説明

ATP結合カセットトランスポーターのモジュレーターとして有用なチアゾールおよびオキサゾール

本発明は、嚢胞性線維性膜貫通調節因子(「CFTR」)、その組成物、およびそれによる方法を含むATP結合カセット(「ABC」)トランスポーターまたはその断片のモジュレーターに関する。また、本発明は、そのようなモジュレーターを用いるABCトランスポーター媒介疾患を治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(「CFTR」)、その組成物を含めた、ATP結合カセット(「ABC」)トランスポーターまたはその断片のモジュレーター、およびそれによる方法に関する。また、本発明は、そのようなモジュレーターを用いて、ABCトランスポーター媒介疾患を治療する方法に関する。
【0002】
発明の背景
ABCトランスポーターは、多種多様の薬物、潜在的に中毒性の薬物、および生体異物に対する細胞の輸送および保護において大きな役割を果たす膜トランスポーター蛋白質の一群である。ABCトランスポーターは、特異的な活性のために、細胞アデノシン三リン酸(ATP)を結合し使用する同種膜蛋白質である。これらのトランスポーターのいくつかは、化学療法剤に対して悪性の癌細胞を防御する(MDR1-P糖蛋白質、または多剤耐性蛋白質、MRP1)多剤耐性蛋白質として発見された。現在まで、48のヒトABCトランスポーターが同定されており、これらは、それらの配列同一性および機能に基づき、7つのファミリーに手配されている。
【0003】
ABCトランスポーターは、体内で種々の重要な生理学的役割を果たし、ならびに環境からの有害化合物に対して防御を提供する。さらに、それらは、それら自体で、ならびに、多くの場合、治療薬物は、これらの分子によって標的細胞から輸送されるため、重要な潜在的薬物標的を表す。
【0004】
ABCトランスポーターファミリーのメンバーのうちの1つ、つまり、CFTRは、上皮細胞においてcAMP-媒介塩化分泌に関与する塩化物チャネルであり、塩化物の分泌および体を通して正常な電解質輸送の維持において鍵となる役割を果たすと考えられる。CFTRは、2つの反復要素で構成される約1480のアミノ酸の蛋白質であり、ここに各々は、6つの膜貫通領域およびヌクレオチド結合ドメインを含む。該2つの反復は、複数の潜在的リン酸化反応部位を含有する、大きな、極性、制御(R)ドメインによって分離される。
【0005】
CFTRと関連した遺伝子は同定され、配列決定されている(Gregory, R. J. et al. (1990) Nature 347:382-386; Rich, D. P. et al. (1990) Nature 347:358-362参照)、(Riordan, J. R. et al. (1989) Science 245:1066-1073)。この遺伝子の欠陥は、嚢胞性線維症(以下、「CF」)を生じ、これは、米国で生まれる2,500人の乳児当たり約1人に影響を及ぼすヒトにおいて最も一般的な致命的遺伝病である。一般的な米国人口内では、最大で1000万人のヒトが、明白な悪影響なしに、欠陥遺伝子の単一コピーを有する。対照的に、CF関連遺伝子の2つのコピーを有する個人は、慢性的肺破壊および死を含むCFの慢性的影響に苦しむ。
【0006】
CF患者において、気道細胞におけるCF関連遺伝子の発現は、イオンおよび流体輸送において不均衡を生じる細胞先端塩化物伝導性の減少を招く。これは、膵管および気道において異常な粘液分泌を生じ、これは最終的に、典型的にCFの病気進行と関連した肺感染および上皮細胞損傷を引き起こすと、広く考えられている。CF患者は、典型的には、胃腸の問題、および膵機能不全に苦しむ。男性は、ほぼ一様に不妊であり、女性において妊孕性は減少する。CF関連遺伝子の2つのコピーの重症影響と対照的に、CF関連遺伝子の単一コピーを有する個人は、コレラおよび下痢から生じる脱水症に対して、増加した耐性を呈し、これは恐らく、人口内のCF遺伝子の比較的高い頻度を説明する。
【0007】
CF染色体のCFTR遺伝子の配列分析は、種々の突然変異を引き起こす病気を明らかにした(Cutting, G. R. et al. (1990) Nature 346:366-369; Dean, M. et al. (1990) Cell 61:863:870; and Kerem, B-S. et al. (1989) Science 245:1073-1080; Kerem, B-S et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:8447-8451)。現在では、CF遺伝子における1000以上の突然変異が同定されているが(http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/)、人口研究は、最も一般的なCF突然変異、CFTRアミノ酸配列の位置508にてフェニルアラニンをコードする3つのヌクレオチドの欠失が、嚢胞性線維症のケースの約79%と関連していることを示している。突然変異CFTR蛋白質は、ΔF508と呼ばれる。
【0008】
ΔF508−CFTRにおける残基508の欠失は、新生蛋白質が正確に折り畳まれるのを防げ、その結果、この突然変異蛋白質が、小胞体(以下「ER」)を出て、原形質膜に進むことが不可能になる。結果として、不十分な量の成熟蛋白質が、原形質膜にて存在し、上皮組織内の塩化物輸送は、有意に減少される(Quinton, P. M. (1990), FASEB J. 4: 2709-2727)。従って、ER機械による、CFTRのような他の蛋白質の欠陥のあるER処理の細胞の現象は、広範囲の単離され、遺伝を受け継いだ病気の根底にある基礎であると示されている。ER機械が誤動作し得る2つの方法は、劣化に繋がる蛋白質のER輸送へのカップリングの喪失によって、あるいはこれらの欠陥のある/誤って折り畳まれた蛋白質のER蓄積によってかのいずれかである[Aridor M. et al., Nature Med. 5 (7), pp 745-751 (1999); Shastry, B. S., et al., Neurochem. International, 43, pp 1-7(2003); Rutishauser. J., et al., Swiss Med Wkly, 132, pp 211-222 (2002); Morello, JP et al., TIPS, 21, pp. 466-469 (2000); Bross P., et al., Human Mut., 14, pp. 186-198 (1999)]。しかしながら、研究は、原形質膜にて存在する時、ΔF508−CDTRは、cAMP応答性Cl-チャネルとして機能する(Dalemans et al. (1991), Nature Lond. 354: 526-528; Denning et al., supra.: Pasyk and Foskett (1995), J. Cell. Biochem. 270: 12347-50)。
【0009】
CFTRは、アニオンに加えて種々の分子を輸送するが、アニオンを輸送するこの役割は、上皮にわたり、イオンおよび水を輸送するための全体的な細胞機械における重要な要素を表す。他の要素は、上皮Na+チャネル、ENaC、Na+/2Cl-/K+コ−トランスポーター、Na+-K+-ATPaseポンプおよび側底膜K+チャネルを含み、これらは、細胞への塩化物の取り込みに関与する。
【0010】
これらの要素は一緒に作用して、それらの選択的発現および細胞内の局所化を介して、上皮にわたり、指向性輸送を達成する。塩化物吸収は:(i)頂端膜上に存在するENaCおよびCFTR;および(ii)細胞の側底表面上に発現されたK+-ATPaseポンプおよびCl-チャネルの協調活性によって起こる。腔側からの塩化物の二次活性輸送は、細胞内塩化物の蓄積を招き、次いで、これは、Cl-チャネルを介して、細胞を受動的に去り、方向性輸送を生じる。側底表面上のNa+/2Cl-/K+コ−トランスポーター、Na+-K+-ATPaseポンプおよび側底膜K+チャネルおよび腔側羽上のCFTRの配置は、腔側上のCFTRを介して、塩化物の分泌を調整する。恐らく、水はそれ自体、活性的に輸送されないため、上皮にわたるその流れは、ナトリウムおよび塩化物のかさ高い流れによって生じる経上皮浸透圧勾配に依存する。
【0011】
CFに加えて、CFTR活性の変調は、CFTRによって媒介される分泌疾患および他の蛋白質折り畳み疾患のような、CFTRによって直接的に引き起こされない他の疾患に有益であり得る。これらは、慢性閉塞性肺疾患(以下、「COPD」)、眼球乾燥疾患、およびシェーグレン症候群を含むが、これらに限定されるものではない。
【0012】
COPDは、進行性であり、完全には可逆可能でない気道制限によって特徴付けられる。気道制限は、粘液過分泌、肺気腫、および細気管支炎のためである。突然変異または野生型CFTRの活性剤は、COPDにおいて一般的である粘液過分泌および低下した粘液線毛除去の潜在的治療を供する。具体的には、CFTRにわたりアニオン分泌を増加させることは、気道表面液体への流体輸送を促進して、粘液および最適化された線毛周囲流体粘度を水和し得る。これは、促進された粘液繊毛除去およびCOPD関連の症状の現象に繋がるであろう。眼球乾燥疾患は、涙水生成の現象および異常な涙液膜脂質、蛋白質およびムチンプロファイルによって特徴付けられる。眼球乾燥の多くの原因が存在し、そのうちのいくつかは、年齢、レーシック眼球手術、関節炎、医薬品、化学火傷/熱傷、アレルギー、およびCFおよびシェーグレン症候群のような疾患を含む。CFTRを介してアニオン分泌を増加することは、眼球を囲んでいる角膜内皮細胞および分泌腺からの流体輸送を促進させて、核膜水和を増加するであろう。これは眼球乾燥疾患と関連した症状を軽減するのに役立つであろう。シェーグレン症候群は、免疫系が、眼球、口、皮膚、呼吸組織、肝臓、膣、および腸を含めた、体内を通して、水分生成腺を攻撃する自己免疫疾患である。また、病気は、間接リウマチ、全身性ループス、全身性硬化症、および多発性筋炎/皮膚筋炎と関連している。欠陥性蛋白質輸送は、治療オプションが制限されている病気を引き起こすと考えられる。CFTR活性のモジュレーターは、病気によって苦しめられた種々の臓器を水和し、関連症状を高めるのを助け得る。
【0013】
上記で論議したように、ΔF508−CFTRにおける残基508の検出は、新生蛋白質が正確に折り畳むのを防ぎ、その結果、この突然変異蛋白質は、ERを出て、原形質膜に輸送することができなくなると考えられる。結果として、不十分な量の成熟蛋白質は、原形質膜に存在し、上皮組織内の塩化物輸送は有意に減少する。事実、ERマシーンによるABCトランスポーターの欠陥性ER処理のこの細胞現象は、CF疾患だけでなく、広範囲の他の単離され遺伝された疾患に対しても根底にある基礎であることが示されている。ER機械が誤作動する2つの方法は、劣化に繋がる蛋白質のER輸出へのカップリングの喪失によってか、あるいはこれらの欠陥性/誤った折り畳み蛋白質のER蓄積によってかのいずれかである[Aridor M, et al., Nature Med., 5(7), pp 745-751 (1999); Shastry, B. S., et al., Neurochem. International, 43, pp 1-7 (2003); Rutishauser, J., et al., Swiss Med Wkly, 132. pp 211-222 (2002); Morello, JP et al., TIPS, 21, pp. 466-469 (2000); Bross P., et al., Human Mut., 14, pp. 186-198 (1999)]。
【0014】
ER誤作動の第1のクラスと関連した疾患は、(誤って折り畳まれたΔF508−CFTRによる)CF、(α1−アンチトリプシン;非Piz変異体による)遺伝性肺気腫、遺伝性血色素症、蛋白質C欠陥のような凝固線維素溶解欠陥、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症のような脂質処理欠陥、1型乳糜血症、無βリポタンパク血症、I細胞疾患/偽ハーラー症候群のようなリソソーム蓄積症、(リソソーム処理酵素による)ムコ多糖症、(β−ヘキソサミニダーゼによる)サンドホフ病/テイ・サックス病、(UDP-グルクロニル-シアリック(sialyc)-転移酵素による)II型クリーグラーナジャー病、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、(インスリン受容体による)糖尿病、(成長ホルモン受容体による)ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠陥、(プレプロ副甲状腺ホルモンによる)一次副甲状腺機能低下症、(チロシナーゼによる)メラノーマである。ER誤作動の後者のクラスと関連した疾患は、グリカノーシス(glycanosis)CDGタイプ1、(α1−アンチトリプシン(Piz変異体)、新生児甲状腺機能亢進症、(I、II、IV型プロコラーゲンによる)骨形成不全症、(フィブリノゲンによる)遺伝性低フィブリノゲン血症、(α1−アンチキモトリプシンによる)ACT欠陥、尿崩症(DI)、(バソプレシンホルモン/V2受容体による)下垂体DI、(アクアポリンIIによる)腎形成DI、(末梢ミエリン蛋白質22による)シャルコー−マリーツース病、ペリツェウス−メルツバッハー病、(βAPPおよびプレセニリンによる)アルツハイマー病、パーキンソン氏病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病、ハンチントン舞踏病、脊髄小脳失調症1型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに(プリオン蛋白質処理欠陥による)遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、(リソソームα−ガラクトしダーゼAによる)ファブリ病および(Prp処理欠陥による)シュトロイスラー−シャインカー症候群のうような海綿状脳症といった神経変性疾患である。
【0015】
CFにおいて、CFTRによって媒介される塩化物輸送は減少されて、その結果、該疾患を特徴付ける異常な粘液分泌を生じる。対照的に、分泌性下痢において、上皮水輸送は、分泌促進活性化塩化物輸送の結果として、飛躍的に増加する。メカニズムは、cAMPの上昇およびCFTRの刺激を含む。
【0016】
下痢の数多くの原因が存在するが、過剰な塩化物輸送から生じる下痢性疾患の主な結果は共通であり、脱水症、アシドーシス、死および成長障害を含む。
【0017】
急性および慢性下痢は、世界の多くの領域で、主要な医学問題を表す。下痢は、栄養不足の有意な因子であり、5歳未満の子供において、死の主な原因でもある(5,000,000死/年)。
【0018】
また、分泌性下痢は、後天性免疫不全症候群(AIDS)および慢性的炎症性腸疾患(IBD)の患者において、危険な状態である。毎年、先進工業国から発展途上国への1600万人の旅行者が下痢を発症し、下痢のケースの重症度および数は、旅行先の国および領域によって変動する。
【0019】
下痢(scours)としても知られる、牛、豚および馬、羊、山羊、猫および犬のような家畜およびペットにおける下痢(diarrhea)は、これらの動物において死の主な原因である。下痢は、離乳および物理的移動のようないずれかの主な過渡期から生じ得、ならびに種々の細菌またはウィルス感染に応答して生じ得、一般的には、動物が生まれて最初の数時間内に起こる。
【0020】
最も一般的な下痢を生じる細菌は、K99線毛抗原を有する腸管毒素原性E-coli(ETEC)である。下痢の一般的なウィルス原因は、ロタウィルスおよびコロナウィルスを含む。他の感染剤は、なかでも、クリプトスポリジウム、ランブル鞭毛虫、およびサルモネラを含む。
【0021】
ロタウィルス感染の症状は、水様便、脱水および虚弱を含む。コロナウィルスは、新生動物においてより重症の病気を引き起こし、ロタウィルス感染よりも高い死亡率を有する。しかしながら、若い動物は、しばしば、一度に、1以上のウィルスまたはウィルスおよび細菌微生物の組合せに感染し得る。これが、疾患の重症度を飛躍的に増加する。
【0022】
従って、哺乳類の細胞膜において、ABCトランスポーターの活性を変調するのに使用することができるABCトランスポーター活性のモジュレーター、およびその組成物への必要性が存在する。
【0023】
ABCトランスポーター活性のそのようなモジュレーターを用いて、ABCトランスポーター媒介疾患を治療する方法への必要性が存在する。
【0024】
哺乳類のex vivo細胞膜において、ABCトランスポーター活性を変調する方法への必要性が存在する。
【0025】
哺乳類の細胞膜において、CFTRの活性を変調するのに使用することができるCFTR活性のモジュレーターへの必要性が存在する。
【0026】
CFTR活性のそのようなモジュレーターを用いて、CFTR媒介疾患を治療する方法への必要性が存在する。
【0027】
哺乳類のex vivo細胞膜においてCFTR活性を変調する方法への必要性が存在する。
【0028】
発明の概要
今では、本発明の化合物、およびその医薬上許容される組成物が、ABCトランスポーター活性のモジュレーターとして有用であることが分かっている。これらの化合物は、一般式I:
【化1】

[式中、X、Z、R1、R2、R3、およびR4は、一般的におよび下記クラスおよびサブクラスにおいて記載される]
またはその医薬上許容される塩を有する。
【0029】
これらの化合物および医薬上許容される組成物は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、蛋白質C欠陥のような凝固−線維素溶解欠陥、1型遺伝性血管性浮腫、家族性高コレステロール血症のような脂質処理欠陥、1型乳糜血症、無βリポタンパク血症、I細胞疾患/偽ハーラー症候群のようなリソソーム蓄積症、分泌性下痢または多発性嚢胞腎、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイ−サックス病、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠陥、一次副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノーシス(glycanosis)CDGタイプ1、遺伝性肺気腫、新生児甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性線維素原減少症、ACT欠陥、尿崩症(DI)、下垂体性DI、腎性DI、シャルコー−マリーツース症候群、ペリツェウス−メルツバッハー病、アルツハイマー病、パーキンソン氏病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ピック病のような神経変性疾患、ハンチントン舞踏病、脊髄小脳失調症1型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、および筋緊張性ジストロフィーのようないくつかのポリグルタミン神経傷害、ならびに(プリオン蛋白質処理欠陥による)遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病、ファブリ病、シュトロイスラー−シャインカー症候群、COPD、眼球乾燥疾患、またはシェーグレン病を含むが、これらに限定されるものではない種々の疾患、障害、または状態を治療するまたはその重症度を緩和するのに有用である。
【0030】
発明の詳細な記載
1.本発明の化合物の一般的な記載:
【0031】
本発明は、ABCトランスポーター活性のモジュレーターとして有用な式I:
【化2】

