説明

AGE生成阻害剤およびその製造方法

【課題】 細胞内のAGE生成をより効果的に阻害し得るとともに、生体に対する安全性が向上したAGE生成阻害剤を提供すること。
【解決手段】 食品分野、医薬品分野等で利用可能な、AGE生成阻害剤が開示されている。本発明のAGE生成阻害剤は、褐藻類コンブ目コンブ科のマコンブ、アラメ、サガラメ、ツルアラメ、クロメ、カジメ、褐藻類コンブ目チガイソ科のワカメ、アオワカメ、ヒロメ、アイヌワカメ、およびチガイソ;褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科のホンダワラ、ヒジキ、およびアカモク;褐藻類ナガマツモ目モズク科のモズクおよびオキナワモズク;および、紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻;からなる群より選択される少なくとも1種の海藻由来の抽出物を有効成分として含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最終糖化産物(Advanced Glycation Endproducts:AGE)生成阻害剤およびその製造方法に関し、より詳細には飲食物や医薬品に応用可能なAGE生成阻害剤およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
AGEの生成過程に関しては未だ不明の点が多いが、非酵素的糖化反応がその主体であると考えられている。すなわちAGEは、前期反応で蛋白質中に存在するアミノ基とグルコースなどの還元糖のアルデヒド基とが、非酵素的に反応(Glycation)し、シッフ塩基を経由してアマドリ転移生成物が形成され、後期反応でこれが長時間の複雑な開裂や縮合などを経て形成されると考えられている。
【0003】
糖尿病合併症は、網膜症、腎症、神経障害、虚血性心疾患、脳血管障害などであり、これら疾患の原因の1つに高血糖状態の生体で生成したAGEが関与していることが確認されている(例えば、非特許文献1参照)。糖尿病性腎症は、糖尿病に起因する腎の細小血管障害であり、糸球体基底膜肥厚とメサンギウム領域拡大が基本的病理変化である。近年、糖尿病患者の増加とともに糖尿病性腎症で末期腎不全となり、透析治療に至る患者が増加している。高血糖状態の持続によりできるAGEは、1)血管透過性の亢進;2)タンパクやリポタンパクの沈着促進;3)一酸化窒素(NO)不活性化;4)細胞外気質産生促進;などを介して腎症発症に関与すると考えられている(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
糖尿病合併症の予防と改善を目的として、このようなAGEの生成を阻害を目的とした種々のAGE抑制剤が知られている。
【0005】
このようなAGE抑制剤としては、例えば、腎症、網膜症などの糖尿病合併症などを引き起こす成因となるAGEの生成を阻害する新規なAGE生成阻害組成物(例えば、特許文献1参照)、およびAGE形成を阻害する薬剤(例えば、特許文献2参照)が開示されている。しかし、AGE生成阻害剤のような医薬品はまだ開発段階であり、また、従来このような合成化合物には予期せぬ副作用が伴うことが多く、合成医薬品による治療よりは食生活を通じて疾患を予防、抑制、改善及び治療できる機能を持った成分又は食品成分に対する研究が注目されるようになってきた。
【0006】
一方、このような背景の下、食品である植物の抽出物を含有することを特徴とする最終糖化産物(AGE)生成阻害組成物(例えば、特許文献3〜5参照)も開示されている。
【0007】
しかし、このような植物抽出物中に存在するのAGE阻害活性成分の阻害活性は、一般的に合成化合物に比べ極めて低く、また活性成分の抽出物中での存在量も一般的に極めて低い。
【0008】
糖尿病合併症の予防または治療にあたっては、長期間に継続して行うことが必要なため、効果的なAGEの生成抑制と副作用の回避との両方を達成し得るAGE生成阻害剤が所望されている。
【0009】
【非特許文献1】ヒガシ,ティ.(Higasi, T)ら、バイオ・クリニカ(BIO Clinica)、1997年、第12巻、第2号、p.19−21
【非特許文献2】ババ,ティ.(Baba, T)ら、バイオ・クリニカ(BIO Clinica)、1997年、第12巻、第2号、p.39−48
【特許文献1】特開平10−324629号公報
【特許文献2】特開2005−170935号公報
【特許文献3】特開2006−28090号公報
【特許文献4】特開2005−343842号公報
