説明

ACおよびDC成分を含むフィードバック回路を用いる電力供給調整

種々の局面において、イオン源、質量分析計システム、およびフィードバック回路に連結される電力供給回路が提供される。少なくとも電力供給回路を含み、かつ電荷を負荷に移動するように動作可能である電力供給部が提供される。フィードバック回路は、第1のフィードバックループにおいて、電力供給部によって供給される出力電圧のDC成分に応答し、また、第2のフィードバックループにおいて出力電圧のAC成分に応答して、電力供給部のコンデンサから負荷への電荷移動前の出力電圧の値、電力供給部のコンデンサから負荷への電荷移動中の出力電圧の値、および電力供給部のコンデンサから負荷への電荷移動後の出力電圧の値、のうちの少なくとも1つを表すフィードバック信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(序文)
マトリックス支援レーザー脱離イオン化(matrix−assisted laser desorption/ionization)(「MALDI」)技術の進歩により、質量分析器で研究可能な生体分子の領域が大幅に増加している。MALDI技術によって、通常不揮発性の分子をイオン化して、分析に適切な気相の無傷(intact)分子イオンを生成することが可能になる。生体分子の研究に特に有用であるMALDI器の一種類として、MALDIタンデム飛行時間型質量分析計が挙げられ、本明細書において以下MALDI−TOF MS/MS器と呼ばれる。
【0002】
従来のタンデム質量分析計(MS/MS)器は、多数の質量分離器(separator)を直列に使用する。従来のMS/MS技術は、第1の質量分離器(多くの場合、質量分析の第1の次元と呼ばれる)を使用して、選択される質量対電荷(m/z)領域にある分子イオン(多くの場合、「親イオン」または「前駆イオン」と呼ばれる)をイオン分裂器(fragmentor)(例えば、衝突セル、光解離領域(photodissocation region)等)に送り、断片イオン(多くの場合、「娘イオン」と呼ばれる)を生成し、その断片イオンの質量スペクトルを、第2の質量分離器(多くの場合、質量分析の第2の次元と呼ばれる)を使用して入手する。
【0003】
飛行時間(TOF)型質量分析計は、イオンの質量対イオンの電荷の比率(多くの場合、m/zと省略される)に基づいてイオンを区別する。従来のTOF技術は、イオンの質量対電荷比(m/z)が異なると、同一の電場に全てのイオンを露出する場合に達成する速度が異なるという事実に依存している。結果として、イオンが検出器に到達する時間(イオン到達時間または飛行時間)はイオンの質量を表す。理論において、所定の質量対電荷比の各イオンは、独自の到達時間を有するはずである。結果として、異なる質量のイオンの混合物は、各々が異なるイオン質量に対応する到達時間信号のスペクトルを形成するはずである。このようなスペクトルは、一般的に到達時間スペクトルと呼ばれ、あるいは単純に質量スペクトルと呼ばれる。しかしながら、実際は、正確な結果を達成することは容易でなく、分析に必要とされる精度が増す程、作業が困難になる。
【0004】
質量分析器を用いる多くの生体分子研究(例えば、プロテオミクス(proteomics)研究等)において、対象の生体分子の質量の大きさの範囲は100倍以上にもなり得る。さらに、多くの生物学的研究において、研究に利用可能な試料の量が限られている(例えば、希少(rare)タンパク質、法医学試料、考古学試料等)。
【0005】
タンデム質量分析計(MS/MS)において、一般的に、イオンがイオン分裂器(例えば、衝突セル)に入る前に、イオンの衝突エネルギを制御することもまた所望される。典型的には、これは、第1のTOF領域(MSの第1の次元)から初期エネルギにイオンをまず加速し、次いで衝突セル入口の電位を調整して所望の衝突エネルギにイオンを減速することによって、TOF/TOFタンデム質量分析計において実行される。
【0006】
MALDI−TOF MS/MS器は、動作を有用にするための無数の構成要素の正確な整列および相互作用を必要とする非常に複雑な機械であり得る。質量分析には、イオンを集束、加速、減速、操縦、および選択するイオン光学素子が必要となる。これらの構成要素の不整列およびその電場の不均一性により、質量分析器の性能が大幅に低下し得る。
【0007】
イオンの加速および減速に使用される電力供給部を精密に調節することは、さらに重要なことである。飛行時間型質量分析計およびその他の科学計器に使用されるパルスイオン源は、イオンを既定のエネルギに加速するためにパルス電場を使用する。電力供給部の精密な調節は、正確な結果をもたらすために重要となる。電力供給部が供給する既定のエネルギにおける変化がわずかであっても、イオンが検出器に到達する時間に影響する。つまり、既定のエネルギよりも小さいエネルギを供給することにより、イオンが検出器に到達する時間が長くなり、既定のエネルギよりも大きいエネルギを供給することにより、イオンが検出器に到達する時間が短くなる。従って、イオンを既定のエネルギに加速するために使用される電極に電力供給部が供給する電圧間の相互作用と、電極自体とによって、イオンの各パルスに移動するエネルギの精度および安定性が決定される。
【0008】
飛行時間型質量分析計に使用されるパルス電場を生成するために、スイッチを介して電源を電極に接続および切断する。スイッチの開放時に、電力供給部は、電極から切断され、電力供給部は、電力供給部の出力部に連結されるストレージコンデンサを充電する。スイッチの閉鎖時に、ストレージコンデンサに保持される電荷は電極に移動する。電極および関連する配線の静電容量との組合せにおいて、ストレージコンデンサからの電荷移動は、電力供給部の出力電圧の急激な低下をもたらす。電極への電荷移動の直後の電力供給部の出力電圧により、加速されるイオンのエネルギが決定されるため、電荷移動直後の電力供給部の出力電圧の精密な調節は、飛行時間型質量分析システムにおいて所望される。
【0009】
TOF MS/MSに関連付けられる電力供給部において使用される従来の一電圧調節技術は、出力電圧波形のフィルタリング平均(filtered average)または平均DCオフセットを調節することにある。この種類の電圧調節は、鋸歯状波形をもたらし、ここで、電力供給部が負荷に接続されない場合に出力電圧は増加し、電力供給部が負荷に接続される場合に即座に減少する。鋸歯状波形は、電力供給部から負荷への電荷移動によりもたらされる。負荷の静電容量の変化により、波形の振幅が変化するが、波形の平均値は一定のままである。結果として、波形の最小値は、負荷の静電容量の変化に伴い変化する。TOF MS等のパルス電場を使用するシステムにおいて、この種類の電圧調節は、電荷移動後の電力供給部の出力電圧を調節しないことから不十分である。
【0010】
負荷に接続および負荷から切断される電力供給部において使用する別の従来の調節技術は、ストレージコンデンサから負荷への電荷移動の後に可能な限り速く、電力供給部のストレージコンデンサを再充電することにある。本手法によると、オーバーシュートおよびリンギングの制御が非常に難しくなり、また、フィードバック制御システムが不安定になるパルス繰り返し速度が存在する。次のパルスが発生する前にリンギングが完全に減衰していない場合、調節は不安的になる。本調節技術は、パルスの後でなくパルスの前に電圧を調節し、負荷の静電容量の変化により、電荷移動後の出力電圧を変化させる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(概要)
種々の局面において、本教示は、電力供給回路から負荷への電荷移動後に、上記電力供給回路の出力ノードにおける、出力電圧が調節され得る精度の向上を促進する装置および方法を提供する。上記負荷は、質量分析器のためのイオン源の第1の電極および第2の電極を備えることが可能である。上記フィードバック回路は、上記電荷移動後に上記出力電圧を調節するための2つのフィードバックループを含む。第1のフィードバックループは、上記出力電圧のDC成分に応答し、第1のフィードバック信号を生成する。第2のフィードバックループは、上記出力電圧のAC成分に応答し、第2のフィードバック信号を生成する。上記フィードバック回路は、上記フィードバック回路の出力ノードにおいてフィードバック信号を生成し、上記電力供給回路から負荷への電荷移動後に、上記電力供給回路の上記出力電圧を調節する。電力供給回路の上記出力電圧の調節のために使用される上記フィードバック信号は、上記第1のフィードバック信号および上記第2のフィードバック信号に基づく。
