説明

A3及びA1アデノシン受容体作用薬としてのプリン誘導体

【課題】非常に有力なA3アデノシン受容体作用薬としての、N-メタノカルバアデニンヌクレオシドの提供。
【解決手段】下式のヌクレオシド化合物


(式中、R1-R6はアルキル基等を示す。)。該ヌクレオシドは、炎症、心虚血、脳卒中、喘息、糖尿病、及び不整脈)の治療に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2004年9月9日出願の米国仮出願No. 60/608,823の利益を請求し、該開示は参照することにより本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
(技術分野)
本発明は、A3及びA1アデノシン受容体作用薬、そのような作用薬を含有する医薬組成物、並びに、例えば様々な内科的疾患の治療における、それらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞外アデノシンは、4つのサブタイプのアデノシン受容体(すなわち、多数の生理学
的過程及び病態生理学的過程に関与する、A1、A2A、A2B及びA3)での局所的修飾因子とし
て働く(Fredholm et al., Pharmacol. Rev. 2001; 53:527-52)。例えば、アデノシンは心臓及び脳における虚血の影響を軽減させる。A2Aアデノシン受容体を介した作用は、長期
の炎症を抑制し(Ohta et al., Nature 2001; 414:916-920)、血管を拡張し、血小板凝集
を阻害し、従ってストレス下で器官が利用できる酸素の量を増加させる。A3アデノシン受容体選択的なアデノシン作用薬は、脳保護薬、心保護薬及び抗癌剤として興味深い(von Lubitz et al., Eur. J. Pharmacol., 1994, 263:59-67; Liu et al., Cardiovasc Res., 1994, 28: 1057-61; Strickler et al., J. Clin. Invest., 1996, 98: 1773-9; Fishman
et al., Oncogene, 2004, 23:2465-71)。A3選択的化合物は、心疾患、不妊症、腎臓病及び中枢神経(CNS)疾患の治療上の処置及び/又は予防的処置において有用であると信じられている。
【0004】
治療への応用におけるA1及びA2選択的作用薬の潜在的有用性は、A1及びA2受容体の遍在性を考慮すると、副作用を伴うことにより限定される。一方、A3アデノシン受容体の分布は極めて限定され、主としてCNS、脳、睾丸及び免疫系に存在し、即時型過敏反応のメデ
ィエーターのマスト細胞からの放出調節に関与するようである(Ramkumar et al., J. Biol. Chem., 268, 16887- 16890 (1993))。A3アデノシン受容体の限定された分布は、A3
択的化合物が潜在的治療薬としてA1及びA2選択的化合物よりも有用であり得ることを予測する基礎を提供する。
【0005】
それにより、この分野での特許活動により示されるように(例えば米国特許5,773,423及び5,688,774; 並びに米国公開特許出願No. 2003/0216412 Alを参照)、A3アデノシン受容
体作用薬を見つけることは大変興味深い。従って、A3アデノシン受容体作用薬、特にA1及びA2アデノシン受容体よりもA3アデノシン受容体選択的なものが大いに必要とされる。さらに、A3及びA1受容体の両方を活性化する化合物が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、そのようなアデノシン受容体作用薬を提供する。本発明の利点、及び付加的な発明的特徴は、本明細書中における本発明についての記載から明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、A3選択的作用薬、特に、(例えば2、N6、2'、3'、4'及び5'位に選択された置換基を持つ)N-メタノカルバ(methanocarba)アデニンヌクレオシド、そのようなヌクレオ
シドを含有する医薬組成物、並びに、(例えば、有効量の本発明のヌクレオシドを哺乳動
物に投与することを含む、哺乳動物のA3アデノシン受容体を選択的に活性化する方法における)それらの使用方法を提供する。
【0008】
本発明はまた、心保護での(例えば、虚血性障害を患う、又はその恐れがある患者を治
療する方法での)使用のための、二重作用性A3及びA1受容体作用薬を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施形態の化合物を調製するのに有用な中間体化合物115の合成の反応スキームを表す。試薬及び条件:(a)DIBAL-H, CH2Cl2, -78℃;(b)臭化メチルトリフェニル-ホスホニウム, KOBut, THF, -78℃から室温まで;(c)DMSO, (COCl)2, CH2Cl2, -78℃;(d)NaOCl;(e)N2CHCOOEt, SnCl2, CH2Cl2, 室温;(f)1,1'-カルボニルジイミダゾール, LDA, CH3COOEt, THF, -78℃;(g)TsN3, CH3CN, TEA, 室温;(h)CuI, トルエン, 還流;(i)NaBH4, MeOH, 室温。
【0010】
【図2】図2は、本発明の実施形態の化合物33及び34の合成の反応スキームを表す。試薬及び条件:(a)p-TsOH, アセトン, 還流;(b)結晶化;(c)2,6-ジクロロプリン, DIAD, TPP, THF, 室温;(d)3-ヨードベンジルアミン.HCl, TEA (5について), 40% MeNH2水溶液 (14について), trans-2-フェニルシクロプロピルアミン.HCl, TEA (33について), 2,2-ジフェニルエチルアミン (34について), MeOH中, 室温;(e) 40% MeNH2水溶液;(f) MeOH, H2O中、10% CF3COOH, 室温。
【0011】
【図3】図3は、本発明の実施形態の化合物104の合成の反応スキームを表す。
【0012】
【図4】図4は、本発明の実施形態の化合物15〜33、35〜36、及び55〜59の合成の反応スキームを表す。
【0013】
【図5】図5は、本発明の実施形態の特定の化合物の調製に有用な中間体化合物60〜80の合成の反応スキームを表す。
【0014】
【図6】図6は、本発明の実施形態の特定の化合物の調製に有用な中間体化合物81〜83の合成の反応スキームを表す。
【0015】
【図7】図7は、2つの構造系におけるヒトアデノシン受容体での結合定数(Ki)の相関を表す。X軸は9位にリボシドを有する化合物のKi値を表す。Y軸は、9位に、ノーザンコンフォメーションで拘束された環である置換基を有する2-クロロ置換5’-メチルウロンアミドのKi値を表す。A1(四角)及びA2(ダイアモンド)アデノシン受容体では、実測値は予測された実線上に載り、A3(三角)では、実測Ki値は予測線より下である。それにより、拘束された9位の置換基が含まれることによりA1及びA2アデノシン受容体への選択性と比較して、A3選択性が意外にも高められることを示す。
【0016】
【図8】図8は、ヒトA1(■)又はA3(σ)アデノシン受容体で安定に形質導入されたCHO細胞中の本発明の化合物(化合物104)により誘導した、ホルスコリン刺激性環状AMP産生の抑制を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
本発明は、環拘束を有するアデニンヌクレオシド類似体は結合親和性を高め、A3アデノシン受容体への選択性を向上するという概念に基づく。該類似体としては、エーテル酸素を欠いた固定リボース置換基である(N)-メタノカルバ(ビシクロ[3.1.0]へキサン)環系が
挙げられる。
【0018】
従って、本発明は次式の化合物を提供する:
【化1】

【0019】
(式中、
R1は、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ、C3-C8シクロアルキル、C3-C8シクロアルキルC1-C6アルキル、C3-C8ジシクロアルキルC1-C6アルキル、C7-C12ビシクロアル
キルC1-C6アルキル、C7-C14トリシクロアルキルC1-C6アルキル、C6-C14アリール、C6-C14アリールC1-C6アルキル、C6-C14ジアリールC1-C6アルキル、C6-C14アリールC1-C6アルコ
キシ、ヘテロシクリルC1-C6アルキル、ヘテロシクリル、4-[[[4-[[[(2-アミノC1-C6アル
キル)アミノ]-カルボニル]-C1-C6アルキル]アニリン]カルボニル]C1-C6アルキル]C6-C14
アリール、及びC6-C14アリールC3-C8シクロアルキルから成る群より選択され、
R1のアリールもしくはヘテロシクリル部分は、ハロ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C6-C14アリールオキシ、ヒドロキシC1-C6アルキル、ヒドロキシC2-C6アルケニル、ヒドロキシC2-C6アルキニル、アミノカルボニルC1-C6アルコキシ、及びC6-C14アリールC1-C6アルコキシ、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上
の置換基で任意に置換されており;
並びに、R1のアルキルもしくはシクロアルキル部分は、ハロ、ヒドロキシ、及びアミノ、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換されている;
【0020】
R2は、水素、ハロ、アミノ、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルチオ、C2-C6アルケニルオ
キシ、C2-C6アルキニルオキシ、C3-C8シクロアルキルC1-C6アルコキシ、C3-C8シクロアルケニルオキシ、C7-C12ビシクロアルキルC1-C6アルコキシ、C7-C12ビシクロアルケニルC1-C6アルコキシ、C6-C14アリールオキシ、C6-C14アリールC1-C6アルコキシ、C6-C14アリー
ルC3-C6シクロアルコキシ、C6-C14アリールC1-C6アルキルアミノ、C6-C14アリールC1-C6
アルキルチオ、C1-C6アルキルC6-C14アリールC1-C6アルコキシ、C1-C6アルコキシC6-C14
アリールC1-C6アルコキシ、ハロC6-C14アリールオキシ、ハロC6-C14アリールC1-C6アルコキシ、C6-C14アリールC1-C6アルキルアミノ、C1-C6ジアルコキシC6-C14アリールC1-C6
ルコキシ、ヘテロシクリルC1-C6アルコキシ、ヒドラジニル、及びピラゾリルから成る群
より選択され、
該ピラゾリルは、C1-C6アルキル、C6-C14アリールC1-C6アルキル、C6-C14ハロアリールC1-C6アルキル、アミノカルボニル、C1-C6アルキル アミノカルボニル、C1-C6アルコキシフェニル、C6-C14ハロアリール、及びヘテロシクリル、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換されている;
【0021】
R3及びR4は独立して、ヒドロキシ、アミノ、チオール、ウレイド、C1-C6アルキル カルボニルアミノ、ヒドロキシC1-C6アルキル及びヒドラジニルから成る群より選択される;
【0022】
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニル、C1-C3アルキルチオC1-C3アルキル、ハロC1-C3
アルキル、ヒドラジニル、アミノC1-C3アルキル、ヒドロキシC1-C3アルキル、C3-C6シク
ロアルキルアミノ、ヒドロキシルアミノ、及びC2-C3アルケニルから成る群より選択され
る;並びに、
【0023】
R6は、水素もしくはフッ素である;
【0024】
又はそれらの薬学的に許容される塩である;
【0025】
ただし、(i)R1がメチルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシルであり、並
びにR5がメチルアミノカルボニルである場合、R6は水素ではない;(ii)R1が3-ヨードベンジルであり、R2が水素もしくはクロロであり、R3及びR4がヒドロキシルであり、並びにR5がメチルアミノカルボニルである場合、R6は水素ではない;並びに(iii)R1がC1-C6アルキル、C3-C8シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C6-C14アリール、C6-C14アリールC1-C6
ルキル、ヘテロシクリルもしくはC7-C12ビシクロアルキルであり、R2が水素もしくはハロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、並びにR6が水素である場合、R5はアルキルアミノ
カルボニルではないという条件で。)。
【0026】
「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、及びビフェニルのような芳香族部分をいう。「ヘテロシクリル」という用語は、炭素並びに1つ以上のヘテロ原子(例えばO、N及びS)、並びに任意に水素を含有する3〜7員環をいい、1つ以上の芳
香環と任意に組み合わされていてもよい。ヘテロシクリル基の例としては、ピリジル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラジニル、ピロリル、ピロニル、ピロニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピロリジニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、チオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、プリニル、ピリミジニル、チアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリニル、オキサゾリル、テトラゾリル、テトラジニル、ベンゾキサゾリル、モルホリニル、チオホルホリニル(thiophorpholinyl)、キノリニル、及びイソキノリニルが挙げられる。アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ基は、直鎖又は分岐であってよい。アリール基が置換基(例えばハロ、アミノ、アルキル、ヒドロキシ、アルコキ
シ、及び他のもの)で置換される場合、芳香環水素が該置換基で置換され、これは任意の
利用できる水素(例えば2、3、4、5、及び/又は6位(1位は本発明の化合物へのアリール基
の付加部位である))で起こり得る。「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素をいう。ビシクロアルキルの例としては、ノルボルニル、s-エンドノルボルニル、カルバメチルシロペンチル(carbamethylcylopentyl)、及びビシクロヘキシルが挙げられる
。トリシクロアルキルの例はアダマンチルである。
【0027】
1つの実施形態において、R1はC1-C6アルキル、C6-C14アリールC1-C6アルキル、C6-C14ジアリールC1-C6アルキル、C6-C14アリールC3-C8シクロアルキル、及びヘテロシクリルC1-C6アルキルから成る群より選択される。ここでR1のアリール又はヘテロシクリル部分は
、ハロ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C6-C14アリールオキシ、ヒドロキシC1-C6アルキル、ヒドロキシC2-C6アルケニル、ヒドロキシC2-C6アルキニル、アミノカル
ボニルC1-C6アルコキシ、及びC6-C14アリールC1-C6アルコキシ、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換される。
【0028】
更なる実施形態において、R1は、C1-C6アルキル、フェニルC1-C6アルキル、ジフェニルC1-C6アルキル、フェニルC3-C8シクロアルキル、ジフェニルC3-C8シクロアルキル、及び
ヘテロシクリルC1-C6アルキルから成る群より選択される。ここでR1のフェニル又はヘテ
ロシクリル部分は、ハロ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、フェノキシ、ヒドロキシC1-C6アルキル、ヒドロキシC2-C6アルケニル、ヒドロキシC2-C6アルキニル、アミ
ノカルボニルC1-C6アルコキシ、及びフェニルC1-C6アルコキシ、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換される。好ましくは、R1は、メチル、ベンジル、ジフェニル エチル、フェニル シクロプロピル、ジフェニル
シクロプロピル、及びピリジル メチルから成る群から選択される。ここでR1のフェニル
又はピリジル部分は、ハロ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、フェノキシ、ヒドロキシC1-C6アルキル、ヒドロキシC2-C6アルケニル、ヒドロキシC2-C6アルキニル、ア
ミノカルボニルC1-C6アルコキシ、及びフェニルC1-C6アルコキシ、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換される。
【0029】
さらに好ましくは、R1は、ハロ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、フェノキシ、ヒドロキシC1-C6アルキル、ヒドロキシC2-C6アルケニル、ヒドロキシC2-C6アルキニ
ル、アミノカルボニルC1-C6アルコキシ、及びフェニルC1-C6アルコキシ、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換されるベンジルである。具体的な実施形態において、R1はベンジルである。
【0030】
他の実施形態において、R1はメチルである。さらなる実施形態において、R1は、シクロペンチル及び7-ノルボルニルから成る群より選択され、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、並びにR6が水素である場合、A1
及びA3アデノシン受容体の両方の作用薬である。
【0031】
R1の具体例は、ハロ、アミノ、メチル、メトキシ、フェノキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピニル、アミノカルボニル メトキシ、及びベンジルオキシ、並びにそれら
の任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基、好ましくはハロで置換されるベンジルである。置換ベンジル基の具体例は、3-ヨードベンジル、3-ブロモベンジル、3-クロロベンジル、3-フルオロベンジル、2,5-ジクロロベンジル、2-クロロ-5-ヨー
ドベンジル、5-クロロ-2-メトキシベンジル、5-クロロ-2-(アミノカルボニル メトキシ)
ベンジル、5-クロロ-2-ベンジルオキシベンジル、5-ヨード-2-メトキシベンジル、2,5-ジメトキシベンジル、2-メチルベンジル、3-(3-ヒドロキシプロピニル)ベンジル、2-クロロ-5-(3-ヒドロキシプロピニル)ベンジル、4-アミノベンジル、及び4-アミノ-3-ヨード-ベ
ンジルである。R1の他の例は、シクロペンチル、3-ピリジルメチル、trans-2-フェニル-1-シクロプロピル、及び2,2-ジフェニルエチルである。
【0032】
上述の任意の実施形態において、R2は、好ましくは、ハロ、アミノ、及びC1-C6アルキ
ルチオから成る群より、より好ましくは、クロロ、ヨード、アミノ、及びメチルチオから成る群より選択される。R2がヘテロシクリルで置換されるピラゾリルである場合、任意のヘテロシクリル基(例えばピリジル、キノリニル(quiloninyl)、イソキノリニル、ピリミ
ジニル、及びベンゾキサゾリルから成る群より選択されるもの)で置換される。
【0033】
上述の任意の実施形態において、R3及びR4は、好ましくはヒドロキシ、アミノ、チオール、及びウレイドから成る群より選択される。より好ましくは、R3及びR4はヒドロキシである。
【0034】
上述の任意の実施形態において、R5は、好ましくは、C1-C3アルキル アミノカルボニル、C1-C3アルキルチオC1-C3アルキル、ハロC1-C3アルキル、アミノC1-C3アルキル、ヒドロキシC1-C3アルキル、及びC3-C6シクロアルキルアミノから成る群より、より好ましくは、メチルアミノ カルボニル、メチルチオ メチル、ハロメチル、アミノメチル、ヒドロキシメチル、及びシクロプロピルアミノから成る群より選択される。さらに好ましくは、R5はメチルアミノ カルボニルである。
【0035】
上述の任意の実施形態において、R6は、好ましくは水素である。
【0036】
本発明の化合物の具体例は、R1がメチルであり、R2がアミノであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1がシ
クロペンチルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1が7-ノルボルニルであり、R2がク
ロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1が3-ブロモベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒ
ドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1
が3-クロロベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1が3-フルオロベンジルであ
り、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルで
あり、及びR6が水素である化合物;R1が2,5-ジクロロベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素で
ある化合物;R1が2-クロロ-5-ヨードベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒ
ドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1
が5-クロロ-2-メトキシベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであ
り、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1が5-クロロ-2-(アミノカルボニル メトキシ)ベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキ
シであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1が5-ク
ロロ-2-ベンジルオキシベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであ
り、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1が5-ヨード-2-メトキシベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1が2,5-ジメトキシベンジルで
あり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニル
であり、及びR6が水素である化合物;R1が2-メチルベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素であ
る化合物;R1が3-メチルベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1が3-(3-ヒドロキシプロピニル)ベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5
がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1が2-クロロ-5-(3-ヒ
ドロキシプロピニル)ベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり
、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1が4-アミノベン
ジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カル
ボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1が4-アミノ-3-ヨードベンジルであり、R2
がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、
及びR6が水素である化合物;R1が3-ピリジルメチルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物
;R1がtrans-2-フェニル-1-シクロプロピルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒド
ロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1が2,2-ジフェニルエチルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメ
チルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である化合物;R1が3-クロロベンジルであ
り、R2がヨードであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルで
あり、及びR6が水素である化合物;並びに、R1が3-クロロベンジルであり、R2がメチルチオであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6
が水素である化合物である。
【0037】
本発明の2-クロロ、5'-N-メチルアミド置換化合物の中で、N6-(3-クロロベンジル)及びN6-(3-ブロモベンジル)類似体は、それぞれ0.29nM及び0.38nMの、ヒトA3アデノシン受容
体でのKi値を示した。他のナノモーラー以下の親和性は、下記のN6誘導体で観測された:2,5-ジクロロベンジル、5-ヨード-2-メトキシベンジル、trans-2-フェニル-1-シクロプロピル、及び2,2-ジフェニルエチル。ヒトA1アデノシン受容体と比較して、A3アデノシン受容体に対する選択性は、(倍)であった:N6-(2,2-ジフェニルエチル)類似体34(1900)、N6-(2,5-ジメトキシベンジル)類似体26(1200)、N6-(2,5-ジクロロベンジル)及びN6-(2-フェ
ニル-1-シクロプロピル)類似体20及び33(1000)、並びにN6-(3-置換ベンジル)類似体17、18、28、及び29(700〜900)。典型的に、さらに大きな選択性の比が、A2A及びA2Bアデノシ
ン受容体との比較において得られた。上記の(N)-メタノカルバ-5'-ウロンアミド類似体は、10μM濃度でのホルスコリン刺激アデニル酸シクラーゼの阻害により示されるように、A3アデノシン受容体の完全作用薬である。N6-(2,2-ジフェニルエチル)誘導体は、リボース系において拮抗薬であったが、意外にも(N)-メタノカルバ-5'-ウロンアミド系においてA3アデノシン受容体作用薬であった。
【0038】
本発明はまた、次式の化合物を提供する:
【化2】

