、Zが任意に置換されたオキサジアゾール、特に3,5−[1,2,4]−オキサジアゾールであるか、またはYが−(CH)−もしくは−CH(CH)−であり、Zが任意に置換されたピリジルである化合物が挙げられる。このサブクラスの中で、RおよびRが、別個に、シクロアルキルと任意に置換された低級アルキル、特にn−プロピルである化合物も好ましい。Yが共有結合、−(CH)−または−CH(CH)−であり、Zが水素、任意に置換されたフェニル、もしくは任意に置換されたピリジル、特にYが共有結合であり、Zが水素である化合物はより好ましい。
【0017】
その他の下位群の好ましい化合物としては、Rが、式−CHRORの置換アルキル基であり、その結果、以下の式IIIの構造を有する化合物、およびその薬学的に許容可能な塩がある:
【0018】
【化4】

ここで、
は、水素またはメチルであり;
は、Rが、別個に、任意に置換された低級アルキル、任意に置換されたアリール、もしくは任意に置換されたヘテロアリールである−C(O)Rであるか;あるいは
は、Rが水素、またはフェニルもしくはヘテロアリールと任意に置換された低級アルキルである−P(O)(ORである。
【0019】
今のところ、本発明に使用することが好ましい化合物としては、以下が挙げられるが、これらだけに限らない:
1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−プロピル−8−[1−ベンジルピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−ブチル−8−(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−プロピル−8−[1−(フェニルエチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−(1−{[5−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1−プロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−(1−{[5−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1−ブチル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−ピラゾール−4−イル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−メチル−3−sec−ブチル−8−ピラゾール−4−イル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−シクロプロピルメチル−3−メチル−8−{1−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジメチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
3−メチル−1−プロピル−8−{1−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
3−エチル−1−プロピル−8−{1−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−エチル−3−メチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−{1−[(2−メトキシフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−{1−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]エチル}ピラゾール−4−イル−)1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−{1−[(4−カルボキシフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
2−[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル(1,3,7−トリヒドロプリン−8−イル))ピラゾリル]−2−フェニル酢酸;
8−{4−[5−(2−メトキシフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]フェニル}−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−{4−[5−(3−メトキシフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]フェニル}−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−{4−[5−(4−フルオロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ]フェニル}−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−(シクロプロピルメチル)−8−[1−(2−ピリジルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−n−ブチル−8−[1−(6−トリフルオロメチルピリジン−3−イルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−(1−{[3−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−[1−({5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]イソキサゾール−3−イル}メチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−[1−(2−ピリジルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
3−{[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−8−イル)ピラゾリル]メチル}安息香酸;
1,3−ジプロピル−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1,3−ジプロピル−8−{1−[(3−(1H−1,2,3,4−テトラアゾール−5−イル)フェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
6−{[4−(2,6−ジオキソ−1,3−ジプロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−8−イル)ピラゾリル]メチル}ピリジン−2−カルボン酸;
3−エチル−1−プロピル−8−[1−(2−ピリジルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−(1−{[5−(4−クロロフェニル)イソキサゾール−3−イル]メチル}ピラゾール−4−イル)−3−エチル−1−プロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
8−(1−{[3−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−3−エチル−1−プロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−(シクロプロピルメチル)−3−エチル−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
3−エチル−1−(2−メチルプロピル)−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
[3−エチル−2,6−ジオキソ−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−7−イル]メチルアセテート;
[3−エチル−2,6−ジオキソ−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−7−イル]メチル2,2−ジメチルプロパノエート;
[3−エチル−2,6−ジオキソ−1−プロピル−8−(1−{[3−トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−7−イル]メチルブタノエート;および
[3−エチル−2,6−ジオキソ−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)(1,3,7−トリヒドロプリン−7−イル)]リン酸ニ水素メチルである。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
肝臓病を処置または予防する方法であって、治療効果のある量のA2Bアデノシン受容体拮抗物質を、処置または予防を必要としている哺乳動物に投与することによって、肝臓病を処置または予防する方法。
(項目2)
前記肝臓病が、壊死、線維症、胆汁うっ滞、肝硬変、ウィルスおよびアルコール性肝炎、ウィルソン病、血色素症、脂肪症、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から成る群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記肝臓病が外科的処置の結果である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記肝臓病が肝毒性処置の結果である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記肝毒性処置が肝毒性薬剤の投与を含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記肝毒性薬剤が用量依存性肝毒性薬剤である、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記肝毒性薬剤が、アセブトロール;アセトアミノフェン;アクチノマイシンd;副腎皮質ステロイド;アドリアマイシン;アロプリノール;アモキシシリン/クラブラン酸塩;同化ステロイド薬;抗炎症薬;抗甲状腺薬;アスピリン;アテノロール;アザチオプリン;カプトプリル;カルバマゼピン;カルビマゾール;カルムスティン;セファロスポリン;クロルジアゼポキシド;クロルプロマジン;クロルプロパミド;シメチジン;クロキサシリンフレカイニド;シクロホスファミド;シクロホスファミド/シクロスポリン;シクロスポリン;ダカルバジン;ダナゾール;ダントロレン;ジアゼパム;ジクロフェナク;ジルチアゼム;ジソピラミド;エナラプリル;エンフルラン;エリスロマイシン;エタンブトール;エチオナミド;フルラゼパム;フルタミド;グリブリド;金;グリセオフルビン;ハロペリドール;ハロタン;ヒドララジン;イブプロフェン;イミプラミン;インドメタシン;イソニアジド;ケトコナゾール;ラベタロール;マプロチリン;メルカプトプリン;メトトレキサート;メチルドーパ;メチルテストステロン;メトプロロール;ミアンセリン;マイトマイシン;ナプロキセン;ニコチン酸;ニフェジピン;ニトロフラントイン;非ステロイド系;ノルエタンドロロン;経口避妊薬;オキサシリン;パラアミノサリチル酸;ペニシラミン;ペニシリン;ペニシリン系;フェネルジン;フェニンジオン;フェノバルビタール;フェノチアジン;フェニルブタゾン;フェニトイン;フェニトイントロレアンドマイシン;ピロキシカム;プロベネシド;プロカインアミド;プロポキシフェン;ピラジンアミド;キニジン;キニーネ;ラニチジン;サリチル酸塩;スルホンアミド;スリンダク;タモキシフェン;テルビナフィンhci(ラミシール、スポラノックス);テストステロン;テトラサイクリン;チアベンダゾール;チオクアニン;トロトラスト;トルブタミド;三環系抗鬱薬;バルプロ酸;ベラパミル;ビンクリスチン;ビタミンa;およびこれらの組合せから成る群から選択される、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記肝毒性処置が放射線処置を含む、項目4に記載の方法。
(項目9)
化学療法または放射線の肝毒性副作用を減少させる方法であって、前記処置を受ける哺乳動物に対し、治療効果のある量のA2Bアデノシン受容体拮抗物質を投与することにより化学療法または放射線の肝毒性副作用を減少させる方法。
(項目10)
前記A2Bアデノシン受容体拮抗物質が、化学療法または放射線処置の開始以前に投与される、項目9に記載の方法。
(項目11)
2Bアデノシン受容体拮抗物質が、前記化学療法剤の前記投与と同時に投与される、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記A2Bアデノシン受容体拮抗物質が、式Iまたは式IIの構造を有する項目1に記載の方法:
【化1】


ここで:
およびRは、水素、任意に置換されたアルキル、または−D−E基から独立して選択され、この場合、Dは共有結合またはアルキレンであり、Eは、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアルケニル、または任意に置換されたアルキニルであり、ただし、Dが共有結合であるとき、Eがアルコキシである可能性はないことが条件であり;
は、水素、任意に置換されたアルキル、または任意に置換されたシクロアルキルであり;
Xは、任意に置換されたアリーレン、または任意に置換されたヘテロアリーレンであり;
Yは、共有結合、または1つの炭素原子が、−O−、−S−、または−NH−と任意に置換可能なアルキレンであり、ヒドロキシ、アルコキシ、任意に置換されたアミノ、またはRがヒドロキシ、アルコキシ、もしくはアミノである−CORと任意に置換され;
ただし、前記任意の置換がヒドロキシまたはアミノであり、前記置換が、ヘテロ原子に隣接する炭素原子上に存在する可能性がないことを条件とし;
Zは水素、任意に置換された単環式アリール、または任意に置換された単環式ヘテロアリールであり;
ただし、
(a)Zは、Yが共有結合、Xが、炭素原子によってプリン環に付着した、任意に置換された1,4−ピラゾレンである場合にのみ水素であり;
(b)Xが任意に置換されたアリーレンである場合、Zは、任意に置換されたイミダゾール以外の任意に置換された単環式ヘテロアリールであることを条件とする。
(項目13)
前記A2Bアデノシン受容体拮抗物質が、
3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
[3−エチル−2,6−ジオキソ−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−7−イル]メチルアセテート,
[3−エチル−2,6−ジオキソ−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−7−イル]メチルブタノエート,
[3−エチル−2,6−ジオキソ−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−7−イル]メチル2,2−ジメチルプロパノエート,
[3−エチル−2,6−ジオキソ−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)(1,3,7−トリヒドロプリン−7−イル)]リン酸ニ水素メチル、並びに薬学的に許容可能な塩、およびこれらの溶剤から成る群から選択される、
項目12に記載の方法。
(項目14)
前記A2Bアデノシン受容体拮抗物質が経口投与される、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記A2Bアデノシン受容体拮抗物質がIVによって投与される、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記哺乳動物がヒトである、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記A2Bアデノシン受容体拮抗物質が、式Iまたは式IIの構造を有する項目9に記載の方法:
【化2】


