Apo−2リガンド変異体とその使用法
【課題】Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの提供。
【解決手段】Apo-2リガンドの天然配列中に一又は複数のアミノ酸置換を含むApo-2リガンド変異体。Apo-2リガンド変異体はシステイン、リジン及びセリン置換を含みうる。Apo-2リガンド変異体をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離核酸、そのような核酸を含んでなるベクター及びこれらのベクターを含んでなる宿主細胞。哺乳動物の癌細胞においてアポトーシスを誘導又は刺激し、又は免疫関連疾患、例えば関節炎又は多発性硬化症を治療するために有用な製薬的に許容可能なApo−2リガンド変異体ポリペプチドを含有する製剤。
【解決手段】Apo-2リガンドの天然配列中に一又は複数のアミノ酸置換を含むApo-2リガンド変異体。Apo-2リガンド変異体はシステイン、リジン及びセリン置換を含みうる。Apo-2リガンド変異体をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離核酸、そのような核酸を含んでなるベクター及びこれらのベクターを含んでなる宿主細胞。哺乳動物の癌細胞においてアポトーシスを誘導又は刺激し、又は免疫関連疾患、例えば関節炎又は多発性硬化症を治療するために有用な製薬的に許容可能なApo−2リガンド変異体ポリペプチドを含有する製剤。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般にApo-2リガンド変異体、特にApo-2リガンド置換変異体、並びにその化学的修飾形態に関する。
【0002】
(発明の背景)
哺乳動物における細胞数のコントロールは、細胞増殖と細胞死のバランスにより部分的に決定されると考えられている。しばしば壊死性細胞死と称される細胞死の一形態は、典型的には、ある種の外傷又は細胞傷害の結果生じる細胞死の病理的形態として特性付けられる。これに対して、通常は規則的又はコントロールされた状態で進行する細胞死の他の「生理的」形態がある。細胞死のこの規則的又はコントロールされた形態は、しばしば「アポトーシス」と称される[例えば、Barrら, Bio/Technology, 12:487-493(1994);Stellerら, Science, 267:1445-1449(1995)を参照]。アポトーシス性細胞死は、免疫系におけるクローン選択と胚の発達を含む多くの生理的プロセスにおいて自然に生じる[Itohら,Cell, 66:233-243(1991)]。
【0003】
様々な分子、例えば腫瘍壊死因子-α(「TNF-α」)、腫瘍壊死因子-β(「TNF-β」又は「リンホトキシン-α」)、リンホトキシン-β(「LT-β」)、CD30リガンド、CD27リガンド、CD40リガンド、OX-40リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド(Fasリガンド又はCD95リガンドとも称される)、Apo-2リガンド(Apo2L又はTRAILとも称される)、Apo-3リガンド(TWEAKとも称される)、APRIL、OPGリガンド(RANKリガンド、ODF又はTRANCEとも称される)、及びTALL-1(BlyS、BAFF又はTHANKとも称される)が、サイトカインの腫瘍壊死因子(「TNF」)ファミリーのメンバーとして同定されている[例えば、Gruss及びDower, Blood, 85:3378-3404(1995);Schmidら, Proc. Natl. Acad. Sci., 83:1881 (1986);Dealtryら, Eur. J. Immunol., 17:689 (1987);Pittiら, J. Biol. Chem., 271:12687-12690(1996);Wileyら, Immunity, 3:673-682(1995);Browningら, Cell, 72:847-856(1993);Armitageら, Nature, 357:80-82(1992), 1997年1月16日公開のWO97/01633;1997年7月17日公開のWO97/25428;Marstersら, Curr. Biol., 8:525-528(1998);Chicheporticheら, Biol. Chem., 272:32401-32410(1997);Hahneら, J. Exp. Med., 188:1185-1190(1998);1998年7月2日公開のWO98/28426;1998年10月22日公開のWO98/46751;1998年5月7日公開のWO/98/18921;Mooreら, Science, 285:260-263(1999);Shuら, J. Leukocyte Biol., 65:680(1999);Schneiderら, J. Exp. Med., 189:1747-1756(1999);Mukhopadhyayら, J. Biol. Chem., 274:15978-15981(1999)参照]。これらの分子のなかでも、TNF-α、TNF-β、CD30リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド、Apo-2リガンド(Apo2L/TRAIL)及びApo-3リガンド(TWEAK)は、アポトーシス性細胞死に関与していることが報告されている。
【0004】
Apo2L/TRAILはサイトカインのTNFファミリーのメンバーとして数年前に同定された。[例えばWileyら, Immunity, 3:673-682 (1995); Pittiら, J. Biol. Chem., 271:12697-12690 (1996); 2001年9月4日発行の米国特許第6284236を参照]。完全長ヒトApo2L/TRAILポリペプチドは281アミノ酸長のII型膜貫通タンパク質である。ある細胞は、ポリペプチドの細胞外領域の酵素による切断を通して、そのポリペプチドの天然の可溶型を生じうる[Marianiら, J. Cell. Biol., 137:221-229 (1997)]。Apo2L/TRAILの可溶型の結晶学的研究はTNF及び他の関連タンパク質の構造に類似したホモ三量体構造を明らかにする[Hymowitzら, Molec. Cell, 4:563-571 (1999); Hymowitzら, Biochemistry, 39:633-644 (2000)]。しかし、他のTNFファミリーメンバーとは異なり、Apo2L/TRAILは、(ホモ三量体の各サブユニットの位置230の)3つのシステイン残基が併せて亜鉛原子を配位しており、亜鉛の結合が三量体の安定性と生物学的活性のために重要であるという独特の構造的特徴を有していることが分かった。[上掲のHymowitzら; Bodmerら, J. Biol. Chem., 275:20632-20637 (2000)]。
Apo2L/TRAILは、リウマチ様関節炎のような自己免疫疾患を含む免疫系の調節に役割を担っている可能性があることが文献において報告されている[例えば、Thomasら, J. Immunol., 161:2195-2200 (1998); Johnsenら, Cytokine, 11:664-672 (1999); Griffithら, J. Exp. Med., 189:1343-1353 (1999); Songら, J. Exp. Med., 191:1095-1103 (2000)]。
【0005】
Apo2L/TRAILの可溶型はまた大腸、肺、乳房、前立腺、膀胱、腎臓、卵巣及び脳腫瘍を含むインビトロの様々な癌細胞並びに黒色腫、白血病、及び多発性骨髄腫においてアポトーシスを誘導することが報告されている[例えば、上掲のWileyら; 上掲のPittiら; Riegerら, FEBS Letters, 427:124-128 (1998); Ashkenaziら, J. Clin. Invest., 104:155-162 (1999); Walczakら, Nature Med., 5:157-163 (1999); Keaneら, Cancer Research, 59:734-741 (1999); Mizutaniら, Clin. Cancer Res., 5:2605-2612 (1999); Gazitt, Leukemia, 13:1817-1824 (1999); Yuら, Cancer Res., 60:2384-2389 (2000); Chinnaiyanら, Proc. Natl. Acad. Sci., 97:1754-1759 (2000)を参照のこと]。マウス腫瘍モデルでのインビボ研究は、Apo2L/TRAILが、単独で又は化学療法又は放射線療法と組み合わせて、実質的な抗腫瘍効果を生じうることを示唆している[例えば上掲のAshkenaziら;上掲のWalzcakら;Gliniakら, Cancer Res., 59:6153-6158 (1999);上掲のChinnaiyanら; Rothら, Biochem. Biophys. Res. Comm., 265:1999 (1999)を参照のこと]。多くのタイプの癌細胞とは対照的に、殆どの正常なヒト細胞タイプはApo2L/TRAILのある種の組換え形態によるアポトーシスの誘導に対して耐性があるように思われる[上掲のAshkenaziら;上掲のWalzcakら]。Joらは、Apo2L/TRAILのポリヒスチジンタグ可溶型が正常な単離された非ヒトではなくヒト肝細胞においてインビトロにてアポトーシスを誘導したことを報告している[Joら, Nature Med., 6:564-567 (2000);またNagata, Nature Med., 6:502-503 (2000)を参照のこと]。ある種の組換えApo2L/TRAIL調製物は、例えばタグ分子の有無、亜鉛含有量、及び三量体の含有%に応じて、死亡対正常細胞に対する生化学的性質及び生物学的活性に関して変動しうると考えられている。[Lawrenceら, Nature Med., Letter to the Editor, 7:383-385 (2001); Qinら, Nature Med., Letter to the Editor, 7:385-386 (2001)]。
【0006】
このようなTNFファミリーのサイトカインが介在する種々の細胞応答の誘導は、特異的な細胞レセプターに結合することにより開始されると考えられている。約55-kDa(TNFR1)と75-kDa(TNFR2)の2つの異なるTNFレセプターが同定され[Hohmanら, J. Biol. Chem., 264:14927-14934(1989);Brockhausら, Proc. Natl. Acad. Sci., 87:3127-3131(1990);1991年3月20日に公開された欧州特許第417563号]、両者のレセプター型に対応するヒト及びマウスcDNAが単離され特徴付けられている[Loetscherら, Cell, 61:351(1990);Schallら, Cell, 61:361(1990);Smithら, Science, 248:1019-1023(1990);Lewisら, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:2830-2834(1991);Goodwinら, Mol. Cell. Biol., 11:3020-3026(1991)]。広範な多型が両方のTNFレセプター遺伝子に伴っている[例えばTakaoら, Immunogenetics, 37:199-203 (1993)]。両方のTNFRが細胞外、膜貫通及び細胞内領域を含む細胞表面レセプターの典型的な構造を共有している。双方のレセプターの細胞外部分はまた可溶型TNF結合タンパク質として天然に見出されている[Nophar, Yら, EMBO J., 9:3269(1990);及びKohno, Tら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 87:8331(1990)]。組換え可溶型TNFレセプターのクローニングはHale等[J. Cell. Biochem. 増補15F, 1991, p.113(P424)]によって報告されている。
【0007】
1型又は2型のTNFR(TNFR1及びTNFR2)の細胞外部分は、NH2-末端から出発して、1から4と命名される4つのシステインに富んだドメイン(CRD)の反復アミノ酸配列パターンを含む[Schallら, 上掲;Loetscherら, 上掲;Smithら, 上掲;Nopharら, 上掲;Kohnoら, 上掲]。TNFR1における、4つのCRDのおおよその境界は次の通りである:CRD1−約14から約53までのアミノ酸;CRD2−約54から約97までのアミノ酸;CRD3−約98から約138までのアミノ酸;CRD4−約139から約167までのアミノ酸。TNFR2における、CRD1は17から約54までのアミノ酸;CRD2−約55から約97までのアミノ酸;CRD3−約98から約140までのアミノ酸;及びCRD4−約141から約179までのアミノ酸を含む[Bannerら, Cell, 73:431-435 (1993)]。リガンド結合におけるCRDの潜在的な役割はまた上掲のBannerらに記載されている。
【0008】
CRDの類似の反復パターンが、p75神経成長因子レセプター(NGFR)[Johnsonら, Cell, 47:545(1986);Radekら, Nature, 325:593(1987)]、B細胞抗原CD40[Stamenkovicら, EMBO J., 8:1403(1989)]、T細胞抗原OX40[Malletら, EMBO J., 9:1063(1990)]及びFas抗原[Yoneharaら, J. Exp. Med. 及びItohら, Cell, 66:233-243(1991)]を含む幾つかの他の細胞表面タンパク質に存在している。また、CRDはショープ(Shope)及び粘液腫ポックスウィルスの可溶型TNFR(sTNFR)様のT2タンパク質にも見出されている[Uptonら, Virology, 160:20-29(1987);Smithら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 176:335(1991);Uptonら, Virology, 184:370(1991)]。これらの配列の最適なアラインメントは、システイン残基の位置が良好に保存されていることを示している。これらレセプターは、しばしば集合的に、TNF/NGFレセプタースーパーファミリーのメンバーと称される。p75NGFRに関する最近の研究では、CRD1の欠失[Welcher A.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:159-163 (1991)]又はこのドメインでの5-アミノ酸の挿入がNGF結合には殆ど又は全く効果がないことを示した[上掲のYan, H.及びChao, M.V.]。p75NGFRはそのCRD4及び膜貫通領域の間に約60のアミノ酸のプロリンリッチなストレッチを含んでおり、これはNGF結合には関与していない[Peetre, C.ら, Eur. J. Hematol., 41:414-419 (1988); Seckinger, Pら, J. Biol. Chem., 264:11966-11973 (1989); 上掲のYan, H及びChao, M.V.]。
【0009】
リンホトキシン-αを除き、今日までに同定されているTNFファミリーのリガンドは、II型の膜貫通タンパク質であり、そのC末端は細胞外にある。これに対して、今日までに同定されているTNFレセプター(TNFR)ファミリーのほとんどのレセプターはI型の膜貫通タンパク質である。しかしながら、TNFリガンド及びレセプターファミリーの双方において、ファミリーメンバー間で同定された相同性は、主として細胞外ドメイン(「ECD」)において見出されている。TNF-α、Apo-1リガンド及びCD40リガンドを含むTNFファミリーサイトカインのいくつかは、細胞表面においてタンパク分解的に切断され;それぞれの場合に得られるタンパク質は、典型的には、可溶性サイトカインとして機能するホモ三量体分子を形成する。また、TNFレセプターファミリーのタンパク質は、通常、タンパク分解的に切断され、同族のサイトカインの阻害剤として機能し得る可溶性レセプターのECDを放出する。
【0010】
最近になって、TNFRファミリーの他のメンバーが同定されている。このような新たに同定されたTNFRのメンバーは、CAR1、HVEM及びオステオプロテジェリン(osteoprotegerin)(OPG)[Brojatschら, Cell, 87:845-855 (1996); Montgomeryら, Cell, 87:427-436 (1996); Marstersら, J.Biol.Chem., 272:14029-14032 (1997); Simonetら, Cell, 89:309-319 (1997)]を含む。上掲のSimonetらは、他の周知のTNFR様分子とは異なり、OPGは疎水性の膜貫通−スパニング配列を含まないと報告している。下記にて検討されているように、OPGはデコイ(囮)レセプターのように作用すると考えられている。
Panらは、「DR4」と称される他のTNFレセプターファミリーのメンバーを開示している[Panら, Science, 276:111-113(1997)]。DR4は細胞自殺機構に関与可能な細胞質デスドメインを含むと報告されている。Panらは、DR4がApo-2リガンド又はTRAILとして知られているリガンドに対するレセプターであると考えられることを開示している。
【0011】
Sheridanら, Science, 277: 818-821 (1997)及びパンら, Science, 277: 815-818 (1997)においては、Apo-2L/TRAILに対するレセプターと思われる他の分子が記載されている[1998年11月19日に公開の国際公開98/51793;1998年9月24日公開の国際公開98/41629もまた参照のこと]。この分子は、DR5と呼ばれる(あるいは、Apo-2;TRAIL-R、TR6、Tango-63、hAPO8、TRICK2又はKILLERとも呼ばれている[Screatonら, Curr. Biol., 7:693-696 (1997); Walczakら, EMBO J., 16:5386-5387 (1997);Wuら, Nature Genetics, 17:141-143 (1997);1998年8月20日公開の国際公開98/35986;1999年1月21日公開の国際公開99/02653;1998年2月25日公開の国際公開99/09165;1999年3月11日公開の国際公開99/11791])。DR4と同様に、DR5は細胞質デスドメインを含み、アポトーシスをシグナル伝達可能であると報告されている。Apo-2L/TRAIL及びDR5の間に形成される複合体の結晶構造はHymowitzら, Molecular Cell, 4:563-571 (1999)に記載されている。
【0012】
最近同定されたTNFRファミリーメンバーの更なるグループは、「デコイレセプター」と称され、シグナル伝達トランスデューサーというよりはむしろ阻害剤として機能すると考えられている。このグループには、DCR1(TRID、LIT又はTRAIL-R3とも称される)[Panら, Science, 276:111-113(1997);Sheridanら, Science, 277:818-821 (1997);McFarlaneら, J. Biol. Chem., 272:25417-25420(1997);Schneiderら, FEBS Letters, 416:329-334(1997);Degli-Espostiら, J. Exp. Med., 186:1165-1170(1997);及びMongkolsapayaら, J. Immunol., 160:3-6(1998)]及びDCR2(TRUNDD,又はTRAIL-R4とも称される)[Marstersら, Curr. Biol., 7:1003-1006(1997);Panら, FEBS Letters, 424:41-45(1998);Degli-Espostiら, Immunity, 7:813-820(1997)]が含まれ、両者とも細胞表面分子であり、更にOPG[上掲のSimonetら]及びDCR3[Pitti等, Nature, 396:699-703(1998)]も含まれ、これら両者は分泌性の可溶性タンパク質である。Apo-2L/TRAILはDcR1、DcR2及びOPGと称されるレセプターに結合すると報告されている。
【0013】
Apo2L/TRAILは細胞表面「デスレセプター」DR4及びDR5を通して作用してカスパーゼ、又は細胞死プログラムを実施する酵素を活性化させると考えられている。[例えば、Salvesenら, Cell, 91:443-446 (1997)を参照のこと]。リガンド結合の際、DR4とDR5は、双方共、FADD/Mort1[Kischkelら, Immunity, 12:611-620 (2000); Sprickら, Immunity, 12:599-609 (2000); Bodmerら, Nature Cell Biol., 2:241-243 (2000)]と称されるデスドメイン含有アダプター分子を通してアポトーシス発動因子であるカスパーゼ-8を独立して補充し活性化することによってアポトーシスを惹起しうる。DR4及びDR5とは対照的に、DcR1及びDcR2レセプターはアポトーシスをシグナル伝達しない。
サイトカインのTNFファミリー及びそれらのレセプターの概説については、Ashkenazi及びDixit, Science, 281:1305-1308(1998);Ashkenazi及びDixit, Curr. Opin. Cell Biol., 11:255-260 (2000); Golstein, Curr. Biol., 7:750-753(1997);上掲のGruss及びDower、及びNagata, Cell, 88:355-365(1997); Locksleyら, Cell, 104:487-501 (2001)を参照のこと。
【0014】
多様な境界面に関与するあるタンパク質のタンパク質-タンパク質相互作用において、亜鉛結合部位は構造的役割を担うことが示されているが[Feeseら, Proc. Natl. Acad. Sci., 91:3544-3548(1994);Somersら, Nature, 372: 478-481(1994);Ramanら, Cell, 95: 939-950(1998)]、TNFファミリー(CD40リガンド、TNF−α、又はTNF−β)で以前に構造的に特徴付けられたメンバーには、金属へ結合するものはない。ヒト成長ホルモン(hGH)ような種々のホルモンの製剤における亜鉛のような金属イオンの利用は、文献に記載されている。[例えば、1992年10月15日公開の国際公開92/17200を参照のこと]。レセプターへのhGHの結合における亜鉛の関与は同様に1992年3月5日公開の国際公開92/03478に記載されている。インターフェロン-α二量体及びインターフェロン-β二量体における亜鉛結合の役割は、それぞれWalterら, Structure, 4:1453-1463(1996)及びKarpusasら, Proc. Natl. Acad. Sci., 94:11813-11818(1997)に報告されている。亜鉛のような種々の金属イオンの構造的及び生物学的役割は、当該分野で概説されていおり、例えば、Christiansonら, Advances in Protein Chemistry, 42: 281-355(1991)を参照のこと。
【0015】
(発明の概要)
本発明はApo-2リガンド変異体を提供する。特に、本発明は、Apo-2リガンドの天然配列(図1)中に一又は複数のアミノ酸置換を含むApo-2リガンド変異体を提供する。場合によっては、Apo-2リガンド変異体は以下の表Iに提供されるようにシステイン、リジン及びセリン置換を含みうる。本発明の代表的な実施態様は、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。本発明の関連実施態様は、一又は複数のポリオール基、例えばポリ(エチレングリコール)に抱合又は結合したそのようなApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。本発明の非常に好適な実施態様は、そのような置換を有し、更にDR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるデスレセプターに結合し、及び/又は一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導するApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。
【0016】
本発明の関連実施態様は、そのようなApo-2リガンド変異体をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離核酸、そのような核酸を含んでなるベクター及びこれらのベクターを含んでなる宿主細胞(例えば大腸菌)を含む。関連実施態様は、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドをコードするベクターを含む宿主細胞を、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを発現するのに十分な条件下で培養培地中で培養し、ついでApo-2リガンド変異体ポリペプチドを回収し精製する方法を含む。
本発明の更に他の実施態様は、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の次の残基位置:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に一又は複数のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体である。本発明の関連実施態様は、一又は複数のポリオール基、例えばポリ(エチレングリコール)に抱合又は結合したApo-2リガンド三量体を含む。本発明の好適な実施態様では、これらの三量体はDR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるデスレセプターに結合する。
【0017】
本発明の更に他の実施態様は、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図3に示されたDR5・Apo2L複合体のX線結晶構造から同定された残基位置に一又は複数のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドである。好適な実施態様では、残基位置は、DR5・Apo2L複合体のレセプター接触領域の外側にあり、かつ高溶媒到達性を示す。非常に好適な実施態様では、そのような単離Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの残基位置は、図3に提供されたDR5・Apo2L複合体のX線結晶構造に示されるように上部から底部までのApo2L単量体の一面に位置している。本発明の関連実施態様は、ポリ(エチレングリコール)のような一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したかかるApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。本発明の非常に好適な実施態様は、そのような置換を有し、更にDR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるデスレセプターに結合し、及び/又は一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導するApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。
【0018】
本発明の更に他の実施態様は、少なくとも二のApo-2リガンド三量体を含んでなるApo-2リガンド三量体オリゴマーであって、各Apo-2リガンド三量体中の少なくとも一のApo-2リガンド単量体が、図1(配列番号:1)のアミノ酸残基位置170にシステインアミノ酸置換を有するApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含み、Apo-2リガンド三量体が、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの位置170のシステインアミノ酸残基間でジスルフィド結合によって結合しているApo-2リガンド三量体オリゴマーを含む。
他の実施態様では、本発明はApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する製剤を提供する。特に、本発明は一又は複数のApo-2リガンド変異体ポリペプチド及び担体、例えば製薬的に許容可能な担体、及び場合によっては一又は複数の二価金属イオンを含有する組成物を提供する。一実施態様では、そのような組成物は製造物品又はキットに収容されうる。該組成物は、例えば哺乳動物の癌細胞においてアポトーシスを誘導又は刺激し、又は免疫関連疾患、例えば関節炎又は多発性硬化症を治療するために有用な製薬的に許容可能な製剤でありうる。
また、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを使用する治療方法が提供される。
【0019】
本発明の特定の実施態様は、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。このようなApo-2リガンド変異体をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離核酸、ベクター及び宿主細胞が更に提供される。Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを製造する方法において、そのような宿主細胞を提供し;培養培地を提供し;Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを発現するのに十分な条件下で培養培地中で宿主細胞を培養し;宿主細胞又は培養培地からApo-2リガンド変異体ポリペプチドを回収し;Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを精製する工程を含んでなる方法が提供される。場合によっては、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドは、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの実際の分子量を増大させる一又は複数のポリオール基に抱合又は結合されている。場合によっては、かかるApo-2リガンド変異体ポリペプチドは、2000ダルトン又は約2000ダルトンの分子量を有するポリ(エチレングリコール)の一分子に抱合又は結合されている。
