説明

ADSLモデムおよびADSLモデム間におけるビットマップ最適化方法

【課題】回線が接続された状態で通信用途に合わせてビットマップ情報の最適化を図ることのできるADSLモデムおよびADSLモデム間におけるビットマップ最適化方法を得ること。
【解決手段】加入者側に設置されるADSLモデムとしてのATU−Rは、電話局側のATU−Cと回線が接続された状態で、端末からVoIP通信要求があると(ステップS201)、ビットマップ情報の切り替えをATU−Cに要求し(ステップS202)、切替準備の後に切替認証が返されると(ステップS204)、移行状態の後にATU−Cに切替通知を行って(ステップS206)、予めトレーニングの終了した所望のビットマップ情報を用いた通信に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非対称ディジタル加入者回線を使用して高速通信を行うADSLモデムおよびこれらのADSLモデム間におけるビットマップ最適化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の固定電話の加入者線としてのメタル回線を使用して高速通信を行う技術として、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)が普及している。ADSLモデムの回線接続における初期化手順では、加入者側に設置されるADSLモデムとしてのATU−R(ADSL Transceiver Unit)が、ハンドシェークを行うことで、電話局側に設置されるADSLモデムとしてのATU−C(ADSL Transceiver Unit)との通信を確立させる。そして、送受信機トレーニングフェーズに移って、自動利得制御や、自動等化器の調整を行うようになっている。
【0003】
送受信機トレーニングフェーズの次に、チャネル分析のフェーズに移行する。このチャネル分析のフェーズでは、ターゲットSNR(Signal to Noise Ratio:信号対雑音比)のマージンや、電話局側のATU−Cがサポートする搬送波に割り当てられる最大ビット数の分析、あるいはC−MEDLEYと定義される広帯域の擬似ランダム信号によってSNRの評価を行う。次に、チャネル分析によって得られた情報を基にして、交換フェーズでATU−RとATU−Cとの間で、各サブキャリアごとのビット割り当てとしてのビットマップを決定して、通信速度等の決定を行うようになっている。このようなトレーニングによって決定されたビットマップは、FEXT(Far End CrossTalk:遠端漏話)およびNEXT(Near End CrossTalk:近端漏話)のそれぞれについて1パターンのみとなっている。これは、ADSL回線キャリアによって設定されたSNRを満足するように決定されている。
【0004】
従来から、インターネットに対するアクセスを快適に提供するために、一般にSNRは比較的小さな値に設定され、通信レート自体を高く設定するようにしている。しかしながら、このようにSNRを犠牲にして通信レートを高く設定した通信環境では、ノイズに対する耐力が低くなる。したがって、インターネットプロトコルを使って音声データを伝送する通信技術としてのVoIP(Voice over Internet Protocol)の通信時には、音声が聞き取りにくくなったり、音声の途切れが発生しやすいという問題が生じる。
【0005】
このような問題を解決する1つの手法として、SNRをそれぞれのユーザの通信環境に合わせて最適化することが考えられている。SNRの最適化を行って、ISDN(Integrated Service Digital Network)によるADSLへの雑音の影響を緩和する第1の提案が行われている(たとえば特許文献1参照)。この第1の提案では、ISDNの送信タイミングに合わせて、時間的にビットマップの切り替えを行うようにしている。
【0006】
また、図示しないリピータの前後で、物理的にリピータによって分けられた回線網間を、各々の回線で設定されたSNRを最適化するようにビットマップを形成するようにする第2の提案も行われている(たとえば特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特表2002−532953(第0035段落、図5)
【特許文献2】特開2003−333210号公報(第0041段落、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これら第1および第2の提案のようにSNRを通信環境に合わせて最適化することができる。これにより、たとえばVoIP通信を行うときだけ、SNRを高く設定すれば、音声が聞き取りにくくなったり、音声の途切れが発生するといった、問題は発生しにくくなる。
