説明

ATP結合カセットトランスポーターのモジュレーター

本発明は、嚢胞性線維症膜貫通調節因子(「CFTR」)を含む、ATP結合カセット(「ABC」)トランスポーターのモジュレーター又はその断片、その組成物、及びその方法に関する。本発明は又、そのようなモジュレーターを使用してABCトランスポーター媒介疾患を処置する方法にも関する。本発明の化合物及びその薬学的に許容される組成物がABCトランスポーター活性モジュレーターとして有用であることが見出されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、35 U.S.C.§119の下で、2005年3月11日に出願された、「MODULATORS OF ATP−BINDING CASSETTE TRANSPORTERS」の名称の米国仮特許出願第60/661,310号、および2005年4月7日に出願された、「MODULATORS OF ATP−BINDING CASSETTE TRANSPORTERS」の名称の米国仮特許出願第60/669,174号に対する利益を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、嚢胞性線維症膜貫通調節因子(「CFTR」)を含む、ATP結合カセット(「ABC」)トランスポーターのモジュレーター又はその断片、その組成物、及びその方法に関する。本発明は又、そのようなモジュレーターを使用してABCトランスポーター媒介疾患を処置する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ABCトランスポーターは、広範な薬剤、潜在的に毒性の医薬品、生体異物並びに陰イオンの輸送を調節する膜トランスポータータンパク質のファミリーである。ABCトランスポーターは、その特異的な活性のために細胞アデノシン3リン酸(ATP)を結合して使用する相同膜タンパク質である。これらのトランスポーターの幾つかは、化学治療剤に対して悪性腫瘍細胞を防御する多剤耐性タンパク質(MDR1−Pグリコタンパク質、又は多剤耐性タンパク質MRP1等)として見出されている。現在までに、48種のABCトランスポーターが同定され、その配列の同一性及び機能に基づき7つのファミリーに分類されている。
【0004】
ABCトランスポーターは、体内の種々の重要な生理学的役割を調節し、有害環境化合物に対する防御を提供する。このため、ABCトランスポーターは、トランスポーターの欠陥に関連する疾患を処置し、標的細胞外への医薬品輸送を防止し、ABCトランスポーター活性の調節が有益な場合があるその他の疾患に介入するための重要な潜在的医薬品標的となっている。
【0005】
疾患に一般的に関連付けられるABCトランスポーターファミリーの1つのメンバーは、cAMP/ATP媒介陰イオンチャネルであるCFTRである。CFTRは、吸収や分泌上皮細胞を含め、CFTRが膜にわたる陰イオンフラックス並びに他のイオンチャネル及びタンパク質の活性を調節する、種々の細胞タイプにおいて発現する。上皮細胞では、CFTRの正常な機能が、呼吸組織や消化組織を含めた身体全体にわたる電解質の輸送を維持する上で極めて重要となる。CFTRは、それぞれ6つの膜貫通らせん体と1つのヌクレオチド結合ドメインを含む膜貫通ドメインの縦列反復で作成されたタンパク質をコードする約1480個のアミノ酸からなる。これらの2つの膜貫通ドメインは、大きな極性調節(R)ドメインによって、チャネル活性及び細胞トラフィッキングを調節する複数のリン酸化部位と連結される。
【0006】
遺伝子コードCFTRは既に同定され、配列されている(Gregory, R.J., et al. (1990) Nature 347:382−386;Rich, D.P., et al. (1990) Nature 347:358−362;Riordan, J.R., et al. (1989) Science 245:1066−1073を参照)。この遺伝子の欠陥により、CFTRにおいて突然変異が生じ、それによってヒトで最も一般的な致死的遺伝子疾患である嚢胞性線維症(「CF」)が発症する。嚢胞性線維症は、米国で約2,500人に1人の乳児に発症する。米国の人口全体では、最高1,000万人が、明らかな有害作用を示さずに欠陥遺伝子の単一コピーを保有する。対照的に、CF関連の遺伝子の2つのコピーを有する患者は、慢性肺疾患を含めたCFの衰弱及び致死的作用に苦しんでいる。
【0007】
嚢胞性線維症を有する患者では、呼吸上皮で内発的に発現するCFTRの突然変異により、陰イオンの分泌が減少し、イオン及び流体の輸送において平衡異常が生じる。このような陰イオン輸送の減少が、肺における粘液の堆積、及び最終的にはCF患者の死亡を招く付随的な微生物感染を促進することに寄与する。呼吸疾患の他にも、CF患者は一般的に、胃腸の問題の他、処置されない場合は死に至る膵臓機能不全に苦しんでいる。更に、嚢胞性線維症を有する男性の大多数は生殖能力がなく、嚢胞性線維症を有する女性においては受精能力の低下が見られる。CF関連遺伝子の2つのコピーの深刻な作用とは対照的に、CF関連遺伝子の1つのコピーを有する患者は、コレラ、並びに下痢に起因する脱水症に対する耐性の強化を示しており、おそらくは、人口におけるCF遺伝子の比較的高い出現率を説明するものとなる。
【0008】
CF染色体のCFTR遺伝子の配列分析により、突然変異を起こす種々の疾患が明らかにされている(Cutting, G.R., et al. (1990) Nature 346:366−369;Dean, M., et al. (1990) Cell 61:863:870;及びKerem, B−S., et al. (1989) Science 245:1073−1080;Kerem, B−S, et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:8447−8451)。現在までに、CF遺伝子において突然変異を生じる疾患が1000例以上同定されている(http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/)。最も優勢な突然変異は、CFTRアミノ酸配列の位置508におけるフェニルアラニンの欠損であり、一般的にはΔF508−CFTRと呼ばれている。この突然変異は、嚢胞性線維症の症例の約70%で生じ、重度の疾患に関連する。
【0009】
ΔF508−CFTRにおける残基508の欠損により、新生タンパク質の適切な折りたたみが妨害される。これにより、突然変異タンパク質がERを出て、原形質膜にトラフィッキングすることができなくなる。その結果、膜に存在するチャネルの数は、野生型CFTRを発現する細胞において観測される数よりも遥かに少なくなる。トラフィッキングが損なわれることに加えて、突然変異によりチャネルのゲーティングに欠陥も生じる。これらの膜内のチャネル数の減少とゲーティングの欠陥により、上皮にわたる陰イオンの輸送が減少し、イオン及び流体の輸送の欠陥がもたらされる(Quinton, P.M. (1990), FASEB J.4:2709−2727)。しかし、幾つかの研究では、膜内のΔF508−CFTR数が減少しても、野生型CFTRよりは劣るが、機能できることが示されている(Dalemans, et al. (1991), Nature Lond. 354:526−528;Denning, et al.,同上;Pasyk and Foskett (1995), J. Cell. Biochem. 270:12347−50)。ΔF508−CFTRの他に、トラフィッキング、合成及び/又はチャネルゲーティングの欠陥をもたらすCFTRの突然変異を生じるその他の疾患は、陰イオンの分泌を変化させ、疾患の進行及び/又は重症度を修正できるように上方調節又は下方調節することができると考えられている。
【0010】
CFTRは陰イオンの他に種々の分子を輸送するものの、この役割(陰イオンの輸送)は、上皮にわたってイオン及び水を輸送する輸送機構の1つの要素であることが明らかとなっている。その他の要素には、上皮Naチャネル、ENaC、Na/2Cl/K共トランスポーター、Na−K−ATPアーゼポンプ、及び側底膜Kチャネルがあり、塩化物を細胞に取り入れる役割を担う。
【0011】
これらの要素は、その選択的発現及び細胞内における局在化を介して上皮にわたる指向性輸送を達成するように、共に機能する。塩化物の吸収は、アピカル膜上に存在するENaC及びCFTR、並びに細胞の側底表面上に発現するNa−K−ATPアーゼポンプ、並びにClチャネルの活性を調整することによって行われる。管腔側から塩化物を2次能動輸送することにより、細胞内塩化物が堆積し、それによってClチャネルを介して細胞が受動的に出ることができるようになり、方向性の輸送となる。側底表面上のNa/2Cl/K共トランスポーター、Na−K−ATPアーゼポンプ及び側底膜Kチャネル、並びに管腔側面上のCFTRの配列によって、管腔側面上のCFTRを介した塩化物の分泌が調整される。水自体はおそらく能動的に輸送されることはないため、上皮にわたる水の流れは、ナトリウム及び塩化物の大量の流れによって生成される小さな経上皮浸透圧の勾配に依存する。
【0012】
嚢胞性線維症の他に、CFTR活性の調節は、CFTRによって媒介される分泌疾患及びその他のタンパク質折りたたみ疾患等の、CFTRにおける突然変異によって直接には生じないその他の疾患に対して有益である場合がある。これらには、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾燥性眼疾患、シェーグレン症候群が含まれるが、これらに限定されない。
【0013】
COPDは、進行性であり完全には可逆的ではない空気流の制限を特徴とする。空気流の制限は、粘液分泌過多、気腫及び細気管支炎によるものである。突然変異体又は野生型CFTRの活性化体は、粘液分泌過多、並びにCOPDで一般的に見られる粘膜線毛クリアランスの障害の処置の可能性を提供する。具体的には、CFTRにわたる陰イオン分泌を増大することによって、粘液を水和させるための気道表面液体内への流体輸送、及び周辺流体粘性の最適化が促進されると考えられる。これにより、粘膜線毛クリアランスが向上し、COPDに関連する症状が軽減する。乾燥性眼疾患は、涙液水性生成の減少、並びに異常な涙液膜脂質、タンパク質及びムチンのプロファイルを特徴とする。乾燥性眼には多くの原因があり、その幾つかには、年齢、レーシック眼球手術、関節炎、薬物、化学的/熱的火傷、アレルギー、並びに嚢胞性線維症及びシェーグレン症候群等の疾患が含まれる。CFTRを介した陰イオン分泌の増大により、角膜内皮細胞及び眼球周囲の分泌腺からの流体の輸送が改善され、角膜水和が増大する。これは、乾燥性眼疾患に関連する症状の軽減を助ける。シェーグレン症候群は、眼、口、皮膚、呼吸組織、肝臓、ワギナ及び腸を含めた身体にわたって免疫系が水分生成腺を攻撃する、自己免疫疾患である。症状には、乾燥性眼、口及びワギナ、並びに肺疾患が含まれる。疾患は又、リウマチ関節炎、全身性狼瘡、全身性硬化症及び多発性筋炎/皮膚筋炎にも関連する。タンパク質トラフィッキングの欠陥は、処置の選択肢が限られる疾患を生じると考えられている。CFTR活性モジュレーターは、疾患により悪影響を受けた種々の臓器を水和して、関連症状を促進するのを助けるとされる。
【0014】
上で考察した通り、ΔF508−CFTRにおける残基508の欠損は、新生タンパク質の適切な折りたたみを防止し、それによって突然変異タンパク質がERを出て、原形質膜にトラフィッキングできなくなる。その結果、原形質膜に存在する成熟タンパク質の量が不十分となり、上皮組織内の塩化物の輸送が著しく減少する。実際、ER機構によるABCトランスポーターのERプロセッシングに欠陥を生じるこの細胞現象は、CF疾患だけでなく、その他の広範な孤立性疾患及び遺伝性疾患にとっても根底となる基盤であることが示されている。ER機構が機能不全を起こす可能性がある2つの方法は、分解を招くタンパク質のERエクスポートへの結合の損失によるか、又はこれらの欠陥/誤って折りたたまれたタンパク質のER堆積による[非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5]。ER機能不全の前者のクラスに関連する疾患は、嚢胞性線維症(上で考察した通り、誤って折りたたまれたΔF508−CFTRによる)、遺伝性気腫(α1−抗トリプシンによる;非Piz変異体)、遺伝性血色素症、タンパク質C欠乏等の凝固線維素溶解欠損症、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症等の脂質プロセッシング欠乏、1型乳糜血症、無β−リポタンパク質血症、I細胞疾患/偽ハーラー等のリソソーム蓄積症、ムコ多糖症(リソソームプロセッシング酵素による)、サンドホフ病/テイサックス病(β−ヘキサソミニダーゼによる)、クリグラーナジャーII型(UDP−グルクロニル−シアル−転移酵素による)、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病(インスリン受容体による)、ラロン型小人症(成長ホルモン受容体による)、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症(プレプロ副甲状腺ホルモンによる)、メラノーマ(チロシナーゼによる)である。ER機能不全の後者のクラスに関連する疾患は、グリカノシスCDG1型、遺伝性気腫(α1−抗トリプトシンによる(Piz変異体))、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症(I、II、IV型プロコーラゲンによる)、遺伝性低フィブリノーゲン血症(フィブリノゲンによる)、ACT欠乏(α1−抗キモトリプシンによる)、尿崩症(DI)、ニューロフィシールDI(バソプレッシンホルモン/V2受容体による)、ネプロジェニックDI(アクアポリンIIによる)、シャルコー−マリー−ツース症候群(末梢性ミエリンタンパク質22による)、ペリツアウス−メルツバッヒャー病、アルツハイマー病(βAPP及びプレセニリンによる)、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病等の神経変性疾患、ハンチントン病、I型脊髄小脳運動失調症、脊髄及び延髄の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、及び筋緊張性ジストロフィー等の種々のポリグルタミン神経障害、並びに遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパク質プロセシングの欠損による)等の海綿状脳症、ファブリ病(リソソームα−ガラクトシダーゼAによる)、及びストロイスラー・シェインカー症候群(Prpプロセッシング欠乏による)である。
【0015】
CFTR活性の上方制御の他に、CFTRモジュレーターによる陰イオン分泌の低減が、分泌性下痢の処置に有益である場合があり、上皮の水輸送が分泌促進物質活性化塩化物輸送により劇的に増大する。この機序は、cAMPの増大及びCFTRの刺激を伴う。
【0016】
下痢には数多くの原因があるが、過剰な塩化物輸送により生じる下痢症の主な結果は、全てに共通しており、脱水、アシドーシス、成長障害及び死亡が含まれる。
【0017】
急性及び慢性の下痢は、世界の多くの地域において主要な医療上の問題を呈している。下痢は、栄養不良の重大な因子であり、且つ5歳未満の小児の死亡の主要な原因(年間5,000,000件)である。
【0018】
分泌性の下痢も、後天性免疫不全症候群(AIDS)及び慢性炎症性腸疾患(IBD)の患者には、危険な病態である。毎年、先進国から発展途上国への1,600万人の旅行者が下痢を発症しており、下痢の重症度及び症例数は、旅行先の国及び地域により異なる。
【0019】
牛、豚及び馬、羊、ヤギ、猫及び犬等の家畜及びペットの下痢は、「Scours」としても知られ、これらの動物の主要な死因となっている。下痢は、離乳又は身体的移動等の主要な移動から、並びに種々の細菌感染又はウイルス感染に応答して、一般的には動物の寿命の最初の数時間内に生じる。
【0020】
最も一般的な下痢の原因である細菌は、K99線毛抗原を有する毒素原性大腸菌(ETEC)である。下痢の一般的なウイルス原因には、ロトウイルス及びコロナウイルスが含まれる。その他の感染因子には、とりわけ、クリプトスポリジウム、ランブル鞭毛虫、及びサルモネラが含まれる。
【0021】
ロトウイルスの感染症状には、水様便の排出、脱水、及び衰弱が含まれる。コロナウイルスは、新生動物においてより重度の疾患を生じ、ロトウイルス感染より高い死亡率を有する。しかし、若い動物はしばしば、一度に複数のウイルスに感染する、又はウイルスと細菌微生物の組み合わせに感染する場合がある。これにより疾患の重症度が劇的に上昇する。
【0022】
従って、哺乳動物の細胞膜においてABCトランスポーターの活性を調節するために使用できるABCトランスポーター活性モジュレーター及びその組成物が必要とされている。
【0023】
そのようなABCトランスポーター活性モジュレーターを使用してABCトランスポーター媒介疾患を処置する方法も必要とされている。
【0024】
哺乳動物のex vivo細胞膜においてABCトランスポーターの活性を調節する方法も必要とされている。
【0025】
哺乳動物の細胞膜においてCFTRの活性を調節するために使用できるCFTR活性モジュレーターも必要とされている。
【0026】
CFTR活性のそのようなモジュレーターを使用して、CFTR媒介疾患を処置する方法も必要とされている。
【0027】
哺乳動物のex vivo細胞膜においてCFTR活性を調節する方法も必要とされている。
【非特許文献1】Aridor M, et al., Nature Med., 5(7), pp 745−751 (1999)
【非特許文献2】Shastry, B.S., et al., Neurochem. International, 43, pp 1−7 (2003)
【非特許文献3】Rutishauser, J., et al., Swiss Med Wkly, 132, pp 211−222 (2002)
【非特許文献4】Morello, JP, et al., TIPS, 21, pp. 466−469 (2000)
【非特許文献5】Bross P., et al., Human Mut., 14, pp 186−198 (1999)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0028】
(発明の要旨)
現在、本発明の化合物及びその薬学的に許容される組成物がABCトランスポーター活性モジュレーターとして有用であることが見出されている。これらの化合物は、以下の一般的な化学式Iの化合物:
【0029】
【化31】

