説明

ALK5調整剤を用いた眼内圧のコントロール

有効量のALK5受容体活性の選択的モジュレーターを含む、緑内障の治療および眼内圧のコントロールに有用な眼科用医薬組成物を開示する。ALK5受容体活性の選択的モジュレーターを含む医薬組成物を治療上有効な量、患者の罹患眼に適用することを含む、緑内障を治療し、眼内圧をコントロールする方法も開示する。緑内障の治療および眼内圧のコントロールのためのALK5受容体活性の選択的モジュレーターをスクリーニングするインビトロでの方法もまた提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年12月16日に提出した米国仮特許出願第60/751,130号に対する米国特許法第119条の下での優先権を主張する。米国仮特許出願第60/751,130号の内容は全て、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、一般的には緑内障に対する治療に関し、より詳細には、アクチビン受容体様キナーゼ5(ALK5、または1型TGF−β受容体)の活性を選択的に調整し、それによって眼内圧、例えば緑内障に関連する眼内圧を低下させる物質に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
眼疾患である緑内障は、視神経の不可逆的な損傷によって視覚機能を永久に喪失することを特徴とする。いくつかの形態学的または機能的に異なるタイプの緑内障は、典型的には、眼内圧(IOP)の望ましくない上昇を特徴とし、これはこの疾患の病理学的経過の原因として関連していると考えられている。IOPの持続的な上昇は、網膜の進行性の悪化および視覚機能の喪失に関連付けられている。場合によっては、IOPが上昇する病状である高眼圧症は、視覚機能の明らかな喪失なしに存在することもある。しかし、高眼内圧症を有する患者は、緑内障に関連する視力喪失を最終的に発症する危険性が高いと考えられている。したがって、IOPの低下は、緑内障性網膜症の可能性またはその重症度を低減するために、緑内障患者の治療に対して、および高眼内圧症の患者に対して目的となり得る。残念なことに、既存の緑内障治療法で治療した場合、多くの個体は良好には反応をしない。
【0004】
正常眼内圧緑内障または低眼内圧緑内障の患者として知られている患者のIOPは比較的低いが、緑内障性視野の喪失を呈する。早期に検出し、即時に治療した緑内障では、視覚機能の喪失が低減または遅延することがあるので、これらの患者は、IOPを低下させ、コントロールする薬剤の恩恵を受けることがある。IOPを低下させるのに有効であることが証明されている従来の治療薬には、房水の生成を低減する薬剤および房水流出能を増大する薬剤の両方が含まれる。このような薬剤は、一般的に、直接眼に適用することによる局所投与または経口投与の2つの経路のうちの1つによって投与される。しかし、これらの薬剤の多くは、眼の治療薬として好ましくないものとなることがある副作用を伴う。
【0005】
サイトカインのトランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)ファミリーには、様々な遺伝子産物の生成を制御し、したがって様々な細胞プロセスをコントロールする多機能性タンパク質が含まれる。例えば、TGF−βファミリーのメンバーは、特に、炎症、傷の治癒、細胞外マトリックスの蓄積、骨形成、組織の成長、細胞の分化、および腫瘍の進行に関与している[非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4]。今日までに哺乳動物の3つのイソ型(TGF−β1、TGF−β2、およびTGF−β3)が同定されており、これらのイソ型は、異なる遺伝子によってコードされているものの、構造的に類似している[非特許文献5]。
【0006】
欧米の患者では最も一般的な形態の緑内障の1つである、原発性開放隅角緑内障(POAG)に罹患しているヒトの眼から採取した房水(AH)では、様々なグループが、正常の眼に比べて著しく高レベルのTGF−β2イソ型を報告している[非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10]。TGF−β2のイソ型は、細胞外マトリックス(ECM)の生成を増大することも報告されている[非特許文献11]。POAGでは、眼の小柱網(TM)領域におけるECMの不均衡な癒着が、AHの流出に対してより大きな抵抗を与え、IOPの増大をもたらすと考えられている[非特許文献12;非特許文献13]。したがって、AHにおけるTGFβ2レベルの上昇とIOPの上昇との間には、直接的な関連が存在する可能性がある。
【非特許文献1】Barnardら、Biochim Biophys Acta.、1990年、1032巻、79〜87頁
【非特許文献2】Spornら、J Cell Biol.、1992年、119巻、1017〜1021頁
【非特許文献3】Yinglingら、Nature Reviews、2004年、3巻、1011〜1022頁
【非特許文献4】Janssensら、Endocr Rev.、2005年(印刷前の電子版)
【非特許文献5】Massague J.、Annu Rev Cell Biol.、1990年、6巻、597〜641頁
【非特許文献6】Tripathiら、Exp Eye Res.、1994年、59巻、723〜727頁
【非特許文献7】Inataniら、Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol.、2001年、239巻、109〜113頁
