説明

Al修飾金平糖状微粒子とその製造方法、分散液、および塗料組成物

【課題】分散安定性が高く、たとえ酸性のpH領域であっても安定な酸化物微粒子を得ること、さらには、透明で、膜硬度と密着性に優れた塗膜を形成するための塗料組成物を得ること。
【解決手段】金平糖状の無機酸化物微粒子の単位表面積あたりにアルミニウムが0.1×10-6〜1.5×10-6mol/m2となる範囲で修飾されていることを特徴とするAl修飾金平糖状微粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面にアルミニウムが修飾されたAl修飾金平糖状微粒子とその製造方法、および該微粒子を含む分散液、塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
塗膜や樹脂の屈折率を調整するために、ジルコニウムやチタニウムなどの酸化物微粒子を配合することはよく知られている。
このような酸化物微粒子には、膜中や樹脂中に配合した際の安定性や分散性の高さが求められる。
【0003】
酸化物微粒子の安定性を向上させる手段の一つとして、シランカップリング剤で粒子表面に処理する方法が知られているが、さらに効果的な処理方法が求められていた。
このような方法の一つとして、特許文献1には、ジルコニア微粒子の表面を五酸化アンチモンおよび/またはシリカで被覆する方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、酸化チタンゾル粒子がケイ素とアルミニウムの水和酸化物よりなる層で被覆された酸化チタンゾルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−107872号公報
【特許文献2】特開2007−246351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の改質ジルコニア微粒子は、ジルコニア微粒子の表面が五酸化アンチモンおよび/またはシリカで被覆されることで分散性が向上し、酸性領域における安定性が増すが、このような効果をさらに向上させることが求められていた。
【0007】
また特許文献2に記載の酸化チタンゾル粒子は、ケイ素の酸化物とアルミニウムの酸化物とで被覆され、安定性が向上するものであるが、このような効果をさらに発展させることが求められていた。
【0008】
また、酸化物微粒子を塗膜などに配合する際には、得られる塗膜の強度を向上させることが求められており、さらに、特に眼鏡等の光学レンズのハードコート膜やプライマー膜などの用途においては膜の密着性の向上が求められているという背景があった。
【0009】
本発明では、このような背景に鑑みて、分散安定性が高く、たとえ酸性のpH領域であっても安定な酸化物微粒子を得ること、さらには、透明で、膜硬度と密着性に優れた塗膜を形成するための塗料組成物を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討した結果、金平糖状の無機酸化物微粒子を特定量のアルミニウムで修飾した酸化物微粒子が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、たとえば以下の[1]〜[9]に関する。
[1] 金平糖状の無機酸化物微粒子であって、単位表面積あたりにアルミニウムが0.1×10-6〜1.5×10-6mol/m2となる範囲で修飾されていることを特徴とするAl修飾金平糖状微粒子。
[2] 前記無機酸化物微粒子がジルコニウム、スズ、チタニウム、ニオブ、タングステン、アンチモン、インジウムから選ばれた1種以上の金属元素を含むことを特徴とする[1]に記載のAl修飾金平糖状微粒子。
[3] 前記無機酸化物微粒子がコアシェル構造であることを特徴とする[1]または[2]に記載のAl修飾金平糖状微粒子。
【0012】
[4] 前記コアシェル構造のシェルがケイ素を含むことを特徴とする[3]に記載のAl修飾金平糖状微粒子。
[5] 流動電位測定装置によって、測定用水溶液のpHを6に調整して測定した時にカチオン電位測定値として得られる表面負電荷量(μeq/g)が、15〜35μeq/gの範囲にあることを特徴とする[1]〜[4]のいずいれかに記載のAl修飾金平糖状微粒子。
【0013】
[6] 前記表面負電荷量(μeq/g)を前記Al修飾金平糖状微粒子の比表面積(m2/g)で除して得られる表面粗度(μeq/m2)が、0.07〜0.2μeq/m2の範囲にあることを特徴とする[1]〜[4]のいずいれかに記載のAl修飾金平糖状微粒子。
【0014】
[7] 前記Al修飾金平糖状微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した平均粒子径が8〜60nmの範囲にあることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のAl修飾金平糖状微粒子。
【0015】
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載のAl修飾金平糖状微粒子を含む分散液。
[9] [1]〜[7]のいずれかに記載のAl修飾金平糖状微粒子と、バインダー成分とを含む塗料組成物。
【0016】
[10] [1]〜[7]のいずれか1項に記載のAl修飾金平糖状微粒子の製造方法であって、下記工程
(1)少なくとも表面にケイ素を含む金平糖状の無機酸化物微粒子を含み、pH9.0〜11.5の範囲にある水分散液を製造する工程と、
(2)前記水分散液に含まれるケイ素をSiO2で表し、アルミニウム源に含まれるアルミニウムをAl23で表したとき、そのモル比(Al23/SiO2)が0.0005〜0.050となるような割合でアルミニウム源を混合する工程と、
(3)得られた混合液を60〜200℃の温度に加熱して、0.5〜20時間、撹拌する工程、
を含むことを特徴とするAl修飾金平糖状微粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るAl修飾金平糖状微粒子は、表面に複数の突起を有する金平糖状の形状にあり、かつ、該微粒子の表面に所定量のアルミニウムが修飾されているために、分散液中での安定性が高く、また、該微粒子を配合した塗料から得られる塗膜の膜硬度と密着性に優れる。
【0018】
特に、耐候的な密着性、すなわち長期間屋外に曝された際に維持される密着性の向上について優れた効果を示す。
さらに、本発明に関わるAl修飾金平糖状微粒子は屈折率の調節が容易であり、耐候性、耐擦傷性、透明性にも優れるため、光学基材のハードコートやプライマーなどの塗膜に配合する充填材料として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るAl修飾金平糖状微粒子について具体的に説明する。
Al修飾金平糖状微粒子
本発明におけるAl修飾金平糖状粒子は、突起を有する金平糖状の無機酸化物粒子の表面に、アルミニウムを修飾することにより得ることができる。
【0020】
金平糖状の無機酸化物微粒子としては、ジルコニウム、スズ、チタニウム、ニオブ、タングステン、アンチモン、インジウムから選ばれた1種以上の金属元素を含む市販の金平糖状無機酸化物微粒子、または、ジルコニウム、スズ、チタニウム、ニオブ、タングステン、アンチモン、インジウムから選ばれた1種以上の金属元素を含むコア粒子とシェルとからなるコアシェル構造の無機酸化物粒子に突起を形成して得たものを用いることができる。
【0021】
このような無機酸化物微粒子を用いて得られたAl修飾金平糖状微粒子は、屈折率が高いのでより好ましい。
市販の金平糖状の無機酸化物微粒子を用いる場合は、表面にケイ素を含む層形成してからAl修飾をすることが必要である。
【0022】
無機酸化物微粒子に突起を成長させて金平糖状にする場合は、無機酸化物粒子は、最外層にケイ素を含む層を有するコアシェル型構造であることが必要である。
コアシェル型の無機酸化物微粒子を用いる場合は塗膜の耐候的な密着性や膜硬度に優れるためという効果も有する。
【0023】
前記無機酸化物微粒子がコアシェル型構造であるAl修飾金平糖状微粒子は、コア粒子と、その表面を被覆する1層以上のシェルと、シェル表面に形成された複数の突起と、シェルおよび突起の表面に修飾されたアルミニウムとにより構成されることが好ましい。
【0024】
前述のとおり、前記コア粒子はジルコニウム、スズ、チタニウム、ニオブ、タングステン、アンチモン、インジウムから選ばれた1種以上の金属元素を含むことが好ましい。
より好ましくは、該コア粒子はジルコニウム、スズ、チタニウム、ニオブ、タングステン、アンチモン、インジウムから選ばれた1種以上の金属元素を主成分として含むことが好ましい。このようなコア粒子を含むAl修飾金平糖状微粒子は屈折率が高いので好ましい。
【0025】
前記主成分とは、具体的に、ジルコニウム、スズ、チタニウム、ニオブ、タングステン、アンチモン、インジウムから選ばれた1種以上の金属元素の合計量が酸化物換算基準(ZrO2、SnO2、TiO2、Nb25、WO3、Sb25、In23)でコア粒子の70重量%を超えるものであることを意味する。
【0026】
前記コア粒子は、副成分として、例えばケイ素、バリウム、ストロンチウム、リチウム、インランタニウム、カリウム、ナトリウムなどの元素を含んでいても良い。
また、前記コア粒子は、本発明を損なわない範囲において、微量のアルミニウムを含んでいても良い。
なお、コア粒子の粒子径については、最終的にAl修飾金平糖状微粒子の平均粒子径が8〜60nmの範囲になるものであれば良い。
【0027】
前記コア粒子の表面は、金属元素の酸化物あるいは複合酸化物を含むシェルで被覆されていることが好ましい。また、無機酸化物微粒子のシェルがケイ素を含むと塗膜の耐候的な密着性や硬度に優れるので好ましい。
なお、シェルは2層以上であってもよく、最外層のシェルがケイ素を含んでいることが好ましい。
【0028】
このようなシェルは無機酸化物微粒子の安定性および耐光性の向上や、屈折率の調整などを目的として設けられるものであって、その組成は特に限定されるものではないが、ケイ素、ジルコニウム、アンチモンなどの金属元素の1種以上を含む酸化物あるいは複合酸化物が好ましい。また、前記シェルはアルミニウムの酸化物あるいは複合酸化物を含んでいてもよい。
【0029】
シェルの被覆量については、少なくともケイ素を含む最外層のシェルが、コア粒子100重量部に対して5〜60重量部の範囲で被覆されることが好ましい。
前記被覆量が5重量部未満の場合には、塗膜の耐候的な密着性や膜硬度が低下する場合があるので好ましくない。
【0030】
前記被覆量が60重量部を超えると屈折率が低下する場合があるので好ましくない。
また、コア粒子と最外層のシェルの間に任意のシェルがさらに含まれる場合には、これらの任意のシェルはコア粒子100重量部に対して0〜100重量部の範囲で被覆されることが好ましい。
【0031】
前記任意のシェルの被覆量が100重量部を超えると屈折率が低下する場合があるので好ましくない。
市販品を用いずに、突起を有する金平糖状の無機酸化物微粒子を製造する場合は、特開2008-169102公報に開示されている方法が用いられる。すなわち、前記コアシェル型無機酸化物粒子の表面にシリカを粒成長させることにより得られる。
【0032】
本願発明に用いられる無機酸化物微粒子は、表面に多数の突起を有するという金平糖の形状にあり、該形状は母体粒子の表面に多数の突起があるものであればよく、母体粒子の形状は球形に限定されるものではなく、例えば、略球状、米粒状、針状などでもよい。すなわち、母体粒子の形状はどのような形状であっても、突起を形成して得られる粒子が球状または略球状の金平糖状となれば問題はない。
【0033】
すなわち、本願発明の金平糖状微粒子の金平糖状とは、球状または略球状の粒子表面に凸部を有する粒子である凸部の形状は波状の凹凸であったり、突起であったりするが特に制限はない。また、波状の場合の凸部の数および突起の場合の突起の数は多い方が好ましい。
【0034】
シェルの表面に形成される突起はケイ素を含む酸化物または複合酸化物であることが好ましい。前記突起はさらにアルミニウムを含む複合酸化物であってもよい。
突起を有する金平糖状の無機酸化物微粒子を製造する方法の一例を以下に示す。
【0035】
まず、ジルコニウム、スズ、チタニウム、ニオブ、タングステン、アンチモン、インジウムから選ばれた1種以上の金属元素を含む、任意形状の酸化物微粒子または複合酸化物微粒子の水分散液を公知の方法で製造する。この酸化物微粒子または複合酸化物微粒子の形状は特に限定されず球状、米粒状、針状などであれば良い。
【0036】
このような水分散液は、金属塩または金属アルコキシドなどを原料とした中和加水分解法、加水分解法、金属塩水溶液にアルカリを加えて得られた金属水酸化物を解膠する中和共沈法、あるいは水熱合成法などの公知の液相法により製造することができ、また市販品を用いてもよい。
【0037】
