説明

ASA/ABS及びSANを有する流動性ポリエステル成形材料

次の成分
A)少なくとも1種の熱可塑性ポリエステル10〜98.99質量%、
B)
B1)OH価1〜600mg KOH/gポリカーボネート(DIN53240,第2部)の少なくとも1種の高分枝化又は超分枝化されたポリカーボネート、又は
B2)タイプAxy(式中、xは少なくとも1.1、yは少なくとも2.1)の少なくとも1種の高分枝化又は超分枝化されたポリエステル
又はそれらの混合物0.01〜50質量%、
C)次の成分、
1)アルキル基中で1〜8個のC原子を有しかつ10℃より低いガラス転移温度を有するアルキルアクリラート系のゴム弾性のポリマーからなるグラフト基体20〜80質量%、
2)次の成分からなるグラフト枝部20〜80質量%
21)スチレン又は一般式(I)[式中、Rは1〜8個のC原子を有するアルキル基又は水素原子を表し、R1は1〜8個のC原子を有するアルキル基を表し、nは1、2又は3の値を表す]の置換スチレン60〜95質量%
22)少なくとも1種の不飽和ニトリル5〜40質量%
から構成された少なくとも1種のグラフト重合体1〜60質量%
D) 次の成分
1) スチレン又は一般式(I)の置換スチレン又はこれらの混合物60〜95質量%
2) 少なくとも1種の不飽和ニトリル5〜40質量%
からなる共重合体0〜60質量%
E) 他の添加剤0〜60質量%、
この場合、成分A)〜E)の質量%の合計は、100%となる
を有する熱可塑性成形材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次の成分
A) 少なくとも1種の熱可塑性ポリエステル10〜98.99質量%、
B)
B1) OH価1〜600mg KOH/gポリカーボネート(DIN53240,第2部による)の少なくとも1種の高分枝化又は超分枝化されたポリカーボネート、又は
B2) タイプAxy(式中、xは少なくとも1.1、yは少なくとも2.1)の少なくとも1種の高分枝化又は超分枝化されたポリエステル
又はそれらの混合物0.01〜50質量%、
C) 次の成分
1) アルキル基中で1〜8個のC原子を有しかつ10℃より低いガラス転移温度を有するアルキルアクリラート系のゴム弾性のポリマーからなるグラフト基体20〜80質量%
2) 次の成分
21) スチレン又は次の式:
【化1】

[式中、Rは1〜8個のC原子を有するアルキル基又は水素原子を表し、R1は1〜8個のC原子を有するアルキル基を表し、nは1、2又は3の値を表す]の置換スチレン60〜95質量%
22) 少なくとも1種の不飽和ニトリル5〜40質量%
からなるグラフト枝部20〜80質量%
から構成された少なくとも1種のグラフト重合体1〜60質量%
D) 次の成分
1) スチレン又は一般式Iの置換スチレン又はこれらの混合物60〜95質量%
2) 少なくとも1種の不飽和ニトリル5〜40質量%
からなる共重合体0〜60質量%
E) 他の添加剤0〜60質量%、
この場合、成分A)〜E)の質量%の合計は、100%となる
を含有する熱可塑性成形材料に関する。
【0002】
更に、本発明は、全ての種類の繊維、シート及び成形品を製造するための本発明による成形材料の使用ならびにその際に得られる成形品に関する。
【0003】
ポリカーボネートは、通常、アルコールとホスゲンとの反応から得られるか又はアルコール又はフェノールとジアルキルカーボネート又はジアリールカーボネートとのエステル交換から得られる。例えば、ビスフェノールから製造される芳香族ポリカーボネートは、工業的に重要であり、脂肪族ポリカーボネートは、市場的価値から見てこれまでそれほど重要でない役を演じている。それについては、Becker/Braun著, Kunststoff-Handbuch 第3/1巻, Polycarbonate Polyacerale, Polyester, Celluloseester, Carl-Hanser-Verlag, Muenchen 1992, 第118〜119頁参照。
【0004】
この記載された脂肪族ポリカーボネートは、一般に線状に形成されているか又は僅かな枝分かれ度で形成されている。即ち、US 3,305,605は、ポリビニルポリマーのための可塑剤としての15000Daを上廻る分子量を有する固体の線状ポリカーボネートの使用を記載している。
【0005】
流動能を改善するために、通常、熱可塑性樹脂には、低分子量の添加剤が添加される。しかし、この種の添加剤の作用は、著しく制限されている。それというのも、例えば添加剤の添加量を上昇させた場合の機械的特性の低下は、もはや許容することができないためである。
【0006】
定義されたように形成された高官能性のポリカーボネートは、少し前から公知である。
【0007】
S.P. Rannard及びN.J. Davis著, J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 11729は、ホスゲン類似の化合物としてのカルボニルビスイミダゾールとビスヒドロキシエチルアミノ−2−プロパノールとの反応による完全に分枝化されたデンドリマーのポリカーボネートの製造を記載している。完全なデンドリマーへの合成は、多段階であり、したがってコストがかかり、工業的規模での転用には適していない。
【0008】
D.H. Bolton及びK.L.Wooley著, Macromolecules 1997, 30, 1890は、1,1,1−トリス(4′−ヒドロキシ)フェニルエタンとカルボニルビスイミダゾールとの反応による極めて剛性の超分枝化された高分子量の芳香族ポリカーボネートの製造を記載している。
【0009】
超分枝化されたポリカーボネートは、WO 98/50453の記載により製造される。前記刊行物に記載された方法によれば、トリオールを再びカルボニルビスイミダゾールと反応させる。最初にイミダゾリドが生成され、次に、このイミダゾリドを分子間でさらに反応してポリカーボネートにする。記載された方法により、ポリカーボネートは、無色又は淡黄色のゴム状の生成物として生じる。
【0010】
高分枝化されたか又は超分枝化されたポリカーボネートへの前記の合成は、次の欠点を有する:
a) 超分枝化された生成物は、高融点を有するか又はゴム状であり、それによって後の加工可能性は、明らかに制限される。
【0011】
b) 反応の間に遊離されるイミダゾールは、費用をかけて反応混合物から除去されなければならない。
【0012】
c) 反応生成物は、常に末端にイミダゾリド基を含有する。前記基は不安定であり、次の工程で例えばヒドロキシル基に変換しなければならない。
【0013】
d) カルボニルジイミダゾールは、比較的に高価な化学薬品であり、この化学薬品は、使用物質コストを著しく上昇させる。
【0014】
流動能を改善するために、通常、部分結晶化すべき熱可塑性樹脂に、低分子量の添加剤が添加される。しかし、この種の添加剤の作用は、著しく制限されている、それというのも、例えば機械的特性の低下は添加剤の所定の添加量からもはや許容することができないためである。
【0015】
WO-97/45474から、デンドリマーのポリエステルをAB2分子としてポリエステル中に含有する熱可塑性樹脂組成物は公知である。この場合、コア分子としての多官能性アルコールは、AB2分子としてのジメチルプロピオン酸と反応し、デンドリマーのポリエステルになる。このデンドリマーのポリエステルは、鎖の末端部にOH官能基だけを含有する。この混合物の欠点は、デンドリマーのポリエステルのガラス転移温度が高く、比較的高価な製造及び特にポリエステルマトリックス中でのデンドリマーの溶解性が悪いことにある。
【0016】
DE-A 101 32 928の教示によれば、この種の分枝化剤の混入は、配合及び固体相中での後縮合により機械工学の改善(分子量の増加)を生じる。記載された変法の欠点は、長い製造時間ならびに既に上記した不利な特性にある。
【0017】
DE 102004 005652.8及びDE 102004 005657.9には、ポリエステル用の流動性を改善するために既に新規の添加物が提案されていた。
【0018】
従って、本発明の根底をなす課題は、良好な流動性及び同時に良好な機械的特性を有する熱可塑性ポリエステル成形材料を提供することであった。
【0019】
従って、冒頭に定義された成形材料が見出された。有利な実施態様は、引用形式請求項に記載されている。
【0020】
成分(A)として、本発明による成形材料は、B)とは異なる少なくとも1種の熱可塑性ポリエステル10〜98.99質量%、有利に30〜97.99質量%、殊に30〜95質量%を含有する。
【0021】
一般に、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族又は芳香族ジヒドロキシ化合物をベースとするポリエステルA)が使用される。
【0022】
好ましいポリエステルの第1の群は、ポリアルキレンテレフタラート、殊にアルコール部分に2〜10個のC原子を有するポリアルキレンテレフタラートである。
【0023】
この種のポリアルキレンテレフタラートは、自体公知であり、刊行物中に記載されている。前記のポリアルキレンテレフタラートは、主鎖中に、芳香族ジカルボン酸に由来する芳香環を含有する。この芳香環は、例えばハロゲン、例えば塩素及び臭素によって置換されていてもよいし、C1〜C4−アルキル基、例えばメチル基、エチル基、i−又はn−プロピル基及びn−、i−又はt−ブチル基によって置換されていてもよい。
【0024】
このポリアルキレンテレフタラートは、芳香族ジカルボン酸、そのエステル又は別のエステル形成誘導体を脂肪族ジヒドロキシ化合物と反応させることによって自体公知の方法で製造することができる。
【0025】
好ましいジカルボン酸としては、2,6−ナフタリンジカルボン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸又はこれらの混合物を挙げることができる。30mol%まで、特に10mol%以下の芳香族ジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸又は環式脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸及びシクロヘキサンジカルボン酸によって置き換えられていてもよい。
【0026】
脂肪族ジヒドロキシ化合物の中で、2〜6個の炭素原子を有するジオール、殊に1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコール又はこれらの混合物が有利である。
【0027】
特に好ましいポリエステル(A)として、2〜6個のC原子を有するアルカンジオールに由来するポリアルキレンテレフタラートを挙げることができる。前記のポリアルキレンテレフタラートの中で、殊にポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレンテレフタラート及びポリブチレンテレフタラート又はこれらの混合物が好ましい。更に、1,6−ヘキサンジオール及び/又は2−メチル−1,5−ペンタンジオール1質量%まで、有利に0.75質量%までを他のモノマー単位として含有するPET及び/又はPBTが有利である。
【0028】
ポリエステル(A)の粘度数は、一般に50〜220、特に80〜160の範囲内にある(ISO 1628によりフェノール/o−ジクロロベンゼン混合物(25℃で質量比1:1)中の0.5質量%の溶液中で測定)。
【0029】
カルボキシル末端基含有量が100mval/kgポリエステルまで、有利に50mval/kgポリエステルまで、殊に40mval/kgポリエステルまでであるポリエステルが特に有利である。この種のポリエステルは、例えばDE-A 44 01 055に記載の方法により製造することができる。カルボキシル末端基含有量は、通常、滴定法(例えば、電位差滴定)によって測定される。
【0030】
特に有利な成形材料は、成分A)として、PBTとは異なるポリエステル、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)からの混合物を含有する。例えば、ポリエチレンテレフタラートの割合は、有利に混合物中で、A)100質量%に対して50質量%まで、特に10〜35質量%である。
【0031】
更に、有利にPETリサイクル材料(スクラップPETとも言われる)は、場合によってはポリアルキレンテレフタラートとの混合物の形で、PBTと同様に使用することができる。
【0032】
リサイクル材料は、一般に次のものであると解釈される:
1) いわゆる工業的に使用済のリサイクル材料:これは重縮合の際又は加工の際の生産廃棄物、例えば射出成形加工の際のランナー、射出成形加工又は押出の際の初期製品、又は押し出された板またはシートの縁部のばりである。
【0033】
2) 消費者による使用済のリサイクル材料:これは、使用後に最終消費者によって集められ、処理されるプラスチック製品である。量的に極めて優位を占める物品は、ミネラルウォーター、ソフトドリンク及びジュースのためのブロー成形されたペットボトルである。
【0034】
2つの種類のリサイクル材料は、粉砕材料として又は顆粒の形で存在していてもよい。後者の顆粒の形の場合には、管状のリサイクル材料は、分離後及び清浄化後に押出機中で溶融され、顆粒化される。それによって、多くの場合には、さらなる加工段階のための取り扱い、流動性及び配量性が容易となる。
【0035】
顆粒化されたリサイクル材料ならびに粉砕材料として存在するリサイクル材料を使用することができ、この場合最大の一辺の長さは10mmであり、有利に8mm未満であるのが好ましい。
【0036】
ポリエステルは、加工の際に加水分解により分解する(痕跡量の水分による)ので、リサイクル材料を予め乾燥させることが推奨される。乾燥後の残留湿分含有量は、有利に<0.2%、殊に<0.05%である。
【0037】
他の群としては、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する完全芳香族ポリエステルを挙げることができる。
【0038】
芳香族ジカルボン酸としては、既にポリアルキレンテレフタラートで記載された化合物が適している。有利にイソフタル酸5〜100mol%とテレフタル酸0〜95mol%とからなる混合物、殊にテレフタル酸約80%とイソフタル酸20%との混合物〜前記2つの酸のほぼ等量になるまでの混合物が使用される。
【0039】
芳香族ジヒドロキシ化合物は、特に一般式
【化2】