【非特許文献8】Pichtら、Graefes Arch Clin Exp Ophtahlmol.、2001年、239巻、199〜207頁
【非特許文献9】Ochiaiら、Jpn J Ophthalmol.、2002年、46巻、249〜253頁
【非特許文献10】Ozcanら、Int Ophthalmol.、2004年、25巻、19〜22頁
【非特許文献11】Kottlerら、Exp Eye Res.、2005年、80巻、121〜134頁
【非特許文献12】Rohenら、Graefe’s Arch Klin Exp Ophthalmol.、1972年、183巻、251〜266頁
【非特許文献13】Leeら、Trans Ophthalmol Soc UK.、1974年、94巻、430〜449頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、一部は、ヒト患者または他の哺乳動物における緑内障を治療する方法に関する。本発明は、ヒト患者または他の哺乳動物における正常なIOPまたは上昇したIOPを低下させるかまたはコントロールする方法にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、ALK5受容体の活性を調整することによって、IOPをコントロールし、緑内障を治療する。インビトロでは、TGF−β2はALK5(1型TGFβ受容体)に対して作用し、小柱網(TM)における細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の生成の増大をもたらす。したがって、TMにおけるTGF−β2誘導性のECM生成の増大は、インビボでIOPの上昇を最終的にもたらすと仮定されている。したがって、TGF−β2媒介性の反応の影響を下方制御することは、IOPを低下させ、かつ/またはコントロールし、緑内障を治療する潜在的な手段であることを意味する。例えば、ALK5活性を阻害すれば、TGF−β2媒介性のECM蓄積の低減がもたらされると期待される。したがって、ALK5受容体を阻害するか、さもなければ他の方法で選択的に調整する化合物がこのような系中に導入されると、TGF−β2のIOPに対する望ましくない作用は低減または緩和され得る。
【0009】
さらに、TGF−βのイソ型1、2、および3は、膜貫通型セリン/スレオニンキナーゼ受容体を介してシグナル伝達するサイトカインのファミリーに属しており、このスーパーファミリーの他のメンバーには、アクチビン、インヒビン、骨形態形成タンパク質、成長因子および分化因子、ならびにミュラー管抑制物質が含まれる。TGF−βイソ型に対する受容体は、I型すなわちアクチビン様キナーゼ(ALK5またはALK1)受容体とII型受容体の2クラスに群分けされる。TGF−βシグナリングは、TGF−βの存在下で、ALK5などのI型受容体の、II型受容体のリン酸化によって行われる。活性化されたALK5は、次に、サイトゾルタンパク質であるSmad2およびSmad3をリン酸化する。リン酸化されたSmad2およびSmad3のタンパク質は、次いで、別のSmadタンパク質であるSmad4と複合体を形成する。得られたSmadタンパク質複合体は、次に核中に移動し、遺伝子の転写を駆動する。
【0010】
したがって、本明細書で用いられる場合、「選択的ALK5モジュレーター」または「選択的モジュレーター」の用語は、ALK5自体の活性化/リン酸化のいずれかを阻害するか、またはALK5がその標的のSmadタンパク質を活性化/リン酸化する能力を阻害する、阻害的なSmadタンパク質(例えば、Smad6およびSmad7)以外の物質を意味する。このような物質は、ALK3などの他のALK型受容体よりもALK5受容体を優先的に阻害し、骨形態形成タンパク質を介したシグナリングを調整する。このような物質は、また、II型受容体に比べて、またはp38 MAPKなどの他のシグナリングのキナーゼに比べて、ALK5受容体を優先的に阻害する。例えば、GW−6604は、TGF−β II型受容体およびp38 MAPKのリン酸化(それぞれ、IC50は10μMおよび9.5μM)に比べて、ALK5のリン酸化(IC50、約0.14μM)を強力に阻害すると報告されている。Brit J Pharmacol.、2005年、145巻、166〜177頁。
【0011】
本発明のある実施形態は、ALK5受容体活性を選択的に調整し、それによって眼における眼内圧を調整することができる化合物を含むかもしくは用いる組成物または方法を含む。TGF−β2などのサイトカインまたは他の化合物とALK5受容体との相互作用により、小柱網における細胞外マトリックスタンパク質の生成の変化がもたらされることができ、それによって眼内圧を調整することができる。したがって、ALK5受容体活性を調整することによって、本発明のある実施形態による対象の化合物は、ヒトおよび他の温血動物における原発開放隅角緑内障を含む、正常眼内圧緑内障、高眼内圧症、および緑内障に関連するIOPを低下させ、かつ/またはコントロールするのに有用である。このような適用に用いる場合は、化合物を、眼に局所送達するのに適する医薬組成物に配合してもよい。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態では、インビトロの一方法で、ALK5受容体活性の選択的モジュレーターをスクリーニングする。このようなスクリーニングは、緑内障を治療し、IOPをコントロールするための新しい化合物を選択するのを助けることができる。この方法は、好適な増殖培地において小柱網細胞を培養することを含む。培養した細胞を、反復実験、および/または実験群および/または対照群に分け、それらに、対照溶液またはALK5活性の選択的モジュレーターを含む実験溶液を加える。次いで、フィブロネクチン、プラスミノーゲン活性化因子阻害薬I(PAI−1)、コラーゲン、フィブリリン、ビトロネクチン、ラミニン、トロンボスポンジンI、プロテオグリカン、またはインテグリンなどの細胞外マトリックス関連タンパク質のレベルを、各細胞培養群で測定する。次いで、細胞外マトリックスタンパク質のレベルを群間で比較して、ALK5活性に対する選択的モジュレーターを含む実験溶液の効果を決定することができる。