また、前記液相法によって得られた酸化物粒子または複合酸化物粒子の水分散液を一旦乾燥させたもの、あるいは乾燥させたのち焼成して得られた酸化物粒子または複合酸化物粒子を、粉砕したのち、水に再分散させ、必要に応じて脱イオンや分級を行ったものを、コア粒子の水分散液として用いても良い。
【0038】
さらには、気相酸化法、気相分解法あるいは物理的蒸気合成(PVS)法などの気相法により得られた酸化物粒子または複合酸化物粒子の粉末を粉砕して、水に再分散させたものをコア粒子の水分散液として用いてもよい。
【0039】
例えば特開2010−168266号公報に記載されるチタン系微粒子のように一旦焼成して粉砕されたのち、再分散して得られる高屈折率微粒子の分散液などは特に好適に用いることができる。
【0040】
また、このような方法に準じてチタン系微粒子の代わりにジルコニア微粒子などの分散液を焼成、粉砕後再分散させたものを用いてもよい。このような粒子は屈折率が高く耐光性や耐候性が高いため好ましい。これらの微粒子はケイ素、カリウム、ナトリウムなどを副成分として含んでも良い。
【0041】
また、必要に応じて、これらの酸化物微粒子または複合酸化物微粒子をコアとして、その表面を任意の金属酸化物または複合金属酸化物などのシェルで被覆してもよい。
このようなシェルは耐光性や耐候性、安定性の向上などの目的で被覆され、その組成は特に限定されるものではないが、例えばケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウムなどを含む酸化物または複合酸化物が挙げられる。
【0042】
このようなコアシェル構造の粒子の製造方法は例えば特開2009−155496号公報に記載の無機酸化物微粒子の製法や、特開2010−168266号公報に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの製法などの公知の方法、あるいはこれらに準ずる方法で製造することができる。
【0043】
次に、このような酸化物微粒子、複合酸化物微粒子あるいはコアシェル型微粒子の表面を、ケイ素を含む酸化物または複合酸化物よりなるシェルで被覆する。
該微粒子の表面を、ケイ素を含むシェルで被覆すると、シェルの表面に突起を均一に形成させることができる。
【0044】
ついで、ケイ素を含むシェルの表面に複数の突起を形成させ、金平糖状の無機酸化物微粒子を製造する。
突起を形成させる方法の一例としては、例えば特開2008−169102号公報に記載の金平糖状シリカゾルや、金平糖状シリカ−アルミナゾルの製造方法に準ずる方法を用いることができる。
【0045】
すなわち、コア粒子またはコアシェル型粒子を、ケイ素を含む酸化物または複合酸化物で被覆した被覆微粒子の水分散液をA液とし、これに強酸の塩からなる電解質の存在下、B液(珪酸アルカリ水溶液)を添加して核粒子を成長させる際に、A液に含まれるシリカ100質量部に対して、B液に含まれるシリカ50〜2500質量部を、前記B液中のアルカリの当量数(EA)と前記電解質の当量数(EE)の比(EA/EE)が0. 4〜8の範囲となるように添加する方法である。
【0046】
あるいはケイ素を含む酸化物または複合酸化物で被覆した被覆微粒子の分散液(A液)に、アルミン酸ナトリウムを被覆微粒子の分散液100質量部に対して、0.1〜2.5質量部を連続的にまたは断続的に添加し、次に熟成させることによりアルミナ被覆微粒子(被覆微粒子表面にアルミナが斑点状に存在してなる微粒子であって、本願では後述するアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子に相当する)の分散液を調製し、次に、該アルミナ被覆微粒子100質量部に対し、0.1〜100質量部に相当するアルカリ金属珪酸塩を添加し、熟成した後、更に珪酸液を連続的にまたは断続的に添加することにより、粒子成長させる方法である。
【0047】
ただし、引用文献特開2008−169102号において、本願発明のアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子に相当するアルミナ被覆微粒子を調製するのに添加するアルミン酸ナトリウムは被覆微粒子の分散液(A液)100質量部に対してNaAlO2換算基準で0.1〜2.5質量部であるが、本発明においては、アルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した被覆微粒子の分散液(A液)に含まれる固形分重量に対してAl23換算基準で0.005〜0.05重量%となるようにアルミン酸ナトリウムを添加すればよい。
【0048】
このような方法により、ケイ素を含む酸化物または複合酸化物で被覆された無機酸化物微粒子の表面に複数突起を形成させ、金平糖状にすることができる。
なお、前記被覆微粒子の水分散液(A液)のpHは8〜13であることが好ましく、pH調整のために水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、アミン類、あるいは各種の無機酸や有機酸などを添加してもよい。
【0049】
本発明に係るAl修飾金平糖状微粒子の好ましい製造方法の一例としては、少なくとも表面にケイ素を含む金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液に、アルカリ性の条件下で所定範囲量のアルミニウム源を添加し反応させる方法が挙げられる。
【0050】
この場合、前記方法でコアシェル型の無機酸化物微粒子の表面に突起を成長させた金平糖状の無機酸化微粒子を用いるか、市販の金平糖状無機酸化物微粒子の表面にケイ素を含む層を形成する前処理を行ってから用いることが必要である。
【0051】
Alにより修飾する方法は、以下の工程(1)〜(3)を含む製造方法が好ましい。
(1)少なくとも表面にケイ素を含む金平糖状の無機酸化物微粒子を含み、pH9.0〜11.5の範囲にある水分散液を製造する工程。
(2)前記水分散液に含まれるケイ素をSiO2で表し、アルミニウム源に含まれるアルミニウムをAl23で表したとき、そのモル比(Al23/SiO2)が0.0005〜0.050となるような割合でアルミニウム源を混合する工程。
該アルミニウム源としては特に限定されないが、アルミン酸塩、アルミニウムアルコキシドなどを用いることができる。
(3)得られた混合液を60〜200℃の温度に加熱して、0.5〜20時間、撹拌することによって、金平糖状の無機酸化物微粒子の表面にアルミニウムを修飾させて、Al修飾金平糖状微粒子を得る工程。
【0052】
各工程についてさらに具体的に述べる。
工程(1)
この工程では、少なくとも表面にケイ素を含む金平糖状の無機酸化物微粒子を含み、pH9.0〜11.5の範囲にあるアルカリ性の水分散液を製造する。
【0053】
このようなアルカリ性の水分散液としては、前記前処理を行った市販の金平糖状の無機酸化物微粒子を水に分散させた水分散液または、前述のコアシェル型無機酸化物微粒子に突起を成長させる方法において得られた金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液のpHを、必要に応じてイオン交換樹脂による脱アルカリ処理や、水酸化アルカリの添加などによりpHを9.0〜11.5の範囲に調整することによって得られる。
【0054】
また、前記アルカリ性水分散液としては、例えば特開2008−169102号公報に記載されるような公知の金平糖状シリカゾル、あるいは金平糖状シリカアルミナゾルなどを用いることもできる。
【0055】
(工程2)
この工程では前記工程で調製した金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液にアルミニウム源を添加して混合液を調製する。
前記アルミニウム源としてはアルミン酸塩やアルミニウムアルコキシドを用いることができる。
アルミニウム源の添加量は、金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液に含まれるケイ素をSiO2で表し、アルミニウム源に含まれるアルミニウムをAl23で表したとき、そのモル比(Al23/SiO2)が0.0005〜0.050となるような割合でアルミニウム源を混合すればよい。
【0056】
(工程3)
この工程では前記工程で得られた混合液を60〜200℃の温度に加熱して、0.5〜20時間、撹拌する。この工程によって、金平糖状の無機酸化物微粒子の表面にアルミニウムを修飾させて、Al修飾金平糖状微粒子を得る。
【0057】
pHが9.0〜11.5の範囲のアルカリ条件下では、シリカの溶解度が高く、工程(1)で調製した無機酸化物微粒子表面に存在するケイ素と、工程(2)で添加したアルミニウムとの反応率が高まるため、多量のアルミニウムが金平糖状の無機酸化物微粒子の表面に修飾される。前記アルミニウムは該無機酸化物微粒子表面にケイ素とアルミニウムとの複合酸化物としての形態で修飾され、高い負電荷密度を形成する。このため非常に安定で分散性、透明性の高い分散液が得られる。
なお、アルミニウムを表面に修飾したAl修飾金平糖状微粒子の最終的な形状は金平糖状である。
この分散液に必要に応じてpH調整、濃度調整、溶媒置換等の処理を行っても良い。
【0058】
またこの分散液に含まれる金平糖状微粒子をシランカップリング剤、アミン類などの公知の表面処理剤により処理してもよい。
この分散液はたとえ酸性のpH領域であっても安定であり、酸性のバインダー成分などと混合して塗料組成物や樹脂組成物に配合するのに適している。
【0059】
前記アルミニウムは前記無機酸化物微粒子の表面に負電荷が発生するような形態で修飾されることが好ましい。より好ましくは、該アルミニウムはケイ素との複合酸化物の形態で修飾されていることが好ましい。前記複合酸化物は、少なくともSi−O−Al結合を含むものであることが好ましい。
【0060】
本発明に係るAl修飾金平糖状微粒子は、金平糖状の無機酸化物微粒子の単位表面積あたりにアルミニウムが0.1×10-6〜1.5×10-6mol/m2となるような範囲で修飾されていることを特徴としている。
【0061】
本発明に係るAl修飾金平糖状微粒子は金平糖状の形状であって、かつ、単位表面積あたりのアルミニウム修飾量が上記の範囲にあるため、Al修飾金平糖状微粒子の表面負電荷量が増加し、溶媒やバインダー中での分散安定性が向上する。そのため、該微粒子を配合した塗膜の耐候的な密着性と膜硬度や耐擦傷性を向上させる効果に優れている。
【0062】
前記アルミニウムの修飾量が0.1×10-6mol/m2未満の場合には塗膜の耐擦傷性や透明性が低下するので好ましくなく、1.5×10-6mol/m2を超えるとAl修飾金平糖状微粒子の安定性が低下し塗膜の硬度や耐擦傷性が低下するので好ましくない。
【0063】
なお、本発明に係るAl修飾金平糖状微粒子がコアシェル型構造であって、シェルおよび/またはシェル表面の突起にアルミニウムが含まれる場合には、該Al修飾金平糖状微粒子の単位表面積あたりに修飾されるアルミニウムの量には、シェルおよび突起に含まれるアルミニウムを含めるものとする。
【0064】
流動電位測定装置(MUETEK社製、PCD-T3)によりカチオン標準滴定液としてPoly−Dadmac(ポリ塩化ジアリルジメチル−アンモニウム溶液)を用いて、カチオン流動電位滴定値を測定した。このようにして得られた流動電位滴定値を表面負電荷量とした。なお、上記測定により得られる値はAl修飾金平糖状微粒子の固形分1gあたりの表面負電荷量(μeq/g)である。
【0065】
本発明に関わるAl修飾金平糖状微粒子の表面負電荷量がpH6の溶媒中で測定したときに15〜35μeq/g、より好ましくは18〜30μeq/gの範囲にあることが好ましい。
表面負電荷量は単位重量当たりのAl修飾量と比例するため、修飾量が多ければ、負の電荷を持つ固体酸(シリカアルミナ)が増え、表面負電荷量は増大する。製造時のAlの仕込み量を増やすことができるが、Siと固体酸を作ることの出来るAl量は限られており、Alが多すぎると正電荷を持つアルミナが形成されるため表面負電荷量は逆に下がることになる。
【0066】
本発明に関わるAl修飾金平糖状微粒子の表面には多量のアルミニウムが負電荷を有する形態で修飾され、その負電荷密度が上記のような範囲にあることによって、分散溶媒やバインダー中での分散安定性に優れ、酸性でも安定なため、塗膜に配合した際の膜強度や耐擦傷性、透明性が優れる。
【0067】
本発明に関わるAl修飾金平糖状微粒子の平均粒子径は、8〜60nm、より好ましくは10〜50nmの範囲にあることが好ましい。前記平均粒子径が8nm未満の場合には、高濃度に濃縮した時に増粘しやすく所望の膜硬度がえられ難くなるので好ましくない。
また、前記平均粒子径が60nmを超えると、得られる塗膜の透明性が悪化する場合があるので、好ましくない。Al修飾金平糖状微粒子の平均粒子径は、コア粒子の粒子径、シリカ被覆膜厚(量)、突起部高さ(量)で制御することができる。
【0068】
本発明に係るAl修飾金平糖状微粒子の表面は、シランカップリング剤などの有機ケイ素化合物、またはアミン類など公知の表面処理剤を用いてさらに処理することもできる。