[式中、XはOまたはSであり;
Zは結合または所望により置換されていてもよいCl-C4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-NR-、-S-、-O-、-S02NR--NRS02-、-S02-、または-CO-によって置換されていてもよく;
R1は水素、あるいは独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和な単環または独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここに、R1は所望により、-QRXのXの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにXは0ないし5であり;ここにQは結合またはCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに2つまでのQのメチレンユニットは、所望により独立して、-CO-、-C02-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRC02-、-NRCONR-、-SO-、-S02-、-NRS02-、- S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rxの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02、またはCNであり、あるいは-QRXは、=O、=S、または=NR'であり;
Rの各出現は、独立して、水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基であり;R'の各出現は、独立して水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基、3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する単環系または窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する、8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり;あるいはRおよびR'、Rの2つの出現、またはR'の2つの出現は、それらが結合している(複数の)原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし4個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてもよい3ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和単環または二環を形成し;
R2は、ハロゲン、-CF3、-CN、-NO2、または-TqRであり;
R3は、UmR'であり、R4は、VpCy1であり、
ここに、m、p、およびqは、各々、独立して、0または1であり、U、V、およびTは、各々、独立して、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRSO2NR-、-O-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;
Cy1は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の単環、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここにCy1は所望により、-WRWのyの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにyは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNであり、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'であり;あるいは
R3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化3】

を有する所望により置換されていてもよい5−、6−または7−員の飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和の環を形成し、ここにrは0、1または2であり;X3、X4、またはX5のうちの一方は、CH-Vp-CylまたはN-Vp-Cylであり、X3、X4、またはX5のうちの他方はCHR'またはNR'であり;存在する時のX1の各出現およびX2は、各々、独立して、C(R')2、-CO-、または-CS-である]
の化合物またはその医薬上許容される塩に関する。
【0032】
いくつかの具体例において、一般的に上記された式Iの化合物につき:
a)XがSである時、ZはCH2であり、R2が水素であるならば、R1は:
【化4】

ではなく、
b)XがSまたはOであり;R2がホルミル、4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル、-COOR'、または-COSR'である時;ならば:
i)Zが-CH2-である時、R1は、所望により、Cl-C4アルキル、Cl-C4ハロアルキル、Cl-C4アルコキシ、Cl-C4ハロアルコキシ、Cl-C4アルキルチオ、Cl-C4ハロアルキルチオ、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって置換されていてもよいフェニルではなく;あるいは
ii)ZがCl-6アルキルである時、R1は、所望により、Cl-C4アルキル、Cl-C4ハロアルキル、Cl-C4アルコキシ、Cl-C4ハロアルコキシ、Cl-C4アルキルチオ、Cl-C4ハロアルキルチオ、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって置換されていてもよいC3-C6シクロアルキルではなく;
c)XがSであり、R2がHであり、Zが-CH2-であり、R1が置換されていないフェニルである時、R3が水素である時、R4は:
【化5】

でなく、
d)XがSであり、R2がSMeまたはMeであり、ZがCH2であり、R1が置換されていないフェニルである時、
i)R3が水素である時、R4は置換されていないベンジルではなく;ならびに
ii)R3がエチルである時、R4は置換されていないフェニルではなく;
e)XがOであり、ZがCH2であり、R1が置換されていないフェニルであり、R2がMeであり、R3が水素である時、R4
【化6】

ではなく、
f)XがOであり、ZがCH2であり、R1が置換されていないフェニルであり、R2が水素であり、R3が水素である時、R4は置換されていないフェニル、4-Me-フェニル、または置換されていないベンジルではなく;ならびに
g)XがOであり、Zが-CH(iPr)-であり、R1
【化7】

であり、R3が水素である時、R4は-(CH2) 2-S-ではなく;
h)Z-R1がメチルであり、XがSであり、R3がiBuである時、R4は:
【化8】

ではなく;ならびに
i)Z-R1がフェニルであり、XがSであり、R3が-(CH2)2-ピリド-2-イルである時、R4
【化9】

ではない。
【0033】
2.化合物および定義:
【0034】
本発明の化合物は、一般的に上記されたものを含み、本明細書において開示されるクラス、サブクラス、および種によって、さらに説明される。本明細書において使用されるように、以下の定義は、特記されない限り適用する。本発明の目的のために、化学的要素は、Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.によって、同定される。加えて、有機化学の一般的原理は、その全内容が本明細書中に引用によって援用される"Organic Chemistry", Thomas Sorrel, University Science Books, Sausalito: 1999, and"March's Advanced Organic Chemistry", 5th Ed., Ed.: Smith, M. B. and March, J. , John Wiley & Sons, New York: 2001に記載される。
【0035】
本明細書に記載のように、本発明の化合物は、一般的に上記されたように、または本発明の特定のクラス、サブクラス、および種によって例示されるように、所望により、1以上の置換基によって置換されてもよい。用語「所望により置換されていてもよい」は、用語「置換されたまたは置換されていない」と相互間的に使用されることが理解されるであろう。一般的には、用語「所望により」が前にあるかないかに拘わらず、用語「置換された」は、特定された置換基の遊離基による所与の構造における水素遊離基の置換を指す。特記されない限り、所望により置換されていてもよい気は、該基の各置換可能な位置に、置換基を有し得、いずれかの所与の構造における1以上の位置が、特定された基から選択された1以上の置換基によって置換され得る時、該置換基は、各位置にて、同一または異なっているかのいずれかであってよい。本発明によって予測される置換基の組合せは、好ましくは、安定したまたは化学的に適した化合物の形成を招くものである。本明細書において使用されるように、用語「安定した」は、本明細書中に開示された1以上の目的のためのそれらの生成、検出、好ましくはそれらの回収、精製、および使用を可能にする状態に付された時に、実質的に改変されない化合物を指す。いくつかの具体例において、安定した化合物または化学的に適した化合物は、少なくとも一週間、湿気、光、または他の化学的に反応性の状態の不在下で、40℃以下の温度で保存された時、実質的に改変されない化合物である。
【0036】
本明細書において使用されるように、用語「脂肪族」または「脂肪族基」は、完全に飽和したまたは不飽和の1以上のユニットを含有する直鎖(つまり、分岐していない)または分岐、置換されたまたは置換されていない炭化水素鎖、または完全に飽和したまたは不飽和の1以上のユニットを含有する単環式炭化水素または二環式炭化水素を意味するが、これは芳香族(本明細書において「炭素環」「脂環式」または「シクロアルキル」とも呼ばれる)ではなく、分子の残りへの結合の単一点を有する。特記されない限り、脂肪族基は、1ないし20の脂肪族炭素原子を含有する。いくつかの具体例において、脂肪族基は、1ないし10の脂肪族炭素原子を含有する。他の具体例において、脂肪族基は、1ないし8の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の具体例において、脂肪族基は、1ないし6の脂肪族炭素原子を含有し、なおさらに他の具体例において、脂肪族基は1ないし4の脂肪族炭素原子を含有する。いくつかの具体例において、「脂環式」(または「炭素環」または「シクロアルキル」は、完全に飽和したまたは不飽和の1以上のユニットを含有するが、芳香族ではなく、二環式環系においていずれかの個々の環が3ないし7つの員を有する分子の残りへの結合の単一点を有する単環式C3-C8炭化水素または二環式C8-C12炭化水素を指す。適当な脂肪族基は、直鎖または分岐鎖、置換されたまたは置換されていないアルキル、アルケニル、アルキニル基および(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルのようなそのハイブリッドを含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
本明細書において使用されるように、用語「ヘテロ脂肪族」は、1または2の炭素原子が、独立して、1以上の酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素によって置換される脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換されたまたは置換されていない、分岐鎖または非分岐鎖、環式または非環式であってよく、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロ脂肪族」または「複素環」基を含む。
【0038】
本明細書において使用されるように、用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロ脂肪族」、または「複素環式」は、1以上の環員が、独立して選択されたヘテロ原子である非芳香族、単環式、二環式、または三環式環系を意味する。いくつかの具体例において、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロ脂肪族」、または「複素環式」基は、1以上の環員が、独立して、酸素、硫黄、窒素、またはリンから選択されるヘテロ原子である3ないし14の環員を有し、該系における各環は、3ないし7の環員を含有する。
【0039】
用語「ヘテロ原子」は、(酸素、硫黄、リン、またはケイ素のいずれかの酸化形態;いずれかの塩基性窒素の四級化形態または;例えば(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにおけるような)N、(ピロリジニルにおけるような)NHまたは(N-置換されたピロリジニルにおけるような)NR+といった複素環の置換可能な窒素を含む)1以上の酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素を意味する。
【0040】
本明細書において使用されるように、用語「不飽和された」は、部位が不飽和の1以上のユニットを有することを意味する。
【0041】
本明細書において使用されるように、用語「アルコキシ」、または「チオアルキル」は、予め定義したように、酸素(「アルコキシ」)または硫黄(「チオアルキル」)原子を介して、主要な炭素原子に結合するアルキル基を指す。
【0042】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」は、あてはまるように、1以上のハロゲン原子で置換されるアルキル、アルケニルまたはアルコキシを意味する。用語「ハロゲン」はF、Cl、Br、またはIを意味する。
【0043】
「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」においてのように、単独でまたはより大きい部位の一部として使用される用語「アリール」は、合計で5ないし14の環員を有する単環、二環、および三環系を指し、ここに、該系における少なくとも1つの環は芳香族であり、ここに、該系の各環は3ないし7の環員を含有する。用語「アリール」は、用語「アリール環」と相互間的に使用されてもよい。また、用語「アリール」は、下記で定義のように、ヘテロアリール環系を指す。
【0044】
「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」においてのように、単独でまたはより大きい部位の一部として使用される用語「ヘテロアリール」は、合計で5ないし14の環員を有する単環、二環、および三環系を指し、ここに、該系の少なくとも1つの環は芳香族であり、該系の少なくとも1つの環は1以上のヘテロ原子を含有し、ここに該系の各環は3ないし7の環員を含有する。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」または用語「複素環式芳香族」と相互間的に使用されてもよい。
【0045】
(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキル等を含む)アリールまたは(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシ等を含む)ヘテロアリール基は、1以上の置換基を含有し得、従って「所望により置換され」てもよい。上記および本明細書中で定義されない限り、アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適当な置換基は、一般的には;ハロゲン;-R;-OR;-SR;Rで所望により置換されていてもよいフェニル(Ph);Rで所望により置換されていてもよい-O(Ph);Rで所望により置換されていてもよい-(CH2)1-2(Ph);Rで所望により置換されていてもよいCH=CH(Ph);-NO2;-CN;-N(R)2;-NRC(O)R;-NRC(S)R;-NRC(O)N(R)2;-NRC(S)N(R)2;-NRCO2R;-NRNRC(O)R;-NRNRC(O)N(R)2;-NRNRCO2R;-C(O)C(O)R;-C(O)CH2C(O)R;-CO2R;-C(O)R;-C(S)R;-C(O)N(R)2;-C(S)N(R)2;-OC(O)N(R)2;-OC(O)R;-C(O)N(OR)R;-C(NOR)R;-S(O)2R;-S(O)3R;-SO2N(R)2;-S(O)R;-NRSO2N(R)2;-NRSO2R;-N(OR)R;-C(=NH)-N(R)2;-P(O)2R;-PO(R)2;-OPO(R)2、-(CH2)0-2NHC(O)R;Rにより置換されていてもよいフェニル(Ph);Rにより置換されていてもよい-O(Ph);Rにより置換されていてもよい-(CH2)1-2(Ph);またはRにより置換されていてもよい-CH=CH(Ph)から選択され;ここに、Rの各独立した出現は、水素、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族、置換されていない5ないし6員のヘテロアリールまたは複素環、フェニル、-O(Ph)、または-CH2(Ph)、あるいは上記定義にもかかわらず、同じ置換基または異なる置換基上のRの2つの独立した出現は、各R基が結合している(複数の)原子と一緒になって、独立して、窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし4つのヘテロ原子を有する3ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の単環式または二環式環を形成する。
【0046】
Rの脂肪族基上の所望の置換基は、NH2、NH(C1-4脂肪族)、N(C1-4脂肪族)2、ハロゲン、C1-4脂肪族、OH、O(C1-4脂肪族)、NO2、CN、CO2H、CO2(C1-4脂肪族)、O(ハロC1-4脂肪族)、またはハロC1-4脂肪族から選択され、ここにRの上記C1-4脂肪族の各々は置換されていない。
【0047】
脂肪族またはヘテロ脂肪族基、あるいは非芳香族複素環式環は、1以上の置換基を含有し、従って「所望により置換され」てもよい。上記および本明細書中で特記しない限り、脂肪族またはヘテロ脂肪族基、または非芳香族複素環式環の飽和した炭素上の適当な置換基は、アリールまたはヘテロアリール基の不飽和の炭素について上記にリストしたものから選択され、さらに以下:=O、=S、=NNHR、=NN(R)2、=NNHC(O)R*、=NNHCO2(アルキル)、=NNHSO2(アルキル)、または=NRを含み、ここに各Rは、独立して、水素または所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族基から選択される。
【0048】
上記および本明細書中で特記しない限り、非芳香族複素環式環の窒素上の所望の置換基は、一般的には、-R+、-N(R+)、-C(O)R+、-CO2R+、-C(O)C(O)R+、-C(O)CH2C(O)R+、-SO2R+、-SO2N(R+)2、-C(=S)N(R+1)2、-C(=NH)-N(R+)2、または-NR+SO2R+から選択され;ここにR+は、水素、所望により置換されていてもよいC1-6脂肪族所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよい-O(Ph)、所望により置換されていてもよい-CH2(Ph)、所望により置換されていてもよい-(CH2)1-2(Ph);所望により置換されていてもよい-CH=CH(Ph);あるいは酸素、窒素、または硫黄から独立して選択された1ないし4つのヘテロ原子を有する非置換5ないし6員のヘテロアリールまたは複素環式環、あるいは、上記定義にもかかわらず、同じ置換基または異なる置換基上のR+の2つの独立した出現は、各R+基が結合している(複数の)原子と一緒になって、独立して、窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし4つのヘテロ原子を有する所望により置換されていてもよい3ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の単環または二環式環を形成する。
【0049】
R+の脂肪族基またはフェニル基上の所望の置換基は、-NH2、-NH(C1-4脂肪族)、-N(C1-4脂肪族)2、ハロゲン、C1-4脂肪族、-OH、-O(C1-4脂肪族)、-NO2、-CN、-CO2H、-CO2(C1-4脂肪族)、-O(ハロC1-4脂肪族)、またはハロ(C1-4脂肪族)から選択され、ここにR+の上記C1-4脂肪族基の各々は置換されていない。
【0050】
用語「アルキリデン鎖」は、完全に飽和したまたは不飽和の1以上のユニットを有し、分子の残りへの結合の2つの点を有する直鎖または分岐炭素鎖を指す。
【0051】
上記のように、いくつかの具体例において、R(またはR+、R、R'または本明細書中で同様に定義されるいずれかの他の変数)は、それらが結合している(複数の)原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし4つのヘテロ原子を有する所望により置換されていてもよい3ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の単環または二環式環を形成する。
【0052】
R(またはR+、R、R'または本明細書中で同様に定義されるいずれかの他の変数)のうちの1つの独立した出現が、各変数が結合している(複数の)原子と一緒になって形成する例示的環は、以下のものを含むが、これらに限定されるものではない:a)同一の原子に結合し、該原子と一緒になって、環、例えば、N(R)2を形成するR(またはR+、R、R'または本明細書中で同様に定義されるいずれかの他の変数)の2つの独立した出現、ここに、Rの療法の出現は、窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、またはモルホリン−4−イル基;およびb)異なる原子に結合し、それらの原子の療法と一緒になって、環を形成するR(またはR+、R、R'または本明細書中で同様に定義されるいずれかの他の変数)の2つの独立した出現、ここにフェニル基は、OR
【化10】

の2つの出現によって置換され、Rのこれらの2つの出現は、それらが結合している酸素原子と一緒になって、環:
【化11】

を含有する融合した6員の酸素を形成する。
【0053】
特記されない限り、本明細書に示された構造は、構造、例えば、各不斉中心、(Z)および(E)二重結合異性体、および(Z)および(E)立体配座異性体に対するRおよびS配置の全異性体(例えば、鏡像異性、ジアステレオマー、および幾何学(または立体配座)形態を含むように意図される。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体ならびに鏡像異性、ジアステレオマー、および幾何学(または立体配座)混合物は、本発明の範囲内である。特記されない限り、本発明の化合物の全互変異性型は、本発明の範囲内である。加えて、特記されない限り、本明細書中に示された構造は、1以上の同位体標識原子の存在下でのみ異なる化合物を含むようにも意図される。例えば、重水素または三重水素による水素の置換、または13Cまたは14C豊富化炭素による炭素の置換以外の本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。そのような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0054】
本明細書中で使用されるように用語「ABCトランスポーター」は、該蛋白質またはその断片がin vivoまたはin vitroで存在する少なくとも1つの結合ドメインを含むABCトランスポーター蛋白質またはその断片を意味する。本明細書中で使用されるように用語「結合ドメイン」は、モジュレーターに結合し得るABCトランスポーター上のドメインを意味する。例えば、Hwang, T. C. et al., J. Gen. Physiol. (1998): 111(3), 477-90参照。
【0055】
本明細書中で使用されるように用語「CFTR」は、ΔF508−CFTRおよびG551D CFTRを含むが、これらに限定されるものではない制御活性の可能な嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子またはその突然変異体を意味する(例えば、CFTR突然変異体については、http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/参照)。
【0056】
本明細書中で使用されるように用語「変調する」は、測定可能な量によって増加するまたは減少することを意味する。
【0057】
3.例示的化合物の記載:
【0058】
本発明の化合物について、上記で一般的に記載したように、XはOまたはSであり、式I-AまたはI-bの化合物が提供される:
【化12】

