説明

AMPA増強剤としてのオキソピペリジニルおよびピラニルスルホンアミド

本発明は、当該化合物の薬学的に許容できる塩を包含する、本明細書において定義されている通りの式Iの構造を有する1クラスの化合物を対象とする。本発明は、式(I)の化合物を、AMPAモジュレーターとして含有する組成物も対象とする。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書において定義されている通りの式IまたはIIの構造を有する新規クラスの化合物および式IまたはIIの化合物を含む医薬組成物に関する。本発明は、治療有効量の式IまたはIIの化合物を対象に投与することにより、該対象を治療する方法も含む。これらの化合物は、本明細書において開示されている状態に有用である。本発明は、式IまたはIIの化合物および対応する中間体を作製するための方法をさらに含む。
【背景技術】
【0002】
本発明は、式IまたはIIの化合物、その医薬組成物およびその使用方法、それを調製する方法、ならびにその中間体を提供する。
【0003】
哺乳類の中枢神経系(CNS)において主要な興奮性神経伝達物質は、そのシグナル伝達がイオンチャネル型または代謝型グルタミン酸受容体(GluR)のいずれかによって媒介されるアミノ酸グルタメートである。イオンチャネル型グルタミン酸受容体(iGluR)は、3つの選択的iGluRアゴニストα−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルイソオキサゾール−4−プロピオン酸(AMPA)、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)およびカイニン酸に対するそれらの独自の応答によって区別される3つの亜型で構成される(Parsons,C.G.、Danysz,W.およびLodge,D.(2002)、Ionotropic Glutamate Receptors as Therapeutic Targets(Danysz,W.、Lodge,D.およびParsons,C.G.編)、1〜30頁、F.P.Graham Publishing Co.、Tennessee)。それぞれが異なった遺伝子(GluA1〜A4)からコードされ、各サブユニットタンパク質が「フリップ」および「フロップ」とみなされている2つのスプライス変異体の1つとして存在する4つの約900アミノ酸単量体サブユニットの任意の組合せで構成されるAMPA受容体、タンパク質性ホモ−またはヘテロ四量体は、哺乳類の脳において興奮性シナプス伝達の大半を媒介し、認知過程を媒介する神経回路の不可欠な構成要素であることが長い間提唱されてきた(Bleakman,D.およびLodge,D.(1998)Neuropharmacology of AMPA and Kainate Receptors.Neuropharmacology 37:1187〜1204)。ヘテロ四量体の種々の可能性、すなわち4つのiGluR単量体のそれぞれについての2つのスプライス形態、および受容体サブユニットRNA編集と、AMPA受容体が脳全体にわたって不均質に分布していることとの組合せは、この臓器内における無数の潜在的なAMPA受容体応答を浮き彫りにする(Black,M.D.(2005)Therapeutic Potential of Positive AMPA Modulators and Their Relationship to AMPA Receptor Subunits.A Review of Preclinical Data.Psychopharmacology 179:154〜163)。AMPAモジュレーターは、今や創薬のための活性標的となっている(Rogers,B.およびSchmidt,C.、(2006)Novel Approaches for the Treatment of Schizophrenia、Annual Reports in Medicinal Chemistry 3〜21を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、当該化合物の薬学的に許容できる塩を包含する、式I:
【0006】
【化1】

[式中、Rは、水素、フルオロ、1〜5個のフルオロで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、1〜5個のフルオロで置換されていてもよい(C〜C)アルコキシ、−(C=O)−NH、−(C=O)−NH−(C〜C)アルキル、−(C=O)−N[(C〜C)アルキル]または−CNであり、
nは、0、1または2であり、
は水素またはヒドロキシルであり、
は、(C〜C)アルキル−(C=O)−、[(C〜C)アルキル]N−(C=O)−、(C〜C)アルキル−SO−、(C〜C)シクロアルキル−SO−または[(C〜C)アルキル]N−SO−であり、ここで、前記[(C〜C)アルキル]N−(C=O)−および[(C〜C)アルキル]N−SO−の前記(C〜C)アルキル部分は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、4〜6員の複素環を形成していてもよく、
かつ、環「A」は、フェニル、ピリジルまたはチエニルである]
の構造を有する1クラスの化合物を対象とする。
【0007】
用語「アルキル」は、1〜3個または1〜2個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖の飽和ヒドロカルビル置換基(すなわち、炭化水素から水素の除去によって取得された置換基)を指す。そのような置換基の例は、メチル、エチル、プロピル(n−プロピルおよびイソプロピルを包含する)等を包含する。
【0008】
いくつかの場合において、ヒドロカルビル置換基(例えば、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール等)中の炭素原子の数は、接頭辞「C〜C−」によって示され、ここで、xは置換基中の炭素原子の最小数であり、yは最大数である。故に、例えば「C〜C−アルキル」は、1〜3個の炭素原子を含有するアルキル置換基を指す。
【0009】
用語「水素」は水素置換基を指し、これは−Hとして描写され得る。
【0010】
用語「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、−OHを指す。別の用語(複数可)と組み合わせて使用される場合、接頭辞「ヒドロキシ」は、該接頭辞が結合している置換基が1個または複数のヒドロキシ置換基で置換されていることを示す。1個または複数のヒドロキシ置換基が結合している炭素を持つ化合物は、例えば、アルコール、エノールおよびフェノールを包含する。
【0011】
用語「シアノ」(「ニトリル」とも称される)は−CNを意味し、これは
【0012】
【化2】

とも描写され得る。
【0013】
用語「カルボニル」は−(C=O)−または>C=Oを意味し、これは
【0014】
【化3】

としても描写され得る。
【0015】
用語「アミノ」は−NHを指す。
【0016】
用語「オキソ」は=Oを指す。
【0017】
用語「アミド」はRN−(C=O)−を指し、ここで、Rは水素またはアルキルである。アミドおよびアルキルアミドの例は、ジメチルおよびジエチルアミドを包含する。
【0018】
用語「アルコキシ」は、酸素と連結しているアルキルを指し、これは−O−Rとしても表すことができ、ここで、Rはアルキル基を表す。アルコキシの例は、メトキシおよびエトキシを包含する。
【0019】
用語「スルホニル」は−SOを指し、これは
【0020】
【化4】

としても描写され得る。故に、例えば「アルキル−スルホニル−アルキル」はアルキル−SO−アルキルを指す。アルキルスルホニルの例は、メチルスルホニル、エチルスルホニルおよびプロピルスルホニルを包含する。
【0021】
用語「(アルキル)N−SO−」は、ジメチルまたはジエチルスルホンアミド等のスルホンアミドを指す。
【0022】
置換基が群から「独立に選択される」として記述されている場合、各置換基は互いに独立して選択される。したがって、各置換基は、他の置換基(複数可)と同一であってよく、または異なっていてよい。
【0023】
本明細書において使用される場合、用語「式I」または「式II」(式IIは本明細書において後述され、これらの用語は、以後、式I、Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、II、IIa、IIbまたはIIcも包含するものと理解され、加えて、薬学的に許容できるその塩を包含するものと理解される)を、以後「本発明の化合物(複数可)」と称する。そのような用語は、その水和物、溶媒和物、異性体、結晶および非結晶形態、同形、多形、ならびに代謝産物を包含する、式IまたはIIの化合物の全形態も包含すると定義される。
【0024】
式IまたはIIの化合物は、非溶媒和および溶媒和形態で存在し得る。溶媒または水が密接に結合している場合、錯体は湿度とは無関係に明確な化学量論を有することになる。しかしながら、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物のように、溶媒または水の結合が弱い場合、水/溶媒含有量は湿度および乾燥条件に依存することになる。そのような事例では、非化学量論が基準となる。
【0025】
式IまたはIIの化合物は、不斉炭素原子を有し得る。式IまたはIIの化合物の炭素−炭素結合は、本明細書において、実線
【0026】
【化5】

実線のくさび形
【0027】
【化6】

または破線のくさび形
【0028】
【化7】

を使用して描写され得る。不斉炭素原子との結合を描写するための実線の使用は、該炭素原子において考えられるすべての立体異性体(例えば、特定の鏡像異性体、ラセミ混合物等)が包含されることを示すように意味付けられている。不斉炭素原子との結合を描写するための実線のくさび形または破線のくさび形のいずれかの使用は、図示されている立体異性体だけが包含されることを示すように意味付けられている。式IまたはIIの化合物は、複数の不斉炭素原子を含有し得ると考えられる。それらの化合物において、不斉炭素原子との結合を描写するための実線の使用は、考えられるすべての立体異性体が包含されることを示すように意味付けられている。例えば、別段の規定がない限り、式IまたはIIの化合物は、鏡像異性体およびジアステレオマーとして、またはラセミ体およびその混合物として存在し得ることが意図されている。式IまたはIIの化合物における1個または複数の不斉炭素原子との結合を描写するための実線の使用、および同じ化合物における他の不斉炭素原子との結合を描写するための実線のくさび形または破線のくさび形の使用は、ジアステレオマーの混合物が存在することを示すように意味付けられている。
【0029】
式IまたはIIの立体異性体は、複数種の異性を呈する化合物を包含する式IまたはIIの化合物の、シスおよびトランス異性体、RおよびS鏡像異性体等の光学異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、回転異性体、配座異性体および互変異性体、ならびにそれらの混合物(ラセミ体およびジアステレオマー対等)を包含する。対イオンが光学活性である酸付加または塩基付加塩、例えばD−乳酸もしくはL−リジン、またはラセミ、例えばDL−酒石酸もしくはDL−アルギニンも包含される。
【0030】
任意のラセミ体が結晶化する場合、2つの異なる種類の結晶が考えられる。第一の種類は、両方の鏡像異性体を含有する1つの均質な形態の結晶が等モル量で生成される、上記で言及したラセミ化合物(真のラセミ体)である。第二の種類は、それぞれ単一の鏡像異性体を含む2つの形態の結晶が等モル量で生成される、ラセミ混合物または集塊である。
【0031】
塩を患者に投与することが意図されている場合(例えばインビトロ状況で使用されるのとは対照的に)、該塩は、薬学的に許容できるのが好ましい。用語「薬学的に許容できる塩」は、式IまたはIIの化合物を、概してヒトが消費するのにそのアニオンが適しているとみなされる酸またはそのカチオンが適しているとみなされる塩基と組み合わせることによって調製される塩を指す。薬学的に許容できる塩は、親化合物と比較して大きいその水溶解性のために、本発明の方法の生成物として特に有用である。医薬で使用するために、本発明の化合物の塩は非毒性の「薬学的に許容できる塩」である。用語「薬学的に許容できる塩」内に包括される塩は、概して遊離塩基を適切な有機または無機酸と反応させることによって調製される、本発明の化合物の非毒性塩を指す。
【0032】
本発明の化合物の適切な薬学的に許容できる酸付加塩は、可能な場合、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、カルボン酸、スルホン酸および硫酸等の無機酸、ならびに酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イソチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、コハク酸、トルエンスルホン酸、酒石酸およびトリフルオロ酢酸等の有機酸に由来するものを包含する。適切な有機酸は、概して、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、複素環式(heterocyclylic)、カルボン酸およびスルホン酸クラスの有機酸を包含する。
【0033】
適切な有機酸の具体例は、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、ジグルコン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、グルクロン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、ピルビン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、アントラニル酸、メシレート、ステアリン酸塩、サリチル酸塩、p−ヒドロキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、エンボン酸塩(パモ酸塩)、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パントテン酸塩、トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、スルファニル酸塩、シクロヘキシルアミノスルホン酸塩、アルゲン酸(algenic acid)、β−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸塩、ガラクツロン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、酪酸塩、樟脳、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、グリコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩(naphthalesulfonate)、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩(pectinate)、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、チオシアン酸塩、トシレートおよびウンデカン酸塩を包含する。
【0034】
さらに、本発明の化合物が酸性部分を担持する場合、適切な薬学的に許容できるその塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩、および適切な有機配位子と形成された塩、例えば第四級アンモニウム塩を包含し得る。別の実施形態において、塩基塩は、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオールアミン塩、グリシン塩、リジン塩、メグルミン塩、オラミン塩、トロメタミン塩および亜鉛塩を包含する非毒性塩を形成する塩基から形成される。
【0035】
一実施形態において、酸および塩基のヘミ塩、例えばヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も形成され得る。
【0036】
本発明は、1個または複数の原子が、自然界において通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられているという事実を除き、式IまたはIIに列挙されているものと同一である同位体標識化合物も包含する。本発明の化合物に組み込まれ得る同位体の例は、H、H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、35S、18Fおよび36Cl等、それぞれ水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体を包含する。本発明の化合物、そのプロドラッグ、ならびに前述の同位体および/もしくは他の原子の他の同位体を含有する前記化合物のまたは前記プロドラッグの薬学的に許容できる塩は、本発明の範囲内である。本発明のある特定の同位体標識化合物、例えば、Hおよび14C等の放射性同位体が組み込まれた同位体標識化合物は、薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわちH、および炭素−14、すなわち14C同位体は、それらの調製の容易さおよび検出性にとって特に好ましい。さらに、重水素、すなわちH等のより重い同位体による置換は、より優れた代謝安定性、例えばインビボ半減期の増大または必要投薬量の低減から生じるある特定の治療上の利点を生じさせることができ、それ故、いくつかの状況においては好ましいことがある。本発明の式IまたはIIの同位体標識化合物およびそのプロドラッグは、概して、非同位体標識試薬を容易に入手可能な同位体標識試薬で代用することにより、以下のスキームおよび/または実施例において開示されている手順を行うことによって調製できる。
【0037】
本発明の一実施形態において、式Iの化合物は、式Iaについて以下に描写する立体化学を有する。
【0038】
【化8】

【0039】
本発明の別の実施形態において、式Iの化合物は、式Ibについて以下に描写する立体化学を有する。
【0040】
【化9】

【0041】
本発明のまた別の実施形態において、ピラニル環に関する立体化学を、式Icについて以下で描写する。
【0042】
【化10】

【0043】
本発明のまた別の実施形態において、ピラニル環に関する立体化学を、式Idについて以下で描写する。
【0044】
【化11】

【0045】
本発明のまた別の実施形態において、ピラニル環に関する立体化学を、式Ieについて以下で描写する。
【0046】
【化12】

【0047】
本発明の一実施形態において、式Iの化合物は、式Ifについて以下に描写する立体化学を有する。
【0048】
【化13】

【0049】
本発明の一実施形態において、式Iの化合物は、式Igについて以下に描写する立体化学を有する。
【0050】
【化14】

【0051】
本発明の一実施形態において、式Iの化合物は、式Ihについて以下に描写する立体化学を有する。
【0052】
【化15】

【0053】
本発明の一実施形態において、式Iの化合物は、式Iiについて以下に描写する立体化学を有する。
【0054】
【化16】

【0055】
本発明のまた他の実施形態は、式I(ならびにIa、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、IhおよびIi)のいわゆるアミドピラン[式中、Rは(C〜C)アルキル−(C=O)−である]に関する。
【0056】
本発明のまた他の実施形態は、式I(ならびにIa、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、IhおよびIi)のいわゆるウレオピラン(ureopyranes)[式中、Rは[(C〜C)アルキル]N−(C=O)−であり、ここで、前記(C〜C)アルキル部分は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、4〜6員の複素環を形成していてもよい]に関する。
【0057】
本発明のまた他の実施形態は、式I(ならびにIa、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、IhおよびIi)のアルキルスルホニルピラン[式中、Rは(C〜C)アルキル−SO−である]に関する。
【0058】
本発明のまた他の実施形態は、式I(ならびにIa、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、IhおよびIi)のシクロアルキルスルホニルピラン(cycloalkylsulonylpyranes)[式中、Rは(C〜C)シクロアルキル−SO−である]に関する。
【0059】
本発明のまた他の実施形態は、式I(ならびにIa、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、IhおよびIi)のスルホンアミドピラン[式中、Rは[(C〜C)アルキル]N−SO−であり、ここで、前記(C〜C)アルキル部分は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、4〜6員の複素環を形成していてもよい]に関する。
【0060】
本発明者らにとって興味深いまた他の実施形態は、上記したRの実施形態を包含する式I(ならびにIa、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、IhおよびIi)の化合物[式中、Rは水素である]を包含する。
【0061】
本発明者らにとって興味深いまた他の実施形態は、上記したRの実施形態を包含する式I(ならびにIa、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、IhおよびIi)の化合物[式中、Rはヒドロキシである]を包含する。
【0062】
本発明者らにとって興味深いまた他の実施形態は、上記したRの実施形態および同じく上記したRが水素またはヒドロキシルの実施形態を包含する式I(ならびにIa、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、IhおよびIi)の化合物[式中、nは0または1である]を包含する。
【0063】
本発明者らにとって興味深いまた他の実施形態は、上記したRの実施形態および同じく上記したRが水素またはヒドロキシルの実施形態を包含する式I(ならびにIa、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、IhおよびIi)の化合物[式中、nは2である]を包含する。
【0064】
本発明者らにとって興味深いまた他の実施形態は、上記したRの実施形態および上記したRが水素またはヒドロキシルの実施形態、ならびに同じく上記した「n」が0または1および「n」が2の実施形態を包含し、上述の実施形態群のそれぞれの組合せ(例えば、RがスルホンアミドピランおよびRが水素および「n」が2の実施形態の式Ia)を含む実施形態も包含する式I(ならびにIa、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、IhおよびIi)の化合物[式中、1個のRは、フルオロ、1〜5個のフルオロ(より具体的にはエトキシ)で置換されていてもよい(C〜C)アルコキシまたは−CNである(より一層具体的には、式中、このRはオルト置換基である)]を包含する。
【0065】
本発明者らにとって興味深いまた他の実施形態は、上記したRの実施形態および上記したRが水素またはヒドロキシルの実施形態、ならびに同じく上記した「n」が0または1および「n」が2の実施形態を包含し、上述の実施形態群のそれぞれの組合せ(例えば、RがスルホンアミドピランおよびRが水素および「n」が2の実施形態の式Ia)を含む実施形態も包含する式I(ならびにIa、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、IhおよびIi)の化合物[式中、1個のRは、1〜5個のフルオロで置換されていてもよい(C〜C)アルキルである]を包含する。
【0066】
本発明による例示的な化合物は、本明細書において開示されている特定化合物または薬学的に許容できるその塩を包含する。
【0067】
本発明者らにとって興味深い別の実施形態は、群:
N−[(3R,4R)−4−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4R)−4−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4R)−4−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;および
N−{(3R,4R)−4−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミドから選択される(3R,4R)−4−ビアリール−ピランの群または薬学的に許容できるその塩を包含する。
【0068】
本発明者らにとって興味深い別の実施形態は、化合物N−[(3R,4R)−3−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドまたは薬学的に許容できるその塩を包含する。
【0069】
本発明者らにとって興味深い別の実施形態は、群:
N−{(3S,4S)−3−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4S)−3−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4S)−3−(2’−シアノ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4S)−3−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4S)−3−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;および
N−[(3S,4S)−3−(4’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドから選択される(3S,4S)−3−ビアリール−ピランの群または薬学的に許容できるその塩を包含する。
【0070】
本発明者らにとって興味深い別の実施形態は、群:
N−[(3R,4S)−3−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4S)−3−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4S)−3−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4S)−3−(4’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4S)−3−(2’−シアノ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−{(3R,4S)−3−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}プロパン−2−スルホンアミドから選択される(3R,4S)−3−ビアリール−ピランの群または薬学的に許容できるその塩を包含する。
【0071】
本発明者らにとって興味深い別の実施形態は、群:
N−[(3R,4S)−4−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−{(3R,4S)−4−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミド;および
N−[(3R,4S)−4−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドから選択される(3R,4S)−4−ビアリールピランの群または薬学的に許容できるその塩を包含する。
【0072】
本発明者らにとって興味深い別の実施形態は、群:
N−[(3S,4R)−3−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;および
N−[(3S,4R)−3−(4−ピリジン−3−イルフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;から選択される(3S,4R)−3−ビアリール−ピランの群または薬学的に許容できるその塩を包含する。
【0073】
発明者らにとって興味深い別の実施形態は、
N−[(2S,3R)−2−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;および
N−[(2S,3R)−2−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;を包含する(2S,3R)−2−ビアリール−ピランまたは薬学的に許容できるその塩を包含する。
【0074】
発明者らにとって興味深い別の実施形態は、群:
N−[(2R,3S)−2−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(2R,3S)−2−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(2R,3S)−2−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;および
N−{(2R,3S)−2−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミドから選択される(2R,3S)−2−ビアリール−ピランの群または薬学的に許容できるその塩を包含する。
【0075】
本発明者らにとって興味深い別の実施形態は、
N−[(3S,4R)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;および
N−[(3R,4S)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;からなる群から選択される4−ヒドロキシ−4−ビアリール−ピランの群または薬学的に許容できるその塩を包含する。
【0076】
本発明は、式
【0077】
【化17】

