説明

ACE阻害薬の合成における新規な医薬中間体及びその使用

一般式(I)(式中、R1はアリール又はアルキルであり;R2はアルキルであり;R3はアルキル又はアラルキルである)の化合物は、有用な医薬中間体であり、一般式(IV)(式中、R1及びR2は前記のとおりである)の化合物を、一般式(VI)(式中、Xはハロゲン又はブチルオキシカルボニルオキシ基であり;R3は前記のとおりである)の化合物少なくとも2モル当量と反応させることによって調製される。一般式(II)(式中、R1及びR2は前記のとおりである)の公知の化合物は、一般式(I)の化合物を塩化チオニルと反応させることによって調製される。一般式(I)の化合物は、薬学上活性な成分の合成、特に、ACE阻害薬、例えば、エナラプリル、ペリンドプリル又はラミプリルの調製において有用な新規の中間体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な医薬中間体及びその使用に関する。さらに詳述すれば、本発明は、医薬品の製造、特に、ACE阻害薬の合成において有用な新規な中間体、その製法及び前記中間体の薬学上活性な成分、特に、ACE阻害薬への転化法に関する。
【0002】
本発明の第1の態様によれば、一般式(I)
【化1】

(式中、
R1はアリール又はアルキルであり;
R2はアルキルであり;
及びR3はアルキル又はアラルキルである)
の化合物が提供される。
【0003】
本発明の他の態様によれば、一般式(I)(式中、R1、R2及びR3の意義は前記のとおりである)の化合物を製造する方法であって、一般式(IV)
【化2】

(式中、R1及びR2の意義は前記のとおりである)の化合物を、反応媒体として有機溶媒中、酸結合剤の存在下において、一般式(VI)
XCOOR3
(式中、Xはハロゲン又は第3級ブトキシカルボニルオキシ部分であり;R3の意義は前記のとおりである)の化合物少なくとも2モル当量と反応させることを含んでなる製法が提供される。
【0004】
本発明のさらに他の態様によれば、一般式(II)
【化3】

(式中、R1及びR2の意義は前記のとおりである)の化合物を製造する方法であって、一般式(I)(式中、R1、R2及びR3の意義は前記のとおりである)の化合物を、有機溶媒中、塩化チオニルと反応させることを含んでなる一般式(II)の化合物の製法が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、一般式(II)(式中、R1及びR2の意義は前記のとおりである)の化合物を製造する方法であって、一般式(IV)(式中、R1及びR2の意義は前記のとおりである)を、有機溶媒中、酸結合剤の存在下、一般式(VI)(式中、R3及びXの意義は前記のとおりである)の化合物少なくとも2モル当量と反応させ、その後、このようにして得られた一般式(I)の化合物を、有機溶媒中、塩化チオニルと反応させることを含んでなる一般式(II)の化合物の製法が提供される。
【0005】
本発明の他の態様によれば、一般式(III)
【化4】

(式中、
R1はアリール又はアルキルであり;
R2はアルキルであり;
R4は任意に置換されたアルキルであり;
R5は水素又はアルキルであり;又は
R4、R5及び式(III)においてR4、R5が結合する炭素及び窒素原子によって構成される式(VII)
【化5】

の基が、下記の表1の基(A)、基(B)、基(C)、基(D)、基(E)、基(F)、基(G)、基(H)、基(I)又は基(J)から選ばれるものであり;及び
R6は水素、アルキル又はアラルキルである)
の化合物を製造する方法であって、上述のように調製した一般式(II)(式中、R1及びR2の意義は前記のとおりである)の化合物を、一般式(VIII)
【化6】

(式中、
R4は任意に置換されたアルキルであり;
R5は水素又はアルキルであり;又は
R4及びR5は一緒になって、表1の基(A)、基(B)、基(C)、基(D)、基(E)、基(F)、基(G)、基(H)、基(I)又は基(J)から選ばれる基を形成し;及び
R6は水素、アラルキル又はアルキルである)
の化合物又はその塩と反応させ、及び、必要であれば、その後、R6を除去することを含んでなる製法が提供される。
【表1】