【0013】
前述の簡単な要旨は、本発明の特定の実施形態の特徴および技術上の利点を幅広く記載するものである。さらなる特徴および技術上の利点は、以下の発明の詳細な説明に記載される。本発明に特徴的であると考えられる新規な特徴は、任意の添付の図面と関連付けて考慮すると、発明の詳細な説明から、より良好に理解されよう。しかし、本明細書に提供する図面は、本発明を説明するのを助けるか、または本発明の理解を発展させるのを助けることを企図するものであって、本発明の範囲の定義であることを企図するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明およびその利点は、同じ参照番号が同じ特徴を示す添付図面の図と組み合わせて以下の説明を参照することにより、さらに完全に理解することができる。
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明の特定の実施形態は、ALK5受容体活性を選択的に調整することができ、それによって眼における眼内圧を調整することができる化合物を含むかまたは使用する、化合物、組成物、または方法を含む。ALK5調整活性を有することが見出されている特定の代表的な化合物を以下に列挙する。好ましい実施形態では、本発明の方法を実施するための化合物は、以下に示す化合物1および2を含む。さらに別の実施形態では、以下の化合物のうちの1つまたはより多くを用いてもよい:
【0016】
【化3】

【0017】
【化4】

上記に示す特定の化合物は、製造元の名称によって参照することができる。これらとしては、化合物1(SB−431542)、化合物2(LY−364947)、化合物3(LY−550410)、化合物4(LY−580276)、化合物5(SB−504124)、化合物12(GW−6604)、化合物13(A−83−01)、化合物14(SB−525334)、および化合物15(SC−68376)が挙げられる。上記の化合物の他に、または他の実施形態では、下記グループIおよびIIに列挙した下記化合物のうちの1つまたは複数を用いてもよい:
グループI:
4−(3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7−エトキシキノリン;4−(3−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−エトキシキノリン;7−フルオロ−4−[3−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;4−[3−(6−ブロモピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;4−[3−(6−[n−ブチルアミノ)ピリジン−2−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;4−[3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;6−クロロ−4−[3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;6−トリフルオロメチル−4−[3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;7−メチル−4−[3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;6−メトキシ−4−[3−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;6−トリフルオロメトキシ−4−[3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;4−[3−(3−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;6−ブトキシ−4−(3−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−キノリン;6−sec−ブチル−4−(3−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−キノリン;5−メチル−3−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(−4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール;4−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール;4−[5−メチル−3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;4−[3−(6−プロピルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;3−シクロプロピル−5−ピリジン−2−イル−4−キノリン−4−イル−ピラゾール;3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−キノリン−4−イル−ピラゾール;1−ベンジル−3−(2−ピリジル)−4−(4−キノリル)ピラゾール;1−(4−フェニルブチル)−3−(2−ピリジル)−4−(4−キノリル)ピラゾール;2−(3−(2−ピリジル)−4−(4−キノリル)ピラゾリル)エタン−1−オール;2−(3−(2−ピリジル)−4−(4−キノリル)ピラゾリル)エチルメチルスルホネート;4−[2−(3−(2−ピリジル)−3−(4−キノリル)−ピラゾリル)エチル]モルホリン;フェニル[2−(3−(2−ピリジル)−4−(4−キノリル)−ピラゾリル)エチル]アミン;4−(4−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾール−3−イル)−キノリン;および4−(3−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−キノリン。
【0018】
グループII:
5−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール;5−[2−エチル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール;6−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン;2−[5−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチルピリジン;2−[5−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチルピリジン;1−メチル−6−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−1H−ベンズイミダゾール;6−(2−エチル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン;6−(2−メチル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン;2−[5−(4−メトキシフェニル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチルピリジン;2−[5−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチルピリジン;および2−[5−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチルピリジン。
【0019】
上記化合物のコレクションから、以下のものは商業的供給源から得ることができる:1、Sigma、P.O.Box 14508、St.Louis、ミズーリ州、63178−9916から市販;2、Matrix Scientific、P.O.Box 25067、Columbia、サウスカロライナ州、29224−5067から市販;および15、G.Scientific,Inc.、6450 Lusk Blvd.Suite E102、San Diego、カリフォルニア州、92121から市販。
【0020】
他の化合物は、以下のような供給源の参考文献に記載されている通りに合成することができる[形式:化合物番号、合成の参考文献]:
3および4、Sawyerら、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters、2004年、14巻、3581〜3584頁;
5および14、WO2001/062756A1;
6、WO2004/026871;
7、Gellibertら、Journal of Medicinal Chemistry、2004年、47巻、4494〜4506頁;
8、WO2004/021989;
9、WO2004/026307;
10、WO2000/012497;
11、WO2004/147574;
16、Kimら、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters、2004年、12巻、2013〜2020頁;
12、WO2002/066462;
13、Tojoら、Cancer Science、2005年、96巻、791〜800頁;
17〜21、WO2004/016606;
22、米国特許出願公開第2004/116474号;
23および24、Sawyerら、Journal of Medicinal Chemistry、2003年、46巻、3953〜3956頁;
グループIの化合物、WO2004/026302;および
グループIIの化合物、米国特許出願公開第US2004/152738号。
【0021】
上記の代表的な化合物は、決して本発明の範囲を制限することを意図するものではない。本発明の範囲は、アクチビン受容体様キナーゼ5(ALK5;またはI型TGF−β受容体)の活性を選択的に制御し、阻害し、または調整する能力を有すると同定され得るあらゆる物質を含む。
【0022】
図1は、灌流したヒト前眼部モデルに対する、注入したTGF−β2の影響を示すグラフである。このモデルで用いたドナーの眼はすべて、ヒト組織に関する研究に関するヘルシンキ宣言の条項に従って使用し、死後24時間以内に使用した。緑内障または他の眼の障害の病歴を有することが知られているドナーはいなかった。
【0023】