[式中、Rは、水素、フルオロ、1〜5個のフルオロで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、1〜5個のフルオロで置換されていてもよい(C〜C)アルコキシ、−(C=O)−NH、−(C=O)−NH−(C〜C)アルキル、−(C=O)−N[(C〜C)アルキル]または−CNであり、
nは、0、1または2の整数であり、
は、(C〜C)アルキル−(C=O)−、[(C〜C)アルキル]N−(C=O)−、(C〜C)アルキル−SO−、(C〜C)シクロアルキル−SO−または[(C〜C)アルキル]N−SO−であり、ここで、前記[(C〜C)アルキル]N−(C=O)−および[(C〜C)アルキル]N−SO−の前記(C〜C)アルキル部分は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、3〜6員の複素環を形成していてもよく、
かつ、環「A」は、フェニル、ピリジルまたはチエニルである]
の化合物も対象とする。
【0078】
本発明のまた別の実施形態において、ピペリドン環に関する立体化学を、式IIaについて以下で描写する。
【0079】
【化18】

【0080】
本発明のまた別の実施形態において、ピペリドン環に関する立体化学を、式IIbについて以下で描写する。
【0081】
【化19】

【0082】
本発明のまた別の実施形態において、ピペリドン環に関する立体化学を、式IIcについて以下で描写する。
【0083】
【化20】

【0084】
本発明のまた他の実施形態は、式II(ならびにIIa、IIbおよびIIc)のいわゆるアミドピペリドン[式中、Rは(C〜C)アルキル−(C=O)−である]に関する。
【0085】
本発明のまた他の実施形態は、式II(ならびにIIa、IIbおよびIIc)のいわゆるウレオピペリドン(ureopiperidones)[式中、Rは[(C〜C)アルキル]N−(C=O)−であり、ここで、前記(C〜C)アルキル部分は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、4〜6員の複素環を形成していてもよい]に関する。
【0086】
本発明のまた他の実施形態は、式II(ならびにIIa、IIbおよびIIc)のアルキルスルホニルピペリドン[式中、Rは(C〜C)アルキル−SO−である]に関する。
【0087】
本発明のまた他の実施形態は、式II(ならびにIIa、IIbおよびIIc)のシクロアルキルスルホニルピペリドン[式中、Rは(C〜C)シクロアルキル−SO−である]に関する。
【0088】
本発明のまた他の実施形態は、式II(ならびにIIa、IIbおよびIIc)のスルホンアミドピペリドン[式中、Rは[(C〜C)アルキル]N−SO−であり、ここで、前記(C〜C)アルキル部分は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、4〜6員の複素環を形成していてもよい]に関する。
【0089】
本発明者らにとって興味深いまた他の実施形態は、上記したRの実施形態を包含する式II(ならびにIIa、IIbおよびIIc)の化合物[式中、nは0または1である]を包含する。
【0090】
本発明者らにとって興味深いまた他の実施形態は、上記したRの実施形態を包含する式II(ならびにIIa、IIbおよびIIc)の化合物[式中、nは2である]を包含する。
【0091】
本発明者らにとって興味深いまた他の実施形態は、上記したRの実施形態ならびに同じく上記した「n」が0または1および「n」が2の実施形態を包含し、上述の実施形態群のそれぞれの組合せ(例えば、Rがスルホンアミドピランおよび「n」が2の実施形態の式Ia)を含む実施形態も包含する式II(ならびにIIa、IIbおよびIIc)の化合物[式中、1個のRは、フルオロ、1〜5個のフルオロ(より具体的にはエトキシ)で置換されていてもよい(C〜C)アルコキシまたは−CNである(より一層具体的には、式中、このRはオルト置換基(substiuent)である)]を包含する。
【0092】
本発明者らにとって興味深いまた他の実施形態は、上記したRの実施形態ならびに同じく上記した「n」が0または1および「n」が2の実施形態を包含し、上述の実施形態群のそれぞれの組合せ(例えば、Rがスルホンアミドピペリドンおよび「n」が2の実施形態の式IIa)を含む実施形態も包含する式II(ならびにIIa、IIbおよびIIc)の化合物[式中、1個のRは、1〜5個のフルオロで置換されていてもよい(C〜C)アルキルである]を包含する。
【0093】
本発明による例示的な化合物は、本明細書において開示されている特定化合物または薬学的に許容できるその塩を包含する。
【0094】
本発明者らにとって興味深い別の実施形態は、
N−[(2S,3R)−2−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(2R,3S)−2−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(2S,3R)−2−ビフェニル−4−イル−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−{(2S,3R)−2−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]−6−オキソピペリジン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミド;
N−{(2R,3S)−2−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]−6−オキソピペリジン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミド;および
N−[(2R,3S)−2−(2’−シアノビフェニル−4−イル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドからなる群から選択されるオキソピペリジンの群または薬学的に許容できるその塩を包含する。
【0095】
本発明の他の化合物は、
N−[(2R,3S)−2−ビフェニル−4−イル−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;およびN−[(2S,3R)−2−(2’−シアノビフェニル−4−イル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを包含する。
【0096】
式IまたはIIの化合物は、心臓バイパス手術および移植後の脳欠損等の急性神経および精神障害、脳卒中、脳虚血、脊髄外傷、頭部外傷、周生期低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷、認知症(AIDS誘発性認知症を包含する)、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、認知障害、特発性および薬物誘発性パーキンソン病、筋肉けいれんおよび振戦を包含する筋痙直に関連する障害、てんかん、けいれん、片頭痛(片頭痛性頭痛を包含する)、尿失禁、薬物耐性(substance tolerance)、薬物離脱(substance withdrawal)(アヘン剤、ニコチン、タバコ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン系薬、コカイン、鎮静剤、睡眠薬等の物質を包含する)、精神病、統合失調症、不安神経症(全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害および強迫性障害を包含する)、気分障害(鬱病、躁病、双極性障害を包含する)、三叉神経痛、難聴、耳鳴、目の黄斑変性、嘔吐、脳浮腫、疼痛(急性および慢性疼痛状態、激痛、難治性疼痛、神経因性疼痛、ならびに外傷後疼痛を包含する)、遅発性ジスキネジー、睡眠障害(ナルコレプシーを包含する)、注意欠陥/多動性障害、注意欠陥障害、ならびに行為障害を包含する、グルタミン酸機能不全に関連する多様な神経および精神障害の治療に有用である。したがって、一実施形態において、本発明は、ヒト等の哺乳動物において、上記の状態から選択される状態を治療するための方法であって、式IまたはIIの化合物を該哺乳動物に投与するステップを含む方法を提供する。哺乳動物は、好ましくは、そのような治療または予防を必要とする哺乳動物である。
【0097】
用語「治療すること」は、本明細書において使用される場合、別段の指示がない限り、そのような用語が当てはまる障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状を、逆転させ、軽減し、調節し、その進行を阻害し、または予防することを意味する。用語「治療」は、本明細書において使用される場合、別段の指示がない限り、すぐ上で定義した「治療すること」のような治療する行為を指す。
【0098】
一例として、本発明は、片頭痛、不安障害、統合失調症およびてんかんから選択される状態を治療するための方法を提供する。例示的な不安障害は、全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害および強迫性障害である。別の例として、本発明は、大鬱病、慢性鬱病(気分変調)、季節性鬱病(季節性情動障害)、精神病性鬱病および産後鬱病から選択される鬱病を治療するための方法を提供する。別の例として、本発明は、不眠症および睡眠不足から選択される睡眠障害を治療するための方法を提供する。
【0099】
別の実施形態において、本発明は、ヒト等の哺乳動物において、式IまたはIIの化合物を該哺乳動物に投与することにより、アテローム動脈硬化性心血管疾患、脳血管疾患および末梢動脈疾患からなる群から選択される状態を治療する方法を含む。哺乳動物は、好ましくは、そのような治療または予防を必要とする哺乳動物である。本発明に従って治療され得る他の状態は、高血圧および血管新生を包含する。
【0100】
別の実施形態において、本発明は、グルタミン酸機能不全に関連する神経および精神障害を治療する方法であって、哺乳動物、好ましくはそれを必要とする哺乳動物に、そのような障害を治療するのに有効な量の式IまたはIIの化合物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0101】
式IまたはIIの化合物は、別の活性薬剤と組み合わせて使用されていてもよい。そのような活性薬剤は、例えば、非定型抗精神病薬またはAMPA増強剤であってよい。したがって、本発明の別の実施形態は、グルタミン酸機能不全に関連する神経および精神障害を治療する方法であって、哺乳動物に、ある量の式IまたはIIの化合物を投与するステップを含み、別の活性薬剤を投与するステップをさらに含む方法を提供する。
【0102】
本明細書において使用される場合、用語「別の活性薬剤」は、対象の障害の治療に有用な、式(I)の化合物またはその塩以外の任意の治療剤を指す。追加の治療剤の例は、抗鬱剤、抗精神病薬、抗疼痛および抗不安剤を包含する。本発明の化合物と組み合わせて使用できる特定クラスの抗鬱剤の例は、ノルエピネフリン再取込み阻害剤、選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)、NK−1受容体アンタゴニスト、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)、セロトニンおよびノルアドレナリン再取込み阻害剤(SNRI)、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、ならびに非定型抗鬱剤を包含する。適切なノルエピネフリン再取込み阻害剤は、第三級アミン三環系および第二級アミン三環系を包含する。適切な第三級アミン三環系および第二級アミン三環系の例は、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン、トリミプラミン、ドチエピン、ブトリプチリン、イプリンドール、ロフェプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピン、デシプラミンおよびマプロチリンを包含する。適切な選択的セロトニン再取込み阻害剤の例は、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリンを包含する。モノアミンオキシダーゼ阻害剤の例は、イソカルボキサジド、フェネルジンおよびトラニルシクロプラミン(tranylcyclopramine)を包含する。適切なモノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤の例は、モクロベミドを包含する。本発明において使用するのに適切なセロトニンおよびノルアドレナリン再取込み阻害剤の例は、ベンラファキシンを包含する。適切な非定型抗鬱剤の例は、ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドンおよびビロキサジンを包含する。本発明の化合物と組み合わせて使用できる適切なクラスの抗不安剤の例は、ベンゾジアゼピン系薬およびセロトニン1A(5−HT1A)アゴニストまたはアンタゴニスト、特に5−HT1A部分的アゴニストおよびコルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニストを包含する。適切なベンゾジアゼピン系薬は、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼプ酸(chlorazepate)、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパムおよびプラゼパムを包含する。適切な5−HT1A受容体アゴニストまたはアンタゴニストは、ブスピロン、フレシノキサン、ジェピロンおよびイプサピロンを包含する。適切な非定型抗精神病薬は、パリペリドン、ビフェプルノクス、ジプラシドン、リスペリドン、アリピプラゾール、オランザピンおよびクエチアピンを包含する。適切なニコチンアセチルコリンアゴニストは、イスプロニクリン、バレニクリンおよびMEM3454を包含する。抗疼痛剤は、プレガバリン、ガバペンチン、クロニジン、ネオスチグミン、バクロフェン、ミダゾラム、ケタミンおよびジコノチドを包含する。
【0103】
本発明は、式IまたはIIの化合物と薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物も対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0104】
式IおよびIIの化合物は、有機化学分野において既知の合成法、または当業者によく知られている修飾および誘導体化と一緒に、以下に記載する方法によって調製できる。本明細書において使用される出発材料は、市販されているか、または当技術分野において既知の日常的方法(COMPENDIUM OF ORGANIC SYNTHETIC METHODS、I〜VI巻(Wiley−Interscience発行)等の標準的な参考図書において開示されている方法等)によって調製できる。好ましい方法は、以下に記載するものを包含するがこれらに限定されない。
【0105】
下記の合成シーケンスのいずれかの間、関与する分子のいずれか上にある感応性または反応性基を保護することが必要な、および/または望ましい場合がある。これは、参照により本明細書に組み込まれる、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1999において記載されているもの等の従来の保護基を利用して実現できる。
【0106】
当業者には理解される通り、式IおよびIIの使用は好都合であり、本発明は、その範疇に収まるありとあらゆる種を、本明細書において個々に説明されているかのように包含するものと理解される。故に、本発明は、それぞれの種を別個に、およびそのような種のあらゆるすべての組合せ(conbinations)を企図している。
【0107】
【化21】