ここで:
およびRは、水素、任意に置換されたアルキル、または−D−E基から独立して選択され、この場合、Dは共有結合またはアルキレンであり、Eは、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアルケニル、または任意に置換されたアルキニルであり、ただし、Dが共有結合であるとき、Eがアルコキシである可能性はないことが条件であり;
は、水素、任意に置換されたアルキル、または任意に置換されたシクロアルキルであり;
Xは、任意に置換されたアリーレンまたはヘテロアリーレンであり;
Yは、共有結合、または1つの炭素原子が、−O−、−S−、または−NH−と任意に置換可能なアルキレンであり、ヒドロキシ、アルコキシ、任意に置換されたアミノ、またはRがヒドロキシ、アルコキシ、もしくはアミノである−CORと任意に置換され;
ただし、該任意の置換がヒドロキシまたはアミノであり、該置換が、ヘテロ原子に隣接する炭素原子上に存在する可能性がないことが条件であり;
Zは水素、任意に置換された単環式アリール、または任意に置換された単環式ヘテロアリールである;
ただし、
(a)Zは、Yが共有結合、Xが、炭素原子によって前記プリン環に付着した、任意に置換された1,4−ピラゾレンである場合にのみ水素であり;
(b)Xが任意に置換されたアリーレンである場合、Zは、任意に置換されたイミダゾール以外の任意に置換された単環式ヘテロアリールであることを条件とする。
(項目18)
前記A2Bアデノシン受容体拮抗物質が、
3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
[3−エチル−2,6−ジオキソ−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−7−イル]メチルアセテート,
[3−エチル−2,6−ジオキソ−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−7−イル]メチルブタノエート,
[3−エチル−2,6−ジオキソ−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−7−イル]メチル2,2−ジメチルプロパノエート,
[3−エチル−2,6−ジオキソ−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)(1,3,7−トリヒドロプリン−7−イル)]リン酸ニ水素メチル、並びに薬学的に許容可能な塩、およびこれらの溶媒和化合物から成る群から選択される、
項目9に記載の方法。
(項目19)
前記A2Bアデノシン受容体拮抗物質が経口投与される、項目9に記載の方法。
(項目20)
前記A2Bアデノシン受容体拮抗物質がIVによって投与される、項目9に記載の方法。
(項目21)
前記哺乳動物がヒトである、項目9に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、HHSC中のAdoRサブタイプのmRNAレベルをグラフで示す。HHSCから単離した全RNAは、リアルタイムRT−PCR分析を行った。AdoRの相対レベルは、β−アクチントランスクリプトの割合として示される。図示のデータは、平均±SEM(n=4)である。ndは、検出されなかったことを意味する。
【図2】図2は、HHSC中における細胞cAMPに対するAdoR作用物質および拮抗物質の作用をグラフで示す。(A)A2B受容体拮抗物質8−(1−{[5−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1−プロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン(化合物(1))(1μM)が存在するか(四角形)または存在しない(三角形)状態におけるCGS−21680(CGS、円形)およびNECAの濃度反応曲線。(B)フォルスコリン(Fsk、10μM)誘導細胞cAMPの蓄積に対するCPA(1μM)およびIB−MECA(IM、1μM)の影響がない状態。図示のデータは、平均±SEM(Aではn=6、Bではn=5)。
【図3】図3は、HHSCによるIL−6の放出に対するアデノシン(A)およびNECA(B)の作用をグラフで示す。細胞は、化合物(1)が存在するかまたは存在しない状態で24時間にわたって、ビヒクル、アデノシン、およびNECAで処理した。処理された細胞からの培地を収集し、ELISAを使用して、IL−6の濃度を決定した。図示のデータは、平均±SEM(n=3)である。:対照と比較してp<0.05;#:BのNECA(10μM)処理細胞と比較してp<0.05。
【図4】図4は、リアルタイムRT−PCRを使用して決定したα−平滑筋アクチン(A)およびα−1プロ−コラーゲン(B)のmRNAレベルに対するNECAの作用を示す。HHSCは、NECA(10μM)で1時間培養した。ビヒクルで培養した細胞は、対照として使用した。標的mRNAの発現量は、β−アクチンの発現に対して正規化した。図示のデータは、平均±SEM(Aではn=4、Bではn=5)である。:対照と比較してp<0.05。
【図5】図5は、HHSCによるコラーゲンの生成に対するNECAの作用を示す。細胞は、化合物(1)または抗−IL−6抗体が存在するかまたは存在しない状態で24時間にわたって、ビヒクル、NECAで処理した。処理された細胞からの培地を収集し、Sircolコラーゲンアッセイを使用して濃度を決定した。図示のデータは、平均±SEM(n=4〜6)である。:対象と比較してp<0.05。#:NECA(10μM)処理細胞と比較してp<−0.05。
【図6】図6は、ADA−/−マウス中のプラズマASTレベルに対するA2B受容体拮抗作用の作用を示す。マウスプラズマは、EDTA中で収集し、ASTの活性は、Infinity(商標)ASTアッセイを使用して決定した。図示のデータは、平均±SEM(n=6〜8)である。:ビヒクル(ADA+V)で処理したADAと比較してp<0.05;#:ビヒクル(ADA−/−V)で処理したADA−/−マウスと比較してp<0.05。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
定義および一般的なパラメータ
本明細書で使用する場合、以下の用語および語句は、一般に、以下に記載する意味を有することを意図するが、これらの用語および語句が使用されている文脈がそうではないことを指示する場合は、この限りではない。
【0022】
「アルキル」という用語は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子を有するモノラジカル分枝または未分枝飽和炭化水素鎖を意味する。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどの基によって例証される。
【0023】
「置換アルキル」という用語は、以下を意味する:
1)アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルフォニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール,−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールから成る群から選択される1、2、3、4または5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有する、上記で定義されるアルキル基。定義上別の制約が加えられない限り、すべての置換基は、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択される1、2または3個の置換基と任意にさらに置換することができ、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。あるいは、
2)上記で定義され、酸素、硫黄およびNR−から個々に選択される1〜10個の原子によって割り込まれているアルキル基であり、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択される。すべての置換基は、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、または−S(O)Rによって任意にさらに置換することができ、Rはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。あるいは、
3)上記で定義される1、2、3、4または5個の置換基を有し、かつ上記で定義される1〜10個の原子によってさらに割り込まれている、上記で定義されるアルキル基。
【0024】
「低級アルキル」という用語は、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有するモノラジカル分枝または未分枝飽和炭化水素鎖を意味する。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル基などの基によって例証される。
【0025】
「置換低級アルキル」という用語は、置換アルキルで定義したような1〜5個の置換基、好ましくは1、2、もしくは3個の置換基を有する、上記で定義される低級アルキル、または置換アルキルで定義したような1、2、3、4、もしくは5個の原子によって割り込まれている、上記で定義される低級アルキル基、または上記で定義される1、2、3、4、または5個の置換基を有し、かつさらに上記で定義される1、2、3、4、もしくは5個の原子によって割り込まれている上記で定義される低級アルキル基を意味する。
【0026】
「アルキレン」という用語は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、さらに好ましくは1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する分枝または未分枝飽和炭化水素鎖のジラジカルを意味する。この用語は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレンアイソマー(たとえば、−CHCHCH−および−CH(CH)CH−)などの基によって例証される。
【0027】
「低級アルキレン」という用語は、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する好ましくは分枝または未分枝飽和炭化水素鎖のジラジカルを意味する。
【0028】
「低級アルキレン」という用語は、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する好ましくは分枝または未分枝飽和炭化水素鎖のジラジカルを意味する。
【0029】
「置換アルキレン」という用語は、以下を意味する:
(1)アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルフォニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールから成る群から選択される1、2、3、4、または5個の置換基を有する、上記で定義されるアルキレン基。定義上別の制約が加えられない限り、すべての置換基は、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択される1、2、または3個の置換基と任意にさらに置換することができ、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリール、およびnは0、1または2である;あるいは
(2)酸素、硫黄およびNR−から別個に選択される1〜20個の原子によって割り込まれている、上記で定義されるアルキレン基であり、ここでRは水素、任意に置換されたアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル、またはカルボニル、カルボキシエステル、カルボキシアミド、およびスルホニルから選択される基である;または
(3)上記で定義される1、2、3、4、または5個の置換基を有し、かつさらに上記で定義される1〜20個の原子によって割り込まれている上記で定義されるアルキレン基。置換アルキレンの例は、クロロメチレン(−CH(Cl)−)、アミノエチレン(−CH(NH)CH−)、メチルアミノエチレン(−CH(NHMe)CH−)、2−カルボキシプロピレンアイソマー類(−CHCH(COH)CH−)、エトキシエチル(−CHCHO−CHCH−)、エチルメチルアミノエチル(−CHCHN(CH)CHCH−)、1−エトキシ−2−(2−エトキシーエトキシ)エタン(−CHCHO−CHCH−OCHCH−OCHCH−)などである。
【0030】
「アラルキル」という用語は、アルキレン基に共有結合するアリール基を意味し、アリールおよびアルキレンは本明細書で定義する。「任意に置換されたアラルキル」は、任意に置換されたアルキレン基に共有結合される任意に置換されたアリール基を意味する。こうしたアラルキル基は、ベンジル、フェニルエチル、3−(4−メトキシフェニル)プロピルなどによって例証される。
【0031】
「アルコキシ」という用語はR−O−基を意味し、ここで、Rは任意に置換されたアルキル、または任意に置換されたシクロアルキルであるか、あるいはRは−Y−Z基であり、Yは任意に置換されたアルキレン、Zは任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル;または任意に置換されたシクロアルケニルであり、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニルは本明細書で定義されるとおりである。好ましいアルコキシ基は、任意に置換されたアルキル−O−であり、一例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシ、トリフルオロメトキシなどが挙げられる。
【0032】
「アルキルチオ」という用語は、R−S−基であり、Rは、アルコキシの場合と同様に定義される。
【0033】
「アルケニル」という用語は、好ましくは2〜20個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、さらに好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、1〜6個、好ましくは1個の二重結合(ビニル)を有する分枝または未分枝不飽和炭化水素基のモノラジカルを意味する。好ましいアルケニル基としては、エテニルまたはビニル(−CH=CH)、1−プロピレンまたはアリル(−CHCH=CH)、イソプロピレン(−C(CH)=CH)、ビシクロ[2.2.1]ヘプテンなどが挙げられる。アルケニルが窒素に付着する場合、二重結合は窒素に対してαである可能性はない。
【0034】
「低級アルケニル」という用語は、2〜6個の炭素原子を有する、上記で定義するアルケニルを意味する。
【0035】
「置換アルケニル」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルフォニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールから成る群から選択される1、2、3、4、または5個の置換基、好ましくは1、2、または3個の置換基を有する、上記で定義されるアルケニル基を意味する。定義上別の制約が加えられない限り、すべての置換基は、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択される1、2、または3個の置換基と任意にさらに置換することができ、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0036】
「アルキニル」という用語は、好ましくは2〜20個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、およびさらに好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1個、好ましくは1〜6個の部位のアセチレン(三重結合)不飽和を有する不飽和炭化水素のモノラジカルを意味する。好ましいアルキニル基としては、エチニル、(−C≡CH)、プロパルギル(またはプロパ−1−イン−3−イル,−CHC≡CH)などが挙げられる。アルキニルが窒素に付着する場合、三重結合が窒素に対してαである可能性はない。
【0037】
「置換アルキニル」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルフォニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリールおよび−SO−ヘテロアリールから成る群から選択される1、2、3、4、または5個の置換基、好ましくは1、2、または3個の置換基を有する、上記で定義されるアルキニル基を意味する。定義上別の制約が加えられない限り、すべての置換基は、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択される1、2、または3個の置換基と任意にさらに置換することができ、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0038】
「アミノカルボニル」という用語は−C(O)NRRを意味し、各々のRは、別個に水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであるか、または両方のR基が結合して、ヘテロ環基(たとえば、モルホリノ)を形成する。定義上別の制約が加えられない限り、すべての置換基は、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択した1〜3置換基と任意にさらに置換することができ、Rはアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0039】
「アシルアミノ」という用語は−NRC(O)R基を意味し、各々のRは、別個に水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルである。定義上別の制約が加えられない限り、すべての置換基は、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択される1〜3置換基と任意にさらに置換することができ、Rはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0040】
「アシルオキシ」という用語は、−O(O)C−アルキル基、−O(O)C−シクロアルキル基、−O(O)C−アリール基、−O(O)C−ヘテロアリール基、および−O(O)C−ヘテロシクリル基を意味する。定義上別の制約が加えられない限り、すべての置換基は、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、または−S(O)Rと任意にさらに置換することができ、Rはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0041】
「アリール」という用語は、単環(たとえば、フェニル)、多環(たとえば、ビフェニル)、または多縮合(融合)環(たとえば、ナフチルもしくはアントリル)を有する6〜20個の炭素原子の芳香族炭素環基を意味する。好ましいアリールとしては、フェニル、ナフチルなどがある。
【0042】
「アリーレン」という用語は、上記で定義するアリール基のジラジカルを意味する。この用語は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、1,4’−ビフェニレンなどの基によって例証される。
【0043】
アリールまたはアリーレン置換基に関して、定義上別の制約が加えられない限り、こうしたアリール基またはアリーレン基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルフォニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール,−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールから選択した1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基と任意にさらに置換することができる。定義上別の制約が加えられない限り、すべての置換基は、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択される1〜3個の置換基と任意にさらに置換することができ、Rはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1または2である。
【0044】
「アリールオキシ」という用語はアリール−O−基を意味し、アリール基が上記のように定義され、上記のように定義される任意に置換されたアリール基を含む。「アリールチオ」という用語はR−S−基を意味し、Rは、アリールに関して定義したとおりである。
【0045】
「アミノ」という用語は、−NH基を意味する。
【0046】
「置換アミノ」という用語は、各々のRが、両方のR基が水素ではないことを条件として、水素、アルキル、シクロアルキル、カルボキシアルキル(たとえば、ベンジルオキシカルボニル)、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから成る群から別個に選択される−NRR基、あるいは、Yが任意に置換されたアルキレン、Zがアルケニル、シクロアルケニル、またはアルキニルである−Y−Z基を意味する。定義上別の制約が加えられない限り、すべての置換基は、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択される1〜3個の置換基と任意にさらに置換することができ、Rはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である。
【0047】
「カルボキシアルキル」という用語は、−C(O)O−アルキル基または−C(O)O−シクロアルキル基を意味し、アルキルおよびシクロアルキルは本明細書に定義するとおりであり、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、または−S(O)R,と任意にさらに置換することができ、ここでRはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である。
【0048】
「シクロアルキル」という用語は、単環または多縮合環を有する3〜20個の炭素原子の炭素環基を意味する。こうしたシクロアルキル基は、一例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなどの単環構造、またはアダマンタニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル、(2,3,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)、またはアリール基が縮合する炭素環基、たとえばインダンなどの多環構造が挙げられる。
【0049】
「置換シクロアルキル基」という用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルフォニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール,−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールから成る群から選択される1、2、3、4、または5個の置換基、好ましくは1、2、または3個の置換基を有するシクロアルキル基を意味する。定義上別の制約が加えられない限り、すべての置換基は、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択される1、2、または3個の置換基と任意にさらに置換することができ、Rはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である。
【0050】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フルオロ、ブロモ、クロロ、およびヨードを意味する。
【0051】
「アシル」という用語は−C(O)R基を意味し、ここでRは水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアリール、および任意に置換されたヘテロアリールである。
【0052】
「ヘテロアリール」という用語は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の炭素原子を有し、並びに少なくとも1つの環内に酸素、窒素、および硫黄から選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有する芳香族環基(つまり、完全不飽和)から誘導されるラジカルを意味する。こうしたヘテロアリール基は、単環(たとえば、ピリジルもしくはフリル)、または多縮合環(たとえば、インドリジニル、ベンゾチアゾリル、またはベンゾチエニル)を有することが可能である。ヘテロアリールの例としては、[1,2,4]オキサジアゾール、[1,3,4]オキサジアゾール、[1,2,4]チアジアゾール、[1,3,4]チアジアゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリンなど、並びにヘテロアリール化合物を含む窒素のN−オキシドおよびN−アルコキシ誘導体、たとえばピリジン−N−オキシド誘導体が挙げられるが、これらだけに限らない。
【0053】
「ヘテロアリーレン」という用語は、上記のように定義されるヘテロアリール基のジラジカルを意味する。この用語は、2,5−イミダゾレン、3,5−[1,2,4]オキサジアゾレン、2,4−オキサゾレン、1,4−ピラゾレンなどの基によって例証される。たとえば、1,4−ピラゾレンは、以下のとおりである:
【0054】
【化5】