【0006】
さらに他の本発明の態様によれば、一般式(III)(式中、R1がフェニルであり;R2がエチルであり;R6が水素であり;及び一般式(III)における式(VII)の基が、表1の基(C)である)の化合物(ラミプリル)の製法であって、上述のように調製した一般式(II)(式中、R1及びR2の意義は前記のとおりである)の化合物を、(S,S,S)-2-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-カルボン酸ベンジルエステル又はその塩、好ましくは、塩酸塩と反応させ、及びその後、接触水素化によってベンジル基を除去することを含んでなる製法が提供される。
【0007】
本発明のさらに他の態様によれば、ラミプリルの製法であって、上記の方法に従って調製された一般式(II)(式中、R1がフェニルであり;及びR2がエチルである)の化合物を、(S,S,S)-2-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-3-カルボン酸と反応させることを含んでなる製法が提供される。
【0008】
さらに他の本発明の態様によれば、一般式(III)(式中、R1がメチルであり;R2がエチルであり;R6が水素であり;及び一般式(III)における式(VII)の基が、表1の基(B)である)の化合物(ペリンドプリル)又は第3級ブチルアミンとの塩の製法であって、上述の方法に従って調製した一般式(II)(式中、R1がメチルであり;及びR2がエチルである)の化合物を、(S,S,S)-ペルヒドロインドール-2-カルボン酸ベンジルエステル又はその塩、好ましくは、トシレートと反応させ、その後、接触水素化によってベンジル基を除去し、及び続いて、このようにして得られた生成物ペリンドプリルを、第3級ブチルアミンにて形成される塩に転化することを含んでなる製法が提供される。
【0009】
本発明のさらに他の態様によれば、ペリンドプリル又はその第3級ブチルアンモニウム塩の製法であって、上記の方法に従って調製された一般式(II)(式中、R1がメチルであり;及びR2がエチルである)の化合物を、(S,S,S)-ペルヒドロインドール-2-カルボン酸と反応させ、及び生成物ペリンドプリルを、その第3級ブチルアミン塩に転化することを含んでなる製法が提供される。
【背景技術】
【0010】
オキサゾリジンジオンタイプの化合物は、N-エトキシカルボニル-グリシンを塩化チオニルと反応させ、及び塩化アシル中間体を85℃で加熱して、対応する環状無水物とすることによって、初めて調製された(Leuchs, Chem. Ber., 39, 1906, 858)。この反応は、図1の反応スキーム1によって説明される。
【0011】
一般式(II)の化合物に調製については、当分野において知られているいくつかの方法が存在する。通常、原料化合物として、一般式(IV)のアミノ酸が使用される。
【0012】
一般式(II)のオキサゾリジンジオンは、一般式(IV)のアミノ酸及びホスゲン誘導体の反応によって調製される。反応性生物は、しばしば、単離されないが、その形成については、述べられていない場合でも、前記中間体は、直ちに、その場で、ペプチドカップリング反応において反応されている。同様に、N-[1-(S)-エトキシカルボニル-3-フェニルプロピル]-4-(S)-メチル-オキサゾリジン-2,5-ジオン(一般式(II)において、R1がフェニルであり、R2がエチルである化合物)の調製を目的とする第1の方法において、N-[1-(S)-エトキシカルボニル-3-フェニルプロピル]-L-アラニン(一般式(IV)において、R1がフェニルであり、R2がエチルである化合物)及びN,N'-カルボニル-ジイミダゾールの混合物を、窒素雰囲気中で、15分間還流し、このようにして得られた溶液を、続く反応工程において、直接使用する(Jerry W. Skiles, Raymond D. Youssefyeh, John T. Suh, Howard Jones, EP 61768(1982年3月29日))。この方法は、図2の反応スキーム2によって説明される。
【0013】
一般式(II)のオキサゾリジンジオンは、他の著者によって、N,N'-カルボニル-ジイミダゾールを使用することによって、同様にして調製され、単離され、及び特徴付けられている(Oudenes, Jany Schleicher, Richard Henry, ES 2004804(1989年2月1日);Marjo Mrslavic, Janja Crinski, US 5,359,086(1993年9月16日))。
【0014】
当分野において周知慣用の方法によれば、一般式(II)のオキサゾリジンジオンは、一般式(IV)のアミノ酸及びホスゲンを反応させることによって調製される(Fu-chih Huang, Howard Jones, Clara J. Lin, Bernard Loev, EP 114067(1983年1月12日);Raymond D. Youssefyeh, Jerry W. Skiles, John T. Suh, Howard Jones, US 4,686,295(1983年3月7日);Satomi TAKAHASHI, Kenji INOUE, Yoshifumi YANAGIDA, Takehisa OHASHI, Kiyoshi WATANABE, EP 215335(1986年8月23日))。
【0015】
他の公知の方法は、一般式(II)のオキサゾリジンジオンの調製のため、更なるホスゲン誘導体として、トリクロロメチルクロロホルメートを使用する(Satomi TAKAHASHI, Kenji INOUE, Takehisa OHASHI, Kiyoshi WATANABE, US 4,716,235(1987年12月29日))。
【0016】
さらに他の公知の方法によれば、ホスゲンの代わりに、より毒性の少ないトリホスゲンが使用されている(Pau Cid, EP 1279665(2002年7月23日))。
【0017】
他の公知の方法によれば、一般式(IV)の化合物は、式(V)
【化7】

