APD測定表示装置及びAPD測定表示方法
【課題】EMC対策の効果を容易に評価する。
【解決手段】現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となるAPD結果とを、周波数、振幅、振幅確率及び時間のパラメータを組み合わせた複数のグラフの中から指定されるグラフ表示で表示部400の同一画面上に一緒に表示する。
【解決手段】現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となるAPD結果とを、周波数、振幅、振幅確率及び時間のパラメータを組み合わせた複数のグラフの中から指定されるグラフ表示で表示部400の同一画面上に一緒に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号の周波数成分を分析し、各周波数成分の大きさが所定時間中に所定の閾値を超える確率(振幅確率分布、或いは、単に時間率と言われる。以下「APD」と言う。)を測定し、その結果を表示するAPD測定表示装置及びAPD測定表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
APD測定技術は従来からあり、例えば、APDを高い振幅分解能と時間分解能で測定する特許文献1の技術があり、それをスペクトラムアナライザ等へ適用し、種々の表示を試みた例として特許文献2の技術がある。
【0003】
一方、最近、通信方式により、所定複数周波数成分のAPDを並列に同時に測定する必要性が要求されている。例えば、非特許文献1に記載のように、地上デジタル放送の規格は電波産業会(ARIB)によってARIB標準規格として、OFDM方式(Orthogonal Frequency Division Multiplex Operation Mode)による変調方式が定められている。そして、このOFDM方式では、伝送データを所定の帯域に数千本の低速データに分けて、デジタル変調を行う。例えば、その所定の帯域が約5.6MHzであり、伝送データを約1kHzの搬送波(キャリア)単位で分けて、計5、600本に分けてデジタル変調している。
【0004】
したがって、OFDM方式におけるAPD測定は、信号成分を約1kHz毎に周波数分析して、各周波数成分のAPDを並列に測定することが望まれる。また、特許文献1,2に記載のAPDで並列に測定可能である。
【0005】
APDの表示については、特許文献2では確率分布を確率の範囲毎に帯表示させることにより、分布を視認しやすいように識別して表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3156152号公報
【特許文献2】特許第3374154号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】東芝レビューVOL.58 No.12(2003年)、p.2〜6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したOFDM方式のような稠密な周波数帯にわたる膨大なチャネル数を有する通信環境下の測定においては、多数の通信チャネル内の振幅変化を時々刻々同時に測定し、広いレベル範囲で現象をつぶさに把握する多チャネル同時APD測定が有効な手段である。
【0009】
この多チャネル同時APD測定の手段を用いたAPD測定表示装置では、測定信号の統計的傾向を有効的に分析するために、同時測定している測定チャネル(測定周波数成分)のAPD測定結果をできるだけ多く同時表示させること、そして測定時間全体についてのAPD時間変動も表示できることが望ましい。
【0010】
多チャネル同時APD測定結果は、測定対象となる信号の周波数/発生時間/振幅レベル/APDの4つの属性を組み合わせた複数種類のグラフ表示によって、測定信号の各属性間の因果関係を容易に分析することができる。
【0011】
ところで、この種のAPD測定表示装置は、各種電子機器から放射される不要輻射による電波障害、いわゆるEMC(Electro Magnetic Compatibility:電磁両立性)の測定評価に用いられる。具体的には、妨害波を発生する現場にAPD測定表示装置を持ち込んでAPD測定を行い、そのAPD測定結果に基づいて妨害波の発生源を特定し、妨害波の発生源が特定されると、そこにシールド用のシートを被せたり、対策部品を取り付けるなどして妨害波の放射を防ぐEMC対策を施している。
【0012】
しかしながら、従来のAPD測定では、デジタイズされたデータを取り込み、この取り込んだデータをソフト的にFFT処理しており、測定信号を表現する物理軸としての時間軸、周波数軸、振幅軸の組み合わせが、通常、時間軸−振幅軸、周波数軸−振幅軸と各々独立しているので、これら両方を表示部に同時に展開して表示することができなかった。また、装置本体に備えた表示部の1つの表示画面上にAPD測定結果を表示していたので、上述した測定対象となる信号の周波数/発生時間/振幅レベル/APDの4つの属性を組み合わせた複数種類のグラフ表示を同時に表示画面上に表示させてモニタすることができなかった。このため、APD測定が行われる現場でEMC対策の効果を評価するには、現在測定中のAPD測定結果の表示と、その比較対象となるAPD結果の表示とを交互に切り替えて分析する必要があり、その操作が煩わしく手間を要し、EMC対策前後の分析評価がしずらいという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、現在と過去の測定結果を容易に比較して分析評価することができるAPD測定表示装置及びAPD測定表示方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載されたAPD測定表示装置は、被測定信号の周波数成分を分析し、分析された各周波数成分の振幅をそれぞれ検出し、検出された各周波数成分の振幅について単位時間当たりの振幅確率を時間経過毎に求めるAPD測定部100と、該APD測定部が出力する各周波数成分の振幅の振幅確率を時間経過に対応して記憶する記憶部200と、表示部400と、操作部500と、前記記憶部に所定タイミングでアクセスして得られた最新の前記記憶部の記憶内容に基づいて、周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、2つ又は3つを次元とする座標に残りの1つをパラメータとするグラフを前記表示部に表示させる表示制御部300とを備えたAPD測定表示装置であって、
前記表示制御部は、現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となるAPD結果とを、前記周波数、前記振幅、前記振幅確率及び前記時間のパラメータを組み合わせた複数のグラフの中から前記操作部で指定されるグラフ表示で前記表示部の同一画面上に表示することを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載されたAPD測定表示装置は、請求項1のAPD測定表示装置において、
前記表示制御部300は、前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記指定されるグラフ表示で前記表示部400の同一画面上の異なる表示領域に並べて識別表示することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載されたAPD測定表示装置は、請求項1のAPD測定表示装置において、
前記表示制御部300は、前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記表示部400の同一表示画面上の前記指定されるグラフ表示上に重ねて識別表示することを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載されたAPD測定表示方法は、被測定信号の周波数成分を分析し、分析された各周波数成分の振幅をそれぞれ検出し、検出された各周波数成分の振幅について単位時間当たりの振幅確率を時間経過毎に求め、前記各周波数成分の振幅の振幅確率を時間経過に対応して記憶し、最新の記憶内容に基づいて、周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、2つ又は3つを次元とする座標に残りの1つをパラメータとするグラフを表示させるAPD測定表示方法であって、
現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となるAPD結果とを、前記周波数、前記振幅、前記振幅確率及び前記時間のパラメータを組み合わせた複数のグラフの中から指定されるグラフ表示で表示部400の同一画面上に表示するステップを含むことを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載されたAPD測定表示方法は、請求項4のAPD測定表示方法において、
前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記指定されるグラフ表示で前記表示部400の同一画面上の異なる表示領域に並べて識別表示することを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載されたAPD測定表示方法は、請求項4のAPD測定表示方法において、
前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記表示部400の同一画面上の前記指定されるグラフ表示上に重ねて識別表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、例えば電子機器などのEMC測定評価において、EMC対策後の現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となるEMC対策前のAPD結果とを、表示部の同一画面上に表示して比較分析しながら測定が行え、EMC対策の効果を容易に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るAPD測定表示装置の実施形態の機能構成を示す図である。
【図2】本実施形態における表示するグラフの態様及びその切り替え態様を説明するための図である。
【図3】時間が特定値に固定で、周波数を横軸とし振幅確率(APD)を縦軸とする座標上に振幅(レベル)範囲をパラメータとするグラフの表示例を示す図である。
【図4】時間が特定値に固定で、周波数を横軸としレベルを縦軸とする座標上に振幅確率(APD)範囲をパラメータとするグラフの表示例を示す図である。
【図5】振幅(レベル)範囲が特定値に固定で、周波数を横軸とし時間を縦軸とする座標上に振幅確率(APD)範囲をパラメータとするグラフの表示例を示す図である。
【図6】振幅確率(APD)範囲が特定値に固定で、周波数を横軸とし時間を縦軸とする座標上に振幅(レベル)範囲をパラメータとするグラフの表示例を示す図である。
【図7】周波数毎(周波数がパラメータ)にレベル範囲が特定値に固定で、時間を横軸とし振幅確率(APD)を縦軸とする座標のグラフの表示例を示す図である。
【図8】周波数毎(周波数がパラメータ)に振幅確率(APD)範囲が特定値に固定で、時間を横軸とし振幅(レベル)を縦軸とする座標のグラフの表示例を示す図である。
【図9】振幅(レベル)を縦軸としAPDを横軸とする座標上に周波数をパラメータとするレイリー尺のグラフの表示例を示す図である。
【図10】振幅(レベル)を横軸としAPDを縦軸とする座標上に周波数をパラメータとする対数尺のグラフの表示例を示す図である。
【図11】振幅(レベル)範囲を特定値に固定し、周波数を横軸とし振幅確率(APD)を縦軸とし時間を奥行き方向の軸とする3次元座標上に周波数をパラメータとするグラフの表示例を示す図である。
【図12】振幅確率(APD)範囲を特定値に固定し、周波数を横軸とし振幅(レベル)を縦軸とし時間を奥行き方向の軸とする3次元座標上に周波数をパラメータとするグラフの表示例を示す図である。
【図13】ピークマーカを説明するための図である。
【図14】フルスパン、及び、ゾーンマーカと拡大/縮小を説明するための図である。
【図15】Nmeas>Ndispの場合の平均処理方法の表示例を示す図である。
【図16】Nmeas≦Ndispの場合の平均処理方法の表示例を示す図である。
【図17】間引き処理方法の表示例を示す図である。
【図18】間引き処理方法の他の表示例を示す図である。
【図19】現在測定しているAPD測定結果と、比較対象となるAPD結果とを同一画面上に並べて表示した一例を示す図である。
【図20】現在測定しているAPD測定結果と、比較対象となるAPD結果とを同じグラフ表示上に重ね書きして表示した一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者等によりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれる。
【0023】
まず、図1を参照しながら、本発明に係るAPD測定表示装置のAPD測定に係る主要構成について説明する。APD測定表示装置1は、図1に示すように、APD測定部100、記憶部200、表示制御部300、表示部(表示装置)400、操作部500、制御部600を備えて構成される。
【0024】
APD測定部100は、入力信号から所望の周波数帯におけるAPDを測定するもので、周波数分析部110、レベル検出部120、APD部130を備えている。
【0025】
周波数分析部110は、測定しようとする所望の周波数帯(広帯域)の入力信号を選択し、さらに狭い所望の周波数帯域(狭帯域)に分けて選択するものであって、帯域選択手段110a、A/D変換手段110b、及び周波数選択手段110cで構成される。帯域選択手段110aとしては、例えば、高周波の通信周波数帯域におけるノイズを測定しようとするなら、いわば特許文献2に示されるようなヘテロダイン方式を採用することができる。つまり、入力信号(ノイズ)を局部発振器でミキシングして低周波数の信号に変換して、ここで所望の周波数帯域(δF)のバンドパスフィルタを用いて必要な周波数帯の周波数成分に制限する。
【0026】
なお、測定対象の信号の周波数帯域が低く、A/D変換手段110bが直接に利用できる周波数帯であれば、帯域選択手段110aは必ずしも必要ではない。
【0027】
A/D変換手段110bは、帯域選択手段110aで帯域制限された低周波数の周波数成分(信号)を受け、クロック発生器(不図示)からの周期のクロックで振幅(レベル)幅ΔLの細かさ(この細かさに応じた閾値がある。)で標本化(サンプリング)し、デジタルデータに変換する。後に求められる振幅確率(APD)は、この標本化時のレベル幅ΔLの細かさ毎に求められる。
【0028】
周波数選択手段110cは、δFの周波数帯域に亘る低周波信号を受けて、さらにn個(以下、n(数値)チャネル、或いはn(数値)CHということがある。)のバンドパスフィルタ群により更に細かい周波数帯域(δF/n)に切り分ける。例えば、通信回線のチャネルが1kHz毎であれば中心周波数が1kHzづつズレ、かつ周波数帯域がほぼ1kHzのバンドパスフィルタをBPF1〜BPFnのn個を備える。周波数選択手段110cは、例えば、フィルタバンクとして、CPUによりソフト的にFFT処理して行える。
【0029】
レベル検出部120は、周波数選択手段110cのバンドパスフィルタのそれぞれの出力に対応した振幅、つまり各チャネルの振幅を検出する検波器DET1〜DETnを有し、それぞれチャネルの周波数成分(バンドパスフィルタの中心周波数に該当)の振幅(レベル)を検出する。
【0030】
APD部130は、検波器DET1〜DETnに対応して振幅確率を測定するAPD検出器であるAPD1〜APDn、クロック発生部130a、及び範囲分類手段130bを備える。APD1〜APDnのそれぞれの構成、動作は、同じであって、検波器DET1〜DETnの出力をLOG変換器で対数変換して振幅の単位を「dB」変換して振幅確率を測定している。振幅確率を測定するAPD検出器であるAPDとしては、ここでは、従来のAPDを採用できる。例えば、特許文献2に記載のAPD、或いは、特願2006−253889号公報に記載のAPDが使用できる。
【0031】
APD1〜APDnは、振幅確率(分布)を測定する。振幅確率は、同じ大きさの入力信号が所定の時間範囲(期間:Δt)内に受ける回数(発生する回数)を表す。入力信号の大きさを区別する細かさは、この例では、A/D変換手段110bの細かさΔLと同じである。確率を測定する時間範囲Δtは、クロック発生部130aからのコントロールに従う。
【0032】
クロック発生部130aは、パルス発生器とタイマーを用いて、例えば時間範囲Δtとして、1秒間隔、10秒間隔、或いは1分間隔(いずれも、これらの時間周期のパルスでも良い。)、等のタイミング信号を発生してAPD1〜APDnに対し、それらの時間範囲内で受ける入力信号の大きさの頻度を測定させることにより、振幅確率を測定させる。操作部500からの指示で制御部600を通してタイマーのカウント時間を変更して時間範囲Δtを変更できる構成にしても良い。
【0033】
範囲分類手段130bは、APD1〜APDnがそれぞれ演算して求めた振幅確率の値に応じて、ある範囲に分類する。これは、例えば、1%の分解能で調査しても良いが、その調査目的に応じた分解能で、調査に適切な範囲に分類するために設けた機能である。この実施形態では、操作部500からの指示で振幅確率が0から1%、1%から10%、10%から50%、50%から100%の4段階に分類している。分類の仕方としては、例えば、APD1〜APDnが求めた振幅確率の値と、分類した範囲に相当する複数の閾値とを比較して、比較結果が属する範囲の確率分類識別札を付す。操作部500からの指示で制御部600を通して所望の閾値に変更することにより、分類範囲を変更できる構成にしても良い。
【0034】
なお、APD1〜APDnからは、速ければ、時間範囲Δt毎に、更新された振幅確率値が集計されて出力される。また、範囲分類手段130bは、レベル検出部120で検出した各振幅を例えばレベル測定範囲の全範囲が0dBmからー100dBmであれば、20dB間隔に分類して、振幅確率と同様に、振幅分類札を付しておく。
【0035】
記憶部200は、APD1〜APDnから出力される振幅値とその振幅確率値とを時間経過ともに全測定チャネル(測定周波数)数分だけ測定結果データ(APD測定結果)として記憶する。時間経過は、少なくとも、振幅確率を測定するときの時間範囲Δt毎に記憶する。さらに、記憶部200は、範囲分類手段130bが分類したときの確率分類識別札を該当する振幅確率値に対応して、振幅分類札を該当する振幅値に対応して、かつ測定した周波数に対応して記憶する。また、振幅値、振幅確率値を取得した時間情報もクロック発生部130aから受けて記憶する。なお、上記の範囲分類手段130bは、記憶部200の入力側(APD部130側)には無く、出力側(表示制御部300側)に在って、記憶されている振幅確率値又は振幅値が出力されるときに、その振幅確率値又は振幅値がどの分類に属するか判定し、その判定された各分類識別札を添付して出力する構成にしても良い。記憶部200は、表示制御部300からアクセスにより、最新の記憶内容や保存しておいた過去に取得した記憶内容が読み出し可能にされている。
【0036】
表示制御部300は、APD測定に必要な各種設定項目や測定結果などの表示部400の表示を制御する手段であって、大きく分けて、次の(I)〜(V)の要素を備えている。すなわち、表示制御部300は、(I)記憶部200からの振幅確率値、振幅値、周波数及び時間情報を所定タイミングで受け、操作部500の設定内容に応じたグラフを生成するグラフ生成部310、フルスパン制御部310b、(II)表示されているグラフ上にマーカを設定するための手段である、指定マーカ生成部320、ピークサーチ部340及びピークマーカ生成部350、ゾーンマーカ生成部360及び拡大/縮小制御部310a、及び数値制御部310c、(III)操作部500からの指示に基づいて、指示に沿った所望のグラフ等を表示部400に表示するための手段としての画面制御部330、並びに(IV)上記各表示を行うための共通の表示フォーマット記憶部370及び座標情報記憶部380、(V)表示部400の1つの表示画面が複数の表示領域からなる画面(例えば2画面、4画面など)に分割設定され、グラフ生成部310で生成されるグラフを指定される表示領域の画面に表示して表示部400の同一画面上に複数のグラフを表示制御するマルチ画面表示制御部(不図示)を備える。
【0037】
