説明

Al−Zn−Si−Mg−RE−Ti−Ni含有の熱溶融めっきアルミ鋳造合金及びその製造方法

本発明は耐海洋気候工程部材防腐蝕処理用の熱溶融めっきアルミ鋳造合金及びその調製方法に係り、前記アルミ鋳造合金はAlと、Znと、Siと、Mgと、REと、Tiと、Niと、ナノ酸化物顆粒増強剤と、から構成され、前記ナノ酸化物顆粒増強剤がTiO、CeOのうちの1種または2種から選択され、各組成成分の、総質量に占める百分比が、Zn:35〜38%、Si:0.3〜4.0%、Mg:0.1〜5.0%、RE:0.02〜1.0%、Ti:0.01〜0.5%、Ni:0.1〜3.0%、ナノ酸化物顆粒増強剤の総含有量:0.01〜1.0%であり、残量がAl及び防止不可の不純物である。本発明により生産されるアルミ鋳造合金を被覆層にすると、海洋気候条件下でそれに耐腐食性及び抗浸食性を付与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はAl−Zn−Si−Mg−RE−Ti−Ni含有の熱溶融めっきアルミ鋳造合金及びその調製方法に係り、特に耐海洋気候工程部材防腐蝕処理用の、Al−Zn−Si−Mg−RE−Ti−Ni含有の熱溶融めっきアルミ鋳造合金及びその製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
科学技術の高速な発展に伴って、沿岸及び海洋に応用される製造装備がますます多くなるが、その稼動条件がISO9225環境評価標準に基づければ一般的に>C5級であり、極劣悪な環境に属する。前記環境は大気が多雨、高温、多塩霧及び強い気流であり、外に露出する部材が強烈な大気腐蝕、電気化学腐蝕及び気流浸食の総合作用を受け、各種の鋼構造の使用寿命が普通の内陸戸外環境より大幅に低い。
【0003】
例えば、風力エネルギーは技術が最も成熟しており、規模開発条件を最も有する再生可能な清浄エネルギーになっている。風力発電工作セットが風力エネルギーを使用して発電を行う。海岸線、岸から離れる海洋は風力資源が豊富であるため、風力発電所の建設の大部分の場所が近海岸または岸から離れる海洋に選ばれる。但し、海洋気候条件下で稼動する風力発電装置は、工作セットの外部部材、例えば機械室、エンジンカバー、塔支柱などが極端の腐蝕大気に直接暴露され、普通の保護装置を採用する場合、数ヶ月だけで激しい腐蝕が発生することが多い。したがって、現在、耐海洋気候の工程部材防腐蝕処理用の被覆層の耐腐蝕問題の解決が至急に要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術におけるこれらの問題に対して、本発明は耐海洋気候工程部材防腐蝕処理用の熱溶融めっきアルミ鋳造合金及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により提供される耐海洋気候工程部材防腐蝕処理用の熱溶融めっきアルミ鋳造合金であって、前記アルミ鋳造合金はAlと、Znと、Siと、Mgと、REと、Tiと、Niと、ナノ酸化物顆粒増強剤と、から構成され、前記ナノ酸化物顆粒増強剤がTiO、CeOのうちの1種または2種から選択され、各組成成分の、総質量に占める百分比が、Zn:35〜58%、Si:0.3〜4.0%、Mg:0.1〜5.0%、RE:0.02〜1.0%、Ti:0.01〜0.5%、Ni:0.1〜3.0%、ナノ酸化物顆粒増強剤の総含有量:0.01〜1.0%で、残量がAl及び避けられない不純物である。
【0006】
REが希土元素のいずれか1種または複数種である。
【0007】
好ましくは、採用されるナノ酸化物顆粒増強剤が均一の球体顆粒であれば、球体比表面積と平均粒子径とが以下の関係式を満足する。
関係式:比表面積=[6/ρ・D](m/g)
式中:Dは平均粒子径を表し、ρは密度を表す。
【0008】
採用されるナノ酸化物顆粒が一般の球体顆粒形状より複雑であれば、被覆層の性能、効果がより理想であることができるため、本発明のより好ましいナノ酸化物顆粒の比表面積が前記式の計算値より大きい。