又はその薬学的に許容される組成物を有し、式中、R、R、R、R、R、R、R、及びArは、以下でクラス及びサブクラスに分けて概説される。
【0030】
これらの化合物及び薬学的に許容される組成物は、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性血色素症、タンパク質C欠乏等の凝固線維素溶解欠損症、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症等の脂質プロセッシング欠乏、1型乳糜血症、無β−リポタンパク質血症、I細胞疾患/偽ハーラー等のリソソーム蓄積症、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイサックス病、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノシスCDG1型、遺伝性気腫、先天性甲状腺機能亢進症、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠乏、尿崩症(DI)、ニューロフィシールDI、ネプロジェニックDI、シャルコー−マリー−ツース症候群、ペリツアウス−メルツバッヒャー病、アルツハイマー病、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病等の神経変性疾患、ハンチントン病、I型脊髄小脳運動失調症、脊髄及び延髄の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、及び筋緊張性ジストロフィー等の種々のポリグルタミン神経障害、並びに遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病等の海綿状脳症、ファブリ病、及びストロイスラー・シェインカー症候群、CODP、乾燥性眼疾患、及びシェーグレン病が含まれるがこれらに限定されない、種々の疾患、障害又は病態を処置又は軽減するのに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(発明の詳細な説明)
I.本発明の化合物の概要
本発明は、ABCトランスポーター活性モジュレーターとして有用な以下の化学式Iの化合物:
【0032】
【化32】

又はその薬学的に許容される塩に関し、式中、
Arは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員芳香族単環式環であり、前記環は、5〜12員の単環式又は2環式の芳香族、部分不飽和又は飽和の環に必要に応じて縮合され、各環は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含み、Arは、それぞれが−WRから独立して選択されるmの置換基を有し;
Wは結合であるか、又は必要に応じて置換されるC−Cアルキリデン鎖であり、Wの最高2つのメチレン単位は、必要に応じて且つ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−によって置換され;
は独立してR’、ハロ、NO、CN、CF又はOCFであり;
mは0〜5であり;
、R、R、R及びRはそれぞれ独立して−X−Rであり;
Xは結合であるか、又は必要に応じて置換されるC−Cアルキリデン鎖であり、Xの最高2つのメチレン単位は、必要に応じて且つ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−によって置換され;
は独立してR’ハロ、NO、CN、CF又はOCFであり;
は、水素、CF、−OR’、−SR’、又は必要に応じて置換されるC1−6脂肪族基であり;
は、水素、又は−X−Rで必要に応じて置換されるC1−6脂肪族基であり;
R’は、水素;或いはC−C脂肪族基、窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の単環式環、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の2環式環系から選択される、必要に応じて置換される基、から独立して選択されるか;或いは、R’の2つの出現は、結合する原子と一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換される3〜12員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の単環式環若しくは2環式環を形成する。
【0033】
特定の他の実施形態において、以下の化学式Iの化合物:
【0034】
【化33】

又はその薬学的に許容される塩が提供され、式中、
Arは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員芳香族単環式環であり、前記環は、5〜12員の単環式又は2環式の芳香族、部分不飽和又は飽和環に必要に応じて縮合され、各環は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含み、Arは、それぞれが−WRから独立して選択されるmの置換基を有し;
Wは結合であるか、又は必要に応じて置換されるC−Cアルキリデン鎖であり、Wの最高2つのメチレン単位は、必要に応じて且つ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−によって置換され;
は独立してR’、ハロ、NO、CN、CF又はOCFであり;
mは0〜5であり;
、R、R、R及びRはそれぞれ独立して−X−Rであり;
Xは結合であるか、又は必要に応じて置換されるC−Cアルキリデン鎖であり、Xの最高2つのメチレン単位は、必要に応じて且つ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−によって置換され;
は独立してR’ハロ、NO、CN、CF又はOCFであり;
は、水素、CF、−OR’、−SR’、又は必要に応じて置換されるC1−6脂肪族基であり;
は、水素、又は−X−Rで必要に応じて置換されるC1−6脂肪族基であり;
R’は、水素;或いはC−C脂肪族基、窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の単環式環、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の2環式環系から選択される、必要に応じて置換される基、から独立して選択されるか;或いは、R’の2つの出現は、結合する原子と一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換される3〜12員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の単環式環若しくは2環式環を形成するが;
但し、図1の化合物が除外されることを条件とする。
【0035】
2.化合物及び定義
本発明の化合物には、上記で概説されたものが含まれ、本明細書に開示されるクラス、サブクラス及び種によって詳細に説明される。本明細書で使用される際には、特に指示がない限り、以下の定義が適用される。
【0036】
本明細書で使用される「ABCトランスポーター」という用語は、少なくとも1つの結合ドメインを含むABCトランスポータータンパク質又はその断片を意味し、前記タンパク質又はその断片は、インビボ又はインビトロで存在する。本明細書で使用される「結合ドメイン」という用語は、モジュレーターに結合することができるABCトランスポーター上のドメインを意味する。例えば、Hwang, T.C., et al., J. Gen. Physiol. (1998):111(3), 477−90を参照されたい。
【0037】
本明細書で使用される「CFTR」という用語は、ΔF508 CFTR及びG551D CFTRが含まれるがこれらに限定されない、調節因子の活動を行うことができる嚢胞性線維症膜貫通調節因子又はその突然変異を意味する(例えば、CFTR突然変異については、http://www.genet.sickkids.on.ca/cftr/を参照)。
【0038】
本明細書で使用される「調節する」という用語は、測定可能な量だけ増大又は減少させることを意味する。
【0039】
本発明において、化学元素は、Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.に従って同定される。加えて、有機化学の一般原理が、全体が参考として本明細書に組み入れられている、“Organic Chemistry”, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito:1999、及び“March’s Advanced Organic Chemistry”, 5th Ed.: Smith, M.B. and March, J., John Wiley & Sons, New York:2001に記載されている。
【0040】
本明細書に記載の通り、本発明の化合物は、上で概説した通り、又は本発明の特定のクラス、サブクラス及び種によって例示される通り、1つ以上の置換基で必要に応じて置換される場合がある。「必要に応じて置換される」という語句は、「置換又は非置換」という語句と交換可能に使用されることが理解されるはずである。一般的に、「置換」という用語は、「必要に応じて」という用語が先行するか否かに関係なく、所与の構造における水素遊離基を特定の置換基の遊離基で置換することを指す。特に指示がない限り、必要に応じて置換される基は、基の各置換可能部分において置換基を有する場合があり、任意の所与の構造における複数の位置が、特定の基から選択される複数の置換基で置換される場合がある場合、置換基は、各位置において同じである場合もあれば、異なる場合もある。本発明によって構想される置換基の組み合わせは、安定した又は化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものであることが好ましい。本明細書で使用される「安定した」という用語は、本明細書に開示される1つ以上の目的のための、生成、検出、並びに好ましくは回収、精製及び使用を可能にする条件に供した時に実質的に変化しない化合物を指す。幾つかの実施形態において、安定した化合物又は化学的に実現可能な化合物は、少なくとも1週間、湿気又はその他の化学反応条件の非存在下で、40℃以下の温度に維持した時に実質的に変化しないものである。
【0041】
本明細書で使用される「脂肪族」又は「脂肪族基」という用語は、完全に飽和しているか、又は不飽和の1つ以上の単位を含む直鎖(即ち、非分枝)若しくは分枝の置換若しくは非置換炭化水素鎖、或いは完全に飽和しているか、又は不飽和の1つ以上の単位を含むが、芳香族ではなく(本明細書において「炭素環式」、「脂環式」又は「シクロアルキル」とも呼ばれる)、分子の残りとの単一の結合点を有する単環式又は2環式炭化水素である。特に指示がない限り、脂肪族基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。幾つかの実施形態において、脂肪族基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪族基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。更に他の実施形態において、脂肪族基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含み、更に他の実施形態において、脂肪族基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。幾つかの実施形態において、「脂環式」(又は「炭素環式」又は「シクロアルキル」)は、完全に飽和しているか、或いは不飽和の1つ以上の単位を含むが、芳香族ではなく、分枝の残りとの単一の結合点を有する単環式のC−C炭化水素又は2環式若しくは3環式のC−C14炭化水素であり、前記2環式環系における任意の個々の環は、3〜7員を有する。好適な脂肪族基には、線形又は分枝の置換又は非置換アルキル、アルケニル、アルキニル基、並びに(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル又は(シクロアルキル)アルケニル等のそのハイブリッドが含まれる。好適な脂環式基には、シクロアルキル、2環式シクロアルキル(例えば、デカリン)、ノルボルニル又は[2.2.2]ビシクロ−オクチル等の架橋ビシクロアルキル、或いはアダマンチル等の架橋3環が含まれる。
【0042】
本明細書で使用される「ヘテロ脂肪族」という用語は、1つ又は2つの炭素原子が、酸素、硫黄、窒素、リン又はケイ素の1つ以上によって独立して置換される、脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換又は非置換の分枝又は非分枝の環式又は非環式である場合があり、これには、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素脂環式」又は「複素環式」基が含まれる。
【0043】
本明細書で使用される「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素脂環式」又は「複素環式」という用語は、1つ以上の環員が、独立して選択されるヘテロ原子である、非芳香族、単環式、2環式又は3環式の環系を意味する。幾つかの実施形態において、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素脂環式」又は「複素環式」基は、3〜14の環員を有し、1つ以上の環員は、酸素、硫黄、窒素又はリンから独立して選択されるヘテロ原子であり、系の各環は3〜7個の環員を含む。
【0044】
「ヘテロ原子」という用語は、酸素、硫黄、窒素、リン又はケイ素の1つ以上を意味する(酸素、硫黄、窒素、リン又はケイ素の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の4級化形態、或いは;N(例えば、3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル中)、NH(例えば、ピロリジニル中)、又はNR(例えば、N置換ピロリジニル中)等、複素環式環の置換可能窒素を含む)。
【0045】
本明細書で使用される「不飽和」は、1つの部分が1つ以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0046】
本明細書で使用される「アルコキシ」又は「チオアルキル」という用語は、以前に定義した通り、酸素(「アルコキシ」)又は硫黄(「チオアルキル」)原子を介して主炭素鎖に結合したアルキル基を指す。
【0047】
「ハロ脂肪族」及び「ハロアルコキシ」という用語は、必要に応じて1つ以上のハロ原子によって置換される脂肪族又はアルコキシを意味する。「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、F、Cl、Br又はIを意味する。ハロ脂肪族の例には、−CHF、−CHF、−CF、−CF−、又は−CFCF等のペルハロアルキルが含まれる。
【0048】
単独で、又は例えば「アルキル」、「アラアルコキシ」又は「アリロキシアルキル」中のような、より大きな部分の一部として使用される「アリール」という用語は、合計5〜14の環員を有する単環式、2環式及び3環式の環系を指し、この系における少なくとも1つの環は芳香族であり、この系における各環は3〜7の環員を含む。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と交換可能に使用される場合がある。「アリール」という用語は又、本明細書に以下で定義する通りヘテロアリール環系も指す。
【0049】
単独で、又は例えば「ヘテロアラルキル」又は「ヘテロアリールアルコキシ」中のような、より大きな部分の一部として使用される「ヘテロアリール」という用語は、合計5〜14の環員を有する単環式、2環式及び3環式の環系を指し、この系における少なくとも1つの環は芳香族であり、この系における少なくとも1つの環は、1つ以上のヘテロ原子を含み、この系における各環は、3〜7個の環員を含む。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」という用語又は「ヘテロ芳香族」という用語と交換可能に使用される場合がある。
【0050】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリロキシアルキル等を含む)又はヘテロアリール(ヘテロアラルキル及びヘテロアリールアルコキシ等を含む)基は、1つ以上の置換基を含む場合がある。アリール又はヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の好適な置換基は、ハロ;−R°;−OR°;−SR°;1,2−メチレン−ジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;必要に応じてR°で置換されるフェニル(Ph);必要に応じてR°で置換される−O(Ph);必要に応じてR°で置換される−(CH1−2(Ph);必要に応じてR°で置換される−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R°);−NR°C(O)R°;−NR°C(O)N(R°);−NR°COR°;−NR°NR°C(O)R°;−NR°NR°C(O)N(R°);−NR°NR°COR°;−C(O)C(O)R°;−C(O)CHC(O)R°;−COR°;−C(O)R°;−C(O)N(R°);−OC(O)N(R°);−S(O)R°;−SON(R°);−S(O)R°;−NR°SON(R°);−NR°SOR°;−C(=S)N(R°);−C(=NH)−N(R°);又は−(CH0−2NHC(O)R°から選択され、R°のそれぞれ独立した出現は、水素、必要に応じて置換されるC1−6脂肪族、非置換5〜6員ヘテロアリール又は複素環式環、フェニル、−O(Ph)、又は−CH(Ph)から選択されるか、或いは、上記の定義にかかわらず、同じ置換基又は異なる置換基上のR°の2つの独立した出現は、各R°基が結合する原子と一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員のシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリール環を形成する。R°の脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロ、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、又はハロC1−4脂肪族から選択され、前述のR°のC1−4脂肪族基はそれぞれ非置換である。
【0051】
脂肪族又はヘテロ脂肪族基、或いは非芳香族複素環式環は、1つ以上の置換基を含む場合がある。脂肪族又はヘテロ脂肪族基、或いは非芳香族複素環式環の飽和炭素上の好適な置換基は、アリール又はヘテロアリール基の不飽和炭素について上に列挙したものから選択され、更に=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)、又は=NRを含み、各Rは、水素又は必要に応じて置換されるC1−6脂肪族から独立して選択される。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロ、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、又はハロ(C1−4脂肪族)から選択され、前述のRのC1−4脂肪族基はそれぞれ非置換である。
【0052】
非芳香族複素環式環の窒素上の任意の置換基は、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R、又は−NRSOから選択され;Rは、水素、必要に応じて置換されるC1−6脂肪族、必要に応じて置換されるフェニル、必要に応じて置換される−O(Ph)、必要に応じて置換される−CH(Ph)、必要に応じて置換される−(CH1−2(Ph);必要に応じて置換される−CH=CH(Ph);又は酸素、窒素若しくは硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する非置換5〜6員ヘテロアリール若しくは複素環式環から選択されるか、或いは、上記の定義にかかわらず、同じ置換基又は異なる置換基上のRの2つの独立した出現は、各R基が結合する原子と一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員のシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリール環を形成する。Rの脂肪族基又はフェニル環上の任意の置換基は、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、ハロ、C1−4脂肪族、OH、O(C1−4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1−4脂肪族)、O(ハロC1−4脂肪族)、又はハロ(C1−4脂肪族)から選択され、前述のRのC1−4脂肪族基はそれぞれ非置換である。
【0053】
「アルキリデン鎖」という用語は、完全に飽和しているか、或いは1つ以上の不飽和単位を有する場合があり、分子の残りとの2つの結合点を有する、直鎖又は分枝の炭素鎖を指す。「スピロシクロアルキリデン」という用語は、完全に飽和しているか、或いは1つ以上の不飽和単位を有する場合があり、分子の残りとの2つの結合点を有する、炭素環式環を指す。
【0054】
上で詳述した通り、幾つかの実施形態において、R°(又はR、或いは本明細書で同じように定義するその他何れかの変数)の2つの独立した出現は、各変数が結合する原子と一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員のシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリール環を形成する。R°(又はR、或いは本明細書で同じように定義するその他何れかの変数)の2つの独立した出現が、各変数が結合する原子と一緒になる時に形成される、代表的な環には、以下が含まれるが、これらに限定されない:a)同じ原子に結合し、その原子と一緒になってN(R°)等の環を形成する、R°(又はR、或いは本明細書で同じように定義するその他何れかの変数)の2つの独立した出現(R°の両方の出現は、窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、又はモルホリン−4−イル基を形成する);及びb)異なる原子に結合し、それらの原子の両方と一緒になって、例えばフェニル基がOR°の2つの出現
【0055】
【化34】

で置換される環を形成する、R°(又はR、或いは本明細書で同じように定義するその他何れかの変数)の2つの独立した出現(R°のこれらの2つの出現は、結合する酸素原子と一緒になって縮合6員酸素を含む環:
【0056】
【化35】

を形成する)。R°(又はR、或いは本明細書で同じように定義するその他何れかの変数)の2つの独立した出現が、各変数が結合する原子と一緒になると、その他種々の環を形成することができ、上で詳述した例は限定的であるものとして意図されないことが理解されるはずである。
【0057】
以下に示す通り、例えば2環式環系における置換基結合は、2環式環系
【0058】
【化36】

の何れかの環上の任意の置換可能な環原子に置換基を結合することができることを意味する。
【0059】
特に指示がない限り、本明細書に記載の構造は又、構造の全ての異性(例えば、鏡像異性、ジアステレオ異性、及び幾何異性(又は配座異性))体、例えば、各非対称中心のR及びS構成、(Z)及び(E)2重結合異性体、並びに(Z)及び(E)配座異性体を含むものとして意図される。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、並びに鏡像異性、ジアステレオ異性、及び幾何異性(又は配座異性)の混合物は、本発明の適用範囲内に含まれる。特に指示がない限り、本発明の化合物の全ての互変異性体は、本発明の適用範囲内に含まれる。加えて、特に指示がない限り、本明細書に記載の構造は又、1つ以上の同位体が豊富な原子の存在下においてのみ異なる化合物を含むものとして意図される。例えば、重水素又は3重水素による水素の置換、或いは13C−又は14Cが豊富な炭素による炭素の置換を除いて、本発明の構造を有する化合物が、本発明の適用範囲内に含まれる。そのような化合物は、例えば、生物学的検定において分析機器又はプローブとして有用である。
【0060】
3.代表的な化合物の説明
本発明の幾つかの実施形態において、Arが以下から選択され:
【0061】
【化37】