(式中、
(a)R1は、アミノカルボニルアミノで置換されたC3-C8シクロアルキルであり;
R2は、水素、ハロ、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルキルアミノから成
る群より選択され;
R3は、ヒドロキシであり;
R4は、アミノ、ヒドロキシ、及びハロから成る群より選択され;
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニルであり;並びに、
R6は、水素もしくはハロである;
(b)R1は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボニルアミノ、及びそれらの任意の組
み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換されたC3-C8シクロア
ルキルであり;
R2は、C1-C6アルコキシ、及びC1-C6アルキルアミノから成る群より選択され;
R3は、ヒドロキシであり;
R4は、アミノ、ヒドロキシ、及びハロから成る群より選択され;
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニルであり;並びに、
R6は、水素もしくはハロである;
(c)R1は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボニルアミノ、及びそれらの任意の組
み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換されたC3-C8シクロア
ルキルであり;
R2は、水素、ハロ、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルキルアミノから成
る群より選択され;
R3は、ヒドロキシであり;
R4は、ハロであり;
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニルであり;並びに、
R6は、水素もしくはハロである;又は、
(d)R1は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボニルアミノ、及びそれらの任意の組
み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換されたC3-C8シクロア
ルキルであり;
R2は、C1-C6アルコキシ、及びC1-C6アルキルアミノから成る群より選択され;
R3は、ヒドロキシであり;
R4は、アミノ、ヒドロキシ、及びハロから成る群より選択され;
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニルであり;並びに、
R6は、ハロである;
あるいは、それらの薬学的に許容される塩である。)。
【0039】
[0038]項の実施形態において、本発明は、R1がヒドロキシル、アミノ、又はアミノカルボニルアミノで任意に置換されたシクロペンチルである化合物を提供する。
【0040】
本発明はさらに、特定の実施形態において、次式の化合物を提供する:
【化3】

[式中、R1は、
【化4】

(式中、R1は該化合物のN6Hと共に示される。)から成る群より選択され;
R2は、水素、ハロ、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルコキシ、及びC1-C6アルキルアミノか
ら成る群より選択され;
R3は、ヒドロキシであり;
R4は、アミノ、ヒドロキシ、及びハロから成る群より選択され;
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニルであり;並びに、
R6は水素もしくはハロであり;又はそれらの薬学的に許容される塩である。]。
【0041】
[0040]項の実施形態において、本発明は、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノカルボニルであり、及びR6が水素である化合物を提供する。
【0042】
いくつかの他の実施形態において、本発明は、次式の化合物を提供する:
【化5】

(式中、R1は、ヘテロシクリルであり;
R2は、水素、ハロ、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルコキシ、及びC1-C6アルキルアミノか
ら成る群より選択され;
R3は、ヒドロキシであり;
R4は、アミノ、ヒドロキシ、及びハロから成る群より選択され;
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニルであり;並びに、
R6は、水素もしくはハロであり;又はそれらの薬学的に許容される塩である。)。
【0043】
[0042]項の実施形態において、本発明は、R1がテトラヒドロフラニルである化合物、例えばR1が、
【化6】

(式中、R1はN6Hと共に示される。)である化合物を提供する。特定の実施形態において、
該化合物は下記の置換基を有する:R2はクロロであり、R3及びR4はヒドロキシであり、R5はメチルアミノカルボニルであり、及びR6は水素である。
【0044】
R1がシクロアルキル又はヘテロシクリルである本発明の化合物は、A1及びA3アデノシン受容体の両方の活性化因子として働く。A1及びA3アデノシン受容体の活性化は、PLC及びPLD(ホスホリパーゼC及びD)の活性化をもたらし得る。PLC及びPLDは、集まってプロテインキナーゼC(PKC)を活性化し、心保護を媒介する。A1及びA3アデノシン受容体の作用薬は、広範囲の虚血及び再灌流傷害のインタクトマウス心臓モデルにおける抗虚血心保護作用を示す。
【0045】
本発明の化合物は、例えばJoshi et al., 227th ACS National Meeting, August 2002,
Boston, MA, Abstract MEDI 256の方法(2つの主要な段階に基づく:(1)適切に置換された炭水化物のキラルシントン上で行われる分子内シクロプロパン化反応、及び(2)イソプ
ロピリデン基の主要酸触媒異性化)のような、任意の好適な方法により調製され得る。図
1〜6も参照。置換基R1〜R6は、任意の好適な方法により分子内に導入されるか、又は組み込まれ得る;例えば米国特許5,773,423及び5,688,774、並びに米国公開出願No.2003/0216412 Alを参照。
【0046】
さらに、Can. J. Chem., 1970, 48, 570は、アミノ基転移により環状ケトンをアミノシクロアルカンに変換する方法を開示し、Hughes, D. L., Org. Reac. 1992, 42, 335-656
は、配位の反転を伴う、アルコールの1級アミンへの立体特異的変換を行う、光延反応の態様を開示する。アルコールは、トリフェニルホスフィン、アゾジカルボン酸ジエチル、及び通常、フタルイミドで処理し、その後ヒドラジン分解する。これらの方法は、本発明の化合物中に3'-アミノ基を導入するために用いられ得る。ピラゾリル基は、Elzein et al., J. Med. Chem., 2004, 47, 4766-4773で示される方法によりアデニン環の2位に導入
され得る。
【0047】
本発明はさらに、上述の化合物及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物を提供する。本発明は、薬学的に許容される担体、及び1つ以上の本発明の前記の化合物又はそれらの塩の、有効量(例えば、予防上有効な量を含む、治療上有効な量)を含有する医薬組成物を提供する。
【0048】
本発明の医薬組成物で用いられる薬学的に許容される塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸及び硫酸のような無機酸、並びに酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、及びアリールスルホン酸(例えばp-トルエンスルホン酸)のような有機酸から誘導されたものが挙げられる。
【0049】
薬学的に許容される担体は、従来用いられる任意のものでよく、可溶性及び該化合物との反応性の欠如のような物理化学的考慮、並びに投与経路によってのみ制限される。下記で述べる医薬組成物に加え、本発明の化合物が、シクロデキストリン包接複合体又はリポソームのような、包接複合体として処方され得ることは、当業者には理解される。
【0050】
本明細書中に記載の薬学的に許容される担体(例えばビヒクル、アジュバント、賦形剤
、もしくは希釈剤)は当業者に周知であり、容易に一般に入手可能である。薬学的に許容
される担体は、該活性化合物に対して化学的に不活性であるもの、及び使用条件下で有害な副作用又は毒性を持たないものであることが好ましい。
【0051】
担体の選択は、特定の活性剤により、及び該組成物を投与するのに用いられる特定の方法により、ある程度決定される。従って、本発明の医薬組成物には多様な好適な製剤が存在する。経口、エアロゾール、非経口、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、くも膜下、直腸、及び膣内投与のための下記の製剤は単なる典型例であって、なんら限定するものではない。
【0052】
経口投与に好適な製剤は、(a)溶液(例、有効量の該化合物を水、生理食塩水、又はオレンジジュースのような希釈剤中に溶解したもの);(b)それぞれ該有効成分の既定量を固体又は顆粒として含有する、カプセル、サッシェ、錠剤、ロゼンジ、及びトローチ;(c)散
剤;(d)適切な液体での懸濁液;並びに、(e)好適な乳剤から成り得る。液体製剤は、水及びアルコール(例えば、エタノール、ベンジルアルコール、及びポリエチレンアルコール)のような希釈剤を含み得、薬学的に許容される界面活性剤、懸濁化剤、又は乳化剤の付加を伴っても、伴わなくてもよい。カプセル型は、通常の、殻の硬い又は軟らかいゼラチン型であり得、例えば界面活性剤、滑沢剤、並びに不活性充填剤(例、乳糖、ショ糖、リン
酸カルシウム、及びコーンスターチ)を含有し得る。錠剤型は、乳糖、ショ糖、マンニト
ール、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、アルギン酸、微結晶性セルロース、アカシア、ゼラチン、グアーガム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロース ナトリウム、タ
ルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、及び他の賦形剤のうちの1つ以上、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、防腐剤、香料及び薬理学的に適合可能な担体を含み得る。ロゼンジ型は、該有効成分を風味(通常、ショ糖及びアカシア)、又はトラガカント中に含み得、同様に香錠型は、該有効成分を不活性ベース(例、ゼラチン及びグリセリン)、又はショ糖及びアカシア中に含み得、乳剤、ゲル剤等は、有効成分に加えて当該分野で公知の担体を含み得る。
【0053】
本発明の化合物は、単独又は他の好適な成分との組み合わせで、吸入により投与されるエアロゾル製剤にされ得る。これらのエアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等のような加圧可能な噴霧剤中に入れられ得る。それらはまた、ネブライザー又はアトマイザー中のような、非加圧調製のための医薬品として処方され得る。
【0054】
非経口投与に好適な製剤は、水性及び非水性の等張滅菌注射液を含み、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、及び、該製剤を対象レシピエントの血液と等張化する溶質、並びに、(懸濁
化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、及び防腐剤を含有し得る)水性及び非水性の滅菌懸
濁液を含み得る。該化合物は、薬学的担体中の生理学的に許容される希釈剤(例、滅菌液
もしくは液体の混合物であって、水、生理食塩水、水性のブドウ糖及び関連する糖溶液、アルコール(例、エタノール、イソプロパノール、もしくはヘキサデシルアルコール)、グリコール(プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール)、グリセロールケタール(例、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール)、エーテル(例、ポリ(エチレングリコール)400)、油、脂肪酸、脂肪酸エステルもしくはグリセリド、又はアセチル化脂肪
酸グリセリドを含む)中で投与され得、薬学的に許容される界面活性剤(例、セッケンもしくは洗剤)、懸濁化剤(例、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、もしくはカルボキシメチルセルロース)、又は乳化剤、及び他の薬
学的アジュバントの付加を伴っても伴わなくてもよい。
【0055】
非経口製剤で用いられ得る油は、石油、動物油、植物油、又は合成油が挙げられる。油
の具体例としては、ピーナッツ油、大豆油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ワセリン油、及び鉱油が挙げられる。非経口製剤で使用される好適な脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸が挙げられる。オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルは、好適な脂肪酸エステルの例である。非経口製剤で使用される好適なセッケンとしては、脂肪アルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びトリエタノールアミン塩が挙げられる。好適な洗剤としては、(a)陽性洗剤(例えば、ハロゲン化ジメチル ジアルキル アンモニウム、及びハロゲン化アルキル ピリジニウム等)、(b)陰性洗剤(例えば、スルホン酸アルキル、スルホン酸アリール、及びスルホン酸オレフィン;硫酸アルキル、硫酸オレフィン、硫酸エーテル、及び硫酸モノグリセリド;並びにスルホサクシネート等)、(c)非イオン性洗剤(例えば、脂肪アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミ
ド、及びポリオキシエチレン-ポリプロピレン共重合体等)、(d)両性洗剤(例えば、アルキル-β-アミノプロピオン酸塩、及び2-アルキル-イミダゾリン4級アンモニウム塩等)、並びに(3)それらの混合物が挙げられる。
【0056】
非経口製剤は、通常、約0.5〜約25重量%の有効成分を溶液中に含有する。好適な防腐
剤及び緩衝液は、そのような製剤において用いられ得る。注入部位での刺激を最小限にするか、又は除去するために、そのような組成物は約12〜約17の親水性・親油性バランス(HLB)を有する1つ以上の非イオン性界面活性剤を含有し得る。そのような製剤中の界面活
性剤の量は、約5〜約15重量%の範囲である。好適な界面活性剤としては、ポリエチレン
ソルビタン脂肪酸エステル(例、ソルビタンモノオレエート)、及びプロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合により形成される、疎水性塩基とのエチレンオキシドの高分子量付加体が挙げられる。非経口製剤は、単位用量又は複数回用量を封入した容器(例
えば、アンプル及びバイアル)中に提供され得、フリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存さ
れ得、使用の直前に注射用の滅菌液体担体(例えば水)を添加するだけでよい。即席の注射溶液及び懸濁液は、上述の種類の滅菌散剤、顆粒、及び錠剤から調製され得る。
【0057】
本発明の化合物は、注射製剤にされ得る。注射組成物のための効果的な薬学的担体の必要性は、当業者に周知である。Pharmaceutics and Pharmacy Practice, J. B. Lippincott Co., Philadelphia, Pa., Banker and Chalmers, eds., pages 238-250 (1982)、及びASHP Handbook on Injectable Drugs, Toissel, 4th ed., pages 622-630 (1986)を参照

