説明

ATM警報処理方式

【課題】本発明はITU−Tの勧告I.610に準拠したセグメントVP−AISセルを用い,ATMネットワークのVPセグメント内の故障の管理を行うATM警報処理方式に関し,VPセグメントの内か外かを各伝送装置の各VPに対応して簡単に設定して,VPセグメントの故障表示信号セルを簡単に転送させることを目的とする。
【解決手段】ネットワーク管理装置は,ネットワーク内の伝送装置に対して,VPIに対象となるVPI値を含み,情報領域にセグメントVP−AISセルの転送を行うか否かの設定情報が格納された特定セルをVPセグメントを構成する伝送装置に投入し,VPセグメントを構成する各伝送装置は,特定セルを検出すると情報領域の前記設定情報を保存して,当該特定セルをセグメントの終端へ達するまで後段の伝送装置へ順次転送するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はITU−Tの勧告I.610に準拠したセグメントVP−AISセルを用い,ATMネットワークのセグメント内の伝送路故障の管理を行うATM警報処理方式に関する。
【0002】ATMネットワークでは,ネットワーク全体を管理する装置があり,その管理装置からネットワーク内の全ての装置に対して直接各種の設定,例えば,各接続点がバーチャルパスVP(またはバーチャルチャネルVC)接続のどのセグメントの区間内,または始端,終端であるか等の設定を行っていたが,このような設定をネットワークの全ての装置に対して行うには手間と時間がかかるためにその改善が望まれている。
【0003】
【従来の技術】ITU−Tの勧告のI.610は「B-ISDN OPERATION AND MAINTANANCE PRINCEPLES AND FUNCTIONS 」に関するもので,それによれば,OAM(0peration And Maintenance:操作・保守)の階層レベルに対する,物理レイヤとATMレイヤの関係は図8のようになる。すなわち,物理レイヤはF1(リジェネレータ・セクション・レベル),F2(ディジタル・セクション・レベル),F3(トランスミッション・パス・レベル)の3つに分かれ,ATMレイヤはF4(バーチャルパス・レベル:VP)とF5(バーチャルチャネル・レベル:VC)の2つのレベルに分かれ,各レベルに対応した終端点(エンドポイント)を備え,対応するレベルの接続ポイントを備える。
【0004】図9はセグメント構成の例を示し,図9のA.は2つのVC(バーチャルチャネル)スイッチ1,2(VCswitch1,VCswitch2)の間にVPクロスコネクト(VPcross-connect : VPCと呼ばれる)が設けられた構成である。この例では,2つのVCスイッチ1,2の内部側の終端の間にVCC(VC Connection)セグメントが設けられ,VPクロスコネクトVPCの両端の間にVPC(VPConnection)セグメントが設けられている。
【0005】図9のB.は2つのVPクロスコネクト1,2(VPcross-connect 1,VPcross-connect 2)の外部側の終端の間にVPCセグメントAが設けられ,VPクロスコネクト2(VPcross-connect 2)の右端の終端とVPクロスコネクト3(VPcross-connect 3)の左側の端子の間にVPCセグメントBが設けられ,VPクロスコネクト3(VPcross-connect 3)の左端とVCスイッチ(VCswitch) との間にVPCセグメントCが設定されている。
【0006】F4レベル(VP)において,OAMに使用される“ユーザセル”は,VCIの値が特定の値を取るよう決められており,図10にその値を示す。また,F5レベル(VC)において“ユーザセル”は,OAMセルがユーザセルと同じVCI/VPIの値をとり,図1111に示すようにPTI(Payload Type Identifier:ペイロードタイプ識別子) の特定の値によりOAMセルであることを表す。
【0007】図12にOAMの流れの構成の例であり,最上段に示す伝送のための配置に対し,物理レイヤ(F1,F2レベルの各セクションとF3レベルのトランスミッションパスが構成される)とATMレイヤが構成される。この例では,F4レベルのVPC−OAMが,VPI1,VPI2,VPI3に流れ,PTI(ペイロードタイプ識別子)によりF5レベルであることを示すVCC−OAMセルVCI1とVCI2が流れる。