ここで、Aは付着点を表す。
【0055】
ヘテロアリールまたはヘテロアリーレン置換基に関して、定義上別の制約が加えられない限り、こうしたヘテロアリールまたはヘテロアリーレン基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルフォニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール,−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールから成る群から選択される1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基と任意に置換することができる。定義上別の制約が加えられない限り、すべての置換基は、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択される1〜3個の置換基と任意にさらに置換することができ、Rはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である。
【0056】
「ヘテロアラルキル」という用語は、アルキレン基に共有結合されるヘテロアリール基を意味し、ヘテロアリールおよびアルキレンは、本明細書で定義するとおりである。「任意に置換されたヘテロアラルキル」は、任意に置換されたアルキレン基に共有結合される任意に置換されたヘテロアリール基を意味する。こうしたヘテロアラルキル基は、3−ピリジルメチル、キノリン−8−イルエチル、4−メトキシチアゾール−2−イルプロピルなどによって例証される。
【0057】
「ヘテロアリールオキシ」は、ヘテロアリール−O−基を意味する。
【0058】
「ヘテロシクリル」という用語は、1〜40個の炭素原子を有し、環内に窒素、硫黄、リン、および/または酸素から選択される1〜10個のヘテロ原子、好ましくは1、2、3または4個のヘテロ原子を有する単環または多縮合環を有するモノラジカル飽和または部分不飽和基を意味する。ヘテロ環基は、単環または多縮合環を有し、テトラヒドロフラニル、モルホリノ、ピペリジニル、ピペラジノ、ジヒドロピリジノなどを含むことが可能である。
【0059】
ヘテロ環置換基に関して、定義上別の制約が加えられない限り、こうしたヘテロ環基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、チオカルボニル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ヘテロシクリルチオ、チオール、アルキルチオ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アミノスルフォニル、アミノカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−アリール,−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールから選択される1、2、3、4、または5個、好ましくは1、2、または3個の置換基と任意に置換することができる。定義上別の制約が加えられない限り、すべての置換基は、アルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、アミノカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲン、CF、アミノ、置換アミノ、シアノ、および−S(O)Rから選択される1〜3個の置換基と任意にさらに置換することができ、Rはアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、nは0、1、または2である。
【0060】
「チオール」という用語は、−SH基を意味する。
【0061】
「置換アルキルチオ」という用語は、−S−置換アルキル基を意味する。
【0062】
「ヘテロアリールチオール」という用語は、−S−ヘテロアリール基を意味する。ヘテロアリール基は上記で定義されるとおりであり、やはり上記で定義される任意に置換されたヘテロアリール基を含む。
【0063】
「スルホキシド」という用語は、Rがアルキル、アリール、またはヘテロアリールである−S(O)R基を意味する。「置換スルホキシド」は、Rが、上記で定義される置換アルキル、置換アリール、または置換ヘテロアリールである−S(O)R基を意味する。
【0064】
「スルホン」という用語は、Rがアルキル、アリール、またはヘテロアリールである−S(O)R基を意味する。「置換スルホン」は、Rが、本明細書で定義する置換アルキル、置換アリール、または置換ヘテロアリールである−S(O)R基を意味する。
【0065】
「ケト」は、−C(O)−基を意味する。
【0066】
「チオカルボニル」という用語は、−C(S)−基を意味する。
【0067】
「カルボキシ」という用語は、−C(O)−OH基を意味する。
【0068】
「任意の」または「任意に」は、後に続いて記述される事象または状況が発生する場合もあるし、発生しない場合もあり、この記述は、前記の事象または状況が発生する場合、および発生しない場合を含むことを意味する。
【0069】
「式Iおよび式IIの化合物」という用語は、ここに開示する本発明の化合物、薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能エステル、プロドラッグ、水和物、およびこうした化合物の多形態を含むことを意図する。さらに、本発明の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含む場合があり、ラセミ混合物、または個々の光学異性体もしくはジアステレオ異性体として生成することができる。式Iの任意の一定の化合物中に存在する立体異性体の数は、存在する不斉中心の数によって決まる(2個のの立体異性体の存在が可能であり、nは不斉中心の数である)。個々の立体異性体は、合成のある適切な段階における中間体のラセミもしくは非ラセミ混合物を分離するか、または式Iの化合物を従来の手段で分離することによって取得することが可能である。個々の立体異性体(個々の光学異性体およびジアステレオ異性体を含む)、並びに立体異性体のラセミおよび非ラセミ混合物は本発明の範囲に含まれ、これらはすべて、特記しない限り、本明細書の構造によって記述することを意図されている。
【0070】
「異性体」は、同じ分子式を有する異なる化合物である。
【0071】
「立体異性体」は、原子が空間内に配置される状態のみが異なる異性体である。
【0072】
「光学異性体」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である1対の立体異性体である。1対の光学異性体の1:1の混合物が「ラセミ」混合物である。「(±)」という用語は、適切な場合にラセミ混合物を示すために使用する。
【0073】
「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、これらは互いの鏡像ではない立体異性体である。
【0074】
絶対立体配置は、Cahn−Ingold−Prelog R−S法に従って規定される。化合物が純粋な光学異性体である場合、各々のキラル炭素の立体配置は、RまたはSによって規定し得る。絶対構成が未知の分解化合物は、これらが、ナトリウムD線の波長で偏向の平面を回転させる方向(右旋回性または左旋回性)に応じて、(+)または(−)で指示される。
【0075】
「局所性投与」は、外傷組織および隣接する上皮組織の表面に対する治療薬の送達として定義するものとする。
【0076】
「非経口投与」は、患者に対する注射を介した治療薬の全身送達である。
【0077】
「治療効果のある量」という用語は、治療を必要とする哺乳動物に投与する場合、以下で定義するとおり、治療するのに十分な式Iの化合物の量を意味する。治療効果のある量は、使用する治療薬の特定の活性、患者の年齢、健康状態、その他の病状有無、および栄養状態に応じて異なるであろう。さらに、患者が服用し得るその他の薬物は、投与する治療薬の治療効果のある量の決定に影響する。
【0078】
「処置」または「処置する」という用語は、以下など、哺乳動物の疾病の何らかの処置を意味する:
(i)疾病を予防する、つまり、疾病の臨床症状を発現させない;
(ii)疾病を抑制する、つまり、臨床症状の発現を阻止する;および/または
(iii)疾病を緩和する、つまり、臨床症状を沈静させる。
【0079】
多くの場合、本発明の化合物は、アミノおよび/またはカルボキシ基、または類似の基の存在によって、酸性および/または塩基性塩を形成することが可能である。「薬学的に許容可能な塩」という用語は、式Iの化合物の生物学的効果および特性を維持し、生物学的に、または他の点で望ましくないわけではない塩を意味する。薬学的に許容可能な塩基添加塩は、無機および有機塩基から調製することができる。無機塩基から誘導される塩は、単なる一例として、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基から誘導される塩としては、一級、二級および三級アミンの塩、たとえばアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、二置換シクロアルキルアミン、三置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、二置換シクロアルケニルアミン、三置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、ヘテロ環アミン、ジヘテロ環アミン、トリヘテロ環アミン、混合ジ−およびトリ−アミンが挙げられるが、これらだけに限らず、ここで、アミンの少なくとも2つの置換基は異なり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環などから成る群から選択される。また、2個または3個の置換基が、アミノ窒素とともにヘテロ環またはヘテロアリール基を形成するアミンも含まれる。
【0080】
適切なアミンの特定の例は、単なる一例として、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソ−プロピル)アミン、トリ(n−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N−エチルピペリジンなどが挙げられる。
【0081】
薬学的に許容可能な酸付加塩は、無機および有機酸から調製することができる。無機酸から誘導される塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸から誘導される塩としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
【0082】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能な担体」としては、あらゆる溶剤、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌薬、等浸透圧性および吸収遅延剤などが挙げられる。こうした媒体および薬剤を薬学的に活性の物質に対して使用することは、先行技術で十分に公知である。従来の媒体または薬剤が有効成分と不適合な場合を除いて、これらを治療用組成物に使用することを意図する。補助的な有効成分も、これらの組成物中に組み込むことができる。
【0083】
命名法
本発明の化合物の命名および番号付けについて、式Iの代表的な化合物に関して示し、ここで、Rはn−プロピル、RおよびRは水素、Xはピラゾール−4−イレン、Yはメチレン、およびZは5−(4−クロロフェニル)1,2,4−オキサジアゾール−3−イルであり、
【0084】
【化6】

以下のとおり命名する:
8−(1−{[5−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1−プロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン。
【0085】
本発明の方法
本発明は、肝臓病の予防および処置を必要としている哺乳動物に、治療効果のある量のA2Bアデノシン受容体拮抗物質を投与することによって、肝臓病を予防および/または処置する方法に関する。理論に拘るつもりはないが、A2Bアデノシン受容体拮抗物質が線維成長を防止する能力は、これらの化合物に対し、肝臓病を予防および処置する能力を与えると考えられる。
【0086】
肝線維成長は、ウィルスおよびアルコール性肝炎、ウィルソン病、血色素症、脂肪症、および非アルコール性脂肪性肝炎の重要な要素であり、外科的な傷害、つまり肝臓置換もしくは修復、または肝毒性内科療法、つまり放射線、化学療法の薬剤、抗生物質、制吐薬などの結果である場合があるため、本発明の方法は、一般に、上記の症状のどれかを罹患しているか、または肝毒性処置を受けている患者に対して、A2Bアデノシン受容体拮抗物質を投与することを伴うであろう。
【0087】
癌の処置における化学療法および放射線処置は、最も一般的なタイプの肝毒性処置のうちの2つである。癌の処置に使用される肝毒性薬剤としては、アドリアマイシン、メトトレキサート、6メルカプトプリン、カルボプラチン、DTIC(ダカルバジン)、BiCNU、1−アスパラギナーゼ、およびペントスタチンが挙げられるが、これらだけに限らない。
【0088】
肝毒性作用を有することが公知のその他の薬剤としては、アセブトロール;アセトアミノフェン;アクチノマイシンd;副腎皮質ステロイド;アドリアマイシン;アロプリノール;アモキシシリン/クラブラン酸塩;同化ステロイド薬;抗炎症薬;抗甲状腺薬;アスピリン;アテノロール;アザチオプリン;カプトプリル;カルバマゼピン;カルビマゾール;カルムスティン;セファロスポリン;クロルジアゼポキシド;クロルプロマジン;クロルプロマジン/バルプロ酸;クロルプロパミド;クロロプロパミド/エリスロマイシン(組合せ);シメチジン;クロキサシリンフレカイニド;シクロホスファミド;シクロホスファミド/シクロスポリン;シクロスポリン;ダカルバジン;ダナゾール;ダントロレン;ジアゼパム;ジクロフェナク;ジルチアゼム;ジソピラミド;エナラプリル;エンフルラン;エリスロマイシン;エタンブトール;エチオナミド;フルラゼパム;フルタミド;グリブリド;金;グリセオフルビン;ハロペリドール;ハロタン;ヒドララジン;イブプロフェン;イミプラミン;インドメタシン;イソニアジド;ケトコナゾール;ラベタロール;マプロチリン;メルカプトプリン;メトトレキサート;メチルドーパ;メチルテストステロン;メトプロロール;ミアンセリン;マイトマイシン;ナプロキセン;ニコチン酸;ニフェジピン;ニトロフラントイン;非ステロイド系;ノルエタンドロロン;経口避妊薬;オキサシリン;パラ−アミノサリチル酸;ペニシラミン;ペニシリン;ペニシリン系;フェネルジン;フェニンジオン;フェノバルビタール;フェノチアジン;フェニルブタゾン;フェニトイン;フェニトイントロレアンドマイシン;ピロキシカム;プロベネシド;プロカインアミド;プロポキシフェン;ピラジンアミド;キニジン;キニーネ;ラニチジン;サリチル酸塩;スルホンアミド;スリンダク;タモキシフェン;テルビナフィンhci(ラミシール、スポラノックス);テストステロン;テトラサイクリン;チアベンダゾール;チオクアニン;トロトラスト;トルブタミド;三環系抗鬱薬;バルプロ酸;ベラパミル;ビンクリスチン;およびビタミンaが挙げられるが、これらだけに限らない。
【0089】
肝線維成長の開始は、ヒト肝星細胞(HHSC)の活性化で始まる。HHSCは、活性化後、タイプ1コラーゲンが豊富な繊維性マトリックスの合成を開始する。この線維性マトリックスは、最終的には、従来から肝繊維症と呼ばれている瘢痕化を生じる。本願の出願人は、意外にも、A2Bアデノシン受容体が肝繊維症の発現に関与していることを発見したが、それは、HHSC中の A2B受容体の活性化が、IL−6の放出およびα−平滑筋アクチンの発現、HHSC活性化の標識を誘発するためである。IL−6の放出は、ひいてはコラーゲンの生成を刺激することが実証された。A2B受容体の抑制は、NECAが誘発するIL−6の放出、およびコラーゲンの生成を減少させることが実証された。
【0090】
2Bアデノシン受容体拮抗物質は、経口または静脈内投与製剤として全身的に投与されるが、注射を介して肝組織に直接投与するしてもよい。この投与は、単回投与、または複数回の指定された間隔で与えられる反復投与として行うことができる。当業者には、好ましい用量は、処置される症状の患者および重症度に応じて異なることが容易に理解されるであろう。
【0091】
薬学的組成物
式Iの化合物は、アデノシンA2B受容体拮抗物質として選択された場合、一般に、薬学的組成物の形式で投与される。したがって、本発明は、有効成分として、式Iもしくは式IIの1つもしくは複数の化合物、または薬学的に許容可能な塩もしくはそのエステル、並びに薬学的に許容可能な1つまたは複数の賦形剤、不活性固体希釈剤および充填剤を含む担体、減菌水溶液および様々な有機溶剤を含む希釈剤、可溶化剤および補助剤を含有する薬学的組成物を提供する。式Iおよび/または式IIの化合物は、単独で、または他の治療薬と組み合わせて投与することができる。こうした組成物は、調合技術で十分に公知の方法で調製される(たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Co.,ペンシルベニア州フィラデルフィア,PA第17版(1985年)および”Modern Pharmaceutics”,Marcel Dekker,Inc.第3版.(G.S.Banker & CT.Rhodes,Eds.参照)。
【0092】
2Bアデノシン受容体拮抗物質
本発明の方法には、任意のA2Bアデノシン受容体拮抗物質を使用することができる。A2B受容体に拮抗する多くの化合物は、特定の化合物がこうした活性を有するかどうかを判断するための方法など、先行技術で公知である。たとえば、Feoktistov and Baggioni,((1997年)Pharmacological Reviews 49:381−402)による総説は、アデノシン受容体の4つのサブタイプすべてに対する8つのアデノシン受容体作用物質と、8つの拮抗物質との結合親和性を報告している。本明細書で引用する参考文献は、使用される手順の詳細な説明を提供する。(Robeva等(1996年)J.Drug Dev.Res 39:243−252;Jacobson等(1996年)Drug Dev.Res.39:289−300;Feoktistov and Baggioni(1993年)Molecular Pharmacology 43:909−914)。受容体に対する化合物の結合親和性を判断するのに効果的な方法は、放射性同位体で標識する作用物質または拮抗物質と、この受容体を含むことが公知の膜画分に対する当該化合物との結合の相互関係を使用する;たとえば化合物がA2B拮抗物質であるかどうかを判断する場合、膜画分はA2Bアデノシン受容体を含むであろう。化合物がA2B拮抗物質であるかどうかを判断するのに特に効果的なもう1つの手順は、米国特許第5,854,081号に報告されている。
【0093】
したがって、A2B受容体のサブタイプのために選択できる化合物は、本発明の方法に好ましい。こうした化合物の一例は、3−n−プロピルキサンチン(エンプロフィリン)だが、これだけに限らない。適切な化合物は、米国特許第6,545,002号にも開示されている。A2B受容体のほかに、その他の受容体に拮抗する化合物も本発明に使用するのに適する。こうした化合物の一例は、1,3−ジプロピル−8−(p−アクリル)フェニルキサンチンである。
【0094】
特に好ましい1つのクラスのA2Bアデノシン受容体拮抗物質は、本願と同一の所有権者による同時係属米国特許第6,825,349号、米国特許出願公開公報第20040176399号として公開された本願と同一所有権者による同時係属米国特許出願第10/719,102号、米国特許出願公開公報第20060293283として公開された本願と同一所有権者による同時係属米国特許出願第11/453,414号に開示されている物質である。これらの特許出願に開示されている化合物は、発明の開示に記載する式I、式II、式IIIの構造を有し、参考文献に記載されているとおり、または以下に説明するように合成することができる。
【0095】
合成反応パラメータ
「溶剤」、「不活性有機溶剤」、または「不活性溶剤」という用語は、これらに関連して説明される反応の条件下で不活性の溶剤を意味する[たとえば、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、クロロホルム、塩化メチレン(またはジクロロメタン)、ジエチルエーテル、メタノール、ピリジンなどを含む]。逆に指定されていない限り、本発明の反応に使用される溶剤は不活性有機溶剤であり、反応は、不活性ガス、好ましくは窒素下で行われる。
【0096】
「q.s.」という用語は、ある決まった機能を達成するのに十分な量、たとえば溶液を所望の量(つまり100%)にするのに十分な量を添加することを意味する。
【0097】
式IおよびIIの化合物の合成
が水素である式IまたはIIの化合物を調製するのに好ましい1つの方法を反応スキームIに示す。
【0098】
反応スキームI
【0099】
【化7】