【0058】
さらに、本発明の化合物は、様々な基剤(例、乳化用基剤又は水溶性基剤)と混合することにより、坐剤にされ得る。膣内投与に好適な製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡、又は噴霧剤として提供され得、有効成分に加えて、適切であると当該分野で公知の担体を含有し得る。
【0059】
本発明は、哺乳動物においてA3アデノシン受容体を選択的に活性化する方法を提供し、該方法は、該A3アデノシン受容体の選択的活性化を必要とする哺乳動物に、治療上有効な量(予防上有効な量を含む)の化合物を投与する工程を含み、該化合物はA3受容体と結合してA3受容体依存的反応を促す。該化合物は、急性的又は慢性的に投与され得る。
【0060】
本発明の方法は、in vivoでの適用において特に有効である。例えば、A3アデノシン受
容体作用薬は、イノシトール-1,4,5-三リン酸(IP3)、ジアシルグリセロール(DAG)、及び
フリーラジカルの放出、並びにその後のアラキドン酸カスケードに関与する、任意の病状又は状態の治療に用いられ得る。従って、高血圧(high blood pressure)、活動亢進、高
血圧(hypertension)、急性低酸素、うつ、及び不妊症は本発明の方法により治療され得、例えば症状の発現又は認識の約数分〜約1時間内に、上述の化合物の1つが急性投与される。該方法はまた、慢性の病状及び状態の治療に実用性があり、特に、上述の化合物の1つを慢性的に、予防的もしくは治療的に投与することにより、症状の発現を予防するか、
又は回復時間を減少するであろう。本発明の方法により慢性的に治療され得る病状及び状態の例としては、炎症性疾患(例、血管炎症及び関節炎)、アレルギー、喘息、創傷治癒、脳卒中、心不全、急性脊髄損傷、急性頭部外傷又は外傷性障害、発作、新生児低酸素症(
脳性麻痺;胎盤循環による慢性曝露を含む予防的処置)、動静脈奇形及び閉塞性大脳動脈
疾患による慢性低酸素症、(興奮毒性、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、及び他のCNSの疾患に関する)重度の神経障害、心臓病、腎臓病、並びに避妊が挙げられる。
【0061】
本発明のこれらの化合物は、有意な脳の保護剤であり得る。そのようなものとして、上記の化合物は、例えば、発作、一過性虚血ショック、脳卒中、血栓もしくは脳出血に由来する局所的虚血、心停止に由来する広範囲の虚血、外傷、新生児麻痺、血液量減少性ショック、及び高血糖、並びに関連神経障害を含む、様々な疾患の治療及び/又は予防に用い
られ得る。
【0062】
上記の治療方法は、例えば、哺乳動物がイノシトール-1,4,5-三リン酸もしくはジアシ
ルグリセロールの細胞内放出と関連する状態、疾患、又は病状を有する、あるいはその恐れがある場合に適用できる。該方法はまた、哺乳動物が活動亢進であるか、又はその恐れがある場合にも適用でき、該化合物はA3アデノシン受容体と結合して、運動抑制剤として作用する。
【0063】
本発明の方法はまた、哺乳動物が高血圧であるか、又はその恐れがある場合にも適用でき、該化合物はA3アデノシン受容体と結合して、降圧剤として作用する。該方法はまた、哺乳動物が不安神経症であるか、又はその恐れがある場合にも適用でき、該化合物はA3アデノシン受容体と結合して、抗不安薬として作用する。該方法はさらに、哺乳動物が脳虚血であるか、又はその恐れがある場合に適用でき、該化合物はA3アデノシン受容体と結合して、脳保護剤として作用する。該方法はまた、哺乳動物が発作、又はその恐れがある場合にも適用でき、該化合物はA3アデノシン受容体と結合して、抗発作薬として作用する。
【0064】
本発明の方法は、慢性的に、及び急性的に投与され得る。本発明の方法は、動物(例、
所望のA3受容体依存的反応を必要とする哺乳動物、特にヒト)に、1つ以上の前記の本発
明の化合物もしくは薬学的に許容できる塩、又はそれらの誘導体の有効量(例えば治療上
有効な量)を、単独で又は1つ以上の他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて、投与す
ることを含む。
【0065】
1つの実施形態において、本発明は、哺乳動物中でA3及びA1アデノシン受容体を活性化する方法を提供し、該方法は、両受容体に親和性を持つ化合物の有効量を、哺乳動物に投与することを含む。従って、本発明は、それを必要とする患者を心保護する方法を提供し、該方法は、A1及びA3アデノシン受容体の両方に親和性を持つ作用薬を、患者の心臓でA1及びA3アデノシン受容体を活性化するのに有効な化合物量で、患者に投与することを含む。心保護は、心臓への虚血性障害を予防する、又は低減することを含む。
【0066】
当業者は、本発明の化合物を動物に投与する好適な方法が利用でき、特定の化合物を投与するのに1つより多い経路が用いられ得るが、特定の経路は他の経路よりも、より迅速で、より効果的な反応を提供し得ることを理解しているであろう。従って、上述の方法は、単に典型例に過ぎず、なんら限定するものではない。
【0067】
本発明において、動物、特にヒトに投与される用量は、適当な期間に亘って、該動物に予防又は他の治療反応をもたらすのに十分であるべきである。当業者は、用量は用いられる特定の化合物の強度、該動物の年齢、種、状態、及び体重、並びに病気や症状の重度/
段階を含む様々な因子に依存することを認識しているであろう。用量の大きさはまた、投与経路、投与時期及び投与頻度、並びに、特定の化合物の投与及び所望の生理的効果に伴
い得る、任意の不都合な副作用の存在、性質及び程度によっても決定される。様々な状態又は病状、特に慢性的な状態又は病状が、複数回投与を含む長期治療を必要とし得ることは、当業者には理解されるであろう。
【0068】
好適な用量及び用法は、当業者に公知の通常の範囲設定技術により決定され得る。一般的に治療は、該化合物の適量よりも少ない、より低用量で開始される。その後、該状況下で最適な効果に達するまで、用量を少しずつ増加する。便宜上、所望により、1日の総服用量は、1日の間に分割して投与され得る。特定の化合物の適正用量及び好適な投与で、本発明は、広範囲の選択的A3アデノシン受容体依存的反応と共に、A3及びA1アデノシン受容体依存的反応を提供する。典型的な用量は、1日あたり、治療される動物のkg体重あたり約0.01〜約100mgの範囲である。好ましい用量は、1日あたり約0.1〜約10mg/kg体重の
範囲である。
【0069】
本発明はさらに、細胞においてA3アデノシン受容体、又はA3及びA1アデノシン受容体の両方を活性化する方法を提供し、該方法は、細胞を本発明の化合物と接触させる工程を含む。接触は、in vivo又はin vitroで起こり得る。
【0070】
本発明を下記の実施例によりさらに説明するが、当然、本発明の範囲をなんら限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0071】
本実施例は、本発明の実施形態のいくつかの化合物の調製方法を示す。
【0072】
図1で示す合成は、市販の2,3-O-イソプロピリデン-D-エリトロノラクトン(erythronolactone)(105)で開始し、発表されている方法(Gao et al., J. Amer. Chem. Soc. 1983, 105, 3661-3672)に従い、DIBAL-Hで還元して2,3-O-イソプロピリデン-D-エリトロース(106)を得た。このラクトールを、対応するメチレントリフェニルホスフィン イリドでウィッティヒ オレフィン化し、開環アルコール107を収率60%で得た。この段階で、107を対応
するアルデヒド108へと酸化するために試みたいくつかの方法の中で、Swern酸化プロトコルを選択した。その結果生じたアルデヒドは不安定であると分かり、従ってすぐに次の反応に利用した。アルデヒドの亜塩素酸ナトリウムでの酸109への酸化後、活性化酸を2-リ
チオ酢酸エチルでDieckmann縮合し、所望のβ-ケトエステル110(59%)と、さらに不用の
エピ化誘導体111(9%)を、分離可能なジアステレオ異性体の混合物として得た。このエピ化問題は、塩化スズ(II)の存在下、アルデヒド4aをジアゾ酢酸エチルで直接処理することで克服し、単独生成物としてケトエステル110を、アルコール107からの全収率36%で得た。標準プロトコルを用いて、不飽和ケトエステル110をジアゾ化合物112に変換し、熱的誘導分子内シクロプロパン化により、ビシクロ[3.1.0]へキサン-2-オン誘導体113及び114を、所望の異性体113に対する好ましいジアステレオ異性体比(3:1)で、合計収率48%で得た。ビシクロ誘導体113をクロマトグラフ的に単離し、NaBH4でステレオ特異的に還元し、単一生成物としてアルコール115を収率72%で得た。115の構造をX線解析により確認し、(N)-メタノカルバ炭素環ヌクレオシドを構築する我々の合成アプローチの適性を、疑う余地なく立証した。
【0073】
核酸塩基カップリングを、光延反応により行った(図2)。従って、アルコール115を酸
触媒平衡に付し、異性体アセトニド116を調製し、シクロヘキサンからの注意深い結晶化
により、収率90%(アルコール115の回収に基づいて)で単離した。必要なアルコール116を2,6-ジクロロプリンと光延カップリングさせた場合、縮合生成物117を収率36%で得た。
【0074】
117を過剰のCH3NH2で処理後、アセトニド基を脱保護することにより、確証的な(N)-メ
タノカルバ ヌクレオシド14(MRS 2346)を得、その分光特性は文献Lee et al., Bioorg. M
ed. Chem. Lett. 2001, 11, 1333-1337で報告されたものと一致した。さらに、Et3Nの存
在下、117を3-ヨードベンジルアミンと反応させ、次に過剰のCH3NH2と反応させ、化合物119を得た。標準方法によるアセトニドの除去により、他のターゲット5(MRS 1898)を収率74%で作成した。5の分光特性は、上記の文献Lee et al.で報告された同一の化合物のものと一致した。当該経路の普遍性を実証するために、他の新規N6-置換(N)-メタノカルバ ヌクレオシド(例えば33及び34)を適切な収率で調製した。
【0075】
合成試薬は、Sigma Chemical Co. (St. Louis, MO)及びAldrich (Milwaukee, WI)より購入した。1H-NMRスペクトルは、Varian Gemini-300分光計(300MHz)で、溶媒としてD2O、CDCl3、CD3OD、及びDMSO-d6を用いて得た。低分解能質量スペクトルは、Finnigan-Thermoquest LCQでAPCI(大気圧化学イオン化)インターフェースで測定した。低分解能及び高分
解能FAB (高速原子衝撃)質量分析は、JEOL SX102分光計で、グリセロールマトリックスからの脱離後の6-kV Xe原子を用いて行った。
【0076】
2,3-O-イソプロピリデン-D-エリトロース(106)を市販の2,3-O-イソプロピリデン-D-エ
リトロノラクトン(erythronolactone)(105)から、Cohen et al. (J. Amer. Chem. Soc. 1983, 105, 3661-3672)の手法により、収率90%で調製した。
【0077】
(4R,5S)-(2,2-ジメチル-5-ビニル-l,3-ジオキソラン-4-イル)メタン-1-オール(107).
乾燥THF(60mL)中、臭化メチルトリフェニルホスホニウム(7.85g, 22mmol)を含む溶液に、カリウムtert-ブトキシド(2.2g, 20.0mmol)を加えた。結果として生じた反応混合物を、
窒素下、室温で1時間攪拌した。乾燥THF(20ml)中、ラクトール36b(1.60g, 10mmol)を-78℃で加え、反応を室温になるまで放温した。さらに3時間攪拌後、飽和食塩水(100mL)で
処理した。水相を酢酸エチル(50mL)で抽出した。あわせた有機相を食塩水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル; EtOAc:ヘキサン, 25:75)により精製し、107(0.94g, 60%)を油として得た;[α]D25 +41.2 (c 2.5 CHCl3) [Rao et al., J. Carbohydr. Chem. 1996, 15, 975-984] [α]D25+40.1] (Rao et al.で報告さ
れたものと同一の分光特性を持つ)。
【0078】
(4S,5S)-3-[2,2-ジメチル-5-ビニル(l,3-ジオキソラン-4-イル)]-3-オキソプロピオン
酸 エチル 110.
(方法A) 化合物107から、上記のRao et al.の研究に従い、酸109を調製した。0℃で保持した109(0.35g, 2.03mmol)のTHF(3mL)攪拌溶液を、1,1'-カルボニルジイミダゾール(0.43mg, 2.64mmol)で処理した。30分後、温度を30℃まで昇温し、さらに2時間攪拌し続けた
。室温まで冷却後、この溶液を、EtOAc(0.6mL, 6.14mmol)及びLDA(0.48g, 6.1mmol)を-78℃で1.5時間無水THF(5mL)中に置いて得た、LiCH2CO2CH2CH3の-78℃溶液に、カニューレを通して加えた。反応を同温で、1N HCl(6.1mL)で停止し、さらに-78℃で10分間攪拌し、0
℃まで放温し、pH3に調整し、EtOAc(80mL)で抽出した。あわせた有機抽出液を食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc, 7:1)により精製し、所望のβ-ケトエステル110(0.293g, 59%)を透明な
油として得た。少量の(4R,5S)-異性体 111(0.038g, 8%)もまた、透明な油として得た。
【0079】
110: IR (neat) 1748, 1722 cm-1; [α]25D = -42.7°(c 0.26, CHCl3); 1H NMR (CDCl3) δ12.08 (s, 0.1 H, D2O exchangeable, enolic OH), 5.92-6.06 (m, 1 H), 5.37-5.56 (m, 2 H), 4.51-4.62 (m, 1 H), 4.20-4.38 (m, 3 H), 3.75 (AB q, 2 H, J=16.4 Hz),
1.54- 1.57 (m, 6 H, 2), 1.34-1.41 (m, 3 H); FAB MS m/z (relative intensity) 185
(7.2), 243 (MH+, 2).
【0080】
111: IR (neat) 1750, 1721 cm-1; [α]25D = +29.9°(c 1.23 CHCl3); δ12.00 (s, 1
H, D2O exchangeable, enolic OH), 5.72-5.90 (m, 1 H), 5.30-5.57 (m, 2 H), 4.85-4
.99 (m, 1 H), 4.22-4.33 (m, 2 H), 3.69 (d, 1 H, J=16.4 Hz), 3.43 (d, 1 H, J=16.4
Hz), 1.70 (s, 3 H), 1.48 (s, 3 H), 1.32-1.40 (m, 3 H); FAB MS m/z (relative intensity) 185 (98), 243 (MH+, 38).
【0081】
(方法B) 乾燥DMSO(1.75g, 22.4mmol)の乾燥CH2Cl2(20mL)溶液を、窒素下で-78℃まで冷
却した(COCl)2(1.52g, 12mmol)の乾燥CH2Cl2(40mL)溶液に加えた。結果として生じた反応混合物を同温度でさらに15分間攪拌した後、アルコール107(1.27g, 8mmol)の乾燥CH2Cl2(15mL)溶液を、温度を-78℃に保ちながら、10分かけて注意深く加えた。攪拌を30分間続け、その後乾燥Et3N(8.0g, 80mmol)を同温で加えた。混合物を室温まで放温し、その後CH2Cl2(100mL)を加え、再び-78℃まで冷却した。溶液を飽和NaCl(40mL)で処理し、その後反応混合物を室温まで放温した。有機相を分離し、乾燥し(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。粗アルデヒド36d(3.0g)をCH2Cl2(40mL)に溶解し、SnCl2(5.10g, 24mmol)及びジアゾ酢酸エチ
ル(1.14g, 10mmol)で処理した。混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物をセライト(20.0g)のパッドを通してろ過し、結果として生じた有機相を濃縮した。所望のケトエステ
ルをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; ヘキサン:EtOAc-ヘキサン, 95:5)により精
製し、方法Aにおいて報告されたものと同一の分光特性を持つ110を、油(0.69g, 36%)と
して得た。
【0082】
(4S,5S)-3-[2,2-ジメチル-5-ビニル(l,3-ジオキソラン-4-イル)]-2-ジアゾ-3-オキソプロピオン酸 エチル 112.
ケトエステル110(4.84g, 20mmol)のアセトニトリル(40mL)攪拌溶液に、トシルアジド(4.13g, 21mmol)及びEt3N(4.4g, 40mmol)を逐次加えた。室温で30分間攪拌後、結果として生
じた反応混合物を濃縮した。ジアゾ誘導体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; ヘ
キサン:EtOAc, 95:5)により精製し、112(3.75g, 70%)を油として得た。
IR (neat) 2141, 1713 cm-1; [α]25D = +81.0°(c 2.02, CHCl3); 1H NMR (CDCl3) δ5.77 (ddd, 1 H, J=17.3, 10.1, 7.3 Hz), 5.70 (d, 1 H, J=7.6 Hz), 5.45 (dm, 1 H, J=17.1 Hz), 5.30 (dm, 1 H, J=10.2 Hz), 5.05 (t, 1 H, J=7.5 Hz), 4.36 (q, 2 H, J=7.1
Hz), 1.74 (s, 3 H), 1.51 (s, 3 H), 1.41 (t, 3 H, J=7.1 Hz); FAB MS m/z (relative intensity) 269 (MH+, 86).
この化合物をさらに精製することなく、次の段階に用いた。
【0083】
(1S, 3S, 4S, 5S)-3,4-0-イソプロピリデン-2-オキソビシクロ[3.1.0]-ヘキサンカルボン酸 エチル 113.
ジアゾ化合物36h(5.36g, 20mmol)の乾燥トルエン(15mL)攪拌溶液に、CuI(0.19Og, 1mmol)を室温で加え、反応混合物を8時間還流した。反応混合物を室温まで冷却し、濃縮し、カ
ラムクロマトグラフィー(シリカゲル; ヘキサン: EtOAc, 75:25)により精製してビシクロ化合物113(1.72g, 36%)及び化合物114(0.57g, 12%)を得た。
【0084】
113: IR (neat) 1751, 1719 cm-1; [α]25D = +33.6°(c 1.69, CHCl3); 1H NMR (CDCl3) δ5.12 (ddd, 1 H, J=8.3, 5.4, 1.0 Hz), 4.45 (d, 1 H, J=8.3 Hz), 4.29 (q, 2 H,
J=7.1 Hz), 2.84 (dt, 1 H, J=8.3, 5.3 Hz), 2.18 (dd, 1 H, J=8.1, 5.1 Hz), 1.89 (t, 1 H, J〜5.2 Hz), 1.59 (s, 3 H), 1.39 (s, 3 H), 1.36 (t, 3 H, J= 7.1 Hz); FAB MS m/z (relative intensity) 241 (MH+, 100). Anal, calcd for C12H16O5: C, 59.99; H, 6.71. Found: C, 59.95; H, 6.80.
【0085】
114: IR (neat) 1755, 1722 cm-1; [α]25D = +67.9°(c 1.12, CHCl3); 1H NMR (CDCl3) δ4.8(d, 1 H, J=5.1 Hz), 4.38 (dd, 1 H, J=4.8, 1.7 Hz), 4.32 (dq, 2 H, J=7.1,
1.5 Hz), 2.96 (dd, 1 H, J=8.7, 5.7 Hz), 2.21 (ddd, 1 H, J=8.8, 5.7, 1.7 Hz), 1.53 (s, 3 H), 1.45 (s, 3 H), 1.37 (t, 3 H, J=4.1 Hz), 1.35 (irregular t, 1 H); FAB MS m/z (relative intensity) 241 (MH+, 100). Anal, calcd for C12H16O5・0.45 H2O
: C, 58.03; H, 6.86. Found: C, 57.96; H, 6.76.
【0086】
(1S, 2R, 3S, 4S, 5S)-3,4-O-イソプロピリデン-2-ヒドロキシビシクロ[3.1.0]へキサ
ン-カルボン酸 エチル 115.
室温での113(1.20g, 5mmol)のメタノール(20mL)攪拌溶液に、NaBH4(0.19g, 5mmol)を加え、攪拌をさらに1時間続けた。その後、反応混合物をアセトン(2mL)で処理し、濃縮して
乾燥した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; ヘキサン:EtOAc, 70:30)によ
り精製し、化合物115(0.87g, 72%)を白色固体として得た。
m.p.109℃ (シクロヘキサン); [α]D25= +72.0°(c 0.15, CH2Cl2); 1H NMR (CDCl3) δ4.95 (t, 1 H, J=7.5 Hz), 4.88 (t, 1 H, J=6 Hz), 4.60 (t, 1 H, J=7 Hz), 4.12-4.24,
(m, 2 H), 2.48 (d, 1 H, J=12 Hz, OH), 2.16-2.26 (m, 1 H), 1.48-1.61 (m, 5 H), 1.32 (s, 3 H), 1.26 (t, 3 H, J=6.5 Hz). FAB MS m/z (relative intensity) 243 (MH+,
100). Anal, calcd for C12H18O5: C, 59.49; H, 7.49, Found: C, 59.36; H, 7.54.
【0087】
(1S, 2R, 3S, 4S, 5S)-2,3-0-(イソプロピリデン)-4-ヒドロキシビシクロ[3.1.0]へキ
サン-カルボン酸 エチル 116.
37(0.48g, 2.0mmol)及びp-TsOH・H2O(0.19g, 1mmol)のアセトン(20mL)溶液を8時間還流した。NEt3(1mL)の添加後、溶液を減圧下で濃縮した。残渣のフラッシュカラムクロマトグ
ラフィー(シリカゲル; CHCl3:MeOH, 9:1)により、異性化アルコール115及び116を、NMRに基づく6:4の比で得た。該粗混合物をシクロヘキサンからの注意深い結晶化によりさらに
精製し、必要な純粋な116(0.196g, 41%)を無色結晶として得た。残留アルコール115を再
利用した。
【0088】
116: m.p. 80℃; [α]D25 = +124.0°(c 0.15, CH2Cl2); 1H NMR (CDCl3) δ5.38 (d, 1 H, J=5.5 Hz), 4.42-4.64 (m, 2 H), 4.08-4.21 (m, 2 H), 2.39-2.45 (m, 2 H), 1.42- 1.62 (m, 5 H), 1.35 (s, 3 H), 1.12 (t, 2 H, J=3.2 Hz); FAB MS m/z (relative intensity) 243.1 (MH+, 100). Anal, calcd for C12H18O5 : C, 59.49; H, 7.49. Found: C, 59.46; H, 7.59.
【0089】
(l'S, 2'R, 3'S, 4'R, 5'S)-4'-(2,6-ジクロロプリン-9-イル]-2',3'-O-(イソプロピリデン)-ビシクロ[3.1.0]へキサンカルボン酸 エチル 117.
トリフェニルホスフィン(0.104g, 0.4mmol)、2,6-ジクロロプリン(0.075g, 0.4mmol)の乾燥THF(2mL)中混合物を、室温で、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(0.80g, 0.4mmol)で処理した。20分間攪拌後、116(0.048g, 0.2mmol)のTHF(1mL)溶液を加え、混合物をさらに8
時間攪拌した。濃縮及びカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; CHCl3:MeOH, 9:1)によ
る残渣の精製により、117(0.029g, 36%)を白色固体として得た。
m.p. 104℃; [α]D25= +34°(c 0.1, CH2Cl2); 1H NMR (CDCl3) δ8.09 (s, 1 H), 5.85 (d, 1 H, 6.5 Hz), 4.91 (s, 1 H), 4.72 (d, 1 H, J=5.5 Hz), 4.05-4.38 (m, 2 H), 2.14-2.2 (m, 1 H), 1.75-1.82 (m, 1 H), 1.52-1.62 (m, 4 H), 1.15-1.38 (m, 6 H); FAB
MS m/z (relative intensity) 413.1 (MH+, 100). Anal, calcd for C17H18Cl2N4O4: C,
49.41; H, 4.39; N, 13.56. Found: C, 49.14; H, 4.64; N, 13.26.
【0090】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'R, 5'S)-{4'-[2-クロロ-6-(メチルアミノ)プリン-9-イル]-2',3'-O-(イソプロピリデン)ビシクロ[3.1.0]ヘキシル}-N-メチルカルボキサミド 118.
37b(0.041g, 0.1mmol)のMeOH(2mL)攪拌溶液を、CH3NH2水溶液(0.5mL, 40%)で、室温で8時間処理した。反応混合物を濃縮して乾燥し、生成物を分取TLCにより、移動相としてCHCl3:MeOH, 9:1を用いて精製し、118(0.022g, 60%)を白色固体として得た。
m.p. 221℃; [α]D25= +10.0°(c 0.05, MeOH); 1H NMR (CDCl3) δ7.71 (s, 1 H), 6.92
(br s, 1 H), 6.08 (s, 1 H), 5.65 (d, 1 H, J = 5.4 Hz), 4.63-4.84 (m, 2 H), 3.11
(br s, 3 H), 2.95 (d, 3 H, J= 3.8 Hz), 1.95-2.06 (m, 1 H), 1.61-1.66 (m, 1 H),
1.56 (s, 3 H), 1.08-1.24 (m, 4 H); FAB MS m/z (relative intensity) 393.1 (MH+, 100). Anal. calcd for C17H21ClN6O3: C, 51.98; H, 5.39; N, 21.39. Found: C, 51.71 ; H, 5.86; N, 20.82.
【0091】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'R, 5'S)-{4'-[2-クロロ-6-(メチルアミノ)プリン-9-イル]-2',3'-
ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]ヘキシル}-N-メチルカルボキサミド (14).
10%トリフルオロ酢酸/MeOH(5mL)及びH2O(0.5mL)を含有するアミド118(0.016g, 0.04mmol)の混合物を、70℃で3時間加熱した。溶媒を除去し、残渣をトルエンとの同時蒸着により
乾燥した。残渣を分取TLC(CHCl3:MeOH, 9:1)を用いて精製し、14(0.010g, 71%)を白色固
体として得た。
m.p. 248℃ dec.; [α]D25= +16.0°(c 0.05, CH2Cl2); 1H NMR (DMSO-d6) δ8.22 (br s, 1 H), 8.05 (s, 1 H), 7.55 (br s, 1H), 5.38 (d, 1 H, J=2.5 Hz), 4.80-4.94 (m, 2
H), 4.61 (s, 1 H), 3.76-3.86 (m, 2 H), 3.30 (br s, 3 H), 2.74 (d, 3 H, J=2.5 Hz), 1.74-1.83 (m, 1 H), 1.61 (t, 1 H, J=2.4 Hz), 1.21-132 (m, 1 H); FAB MS m/z (relative intensity) 353.07 (MH+, 100). Anal. calcd for C14H17ClN6O3・0.25H2O: C, 47.06; H, 4.94; N, 23.52. Found: C, 47.06; H, 5.24; N, 23.98.
【0092】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'R, 5'S)-(4'-{2-クロロ-6-[(3-ヨードフェニル)アミノ]プリン-9-
イル}-2',3'-0-(イソプロピリデン)ビシクロ[3.1.0]ヘキシル)-N-メチルカルボキサミド 119.
117(0.042g, 0.1mmol)のMeOH(2mL)溶液を、3-ヨードベンジルアミン塩酸塩(0.078g, 0.15mmol)及びEt3N(0.5ml)で処理し、室温で3時間攪拌した。反応混合物を濃縮して乾燥し、
結果として生じた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル; CHCl3:MeOH,
9:1)により精製した。中間体生成物をMeOH(3mL)に溶解し、過剰のCH3NH2水溶液(0.5ml, 40%)で処理し、室温で6時間攪拌した。蒸発での乾燥、及び分取TLC精製(CHCl3:MeOH, 9:1)後、115(0.028g, 46%)を白色固体として得た。
m.p.156℃; [α]D25= + 7.50°(c 0.04, MeOH); 1H NMR (CDCl3) δ7.61-7.78 (m, 3 H),
7.38 (d, 1 H, J=5.4 Hz), 7.09 (t, 1 H, J=5.7 Hz), 6.82 (br s, 1 H), 6.35 (br s,
1 H), 5.63 (d, 1 H, J=6.3 Hz), 4.65-4.82 (m, 3 H), 2.91 (d, 3 H, J=2.5 Hz), 2.02-2.1 1 (m, 1 H), 1.11-1.92 (m, 8 H); FAB MS m/z (relative intensity) 595.1 (MH+, 100). Anal. calcd for C23H24ClIN6O3・0.5H2O: C, 45.75; H, 4.17; N, 13.92. Found: C, 45.92; H, 4.16; N,13.89.
【0093】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'R, 5'S)-[4'-(2-クロロ-6-{[(3-ヨードフェニル)メチル]アミノ}プリン-9-イル)-2',3'-ジヒドロキシビシクロ[3.1.0]ヘキシル]-N-メチルカルボキサミド (5).
MeOH(5mL)及びH2O(0.5mL)中10%トリフルオロ酢酸を含有するアミド119(0.024g, 0.04mmol)の混合物を、70℃で3時間加熱した。溶媒を除去し、残渣をトルエンとの同時蒸着により乾燥した。残渣を分取TLC(CHCl3:MeOH, 9:1)を用いて精製し、5(0.016g, 74%)を白色固体として得た。
m.p. 230℃; [α]D25= + 7.0°(c 0.1 , MeOH); 1H NMR (DMSO-d6) δ8.84 (br s, 1 H),
8.11 (s, 1 H), 7.78 (s, 1 H), 7.42-7.62 (m, 2 H), 7.36 (d, 1 H, J=3.5 Hz), 7.14
(t, 1 H, J=4.5 Hz), 5.44 (d, 1 H, J=4.8 Hz), 4.75-4.91 (m, 2 H), 4.56-4.69 (m, 2 H), 3.86-3.92 (m, 1 H), 2.67 (d, 1 H, J=2.5 Hz), 1.81-1.89 (m, 1 H), 1.61-165 (m, 1 H), 1.23-1.29 (m, 1 H): FAB MS m/z (relative intensity) 555.1 (MH+, 100). Anal. calcd for C20H20ClIN603・0.5H20: C, 42.61; H, 3.75; N, 14.91. Found: C, 42.54; H, 3.76; N, 14.52.
【0094】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'R, 5'S)-(4'-{2-クロロ-6-[(trans-2-フェニルシクロプロピル)ア
ミノ]プリン-9-イル}-2',3'-O-(イソプロピリデン)ビシクロ[3.1.0]ヘキシル)-N-メチル
カルボキサミド 120.
trans-2-フェニルシクロプロピルアミンの使用を除き、119の合成において記載したのと
同じ手法を用いて、化合物120(0.023g, 48%)を固体として得た。
m.p. 168℃; [α]D25= + 4.0°(c 0.1, MeOH); 1H NMR (CDCl3) δ7.71 (s, 1 H), 7.19-7.38, (m, 5 H), 6.98 (br s, 1 H), 6.18 (bs, 1 H), 5.68 (d, 1H, J=5.2 Hz), 5.76-5.82 (m, 3 H), 2.91 (d, 1 H, J=3.6 Hz), 2.18-2.23 (m, 1 H), 1.97-2.08 (m, 1 H), 1.54-1.78 (m, 5 H), 1.22- 1.34 (m, 5 H); FAB MS m/z (relative intensity) 495.3 (MH+, 100). Anal. calcd for C25H27ClN6O3・0.25H2O: C, 58.02; H, 5.75; N, 16.24. Found: C, 58.17; H, 5.46; N, 15.85.
【0095】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'R, 5'S)-(4'-{6-[(2,2-ジフェニルエチル)アミノ]-2-クロロプリン-9-イル}-2',3'-O-(イソプロピリデン)ビシクロ[3.1.0]ヘキシル)-N-メチルカルボキサミド 121.
2,2-ジフェニルエチルアミンの使用を除き、119の合成において記載したのと同じ手法を
用いて、化合物121(0.023g, 42%)を固体として得た。
m.p. 145℃; [α]D25= + 8.0°(c 0.1, MeOH); 1H NMR (CDCl3) δ7.21-7.78 (m, 11 H),
6.83 (br s, 1 H), 6.26 (br s, 1H), 5.66 (d, 1 H, J=5.6 Hz), 4.21-4.83 (m, 5 H),
2.91 (d, 3 H, J=4.8 Hz), 1.97-2.03 (m, 1 H), 1.23-1.78 (m, 8 H); FAB MS m/z (relative intensity) 559.3 (MH+, 100). Anal. Calcd for C30H31ClN6O3・H2O: C, 63.43;
H, 5.68; N, 14.79. Found: C, 63.19; H, 5.71; N, 15.05.
【0096】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'R, 5'S)-(4'-{2-クロロ-6-[(trans-2- フェニルシクロプロピル)アミノ]プリン-9-イル}-2',3'-ジヒドロキシビシクロ[3.1.0]ヘキシル)-N-メチルカルボキ
サミド (33).
化合物120から開始し、5の合成において記載したのと同じ手法に従い、化合物33(0.013g,
72%)を固体として得た。
m.p. 230℃ dec; [α]D25= + 19.0°(c 0.1, MeOH); 1H NMR (CDCl3) δ7.82 (s, 1 H), 7.23-7.38 (m, 5 H), 6.92 (br s, 1 H), 6.31 (br s, 1 H), 4.98 (d, 1 H, J=4.8 Hz),
4.83 (s, 1 H), 4.08-4.29 (m, 2 H), 2.92 (d, 3 H, J=4.8 Hz), 2.08-2.23 (m, 1 H),
1.62-1.96 (m, 2 H), 1.21-1.44 (m, 3 H); FAB MS m/z (relative intensity) 455.2 (MH+, 100). Anal. calcd for C22H23ClN6O3・0.5H2O: C, 56.96; H, 5.21; N, 18.12. Found: C, 57.17; H, 4.93; N, 16.47.
【0097】
[(2,2-ジフェニルエチル) アミノ]-2-クロロプリン-9-イル}ジヒドロキシビシクロ[3.1.0]ヘキシル)-N-メチルカルボキサミド (34).
化合物121から開始し、14の合成において記載したのと同じ手法に従い、化合物34(0.014g, 70%)を固体として得た。
m.p. 232℃ dec; [α]D25= + 6.0°(c 0.1, MeOH); 1H NMR (CDCl3) δ7.76 (s, 1 H), 7.21-7.38 (m, 10 H), 6.83 (br s, 1 H), 5.97 (br s, 1 H), 4.96 (d, 1 H, J=4.8 Hz),
4.80 (br s, 1H), 4.02-4.38 (m, 4 H), 2.91 (d, 3 H, J=4.8 Hz), 2.12-2.21 (m, 1 H), 1.21-1.39 (m, 2 H); FAB MS m/z (relative intensity) 519.3 (MH+, 100). Anal. calcd for C27H27ClN6O3・H2O: C, 60.39; H, 5.44; N, 15.65. Found: C, 60.61; H, 5.34; N, 15.64.
【0098】
化合物15及び17〜36を、図4〜6に示すように合成した。2-アミノ(15)、2-ヨード(35)、及び2-アルキルチオ(36)基も含まれるが、ほとんどの類似体は2-クロロ置換基を含んだ。
【0099】
一般的な合成経路は、上記のJoshi et al.の方法に従う。5'位にカルボニル基を含む保護(N)-メタノカルバ環系116を、イソプロピリデンエリトロノラクトン105から、8段階で
調製した。化合物37及び核酸塩基前駆体2,6-ジクロロプリンを、光延カップリングを用いて縮合した。その後、117の6-クロロ置換を、過剰の好適なアミン(例、置換ベンジルアミン)での処理により行い、一連の保護ヌクレオシド5'-エステル39〜54を得た。N6位での適切な置換後、5'-エステルを過剰のメチルアミンで処理し、イソプロピリデン基を酸処理
により2'-及び3'-ヒドロキシ基から除去し、化合物16〜33を得た。
【0100】
この研究で用いた様々なベンジルアミン誘導体が市販されていない場合、図5に示す方法により合成した。2,5-ジクロロベンジルアミン64及び2-クロロ-5-ヨードベンジルアミ
ン65を、対応する臭化ベンジルから調製した。化合物60を、CCl4中N-ブロモスクシンイミドでの臭化により、2-クロロ-5-ヨードトルエンから調製した。Wilson et al., J. Med. Chem 1989, 32, 1057-1062. 60及び61をN,N-ジメチルホルムアミド中カリウムフタルイミドで、60℃で処理し、化合物62及び63を白色固体として収率95%で得た。ヒドラジンでの脱保護により、64及び65を収率80%で得た。Treu et al., Molecules 2002, 7, 743-750.
【0101】
5-ヨードサリチルアルデヒド66から開始し、5-ヨード-2-メトキシベンジルアミン68を
調製した。従って、化合物66をN,N-ジメチルホルムアミド中K2CO3の存在下、ヨウ化メチ
ルでメチル化し、その後、ホルミル部分を酢酸アンモニウムの存在下、NaCNBH4での還元
的アミノ化によりメチルアミノに変換した。William s et al., JOC 1989, 52, 2615-2617.
【0102】
化合物72及び73を、CuI及び(Ph3P)PdCl2を触媒として用い、薗頭型反応により高収率で合成した。Sonogashira et al., Tet. Lett. 1975, 4467-4470. 5-クロロ-2-ベンジルオ
キシベンジルアミン76及び5-クロロ-2-(アミノカルボニルメチルオキシ)ベンジルアミン80の両方を調製するために、5-クロロ-2-ヒドロキシベンズアミド74を出発物質として用いた。化合物74をN,N-ジメチルホルムアミド中K2CO3の存在下、臭化ベンジルで処理して、5-クロロ-2-ベンジルオキシベンズアミド75を収率98%で得た。最後に、アミド75をテトラヒドロフラン中LiAlH4で対応するアミン76に還元した。
【0103】
テトラヒドロフラン中LiAlH4での化合物74の還元により、5-クロロ-2-ヒドロキシベン
ジルアミン77を収率88%で得た。この調製は、5-クロロ-2-ヒドロキシベンズアルデヒド オキシムの水素化に基づいて、報告された手法における改良を示した。Tucker et al., J. Med. Chem., 1998, 41, 3210-3219. アミン77をカルバミン酸 t-ブチル78として保護し、ヒドロキシ基をN,N-ジメチルホルムアミド中K2CO3の存在下、2-ブロモアセトアミドで
アルキル化した。その後、ジクロロメタン中15%トリフルオロ酢酸でのアミノ基の脱保護により最終生成物80を白色固体として得た。
【0104】
クロロ以外の基による2位での置換は、可能であり、適切な2-置換核酸塩基を(N)-メタ
ノカルバ糖部分116と縮合することにより実施し、保護されたヌクレオシドエステル55及
び56を得た(図4)。3-クロロベンジルアミン及びメチルアミンで連続して処理し、その後酸加水分解することにより、2-ヨード及び2-チオメチル類似体35及び36を得た。あるいは、最初に2-アミノ置換核酸塩基を116で縮合することにより2-アミノ置換類似体を得、続
いて過剰のメチルアミンと直接相互作用させ、次に加水分解することにより15を得た。
【0105】
必要な6-クロロ-2-ヨードプリンを、文献の手法(Brun et al., Tet. Lett., 2001, 42 8161-8164)により調製し、一方、6-クロロ-2-メチルチオプリンを図6に示すように調製
した。従って、2,2-ジメチルプロピオン酸 6-クロロ-2-メチルチオプリン-9-イル-メチル(Kim et al., J. Med. Chem., 2003, 46, 4974-4987) 81を、亜硝酸tert-ブチルでジアゾ化し、結果として生じたジアゾ中間体を過剰の二硫化メチルで捕捉して82を得、NaOH水溶液でピバロイルメチルオキシ保護基を加水分解することにより必要な2-メチルチオプリン83を得た。
【0106】
材料及び器具.
化合物11はSigma (St. Louis, MO)から購入し、化合物3及び4はGallo-Rodriguez et al.,
J. Med. Chem. 1994, 37, 636-646; Kim et al., J. Med. Chem. 1994, 37, 3614-3621
で報告されたように調製した。化合物9及び10は、Ohno et al., Bioorg. med. chem.. 2004, 12, 2995-3007; Tchilibon et al., Bioorg. Med. Chem. 2004, 12, 2021-2034で報
告されたように調製した。
【0107】
試薬及び溶媒は、Sigma-Aldrich (St. Louis, MO)から購入した。1H NMRスペクトルは
、Varian Gemini 300分光計で、溶媒としてCDCl3、CD3OD又はDMSO-d6を用いて得た。化学シフトは、TMSからのppm低磁場として表す。融点はThomas-Hoover装置(A. H. Thomas Co.)で決定し、修正していない。
【0108】
化合物の純度は、Luna 5μ RP-C18(2)分析カラム(250 X 4.6 mm; Phenomenex, Torrance, CA)を装備したHewlett-Packard 1100 HPLCを用いて調べた。システムA:直線勾配溶媒系:H2O/CH3CNが20分間で95/5から20/80まで;流速が1mL/分であった。システムB:直線
勾配溶媒系:5 mM TBAP/CH3CNが20分間で80/20から20/80まで、その後2分間均一溶媒;流速が1mL/分であった。ピークは、ダイオードアレイ検出器で紫外線吸収により検出した。生物活性の検査を行った全ての誘導体が、HPLCシステムにおいて96%を超える純度を示した。
【0109】
TLC分析をAldrichより入手したシリカゲルF254(0.2mm)でプリコートしたアルミニウム
シート上で行った。低分解能質量分析は、JEOL SX102分光計で、グリセロールマトリックスからの脱離後の6kV Xe原子を用いて、又はLC/MS 1100 Agilent, 1100 MSD上で、Waters
Atlantis Column C 18を用いて行った。高分解能質量測定は、ポリアラニンを用いた外
部較正を用いて、プロテオミクス最適化Q-TOF-2(Micromass-Waters)上で行った。実測質
量の精度は、公知の装置性能と共に、一連の測定間の間隔に測定した標準化合物の実測質量における傾きに基づいて予期されたものである。報告質量は、この質量精度における時間依存的な傾向について校正していない実測質量である。
【0110】
ブロモメチル-2-クロロ-5-ヨードベンゼン (60).
乾燥CCl4(5mL)中、2-クロロ-5-ヨード-トルエン(0.5g, 1.98mmol)、N-ブロモスクシンイ
ミド(0.422g, 2.35mmol)及び過酸化ベンゾイル(21.5mg, 0.089mmol)の混合物を攪拌し、
加熱して3時間還流した。冷却後、混合物をろ過し、赤色ろ液をチオ硫酸ナトリウムの飽
和溶液(2×10mL)で洗浄した。有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、ろ過して濃
縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより、シリカゲル(石油エーテル)上で精製し、60を白色固体(361mg, 55%)として得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.76 (d, J=2.4 Hz, 1H), 7.56 (dd, J=8.7, 2.1 Hz, 1H), 7.12 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.49 (s, 2H). MS (m/e) (positive FAB) 332.1 (M + H)+, m.p. 94-95℃.
【0111】
N-(2-クロロ-5-ヨードベンジル)フタルイミド(63).
ブロモメチル-2-クロロ-5-ヨード-ベンゼン(60)(400mg, 1.2mmol)及びフタルイミドカリ
ウム(693mg, 1.5mmol)を乾燥DMF(20mL)中で攪拌し、80℃まで3時間加熱した。冷却後、懸濁液をろ過し、真空中で濃縮した。残渣を水(30mL)とEt2O(30mL)とに分配した。水相をエーテル(20mL×3)で抽出した。あわせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮して63(455mg, 95%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.92-7.86 (m, 2H), 7.78-7.75 (m, 2H), 7.54-7.50 (m, 2H), 7.10 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.93 (s, 2H). MS (m/e) (API-ES) 397.9 (M)+, m.p. 134-136℃.
【0112】
N-(2,5-ジクロロベンジル フタルイミド) (62).
化合物62を化合物63と同じ手法により調製した。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.93-7.89 (m, 2H), 7.79-7.75 (m, 2H), 7.32 (d, J=6 Hz,
1H), 7.21-7.16 (m, 2H), 4.96 (s, 2H). MS (m/e) (API-ES) 306.12 (M)+, m.p. 145-146℃.
【0113】
2-クロロ-5-ヨード-ベンジルアミン塩酸塩 (65).
化合物63(350mg, 0.88mmol)を乾燥EtOH(15mL)中に溶解し、ヒドラジン(0.1mL)を加えた。攪拌混合物を24時間還流し、冷却し、EtOHを蒸発させた。残渣をEt2O(3mL)中に溶解し、HCl/Et2Oで処理した。沈殿した塩酸塩をろ過し、乾燥Et2O(3×2mL)で粉砕し、200mgの生成物(収率75%)を得た。
1H NMR (D2O, 300 MHz) δ7.88 (s, 1H), 7.80 (dd, J=8.4, 1.8 Hz, 1H), 7.31 (d, J=7.8 Hz, 1H), 4.27 (s, 2H). MS (m/e) (positive FAB) 268.1 (M-Cl)+, m.p. 207-210℃.
【0114】
2,5-ジクロロベンジルアミン塩酸塩 (64).
64を化合物65と同じ手法により調製した。
1H NMR (D2O, 300 MHz) δ7.59-7.47(m, 3H), 4.33 (s, 2H). MS (m/e) (positive FAB) 177.1. (M-Cl)+, m.p.>220℃.
【0115】
2-メトキシ-5-ヨードベンズアルデヒド (67).
5-ヨード-サリチルアルデヒド(1.0g, 4.0mmol)をDMF(10mL)に溶解し、攪拌溶液に、K2CO3(0.828g, 6.0mmol)及びCH3I(1.14g, 8.0mmol)を加えた。混合物を室温で終夜攪拌した。
懸濁液を真空中で濃縮し、残渣を水(30mL)とEt2O(30mL)とに分配した。水相を分離し、エーテル(20mL×2)で抽出した。あわせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮して67(1.02g, 98%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ10.34(s, 1H), 7.82-7.78 (m, 1H), 7.26 (s, 1H), 6.78 (d, J=8.7 Hz, 1H), 3.91 (s, 3H). MS (m/e) (positive FAB) 262.1 (M+H)+, m.p. 140-142℃.
【0116】
2-メトキシ-5-ヨードベンジルアミン (68).
67(500mg, 1.9mmol)及び酢酸アンモニウム(1.5g, 19.4mmol)の乾燥メタノール(6mL)攪拌
溶液に、NaCNBH3(170mg, 2.66mmol)を一度に加えた。結果として生じた混合物を室温で48時間攪拌した。濃HClをpHが2未満になるまで加えた。メタノールを蒸発させ、結果として生じた白色残渣を水(10mL)に溶解し、Et2OH(2×10mL)で洗浄した。その後、水相をKOH水
溶液(45%)で塩基性化し、NaClで飽和し、CH2Cl2(10mL×4)で抽出した。あわせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮して68を黄色油(200mg, 40%)として得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.55-7.45 (m, 2H), 6.46-6.58 (m, 1H), 3.82-3.72 (m, 5H), 1.63 (br s, 2H). MS (m/e) (positive FAB) 264.1 (M+H)+, m.p. 95-97℃.
【0117】
3-(3-ヒドロキシプロピニル)-ベンジルアミン (72).
窒素下、ヨウ化第一銅(1.06mg, 0.0056mmol)を、(PPh3)2PdCl2(7.84mg, 0.011mmol)及び3-ヨードベンジルアミン(262mg, 1.12mmol)の乾燥ジエチルアミン(7 mL)中の混合物に加えた。その後、プロパルギルアルコール(41.2μL, 0.73mmol)の乾燥ジエチルアミン(3mL)溶液を加えた。結果として生じた溶液を室温で3時間攪拌した。溶媒を真空中で濃縮し、残
渣を水(20mL)とCHCl3(20mL)とに分配した。水相を分離し、CHCl3(20mL×2)で抽出した。
あわせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をPTLC(クロロホルム/メタノール9:1)で精製し、72(106mg, 収率90%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.39-7.26 (m, 4H), 4.48 (s, 2H), 3.85 (s, 2H), 1.73 (br s, 2H). MS (m/e) (positive FAB) 162.1 (M+H)+.
【0118】
2-クロロ-5-(3-ヒドロキシプロピニル)-ベンジルアミン (73).
化合物73を、化合物65を出発物質として用い、化合物72と同じ手法により調製した。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.48(s, 1H) 7.28-7.25(m, 3H), 4.48 (s, 2H), 3.92 (s, 2H), 1.92 (br s, 2H). MS (m/e) (positive FAB) 196.1 (M+H)+.
【0119】
5-クロロ-2-(メトキシベンジル)-ベンズアミド (75).
5-クロロ-2-ヒドロキシ-ベンズアミド(1.5g, 8.7mmol)をDMF(120mL)中に溶解し、攪拌溶
液にK2CO3(1.38g, 10mmol)及び臭化ベンジル(1.71g, 10mmol)を加えた。混合物を室温で
終夜攪拌した。懸濁液を真空中で濃縮し、残渣を水(30mL)とEt2O(30mL)とに分配した。水相を分離し、エーテル(20mL×2)で抽出した。あわせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、ろ過
し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーによりシリカゲル(石油エーテル/酢酸エチル 90/10)上で精製し、75(2.15g, 95%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.20 (d, J=3 Hz, 1H), 7.67 (br s, 1H), δ7.44-7.38(m, 6H), 7.99 (d, J=9 Hz, 1H), 5.85 (br s, 1H), 5.17 (s, 2H). MS (m/e) (positive FAB) 262.1 (M+H)+. m.p. 110-112℃.
【0120】
5-クロロ-2-(メトキシベンジル)-ベンジルアミン塩酸塩 (76).
窒素下、LiAlH4(280mg, 7.37mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(20mL)懸濁液に、75(1.0g, 3.83mmol)のTHF(10mL)溶液を加え、混合物を3時間還流した。冷却後、過剰のLiAlH4を硫
酸ナトリウムの飽和溶液で破棄した。混合物をMgSO4上でろ過し、ろ液を真空中で濃縮し
た。残渣を水(30mL)とCH2Cl2 (30mL)とに分配した。水相を分離し、CH2Cl2 (20mL×2)で
抽出した。あわせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をEt2O (5mL)中に溶解し、HCl/Et2Oで処理した。沈殿した塩酸塩をろ過し、乾燥Et2O (3×2mL)で粉砕し
、760mgの生成物(収率70%)を得た。
1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ7.50-7.33 (m, 7H), 7.15 (d, J=9 Hz, 1H), 5.22 (s, 2H),
4.13 (s, 2H). MS (m/e) (API-ES) 248 (M-Cl)+. m.p 119-121℃.
【0121】
5-クロロ-2-ヒドロキシ-ベンジルアミン (77).
窒素下、LiAlH4(437mg, 11.5mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(30mL)懸濁液に、5-クロロ-2-ヒドロキシベンズアミド74(1.5g, 5.7mmol)のTHF(10mL)溶液を加え、混合物を3時間還
流した。冷却後、過剰のLiAlH4を硫酸ナトリウムの飽和溶液で破棄した。混合物をMgSO4
上でろ過し、ろ液を真空中で濃縮した。残渣を水(30mL)とCH2Cl2 (30mL)とに分配した。
水相を分離し、CH2Cl2 (20mL×2)で抽出した。あわせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた個体をエタノールから再結晶化し、787mgの純粋生成物(収率88%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.10 (dd, J=6.6, 2.7 Hz, 1H), 6.94 (d, J=2.4 Hz, 1H), 6.76 (d, J=8.7 Hz, 1H), 4.10 (br s, 2H), 1.61 (br s, 2H). MS (m/e) (API-ES) 158 (M+H)+, m.p. 160-162℃.
【0122】
(5-クロロ-2-ヒドロキシ-ベンジル)-カルバミン酸 tert-ブチルエステル (78).
化合物77(300mg, 1.9mmol)を、MeOH(12mL)中トリエチルアミンの10%での乾燥溶液中に溶
解し、カルバミン酸ジ-t-ブチルの溶液(THF中で1M, 3.8mL, 3.8mmol)を加えた。溶液を45℃で1時間攪拌し、その後、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーを
用いてシリカゲル(石油エーテル/酢酸エチル 90/10)上で精製し、78を白色固体(350mg, 80%)として得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ9.02 (br s, 1H), δ7.1 ~(dd, J=8.4, 2.4 Hz, 1H), 6.94 (d, J=2.4 Hz, 2H), 6.76 (d, J=8.7 Hz, 1H), 5.23 (br s, 1H), 4.17 (d, J=6.9 Hz, 2H), 1.44 (s, 9H). MS (m/e) (API-ES) 258 (M+H)+, m.p 124-126℃.
【0123】
(2-カルバモイルメトキシ-5-クロロ-ベンジル)-カルバミン酸 tert-ブチルエステル(79).
(5-クロロ-2-ヒドロキシ-ベンジル)-カルバミン酸 tert-ブチルエステル78(210mg, 0.8mmol)をDMF(6mL)中に溶解し、攪拌溶液にK2CO3(138mg, 1mmol)及び2-ブロモアセトアミド(138mg, 1mmol)を加えた。混合物を室温で終夜攪拌した。懸濁液を真空中で濃縮し、残渣を水(20mL)とCH2Cl2(10mL)とに分配した。水相を分離し、CH2Cl2(20mL×2)で抽出した。あ
わせた有機相をNa2SO4上で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーによりシリカゲル(石油エーテル/酢酸エチル 80/20)上で精製し、79(226mg, 90%)を
白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.88 (br s, 1H), 7.27-7.18 (m, 2H), 6.76 (d, J=8.7 Hz,
1H), 5.54 (br s, 1H), 4.78(br s, 1H), 4.47 (s, 1H), 4.36 (d, J=6.3 Hz), 1.43 (s, 9H). MS (m/e) (API-ES) 337.0 (MNa)+. m.p 142-143℃.
【0124】
5-クロロ-2-(アミノカルボニル-メチルオキシ)-ベンジルアミン (80).
化合物79(200mg, 0.63mmol)を、CH2Cl2中TFAの15%溶液で、室温で45分間処理した。溶液
を真空中で濃縮し、水(10mL)を加えた。水相をEt2Oで洗浄し、2N NaOH水溶液で塩基性化
し、CHCl3(10mL×3)で抽出し、130mgの白色固体(80)(収率96%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.37 (br s, 1H), 7.29-7.22 (m, 2H), 6.82 (d, J=9.3 Hz,
1H), 5.44 (br s, 1H), 3.8~(s, 2H), 3.89 (s, 2H). MS (m/e) (API-ES) 215 (M+H)+, m.p. 135-137℃.
【0125】
化合物39〜54及び16〜33の合成の一般的手法。
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-ブロモベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 エチルエステル (39).
3-ブロモベンジルアミン塩酸塩(122mg, 0.55mml)を117(50mg, 0.12mmol)及びトリエチル
アミン(1mL)のメタノール(3mL)溶液に加えた。混合物を室温で3時間攪拌した。それを真
空中で濃縮して乾燥し、残渣をPTLC(クロロホルム/メタノール15:1)により精製し、39(55mg, 82%)を得た。
1H NMR(CDCl3, 300 MHz) δ7.70 (s, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.31-7.18 (m, 2H), 6.18 (br
s, 1H), 5.87 (d, J=7.2 Hz, 1H), 4.85-4.71 (m, 4H), 4.32-4.16 (m, 2H), 2.24-2.19
(m, 1H), 1.75-1.70(m, 1H), 1.55-1.49 (m, 4H), 1.35(t, J=7.8, 3H), 1.29 (s, 3H).
MS (m/e) (positive FAB) 564.1 (M+H)+.
【0126】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-フルオロベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-
イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエス
テル (40).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.65 (s, 1H), 7.34-7.26 (m, 1H), 7.15-6.57 (m, 3H), 6.22 (br s, 1H), 5.87 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.85 (br s, 3H), 4.72 (d, J=7.2 Hz, 1H), 4.34-4.17 (m, 2H), 3.48 (d, J=5.1 Hz, 1H), 2.24-2.18 (m, 1H), 1.75-1.69 (m, 1H),