前記Al修飾金平糖状微粒子の屈折率は、コア粒子がチタニウムの酸化物微粒子または複合酸化物微粒子である場合には、1.7〜2.7、より好ましくは1.85〜2.5の範囲にあることが好ましい。このようなAl修飾金平糖状微粒子は高屈折率粒子として好適に用いることができる。
【0069】
前記Al修飾金平糖状微粒子の屈折率は、コア粒子がジルコニウムまたはニオブの酸化物微粒子、あるいはジルコニウムかニオブを主成分とする複合酸化物微粒子である場合には、1.6〜2.2、より好ましくは1.7〜2.1の範囲にあることが好ましい。このようなAl修飾金平糖状微粒子は中〜高屈折率粒子として好適に用いることができる。
【0070】
前記Al修飾金平糖状微粒子の屈折率は、コア粒子がスズまたはタングステンの酸化物微粒子あるいはスズ、タングステン、アンチモンまたはインジウムを主成分とする複合酸化物微粒子である場合には、1.5〜2.0、より好ましくは1.6〜1.9の範囲にあることが好ましい。このようなAl修飾金平糖状微粒子は中屈折率粒子として好適に用いることができる。
【0071】
分散液
本発明に係る分散液は、本発明に関わるAl修飾金平糖状微粒子を含むものであることを特徴としている。
前記分散液の分散溶媒は、水であっても有機溶媒であってもよく、水と有機溶媒の混合物であってもよい。
前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン等のケトン類などが挙げられる。
【0072】
前記分散液の固形分濃度は5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%の範囲にあることが好ましい。前記固形分濃度が5重量%未満の場合には、該微粒子の効果が充分得られない場合があり経済的でないので好ましくない。また、前記固形分濃度が60重量%を超えると、分散液が増粘したり保存安定性が低下したりする場合があるので、好ましくない。
【0073】
本発明に係るAl修飾金平糖状微粒子を含む分散液は、分散安定性が高く、例え酸性でも安定であって、高濃度に濃縮することができ、透明性が高く、Al修飾金平糖状微粒子の屈折率および触媒活性や紫外線吸収能などを制御することによって様々な用途に使用することができる。
【0074】
この分散液は非常に安定で、バインダー成分との混合が容易であり、酸性のpH領域における安定性が優れるため、塗料組成物や樹脂組成物へ配合するのに特に好適に用いることができる。
【0075】
塗料組成物
本発明に係る塗料組成物は、本発明に関わるAl修飾金平糖状微粒子と、バインダー成分とを含むことを特徴としている。
前記塗料組成物は、前記Al修飾金平糖状微粒子を含むために屈折率の調整が容易であり、該微粒子とバインダー成分とのなじみがよいために、塗膜硬度と耐擦傷性に優れ透明な塗膜を形成することができる。
【0076】
また前記Al修飾金平糖状微粒子の表面負電荷密度が高く、さらにその形状が金平糖状であるために、該塗料組成物から得られる塗膜は、基材や、他の塗膜との密着性、特に耐候的な密着性に優れる。
【0077】
このような塗料組成物はあらゆるコーティング塗膜に用いることができる。
この塗料組成物から得られる塗膜は屈折率が高く、耐候性や耐光性にも優れるため、特に好適にはレンズなどの光学基材用のハードコート層塗膜やプライマー層塗膜に用いるのに適している。
【0078】
前記バインダー成分としては、有機ケイ素化合物、熱硬化性有機樹脂、熱可塑性有機樹脂または紫外線硬化性有機樹脂が挙げられる。
前記有機ケイ素化合物としては、アルコキシシラン化合物が代表例として挙げられ、具体的には、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、α―グルシドキシメチルトリメトキシシラン、α―グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β―グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β―(3、4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、β―(3、4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)―γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)―γ―アミノプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
これらは1種で用いても2種以上を混合して用いても良い。
【0079】
またこれらの有機ケイ素化合物は少なくともその一部が加水分解された状態で用いられてもよい。このような有機ケイ素化合物は特にハードコート膜形成用の塗料組成物のバインダー成分として好適である。
【0080】
前記熱硬化性有機樹脂としては、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂およびメラミン系樹脂から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
さらに具体的に述べれば、前記ウレタン系樹脂としては、たとえばヘキサメチレンジイソシアネート等のブロック型ポリイシシアネートとポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等の活性水素含有化合物との反応物などが挙げられ、また前記エポキシ樹脂としては、たとえばポリアルキレンエーテル変性エポキシ樹脂や分子鎖に柔軟性骨格(ソフトセグメント)を導入したエポキシ基含有化合物などが挙げられる。
【0081】
さらに、前記メラミン系樹脂としては、たとえばエーテル化メチロールメラミンとポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールとの硬化物などが挙げられる。これらの中でも、ブロック型イシシアネートとポリオールとの硬化物であるウレタン系樹脂を使用することが好ましい。また、これらの熱硬化性有機樹脂は、1種類だけでなく2種類以上を使用してもよい。
【0082】
また、前記熱可塑性有機樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂およびエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、さらには自己乳化型の水系エマルジョン樹脂であることがより好ましい。このような樹脂は特にプライマー層形成用塗料組成物のバインダー成分として好適である。
【0083】
塗料組成物の調製方法
本発明に係る塗料組成物の調製方法の一例として、有機ケイ素化合物をバインダー成分とする場合には、前記有機ケイ素化合物を無溶媒下、またはアルコール等の極性有機溶媒中で、酸や水などの存在下で部分加水分解または加水分解した後にAl修飾金平糖状微粒子の分散液と混合することが好ましい。あるいは前記有機ケイ素化合物とAl修飾金平糖状微粒子の分散液を混合したあとに、これらを部分加水分解または加水分解してもよい。
【0084】
その混合比は、前記有機ケイ素化合物をSiO2基準に換算した重量をXで表し、前記Al修飾金平糖状微粒子の分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の重量をYで表したとき、その重量比が(X/Y)が30/70〜90/10、好ましくは35/65〜80/20となるように行うことが好ましい。
【0085】
また、熱硬化性有機樹脂および前記熱可塑性樹脂をバインダー成分とした塗料組成物は、前記樹脂とAl修飾金平糖状微粒子の分散液を混合することにより調製され、その混合割合は前記樹脂の重量をRで表し、Al修飾金平糖状微粒子の分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の重量をSで表したとき、その重量比(R/S)が90/10〜30/70、より好ましくは80/20〜35/65となるように行うことが好ましい。
【0086】
前記塗料組成物は、さらに、紫外線吸収剤を含むものであることが好ましい。
前記紫外線吸収剤としては、従来公知な紫外線吸収剤、或いは現在開発中の紫外線吸収剤などを用いることができ、典型的な紫外線吸収剤であるベンゾフェノン系、ケイ皮酸系、p−アミノ安息香酸系、サリチル酸系などの光学安定性がある有機化合物、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどのペロブスカイト構造複合酸化物等を用いることができる。
【0087】
[測定方法および評価試験方法]
次に、本発明の実施例その他で使用された測定方法および評価試験方法を具体的に述べれば、以下の通りである。
(1)平均粒子径の測定方法
本発明に係るAl修飾金平糖状微粒子等の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)(HITACHI製H-800)を用いて、加速電圧150kVの条件下、倍率50万倍でTEM写真を撮影し、この写真に撮影された任意の100個以上の微粒子の一次粒子径についてそれぞれ目視で観察し、それらの平均をとることにより求めた。
【0088】
(2)比表面積の測定方法
Al修飾金平糖状微粒子を含む分散液を乾燥させて得られた粉体を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、300℃の温度で2時間乾燥後、デシケータに入れて室温まで冷却する。次に、サンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、粒子の比表面積(m2/g)をBET法にて測定した。
【0089】
(3)Al修飾金平糖状微粒子の組成分析方法
<チタニウム、ケイ素、スズの含有量>
固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子を含む水分散液1gを容量30mlの蓋付きジルコニアボールに採取し、乾燥(200℃、20分)、焼成(700℃、5分)した後、Na222gとNaOH1gを加えて15分間溶融する。さらに、HCl50mlと水200mlを加えて溶解したのち、純水で500mlになるよう希釈して試料とした。得られた試料について、ICP装置(島津製作所(株)製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を用いて、チタニウム、スズ、ケイ素の含有量を酸化物換算基準(TiO2、SnO2、SiO2)で測定する。
【0090】
<アルミニウム、ジルコニウム、ナトリウム、カリウムの含有量>
固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子を含む水分散液3gを容量100mlの白金皿に採取し、サンドバス上で200℃、20分間乾燥させたのち、バーナーで700℃、5分間加熱して有機物を除去後、HF10mlとH2SO45mlを加えて白煙が出るまで加熱する。さらに、これを100mlとなるように純水で希釈した後、アルミニウム、ジルコニウムはICP装置((株)島津製作所製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を用いて酸化物換算基準(Al23,ZrO2)で測定し、ナトリウム、カリウムは原子吸光装置((株)日立製作所製、Z−5300、ソフトウェアZ−2000)を用いて酸化物換算基準(Na2O、K2O)で測定する。
【0091】
(4)表面負電荷量(PCD)の測定方法
固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子を含む分散液(分散媒は水であっても有機溶媒であっても良い)を1.67g採取し、蒸留水98.53gを添加して固形分濃度0.5重量%の混合溶液100.00gを調製した。得られた混合溶液に塩酸水溶液あるいはアンモニア水溶液を添加して25℃においてpHを6.0に調整した測定用水溶液を調製した。得られた測定用水溶液20.00gを分取し、流動電位測定装置(MUETEK社製、PCD-T3)によりカチオン標準滴定液としてPoly−Dadmac(ポリ塩化ジアリルジメチル−アンモニウム、分子量:GPC測定による重量平今分子量 約4500(ポリスチレン換算))を用いて、カチオン流動電位滴定値を測定した。このようにして得られた流動電位滴定値を表面負電荷量とした。
【0092】
なお、上記測定により得られる値はAl修飾金平糖状微粒子の固形分1gあたりの表面負電荷量(μeq/g)である。この値をAl修飾金平糖状微粒子の比表面積(m2/g)で割った値をAl修飾金平糖状微粒子の単位比表面積あたりに存在する負の電荷量、すなわち、表面粗度とした。これは、表面負電荷量の測定に使用したポリ塩化ジアリルジメチル−アンモニウムの分子占有断面積が、比表面積の測定に用いるN2分子の分子占有断面積(16.2Å2)に比べて大きく、本願粒子の微細孔には吸着せず、粒子の外部表面(凹凸を含む)により選択的に吸着することから、単位表面積あたりのポリ塩化ジアリルジメチル−アンモニウム吸着量は本願粒子の凹凸の程度(粗度)を反映したものとなる。表面粗度は以下の式で定義される。
