説明

ATP産生促進剤および表皮細胞賦活化剤

【課題】優れたATP産生促進作用を有し、かつ安全性の高いATP産生促進剤及び/又は表皮細胞賦活化剤を提供すること。
【解決手段】本発明のATP産生促進剤及び/又は表皮細胞賦活化剤は、ウコン、ヒバマタ、カンゾウ、キナ、アンズ、マルメロ、クララ、クチナシ、サンシシ、クマザサ、グレープフルーツ、ゲンノショウコ、紅茶、緑茶、冬虫夏草、ゴボウ、コメヌカ、シイタケ、アカヤジオウ、シソ、ボダイジュ、ショウガ、ワレモコウ、ドクダミ、シラカバ、スギナ、セキセツソウ、タマサキツヅラフジ、クワ、トウキンセンカ、ダイダイ、マツホド、ブッチャーズブルーム、プルーン及びマロニエからなる群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を有効成分として含有せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物からの抽出物ならびにそれらに含まれる化合物を有効成分とするATP産生促進剤及び表皮細胞賦活化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
表皮は、ケラチノサイトの基底層における分裂とその後の分化過程を通して、絶えず新陳代謝を繰り返している。皮膚において紫外線、著しい空気の乾燥、過度の皮膚洗浄、ストレス、喫煙等の外的因子の影響、加齢が進むこと等により、表皮細胞の活動低下や分裂能低下にともなう表皮ターンオーバー速度の遅延が起きる。(非特許文献1)それに伴い、表皮の菲薄化や角質層肥厚などの分化不全を引き起こし、その結果、皮膚の保湿機能や弾力性が低下し、角質の異常剥離が起こり、皮膚の老化に伴う変化、即ち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等が生じる。(特許文献1)
【0003】
細胞分裂を促進するためには、分裂に必要なエネルギーを細胞に補給することが重要である。生体のエネルギー物質としては、ATPが挙げられ、このATPの産生量を上げることにより、細胞内のエネルギー代謝が促進され、細胞増殖につながると考えられるが、上記のように、機能の低下した細胞や加齢した細胞では、エネルギー物質であるATP量が正常細胞より減少することが報告されている。(特許文献2)
【0004】
したがって、ケラチノサイトのATP産生を促進することは、細胞を活性化し、細胞分裂を促し、それにともなうターンオーバーの正常化に繋がり、外的因子の影響や加齢による皮膚の老化を防止・改善する上で重要である。
【0005】
従来、ATP産生促進作用を有する物質としては、植物油(特許文献3)、月下美人(特許文献1)、グリコーゲン(特許文献2)等が報告されている。
【0006】
以上のようにATP産生を促進することは、細胞を活性化し、外的因子の影響や加齢による皮膚の老化を防止・改善する上で重要である。しかしながら、これまでのATP産生促進作用を有する物質がいくつか報告されているが、ATPの産生促進作用を有する天然物由来の成分の数は少なく、より効果の高い物質が求められている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−342156号公報
【特許文献2】特開2003−321373号公報
【特許文献3】特開平6−219926号公報
【非特許文献1】Roberts,D.,J.Invest.Dermatol.,1980,74,13−16
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、天然物の中から、ATPの産生促進作用を有する成分の多様化を図り、これを有効成分として含有するATP産生促進剤並びに表皮細胞賦活化剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、種々検討を行ったところ、ウコン、ヒバマタ、カンゾウ、キナ、アンズ、マルメロ、クララ、クチナシ、サンシシ、クマザサ、グレープフルーツ、ゲンノショウコ、紅茶、緑茶、冬虫夏草、ゴボウ、コメヌカ、シイタケ、アカヤジオウ、シソ、ボダイジュ、ショウガ、ワレモコウ、ドクダミ、シラカバ、スギナ、セキセツソウ、タマサキツヅラフジ、クワ、トウキンセンカ、ダイダイ、マツホド、ブッチャーズブルーム、プルーン及びマロニエからなる群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物にATP産生促進作用及び表皮細胞賦活化作用を見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、ウコン、ヒバマタ、カンゾウ、キナ、アンズ、マルメロ、クララ、クチナシ、サンシシ、クマザサ、グレープフルーツ、ゲンノショウコ、紅茶、緑茶、冬虫夏草、ゴボウ、コメヌカ、シイタケ、アカヤジオウ、シソ、ボダイジュ、ショウガ、ワレモコウ、ドクダミ、シラカバ、スギナ、セキセツソウ、タマサキツヅラフジ、クワ、トウキンセンカ、ダイダイ、マツホド、ブッチャーズブルーム、プルーン及びマロニエからなる群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を含有してなるATP産生促進剤が、優れたATP産生促進作用および表皮細胞賦活化作用を有し、加齢によるATPの減少を抑え老化によるシワ、肌荒れなどの皮膚症状の予防・改善、細胞増殖を促すことによる、シミの原因であるメラニンの排泄を効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のATP産生促進剤は、ウコン、ヒバマタ、カンゾウ、キナ、アンズ、マルメロ、クララ、クチナシ、サンシシ、クマザサ、グレープフルーツ、ゲンノショウコ、紅茶、緑茶、冬虫夏草、ゴボウ、コメヌカ、シイタケ、アカヤジオウ、シソ、ボダイジュ、ショウガ、ワレモコウ、ドクダミ、シラカバ、スギナ、セキセツソウ、タマサキツヅラフジ、クワ、トウキンセンカ、ダイダイ、マツホド、ブッチャーズブルーム、プルーン及びマロニエからなる群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を含有してなり、さらに必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0012】