1.55 (s, 3H), 1.34 (t, J=7.8, 3H), 1.29 (s, 3H). MS (m/e) (ASI-ES) 502.1 (M+H)+.
【0127】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-クロロベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イ
ル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステ
ル (41).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.20-1.42 (m, 3H), 1.44-1.83 (m, 8H), 2.20-2.26 (m, 1H), 4.05-4.38 (m, 2H), 4.82-4.94 (m, 3H), 5.38 (d, J=4.5 Hz, 1H), 5.86 (d, J=8 Hz, 1H), 6.15 (br s, 1H), 7.21-7.40 (m, 4H), 7.67 (s, 1H),
MS (m/e) (positive-FAB) 518.1 (M+l)+.
【0128】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(2,5-ジクロロベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステル (42).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.68 (s, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.33 (d, J=8.7 Hz, 1H), 7.23-7.19 (m, 1H), 6.28 (br s, 1H), 5.57 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.85 (br s, 3H), 4.7 (d, J=6 Hz, 1H), 4.32-4.16 (m, 2H), 2.21-2.19 (m, 1H), 1.75-1.70 (m, 1H), 1.55-1.50 (m, 4H), 1.35 (t, J=7.8 Hz, 3H), 1.28 (s, 3H). MS (m/e) (positive FAB) 554.1 (M+H)+.
【0129】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(2-クロロ-5-ヨード-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステル (43).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.85 (s, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.57-7.53 (dd, J=8.1, 1.8 Hz, 1H), 7.12 (d, J=8.4 Hz, 1H), 6.32 (br s, 1H), 5.58 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.85 (br s, 3H), 4.73 (d, J=6 Hz, 1H), 4.33-4.14 (m, 2H), 2.24-2.19 (m, 1H), 1.75-1.70
(m, 1H), 1.55-1.50 (m, 4H), 1.35 (t, J=7.8 Hz, 3H), 1.29 (s, 3H). MS (m/e) (positive FAB) 644.1 (M)+.
【0130】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(5-クロロ-2-メトキシベンジルアミノ)-2-クロロ-
プリン-9-イル]-2',3'-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステル (44).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.11-1.23 (m, 6H), 1.36-1.81 (m, 5H), 1.09-1.23 (m, 1H), 3.86 (s, 3H), 4.08-4.41 (m, 2H), 4.60-4.83 (m, 3 H), 5.30 (s, 1H), 5.85 (d, J=4.5 Hz, 1H), 6.21-6.29 (m, 1H), 6.81 (d, J=12 Hz, 1H), 7.21-7.42 (m, 3H), 7.67 (br s, 1H), MS (m/e) (positive-FAB) 548.1 (M+l)+.
【0131】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(5-クロロ-2-(アミノカルボニルメチルオキシ)-ベ
ンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステル (45).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.66 (s, 1H), 7.36 (s, 1H), 7.30-7.27 (m, 1H), 7.07-7.05 (m, 1H), 6.81 (d, J=8.7 Hz, 1H), 6.12 (br s, 1H), 5.85 (d, J=8.4 Hz, 1H), 5.65 (br s, 1H), 5.01-4.85 (br s, 3H), 4.73 (d, J=6 Hz, 1H), 4.50 (s, 1H), 4.34-4.21 (m, 2H), 2.23-2.18 (m, 1H), 1.74-1.69 (m, 1H), 1.55-1.50 (m, 4H), 1.34 (t, J=7.8 Hz, 3H), 1.29 (s, 3H). MS (m/e) (API-ES) 591.1 (M+H)+.
【0132】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(5-クロロ-2-ベンジルオキシ-ベンジルアミノ)-2-
クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステル (46).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.62 (s, 1H), 7.39-7.30 (m, 6H), 7.18 (dd, J=8.7, 2.7 Hz, 1H), 6.86 (d, J=8.7 Hz, 1H), 6.33 (br s, 1H), 5.86 (d, J=8.4 Hz, 1H), 5.81 (s, 2H), 4.85 (br s, 3H), 4.70 (d, J=6 Hz, 1H), 4.32-4.19 (m, 2H), 2.23-2.18 (m, 1H), 1.74-1.69 (m, 1H), 1.55-1.50 (m, 4H), 1.34 (t, J=7.8 Hz, 3H), 1.28 (s, 3H).
MS (m/e) (positive FAB) 624.2 (M+H)+.
【0133】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(5-ヨード-2-メトキシ-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステル (47).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.71-7.64 (m, 2H), 7.57-7.53 (m, 2H), 6.21 (br s, 1H),
5.57 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.84 (s, 2H), 4.75-4.69 (m, 2H), 4.32-4.20 (m, 2H), 3.8
5 (s, 3H), 2.23-2.18 (m, 1H), 1.74-1.69 (m, 1H), 1.55-1.50 (m, 4H), 1.34 (t, J=7.8 Hz, 3H), 1.28 (s, 3H). MS (m/e) (positive FAB) 640.1 (M+H)+.
【0134】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(2,5-ジメトキシ-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリ
ン-9-イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステル (48).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.62 (s, 1H), 7.03 (s, 1H), 7.79 (s, 2H), 6.39 (br s, 1H), 5.57 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.83-4.69 (m, 4H), 4.31-4.19 (m, 2H), 3.83 (s, 3H),
3.76 (s, 3H), 2.21-2.17 (m, 1H), 1.73-1.68 (m, 1H), 1.55-1.49 (m, 4H), 1.35 (t,
J=7.8 Hz, 3H), 1.28 (s, 3H). MS (m/e) (positive FAB) 544.2 (M+H)+.
【0135】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(2-メチル-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステ
ル (49).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.58 (s, 1H), 7.32 (d, J=6.9 Hz, 1H), 7.23-7.16 (m, 2H), 6.07 (br s, 1H), 5.57 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.83-4.69 (m, 4H), 4.32-4.16 (m, 2H), 2.37 (s, 3H), 2.23-2.18 (m, 1H), 1.74-1.69 (m, 1H), 1.55-1.50 (m, 4H), 1.35 (t, J=7.8 Hz, 3H), 1.28 (s, 3H). MS (m/e) (positive FAB) 498.3 (M)+.
【0136】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-メチル-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステ
ル (50).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.56 (s, 1H), 7.26-7.09 (m, 4H), 6.27 (br s, 1H), 5.87
(d, J=8.4 Hz, 1H), 4.83-4.71 (m, 4H), 4.30-4.20 (m, 2H), 2.33 (s, 3H), 2.22-2.17 (m, 1H), 1.74-1.69 (m, 1H), 1.55-1.50 (m, 4H), 1.34 (t, J=7.8 Hz, 3H), 1.28 (s, 3H). MS (m/e) (positive FAB) 498.3 (M)+.
【0137】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-(3-ヒドロキシプロピニル)-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステル (51).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.56 (s, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.34-7.26 (m, 2H), 6.73 (br s, 1H), 5.87 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.82-4.70 (m, 4H), 4.46 (d, J=6 Hz, 2H), 4.32-4.20 (m, 2H), 2.41 (br s, 1H), 2.23-2.18 (m, 1H), 1.75-1.70 (m, 1H), 1.55-1.50 (m, 4H), 1.35 (t, J=7.8 Hz, 3H), 1.28 (s, 3H). MS (m/e) (positive FAB) 538.2 (M+l)+.
【0138】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(2-クロロ-5-(3-ヒドロキシプロピニル)-ベンジル
アミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステル (52).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.63(s, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.32-7.22 (m, 2H), 6.63 (br
s, 1H), 5.87 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.88-4.79 (m, 3H), 4.71 (d, J=4.8 Hz, 1H), 4.45
(d, J=6 Hz, 2H), 4.32-4.19 (m, 2H), 2.35 (br s, 1H), 2.23-2.18 (m, 1H), 1.75-1.68 (m, 2H), 1.55 (s, 3H), 1.35 (t, J=7.8 Hz, 3H), 1.28 (s, 3H). MS (m/e) (positive FAB) 572.1 (M+l)+.
【0139】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(4-アミノ-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステ
ル (53).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.59(s, 1H), 7.17 (d, J=8.1 Hz, 2H), 6.65 (d, J=8.1 Hz, 2H), 6.12 (br s, 1H), 5.87 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.84 (s, 1H), 4.73-4.58 (m, 3H),
4.33-4.20 (m, 2H), 3.17 (br s, 2H), 2.26-2.18 (m, 1H), 1.75-1.69 (m, 1H), 1.56-1.50 (m, 4H), 1.35 (t, J=7.8 Hz, 3H), 1.28 (s, 3H). MS (m/e) (positive FAB) 499.2 (M+l)+.
【0140】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-ピリジルメチルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イ
ル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 エチルエステ
ル (54).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.66 (br s, 1H), 8.54(br s, 1H), 7.73 (d, J=6.6 Hz, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.34-7.27 (m, 1H) 6.26 (br s, 1H), 5.88 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.85
(br s, 3H), 4.72 (d, J=4.8 Hz, 1H), 4.45 (d, J=6 Hz, 2H), 4.33-4.20 (m, 2H), 2.24-2.18 (m, 1H), 1.75-1.70 (m, 2H), 1.56 (s, 3H), 1.35 (t, J=7.8 Hz, 3H), 1.28 (s, 3H). MS (m/e) (positive FAB) 485.2 (M+ 1)+.
【0141】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-ブロモベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イ
ル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 メチルアミド (17).
エステル39(45mg, 0.08mmol)をメタノール(3mL)中に溶解し、メチルアミンの水溶液(1mL,
40%)で処理した。この混合物を室温で終夜攪拌し、その後溶媒を蒸発して乾燥し、白色
残渣をPTLC(クロロホルム/メタノール9:1)により精製し、ウロンアミド17(19.6mg, 40%)
を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.68 (s, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.31-7.19 (m, 2H), 6.83 (br s, 1H), 6.30 (br s, 1H), 5.67 (d, J=6.9 Hz, 1H), 4.79-4.78 (m, 4H), 2.92 (d, J=4.5 Hz, 3H), 2.07-2.02 (m, 1H), 1.70-1.65 (m, 2H), 1.55 (s, 3H), 1.27 (s, 3H). MS (m/e) (positive FAB) 549.1 (M+ 1)+.
【0142】
上記の中間体(18mg, 0.03mmol)をトリフルオロ酢酸のMeOH(5mL, 10%)及びH2O(0.5mL)溶液で処理し、混合物を70℃で3時間加熱した。溶液を冷却し、真空中でのトルエンとの同
時蒸着により、溶媒を除去して乾燥した。白色残渣をPTLC(クロロホルム/メタノール9:1)により精製し、最終生成物17(10mg, 70%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.83 (s, 1H), 7.52-7.50 (m, 1H), 7.43-7.39 (m, 1H), 7.31-7.17 (m, 2H), 6.90 (br s, 1H), 6.63 (br s, 1H), 4.95-4.78 (m, 5H), 4.07 (d, J=6Hz, 1H), 2.90 (d, J=5.1 Hz, 3H), 2.24-2.19 (m, 1H), 1.72 (br s, 2H), 1.36-1.32
(m, 1H). HRMS (M+l)+: calculated 507.0547, found 507.0686. HPLC (システムA) 20.4分 (99%) (システムB), 12.9分(99%).
【0143】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-クロロベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イ
ル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 メチルアミド (18).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.17-1.39 (m, 1H), 1.45-1.61 (m, 1H), 2.01-2.09 (m, 1H), 2.81 (d, J=4.5 Hz, 1H), 3.91-4.08 (m, 2H), 4.78-5.05 (m, 5H), 6.71 (br s, 1H), 7.04 (br s, 1H), 7.11-7.29 (m, 4H), 7.74 (s, 1H), HRMS (M+l)+: calcd 463.0974,
Found 463.1052. HPLC (システムA) 14.8分(99%) (システムB), 12.5分(99%).
【0144】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-フルオロベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-
イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-l'-カルボン酸 メチルアミド (19).
1HNMR (CDCl3 , 300 MHz), 7.84 (s, 1H), 7.34-7.26 (m, 1H), 7.15-6.95 (m, 3H), 6.86 (br s, 1H), 6.56 (br s, 1H), 4.88-4.80 (m, 4H), 4.08 (d, J=6Hz, 1H), 2.91 (d, J=5.1 Hz, 3H), 2.27-2.23 (m, 1H), 1.78 (br s, 2H), 1.36-1.32 (m, 1H). HRMS (M+l)+: calculated 447.1347, found 447.1378. HPLC (システムA) 13.6分(99%) (システムB), 16.8分(98%).
【0145】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(2,5-ジクロロベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 メチルアミド (20).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.94 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.43 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.34-7.30 (m, 1H), 7.04 (br s, 1H), 6.61 (br s, 1H), 5.12-4.92 (m, 1H), 431-4.22 (m, 1H), 3.03 (d, J=5.1 Hz, 3H), 2.31-2.27 (m, 1H), 1.54-1.46 (m, 1H). HRMS (M+l)+: calculated 497.0662, found 497.0797. HPLC (システムA) 17.2分(98%) (システムB), 13.8分(97%).
【0146】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(2-クロロ-5-ヨード-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 メチルアミド (21).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.83 (m, 2H), 7.55 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.12 (d, J=8.4 Hz, 1H), 6.86 (br s, 1H), 6.43 (br s, 1H), 4.96-4.80 (m, 3H), 4.13-4.08 (m, 2H), 2.91 (d, J=5.1 Hz, 3H), 2.24-2.19 (m, 1H), 1.72 (br s, 2H), 1.36-1.32 (m, 1H). HRMS (M+l)+: calculated 589.0018, found 589.0250. HPLC (システムA) 16.6分(98%) (
システムB), 14.6分(97%).
【0147】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(5-クロロ-2-メトキシ-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 メチルアミド (22).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.12-1.42 (m, 2H), 2.21-2.27 (m, 1H), 2.91 (d, J=4.8 Hz, 3H), 3.86 (s, 3H), 4.01-4.22 (m, 2H), 4.65-4.83 (m, 3H), 4.95-5.01 (m, 1H), 6.42 (br s, 1H), 6.81 (d, J=12 Hz, 1H), 6.95 (br s, 1H), 7.21-7.43 (m, 3H), 7.81 (s, 1H). HRMS (M+l)+: calculated 493.1080, found 493.1158. HPLC (システムA) 15.1分(99%) (システムB), 12.9分(98%).
【0148】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(5-クロロ-2-(アミノカルボニルメチルオキシ)-ベ
ンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 メチルアミド (23).
1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ8.04 (s, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.25 (d, J=8.4 Hz, 1H), 6.94 (d, J=8.4 Hz, 1H), 5.07 (d, J=6.3 Hz, 1H) 4.59 (s, 2H), 4.99 (d, J=6.3 Hz, 1H) 2.99-2.68 (m, 5H), 2.05-2.02 (m, 1H), 1.38-1.34 (m, 1H). HPLC (システムA) 12.3分(97%) (システムB), 9.1分(98%).
【0149】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(5-クロロ-2-ベンジルオキシ-ベンジルアミノ)-2-
クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸
メチルアミド (24).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.80 (s, 1H), 7.41-7.31 (m, 6H), 7.18 (dd, J=8.7, 2.7 Hz, 1H), 6.90-6.84 (m, 2H), 6.57 (br s, 1H), 5.09 (s, 2H), 4.87-4.77 (m, 5H), 4.07 (d, J=6Hz, 1H), 2.90 (d, J=5.1 Hz, 3H), 2.54-2.21 (m, 1H), 1.92 (br s, 2H), 1.36-1.32 (m, 1H). HRMS (M+l)+: calculated 569.1471, found 569.1625. HPLC (システムA) 17.2分(98%) (システムB), 16.7分(98%).
【0150】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(5-ヨード-2-メトキシ-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 メチルアミド (25).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.79 (s, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.54 (dd, J=8.7, 2.7 Hz, 1H), 6.94 (br s, 1H), 6.65 (d, J=8.7 Hz, 1H), 6.48 (br s, 1H),4.97-4.57 (m, 5H), 4.07 (m, 1H), 3.85 (s, 3H), 2.91 (d, J=5.1 Hz, 3H), 2.24-2.19 (m, 1H), 1.94-1.85
(br s, 2H), 1.38-1.33 (m, 1H). HRMS (M+l)+: calculated 585.0514 found 585.0639.
HPLC (システムA) 18.7分(98%) (システムB), 13.9分(99%).
【0151】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(2,5-ジメトキシ-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリ
ン-9-イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 メチルアミド
(26).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.77 (s, 1H), 6.99-6.97 (m, 2H), 6.78-6.75 (m, 2H), 6.90 (br s, 1H), 6.63 (br s, 1H), 4.91 (d, J=6.3 Hz, 1H), 4.77-4.74 (m, 3H), 4.05 (d, J=6Hz, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.75 (s, 3H), 2.90 (d, J=5.1 Hz, 3H), 2.21-2.15 (m, 3H), 1.36-1.32 (m, 1H). HRMS (M+l)+: calculated 489.1653 found 489.1771. HPLC (システムA) 17.5分(98%) (システムB), 11.3分(98%).
【0152】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(2-メチル-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 メチルアミド(27).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.76 (s, 1H), 7.31 (d, J=6.9 Hz, 1H), 7.22-7.14 (m, 3H), 6.97 (br s, 1H), 6.20 (br s, 1H), 5.0 7 (br s, 1H), 4.79 (br s, 2H), 4.34 (br
s, 1H), 4.11 (d, J=6Hz, 1H), 3.14 (br s, 1H), 2.92 (d, J=5.1 Hz, 3H), 2.37 (s, 3H), 2.19-2.14 (m, 3H), 1.97 (br s, 1H), 1.38-1.33 (m, 1H). HRMS (M+l)+: calculated 443.1598 found 443.1704. HPLC (システムA) 14.3分(99%) (システムB), 12.1分(99%).
【0153】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-メチル-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 メチルアミド (28).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.79 (s, 1H), 7.23-7.09 (m, 4H), 6.93 (br s, 1H), 6.42
(br s, 1H), 4.95 (d, J=6.3 Hz, 1H), 4.79 4.70 (m, 3H), 4.09 (d, J=6Hz, 1H), 2.91 (d, J=5.1 Hz, 3H), 2.33 (s, 3H), 2.22-2.17 (m, 1H), 1.97 (br s, 2H), 1.37-1.31
(m, 1H). HRMS (M+l)+: calculated 443.1598 found 443.1633. HPLC (システムA) 14.5分(99%) (システムB), 12.0分(99%).
【0154】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-(3-ヒドロキシプロピニル)-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸
メチルアミド (29).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.02 (s, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.61 (br s, 1H), 7.33-7.22
(m, 2H), 5.62 (br s, 1H), 5.20 (br s, 1H), 5.11-5.03 (m, 1H), 4.94 (br s, 1H), 4.80 (s, 1H), 4.67 (d, J=6Hz, 1H), 4.45-4.31 (m, 1H), 3.96 (br s, 1H), 2.97 (d, J=5.1 Hz, 3H), 2.27-2.24 (m, 1H), 2.07 (br s, 1H), 1.36-1.32 (m, 1H). HRMS (M+l)+: calculated 483.1547 found 483.1596. HPLC (システムA) 16.8分(97%) (システムB),
9.2分(98%).
【0155】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(2-クロロ-5-(3-ヒドロキシプロピニル)-ベンジル
アミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 メチルアミド (30).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.93 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.38- 7.26 (m, 2H), 5.37-5.26 (m, 1H), 4.80-4.75 (m, 2H), 4.65-4.59 (m, 1H), 4.50-4.41 (m, 2H), 4.02 (br s, 1H), 3.72-3.70 (m, 1H), 3.10-3.07 (m, 1H), 2.99 (d, J=5.1 Hz, 3H), 2.29-2.23 (m, 1H), 2.01 (br s, 1H), 1.36-1.32 (m, 1H). HRMS (M+l)+: calculated 517.1158 found 517.1278. HPLC (システムA) 17.3分(98%) (システムB), 11.1分(98%).
【0156】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(4-アミノ-ベンジルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 メチルアミド (31a).
1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ8.02 (s, 1H), 7.15 (d. J=8.1 Hz, 2H), 6.70 (d. J=8.1 Hz, 2H), 5.09 (d, J=6.6 Hz, 1H), 4.81 (s, 1H), 4.61 (s, 2H), 4.02 (d, J=6.6 Hz, 1H), 2.88 (s, 3H), 2.07- 2.05 (m, 1H), 1.40-1.35 (m, 1H). HRMS (M+l)+: calculated
444.1551 found 444.1688. HPLC (システムA) 10.8分(98%) (システムB), 7.1分(98%).
【0157】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-ピリジルメチルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イ
ル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 メチルアミド (32).
1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ8.57 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.85 (d. J=8.1 Hz, 1H), 7.38-7.34 (m, 1H), 5.05 (d, J=6.6 Hz, 1H), 4.76 (br s, 3H), 3.97 (d,
J=6.6 Hz, 1H), 2.26 (s, 3H), 2.04-1.99 (m, 1H), 1.35-1.295 (m, 2H). HRMS (M+l)+: calculated 430.1394 found 430.1467. HPLC (システムA) 9.9分(99%) (システムB), 2.7分(97%).
【0158】
2,2-ジメチルプロピオン酸 6-クロロ-2-メチルチオプリン-9-イルメチル (82).
2,2-ジメチルプロピオン酸 2-アミノ-6-クロロプリン-9-イル-メチル81(0.566g, 2mmol)
のアセトニトリル(2mL)攪拌溶液に、二硫化メチル(0.94g, 10mmol)及び亜硝酸tert-ブチ
ル(90%, 1.14g, 10mmol)を加え、結果として生じた反応混合物を室温で8時間攪拌した。
反応混合物を真空中で濃縮し、結果として生じた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/石油エーテル = 1/10)に付し、82(0.364g, 55%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ8.19 (s, 1H), 6.12 (s, 2H), 2.65 (s, 3H), 1.17 (s, 9H). MS (m/e) (positive-FAB) 315 (M+1)+.
【0159】
6-クロロ-2-メチルチオプリン (83).
2,2-ジメチルプロピオン酸 6-クロロ-2-メチルチオプリン-9-イルメチル(82)(0.314g, 1mmol)のi-PrOH(10mL)及びTHF(25mL)溶液に、2N NaOH水溶液(2mL)を加え、結果として生じ
た反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/石油エーテル = 3/7)により精製し、83(0.112g, 56%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ8.54 (s, 1H), 2.58 (s, 3H) MS (m/e) (positive-FAB) 200.9 (M+l)+.
【0160】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-クロロ-2-ヨード-プリン-9-イル]-2',3'-イソプロ
ピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 エチルエステル (55).
トリフェニルホスフィン(0.262g, 1mmol)及び6-クロロ-2-ヨードプリン(0.175g, 0.63mmol)のTHF(3mL)溶液に、DIAD(0.202g, 1mmol)を加え、反応混合物を10分間攪拌した。アル
コール116(0.121g, 0.5mmol)のTHF溶液を、反応混合物に加え、混合物をさらに10時間攪
拌した。溶媒を真空中で除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/石油エーテル = 4/6)により精製し、55(0.136g, 54%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.30-136 (m, 4H), 1.57 (s, 6H), 1.75-180 (m, 1H), 2.12-2.22 (m, 1H), 4.1-4.2 (m, 2H), 4.75 (d, J=14 Hz, 1H), 4.92 (s, 1H), 5.85 (d, J=15 Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), MS (m/e) (positive-FAB) 505.0 (M+l)+.
【0161】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-クロロ-2-メチルチオ-プリン-9-イル]-2',3'-イソ
プロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 エチルエステル (56).
トリフェニルホスフィン(0.262g, 1mmol)及び6-クロロ-2-メチルチオプリン83(0.125g, 0.63mmol)のTHF(3mL)溶液に、DIAD(0.202g, 1mmol)を加え、反応混合物を10分間攪拌した
。その後、THF中アルコール116(0.121g, 0.5mmol)を加え、反応混合物をさらに10時間攪
拌した。溶媒を真空中で除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/石油エーテル = 4/6)により精製し、56(0.112g, 53%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.25-1.55 (m, 4H), 1.56 (s, 6H), 1.75-1.82 (m, 1H), 2.
25-2.32 (m, 1H), 2.64 (s, 3H), 4.18-4.29 (m, 2H), 4.82 (d, J=12 Hz, 1H), 4.92 (s, 1H), 5.85 (d, J=11Hz, 1H), 7.90 (s, 1H), MS (m/e) (positive-FAB) 425.10 (M+l)+.
【0162】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-クロロ-2-アミノ-プリン-9-イル]-2',3'-イソプロ
ピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 エチルエステル (57).
トリフェニルホスフィン(0.262g, 1mmol)及び2-アミノ-6-クロロプリン(0.169g, 1mmol)
のTHF(3mL)溶液に、DIAD(0.202g, 1mmol)を加え、反応混合物を10分間攪拌した。THF中アルコール116(0.121g, 0.5mmol)を反応混合物に加えた後、さらに10時間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/石油エー
テル = 5/5)により精製し、57(0.041g, 21%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.20-1.55 (m, 6H), 1.52 (m, 4H), 1.75-1.85 (m, 1H), 2.12-2.24 (m, 1H), 4.11-4.24 (m, 2H), 4.67 (d, J=11 Hz, 1H), 4.77 (s, 1H), 5.23 (br s, 2H), 5.88 (d, J=12 Hz, 1H), 7.72 (s, 1H), MS (m/e) (positive-FAB) 394.2 (M+l)+.
【0163】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-クロロベンジルアミノ)-2-ヨード-プリン-9-イ
ル]-2',3'-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 エチルエステル (58).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.11-1.22 (m, 4H), 1.23-1.79 (m, 7H), 2.18-2.24 (m, 1H), 4.10-4.21 (m, 2H), 4.66-4.87 (m, 3H), 5.30 (s, 1H), 5.85 (d, J=4.5 Hz, 1H), 6.05-6.16 (m, 1H), 7.21-7.26 (m, 4H), 7.58 (s, 1H), MS (m/e) (positive-FAB) 610.1
(M+l)+.
【0164】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-クロロベンジルアミノ)-2-ヨード-プリン-9-イ
ル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 エチルエステル (35).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.15-1.22 (m, 1H), 1.65-1.70 (m, 1H), 2.08-2.13 (m, 1H), 2.94 (d, J=4.5 Hz, 3H), 4.02-4.23 (m, 2H), 4.61-4.82 (m, 3H), 5.02-5.12 (m, 1H), 6.22-6.31 (m, 1H), 6.61-6.72 (m, 1H), 7.11-7.21 (m, 4H), 7.76 (s, 1H), MS (m/e) (positive-FAB) 515.2 (M+l)+. HPLC (システムA) 15.7分(98%) (システムB), 13.5
分(99%).
【0165】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-クロロベンジルアミノ)-2-メチルチオ-プリン-9-イル]-2',3'-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 エチルエステル (59).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.15-1.40 (m, 7H), 1.42-1.81 (m, 5H), 2.53 (s, 3H), 4.15-4.38 (m, 2H), 4.78-4.92 (m, 4H), 5.84 (d, J=8.5 Hz), 6.02 (br s, 1H), 7.19-7.40 (m, 4H), 7.56 (s, 1H), MS (m/e) (positive-FAB) 555.0 (M+l)+.
【0166】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(3-クロロベンジルアミノ)-2-メチルチオ-プリン-9-イル]- 2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 エチルエステル (36).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.12-1.18 (m, 1H), 1.62-176 (m, 1H), 2.22-2.29 (m, 1H), 2.51 (s, 3H), 2.90 (d, J=3.5 Hz, 3H), 4.16 (d, J=4.5 Hz, 1H), 4.65-4.98 (m, 4H), 6.21-6.32 (m, 1H), 6.71-6.81 (m, 1H), 7.11-7.42 (m, 4H), 7.72 (s, 1H), MS (m/e) (positive-FAB) 475.1 (M+l). HPLC (システムA) 15.4分(98%) (システムB), 13.1分(99%).
【0167】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-メチルアミノ-2-アミノ-プリン-9-イル]-2',3'-ジ
ヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 メチルアミド (15).
化合物57(0.039g, 0.1mmol)のMeOH攪拌溶液に、CH3NH2水溶液(0.5mL, 40%)を加え、反応
混合物を12時間攪拌した。それを濃縮して乾燥し、残渣を10%トリフルオロ酢酸/MeOH(4mL)及びH2O(0.5mL)を含む混合物中に溶解し、70℃で3時間加熱した。溶媒を除去し、残渣
を乾燥トルエンとの同時蒸着により乾燥した。残渣を、分取TLC(CHCl3-MeOH, 80:20)を用いて精製し、15(0.011g, 36%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ1.11-1.23 (m, 1H), 1.45-1.58 (m, 1H), 1.62-1.78 (m, 1H), 2.65 (d, J=3.5 Hz, 3H), 2.91 (br s, 3H), 3.18 (d, J=4 hz, 1H), 3.84-3.88 (m, 1H), 4.56 (s, 1H), 4.75 (d, J=1O Hz, 1H), 5.08 (t, J=4.5 Hz, 1H), 5.24 (d, J=6.5 Hz), 5.82 (br s, 2H), 7.1 (br s, 1H), 7.55-7.75 (m, 2H), MS (m/e) (positive-FAB) 334.1 (M+l). HPLC (システムA) 6.6分(98%) (システムB), 5.0分(98%).
【0168】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(シクロペンチルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-O-イソプロピリデン-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 エチルエステル (102).
シクロペンチルアミン(45.5mg, 0.53mmol)を101(45mg, 0.11mmol)及びトリエチルアミン(1mL)のメタノール(3mL)溶液に加えた。混合物を室温で3時間攪拌した。その後、それを真空中で濃縮して乾燥し、残渣をPTLC(クロロホルム/メタノール 20: 1)により精製し、102(43mg, 85%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.64 (s, 1H), 5.95 (br s, 1H), 5.87 (d, J=7.2 Hz, 1H),
5.37 (d, J=6.6 Hz, 1H), 4.85 (s, 1H), 4.72 (d, J=6.9 Hz, 1H), 4.62-4.51 (m, 2H), 2.60-2.43 (m, 2H), 2.23-2.10 (m, 4H), 1.79-1.70 (m, 5H), 1.56 (s, 3H), 1.35 (t, J=7.8, 3H), 1.32-1.24 (m, 6H). MS (m/e) (positive API-ES) 462.1 (M+H)+.
【0169】
(1'S, 2'R, 3'S, 4'S, 5'S)-4'-[6-(シクロペンチルアミノ)-2-クロロ-プリン-9-イル]-2',3'-ジヒドロキシ-ビシクロ[3.1.0]へキサン-1'-カルボン酸 メチルアミド (104).
エステル102(35mg, 0.07mmol)をメタノール(3mL)中に溶解し、メチルアミンの水溶液(1mL, 40%)で処理した。この混合物を室温で終夜攪拌し、その後、溶媒を蒸発させて乾燥し、白色残渣をPTLC(クロロホルム/メタノール 9:1)により精製し、ウロンアミド103(15.6mg,
50%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.68 (s, 1H), 6.97 (br s, 1H), 6.02 (br s, 1H), 5.67 (d, J=7.8 Hz, 1H), 4.79-4.76 (m, 2H), 4.61-4.54 (m, 1H), 2.91 (d, J=5.1 Hz, 3H), 2.17-2.11 (m, 2H), 2.04-1.81 (m, 2H), 1.78-1.65 (m, 5H), 1.58-1.48 (m, 5H), 1.27
(s, 3H). MS (m/e) (positive API-ES) 447.2 (M+l)+.
【0170】
上記の中間体(14mg, 0.03mmol)をトリフルオロ酢酸のMeOH(5mL, 10%)及びH2O(0.5mL)溶液で処理し、混合物を70℃で3時間加熱した。溶液を冷却し、真空中でトルエンとの同時
蒸着により溶媒を除去して乾燥した。白色残渣をPTLC(クロロホルム/メタノール9:1)により精製し、最終生成物104(10.1mg, 80%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ7.81 (s, 1H), 6.96 (br s, 1H), 6.19 (br s, 1H), 5.06 (br s, 1H), 4.88 (br s, 1H), 4.80 (s, 1H), 4.61-4.48 (m, 1H), 4.07 (d, J=6.6 Hz),
3.62 (m, 1H), 2.91 (d, J=4.8 Hz, 3H), 2.58-2.10 (m, 7H), 1.77-1.53 (m, 4H). MS (m/e) (positive API-ES) 407.1 (M+l)+.
【実施例2】
【0171】
本実施例は、本発明の実施形態の化合物の生物学的特性のいくつかを示す。
【0172】
[125I]N6-(4-アミノ-3-ヨードベンジル)アデノシン-5'-N-メチルウロンアミド(I-AB-MECA; 2000 Ci/mmol)、[3H]R-PIA (R-N6-[フェニルイソプロピル]アデノシン, 34 Ci/mmol)、[3H]CGS21680 (2-[p-(2-カルボキシエチル)フェニルエチルアミノ]-5'-N-エチルカルボ
キサミド-アデノシン, 47 Ci/mmol)及び[3H]環状AMP (40 Ci/mmol)をAmersham Pharmacia
Biotech (Buckinghamshire, UK)から入手した。
【0173】
組換えヒトA3アデノシン受容体を発現するCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を、10%ウシ胎仔血清、100ユニット/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、2μmol/mlグルタミン及び800μg/mlジェネテシン添加DMEM中で培養した。ラットA3アデノシン受容
体を発現するCHO細胞を、DMEM及びF12(1:1)中で培養した。細胞をトリプシン処理により
収集した。ホモジナイゼーション及び懸濁後、細胞を500 gで10分間遠心分離し、ペレッ
トを10mM MgCl2、1mM EDTA及び0.1mg/ml CHAPSを含有する50mM Tris・HCl緩衝液(pH 8.0)に再懸濁した。懸濁液を電動ホモジナイザーで10秒間ホモジナイズし、その後4℃、20,000 gで20分間、再び遠心分離した。結果として生じたペレットを3ユニット/mlアデノシン デアミナーゼの存在下、緩衝液に再懸濁し、懸濁液を結合実験まで−80℃で保存した。ウィスター系ラット由来の線条体組織及び前脳組織を、電動ホモジナイザーを用いて氷冷50mM Tris・HCl緩衝液(pH 7.4)中でホモジナイズした。ホモジネートを4℃、20,000 gで10
分間遠心分離し、ペレットを新しい緩衝液で洗浄した。最終ペレットを結合実験まで−80℃で保存した。タンパク質濃度を、ブラッドフォードアッセイを用いて測定した。Bradford et al., Anal. Biochem. 1976, 72, 248-254.
【0174】
A1及びA2A受容体との結合アッセイ.
ラットA1受容体への結合のため、放射性リガンド[3H]CCPA (0.5nM)をラット脳膜と共にインキュベートした。ヒトA1受容体への結合のため、[3H]R-PIA (N6-[(R)-フェニルイソプ
ロピル]アデノシン, 2nM)を、ヒトA1受容体を安定的に発現するCHO細胞由来の膜(40μg/
チューブ)と共に、総アッセイ量200μl中、50mM Tris.HCl緩衝液(pH 7.4; MgCl2, 10mM)
中で、25℃で60分間インキュベートした。非特異的結合を、10μMのCPA (N6-シクロペン
チルアデノシン)を用いて測定した。ヒトA2A受容体結合のため、ヒトA2A受容体を安定的
に発現するHEK-293細胞由来の膜(20μg/チューブ)を、[3H]CGS21680 (2-[p-(2-カルボキ
シエチル)フェニル-エチルアミノ]-5'-N-エチルカルボキサミド-アデノシン, 15nM)と共
に、10mM MgCl2を含有する200μl 50mM Tris.HCl(pH 7.4)中で、25℃で60分間インキュベートした。NECA (10μM)を用いて非特異的結合を測定した。反応をGF/Bフィルターでのろ過により終了させた。
【0175】
A3アデノシン受容体についての結合アッセイを、[125I]4-アミノ-3-ヨードベンジル)アデノシン-5'-N-メチルウロンアミドを用いて行った。競合的結合アッセイ(Olah et al., Mol. Pharmacol. 1994, 45, 978-982)における各チューブは、10mM MgCl2、1mM EDTAを含有するTris・HCl緩衝液(50mM, pH8.0)中に、100μl 膜懸濁液(20μgタンパク質)、50μl [125I]4-アミノ-3-ヨードベンジル)アデノシン-5'-N-メチルウロンアミド(1.0nM)、及び50μlの増加濃度の被験リガンドを含んだ。非特異的結合を、緩衝液中10μMの5'-N-エチルカルボキサミド-アデノシンを用いて測定した。混合物を37℃で60分間インキュベートし
た。結合反応を、減圧下でMT-24 細胞ハーベスター(Brandell, Gaithersburg, MD)を用いて、Whatman GF/Bフィルターを通したろ過により終了させた。フィルターを9ml氷冷緩衝
液で3回洗浄した。放射能を、Beckman 5500Bγ-カウンターで測定した。
【0176】
環状AMP蓄積アッセイを、下記のように行った。細胞内環状AMPレベルを競合タンパク質結合方法で測定した。Nordstedt et al., Anal. Biochem. 1990, 189, 231-234; Post et
al., Methods Mol. Biol. 2000, 126, 363-374. 組換えヒト及びラットA3又はヒトA1
デノシン受容体を発現するCHO細胞を、トリプシン処理により収集した。遠心分離及び培
地での再懸濁の後、細胞を1.0ml培地中、24ウェルプレートに蒔いた。24時間後、培地を
除去し、細胞を50mM HEPES(pH 7.4)を含有する1ml DMEMで3回洗浄した。その後、細胞を
ロリプラム(10μM)及びアデノシン デアミナーゼ(3ユニット/mL)の存在下、作用薬及び/
又は被験化合物で処理した。45分後、ホルスコリン(10μM)を培地に加え、さらに15分間
、インキュベーションを続けた。上清を除去することにより反応を終了させ、200μLの0.1M氷冷HClの添加により細胞を溶解した。細胞溶解液を再懸濁し、−20℃で保存した。環
状AMP産生の測定のために、プロテインキナーゼA (PKA)を、[3H]環状AMP(2nM)と共に、K2HPO4/EDTA緩衝液(K2HPO4, 150mM; EDTA, 10mM)、20μLの細胞溶解液、及び30μLの0.1M HCl又は50μLの環状AMP溶液(標準曲線において0-16pmol/200μL)中でインキュベートした
。結合放射能をWhatman GF/Cフィルターを通した急速ろ過により分離し、冷緩衝液で1回洗浄した。結合放射能を液体シンチレーション分光により測定した。
【0177】
抗虚血心保護.
マウス心臓のランゲンドルフ灌流を行った。マウスを60mg/kgペントバルビタールナトリ
ウム(腹腔内)で麻酔し、心臓を氷冷灌流緩衝液中で切り取った。大動脈にカニューレを挿入し、55mmHgの圧力でランゲンドルフモードで逆行灌流した。等容性機能を評価するために、液体で満たしたポリビニルプラスチックフィルムバルーンを左心房経由で左心室に挿入した。バルーンを液で満たした圧力変換器に接続し、左心室発生圧力(LVDP)、+dP/dt、-dP/dt、及び心拍を測定した。正常温度での広範囲の虚血及び再灌流を生じさせるために、大動脈の逆行灌流を停止し、心臓を37℃に保っウォータージャケット式の槽の中で、同じ灌流緩衝液に浸した。35分虚血及び30分再灌流の後、左心室の機能の回復をLVDP、+dP/dt、及び-dP/dtを定量化することにより測定した。梗塞を定量化するために、120分の再
灌流後に、心臓を灌流緩衝液中で、1% 塩化トリフェニルテトラゾリウム(TTC)と共に10分間逆行灌流し、TTC染色のために必要な壊死細胞からのピリジンヌクレオチド流出を行っ
た。心臓を、同じTTC緩衝液にさらに10分間浸した。心臓を冷凍し、先端から底部までを6又は7つの1mm薄片に切断し、コンピューター形態計測(Image- Pro Plus, version 5.0, Media Cybernetics, Inc, Silver Spring, MD)により梗塞サイズの測定をスキャンした。
梗塞サイズを総心室領域に標準化した壊死領域として定量化した。アデノシン受容体作用薬の抗虚血心保護作用を評価するために、正常温度での広範囲の虚血/再灌流の前に、ビ
ヒクル(灌流緩衝液中0.1% DMSO)又はDMSO中に溶解し、緩衝液で希釈した化合物104(30nM)を、ランゲンドルフモードで5分間投与した。
【0178】
統計分析
結合及び機能パラメーターを、Prism 5.0 ソフトウェア(GraphPAD, San Diego, CA, USA)を用いて計算した。競合曲線から得たIC50値を、Cheng-Prusoff方程式を用いてKi値に変
換した。Cheng et al., Biochem. Pharmacol. 1973, 22, 3099-3108. データは、平均±
標準誤差として下記の表1に示した。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【0179】
化合物104は、ヒト及びラットA1アデノシン受容体との結合において、それぞれ18.3nM
及び17.4nMのKi値を示し、等効力であった。化合物104の親和性もまた、ヒト及びラットA3アデノシン受容体でも、それぞれ3.7nM及び5.8nMのKi値を示し、同様であった。インタ
クトなトランスフェクトされたCHO細胞におけるホルスコリン刺激による3',5'-環状-アデノシン一リン酸(cAMP)の産生の阻害の濃度反応曲線は、化合物104がヒトA1 (EC50 = 8.2nM)及びA3 (EC50 = 2.8nM)アデノシン受容体でほとんど等価な機能的能力を持つ、二重作
用性完全作用薬であることを示す。
【0180】
虚血及び再灌流のインタクトマウスの心臓モデル中で、化合物104を試験した。30nMの
化合物104は、強力な抗虚血心保護作用を示した(表2)。混合した作用薬を、虚血を誘導
するまで灌流した。左心室発生圧力、+dP/dt、-dP/dt、及び心拍全ての回復は、混合作用薬104での処理後に顕著に向上した。塩化トリフェニルテトラゾリウム(TTC)での染色後、コンピューター形態計測を用いて決定した梗塞サイズは、104で処理したグループでは顕
著に減少した。ビヒクルで処理した対照の23±8%と比べ(n=6)、104で処理したグループで
のパーセント壊死は、15±7%であった。
【0181】
虚血/再灌流のマウス心臓モデル中の左心室機能の回復。a)
【表2】

