説明

Al含有溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法

【課題】 鋼板表面の不均一性が存在する鋼板でも、スパングルの均一性が確保されて、良好な表面外観品質を得る。
【解決手段】 鋼板表面を片面当り厚さ0.05μm以上研削した後に、連続式溶融めっき設備に挿入し、鋼板表面にAlを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっき皮膜を形成させるAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であり、その方法により製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、クロメート液、樹脂含有クロメート液等で処理したAl含有溶融亜鉛めっき鋼板も同様に良好な表面外観品質を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続式溶融めっき設備を使用した、Alを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Al含有溶融亜鉛めっき鋼板はめっき外観が美麗でかつ耐食性に優れていることから、クロメート液、樹脂含有クロメート処理液等による化成処理を施して、無塗装状態のままロールフォーミングにより成形加工され、建屋の屋根、あるいは外壁等に広く用いられている。
【0003】Al含有溶融亜鉛めっきが施される鋼板(めっき母材という)は、熱間圧延→酸洗工程を経た後の熱延鋼板、または熱間圧延→酸洗→冷間圧延工程を経た後の冷延鋼板が使用される。これらのめっき前工程を経た鋼板は、例えば特開昭51−81743 号公報に開示されている、図2に示すような連続式溶融めっき設備に挿入される。
【0004】挿入された鋼板1は、先ず還元雰囲気を持つ焼鈍炉2内に入り、加熱され還元焼鈍された後に、下端をめっき浴5に浸漬したスナウト3の中からめっき浴5内に入る。ここで鋼板1の表面には溶融金属が付着する。この後、鋼板1はシンクロール6を経由し、めっき浴5内より排出される過程で、ワイピングノズル7から鋼板1の表面に向かって気体が噴射されて、めっき付着量が調整され、めっき皮膜が形成される。
【0005】このように製造されるAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面には、付着した溶融金属の凝固組織に対応したスパングルと称される模様が現れる。このスパングルの大きさが均一になる(これをスパングルの均一性が確保されるという)と、表面外観品質の良好なめっき鋼板が得られることが知られている。
【0006】また、スパングルの大きさは、主に、鋼板の表面に付着した溶融金属の凝固過程における核生成やデンドライト成長によって決定される。このため、従来より、めっき浴組成、めっき後の冷却速度等のめっき操業条件を所定の管理範囲に精度良く管理して、スパングル均一性の確保に努めてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、同一鋼板製造条件で製造された鋼板を使用し、しかも上述のめっき操業条件が精度良く管理されても、めっき後のスパングルの大きさは、コイル間あるいはコイル内の位置(幅方向および長手方向)で大きくバラツイてしまい、従来より問題となっていた。
【0008】この原因は、めっき前工程の鋼板製造過程において、鋼板表面に生じる酸化状態や濃化元素の不均一性(バラツキ)であり、この不均一性が存在したまま、Al含有溶融亜鉛めっきすると、鋼板表面の不均一性に対応して、スパングルの大きさはバラツイてしまい、表面外観品質が劣化することが、本発明者らの調査により明らかにされた。
【0009】加えて、詳しくは後述するように、不均一性が存在する鋼板表面にAl含有溶融亜鉛めっきを施す場合、Zn−Al合金の凝固特性から、Al含有量が20重量%以下の場合に比べ、Al含有量が20重量%以上の場合の方が、スパングルの不均一性が助長され易く、表面外観品質が劣化し易いことが、本発明者らの調査により明らかにされた。
【0010】上記のような不均一性が存在するAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面にクロメート液、樹脂含有クロメート処理液等による化成処理を施しても、同様に表面外観品質が劣化することが、本発明者らの調査により明らかにされた。