【0008】ATMレイヤのOAMセルのフォーマットは全てのOAMセルに共通するフィールドを備え,非使用の共通及び特定フィールドの符号化の原則は,非使用OAMセル情報フィールドのオクテッドは「01101010」(6AH)にコード化され,非使用OAMセル情報フィールドのビット(不完全なオクテッド)はオール“0”に符号化される。
【0009】ATMレイヤにおけるOAM機能の一つにVP−AIS(VP-Alarm Indicating Signal:VP警報表示信号)セルの発生がある。この信号は,VPレベルでVPC障害を検出したVP接続ポイント(例えば,ATMクロスコネクト)から生成して,下流の全ての関連する駆動されたVPコネクションのトランスミッションの終端(termination)に送られる。VP−AISセルは障害が検出されると直ちに発生して後段へ伝送されて当該VPの障害が通知され,VPレベルのセル転送能力が中断したことを示すため障害の間は周期的に送信される。VP−AISセルの発生周期は通常1秒間に1セルである。
【0010】従来のATMの伝送装置ではネットワーク全体を管理する管理装置があり,その管理装置からネットワーク内の全ての装置に対して直接各種の設定を行っていた。従って,VPのセグメント内を転送するセグメントVP−AISセルの転送のように,伝送路のあるセグメント区間内だけで警報セルの生成を行い,その区間外(セグメント区間外)ではその警報セルの生成や転送を行わないような場合,そこがセグメント内かセグメント外か(またはセグメントVP−AISセルの生成点か否か)の設定をネットワーク内の全ての装置の各VPに対して行わなければならなかった。なお,VPのセグメントはネットワーク管理者により設定でき,ユーザとの間で区切ったり,更に光ファイバ単位で区切ったり,一定の伝送装置(クロスコネクトや,スイッチング部等を含む装置)毎に区切る場合もある。このようなセグメント内では,セグメントOAMセルはセグメント内で生成して処理されて,セグメントの終端点でそのようなセルは廃棄される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記したように,VPセグメントはその開始点,終端点,VPセグメント内であるか,VPセグメント外であるかの設定(登録)の管理を,ネットワーク内の各装置の各VP(バーチャル・パス)毎に行わなければならなかった。すなわち,各伝送装置毎に多数のVP(VPIは4096個まで設定可能)を設けることができ,ネットワークが大規模化するとその管理を行うことが負担になるという問題があった。
【0012】また,あるVPパスに対してVPセグメントを設定した場合(またはVPセグメントを解除した場合),VPセグメント内かVPセグメント外かの設定をネットワークの端から端まで,各装置のVPパス管理情報として設定しなければならないため,あるVPパスが経由する装置が増えると,経由する全ての装置に設定を行わなければならない。そのため,設定自体が多大の作業となり負担が大きいという問題があった。
【0013】なお,上記のVPパスのセグメントに関する問題は,VC(バーチャル・チャネル)のチャネルのセグメント(VCセグメント)についても同様に発生していた。
【0014】本発明はVPセグメントの内か外かを各伝送装置の各VPに対応して簡単に設定して,VPセグメントの故障表示信号(セグメントVP−AIS)を転送するための設定を簡易化することができるATM警報処理方式を提供することを目的とする。また,本発明はVPパス管理情報の設定を簡単に行うことができることを他の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理構成を示す図である。1はネットワーク管理装置,1aはセグメント端設定部,1bはセグメント内設定用特定セル生成部,2−0〜2−(n−1)はn個のATMの伝送装置,2aは始端設定部,2bは終端設定部,2cは特定セル検出セグメント設定部,3は伝送路,4は特定セルである。
【0016】最初にネットワーク管理装置1から,セグメントの始端の伝送装置2−0と終端の伝送装置2−(n−1)に対してそれぞれVPセグメントの始端と終端であることを設定する情報を供給する。これにより,伝送装置2−0と2−(n−1)のセグメント端設定部2a,2bにVPに対応してそれぞれセグメント始端とセグメント終端が設定される。また,ネットワーク管理装置1からセグメント内設定用特定セル生成部lbからセグメントの始端である伝送装置2−0に対しセグメント内設定用特定セルを入力すると,伝送装置2−0を介して伝送装置2−1へ伝送されて,順次セグメント内を伝送され,セグメントの終端の伝送装置2−(n−1)に至り,そこで特定セルは廃棄される。