【0020】
本発明の更なる実施態様は、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の次の残基位置に一又は複数のアミノ酸置換:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264を有するアミノ酸配列を含んでなる少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体を含む。
本発明の更なる実施態様は、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、
(a)図3に示されたDR5・Apo2L複合体のレセプター接触領域の外側にあり;かつ
(b)図3に示されたDR5・Apo2L複合体の結晶構造において高溶媒到達性を示す;
残基位置となるように図3に示されたDR5・Apo2L複合体のX線結晶構造から同定された残基位置に一又は複数のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。場合によっては、そのようなApo-2リガンド変異体ポリペプチドは、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;N153;R170;D234;E249;R255;E263;H264の一又は複数を有する。場合によっては、そのようなApo-2リガンド変異体ポリペプチドは一又は複数のポリオール基に抱合又は結合している。
【0021】
本発明の更なる実施態様は、製薬的に許容可能な担体と混合せしめられて、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる有効量の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する製薬的組成物を含む。場合によっては、かかる製薬組成物は一又は複数の二価金属イオンを含む。
本発明の更なる実施態様は、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるレセプターを発現する哺乳動物細胞を、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる治療的有効量の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドに暴露することを含む、哺乳動物においてアポトーシスを誘導する方法を含む。
【0022】
本発明の更なる実施態様は、哺乳動物細胞における癌を治療する方法において、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる有効量の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを上記哺乳動物に投与することを含む方法を含む。場合によっては、該方法において、癌は肺癌、乳癌、大腸癌、又は直腸結腸癌である。
本発明の更なる実施態様は、哺乳動物細胞における免疫関連疾患を治療する方法において、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる有効量の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを上記哺乳動物に投与することを含む方法を含む。場合によっては、該方法では、免疫関連疾患は関節炎又は多発性硬化症である。
【0023】
(好適な実施態様の詳細な説明)
I.定義
「Apo-2リガンド」、「Apo2L」、「Apo-2L」及び「TRAIL」という用語は、ここでは図1に示されたアミノ酸配列のアミノ酸残基114−281、95−281、残基92−281、残基91−281、残基41−281、残基15−281、又は残基1−281、並びに上記配列の生物学的に活性な断片、欠失、挿入、又は置換変異体を含むポリペプチド配列を意味するものとして使用される。一実施態様では、ポリペプチド配列は図1(配列番号:1)の残基114−281を含む。場合によっては、ポリペプチド配列は図1の残基95−281、残基92−281又は残基91−281を含む。Apo-2Lポリペプチドは図1に示された天然ヌクレオチド配列によってコードされていてもよい。場合によっては、残基Pro119(図1)をコードするコドンは「CCT」又は「CCG」でありうる。他の好適な実施態様では、断片又は変異体は生物学的に活性であり、上記の配列の何れか一と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%の配列同一性、更により好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。この定義には、その天然のアミノ酸の少なくとも一がシステイン残基のような他のアミノ酸残基によって置換されているApo-2リガンドの置換変異体が包含される。好適な置換変異体は、以下の表Iに特定された残基の置換の一又は複数を含む。定義には、組換え又は合成法によって調製された、又はApo-2リガンド源から単離された天然配列Apo-2リガンドもまた包含される。本発明のApo-2リガンドは1997年1月16日公開の国際公開97/01633、1997年7月17日公開の国際公開97/25428及び2001年1月4日公開の国際公開01/00832に開示されたApo-2リガンド又はTRAILと称されるポリペプチドを含む。「Apo-2リガンド」、「Apo2L」又は「Apo-2L」という用語は、一般に、ポリペプチドの単量体、二量体又は三量体を含むApo-2リガンドの形態を意味するものとして使用される。Apo-2L配列において言及されているアミノ酸残基の全ての番号付けは、特に他の定義を述べない限り、図1(配列番号:1)における番号付けを使用している。例えば、「D203」又は「Asp203」は図1(配列番号:1)に与えられた配列中、位置203のアスパラギン酸残基を意味する。
【0024】
「Apo-2リガンド細胞外ドメイン」又は「Apo-2リガンドECD」という用語は、膜貫通及び細胞質ドメインを本質的に持たないApo-2リガンドの可溶型を意味する。通常、ECDは、そのような膜貫通及び細胞質ドメインを1%未満、好ましくはそのようなドメインを0.5%未満だけ有する。
「Apo-2リガンド単量体」又は「Apo-2L単量体」という用語はApo-2Lの細胞外ドメイン配列の共有結合鎖を意味する。
「Apo-2リガンド二量体」又は「Apo-2L二量体」という用語はジスルフィド結合を介して共有結合によって結合した二つのApo-2L単量体を意味する。ここで使用される該用語には、Apo-2Lの三量体型内にあるApo-2L二量体及び遊離しているApo-2L二量体が含まれる(すなわち、他のApo-2L単量体と結合している)。
「Apo-2リガンド三量体」又は「Apo-2L三量体」という用語は非共有的に結合している(associated)三つのApo-2L単量体を意味する。
【0025】
「Apo-2L.0」又は「Apo2L.0」という用語は図1(配列番号:1)のアミノ酸114から281からなり、如何なるエピトープタグ配列にも結合又は抱合されていないポリペプチドを意味する。
ここで使用されるところの「DR4レセプター」という用語は、Panら, Science, 276:111-113 (1997)に記載されているレセプターの完全長及び細胞外ドメイン型を意味する。DR4レセプターの完全長アミノ酸配列は図20A−20B(配列番号:4)に与えられている。
ここで使用されるところの「DR5レセプター」という用語は、Sheridanら, Science, 277:818-821 (1997);Panら, Science, 277:815-818 (1997)、1998年11月19日公開の国際公開98/51793;1998年9月24日公開の国際公開98/41629;Screatonら, Curr. Biol., 7:693-696 (1997); Walczakら, EMBO J., 16:5386-5387 (1997); Wuら, Nature Genetics, 17:141-143 (1997);1998年10月22日公開の国際公開98/35986;1998年10月14日公開のEP870827;1998年10月22日公開の国際公開98/46643;1999年1月21日公開の国際公開99/02653;1999年2月25日公開の国際公開99/09165;1999年3月11日公開の国際公開99/11791に記載されているレセプターの完全長及び細胞外ドメイン型を意味する。DR5レセプターは当該分野においてApo-2;TRAIL-R、TR6、Tango-63、hAPO8、TRICK2又はKILLERとも呼ばれている。ここで使用されるところのDR5という用語には、図21(配列番号:5)に提供された完全長411アミノ酸ポリペプチド及び図22A−B(配列番号:6)に提供された完全長440アミノ酸ポリペプチドが含まれる。
【0026】
ここで使用される場合の「ポリオール」という用語は広義に多価アルコール化合物を意味する。ポリオールは例えば任意の水可溶型ポリ(アルキレンオキシド)ポリマーであり得、直鎖又は分枝鎖を有しうる。好適なポリオールには、一又は複数のヒドロキシル位置に化学基、例えば1から4の炭素を有するアルキル基が置換されているものが含まれる。典型的には、ポリオールはポリ(アルキレングリコール)、好ましくはポリ(エチレングリコール)である。しかし、当業者であれば、他のポリオール、例えばポリ(プロピレングリコール)及びポリエチレン-ポリプロピレングリコールコポリマーを、ここでPEGについて記載した抱合技術を使用して用いることができることが分かるであろう。本発明のポリオールには当該分野でよく知られたもの及び公的に入手可能なもの、例えば商業的に利用可能な供給源からのものが含まれる。
「抱合(コンジュゲート)」という用語は、ここではその最も広い定義で使用され、共に接合(joined)又は結合(linked)されていることを意味する。分子は、接合されているように作用又は機能する場合、「抱合」されている。
【0027】
「エピトープタグ」なる用語は、ここで用いられるときは、「タグポリペプチド」に融合したApo-2リガンド、又はそれらの部分を含んでなるキメラポリペプチドを指す。タグポリペプチドは、抗体が産生され得るモノに対するエピトープを提供するのに十分な残基を有しているが、Apo-2リガンドの活性を阻害しないよう十分に短い。また、タグポリペプチドは、好ましくは、抗体が他のエピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8から約50のアミノ酸残基(好ましくは約10から約20の残基)を有する。
「二価の金属イオン」という用語は、二つの正電荷を有する金属イオンを称する。本発明において使用される二価金属イオンの例には、限定されるものではないが、亜鉛、コバルト、ニッケル、カドミウム、マグネシウム、及びマンガンが含まれる。かかる金属の特定の形態は塩形態(例えば、製薬剤的に許容可能な塩形態)、例えば、上述の二価の金属イオンの塩化物、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩及び硫酸塩形態を含むものが用いられうる。
本発明において使用される好適な二価金属イオンは、亜鉛、より好ましくはその塩形態、硫酸亜鉛である。ここにおいて記載の二価金属イオンは、好ましくは、例えば、(1)所望する期間にわたってApo-2L三量体の貯蔵安定性を高め、(2)組換え細胞培養又は精製法においてApo-2L三量体の生産又は収量を高め、(3)Apo-2L三量体の溶解性を高め(又は凝集性を低下させ)、又は(4)Apo-2L三量体の形成を高めるのに十分な濃度又は量(例えば有効量)で用いられる。
【0028】
「単離された」とは、ここで開示された種々のタンパク質を記述するために使用するときは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたタンパク質を意味する。その自然環境の汚染成分とは、タンパク質の診断又は治療的な使用を典型的には妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様では、タンパク質は、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分なほど、あるいは、(2)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEにより均一になるまで充分なほど精製される。Apo-2リガンドの自然環境の少なくとも一の成分が存在しないため、単離されたタンパク質には、組換え細胞内のインサイツでのタンパク質が含まれる。しかしながら、通常は、単離されたタンパク質は少なくとも一の精製工程により調製される。
【0029】
「単離された」Apo-2リガンド核酸分子は、同定され、Apo-2リガンド核酸の天然源に通常付随している少なくとも一の汚染核酸分子から分離された核酸分子である。単離されたApo-2リガンド核酸分子は、天然に見出される形態あるいは設定以外のものである。故に、単離されたApo-2リガンド核酸分子は、天然の細胞中に存在するApo-2リガンド核酸分子とは区別される。しかし、単離されたApo-2リガンド核酸分子は、例えば、核酸分子が天然の細胞のものとは異なった染色体位置にあるApo-2リガンドを通常発現する細胞に含まれるApo-2リガンド核酸分子を含む。
【0030】
ここで特定されている配列に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、必要ならば最大のパーセント配列同一性を得るために間隙を導入し、如何なる同類置換も配列同一性の一部と考えないとした後の、Apo-2リガンド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の知る範囲にある種々の方法で達成可能であり、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要なアルゴリズムを割り当てることを含み、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。ここでの目的のために、パーセントアミノ酸同一性値は、ジェネンテック社によって作成され、ソースコードが米国著作権庁, Washington D.C., 20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて得られる。ALIGN-2プログラムはジェネンテック社、South San Francisco, CAを通して公に入手可能である。全ての配列比較パラメーターはALIGN-2プログラムにより設定され、変化しない。
【0031】
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。原核生物に好適なコントロール配列は、例えばプロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に寄与するプレタンパク質として発現されているならそのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならばコード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるならコード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合する」とは、結合されたDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにある。しかし、エンハンサーは必ずしも近接しているわけではない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、通常の手法にしたがって、合成されたオリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
【0032】
「サイトカイン」という用語は、一つの細胞集団から放出されるタンパク質であって、他の細胞に対して細胞間メディエータとして作用するものの包括的な用語である。このようなサイトカインの例としては、リンフォカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンを挙げることができる。サイトカインには、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラクシン;プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)のような糖タンパク質ホルモン、副甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH);肝臓成長因子;繊維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-α及び-β;ミュラー阻害物質;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子;血小板成長因子;TGF-αあるいはTGF-βのような形質転換成長因子(TGF);インスリン様成長因子-I及び-II;エリスロポイエチン(EPO);オステオインダクティブ因子;インターフェロン-α、-β、及び-γのようなインターフェロン;マクロファージCSF(M-CSF)のようなコロニー刺激因子(CSF);顆粒球マクロファージCSF(GM−CSF)及び顆粒球CSF(G-CSF);IL-1、IL-2、IL-3、 IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、 IL-8、IL-9、IL-11、IL-12等のインターロイキン(IL);LIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。ここで使用される場合、サイトカインなる用語は天然源由来あるいは組換え細胞培養由来のタンパク質及び天然配列サイトカインの生物的に活性な等価物を含む。
ここで用いられる「細胞障害剤」という用語は、細胞の機能を阻害し又は妨害し、及び/又は細胞の破壊を引き起こす物質のことをいう。この用語は放射性アイソトープ(例えばI131,I125,Y90及びRe186)、化学療法剤、及び細菌性、真菌性、植物又は動物起源、又はそれらの断片の酵素的に活性な毒素のようなものを含むことが意図されている。
【0033】
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトセシン(合成類似体トポテカン(topotecan)を含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びバイゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン(cryptophycin)(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin );デュカロマイシン(duocarmycin )(合成類似体、KW-2189及びCBI-TMIを含む); エレトロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin );サルコデイチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin );クロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;ニトロスレアス(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン、ラニムスチン;エネジイン(enediyne) 抗生物質等の抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンθI1、例えば、Agnew Chem Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)を参照のこと;ダイネミシンA(dynemicinA)を含むダイネミシン(dynemicin);エスペラマイシン(esperamicin); 同様にネオカルチノスタチン発光団及び関連色素蛋白エネジイン(enediyne) 抗生物質発光団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カリミノマイシン(carminomycin)、カルチノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトロビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルフォリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン.C、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin)のようなマイトマイシン(mitomycins);メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)のような抗-代謝産物;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)のような葉酸類似体;フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)のようなピリミジン類似体;カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone)のようなアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine);メイタンシン(maytansine)及びアンサマイトシン(ansamitocin )のようなメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(特に、T-2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリデンA(roridin A)及びアングイデン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)、及びドキセタキセル(タキソテア(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;ゲンシタビン(gemcitabine);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン及びカルボプラチンのようなプラチナ類似体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン(navelbine);ノバントロン(novantrone);テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);CPT-11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸;カペシタビン(capecitabine);並びに上述したものの製薬的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体が含まれる。また、この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように働く抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン(raloxifene)、4(5)-イミダゾール類を阻害するアロマターゼ、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン;及び抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びに上記のものの製薬的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体が含まれる。
【0034】
ここで用いられる際の「成長阻害剤」は、細胞、特にここで同定される任意の遺伝子を過剰発現する癌細胞の成長をインビトロ又はインビボで阻害する化合物又は組成物を意味する。即ち、成長阻害剤は、S期でそのような遺伝子を過剰発現する細胞の割合を有意に減少させるものである。成長阻害剤の例は、細胞周期を(S期以外の位置で)阻害する薬剤、例えばG1停止又はM期停止を誘発する薬剤を含む。古典的なM期ブロッカーは、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキソール、及びトポII阻害剤、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド及びブレオマイシンを含む。G1停止させるこれらの薬剤は、S期停止にも溢流し、例えば、DNAアルキル化剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びara-Cである。更なる情報は、The Molecular Basis of Cancer, Mendelsohn及びIsrael, 編, Chapter 1, 表題「Cell cycle reguration, oncogene, and antineoplastic drugs」, Murakamiら, (WB Saunders: Philadelphia, 1995)、特に13頁に見出すことができる。
【0035】
ここにおける目的のための「生物学的に活性」又は「生物学的活性」は、(a)インビボ又はエキソビボで少なくとも一のタイプの哺乳動物癌細胞又はウイルス感染細胞において、アポトーシスを誘導し又は刺激する能力を有すること;(b)抗体を産生することが可能であること、すなわち免疫原性であること;(c)Apo2L/TRAILのレセプターへ結合し及び/又はこれを刺激することが可能あること;又は(d)天然又は天然に生じるApo2L/TRAILポリペプチドの活性を保持することを意味する。Apo2L/TRAILの生物学的活性を定量するためのアッセイは、細胞毒性、DNA断片化(例えばMarstersら, Curr. Biology, 6: 1669 (1996))、カスパーゼ不活性化、DR4結合、DR5結合(例えば1998年11月19日公開の国際公開98/51793を参照)並びにPCT公報番号WO97/01633、WO97/25428、WO01/00832、及びWO01/22987に記載されたアッセイ法などの当該分野で既知の方法を使用して実施することができる。
「アポトーシス」及び「アポトーシス活性」という用語は広義に使用され、典型的には、細胞質の凝結、原形質膜の微絨毛の喪失、核の分節化、染色体DNAの分解又はミトコンドリア機能の喪失を含む一又は複数の特徴的な細胞変化を伴う、哺乳動物における細胞死の規則的又はコントロールされた形態を指す。この活性は、例えば細胞生死判別アッセイ(例えばアラマーブルーアッセイ又はMTTアッセイ)、FACS分析、DNA断片化(Nicolettiら, J. Immunol. Methods, 139:271-279 (1991))、又はポリ-ADPリボースポリメラーゼ、「PARP」切断アッセイにより決定し測定することができる。
【0036】
ここで用いられる場合、「疾患」という用語は、一般に、Apo2L/TRAILのような有効量のポリペプチドによって治療することができる任意の疾病又は疾患を含む、ここに記載の組成物を用いた治療により恩恵を受ける任意の状態を意味する。これは慢性及び急性疾患、並びに哺乳動物を当該疾患にかかりやすくする病理的状態を含む。限定されないが、ここで治療される疾患の例には、良性及び悪性癌;炎症性、血管由来、及び免疫疾患、自己免疫疾患、関節炎(リウマチ様関節炎を含む)、多発性硬化症、及びHIV/AIDSが含まれる。
「癌」、「癌性」及び「悪性」という用語は、典型的には調節されない細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指すか記述する。癌の例には、これらに限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、白血病、芽細胞腫、及び肉腫が含まれる。このような癌のより特定の例には、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、芽細胞腫、胃腸癌、腎癌、卵巣癌、肝臓癌、結腸直腸癌、子宮体癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、神経芽細胞腫、多形神経膠芽腫、子宮頸癌、胃癌、膀胱癌、肝臓癌、乳癌、大腸癌、及び頭部及び頸部の癌が含まれる。
ここで使用される「治療する」、「治療」、及び「療法」とは、治癒的療法、予防的療法及び防護的療法を称する。
「哺乳類」という用語は、ヒト、ウシ、ウマ、犬及びネコを含む哺乳類と分類されるあらゆる動物に相当する。本発明の好ましい実施態様では、哺乳類はヒトである。
【0037】
II.本発明の組成物及び方法
TNFリガンドファミリーに関連したサイトカインで、ここにおいて「Apo-2リガンド」と特定されたサイトカインが記載されている。ヒトApo-2リガンドの予測成熟アミノ酸配列は、281個のアミノ酸を含み、約32.5kDaの計算上の分子量を有する。シグナル配列が存在せず内在性疎水性領域が存在することは、Apo-2リガンドがII型膜貫通タンパク質であることを示唆する。また、可溶性細胞外ドメインApo-2リガンドポリペプチドが記載されている。例えば1997年7月17日に公開のWO97/25428を参照のこと。Apo-2L置換変異体がさらに記載されている。アラニンスキャンニング技術が、生物学的活性を有する種々の置換変異体分子を同定するために利用されてきた。Apo-2リガンドの特定の置換変異体は、少なくとも一つのアミノ酸がシステイン残基によって置換されているものを含む。置換変異体は、例えば「R115C」、「E116C」及び「R170C」として同定されている。この命名法は、位置115、116、及び/又は170(図1に示した番号を使用)の残基がシステイン残基によって置換されているApo-2リガンド変異体を同定するために利用されている。場合によっては、Apo-2L変異体は、下記の表1に記載されている置換の一又は複数を含んでもよい。