【0012】
種々の実施形態において、質量分析器のためのイオン源が提供され、上記イオン源の電力供給部は、本教示の電力供給回路およびフィードバック回路を備える。上記電源は、電力供給回路およびフィードバック回路を含み、上記第1の電極および上記第2の電極に電気的に連結される。種々の実施形態において、上記電力供給回路の上記負荷は、上記イオン源の第1の電極および第2の電極を備える。種々の実施形態において、上記第1の電極および上記第2の電極間において上記電力供給回路により確立される電位差を使用して、イオンを上記質量分析器に加速する。試料支持部が上記第1の電極を備えることが可能であるマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)源と、イオン発生のタイミング点を提供するが、イオンを中性から必ずしも生成しない、いわゆる仮想イオン源(virtual ion source)とを含むがそれだけに限定されない多種多様のイオン源は、例えば、遅延引き出し(delayed extraction)を用いる衝突セルの出口や、直交(orthogonal)飛行時間(O−TOF)器に用いられる偏向器領域等において、本教示の上記電力供給回路と共に使用可能である。
【0013】
上記電源の上記電力供給回路は、上記第1の電極および上記第2の電極のうちの少なくとも1つに、スイッチを介して連結される少なくとも1つの出力ノードを有する。上記電力供給回路は、上記第1の電極または上記第2の電極のうちの少なくとも1つに電位を供給し、既定の時間に電場を確立する。
【0014】
上記フィードバック回路は、上記電力供給部によって供給される出力電圧のDC成分およびAC成分に応答し、上記電力供給部に関連付けられるコンデンサから上記第1の電極および上記第2の電極のうちの少なくとも1つへの電荷移動前の上記出力電圧の値、上記電力供給部に関連付けられる上記コンデンサから上記第1の電極および上記第2の電極のうちの少なくとも1つへの上記電荷移動中の上記出力電圧の値、および上記電力供給部に関連付けられる上記コンデンサから上記第1の電極および上記第2の電極のうちの少なくとも1つへの上記電荷移動後の上記出力電圧の値、のうちの少なくとも1つを表すフィードバック信号を、上記フィードバック回路の出力ノードにおいて生成する。
【0015】
種々の実施形態において、本教示は、電力供給回路の出力を調節するための方法を開示する。上記方法は、電力供給回路の出力から、第1のフィードバック信号を受信するステップと、上記電力供給回路の上記出力のリップル成分から第2のフィードバック信号を受信するステップとを供給する。上記方法は、上記第1のフィードバック信号および上記第2のフィードバック信号を加算して、加算信号を生成するステップと、上記基準信号および上記加算信号間の差異を決定するステップとをさらに提供する。さらなるステップにおいて、上記方法は、上記第1のフィードバック信号、上記第2のフィードバック信号、および基準信号に基づいて誤差信号を生成するステップを提供し、上記電力供給回路は、上記誤差信号に応答して、上記出力を調節する。
【0016】
種々の実施形態において、本教示は、質量分析計のための電力供給部フィードバック回路を開示する。上記フィードバック回路は、第1のフィードバックループおよび第2のフィードバックループを含む。上記第1のフィードバックループは、電力供給回路の出力のDC成分を表す第1の信号を生成するように構成される。上記第2のフィードバックループは、上記電力供給回路の上記出力のAC成分を表す第2の信号を生成するように構成される。また、上記フィードバック回路は、上記第1の信号、上記第2の信号、および基準信号に基づき、誤差信号を生成するように構成される制御増幅器回路も含む。
【0017】
本発明の前述およびその他の目的、局面、特徴、および利点は、添付の図面と併用して以下の説明を参照することによって、より明白になり、かつより理解され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(多様な実施形態の詳細な説明)
本教示の種々の実施形態において、電力供給回路から負荷への電荷移動の後に、電力供給回路の出力電圧に関する精密な調節を容易にする調節スキームが提供される。負荷は、質量分析器において第1の電極および第2の電極を含むことが可能である。負荷は、静電容量値において変化を示すことが可能である。電力供給回路は、スイッチを介して負荷に連結される。スイッチは、負荷から電力供給部を定期的に接続および切断するように動作可能である。スイッチが電力供給回路を負荷に接続する場合、電力供給回路から負荷への電荷移動が発生する。
【0019】
電荷移動の後に電力供給回路の出力電圧を調節するために、2つのフィードバックループを含むフィードバック回路が提供される。出力電圧のDC成分に応答する第1のフィードバックループが提供される。第1のフィードバックループは、出力電圧のDC成分に基づき第1のフィードバック信号を生成する。第1のフィードバック信号は、電圧分割器およびフィルタを通る。出力電圧のAC成分に応答する第2のフィードバックループが提供される。第2のフィードバックループは、出力電圧のAC成分に基づき第2のフィードバック信号を生成する。第2のフィードバック信号は、ACカプラ、分割器、信号調整回路、別の分割器、およびフィルタを通る。
【0020】
第1および第2のフィードバックループからの第1および第2のフィードバック信号は、加算回路に入力される。加算回路は、第1のフィードバック信号および第2のフィードバック信号を加算し、加算信号を生成する。次に、加算信号は、制御増幅器に渡され、ここで、加算信号は基準信号と比較される。基準信号と加算信号との差異により、フィードバック回路の出力ノードにおいてフィードバック信号が生成される。電力供給回路は、フィードバック信号に応答し、電力供給回路から負荷への電荷移動の後に電力供給回路の出力電圧を調節する。
【0021】
図1は、従来の電力供給部(図示せず)によって供給される出力電圧のフィルタリングされた平均を使用する、従来の電力供給部の調節スキームの出力波形をグラフで示す。フィルタリング平均の調節スキームは、従来の電力供給部の出力から電力供給部の制御ノードに連続的なフィードバックを提供し、出力電圧の平均値を調節するように動作可能である。グラフ100は、従来の電力供給部によって供給される出力電圧波形102を示す。グラフ100は、電圧に相当するY軸110および時間に相当するX軸112を有する。グラフ100に示されるように、出力電圧波形102は、平均DCオフセット106に重畳する鋸歯状リップルによって表される。出力電圧波形は、ピーク電圧VおよびV間の差異によって決定される振幅108を有する。また、グラフ100には、定期的パルス信号104が示される。定期的パルス信号104を使用してスイッチ(図示せず)を制御する。スイッチは、従来の電力供給部の出力を、静電容量値を有する負荷(図示せず)に接続するように動作可能である。定期的パルス信号104が高い場合、スイッチは閉鎖され、従来の電力供給部の出力は負荷に接続される。定期的パルス信号104が低い場合、スイッチは開放され、従来の電力供給部は負荷から切断される。このように、負荷は、スイッチを使用して、従来の電力供給部に定期的に接続される。
【0022】
従来の電力供給部の出力は、スイッチの開放時に充電されるストレージコンデンサに連結される。スイッチを閉鎖すると、ストレージコンデンサに蓄電された電荷は、負荷に移動する。例えば、パルス信号104がTにおいて高くなると、従来の電力供給部を負荷に接続するスイッチが閉鎖される。これにより、従来の電力供給部から負荷への電荷移動が引き起こされ、従来の電力供給部の出力電圧波形102を低下させる。時刻Tにおいて、スイッチは開放され、従来の電力供給部は、負荷から切断される。時刻Tから時刻Tまでに、従来の電力供給部は、負荷から切断され、ストレージコンデンサを再充電する。出力電圧波形102は、時刻Tにおいてスイッチが再び閉鎖されるまで着実に増加する。時刻Tにおいて、スイッチは再び閉鎖され、再びストレージコンデンサから負荷への電荷移動があり、これによって出力電圧波形102を低下させる。上述の工程は、パルス信号104の周波数に応じて繰り返す。