【0108】
【化22】

【0109】
【化23】

【0110】
【化24】

【0111】
スキーム1は、式IIIの化合物からの式Iの化合物の調製に言及している。式IIIの化合物は、スキーム2および3の方法に従って作製できる。スキーム1を参照すると、式IIIのアリールヨウ化物[式中、Lは、ヨード、ブロモまたはトリフレートであり、「a」は0〜3の整数であり、かつ「b」は0〜3の整数であり、但し、「a」プラス「b」の和は3でなければならない(すなわち、該環はピラン環である)]を、構造ArB(OH)の適切に置換されたアリールボロン酸[式中、Arは適切に置換されたアリール基を表す]と、当業者に周知の標準的なパラジウム触媒クロスカップリング反応条件下でカップリングさせて、式Iの化合物を提供することができる。[Suzuki,A.、Journal of Organometallic Chemistry、576、147〜169(1999)、MiyauraおよびSuzuki、Chemical Reviews、95、2457〜2483(1995)。]より具体的には、式IIIのアリールヨウ化物、ブロメートまたはトリフレートを、1〜3当量のアリールボロン酸および2〜5当量の炭酸カリウム等の適切な塩基と、THF等の適切な有機溶媒中で組み合わせる。0.02当量のパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン等のパラジウム触媒を添加し、反応混合物を60〜100℃の範囲の温度に1〜24時間加熱する。多くの他の条件が使用され得るため、反応は、この溶媒、塩基または触媒の利用に限定されない。
【0112】
式Iの化合物は、当業者に周知であり、かつ本明細書の実施例の項において詳細に記載されている方法に従って、鏡像異性的に純粋な異性体に分離することができる。
【0113】
スキーム2は、式IIIの化合物の調製に言及している。
【0114】
スキーム2を参照すると、式IXのケトエステル[式中、「P」はアルキル等の保護基である]を、ジエチルエーテル中の水素化ナトリウム等の塩基で処理し、続いてトリフルオロメタンスルホン酸無水物で処理して、式VIIIのビニルトリフレートを提供することができる。使用され得る塩基の他の非限定的な例は、ジクロロメタン等の適切な溶媒中の、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、2,6−ルチジンまたは2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン等のヒンダードアミン塩基を包含する。
【0115】
式VIIIのビニルトリフレートを、構造ArB(OH)の適切なアリールボロン酸[式中、Arは適切に置換されたアリール基を表し、かつ「L」は水素である]と、当業者に周知の標準的なパラジウム触媒クロスカップリング反応条件下でカップリングさせて、式VIIの化合物を提供することができる。[Suzuki,A.、Journal of Organometallic Chemistry、576、147〜169(1999)、MiyauraおよびSuzuki、Chemical Reviews、95、2457〜2483(1995)。]より具体的には、式VIIIのビニルトリフレートを、1〜3当量のアリールボロン酸および2〜5当量の炭酸カリウム等の適切な塩基と、THF等の適切な有機溶媒中で組み合わせる。0.02当量のパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン等のパラジウム触媒を添加し、反応混合物を60〜100℃の範囲の温度に1〜24時間加熱する。多くの他の条件が使用され得るため、反応は、この溶媒、塩基または触媒の利用に限定されない。
【0116】
代替として、式VIIIのビニルトリフレートを、適切に置換されたアリールグリニャール[式中、「L」はシリル基(トリメチルシリル等)である]と、THF等のエーテル溶媒中、約−30℃〜約室温でカップリングさせてもよい。パラジウムまたは銅等の触媒は、反応を容易にすることができる。
【0117】
結果として生じた式VIIの不飽和環を、当技術分野において周知の条件下で還元することができる。例えば、式VIIの化合物を、10%Pd/C等のパラジウム触媒および水素ガスにより、50psi等の昇圧にて、エタノール、メタノールまたは酢酸エチル等の適切な溶媒中で処理することによって、式VIのcisテトラヒドロピラン生成物が生じる。
【0118】
式VIの化合物[式中、Lは水素である]を、当業者に周知の標準的な条件下でヨウ化または臭素化することができる。例えば、式VIの化合物を、ジクロロメタン、クロロホルムまたは四塩化炭素等の溶媒中、ヨウ素およびビス(トリフルオロアセトキシ)ヨードベンゼン等のヨウ化条件で処理してよい。代替として、ヨウ化は、硝酸および硫酸の混合物中のヨウ素等の酸性条件下で行われ得る。
【0119】
式VIのcis−テトラヒドロピラン化合物を、還流温度でエタノール等、適切な溶媒および温度を使用し、ナトリウムエトキシド等の塩基で処理することによってエピマー化して、式VIのtrans−テトラヒドロピランエステルを生じさせることができる。
【0120】
式VIのエステル(適宜cisまたはtransのいずれか)を、当技術分野において周知の条件下で式Vのカルボン酸に変換することができる。例えば、式VIのエステルを、水およびメタノール、または水、アルコールおよびTHFの混合物等の適切な溶媒中、必要に応じて昇温にて、過剰な水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムで処理してよい。酸性ワークアップにより、式Vのカルボン酸を生じさせることができる。代替として、式VIの化合物を、水中の塩酸等の酸性条件下、当業者に周知の方法に従って、カルボン酸に変換することができる。
【0121】
式Vのカルボン酸を、当技術分野において周知の条件下、クルチウス転位により、第一級アミンに変換することができる。例えば、式Vのカルボン酸を、トルエン等の適切な溶媒中、80℃等の昇温にて、ジフェニルホスホリルアジドで処理してよい。トリエチルアミン等の有機塩基を添加してよい。その後、例えば水酸化物水溶液をTHF等の有機溶媒と組み合わせて使用して、粗製のイソシアネート中間体を加水分解してよい。代替として、イソシアネートをt−ブタノール等の有機アルコールで捕捉して、類似のカルバメートを生じさせることができる。好ましい方法には、粗製のイソシアネートをTHF中2Mの水酸化ナトリウムで処理して式IVのアミンを生じさせることが関与する。
【0122】
式IVのアミンを、当業者に周知の条件下、種々のRアミド、尿素、スルホンアミド等に変換することができる。例えば、式IVのアミンとトリエチルアミンまたは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン等の適切な塩基との混合物を、ジクロロメタンまたはDMF等の適切な溶媒中、塩化スルホニルで処理してよい。0℃等の冷却温度を使用してよい。
【0123】
式IIIの化合物を、スキーム1の方法に従って、式Iの化合物に変換することができる。
【0124】
スキーム3は、アルファハロピペリドンからの式IIIaの化合物の代替調製に言及している。式IIIaの化合物を、スキーム1の方法によって式Iの化合物に変換することができる。スキーム3を参照すると、式XVのアルファハロピペリドン[式中、Lはハロ(好ましくはブロモまたはヨード)である]を、無水テトラヒドロフラン(THF)またはジメチルホルムアミド(DMF)等の極性非プロトン性溶媒中、カリウムフタルイミド等のフタルイミドとの反応によって、式XIVの化合物に変換することができる。反応は、典型的には室温で1〜12時間行われる。
【0125】
式XIVの化合物を、グリコール(エチレングリコール等)の存在下、トルエン、塩化メチレンまたはシクロヘキサン等の反応不活性溶媒中におけるパラトルエンスルホン酸との反応によって、式XIIIのケト保護化合物に変換することができる。典型的には、反応は、溶媒の沸点等の高温で、1〜5日間実施される。
【0126】
式XIIIの化合物を、アルコール等の極性溶媒中、20〜約70℃の温度で約1〜約48時間の期間にわたるヒドラジンとの反応によって、式XIIの遊離アミンに変換することができる。
【0127】
式XIIのアミンを、上記したまたは当業者に周知の方法を使用して、式XIの種々のR成分に誘導体化することができる。
【0128】
次いで、式XIの保護ケトンを、アセトンまたはDMF等の水性/有機溶媒中、約20℃〜約50℃の温度で1〜48時間にわたる酸(PTSA等)との反応によって遊離させて、式Xの遊離ケトンを産出することができる。
【0129】
式Xのケトンを、スキーム2で上記した通りのグリニャール試薬との反応によって、式IIIaの化合物に変換することができる。
【0130】
スキーム4は、式IIの化合物の調製に言及している。スキーム4を参照すると、式IIの化合物は、式XVIIIのニトロピペリドンから調製できる。具体的には、式XVIIIの化合物を、極性溶媒中、室温で1〜約12時間にわたるパラジウム炭素等の還元剤との反応によって、式XVIIの化合物に還元することができる。
【0131】
式XVIIの化合物を、当業者に周知であり、スキーム2および3において上記で論じた方法によって、式XVIのR誘導体化化合物に変換することができる。
【0132】
式XVIの化合物を、当業者に周知であり、スキーム1において上記した標準的なパラジウム触媒クロスカップリング反応条件下、構造ArB(OH)の適切に置換されたアリールボロン酸[式中、Arは、適切に置換されたアリール基を表す]との反応により、式IIの化合物に変換することができる。
【0133】
式XVIII、XVおよびIXの化合物は、市販されているか、または文献の方法によって作製することができる。
【0134】
本発明の化合物は、塩として単離できる。有機塩は、トロメタミン、ジエチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)およびプロカイン等の第二級、第三級または第四級アミン塩から作製され得る。塩基性窒素含有基は、低級アルキル(C〜C)ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、塩化、臭化およびヨウ化エチル、塩化、臭化およびヨウ化プロピル、ならびに塩化、臭化およびヨウ化ブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、塩化、臭化およびヨウ化ラウリル、塩化、臭化およびヨウ化ミリスチル、ならびに塩化、臭化およびヨウ化ステアリル)、アリールアルキルハロゲン化物(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル)等の作用物質で四級化されていてよい。
【0135】
本発明の化合物は、本明細書において記載されている通りの状態を治療しまたは予防するために有効な量で投与されることが意図されている。本発明の化合物は、任意の適切な経路により、そのような経路に適合された医薬組成物の形態で、かつ意図されている治療または予防に有効な用量で投与される。医学的状態の進行を治療しまたは予防するために必要となる化合物の治療有効用量は、医薬分野でよく知られている前臨床および臨床アプローチを使用して、当業者により容易に解明される。
【0136】
本発明の化合物は、経口的に投与され得る。経口投与には、化合物が胃腸管に入るような嚥下が関与し、または化合物が口から血流に直接入る口腔もしくは舌下投与を用いてもよい。
【0137】
別の実施形態において、本発明の化合物は、血流中、筋肉中または内臓器官中に直接投与されてもよい。非経口投与に適した手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下を包含する。非経口投与に適したデバイスは、針(顕微針を包含する)注射器、無針注射器および注入技術を包含する。
【0138】
別の実施形態において、本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所的に、すなわち、真皮にまたは経皮的に投与されてもよい。別の実施形態において、本発明の化合物は、鼻腔内にまたは吸入によって投与することもできる。別の実施形態において、本発明の化合物は、経直腸的にまたは経膣的に投与され得る。別の実施形態において、本発明の化合物は、目または耳へ直接投与されてもよい。
【0139】
化合物および/または化合物を含有する組成物の投薬レジメンは、患者の種類、年齢、体重、性別および医学的状態、状態の重症度、投与経路、ならびに用いられる特定の化合物の活性を包含する多様な要因に基づく。故に、投薬レジメンは広範にわたって変動し得る。1日当たり体重1キログラムにつき約0.01mg〜約100mg程度の投薬量レベルが、上記で示した状態の治療または予防において有用である。一実施形態において、本発明の化合物の(単回または分割用量で投与される)総日用量は、典型的には約0.01〜約100mg/kgである。別の実施形態において、本発明の化合物の総日用量は、約0.1〜約50mg/kgであり、別の実施形態において、約0.5〜約30mg/kg(すなわち、体重1kg当たりの本発明の化合物mg)である。一実施形態において、投薬は0.01〜10mg/kg/日である。別の実施形態において、投薬は0.1〜1.0mg/kg/日である。投薬量単位組成物は、日用量を構成するような量またはその約量を含有し得る。多くの場合において、化合物の投与は、1日に複数回(典型的には4回以下)繰り返される。所望の場合、総日用量を増加させるために、典型的には1日に複数回用量が使用され得る。
【0140】
経口投与では、患者に対する投薬量の対症調整のために、組成物は、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、75.0、100、125、150、175、200、250および500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。薬剤は、典型的には、約0.01mg〜約500mgの活性成分、または別の実施形態において、約1mg〜約100mgの活性成分を含有する。静脈内では、用量は、定速注入中に約0.1〜約10mg/kg/分の範囲となり得る。
【0141】
本発明による適切な対象は、哺乳類対象を包含する。本発明による哺乳動物は、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、げっ歯類、ウサギ、霊長類等を包含するがこれらに限定されず、胎内哺乳動物を包括する。一実施形態において、ヒトは適切な対象である。ヒト対象は、いずれのジェンダーであってもよく、任意の発達段階であってよい。
【0142】
別の実施形態において、本発明は、本明細書において列挙されている状態の治療または予防用薬剤の調製のための、1種または複数の本発明の化合物の使用を含む。
【0143】
上記で言及した状態の治療または予防のために、本発明の化合物を化合物自体として投与してよい。代替として、薬学的に許容できる塩は、親化合物と比較して大きいそれらの水溶解性のために、医学的用途に適している。
【0144】
別の実施形態において、本発明は、医薬組成物を含む。そのような医薬組成物は、薬学的に許容できる担体とともに提示される本発明の化合物を含む。担体は、固体、液体または両方であってよく、化合物とともに、0.05重量%〜95重量%の活性化合物を含有し得る単位用量組成物、例えば錠剤として製剤化され得る。本発明の化合物を、標的化可能な薬物担体として適切なポリマーとカップリングしてよい。他の薬理的活性物質も存在し得る。
【0145】
本発明の化合物は、任意の適切な経路により、好ましくはそのような経路に適合された医薬組成物の形態で、かつ意図されている治療または予防に有効な用量で投与され得る。活性化合物および組成物は、例えば、経口的に、経直腸的に、非経口的にまたは局所的に投与され得る。
【0146】
固体投薬形態の経口投与は、例えば、所定量の少なくとも1種の本発明の化合物をそれぞれ含有する、硬もしくは軟カプセル剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ剤または錠剤等の不連続単位で提示され得る。別の実施形態において、経口投与は、散剤または顆粒剤形態であってよい。別の実施形態において、経口投薬形態は、例えばロゼンジ剤等の舌下剤である。そのような固体剤形において、式IまたはIIの化合物は、通常、1種または複数のアジュバントと組み合わせられる。そのようなカプセル剤または錠剤は、制御放出製剤を含有し得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含み得るか、または腸溶コーティングして調製され得る。
【0147】
別の実施形態において、経口投与は、液体投薬形態であってよい。経口投与用の液体剤形は、例えば、当技術分野において一般に使用される不活性賦形剤(例えば水)を含有する、薬学的に許容できる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を包含する。そのような組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、香味剤(例えば甘味剤)および/または着香剤等のアジュバントも含み得る。
【0148】
別の実施形態において、本発明は、非経口投薬形態を含む。「非経口投与」は、例えば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内、筋肉内注射、胸骨内注射および注入を包含する。注射用調製物(例えば、滅菌注射用水溶液または油脂性懸濁液)は、適切な分散剤、湿潤剤および/または懸濁化剤を使用し、既知の技術に従って製剤化され得る。
【0149】
別の実施形態において、本発明は、局所投薬形態を含む。「局所投与」は、例えば、経皮パッチもしくはイオントフォレーシスデバイスを介する等の経皮投与、眼内投与、または鼻腔内もしくは吸入投与を包含する。局所投与用の組成物は、例えば、局所ゲル剤、スプレー剤、軟膏剤およびクリーム剤も包含する。局所製剤は、皮膚または他の患部を介する活性成分の吸収または浸透を増強する化合物を包含し得る。本発明の化合物が経皮デバイスによって投与される場合、投与は、レザバーおよび多孔質膜式または固体マトリックス型のいずれかのパッチを使用して達成されることになる。この目的のための典型的な製剤は、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、撒布剤、包帯剤、泡沫剤、フィルム剤、皮膚パッチ剤、ウエハー剤、移植片、スポンジ、繊維、絆創膏およびマイクロ乳剤を包含する。リポソームを使用してもよい。典型的な担体は、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールを包含する。浸透増強剤を組み込んでよく、例えば、J Pharm Sci、88(10)、955〜958、FinninおよびMorgan著(1999年10月)を参照されたい。
【0150】
目への局所投与に適した製剤は、例えば、本発明の化合物を適切な担体に溶解または懸濁させた点眼剤を包含する。眼内または耳内投与に適した典型的な製剤は、等張のpH調整した滅菌生理食塩水中の微粒化懸濁液または溶液の滴の形態であってよい。眼内および耳内投与に適した他の製剤は、軟膏剤、生物分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生物分解性(例えばシリコーン)移植片、ウエハー剤、レンズおよび微粒子、またはニオソームもしくはリポソーム等の小胞系を包含する。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースもしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えばジェラン(gelan)ガム等のポリマーを、塩化ベンザルコニウム等の保存剤と一緒に組み込んでよい。そのような製剤は、イオントフォレーシスによって送達することもできる。
【0151】
鼻腔内投与または吸入による投与のために、本発明の活性化合物は、好都合なことに、患者が圧搾するもしくは噴出させるポンプスプレー容器から液剤もしくは懸濁剤の形態で、または、加圧コンテナもしくはネブライザーからのエアゾールスプレー提示物として、適切な推進剤を使用して送達される。鼻腔内投与に適した製剤は、典型的には、乾燥粉末吸入器から乾燥粉末(単独で、混合物として、例えばラクトースとの乾式混和物中で、または混合成分粒子として、例えば、ホスファチジルコリン等のリン脂質と混合して)の形態で、または、加圧コンテナ、ポンプ、スプレー、噴霧器(好ましくは、電気流体力学を使用して霧状ミストを生成する噴霧器)もしくはネブライザーからエアゾールスプレーとして、1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン等の適切な推進剤を使用してもしくは使用せずに、投与される。鼻腔内使用のために、粉末は、生体接着剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含み得る。
【0152】
別の実施形態において、本発明は、経直腸投薬形態を含む。そのような経直腸投薬形態は、例えば坐剤の形態であってよい。ココアバターが慣習的な坐剤基剤であるが、必要に応じて種々の代替物を使用してよい。
【0153】
薬学分野において既知である他の担体材料および投与モードを使用してもよい。本発明の医薬組成物は、有効な製剤および投与手順等、周知の調剤技術のいずれかによって調製できる。有効な製剤および投与手順に関する上記の考察は当技術分野において周知であり、標準的な教科書において記載されている。薬物の製剤化については、例えば、Hoover,John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania、1975、Libermanら編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980、およびKibbeら編、Handbook of Pharmaceutical Excipients(第3版)、American Pharmaceutical Association、Washington、1999において論じられている。
【0154】
2種以上の化合物を「組み合わせて」投与することは、一方の存在が他方の生物学的作用を変化させる2種の化合物が、時間的に十分近接して投与されることを意味する。2種以上の化合物を、同時に、同時発生的にまたは順次に投与してよい。加えて、同時投与は、投与前に化合物を混合することによって、または同じ時点であるが異なる解剖学的部位に、もしくは異なる投与経路を使用して、化合物を投与することによって行うことができる。
【0155】
語句「同時発生的投与」、「共投与」、「同時投与」および「同時に投与される」は、化合物が組み合わせて投与されることを意味する。
【0156】
本発明は、上記した治療または予防方法を実施する上で使用するのに適したキットをさらに含む。一実施形態において、キットは、1種または複数の本発明の化合物を含む第一の剤形と、本発明の方法を行うために十分な分量の投薬量のための容器とを含有する。
【0157】
別の実施形態において、本発明のキットは、1種または複数の本発明の化合物を含む。
【実施例】
【0158】
実験手順
実験は、概して、特に酸素または感湿性の試薬もしくは中間体を用いる場合、不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)下で行った。適切な場合、無水溶媒(概して、Aldrich Chemical Company、Milwaukee、WisconsinのSure−Seal(商標)製品)を包含する市販の溶媒および試薬は、概してさらに精製することなく使用した。核磁気共鳴(NMR)の化学シフトのデータは、用いた重水素化溶媒からの残存ピークを参照し、100万分の1(ppm、δ)で表現する。
【0159】
(実施例1)
N−{(3S,4S)−3−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}プロパン−2−スルホンアミド
【0160】
【化25】