【0038】
Apo-2リガンドの細胞外ドメインのX線結晶構造が提供され、アラニンスキャンニング突然変異誘発が、そのレセプター接触領域のマッピングを提供するために実施されている。Apo-2リガンドに対して得られた構造は、Apo-2リガンド三量体分子の三つのサブユニットの相互作用を統合する新規な二価金属イオン(亜鉛)結合部位を含むホモ三量体タンパク質を明らかにする。
Apo-2LのX線構造は、TNF-αのモデルを利用する分子置換[Eckら, J. Bio. Chem., 264: 17595-17605 (1989)]によって決定され、3.9オングストローム(114−281残基形態に対して)及び1.3オングストローム(D218A変異体;91−281形態に対して)まで精緻化される。TNFファミリーの他のメンバーのように、Apo-2Lは、約5100平方オングストローム(単量体当たり平方1700オングストローム)を埋めて球状三量体を形成する、三つのゼリーロール単量体からなる緻密な三量体を含むと思われる(図2Aを参照のこと)。コアのβストランドの位置は、TNFファミリーの他の構造的に特徴付けられたメンバーのTNF-α[Eckら, 上掲;Jonesら, Nature, 338:225-228(1989)]、TNF-β[Eckら, J. Biol. Chem., 267:2119-2122(1992)]、及びCD40L[Karpusasら, Structure, 3:1031-1039(1995)]で、TNF-α又はTNF-β のコアストランドと比較して0.8オングストロームのr.m.s.d.のものと比較して良好に保持されている。Apo-2L三量体の境界面のどの残基も、現在知られている全てのヒトTNFファミリーメンバーの配列において完全に保持されているものはないようである;しかしながら、これら残基の疎水化学的性質は保持されている。Apo-2L三量体における保境界面の保持された残基は、塩基の近傍(三量体の最も広い部分)及び三回転軸に沿ってクラスターを形成する。Cys230の近傍のApo-2L三量体境界面の頂点の近くでは、構造は分岐しているように思われ、190及び230のループのコンホメーションは各構造において変動する。
【0039】
β骨格コアとは対照的に、レセプター結合表面及びループの構造は、TNFファミリーメンバーの中でかなり変化する。Apo-2リガンドの構造とTNF-α、TNF-β、及びCD40Lの構造の間の一つの違いは、ストランドA及びA’の間の接合である。TNF-α、TNF-β、及びCD40Lでは、ストランドAの後に、緻密なループが続いている。Apo-2リガンドでは、15残基の挿入がこのループを長くし、そのコンホメーションを変える。ループの最初の部分(残基131から141)は、ループの二番目の部分(残基142から154)がCD40Lに類似するコンホメーションをそのC末端部分に有して、分子の表面を一つの単量体-単量体境界面から次へ(図2Aを参照のこと)と越える際に乱れる。
三量体化境界面の頂点の近くに、二価金属イオン(亜鉛)結合部位が埋もれている。TNFファミリーメンバーは、配列分析によって、Cys230に関して三つのグループに分けられる:(1)Cys230に対応する位置のシステイン残基に、金属イオンとの相互作用を妨げるジスルフィド結合を形成することが可能な隣接ループ(Apo-2Lの194−203ループ)の中の他のシステインが伴っているTNF-α及びFasリガンドのようなタンパク質、(2)Cys230に対応するシステインを持たないタンパク質(例えばTNF−β及びOPGL)、及び(3)Cys230に対応するシステイン残基を一つのみ有するタンパク質である。Apo-2L及び他の種におけるそのオルソログは、後者の基準に当てはまり(すなわち、Cys230のみを持つタンパク質)、三量体表面において二価金属イオンと結合することが期待される。Apo-2LのCys230の直ぐ前の主要鎖のコンホメーションは、TNF-α及びCD40LのようなTHFファミリーメンバーを含むジスルフィドとは異なる。Apo-2Lでは、Cys230の側鎖は、境界面から遠ざかるのではなく、境界面に向かっている。
【0040】
各Apo-2L単量体のCys230残基は内部を三量体軸へ向いて内方を指し、内部の溶媒分子と共に二価金属イオンを配位する。この二価金属イオン結合部位は、亜鉛結合部位にとって適切な結合及び角度を持つ僅かに歪んだ四面体幾何を示し、溶媒へは完全に接触不可能である(図2Bを参照のこと)。結合金属の同一性は、誘導結合プラズマ原子発光分光分析法(ICP−AES)を利用して確認された。ICP-AESを利用したCd、Co、Zn、Ni及びCuの定量分析では、Apo-2L三量体の一分子当たり0.79モルのZnと0.06モルのCoが検出され、構造中の結合イオンが、約1対1のモル比の亜鉛であることが示された。この部位の重要性は、Cys230のアラニン置換が8倍未満のアポトーシス活性の減少となったという観察によって立証された。更に、キレート試薬に対する透析によるApo-2Lからの結合金属の除去により、DR5親和性の7倍の低下及びアポトーシス活性の90倍未満の低下が生じた。Znの除去によって、システインは酸化されやすくなり、アポトーシス活性が低下したジスルフィド結合Apo-2L二量体が形成された。金属結合部位はApo-2L三量体構造に埋もれているように思われ、レセプターに接触するとは予想されないことから、データは、二価金属イオン結合が、Apo-2Lの安定性と三量体構造を維持するのに重要であろうことを示唆している。
【0041】
Apo-2リガンドとApo-2レセプターの細胞外ドメイン配列(DR5)との間の複合体の結晶構造は決定されている。(Hymowitzら, Mol. Cell., 4:563-571 (1999)を参照のこと)。Apo-2は全体構造がTNFR1に似ており、比較的定まっていない二次構造を持つ。それは一連の7つのジスルフィド結合によって長い形状に繋ぎ止められており、そのジスルフィド結合の6つはTNFR1レセプターの第二及び第三のCRDに構造的に対応するApo-2のサブドメイン(それぞれ残基43−84及び85−130)に見出される。
Apo-2リガンド/Apo-2複合体の接触面は、2つのパッチ、パッチAとパッチBに分けられる。Apo-2L/Apo-2接触面のパッチBの顕著な特徴はApo-2LのTyr216(図1に提供されるApo-2Lのアミノ酸配列の番号付けを用いて)とApo-2レセプターの50sループの間の相互作用である。残基Tyr216は、TNFのスーパーファミリーリガンド(TNF-α、TNF-β、FasL及びOPGLを含む)の多くに保存され、他のメンバーはこの位置に同様の大きな疎水性残基を有する。TNF-α、TNF-β、FasL及びApo-2Lの突然変異誘発研究は、この残基が結合に重要である(Schneiderら, J. Biol. Chem., 272:18827-18833(1997); Gohら, Protein Eng., 4:785-791(1991); Yamagishiら, Protain Eng., 3:713-719(1990); Van Ostadeら, Protein Eng., 7:5-22(1990); Hymowitzら, Personal communication)ことを示す全てである。チロシン側鎖の相互作用はApo-2L/Apo-2とTNF-β-TNFR1の複合体の間に保存される。さらに、側鎖の結合ポケットを形成するレセプターの50sループのバックボーン構造は、Apo-2及びTNFR1の間(残基51から62のC-α原子の間の僅か0.35のrmsd)で実質的に同一である。さらに、このループの長さは、異なるTNFレセプタースーパーファミリーメンバーの間で保存されている。このループが、CRD3により媒介されるより特異的な接触のためにレセプターの上位の部分を適切に判断する助けとなりうるリガンドの保存された疎水性特性と相互作用する一般的な疎水性結合パッチのように機能しうることが考えられる。
【0042】
パッチBでの保存的な相互作用に比較して、接触面の下方付近のパッチAはTNFR1の対応するループに比べ完全に異なる構造を有するApo-2のCRD3の90ループにより成される相互作用に関連している。
パッチBにおいて、レセプターの50sループ及びApo-2リガンド残基216が結合に一般的に重要な疎水性パッチを提供していることが考えらるが、パッチAにおいては、レセプター90sループと、位置205の、又はその付近のApo-2リガンド残基が特異性と交差反応をコントロールする。Apo-2レセプターの50sループ及び90sループがリガンド結合決定基のほとんどを運ぶと思われる。Apo-2配列の位置53及び59のヒスチジン及びフェニルアラニン残基は、それぞれ共に比較的大きな残基である。これら2つの残基は、Apo-2リガンドの残基Asp218及びSer159と接触すると考えられ;従って、Apo-2配列の53及び59位置の導入した大きい側鎖はApo-2に対するApo-2親和性に逆に影響しうる(しかし、DR4に対する親和性を向上させる)。
【0043】
Apo-2リガンドレセプター結合及び活性を特徴付けるために、アミノ酸置換部位を、DR5・Apo-2L複合体のX線構造の検査に基づいて選択した(図3)。置換システインアミノ酸残基の突然変異又は続く修飾の際に活性が失われることを避けるために、セプター接触領域の外側の部位を突然変異誘発のために考慮した。システイン側鎖の効率的な化学的修飾を確かなものにするために、結晶構造で高い溶媒接近性を示した残基を選択した。これらの基準に適合した残基には、限定されるものではないが、Glu144、Asn152、Ser153、Arg170、Asp234、Glu249、Arg255、Glu263、及びHis264が含まれる。また、Val114、Arg115、Glu116、Asn134及びAsn140をシステイン置換部位として選択した。これらの残基はApo-2L-DR5結晶構造において分子の乱れた部分にあり、このように溶媒接近性でありと推定され、レセプター結合には寄与しない。図3に示されるように、この残基群はApo-2L単量体の一面の頂部から底部までにかかっている。実験的に検査したシステイン置換Apo-2Lタンパク質のなかで、E116CがSK-MES細胞に対するアポトーシス活性を有意に低減させた(表Iを参照のこと)。R170C変異体は約10倍増加した能力を示した。また、Arg170をAla、Lys又はSer残基の何れかで置換したApo-2L変異体はApo-2L.0ポリペプチドに匹敵する活性を有していた。本発明のある実施態様では、好適なApo-2L変異体は、図1のApo-2L配列にけるE116、N134、N140及び/又はR255に対応する位置に天然の残基を含む(つまり突然変異していない)と考えられる。
【0044】
下記の説明は、核酸をコードするApo-2リガンド変異体を含むベクターで形質転換又は形質移入された宿主細胞を培養し、細胞培養物からポリペプチドを回収することによってApo-2リガンド変異体を生産する方法に関する。
Apo-2リガンドをコードするDNAは、Apo-2リガンドmRNAを有し、これを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製された任意のcDNAライブラリーから得ることできる。従って、ヒトApo-2リガンドDNAは、国際公開97/25428に記載されているヒト胎盤cDNAのバクテリオファージライブラリーのような、ヒト組織から調製されたcDNAライブラリーから簡便に得ることが可能である。また、Apo-2リガンドコード化遺伝子は、ゲノムライブラリーから又はオリゴヌクレオチド合成によって得ることもできる。
ライブラリーは、対象となる遺伝子あるいはその遺伝子によりコードされるタンパク質を同定するために設計された(Apo-2リガンドに対する抗体又は少なくとも約20−80塩基のオリゴヌクレオチド等の)プローブによってスクリーニングすることができる。選択されたプローブによるcDNA又はゲノムライブラリーのスクリーニングは、例えばSambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual(New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載されている標準的な手順を使用して実施することができる。Apo-2リガンドをコードする遺伝子を単離する他の方法はPCR法を使用するものである[Sambrookら,上掲;Dieffenbachら, PCR Primer:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995)]。
【0045】
Apo-2リガンドのアミノ酸配列断片又は変異体は、Apo-2リガンドDNAに適切なヌクレオチド変化を導入するか、所望のApo-2リガンドポリペプチドを合成することにより調製することができる。このような断片又は変異体は、完全長Apo-2リガンドについて図1(配列番号:1)に示したアミノ酸配列の、又は細胞内領域、膜貫通領域、又は細胞外領域(例えば114−281アミノ酸形態)の内部あるいは一方又は両方の末端に残基の挿入、置換及び/又は欠失を示す。最終構築物が例えばここに定義する所望の生物活性又はアポトーシス活性を有する限り、挿入、置換及び/又は欠失の任意の組み合わせで最終構造物に到達することができる。好ましい実施態様では、断片又は変異体は、Apo-2リガンドの細胞内、膜貫通、又は細胞外領域についてここで同定した配列、あるいはApo-2リガンドの完全長配列に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%の配列同一性、さらに好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。また、アミノ酸の変化により、グリコシル化部位の数と位置の変化、又は膜係留特性(膜アンカー特性)の改変のように、Apo-2リガンドの翻訳後プロセスを改変し得る。
【0046】
ここで記載されているApo-2リガンド配列における変異は、米国特許第5364934号に記載された保存的あるいは非保存的突然変異に関する技術とガイドラインの任意のものを使用して生じさせることができる。これらは、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)突然変異誘発、アラニンスキャニング、及びPCR突然変異誘発を含む。
近接配列に沿った一又は複数のアミノ酸を同定するために、スキャニングアミノ酸分析法を使用することができる。好ましいスキャニングアミノ酸は、比較的小さい中性アミノ酸である。このようなアミノ酸には、アラニン、グリシン、セリン及びシステインが含まれる。変異体の主鎖構造をあまり改変することなく、ベータ炭素を越えた側鎖が除去されるため、アラニンがこの群のなかで好ましいスキャニングアミノ酸である[Cunninghamら, Science, 244: 1081 (1989)]。またアラニンは最も一般的なアミノ酸であることによっても好ましい。さらに、アラニンは埋設及び露出位置の双方に頻繁に見出される[Creighton, The Proteins, (W.H. Freeman & Co., N.Y.);Chothia, J. Mol. Biol., 150:1(1976)]。
【0047】
本発明の特定のApo-2L変異体は、下記の表1に与えられた一又は複数の列挙された置換を含むApo-2Lポリペプチドを含む。このようなApo-2L変異体は、典型的には、少なくとも一又は複数のアミノ酸が天然配列Apo-2L(例えば、図1に提供のもの;Apo-2Lの完全長又は成熟形態あるいはその細胞外ドメイン配列)と異なる非天然に生じるアミノ酸配列を含む。場合によっては、天然配列Apo-2Lと比較してApo-2L変異体において異なる一又は複数のアミノ酸は、表1に示されたもののようなアミノ酸置換を含む。本発明のApo-2L変異体は、図1の残基91−281、92−281、95−281又は114−281を含んでなり、表1に記載されている一又は複数のアミノ酸置換を有する可溶性Apo-2L変異体を含む。好ましいApo-2L変異体は、図1(配列番号:1)の残基91−281、92−281、95−281又は114−281を含んでなり、表Iに記載された一又は複数のアミノ酸置換を有し、ここに記載されるような所望の生物活性を更に有する変異体を含む。
【0048】
また、本発明の範囲に含まれるApo-2リガンド配列の変異体は、アミノ末端誘導体又は修飾形にも関連する。このようなApo-2リガンド配列は、ポリペプチド配列のN末端にメチオニン又は修飾メチオニン(例えばホルミルメチオニル又は他のブロックされたメチオニル種など)を有するここに記載した任意のApo-2リガンド変異体を含む。
天然又は変異体Apo-2リガンドをコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は、さらなるクローニング(DNAの増幅)又は発現のために、複製可能なベクター内に挿入される。様々なベクターが公的に入手可能である。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、次のものの一又は複数が含まれる:シグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサー成分、プロモーター、及び転写終結配列であり、それぞれを以下に説明する。用いられるであろう任意のシグナル配列、複製開始点、マーカー遺伝子、エンハンサーエレメント及び転写終結配列は当該分野で知られており、WO97/25428にさらに詳しく記載されている。
【0049】
発現及びクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識され、Apo-2リガンド核酸配列に作用可能に結合したプロモーターを含む。プロモーターは、作用可能に結合したApo-2リガンド変異体核酸配列のような特定の核酸配列の転写及び翻訳を制御する構造遺伝子(一般的に約100ないし1000塩基対)の開始コドンの上流側(5')に位置する未翻訳配列である。このようなプロモーターは典型的には、誘発的なクラス及び構成的なクラスの2つのクラスに属する。誘発的なプロモーターは、例えば、養分の存在あるいは不存在、温度変化などの培養条件のある変化に対応してその制御の下でDNAからの転写レベルを上昇させるプロモーターである。現時点において多種の可能な宿主細胞により認識される非常に多くのプロモーターがよく知られている。これらのプロモーターは、制限酵素の消化によって供給源DNAからプロモーターを除去し、ベクターに単離したプロモーター配列を挿入することで、Apo-2リガンド変異体をコードするDNAに作用的に結合している。天然のApo-2リガンドプロモーター配列及び多くの異種性プロモーターはいずれもApo-2リガンドDNAの直接増幅及び/又は発現に用いることができる。
【0050】
原核生物及び真核生物宿主に適したプロモーターは当該分野で知られており、WO97/25428にさらに詳しく記載されている。
大腸菌におけるApo-2Lの生産の好ましい方法には、生産物発現の制御のための誘発的プロモーターが用いられる。制御可能な誘発的なプロモーターの利用は、生産物発現の誘発、及び宿主によってよく耐えることのできないかなりの量の生産物の蓄積の前に、所望する細胞密度への培養成長を可能にする。
Apo-2L(114−281形態)の発現のために、三つの誘発的なプロモーター系(T7ポリメラーゼ、trp及びアルカリホスファターゼ(AP))が出願人によって評価された。これら三つのプロモーターのそれぞれの利用は、収集細胞ペーストから回収されたかなりの量の可溶性で生物学的に活性なApo-2L三量体を結果として生じた。しっかりとしたプロモーターコントロール、及び収集細胞ペーストにおいて到達したより高い細胞密度及び力価のために、試験されたこれら三つの誘発的なプロモーター系の中でAPプロモーターが好まれている。
一又は複数の上に列挙した成分を含む適切なベクターの構築には、標準的なライゲーション技術を用いる。単離されたプラスミド又はDNA断片を開裂させ、整え、そして必要とされるプラスミドの生成のために望ましい形態に再びライゲーションする。
【0051】
作成されたプラスミドが正しい配列であることを確認する分析のために、ライゲーション混合物を用いて、大腸菌K12菌株294(ATCC31446)を形質転換し、適当な場合にはアンピシリン又はテトラサイクリン耐性によって、形質転換細胞を好適に選択する。形質転換細胞からプラスミドを調製し、制限エンドヌクレアーゼ消化により分析し、及び/又は当該分野で知られている標準的技術を利用して配列を決定する[例えば、Messingら, Nucleic Acids Res., 9:309 (1981);Maxamら, Methods in Enzymology, 65:499 (1980)を参照のこと]。
Apo-2リガンドをコードしているDNAの哺乳動物細胞における一過性発現をもたらす発現ベクターを使用することができる。一般に、一過性発現は、宿主細胞が発現ベクターの多くのコピーを蓄積し、次にその発現ベクターによってコードされている所望のポリペプチドを高レベルで合成するように、宿主細胞中で効果的に複製できる発現ベクターを使用することを含む[Sambrookら, 上掲]。一過性発現系は、適切な発現ベクターと宿主細胞を含むが、クローニングされたDNAによりコードされているポリペプチドの簡便で確実な同定並びに所望の生物学的又は生理学的性質についてのポリペプチドの迅速なスクリーニングを可能にする。したがって、一過性発現系は、本発明において、生物学的に活性であるApo-2リガンドの類似物及び変異体を同定する目的のために特に有用である。
【0052】
組換え脊椎動物細胞培養でのApo-2リガンド変異体の合成に適応化させるのに適切な他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gethingら, Nature, 293:620-625 (1981); Manteiら, Nature, 281:40-46 (1979); EP117,060; 及びEP117,058に記載されている。
ここに記載のベクターにDNAをクローニングあるいは発現するために適切な宿主細胞は、上述の原核生物、酵母、又は高等真核生物細胞である。この目的にとって適切な原核生物は、限定するものではないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体、例えばエシェリチアのような腸内菌科、例えば大腸菌、エンテロバクター、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ、例えばネズミチフス菌、セラチア属、例えばセラチア・マルセスキャンス及び赤痢菌属、並びにバシラス、例えば枯草菌及びバシラス・リチェフォルミス(licheniformis)(例えば、1989年4月12日に公開されたDD266710に開示されたバシラス・リチェニフォルミス41P)、シュードモナス属、例えば緑膿菌及びストレプトマイセス属を含む。好ましくは、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌すべきである。
【0053】
大腸菌は、本発明において好ましい宿主細胞である。大腸菌は、グリコシル化の必要がなく、大きさが20kd未満であるポリペプチドである、Apo-2リガンド(114−281形態)の発現に特によく適している。生産宿主として、大腸菌は比較的に高い細胞密度で培養が可能であり、比較的に高いレベルの異種タンパク質の生産が可能である。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、Apo-2リガンドをコードするベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。グリコシル化Apo-2リガンドの発現に適切な宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。CHO細胞を含むすべてのこのような宿主細胞の例は、さらにWO97/25428に記載されている。
宿主細胞を形質移入し、好ましくは上述のApo-2リガンド産生のための発現又はクローニングベクターで形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅するために適切に修飾された標準栄養培地で培養する。
トランスフェクション(形質移入)は、如何なるコード配列が実際に発現されるか否かにかかわらず、宿主細胞による発現ベクターの取り込みを意味する。多数のトランスフェクションの方法が当業者に知られている。例えば、CaPO4及びエレクトロポレーションである。このベクターの操作のあらゆる徴候が宿主細胞内で生じたときに成功したトランスフェクションが一般に認められる。
【0054】
形質転換は、染色体外の成分としてであろうと染色体成分によってであろうと、DNAが複製可能であるように生物体中にDNAを導入することを意味する。用いられる宿主細胞に応じて、そのような細胞に対して適した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。前掲のSambrookらにより記載された塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションが、原核生物又は実質的な細胞壁障壁を含む他の細胞に対して用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shawら, Gene, 23:315 (1983)及び1989年6月29日公開のWO89/05859に記載されたように、ある種の植物細胞の形質転換に用いられる。加えて、1991年1月10日に公開されたWO91/00358に記載されているように、超音波処理を用いて植物をトランスフェクションすることもできる。
【0055】
このような細胞壁のない哺乳動物細胞に対しては、Graham及びvan der Eb, Virology, 52:456-457 (1978)のリン酸カルシウム沈殿法が好ましい。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の一般的な側面は米国特許第4399216号に記載されている。酵母中の形質転換は、典型的には、Van Solingenら, J. Bact., 130:946 (1977)及びHsiaoら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979)の方法によって実施する。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いることもできる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keownら, Methods in Enzymology, 185:527-537 (1990)及び Mansourら, Nature, 336:348-352 (1988)を参照のこと。
Apo-2リガンド変異体を生産するために用いられる原核細胞は、前掲のSambrookらにより記載されているような適切な培地で培養される。大腸菌の培養に用いられうる培養培地の特定の形態は、下記の実施例にさらに記載されている。Apo-2リガンドを生産するための哺乳動物宿主細胞は、種々の培養培地において培養することができる。
【0056】
市販培地の例としては、ハム(Ham)のF10(シグマ)、最小必須培地(「MEM」、シグマ)、RPMI-1640(シグマ)及びダルベッコの改良イーグル培地(「DMEM」、シグマ)が含まれる。これらの培地はいずれも、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシンTM薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は同等のエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について以前から用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
一般に、哺乳動物の細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコル、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: A Practical Approach, M.Butler編 (IRL Press, 1991)に見出すことができる。
【0057】
場合によっては、ここに記載のApo-2リガンドポリペプチド組成物は亜鉛のような二価金属を含む。ここに記載の方法及び製剤において二価金属イオンが存在するとジスルフィド結合の形成から保護されうる。Apo-2L三量体の合成と構築の間に二価金属イオンを含有させると、正しく折り畳まれたホモ三量体Apo-2Lの蓄積と回収を更に改善しうると思われる。従って、本発明の他の側面では、宿主細胞の培養又は発酵のために、典型的には一又は複数の二価金属イオンが培養培地へ添加されるかあるいは含まれる。二価金属イオンは、好ましくは、貯蔵安定性を増すため、溶解性を増すため、又は一又は複数の亜鉛イオンによって調整される安定なApo-2L三量体の形成を補助するために十分な濃度レベルで培養培地に存在するかあるいは添加される。添加されうる二価金属イオンの量は、一部は培養中の宿主細胞密度又はこのような二価金属イオンへの潜在的な宿主細胞感受性に依存する。培養におけるより高い細胞密度では、二価金属イオンの濃度を増すことは有益である。宿主細胞による生産物の発現中又は発現後に二価金属イオンが添加される場合は、宿主細胞による産物の発現が増加するのに応じて二価金属イオン濃度を調節又は増加させることが望ましい。典型的な普通に入手可能な細胞培養培地に存在しうる微量レベルの二価金属イオンは、安定な三量体形成には十分ではないと一般的に考えられている。従って、更なる量の二価金属イオンの添加が好ましい。
【0058】
培養中の宿主細胞の成長期の間に二価金属イオンが添加される場合は、二価金属イオンは、逆に又は負の方向に宿主細胞へ影響しない濃度で培養培地へ添加されるのが好ましい。振盪フラスコ培養では、1mMより高い濃度でのZnSO4の添加は、結果として低い宿主細胞密度を生じる可能性がある。当業者であれば、細菌細胞は、細胞マトリックスと金属イオン複合体を形成することで、効果的に金属イオンを隔離することが可能であることが分かる。従って、細胞培養では、成長期の後(所望する宿主細胞密度に達した後)又は宿主細胞による生産物発現の直前に、選択された二価金属イオンを添加することが好ましい。十分な量の二価金属イオンが存在していることを確かめるために、更なる二価金属イオンを、生産物発現期の間に細胞培養培地へ添加又は供給することができる。