なお、操作部500による設定内容は、グラフの種類(スペクトラム表示のグラフ、スペクトログラム表示のグラフ、チャート表示のグラフ、函数尺表示のグラフ、3D表示のグラフ)、表示フォーマット(横軸、縦軸、色帯、カラーマップ)、函数尺表示(対数尺、函数尺)の有無、拡大縮小表示(デフォルト、フルスパン、ズーム)、表示手法(帯域平均、固定ポイント選択、指定APD値ポイント選択、指定レベル値ポイント選択、ピーク値ポイント選択、瞬時電力平均値ポイント選択、瞬時電圧平均値ポイント選択、ピーク対平均電力比ポイント選択)、処理方法(平均処理、間引き処理)、関連するグラフ表示軸(周波数軸、時間軸)などである。
【0038】
表示制御部300は、上記(I)〜(V)の各機能を表すプログラムと記憶手段とプログラムを実行させて各機能を実現させるCPUで構成される。なお、座標情報記憶部380が記憶している座標情報は、表示されるグラフ、目盛り、各表示欄等の表示画面の位置を特定するのに必要な情報であり、表示フォーマット記憶部370が記憶しているフォーマットは、表示されるグラフ、マーカ、目盛り、各表示欄等のレイアウト及び図形であり、表示制御部300の各要部が、表示させようとしたときに、表示する位置を特定し、特定した位置に該当するフォーマットで表示するために用いられる。以下の、各要素での説明では、この座標やフォーマットについての説明は省略する。
【0039】
グラフ生成部310は、記憶部200に所定タイミングで、例えば、上記した時間範囲Δtの間隔でアクセスして得られた最新の前記記憶内容に基づいて、記憶されている周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、少なくともいずれか2つを次元とする座標に他の1つをパラメータとする第1のグラフを生成する。そして、操作者が注視するデータとして、その表示されているグラフ上の2つの次元又はパラメータにおける特定の値又は特定の範囲のいずれかを特定値として指定マーカで指定されているとき、操作部500からの切り替え指示を受けて、指定マーカで指定された2つの次元又はパラメータをその特定値に固定したときの、指示を受けた新たな組合せの次元及びパラメータについてのグラフに切り替えて生成する。
【0040】
グラフ生成部310は、2次元のグラフを生成する場合は、周波数、振幅、振幅確率及び時間の各次元のうち、後記する指定マーカ又はピークマーカで、或いはデフォルトとして、指定(或いは特定)された何れかの次元における特定値を固定値とし、記憶部200からその特定値が関与する残りの次元のデータを読み出す。そして、その残りの次元のうちの2つの次元のデータを操作部500から要求されている所望のグラフの横軸(以下、「X軸」と言う。)と縦軸(以下、「Y軸」と言う。)として割りあて、残りの1つの次元のデータをパラメータとしたグラフを生成し、さらに、上記所定タイミングで都度、更新して表示が行えるようにグラフの生成処理を行う。3次元のグラフを生成する場合は、特定値が指定された次元以外の残りの次元を3次元として割り当てて生成する。また、グラフ生成部310は、上述した2次元又は3次元のグラフを表示部400の表示画面上の指定された表示領域の画面に表示するに際して、操作部500によりグラフの種類が選択されて表示手法・処理方法・関連するグラフ表示軸が設定されると、操作部500により指定された表示領域の画面の表示ポイント数に合せたデータ処理(追って説明する平均処理、間引き処理)を行い、指定された表示領域の画面に表示させるためのグラフを生成している。
【0041】
次の(a)〜(e)においてグラフ生成部310が生成する具体的なグラフ例を説明し、(f)(g)においてグラフの切り替えを説明する。なお、周波数、振幅、振幅確率及び時間の各次元についての処理は、各グラフのいずれも上記した2次元又は3次元のグラフ生成と共通して同じであり、グラフ毎のその説明は割愛する。
【0042】
図2は、表示用のグラフを複数のグループに分け、各グラフ間の切り替えを示す。グラフのグループとしては、図2のように、APD測定に関して、スペクトラム表示のグラフ、スペクトログラム表示のグラフ、チャート表示のグラフ、函数尺表示のグラフ、3D表示のグラフに分かれる。なお、以下の説明に出てくる各数値は説明上の一例である。
【0043】
(a)スペクトラム表示のグラフ
このグループのグラフは、周波数に対する振幅又は振幅確率の変化を観察するのに適しており、次の(a−1)APDスペクトラムと(a−2)レベルスペクトラムがある。
【0044】
(a−1)APDスペクトラム
時間(t)を特定値に固定にし、X軸を周波数(f)、Y軸を振幅確率(APD)とし、振幅範囲(Lv:レベル)をパラメータとするグラフ(表示例は、図3を参照)。図3は、測定時間が79secで観察したときの(固定にしたときの)データであり、そのときのパラメータである振幅範囲の値をー20dBm≦振幅(レベル)、―40dBm≦振幅<―20dBm、―60dBm≦振幅<―40dBm、―80dBm≦振幅<―60dBm、で色分けして表示している。マーカ(MKR)はマルチマーカとして5つ(図3の「▲」印)を入れてあり、いずれも指定マーカ生成部320で生成して表示している。図3では、そのマルチマーカ(MKR)の内の一つ、つまりMKR5が現時点で操作部500から操作されたばかりのマーカである、アクティブマーカMKR5として表示され、その周波数がグラフの左側の直ぐ下に表示されている。各マーカにおける振幅(レベル)、振幅確率(APD)は、下段の表に示している。指定マーカはY軸の10%<APD≦50%の範囲に設定されている。
【0045】
(a−2)レベルスペクトラム
時間(t)を特定値に固定にし、X軸を周波数(f)、Y軸を振幅(Lv)とし、振幅確率範囲(APD)をパラメータとするグラフ(表示例は、図4を参照)。図4は、図3と同様に測定時間が79secで観察したときのデータであり、そのときのパラメータである振幅確率の値を50%<APD、10%<APD≦50%、1%<APD≦10%、0%<APD≦1%、で色分けして表示している。指定マーカはY軸の―60dBm≦振幅<―40dBmの範囲に設定されている。
【0046】
(b)スペクトログラム表示のグラフ
このグループのグラフは、周波数と時間に対する振幅又は振幅確率の変化を観察するのに適しており、次の(b−1)APDスペクトログラムと(b−2)レベルスペクトログラムがある。
【0047】
(b−1)APDスペクトログラム
振幅(Lv;レベル)を特定値に固定にし、X軸を周波数(f)、Y軸を時間とし、振幅確率範囲をパラメータとするグラフ(表示例は、図5を参照)。図5は、振幅範囲を―60dBm≦振幅<―40dBmの範囲で観察したときの(固定したときの)データであり、そのときのパラメータである振幅確率の値を50%<APD、10%<APD≦50%、1%<APD≦10%、0%<APD≦1%、で色分けして表示している。そして指定マーカが縦軸の時間t=79secに設定されている。
【0048】
(b−2)レベルスペクトログラム
振幅確率範囲(APD)を特定値に固定にし、X軸を周波数(f)、Y軸を時間とし、振幅範囲をパラメータとするグラフ(表示例は、図6を参照)。図6は、振幅確率範囲を10%<APD≦50%で観察したときの(固定したときの)データであり、そのときのパラメータである振幅範囲の値をー20dBm≦振幅(レベル)、―40dBm≦振幅<―20dBm、―60dBm≦振幅<―40dBm、―80dBm≦振幅<―60dBm、で色分けして表示している。そして、この場合も、指定マーカが縦軸の時間t=79secに設定されている。
【0049】
(c)チャート表示のグラフ
このグループのグラフは、周波数毎に、振幅又は振幅確率の時間経過を観察するのに適しており、次の(c−1)APDチャート及び(c−2)レベルチャートがある。
【0050】
(c−1)APDチャート
振幅範囲(Lv;レベル)を特定値に固定にし、周波数(f)毎(つまり、周波数がパラメータ)にX軸を時間(t)、Y軸を振幅確率(APD)とするグラフ(表示例は、図7を参照)。図7は、振幅範囲の値を―20dBm≦振幅(レベル)、ー40dBm≦振幅<−20dBm、ー60dBm≦振幅<−40dBm、ー80dBm≦振幅<―60dBmで色分けして表示している。そして指定マーカが縦軸の時間t=79secに設定されている。
【0051】
(c−2)レベルチャート
振幅確率範囲(APD)を特定値に固定にし、周波数(f)毎(つまり、周波数がパラメータ)にX軸を時間(t)、Y軸を振幅(Lv)とするグラフ(表示例は、図8を参照)。図8は、振幅確率範囲の値を50%<APD、10%<APD≦50%、1%<APD≦10%、0%<APD≦1%で色分けして表示している。そして指定マーカが縦軸の時間t=79secに設定されている。
【0052】
(d)函数尺表示のグラフ
このグラフは、振幅と確率が直接にどのような関係にあるかを観察するのに適している。一般には、リニアな座標、或いは一方が対数尺で表示することが多いが、雑音の振幅確率を測定するときは、雑音の発生現象に着目した見方として、レイリー関数尺で表したグラフがある。測定する信号が雑音であるとすると、レイリー分布、正規分布、指数分布、χ2分布等の函数尺があると便利である。函数尺については、本出願人に係る技術であって特許第3374154号公報に記載された技術がある。
【0053】
ここでは、対数尺とレイリー函数尺を準備しているとして説明する。つまり、時間を特定値に固定にし、X軸を振幅(Lv)、Y軸を振幅確率(APD)とし、周波数(f)をパラメータとするグラフであって、少なくとも一方を対数函数とするグラフ、少なくとも一方をレイリー函数とするグラフを生成する(表示例は、図9のレイリー尺グラフ、図10の対数尺グラフを参照)。図9は、時間t=79secで、横軸をレイリー尺の振幅確率とし、縦軸をdBのリニアで振幅を表した例で、指定マーカが振幅確率―60dBm≦振幅<―40dBmの範囲内の位置にある。図10は、時間t=79secで、横軸をdB(対数)のリニアで振幅とし、縦軸を対数尺で振幅確率を表した例で、指定マーカが振幅確率10%<APD≦50%の範囲内の位置にある。
【0054】
なお、特に図示はしていないが、グラフ生成部310は、APDと密接な関係にあるPDF(確率密度関数)に関しても同様の函数尺グラフを生成することもできる。
【0055】
(e)3D表示のグラフ
このグループのグラフは、できるだけ多次元で全体の傾向を観察するのに適しており、次の(e−1)3D−APD及び(e−2)3D―振幅がある。
【0056】
(e−1)3D−APDグラフ
振幅範囲(Lv;レベル)を特定値に固定にし、3軸のうち、X軸を周波数、奥行き方向の軸(以下、「Y軸」と言う。)を時間、Z軸を振幅確率(APD)とするグラフ(表示例は、図11を参照)。図11は、振幅範囲を―60dBm≦振幅<―40dBmで観察したときの(固定したときの)データであり、そして指定マーカが縦軸の時間t=79secに設定されている。
【0057】
(e−2)3D−レベルグラフ
振幅確率範囲(APD)を特定値に固定にし、3軸のうち、X軸を周波数、Y軸を時間、Z軸を振幅(Lv;レベル)とするグラフ(表示例は、図12を参照)。図12は、振幅確率範囲を10%<APD≦50%で観察したときの(固定したときの)データであり、そして指定マーカが縦軸の時間t=79secに設定されている。
【0058】
このように、グラフ生成部310は、先のグラフとして表示部400に周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、少なくともいずれか2つを次元とする座標に他の1つをパラメータとするグラフ(第1のグラフ)を表示させているとき、指定マーカ生成部320で、その第1のグラフ上の2つの次元又はパラメータにおける特定の値又は特定の範囲のいずれかを特定値としているときに、操作部500からの指定マーカで指定された2つの次元又はパラメータの特定値に固定したときの、新たな組合せの次元及びパラメータについての第2のグラフを生成して表示させる。その時の切り替え先の第2のグラフとしては、周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、特定値を指定された次元又はパラメータとなる1つを除く、3つのうちいずれか2つを次元とする座標上に残りの1つをパラメータとする新たなグラフを生成することになる。
【0059】
なお、上述したグラフ生成部310によるグラフの生成は、後述するマルチ画面表示機能により表示部400の同一表示画面に複数のグラフを表示している際も、各表示領域の画面毎に任意に指定して実行することができる。
【0060】
(f)グループ間のグラフの切り替え
図2は、グラフ間での切り替えを示す図である。切り替えにあたっては、切り替え元のグラフ上で所望の切り替え先のグラフの特定値を指定マーカで指定し、該当するグラフを指示することにより切り替えられる。
【0061】
つまり、表示部400に表示されるグラフの切り替えは、画面制御部330が操作部500からのグラフ要求指示にしたがって、グラフ生成部310に指示して切り替えさせる。そのとき、画面制御部330は、表示部400に表示されているグラフ上で、指定マーカにより2つの次元又はパラメータにおける特定値(或いは特定の範囲)を特定値として指定されている状態で、操作部500からの切り替え指示を受けたとき、その特定値を指定された2つの次元又はパラメータを特定値に固定したときの、新たな所望の組合せの次元及びパラメータについてのグラフをグラフ生成部310に生成させる。例を、次に説明する。
【0062】
なお、表示したい所望のグラフは、操作部500で、上記(a)から(e)までのグラフ名(グラフの種類)を選択指示することによって行われる。以下図2及び図3から図12を元に個別の切り替えについて説明する。
【0063】
(f−1)スペクトログラム表示からスペクトラム表示への切り替え
先に図5(又は図6)のグラフが表示されていて指定マーカが時間軸の時間t=79secを特定値と指定して図3(又は図4)に切り替えられたとき、グラフ生成部310は、上記(a)に記載のように、X軸を周波数(f)、Y軸を振幅確率(又は振幅)とし、時間t=79secを固定し、この時間t=79secにおける振幅及び振幅範囲(又は振幅確率及び振幅確率範囲)を記憶部200から読み出して、読み出した振幅及び振幅範囲(又は振幅確率及び振幅確率範囲)をパラメータとするグラフを生成する。
【0064】
(f−2)スペクトラム表示からスペクトログラム表示への切り替え
先に図3(又は図4)のグラフが表示されていて指定マーカが振幅確率範囲10%<APD≦50%(又は振幅範囲―60dBm≦振幅<―40dBm)を指定しているときに、図5(又は図6)に切り替えられたとき、グラフ生成部310は、上記(a)に記載のように、X軸を周波数(f)、Y軸を時間とし、振幅確率範囲10%<APD≦50%における振幅範囲(又は振幅―60dBm≦振幅<―40dBmにおける振幅確率範囲)を記憶部200から読み出して、読み出した振幅範囲(又は振幅確率範囲)をパラメータとするグラフを生成する。このとき、図5(図6)には、図3(又は図4)における特定値t=79secに該当する位置に、指定マーカが付されている。
【0065】
(f−3)チャート表示とスペクトラム表示間の切り替え
例えば、図7(又は図8)のグラフから特定値t=79secを指定して図3(又は図4)のグラフへ切り替え可能であり、逆に図3(又は図4)のグラフで特定値として、周波数を指定して、図7(又は図8)へのグラフ切り替え可能である。
【0066】
(f−4)チャート表示とスペクトログラム表示間の切り替え
同様に、例えば、図5(又は図6)のグラフと図7(又は図8)のグラフの間の切り替えは、特定値を例えば、振幅確率範囲10%<APD≦50%における振幅範囲(又は振幅―60dBm≦振幅<―40dBmにおける振幅確率範囲)のまま同じにしておいて、互いのグラフの2次元とパラメータを変えることで、切り替え可能である。
【0067】
(f−5)函数尺表示とスペクトラム表示間の切り替え
例えば、図9のグラフと図3(又は図4)のグラフとの切り替えは、特定値を例えば、時間t=79secのまま同じにしておいて、互いのグラフの2次元とパラメータを変えることで、切り替えることで可能である。
【0068】
(f−6)函数尺表示とスペクトログラム表示又はチャート表示間の切り替え
図9のグラフで特定値を、例えば、振幅確率範囲10%<APD≦50%における振幅範囲(又は―60dBm≦振幅<―40dBmにおける振幅確率範囲)を指定して、図5(図6)又は図7(図8)のグラフへ切り替える。逆に、図5(図6)又は図7(図8)のグラフで特定値として時間t=79secを設定して、図9のグラフへ切り替え可能である。
【0069】
(f−7)3Dグラフ(図11、図12)と他のグラフとの間の切り替え
図11,図12は、指定マーカによる特定値がY軸(奥行き方向)の時間t=79secであり、この状態から図3(図4)への切り替え可能である。指定マーカでX軸=周波数又はZ軸=振幅確率(振幅)の特定値を指定して、図5〜図10への切り替えが可能である。これらの逆の切り替えも可能である。
【0070】
これにより、操作者は、上記のグラフの切り替えによって、各注視点を中心に展開したグラフを観察できる。また、注視点を変更して、同様の観察ができる。
【0071】
(g)グループ内のグラフの切り替え
図2のスペクトラム表示グループ内のグラフ(図3と図4)、スペクトログラム表示グループ内のグラフ(図5と図6)における同じグループ内の切り替えは、画面制御部330が操作部500からの指示で、パラメータを振幅範囲又は振幅確率範囲の何れかに切り替えることで達成できる。チャート表示グループ内のグラフ(図7と図8)、3D表示グループ内のグラフ(図11と図12)における同じグループ内の切り替えは、Z軸を振幅又は振幅確率の何れかに切り替えることで達成できる。函数尺表示グループ内のグラフの切り替えは、函数尺の種類を切り替えることで達成できる。
【0072】
なお、後述するマルチ画像表示制御部390によるマルチ画面表示機能で表示部400の表示画面上に複数のグラフを表示している状態であっても、上述した手法によって各表示領域の画面毎に任意にグラフの切り替えを行うことができる。
【0073】
指定マーカ生成部320は、表示部400の表示画面上に表示されているグラフに対し、操作部500からの指示で各グラフの座標を構成する各次元を指定することができる(例えば、図5を参照)。そして、その特定値は、次の切り替え先のグラフで固定値に固定され、その固定値を中心に展開したグラフを得ることができる。
【0074】
指定マーカ生成部320は、操作部500からの指示で各グラフの座標を構成する各次元の指定ばかりでなく、パラメータ(或いはそのスケール)を指定することもできる。そして、その特定値は、次の切り替え先のグラフ固定値に固定され、その固定値を中心に展開したグラフを得ることができる。例えば、図5におけるパラメータのスケールである、「振幅確率範囲の識別表示」箇所にサブマーカ(指定マーカの一種類として)を置くことで指定し、このサブマーカで指定された振幅確率範囲を特定値として、次のグラフを展開することもできる。図5では、サブマーカをパラメータのスケールのところに設定したが、グラフ中(座標内)のパラメータを直接指す位置に設定しても良い。
【0075】
指定マーカ生成部320は、指定マーカの他に、単一のマーカ(MKR)又は複数のマルチマーカ(MKR)を生成して、表示させることができる。図5では、5つのマーカをX軸(周波数軸)に設定された例である。図5の場合、数値制御部310cは、そのマルチマーカ点における、かつ特定値t=79secにおける、周波数、振幅(レベル)及び振幅確率(APD)を記憶部200から読み出して、図5の下段に表示させる。つまり、単一又はマルチマーカは、そのマーカ点におけるデータを数値で読み取るためのものであると同時に、グラフ表示されている値以外のデータの値も読み取り、表示することができる。単一マーカの例を図9に示す。
【0076】
ピークサーチ部340は、所定のグラフを表示しているときに、画面制御部330を介して操作部500からピークをサーチする範囲の指定を受けてその範囲におけるピーク位置を求める。そして、ピークマーカ生成部350は、その表示されているグラフ上に、ピーク位置を示すマーカを生成して、表示部400に表示させる。例えば、図13に示すような、レベルチャート(振幅が縦軸、時間が横軸)のグラフ上で、10%<APD≦50%の範囲におけるピークマーカの表示要求があったとき、ピークサーチ部340は、記憶部200にアクセスして10%<APD≦50%の範囲で各周波数における振幅(レベル)がピークとなるX軸、Y軸の位置をサーチするとともに、同時にそのピーク位置における振幅及び振幅確率を読みとる。そして、ピークマーカ生成部350は、ピーク位置にピーク位置を示すマーカを生成して表示させ、かつ数値制御部310cがピーク位置における振幅及び振幅確率を表示させる(図13の白抜き表示を参照)。
