説明

AMMの処置

本発明の化合物は、原因不明骨髄様化生(AMM)、とりわけ慣用的化学療法に耐性の原因不明骨髄様化生を有する温血動物、とりわけヒトの処置方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明の化合物は、原因不明骨髄様化生(agnogenic myeloid metaplasia)(AMM)、とりわけ慣用的化学療法に耐性の原因不明骨髄様化生を有する温血動物、とりわけヒトの処置方法であって、当該動物に、単独またはさらなる治療剤、たとえば本明細書において定義したものと組み合わせた本明細書において定義した4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体、とりわけ式Iの化合物の治療上有効量を投与することを含んでなる方法;原因不明骨髄様化生の処置用医薬の製造のための、単独またはさらなる治療剤、たとえば本明細書において定義したものと組み合わせた4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体の使用;同時的、個別的または逐次的使用のための4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体、本明細書において定義したさらなる治療剤、および所望により少なくとも1つの医薬上許容される担体を含んでなる組合せ剤;ならびに当該組合せ剤を含んでなる医薬組成物および市販パッケージに関する。
【0002】
原因不明骨髄様化生(AMM、特発性骨髄線維症(idiopathic myelofibrosis)としても知られる)は、骨髄の単一の幹細胞のDNAの変異または変化に由来する血液細胞の疾患の1つの群である。通常、すべての異なる血液細胞を形成することができる単一の幹細胞におけるDNA損傷は、少なすぎる赤血球細胞および通常多すぎる白血球細胞および血小板が産生されるという効果を有する。AMMの診断後の平均生存期間は約5年である。AMMを有する患者の約10%は、急性骨髄性白血病(AML)の発症のリスクがある。AMLは、骨髄が極度に未熟または未発達の「芽球」または幹細胞の集団に置き換えられた骨髄悪性腫瘍(bone marrow malignancy)である。
【0003】
AMMを有する患者は、通常、衰弱、疲労、息切れおよび腹部左上部の膨満または牽引感(dragging sensation)のような不明確および非特異的徴候を経験する。肥大した脾臓は、事実上一定の所見であり、そしてしばしば当該肥大化は劇的である。骨髄線維症は、AMMを有するほぼすべての患者においてみられる。
【0004】
AMMのさらなる診断のために、完全血球細胞数を計数する。患者の赤血球細胞の減少(貧血)ならびに白血球細胞および血小板の増加が確認された場合、骨髄の試験を行う。
【0005】
非常に多い血小板数または脾臓のサイズを減少させるために、数名のAMM患者に、低用量の化学療法剤、とりわけ低用量のヒドロキシウレアを投与する。しかしながら、確立された化学療法剤での化学療法または他の形態の治療が患者に有益であるという保証は存在しない。それゆえ、AMMの処置のための、とりわけ確立された化学療法剤での化学療法に耐性のAMMの処置のための、さらなる化学療法剤の強い要望が存在する。
【0006】
驚くべきことに、4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体はAMMの処置に有用であることが見いだされた。
【0007】
本発明に適した4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体、それらの製造およびそれらを含有する医薬製剤は、WO 00/59509、EP 02/04892、WO 01/10859および、とりわけ、米国特許第6,258,812号において開示され、これらを出典明示により本願の一部とする。
【0008】
本発明のAMLの処置にも適する化合物は、EP 1 259 487、WO 01/55114、EP 1 129 075、WO 00/27820、EP 1 107 964、WO 00/09495、EP 1 165 085、WO 02/090343、WO 01/85715、WO 01/85691、WO 02/092603、WO 03/040101およびWO 03/040102において一般的もしくは具体的に開示され、言及され、または一般的および具体的に特許請求されたものであり、これらの全内容を出典明示により本願の一部とする。
【0009】
特に、VEGFの活性または産生を標的化し、減少させ、または阻害する化合物は、WO 98/45331、WO 98/11223、WO 00/27819およびEP 0 769 947において一般的および具体的に開示された化合物、タンパク質、アプタマーまたはモノクローナル抗体であり;M. Prewett et alによりCancer Research 59 (1999) 5209-5218において、F. Yuan et alによりProc. Natl. Acad. Sci. USA, vol. 93, pp. 14765-14770, Dec. 1996において、Z. Zhu et alによりCancer Res. 58, 1998, 3209-3214において、およびJ. Mordenti et alによりToxicologic Pathology, Vol. 27, no. 1, pp 14-21, 1999において記載されたもの;WO 00/37502およびWO 94/10202において;M. S. O'Reilly et al, Cell 79, 1994, 315-328により記載されたAngiostatinTM;M. S. O'Reilly et al, Cell 88, 1997, 277-285により記載されたEndostatinTM;アントラニル酸アミド;ZD4190;ZD6474;SU5416;SU6668;抗−VEGF抗体または抗−VEGFレセプター抗体、たとえばRhuMab;US 6,168,778、US 6,147,204、US 6,051,698、US 6,011,020、US 5,958,691、US 5,817,785、US 5,811,533、US 5,696,249、US 5,683,867、US 5,670,637、およびUS 5,475,096において記載されたもの、たとえばペガブタニブナトリウムも、また、本発明のAMMの処置に好適である。
【0010】
式I
【化1】