培養培地の二価金属イオン濃度は、宿主細胞に対して有害又は毒性でありうる濃度を越えてはならない。宿主細胞として大腸菌を用いる本発明の方法では、培養培地の二価金属イオンの濃度が約1mM(好ましくは≦1mM)を越えないことが好ましい。さらにより好ましくは、培養培地の二価金属イオン濃度は、約50マイクロモルから約250マイクロモルである。最も好ましくは、このような方法で使用される二価金属イオンは硫酸亜鉛である。金属イオン及びApo-2リガンド三量体が1対1モル比で存在することが可能である量の二価金属イオンを細胞培養へ添加することが望ましい。
二価金属イオンは、細胞培養へ如何なる許容可能な形態でも添加が可能である。例えは、金属イオンの溶液は水を使って調製することが可能であり、次に、二価金属イオン溶液は培養培地へ添加又は供給することが可能である。
【0059】
本発明の一実施態様では、選択されたApo-2L変異体は大腸菌で発現され、細胞培養の培養又は発酵の間、約40−50gm/L乾燥細胞重量につき約1.0−3.0mmoles/L-分の酸素取り込み速度で細胞活動が行われるようにプロセスパラメーターが設定される。新規に合成された新生Apo-2Lポリペプチドは、適切なタンパク質の折り畳み(フォールディング)及びApo-2L単量体の三量体化に十分な時間を有していることが好ましい。発酵プロセスの成長期は、好ましくは30℃で行われる。生産物発現の開始の直前において、プロセスの温度制御設定値は30℃のまま又は残りの発酵のために25℃へ下方制御されてもよい。場合によっては、細胞培養中の細胞密度を増加させることが望ましく、これに応じて、上において言及したパラメーターを調節(又は増加)させることが可能である。例えば、容積生産高を増やすために細胞培養中の細胞密度を増やすことは有利な可能性がある。当業者であれば、所望に応じて、当該分野で知られている常套的技術を利用し、細胞密度を徐々に増加させ、上述のパラメーターを徐々に増加させることができる。
Apo-2Lの発現は、例えば、ここに記載された配列に基づき、適切に標識されたプローブを用い、一般的なサザンブロット法、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法(Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:5201-5205 (1980))、ドットブロット法(DNA分析)、又はインシトゥハイブリダイゼーション法によって、直接的に試料中で測定することができる。種々の標識を用いることができ、最も一般的なものは放射性同位元素、特に32Pである。しかしながら、他の方法、例えばポリヌクレオチド中への導入のためのビオチン修飾ヌクレオチドを用いる方法もまた使用することができる。ついで、このビオチンは、例えば放射性核種、蛍光剤又は酵素等のような広範囲の標識で標識することができるアビジン又は抗体への結合部位となる。あるいは、DNA二本鎖、RNA二本鎖及びDNA-RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いることもできる。ついで、抗体を標識し、検定を実施することができ、ここで二本鎖は表面に結合しており、その結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。
【0060】
あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な方法、例えば組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液の検定によって測定することもできる。免疫組織化学的染色技術では、細胞試料を、典型的には脱水と固定によって調製し、結合した遺伝子産物に対し特異的な標識化抗体と反応させるが、この標識は通常は視覚的に検出可能であり、例えば酵素的標識、蛍光標識、ルミネセンス標識等である。
試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳類において調製することができる。簡便には、抗体は、天然配列Apo-2リガンドポリペプチドに対して、又はここで提供されるDNA配列をベースとした合成ペプチドに対して、又はApo-2リガンドDNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して調製され得る。
Apo-2リガンドは、好ましくは培養培地から分泌されたポリペプチドとして回収されるが、分泌シグナル無しで直接産生される場合は宿主細胞溶菌液から回収してもよい。Apo-2リガンドが膜結合性である場合は、適切な洗浄液(例えばトリトン-X100)を用いて膜から引き離すか、又は酵素的切断によりその細胞外領域を切り離すことができる。
【0061】
Apo-2リガンドがヒト起源のもの以外の組換え細胞でつくられる場合は、Apo-2リガンドはヒト起源のタンパク質又はポリペプチドを含まない。しかしながら、Apo-2リガンドに関して実質的に相同である調製物を得るには、組換え細胞タンパク又はポリペプチドからApo-2リガンドを精製することが通常必要である。第一段階として、培地又は溶菌液を遠心分離して粒状の細胞屑を除去することができる。ついで、Apo-2リガンドを、汚染した可溶性タンパク質及びポリペプチドから、適切な精製手順の例である次の手順により精製される:イオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹脂、例えばDEAE又はCM;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過;及びIgGのような汚染物を除くプロテインAセファロースカラムである。
好ましい実施態様では、Apo-2リガンドはアフィニティークロマトグラフィーによって精製される。残基が欠失され、挿入され、又は置換されたApo-2リガンド断片又は変異体は、その変異によってしばしば惹起される実質的な性質変化を考慮に入れて、天然Apo-2リガンドと同じようにして回収することができる。例えば、他のタンパク質又はポリペプチド、例えば細菌性もしくはウイルス性抗原とのApo-2リガンド融合体の調製は精製を容易にする;抗原に対する抗体を含む免疫アフィニティーカラムを、融合ポリペプチドを吸着させるために使用することができる。
【0062】
例えばフェニルメチルスルホニルフロリド(PMSF)のようなプロテアーゼインヒビターもまた精製の間のタンパク分解を阻害するのに有用であり、偶発的な汚染物質の成長を防止するために抗生物質を含めることができる。天然Apo-2リガンドに適切な精製方法は、組換え細胞培養の発現の際におけるApo-2リガンド又はその変異体の特性の変化の起因となる改変が必要となることは、当業者であれば分かるであろう。
このような精製工程では、回収されたApo-2Lを二価金属イオン含有溶液又は一又は複数の二価金属イオンを含有する精製物質(例えばクロマトグラフィー媒体又は支持体)へ曝露することが望ましいであろう。好ましい実施態様では、二価金属イオン及び/又は還元剤は、Apo-2Lの精製又は回収の間に使用される。場合によっては、DTT又はBMEのような二価金属イオン及び還元剤の両方を、Apo-2Lの精製又は回収の間に使用してもよい。精製又は回収の間に二価金属イオンを使用することは、Apo-2L三量体の安定性を提供するか、あるいは細胞培養段階の間に形成されるApo-2L三量体を維持すると考えられる。
原核生物宿主細胞(最も好ましくは細菌宿主細胞)から発現Apo-2Lを精製及び回収する好ましい方法は以下の工程を含む:(a)大腸菌細胞からApo-2L(細胞内)を抽出する;(b)二価金属イオン及び/又は還元剤を含んでなるバッファー液において適切に折り畳まれたApo-2Lを安定化する;(c)順次、カチオン(陽イオン)交換体、ハイドロキシアパタイト及び疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用するクロマトグラフィーによってApo-2Lを精製する、及び(d)各クロマトグラフィー支持体から、二価金属イオン及び/又は還元剤を含んでなるバッファー液へ選択的にApo-2Lを溶出する。このような方法に使用される二価金属イオン及び還元剤には、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸コバルト、DTT及びBME、そしてより好ましくは硫酸亜鉛又はDTTが含まれうる。
【0063】
以下の記載はまた一又は複数の化学基に共有的に結合した(以下「抱合された(conjugated)」)Apo-2リガンド変異体を製造する方法に関する。本発明のApo-2L抱合体に使用するのに適した化学基は好ましくは有意に毒性又は免疫原性ではない。化学基は場合によっては保存することができ保存に適した条件下で使用できるApo-2L変異体抱合体を製造するために選択される。ポリペプチドに抱合されうる様々な例示的化学基が当該分野で知られており、例えば糖タンパク質に天然に生じる炭水化物のような炭水化物、及び非タンパク様ポリマー、例えばポリオールが含まれる(米国特許第6245901号を参照)。
例えばポリオールは、上掲の国際公開93/00109に開示されているように、リジン残基を含む一又は複数のアミノ酸残基においてApo-2L変異体のようなポリペプチドに抱合されうる。用いられるポリオールは任意の水溶性ポリ(アルキレンオキシド)ポリマーとでき、直鎖又は分枝鎖を有しうる。好適なポリオールには一又は複数のヒドロキシル位置で1から4の炭素を有するアルキル基のような化学基が置換されているものが含まれる。典型的には、ポリオールはポリ(アルキレングリコール)、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG)であり、よって記載を簡単にするために、以下の議論においては、用いるポリオールがPEGである例示的な実施態様に関するものとし、ポリペプチドにポリオールを抱合させる方法を「ペグ化(pegylation)」と称する。しかし、当業者であれば、他のポリオール、例えばポリ(プロピレングリコール)及びポリエチレン-ポリプロピレングリコールコポリマーを、PEGに対してここに記載した抱合法を使用して用いることができることは理解できるであろう。
【0064】
Apo-2L変異体のペグ化に用いられるPEGの平均分子量は変動し得、典型的には約500から約30000ダルトン(D)の範囲でありうる。好ましくは、PEGの平均分子量は約1000から約25000Dであり、より好ましくは約2000から約5000Dである。一実施態様では、ペグ化は約2000Dの平均分子量を持つPEGを用いて実施される。好ましくは、PEGホモポリマーは未置換であるが、一端にアルキル基が置換されていてもよい。好ましくは、アルキル基はC1−C4アルキル基、最も好ましくはメチル基である。PEG調製物は商業的に入手可能であり、典型的には本発明において使用するのに適したPEG調製物は平均分子量に応じて販売されている非均一調製物である。例えば、市販のPEG(5000)調製物は典型的には分子量が僅かに変動し、通常は±500Dの分子を含む。
本発明のApo-2リガンド変異体は単量体形態又は三量体形態(3つの単量体を含む)でありうる。場合によっては、Apo-2L変異体三量体は、PEG分子が三量体Apo-2L変異体を構成する3つの単量体の各々に結合又は抱合されるようにペグ化される。そのような実施態様では、用いられるPEGは約2000から約5000Dの平均分子量を有するのが好ましい。また、Apo-2L変異体三量体は「部分的に」ペグ化され得、つまり、三量体を構成する三の単量体の一又は二だけがPEGに結合又は抱合される。そのような「部分的に」ペグ化されたApo-2L変異体では、用いられるPEGが約5000D又は5000Dを超える平均分子量を有することが好ましい。
【0065】
タンパク質をペグ化するための様々な方法が当該分野で知られている。PEGに抱合したタンパク質を製造するための特定の方法には、米国特許第4179337号、米国特許第4935465号及び米国特許第5849535号に記載された方法が含まれる。典型的には、タンパク質は、主に反応条件、ポリマーの分子量等々に応じて、ポリマーの末端反応性基にタンパク質のアミノ酸残基の一又は複数を介して共有的に結合される。反応性基を有するポリマーはここでは活性化ポリマーと命名する。反応性基はタンパク質の遊離のアミノ又は他の反応性基と選択的に反応する。PEGポリマーは無作為な形又は部位特異的な形の何れかの形でタンパク質上のアミノ又は他の反応性基に結合しうる。しかし、最適な結果を得るために、選択される反応性基のタイプと量、並びに用いられるポリマーのタイプは、反応性基がタンパク質上の余りに多くの特に活性な基と反応することを避けるために用いられる特定のタンパク質又はタンパク質変異体に依存するものと理解される。これは完全に避けることができないであろうため、タンパク質1モル当たり一般に約0.1から1000モル、好ましくは2から200モルの活性化ポリマーを、タンパク質濃度に応じて用いることが推奨される。タンパク質1モル当たりの活性化ポリマーの最終量は、最適な活性を維持し、同時に可能ならばタンパク質の循環半減期を最適化するためのバランス量である。
【0066】
残基はタンパク質の任意の反応性アミノ酸、例えばN末端アミノ酸基であってもよいが、好ましくは反応性アミノ酸はシステインであり、これは、例えば国際公開99/03887、国際公開94/12219、国際公開94/22466、米国特許第5206344号、米国特許第5166322号、及び米国特許第5206344号に示されているように、その遊離のチオール基を介して活性化ポリマーの反応性基に結合している。あるいは、反応性基はリジンであり、これは、活性化ポリマーの反応性基にその遊離のイプシロン-アミノ基を介して結合しており、あるいはグルタミン酸又はアスパラギン酸であり、これはアミド結合を介してポリマーに結合している。ついで、この反応性基は例えばタンパク質のα及びεアミンと反応して共有結合を形成する。簡便には、PEG分子の他端はメトキシ基のような非反応性基で「ブロック」されて、タンパク質分子のPEG架橋複合体の形成を低減させることができる。
好適な活性化PEGは多くの一般的な反応によって生成させることができる。例えば、PEGのN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(M-NHS-PEG)は、Buckmann及びMerr, Makromol. Chem., 182:1379-1384 (1981)の方法に従って、PEG-モノメチルエーテル(ユニオンカーバイド社から市販されている)から、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)との反応によって調製することができる。また、PEG末端ヒドロキシ基は、例えば臭化チオニルと反応させてPEG-Brを生成した後、過剰のアンモニアでアミノ分解してPEG-NH2を形成することによって、アミノ基に転換できる。ついで、PEG-NH2は標準的なカップリング試薬、例えばウッドワード試薬Kを使用して対象のタンパク質に抱合される。更に、PEG末端-CH2OH基は、例えばMnO2での酸化によってアルデヒド基に転換できる。アルデヒド基は水素化シアノホウ素のような試薬を用いる還元性アルキル化によってタンパク質に抱合される。あるいは、本発明における使用に適した活性化PEGは多数の製造元から購入することができる。例えば、Shearwater Polymers, Inc. (Huntsville, Ala.)は、メトキシ-PEGのスクシンイミジル炭酸塩及びメトキシ-PEGスクシンイミジルプロピオン酸塩に加えて、分子量2000のメトキシ-PEG-マレイミドを販売している。
【0067】
本発明のApo-2L変異体のペグ化の度合いを調節して、対応する非ペグ化Apo-2L変異体と比較してインビボ半減期(以下、「半減期」)を望ましく増加させることができる。ペグ化Apo-2L変異体の半減期は典型的にはペグ化の度合いが増加するのに応じて徐々に増加する。タンパク質のペグ化の度合いと部位は、例えば(1)ペグ化部位の数と反応性(例えば第一級アミン)及び(2)ペグ化反応条件によって、決まる。タンパク質におけるペグ化部位のいくつかは相対的に非反応性である可能性が高いので、標準的なペグ化反応では典型的には完全なペグ化にはならない。
標準的な突然変異誘発法を用いてタンパク質中の潜在的なペグ化部位の数を変えることができる。よって、アミノ酸置換がシステインやリジンのようなアミノ酸を導入又は置換する程度まで、本発明のApo-2L変異体は(図1に示された)天然配列Apo-2Lよりもより多い又は少ない数の潜在的ペグ化部位を含むことができる。ペグ化の度合いと部位はまた反応条件、例えば活性化PEG及びタンパク質の相対濃度並びにpHを調節することによって操作することができる。所望の度合いのPEG化に対する好適な条件は、標準的なペグ化反応のパラメータを変えることによって経験的に決定することができる。
R170CのようなApo-2L変異体のペグ化は任意の簡便な方法によって実施される。例示的な実施態様では、R170C-Apo2L.0のCys170側鎖(つまり、図1のアミノ酸114−281を持ち、位置170の天然アルギニン残基がシステイン残基に置換された変異体Apo-2L;このような分子はここではまた「R170C.0」と特定されうる)は、分子量2000Dのメトキシ-PEG-マレイミド(Shearwater Polymers)との反応によって共有結合的に修飾される。簡便には、R170C-Apo2L.0は、最初に約30分間、周囲温度で10mMのDTTを用いて還元し、ついでPD-10ゲル濾過カラムに通して、平衡にし、HICバッファー(0.45MのNa2SO4、25mMのTris-HCl、pH7.5)で溶出させて還元剤を除去することによって、修飾の準備がなされる。ついで、一定量のPEG-マレイミド溶液(dH20中10MM)を直ぐに添加する。完全な反応を確実なものにするために必要な時間と試薬濃度の条件は経験的に決定することができる。0.5から5倍の範囲のR170C-Apo2L.0単量体に対するPEG-マレイミドのモル濃度比と2又は24時間の反応時間を使用することができる。反応は、あらゆる未ペグ化Cys170チオールがカルボキシアミドメチル化されるように、R170C-Apo2L.0単量体濃度に対して10倍のモルの過剰のヨードアセトアミドを添加することによって停止される。ヨードアセトアミドでの修飾は約30分であり、その後、過剰な試薬は、平衡化されPBSで溶出されるNAP-5カラム(Pharmacia)でのゲル濾過によって除去される。
【0068】
ペグ化タンパク質はSDS-PAGE、ゲル濾過、NMR、ペプチドマッピング、液体クロマトグラフィー-質量分析法、及びインビトロ生物学的アッセイによって特徴付けすることができる。ペグ化の度合いは典型的にはSDS-PAGEによって最初に示される。10%のSDS中でのポリアクリルアミドゲル電気泳動は、典型的には溶出バッファーとして10mMのTris-HCl、pH8.0、100mMのNaCl中で実施される。どの残基がペグ化されているかを証明するために、トリプシン及びLys-Cプロテアーゼのようなプロテアーゼ類を使用するペプチドマッピングを実施することができる。しかして、ペグ化及び非ペグ化R170C-Apo2L.0の試料を、Lys-Cプロテアーゼのようなプロテアーゼで消化させ、得られたペプチドを逆相HPLCのような方法で分離することができる。生成されたペプチドのクロマトグラフィーパターンを、Apo-2L.0ポリペプチドに対して過去に決定したペプチドマップと比較することができる。ついで、各ピークをピーク中のフラグメントのサイズを証明するために質量分析によって分析することができる。PEG基を有するフラグメントは、通常、注入後にはHPLCカラムに保持されておらず、クロマトグラフから消失している。クロマトグラフからのそのような消失は、少なくとも一のペグ化可能なアミノ酸残基を含んでいるに違いない特定のフラグメントに対するペグ化を示している。ペグ化Apo-2L変異体は、Apo-2Lレセプターと相互作用し、及び/又は哺乳動物においてアポトーシスを誘導する能力について、及び/又は他の生物学的活性について、当該分野で知られている方法を使用して、更にアッセイすることができる。
【0069】
また、このようなApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する製剤が、本発明により提供される。このような製剤は、治療的投与のみならず、特に貯蔵に適している(及びApo-2L三量体の維持)。任意の製剤は、Apo-2L変異体及び亜鉛又はコバルトを含む。より好ましくは、この製剤は金属がタンパク質に対して<2Xモル比であるApo-2L変異体及び亜鉛又はコバルト溶液を含む。水溶性懸濁液が所望されるならば、製剤中の二価金属イオンはタンパク質に対して>2Xモル比であってもよい。当業者であれば、>2Xモル比では、金属が製剤にとって有害になりうるか又は治療用製剤として望ましくない製剤中の二価金属イオン濃度の上限範囲がありうることが分かるであろう。
製剤は、既知の技術で調製することが可能である。例えば、Apo-2L変異体製剤はゲル濾過カラム上でのバッファー交換によって調製することが可能である。
典型的には、適量の製薬的に許容可能な塩が、製剤を等浸透圧にするために製剤において使用される。製薬的に許容可能な担体の例には、生理食塩水、リンガー液及びデキストロース液が含まれる。製剤のpHは、好ましくは約6〜約9、さらに好ましくは約7〜約7.5である。好ましくは、亜鉛がApo-2Lへ結合したままであることを確かなものにするためにpHは選択される。pHが高すぎる又は低すぎるならば、亜鉛はApo-2Lへ結合したままではなく、結果としてApo-2L変異体の二量体が形成される傾向となる。例えばApo-2リガンド変異体及び二価金属イオンの濃度及び投与経路よっては、ある種の担体がより好ましくなることは、当業者には明らかである。
【0070】
Apo-2L変異体の治療用製剤は、凍結乾燥製剤、水溶液又は水性分散液の形態で、任意的な製薬上許容可能な担体、賦形剤又は安定剤(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16版, A. Osol, A.編 (1980))と、適切な純度を有する所望のApo-2L変異体分子を混合することにより調製される。許容される担体、賦形剤、又は安定化剤は、好ましくは用いられる投与量及び濃度で受容者に非毒性であり、トリス(Tris)、HEPES、PIPES、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤、アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベンのようなアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM、又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
【0071】
このような担体の更なる例は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばグリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩、又は電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、コロイダルシリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、及びセルロースベースの物質である。局所用の担体又はゲルベースの形態は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース又はメチルセルロース等の多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及びモクロウアルコールを含む。あらゆる投与について、従来のデポー形態が好適に用いられる。このような形態は、例えば、マイクロカプセル、ナノ-カプセル、リポソーム、硬膏剤、吸入形態、鼻スプレー、舌下錠、及び徐放性製剤を含む。
Apo-2リガンド変異体の製剤としての有効な用量は経験的に決定することができ、このような決定は当業者の技量の範囲に含まれる。今日では、Apo-2リガンド変異体の有効用量又は量は、1日体重1kg当たり約1マイクログラム〜約100mg又はそれ以上の範囲であると考えられている。用量の種内スケーリングは、この分野で周知の方法、例えばMordentiら, Pharmaceut. Res., 8 1351 (1991)に記載されているように実施することができる。当業者はApo-2リガンド変異体の投与しなければならない用量が、例えばApo-2リガンド変異体を受容する哺乳動物、投与経路、及び哺乳動物に施される他の薬又は治療に応じて変化することを理解するであろう。
【0072】
インビボ投与に使用されるApo-2L変異体は滅菌されていなくてはならない。これは、凍結乾燥及び再構成の前又は後に、滅菌フィルター膜を通す濾過により容易に達成される。Apo-2L変異体は通常は凍結乾燥形態又は全身投与される場合には溶液中に貯蔵される。凍結乾燥形態にある場合、Apo-2L変異体は典型的には使用時の適当な希釈剤を含む他の成分と組み合わせて処方される。Apo-2L変異体の液体製剤の例は、無菌の、透明な、無色の生鮮溶液で、皮下注射用の1回投与バイアルに充填されている。
治療的Apo-2L変異体製剤は、一般的に無菌のアクセスポート、例えば、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針で貫通可能なストッパーを備えたバイアルに入れられる。製剤は、好ましくは静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、又は筋肉内(i.m.)の繰り返し注射として、あるいは鼻内又は肺内送達に適したエアロゾル製剤として投与される(肺内送達については、例えばEP257956参照)。
また、Apo-2L変異体は、徐放性調製物の形態で投与することが可能である。徐放性調製物の適切な例には、タンパク質を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが含まれ、このマトリクスは、例えばフィルム又はマイクロカプセル等の成形品の形態である。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、Langerら, J. Biomed. Mater. Res. 15: 167-277 (1981)及びLanger, Chem. Tech. 12: 98-105 (1982)に記載されたポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号、EP58481)、L-グルタミン酸とガンマ-エチル-L-グルタメートのコポリマー(Sidmanら, Biopolymers 22: 547-556 (1983))、非分解性エチレン-酢酸ビニル(Langerら, 上掲)、分解性の乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注入可能な微小球)、及びポリ-D-(−)-3-ヒドロキシ酪酸(EP133988)が含まれる。
ここに記載されたApo-2L変異体及びその製剤は、種々の治療的及び非治療的応用へ用いられる。これら応用は、種々の癌(上記に提供されている)、免疫関連症状、及びウイルス性症状の治療の方法である。このような治療的及び非治療的応用は、例えば、国際公開97/25428、国際公開97/01633、国際公開01/00832及び国際公開01/22987に記載されている。
【0073】
ここに記載のApo2L変異体は種々の病理状態、例えば免疫関連疾患又は癌を治療するのに有用である。ここに記載した様々な病理状態の哺乳動物における診断は、熟練した実務者によって行うことが可能である。例えば、哺乳動物の癌又は免疫関連疾患の診断と検出を可能にする診断技術は、当該分野で利用可能である。例えば、癌は、限定されるものではないが、触診(法)、血液分析、X線、NMR等々を含む技術を通して同定され得る。また、免疫関連疾患は容易に同定できる。全身性エリテマトーデスでは、疾患の中心媒介物は自己タンパク質/組織に対する自己反応性抗体、及び引き続き起こる免疫媒介炎症の産生である。腎臓、肺、骨格筋系、皮膚と粘膜、眼、中枢神経系、心臓血管系、胃腸管、骨髄及び血液を包含する複数の臓器と系が、臨床的に影響を受ける。リウマチ様関節炎(RA)は、主に複数の関節の滑膜に係る慢性全身性自己免疫疾患であり、結果として関節軟骨に傷害が生じる。病原はTリンパ球依存であり、リウマチ因子、自己IgGに対する自己抗体の生成を伴い、結果として関節体液及び血液において高レベルに達する免疫複合体が形成される。関節におけるこれらの複合体は、滑膜へのリンパ球及び単球の顕著な浸潤と、続いての顕著な滑膜変化を誘発しうる;多数の好中球の添加により同様の細胞で浸潤されるならば関節空間/体液でもである。影響を受けている組織は、多くの場合対称的パターンで主に関節である。しかしながら、2つの主な形態の関節外疾患も生じる。一方の形態は進行中の進行性関節疾患及び肺線維症の局部的障害、血管炎、及び皮膚潰瘍を伴う関節外障害の発達である。関節外疾患の第2の形態はいわゆるフェルティー症候群であり、RA疾患経路の末期、時々は関節疾患が鎮静した後に生じ、好中球減少、血小板減少及び脾腫大の存在に関与する。これは、梗塞、皮膚潰瘍及び壊疽の形成を伴う多数の器官及び血管炎に付随する。多くの場合、患者では、発病している関節上にある皮下組織にリウマチ様小結節が発達し;小結節は、混合炎症細胞浸潤に包囲された壊死性中心を有する。RAで生じる可能性のある他の徴候には:心外膜炎、胸膜炎、冠動脈炎、肺線維症を伴う間質性肺炎、乾性角結膜炎、及びリウマチ様小結節が含まれる。
【0074】
Apo2L変異体は、周知の方法に従い、ボーラスとしての静脈内投与、又は一定期間にわたる連続的な注入、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、骨液内、くも膜腔内、経口、局所的、又は吸入の経路により投与できる。場合によっては、投与は、様々な市販の装置を使用するミニポンプでの注入によって実施することもできる。
Apo2L変異体の投与の有効な用量とスケジュールは、経験的に決定することができ、そのような決定を行うことは当業者の技量の範囲にある。単独又は複数の用量が使用されうる。単独に使用されるApo2L変異体の効果的な用量又は量は一日当り約1μg/kgから約100mg/kg体重あるいはそれ以上までの範囲であると現在は考えられる。用量の種間スケーリングは、例えば、Mordentiら, Pharmaceut. Res., 8:1351(1991)に開示されているような当該分野で知られている方法で実施することができる。