【0077】
なお、ピークマーカはパラメータの最大値を示すので、そのピークマーカで指定されたパラメータの特定値を特定するものとして、前記指定マーカの代わりにピークマーカで特定された値を特定値に用いて、上記(f)のようにグラフを切り替えることも可能である。
【0078】
フルスパン制御部310bは、例えば、図14(a)に示すレベルチャートのグラフが右端をカンレト時間位置(現在時間位置)として5分前からの振幅変化を表示しているとき、操作者が、測定開始からのレベル変化を観測したい旨の要求を操作部500からしたとき、その要求を、画面制御部330を介して受けたフルスパン制御部310bが、グラフ生成部310に対して、測定開始時刻(0時刻)から現在時刻まで(フルスパン;Full Span)のレベル変化を示すレベルチャートを、例えば図14(b)に示すグラフを生成させて、それ表示部400に表示させる。フルスパン制御については、レベルチャートのグラフで説明したが、上記、他のグラフであっても実行できる。
【0079】
ゾーンマーカ生成部360は、表示されているグラフ上であって、操作部500から指示される位置及び幅に、ゾーンを示すマーカを生成して表示させる。図14(b)のゾーンマーカを参照。そのゾーンがグラフに表示されているとき、操作部500から拡大指示を、画面制御部330を介して受けた拡大/縮小制御部310aは、そのグラフの指定された範囲を拡大(画像を拡大)したグラフをグラフ生成部310に生成させ、表示部400に拡大表示させる。図14(c)を参照。図14(c)を表示しているときに、次に縮小指示を受けた拡大/縮小制御部310aは、そのグラフの指定された範囲を縮小(画像を縮小)したグラフをグラフ生成部310に生成させ、図14(b)のように表示部400に拡大表示させる。ゾーンマーカ、及び拡大/縮小の制御については、レベルチャートのグラフで説明したが、上記、他の種類のグラフであっても実行できる。
【0080】
なお、グラフ生成部310は、操作部500からフルスパン制御部310bを介してフルスパンの表示要求、又は操作部500から拡大/縮小制御部310aを介して拡大・縮小の表示要求が特に無い場合は、予め決められた大きさ(デフォルト値)のグラフを生成する。
【0081】
画面制御部330は、各部を説明しているときに既に説明したように、操作部500からの指示を受け、表示制御部300内の各部を制御する。
【0082】
上記の表示制御部300は、上記説明した機能・動作を記載したプログラムと、それを実行するCPUで構成される。なお、図1の表示制御部300を構成する各要部の組合せは、必ずしも図1の通りである必要はなく、上記した機能・動作を実行するうえで、或いはそれを設計するうえで、より合理的に組み替え変更されるものである。上記した機能・動作を実行する構成である限り、本発明の範疇である。
【0083】
表示部400は、液晶ディスプレイやCRT等のAPD測定表示装置1の本体に装備された表示機器で構成され、操作部500による設定内容や指示に基づく表示制御部300の表示制御により、同一表示画面上への複数のグラフ表示(マルチ画面表示機能)、APD測定に関する各種設定項目画面の表示、APD測定表示装置1の駆動や各種制御に関する表示を行っている。
【0084】
操作部500は、例えばテンキーや選択ボタン等の操作キー、マウス等のポインティングデバイス、表示部400の表示画面に対応する入力画面への接触操作による接触位置を検出するためのタッチセンサを備えるタッチパネル等の各種入力装置で構成される。操作部500は、APD測定開始と終了の指示、APD測定結果に基づく各種グラフ表示に関する設定、表示部400の表示領域の画面の分割設定、表示部400の指定された表示領域の画面へのグラフ表示の指示、後述するEMC対策前後表示機能によるグラフ表示の指示、APD測定に関する各種設定項目のパラメータ設定、クロック発生部130aのタイマのカウント時間の変更指示、範囲分類手段130bによる振幅確率の分類指示など行う際に操作者によって操作され、この操作に応じた設定内容や指示が表示制御部300に出力される。
【0085】
制御部600は、APD測定を行うにあたって、APD測定部100へのAPD測定に関する各種設定制御を含め、APD測定表示装置1を構成する各部を統括制御している。
【0086】
また、本例のAPD測定表示装置1では、図2に示すスペクトラム表示のグラフ、スペクトログラム表示のグラフ、チャート表示のグラフ、函数尺表示のグラフ、3D表示のグラフのいずれかを選択して表示部400に表示を行う際に、表示部400の表示画面上に表示されるソフトキー(操作部500)の操作により、表示手法、処理方法、関連するグラフ表示軸が設定されると、設定された表示手法によるグラフ表示が表示部400の指定された表示領域の画面になされるべく、全測定チャネルの測定結果データを指定された表示領域の画面の表示ポイント数(表示画素数)に制限して表示画面上に割り当てたグラフを生成する機能を有する。以下、(1)〜(8)に示す表示手法の処理内容について説明する。
【0087】
(1)帯域平均
操作部500の操作により、表示手法として「帯域平均」、処理方法として「平均処理」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定値を平均処理し、この平均処理によって得られるAPD平均値を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に割り当てたグラフを生成する。
【0088】
なお、表示ポイントCHdisp[k]における各閾値レベルL[i]のAPD平均値APDk [i]は下記式(1)によって算出される。
【0089】
【数1】
【0090】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4、閾値レベル数:1024が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表1に示すように、4チャネル(D=4)分のデータを平均処理し、表示部400の指定された表示領域の画面の表示1ポイント分のAPD平均値を算出する。なお、下記表1は、測定チャネルCHdisp[1]〜CHdisp[4]の平均処理結果を示している。
【0091】
【表1】
【0092】
次に、上述した平均処理によって得られるグラフを表示部400の指定された表示領域の画面に表示する際の表示処理手法について、具体例を示して説明する。
【0093】
上述したように、操作部500の操作により「帯域平均」が表示手法として選択され、操作部500により設定された平均測定チャネル数D分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定値を平均処理し、この平均処理によって得られるAPD平均値を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に割り当てたグラフを生成して表示する。すなわち、表示ポイントndisp=D×(Ndisp/Nmeas)を使って、1データ(Dチャネル分のAPD平均値)を表示部400に表示する。そして、この「帯域平均」では、以下に説明するように、NmeasとNdispとの関係に応じて処理内容が異なる。
【0094】
Nmeas>Ndispの場合
図15はAPDスペクトラム表示(横軸:周波数、縦軸:レベル、パラメータ:APD)として、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]=CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、平均測定チャネル数:D=4(D≧Nmeas>Ndisp)を条件とした場合の表示処理例を示している。この場合、表示部400の表示ポイント:1ポイント上に、1データ(4ch分の平均値)を表示する。図15の例では、表示部400の表示ポイントCHdisp[1]上に、測定チャネルCHmeas[1]〜CHmeas[4]の4ch分の平均値の1データを表示する。同様に、表示部400の表示ポイントCHdisp[2]上に、次の測定チャネルCHmeas[5]〜CHmeas[8]の4ch分の平均値の1データを表示する。
【0095】
Nmeas≦Ndispの場合
図16はAPDスペクトラム表示(横軸:周波数、縦軸:レベル、パラメータ:APD)として、全測定チャネル数:Nmeas=256、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[256]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]=CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、平均測定チャネル数:D=4を条件とした場合の表示処理例を示している。この場合、表示部400の表示ポイント:16ポイント上に、1データ(4ch分の平均値)を表示する。図15の例では、表示部400の表示ポイントCHdisp[1]〜CHdisp[16]上に、測定チャネルCHmeas[1]〜CHmeas[4]の4ch分の平均値の1データを表示する。同様に、表示部400の表示ポイントCHdisp[17]〜CHdisp[32]上に、次の測定チャネルCHmeas[5]〜CHmeas[8]の4ch分の平均値の1データを表示する。
【0096】
なお、図15および図16の例では、パラメータであるAPDの範囲を、0<APD≦1%、1%<APD≦10%、10%<APD≦50%、50%<APDとしている。
【0097】
また、上述した説明では、全測定チャネル数を表示領域の画面の表示ポイント数で割った数が整数になる、又は表示領域の画面の表示ポイント数を全測定チャネル数で割った数が整数になることを条件としているが、この条件を満たさずに余りが生じた場合は、その余りの数が無くなるようにAPD測定結果を平均処理し、全測定チャネル数のAPD測定結果を表示領域の画面の表示ポイント数に合せてAPD測定結果をグラフ上に表示する。
【0098】
さらに、周波数軸方向にAPD測定結果を平均処理して、指定された表示領域の画面の各表示ポイント上のAPDデータを算出してグラフ上に表示する例について説明したが、時間軸方向にAPD測定結果を平均処理して、指定された表示領域の画面の各表示ポイント上にAPDデータを算出してグラフ上に表示することもできる。
【0099】
(2)固定ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「固定ポイント選択」、処理方法として「間引き処理」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndispごとの測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。すなわち、固定ポイントD間隔の測定チャネルの測定結果CHmeas[n]を表示部400の各表示ポイントCHdisp[k]に表示する。CHdisp[k]=CHmeas[(k−1)D+1]
【0100】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表2に示すように、4チャネル(D=4)ごとのデータを、表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0101】
【表2】
【0102】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「固定ポイント選択」、処理方法として「間引き処理」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdispごとの測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。すなわち、各測定チャネルにおける固定ポイントD間隔の測定時間の測定結果APD_Tmeas[t]を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイントAPD_Tdisp[k]に表示する。APD_Tdisp[k]=APD_Tmeas[(k−1)D+1]
【0103】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表3に示すように、測定時間4秒(D=4)ごとのデータを、表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0104】
【表3】
【0105】
(3)指定APD値ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「指定APD値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果の中から、指定したAPD値となる閾値レベルが「最大」又は「最小」となる測定チャネルのAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0106】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4、指定APD値:APD>0.01が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表4に示すように、4チャネル(D=4)の中から、指定したAPD値となる閾値レベルが最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0107】
【表4】
【0108】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「指定APD値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdisp分の測定時間のAPD測定結果の中から、指定したAPD値となる閾値レベルが「最大」又は「最小」となる測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0109】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4、指定APD値:APD>0.01が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表5に示すように、測定時間4秒(D=4)分のデータの中から、指定したAPD値となる閾値レベルが最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0110】
【表5】
【0111】
(4)指定レベル値ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「指定レベル値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果の中から、指定した閾値レベルにおけるAPD値が「最大」又は「最小」となる測定チャネルのAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0112】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4、指定閾値レベル:ー40dBmが操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表6に示すように、4チャネル(D=4)の中から、指定した閾値レベルにおけるAPD値が最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0113】
【表6】
【0114】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「指定レベル値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdisp分の測定時間のAPD測定結果の中から、指定した閾値レベルにおけるAPD値が「最大」又は「最小」となる測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0115】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4、指定閾値レベル:ー40dBmが操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表7に示すように、測定時間4秒(D=4)分のデータの中から、指定した閾値レベルにおけるAPD値が最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0116】
【表7】
【0117】
(5)ピーク値ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「ピーク値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果の中から、ピーク値レベルが「最大」又は「最小」となる測定チャネルのAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0118】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表8に示すように、4チャネル(D=4)の中から、ピーク値レベルが最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0119】
【表8】
【0120】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「ピーク値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdisp分の測定時間のAPD測定結果の中から、ピーク値レベルが「最大」又は「最小」となる測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0121】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表9に示すように、測定時間4秒(D=4)分のデータの中から、ピーク値レベルが最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0122】
【表9】
【0123】
(6)瞬時電力平均値ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「瞬時電力平均値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果の中から、APD測定値から算出した瞬時電力平均値が「最大」又は「最小」となる測定チャネルのAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0124】
なお、各測定チャネルの瞬時電力平均値は、閾値レベルxi [mW]と、各閾値レベル(レベル数X)のAPD値APD(xi )から下記式(2)により算出する。
【0125】
【数2】
【0126】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4、閾値レベル数:X=1024が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表10に示すように、4チャネル(D=4)の中から、瞬時電力平均値が最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0127】
【表10】
【0128】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「瞬時電力平均値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdisp分の測定時間のAPD測定結果の中から、APD測定値から算出した瞬時電力平均値が「最大」又は「最小」となる測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0129】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4、閾値レベル数:X=1024が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表11に示すように、測定時間4秒(D=4)分のデータの中から、瞬時電圧平均値が最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0130】