を有し、
上記式中、Zは、8個までのC原子を有するアルキレン基又はシクロアルキレン基、12個までのC原子を有するアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子、又は1個の化学結合を表わし、mは、0〜2の値を有する。この化合物は、フェニレン基にC1〜C6−アルキル基又はアルコキシ基及びフッ素、塩素又は臭素を置換基として有することができる。
【0040】
これらの化合物の代表物として、例えば次のもの
ジヒドロキシジフェニル、
ジ−(ヒドロキシフェニル)アルカン、
ジ−(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、
ジ−(ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ジ−(ヒドロキシフェニル)エーテル、
ジ−(ヒドロキシフェニル)ケトン、
ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、
α,α′−ジ−(ヒドロキシフェニル)−ジアルキルベンゼン、
ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホン、
ジ−(ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、
レゾルシン及び
ヒドロキノン、並びにこれらの環アルキル化された又は環ハロゲン化された誘導体が挙げられる。
【0041】
その中でも、
4,4′−ジヒドロキシジフェニル、
2,4−ジ−(4′−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、
α,α′−ジ−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、
2,2−ジ−(3′−メチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロパン及び
2,2−ジ−(3′−クロロ−4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、
並びに、特に
2,2−ジ−(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ジ−(3′,5−ジクロロジヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ジ−(4′−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
3,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、
4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン及び
2,2−ジ−(3′,5−ジメチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、
又はそれらの混合物が有利である。
【0042】
もちろん、ポリアルキレンテレフタラートと完全芳香族ポリエステルとの混合物が使用することができる。前記混合物は、一般にポリアルキレンテレフタラート20〜98質量%及び完全芳香族ポリエステル2〜80質量%を含有する。
【0043】
もちろん、ポリエステルブロックコポリマー、例えばコポリエーテルエステルを使用することもできる。この種の生成物は、自体公知であり、刊行物中、例えばUS-A 3 651 014中に記載されている。また、相応する製品は市販されていて、例えばHytrel(登録商標)(DuPont)である。
【0044】
ポリエステルとしては、本発明によるハロゲン不含のポリカーボネートである。適当なハロゲン不含のポリカーボネートは、例えば一般式
【化3】

[式中、Qは、単結合、C1〜C8−アルキレン基、C2〜C3−アルキリデン基、C3〜C6−シクロアルキリデン基、C6〜C12−アリーレン基ならびに−O−、−S−又は−SO2−を表わし、mは、0〜2の整数である]のジフェノール系のポリカーボネートである。
【0045】
ジフェノールは、フェニレン基上に置換基、例えばC1〜C6−アルキル又はC1〜C6−アルコキシを有していてもよい。
【0046】
前記式の好ましいジフェノールは、例えばヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサンである。2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン及び1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサンならびに1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンは、特に有利である。
【0047】
ホモポリカーボネートならびにコポリカーボネートは、成分Aとして適当であり、好ましいのは、ビスフェノールA−ホモポリマーの他に、ビスフェノールAのコポリカーボネートである。
【0048】
適当なポリカーボネートは、公知方法で分枝化されていてよく、実際に有利に使用されるジフェノールの合計に対して0.05〜2.0mol%の少なくとも三官能性化合物、例えば3個又は3個より多いフェノール系OH基を有する化合物を導入することによって分枝化することができる。
【0049】
1.10〜1.50、殊に1.25〜1.40の相対粘度ηrelを有するポリカーボネートは、特に好適であることが証明された。これは、10000〜200000g/mol、特に20000〜80000g/molの平均分子量Mw(質量平均値)に相当する。
【0050】
前記一般式のジフェノールは、自体公知であるか又は公知方法により製造可能である。
【0051】
ポリカーボネートの製造は、例えばジフェノールをホスゲンと相界面法により反応させるか又はジフェノールをホスゲンと均一相法(いわゆるピリジン法)により反応させることによって行なうことができ、この場合それぞれ調節すべき分子量は、公知方法で相応する量の公知の連鎖停止剤によって達成される。(ポリジオルガノシロキサン含有ポリカーボネートについては、例えばDE-OS 33 34 782参照)。
【0052】
適当な連鎖停止剤は、例えばフェノール、p−t−ブチルフェノール、他に長鎖状アルキルフェノール、例えばDE-OS 28 42 005に記載の4−(1,3−テトラメチル−ブチル)−フェノール又はDE-A 35 06 472に記載のアルキル置換基中に全部で8〜20個のC原子を有するモノアルキルフェノール又はジアルキルフェノール、例えばp−ノニルフェニル、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチル−ヘプチル)−フェノール及び4−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールである。
【0053】
本発明の範囲内のハロゲン不含のポリカーボネートは、ポリカーボネートがハロゲン不含のジフェノール、ハロゲン不含の連鎖停止剤及び場合によってはハロゲン不含の分枝化剤から形成されていることを意味し、この場合例えば相界面法によるホスゲンを用いてのポリカーボネートの製造から生じる鹸化可能な塩素の二次的ppm量の含有量は、本発明の範囲内でハロゲン含有とは見なすべきではない。鹸化可能な塩素のppm含有量を有するこの種のポリカーボネートは、本発明の範囲内でハロゲン不含のポリカーボネートである。
【0054】
更に、適当な成分A)としては、無定形のポリエステルカーボネートが挙げられ、この場合ホスゲンは、製造の際に芳香族ジカルボン酸単位、例えばイソフタル酸単位及び/又はテレフタル酸単位に置き換えられた。この詳細については、この箇所でEP-A 711 810を参照する。
【0055】
モノマー単位としてシクロアルキル基を有する更に適当なコポリカーボネートは、EP-A 365 916中に記載されている。
【0056】
更に、ビスフェノールAは、ビスフェノールTMCによって置き換えられていてもよい。この種のポリカーボネートは、Bayer社の(登録商標)APEC HTで市販されている。
【0057】
成分B)として、本発明による成形材料は、OH価1〜600、有利に10〜550、特に50〜550mg KOH/gポリカーボネート(DIN 53240、第2部)を有する少なくとも1種の高分枝化又は超分枝化されたポリカーボネートB1)又は成分B2)として少なくとも1種の超分枝化されたポリエステル又はその混合物(後に詳述する)0.01〜50、有利に0.5〜20、特に0.7〜10質量%を含有する。
【0058】
超分枝化されたポリカーボネートB1)とは、本発明の範囲内で構造的ならびに分子的に不均等の、ヒドロキシル基及びカーボネート基を有する架橋されていないマクロ分子であると解釈される。この超分枝化されたポリエステルは、一方でデンドリマーと同様に中心分子から出発して形成されているが、しかし、不均等の鎖長の枝部で形成されていてもよい。前記の超分枝化されたポリエステルは、他方で線状で官能性の側基で形成されていてもよいし、2つの極限の組合せとして線状の分子部分及び分枝された分子部分を有していてもよい。デンドリマー及び超分枝化されたポリマーの定義について、P.J. Flory著, J.Am.Chem.Soc. 1952, 74, 2718及びH. Frey et al.著, Chem. Eur. J. 2000, 6, No.14, 2499をも参照。
【0059】
「超分枝化された(hyperverzweigt)」とは、本発明との関連で、枝分かれ度(Degree of Branching、DB)、即ち1分子当たりのデンドリマーの結合部の平均数+末端基の平均数が10〜99.9%、有利に20〜99%、特に有利に20〜95%であると解釈される。
【0060】
「デンドリマーの」とは、本発明との関連で、枝分かれ度が99.9〜100%であると解釈される。「枝分かれ度」を定義するために、H. Frey et al.著, Acta Polym. 1997, 48, 30が参照され、次式
【数1】