【0011】本発明は、上記従来技術の問題点を解決するために提案されたものであって、Alを20重量%以上含有する溶融亜鉛めっきを施す場合において、鋼板表面の不均一性が存在する鋼板を使用しても、スパングルの均一性が確保されて、良好な表面外観品質の得られるAl含有溶融亜鉛めっき鋼板、更にはその鋼板表面にクロメート、樹脂等の処理を施したAl含有溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、鋼板表面を片面当り厚さ0.05μm以上研削した後に、連続式溶融めっき設備に挿入し、鋼板表面にAlを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっき皮膜を形成させることを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0013】本発明者らは、前述の課題を解決するため、Alを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっき鋼板を製造する際の、Zn−Al合金の凝固特性とスパングルとの関係について鋭意調査、研究を行った。
【0014】この結果、Al含有量が20重量%未満では、スパングル模様はZnがAlを固溶して凝固したデンドライト組織に対応し、Al含有量が20重量%以上では、AlがZnを固溶して凝固したデンドライト組織に対応した凝固組織が生成する。言い換えると、Al含有量が20重量%を境に、異なる金属凝固組織が生成し、同じスパングルと称するものでも、凝固組織に対応してめっき後の表面外観品質が異なることを見出した。
【0015】この結果、前者のAlを20重量%未満含有するめっき鋼板は、後述するAlを20重量%以上含有するめっき鋼板に比べ、表面外観品質に劣り、外観が問題にならない用途に使用されたり、また耐食性も十分でないため、めっき後の表面に塗装を施して使用される。
【0016】一方、後者のAlを20重量%以上含有するめっき鋼板は、スパングル自体が美麗な光沢を有し、またAl含有量が多く耐食性が良好であるため塗装を行わずに、スパングル模様自体に意匠性を持たせて使用されることが可能となる。
【0017】また、Al含有量が95重量%を超えると、Alめっきに近くなり、鋼板表面にスパングル模様が鮮明に現れなくなってくるため、95重量%を上限とする。
【0018】以上説明したことより、スパングルの不均一性が問題となるのは、Al含有量が20重量%以上、95重量%以下の範囲であり、本発明ではAl含有量をこの範囲に限定した上で、後述する手段によりスパングルの均一性を確保して良好な表面外観品質を得ようとするものである。
【0019】次に、本発明者らは、鋼板表面の酸化状態や濃化元素の不均一性の及ぶ範囲を、めっき前工程の鋼板製造条件や、鋼板の品種(含有される合金元素等)を種々変化させて調査した。この結果、通常の冷延鋼板や酸洗熱延鋼板では、その範囲は多くても0.05μm程度であることが判明した。
【0020】鋼板表面を片面当り厚さ0.05μm以上研削した後、鋼板表面の不均一性が除去された鋼板を連続式溶融めっき設備に挿入する。ここで、鋼板は還元雰囲気を持った焼鈍炉内で加熱され、還元焼鈍される。この後、焼鈍された鋼板は、焼鈍炉の後方に配置されたスナウト内に入り、これを経由してめっき浴内に挿入される。スナウトの下端はめっき浴に浸漬しているから、研削後の鋼板表面は空気に触れず酸化されることなく、めっき浴内に挿入される。言い換えると、鋼板表面の均一性が確保された状態で、Al含有溶融亜鉛めっき浴内に挿入される。
【0021】以上述べたことより、片面当り厚さ0.05μm以上研削することにより、Alを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっきを施す場合でも、鋼板表面の不均一性が除去されるから、スパングルの不均一性は助長されることなく、また均一性が確保されて、表面外観品質の良好なAl含有溶融亜鉛めっき鋼板を製造できる。
【0022】請求項2に係る発明は請求項1に係る発明により製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、クロメート処理を施すことを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0023】Al含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、クロメート処理を施すことを必須としている。前述のように、Alを20〜95重量%含有するめっき鋼板は、スパングル模様自体に意匠性を持たせて使用されることが多い。溶融めっき処理を行った後、表面にそれ以上何も処理を施さないと、製品が使用されるまでの保管中および運送中に、鋼板表面に錆を生じてしまうことがある。
【0024】そうなると、いかにスパングル模様の均一性が良好でも、表面外観品質としては劣化してしまうことになる。
【0025】ゆえに、クロメート処理は、このような保管中および運送中の錆発生を防止するために行われる。なお、クロメート処理の方法には、反応型、塗布型、電解型等があるが、どのような方法で行っても良い。
【0026】また、クロメート処理設備を連続式溶融めっき設備に設置して連続で行ってもよいし、連続式溶融めっき設備とは別に設けて行っても良い。
