説明

ABS様物品を製造するための光硬化性組成物

本発明は、(a)30〜80重量%のエポキシ含有成分;(b)5〜65重量%の、その分子内にオキセタン環を含む化合物;(c)1〜25重量%の、2,000以上の分子量Mwを有するポリオール;(d)アンチモン非含有カチオン性光開始剤;を含み、ここで重量%は光硬化性組成物の全重量を基準とするものである光硬化性組成物に関する。本硬化性樹脂組成物は、それ自体で光硬化性被覆のために、特にステレオリソグラフィー及び3D物体が形成される他の3次元印刷用途のために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ化合物、その分子内にオキセタン環を含む化合物、ポリオール含有混合物、及びカチオン性光開始剤を含む、明澄で低粘度の光硬化性組成物、並びにラピッドプロトライピング技術の下でかかる組成物を用いて不透明の3次元物品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体ベースのソリッドイメージングは、光で成形可能な液体を表面上に薄層で被覆して、液体が画像様に固化するように、化学線照射、例えばステレオリソグラフィー用のレーザーによって指向されるUVに像様曝露するプロセスである。その後、従前の液体層又は従前に固化させた部分の上に光で成形可能な液体の新しい薄層を被覆する。次に、複数の部分を画像様に固化させ、新しく硬化させた領域の部分と従前に硬化させた領域の部分との間の接着を誘発させるために、新しい層を像様露光する。それぞれの像様露光は、光硬化物体の適当な横断面に関係する形状のものであり、全ての層が被覆され、全ての曝露が完了した際に、一体化した光硬化物体を周りの液体組成物から取り出すことができるようになっている。幾つかの用途においては、物品の形成中に液体樹脂表面下で部分的に完成した物品を検査して、形成を中止するか、或いはその後の層又は今後の形成に関する形成パラメーターを変更するかの決定を可能にすることが有益である。
【0003】
ソリッドイメージングプロセスの最も重要な有利性の1つは、コンピューター援用デザインによってデザインされた実際の物品を迅速に製造する能力である。製造される物品の精密度を改良するように適合された組成物及びプロセスによって大きな進歩がなされている。また、組成物の開発者によって、光硬化物品の弾性率又は熱撓み温度(HDTとも呼ばれ、材料の試料が特定の負荷下で変形する温度である)のような個々の特性の改良に向けた大きな進歩がなされている。通常は、より高いHDTを有する材料はより良好に機能する、即ち高熱状況においてより良好に変形に耐える。
【0004】
ステレオリソグラフィープロセスで硬化させると、原料であるアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)の外観及び触感を有する不透明な物品を生成する明澄で低粘度の光硬化性組成物を製造することが望ましいであろう。
【0005】
例えば相分離によって不透明な物品を達成するために、UV硬化性樹脂中に種々の材料を投入することが知られている。エポキシ−アクリル樹脂混合物をベースとする配合物は、レーザーをベースとするステレオリソグラフィープロセスに関して特に重要である。これらの配合物は、バランスの取れた機械特性を得るためには、ヒドロキシポリエステル、ポリエーテル、又はポリウレタンのいずれかからのヒドロキシ含有「タフナー」のようなタフナーを更に必要とする。
【0006】
特許出願WO−00/63272においては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、光酸生成剤、10〜700nmの平均粒径を有するエラストマー粒子、ポリオール化合物、エチレン性不飽和モノマー、及びラジカル光重合開始剤を含む、3次元物体を製造するための光硬化性樹脂組成物が開示されている。
【0007】
従来技術においては、強靱化ミクロ相ドメインを区別して且つ選択的に分離することを可能にするエポキシ−アクリル複合体中の混合ポリオールの例に関する具体的な言及はない。不透明になるこれらのタイプの明澄な組成物は、装置、例えばSL機械の運転において必要な低粘度を達成することができ、更に所望の高い靱性を与えるので重要である。予備成形したタフナーは、通常、粘度の上昇のために有効量で装填することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO−00/63272
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ユーザーは、今日では、部品の形成中に樹脂表面下で部分的に完成した部品を検査することを望んでいる。そのようにすることにより、形成を中止すること、或いはその後の層又は今後の形成に関する形成パラメーターを変更することについての決定を行うことが可能になる。明澄な硬化又は不透明な液体樹脂は、この高く望まれている特性を阻害する。
【0010】
また、不透明な液体を与える薬剤はSL樹脂に対して問題を引き起こす可能性がある。幾つかの添加剤は発泡を引き起こすことが分かっている。言い換えれば、これらは最適値よりも高い粘度を必要とする可能性がある。
【0011】
上記に加えて、ラピッドプロトライピング部品の改良された特性に対する必要性が増加している。本発明は、硬化中に色を変化させる樹脂だけでなく、より良好な機械特性及び耐熱性を示す最終部品も提供する。これらは、また数多くのユーザーに対して所望の特性である白色の熱可塑性樹脂の外観も有する。
【0012】
明澄から不透明になるUV硬化性ステレオリソグラフィー樹脂に関する要求は、顧客からの新しい要望である。
ステレオリソグラフィーにおいて用いるための改良された光硬化性樹脂組成物に関する必要性が未だ存在する。未硬化の樹脂組成物は、低い粘度を有し、良好な機械特性及び高い精密性を有する生成物を与えなければならない。未硬化樹脂は明澄な液体で、これが硬化後に不透明に変化することが更に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、
(a)30〜80重量%のエポキシ含有成分;
(b)5〜65重量%の、その分子内にオキセタン環を含む化合物;
(c)1〜25重量%の、2,000以上の分子量Mwを有するポリオール;
(d)アンチモン非含有カチオン性光開始剤;
を含み、ここで重量%は光硬化性組成物の全重量を基準とするものである光硬化性組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
驚くべきことに、成分(a)〜(d)の組みあわせによって、明澄で、当該技術から公知のものよりも低い粘度を有する光硬化性組成物が得られることが見出された。本発明の組成物は、迅速にレーザー硬化させて、ABSと同等の靱性、可撓性、及び高い熱撓み温度の優れたバランスを有する不透明の3次元物品を与えることができる。
【0015】
特に、その分子内に1つ以上のオキセタン環を含む化合物を用いると、UV硬化中のポリオールの相分離が促進されて、明澄な均一の液体樹脂を白色の固体に変化させる。驚くべきことに、本発明の成分(a)〜(d)の組みあわせによって、生成物の外観が改良されるだけでなく、大きく改良された機械特性も導かれる。
【0016】
特許請求された組成物の成分に関して与えられる分子量は、重量平均分子量Mwを意味する。Mwは、当業者に周知の分析技術であるHPLC、GPC、又はSECによって測定することができる。
【0017】
エポキシ含有成分(a):
第1の成分(a)として、本発明の光硬化性組成物は、光硬化性組成物の全重量を基準として30〜80重量%、好ましくは40〜80重量%の1種類以上のエポキシ含有化合物を含む。通常は、エポキシ含有化合物は、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のエポキシ基を有する。これは、それを介して反応するか又は開環メカニズムの結果として反応してポリマーネットワークを形成することのできる1つ以上の更なる官能基を有していてよい。かかる官能基の例としては、オキシラン−(エポキシド)、分子内のテトラヒドロフラン及びラクトン環が挙げられる。かかる化合物は、脂肪族、芳香族、脂環式、芳香脂肪族、又は複素環構造を有していてよく、側基として環基を含んでいてよく、或いはエポキシド基が脂環式又は複素環式環系の一部を形成してもよい。誤解を避けるために、エポキシ含有化合物(a)が更なる官能基を有する場合には、これはそれにもかかわらずエポキシ含有化合物(a)として数える。
【0018】
一態様においては、本発明において用いるのに好適な好ましいエポキシ含有化合物は非グリシジルエポキシである。これらのエポキシは、線状、分岐、又は環式の構造であってよい。例えば、これらとしては、エポキシド基が脂環式又は複素環式環系の一部を形成する1種類以上のエポキシド化合物を挙げることができる。他のものとしては、少なくとも1つのケイ素原子を含む基に直接か又は間接的に結合している少なくとも1つのエポキシシクロヘキシル基を有するエポキシ含有化合物が挙げられる。更に他のものとしては、1つ以上のシクロヘキセンオキシド基を含むエポキシド、及び1つ以上のシクロペンテンオキシド基を含むエポキシドが挙げられる。
【0019】
特に好適な非グリシジルエポキシとしては、エポキシド基が脂環式又は複素環式環系の一部を形成する以下の二官能性非グリシジルエポキシド化合物が挙げられる:ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、1,2−ビス(2,3−エポキシシクロペンチルオキシ)エタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、ジ(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エタンジオールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンジエポキシド、又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−1,3−ジオキサン、及び2,2’−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン。
【0020】