【0023】
グラフ150は、負荷の静電容量値が増加される場合の出力電圧波形152に対する影響を示す。ピーク電圧VおよびV間の差異によって決定される出力電圧波形152の鋸歯状リップルの振幅158は、出力電圧波形102の鋸歯状リップルの振幅108と比べて増加するが、平均DCオフセット106は、同一の値のVOS1のままである。ゆえに、この従来の調節スキームが、平均DCオフセット106の適切な調節を提供しているが、負荷の静電容量の増加的な変化が存在する場合に出力電圧波形を調節しないことが認められる。つまり、負荷の静電容量が変化する場合、平均DCオフセット106は値VOS1のままであるが、出力電圧波形の振幅は、振幅108から振幅158に変化し、電力供給部から負荷への電荷移動の後の出力電圧は、電圧Vから電圧Vに減少する。出力電圧の振幅の増加は、負荷の静電容量の変化に比例する。従来の調節スキームの結果、電力供給部から負荷への電荷移動の後の電圧は、調節されない。
【0024】
この種類の調節スキームから利益を受ける多数のシステムが存在する。それにもかかわらず、この従来の調節スキームの使用は、パルス電場を使用してイオンを既定のエネルギに加速する飛行時間型質量分析計等の科学計器において不十分であり得る。飛行時間型質量分析における正確な結果は、イオン加速の精密な制御に依存する。例えば、種々の実施形態において、イオンの加速を精密に制御するために、電力供給部から負荷への電荷移動後の電力供給部の出力電圧が、調節される。なぜならば、この電圧がイオンを既定のエネルギに加速する電場を提供するからである。
【0025】
図2Aは、本教示を実施するための回路のトポロジを示す。この回路トポロジは、電力供給部200A、負荷240、および電力供給部を負荷に接続するように動作可能であるスイッチ230を含む。電力供給部200Aは、電力供給回路210およびフィードバック回路220を含む。フィードバック回路220の入力ノードは、電力供給回路210の出力ノード218に連結され、フィードバック回路の出力ノードは、電力供給回路210の制御ノード215に連結される。フィードバック回路220は、出力電圧を電力供給回路210から受信するように動作可能である。フィードバック回路220は、フィードバック信号を出力するように動作可能であり、このフィードバック信号は、電力供給回路210の制御ノード215への誤差信号と呼ばれ得る。電力供給回路210は、フィードバック信号に応答して、電力供給回路210から負荷240への電荷移動の後に、電力供給回路210の出力電圧を調節する。
【0026】
図2Bは、本教示を実施するために適切な別の回路トポロジを示す。この回路トポロジは、電力供給部200B、負荷240、スイッチ230、およびフィードバック回路220を含む。電力供給部200Bは、電力供給回路210を含む。フィードバック回路220の入力ノードは、電力供給回路210の出力ノード218に連結され、フィードバック回路の出力ノードは、電力供給部210の制御ノード215に連結される。フィードバック回路220は、出力電圧を電力供給回路から受信し、かつフィードバック信号を出力するように動作可能であり、このフィードバック信号は、電力供給回路210の制御ノード215への誤差信号と呼ばれ得る。電力供給回路210は、フィードバック信号すなわち誤差信号に応答して、電力供給回路210から負荷240への電荷移動の後に、電力供給回路210の出力電圧を調節する。
【0027】
電力供給部200Aは、電力供給回路210およびフィードバック回路220を含むように一体型として製造可能である。ゆえに、電力供給部200Aは、電力供給回路210から負荷240への電荷移動の後に、電力供給部200Aの出力電圧を調節するように製造し得る。電力供給部200Bは、電力供給回路210を含むが、フィードバック回路220を含まずに製造可能である。電力供給部200Bは、汎用に既に製造されている既製の(off−the−shelf)電力供給部であり得、ゆえに、電力供給回路210から負荷240への電荷移動の後に、電力供給部200Bの出力電圧を調節しない。それにもかかわらず、フィードバック回路220は、電力供給部200Bと共に使用することにより、電力供給回路210から負荷240への電荷移動の後に、電力供給部200Bの出力電圧の調節を提供することが可能である。
【0028】
種々の実施形態において、フィードバック回路220は、電力供給回路210の出力から複数の入力を受信するように構成可能である。電力供給回路210は、フィードバック信号をフィードバック回路220から受信可能であり、このフィードバック信号は、誤差信号と呼ばれ得る。スイッチ230は、電力供給部200Aおよび200Bの外部に存在するように図示されるが、当業者は、スイッチ230が電力供給部200Aおよび200Bの内部に存在可能であることを認識するだろう。電力供給部200Aおよび200Bは、簡潔にするために、本明細書の以下において単に電力供給部200と呼ばれる。当業者は、電力供給部200と参照がなされる本教示に従い、電力供給部200Aまたは200Bが実装可能であることを認識する。例えば、電力供給部200Bを使用する場合、フィードバック回路220は、電力供給回路210に連結されることを理解されたい。
【0029】
図2Cは、電力供給部200の本教示に従う、電力供給回路210およびフィードバック回路220のブロック図をより詳細に示す。本ブロック図は、電力供給回路210、負荷240、電力供給回路210を負荷240に接続するように動作可能であるスイッチ230、およびフィードバック回路220を含む。
【0030】
電力供給回路210は、高圧電流源212、抵抗素子214、および容量性素子216を含む。高圧電流源212は、抵抗素子214および容量性素子216に並列に連結される。電力供給回路210は、スイッチ230の片方の側に連結される出力ノード218を有する。スイッチ230の他方の側は、負荷240に連結される。容量性素子216は、スイッチ230の開放時に高圧電流源212から受信する電荷を蓄電し、かつスイッチ230の閉鎖時にその蓄電した電荷を負荷240に移動するように機能する。容量性素子216が電力供給回路210内に存在するように図示されるが、容量性素子216が電力供給回路210の外部に存在可能であること、ひいては電力供給部200の外部に存在可能であることを、当業者は認識するだろう。
【0031】
負荷240は、電力供給回路210の出力に接続可能な任意の構成要素であり得る。適切な負荷の一例として、飛行時間型質量分析計システムにおける電極であり得る。本明細書において説明されるように、負荷240は、スイッチ230によって電力供給回路210に接続可能である。飛行時間型質量分析計システムにおいて、例えば、負荷240は、電力供給部210からの電荷を受信し、例えば、イオンを既定のエネルギに加速するために使用可能な電場を形成する。
【0032】
フィードバック回路220は、電力供給回路210の出力ノード218に連結される。フィードバック回路220は、第1のフィードバックループ280、第2のフィードバックループ290、加算回路268、および制御増幅器272を含む。
【0033】
第1のフィードバックループ280は、分割器252およびオプションのフィルタ254を含む。分割器252の入力部は、電力供給回路210の出力ノード218に接続され、分割器252の出力は、フィルタ254の入力部に接続される。フィルタ254の出力は、加算回路268の入力部に接続される。第1のフィードバックループ280は、電力供給回路210の出力ノード218における出力電圧のDC成分に応答し、出力電圧のDC成分を表す第1のフィードバック信号を生成するように構成される。
【0034】