【特許文献5】特開2005−320262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、AGE生成をより効果的に阻害し得るとともに、生体に対する安全性が向上したAGE生成阻害剤およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、褐藻類コンブ目コンブ科のマコンブ(Laminaria japonica)、アラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、褐藻類コンブ目チガイソ科のワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);褐藻類ナガマツモ目モズク科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);および、紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻;からなる群より選択される少なくとも1種の海藻由来の抽出物を有効成分として含有する、AGE生成阻害剤である。
【0012】
1つの実施態様では、上記抽出物は、上記海藻由来の熱水粗抽出物を含有する50(v/v)%以上のC〜Cアルコール液の上清から得られた抽出物である。
【0013】
さらなる実施態様では、上記抽出物は、上記上清を濃縮し、かつ40(v/v)%から90(v/v)%のC〜Cアルコール水溶液を用いるカラムクロマトグラフィーにかけることにより得られた画分由来の抽出物である。
【0014】
またさらなる実施態様では、上記カラムクロマトグラフィーに用いる吸着剤はスチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤である。
【0015】
本発明はまた、海藻由来の抽出物を有効成分として含有するAGE生成阻害剤であって、該抽出物が該抽出物に含まれる固形分の重量を基準としてフロロタンニンを15重量%以上の割合で含有する、AGE生成阻害剤である。
【0016】
本発明はまた、フロロタンニンを有効成分として含有する、AGE生成阻害剤である。
【0017】
1つの実施態様では、上記フロロタンニンは海藻由来である。
【0018】
本発明はまた、AGE生成阻害剤の製造方法であって、褐藻類コンブ目コンブ科のマコンブ(Laminaria japonica)、アラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、褐藻類コンブ目チガイソ科のワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);褐藻類ナガマツモ目モズク科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);および、紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻;からなる群より選択される少なくとも1種の海藻を、60℃から100℃の熱水中で抽出して熱水粗抽出物を得る工程;該熱水粗抽出物に、C〜CアルコールまたはC〜Cアルコール水溶液と合わせて、50(v/v)%以上の該アルコールを含有するC〜Cアルコール液を得る工程;ならびに該C〜Cアルコール液の上清を分取する工程;を包含する、方法である。
【0019】
1つの実施態様では、さらに、上記上清を濃縮して、該上清の濃縮物を得る工程;および該上清の濃縮物を、40(v/v)%から90(v/v)%のC〜Cアルコール水溶液を用いるカラムに通す工程;を包含する。
【0020】
さらなる実施態様では、上記カラムはスチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤を含有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、AGE生成をより効果的に阻害し得るとともに、生体に対する安全性をも向上させることができる。このため、本発明のAGE生成阻害剤は日常的な使用がより可能となり、食品分野、医薬分野などの種々の分野における汎用性を高めることができる。さらに、本発明は、糖尿病合併症である網膜症、腎症、神経障害、虚血性心疾患、脳血管障害などの予防または治療の目的に利用することができる。また、動脈硬化症、アルツハイマー病、老化、炎症反応等、最終糖化産物(AGE)が関与する多くの疾患に対する予防または治療の目的に利用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
まず、本発明の第一のAGE生成阻害剤について説明する。
【0023】
本発明の第一のAGE生成阻害剤は、海藻由来の抽出物を有効成分として含有する。
【0024】
本発明に用いられる海藻の例としては褐藻類のコンブ目コンブ科、褐藻類コンブ目チガイソ科、褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科、褐藻類ナガマツモ目モズク科、または紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻が挙げられる。
【0025】