【0182】
ヒトA1(■)又はA3(σ)アデノシン受容体を安定にトランスフェクトされたCHO細胞中で
化合物104により誘導されたホルスコリン刺激性環状AMP産生の阻害(図8)。全ての実験は、10μMロリプラム及び3ユニット/mlアデノシン デアミナーゼの存在下で行った。ホルスコリン(10μM)を、環状AMPレベルを刺激するために用いた。100%に相当するcAMPのレベルは220±30pmol/mLであった。示すデータは、2回行ったうちの1つの実験から得たものであり、同様な結果を示す2つの独立した実験の典型的なものである。EC50値は、A1又はA3アデノシン受容体のそれぞれで、8.2nM及び2.8nMであった。100%値は、A1又はA3アデノシン受容体のいずれかでの完全作用薬として、NECA(10μM)の最大効果を基準とする。
【0183】
本明細書で引用した出版物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献が、各参考文献が参照することにより本明細書中に組み込まれることが個々にかつ明確に示され、本明細書中にその全体が示された場合と同じ程度まで、参照することにより本明細書中に組み込まれるものとする。
【0184】
本発明を説明する上で(とりわけ添付した特許請求の範囲に関して)、用語「a」、「an
」及び「the」並びに同様な指示対象の使用は、別段本明細書中で示される場合又は内容
により明らかに矛盾する場合を除き、単数形及び複数形の両方をカバーすると解釈されるものとする。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及
び「含む(containing)」は、別段注意書きされる場合を除き、制限のない単語(すなわち
、「〜を含むがこれに限定されるものではない」を意味する)として解釈されるものとす
る。本明細書中の値の範囲の列挙は、別段本明細書中で示される場合を除き、単に、該範囲内に収まる各離れた値に個々に言及する簡便な方法として働くことを意図し、さらに、あたかもそれらが本明細書中に個々に列挙されるかのように、各離れた値が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、別段示される場合又は内容により明らかに
矛盾する場合を除き、任意の好適な順序によりなされ得る。本明細書中に提供される、任意の及び全ての例、又は例示的な語(例えば「such as」)は、単に本発明をよりよく説明
することを意図し、別段要求されない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる語も、任意の請求されていない構成要素を本発明の実施に不可欠なものとして示すものと解釈されるべきではない。
【0185】
本発明の好ましい実施形態は、本発明者らが知りうる中で本発明を実施する最良の形態を含め、本明細書中に記載される。それら好ましい実施形態のバリエーションは、前述の説明を読むことにより当業者に明らかとなり得る。本発明者らは当業者がそのようなバリエーションを必要に応じて用いることを予期し、かつ本発明者らは、本発明が本明細書記載の具体例とは別の態様で実施されることを意図する。従って、本発明は、準拠法の許す限り、本明細書添付の特許請求の範囲記載の対象の、全ての修飾物及び等価物を含む。さらに、本明細書中で別段示される場合又は内容により明らかに矛盾する場合を除き、その可能な全バリエーションにおける上記の構成要素の任意の組み合わせが、本発明に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式の化合物:
【化1】