非常に好ましい二官能性非グリシジルエポキシとしては、脂環式二官能性非グリシジルエポキシ、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、及び2,2’−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパンが挙げられ、前者のものが最も好ましい。
【0021】
他の態様においては、エポキシ含有化合物は、ポリグリシジルエーテル、ポリ(β−メチルグリシジル)エーテル、ポリグリシジルエステル、又はポリ(β−メチルグリシジル)エステルである。
【0022】
ポリグリシジルエーテル又はポリ(β−メチルグリシジル)エーテルの特に重要な代表例は、単環式フェノール類、例えばレゾルシノール又はヒドロキノンをベースとするもの、又は多環式フェノール類、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)をベースとするもの、或いは酸性条件下でのフェノール又はクレゾールとホルムアルデヒドとの縮合生成物、例えばフェノールノボラック及びクレゾールノボラックをベースとするものである。好適なポリグリシジルエーテルの例としては、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリプロポキシル化グリセロールのトリグリシジルエーテル、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテルが挙げられる。特に好ましいポリグリシジルエーテルの例としては、ビスフェノールA及びビスフェノールF並びにこれらの混合物をベースとするジグリシジルエーテルが挙げられる。好ましい態様においては、上記の単環式フェノール類又は多環式フェノール類の水素化形態のポリグリシジルエーテル又はポリ(β−メチルグリシジル)エーテルを用いる。
【0023】
エポキシ含有化合物(a)はまた、ポリカルボン酸のポリグリシジル及びポリ(β−メチルグリシジル)エステルから誘導することもできる。ポリカルボン酸は、例えばグルタル酸、アジピン酸などのような脂肪族;例えばテトラヒドロフタル酸のような脂環式;或いは、例えばフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、又はピロメリット酸のような芳香族;であってよい。
【0024】
他の態様においては、エポキシ化合物は、ポリ(N−グリシジル)化合物又はポリ(S−グリシジル)化合物である。ポリ(N−グリシジル)化合物は、例えば、エピクロロヒドリンと、少なくとも2つのアミン水素原子を含むアミンとの反応生成物の脱塩化水素化によって得ることができる。これらのアミンは、例えば、n−ブチルアミン、アニリン、トルイジン、m−キシレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、又はビス(4−メチルアミノフェニル)メタンであってよい。しかしながら、ポリ(N−グリシジル)化合物の他の例としては、エチレン尿素又は1,3−プロピレン尿素のようなシクロアルキレン尿素のN,N’−ジグリシジル誘導体、及び5,5−ジメチルヒダントインのようなヒダントイン類のN,N’−ジグリシジル誘導体が挙げられる。ポリ(S−グリシジル)化合物の例は、ジチオール、例えばエタン−1,2−ジチオール又はビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルから誘導されるジ−S−グリシジル誘導体である。
【0025】
また、1,2−エポキシド基が異なるヘテロ原子又は官能基に結合しているエポキシ含有化合物を用いることもできる。これらの化合物の例としては、4−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、サリチル酸のグリシジルエーテル/グリシジルエステル、N−グリシジル−N’−(2−グリシジルオキシプロピル)−5,5−ジメチルヒダントイン、又は2−グリシジル−1,3−ビス(5,5−ジメチル−1−グリシジルヒダントイン−3−イル)プロパンが挙げられる。
【0026】
ビニルシクロヘキセンジオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−9,10−エポキシステアレート、1,2−ビス(2,3−エポキシ−2−メチルプロポキシ)エタンなどのような他のエポキシド誘導体を用いることができる。
【0027】
また、上記で言及したもののようなエポキシ含有化合物と、エポキシ樹脂用の硬化剤との予め反応させた液体付加体を用いることも考えられる。勿論、本発明の組成物において、液体又は固体のエポキシ樹脂の液体混合物を用いることもできる。
【0028】
好ましいエポキシ成分は、水素化又はペル水素化ビスフェノールAのようなペル水素化芳香族化合物、或いは脂環式グリシジルエポキシ化合物をベースとするものである。水素化又はペル水素化芳香族は、芳香族二重結合が部分的か又は完全に水素化されていることを意味する。本発明において用いるのに好適な市販のエポキシ製品の例は以下のものである:Uvacure 1500(UCB Chemicals Corp.によって供給されている3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート);Heloxy 48(Resolution Performance Products LLCによって供給されているトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル);Heloxy 107(Resolution Performance Products LLCによって供給されているシクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル);Uvacure 1501及び1502(Smyrna, GaのUCB Surface Specialtiesによって供給されている特許品の脂環式エポキシド);Uvacure 1530〜1534(特許品のポリオールをブレンドした脂環式エポキシド);Uvacure 1561及びUvacure 1562(その中に(メタ)アクリル不飽和部分を有する特許品の脂環式エポキシド);Cyracure UVR-6100、-6105、及び-6110(全て、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート);Cyracure UVR-6128(ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート)、Cyracure UVR-6200、Cyracure UVR-6126(Danbury, Conn.のUnion Carbide Corp.によって供給されている1,2−エポキシヘキサデカン);Araldite CY 179(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート);PY 284(ジグリシジルヘキサヒドロフタレートポリマー);Celoxide 2021(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート)、Celoxide 2021 P(3’,4’−エポキシシクロヘキサンメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート);Celoxide 2081(3’,4’−エポキシシクロヘキサンメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート変性カプロラクトン);Celoxide 2083、Celoxide 2085、Celoxide 2000、Celoxide 3000、Cyclomer A200(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート);Cyclomer M-100(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート);Epolead GT-300、Epolead GT302、Epolead GT-400、Epolead 401、及びEpolead 403(Daicel Chemical Industries Co., Ltd.による);Epalloy 5000(CVC Specialties Chemicals, Inc.によって供給されているエポキシ化水素化ビスフェノールA)。他の水素化芳香族グリシジルエポキシを用いることができる。
【0029】
本発明の光硬化性組成物には、上記に記載のカチオン性硬化性化合物の混合物を含ませることができる。
オキセタン環を含む化合物(b):
更に、本発明の組成物は、成分(b)としてその分子内に少なくとも1つのオキセタン環を含む化合物を含む。エポキシドと同様に、かかる化合物は、カチオン性重合開始剤の存在下で光を照射することによって重合又は架橋させることができる。
【0030】
本発明者らは、オキセタン含有化合物は重合系だけに影響を与えるのではないことを見出した。オキセタン、特に1つ以上のヒドロキシル基を含むオキセタン化合物は、ポリオール含有成分の相分離を増加し、それによりポリオール含有成分の量を減少させることができると思われる。1つ以上のヒドロキシル基を含むオキセタン化合物を用いる場合には、かかる成分はオキセタン成分(b)として数える。
【0031】
オキセタン化合物(b)は、光硬化性組成物を基準として5〜65重量%の量、好ましくは5〜40重量%の量、最も好ましくは5〜25重量%の量で存在する。
オキセタン化合物は1つ以上のオキセタン基を含んでいてよい。好ましくは、この化合物は20未満、特に10未満のオキセタン基を有する。特に好ましい態様においては、オキセタン化合物は2つのオキセタン基を有する。また、複数のオキセタン化合物、特に1、2、3、4、又は5個のオキセタン基を有するものの混合物を用いることも有用である可能性がある。オキセタン化合物は、好ましくは、約100以上、好ましくは約200以上の分子量Mwを有する。一般に、この化合物は約10,000以下、好ましくは約5,000以下の分子量Mwを有する。
【0032】
化合物(b)のオキセタン基は、好ましくは、フェニル、(オリゴ)ビスフェニル、ポリシロキサン、又はポリエーテル骨格を有する照射線硬化性オリゴマーの末端を構成する。
【0033】
ポリエーテルの例は、例えば、ポリ−THF、ポリプロピレングリコール、アルコキシル化トリメチロールプロパン、アルコキシル化ペンタエリトリトールなどである。
好ましくは、成分(b)は、式I:
【0034】
【化1】