ステップ1−式(2)の調製
式(2)の化合物は、還元ステップで式(1)の化合物から製造される。従来の還元技術を用いればよく、たとえばアンモニア水溶液中で亜ジチオン酸ナトリウムを使用すればよい;好ましくは、還元は水素および金属触媒を使用して実施される。この反応は、たとえば、10%パラジウム−炭素触媒などの触媒の存在下、メタノールなどの不活性溶剤中で、水素の雰囲気下において、好ましくはたとえば約30psiの圧力下で約2時間行われる。反応が実質的に完了したら、式(2)の生成物は、従来の手段で単離され、式(2)の化合物を提供する。
【0100】
ステップ2−式(3)の調製
次に、式(2)の化合物は、カルボジイミド、たとえば1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩の存在下で、式Z−Y−X−COHのカルボン酸と反応させる。この反応は、プロトン性溶媒、たとえばメタノール、エタノール、プロパノールなど、好ましくはメタノール中で、約20〜30℃、好ましくはほぼ室温で、約12〜48時間、好ましくは約16時間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、式(3)の生成物は、従来の方法で、たとえば減圧下で溶剤を除去し、生成物を洗浄することによって単離される。あるいは、次のステップは、さらに精製を行わずに実施することができる。
【0101】
式(3)の化合物の別の調製
あるいは、式Z−Y−X−COHのカルボン酸は、先ず、ハロゲン化剤、たとえば塩化チオニルまたは臭化チオニル、好ましくは塩化チオニルと反応させることによって、Lがクロロまたはブロモである式Z−Y−X−C(O)Lの酸ハロゲン化物に変換される。あるいは、塩化オキサリル、五塩化リン、またはオキシ塩化リンを使用することができる。この反応は、溶剤が存在しない状態で過剰なハロゲン化剤を使用して、約60〜80℃、好ましくは約70℃の温度で、約1〜8時間、好ましくは約4時間にわたって行うことが好ましい。反応が実質的に完了したら、式Z−Y−X−C(O)Lの生成物は、従来の方法で、たとえば減圧下で過剰なハロゲン化剤を除去することによって単離される。
【0102】
この生成物は、次に、アセトニトリルなどの不活性溶剤中で、トリエチルアミンなどの第3級塩基の存在下で、式(2)の化合物と反応させる。この反応は、約0C初期温度で行われ、次に20〜30℃まで、好ましくはほぼ室温まで約12〜48時間、好ましくは約16時間にわたって加熱する。反応が実質的に完了したら、式(3)の生成物は、従来の方法で、たとえば反応混合物を水で希釈し、生成物を濾過して除去し、生成物を水で、次にエーテルで洗浄することによって単離される。
【0103】
ステップ3−式Iの調製
次に、式(3)の化合物は、環化反応によって式Iの化合物に変換する。この反応は、プロトン性溶媒、たとえばメタノール、エタノール、プロパノールなど、好ましくはメタノール中において、塩基、たとえば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液の存在下で、約50〜80℃、好ましくは約80℃の温度で、約1〜8時間、好ましくは約3時間にわたって行う。反応が実質的に完了したら、式Iの生成物は、従来の方法で、たとえば減圧下で溶剤を除去し、残留物を酸性水溶液で酸性化し、生成物を濾過して除去し、次に生成物を洗浄して乾燥させることによって単離される。
【0104】
式(1)の化合物は、様々な方法で調製し得る。1つの好ましい方法を反応スキームIIに示す。
【0105】
反応スキームII
【0106】
【化8】

ステップ1−式(5)の調製
式(4)の化合物は、市販されているか、または先行技術で十分に公知の手段で調製される。この化合物は、プロトン性溶媒、たとえばエタノール中で、ナトリウムエトキシドなどの強塩基の存在下でエチルシアノアセテートと反応させる。この反応は、ほぼ還流温度で、約4〜約24時間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、こうして生成された式(5)の化合物は、従来の方法で単離される。
【0107】
ステップ2および3−式(7)の調製
式(5)の化合物は、N,N−ジメチルホルムアミドなどの極性溶剤中で、N,N−ジメチルホルムアミドのジメチルアセタールと反応させる。この反応は、約40℃で約1時間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、こうして生成された式(6)の化合物は、Halがクロロ、ブロモ、またはヨードである式RHalの化合物と、たとえば炭酸カリウムなどの塩基の存在下で反応させる。この反応は、約80℃で約4〜24時間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、式(7)の生成物は、従来の方法で、たとえば減圧下で溶剤を蒸発させて単離され、残留物は、さらに精製されることなく、次の反応に使用される。
【0108】
ステップ4−式(8)の調製
式(7)の化合物は、たとえばメタノール中に懸濁させた極性溶剤中で、アンモニア水と反応させる。この反応は、ほぼ室温で約1〜3日間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、式(8)の生成物は、従来の方法で、たとえばシリカゲルカラム上のクロマトグラフィ、たとえばジクロロメタン/メタノール混合物による溶出により単離される。
【0109】
ステップ5−式(1)の調製
式(8)の化合物は、次に、酸性水溶液性溶剤、好ましくは酢酸および水、たとえば50%酢酸/水と混合する。この反応は、約50〜90℃、好ましくは約70℃の温度で約1時間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、式(1)の生成物は従来の手段で単離される。
【0110】
あるいは、この反応は、ジメチルホルムアミドおよび水などの水性溶剤中で行って、塩酸などの強酸と反応させることができる。
【0111】
式(8)の化合物は、反応スキームIIAに示す類似の方法を使用して、式(10)の化合物から調製することができる。
【0112】
反応スキームIIA
【0113】
【化9】

ステップ2および3−式(7)の調製
式(10)の化合物は、N,N−ジメチルホルムアミドなどの極性溶剤中で、N,N−ジメチルホルムアミドのジメチルアセタールと反応させる。この反応は、約40℃で約1時間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、こうして生成された式(6a)の化合物は、Halがクロロ、ブロモ、またはヨードである式RHalの化合物と、たとえば炭酸カリウムなどの塩基の存在下で反応させる。この反応は、約80℃で約4〜24時間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、式(7)の生成物は、従来の方法で、たとえば、減圧下で溶剤を蒸発させることによって単離し、残留物は、さらに精製されることなく、次の反応に使用される。
【0114】
ステップ4−式(8)の調製
式(7)の化合物は、たとえばメタノール中に懸濁させた極性溶剤中で、アンモニア水と反応させる。この反応は、ほぼ室温で、たとえば約1〜3日間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、式(8)の生成物は、従来の方法で、たとえばシリカゲルカラム上のクロマトグラフィ、たとえばジクロロメタン/メタノール混合物による溶出により単離される。
【0115】
式(3)の化合物は、様々な方法により調製することもできる。好ましい1つの方法は、反応スキームIIIに示す。
【0116】
反応スキームIII
【0117】
【化10】

ステップ1−式(10)の調製
市販の化合物6−アミノラウシルは、硫酸アンモニウムなどの触媒の存在下で、たとえば溶剤としての過剰なヘキサメチルジシラザンと反応させることによって先ずシリル化する。この反応は、ほぼ還流温度で約1〜10時間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、こうして生成されたシリル化化合物は、従来の方法で単離され、次に、Halがクロロ、ブロモ、またはヨードである式RHalの化合物と、好ましくは溶剤の非存在下で反応させる。この反応は、約4〜48時間、好ましくは約12〜16時間にわたってほぼ還流で行われる。反応が実質的に完了したら、式(10)の生成物は、従来の手段で単離される。
【0118】
ステップ2−式(11)の調製
式(10)の化合物は、次に、含水酢酸などの酸性水溶液中に溶出し、亜硝酸ナトリウムと反応させる。この反応は、約20〜50℃、好ましくは約30℃の温度で、約30分間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、式(11)の生成物は、濾過などの従来の方法で単離される。
【0119】
ステップ3−式(12)の調製
式(11)の化合物は、次に、ジアミノ誘導体に還元する。一般に式(11)の化合物はアンモニア水中に溶出させてから、ヒドロ亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を添加する。この反応は、約70℃の温度で行われる。反応が実質的に完了したら、式(12)の生成物は、従来の方法で、たとえば冷却した反応混合物を濾過することによって単離される。
【0120】
ステップ4−式(13)の調製
式(12)の化合物は、次に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩などのカルボジイミドの存在下で、式Z−Y−X−COHのカルボン酸と反応させる。この反応は、約20〜30℃の温度で約12〜48時間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、式(13)の生成物は、従来の方法で、たとえば冷却した反応混合物を濾過することによって単離される。
【0121】
あるいは、式Z−Y−X−COHのカルボン酸は、塩化チオニルまたは臭化チオニルなどのハロゲン化剤と反応させることによって、Lがクロロまたはブロモである式Z−Y−X−C(O)Lの酸ハロゲン化物に変換する;あるいは、五塩化リンまたはオキシ塩化リンを使用し得る。この反応は、溶剤が存在しない状態で過剰なハロゲン化剤を使用して、たとえば約60〜80℃、好ましくは約70℃の温度で、約1〜8時間、好ましくは約4時間にわたって行うことが好ましい。反応が実質的に完了したら、式Z−Y−X−C(O)Lの生成物は、従来の方法で、たとえば過剰なハロゲン化剤を減圧下で除去することによって単離される。
【0122】
式Z−Y−X−C(O)Lは、次に、アセトニトリルなどの不活性溶剤中で、トリエチルアミンなどの第3級塩基の存在下で式(12)の化合物と反応させる。この反応は、約0℃の初期温度で行われ、次に、20〜30℃まで、好ましくはほぼ室温まで約12〜48時間、好ましくは約16時間にわたって加温する。反応が実質的に完了したら、式(13)の生成物は、従来の方法で、たとえば反応混合物を水で希釈し、生成物を濾過し、生成物を水、次にエーテルで洗浄することによって単離される。
【0123】
ステップ5−式(3)の調製
式(13)の化合物は、たとえば炭酸カリウムなどの塩基の存在下で、Halがクロロ、ブロモ、またはヨードである式RHalと反応させる。この反応は、ほぼ室温で、約4〜24時間、好ましくは約16時間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、式(3)の生成物は、従来の方法で、たとえば減圧下で溶剤を蒸発させることによって単離し、残留物は、従来の方法で精製し得るか、またはさらに精製せずに次の反応で使用することができる。
【0124】
式(3)の化合物を調製する別の方法を反応スキームIVに示す。
【0125】
反応スキームIV
【0126】
【化11】