として定義されている。
(この場合、Tは、末端のモノマー単位の平均数を意味し、Zは、分枝したモノマー単位の平均数を意味し、Lは、それぞれの物質のマクロ分子中の線状モノマー単位の平均数を意味する。)
特に、成分B1)は、100〜15000g/mol、特に200〜12000g/mol、殊に500〜10000g/molの数平均分子量Mnを有する(GPC、標準PMMA)。
【0061】
ガラス転移温度Tgは、殊に−80℃〜+140℃、特に−60℃〜120℃である(DSC、DIN 53765による)。
【0062】
殊に、23℃での粘度(mPas)(DIN53019による)は、50〜200000、殊に100〜150000、殊に有利に200〜100000である。
【0063】
成分B1)は、特に少なくとも次の工程を含む方法によって得ることができる:
a) 一般式RO[(CO)]nORの少なくとも1つの有機カーボネート(A)を、少なくとも3個のOH基を有する少なくとも1種の脂肪族、脂肪族/芳香族又は芳香族のアルコール(B)と、アルコールROHを除去しながら反応させて1種以上の縮合生成物(K)にし、この場合Rは、それぞれ互いに無関係に1〜20個のC原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族、芳香族/脂肪族又は芳香族の炭化水素基であり、及び基Rは、環の形成下に互いに結合されていてよく、nは、1〜5の整数を表わすか又は
ab) ホスゲン、ジホスゲン又はトルホスゲンを上記アルコール(B)と、塩化水素を除去しながら反応させ、ならびに
b) 縮合生成物(K)を分子間反応させ、高官能性の高分枝化されたか又は超分枝化されたポリカーボネートにし、
この場合、反応混合物中でのOH基とカーボネートとの量比は、縮合生成物(K)が平均で1個のカーボネート基及び1個より多くのOH基を有するか又は1個のOH基及び1個より多くのカーボネート基を有するように選択される。
【0064】
出発材料として、ホスゲン、ジホスゲン又はトリホスゲンを使用することができ、この場合有機カーボネートが好ましい。
【0065】
出発材料として使用される、一般式RO(CO)nORの有機カーボネート(A)の基Rは、それぞれ互いに無関係に1〜20個のC原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族、芳香族/脂肪族又は芳香族の炭化水素基である。2個の基Rは、環の形成下に互いに結合されていてもよい。脂肪族炭化水素基が有利であり、特に1〜5個のC原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基又は置換又は非置換のフェニル基が有利である。
【0066】
殊に、式RO(CO)nORの簡単なカーボネートが使用され、nは、特に1〜3、殊に1である。
【0067】
ジアルキルカーボネート又はジアリールカーボネートは、例えば脂肪族、芳香脂肪族又は芳香族のアルコール、特にモノアルコールとホスゲンとの反応から製造されてよい。更に、前記カーボネートは、アルコール又はフェノールをCOと貴金属、酸素又はNOxの存在下で酸化カルボニル化することにより製造されてもよい。ジアリールカーボネート又はジアルキルカーボネートの製造法について、"Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry", 第6版, 2000 Electronic Release, Verlag Wiley-VCHも参照。
【0068】
適当なカーボネートの例は、脂肪族、芳香族/脂肪族又は芳香族のカーボネート、例えばエチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート又は1,3−プロピレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ジキシリルカーボネート、ジナフチルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジベンジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、ジデシルカーボネート又はジドデシルカーボネートを含む。
【0069】
nが1より大きいカーボネートの例は、ジアルキルジカーボネート、例えばジ(t−ブチル)ジカーボネート又はジアルキルトリカーボネート、例えばジ(t−ブチルトリカーボネート)を含む。
【0070】
好ましくは、脂肪族カーボネート、殊に基が1〜5個のC原子を含む脂肪族カーボネート、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート又はジイソブチルカーボネートが使用される。
【0071】
有機カーボネートは、少なくとも3個のOH基を有する少なくとも1種の脂肪族アルコール(B)又は2つ以上の異なるアルコールの混合物と反応される。
【0072】
少なくとも3個のOH基を有する化合物の例は、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、トリス(ヒドロキシエタン)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリトリット、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ビス(トリメチロールプロパン)、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌラート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌラート、フロログルシノール(Phloroglucinol)、トリヒドロキシトルエン、トリヒドロキシジメチルベンゼン、フロログルシド(Phloroglucide)、ヘキサヒドロキシベンゼン、1,3,5−ベンゼントリメタノール、1,1,1−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(トリメチロールプロパン)又は糖、例えばグルコース、三官能性又は高官能性のアルコール及び酸化エチレン、酸化プロピレン又は酸化ブチレンをベースとする三官能性又は高官能性のポリエーテロール、又はポリエステロールを含む。この場合には、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリトリット、ならびに酸化エチレン又は酸化プロピレンをベースとするこれらのポリエーテロールが特に好ましい。
【0073】
この多官能性アルコールは、二官能性アルコール(B′)との混合物で使用されてもよく、ただし使用される全てのアルコールの平均OH官能価は2よりも大きい。2個のOH基を有する適当な化合物の例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール及び1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール及び1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、レゾルシン、ヒドロキノン、4,4′−ジヒドロキシフェニル、ビスー(4−ビス(ヒドロキシフェニル))スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)トルエン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ジヒドロキシベンゾフェノン、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン又はその混合物をベースとする二官能性ポリエーテルポリオール、ポリテトラヒドロフラン、ポリカプロラクトン又はジオール及びジカルボン酸をベースとするポリエステロールを含む。
【0074】
ジオールは、ポリカーボネートの特性を細かく調節するために使用される。二官能性アルコールを使用する場合には、二官能性アルコールB′)と少なくとも三官能性のアルコール(B)との比は、当業者によってポリカーボネートの望ましい特性に応じて確定される。一般に、1種又は数種のアルコール(B′)の量は、全てのアルコール(B)と(B′)とが一緒になった全体量に関連して0〜50mol%である。好ましくは、この量は、0〜45mol%、特に有利に0〜35mol%、殊に有利に0〜30mol%である。
【0075】
ホスゲン、ジホスゲン又はトルホスゲンとアルコール又はアルコール混合物との反応は、一般に塩化水素を除去しながら行なわれ、本発明による高官能性の高分枝化されたポリカーボネートへのカーボネートとアルコール又はアルコール混合物との反応は、一官能性アルコール又はフェノールをカーボネート分子から除去しながら行なわれる。
【0076】
本発明による方法により形成された高官能性の高分枝化されたポリカーボネートは、反応後に、即ちさらに変性することなくヒドロキシル基及び/又はカーボネート基で末端形成されている。このポリカーボネートは、種々の溶剤中、例えば水、アルコール、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、アルコール/水混合物、アセトン、2−ブタノン、酢酸エステル、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシエチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネート中で良好に溶解する。
【0077】
高官能性のポリカーボネートとは、本発明の範囲内で、ポリマー骨格を形成するカーボネート基の他に、末端位又は側位にさらに少なくとも3個、有利に少なくとも6個、さらに好ましくは少なくとも10個の官能基を有する生成物であると解釈される。官能基は、カーボネート基及び/又はOH基である。末端位又は側位の官能基の数は、原則として上限はないが、しかし、極めて大きな数の官能基を有する生成物は、望ましくない特性、例えば高い粘度又は悪い溶解性を有する。本発明の高官能性のポリカーボネートは、多くの場合に末端位又は側位の官能基500個以下、有利に末端位又は側位の官能基100個以下を有する。
【0078】
高官能性のポリカーボネートB1)を製造する場合には、OH基含有化合物とホスゲン又はカーボネートとの比を、生じる最も簡単な縮合生成物(以後縮合生成物(K)と言う)が平均で1個のカーボネート基又はカルバモイル基及び1個より多いOH基又は1個のOH基及び1個より多いカーボネート基又はカルバモイル基を含有するように調節することが必要である。この場合、カーボネート(A)とジアルコール又はポリアルコール(B)とからなる縮合生成物(K)の最も簡単な構造は、配置XYn又はYnXを生じ、この場合Xは、カーボネート基を表わし、Yは、ヒドロキシル基を表わし、nは、一般に1〜6、特に1〜4、特に有利に1〜3の数を表わす。この場合、個々の基として生じる反応性基は、以後一般に、"フォーカス基(fokale Gruppe)"と言う。
【0079】
例えば、カーボネートと二価アルコールとからなる最も簡単な縮合生成物(K)を製造する際に反応比が1:1である場合に、平均でXYタイプの分子が生じ、これは一般式1によって具体的に示される。
【化4】

【0080】
カーボネートと三価アルコールとから縮合生成物(K)を製造する際に反応比が1:1である場合に、平均でXY2タイプの分子が生じ、これは一般式2によって具体的に示される。この場合、フォーカス基は、カーボネート基である。
【化5】

【0081】
同様に、カーボネートと四価アルコールとから縮合生成物(K)を製造する際に反応比1:1である場合に、平均でXY3タイプの分子が生じ、これは一般式3によって具体的に示される。この場合、フォーカス基は、カーボネート基である。
【化6】

【0082】
式1〜3において、Rは、冒頭に定義された意味を有し、R1は、脂肪族基又は芳香族基を表わす。
【0083】
更に、一般式4によって具体的に示されるように、縮合生成物(K)の製造は、例えばカーボネートと三価アルコールとから行われ、この場合反応比はで2:1モルである。この場合には、平均でX2Yタイプの分子が生じ、この場合、フォーカス基は、OH基である。式4において、R及びR1は、式1〜3の場合と同じ意味を有する。
【化7】

【0084】
前記成分に付加的に二官能性化合物、例えばジカーボネート又はジオールを添加する場合に、例えば一般式5で具体的に示されているように、鎖の延長が生じる。ここでも、平均でXY2タイプの分子が生じ、この場合、フォーカス基は、カーボネート基である。
【化8】