【表11】
【0131】
(7)瞬時電圧平均値ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「瞬時電圧平均値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果の中から、APD測定値から算出した瞬時電圧平均値が「最大」又は「最小」となる測定チャネルのAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0132】
なお、各測定チャネルの瞬時電圧平均値は、閾値レベルxi [μV]と、各閾値レベル(レベル数X)のAPD値APD(xi )から下記式(3)により算出する。
【0133】
【数3】
【0134】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4、閾値レベル数:X=1024が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表12に示すように、4チャネル(D=4)の中から、瞬時電圧平均値が最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0135】
【表12】
【0136】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「瞬時電圧平均値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdisp分の測定時間のAPD測定結果の中から、APD測定値から算出した瞬時電圧平均値が「最大」又は「最小」となる測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0137】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4、閾値レベル数:X=1024が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表13に示すように、測定時間4秒(D=4)分のデータの中から、瞬時電圧平均値が最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0138】
【表13】
【0139】
(8)ピーク対平均電力比(PAPR)ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「ピーク対平均電力比ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果の中から、APD測定値から算出したピーク対平均電力比(PAPR)が「最大」又は「最小」となる測定チャネルのAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0140】
なお、各測定チャネルのピーク対平均電力比(PAPR)は、PAPR[dB]=ピーク電力[dBm]ー瞬時電力平均値[dBm]により算出する。
【0141】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表14に示すように、4チャネル(D=4)の中から、ピーク対平均電力比(PAPR)が最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0142】
【表14】
【0143】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「ピーク対平均電力比ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdisp分の測定時間のAPD測定結果の中から、APD測定値から算出したピーク対平均電力比(PAPR)が「最大」又は「最小」となる測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0144】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表15に示すように、測定時間4秒(D=4)分のデータの中から、ピーク対平均電力比(PAPR)が最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0145】
【表15】
【0146】
ここで、上述した(2)〜(8)のいずれかの表示手法が選択設定されたときの間引き処理方法について、具体例を示して更に詳細に説明する。
【0147】
操作部500の操作により(2)〜(8)のいずれかの表示手法が選択設定されると、操作部500で設定された間引き数D分のAPD測定結果の中から、選択設定された表示手法に従って選択されたAPD測定結果を、表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0148】
具体的に、図17はAPDスペクトラム表示(横軸:周波数、縦軸:レベル、パラメータ:APD)として、表示手法:指定APD値ポイント選択、全測定チャネル数:Nmeas=256、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]=CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、間引き数:D=4、指定APD値:APD>1%を条件とした場合の表示例を示している。この場合、4チャネル(D=4)の中から、指定したAPD値となる閾値レベルが最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。図17の例では、4つのチャネルCHmeas[1]〜CHmeas[4]の中から、指定APD値:APD>1%となる閾値レベルが最大となる測定チャネルのAPD測定データCHmeas[3]が表示ポイントCHdisp[1]に表示される。同様に、次の4つのチャネルCHmeas[5]〜CHmeas[8]の中から、指定APD値:APD>1%となる閾値レベルが最大となる測定チャネルのAPD測定データCHmeas[6]が表示ポイントCHdisp[2]に表示される。
【0149】
また、図18はAPDチャート表示(横軸:時間、縦軸:レベル、パラメータ:APD)として、表示手法:指定APD値ポイント選択、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]=APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、間引き数:D=4、指定APD値:APD>1%を条件とした場合の表示例を示している。この場合、測定時間4秒(D=4)の中から、指定したAPD値となる閾値レベルが最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。図18の例では、測定時間4秒(D=4)分のデータAPD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4]の中から、指定APD値:APD>1%となる閾値レベルが最大となる測定時間のAPD測定データAPD_Tmeas[3]が表示ポイントAPD_Tdisp[1]に表示される。同様に、次の測定時間4秒(D=4)分のデータAPD_Tmeas[5]〜APD_Tmeas[8]の中から、指定APD値:APD>1%となる閾値レベルが最大となる測定時間のAPD測定データAPD_Tmeas[6]が表示ポイントAPD_Tdisp[2]に表示される。
【0150】
上述したAPD測定結果の表示処理機能によれば、全測定結果データの中から、注目したい条件項目(例えば平均値、任意のAPD値、ピークレベル値など)を用いて、全測定結果データを表示画面上の指定された表示領域の画面の表示ポイント数に制限して表示させることができる。
【0151】
また、取得した全測定結果データは、記憶部200に保持されているので、グラフ表示上では制限して表示しているが、指定マーカ生成部320にて表示される指定マーカが指示する箇所のAPD測定結果を表示部400に数値表示するので、指定マーカが指示する箇所の全てのAPD測定結果は目視で確認することができる。
【0152】
さらに、本例のAPD測定表示装置1は、操作部500からのグラフ表示に関する設定内容や指示、グラフ生成部310、拡大/縮小制御部310a、フルスパン制御部310b、数値制御部310cからの情報に基づき、表示部400の同一画面上に複数のグラフを表示制御するマルチ画面表示制御機能を有している。
【0153】
上記グラフ表示に関する設定内容としては、グラフの種類(スペクトラム表示のグラフ、スペクトログラム表示のグラフ、チャート表示のグラフ、函数尺表示のグラフ、3D表示のグラフ)、表示フォーマット(横軸、縦軸、色帯、カラーマップ)、函数尺表示(対数尺、函数尺)、拡大縮小表示(デフォルト、フルスパン、ズーム)、表示手法(帯域平均、固定ポイント選択、指定APD値ポイント選択、指定レベル値ポイント選択、ピーク値ポイント選択、瞬時電力平均値ポイント選択、瞬時電圧平均値ポイント選択、ピーク対平均電力比ポイント選択)、処理方法(平均処理、間引き処理)、関連するグラフ表示軸(周波数軸、時間軸)などがある。そして、表示させたいグラフ表示に必要な設定内容や指示が操作部500から適宜なされる。また、このマルチ画面表示機能では、操作部500により、表示部400の同一画面上に表示するグラフの数に応じて表示領域の画面を分割設定し、この分割設定された表示領域の画面へのグラフ表示の指定を行う。
【0154】
このマルチ画面表示機能によれば、表示部400の同一画面上にマルチ画面表示させたいグラフの数に応じて操作部500から表示部400の表示領域の画面を分割設定し、基本となる複数種類のグラフ表示(スペクトラム表示のグラフ、スペクトログラム表示のグラフ、チャート表示のグラフ、函数尺表示のグラフ、3D表示のグラフ)の中からマルチ画面表示するグラフの種類を選択して表示領域の画面を指定すれば、指定された表示領域の画面に選択されたグラフ表示がなされ、複数のグラフが表示部400の同一画面上にマルチ画面表示される。そして、同一画面上の各グラフ表示は、その表示フォーマット、函数尺表示、拡大縮小表示、表示手法、処理方法、関連するグラフ表示軸を独立に操作部500から設定できる。これにより、周波数、振幅、振幅確率及び時間のパラメータを組み合わせた複数のグラフを表示部400の同一画面上にマルチ画面表示することができ、多チャネルAPD測定結果を詳細に、かつ有効的に分析評価することができる。
【0155】
また、本例のAPD測定表示装置1は、APD測定部100により現在測定しているAPD測定結果と、その比較対象であって、過去に取得した測定結果やシミュレーション結果などのAPD結果とを、操作部500による設定内容で指定されるグラフ表示形式で表示部400に表示制御する比較表示制御部390を有する。
【0156】
図19及び図20は、現在と過去の測定結果として、比較表示制御部390の表示制御による表示部400のEMC対策前後画面の一例を示している。
【0157】
図19は、EMC対策前後のグラフ表示を表示部400の同一画面上の異なる表示領域に並べて表示した例である。さらに説明すると、図19の例では、表示部400の同一画面に対し、EMC対策前の比較対象となるAPD結果のグラフ表示が上部の表示領域400aになされ、その下部の表示領域400bにAPD測定部100により現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果のグラフ表示がなされている。これらのグラフ表示が表示される表示領域や形式は、操作部500から設定操作される設定内容によって決定される。また、現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果のグラフ表示の下部の表示領域400cには、前述したマーカ機能により、指定したマーカの位置における結果が表示される。これにより、現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果と、比較対象のEMC対策前のAPD結果との値をリアルタイムに比較して分析評価することができる。
【0158】
図20は、EMC対策前後のグラフ表示を表示部400の同一画面上の一つの表示領域に重ね書きして表示した例である。さらに説明すると、図20の例では、表示部400の同一画面に対し、APD測定部100により現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果のグラフ表示と、その比較対象となるEMC対策前のAPD結果のグラフ表示とを、一つの表示領域400d内の同じグラフ表示上に重ね書きしている。図20に示すような一つの表示領域400d内でのグラフ表示の重ね書きは、グラフ表示として、APD Curve表示やPDF Curve表示に有効である。また、現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果と比較対象となるEMC対策前のAPD結果の両方からそれぞれ算出したピーク値(Peak)、平均値(Linear Avg.、Power Avg.)PAPR値は、図20に示すように、EMC対策前後のグラフ表示とともに同一画面上の表示領域400eに表示できる。さらに、前述したマーカ機能により、現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果と、比較対象となるEMC対策前のAPD結果との値も同時に表示できる。
【0159】
指定した周波数(1点または複数点)における現在測定中のEMC対策後の結果(Current)と比較対象となるEMC対策前の結果(Reference)の波形は、線の色、種類(例えば実線や破線など)、線の太さの違いを操作部500から指定することにより、識別表示することができる。
【0160】
このように、比較表示制御部390の表示制御によるEMC対策前後画面表示機能では、現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果と、その比較対象であって、過去に取得した測定結果やシミュレーション結果などのEMC対策前のAPD結果とを、表示部400の同一画面に対し、表示領域を分けて識別表示したり、同一表示領域内に重ねて識別表示している。これにより、電子機器などのEMC測定評価において、現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果と、その比較対象となるEMC対策前のAPD結果とを、表示部400の同一画面上に表示して比較分析しながら測定が行え、EMC対策の効果を容易に評価することができる。
【0161】
そして、本例のAPD測定表示装置1は、被測定信号の周波数成分を分析し、分析された各周波数成分の振幅をそれぞれ検出し、検出された各周波数成分の振幅について単位時間当たりの振幅確率を時間経過毎に求め、この各周波数成分の振幅の振幅確率を時間経過に対応して全てのデータを記憶部200に記憶している。すなわち、A/D変換手段110bからデータを取り込み、この取り込んだデータを短時間フーリエ変換によるリアルタイム処理したAPD測定の時間軸と周波数軸の同時測定技術を適用している。これにより、上述したマルチ画面表示機能を用いる際に、正確な周波数と時間特性情報を同時に取得でき、従来のような単なる表示の組み合わせ表示でなく、上述したマルチ画面表示機能により時間、周波数の同時表示が行え、表示の切り替えを行うことなく効果的な表示を実現することができる。
【符号の説明】
【0162】
1 APD測定表示装置
100 APD測定部
110 周波数分析部
110a 帯域選択手段
110b A/D変換手段
110c 周波数選択手段
120 レベル検出部
130 APD部
130a クロック発生部
130b 範囲分類手段
200 記憶部
300 表示制御部
310 グラフ生成部
310a 拡大/縮小制御部
310b フルスパン制御部
310c 数値制御部
320 指定マーカ生成部
330 画面制御部
340 ピークサーチ部
350 ピークマーカ生成部
360 ゾーンマーカ生成部
370 表示フォーマット記憶部
380 座標情報記憶部
390 比較表示制御部
400 表示部
500 操作部
600 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号の周波数成分を分析し、各周波数成分の大きさが所定時間中に所定の閾値を超える確率(振幅確率分布、或いは、単に時間率と言われる。以下「APD」と言う。)を測定し、その結果を表示するAPD測定表示装置及びAPD測定表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
APD測定技術は従来からあり、例えば、APDを高い振幅分解能と時間分解能で測定する特許文献1の技術があり、それをスペクトラムアナライザ等へ適用し、種々の表示を試みた例として特許文献2の技術がある。
【0003】
一方、最近、通信方式により、所定複数周波数成分のAPDを並列に同時に測定する必要性が要求されている。例えば、非特許文献1に記載のように、地上デジタル放送の規格は電波産業会(ARIB)によってARIB標準規格として、OFDM方式(Orthogonal Frequency Division Multiplex Operation Mode)による変調方式が定められている。そして、このOFDM方式では、伝送データを所定の帯域に数千本の低速データに分けて、デジタル変調を行う。例えば、その所定の帯域が約5.6MHzであり、伝送データを約1kHzの搬送波(キャリア)単位で分けて、計5、600本に分けてデジタル変調している。
【0004】
したがって、OFDM方式におけるAPD測定は、信号成分を約1kHz毎に周波数分析して、各周波数成分のAPDを並列に測定することが望まれる。また、特許文献1,2に記載のAPDで並列に測定可能である。
【0005】
APDの表示については、特許文献2では確率分布を確率の範囲毎に帯表示させることにより、分布を視認しやすいように識別して表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3156152号公報
【特許文献2】特許第3374154号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】東芝レビューVOL.58 No.12(2003年)、p.2〜6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したOFDM方式のような稠密な周波数帯にわたる膨大なチャネル数を有する通信環境下の測定においては、多数の通信チャネル内の振幅変化を時々刻々同時に測定し、広いレベル範囲で現象をつぶさに把握する多チャネル同時APD測定が有効な手段である。
【0009】
この多チャネル同時APD測定の手段を用いたAPD測定表示装置では、測定信号の統計的傾向を有効的に分析するために、同時測定している測定チャネル(測定周波数成分)のAPD測定結果をできるだけ多く同時表示させること、そして測定時間全体についてのAPD時間変動も表示できることが望ましい。
【0010】
多チャネル同時APD測定結果は、測定対象となる信号の周波数/発生時間/振幅レベル/APDの4つの属性を組み合わせた複数種類のグラフ表示によって、測定信号の各属性間の因果関係を容易に分析することができる。
【0011】
ところで、この種のAPD測定表示装置は、各種電子機器から放射される不要輻射による電波障害、いわゆるEMC(Electro Magnetic Compatibility:電磁両立性)の測定評価に用いられる。具体的には、妨害波を発生する現場にAPD測定表示装置を持ち込んでAPD測定を行い、そのAPD測定結果に基づいて妨害波の発生源を特定し、妨害波の発生源が特定されると、そこにシールド用のシートを被せたり、対策部品を取り付けるなどして妨害波の放射を防ぐEMC対策を施している。
【0012】