のN-アルコキシ(アラルコキシ)-カルボニル誘導体に転化され、前記誘導体は、一般式(II)の化合物の調製に使用される。
【0018】
ヨーロッパ特許第1,197,490号(発明者:Chong-Ming Chen, Yu-Liang Liu, Ya-Chieh Chai, Chien-Huang Wu;出願日:2001年5月15日)には、ジクロロエタン中における、一般式(IV)(式中、R1はフェニルであり、R2はエチルである)のアミノ酸と、エチルクロロホルメート1.2モル当量との間の反応が開示されており、このようにして形成された一般式(V)(式中、R1はフェニルであり、R2及びR3は、それぞれ、エチルである)の化合物を、カルボキシル基活性化剤、例えば、塩化チオニル、塩化アセチル又は無水酢酸と反応させて、対応する一般式(II)のオキサゾリジンジオンを生成する。この方法は、図3の反応スキーム3によって説明される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
研究では、発明者らは、一般式(II)の環状無水物を調製することを目的としていた。一般式(IV)の化合物を出発原料とし、一般式(V)の中間体を経由する反応スキーム4を図4に記載する。
【0020】
ヨーロッパ特許第1,197,490号の方法を実施し、クロマトグラフィーによって反応をモニターする際、一般式(VI)の化合物をわずかにのみ過剰のモル量で使用する場合には、一般式(IV)の原料物質は極めてゆっくりと消費され、一般式(V)に対応する所望の生成物が、同様にゆっくりと形成され、クロマトグラフ分析によれば、原料物質が反応に使い果たされた後、一般式(V)の所望の生成物以外に、副生物は存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、一般式(VI)の化合物を、一般式(IV)の化合物の量について少なくとも2モル当量で使用する場合には、反応は迅速に進行し、均質な生成物を形成し、単離したところ、当該生成物は、一般式(I)(式中、R1はアルキル又はアリールであり;R2はアルキルであり;及びR3はアルキル又はアラルキルである)の化合物であると同定されたとの驚くべき知見に基づくものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
一般式(I)の化合物と同様のアミノ酸の混合無水物は、従来技術から知られている。前記化合物は、通常、N-アルコキシ(アラルコキシ)-カルボニルアミノ酸(一般的調製法については、Org. Synth. Vol. 63, 160-168, Ed. Wiley, 1985参照)を出発原料として、有機溶媒中、Nメチルモルホリンの存在下において、アルキル又はアラルキルクロロホルメート1モル当量を−20℃で添加することによって調製される。このような混合無水物は、2つの同一のアルコキシ(アラルコキシ)-カルボニル基を有しうるが、多くの場合、2つの基は相違するものである。従来技術の教示によれば、このような混合無水物の調製の目的は、続く反応、例えば、ペプチドを生成するためのカップリング反応(D. Jukicら, Eur. J. Med. Chem. 1991, 921)、鎖延長(J. Cooperら, J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 1991, 705)、アシル誘導体、例えば、チオールエステル又はアミドの合成(R. A. Breitenmoserら, Helvetica. Chem. Acta 2001, 786; B. Garriguesら, Tetr. Lett. 1986, 1685)及びアルコールを生成するカルボキシル基のヒドロキシメチル基への還元(V. Constantinou-Kokotou, Org. Prep. Proced. Int. 1999, 237; V. Caplarら, Croatica Chim. Acta 2003, 23)において、カルボキシル基の反応性を増大することにある。
【0023】
一般式(I)の化合物と同様の化合物のオキサゾリジンジオンへの転化法を教示する従来技術は存在しない。
【0024】
本発明の基礎となる驚くべき他の知見は、一般式(II)のオキサゾリジンジオンが、一般式(I)の化合物と塩化チオニルとの反応において形成されることである。前記方法は、一般式(II)の化合物の工業的規模での合成についての優秀な可能性を提供するものである。すなわち、一般式(I)の新規な中間体は、迅速な反応において生成され、高度に純粋かつ均質な生成物の形で得られ、極めて高純度で単離される。一般式(I)の化合物の対応する一般式(II)のオキサゾリジンジオンへの転化は、工業的規模で、容易かつ簡単に実行される。
【0025】
一般式(II)のオキサゾリジンジオンは、重要な中間体であり、一般式(III)の化合物の調製において有用である。
【0026】
一般式(III)において、R1はアリール又はアルキルであり、R2はアルキルであり、R4は任意に置換されたアルキルであり、R5は水素又はアルキルであり、又はR4、R5及び式(III)においてR4、R5が結合する炭素及び窒素原子によって構成される式(VII)の基は、表1の基(A)、基(B)、基(C)、基(D)、基(E)、基(F)、基(G)、基(H)、基(I)又は基(J)から選ばれるものであり、及びR6は、水素、アルキル又はアラルキルである。
【0027】
一般式(III)の化合物の中には、いくつかの重要な降圧剤、例えば、ラミプリル、ペリンドプリル及びエナラプリルが存在する。
【0028】
本明細書において使用する用語の意義については、下記のとおりである。
【0029】
用語「アルキル」は、炭素数1〜6、好ましくは、1〜4の、直鎖又は分枝状、飽和、脂肪族炭化水素基、例えば、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、第3級ブチル、等を表す。
【0030】
用語「アリール」は、1以上の芳香環(1以上の同一又は異なる置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、等によって置換されていてもよい)を含んでなる芳香族炭化水素基を表す。
【0031】
用語「アラルキル」は、1以上のアリール基によって置換されたアルキル、例えば、ベンジル、フェニルエチル、β,β'-ジフェニルエチル、等を表す。
【0032】
一般式(I)の化合物の好適な代表は、R1がフェニルであり、R2及びR3が、それぞれ、エチルである化合物であり、該化合物は、国際一般的名称(INN)ラミプリルとして知られている抗高血圧薬の合成において有用な貴重な中間体である。
【0033】
一般式(I)の化合物の第2の好適な代表は、R1がメチルであり、R2及びR3が、それぞれ、エチルである化合物であり、該化合物は、国際一般的名称(INN)ペリンドプリルとして知られている抗高血圧薬の合成において有用な貴重な中間体である。
【0034】
一般式(I)の化合物は、一般式(IV)の化合物を、有機溶媒中、酸結合剤の存在下において、一般式(VI)の化合物少なくとも2モル当量と反応させることによって調製される。反応では、一般式(VI)の化合物は、一般式(IV)の原料化合物について2〜3モル当量、好ましくは、2.2モル当量の量で有利に使用される。
【0035】
有機溶媒としては、好ましくは、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジクロロメタン又はアセトン、特に有利には、アセトンが使用される。
【0036】