Apo2L変異体のインビボ投与が用いられる場合、正常な投与量は、投与経路に応じて、哺乳動物の体重当たり1日に約10ng/kgから100mg/kgまで、好ましくは約1μg/kg/日から10mg/kg/日である。特定の用量及び輸送方法の指針は文献に与えられている;例えば、米国特許第4657760号、第5206344号、又は第5225212号参照。異なる製剤が異なる治療用化合物及び異なる疾患に有効であること、例えば一つの器官又は組織を標的とする投与には、他の器官又は組織とは異なる方式で輸送することが必要であることが予想される。当業者であれば、投与されなければならないApo2L変異体の用量が、例えば、Apo2L変異体を受入れる哺乳動物、投与経路、及び哺乳動物に投与されている他の薬剤又は治療法に依存して変わりうることは理解できるであろう。
【0075】
更なる治療法を本方法において使用することも考えられる。一又は複数の他の治療法には、これらに限定されるものではないが、当該技術分野において既知であり、前述のセクションIにおいてさらに詳細に定義された、放射線療法、サイトカイン、成長阻害剤、化学治療剤、細胞障害剤、チロシンキナーゼ阻害因子、ラスファルネシルトランスフェラーゼ阻害因子、血管形成阻害因子、及びサイクリン依存性キナーゼ阻害因子の投与が含まれる。更に、治療法は、RituxanTM又はHerceptinTMなどの腫瘍抗原を標的とする治療的抗体並びに抗VEGFなどの抗血管形成抗体、又はDR5又はDR4のようなApo2Lレセプターを標的とする抗体に基づく。
化学治療剤に対する調製法及び用量スケジュールは、製造者の指示に従って使用されるか、熟練した実務家により経験的に決定される。そのような化学療法に対する調製法及び用量スケジュールはまたChemotherapy Service, M.C.Perry編, Williams & Wilkins, Baltimore, MD(1992)にも記載されている。また、化学療法剤は、Apo2L変異体の投与に先行し、又はその後に行い、又はそれらと共に与えられてもよい。
また、CD20、CD11a、CD18、CD40、ErbB2、EGFR、ErbB3、ErbB4、又は血管内皮因子(VEGF)、又は他のTNFRファミリーメンバー(例えばDR4、DR5、OPG、TNFR1、TNFR2)に結合する抗体などの他の抗原に対する抗体を投与することも好ましい。他の方法として、又は付加的に、同一の抗原又はここに開示した二又はそれ以上の異なる抗原に結合する二又はそれ以上の抗体を患者に同時投与してもよい。しばしば、患者に一又は複数のサイトカインを投与することも有益である。一実施態様では、ここにおけるApo2L変異体は、成長阻害剤と同時投与される。例えば、まず成長阻害剤を投与し、続いて当該発明のApo2L変異体を投与する。
【0076】
Apo2L変異体(及び一又は複数の他の治療剤)は同時的又は経時的に投与される。Apo2L変異体の投与の後、インビトロにおいて処理された細胞を分析することができる。インビボでの治療がなされた場合、治療された哺乳動物は熟練した実務家にとって周知の様々な方法によりモニターすることができる。例えば、壊死をアッセイするために腫瘍細胞を病理検査することができ、又は血清の免疫系応答を分析することができる。
ここに記載した疾患の診断又は治療に有用なApo-2L変異体を含むキットのような製造品は、少なくとも容器及びラベルを具備する。適切な容器には、例えばボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管が含まれる。容器はガラス又はプラスチックのような種々の物質から形成できる。容器は、状態の診断又は治療に有効なApo-2L変異体製剤を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針で穿孔可能なストッパーを具備する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってよい)。容器上又は添付されるラベルには、製剤が選択した状態の診断又は治療に使用されることが示されている。この製造品は、製薬的に許容可能なバッファー、例えばリン酸緩衝塩水、リンガー液、及びデキストロース溶液を収容した第2の容器をさらに具備してもよい。さらに、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用説明書を備えた包装挿入物を含む、商業的及び使用者の立場から望ましい他の材料を具備してもよい。また、この製造品は、上述の他の活性剤を収容した第2又は第3の容器を具備してもよい。
【0077】
以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。本明細書で引用した全ての特許及び参考文献の全体を、出典明示によりここに取り込む。
【実施例】
【0078】
実施例で言及されている市販試薬は、特に示さない限りは製造者の使用説明に従い使用した。ATCC登録番号により以下の実施例及び明細書全体を通して特定されている細胞の供給源はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、マナッサス、バージニアである。
【0079】
(実施例1)
Apo-2Lの結晶学分析
Apo-2L(アミノ酸残基114−281)の結晶は、20℃で、50%のpeg 2K MMEのウェル溶液を覆う、40uLタンパク質(20mM Tris、pH8.0中の2.6mg/mL)、20uL 50mM Tris pH8.0、及び10uL 8% peg 2K MMEを含有する、70uLシッティングドロップ(sitting drop)の中で成長させ、非対称単位中に二つの単量体を有し、単位胞格子定数a=72.5、c=140オングストロームで室温では3.9オングストロームへ回折する空間群P63のメンバーであった。D218A変異体の結晶は、4℃で、32% MPDのウェル溶液を覆う4uLの4%MPD及び10uLタンパク質(20mM Tris pH7.5の1.7mg/ml)を含有する14uLシッティングドロップ中で成長し、非対称単位当たり1単量体で、単位胞格子定数a=66.4、c=197.7オングストロームで、シンクロトロン放射光で−180℃では1.3オングストロームへ回折する空間群R32のメンバーであった。データは、Apo-2L(残基114−281)の結晶に対して回折を3.9オングストロームに設定し、D218A変異体の1.9オングストロームは、MAR検出器が装備されているRigaku回転陽極X線発生装置で測定され、DENZO/SCALEPACKで処理された[Otwinowskiら, Proceeding of the CCP4 Study Weekend:Data Collection and Processing(eds. Sawyerら)pp56-62 Daresbury Laboratory, Daresbury, England, 1993]。D218A変異体のための1.3オングストロームの設定データは、アルゴンヌ国立研究所のアドバンストフォトンソースにおいて測定、及びHKL2000/SCALEPACKで加工されて、100%の完成性と12倍の冗長性、及びI/<I>=12.4を伴う6.4%のRsym(1.35−1.30シェルの中に34%)を有した。
【0080】
天然Apo-2L構造は、プログラムAmore[Acta Cryst., D50:760-763(1994)]によるTNF−α(pdbコード1TNF)を基礎とするモデルを利用した分子置換によって解明され[Brunger, X-PLOR:version 3.1, Yale Press, New Haven 1987]、35%のRfreeまで 厳密な2倍の非結晶学的リストレイン(non-crystallographic restraints)によって精密化された。この構造は、25%のRfree まで1.9オングストロームデータセットに対して、最後には、Refmac及びSHELXL [Sheldrickら, Methods in Enzymology, pp.319-343, Academic Press, San Diego 1997]によってRfree=22%及び良好な幾何学(rmsd 結合0.011オングストローム、rsmd角度1.7°)を有する20%Rfactorへ精密化された。すべての残基は、許容されるラマチャンドランプロットの領域の内側にある。精密化の間、電子密度の28シグマピークは、三量体軸上のCys230に関連する対称の間に観察された。この密度は、亜鉛イオンとしてモデル化され、B−因子の10へ精密化された。三量体軸上の塩素分子は、亜鉛に対して四番目のリガンドとして存在する。最終モデルは、170の溶媒分子及び1亜鉛イオンそして1塩素イオンをともなう残基120−130、142−194、203−281から構成される。残基91−119、131−141、及び195−202は秩序が乱れている。出発物質の質量分析が結晶が完全長であることを示す一方で、幾つかの結晶のN末端配列の決定は、N末端が原形態を保っていることを確かなものにした。
結晶学的データの要約は図2Cに提供されている。
【0081】
(実施例2)
Apo2Lシステイン置換変異体の設計と生産
システイン置換の部位はDR5・Apo2L複合体のX線構造(図3)の検査を元にして選択した。突然変異の際の活性の喪失又は導入されたシステイン残基の引き続いての修飾を避けるために、レセプター接触領域の外側の部位のみを突然変異誘発のために考慮した。システイン側鎖の効率的な化学修飾を確実にするために、結晶構造において高い溶媒接近性を示した残基のみを選択した。これらの基準に合致する残基には、限定されるものではないが、Val114、Arg115、Glu116、Asn134、Asn140、Glu144、Asn152、Ser153、Arg170、Asp234、Glu249、Arg255、Glu263及びHis264が含まれる。図3に示されるように、この残基群はApo2L単量体の一面を頂部から底部までをスパンしている。
Apo-2Lのシステイン置換変異体は、プラスミドpAPOK5.0の一本鎖型でのオリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発(Kunkelら, Proc. Natl. Acad. Sci., 82:488-492 (1985);Kunkelら, Methods in Enzymology, 154: 367-382 (1987))によって構築した。このプラスミドは、トリプトファン(trp)プロモーターにより推進されるApo2Lの114−281アミノ酸型の細胞内大腸菌発現のために設計した。pAPOK5.0はApo-2Lの残基91−113(図1)をコードしているDNAセグメントの欠失突然変異誘発によってpAPOK5(1999年7月22日公開の国際公開99/36535)から構築した。pAPOK5は、trpプロモーターを持つプラスミドpS1162へApo-2LcDNA(図1の残基91−281をコードする)をクローニングするためのPCRを利用して構築した。突然変異誘発後に、プラスミドの同一性をプラスミドのApo2Lの全体部分のジデオキシヌクレオチド配列決定(Sanger)によって確認した。
ついで、システイン置換タンパク質をコードするプラスミドを、発現のための大腸菌株294に形質転換した。培養物をLuriaブロス+50μg/mLカルベニシリン中で37℃にて飽和するまで一晩成長させた。続いて、飽和した培養物を50倍希釈してNa2HPO4(6g/L)、KH2PO4(3g/L)、NaCl(0.5g/L)、NH4Cl(1g/L)、グルコース(4.9g/L)、カザミノ酸(4.9g/L)、27mMのMgSO4、0.003%チアミンHCl及び適量の蒸留水+カルベニシリン40μg/mLからなる滅菌濾過培地中に蒔いた。A500が0.5−0.8になるまで培養物を37℃にて成長させた後、25μg/mLの最終濃度になるまで3-α-インドールアクリル酸(IAA)(Sigma, St.Louis, MO)を添加して発現を誘導した。振盪しながら細胞を30℃で一晩成長させ、遠心分離して収集し、以下に記載されたようなApo2Lの引き続いての回収のために−20℃で凍結保存した。
【0082】
モデルM110-Fマイクロフルイダイザー(Microfluidics Corporation, Newton, MA)を使用して、凍結した大腸菌細胞ペレットから、10容量(wt/vol)の100mMのTris、pH8.0/200mMのNaCl/5mMのEDTA/1mMのDTT中での均質化によってApo-2Lタンパク質を抽出した。ポリエチレンイミン(PEI)を0.5%(vol/vol)の最終濃度までホモジネートに添加して、これをついで遠心分離して細胞片を除去した。固形の硫酸アンモニウムを撹拌しながら周囲温度にて45%の飽和度の最終濃度になるまで抽出上清に加え、遠心分離によってペレットを回収した。硫酸アンモニウムペレットを50%の硫酸アンモニウム溶液で洗浄して残留EDTAを除去した後、50容積(wt/vol)の50mMのHEPES、pH7.5/0.1%トリトンX-100中に再懸濁させた。得られた溶液を遠心分離によって透明にし、5mLのHiTrapキレーティングセファロースカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)を使用して固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)によって精製した。カラムに、100mMのNiSO4/300mMのTris、pH7.5中のニッケルを充填し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の350mMのNaClで平衡化した。充填後、カラムを、PBS中350mMのNaClで洗浄し、PBS中50mMのイミダゾール/350mMのNaClで溶出させた。IMAC溶出液を20mMのTris、pH7.5に対して透析し、遠心分離によって透明にし、更に、平衡化し20mMのTris、pH7.5で洗浄した5mLのHiTrap SPセファロースカラム(Pharmacia)を使用する陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。HiTrap SPカラムを20mMのTris、pH7.5/0.5MのNaClで溶出させた。SPカラム溶出液を2mMのDTTで還元し、続いて周囲温度で45%の飽和度の最終濃度になるまで撹拌しながら固形の硫酸アンモニウムを加えることによって沈殿させた。硫酸アンモニウムペレットを3.5mLの20mMのTris、pH7.5/100mMのNaCl中に再懸濁させ、PD10カラム(Pharmacia)を使用するゲル濾過クロマトグラフィーによって20mMのTris、pH7.5/100mMのNaCl/2mMのDTTの最終バッファー中に交換した。精製したApo-2Lシステイン置換タンパク質を、クーマシー染色SDS-PAGE及び質量分析によって特徴付けし、−20℃で凍結して保存した。
【0083】
(実施例3)
インビトロでのApo2L変異体のアポトーシス活性
蛍光色素の代謝転換から細胞生存度を測定するバイオアッセイを、Apo2L変異体のアポトーシス活性を測定するために用いた。Apo-2L.0、Apo2L.2、又はApo2L変異体の2倍段階希釈物を、0.1%BSAを含むRPMI-1640培地(Gibco)中で作製し、50μlの各希釈物を、96ウェルのファルコン培養マイクロプレートの個々のウェルへ移した。50μlのSK-MES-1ヒト肺癌細胞(ATCC HTB58)(RMPI-1640、0.1%BSA中)を、2x104細胞/ウェルの密度にて添加した。これらの混合物を、37℃で24時間にわたってインキュベートした。20時間目に、25μLのアラマーブルー(AccuMed, Inc., Westlake, Ohio)を添加した。細胞数を、530nmの励起時に590nmで相対蛍光を測定することで決定した。これらのデータを、細胞生存度の50%減少を示すApo2L.0の濃度であるED50を計算するために、4パラメーターフィットを使用して分析した。
試験したシステイン置換Apo2L変異体のうち、E116CはSK-MES細胞に対するアポトーシス活性に有意な(>2倍)減少を示した(表I)。R170C変異体は約10倍増加した能力を有していた。R170C変異体の活性の増加はバイオアッセイ培地でのインキュベーション中のCys170の酸化に関連していると思われる。このアッセイにおいて、タンパク質はアッセイ培地で希釈され、貯蔵バッファー中に含まれる還元剤(2mMのDTT)が同時に希釈される。還元剤の濃度の減少により、ジスルフィド結合が形成されることになる。N-エチルマレイミド(NEM)(表I)又はヨードアセトアミド(図4)でのCys170の先のアルキル化が活性の増加を阻止した。また、Arg170がAla、Lys又はSer残基の何れかで置き換えられたApo2L変異体はApo-2L.0ポリペプチドに一層匹敵する活性を有していた。
【0084】
【表1】
「ND」=定量されず;タンパク質の91−281型からつくられた変異体S96C.2、S101C.2、及びS111C.2(「Apo2L.2」)を除いてApo-2リガンド変異体の全てがタンパク質の114−281型(Apo2L.0)としてつくられた。
【0085】
R170C-Apo-2L.0三量体間のジスルフィド結合形成の可能性を、空気酸化の速度を測定することによって更に調べた。2mMのDTTの存在下で保存したR170C-Apo-2L.0の1.4mg/mL溶液の一部を、DTTを除去するためにHICバッファー(0.45MのNa2SO4、25mMのTris-HCl、pH7.5)で平衡化したPD-10カラムに通した。この溶液(3.5mLの1.1mg/mL R170C-Apo-2L.0)を穏やかに撹拌しながら15mLのFalconチューブ中で周囲温度にてインキュベートした。一定量を様々な時点で除去し、R170C-Apo-2L.0に残る全ての溶媒接近可能なチオール類を10倍のモル過剰のヨードアセトアミドでアルキル化した。最初の時点は3分であるが、これはPD-10カラムからタンパク質を溶出させるのに必要な時間量であるためである。これらの試料を、上述のようにしてSK-MES細胞での生物活性について特徴付けを行い、また多角度光散乱検出(SEC-MALS)を備えたサイズ排除クロマトグラフィーによって分子量について特徴付けを行った。クロマトグラフィーを、平衡化されPBSで溶出させられ、光散乱検出器とUV検出器の双方を備えたFPLCシステムで操作されるSuperdex200カラム(1.6x30cm)(Wyatt Technology, Inc.)を使用して実施した。
【0086】
図5に示されるように、3分だけの空気酸化では、大部分がR170C-Apo-2L.0は70000Dの算定分子量を持つ三量体形態で見出される。2時間では、有意な量のより高分子量の形態が見出される。2時間での三つのピークは70000、140000及び600000Dの算定分子量を有している。空気酸化24時間の時点では、R170C-Apo-2L.0の殆どが600000D分子量の種として見出される。更なる24時間のインキュベーションでも600000Dを越える種は生産されない。SDS-PAGEの際に、より大きい分子量の形態がジスルフィド結合二量体として移動する。これらの結果は、R170C-Apo-2L.0タンパク質が、ジスルフィド結合を介して三量体が互いに結合したオリゴマー種を形成することを示唆している。140000D形態は互いに結合した2つの三量体に対応する一方、600000D形態は共有結合した8−10の三量体を有している。SDSでの変性の際に、これらのオリゴマーはジスルフィド結合二量体に分解する。24時間の空気酸化後に、R170C-Apo-2L.0は、アポトーシスバイオアッセイにおいてSK-MES細胞に対してほぼ20倍のED50の減少を生じさせた。生物活性の増加の時間的経過はオリゴマー形態の蓄積と同時進行する(図6)。Cys170ジスルフィド結合を通してのオリゴマー生成はまたDR5レセプターに対する親和性を増大させる結果となる。
これらの結果は、レセプター結合を排除しない形でのApo2Lのオリゴマー形成により腫瘍細胞に対して更に強力なデスシグナルを生じる分子が得られることを示唆している。
【0087】
(実施例4)
Cys残基でのApo-2Lのペグ化
システイン置換Apo2Lタンパク質を、メトキシ-PEG-マレイミド、分子量2000D(Shearwater Polymers)との反応により共有結合的に修飾した。PD-10ゲル濾過カラムを通過させて保存バッファー中に含まれるDTTを最初に除去して、Apo2L変異体の修飾の準備をした。カラムを平衡化し、HICバッファー(0.45MのNa2SO4、25mMトリス-HCl pH 7.5)又はアルギニン製剤バッファー(0.5Mのコハク酸アルギニン、20mMトリス-HCl pH 7.5)で溶出させた。一定量のPEG-マレイミド溶液(10mMのdH2O溶液)を直ぐに添加した。最初の実験では、完全な反応を行わしめるのに必要な反応時間と試薬濃度を決定するためにR170C変異体を使用した。1:1、2:1、5:1又は10:1のR170C-Apo2L.0単量体に対するPEG-マレイミドのモル濃度比及び2から24時間の反応時間を使用した。反応を、2mMになるまでDTTを添加することにより終結させ、周囲温度で30分インキュベーションした後、ヨードアセトアミドを10mMになるまで添加した。この反応停止手順によって、反応中に生じたあらゆるジスルフィド結合を減少させ、あらゆる未ペグ化Cys170チオールをカルボキシアミドメチル化させた。ヨードアセトアミドでの修飾は30分間で、その後、過剰な試薬を、平衡化されPBSで溶出されるNAP-5カラム(Pharmacia)でのゲル濾過によって除去した。これらの試料をSDS-PAGE及びSEC-MALSによって分析した。またSK-MES細胞に対するアポトーシス誘導活性を上述のようにしてアッセイした。図8に示されるように、PEG-2K-マレイミドでのR170C-Apo2L.0の処理によって単量体分子量のおよそ2000ダルトンのシフトがあることがSDS-PAGEにより分かる。2:1又はそれ以上のPEG:タンパク質の比を用いる反応によって同様の程度の修飾が得られた。これらの反応について、残留した未修飾単量体を観察した。クーマシーブルー染色ゲルの視覚検査によって、未修飾単量体が全タンパク質の<10%であることが示唆される。2:1未満のPEG:タンパク質モル比では、得られた修飾は少なかった。24時間の反応時間では生成物の明らかな変化は観察されなかったので、反応は2時間以内に完了するように思われる。
【0088】
PEG化R170C-Apo2L.0の水力学的性質を、Superdex200カラムに使用したランニングバッファーを0.4Mの硫酸アンモニウム、15mMのリン酸ナトリウム、pH6.5にした以外は上述のようにしてSEC-MALSによって評価した。この高イオン強度のバッファーを使用すると、カラム材料とのApo2Lの相互作用が低減される。ヨードアセトアミドでブロックされたCys170を有するR170C-Apo2L.0は、60000g/molとして光散乱法から算定されたモル質量で、10.65mLを中心とする単一の対称ピークとして溶出された。2:1のPEG比と2時間の反応時間を使用して調製されたPEG-2K-R170C-Apo2L.0はまた単一の対称ピークとして溶出されたが、溶出容積は9.25mL、算定モル質量は69000g/molであった。SDS-PAGEからの結果と併せると、これらのデータは、この試料が三量体当たり3つの共有結合PEG鎖を有しており、単量体当たり1PEG鎖を伴っていることが示唆される。PEG-2K-R170C-Apo2L.0の算定分子量(69000D)は測定の標準誤差(±10%)の範囲で予想質量(66000D)に一致する。三量体当たり3つの共有結合PEG鎖を有しており、単量体当たり1PEG鎖を伴っているApo-2Lのこの三量体形態は、有意な生物活性性状と腎臓濾過カットオフより大なるMWappを含む多くの共存する最適な特性を示すことによって本発明の好適な実施態様を表す複合体を生じる。IAM-R170C-Apo2L.0に対して50000D、PEG-2K-R170C-Apo2L.0に対して100000Dの見かけ分子量は相対溶出容積に基づいて計算された。既知の分子量の一連のタンパク質を使用して、見かけ分子量に溶出容積を関係づける校正曲線を構築した。IAM-R170C-Apo2L.0とまた未修飾のApo2L.0は予想よりも些か少ない分子量を示したが、三量体の緻密な形状と一致していた。PEG-2K-R170C-Apo2L.0に対して算定されたより大なる分子量は親水性で延長されたPEG鎖から生じ、修飾されたタンパク質の水力学的半径を大きく増大させる。
【0089】
上記の結果に基づいて、他のシステイン置換変異体での最初のPEG化実験では2:1のPEG対単量体モル比と2時間の反応時間を用いた。これらの反応条件は通常3つの結合PEG鎖を有する三量体を生じた。しかし、V114C及びR115C変異体は、実験では反応性に乏しく、より完全な反応を達成するにはより高いPEG比とより長い反応時間を必要とした。R255C変異体はより高いPEG比とより長い反応時間でも修飾できなかった。修飾実験はE116C変異体では実施されなかった。
システイン置換タンパク質の多くは、上述のようにPEG化されたときに減少した生物活性(表I)を示した。生物活性の減少はPEG-V114Cの2.1倍からPEG-N134Cの134倍まで変動した。R170C-Apo2L.0はPEG化の際に比較的高いレベルの活性を保持し、低PEG:タンパク質比で修飾が急速に完了まで進んだので、この変異体を更なる研究のために選択した。
より多量のPEG-R170C-Apo2L.0の生産のために、PEG:Apo2L単量体の2:1のモル比及び24時間の反応時間を使用した。70mgのR170C-Apo2L.0をゲル濾過した後、周囲温度で24時間の間、PEG-マレイミドと反応させた。10倍のモル過剰のヨードアセトアミドで反応を停止させた後、タンパク質を、製剤バッファー(コハク酸アルギニン)で平衡化したセファデックスG-25のカラムでのゲル濾過クロマトグラフィーによって遊離のPEGから分離した。この調製物はロット番号32176-87Cであった。精製したPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)はApo2L.0に対して測定したものと等価なDR4、DR5、DcR1、DcR2、及びOPGに対する結合親和性を示した(表II)。
【表2】
【0090】
ついで、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)を質量分析及びペプチドマッピングによって分析した。MALDI-TOF-MS(図10)は、少量の未修飾単量体(分子量=19440)の存在と単一の結合PEGを持つタンパク質に対応する主要ピークを示している。PEG分子はポリマー単位エチレングリコール(分子量=44)の増分だけ分子量が異なる質量不均一性を有することがよく知られている。その結果、約21680を中心とする広い質量範囲が、単一のPEGが結合したタンパク質に対して観察された。ペグ化及び非ペグ化R170C-Apo2L.0間の平均質量差は、PEGの平均質量が2200Dであることを示している。
PEG結合部位はペプチドマッピングによって確認された。ペグ化及び非ペグ化R170C-Apo2L.0の試料をLys-Cプロテアーゼで消化し、得られたペプチドを逆相HPLCで分離した(図11)。生成されたペプチドのパターンを、Apo2L.0に対して過去に決定されたマップと比較した。Lys150及びLys179後の切断により生成されたL4と標識されたペプチドはR170C-Apo2L.0の消化にCys170残基を含んでいる。このピークは消失し、ペグ化タンパク質において、広い、後で溶出するピーク(L4*)によって置き換わる。このフラクションのMALDI-TOF質量スペクトルは、予想されたペプチド質量より大きい1.9−2.6kDaの分布を持つ44Daによって分離された一連のピークを示している。MALDI-TOFでのインソースフラグメンテーションによる更なる分析では、L4*を、Cys170がPEGで修飾された151−179ペプチドと確認した。これらの結果と対照的に、L10ペプチド(225−233)は未修飾及びペグ化R170C-Apo2L.0の双方において同様のピーク面積を示す。これは、埋もれており亜鉛イオンのキレート化に関与する天然Cys230残基がPEG-マレイミドによって修飾されないことを示している。Lys残基の側鎖のような他の官能基の有意な修飾は観察されなかった。無傷のタンパク質のSDS-PAGE及びMALDI-TOF質量スペクトルと併せると、これらのデータは、各単量体がCys170に結合した一つのPEGを有していることを示唆している。よって、天然の条件下では、R170C-Apo2L.0三量体は3つの結合したPEG分子を有している。
【0091】
(実施例5)
PEG-R170C-Apo2L.0の薬物動態学
Apo2Lのクリアランスに対するPEG化の効果をマウスで試験した。時間ゼロにおいてマウスの尾部にApo2L.0(10mg/kg)又はPEG-R170C-Apo2L.0(10mg/kg)を静脈注射した。血漿試料を1、20、40、60、及び80分に収集した。Apo2L濃度をELISAによって定量した。
図12に示されるように、Apo2L.0は循環から迅速に排除されるのに対して、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)はよりゆっくりと排除された。注射後60分で、Apo2L.0の血漿濃度は1分での濃度の1%未満であった。これに対して、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)の血漿濃度はこの時間では50%減少しただけである。よって、Apo2Lに対するPEG-2000の部位特異的付着によりクリアランス速度が有意に減少した。
【0092】
(実施例6)
マウス異種移植モデルにおけるヒトCOLO205腫瘍の成長に対するPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)の効果