式中、環Aは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員芳香族単環式環であり;
及びAは一緒になって8〜14員の芳香族、2環式又は3環式の環であり、各環は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含む。
【0062】
幾つかの実施形態において、Aは、0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換される6員芳香族環であり、前記ヘテロ原子は窒素である。幾つかの実施形態において、Aは、必要に応じて置換されるフェニルである。或いは、Aは、必要に応じて置換されるピリジル、ピリミジニル、ピラジニル又はトリアジニルである。
【0063】
幾つかの実施形態において、Aは、0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換される5員芳香族環であり、前記ヘテロ原子は窒素、酸素又は硫黄である。幾つかの実施形態において、Aは、1〜2個の窒素原子を有する、必要に応じて置換される5員芳香族環である。
【0064】
幾つかの実施形態において、Aは、0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換される6員芳香族環であり、前記ヘテロ原子は窒素である。幾つかの実施形態において、Aは、必要に応じて置換されるフェニルである。或いは、Aは、必要に応じて置換されるピリジル、ピリミジニル、ピラジニル又はトリアジニルである。
【0065】
幾つかの実施形態において、Aは、0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換される5員芳香族環であり、前記ヘテロ原子は、窒素、酸素又は硫黄である。幾つかの実施形態において、Aは、1〜2個の窒素原子を有する、必要に応じて置換される5員芳香族環である。特定の実施形態において、Aは、必要に応じて置換されるピロリルである。
【0066】
幾つかの実施形態において、環Aは以下から選択され:
【0067】
【化38】

【0068】
【化39】

式中、環Aは、2つの隣接する炭素環原子を介して環Aに縮合される。
【0069】
他の実施形態において、Wは結合であるか、又は必要に応じて置換されるC1−6アルキリデン鎖であり、1つ又は2つの隣接しないメチレン単位が、必要に応じて且つ独立してO、NR’、S、SO、SO又はCOO、CO、SONR’、NR’SO、C(O)NR’、NR’C(O)、OC(O)、OC(O)NR’によって置換され、RはR’又はハロである。更に他の実施形態において、WRの出現はそれぞれ独立して、−C1−3アルキル、−C−3ペルハロアルキル、−O(C1−3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br又は−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換される単環式又は2環式の芳香族環、必要に応じて置換されるアリールスルホン、必要に応じて置換される5員ヘテロアリール環、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、又は−(CH)N(R’)(R’)である。
【0070】
幾つかの実施形態において、mは0である。或いは、mは1である。或いは、mは2である。幾つかの実施形態において、mは3である。更に他の実施形態において、mは4である。
【0071】
一実施形態において、RはX−Rである。幾つかの実施形態において、Rは水素である。或いは、Rは、必要に応じて置換されるC1−8脂肪族基である。幾つかの実施形態において、Rは、必要に応じて置換されるC1−4脂肪族である。或いは、Rはメチルである。
【0072】
本発明の一実施形態において、R、R、R及びRは同時に水素である。別の実施形態において、R及びRは、何れも同時に水素である。更に別の実施形態において、R、R及びRは同時に水素である。
【0073】
本発明の別の実施形態において、R、R、R、R及びRは同時に水素である。本発明の別の実施形態において、R、R、R、R、R及びRは同時に水素である。
【0074】
本発明の別の実施形態において、RはX−Rであり、式中、Xは−SONR’−であり、RはR’である。
【0075】
幾つかの実施形態において、Xは結合であるか、又は必要に応じて置換されるC1−6アルキリデン鎖であり、1つ又は2つの隣接しないメチレン単位は、必要に応じて且つ独立してO、NR’、S、SO、COO、又はCOであり、Rは、R’又はハロである。他の実施形態において、XRの出現はそれぞれ独立して−C1−3アルキル、−O(C1−3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br又は−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’必要に応じて置換されるフェニル、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、又は−(CH)N(R’)(R’)である。
【0076】
幾つかの実施形態において、Rは水素である。特定の他の実施形態において、Rは、C1−4直鎖又は分枝脂肪族である。
【0077】
幾つかの実施形態において、Rは、ハロ、シアノ、CF、CHF、OCHF、Me、Et、CH(Me)、CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、n−ブチル、イソプロピル、OMe、OEt、OPh、O−フルオロフェニル、O−ジフルオロフェニル、O−2−メトキシフェニル、2,4−ジクロロフェニルオキシ、O−トリル、O−ベンジル、SMe、SCF、SCHF、SEt、CHCN、NH、NHMe、N(Me)、NHEt、N(Et)、C(O)CH、C(O)Ph、C(O)NH、SPh、SO−NHピリジル、SONH、SOPh、SONHPh、SO−N−モルホリノ、SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンズイミダゾール−2イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、NHC(O)Me、NHC(O)Et、NHC(O)Ph、NHSOMe、2−インドリル、5−インドリル、−CHCHOH、−OCF、O−(2,3−ジメチルフェニル)、5−メチルフリル、−SO−N−ピペリジル、2−トリル、3−トリル、4−トリル、O−ブチル、NHCOC(Me)、COC(Me)、イソプロペニル、n−ブチル、O−(2,4−ジクロロフェニル)、NHSOPhMe、O−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)、フェニルヒドロキシメチル、2,5−ジメチルピロリル、NHCOCHC(Me)、O−(2−t−ブチル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノメチルフェニル、4−イソブチルフェニル、3−ピリジル、4−ピリジル、4−イソプロピルフェニル、3−イソプロピルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−エトキシフェニル、2−メチルチオフェニル、4−メチルチオフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、5−クロロ−2−メトキシフェニル、2−OCF−フェニル、3−トリフルオロメトキシ−フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、2−フェノキシフェニル、4−フェノキシフェニル、2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル、2,4−ジメトキシ−5−ピリミジル、5−イソプロピル−2−メトキシフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、3−シアノフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3−メトキシカルボニルフェニル、4−メトキシカルボニルフェニル、3−イソプロピルオキシカルボニルフェニル、3−アセトアミドフェニル、4−フルオロ−3−メチルフェニル、4−メタンスルフィニル−フェニル、4−メタンスルホニル−フェニル、4−N−(2−N,N−ジメチルアミノエチル)カルバモイルフェニル、5−アセチル−2−チエニル、2−ベンゾチエニル、3−ベンゾチエニル、フラン−3−イル、4−メチル−2−チエニル、5−シアノ−2−チエニル、N’−フェニルカルボニル−N−ピペラジニル、−NHCOEt−NHCOMe、N−ピロリジニル、−NHSO(CHN−ピペリジン、−NHSO(CHN−モルホリン、−NHSO(CHN(Me)、COCHN(Me)COCHNHMe、−COEt、O−プロピル、−CHCHNHCOC(Me)、ヒドロキシ、アミノメチル、ペンチル、アダマンチル、シクロペンチル、エトキシエチル、C(Me)CHOH、C(Me)COEt、−CHOHMe、CHCOEt、−C(Me)CHNHCOC(Me)、O(CHOEt、O(CHOH、COMe、ヒドロキシメチル、1−メチル−1−シクロヘキシル、1−メチル−1−シクロオクチル、1−メチル−1−シクロヘプチル、C(Et)C(Me)、C(Et)、CONHCHCH(Me)、2−アミノメチル−フェニル、エテニル、1−ピペリジニルカルボニル、エチニル、シクロヘキシル、4−メチルピペリジニル、−OCOMe、−C(Me)CHNHCOCHCH(Me)、C(Me)CHNHCOCHCHCH、−C(Me)CHNHCOEt、−C(Me)CHNHCOMe、−C(Me)CHNHCOCHC(Me)、−CHNHCOCF、−CHNHCOC(Me)、−C(Me)CHNHCO(CHCH、C(Me)CHNHCO(CHOMe、C(OH)(CF、−C(Me)CHNHCOCH−テトラヒドロフラン−3−イル、C(Me)CHO(CHOMe、又は3−エチル−2,6−ジオキソピペリジン−3−イルから選択される。
【0078】
一実施形態において、R’は水素である。
【0079】
一実施形態において、R’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF又はOCHFから選択される最高3つの置換基で必要に応じて置換されるC1−C8脂肪族基であり、前記C1−C8脂肪族の最高2つのメチレン単位は、−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、又は−N(C1−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−で必要に応じて置換される。
【0080】
一実施形態において、R’は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の単環式環であり、R’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF又はC1−C6アルキルから選択される最高3つの置換基で必要に応じて置換され、前記C1−C6アルキルの最高2つのメチレン単位は、−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、又は−N(C1−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−で必要に応じて置換される。
【0081】
一実施形態において、R’は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の単環式環であり;R’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF又はC1−C6アルキルから選択される最高3つの置換基で必要に応じて置換され、前記C1−C6アルキルの最高2つのメチレン単位は、−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、又は−N(C1−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−で必要に応じて置換される。
【0082】
一実施形態において、R’の2つの出現は、結合する原子と一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換される3〜12員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の単環式環若しくは2環式環を形成し、R’は、ハロ、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、又はC1−C6アルキルから選択される最高3つの置換基で必要に応じて置換され、前記C1−C6アルキルの最高2つのメチレン単位は、−CO−、−CONH(C1−C4アルキル)−、−CO−、−OCO−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−O−、−N(C1−C4アルキル)CON(C1−C4アルキル)−、−OCON(C1−C4アルキル)−、−N(C1−C4アルキル)CO−、−S−、−N(C1−C4アルキル)−、−SON(C1−C4アルキル)−、N(C1−C4アルキル)SO−、又は−N(C1−C4アルキル)SON(C1−C4アルキル)−で必要に応じて置換される。
【0083】
一実施形態によれば、本発明は、以下の化学式IIA又は化学式IIBの化合物を提供する:
【0084】
【化40】

他の実施形態によれば、本発明は、以下の化学式IIIA、化学式IIIB、化学式IIIC、化学式IIID、又は化学式IIIEの化合物を提供し:
【0085】
【化41】

式中、X、X、X、X及びXはそれぞれ独立してCH又はNから選択され;
はO、S又はNR’である。
【0086】
一実施形態において、化学式IIIA、化学式IIIB、化学式IIIC、化学式IIID、又は化学式IIIEの化合物は、置換基X−Rのyの出現を有し、式中、yは0〜4である。或いは、yは1である。或いは、y2はである。
【0087】
化学式IIIAの幾つかの実施形態において、X、X、X、X及びXは、WR及びmと一緒になって必要に応じて置換されたフェニルである。
【0088】
化学式IIIAの幾つかの実施形態において、X、X、X、X及びXは環Aと一緒になって、以下から選択される、必要に応じて置換される環である:
【0089】
【化42】

化学式IIIB、化学式IIIC、化学式IIID、又は化学式IIIEの幾つかの実施形態において、X、X、X、X、X又はXはAと一緒になって、以下から選択される、必要に応じて置換される環である:
【0090】
【化43】

【0091】
【化44】

【0092】
【化45】

【0093】
【化46】

【0094】
【化47】

幾つかの実施形態において、W及びRは一緒になって、ハロ、シアノ、CF、CHF、OCF、OCHF、Me、Et、CH(Me)、CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、n−ブチル、イソプロピル、OMe、OEt、OPh、O−フルオロフェニル、O−ジフルオロフェニル、O−2−メトキシフェニル、2,4−ジクロロフェニルオキシ、O−トリル、O−ベンジル、SMe、SCF、SCHF、SEt、CHCN、NH、NHMe、N(Me)、NHEt、N(Et)、C(O)CH、C(O)Ph、C(O)NH、SPh、SO−(アミノ−ピリジル)、SONH、SOPh、SONHPh、SO−N−モルホリノ、SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンズイミダゾール−2−イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、NHC(O)Me、NHC(O)Et、NHC(O)Ph又はNHSOMeから選択される。
【0095】
幾つかの実施形態において、X及びRは一緒になって、Me、Et、ハロ、CN又はCF、OH、OMe、OEt、SON(Me)(フルオロフェニル)、SO−(4−メチル)−ピペリジニル、又はSO−N−ピロリジニルである。
【0096】
別の実施形態によれば、本発明は、以下の化学式IVA、化学式IVB、又は化学式IVCの化合物を提供する:
【0097】
【化48】

一実施形態において、化学式IVA、化学式IVB、及び化学式IVCの化合物は、置換基X−Rのyの出現を有し、式中、yは0〜4である。或いは、yは1である。或いは、yは2である。
【0098】
一実施形態において、本発明は、化学式IVA、化学式IVB、又は化学式IVCの化合物を提供し、式中、Xは結合であり、Rは水素である。
【0099】
一実施形態において、本発明は、化学式IVB及び化学式IVCの化合物を提供し、式中、環Aは、O、S又はNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換される、飽和、不飽和、又は芳香族の7員環である。代表的な環には、アゼパニル、5,5−ジメチルアゼパニル等が含まれる。
【0100】
一実施形態において、本発明は、化学式IVB及びIVCの化合物を提供し、式中、環Aは、O、S又はNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換される、飽和、不飽和、又は芳香族の6員環である。代表的な環には、ピペリジニル、4,4−ジメチルピペリジニル等が含まれる。
【0101】
一実施形態において、本発明は、化学式IVB及びIVCの化合物を提供し、式中、環Aは、O、S又はNから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換される、飽和、不飽和、又は芳香族の5員環である。
【0102】
一実施形態において、本発明は、化学式IVB及びIVCの化合物を提供し、式中、環Aは、ピロリル又はピロリジニル等の1つの窒素原子を有する、必要に応じて置換される5員環である。
【0103】
化学式IVAの一実施形態によれば、以下の化学式VA−1の化合物が提供され:
【0104】
【化49】