【0027】請求項3に係る発明は請求項2に係る発明において、全クロム含有量に対する6価クロム含有量の比がモル比で0.5以上であるクロメート処理液でクロメート処理を施すことを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0028】全クロム含有量に対する6価クロム含有量の比を規定したのは、0.5未満であると、製品が使用されるまでの保管中および運送中に、鋼板表面が黒変しやすくなり、やはり表面外観品質の劣化をもたらすからである。
【0029】請求項4に係る発明は請求項2又は請求項3に係る発明において、クロメート処理を施した後に、樹脂を塗布することを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0030】樹脂を塗布するのは、上述したクロメート処理による効果を保持させ、又は補完するものであり、Al含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に形成されたスパングル模様の均一性を保持し、表面外観品質を良好に保持させる。
【0031】樹脂はスパングル模様の均一性を劣化させないものであれば良く、アクリルエマルジョン樹脂等を用いることができる。
【0032】請求項5に係る発明は請求項2又は請求項3に係る発明において、樹脂を含有させたクロメート処理液でクロメート処理を施すことを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0033】樹脂を塗布するのは、上述したように、クロメート処理による効果を保持させ、又は補完するものであることから、樹脂を含有させたクロメート処理液でクロメート処理を施しても、同様の効果ができることによる。
【0034】これによって、Al含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に形成されたスパングル模様の均一性を保持し、表面外観品質を良好に保持させる。
【0035】請求項6に係る発明は鋼板表面を片面当り厚さ0.05μm以上研削した後に、連続式溶融めっき設備に挿入し、鋼板表面にAlを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっき皮膜を形成させて製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、金属クロム換算で2〜100mg/m2 のクロメート皮膜を形成させたことを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板である。
【0036】上記のようにして製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、クロメート皮膜を形成させたのは、請求項2に係る発明の際に述べた理由によるものである。この場合、全クロメート付着量が金属クロム換算で2〜100mg/m2 の皮膜を形成させることが必要である。
【0037】下限を金属クロム換算で2mg/m2 としたのは、これよりも少ないと前述した保管中及び運送中の錆発生防止効果が充分ではないためである。上限を金属クロム換算で100mg/m2 としたのは、これよりも多いと製造コスト等の面から経済的に不利になるだけでなく、着色が目立つようになって、やはり表面外観品質の劣化をもたらすためである。
【0038】請求項7に係る発明は、鋼板表面を片面当り厚さ0.05μm以上研削した後に、連続式溶融めっき設備に挿入し、鋼板表面にAlを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっき皮膜を形成させて製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、全クロメート付着量が金属クロム換算で2〜100mg/m2 で、樹脂を含む皮膜を形成させたことを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板である。
【0039】本発明によれば、クロメート皮膜の上に樹脂皮膜を形成した場合と、樹脂とクロメートの混った皮膜を形成した場合が適用できる。
【0040】請求項2または請求項3に係る発明の際に述べた理由によるものである。どちらの場合でも全クロメート付着量が金属クロム換算で2〜100mg/m2 の皮膜を形成させることが必要である。限定理由は請求項6の発明の際に述べた理由によるものである。
【0041】樹脂はスパングル模様の均一性を劣化させないものであれば良く、アクリルエマルジョン樹脂等を用いることができる。
【0042】通常用いられる樹脂の付着量は0.5〜4.0g/m2 である。0.5g/m2 未満では効果が期待できず、4.0g/m2 を超えた場合は効果が横這いである。
【0043】
【発明の実施の形態】研削の目的は、前工程で生じた鋼板表面における酸化状態や濃化元素の不均一性を除去し、表面品質の均一性を得る点にある。
