ALCパネルの吊り上げ方法

【課題】例えナイロンスリングからALCパネルが滑り落ちることがあっても、ALCパネルが地面上に落下して破損したり、作業員の安全を阻害したりすることを確実に防止し、安全に吊り上げ作業を完遂可能なALCパネルの吊り上げ方法を提供する。
【解決手段】表面にタイル23が貼着されたALCパネル1の外周に、クレーンのフック2に係止されたナイロンスリング3を巻着させてALCパネル1を吊り上げるに際し、チェーン11の一端にパネル壁面に開口している埋設アンカー金具の係合部21と連結する吊り手12を、他端に前記クレーンのフック2と連結するリング13を備えた連結部材10を、前記埋設アンカー金具の係合部21とクレーンのフック2との間に介在させ、前記連結部材10のチェーン11が緩んだ状態でALCパネル1を吊り上げることを特徴とするALCパネルの吊り上げ方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル表面にタイルが貼着された又はホーロー調塗装仕上げされたALCパネルを、高層建築物の外壁に取り付けるために、ナイロンスリングを利用して吊り上げる方法に関するものである。
さらに詳しくは、例えナイロンスリングからALCパネルが滑り落ちることがあっても、ALCパネルが地面上に落下して破損したり、作業員の安全を阻害したりすることを確実に防止し、安全に吊り上げ作業を完遂可能なALCパネルの吊り上げ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ALCパネルを高層建築現場の施工個所へ取り付けるために吊り上げる手段としては、図1に示したように、ALCパネル1の外周に、クレーンのフック2に係止されたナイロンスリング3を単に巻着させた状態で吊り上げる方法(例えば、特許文献1参照)が一般的であった。
【0003】
この従来方法によれば、ALCパネル1の素地表面に微細な気泡が露出しており、その摩擦力が強いために、パネルがナイロンスリング3から滑り落ちる危険がなく、安全にパネルの吊り上げ作業を行うことが可能であった。
【0004】
しかし、近年では、意匠性の向上と工期の短縮のために、工場でパネル表面に予めタイルが貼着された又はホーロー調塗装仕上げされたALCパネルが出荷されるようになってきており、またそのタイル又はホーロー調塗装仕上げされた表面に対しても、意匠性の一層の向上のために、より滑らかな表面処理がなされるようになっている。
【0005】
そのために、このような表面にタイルが貼着された又はホーロー調塗装仕上げされたALCパネルを、その外周にナイロンスリングを巻着させた従来と同じ方法で吊り上げようとすると、ナイロンスリングからALCパネルが滑り落ちてしまい、ALCパネルが地面上に落下して破損したり、作業員の安全を阻害したりすることが問題視されていた。
【特許文献1】実開平6−58052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した先行技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0007】
したがって、本発明の目的は、例えナイロンスリングからALCパネルが滑り落ちることがあっても、ALCパネルが地面上に落下して破損したり、作業員の安全を阻害したりすることを確実に防止し、安全に吊り上げ作業を完遂可能なALCパネルの吊り上げ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明によれば、表面にタイルが貼着された又はホーロー調塗装仕上げされたALCパネルの外周に、クレーンのフックに係止されたナイロンスリングを巻着させてALCパネルを吊り上げるに際し、チェーンの一端にパネル壁面に開口している埋設アンカー金具の係合部と連結する吊り手を、他端に前記クレーンのフックと連結するリングを備えた連結部材を、前記埋設アンカー金具の係合部とクレーンのフックとの間に介在させ、前記連結部材のチェーンが緩んだ状態でALCパネルを吊り上げることを特徴とするALCパネルの吊り上げ方法が提供される。
【0009】
なお、本発明のALCパネルの吊り上げ方法においては、
前記連結部材のチェーンが長さ調整可能なリングチェーンであること、
前記埋設アンカー金具の係合部にパネル壁面を押圧する板材が締結されており、この板材に連結部材の吊り手を係止すること、
前記板材がL型鋼であること、
および
前記ALCパネルがコーナーパネルであることが、いずれも好ましい条件として挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下に説明するとおり、ナイロンスリングと共に連結部材を使用しているために、例えナイロンスリングからALCパネルが滑り落ちることがあっても、連結部材によりALCパネルの吊り上げ状態を保持することができ、ALCパネルが地面上に落下して破損したり、作業員の安全を阻害したりする危険を確実に防止することができる。
【0011】