ステップ1:エチル4−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)ブタノエートの調製
フラスコに、4−ヒドロキシブタン酸エチル(H.SmithおよびR.Jones、Synthetic Communications、1994、24、2743〜2747)(19.08g、100mMol)、酢酸ロジウム(II)(445mg、1.01mMol)および塩化メチレン(400mL)を投入した。塩化メチレン(100mL)中のジアゾ酢酸エチル(18.1mL、152mMol)を、添加漏斗を介し1.5時間かけて滴下添加し、反応物を室温で72時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルのプラグに通して濾過し、プラグを塩化メチレンで洗浄し、濾液を濃縮して薄黄色油とした。粗油を、減圧下での分別蒸留によって精製した。約1トールで70〜80℃にて煮沸しながら画分を収集して、エチル4−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)ブタノエートを透明油として得た。収率:19.20g、87mMol、87%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.22 - 1.29 (m, 6 H), 1.89 - 1.97 (m,
2 H), 2.43 (t, 2 H), 3.56 (t, 2 H), 4.04 (s, 2 H), 4.12 (q, 2 H), 4.20 (q, 2
H).
【0161】
ステップ2:エチル5−ヒドロキシ−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートの調製
フラスコに、エチル4−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)ブタノエート(15.01g、68.77mMol)およびトルエン(300mL)を投入した。テトラヒドロフラン中のカリウムtert−ブトキシド溶液(1.0M、82.0mL、82mMol)の溶液を、シリンジを介し室温で10分間にわたって反応物に添加し、18時間撹拌した。反応物を1.0N塩酸(300mL)に注ぎ入れ、有機相を分離し、水相をエーテルで抽出した。合わせた有機相を、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、橙色油を得た。粗油を、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン中5%酢酸エチル)によって精製した。合わせた生成物画分を濃縮して、エチル5−ヒドロキシ−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートを薄黄色油として得た。収率:7.21g、41.9mMol、61%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.32 (t, 3 H), 2.33 - 2.37 (m, 2 H),
3.79 (t, 2 H), 4.12 - 4.15 (m, 2 H), 4.25 (q, 2 H), 11.85 (s, 1 H).
【0162】
ステップ3:エチル5−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートの調製
磁気撹拌子、隔膜および窒素ブランケットが装備された125mLの3つ口丸底フラスコに、水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液、275mg、6.88mMol)を投入した。水素化ナトリウムをヘプタン(2×20mL)で洗浄し、フラスコに無水ジエチルエーテル(30mL)を投入した。撹拌懸濁液に、無水エーテル(5mL)中のエチル5−ヒドロキシ−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレート(1.03g、5.98mMol)の溶液を滴下添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。反応物にトリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.01mL、5.98mMol)を添加し、撹拌を室温で終夜続けた。反応物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、有機層を分離し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、エチル5−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートを黄色油として得、これをさらに精製することなく使用した。収率:1.63g、5.3mMol、89%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.35 (t, J=7.0 Hz, 3 H), 2.61 - 2.66
(m, 2 H), 3.82 (t, J=5.4 Hz, 2 H), 4.19 (t, J=2.7 Hz, 2 H), 4.32 (q, J=7.1 Hz,
2 H).
【0163】
ステップ4:エチル5−フェニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートの調製
フラスコに、エチル5−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレート(25.5g、83.82mMol)、フェニルボロン酸(11.50g、92.4mMol)、炭酸カリウム(27.89g、201.8mMol)およびテトラヒドロフラン(430mL)を投入し、排出させ、窒素を3回再充填した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.71g、2.35mMol)を添加し、フラスコから排出させ、窒素を2回再充填した。反応物を65℃に20時間加熱し、この時点で2回目分のフェニルボロン酸(3.13g、25.15mMol)を添加し、加熱をもう20時間続けた。冷却した反応物を酢酸エチル(500mL)と水(500mL)とに分配した。水層を酢酸エチル(250mL)で再抽出し、合わせた有機層を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、暗赤色スラリーを得た。スラリーを1:4 酢酸エチル:ヘプタン溶液で粉砕し、濾過し、濾液を濃縮して薄赤色スラリーとし、これをシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0〜20%酢酸エチル)によって精製して、エチル5−フェニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートを薄黄色油として生成した。収率:18.39g、79.18mMol、94%。LCMS m/z 233.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.88 (t, J=7.3 Hz, 3 H), 2.56 (m, 2
H), 3.91 (m, 4 H), 4.31 (t, J=2.7 Hz, 2 H), 7.15 (m, 2 H), 7.33 (m, 3 H).
【0164】
ステップ5:エチルcis−3−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートの調製
500mLのParrボトルに、エチル5−フェニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレート(12.2g、52.52mMol)、無水エタノール(180mL)およびパラジウム活性炭触媒(10%wt/wt、2.78g)を投入し、水素雰囲気(50psi)下で3時間振とうした。触媒を濾過によって除去し、濾液を濃縮して、生成物エチルcis−3−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートを透明油として得た。収率:11.87g、50.7mMol、96%。LCMS m/z 235.2 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.07 (t, J=7.2 Hz, 3 H), 1.77 (m, 1
H), 2.07 (m, 1 H), 3.00 (m, 1 H), 3.22 (m, 1 H), 3.63 (m, 1 H), 3.89 (dd,
J=11.4, 3.5 Hz, 1 H), 3.96 (m, 2 H), 4.15 (m, 1 H), 4.29 (dd, J=11.4, 4.8 Hz, 1
H), 7.25 (m, 3 H), 7.39 (d, J=6.8 Hz, 2 H).
【0165】
ステップ6:エチルcis−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートの調製
バイアルに、エチルcis−3−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレート(234.1mg、0.999mMol)、氷酢酸(0.91mL)および濃硫酸(0.12mL)を投入した。ヨウ素(121mg、0.477mMol)およびヨウ素酸ナトリウム(40.6mg、0.205mMol)を添加し、反応物を70℃で20時間激しく撹拌した。過ヨウ素酸ナトリウム(10mg、0.047mMol)を添加し、反応物が褐色がかった紫色から橙色になるまで70℃で撹拌を続けた。酢酸を減圧下で除去し、残留物を水で希釈し、塩化メチレンで3回抽出した。合わせた有機物を水で3回洗浄し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過および真空濃縮により、エチルcis−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートを薄橙色油として提供し、これを概して精製することなく次のステップにおいて使用した。収率:367.0mg、推定定量的。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0〜20%酢酸エチル)を使用して、分析試料を精製した。LCMS m/z 361.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.12 (t, J=7.1 Hz, 3 H), 1.75 (m, 1
H), 2.04 (m, 1 H), 2.98 (m, 1 H), 3.17 (m, 1 H), 3.60 (m, 1 H), 3.85 (dd,
J=11.6, 3.5 Hz, 1 H), 3.98 (m, 2 H), 4.13 (m, 1 H), 4.23 (dd, J=11.6, 4.2 Hz, 1
H), 7.18 (d, J=8.7 Hz, 2 H), 7.60 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
【0166】
ステップ7:cis−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸の調製
エチルcis−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレート(7.695g、21.36mMol)、3N塩酸水溶液(210mL)および1,4−ジオキサン(70mL)の混合物を、終夜加熱還流した。反応物を濃縮し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機物を水で洗浄し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過およびトルエン共沸混合物を使用する真空濃縮により、cis−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸を粘性褐色油として提供し、これを概して精製することなく次のステップにおいて使用した。収率:7.36g、推定定量的。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.75 (m, 1 H), 2.03 (m, 1 H), 3.03 (m,
1 H), 3.18 (m, 1 H), 3.60 (m, 1 H), 3.86 (dd, J=11.6, 3.3 Hz, 1 H), 4.13 (m, 見かけdt, J=11.6, 4.0 Hz, 1 H), 4.23 (dd, J=11.6, 3.5 Hz, 1 H), 7.22 (d,
J=8.3 Hz, 2 H), 7.60 (d, J=8.5 Hz, 2 H).
【0167】
ステップ8:cis−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミンの調製
無水トルエン(100mL)中のcis−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸(7.36g、22.2mMol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(5.79mL、33.2mMol)およびジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(7.41mL、33.2mMol)を添加した。反応物を85℃で5時間撹拌し、次いで室温にさせた。テトラヒドロフラン(100mL)および2N水酸化ナトリウム水溶液(50mL)を添加し、反応物を終夜激しく撹拌した。層を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機物を水で2回洗浄し、次いで1N塩酸水溶液で抽出した。合わせた酸性抽出物を2N水酸化ナトリウム水溶液でpH12に塩基性化し、塩化メチレンで3回抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、cis−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミンを、さらに精製することなく次のステップにおいて使用するために十分な純度の黄色油として得た。収率:5.19g、17.1mMol、77%。LCMS m/z 304.0 (M+1) 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.05 (br s, 2 H), 1.60 (m, 1 H), 1.84
(m, 1 H), 2.94 (m, 1 H), 3.32 (m, 1 H), 3.66 (m, 1 H), 3.80 (dd, J=11.4, 3.5
Hz, 1 H), 4.00 (m, 1 H), 4.17 (dd, J=11.4, 6.9 Hz, 1 H), 7.12 (d, J=8.3 Hz, 2
H), 7.65 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
【0168】
ステップ9:cis−N−[3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
フラスコに、cis−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン(2.46g、8.11mMol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(2.48mL、16.3mMol)および塩化メチレン(40mL)の混合物を投入し、−15℃の冷却浴に入れた。塩化メチレン(5mL)中のプロパン−2−スルホニルクロリド(1.95mL、16.5mMol)を添加し、反応物を−15℃で30分間撹拌し、この時、LCMSは主として生成物を示した。反応物を室温に加温し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ、濃縮して薄黄色泡状物とした。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中20〜50%酢酸エチル)によって精製して、cis−N−[3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドを白色泡状物として提供した。収率:2.26g、5.53mMol、68%。LCMS m/z 408.0 (M-1). 1H NMR (400
MHz, メタノール-d4) δ
1.09 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.18 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.83 (m, 2 H), 2.92 (m, 1 H),
3.09 (m, 1 H), 3.71 (m, 1 H), 3.85 (m, 2 H), 3.98 (m, 1 H), 4.09 (dd, J=12.0,
5.8 Hz, 1 H), 7.26 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.66 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
【0169】
ステップ10:N−[(3R,4R)−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびN−[(3S,4S)−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドの単離
ラセミ材料cis−N−[3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド(2.26g、5.52mMol)を、キラルセルOJ−Hカラム、5μm、2.1cm×25cm、移動相:流速65g/分で二酸化炭素/メタノールの70/30混合物を使用するキラルHPLCクロマトグラフィーに供した。
【0170】
保持時間が1.64分である材料を収集して、N−[(3R,4R)−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドを白色泡状物として生じさせた。収率:0.834mg、2.04mMol、37%。LCMS m/z 408 (M-1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 1.09 (d, J=6.6 Hz, 3 H),
1.17 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.81 (m, 2 H), 2.92 (m, 1 H), 3.09 (m, 1 H), 3.71 (m,
1 H), 3.85 (m, 2 H), 3.98 (m, 1 H), 4.09 (dd, J=11.9, 5.9 Hz, 1 H), 7.26 (d,
J=8.3 Hz, 2 H), 7.66 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
N−[(3R,4R)−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドの絶対配置をX線結晶学によって決定した。
【0171】
保持時間が2.05分である材料を収集して、N−[(3S,4S)−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドを白色泡状物として産出した。収率:0.814mg、1.99mMol、36%。LCMS m/z 408 (M-1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 1.10 (d, J=6.6 Hz, 3 H),
1.18 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.82 (m, 2 H), 2.93 (m, 1 H), 3.09 (m, 1 H), 3.70 (m,
1 H), 3.85 (m, 2 H), 3.98 (m, 1 H), 4.09 (dd, J=11.8, 5.8 Hz, 1 H), 7.26 (d,
J=8.3 Hz, 2 H), 7.66 (d, J=8.5 Hz, 2 H).
【0172】
ステップ11:N−{(3S,4S)−3−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}プロパン−2−スルホンアミドの調製
バイアルに、N−[(3S,4S)−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド(400mg、0.98mMol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−phos)(45.3mg、0.095mMol)、フッ化カリウム(287mg、4.94mMol)、(5−シアノ−2−チエニル)ボロン酸(224mg、1.47mMol)および酢酸パラジウム(II)(14.6mg、0.065mMol)の混合物を投入し、排出させ、窒素を3回再充填した。メタノールおよびトルエンの脱気1:1混合物(4.8mL)を添加し、反応物をマイクロ波反応器中130℃に35分間加熱した。溶媒を蒸発させ、残留物を水と酢酸エチルとに分配した。水層を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機抽出物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過および真空濃縮により粗生成物を提供し、これを分取シリカゲル薄層クロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン中40%酢酸エチル)によって精製して、表題化合物を淡黄色油として提供した。収率:0.14g、0.358mMol、37%。LCMS m/z 389 (M-1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.24 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.29 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.82 (m, 2 H), 3.04 (m, 1 H), 3.15 (m, 1 H), 3.64 (m, 1 H),
3.85 (m, 2 H), 3.95 (d, J=9.8 Hz, 1 H), 4.07 (m, 1 H), 4.17 (dd, J=12.0, 2.9
Hz, 1 H), 7.26 (d, J=3.7 Hz, 1 H), 7.56 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.57 (d, J=3.9 Hz,
1H), 7.63 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
【0173】
(実施例2)
N−[(3R,4S)−3−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド
【0174】
【化26】

ステップ1:エチルtrans−3−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートの調製
エチルcis−3−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレート(5.95g、25.4mMol)、無水エタノール(125mL)およびエタノール中21重量%のナトリウムエトキシド(10.4mL、27.9mMol)を合わせ、18時間加熱還流した。反応物を室温に冷却し、濃縮し、飽和塩化アンモニウム水溶液で酸性化し、塩化メチレンで3回抽出した。有機物を乾燥させ、濃縮して、エチルtrans−3−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートを、さらに精製することなく次のステップにおいて使用するために十分な純度の赤色がかった褐色油として得た。収率:5.21g、22.2mMol、87%。LCMS m/z 235.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.99 (t, J=7.2 Hz, 3 H), 1.96 (m, 2
H), 2.85 (ddd, J=11.1, 11.1, 4.9 Hz, 1 H), 3.11 (ddd, J=11.3, 11.3, 4.5 Hz, 1
H), 3.39 (dd, 見かけt, J=11.4, 11.4 Hz, 1 H), 3.52 (m, 1
H), 3.94 (q, J=7.1 Hz, 2 H), 3.97 (dd, J=11.5, 4.3 Hz, 1H), 4.09 (m, 1 H), 7.22
(m, 3 H), 7.28 (m, 2 H).
【0175】
ステップ2:エチルtrans−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートの調製
エチルtrans−3−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレート(5.21g、22.2mMol)、ヨウ素(3.10g、12.2mMol)および塩化メチレン(110mL)を合わせ、30分間撹拌し、この時ヨウ素は溶解していた。[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン(6.55g、14.8mMol)を添加し、反応物を3時間撹拌した。チオ硫酸ナトリウム水溶液(100mLの10%wt溶液)および水(50mL)を添加し、紫色がもはや存在しなくなるまで混合物を激しく撹拌した。相を分離し、水層を塩化メチレンで抽出した。有機物を乾燥させ、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0〜15%酢酸エチル)によって精製して、生成物エチルtrans−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレートを黄色油として得た。収率:7.02g、19.46mMol、88%。LCMS m/z 361.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.05 (t, J=7.2 Hz, 3 H), 1.94 (m, 2
H), 2.80 (m, 1 H), 3.07 (ddd, J=11.2, 11.2, 4.4 Hz, 1 H), 3.34 (dd, 見かけt, J=11.4, 11.4 Hz, 1 H), 3.51 (m, 1 H), 3.92 (dd, J=11.5, 4.5 Hz,
1H), 3.96 (q, J=7.2 Hz, 2H), 4.09 (m, 1 H), 6.97 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.62 (d,
J=8.3 Hz, 2 H).
【0176】
ステップ3:trans−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸の調製
エチルtrans−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレート(6.99g、19.4mMol)、2.0N水酸化ナトリウム水溶液(30mL、60mMol)およびメタノール(60mL)を合わせ、70℃に終夜加熱した。反応物を濃縮し、残留物を水(約150mL)とエーテル(約50mL)とに分配した。水層を濃塩酸でpH1に酸性化し、塩化メチレンで3回抽出した。合わせた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮して、trans−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸を、次のステップにおいて使用するために十分な純度の白色泡状物として得た。収率:6.47g、定量的。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.97 (m, 2 H), 2.83 (ddd, J=11.4,
11.4, 4.3 Hz, 1 H), 3.05 (ddd, J=11.2, 11.2, 4.4 Hz, 1 H), 3.31 (dd, 見かけt, J=11.4, 11.4 Hz, 1 H), 3.51 (m, 1 H), 3.91 (dd, J=11.6, 4.4 Hz, 1
H), 4.10 (m, 1 H), 6.97 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.63 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
【0177】
ステップ4:trans−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミンの調製
無水トルエン(90mL)中のtrans−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸(6.47g、19.5mMol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(5.09mL、29.2mMol)およびジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(6.51mL、29.2mMol)を添加した。反応物を85℃で5時間撹拌し、次いで室温にさせた。テトラヒドロフラン(100mL)および2N水酸化ナトリウム水溶液(50mL)を添加し、反応物を終夜激しく撹拌した。層を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機物を、水で2回、飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過および真空濃縮により、生成物trans−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミンを黄色油として得、これを概してさらに精製することなく次のステップにおいて使用した。収率:6.03g、推定定量的。LCMS m/z 304.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.60 (m, 1 H), 1.92 (m, 1 H), 2.51
(ddd, J=10.7, 10.7, 4.5 Hz, 1 H), 3.06 (ddd, J=10.6, 10.6, 4.2 Hz, 1 H), 3.34
(dd, 見かけt, J=11.4, 11.4 Hz, 1 H), 3.57 (ddd, J=12.1,
12.1, 2.2 Hz, 1 H), 3.88 (dd, J=11.5, 4.3 Hz, 1 H), 4.09 (br dd, J=11.6, 4.6
Hz, 1 H), 6.99 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.67 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
【0178】
ステップ5:trans−N−[3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
フラスコに、trans−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミン(3.231g、10.66mMol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(3.25mL、21.3mMol)および塩化メチレン(40mL)の混合物を投入し、−15℃の冷却浴に入れた。塩化メチレン(5mL)中のプロパン−2−スルホニルクロリド(2.47mL、21.4mMol)を添加し、反応物を−15℃で30分間撹拌し、この時、LCMSは生成物へのほぼ完全な変換を示した。反応物を−15℃にて追加で30分間撹拌し、次いで室温に加温した。反応物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して薄黄色油とした。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中20〜50%酢酸エチル)によって精製して、生成物trans−N−[3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドを白色泡状物として提供した。収率:2.18g、5.33mMol、50%。LCMS m/z 408.0 (M-1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 0.75 (d, J=6.6 Hz, 3 H),
1.08 (d, J=6.9 Hz, 3 H), 1.74 (m, 1 H), 2.14 (m, 1 H), 2.52 (m, 1 H), 2.71
(ddd, J=11.2, 11.2, 4.6 Hz, 1 H), 3.50 (dd, 見かけt,
J=11.4, 11.4 Hz, 1 H), 3.60 (m, 2 H), 3.86 (br dd, J=11.6, 4.2 Hz, 1 H), 3.99
(br dd, J=11.6, 4.6 Hz, 1 H), 7.12 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.68 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
【0179】
ステップ6:N−[(3R,4S)−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびN−[(3S,4R)−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドの単離
ラセミ材料trans−N−[3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド(2.0g、4.9mMol)を、キラルパックAS−Hカラム、5μm、2.1cm×25cm、移動相:流速65g/分で二酸化炭素/メタノールの80/20混合物を使用するキラルHPLCクロマトグラフィーに供した。
【0180】
保持時間が3.02分である材料を収集して、N−[(3R,4S)−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:899mg、2.20mMol、45%。APCI MS m/z 407.5 (M-1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 0.75 (d, J=6.6 Hz, 3 H),
1.08 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.74 (m, 1 H), 2.14 (m, 1 H), 2.52 (m, 1 H), 2.71
(ddd, J=11.2, 11.2, 4.6 Hz, 1 H), 3.50 (dd, 見かけt,
J=11.4, 11.4 Hz, 1 H), 3.60 (m, 2 H), 3.86 (dd, J=11.6, 4.6 Hz, 1 H), 3.99 (br
dd, J=11.6, 4.6 Hz, 1 H), 7.12 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.68 (d, J=8.1 Hz, 2 H).
この材料の絶対配置をX線結晶学によって決定した。
【0181】
保持時間が2.38分である材料を収集して、N−[(3S,4R)−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:910mg、2.23mMol、45%。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 0.75 (d, J=6.8 Hz, 3 H),
1.08 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.74 (m, 1 H), 2.14 (m, 1 H), 2.52 (m, 1 H), 2.71
(ddd, J=11.1, 11.1, 4.6 Hz, 1 H), 3.50 (dd, 見かけt,
J=11.4, 11.4 Hz, 1 H), 3.60 (m, 2 H), 3.86 (dd, J=11.6, 4.4 Hz, 1 H), 3.99 (br
dd, J=11.6, 4.6 Hz, 1 H), 7.12 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.68 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
【0182】
ステップ7:N−[(3R,4S)−3−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
N−[(3R,4S)−3−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド(400mg、0.977mMol)、フェニルボロン酸(131mg、1.08mMol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(56.6mg、0.049mMol)、炭酸ナトリウム(518mg、4.88mMol)、脱気メタノール(8.0mL)、脱気トルエン(1.0mL)および脱気水(1.0mL)の混合物を排出させ、窒素を3回再充填した。反応物を80℃に16時間加熱し、次いで濃縮した。残留物を水と酢酸エチルとに分配し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。生成物をシリカゲル分取薄層クロマトグラフィープレート上でのクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン中40%酢酸エチル)によって精製して、表題化合物を泡状物として得た。収率:269mg、0.75mMol、77%。LCMS m/z 357.6 (M-1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.72 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.14 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.83 (m, 1 H), 2.33 (m, 1 H), 2.49 (m, 1 H), 2.80 (ddd, 見かけtd, J=11.0, 11.0, 4.5 Hz, 1 H), 3.54 (dd, 見かけt, J=11.4, 11.4 Hz, 1 H), 3.61 (ddd, 見かけtd,
J=12.2, 12.2, 1.9 Hz, 1 H), 3.70 (m, 1 H), 4.02 (dd, J=11.8, 4.6 Hz, 1 H), 4.09
(br dd, J=11.7, 4.3 Hz, 1 H), 4.75 (d, J=8.5 Hz, 1 H), 7.34 (d, J=8.3 Hz, 2 H),
7.37 (m, 1 H), 7.46 (m, 2 H), 7.57 (m, 4 H).
【0183】
(実施例3、4、5および6)
N−[(3S,4R)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド、(1)
N−[(3R,4S)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド、(4)
N−[(3S,4S)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド、(5)および
N−[(3R,4R)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド(6)
【0184】
【化27】

ステップ1:3−ブロモテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オンの調製
N−ブロモコハク酸イミド(NBS)(187g、1.05mol)を、0℃のジエチルエーテル(500mL)中のテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(100g、1Mol)および酢酸アンモニウム(7.7g、0.1Mol)の懸濁液にゆっくり添加した。得られた混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘキサン中20〜40%ジエチルエーテル)によって精製して、3−ブロモテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オンを得た。収率:130g、0.73Mol、73%。GCMS m/z 181/179 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 2.59 (m, 1 H), 2.90 (ddd, J=14.7, 5.4,
4.4 Hz, 1 H), 3.85 (m, 2 H), 4.05 (m, 1 H), 4.23 (ddd, J=12.0, 5.2, 1.2 Hz, 1
H), 4.44 (ddd, J=7.9, 5.2, 1.5 Hz, 1 H).
【0185】
ステップ2:2−(4−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの調製
カリウムフタルイミド(44.4g、240mMol)を、室温のテトラヒドロフラン−ジメチルホルムアミドの無水混合物(3:1、600mL)中の3−ブロモテトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(35.8g、200mMol)の溶液にゆっくり添加した。反応混合物を室温で4日間撹拌した。固体を濾過除去し、濾液を濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘキサン中50〜60%酢酸エチル)によって精製して、2−(4−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンを得た。収率:25g、100mMol、50%。GCMS m/z 246 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 2.62 (br d, J=15.3 Hz, 1 H), 2.78 (m,
1 H), 3.87 (ddd, 見かけtd, J=11.6, 11.6, 2.7 Hz, 1 H),
4.29 (m, 3 H), 4.94 (dd, J=10.8, 7.9 Hz, 1 H), 7.72 (m, 2 H), 7.82 (m, 2 H).
【0186】
ステップ3:2−(1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカ−6−イル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの調製
トルエン(500mL)中の、2−(4−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(24.5g、100mMol)、パラ−トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(0.95g、5mMol)およびエチレングリコール(16.7mL、300mMol)の溶液を、ディーンスタークトラップで5日間加熱還流した。反応が完了したら、溶液を室温に冷却し、トルエンを真空除去した。残留物を塩化メチレン(500mL)と飽和重炭酸ナトリウム水溶液とに分配し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をジエチルエーテル(100mL)で粉砕して、2−(1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカ−6−イル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンを灰色固体として得、これをさらに精製することなく使用した。収率:24g、83mMol、83%。LCMS m/z 290.2 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.78 (m, 1 H), 1.89 (ddd, J=12.9,
12.9, 5.1 Hz, 1 H), 3.66 (m, 3 H), 3.86 (m, 4 H), 4.41 (dd, J=11.1, 4.7 Hz, 1
H), 4.68 (dd, 見かけt, J=11.1, 11.1 Hz, 1 H), 7.68 (m, 2
H), 7.77 (m, 2 H).
【0187】
ステップ4:1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカン−6−アミンの調製
ヒドラジン水和物(20.2mL、415mMol)を、室温のエタノール(600mL)中の2−(1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカ−6−イル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(24g、83mMol)の懸濁液にゆっくり添加した。添加が完了したら、内容物を18時間還流させた。重い沈殿物が観察された。反応混合物を室温に冷却し、上清をデカントした。固体を酢酸エチル(2×300mL)で洗浄し、合わせた上清および濾液を濃縮して残留物とした。残留物を酢酸エチル(200mL)で粉砕して、残った副生成物を固体として除去した。溶液を濃縮して、1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカン−6−アミンを、純度90%の油として生じさせ、これをさらに精製することなく次のステップにおいて使用した。収率:11g、69mMol、83%。LCMS m/z 160.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.55-1.62 (m, 1H), 1.83-1.89 (m, 1H),
2.80 (dd, J=7.9, 4.1 Hz, 1H), 3.40 (m, 1H), 3.59-3.65 (m, 1H), 3.70-3.76 (m,
1H), 3.80 (dd, J=11.2, 4.1 Hz, 1H), 3.98 (s, 4H).
【0188】
ステップ5:N−(1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカ−6−イル)プロパン−2−スルホンアミドの調製
トリエチルアミン(19.3mL、138.4mMol)、N,N−ジメチルピリジン−4−アミン(DMAP)(8.4g、69.2mMol)およびプロパン−2−スルホニルクロリド(15.47mL、138.4mMol)を、0℃の無水塩化メチレン(400mL)中の1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカン−6−アミン(11g、69.2mMol)の溶液に順次に添加した。反応混合物を室温にゆっくり加温し、18時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム水溶液(30mL)でクエンチした後、層を分離した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘキサン中40〜70%酢酸エチル)によって精製して、N−(1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカ−6−イル)プロパン−2−スルホンアミドを油として得た。収率:2.1g、7.6mMol、11%。GCMS m/z 266 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.40 (2つの重複した二重線, 6H), 1.65-1.76 (m, 1H), 1.84-1.91 (m, 1H), 3.22-3.32 (m, 1H),
3.40-3.70 (m, 3H), 3.75-3.84 (m, 2H), 3.97-4.16 (m, 4H), 4.48 (d, J=8.8 Hz,
1H).
【0189】
ステップ6:N−(4−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−スルホンアミドの調製
アセトン(80mL)および水(34mL)中のN−(1,4,8−トリオキサスピロ[4.5]デカ−6−イル)プロパン−2−スルホンアミド(2.1g、7.92mmol)およびパラ−トルエンスルホン酸水和物(PTSA)(3.0g、15.8mMol)の溶液を、3日間還流させた。反応混合物のGC/MS分析は、5%のみの変換を示した。濃硫酸(5mL)を、完全な脱保護が観察されるまで、3日間かけて数回に分けて添加した。揮発物を除去し、残留物を酢酸エチル(300mL)に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で5回洗浄した。有機層を濃縮し、粗残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘキサン中60〜80%酢酸エチル)によって精製して、N−(4−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−スルホンアミドを油として得た。収率:1.2g、5.5mMol、69%。GCMS m/z 222 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.40 (d, 6H), 2.55-2.61 (m, 1H),
2.74-2.85 (m, 1H), 3.11-3.20 (m, 1H), 3.31 (dd, 見かけt,
J=10.6, 10.6 Hz, 1H), 3.58-3.67 (m, 1H), 4.24-4.36 (m, 2H), 4.47-4.53 (m,
1H), 5.24-5.31 (m, 1H).
【0190】
ステップ7:trans−N−{4−ヒドロキシ−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミドおよびcis−N−{4−ヒドロキシ−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミドの調製
[4−(トリメチルシリル)フェニル]マグネシウムブロミド(M.M.Goodmanら、PCT特許出願公開第WO9706832号、1997を参照)(テトラヒドロフラン中0.5M溶液、80mL、40mMol)を、テトラヒドロフラン(10mL)中のN−(4−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)プロパン−2−スルホンアミド(4.87g、22mMol)の0℃溶液に添加した。反応物を、0℃で4時間および室温で64時間撹拌した。反応物を0℃に冷却し、塩化アンモニウムの飽和水溶液を添加した。反応物を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中20〜60%酢酸エチル)によって精製して、純粋なtrans−N−{4−ヒドロキシ−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミド(0.936g)、およびtrans−N−{4−ヒドロキシ−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミドとcis−N−{4−ヒドロキシ−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミドとの混合物(6.0g)を得た。この混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中20〜60%酢酸エチル)によって再精製して、追加の純粋なtrans−N−{4−ヒドロキシ−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミドを生じさせた。全収率:2.586g、6.96mMol、32%。LCMS m/z 370.1 (M-1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.27 (s, 9 H), 0.67 (d, J=6.6 Hz, 3
H), 0.97 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.66 (m, 2 H), 1.87 (br s, 1 H), 2.51 (m, 1 H),
3.64 (br d, J=9.3 Hz, 1 H), 3.85 (br d, J=11.6 Hz, 1 H), 3.93 (m, 2 H), 4.20
(br d, J=11.4 Hz, 1 H), 4.69 (d, J=9.3 Hz, 1 H), 7.49 (d, J=7.7 Hz, 2 H), 7.56
(d, J=7.3 Hz, 2 H).
【0191】
クロマトグラフィーからの混合画分を、エタノール/ヘプタンの40:60混合物から再結晶させて、cis−N−{4−ヒドロキシ−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミドとtrans−N−{4−ヒドロキシ−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミドとの約4:1混合物(2.0g、5.4mMol、24%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 選択ピーク: 0.60 (主)および0.69 (副) (2つの二重線,
J=6.8, 6.6 Hz, 3H), 0.98 (副)および1.00
(主) (2つの二重線, J=6.8, 6.8 Hz,
3H), 4.64 (主)および4.70 (副) (2つの広幅二重線, J=9.1, 9.3 Hz, 1H).
【0192】
ステップ8:cis−N−[4−(4−ブロモフェニル)−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびtrans−N−[4−ヒドロキシ−4−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
cis−N−{4−ヒドロキシ−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミドとtrans−N−{4−ヒドロキシ−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミドとの約4:1混合物(0.50g、1.35mMol)、臭化カリウム(0.24g、2.02mMol)、酢酸(9mL)およびメタノール(1.5mL)を、60℃で20分間撹拌した。N−クロロコハク酸イミド(NCS)(0.216g、1.62mmol)を添加し、反応を60℃で4時間続けた。反応物を室温に冷却させ、水酸化ナトリウム(10.5g)および氷(90g)の混合物に注ぎ入れた。水溶液を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をクロロホルムで粉砕し、白色固体を濾過によって収集し、濾液を濃縮し、粉砕/収集過程を繰り返した。白色固体を合わせて、生成物cis−N−[4−(4−ブロモフェニル)−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびtrans−N−[4−ヒドロキシ−4−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを約3.6:1の比率で得た。収率:504mg、1.33mMol、99%。cis−N−[4−(4−ブロモフェニル)−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドについてのLCMS:m/z 378.3/376.3 (M-1)。trans−N−[4−ヒドロキシ−4−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドについてのLCMS:m/z 378.2/376.3 (M-1)。1H NMR (400 MHz, ジメチルスルホキシド-d6) δ
選択ピーク: 0.56 (主)および0.62 (副) (2つの二重線,
J=6.6, 6.8 Hz, 3H), 0.90 (副)および0.93
(主) (2つの二重線, J=6.8, 6.8 Hz,
3H), 1.44 (副)および1.57 (主) (2つの広幅二重線, J=14.1, 13.7 Hz, 1H).
【0193】
ステップ9:trans−N−[4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびcis−N−[4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
約3.6:1の比率のcis−N−[4−(4−ブロモフェニル)−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドとtrans−N−[4−ヒドロキシ−4−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドとの混合物(100mg、0.26mMol)、フェニルボロン酸(64mg、0.528mMol)、炭酸ナトリウム(140mg、1.32mMol)、エタノール(3.2mL)、トルエン(0.5mL)および水(0.5mL)を排出させ、窒素を3回再充填した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(30mg、0.026mMol)を添加し、脱気を繰り返した。反応物を80℃に18時間加熱し、冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中20〜60%酢酸エチル)に供していくらかの不純物を除去した。この部分精製材料を、同様に処理した併発反応の生成物(この反応でもcis−N−[4−(4−ブロモフェニル)−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドとtrans−N−[4−ヒドロキシ−4−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドとの混合物100mgを用いたが、約1:1の比率であった)と合わせ、WatersエクステラC18カラム、30×50mm、移動相A=水+0.1%トリフルオロ酢酸、移動相B=アセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸を使用する逆相HPLCによって再精製した。勾配:流速40mL/分で8分間)かけて30%B〜70%B。保持時間が3.98分である材料を収集して、トランス鏡像異性体trans−N−[4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドのラセミ混合物(52mg、0.139mMol、26%)を生じさせた。保持時間が4.42分である材料を収集して、シス鏡像異性体cis−N−[4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドのラセミ混合物(53.3mg、0.142mMol、27%)を生じさせた。
【0194】
ステップ10:N−[(3S,4R)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびN−[(3R,4S)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの単離
トランス鏡像異性体trans−N−[4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド(52mg、0.139mMol)を、ジアセル(Diacel)OJ−Hカラム、5μm、10mm×250mm、移動相:流速10mL/分で二酸化炭素/プロパノールの70/30混合物を使用するキラルHPLCクロマトグラフィーに供した。
【0195】
保持時間が3.46分である材料を収集して、N−[(3S,4R)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:16mg、0.042mMol、30%。LCMS m/z 374.1 (M-1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 0.71 (d, J=6.6 Hz, 3 H),
0.96 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.68 (br d, J=13.8 Hz, 1 H), 2.12 (m, 1 H), 2.76 (m, 1
H), 3.49 (br s, 1 H), 3.79 (br d, J=11.0 Hz, 1 H), 3.95 (m, 2 H), 4.22 (dd,
J=11.4, 1.7 Hz, 1 H), 7.34 (br t, J=7.4, Hz, 1 H), 7.44 (dd, 見かけt, J=7.7, 7.7 Hz, 2 H), 7.60 (m, 2 H), 7.63 (s, 4 H).
この材料の絶対配置をX線結晶学によって決定した。
【0196】
保持時間が4.41分である材料を収集して、N−[(3R,4S)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:19mg、0.05mMol、34%。LCMS m/z 374.1 (M-1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 0.71 (d, J=6.6 Hz, 3 H),
0.96 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.68 (br d, J=13.9 Hz, 1 H), 2.12 (m, 1 H), 2.75 (m, 1
H), 3.49 (br s, 1 H), 3.79 (br d, J=11.2 Hz, 1 H), 3.95 (m, 2 H), 4.22 (dd,
J=11.4, 1.5 Hz, 1 H), 7.34 (br t, J=7.4 Hz, 1 H), 7.43 (dd, 見かけt, J=7.6, 7.6 Hz, 2 H), 7.61 (m, 2 H), 7.63 (s, 4 H).
【0197】
ステップ11:N−[(3S,4S)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびN−[(3R,4R)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの単離
シス鏡像異性体cis−N−[4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド(53.3mg、0.142mMol)を、ジアセルAS−Hカラム、5μm、10mm×250mm、移動相:流速10mL/分で85/15二酸化炭素/メタノールを使用するキラルHPLCクロマトグラフィーに供した。
【0198】
保持時間が5.21分である材料を収集し、N−[(3S,4S)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:24mg、0.063mMol、44%。LCMS m/z 374 (M-1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 0.64 (d, J=6.6 Hz, 3 H),
0.96 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.74 (br d, J=14.3 Hz, 1 H), 2.23 (m, 1 H), 2.38 (m, 1
H), 3.70 (m, 2 H), 3.80 (m, 1 H), 3.90 (m, 2 H), 7.34 (br t, J=7.4 Hz, 1 H),
7.44 (dd, J=7.6, 7.6 Hz, 2 H), 7.61 (m, 2 H), 7.63 (d, J=8.7 Hz, 2 H),
7.68 (d, J=8.7 Hz, 2 H).
この材料の絶対配置をX線結晶学によって決定した。
【0199】
保持時間が7.17分である材料を収集し、N−[(3R,4R)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:24mg、0.063mMol、44%。LCMS m/z 374.1 (M-1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 0.64 (d, J=6.8 Hz, 3 H),
0.96 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.74 (br d, J=14.3 Hz, 1 H), 2.24 (m, 1 H), 2.38 (m, 1
H), 3.71 (m, 2 H), 3.80 (m, 1 H), 3.90 (m, 2 H), 7.34 (br t, J=7.4 Hz, 1 H),
7.44 (dd, J=7.7, 7.7 Hz, 2 H), 7.61 (m, 2 H), 7.63 (d, J=8.5 Hz, 2 H), 7.68 (d,
J=8.7 Hz, 2 H).
【0200】
(実施例7および8)
N−[(3S,4S)−4−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびN−[(3R,4R)−4−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
【0201】
【化28】

ステップ1:エチル4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートの調製
テトラヒドロフラン(5mL)中のエチル4−オキソテトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレート(Jiaoら、米国特許出願公開第20050107422号、2005を参照)(1.0g、5.8mMol)の溶液を、水素化ナトリウムのスラリー(鉱油中60%、302mg、7.6mMol)に添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。反応物を−78℃に冷却し、N−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(2.28g、6.4mMol)を添加した。反応物を室温に加温し、16時間撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(30mL)の添加によってクエンチし、層を分離した。水層をジエチルエーテルで洗浄し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮してエチル4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートを得、これを概してさらに精製することなく次のステップにおいて使用した。収率:1.97g、推定定量的。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.32 (t, J=7.2 Hz, 3 H), 2.52 (m, 2
H), 3.88 (t, J=5.5 Hz, 2 H), 4.28 (q, J=7.1 Hz, 2 H), 4.44 (t, J=2.8 Hz, 2 H).
【0202】
ステップ2:エチル4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートの調製
前ステップから単離したエチル4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレート(1.98g、5.8mMol)、(トリメチルシリル)フェニルボロン酸(1.26g、6.51mMol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.752g、0.65mMol)、炭酸カリウム(2.88g、20.8mMol)およびテトラヒドロフラン(30mL)を含有するフラスコを、65℃に16時間加熱した。反応物を濃縮し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中10〜50%酢酸エチル)によって精製して、エチル4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートを、ボロン酸試薬からの材料と約2:1のモル比で、油として得た。収率:1.32g、4.34mMol未満、67%未満。LCMS m/z 305.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d), 生成物のピークのみ, δ
0.28 (s, 9 H), 0.90 (t, J=7.2 Hz, 3 H), 2.54 (m, 2 H), 3.95 (m, 4 H), 4.50 (t,
J=2.6 Hz, 2 H), 7.16 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.51 (d, J=7.9 Hz, 2 H).
【0203】
ステップ3:エチルcis−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートの調製
Parrボトルに、エチル4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレート(5.5g、18.06mMol未満、先のステップからの(トリメチルシリル)フェニル材料で等モル分が汚染されたもの)、10%wt/wtパラジウム活性炭触媒(384mg)、酢酸エチル(15mL)および無水エタノール(90mL)を投入し、水素雰囲気(50psi)下で48時間振とうした。触媒を濾過によって除去し、濾液を濃縮して、粗製のエチルcis−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートを、(トリメチルシリル)フェニルボロン酸に由来するほぼ等モル量の材料を含有する油として産出した。収率:4.9g、15.99mMol未満、88%未満。LCMS m/z 307.2 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d), 生成物のピークのみ, δ
0.29 (s, 9 H), 1.02 (t, J=7.1 Hz, 3 H), 1.78 (br d, J=13.1 Hz, 1 H), 2.77 (m, 1
H), 2.95 (br s, 1 H), 3.14 (ddd, 見かけdt, J=12.2,
4.1 Hz, 4.1 Hz, 1 H), 3.62 (ddd, 見かけtd, J=11.5,
11.5, 2.1 Hz, 1 H), 3.82 (m, 1 H), 3.97 (m, 2 H), 4.26 (br d, J=13.1 Hz, 1 H),
4.36 (d, J=11.4 Hz, 1 H), 7.29 (d, J=7.9 Hz, 2 H), 7.50 (d, J=8.1 Hz, 2 H).
【0204】
ステップ4:エチルtrans−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートの調製
フラスコに、エステルエチルcis−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレート(4.8g、15.66mMol)、エタノール(60mL)およびエタノール中21重量%のナトリウムエトキシド(6.43mL、17.2mMol)をこの順序で投入し、混合物を16時間還流させた。反応物を濃縮し、残留物を飽和塩化アンモニウム水溶液で中和し、塩化メチレンで3回抽出した。合わせた有機物を乾燥させ、濾過し、濃縮して、エチルtrans−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートを、(トリメチルシリル)フェニルボロン酸に由来するほぼ等モル量の材料を含有する油として生じさせた。収率:4.4g、14.4mMol未満、92%未満。LCMS m/z 307.1 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d), 生成物のピークのみ, δ
0.29 (s, 9 H), 0.96 (t, J=7.1 Hz, 3 H), 1.82 (br d, J=11.8 Hz, 1 H), 1.91 (m, 1
H), 2.98 (m, 1 H), 3.06 (m, 1 H), 3.63 (m, 2 H), 3.95 (m, 2 H), 4.14 (m, 1 H),
4.25 (dd, J=11.2, 3.9 Hz, 1 H), 7.24 (d, J=7.9 Hz, 2 H), 7.49 (d, J=7.7 Hz, 2
H).
【0205】
ステップ5:trans−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸の調製
エステルエチルtrans−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレート(4.4g、14.4mMol)、水酸化ナトリウム水溶液(2N、63.4mMol、31.7mL)およびメタノール(75mL)を合わせ、4時間還流させた。反応物を濃縮し、残留物を水とジエチルエーテルとに分配した。水相を濃塩酸でpH1にし、塩化メチレンで3回抽出した。有機物を乾燥させ、濾過し、濃縮して、trans−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸を、次の反応において使用するために十分な純度の緑色固体として生じさせた。収率:3.0g、10.8mMol、75%。LCMS m/z 277.1 (M-1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.32 (s, 9 H), 1.85 (m, 2 H), 3.07 (m,
2 H), 3.60 (m, 2 H), 4.12 (br d, J=11.5 Hz, 1 H), 4.31 (dd, J=11.1, 3.2 Hz, 1
H), 7.25 (d, J=7.9 Hz, 2 H), 7.52 (d, J=7.9 Hz, 2 H).
【0206】
ステップ6:ベンジルtrans−{4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}カルバメートの調製
無水ジクロロエタン(20mL)中のtrans−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸(2.7g、9.7mMol)の溶液に、トリエチルアミン(2.3mL、16.5mMol)およびジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(3.14mL、14.5mMol)を添加した。反応物を室温で20分間撹拌し、次いで2.5時間還流させた。ベンジルアルコール(1.71mL、16.6mMol)を添加し、反応物を20時間還流させた。反応物を濃縮し、いくらかの固体を濾過によって除去した。濾液をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0〜15%酢酸エチル)によって精製して、ベンジルtrans−{4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}カルバメートを、残留ベンジルアルコールおよび(トリメチルシリル)フェニルボロン酸に由来する材料を含有する油として提供した。収率:1.45g、3.78mMol未満、39%未満。LCMS m/z 384.5 (M+1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 選択ピーク: 0.24 (s, 9 H), 1.82
(m, 2 H), 2.72 (ddd, 見かけtd, J=11.5, 11.5, 4.5 Hz,
1 H), 3.18 (dd, J=10.7, 10.7 Hz, 1 H), 3.45 (ddd, 見かけtd,
J=11.5, 11.5, 2.5 Hz, 1 H).
【0207】
ステップ7:trans−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
Parrボトルに、ベンジルtrans−{4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}カルバメート(3.5g、9.1mMol)、無水エタノール(140mL)、酢酸(1.57mL)および10%wt/wtパラジウム活性炭触媒(380mg)の混合物を投入し、水素雰囲気(45psi)下で16時間振とうした。触媒を濾過によって除去し、濾液を濃縮した。残留物を塩化メチレン(140mL)に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液(1N、140mL)で中和した。相を分離し、水溶液を塩化メチレンで2回抽出した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、trans−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンを、残留ベンジルアルコールを含有する油として得た。収率:2.3g、9.1mMol、本質的に定量的。LCMS m/z 250.2 (M+1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 選択ピーク: 0.25 (s, 9 H), 1.72
(m, 1 H), 1.87 (m, 1 H), 2.47 (ddd, J=12.1, 10.4, 4.0 Hz, 1 H), 3.15 (dd, 見かけt, J=10.7, 10.7 Hz, 1 H), 3.50 (ddd, 見かけtd,
J=11.9, 11.9, 2.2 Hz, 1 H), 4.50 (m, 1 H), 7.51 (d, J=8.1 Hz, 2 H).
【0208】
ステップ8:trans−N−{4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミドの調製
フラスコに、trans−4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミン(2.1g、8.4mMol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(1.76mL、11.8mMol)および塩化メチレン(10mL)の混合物を投入し、0℃の冷却浴に入れた。プロパン−2−スルホニルクロリド(1.07mL、9.26mMol)を滴下添加し、反応物を室温に加温し、16時間撹拌した。反応物を濃縮し、酢酸エチルと水とに分配した。有機物を乾燥させ、濃縮して油とし、これをシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中5〜90%酢酸エチル)によって精製して、trans−N−{4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミドを白色固体として提供した。収率:1.7g、4.78mMol、57%。LCMS m/z 356.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.26 (s, 9 H), 0.56 (d, J=6.6 Hz, 3
H), 1.09 (d, J=7.1 Hz, 3 H), 1.88 (m, 1 H), 2.03 (m, 1 H), 2.49 (m, 2 H), 3.19
(dd, 見かけt, J=10.7, 10.7 Hz, 1 H), 3.49 (m, 2 H), 3.86
(d, J=7.7 Hz, 1 H), 4.04 (dd, J=11.5, 3.8 Hz, 1 H), 4.38 (dd, J=11.2, 4.8 Hz, 1
H), 7.26 (d, J=7.9 Hz, 2 H), 7.51 (d, J=7.9 Hz, 2 H).
【0209】
ステップ9:trans−N−[4−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
trans−N−{4−[4−(トリメチルシリル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミド(0.72g、2.02mMol)、臭化カリウム(0.361g、3.04mMol)、酢酸(13mL)およびメタノール(2.0mL)を、60℃で20分間一緒に撹拌した。N−クロロコハク酸イミド(NCS)(0.324g、2.43mMol)を添加し、反応を60℃で4時間続けた。反応物を室温に冷却させ、水酸化ナトリウム(16g)および氷(130g)の混合物に注ぎ入れた。水溶液を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を10%クロロホルム/ヘプタンで粉砕し、白色固体を濾過によって収集して、trans−N−[4−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを得た。収率:700mg、1.93mMol、96%。LCMS m/z 360.0/362.0 (M-1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.76 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.14 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.86 (m, 1 H), 1.96 (m, 1 H), 2.51 (ddd, J=11.4, 11.4,
4.4 Hz, 1 H), 2.60 (m, 1 H), 3.18 (dd, J=11.0, 10.4 Hz, 1 H), 3.45 (ddd, 見かけtd, J=11.7, 11.7, 2.4 Hz, 1 H), 3.51 (m, 1 H), 3.84 (d, J=8.5 Hz, 1
H), 4.03 (dd, J=10.6, 3.3 Hz, 1 H), 4.36 (dd, J=11.2, 4.8 Hz, 1 H), 7.16 (d,
J=8.3 Hz, 2 H), 7.50 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
【0210】
ステップ10:N−[(3S,4S)−4−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびN−[(3R,4R)−4−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
バイアルに、trans−N−[4−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド(150mg、0.41mMol)、2−エトキシフェニル)ボロン酸(103mg、0.621mMol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−phos)(19.5mg、0.041mMol)、酢酸パラジウム(II)(6.1mg、0.027mMol)、フッ化カリウム(120mg、2.07mMol)、メタノール(1.5mL)およびトルエン(1.5mL)を投入し、真空下で排出させ、次いで窒素を3回充填した。反応物をマイクロ波反応器中130℃に35分間加熱した。反応物を濃縮し、塩化メチレンと飽和重炭酸ナトリウム水溶液とに分配し、水相を塩化メチレンで2回抽出し、合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗ラセミ体をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中10〜70%酢酸エチル)によって精製して、ラセミ生成物を得た。収率:160mg、0.386mMol、94%。次いで、この材料を、キラルパックAD−Hカラム、5m、2.1cm×25cm、移動相:流速65g/分で二酸化炭素/エタノールの70/30混合物を使用するキラルHPLCクロマトグラフィーに供した。
【0211】
保持時間が2.36分である材料を収集して、N−[(3S,4S)−4−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:72mg、0.18mMol、42%。LCMS m/z 402.1 (M-1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.62 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.12 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.35 (t, J=6.9 Hz, 3 H), 1.92 (m, 1 H), 2.06 (m, 1 H), 2.57 (m,
2 H), 3.23 (dd, 見かけt, J=10.7, 10.7 Hz, 1 H), 3.51 (m, 2
H), 4.06 (m, 3 H), 4.18 (d, J=7.9 Hz, 1 H), 4.41 (dd, J=11.2, 4.8 Hz, 1 H),
6.98 (br d, J=8.3 Hz, 1 H), 7.02 (ddd, 見かけtd, J=7.5,
7.5, 1.0 Hz, 1 H), 7.31 (m, 4 H), 7.56 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
【0212】
保持時間が4.63分である材料を収集して、N−[(3R,4R)−4−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:71mg、0.18mMol、42%。LCMS m/z 402.1 (M-1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.62 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.12 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.35 (t, J=6.9 Hz, 3 H), 1.92 (m, 1 H), 2.06 (m, 1 H), 2.57 (m,
2 H), 3.23 (dd, 見かけt, J=10.7, 10.7 Hz, 1 H), 3.50 (m, 2
H), 4.06 (m, 3 H), 4.20 (d, J=7.9 Hz, 1 H), 4.41 (dd, J=11.1, 4.7 Hz, 1 H),
6.98 (br d, J=8.3 Hz, 1 H), 7.02 (ddd, 見かけ, td, J=7.5,
7.5, 0.8 Hz, 1 H), 7.31 (m, 4 H), 7.56 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
この材料の絶対配置をX線結晶学によって決定した。
【0213】
(実施例9)
N−[(2R,3S)−2−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド
【0214】
【化29】