入手可能な文献に記載されている通りに、ヒト眼部灌流器官培養を行った[Tschumperら、Curr Eye Res.、1990年、9巻、363〜369頁;Clarkら、Invest Ophthalmol Vis Sci.、1995年、36巻、478〜489頁;Pangら、J. Glaucoma、2000年、9巻、468〜479頁;Pangら、Invest Ophthalmol Vis Sci.、2003年、44巻、3502〜3510頁]。簡潔に述べると、前眼部を解剖し、あつらえのPlexiglas培養チャンバー中に入れ、次いで、無血清のダルベッコ改変イーグル培地で灌流した。5秒ごとにIOPをモニターし、各時間ごとに平均した。安定したベースラインIOPを達成するまで、典型的には2〜4日、灌流した組織を37℃、5%COで平衡化し、不安定なIOPを有する組織を廃棄した。次いで、安定な組織を、示したように試験化合物を含む培地でさらに灌流し、IOPの変化を記録した。溶出液のサンプルを、フィブロネクチンおよびPAI−1含量のELISA分析用に、毎日採取した。各試験の終了時に、組織を固定し、光学顕微鏡および電子顕微鏡によって生存性/形態について評価した。許容できない組織からのデータを結果から除外した。「許容できない」組織の基準には、TM領域における過剰な壊死組織片、TMビームの裸出、TMおよび/またはシュレム管細胞の喪失、ならびにシュレム管の破損または崩壊などの所見が含まれていた。
【0024】
図1に示す結果は、5ng/mLのTGF−β2を注入した灌流したヒト前眼部モデルは、対照と比べた場合、24時間以内にIOPの上昇をもたらすことを示している。TGF−β2を注入したモデルのIOPは、72時間後に対照のほぼ2倍であった。
【0025】
上記に仮定したように、ALK5の選択的調整活性を有する化合物を導入すると、TGF−β2誘導性のECM生成の望ましくない影響を低減または緩和する。図2には、TGF−β2だけで灌流した対照モデルと比較した、TGF−β2と以下に示す化合物1で処置したヒト前眼部からの灌流液中のフィブロネクチンレベルの低減を示す実験結果が表してある。化合物1は、灌流液中のフィブロネクチン含量のTGF−β2媒介性の上昇に完全に拮抗した。
【0026】
【化5】

図3は、培養したヒトTM細胞を用いた試験の結果をまとめたグラフを示している。GTM−3で形質転換した細胞系の作製および特徴付けは、以前に記載されている(Pangら、Curr Eye Res.、1994年、13巻、51〜63頁)。簡潔に述べると、維持増殖培地は、10%ウシ胎児血清(Hyclone、Logan、ユタ州)および50μg/mLゲンタマイシン(Gibco/BRL)を補ったGlutamax I(Gibco/BRL、Grand Island、ニューヨーク州)を含む、ダルベッコ改変イーグル培地からなっていた。アッセイ用に、培養物をトリプシン処理し、24ウェルのプレート(Corning Costar、Acton、マサチューセッツ州)中に播種し、単層が約90%のコンフルエンスに到達するまで増殖させた。次いで、培養培地を、好適な試験化合物を含み、無血清および抗生物質不含の培地0.25mLで置き換えた。細胞を、5%CO、37℃で24時間インキュベートした。次いで、培養上清のアリコートを、ELISAによって、フィブロネクチンおよび/またはPAI−1含量に対してアッセイした。
【0027】
図3に示した試験結果は、ALK5調整性化合物1および2によるヒトTM細胞培養物からの上清における、フィブロネクチンおよびPAI−1含量におけるTGF−β2媒介性の増大の、用量依存性の阻害を表している。
【0028】
【化6】

図4は、ヒトTM細胞培養物における測定したプロコラーゲン1型C−ペプチド(PIP)のレベルをまとめるグラフを示している。この実験では、培養した、形質転換したGTM3細胞(Pangら、Curr Eye Res.、1994年、13巻、51〜63頁)を、10%ウシ胎児血清(Hyclone、Logan、ユタ州)および50μg/mLゲンタマイシン(Gibco/Invitrogen)を補った、Glutamax I(Gibco/Invitrogen、Grand Island、ニューヨーク州)を含む、ダルベッコ改変イーグル培地からなる増殖培地で増殖させた。アッセイ用に、培養物を酵素で解離させ(TrypLE Express;Gibco/Invitrogen)、次いで24ウェルのプレート(Corning Costar、Acton、マサチューセッツ州)中に播種し、単層が約90〜95%のコンフルエンスに到達するまで増殖させた。次いで、培養培地を、好適な試験化合物を含む、無血清および抗生物質不含の培地0.25mLで置き換えた。細胞を、5%CO、37℃で24時間インキュベートした。次いで、培養上清のアリコートを、ELISAキットを用いて、プロコラーゲンI型C−ペプチド(タカラバイオ、滋賀、日本)についてアッセイした。
【0029】
コラーゲンは、そのほとんどが「プロペプチド」と呼ばれるさらなるペプチド配列を含むプロコラーゲンとして合成される。プロペプチドは、分子のN末端側末端およびC末端側末端の両方に位置している。これらのプロペプチドは、小胞体内でのプロコラーゲンからの成熟コラーゲンの3重らせん構造の形成を促進するように働く。次いで、プロペプチド部分は、分泌時に3重らせんのコラーゲン分子から切断される。したがって、PIPなどの遊離のプロペプチドの濃度は、細胞によって合成されるコラーゲンの量における変化と相関させるのに用いることができる。両方の試験の反復実験からの結果は、PIPレベルは、ビヒクルに比べてTGF−β2処置した培養物で大きく上昇することを示している。しかし、培養物をTGF−β2およびALK5モジュレーター化合物1の両方で処置した場合は、このTGF−β2依存性のPIPの上昇はなくなる。したがって、図4に示す試験結果は、ALK5調整性化合物1によるPIPレベルのTGF−β2媒介性上昇の阻害を実証している。PIPレベルがコラーゲン生成に直接関連しているとすれば、化合物1などのALK5モジュレーターはコラーゲン生成を低減すると思われ、したがって、TMにおけるECMタンパク質の生成全体を阻害するはずである。