(式中、
R1は、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ヒドロキシ、C3-C8シクロアルキル、C3-C8シクロアルキルC1-C6アルキル、C3-C8ジシクロアルキルC1-C6アルキル、C7-C12ビシクロアル
キルC1-C6アルキル、C7-C14トリシクロアルキルC1-C6アルキル、C6-C14アリール、C6-C14アリールC1-C6アルキル、C6-C14ジアリールC1-C6アルキル、C6-C14アリールC1-C6アルコ
キシ、ヘテロシクリルC1-C6アルキル、ヘテロシクリル、4-[[[4-[[[(2-アミノC1-C6アル
キル)アミノ]-カルボニル]-C1-C6アルキル]アニリン]カルボニル]C1-C6アルキル]C6-C14
アリール、及びC6-C14アリールC3-C8シクロアルキルから成る群より選択され、
R1のアリールもしくはヘテロシクリル部分は、ハロ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C6-C14アリールオキシ、ヒドロキシC1-C6アルキル、ヒドロキシC2-C6アルケニル、ヒドロキシC2-C6アルキニル、アミノカルボニルC1-C6アルコキシ、及びC6-C14アリールC1-C6アルコキシ、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上
の置換基で任意に置換されており;
並びに、R1のアルキルもしくはシクロアルキル部分は、ハロ、ヒドロキシ、及びアミノ、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換されている;
R2は、水素、ハロ、アミノ、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルチオ、C2-C6アルケニルオ
キシ、C2-C6アルキニルオキシ、C3-C8シクロアルキルC1-C6アルコキシ、C3-C8シクロアルケニルオキシ、C7-C12ビシクロアルキルC1-C6アルコキシ、C7-C12ビシクロアルケニルC1-C6アルコキシ、C6-C14アリールオキシ、C6-C14アリールC1-C6アルコキシ、C6-C14アリー
ルC3-C6シクロアルコキシ、C6-C14アリールC1-C6アルキルアミノ、C6-C14アリールC1-C6
アルキルチオ、C1-C6アルキルC6-C14アリールC1-C6アルコキシ、C1-C6アルコキシC6-C14
アリールC1-C6アルコキシ、ハロC6-C14アリールオキシ、ハロC6-C14アリールC1-C6アルコキシ、C6-C14アリールC1-C6アルキルアミノ、C1-C6ジアルコキシC6-C14アリールC1-C6
ルコキシ、ヘテロシクリルC1-C6アルコキシ、ヒドラジニル、及びピラゾリルから成る群
より選択され、
該ピラゾリルは、C1-C6アルキル、C6-C14アリールC1-C6アルキル、C6-C14ハロアリールC1-C6アルキル、アミノカルボニル、C1-C6アルキル アミノカルボニル、C1-C6アルコキシフェニル、C6-C14ハロアリール、及びヘテロシクリル、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換されている;
R3及びR4は独立して、ヒドロキシ、アミノ、チオール、ウレイド、C1-C6アルキル カルボニルアミノ、ヒドロキシC1-C6アルキル及びヒドラジニルから成る群より選択される;
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニル、C1-C3アルキルチオC1-C3アルキル、ハロC1-C3
アルキル、ヒドラジニル、アミノC1-C3アルキル、ヒドロキシC1-C3アルキル、C3-C6シク
ロアルキルアミノ、ヒドロキシルアミノ、及びC2-C3アルケニルから成る群より選択され
る;並びに、
R6は、水素もしくはフッ素である;
又はそれらの薬学的に許容される塩である;
ただし、(i)R1がメチルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシルであり、並
びにR5がメチルアミノカルボニルである場合、R6は水素ではない;(ii)R1が3-ヨードベンジルであり、R2が水素もしくはクロロであり、R3及びR4がヒドロキシルであり、並びにR5がメチルアミノカルボニルである場合、R6は水素ではない;並びに(iii)R1がC1-C6アルキル、C3-C8シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C6-C14アリール、C6-C14アリールC1-C6
ルキル、ヘテロシクリルもしくはC7-C12ビシクロアルキルであり、R2が水素もしくはハロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、並びにR6が水素である場合、R5はアルキルアミノ
カルボニルではないという条件で。)。
【請求項2】
R1が、C1-C6アルキル、C3-C8シクロアルキル、C6-C14アリールC1-C6アルキル、C6-C14
ジアリールC1-C6アルキル、C6-C14アリールC3-C8シクロアルキル、及びヘテロシクリルC1-C6アルキルから成る群より選択され、ここでR1のアリール又はヘテロシクリル部分が、
ハロ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C6-C14アリールオキシ、ヒドロキシC1-C6アルキル、ヒドロキシC2-C6アルケニル、ヒドロキシC2-C6アルキニル、アミノカルボ
ニルC1-C6アルコキシ、及びC6-C14アリールC1-C6アルコキシ、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が、C1-C6アルキル、C3-C8シクロアルキル、フェニルC1-C6アルキル、ジフェニルC1-C6アルキル、フェニルC3-C8シクロアルキル、ジフェニルC3-C8シクロアルキル、及びヘテロシクリルC1-C6アルキルから成る群より選択され、ここでR1のフェニル又はヘテロシク
リル部分が、ハロ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、フェノキシ、ヒドロキシC1-C6アルキル、ヒドロキシC2-C6アルケニル、ヒドロキシC2-C6アルキニル、アミノカル
ボニルC1-C6アルコキシ、及びフェニルC1-C6アルコキシ、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R1が、メチル、シクロペンチル、ベンジル、ジフェニル エチル、フェニル シクロプロピル、ジフェニル シクロプロピル、及びピリジル メチルから成る群より選択され、ここでR1のフェニル又はピリジル部分が、ハロ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、フェノキシ、ヒドロキシC1-C6アルキル、ヒドロキシC2-C6アルケニル、ヒドロキシC2-C6
アルキニル、アミノカルボニルC1-C6アルコキシ、及びフェニルC1-C6アルコキシ、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換される、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
R1が、ハロ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、フェノキシ、ヒドロキシC1-C6アルキル、ヒドロキシC2-C6アルケニル、ヒドロキシC2-C6アルキニル、アミノカルボニ
ルC1-C6アルコキシ、及びフェニルC1-C6アルコキシ、並びにそれらの任意の組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換されるベンジルである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
R1がベンジルである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
R1が、ハロ、アミノ、メチル、メトキシ、フェノキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピニル、アミノカルボニル メトキシ、及びベンジルオキシ、並びにそれらの任意の
組み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で置換されるベンジルである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
R1が、メチル、シクロペンチル、又は7-ノルボルニルである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
R1が、3-ヨードベンジル、3-ブロモベンジル、3-クロロベンジル、3-フルオロベンジル、2,5-ジクロロベンジル、2-クロロ-5-ヨードベンジル、5-クロロ-2-メトキシベンジル、5-クロロ-2-(アミノカルボニル メトキシ)ベンジル、5-クロロ-2-ベンジルオキシベンジ
ル、5-ヨード-2-メトキシベンジル、2,5-ジメトキシベンジル、2-メチルベンジル、3-(3-ヒドロキシプロピニル)ベンジル、2-クロロ-5-(3-ヒドロキシプロピニル)ベンジル、4-アミノベンジル、及び4-アミノ-3-ヨード-ベンジルから成る群より選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
R1が3-ピリジルメチルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項11】
R1がtrans-2-フェニル-1-シクロプロピルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項12】
R1が2,2-ジフェニルエチルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項13】
R2が、ハロ、アミノ、及びC1-C6アルキルチオから成る群より選択される、請求項1〜
12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
R2が、クロロ、ヨード、アミノ、及びメチルチオから成る群より選択される、請求項1〜13のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
R3及びR4が独立して、ヒドロキシ、アミノ、チオール、及びウレイドから成る群より選択される、請求項1〜14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
R3及びR4がヒドロキシである、請求項1〜15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
R5が、C1-C3アルキル アミノカルボニル、C1-C3アルキルチオC1-C3アルキル、ハロC1-C3アルキル、アミノC1-C3アルキル、ヒドロキシC1-C3アルキル、及びC3-C6シクロアルキルアミノから成る群より選択される、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物。
【請求項18】
R5が、メチルアミノ カルボニル、メチルチオ メチル、ハロメチル、アミノメチル、ヒドロキシメチル、及びシクロプロピルアミノから成る群より選択される、請求項1〜17のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
R5がメチルアミノ カルボニルである、請求項1〜18のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
R6が水素である、請求項1〜19のいずれかに記載の化合物。
【請求項21】
該ピラゾリルが、ピリジル、キノリニル(quiloninyl)、イソキノリニル、ピリミジニル、及びベンゾキサゾリルから成る群より選択されるヘテロシクリルで置換される、請求項1〜20のいずれかに記載の化合物。
【請求項22】
R1がメチルであり、R2がアミノであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
R1が3-ブロモベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
R1が3-クロロベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
R1が3-フルオロベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
R1が2,5-ジクロロベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
R1が2-クロロ-5-ヨードベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシで
あり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化
合物。
【請求項28】
R1が5-クロロ-2-メトキシベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシ
であり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の
化合物。
【請求項29】
R1が5-クロロ-2-(アミノカルボニル メトキシ)ベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である
、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
R1が5-クロロ-2-ベンジルオキシベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒド
ロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に
記載の化合物。
【請求項31】
R1が5-ヨード-2-メトキシベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシ
であり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の
化合物。
【請求項32】
R1が2,5-ジメトキシベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物