式中、WRW2及びWRW4はそれぞれ、水素、CF、ハロ、C1−C6の直鎖又は分枝アルキル、3〜12員脂環式、フェニル、又はC5−C10ヘテロアリール、或いはC3−C7複素環式から選択され、前記ヘテロアリール又は複素環式は、O、S又はNから選択される最高3個のヘテロ原子を有し、前記WRW2及びWRW4は、独立して且つ必要に応じて−OR’、−CF、−OCF、−SR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−SCF、ハロ、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されるフェニル、−N(R’)(R’)、−NC(O)OR’、−NC(O)R’、−(CHN(R’)(R’)、又は−(CH)N(R’)(R’)から選択される最高3つの置換基で置換され;
WRW5は、水素、−OH、NH、CN、CHF、NHR’、N(R’)、−NHC(O)R’、−NHC(O)OR’、NHSOR’、−OR’、CHOH、CHN(R’)、C(O)OR’、SONHR’、SON(R’)、CHNHC(O)OR’、又はCHNHC(O)O−(t−ブチル)から選択され;
或いはWRW4及びWRW5は一緒になって、N、O又はSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員環を形成し、前記環は、3つのWR置換基で必要に応じて置換される。
【0105】
一実施形態において、本発明は、化学式VA−1の化合物を提供し、式中、Xは結合であり、Rは水素である。
【0106】
一実施形態において、本発明は、化学式VA−1の化合物を提供し、式中、
WRW2及びWRW4はそれぞれ、水素、CN、CF、ハロ、C1−C6の直鎖又は分枝アルキル、3〜12員脂環式、或いはフェニルから独立して選択され、前記WRW2及びWRW4は、独立して且つ必要に応じて−OR’、−CF、−OCF、ハロ、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されるフェニル、−N(R’)(R’)、−NC(O)OR’、−NC(O)R’、−(CHN(R’)(R’)、又は−(CH)N(R’)(R’)から選択される最高3つの置換基で置換され;
WRW5は、水素、−OH、NH、CN、NHR’、N(R’)、−NHC(O)R’、−NHC(O)OR’、NHSOR’、−OR’、CHOH、C(O)OR’、SONHR’、CHNHC(O)O−(R’)、又はCHNHC(O)O−(t−ブチル)から選択される。
【0107】
一実施形態において、本発明は、化学式VA−1の化合物を提供し、式中、
WRW2は、−OR’、−CF、−OCF、SR’、S(O)R’、SOR’、−SCF、ハロ、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されるフェニル又はフェノキシル、−N(R’)(R’)、−NC(O)OR’、−NC(O)R’、−(CHN(R’)(R’)、又は−(CH)N(R’)(R’)から選択される最高3つの置換基で必要に応じて置換されるフェニル環であり;
WRW4は、C1−C6の直鎖又は分枝アルキルであり;
WRW5はOHである。
【0108】
一実施形態において、WRW2及びWRW4はそれぞれ、CF又はハロから独立して選択される。一実施形態において、WRW2及びWRW4はそれぞれ、必要に応じて置換される水素、又はC1−C6の直鎖若しくは分枝アルキルから独立して選択される。特定の実施形態において、WRW2及びWRW4はそれぞれ、必要に応じて置換されるn−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、セク−ブチル、t−ブチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−(エトキシカルボニル)−エチル、1,1−ジメチル−3−(t−ブトキシカルボニル−アミノ)プロピル、又はn−ペンチルから独立して選択される。
【0109】
一実施形態において、WRW2及びWRW4はそれぞれ、必要に応じて置換される3〜12員脂環式から独立して選択される。そのような脂環式の代表的な実施形態には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル、アダマンチル、[2.2.2.]ビシクロ−オクチル、[2.3.1.]ビシクロ−オクチル、又は[3.3.1]ビシクロ−ノニルが含まれる。
【0110】
特定の実施形態において、WRW2は水素であり、WRW4はC1−C6直鎖又は分枝アルキルである。特定の実施形態において、WRW4は、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、セク−ブチル、又はt−ブチルから選択される。
【0111】
特定の実施形態において、WRW4は水素であり、WRW2はC1−C6直鎖又は分枝アルキルである。特定の実施形態において、WRW2は、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、セク−ブチル、t−ブチル、又はn−ペンチルから選択される。
【0112】
特定の実施形態において、WRW2及びWRW4はそれぞれ、C1−C6直鎖又は分枝アルキルである。特定の実施形態において、WRW2及びWRW4はそれぞれ、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、セク−ブチル、t−ブチル、又はn−ペンチルから選択される。
【0113】
一実施形態において、WRW5は、水素、CHF、NH、CN、NHR’、N(R’)、−NHC(O)R’、−NHC(O)OR’、−OR’、C(O)OR’、又はSONHR’から選択される。或いは、WRW5は、例えばOH等の−OR’である。
【0114】
特定の実施形態において、WRW5は、水素、NH、CN、CHF、NH(C1−C6アルキル)、N(C1−C6アルキル)、−NHC(O)(C1−C6アルキル)、−CHNHC(O)O(C1−C6アルキル)、−NHC(O)O(C1−C6アルキル)、−OH、−O(C1−C6アルキル)、C(O)O(C1−C6アルキル)、CHO(C1−C6アルキル)、又はSONHから選択される。別の実施形態において、WRW5は、−OH、OMe、NH、−NHMe、−N(Me)、−CHNH、CHOH、NHC(O)OMe、NHC(O)OEt、CN、CHF、−CHNHC(O)O(t−ブチル)、−O−(エトキシエチル)、−O−(ヒドロキシエチル)、−C(O)OMe、又は−SONHから選択される。
【0115】
一実施形態において、化学式VA−1の化合物は、以下の特徴の1つ、好ましくは複数、又はより好ましくは全てを有する:
i)WRW2は水素である;
ii)WRW4は、C1−C6直鎖又は分枝アルキルの単環式又は2環式脂肪族である;及び
iii)WRW5は、水素、CN、NH(C1−C6アルキル)、N(C1−C6アルキル)、−NHC(O)(C1−C6アルキル)、−NHC(O)O(C1−C6アルキル)、−OH、−O(C1−C6アルキル)、C(O)O(C1−C6アルキル)、又は−SONHから選択される。
【0116】
一実施形態において、化学式VA−1の化合物は、以下の特徴の1つ、好ましくは複数、又はより好ましくは全てを有する:
a.WRW2は、ハロ、C1−C6アルキル、CF、CN、或いはC1−C4アルキル、−O(C1−C4アルキル)又はハロから選択される最高3つの置換基で必要に応じて置換されるフェニルである;
b.WRW4は、CF、ハロ、C1−C6アルキル、又はC6−C10脂環式である;及び
c.WRW5は、OH、NH、NH(C1−C6アルキル)又はN(C1−C6アルキル)である。
【0117】
一実施形態において、X−Rは、キノリニル環の6位置にある。特定の実施形態において、X−Rは一緒になって、C1−C6アルキル、−O−(C1−C6アルキル)、又はハロである。
【0118】
一実施形態において、X−Rは、キノリニル環の5位置にある。特定の実施形態において、X−Rは一緒になって、−OHである。
【0119】
別の実施形態において、本発明は、化学式VA−1の化合物を提供し、式中、WRW4及びWRW5は一緒になって、N、O又はSから選択される0〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員環を形成し、前記環は、最高3つのWR置換基で必要に応じて置換される。
【0120】
特定の実施形態において、WRW4及びWRW5は一緒になって、0個のヘテロ原子を含む、必要に応じて置換される5〜7員の飽和、不飽和、又は芳香族の環を形成する。他の実施形態において、WRW4及びWRW5は一緒になって、N、O又はSから選択される1〜3個のヘテロ原子を含む、必要に応じて置換される5〜7員環を形成する。特定の他の実施形態において、WRW4及びWRW5は一緒になって、1個の窒素ヘテロ原子を含む、必要に応じて置換される飽和、不飽和、又は芳香族の5〜7員環を形成する。特定の他の実施形態において、WRW4及びWRW5は一緒になって、1個の酸素ヘテロ原子を含む、必要に応じて置換される5〜7員環を形成する。
【0121】
別の実施形態において、本発明は、以下の化学式V−A−2を提供し:
【0122】
【化50】

式中、
Yは、CH、C(O)O、C(O)、又はS(O)であり;
mは0〜4であり;
X、R、W及びRは、上に定義される通りである。
【0123】
一実施形態において、化学式VA−2の化合物は、X−Rのyの出現を有し、式中、yは0〜4である。一実施形態において、yは0である。或いは、yは1である。或いは、yは2である。
【0124】
一実施形態において、YはC(O)である。別の実施形態において、YはC(O)Oである。或いは、YはS(O)である。或いは、YはCHである。
【0125】
一実施形態において、mは1又は2である。或いは、mは1である。或いは、mは0である。
【0126】
一実施形態において、Wは結合である。
【0127】
別の実施形態において、Rは、C1−C6脂肪族、ハロ、CF、或いはC1−C6アルキル、ハロ、シアノ又はCFで必要に応じて置換されるフェニルであり、前記C1−C6脂肪族又はC1−C6アルキルの最高2つのメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−で必要に応じて置換される。別の実施形態において、上記のR’は、C1−C4アルキルである。WRの代表的な実施形態には、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル、又は2−エトキシフェニルが含まれる。
【0128】
別の実施形態において、Y−RにおけるRは、N(R’’)で必要に応じて置換されるC1−C6脂肪族であり、式中、R’’は、水素、C1−C6アルキルであるか、或いは2つのR’’は一緒になって、O、S又はNR’から選択される最高2つの追加のヘテロ原子を有する5〜7員複素環式環を形成する。代表的なそのような複素環式環の例には、ピロリジニル、ピペリジル、モルホリニル、又はチオモルホリニルが含まれる。
【0129】
別の実施形態において、本発明は、以下の化学式V−A−3の化合物を提供し:
【0130】
【化51】

式中、
QはWであり;
はRであり;
mは0〜4であり;
nは0〜4であり;
X、R、W及びRは上に定義される通りである。
【0131】
一実施形態において、化学式VA−3の化合物は、X−Rのyの出現を有し、式中、yは0〜4である。一実施形態において、yは0である。或いは、yは1である。或いは、yは2である。
【0132】
一実施形態において、nは0〜2である。
【0133】
別の実施形態において、mは0〜2である。一実施形態において、mは0である。一実施形態において、mは1である。或いは、mは2である。
【0134】
一実施形態において、QRは一緒になって、ハロ、CF、OCF、CHF、OCHF、CN、C1−C6脂肪族、O−C1−C6脂肪族、O−フェニル、NH(C1−C6脂肪族)又はN(C1−C6脂肪族)であり、前記脂肪族及びフェニルは、C1−C6アルキル、O−C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、OH、又はCFから選択される最高3つの置換基で必要に応じて置換されるされ、前記C1−C6脂肪族又はC1−C6アルキルの最高2つのメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、SOR’、SOR’、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−で必要に応じて置換される。別の実施形態において、上記のR’は、C1−C4アルキルである。
【0135】
代表的なQRには、メチル、イソプロピル、セク−ブチル、ヒドロキシメチル、CF、NMe、CN、CHCN、フルオロ、クロロ、OEt、OMe、SMe、OCF、OPh、C(O)OMe、C(O)O−iPr、S(O)Me、NHC(O)Me、又はS(O)Meが含まれる。
【0136】
別の実施形態において、本発明は、以下の化学式V−A−4の化合物を提供し:
【0137】
【化52】

式中、X、R及びRは上に定義される通りである。
【0138】
一実施形態において、化学式VA−4の化合物は、X−Rのyの出現を有し、式中、yは0〜4である。一実施形態において、yは0である。或いは、yは1である。或いは、yは2である。
【0139】
一実施形態において、Rは、C1−C12脂肪族、C5−C10脂環式、又はC5−C7複素環式環であり、前記脂肪族、脂環式、又は複素環式の環は、C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、オキソ、OH、又はCFから選択される最高3つの置換基で必要に応じて置換され、前記C1−C6脂肪族又はC1−C6アルキルの最高2つのメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−で必要に応じて置換される。別の実施形態において、上記のR’は、C1−C4アルキルである。
【0140】
代表的なRには、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、セク−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ビニル、シアノメチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシブチル、シクロヘキシル、アダマンチル、又は−C(CH−NHC(O)O−Tが含まれ、式中、Tは、C1−C4アルキル、メトキシエチル、又はテトラヒドロフラニルメチルである。
【0141】
別の実施形態において、本発明は、以下の化学式V−A−5の化合物を提供し:
【0142】
【化53】

式中、
mは0〜4であり;
X、R、W、R及びR’は、上に定義される通りである。
【0143】
一実施形態において、化学式VA−5の化合物は、X−Rのyの出現を有し、式中、yは0〜4である。一実施形態において、yは0である。或いは、yは1である。或いは、yは2である。
【0144】
一実施形態において、mは0〜2である。或いは、mは1である。或いは、mはである。
【0145】
他の実施形態において、R’は何れも水素である。或いは、一方のRは水素であり、他方のR’は、メチル等のC1−C4アルキルである。或いは、R’は何れも、メチル等のC1−C4アルキルである。
【0146】
別の実施形態において、mは1又は2であり、Rは、ハロ、CF、OCF、CHF、OCHF、CN、C1−C6脂肪族、O−C1−C6脂肪族、又はフェニルであり、前記脂肪族及びフェニルは、C1−C6アルキル、O−C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、OH、又はCFから選択される最高3つの置換基で必要に応じて置換され、前記C1−C6脂肪族又はC1−C6アルキルの最高2つのメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−で必要に応じて置換される。別の実施形態において、上記のR’はC1−C4アルキルである。
【0147】
の代表的な実施形態には、クロロ、CF、OCF、CHF、OCHF、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、又は2−エトキシフェニルが含まれる。
【0148】
別の実施形態において、本発明は、以下の化学式V−A−6の化合物を提供し:
【0149】
【化54】

式中、環Bは、−Q−Rの最高nの出現で必要に応じて置換される5〜7員の単環式又は2環式の複素環式又はヘテロアリール環であり、nは0〜4であり、Q及びRは、上に定義される通りであり;
Q、R、X、R、W及びRは、上に定義される通りである。
【0150】
一実施形態において、化学式VA−6の化合物は、X−Rのyの出現を有し、式中、yは0〜4である。一実施形態において、yは0である。或いは、yは1である。或いは、yは2である。
【0151】
一実施形態において、mは0〜2である。或いは、mは0である。或いは、mは1である。
【0152】
一実施形態において、nは0〜2である。或いは、nは0である。或いは、nは1である。
【0153】
別の実施形態において、環Bは、−Q−Rの最高nの出現で必要に応じて置換される、O、S又はNから選択される最高2個のヘテロ原子を有する5〜7員単環式複素環式環である。代表的な複素環式環には、N−モルホリニル、N−ピペリジニル、4−ベンゾイル−ピペラジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、又は4−メチル−ピペリジン−1−イルが含まれる。
【0154】
別の実施形態において、環Bは、−Q−Rの最高nの出現で必要に応じて置換される、O、S又はNから選択される最高2個のヘテロ原子を有する5〜7員単環式ヘテロアリール環である。代表的なそのような環には、ベンズイミダゾール−2−イル、5−メチル−フラン−2−イル、2,5−ジメチル−ピロール−1−イル、ピリジン−4−イル、インドール−5−イル、インドール−2−イル、2,4−ジメトキシ−ピリミジン−5−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、2−アシル−チエン−2−イル、ベンゾチオフェン−2−イル、4−メチル−チエン−2−イル、5−シアノ−チエン−2−イル、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルが含まれる。
【0155】
別の実施形態において、本発明は、以下の化学式V−B−1の化合物を提供し:
【0156】
【化55】

式中、
及びQの一方は、N(WR)であり、Q及びQの他方は、O、S又はN(WR)から選択され;
は、C(O)、CH−C(O)、C(O)−CH、CH、CH−CH、CF、又はCF−CFであり;
mは0〜3であり;
X、W、R及びRは、上に定義される通りである。
【0157】
一実施形態において、化学式V−B−1の化合物は、X−Rのyの出現を有し、式中、yは0〜4である。一実施形態において、yは0である。或いは、yは1である。或いは、yは2である。
【0158】
一実施形態において、QはN(WR)である。代表的なWRには、水素、C1−C6脂肪族、C(O)C1−C6脂肪族、又はC(O)OC1−C6脂肪族が含まれる。
【0159】
別の実施形態において、QはN(WR)であり、Qは、C(O)、CH、CH−CHであり、QはOである。
【0160】
別の実施形態において、本発明は、以下の化学式V−B−2の化合物を提供し:
【0161】
【化56】

式中、
W1は、水素又はC1−C6脂肪族であり;
W3はそれぞれ、水素又はC1−C6脂肪族であり;
RWは何れも一緒になって、O、S又はNR’から選択される最高2個のヘテロ原子を有するC3−C6シクロアルキル又は複素環式環を形成し、前記環は、最高2つのWR置換基で必要に応じて置換され;
mは0〜4であり;
X、R、W及びRは、上に定義される通りである。
【0162】
一実施形態において、化学式V−B−2の化合物は、X−Rのyの出現を有し、式中、yは0〜4である。一実施形態において、yは0である。或いは、yは1である。或いは、yは2である。
【0163】
一実施形態において、WRW1は、水素、C1−C6脂肪族、C(O)C1−C6脂肪族、又はC(O)OC1−C6脂肪族である。
【0164】
別の実施形態において、各RW3は、水素、C1−C4アルキルである。或いは、RW3は何れも一緒になって、O、S又はNから選択される最高2個のヘテロ原子を有するC3−C6脂環式環又は5〜7員複素環式環を形成し、前記脂環式又は複素環式環は、WRW1から選択される最高3つの置換基で必要に応じて置換される。代表的なそのような環には、シクロプロピル、シクロペンチル、必要に応じて置換されるピペリジル等が含まれる。
【0165】
別の実施形態において、本発明は、以下の化学式V−B−3の化合物を提供し:
【0166】
【化57】

式中、
は、結合、C(O)、C(O)O、又はS(O)であり;
W1は水素又はC1−C6脂肪族であり;
mは0〜4であり;
X、W、R及びRは、上に定義される通りである。
【0167】
一実施形態において、化学式V−B−3の化合物は、X−Rのyの出現を有し、式中、yは0〜4である。一実施形態において、yは0である。
【0168】
一実施形態において、QはC(O)である。或いは、QはC(O)Oである。別の実施形態において、RW1はC1−C6アルキルである。代表的なRW1には、メチル、エチル又はt−ブチルが含まれる。
【0169】
別の実施形態において、本発明は、以下の化学式V−B−4の化合物を提供し:
【0170】
【化58】

式中、
mは0〜4であり;
X、R、W及びRは、上に定義される通りである。
【0171】
一実施形態において、化学式V−B−4の化合物は、X−Rのyの出現を有し、式中、yは0〜4である。一実施形態において、yは0である。或いは、yは1である。或いは、yは2である。
【0172】
一実施形態において、mは0〜2である。或いは、mは0である。或いは、mは1である。
【0173】
別の実施形態において、前記脂環式環は5員環である。或いは、前記環は6員環である。
【0174】
別の実施形態において、本発明は、以下の化学式V−B−5の化合物を提供し:
【0175】
【化59】

式中、
環Aは、フェニル又は5〜6員のヘテロアリール環であり、環A及びそれと一緒に縮合するフェニル環は、WRから独立して選択される最高4つの置換基を有し;
mは0〜4であり;
X、W、R及びRは、上に定義される通りである。
【0176】
一実施形態において、化学式V−B−5の化合物は、X−Rのyの出現を有し、式中、yは0〜4である。一実施形態において、yは0である。或いは、yは1である。或いは、yは2である。
【0177】
一実施形態において、環Aは、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾゾリル、又はトリアゾゾリルから選択される、必要に応じて置換される5員環である。
【0178】
一実施形態において、環Aは、ピロリル、ピラゾリル、チアジアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、又はトリアゾゾリルから選択される、必要に応じて置換される5員環である。代表的なそのような環には、以下が含まれ:
【0179】
【化60】

前記環は、上述の通り必要に応じて置換される。
【0180】
別の実施形態において、環Aは、必要に応じて置換される6員環である。代表的なそのような環には、ピリジル、ピラジニル又はトリアジニルが含まれる。別の実施形態において、前記環は必要に応じてピリジルである。
【0181】
一実施形態において、環Aはフェニルである。
【0182】
別の実施形態において、環Aは、ピロリル、ピラゾリル、ピリジル、又はチアジアゾリルである。
【0183】
化学式V−B−5における代表的なWには、結合、C(O)、C(O)O、又はC1−C6アルキレンが含まれる。
【0184】
化学式V−B−5における代表的なRには、シアノ、ハロ、C1−C6脂肪族、C3−C6脂環式、アリール、及びO、S又はNから選択される最高2個のヘテロ原子を有する5〜7員複素環式の環が含まれ、前記脂肪族、フェニル及び複素環式は、独立して且つ必要に応じてC1−C6アルキル、O−C1−C6アルキル、ハロ、シアノ、OH又はCFから選択される最高3つの置換基で置換され、前記C1−C6脂肪族又はC1−C6アルキルの最高2つのメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO2−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCO−NR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−で必要に応じて置換される。別の実施形態において、上記のR’はC1−C4アルキルである。
【0185】
一実施形態において、本発明は、以下の化学式V−B−5−aの化合物を提供し:
【0186】
【化61】