ウコン(学名:Curcuma longa)は、ショウガ科ウコン属の植物であり、熱帯地方を原産とし、インド、マレーシア、インドネシア、中国南部で広く栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。抽出部位として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、茎、花、蕾、地上部、根、根茎またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも根茎が好ましい。
【0013】
ヒバマタは、褐藻類に含まれる海藻であり、学名はFucus vesiculosusである。抽出部位として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、全藻が好ましい。
【0014】
カンゾウは、マメ科カンゾウ属に属し、古代より薬用又は甘味料の原料として利用されている有用植物である。抽出原料として使用するカンゾウの種類は特に限定されるものではなく、例えば、グリチリーザ グラブラ(Glychyrrhiza glabra)、グリチリーザ インフラータ(Glychyrrhiza inflata)、グリチリーザ ウラレンシス(Glychyrrhiza uralensis)、グリチリーザ アスペラ(Glychyrrhiza aspera)、グリチリーザ パリディフロラ(Glychyrrhiza pallidiflora)等を抽出原料として使用することが出来るが、好ましくはグリチリーザ グラブラ(Glychyrrhiza glabra)、グリチリーザ インフラータ(Glychyrrhiza inflata)、グリチリーザ ウラレンシス(Glychyrrhiza uralensis)である。また、抽出原料として使用し得るカンゾウの構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、種子部、花部等の地上部、根部、根茎部又はこれらの混合物等が挙げられるが、好ましくは葉部及び枝部である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、茎、花、蕾、果皮、果核、根、根茎、種子、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも根及び根茎が好ましい。
【0015】
キナ(学名:Cinchona succirubra)は、アカネ科の植物であり、インドやジャワ、アフリカで栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、葉、花、根、樹皮、枝又はこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも、樹皮が好ましい。
【0016】
アンズ(学名:Prunus armeniaca)は、バラ科の植物であり長野県、山梨県の果樹として栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、茎、花、樹皮、果実、種子、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも種子(キョウニン)が好ましい。
【0017】
マルメロ(学名:Cydonia vulgaris)は、バラ科マルメロ属の植物であり、トランスコーカサスから東南アジアにかけて原生しており、これらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、茎、花、果実、根、種子、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも種子(クインスシード)が好ましい。
【0018】
クララ(学名:Sophora flavescens)は、マメ科の植物であり、北海道以南の日本各地で自生しておりこれらの地域から容易に入手することが出来る。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、葉、枝、樹皮、幹、茎、種子、花、地上部、根またはこれらの部位の混合物等が挙げられ、これらの中でも根(クジン)が好ましい。
【0019】
クチナシ(学名:Gardenia jasminoides)は、アカネ科の植物であり、東アジアに広く分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、茎、花、蕾、果実、果皮、果核、地上部、全草またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも果実(サンシシ)と、果実から得られた抽出物を、β−グルコシダーゼを作用させて得られるクチナシ青色色素が好ましい。
【0020】
クマザサ(学名:Sasa veitchii)は、イネ科の植物であり、日本各地の山地に自生しており、これらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、花、地下部、樹皮、枝、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも葉が好ましい。