【0085】
式5において、R2は、有機の、有利に脂肪族の基を表わし、R及びR1は、前記の記載と同様に定義されている。
【0086】
合成のために数種の縮合生成物(K)が使用されてもよい。この場合には、一方で数種のアルコールもしくは数種カーボネートが使用されてよい。更に、使用されたアルコールとカーボネート又はホスゲンとの比を選択することによって、異なる構造の多様な縮合生成物の混合物を得ることができる。これは、カーボネートと三価アルコールとの反応の例につき例示的に詳説される。(II)で示されているように比1:1の出発生成物を使用する場合には、分子XY2を得ることができる。(IV)で示されているように比2:1の出発生成物を使用する場合には、分子XY2を得ることができる。1:1〜2:1の間の比の場合には、分子XY2と分子X2Yの混合物を得ることができる。
【0087】
例示的に式1〜5に記載された簡単な縮合生成物(K)は、本発明の場合に、有利に分子間で高官能性の重縮合生成物(以後重縮合生成物(P)と言う)を形成させながら反応する。縮合生成物(K)及び縮合生成物(P)への反応は、通常、0〜250℃の温度、有利に60〜160℃で塊状又は溶液で行なわれる。この場合には、一般にそれぞれの出発物質に対して不活性である全ての溶剤を使用することができる。有機溶剤、例えばデカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド又はソルベントナフサを使用するのが有利である。
【0088】
有利な1実施態様において、前記縮合反応は、塊状で実施される。反応の際に遊離する一官能性アルコールROH又はフェノールは、反応を促進させるために、蒸留により、場合によっては減圧下で平衡反応系から除去することができる。
【0089】
留去を考慮する場合には、反応の際に140℃より低い沸点を有するアルコールROHを遊離するようなカーボネートを使用することが一般に推奨される。
【0090】
反応を促進させるために、触媒又は触媒混合物が添加されてもよい。適当な触媒は、エステル化反応又はエステル交換反応を触媒する化合物、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、特にナトリウム、カリウム又はセシウムの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、第三アミン、グアニジン、アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物、アルミニウム−、スズ−、亜鉛−、チタン−、ジルコニウム−又はビスマス−有機化合物、さらに例えばDE 10138216又はDE 10147712中に記載されたようないわゆる複合金属シアン化物(DMC)触媒である。
【0091】
特に、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、イミダゾール類、例えばイミダゾール、1−メチルイミダゾール又は1,2−ジメチルイミダゾール、チタンテトラブチラート、チタンテトライソプロピラート、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウラート、ジオクタン酸スズ、ジルコニウムアセチルアセトネート又はその混合物が使用される。
【0092】
触媒の添加は、一般に使用されたアルコール又はアルコール混合物の量に対して50〜10000質量ppm、有利に100〜5000質量ppmの量で行なわれる。
【0093】
更に、適当な触媒の添加ならびに適当な温度の選択によって分子間重縮合反応を制御することも可能である。更に、出発成分の組成及び滞留時間により、ポリマー(P)の平均分子量が調節される。
【0094】
高めた温度で製造された縮合生成物(K)又は重縮合生成物(P)は、室温で通常ではより長い期間にわたって安定である。
【0095】
縮合生成物(K)の性質に基づき、縮合反応から異なる構造を有する重縮合生成物(P)を生じうることが可能であり、この場合この重縮合生成物は、分枝鎖を有するが、しかし、架橋を有しない。更に、重縮合生成物(P)は、理想的な場合にフォーカス基として1個のカーボネート基及び2個より多いOH基を有するか又はフォーカス基として1個のOH基及び2個より多いカーボネート基を有する。この場合、反応性基の数は、使用された縮合生成物(K)の性質及び重縮合度から生じる。
【0096】
例えば、一般式2による縮合生成物(K)は、3回の分子間縮合によって、一般式6及び7で記載される2つの異なる重縮合生成物へ反応させることができる。
【化9】