動作において、分割器252は、第1のフィードバック信号を受信し、1/Nの値でその信号を分割する。本分割器は、分割された第1のフィードバック信号をフィルタ254に出力する。フィルタ254(例えば、低域通過フィルタ)は、分割された後の第1のフィードバック信号をフィルタリングするように機能し、第1のフィードバック信号を加算回路268に渡す。
【0035】
第2のフィードバックループ290は、ACカプラ250、分割器258、分割器264、信号調整回路262、およびオプションのフィルタ256(例えば、低域通過フィルタ)を含む。ACカプラ250は、電力供給回路210の出力ノード218および分割器258に連結される。分割器258の出力は、信号調整回路262に連結される。信号調整回路262の出力は、分割器264の入力ノードに連結される。分割器の出力はフィルタ256を通過する。フィルタ256の出力は、加算回路268の入力部に接続される。
【0036】
動作において、第2のフィードバックループ290は、電力供給回路210の出力ノード218における出力電圧のAC成分に応答し、出力電圧のAC成分を表す第2のフィードバック信号を生成するように構成される。ACカプラ250は、出力電圧のAC成分すなわち第2のフィードバック信号を第2のフィードバックループ290に提供するように動作する。第2のフィードバック信号は、分割器258によって受信され、ここで、第2のフィードバック信号を1/Jの値で分割する。第2のフィードバック信号は、分割された後に分割器258から出力され、信号調整回路262によって受信される。信号調整回路262は、第2のフィードバック信号を整流し、第2のフィードバック信号をDC信号に変換するように動作可能である。第2のフィードバック信号は、信号調整回路262から出力され、分割器264によって受信され、ここで、整流された後の第2のフィードバック信号は、1/Kの値で分割される。次に、第2のフィードバック信号は、第2のフィードバック信号をフィルタリングするように機能するフィルタ256を通過する。フィルタリングされた第2のフィードバック信号は、フィルタ256から出力され、加算回路268に受信される。
【0037】
加算回路268の入力部は、フィルタ254および256の出力部に連結され、また、加算回路268の出力部は、制御増幅器272の1つの入力部に連結される。加算回路268は、第1のフィードバック信号および第2のフィードバック信号を、第1のフィードバックループ280および第2のフィードバックループ290からそれぞれ受信する。加算回路268は、第1のフィードバック信号および第2のフィードバック信号を加算して、加算信号を生成するように動作する。加算信号は、加算回路268から制御増幅器272に出力される。
【0038】
制御増幅器272は、加算信号を加算回路268から受信し、基準信号270を基準源(図示せず)から受信して、フィードバック信号を電力供給回路210に出力する。制御増幅器272は、加算信号および基準信号270間の差異を決定し、フィードバック信号すなわち誤差信号としてその差異を、電力供給回路210の制御ノード215に出力する。電力供給回路210は、フィードバック信号に応答して、電力供給回路210の出力ノード218において、電力供給回路210から負荷240への電荷移動の後に出力電圧の値を調節する。飛行時間型質量分析計において、電荷移動後の電圧を使用して、例えば、試料イオンを既定のエネルギに加速するための電場が質量分析計システムにおいて提供可能である。ゆえに、電力供給回路210から負荷240への電荷移動の後の電力供給回路210の出力電圧の調節の精度が増加することによって、イオンを既定のエネルギに精密に加速することが容易になる。
【0039】
分割器252、258、および264の値は、分割器258および264の比率の積が、分割器252の比率に実質的に等しくなるように設定される。これらの値は、数学的に、
1/N=1/J*1/K
となるように選択され、ここで、1/Nは、分割器252の値であり、1/Jは、分割器258の値であり、また、1/Kは、分割器264の値である。
【0040】
分割器の値にわずかな差異が存在し、分割器258および264の合成が、分割器252の正にその値に等しくならないとしても、本教示が動作不可能になるのではなく、より低い精度のフィードバック信号、つまりは電力供給回路210のより低い精度の調節を単にもたらすことを、本教示の観点から当業者は認識するだろう。また、分割器258および264の合成が、分割器252に実質的に等しくなることが一般的に好適であるが、素子の不整合、素子の許容誤差、または温度係数が、分割器252、258、および264の実際の値に影響する可能性があることを、本教示の観点から当業者は認識するだろう。
【0041】
図3は、電力供給回路210およびフィードバック回路220によって生成される出力を表す出力波形をグラフで示す。グラフ300は、電力供給回路210が供給する出力ノード218において観測される出力電圧波形302を示す。グラフ300は、電圧に相当するY軸310および時間に相当するX軸312を有する。グラフ300に示されるように、出力電圧波形302は、VOS1の値を有するDCオフセット306に重畳する鋸歯状リップルによって表される。出力電圧波形302は、ピーク電圧VおよびV間の差異によって決定される振幅308を有する。また、グラフ300には、定期的パルス304が示される。定期的パルス304は、スイッチ230を制御するように動作可能である。定期的パルス304が高い場合、スイッチ230は閉鎖され、電力供給部200は負荷240に接続される。定期的パルス304が低い場合、スイッチ230は開放され、電力供給部210は負荷240から切断される。
【0042】
時刻Tにおいて、スイッチ230は閉鎖し、電力供給部200は負荷240に接続する。スイッチ230が時刻Tにおいて閉鎖すると、容量性素子216から負荷240への電荷移動が、約10ナノ秒から約400ナノ秒持続可能な電荷移動期間330の間に発生する。本電荷移動により、出力ノード218における電圧は、電圧Vから電圧Vに減少する。スイッチ230は、約1マイクロ秒から約10マイクロ秒の間の範囲の期間閉鎖可能であり、本時間の間、電力供給部210が負荷240に電圧を供給する。時刻Tにおいて、スイッチ230は開放し、電力供給回路210は負荷240から切断される。電荷移動期間330の後、ならびに時刻Tおよび時刻T間の期間中、容量性素子216は再充電され、出力ノード218における電圧は、出力電圧波形302に反映されるように着実に増加する。スイッチ230が時刻Tにおいて再び閉鎖されると、別の電荷移動が発生し、出力ノード218の電圧は、出力波形302に反映されるように再び低下する。
【0043】
グラフ350は、本明細書において開示される教示に従い、かつ負荷240の静電容量が漸増する場合の出力電圧波形352により示される、出力ノード218の電圧に対する影響を示す。グラフ350において、出力波形352の鋸歯状リップルの振幅358は、出力電圧波形302の鋸歯状リップルの振幅308と比べて増加するが、電力供給回路210から負荷240への電荷移動の後の出力電圧は、電圧Vのままである。本教示の結果、電荷移動後の出力電圧は、負荷240の静電容量が増加しているにもかかわらず電圧Vに調節される。増加した負荷の静電容量に対する電荷移動後の出力電圧を調節する作用は、振幅308が振幅358に増加するため、平均DCオフセット306が、電圧VOS1から電圧VSO2の平均DCオフセット356に増加することが挙げられるが、電荷移動後の電圧はVに調節されたままである。ゆえに、本教示の調節スキームによって、電力供給部200から負荷240への電荷移動後の、電力供給部200の出力ノード218における出力電圧の値の精密な調節の提供が容易になることが認められる。
【0044】
図4Aは、出力電圧のAC成分を出力ノード218から受信する、フィードバック回路220の第2のフィードバックループ290に関する一例示的実施形態を示す。第2のフィードバックループは、ACカプラ250、分割器258、信号調整器262、分割器264、およびフィルタ256を含む。
【0045】