表面粗度=表面負電荷量/比表面積
単位は(μeq/g)/(m2/g)=μeq/m2である。
表面粗度の値は0.07〜0.2μeq/m2、好ましくは、0.07〜0.19(μeq/m2)である。
【0093】
(5)pHの測定方法
試料50mlを入れたセルを、25℃の温度に保たれた恒温槽中で、pH4、7および9の標準液で更正が完了したpHメータ(堀場製作所製、F22)のガラス電極を挿入してpH値を測定した。
【0094】
このとき、Al修飾金平糖状微粒子の分散液の分散媒が水である場合には、固形分濃度30重量%の前記水分散液を試料とし、前記分散媒が有機溶媒である場合には、固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子の有機溶媒分散液を蒸留水で10倍に希釈して、固形分濃度を3.0重量%としたものを試料とした。
【0095】
硬化性塗膜について
(6)膜硬度(Bayer値)の測定方法
磨耗試験機BTM(米コルツ社製)およびヘーズ値測定装置(NIPPON DENSHOKU製NDH2000)を使用し、実施例の調製例にて作成した被試験レンズと、基準レンズとのヘーズ値の変化によりBayer値を測定する。基準レンズは市販のプラスチックレンズ基材CR−39基材(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、PPG社製モノマー使用、基材の屈折率1.60)を使用し、まずそれぞれのヘーズ値を測定する。基準レンズの初期ヘーズ値をD(std0)、被試験レンズの初期ヘーズ値をD(test0)とする。それぞれのレンズを耐摩耗性試験機パンに設置し、その上に研磨材(専用砂)500gを充填し、600回左右に振動させ試験を行う。試験後の基準レンズのヘーズ値をD(stdf)、被試験レンズのヘーズ値をD(testf)とする。Bayer試験値(R)は以下の数式から算出する。
R=[D(stdf)−D(std0)]/[D(testf)−D(test0)]
【0096】
(7)塗膜の外観(干渉縞)の評価方法
内壁が黒色である箱の中に蛍光灯「商品名:メロウ5N」(東芝ライテック(株)製、三波長型昼白色蛍光灯)を取り付け、蛍光灯の光を試料基板のハードコート層膜(前記金属酸化物微粒子を含む)上に形成された反射防止膜表面で反射させ、光の干渉による虹模様(干渉縞)の発生を目視にて確認し、以下の基準で評価する。
S:干渉縞が殆ど無い
A:干渉縞が目立たない
B:干渉縞が認められるが、許容範囲にある
C:干渉縞が目立つ
D:ぎらつきのある干渉縞がある。
【0097】
(8)塗膜の外観(曇り)の評価方法
内壁が黒色である箱の中に蛍光灯「商品名:メロウ5N」(東芝ライテック(株)製、三波長型昼白色蛍光灯)を取り付け、前記金属酸化物微粒子を含むハードコート層膜を有する試料基板を蛍光灯の直下に垂直に置き、これらの透明度(曇りの程度)を目視にて確認し、以下の基準で評価する。
A:曇りが無い
B:僅かに曇りがある
C:明らかな曇りがある
D:著しい曇りがある。
【0098】
(9)塗膜の耐擦傷性の評価方法
実施例の調製例にて作成した試験片の表面を、ボンスタースチールウール♯0000(日本スチールウール(株)製)に1kgの荷重をかけ、3cmの距離を50往復/100秒の条件で擦った後、傷の入り具合を目視にて判定し、以下の基準で評価した。
A:殆ど傷が入らない
B:若干の傷が入る
C:かなりの傷が入る
D:擦った面積のほぼ全面に傷が入る。
【0099】
(10)塗膜の密着性の評価方法
ハードコート層膜を形成した試料基板のレンズ表面に、ナイフにより1mm間隔で切れ目を入れ、1平方mmのマス目を100個形成し、セロハン製粘着テープを強く押し付けた後、プラスチックレンズ基板の面内方向に対して90度方向へ急激に引っ張り、この操作を合計5回行い、剥離しないマス目の数を数え、以下の基準で評価する。
良好:剥離していないマス目の数が95個以上
不良:剥離していないマス目の数が95個未満。
【0100】
(11)塗膜の耐候的な密着性の評価方法
ハードコート層膜を形成した試料基板をキセノンウエザーメーター(スガ試験機(株)製X−75型)で曝露試験をした後、外観の確認および前記の密着性の評価と同様の評価を行い、以下の基準で評価する。なお、曝露時間は、反射防止膜を有している基板は250時間、反射防止膜を有していない基板は50時間とする。
良好:剥離していないマス目の数が95個以上
不良:剥離していないマス目の数が95個未満。
【0101】
(12)塗膜の耐光性の評価方法
退色試験用水銀ランプ(東芝(株)製H400−E)により紫外線を50時間照射し、試験前後のレンズ色の目視確認を行い、以下の基準で評価する。なお、ランプと試験片との照射距離は、70mmとし、ランプの出力は、試験片の表面温度が45±5℃となるように調整する。また、この試験は、反射防止膜をハードコート層の表面に施したプラスチックレンズを対象として行ったものである。
○:あまり変色が認められない
△:若干の変色が認められる
×:明らかな変色が認められる。
【実施例】
【0102】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
[実施例1]
チタニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の調製
四塩化チタン(大阪チタニウムテクノロジ-ズ(株)製)をTiO2換算基準で7.75重量%含む四塩化チタン水溶液93.7kgと、アンモニアを15重量%含むアンモニア水(宇部興産(株)製)36.3kgとを混合し、pH9.5の白色スラリー液を調製した。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、固形分含有量が10重量%の含水チタン酸ケーキ72.6kgを得た。
【0103】
次に、このケーキに、過酸化水素を35重量%含む過酸化水素水(三菱瓦斯化学(株)製)83.0kgと純水411.4kgとを加えた後、80℃の温度で1時間、撹拌下で加熱し、さらに純水159.0kgを加えて、過酸化チタン酸をTiO2換算基準で1重量%含む過酸化チタン酸水溶液を726.0kg得た。この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.5であった。
【0104】
次いで、前記過酸化チタン酸水溶液72.9kgに陽イオン交換樹脂3.5kgを混合して、これに、スズ酸カリウム(昭和化工(株)製)をSnO2換算基準で1重量%含むスズ酸カリウム水溶液9.1kgを撹拌下で徐々に添加した。
【0105】
次に、カリウムイオンなどを取り込んだ陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を分離した後、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を15重量%含むシリカゾル(日揮触媒化成(株)製)0.8kgと純水18.0kgとを混合して、オートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、120L)中で165℃の温度で18時間、加熱することにより、チタニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の水分散液を得た。
【0106】
得られた水分散液を室温まで冷却した後、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、ACV−3010)で濃縮して、固形分含有量が10重量%の水分散液10.0kgを得た。
この水分散液の中に含まれるコア粒子はルチル型の結晶構造を有し、このコア粒子に含まれる金属元素の含有量を測定したところTiO275.2重量%、SnO29.3重量%、SiO212.2重量%およびK2O3.3重量%であった。
【0107】
コアシェル型微粒子の調製
オキシ塩化ジルコニウム(太陽鉱工(株)製)をZrO2換算基準で2重量%含むオキシ塩化ジルコニウム水溶液26.3kgに、アンモニアを15重量%含むアンモニア水を撹拌下で徐々に添加して、pH8.5のスラリー液を得た。次いで、このスラリーを濾過した後、純水で洗浄して、ジルコニウム成分をZrO2に換算基準で10重量%含むケーキ5.26kgを得た。
【0108】
次に、このケーキ200gに純水1.80kgを加え、さらに水酸化カリウム(関東化学(株)製)を10重量%含む水酸化カリウム水溶液120gを加えてアルカリ性にした後、過酸化水素を35重量%含む過酸化水素水400gを加えて、50℃の温度に加熱してこのケーキを溶解した。さらに、純水1.48kgを加えて、過酸化ジルコン酸をZrO2換算基準で0.5重量%含む過酸化ジルコン酸水溶液4.0kgを得た。なお、この過酸化ジルコン酸水溶液のpHは、12.2であった。
【0109】
一方、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)を純水にて希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて脱アルカリして、珪酸液をSiO2換算基準で2重量%含む珪酸水溶液を得た。なお、この珪酸水溶液液のpHは、2.3であった。
【0110】
次に、前記工程で得られた、チタニウムを主成分とするコア粒子を含む水分散液3.0kgに純水12.0kgを加えて固形分含有量を2重量%としたものを、90℃の温度に加熱した後、これに前記過酸化ジルコン酸水溶液1020gと珪酸水溶液795gを徐々に添加し、さらに添加終了後、90℃の温度に保ちながら攪拌下で1時間熟成した。
【0111】
次いで、この混合液をオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、50L)に入れて、160℃の温度で18時間、加熱処理を行なったのち、室温まで冷却して、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、SIP−1013)を用いて固形分含有量10重量%に濃縮することにより、チタニウムを主成分とするコア粒子の表面を、ジルコニウムとケイ素を含む複合酸化物からなるシェルで被覆してなるコアシェル型微粒子の水分散液(以下、「CT−1」という)を調製した。
【0112】
このコアシェル型微粒子の結晶構造はルチル型であった。
また、このコアシェル型微粒子に含まれる金属成分を測定したところ、TiO261.5重量%、SnO27.6重量%、SiO222.2重量%、ZrO24.8重量%およびK2O3.9重量%であった。
また、このコアシェル型微粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡法で測定したとき、13nmであり、比表面積は、224m2/gであった。
【0113】
シリカ被覆コアシェル型微粒子の調製
市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製、JIS3号水硝子、SiO2濃度24質量%)を純水にて希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて脱アルカリして、珪酸液をSiO2換算基準で4.5重量%含むpHは、2.3の珪酸水溶液を得た。
【0114】
前記工程で得られたコアシェル型微粒子の水分散液(CT−1)3.0kgに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)0.3kgを用いて脱アルカリした後、樹脂分離して水分散ゾルを得た。次いで、この水分散ゾルに前記珪酸水溶液1681.1gを攪拌しながら徐々に添加し、さらに添加終了後、35℃の温度に保ちながら攪拌下で1時間熟成することにより、シリカで被覆されたコアシェル型微粒子の水分散液を得た。
【0115】
次いで、この水分散液に10.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH10.0に調整し、85℃の温度に保ちながら攪拌下で1時間熟成した。
なお、この水分散液に含まれる、シリカで被覆されたコアシェル型微粒子の形状は米粒状であった。
【0116】
金平糖状の無機酸化物微粒子の調製
アルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の調製
次いで、この水分散液にアルミン酸ナトリウムをAl23換算基準で0.9重量%含むアルミン酸ナトリウム水溶液485.6gを徐々に添加し、さらに添加終了後、90℃の温度に保ちながら攪拌下で1.5時間加熱処理を行なうことにより、シリカ被覆コアシェル型微粒子の表面をアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液を得た。