【0009】
好ましくは、ナノ酸化物顆粒としてTiOを採用する時に、前記TiOの平均粒子径が15〜60nmである。
【0010】
好ましくは、ナノ酸化物顆粒としてTiOを採用する時に、前記TiOの比表面積が20〜90m/gである。
【0011】
好ましくは、ナノ酸化物顆粒としてCeOを採用する時に、前記CeOの平均粒子径が25〜70nmである。
【0012】
好ましくは、ナノ酸化物顆粒としてCeOを採用する時に、前記CeOの比表面積が10〜80m/gである。
【0013】
好ましくは、ナノ酸化物顆粒増強剤がTiO及びCeOである時に、TiOとCeOとの質量比が1:(1〜3)である。
【0014】
より好ましくは、TiOとCeOとの質量比が1:2である。
【0015】
好ましくは、各組成成分の、総質量に占める百分比が、Zn:41〜51%、Si:1〜3.2%、Mg:1.8〜4%、RE:0.05〜0.8%、Ti:0.05〜0.35%、Ni:1.5〜2.6%、ナノ酸化物顆粒増強剤の総含有量:0.05〜0.8%である。
【0016】
また、本発明はさらに前記熱溶融めっきアルミ鋳造合金を製造する方法を提供し、Al、Zn、Si、Mg、RE、Ti、Ni及びナノ酸化物顆粒増強剤の質量百分比に基づいて材料を準備し、まず真空または雰囲気保護炉においてAlを加熱して700〜750℃まで温度を上げて溶解させ、撹拌して均一にし、Siを加え、その後温度を800〜840℃まで上げた後REを加え、さらに温度を830〜850℃まで上げた後Znを加え、さらに温度を850〜880℃まで上げた後Ni及びTiを加え、温度を750〜700℃まで下げた後Mg及びナノ酸化物顆粒増強剤を加え、さらに温度を700〜650℃まで下げて、撹拌して均一にした後10〜35分間静置して、鋳造またはダイカストして地金にする。
【0017】
好ましくは、前記加熱過程における温度上昇速度が10〜40℃/分間で、前記温度降下過程における速度が20〜60℃/分間である。
【0018】
本発明により提供される抗海洋気候腐蝕の熱溶融めっきアルミ鋳造合金は、Alが抗大気腐蝕の金属であり、Alが空気において表面に1層の緻密な酸化膜を速めに形成でき、且つ快速な自ら損傷を修復する能力を有し、Znが低い電極電位を有し、犠牲陽極として、鋼鉄に十分な抗電気化学腐蝕能力を与えることができる。
【0019】
然し、亜鉛の含有量が高ければ、被覆層の靭性及び硬度がある程度に降下され、それによって、大気腐蝕及び気流浸食に対する被覆層の抵抗力が低下する。この問題を克服するため、本発明は所定量のナノ酸化物顆粒増強剤を添加することによって、被覆層の結晶粒子を極大に微細化し、被覆層の靭性を改善し、大気腐蝕、電気化学腐蝕及び気流浸食に対する被覆層の抵抗力を向上させ、且つ被覆層の強度及び硬度をさらに向上させ、それによって、被覆層によりよい抗浸食性を付与した。
【0020】
さらに、多数回繰り返した実験、スクリーニングした後、適当なナノ酸化物顆粒増強剤の粒子径及び比表面積を選択することによって、被覆層の性能をより顕著に向上することができ、さらには、ナノ酸化物顆粒増強剤の粒子径が本発明のデータ範囲を採用することは、被覆層の耐摩耗度も大幅に向上することができ、一方、ナノ酸化物顆粒増強剤の比表面積が本発明のデータ範囲を採用することは、合金の密集度を大幅に向上させることができ、それによって、合金被覆層の抗浸食性がより顕著に向上する。
【0021】
これをベースにし、さらにMg、Ti、Niなどの微合金元素を添加することによって、結晶粒子をより微細化し、被覆層の強靭性及び耐腐食性をより向上させ、Mgは合金の親和力、耐腐食性の向上及び合金の室温強度を向上させることができ、Tiが被覆層における強化相を補強し、且つ合金に対して溶相の役割を果たし、Niが合金に対してさらに溶相の役割を果たしだけでなく、合金の靭性及び安定性もさらに改善できる。