上記海藻に包含される、具体的な例としては、褐藻類コンブ目コンブ科のマコンブ(Laminaria japonica)、アラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、褐藻類コンブ目チガイソ科のワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);褐藻類ナガマツモ目モズク科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);および、紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻;が挙げられる。本発明に用いられる海藻としては、特に、海藻自体の生産量が比較的多く入手が容易であり、かつ後述するAGE生成に対する阻害作用を有する抽出物の画分がより得られ易いという理由から、アラメ、クロメ、ワカメ、ヒジキが好ましい。
【0026】
本明細書において、海藻とは、これらの海藻の藻体全体、あるいは根、茎、および葉を包含する少なくとも一つの部位を包含していう。本発明に用いられる海藻の形態は、未加工のもの、断片、細片または粉末を包含する。さらに、本発明に用いられる海藻は、乾燥物または生の状態のものいずれをも包含する。
【0027】
また、本発明において、抽出物とは、上記のような海藻を、水、極性または非極性の溶媒、あるいはこれらの混合物を抽出溶媒として用い適切な条件で抽出された抽出物を意味する。抽出物の形態は特に限定されず、抽出液、あるいは当該抽出液を当業者が通常用いる手段により濃縮または乾燥して得られる粉末またはペースト状物も含まれる。
【0028】
本発明に用いられる海藻由来の抽出物は、好ましくは、上述したような種類の海藻由来の水および/またはアルコール(例えば、メタノール、エタノール、またはプロパノール)から抽出されたもの、より好ましくは、上述したような種類の海藻由来の熱水粗抽出物を含有するC〜Cアルコール液の上清から得られたもの、である。特に、「海藻由来の熱水粗抽出物を含有するC〜Cアルコール液の上清から得られたもの」は、後述するような操作を通じて、上記海藻から熱水粗抽出物を得、次いで、これにC〜CアルコールまたはC〜Cアルコール水溶液と合わせた、50(v/v)%以上のC〜Cアルコール液から、上清を分取して得ることができる。
【0029】
本発明の第一のAGE生成阻害剤において、上記抽出物は、当該抽出物に含まれる固形分の重量を基準として、フロロタンニンを好ましくは15重量%以上、より好ましくは18重量%〜100重量%、さらにより好ましくは30重量%〜99重量%、さらにより好ましくは60重量%〜99重量%、さらにより好ましくは60重量%〜99重量%の割合で含有する。ここで、本明細書中に用いられる用語「抽出物に含まれる固形分の重量」とは、上記抽出物を構成する液体成分を取り除く(例えば、蒸発させる)ことにより、固体成分として残存し得る物質の重量を指して言う。当該抽出物がこのような範囲のフロロタンニン含量を満足することにより、AGE生成に対する阻害作用は著しく向上する。なお、本明細書中に用いられる用語「フロロタンニン」とは、一般に海藻タンニンとも呼ばれるポリフェノールの一種であり、フロログルシノールを基本骨格単位とする、フロロタンニン類全体を包含する低分子あるいは高分子化合物を指して言う。本発明に用いられ得るフロロタンニンは、1種の当該フロロタンニン類または複数の当該フロロタンニン類でなる混合物のいずれをも包含する。あるいは、本発明においては上記抽出物単独で構成されていてもよい。
【0030】
次に、本発明の第二のAGE生成阻害剤について説明する。
【0031】
本発明の第二のAGE生成阻害剤は、海藻由来の抽出物を有効成分として含有し、該抽出物は該抽出物に含まれる固形分の重量を基準としてフロロタンニンを15重量%以上、好ましくは18重量%〜100重量%、より好ましくは30重量%〜99重量%、さらにより好ましくは60重量%〜99重量%の割合で含有する。あるいは、本発明においては上記フロロタンニン単独で構成されていてもよい。
【0032】
本発明の第二のAGE生成阻害剤は、海藻由来の抽出物中に含まれるフロロタンニンが上記範囲(すなわち、下限値を満足する範囲)で含有されていることが重要である。よって、この含有量の範囲を満足する限り、使用され得る海藻の種類は特に限定されない。本発明の第二のAGE生成阻害剤に含まれる抽出物として使用可能な海藻の例としては、褐藻類または紅藻類に属する海藻が挙げられる。また、これら褐藻類または紅藻類のより具体的な例としては、褐藻類のコンブ目コンブ科、褐藻類コンブ目チガイソ科、褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科、褐藻類ナガマツモ目モズク科、または紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻が挙げられるが、これらもまた特に限定されない。
【0033】