ステップ1:エチルtrans−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートの調製
−25℃のテトラヒドロフラン(400mL)中の5−ブロモペンタン酸エチル(24.52mL、164.6mMol)および4−ブロモベンズアルデヒド(38.1g、206mMol)の溶液に、テトラヒドロフラン中のカリウムtert−ブトキシドの溶液(1M、346mL、346mMol)を滴下添加し、その間、内部温度を−25℃に維持した。溶液を−25℃で1時間撹拌し、次いで、飽和塩化アンモニウム溶液(200mL)を添加し、混合物を室温に加温し、20分間撹拌した。反応物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン中10%酢酸エチル)によって精製して、エチルtrans−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートを薄黄色の結晶性固体として提供した。収率:42.0g、134mMol、81%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.02 (t, J=7.2 Hz, 3 H), 1.74 (m, 2
H), 1.90 (m, 1 H), 2.13 (m, 1 H), 2.60 (m, 1 H), 3.63 (ddd, 見かけtd, J=11.6, 11.6, 2.9 Hz, 1 H), 3.92 (m, 2 H), 4.11 (m, 1 H), 4.41
(d, J=10.0 Hz, 1 H), 7.22 (d, J=8.5 Hz, 2 H), 7.44 (d, J=8.5 Hz, 2 H).
【0215】
ステップ2:trans−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸の調製
無水エタノール(323mL)中のエチルtrans−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレート(17.0g、54.3mMol)の溶液に、水酸化カリウム(4.57g、81.4mMol)および水(17mL)を添加し、混合物を16時間還流させた。反応物を真空濃縮し、塩酸水溶液(1N、200mL)で希釈し、ジエチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、trans−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸を、次の反応において使用するために十分な純度の黄色固体として生成した。収率:15.5g、定量的。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.81 (m, 3 H), 2.21 (m, 1 H), 2.62 (m,
1 H), 3.61 (ddd, 見かけtd, J=11.4, 11.4, 2.9 Hz, 1 H),
4.12 (br d, 1 H), 4.39 (d, J=10.2 Hz, 1 H), 7.22 (d, J=8.5 Hz, 2 H), 7.45 (d,
J=8.3 Hz, 2 H).
【0216】
ステップ3:trans−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
無水トルエン(270mL)中のtrans−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸(15.5g、54.4mMol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(9.47mL、54.4mMol)およびジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(22.4g、81.5mMol)を添加した。反応物を85℃で2時間撹拌し、次いで室温に冷却させた。テトラヒドロフラン(270mL)および水酸化ナトリウム水溶液(2N、135mL)を添加し、反応物を16時間撹拌した。反応物を水(500mL)で希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して油とした。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:塩化メチレン中5%メタノール)によって精製して、trans−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンを固体として提供した。収率:10.2g、39.8mMol、73%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.42 (m, 1 H), 1.72 (m, 1 H), 1.86 (m,
1 H), 2.10 (m, 1 H), 2.74 (m, 1 H), 3.51 (m, 1 H), 3.80 (d, J=9.1 Hz, 1 H),
4.07 (m, 1 H), 7.27 (d, J=8.5 Hz, 2 H), 7.49 (d, J=8.5 Hz, 2 H).
【0217】
ステップ4:trans−N−[2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
フラスコに、trans−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミン(10.0g、39mMol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(11.9mL、78.1mMol)および塩化メチレン(100mL)の混合物を投入し、0℃の冷却浴に入れた。プロパン−2−スルホニルクロリド(9.0mL、78.1mMol)を滴下添加し、反応物を室温にゆっくり加温し、16時間撹拌した。反応物を水(300mL)で希釈し、相を分離し、水性物を塩化メチレンで抽出した。合わせた有機物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して固体とした。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:塩化メチレン中5%メタノール)によって精製して、trans−N−[2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを固体として提供した。収率:9.0g、24.8mMol、64%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.78 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.08 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.60 (m, 1 H), 1.75 (m, 1 H), 1.88 (m, 1 H), 2.33 (m, 1 H), 2.44
(m, 1 H), 3.32 (m, 1 H), 3.49 (m, 1 H), 3.94 (d, J=9.7 Hz, 1 H), 4.04 (m, 1 H),
4.40 (d, J=9.5 Hz, 1 H), 7.27 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.49 (d, J=8.5 Hz, 2 H).
【0218】
ステップ5:N−[(2S,3R)−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびN−[(2R,3S)−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの単離
ラセミ材料trans−N−[2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド(2.2g、6.07mMol)を、キラルパックAD−Hカラム、5μm、2.1cm×25cm、移動相:流速65g/分で70/30二酸化炭素/エタノールを使用するキラルHPLCクロマトグラフィーに供した。
【0219】
保持時間が2.62分である材料を収集して、N−[(2S,3R)−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:970mg、2.67mMol、44%。MS (APCI) m/z 361.6 (M-1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.80 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.09 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.60 (m, 1 H), 1.77 (m, 1 H), 1.90 (m, 1 H), 2.35 (m, 1 H),
2.49 (m, 1 H), 3.36 (m, 1 H), 3.50 (ddd, 見かけtd, J=11.8,
11.8, 2.3 Hz, 1 H), 3.92 (d, J=9.3 Hz, 1 H), 3.95 (d, J=9.7 Hz, 1 H), 4.06 (m,
1 H), 7.29 (d, J=7.9 Hz, 2 H), 7.51 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
【0220】
保持時間が3.70分である材料を収集して、N−[(2R,3S)−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:900mg、2.5mMol、41%。LCMS m/z 361.6 (M-1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.80 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.10 (d,
J=7.1 Hz, 3 H), 1.61 (m, 1 H), 1.77 (m, 1 H), 1.90 (m, 1 H), 2.36 (m, 1 H),
2.49 (m, 1 H), 3.36 (m, 1 H), 3.50 (ddd, 見かけtd, J=11.8,
11.8, 2.5 Hz, 1 H), 3.88 (d, J=9.3 Hz, 1 H), 3.95 (d, J=9.5 Hz, 1 H), 4.06 (m,
1 H), 7.28 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.51 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
この材料の絶対配置をX線結晶学によって決定した。
【0221】
ステップ6:N−[(2R,3S)−2−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
表題化合物は、N−[(2R,3S)−2−(4−ブロモフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを出発材料として使用したことを除いて、実施例2の調製に類似した方式で調製した。収率:195mg、0.54mMol、49%。MS (APCI) m/z 357.6 (M-1). 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 0.74 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.06 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.63 (m, 1 H), 1.79 (br d, J=13.9 Hz, 1 H), 1.94 (m, 1 H), 2.32
(m, 1 H), 2.54 (m, 1 H), 3.47 (m, 1 H), 3.54 (dd, 見かけtd,
J=11.9, 2.3 Hz, 1 H), 3.84 (d, J=9.0 Hz, 1 H), 4.03 (d, J=9.5 Hz, 1 H), 4.10
(m, 1 H), 7.37 (m, 1 H), 7.46 (m, 4 H), 7.57 (m, 2 H), 7.61 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
【0222】
(実施例10)
N−[(2S,3R)−2−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド
【0223】
【化30】

ステップ1:trans−6−(4−ブロモフェニル)−5−ニトロピペリジン−2−オンの調製
フラスコに、4−ブロモベンズアルデヒド(25.0g、135.1mMol)、4−ニトロ酪酸メチル(23.9g、162mMol)、酢酸アンモニウム(20.8g、270mMol)および無水エタノール(400mL)を投入し、混合物を16時間還流させた。反応物を室温に冷却し、固体を濾過によって収集し、ジエチルエーテルですすいで、trans−6−(4−ブロモフェニル)−5−ニトロピペリジン−2−オンを提供した。収率:36.67g、123mMol、91%。LCMS m/z 299/301 (M+1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 2.28 (m, 1 H), 2.55 (m, 3
H), 5.01 (m, 1 H), 5.24 (d, J=5.8 Hz, 1 H), 7.33 (d, J=8.5 Hz, 2 H), 7.59 (d,
J=8.5 Hz, 2 H).
【0224】
ステップ2:trans−5−アミノ−6−(4−ブロモフェニル)ピペリジン−2−オンの調製
フラスコに、trans−6−(4−ブロモフェニル)−5−ニトロピペリジン−2−オン(15.0g、50.15mMol)、テトラヒドロフラン(700mL)、メタノール(150mL)および水(21mL)を投入した。アルミ箔片(13.5g、501mMol)を、ジエチルエーテル、2%塩化第二水銀水溶液およびジエチルエーテルで順次に洗浄し、次いで反応フラスコに添加した。わずかな発熱が起こり、フラスコを冷却させ、室温で16時間撹拌した。反応物をセライトに通して濾過し、濾液を濃縮して、trans−5−アミノ−6−(4−ブロモフェニル)ピペリジン−2−オンを固体として産出した。収率:9.39g、34.9mMol、70%。LCMS m/z 269/271 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.82 (m, 1 H), 2.03 (m, 1 H), 2.59 (m,
2 H), 3.00 (m, 1 H), 4.09 (d, J=8.3 Hz, 1 H), 7.24 (d, J=8.5 Hz, 2 H), 7.54 (d,
J=8.3 Hz, 2 H).
【0225】
ステップ3:trans−N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
フラスコに、trans−5−アミノ−6−(4−ブロモフェニル)ピペリジン−2−オン(9.39g、34.9mMol)および塩化メチレン(100mL)を投入し、このスラリーに、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(7.83mL、52.3mMol)を添加した。反応物を0℃に冷却し、プロパン−2−スルホニルクロリド(4.93mL、41.9mMol)を滴下添加した。反応物を室温に加温し、16時間撹拌させ、次いで、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機層を濾過し、濾液を濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:塩化メチレン中0〜5%メタノール)によって精製して、trans−N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを白色固体として提供した。収率:4.71g、12.6mMol、36%。LCMS m/z 374.9/376.9 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.27 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.32 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.80 (m, 1 H), 2.04 (m, 1 H), 2.57 (m, 1 H), 2.71 (m, 1 H),
3.01 (m, 1 H), 3.74 (m, 1 H), 4.75 (dd, 見かけt, J=3.5,
3.2 Hz, 1 H), 6.08 (d, J=9.1 Hz, 1 H), 6.70 (br d, J=2.1 Hz, 1 H), 7.23 (d,
J=8.3 Hz, 2 H), 7.53 (d, J=8.5 Hz, 2 H).
【0226】
ステップ4:N−[(2S,3R)−2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびN−[(2R,3S)−2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの単離
ラセミ材料trans−N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド(4.5g、12mMol)を、キラルセルOD−Hカラム、5μm、2.1cm×25cm、移動相:流速65g/分で80/20二酸化炭素/メタノールを使用するキラルHPLCクロマトグラフィーに供した。
【0227】
保持時間が4.57分である材料を収集して、N−[(2S,3R)−2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:2.14g、5.71mMol、48%。LCMS m/z 374.9/376.9 (M+1). 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 1.31 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.35 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.77 (m, 1 H), 1.98 (m, 1 H), 2.53 (m, 1 H), 2.76 (m, 1 H),
3.08 (m, 1 H), 3.75 (m, 1 H), 4.82 (dd, 見かけt, J=3.2,
3.2 Hz, 1 H), 6.61 (d, J=9.3 Hz, 1 H), 6.99 (d, J=2.9 Hz, 1 H), 7.23 (d, J=8.5
Hz, 2 H), 7.52 (d, J=8.5 Hz, 2 H).
この材料の絶対配置をX線結晶学によって決定した。
【0228】
保持時間が6.61分である材料を収集して、N−[(2R,3S)−2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:2.17g、5.79mMol、48%。LCMS m/z 375/377 (M+1). 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 1.33 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.35 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.76 (m, 1 H), 1.96 (m, 1 H), 2.52 (m, 1 H), 2.78 (m, 1 H),
3.11 (m, 1 H), 3.75 (m, 1 H), 4.85 (br s, 1 H), 6.88 (d, J=9.5 Hz, 1 H), 7.12
(d, J=2.9 Hz, 1 H), 7.23 (d, J=8.5 Hz, 2 H), 7.52 (d, J=8.5 Hz, 2 H).
【0229】
ステップ5:N−[(2S,3R)−2−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
N−[(2S,3R)−2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド(200mg、0.533mMol)、(2−エトキシフェニル)ボロン酸(88.5mg、0.533mMol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(31mg、0.027mMol)、炭酸ナトリウム(282mg、2.66mMol)、脱気メタノール(4.0mL)、脱気トルエン(0.5mL)および脱気水(0.5mL)の混合物を排出させ、窒素を3回再充填した。反応物を80℃に16時間加熱し、次いで濃縮した。残留物を飽和塩化ナトリウム水溶液と塩化メチレンとに分配し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0〜100%酢酸エチル)によって精製して、表題化合物を泡状物として得た。収率:95mg、0.23mMol、43%。LCMS m/z 417.0 (M+1). 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 1.19 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.29 (d,
J=6.6 Hz, 3 H), 1.36 (t, J=7.0 Hz, 3 H), 1.84 (m, 1 H), 2.22 (m, 1 H), 2.61 (m,
1 H), 2.75 (m, 1 H), 2.92 (m, 1 H), 3.81 (m, 1 H), 4.07 (q, J=7.0 Hz, 2 H),
4.74 (m, 1 H), 5.91 (d, J=9.0 Hz, 1 H), 6.66 (br s, 1 H), 6.99 (d, J=8.1 Hz, 1
H), 7.03 (dd, 見かけt, J=7.4, 7.4 Hz, 1 H), 7.31 (d, J=7.8
Hz, 1 H), 7.32 (m, 1 H), 7.38 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.60 (d, J=8.3 Hz, 2
H).
【0230】
(実施例11および12)
N−[(2R,3S)−2−ビフェニル−4−イル−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびN−[(2S,3R)−2−ビフェニル−4−イル−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド
【0231】
【化31】