【0022】
前記のように、本発明により生産されるアルミ鋳造合金を採用して被覆層にすることは、海洋気候条件下でそれに十分の耐腐食性及び抗浸食性を与えることができる。
【0023】
もう一方、本発明はさらに多温度帯で熱溶融めっき合金元素を添加する方法を提供し、該方法を採用すれば、温度の上昇に伴って、ナノ酸化物顆粒増強剤及び各種の元素の分散性の向上に有利であり、それによって、被覆層成分の均一性を改善し、被覆層と基材との結合強度を顕著に向上する。
【0024】
然し、溶体温度が高すぎる時に全ての元素を添加すると、被覆層には高アルミ脆性相が形成しやすく、接触微動荷重の役割に不利である。そのため、本発明はまず多温度帯において一部の熱溶融めっき合金元素を添加し、さらに温度を所定の温度に下げた後ナノ酸化物顆粒増強剤を添加し、最後に温度をさらに下げて且つ所定時間に保温することによって、前記欠陥を克服し、成分が均一で、靭性がよい被覆層を得た。
【0025】
まとめに言うと、本発明は従来の技術と比べ、被覆層の、抗大気腐蝕、抗電気化学腐蝕及び抗気流浸食の性能が顕著に向上され、且つ被覆層の強度、硬度、抗洗浄性も顕著に向上され、また、被覆層と基材との結合が堅牢で、海洋などの極劣悪な環境に完全に適用する。もう一方、本発明の生産プロセスが簡単化で、且つさらに成分が均一で、靭性がよい被覆層を得ることができる。且つ、合金における主な成分アルミ、亜鉛などの元素が共に自然界の豊富な合金元素であるため、材料のコストが低く、且つ環境保護し、エネルギーを節約する。本発明の合金を使用してめっき層にすると、厚さの調整可能な範囲が広く、各種のサイズの部材の処理に適する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明により提供される耐海洋気候工程部材防腐蝕処理用の熱溶融めっきアルミ鋳造合金であって、前記アルミ鋳造合金はAlと、Znと、Siと、Mgと、REと、Tiと、Niと、ナノ酸化物顆粒増強剤と、から構成され、前記ナノ酸化物顆粒増強剤がTiO、CeOのうちの1種または2種から選択され、各組成成分の、総質量に占める百分比が、Zn:35〜58%、Si:0.3〜4.0%、Mg:0.1〜5.0%、RE:0.02〜1.0%、Ti:0.01〜0.5%、Ni:0.1〜3.0%、ナノ酸化物顆粒増強剤の総含有量:0.01〜1.0%であり、残量がAl及び避けられない不純物であり、前記避けられない不純物が通常Fe、Mn、Pb、Sn、Cdなどの、徹底に除去できない不純物元素である。
【0027】
さらに、多数回繰り返した実験、スクリーニングした後、適当なナノ酸化物顆粒増強剤の粒子径及び比表面積を選択することによって、被覆層の性能をより顕著に向上でき、採用されるナノ酸化物顆粒が均一の球体顆粒であれば、球体比表面積と平均粒子径とが以下の関係式を満足する。
関係式:比表面積=[6/ρ・D](m/g)
式中:Dは平均粒子径を表し、ρは密度を表す。
【0028】
さらに、採用されるナノ酸化物顆粒が一般の球体顆粒形状より複雑であれば、被覆層の性能、効果がより理想的であるため、本発明のより好ましいナノ酸化物顆粒の比表面積が前記式の計算値より大きい。
【0029】
好ましくは、ナノ酸化物顆粒がTiOを採用する時に、前記TiOの平均粒子径が15〜60nmである。
【0030】
好ましくは、ナノ酸化物顆粒がTiOを採用する時に、前記TiOの比表面積が20〜90m/gである。
【0031】
好ましくは、ナノ酸化物顆粒がCeOを採用する時に、前記CeOの平均粒子径が25〜70nmである。
【0032】
好ましくは、ナノ酸化物顆粒がCeOを採用する時に、前記CeOの比表面積が10〜80m/gである。
【0033】
以下は、表1−3にあわせて、本発明の各組成成分の質量百分比の複数の好適な実施例を挙げるが、本発明の各組成成分の含有量が該表に示されるデータに限定されるものではない。本分野の当業者にとって、表に示されるデータ範囲の上に合理的にまとめ及び推定を行うことが完全にできる。