ステップ1−式(14)の調製
式(5)の化合物は、次に、酸性水溶液性溶剤、好ましくは酢酸および水、たとえば50%酢酸/水中で亜硝酸ナトリウムと混合する。この反応は、約50〜90℃、好ましくは約70℃の温度で約1時間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、式(14)の生成物は、従来の手段で単離される。
【0127】
あるいは、この反応は、ジメチルホルムアミドおよび水などの水性溶剤中で行い、塩酸などの強酸と反応させることができる。
【0128】
ステップ3−式(15)の調製
式(14)の化合物は、次に、ジアミノ誘導体に還元される。一般に、式(14)の化合物はアンモニア水中に溶出させてから、ヒドロ亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を添加する。この反応は、約70℃の温度で行われる。反応が実質的に完了したら、式(15)の生成物は、従来の方法で、たとえば冷却した反応混合物を濾過することによって単離される。
【0129】
ステップ4−式(16)の調製
式(15)の化合物は、次に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩などのカルボジイミドの存在下で、式Z−Y−X−COHのカルボン酸と反応させる。この反応は、約20〜30℃の温度で約12〜48時間にわたって、メタノールなどの不活性溶剤中で行われる。反応が実質的に完了したら、式(16)の生成物は、従来の方法で、たとえば冷却した反応混合物を濾過することによって単離される。
【0130】
あるいは、式Z−Y−X−COHのカルボン酸は、塩化チオニルまたは臭化チオニルなどのハロゲン化剤と反応させることによって、Lがクロロまたはブロモである式Z−Y−X−C(O)Lの酸ハロゲン化物に変換される;あるいは、五塩化リンまたはオキシ塩化リンを使用することができる。この反応は、溶剤の非存在下で過剰なハロゲン化剤を使用して、たとえば約60〜80℃、好ましくは約70℃の温度で、約1〜8時間、好ましくは約4時間にわたって行うことが好ましい。反応が実質的に完了したら、式Z−Y−X−C(O)Lの生成物は、従来の方法で、たとえば減圧下で過剰なハロゲン化剤を除去することによって単離される。
【0131】
式Z−Y−X−C(O)Lの生成物は、次に、アセトニトリルなどの不活性溶剤中で、トリエチルアミンなどの第3級塩基の存在下で、式(15)の化合物と反応させる。この反応は、約0Cの初期温度で行われ、次に20〜30℃まで、好ましくはほぼ室温まで、約12〜48時間、好ましくは約16時間にわたって加温する。反応が実質的に完了したら、式(16)の生成物は、従来の方法で、たとえば反応混合物を水で希釈し、生成物を濾過して除去し、生成物を水、次にエーテルで洗浄することによって単離される。
【0132】
ステップ5−式(3)の調製
式(16)の化合物は、Halがクロロ、ブロモ、またはヨードである式RHalの化合物と、たとえば炭酸カリウムなどの塩基の存在下で反応させる。この反応は、約80℃で、約4〜24時間、好ましくは約16時間にわたって行われる。反応が実質的に完了したら、式(3)の生成物は、従来の方法で、たとえば減圧下で溶剤を蒸発させることによって単離され、残留物は、従来の方法で精製することができるか、またはさらに精製せずに次の反応に使用することができる。
【0133】
Xがピラゾール−1,4−イル、Yがメチレン、およびZが3−トリフルオロメチルフェニルであるZ−Y−X−COHの化合物の合成の一例を反応スキームVに示す。
【0134】
反応スキームV
【0135】
【化12】

エチルピラゾール−4−カルボキシレートは、炭酸カリウムの存在下において、アセトン中で1−(ブロモメチル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンと反応させる。この生成物エチル1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボキシレートは、次に、メタノール中で水酸化カリウムによって加水分解して、1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸を提供する。
【0136】
有用性のテストおよび管理
一般的な有用性
本発明の方法および薬学的組成物は、哺乳動物の肝繊維症および/または肝炎の予防および処置に有効である。肝臓病の代表的な原因としては、ウィルスおよびアルコール性肝炎、ウィルソン病、血色素症、脂肪症、および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が挙げられるが、これらだけに限らない。肝臓病は、外科的処置、つまり肝臓置換もしくは修復の結果として、または薬物により誘発される肝臓障害の結果としても生じ得る。
【0137】
テスト
活性テストは、上記の特許および特許出願、並びに以下の実施例に記載されているように、また当業者にとって明らかな方法で行われる。
【0138】
投与
式Iの化合物は、類似の効果を有する薬剤の投与に認められている様式の何れかにより単回または複数回の投薬で投与することができ、たとえば、引用することにより本願に援用される特許および特許出願に記載されているように、口腔、鼻腔内、動脈内注射、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉注射、皮下、経口などにより、または吸入薬として投与することができる。
【0139】
経口投与は、式Iの化合物の投与に好ましい手段である。投与は、カプセルまたは腸溶性錠剤などを介して行ってよい。式Iの少なくとも1つの化合物を含む薬学的組成物を生成する場合、有効成分は、一般に、賦形剤で希釈されるか、および/または担体内に封入され、こうした担体は、カプセル、サシェ、紙、もしくはその他の容器の形態でよい。賦形剤を希釈剤として使用する場合、有効成分のビヒクル、担体または媒体として作用する固体、半固体、または液体材料(上記)でよい。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、粉末、トローチ剤、サシェ、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液,乳剤,溶液、シロップ、エアロゾル(固体として、または液状媒質中における)、たとえば最大10重量%の活性化合物を含む軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル、無菌注射液剤、および無菌パッケージ化粉末の形態でよい。
【0140】
適切な賦形剤のいくつかの例として、乳糖、右旋糖、蔗糖、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、カルシウムシリケート、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、減菌水、シロップ、およびメチルセルロースが挙げられる。製剤はさらに、タルクなどの平滑剤、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油;湿潤剤;乳化および懸濁化剤;メチル−およびプロピルヒドロキシ−ベンゾエートなどの保存剤;甘味剤;並びに香味料を含むことができる。
【0141】
本発明の組成物は、先行技術で公知の方法により患者に投与した後、有効成分の迅速な、持続的な、または遅延した放出が行われるように処方することができる。経口投与のための制御放出薬物の送達システムは、ポリマー塗布された貯蔵部または薬物−ポリマーマトリックス製剤を含む浸透圧ポンプシステムおよび溶出システムを備える。制御放出システムの例は、米国特許第3,845,770号;第4,326,525号;第4,902514号;および第5,616,345号に記載されている。本発明の方法に使用される別の製剤は、経皮的送達デバイス(パッチ)を使用する。こうした経皮性パッチは、本発明の化合物を制御された量で連続的または不連続的に注入するために使用し得る。医薬品を送達するための経皮パッチの構造および使用は、先行技術で十分に公知である。たとえば、米国特許第5,023,252号、第4,992,445号、および第5,001,139号参照。こうしたパッチは、医薬品を連続的、パルス式、または必要に応じて送達するように構成することができる。
【0142】
アデノシンA2B受容体の拮抗物質、たとえば式Iの化合物は、広範な投与範囲に効果的であり、一般的に、薬剤有効量で投与される。一般に、経口投与の場合、各々の投与単位は、1mg〜2g、より一般的には1〜700mgのアデノシンA2B受容体拮抗物質を含み、非経口投与の場合は、1〜700mg、より一般的には約2〜200mgのアデノシンA2B受容体拮抗物質を含む。しかし、実際に投与されるアデノシンA2B受容体拮抗物質の量は、医師が、処置対象の状態、選択される投与経路、投与される実際の化合物およびその相対的な活性、個々の患者の年齢、体重、および反応、患者の症状の重症度などを含む関連する状況を考慮して決定するであろう。
【0143】
錠剤などの固体組成物を調製する場合、主な有効成分は、医薬品賦形剤と混合して、本発明の化合物の均質な混合物を含む固体前処方組成物を形成する。これらの前処方組成物に関して均質と言う場合、有効成分が組成物全体に均一に分散し、その結果、組成物が、錠剤、丸剤、およびカプセルなど、一様に効果的な単位投与形式に容易に再分割し得ることを意味する。
【0144】
本発明の錠剤または丸剤は、持続作用の利点を可能にする投与形式を提供するように、または胃の酸性状態から保護するようにコーティングされるか、あるいは調合される。たとえば、錠剤または丸剤は、内側および外側の投与成分を含むことができ、後者は前者の上の外皮の形態である。この2つの成分は、腸溶性層によって隔てられ、この腸溶性層は、胃の内部における分解を阻止するのに役立ち、内部の成分が、原形を保った状態で十二指腸中を通過するか、または放出が遅延することを可能にする。腸溶性層またはコーティングには、多くの材料を使用することができ、こうした材料としては、多くのポリマー酸、並びにポリマー酸と、シェラック、セチルアルコール、およびセルロースアセテートなどの材料との混合物が挙げられる。
【0145】
吸入、またはガス注入用組成物としては、薬学的に許容可能な水性もしくは有機溶剤、またはこれらの混合物中の溶液および懸濁液、並びに粉末がある。液体または固体組成物は、上記のとおり、薬学的に許容可能な適切な賦形剤を含むことができる。好ましくは、これらの組成物は、局所的または全身的な効果を得るために、経口または経鼻呼吸経路によって投与される。好ましくは薬学的に許容可能な溶剤中の組成物は、不活性ガスを使用して噴霧することができる。噴霧溶液は、噴霧デバイスから直接吸入するか、または噴霧デバイスをフェースマスクのテント、もしくは断続的な陽圧人工呼吸器に取り付けることができる。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、製剤を適切な方法で送達するデバイスから、経口または経鼻的に投与することがし得ることが好ましい。
【0146】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様を実証するために含まれる。当業者は、以下の実施例に開示される技術は、本願の発明者が、本発明を実践するに当たって十分に機能することを発見した技術を表し、したがって、本発明を実施するために好ましい様式を構成することが可能であることを理解するべきである。しかし、当業者は、本発明の開示事項を考慮して、開示されている特定の実施態様に多くの変更を加えることができ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、同様であるかまたは類似する結果をさらに得ることができることを理解するべきである。
【実施例】
【0147】
(実施例1)
式(5)の化合物の調製
A.がエチルである式(5)の化合物の調製
【0148】
【化13】

ナトリウムエトキシド溶液は、ナトリウム(4.8g、226mmol)および乾燥エタノール(150ml)から調製した。この溶液に、アミノ−N−エチルアミド(10g、113mmol)およびエチルシアノアセテート(12.8g、113mmol)を添加した。この反応混合物は、還流で6時間攪拌して冷却し、溶剤を減圧下で反応混合物から除去した。残留物は、水中(50ml)で溶出し、pHを塩酸で7に調節した。この混合物は、一晩0℃で放置して沈殿物を濾過して除去し、水で洗浄して空気で乾燥させ、式(5)の化合物である6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0149】
【化14】

B.Rがメチルである式(5)の化合物の調製
同様に、実施例1Aの手順を行ったが、アミノ−N−エチルアミドをアミノ−N−メチルエチルアミドと置換して、6−アミノ−1−メチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを調製した。
【0150】
C.が異なる式(5)の化合物の調製
同様に、実施例1Aの手順を行ったがアミノ−N−エチルアミドを式(4)の他の化合物と置換して、式(5)のその他の化合物を調製する。
【0151】
(実施例2)
式(6)の化合物の調製
A.がエチルである式(6)の化合物の調製
【0152】
【化15】

6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(0.77g、5mmol)を無水N,N−ジメチルアセトアミド(25ml)およびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(2.7ml、20mmol)に懸濁させ、40℃で90分間加温した。次に、溶剤を減圧下で除去し、残留物をエタノールで粉末化して濾過し、エタノールで洗浄して、式(6)の化合物である6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0153】
【化16】

B.がメチルである式(6)の化合物の調製
同様に、実施例2Aの手順を行ったが、6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを6−アミノ−1−メチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンと置換して、6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−メチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを調製した。
【0154】
C.が異なる式(6)の化合物の調製
同様に、実施例2Aの手順を行ったが、6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(5)の他の化合物と置換して、式(6)の他の化合物を調整する。
【0155】
(実施例3)
式(7)の化合物の調製
A.がn−プロピル、およびRがエチルである式(7)の化合物の調製
【0156】
【化17】