〔式中、ラジカルおよび基は以下で定義した意義を有する。〕
で示される4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体および、特に4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体、これらの4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体のN−オキシド、ならびにそれらの塩は、チロシンキナーゼインヒビターであり、これらはVEGFレセプターのATP−結合部位に直接結合することにより血管内皮成長因子(VEGF)シグナル伝達を阻害することが示された。かかる4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体は微小血管を減少させ、そして動物モデルにおける原発腫瘍および転移の増殖を阻害し、そして脱調節性血管形成に関連する疾患、とりわけ新生物疾患(固形腫瘍)、たとえば乳癌、結腸癌、肺癌、とりわけ小細胞性肺癌、および前立腺癌の処置に有用である。
【0011】
たとえば、PTK787(ZK222584としても知られる)、すなわちr、nおよびmがそれぞれ0であり、RおよびRが一体となって部分式Iの架橋を形成し、A、B、DおよびEがそれぞれCHであり、Gがメチレンであり、Xがイミノであり、Yが4−クロロフェニルであり、そして波線により特徴づけられる結合が二重結合である式Iの化合物は、KDRに非常に特異的であるが、Flt−1およびFlt−4も阻害し、そしてc−Kit、bFGFおよびPDGFを含む他のチロシンキナーゼレセプターに対する活性を有する。
【0012】
それゆえ、本発明は、AMM、とりわけ慣用的化学療法に耐性のAMMの処置方法であって、4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体の治療上有効量、好ましくは式I〔式中、
rは0〜2であり、
nは0〜2であり、
mは0〜4であり、
およびR
(i)低級アルキルであるか、または
(ii)一体となって部分式I
【化2】