【0117】
この水分散液を室温まで冷却した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を添加してpHを9.5に調整した後、樹脂を分離して、固形分含有量が6.9重量%のアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液(CTS−1)5.0kgを得た。
【0118】
突起形成工程
前記で得られたアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液(CTS−1)5.0kgにイオン交換水6.9kgを加えて、さらに水ガラス(AGCエスアイテック(株)製、JIS3号水硝子、SiO2濃度24質量%)69.4gを添加した。ついで、この混合溶液の温度を87℃に昇温し、30分間87℃で維持した。
【0119】
次いで、水ガラス(AGCエスアイテック(株)製、JIS3号水硝子、SiO2濃度24質量%)をイオン交換水にて希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を用いて脱アルカリして、SiO2換算基準で3.0重量%の珪酸水溶液2067.9gを得た。そして、温度を87℃に維持した前記アルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液全量に対して、前記珪酸水溶液全量を、それぞれ87℃にて3時間かけて添加したのち、87℃で一時間熟成することにより粒子成長を行い、金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液を得た。
【0120】
ついで、この水分散液を室温まで冷却した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)を添加してpHを9.5に調整した。ついで、限外濾過膜装置(旭化成(株)製、ACV−3010)で濃縮して、固形分含有量が30重量%の金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液(CTC−1)1.4kgを得た。
【0121】
この水分散液に含まれる無機酸化物微粒子は、チタニウムを主成分とするコア粒子の表面を、ジルコニウムとケイ素を含む複合酸化物からなるシェルと、シリカからなるシェルで被覆した表面に、アルミニウムとケイ素とを含む複合酸化物よりなる突起が形成された金平糖状の微粒子であって、この微粒子に含まれる各成分の含有量を測定したところ、酸化物としてTiO254.5重量%、SnO26.6重量%、SiO234.0重量%、ZrO22.1重量%、Al231.2重量%、K2O1.3重量%およびNa2O0.3重量%であった。
さらに、この金平糖状微粒子の比表面積は260m2/gであった。
【0122】
Al修飾金平糖状微粒子の調製(1)
工程(1)
前記工程で得られた金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液(CTC−1)1400gを撹拌機と加熱装置を備えた内容積13リットルのSUS製反応容器に供して、温度25℃で撹拌しながらAl23換算基準で0.9重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液2712gを1時間20分間かけて一定速度で添加して混合溶液を得た。
この時、Al23/SiO2(混合モル比)は0.100であり、アルミン酸ナトリウム水溶液の添加速度は1.5×10-2g/Hrであった。
【0123】
工程(1.1)
得られた混合溶液を攪拌しながら、95℃に加熱したのち、温度を95℃に保ちながら6.0時間撹拌を続けた。この混合液のpH は10.9、SiO2換算基準の固形分濃度は24.2重量%、Al23換算基準の固形分濃度は0.36重量%であった。
【0124】
工程(1.2)
上記工程で得られた混合溶液に陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)ダイヤイオン SK1BH)を投入してpHを9に調整した。
【0125】
工程(2)
上記工程で得られた混合溶液から樹脂を分離除去したのち、オートクレーブにて165℃で1時間加熱処理して、Al修飾金平糖状微粒子の水分散液を得た。
【0126】
工程(3)
次いで、上記工程により得られたAl修飾金平糖状微粒子の水分散液を室温まで冷却した後に、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)ダイヤイオン SK1BH)を投入して、pH3.5に調整した後、樹脂を分離せず、攪拌下で80℃に保ちながら7時間熟成した。
その後、陽イオン交換樹脂を分離除去し、SiO2換算基準で固形分濃度 24.2重量%、pH4.9のAl修飾金平糖状微粒子の水分散液を得た。
【0127】
このAl修飾金平糖状微粒子の水分散液を、限外ろ過膜を用いて濃縮し、固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(以下、「CTA−1」という)1470gを得た。このAl修飾金平糖状微粒子の金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO254.5重量%、SnO26.6重量%、SiO233.9重量%、ZrO22.1重量%、Al231.4重量%、K2O1.3重量%およびNa2O0.3重量%であった。さらにAl修飾金平糖状微粒子の比表面積は264m2/gで、透過型電子顕微鏡により測定した平均粒子径は20nmであった。
【0128】
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面負電荷量は25(μeq/g)であり、単位比表面積当りに存在する負の電荷量、表面粗度は0.095μeq/m2であった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面に修飾されたアルミニウムの修飾量は該微粒子の単位表面積あたりにAl23換算基準で0.5×10-6モル/m2であった。
【0129】
Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製
上記の工程で得られたAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−1)1470gの分散溶媒を限外濾過膜装置(旭化成(株)製濾過膜、SIP−1013)を用いて水からメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)に置換した。
【0130】
得られたAl金平糖状微粒子のメタノール分散液(以下「CTM−1」という)の水分含有量は約0.5重量%、固形分濃度は30重量%であった。また、該メタノール分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の平均粒子径は20nm、比表面積は264m2/gであって、単位表面積あたりに修飾されたアルミニウムの量はAl23換算基準で1.5×10-6モル/m2、Al修飾金平糖状微粒子の単位比表面積当りに存在する負電荷量、表面粗度は0.095μeq/m2であった。
【0131】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H1)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)182.7gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)32.4gの混合液混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液62.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0132】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)282.7gおよび本実施例で調製した固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CTM−1)390.9g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H1)を調製した。
【0133】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H2)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)164.4gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)29.1gの混合液混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液62.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0134】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)250.1gおよび本実施例で調製した固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CTM−1)452.1g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)6.6gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H2)を調製した。
【0135】
プライマー層膜形成用塗料組成物(P1)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)162.8gを入れた容器を用意し、これに、本実施例で調製したAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液CTM−1(206.7gおよびイオン交換水96.9gを加えて、1時間攪拌した。
【0136】
次いで、これらの混合液に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)528.8g、更にレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、プライマー層膜形成用塗料組成物(P1)を調製した。
【0137】
プライマー層膜形成用塗料組成物(P2)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)127.4gを入れた容器を用意し、これに、本実施例で調製したAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液CTM−1206.7gおよびイオン交換水96.9gを加えて、1時間攪拌した。
【0138】
次いで、これらの混合液に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)528.8g、更にレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、プライマー層膜形成用塗料組成物(P2)を調製した。
【0139】
[実施例2]
Al修飾金平糖状微粒子の調製(2)
実施例1のAl修飾金平糖状微粒子の調製(1)の工程(1)において、金平糖状微粒子の水分散液(CTC−1)1400gに添加するアルミン酸ナトリウム水溶液(濃度0.9重量%)の量を、2712gから1532gに変更し、添加時間を80分から46分に変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−2)を得た。
【0140】
この水分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の各金属成分含有量は酸化物換算基準で、TiO254.5重量%、SnO26.6重量%、SiO234.6重量%、ZrO22.1重量%、Al230.6重量%、K2O1.3重量%およびNa2O0.3重量%であった。さらに、このAl修飾金平糖状微粒子の比表面積は262m2/gで、透過型電子顕微鏡写真より求めた平均粒子径は20nmであった。
【0141】
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面負電荷量は20μeq/gであり、単位比表面積当りに存在する負の電荷量、表面粗度は0.076μeq/m2であった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面に修飾されたアルミニウムの修飾量は該微粒子の単位表面積あたりにAl23換算基準で0.2×10-6モル/m2であった。
【0142】
Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(2)