ジメチルホルムアミド(25ml)、炭酸カリウム(1.5g、11mmol)およびn−ヨウ化プロピル(1.54g、11mmol)中の6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(1.5g、7.1mmol)の混合物を80℃で5時間攪拌した。反応混合物は、室温まで冷却して濾過し、溶剤を蒸発させて、式(7)の生成物である6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンをそのままで次の反応に使用した。
【0157】
B.およびRが異なる式(7)の化合物の調製
同様に、実施例3Aの手順を行ったが、6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(6)の他の化合物と置換して、式(7)の次の化合物を調製した:
6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−メチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−メチル−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン。
【0158】
C.およびRが異なる式(7)の化合物の調製
同様に、実施例3Aの手順を行ったが、6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(6)の他の化合物と置換して、式(7)の他の化合物を調製する。
【0159】
(実施例4)
式(8)の化合物の調製
A.がn−プロピル、Rがエチルである式(8)の化合物の調製
【0160】
【化18】

6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(2.1g)の溶液は、メタノール(10ml)および28%アンモニア水溶液(20ml)の混合物中に溶出し、72時間にわたって室温で攪拌してから、溶剤を減圧下で除去し、残留物をシリカゲルカラム上のクロマトグラフィで精製し、ジクロロメタン/メタノール(15/1)混合物で溶出して、式(8)の化合物である6−アミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0161】
【化19】

B.およびRが異なる式(8)の化合物の調製
同様に、実施例4Aの手順を行ったが、ただし6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(7)の他の化合物と置換して、式(8)の他の化合物を調製した:
6−アミノ−1−メチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−アミノ−1−メチル−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−アミノ−1−エチル−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−アミノ−1−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
6−アミノ−1−エチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン。
【0162】
C.がR異なる式(7)の化合物の調製
同様に、実施例4Aの手順を行ったが、6−[2−(ジメチルアミノ)−1−アザビニル]−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(7)の他の化合物と置換して、式(8)の他の化合物を調製する。
【0163】
(実施例5)
公式(1)の化合物の調製
A.がn−プロピル、Rがエチルである公式(1)の化合物の調製
【0164】
【化20】

50%酢酸/水(35ml)の混合物中の6−アミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(1.4g、7.1mmol)の溶液に、亜硝酸ナトリウム(2g、28.4mmol)を一部づつ10分間にわたって添加した。この混合物を70℃で1時間攪拌してから、反応混合物を減圧下で低容量に濃縮した。固体を濾過して除去し、水で洗浄して、式(1)の化合物である6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
MS m/z227.05(M)、249.08(M+Na)
B.およびRが異なる公式(1)の化合物の調製
同様に、実施例5Aの手順を行ったが、6−アミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(8)の他の化合物と置換し、公式(1)の次の化合物を調製した:
6−アミノ−1−メチル−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−アミノ−1−メチル−3−シクロプロピルメチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−アミノ−1−エチル−3−シクロプロピルメチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
6−アミノ−1−メチル−3−(2−メチルプロピル)−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
6−アミノ−1−エチル−3−(2−メチルプロピル)−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン。
【0165】
C.およびRが異なる公式(1)の化合物の調製
同様に、実施例5Aの手順を行ったが、6−アミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(8)の他の化合物と置換して、公式(1)の他の化合物を調製する。
【0166】
(実施例6)
公式(2)の化合物の調製
A.がn−プロピル、およびRがエチルである公式(2)の化合物の調製
【0167】
【化21】

メタノール(10ml)中の6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(300mg)の溶液に、炭素触媒(50mg)上の10%パラジウムを添加し、混合物は、30psiの水素下で2時間にわたって水素化した。混合物は、セライトを通して濾過し、溶剤を濾過液から減圧下で除去し、公式(2)の化合物である5,6−ジアミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0168】
MSm/z213.03(M)、235.06(M+Na)
B.およびRが公式(2)の化合物の調製
同様に、実施例6Aを行ったが、6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを公式(1)の他の化合物と置換し、公式(2)の以下の化合物を調製した:
5,6−ジアミノ−1−メチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
5,6−ジアミノ−1−メチル−3−シクロプロピルメチル−1−ジヒドロピリミジン−2,4ジオン;
5,6−ジアミノ−1−エチル−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;
5,6−アミノ−1−メチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
5,6−ジアミノ−1−エチル−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン。
【0169】
C.およびRが異なる公式(2)の化合物の調製
同様に、実施例6Aの手順を行うが、6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを公式(1)の他の化合物と置換し、公式(2)の他の化合物を調製する。
【0170】
(実施例7)
式(3)の化合物の調製
A.がn−プロピル、Rがエチル、Xが1,4−ピラゾリル、Yがメチレン、およびZが3−トリフルオロメチルフェニルである式(3)の化合物の調製
【0171】
【化22】

メタノール(10ml)中の5,6−ジアミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(100mg、0.47mmol)および1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸(0.151g、0.56mmol)の混合物に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.135g、0.7mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。溶剤は減圧下で除去し、残留物は、Bistagを使用して精製し、10%メタノール/塩化メチレンで溶出して、N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを得た。
【0172】
【化23】

B.、R、X、Y、およびZが異なる式(3)の化合物の調製
同様に、実施例7Aまたは7Bの手順を行ったが、任意に5,6−ジアミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを公式(2)の他の化合物と置換し、および任意に1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸を式Z−Y−X−COHの他の化合物と置換して、式(3)の以下の化合物を調製した:
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−エチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−ベンジルピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−シアノフェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
[1−(2−(1H−1,2,3,4−テトラアゾール−5−イル)エチル)ピラゾール−4−イル]−N−[6−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)](1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−プロピル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)](1−{(2−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−ベンジルピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル]カルボキサミド;および
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)](1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド。
【0173】
C.およびRが異なる公式(2)の化合物の調製
同様に、実施例7Aの手順を行うが、任意に5,6−ジアミノ−1−エチル−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを公式(2)の他の化合物と置換し、および任意に1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸を式Z−Y−X−COHの他の化合物と置換し、式(3)の他の化合物を調製する。
【0174】
(実施例8)
式Iの化合物の調製
A.がn−プロピル、Rがエチル、Xが1,4−ピラゾリル、Yがメチレン、およびZが3−トリフルオロメチルフェニルである式Iの化合物の調製
【0175】
【化24】

N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミド(80mg、0.17mmol)、10%水酸化ナトリウム溶液(5ml)、およびメタノール(5ml)の混合物を100℃で2時間攪拌した。この混合物を冷却し、メタノールを減圧下で除去し、残留物を水で希釈し、塩酸で酸性化する。沈殿物を濾過して除去し、水、次にメタノールで洗浄し、式Iの化合物である3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンを得た。
【0176】
【化25】

B.、R、X、Y、およびZが異なる式Iの化合物の調製
同様に、実施例8Aの手順を行ったが、N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミドを式(3)の他の化合物と置換し、式Iの以下の化合物を調製した:
1−シクロプロピルメチル−3−メチル−8−[1−(フェニルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−シクロプロピルメチル−3−メチル−8−{1−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−シクロプロピルメチル−3−エチル−8−{1−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−シクロプロピルメチル−3−メチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−シクロプロピルメチル−3−エチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−シクロプロピルメチル−3−エチル−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
3−({4−[1−(シクロプロピルメチル)−3−メチル−2,6−ジオキソ−1,3,7−トリヒドロプリン−8−イル]ピラゾリル}メチル)ベンゼンカルボニトリル;
8−[1−(2−(1H−1,2,3,4−テトラアゾール−5−イル)エチル)ピラゾール−4−イル]−3−メチル−1−シクロプロピルメチル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−(2−メチルプロピル)−3−メチル−8−[1−ベンジルピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−(2−メチルプロピル)−3−エチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−(2−メチルプロピル)−3−メチル−8−{1−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−(2−メチルプロピル)−3−メチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
3−エチル−1−(2−メチルプロピル)−8−(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;
1−エチル−3−メチル−8−{1−[(3−フルオロフェニル)メチル]ピラゾール−4−イル}−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン;および
3−エチル−1−プロピル−8−[1−(2−ピリジルメチル)ピラゾール−4−イル]−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン。
【0177】
C.、R、X、Y、およびZが異なる式Iの化合物の調製
同様に、実施例8Aの手順を行うが、N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミドを式(3)の他の化合物と置換し、式Iの他の化合物を調製する。
【0178】
(実施例9)
式(10)の化合物の調製
A.がn−プロピルである式(10)の化合物の調製
【0179】
【化26】

6−アミノラウシル(5.08g、40mmol)、ヘキサメチルジシラザン(50ml)、および硫酸アンモニウム(260mg、1.96mmol)の混合物を12時間還流させた。冷却後、固体を濾過して除去し、溶剤を減圧下で濾過液から除去し、6−アミノラウシルのトリメチルシリル化誘導体を得た。
【0180】
この生成物は、トルエン(1.5ml)、およびヨードプロパン(7.8ml、80mmol)中に溶出させ、120℃のオイルバス中で2時間にわたって加熱した。次に、反応混合物を0℃まで冷却し、飽和水性ナトリウム重炭酸塩を徐々に添加した。結果として生じた沈殿物を濾過して除去し、水、トルエン、およびエーテルで連続的に洗浄し、式(10)の化合物である6−アミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得て、これは、さらに精製することなく、次の反応で使用した。
【0181】
【化27】

B.が異なる式(10)の化合物の調製
同様に、実施例9Aの手順を行うが、ヨードプロパンを式RHalの他のハロゲン化アルキルと置換し、以下など、式(10)の他の化合物を調製する:
6−アミノ−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン。
【0182】
(実施例10)
式(11)の化合物の調製
A.がn−プロピルである式(10)の化合物の調製
【0183】
【化28】

70℃の50%酢酸/水の混合物中の6−アミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(5.6g)の溶液に、亜硝酸ナトリウム(4.5g)を一部づつ15分間にわたって添加した。この混合物を70℃で45分間攪拌してから、反応混合物を減圧下で低容量に濃縮した。固体は濾過して除去し、水で洗浄して、式(11)の化合物である6−アミノ−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0184】
【化29】

B.が異なる式(11)の化合物の調製
同様に、実施例10Aの手順を行うが、6−アミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(10)の他の化合物と置換して、以下を含む式(11)の他の化合物を調製する:
6−アミノ−5−ニトロソ−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
6−アミノ−5−ニトロソ−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン。
【0185】
(実施例11)
式(12)の化合物の調製
A.がn−プロピルである式(12)の化合物の調製
【0186】
【化30】

70℃の12.5%アンモニア水(135ml)中の6−アミノ−5−ニトロソ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(5.4g、27mmol)の溶液に、亜ジチオン酸ナトリウム(Na,9.45g,54mmol)を一部づつ15分間にわたって添加し、混合物を20分間攪拌した。この溶液を減圧下で濃縮し、5℃まで冷却して、沈殿物を濾過して除去し、冷水で洗浄して、式(12)の化合物である5,6−ジアミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0187】
【化31】

B.が異なる式(12)の化合物の調製
同様に、実施例11Aの手順を行うが、6−アミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(11)の他の化合物と置換し、以下を含む式(12)のその他の化合物を調製する:
5,6−ジアミノ−3−シクロプロピルメチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン;および
5,6−ジアミノ−3−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン。
【0188】
(実施例12)
式(13)の化合物の調製
A.がn−プロピル、Xが1,4−ピラゾリル、Yがメチレン、およびZが3−トリフルオロメチルフェニルである式(13)の化合物の調製
【0189】
【化32】

メタノール(50ml)中の5,6−ジアミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(2.3g、126mmol)および1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸(3.79g、14mmol)の混合物に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(2.67g、14mmol)を添加し、反応混合物を3日間にわたって室温で攪拌した(ただし、より短時間でも許容可能である)。沈殿物を濾過して除去し、連続的に水およびメタノールで洗浄した。生成物を真空下で乾燥させ、式(13)の化合物であるN−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを得た。
【0190】
【化33】

B.がn−プロピル、Xが1,4−ピラゾリル、Yがメチレン、およびZが3−トリフルオロメチルフェニルである式(3)の化合物の別の方法による調製
塩化チオニル(1ml)中の1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸(1g、3.7mmol)の溶液を70℃で4時間にわたって加熱した。過剰な塩化チオニルは蒸留して除去し、残留物を塩化メチレン/へキサンで処理した。溶剤を減圧下で除去し、残留物をアセトニトリル中に溶出させた。この溶液は、0℃のアセトニトリル(20ml)中の5,6−ジアミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(2.3g、126mmol)およびトリエチルアミン(1ml)の懸濁液に添加し、16時間にわたって攪拌した。反応混合物は、水(5ml)で急冷し、塩酸で酸性化させて、30分間攪拌し、沈殿物を濾過して除去した。生成物をエーテルで洗浄し、式(13)の化合物であるN−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを得た。
【0191】
C.、X、Y、およびZが異なる式(13)の化合物の調製
同様に、実施例12Aまたは12Bの手順を行うが、任意に6−アミノ−3−プロピル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(12)の他の化合物と置換し、任意に1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸を式Z−Y−X−COHの他の化合物と置換して、以下を含む式(13)の他の化合物を調製する:
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−(2−メチルプロピル)(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−(2−メチルプロピル)(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−[1−ベンジル]ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−[1−ベンジル]ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−(2−メチルプロピル)(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−[1−ベンジル]ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−シアノフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−シアノフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−(2−メチルプロピル)(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−シアノフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[1−(2−(1H−1,2,3,4−テトラアゾール−5−イル)エチル)ピラゾール−4−イル}カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[1−(2−(1H−1,2,3,4−テトラアゾール−5−イル)エチル)ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−(2−メチルプロピル)(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[1−(2−(1H−1,2,3,4−テトラアゾール−5−イル)エチル)ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;および
N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−(2−メチルプロピル)(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド。
【0192】
(実施例13)
式(3)の化合物の調製
A.がn−プロピル、Rがエチル、Xが1,4−ピラゾリル、Yがメチレン、およびZが3−トリフルオロメチルフェニルである式(3)の化合物の調製
【0193】
【化34】