したがって、本発明によれば、表面にタイルが貼着された又はホーロー調塗装仕上げされたALCパネルの吊り上げ作業を安全に完遂可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図面にしたがって本発明を詳細に説明する。
図1は本発明で使用する連結部材の一例を示す正面図、図2はこの連結部材を使用してALCパネルの吊り上げ作業を行っている状態を示す説明図である。
【0013】
図1に示したように、本発明で使用する連結部材10は、チェーン11の一端にパネル壁面に開口している埋設アンカー金具の係合部21と連結する吊り手12を、またこのチェーン11の他端にクレーンのフック2と連結するリング13を備えたものである。
【0014】
ここで、チェーン11は、図示したようにリングをつけ替えることで長さ調整可能なリングチェーンであることが望ましい。
【0015】
また、埋設アンカー金具の係合部21にはパネル壁面を押圧する板材22が締結されており、この板材22に連結部材10の吊り手12を係止するように構成されていることが望ましく、この場合には、板材22がL型鋼であると、コーナーパネル状のALCパネルの吊り上げ作業が一層容易に行えることから、さらに望ましい。
【0016】
上記の連結部材10を使用して、表面にタイル23が貼着されたALCパネル1を実際に吊り上げるに際しては、図2に示したように、まず連結部材10を、埋設アンカー金具の係合部21とクレーンのフック2との間に介在させ、連結部材10の吊り手12とALCパネル1側の係合部21、および連結部材10のリング13とクレーンのフック2とをしっかり係合させる。
【0017】
次いで、クレーンのフック2を上昇させてALCパネル1を吊り上げる際には、連結部材10のチェーン11が緩んだ状態で吊り上げることが重要である。
【0018】
ここで、連結部材10のチェーン11が緩んでいない状態でALCパネル1を吊り上げた場合には、パネルの自重を埋設アンカー金具の係合部21が負担することになるため、風による揺れなどでパネルが激しく動いたりすると、埋設アンカー金具周辺のパネル部分に傷を生じたり、あるいは係合部がパネルから外れたりして、パネル1の確実な落下防止効果が阻害されるため好ましくない。
【0019】
このようにしてALCパネル1の吊り上げ作業を行うことにより、例えナイロンスリング3からALCパネル1が滑り落ちることがあったとしても、この場合には、連結部材10によりALCパネル1の吊り上げ状態を保持することができ、ALCパネル1が地面上に落下して破損したり、作業員の安全を阻害したりする危険を確実に防止することができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、表面にタイルが貼着された又はホーロー調塗装仕上げされたALCパネルの吊り上げ作業を安全に完遂可能であることから、ALCパネルを使用する建築施工現場への採用が大いに期待される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明で使用する連結部材の一例を示す正面図。
【図2】図1の連結部材を使用してALCパネルの吊り上げ作業を行っている状態を示す説明図。
【図3】従来のALCパネルの吊り上げ作業を行っている状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0022】
1 ALCパネル
2 クレーンのフック
3 ナイロンスリング
10 連結部材
11 チェーン
12 吊り手
13 リング
21 埋設アンカー金具の係合部
22 板材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にタイルが貼着された又はホーロー調塗装仕上げされたALCパネルの外周に、クレーンのフックに係止されたナイロンスリングを巻着させてALCパネルを吊り上げるに際し、チェーンの一端にパネル壁面に開口している埋設アンカー金具の係合部と連結する吊り手を、他端に前記クレーンのフックと連結するリングを備えた連結部材を、前記埋設アンカー金具の係合部とクレーンのフックとの間に介在させ、前記連結部材のチェーンが緩んだ状態でALCパネルを吊り上げることを特徴とするALCパネルの吊り上げ方法。
【請求項2】
前記連結部材のチェーンが長さ調整可能なリングチェーンであることを特徴とする請求項1に記載のALCパネルの吊り上げ方法。
【請求項3】
前記埋設アンカー金具の係合部にパネル壁面を押圧する板材が締結されており、この板材に連結部材の吊り手を係止することを特徴とする請求項1または2に記載のALCパネルの吊り上げ方法。
【請求項4】
前記板材がL型鋼であることを特徴とする請求項3に記載のALCパネルの吊り上げ方法。
【請求項5】
前記ALCパネルがコーナーパネルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のALCパネルの吊り上げ方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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