【0035】
(式中、Rは、式II:
CH−X−R (II)
(式中、XはO又はSであり;
及びRは、分子の残りの部分である)
の基である)
の1以上の基を有する。
【0036】
成分(b)として用いる1つのオキセタン環を有する化合物の例は、Xが酸素原子又はイオウ原子を表し;Rが、水素原子;フッ素原子;1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など;1〜6個の炭素原子を有するフルオロアルキル基、例えばトリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基など;6〜18個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基、ナフチル基など;フリル基、又はチエニル基;を表し;Rが、水素原子;1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など;2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、例えば1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基など;6〜18個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントニル基、フェナントリル基など;置換又は非置換のいずれであってもよい7〜18個の炭素原子を有するアラルキル基、例えばベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、エトキシベンジル基など;他の芳香族基を有する基、例えばアリールオキシアルキル基、例えばフェノキルメチル基、フェノキシエチル基など;2〜6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、例えばエチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基など;2〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル基、例えばエトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基など;或いは2〜6個の炭素原子を有するN−アルキルカルバモイル基、例えばエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基など;を表す;式(I)の化合物である。
【0037】
2つのオキセタン環を有するオキセタン化合物としては、例えば、次式(III):
【0038】
【化2】

【0039】
(式中、R及びR4’は、独立して上記式(II)の基を表し;Rは、1〜20個の炭素原子を有する線状又は分岐のアルキレン基、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基など;1〜120個の炭素原子を有する線状又は分岐のポリ(アルキレンオキシ)基、例えばポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基など;線状又は分岐の不飽和炭化水素基、例えばプロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基など;カルボニル基、カルボニル基を含むアルキレン基、分子鎖の中央部にカルボキシル基を含むアルキレン基、及び分子鎖の中央部にカルバモイル基を含むアルキレン基である)
によって表される化合物が挙げられる。また、式(III)の化合物において、Rは、次式(IV)〜(VI):
【0040】
【化3】

【0041】
(式中、R、R、R、及びRは、互いに独立して、水素原子;1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など;ハロゲン原子、例えば塩素原子、臭素原子など;ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基を表す)
【0042】
【化4】

【0043】
(式中、Yは、酸素原子、イオウ原子、メチレン基、及び式:−NH−、−SO−、−SO−、−C(CF−、又は−C(CH−によって表される基を表し;R10〜R17は、独立して、上記に定義のR〜Rと同じ意味を有していてよい)
【0044】
【化5】

【0045】
(式中、R18及びR20は、独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など;或いは6〜18個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基、ナフチル基などを表し;yは0〜200の整数を示し;R19は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など;或いは6〜18個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基、ナフチル基などを表す)
のいずれかによって表される多価基であってよい。或いはR19は、次式(VII):
【0046】
【化6】

【0047】
(式中、R21、R22、及びR23は、独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など;或いは6〜18個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基、ナフチル基などを表し;zは0〜100の整数である)
によって表される基であってよい。
【0048】
その分子内に1つのオキセタン環を含む好ましい化合物の例は、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4−メトキシ[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボミルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボミル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどである。用いるのに好適なオキセタン化合物の他の例としては、トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3,3−[1,4−フェニレンビス(メチレンオキシメチレン)]ビス(3−エチルオキセタン)、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、及びビス[(1−エチル(3−オキセタニル)メチル)]エーテルが挙げられる。
【0049】
本発明において用いることのできる化合物中に2つ以上のオキセタン環を有する化合物の例としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリトリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリトリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリトリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリトリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリトリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO−変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO−変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO−変性水素化ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO−変性水素化ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO−変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどが挙げられる。
【0050】
上記の化合物について、オキセタン化合物は、化合物中に1〜10個、好ましくは1〜4個、更により好ましくは1個のオキセタン環を有することが好ましい。具体的には、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エタン、及びトリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルが好ましく用いられる。商業的に入手できるオキセタン化合物としては、Cyracure UVR6000(Dow Chemical Co.から入手できる)及びAron Oxetane OXT-101、OXT-121、OXT-211、OXT-212、OXT-221、OXT-610、及びOX-SQ(Toagosei Co., Ltd.から入手できる)が挙げられる。
【0051】
更なる好ましい態様においては、本発明において下記のオキセタン化合物を用いることができる。
【0052】
【化7】

【0053】
(式中、R24は、水素原子;フッ素原子;1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基;1〜6個の炭素原子を有するフルオロアルキルアルキル基、例えばトリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、及びペルフルオロプロピル基;6〜18個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基及びナフチル基、フリル基、又はチエニル基を表し;
25は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、又は6〜18個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基又はナフチル基を表し;
nは、0〜200の整数であり;
26は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、6〜18個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基又はナフチル基、或いは次式(IX):
【0054】
【化8】

【0055】
(式中、R27は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、6〜18個の炭素原子を有するアリール基、例えばフェニル基又はナフチル基を表し;mは、0〜100の整数である)
によって示される基を表す)
上記で言及した分子(VIII)の具体例は、
【0056】
【化9】

【0057】
である。
また、本発明のために下記の多官能環分子を用いることもできる。
【0058】
【化10】

【0059】
(式中、R28は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、又はトリアルキルシリル基(ここで、それぞれのアルキル基は個々に1〜12個の炭素原子を有するアルキル基である)、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、又はトリブチルシリル基であり;R24は、上記の式(VIII)において定義したものと同じであり;pは1〜10の整数である)
上記で言及した分子(XI)の具体例は、式XII:
【0060】
【化11】