【0021】
グレープフルーツ(学名:Citrus paradisi)は、ミカン科の植物であり、四国・九州南部で栽培されておりこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、茎、花、果実、果皮、根、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも果実が好ましい。
【0022】
ゲンノショウコ(学名:Gernium thunbergii)は、フウロソウ科の植物であり、日本では北海道の草地や本州から九州の山野、また朝鮮半島、中国大陸などに自生しておりこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、茎、枝、花、蕾、地上部、根部、全草またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも地上部が好ましい。
【0023】
茶はツバキ科植物・チャノキ(Thea sinensis)の芽葉を原料として製造した飲み物で、製造方法の違いから、「発酵茶(紅茶)」、「半発酵茶(ウーロン茶)」、「不発酵茶(緑茶)」の3つに大別される。抽出原料として使用し得る茶としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、紅茶及び緑茶が好ましい。
【0024】
冬虫夏草(学名:Cordyceps sinensis)は、子嚢菌類バッカクキン目バッカクキン科に属する菌類である。冬虫夏草とは、昆虫又はその幼虫に寄生してその体内に菌核を形成し、宿主である昆虫又はその幼虫の体表面に形成される子実体のことをいう。
【0025】
ゴボウ(学名:Arctium lappa)は、キク科の植物であり、日本各地で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、茎、花、蕾、根、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも根が好ましい。
【0026】
コメヌカは、イネ科の植物イネ(学名Oryza sativa)の玄米を白米にする際に得られる果皮、種皮、胚及び糊粉層粉砕物の混合物である。
【0027】
シイタケ(学名:Cortinellus shiitake)は、キシメジ科の担子菌類であり、日本、朝鮮、台湾、中国に分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、子実体が好ましい。
【0028】
アカヤジオウ(学名:Rehmannia glutinosa)は、ゴマノハグサ科の植物であり、中国北部原産で日本国内でも栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、根(ジオウ)が好ましい。
【0029】
シソ(学名:Perilla frutescens)は、シソ科の植物であり、日本各地で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、果実、果皮、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも葉及び枝が好ましい。
【0030】
ボダイジュ(学名:Tilia cordata)は、シナノキ科の植物でありシナノキとも言い、ヨーロッパに広く分布する落葉樹でこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、果実、果皮、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも花が好ましい。
【0031】
ショウガ(学名:Zingiber officinale)は、ショウガ科の植物であり、日本各地で栽培されておりこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、果実、根茎、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも根茎が好ましく、生薬名でショウキョウと呼ばれる。
【0032】
ワレモコウ(学名:Sanguisorba officinalis)は、バラ科の植物であり、北海道から九州、中国からシベリア・ヨーロッパへ分布しておりこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、果実、根、根茎、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも根及び根茎が好ましく、生薬名でジユと呼ばれる。
【0033】
ドクダミ(学名:Houttuynia cordata)は、ドクダミ科の植物であり、日本各地に分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、果実、根茎、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも地上部が好ましく、生薬名でジュウヤクと呼ばれる。
【0034】
シラカバ(学名:Betula alba)は、カバノキ科の植物であり、本州北部から北海道にかけて自生しておりこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、樹皮、根茎、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも樹皮が好ましい。
【0035】