【0017】この特定セルが通過する時,各伝送装置2−1,2−2,・・・2−(n−1)では,特定セルの情報フィールドに格納された各VPIに対してセグメント内であるとして設定される。このようにVPについたセグメントが設定された後,セグメント内のVPに障害が発生すると,VPが障害になったことを通知するためのセグメントVP−AISセルを発生する。この場合,セグメントVP−AISセルは後方の各伝送装置に順番に伝送され各伝送装置において設定されたVPが障害であることを通知され,セグメントの終端の伝送装置2−(n−1)まで送られて,終端においてこのセグメントVP−AISセルは廃棄される。
【0018】なお,この説明ではVPのセグメントの例であるが,VCのセグメントについても同様の原理によりVCセグメントの始端,終端の設定や,セグメント内の設定を行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】図2はVPセグメントの開始点と終端点の設定の説明図である。図中,1はネットワーク管理装置,2はATMの伝送装置であり,装置A〜装置Eで表す。
【0020】この図2の構成の例では,装置A〜装置Eが一つのVPセグメントを構成し,ネットワーク管理装置1から装置Aに対しVPセグメント開始点の設定情報を送り,装置Eに対しVPセグメント終端点の設定情報を送る。この場合,VPの値に対応した始端,終端の装置へ送信される。これにより装置AはVPに対応してセグメントの始端を表す情報がメモリに設定され,装置Eは同じくVPに対応してセグメントの終端を表す情報がメモリに設定される。
【0021】この時,装置B〜装置Dに対してはネットワーク管理装置1から何の設定も行わない。VPセグメントの開始点と終端点の設定を行った後に,セグメントVP−AISセルの警報転送設定情報を記載したVPセグメントのOAMセル(後述する図4に示す)をVPセグメントの開始点である装置Aから,VPセグメント内の方向に向けて挿入する。このOAMセルは,装置Aから装置B〜装置EとVPI変換されながら転送されて行き,VPセグメントの終端点設定がなされた装置Eに到達すると,廃棄される。このVPセグメントの終端点において,VPセグメントのOAMセルを廃棄する機能は,上記ITU−Tの勧告I.610に規定されている機能である。
【0022】本発明では,セグメントVP−AISセルの警報転送設定情報を記載したセルに,このVPセグメントのOAMセルを使用することによって,セグメントVP−AISセルの警報転送設定情報を記述したセルがネットワーク内のVPセグメント外に転送されてしまうことを防ぐことができる。また,VPセグメントの端にあたる装置A及び装置Eで伝送路故障が発生した場合に,セグメントVP−AISセルを転送するかしないかという問題は,ネットワークの構成及び設計に依存し,何れでもよい。
【0023】また,通常ネットワーク内においてVPは上りと下りの双方向設定されるので,装置EをVPセグメントの開始点,装置AをVPセグメントの終端点として逆方向にも同様の処理が行われることになる。
【0024】さらに,ネットワーク内で既に規定されていたVPセグメントを解除する場合には,VPセグメントを解除する前に,セグメントVP−AISセルの警報転送を停止する設定を記述したが,セグメントVP−AISセルの警報転送設定用のセルをVPセグメントの開始点から挿入する。図2の構成では,このセルが装置Aから装置Eまで転送されていくことにより,伝送路故障発生時に,各装置の該当VPでセグメント部VP−AISセルの警報転送を行わないよう設定される。この場合も,VPセグメントのOAMセルであるので,このセルはVPセグメントの終端点である装置Eで廃棄される。また,上記と同様に逆方向のVPパスに対してもセグメントVP−AISセルの警報転送の停止設定を行う。セグメントVP−AISセルの警報転送の停止設定を記述したセルを流して,セグメントVP−AISセルの警報転送の停止設定を行った後,ネットワークの管理装置から,装置A及び装置Bに対して,そのVPのVPセグメントの解除設定を行うことにより,VPセグメント内でない装置からセグメントVP−AISセルが警報転送されないようにすることができる。
【0025】図3はVPセグメントのOAMセルの伝送の構成図,図4はVPセグメントのOAMセルのフルフォーマットを示す。図3において,1,2は上記図2と同様であり,1はネットワーク管理装置,2はATMの伝送装置であり,装置A〜装置Dで表す。図3の複数のATMの伝送装置である装置A〜装置Dは上記図2の構成により予め装置AがVPセグメントの始端として設定され,図3には図示省略された装置Eが終端として設定されているものとする。