ジメチルホルムアミド(10ml)中のN−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミド(872mg、2mmol)の溶液、炭酸カリウム(552mg、4mmol)およびヨウ化エチル(0.24ml、3mmol)の混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を濾過して、溶剤を減圧下で濾過液から蒸発させた。残留物を2時間にわたって室温で水とともに攪拌し、沈殿物を濾過して除去し、水で洗浄してから、メタノール中に溶出させた。この溶剤は、次に減圧下で除去して、式(3)の化合物であるN−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを得た。
【0194】
【化35】

B.、X、Y、およびZが異なる式(13)の化合物の調製
同様に、実施例13Aの手順を行うが、N−(6−アミノ−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミドを式(13)の他の化合物と置換し、以下を含む式(3)の他の化合物を調製する:
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−エチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−フルオロフェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−ベンジルピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−シクロプロピルメチル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−シアノフェニル]メチル}−ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
[1−(2−(1H−1,2,3,4−テトラアゾール−5−イル)エチル)ピラゾール−4−イル]−N−[6−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(シクロプロピルメチル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)](1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−プロピル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)](1−{(2−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−ベンジルピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−{[3−フルオロフェニル]メチル}ピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−{[3−フルオロフェニルjメチル}ピラゾール−4−イル]カルボキサミド;
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)][1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル]カルボキサミド;および
N−[6−アミノ−3−(2−メチルプロピル)−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル)](1−{[6−(トリフルオロメチル)(3−ピリジル)]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミド。
【0195】
(実施例14)
式Iの化合物の調製
A.がn−プロピル、Rがエチル、Xが1,4−ピラゾリル、Yがメチレン、およびZが3−トリフルオロメチルフェニルである式Iの化合物の調製
【0196】
【化36】

N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミド(850mg、2.34mmol)、10%水酸化ナトリウム水溶液(10ml)、およびメタノール(10ml)の混合物を100℃で18時間にわたって攪拌した。この混合物を冷却し、減圧下でメタノールを除去し、残っている混合物を塩酸でpH2まで酸性化させた。沈殿物を濾過して除去し、水/メタノール混合物で洗浄して、式Iの化合物である3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンを得た。
【0197】
【化37】

B.、R、X、Y、およびZが異なる式Iの化合物の調製
同様に、実施例14Aの手順を行うが、N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミドを公式(13)の他の化合物と置換し、実施例8に記載した化合物を含む式Iの化合物を調製する。
【0198】
(実施例15)
式(14)の化合物の調製
A.がエチルである式(14)の化合物の調製
【0199】
【化38】

70℃の50%酢酸/水(50ml)の混合物中の6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(5.0g、32.3mmol)溶液に、亜硝酸ナトリウム(4.45g、64.5mmol)を一部づつ30分間にわたって添加した。この混合物を70℃でさらに30分間攪拌した。反応混合物を冷却し、沈殿物を濾過して除去し、水、次にメタノールで洗浄して、式(14)の化合物である6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0200】
【化39】

B.が異なる式(14)の化合物の調製
同様に、実施例15Aの手順を行ったが、6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを6−アミノ−1−メチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンと置換して、6−アミノ−1−メチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを調製した。
【0201】
C.が異なる式(14)の化合物の調製
同様に、実施例15Aの手順を行うが、6−アミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(14)の他の化合物と置換して、式(14)の他の化合物を調製する。
【0202】
(実施例16)
式(15)の化合物の調製
A.がエチルである式(15)の化合物の調製
【0203】
【化40】

50℃の14.5%アンモニア水(50ml)中の6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(3.9g、21.2mmol)の溶液に、亜ジチオン酸ナトリウム(Na、7.37g、42.4mmol)を一部づつ15分間にわたって添加して、混合物を20分間攪拌した。この溶液を減圧下で30mlの容量まで濃縮し、5℃まで冷却して、沈殿物を濾過して除去し、冷水で洗浄して、式(15)の化合物である5,6−ジアミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを得た。
【0204】
【化41】

B.が異なる式(15)の化合物の調製
同様に、実施例16Aの手順を行ったが、6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを6−アミノ−1−メチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンと置換して、5,6−ジアミノ−1−メチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを調製した。
【0205】
C.が異なる式(15)の化合物の調製
同様に、実施例16Aの手順を行うが、6−アミノ−1−エチル−5−ニトロソ−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(14)の他の化合物と置換し、式(15)の他の化合物を調製する。
【0206】
(実施例17)
式(16)の化合物の調製
A.がエチル、Xが1,4−ピラゾリル、Yがメチレン、およびZが3−トリフルオロメチルフェニルである式(16)の化合物の調製
【0207】
【化42】

メタノール(50ml)中の5,6−ジアミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン(2g、11.76mmol)および1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−カルボン酸(3.5g、12.94mmol)の混合物に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(2.47g、12.94mmol)を添加し、反応混合物を16時間にわたって室温で攪拌し、溶剤を減圧下で除去し、残留物を水およびメタノールで洗浄した。生成物を真空下で乾燥させて、式(16)の化合物であるN−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを得た。
【0208】
【化43】

B.、X、Y、およびZが異なる式(16)の化合物の調製
同様に、実施例17Aの手順を行ったが、5,6−ジアミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを5,6−ジアミノ−1−メチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンと置換して、N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを調製した。
【0209】
C.、X、Y、およびZが異なる式(16)の化合物の調製
同様に、、実施例16Aの手順を行うが、5,6−ジアミノ−1−エチル−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオンを式(14)の他の化合物と置換して、式(15)の他の化合物を調製する。
【0210】
(実施例18)
式(3)の化合物の調製
A.がn−プロピル、Rがエチル、Xが1,4−ピラゾリル、Yがメチレン、およびZが3−トリフルオロメチルフェニルである式(3)の化合物の調製
【0211】
【化44】

ジメチルホルムアミド(30ml)中のN−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミド(1.5g、3.55mmol)の溶液、炭酸カリウム(980mg、7.1mmol)、およびヨウ化プロピル(724mg、4.26mmol)の混合物を室温で一晩攪拌した。水を添加し、沈殿物を濾過して除去し、式(3)の化合物であるN−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを得た後、この化合物をさらに精製せずに、次の反応に使用した。
【0212】
【化45】

B.、R、X、Y、およびZが異なる式(3)の化合物の調製
同様に、実施例18Aの手順を行ったが、N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミドをN−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))と置換して、N−(6−アミノ−1−メチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)カルボキサミドを調製した。
【0213】
C.、R、X、Y、およびZが異なる式(3)の化合物の調製
同様に、実施例18Aの手順を行うが、任意にN−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミドを式(15)の他の化合物と置換し、任意にヨウ化プロピルを式RHalの他の化合物と置換して、式(3)の他の化合物を調製する。
【0214】
(実施例19)
式Iの化合物の調製
A.がn−プロピル、Rがエチル、Xが1,4−ピラゾリル、Yがメチレン、およびZが3−トリフルオロメチルフェニルである式Iの化合物の調製
【0215】
【化46】

N−(6−アミノ−1−エチル−2,4−ジオキソ−3−プロピル(1,3−ジヒドロピリミジン−5−イル))(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−3−イル)カルボキサミド(300mg、464mmol)、20%水酸化ナトリウム溶液(5ml)、およびメタノール(10ml)の混合物を80℃で3時間攪拌した。この混合物を冷却し、減圧下でメタノールを除去し、残っている混合物を塩酸でpH2まで酸性化した。沈殿物を濾過して除去し、水およびメタノールで洗浄して、式Iの化合物である3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオンを得た。
【0216】
【化47】