スギナ(学名:Equisetum arvense)は、スギナ科の植物であり、北半球の暖帯に広く分布しておりこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、全草が好ましい。
【0036】
セキセツソウ(学名:Centella asiatica)は、セリ科の植物であり、本州西南部、四国、九州、沖縄、朝鮮半島、台湾、中国等に分布しておりこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、樹皮、根茎、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも葉及び茎が好ましい。
【0037】
タマサキツヅラフジ(学名:Stephania cephalantha)は、ツヅラフジ科の植物であり、中国、台湾等に自生する植物でこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、根、塊根、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも塊根が好ましい。
【0038】
クワ(学名:Morus alba)は、クワ科の植物であり、日本各地の山野に自生しておりこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、樹皮、根、根皮、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも根皮が好ましく、生薬名ではソウハクヒと呼ばれる。
【0039】
トウキンセンカ(学名:Calendula officinalis)は、キク科の植物であり、ヨーロッパ原産の植物で日本各地で栽培されておりこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、根、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも花が好ましい。
【0040】
ダイダイ(学名:Citrus aurantium)は、ミカン科の植物であり、日本の温暖な地域で栽培されておりこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、果実、果皮、樹皮、根、塊根、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも果皮(トウヒ)が好ましい。
【0041】
マツホドは、マツ科の植物などの針葉樹の根に寄生するサルノコシカケ科の単子菌類であり、学名はPoria cocosである。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、菌核が好ましく、生薬名はブクリョウと呼ばれる。
【0042】
ブッチャーズブルーム(学名:Ruscus aculeatus)は、ユリ科ナギイカダ属に属する植物であり地中海沿岸の南欧、北アフリカ等に分布しておりこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、果実、樹皮、根、根茎、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも根茎が好ましい。
【0043】
プルーン(学名:Prunus domestica)は、バラ科の植物であり、ヨーロッパ、アメリカで栽培されておりこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、果実、果肉、樹皮、根、塊根、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも果肉を酵素処理したものが好ましい。
【0044】
マロニエ(学名:Aesculus hippocastanum)は、トチノキ科の植物であり、ヨーロッパ、北アメリカ等で栽培されておりこれらの地域から容易に入手可能である。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば葉、枝、茎、花、蕾、種子、樹皮、根、塊根、地上部またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも種子が好ましい。
【0045】
前記抽出原料は、採取後ただちに乾燥し粉砕したものが適当である。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。
【0046】
前記抽出に用いる溶媒としては、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合液を室温又は溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。各植物に含まれるATP産生促進作用を示す成分は、極性溶媒を抽出溶媒とする抽出処理によって容易に抽出することができる。
【0047】
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0048】
前記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、該親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。
【0049】
なお、前記水と親水性有機溶媒との抽出溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1〜40質量部添加することが好ましい。多価アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部添加することが好ましい。
【0050】