しかしながら、従来のAPD測定では、デジタイズされたデータを取り込み、この取り込んだデータをソフト的にFFT処理しており、測定信号を表現する物理軸としての時間軸、周波数軸、振幅軸の組み合わせが、通常、時間軸−振幅軸、周波数軸−振幅軸と各々独立しているので、これら両方を表示部に同時に展開して表示することができなかった。また、装置本体に備えた表示部の1つの表示画面上にAPD測定結果を表示していたので、上述した測定対象となる信号の周波数/発生時間/振幅レベル/APDの4つの属性を組み合わせた複数種類のグラフ表示を同時に表示画面上に表示させてモニタすることができなかった。このため、APD測定が行われる現場でEMC対策の効果を評価するには、現在測定中のAPD測定結果の表示と、その比較対象となるAPD結果の表示とを交互に切り替えて分析する必要があり、その操作が煩わしく手間を要し、EMC対策前後の分析評価がしずらいという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、現在と過去の測定結果を容易に比較して分析評価することができるAPD測定表示装置及びAPD測定表示方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載されたAPD測定表示装置は、被測定信号の周波数成分を分析し、分析された各周波数成分の振幅をそれぞれ検出し、検出された各周波数成分の振幅について単位時間当たりの振幅確率を時間経過毎に求めるAPD測定部100と、該APD測定部が出力する各周波数成分の振幅の振幅確率を時間経過に対応して記憶する記憶部200と、表示部400と、操作部500と、前記記憶部に所定タイミングでアクセスして得られた最新の前記記憶部の記憶内容に基づいて、周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、2つ又は3つを次元とする座標に残りの1つをパラメータとするグラフを前記表示部に表示させる表示制御部300とを備えたAPD測定表示装置であって、
前記表示制御部は、現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となるAPD結果とを、前記周波数、前記振幅、前記振幅確率及び前記時間のパラメータを組み合わせた複数のグラフの中から前記操作部で指定されるグラフ表示で前記表示部の同一画面上に表示することを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載されたAPD測定表示装置は、請求項1のAPD測定表示装置において、
前記表示制御部300は、前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記指定されるグラフ表示で前記表示部400の同一画面上の異なる表示領域に並べて識別表示することを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載されたAPD測定表示装置は、請求項1のAPD測定表示装置において、
前記表示制御部300は、前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記表示部400の同一表示画面上の前記指定されるグラフ表示上に重ねて識別表示することを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載されたAPD測定表示方法は、被測定信号の周波数成分を分析し、分析された各周波数成分の振幅をそれぞれ検出し、検出された各周波数成分の振幅について単位時間当たりの振幅確率を時間経過毎に求め、前記各周波数成分の振幅の振幅確率を時間経過に対応して記憶し、最新の記憶内容に基づいて、周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、2つ又は3つを次元とする座標に残りの1つをパラメータとするグラフを表示させるAPD測定表示方法であって、
現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となるAPD結果とを、前記周波数、前記振幅、前記振幅確率及び前記時間のパラメータを組み合わせた複数のグラフの中から指定されるグラフ表示で表示部400の同一画面上に表示するステップを含むことを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載されたAPD測定表示方法は、請求項4のAPD測定表示方法において、
前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記指定されるグラフ表示で前記表示部400の同一画面上の異なる表示領域に並べて識別表示することを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載されたAPD測定表示方法は、請求項4のAPD測定表示方法において、
前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記表示部400の同一画面上の前記指定されるグラフ表示上に重ねて識別表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、例えば電子機器などのEMC測定評価において、EMC対策後の現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となるEMC対策前のAPD結果とを、表示部の同一画面上に表示して比較分析しながら測定が行え、EMC対策の効果を容易に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るAPD測定表示装置の実施形態の機能構成を示す図である。
【図2】本実施形態における表示するグラフの態様及びその切り替え態様を説明するための図である。
【図3】時間が特定値に固定で、周波数を横軸とし振幅確率(APD)を縦軸とする座標上に振幅(レベル)範囲をパラメータとするグラフの表示例を示す図である。
【図4】時間が特定値に固定で、周波数を横軸としレベルを縦軸とする座標上に振幅確率(APD)範囲をパラメータとするグラフの表示例を示す図である。
【図5】振幅(レベル)範囲が特定値に固定で、周波数を横軸とし時間を縦軸とする座標上に振幅確率(APD)範囲をパラメータとするグラフの表示例を示す図である。
【図6】振幅確率(APD)範囲が特定値に固定で、周波数を横軸とし時間を縦軸とする座標上に振幅(レベル)範囲をパラメータとするグラフの表示例を示す図である。
【図7】周波数毎(周波数がパラメータ)にレベル範囲が特定値に固定で、時間を横軸とし振幅確率(APD)を縦軸とする座標のグラフの表示例を示す図である。
【図8】周波数毎(周波数がパラメータ)に振幅確率(APD)範囲が特定値に固定で、時間を横軸とし振幅(レベル)を縦軸とする座標のグラフの表示例を示す図である。
【図9】振幅(レベル)を縦軸としAPDを横軸とする座標上に周波数をパラメータとするレイリー尺のグラフの表示例を示す図である。
【図10】振幅(レベル)を横軸としAPDを縦軸とする座標上に周波数をパラメータとする対数尺のグラフの表示例を示す図である。
【図11】振幅(レベル)範囲を特定値に固定し、周波数を横軸とし振幅確率(APD)を縦軸とし時間を奥行き方向の軸とする3次元座標上に周波数をパラメータとするグラフの表示例を示す図である。
【図12】振幅確率(APD)範囲を特定値に固定し、周波数を横軸とし振幅(レベル)を縦軸とし時間を奥行き方向の軸とする3次元座標上に周波数をパラメータとするグラフの表示例を示す図である。
【図13】ピークマーカを説明するための図である。
【図14】フルスパン、及び、ゾーンマーカと拡大/縮小を説明するための図である。
【図15】Nmeas>Ndispの場合の平均処理方法の表示例を示す図である。
【図16】Nmeas≦Ndispの場合の平均処理方法の表示例を示す図である。
【図17】間引き処理方法の表示例を示す図である。
【図18】間引き処理方法の他の表示例を示す図である。
【図19】現在測定しているAPD測定結果と、比較対象となるAPD結果とを同一画面上に並べて表示した一例を示す図である。
【図20】現在測定しているAPD測定結果と、比較対象となるAPD結果とを同じグラフ表示上に重ね書きして表示した一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者等によりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれる。
【0023】
まず、図1を参照しながら、本発明に係るAPD測定表示装置のAPD測定に係る主要構成について説明する。APD測定表示装置1は、図1に示すように、APD測定部100、記憶部200、表示制御部300、表示部(表示装置)400、操作部500、制御部600を備えて構成される。
【0024】
APD測定部100は、入力信号から所望の周波数帯におけるAPDを測定するもので、周波数分析部110、レベル検出部120、APD部130を備えている。
【0025】
周波数分析部110は、測定しようとする所望の周波数帯(広帯域)の入力信号を選択し、さらに狭い所望の周波数帯域(狭帯域)に分けて選択するものであって、帯域選択手段110a、A/D変換手段110b、及び周波数選択手段110cで構成される。帯域選択手段110aとしては、例えば、高周波の通信周波数帯域におけるノイズを測定しようとするなら、いわば特許文献2に示されるようなヘテロダイン方式を採用することができる。つまり、入力信号(ノイズ)を局部発振器でミキシングして低周波数の信号に変換して、ここで所望の周波数帯域(δF)のバンドパスフィルタを用いて必要な周波数帯の周波数成分に制限する。
【0026】
なお、測定対象の信号の周波数帯域が低く、A/D変換手段110bが直接に利用できる周波数帯であれば、帯域選択手段110aは必ずしも必要ではない。
【0027】
A/D変換手段110bは、帯域選択手段110aで帯域制限された低周波数の周波数成分(信号)を受け、クロック発生器(不図示)からの周期のクロックで振幅(レベル)幅ΔLの細かさ(この細かさに応じた閾値がある。)で標本化(サンプリング)し、デジタルデータに変換する。後に求められる振幅確率(APD)は、この標本化時のレベル幅ΔLの細かさ毎に求められる。
【0028】
周波数選択手段110cは、δFの周波数帯域に亘る低周波信号を受けて、さらにn個(以下、n(数値)チャネル、或いはn(数値)CHということがある。)のバンドパスフィルタ群により更に細かい周波数帯域(δF/n)に切り分ける。例えば、通信回線のチャネルが1kHz毎であれば中心周波数が1kHzづつズレ、かつ周波数帯域がほぼ1kHzのバンドパスフィルタをBPF1〜BPFnのn個を備える。周波数選択手段110cは、例えば、フィルタバンクとして、CPUによりソフト的にFFT処理して行える。
【0029】
レベル検出部120は、周波数選択手段110cのバンドパスフィルタのそれぞれの出力に対応した振幅、つまり各チャネルの振幅を検出する検波器DET1〜DETnを有し、それぞれチャネルの周波数成分(バンドパスフィルタの中心周波数に該当)の振幅(レベル)を検出する。
【0030】
APD部130は、検波器DET1〜DETnに対応して振幅確率を測定するAPD検出器であるAPD1〜APDn、クロック発生部130a、及び範囲分類手段130bを備える。APD1〜APDnのそれぞれの構成、動作は、同じであって、検波器DET1〜DETnの出力をLOG変換器で対数変換して振幅の単位を「dB」変換して振幅確率を測定している。振幅確率を測定するAPD検出器であるAPDとしては、ここでは、従来のAPDを採用できる。例えば、特許文献2に記載のAPD、或いは、特願2006−253889号公報に記載のAPDが使用できる。
【0031】
APD1〜APDnは、振幅確率(分布)を測定する。振幅確率は、同じ大きさの入力信号が所定の時間範囲(期間:Δt)内に受ける回数(発生する回数)を表す。入力信号の大きさを区別する細かさは、この例では、A/D変換手段110bの細かさΔLと同じである。確率を測定する時間範囲Δtは、クロック発生部130aからのコントロールに従う。
【0032】
クロック発生部130aは、パルス発生器とタイマーを用いて、例えば時間範囲Δtとして、1秒間隔、10秒間隔、或いは1分間隔(いずれも、これらの時間周期のパルスでも良い。)、等のタイミング信号を発生してAPD1〜APDnに対し、それらの時間範囲内で受ける入力信号の大きさの頻度を測定させることにより、振幅確率を測定させる。操作部500からの指示で制御部600を通してタイマーのカウント時間を変更して時間範囲Δtを変更できる構成にしても良い。
【0033】
範囲分類手段130bは、APD1〜APDnがそれぞれ演算して求めた振幅確率の値に応じて、ある範囲に分類する。これは、例えば、1%の分解能で調査しても良いが、その調査目的に応じた分解能で、調査に適切な範囲に分類するために設けた機能である。この実施形態では、操作部500からの指示で振幅確率が0から1%、1%から10%、10%から50%、50%から100%の4段階に分類している。分類の仕方としては、例えば、APD1〜APDnが求めた振幅確率の値と、分類した範囲に相当する複数の閾値とを比較して、比較結果が属する範囲の確率分類識別札を付す。操作部500からの指示で制御部600を通して所望の閾値に変更することにより、分類範囲を変更できる構成にしても良い。
【0034】
なお、APD1〜APDnからは、速ければ、時間範囲Δt毎に、更新された振幅確率値が集計されて出力される。また、範囲分類手段130bは、レベル検出部120で検出した各振幅を例えばレベル測定範囲の全範囲が0dBmからー100dBmであれば、20dB間隔に分類して、振幅確率と同様に、振幅分類札を付しておく。
【0035】
記憶部200は、APD1〜APDnから出力される振幅値とその振幅確率値とを時間経過ともに全測定チャネル(測定周波数)数分だけ測定結果データ(APD測定結果)として記憶する。時間経過は、少なくとも、振幅確率を測定するときの時間範囲Δt毎に記憶する。さらに、記憶部200は、範囲分類手段130bが分類したときの確率分類識別札を該当する振幅確率値に対応して、振幅分類札を該当する振幅値に対応して、かつ測定した周波数に対応して記憶する。また、振幅値、振幅確率値を取得した時間情報もクロック発生部130aから受けて記憶する。なお、上記の範囲分類手段130bは、記憶部200の入力側(APD部130側)には無く、出力側(表示制御部300側)に在って、記憶されている振幅確率値又は振幅値が出力されるときに、その振幅確率値又は振幅値がどの分類に属するか判定し、その判定された各分類識別札を添付して出力する構成にしても良い。記憶部200は、表示制御部300からアクセスにより、最新の記憶内容や保存しておいた過去に取得した記憶内容が読み出し可能にされている。
【0036】
表示制御部300は、APD測定に必要な各種設定項目や測定結果などの表示部400の表示を制御する手段であって、大きく分けて、次の(I)〜(V)の要素を備えている。すなわち、表示制御部300は、(I)記憶部200からの振幅確率値、振幅値、周波数及び時間情報を所定タイミングで受け、操作部500の設定内容に応じたグラフを生成するグラフ生成部310、フルスパン制御部310b、(II)表示されているグラフ上にマーカを設定するための手段である、指定マーカ生成部320、ピークサーチ部340及びピークマーカ生成部350、ゾーンマーカ生成部360及び拡大/縮小制御部310a、及び数値制御部310c、(III)操作部500からの指示に基づいて、指示に沿った所望のグラフ等を表示部400に表示するための手段としての画面制御部330、並びに(IV)上記各表示を行うための共通の表示フォーマット記憶部370及び座標情報記憶部380、(V)表示部400の1つの表示画面が複数の表示領域からなる画面(例えば2画面、4画面など)に分割設定され、グラフ生成部310で生成されるグラフを指定される表示領域の画面に表示して表示部400の同一画面上に複数のグラフを表示制御するマルチ画面表示制御部(不図示)を備える。
【0037】
なお、操作部500による設定内容は、グラフの種類(スペクトラム表示のグラフ、スペクトログラム表示のグラフ、チャート表示のグラフ、函数尺表示のグラフ、3D表示のグラフ)、表示フォーマット(横軸、縦軸、色帯、カラーマップ)、函数尺表示(対数尺、函数尺)の有無、拡大縮小表示(デフォルト、フルスパン、ズーム)、表示手法(帯域平均、固定ポイント選択、指定APD値ポイント選択、指定レベル値ポイント選択、ピーク値ポイント選択、瞬時電力平均値ポイント選択、瞬時電圧平均値ポイント選択、ピーク対平均電力比ポイント選択)、処理方法(平均処理、間引き処理)、関連するグラフ表示軸(周波数軸、時間軸)などである。
【0038】
表示制御部300は、上記(I)〜(V)の各機能を表すプログラムと記憶手段とプログラムを実行させて各機能を実現させるCPUで構成される。なお、座標情報記憶部380が記憶している座標情報は、表示されるグラフ、目盛り、各表示欄等の表示画面の位置を特定するのに必要な情報であり、表示フォーマット記憶部370が記憶しているフォーマットは、表示されるグラフ、マーカ、目盛り、各表示欄等のレイアウト及び図形であり、表示制御部300の各要部が、表示させようとしたときに、表示する位置を特定し、特定した位置に該当するフォーマットで表示するために用いられる。以下の、各要素での説明では、この座標やフォーマットについての説明は省略する。
【0039】
グラフ生成部310は、記憶部200に所定タイミングで、例えば、上記した時間範囲Δtの間隔でアクセスして得られた最新の前記記憶内容に基づいて、記憶されている周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、少なくともいずれか2つを次元とする座標に他の1つをパラメータとする第1のグラフを生成する。そして、操作者が注視するデータとして、その表示されているグラフ上の2つの次元又はパラメータにおける特定の値又は特定の範囲のいずれかを特定値として指定マーカで指定されているとき、操作部500からの切り替え指示を受けて、指定マーカで指定された2つの次元又はパラメータをその特定値に固定したときの、指示を受けた新たな組合せの次元及びパラメータについてのグラフに切り替えて生成する。
【0040】
グラフ生成部310は、2次元のグラフを生成する場合は、周波数、振幅、振幅確率及び時間の各次元のうち、後記する指定マーカ又はピークマーカで、或いはデフォルトとして、指定(或いは特定)された何れかの次元における特定値を固定値とし、記憶部200からその特定値が関与する残りの次元のデータを読み出す。そして、その残りの次元のうちの2つの次元のデータを操作部500から要求されている所望のグラフの横軸(以下、「X軸」と言う。)と縦軸(以下、「Y軸」と言う。)として割りあて、残りの1つの次元のデータをパラメータとしたグラフを生成し、さらに、上記所定タイミングで都度、更新して表示が行えるようにグラフの生成処理を行う。3次元のグラフを生成する場合は、特定値が指定された次元以外の残りの次元を3次元として割り当てて生成する。また、グラフ生成部310は、上述した2次元又は3次元のグラフを表示部400の表示画面上の指定された表示領域の画面に表示するに際して、操作部500によりグラフの種類が選択されて表示手法・処理方法・関連するグラフ表示軸が設定されると、操作部500により指定された表示領域の画面の表示ポイント数に合せたデータ処理(追って説明する平均処理、間引き処理)を行い、指定された表示領域の画面に表示させるためのグラフを生成している。
【0041】
次の(a)〜(e)においてグラフ生成部310が生成する具体的なグラフ例を説明し、(f)(g)においてグラフの切り替えを説明する。なお、周波数、振幅、振幅確率及び時間の各次元についての処理は、各グラフのいずれも上記した2次元又は3次元のグラフ生成と共通して同じであり、グラフ毎のその説明は割愛する。
【0042】
図2は、表示用のグラフを複数のグループに分け、各グラフ間の切り替えを示す。グラフのグループとしては、図2のように、APD測定に関して、スペクトラム表示のグラフ、スペクトログラム表示のグラフ、チャート表示のグラフ、函数尺表示のグラフ、3D表示のグラフに分かれる。なお、以下の説明に出てくる各数値は説明上の一例である。
【0043】
(a)スペクトラム表示のグラフ
このグループのグラフは、周波数に対する振幅又は振幅確率の変化を観察するのに適しており、次の(a−1)APDスペクトラムと(a−2)レベルスペクトラムがある。
【0044】
(a−1)APDスペクトラム