ラセミtrans−N−[2−ビフェニル−4−イル−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド(4−ブロモベンズアルデヒドの代わりにビフェニル−4−カルバルデヒドを用いたことを除いて、実施例10の調製に類似した手順を使用して調製したもの)(1.4g、3.76mMol)を、キラルセルOD−Hカラム、5μm、1.0cm×25cm、移動相:流速10mL/分で75/25二酸化炭素/メタノールを使用するキラルHPLCクロマトグラフィーに供した。
【0232】
保持時間が7.46分である材料を収集して、N−[(2R,3S)−2−ビフェニル−4−イル−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:0.36g、0.97mMol、26%。LCMS m/z 373 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.31 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.35 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.80 (m, 1 H), 2.09 (m, 1 H), 2.57 (m, 1 H), 2.80 (m, 1 H),
3.08 (m, 1 H), 3.84 (m, 1 H), 4.92 (br s, 1 H), 6.84 (d, J=9.1 Hz, 1 H), 7.13
(br s, 1 H), 7.41 (m, 5 H), 7.59 (m, 4 H).
【0233】
保持時間が10.8分である材料を収集して、N−[(2S,3R)−2−ビフェニル−4−イル−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを産出した。収率:0.43g、1.15mMol、31%。LCMS m/z 373 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.29 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.34 (d,
J=6.6 Hz, 3 H), 1.81 (m, 1 H), 2.10 (m, 1 H), 2.58 (m, 1 H), 2.81 (m, 1 H),
3.06 (m, 1 H), 3.83 (m, 1 H), 4.90 (br s, 1 H), 6.72 (d, J=9.1 Hz, 1 H), 7.05
(br s, 1 H), 7.42 (m, 5 H), 7.59 (m, 4 H).
表題化合物について示されている絶対配置は、暫定的に割り当てられたものである。
【0234】
(実施例13)
N−[(3S,4R)−4−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド
【0235】
【化32】

ステップ1:エチル4−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートの調製
エチル4−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}−3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレート(36.0g、118.5mMol)、フェニルボロン酸(20.66g、169mMol)、炭酸カリウム(55.6g、402mMol)およびテトラヒドロフラン(700mL)を含有するフラスコから排出させ、窒素を3回再充填した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(13.7g、11.9mMol)を添加し、フラスコから排出させ、窒素を3回再充填した。反応物を65℃に4時間加熱した。冷却した反応物を酢酸エチルと水とに分配した。水層を酢酸エチルで3回再抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0〜20%酢酸エチル)によって精製して、エチル4−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートを、外来性の芳香族材料で依然として汚染された油として得た。収率:25g、120mMol未満、90%未満。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.89 (t, J=7.1 Hz, 3 H), 2.49 (m, 2
H), 3.89 (t, J=5.5 Hz, 2 H), 3.92 (q, J=7.1 Hz, 2 H), 4.46 (t, J=2.5 Hz, 2 H),
7.13 (m, 2 H), 7.28 (m, 3 H).
【0236】
ステップ2:エチルcis−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートの調製
Parrボトルに、エチル4−フェニル−5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレート(10g、43mMol)、10%wt/wtパラジウム活性炭触媒(6g)および無水エタノール(150mL)を投入し、水素雰囲気(50psi)下で16時間振とうした。触媒を濾過によって除去し、濾液を濃縮して、粗製のエチルcis−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートを産出し、これを概してさらに精製することなく次のステップにおいて使用した。収率:推定定量的。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.01 (t, J=7.1 Hz, 3 H), 1.70 (br d, 1
H), 2.74 (m, 1 H), 2.88 (br s, 1 H), 3.07 (ddd, 見かけdt,
J=12.3, 4.2, 4.2 Hz, 1 H), 3.54 (ddd, 見かけtd,
J=11.5,11.5, 2.5 Hz, 1 H), 3.74 (dd, J=11.7, 3.3 Hz, 1 H), 3.93 (m, 2 H), 4.17
(m, 1 H), 4.28 (br d, J=11.7 Hz, 1 H), 7.19 (m, 2 H), 7.28 (m, 3 H).
【0237】
ステップ3:エチルcis−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートの調製
フラスコに、化合物エチルcis−4−フェニルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレート(9.0g、38.5mMol)を投入し、一塩化ヨウ素の溶液(塩化メチレン中1N、154mL、154mMol)を添加し、混合物を35℃に16時間加熱した。追加の一塩化ヨウ素溶液を添加し(50mL、50mMol)、反応物をもう5時間加熱し、この時点で追加の一塩化ヨウ素溶液を添加し(50mL、50mMol)、反応物をもう16時間加熱した。反応物を冷却し、濃縮し、残留物をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン中0〜80%酢酸エチル)にかけた。後者の画分をシリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン中1〜60%酢酸エチル)に再度かけて、エチルcis−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレートを固体として提供した。収率:11.5g、31.9mMol、83%。LCMS m/z 361.5 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.06 (t, J=7.1 Hz, 3 H), 1.68 (br d,
J=13.2 Hz, 1 H), 2.69 (m, 1 H), 2.85 (br s, 1 H), 3.01 (ddd, 見かけdt, J=12.3, 4.1, 4.1 Hz, 1 H), 3.53 (ddd, 見かけtd, J=11.6, 11.6, 2.4 Hz, 1 H), 3.73 (dd, J=11.7, 3.3 Hz, 1 H), 3.96
(m, 2 H), 4.16 (m, 1 H), 4.28 (br d, J=11.7 Hz, 1 H), 7.02 (d, J=8.2 Hz, 2 H),
7.60 (d, J=8.4 Hz, 2 H).
【0238】
ステップ4:cis−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸の調製
エステルエチルcis−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボキシレート(14.5g、40.3mMol)、塩酸水溶液(3N、544mL、1632mMol)および1,4−ジオキサン(180mL)を合わせ、22時間還流させた。反応物を冷却し、白色固体を濾過によって収集し、トルエン共沸混合物を使用して乾燥させて、11.7gのcis−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸を得た。濾液を濃縮し、水と塩化メチレンとに分配した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:塩化メチレン中1〜10%メタノール)によって精製して、追加で3.5gのcis−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸を生じさせた。全収率:15.2g、推定定量的。LCMS m/z 331.4 (M-1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 1.69 (br d, J=13.1 Hz, 1
H), 2.66 (m, 1 H), 2.92 (br s, 1 H), 3.08 (ddd, 見かけdt,
J=12.3, 4.2, 4.2 Hz, 1 H), 3.59 (ddd, 見かけtd, J=11.6,
11.6, 2.5 Hz, 1 H), 3.80 (dd, J=11.7, 3.3 Hz, 1 H), 4.12 (m, 1 H), 4.26 (br d,
J=11.7 Hz, 1 H), 7.11 (d, J=8.0 Hz, 2 H), 7.62 (d, J=8.6 Hz, 2 H).
【0239】
ステップ5:cis−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンの調製
無水トルエン(140mL)中のcis−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−カルボン酸(9.0g、27.1mMol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(7.08mL、40.5mMol)およびジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(8.79mL、40.7mMol)を添加した。反応物を85℃で3.5時間撹拌し、次いで室温に冷却させた。テトラヒドロフラン(140mL)および水酸化ナトリウム水溶液(2N、70mL、140mMol)を添加し、反応物を16時間撹拌した。反応物を水(150mL)で希釈し、酢酸エチルで4回抽出した。合わせた有機物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。材料をジエチルエーテルで粉砕し、濾過し、固体を廃棄した。濾液を塩酸水溶液(1N)で抽出した。水層を水酸化ナトリウム水溶液(2N)で塩基性化し、ジエチルエーテル、次いで塩化メチレンで抽出した。合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、cis−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンを固体として生じさせた。収率:9.5g、推定定量的。LCMS m/z 304.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 1.49 (br d, J=13.6 Hz, 1
H), 2.25 (m, 1 H), 2.90 (br s, 1 H), 3.02 (ddd, 見かけdt,
J=13.1, 3.4, 3.4 Hz, 1 H), 3.49 (ddd, 見かけtd, J=11.8,
11.8, 2.2 Hz, 1 H), 3.68 (dd, J=11.5, 2.0 Hz, 1 H), 3.86 (d, J=11.5 Hz, 1 H),
4.02 (dd, J=11.3, 4.5 Hz, 1 H), 7.02 (d, J=8.2 Hz, 2 H), 7.65 (d, J=8.4 Hz, 2
H).
【0240】
ステップ6:cis−N−[4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
フラスコに、cis−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミン(5.2g、17.2mMol)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(5.13mL、34.3mMol)および塩化メチレン(50mL)の混合物を投入し、0℃の冷却浴に入れた。プロパン−2−スルホニルクロリド(3.83mL、34.3mMol)を滴下添加し、反応物を室温に加温し、16時間撹拌した。反応物を、5.0gのcis−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミンを同じ手順に供してできた同様の粗反応混合物と合わせた。合わせた反応物を濃縮し、次いで、塩化メチレンと水とに分配した。水相を塩化メチレンで3回再抽出した。合わせた有機物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を塩化メチレンで粉砕し、固体を濾過によって収集して、純粋なcis−N−[4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを生じさせた。収率:8.9g、21.7mMol、64%。LCMS m/z 410.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.90 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.09 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.72 (br d, J=13.3 Hz, 1 H), 2.09 (m, 1 H), 2.29 (m, 1 H), 3.03
(ddd, 見かけdt, J=13.2, 3.5, 3.5 Hz, 1 H), 3.55 (ddd, 見かけtd, J=11.9, 11.9, 2.3 Hz, 1 H), 3.71 (m, 2 H), 4.14 (m, 2 H), 4.52
(d, J=9.8 Hz, 1 H), 7.01 (d, J=8.2 Hz, 2 H), 7.69 (d, J=8.4 Hz, 2 H).
【0241】
ステップ7:N−[(3S,4R)−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびN−[(3R,4S)−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの単離
ラセミ化合物cis−N−[4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド(8.7g、21.3mMol)を、キラルセルOJ−Hカラム、5μm、250mm×21.0mm、移動相:流速65g/分で85/15二酸化炭素/メタノールを使用するキラルHPLCクロマトグラフィーに供した。
【0242】
保持時間が2.65分である材料を収集して、N−[(3S,4R)−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを固体として産出した。収率:3.2g、7.82mMol、37%。LCMS m/z 410.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.89 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.09 (d,
J=6.6 Hz, 3 H), 1.72 (br d, J=14.1 Hz, 1 H), 2.09 (m, 1 H), 2.28 (m, 1 H), 3.05
(m, 1 H), 3.54 (dd, 見かけt, J=11.9, 11.9 Hz, 1 H), 3.70
(m, 2 H), 4.13 (m, 2 H), 4.58 (d, J=9.6 Hz, 1 H), 7.01 (d, J=8.0 Hz, 2 H), 7.69
(d, J=8.2 Hz, 2 H).
N−[(3S,4R)−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの絶対配置をX線結晶学によって決定した。
【0243】
保持時間が3.56分である材料を収集して、N−[(3R,4S)−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを固体として産出した。収率:3.3g、8.06mMol、38%。LCMS m/z 410.0 (M+1). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 0.89 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.09 (d,
J=7.0 Hz, 3 H), 1.72 (br d, J=13.7 Hz, 1 H), 2.09 (m, 1 H), 2.29 (m, 1 H), 3.03
(m, 1 H), 3.55 (ddd, 見かけtd, J=11.9, 11.9, 2.2 Hz, 1 H),
3.69 (m, 2 H), 4.14 (m, 2 H), 4.55 (d, J=9.6 Hz, 1 H), 7.01 (d, J=8.4 Hz, 2 H),
7.69 (d, J=8.4 Hz, 2 H).
【0244】
ステップ8:N−[(3S,4R)−4−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
バイアルに、N−[(3S,4R)−4−(4−ヨードフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド(100mg、0.24mMol)、フェニルボロン酸(47mg、0.383mMol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−phos)(11.4mg、0.024mMol)、酢酸パラジウム(II)(3.6mg、0.016mMol)、フッ化カリウム(77mg、1.32mMol)、メタノール(0.75mL)およびトルエン(0.75mL)を投入し、真空下で排出させ、次いで窒素を3回充填した。反応物をマイクロ波反応器中130℃に30分間加熱した。反応物を濃縮し、酢酸エチルと飽和塩化ナトリウム水溶液とに分配し、水相を酢酸エチルで2回抽出し、合わせた有機物を乾燥させ、真空濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0〜80%酢酸エチル)によって精製して、純粋なN−[(3S,4R)−4−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを得た。収率:75mg、0.209mMol、87%。LCMS m/z 360.1 (M+1). 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 0.83 (d, J=6.7 Hz, 3 H), 1.04 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.81 (br d, J=13.7 Hz, 1 H), 2.19 (m, 2 H), 3.14 (ddd, 見かけdt, J=13.1, 3.5, 3.5 Hz, 1 H), 3.59 (ddd, 見かけtd, J=11.9, 11.9, 2.2 Hz, 1 H), 3.77 (m, 2 H), 4.18 (m, 2 H), 4.53
(d, J=9.4 Hz, 1 H), 7.33 (d, J=8.1 Hz, 2 H), 7.37 (m, 1 H), 7.46 (m, 2 H), 7.58
(m, 4 H).
【0245】
(実施例14)
N−[(2R,3R)−2−ビフェニル−4−イル−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド(14)の調製
【0246】
【化33】

ステップ1:6−(4−ブロモフェニル)ピペリジン−2,5−ジオンの調製
フラスコに、trans−6−(4−ブロモフェニル)−5−ニトロピペリジン−2−オン(15.2g、50.8mMol)および塩化メチレン(200mL)を投入した。カリウムtert−ブトキシド(5.7g、50.8mMol)を添加し、続いてメタノール(200mL)を添加し、混合物を室温で15分間撹拌した。反応物を−78℃に冷却し、オゾン気流を混合物に90分間通過させた。硫化ジメチル(20mL、272mMol)を添加し、反応物を室温にゆっくり加温し、16時間撹拌した。反応物を真空濃縮し、水と塩化メチレンとに分配した。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、同様の規模の反応からの粗生成物と合わせ、材料をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:塩化メチレン中5%メタノール)によって精製して、6−(4−ブロモフェニル)ピペリジン−2,5−ジオンを白色固体として提供した。収率:15.56g、58mMol、57%。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 2.76 (m, 4 H), 4.96 (d, J=2.4 Hz, 1H),
6.26 (br s, 1 H), 7.27 (d, J=8.8 Hz, 2 H), 7.55 (d, J=8.5 Hz, 2 H).
【0247】
ステップ2:6−(4−ブロモフェニル)ピペリジン−2,5−ジオン5−オキシムの調製
フラスコに、化合物6−(4−ブロモフェニル)ピペリジン−2,5−ジオン(14.42g、53.78mMol)およびエタノール(300mL)を投入して、スラリーを形成した。別個のフラスコ中、ヒドロキシルアミン塩酸塩(11.3g、156mMol)および酢酸ナトリウム(22.7g、269mMol)を水(100mL)に溶解した。水溶液をスラリーに添加し、混合物を16時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮して約100mLの体積とし、これを氷水(350mL)に注ぎ入れた。得られた沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄して、生成物6−(4−ブロモフェニル)ピペリジン−2,5−ジオン5−オキシムを得た。収率:13.55g、47.9mMol、89%。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, オキシムの主および副異性体が比85:15) 主異性体: δ 2.15
(m, 1 H), 2.25 (m, 1 H), 2.49 (m, 1 H と推定、溶媒で不明瞭), 2.73
(m, 1 H), 5.04 (d, J=4.1 Hz, 1 H), 7.25 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.58 (d, J=8.5 Hz,
2 H), 8.35 (d, J=4.1 Hz, 1 H), 11.06 (s, 1 H); 副異性体, 選択ピーク: 5.69 (d, J=2.9 Hz, 1 H), 7.34 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.56 (d,
J=8.5 Hz, 2 H), 8.06 (d, J=2.7 Hz, 1 H), 11.11 (s, 1 H).
【0248】
ステップ3:cis−5−アミノ−6−(4−ブロモフェニル)ピペリジン−2−オンの調製
Parrボトルに、6−(4−ブロモフェニル)ピペリジン−2,5−ジオン5−オキシム(7.1g、25.0mMol)、無水エタノール(100mL)およびラネーニッケル(およそ3〜5g、水で数回、次いでエタノールで1回洗浄したもの)を投入し、水素雰囲気(45psi)下で16時間振とうした。セライトに通す濾過によって触媒を除去し、濾液を濃縮して、ほぼ等モル量のそのdes−ブロモ類似体cis−5−アミノ−6−フェニルピペリジン−2−オンで汚染された粗生成物cis−5−アミノ−6−(4−ブロモフェニル)ピペリジン−2−オンを得た。収率:5.42g、約11.8mMolの表題生成物、約47%収率。LCMS m/z 271/269 (M+1). 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 1.83-2.05 (m, 2 H、各化合物), 2.43-2.63 (m, 2 H、各化合物), 3.42-3.51 (m, 1
H、各化合物), 4.72 (d, J=4.5 Hz, 1 H、cis-5-アミノ-6-(4-ブロモフェニル)ピペリジン-2-オン), 4.77
(d, J=4.7 Hz, 1 H、cis-5-アミノ-6-フェニルピペリジン-2-オン), 7.27 (d, J=8.4 Hz, 2 H、cis-5-アミノ-6-(4-ブロモフェニル)ピペリジン-2-オン),
7.33-7.47 (m, 5 H、cis-5-アミノ-6-フェニルピペリジン-2-オン), 7.59 (d, J=8.4 Hz, 2 H、cis-5-アミノ-6-(4-ブロモフェニル)ピペリジン-2-オン).
【0249】
ステップ4:cis−N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
フラスコに、前ステップからのcis−5−アミノ−6−(4−ブロモフェニル)ピペリジン−2−オン(1.5g、約3.3mMolの基質)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)(1.25mL、8.36mMol)および塩化メチレン(15mL)の混合物を投入し、0℃の冷却浴に入れた。プロパン−2−スルホニルクロリド(0.984mL、8.36mMol)を滴下添加し、反応物を室温にゆっくり加温し、16時間撹拌した。反応物を飽和塩化ナトリウム水溶液で希釈し、相を分離した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:塩化メチレン中5%メタノール)によって精製して、cis−N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを、ほぼ等モル分量のそのdes−ブロモ類似体cis−6−オキソ−2−フェニルピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを含有する固体として提供した。収率:674mg、約1.00mMolの表題生成物、約30%。LCMS m/z 375 (M-1). 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 1.10, 1.19, 1.22および1.25 (4つの二重線, J=6.6, 6.8, 6.8, 6.8 Hz, 合計6H、各化合物), 1.92-2.15 (m, 4 H), 2.55-2.73 (m,
4 H), 2.90 (m, 1 H), 2.97 (m, 1H), 3.95-4.01 (m, 2 H), 4.16および4.27 (2つの二重線, J=9.5, 10.0 Hz, 1 H、各化合物), 4.83および4.86 (2 多重線, 1 H、各化合物), 6.02および6.07
(2つの広幅一重線, 1 H、各化合物), 7.24 (d,
J=8.5 Hz, 2 H、cis-N-[2-(4-ブロモフェニル)-6-オキソピペリジン-3-イル]プロパン-2-スルホンアミド), 7.34-7.46 (m, 5H、cis-6-オキソ-2-フェニルピペリジン-3-イル]プロパン-2-スルホンアミド), 7.57 (d, J=8.5 Hz, 2 H、cis-N-[2-(4-ブロモフェニル)-6-オキソピペリジン-3-イル]プロパン-2-スルホンアミド).
【0250】
ステップ5:N−[(2S,3S)−2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドおよびN−[(2R,3R)−2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの単離
ラセミ化合物cis−N−[2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド(前ステップにおいて単離したものと同様の混合物936mg、約1.39mMolの所望の基質)を、キラルセルOJ−Hカラム、5uM、2.1cm×25cm、移動相:流速65g/分で二酸化炭素/メタノールの85/15混合物を使用するキラルHPLCクロマトグラフィーに供した。保持時間が5.94分である材料を収集して、N−[(2S,3S)−2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを固体として得た。収率:240mg、0.639mMol、約46%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.19 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.26 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.91-2.06 (m, 2 H), 2.56-2.72 (m, 2 H), 2.97 (m, 1 H), 3.97 (m,
1 H), 4.13 (d, J=10.0 Hz, 1 H), 4.83 (dd, J=4.5, 2.7 Hz, 1 H), 6.06 (br s, 1
H), 7.24 (d, J=8.4 Hz, 2 H), 7.58 (d, J=8.4 Hz, 2 H).
【0251】
保持時間が7.11分である材料を収集して、N−[(2R,3R)−2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを固体として産出した。収率:284mg、0.775mMol、約50%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 1.20 (d, J=6.6 Hz, 3 H), 1.27 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.91-2.03 (m, 2 H), 2.57-2.72 (m, 2 H), 2.98 (m, 1 H), 3.98 (m,
2 H), 4.84 (m, 1 H), 5.96 (br s, 1 H), 7.24 (d, J=8.4 Hz, 2 H), 7.58 (d, J=8.4
Hz, 2 H).
この材料の絶対配置をX線結晶学によって決定した。
【0252】
ステップ6:N−[(2R,3R)−2−ビフェニル−4−イル−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドの調製
バイアルに、N−[(2R,3R)−2−(4−ブロモフェニル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド(211mg、0.562mMol)、フェニルボロン酸(71.9mg、0.59mMol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−phos)(25.7mg、0.054mMol)、酢酸パラジウム(II)(8.3mg、0.037mMol)、フッ化カリウム(163mg、2.81mMol)、メタノール(1.0mL)およびトルエン(1.0mL))を投入し、真空下で排出させ、次いで窒素を3回充填した。反応物をマイクロ波反応器中120℃に20分間加熱した。反応物を濾過し、濾液を濃縮し、塩化メチレンと飽和塩化ナトリウム水溶液とに分配した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中0〜100%酢酸エチル)によって精製して、純粋なN−[(2R,3R)−2−ビフェニル−4−イル−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドを白色固体として得た。収率:65mg、0.175mMol、31%。LCMS m/z 371.1 (M-1). 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 1.14 (d, J=6.8 Hz, 3 H), 1.24 (d,
J=6.8 Hz, 3 H), 1.99 (m, 1 H), 2.12 (m, 1 H), 2.62 (m, 1 H), 2.72 (m, 1 H),
2.94 (m, 1 H), 4.01 (m, 1 H), 4.16 (d, J=9.8 Hz, 1 H), 4.90 (m, 1 H), 6.08 (br
s, 1 H), 7.39 (br t, J=7.3 Hz, 1 H), 7.42 (d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.47 (広幅dd, 見かけbr t, J=7.6, 7.6 Hz, 2 H), 7.59 (br
d, J=8.3 Hz, 2 H), 7.67 (d, J=8.3 Hz, 2 H).
【0253】
【表1−1】