【化10】

【0097】
式6及び7において、R及びR1は、前記と同様に定義されている。
【0098】
この分子間重縮合反応の停止のために、多様な方法がある。例えば、反応が停止しかつ生成物(K)又は重縮合生成物(P)が貯蔵安定性であるような範囲に温度を低下させることができる。
【0099】
更に、触媒を、塩基性の場合には、例えばルイス酸又はプロトン酸の添加によって失活させることができる。
【0100】
もう1つの実施態様において、縮合生成物(K)の分子間反応に基づき望ましい重縮合度を有する重縮合生成物(P)が存在する場合には、直ちに反応を中断させるために、生成物(P)に(P)のフォーカス基に対して反応性の基を有する生成物を添加することができる。即ち、フォーカス基としてカーボネート基の場合には、例えばモノアミン、ジアミン又はポリアミンを添加することができる。フォーカス基としてのヒドロキシル基の場合には、生成物(P)に例えばモノイソシアナート、ジイソシアナート又はポリイソシアナート、エポキシド基を含有する化合物又はOH基と反応性の酸誘導体を添加することができる。
【0101】
本発明による高官能性ポリカーボネートは、多くの場合に0.1mbar〜20barの圧力範囲、有利に1mbar〜5barでバッチ式、半連続的又は連続的に運転される反応器中又は反応器カスケード中で製造される。
【0102】
反応条件を前記のように調節し、場合によっては適当な溶剤を選択することによって、本発明による生成物は、製造後にさらに精製することなしにさらに加工することができる。
【0103】
もう1つの好ましい実施態様において、生成物は、ストリッピングされ、即ち生成物は、低分子量の揮発性化合物が除去される。そのために、望ましい変換度の達成後に、触媒を場合により失活し、低分子量の揮発性成分、例えばモノアルコール、フェノール、カーボネート、炭化水素又は易揮発性のオリゴマー化合物又は環式化合物を蒸留により、場合によってはガス、特に窒素、二酸化炭素又は空気を導入しながら、場合によっては減圧下で除去する。
【0104】
更に好ましい実施態様において、本発明によるポリカーボネートは、既に反応によって得られる官能基の他に、他の官能基を得ることができる。この場合、この官能化は分子量の増大中にか又はその後で、つまり本来の重縮合の完了後に行なうことができる。
【0105】
分子量の増大前又は分子量の増大中に、ヒドロキシル基又はカーボネート基の他に、他の官能基又は官能性エレメントを有する成分を添加する場合に、ランダムに分布された、カーボネート基又はヒドロキシル基とは異なる官能性を有するポリカーボネート−ポリマーを得ることができる。
【0106】
この種の効果は、例えばヒドロキシル基、カーボネート基又はカルバモイル基の他に、他の官能基又は官能性エレメント、例えばメルカプト基、第一アミノ基、第二アミノ基又は第三アミノ基、エーテル基、カルボン酸の誘導体、スルホン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体、シラン基、シロキサン基、アリール基又は長鎖アルキル基を有する化合物の添加によって重縮合中に達成することができる。カルバメート基での変性のために、例えばエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(シクロヘキシルアミノ)エタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−(2′−アミノエトキシ)エタノール又はアンモニアの高級アルコキシル化生成物、4−ヒドロキシピペリジン、1−ヒドロキシエチルピペラジン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノメタン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン又はイソホロンジアミンを使用することができる。
【0107】
メルカプト基での変性のために、例えばメルカプトエタノールを使用することができる。第三アミノ基は、例えばN−メチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミンまたはN,N−ジメチルエタノールアミンを組み込むことによって製造することができる。エーテル基は、例えば二官能性ポリエーテロールまたは多官能性ポリエーテロールを縮合により組み込むことによって製造することができる。長鎖アルカンジオールとの反応によって、長鎖アルキル基を導入することができ、アルキルジイソシアナート又はアリールジイソシアナートを用いた反応は、アルキル基、アリール基及びウレタン基又は尿素基を有するポリカーボネートを生じさせる。
【0108】
ジカルボン酸、トリカルボン酸、例えばテレフタル酸ジメチルエステル又はトリカルボン酸エステルを添加により、エステル基を形成させることができる。
【0109】
後での官能化は、得られた高官能性の高分枝化されたか又は超分枝化されたポリカーボネートを付加的な処理工程(工程c))で、ポリカーボネートのOH基及び/又はカーボネート基又はカルバモイル基と反応することができる適当な官能化試薬と反応させることにより得ることができる。
【0110】
ヒドロキシル基を含有する高官能性の高分枝化されたか又は超分枝化されたポリカーボネートは、例えば酸基又はイソシアナート基を含有する分子の添加によって変性することができる。例えば、酸基を含有するポリカーボネートは、無水物基を含有する化合物との反応によって得ることができる。
【0111】
更に、ヒドロキシル基を含有する高官能性のポリカーボネートは、アルキレンオキシド、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン又は酸化ブチレンとの反応によって高官能性のポリカーボネート−ポリエーテルポリオールに変換することができる。
【0112】
この方法の大きな利点はその経済性にある。縮合生成物(K)又は重縮合生成物(P)への変換ならびに(K)又は(P)から他の官能基又はエレメントを有するポリカーボネートへの反応は、1つの反応装置中で行なうことができ、これは工業的及び経済的に有利である。
【0113】
成分B2)として、本発明による成形材料は、Axyタイプの少なくとも1種の超分枝化されたポリエステルを含有し、その際、
xは少なくとも1.1、有利に少なくとも1.3、特に少なくとも2であり、
yは少なくとも2.1、有利に少なくとも2.5、特に少なくとも3である。
【0114】
もちろん単位AもしくはBとして混合物も使用することができる。
【0115】
xyのタイプのポリエステルとは、x官能性分子Aとy官能性分子Bとから構成されている縮合物であると解釈される。例えば、分子A(x=2)としてのアジピン酸と分子B(y=3)としてのグリセリンとからなるポリエステルが挙げられる。
【0116】
超分枝化されたポリエステルB2)とは、本発明の範囲内で、構造的ならびに分子的に不均等のヒドロキシル基及びカルボキシル基を有する架橋されていないマクロ分子であると解釈される。この超分枝化されたポリエステルは、一方でデンドリマーと同様に中心分子から出発して形成されていてよいが、しかし、不均等の鎖長の枝部で構成されていることができる。前記の超分枝化されたポリエステルは、他方で、線状の官能性側基でも構成されていることができるか、又は2つの極限の組合せとして線状の分子部分及び分枝された分子部分を有していてもよい。デンドリマーの超分枝化されたポリマーの定義については、P.J. Flory著, J. Am. Chem. Soc. 1952, 74, 2718及びH. Frey et al.著, Chem. Eur. J. 2000, 6, No.14, 2499も参照。
【0117】
「超分枝化された(hyperverzweigt)」とは、本発明との関連で、枝分かれ度(Degree of Branching、DB)、即ち1分子当たりのデンドリマーの結合部の平均数+末端基の平均数が10〜99.9%、有利に20〜99%、特に有利に20〜95%であると解釈される。「デンドリマーの」とは、本発明との関連で、枝分かれ度が99.9〜100%であると解釈される。「枝分かれ度」を定義するために、H. Frey et al.著, Acta Polym. 1997, 48, 30が参照される。
【0118】
成分B2)は、特にGPC、標準PMMA、展開剤のジメチルアセトアミドにより測定された、300〜30000g/mol、殊に400〜25000g/mol、特に有利に500〜20000g/molのMnを有する。
【0119】
特に、B2)は、DIN 53240による0〜600mg KOH/gポリエステル、特に1〜500mg KOH/gポリエステル、殊に20〜500mg KOH/gポリエステルのOH価を有し、ならびに好ましくは、0〜600mg KOH/gポリエステル、特に1〜500mg KOH/gポリエステル、殊に2〜500mg KOH/gポリエステルのCOOH価を有する。
【0120】
は、特に−50℃〜140℃、殊に−50℃〜100℃である(DSCを用いる、DIN 53765による)。
【0121】
少なくとも一方のOH価もしくはCOOH価が0より大きく、特に0.1より大きく、殊に0.5より大きい成分B2)は、殊に有利である。
【0122】
殊に次に記載された方法によって、即ち
(a) 1種以上のジカルボン酸又は1種以上のその誘導体を1種以上の少なくとも三官能性アルコールと、又は
(b) 1種以上のトリカルボン酸又は高級ポリカルボン酸、又は1種以上のその誘導体を1種以上のジオールと、
溶剤の存在で及び場合により無機、有機金属又は低分子量の有機触媒又は酵素の存在でに反応させることにより本発明による成分B2)は得られる。溶剤中でのこの反応は有利な製造方法である。
【0123】
本発明の範囲内の高官能性の超枝分かれされたポリエステルB2)は、分子的及び構造的に不均等である。この高官能性の超枝分かれされたポリエステルは、デンドリマーの分子的な不均等性とは区別され、従って著しく僅かな費用で製造することができる。
【0124】
変法(a)により反応させることができるジカルボン酸には、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン−α,ω−ジカルボン酸、ドデカン−α,ω−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シス−及びトランス−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸並びにシス−及びトランス−シクロペンタン−1,3−ジカルボン酸が属する。
【0125】
その際、上記のジカルボン酸は、次のものから選択される1個以上の基で置換されていてもよい:
1〜C10−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル又はn−デシル、
3〜C12−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシル;有利には、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチル;
アルキレン基、例えばメチレン又はエチリデン、又は
6〜C14−アリール基、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル及び9−フェナントリル、有利にフェニル、1−ナフチル及び2−ナフチル、特に有利にフェニル。
【0126】
置換されたジカルボン酸の例示的な代表例としては、次のものが挙げられる:2−メチルマロン酸、2−エチルマロン酸、2−フェニルマロン酸、2−メチルコハク酸、2−エチルコハク酸、2−フェニルコハク酸、イタコン酸、3,3−ジメチルグルタル酸。
【0127】
更に、変法(a)により変換可能なジカルボン酸には、エチレン系不飽和酸、例えばマレイン酸及びフマル酸ならびに芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸が属する。
【0128】
更に前記代表例の2つ又はそれ以上の混合物を使用することができる。
【0129】
ジカルボン酸はそれ自体として又は誘導体の形で使用することができる。
【0130】
誘導体とは、有利に次のものであると解釈される:
− モノマー又はポリマーの形の該当する無水物、
− モノアルキルエステル又はジアルキルエステル、有利にモノメチルエステル又はジメチルエステル、又は相応するモノエチルエステル又はジエチルエステル、他に高級アルコール、例えばn−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノールから誘導されたモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、
− さらにモノビニルエステル及びジビニルエステルならびに
− 混合されたエステル、有利にメチルエチルエステル。
【0131】
好ましい製造の範囲内で、ジカルボン酸と1種以上のその誘導体とからなる混合物を使用することも可能である。同様に、1種以上のジカルボン酸の多数の異なる誘導体の混合物を使用することも可能である。
【0132】
特に有利に、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸又はこれらのモノメチルエステル又はジメチルエステルが使用される。殊に有利には、アジピン酸が使用される。
【0133】
少なくとも三官能性のアルコールとして、例えば次のものを反応させることができる:グリセリン、ブタン−1,2,4−トリオール、n−ペンタン−1,2,5−トリオール、n−ペンタン−1,3,5−トリオール、n−ヘキサン−1,2,6−トリオール、n−ヘキサン−1,2,5−トリオール、n−ヘキサン−1,3,6−トリオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン又はジ−トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリット又はジペンタエリトリット;糖アルコール、例えばメソエリトリット、トレイトール、ソルビット、マンニット又は前記の少なくとも三官能性のアルコールの混合物。好ましくは、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン及びペンタエリトリットが使用される。
【0134】
変法(b)により変換可能なトリカルボン酸又はポリカルボン酸は、例えば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸ならびにメリット酸である。
【0135】
トリカルボン酸又はポリカルボン酸は、本発明による反応においてそれ自体で又は誘導体の形で使用することができる。
【0136】
誘導体とは、有利に次のものであると解釈される:
− モノマー又はポリマーの形の該当する無水物、
− モノ−、ジ−又はトリアルキルエステル、有利にモノ−、ジ−又はトリメチルエステル又は相応するモノ−、ジ−又はトリエチルエステル、より高級なアルコール、例えばn−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノールから誘導されるモノ−、ジ−及びトリエステル、更にモノ−、ジ−又はトリビニルエステル、
− 並びに混合されたメチルエチルエステル。
【0137】
本発明の範囲内で、トリカルボン酸又はポリカルボン酸と1種以上のその誘導体とからなる混合物を使用することも可能である。同様に、本発明の範囲内で、成分B2)を得るために、1種以上のトリカルボン酸又はポリカルボン酸の多数の異なる誘導体の混合物を使用することも可能である。
【0138】