時間(t)を特定値に固定にし、X軸を周波数(f)、Y軸を振幅確率(APD)とし、振幅範囲(Lv:レベル)をパラメータとするグラフ(表示例は、図3を参照)。図3は、測定時間が79secで観察したときの(固定にしたときの)データであり、そのときのパラメータである振幅範囲の値をー20dBm≦振幅(レベル)、―40dBm≦振幅<―20dBm、―60dBm≦振幅<―40dBm、―80dBm≦振幅<―60dBm、で色分けして表示している。マーカ(MKR)はマルチマーカとして5つ(図3の「▲」印)を入れてあり、いずれも指定マーカ生成部320で生成して表示している。図3では、そのマルチマーカ(MKR)の内の一つ、つまりMKR5が現時点で操作部500から操作されたばかりのマーカである、アクティブマーカMKR5として表示され、その周波数がグラフの左側の直ぐ下に表示されている。各マーカにおける振幅(レベル)、振幅確率(APD)は、下段の表に示している。指定マーカはY軸の10%<APD≦50%の範囲に設定されている。
【0045】
(a−2)レベルスペクトラム
時間(t)を特定値に固定にし、X軸を周波数(f)、Y軸を振幅(Lv)とし、振幅確率範囲(APD)をパラメータとするグラフ(表示例は、図4を参照)。図4は、図3と同様に測定時間が79secで観察したときのデータであり、そのときのパラメータである振幅確率の値を50%<APD、10%<APD≦50%、1%<APD≦10%、0%<APD≦1%、で色分けして表示している。指定マーカはY軸の―60dBm≦振幅<―40dBmの範囲に設定されている。
【0046】
(b)スペクトログラム表示のグラフ
このグループのグラフは、周波数と時間に対する振幅又は振幅確率の変化を観察するのに適しており、次の(b−1)APDスペクトログラムと(b−2)レベルスペクトログラムがある。
【0047】
(b−1)APDスペクトログラム
振幅(Lv;レベル)を特定値に固定にし、X軸を周波数(f)、Y軸を時間とし、振幅確率範囲をパラメータとするグラフ(表示例は、図5を参照)。図5は、振幅範囲を―60dBm≦振幅<―40dBmの範囲で観察したときの(固定したときの)データであり、そのときのパラメータである振幅確率の値を50%<APD、10%<APD≦50%、1%<APD≦10%、0%<APD≦1%、で色分けして表示している。そして指定マーカが縦軸の時間t=79secに設定されている。
【0048】
(b−2)レベルスペクトログラム
振幅確率範囲(APD)を特定値に固定にし、X軸を周波数(f)、Y軸を時間とし、振幅範囲をパラメータとするグラフ(表示例は、図6を参照)。図6は、振幅確率範囲を10%<APD≦50%で観察したときの(固定したときの)データであり、そのときのパラメータである振幅範囲の値をー20dBm≦振幅(レベル)、―40dBm≦振幅<―20dBm、―60dBm≦振幅<―40dBm、―80dBm≦振幅<―60dBm、で色分けして表示している。そして、この場合も、指定マーカが縦軸の時間t=79secに設定されている。
【0049】
(c)チャート表示のグラフ
このグループのグラフは、周波数毎に、振幅又は振幅確率の時間経過を観察するのに適しており、次の(c−1)APDチャート及び(c−2)レベルチャートがある。
【0050】
(c−1)APDチャート
振幅範囲(Lv;レベル)を特定値に固定にし、周波数(f)毎(つまり、周波数がパラメータ)にX軸を時間(t)、Y軸を振幅確率(APD)とするグラフ(表示例は、図7を参照)。図7は、振幅範囲の値を―20dBm≦振幅(レベル)、ー40dBm≦振幅<−20dBm、ー60dBm≦振幅<−40dBm、ー80dBm≦振幅<―60dBmで色分けして表示している。そして指定マーカが縦軸の時間t=79secに設定されている。
【0051】
(c−2)レベルチャート
振幅確率範囲(APD)を特定値に固定にし、周波数(f)毎(つまり、周波数がパラメータ)にX軸を時間(t)、Y軸を振幅(Lv)とするグラフ(表示例は、図8を参照)。図8は、振幅確率範囲の値を50%<APD、10%<APD≦50%、1%<APD≦10%、0%<APD≦1%で色分けして表示している。そして指定マーカが縦軸の時間t=79secに設定されている。
【0052】
(d)函数尺表示のグラフ
このグラフは、振幅と確率が直接にどのような関係にあるかを観察するのに適している。一般には、リニアな座標、或いは一方が対数尺で表示することが多いが、雑音の振幅確率を測定するときは、雑音の発生現象に着目した見方として、レイリー関数尺で表したグラフがある。測定する信号が雑音であるとすると、レイリー分布、正規分布、指数分布、χ2分布等の函数尺があると便利である。函数尺については、本出願人に係る技術であって特許第3374154号公報に記載された技術がある。
【0053】
ここでは、対数尺とレイリー函数尺を準備しているとして説明する。つまり、時間を特定値に固定にし、X軸を振幅(Lv)、Y軸を振幅確率(APD)とし、周波数(f)をパラメータとするグラフであって、少なくとも一方を対数函数とするグラフ、少なくとも一方をレイリー函数とするグラフを生成する(表示例は、図9のレイリー尺グラフ、図10の対数尺グラフを参照)。図9は、時間t=79secで、横軸をレイリー尺の振幅確率とし、縦軸をdBのリニアで振幅を表した例で、指定マーカが振幅確率―60dBm≦振幅<―40dBmの範囲内の位置にある。図10は、時間t=79secで、横軸をdB(対数)のリニアで振幅とし、縦軸を対数尺で振幅確率を表した例で、指定マーカが振幅確率10%<APD≦50%の範囲内の位置にある。
【0054】
なお、特に図示はしていないが、グラフ生成部310は、APDと密接な関係にあるPDF(確率密度関数)に関しても同様の函数尺グラフを生成することもできる。
【0055】
(e)3D表示のグラフ
このグループのグラフは、できるだけ多次元で全体の傾向を観察するのに適しており、次の(e−1)3D−APD及び(e−2)3D―振幅がある。
【0056】
(e−1)3D−APDグラフ
振幅範囲(Lv;レベル)を特定値に固定にし、3軸のうち、X軸を周波数、奥行き方向の軸(以下、「Y軸」と言う。)を時間、Z軸を振幅確率(APD)とするグラフ(表示例は、図11を参照)。図11は、振幅範囲を―60dBm≦振幅<―40dBmで観察したときの(固定したときの)データであり、そして指定マーカが縦軸の時間t=79secに設定されている。
【0057】
(e−2)3D−レベルグラフ
振幅確率範囲(APD)を特定値に固定にし、3軸のうち、X軸を周波数、Y軸を時間、Z軸を振幅(Lv;レベル)とするグラフ(表示例は、図12を参照)。図12は、振幅確率範囲を10%<APD≦50%で観察したときの(固定したときの)データであり、そして指定マーカが縦軸の時間t=79secに設定されている。
【0058】
このように、グラフ生成部310は、先のグラフとして表示部400に周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、少なくともいずれか2つを次元とする座標に他の1つをパラメータとするグラフ(第1のグラフ)を表示させているとき、指定マーカ生成部320で、その第1のグラフ上の2つの次元又はパラメータにおける特定の値又は特定の範囲のいずれかを特定値としているときに、操作部500からの指定マーカで指定された2つの次元又はパラメータの特定値に固定したときの、新たな組合せの次元及びパラメータについての第2のグラフを生成して表示させる。その時の切り替え先の第2のグラフとしては、周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、特定値を指定された次元又はパラメータとなる1つを除く、3つのうちいずれか2つを次元とする座標上に残りの1つをパラメータとする新たなグラフを生成することになる。
【0059】
なお、上述したグラフ生成部310によるグラフの生成は、後述するマルチ画面表示機能により表示部400の同一表示画面に複数のグラフを表示している際も、各表示領域の画面毎に任意に指定して実行することができる。
【0060】
(f)グループ間のグラフの切り替え
図2は、グラフ間での切り替えを示す図である。切り替えにあたっては、切り替え元のグラフ上で所望の切り替え先のグラフの特定値を指定マーカで指定し、該当するグラフを指示することにより切り替えられる。
【0061】
つまり、表示部400に表示されるグラフの切り替えは、画面制御部330が操作部500からのグラフ要求指示にしたがって、グラフ生成部310に指示して切り替えさせる。そのとき、画面制御部330は、表示部400に表示されているグラフ上で、指定マーカにより2つの次元又はパラメータにおける特定値(或いは特定の範囲)を特定値として指定されている状態で、操作部500からの切り替え指示を受けたとき、その特定値を指定された2つの次元又はパラメータを特定値に固定したときの、新たな所望の組合せの次元及びパラメータについてのグラフをグラフ生成部310に生成させる。例を、次に説明する。
【0062】
なお、表示したい所望のグラフは、操作部500で、上記(a)から(e)までのグラフ名(グラフの種類)を選択指示することによって行われる。以下図2及び図3から図12を元に個別の切り替えについて説明する。
【0063】
(f−1)スペクトログラム表示からスペクトラム表示への切り替え
先に図5(又は図6)のグラフが表示されていて指定マーカが時間軸の時間t=79secを特定値と指定して図3(又は図4)に切り替えられたとき、グラフ生成部310は、上記(a)に記載のように、X軸を周波数(f)、Y軸を振幅確率(又は振幅)とし、時間t=79secを固定し、この時間t=79secにおける振幅及び振幅範囲(又は振幅確率及び振幅確率範囲)を記憶部200から読み出して、読み出した振幅及び振幅範囲(又は振幅確率及び振幅確率範囲)をパラメータとするグラフを生成する。
【0064】
(f−2)スペクトラム表示からスペクトログラム表示への切り替え
先に図3(又は図4)のグラフが表示されていて指定マーカが振幅確率範囲10%<APD≦50%(又は振幅範囲―60dBm≦振幅<―40dBm)を指定しているときに、図5(又は図6)に切り替えられたとき、グラフ生成部310は、上記(a)に記載のように、X軸を周波数(f)、Y軸を時間とし、振幅確率範囲10%<APD≦50%における振幅範囲(又は振幅―60dBm≦振幅<―40dBmにおける振幅確率範囲)を記憶部200から読み出して、読み出した振幅範囲(又は振幅確率範囲)をパラメータとするグラフを生成する。このとき、図5(図6)には、図3(又は図4)における特定値t=79secに該当する位置に、指定マーカが付されている。
【0065】
(f−3)チャート表示とスペクトラム表示間の切り替え
例えば、図7(又は図8)のグラフから特定値t=79secを指定して図3(又は図4)のグラフへ切り替え可能であり、逆に図3(又は図4)のグラフで特定値として、周波数を指定して、図7(又は図8)へのグラフ切り替え可能である。
【0066】
(f−4)チャート表示とスペクトログラム表示間の切り替え
同様に、例えば、図5(又は図6)のグラフと図7(又は図8)のグラフの間の切り替えは、特定値を例えば、振幅確率範囲10%<APD≦50%における振幅範囲(又は振幅―60dBm≦振幅<―40dBmにおける振幅確率範囲)のまま同じにしておいて、互いのグラフの2次元とパラメータを変えることで、切り替え可能である。
【0067】
(f−5)函数尺表示とスペクトラム表示間の切り替え
例えば、図9のグラフと図3(又は図4)のグラフとの切り替えは、特定値を例えば、時間t=79secのまま同じにしておいて、互いのグラフの2次元とパラメータを変えることで、切り替えることで可能である。
【0068】
(f−6)函数尺表示とスペクトログラム表示又はチャート表示間の切り替え
図9のグラフで特定値を、例えば、振幅確率範囲10%<APD≦50%における振幅範囲(又は―60dBm≦振幅<―40dBmにおける振幅確率範囲)を指定して、図5(図6)又は図7(図8)のグラフへ切り替える。逆に、図5(図6)又は図7(図8)のグラフで特定値として時間t=79secを設定して、図9のグラフへ切り替え可能である。
【0069】
(f−7)3Dグラフ(図11、図12)と他のグラフとの間の切り替え
図11,図12は、指定マーカによる特定値がY軸(奥行き方向)の時間t=79secであり、この状態から図3(図4)への切り替え可能である。指定マーカでX軸=周波数又はZ軸=振幅確率(振幅)の特定値を指定して、図5〜図10への切り替えが可能である。これらの逆の切り替えも可能である。
【0070】
これにより、操作者は、上記のグラフの切り替えによって、各注視点を中心に展開したグラフを観察できる。また、注視点を変更して、同様の観察ができる。
【0071】
(g)グループ内のグラフの切り替え
図2のスペクトラム表示グループ内のグラフ(図3と図4)、スペクトログラム表示グループ内のグラフ(図5と図6)における同じグループ内の切り替えは、画面制御部330が操作部500からの指示で、パラメータを振幅範囲又は振幅確率範囲の何れかに切り替えることで達成できる。チャート表示グループ内のグラフ(図7と図8)、3D表示グループ内のグラフ(図11と図12)における同じグループ内の切り替えは、Z軸を振幅又は振幅確率の何れかに切り替えることで達成できる。函数尺表示グループ内のグラフの切り替えは、函数尺の種類を切り替えることで達成できる。
【0072】
なお、後述するマルチ画像表示制御部390によるマルチ画面表示機能で表示部400の表示画面上に複数のグラフを表示している状態であっても、上述した手法によって各表示領域の画面毎に任意にグラフの切り替えを行うことができる。
【0073】
指定マーカ生成部320は、表示部400の表示画面上に表示されているグラフに対し、操作部500からの指示で各グラフの座標を構成する各次元を指定することができる(例えば、図5を参照)。そして、その特定値は、次の切り替え先のグラフで固定値に固定され、その固定値を中心に展開したグラフを得ることができる。
【0074】
指定マーカ生成部320は、操作部500からの指示で各グラフの座標を構成する各次元の指定ばかりでなく、パラメータ(或いはそのスケール)を指定することもできる。そして、その特定値は、次の切り替え先のグラフ固定値に固定され、その固定値を中心に展開したグラフを得ることができる。例えば、図5におけるパラメータのスケールである、「振幅確率範囲の識別表示」箇所にサブマーカ(指定マーカの一種類として)を置くことで指定し、このサブマーカで指定された振幅確率範囲を特定値として、次のグラフを展開することもできる。図5では、サブマーカをパラメータのスケールのところに設定したが、グラフ中(座標内)のパラメータを直接指す位置に設定しても良い。
【0075】
指定マーカ生成部320は、指定マーカの他に、単一のマーカ(MKR)又は複数のマルチマーカ(MKR)を生成して、表示させることができる。図5では、5つのマーカをX軸(周波数軸)に設定された例である。図5の場合、数値制御部310cは、そのマルチマーカ点における、かつ特定値t=79secにおける、周波数、振幅(レベル)及び振幅確率(APD)を記憶部200から読み出して、図5の下段に表示させる。つまり、単一又はマルチマーカは、そのマーカ点におけるデータを数値で読み取るためのものであると同時に、グラフ表示されている値以外のデータの値も読み取り、表示することができる。単一マーカの例を図9に示す。
【0076】
ピークサーチ部340は、所定のグラフを表示しているときに、画面制御部330を介して操作部500からピークをサーチする範囲の指定を受けてその範囲におけるピーク位置を求める。そして、ピークマーカ生成部350は、その表示されているグラフ上に、ピーク位置を示すマーカを生成して、表示部400に表示させる。例えば、図13に示すような、レベルチャート(振幅が縦軸、時間が横軸)のグラフ上で、10%<APD≦50%の範囲におけるピークマーカの表示要求があったとき、ピークサーチ部340は、記憶部200にアクセスして10%<APD≦50%の範囲で各周波数における振幅(レベル)がピークとなるX軸、Y軸の位置をサーチするとともに、同時にそのピーク位置における振幅及び振幅確率を読みとる。そして、ピークマーカ生成部350は、ピーク位置にピーク位置を示すマーカを生成して表示させ、かつ数値制御部310cがピーク位置における振幅及び振幅確率を表示させる(図13の白抜き表示を参照)。
【0077】
なお、ピークマーカはパラメータの最大値を示すので、そのピークマーカで指定されたパラメータの特定値を特定するものとして、前記指定マーカの代わりにピークマーカで特定された値を特定値に用いて、上記(f)のようにグラフを切り替えることも可能である。
【0078】
フルスパン制御部310bは、例えば、図14(a)に示すレベルチャートのグラフが右端をカンレト時間位置(現在時間位置)として5分前からの振幅変化を表示しているとき、操作者が、測定開始からのレベル変化を観測したい旨の要求を操作部500からしたとき、その要求を、画面制御部330を介して受けたフルスパン制御部310bが、グラフ生成部310に対して、測定開始時刻(0時刻)から現在時刻まで(フルスパン;Full Span)のレベル変化を示すレベルチャートを、例えば図14(b)に示すグラフを生成させて、それ表示部400に表示させる。フルスパン制御については、レベルチャートのグラフで説明したが、上記、他のグラフであっても実行できる。
【0079】
ゾーンマーカ生成部360は、表示されているグラフ上であって、操作部500から指示される位置及び幅に、ゾーンを示すマーカを生成して表示させる。図14(b)のゾーンマーカを参照。そのゾーンがグラフに表示されているとき、操作部500から拡大指示を、画面制御部330を介して受けた拡大/縮小制御部310aは、そのグラフの指定された範囲を拡大(画像を拡大)したグラフをグラフ生成部310に生成させ、表示部400に拡大表示させる。図14(c)を参照。図14(c)を表示しているときに、次に縮小指示を受けた拡大/縮小制御部310aは、そのグラフの指定された範囲を縮小(画像を縮小)したグラフをグラフ生成部310に生成させ、図14(b)のように表示部400に拡大表示させる。ゾーンマーカ、及び拡大/縮小の制御については、レベルチャートのグラフで説明したが、上記、他の種類のグラフであっても実行できる。
【0080】
なお、グラフ生成部310は、操作部500からフルスパン制御部310bを介してフルスパンの表示要求、又は操作部500から拡大/縮小制御部310aを介して拡大・縮小の表示要求が特に無い場合は、予め決められた大きさ(デフォルト値)のグラフを生成する。
【0081】
画面制御部330は、各部を説明しているときに既に説明したように、操作部500からの指示を受け、表示制御部300内の各部を制御する。
【0082】
上記の表示制御部300は、上記説明した機能・動作を記載したプログラムと、それを実行するCPUで構成される。なお、図1の表示制御部300を構成する各要部の組合せは、必ずしも図1の通りである必要はなく、上記した機能・動作を実行するうえで、或いはそれを設計するうえで、より合理的に組み替え変更されるものである。上記した機能・動作を実行する構成である限り、本発明の範疇である。
【0083】
表示部400は、液晶ディスプレイやCRT等のAPD測定表示装置1の本体に装備された表示機器で構成され、操作部500による設定内容や指示に基づく表示制御部300の表示制御により、同一表示画面上への複数のグラフ表示(マルチ画面表示機能)、APD測定に関する各種設定項目画面の表示、APD測定表示装置1の駆動や各種制御に関する表示を行っている。
【0084】
操作部500は、例えばテンキーや選択ボタン等の操作キー、マウス等のポインティングデバイス、表示部400の表示画面に対応する入力画面への接触操作による接触位置を検出するためのタッチセンサを備えるタッチパネル等の各種入力装置で構成される。操作部500は、APD測定開始と終了の指示、APD測定結果に基づく各種グラフ表示に関する設定、表示部400の表示領域の画面の分割設定、表示部400の指定された表示領域の画面へのグラフ表示の指示、後述するEMC対策前後表示機能によるグラフ表示の指示、APD測定に関する各種設定項目のパラメータ設定、クロック発生部130aのタイマのカウント時間の変更指示、範囲分類手段130bによる振幅確率の分類指示など行う際に操作者によって操作され、この操作に応じた設定内容や指示が表示制御部300に出力される。
【0085】
制御部600は、APD測定を行うにあたって、APD測定部100へのAPD測定に関する各種設定制御を含め、APD測定表示装置1を構成する各部を統括制御している。
【0086】