【0254】
【表1−2】

【0255】
【表1−3】

【0256】
【表1−4】

【0257】
【表1−5】

【0258】
【表1−6】

【0259】
【表1−7】

【0260】
【表1−8】

【0261】
【表1−9】

【0262】
【表1−10】

【0263】
【表1−11】

【0264】
【表1−12】

【0265】
【表1−13】

【0266】
【表1−14】

【0267】
【表1−15】

【0268】
【表1−16】

【0269】
HPLC条件:キラルパックAD−Hカラム、5μm、2.1×25cm、流速65g/分、溶離液:70:30 CO:エタノール。
HPLC条件:キラルパックAS−Hカラム、5μm、1.0×25cm、流速10g/分、溶離液:70:30 CO:メタノール。
HPLC条件:キラルパックAS−Hカラム、5μm、1×25cm、流速10g/分、溶離液:75:25 CO:エタノール。
HPLC条件:キラルパックAS−Hカラム、5μm、1×25cm、流速10g/分、溶離液:80:20 CO:メタノール。
HPLC条件:キラルパックAS−Hカラム、5μm、1×25cm、流速10g/分、溶離液:65:35 CO:エタノール。
【0270】
上述の表中、実施例14〜23、28〜30、35〜41、45〜48および50〜62は、実施例1のものに類似した方法を使用して実施した。実施例24〜27、32〜34、42〜44および49は、実施例2に類似した方法を使用して実施した。実施例31は、実施例9に類似した方法を使用して実施したが、炭酸ナトリウムおよびメタノール/トルエン/水ではなくKFおよびTHFを使用した。
【0271】
生物学的プロトコール
材料および方法
ES細胞の成長および維持
使用したマウスES細胞株は、神経外胚葉マーカーであるSox1遺伝子中に、Sox1遺伝子が発現している場合にG418抵抗性を与える標的突然変異を有するE14−Sx1−16C(Stem Cell Sciences)であった。ES細胞を先に記載した通りに未分化で維持した(Roach)。簡潔に述べると、15%のES用ウシ胎仔血清(FBS)(Invitrogen)、0.2mMのL−グルタミン(Invitrogen)、0.1mMのMEM非必須アミノ酸(Invitrogen)、30μg/mlのゲンタマイシン(Invitrogen)、1000u/mlのESGRO(Chemicon)および0.1mMの2−メルカプトエタノール(Sigma)を補充したKnockout(商標)D−MEMの基本培地(Invitrogen)を有するSCML培地中でES細胞を成長させた。ゼラチンコーティングしたシャーレ(BD Biosciences)にES細胞を載置し、培地を毎日換え、細胞を0.05%のトリプシンEDTA(Invitrogen)で隔日で解離した。
【0272】
ES細胞の神経インビトロ分化
胚様体形成:胚様体(EB)形成前に、ES細胞をFBSからノックアウト血清代替物(KSR)(Invitrogen)上に引き離した。EBを形成するために、ES細胞を単一細胞懸濁液中に解離し、次いで、3×106細胞を細菌用シャーレ(Nunc4014)に入れ、懸濁培養として、10%のKSR(Invitrogen)、0.2mMのL−グルタミン(Invitrogen)、0.1mMのMEM非必須アミノ酸(Invitrogen)、30μg/mlのゲンタマイシン(Invitrogen)、1000u/mlのESGRO(Chemicon)、0.1mMの2−メルカプトエタノール(Sigma)および150ng/mlのトランスフェリン(Invitrogen)を補充したKnockout(商標)D−MEM(Invitrogen)からなるNeuroEB−I培地中で成長させた。プレートを大気酸素インキュベーター内のストーバルベリーボタンシェーカーに置いた。培地を、EB形成の2日目にはNeuroEB−Iに、4日目にはNeuroEB−II(NeuroEB−Iプラス1μg/mlのmノギン[R&D Systems])に換えた。
【0273】
神経前駆体選択および拡大:EB形成の5日目に、EBを0.05%トリプシンEDTAで解離し、4×10細胞/100mmシャーレを、N2サプリメントを補充したD−MEM/F12とB27サプリメントおよび0.1mMのL−グルタミンを補充したNeuroBasal培地(すべてInvitrogen製)との1:1混合物の基本培地からなるNeuroII−G418培地中のラミニンコーティングした細胞培養シャーレに載置した。次いで、基本培地に、10ng/mlのbFGF(Invitrogen)、1μg/mlのmノギン、500ng/mlのSHH−N、100ng/mlのFGF−8b(R&D Systems)、1μg/mlのラミニンおよび200μg/mlのG418(Invitrogen)を、Sox−1を発現している神経前駆体の選択のために補充した。2%酸素を含有するインキュベーターにプレートを入れ、この条件下で維持した。6日間の選択期間中、NeuroII培地を毎日換えた。6日目、生存している神経前駆体病巣を0.05%トリプシンEDTAで解離し、細胞を1.5×10細胞/100mmのラミニンコーティングしたシャーレの密度でNeuroII−G418培地に入れた。細胞を拡大のために隔日で解離し、第三または第四継代で凍結保存に備えた。凍結保存(crypreservation)培地は、50%のKSR、10%のジメチルスルホキシド(DMSO)(Sigma)および40%のNeuroI−G418I培地を含有するものであった。神経前駆体を、速度制御冷凍庫中4×10細胞/mlおよび1ml/凍結バイアルの濃度で終夜凍結保存(crypreserved)し、次いで、長期貯蔵用の超低温冷凍庫または液体窒素に移した。
【0274】
神経分化:凍結保存したES細胞由来の神経前駆体を、37度の水浴中で急速解凍法により解凍した。凍結バイアルから、2%酸素インキュベーター内で平衡化したNeuroII−G418を既に含有する100mmのラミニンコーティングした細胞培養シャーレに細胞を移した。翌日、培地を新鮮なNeuroII−G418に換えた。スクリーニング用に平板培養するのに十分な細胞を産生するために、拡大について上記した通り細胞を隔日で解離した。スクリーニングのために、4:1比率のNeuroBasal培地/B27:1μMのcAMP(Sigma)、200μMのアスコルビン酸(Sigma)、1μg/mlのラミニン(Invitrogen)および10ng/mlのBDNF(R&D Systems)を補充したD−MEM/F12/N2を含有する分化培地NeuroIII中、6K細胞/ウェルの細胞密度での自動選択により、384ウェルポリ−d−リジンコーティングした組織培養シャーレ(BD Biosciences)に細胞を入れた。プレートを、2%酸素のインキュベーター内に置き、7日間の分化過程を完了させた。次いで、細胞を5日間にわたるハイスループットスクリーニングに使用してもよい。
【0275】
インビトロアッセイ
AMPA ES細胞FLIPRスクリーニングの手順
FLIPR法およびデータ分析:
アッセイの日、FLIPRアッセイは下記の方法を使用して実施することができる。
アッセイ緩衝液:
化合物 g/L MW [濃度]
NaCl 8.47 58.44 145mM
グルコース 1.8 180.2 10mM
KCl .37 74.56 5mM
MgSO 1mlの1Mストック 246.48 1mM
HEPES 2.38 238.3 10mM
CaCl 2mlの1Mストック 110.99 2mM
【0276】
pHを1MのNaOHで7.4に調整する。DMSO中Fluo−4,am(Invitrogen)色素の(約)2mMストック溶液−50μgのバイアル当たり22μlのDMSO(1mgのバイアル当たり440μL)を調製する。各50μgのバイアルに、DMSO中20%のプルロニック酸(PA)(Invitrogen)を22μl(1mgのバイアル当たり440μL)添加することにより、バイアル当たり(約)1mMのflou−4,PA作業溶液を作製する。250mMのプロベネシド(Sigma)ストック溶液を調製する。グルタミン不含DMEM高グルコース11ml当たり250μgのバイアルの内容物(1mgのバイアル当たり220mlのDMEM)を添加することにより、(約)4μMの色素インキュベーション培地を作製する。培地11ml当たり110μLのプロベネシドストックを添加する(2.5mMの最終濃度)。2μM〜8μM色素の範囲の色素濃度を、アゴニストまたは増強剤の薬理学を変化させることなく使用することができる。細胞洗浄に使用した(が薬物調製には使用していない)アッセイ緩衝液に、プロベネシドを、11mlの緩衝液当たり110μlのプロベネシドストックで添加する。
【0277】
フリック(fliking)によって細胞プレートから成長培地を除去する。50μl/ウェルの色素溶液を添加する。37℃かつ5%COで1時間インキュベートする。色素溶液を除去し、アッセイ緩衝液+プロベネシド(10mlの緩衝液当たり100μlのプロベネシドストック)で3回洗浄し、30μL/ウェルのアッセイ緩衝液を残す。少なくとも10〜15分間待つ。化合物およびアゴニストチャレンジ添加を、FLIPR(Molecular Devices)により実施する。第一の添加は、試験化合物に関するものであり、15μLの4倍濃縮物として添加される。第二の添加は、アゴニストまたはチャレンジの15μLの4倍濃縮物である。これにより、第二の添加後のみ、すべての化合物の1倍濃縮が実現する。アゴニスト添加前に少なくとも5分間化合物を前処理する。
【0278】
化合物添加前に数枚のベースライン画像をFLIPRで収集し、化合物添加の少なくとも1分後に画像を収集する。化合物またはアゴニスト添加後の最小蛍光FLIPR値を、アゴニスト添加後のFLIPR応答のピーク蛍光値から減算して蛍光の変化を取得することにより、結果を分析する。次いで、標準的な曲線当てはめアルゴリズムを使用して、蛍光の変化(RFU、相対蛍光単位)を分析する。陰性対照はAMPAチャレンジ単独によって定義され、陽性対照はAMPAチャレンジプラス最高濃度のシクロチアジド(10uMまたは32uM)によって定義される。
【0279】
化合物は、DMSOストックとしてまたは粉末として送達される。粉末をDMSOに可溶化する。次いで、化合物をアッセイ薬物緩衝液に、40μLのトップ[濃度](4×トップスクリーニング濃度)として添加する。このアッセイ用の標準的なアゴニストチャレンジは、32uMのAMPAである。
【0280】
本発明の化合物のEC50値は、好ましくは10マイクロモル以下、より好ましくは1マイクロモル以下、より一層好ましくは100ナノモル以下である。本発明の特定化合物についてのデータを、以下の表1において提供する。
【0281】
【表2−1】

【0282】
【表2−2】

【0283】
【表2−3】

【0284】
本発明またはその例示的な実施形態(複数可)の要素を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「前記」は、該要素が1つまたは複数あることを意味するように意図されている。用語「を含む」、「を包含する」および「を有する」は、包括的であり、掲載されている要素以外に追加の要素があってよいことを意味するように意図されている。本発明を特定の実施形態に関して記述してきたが、これらの実施形態の詳細は本発明への限定として解釈されるべきでなく、本発明の範囲は、添付の請求項によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩
【化1】

[式中、Rは、水素、フルオロ、1〜5個のフルオロで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、1〜5個のフルオロで置換されていてもよい(C〜C)アルコキシ、−(C=O)−NH、−(C=O)−NH−(C〜C)アルキル、−(C=O)−N[(C〜C)アルキル]または−CNであり、
nは、0、1または2の整数であり、
は水素またはヒドロキシルであり、
は、(C〜C)アルキル−(C=O)−、[(C〜C)アルキル]N−(C=O)−、(C〜C)アルキル−SO−、(C〜C)シクロアルキル−SO−、[(C〜C)アルキル]N−SO−であり、ここで、前記[(C〜C)アルキル]N−(C=O)−および[(C〜C)アルキル]N−SO−の前記(C〜C)アルキル部分は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、3〜6員の複素環を形成していてもよく、
かつ、環「A」は、フェニル、ピリジルまたはチエニルである]。
【請求項2】
式Iaについて以下に描写する立体化学を有する、請求項1に記載の式Iの化合物。
【化2】

【請求項3】
式Ibについて以下に描写する立体化学を有する、請求項1に記載の式Iの化合物。
【化3】

【請求項4】
式Icについて以下に描写する通りのピラニル環に関する立体化学を有する、請求項1に記載の式Iの化合物。
【化4】

【請求項5】
式Idについて以下に描写する通りのピラニル環に関する立体化学を有する、請求項1に記載の式Iの化合物。
【化5】

【請求項6】
式Ieについて以下に描写する通りのピラニル環に関する立体化学を有する、請求項1に記載の式Iの化合物。
【化6】

【請求項7】
式Ifについて以下に描写する通りのピラニル環に関する立体化学を有する、請求項1に記載の式Iの化合物。
【化7】

【請求項8】
式Igについて以下に描写する通りのピラニル環に関する立体化学を有する、請求項1に記載の式Iの化合物。
【化8】

【請求項9】
式Ihについて以下に描写する通りのピラニル環に関する立体化学を有する、請求項1に記載の式Iの化合物。
【化9】

【請求項10】
式Iiについて以下に描写する通りのピラニル環に関する立体化学を有する、請求項1に記載の式Iの化合物。
【化10】

【請求項11】
N−[(3R,4S)−3−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4R)−4−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4R)−4−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4R)−4−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4S)−3−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4S)−3−(2’−シアノ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4S)−3−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4S)−3−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4S)−3−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4S)−3−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4S)−3−(4’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4S)−3−(2’−シアノ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−{(3R,4S)−3−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(2R,3S)−2−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(2R,3S)−2−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4S)−4−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;または
N−[(3R,4S)−4−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドである、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項12】
N−[(3R,4R)−4−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−{(3R,4R)−4−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4R)−3−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−{(3S,4S)−3−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル}プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4S)−3−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4S)−3−(2’−シアノ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4S)−3−(4’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3R,4S)−3−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−{(3R,4S)−4−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4R)−3−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4R)−3−(4−ピリジン−3−イルフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(2S,3R)−2−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(2S,3R)−2−(2’−シアノビフェニル−4−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(2R,3S)−2−ビフェニル−4−イルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−{(2R,3S)−2−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(3S,4R)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;または
N−[(3R,4S)−4−ビフェニル−4−イル−4−ヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミドである、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項13】
式IIの化合物または薬学的に許容できるその塩
【化11】

[式中、Rは、水素、フルオロ、1〜5個のフルオロで置換されていてもよい(C〜C)アルキル、1〜5個のフルオロで置換されていてもよい(C〜C)アルコキシ、−(C=O)−NH、−(C=O)−NH−(C〜C)アルキル、−(C=O)−N[(C〜C)アルキル]または−CNであり、
nは、0、1または2の整数であり、
は、(C〜C)アルキル−(C=O)−、[(C〜C)アルキル]N−(C=O)−、(C〜C)アルキル−SO−、(C〜C)シクロアルキル−SO−または[(C〜C)アルキル]N−SO−であり、ここで、前記[(C〜C)アルキル]N−(C=O)−および[(C〜C)アルキル]N−SO−の前記(C〜C)アルキル部分は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、3〜6員の複素環を形成していてもよく、
かつ、環「A」は、フェニル、ピリジルまたはチエニルである]。
【請求項14】
式IIaについて以下に描写する通りのピペリドン環に関する立体化学を有する、請求項13に記載の式IIの化合物。
【化12】

【請求項15】
式IIbについて以下に描写する通りのピペリドン環に関する立体化学を有する、請求項13に記載の式IIの化合物。
【化13】

【請求項16】
式IIcについて以下に描写する通りのピペリドン環に関する立体化学を有する、請求項13に記載の式IIの化合物。
【化14】

【請求項17】
N−[(2S,3R)−2−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(2R,3S)−2−(2’−エトキシビフェニル−4−イル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−[(2S,3R)−2−ビフェニル−4−イル−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド;
N−{(2S,3R)−2−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]−6−オキソピペリジン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミド;
N−{(2R,3S)−2−[4−(5−シアノ−2−チエニル)フェニル]−6−オキソピペリジン−3−イル}プロパン−2−スルホンアミド;および
N−[(2R,3S)−2−(2’−シアノビフェニル−4−イル)−6−オキソピペリジン−3−イル]プロパン−2−スルホンアミド、または薬学的に許容できるその塩である、請求項13に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項18】
が、シアノ、エトキシまたはフルオロであり、かつオルトまたはパラ位にある、前記請求項のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項19】
急性神経および精神障害、脳卒中、脳虚血、脊髄外傷、頭部外傷、周生期低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷、認知症、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、認知障害、特発性および薬物誘発性パーキンソン病、筋肉けいれんおよび振戦を包含する筋痙直に関連する障害、てんかん、けいれん、片頭痛、尿失禁、薬物耐性、薬物離脱、精神病、統合失調症、不安神経症、気分障害、三叉神経痛、難聴、耳鳴、目の黄斑変性、嘔吐、脳浮腫、疼痛、遅発性ジスキネジー、睡眠障害、注意欠陥/多動性障害、注意欠陥障害、ならびに行為障害からなる群から選択される状態の哺乳動物における治療または予防方法であって、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩を前記哺乳動物に投与するステップを含む方法。
【請求項20】
前記請求項のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物。

【公表番号】特表2012−504595(P2012−504595A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529651(P2011−529651)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054109
【国際公開番号】WO2010/038167
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】