式中、
は、水素、ハロ、CN、CF、CHF、CHF、必要に応じて置換されるC1−C6脂肪族、アリール−C1−C6アルキル、又はフェニルであり、Gは、最高4つのWR置換基で必要に応じて置換され;前記C1−C6脂肪族又はC1−C6アルキルの最高2つのメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO2−、−OCO−、−NR’CO2−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−で必要に応じて置換され;
は、水素又は必要に応じて置換されるC1−C6脂肪族であり;
前記インドール環系は、WRから独立して選択される最高3つの置換基で更に必要に応じて置換される。
【0187】
一実施形態において、化学式V−B−5−aの化合物は、X−Rのyの出現を有し、式中、yは0〜4である。一実施形態において、yは0である。或いは、yは1である。或いは、yは2である。
【0188】
一実施形態において、Gは水素である。或いは、G水素である。
【0189】
別の実施形態において、Gは水素であり、GはC1−C6脂肪族であり;前記脂肪族は、C1−C6アルキル、ハロ、シアノ又はCFで必要に応じて置換され、前記C1−C6脂肪族又はC1−C6アルキルの最高2つのメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCO−NR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−で必要に応じて置換される。別の実施形態において、上記のR’はC1−C4アルキルである。
【0190】
別の実施形態において、Gは水素であり、Gは、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、セク−ブチル、t−ブチル、シアノメチル、メトキシエチル、CHC(O)OMe、(CH−NHC(O)O−t−ブチル、又はシクロペンチルである。
【0191】
別の実施形態において、Gは水素であり、Gは、ハロ、C1−C6脂肪族、又はフェニルであり、前記脂肪族又はフェニルは、C1−C6アルキル、ハロ、シアノ又はCFで必要に応じて置換され、前記C1−C6脂肪族又はC1−C6アルキルの最高2つのメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO2−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCO−NR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−で必要に応じて置換される。別の実施形態において、上記のR’はC1−C4アルキルである。
【0192】
別の実施形態において、Gは水素であり、Gは、ハロ、CF、エトキシカルボニル、t−ブチル、2−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、(4−C(O)NH(CH−NMe)−フェニル、2−メトキシ−4−クロロ−フェニル、ピリジン−3−イル、4−イソプロピルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、セク−ブチルアミノカルボニル、エチル、t−ブチル、又はピペリジン−1−イルカルボニルである。
【0193】
別の実施形態において、G及びGは何れも水素であり、前記インドール環の窒素環原子は、C1−C6脂肪族、C(O)(C1−C6脂肪族)、又はベンジルで置換され、前記脂肪族又はベンジルは、C1−C6アルキル、ハロ、シアノ又はCFで必要に応じて置換され、前記C1−C6脂肪族又はC1−C6アルキルの最高2つのメチレン単位は、−CO−、−CONR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’CO−、−S−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−で必要に応じて置換される。別の実施形態において、上記のR’はC1−C4アルキルである。
【0194】
別の実施形態において、G及びGは何れも水素であり、前記インドール環の窒素環原子は、アシル、ベンジル、C(O)CHN(Me)C(O)CHNHMe、又はエトキシカルボニルで置換される。
【0195】
本発明の代表的な化合物を、以下の表1に示す。
【0196】
(表1)
【0197】
【化62】

【0198】
【化63】

【0199】
【化64】

【0200】
【化65】

【0201】
【化66】

【0202】
【化67】

【0203】
【化68】

【0204】
【化69】

【0205】
【化70】

【0206】
【化71】

【0207】
【化72】

【0208】
【化73】

4.一般的な合成図式
化学式Iの化合物は、当業界で周知の方法によって調製することができる。以下では、化学式Iの化合物を調製する代表的な方法を説明する。以下の図式Iは、化学式Iの化合物の代表的な合成方法を示しており、式中、Rは水素である。
図式I:
【0209】
【化74】

図式Iに従って調製される本発明の代表的な化合物を、以下の実施例に示す。
【0210】
5.使用、製剤化及び投与
薬学的に許容される組成物
上で考察した通り、本発明は、ABCトランスポーターのモジュレーターとして有用であり、従って、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性血色素症、タンパク質C欠乏等の凝固線維素溶解欠損症、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症等の脂質プロセッシング欠乏、1型乳糜血症、無β−リポタンパク質血症、I細胞疾患/偽ハーラー等のリソソーム蓄積症、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイサックス病、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノシスCDG1型、遺伝性気腫、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠乏、尿崩症(DI)、ニューロフィシールDI、ネプロジェニックDI、シャルコー−マリー−ツース症候群、ペリツアウス−メルツバッヒャー病、アルツハイマー病、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病等の神経変性疾患、ハンチントン病、I型脊髄小脳運動失調症、脊髄及び延髄の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、及び筋緊張性ジストロフィー等の種々のポリグルタミン神経障害、並びに遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパクプロセシングの欠損による)等の海綿状脳症、ファブリ病、及びストロイスラー・シェインカー症候群、COPD、乾燥性眼疾患、及びシェーグレン病等、疾患、障害又は病態の処置において有用である化合物を提供する。
【0211】
従って、本発明の他の態様では、薬学的に許容される組成物が提供され、これらの組成物は、本明細書に記載の化合物の何れかを備え、必要に応じて薬学的に許容される担体、補助剤、又はビヒクルを備える。特定の実施形態において、これらの組成物は、1つ以上の追加の治療剤を必要に応じて更に備える。
【0212】
また、本発明のある化合物は、処置のための自由な形態で、又は適切であれば、薬学的に許容される誘導体又はそのプロドラッグとして存在することができることも理解されるはずである。本発明によれば、薬学的に許容される誘導体又はプロドラッグには、薬学的に許容される塩、エステル、そのようなエステルの塩、或いはあらゆる他の付加物又は誘導体が含まれるが、これらに限定されず、これらは、必要時に患者に投与する際、直接又は間接に、或いはそうでない場合は本明細書に記載の通り、化合物或いはその代謝物又は残基を提供することができる。
【0213】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内において、不適切な毒性、刺激、アレルギー反応等を有さずに、ヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに適切であり、妥当なベネフィット/リスク比にふさわしい塩を指す。「薬学的に許容される塩」は、受容者に投与する際、本発明の化合物或いはその抑制活性代謝物又は残基を直接又は間接に提供することができる本発明の化合物の非毒性の塩、又はエステルの塩を意味する。
【0214】
薬学的に許容される塩は、当業界で周知である。例えば、S.M. Berge等が、参考として本明細書に組み入れられるJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1−19において、薬学的に許容される塩を詳細に説明している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、適切な無機酸及び有機酸及び塩基から導出されたものがある。薬学的に許容される非毒性の酸追加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸等の無機酸、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、タンタル酸、クエン酸、スクシン酸、及びマロン酸等の有機酸で、或いはイオン交換体等の当業界で使用されるその他の方法を使用することによって、形成されたアミノ基の塩がある。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパルギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンホレート、カンフルスルホネート、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、ペル硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が含まれる。適切な塩基から導出された塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、及びN(C1−4アルキル)塩が含まれる。本発明は又、本明細書に開示される化合物のあらゆる塩基性窒素包含基の4級化をも構想する。水可溶性又は油可溶性又は分散性の産物が、そのような4級化によって得られることが可能である。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩には、カリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が含まれる。他の薬学的に許容される塩には、適宜、非毒性アンモニウム、4級アンモニウム、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、下級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩等の対イオンを使用して形成されたアミン陽イオンが含まれる。
【0215】
上述の通り、本発明の薬学的に許容される組成物は、薬学的に許容される担体、補助剤、又はビヒクルを更に備え、これらは、本明細書で使用される際、所望の特定の投与形態に適しているあらゆる溶媒、希釈液、又は他の液体ビヒクル、分散又は懸濁液補助剤、表面活性剤、等張剤、厚化又は乳化剤、防腐剤、固体結合剤、潤滑剤が含まれる。Remington’s Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E.W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)は、薬学的に許容される組成物の処方に使用される種々の担体、及びそれを調製する既知の技法を開示している。任意の望ましくない生物学的影響を生成すること、又はそうでない場合は薬学的に許容される組成物のあらゆる他の化合物と有害に相互作用すること等によって、あらゆる従来の担体培地が本発明の化合物と共存不可能である限りを除いて、その使用は、本発明の適用範囲内に含まれると考慮される。薬学的に許容される担体として作用することができる材料の幾つかの例には、非限定的に、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質、リン酸塩等の緩衝剤物質、グリシン、ソルビン酸、又はソルビン酸カリウム、飽和植物油脂の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン等の塩又は電解質、リン酸水素ニナトリウム、リン酸水素ニカリウム、塩化カリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、ラクトース、グルコース、及びスクロース等の糖;とうもろこし澱粉及びジャガイモ澱粉等の澱粉;カリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及び酢酸セルロース等のセルロース及びその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゲラチン;タルク、ココババター及び座薬ワックス等のビヒクル、;ピーナッツ油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油等の油;プロピレングリコール又はポリエチレングリコール等のグリコール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等のエステル;アガー;水酸化マグネシウム水酸化及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤;アジピン酸、発熱源なし水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール、及びリン酸塩緩衝溶液、並びにラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム等の他の非毒性共存可能潤滑剤、並びに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、着香剤及び香料、防腐剤及び酸化防止剤も、処方者の判断に従って、組成物に存在することができる。
【0216】