【0026】この装置Aに対してネットワーク管理装置1からVPセグメント設定のOAMセルを伝送する。このVPセグメントのOAMセルのフォーマットを図4に示す。このVPセグメントのOAMセルのフォーマットは,VPIには対象VPのVPI値(図の例では“001h”(hは16進表示)),VCIにはVPセグメントのOAMセルであることを示す値(“0003h”),PTIは“000b”(bはビットを表す),CLPは“0b”とする。但し,VPI値は各装置の設定に従って,変換されながらネットワークの中を転送されていく。なお,VPセグメントのOAMセルは,各VPI(0〜4096まで)に対して設定する。
【0027】なお,VCセグメントを設定するためのOAMセルは,PTI(Payload TypeIdentifier)を特定の値にすることにより表示する。この図4の例では,VPセグメントのOAMセルを図3の装置Aに入力すると,入力されたセルのVPI値は“001h”から“002h”に変換して転送する。装置Bは,入力されたセルのVPI値を“002h”から“003h”に変換して転送する。装置Cは,入力されたセルのVPI値を“003h”から“004h”に変換して転送する。装置Dは,入力されたセルのVPI値を“004h”から“005h”に変換して転送する。この転送時に,このセルの情報領域に記述した内容が各装置に設定される。この設定情報は,VPに対応したセグメントの内(または外)であることを設定する情報とすることができる。
【0028】また,この設定情報として,伝送路故障が発生した時に,伝送路に収容されるVPで,セグメントVP−AISセルの警報転送を行うか,行わないかの設定を情報領域(ATMセルのヘッダより後のペイロード部)に記述したセルを,ネットワーク管理装置1から装置Aに挿入する。その場合,装置Aに挿入されたセグメントVP−AISセルの警報転送設定情報を設定したセルは,各伝送装置でVP変換されながら,装置Aから装置Dまで流れていく。各伝送装置では,そのセルの検出機能を持ち,あるVPでそのセルを検出した場合には,そのセルの情報領域に記述された,セグメントVP−AISセルの警報転送設定の情報にしたがって,伝送路故障が発生した時に,伝送路の下流に向けてセグメントVP−AISセルを転送したり,しなかったりの処理を行う。
【0029】図5は伝送装置の実施例の構成である。図5R>5において,30はヘッダ検出回路,31は情報領域一致比較回路,32はRAM制御回路,33はセグメントVP−AISセル警報転送設定メモリ(RAMで構成)である。各伝送装置は,セグメントVP−AISセルの警報転送設定情報を情報領域に記述したセルの検出ブロック及び,その情報をVPI毎に管理する管理ブロックを持つ。
【0030】まず,ヘッダ検出回路30では,到着セルのVCI値がVPセグメントのOAMセルを表す値である“0003h”と比較して一致を検出すると,そのセルをVPセグメントのOAMセルと識別する。また,予めセグメントVP−AISセルの警報転送設定用のセルと識別できるように,そのOAMセルの情報領域(ペイロード部)の一部,または全部を定義しておき,到着セルがそのパターンと一致するかどうかの比較を情報領域一致比較回路31において行う。
【0031】到着セルがVPセグメントタイプのOAMセルで,且つセグメントVP−AISセルの警報転送設定用のセルと識別された場合は,RAM制御回路32は,警報設定用の情報を,到着セルのVPI値毎にそれぞれセグメントVP−AISセル警報転送設定メモリ33に書き込んで,各VPI毎にセグメントVP−AISセルの警報転送設定の管理を行う。
【0032】例えば,セグメントVP−AISセルの警報転送設定の情報として,“1”の場合は警報転送し(セグメント内),“0”の場合は警報転送しない(セグメント外)と定義した場合,到着セルのVPIが“002h”で,且つセグメントVP−AISセルの警報転送設定用のセルで,セグメントVP−AISセルの警報転送設定が“警報転送する”であれば,VPI=“002h”に該当するセグメントVP−AISセル警報転送設定メモリ33のRAMデータに“1”が書き込まれることになる。
【0033】次に図6は伝送装置におけるセグメントVP−AISセル生成のための構成である。図6において,33は上記図5と同様にセグメントVP−AISセル警報転送設定メモリ,34は伝送路故障検出部,35はセグメントVP−AISセル生成部,36はアイドルセル検出部,37はセレクタ(SELで表す)である。