本発明の変法(b)のためのジオールとして、例えばエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、ペンタン−1,2−ジオール、ペンタン−1,3−ジオール、ペンタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ペンタン−2,3−ジオール、ペンタン−2,4−ジオール、ヘキサン−1,2−ジオール、ヘキサン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘプタン−1,2−ジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサン−ジオール、イノシトール及び誘導体、(2)−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールHO(CH2CH2O)n−H又はポリプロピレングリコールHO(CH[CH3]CH2O)n−H又は前記化合物の2つ以上の代表例の混合物が使用され、この場合nは、整数であり、n=4〜25である。この場合、1個又は2個のヒドロキシル基は、前記ジオール中でSH基によって置き換えられていてもよい。エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオールならびにジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールが有利である。
【0139】
変法(a)及び(b)の場合のAxy−ポリエステル中の分子A対分子Bのモル比は、4:1〜1:4、殊に2:1〜1:2である。
【0140】
前記方法の変法(a)により変換された少なくとも三官能性のアルコールは、それぞれ同じ反応性のヒドロキシル基を有することができる。この場合、OH基が最初に同じ反応性である少なくとも三官能性のアルコールも有利であるが、しかし、少なくとも1個の酸基との反応によって、立体的又は電子的な影響により必然的に残りのOH基において反応性低下が引き起こされる。これは、例えばトリメチロールプロパン又はペンタエリトリットを使用する場合である。
【0141】
しかし、変法(a)により変換された少なくとも三官能性のアルコールは、少なくとも2つの化学的に異なる反応性を有するヒドロキシル基を有していてもよい。
【0142】
この場合、官能基の異なる反応性は、化学的理由(例えば、第1/第2/第3OH基)又は立体的理由に基づくことができる。
【0143】
例えば、トリオールは、第1ヒドロキシル基及び第2ヒドロキシル基を有するトリオールであることができ、好ましい例は、グリセリンである。
【0144】
変法(a)による本発明による反応を実施する場合、有利にジオール及び単官能性アルコールの不在で行われる。
【0145】
変法(b)による本発明による反応を実施する場合、有利にモノ−又はジカルボン酸の不在で行われる。
【0146】
本発明による方法は、特に溶剤の存在で実施される。例えば、炭化水素、例えばパラフィン又は芳香族化合物が適している。特に適当なペラフィンは、n−ヘプタン及びシクロヘキサンである。特に適当な芳香族化合物は、トルエン、オルト−キシレン、メタ−キシレン、パラ−キシレン、異性体混合物としてのキシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、及びオルト−ジクロロベンゼン及びメタ−ジクロロベンゼンである。更に、酸性触媒の不在での溶剤としては、特に、エーテル、例えばジオキサン又はテトラヒドロフラン及びケトン、例えばメチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンが適している。
【0147】
添加された溶剤の量は、本発明によれば、使用された反応させるべき出発材料の質量に対して少なくとも0.1質量%、有利に少なくとも1質量%、特に有利に少なくとも10質量%である。また、使用された反応させるべき出発材料の質量に対して溶剤の過剰量、例えば1.01〜10倍量を使用することができる。使用された反応させるべき出発材料の質量に対して100倍より高い溶剤量は有利ではない、それというのも、反応成分の明らかに低い濃度により反応速度が明らかに低下され、これは経済的でない長い反応時間を引き起こす。
【0148】
本発明による有利な方法を実施するために、反応の開始時に添加される添加剤として、脱水剤の存在下で作業することができる。例えば、モレキュラーシーブ、殊にモレキュラーシーブ4Å、MgSO4およびNa2SO4が適している。また、反応の間に他の脱水剤を添加することもでき、又は脱水剤を新しい脱水剤に交換することもできる。また、反応の間に形成される水もしくはアルコールを留去し、かつ例えば水分離器を使用することができる。
【0149】
この方法は酸性触媒の不在で実施することができる。有利には、酸性の無機、有機金属又は有機の触媒、又は多数の酸性の無機、有機金属又は有機の触媒からの混合物の存在で作業される。
【0150】
本発明の範囲内での酸性の無機触媒としては、例えば硫酸、リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸塩、硫酸アルミニウム水和物、ミョウバン、酸性シリカゲル(pH=6、殊にpH=5)及び酸性酸化アルミニウムを挙げることができる。更に、例えば一般式Al(OR)3のアルミニウム化合物及び一般式Ti(OR)4のチタン酸塩は、酸性の無機触媒として使用可能であり、この場合、基Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、互いに無関係に次のものから選択される:
1〜C10−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル又はn−デシル、
3〜C12−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシル;有利には、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチル。
【0151】
好ましくは、基Rは、Al(OR)3又はTi(OR)4中でそれぞれ同じであり、イソプロピル又は2−エチルヘキシルから選択される。
【0152】
好ましい酸性の有機金属触媒は、例えばジアルキルスズオキシドR2SnOから選択され、この場合Rは、上記の記載と同様に定義されている。酸性の有機金属触媒についての特に好ましい代表例は、いわゆるオキソスズとして市販されているジ−n−ブチルスズオキシドであるか、又はジ−n−ブチルスズジラウラートである。
【0153】
好ましい酸性の有機触媒は、例えばホスファート基、スルホン酸基、スルファート基又はホスホン酸基を有する酸性の有機化合物である。特に好ましいのは、スルホン酸、例えばパラ−トルエンスルホン酸である。また、酸性の有機触媒としての酸性イオン交換体、例えばジビニルベンゼン約2mol%で架橋されているスルホン酸基含有ポリスチレン樹脂を使用することができる。
【0154】
2種以上の前記触媒の組合せ物を使用することができる。また、分散した分子の形で存在する有機又は有機金属又は無機の触媒を固定化された形で使用することも可能である。
【0155】
酸性の無機、有機金属又は有機の触媒を使用することが望ましい場合には、本発明の場合に、触媒0.1〜10質量%、有利に0.2〜2質量%が使用される。
【0156】
本発明による方法は、不活性ガス雰囲気下、即ち例えば二酸化炭素、窒素又は希ガスの下で実施され、この場合その中では、殊にアルゴンを挙げることができる。
【0157】
本発明による方法は、60〜200℃の温度で実施される。有利には、130〜180℃、殊に150℃までの温度又はそれ以下の温度で作業される。最大温度は、特に好ましくは、145℃まで、殊に好ましくは、135℃までである。
【0158】
本発明による方法の圧力条件は、それ自体重要ではない。明らかに減圧された圧力、例えば10〜500mbarで作業することができる。本発明による方法は、500mbarを超える圧力で実施することもできる。簡単であることから、大気圧での反応が有利であるが、しかし、僅かに高めた圧力、例えば1200mbarまでの圧力での実施も可能である。また、明らかに高められた圧力で、例えば10barまでの圧力で作業することもできる。好ましいのは、大気圧での反応である。
【0159】
本発明による方法の反応時間は、通常、10分間〜25時間、有利に30分間〜10時間、特に有利に8時間までである。
【0160】
反応が完了した後に、高官能性の超枝分化されたポリエステルは、例えば触媒の濾別及び濃縮によって簡単に単離することができ、この場合、濃縮は、通常、減圧下で実施される。他の特に適当な後処理方法は、水の添加後の沈殿及び引続く洗浄及び乾燥である。
【0161】
更に、成分B2)は、酵素又は酵素の分解生成物の存在下で製造することができる(DE-A 101 63163による)。本発明により反応されるジカルボン酸は、本発明の範囲内で酸性の有機触媒には属さない。
【0162】
リパーゼ又はエステラーゼの使用が有利である。特に適当なリパーゼ及びエステラーゼは、カンジダ シリンドラケアCandida cylindracea、カンジダ リポリティカCandida lipolytica、カンジダ ルゴサCandida rugosa、カンジダ アンタルクティカCandida antarctica、カンジダ ウティリスCandida utilis、クロモバクテリウム ヴィスコスムChromobacterium viscosum、ゲオルリクム ヴィスコスムGeolrichum viscosum、ゲオトリクム カンジドゥムGeotrichum candidum、ムコル ジャヴァニクスMucor javanicus、ムコル ミヘイMucor mihei、ブタの膵臓pig pancreas、シュードモナス spp. pseudomonas spp.、シュードモナス フルオレスケンスpseudomonas fluorescens、シューモナス ケパキアpseudomonas cepacia、リゾプス アルヒズスRhizopus arrhizus、リゾプス デレマルRhizopus delemar、リゾプス ニヴェウスRhizopus niveus、リゾプス オリザエRhizopus oryzae、アスペルギルス ニゲルAspergillus niger、ペニシリウム ロクエフォルティイPenicillium roquefortii、ペニシリウム カメムベルティイPenicillium camembertii又はバシルス spp. Bacillus spp.及びバシルス テルモグルコシダシウスBacillus thermoglucosidasiusである。特に好ましいのは、カンジダ アンタルクティカCandida antarctica リパーゼBである。記載された酵素は、例えばNovozymes Biotech. Inc.社, デンマーク在から市販されている。
【0163】
好ましくは、前記酵素は、例えばシリカゲル又はLewatit(登録商標)上に固定化された形で使用される。酵素を固定化する方法は、自体公知であり、例えばKurt Faber, "Biotransformations in organic chemistry", 第3版 1997, Springer Verlag, 第3.2章"Immobilization"第345〜356頁の記載から公知である。固定化された酵素は、例えばNovozymes Biotech. Inc.社, デンマーク在から市販されている。
【0164】
固定化されて使用される酵素の量は、全体で使用される変換されるべき出発材料の質量に対して0.1〜20質量%、殊に10〜15質量%である。
【0165】
本発明による方法は、60℃を超える温度で実施される。好ましくは、100℃以下の温度で作業される。好ましいのは、80℃までの温度、特に好ましいのは、62〜75℃、なおいっそう好ましいのは、65〜75℃の温度である。
【0166】
本発明による方法は、特に溶剤の存在で実施される。例えば、炭化水素、例えばパラフィン又は芳香族化合物が適している。特に適当なペラフィンは、n−ヘプタン及びシクロヘキサンである。特に適当な芳香族化合物は、トルエン、オルト−キシレン、メタ−キシレン、パラ−キシレン、異性体混合物としてのキシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、及びオルト−ジクロロベンゼン及びメタ−ジクロロベンゼンである。更に、特に次のものが適当である:エーテル、例えばジオキサン又はテトラヒドロフラン及びケトン、例えばメチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン。
【0167】
添加される溶剤の量は、使用される変換されるべき出発材料の質量に対して少なくとも5質量部、有利に少なくとも50質量部、特に有利に少なくとも100質量部である。10000質量部を超える溶剤の量は、望ましくない、それというのも明らかに低い濃度の場合に反応速度は明らかに低下し、このことは不経済な長い反応時間を引き起こすためである。
【0168】
本発明による方法は、500mbarを超える圧力で実施される。大気圧又は軽度に高められた圧力、例えば1200mbarまでの圧力での反応が有利である。また、明らかに高められた圧力、例えば10barまでの圧力で作業することもできる。好ましいのは、大気圧での反応である。
【0169】
本発明による方法の反応時間は、通常、4時間〜6日間、有利に5時間〜5日間、特に有利に8時間〜4日間である。
【0170】
反応の完了後に、高官能性の超枝分化されたポリエステルは、例えば酵素の濾別及び濃縮によって単離することができ、この場合、濃縮は、通常、減圧で実施される。他の特に適当な後処理方法は、水の添加後の沈殿及び引続く洗浄及び乾燥である。
【0171】
本発明による方法により得られた高官能性の、超分枝したポリエステルは、特にわずかな程度の変色及び樹脂化により優れている。超分枝化されたポリマーの定義については、P.J. Flory著, J. Am. Chem. Soc. 1952, 74, 2718およびA. Sunder et al.著, Chem. Eur. J. 2000, 6, No.1, 108も参照。しかしながら、「高官能性に超分枝化された」とは、本発明との関連で、枝分かれ度(Degree of Branching)、即ち1分子当たりのデンドリマーの結合部の平均数+末端基の平均数が10〜99.9%、有利に20〜99%、特に有利に30〜90%であると解釈される(これについてはH. Frey et al.著, Acta Polym. 1997, 48, 30参照)。
【0172】
本発明によるポリエステルは、500〜50000g/mol、有利に1000〜20000g/mol、特に有利に1000〜19000g/molの分子量Mwを有する。多分散度は、1.2〜50、有利に1.4〜40、特に有利に1.5〜30、殊に有利に1.5〜10である。前記ポリエステルは、通常、良好に溶解性であり、即ち、裸眼でゲル粒子を検出することなく、テトラヒドロフラン(THF)、n−ブチルアセテート、エタノール及び多数の別の溶剤中に本発明によるポリエスエル50質量%まで、若干の場合には、さらに80質量%までを有する透明な溶液を製造することができる。
本発明による高官能性の超分枝化されたポリエステルは、カルボキシ末端、カルボキシ及びヒドロキシ基末端、及び有利にヒドロキシ基末端を有する。
【0173】
成分B1)対B2)の比は、これらが混合物として使用されている場合に、有利に1:20〜20:1、特に1:15〜15:1、特に有利に1:5〜5:1である。
【0174】
使用された超分枝化されたポリカーボネートB1)/ポリエステルB2)は、20〜500nmのサイズを有する粒子である。このナノ粒子は、ポリマーブレンド中に微細に分配され、コンバウンド中の粒子のサイズは20〜500nm、有利に50〜300nmである。
【0175】
この種のコンパウンドは、Ultradur(登録商標) high speedとして市販されている
異なるグラフト共重合体の混合物は、成分C)として本発明による成形材料中に、成分A〜Eの合計に対して1〜60質量%の量で使用される。有利な本発明による成形材料は、ゴム弾性重合体E)とは異なる少なくとも1種のグラフト共重合体C 2〜50、特に有利に3〜40質量%を含有する。
【0176】
このグラフト共重合体Cは、次の成分から構成される:
1) 10℃より低いガラス転移温度を有する、アルキル基中に1〜8個のC原子を有するアルキルアクリラート系のゴム弾性ポリマーからなるグラフト基体20〜80質量%、有利に50〜70質量%、
2) 次の成分からなるグラフト枝部20〜80質量%、有利に30〜50質量%、
21) スチレン又は一般式I
【化11】