実施例1のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製の工程において、Al修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−1)1470gを用いる代わりに、本実施例で得られたAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−2)1470gを用いる以外は実施例1と同様にしてAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CTM−2))を得た。得られたAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CTM−2)の水分含有量は約0.5重量%であって、固形分濃度は30重量%であった。また前記メタノール分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子のTEMで求めた平均粒子径は20nm、比表面積は262m2/gであって、Al修飾金平糖状微粒子に修飾されたアルミニウムの量はAl23基準の単位表面積換算で0.2×10-6モル/m2、Al修飾金平糖状微粒子の単位比表面積当りに存在する負電荷量、表面粗度は0.076μeq/m2であった。
【0143】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H3)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)182.7gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)32.4gの混合液混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液62.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0144】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)282.7gおよび本実施例で調製した固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CPM−2)390.9g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、光学基材用塗料組成物としてのハードコート層膜形成用塗料組成物(H3)を調製した。
【0145】
[実施例3]
Al修飾金平糖微粒子の調製(3)
実施例1のAl修飾金平糖微粒子の調製の工程(1)において、金平糖状微粒子の水分散液(CTC−1)1400gに添加するアルミン酸ナトリウム水溶液(濃度0.9重量%)の量を、2712gから9158gに変更し、添加時間を80分から4.5時間に変更した以外は実施例1と同様の方法を用いて固形分濃度30重量%の、Al修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−3)を得た。
【0146】
この分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の各金属成分含有量は酸化物換算基準で、TiO254.1重量%、SnO26.4重量%、SiO234.1重量%、ZrO22.0重量%、Al231.8重量%、K2O1.3重量%およびNa2O0.3重量%であった。
【0147】
また、このAl修飾金平糖状微粒子の比表面積は268m2/gで、透過型電子顕微鏡写真より求めた平均粒子径は20nmであった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面電荷量は29μeq/gであり、単位比表面積当たりに存在する負の電荷量、表面粗度は0.110μeq/m2であった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の単位表面積あたりのアルミニウムの修飾量はAl23換算基準で0.7×10-5モル/m2であった。
【0148】
Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(3)
実施例1のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(1)の工程において、Al修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−1)1470gを用いる代わりに、本実施例で得られたAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−3)1470gを用いる以外は実施例1と同様な方法によりAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CTM−3))を得た。
【0149】
得られたメタノール分散液(CTM−3)の水分含有量は約0.5重量%であって、固形分濃度は30重量%であった。また前記メタノール分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液のTEMで求めた平均粒子径は20nm、比表面積は268m2/gであって、Al修飾金平糖状微粒子に修飾されたアルミニウムの量はAl23基準の単位表面積換算で0.6×10-6モル/m2、Al修飾金平糖状微粒子の単位比表面積当りに存在する負電荷量、表面粗度は0.110μeq/m2であった。
【0150】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H4)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)182.7gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)32.4gの混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液62.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0151】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)282.7gおよび本実施例で調製した固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CTM−3)390.9g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H4)を調製した。
【0152】
[実施例4]
ジルコニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の調製
純水18.57kgにオキシ塩化ジルコニウム8水和物(太陽鉱工(株)製、ZrOCl2・8H2O)0.50kgを溶解し、これに濃度10重量%のKOH水溶液17.56kgを添加してジルコニウム水酸化物ヒドロゲル(ZrO2濃度1重量%)を調製した。ついで、得られたジルコニウム水酸化物ヒドロゲルを、限外濾過膜法により電導度が0.5mS/cm以下になるまで洗浄した。
【0153】
上記操作により得られたZrO2として濃度1重量%のジルコニウム水酸化物ヒドロゲル102.75kgに、濃度10重量%のKOH水溶液20.24kgを加えて十分攪拌した後、濃度35重量%の過酸化水素水溶液0.56kgを加えた。このとき、激しく発泡して溶液は透明になり、pHは11.4であった。
【0154】
ついで、この溶液に濃度28.8重量%のアンモニア水溶液5.63kgを加えて充分攪拌して、ジルコニア系コア粒子の前駆体スラリーを得た。このとき、前記スラリーは薄黄色になり、pHは13.4であった。
【0155】
この前駆体スラリーを3等分してオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、100L)に充填し、150℃で11時間水熱処理を行った後、遠心沈降法によりジルコニア系複合酸化物微粒子を分離し、これを充分に洗浄したのちイオン交換水に分散させて、ジルコニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の水分散液10.10kgを得た。この水分散液の固形分含有量はZrO2換算基準で10重量%であった。
【0156】
次いで、前記コア粒子の水分散液10.10kgをスプレードライヤー(NIRO社製NIRO ATOMIZER)に供して噴霧乾燥した。これにより、ジルコニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の乾燥粉体0.90kgを得た。得られた乾燥粉体に含まれるコア粒子の平均粒子径は約2μmであった。
【0157】
次に、上記で得られた乾燥粉体0.90kgを、空気雰囲気下、500℃の温度にて2時間焼成して、ジルコニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)の焼成粉体0.84kgを得た。
【0158】
上記で得られた焼成粉体0.84kgを純水0.74kgに分散させ、これに、濃度28.6%の酒石酸水溶液0.55kg、濃度50重量%のKOH水溶液0.23kgを加えて充分攪拌した。ついで、粒子径0.1mmのアルミナビーズ(大明化学工業(株)製高純度アルミナビーズ)を加え、これを湿式粉砕機(カンペハピオ(株)製バッチ式卓上サンドミル)に供して180分間、前記焼成粉体の粉砕及び分散処理を行った。その後、アルミナビーズを目開き44μmのステンレス製フィルターを用いて分離・除去したのち、さらに純水6.65kgを添加して撹拌し、ジルコニウムを含む複合酸化物微粒子(コア粒子)の水分散液8.84kgを得た。この水分散液の固形分含有量は11重量%であった。
【0159】
ついで、限外濾過膜を用いてイオン交換水で洗浄した後、陰イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:SANUPC)0.43kgを加えて脱イオン処理をした後、遠心分離機(日立工機(株)製CR−21G)に供して12,000rpmの速度で1時間処理して、ZrO2換算基準の固形分濃度が10重量%のジルコニウムを含む複合酸化物微粒子(コア粒子)の水分散液(CZ−1)9.50kgを得た。前記水分散液(CZ−1)に含まれるコア粒子の平均粒子径は28nm、比表面積は153m2/gであった。
さらに、このコア粒子に含まれる金属成分の含有量は、各金属成分の酸化物換算基準で、ZrO298.5重量%およびK2O1.5重量%であった。
【0160】
シリカ被覆コア粒子の調製
実施例1に記載された「シリカ被覆コアシェル型微粒子の調製」の工程において、実施例1で調製したコアシェル型微粒子の水分散液(CT−1)3.0kgを用いる代わりに本実施例で調製したジルコニア系コア粒子の水分散液(CZ−1)3.0kgを用いた以外は実施例1の「シリカ被覆コアシェル型微粒子の調製」と同様な方法によりジルコニウムを主成分とする複合酸化物微粒子(コア粒子)をシリカで被覆したシリカ被覆コア粒子の水分散液を得た。なお、この水分散液の固形分含有量は6.9重量%であった。
【0161】
金平糖状の無機酸化物微粒子の調製(4)
アルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の調製(2)
ついで、実施例1で調製したシリカ被覆コアシェル型微粒子のかわりに、本実施例で調製した、シリカ被覆コア粒子を用いた以外は、実施例1に記載の「アルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の調製」と同様の工程により、アルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液(CZS−1)5.0kgを得た。
このアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した覆微粒子はジルコニウムを主成分とするコア粒子の表面がシリカで被覆され、さらにその表面にアルミニウムを含むシェルが斑点状に存在してなる微粒子であった。
【0162】
粒成長工程
実施例1で調製したアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液(CTS−1)を含む水分散ゾル5.0kgを用いる代わりに本実施例で調製したアルミニウムを含むシェルで部分的に被覆した微粒子の水分散液(CZS−1)5.0kgを用いた以外は実施例1に記載の「金平糖状の無機酸化物微粒子の調製」の「粒成長工程」と同様な方法により固形分含有量が30重量%の金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液(CZC−1)0.7kgを得た。
【0163】