また、本例のAPD測定表示装置1では、図2に示すスペクトラム表示のグラフ、スペクトログラム表示のグラフ、チャート表示のグラフ、函数尺表示のグラフ、3D表示のグラフのいずれかを選択して表示部400に表示を行う際に、表示部400の表示画面上に表示されるソフトキー(操作部500)の操作により、表示手法、処理方法、関連するグラフ表示軸が設定されると、設定された表示手法によるグラフ表示が表示部400の指定された表示領域の画面になされるべく、全測定チャネルの測定結果データを指定された表示領域の画面の表示ポイント数(表示画素数)に制限して表示画面上に割り当てたグラフを生成する機能を有する。以下、(1)〜(8)に示す表示手法の処理内容について説明する。
【0087】
(1)帯域平均
操作部500の操作により、表示手法として「帯域平均」、処理方法として「平均処理」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定値を平均処理し、この平均処理によって得られるAPD平均値を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に割り当てたグラフを生成する。
【0088】
なお、表示ポイントCHdisp[k]における各閾値レベルL[i]のAPD平均値APDk [i]は下記式(1)によって算出される。
【0089】
【数1】
【0090】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4、閾値レベル数:1024が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表1に示すように、4チャネル(D=4)分のデータを平均処理し、表示部400の指定された表示領域の画面の表示1ポイント分のAPD平均値を算出する。なお、下記表1は、測定チャネルCHdisp[1]〜CHdisp[4]の平均処理結果を示している。
【0091】
【表1】
【0092】
次に、上述した平均処理によって得られるグラフを表示部400の指定された表示領域の画面に表示する際の表示処理手法について、具体例を示して説明する。
【0093】
上述したように、操作部500の操作により「帯域平均」が表示手法として選択され、操作部500により設定された平均測定チャネル数D分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定値を平均処理し、この平均処理によって得られるAPD平均値を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に割り当てたグラフを生成して表示する。すなわち、表示ポイントndisp=D×(Ndisp/Nmeas)を使って、1データ(Dチャネル分のAPD平均値)を表示部400に表示する。そして、この「帯域平均」では、以下に説明するように、NmeasとNdispとの関係に応じて処理内容が異なる。
【0094】
Nmeas>Ndispの場合
図15はAPDスペクトラム表示(横軸:周波数、縦軸:レベル、パラメータ:APD)として、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]=CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、平均測定チャネル数:D=4(D≧Nmeas>Ndisp)を条件とした場合の表示処理例を示している。この場合、表示部400の表示ポイント:1ポイント上に、1データ(4ch分の平均値)を表示する。図15の例では、表示部400の表示ポイントCHdisp[1]上に、測定チャネルCHmeas[1]〜CHmeas[4]の4ch分の平均値の1データを表示する。同様に、表示部400の表示ポイントCHdisp[2]上に、次の測定チャネルCHmeas[5]〜CHmeas[8]の4ch分の平均値の1データを表示する。
【0095】
Nmeas≦Ndispの場合
図16はAPDスペクトラム表示(横軸:周波数、縦軸:レベル、パラメータ:APD)として、全測定チャネル数:Nmeas=256、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[256]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]=CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、平均測定チャネル数:D=4を条件とした場合の表示処理例を示している。この場合、表示部400の表示ポイント:16ポイント上に、1データ(4ch分の平均値)を表示する。図15の例では、表示部400の表示ポイントCHdisp[1]〜CHdisp[16]上に、測定チャネルCHmeas[1]〜CHmeas[4]の4ch分の平均値の1データを表示する。同様に、表示部400の表示ポイントCHdisp[17]〜CHdisp[32]上に、次の測定チャネルCHmeas[5]〜CHmeas[8]の4ch分の平均値の1データを表示する。
【0096】
なお、図15および図16の例では、パラメータであるAPDの範囲を、0<APD≦1%、1%<APD≦10%、10%<APD≦50%、50%<APDとしている。
【0097】
また、上述した説明では、全測定チャネル数を表示領域の画面の表示ポイント数で割った数が整数になる、又は表示領域の画面の表示ポイント数を全測定チャネル数で割った数が整数になることを条件としているが、この条件を満たさずに余りが生じた場合は、その余りの数が無くなるようにAPD測定結果を平均処理し、全測定チャネル数のAPD測定結果を表示領域の画面の表示ポイント数に合せてAPD測定結果をグラフ上に表示する。
【0098】
さらに、周波数軸方向にAPD測定結果を平均処理して、指定された表示領域の画面の各表示ポイント上のAPDデータを算出してグラフ上に表示する例について説明したが、時間軸方向にAPD測定結果を平均処理して、指定された表示領域の画面の各表示ポイント上にAPDデータを算出してグラフ上に表示することもできる。
【0099】
(2)固定ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「固定ポイント選択」、処理方法として「間引き処理」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndispごとの測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。すなわち、固定ポイントD間隔の測定チャネルの測定結果CHmeas[n]を表示部400の各表示ポイントCHdisp[k]に表示する。CHdisp[k]=CHmeas[(k−1)D+1]
【0100】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表2に示すように、4チャネル(D=4)ごとのデータを、表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0101】
【表2】
【0102】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「固定ポイント選択」、処理方法として「間引き処理」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdispごとの測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。すなわち、各測定チャネルにおける固定ポイントD間隔の測定時間の測定結果APD_Tmeas[t]を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイントAPD_Tdisp[k]に表示する。APD_Tdisp[k]=APD_Tmeas[(k−1)D+1]
【0103】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表3に示すように、測定時間4秒(D=4)ごとのデータを、表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0104】
【表3】
【0105】
(3)指定APD値ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「指定APD値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果の中から、指定したAPD値となる閾値レベルが「最大」又は「最小」となる測定チャネルのAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0106】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4、指定APD値:APD>0.01が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表4に示すように、4チャネル(D=4)の中から、指定したAPD値となる閾値レベルが最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0107】
【表4】
【0108】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「指定APD値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdisp分の測定時間のAPD測定結果の中から、指定したAPD値となる閾値レベルが「最大」又は「最小」となる測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0109】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4、指定APD値:APD>0.01が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表5に示すように、測定時間4秒(D=4)分のデータの中から、指定したAPD値となる閾値レベルが最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0110】
【表5】
【0111】
(4)指定レベル値ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「指定レベル値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果の中から、指定した閾値レベルにおけるAPD値が「最大」又は「最小」となる測定チャネルのAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0112】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4、指定閾値レベル:ー40dBmが操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表6に示すように、4チャネル(D=4)の中から、指定した閾値レベルにおけるAPD値が最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0113】
【表6】
【0114】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「指定レベル値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdisp分の測定時間のAPD測定結果の中から、指定した閾値レベルにおけるAPD値が「最大」又は「最小」となる測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0115】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4、指定閾値レベル:ー40dBmが操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表7に示すように、測定時間4秒(D=4)分のデータの中から、指定した閾値レベルにおけるAPD値が最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0116】
【表7】
【0117】
(5)ピーク値ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「ピーク値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果の中から、ピーク値レベルが「最大」又は「最小」となる測定チャネルのAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0118】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表8に示すように、4チャネル(D=4)の中から、ピーク値レベルが最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0119】
【表8】
【0120】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「ピーク値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdisp分の測定時間のAPD測定結果の中から、ピーク値レベルが「最大」又は「最小」となる測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0121】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表9に示すように、測定時間4秒(D=4)分のデータの中から、ピーク値レベルが最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0122】
【表9】
【0123】
(6)瞬時電力平均値ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「瞬時電力平均値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果の中から、APD測定値から算出した瞬時電力平均値が「最大」又は「最小」となる測定チャネルのAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0124】
なお、各測定チャネルの瞬時電力平均値は、閾値レベルxi [mW]と、各閾値レベル(レベル数X)のAPD値APD(xi )から下記式(2)により算出する。
【0125】
【数2】
【0126】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4、閾値レベル数:X=1024が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表10に示すように、4チャネル(D=4)の中から、瞬時電力平均値が最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0127】
【表10】
【0128】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「瞬時電力平均値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdisp分の測定時間のAPD測定結果の中から、APD測定値から算出した瞬時電力平均値が「最大」又は「最小」となる測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0129】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4、閾値レベル数:X=1024が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表11に示すように、測定時間4秒(D=4)分のデータの中から、瞬時電圧平均値が最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0130】
【表11】
【0131】
(7)瞬時電圧平均値ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「瞬時電圧平均値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果の中から、APD測定値から算出した瞬時電圧平均値が「最大」又は「最小」となる測定チャネルのAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0132】
なお、各測定チャネルの瞬時電圧平均値は、閾値レベルxi [μV]と、各閾値レベル(レベル数X)のAPD値APD(xi )から下記式(3)により算出する。
【0133】
【数3】
【0134】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4、閾値レベル数:X=1024が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表12に示すように、4チャネル(D=4)の中から、瞬時電圧平均値が最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0135】
【表12】
【0136】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「瞬時電圧平均値ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdisp分の測定時間のAPD測定結果の中から、APD測定値から算出した瞬時電圧平均値が「最大」又は「最小」となる測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0137】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4、閾値レベル数:X=1024が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表13に示すように、測定時間4秒(D=4)分のデータの中から、瞬時電圧平均値が最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0138】
【表13】
【0139】
(8)ピーク対平均電力比(PAPR)ポイント選択
(周波数軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「ピーク対平均電力比ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「周波数軸」が設定されると、全測定チャネル(測定周波数)数Nmeasを表示ポイント(周波数軸)数Ndispで割った数D=Nmeas/Ndisp分の測定チャネル(測定周波数)のAPD測定結果の中から、APD測定値から算出したピーク対平均電力比(PAPR)が「最大」又は「最小」となる測定チャネルのAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0140】
なお、各測定チャネルのピーク対平均電力比(PAPR)は、PAPR[dB]=ピーク電力[dBm]ー瞬時電力平均値[dBm]により算出する。
【0141】
そして、例えば、全測定チャネル数:Nmeas=4096、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]:CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、D=4が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表14に示すように、4チャネル(D=4)の中から、ピーク対平均電力比(PAPR)が最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0142】
【表14】
【0143】
(時間軸データ)
操作部500の操作により、表示手法として「ピーク対平均電力比ポイント選択」、処理方法として「間引き処理(最大値または最小値)」、関連するグラフ表示軸として「時間軸」が設定されると、各測定チャネル(測定周波数)において、全測定時間Tmeasを表示ポイント(時間軸)数Tdispで割った数D=Tmeas/Tdisp分の測定時間のAPD測定結果の中から、APD測定値から算出したピーク対平均電力比(PAPR)が「最大」又は「最小」となる測定時間のAPD測定結果を選択し、この選択したAPD測定結果を表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0144】