[式中、RはC1〜C8−アルキル基、有利にメチル又はエチル、又は水素を表し、R1はC1〜C3−アルキル基、有利にメチル又はエチルを表し、nは、1、2又は3の値を有する]の置換スチレン又はそれらの混合物60〜95質量%、有利に70〜85質量%、及び
22) 少なくとも1種の不飽和ニトリル、有利にアクリルニトリル又はメタクリルニトリル又はこれらの混合物5〜40質量%、有利に15〜30質量%。
【0177】
グラフト基体c1について、ガラス転移温度が10℃より低い、有利に0℃より低い、特に有利に−20℃より低い重合体が挙げられる。これは、例えば、場合により他のコモノマーを含有することができる、アクリル酸のC1〜C8−アルキルエステル系のエラストマーである。
【0178】
有利に、グラフト基体c1は次の成分から構成されている:
11) アルキル基中に1〜8個のC原子を有する少なくとも1種のアルキルアクリラート、有利にn−ブチルアクリラート及び/又は2−エチル−ヘキシルアクリラート、特に単独のアクリラートとしてのn−ブチルアクリラート70〜99.9質量%、有利に99質量%、
12) 他の共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー、例えばブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリルニトリル、メチルメタクリラート又はビニルメチルエーテル又はこれらの混合物0〜30質量%、特に20〜30質量%、
13) 共重合可能な多官能性の、有利に二官能性又は三官能性の、架橋を引き起こすモノマー0.1〜5質量%、有利に1〜4質量%。
【0179】
このような二官能性又は多官能性架橋モノマーc13)として、有利に2個、場合により3個以上の、共重合することができるエチレン性二重結合を含有し、前記二重結合は1,3位置で共役されていないモノマーが適している。適当な架橋モノマーは、例えばジビニルベンゼン、ジアリルマレアート、ジアリルフマラート、ジアリルフタラート、トリアリルシアヌラート又はトリアリルイソシアヌラートである。特に有利な架橋モノマーとして、トリシクロデセニルアルコールのアクリル酸エステルが有利である(DE-A 12 60 135参照)。
【0180】
この種のグラフト基体は自体公知であり、文献、例えばDE-A 31 49 358に記載されている。
【0181】
前記グラフト枝部c2のうち、c21がスチレン又はα−メチルスチレン又はこれらの混合物を表し、c22がアクリルニトリル又はメタクリルニトリルを表すようなグラフト枝部が有利である。有利なモノマー混合物として、特にスチレン及びアクリルニトリル又はα−メチルスチレン及びアクリルニトリルが使用される。前記グラフト枝部は、成分c21とc22との共重合により得られる。
【0182】
グラフト共重合体C)の、成分c11、場合によりc12及びc13から構成されているグラフト基体c1は、ASAゴムとも言われる。この製造は自体公知であり、例えばDE-A 28 26 925、DE -A 31 49 358及びDE A 3414 118に記載されている。
【0183】
グラフト共重合体Cの製造は、例えばDE-PS 12 60 135に記載された方法により行うことができる。
【0184】
グラフト重合体のグラフト枝部(グラフト外皮)の構築は1段階又は2段階で行うことができる。
【0185】
グラフト外皮の1段階での構築の場合には、モノマーc21及びc22の混合物を、95:5〜50:50、有利に90:10〜65:35の範囲内の所望の質量比で、エラストマーc1の存在で自体公知の方法(例えばDE-OS 28 26 925参照)で、有利にエマルション中で重合させる。
【0186】
グラフト外皮c2の2段階での構築の場合には、第1段階は、c2に対して一般に20〜70質量%、有利に25〜50質量%である。その製造のために、有利にスチレン又は置換スチレン又はその混合物(c21)だけを使用する。
【0187】
グラフト外皮の第2段階は、一般にc2に対してそれぞれ30〜80質量%、特に50〜75質量%である。その製造のために、モノマーc21とニトリルc22とからなる混合物は、90:10〜60:40、特に80:20〜70:30のc21/c22の質量比で使用される。
【0188】
このグラフト重合の条件は、有利に50〜700nmの粒子が生じるように選択される(積分質量分布のd50値)。このための手法は公知であり、例えばDE-OS 2826925に記載されている。
【0189】
シードラテックス法により、粗大粒のゴム分散液を直接製造することができる。
【0190】
できる限り強靱な生成物を達成するために、異なる粒径の少なくとも2種のグラフト重合体の混合物を使用するのが頻繁に有利である。
【0191】
これを達成するために、ゴムの粒子は公知のように、例えばアグロメレーションにより増大させるため、このラテックスは双峰性(50〜180nmと200〜700nm)で構成される。
【0192】
有利な実施態様の場合に、50〜180nmもしくは200〜700nmの粒子径(積分質量分布のd50値)2種のグラフト重合体が70:30〜30:70の質量比で使用される。
【0193】
両方のグラフト重合体の化学構造は、粗大粒のグラフト重合体の外皮が特に2段階で構築できるにもかかわらず有利に同じである。
【0194】
前記成分からなる混合物(その際、後者が粗大粒及び微細粒のグラフト重合体を有する)は、例えばDE-OS 3615 607に記載されている。前記成分からなる混合物(その際、後者が2段階のグラフト外皮を有する)はEP A 111 260から公知である。
【0195】
成分Dとして、本発明による成形材料は、成分A〜Eの合計に対して、スチレン又は置換スチレン及び不飽和ニトリルをベースとする少なくとも1種の共重合体0〜60質量%を有する。有利な本発明による成形材料は、成分Dを、成分A〜Eの合計に対して1〜45、特に2〜40質量%の割合で含有する。
【0196】
この共重合体Dは、本発明の場合に、
1) スチレン又は一般式Iの置換スチレン又はこれらの混合物60〜95質量%、有利に70〜85質量%及び
2) 少なくとも1種の不飽和ニトリル、有利にアクリルニトリル又はメタクリルニトリル又はこれらの混合物5〜40質量%、有利に15〜30質量%
から構築されている。
【0197】
この共重合体Dは、樹脂状で、熱可塑性でかつゴム不含である。特に有利な共重合体Dは、スチレンとアクリルニトリルとからなる共重合体、α−メチルスチレンとアクリルニトリルとからなる共重合体又はスチレンと、α−メチルスチレンと、アクリルニトリルとからなる共重合体である。複数の前記のコポリマーを同時に使用することもできる。
【0198】
前記共重合体Dは自体公知であり、ラジカル重合により、特に乳化重合、懸濁重合、溶液重合及び塊状重合により製造することができる。この共重合体は、40〜160の範囲内の粘度数を有し、これは平均分子量Mw(重量平均値)40000〜2000000に相当する。
【0199】
成分E)として、本発明による成形材料は、B)とは異なる、他の添加剤及び加工助剤を0〜60質量%、殊に50質量%まで含有することができる。
【0200】
成分E)として、本発明による成形材料は、10〜40個、有利に16〜22個のC原子を有する飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸と2〜40個、有利に2〜6個のC原子を有する脂肪族飽和アルコール又はアミンとの少なくとも1種のエステル又はアミドを0〜5質量%、特に0.05〜3質量%、殊に0.1〜2質量%含有することができる。
【0201】
カルボン酸は、1価又は2価であってもよい。例としては、ペラルゴン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、マルガリン酸、ドデカン二酸、ベヘン酸及び特に有利にステアリン酸、カプリン酸ならびにモンタン酸(30〜40個のC原子を有する脂肪酸の混合物)が挙げられる。
【0202】
脂肪族アルコールは、1〜4価であることができる。アルコールの例は、n−ブタノール、n−オクタノール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリットであり、この場合には、グリセリン及びペンタエリトリットが好ましい。
【0203】
脂肪族アミンは、1〜3価であることができる。これについての例は、ステアリルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジ(6−アミノヘキシル)アミンであり、この場合には、エチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミンが特に有利である。有利なエステル又はアミドは、相応するグリセリンジステアラート、グリセリントリステアラート、エチレンジアミンジステアラート、グリセリンモノパルミトラート、グリセリントリラウラート、グリセリンモノベヘナート及びペンタエリトリットテトラステアラートである。
【0204】
種々のエステル又はアミド又はエステルとアミドとの混合物は組合せにおいて使用されてもよく、この場合、混合比は任意である。
【0205】
他の通常の添加剤E)は、例えば40質量%まで、特に30質量%までの量で、C)とは異なるゴム弾性のポリマーである(しばしば、耐衝撃変性剤、エラストマー又はゴムとも言われる)。
【0206】
これは一般に有利に次のモノマーの少なくとも2つから構成されているコポリマーである:エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、クロロプレン、ビニルアセテート、スチレン、アクリルニトリル及びアルコール成分中の1〜18個のC原子を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル。
【0207】
この種のポリマーは、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, 第14/1巻(Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961), 第392〜406頁及びC.B. Bucknallの論文,"Toughened Plactcs"(Applied Science Publishers, London, 1977)に記載されている。
【0208】
繊維状又は粒子状の充填剤E)として、炭素繊維、ガラス繊維、ガラス球、アモルファスシリカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、白亜、粉末状石英、雲母、硫酸バリウム及び長石が挙げられ、これらは、50質量%まで、殊に40質量%までの量で使用される。
【0209】
有利な繊維状充填剤としては、炭素繊維、アラミド繊維及びチタン酸カリウム繊維が挙げられ、この場合ガラス繊維は、E−ガラスとして特に好ましい。このガラス繊維は、ロービング又は切断ガラス(Schnittglas)として市販の形で使用されてよい。
【0210】
1:100〜1:2、有利に1:10〜1:3の比でのガラス繊維E)と成分B)との混合物は、殊に有利である。
【0211】
繊維状充填剤は、熱可塑性樹脂とのよりいっそう良好な適合性のためにシラン化合物で表面的に前処理されていてよい。
【0212】
適当なシラン化合物は、次の一般式で示されるかかるシラン化合物である。
【化12】