本発明の第二のAGE生成阻害剤に用いられ得る海藻のさらに具体的な例としては、上記本発明の第一のAGE生成阻害剤に用いられる海藻と同様のものが包含される。
【0034】
本発明の第一および第二のAGE生成阻害剤において、当該抑制剤に用いられる海藻由来の抽出物は、特に限定されないが、例えば、以下のようにして製造される。
【0035】
まず、上記海藻を熱水中に所定時間浸漬することにより、熱水粗抽出物が製造される。
【0036】
この浸漬における当該海藻と熱水との量比は特に限定されないが、例えば、海藻100g(乾燥重量)に対して、好ましくは1リットル〜10リットル、より好ましくは2リットル〜5リットルの熱水が使用される。
【0037】
使用される熱水の温度(抽出温度)は、好ましくは60℃〜100℃、より好ましくは80℃〜100℃、さらにより好ましくは90℃〜100である。なお、上記海藻を浸漬している間は、本発明に用いられる有効成分がより抽出されやすくする目的で、熱水の温度を低下させることのないよう、当業者に公知の手段を用いて加熱することにより温度を維持することが好ましい。
【0038】
熱水中に浸漬する時間(抽出時間)は、使用する抽出温度によって変化するため、必ずしも限定されないが、例えば、熱水をほぼ100℃に維持する場合、好ましくは1分〜120分、より好ましくは10分〜60分である。抽出時間をこのような範囲内で行うことにより、本発明に用いられる有効成分がより効率良く抽出され得るとともに、不要物の過度の抽出を防止することができる。
【0039】
上記浸漬の後、例えば、室温まで放冷され、濾過または遠心分離により海藻が取り除かれる。こうして熱水粗抽出物を得ることができる。なお、得られた熱水粗抽出物は、その後、予め不純物を除去する目的で、ヘキサン、クロロホルムなどの有機溶媒と合わせ、有機層が取り除かれた水層由来のものであってもよい。さらに、得られた熱水粗抽出物は、後述の工程に対し、そのまま用いられてもよく、あるいは必要に応じ、当業者に公知の手段を用いて水分を蒸発させた乾固物またはペースト状物の形態で用いられてもよい。
【0040】
次いで、当該熱水粗抽出物にC〜CアルコールまたはC〜Cアルコール水溶液が合わされ、好ましくは50(v/v)%以上、より好ましくは60(v/v)%〜98(v/v)%の当該アルコール濃度を有するC〜Cアルコール液が調製される。ここで、調製され得るC〜Cアルコール液の濃度は、好ましくはこのような範囲において、当業者によって任意の濃度に設定され得る。すなわち、使用する海藻の種類、使用部位、産地、採取時期、採取後の保存状態等によって、本発明において重要なAGE生成を抑制する成分の含量が変動することがある。また、後述する一連の抽出操作においても、得られる成分含量に誤差が生じることもある。よって、当業者は、このような条件に応じて、当該調製され得るアルコール液の濃度を好ましくはこのような範囲内で任意に設定することができる。
【0041】
より具体的には、当該熱水粗抽出物を、1個〜3個の炭素原子を有するアルコールまたは所定濃度に調製された1個〜3個の炭素数を有するアルコール水溶液(含水アルコール)と合わすことにより、上記のようなアルコール濃度を有するアルコール液が調製される。このような操作において使用可能な1個〜3個の炭素原子を有するアルコールの例としては、メタノール、エタノールおよびプロパノール、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。生体に対する安全性をさらに向上させることを考慮すれば、エタノールを用いることが好ましい。このようなアルコールまたは含水アルコールの使用量は、合わせる熱水粗抽出物の量によって変化するため特に限定されない。
【0042】
その後、このC〜Cアルコール液の上清が分取される。
【0043】
上記アルコール濃度に設定されたアルコール液を調製することにより、当該アルコール液に不溶な物質が沈殿する場合がある。上清の分取はこの沈殿物を除去する目的で行われ、上清は当業者に周知の方法(例えば、濾過または遠心分離)によって取り出すことができる。
【0044】
このようにして本発明に用いられる海藻由来の抽出物を製造することができる。なお、得られた海藻由来の抽出物は、本発明におけるAGE生成抑制作用を高める目的で精製が行われてもよい。この精製は、例えば、上記で得られた上清を、当業者に周知の手段を用いて濃縮することにより濃縮物を得た後、好ましくは40(v/v)%〜90(v/v)%、より好ましくは50(v/v)%〜80(v/v)%のC1〜C3アルコール(好ましくはエタノール)水溶液を用いるカラムに通すことによって行われる。このカラムクロマトグラフィーに有用な吸着剤は、好ましくは芳香族系吸着剤であり、より具体的な例としては、スチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤が挙げられる。スチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤は、例えば、ダイヤイオンHP20という商品名で三菱化学(株)より市販されている。なお、本発明においては、AGE生成抑制作用をさらに高める目的で、上記C1〜C3アルコール水溶液を用いる精製を行う前に、上記カラムに対し、水(例えば、蒸留水)を用いて予備的な精製を行うことが好ましい。さらに、この水を用いる予備的な精製は複数回に分けて行うことが好ましい。