胸腺欠損ヌードマウス(Jackson Laboratories)に5x106のCOLO205ヒト大腸癌細胞(NCI)を皮下注射した。腫瘍を生じさせ、ノギスでの測定で約150mm3の体積になるまで成長させた。マウス(1グループ当たり8匹)にビヒクル(2x/週)、Apo2L.0(60mg/kg、2x/週)、Apo2L.0(10mg/kg、2x/週)、又はPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)(10mg/kg、2x/週)を静脈内注射した。腫瘍体積を三日毎に測定し、二週間後に治療を停止した。図13に示されるように、10mg/kgのPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)での処置はApo2L.0の等価な投薬量よりも腫瘍体積を大きく減少させた。10mg/kgのPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)の抗腫瘍効果はApo2L.0のより高い投薬量(60mg/kg)で観察されたものと同様であった。Cys170でのApo2LのPEG化はこのヒト癌異種移植モデルにおいて効果を達成するのに必要とされる投薬量を低減させる。
【0093】
(実施例7)
部分的にPEG化され、ジスルフィド架橋されたR170C-Apo2L.0の調製
上述したように、R170C-Apo2L.0の一晩の空気酸化により、SK-MES細胞に対するインビトロでの生物活性を有意に増大させた600000D分子量の種を生じる。しかし、予備的な結果は、この高分子量形態がマウスでは有意に増加した半減期を持っていないことを示している。また、酸化されたR170C-Apo2L.0はマウス異種移植モデルにおいて抗腫瘍活性を増大させず、ある種の正常な肝細胞に対して毒性であると思われる。ジスルフィド結合形態の生物活性の増加をPEG化Apo2Lの遅いクリアランスと組み合わせるための努力において、PEG化実験を、PEG-マレイミド:R170C-Apo2L.0単量体の不足化学量論比を使用して実施した。これは同じ分子に対して架橋とPEG化の双方を可能にすることになる。
HICバッファーで平衡化したセファデックスG-25カラムでDTTを除去することによりPEG化反応のためのR170C-Apo2L.0(95mg)を調製した。メトキシ-PEG-マレイミド、分子量2000D(Shearwater Polymers)を0.75:1のPEG:R170C-Apo2L.0-単量体の最終比になるまで添加した。単量体濃度は55μMであった。この溶液を周囲温度で一晩インキュベートした後、ヨードアセトアミドを100μMになるまで添加することによって反応を停止した。過剰な試薬を除去し、コハク酸アルギニン製剤バッファーで平衡化したセファデックスG-25カラムでの修飾タンパク質のゲル濾過によって、バッファーを交換した。この材料はPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)と命名され、増加したレセプター親和性(表II)及びインビトロ生物活性(図14)を示した。
【0094】
PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の水力学的特性を、カラムを平衡化しPBSで溶出させた点以外はロット32176-87Cに対して上述したようなゲル濾過クロマトグラフィーによって調べた。PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)は3つの主要ピークでカラムから溶出している(図15)。最初のピークは315000Dの算定分子量を有し、注入された材料の30%を占める。第二のピークは194000Dの算定分子量を有し、全体の23%を占める。第三のピークは108000Dの算定分子量を有し、全質量の46%を占める。SDS-PAGEによる分析は、全ての3つのピークがPEG化単量体とジスルフィド結合二量体を含むことを示す。これらの成分の比は、ピーク3が主として完全にPEG化された三量体からなり、ピーク2はほとんど「六量体」−ジスルフィド結合で結合した2つの三量体−であるように思われ、ピーク1はジスルフィド結合を介して結合した「九量体」であることを示唆している。六量体形態の模式図を図16に示す。ピーク1はアポトーシスアッセイにおいて最も高い活性を有しており、50の相対強度を示す。ピーク2は17の相対強度を示し、ピーク1は3の相対強度を有していた。
【0095】
マウス中のPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の薬物速度を、血漿試料を10分、及び1、2、4、8及び24時間で採取したこと以外にロット32176-87Cに対して上述したようにして定量した。PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の血漿濃度を図17にプロットする。2コンパートメントモデルに従ったこれらのデータの分析(表III)は、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)がApo2L.0に対して48倍の増加した半減期と15倍の減少したクリアランス速度を有していることを示している。
【表3】
【0096】
PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)を次の変更点の下で上述したマウス異種移植モデルにおいて試験した:1)全ての注射を腹腔内で行った;2)PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の注射を2週間の間、1、3、又は10mg/kgで2x/週、実施した;3)Apo2L.0の注射を共に2週間の間、60mg/kgで5x/週、又は10mg/kgで2x/週、実施した。図18に示されるように、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の3通り全ての投薬は各群の8匹全ての動物において完全な腫瘍後退を引き起こした。腫瘍体積はゼロまで低減され、治療停止後にそのレベルまで維持された。Apo2L.0の双方の投薬によって腫瘍体積の減少を生じたが、全ての処置動物において完全な腫瘍後退は引き起こさなかった。PEG-R170C-Apo2L.0処置の3つの群では、投薬計画完了後に腫瘍を有していた動物はいなかった。より高い投薬量が腫瘍のより早い除去を生じるという用量応答があった。Apo2L.0で処置した群はより少ない腫瘍消失%であり、腫瘍は60mg/kg用量を与えた8/8の動物と10mg/kg用量を受けた4/6で処置の中止時に再成長し始めた。PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)処置群では、腫瘍が再びあらわれるのにより長い時間がかかりゆっくりと成長した。1、3及び10mg/kgのPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)処置群では、腫瘍はそれぞれ2/7、4/8及び3/8動物において再発した。これらのデータは、部分的にPEG化され架橋されたR170C-Apo2L.0が、未修飾のApo2L.0で観察されるよりも低い投薬量で大なる抗腫瘍効果を有していることを示している。
カニクイザル由来の正常な肝細胞に対するPEG-R170C-Apo2L.0のロット番号32176-78及び32176-87Cの効果を図19において比較した。ロット32176-87Cは肝細胞に対して細胞毒性をあまり示さなかったが、ロット32176-78は中間の高くない濃度である程度の毒性を示した。この濃度依存性は細胞表面上でのレセプターの高次のクラスター形成から生じる毒性と一致していると考えられる。
【0097】
(実施例8)
PEG化K179C-Apo2L.0の調製
薬物動態学的及び効能実験をまたオリゴマー形成に対して減少した傾向を持つシステイン変異体を用いて実施した。(上記実施例に記載されたようにして調製された)K179C変異体がこれらの実験のために選択されたが、これは、その天然形態のこの変異体が野生型(天然)Apo-2リガンド分子に匹敵する活性を有し、予備ペグ化実験がCys179修飾の際に活性が2倍だけ消失することを示していたためである(表I参照)。この変異体はジスルフィド結合オリゴマーを直ぐには形成しないようであった(データ示さず)。K179C-Apo2L.0(40mg)を8mg/mLまで濃縮し、周囲温度で2時間、10mMのDTTで還元した。還元剤を、コハク酸アルギニン製剤バッファーで平衡化したPD-10カラムでのゲル濾過によって除去した。タンパク質濃度を吸光度測定で定量した後、2K-メトキシPEG-マレイミドを5:1のPEG:Apo2L単量体の最終モル濃度になるまで添加した。この混合物を周囲温度で一晩インキュベーションした後、DTTを5mMになるまで添加することによって反応を停止させた。90分後に、20mMの濃度までヨードアセトアミドを添加することによって還元剤をブロックした。アルキル化を60分進行させた後、混合物を、PD-10カラムでコハク酸アルギニン製剤バッファー中に交換した。
【0098】
2K PEG-K179C-Apo2L.0の水力学的性質を、平衡化しPBSで溶出させるSuperdex200カラムでのSEC-MALSによって調べた。2K PEG-K179C-Apo2L.0は85000の算定分子量を持つ溶出容積(11.8mL)の単一ピークとして溶出した(図23)。より早い溶出ピークは検出されず、この調製物にジスルフィド結合オリゴマーがないことを示唆している。PEG化は、K179C-Apo2L.0のヨードアセトアミド修飾形態が13.4mLで溶出し、70000の算定分子量を有するので、増加した見かけ分子量を生じた。
SK-MES細胞に対するアポトーシス誘導活性を、上記の実施例に記載されているようにして、2K PEG-K179C-Apo2L.0について測定した。PEG化タンパク質は非常に活性であり、未修飾Apo2L.0に対して生物活性が9倍減少しただけであった(図24)。
ヒトCOLO205腫瘍の成長に対する2K PEG-K179C-Apo2L.0の効果を、上述のマウス異種移植モデル(実施例6)を使用して定量した。マウス(一群当たり8)にビヒクル(5x/週)、Apo2L.0(60mg/kg、5x/週)、又はPEG-K179C-Apo2L.0(60mg/kg、1x/週)の腹腔内注射を与えた。血漿試料を最初の注射の1分及び24時間後に採取した。これらの試料中のApo2Lの濃度をELISAによって定量した。図25に示されるように、Apo2L.0と比較してPEG化タンパク質の場合に24時間後に更に高いフラクションの注射投薬量が血漿中に保持されていた。マウス中の腫瘍体積を三日毎に測定し、二週間後に治療を停止した。図26に示されるように、PEG-K179C-Apo2L.0の1x/週の投薬は、Apo2L.0での5x/週の治療より平均腫瘍体積を大きく減少させた。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】ヒトApo-2リガンドcDNAのヌクレオチド配列(配列番号:2)とその誘導アミノ酸配列(配列番号:1)を示す。ヌクレオチド位置447の「N」は、「T」又は「G」でありうるヌクレオチド塩基を示すために使用される。
【図2A】図2A−2CはApo-2Lの結晶構造に関する。図2Aは、3回転軸に沿った三量体の概略を示す。各単量体は同一である。秩序だったタンパク質構造は残基120から始まり、残基131−141は秩序だっておらず、残基195−201も同じである(破線で印が付けられている)。溶媒リガンドと三つの対称性に関連したシステインを含む亜鉛結合部位は空間充填図として示されている。
【図2B】図2Bは、亜鉛結合部位の斜視立体密集図を提供する;Sγ−亜鉛−Sγ間の角度は112℃で、Sγ−亜鉛−溶媒角度は107℃で2.3オングストロームの亜鉛−硫黄及び2.3オングストロームの亜鉛−溶媒結合距離を有する。図2は、プログラムMolscript[Kraulisら, J. Appl. Cryst., 24:946-950(1991)]及びRaster3D[Merritら, Acta Cryst., D50:869-873(1994)]を用いて作成された。
【図2C】図2Cは結晶データの要約を提供する。
【図3】DR5・Apo2L複合体のX線構造を示す。
【図4】SK-MES肺癌細胞に対するR170C-Apo2L.0のアポトーシス誘導活性を示す。R170C変異体の活性の増加はバイオアッセイ培地でのインキュベーション中のCys170の酸化に関連しているように思われる。N-エチルマレイミド(NEM)又はヨードアセトアミドでのCys170の予めのアルキル化が活性の増加を阻止した。
【図5】オンライン光散乱検出器(MALS)を備えたクロマトグラフィー系を使用しての(Wyatt Technology, Inc.)Superdex200カラム(Amersham Biotech)でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるR170C-Apo2L.0オリゴマーの分析を示す。実線はUVのトレースを示し、符号は光散乱データから計算したモル質量を示す。3分だけの空気酸化では、R170C-Apo-2L.0は大部分が70000Dの算定分子量を持つ三量体形態で見出される(溶出容積=11mLs)。2時間では、有意な量のより高分子量の形態が見出される。2時間での三つのピークは70000D、140000D(9.5mLの溶出容積)及び600000D(6mLの溶出容積)の算定分子量を有している。24時間後には、600000Dの分子量の種のみが見出される。
【図6】R170C-Apo2L.0に対するオリゴマー形成の反応速度と生物活性の増加を示す。生物活性の増加の時間過程はオリゴマー形態の蓄積と同時に進行している。
【図7】カニクイザル肝細胞に対する酸化R170C-Apo2L.0の効果を示す。
【図8】PEG化反応のSDS-PAGE分析を示す。レーン(左から右)1、2−R170C-Apo2L.0、3−PEG-マレイミド無添加、4−NEM修飾R170C-Apo2L.0、5−1:1 PEG:R170C-Apo2L.0、6−2:1 PEG:R170C-Apo2L.0、7−5:1 PEG:R170C-Apo2L.0、8−10:1 PEG:R170C-Apo2L.0、9−分子量標準物、10−空気酸化R170C-Apo2L.0。PEG-マレイミドでのR170C-Apo2L.0の処理によって単量体分子量のおよそ2000ダルトンのシフトがあることがSDS-PAGEにより分かる。2:1又はそれ以上のPEG:タンパク質の比を用いる反応によって同様の程度の修飾が得られた。これらの反応について、残留した未修飾単量体を観察した。クーマシーブルー染色ゲルの視覚検査によって、未修飾単量体が全タンパク質の<10%であることが示唆される。2:1未満のPEG:タンパク質モル比では、得られた修飾は少なかった。24時間の反応時間では生成物の明らかな変化は観察されなかったので、反応は2時間以内に完了するように思われる。
【図9】SEC-MALSによるPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)の分析を示す。11.3mLのピーク溶出容積を持つカルボキシアミドメチル-R170C-Apo2L.0の曲線を比較のために示す。PEG化により溶出容積の減少と見かけ分子量の増大が引き起こされる。
【図10】質量分析によるPEG-R170C-Apo2L.0の分析を示す。MALDI-TOF-MSは、少量の未修飾単量体(分子量=19440D)の存在と単一結合PEGを有するタンパク質に対応する主要ピークを示している。PEG分子はポリマー単位エチレングリコール(分子量=44)の増分だけ分子量が異なる質量不均一性を有することがよく知られている。その結果、約21660Dを中心とする広い質量範囲が、単一のPEGが結合したタンパク質に対して観察された。ペグ化及び非ペグ化R170C-Apo2L.0間の平均質量差は、PEGの平均質量が2200Dであることを示している。
【図11A】PEG結合部位を確認するために使用したペプチドマッピングを示す。ペグ化及び非ペグ化R170C-Apo2L.0の試料をLys-Cプロテアーゼで消化し、得られたペプチドを逆相HPLCで分離した。生成されたペプチドのパターンを、Apo2L.0に対して過去に決定されたマップと比較した。Lys150及びLys179後の切断により生成されたL4と標識されたペプチドはR170C-Apo2L.0の消化にCys170残基を含んでいる。このピークは消失し、ペグ化タンパク質において、広い、後で溶出するピーク(L4*)によって置き換わる。
【図11B】図11Aと同様の図である。
【図11C】図11Aと同様の図である。
【図12】マウス中のPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)の薬物速度を示している。時間ゼロにおいてマウスの尾部にApo2L.0(10mg/kg)又はPEG-R170C-Apo2L.0(10mg/kg)を静脈注射した。血漿試料を1、20、40、60、及び80分に収集した。Apo2L濃度をELISAによって定量した。これらのデータは、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)がApo2L.0より長い半減期を有していることを示している。
【図13】マウス異種移植モデルにおけるヒトCOLO205腫瘍の成長い対するPEG-R170C-Apo2L.0(31276-87C)の効果を示す。胸腺欠損ヌードマウス(Jackson Laboratories)に5x106のCOLO205ヒト大腸癌細胞(NCI)を皮下注射した。腫瘍を生じさせ、ノギスでの測定で約150mm3の体積になるまで成長させた。マウス(1グループ当たり8匹)にビヒクル(2x/週)、Apo2L.0(60mg/kg、2x/週)、Apo2L.0(10mg/kg、2x/週)、又はPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)(10mg/kg、2x/週)を静脈内注射した。腫瘍体積を三日毎に測定し、二週間後に治療を停止した。10mg/kgのPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)での処置によりApo2L.0の等価用量よりも大なる腫瘍体積の減少が達成された。
【図14】SK-MES肺癌細胞に対するPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)のアポトーシス誘導効果を示す。PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の活性はApo2L.0に対して39倍増加している。
【図15】SEC-MALSによるPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の分析を示す。PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)は3つの主要ピークでカラムから溶出する。最初のピークは315000Dの算定分子量を有し、注射された材料の30%を占める。第二のピークは194000Dの算定分子量を有し、全体の23%を占める。第三のピークは108000Dの算定分子量を有し、全質量の46%を占める。
【図16】PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の「六量体」の提案された構造の概略図である。2つのApo2L三量体がCys170を通してのジスルフィド結合にて示されており、三量体の残りのサブユニットはCys170に結合したPEG鎖を有している。
【図17】マウスにおけるPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の薬物速度を示す。マウスに時間ゼロにおいてApo2L.0(10mg/kg)又はPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)(10mg/kg)の静脈注射を尾部に与えた。血漿試料を10分、及び1、2、4、8及び24時間で収集した。Apo-2L濃度をELISAによって定量した。これらのデータは、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)がApo2L.0よりも48倍長い半減期を有していることを示している。
【図18】マウス異種移植モデルにおけるヒトCOLO205腫瘍の成長に対するPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)の効果を示す。胸腺欠損ヌードマウス(Jackson Laboratories)に5x106のCOLO205ヒト大腸癌細胞(NCI)を皮下注射した。腫瘍を形成させ、キャリパー測定で判断して約150mm3の体積になるまで成長させた。マウス(一群当たり8匹)にビヒクル(5x/週)、Apo2L.0(60mg/kg、5x/週)、Apo2L.0(10mg/kg、2x/週)、PEG-R170C-Apo2L.0(10mg/kg、2x/週)、PEG-R170C-Apo2L.0(3mg/kg、2x/週)、又はPEG-R170C-Apo2L.0(1mg/kg、2x/週)を腹腔内注射した。腫瘍体積を三日毎に測定し二週間後に処置を停止した。PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の3通り全ての投薬量が、各群の8匹全ての動物において完全な腫瘍の後退を生じた。
【図19】カニクイザル由来の正常な肝細胞の生存に対するPEG-R170C-Apo2L.0の効果を示す。ロット32176-78は中程度の濃度で効果を示す一方、ロット31276-87Cは肝細胞の生存に対して効果を持たない。
【図20A】完全長ヒトDR4のcDNAのヌクレオチド配列(配列番号:4)及びその誘導アミノ酸配列(配列番号:3)を示す。ヒトDR4に対する各ヌクレオチド及びアミノ酸配列はPanら, 276:111 (1997)にも報告されている。
【図20B】図20Aの続きである。
【図21】1998年11月19日に国際公開98/51793中で公開されたヒトDR5(Apo-2とも称される)の411のアミノ酸配列(配列番号:5)を示す。ヒトDR5のスプライシング変異体は当該分野で知られている。このDR5スプライシング変異体は図22A及び22Bに示されたヒトDR5の440のアミノ酸配列(配列番号:6)をコードする。
【図22A】1998年8月20日に国際公開98/35986中で公開されたヒトDR5の440のアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。
【図22B】図22Aの続きである。
【図23】SEC-MALSによる2K PEG-R179C-Apo2L.0の分析を示す。
【図24】SK-MES肺癌細胞に対する2K PEG-R179C-Apo2L.0(図では「2KPEG-K179.0」と称される)のアポトーシス誘導活性を示す。
【図25】Colo205マウスモデルにおける2KPEG-R179C-Apo2L.0の薬物速度を示す。血漿試料を示された時間において収集し、示されたタンパク質の濃度をELISAによって定量した。
【図26】マウス異種移植モデルにおけるヒトCOLO205腫瘍の成長に対する2K PEG-R179C-Apo2L.0の効果を示す。
【発明の開示】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般にApo-2リガンド変異体、特にApo-2リガンド置換変異体、並びにその化学的修飾形態に関する。
【0002】
(発明の背景)
哺乳動物における細胞数のコントロールは、細胞増殖と細胞死のバランスにより部分的に決定されると考えられている。しばしば壊死性細胞死と称される細胞死の一形態は、典型的には、ある種の外傷又は細胞傷害の結果生じる細胞死の病理的形態として特性付けられる。これに対して、通常は規則的又はコントロールされた状態で進行する細胞死の他の「生理的」形態がある。細胞死のこの規則的又はコントロールされた形態は、しばしば「アポトーシス」と称される[例えば、Barrら, Bio/Technology, 12:487-493(1994);Stellerら, Science, 267:1445-1449(1995)を参照]。アポトーシス性細胞死は、免疫系におけるクローン選択と胚の発達を含む多くの生理的プロセスにおいて自然に生じる[Itohら,Cell, 66:233-243(1991)]。
【0003】
様々な分子、例えば腫瘍壊死因子-α(「TNF-α」)、腫瘍壊死因子-β(「TNF-β」又は「リンホトキシン-α」)、リンホトキシン-β(「LT-β」)、CD30リガンド、CD27リガンド、CD40リガンド、OX-40リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド(Fasリガンド又はCD95リガンドとも称される)、Apo-2リガンド(Apo2L又はTRAILとも称される)、Apo-3リガンド(TWEAKとも称される)、APRIL、OPGリガンド(RANKリガンド、ODF又はTRANCEとも称される)、及びTALL-1(BlyS、BAFF又はTHANKとも称される)が、サイトカインの腫瘍壊死因子(「TNF」)ファミリーのメンバーとして同定されている[例えば、Gruss及びDower, Blood, 85:3378-3404(1995);Schmidら, Proc. Natl. Acad. Sci., 83:1881 (1986);Dealtryら, Eur. J. Immunol., 17:689 (1987);Pittiら, J. Biol. Chem., 271:12687-12690(1996);Wileyら, Immunity, 3:673-682(1995);Browningら, Cell, 72:847-856(1993);Armitageら, Nature, 357:80-82(1992), 1997年1月16日公開のWO97/01633;1997年7月17日公開のWO97/25428;Marstersら, Curr. Biol., 8:525-528(1998);Chicheporticheら, Biol. Chem., 272:32401-32410(1997);Hahneら, J. Exp. Med., 188:1185-1190(1998);1998年7月2日公開のWO98/28426;1998年10月22日公開のWO98/46751;1998年5月7日公開のWO/98/18921;Mooreら, Science, 285:260-263(1999);Shuら, J. Leukocyte Biol., 65:680(1999);Schneiderら, J. Exp. Med., 189:1747-1756(1999);Mukhopadhyayら, J. Biol. Chem., 274:15978-15981(1999)参照]。これらの分子のなかでも、TNF-α、TNF-β、CD30リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド、Apo-2リガンド(Apo2L/TRAIL)及びApo-3リガンド(TWEAK)は、アポトーシス性細胞死に関与していることが報告されている。
【0004】
Apo2L/TRAILはサイトカインのTNFファミリーのメンバーとして数年前に同定された。[例えばWileyら, Immunity, 3:673-682 (1995); Pittiら, J. Biol. Chem., 271:12697-12690 (1996); 2001年9月4日発行の米国特許第6284236を参照]。完全長ヒトApo2L/TRAILポリペプチドは281アミノ酸長のII型膜貫通タンパク質である。ある細胞は、ポリペプチドの細胞外領域の酵素による切断を通して、そのポリペプチドの天然の可溶型を生じうる[Marianiら, J. Cell. Biol., 137:221-229 (1997)]。Apo2L/TRAILの可溶型の結晶学的研究はTNF及び他の関連タンパク質の構造に類似したホモ三量体構造を明らかにする[Hymowitzら, Molec. Cell, 4:563-571 (1999); Hymowitzら, Biochemistry, 39:633-644 (2000)]。しかし、他のTNFファミリーメンバーとは異なり、Apo2L/TRAILは、(ホモ三量体の各サブユニットの位置230の)3つのシステイン残基が併せて亜鉛原子を配位しており、亜鉛の結合が三量体の安定性と生物学的活性のために重要であるという独特の構造的特徴を有していることが分かった。[上掲のHymowitzら; Bodmerら, J. Biol. Chem., 275:20632-20637 (2000)]。
Apo2L/TRAILは、リウマチ様関節炎のような自己免疫疾患を含む免疫系の調節に役割を担っている可能性があることが文献において報告されている[例えば、Thomasら, J. Immunol., 161:2195-2200 (1998); Johnsenら, Cytokine, 11:664-672 (1999); Griffithら, J. Exp. Med., 189:1343-1353 (1999); Songら, J. Exp. Med., 191:1095-1103 (2000)]。
【0005】
Apo2L/TRAILの可溶型はまた大腸、肺、乳房、前立腺、膀胱、腎臓、卵巣及び脳腫瘍を含むインビトロの様々な癌細胞並びに黒色腫、白血病、及び多発性骨髄腫においてアポトーシスを誘導することが報告されている[例えば、上掲のWileyら; 上掲のPittiら; Riegerら, FEBS Letters, 427:124-128 (1998); Ashkenaziら, J. Clin. Invest., 104:155-162 (1999); Walczakら, Nature Med., 5:157-163 (1999); Keaneら, Cancer Research, 59:734-741 (1999); Mizutaniら, Clin. Cancer Res., 5:2605-2612 (1999); Gazitt, Leukemia, 13:1817-1824 (1999); Yuら, Cancer Res., 60:2384-2389 (2000); Chinnaiyanら, Proc. Natl. Acad. Sci., 97:1754-1759 (2000)を参照のこと]。マウス腫瘍モデルでのインビボ研究は、Apo2L/TRAILが、単独で又は化学療法又は放射線療法と組み合わせて、実質的な抗腫瘍効果を生じうることを示唆している[例えば上掲のAshkenaziら;上掲のWalzcakら;Gliniakら, Cancer Res., 59:6153-6158 (1999);上掲のChinnaiyanら; Rothら, Biochem. Biophys. Res. Comm., 265:1999 (1999)を参照のこと]。多くのタイプの癌細胞とは対照的に、殆どの正常なヒト細胞タイプはApo2L/TRAILのある種の組換え形態によるアポトーシスの誘導に対して耐性があるように思われる[上掲のAshkenaziら;上掲のWalzcakら]。Joらは、Apo2L/TRAILのポリヒスチジンタグ可溶型が正常な単離された非ヒトではなくヒト肝細胞においてインビトロにてアポトーシスを誘導したことを報告している[Joら, Nature Med., 6:564-567 (2000);またNagata, Nature Med., 6:502-503 (2000)を参照のこと]。ある種の組換えApo2L/TRAIL調製物は、例えばタグ分子の有無、亜鉛含有量、及び三量体の含有%に応じて、死亡対正常細胞に対する生化学的性質及び生物学的活性に関して変動しうると考えられている。[Lawrenceら, Nature Med., Letter to the Editor, 7:383-385 (2001); Qinら, Nature Med., Letter to the Editor, 7:385-386 (2001)]。