酸結合剤としては、有機アミン(例えば、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン)又は無機塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)が使用される。特に有利には、トリエチルアミンが使用される。
【0037】
一般式(VI)の原料化合物において、Xは、好ましくは、塩素である。一般式(VI)の化合物において、R3は、好ましくは、エチルである。
【0038】
反応は、ほぼ室温において、容易に行われる。反応時間は短く、通常、約1時間である。
【0039】
本発明によれば、一般式(I)の化合物は、有機溶媒中、塩化チオニルでの処理によって、一般式(II)の対応する化合物に転化される。
【0040】
塩化チオニルは、一般式(I)の化合物と等モル量で使用されるか、又は一般式(I)の化合物のモル量に対して1.5〜2.5モル過剰量で使用される。
【0041】
方法の好適な具体例によれば、一般式(I)(式中、R1はフェニルであり;及びR2及びR3は、共に、エチルである)の化合物が使用される。この場合、ラミプリルの合成において有用な一般式(II)の化合物が得られる。
【0042】
方法の他の好適な具体例では、一般式(I)(式中、R1はメチルであり;及びR2及びR3は、それぞれ、エチルである)の化合物が使用される。この場合、ペリンドプリルの合成において有用な一般式(II)の化合物が得られる。
【0043】
方法では、非プロトン性溶媒の群から選ばれる有機溶媒、好ましくは、ジクロロメタンが使用される。
【0044】
反応は、低温においても、容易に進行する。前記反応は、約5℃〜ほぼ室温において行われる。反応時間は数時間である。
【0045】
上述の方法の利点は、一般式(I)の中間体が、均質、高純度の生成物の形で得られ、この一般式(I)の化合物の一般式(II)の化合物への転化が、簡単な方法によって、工業的規模において容易に実行可能な様式で実施されるとの点にある。
【0046】
上述の方法に従って調製された一般式(II)の化合物は、当分野で公知の方法によって、最終生成物に転化される。
【0047】
本発明のさらに他の態様によれば、一般式(III)
(式中、
R1はアリール又はアルキルであり;
R2はアルキルであり;
R4は任意に置換されたアルキルであり;
R5は水素又はアルキルであり;又は
R4、R5及び式(III)においてR4、R5が結合する炭素及び窒素原子によって構成される式(VII)の基が、表1の基(A)、基(B)、基(C)、基(D)、基(E)、基(F)、基(G)、基(H)、基(I)又は基(J)から選ばれるものであり;及び
R6は、水素、アルキル又はアラルキルである)
の化合物の製法であって、上述の方法に従って調製した一般式(II)(式中、R1及びR2の意義は前記のとおりである)の化合物を、一般式(VIII)(式中、R4、R5及びR6の意義は前記のとおりである)の化合物又はその塩を反応させ;及び所望により、このようにして得られた一般式(III)においてR6がアルキル又はアラルキルであるエステルを、一般式(III)においてR6が水素であるカルボン酸に転化するか、又は所望により、上述のようにして得られた一般式(III)の化合物を、その塩に転化することを含んでなる製法が提供される。
【0048】
一般式(VIII)の化合物は、その塩、例えば、ハロゲン化水素塩(例えば、塩酸塩)又はアルキル又はアリールスルホネート(例えば、トシレート)として使用される。
【0049】
一般式(II)の化合物及び一般式(VIII)の化合物の反応は、当分野で公知の方法に従って実施される。
【0050】
エステル(R6がアルキル又はアラルキルである)の対応するカルボン酸(R6が水素である)への転化は、前記カルボン酸の塩形成と同様に、当分野で公知の方法に従って実施される。
【0051】
本発明の上記の態様は、特に好適には、一般式(III)において、R1がフェニルであり、R2がエチルであり、R6が水素であり、式(VII)の基が、表1における環システム(A)(エナラプリル)、(B)(トランドラプリル)、(C)(ラミプリル)又は(E)(キナプリル)である化合物の調製に使用される。
【0052】
上記方法の同様の好適な利用は、一般式(III)において、R1がメチルであり、R2がエチルであり、R6が水素であり、及び式(VII)の基が、表1における環システム(B)の一部である化合物(ペリンドプリル)の調製での使用である。
【0053】
本発明のさらに他の態様によれば、ラミプリルの製法であって、上記のようにして調製した、一般式(II)において、R1がフェニルであり、R2がエチルである化合物を、(S,S,S)-2-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-3-カルボン酸ベンジルエステル又はその塩、好ましくは、塩酸塩と反応させ、及び続いて、接触水素化によってベンジル基を除去することを含んでなる製法が提供される。
【0054】
本発明のさらに他の態様によれば、ペリンドプリルの製法であって、上記のようにして調製した、一般式(II)において、R1がメチルであり、R2がエチルである化合物を、(S,S,S)-ペルヒドロインドール-2-カルボン酸ベンジルエステル又はその塩、好ましくは、塩酸塩と反応させ、及び続いて、接触水素化によってベンジル基を除去することを含んでなる製法が提供される。
【0055】
反応は、有機溶媒及び酸結合剤を使用して、当分野で公知の様式で行われる。有機溶媒としては、酢酸エチルが有利に使用される。
【0056】
好適な酸結合剤には、有機塩基、例えば、トリエチルアミン、又は無機塩、例えば、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムが含まれる。
【0057】
反応は、約5〜約10℃において行われる。反応時間は、通常、数時間である。
【0058】
ベンジル基は、接触水素化によって、生成物から除去される。好適な触媒としては、貴金属が含まれる。好ましくは、パラジウム又は白金、特に好ましくは、パラジウムが使用される。
【0059】
反応媒体として、極性の有機溶媒、好ましくは、エタノールが使用される。
【0060】
本発明によれば、ラミプリルを調製するための別法であって、一般式(II)において、R1がフェニルであり、R2がエチルである化合物を、(S,S,S)-2-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-3-カルボン酸と反応させることを含んでなる製法が提供される。
【0061】
同様に、一般式(II)において、R1がメチルであり、R2がエチルである化合物を、(S,S,S)-ペルヒドロインドール-2-カルボン酸と反応させことによって、ペリンドプリルを調製できる。
【0062】
カップリング反応は、好ましくは、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、反応混合物を数時間還流することによって実施される。
【0063】
上述の方法の利点は、一般式(I)の中間体化合物が、高純度の均質な生成物として得られ、前記一般式(I)の化合物の一般式(II)の化合物への転化が、簡単な方法で、工業的規模において、容易に実現可能な様式で実施される点にある。
【0064】
本発明の更なる詳細については、下記の実施例において見られるであろう。ただし、本発明の範囲は実施例に限定されない。
【実施例1】
【0065】
エチル2-(S)-{N-エトキシカルボニル-N-[1-(S)-(エトキシカルボニルオキシカルボニル)-エチル]-アミノ}-4-フェニルブチレート