この水分散液(CZC−1)に含まれる無機酸化物微粒子の金属成分含有量はZrO268.7重量%、SiO229.8重量%、Al231.2重量%およびNa2O0.3重量%であった。
また、この無機酸化物微粒子の比表面積は107m2/gで、透過型電子顕微鏡写真より求めた平均粒子径は25nmであった。
【0164】
Al修飾金平糖状微粒子の調製(4)
実施例1で調製した金平糖状微粒子の水分散液(CTC−1)1400gを用いる代わりに本実施例で調製した金平糖状微粒子の水分散液(CZC−1)を含む水分散ゾル1400gを用いた以外は実施例1の「Al修飾金平糖状微粒子の調製(1)」に記載の工程と同様な方法により固形分含有量が30重量%のAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CZA−1)0.7kgを得た。
【0165】
この水分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の金属成分の含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、ZrO268.4重量%、SiO229.9重量%、Al231.4重量%およびNa2O0.3重量%であった。
【0166】
さらに、このAl修飾金平糖状微粒子の比表面積は111m2/gで、透過型電子顕微鏡写真より求めた平均粒子径は25nmであった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面電荷量は29μeq/gであり、単位比表面積当たりに存在する負の電荷量、表面粗度は0.190μeq/m2であった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面に修飾されたアルミニウムの修飾量は該粒子の単位面積あたりにAl23換算基準で1.2×10-6モル/m2であった。
【0167】
Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(4)
実施例1のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製の工程においてAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−1)1470gを用いる代わりに、本実施例で調製したAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CZA−1)1470gを用いた以外は実施例1と同様な方法によりAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CZM−1)を得た。
【0168】
このAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CZM−1)の水分含有量は約0.5重量%であって、固形分濃度は30重量%であった。またこのメタノール分散液に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の透過型電子顕微鏡写真により測定した平均粒子径は25nm、比表面積は111m2/gであって、単位表面積あたりに修飾されたアルミニウムはAl23基準で1.2×10-6モル/m2、単位比表面積当りに存在する負電荷量は0.190μeq/m2であった。
【0169】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(H5)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)162.2gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)28.7gの混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液55.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0170】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)246.2gおよび本実施例で調製した固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(CZM−1)459.5g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(H5)を調製した。
【0171】
[比較例1]
米粒状コアシェル型微粒子の調製
実施例1の「Al修飾金平糖状微粒子の調製(1)」の工程(1)において、金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液(CTC−1)1400gを用いるかわりに、実施例1で調製した、チタニウムを主成分とするコア粒子の表面を、ジルコニウムとケイ素を含む複合酸化物からなるシェルで被覆してなるコアシェル型微粒子の水分散液(CT−1) 1400gを用いて、さらにアルミン酸ナトリウム水溶液(濃度0.9重量%)の添加量を、2712gから添加なしに変更した以外は実施例1と同様の方法によって、固形分濃度30重量%の、コアシェル型微粒子の水分散液(RCTA−1)を得た。
【0172】
この水分散液(RCTA−1)に含まれるコアシェル型微粒子の金属成分含有量を測定したところ、各金属成分の酸化物換算基準で、TiO261.5重量%、SnO27.6重量%、SiO222.2重量%、ZrO24.8重量%およびK2O3.9重量%であった。さらに、このコアシェル型微粒子の比表面積は224m2/gであった。また、このコアシェル型微粒子は米粒状で、透過型電子顕微鏡写真より求めた平均粒子径は13nmであった。
【0173】
また、この米粒状コアシェル型微粒子の表面負電荷量は145μeq/gであり、単位比表面積当りに存在する負の電荷量、表面粗度は0.650μeq/m2であった。
また、この米粒状コアシェル型微粒子の表面に修飾されたアルミニウムの修飾量は該粒子の単位面積あたりにAl23換算基準で0であった。
【0174】
米粒状コアシェル型微粒子を含むメタノール分散液の調製
実施例1のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製の工程において、A修飾金平糖微粒子の水分散液(CTA−1)のかわりに本比較例で作成した米粒状コアシェル型微粒子の水分散液(RCTA−1)を用いた以外は実施例1と同様にして米粒状コアシェル型微粒子を含むメタノール分散液(RCTM―1)を調製した。
【0175】
得られたメタノール分散液(RCTM―1)の水分含有量は約0.5重量%であって、固形分濃度は30重量%であった。また前記メタノール分散液に含まれる米粒状コアシェル型微粒子のTEMで求めた平均粒子径は13nm、比表面積は224m2/gであって、単位表面積あたりに修飾されたアルミニウムの量はAl23基準の単位表面積換算で0モル/m2、米粒状コアシェル型微粒子の単位比表面積当りに存在する負電荷量は0.650μeq/m2であった。
【0176】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(C1)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)187.8gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)33.3gの混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液64.0gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0177】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)291.8gおよび本比較例で調製された固形分濃度30重量%の米粒状コアシェル型微粒子のメタノール分散液(RCTM−1)373.9g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(C1)を調製した。
【0178】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(C2)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)170.2gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)30.1gの混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液58.0gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0179】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)260.4gおよび本比較例で調製された固形分濃度30重量%の米粒状コアシェル型微粒子のメタノール分散液(RCTM−1)432.8g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)6.8gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(C2)を調製した。
【0180】
プライマー層膜形成用塗料組成物(Y1)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)176.0gを入れた容器を用意し、これに、固形分濃度30重量%の米粒状コアシェル型微粒子のメタノール分散液(RCTM−1)193.6gおよびイオン交換水96.9gを加えて、1時間攪拌した。
【0181】
次いで、これらの混合液に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)531.1g、更にレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、プライマー層膜形成用塗料組成物(Y1)を調製した。
【0182】
プライマー層膜形成用塗料組成物(Y2)の調製
市販の熱可塑性樹脂であるポリウレタンエマルジョン「スーパーフレックス150」(第一工業製薬製、水分散型ウレタンエラストマー固形分含有量30%)142.1gを入れた容器を用意し、これに、固形分濃度30重量%の米粒状コアシェル型微粒子のメタノール分散液(RCTM−1)227.4gおよびイオン交換水96.9gを加えて、1時間攪拌した。
【0183】
次いで、これらの混合液に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)531.1g、更にレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)0.3gを加えて、室温で一昼夜攪拌して、プライマー層膜形成用塗料組成物(Y2)を調製した。
【0184】
[比較例2]
Al修飾金平糖状微粒子の調製(5)
実施例1のAl修飾金平糖状微粒子の調製(1)の工程(1)において、金平糖状の無機酸化物微粒子の水分散液(CTC−1)1400gに添加するアルミン酸ナトリウム水溶液(濃度0.9重量%)の量を、2712gから45791gに変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(RCTA−2)を得た。
【0185】
この水分散液(RCTA−2)に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の各金属成分含有量は酸化物換算基準で、TiO252.6重量%、SnO26.4重量%、SiO232.4重量%、ZrO22.0重量%、Al234.4重量%、K2O1.3重量%およびNa2O0.9重量%であった。さらに、Al修飾金平糖状微粒子の比表面積は271m2/gで、透過型電子顕微鏡写真から求めた平均粒子径は20nmであった。
【0186】
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面負電荷量は65μeq/gであり、単位比表面積当りに存在する負の電荷量、表面粗度は0.240μeq/m2であった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面に修飾されたアルミニウムの修飾量は該粒子の単位面積あたりにAl23換算基準で1.6×10-6モル/m2であった。
【0187】
Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(5)