【0006】
このようなTNFファミリーのサイトカインが介在する種々の細胞応答の誘導は、特異的な細胞レセプターに結合することにより開始されると考えられている。約55-kDa(TNFR1)と75-kDa(TNFR2)の2つの異なるTNFレセプターが同定され[Hohmanら, J. Biol. Chem., 264:14927-14934(1989);Brockhausら, Proc. Natl. Acad. Sci., 87:3127-3131(1990);1991年3月20日に公開された欧州特許第417563号]、両者のレセプター型に対応するヒト及びマウスcDNAが単離され特徴付けられている[Loetscherら, Cell, 61:351(1990);Schallら, Cell, 61:361(1990);Smithら, Science, 248:1019-1023(1990);Lewisら, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:2830-2834(1991);Goodwinら, Mol. Cell. Biol., 11:3020-3026(1991)]。広範な多型が両方のTNFレセプター遺伝子に伴っている[例えばTakaoら, Immunogenetics, 37:199-203 (1993)]。両方のTNFRが細胞外、膜貫通及び細胞内領域を含む細胞表面レセプターの典型的な構造を共有している。双方のレセプターの細胞外部分はまた可溶型TNF結合タンパク質として天然に見出されている[Nophar, Yら, EMBO J., 9:3269(1990);及びKohno, Tら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 87:8331(1990)]。組換え可溶型TNFレセプターのクローニングはHale等[J. Cell. Biochem. 増補15F, 1991, p.113(P424)]によって報告されている。
【0007】
1型又は2型のTNFR(TNFR1及びTNFR2)の細胞外部分は、NH2-末端から出発して、1から4と命名される4つのシステインに富んだドメイン(CRD)の反復アミノ酸配列パターンを含む[Schallら, 上掲;Loetscherら, 上掲;Smithら, 上掲;Nopharら, 上掲;Kohnoら, 上掲]。TNFR1における、4つのCRDのおおよその境界は次の通りである:CRD1−約14から約53までのアミノ酸;CRD2−約54から約97までのアミノ酸;CRD3−約98から約138までのアミノ酸;CRD4−約139から約167までのアミノ酸。TNFR2における、CRD1は17から約54までのアミノ酸;CRD2−約55から約97までのアミノ酸;CRD3−約98から約140までのアミノ酸;及びCRD4−約141から約179までのアミノ酸を含む[Bannerら, Cell, 73:431-435 (1993)]。リガンド結合におけるCRDの潜在的な役割はまた上掲のBannerらに記載されている。
【0008】
CRDの類似の反復パターンが、p75神経成長因子レセプター(NGFR)[Johnsonら, Cell, 47:545(1986);Radekら, Nature, 325:593(1987)]、B細胞抗原CD40[Stamenkovicら, EMBO J., 8:1403(1989)]、T細胞抗原OX40[Malletら, EMBO J., 9:1063(1990)]及びFas抗原[Yoneharaら, J. Exp. Med. 及びItohら, Cell, 66:233-243(1991)]を含む幾つかの他の細胞表面タンパク質に存在している。また、CRDはショープ(Shope)及び粘液腫ポックスウィルスの可溶型TNFR(sTNFR)様のT2タンパク質にも見出されている[Uptonら, Virology, 160:20-29(1987);Smithら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 176:335(1991);Uptonら, Virology, 184:370(1991)]。これらの配列の最適なアラインメントは、システイン残基の位置が良好に保存されていることを示している。これらレセプターは、しばしば集合的に、TNF/NGFレセプタースーパーファミリーのメンバーと称される。p75NGFRに関する最近の研究では、CRD1の欠失[Welcher A.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:159-163 (1991)]又はこのドメインでの5-アミノ酸の挿入がNGF結合には殆ど又は全く効果がないことを示した[上掲のYan, H.及びChao, M.V.]。p75NGFRはそのCRD4及び膜貫通領域の間に約60のアミノ酸のプロリンリッチなストレッチを含んでおり、これはNGF結合には関与していない[Peetre, C.ら, Eur. J. Hematol., 41:414-419 (1988); Seckinger, Pら, J. Biol. Chem., 264:11966-11973 (1989); 上掲のYan, H及びChao, M.V.]。
【0009】
リンホトキシン-αを除き、今日までに同定されているTNFファミリーのリガンドは、II型の膜貫通タンパク質であり、そのC末端は細胞外にある。これに対して、今日までに同定されているTNFレセプター(TNFR)ファミリーのほとんどのレセプターはI型の膜貫通タンパク質である。しかしながら、TNFリガンド及びレセプターファミリーの双方において、ファミリーメンバー間で同定された相同性は、主として細胞外ドメイン(「ECD」)において見出されている。TNF-α、Apo-1リガンド及びCD40リガンドを含むTNFファミリーサイトカインのいくつかは、細胞表面においてタンパク分解的に切断され;それぞれの場合に得られるタンパク質は、典型的には、可溶性サイトカインとして機能するホモ三量体分子を形成する。また、TNFレセプターファミリーのタンパク質は、通常、タンパク分解的に切断され、同族のサイトカインの阻害剤として機能し得る可溶性レセプターのECDを放出する。
【0010】
最近になって、TNFRファミリーの他のメンバーが同定されている。このような新たに同定されたTNFRのメンバーは、CAR1、HVEM及びオステオプロテジェリン(osteoprotegerin)(OPG)[Brojatschら, Cell, 87:845-855 (1996); Montgomeryら, Cell, 87:427-436 (1996); Marstersら, J.Biol.Chem., 272:14029-14032 (1997); Simonetら, Cell, 89:309-319 (1997)]を含む。上掲のSimonetらは、他の周知のTNFR様分子とは異なり、OPGは疎水性の膜貫通−スパニング配列を含まないと報告している。下記にて検討されているように、OPGはデコイ(囮)レセプターのように作用すると考えられている。
Panらは、「DR4」と称される他のTNFレセプターファミリーのメンバーを開示している[Panら, Science, 276:111-113(1997)]。DR4は細胞自殺機構に関与可能な細胞質デスドメインを含むと報告されている。Panらは、DR4がApo-2リガンド又はTRAILとして知られているリガンドに対するレセプターであると考えられることを開示している。
【0011】
Sheridanら, Science, 277: 818-821 (1997)及びパンら, Science, 277: 815-818 (1997)においては、Apo-2L/TRAILに対するレセプターと思われる他の分子が記載されている[1998年11月19日に公開の国際公開98/51793;1998年9月24日公開の国際公開98/41629もまた参照のこと]。この分子は、DR5と呼ばれる(あるいは、Apo-2;TRAIL-R、TR6、Tango-63、hAPO8、TRICK2又はKILLERとも呼ばれている[Screatonら, Curr. Biol., 7:693-696 (1997); Walczakら, EMBO J., 16:5386-5387 (1997);Wuら, Nature Genetics, 17:141-143 (1997);1998年8月20日公開の国際公開98/35986;1999年1月21日公開の国際公開99/02653;1998年2月25日公開の国際公開99/09165;1999年3月11日公開の国際公開99/11791])。DR4と同様に、DR5は細胞質デスドメインを含み、アポトーシスをシグナル伝達可能であると報告されている。Apo-2L/TRAIL及びDR5の間に形成される複合体の結晶構造はHymowitzら, Molecular Cell, 4:563-571 (1999)に記載されている。
【0012】
最近同定されたTNFRファミリーメンバーの更なるグループは、「デコイレセプター」と称され、シグナル伝達トランスデューサーというよりはむしろ阻害剤として機能すると考えられている。このグループには、DCR1(TRID、LIT又はTRAIL-R3とも称される)[Panら, Science, 276:111-113(1997);Sheridanら, Science, 277:818-821 (1997);McFarlaneら, J. Biol. Chem., 272:25417-25420(1997);Schneiderら, FEBS Letters, 416:329-334(1997);Degli-Espostiら, J. Exp. Med., 186:1165-1170(1997);及びMongkolsapayaら, J. Immunol., 160:3-6(1998)]及びDCR2(TRUNDD,又はTRAIL-R4とも称される)[Marstersら, Curr. Biol., 7:1003-1006(1997);Panら, FEBS Letters, 424:41-45(1998);Degli-Espostiら, Immunity, 7:813-820(1997)]が含まれ、両者とも細胞表面分子であり、更にOPG[上掲のSimonetら]及びDCR3[Pitti等, Nature, 396:699-703(1998)]も含まれ、これら両者は分泌性の可溶性タンパク質である。Apo-2L/TRAILはDcR1、DcR2及びOPGと称されるレセプターに結合すると報告されている。
【0013】
Apo2L/TRAILは細胞表面「デスレセプター」DR4及びDR5を通して作用してカスパーゼ、又は細胞死プログラムを実施する酵素を活性化させると考えられている。[例えば、Salvesenら, Cell, 91:443-446 (1997)を参照のこと]。リガンド結合の際、DR4とDR5は、双方共、FADD/Mort1[Kischkelら, Immunity, 12:611-620 (2000); Sprickら, Immunity, 12:599-609 (2000); Bodmerら, Nature Cell Biol., 2:241-243 (2000)]と称されるデスドメイン含有アダプター分子を通してアポトーシス発動因子であるカスパーゼ-8を独立して補充し活性化することによってアポトーシスを惹起しうる。DR4及びDR5とは対照的に、DcR1及びDcR2レセプターはアポトーシスをシグナル伝達しない。
サイトカインのTNFファミリー及びそれらのレセプターの概説については、Ashkenazi及びDixit, Science, 281:1305-1308(1998);Ashkenazi及びDixit, Curr. Opin. Cell Biol., 11:255-260 (2000); Golstein, Curr. Biol., 7:750-753(1997);上掲のGruss及びDower、及びNagata, Cell, 88:355-365(1997); Locksleyら, Cell, 104:487-501 (2001)を参照のこと。
【0014】
多様な境界面に関与するあるタンパク質のタンパク質-タンパク質相互作用において、亜鉛結合部位は構造的役割を担うことが示されているが[Feeseら, Proc. Natl. Acad. Sci., 91:3544-3548(1994);Somersら, Nature, 372: 478-481(1994);Ramanら, Cell, 95: 939-950(1998)]、TNFファミリー(CD40リガンド、TNF−α、又はTNF−β)で以前に構造的に特徴付けられたメンバーには、金属へ結合するものはない。ヒト成長ホルモン(hGH)ような種々のホルモンの製剤における亜鉛のような金属イオンの利用は、文献に記載されている。[例えば、1992年10月15日公開の国際公開92/17200を参照のこと]。レセプターへのhGHの結合における亜鉛の関与は同様に1992年3月5日公開の国際公開92/03478に記載されている。インターフェロン-α二量体及びインターフェロン-β二量体における亜鉛結合の役割は、それぞれWalterら, Structure, 4:1453-1463(1996)及びKarpusasら, Proc. Natl. Acad. Sci., 94:11813-11818(1997)に報告されている。亜鉛のような種々の金属イオンの構造的及び生物学的役割は、当該分野で概説されていおり、例えば、Christiansonら, Advances in Protein Chemistry, 42: 281-355(1991)を参照のこと。
【0015】
(発明の概要)
本発明はApo-2リガンド変異体を提供する。特に、本発明は、Apo-2リガンドの天然配列(図1)中に一又は複数のアミノ酸置換を含むApo-2リガンド変異体を提供する。場合によっては、Apo-2リガンド変異体は以下の表Iに提供されるようにシステイン、リジン及びセリン置換を含みうる。本発明の代表的な実施態様は、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。本発明の関連実施態様は、一又は複数のポリオール基、例えばポリ(エチレングリコール)に抱合又は結合したそのようなApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。本発明の非常に好適な実施態様は、そのような置換を有し、更にDR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるデスレセプターに結合し、及び/又は一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導するApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。
【0016】
本発明の関連実施態様は、そのようなApo-2リガンド変異体をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離核酸、そのような核酸を含んでなるベクター及びこれらのベクターを含んでなる宿主細胞(例えば大腸菌)を含む。関連実施態様は、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドをコードするベクターを含む宿主細胞を、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを発現するのに十分な条件下で培養培地中で培養し、ついでApo-2リガンド変異体ポリペプチドを回収し精製する方法を含む。
本発明の更に他の実施態様は、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の次の残基位置:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に一又は複数のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体である。本発明の関連実施態様は、一又は複数のポリオール基、例えばポリ(エチレングリコール)に抱合又は結合したApo-2リガンド三量体を含む。本発明の好適な実施態様では、これらの三量体はDR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるデスレセプターに結合する。
【0017】
本発明の更に他の実施態様は、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図3に示されたDR5・Apo2L複合体のX線結晶構造から同定された残基位置に一又は複数のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドである。好適な実施態様では、残基位置は、DR5・Apo2L複合体のレセプター接触領域の外側にあり、かつ高溶媒到達性を示す。非常に好適な実施態様では、そのような単離Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの残基位置は、図3に提供されたDR5・Apo2L複合体のX線結晶構造に示されるように上部から底部までのApo2L単量体の一面に位置している。本発明の関連実施態様は、ポリ(エチレングリコール)のような一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したかかるApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。本発明の非常に好適な実施態様は、そのような置換を有し、更にDR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるデスレセプターに結合し、及び/又は一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導するApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。
【0018】
本発明の更に他の実施態様は、少なくとも二のApo-2リガンド三量体を含んでなるApo-2リガンド三量体オリゴマーであって、各Apo-2リガンド三量体中の少なくとも一のApo-2リガンド単量体が、図1(配列番号:1)のアミノ酸残基位置170にシステインアミノ酸置換を有するApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含み、Apo-2リガンド三量体が、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの位置170のシステインアミノ酸残基間でジスルフィド結合によって結合しているApo-2リガンド三量体オリゴマーを含む。
他の実施態様では、本発明はApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する製剤を提供する。特に、本発明は一又は複数のApo-2リガンド変異体ポリペプチド及び担体、例えば製薬的に許容可能な担体、及び場合によっては一又は複数の二価金属イオンを含有する組成物を提供する。一実施態様では、そのような組成物は製造物品又はキットに収容されうる。該組成物は、例えば哺乳動物の癌細胞においてアポトーシスを誘導又は刺激し、又は免疫関連疾患、例えば関節炎又は多発性硬化症を治療するために有用な製薬的に許容可能な製剤でありうる。
また、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを使用する治療方法が提供される。
【0019】
本発明の特定の実施態様は、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。このようなApo-2リガンド変異体をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離核酸、ベクター及び宿主細胞が更に提供される。Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを製造する方法において、そのような宿主細胞を提供し;培養培地を提供し;Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを発現するのに十分な条件下で培養培地中で宿主細胞を培養し;宿主細胞又は培養培地からApo-2リガンド変異体ポリペプチドを回収し;Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを精製する工程を含んでなる方法が提供される。場合によっては、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドは、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの実際の分子量を増大させる一又は複数のポリオール基に抱合又は結合されている。場合によっては、かかるApo-2リガンド変異体ポリペプチドは、2000ダルトン又は約2000ダルトンの分子量を有するポリ(エチレングリコール)の一分子に抱合又は結合されている。
【0020】
本発明の更なる実施態様は、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の次の残基位置に一又は複数のアミノ酸置換:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264を有するアミノ酸配列を含んでなる少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体を含む。
本発明の更なる実施態様は、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、
(a)図3に示されたDR5・Apo2L複合体のレセプター接触領域の外側にあり;かつ
(b)図3に示されたDR5・Apo2L複合体の結晶構造において高溶媒到達性を示す;
残基位置となるように図3に示されたDR5・Apo2L複合体のX線結晶構造から同定された残基位置に一又は複数のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む。場合によっては、そのようなApo-2リガンド変異体ポリペプチドは、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;N153;R170;D234;E249;R255;E263;H264の一又は複数を有する。場合によっては、そのようなApo-2リガンド変異体ポリペプチドは一又は複数のポリオール基に抱合又は結合している。
【0021】
本発明の更なる実施態様は、製薬的に許容可能な担体と混合せしめられて、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる有効量の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する製薬的組成物を含む。場合によっては、かかる製薬組成物は一又は複数の二価金属イオンを含む。
本発明の更なる実施態様は、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるレセプターを発現する哺乳動物細胞を、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる治療的有効量の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドに暴露することを含む、哺乳動物においてアポトーシスを誘導する方法を含む。
【0022】
本発明の更なる実施態様は、哺乳動物細胞における癌を治療する方法において、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる有効量の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを上記哺乳動物に投与することを含む方法を含む。場合によっては、該方法において、癌は肺癌、乳癌、大腸癌、又は直腸結腸癌である。
本発明の更なる実施態様は、哺乳動物細胞における免疫関連疾患を治療する方法において、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる有効量の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを上記哺乳動物に投与することを含む方法を含む。場合によっては、該方法では、免疫関連疾患は関節炎又は多発性硬化症である。
【0023】
(好適な実施態様の詳細な説明)
I.定義
「Apo-2リガンド」、「Apo2L」、「Apo-2L」及び「TRAIL」という用語は、ここでは図1に示されたアミノ酸配列のアミノ酸残基114−281、95−281、残基92−281、残基91−281、残基41−281、残基15−281、又は残基1−281、並びに上記配列の生物学的に活性な断片、欠失、挿入、又は置換変異体を含むポリペプチド配列を意味するものとして使用される。一実施態様では、ポリペプチド配列は図1(配列番号:1)の残基114−281を含む。場合によっては、ポリペプチド配列は図1の残基95−281、残基92−281又は残基91−281を含む。Apo-2Lポリペプチドは図1に示された天然ヌクレオチド配列によってコードされていてもよい。場合によっては、残基Pro119(図1)をコードするコドンは「CCT」又は「CCG」でありうる。他の好適な実施態様では、断片又は変異体は生物学的に活性であり、上記の配列の何れか一と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%の配列同一性、更により好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。この定義には、その天然のアミノ酸の少なくとも一がシステイン残基のような他のアミノ酸残基によって置換されているApo-2リガンドの置換変異体が包含される。好適な置換変異体は、以下の表Iに特定された残基の置換の一又は複数を含む。定義には、組換え又は合成法によって調製された、又はApo-2リガンド源から単離された天然配列Apo-2リガンドもまた包含される。本発明のApo-2リガンドは1997年1月16日公開の国際公開97/01633、1997年7月17日公開の国際公開97/25428及び2001年1月4日公開の国際公開01/00832に開示されたApo-2リガンド又はTRAILと称されるポリペプチドを含む。「Apo-2リガンド」、「Apo2L」又は「Apo-2L」という用語は、一般に、ポリペプチドの単量体、二量体又は三量体を含むApo-2リガンドの形態を意味するものとして使用される。Apo-2L配列において言及されているアミノ酸残基の全ての番号付けは、特に他の定義を述べない限り、図1(配列番号:1)における番号付けを使用している。例えば、「D203」又は「Asp203」は図1(配列番号:1)に与えられた配列中、位置203のアスパラギン酸残基を意味する。
【0024】
「Apo-2リガンド細胞外ドメイン」又は「Apo-2リガンドECD」という用語は、膜貫通及び細胞質ドメインを本質的に持たないApo-2リガンドの可溶型を意味する。通常、ECDは、そのような膜貫通及び細胞質ドメインを1%未満、好ましくはそのようなドメインを0.5%未満だけ有する。
「Apo-2リガンド単量体」又は「Apo-2L単量体」という用語はApo-2Lの細胞外ドメイン配列の共有結合鎖を意味する。
「Apo-2リガンド二量体」又は「Apo-2L二量体」という用語はジスルフィド結合を介して共有結合によって結合した二つのApo-2L単量体を意味する。ここで使用される該用語には、Apo-2Lの三量体型内にあるApo-2L二量体及び遊離しているApo-2L二量体が含まれる(すなわち、他のApo-2L単量体と結合している)。
「Apo-2リガンド三量体」又は「Apo-2L三量体」という用語は非共有的に結合している(associated)三つのApo-2L単量体を意味する。
【0025】
「Apo-2L.0」又は「Apo2L.0」という用語は図1(配列番号:1)のアミノ酸114から281からなり、如何なるエピトープタグ配列にも結合又は抱合されていないポリペプチドを意味する。
ここで使用されるところの「DR4レセプター」という用語は、Panら, Science, 276:111-113 (1997)に記載されているレセプターの完全長及び細胞外ドメイン型を意味する。DR4レセプターの完全長アミノ酸配列は図20A−20B(配列番号:4)に与えられている。
ここで使用されるところの「DR5レセプター」という用語は、Sheridanら, Science, 277:818-821 (1997);Panら, Science, 277:815-818 (1997)、1998年11月19日公開の国際公開98/51793;1998年9月24日公開の国際公開98/41629;Screatonら, Curr. Biol., 7:693-696 (1997); Walczakら, EMBO J., 16:5386-5387 (1997); Wuら, Nature Genetics, 17:141-143 (1997);1998年10月22日公開の国際公開98/35986;1998年10月14日公開のEP870827;1998年10月22日公開の国際公開98/46643;1999年1月21日公開の国際公開99/02653;1999年2月25日公開の国際公開99/09165;1999年3月11日公開の国際公開99/11791に記載されているレセプターの完全長及び細胞外ドメイン型を意味する。DR5レセプターは当該分野においてApo-2;TRAIL-R、TR6、Tango-63、hAPO8、TRICK2又はKILLERとも呼ばれている。ここで使用されるところのDR5という用語には、図21(配列番号:5)に提供された完全長411アミノ酸ポリペプチド及び図22A−B(配列番号:6)に提供された完全長440アミノ酸ポリペプチドが含まれる。
【0026】