N-[1-(S)-エトキシカルボニル-3-フェニルプロピル]-L-アラニン2.79g(0.01モル)をアセトン25ml中に懸濁し、これに、トリエチルアミン2.02g(2.8ml;0.02モル)を添加した。全ての原料物質が完全に溶解するまで反応混合物を撹拌した。温度を10〜20℃に維持しながら、反応混合物に、エチルクロロホルメート2.39g(2.1ml;0.022モル)を、一滴ずつ添加した。続いて、室温において、反応混合物を1時間撹拌した。撹拌後、反応混合物を冷却し、温度−2〜2℃において30分間撹拌した。結晶沈殿物を濾去し、濾液を蒸発によって濃縮した。生成物を、粘稠なオイルとして得た。
収量:4.20g(約100%)。
IR(cm-1):3063, 1827, 1742, 1710
1H-NMR(CDCl3):δ7.25(5H, m, ArH2-6), 4.55(1H, t, PhCH2CH2CH), 4.34(2H, q, J=7.0 Hz, OCH2CH3), 4.30-4.05(5H, m, Alaα-H, 2×OCH2CH3), 2.85-2.75(2H, m, PhCH2), 2.35-2.20(1H, m, PhCH2CH2), 2.20-1.95(1H, m, PhCH2CH2), 1.55(3H, d, J=7.0 Hz, Ala-CH3), 1.35(3H, t, J=7.0 Hz, OCH2CH3), 1.27(6H, t, J=7.3 Hz, 2×CH3) ppm
元素分析C21H29NO8(423.47)
計算値 C 59.56, H 6.90, N 3.31%
測定値 C 59.16, H 6.81, N 3.41%
【実施例2】
【0066】
N-[1-(S)-エトキシカルボニル-3-フェニルプロピル]-4-(S)-メチル-オキサゾリジン-2,5-ジオン
a)2-(S)-{N-エトキシカルボニル-N-[1-(S)-(エトキシカルボニルオキシカルボニル)-エチル]-アミノ}-4-フェニルブチレート4.23g(0.01モル)をジクロロメタン10ml中に溶解し、この溶液に、反応混合物の温度を5〜10℃に維持しながら、塩化チオニル1.93g(1.18 ml;0.0165モル)を一滴ずつ添加した。続いて、室温において、反応混合物を4.5〜5時間撹拌した。反応混合物から溶媒を蒸発させた。得られた褐色の粘稠なオイルをメチル-第3級ブチルエーテル3.5ml中に溶解し、温度−10〜−5℃において撹拌し、沈殿した結晶を濾過によって単離した(無色の結晶)。
収量:1.95g(64%)。
融点:67〜68℃
b)N-[1-(S)-エトキシカルボニル-3-フェニルプロピル]-L-アラニン2.79g(0.01モル)をアセトン25ml中に懸濁し、懸濁液に、トリエチルアミン2.02g(2.8ml;0.02モル)を添加した。全ての固体が完全に溶解するまで反応混合物を撹拌し、反応混合物の温度を10〜20℃に維持しながら、エチルクロロホルメート2.17g(1.9ml;0.02モル)を、一滴ずつ添加した。室温において、反応混合物を1時間撹拌した。続いて、反応混合物を冷却し、温度−2〜2℃において30分間撹拌した。結晶沈殿物を濾去し、濾液を蒸発乾固した。
オイル状残渣をジクロロメタン10ml中に溶解し、5℃に冷却し、反応混合物の温度を5〜10℃に維持しながら、塩化チオニル1.93g(1.18 ml;0.0165モル)を、一滴ずつ添加した。
続いて、室温において、反応混合物を4.5〜5時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、得られた褐色の粘稠なオイルを、メチル-第3級ブチルエーテル3.5mlと混合した。温度−10〜−5℃において、溶液を撹拌し、結晶性生成物を濾過によって単離した(無色の結晶)。
収量:1.95g(64%)
融点:67〜68℃
IR(cm-1):2980, 2930, 1845, 1770, 1725
1H-NMR(CDCl3):δ7.25(5H, m, ArH2-6), 4.40(1H, q, J=7.0 Hz, Alaα-H), 4.36 (1H, dd, J=5.0 Hz, PhCH2CH2CH), 4.23(2H, q, J=7.1 Hz, OCH2CH3), 2.80(2H, m, PhCH2), 2.50-2.40(1H, m, PhCH2CH2), 2.35-2.25(1H, m, PhCH2CH2), 1.54(3H, d, J=7.0 Hz, Ala-CH3), 1.28(3H, t, J=7.1 Hz, OCH2CH3) ppm
元素分析C16H19NO5(305.33)
計算値 C 62.94, H 6.27, N 4.59%
測定値 C 62.90, H 6.15, N 4.67%
【実施例3】
【0067】
(2S,3aS,6aS)-1-[(2S)-2-[[(1S)-1-(エトキシカルボニル)-3-フェニルプロピル]アミノ]-1-オキソプロピル]-オクタヒドロシクロペンタ[b]ピロール-2-カルボン酸(ラミプリル)
(S,S,S)-2-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-3-カルボン酸ベンジルエステル塩酸塩25.0g(0.0887モル)及びトリエチルアミン9.9g(13.5 ml;0.0975モル)を、酢酸エチル125 mlと混合した。得られた懸濁液に、反応温度を5〜10℃に維持しながら、N-[1-(S)-エトキシカルボニル-3-フェニルプロピル]-4-(S)-メチル-オキサゾリジン-2,5-ジオン32.5g(0.1065モル)の酢酸エチル(125 ml)溶液を一滴ずつ添加した。続いて、室温において、反応混合物を4時間撹拌した。
攪拌後、反応混合物を温度0〜5℃に冷却し、塩を濾去した。濾液を水(2×200 ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、溶媒を蒸発させて乾固した。得られた粗製のラミプリルベンジルエステルを、パラジウム/炭触媒を使用して、96(v/v)%エタノール(440 ml)中で水素化した。反応混合物を蒸発乾固し、蒸発残渣を、0〜5℃において、ジイソプロピルエーテル(260 ml)中で1時間撹拌し、生成物を濾取した。このようにして、粗製生成物32.2gを得た(87%)。
生成物を、ジエチルエーテル/ジイソプロピルエーテル混合物から再結晶して、精製した生成物27.3gを得た(74%)。
融点:107〜108℃
生成物のIR及び1H-NMRスペクトルは、米国薬局方認定対照基準のものと同一であった。
元素分析C23H32N2O5(416.53)
計算値 C 66.32, H 7.74, N 6.73%
測定値 C 66.37, H 7.75, N 6.64%
【実施例4】
【0068】
エチル2-(S)-{N-エトキシカルボニル-N-[1-(S)-(エトキシカルボニルオキシカルボニル)-エチル]-アミノ}-ペンタノエート
N-[1-(S)-エトキシカルボニル-ブチル]-L-アラニン2.17g(0.01モル)をアセトン25ml中に懸濁し、トリエチルアミン2.02g(2.8ml;0.02モル)を添加した。全ての固体が完全に溶解するまで反応混合物を撹拌し、反応混合物の温度を−5〜0℃に維持しながら、エチルクロロホルメート2.39g(2.1ml;0.022モル)を一滴ずつ添加した。室温において、反応混合物を1時間撹拌した。撹拌後、反応混合物を冷却し、温度−2〜2℃において30分間撹拌した。結晶沈殿物を濾去し、濾液を、真空下で蒸発乾固した。生成物を、粘稠なオイルとして得た(3.40g;94%))。