【0045】
上記クロマトグラフィーを行うことにより、よりAGE抑制作用が高められた画分を抽出することができる。得られた画分は、本発明のAGE生成阻害剤剤としてそのまま使用することができる。
【0046】
本発明のAGE生成阻害剤は、経口による投与または摂取を目的としたもの、経皮吸収を目的としたもの、あるいは皮膚外用剤を目的としたもののいずれの目的にも使用することができる。
【0047】
本発明のAGE生成阻害剤はまた、有効成分である上記海藻由来の抽出物以外に、目的に応じて他の成分を含有していてもよい。本発明に含有され得る他の成分の例としては、水;アルコール;食肉加工品;米、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、スイートポテト、大豆、コンブ、ワカメ、テングサなどの一般食品材料およびそれらの粉末;デンプン、水飴、乳糖、グルコース、果糖、スクロース、マンニトールなどの糖類;香辛料、甘味料、食用油、ビタミン類などの一般的な食品添加物;界面活性剤;賦形剤;着色料;保存料;コーティング助剤;ラクトース;デキストリン;コーンスターチ;ソルビトール;結晶性セルロース;ポリビニルピロリドン;油分;保湿剤;増粘剤;防腐剤;香料;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。本発明のAGE生成阻害剤はさらに、必要に応じて他の薬剤(漢方薬を包含する)を含有していてもよい。このような他の成分および/または他の薬剤の含有量は、特に限定されず、当業者によって適切な量が選択され得る。
【0048】
さらに、本発明のAGE生成阻害剤は、必ずしもインビボまたはインビトロのいずれに限定されることなく、さらにAGE生成に対する阻害作用を発揮させたい任意の用途において広範に利用され得る。すなわち、本発明のAGE生成阻害剤は、特に限定されないが、例えば、健康食品などの食品組成物に添加される添加物の一種として使用されてもよく、家畜または養殖魚などの生産分野に利用される飼料組成物として、そのままあるいは他の飼料用材料と組み合わせて使用されてもよく、あるいは医薬品、医薬部外品などの医薬組成物として、そのままあるいは他の医薬組成物と組み合わせて使用されてもよい。
【0049】
本発明のAGE生成阻害剤が食品組成物として使用される場合、その形態には固定食品に限定されず、飲料(例えば、液体飲料)のようなものを包含される。より具体的な例としては液状、ペースト状、固形状等の形態でなる、茶飲料、コーヒー飲料、清涼飲料、乳飲料、菓子類、シロップ類、果実加工品、野菜加工品、漬物類、畜肉製品、魚肉製品、珍味類、缶・ビン詰類、即席飲食物、内服液、肝油ドロップ、口中清涼剤、ゼリーなどが挙げられるが特にこれらに限定されない。本発明のAGE生成阻害剤を含有するこのような食品組成物は、当業者に公知の手法を用いて製造され得る。
【0050】
本発明のAGE生成阻害剤が医薬組成物として使用される場合、その投与剤形は特に限定されず、日本薬局方に記載の方法にしたがって適切な剤形に加工される。投与剤形のより具体的な例としては、経口投与を目的とする医薬組成物の場合、カプセル剤、錠剤、粉剤、顆粒剤、細粒剤、徐放剤、液剤などの剤形が挙げられ、そして非経口投与を目的とする医薬組成物の場合、注射剤、輸液剤、点眼剤、軟膏剤、クリーム剤、貼付剤などの剤形が挙げられる。用量は、対象となる者の体重等の条件によって容易に変動し得るため、当業者によって適宜選択され得る。
【0051】
本発明のAGE生成阻害剤は、その使用形態に応じて当該分野で通常用いる方法によって製造され、その形態に応じた方法で適宜に適量摂取または適用することができる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例によって具体的に記述する。しかし、これらによって本発明は制限されるものではない。
【0053】
<実施例1:クロメ抽出物の製造>
乾燥クロメ粉末250gを量り、5Lの蒸留水を添加し、100℃にて10分間加熱して抽出の後、抽出残渣を濾過にて取除いて熱水粗抽出物(1.5L)を得、これにエタノールを添加して70(v/v)%エタノール溶液(5L)を調製した。
【0054】
得られたエタノール溶液を吸引ろ過し、得られたろ液を減圧留去して1L以下になるまで濃縮した。この濃縮液に精製水で平衡処理したスチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤(三菱化学(株)製ダイヤイオンHP20)(900g)を添加し、ゆるやかに攪拌しながら室温で3時間吸着させた後、吸引ろ過し、さらに精製水でろ過洗浄して吸着済み吸着剤(吸着HP20)を得た。