【0034】この伝送装置の伝送路において,伝送路故障(LOS:Loss Of SignalまたはLOF:Loss Of Frame など) が発生した場合,伝送路故障状態通知信号によって,伝送路故障検出部34から,セグメントVP−AISセル生成部35に対して,伝送路故障が発生したことが通知される。この伝送路故障の発生通知をトリガとして,セグメントVP−AIS生成部35では,各VPに対して1秒間に1つのセグメントVP−AISセルの生成を開始する。この時,セグメントVP−AISセル生成部35は,該当VPIのセグメントVP−AISセル警報転送メモリの情報を読み出し,警報転送設定が“生成する”の場合は,そのVPIのセグメントVP−AISセルを,主信号からアイドルセル検出部36でアイドルセル(空きセル)を検出すると,そのタイミングで挿入するようセレクタ37を挿入制御する出力を発生する。また,警報転送設定が“生成しない”の場合は,セグメントVP−AISセルを挿入せずに,次のVPIの処理に移る。この処理を1秒間にVPI=0から4095まで行うことによって,セグメントVP−AISセルの警報転送処理が行われる。
【0035】図7はVP−AISセルの警報転送の設定情報を搭載したVPセグメントタイプのOAMセルのフォーマットの例を示す。この構成は,ITU−Tの勧告I.610に準拠した起動(Activation) /停止(Deactivation)セルを使用している。
【0036】図7に示すように,1バイト目から5バイト目までのヘッダ領域は,上記図4と同様に,VPIには対象VPのVPI値(図3の例では“001h”),VCIにはVPセグメントのOAMセルであることを示す値(“0003h),PTIは“000b”,CLPは“0b”とする。
【0037】図7のセルの6バイト目から53バイト目までの情報領域は次の通りとする。6バイト目の前半は,OAMセルの種別を表すコード値となる。OAMタイプは起動/停止セルを表す“1000b”とする。6バイト目の後半の4ビットのFunction Type (機能タイプ)は,現在定義されていない値で,例えば“1000b”とする。7バイト目のメッセージ(Message )IDは,セグメントVP−AISの警報転送設定で“警報転送する”の場合は,“000001b”(activate) とする。メッセージIDの隣の2ビットは,未使用のため“00b”とする。9バイト目は未使用のため“00h”とする。10バイト目から51バイト目は未使用のため“6Ah”とする。52バイト目の上位6ビットは“000000b”,下位2ビットと53バイト目の8ビットは合わせて誤り検出符号(EDC:Error Detection Code) となる。この誤り検出符号により演算を行うことで,エラー検出を行う。なお,4ビットのFunction Type のコード値は,現在ITU−Tの勧告I.610で定義されている以外の値を定義すればよいので,“1000b”に限定するものではない。
【0038】
【発明の効果】本発明によればあるVPパスに対してVPセグメントを設定した場合,そのVPセグメントの生成点からVPセグメント内に向けて,セグメントVP−AISセルの警報転送設定情報を記述したセルを流すことにより,そのVPセグメント内の各装置に対して,セグメントVP−AISセルの警報転送の情報を転送することができるため,セグメントVP−AISセルの生成の設定が簡単になる。
【0039】また,各装置のVPにおいてセグメントVP−AISセルの警報転送の設定情報を,ネットワーク管理者が直接管理する必要がなくなるため,ネットワーク管理の負荷を減らすことができる。
【0040】更に,セグメントVP−AISセルの警報転送の設定を行うセルとして,ITU−Tの勧告I.610に定義されている。VPセグメントタイプのOAMセルを使用することにより,あるVPセグメントの生成点から挿入されたそのセルは,そのVPセグメントの終端点で廃棄されるので,VPセグメント内に対してのみセグメントVP−AISセルの警報転送の設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成を示す図である。
【図2】VPセグメントの開始点と終端点の設定の説明図である。
【図3】VPセグメントのOAMセルの伝送の構成図である。
【図4】VPセグメントのOAMセルのフルフォーマットを示す図である。
【図5】伝送装置の実施例の構成を示す図である。
【図6】伝送装置におけるセグメントVP−AIS生成のための構成を示す図である。