【0030】
下記に示す表1は、様々な株の培養TM細胞におけるECM関連タンパク質レベル(フィブロネクチン、PAI−1)に対するTGF−β2の影響を測定した試験の結果をまとめている。TGF−β2は、5ng/mLの濃度で培養物中に存在し、タンパク質レベル(平均±s.e.m.)は24時間後に測定した。表の結果は、TGF−β2が、様々なヒトTM細胞培養物におけるフィブロネクチンおよびPAI−1の生成を増大することを示している。
【0031】
【表1】

上記に概略した結果を考慮すると、適切な結論は、ALK5受容体活性に対して調整効果を有する化合物を含む組成物およびこの化合物を用いる方法を用いて、IOPレベルを効果的にコントロールし得、緑内障を治療し得るということである。
【0032】
本発明の特定の実施形態に従って用いられる選択的なモジュレーター化合物は送達のための様々なタイプの眼科処方物中に組み入れることができる。化合物は、眼に直接送達してもよい(例えば、局所用点眼薬または眼軟膏;盲嚢内、または強膜に隣接してもしくは眼内に埋め込んだ徐放デバイス;眼窩周囲の、結膜の、テノン嚢下の、前眼房内の、硝子体内の、または小管内の注射)。特定の実施形態では、当業者に周知の技術を用いて、化合物を全身的に送達してもよい(例えば、経口的に;静脈内、皮下、または筋肉内注射;非経口的に;経皮または経鼻送達)。本発明の薬剤を、眼内挿入物、または埋め込みデバイスに配合してもよいことがさらに企図される。
【0033】
好ましい実施形態では、本発明による選択的モジュレーター化合物を、眼に送達するための局所用眼科処方物中に組み入れる。化合物を、眼科的に許容できる保存剤、界面活性剤、増粘剤、浸透促進剤、バッファー、塩化ナトリウム、および/または水と組み合わせて、水性の滅菌眼科用懸濁液または溶液を形成してもよい。眼科用溶液処方物は、生理学的に許容できる等張の水性バッファーに化合物を溶解することによって調製することができる。さらに、眼科用溶液は、化合物を溶解するのを助けるために、眼科的に許容できる界面活性剤を含むことができる。眼科用溶液は、結膜嚢における処方物の保持を改善するために、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの、粘度を上昇させるための物質も含んでもよい。ゲル化剤(ジェランガムおよびキサンタンガムが挙げられるがこれらに限定されない)も用いることができる。
【0034】
滅菌の眼軟膏処方物を調製するために、選択的モジュレーター化合物を、鉱油、液体ラノリン、または白色ワセリンなどの好適なビヒクルにおいて保存剤と組み合わせられる。滅菌の眼科用ゲル処方物は、例えば、類似の眼科用調製物に対して公表されている処方物に従って、カルボポール−974などの組合せから調製される親水性ベースに化合物を懸濁することによって調製してもよく、保存剤および張性剤を組み込むことができる。
【0035】
特定の実施形態では、選択的モジュレーター化合物を、pH約4から8の局所用眼科用の懸濁液または溶液として処方するのが好ましい。化合物は、これらの処方物に、通常、0.01〜5重量/体積パーセント(「w/v%」)の量で含まれるが、好ましくは0.25〜2w/v%の量で含まれる。典型的な投与量レジメンは、熟達した臨床医の判断に従って、これらの処方物を眼の表面に対して1〜2滴、1日当たり1〜4回の投与を含む。
【0036】
選択的モジュレーター化合物を、βブロッカー、プロスタグランジン類似物質、炭酸脱水酵素阻害薬、αアゴニスト、縮瞳薬、および神経保護薬などの、しかしこれらに限定されない、緑内障を治療するための他の薬剤と組み合わせて用いることもできる。
【0037】
本発明の特定の実施形態は、緑内障を治療し、IOPをコントロールするためのALK5受容体活性の選択的モジュレーターをスクリーニングするインビトロの方法を含む。一般的に、これらの実施形態は、複数のTM細胞を適切な培地で培養することを含む。ある実施形態では、TM細胞は、図3に対する説明で記載されているTM培養手順に従って培養してもよい。ALK5活性の選択的モジュレーターを、培養した細胞の第1の集団に加える。これらの実施形態では、選択的モジュレーターを有さない対照の集団も調製する。次いで、フィブロネクチンまたはPAI−1などの細胞外マトリックスタンパク質のレベルを、TGF−β2の存在下および非存在下で、各細胞培養物の集団に対して測定する。本発明の実施形態では、あらゆる細胞外マトリックスタンパク質を測定することができる。次いで、第1の集団における測定レベルと対照の集団における測定レベルとを比較する。このような比較を用いて、ALK5受容体活性に対する選択的モジュレーターをスクリーニングし、このような選択的モジュレーターが緑内障の治療およびIOPのコントロールに有用であるか否かを決定することができる。
【0038】
本発明の実施形態による医薬組成物のいくつかの例を、以下に示す。以下の実施例は、本発明の有用性を説明するために提供するものであり、特許請求の範囲に対するいかなる制限を意味するものとも解釈してはならない。
【実施例】
【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