式中、置換基は、次の意味を有する:
【化13】

nは、2〜10、有利に3〜4の整数であり、
mは、1〜5、有利に1〜2の整数であり、
kは、1〜3、有利に1の整数である。
【0213】
有利なシラン化合物は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシランならびに置換基Xとしてグリシジル基を含有する相応するシランである。
【0214】
シラン化合物は、一般に表面被覆のために(Eに対して)0.05〜5質量%、特に0.5〜1.5質量%、殊に0.8〜1質量%の量で使用される。
【0215】
針状の鉱物質の充填剤も適当である。
【0216】
針状の鉱物質の充填剤は、本発明の範囲内で著しく顕著な針状特性を有する鉱物質の充填剤である。例として、針状の珪灰石が挙げられる。特に、この鉱物は、8:1〜35:1、特に8:1〜11:1のL/D(長さ直径)比を有する。鉱物質の充填剤は、場合によっては前記のシラン化合物で前処理されていてよいが;しかし、前処理は、必ずしも必要ではない。
【0217】
更に、充填剤としては、カオリン、か焼されたカオリン、珪灰石、タルク及び白亜が挙げられる。
【0218】
成分E)として、本発明による熱可塑性成形材料は、常用の加工助剤、例えば安定剤、酸化遅延剤、熱分解に抗する薬剤、紫外線による分解に抗する薬剤、滑剤及び離型剤、着色剤、例えば染料及び顔料、核形成剤、可塑剤等を含有することができる。
【0219】
酸化遅延剤及び熱安定剤のための例としては、熱可塑性成形材料の質量に対して1質量%までの濃度での立体障害フェノール及び/又はホスフィット、ヒドロキノン、芳香族第二アミン、例えばジフェニルアミン、前記群の種々の置換された代表例及びこれらの混合物が挙げられる。
【0220】
一般に成形材料に対して2質量%までの量で使用されるUV安定剤としては、種々の置換されたレゾルシン、サリチレート、ベンゾトリアゾール及びベンゾフェノンが挙げられる。
【0221】
無機顔料、例えば二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄及びカーボンブラック、さらに有機顔料、例えばフタロシアニン、キナクリドン、ペリレンならびに着色剤、例えばニグロシン及びアントラキノンは、着色剤として添加されてよい。
【0222】
核形成剤としては、ホスフィン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素ならびに有利にタルクが使用されてよい。
【0223】
更に、滑剤及び離型剤は、通常、1質量%までの量で使用される。有利な長鎖脂肪酸(例えば、ステアリン酸又はベヘン酸)、その塩(例えば、ステアリン酸Ca又はステアリン酸Zn)又はモンタンワックス(28〜32個のC原子を有する鎖長の直鎖状の飽和カルボン酸からなる混合物)ならびにモンタン酸Ca又はモンタン酸Naならびに低分子量ポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックスである。
【0224】
可塑剤の例としては、フタル酸ジオクチルエステル、フタル酸ジベンジルエステル、フタル酸ブチルベンジルエステル、炭化水素油、N−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミドが挙げられる。
【0225】
本発明による成形材料は、なおフッ素含有エチレンポリマー0〜2質量%を含有することができる。これは、55〜76質量%、特に70〜76質量%のフッ素含有量を有するエチレンの重合体である。
【0226】
このための例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、比較的少ない含有量(一般に50質量%まで)の共重合可能なエチレン系不飽和モノマーを有するテトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンコポリマー又はテトラフルオロエチレンコポリマーである。このフッ素含有エチレンポリマーは、例えばSchildknecht著、"Vinyl and Related Polymers", Wiley-Verlag, 1952, 第484〜494頁及びWall著、"Fluorpolymers"(Wiley Interscience, 1972)に記載されている。
【0227】
このフッ素含有エチレンポリマーは、成形材料中に均一に分布して存在し、有利に0.05〜10μm、殊に0.1〜5μmの範囲内の粒度d50(数平均値)を有する。この僅かな粒度は、特に有利にフッ素含有エチレンポリマーの水性分散液の使用及びポリエステル溶融液中へのフッ素含有エチレンポリマーの混入によって達成することができる。
【0228】
本発明による熱可塑性成形材料は、出発成分を通常の混合装置、例えばスクリュー押出機、ブラベンダーミル、又はバンバリーミル中で混合し、引き続き押し出すことにより、それ自体公知の方法により製造することができる。押出の後に、この押出物を冷却し、粉砕することができる。また、個々の成分は前混合されてよく、次に残りの出発物質を個々に及び/又は同様に混合して添加することができる。混合温度は、一般に230〜290℃である。
【0229】
更に有利な作業法の場合に、成分B)ならびに場合によってはC)/D)/Eをポリエステルプレポリマーと混合し、調製し、顆粒化することができる。引続き、得られた顆粒は、固体相で不活性ガス下に連続的又は非連続的に成分A)の融点より低い温度で望ましい粘度になるまで縮合される。
【0230】
本発明による熱可塑性成形材料は、良好な流動性及び同時に良好な工学特性を示す。
【0231】
殊に、個々の成分の加工は(粘結又は焼き付きなしで)問題なく、短いサイクル時間で可能であるため、殊に薄壁の構造部材が適用として挙げられる。
【0232】
流動性が改善されたポリエステルの使用は、ほとんど全部の射出成形の適用において考えられる。この流動性の改善は比較的低い溶融温度を可能にし、従って射出成形プロセスの全体のサイクル時間が明らかに短縮される(射出成形品の製造コストの低下)。更に、加工の間に比較的低い射出成形圧力が必要なだけであるため、射出成形金型の比較的低い全体の閉鎖力が必要なだけである(射出成形機における比較的低い投資コスト)。
【0233】
この射出成形プロセスの改善の他に、溶融粘度の低下は本来の部品造形において特に有利である。例えば今まで充填されたポリエステルタイプを用いて実現できなかった薄壁の適用も射出成形によって製造することができる。これと同様に、生じる適用において、強化されているが容易に流動するポリエステルタイプの使用により、壁厚の低減及びそれによる部材重量の軽減が考えられる。
【0234】
前記部材は、全ての種類の繊維、シート及び成形品の製造、殊にリア部材(Hecker)、スイッチ、ケーシング部材、ケーシング蓋、ヘッドライト背景部(ベゼル)、噴射ノズル、装備品(Amaturen)、アイロン、回転型スイッチ、レンジ用スイッチボタン、フライ器の蓋、ドアグリップ、(バック)ミラーケーシング、(リア)ウィンドーのガラス用ワイパー、光導波路用外被としての使用に適している。
【0235】
E/E領域において、流動性が改善されたポリエステルを用いて、コネクタ、コネクタ部材、コネクタバインダ、ワイヤハーネスコンポーネント、スイッチ支持部、スイッチ支持部コンポーネント、三次元射出成形スイッチ支持部、電気接続エレメント、メカトロニクスコンポーネント又はオプトエレクトロニクス部材を製造できる。
【0236】
自動車室内では、ダッシュボード、ステアリングコラムスイッチ、シート部、ヘッドレスト、センタコンソール、ギヤコンポーネント及びドアモジュールのために使用することができ、自動車室外では、ドアグリップ、フロントヘッドライトコンポーネント、サイドミラーコンポーネント、グリル、ルーフレール、サンルーフフレーム並びにボディ外側部のために使用することができる。
【0237】
台所領域及び家庭領域のために、前記の流動性が改善されたポリエステルは、台所用品のコンポーネント、フライ器(Frituse)、アイロン、ボタンの製造のため、並びに園芸−余暇領域では、例えば灌漑システム又は園芸用品のためのコンポーネントの製造のために使用することができる。
【0238】
医療技術の分野において、吸入器ハウジング及びそのコンポーネントを、流動性が改善されたポリエステルにより簡単に実現することができる。
【0239】
透過型電子顕微鏡により、選択されたコンパウンドのモルホロジーを調査した。ブレンド中での粒子の良好な分散が示された。20〜500nmの粒子サイズが観察された。
【0240】
実施例
成分A/1:
粘度数VZ 130ml/g及びカルボキシル基含有量 34mva/kgを有するポリブチレンテレフタラート(BASF AG社のUltradur(登録商標) B 4500)(VZはフェノール/o−ジクロロベンゼンからなる0.5質量%の溶液中で測定)、25℃で1:1混合物。
【0241】
成分A/2:
粘度数VZ 74.5ml/gのポリエチレンテレフタラート
ポリカーボネートB)のための製造規定
一般的な作業規定:
撹拌機、還流冷却器及び内部温度計を備えた三口フラスコ中で第1表の記載により多価アルコールを等モル量でジエチルカーボネートと混合し、触媒250ppm(アルコール量に対して)を添加した。引続き、この混合物を撹拌しながら100℃に加熱し、*で示された試験の場合には、140℃に加熱し、この温度で2時間撹拌した。この場合には、反応時間の経過と共に、反応混合物の温度は、遊離されたモノアルコールの使用される蒸発冷却によって低下する。更に、還流冷却器を降下型冷却器と交換すると、エタノールが留去され、反応混合物の温度は、徐々に160℃にまで上昇した。
【0242】
留去されたエタノールを冷却された丸底フラスコ中で捕集し、計量し、こうして理論的に可能な完全転化率に対して転化率を百分率で測定した(表1参照)。
【0243】
引続き、反応生成物をゲル透過クロマトグラフィーにより分析した。展開剤はジメチルアセトアミドであり、標準としてポリメチルメタクリラート(PMMA)を使用した。
【0244】
表1:
【表1】

【0245】
成分B2):
表2:
【表2】

【0246】
製造B2:
テレフタル酸ジメチルエステル1589g(8.19mol)及びグリセリン628g(6.83mol)を、撹拌機、内部温度計、ガス導入管、還流冷却器及び冷却トラップを備えた真空接続部を装備した5Lのフラスコ中に装入した。Fascat(登録商標)4201として市販のジ−n−ブチルスズオキシド4.4gを添加し、油浴を用いて140℃の内部温度に加熱した。50ミリバールの減圧下に置き、反応時に形成された水を分離した。この反応混合物を記載された温度及び記載された圧力で34時間維持した。引き続き室温に冷却し、超分枝化されたポリエステル1750gが、透明で極めて粘性の液体として得られた。分析データは、表2中に記載されている。
【0247】
成分C):
コア/外皮の比60:40のグラフト重合体;この場合コアは
n−ブチルアクリラート 98質量%と
ジシクロペンタジシルアクリラート 2質量%とから構成され、及び
外皮は
スチレン 75質量%と
アクリルニトリル 25質量%とから構成されている。
【0248】
成分D):
スチレン67質量%とアクリルニトリル33質量%とからなる、DIN53726によりDMF中の0.5質量%溶液として23℃で測定して80ml/gのVZを有するSANコポリマー。
【0249】
成分E/1:
平均直径10μmのガラス繊維。
【0250】
成分E/2:
ペンタエリトリットテトラステアラート
成形材料の製造
成分A)〜E)を二軸スクリュー押出機で250〜260℃で混合し、水浴中に押し出した。顆粒化及び乾燥の後、射出成形装置で試験体を射出し、試験した。
【0251】
この顆粒を、ISO527−2による肩付き試験片の形に射出成形し、引張試験を実施した。更に、ISO179−2により衝撃強さを測定し、粘度(DIN53728によるPST用の溶剤 フェノール/1,2−ジクロロベンゼン(1:1)ISO1628)、MVR(ISO1133)並びに流動性を試験した。
【0252】
本発明による組成物及び測定の結果を表3に記載した。
【0253】
表3:
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分
A) 少なくとも1種の熱可塑性ポリエステル10〜98.99質量%、
B)
B1) OH価1〜600mg KOH/gポリカーボネート(DIN53240,第2部)の少なくとも1種の高分枝化又は超分枝化されたポリカーボネート、又は
B2) タイプAxy(式中、xは少なくとも1.1、yは少なくとも2.1)の少なくとも1種の高分枝化又は超分枝化されたポリエステル
又はそれらの混合物0.01〜50質量%、
C) 次の成分
1) アルキル基中で1〜8個のC原子を有しかつ10℃より低いガラス転移温度を有するアルキルアクリラート系のゴム弾性のポリマーからなるグラフト基体20〜80質量%
2) 次の成分からなるグラフト枝部20〜80質量%
21) スチレン又は次の一般式I:
【化1】

[式中、Rは1〜8個のC原子を有するアルキル基又は水素原子を表し、R1は1〜8個のC原子を有するアルキル基を表し、nは1、2又は3の値を表す]の置換スチレン60〜95質量%
22) 少なくとも1種の不飽和ニトリル5〜40質量%
から構成された少なくとも1種のグラフト重合体1〜60質量%
D) 次の成分
1) スチレン又は一般式Iの置換スチレン又はこれらの混合物60〜95質量%
2) 少なくとも1種の不飽和ニトリル5〜40質量%
からなる共重合体0〜60質量%
E) 他の添加剤0〜60質量%、
この場合、成分A)〜E)の質量%の合計は、100%となる
を有する熱可塑性成形材料。
【請求項2】
成分B1)は、100〜15000g/molの数平均分子量Mnを有する、請求項1記載の熱可塑性成形材料。
【請求項3】
成分B1)は、−80℃〜140℃のガラス転移温度Tを有する、請求項1又は2記載の熱可塑性成形材料。
【請求項4】
成分B1)が23℃での粘度(mPas)50〜200000(DIN53019による)を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項5】
成分B2)は、300〜30000g/molの数平均分子量Mnを有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
【請求項6】
成分B2)は、−50℃〜140℃のガラス転移温度Tを有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
【請求項7】
成分B2)は、OH価(DIN 53240による)0〜600mg KOH/gポリエステルを有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項8】
成分B2)は、COOH価(DIN 53240による)0〜600mg KOH/gポリエステルを有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項9】
成分B2)は、少なくとも1つのOH価又はCOOH価が0より大きい、請求項1から8までのいずれか1項に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項10】
成分B1):B2)の比が1:20〜20:1である、請求項1から9までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
【請求項11】
A) 30〜97.99質量%
B) 0.01〜50質量%
C) 1〜60質量%
D) 1〜45質量%
を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
【請求項12】
全ての種類の繊維、シート及び成形品を製造するための請求項1から11までのいずれか1項に記載の熱可塑性成形材料の使用。
【請求項13】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の熱可塑性成形材料から得ることができる、全ての種類の繊維、シート及び成形品。

【公表番号】特表2008−509262(P2008−509262A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525223(P2007−525223)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008341
【国際公開番号】WO2006/018128
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】