【0044】研削の方法は、例えばブラシロールや表面に砥石を設けたロール等の機械的研削方法が採用されるが、これ以外の化学的研削方法等でも良い。また、研削設備を連続式溶融めっき設備の前に設置して連続的に処理するか、あるいは別の工程で研削し、この後に連続式溶融めっき設備に挿入しても良い。ただし、後者では、研削後に新たに鋼板表面が酸化して不均一性が生じるから、この防止対策が必要となるため、前者の方が生産性、コスト、作業管理など有利である。
【0045】研削量の上限は特に規定しない。しかしながら、研削量を多くするためには、研削設備を増強したり、ラインスピードを下げる必要が生じ、これはコストアップや生産性の低下を招く。また、研削量を必要量以上に増加しても、スパングルの均一性に与える効果は飽和してしまう。更に、研削量が増えると研削による板厚減少が無視できない量になってくる。このような状況を総合的に勘案し、実際上、片面当たり厚さ5μm程度までが現実的と考える。
【0046】また、本発明においては、鋼板表面を片面当り厚さ0.05μm以上研削した後に、連続式溶融めっき設備に挿入し、鋼板表面にAlを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっき皮膜を形成させて製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、クロメート処理を施し、クロメート処理を施した後に、樹脂を塗布し、又は樹脂を含有させたクロメート処理液でクロメート処理を施すことを行う。
【0047】その場合はクロメート処理設備又はクロメート処理設備と樹脂塗布設備の両方を連続式溶融めっき設備に設置して連続で行なう。
【0048】この場合、樹脂塗布設備は連続式溶融めっき設備とは別に設けても良い。あるいはクロメート処理設備と樹脂塗布設備の両方を連続式溶融式めっき設備とは別に設けて行っても良い。
【0049】また、樹脂を含有させたクロメート処理液でクロメート処理を施す場合は、クロメート処理設備を一部改造して使用することができる。
【0050】
【実施例】
(実施例1)本発明の効果を確認するために、連続式溶融めっき設備の入側にブラシロールを備えた表面研削装置を設置して溶融亜鉛めっき鋼板の製造試験を行った。めっき母材として、板幅1050mm、板厚が0.27〜1.0mmの範囲の低炭素Alキルド鋼の冷延鋼板を使用した。鋼板表面の研削量を0〜1.34μmの範囲で変化させ、表面研削後の鋼板を連続式溶融めっき設備に挿入し、焼鈍炉内で750℃に加熱し、還元焼鈍した。その後、炉内で板温を580℃まで冷却した後、溶融めっき浴に挿入した。めっき浴組成は55%Al-1.5%Si-Zn、めっき付着量は両面で150g/m2以上とした。その他の製造条件は同等材を通板するときの標準的な条件とした。
【0051】めっき後の表面外観品質は、本発明者らの提唱する「スパングル均一性インデックス」を用いてスパングルの大きさおよび形状の均一性を評価した。ここで、「スパングル均一性インデックス」とは、10cm×10cmの鋼板サンプルから任意に10箇所選定し、1cmの長さを横切るスパングルの数をカウントした時に、「スパングル均一性インデックス」=「最大カウント値」/「最小カウント値」と定義する。「スパングル均一性インデックス」が、1.0〜1.5の範囲にあればスパングルの均一性は良好であると判定する。
【0052】表1、表2は試験条件とその結果を示す。また図1は、表1より鋼板表面の研削量とスパングル均一性インデックスとの関係を図示したものである。
【0053】
【表1】


【0054】
【表2】


【0055】図1より、0.05μm以上の研削量が確保される実施例では、スパングル均一性インデックスが1.0〜1.5の範囲にあり、スパングルの均一性が確保され、良好な表面外観品質が得られた。しかし、0.05μm未満の比較例および研削しない従来例では、スパングル均一性インデックスは1.5を越えてしまい、スパングルの均一性が確保されず、良好な表面外観品質も得られなかった。
【0056】(実施例2)次に、実施例1の表1に示される実験番号13、14、15と同じ条件のAl含有溶融亜鉛めっき鋼板を供試料として、それにクロメート処理を施し場合(該当○印)、クロメート処理を施した後に、樹脂を塗布した場合(該当○印)、及び樹脂を含有させたクロメート処理液でクロメート処理を施した場合(該当○印)に区分してAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の外観目視評価を行った。外観目視評価は良好(○印)、不良(×印)で表示した。
【0057】クロメート処理液は全クロム含有量に対する6価クロム含有量の比がモル比で0.75とした。
【0058】クロメート付着量は金属クロム換算で15mg/m2 とした。樹脂にはアクリルエマルジョン樹脂を用い、樹脂付着量を2.0g/m2 とした。
【0059】比較例として実施例1の表1に示される実験番号11、12と同じ条件のAl含有溶融亜鉛めっき鋼板を供試料として用いた。
【0060】表2は試験条件とその結果を示す。
【0061】
【表3】