電力供給回路210の出力ノード218は、ACカプラ250によって分割器258にAC結合される。ACカプラ250は、コンデンサ401、第1の抵抗器403、および第2の抵抗器405を含む。ACカプラ250は、出力電圧のDC成分を阻止するように機能する。ACカプラ250は、分割器258に連結され、この分割器258は、第1の抵抗器403および第2の抵抗器405によって形成される電圧分割器であり得、ノード490を有する。分割器258は、第2のフィードバック信号がACカプラ250によってAC結合された後、第2のフィードバック信号の電圧の振幅を分割する。分割器258の値は、第1の抵抗器403および第2の抵抗器405の値によって決定される。信号調整回路262は、分割器258のノード490に連結される。
【0046】
信号調整回路262は、半波整流器または負のピーク検出器であり得る。信号調整回路262は、演算増幅器407、ダイオード409、およびコンデンサ411を含み得る。演算増幅器407は、正端子(positive terminal)460、負端子(negative terminal)462、および出力端子464を有する。演算増幅器407の正端子は、分割器258のノード490に連結される。演算増幅器407の出力端子464は、ダイオード409のカソードに連結される。ダイオード409のアノードは、演算増幅器407の負端子462に連結され、ネガティブフィードバックを提供し、かつコンデンサ411に連結される。信号調整回路262は、第2のフィードバック信号の負のピークをDC成分に変換することによって、第2のフィードバック信号を整流するように動作する。また、ダイオード409のアノードは、分割器264にも連結される。本記述の用語法は、正の電源電圧に適用するが、本教示が負の電源電圧にも適用可能であることを当業者は認識するだろう。
【0047】
分割器264は、第3の抵抗器413および第4の抵抗器415によって表される電圧分割器であり得る。分割器264は、整流された第2のフィードバック信号の振幅を分割するように動作する。分割器264の値は、第3の抵抗器413および第4の抵抗器415の値によって決定される。分割器258の第1の抵抗器403および第2の抵抗器405の値ならびに分割器264の第3の抵抗器413および第4の抵抗器415の値は、分割器258および264の比率の積が、第1のフィードバックループ280の分割器252の比率に実質的に等しくなるように選択される。
【0048】
分割器264は、フィルタ256に連結される。このフィルタ256は、コンデンサ417を含む低域通過フィルタであり得、かつ第3の抵抗器413および第4の抵抗器415を分割器264と共有することが可能である。低域通過フィルタは、フィードバック信号をフィルタリングし、フィルタリングされたフィードバック信号を加算回路268に渡す。フィルタ256は、分割器264から分離した個別の抵抗器を有するように構成可能である。フィルタ256は、演算増幅器等の能動構成要素を含むように構成可能である。
【0049】
図4Bは、出力ノード218における出力電圧のAC成分を操作する、フィードバック回路220の第2のフィードバックループ290に関する代替の回路トポロジを示す。第2のフィードバックループ290の代替の回路トポロジは、ACカプラ250、分割器258および264、信号調整回路262、微分回路475、スイッチ470、抵抗器471、ならびにフィルタ256を含む。
【0050】
電力供給部200の出力ノード218は、ACカプラ250によって分割器258にAC結合される。ACカプラ250は、コンデンサ401、ならびに抵抗器403および405を含み、出力電圧のDC成分を阻止するように機能する。ACカプラは、分割器258に連結され、この分割器258は、ノード490と、ACカプラ250と共有される第1の抵抗器403および第2の抵抗器405とによって表される電圧分割器であり得る。分割器258は、第1の抵抗器403および第2の抵抗器405の値によって決定される値で、第2のフィードバック信号の電圧の振幅を分割する。第2のフィードバック信号の分割された値は、ノード490において分割器258から出力される。信号調整回路262および微分器475は、分割器258のノード490に連結される。
【0051】
信号調整回路262は、半波整流器または負のピーク検出器であり得る。信号調整回路は、演算増幅器407、ダイオード409、およびコンデンサ411を含み得る。演算増幅器407は、正端子460、負端子462、および出力端子464を有する。演算増幅器407の正端子は、分割器258のノード490に連結される。演算増幅器407の出力端子464は、ダイオード409のカソードに連結される。ダイオード409のアノードは、演算増幅器407の負端子462、コンデンサ411、およびスイッチ470に連結される。信号調整回路262は、第2のフィードバック信号の負のピークをDC成分に変換することによって、フィードバック信号を整流するように動作する。容量性素子411は、整流された信号と関連付けられる電荷を蓄電するように動作する。容量性素子411の電荷は、スイッチ470の開放時に、抵抗器413と415と容量性素子417との値に基づく時定数で放電する。信号調整回路262のダイオード409のアノードは、分割器264にも連結される。
【0052】
微分回路475は、抵抗器481、484、485と、コンデンサ482および483と、演算増幅器480と、オプションの抵抗器489とを含む。抵抗器481は、分割器258のノード490およびコンデンサ482に連結される。コンデンサ482は、演算増幅器480の負端子476、抵抗器484、およびコンデンサ483に連結される。次に、コンデンサ483および抵抗器484は、演算増幅器480の出力端子478およびオプションの抵抗器489に連結される。オプションの抵抗器489は、スイッチ470に連結されるか、あるいはオプションの抵抗器489を使用しない場合、演算増幅器480の出力端子478はスイッチ470に連結される。演算増幅器480の正端子は、抵抗器485に連結され、抵抗器485は、バイアス電圧源(図示せず)の出力ノード486に連結される。微分器は、フィードバック信号の分割されたAC成分の微分と、バイアス電圧源からのバイアス電圧との比較に基づき、スイッチ470を開閉するように動作可能である。フィードバックの分割されたAC成分の微分の大きさが、バイアス電圧よりも大きい場合、微分器475はスイッチを閉鎖する。フィードバック信号のAC成分の微分の大きさが、バイアス電圧よりも小さい場合、微分器475はスイッチを開放する。
【0053】
スイッチ470は、信号調整回路262の出力に抵抗器471を接続することによって、信号調整回路262のコンデンサ411に並列に抵抗器471を配置するように動作可能である。抵抗器471をコンデンサ411に並列に接続することによる作用として、コンデンサ411が放電する時間が短縮される(例えば、より短い時定数)。これにより、フィードバック回路220が、負荷240の静電容量の急な減少により速く反応することが可能になる。抵抗器471は、スイッチ470と戻り経路(return path)との間に示されるが、抵抗器471は、スイッチ470と信号調整回路262のダイオード409のアノードとの間にあることも可能である。
【0054】
分割器264は、第3の抵抗器413および第4の抵抗器415によって表される電圧分割器であり得る。分割器264は、整流されたフィードバック信号の振幅を分割するように動作する。分割器264の値は、第3の抵抗器413および第4の抵抗器415の値によって決定される。分割器258の第1の抵抗器403および第2の抵抗器405の値ならびに分割器264の第3の抵抗器413および第4の抵抗器415の値は、分割器258および264の比率の積が、第1のフィードバックループ280の分割器252の比率に実質的に等しくなるように選択される。
【0055】
分割器264は、フィルタ256に連結される。このフィルタ256は、コンデンサ417を含む低域通過フィルタであり得、かつ抵抗器413および415を分割器264と共有することが可能である。低域通過フィルタは、フィードバック信号をフィルタリングし、フィルタリングされたフィードバック信号を加算回路268に渡す。フィルタ256は、分割器264から分離した個別の抵抗器を有するように構成可能である。フィルタ256は、演算増幅器等の能動構成要素を含むように構成可能である。