[結合は、2つの末端炭素原子を介して達成される。]
の架橋を形成するか、または
(iii)一体となって部分式I**
【化3】

[式中、環メンバーT、T、TおよびTの1または2個は窒素であり、そして残りは、それぞれの場合においてCHであり、そして結合はTおよびTを介して達成される。]
の架橋を形成し;
A、B、D、およびEは、互いに独立して、NまたはCHであり、ただし、これらのラジカルの2個以下はNであり;
Gは低級アルキレン、アシルオキシもしくはヒドロキシにより置換された低級アルキレン、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NH−、オキサ(−O−)、チア(−S−)、またはイミノ(−NH−)であり;
Qは低級アルキルであり;
RはHまたは低級アルキルであり;
Xはイミノ、オキサ、またはチアであり;
Yは非置換もしくは置換アリール、ピリジル、または非置換もしくは置換シクロアルキルであり;そして
Zはアミノ、モノ−もしくはジ置換アミノ、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシ、エーテル化もしくはエステル化ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、エステル化カルボキシ、アルカノイル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ置換カルバモイル、アミジノ、グアニジノ、メルカプト、スルホ、フェニルチオ、フェニル−低級アルキルチオ、アルキルフェニルチオ、フェニルスルホニル、フェニル−低級アルキルスルフィニルまたはアルキルフェニルスルフィニルであり、1を超えるラジカルZが存在する場合、置換基Zは同一または互いに異なっており;
そして存在する場合には、波線により特徴づけられる結合は単結合または二重結合のいずれかである。〕
で示される4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体
または定義された化合物のN−オキシド、
または少なくとも1つの塩形成基を有するかかる化合物の塩の治療上有効量を、それを必要としている温血動物に投与することを含んでなる方法に関する。
【0013】
式Iの化合物の定義において使用されたラジカルおよび記号は、WO 98/35958において開示された意義を有し、この文献を出典明示により本願の一部とする。
【0014】
好適な式Iの化合物はPTK787である。さらに好ましくは、PTK787はコハク酸塩の形態で使用される。
【0015】
方法の議論において、活性成分についての言及は、医薬上許容される塩も包含することを意味することが理解されるであろう。これらの活性成分が、もしたとえば少なくとも1つの塩基性中心を有するならば、それらは酸付加塩を形成することができる。対応する酸付加塩を、所望によりさらに存在する塩基性中心を有するように形成させることもできる。酸性基(たとえば、COOH)を有する活性成分は、また、塩基との塩を形成し得る。活性成分またはその医薬上許容される塩は、また、水和物の形態で使用されるか、または結晶化に使用した他の溶媒を含んでいてもよい。
【0016】
本明細書において使用される「処置」なる用語は、AMMを有するか、または当該疾患の前段階である患者の処置であって、これらの患者の疾患の進行遅延をもたらす処置を含む。
【0017】
処置に対する完全応答は、たとえば、末梢性芽球、前骨髄球、もしくは骨髄球の不存在および骨髄分化の正常化(正細胞性または過剰細胞性骨髄において5%未満の芽球)を伴う、1〜10×10/Lの白血球細胞数により定義され得る。
【0018】
処置に対する部分応答は、たとえば、処置前白血球症による未熟細胞(芽球、骨髄細胞、後骨髄球)の存続を伴う、1〜10×10/Lの白血球細胞数により定義され得る。
【0019】
AMMの処置のために、4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体は、単独で、または他の形態の処置、たとえば脾臓摘出、十分に適合するドナーがいる場合には幹細胞移植、もしくは以下の剤を含む他の治療剤の投与と組み合わせて投与され得る。オキシメタロン(oxymethalone)もしくはダナゾール(danazol)のようなアンドロゲン、またはプレドニゾンは、十分な赤血球細胞を産生しない患者に投与され得る。ヒドロキシウレアは、非常に多い血小板および白血球細胞数または脾臓のサイズを減少させるために、使用され得る。
【0020】
それゆえ、本発明は、また、同時的、個別的または逐次的使用のための、とりわけAMMの処置方法において使用するための、4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体、好ましくは上で定義した式Iの化合物、ならびにアンドロゲン、プレドニゾンおよびヒドロキシウレアからなる群から選択される少なくとも1つの化合物(ここで、活性成分は、それぞれの場合において、遊離の形態または医薬上許容される塩の形態で存在する。)および所望により少なくとも1つの医薬上許容される担体を含んでなる組合せ剤に関する。