【0061】
によって表される。
ポリオール含有混合物(c):
本光硬化性組成物においては、ポリオールは、通常、非硬化組成物中に可溶であり、UV硬化中に相分離を受ける。適度な相分離を確保するためには、ポリオール(c)の分子量Mwは2,000以上である。
【0062】
成分(c)は、単一のポリオールか、又は複数の異なるポリオールの混合物であってよい。ポリオールとは、化合物が少なくとも2個のOH基を含むことを意味する。これは、脂肪族、脂環式、又は芳香族であってよい。ヒドロキシル基は、第1級、第2級、又は第3級のいずれであってもよい。
【0063】
このポリオールは、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ヒドロキシ末端ポリシロキサン等であってよい。これは、線状(二官能性ポリオール)又は分岐(三官能性又はより高官能性)、或いは星状(三官能性又はより高官能性)であってよい。かかるポリオキシアルキレンポリオールの例としては、ポリオキシエチレン、即ちポリエチレントリオール、ポリオキシプロピレン、即ちポリプロピレントリオール、及びポリオキシブチレン、即ちポリブチレントリオールが挙げられる。かかるポリエステルポリオールの例としては、ポリカプロラクトンジオールが挙げられる。
【0064】
好ましいポリオールは、5,000以上、より好ましくは7,500以上、特に10,000以上の分子量Mwを有する。
高分子量のポリオールは、相互作用における変化のために配合物のUV重合により相分離を受け、これにより長鎖がマトリクス内により一層非混和性になることが当業者に知られている。軟化剤及びタフナーとしてポリオールを用いると、通常、マトリクスの軟化を引き起こし、これにより引張り弾性率及び曲げ弾性率が低下し、より低い耐熱性を与える。また、これらのポリオールは高い粘度を有し、最終組成物の粘度を大きく増加させる。
【0065】
驚くべきことに、オキセタン成分(b)を加えると、機械特性を低下させることなく成分(c)の相分離が更に促進されることが見出された。また、成分(b)を存在させることにより、成分(c)の量を従来技術と比較して減少させることもできる。
【0066】
更に、高分子量ポリオール(成分(c))の相分離はオキセタン成分(b)の存在によって増加し、このようにして形成されるドメインは、(b)の不存在下の場合よりも良好な強靱化効果を与えることが見出された。本発明者らは、驚くべきことに、この方法においては、出発液体樹脂は明澄であったが、製造された部品は白色の熱可塑性材料の外観を有しており、これは消費者に対して付加価値を与え、製造された最終物は靱性であるが剛性を保持しており、大きな耐熱性を有していたことを見出した。更に、本発明は、ポリオールを用いてエポキシ系を強靱化することの周知の欠点である粘度の上昇を起こすことなく、これらの利益の全てを提供することができる。
【0067】
本光硬化性組成物は明澄な液体である。
本発明の範囲内で用いる「23℃において液体」という用語は、Brookfieldからの技術データシートにしたがってスピンドルSC4−18又はSC4−21を有するBrookfieldモデルRVT又はBrookfieldモデルLVT−DV−IIを用いて測定した、30℃において1〜3000mPa・sの間の粘度範囲を意味する。スピンドルは、RVT又はLVT粘度計のいずれにおいても用いることができる。速度は、RVT粘度計については0.5〜100rpmの間であり、LVT−DV−II粘度計については0.6〜30rpmの間である。
【0068】
明澄とは、30〜40(又はそれ以下)の明度Lを意味する。Lの定義は実施例の節において与える。好ましくは、本発明の組成物は40より高い明度Lを有する。
通常、30℃において測定する粘度は1000mPa・sより低い。これは硬化によって不透明な固体を形成する。好ましくは、この不透明な硬化固体は、少なくとも65、より好ましくは少なくとも69の明度L(下記に規定するようにして測定)を有する。65未満のLを有する固体部品は、曇って見えるか又は乳白色に見え、好ましくない。
【0069】
商業的に入手できるポリ(オキシテトラメチレン)ジオールとしては、Polymegシリーズ(Penn Specialty Chemicals)、及び2000g/モルより高いMwを有するBASFからのpolyTHFシリーズ(polyTHF 2000及びpolyTHF 2900)において入手できるものが挙げられる。
【0070】
商業的に入手できるポリエーテルポリオールとしては、Elastrogran GMBHからのLupranolシリーズ(Lupranol balance 50、Lupranol 1000、Lupranol 2032、Lupranol 2043、Lupranol 2046、Lupranol 2048、Lupranol 2070、Lupranol 2084、Lupranol 2090、Lupranol 2092、Lupranol 2095、Lupranol VP9289、Lupranol VP9343、及びLupranol VP9350)が挙げられる。
【0071】
商業的に入手できるポリ(オキシプロピレン)ポリオールとしては、ArcolポリオールLG-56、ArcolポリオールE-351、Acrol LHT-42、Acclaim 4200、Acclaim 6300、Acclaim 8200、及びAcclaim 12200(全てBayer Materials Scienceから)が挙げられる。
【0072】
商業的に入手できるヒドロキシル末端ポリブタジエンは、SartomerからのPolyBD R-45HTLOである。
商業的に入手できる飽和脂肪族水素化ポリオールとしては、SartomerからのKrasolシリーズ(Krasol HLBH-P2000、Krasol LBH-2040、Krasol LBH-3000、Krasol LBH-P5000)が挙げられる。
【0073】
商業的に入手できるポリエステルポリオールとしては、DowからのToneシリーズのポリオール(Tone 0240、Tone 0249、Tone 0260、Tone 1241、Tone 1278、Tone 2241、Tone 5249、Tone 7241)、Bayer Materials ScienceからのDesmophenシリーズ(Desmophen 2001-K、Desmophen 2000、Desmophen 2001-KS、Desmophen 5035BT、Desmophen 2502)、SeppicからのSimulsol TOMBが挙げられる。
【0074】
カチオン性光開始剤(d):
成分(d)として、本発明の光硬化性組成物は、好ましくは光硬化性組成物の全重量を基準として約0.2〜10重量%の量の少なくとも1種類のアンチモン非含有カチオン性光開始剤を含む。カチオン性光開始剤は、カチオン性光重合を開始するために通常用いられているものから選択することができる。例としては、弱求核性のアニオンを有するオニウム塩、例えばハロニウム塩、インドシル塩、スルホニウム塩、スルホキソニウム塩、又はジアゾニウム塩が挙げられる。また、メタロセン塩も光開始剤として好適である。
【0075】
アンチモン非含有カチオン性光開始剤は、カチオン性光重合を開始するために通常用いられているものから選択することができる。例としては、弱求核性のアニオンを有するオニウム塩、例えばハロニウム塩、インドシル塩、スルホニウム塩、スルホキソニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリリウム塩、又はピリジニウム塩が挙げられる。また、メタロセン塩も光開始剤として好適である。
【0076】
アンチモン非含有カチオン性光開始剤はまた、ジアルキルフェニルアシルスルホニウム塩であってもよい。これらのアンチモン非含有カチオン性光開始剤は、一般式:A(CAOH)(式中、Aは、それぞれ場合によっては1つ以上の電子供与基によって置換されている、フェニル、多環式アリール、及び多環式ヘテロアリールから選択され、A及びAは、独立して、水素、アルキル、アリール、アルキルアリール、置換アルキル、置換アリール、及び置換アルキルアリールから選択され、nは、1〜10の整数である)を有する。
【0077】
好ましいアンチモン非含有カチオン性光開始剤は、式(I):
【0078】
【化12】