【0056】
図5A〜図5Dは、本教示の種々の実施形態を実施するために行なわれるステップを示すフロー図である。
【0057】
図5Aは、電力供給部200の出力電圧を調節するための誤差信号を生成するために行なわれるステップに関するフロー図を示す。ステップ500および530において、第1および第2のフィードバック信号がそれぞれ生成される。ステップ560において、第1のフィードバック信号、第2のフィードバック信号、および基準信号に基づいて誤差信号が生成される。
【0058】
図5Bは、本教示のステップ500に関するより詳細な種々の局面を示す。種々の局面において、本教示は、電力供給部200の出力電圧のDC成分を表す第1のフィードバック信号を生成し(ステップ505)、次に、第1の値(例えば、N)で第1のフィードバック信号を分割する(ステップ510)。ステップ515において、第1のフィードバック信号をフィルタリングする。
【0059】
図5Cは、本教示のステップ530に関するより詳細な種々の局面を示す。種々の局面において、本教示は、電力供給回路の出力部のAC成分を表す第2のフィードバック信号を生成する(ステップ535)。第2のフィードバック信号は、第2の値(例えば、1/J)で分割される(ステップ540)。分割後、第2のフィードバック信号は、整流される(ステップ545)。一旦分割かつ整流された第2のフィードバック信号は、第3の値(例えば、1/K)によって分割される(ステップ550)。第2の値および第3の値の合成が第1の値に実質的に等しくなるようにこれらの値は選択される。ステップ555において、第2の値によって分割、整流、および第3の値によって実質的に分割された第2のフィードバック信号は、フィルタリングされる。
【0060】
図5Dは、本教示のステップ560に関するより詳細な種々の局面を示す。種々の局面において、本教示は、第1および第2のフィードバック信号を加算することによって、加算信号を生成するステップ(ステップ565)を教示する。加算信号および基準信号間の差異は、決定され(ステップ570)、その差分の結果、誤差信号が生成される(ステップ575)。電力供給回路は、その誤差に応答して電力供給回路の出力を調節する(ステップ580)。
【0061】
本教示の電力供給部、電力供給回路、およびフィードバック回路は、質量分析システムにおいて使用可能であり、種々の実施形態において、電圧の切り替えが所望される場合に特に有用である。本教示の種々の実施形態が適用可能である質量分析計における電圧切り替えの例として、パルスイオン源、遅延引き出しイオン源、イオン分裂器引き出し、およびイオン偏向が含まれるがそれだけに限定されない。イオン源は、電圧の精密な制御およびイオンに与えられるエネルギが所望される用途の1つである。
【0062】
本教示の電力供給部、電力供給回路、およびフィードバック回路は、多種多様の質量分析器において使用可能であり、その質量分析器には、例えば、MSのみのシステム(例えば、線形TOFおよび直交TOF(O−TOF)システム)、タンデムMSシステム(例えば、TOF−TOFおよび4重極TOF(Q−TOF))、および直交(O−TOF)システム等の飛行時間TOFシステムを含むがそれだけに限定されない。このようなシステムの適切なイオン源には、電子衝撃(EI;electron impact)イオン化、エレクトロスプレイイオン化(ESI;electrospray ionization)、およびマトリックス支援レーザーイオン化(MALDI)源が含まれるがそれだけに限定されない。
【0063】
図6は、本教示の種々の実施形態に従い電力供給部の出力が調整される質量分析計システムのイオン源600を概略的に示す。図示されるイオン源は、MALDIイオン源であるが、EIおよびESIを含むがそれだけに限定されない多種多様のその他のイオン形成方法も使用可能である。種々の実施形態において、本教示は、質量分析計にMALDIイオン源を提供し、本イオン源は、試料602を試料表面(sample surface)603に支持可能であり、第1の電極の役割を果たす試料支持部601と、第2の電極604とを備える。多種の電極の形状および構成を使用することが可能であり、板状、格子状、円錐状、およびそれらの組み合わせを含むがそれだけに限定されない。
【0064】
種々の実施形態において、電源(power source)200は、試料表面603および第2の電極604の各々と電気的に連結される。試料表面603、第2の電極604、またはその両方は、負荷240を表す。電源200は、少なくとも第1の領域620において、試料表面から離れる第1の方向630に、対象の試料イオンを加速する第1の引き出し電場を既定の時間に確立するように構成可能である。電力供給部200は、例えば、試料表面603および第2の電極604のうちの1つ以上における電位を変更することによって、第1の引き出し電場を確立することができる。種々の実施形態において、試料表面および第2の電極のうちの1つ以上に電位を印加して、第1の引き出し電場を確立する。種々の実施形態において、試料表面および第2の電極のうちの1つ以上は、絶対的な接地または浮遊性の接地に接続され、素子上で変化する電位は接地されない。
【0065】
種々の実施形態において、電源200は、本教示のフィードバック回路220を使用して、電力供給部から試料表面603および第2の電極604のうちの1つ以上への電荷移動の後に、電力供給部200の各々の出力電圧を調節し、試料表面603および第2の電極604間の既定の電位差を提供してイオンを加速または減速する。種々の実施形態において、本電位差は、例えば、遅延引き出しをもたらすように既定の時間に提供される。
【0066】
種々の実施形態において、イオン源は、例えば、多電場イオン源(multi−field ion source)等の2つ以上の領域において電位差を確立するように構成可能である。これらの電位差は、本教示の1つ以上の電力供給部を使用して印加可能である。例えば、種々の実施形態において、イオン源は、空間的に相互に分離している第3の電極606および第4の電極608と、試料支持部601と、第1の電極604とを含む。第3および第4の電極を使用して、第2の領域622および/または第3の領域624において、例えば、対象の試料イオンを空間的に集束する、少なくとも1つの空間的な集束電場等の追加の電場を、引き出し方向630に実質的に垂直な方向に確立することが可能である。
【0067】
電源200は、単一の機器、多数のスタンドアロン型機器、多数の統合型機器、またはそれらの組み合わせを含むことが可能である。例えば、3つ電場源(field source)を使用する種々の実施形態において、電源は、例えば、電力供給部200Aによって表され、電力供給回路210およびフィードバック回路220を含む第1の電力供給部であって、第1の電力供給部は、試料支持部および第2の電極の1つ以上にスイッチを介して電気的に連結される第1の電力供給部と、例えば、電力供給部200Bによって表され、電力供給回路210を含み、かつフィードバック回路220に連結される第2の電力供給部であって、第2の電力供給部は、第2の電極および第3の電極のうちの1つ以上にスイッチを介して電気的に連結される第2の電力供給部と、例えば、第3の電極および第4の電極のうちの1つ以上にスイッチを介して電気的に連結される電力供給部200Aによって表される第3の電力供給部とを含むことが可能である。種々の実施形態において、電力供給部は、約5,000ボルトから約30,000ボルトの間の範囲にある電圧を提供する。
【0068】