【0059】
一般的に上記されるように、Zは、結合または所望により置換されていてもよいC1-4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2までのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-NR-、-S-、-O-、または-CO-によって置換されてもよい。特定の例示的具体例において、Zは、-[C(R5)2]n-であり、ここにnは、0、1、2、または3であり、R5の各出現は、独立して、ハロゲン、CN、NO2、または-YRであり、ここにYは結合または所望により置換されていてもよいC1-4アルキリデン鎖であり、ここにYの2までのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-O-、-NR-、-CO-、-S-、-SO-、または-SO2-によって置換されていてもよい。他の例示的具体例において、Zは、-[C(R5)2]nO-であり、ここにnは、0、1、2、または3であり、R5の各出現は、独立して、ハロゲン、CN、NO2、または-YRであり、ここにYは結合または所望により置換されていてもよいC1-4アルキリデン鎖であり、ここにYの2までのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-O-、-NR-、-CO-、-S-、-SO-、または-SO2-によって置換されていてもよい。さらに他の例示的具体例において、Zは-[C(R5)2]nS-であり、ここにnは1、2、または3であり、R5の各出現は、独立して、ハロゲン、CN、NO2、または-YRであり、ここにYは結合または所望により置換されていてもよいC1-4アルキリデン鎖であり、ここにYの2までのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-O-、-NR-、-CO-、-S-、-SO-、または-SO2-によって置換されていてもよい。
【0060】
特定の他の具体例において、Zは結合である。さらに他の具体例において、Zは-C(R5)2-である。
【0061】
特定の具体例において、Zは-CH2-または-CH2-CH2-である。いくつかの具体例において、Zは-CH2-である。
【0062】
一般的に上記されるように、R1は水素、または独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし3つのヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の単環式環、または独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし5つのヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環式環系であり、ここに、R1は、-QRXのxの独立した出現によって、1以上の炭素原子で所望により置換されていてもよく;ここに、xは0ないし5である。いくつかの具体例において、R1は水素である。他の具体例において、R1は以下の基のうちの1つから選択される:
【化13】

【化14】

【0063】
いくつかの具体例において、R1は環a、b、c、d、m、n、o、ee、gg、またはppのうちの1つである。他の具体例において、R1は環aである。特定の他の具体例において、R1は環ggである。
【0064】
一般的に上記されるように、R1は所望により、-QRXのXの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにXは0ないし5であり;ここにQは結合またはCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに2つまでのQのメチレンユニットは、独立して、-CO-、-C02-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRC02-、-NRCONR-、-SO-、-S02-、-NRS02-、- S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rxの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02、またはCNであり、あるいは-QRXは、=O、=S、または=NR'である。特定の具体例において、xは0、1、2または3であり、Qは結合または所望により置換されていてもよいC1-C6アルキリデン鎖であり、ここに1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、C0によって置換されてもよく、RXは、R'またはハロゲンである。他の具体例において、xは0、1、2、または3であり、QRXの各出現は、存在する時、独立して、-Cl-3アルキル、-O(Cl-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)20R'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である。
【0065】
一般的に上記されるように、R2は、ハロゲン、-CF3、-CN、-NO2、または-TqRである。特定の具体例において、R2はTqRであり、ここに、Tは結合またはCl-C4アルキリデン鎖であり、ここに、Tの1または2つのメチレンユニットは、所望により、-CO-、-CONR-、-S02-、-NRS02-、-S02NR-、-0-、-S-、または-NRによって置換されていてもよい。他の好ましい具体例において、R2は、水素であるかあるいは所望により置換されていてもよいCl-C4アルキルである。さらに他の好ましい具体例において、R2は水素、-CF3、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH20R、-(CH2)20R、-(CH2)30R、-CH2N(R)2、-(CH2)2N(R)2、-(CH2)3N(R)2、-CH2NRCOR、-(CH2)2NRCOR、または-(CH2)3NRCORである。
【0066】
一般的に上記されるように、R3はUmR'であり、R4はVpCy1であり;ここに、m、p、U、V、およびCy1は、一般的に上記および本明細書中で定義され;あるいは、結合している窒素原子と一緒になったR3およびR4は、構造
【化15】

を有する所望により置換されていてもよい5−、6−または7員の飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和環を形成し、ここにrは0、1、または2であり;X3、X4、またはX5のうちの1つはCH-Vp-Cy1またはN-Vp-Cy1であり、X3、X4、またはX5のうちの他方は、CHR'またはNR'であり、X1およびX2の各出現は、存在する時、各々、独立して、C(R')2、-CO-、または-CS-である。
【0067】
一般式I、I-A、またはI-Bの化合物に対する特定の具体例において、R3はUmR'であり、R4はVpCy1である。いくつかの具体例において、R3は水素である。さらに他の具体例において、R3は所望により置換されていてもよいCl-C4アルキルである。さらに他の具体例において、R3はUmR'であり、ここにmは1であり、Uは-CH2-であり、R'は5または6員の所望により置換されていてもよい窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和環である。特定の例示的具体例において、R’は、所望により置換されていてもよいフェニルまたはピリジル基である。いくつかの具体例において、pは1であり、Vは-CH2C(R6)2-または-C(R6)2-であり、ここにR6の各出現は、独立して、ハロゲン、CN、NO2、または-YRであり、ここに、Yは結合または所望により置換されていてもよいCl-C4アルキリデン鎖であり、ここに、Yの2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-O-、-NR-、-CO-、-S-、-SO-、または-S02-によって置換されていてもよく、あるいはここに同一の炭素原子上のR6の2つの出現が一緒になって、0ないし3個のヘテロ原子を有する所望により置換されていてもよい3ないし6員のスピロ環を形成する。特定の具体例において、R6は水素、メチルであるか、あるいは同一の炭素原子上のR6の2つの出現が一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択される0、1または2つのヘテロ原子を有する所望により置換されていてもよい3ないし6員のスピロ環を形成する。さらに他の具体例において、pは0であり、R4はCy1である。
【0068】
さらに他の具体例において、結合している窒素原子と一緒になったR3およびR4は、構造
【化16】

を有する所望により置換されていてもよい5−、6−または7員の飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和環を形成し、ここにrは0、1、または2であり;X3、X4、またはX5のうちの1つはCH-Vp-Cy1またはN-Vp-Cy1であり、X3、X4、またはX5のうちの他方は、CHR'またはNR'であり、X1およびX2の各出現は、存在する時、各々、独立して、C(R')2、-CO-、または-CS-である。特定の具体例において、rは1であり、X1、X2、X3およびX5は、各々、CH2であり、X4はCH-Vp-Cy1、またはN-Vp-Cy1であり、pは1であり、VはS02、-NRS02、CO、またはNRCOである。さらに他の具体例において、X4はN-Vp-Cy1であり、pは1であり、VはS02またはCOである;
【0069】
一般的に上記されるように、Cy1は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の単環、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここにCy1は所望により、-WRWのyの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにyは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNであり、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'である。
【0070】
特定の具体例において、Cy1は、以下の環のうちの1つから選択される:
【化17】

【化18】

【0071】
一般的に上記されるように、Cy1は所望により、-WRWのyの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;yは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、独立して、所望により、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNであり、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'であることが理解されるであろう。特定の具体例において、yは0、1、2または3であり、Wは結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、COによって置換され、RwはR'またはハロゲンである。他の具体例において、yは0、1、2、または3であり、WRWの各出現は、存在する時、独立して、-Cl-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である。
【0072】
上記の化合物およびサブセットに加えて、特定のさらなる化合物が関心の対象である。
【0073】
例えば、特定の具体例において、ZはCH2であり、R2およびR3は各々水素であり、R4はVpCy1であり、ここにpは1であり、Vは-CH2C(R6)2であり、化合物は一般式II:
【化19】

を有する。
【0074】
一般的に上記されるように、XはSまたはOであり、式II-AまたはII-Bの化合物が提供される:
【化20】

【0075】
いくつかの具体例において、一般式II、II-AまたはII-Bの化合物に関して、R1は、以下の基のうちの1つから選択される:
【化21】

【化22】

【化23】

【0076】
他の具体例において、R1は、環a、b、c、d、m、n、o、ee、gg、またはppのうちの1つである。他の具体例において、R1は環aである。特定の他の具体例において、R1は環ggである。
【0077】
特定の具体例において、式II、II-AまたはII-Bの化合物について、xは0、1、2または3であり、Qは結合または所望により置換されていてもよいC1-6アルキリデン鎖であり、ここに1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、0、NR、S、SO2、またはC02、COによって置換されていてもよく、RxはR'またはハロゲンである。他の具体例において、xは0、1、2、または3であり、QRXの各出現は、存在する時、独立して、-C1-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R'),-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R'),-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である。
【0078】
さらに他の具体例において、一般式II、II-A、またはII-Bの化合物について、R6は水素、メチルであるか、あるいは同一の炭素原子上のR6の2つの出現は一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択される0、1または2つのヘテロ原子を有する所望により置換されていてもよい3ないし6員のスピロ環を形成する。
【0079】
特定の具体例において、一般式II、II-AまたはII-Bの化合物について、Cy1は以下の基のうちの1つから選択される:
【化24】

【化25】

【化26】

【0080】
特定の具体例において、式II、II-AまたはII-Bの化合物について、yは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、独立して、所望により、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNであり、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'である。特定の具体例において、yは0、1、2または3であり、Wは結合または所望により置換されていてもよいC1-6アルキリデン鎖であり、ここに1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、0、NR、S、SO2、またはC02、COによって置換されていてもよく、RWはR'またはハロゲンである。他の具体例において、yは0、1、2、または3であり、WRWの各出現は、存在する時、独立して、-Cl-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である。
【0081】
さらに他の具体例において、Zは結合であり、R1は、独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和な単環、または独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり;R2は水素であり;R3はUmR'であり、ここにmは0または1であり、Uは存在する時、-CH2-であり、R'は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する5−または6員の所望により置換されていてもよい飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環であり;ならびにR4は-CH2Cy1であり、式IIIの化合物:
【化27】

[式中、R1、X、U、m、R'、およびCy1は、一般的に上記および本明細書中のサブセットで定義されるとおりである]
が提供される。
【0082】
一般的に上記されるように、XはSまたはOであり、式III-AまたはIII-Bの化合物が提供される:
【化28】

【0083】
いくつかの具体例において、一般式III、III-A、またはIII-Bの化合物につき、R1は以下の基のうちの1つから選択される:
【化29】

【化30】

【0084】
他の具体例において、R1は、環a、b、c、d、m、n、o、ee、gg、またはppのうちの1つである。他の具体例において、R1は環aである。特定の他の具体例において、R1は環ggである。
【0085】
特定の具体例において、式III、III-A、またはIII-Bの化合物について、xは0、1、2または3であり、Qは結合または所望により置換されていてもよいC1-6アルキリデン鎖であり、ここに1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、0、NR、S、SO2、またはC02、COによって置換されていてもよく、RxはR'またはハロゲンである。他の具体例において、xは0、1、2、または3であり、QRXの各出現は、存在する時、独立して、-C1-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R'),-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である。
【0086】
式IIIの化合物について一般的に上記されるように、R3はUmR'であり、ここにmは0または1であり、Uは存在する時、-CH2-であり、R'は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する5−または6員の所望により置換されていてもよい飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環である。特定の具体例において、R'は、所望により置換されていてもよいフェニルまたはピリジル基である。
【0087】
特定の具体例において、一般式III、III-A、またはIII-Bの化合物について、Cy1は、以下の環のうちの1つから選択される:
【化31】

【化32】

【0088】
特定の具体例において、式III、III-A、またはIII-Bの化合物について、yは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、独立して、所望により、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNであり、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'である。特定の具体例において、yは0、1、2または3であり、Wは結合または所望により置換されていてもよいC1-6アルキリデン鎖であり、ここに1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、0、NR、S、SO2、またはC02、COによって置換されていてもよく、RWはR'またはハロゲンである。他の具体例において、yは0、1、2、または3であり、WRWの各出現は、存在する時、独立して、-Cl-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である。
【0089】
さらに他の具体例において、Z-R1は-CH3であり;R2は水素であり;R3はUmR'であり、ここにmは0または1であり、Uは存在する時、-CH2-であり、R'は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する5−または6員の所望により置換されていてもよい飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環であり;ならびにR4は-CH2Cy1であり、式IV:
【化33】

[式中、X、U、m、R'、およびCy1は、一般的に上記および本明細書中のサブセットで定義されたとおりである]
の化合物が提供される。
【0090】
一般的に上記されるように、XはSまたはOであり、式IV-AまたはIV-Bの化合物が提供される:
【化34】

【0091】
式IVの化合物について一般的に上記されるように、R3はUmR'であり、ここにmは0または1であり、Uは存在する時、-CH2-であり、R'は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する5−または6員の所望により置換されていてもよい飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環である。特定の具体例において、R'は、所望により置換されていてもよいフェニルまたはピリジル基である。
【0092】
特定の具体例において、一般式IV、IV-A、またはIV-Bの化合物について、Cy1は、以下の環のうちの1つから選択される:
【化35】

【化36】

【0093】
特定の具体例において、式IV、IV-A、またはIV-Bの化合物について、yは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、独立して、所望により、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNであり、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'である。特定の具体例において、yは0、1、2または3であり、Wは結合または所望により置換されていてもよいC1-6アルキリデン鎖であり、ここに1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、0、NR、S、SO2、またはC02、COによって置換されていてもよく、RWはR'またはハロゲンである。他の具体例において、yは0、1、2、または3であり、WRWの各出現は、存在する時、独立して、-Cl-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である。
【0094】
さらに他の具体例において、結合している窒素原子と一緒になったR3およびR4は、構造
【化37】

を有する所望により置換されていてもよい5−、6−または7員の飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和環を形成し、ここにrは0、1、または2であり;X3、X4、またはX5のうちの1つはCH-Vp-Cy1またはN-Vp-Cy1であり、X3、X4、またはX5のうちの他方は、CHR'またはNR'であり、X1およびX2の各出現は、存在する時、各々、独立して、C(R')2、-CO-、または-CS-であり、式V:
【化38】

[式中、R1、X、R2、X1、X2、X3、X4、X5は、一般的に上記および本明細書中のサブセットで定義されるとおりである]
の化合物が提供される。
【0095】
一般的に上記されるように、XはSまたはOであり、式V-AまたはV-Bの化合物が提供される:
【化39】

【0096】
いくつかの具体例において、一般式V、V-A、またはV-Bの化合物につき、R1は以下の基のうちの1つから選択される:
【化40】

【化41】

【化42】

【0097】
他の具体例において、R1は環a、b、c、d、m、n、o、ee、gg、またはppのうちの1つである。他の具体例において、R1は環aである。特定の他の具体例において、R1は環ggである。
【0098】
特定の具体例において、式V、V-A、またはV-Bの化合物につき、xは0、1、2または3であり、Qは結合または所望により置換されていてもよいC1-6アルキリデン鎖であり、ここに1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、0、NR、S、SO2、またはC02、COによって置換されていてもよく、RxはR'またはハロゲンである。他の具体例において、xは0、1、2、または3であり、QRXの各出現は、存在する時、独立して、-C1-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R'),-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R'),-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である。
【0099】
特定の具体例において、一般式V、V-A、またはV-Bの化合物につき、rは1であり、X1、X2、X3およびX5は、各々、CH2であり、X4は、CH-Vp-CylまたはN-Vp-Cylである。特定の具体例において、pは1であり、Vは、SO2、-NRSO2、CO、またはNRCOである。さらに他の具体例において、X4はN-Vp-Cylであり、pは1であり、Vは、SO2またはCOである。さらに他の具体例において、一般式V-AまたはV-Bの化合物につき、X4はN-Vp-Cylであり、pは1であり、VはSO2である。
【0100】
特定の具体例において、一般式V、V-A、またはV-Bの化合物につき、Cy1は、以下の環のうちの1つから選択される:
【化43】

【化44】

【化45】

【0101】
特定の具体例において、一般式V、V-A、またはV-Bの化合物につき、yは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、独立して、所望により、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNであり、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'である。特定の具体例において、yは0、1、2または3であり、Wは結合または所望により置換されていてもよいC1-6アルキリデン鎖であり、ここに1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、0、NR、S、SO2、またはC02、COによって置換されていてもよく、RWはR'またはハロゲンである。他の具体例において、yは0、1、2、または3であり、WRWの各出現は、存在する時、独立して、-Cl-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である。
【0102】
もう1つの具体例において、本発明は、式VI:
【化46】

[式中:
環AはO、S、またはNRから選択される3までのヘテロ原子を有する3ないし7員の環であり;
R、R1、Z、X、およびCy1は上記定義とおりである]
の化合物を提供する。
【0103】
一般的に上記されるように、XはSまたはOであり、式VI-AまたはVI-Bが提供される:
【化47】