本発明において、前記各抽出原料からATP産生促進物質を抽出するにあたって特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下で、任意の装置を用いて抽出することができる。
【0051】
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に各抽出原料を投入し、更に必要に応じて時々攪拌しながら、30分〜4時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5〜15倍量(質量比)である。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50〜95℃で1〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40〜80℃で30分〜4時間程度である。なお、溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであればそのまま配合して本発明のATP産生促進剤及び/又は表皮細胞賦活化剤の有効成分として使用することができる。
【0052】
得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
【0053】
なお、得られた抽出液はそのままでもATP産生促進剤及び/又は表皮細胞賦活化剤として使用することができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。乾燥物を得るにあたっては、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。
【0054】
また、各抽出原料は特有の匂いと味を有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、化粧料に添加する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。精製は、具体的には活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0055】
本発明のATP産生促進剤及び/又は表皮細胞賦活化剤は、製剤化により粉末状、顆粒状、錠剤状等、任意の剤形とすることができる。
【実施例】
【0056】
以下、試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の試験例に何ら制限されるものではない。なお、本試験例においては、試料として表1に示す製品(全て丸善製薬社製)の凍結乾燥品を使用した(試料1〜35)。
【0057】
〔表1〕
試料 抽出原料 製品名
1 ウコン根茎 ウコン抽出液
2 ヒバマタ全藻 カイソウ抽出液
3 カンゾウ根及び根茎 カンゾウ抽出液
4 キナ樹皮 キナ抽出液
5 アンズ種子 キョウニン抽出液
6 マルメロ種子 クインスシード抽出液
7 クララ根 クジン抽出液
8 クチナシ果実(酵素処理) クチナシエキス
9 クチナシ果実 サンシシ抽出液
10 クマザサ葉 クマザサ抽出液
11 グレープフルーツ果実 グレープフルーツ抽出液
12 ゲンノショウコ地上部 ゲンノショウコ抽出液
13 紅茶 紅茶抽出液
14 緑茶 緑茶抽出液
15 冬虫夏草子実体 冬虫夏草抽出液
16 ゴボウ根 ゴボウ抽出液
17 コメヌカ コメヌカ抽出液
18 シイタケ子実体 シイタケ抽出液
19 アカヤジオウ根 ジオウ抽出液
20 シソ葉 シソ抽出液
21 ボダイジュ花 シナノキ抽出液
22 ショウガ根茎 ショウキョウチンキ
23 ワレモコウ根及び根茎 ジユ抽出液
24 ドクダミ地上部 ジュウヤク抽出液
25 シラカバ樹皮 シラカバ抽出液
26 スギナ全草 スギナ抽出液
27 セキセツソウ葉及び茎 セキセツソウ抽出液
28 タマサキツヅラフジ塊根 セファランチン
29 クワ根皮 ソウハクヒ抽出液
30 トウキンセンカ花 トウキンセンカ抽出液
31 ダイダイ果皮 トウヒ抽出液
32 マツホド菌核 ブクリョウ抽出液
33 ブッチャーズブルーム根茎 ブッチャーズ・ブルーム抽出液
34 プルーン果肉(酵素処理) プルーン抽出液
35 マロニエ種子 マロニエ抽出液
【0058】
〔試験例1〕ATP産生促進作用試験
正常ヒト新生児包皮表皮角化細胞(NHEK)を正常ヒト表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife−KG2)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.0×10cells/mLの濃度にEpiLife−KG2で希釈した後、コラーゲンコートした96wellプレートに1well当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、培地を抜き、EpiLife−KG2で溶解した試料溶液を各wellに100μL添加し、2時間培養した。ATP産生促進作用は、ホタルルシフェラーゼ発光法を用いて細胞内のATP量を測定した。すなわち、培養終了後、『「細胞の」ATP測定試薬』(東洋ビーネット社)を各wellに100μLずつ添加した。反応後、化学発光量を測定した。
ATP産生促進作用の計算方法は以下のとおりである。
ATP産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料を添加した細胞での化学発光量」を表し、Bは「試料を添加しない細胞での化学発光量」を表す。
上記試験の結果を表2に示す。なお、上記計算式において、試料無添加のATP産生促進率は100%となる。
【0059】
〔表2〕
試料 試料濃度 ATP産生促進率(%)