【0055】
その後、当該吸着HP20を60(v/v)%エタノール溶液(500ml)に20分間浸漬し、吸引ろ過して溶出液を回収した。60(v/v)%エタノール溶液への浸漬と溶出液回収の作業をさらに二度行い、合計3回分としての溶出液(1.5L)を得た。この溶出液を減圧留去してエタノールを除去した後、凍結乾燥を行って抽出粉末16.3gを得た。
【0056】
<実施例2:フロロタンニンの定量>
実施例1で得られた海藻抽出粉末100mgを正確に量りとり、当該画分の総フロロタンニン量を、フロログルシノールを標準物質として用いるFolin−Denis法(日本食品科学工学会誌,2002年,第49巻,pp.507−511)により測定した。得られた総フロロタンニン量は、91%であった。このことから、上記実施例1で得られた海藻抽出粉末が高濃度のフロロタンニンを含有していることを見出した。
【0057】
<実施例3:AGE生成抑制活性試験>
実施例1で得られた海藻抽出粉末をメタノールで調製して25mg/mlのサンプル液を作製し、このサンプル液4μlを0.2M リン酸緩衝液(pH7.4) 96μlに添加し、16mg/mlのBSA(ウシ血清アルブミン) 50μl、800mMのグルコース溶液 50μlを加えて、37℃で7日間反応させた。反応終了後、反応液を0.05M炭酸緩衝液(pH9.7)で1000倍にまで希釈し、この希釈液100μlを96ウェルのプレートに分注し、室温で1時間静置した後、0.05% Tween 20含有PBS溶液(pH7.4)で洗浄した。この洗浄したウェルに0.5(w/v)%ゼラチン含有0.05M炭酸緩衝液(pH9.7)200μlを添加し、室温で1時間静置した後、0.05% Tween 20含有PBS溶液(pH7.4)で洗浄した。このウェルに抗AGE抗体を加え、室温で1時間静置の後、0.05% Tween 20含有PBS溶液(pH7.4)で洗浄を行った。この後、HRP標識2次抗体を添加して、室温で1時間静置、0.05% Tween 20含有PBS溶液(pH7.4)で洗浄した。ここに1,2−フェニレンジアミンジヒドロクロリド含有基質緩衝液を加え、室温で20分間静置後、1M硫酸溶液を添加して反応を停止させ、波長492nmの吸光度を測定し、阻害率を下式により算出した。なお、このときの溶液における実施例1で得られた海藻抽出粉末の最終濃度は、0.5mg/mlであった。
【0058】
【数1】

【0059】
なおこの時、ブランク(サンプル溶液のかわりに同量のメタノール、グルコース溶液のかわりに0.1M リン酸緩衝液(pH7.4)を使用)と、コントロール(サンプル溶液のかわりに同量のメタノールを使用)も同時に測定した。得られた結果を表1に示す。
【0060】
他方、実施例1で得られた海藻抽出粉末の代わりに、試験物質として、従来よりAGE生成阻害剤として知られているアミノグアニジン・一塩酸塩(シグマ社製A−8835)を、メタノールで希釈して55.3mg/mlに濃度設定された比較溶液を調製した。この比較溶液から4μlを採って0.2M リン酸緩衝液(pH7.4) 96μlに添加し、16mg/mlのBSA(ウシ血清アルブミン) 50μl、800mMのグルコース溶液 50μlを加えて、37℃で7日間反応させた。反応終了後、反応液を0.05M炭酸緩衝液(pH9.7)で1000倍にまで希釈し、この希釈液100μlを96ウェルのプレートに分注し、室温で1時間静置した後、0.05% Tween 20含有PBS溶液(pH7.4)で洗浄した。この洗浄したウェルに0.5(w/v)%ゼラチン含有0.05M炭酸緩衝液(pH9.7)200μlを添加し、室温で1時間静置した後、0.05% Tween 20含有PBS溶液(pH7.4)で洗浄した。このウェルに抗AGE抗体を加え、室温で1時間静置の後、0.05% Tween 20含有PBS溶液(pH7.4)で洗浄を行った。この後、HRP標識2次抗体を添加して、室温で1時間静置、0.05% Tween 20含有PBS溶液(pH7.4)で洗浄した。ここに1,2−フェニレンジアミンジヒドロクロリド含有基質緩衝液を加え、室温で20分間静置後、1M硫酸溶液を添加して反応を停止させ、波長492nmの吸光度を測定し、上記と同様にして、AGE生成の阻害率(%)を計算した。得られた結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1に示すように、実施例1で得られた海藻抽出粉末は、従来よりAGE生成阻害剤として知られているアミノグアニジンと同等またはそれ以上のAGE生成阻害能を有していることがわかる。
【0063】
<実施例4:糖尿病合併症改善効果の検討>
39日間の予備飼育を行い糖尿病態を示したKK−Aマウス(オス、9.5週齢、日本クレア(株)製)14匹について予備飼育最終日に血糖値および体重を測定し、測定した血糖値の結果を基準にしてこれらを2群(サンプル群7匹とコントロール群7匹)に分けた。