【0079】
(式中、
、R、及びRは、それぞれ互いに独立して、非置換か又は好適な基によって置換されているC〜C18アリールであり;
Qは、ホウ素又はリンであり;
Xは、ハロゲン原子であり;
mは、Qの価数+1に相当する整数である)
の化合物である。
【0080】
〜C18アリールの例は、フェニル、ナフチル、アントリル、及びフェナントリルである。好適な基としては、アルキル、好ましくはC〜Cアルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、又は種々のペンチル若しくはヘキシル異性体;アルコキシ、好ましくはC〜Cアルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、又はヘキシルオキシ;アルキルチオ、好ましくはC〜Cアルキルチオ、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、又はヘキシルチオ;ハロゲン、例えばフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素;アミノ基;シアノ基;ニトロ基;、或いはアリールチオ、例えばフェニルチオ;が挙げられる。好ましいQX基としては、BF及びPFが挙げられる。用いるのに好適なQX基の更なる例は、ペルフルオロフェニルボレート、例えばテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレートである。
【0081】
商業的に入手できるアンチモン非含有カチオン性光開始剤の例としては、(1)(i)トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩(チオ及びビス塩の混合物)である、Cyracure UVI-6992(Dow Chemical Co.)、CPI 6992(Aceto Corp.)、Esacure 1064(Lamberti s.p.a.)、及びOmnicat 432(IGM Resins B.V.);(ii)トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩(ビス塩)である、SP-55(Asahi Denka Co., Ltd.)、Degacure KI 85(Degussa Corp.)、及びSarCat KI-85(Sartomer Co., Ltd.から入手できる);(iii)ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェートであるSP-50(Asahi Denka Co., Ltd.);(iv)変性スルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩であるEsacure 1187(Lamberti s.p.a.);(v)クメニルシクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートであるIrgacure 261(Ciba Specialty Chemicals)、ナフタレニルシクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、ベンジルシクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、シクロペンタジエニルカルバゾール鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートなどのメタロセン塩;(vi)ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートであるUV1242(Deuteron)、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートであるUV2257(Deuteron)、及びOmnucat 440(IGM Resins B.V.)、(4−メチルフェニル)(4−(2−メチルプロピル)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートであるIrgacure 250(Ciba Specialty Chemicals);(vii)10−ビフェニル−4−イル−2−イソプロピル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−10−イウムヘキサフルオロホスフェートであるOmnicat 550(IGM Resins B.V.)、10−ビフェニル−4−イル−2−イソプロピル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−10−イウムヘキサフルオロホスフェートとポリオールとの付加体であるOmnicat 650(IGM Resins B.V.)などのチオキサンテン塩;などのヘキサフルオロホスフェート(PF)塩;並びに(2)(トチルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであるRhodorsil 2074(Rhodia)などのペンタフルオロフェニルボレート塩;が挙げられる。アンチモン非含有カチオン性光開始剤は、1種類のアンチモン非含有カチオン性光開始剤、或いは2種類以上のアンチモン非含有カチオン性光開始剤の混合物を含んでいてよい。
【0082】
光硬化性組成物中のアンチモン非含有カチオン性光開始剤の割合は、光硬化性組成物の全重量を基準として、少なくとも約0.1重量%、好ましくは少なくとも約1重量%、更により好ましくは少なくとも約4重量%であってよい。他の態様においては、アンチモン非含有カチオン性光開始剤は、光硬化性組成物の全重量を基準として、最大で約10重量%、より好ましくは最大で約8重量%、更により好ましくは最大で約7重量%で存在する。更に他の態様においては、アンチモン非含有カチオン性光開始剤は、光硬化性組成物の全重量を基準として、約0.1〜10重量%、好ましくは約0.5〜8重量%、より好ましくは約2〜7重量%の範囲で存在する。
【0083】
好ましい態様においては、カチオン性光開始剤はトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩を含む。
更なる成分:
遊離基光開始剤(e):
カチオン性光開始剤に加えて、本発明の光硬化性組成物には、好ましくは光硬化性組成物の全重量を基準として約0.01〜10重量%の量の遊離基光開始剤を含ませることができる。遊離基光開始剤は、ラジカル光重合を開始するのに通常用いられているものから選択することができる。遊離基光開始剤の例としては、ベンゾイン類、例えばベンゾイン;ベンゾインエーテル類、例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル;及びベンゾインアセタート;アセトフェノン類、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシアセトフェノン、及び1,1−ジクロロアセトフェノン;ベンジルケタール類、例えばベンジルジメチルケタール、及びベンジルジエチルケタール;アントラキノン類、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、及び2−アミルアントラキノン;トリフェニルホスフィン;ベンゾイルホスフィンオキシド類、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Luzirin TPO);ビスアシルホスフィンオキシド類;ベンゾフェノン類、例えばベンゾフェノン、及び4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン;チオキサントン類及びキサントン類;アクリジン誘導体;フェナジン誘導体;キノキサリン誘導体;1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム;4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−プロピル)ケトン(Irgacure 2959);1−アミノフェニルケトン類又は1−ヒドロキシフェニルケトン類、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシイソプロピルフェニルケトン、フェニル−1−ヒドロキシイソプロピルケトン、及び4−イソプロピルフェニル−1−ヒドロキシイソプロピルケトン;が挙げられる。
【0084】
好ましくは、遊離基光開始剤はシクロヘキシルフェニルケトンである。より好ましくは、シクロヘキシルフェニルケトンは1−ヒドロキシフェニルケトンである。最も好ましくは、1−ヒドロキシフェニルケトンは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、例えばIrgacure 184である。
【0085】
アクリレート含有化合物(f):
場合によっては、本発明の組成物には1種類以上の(メタ)アクリレート含有化合物を含ませることができる。これらの化合物は、光硬化性組成物の全重量を基準として約5〜40重量%で存在させることができる。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、メタクリレート、又はこれらの混合物を指す。(メタ)アクリレート含有化合物は、好ましくは少なくとも2つの(メタ)アクリレート基を含み、例えばそれは、二、三、四、又は五官能性のモノマー又はオリゴマーの、脂肪族、脂環式、又は芳香族(メタ)アクリレートである。
【0086】
一態様においては、アクリレート含有化合物は、二官能性(メタ)アクリレート、例えば脂肪族又は芳香族二官能性(メタ)アクリレートである。ジ(メタ)アクリレートの例としては、脂環式又は芳香族ジオール、例えば1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、エトキシル化又はプロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化又はプロポキシル化ビスフェノールF、並びにエトキシル化又はプロポキシル化ビスフェノールSのジ(メタ)アクリレートが挙げられる。この種のジ(メタ)アクリレートは公知であり、幾つかは商業的に入手できる。例えば、Ebecryl 3700(ビスフェノールAエポキシジアクリレート)(UCB Surface Specialtiesによって供給)。特に好ましいジ(メタ)アクリレートはビスフェノールAをベースとするエポキシジアクリレートである。
【0087】
或いは、好ましいジ(メタ)アクリレートは、非環式脂肪族、水素化芳香族、又はペル水素化芳香族の(メタ)アクリレートである。水素化又はペル水素化芳香族の意味は上記に定義した。この種のジ(メタ)アクリレートは一般に知られており、次式:
【0088】
【化13】

【0089】
【化14】

【0090】
【化15】

【0091】
【化16】

【0092】
(式中、
1Fは、水素原子又はメチルであり;
は、直接結合、C〜Cアルキレン、−S−、−O−、−SO−、−SO−、又は−CO−であり;
2Fは、C〜Cアルキル基、非置換か又は1以上のC〜Cアルキル基、ヒドロキシル基、又はハロゲン原子によって置換されているフェニル基であるか、或いは式:−CH−OR3F(ここでR3Fは、C〜Cアルキル基又はフェニル基である)の基であり;
は、次式:
【0093】
【化17】