【0062】表3から明らかなように、本発明例では、クロメート処理を施し場合、クロメート処理を施した後に、樹脂を塗布した場合、及び樹脂を含有させたクロメート処理液でクロメート処理を施した場合のいずれも外観目視評価は良好であった。
【0063】しかし、比較例では、クロメート処理を施した場合、クロメート処理を施した後に、樹脂を塗布した場合、及び樹脂を含有させたクロメート処理液でクロメート処理を施した場合のいずれも外観目視評価は不良であった。
【0064】
【発明の効果】本発明方法によれば、連続式溶融めっき設備に挿入する前に、片面当り厚さ0.05μm以上研削することにより、鋼板表面の不均一性が除去されるから、スパングルの不均一性は助長されることなく、スパングル均一性インデックスは1.0〜1.5の範囲が確保され、表面外観品質の良好なAl含有溶融亜鉛めっき鋼板を製造できる。
【0065】さらに、上記のようにして製造されたAlを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、クロメート処理を施した場合、クロメート処理を施した後に、樹脂を塗布した場合、又は樹脂を含有させたクロメート処理液でクロメート処理を施した場合によって製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼板は、いずれの場合もその表面に形成されたスパングル模様の均一性を保持し、表面外観品質を良好に保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板表面の研削量とスパングル均一性インデックスとの関係を調査した図である。
【図2】連続式溶融めっき設備を使用して溶融亜鉛めっき鋼板を製造している状況を示す図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 焼鈍炉
3 スナウト
4 めっき槽
5 めっき浴
6 シンクロール
7 ワイピングノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 鋼板表面を片面当り厚さ0.05μm以上研削した後に、連続式溶融めっき設備に挿入し、鋼板表面にAlを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっき皮膜を形成させることを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【請求項2】 請求項1記載の方法により製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、クロメート処理を施すことを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【請求項3】 全クロム含有量に対する6価クロム含有量の比がモル比で0.5以上であるクロメート処理液でクロメート処理を施すことを特徴とする請求項2記載のAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【請求項4】 クロメート処理を施した後に、樹脂を塗布することを特徴とする請求項2又は請求項3記載のAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【請求項5】 樹脂を含有させたクロメート処理液でクロメート処理を施すことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【請求項6】 鋼板表面を片面当り厚さ0.05μm以上研削した後に、連続式溶融めっき設備に挿入し、鋼板表面にAlを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっき皮膜を形成させて製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、金属クロム換算で2〜100mg/m2 のクロメート皮膜を形成させたことを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板。
【請求項7】 鋼板表面を片面当り厚さ0.05μm以上研削した後に、連続式溶融めっき設備に挿入し、鋼板表面にAlを20〜95重量%含有する溶融亜鉛めっき皮膜を形成させて製造されたAl含有溶融亜鉛めっき鋼板の表面に、全クロメート付着量が金属クロム換算で2〜100mg/m2 で、樹脂を含む皮膜を形成させたことを特徴とするAl含有溶融亜鉛めっき鋼板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平9−235661
【公開日】平成9年(1997)9月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−338103
【出願日】平成8年(1996)12月18日
【出願人】(000004123)日本鋼管株式会社 (1,044)