【0021】
4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体および化合物、ならびにアンドロゲン、プレドニゾンおよびヒドロキシウレアからなる群から選択される少なくとも1つの化合物(ここで、活性成分は、それぞれの場合において、遊離の形態または医薬上許容される塩の形態である。)および所望により少なくとも1の医薬上許容される担体を含んでなる組合せ剤を、本明細書において「本発明の組合せ剤」と称する。
【0022】
「本発明の組合せ剤」は、組合せ調製物(combined preparation)または医薬組成物であり得る。
【0023】
本明細書において使用される「組合せ調製物」なる用語は、上で定義した活性成分が独立に投与され得るか、または当該成分の識別し得る量での異なる一定の組合せで投与され得る、すなわち、同時にまたは異なる時点で投与され得るという意味で、「パーツのキット(kit of parts)」と特に定義する。「パーツのキット」のパーツは、したがって、同時に投与されるか、または時間をずらして、すなわち、異なる時点で、同じまたは異なる時間間隔で、「パーツのキット」のいずれかのパーツを投与され得る。特に好ましいのは、パーツの併用使用により処置する疾患に対する効果が活性成分のいずれか一方のみの使用により得られる効果よりも大きくなるように時間間隔を選定することである。組合せ調製物として投与すべき活性成分1と活性成分2の総量比は、たとえば、処置すべき患者下位集団の必要性に対処するために、または患者個人に必要であって、その異なる必要性がその患者の特定の疾患、年齢、性別、体重などによるものである場合、それに対処するために変更することは可能である。好ましくは、少なくとも一つの有益性があること、たとえば、第一成分および第二成分の作用を相互に、特に相乗的に強め合うこと、たとえば、相加作用よりも強いこと、さらなる有利な作用があること、副作用が少ないこと、第一および第二活性成分の一方または双方の非有効用量で併用治療効果のあること、また極めて好適には第一および第二活性成分の強力な相乗効果のあることである。
【0024】
さらに、本発明は、AMMの処置方法であって、それを必要としている温血動物に、AMMに共同で治療上有効量の「本発明の組合せ剤」を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0025】
当業者であれば、関連する試験モデルを選択して、4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体または「本発明の組合せ剤」の本明細書に前記または後記するAMMに対する有益な効果を証明することができる。4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体または「本発明の組合せ剤」の薬理学的活性は、たとえば適当な臨床試験において証明され得る。適当な臨床試験には、たとえば進行性AMMを有する患者におけるオープンラベル、非無作為化、用量漸増試験である。かかる研究は、特に、「本発明の組合せ剤」で観察される相乗作用を証明する。AMMへの有益な効果は、当業者に自体公知の試験の結果からまたは研究設計の変更によって直接判定できる。たとえば、1つの組合せパートナーを固定用量で投与し、第二の組合せパートナーの用量を最大耐性用量(MTD)に達するまで増量できる。あるいは、プラセボコントロール、二重盲検を行っても本明細書に記載した「本発明の組合せ剤」の利点を証明できる。
【0026】
本発明の1つの目的は、「本発明の組合せ剤」を含むAMMに対して共同で治療上有効量を含む医薬組成物を提供することである。この組成物において、組合せパートナーは、一緒に、一方の後に他方を、または1つの組合せ単位投与形態もしくは2つの個別的単位投与形態で個別的に投与され得る。単位投与形態は、また、固定組合せ剤(fixed combination)であり得る。
【0027】
組合せパートナーの個別投与のための、および固定組合せ剤、すなわち少なくとも2つの組合せパートナーを含んでなる単一ガレヌス組成物での投与のための本発明の医薬組成物は、自体既知の方法で製造され得、そしてヒトを含む哺乳類(温血動物)への経腸、たとえば経口または経直腸、および非経腸投与に適したものであり、そして単独で、または1もしくはそれ以上の医薬上許容される担体(とりわけ、経腸もしくは非経腸適用に適したもの)と組み合わせて少なくとも1つの薬理学的に活性な組合せパートナーの治療上有効量を含む。
【0028】