そして、例えば、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas[t]:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]:APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、D=4が操作部500の操作により予め入力されている場合には、下記表15に示すように、測定時間4秒(D=4)分のデータの中から、ピーク対平均電力比(PAPR)が最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0145】
【表15】
【0146】
ここで、上述した(2)〜(8)のいずれかの表示手法が選択設定されたときの間引き処理方法について、具体例を示して更に詳細に説明する。
【0147】
操作部500の操作により(2)〜(8)のいずれかの表示手法が選択設定されると、操作部500で設定された間引き数D分のAPD測定結果の中から、選択設定された表示手法に従って選択されたAPD測定結果を、表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。
【0148】
具体的に、図17はAPDスペクトラム表示(横軸:周波数、縦軸:レベル、パラメータ:APD)として、表示手法:指定APD値ポイント選択、全測定チャネル数:Nmeas=256、測定チャネルCHmeas[n]:CHmeas[1]〜CHmeas[4096]、表示ポイント数:Ndisp=1024、表示ポイントCHdisp[k]=CHdisp[1]〜CHdisp[1024]、間引き数:D=4、指定APD値:APD>1%を条件とした場合の表示例を示している。この場合、4チャネル(D=4)の中から、指定したAPD値となる閾値レベルが最大となる測定チャネルのAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。図17の例では、4つのチャネルCHmeas[1]〜CHmeas[4]の中から、指定APD値:APD>1%となる閾値レベルが最大となる測定チャネルのAPD測定データCHmeas[3]が表示ポイントCHdisp[1]に表示される。同様に、次の4つのチャネルCHmeas[5]〜CHmeas[8]の中から、指定APD値:APD>1%となる閾値レベルが最大となる測定チャネルのAPD測定データCHmeas[6]が表示ポイントCHdisp[2]に表示される。
【0149】
また、図18はAPDチャート表示(横軸:時間、縦軸:レベル、パラメータ:APD)として、表示手法:指定APD値ポイント選択、各測定チャネルにおける全測定時間(測定周期:1秒):Tmeas=4096、各測定時間(測定周期:1秒)における測定結果APD_Tmeas:APD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4096]、表示ポイント数:Tdisp=1024、表示ポイントAPD_Tdisp[k]=APD_Tdisp[1]〜APD_Tdisp[1024]、間引き数:D=4、指定APD値:APD>1%を条件とした場合の表示例を示している。この場合、測定時間4秒(D=4)の中から、指定したAPD値となる閾値レベルが最大となる測定時間のAPD測定データを選択し、この選択したAPD測定データを表示部400の指定された表示領域の画面の各表示ポイント上に表示する。図18の例では、測定時間4秒(D=4)分のデータAPD_Tmeas[1]〜APD_Tmeas[4]の中から、指定APD値:APD>1%となる閾値レベルが最大となる測定時間のAPD測定データAPD_Tmeas[3]が表示ポイントAPD_Tdisp[1]に表示される。同様に、次の測定時間4秒(D=4)分のデータAPD_Tmeas[5]〜APD_Tmeas[8]の中から、指定APD値:APD>1%となる閾値レベルが最大となる測定時間のAPD測定データAPD_Tmeas[6]が表示ポイントAPD_Tdisp[2]に表示される。
【0150】
上述したAPD測定結果の表示処理機能によれば、全測定結果データの中から、注目したい条件項目(例えば平均値、任意のAPD値、ピークレベル値など)を用いて、全測定結果データを表示画面上の指定された表示領域の画面の表示ポイント数に制限して表示させることができる。
【0151】
また、取得した全測定結果データは、記憶部200に保持されているので、グラフ表示上では制限して表示しているが、指定マーカ生成部320にて表示される指定マーカが指示する箇所のAPD測定結果を表示部400に数値表示するので、指定マーカが指示する箇所の全てのAPD測定結果は目視で確認することができる。
【0152】
さらに、本例のAPD測定表示装置1は、操作部500からのグラフ表示に関する設定内容や指示、グラフ生成部310、拡大/縮小制御部310a、フルスパン制御部310b、数値制御部310cからの情報に基づき、表示部400の同一画面上に複数のグラフを表示制御するマルチ画面表示制御機能を有している。
【0153】
上記グラフ表示に関する設定内容としては、グラフの種類(スペクトラム表示のグラフ、スペクトログラム表示のグラフ、チャート表示のグラフ、函数尺表示のグラフ、3D表示のグラフ)、表示フォーマット(横軸、縦軸、色帯、カラーマップ)、函数尺表示(対数尺、函数尺)、拡大縮小表示(デフォルト、フルスパン、ズーム)、表示手法(帯域平均、固定ポイント選択、指定APD値ポイント選択、指定レベル値ポイント選択、ピーク値ポイント選択、瞬時電力平均値ポイント選択、瞬時電圧平均値ポイント選択、ピーク対平均電力比ポイント選択)、処理方法(平均処理、間引き処理)、関連するグラフ表示軸(周波数軸、時間軸)などがある。そして、表示させたいグラフ表示に必要な設定内容や指示が操作部500から適宜なされる。また、このマルチ画面表示機能では、操作部500により、表示部400の同一画面上に表示するグラフの数に応じて表示領域の画面を分割設定し、この分割設定された表示領域の画面へのグラフ表示の指定を行う。
【0154】
このマルチ画面表示機能によれば、表示部400の同一画面上にマルチ画面表示させたいグラフの数に応じて操作部500から表示部400の表示領域の画面を分割設定し、基本となる複数種類のグラフ表示(スペクトラム表示のグラフ、スペクトログラム表示のグラフ、チャート表示のグラフ、函数尺表示のグラフ、3D表示のグラフ)の中からマルチ画面表示するグラフの種類を選択して表示領域の画面を指定すれば、指定された表示領域の画面に選択されたグラフ表示がなされ、複数のグラフが表示部400の同一画面上にマルチ画面表示される。そして、同一画面上の各グラフ表示は、その表示フォーマット、函数尺表示、拡大縮小表示、表示手法、処理方法、関連するグラフ表示軸を独立に操作部500から設定できる。これにより、周波数、振幅、振幅確率及び時間のパラメータを組み合わせた複数のグラフを表示部400の同一画面上にマルチ画面表示することができ、多チャネルAPD測定結果を詳細に、かつ有効的に分析評価することができる。
【0155】
また、本例のAPD測定表示装置1は、APD測定部100により現在測定しているAPD測定結果と、その比較対象であって、過去に取得した測定結果やシミュレーション結果などのAPD結果とを、操作部500による設定内容で指定されるグラフ表示形式で表示部400に表示制御する比較表示制御部390を有する。
【0156】
図19及び図20は、現在と過去の測定結果として、比較表示制御部390の表示制御による表示部400のEMC対策前後画面の一例を示している。
【0157】
図19は、EMC対策前後のグラフ表示を表示部400の同一画面上の異なる表示領域に並べて表示した例である。さらに説明すると、図19の例では、表示部400の同一画面に対し、EMC対策前の比較対象となるAPD結果のグラフ表示が上部の表示領域400aになされ、その下部の表示領域400bにAPD測定部100により現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果のグラフ表示がなされている。これらのグラフ表示が表示される表示領域や形式は、操作部500から設定操作される設定内容によって決定される。また、現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果のグラフ表示の下部の表示領域400cには、前述したマーカ機能により、指定したマーカの位置における結果が表示される。これにより、現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果と、比較対象のEMC対策前のAPD結果との値をリアルタイムに比較して分析評価することができる。
【0158】
図20は、EMC対策前後のグラフ表示を表示部400の同一画面上の一つの表示領域に重ね書きして表示した例である。さらに説明すると、図20の例では、表示部400の同一画面に対し、APD測定部100により現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果のグラフ表示と、その比較対象となるEMC対策前のAPD結果のグラフ表示とを、一つの表示領域400d内の同じグラフ表示上に重ね書きしている。図20に示すような一つの表示領域400d内でのグラフ表示の重ね書きは、グラフ表示として、APD Curve表示やPDF Curve表示に有効である。また、現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果と比較対象となるEMC対策前のAPD結果の両方からそれぞれ算出したピーク値(Peak)、平均値(Linear Avg.、Power Avg.)PAPR値は、図20に示すように、EMC対策前後のグラフ表示とともに同一画面上の表示領域400eに表示できる。さらに、前述したマーカ機能により、現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果と、比較対象となるEMC対策前のAPD結果との値も同時に表示できる。
【0159】
指定した周波数(1点または複数点)における現在測定中のEMC対策後の結果(Current)と比較対象となるEMC対策前の結果(Reference)の波形は、線の色、種類(例えば実線や破線など)、線の太さの違いを操作部500から指定することにより、識別表示することができる。
【0160】
このように、比較表示制御部390の表示制御によるEMC対策前後画面表示機能では、現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果と、その比較対象であって、過去に取得した測定結果やシミュレーション結果などのEMC対策前のAPD結果とを、表示部400の同一画面に対し、表示領域を分けて識別表示したり、同一表示領域内に重ねて識別表示している。これにより、電子機器などのEMC測定評価において、現在測定中のEMC対策後のAPD測定結果と、その比較対象となるEMC対策前のAPD結果とを、表示部400の同一画面上に表示して比較分析しながら測定が行え、EMC対策の効果を容易に評価することができる。
【0161】
そして、本例のAPD測定表示装置1は、被測定信号の周波数成分を分析し、分析された各周波数成分の振幅をそれぞれ検出し、検出された各周波数成分の振幅について単位時間当たりの振幅確率を時間経過毎に求め、この各周波数成分の振幅の振幅確率を時間経過に対応して全てのデータを記憶部200に記憶している。すなわち、A/D変換手段110bからデータを取り込み、この取り込んだデータを短時間フーリエ変換によるリアルタイム処理したAPD測定の時間軸と周波数軸の同時測定技術を適用している。これにより、上述したマルチ画面表示機能を用いる際に、正確な周波数と時間特性情報を同時に取得でき、従来のような単なる表示の組み合わせ表示でなく、上述したマルチ画面表示機能により時間、周波数の同時表示が行え、表示の切り替えを行うことなく効果的な表示を実現することができる。
【符号の説明】
【0162】
1 APD測定表示装置
100 APD測定部
110 周波数分析部
110a 帯域選択手段
110b A/D変換手段
110c 周波数選択手段
120 レベル検出部
130 APD部
130a クロック発生部
130b 範囲分類手段
200 記憶部
300 表示制御部
310 グラフ生成部
310a 拡大/縮小制御部
310b フルスパン制御部
310c 数値制御部
320 指定マーカ生成部
330 画面制御部
340 ピークサーチ部
350 ピークマーカ生成部
360 ゾーンマーカ生成部
370 表示フォーマット記憶部
380 座標情報記憶部
390 比較表示制御部
400 表示部
500 操作部
600 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定信号の周波数成分を分析し、分析された各周波数成分の振幅をそれぞれ検出し、検出された各周波数成分の振幅について単位時間当たりの振幅確率を時間経過毎に求めるAPD測定部(100)と、該APD測定部が出力する各周波数成分の振幅の振幅確率を時間経過に対応して記憶する記憶部(200)と、表示部(400)と、操作部(500)と、前記記憶部に所定タイミングでアクセスして得られた最新の前記記憶部の記憶内容に基づいて、周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、2つ又は3つを次元とする座標に残りの1つをパラメータとするグラフを前記表示部に表示させる表示制御部(300)とを備えたAPD測定表示装置であって、
前記表示制御部は、前記APD測定部による現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となるAPD結果とを、前記周波数、前記振幅、前記振幅確率及び前記時間のパラメータを組み合わせた複数のグラフの中から前記操作部で指定されるグラフ表示で前記表示部の同一画面上に表示することを特徴とするAPD測定表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部(300)は、前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記指定されるグラフ表示で前記表示部(400)の同一画面上の異なる表示領域に並べて識別表示することを特徴とする請求項1記載のAPD測定表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部(300)は、前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記表示部(400)の同一表示画面上の前記指定されるグラフ表示上に重ねて識別表示することを特徴とする請求項1記載のAPD測定表示装置。
【請求項4】
被測定信号の周波数成分を分析し、分析された各周波数成分の振幅をそれぞれ検出し、検出された各周波数成分の振幅について単位時間当たりの振幅確率を時間経過毎に求め、前記各周波数成分の振幅の振幅確率を時間経過に対応して記憶し、最新の記憶内容に基づいて、周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、2つ又は3つを次元とする座標に残りの1つをパラメータとするグラフを表示させるAPD測定表示方法であって、
現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となるAPD結果とを、前記周波数、前記振幅、前記振幅確率及び前記時間のパラメータを組み合わせた複数のグラフの中から指定されるグラフ表示で表示部(400)の同一画面上に表示するステップを含むことを特徴とするAPD測定表示方法。
【請求項5】
前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記指定されるグラフ表示で前記表示部(400)の同一画面上の異なる表示領域に並べて識別表示することを特徴とする請求項4記載のAPD測定表示方法。
【請求項6】
前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記表示部の同一画面上の前記指定されるグラフ表示上に重ねて識別表示することを特徴とする請求項4記載のAPD測定表示方法。
【請求項1】
被測定信号の周波数成分を分析し、分析された各周波数成分の振幅をそれぞれ検出し、検出された各周波数成分の振幅について単位時間当たりの振幅確率を時間経過毎に求めるAPD測定部(100)と、該APD測定部が出力する各周波数成分の振幅の振幅確率を時間経過に対応して記憶する記憶部(200)と、表示部(400)と、操作部(500)と、前記記憶部に所定タイミングでアクセスして得られた最新の前記記憶部の記憶内容に基づいて、周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、2つ又は3つを次元とする座標に残りの1つをパラメータとするグラフを前記表示部に表示させる表示制御部(300)とを備えたAPD測定表示装置であって、
前記表示制御部は、前記APD測定部による現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となるAPD結果とを、前記周波数、前記振幅、前記振幅確率及び前記時間のパラメータを組み合わせた複数のグラフの中から前記操作部で指定されるグラフ表示で前記表示部の同一画面上に表示することを特徴とするAPD測定表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部(300)は、前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記指定されるグラフ表示で前記表示部(400)の同一画面上の異なる表示領域に並べて識別表示することを特徴とする請求項1記載のAPD測定表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部(300)は、前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記表示部(400)の同一表示画面上の前記指定されるグラフ表示上に重ねて識別表示することを特徴とする請求項1記載のAPD測定表示装置。
【請求項4】
被測定信号の周波数成分を分析し、分析された各周波数成分の振幅をそれぞれ検出し、検出された各周波数成分の振幅について単位時間当たりの振幅確率を時間経過毎に求め、前記各周波数成分の振幅の振幅確率を時間経過に対応して記憶し、最新の記憶内容に基づいて、周波数、振幅、振幅確率及び時間のうち、2つ又は3つを次元とする座標に残りの1つをパラメータとするグラフを表示させるAPD測定表示方法であって、
現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となるAPD結果とを、前記周波数、前記振幅、前記振幅確率及び前記時間のパラメータを組み合わせた複数のグラフの中から指定されるグラフ表示で表示部(400)の同一画面上に表示するステップを含むことを特徴とするAPD測定表示方法。
【請求項5】
前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記指定されるグラフ表示で前記表示部(400)の同一画面上の異なる表示領域に並べて識別表示することを特徴とする請求項4記載のAPD測定表示方法。
【請求項6】
前記現在測定中のAPD測定結果と、その比較対象となる前記APD結果とを、前記表示部の同一画面上の前記指定されるグラフ表示上に重ねて識別表示することを特徴とする請求項4記載のAPD測定表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−112901(P2012−112901A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264186(P2010−264186)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、電波資源拡大のための委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、電波資源拡大のための委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
[ Back to top ]