【0034】
また、特に説明すべきなのは、表1−3にはナノ酸化物顆粒増強剤の粒子径、比表面積の関連データが同時に示されるが、この2つの条件が必要な技術的特徴として説明されるものではない。本発明の核心の内容は、所定量のナノ酸化物顆粒増強剤微合金元素を添加することによって、被覆層の結晶粒子を微細化し、その靭性を改善し、その各種の耐腐蝕能力を向上し、高すぎる亜鉛含有量による不良影響を克服する目的を達することにある。一方、これをベースに、さらに適当な粒子径、適当な比表面積を選択することはただこの技術効果をより顕著化し、より優越化するためである。そのため、表1−3においてこの2つのパラメータを同時に示しているが、共により好適な条件とすることのみであり、共に本発明の技術的な情報をより詳細に提出するためで、本発明の必要な条件として説明するものではない。
【実施例】
【0035】
実施例1
耐海洋気候工程部材防腐蝕処理用の熱溶融めっきアルミ鋳造合金であって、Znと、Alと、Siと、Mgと、REと、Tiと、Niと、TiOナノ酸化物顆粒増強剤と、から構成され、各組成成分の、総質量に占める百分比が、Zn:35〜58%、Si:0.3〜4.0%、Mg:0.1〜5.0%、RE:0.02〜1.0%、Ti:0.01〜0.5%、Ni:0.1〜3.0%、TiO:0.01〜1.0%で、残量がAl及び避けられない不純物である。具体的な質量百分比含有量及び関連なパラメータは表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
実施例2
耐海洋気候工程部材防腐蝕処理用の熱溶融めっきアルミ鋳造合金であって、Alと、Znと、Siと、Mgと、REと、Tiと、Niと、CeOナノ酸化物顆粒増強剤と、から構成され、各組成成分の、総質量に占める百分比が、Zn:35〜58%、Si:0.3〜4.0%、Mg:0.1〜5.0%、RE:0.02〜1.0%、Ti:0.01〜0.5%、Ni:0.1〜3.0%、CeO:0.01〜1.0%で、残量がAl及び避けられない不純物である。具体的には表2に示すとおりである。
【0038】
【表2】

【0039】
実施例3
前記熱溶融めっきアルミ鋳造合金が、Alと、Znと、Siと、Mgと、REと、Tiと、Niと、ナノ酸化物顆粒増強剤と、から構成され、ナノ酸化物顆粒増強剤がTiO及びCeOであり、且つTiOとCeOとの割合が1:(1〜3)であり、質量百分比に基づいて計算すると、各組成成分の、総質量に占める百分比が、Zn:35〜58%、Si:0.3〜4.0%、Mg:0.1〜5.0%、RE:0.02〜1.0%、Ti:0.01〜0.5%、Ni:0.1〜3.0%、ナノ酸化物顆粒TiO及びCeOの総含有量:0.01〜1.0%で、残量がAl及び避けられない不純物である。具体的には表3に示すとおりである。
【0040】
【表3】

【0041】
実施例1−3において、好ましくは、各組成成分の、総質量に占める百分比が、Zn:41〜51%、Si:1〜3.2%、Mg:1.8〜4%、RE:0.05〜0.8%、Ti:0.05〜0.35%、Ni:1.5〜2.6%、ナノ酸化物顆粒増強剤の総含有量:0.05〜0.8%である。
【0042】
より好ましくは、前記Zn含有量が45%、前記Si含有量が1.8%、前記Mg含有量が3.5%、前記RE含有量が0.6%、前記Ti含有量が0.25%、前記Ni含有量が2%、ナノ酸化物顆粒増強剤の総含有量が0.2%である。
【0043】
また、多数回繰り返して実験した結果、本発明により採用されるナノ酸化物顆粒増強剤の緩め密度に対しても選択できれば、最終に得られる被覆層の性能、効果がより理想的であることがさらにわかった。
【0044】
TiOを採用すれば、好ましくは、前記TiOの緩め密度が3g/cm以下である。
【0045】
CeOを採用すれば、好ましくは、前記CeOの緩め密度が5g/cm以下である。
【0046】