【0009】
しかしながら、これら第1および第2の提案のように通信環境に合わせてSNRを最適化する手法を採用する場合、その都度、ADSL回線のリンクを切断し、新しく設定するFEXTおよびNEXTのビットマップについて再トレーニングを行う必要があった。このため、これらの提案をVoIPの通信に適用しようとすると、一度、接続された回線を切断して、しかもSNRを高く設定するためのビットマップについて再トレーニングを行う時間だけ待機して通信を開始させる必要が生じるという問題が生じた。
【0010】
以上、VoIP通信を行う場合を例に挙げて説明したが、複数端末のインターフェイスを有するADSLモデム側で、FEXTおよびNEXTのビットマップを別のものに切り替える場合には、回線の切断を一度行わなければならないという同様の問題が生じた。
【0011】
そこで本発明の目的は、回線が接続された状態で通信用途に合わせてビットマップ情報の最適化を図ることのできるADSLモデムおよびADSLモデム間におけるビットマップ最適化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のADSLモデムは、(イ)接続する回線間で予めトレーニングを行った各サブキャリアごとのビット割り当てとしてのビットマップ情報を複数種類格納する複数ビットマップ情報格納手段と、(ロ)この複数ビットマップ情報格納手段に格納された特定の種類のビットマップ情報を使用して回線を接続する回線接続手段と、(ハ)この回線接続手段によって回線を接続した状態で、使用するビットマップ情報についての切替要求が発生したとき、前記した複数ビットマップ情報格納手段に格納されている前記した複数種類のビットマップ情報の内容の通知を予め受けている回線の接続先のモデムに対して要求する切替要求送出手段と、(ニ)この切替要求送出手段の送出した切替要求に対して切り替えを可とする応答があったとき回線の接続を維持した状態でビットマップ情報の切り替えを行うビットマップ情報切替手段とを具備している。
【0013】
すなわち本発明では、接続する回線間で予めトレーニングを行った複数の種類のビットマップ情報を複数ビットマップ情報格納手段に格納するとともに、接続先のモデムに対してこれらの内容を通知しておき、そのうちの特定の種類のビットマップ情報を使用して回線を接続するようにしている。そして、回線接続手段によって回線を接続した状態で、使用するビットマップ情報についての切替要求が発生したときには、回線の接続先のモデムに対してビットマップ情報の切り替えを要求し、この切替要求に対して切り替えを可とする応答があったときには、回線の接続を維持した状態でビットマップ情報の切り替えを行うことにしている。このように、予めトレーニングを行ったビットマップ情報を用いてビットマップ情報の切り替えを行うので、回線を一度切断することなく、端末に適合したビットマップ情報への切り替えを行うことができる。
【0014】
また、本発明のADSLモデム間におけるビットマップ最適化方法では、(イ)接続する回線間で複数の種類の通信にそれぞれ個別に適するような各サブキャリアごとのビット割り当てとしてのビットマップ情報をトレーニングを行って予め決定する通信用途別ビットマップ情報決定ステップと、(ロ)この通信用途別ビットマップ情報決定ステップで決定された通信用途別ビットマップ情報を接続する回線の両端のADSLモデムにそれぞれ格納する通信用途別ビットマップ情報格納ステップと、(ハ)回線の両端のADSLモデムのうちの通信を行おうとするADSLモデムが通信用途別ビットマップ情報のうちの予め定めた特定の種類のビットマップ情報を使用して回線を接続する回線接続ステップと、(ニ)この回線接続ステップで回線が接続された状態で通信用途別ビットマップ情報格納ステップで格納された通信用途別ビットマップ情報のうちで前記した特定の種類のビットマップ情報以外のビットマップ情報の使用による通信の要求が、回線の両端のADSLモデムのいずれか一方で発生したとき、この要求に基づくビットマップ情報の切り替えを他方のADSLモデムに通知する切替要求通知ステップと、(ホ)この切替要求通知ステップで切替要求を通知されたADSLモデムが前記した特定の種類のビットマップ情報から通知を受けたビットマップ情報への切り替えの準備を行う切替準備ステップと、(へ)この切替準備ステップで切り替えの準備が完了したとき切替要求を通知されたADSLモデムから通知したADSLモデムに対して切り替えを認証するとともに自身を切り替えへの移行状態に移行させて切替認証を通知する切替認証通知ステップと、(ト)この切替認証通知ステップで切替認証を通知されたADSLモデムが切替先のビットマップ情報への移行状態に遷移する移行状態遷移ステップと、(チ)移行状態遷移ステップで切替先のビットマップ情報への移行状態に遷移したADSLモデムから前記した他方のADSLモデムに対してビットマップ情報の切り替えのタイミングを通知する切替タイミング通知ステップと、(リ)この切替タイミング通知ステップの通知時点から回線の両端のADSLモデムが新たなビットマップ情報に切り替えて通信を行う通信切替ステップとを具備している。