【図7】VP−AISセルの警報転送の設定情報を搭載したVPセグメントタイプのOAMセルのフォーマットの例を示す図である。
【図8】OAMの階層レベルに対する物理レイヤとATMレイヤの関係を示す図である。
【図9】セグメント構成の例を示す図である。
【図10】F4レベル(VP)でのユーザセルに使用されるVCIの値を示す図である。
【図11】F5レベル(VC)でのユーザセルに使用されるPTIの値を示す図である。
【図12】OAMの流れの構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 ネットワーク管理装置
1a セグメント端設定部
1b セグメント内設定用特定セル発生部
2−0〜2−n ATMの伝送装置
2a 始端設定部
2b 終端設定部
2c 特定セル検出セグメント設定部
3 伝送路
4 特定セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ITU−Tの勧告I.610に準拠したセグメントVP−AISセルを用い,ATMネットワークのVPセグメント内の故障の管理を行うATM警報処理方式において,ネットワーク管理装置は,ネットワーク内の伝送装置に対して,VPIに対象となるVPI値を含み,情報領域にセグメントVP−AISセルの転送を行うか否かの設定情報が格納された特定セルをVPセグメントを構成する伝送装置に投入し,VPセグメントを構成する各伝送装置は,前記特定セルを検出すると情報領域の前記設定情報を保存して,当該特定セルをセグメントの終端へ達するまで後段の伝送装置へ順次転送することを特徴とするATM警報処理方式。
【請求項2】 請求項1において,前記セグメントVP−AISセル転送の設定情報が格納された特定セルは,ヘッダのVCIに特定の値が設定されたVPセグメントタイプのOAMセルであることを特徴とするATM警報処理方式。
【請求項3】 請求項1において,前記ネットワーク管理装置は,ネットワーク内でVPセグメントの設定時に,VPセグメントの開始点と終端点に対応する各伝送装置に対して設定を行い,請求項2に記載の前記VPセグメントタイプのOAMセルを前記VPセグメントの開始点の伝送装置へ供給して順次転送させ,VPセグメントの終端点の伝送装置で廃棄することを特徴とするATM警報処理方式。
【請求項4】 請求項2において,前記VPセグメントのOAMセルは,セグメントVP−AISセル転送の設定情報用のセルであることを表す定義された特定情報を情報領域の一部に設定され,前記各伝送装置は,前記VPセグメントタイプのOAMセルを検出するヘッダ検出回路と,前記特定情報を検出する情報領域一致比較回路とを備え,両回路からの検出出力と一致出力の発生により,前記OAMセルに設定された各VPに対応した設定値を当該伝送装置に設けられた警報転送設定メモリに格納することを特徴とするATM警報処理方式。
【請求項5】 請求項4において,前記各伝送装置は,伝送路故障状態の通知信号により起動するセグメントVP−AISセル生成部を備え,前記セグメントVP−AISセル生成部は,各VPに対応して前記警報転送設定メモリから設定情報を読み出して,警報転送の指示が設定されていると,セグメントVP−AISセルを生成し伝送路上の主信号に空きセルを検出したスロットに挿入して転送することを特徴とするATM警報処理方式。
【請求項6】 請求項2において,前記セグメントVP−AISセル転送の設定情報を格納するVPセグメントタイプのOAMセルとして,ITU−Tの勧告I.610に準拠した起動(アクティベーション)/停止(ディアクティベーション)セルを使用して,警報の転送,非転送の設定を行うことを特徴とするATM警報処理方式。
【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかにおいて,前記VP(バーチャルパス)をVC(バーチャルチャネル)に置き換えて,VCのセグメントについての警報転送を行うことを特徴とするATM警報処理方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図12】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開平11−346225
【公開日】平成11年(1999)12月14日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−150961
【出願日】平成10年(1998)6月1日
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)