化合物及び薬学的に許容される組成物の使用法
他の態様において、本発明は、CFTR等のABCトランスポーター活性によって示された病態、疾患、又は障害を処置する方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、ABCトランスポーター活性の欠損によって示された病態、疾患、又は障害を処置する方法を提供し、方法は、化学式Iの化合物を備える組成物を必要としている被験者、好ましくは哺乳動物に投与することを備える。
【0217】
特定の実施形態において、本発明は、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性血色素症、タンパク質C欠乏等の凝固線維素溶解欠損症、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症等の脂質プロセッシング欠乏、1型乳糜血症、無β−リポタンパク質血症、I細胞疾患/偽ハーラー等のリソソーム蓄積症、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイサックス病、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノシスCDG1型、遺伝性気腫、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠乏、尿崩症(DI)、ニューロフィシールDI、ネプロジェニックDI、シャルコー−マリー−ツース症候群、ペリツアウス−メルツバッヒャー病、アルツハイマー病、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病等の神経変性疾患、ハンチントン病、I型脊髄小脳運動失調症、脊髄及び延髄の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、及び筋緊張性ジストロフィー等の種々のポリグルタミン神経障害、並びに遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパクプロセシングの欠損による)等の海綿状脳症、ファブリ病、及びストロイスラー・シェインカー症候群、COPD、乾燥性眼疾患、及びシェーグレン病を処置する方法を提供する。
【0218】
代替の好ましい実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物を備える有効量の組成物を前記哺乳動物に投与する手順を含む、組成物を前記哺乳動物に投与する手順を含む嚢胞性線維症を処置する方法を提供する。
【0219】
本発明によれば、化合物又は薬学的に許容される組成物の「有効量」は、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性血色素症、タンパク質C欠乏等の凝固線維素溶解欠損症、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症等の脂質プロセッシング欠乏、1型乳糜血症、無β−リポタンパク質血症、I細胞疾患/偽ハーラー等のリソソーム蓄積症、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイサックス病、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノシスCDG1型、遺伝性気腫、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠乏、尿崩症(DI)、ニューロフィシールDI、ネプロジェニックDI、シャルコー−マリー−ツース症候群、ペリツアウス−メルツバッヒャー病、アルツハイマー病、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病等の神経変性疾患、ハンチントン病、I型脊髄小脳運動失調症、脊髄及び延髄の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、及び筋緊張性ジストロフィー等の種々のポリグルタミン神経障害、並びに遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病等の海綿状脳症、ファブリ病、及びストロイスラー・シェインカー症候群、COPD、乾燥性眼疾患、及びシェーグレン病の1つ以上を処置する、又はその重症度を軽減するのに有効な量である。
【0220】
化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、嚢胞性線維症、遺伝性気腫、遺伝性血色素症、タンパク質C欠乏等の凝固線維素溶解欠損症、1型遺伝性血管浮腫、家族性高コレステロール血症等の脂質プロセッシング欠乏、1型乳糜血症、無β−リポタンパク質血症、I細胞疾患/偽ハーラー等のリソソーム蓄積症、ムコ多糖症、サンドホフ病/テイサックス病、クリグラー−ナジャーII型、多腺性内分泌障害/高インスリン血症、真性糖尿病、ラロン型小人症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、原発性副甲状腺機能低下症、メラノーマ、グリカノシスCDG1型、遺伝性気腫、骨形成不全症、遺伝性低フィブリノーゲン血症、ACT欠乏、尿崩症(DI)、ニューロフィシールDI、ネプロジェニックDI、シャルコー−マリー−ツース症候群、ペリツアウス−メルツバッヒャー病、アルツハイマー病、パーキンソン疾患、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、ピック病等の神経変性疾患、ハンチントン病、I型脊髄小脳運動失調症、脊髄及び延髄の筋萎縮、歯状核赤核淡蒼球ルイ体、及び筋緊張性ジストロフィー等の種々のポリグルタミン神経障害、並びに遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオンタンパクプロセシングの欠損による)等の海綿状脳症、ファブリ病、及びストロイスラー・シェインカー症候群、COPD、乾燥性眼疾患、及びシェーグレン病の1つ以上を処置する、又はその重症度を軽減するのに有効な任意の量及び任意の経路を使用して投与される場合がある。
【0221】
一実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、患者の嚢胞性線維症を処置する、又はその重症度を軽減するのに有用である。
【0222】
特定の実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、呼吸上皮及び非呼吸上皮のアピカル膜において残存CFTR活性を示す患者の嚢胞性線維症を処置する、又はその重症度軽減するのに有用である。上皮表面における残存CFTR活性の存在は、標準的な電気生理学的技法、生化学的技法、又は組織化学的技法等、当該技術分野で既知の方法を使用して容易に検出することができる。そのような方法は、細胞表面密度を監視するために、インビボ又はエックスビボの電気生理学的技法、汗又は唾液のCl濃度の測定、或いはエックスビボの生化学的技法又は組織化学的技法を使用して、CFTR活性を同定する。そのような方法を使用して、最も一般的な突然変異ΔF508について同型接合又は異型接合の患者を含めて、種々の異なる突然変異について同型接合又は異型接合の患者において残存CFTR活性を容易に検出することができる。
【0223】
他の実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、薬理学的方法又は遺伝子治療を使用して、誘発又は増強された残存CFTR活性を有する患者において嚢胞性線維症を処置する、又はその重症度を軽減するのに有用である。そのような用法は、細胞表面に存在するCFTR活性の量を増大させ、それにより、CFTR活性患者においてこれまで欠如していたCFTR活性を誘発する、又は患者の残存CFTR活性の既存のレベルを増大させる。
【0224】
一実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、クラスIII突然変異(調節又はゲーティングの損傷)、クラスIV突然変異(コンダクタンスの変化)、又はクラスV突然変異(合成の低減)等、残存CFTR活性を示すある遺伝子型を有する患者において患者の嚢胞性線維症の重症度を処置又は軽減するのに有用である(Lee R. Choo−Kang, Pamela L., Zeitlin, Type I, II, III, IV, and V cystic fibrosis Transmembrane Conductance Regulator Defects and Opportunities of Therapy; Current Opinion in Pulmonary Medicine 6:521−529, 2000)。残存CFTR活性を示すその他の患者遺伝子型には、これらのクラスの1つの患者の同型接合、或いはクラスI突然変異、クラスII突然変異、又は分類されていない突然変異を含めた、その他何れかのクラスの突然変異を有する異型接合が含まれる。
【0225】
一実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、上皮のアピカル膜における残存CFTR活性の量と通常相関する中程度から軽度の臨床表現型等、ある臨床表現型を有する患者において嚢胞性線維症を処置する、又はその重症度を軽減するのに有用である。そのような表現型は、膵機能完全性を示す患者、又は突発性膵臓炎及び精管の先天性両側欠如若しくは軽度の肺疾患と診断された患者がいる。
【0226】
必要な正確な量は、被験者の種、年齢、及び全体的な病態、感染の重症度、特定の薬剤、その投与モード等に応じて、被験者ごとに異なる。本発明の化合物は、投与が容易で投与量が一様である投与量単位形態で処方されることが好ましい。本明細書で使用される「投与量単位形態」という表現は、処置される患者に適切な薬剤の物理的に離散な単位を指す。しかし、本発明の化合物及び組成物の日常的な全使用量は、健全な医療判断の範囲内において担当医師によって決定されることが理解されるはずである。任意の特定の患者又は臓器に特有の有効な投与レベルは、処置されている障害及び障害の重症度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、全般的な健康、性別、及び食餌;使用される特定の化合物の投与の時間、投与経路、及び排出率;処置の所要時間;使用される特定の化合物と組み合わせて、また同時に使用される医薬品、医療分野において周知の同様の因子を含めて、種々の因子に依存する。本明細書で使用される「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、及び最も好ましくはヒトを意味する。
【0227】
本発明の薬学的に許容される組成物は、処置されている感染の重症度に応じて、経口噴霧又は鼻噴霧等として、経口的に、直腸から、非経口的に、脳槽内から、膣内から、腹膜内から、局部的に(粉末、軟膏、又はドロップによって)、頬から、ヒト及び他の動物に投与することができる。特定の実施形態において、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、1日に1回又は複数回、1日あたり被験者の体重の約0.01mg/kgから約50mg/kg、好ましくは約1mg/kgから約25mg/kgの投与レベルにおいて経口的又は非経口的に投与される場合がある。
【0228】
経口投与の液体投与形態には、薬学的に許容されるエマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシルが含まれるが、これらに限定されない。活性化合物の他に、液体投与形態は、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈液を含む場合があり、例えば、水又は他の溶媒、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジル安息香酸塩、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド等の可溶化剤及び乳化剤、油(具体的には、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにその混合物等である。不活性希釈液の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化及び懸濁剤、甘味剤、着香剤、及び香料を含むこともできる
滅菌注射可能水性又は油性懸濁液等の注射可能製剤が、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、既知の技術により処方される場合がある。滅菌注射可能製剤は又、1,3−ブタンジオールの溶液等、非毒性の非経口的に許容可能な希釈液又は溶媒における滅菌注射可能溶液、懸濁液又はエマルジョンとすることも可能である。使用できる許容可能なビヒクル及び溶媒には、水、リンガー溶液、U.S.P.、及び等張塩化カリウム溶液が含まれる。更に、滅菌固定油が、溶媒又は懸濁培地として従来使用されている。この目的で、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含めて、任意のブランドの固定油を使用できる。更に、オレイン酸等の脂肪酸が、注射可能物質の製剤において使用される。
【0229】
注射可能調合物は、例えば、使用するために、細菌保持フィルターを介して濾過することによって、或いは、使用前に滅菌水又は他の滅菌注射可能培地に溶解又は分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0230】
本発明の化合物の効果を長引かせるために、皮下注射又は筋肉内注射からの化合物の吸収を遅くすることがしばしば望ましい。これは、結晶の液体懸濁液又は不十分な水溶解度を有するアモルファス材料を使用することによって達成される場合がある。その場合、化合物の吸収率は、結晶のサイズ及び結晶の形態に依存する場合がある溶解率に依存する。代替として、非経口投与化合物形態の遅延吸収は、化合物を油ビヒクルに溶解又は懸濁させることによって達成される。注射可能デポーの形態は、ポリラクチド−ポリグリコリド等の生分解性ポリマーにおいて化合物のミクロカプセル化マトリックスを形成することによって作成される。化合物対ポリマーの比及び使用される特定のポリマーの量に応じて、化合物の放出率を制御することができる。生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルソエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。デポー注射可能調合物は又、身体組織と共存可能なリポソーム又はミクロエマルジョンにおいて化合物を捕捉することによって調製される。
【0231】
直腸投与又は膣投与される組成物は、本発明の化合物と、周囲温度では固体であるが、体温では液体であり、従って、直腸又は膣腔において融解し、活性化合物を放出するココアバター、ポリエチレングリコール、座薬ワックス等、適切な非刺激性のビヒクル又は担体とを混合することによって調製することができる座薬であることが好ましい。
【0232】
経口投与される固体投与形態には、カプセル、タブレット、ピル、粉末、及び顆粒が含まれる。そのような固体投与形態では、活性化合物は、クエン酸カリウム又はリン酸二カルシウム等の少なくとも1つの不活性の薬学的に許容されるビヒクル又は担体、及び/又はa)澱粉、ラクトース、スクロール、グルコース、マンニトール、及びケイ酸等の充填剤又は延長剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゲラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシア等の結合剤、c)グリセロール等の湿潤剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ澱粉又はタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、及び炭酸カリウム等の崩壊剤、e)パラフィン等の溶液遅延剤、f)4級アンモニウム化合物の吸収加速剤、g)例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール等の湿潤剤、h)カオリン及びベントナイトクレイ等の吸収剤、i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸カリウム等の潤滑剤、並びにその混合物と混合される。カプセル、タブレット、及びピルの場合、投与形態は又、緩衝剤を備えることも可能である。
【0233】
同様のタイプの固体組成物が、ラクトース又は乳糖等のビヒクル、並びにポリ高分子量ポリエチレングリコール等を使用して、軟及び硬充填ゲラチンカプセルにおいて充填剤として使用されることも可能である。タブレット、糖剤、カプセル、ピル、及び顆粒の固体投与形態は、薬剤処方分野において周知の腸溶性コーティング及び他のコーティング等、コーティング及びシェルで調製することができる。これらは、必要に応じて不透明化剤を含む場合があり、また、腸管のある部分において、必要に応じて遅れて活性成分のみを又は優先的に放出する組成物とすることもできる。使用できる組成物を埋め込む例には、ポリマー物質及びワックスが含まれる。同様のタイプの固体組成物が、ラクトース又は乳糖等のビヒクル、並びにポリ高分子量ポリエチレングリコール等を使用して、軟及び硬充填ゲラチンカプセルにおいて充填剤として使用されることも可能である。
【0234】
活性化合物は、上記で留意されたように、1つ以上のビヒクルと共にミクロカプセル化形態にあることもできる。タブレット、糖衣錠、カプセル、ピル、及び顆粒の固体投与形態は、薬剤処方分野において周知の腸溶性コーティング、放出制御コーティング、及び他のコーティング等、コーティング及びシェルで調製することができる。そのような固体投与形態において、活性化合物は、スクロース、ラクトース、又は澱粉等の少なくとも1つの希釈液と混和される場合がある。そのような投与形態は又、通例のように、ステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロース等のタブレット化潤滑剤及び他のタブレット化補助剤等、不活性希釈液以外の追加の物質を備えることも可能である。カプセル、タブレット、及びピルの場合、投与形態は又、緩衝剤を備えることも可能である。これらは、必要に応じて不透明化剤を含む場合があり、また、腸管のある部分において、必要に応じて遅れて活性成分のみを又は優先的に放出する組成物とすることもできる。使用できる組成物を埋め込む例には、ポリマー物質及びワックスが含まれる。
【0235】
本発明の化合物の局部的又は経皮的投与の投与形態には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、粉末、吸入剤、又はパッチが含まれる。活性化合物は、滅菌条件下において薬学的に許容される担体、及び必要に応じて任意の必要な防腐剤又は緩衝剤と混和される。眼用調合物、点耳薬、及び点眼薬も、本発明の適用範囲内に含まれると考慮される。更に、本発明は、身体への化合物の制御送達を提供するという追加の利点を有する経皮的パッチの使用を考慮する。そのような投与形態は、化合物を適切な培地にて溶解又は分散させることによって調製される。吸収促進剤も、皮膚にわたる化合物のフラックスを増大させるために使用できる。率は、率制御膜を提供することによって、或いは化合物をポリマーマトリックス又はゲルに分散させることによって、制御することもできる。
【0236】
上記で概説されたように、本発明の化合物は、ABCトランスポーターのモジュレーターとして有用である。従って、任意の特定の理論によって制約されることを望まずに、化合物及び組成物は、ABCトランスポーターの超活性又は不活性が疾患、病態、又は障害において示される場合、疾患、病態、又は障害を処置する、又はその重症度軽減するのに特に有用である。ABCトランスポーターの超活性又は不活性が疾患、病態、又は障害において示される時、疾患、病態、又は障害は又、「ABCトランスポーター媒介疾患、病態、又は障害」と呼ばれることもある。従って、他の態様では、本発明は、ABCトランスポーターの超活性又は不活性が疾患状態において示される時、疾患、病態若しくは障害を処置する、又はその重症度若しくは軽減する方法を提供する。
【0237】
ABCトランスポーターのモジュレーターとして本発明において使用される化合物の活性は、当技術分野及び本明細書の実施例において概説される方法により検定される場合がある。
【0238】
本発明の化合物及び薬学的に許容される組成物は、組み合わせ治療において使用できる、即ち、化合物及び薬学的に許容される組成物は、1つ以上の他の所望の治療又は医療手続きと同時に、その前に、又はその後に投与することができることも理解されるはずである。組み合わせ体系において使用する治療法の特定の組み合わせ(治療又は手続き)は、達成される所望の治療及び/又は手続き並びに所望の治療効果を考慮する。また、使用される治療は、同じ疾患について所望の効果を達成することが可能である(例えば、発明化合物が、同じ疾患を処置するために使用される他の剤と同時に投与される場合がある)、又は、異なる効果を達成することが可能である(例えば、任意の逆効果の制御)。本明細書で使用される際、特定の疾患又は病態を処置又は防止するために通常投与される追加の治療剤は、「処置される疾患又は病態に適切である」ことが既知である。
【0239】
一実施形態において、追加の薬剤は、粘液溶解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、本発明の化合物以外のCFTRモジュレーター、又は栄養剤から選択される。
【0240】
本発明の組成剤に存在する追加の治療剤の量は、その治療剤を唯一の活性剤として備える組成物において通常投与される量を超えない。本発明において開示される組成物における追加の治療剤の量は、その治療剤を唯一の活性剤として備える組成物に通常存在する量の約50%〜100%であることが好ましい。
【0241】
本発明の化合物又はその薬学的に許容される組成物は又、人工器官、人工弁、人工血管、ステント、及びカテーテル等、植込み型医療デバイスをコーティングするための組成物に組み込まれることも可能である。従って、本発明は、他の態様では、上記において、並びに本明細書のクラス及びサブクラスに分けて概説された本発明の化合物を備える植込み型デバイスをコーティングするための組成物、また前記植込み型デバイスをコーティングするのに適切な担体を含む。適切なコーティング及びコーティングされた植込み型デバイスの一般的な調製は、米国特許第6099562号;第5886026号;及び第5304121号に記載されている。コーティングは、通常、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレンビニルアセテート、及びその混合物等、生体適合性ポリマー材料である。コーティングは必要に応じて、組成物における制御された放出特性を付与するために、フルオロシリコン、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、リン、又はその組み合わせの適切なトップコートによって更に覆われることが可能である。
【0242】
本発明の他の態様は、生体試料又は患者においてABCトランスポーター活性を調節することに関し(例えば、インビトロ又はインビボ)、この方法は、化学式Iの化合物又は前記化合物を備える組成物を患者に投与する、又は前記生物学的と化学式Iの化合物又は前記化合物を備える組成物を接触させることを備える。本明細書で使用される「生体試料」という用語には、細胞培養物又はその抽出物、哺乳動物から得られた生検材料又はその抽出物、及び血液、唾液、尿、便、精液、涙、又は他の体液若しくはその抽出物が含まれるが、これらに限定されない。
【0243】
生体試料におけるCFTR等のABCトランスポーター活性の調節は、当業者に既知の種々の目的に有用である。そのような目的の例には、生物学的現象及び病理学的現象におけるABCトランスポーターの研究、並びにABCトランスポーターの新しいモジュレーターの比較評価が含まれるが、これらに限定されない。
【0244】
他の実施形態において、陰イオンチャネルの活性をインビボ又はインビトロで調節させる方法が提供され、前記チャネルと化学式Iの化合物とを接触させる手順を含む。好ましい実施形態において、陰イオンチャネルは、塩化物チャネル又は重炭酸塩チャネルである。他の好ましい実施形態において、陰イオンチャネルは塩化物チャネルである。
【0245】
代替実施形態によれば、本発明は、細胞の膜において機能ABCトランスポーターの数を増大させる方法を提供し、前記細胞を化学式Iの化合物と接触させる手順を含む。本明細書で使用される「機能ABCトランスポーター」という用語は、活性を輸送することができるABCトランスポーターを意味する。好ましい実施形態において、前記機能ABCトランスポーターはCFTRである。
【0246】
他の好ましい実施形態によれば、ABCトランスポーターの活性は、膜貫通の電位を測定することによって測定される。生体試料の膜の両端の電位を測定する手段は、光学的膜電位検定又は他の電気生理学的方法等、当該技術分野で既知の方法の何れかを使用することが可能である。
【0247】
光学的膜電位検定は、Gonzalez及びTsienが説明する電圧感受性FRETセンサー(Gonzalez, J.E. and R.Y.Tsien “Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells” Biophys J69(4):1272−80;及びGonzalez, J.E. and R.Y. Tsien (1997) “Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer” Chem Biol 4(4):269−77を参照)と、Voltage/IonProbeReader(VIPR)(Gonzalez, J.E., K. Oades, et al., (1999) “Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets” Drug Discov Today 4(9):431−439を参照)等蛍光の変化を測定する機器とを組み合わせて使用する。
【0248】
これらの電圧感受性検定は、膜可溶性電圧感受性染料DiSBAC(3)と、原型膜質の外側小葉に結合され、FRET供与体として作用する蛍光リン脂質CC2−DMPEとの間の蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)の変化に基づく。膜電位(Vm)の変化により、負に帯電したDiSBAC(3)は、原形質膜にわたって再分配され、相応してCC2−DMPEからのエネルギー伝達の量が変化する。蛍光放出の変化は、96−又は384−ウェルマイクロタイタプレートにおいて細胞ベーススクリーニングを実施するように設計された統合液体ハンドラ及び蛍光検出器であるVIPRTM IIを使用して監視することができる。
【0249】
他の態様において、本発明は、生体試料においてABCトランスポーター又はその断片の活性をインビトロ又はインビボで測定するのに使用されるキットを提供し、(i)化学式Iの化合物又は上記の実施形態の何れかを備える組成物、及び(ii)a)組成物と生体試料とを接触させ、及びb)前記ABCトランスポーター又はその断片の活性を測定するための命令を備える。一実施形態において、キットは、a)追加のと生体試料とを接触させ;b)前記追加の組成物において前記ABCトランスポーター又はその断片の活性を測定し、c)追加の化合物が存在する状態のABCトランスポーターの活性と、化学式Iの組成物が存在する状態のABCトランスポーターの密度とを比較するための命令を更に備える。好ましい実施形態において、キットは、CFTRの密度を測定するために使用される。
【0250】
本明細書に記載の発明がより完全に理解される場合があるように、以下の例を述べる。これらの例は、単に例示のためであり、本発明を何ら限定するものではないと解釈されるべきではないことを理解されたい。
【実施例】
【0251】
実施例1
N−(2−エチル−フェニル)−2−(1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−アセトアミドの調製:
【0252】
【化75】

DMF(1mL)中の2−エチル−アニリン(74μL、0.6mmol)及びDIEA(110μL、0.6mmol)の攪拌溶液に、DMF(1mL)中の(1H−インドール−3−イル)−オキソ−塩化アセチル(62mg、0.3mmol)の溶液を添加した。反応物を室温で2時間撹拌した後、濾過して、HPLC(10〜99% CHCN/HO)で精製し、産物N−(2−エチル−フェニル)−2−(1H−インドール−3−イル)−2−オキソ−アセトアミド(34mg、39%)を得た。
【0253】
【化75−2】