【0015】
すなわち本発明では、接続する回線間で複数の種類の通信にそれぞれ個別に適するような各サブキャリアごとのビット割り当てとしてのビットマップ情報をトレーニングを行って予め決定する通信用途別ビットマップ情報決定し、この決定された通信用途別ビットマップ情報を接続する回線の両端のADSLモデムにそれぞれ格納しておく。そして、回線の両端のADSLモデムのうちの通信を行おうとするADSLモデムが通信用途別ビットマップ情報のうちの予め定めた特定の種類のビットマップ情報を使用して回線を接続する。回線が接続された状態で、回線の両端のADSLモデムのいずれか一方で発生したとき、この要求に基づくビットマップ情報の切り替えを他方のADSLモデムに通知し、切替要求を通知されたADSLモデムに、前記した特定の種類のビットマップ情報から通知を受けたビットマップ情報への切り替えの準備を行わせる。そして、切り替えの準備が完了したときに切替要求を通知されたADSLモデムから通知したADSLモデムに対して切り替えを認証させるとともに、切り替えへの移行状態に移行させる。切替認証を通知された方のADSLモデムは、この段階で切替先のビットマップ情報への移行状態に遷移して、この後、両ADSLモデムの間でビットマップ情報を切り替える切り替えのタイミングを通知する。この通知時点から回線の両端のADSLモデムが新たなビットマップ情報に切り替えて通信を行うことになる。したがって、回線を切断することなく、通信用途に応じてビットマップ情報の切り替えが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、複数の種類の通信にそれぞれ個別に適するようなビットマップ情報をトレーニングを行って予め決定しておくので、回線を一度切断してトレーニングを行うといった処理を経ることなく、通信用途に合ったビットマップ情報に迅速に切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下実施例につき本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の一実施例における加入者側に設置されるADSLモデムとしてのATU−Rとその周辺を表わしたものである。ATU−R101は、スプリッタ102を介して、電話局側に設置されるADSLモデムとしてのATU−Cと電話回線103を介して接続されるようになっている。スプリッタ102は、音声(周波数で4.3kHz以下)とADSLデータ(30kHz以上)とを分離したり合成するためのもので、高周波側に接続された第1のケーブル104がATU−R101と接続されている。低周波側に接続された第2のケーブル105は、そのまま、直接、電話機等のアナログ端末106と接続されてもよいが、本実施例のATU−R101では第2のケーブル105を内部のアナログ端末(VoIP)インタフェース111に引き込んでいる。したがって、アナログ端末106は、ATU−R101内のアナログ端末インタフェース111とアナログ電話回線107によって接続されている。パーソナルコンピュータ等のデジタル端末108は、たとえばイーサネット(登録商標)等を用いたLAN(ローカルエリアネットワーク)ケーブル109を介して、ATU−R101内のデジタル端末インタフェース112と接続されている。
【0019】
ATU−R101は、これらアナログ端末インタフェース111、デジタル端末インタフェース112およびメモリ113、ならびにデジタル信号処理部114と接続された制御部115を備えている。ここで、アナログ端末インタフェース111は、電話機等のアナログ端末106とのインタフェース、アナログ端末106から送られてくる信号の符号化、アナログ電話回線107とVoIP通信との切り替えの制御を行うようになっている。デジタル端末インタフェース112は、イーサネット(登録商標)等を終端する。メモリ113は、所定の制御プログラムを格納する他に、トレーニングによって決定される複数のビットマップ情報を格納する複数ビットマップ記憶部116を、その一部のエリアに備えている。ここでビットマップ情報とは、各サブチャネルに割り当てられる送信ビットの数で表わされる擬似キャリアチャートである。
【0020】