次いで、サンプル群には、餌以外として水道水に溶解した0.1重量%の海藻抽出粉末(実施例1で得られた抽出物)を自由摂取させ、そしてコントロール群には、餌以外として水道水を自由摂取させた。餌は、通常食(オリエンタル酵母工業(株)製CE−2)を4週間にわたって自由摂取させた。なお、当該期間を通してサンプル群のマウスの行動、体毛、糞便などには、コントロールのものと比較して差異が認められなかった。
【0064】
上記自由摂取による投与4週間後、各マウスを16時間絶食させた後、20(w/v)%グルコース300μlを経口投与(60mg/マウス)し、0分後、30分後、60分後、および120分後に各マウスの血糖値を測定する耐糖能試験を行った。得られたサンプル群およびコントロール群における各マウスの平均血糖値の変化の様子を図1に示す。
【0065】
図1に示すように、実施例1で得られた海藻抽出粉末を摂取させたサンプル群のマウスでは、コントロール群のものと比較して有意差をもって血糖値が低下しており、耐糖能の改善が確認された。
【0066】
その後、上記サンプル群およびコントロール群の各マウスを、さらに通常食(CE−2;オリエンタル酵母工業(株)製)にて2日間飼育し、エーテル麻酔をかけ、開腹して、心臓より全血採取して血清を分離し、グリコアルブミン量、フルクトサミン量、およびインスリン量を、日立自動分析装置7180型((株)日立ハイテクノロジーズ製)を使用し、グリコアルブミン量はルシカ GA−L(旭化成ファーマ(株)製)を、フルクトサミン量はオートワコー フルクトサミン(和光純薬工業(株))を用いて酵素法により、インスリン量はモリナガ 超高感度マウスインスリン測定キット((株)森永生科学研究所)を用いてELISA法により測定した。結果を表2に示す。
【0067】
【表2】

【0068】
表2に示すように、当該血清中の糖タンパク量は、サンプル群のマウスの値が、コントロール群のものよりも、フルクトサミン量において有意差をもって低い値を示し(p<0.02)、グリコアルブミン量についても同様の傾向を示した。また、当該血清における血中インスリン量は、サンプル群のマウスの量が、コントロール群のものよりも有意性をもって低い値を示した(p<0.05)。
【0069】
さらに、その後、各マウスから腎臓および膵臓を摘出し、10%中性緩衝ホルマリン液に浸漬して固定後、腎臓の糸球体性状、および膵臓のランゲルハンス氏島の病理検査を行った。
具体的には、湿標本(10%中性緩衝ホルマリン液に浸漬した臓器)よりパラフィンブロック標本を作製し、腎臓についてはPAS染色後標本について鏡検を行い、各例100個の糸球体についてメサンギウム基質の増加が見られるかを判定した。膵臓についてはヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を実施し、標本において各例20個のランゲルハンス氏島の大きさを測定した。各結果を表3および表4に示す。
【0070】
【表3】

【0071】
【表4】

【0072】
表3に示すように、腎臓の組織検査において、コントロール群およびサンプル群ともに、メサンギウム基質の増加を示す糸球体および尿細管の変化(尿細管拡張、尿細管硝子円柱および再生尿細管)を観察することができた。メサンギウム基質の増加を示す糸球体の個数/(100個当たり)について、サンプル群においてはコントロール群と比較して有意に減少していた(p<0.05)。
【0073】
他方、表4に示すように、膵臓の組織検査において、ランゲルハンス氏島20個の平均面積、大きいもの10個の平均面積、および大きいもの3個の平均面積のいずれにおいても、コントロール群とサンプル群との間で統計学的に有意差が認められなかった。しかし、コントロール群では、サンプル群と比較して、面積の大きなランゲルハンス氏島が多い傾向を見出すことができた。
【0074】
海藻抽出粉末を摂取させたサンプル群のマウスでは、コントロール群と比較して、血清中の糖タンパク量であるグリコアルブミンおよびフルクトサミンの減少(表2)が見られ、生体内でのAGE生成が抑制されていることが確認された。また、海藻抽出粉末を摂取させたサンプル群のマウスでは、肥大したメサンギウム基質の数がコントロール群より有意に少ない事から(表3)、AGEの腎メサンギウム基質への沈着が抑制されていると考えられる。つまり当該海藻抽出粉末がAGE生成抑制剤として有効に機能し、糖尿病合併症を予防ないし改善する効果を得られることがわかる。
【0075】
<実施例5:食品組成物の調製>
上記実施例1で得られた海藻抽出粉末を用いて、以下の表5に示す組成を有する食品組成物を調製した。
【0076】
【表5】

【0077】