IR(cm-1):2981, 1827, 1742, 1712
1H-NMR(CDCl3):δ4.70(1H, t, CH3CH2CH2CH), 4.31(2H, q, J=7.0 Hz, OCH2CH3), 4.30(1H, q, J=7.0 Hz, Alaα-H), 4.24-4.10(4H, m, 2×OCH2CH3), 1.98-1.70(1H, m, CH3CH2CH2), 1.70-1.60(1H, m, CH3CH2CH2), 1.55(3H, d, J=7.0 Hz, Ala-CH3), 1.47-1.33(2H, m, CH3CH2CH2), 1.37(3H, t, J=7.0 Hz, OCH2CH3), 1.27(3H, t, J=7.3 Hz, OCH2CH3), 1.26(3H, t, J=7.3 Hz, OCH2CH3), 0.97(3H, t, J=7.3 Hz, CH3CH2CH2) ppm
元素分析C16H27NO8(361.40)
計算値 C 53.18, H 7.53, N 3.88%
測定値 C 52.90, H 7.47, N 4.03%
【実施例5】
【0069】
N-[1-(S)-エトキシカルボニル-ブチル]-4-(S)-メチル-オキサゾリジン-2,5-ジオン
a)2-(S)-{N-エトキシカルボニル-N-[1(S)-(エトキシカルボニルオキシ-カルボニル)-エチル]-アミノ}-ペンタノエート3.61g(0.01モル)をジクロロメタン10ml中に溶解し、反応混合物の温度を5〜10℃に維持しながら、塩化チオニル1.93g(1.18 ml;0.0165モル)を一滴ずつ添加した。続いて、室温において、反応混合物を2〜3時間撹拌した。撹拌後、反応混合物から溶媒を蒸発させた。蒸留残渣として、オイル状の生成物が得られた。
収量:1.95g(95%)
b)N-[1-(S)-エトキシカルボニル-ブチル]-L-アラニン2.17g(0.01モル)をアセトン25ml中に懸濁し、この懸濁液に、トリエチルアミン2.02g(2.8ml;0.02モル)を添加した。全ての固体が完全に溶解するまで懸濁液を撹拌し、反応温度を10〜20℃に維持しながら、エチルクロロホルメート2.17g(1.9ml;0.02モル)を一滴ずつ添加した。続いて、室温において、反応混合物を1時間撹拌し、冷却し、温度−2〜2℃において30分間撹拌した。結晶状の固体を濾去し、濾液を蒸発乾固した。
得られたオイル状残渣をジクロロメタン10ml中に溶解し、5℃に冷却し、反応混合物の温度を5〜10℃に維持しながら、塩化チオニル1.93g(1.18 ml;0.0165モル)を、一滴ずつ添加した。続いて、室温において、反応混合物を2〜3時間撹拌した。撹拌後、反応混合物から溶媒を蒸発させた。生成物を、オイルとして得た。
収量:2.31g(95%)
IR(cm-1):2980, 2966, 1852, 1780, 1739
1H-NMR(CDCl3):δ4.59(1H, q, J=7.0 Hz, Alaα-H), 4.48(1H, dd, J=5.7 Hz, CH3CH2CH2CH), 4.23(2H, q, J=7.1 Hz, OCH2CH3), 2.07-1.98(1H, m, CH3CH2CH2CH), 1.94-1.84(1H, m, CH3CH2CH2CH), 1.59(3H, d, J=7.0 Hz, Ala-CH3), 1.56-1.41(2H, m, CH3CH2CH2CH), 1.30(3H, t, J=7.1 Hz, OCH2CH3), 0.99(3H, t, J=7.4 Hz, CH3CH2CH2CH) ppm
元素分析C11H17NO5(243.265)
計算値 C 54.31, H 7.04, N 5.76%
測定値 C 53.74, H 7.15, N 5.70%
【実施例6】
【0070】
(2S,3aS,7aS)-1-[(2S)-2-[[(1S)-1-(エトキシカルボニル)ブチル]アミノ]-1-オキソプロピル]オクタヒドロ-1H-インドール-2-カルボン酸第3級ブチルアンモニウム塩(ペリンドプリルエルブミン)
a)(S,S,S)-1H-ペルヒドロインドール-2-カルボン酸4.72g(28ミリモル)を、テトラヒドロフラン37.5 ml中に懸濁し、懸濁液を0〜5℃に冷却した。懸濁液に、反応温度を0〜5℃に維持しながら、N-[1-(S)-エトキシカルボニル-ブチル]-4-(S)-メチル-オキサゾリジン-2,5-ジオン8.15g(33.5ミリモル)のテトラヒドロフラン(37.5 ml)溶液を一滴ずつ添加した。続いて、反応混合物を4時間撹拌還流した。
反応混合物を、真空下で蒸発させ、蒸発残渣を酢酸エチル120 ml中に溶解した。撹拌下、蒸発残渣の酢酸エチル溶液に、第3級ブチルアミン1.95g(2.8ml;27ミリモル)の酢酸エチル(60ml)溶液を、一滴ずつ添加した。得られた懸濁液を溶解するまで加熱し、活性炭で処理し、濾過し、連続して撹拌しながら、濾液を室温まで冷却させた。結晶性生成物を濾過した。
収量:6.76g(55%)
融点:149.0〜149.5℃
生成物のIR及び1H-NMRスペクトルは標準品のものと同一であった。
b)(S,S,S)-1H-ペルヒドロインドール-2-カルボン酸ベンジルエステルトシレート12.95g(0.03モル)及びトリエチルアミン9.10g(12.5 ml;0.09モル)の酢酸エチル(90ml)溶液に、室温において、N-[1-(S)-エトキシカルボニル-ブチル]-4-(S)-メチル-オキサゾリジン-2,5-ジオン8.76g(0.036モル)の酢酸エチル(90ml)溶液を一滴ずつ添加した。室温において、反応混合物を2時間撹拌した。攪拌後、反応混合物を、5(w/v)%炭酸水素ナトリウム水溶液150 mlと混合し、有機相を分離し、水(2×150 ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥し、活性炭で処理し、濾過し、蒸発乾固させた。
このようにして得られた粗製のペリンドプリルベンジルエステルをエタノール150 ml中に溶解し、パラジウム/炭触媒の存在下で水素化した。触媒を濾去し、溶媒を蒸発させ、蒸発残渣を酢酸エチル120 ml中に溶解した。この溶液に、撹拌しながら、第3級ブチルアミン2.19g(3.15 ml;0.03モル)の酢酸エチル(45ml)溶液を一滴ずつ添加した。結晶を濾取し、酢酸エチルからの再結晶によって精製した。このようにして結晶性生成物9.65gを得た(73%)。
融点:149.0〜149.5℃
生成物のIR及び1H-NMRスペクトルは標準品のものと同一であった。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】反応スキーム1を示す図である。
【図2】反応スキーム2を示す図である。
【図3】反応スキーム3を示す図である。
【図4】反応スキーム4を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、R1はアリール又はアルキルであり;R2はアルキルであり;及びR3はアルキル又はアラルキルである)の化合物。
【請求項2】
一般式(I)において、R1がフェニルであり、R2がエチルであり、及びR3がエチルである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
一般式(I)において、R1がメチルであり、R2がエチルであり、及びR3がエチルである請求項1記載の化合物。
【請求項4】
請求項1記載の一般式(I)(式中、R1、R2及びR3の意義は、請求項1における記載のとおりである)の化合物を製造する方法であって、一般式(IV)
【化2】