【0104】
1つの具体例において、環Aは3ないし7員のシクロアルキル環である。もう1つの具体例において、環Aは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。特定の具体例において、環Aはシクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0105】
もう1つの具体例において、環Aは1つの酸素環ヘテロ原子を有する。あるいは、環Aは1つの硫黄環ヘテロ原子を有する。あるいは、環Aは1つの窒素環ヘテロ原子を有する。好ましくは(NRにおける)Rは水素である。
【0106】
いくつかの具体例において、一般式VI、VI-A、またはVI-Bの化合物につき、R1は以下の基のうちの1つから選択される:
【化48】

【化49】

【0107】
他の具体例において、R1は、環a、b、c、d、m、n、o、ee、gg、またはppのうちの1つである。さらに他の具体例において、R1はフェニル(環a)である。
【0108】
特定の具体例において、式VI、VI-A、またはVI-Bの化合物につき、xは0、1、2または3であり、Qは結合または所望により置換されていてもよいC1-6アルキリデン鎖であり、ここに1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、0、NR、S、SO2、またはC02、COによって置換されていてもよく、RxはR'またはハロゲンである。他の具体例において、xは0、1、2、または3であり、QRXの各出現は、存在する時、独立して、-C1-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である。
【0109】
特定の具体例において、式VI、VI-A、またはVI-Bの化合物につき、Cy1は以下の環のうちの1つから選択される:
【化50】

【化51】

【0110】
1つの具体例において、Cy1は上記の環iまたは環xxxiiiである。
【0111】
特定の具体例において、一般式VI、VI-A、またはVI-Bの化合物につき、yは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、独立して、所望により、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNであり、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'である。特定の具体例において、yは0、1、2または3であり、Wは結合または所望により置換されていてもよいC1-6アルキリデン鎖であり、ここに1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、0、NR、S、SO2、またはC02、COによって置換されていてもよく、RWはR'またはハロゲンである。他の具体例において、yは0、1、2、または3であり、WRWの各出現は、存在する時、独立して、-Cl-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である。
【0112】
1つの具体例において、Zは-CH2-または-CH2-CH2-である。あるいは、Zは-CH2-である。
【0113】
もう1つの具体例において、R1は、-Cl-C3アルキル、-O(C1-C3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'から選択される3までの置換基によって所望により置換されていてもよいフェニルである。
【0114】
式Iの化合物の代表的な例は、表1に下記される。
【0115】
表1. 式Iの化合物の例:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【表25】

【表26】

【0116】
4.一般的な合成理論:
【0117】
本発明の化合物は、下記の一般図式、および続く調製例によって説明されるように、類似化合物について当業者に知られる方法によって、一般的に調製され得る。
【0118】
下記の図式IおよびIIは、チアゾールおよびオキサゾール出発物質の合成を示し、ここにZは-CH2-であり、R1は所望により置換されていてもよいフェニルである。
【0119】
図式I:
【化52】

【0120】
図式II:
【化53】

引用文献:
Org. Lett., 2000, 2(8), 1165-1168; A.J.Phillips et al.
Chem Pharm Bull, 1986, 34(7), 2851; K.Meguro et al.
【0121】
図式III:
【0122】
図式IIIは、(一般的に上記で示したように)チアゾールまたはオキサゾール出発物質および適切なアミンをカップリングして、式Iの化合物によって一般的に示されるように、チアゾールまたはオキサゾールアミドを生成する。
【化54】