【請求項33】
R1が2-メチルベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
R1が3-メチルベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
R1が3-(3-ヒドロキシプロピニル)ベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に
記載の化合物。
【請求項36】
R1が2-クロロ-5-(3-ヒドロキシプロピニル)ベンジルであり、R2がクロロであり、R3
びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項37】
R1が4-アミノベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項38】
R1が4-アミノ-3-ヨードベンジルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシで
あり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化
合物。
【請求項39】
R1が3-ピリジルメチルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項40】
R1がtrans-2-フェニル-1-シクロプロピルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒド
ロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に
記載の化合物。
【請求項41】
R1が2,2-ジフェニルエチルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項42】
R1が3-クロロベンジルであり、R2がヨードであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項43】
R1が3-クロロベンジルであり、R2がメチルチオであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項44】
R1がシクロペンチルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項45】
R1が7-ノルボルニルであり、R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノ カルボニルであり、及びR6が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項46】
下式の化合物:
【化2】

(式中、
(a)R1は、アミノカルボニルアミノで置換されたC3-C8シクロアルキルであり;
R2は、水素、ハロ、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルキルアミノから成
る群より選択され;
R3は、ヒドロキシであり;
R4は、アミノ、ヒドロキシ、及びハロから成る群より選択され;
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニルであり;並びに、
R6は、水素もしくはハロである;