本発明およびその実施形態を詳しく記載した。しかし、本発明の範囲は、本明細書に記載したあらゆるプロセス、製造、組成物、化合物、手段、方法、および/またはステップの特定の実施形態に制限されることを企図するものではない。本発明の精神および/または本質的な性質から逸脱することなしに、開示した材料に対して、様々な修飾、置換、および変形を行うことができる。したがって、本明細書に記載する実施形態と実質的に同じ機能を遂行するかまたは実質的に同じ結果を達成する、後の修飾、置換、および/または変形を、本発明のこのような関連の実施形態に従って利用してもよいことを当業者であればこの開示から容易に理解するであろう。したがって、特許請求の範囲は、その範囲内に、本明細書に記載するプロセス、製造、組成物、化合物、手段、方法、および/またはステップに対する修飾、置換、および変形内を包含することが企図される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、対照と比較した、灌流したヒト前眼部モデルのIOPに対する、注入したTGF−β2の影響を示す結果のグラフである。
【図2】図2は、対照と比較した、TGF−β2処置した灌流したヒト前眼部モデルにおけるフィブロネクチンレベルに対するALK5阻害薬の効果を示す結果のグラフである。
【図3】図3は、それに対して様々な濃度のALK5阻害薬を加えたインビトロのTM細胞培養物におけるフィブロネクチンおよびPAI−1の測定レベルを示すグラフを表している。
【図4】図4は、インビトロのTM細胞培養物のプロコラーゲンI型C−ペプチド(PIP)の測定レベルを示すグラフを表している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のALK5受容体活性の選択的モジュレーターを含む、緑内障の治療および眼内圧のコントロールに有用な眼科用医薬組成物。
【請求項2】
前記選択的モジュレーターが、
【化1】

【化2】

4−(3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−7−エトキシキノリン;4−(3−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−7−エトキシキノリン;7−フルオロ−4−[3−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;4−[3−(6−ブロモピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;4−[3−(6−[n−ブチルアミノ)ピリジン−2−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;4−[3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;6−クロロ−4−[3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;6−トリフルオロメチル−4−[3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;7−メチル−4−[3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;6−メトキシ−4−[3−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;6−トリフルオロメトキシ−4−[3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;4−[3−(3−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;6−ブトキシ−4−(3−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−キノリン;6−sec−ブチル−4−(3−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−キノリン;5−メチル−3−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(−4−フルオロフェニル)−1H−ピラゾール;4−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール;4−[5−メチル−3−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;4−[3−(6−プロピルピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]−キノリン;3−シクロプロピル−5−ピリジン−2−イル−4−キノリン−4−イル−ピラゾール;3−(3−トリフルオロメチルフェニル)−4−キノリン−4−イル−ピラゾール;1−ベンジル−3−(2−ピリジル)−4−(4−キノリル)ピラゾール;1−(4−フェニルブチル)−3−(2−ピリジル)−4−(4−キノリル)ピラゾール;2−(3−(2−ピリジル)−4−(4−キノリル)ピラゾリル)エタン−1−オール;2−(3−(2−ピリジル)−4−(4−キノリル)ピラゾリル)エチルメチルスルホネート;4−[2−(3−(2−ピリジル)−3−(4−キノリル)−ピラゾリル)エチル]モルホリン;フェニル[2−(3−(2−ピリジル)−4−(4−キノリル)−ピラゾリル)エチル]アミン;4−(4−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾール−3−イル)−キノリン;および4−(3−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾール−4−イル)−キノリン;5−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール;5−[2−エチル