【0094】
【化18】

【0095】
の基から選択される基である)
の化合物が挙げられる。
上記に示した化合物の幾つかは商業的に入手することができる。例えば、SartomerのSR833S。
【0096】
本発明のために好適なポリ(メタ)アクリレートとしては、トリ(メタ)アクリレート又はより高官能化の(メタ)アクリレートを挙げることができる。例は、ヘキサン−2,4,6−トリオール、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、エトキシル化又はプロポキシル化グリセロール、及びエトキシル化又はプロポキシル化1,1,1−トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリレートである。他の例は、トリエポキシド化合物(例えば上記に列記したトリオールのトリグリシジルエーテル)と(メタ)アクリル酸とを反応させることによって得られるヒドロキシル含有トリ(メタ)アクリレートである。他の例は、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ビストリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリトリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレートである。好適な芳香族トリ(メタ)アクリレートの例は、三価フェノール類のトリグリシジルエーテル、及び3つのヒドロキシル基を含むフェノール又は及びクレゾールノボラック類と、(メタ)アクリル酸との反応生成物である。
【0097】
好ましくは、アクリレート含有化合物としては、少なくとも1つの末端及び/又は少なくとも1つの懸垂(即ち内部)不飽和基、並びに少なくとも1つの末端及び/又は少なくとも1つの懸垂ヒドロキシル基を有する化合物が挙げられる。本発明の光硬化性組成物には、1種類以上のかかる化合物を含ませることができる。1つ以上のヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレート化合物を用いる場合には、かかる成分はアクリレート成分(f)として数える。かかる化合物の例としては、ヒドロキシモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリ(メタ)アクリレート、ヒドロキシモノビニルエーテルが挙げられる。商業的に入手できる例としては、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート(SARTOMER Companyによって供給されているSR 399);ペンタエリトリトールトリアクリレート(SARTOMER Companyによって供給されているSR 444)、SR 508(ジプロピレングリコールジアクリレート)、SR 833類(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、SR 9003(ジプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート)、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(SARTOMER companyによって供給されているSR 499)及びビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート(UCB Surface Specialtiesによって供給されているEbecryl 3700)、SR 295(ペンタエリトリトールテトラアクリレート);SR 349(トリエトキシル化ビスフェノールAジアクリレート)、SR 350(トリメチロールプロパントリメタクリレート);SR 351(トリメチロールプロパントリアクリレート);SR 367(テトラメチロールメタンテトラメタクリレート);SR 368(トリス(2−アクリルオキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート);SR 454(エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート);SR 9041(ジペンタエリトリトールペンタアクリレートエステル);並びにCN 120(ビスフェノールAエピクロロヒドリンジアクリレート)(SARTOMER Companyによって供給)、及びCN 2301;CN 2302;CN 2303;CN 2304(超分岐ポリエステルアクリレート)が挙げられる。
【0098】
商業的に入手できるアクリレートの更なる例としては、Kayarad R-526(ヘキサン二酸,ビス[2,2−ジメチル−3−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]プロピル]エステル);SR 238(ヘキサメチレンジオールジアクリレート);SR 247(ネオペンチルグリコールジアクリレート);SR 306(トリプロピレングリコールジアクリレート);CN 120(ビスフェノールA−エピクロロヒドリンジアクリレート;SARTOMER Companyによって供給);Kayarad R-551(ビスフェノールAポリエチレングリコールジエーテルジアクリレート);Kayarad R-712(2,2’−メチレンビス[p−フェニレンポリ(オキシエチレン)オキシ]ジエチルジアクリレート);Kayarad R-604(2−プロペン酸,[2−[1,1−ジメチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチル]−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル]メチルエステル):Kayarad R-684(ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート);Kayarad PET-30(ペンタエリトリトールトリアクリレート);GPO-303(ポリエチレングリコールジメタクリレート);Kayarad THE-330(エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート);DPHA-2H、DPHA-2C、及びDPHA-21(ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート);Kayarad D-310(DPHA);Kayarad D-330(DPHA);DPCA-20;DPCA-30;DPCA-60;DPCA-120;DN-0075;DN-2475;Kayarad T-1420(ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート);Kayarad T-2020(ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート);T-2040;TPA-320;TPA-330;Kayarad RP-1040(ペンタエリトリトールエトキシレートテトラアクリレート);R-011;R-300;R-205(メタクリル酸,亜鉛塩、SR 634と同様)(Nippon Kayaku Co., Ltd.);Aronix M-210;M-220;M-233;M-240;M-215;M-305;M-309;M-310;M-315;M-325;M-400;M-6200;M-6400(Toagosei Chemical Industry Co., ltd.);Light acrylate BP-4EA、BP-4PA、BP-2EA、BP-2PA、DCP-A(Kyoeisha Chemical Industry Co., Ltd.);New Frontier BPE-4、TEICA、BR-42M、GX-8345(Daichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd.);ASF-400(Nippon Steel Chemical Co.);Ripoxy SP-1506、SP-1507、SP-1509、VR-77、SP-4010、SP-4060(Showa Highpolymer Co., Ltd.);NK Ester A-BPE-4(Shin-Nakamura Chemical Industry Co., Ltd.);SA-1002(Mitsubishi Chemical Co., Ltd.);Viscoat-195、Viscoat-230、Viscoat-260、Viscoat-310、Viscoat-214HP、Viscoat-295、Viscoat-300、Viscoat-360、Viscoat-GPT、VIscoar-400、Viscoat-700、Viscoat-540、Viscoat-3000、Viscoat-3700(Osaka Organic Chemical Industry Co., Ltd.);が挙げられる。
【0099】
本発明の光硬化性組成物には、上記に記載のアクリレート含有化合物の混合物を含ませることができる。
更に、本発明の光硬化性組成物には、他の成分、例えば、安定剤、変性剤、タフナー、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、顔料、染料、充填剤、及びこれらの組みあわせを含ませることができる。好ましくは、本発明の組成物は、コア/シェルポリマーのようなエラストマータフナーは含まない。
【0100】
アルコール官能基を有し、低い分子量を有する化合物(g):
更に、本発明の組成物には、アルコール官能基を有し、1,500以下、好ましくは750以下、より好ましくは500以下の分子量Mwを有する成分(g)を含ませることができる。成分(g)は、1つ、2つ、又はそれ以上のOH基を有する単官能性又は多官能性のものであってよい。ヒドロキシル基は、第1級、第2級、又は第3級のいずれであってもよい。このアルコールは、脂肪族、脂環式、又は芳香族であってよい。本発明者らは、成分(g)を存在させることにより、より高分子量のポリオールの相分離が増大することを見出した。
【0101】
好ましい態様においては、成分(g)は、線状であっても分岐であってもよいポリオールであり、好ましくはポリ(オキシテトラメチレン)、ポリ(オキシプロピレン)、ポリ(オキシエチレン)、ヒドロキシ末端ポリブタジエンから選択される。
【0102】
更なる態様においては、成分(c)として2,000以上の分子量Mwを有するポリオールと、500以下の分子量を有するヒドロキシル含有化合物(g)との組みあわせを用いる。かかる組みあわせにより、硬化組成物の不透明性が増加する。
【0103】
光硬化性組成物に加えて使用中の粘度上昇を防ぐことができる安定剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、ヒンダードアミン、例えばベンジルジメチルアミン(BDMA)、N,N−ジメチルベンジルアミン、及びホウ素コンプレックスが挙げられる。
【0104】
好ましい態様:
好ましくは、本光硬化性組成物は、
(a)30〜80重量%のエポキシ含有化合物;
(b)5〜65重量%の、その分子内にオキセタン環を含む化合物;
(c)1〜25重量%の、2000以上の分子量を有するポリオール;
(d)0.2〜10重量%のカチオン性光開始剤;
(e)0.01〜10重量%の遊離基光開始剤;及び場合によっては
(h)1種類以上の安定剤;
を含み、ここで重量%は光硬化性組成物の全重量を基準とするものである。
【0105】
更なる態様においては、本光硬化性組成物は、
(a)30〜80重量%のエポキシ含有化合物;
(b)5〜65重量%の、その分子内にオキセタン環を含む化合物;
(c)1〜25重量%の、2,000以上の分子量Mwを有するポリオール;
(d)0.2〜10重量%のアンチモン非含有カチオン性光開始剤;
(e)0.01〜10重量%の遊離基光開始剤;及び場合によっては
(g)0.5〜10重量%の、OH基及び1,000より小さい分子量Mwを有する化合物;
(h)1種類以上の安定剤;
を含み、ここで重量%は光硬化性組成物の全重量を基準とするものである。
【0106】
更なる態様においては、本光硬化性組成物は、
(a)30〜80重量%の脂環式又はペル水素化芳香族部分を有するエポキシ含有成分;
(b)5〜65重量%の、その分子内にオキセタン環を含む化合物;
(c)1〜25重量%の、2000より大きい分子量を有するポリオール;
(d)アンチモン非含有カチオン性光開始剤;
(f)5〜60%の、脂環式又はペル水素化芳香族部分を有する(メタ)アクリル成分;
を含み、ここで重量%は光硬化性組成物の全重量を基準とするものである。
【0107】
通常のレーザー指向ステレオリソグラフィーによって3次元物体を形成する他に、本発明の組成物は、他のUV又は可視光をベースとしない3次元モデル成形法(例えば、インクジェットをベースとするシステム及び光弁曝露媒体)のために用いることができる。これは、光硬化性被覆及びインク、ソルダーマスク、光ファイバー用のクラッド材のために用いることができる。
【0108】
好ましくは、本光硬化性組成物は、明澄であり、化学線照射に曝露することによって硬化させた後は不透明の白色であり、ABS様の特性を有するような挙動を示す。
本発明は、更に、
(A)本発明の光硬化性組成物の層を表面上に施し;
(B)層を化学線照射に像様曝露して画像様横断面を形成し;
(C)本発明の組成物の第2の層を従前に曝露した画像様横断面上に施し;
(D)工程(C)からの薄層を化学線照射に像様曝露して更なる画像様横断面を形成し、ここで、照射によって曝露領域内の第2の層の硬化及び従前に曝露した横断面への接着を引き起こし;
(E)3次元物品を形成するために工程(C)及び(D)を繰り返す;
ことを含む、3次元物品の製造方法に関する。
【0109】
本発明の更なる対象は、上記に記載の方法によって製造される3次元物品である。
本光硬化性組成物は、組成物の層を表面上に被覆し、層を、曝露領域内の層を実質的に硬化させるのに十分な強度の化学線照射に像様曝露することによって硬化させて、それにより画像様の横断面を形成することができる。次に、光硬化性組成物の薄層を従前の画像様横断面上に被覆し、薄層を実質的に硬化させ且つ従前の画像様横断面に接着させるのに十分な強度の化学線照射に曝露することができる。これを、ABSと同様の外観及び機械特性を有する3次元物品を形成する目的のために十分な回数繰り返すことができる。上記したように、ステレオリソグラフィーによって本発明の光硬化性組成物から製造することのできる物品は、ABS様の特性を有する物品である。即ち、この物品はABSと同様の色及び光散乱特性を有し、またABSに似た触感を有する。好ましくは、本光硬化性組成物は、化学線照射及び場合によっては熱に曝露することによって硬化させた後に、約30〜65MPaの範囲の引張り強さ、約2〜110%の範囲の破断点引張り伸び、約45〜107MPaの範囲の曲げ強さ、約1600〜5900MPaの範囲の曲げ弾性率、12ft・lb/in未満のノッチ付きアイゾッド衝撃強さ、及び約68〜140℃の範囲の熱撓み温度(0.46MPaにおける)を有する。
【0110】
本発明の光硬化性組成物を配合して、ステレオリソグラフィープロセス中に光重合によって不透明な白色のABS様の物品を生成する、明澄で低粘度の液体を製造する。本光硬化性組成物は明澄であるので、不透明な液体樹脂と比較して、部分的に完成した物品をプロセス中に光硬化性組成物の表面下で検査することができる。これにより、形成中の物品を最適にするためにその後の層に関するプロセスパラメーターを変化させたり、或いは必要な場合には物品の形成を完全に中止することが可能になる。
【0111】
ステレオリソグラフィー:
本発明の更なる態様としては、光硬化性組成物の第1の層を形成し;第1の層を、モデルのそれぞれの横断面層に対応するパターンで、画像様領域の第1の層を硬化させるのに十分な化学線照射に曝露し;硬化した第1の層の上に光硬化性組成物の第2の層を形成し;第2の層を、モデルのそれぞれの横断面層に対応するパターンで、画像様領域の第2の層を硬化させるのに十分な化学線照射に曝露し;上記の2つの工程を繰り返して3次元物品を形成するのに所望の逐次層を形成する;ことによって、物品のモデルにしたがう逐次横断面層で3次元物品を製造する方法が挙げられる。
【0112】
原則として、本発明方法を行うために任意のステレオリソグラフィー機械を用いることができる。ステレオリソグラフィー装置は種々の製造者から商業的に入手できる。表1に、3D Systems Corp(Valencia, Calif.)から入手できる商業的なステレオリソグラフィー装置の例を示す。
【0113】
【表1】