【0123】
特定の例示的具体例は上記および本明細書中に示され記載されているが、本発明の化合物は、当業者に一般的に入手可能な方法によって、適切な出発物質を用いて、一般的に上記された方法によって調製することができることが理解されるであろう。
【0124】
5.使用、処方および投与
【0125】
医薬上許容される組成物
【0126】
上記で論議したように、本発明は、ABCトランスポーターのモジュレーターとして有用であり、従って、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、蛋白質C欠乏症のような凝固線維素溶解欠陥、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症のような脂質処理欠陥、1型乳糜血症、無ベータリポ蛋白血症、I細胞疾患/偽ハーラー症候群のようなリソソーム蓄積症、分泌性下痢または多発性嚢胞腎、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイサックス病、クリーグラー−ナジャー病、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、糖尿病、ラロン型小人症、ミエロプルオキシダーゼ欠陥、初期副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノーシス(glycanosis)CDGタイプ1、遺伝性肺気腫、新生児甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠陥、尿崩症(DI)、下垂体性DI、腎性DI、シャルコー−マリーツース症候群、ペリツェウス−メルツバッハー病、アルツハイマー病、パーキンソン氏病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ピック病、ハンチントン舞踏病、脊髄小脳失調症I型、脊髄性および延髄性筋萎縮、歯状核赤核蒼球ルイ体萎縮症、および筋強直性ジストロフィーのようないくつかのポリグルタミン神経障害、ならびに(プリオン蛋白質処理欠陥による)遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病のような海綿状脳症のような神経変性疾患、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、眼球乾燥疾患、またはシェーグレン症候群の治療に有用である化合物を提供する。
【0127】
従って、本発明のもう1つの態様において、医薬上許容される組成物が提供され、ここに、これらの組成物は、本明細書記載のような化合物のいずれかを含み、所望により、医薬上許容されるキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含む。特定の具体例において、これらの化合物は、所望により、さらに、1以上のさらなる治療剤を含む。
【0128】
また、本発明の特定の化合物は、治療用の自由形態で存在し得、適切ならば、その医薬上許容される誘導体として存在し得る。本発明によると、医薬上許容される誘導体は、医薬上許容される塩、エステル、そのようなエステルの塩、またはいずれかの他の付加化合物または誘導体を含むが、これらに限定されるものではなく、これらは、必要のある患者への投与の際、直接的または間接的に、本明細書中に記載されるような化合物、または代謝産物またはその残基を提供することが可能である。
【0129】
本明細書中で使用されるように、用語「医薬上許容される塩」は、冷静な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等なしで、ヒトおよび下等動物の組織と接触する使用に適当であり、適当な利益/リスク率と相応の塩を指す。「医薬上許容される塩」は、受け手への投与の際、直接的または間接的に、本発明の化合物または活性代謝産物またはその残基を提供することが可能な本発明の化合物のいずれかの非毒性の塩またはエステルの塩を意味する。
【0130】
医薬上許容される塩は、当該分野でよく知られている。例えば、S. M. Berge, et al.は、本明細書中に引用によって援用されるJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19に、詳細に、医薬上許容される塩を記載する。本発明の化合物の医薬上許容される塩は、適当な無機および有機酸および塩基から由来するものを含む。医薬上許容される、非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩のような無機酸または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸のような有機酸で、あるいはイオン交換のような当該分野で使用される他の方法を用いることによって形成されたアミノ基の塩である。他の医薬上許容される塩は、アジピン酸塩、アルギニン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコへプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等を含む。適切な塩基から由来する塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN+(C1-4アルキル)4塩を含む。また、本発明は、本明細書中で開示された化合物のいずれかの塩基性窒素含基の四級化を予測する。水溶性または油溶性または分散性生成物は、そのような四級化によって入手することができる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を含む。さらに医薬上許容される塩は、適切な時、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびハライド、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩のような対イオンを用いて形成されるアミンカチオンを含む。
【0131】
上記のように、本発明の医薬上許容される組成物は、さらに、本明細書中で使用されるように、所望の特定の用量形態に適当なように、いずれかおよび全ての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散または懸濁エイド、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳剤、保存料、固体結合剤、滑沢剤等を含む。Remington's Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)は、医薬上許容される組成物を処方するのに使用される種々のキャリアおよびその調製のための既知の技術を開示する。いずれかの望ましくない生物学的効果を生成するまたはさもなければ医薬上許容される組成物の(複数の)いずれかの他の要素と有害な様式で相互作用することによってのように、いずれかの慣用的なキャリア媒体が、本発明の化合物と不適合である場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内であると考えられる。医薬上許容されるキャリアとして働くことができる物質のいくつかの例は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清蛋白質、リン、グリシン、ソルビン酸、またはソルビン酸カリウムのような緩衝物、硫酸プロタミン、リン酸1水素2ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−遮断ポリマー、羊毛脂のような、飽和野菜脂肪酸、水、塩または電解質の部分的グリセリド混合物、ラクトース、グルコースおよびスクロースのような糖;トウモロコシスターチおよびジャガイモスターチのようなスターチ;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースのようなセルロースおよびその誘導体;粉末状トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐薬ワックスのような賦形剤;落花生脂、綿実油;ヒマワリ油;ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油および大豆油のような油;プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのようなエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝剤;アルギン酸;ピロゲンなしの水;等張食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝溶液、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムのような他の非毒性適合性滑沢剤を含むがこれらに限定されるものではなく、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、風味料および香料、保存料および抗酸化剤もまた、処方者の判断によって、組成物中に存在することができる。
【0132】
化合物および医薬上許容される組成物の使用
【0133】
さらにもう1つの態様において、本発明は、ABCトランスポーター活性に関係する状態、疾患、または障害を治療する方法を提供する。さらなる具体例において、本発明は、ABCトランスポーター活性の欠陥に関係する状態、疾患、または障害を治療する方法を提供し、該方法は、その必要のある対象、好ましくは哺乳類に、式(I)の化合物を含む組成物を投与することを特徴とする。
【0134】
特定の好ましい具体例において、本発明は、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、蛋白質C欠乏症のような凝固線維素溶解欠陥、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症のような脂質処理欠陥、1型乳糜血症、無ベータリポ蛋白血症、I細胞疾患/偽ハーラー症候群のようなリソソーム蓄積症、分泌性下痢または多発性嚢胞腎、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイサックス病、クリーグラー−ナジャー病、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、糖尿病、ラロン型小人症、ミエロプルオキシダーゼ欠陥、初期副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノーシス(glycanosis)CDGタイプ1、遺伝性肺気腫、新生児甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠陥、尿崩症(DI)、下垂体性DI、腎性DI、シャルコー−マリーツース症候群、ペリツェウス−メルツバッハー病、アルツハイマー病、パーキンソン氏病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ピック病、ハンチントン舞踏病、脊髄小脳失調症I型、脊髄性および延髄性筋萎縮、歯状核赤核蒼球ルイ体萎縮症、および筋強直性ジストロフィーのようないくつかのポリグルタミン神経障害、ならびに(プリオン蛋白質処理欠陥による)遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病のような海綿状脳症のような神経変性疾患、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、眼球乾燥疾患、またはシェーグレン症候群を治療する方法を提供し、該方法は、該哺乳類に、式(I)の化合物を含む有効量の組成物を投与する工程、または上記のようにその好ましい具体例を含む。
【0135】
代替の好ましい具体例によると、本発明は、式(I)、または上記のようにその好ましい具体例の化合物を含む組成物の有効量を、該哺乳類に投与する工程を含む、該哺乳類に組成物を投与する工程を含む嚢胞性線維症を治療する方法を提供する。
【0136】
本発明による、組成物または医薬上許容される組成物の「有効量」は、1以上の嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、蛋白質C欠乏症のような凝固線維素溶解欠陥、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症のような脂質処理欠陥、1型乳糜血症、無ベータリポ蛋白血症、I細胞疾患/偽ハーラー症候群のようなリソソーム蓄積症、分泌性下痢または多発性嚢胞腎、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイサックス病、クリーグラー−ナジャー病、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、糖尿病、ラロン型小人症、ミエロプルオキシダーゼ欠陥、初期副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノーシス(glycanosis)CDGタイプ1、遺伝性肺気腫、新生児甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠陥、尿崩症(DI)、下垂体性DI、腎性DI、シャルコー−マリーツース症候群、ペリツェウス−メルツバッハー病、アルツハイマー病、パーキンソン氏病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ピック病、ハンチントン舞踏病、脊髄小脳失調症I型、脊髄性および延髄性筋萎縮、歯状核赤核蒼球ルイ体萎縮症、および筋強直性ジストロフィーのようないくつかのポリグルタミン神経障害、ならびに(プリオン蛋白質処理欠陥による)遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病のような海綿状脳症のような神経変性疾患、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、眼球乾燥疾患、またはシェーグレン症候群を治療するまたはそれらの重症度を緩和するのに有効な量である。
【0137】
本発明によると、化合物および組成物は、1以上の嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性ヘモクロマトーシス、蛋白質C欠乏症のような凝固線維素溶解欠陥、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症のような脂質処理欠陥、1型乳糜血症、無ベータリポ蛋白血症、I細胞疾患/偽ハーラー症候群のようなリソソーム蓄積症、分泌性下痢または多発性嚢胞腎、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイサックス病、クリーグラー−ナジャー病、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、糖尿病、ラロン型小人症、ミエロプルオキシダーゼ欠陥、初期副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノーシス(glycanosis)CDGタイプ1、遺伝性肺気腫、新生児甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠陥、尿崩症(DI)、下垂体性DI、腎性DI、シャルコー−マリーツース症候群、ペリツェウス−メルツバッハー病、アルツハイマー病、パーキンソン氏病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ピック病、ハンチントン舞踏病、脊髄小脳失調症I型、脊髄性および延髄性筋萎縮、歯状核赤核蒼球ルイ体萎縮症、および筋強直性ジストロフィーのようないくつかのポリグルタミン神経障害、ならびに(プリオン蛋白質処理欠陥による)遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病のような海綿状脳症のような神経変性疾患、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、眼球乾燥疾患、またはシェーグレン症候群を治療するまたはその重症度を緩和するのに有効ないずれかの両およびいずれかの投与経路を用いて投与されてもよい。必要な正確な量は、対象の種、年齢、および一般的状態、感染の重症度、特定の剤、その投与モード等によって、対象間で変動するであろう。本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易性および用量の均一性のために、用量単位形態で処方される。本明細書において使用されるように表現「用量単位形態」は、治療される患者に適切な剤の物理的に別個の単位を指す。しかしながら、本発明の化合物および組成物の総1日当たりの使用は、担当医によって、適切な医学的判断の範囲内で決定されることが理解されるであろう。いずれかの特定の患者または生物の特異的な有効用量レベルは、治療下の障害、障害の重症度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的健康状態、性別および食事;投与の時間、投与の経路、および使用される特定の化合物の排出の速度;治療の期間;使用される特定の化合物と併用されるまたは同時に使用される薬物等の医学分野でよく知られた要因を含む種々の要因によって決まるであろう。本明細書において使用されるように、用語「患者」は、動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを意味する。
【0138】
本発明の医薬上許容される組成物は、治療される感染の重症度によって、ヒトおよび他の動物に、経口、直腸、非経口、嚢内、膣内、腹腔内、(散剤、軟膏、または液によってのように)局所、経口または経鼻スプレーのように口腔投与等することができる。特定の具体例において、本発明の化合物は、経口または非経口で、1日当たり、対象の体重の約0.01mg/kgないし約50mg/kg、好ましくは約1mg/kgないし約25mg/kgの用量レベルで、1日に1度以上投与して、所望の治療効果を得てもよい。
【0139】
経口投与のための液体用量形態は、医薬上許容される乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルを含むが、これらに限定されるものではない。活性化合物に加えて、液体用量形態は、例えば、水または他の溶媒、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチ連グリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、キャスター、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合物のような可溶化剤および乳剤のような、当該分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含有し得る。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳剤および懸濁剤、甘味料、風味料、および香料のようなアジュバントも含み得る。
【0140】
例えば、殺菌注射可能水曜懸濁液または油性懸濁液といった注射可能調製物は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、既知の分野によって処方してもよい。また、殺菌注射可能調製物は、例えば、1,3−ブタンジオールのような、非毒性の非経口で許容される希釈剤または溶媒中の殺菌注射可能溶液、懸濁液または乳液であってもよい。使用されてもよい許容されるビヒクルおよび溶媒のなかには、水、リンゲル溶液、U.S.P.および生理食塩水がある。加えて、殺菌の固定油は、慣用的に、溶媒または懸濁媒体として使用される。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含むいずれかのブランドの固定油を使用することができる。加えて、オレイン酸のような脂肪酸も、注射液の調製に使用される。
【0141】
注射製剤は、例えば、細菌保持フィルターを介した濾過によって、または使用前に殺菌水または他の殺菌注射媒体中に溶解または分散させることができる殺菌固体組成物の形態で、殺菌剤を組み込むことによって、殺菌することができる。
【0142】
本発明の化合物の効果を長引かせるために、しばしば、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅延させるのが望ましい。これは、水溶性の低い結晶質または非晶質の液体懸濁液の使用によって達成され得る。次いで、化合物の吸収の速度は、溶解の速度によって決まり、代わりに、結晶の大きさおよび結晶形態によって決まることもある。別法として、非経口投与された化合物形態の遅延された吸収は、油性ビヒクルに化合物を溶解または懸濁することによって達成される。注射デポー形態は、ポリアクチド−ポリグリコリドのような生体分解性ポリマーにおいて、化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作成される。化合物対ポリマーの割合および使用される特定のポリマーの性質によって、化合物放出の速度を制御することができる。他の生体分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)を含む。また、デポー注射製剤は、体内組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルジョンにおいて化合物を封入することによって調製される。
【0143】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、外界温度では固体であるが、体内温度では液体であり、従って、直腸腔または膣腔で溶けて活性化合物を放出するココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスのような適当な非刺激性賦形剤またはキャリアと、本発明の化合物を混合することによって調製することができる。
【0144】
経口投与用の固体用量形態は、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤、および顆粒を含む。そのような固体用量形態において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウムのような少なくとも1つの不活性、医薬上許容される賦形剤またはキャリアおよび/またはa)スターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マニトール、およびケイ酸のような充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギニン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシアのような結合剤、c)グリセロールのような保湿剤、d)寒天--寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカスターチ、アルギニン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムのような崩壊剤、e)パラフィンのような溶液緩染剤、f)四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイトクレイのような吸収剤、およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物のような滑沢剤と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、用量形態は緩衝剤も含み得る。
【0145】
同様のタイプの固体組成物を、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いて、柔らかいおよび固い充填されたゼラチンカプセル剤において、充填剤として使用してもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒の固体用量形態は、腸溶コーティングおよび製剤処方分野でよく知られた他のコーティングのようなコーティングおよびシェルで調製することができる。それらは、所望により、乳白剤を含有し、好ましくは、または腸管の特定の部分で、所望により、遅延様式でのみ、(複数の)活性成分を放出する組成物のものであってもよい。使用可能な包埋組成物の例は、重合物質およびワックスを含む。また、同様のタイプの固体組成物は、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いて、柔らかいおよび固い充填されたゼラチンカプセル剤において充填剤として使用してもよい。
【0146】
また、活性化合物は、上記の1以上の賦形剤と、マイクロカプセル化形態中に存在し得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒の固体用量形態は、腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび製剤処方分野でよく知られた他のコーティングのようなコーティングおよびシェルで調製することができる。そのような固体用量形態において、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはスターチのような少なくとも1つの不活性希釈剤と混合してもよい。また、そのような用量形態は、通常のプラクティスがそうであるように、例えば、錠剤化滑沢剤およびステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースのような他の錠剤化エイドといった不活性希釈剤以外のさらなる物質も含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合において、用量形態は、緩衝剤も含み得る。それらは、所望により、乳白剤を含有し得、また、好ましくは、または腸管の特定の部分で、所望により、遅延様式でのみ、(複数の)活性成分を放出する組成物のものであってもよい。使用可能な包埋組成物の例は、重合物質およびワックスを含む。
【0147】
本発明の化合物の局所性投与または経皮投与のための用量形態は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸引剤またはパッチを含む。活性化合物は、必要に応じて、医薬上許容されるキャリアおよびいずれかの必要な保存料または緩衝剤と、無菌条件下で混合する。また、点眼処方、点耳薬、および目薬も、本発明の範囲内であると考えられる。さらに、本発明は、体への化合物の制御された送達を提供するさらなる利点を有する経皮パッチの使用を考慮する。そのような用量形態は、適切な媒体中に化合物を溶解または分注することによって、調製される。また、吸収促進剤を使用して、皮膚にわたる化合物の流れを増加させることができる。速度は、速度制御膜を提供するかあるいは、重合マトリックスまたはゲル中に化合物を分注するかのいずれかによって、制御することができる。
【0148】
一般的に上記したように、本発明の化合物は、ABCトランスポーターのモジュレーターとして有用である。従って、いずれかの特定の理論に制約されることを望まずに、化合物および組成物は、ABCトランスポーターの過剰活性または不活性が、疾患、状態、または障害に関与している場合、疾患、状態、または障害の重症度を治療または緩和するのに特に有用である。ABCトランスポーターの過剰活性または不活性が、特定の疾患、状態、または障害に関与している時、疾患、状態、または障害は、「ABCトランスポーター−媒介疾患、状態、または障害」と呼んでもよい。従って、もう1つの態様において、本発明は、ABCトランスポーターの過剰活性または不活性が病状に関与している疾患、状態、または障害の重症度を治療または緩和するための方法を提供する。
【0149】
ABCトランスポーターのモジュレーターとして本発明で利用される化合物の活性は、当該分野および本明細書中の実施例に一般的に記載された方法に従って、アッセイされ得る。
【0150】
また、本発明の化合物および医薬上許容される組成物が、併用療法で使用可能である、つまり、化合物および医薬上許容される組成物が、1以上の他の所望の治療学または医学的手順と一緒に、その前に、またはその後に投与可能であることが理解されるであろう。併用療法において使用される療法(治療学または手順)の特定の組合せは、達成される所望の治療学および/または手順および所望の治療効果の適合性を考慮に入れるであろう。また、使用される療法が、同じ障害に対して所望の効果を達成してもよく(例えば、本発明の化合物を、もう1つの剤と一緒に投与して、同じ障害を治療してもよい)、あるいはそれらは異なる効果(例えば、いずれかの副作用の対照)を達成してもよい。本明細書中で使用されるように、特定の疾患、または状態を治療または予防するのに通常投与されるさらなる治療剤は、「治療下にある疾患、または状態に適切」と知られる。
【0151】
本発明の組成物中に存在するさらなる治療剤の量は、該治療剤を唯一の活性剤として含む組成物中に通常投与されるであろう量以上ではないであろう。好ましくは、現在開示された組成物中のさらなる治療剤の量は、該剤を唯一の治療的活性剤として含む組成物中に通常存在する量の約50%ないし100%の範囲であろう。
【0152】
本発明の化合物またはその医薬上許容される組成物は、補綴、人工弁、代用血管、ステントおよびカテーテルのような移植可能な医療機器を覆うための組成物に組み込んでもよい。従って、もう1つの態様において、本発明は、一般的に上記、および本明細書中のクラスおよびサブクラスにおいて記載されるような本発明の化合物、および移植可能な機器を覆うのに適当なキャリアを含む、移植可能な機器を覆うための組成物を含む。さらにもう1つの態様において、本発明は、一般的に上記、および本明細書中のクラスおよびサブクラスにおいて記載されるような本発明の化合物、および移植可能な機器を覆うのに適当なキャリアを含む組成物で覆われた移植可能な機器を含む。適当なコーティングおよび覆われた移植可能な機器の一般的な調製は、米国特許6,099,562;5,886,026;および5,304,121に記載される。コーティングは、典型的には、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニール、およびその混合物のような生体適合性ポリマー材料である。コーティングは、所望により、さらに、フルオロシリコーン、多糖体、ポリエチレングリコール、リン脂質またはその組合せの適当なトップコートで覆われて、組成物において、放出制御特徴を与えてもよい。
【0153】
本発明のもう1つの態様は、生体試料または患者におけるABCトランスポーター活性を(例えば、in vitroまたはin vivoで)変調することに関し、この方法は、式Iの化合物または該化合物を含む組成物を患者に投与するまたはそれと該生体試料を接触させることを特徴とする。本明細書中で使用されるように、用語「生体試料」は、制限なしに、細胞培養液またはその抽出物;哺乳類から得られた生検された物質またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞、精液、涙、または他の体液またはその抽出物を含む。
【0154】
生体試料におけるABCトランスポーター活性の変調は、当業者に知られる種々の目的に有用である。そのような目的の例は、生体または病理現象におけるABCトランスポーターの研究;およびABCトランスポーターの新規モジュレーターの比較評価を含むが、これらに限定されるものではない。
【0155】
さらにもう1つの具体例において、in vitroまたはin vivoでアニオンチャネルの活性を変調する式(I)の化合物と、該チャネルを接触させる工程を含む方法が提供される。好ましい具体例において、アニオンチャネルは、塩化物チャネルまたは重炭酸チャネルである。他の好ましい具体例において、アニオンチャネルは塩化物チャネルである。
【0156】
代替の具体例によると、本発明は、式(I)の化合物と該細胞を接触させる工程を含む、細胞の膜において、官能的ABCトランスポーターの数を増加させる方法を提供する。本明細書中で使用されるように、用語「官能的ABCトランスポーター」は、輸送活性の可能なABCトランスポーターを意味する。好ましい具体例において、該官能的ABCトランスポーターはCFTRである。
【0157】
もう1つの好ましい具体例によると、ABCトランスポーターの活性は、膜貫通電位を測定することによって測定される。生体試料において膜にわたり電位を測定するための手段は、光学膜電位アッセイまたは他の電気生理学的方法のような当該分野で知られる方法のいずれかを使用してもよい。
【0158】
光学膜電位アッセイは、Voltage/Ion Probe Reader (VIPR)(Gonzalez, J. E., K. Oades, et al. (1999) "Cell-based assays and instrumentation for screening ion-channel targets" Drug Discov Today 4(9): 431-439参照)のような蛍光変化を測定するための装置と併せて、Gonzalez and Tsien (Gonzalez, J. E. and R. Y. Tsien (1995) "Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells" Biophys J 69(4): 1272-80, and Gonzalez, J. E. and R. Y. Tsien (1997) "Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer" Chem Biol 4(4): 269-77参照)によって記載された電圧−感受性FRETセンサーを利用する。
【0159】
これらの電圧感受性アッセイは、膜−溶解性、電圧−感受性色素、DiSBAC2(3)、および蛍光リン脂質、原形質膜の外葉に付着し、FRETドナーとして作用するCC2-DMPEの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)における変化に基づく。膜電位の変化(Vm)によって、負の電荷を帯びたDiSBAC2(3)は、原形質膜にわたり再配分し、従って、CC2-DMPEからのエネルギー移動の量は変化する。蛍光発光の変化は、VIPRTMIIを用いてモニターすることができ、これは、96−または384−ウェルマイクロタイタープレートにおいて細胞系スクリーンを実行するように設計された統合液体取り扱い器および蛍光検出器である。
【0160】
もう1つの態様において、本発明は、(i)式(I)の化合物を含む組成物;および(ii)a)さらなる組成物を生体試料と接触させ、次いでb)該ABCトランスポーターまたはその断片の活性を測定するための指示書を含むin vitroまたはin vivoで、生体試料において、ABCトランスポーターまたはその断片の活性を測定する際の使用のためのキットを提供する。1つの具体例において、該キットは、さらに、a)さらなる組成物を生体試料と接触させ;b)該さらなる化合物の存在下で、該ABCトランスポーターまたはその断片の活性を測定し、次いでc)さらなる化合物の存在下のABCトランスポーターの活性を、式(I)の組成物の存在下のABCトランスポーターの密度と比較するための指示書を含む。好ましい具体例において、該キットを使用して、CFTRの密度を測定する。
【0161】
本明細書に記載された本発明がより完全に理解されるために、以下の実施例を記載する。これらの実施例は、説明的目的のためのみであって、決して本発明を制限するように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0162】
A):本発明の特定の例示的化合物の調製:
【0163】
一般的な実験手順:
【0164】
アミド調製:もし適切な酸塩化物が商業的に入手可能ならば、それを、2つの同等物トリエチルアミンを含有する最小限の1,4−ジオキサン中の適切な二級アミンの1つの同等物に添加した。反応混合物を、室温にて、一晩撹拌した。次いで、反応混合物を濾過し、蒸発させて乾燥させた。粗製生成物を、逆相分取用質量−指向性液体クロマトグラフィー/質量分析によって精製した。
【0165】
もし適切な酸塩化物が商業的に入手可能でなければ、適切なカルボン酸を、トリエチルアミンの2つの同等物を含有する最小限のアセトニトリル中の適切なアミンの1つの同等物を含有する溶液に添加した。ヘキサフルオロリン酸O-(7-アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N’−テトラメチルウロニウム(HATU, 1.2eq.)を添加し、反応物を、一晩撹拌する。次いで、粗製生成物を、逆相分取用質量−指向性液体クロマトグラフィー/質量分析によって精製した。
【0166】
特異的な実施例:
【0167】
概要 全試薬および溶媒を、さらなる精製なしでそのまま使用した。薄層クロマトグラフィーを、EM Scienceからの蛍光色素によって予め覆われたガラス支持シリカゲル60プレート上で行った。質量分析を、PE SCIEX EX150質量分析器上のポジティブモードで実施した。純度を、観察されたイオン電流、および220nmおよび254nmの紫外線吸収によって決定した。
【0168】
アミンの調製:
【0169】
C-[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−シクロペンチル]−メチルアミン:(3,4−ジメトキシ−フェニル)−アセトニトリル(5.00g、28.2mmol)を、250mLの丸底フラスコにおいて60mLの無水テトラヒドロフラン中に溶解した。水素化ナトリウム(2.03g、84.6mmol)をゆっくりと添加し、反応混合物を50ないし60℃まで加温した。次いで、1,4−ジクロロブタン(4.30g、33.9mmol)を添加し、反応混合物を、16時間、加温還流した。1,4−ジクロロブタン(4.30g、33.9mmol)のさらなる分割量を添加し、反応混合物をさらなる24時間還流した。反応混合物を室温まで冷却し、メタノールをゆっくりと添加してクエンチした。反応混合物を蒸発させて乾燥させ、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、薄黄色の油(1.61g、6.98mmol、24.8%)を得た。得られた1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−シクロペンタンカルボニトリル(363mg、1.57mmol)を乾燥エーテル(4mL)中に溶解し、窒素の雰囲気下で、0℃まで冷却した。水素化アルミニウムリチウム(エーテル中に、1.57mL、1M)をゆっくりと添加し、反応混合物を室温まで加温し、16時間撹拌した。反応混合物を、メタノールをゆっくりと添加して、クエンチした。反応混合物を、飽和した水溶性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、分離し、蒸発させて、乾燥させて、無色の油(356mg、1.38mmol、87.9%)を得た。ESI-MS m/z 計算値235.3, 実測値236.2(M+1)+ 1.64分の滞留時間。
【0170】
アミドの調製:
【0171】
2−(4−メトキシ−ベンジル)−チアゾール−4−カルボン酸[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−シクロペンチルメチル]−アミド:2−(4−メトキシ−ベンジル)−チアゾール−4−カルボン酸(101mg、0.405mmol)およびC-[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−シクロペンチルメチル]−メチルアミン(96.5mg、0.410mmol)を、トリエチルアミン(84.1μL、0.600mmol)を含有するアセトニトリル(2mL)中に溶解した。ヘキサフルオロリン酸O-(7-アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム(171mg、0.450mmol)を添加し、溶液を、16時間撹拌した。反応混合物を蒸発させて乾燥させ、ヘキサン中の5ないし30%酢酸エチルのグラジエントを用いて、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。純粋な画分を組合せ、蒸発させて乾燥させて、黄色固体(84.0mg、0.180mmol、43.9%)を得た。ESI-MS m/z 計算値466.6, 実測値467.2 (M+1)+. 8.32分の滞留時間。1H NMR (400MHz, CD3CN)δ1.68-2.07 (m, 8H), 3.50 (d, J=6.3Hz, 2H), 3.82 (s, 9H), 4.20 (s, 2H), 6.83-7.29 (m, 8H), 7.87 (s, 1H).
【0172】
2−ベンジル−チアゾール−4−カルボン酸[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル−アミド
リンクアミド樹脂(0.627g、0.752mmol、1.20mmol/g)を懸濁し、4mLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中で、10分間、膨らませた。次いで、フェニル酢酸(0.15g、1.1mmol)およびトリエチルアミン(0.21mL,1.5mmol)を、反応混合物に添加した。ヘキサフルオロリン酸O-(7-アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム(HATU、0.46g、1.2mmol)を添加し、反応混合物を、2時間かき混ぜ、濾過し、DMFおよびジクロロメタンで洗浄した。次いで、樹脂を5mLのトルエン中に再懸濁し、2,4−ビス−(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジスルフィド(ローソン試薬、0.93g、2.3mmol)を懸濁液に添加した。次いで、反応混合物を、65℃にて2時間かき混ぜ、濾過し、DMFおよびジクロロメタンで洗浄した。次いで、樹脂(0.50g、0.60mmol)を、10分間、5mLのテトラヒドロフラン中で膨らませ、ブロモピルビン酸(0.060g、0.36mmol)を反応混合物に添加した。次いで、混合物を、135℃にて、20分間マイクロ波照射に付し、その後、濾過して、粗製2−ベンジル−チアゾール−4−カルボン酸を得た。MS m/z 計算値219.0 実測値(ESI); 220.2 (M+H+). 滞留時間2.38分。
粗製酸を、トリエチルアミン(0.0836mL、0.600mmol)および2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチルアミン(0.0332mL、0.200mmol)を含有する2mLのアセトニトリル中に溶解した。ヘキサフルオロリン酸O-(7-アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム(0.0836g、0.220mmol)を添加し、溶液を、16時間撹拌した。次いで、反応混合物を、逆相分取用液体クロマトグラフィーによって精製して、無色油を得た(0.011g、0.029mmol、4.8%)。MS m/z 計算値 382.1, 実測値(ESI); 383.2 (M+H+)滞留時間2.97分。1H NMR (400MHz, CD3CN)δ2.85(t, J=7.0Hz, 2H), 3.53-3.65 (m, 2H), 3.78 (s, 3H), 3.80 (s, 3H), 4.33 (s, 2H), 6.78-6.91 (m, 3H), 7.29-7.42 (m, 5H), 7.52 (s, 1H), 7.92(s, 1H)
【0173】
2−(4−メトキシ−ベンジル)−オキサゾール−4−カルボン酸[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−シクロペンチルメチル]−アミド:
【0174】
3−ヒドロキシ−2−[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−プロピオン酸メチルエステル:0℃のジクロロメタン(10mL)中のDL−セリンHCl(2.0g、12.8mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(3.58mL、25.7mmol)および(4−メトキシフェニル)−塩化アセチル(1.96mL、12.8mmol)を滴下した。混合物を、12時間、25℃にて撹拌した。反応混合物を、飽和水溶性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、分離し、蒸発させて乾燥させ、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 25ないし100%)によって精製した。3−ヒドロキシ−2−[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−プロピオン酸メチルエステルを、白色固体(2g、58%)として単離した。ESI-MS m/z 計算値 267.3, 実測値368.2 (M+1)+. 1.83分の滞留時間。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ3.64(s, 2H), 3.78 (s, 3H), 3.83 (s, 3H), 3.93 (qd, J=14.6および4.0Hz, 2H), 4.66 (m, 1H), 6.40 (m, 1H), 7.01 (d, J=8.7 Hz, 2H), 7.23 (d, J=8,7Hz, 2H).
【0175】
2−(4−メトキシ−ベンジル)−オキサゾール−4−カルボン酸メチルエステル:DAST(ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド)を、ジクロロメタン(8mL)中の3−ヒドロキシ−2−[2−(4−メトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−プロパン酸メチルエステル(400mg、1.5mmol)の冷(−78℃)溶液に添加した。1時間、−78℃にて撹拌した後、CCl3Br(149μL、1.5mmol)およびDBU(226μL、1.5mmol)を添加し、反応物を25℃まで加温させ、この温度にて、12時間撹拌した。反応物を、飽和水溶性NaHCO3に注ぎ、二相性混合物をDCMで抽出した。組合せた有機抽出物をMgSO4で乾燥させ、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル25ないし100%)によって精製した。2−(4−メトキシーベンジル)−オキサゾール−4−カルボン酸メチルエステルを、白色固体(80mg、21%)として単離した。ESI-MS m/z 計算値247.5, 実測値248.2(M+1)+.2.64分の滞留時間.1H NMR (400MHz, CDCl3)δ(s, 3H), 3.92(s, 3H), 4.12(s, 2H), 6.87 (d, J=8.0Hz, 2H), 7.24(d, J=8.0Hz, 2H).
【0176】
2−(4−メトキシーベンジル)−オキサゾール−4−カルボン酸:2−(4−メトキシーベンジル)−オキサゾール−4−カルボン酸メチルエステル(40mg、0.16mmol)、メタノール(2mL)および1NのNaOH(1mL)を、2時間、60℃まで加温し、30分間、25℃にて静置させた。水で希釈後、混合物を、2NのHClでpH2に調整し、エーテルで抽出した。有機層を組合せ、MgSO4で乾燥させ、乾燥するまで蒸発させて、25mg(66%)の2−(4−メトキシーベンジル)−オキサゾール−4−カルボン酸を白色固体として得た。ESI-MS m/z 計算値233.2, 実測値234.2 (M+1)+. 2.27分の滞留時間。
【0177】
2−(4−メトキシーベンジル)−オキサゾール−4−カルボン酸[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−シクロペンチルメチル]−アミド:2−(4−メトキシーベンジル)−オキサゾール−4−カルボン酸[1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−シクロペンチルメチル]−アミドの調製について報告した同様の手順の後、2−(4−メトキシーベンジル)−オキサゾール−4−カルボン酸(25g、0.1mmol)および[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−2−メチル]−プロピルアミン(47mg、0.2mmol)から出発して、アミド(30mg、66%)を白色固体として得た。3.51分の滞留時間。1H NMR (400MHz, CDCl3)δ1.68-2.19 (m, 8H), 3.50 (d, J=6.3Hz, 2H), 3.81 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 3.92 (s, 3H), 4.00 (s, 2H), 6.73-6.88 (m, 6H), 7.20 (d, J=8.7Hz, 2H), 8.07 (s, 1H).
【0178】
式Iの他の化合物は、上記のものと実質的に同様の方法によって調製された。下記の表2は、式Iの選択された化合物の分析データを列挙する。
【表27−1】