図7Aおよび図7Bは、本教示の種々の実施形態に従い出力が調節される1つ以上の電力供給部200を備える種々の質量分析計システムを概略的に示す。種々の実施形態において、質量分析計システムは、イオン源702、第1のTOF領域704、およびイオン検出器706を含む。TOF領域の適切な構造には、ドリフト管(drift tube)およびRF多極イオンガイドを含むがそれだけに限定されない。適切なイオン検出器には、電子増倍管、チャネルトロン、マイクロチャネルプレート(MCP)、および電荷結合素子(CCD)が含まれるがそれだけに限定されない。種々の実施形態において、本システムは、第2のTOF領域708および可能性としてイオン相互作用領域710を有するTOF−TOF質量分析計を備える。イオン相互作用領域の例として、イオン分裂器およびイオン偏向器が挙げられる。本教示の種々の実施形態に従い出力が調整される電力供給部200は、イオン源702、イオン相互作用領域710、またはその両方に電気的に連結される。
【0069】
適切なイオン分裂器には、衝突誘起解離(CID、また、衝突支援解離(CAD)とも呼ばれる)、光誘起解離(PID)、表面誘起解離(SID)、ポストソース分解、またはそれらの組み合わせの原理に基づき動作するイオン分裂器が含まれるがそれだけに限定されない。適切なイオン分裂器の例として、衝突セル(イオンを中性ガス分子と衝突させて分裂する)、光解離セル(イオンに光子のビームを照射することにより分裂する)、および表面解離分裂器(イオンを固体表面または液体表面に衝突させることによって分裂する)が挙げられるがそれだけに限定されない。イオン偏向器の例として、時限イオン選択器および直交TOF用のイオン偏向器が挙げられる。
【0070】
種々の実施形態において、電源200は、本教示の電力供給回路210およびフィードバック回路220を使用して、電力供給部から、イオン源702、イオン相互作用領域710、またはその両方のうちの1つ以上の電極への電荷移動の後に、電源200の出力電圧を調節し、例えば、イオンを加速または減速するように既定の電位差を提供する。電源200は、単一の機器、多数のスタンドアロン型機器、多数の統合型機器、またはそれらの組み合わせを含むことが可能である。種々の実施形態において、本電位差は、例えば、イオン源からの遅延引き出し、イオン偏向器によるイオン選択、衝突セルからの遅延引き出し、別の質量分析器への直交偏向等をもたらすように既定の時間に提供される。
【0071】
図7Aを参照すると、種々の実施形態において、イオンは、イオン源から引き出され、第1の軌道712に沿って第1のTOF領域704を介して送られ、イオン検出器706で検出される。種々の実施形態において、本システムは、第2のTOF領域708およびイオン相互作用領域710を備える。イオンは、相互作用領域710から出現し、検出器706が検出する前に、第2の軌道714に沿って第2のTOF領域を介して送られる。
【0072】
図7Bを参照すると、直交TOF(O−TOF)に関する種々の実施形態が示される。図7Bに概略的に示される顕著な特徴を有する市販のO−TOF器の例として、Applied Biosytems/MDS Sciexにより市販されるQ−STAR(登録商標)銘柄シリーズの器具が含まれるがそれだけに限定されない。適切な質量分析器720には、RF多極イオンガイド、RF多極イオンフィルタ(例えば、4重極)、ドリフト管、ならびに磁場セクタおよび/または静電セクタが含まれるがそれだけに限定されない。種々の実施形態において、O−TOF器は、イオン源702、第1の質量分析器720、イオン分裂器として構成されるイオン相互作用領域710、パルス偏向器(pulsed deflector)722、TOF領域704、およびイオン検出器706を備える。種々の実施形態において、TOF領域704とイオン検出器706との間にイオンミラーを含み、例えば、同一の質量対電荷比値のイオン間のエネルギ差異を補正することによって器具性能を改善することができる。動作において、O−TOFは、一般的に、イオン源702から第1の軌道712に沿ってイオンを送り、既定の時間に、電源200は、電圧パルスを偏向器722に印加し、第1の軌道712に実質的に垂直である第2の軌道714にイオンを方向付ける。本教示によると、電力供給部200を使用して電位差を既定の時間に印加することによってイオンを偏向し、第1の軌道712に実質的に垂直である第2の軌道714にイオンを加速する。種々の実施形態において、偏向器722は、TOF領域704のための仮想イオン源としての役割を果たす。種々の実施形態において、電源200は、本教示の電力供給回路210およびフィードバック回路220を使用し、電力供給部からイオン偏向器722の1つ以上の電極への電荷移動の後に電源200の出力電圧を調節する。
【0073】
種々の実施形態において、O−TOF器は、衝突セルとして構成されるイオン相互作用領域710を備える。種々の実施形態において、衝突セルの出力部は、電源200によりパルス電圧が印加可能である電極を備え、衝突セルからのイオンが既定の時間に加速し、例えば、イオン偏向器722に対するタイミング点、仮想イオン源、またはその両方としての役割を果たす事が可能である。
【0074】
上記説明に示されるように、本教示により、電力供給部から負荷への電荷移動後の出力電圧に関する精密な調節の提供が容易になる。種々の実施形態において、本教示により、電力供給部から負荷への電荷移動後の出力電圧を調節する能力が向上した飛行時間型質量分析計システムが提供可能である。電荷移動後の出力電圧は、この電圧がイオンの加速を決定し、例えば、器具におけるその飛行時間を決定し、かつイオンの質量の決定に最終的に使用され得る飛行時間型質量分析計システムにおいて特に重要であり得る。この電圧がわずかでも変化すると、イオンの速度に変化がもたらされ、イオンが検出器に到達する時間が変化する。結果として、飛行時間の所望されない変化は、イオン質量決定の不確実性につながり得る。従って、本教示の種々の実施形態は、器具の種々の段階においてイオンに与えられるエネルギに対する制御がより精密であり、その結果、イオン質量の測定精度が改善される飛行時間型質量分析計システムを提供することが可能である。
【0075】
本教示について、種々の実施形態および実施例を併用して説明したが、本教示がこのような実施形態または実施例に限定されるように意図されない。それどころか、本教示は、当業者が理解する種々の代替、修正、同等物を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、従来のフィルタリングされた出力(または、平均DCオフセット)調節スキームを使用する場合の、例示的波形をグラフで示す。
【図2A】図2Aは、本教示の種々の実施形態を実施するために適切な回路のトポロジに関するブロック図を示す。
【図2B】図2Bは、本教示の種々の実施形態を実施するために適切な回路のトポロジに関する別のブロック図を示す。
【図2C】図2Cは、本教示の種々の実施形態を表すより詳細なブロック図を示す。
【図3】図3は、本教示の種々の実施形態の調節スキームを使用する場合の、代表的な波形をグラフで示す。
【図4A】図4Aは、電力供給部の出力電圧のAC成分を操作する第2のフィードバックループに関する種々の実施形態の1つを示す。
【図4B】図4Bは、電力供給部の出力電圧のAC成分を操作する第2のフィードバックループに関する別の種々の実施形態の別の実施形態を示す。
【図5A】図5Aは、本教示の実施形態を実施するために行なわれるステップに関するフロー図を示す。
【図5B】図5Bは、図5Aのステップ600において実行されるステップのより詳細なフロー図を示す。
【図5C】図5Cは、図5Aのステップ630において実行されるステップのより詳細なフロー図を示す。
【図5D】図5Dは、図5Aのステップ660において実行されるステップのより詳細なフロー図を示す。
【図6】図6は、本教示の種々の実施形態に従う、飛行時間型質量分析計システムのイオン源に関するブロック図を示す。
【図7A】図7A〜図7Bは、本教示の種々の実施形態に従う、種々の質量分析計システムに関するブロック図を示す。
【図7B】図7A〜図7Bは、本教示の種々の実施形態に従う、種々の質量分析計システムに関するブロック図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析器のためのイオン源であって、
第1の電極と、
第1の電極から離間する第2の電極と、
該第1の電極および該第2の電極のうちの1つ以上に電気的に連結される電源であって、該電源は、