制御部115は、メモリ113内の前記した制御プログラムを実行する図示しないCPU(中央処理装置)を備えており、これにより、ATU−R101内部の各機能モジュールを制御するようになっている。デジタル信号処理部114は、ADSLの逆フーリエ変換あるいはフーリエ変換等を行うようになっている。
【0021】
デジタル信号処理部114には、ADSL送信部117と、ADSL受信部118が接続されており、これらはハイブリッド部119を介してスプリッタ102と第1のケーブル104によって接続されている。ここで、ADSL送信部117は、デジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器とローパスフィルタ等の回路で構成されている。ADSL受信部118は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とハイパスフィルタ等の回路で構成されている。ハイブリッド部119は、4線−2線変換を行うようになっている。これは、宅内配線の部分が送信用に一対(2本)、受信用に一対(2本)の二対(4本)の4線式となっているのに対して、加入者と交換機の間はアナログ回線としての2線式の銅線を使用するため、全二重通信を行うことができず、2線−4線変換が行われるためである。
【0022】
本実施例のATU−R101は、インターネットへのアクセスを前提としたパーソナルコンピュータ等のデジタル端末108と、VoIP通信を目的としたアナログ端末106の2種類の端末を用途によって使い分けることにしている。ATU−R101では、電話局側に設置されるADSLモデムとしてのATU−Cと電話回線103の接続を行う前のトレーニングで、これらの用途別に2種類のビットマップ情報を形成し、これらを複数ビットマップ記憶部116に格納するようになっている。本実施例では、デジタル端末用の第1のビットマップ情報と、アナログ端末用の第2のビットマップ情報の2種類のビットマップ情報が複数ビットマップ記憶部116に格納されるようになっている。
【0023】
このうちの第1のビットマップ情報は、SNRを小さく設定して、より高い通信レートを確保するためのものである。第2のビットマップ情報は、第1のビットマップ情報と比較してSNRを大きく設定したもので、通信レートは第1のビットマップ情報を使用する場合のように高く設定することはできないものの、ノイズ耐力を確保することで、より安定した通信を提供可能となっている。
【0024】
ATU−R101側で形成された第1および第2のビットマップ情報は、複数ビットマップ記憶部116に格納されると同時に、電話局側に設置されるADSLモデムとしてのATU−Cにも、これらのビットマップ情報が通知される。ここで、ATU−R101とATU−Cの間で回線が接続される初期段階では、第1のビットマップ情報を用いるようになっている。
【0025】
図2は、複数ビットマップ記憶部に格納されたビットマップ情報を表わしたものである。ここでは、図1に示したパーソナルコンピュータ等のデジタル端末108に対しては、より高い通信レートを確保する第1のビットマップ情報が割り当てられており、電話機等のアナログ端末106に対してはノイズ耐力を確保できる第2のビットマップ情報が割り当てられている。これらのビットマップ情報は、主にISDN(Integrated Service Digital Network)の信号が存在する場合におけるFEXTと、主にISDNの信号がないときのNEXTについて、それぞれ形成されている。
【0026】
今、ATU−R101とATU−Cの間で、ATU−Cから最初に通知されたSNRを満足する第1のビットマップ情報を適用して回線が接続されているとする。この状態である時点にアナログ端末106からATU−R101がVoIP通信要求を受けたとする。
【0027】
図3は、この場合における図1に示したアナログ端末、ATU−RおよびATU−Cの処理の流れを示したものである。アナログ端末106からATU−R101に対してVoIP通信要求が送られてくると(ステップS201)、ATU−R101の制御部115はATU−Cに対してビットマップ切替要求を通知する(ステップS202)。
【0028】
ここで、ビットマップ切替要求をATU−R101から電話回線103を通じてATU−Cに通知する方法は幾つか存在する。たとえば、ADSLのオーバヘッド制御チャネル情報を拡張して通知してもよいし、特定サブキャリアの一部を予めATU−R101とATU−Cの間の情報チャネルとして割り当てておいて、この情報チャネルを使用してビットマップ切替要求に関する通知を行うようにしてもよい。
【0029】