(式中、R1及びR2の意義は前記のとおりである)の化合物を、有機溶媒中、酸結合剤の存在下において、一般式(VI)
XCOOR3
(式中、Xはハロゲン又は第3級ブトキシカルボニルオキシ基であり;R3の意義は前記のとおりである)の化合物少なくとも2モル当量と反応させることを含んでなる一般式(I)の化合物の製法。
【請求項5】
一般式(IV)の化合物1モル当量を、一般式(VI)の化合物2〜3モル当量、好ましくは2.2モル当量と反応させる請求項4記載の製法。
【請求項6】
有機溶媒として、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジクロロメタン又はアセトンを使用する請求項4記載の製法。
【請求項7】
有機溶媒としてアセトンを使用する請求項6記載の製法。
【請求項8】
酸結合剤として、有機アミン又は無機塩を使用する請求項4記載の製法。
【請求項9】
有機アミンとして、トリエチルアミン、ピリジン又はモルホリン、無機塩として、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを使用する請求項8記載の製法。
【請求項10】
酸結合剤としてトリエチルアミンを使用する請求項9記載の製法。
【請求項11】
一般式(VI)において、Xが塩素であり、R3がエチルである化合物を使用する請求項4記載の製法。
【請求項12】
一般式(II)
【化3】

(式中、R1及びR2の意義は、請求項1に記載のとおりである)の化合物を製造する方法であって、一般式(I)(式中、R1、R2及びR3の意義は、請求項1に記載のとおりである)の化合物を、有機溶媒中、塩化チオニルと反応させることを含んでなる一般式(II)の化合物の製法。
【請求項13】
一般式(I)において、R1がフェニルであり、R2がエチルであり、及びR3がエチルである化合物を使用する請求項12記載の製法。
【請求項14】
一般式(I)において、R1がメチルであり、R2がエチルであり、及びR3がエチルである化合物を使用する請求項12記載の製法。
【請求項15】
有機溶媒として、非プロトン性溶媒を使用する請求項12〜14のいずれかに記載の製法。
【請求項16】
有機溶媒としてジクロロメタンを使用する請求項15記載の製法。
【請求項17】
一般式(II)(式中、R1及びR2の意義は、請求項1に記載のとおりである)の化合物を製造する方法であって、一般式(IV)(式中、R1及びR2の意義は前記のとおりである)の化合物を、有機溶媒中、酸結合剤の存在下において、一般式(VI)(式中、X及びR3の意義は前記のとおりである)の化合物少なくとも2モル当量と反応させ、その後、このようにして得られた一般式(I)の化合物を、有機溶媒中で、塩化チオニルと反応させることを含んでなる一般式(II)の化合物の製法。
【請求項18】
原料物質として、一般式(IV)において、R1がフェニルであり、R2がエチルである化合物を及び一般式(VI)において、R3がエチルであり、Xが塩素である化合物を使用する請求項17記載の製法。
【請求項19】
原料物質として、一般式(IV)において、R1がメチルであり、R2がエチルである化合物を及び一般式(VI)において、R3がエチルであり、Xが塩素である化合物を使用する請求項17記載の製法。
【請求項20】
一般式(IV)の化合物1モル当量を、一般式(VI)の化合物2〜3モル当量、好ましくは2モル当量と反応させる請求項17〜19のいずれかに記載の製法。
【請求項21】
酸結合剤として、有機アミン又は無機塩を使用する請求項17〜20のいずれかに記載の製法。
【請求項22】
有機アミンとして、トリエチルアミン、ピリジン又はモルホリンを使用する請求項21記載の製法。
【請求項23】
酸結合剤としてトリエチルアミンを使用する請求項22記載の製法。
【請求項24】
一般式(III)
【化4】