該第1の電極および該第2の電極のうちの少なくとも1つに、スイッチを介して連結される少なくとも1つの出力ノードを有する電力供給回路であって、該第1の電極または該第2の電極のうちの少なくとも1つに電位を供給し、既定の時間に電場を確立する、電力供給回路と、
該電力供給部に供給される出力電圧のDC成分およびAC成分に応答するフィードバック回路であって、(a)該電力供給部に関連付けられるコンデンサから該第1の電極および該第2の電極のうちの少なくとも1つへの電荷移動前の該出力電圧の値と、(b)該電力供給部に関連付けられる該コンデンサから該第1の電極および該第2の電極のうちの少なくとも1つへの該電荷移動中の該出力電圧の値と、(c)該電力供給部に関連付けられる該コンデンサから試料支持部または該第1の電極のうちの少なくとも1つへの該電荷移動の後の該出力電圧の値とのうちの少なくとも1つを表すフィードバック信号を、該フィードバック回路の出力ノードにおいて生成する、フィードバック回路と
を備える、電源と
を備える、イオン源。
【請求項2】
前記電源は、前記フィードバック信号に応答して前記出力電圧の前記値を調整する、請求項1に記載のイオン源。
【請求項3】
前記フィードバック回路は、
前記第1の信号および前記第2の信号を加算して加算信号を生成する加算回路と、
該加算信号および前記基準信号間の差異を決定して前記フィードバック信号を生成する差分回路と
を備える、請求項1に記載のイオン源。
【請求項4】
前記フィードバック回路は、
前記電力供給部によって前記供給される電圧の前記DC成分をフィルタリングする第1のフィルタ回路と、
該電力供給部によって該供給される電圧の前記AC成分をフィルタリングする第2のフィルタ回路と
をさらに備える、請求項3に記載のイオン源。
【請求項5】
前記フィードバック回路は、
前記電力供給部によって前記供給される電圧の前記DC成分を第1の値によって分割する第1の分割回路と、
該電力供給部によって該供給される電圧の前記AC成分を第2の値によって分割する第2の分割回路と
をさらに備える、請求項4に記載のイオン源。
【請求項6】
前記フィードバック回路は、
前記電力供給部によって前記供給される電圧の前記AC成分に基づいて整流される出力を生成する信号調整回路
をさらに備える、請求項5に記載のイオン源。
【請求項7】
前記フィードバック回路は、
前記信号調整回路の前記整流出力を第3の値によって分割する第3の分割回路
をさらに備える、請求項6に記載のイオン源。
【請求項8】
前記第1の分割回路のための前記第1の値は、前記第2の分割回路のための前記第2値と、前記第3の分割回路のための前記第3の値との合成に実質的に等しい、請求項7に記載のイオン源。
【請求項9】
前記電源は、約5,000ボルトから約30,000ボルトの間の範囲の電圧を質量分析計に供給可能である高圧電力供給回路である、請求項1に記載のイオン源。
【請求項10】
前記第1の電極は、MALDI試料支持部を備える、請求項1に記載のイオン源。
【請求項11】
前記イオン源は、直交TOF器の仮想イオン源であり、前記第1の電極および前記第2の電極は、第1の軌道から、該第1の軌道に垂直な第2の軌道であって、TOF領域を通過する第2の軌道へと既定の時間にイオンを偏向するように構成される、請求項1に記載のイオン源。
【請求項12】
前記イオン源は、衝突セルの出口を備え、前記第1の電極および第2の電極は、該衝突セルからイオンを引き出すように構成される、請求項1に記載のイオン源。
【請求項13】
質量分析計において、少なくとも第1の電極および第2の電極を有するイオン源またはイオン相互作用領域に連結される電力供給回路の出力を調節するための方法であって、該方法は、
該電力供給回路の該出力から、第1のフィードバック信号を受信するステップと、
該電力供給回路の該出力のリップル成分から第2のフィードバック信号を受信するステップと、
該第1のフィードバック信号および該第2のフィードバック信号を加算して、加算信号を生成するステップと、
基準信号および該加算信号間の差異を決定するステップと、
該加算信号および該基準信号間の該差異に基づいて、誤差信号を生成するステップと
を包含し、
該電力供給回路は、該誤差信号に応答して該イオン源の該少なくとも1つの電極に印加される該電圧を調節する、
方法。
【請求項14】
前記誤差信号を生成するステップは、
第1の値に従い、前記第1のフィードバック信号を分割するステップと、
第2の値に従い、前記第2のフィードバック信号を分割するステップと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記誤差信号を生成するステップは、前記第2のフィードバック信号を調整して整流信号を生成するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記誤差信号を生成するステップは、第3の値に従い、前記整流信号を分割するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のフィードバック信号をフィルタリングするステップと、
前記第2のフィードバック信号をフィルタリングするステップと
をさらに包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
質量分析計のための電力供給部のフィードバック回路であって、
電力供給回路の出力のDC成分を表す第1の信号を生成するように構成される第1のフィードバックループと、
該電力供給回路の該出力のAC成分を表す第2の信号を生成するように構成される第2のフィードバックループと、
該第1の信号、該第2の信号および基準信号に基づき、誤差信号を生成するように構成される制御増幅器と
を備える、フィードバック回路。
【請求項19】
前記誤差検出回路は、
前記第1の信号および前記第2の信号を加算して加算信号を生成するように構成される加算回路と、
前記基準信号および該加算信号間の差異を決定するように構成される差分回路と
を備える、請求項18に記載のフィードバック回路。
【請求項20】
前記第1のフィードバックループは、前記第1の信号をフィルタリングするように構成される第1のフィルタ回路を備える、請求項18に記載のフィードバック回路。
【請求項21】
前記第2のフィードバックループは、前記第2の信号をフィルタリングするための第2のフィルタ回路を備える、請求項18に記載のフィードバック回路。
【請求項22】
前記第1のフィードバックループは、前記第1の信号を第1の値で分割するための第1の分割回路を備える、請求項18に記載のフィードバック回路。
【請求項23】
前記第2のフィードバックループは、前記第2の信号を第2の値で分割するための第2の分割回路を備える、請求項18に記載のフィードバック回路。
【請求項24】
前記第2のフィードバックループは、前記電力供給回路の出力の前記AC成分に基づいて、整流信号を生成するための調整回路を備える、請求項18に記載のフィードバック回路。
【請求項25】
前記第2のフィードバックループは、前記整流信号を分割するための第3の分割回路をさらに備える、請求項23に記載のフィードバック回路。
【請求項26】
前記質量分析計は、MALDI−TOF、TOF−TOF、または直交TOF器のうちの1つ以上を備える、請求項18に記載のフィードバック回路。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2009−536443(P2009−536443A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510088(P2009−510088)
【出願日】平成19年5月4日(2007.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/068200
【国際公開番号】WO2007/131146
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(500069057)アプライド バイオシステムズ インコーポレイテッド (120)
【出願人】(508139273)エムディーエス サイエックス, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】