新規医薬組成物は、たとえば、約10%〜約100%、好ましくは約20%〜約60%の活性成分を含有する。経腸もしくは非経腸投与のための組合せ治療用医薬調製物は、たとえば、単位用量形態のもの、たとえば糖衣錠、錠剤、カプセル剤または坐剤、およびさらにアンプル剤である。特記しない限り、これらは、自体公知の方法で、たとえば慣用的混合、造粒、シュガーコーティング、溶解または凍結乾燥により製造される。各投与形態のそれぞれの用量に含まれる組合せパートナーの単位含量はそれ自体で有効量を構成する必要はない。というのは、必要な有効量は複数の投与単位の投与により達成され得るからである。
【0029】
特に、「本発明の組合せ剤」の組合せパートナーのそれぞれの治療上有効量は、同時的または逐次的に、および任意の順序で投与され得、そして成分は個別的または固定された組合せとして投与され得る。たとえば、本発明のAMMの処置方法は、同時的または任意の順序で逐次的に、共同で治療上有効量の、好ましくは相乗的に有効な量で、たとえば本明細書において記載した量に対応する1日用量で、(i)遊離または医薬上許容される塩の形態の組合せパートナー(a)の投与および(ii)遊離または医薬上許容される塩の形態の組合せパートナー(b)の投与を含み得る。「本発明の組合せ剤」の個々の組合せパートナーは、治療過程の異なる時点で個別的に、または分割もしくは単一組合せ形態で同時一体的(concurrently)に投与され得る。さらに、「投与」なる用語は、また、インビボで組合せパートナー自体に変換される組合せパートナーのプロドラッグの使用を含む。したがって、本発明は、同時的または交互的処置のかかるレジメンのすべてを包含すると理解されるべきであり、そして「投与」なる用語もそれに応じて解釈されるべきである。
【0030】
「本発明の組合せ剤」において使用される4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体および組合せパートナーの有効用量は、使用される特定の化合物または医薬組成物、投与様式、処置されるAMMのタイプ、処置されるAMMの重度および併用薬に依存して変動する。したがって、投与レジメン「本発明の組合せ剤」は、投与経路ならびに患者の腎臓および肝臓機能を含む種々の因子にしたがって選択される。通常の知識を有する医師、臨床医または獣医は、病状の進行を予防し、対抗し、または阻止するのに必要とされる4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体または「本発明の組合せ剤」の単一活性成分の有効量を容易に決定し、そして処方することができる。有効性を示し毒性を示さない範囲内での活性成分濃度を決める最適精度を得るには、標的部位での活性成分の利用能の動力学に基づくレジメンが必要である。
【0031】
温血動物が成人である場合、式Iの化合物、とりわけPTK787の用量は、好ましくは約250〜2000、さらに好ましくは約500〜1750、および最も好ましくは1000〜1500mg/日の範囲である。好ましくは、当該薬物の総1日量は、等しいまたは異なる重量の2またはそれ以上のユニットで適用される。たとえば、500mgもしくは750mgのPTK787が1日2回投与されるか、または一方が500mgのPTK787を有し、そして他方が750mgのPTK787を有する2つの異なるユニットが同じ日に適用され得る。
【0032】
さらに、本発明は、AMMの処置における同時的、個別的または逐次的使用のための指示書とともに、活性成分として「本発明の組合せ剤」を含んでなる市販パッケージ(commercial package)を提供する。
【0033】
本発明は、また、AMMの処置用医薬の製造のための、ならびにAMMの処置用4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体または「本発明の組合せ剤」を含んでなる医薬組成物の使用のための、4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体の使用および「本発明の組合せ剤」の使用を提供する。
【0034】
実施例1
脾腫を有する患者に750mgのPTK787を1日2回投与した。最初の14日の化学療法の間、脾腫の減少が観察され、そして白血球細胞数が19,000から14,000に減少した。この治療は、用量制限的毒性(dose limiting toxicity)の観点で中断された。治療の中断中、脾臓は再び増大し始めた。
【0035】
実施例2
患者の腹部の他側に達するほど巨大な隆起脾臓を有する患者に750mgのPTK787を1日2回投与した。5日間の治療後、脾臓は元の大きさの10%未満となった。
【0036】
当該実施例は、PTK787がAMMの処置に適していることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原因不明骨髄様化生の処置方法であって、それを必要としている温血動物に、4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体の治療上有効量を投与することを含んでなる方法。
【請求項2】
式I
【化1】