TiO及びCeOを同時に採用すれば、好ましくは、前記TiO及びCeOの平均緩め密度が0.6〜4.5g/cmである。
【0047】
また、本発明はさらに前記熱溶融めっきアルミ鋳造合金を製造する方法を提供し、Al、Zn、Si、Mg、RE、Ti、Ni及びナノ酸化物顆粒増強剤の質量百分比に基づいて材料を準備し、まず真空または雰囲気保護炉においてAlを加熱して700〜750℃まで温度を上げて溶解させ、撹拌して均一にし、Siを加え、その後温度を800〜840℃まで上げた後REを加え、さらに温度を830〜850℃まで上げた後Znを加え、さらに温度を850〜880℃まで上げた後Ni及びTiを加え、温度を750〜700℃まで下げた後Mg及びナノ酸化物顆粒増強剤を加え、さらに温度を700〜650℃まで下げて、撹拌して均一にした後10〜35分間静置して、鋳造またはダイカストして地金にする。
【0048】
好ましくは、Al、Zn、Si、Mg、RE、Ti、Ni及びナノ酸化物顆粒増強剤の質量百分比に基づいて材料を準備し、まず真空または雰囲気保護炉においてAlを加熱して720〜750℃まで温度を上げて溶解させ、撹拌して均一にし、Siを加え、その後温度を820〜840℃まで上げた後REを加え、さらに温度を840〜850℃まで上げた後Znを加え、さらに温度を860〜880℃まで上げた後Ni及びTiを加え、温度を730〜700℃まで下げた後Mg及びナノ酸化物顆粒増強剤を加え、さらに温度を690〜650℃まで下げて、撹拌して均一にした後10〜30分間静置して、鋳造またはダイカストして地金にする。
【0049】
好ましくは、温度を720〜700℃まで下げた後Mg及びナノ酸化物顆粒増強剤を加え、最後に温度を690〜660℃まで下げて22〜28分間保温して得る。
【0050】
より好ましくは、温度を710℃まで下げた後Mg及びナノ酸化物顆粒増強剤を加え、最後に温度を680℃まで下げて25分間保温して得る。
【0051】
前記加熱過程における温度上昇速度が10〜40℃/分間で、前記温度降下過程における速度が20〜60℃/分間である。
【0052】
好ましくは、前記加熱過程における温度上昇速度が20〜30℃/分間で、前記温度降下過程における速度が30〜50℃/分間である。
【0053】
より好ましくは、前記加熱過程における温度上昇速度が25℃/分間で、前記温度降下過程における速度が40℃/分間である。
【0054】
耐腐食性実験結果
実施例4
ある近海岸の風力発電工作セットのキー部材「羽根付根部フランジワッシャ」(サイズ:Φ2200×30mm、材質Q345)であって、従来は普通の被覆層を採用して保護処理が行われ、ほんの数ヶ月で顕著な腐蝕が発生した。本発明の熱溶融めっきアルミ鋳造合金を採用してめっき被覆材料とし、150μm厚さの拡散めっき被覆層を形成し、さらに20μm厚さの脂肪族ポリウレタン塗料を塗装した。加速腐蝕模擬試験の結果、海水スパッタリング環境においてその耐久性が20年より長いことがわかった。
【0055】
実施例5
ある近海岸の風力発電工作セットのキー部材「連接ボルト」(サイズ:M36×1000m、材質40CrNiMo)であって、従来の普通の塗装を採用して保護処理を行うと、ほんの数ヶ月で顕著な腐蝕が発生した。本発明の熱溶融めっきアルミ鋳造合金を採用してめっき被覆材料とし、100μm厚さの拡散めっき被覆層を形成し、さらに15μm厚さのポリシロキサンを塗装した。加速腐蝕模擬試験の結果、海水スパッタリング環境においてその耐久性が20年より長いことがわかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐海洋気候工程部材防腐蝕処理用の熱溶融めっきアルミ鋳造合金であって、
前記アルミ鋳造合金はAlと、Znと、Siと、Mgと、REと、Tiと、Niと、ナノ酸化物顆粒増強剤と、から構成され、