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール;6−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン;2−[5−(2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチルピリジン;2−[5−(2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチルピリジン;1−メチル−6−[5−(6−メチルピリジン−2−イル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−1H−ベンズイミダゾール;6−(2−エチル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン;6−(2−メチル−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン;2−[5−(4−メトキシフェニル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチルピリジン;2−[5−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチルピリジン;および2−[5−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)−2H−[1,2,3]トリアゾール−4−イル]−6−メチルピリジン
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記選択的モジュレーターの薬学的に許容できる塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
眼科的に許容できる、保存剤、界面活性剤、増粘剤、浸透促進剤、ゲル化剤、疎水性ベース、ビヒクル、バッファー、塩化ナトリウム、および水
からなる群から選択される化合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
緑内障治療薬をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記緑内障治療薬が、
βブロッカー、プロスタグランジン類似物質、炭酸脱水酵素阻害薬、α2アゴニスト、縮瞳薬、および神経保護薬
からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、約0.01重量/体積パーセントから約5重量/体積パーセントの前記化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、約0.25重量/体積パーセントから約2重量/体積パーセントの前記化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、保存剤、張性剤、酸化防止剤、安定剤、湿潤剤、清澄剤、または粘度上昇剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
緑内障の治療および眼内圧のコントロールのためのALK5受容体活性の選択的モジュレーターをスクリーニングするインビトロでの方法であって、
複数の小柱網(TM)細胞を適切な培地で培養するステップと、
該選択的モジュレーターを該TM細胞の第1の集団に加えるステップと、
該第1の集団と対照の集団とで、細胞外マトリックス関連タンパク質の測定レベルを比較するステップ
とを含む、方法。
【請求項11】
前記細胞外マトリックス関連タンパク質が、
フィブロネクチン、プラスミノーゲン活性化因子阻害薬I(PAI−1)、コラーゲン、フィブリリン、ビトロネクチン、ラミニン、トロンボスポンジンI、プロテオグリカン、およびインテグリン
からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
緑内障を治療し、眼内圧をコントロールする方法であって、ALK5受容体活性の選択的モジュレーターを含む医薬組成物を治療上有効な量、患者の罹患眼に適用することを含む、方法。
【請求項13】
前記適用が、請求項2に記載の組成物を適用することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記適用が、眼窩周囲注射、結膜注射、テノン嚢下注射、前眼房内注射、硝子体内注射、小管内注射、盲嚢における送達装置の埋め込み、強膜に隣接する送達装置の埋め込み、眼内への送達装置の埋め込み、経口投与、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、非経口投与、経皮投与、および経鼻投与からなる群から選択される技術を用いた適用を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記医薬組成物が、保存剤、張性剤、酸化防止剤、安定剤、湿潤剤、清澄剤、または粘度上昇剤を含む、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−519977(P2009−519977A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545986(P2008−545986)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/062151
【国際公開番号】WO2007/070866
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【Fターム(参考)】