(実施例20)
2B拮抗物質の特性化
2Bアデノシン受容体の放射性リガンド結合
ヒトのA2Bアデノシン受容体cDNAは、HEK−293細胞(HEK−A2B細胞と呼ばれる)に安定してトランスフェクトされた。HEK−A2B細胞の単分子層は、PBSで1回洗浄し、10mMのHEPES(pH7.4)、10mMのEDTAおよびプロテアーゼ阻害剤を含む緩衝液中に採取した。これらの細胞は、ポリトロン中で1分間、設定4で均質化し、29000gで15分間にわたって4℃で遠心処理した。この細胞ペレットは、10mM HEPES(pH7.4)、1mMのEDTAおよびプロテアーゼ阻害剤を含む緩衝液で1回洗浄し、10%の蔗糖を補足した同じ緩衝液中に再懸濁させた。冷凍したアリコットを−80℃に維持した。
【0217】
競合アッセイは、10nMのH−ZM241385(Tocris Cookson)を、様々な濃度のテスト化合物、50μgの膜タンパク質を、1単位/mLのアデノシンデアミナーゼを追加したTE緩衝液(50mMのトリスおよび1mMのEDTA)中で混合することによって開始した。このアッセイは、90分間培養し、Packard収穫機を使用して濾過することによって停止し、氷のように冷却したTM緩衝液(10mMのトリス、1mMのMgCl、pH7.4)で4回洗浄した。10μMのZM241385の存在下で、特異的な結合は判定されなかった。化合物の親和性(つまり、Ki値)は、GraphPadソフトウェアを使用して計算した。
【0218】
その他のアデノシン受容体の放射性リガンド結合
ヒトA、A2A、Aアデノシン受容体cDNAは、CHOまたはHEK−293細胞(CHO−A、HEK−A2A、CHO−Aと呼ばれる)の何れかに安定してトランスフェクトされた。膜は、上記と同じプロトコルを使用して、これらの細胞から調製した。競合アッセイは、0.5nMのH−CPX(CHO−Aの場合)、2nMのH−ZM214385(HEK−A2A)、または0.1nMの125I−AB−MECA(CHO−A)を、様々な濃度のテスト化合物、およびTE緩衝液(50mMのトリス、並びにCHO−A、およびHEK−A2Aの1mMのEDTA)、または1単位/mLのアデノシンデアミナーゼを追加したTEM緩衝液(CHO−Aの場合、50mMのトリス、1mMのEDTA、および10mMのMgCl)中の投影膜と混合することによって開始した。このアッセイは、90分間培養して、Packard収穫機を使用して濾過することによって停止し、氷のように冷却したTM緩衝液(10mMのトリス、1mMのMgCl、pH7.4)で4回洗浄した。1μMのCPX(CHO−A)、1μMのZM241385(HEK−A2A)、および1μMのIB−MECA(CHO−A)の存在下で、特異的な結合は判定されなかった。化合物の親和性(つまり、Ki値)は、GraphPad(商標)ソフトウェアを使用して計算した。
【0219】
cAMPの測定
トランスフェクトされた細胞の単分子層は、5mMのEDTAを含むPBS中に収集した。細胞は、DMEMで1回洗浄し、細胞が100,000〜500,000個/mlの密度で1単位/mLのアデノシンデアミナーゼを含むDMEM中に再懸濁させた。100μlの細胞懸濁液は、様々な作用物質および/または拮抗物質を含む25μlと混合し、反応を37℃で15分間維持した。15分間の終わりに、125μlの0.2N HClを添加して反応を停止した。細胞は、1000rpmで10分間遠心処理した。100μlの浮遊物を除去し、アセチル化した。浮遊物中のcAMPの濃度は、Assay Designの直接cAMPアッセイを使用して測定した。A2AおよびA2Bアデノシン受容体は、Gsタンパク質に結合し、その結果、A2Aアデノシン受容体(たとえばCGS21680)、またはA2Bアデノシン受容体(たとえばNECA)の作用物質はcAMPの濃度を増加させるが、これらの受容体に対する拮抗物質は、作用物質によって誘発されるcAMPの蓄積の増加を防止する。AおよびAアデノシン受容体はGiタンパク質に結合し、その結果、Aアデノシン受容体(たとえばCPA)、またはAアデノシン受容体(たとえばIB−MECA)の作用物質は、フォルスコリンによって誘発されるcAMPの蓄積の増加を抑制する。AおよびA受容体に対する拮抗物質は、cAMPの蓄積の抑制を防止する。
【0220】
リアルタイムRT−PCRは、一次培養ヒト肝星細胞(HHSC)に関するアデノシン受容体(AdoR)サブタイプの発現量を判断するために行った。AdoRの4つのサブタイプの中では、A2BAdoRが最高レベルで発現した。さらに、細胞cAMPの濃度を関数値として使用すると、その結果は、A2BAdoRはHHSC上で機能的に発現するが、A、A2A、またはAAdoRは発現しないことを示した。アデノシンの安定した類似物であるアデノシンまたはNECAが、炎症性サイトカインの発現に与える作用は、ELISAを使用して判断した。アデノシンおよびNECAは、濃度に依存する方法でIL−6の放出を増加させ、基礎レベルで最大11.9±3.1倍の増加である。さらに、NECAは、α−平滑筋アクチンおよびα−1プロ−コラーゲンの発現、並びにHHSCからのコラーゲンの生成を増加させた。NECAの作用は、A2BAdoR拮抗物質によって完全に無効にされ、IL−6中和抗体によって部分的に阻止された。
【0221】
(実施例21)
ヒト肝星細胞に対するA2B拮抗物質の作用
略語
Ab 抗体
AdoR アデノシン受容体
ADA アデノシンデアミナーゼ
ANOVA 変化の分析
AST アスパラギン酸塩アミノ基転移酵素
CPA N6−シクロペンチルアデノシン
DMEM Dulbeccoの変性イーグル培地
DMSO ジメチルスルホキシド
DNase デオキシリボヌクレアーゼ
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルフォン酸
HHSC ヒト肝星細胞
NECA 5’−(N−エチルカルボキシアミド)−アデノシン
材料および方法:
材料
2B受容体(8−(1−{[5−(4−クロロフェニル)(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)]メチル}ピラゾール−4−イル)−1−プロピル−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン(化合物(1))および3−エチル−1−プロピル−8−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル)ピラゾール−4−イル)−1,3,7−トリヒドロプリン−2,6−ジオン(化合物(2))に対する選択的な拮抗物質は、CV Therapeutics Inc.(カリフォルニア州、パロアルト)の生物有機化学部門によって合成され、我々の以前の出版物、Zhong等(2004年)Am JRespir Cell Mol Biol;30(1):118−125に記載された。その他のすべての試薬、たとえばロリプラム、フォルスコリン、NECA、およびアデノシンは、特記しない限り、Sigma(ミズーリ州、セントルイス)から調達した。
【0222】
細胞培養
一次培養された健康なヒト肝星細胞(HHSC)は、ScienCell Research Laboratories(カリフォルニア州、サンディエゴ)から入手し、星形細胞増殖培地(ScienCell Research Laboratories)を使用して培養した。HHSCは、加湿培養器5%COで37℃において、規定どおりに成長させ、約80〜90%の密集度に達した時点で再播種した。各々の再播種は、継代と呼ばれる。以下の研究では、2〜5継代の細胞を使用した。
【0223】
HHSCの刺激
HHSCは、ウェルが12個の組織培養プレート内に、星形細胞増殖培地内のウェルごとに1×10の細胞密度で播種し、一晩付着させて約90%の密集度にする。細胞は、HEPES緩衝食塩水中で2回洗浄し、AdoRの様々な作用物質または拮抗物質を含むDMEM中で1または24時間にわたって培養した。
【0224】
RNAの抽出およびリアルタイムRT−PCR
全体のRNAは、StratageneのAbsolutely RNA(商標)RT−PCR Miniprep Kitを使用してHHSCから抽出し、次にDNase処理を行って、ゲノムDNAの潜在的な汚染を排除した。アデノシン受容体用のリアルタイムRT−RCRは、Zhong等(2004年)Am J Respir Cell Mol Biol;30(1):118−125に以前に記載されたように実施した。
【0225】
使用したα−平滑筋アクチンの特定のプライマーは、以下のとおりである:
順方向:5’TGGGAATGGGACAAAAAGACA3’(配列識別番号:1);および
逆方向:5’CGGGTACTTCAGGGTCAGGAT3’(配列識別番号:2)、
一方、α−1 プロ−コラーゲン用のプライマーは、以下のとおりである:
順方向:5’CACCAATCACCTGCGTACAGA3’(配列識別番号:3);および
逆方向:5’CAGATCACGTCATCGCACAAC3’(配列識別番号:4)、
また、これらの各々のプライマーは、Primer Express 2.0(Applied Biosystems)を使用して、Genbankのシーケンスに基づいて推奨されるガイドラインに従って設計した。PCRサイクルの終わりに、1つの生成物の増幅を確実にするために解離曲線を生成し、各々の遺伝子の閾値サイクル時間(Ct値)を決定した。相対mRNAレベルは、Ct値に基づいて計算し、同じサンプル中のβ−アクチンに正規化し、β−アクチンmRNAの割合として提示した。
【0226】
cAMPの蓄積の測定
細胞は、PBS中で0.0025%のトリプシンおよび2mMのEDTAを使用して採取して洗浄し、フェノールを含まないDMEM中に、細胞が1×10個/mlの濃度まで再懸濁させた後、1U/mlのADAで30分間にわたって室温で培養した。次に、細胞は、50μMのホスホジエステラーゼIV阻害剤、ロリプラムの存在下で、AdoR作用物質、拮抗物質、およびフォルスコリンを使って処理した。細胞は、37℃で15分間培養した後に溶出させて、cAMP−Screen Direct(商標)System(Applied Biosystems)を使用して、メーカーの指示に従ってcAMP濃度を判定した。
【0227】
IL−6、コラーゲン、およびアスパラギン酸塩アミノ基転移酵素(AST)の測定
細胞媒体中のIL−6の濃度は、Biosource(カリフォルニア州、カマリロ)から調達したELISAキットを使用して、メーカーの指示に従って判定した。これらのキットによるIL−6の最低検出レベルは、2pg/mlだった。細胞媒体中の可溶性コラーゲンの濃度は、Sircolコラーゲンアッセイ(Biocolor Ltd.、ベルファスト、北アイルランド)を使用して、メーカーの指示に従って測定した。マウスプラズマ中のASTの活性度は、Infinity(商標)ASTアッセイ(Thermo
Electron Corporation、マサチューセッツ州、ウォルサム)を使用して判定した。
【0228】
マウス
アデノシンデアミナーゼ(ADA)−欠損マウスは、Blackburn等(1998)、J Biol Chem,273(9):5093−5100に記載されているように生成し、遺伝子型を分類した。ヌルAda対立遺伝子に対して同型接合のマウスは、ADA−欠損(ADA−/−)として指示し、ヌルAda対立遺伝子に対して異型接合のマウスは、ADA対照マウス(ADA)として指示した。すべてのマウスは、混合129sv/C57BL/6J背景上にあり、すべての表現型の比較は、同腹子に関して行った。動物の世話は、協会およびNIHのガイドラインに従って行った。マウスは、マイクロアイソレータの蓋が装備されて、厳格な閉じ込めプロトコルに従って維持管理されている換気式ケージ内に収容した。細菌、寄生性、または真菌感染の徴候は見られず、ケージの同腹子に関する血清学的測定値は、最も一般的な12のネズミ科動物のウィルスに関して陰性だった。
【0229】
拮抗物質処置
ADA−/−マウスは、Young等(2004年)J Immunol,173(2):1380−1389に記載されているように、血液中のADA酵素活性度に関してスクリーニングすることによって、出生時に識別した。ADA−/−マウスは、やはりYoung等(2004)に記載されているように、出生2日後から出生21日後まで、ADA酵素治療で維持した。この段階で、化合物(2)(1回の注射当たり1mg/kg)またはビヒクル(コーン油/エタノール/DMSO)による処置を開始した。処置は、17日間にわたる午前中および夕方の腹腔内i.p.注射から構成した。処置群には、化合物(2)、ビヒクルを受領するか、または処置を受けないADA−/−またはADAマウスが含まれた。すべてのマウスは同腹子であり、雄および雌の両方がこれらの実験に含まれた。
【0230】
統計的分析
データは、少なくとも3回の別個の実験の平均±SEMとして提示した。統計的分析は、両側Studentのt−検定、またはANOVAを用いて実施し、次にNewman−Keuls検定を実施して、複数の比較を行った。<0.05のp値は、重症であると考えた。
【0231】
結果
HHSCにおけるAdoRサブタイプの発現
リアルタイムRT−PCRは、AdoRに関するトランスクリプトのレベルを定量化するために実施した。4つのサブタイプの中で、A2B受容体は、最高のトランスクリプトレベルを有していた(図1)。より低レベルのAおよびA2A受容体トランスクリプトも検出されたが、A受容体のトランスクリプトは検出レベル未満だった。したがって、AdoR mRNAレベルの順位はA2B>>A2A>A>>Aだった。
【0232】
多くの細胞型では、A2AまたはA2B受容体の活性は、細胞cAMPの蓄積が増加する原因になるが、AまたはA受容体の活性は、アデニル酸シクラーゼ活性剤、フォルスコリンによって生じる細胞cAMPの蓄積を減少させる。HHSC内で機能的に発現するAdoRサブタイプ(類)を特定するため、非選択的作用物質のNECA、およびいくつかのその他の選択的作用物質が細胞cAMPの蓄積に与える作用を判断した。NECAは、アデノシンの安定した類似物であり、A2B受容体を含む4つのAdoRすべてのサブタイプを活性化させる。図2Aに示すように、NECAは、濃度に依存する方法で、細胞cAMPの蓄積を増加させた。対照的に、A2A選択的作用物質CGS−21680(≦10μM)は、細胞cAMP濃度を著しく増加させることはなかった。さらに、A選択的作用物質のCPA(1μM)、およびA選択的作用物質のIB−MECA(1μM)は、フォルスコリン(10μM、図2B)によって生じる細胞cAMPの蓄積を抑制しなかった。
【0233】
2B受容体の選択的作用物質はないため、A2B受容体に対する選択的拮抗物質の作用、NECAによって誘発される細胞cAMPの蓄積に対する化合物(1)の作用を判断した。化合物(1)は、A2B受容体に対して高い親和性(Ki=7nM)を有し、他の3つのAdoRサブタイプに対して非常に低い親和性を有する(Ki値は、A、A2A、およびA受容体の場合は5μMを超える)(Zhong等(2004年)およびZhong等(2005年)Am J Respir Cell Mol Biol,32(1):2−8)。図2Aに示すように、化合物(1)(1μM)は、NECAによって誘発される細胞cAMPの蓄積を著しく弱めた。したがって、細胞cAMPの濃度をAdoRの機能的発現の指示値として使用すると、その結果は、A2B受容体はHHSC内で機能的に発現するが、A、A2A、またはA受容体は発現しないことを示す。
【0234】
2B受容体の活性は、HHSCからのIL−6の放出を増加させた。
【0235】
アデノシンおよびNECAで処理された細胞の培地におけるIL−6の濃度は、ELISAを使用して測定した。図3に示すように、アデノシンおよびNECAは、濃度に依存する方法でIL−6の放出を増加させた。NECA(100μM)によって、ビヒクルで処理した細胞と比べて、IL−6の放出は11.9±3.1倍増加した。NECAによって誘発されるIL−6の生成におけるA2B受容体の役割を判断するため、細胞は、化合物(1)(1μM)およびNECA(10μM)で培養した。A2B受容体拮抗物質、化合物(1)(1μM)は、NECAによって誘発されるIL−6の放出を90.7±0.1%減少させた(図3B)。これらの結果は、NECAによって誘発されるIL−6の放出が、A2B受容体の亜類型によって媒介されることを裏付けた。
【0236】
α−平滑筋アクチンおよびα−1プロ−コラーゲンの発現に対するNECAの作用
間質コラーゲンの蓄積によるHHSCの活性化は、肝臓繊維症の顕著な特徴であり、α−平滑筋アクチンは筋線維芽細胞のマーカーであるため、α−平滑筋アクチンの発現の増加は、筋線維芽細胞に分化するHHSCの指標である。α−平滑筋アクチンおよびα−1プロ−コラーゲンの発現に対するNECAの影響は、リアルタイムRT−PCRを使用して判断した。図4に示すように、NECAは、α−平滑筋アクチン(図4A)およびα−1プロ−コラーゲン(図4B)の発現を著しく増加させた。これらの結果は、NECAがHHSCの活性化およびコラーゲンの生成を促進し得ることを示唆した。
【0237】
2B受容体の活性化によるコラーゲン生成の増加は、IL−6によって部分的に媒介される。
【0238】
コラーゲンの生成におけるNECAの役割を確認するため、NECAで処理した細胞の培地における可溶性コラーゲンの濃度を測定した。NECAは、コラーゲンの著しい増加を生じさせた(図5)。NECAのこの作用は、A2B拮抗物質、化合物(1)によって無効にされた。コラーゲンの生成に対するNECAの作用が、IL−6の放出によって左右されるかどうかを判断するため、NECAによる処理時に、Abを中和するIL−6を細胞場位置に添加した。Abを中和するIL−6は、部分的にNECAの作用を著しく減少させた。これらの結果は、A2B受容体の活性化が、コラーゲンの生成を増加させ、この作用が、HHSCからのIL−6の放出によって部分的に媒介されることを実証する。
【0239】
ADA−欠損マウスのASTレベルに対するA2B受容体の作用
ADAは、アデノシンを代謝する;その結果、増加したアデノシンのレベルは、ADA−欠損マウスの肝臓を含む組織に広がる。Blackburn等(1998年),J Biol Chem,273(9):5093−5100参照。ビヒクルまたは化合物(2)で処理したADAおよびADA−/−マウスで、プラズマASTレベルを検査した。ASTレベルは、ADAマウスよりADA−/−マウスの方が高かった。ADA−/−マウスを化合物(2)で処理すると、ASTレベルは著しく減少した(図6)。これらの結果は、A2B受容体拮抗作用がADA−/−マウスにおけるASTの増加を防止することが可能であることを示唆している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−49719(P2013−49719A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−268193(P2012−268193)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2009−501667(P2009−501667)の分割
【原出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(504003226)ギリアード・パロ・アルト・インコーポレイテッド (62)
【氏名又は名称原語表記】Gilead Palo Alto,Inc.
【Fターム(参考)】