ATU−CはATU−R101と同様に、図示しないがCPUを備えており、その制御プログラムを実行することで所定の制御を行うようになっている。この電話局側に設置されるADSLモデムとしてのATU−Cは、ATU−R101からビットマップ切替要求を受けると、事前にATU−R101から通知されている第1および第2のビットマップ情報を基にして、現在適用している第1のビットマップ情報から第2のビットマップ情報への切り替えの準備を行う(ステップS203)。そして、切り替えが可能な状態になると、移行状態へ推移すると共に、ATU−R101に対してビットマップ切替認証を通知する(ステップS204)。
【0030】
ATU−R101は、このビットマップ切替認証の通知を受信すると、現在の第1のビットマップ情報から第2のビットマップ情報へ移行するための切り替えの準備を行って、切り替えが可能になると移行状態に移行する(ステップS205)。そして、ATU−R101はATU−Cに対して切替通知を送信する(ステップS206)。この切替通知を受信したATU−Cは、第1のビットマップ情報から第2のビットマップ情報への切り替えを実行する(ステップS207)。これにより、以後はATU−R101とATU−Cの間で第2のビットマップ情報による通信が確立する。したがって、VoIPの通信時に、音声が良好に伝送され、音声の途切れが発生しにくくなる。
【0031】
以上、第1のビットマップ情報から第2のビットマップ情報への切り替えについて説明したが、一度、第2のビットマップ情報に切り替えた後に、回線の切断を行うことなく再びデジタル情報の伝送を行うような場合には、ビットマップ切替要求をATU−R101からATU−Cに行えばよい。
【0032】
このように本実施例では、予めビットマップを2種類形成しておき、通信中にこれらを交替で切り替えるようにした。また、初期的にはSNRを犠牲にして通信レートを高く設定できる方のビットマップ情報に設定するようにした。これにより、通信の用途に応じた最適な通信環境を形成することができる。そして、定常的には高速な通信レートを要求される状況下で、VoIP通信のような、強固なノイズ耐力や安定度を要求される通信の要求が発生したときに、そのような要求にあったビットマップについて再トレーニングを実行することなく、要求に沿った通信を迅速に実現することができることになる。
【0033】
<発明の変形例>
【0034】
以上説明した実施例では、インターネットへのアクセスを目的としたデジタル端末108と、VoIP通信を目的としたアナログ端末106の2種類の端末に対応させて、2種類のビットマップを用意することにしたが、3種類以上のビットマップを予め形成しておいて、図1に示す複数ビットマップ記憶部116に格納しておいてもよいことは当然である。
【0035】
たとえば集中結線装置としての外部ハブ(HUB)や、ハブ機能を内蔵して、複数の端末を収容することのできるADSLモデムでは、複数端末のそれぞれの用途に応じて2以上で必要な数だけのビットマップを形成しておき、それぞれの端末の用途に応じてこれらのビットマップを切り替えて使用することが可能である。
【0036】
図4は、このような変形例のATU−Rを示したものである。ATU−R301には、インターネットにアクセスする第1の端末311と、インターネット対戦型のゲーム端末としての第2の端末312と、VoIP通信用の第Nの端末31N等の複数の端末が接続されている。ATU−R301内のメモリ323には、第1〜第Nの端末311〜31Nのそれぞれにもっとも適するようなビットマップ情報331〜33Nが格納されている。これにより、加入者側に設置されるADSLモデムとしてのATU−R301は、その通信用途に応じて、最も適するビットマップ情報を適用して、電話局側に設置されるADSLモデムとしてのATU−Cと通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例における加入者側に設置されるADSLモデムとしてのATU−Rとその周辺を表わしたブロック図である。
【図2】本実施例の複数ビットマップ記憶部に格納されたビットマップ情報を表わした説明図である。
【図3】図1に示したアナログ端末、ATU−RおよびATU−Cの処理の流れを示した説明図である。
【図4】本発明の変形例におけるATU−Rとその周辺を表わしたブロック図である。
【符号の説明】
【0038】
101、301 ATU−R(加入者側に設置されるADSLモデム)
102 スプリッタ
103 電話回線
106 アナログ端末
108 デジタル端末
111 アナログ端末インタフェース
112 デジタル端末インタフェース
113、323 メモリ
115 制御部
116 複数ビットマップ記憶部
311 第1の端末
312 第2の端末
31N 第Nの端末