【表27−2】

【0179】
B)化合物のΔF508-CFTR修正特性を検出し測定するためのアッセイ
【0180】
I)化合物のΔF508-CFTR変調特性をアッセイするための膜電位光学的方法
【0181】
光学膜電位アッセイは、Voltage/Iron Probe Reader (VIPR)(Gonzalez, J. E., K. Oades, et al. (1999) "Cell-based assays and instrumentation for screening ion-channel targets" Drug Discov Today 4(9): 431-439参照)のような蛍光変化を測定するための装置と併せて、Gonzalez and Tsien (Gonzalez, J. E. and R. Y. Tsien (1995) "Volatage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells" Biophys J 69(4): 1272-80, and Gonzalez, J. E. and R. Y. Tsien (1997) "Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer" Chem Biol 4(4): 269-77参照)によって記載される電圧感受性FRETセンサーを利用する。
【0182】
これらの電圧感受性アッセイは、膜溶解性、電圧感受性色素、DiSBAC2(3)、および原形質膜の外葉に付着し、FRETドナーとして作用する蛍光リン脂質、CC2-DMPEの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の変化に基づく。膜電位(Vm)の変化は、負の電荷を帯びたDiSBAC2(3)を、原形質膜にわたり再分配し、CC2-DMPEからのエネルギー移動の量はそれに伴い変化する。蛍光発光の変化は、VIPRTMIIを用いてモニターされ、これは、96−または384−ウェルマイクロタイタープレートにおいて、細胞系スクリーンを実施するように設計された統合液体取り扱い器および蛍光検出器である。
【0183】
修正化合物の同定
【0184】
ΔF508-CFTRと関連した輸送障害を修正する小分子を同定するために、単一添加HTSアッセイフォーマットを開発した。細胞を、テスト化合物の存在または不存在(陰性対照)下で、37℃にて、16時間、血清遊離媒体においてインキュベートした。陽性対照として、384−ウェルプレートにプレートされた細胞を、16時間、27℃にてインキュベートして、ΔF508-CFTRを「温度修正」した。引き続いて、細胞を、クレブスリンガー液で、3X濯ぎ、電圧感受性色素で充填した。ΔF508-CFTR、10μMフォルスコリンおよびCFTR増強剤を活性化するために、ゲニステイン(20μM)を、Cl-なしの培地と一緒に、各ウェルに添加した。Cl-なしの培地の添加は、ΔF508-CFTR活性化に応答したCl-排出を促進し、得られた膜脱分極は、FRET系電圧センサー色素を用いて、光学的にモニターされた。
【0185】
増強剤化合物の同定
【0186】
ΔF508-CFTRの増強剤を同定するために、二重添加HTSアッセイフォーマットを開発した。第1の添加の間、テスト化合物あるなしでのCl-なしの培地を、各ウェルに添加した。22秒後、2ないし10μMのフォルスコリンを含有するCl-なしの培地の第2の添加を添加して、ΔF508-CFTRを活性化した。両方の添加後の細胞外Cl-濃度は28mMで、これは、ΔF508-CFTR活性化に応答して、Cl-排出を促進し、得られた膜脱分極は、FRET系電圧センサー色素を用いて、光学的にモニターされた。
溶液
バス溶液#1:(mMで)NaCl 160、KCl 4.5、 CaCl2 2、MgCl2 1、HEPES 10、NaOHでpH7.4
塩化物なしバス溶液:バス溶液#1中の塩化物塩は、グルコン酸塩で置換される。
CC2-DMPE:DMSO中の10mMストック溶液として調製され、−20℃で保存。
DiSBAC2(3):DMSO中の10mMストックとして調製され、−20℃で保存。
【0187】
細胞培養液
【0188】
ΔF508-CFTRを安定して発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、膜電位の光学測定に使用する。細胞を、175cm培養液フラスコ中で、2mMグルタミン、10%ウシ胎児血清、1X NEAA、β−ME、1Xペン/連鎖球菌、および25mM HEPESで補われたダルベッコの修飾されたイーグル培地において、37℃にて、5%CO2および90%湿度下で維持する。全光学アッセイにつき、細胞を、384ウェルのマトリゲルで覆われたプレートにおいて、30,000/ウェルにて種をまき、2時間、37℃にて培養し、その後、増強剤アッセイのために、24時間、27℃にて培養した。修正アッセイのために、細胞を、16ないし24時間、化合物あるなしで、27℃および37℃にて培養する。B)化合物のΔF508-CFTR変調特性をアッセイするための電気生理学的アッセイ
【0189】
1.Ussingチャンバーアッセイ
【0190】
Ussingチャンバー実験を、ΔF508-CFTRを発現する極性化上皮細胞上で実施して、光学アッセイで同定されたΔF508-CFTRモジュレーターをさらに特徴付けた。Costar Snapwell細胞培養液上で成長したFRTΔF508-CFTR上皮細胞を、Ussingチャンバー(Physiologic Instruments, Inc., San Diego, CA)に取付け、単分子層を、連続して、電圧クランプシステム(Department of Bioengineering, University of Iowa, IA, and, Physiologic Instruments, Inc., San Diego, CA)を用いて、避けた。経上皮抵抗を、2−mVパルスを適用することによって測定した。これらの状況下で、FRT上皮は、4KΩ/cm以上の抵抗を示した。溶液を27℃で維持し、空気で泡立てた。電極オフセット電位および流体抵抗を、細胞なしインサートを用いて修正した。これらの状況下で、電流は、頂端膜で発現されたΔF508-CFTRを通るCl-の流れを反映する。ISCを、MP100A-CEインターフェースおよびAcqKnowledgeソフトウェア(ν3.26; BIOPAC Systems, Santa Barbara, CA)を用いて、デジタル的に入手した。
【0191】
修正化合物の同定
【0192】
典型的なプロトコルは、側底ないし頂端膜Cl-濃度グラジエントを利用した。このグラジエントを設定するために、正常なリンゲルを、側底膜に対して使用し、頂端NaClを、(NaOHでpH7.4に滴定された)等モルグルコン酸ナトリウムによって置換して、上皮にわたり、大きなCl-濃度グラジエントを与えた。全実験を、無傷の単分子層で行った。ΔF508-CFTRを完全に活性化するために、フォルスコリン(10μM)およびPDE阻害剤、IBMX(100μM)を適用して、その後、CFTR増強剤、ゲニステイン(50μM)を添加した。
【0193】
他の細胞型において観察されるように、ΔF508-CFTRを安定して発現するFRT細胞の低温度でのインキュベーションは、原形質膜におけるCFTRの機能的密度を増加する。修正化合物の活性を決定するために、細胞を、37℃にて、24時間、10μMのテスト化合物でインキュベートし、引き続いて、記録の前に、3X洗浄した。化合物処理細胞中のcAMP-およびゲニステイン媒介ISCを、27℃および37℃対照に正常化し、パーセンテージ活性として発現させた。修正化合物による細胞のプレインキュベーションは、37℃対照と比較して、cAMP-およびゲニステイン媒介ISCを有意に増加した。
【0194】
増強剤化合物の同定
【0195】
典型的なプロトコルは、側底ないし頂端膜Cl-濃度グラジエントを利用した。このグラジエントを設定するために、正常なリンゲルを、側底膜に対して使用し、ナイスタチン(360μg/ml)で透過し、頂端NaClを、(NaOHでpH7.4に滴定された)等モルグルコン酸ナトリウムによって置換して、上皮にわたり、大きなCl-濃度グラジエントを与えた。全実験を、ナイスタチン透過後30分行った。フォルスコリン(10μM)および全テスト化合物を、細胞培養液インサートの両側面に添加した。推定上ΔF508-CFTR増強剤の有効性を、既知の増強剤、ゲニステインのものと比較した。
【0196】
溶液
側底溶液(mMで):NaCl(135)、CaCl2(1.2)、MgCl2(1.2)、K2HPO4(2.4)、KHPO4(0.6)、N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸(HEPES)(10)、およびデクストロース(10)。溶液を、NaOHでpH7.4に滴定した。
頂端溶液(mMで):グルコン酸Naで置換されたNaClを有する側底溶液と同じ。
【0197】
細胞培養液
【0198】
ΔF508-CFTR(FRTΔF508-CFTR)を発現するFisherラット上皮(FRT)細胞を、光学アッセイから同定された推定上ΔF508-CFTRモジュレーターのためのUssingチャンバー実験に使用した。細胞を、Costar Snapwell細胞培養液インサート上で培養し、5%ウシ胎児血清、100U/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンで補充されたCoon修飾されたHamのF-12媒体中で、37℃および5%CO 2にて、5日間培養した。化合物の増強剤活性を特徴付けるための使用前に、細胞を、16時間、27℃にてインキュベートして、ΔF508-CFTRにつき修正した。修正化合物の活性を決定するために、細胞を、24時間、化合物あるなしで、27℃または37℃にてインキュベートした。
【0199】
2.全細胞記録
【0200】
ΔF508-CFTRを安定して発現する温度−およびテスト化合物−修正NIH3T3細胞中の巨視的なΔF508-CFTR電流(IΔF508)を、穿孔処理されたパッチ、全細胞記録を用いてモニターした。簡潔には、IΔF508の電圧固定記録を、室温にて、Axopatch200Bパッチ固定増幅器(Axon Instruments Inc., Foster City, CA)を用いて行った。全記録を、10kHzのサンプリング周波数にて得、1kHzにて低域通過させた。ピペットは、細胞内溶液で充填した時、5ないし6MΩの抵抗を有した。これらの記録条件下で、室温でCl-(ECl)に対する計算された逆転電位は、−28mVであった。全記録は、シール抵抗>20GΩおよびシリーズ抵抗<15MΩを有した。パルス生成、データ入手、および分析を、Clampex(Axon Instruments Inc.)と併せて、Digidata 1320 A/D インターフェースを備えたPCを用いて行った。バスは、<250μlの生理食塩水を含有し、重力駆動型灌流システムを用いて、2ml/分の速度にて、連続して灌流させた。
【0201】
修正化合物の同定
【0202】
原形質膜において機能的ΔF508-CFTRの密度を増加するために修正化合物の活性を決定するために、上記の穿孔処理されたパッチ記録技術を使用して、電流密度を測定して、その後、修正化合物によって24時間処理した。ΔF508-CFTRを完全に活性化するために、10μMのフォルスコリンおよび20μMのゲニステインを細胞に添加した。記録条件下で、27℃での24時間インキュベーション後の電流密度は、37℃での24時間インキュベーション後に観察されたものより高かった。これらの結果は、原形質膜におけるΔF508-CFTRの密度に対する低温度インキュベーションの既知の効果と一定である。CFTR電流密度に対する修正化合物の効果を決定するために、細胞を、37℃にて、24時間、10μMのテスト化合物でインキュベートし、電流密度を、27℃および37℃対照(%活性)と比較した。記録の前に、細胞を、細胞外記録媒体で3X洗浄して、いずれの残留テスト化合物を除去した。10μMの修正化合物によるプレインキュベーションは、37℃対照と比較して、cAMP-およびゲニステイン依存電流を有意に増加した。
【0203】
増強剤化合物の同定
【0204】
ΔF508-CFTRを安定して発現するNIH3T3細胞中の巨視的なΔF508-CFTR Cl-電流(IΔF508)を増加するΔF508-CFTR増強剤の能力を、穿孔処理されたパッチ記録技術を用いて捜索した。光学アッセイから同定された増強剤は、光学アッセイで観察された同様の強度および効率を有するIΔF508において、用量依存性の増加を誘発した。検査された全細胞において、増強剤適用の前およびその間の逆転転移は、大体−30mVであり、これは計算されたECI(-28mV)である。
【0205】
溶液
細胞内溶液(mMで):Cs-アスパラギン酸塩(90)、CsCl(50)、MgCl2(1)、HEPES(10)、および240μg/ml アンフォテリシン−B(CsOHで、7.35に調整されたpH)。
細胞外溶液(mMで):N-メチル−D−グルカミン(NMDG)−Cl(150)、MgCl2(2)、CaCl2 (2)、HEPES(10)(HClで7.35に調整されたpH)。
【0206】
細胞培養液
【0207】
ΔF508-CFTRを安定して発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、全細胞記録に使用する。細胞は、175cm培養液フラスコにおいて、2mMグルタミン酸、10%ウシ胎仔血清、1X NEAA、β−ME、1Xペン/ストレプ、および25mM HEPESで補われたダルベッコ修飾イーグル媒体において、37℃にて、5% CO2および90%湿度下で維持される。全細胞記録につき、2,500ないし5,000の細胞を、ポリ−L−リシン被覆ガラスカバースリップ上に種をまき、24ないし48時間、27℃にて、使用前に培養して、増強剤の活性をテストし;次いで、修正物の活性を測定するために、37℃にて、修正化合物あるなしでインキュベートした。
【0208】
3.単一チャネル記録
【0209】
NIH3T3細胞において安定して発現された温度修正されたΔF508-CFTRの単一チャネル活性および増強剤化合物の活性を、切除された裏返しの膜パッチを用いて観察した。簡潔には、単一チャネル活性の電圧固定記録を、室温にて、Axopatch 200Bパッチ固定増幅器(Axon Instruments Inc.)によって行った。全記録を、10kHzのサンプリング周波数で得、400Hzにて低域通過させた。パッチピペットを、Corning Kovar Sealing #7052ガラス(World Precision Instruments, Inc., Sarasota, FL)から作成し、細胞外溶液で充填すると、5ないし8MΩの抵抗を有した。ΔF508-CFTRを、切除後、1mM Mg-ATP、および75nMのcAMP依存性蛋白質キナーゼ、触媒サブユニットを添加することによって活性化した(PKA; Promega Corp. Madison, WI)。チャネル活性が安定した後、パッチを、重力駆動型微小灌流システムを用いて灌流させた。流入をパッチの隣に置くと、1ないし2秒以内に溶液交換が完了した。高速灌流の間、ΔF508-CFTR活性を維持するために、非特異的ホスファターゼ阻害剤F(10mM NaF)を、バス溶液に添加した。これらの記録状況下で、チャネル活性は、パッチ記録の持続期間(60分まで)を通して、一定のままであった。細胞内から細胞外溶液へと動く陽性電荷によって生成された電流(反対方向に動くアニオン)は、陽性電流として示される。ピペット電位(Vp)は、80mVで維持した。
【0210】
チャネル活性を、2活性チャネルを含有する膜パッチから分析した。同時開口の最大数は、実験の経路の間、活性チャネルの数を決定した。単一チャネル電流振幅を決定するために、120秒のΔF508-CFTR活性から記録されたデータを、100Hzで「オフライン」フィルターし、次いで、Bio-Patch Analysisソフトウェア(Bio-Logic Comp. France)を用いて、マルチガウシアンの機能と適合させた全点振幅ヒストグラムを構築するのに使用した。総顕微鏡的電流および開確率(Po)を、120秒のチャネル活性から決定した。Poを、Bio-Patchソフトウェアを用いてまたは関係Po=I/i(N)[式中、I=平均電流、i=単一チャネル電流振幅、およびN=パッチにおける活性チャネルの数]から決定した。
【0211】
溶液
細胞外溶液(mMで);NMDG(150)、アスパラギン酸(150)、CaCl2(5)、MgCl2(2)、およびHEPES(10)(トリス塩基で7.35に調整したpH)。
細胞内溶液(mMで):NMDG-Cl(150)、MgCl2(2)、EGTA(5)、TES(10)、およびトリス塩基(14)(HClで7.35に調整されたpH)
【0212】
細胞培養
【0213】
ΔF508-CFTRを安定して発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、切除された膜パッチ固定記録に使用する。細胞を、細胞は、175cm培養液フラスコにおいて、2mMグルタミン酸、10%ウシ胎仔血清、1X NEAA、β−ME、1Xペン/ストレプ、および25mM HEPESで補われたダルベッコ修飾イーグル媒体において、37℃にて、5% CO2および90%湿度下で維持する。単一チャネル記録につき、2,500ないし5,000の細胞を、ポリ−L−リシン被覆ガラスカバースリップ上に種をまき、使用前に、27℃にて、24ないし48時間培養した。
【0214】
本発明の化合物は、ATP結合カセットトランスポーター、特にCFTRのモジュレーターとして有用である。いくつかの具体例において、表1に示された特定の化合物は、30%以上の相対的変調有効性を呈する:

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ABCトランスポーターを、式(I):
【化1】

[式中、XはOまたはSであり;
R1は水素、あるいは独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和な単環または独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここに、R1は所望により、-QRXのXの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにXは0ないし5であり;ここにQは結合またはCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに2つまでのQのメチレンユニットは、独立して、-CO-、-C02-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRC02-、-NRCONR-、-SO-、-S02-、-NRS02-、- S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rxの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02、またはCNであり、あるいは-QRXは、=O、=S、または=NR'であり;
Zは結合または所望により置換されていてもよいCl-C4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-NR-、-S-、-O-、-S02NR--NRS02-、-S02-、または-CO-によって置換されていてもよく;
Rの各出現は、独立して、水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基であり;R'の各出現は、独立して水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基、3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する単環系または窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する、8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり;あるいはRおよびR'、Rの2つの出現、またはR'の2つの出現は、それらが結合している(複数の)原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし4個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてもよい3ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和単環または二環を形成し;
R2は、ハロゲン、-CF3、-CN、-NO2、または-TqRであり;
R3は、UmR'であり、R4は、VpCy1であり、
ここに、m、p、およびqは、各々、独立して、0または1であり、U、V、およびTは、各々、独立して、所望により置換されていてもよいC1-4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRSO2NR-、-O-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;
Cy1は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の単環、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここにCy1は所望により、-WRWのyの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにyは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、独立して、所望により、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNであり、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'であり;あるいは
R3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化2】

を有する所望により置換されていてもよい5−、6−または7−員の飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和の環を形成し、ここにrは0、1または2であり;X3、X4、またはX5のうちの一方は、CH-Vp-CylまたはN-Vp-Cylであり、X3、X4、またはX5のうちの他方はCHR'またはNR'であり;存在する時のX1の各出現およびX2は、各々、独立して、C(R')2、-CO-、または-CS-である]
の化合物またはその医薬上許容される塩と接触させる工程を含む該ABCトランスポーターの活性を変調する方法。
【請求項2】
該ABCトランスポーターまたはその断片がin vivoである請求項1記載の方法。
【請求項3】
該ABCトランスポーターまたはその断片がin vitroである請求項1記載の方法。
【請求項4】
該ABCトランスポーターがCFTRである請求項1記載の方法。
【請求項5】
式I:
【化3】

[式中、XはOまたはSであり;
R1は水素、あるいは独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和な単環または独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここに、R1は所望により、-QRXのXの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにXは0ないし5であり;ここにQは結合またはCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに2つまでのQのメチレンユニットは、独立して、-CO-、-C02-、-COCO-、-CONR-、- OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRC02-、-NRCONR-、-SO-、-S02-、-NRS02-、- S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rxの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02、またはCNから選択され、あるいは-QRXは、=O、=S、または=NR'であり;
Zは結合または所望により置換されていてもよいCl-C4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-NR-、-S-、-O-、-S02NR--NRS02-、-S02-、または-CO-によって置換されていてもよく;
Rの各出現は、独立して、水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基であり;R'の各出現は、独立して水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基、3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する単環系または窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する、8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり;あるいはRおよびR'、Rの2つの出現、またはR'の2つの出現は、それらが結合している(複数の)原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし4個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてもよい3ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和単環または二環を形成し;
R2は、ハロゲン、-CF3、-CN、-NO2、または-TqRであり;
R3は、UmR'であり、R4は、VpCy1であり、
ここに、m、p、およびqは、各々、独立して、0または1であり、U、V、およびTは、各々、独立して、所望により置換されていてもよいC1-4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRSO2NR-、-O-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;
Cy1は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の単環、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここにCy1は所望により、-WRWのyの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにyは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、独立して、所望により、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNから選択され、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'であり;あるいは
R3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化4】

を有する所望により置換されていてもよい5−、6−または7−員の飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和の環を形成し、ここにrは0、1または2であり;X3、X4、またはX5のうちの一方は、CH-Vp-CylまたはN-Vp-Cylであり、X3、X4、またはX5のうちの他方はCHR'またはNR'であり;存在する時のX1の各出現およびX2は、各々、独立して、C(R')2、-CO-、または-CS-である]
の化合物またはその医薬上許容される塩を患者に投与することを特徴とする、嚢胞性線維症、遺伝性肺気腫、遺伝性血色症、蛋白質C欠乏症のような凝固線維素溶解欠陥、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症のような脂質処理欠乏症、1型乳糜血症、無ベータリポタンパク血症、I細胞疾患/偽ハーラー症候群、分泌性下痢または多発性嚢胞腎のようなリソソーム蓄積症、ムコ多糖症、サンドホフ/テイサックス、2型クリーグラーナジャー病、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠乏症、一次副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノーシス(glycanosis)CDGタイプ1、遺伝性肺気腫、新生児甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノゲン血症、ACT欠乏症、尿崩症(DI)、下垂体性DI、腎性尿崩症、シャルコーマリートゥース病、ペリツェウスメルツバッハー病、アルツハイマー病のような神経変性疾患、パーキンソン氏病、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ピック病、ハンチントン舞踏病のようなポリグルタミン神経疾患、脊髄小脳失調症1型、球脊髄性筋萎縮症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、および筋緊張性ジストロフィー、ならびに遺伝性クロイツフェルト−ヤコブ病のような海綿状脳症、ファブリー病、ストロイスラー−シャインカー症候群、COPD、眼球乾燥疾患、またはシェーグレン症候群の治療方法。
【請求項6】
該疾患が嚢胞性線維症である請求項5記載の方法。
【請求項7】
in vitroまたはin vivoで、アニオンチャネルの活性を変調する方法であって、細胞または患者を、式(I):
【化5】

[式中、XはOまたはSであり;
R1は水素、あるいは独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和な単環または独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここに、R1は所望により、-QRXのXの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにXは0ないし5であり;ここにQは結合またはCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに2つまでのQのメチレンユニットは、独立して、-CO-、-C02-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRC02-、-NRCONR-、-SO-、-S02-、-NRS02-、- S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rxの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02、またはCNであり、あるいは-QRXは、=O、=S、または=NR'であり;
Zは結合または所望により置換されていてもよいCl-C4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-NR-、-S-、-O-、-S02NR--NRS02-、-S02-、または-CO-によって置換されていてもよく;
Rの各出現は、独立して、水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基であり;R'の各出現は、独立して水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基、3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する単環系または窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する、8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり;あるいはRおよびR'、Rの2つの出現、またはR'の2つの出現は、それらが結合している(複数の)原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし4個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてもよい3ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和単環または二環を形成し;
R2は、ハロゲン、-CF3、-CN、-NO2、または-TqRであり;
R3は、UmR'であり、R4は、VpCy1であり、
ここに、m、p、およびqは、各々、独立して、0または1であり、U、V、およびTは、各々、独立して、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRSO2NR-、-O-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;
Cy1は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の単環、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここにCy1は所望により、-WRWのyの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにyは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、独立して、所望により、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNであり、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'であり;あるいは
R3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化6】

を有する所望により置換されていてもよい5−、6−または7−員の飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和の環を形成し、ここにrは0、1または2であり;X3、X4、またはX5のうちの一方は、CH-Vp-CylまたはN-Vp-Cylであり、X3、X4、またはX5のうちの他方はCHR'またはNR'であり;存在する時のX1の各出現およびX2は、各々、独立して、C(R')2、-CO-、または-CS-である]
の化合物またはその医薬上許容される塩を有する化合物と接触させる工程を含む該方法。
【請求項8】
該アニオンチャネルが塩化物チャネルまたは重炭酸チャネルである請求項7記載の方法。
【請求項9】
該アニオンチャネルが塩化物チャネルである請求項7記載の方法。
【請求項10】
該化合物において、Zが-[C(R5)2]n-であり、ここに、nは0、1、2、または3であり、R5の各出現は独立してハロゲン、CN、NO2、または-YRであり、ここにYは結合または所望により置換されていてもよいC1-C4アルキリデン鎖であり、ここにYの2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-O-、-NR-、-CO-、-S-、-SO-、または-S02-によって置換されていてもよい請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項11】
該化合物において、Zが-[C(R5)2]nO-であり、ここに、nは0、1、2、または3であり、R5の各出現は独立してハロゲン、CN、NO2、または-YRであり、ここにYは結合または所望により置換されていてもよいC1-C4アルキリデン鎖であり、ここにYの2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-O-、-NR-、-CO-、-S-、-SO-、または-S02-によって置換されていてもよい請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項12】
該化合物において、Zが-[C(R5)2]nS-であり、ここに、nは0、1、2、または3であり、R5の各出現は独立してハロゲン、CN、NO2、または-YRであり、ここにYは結合または所望により置換されていてもよいC1-C4アルキリデン鎖であり、ここにYの2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-O-、-NR-、-CO-、-S-、-SO-、または-S02-によって置換されていてもよい請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項13】
該化合物において、Zが結合である請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項14】
該化合物において、Zが-C(R5)2-である請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項15】
該化合物において、R1が水素であるかあるいはR1が以下の群:
【化7】

【化8】

のうちの1つから選択される請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項16】
R1が、環a、b、c、d、m、n、o、ee、gg、またはppのうちの1つである請求項15記載の方法。
【請求項17】
R1が、環aまたは環ggである請求項15記載の方法。
【請求項18】
該化合物において、xが、0、1、2または3であり、Qが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、0、NR、S、SO2、またはC02、COによって置換されていてもよく、RxはR'またはハロゲンである請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項19】
該化合物において、xが0、1、2、または3であり、QRXの各出現が、存在する時、独立して、-C1-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R'),-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R'),- (CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項20】
該化合物において、R2がTqRであり、ここに、Tが結合またはCl-C4アルキリデン鎖であり、ここに、Tの1または2つのメチレンユニットは、所望により、-CO-、-CONR-、-S02-、-NRS02-、-S02NR-、-0-、-S-、または-NRによって置換されていてもよい請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項21】
該化合物において、R2が水素または所望により置換されていてもよいCl-C4アルキルである請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項22】
R2が水素、-CF3、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH20R、-(CH2)20R、-(CH2)30R、-CH2N(R)2、-(CH2)2N(R)2、-(CH2)3N(R)2、-CH2NRCOR、-(CH2)2NRCOR、または-(CH2)3NRCORである請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項23】
R3が水素である請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項24】
R3が所望により置換されていてもよいCl-C4アルキルである請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項25】
R3がUmR'であり、ここに、mは1であり、Uは-CH2-であり、R'は5または6員の所望により置換されていてもよい窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和環である請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項26】
R'が所望により置換されていてもよいフェニルまたはピリジル基である請求項25記載の方法。
【請求項27】
該化合物において、pが1であり、Vが-CH2C(R6)2-または-C(R6)2-であり、ここにR6の各出現は、独立して、ハロゲン、CN、NO2、または-YRであり、ここに、Yは結合または所望により置換されていてもよいCl-C4アルキリデン鎖であり、ここに、Yの2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-O-、-NR-、-CO-、-S-、-SO-、または-S02-によって置換されていてもよく、あるいはここに同一の炭素原子上のR6の2つの出現が一緒になって、0ないし3個のヘテロ原子を有する所望により置換されていてもよい3ないし6員のスピロ環を形成する請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項28】
R6が水素、メチルであるか、あるいは同一の炭素原子上のR6の2つの出現が一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択される0、1または2つのヘテロ原子を有する所望により置換されていてもよい3ないし6員のスピロ環を形成する請求項27記載の方法。
【請求項29】
pが0であり、R4がCylである請求項27記載の方法。
【請求項30】
R3およびR4が、結合している窒素原子と一緒になって、構造
【化9】

を有する所望により置換されていてもよい5−、6−または7員の飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和環を形成し、ここにrは0、1、または2であり;X3、X4、またはX5のうちの一方はCH-Vp-Cy1またはN-Vp-Cy1であり、X3、X4、またはX5のうちの他方は、CHR'またはNR'であり、X1およびX2の各出現は、存在する時、各々、独立して、C(R')2、-CO-、または-CS-である請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項31】
rが1であり、X1、X2、X3、X5が、各々、CH2であり、X4がCH-Vp-Cyl、またはN-Vp-Cylである請求項30記載の方法。
【請求項32】
pが1であり、VがSO2、-NRSO2、CO、またはNRCOであり、さらなる他の具体例において、X4は、N-Vp-Cylであり、pは1であり、VはSO2またはCOである請求項30記載の方法。
【請求項33】
該化合物において、Cylは、以下の環:
【化10】

【化11】

【化12】

のうちの1つから選択される請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項34】
yが0、1、2または3であり、Wが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、COによって置換され、RwはR'またはハロゲンである請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項35】
yが0、1、2、または3であり、WRWの各出現は、存在する時、独立して、-Cl-C3アルキル、-O(C1-C3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項36】
該化合物が、式VI:
【化13】

[式中:
環Aは、O、S、またはNRから選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし7員の環である]を有する請求項1、5、または7記載の方法。
【請求項37】
該化合物が、式VI-AまたはVI-B:
【化14】

を有する請求項36記載の方法。
【請求項38】
環Aが3ないし7員のシクロアルキル環である請求項37記載の方法。
【請求項39】
環Aがシクロペンチルまたはシクロヘキシルである請求項38記載の方法。
【請求項40】
R1が、以下の群:
【化15】

【化16】

のうちの1つから選択される請求項36記載の方法。
【請求項41】
R1が環a、b、c、d、m、n、o、ee、gg、またはppのうちの1つである請求項40記載の方法。
【請求項42】
R1が環aまたは環ggである請求項41記載の方法。
【請求項43】
xが0、1、2または3であり、Qが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、COによって置換され、RxはR'またはハロゲンである請求項36記載の方法。
【請求項44】
xが0、1、2または3であり、QRxの各出現は、存在する時、独立して、-Cl-C3アルキル、-O(C1-C3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である請求項36記載の方法。
【請求項45】
Cy1が、以下の環:
【化17】

【化18】

のうちの1つから選択される請求項36記載の方法。
【請求項46】
Cy1が環iまたは環xxxiiiである請求項45記載の方法。
【請求項47】
yが0ないし5であり、Wが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRSO2NR-、-O-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02、またはCNであり、あるいは-WRWは、=O、=S、または=NR'である請求項36記載の方法。
【請求項48】
yが0、1、2または3であり、Wが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、COによって置換され、RWがR'またはハロゲンである請求項47記載の方法。
【請求項49】
yが0、1、2または3であり、WRWの各出現は、独立して、-Cl-C3アルキル、-O(C1-C3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である請求項47記載の方法。
【請求項50】
Zが-CH2-または結合である請求項1、5、7、または36記載の方法。
【請求項51】
Zが-CH2-である請求項50記載の方法。
【請求項52】
R1が、所望により、-Cl-3アルキル、-O(Cl-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)20R'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'から選択される3までの置換基で置換されていてもよいフェニルである請求項36記載の方法。
【請求項53】
式I:
【化19】