【0114】
最も好ましくは、本発明の光硬化性組成物から3次元物品を製造するためのステレオリソグラフィープロセスは、組成物の表面を調製して第1の層を形成し、次に、Zephyrリコーター(3D Systems Corp., Valencia, Calif.)又はその同等品を用いて、第1の層及び3次元物品のそれぞれのその後の層を再被覆することを含む。
【実施例】
【0115】
ステレオリソグラフィー装置を用いて3次元物品を製造するために用いる一般的な手順は次の通りである。光硬化性組成物を、ステレオリソグラフィー装置と共に用いるようにデザインされたバット内に配置する。光硬化性組成物を、約30℃の機械内にのバット中に注ぎ入れる。組成物の表面を、その全体又は予め定めたパターンにしたがって、UV/VIS光源によって照射して、照射領域内において所望の厚さの層を硬化及び固化させる。固化した層の上に光硬化性組成物の新しい層を形成する。新しい層を、同様に全表面か又は予め定めたパターンで照射する。新しく固化した層は下側の固化層に接着する。複数の固化層の生モデルが製造されるまで、層形成工程及び照射工程を繰り返す。
【0116】
「生モデル」は、層形成及び光硬化のステレオリソグラフィープロセスによって初めに形成される3次元物品であり、通常、層は完全には硬化していない。これにより、その後の層を、更に硬化させる際に一緒に結合させることによってより良好に接着させることができる。「生強度」は、弾性率、歪み、強度、硬度、及び層/層接着性などの生モデルの機械特性に関する包括的な用語である。例えば、生強度は、曲げ弾性率(ASTM−D790)を測定することによって報告することができる。低い生強度を有する物体は、それ自体の重量で変形する可能性があり、或いは硬化中に垂れるか又は崩壊する可能性がある。
【0117】
次に、生モデルをトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPM)中で洗浄し、次に水ですすぎ、圧縮空気で乾燥する。乾燥した生モデルは、次に後硬化装置(PCA)内でUV照射によって約60〜90分間、後硬化させる。「後硬化」は、生モデルを反応させて部分的に硬化した層を更に硬化させるプロセスである。生モデルは、熱、化学線照射、又は両方に曝露することによって後硬化させることができる。
【0118】
配合物の混合:
スターラーを用いて成分を20℃において均一な組成物が得られるまで混合することによって、下記の実施例において示す配合物を調製した。
【0119】
試験手順:
所謂窓ガラス上で組成物の感光性を測定した。この測定においては、異なるレーザーエネルギーを用いて単層の試験片を製造し、層厚を測定した。用いた照射エネルギーの対数に対して得られた層厚をグラフ上にプロットすることにより「検量線」が得られた。この曲線の傾斜をDp(浸透深さ、ミル(1ミル=25.4mm))と呼ぶ。曲線がx軸を通過する点でのエネルギー値をEc(臨界エネルギー、mJ/cm)と呼ぶ。P. Jacobs, Rapid Prototyping and Manufacturing, Soc. of Manufacturing Engineers, 1992, pp.270以下)を参照。記載したそれぞれの実施例に関して、本発明者らは0.10mmの層を完全に重合させるのに必要なエネルギー:E4(mJ/cm)を報告することを選択した。
【0120】
硬化試料の不透明性は、Minolta分光光度計CM-2500d上で光度Lを測定することによって求めた。L値は0(明澄な材料)から100(不透明な材料)まで変化する。Lは、SLA7000ステレオリソグラフィー装置上で形成した5×10×15mmの部品について、窓ガラス手順を用いて算出したDp及びEcを用いて測定した。液体樹脂のLは約30であった。
【0121】
本発明者らは、硬化部品の視認検査により、配合物をそれらの不透明性/白色度にしたがって以下の3つのカテゴリーのいずれかに分類した。
<65:固体部品は曇り又は乳白色に見えるが、白色ではない。
【0122】
65<L<69:固体部品は白色に見えるが、不透明性は完全ではない。
>69:固体部品は白色に見え、完全に不透明に見える。
=69は、部品が不透明で白色に見える値として著者によって定義されている。
【0123】
機械特性及び熱特性は、他に示さない限り、シリコン成形型内での90分間のUV硬化によって製造した部品について測定した。
完全に硬化した部品の機械的試験をISO標準規格にしたがって行った。部品は、試験前に、23℃及び50%の室内湿度において3〜5日間コンディショニングした。
【0124】
【表2】