前記ナノ酸化物顆粒増強剤がTiO、CeOのうちの1種または2種から選択され、各組成成分の、総質量に占める百分比が、Zn:35〜58%、Si:0.3〜4.0%、Mg:0.1〜5.0%、RE:0.02〜1.0%、Ti:0.01〜0.5%、Ni:0.1〜3.0%、ナノ酸化物顆粒増強剤の総含有量:0.01〜1.0%であり、残量がAl及び防止不可の不純物である、耐海洋気候工程部材防腐蝕処理用の熱溶融めっきアルミ鋳造合金。
【請求項2】
前記ナノ酸化物顆粒増強剤が均一の球体顆粒であり、且つ、前記ナノ酸化物顆粒増強剤の比表面積と平均粒子径とが以下の関係式を満足する、請求項1に記載の熱溶融めっきアルミ鋳造合金。
関係式:比表面積(m/g)=6/ρ・D
式中:Dは平均粒子径を表し、ρは密度を表す
【請求項3】
前記TiOの平均粒子径が15〜60nmである、請求項1に記載の熱溶融めっきアルミ鋳造合金。
【請求項4】
前記TiOの比表面積が20〜90m/gである、請求項1または3に記載の熱溶融めっきアルミ鋳造合金。
【請求項5】
前記CeOの平均粒子径が25〜70nmである、請求項1に記載の熱溶融めっきアルミ鋳造合金。
【請求項6】
前記CeOの比表面積が10〜80m/gである、請求項1または5に記載の熱溶融めっきアルミ鋳造合金。
【請求項7】
前記ナノ酸化物顆粒増強剤がTiO及びCeOであり、且つ、TiOとCeOとの質量比が1:(1〜3)である、請求項1に記載の熱溶融めっきアルミ鋳造合金。
【請求項8】
前記各組成成分の、総質量に占める百分比が、Zn:41〜51%、Si:1〜3.2%、Mg:1.8〜4%、RE:0.05〜0.8%、Ti:0.05〜0.35%、Ni:1.5〜2.6%、ナノ酸化物顆粒増強剤の総含有量:0.05〜0.8%である、請求項1に記載の熱溶融めっきアルミ鋳造合金。
【請求項9】
請求項1に記載の熱溶融めっきアルミ鋳造合金を製造する方法であって、
Al、Zn、Si、Mg、RE、Ti、Ni及びナノ酸化物顆粒増強剤の質量百分比に基づいて材料を準備し、
まず真空または雰囲気保護炉においてAlを加熱して700〜750℃まで温度を上げて溶解させ、
撹拌して均一にし、Siを加え、その後温度を800〜840℃まで上げた後REを加え、さらに温度を830〜850℃まで上げた後Znを加え、
さらに温度を850〜880℃まで上げた後Ni及びTiを加え、
温度を750〜700℃まで下げた後Mg及び前記ナノ酸化物顆粒増強剤を加え、
さらに温度を700〜650℃まで下げて、撹拌して均一にした後10〜35分間静置して、鋳造またはダイカストして地金にする、請求項1に記載の熱溶融めっきアルミ鋳造合金を製造する方法。
【請求項10】
前記加熱過程における温度上昇速度が10〜40℃/分間であり、前記温度降下過程における速度が20〜60℃/分間である、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2013−510943(P2013−510943A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538169(P2012−538169)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/CN2010/071482
【国際公開番号】WO2011/079553
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(512127349)江▲蘇▼麟▲龍▼新材料股▲ふん▼有限公司 (3)
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU LINLONG NEW MATERIALS Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.186 Fanjiazhuang Rongdong Village, Yuqi Town, Huishan Wuxi, Jiangsu 214183 China
【Fターム(参考)】