上記各成分を流動造粒機中で混合した後、水を噴霧して造粒を行い、入風温度80℃で乾燥して、顆粒状食品を得た。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のAGE生成阻害剤は、食品として広く用いられ得る海藻に由来する抽出物を有効成分として含有するため、安全性が高く、日常的な使用が可能であり、食品分野、医薬分野などの種々の分野における汎用性を高めることができる。本発明のAGE生成阻害剤はまた、AGE生成を阻害する効果を有するため、糖尿病合併症である網膜症、腎症、神経障害、虚血性心疾患、脳血管障害などの予防または治療の目的に利用することができる。また、動脈硬化症、アルツハイマー病、老化、炎症反応等、AGE生成が関与する多くの疾患に対する予防または治療の目的に利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施例4で行った耐糖能試験における、所定時間毎のサンプル群に属する各マウス(実施例1で得られた海藻抽出粉末を投与)の平均血糖値の変化と、コントロール群に属する各マウスの平均血糖値の変化とを表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
褐藻類コンブ目コンブ科のマコンブ(Laminaria japonica)、アラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、褐藻類コンブ目チガイソ科のワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);褐藻類ナガマツモ目モズク科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);および、紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻;からなる群より選択される少なくとも1種の海藻由来の抽出物を有効成分として含有する、AGE生成阻害剤。
【請求項2】
前記抽出物が、前記海藻由来の熱水粗抽出物を含有する50(v/v)%以上のC〜Cアルコール液の上清から得られた抽出物である、請求項1に記載のAGE生成阻害剤。
【請求項3】
前記抽出物が、前記上清を濃縮し、かつ40(v/v)%から90(v/v)%のC〜Cアルコール水溶液を用いるカラムクロマトグラフィーにかけることにより得られた画分由来の抽出物である、請求項2に記載のAGE生成阻害剤。
【請求項4】
前記カラムクロマトグラフィーに用いる吸着剤がスチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤である、請求項3に記載のAGE生成阻害剤。
【請求項5】
海藻由来の抽出物を有効成分として含有するAGE生成阻害剤であって、該抽出物が該抽出物に含まれる固形分の重量を基準としてフロロタンニンを15重量%以上の割合で含有するAGE生成阻害剤。
【請求項6】
フロロタンニンを有効成分として含有する、AGE生成阻害剤。
【請求項7】
前記フロロタンニンが海藻由来である、請求項6に記載のAGE生成阻害剤。
【請求項8】
AGE生成阻害剤の製造方法であって、
褐藻類コンブ目コンブ科のマコンブ(Laminaria japonica)、アラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、褐藻類コンブ目チガイソ科のワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ヒバマタ目ホンダワラ科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);褐藻類ナガマツモ目モズク科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);および、紅藻類スギノリ目スギノリ科に属する海藻;からなる群より選択される少なくとも1種の海藻を、60℃から100℃の熱水中で抽出して熱水粗抽出物を得る工程;
該熱水粗抽出物に、C〜CアルコールまたはC〜Cアルコール水溶液と合わせて、50(v/v)%以上の該アルコールを含有するC〜Cアルコール液を得る工程;ならびに
該C〜Cアルコール液の上清を分取する工程;
を包含する、方法。
【請求項9】
さらに、前記上清を濃縮して、該上清の濃縮物を得る工程;および該上清の濃縮物を、40(v/v)%から90(v/v)%のC〜Cアルコール水溶液を用いるカラムに通す工程;を包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記カラムがスチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤を含有する、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−214246(P2008−214246A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52816(P2007−52816)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】