【0125】
液体混合物の粘度(mPa・s又はcP)を、Brookfield粘度計を用いて30℃において測定した。
実施例において用いた(c1)及び(C2)以外の成分は以下の通りである。
【0126】
【表3】

【0127】
【表4】

【0128】
【表5】

【0129】
【表6】

【0130】
【表7】

【0131】
本発明の組成物は、硬化生成物の製造のために非常に一般的に用いることができ、特定の具体的な使用分野のために、例えばラピッドプロトライピング又はラピッドマニュファクチャリングのための光硬化性樹脂、例えば光ファイバーにおける被覆組成物、塗料、プレス組成物、浸漬樹脂、注型樹脂、含浸樹脂、積層樹脂、一又は二成分接着剤、又はマトリクス樹脂として好適な配合物において用いることができる。また、宇宙産業、自動車、風車、及びスポーツ器具の分野において、光硬化性積層樹脂、ホットメルト、樹脂トランスファー成形プロセス用の組成物、一又は二成分接着剤、又はマトリクス樹脂として用いることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)30〜80重量%のエポキシ含有成分;
(b)5〜65重量%の、その分子内にオキセタン環を含む化合物;
(c)1〜25重量%の、2,000以上の分子量Mwを有するポリオール;
(d)アンチモン非含有カチオン性光開始剤;
を含み、ここで重量%は光硬化性組成物の全重量を基準とするものである光硬化性組成物。
【請求項2】
カチオン性光開始剤がトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩を含む、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項3】
成分(b)が、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4−メトキシ[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボミルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボミル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどから選択される、請求項1又は2に記載の光硬化性組成物。用いるのに好適なオキセタン化合物の他の例としては、トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3,3−[1,4−フェニレンビス(メチレンオキシメチレン)]ビス(3−エチルオキセタン)、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、及びビス[(1−エチル(3−オキセタニル)メチル)]エーテル、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリトリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリトリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリトリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリトリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリトリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO−変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO−変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO−変性水素化ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO−変性水素化ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO−変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、及びこれらの任意の混合物が挙げられる。
【請求項4】
成分(b)が、組成物の全重量を基準として5〜40重量%の量、最も好ましくは5〜25重量%の量で存在する、請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項5】
成分(c)のポリオールがポリエーテルポリオールである、請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項6】
組成物が、成分(g)として、アルコール官能基を有し、1,500以下、好ましくは750以下、より好ましくは500以下の分子量Mwを有する化合物を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項7】
成分(g)の化合物が、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシエチレン)ポリオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、又はヒドロキシ末端ポリシロキサンから選択される、請求項6に記載の光硬化性組成物。
【請求項8】
成分(f)として、組成物の全重量を基準として5〜40重量%の(メタ)アクリレートを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項9】
40より高いL値を示す、請求項1〜8のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項10】
組成物が、成分(c)として2,000以上の分子量を有するポリオールと、500以下の分子量を有するヒドロキシル含有化合物(g)との組みあわせを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項11】
(a)30〜80重量%のエポキシ含有化合物;
(b)5〜65重量%の、その分子内にオキセタン環を含む化合物;
(c)1〜25重量%の、2,000以上の分子量Mwを有するポリオール;
(d)0.2〜10重量%のアンチモン非含有カチオン性光開始剤;
(e)0.01〜10重量%の遊離基光開始剤;及び場合によっては
(h)1種類以上の安定剤;
を含み、ここで重量%は光硬化性組成物の全重量を基準とするものである、請求項1〜10のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項12】
(a)30〜80重量%の脂環式又はペル水素化芳香族部分を有するエポキシ含有成分;
(b)5〜65重量%の、その分子内にオキセタン環を含む化合物;
(c)1〜25重量%の、2,000以上の分子量Mwを有するポリオール;
(d)アンチモン非含有カチオン性光開始剤;
(f)5〜60%の、脂環式、水素化、又はペル水素化芳香族部分を有する(メタ)アクリル成分;
を含み、ここで重量%は光硬化性組成物の全重量を基準とするものである、請求項1〜11のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項13】
(a)30〜80重量%のエポキシ含有化合物;
(b)5〜65重量%の、その分子内にオキセタン環を含む化合物;
(c)1〜25重量%の、2,000以上の分子量Mwを有するポリオール;
(d)0.2〜10重量%のアンチモン非含有カチオン性光開始剤;
(e)0.01〜10重量%の遊離基光開始剤;及び場合によっては
(g)0.5〜10重量%の、OH基及び1,000より低い分子量Mwを有する化合物;
(h)1種類以上の安定剤;
を含み、ここで重量%は光硬化性組成物の全重量を基準とするものである、請求項1〜12のいずれかに記載の光硬化性組成物。
【請求項14】
(A)請求項1〜13のいずれかに記載の硬化性組成物の層を表面上に施し;
(B)層を化学線照射に像様曝露して画像様横断面を形成し;
(C)請求項1〜13のいずれかに記載の組成物の第2の層を従前に曝露した画像様横断面上に施し;
(D)工程(C)からの薄層を化学線照射に像様曝露して更なる画像様横断面を形成し、ここで、照射によって曝露領域内の第2の層の硬化及び従前に曝露した横断面への接着を引き起こし;
(E)3次元物品を形成するために工程(C)及び(D)を繰り返す;
ことを含む、3次元物品の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法によって製造される3次元物品。

【公表番号】特表2010−520947(P2010−520947A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553118(P2009−553118)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052757
【国際公開番号】WO2008/110512
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(504177804)ハンツマン・アドヴァンスト・マテリアルズ・(スイッツランド)・ゲーエムベーハー (43)
【Fターム(参考)】