以下には、上記の実施例に従って調製した本発明の化合物の特徴データを示す。
【0254】
(表2)
【0255】
【化76】

【0256】
【化77】

B)化合物のΔF508−CFTR補正特性を検出及び測定する検定
I)化合物のΔF508−CFTR調節特性を検定する膜電位光学測定法
膜電位光学検定では、Gonzalez and Tsien(Gonzalez, J.E. and R.Y. Tsien (1995) “Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells” Biophys J 69(4):1272−80;及びGonzalez, J.E. and R.Y. Tsien (1997) “Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer” Chem Biol 4(4):269−77を参照)に記載の電圧感受性FRETセンサーと、Voltage/IonProbeReader(VIPR)(Gonzalez, J.E., K. Oades, et al., (1999) “Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets” Drug Discov Today 4(9):431−439を参照)等の蛍光変化測定機器とを組み合わせて使用した。
【0257】
これらの電圧感受性検定は、膜可溶性電圧感受性染料DiSBAC(3)と、原型膜質の外側小葉に結合してFRET供与体として作用する蛍光リン脂質CC2−DMPEとの間の蛍光共鳴エネルギー伝達(FRET)の変化に基づいている。膜電位(V)の変化により、負に帯電したDiSBAC(3)は、原形質膜にわたって再分配され、それに応じてCC2−DMPEからのエネルギー伝達量が変化する。蛍光放出の変化は、96ウェル又は384ウェルのマイクロタイタープレートにて細胞ベースのスクリーニングを実施するように設計された統合液体ハンドラ及び蛍光検出器であるVIPRTM IIを使用して、監視した。
【0258】
補正化合物の同定I
ΔF508−CFTRに伴うトラフィッキングの欠陥を補正する小分子を同定するため、単一付加HTS検定フォーマットを開発した。試験化合物の存在下又は非存在下(陰性対照)で、血清を含まない培地にて細胞を37℃で16時間インキュベートした。陽性対照として、384ウェルプレートで培養した細胞を、27℃にて16時間インキュベートして、ΔF508−CFTRの「温度補正」を行った。その後、細胞をKrebs Ringers溶液で3回すすぎ、電圧感受性染料を追加した。そして、ΔF508−CFTRを活性化させるため、10μMのフォルスコリン及びCFTR増強剤であるゲニステイン(20μM)を、Cl非含有培地と共に各ウェルに添加した。Cl非含有培地を添加すると、ΔF508−CFTRの活性化に応答してClの流出が促進され、その結果得られた膜の減極を、FRETベースの電圧センサー染料を使用して、光学的に監視した。
【0259】
増強剤化合物の同定
ΔF508−CFTRの増強剤を同定するために、2重付加HTS検定フォーマットを開発した。第1の付加では、試験化合物を有する又は有さないCl非含有培地を各ウェルに添加した。22秒後、2〜10μMのフォルスコリンを含むCl非含有培地を第2の付加として添加し、ΔF508−CFTRを活性化させた。両付加後の細胞外Cl濃度は28mMであり、これによってΔF508−CFTRの活性化に応答してClの流出が促進され、その結果得られた膜の減極を、FRETベースの電圧センサー染料を使用して、光学的に監視した。
【0260】
溶液
浴用液1(mM): NaCl 160、KCl 4.5、CaCl 2、MgCl 1、HEPES 10、NaOHにてpH7.4
塩化物非含有浴用液: 浴用液1中の塩化物をグルコン酸塩で置換。
CC2−DMPE: DMSO中の10mM原液として調製し、20℃で貯蔵。
DiSBAC(3): DMSO中の10mM原液として調製し、20℃で貯蔵。
【0261】
細胞の培養
ΔF508−CFTRを安定して発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を膜電位の光学的測定に使用する。175cm培養フラスコ中の、2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1倍NEAA、β−ME、1倍pen/strep、及び25mM HEPESで補ったダルベッコ修正イーグル培地にて、37℃、CO 5%、湿度90%の状態で細胞を維持する。全ての光学検定では、384ウェルのマトリゲルコーティングプレートの30,000/ウェルに細胞を植え付け、37℃にて2時間培養した後、増強剤検定のために27℃にて24時間培養した。補正検定では、化合物を含む状態と含まない状態とで、細胞を27℃又は37℃にて培養する。
【0262】
B)化合物のΔF508−CFTR調節特性を検定する電気生理学的検定
1.ウッシングチャンバー検定
光学検定で同定したΔF508−CFTRモジュレーターを更に特徴付けるため、ΔF508−CFTRを発現する極性上皮細胞にてウッシングチャンバー実験を実施した。Costar Snapwell細胞培養インサート上で成長させたFRTΔF508−CFTR上皮細胞をウッシングチャンバー(Physiologic Instruments, Inc.[米国カリフォルニア州サンディエゴ])に取り付け、電圧クランプシステム(Department of Bioengineering, University of Iowa[米国アイオワ州]及びPhysiologic Instruments, Inc.[米国カリフォルニア州サンディエゴ])を使用して、単層を連続して短絡させた。経上皮抵抗は、2mVパルスを印加することによって測定した。これらの条件下で、FRT上皮は4KΩ/cm以上の抵抗を示した。次に、溶液を27oCに維持し、空気で発泡させ、細胞非含有インサートを使用して、電極のオフセット電位及び流体抵抗を補正した。これらの条件下で、電流は、アピカル膜で発現するΔF508−CFTRを介してClの流れを反映する。そして、MP100A−CEインターフェース及びAcqKnowledgeソフトウェア(v3.2.6;BIOPAC Systems[米国カリフォルニア州サンタバーバラ])を使用して、ISCをデジタルで取得した。
【0263】
補正化合物の同定
通常のプロトコルでは、アピカル膜Cl濃度に対する側底の勾配を使用した。この勾配を設定するため、側底膜では通常のリンガー溶液を使用する一方で、上皮全体で大きなCl濃度勾配を得るために、アピカルNaClを等モルのグルコン酸ナトリウムで置き換えた(NaOHでpH7.4に滴定)。実験は全て完全な単層で実施した。ΔF508−CFTRを完全に活性化させるため、フォルスコリン(10μM)及びPDE阻害剤IBMX(100μM)を添加した後、CFTR増強剤ゲニステイン(50μM)を添加した。
【0264】
他の細胞タイプで観測されるように、ΔF508−CFTRを安定して発現するFRT細胞を低温にて培養することにより、原形質膜におけるCFTRの機能密度が増大する。補正化合物の活性を測定するために、細胞を10μMの試験化合物と共に37℃にて24時間培養した後、記録の前に3回洗浄した。化合物処置細胞におけるcAMP媒介及びゲニステイン媒介ISCを27℃及び37℃制御に正規化し、活性率として表した。補正化合物で細胞を事前にインキュベートすることにより、cAMP媒介及びゲニステイン媒介ISCは37℃制御よりも著しく増大した。
【0265】
増強剤化合物の同定
通常のプロトコルでは、アピカル膜Cl濃度に対する側底の勾配を使用した。この勾配を設定するために、側底膜では通常のリンガー溶液を使用し、ナイスタチン(360μg/ml)を浸透させる一方で、上皮全体で大きなCl濃度勾配を得るために、アピカルNaClを等モルのグルコン酸ナトリウムで置き換えた(NaOHでpH7.4に滴定した)。実験は全てナイスタチン浸透の30分後に実施した。フォルスコリン(10μM)及び全ての試験化合物を細胞培養インサートの両側に添加した。そして、この推定のΔF508−CFTR増強剤の効能を、既知の増強剤ゲニステインの効能と比較した。
【0266】
溶液
側底溶液(mM): NaCl(135)、CaCl(1.2)、MgCl(1.2)、KHPO(2.4)、KHPO(0.6)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)(10)、及びブドウ糖(10)。溶液をNaOHでpH7.4に滴定。
アピカル溶液(mM): グルコン酸Naで置換したNaClを含有する側底溶液と同じ(135)。
【0267】
細胞の培養
ΔF508−CFTR(FRTΔF508−CFTR)を発現するフィッシャーラット上皮(FRT)細胞を、本発明者等の光学検定で同定された推定のΔF508−CFTRモジュレーターのウッシングチャンバー実験に使用した。細胞をCostar Snapwell細胞培養インサート上で培養し、5%ウシ胎仔血清、100U/mlペニシリン、及び100μg/mlストレプトマイシンで補ったクーン修正ハムF−12培地にて、37℃、CO 5%の状態で5日間培養した。化合物の増強剤活性の特徴付けに使用する前に、ΔF508−CFTRについて補正するために細胞を27℃にて16〜48時間培養した。補正化合物の活性を測定するため、化合物の存在下及び非存在下で細胞を27℃又は37℃にてインキュベートした。
【0268】
2.細胞全体の記録
ΔF508−CFTRを安定して発現する温度及び試験化合物補正NIH3T3細胞におけ肉眼的ΔF508−CFTR電流(IΔF508)を、穿孔パッチ細胞全体記録を使用して監視した。簡潔には、IΔF508の電圧クランプ記録をAxopatch200Bパッチクランプ増幅器(Axon Instruments Inc.[米国カリフォルニア州フォスターシティ])を使用して室温で実施した。全ての記録を10kHzのサンプリング周波数で取得し、1kHzにおいて低域通過濾過した。ピペットは、細胞内溶液で満たされている時、5〜6MΩの抵抗を有していた。これらの記録条件下において、室温におけるCl(ECl)について計算した反転電位は−28mVであった。全ての記録は、>20GΩのシール抵抗及び<15MΩの直列抵抗を有していた。パルス生成、データ取得、及び分析を、Clampex 8(Axon Instruments Inc.)と共にDigidata1320A/Dインターフェースを装備したPCを使用して実施した。浴槽は<250μlの食塩水を含み、重力駆動潅流システムを使用して2ml/分の率で連続的に潅流された。
【0269】
補正化合物の同定
原形質膜における機能ΔF508−CFTRの密度を増大させるための補正化合物の活性を測定するために、上述の穿孔パッチ記録技法を使用して、補正化合物での24時間処置後に電流密度を測定した。ΔF508−CFTRを完全に活性化するために、10μMのフォルスコリン及び20μMのゲニステインを細胞に添加した。我々の記録条件下では、27℃における24時間の培養に続く電流密度は、37℃における24時間の培養に続いて観測された電流密度より高かった。これらの結果は、原形質膜におけるΔF508−CFTRの密度に対する低温培養の既知の効果と一貫する。CFTR電流密度に対する補正化合物の効果を測定するために、細胞を10μMの試験化合物と共に37℃で24時間培養し、27℃制御及び37℃制御(活性率)と比較した。記録する前に、細胞を細胞外記録培地で3回洗浄し、あらゆる残留試験化合物を除去した。10μMの補正化合物で事前に培養することにより、cAMP−及びゲラスチン依存電流は37℃制御よりも著しく増大した。
【0270】
増強剤化合物の同定
ΔF508−CFTR増強剤が、ΔF508−CFTRを安定して発現するNIH3T3細胞における肉眼的ΔF508−CFTR Cl電流(IΔF508)を増大させる能力も、穿孔パッチ記録技法を使用して調査した。光学検定から同定された増強剤は、光学検定で観測された同様の効力及び効能を有するIΔF508の投与量に依存する増大を誘起した。調査した全ての細胞において、増強剤を加える前及び加える最中の反転電位は約−30mVであり、これは、計算したECl(−28mV)である。
【0271】
溶液
細胞内溶液(mM): アスバルギン酸Cs(90)、CsCl(50)、MgCl(1)、HEPES(10)、及び240μg/mlアンフォテリシン−B(pHはCsOHで7.35に調整)
細胞内溶液(mM): N−メチル−D−グルカミン(NMDG)−Cl(150)、MgCl(2)、CaCl(2)、HEPES(10)(pHはCsOHで7.35に調整)
細胞の培養
ΔF508−CFTRを安定して発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を、細胞全体の記録に使用する。175cm培養フラスコ中の、2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1倍NEAA、β−ME、1倍pen/strep、及び25mMのHEPESで補ったダルベッコ修正イーグル培地にて、37℃、CO 5%、湿度90%の状態で細胞を維持する。細胞全体の記録のため、2,500〜5,000の細胞をポリ−L−リシンコーティングガラスカバースリップに植え付け、増強剤の活性試験に使用する前に、27℃にて24〜48時間培養し、補正剤の活性を測定するために、補正化合物の存在下及び非存在下で37℃にて培養した。
【0272】
3.単一チャネル記録
NIH3T3細胞で安定して発現する温度補正ΔF508−CFTRの単一チャネル活性及び増強剤化合物の活性を、切除した裏返しパッチを使用して観測した。即ち、単一チャネル活性の電圧クランプ記録を、Axopatch 200Bパッチ−クランプ増幅器(Axon Instruments Inc.)を使用して室温で実施した。10kHzのサンプリング周波数において全ての記録を取得し、400Hzにてローパスフィルタリングを行った。パッチのピペットは、Corning Kovar Sealing#7052ガラスから製作され(World Precision Instruments, Inc.[米国フロリダ州サンタバーバラ])、細胞外溶液で満たされている時、5〜8MΩの抵抗を有していた。切除後、1mMのMg−ATP及び75nMのcAMP依存タンパク質キナーゼ、触媒サブユニット(PKA;Promega Corp.[米国ウィスコンシン州マディソン])を添加することによって、ΔF508−CFTRを活性化した。チャネル活性が安定した後、重力駆動微細潅流システムを使用して、パッチを潅流した。流入物をパッチに隣接して配置し、これにより1〜2秒内の完全な溶液交換を得た。迅速な潅流中にΔF508−CFTR活性を維持するために、非特異的なホスファターゼ阻害剤F(10mMのNaF)を浴用液に添加した。これらの記録条件下において、チャネル活性は、パッチ記録の所要時間(最高60分)にわたって一定であった。細胞細胞内溶液から細胞外溶液に移動する正の電荷によって生成される電流(反対方向に移動する陰イオン)を正の電流として示す。ピペットの電位(V)は80mVに維持された。
【0273】
≦2の活性チャネルを含む膜パッチからチャネル活性を分析した。同時開口の最大数が、実験過程中の活性チャネルの数を測定した。単一チャネルの電流振幅を測定するため、120秒のΔF508−CFTR活性から記録したデータを、100Hzにて「オフライン」でフィルタリングした後、Bio−Patch分析ソフトウェア(Bio−LogicComp.[仏])を使用して、マルチゲージ関数で適合された全点振幅ヒストグラムを構築するために使用した。120秒のチャネル活性から、全顕微鏡的電流及び開確率(P)を測定した。Bio−Patchソフトウェアを使用して、又はI=平均電流、i=単一チャネル電流振幅、及びN=パッチの活性チャネルの数として、関係P=I/i(N)から、Pを測定した。
【0274】
溶液
細胞外溶液(mM): NMDG(150)、アスパラギン酸(150)、CaCl(5)、MgCl(2)、及びHEPES(10)(pHはトリス塩基で7.35に調整)
細胞内溶液(mM): NMDG−Cl(150)、MgCl(2)、EGTA(5)、TES(10)、及びトリス塩基(14)(pHはHClで7.35に調整)。
【0275】
細胞の培養
ΔF508−CFTRを安定して発現するNIH3T3マウス線維芽細胞を切除膜パッチクランプの記録に使用する。175cm培養フラスコ中の、2mMグルタミン、10%ウシ胎仔血清、1倍NEAA、β−ME、1倍pen/strep、及び25mMHEPESで補ったダルベッコ修正イーグル培地にて、37℃、CO 5%、湿度90%の状態で細胞を維持する。単一チャネルの記録のため、2,500〜5,000の細胞をポリ−L−リシンコーティングガラスカバースリップに植え付け、使用前に27℃にて24〜48時間培養した。
【0276】
本発明の化合物は、ATP結合カセットトランスポーターのモジュレーターとして有用である。以下の表3には、表1の特定の実施形態のEC50及び相対効能を示す。
【0277】
以下の表3では、以下の意味が適用される。
EC50:「+++」<1uM;「++」=1uM〜5uM;「+」>5uM。
活性率:「+」<25%;「++」=25%〜100%;「+++」>100%。
【0278】
(表3)
【0279】
【化78】

【図面の簡単な説明】
【0280】
【図1−1】図1である。
【図1−2】図1である。
【図1−3】図1である。
【図1−4】図1である。
【図1−5】図1である。
【図1−6】図1である。
【図1−7】図1である。
【図1−8】図1である。
【図1−9】図1である。
【図1−10】図1である。
【図1−11】図1である。
【図1−12】図1である。
【図1−13】図1である。
【図1−14】図1である。
【図1−15】図1である。
【図1−16】図1である。
【図1−17】図1である。
【図1−18】図1である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ABCトランスポーター活性を調節する方法であって、該ABCトランスポーターを、以下の化学式Iの化合物:
【化1】

又はその薬学的に許容される塩と接触させる工程を包含し、
Arが、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員芳香族単環式環であり、該環が、5〜12員の単環式又は2環式の芳香族、部分不飽和又は飽和環に必要に応じて縮合され、各環が、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含み、Arが、それぞれ−WRから独立して選択されるmの置換基を有し;
Wが結合であるか、又は必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、Wの最高2つのメチレン単位が、必要に応じて且つ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又はNR’SONR’−によって置換され;
が独立してR’、ハロ、NO、CN、CF又はOCFであり;
mが0〜5であり;
、R、R、R及びRがそれぞれ独立して−X−Rであり;
Xが結合であるか、又は必要に応じて置換されたC−Cアルキリデン鎖であり、Xの最高2つのメチレン単位が、必要に応じて且つ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又はNR’SONR’−によって置換され;
が、独立してR’ハロ、NO、CN、CF又はOCFであり;
が、水素、CF、−OR’、−SR’、又は必要に応じて置換されるC1−6脂肪族基であり;
が、水素、又は必要に応じてX−Rで置換されたC1−6脂肪族基であり;
R’が、水素;或いはC−C脂肪族基、窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の単環式環、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の2環式環系から選択される、必要に応じて置換された基、から独立して選択されるか;或いは、R’の2つの出現が、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された3〜12員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の単環式環若しくは2環式環を形成するが;
但し、図1の化合物は除外される、方法。
【請求項2】
Arが以下から選択され:
【化2】

式中、環Aが、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員芳香族単環式環であるか;或いは、
及びAが一緒になって、8〜14員芳香族の2環式環又は3環式環であり、各環が、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
が、0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された6員芳香族環であり、該ヘテロ原子が窒素である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
が、必要に応じて置換されたフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル又はトリアジニルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
が、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された5員芳香族環である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
が、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された5〜6員芳香族単環式環である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
が、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換される5員芳香族単環式環である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
が以下から選択され:
【化3】