331〜33N ビットマップ情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続する回線間で予めトレーニングを行った各サブキャリアごとのビット割り当てとしてのビットマップ情報を複数種類格納する複数ビットマップ情報格納手段と、
この複数ビットマップ情報格納手段に格納された特定の種類のビットマップ情報を使用して回線を接続する回線接続手段と、
この回線接続手段によって回線を接続した状態で、使用するビットマップ情報についての切替要求が発生したとき、前記複数ビットマップ情報格納手段に格納されている前記複数種類のビットマップ情報の内容の通知を予め受けている回線の接続先のモデムに対して要求する切替要求送出手段と、
この切替要求送出手段の送出した切替要求に対して切り替えを可とする応答があったとき回線の接続を維持した状態でビットマップ情報の切り替えを行うビットマップ情報切替手段
とを具備することを特徴とするADSLモデム。
【請求項2】
前記特定の種類のビットマップ情報は、遠端漏話としてのFEXTおよび近端漏話としてのNEXTのそれぞれについて信号対雑音比としてのSNRを比較的小さな値として設定していることを特徴とする請求項1記載のADSLモデム。
【請求項3】
前記複数ビットマップ情報格納手段には、デジタル端末用とアナログ端末用のそれぞれのビットマップ情報が少なくとも格納されていることを特徴とする請求項1記載のADSLモデム。
【請求項4】
前記デジタル端末用のビットマップ情報は、前記特定の種類のビットマップ情報であり、前記アナログ端末用のビットマップ情報は、VoIPの通信に適するように前記SNRを比較的大きな値として設定した情報であることを特徴とする請求項2および請求項3記載のADSLモデム。
【請求項5】
接続する回線間で複数の種類の通信にそれぞれ個別に適するような各サブキャリアごとのビット割り当てとしてのビットマップ情報をトレーニングを行って予め決定する通信用途別ビットマップ情報決定ステップと、
この通信用途別ビットマップ情報決定ステップで決定された通信用途別ビットマップ情報を前記接続する回線の両端のADSLモデムにそれぞれ格納する通信用途別ビットマップ情報格納ステップと、
前記回線の両端のADSLモデムのうちの通信を行おうとするADSLモデムが前記通信用途別ビットマップ情報のうちの予め定めた特定の種類のビットマップ情報を使用して回線を接続する回線接続ステップと、
この回線接続ステップで回線が接続された状態で前記通信用途別ビットマップ情報格納ステップで格納された通信用途別ビットマップ情報のうちで前記特定の種類のビットマップ情報以外のビットマップ情報の使用による通信の要求が、前記回線の両端のADSLモデムのいずれか一方で発生したとき、この要求に基づくビットマップ情報の切り替えを他方のADSLモデムに通知する切替要求通知ステップと、
この切替要求通知ステップで切替要求を通知されたADSLモデムが前記特定の種類のビットマップ情報から通知を受けたビットマップ情報への切り替えの準備を行う切替準備ステップと、
この切替準備ステップで切り替えの準備が完了したとき前記切替要求を通知されたADSLモデムから通知したADSLモデムに対して切り替えを認証するとともに自身を切り替えへの移行状態に移行させて切替認証を通知する切替認証通知ステップと、
この切替認証通知ステップで切替認証を通知されたADSLモデムが切替先のビットマップ情報への移行状態に遷移する移行状態遷移ステップと、
前記移行状態遷移ステップで切替先のビットマップ情報への移行状態に遷移したADSLモデムから前記他方のADSLモデムに対してビットマップ情報の切り替えのタイミングを通知する切替タイミング通知ステップと、
この切替タイミング通知ステップの通知時点から前記回線の両端のADSLモデムが新たなビットマップ情報に切り替えて通信を行う通信切替ステップ
とを具備することを特徴とするADSLモデム間におけるビットマップ最適化方法。
【請求項6】
前記特定の種類のビットマップ情報は、遠端漏話としてのFEXTおよび近端漏話としてのNEXTのそれぞれについて信号対雑音比としてのSNRを比較的小さな値として設定されていることを特徴とする請求項5記載のADSLモデム間におけるビットマップ最適化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−54666(P2006−54666A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234694(P2004−234694)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】