(b)R1は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボニルアミノ、及びそれらの任意の組
み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換されたC3-C8シクロア
ルキルであり;
R2は、C1-C6アルコキシ、及びC1-C6アルキルアミノから成る群より選択され;
R3は、ヒドロキシであり;
R4は、アミノ、ヒドロキシ、及びハロから成る群より選択され;
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニルであり;並びに、
R6は、水素もしくはハロである;

(c)R1は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボニルアミノ、及びそれらの任意の組
み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換されたC3-C8シクロア
ルキルであり;
R2は、水素、ハロ、C1-C6アルコキシ、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルキルアミノから成
る群より選択され;
R3は、ヒドロキシであり;
R4は、ハロであり;
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニルであり;並びに、
R6は、水素もしくはハロである;又は、

(d)R1は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アミノカルボニルアミノ、及びそれらの任意の組
み合わせから成る群より選択される1つ以上の置換基で任意に置換されたC3-C8シクロア
ルキルであり;
R2は、C1-C6アルコキシ、及びC1-C6アルキルアミノから成る群より選択され;
R3は、ヒドロキシであり;
R4は、アミノ、ヒドロキシ、及びハロから成る群より選択され;
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニルであり;並びに、
R6は、ハロである;
あるいは、それらの薬学的に許容される塩である。)。
【請求項47】
R1が、ヒドロキシ、アミノ、又はアミノカルボニルアミノで任意に置換されたシクロペンチルである、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
下式の化合物:
【化3】

[式中、R1は、
【化4】

(式中、R1は該化合物のN6Hと共に示される。)から成る群より選択され;
R2は、水素、ハロ、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルコキシ、及びC1-C6アルキルアミノか
ら成る群より選択され;
R3は、ヒドロキシであり;
R4は、アミノ、ヒドロキシ、及びハロから成る群より選択され;
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニルであり;並びに、
R6は水素もしくはハロであり;又はそれらの薬学的に許容される塩である。]。
【請求項49】
R2がクロロであり、R3及びR4がヒドロキシであり、R5がメチルアミノカルボニルであり、及びR6が水素である、請求項48に記載の化合物。
【請求項50】
下式の化合物:
【化5】

(式中、R1は、ヘテロシクリルであり;
R2は、水素、ハロ、C1-C6アルキルチオ、C1-C6アルコキシ、及びC1-C6アルキルアミノか
ら成る群より選択され;
R3は、ヒドロキシであり;
R4は、アミノ、ヒドロキシ、及びハロから成る群より選択され;
R5は、C1-C3アルキル アミノカルボニルであり;並びに、
R6は、水素もしくはハロであり;又はそれらの薬学的に許容される塩である。)。
【請求項51】
R1がテトラヒドロフラニルである、請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
R1が、
【化6】

(式中、R1はN6Hと共に示される。)である、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
R2はクロロであり、R3及びR4はヒドロキシであり、R5はメチルアミノカルボニルであり、及びR6は水素である、請求項52に記載の化合物。
【請求項54】
請求項1〜53のいずれかに記載の化合物及び薬学的に許容される担体を含有する、医薬組成物。
【請求項55】
哺乳動物においてA3アデノシン受容体を活性化する方法であって、該哺乳動物に、有効量の請求項1〜53のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項56】
細胞においてA3アデノシン受容体を活性化する方法であって、該細胞を請求項1〜53のいずれかに記載の化合物と接触させることを含む、方法。
【請求項57】
該接触がin vivoである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
該接触がin vitroである、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
哺乳動物においてA3及びA1アデノシン受容体を活性化する方法であって、該哺乳動物に、有効量の請求項46〜53のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項60】
それを必要とする患者を心保護する方法であって、A1及びA3アデノシン受容体の両方に親和性を持つ作用薬を、患者の心臓においてA1及びA3アデノシン受容体を活性化するのに有効な請求項46〜53のいずれかに記載の化合物の量で、患者に投与することを含む、方法。
【請求項61】
心保護が、心臓への虚血性障害を予防する、又は低減することを含む、請求項60に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−229215(P2012−229215A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−128779(P2012−128779)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【分割の表示】特願2007−531262(P2007−531262)の分割
【原出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(304048296)アメリカ合衆国 (18)
【Fターム(参考)】