【化4】

式中、環Aが、2つの隣接する炭素環原子を介して環Aに縮合される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
Wが結合であるか、又は必要に応じて置換されるC1−6アルキリデン鎖であり、1つ又は2つの隣接しないメチレン単位が、必要に応じて且つ独立してO、NR’、S、SO又はCOO、或いはCOによって置換される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
がR’又はハロである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
WRの各出現が独立して、−C1−3アルキル、−C1−3ペルハロアルキル、−O(C1−3アルキル)、−CF、−OCF、−CHF、−OCHF、−SCF、−F、−Cl、−Br又はCOOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換される単環式又は2環式の芳香族環、必要に応じて置換されるアリールスルホン、必要に応じて置換される5員ヘテロアリール環、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、又は−(CH)N(R’)(R’)である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
WRの各出現が、ハロ、シアノ、CF、CHF、OCHF、Me、Et、CH(Me)、CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、OMe、OEt、OPh、O−フルオロフェニル、O−ジフルオロフェニル、O−メトキシフェニル、O−トリル、O−ベンジル、SMe、SCF、SCHF、SEt、CHCN、NH、NHMe、N(Me)、NHEt、N(Et)、C(O)CH、C(O)Ph、C(O)NH、SPh、SO−(アミノ−ピリジル)、SONH、SOPh、SONHPh、SO−N−モルホリノ、SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンズイミダゾール−2イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、NHC(O)Me、NHC(O)Et、NHC(O)Ph、NHSOMe、2−インドリル、5−インドリル、−CHCHOH、−OCF、O−(2,3−ジメチルフェニル)、5−メチルフリル、−SO−N−ピペリジル、2−トリル、3−トリル、4−トリル、O−ブチル、NHCOC(Me)、COC(Me)、イソプロペニル、n−ブチル、O−(2,4−ジクロロフェニル)、NHSOPhMe、O−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)、フェニルヒドロキシメチル、2,5−ジメチルピロリル、NHCOCHC(Me)、O−(2−tert−ブチル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノメチルフェニル、4−イソブチルフェニル、3−ピリジル、4−ピリジル、4−イソプロピルフェニル、3−イソプロピルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−エトキシフェニル、2−メチルチオフェニル、4−メチルチオフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、5−クロロ−2−メトキシフェニル、2−OCF−フェニル、3−トリフルオロメトキシ−フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、2−フェノキシフェニル、4−フェノキシフェニル、2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル、2,4−ジメトキシ−5−ピリミジル、5−イソプロピル−2−メトキシフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、3−シアノフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3−メトキシカルボニルフェニル、4−メトキシカルボニルフェニル、3−イソプロピルオキシカルボニルフェニル、3−アセトアミドフェニル、4−フルオロ−3−メチルフェニル、4−メタンスルフィニル−フェニル、4−メタンスルホニル−フェニル、4−N−(2−N,N−ジメチルアミノエチル)カルバモイルフェニル、5−アセチル−2−チエニル、2−ベンゾチエニル、3−ベンゾチエニル、フラン−3−イル、4−メチル−2−チエニル、5−シアノ−2−チエニル、N’−フェニルカルボニル−N−ピペラジニル、−NHCOEt、−NHCOMe、N−ピロリジニル、−NHSO(CHN−ピペリジン、−NHSO(CHN−モルホリン、−NHSO(CHN(Me)、COCHN(Me)COCHNHMe、−COEt、O−プロピル、−CHCHNHCOC(Me)、ヒドロキシ、アミノメチル、ペンチル、アダマンチル、シクロペンチル、エトキシエチル、C(Me)CHOH、C(Me)COEt、−CHOHMe、CHCOEt、−C(Me)CHNHCOC(Me)、O(CHOEt、O(CHOH、COMe、ヒドロキシメチル、1−メチル−1−シクロヘキシル、1−メチル−1−シクロオクチル、1−メチル−1−シクロヘプチル、C(Et)C(Me)、C(Et)、CONHCHCH(Me)、2−アミノメチル−フェニル、エテニル、1−ピペリジニルカルボニル、エチニル、シクロヘキシル、4−メチルピペリジニル、−OCOMe、−C(Me)CHNHCOCHCH(Me)、−C(Me)CHNHCOCHCHCH、−C(Me)CHNHCOEt、−C(Me)CHNHCOMe、−C(Me)CHNHCOCHC(Me)、−CHNHCOCF、−CHNHCOC(Me)、−C(Me)CHNHCO(CHCH、C(Me)CHNHCO(CHOMe、C(OH)(CF、−C(Me)CHNHCOCH−テトラヒドロフラン−3−イル、C(Me)CHO(CHOMe、又は3−エチル−2,6−ジオキソピペリジン−3−イルから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
mが0〜4である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
が水素、又は必要に応じて置換されたC1−4脂肪族基である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
が水素、必要に応じて置換されたC1−4脂肪族基、−(O−C1−4脂肪族)、又は−(S−C1−4脂肪族)である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
Xが結合又は必要に応じて置換されたC1−6アルキリデン鎖であり、1つ又は2つの隣接しないメチレン単位が、必要に応じて且つ独立してO、NR’、S、SO又はCOO、或いはCOによって置換される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
がR’又はハロである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
XRの各出現が、−C1−3アルキル、−O(C1−3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、SONH、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されたフェニル、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、又は−(CH)N(R’)(R’)から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
が水素、或いはC1−4直鎖又は分枝の脂肪族である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が以下の化学式IIA又は化学式IIB:
【化5】

を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が以下の化学式IIIA、化学式IIIB、化学式IIIC、化学式IIID、又は化学式IIIEを有し:
【化6】

式中、
、X、X、X及びXがそれぞれ独立してCH又はNから選択され;
がO、S又はNHであり;
yが0〜4である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
化学式IIIAにおいて、X、X、X、X及びXが、WR及びmと一緒になって必要に応じて置換されたフェニルである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
化学式IIIAにおいて、X、X、X、X及びXが一緒になって、以下:
【化7】

【化8】

から選択される、必要に応じて置換された環である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
化学式IIIB、化学式IIIC、化学式IIID又は化学式IIIEにおいて、X、X、X、X、X又はXが環Aと一緒になって、以下:
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

から選択される、必要に応じて置換された環である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
X及びRが一緒になって、Me、Et、ハロ、CN又はCFである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が以下の化学式IVA、化学式IVB又は化学式IVC:
【化14】

を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
環Aが、窒素、酸素及び硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された飽和、不飽和、又は芳香族の5〜7員環である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
以下の化学式Iの化合物:
【化15】

又はその薬学的に許容される塩であって、
Arが、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員芳香族単環式環であり、該環が、5〜12員の単環式又は2環式の芳香族、部分不飽和又は飽和環に必要に応じて縮合され、各環が、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含み、Arが、それぞれ−WRから独立して選択されるmの置換基を有し;
Wが結合であるか、又は必要に応じて置換されるC−Cアルキリデン鎖であり、Wの最高2つのメチレン単位が、必要に応じて且つ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又はNR’SONR’−によって置換され、
が独立してR’、ハロ、NO、CN、CF又はOCFであり;
mが0〜5であり;
、R、R、R及びRがそれぞれ独立して−X−Rであり;
Xが結合であるか、又は必要に応じて置換されるC−Cアルキリデン鎖であり、Xの最高2つのメチレン単位が、必要に応じて且つ独立して−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR’−、−CONR’NR’−、−CO−、−OCO−、−NR’CO−、−O−、−NR’CONR’−、−OCONR’−、−NR’NR’−、−NR’NR’CO−、−NR’CO−、−S−、−SO、−SO−、−NR’−、−SONR’−、NR’SO−、又は−NR’SONR’−によって置換され;
が独立してR’、ハロ、NO、CN、CF又はOCFであり;
が、水素、CF、−OR’、−SR’、又は必要に応じて置換されるC1−6脂肪族基であり;
が水素、又は必要に応じてX−Rで置換されるC1−6脂肪族基であり;
R’が、水素;或いはC−C脂肪族基、窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の単環式環、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の2環式環系から選択される、必要に応じて置換される基、から独立して選択されるか;或いは、R’の2つの出現が、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換される3〜12員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和の単環式環若しくは2環式環を形成するが;
但し、図1の化合物は除外される、化合物。
【請求項29】
Arが以下から選択され:
【化16】

式中、環Aが、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員芳香族単環式環であるか;或いは、
及びAが一緒になって、8〜14員芳香族の2環式環又は3環式環であり、各環が、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を含む、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
が、0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された6員芳香族環であり、該ヘテロ原子が窒素である、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
が、必要に応じて置換されたフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル又はトリアジニルである、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
が、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された5員芳香族環である、請求項29に記載の化合物。
【請求項33】
が、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された5〜6員芳香族単環式環である、請求項29に記載の化合物。
【請求項34】
が、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換された5員芳香族単環式環である、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
が以下から選択され:
【化17】

【化18】

式中、環Aが、2つの隣接する炭素環原子を介して環Aに縮合される、請求項29に記載の化合物。
【請求項36】
Wが結合であるか、又は必要に応じて置換されたC1−6アルキリデン鎖であり、1つ又は2つの隣接しないメチレン単位が、必要に応じて且つ独立してO、NR’、S、SO又はCOO、或いはCOによって置換されている、請求項28に記載の化合物。
【請求項37】
がR’又はハロである、請求項28に記載の化合物。
【請求項38】
WRの各出現が独立して、−C1−3アルキル、−C1−3ペルハロアルキル、−O(C1−3アルキル)、−CF、−OCF、−CHF、−OCHF、−SCF、−F、−Cl、−Br又はCOOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換された単環式又は2環式の芳香族環、必要に応じて置換されたアリールスルホン、必要に応じて置換された5員ヘテロアリール環、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、又は−(CH)N(R’)(R’)である、請求項28に記載の化合物。
【請求項39】
WRの各出現が、ハロ、シアノ、CF、CHF、OCHF、Me、Et、CH(Me)、CHMeEt、n−プロピル、t−ブチル、OMe、OEt、OPh、O−フルオロフェニル、O−ジフルオロフェニル、O−メトキシフェニル、O−トリル、O−ベンジル、SMe、SCF、SCHF、SEt、CHCN、NH、NHMe、N(Me)、NHEt、N(Et)、C(O)CH、C(O)Ph、C(O)NH、SPh、SO−(アミノ−ピリジル)、SONH、SOPh、SONHPh、SO−N−モルホリノ、SO−N−ピロリジル、N−ピロリル、N−モルホリノ、1−ピペリジル、フェニル、ベンジル、(シクロヘキシル−メチルアミノ)メチル、4−メチル−2,4−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン−2−イル、ベンズイミダゾール−2イル、フラン−2−イル、4−メチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル、3−(4’−クロロフェニル)−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、NHC(O)Me、NHC(O)Et、NHC(O)Ph、NHSOMe、2−インドリル、5−インドリル、−CHCHOH、−OCF、O−(2,3−ジメチルフェニル)、5−メチルフリル、−SO−N−ピペリジル、2−トリル、3−トリル、4−トリル、O−ブチル、NHCOC(Me)、COC(Me)、イソプロペニル、n−ブチル、O−(2,4−ジクロロフェニル)、NHSOPhMe、O−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジル)、フェニルヒドロキシメチル、2,5−ジメチルピロリル、NHCOCHC(Me)、O−(2−t−ブチル)フェニル、2,3−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−シアノメチルフェニル、4−イソブチルフェニル、3−ピリジル、4−ピリジル、4−イソプロピルフェニル、3−イソプロピルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−エトキシフェニル、2−メチルチオフェニル、4−メチルチオフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,5−ジメトキシフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、5−クロロ−2−メトキシフェニル、2−OCF−フェニル、3−トリフルオロメトキシ−フェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、2−フェノキシフェニル、4−フェノキシフェニル、2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル、2,4−ジメトキシ−5−ピリミジル、5−イソプロピル−2−メトキシフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、3−シアノフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2,3−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,5−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3−クロロ−4−フルオロ−フェニル、3,5−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3−メトキシカルボニルフェニル、4−メトキシカルボニルフェニル、3−イソプロピルオキシカルボニルフェニル、3−アセトアミドフェニル、4−フルオロ−3−メチルフェニル、4−メタンスルフィニル−フェニル、4−メタンスルホニル−フェニル、4−N−(2−N,N−ジメチルアミノエチル)カルバモイルフェニル、5−アセチル−2−チエニル、2−ベンゾチエニル、3−ベンゾチエニル、フラン−3−イル、4−メチル−2−チエニル、5−シアノ−2−チエニル、N’−フェニルカルボニル−N−ピペラジニル、−NHCOEt、−NHCOMe、N−ピロリジニル、−NHSO(CHN−ピペリジン、−NHSO(CHN−モルホリン、−NHSO(CHN(Me)、COCHN(Me)COCHNHMe、−COEt、O−プロピル、−CHCHNHCOC(Me)、ヒドロキシ、アミノメチル、ペンチル、アダマンチル、シクロペンチル、エトキシエチル、C(Me)CHOH、C(Me)COEt、−CHOHMe、CHCOEt、−C(Me)CHNHCOC(Me)、O(CHOEt、O(CHOH、COMe、ヒドロキシメチル、1−メチル−1−シクロヘキシル、1−メチル−1−シクロオクチル、1−メチル−1−シクロヘプチル、C(Et)C(Me)、C(Et)、CONHCHCH(Me)、2−アミノメチル−フェニル、エテニル、1−ピペリジニルカルボニル、エチニル、シクロヘキシル、4−メチルピペリジニル、−OCOMe、−C(Me)CHNHCOCHCH(Me)、−C(Me)CHNHCOCHCHCH、−C(Me)CHNHCOEt、−C(Me)CHNHCOMe、−C(Me)CHNHCOCHC(Me)、−CHNHCOCF、−CHNHCOC(Me)、−C(Me)CHNHCO(CHCH、C(Me)CHNHCO(CHOMe、C(OH)(CF、−C(Me)CHNHCOCH−テトラヒドロフラン−3−イル、C(Me)CHO(CHOMe、又は3−エチル−2,6−ジオキソピペリジン−3−イルから選択される、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
mが0〜4である、請求項28に記載の化合物。
【請求項41】
が水素、又は必要に応じて置換されるC1−4脂肪族基である、請求項28に記載の化合物。
【請求項42】
が水素、必要に応じて置換されるC1−4脂肪族基、−(O−C1−4脂肪族)、又は−(S−C1−4脂肪族)である、請求項28に記載の化合物。
【請求項43】
Xが結合又は必要に応じて置換されるC1−6アルキリデン鎖であり、1つ又は2つの隣接しないメチレン単位が、必要に応じて且つ独立してO、NR’、S、SO又はCOO、或いはCOによって置換される、請求項28に記載の化合物。
【請求項44】
がR’又はハロである、請求項28に記載の化合物。
【請求項45】
XRの各出現が独立して、−C1−3アルキル、−O(C1−3アルキル)、−CF、−OCF、−SCF、−F、−Cl、−Br、SONH、−COOR’、−COR’、−O(CHN(R’)(R’)、−O(CH)N(R’)(R’)、−CON(R’)(R’)、−(CHOR’、−(CH)OR’、必要に応じて置換されるフェニル、−N(R’)(R’)、−(CHN(R’)(R’)、又は−(CH)N(R’)(R’)である、請求項28に記載の化合物。
【請求項46】
が水素、或いはC1−4直鎖又は分枝の脂肪族である、請求項28に記載の化合物。
【請求項47】
前記化合物が以下の化学式IIA又は化学式IIB:
【化19】

を有する、請求項28に記載の化合物。
【請求項48】
前記化合物が以下の化学式IIIA、化学式IIIB、化学式IIIC、化学式IIID、又は化学式IIIEを有し:
【化20】

【化21】

式中、
、X、X、X及びXがそれぞれ独立してCH又はNから選択され;
がO、S又はNHであり;
yが0〜4である、請求項28に記載の化合物。
【請求項49】
化学式IIIAにおいて、X、X、X、X及びXが、WR及びmと一緒になって、必要に応じて置換されたフェニルである、請求項48に記載の化合物。
【請求項50】
化学式IIIAにおいて、X、X、X、X及びXが環Aと一緒になって、以下:
【化22】

【化23】

から選択される、必要に応じて置換される環である、請求項48に記載の化合物。
【請求項51】
化学式IIIB、化学式IIIC、化学式IIID、又は化学式IIIEにおいて、X、X、X、X、X又はXが環Aと一緒になって、以下:
【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

から選択される、必要に応じて置換される環である、請求項48に記載の化合物。
【請求項52】
X及びRが環Aと一緒になって、Me、Et、ハロ、CN又はCFである、請求項48に記載の化合物。
【請求項53】
前記化合物が以下の化学式IVA、化学式IVB又は化学式IVC:
【化30】

を有する、請求項28に記載の化合物。
【請求項54】
環Aが、窒素、酸素及び硫黄から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換される飽和、不飽和、又は芳香族の5〜7員環である、請求項53に記載の化合物。
【請求項55】
(i)請求項28に記載の化合物;及び
(ii)薬学的に許容される担体を含む、薬剤組成物。
【請求項56】
粘液溶解剤、気管支拡張剤、抗生物質、抗感染剤、抗炎症剤、CFTRモジュレーター又は栄養剤から選択される追加の薬剤を必要に応じて更に含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
細胞の膜における機能性ABCトランスポーターの数を増加させる方法であって、該細胞を請求項28に記載の化学式Iの化合物と接触させる工程を包含する、方法。
【請求項58】
前記ABCトランスポーターがCFTRである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
生体試料におけるABCトランスポーター又はその断片の活性をインビトロ又はインビボで測定する際に使用するキットであって、
(i)請求項28に記載の化学式Iの化合物を含む組成物;並びに
(ii)以下:
a)該組成物を該生体試料と接触させるため;及び
b)該ABCトランスポーター又はその断片の活性を測定するための説明書、
を含む、キット。
【請求項60】
a)追加の組成物を該生体試料と接触させるため;
b)該追加の化合物の存在下において、該ABCトランスポーター又はその断片の活性を測定するため;及び
c)該追加の化合物の存在下における該ABCトランスポーターの活性と、化学式Iの化合物の存在下における該ABCトランスポーターの密度とを比較するための説明書、
を更に含む、請求項59に記載のキット。
【請求項61】
前記キットが、CFTRの密度を測定するために使用される、請求項59に記載のキット。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図1−6】
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【図1−7】
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【図1−8】
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【図1−9】
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【図1−10】
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【図1−11】
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【図1−12】
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【図1−13】
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【図1−14】
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【図1−15】
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【図1−16】
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【図1−17】
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【図1−18】
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【公表番号】特表2008−533045(P2008−533045A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501022(P2008−501022)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/008825
【国際公開番号】WO2006/099256
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】