〔式中、
rは0〜2であり、
nは0〜2であり、
mは0〜4であり、
およびR
(i)低級アルキルであるか、または
(ii)一体となって部分式I
【化2】

[結合は、2つの末端炭素原子を介して達成される。]
の架橋を形成するか、または
(iii)一体となって部分式I**
【化3】

[式中、環メンバーT、T、TおよびTの1または2個は窒素であり、そして残りは、それぞれの場合においてCHであり、そして結合はTおよびTを介して達成される。]
の架橋を形成し;
A、B、D、およびEは、互いに独立して、NまたはCHであり、ただし、これらのラジカルの2個以下はNであり;
Gは低級アルキレン、アシルオキシもしくはヒドロキシにより置換された低級アルキレン、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NH−、オキサ(−O−)、チア(−S−)、またはイミノ(−NH−)であり;
Qは低級アルキルであり;
RはHまたは低級アルキルであり;
Xはイミノ、オキサ、またはチアであり;
Yは非置換もしくは置換アリール、ピリジル、または非置換もしくは置換シクロアルキルであり;そして
Zはアミノ、モノ−もしくはジ置換アミノ、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシ、エーテル化もしくはエステル化ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、エステル化カルボキシ、アルカノイル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ置換カルバモイル、アミジノ、グアニジノ、メルカプト、スルホ、フェニルチオ、フェニル−低級アルキルチオ、アルキルフェニルチオ、フェニルスルホニル、フェニル−低級アルキルスルフィニルまたはアルキルフェニルスルフィニルであり、1を超えるラジカルZが存在する場合、置換基Zは同一または互いに異なっており;
そして存在する場合には、波線により特徴づけられる結合は単結合または二重結合のいずれかである。〕
で示される4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体
または定義された化合物のN−オキシド(1もしくはそれ以上のN原子が酸素原子を担持する。)、
または少なくとも1つの塩形成基を有するかかる化合物の塩の治療上有効量を、それを必要としている温血動物に投与することを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式Iの4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体がPTK787である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
疾患が慣用的化学療法に耐性である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
温血動物がヒトである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
同時的、個別的または逐次的使用のための、4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体、ならびにアンドロゲン、プレドニゾンおよびヒドロキシウレアからなる群から選択される少なくとも1つの化合物(ここで、活性成分は、それぞれの場合において遊離の形態または医薬上許容される塩の形態で存在する。)ならびに所望により少なくとも1つの医薬上許容される担体を含んでなる組合せ剤。
【請求項7】
4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体がPTK787である、請求項6に記載の組合せ剤。
【請求項8】
原因不明骨髄様化生の処置における同時的、個別的または逐次的使用のための請求項7または8に記載の組合せ剤。
【請求項9】
原因不明骨髄様化生の処置方法であって、それを必要としている温血動物に、原因不明骨髄様化生に対して共同で治療上有効量の請求項7または8において定義した組合せ剤を投与することを含んでなる方法。
【請求項10】
原因不明骨髄様化生に対して共同で治療上有効量の請求項7または8に記載の組合せ剤および少なくとも1つの医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項11】
原因不明骨髄様化生の処置における同時的、個別的または逐次的使用のための指示書とともに、4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体、ならびにアンドロゲン、プレドニゾンおよびヒドロキシウレアからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含んでなる市販パッケージ。
【請求項12】
AMMの処置用医薬の製造のための、所望によりアンドロゲン、プレドニゾンおよびヒドロキシウレアからなる群から選択される少なくとも1つの化合物(ここで、活性成分は、それぞれの場合において、遊離の形態または医薬上許容される塩の形態で存在する。)および所望により少なくとも1つの医薬上許容される担体と組み合わせた、式I
【化4】

〔式中、
rは0〜2であり、
nは0〜2であり、
mは0〜4であり、
およびR
(i)低級アルキルであるか、または
(ii)一体となって部分式I
【化5】

[結合は、2つの末端炭素原子を介して達成される。]
の架橋を形成するか、または
(iii)一体となって部分式I**
【化6】

[式中、環メンバーT、T、TおよびTの1または2個は窒素であり、そして残りは、それぞれの場合においてCHであり、そして結合はTおよびTを介して達成される。]
の架橋を形成し;
A、B、D、およびEは、互いに独立して、NまたはCHであり、ただし、これらのラジカルの2個以下はNであり;
Gは低級アルキレン、アシルオキシもしくはヒドロキシにより置換された低級アルキレン、−CH−O−、−CH−S−、−CH−NH−、オキサ(−O−)、チア(−S−)、またはイミノ(−NH−)であり;
Qは低級アルキルであり;
RはHまたは低級アルキルであり;
Xはイミノ、オキサ、またはチアであり;
Yは非置換もしくは置換アリール、ピリジル、または非置換もしくは置換シクロアルキルであり;そして
Zはアミノ、モノ−もしくはジ置換アミノ、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシ、エーテル化もしくはエステル化ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、エステル化カルボキシ、アルカノイル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ置換カルバモイル、アミジノ、グアニジノ、メルカプト、スルホ、フェニルチオ、フェニル−低級アルキルチオ、アルキルフェニルチオ、フェニルスルホニル、フェニル−低級アルキルスルフィニルまたはアルキルフェニルスルフィニルであり、1を超えるラジカルZが存在する場合、置換基Zは同一または互いに異なっており;
そして存在する場合には、波線により特徴づけられる結合は単結合または二重結合のいずれかである。〕
で示される4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体
または定義された化合物のN−オキシド(1もしくはそれ以上のN原子が酸素原子を担持する。)、
または少なくとも1つの塩形成基を有するかかる化合物の塩の治療上有効量の使用。
【請求項13】
式Iの4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体がPTK787である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
AMMの処置のための、請求項6〜8のいずれか1項に記載の4−ピリジルメチル−フタラジン誘導体または組合せ剤を含んでなる医薬組成物の使用。

【公表番号】特表2006−503874(P2006−503874A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542481(P2004−542481)
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011214
【国際公開番号】WO2004/033042
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】