(式中、
R1はアリール又はアルキルであり;
R2はアルキルであり;
R4は任意に置換されたアルキルであり;
R5は水素又はアルキルであるか、又は
R4、R5及び式(III)においてR4、R5が結合する炭素及び窒素原子によって構成される式(VII)
【化5】

の基が、表1
【表1】

に示す基(A)、基(B)、基(C)、基(D)、基(E)、基(F)、基(G)、基(H)、基(I)又は基(J)から選ばれるものであり;及び
R6は水素、アルキル又はアラルキルである)
の化合物を製造する方法であって、請求項12又は17記載の方法に従って調製した一般式(II)(式中、R1及びR2の意義は前記のとおりである)の化合物を、一般式(VIII)
【化6】

(式中、R4、R5及びR6の意義は前記のとおりである)の化合物又はその塩を反応させ;及び所望により、このようにして得られた一般式(III)においてR6がアルキル又はアラルキルであるエステルを、一般式(III)においてR6が水素であるカルボン酸に転化するか、又は所望により、上述のようにして得られた一般式(III)の化合物を、その塩に転化することを含んでなる一般式(III)又はその塩の製法。
【請求項25】
一般式(III)(式中、R1がフェニルであり;R2がエチルであり;R6が水素であり;及び式(VII)の基が基(C)である)の化合物(ラミプリル)を製造する方法であって、請求項12又は17記載の方法に従って調製した一般式(II)(式中、R1及びR2の意義は前記のとおりである)の化合物を、(S,S,S)-2-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-3-カルボン酸ベンジルエステル又はその塩、好ましくは塩酸塩と反応させ;及び接触水素化によってベンジル基を除去することを含んでなる一般式(III)の化合物又はその塩の製法。
【請求項26】
一般式(III)(式中、R1がメチルであり;R2がエチルであり;R6が水素であり;及び式(VII)の基が基(B)である)の化合物(ペリンドプリル)を製造する方法であって、請求項12又は17記載の方法に従って調製した一般式(II)(式中、R1及びR2の意義は前記のとおりである)の化合物を、(S,S,S)-ペルヒドロインドール-2-カルボン酸ベンジルエステル又はその塩、好ましくは塩酸塩と反応させ;及び接触水素化によってベンジル基を除去することを含んでなる一般式(III)の化合物又はその塩の製法。
【請求項27】
ペリンドプリルを製造する方法であって、請求項12又は17記載の方法に従って調製した一般式(II)(式中、R1がメチルであり、R2がエチルである)の化合物を、(S,S,S)-ペルヒドロインドール-2-カルボン酸と反応させことを含んでなるペリンドプリルの化合物又はその塩の製法。
【請求項28】
ラミプリルを製造する方法であって、請求項12又は17記載の方法に従って調製した一般式(II)(式中、R1がフェニルであり;R2がエチルである)の化合物を、(S,S,S)-2-アザビシクロ[3.3.0]オクタン-3-カルボン酸と反応させることを含んでなるラミプリルの製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−536938(P2009−536938A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508514(P2009−508514)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【国際出願番号】PCT/HU2007/000039
【国際公開番号】WO2007/132277
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(507333074)
【Fターム(参考)】