[式中、XはOまたはSであり;
R1は水素、あるいは独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和な単環または独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここに、R1は所望により、-QRXのXの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにXは0ないし5であり;ここにQは結合またはCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに2つまでのQのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-CO-、-C02-、-COCO-、-CONR-、- OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRC02-、-NRCONR-、-SO-、-S02-、-NRS02-、- S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rxの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02、またはCNであり、あるいは-QRXは、=O、=S、または=NR'であり;
Zは結合または-CH2-であり、但し、Zが結合である時、R1は水素ではない;
Rの各出現は、独立して、水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基であり;R'の各出現は、独立して水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基、3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する単環系または窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する、8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり;あるいはRおよびR'、Rの2つの出現、またはR'の2つの出現は、それらが結合している(複数の)原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし4個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてもよい3ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和単環または二環を形成し;
R2は、ハロゲン、-CF3、-CN、-NO2、または-TqRであり;
R3は、UmR'であり、R4は、VpCy1であり、
ここに、m、p、およびqは、各々、独立して、0または1であり、U、V、およびTは、各々、独立して、所望により置換されていてもよいC1-C4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRSO2NR-、-O-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;
Cy1は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の単環、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここにCy1は所望により、-WRWのyの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにyは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNであり、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'であり;あるいは
R3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化20】

を有する所望により置換されていてもよい5−、6−または7−員の飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和の環を形成し、ここにrは0、1または2であり;X3、X4、またはX5のうちの一方は、CH-Vp-CylまたはN-Vp-Cylであり、X3、X4、またはX5のうちの他方はCHR'またはNR'であり;存在する時のX1の各出現およびX2は、各々、独立して、C(R')2、-CO-、または-CS-であり、但し:
a)XがSである時、ZはCH2であり、R2が水素であるならば、R1は:
【化21】

ではなく、
b)XがSまたはOであり;R2がホルミル、4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル、-COOR'、または-COSR'である時;
i)Zが-CH2-である時、R1は、所望により、Cl-C4アルキル、Cl-C4ハロアルキル、Cl-C4アルコキシ、Cl-C4ハロアルコキシ、Cl-C4アルキルチオ、Cl-C4ハロアルキルチオ、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって置換されていてもよいフェニルではなく;あるいは
ii)ZがCl-6アルキルである時、R1は、所望により、Cl-C4アルキル、Cl-C4ハロアルキル、Cl-C4アルコキシ、Cl-C4ハロアルコキシ、Cl-C4アルキルチオ、Cl-C4ハロアルキルチオ、ハロゲン、シアノ、またはニトロによって置換されていてもよいC3-C6シクロアルキルではなく;
c)XがSであり、R2がHであり、Zが-CH2-であり、R1が置換されていないフェニルである時、R3が水素である時、R4は:
【化22】

でなく、
d)XがSであり、R2がSMeまたはMeであり、ZがCH2であり、R1が置換されていないフェニルである時、
i)R3が水素である時、R4は置換されていないベンジルではなく;ならびに
ii)R3がエチルである時、R4は置換されていないフェニルではなく;
e)XがOであり、ZがCH2であり、R1が置換されていないフェニルであり、R2がMeであり、R3が水素である時、R4
【化23】

ではなく、
f)XがOであり、ZがCH2であり、R1が置換されていないフェニルであり、R2が水素であり、R3が水素である時、R4は置換されていないフェニル、4-Me-フェニル、または置換されていないベンジルではなく;ならびに
g)XがOであり、Zが-CH(iPr)-であり、R1
【化24】

であり、R3が水素である時、R4は-(CH2)2-S-ではなく;
h)Z-R1がメチルであり、XがSであり、R3がiBuである時、R4は:
【化25】

ではなく;ならびに
i)Z-R1がフェニルであり、XがSであり、R3が-(CH2)2-ピリド-2-イルである時、R4
【化26】

ではない]
の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項54】
R2およびR3が、各々、水素であり、R4がVpCy1であり、ここに、pは1であり、Vは-CH2C(R6)2であり、化合物が一般式II:
【化27】

を有する請求項53記載の化合物。
【請求項55】
XがSまたはOであり、式II-AまたはII-B:
【化28】

の化合物が提供される請求項54記載の化合物。
【請求項56】
1以上の化合物変数が:
a)R1が:
【化29】

【化30】

である
b)R1が環a、b、c、d、m、n、o、ee、またはppのうちの1つである;
c)R1がフェニル(環a)である
d)xが0、1、2または3であり、Qが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、COによって置換されていてもよく、RxはR'またはハロゲンである;
e)xが0、1、2、または3であり、QRXの各出現が、存在する時、独立して、-C1-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R'),-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、-またはS02NRR'である;
f)R6が水素、メチルであるか、あるいは同一の炭素原子上のR6の2つの出現が一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から選択される0、1または2つのヘテロ原子を有する所望により置換されていてもよい3ないし6員のスピロ環を形成する
g)Cy1が:
【化31】

【化32】

である;
h)yが0、1、2または3であり、Wが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、COによって置換されていてもよく、RwがR'またはハロゲンである;あるいは
i)yが0、1、2、または3であり、WRWの各出現は、存在する時、独立して、-Cl-C3アルキル、-O(C1-C3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である
のうちの1以上から選択される請求項55記載の化合物。
【請求項57】
R2が水素であり;R3がUmR'であり、ここにmは0または1であり、Uは存在する時、-CH2-であり、R'は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する5−または6員の所望により置換されていてもよい飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環であり;ならびにR4は-CH2Cy1であり、式IIIの化合物:
【化33】

が提供される請求項53記載の化合物。
【請求項58】
XがSまたはOであり、式III-AまたはIII-B:
【化34】

の化合物が提供される請求項57記載の化合物。
【請求項59】
1以上の化合物変数が:
a)R1が:
【化35】

【化36】

【化37】

である
b)R1が環a、b、c、d、m、n、o、ee、またはppのうちの1つである;
c)R1がフェニル(環a)である
d)xが0、1、2または3であり、Qが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、COによって置換されていてもよく、RxはR'またはハロゲンである;
e)mが0または1であり、Uが存在する時、-CH2-であり、R'が、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する5−または6員の所望により置換されていてもよい飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環である;
f)R'が所望により置換されていてもよいフェニルまたはピリジル基である;
g)Cy1が:
【化38】

【化39】

【化40】

である;
h)yが0、1、2または3であり、Wが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、COによって置換されていてもよく、RwがR'またはハロゲンである;あるいは
i)yが0、1、2、または3であり、WRWの各出現は、存在する時、独立して、-Cl-C3アルキル、-O(C1-C3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である
のうちの1以上から選択される請求項57記載の化合物。
【請求項60】
Z-R1が-CH3であり;R2が水素である;ならびにR4が-CH2Cy1であり、式IV:
【化41】

[式中、mは0または1であり、Uは存在する時、-CH2-であり、R'は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する5−または6員の所望により置換されていてもよい飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環である]
の化合物が提供される請求項53記載の化合物。
【請求項61】
XがSまたはOであり、式III-AまたはIII-B:
【化42】

の化合物が提供される請求項60記載の化合物。
【請求項62】
1以上の化合物変数が:
a)mが0または1であり、Uが存在する時、-CH2-であり、R'が、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する5−または6員の所望により置換されていてもよい飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の環である;
b)R'が所望により置換されていてもよいフェニルまたはピリジル基である;
c)Cy1が:
【化43】

【化44】

である;
d)yが0、1、2または3であり、Wが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、COによって置換されていてもよく、RwがR'またはハロゲンである;あるいは
e)yが0、1、2、または3であり、WRWの各出現は、存在する時、独立して、-Cl-C3アルキル、-O(C1-C3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である
のうちの1以上から選択される請求項60記載の化合物。
【請求項63】
式V:
【化45】

の化合物が提供される請求項53記載の化合物。
【請求項64】
XがSまたはOであり、式V-AまたはV-B:
【化46】

の化合物が提供される請求項63記載の化合物。
【請求項65】
1以上の化合物変数が:
a)R1が:
【化47】

【化48】

である;
b)R1が環a、b、c、d、m、n、o、ee、またはppのうちの1つである;
c)R1がフェニル(環a)である
d)xが0、1、2または3であり、Qが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、COによって置換されていてもよく、RxはR'またはハロゲンである;
e)rが1であり、X1、X2、X3およびX5が、各々、CH2であり、X4がCH-Vp-Cy1、またはN-Vp-Cy1であり、pが1であり、VがS02、-NRS02、CO、またはNRCOである;
f)X4がN-Vp-Cy1であり、pが1であり、VがS02またはCOである;
g)X4がN-Vp-Cy1でありpが1であり、VがS02である;
h)Cy1が:
【化49】

【化50】

である;
i)yが0、1、2または3であり、Wが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、COによって置換されていてもよく、RwがR'またはハロゲンである;あるいは
j)yが0、1、2、または3であり、WRWの各出現は、存在する時、独立して、-Cl-C3アルキル、-O(C1-C3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'である
のうちの1以上から選択される請求項63記載の化合物。
【請求項66】
式VI:
【化51】

[式中:環Aが、独立して、O、S、またはNRから選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし7員の環である]
を有する請求項53記載の化合物。
【請求項67】
該化合物が、式VI-Aまたは式VI-B:
【化52】

を有する請求項66記載の化合物。
【請求項68】
環Aが、3ないし7員のシクロアルキル環である請求項67記載の化合物。
【請求項69】
環Aが、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである請求項68記載の化合物。
【請求項70】
R1が、以下の群:
【化53】

【化54】

【化55】

のうちの1つから選択される請求項66記載の化合物。
【請求項71】
R1が、環a、b、c、d、m、n、o、ee、gg、またはppのうちの1つであり、さらに他の具体例において、R1はフェニル(環a)である請求項70記載の化合物。
【請求項72】
xが0、1、2または3であり、Qが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、COによって置換されていてもよく、RxはR'またはハロゲンである請求項66記載の化合物。
【請求項73】
xが0、1、2、または3であり、QRXの各出現が、存在する時、独立して、-C1-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R'),-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、-またはS02NRR'である請求工72記載の化合物。
【請求項73】
Cy1が、以下の群:
【化56】

【化57】

【化58】

のうちの1つから選択される請求項66記載の化合物。
【請求項74】
Cy1が環iまたは環xxxiiiである請求項73記載の化合物。
【請求項75】
yが0ないし5であり、Wは結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、Wの2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRSO2NR-、-O-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNであり、あるいはWRwは、=O、=S、または=NR'である請求項66記載の化合物。
【請求項76】
yが0、1、2または3であり、Wが結合または所望により置換されていてもよいCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに、1または2つのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、O、NR、S、S02、またはC02、COによって置換されていてもよく、RwがR'またはハロゲンである請求項75記載の化合物。
【請求項77】
yが0、1、2または3であり、WRwの各出現が、存在する時、独立して、-C1-3アルキル、-O(C1-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R'),-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R'),-(CH2)2OR'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、または-S02NRR'である請求項76記載の化合物。
【請求項78】
Zが-CH2-または結合である請求項66記載の化合物。
【請求項79】
Zが-CH2-である請求項78記載の化合物。
【請求項80】
R1が、所望により、-Cl-3アルキル、-O(Cl-3アルキル)、-CF3、-OCF3、-SCF3、-F、-Cl、-Br、-COOR'、-COR'、-O(CH2)2N(R)(R')、-O(CH2)N(R)(R')、-CON(R)(R')、-(CH2)20R'、-(CH2)OR'、所望により置換されていてもよいフェニル、所望により置換されていてもよいベンジル、-N(R)(R')、-(CH2)2N(R)(R')、-(CH2)N(R)(R')、またはS02NRR'から選択される3までの置換基で置換されていてもよいフェニルである請求項66記載の化合物。
【請求項81】
該化合物が表1から選択される請求項53記載の化合物。
【請求項82】
(i)請求項53記載の化合物;および
(ii)医薬上許容される担体
を含む医薬組成物。
【請求項83】
所望により、さらに、粘液溶解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染症剤、抗炎症剤、請求項53記載の化合物以外のCFTRモジュレーター、または栄養剤から選択されるさらなる剤を含む請求項82記載の組成物。
【請求項84】
細胞の膜における機能的ABCトランスポーターの数を増加させる方法であって、該細胞を、式(I):
【化59】

[式中、XはOまたはSであり;
R1は水素、あるいは独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和な単環または独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここに、R1は所望により、-QRXのXの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにXは0ないし5であり;ここにQは結合またはCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに2つまでのQのメチレンユニットは、独立して、-CO-、-C02-、-COCO-、-CONR-、- OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRC02-、-NRCONR-、-SO-、-S02-、-NRS02-、- S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rxの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02、またはCNから選択され、あるいは-QRXは、=O、=S、または=NR'であり;
Zは結合または所望により置換されていてもよいCl-C4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-NR-、-S-、-O-、-S02NR--NRS02-、-S02-、または-CO-によって置換されていてもよく;
Rの各出現は、独立して、水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基であり;R'の各出現は、独立して水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基、3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する単環系または窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する、8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり;あるいはRおよびR'、Rの2つの出現、またはR'の2つの出現は、それらが結合している(複数の)原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし4個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてもよい3ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和単環または二環を形成し;
R2は、ハロゲン、-CF3、-CN、-NO2、または-TqRであり;
R3は、UmR'であり、R4は、VpCy1であり、
ここに、m、p、およびqは、各々、独立して、0または1であり、U、V、およびTは、各々、独立して、所望により置換されていてもよいC1-4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRSO2NR-、-O-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;
Cy1は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の単環、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここにCy1は所望により、-WRWのyの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにyは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、独立して、所望により、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNから選択され、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'であり;あるいは
R3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化60】

を有する所望により置換されていてもよい5−、6−または7−員の飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和の環を形成し、ここにrは0、1または2であり;X3、X4、またはX5のうちの一つは、CH-Vp-CylまたはN-Vp-Cylであり、X3、X4、またはX5のうちの他のものはCHR'またはNR'であり;存在する時のX1の各出現およびX2は、各々、独立して、C(R')2、-CO-、または-CS-である]
の化合物またはその医薬上許容される塩と接触させる工程を含む該方法。
【請求項85】
該ABCトランスポーターがCFTRである請求項84記載の方法。
【請求項86】
in vitroまたはin vivoで、生体試料中のABCトランスポーターまたはその断片の活性を測定する際に使用するためのキットであって:
(i)式(I):
【化61】

[式中、XはOまたはSであり;
R1は水素、あるいは独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和な単環または独立して窒素、酸素、または硫黄から選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここに、R1は所望により、-QRXのXの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにXは0ないし5であり;ここにQは結合またはCl-C6アルキリデン鎖であり、ここに2つまでのQのメチレンユニットは、独立して、-CO-、-C02-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRC02-、-NRCONR-、-SO-、-S02-、-NRS02-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rxの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02、またはCNから選択され、あるいは-QRXは、=O、=S、または=NR'であり;
Zは結合または所望により置換されていてもよいCl-C4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-NR-、-S-、-O-、-S02NR--NRS02-、-S02-、または-CO-によって置換されていてもよく;
Rの各出現は、独立して、水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基であり;R'の各出現は、独立して水素または所望により置換されていてもよいCl-C6脂肪族基、3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する単環系または窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される0ないし5個のヘテロ原子を有する、8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり;あるいはRおよびR'、Rの2つの出現、またはR'の2つの出現は、それらが結合している(複数の)原子と一緒になって、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし4個のヘテロ原子を有する、所望により置換されていてもよい3ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和単環または二環を形成し;
R2は、ハロゲン、-CF3、-CN、-NO2、または-TqRであり;
R3は、UmR'であり、R4は、VpCy1であり、
ここに、m、p、およびqは、各々、独立して、0または1であり、U、V、およびTは、各々、独立して、所望により置換されていてもよいC1-4アルキリデン鎖であり、ここに該鎖の2つまでのメチレンユニットは、所望によりかつ独立して、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRSO2NR-、-O-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;
Cy1は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし3個のヘテロ原子を有する3ないし8員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の単環、あるいは窒素、酸素、または硫黄から独立して選択された0ないし5個のヘテロ原子を有する8ないし12員の飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の二環系であり、ここにCy1は所望により、-WRWのyの独立した出現で1以上の炭素または窒素原子において置換されていてもよく;ここにyは0ないし5であり;ここにWは結合またはC1-C6アルキリデン鎖であり、ここにWの2つまでのメチレンユニットは、独立して、所望により、-CO-、-CO2-、-COCO-、-CONR-、-OCONR-、-NRNR-、-NRNRCO-、-NRCO-、-NRCO2-、-NRCONR-、-SO-、-SO2-、-NRSO2-、-S02NR-、-NRS02NR-、-0-、-S-;または-NR-によって置換されていてもよく;Rwの各出現は、独立して、R'、ハロゲン、N02またはCNから選択され、あるいは-WRWは=O、=S、または=NR'であり;あるいは
R3およびR4は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化62】

を有する所望により置換されていてもよい5−、6−または7−員の飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和の環を形成し、ここにrは0、1または2であり;X3、X4、またはX5のうちの一つは、CH-Vp-CylまたはN-Vp-Cylであり、X3、X4、またはX5のうちの他のものはCHR'またはNR'であり;存在する時のX1の各出現およびX2は、各々、独立して、C(R')2、-CO-、または-CS-である]
の化合物またはその医薬上許容される塩を含む組成物;および
(ii)
a)化合物を生体試料と接触させ;
b)該ABCトランスポーターまたはその断片の活性を測定するための指示書を含む該キット。
【請求項87】
さらに、
a)さらなる化合物を生体試料と接触させ;
b)該さらなる化合物の存在下で、該ABCトランスポーターまたはその断片の活性を測定し、次いで
c)該さらなる化合物の存在下のABCトランスポーターの活性を、式(I)の化合物の存在下のABCトランスポーターの密度と比較するための指示書を含む請求項86記載のキット。
【請求項88】
該キットを使用して、CFTRの密度を測定する請求項86記載のキット。

【公表番号】特表2007−511538(P2007−511538A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540025(P2006−540025)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/038566
【国際公開番号】WO2005/049018
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】