1 5μg/mL 105.6
10μg/mL 103.5
2 5μg/mL 104.5
10μg/mL 104.3
20μg/mL 106.3
3 5μg/mL 108.4
10μg/mL 102.4
4 5μg/mL 109.4
10μg/mL 114.7
20μg/mL 106.8
5 5μg/mL 110.8
10μg/mL 118.2
20μg/mL 110.2
6 5μg/mL 108.2
10μg/mL 111.9
20μg/mL 108.6
7 5μg/mL 107.0
10μg/mL 107.5
8 10μg/mL 102.2
20μg/mL 106.7
9 5μg/mL 105.5
10μg/mL 105.6
20μg/mL 111.0
10 5μg/mL 108.7
10μg/mL 103.3
11 5μg/mL 106.2
20μg/mL 106.9
12 5μg/mL 147.5
10μg/mL 117.7
20μg/mL 121.6
13 5μg/mL 111.9
10μg/mL 103.5
20μg/mL 102.9
14 5μg/mL 103.3
10μg/mL 104.9
20μg/mL 105.1
15 5μg/mL 110.3
16 5μg/mL 107.6
10μg/mL 107.7
20μg/mL 111.7
17 10μg/mL 105.7
18 5μg/mL 107.4
10μg/mL 105.9
20μg/mL 103.3
19 5μg/mL 106.3
10μg/mL 106.2
20μg/mL 109.0
20 5μg/mL 102.2
10μg/mL 104.8
20μg/mL 107.2
21 5μg/mL 110.9
10μg/mL 107.0
20μg/mL 106.5
22 5μg/mL 109.1
10μg/mL 114.5
20μg/mL 113.6
23 5μg/mL 104.6
10μg/mL 103.0
24 5μg/mL 104.9
10μg/mL 103.9
20μg/mL 102.7
25 5μg/mL 102.0
10μg/mL 102.3
20μg/mL 105.6
26 10μg/mL 106.9
20μg/mL 104.7
27 5μg/mL 112.4
10μg/mL 105.4
28 5μg/mL 117.2
20μg/mL 104.7
29 5μg/mL 106.0
10μg/mL 102.8
30 5μg/mL 110.7
10μg/mL 110.0
20μg/mL 104.7
31 5μg/mL 108.2
10μg/mL 118.3
20μg/mL 115.4
32 5μg/mL 111.8
10μg/mL 111.4
20μg/mL 104.8
33 5μg/mL 112.0
10μg/mL 113.3
20μg/mL 110.0
34 5μg/mL 108.7
10μg/mL 113.6
20μg/mL 113.3
35 20μg/mL 114.5
【0060】
表2に示すように、ウコン、ヒバマタ、カンゾウ、キナ、アンズ、マルメロ、クララ、クチナシ、サンシシ、クマザサ、グレープフルーツ、ゲンノショウコ、紅茶、緑茶、冬虫夏草、ゴボウ、コメヌカ、シイタケ、アカヤジオウ、シソ、ボダイジュ、ショウガ、ワレモコウ、ドクダミ、シラカバ、スギナ、セキセツソウ、タマサキツヅラフジ、クワ、トウキンセンカ、ダイダイ、マツホド、ブッチャーズブルーム、プルーン及びマロニエからの抽出物は、いずれもATP産生促進を示した。この結果から、これらの抽出物は、優れたATP産生促進作用を有することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のATP産生促進剤及び表皮細胞賦活化剤は、表皮におけるATPの産生促進作用によって皮膚の老化に伴う変化、即ち、しわ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下などの皮膚症状の予防・改善に大きく貢献できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウコン、ヒバマタ、カンゾウ、キナ、アンズ、マルメロ、クララ、クチナシ、サンシシ、クマザサ、グレープフルーツ、ゲンノショウコ、紅茶、緑茶、冬虫夏草、ゴボウ、コメヌカ、シイタケ、アカヤジオウ、シソ、ボダイジュ、ショウガ、ワレモコウ、ドクダミ、シラカバ、スギナ、セキセツソウ、タマサキツヅラフジ、クワ、トウキンセンカ、ダイダイ、マツホド、ブッチャーズブルーム、プルーン及びマロニエからなる群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を有効成分として含有することを特徴とするATP産生促進剤。
【請求項2】
ウコン、ヒバマタ、カンゾウ、キナ、アンズ、マルメロ、クララ、クチナシ、サンシシ、クマザサ、グレープフルーツ、ゲンノショウコ、紅茶、緑茶、冬虫夏草、ゴボウ、コメヌカ、シイタケ、アカヤジオウ、シソ、ボダイジュ、ショウガ、ワレモコウ、ドクダミ、シラカバ、スギナ、セキセツソウ、タマサキツヅラフジ、クワ、トウキンセンカ、ダイダイ、マツホド、ブッチャーズブルーム、プルーン及びマロニエからなる群から選ばれる1種又は2種以上の抽出物を有効成分として含有することを特徴とする表皮細胞賦活化剤。

【公開番号】特開2009−256272(P2009−256272A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109372(P2008−109372)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(591082421)丸善製薬株式会社 (239)
【Fターム(参考)】