実施例1の「Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(1)」の工程でAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−1)1470gを用いる代わりに、本比較例で調製したAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(RCTA−2)1470gを用いる以外は実施例1と同様にしてAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(RCTM−2))を得た。
【0188】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(C3)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)182.7gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)32.4gの混合液混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液62.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0189】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)282.7gおよび本比較例で調製された固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(RCTM−2)390.9g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(C3)を調製した。
【0190】
[比較例3]
Al修飾金平糖状微粒子の調製(6)
実施例1の「Al修飾金平糖状微粒子の調製(1)」の工程(1)において、金平糖状微粒子の水分散液(CTC−1)1400gに添加するアルミン酸ナトリウム水溶液(濃度0.9重量%)の量を、2712gから69gに変更した以外は実施例1と同様の方法を用いてAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(RCTA−3)を得た。
【0191】
この水分散液(RCTA−3)に含まれるAl修飾金平糖状微粒子の各金属成分含有量は酸化物換算基準で、TiO254.51重量%、SnO26.6重量%、SiO235.1重量%、ZrO22.1重量%、Al230.1重量%、K2O1.3重量%およびNa2O0.3重量%であった。
【0192】
さらに、このAl修飾金平糖状微粒子の比表面積は260m2/gで、透過型電子顕微鏡より求めた平均粒子径は20nmであった。
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面負電荷量は11μeq/gであり、単位比表面積当りに存在する負の電荷量、表面粗度は0.042μeq/m2、であった。
【0193】
また、このAl修飾金平糖状微粒子の表面に修飾されたアルミニウムの修飾量は該粒子の単位面積あたりにAl23換算基準で4.5×10-8モル/m2であった。
さらに、前記チタニウム系無機酸化物微粒子水分散ゾルに含まれるチタニウム系無機酸化物微粒子のTEMで求めた平均粒子径から求めた比表面積は92m2/gであった。
【0194】
Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製
実施例1の「Al修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液の調製(1)」でAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(CTA−1)1470gを用いる代わりに、本比較例で得られたAl修飾金平糖状微粒子の水分散液(RCTA−3)1470gを用いる以外は実施例1と同様にしてAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(RCTM−3))を得た。このメタノール分散液(RCTM−3)の水分含有量は約0.5重量%であって、固形分濃度は30重量%であった。
【0195】
ハードコート層膜形成用塗料組成物(C4)の調製
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製Z−6040)182.7gおよびメタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)32.4gの混合液混合液中に攪拌しながら0.01Nの塩酸水溶液62.3gを滴下した。更に、この混合液を室温で一昼夜攪拌して、シラン化合物の加水分解を行った。
【0196】
次いで、これらの加水分解液が入った容器中に、メタノール(林純薬(株)製、メチルアルコール濃度:99.9重量%)282.7gおよび前記で調製された固形分濃度30重量%のAl修飾金平糖状微粒子のメタノール分散液(RCTM−3)390.9g、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウケミカル製)40.6g、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムIII(東京化成工業(株)製)7.3gおよびレベリング剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7604)1.1gを加え、室温で一昼夜攪拌して、ハードコート層膜形成用塗料組成物(C3)を調製した。
実施例1〜4および比較例1〜3で調製した各粒子の性状を表1に示す。
【0197】
試験用プラスチックレンズ基板(試験片)の作成
(1)プラスチックレンズ基材の前処理
市販のプラスチックレンズ基材「モノマー名:MR−8」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.60)および「モノマー名:MR−7」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.67)を、40℃に保った10重量%濃度のKOH水溶液に2分間浸漬してエッチング処理を行った。更に、これらを取り出して水洗したのち、十分に乾燥させた。
【0198】
(2)プライマー層膜の形成
前処理を行ったプラスチックレンズ基材にプライマー層膜形成用塗料組成物をそれぞれ塗布して塗膜を形成した。なお、この塗料組成物の塗布は、ディッピング法(引き上げ速度120mm/分)を用いて行った。
次に、前記塗膜を100℃で10分間、加熱処理して、塗膜(プライマー層)の予備乾燥を行った。
このようにして形成された前記プライマー層の予備硬化後の膜厚は、概ね0.5〜0.7μmであった。
【0199】
(3)ハードコート層膜の形成
前記前処理を行ったプラスチックレンズ基材、またはプライマー層膜を形成したプラスチックレンズ基材の表面に、ハードコート層膜形成用の塗料組成物を塗布して塗膜を形成した。なお、この塗料組成物の塗布は、ディッピング法(引き上げ速度250mm/分)を用いて行った。
【0200】
次に、前記塗膜を90℃で10分間、乾燥させた後、110℃で2時間、加熱処理して、塗膜(ハードコート層)の硬化を行った。この際、前記プライマー層の本硬化も同時に行った。
なお、このようにして形成された前記ハードコート層膜の硬化後の膜厚は、概ね3.0〜3.5μmであった。
【0201】
(4)反射防止膜層の形成
前記ハードコート層膜の表面に、以下に示す構成の無機酸化物成分を真空蒸着法によって蒸着させた。ここでは、ハードコート層側から大気側に向かって、SiO2:0.06λ、ZrO2:0.15λ、SiO2:0.04λ、ZrO2:0.25λ、SiO2:0.25λの順序で積層された反射防止層膜の層をそれぞれ形成した。また、設計波長λは、520nmとした。
【0202】
外観、耐擦傷性、密着性、耐候性の評価
実施例1〜4、比較例1〜3で得られたハードコート層膜形成用の塗料組成物H1、H2、H3、H4、H5、C1、C2、C3、C4と、プライマー層膜形成用塗料組成物P1およびY1を用いて、表2に示す組み合わせで前処理を行ったプラスチックレンズ基材上にプライマー層膜およびハードコート層膜を形成して試験片1〜12を作製した。
【0203】
なお、プライマー層膜形成用塗料組成物P1とハードコート層膜形成用塗料組成物H1を塗布し反射防止層膜を形成した試験片7の基材、および、プライマー層膜形成用塗料組成物Y1とハードコート層膜形成用塗料組成物C1を塗布し反射防止層膜を形成した試験片8を作成した。
【0204】
さらに、プライマー層膜形成用塗料組成物P2とハードコート層膜形成用塗料組成物H20を塗布し反射防止層膜を形成した試験片9の基材、および、プライマー層膜形成用塗料組成物Y2とハードコート層膜形成用塗料組成物C2を塗布し反射防止層膜を形成した試験片9〜10の基材としては「モノマー名:MR−7」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.67)を用い、それ以外の試験片の基材には「モノマー名:MR−7」(三井化学(株)製、基材の屈折率1.67)を用いた。
【0205】
このようにして得られた試験片1〜10について、上記の評価試験法を用いて、外観(干渉縞)、外観(曇り)、耐擦傷性、膜硬度、密着性、耐候性、耐光性を試験して評価した。その結果を表3に示す。
【0206】
この結果から明らかなように、実施例で作成した塗料組成物を塗布して得られた試験片では耐擦傷性が比較的高いとともに、曇りがなく透明度が高いことがわかった。また、密着性、耐候性および耐光性が高いことがわかった。
【0207】
【表1】

【0208】
【表2】

【0209】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金平糖状の無機酸化物微粒子であって、単位表面積あたりにアルミニウムが0.1×10-6〜1.5×10-6mol/m2となる範囲で修飾されていることを特徴とするAl修飾金平糖状微粒子。
【請求項2】
前記無機酸化物微粒子がジルコニウム、スズ、チタニウム、ニオブ、タングステン、アンチモン、インジウムから選ばれた1種以上の金属元素を含むことを特徴とする請求項1に記載のAl修飾金平糖状微粒子。
【請求項3】
前記無機酸化物微粒子がコアシェル構造であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のAl修飾金平糖状微粒子。
【請求項4】
前記コアシェル構造のシェルがケイ素を含むことを特徴とする請求項3に記載のAl修飾金平糖状微粒子。
【請求項5】
流動電位測定装置によって、測定用水溶液のpHを6に調整して測定した時にカチオン電位測定値として得られる表面負電荷量(μeq/g)が、15〜35μeq/gの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずいれかに記載のAl修飾金平糖状微粒子。
【請求項6】
前記表面負電荷量(μeq/g)を前記Al修飾金平糖状微粒子の比表面積(m2/g)で除して得られる表面粗度(μeq/m2)が、0.07〜0.2μeq/m2の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずいれかに記載のAl修飾金平糖状微粒子。
【請求項7】
前記Al修飾金平糖状微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した平均粒子径が8〜60nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のAl修飾金平糖状微粒子。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のAl修飾金平糖状微粒子を含む分散液。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載のAl修飾金平糖状微粒子と、バインダー成分とを含む塗料組成物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のAl修飾金平糖状微粒子の製造方法であって、下記工程
(1)少なくとも表面にケイ素を含む金平糖状の無機酸化物微粒子を含み、pH9.0〜11.5の範囲にある水分散液を製造する工程と、
(2)前記水分散液に含まれるケイ素をSiO2で表し、アルミニウム源に含まれるアルミニウムをAl23で表したとき、そのモル比(Al23/SiO2)が0.0005〜0.050となるような割合でアルミニウム源を混合する工程と、
(3)得られた混合液を60〜200℃の温度に加熱して、0.5〜20時間、撹拌する工程、
を含むことを特徴とするAl修飾金平糖状微粒子の製造方法。

【公開番号】特開2013−76075(P2013−76075A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−202582(P2012−202582)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】