ここで使用される場合の「ポリオール」という用語は広義に多価アルコール化合物を意味する。ポリオールは例えば任意の水可溶型ポリ(アルキレンオキシド)ポリマーであり得、直鎖又は分枝鎖を有しうる。好適なポリオールには、一又は複数のヒドロキシル位置に化学基、例えば1から4の炭素を有するアルキル基が置換されているものが含まれる。典型的には、ポリオールはポリ(アルキレングリコール)、好ましくはポリ(エチレングリコール)である。しかし、当業者であれば、他のポリオール、例えばポリ(プロピレングリコール)及びポリエチレン-ポリプロピレングリコールコポリマーを、ここでPEGについて記載した抱合技術を使用して用いることができることが分かるであろう。本発明のポリオールには当該分野でよく知られたもの及び公的に入手可能なもの、例えば商業的に利用可能な供給源からのものが含まれる。
「抱合(コンジュゲート)」という用語は、ここではその最も広い定義で使用され、共に接合(joined)又は結合(linked)されていることを意味する。分子は、接合されているように作用又は機能する場合、「抱合」されている。
【0027】
「エピトープタグ」なる用語は、ここで用いられるときは、「タグポリペプチド」に融合したApo-2リガンド、又はそれらの部分を含んでなるキメラポリペプチドを指す。タグポリペプチドは、抗体が産生され得るモノに対するエピトープを提供するのに十分な残基を有しているが、Apo-2リガンドの活性を阻害しないよう十分に短い。また、タグポリペプチドは、好ましくは、抗体が他のエピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8から約50のアミノ酸残基(好ましくは約10から約20の残基)を有する。
「二価の金属イオン」という用語は、二つの正電荷を有する金属イオンを称する。本発明において使用される二価金属イオンの例には、限定されるものではないが、亜鉛、コバルト、ニッケル、カドミウム、マグネシウム、及びマンガンが含まれる。かかる金属の特定の形態は塩形態(例えば、製薬剤的に許容可能な塩形態)、例えば、上述の二価の金属イオンの塩化物、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩及び硫酸塩形態を含むものが用いられうる。
本発明において使用される好適な二価金属イオンは、亜鉛、より好ましくはその塩形態、硫酸亜鉛である。ここにおいて記載の二価金属イオンは、好ましくは、例えば、(1)所望する期間にわたってApo-2L三量体の貯蔵安定性を高め、(2)組換え細胞培養又は精製法においてApo-2L三量体の生産又は収量を高め、(3)Apo-2L三量体の溶解性を高め(又は凝集性を低下させ)、又は(4)Apo-2L三量体の形成を高めるのに十分な濃度又は量(例えば有効量)で用いられる。
【0028】
「単離された」とは、ここで開示された種々のタンパク質を記述するために使用するときは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたタンパク質を意味する。その自然環境の汚染成分とは、タンパク質の診断又は治療的な使用を典型的には妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様では、タンパク質は、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分なほど、あるいは、(2)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEにより均一になるまで充分なほど精製される。Apo-2リガンドの自然環境の少なくとも一の成分が存在しないため、単離されたタンパク質には、組換え細胞内のインサイツでのタンパク質が含まれる。しかしながら、通常は、単離されたタンパク質は少なくとも一の精製工程により調製される。
【0029】
「単離された」Apo-2リガンド核酸分子は、同定され、Apo-2リガンド核酸の天然源に通常付随している少なくとも一の汚染核酸分子から分離された核酸分子である。単離されたApo-2リガンド核酸分子は、天然に見出される形態あるいは設定以外のものである。故に、単離されたApo-2リガンド核酸分子は、天然の細胞中に存在するApo-2リガンド核酸分子とは区別される。しかし、単離されたApo-2リガンド核酸分子は、例えば、核酸分子が天然の細胞のものとは異なった染色体位置にあるApo-2リガンドを通常発現する細胞に含まれるApo-2リガンド核酸分子を含む。
【0030】
ここで特定されている配列に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、必要ならば最大のパーセント配列同一性を得るために間隙を導入し、如何なる同類置換も配列同一性の一部と考えないとした後の、Apo-2リガンド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の知る範囲にある種々の方法で達成可能であり、比較される配列の完全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要なアルゴリズムを割り当てることを含み、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。ここでの目的のために、パーセントアミノ酸同一性値は、ジェネンテック社によって作成され、ソースコードが米国著作権庁, Washington D.C., 20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて得られる。ALIGN-2プログラムはジェネンテック社、South San Francisco, CAを通して公に入手可能である。全ての配列比較パラメーターはALIGN-2プログラムにより設定され、変化しない。
【0031】
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。原核生物に好適なコントロール配列は、例えばプロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に寄与するプレタンパク質として発現されているならそのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならばコード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるならコード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合する」とは、結合されたDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにある。しかし、エンハンサーは必ずしも近接しているわけではない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、通常の手法にしたがって、合成されたオリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
【0032】
「サイトカイン」という用語は、一つの細胞集団から放出されるタンパク質であって、他の細胞に対して細胞間メディエータとして作用するものの包括的な用語である。このようなサイトカインの例としては、リンフォカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンを挙げることができる。サイトカインには、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラクシン;プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)のような糖タンパク質ホルモン、副甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH);肝臓成長因子;繊維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-α及び-β;ミュラー阻害物質;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子;血小板成長因子;TGF-αあるいはTGF-βのような形質転換成長因子(TGF);インスリン様成長因子-I及び-II;エリスロポイエチン(EPO);オステオインダクティブ因子;インターフェロン-α、-β、及び-γのようなインターフェロン;マクロファージCSF(M-CSF)のようなコロニー刺激因子(CSF);顆粒球マクロファージCSF(GM−CSF)及び顆粒球CSF(G-CSF);IL-1、IL-2、IL-3、 IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、 IL-8、IL-9、IL-11、IL-12等のインターロイキン(IL);LIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。ここで使用される場合、サイトカインなる用語は天然源由来あるいは組換え細胞培養由来のタンパク質及び天然配列サイトカインの生物的に活性な等価物を含む。
ここで用いられる「細胞障害剤」という用語は、細胞の機能を阻害し又は妨害し、及び/又は細胞の破壊を引き起こす物質のことをいう。この用語は放射性アイソトープ(例えばI131,I125,Y90及びRe186)、化学療法剤、及び細菌性、真菌性、植物又は動物起源、又はそれらの断片の酵素的に活性な毒素のようなものを含むことが意図されている。
【0033】
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトセシン(合成類似体トポテカン(topotecan)を含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びバイゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン(cryptophycin)(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin );デュカロマイシン(duocarmycin )(合成類似体、KW-2189及びCBI-TMIを含む); エレトロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin );サルコデイチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin );クロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;ニトロスレアス(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン、ラニムスチン;エネジイン(enediyne) 抗生物質等の抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンθI1、例えば、Agnew Chem Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)を参照のこと;ダイネミシンA(dynemicinA)を含むダイネミシン(dynemicin);エスペラマイシン(esperamicin); 同様にネオカルチノスタチン発光団及び関連色素蛋白エネジイン(enediyne) 抗生物質発光団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カリミノマイシン(carminomycin)、カルチノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトロビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルフォリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン.C、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin)のようなマイトマイシン(mitomycins);メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)のような抗-代謝産物;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)のような葉酸類似体;フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)のようなピリミジン類似体;カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone)のようなアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine);メイタンシン(maytansine)及びアンサマイトシン(ansamitocin )のようなメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(特に、T-2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリデンA(roridin A)及びアングイデン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)、及びドキセタキセル(タキソテア(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;ゲンシタビン(gemcitabine);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン及びカルボプラチンのようなプラチナ類似体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン(navelbine);ノバントロン(novantrone);テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);CPT-11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸;カペシタビン(capecitabine);並びに上述したものの製薬的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体が含まれる。また、この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように働く抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン(raloxifene)、4(5)-イミダゾール類を阻害するアロマターゼ、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン;及び抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びに上記のものの製薬的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体が含まれる。
【0034】
ここで用いられる際の「成長阻害剤」は、細胞、特にここで同定される任意の遺伝子を過剰発現する癌細胞の成長をインビトロ又はインビボで阻害する化合物又は組成物を意味する。即ち、成長阻害剤は、S期でそのような遺伝子を過剰発現する細胞の割合を有意に減少させるものである。成長阻害剤の例は、細胞周期を(S期以外の位置で)阻害する薬剤、例えばG1停止又はM期停止を誘発する薬剤を含む。古典的なM期ブロッカーは、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキソール、及びトポII阻害剤、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド及びブレオマイシンを含む。G1停止させるこれらの薬剤は、S期停止にも溢流し、例えば、DNAアルキル化剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びara-Cである。更なる情報は、The Molecular Basis of Cancer, Mendelsohn及びIsrael, 編, Chapter 1, 表題「Cell cycle reguration, oncogene, and antineoplastic drugs」, Murakamiら, (WB Saunders: Philadelphia, 1995)、特に13頁に見出すことができる。
【0035】
ここにおける目的のための「生物学的に活性」又は「生物学的活性」は、(a)インビボ又はエキソビボで少なくとも一のタイプの哺乳動物癌細胞又はウイルス感染細胞において、アポトーシスを誘導し又は刺激する能力を有すること;(b)抗体を産生することが可能であること、すなわち免疫原性であること;(c)Apo2L/TRAILのレセプターへ結合し及び/又はこれを刺激することが可能あること;又は(d)天然又は天然に生じるApo2L/TRAILポリペプチドの活性を保持することを意味する。Apo2L/TRAILの生物学的活性を定量するためのアッセイは、細胞毒性、DNA断片化(例えばMarstersら, Curr. Biology, 6: 1669 (1996))、カスパーゼ不活性化、DR4結合、DR5結合(例えば1998年11月19日公開の国際公開98/51793を参照)並びにPCT公報番号WO97/01633、WO97/25428、WO01/00832、及びWO01/22987に記載されたアッセイ法などの当該分野で既知の方法を使用して実施することができる。
「アポトーシス」及び「アポトーシス活性」という用語は広義に使用され、典型的には、細胞質の凝結、原形質膜の微絨毛の喪失、核の分節化、染色体DNAの分解又はミトコンドリア機能の喪失を含む一又は複数の特徴的な細胞変化を伴う、哺乳動物における細胞死の規則的又はコントロールされた形態を指す。この活性は、例えば細胞生死判別アッセイ(例えばアラマーブルーアッセイ又はMTTアッセイ)、FACS分析、DNA断片化(Nicolettiら, J. Immunol. Methods, 139:271-279 (1991))、又はポリ-ADPリボースポリメラーゼ、「PARP」切断アッセイにより決定し測定することができる。
【0036】
ここで用いられる場合、「疾患」という用語は、一般に、Apo2L/TRAILのような有効量のポリペプチドによって治療することができる任意の疾病又は疾患を含む、ここに記載の組成物を用いた治療により恩恵を受ける任意の状態を意味する。これは慢性及び急性疾患、並びに哺乳動物を当該疾患にかかりやすくする病理的状態を含む。限定されないが、ここで治療される疾患の例には、良性及び悪性癌;炎症性、血管由来、及び免疫疾患、自己免疫疾患、関節炎(リウマチ様関節炎を含む)、多発性硬化症、及びHIV/AIDSが含まれる。
「癌」、「癌性」及び「悪性」という用語は、典型的には調節されない細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指すか記述する。癌の例には、これらに限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、白血病、芽細胞腫、及び肉腫が含まれる。このような癌のより特定の例には、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、芽細胞腫、胃腸癌、腎癌、卵巣癌、肝臓癌、結腸直腸癌、子宮体癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、神経芽細胞腫、多形神経膠芽腫、子宮頸癌、胃癌、膀胱癌、肝臓癌、乳癌、大腸癌、及び頭部及び頸部の癌が含まれる。
ここで使用される「治療する」、「治療」、及び「療法」とは、治癒的療法、予防的療法及び防護的療法を称する。
「哺乳類」という用語は、ヒト、ウシ、ウマ、犬及びネコを含む哺乳類と分類されるあらゆる動物に相当する。本発明の好ましい実施態様では、哺乳類はヒトである。
【0037】
II.本発明の組成物及び方法
TNFリガンドファミリーに関連したサイトカインで、ここにおいて「Apo-2リガンド」と特定されたサイトカインが記載されている。ヒトApo-2リガンドの予測成熟アミノ酸配列は、281個のアミノ酸を含み、約32.5kDaの計算上の分子量を有する。シグナル配列が存在せず内在性疎水性領域が存在することは、Apo-2リガンドがII型膜貫通タンパク質であることを示唆する。また、可溶性細胞外ドメインApo-2リガンドポリペプチドが記載されている。例えば1997年7月17日に公開のWO97/25428を参照のこと。Apo-2L置換変異体がさらに記載されている。アラニンスキャンニング技術が、生物学的活性を有する種々の置換変異体分子を同定するために利用されてきた。Apo-2リガンドの特定の置換変異体は、少なくとも一つのアミノ酸がシステイン残基によって置換されているものを含む。置換変異体は、例えば「R115C」、「E116C」及び「R170C」として同定されている。この命名法は、位置115、116、及び/又は170(図1に示した番号を使用)の残基がシステイン残基によって置換されているApo-2リガンド変異体を同定するために利用されている。場合によっては、Apo-2L変異体は、下記の表1に記載されている置換の一又は複数を含んでもよい。
【0038】
Apo-2リガンドの細胞外ドメインのX線結晶構造が提供され、アラニンスキャンニング突然変異誘発が、そのレセプター接触領域のマッピングを提供するために実施されている。Apo-2リガンドに対して得られた構造は、Apo-2リガンド三量体分子の三つのサブユニットの相互作用を統合する新規な二価金属イオン(亜鉛)結合部位を含むホモ三量体タンパク質を明らかにする。
Apo-2LのX線構造は、TNF-αのモデルを利用する分子置換[Eckら, J. Bio. Chem., 264: 17595-17605 (1989)]によって決定され、3.9オングストローム(114−281残基形態に対して)及び1.3オングストローム(D218A変異体;91−281形態に対して)まで精緻化される。TNFファミリーの他のメンバーのように、Apo-2Lは、約5100平方オングストローム(単量体当たり平方1700オングストローム)を埋めて球状三量体を形成する、三つのゼリーロール単量体からなる緻密な三量体を含むと思われる(図2Aを参照のこと)。コアのβストランドの位置は、TNFファミリーの他の構造的に特徴付けられたメンバーのTNF-α[Eckら, 上掲;Jonesら, Nature, 338:225-228(1989)]、TNF-β[Eckら, J. Biol. Chem., 267:2119-2122(1992)]、及びCD40L[Karpusasら, Structure, 3:1031-1039(1995)]で、TNF-α又はTNF-β のコアストランドと比較して0.8オングストロームのr.m.s.d.のものと比較して良好に保持されている。Apo-2L三量体の境界面のどの残基も、現在知られている全てのヒトTNFファミリーメンバーの配列において完全に保持されているものはないようである;しかしながら、これら残基の疎水化学的性質は保持されている。Apo-2L三量体における保境界面の保持された残基は、塩基の近傍(三量体の最も広い部分)及び三回転軸に沿ってクラスターを形成する。Cys230の近傍のApo-2L三量体境界面の頂点の近くでは、構造は分岐しているように思われ、190及び230のループのコンホメーションは各構造において変動する。
【0039】
β骨格コアとは対照的に、レセプター結合表面及びループの構造は、TNFファミリーメンバーの中でかなり変化する。Apo-2リガンドの構造とTNF-α、TNF-β、及びCD40Lの構造の間の一つの違いは、ストランドA及びA’の間の接合である。TNF-α、TNF-β、及びCD40Lでは、ストランドAの後に、緻密なループが続いている。Apo-2リガンドでは、15残基の挿入がこのループを長くし、そのコンホメーションを変える。ループの最初の部分(残基131から141)は、ループの二番目の部分(残基142から154)がCD40Lに類似するコンホメーションをそのC末端部分に有して、分子の表面を一つの単量体-単量体境界面から次へ(図2Aを参照のこと)と越える際に乱れる。
三量体化境界面の頂点の近くに、二価金属イオン(亜鉛)結合部位が埋もれている。TNFファミリーメンバーは、配列分析によって、Cys230に関して三つのグループに分けられる:(1)Cys230に対応する位置のシステイン残基に、金属イオンとの相互作用を妨げるジスルフィド結合を形成することが可能な隣接ループ(Apo-2Lの194−203ループ)の中の他のシステインが伴っているTNF-α及びFasリガンドのようなタンパク質、(2)Cys230に対応するシステインを持たないタンパク質(例えばTNF−β及びOPGL)、及び(3)Cys230に対応するシステイン残基を一つのみ有するタンパク質である。Apo-2L及び他の種におけるそのオルソログは、後者の基準に当てはまり(すなわち、Cys230のみを持つタンパク質)、三量体表面において二価金属イオンと結合することが期待される。Apo-2LのCys230の直ぐ前の主要鎖のコンホメーションは、TNF-α及びCD40LのようなTHFファミリーメンバーを含むジスルフィドとは異なる。Apo-2Lでは、Cys230の側鎖は、境界面から遠ざかるのではなく、境界面に向かっている。
【0040】
各Apo-2L単量体のCys230残基は内部を三量体軸へ向いて内方を指し、内部の溶媒分子と共に二価金属イオンを配位する。この二価金属イオン結合部位は、亜鉛結合部位にとって適切な結合及び角度を持つ僅かに歪んだ四面体幾何を示し、溶媒へは完全に接触不可能である(図2Bを参照のこと)。結合金属の同一性は、誘導結合プラズマ原子発光分光分析法(ICP−AES)を利用して確認された。ICP-AESを利用したCd、Co、Zn、Ni及びCuの定量分析では、Apo-2L三量体の一分子当たり0.79モルのZnと0.06モルのCoが検出され、構造中の結合イオンが、約1対1のモル比の亜鉛であることが示された。この部位の重要性は、Cys230のアラニン置換が8倍未満のアポトーシス活性の減少となったという観察によって立証された。更に、キレート試薬に対する透析によるApo-2Lからの結合金属の除去により、DR5親和性の7倍の低下及びアポトーシス活性の90倍未満の低下が生じた。Znの除去によって、システインは酸化されやすくなり、アポトーシス活性が低下したジスルフィド結合Apo-2L二量体が形成された。金属結合部位はApo-2L三量体構造に埋もれているように思われ、レセプターに接触するとは予想されないことから、データは、二価金属イオン結合が、Apo-2Lの安定性と三量体構造を維持するのに重要であろうことを示唆している。
【0041】
Apo-2リガンドとApo-2レセプターの細胞外ドメイン配列(DR5)との間の複合体の結晶構造は決定されている。(Hymowitzら, Mol. Cell., 4:563-571 (1999)を参照のこと)。Apo-2は全体構造がTNFR1に似ており、比較的定まっていない二次構造を持つ。それは一連の7つのジスルフィド結合によって長い形状に繋ぎ止められており、そのジスルフィド結合の6つはTNFR1レセプターの第二及び第三のCRDに構造的に対応するApo-2のサブドメイン(それぞれ残基43−84及び85−130)に見出される。
Apo-2リガンド/Apo-2複合体の接触面は、2つのパッチ、パッチAとパッチBに分けられる。Apo-2L/Apo-2接触面のパッチBの顕著な特徴はApo-2LのTyr216(図1に提供されるApo-2Lのアミノ酸配列の番号付けを用いて)とApo-2レセプターの50sループの間の相互作用である。残基Tyr216は、TNFのスーパーファミリーリガンド(TNF-α、TNF-β、FasL及びOPGLを含む)の多くに保存され、他のメンバーはこの位置に同様の大きな疎水性残基を有する。TNF-α、TNF-β、FasL及びApo-2Lの突然変異誘発研究は、この残基が結合に重要である(Schneiderら, J. Biol. Chem., 272:18827-18833(1997); Gohら, Protein Eng., 4:785-791(1991); Yamagishiら, Protain Eng., 3:713-719(1990); Van Ostadeら, Protein Eng., 7:5-22(1990); Hymowitzら, Personal communication)ことを示す全てである。チロシン側鎖の相互作用はApo-2L/Apo-2とTNF-β-TNFR1の複合体の間に保存される。さらに、側鎖の結合ポケットを形成するレセプターの50sループのバックボーン構造は、Apo-2及びTNFR1の間(残基51から62のC-α原子の間の僅か0.35のrmsd)で実質的に同一である。さらに、このループの長さは、異なるTNFレセプタースーパーファミリーメンバーの間で保存されている。このループが、CRD3により媒介されるより特異的な接触のためにレセプターの上位の部分を適切に判断する助けとなりうるリガンドの保存された疎水性特性と相互作用する一般的な疎水性結合パッチのように機能しうることが考えられる。
【0042】
パッチBでの保存的な相互作用に比較して、接触面の下方付近のパッチAはTNFR1の対応するループに比べ完全に異なる構造を有するApo-2のCRD3の90ループにより成される相互作用に関連している。
パッチBにおいて、レセプターの50sループ及びApo-2リガンド残基216が結合に一般的に重要な疎水性パッチを提供していることが考えらるが、パッチAにおいては、レセプター90sループと、位置205の、又はその付近のApo-2リガンド残基が特異性と交差反応をコントロールする。Apo-2レセプターの50sループ及び90sループがリガンド結合決定基のほとんどを運ぶと思われる。Apo-2配列の位置53及び59のヒスチジン及びフェニルアラニン残基は、それぞれ共に比較的大きな残基である。これら2つの残基は、Apo-2リガンドの残基Asp218及びSer159と接触すると考えられ;従って、Apo-2配列の53及び59位置の導入した大きい側鎖はApo-2に対するApo-2親和性に逆に影響しうる(しかし、DR4に対する親和性を向上させる)。
【0043】
Apo-2リガンドレセプター結合及び活性を特徴付けるために、アミノ酸置換部位を、DR5・Apo-2L複合体のX線構造の検査に基づいて選択した(図3)。置換システインアミノ酸残基の突然変異又は続く修飾の際に活性が失われることを避けるために、セプター接触領域の外側の部位を突然変異誘発のために考慮した。システイン側鎖の効率的な化学的修飾を確かなものにするために、結晶構造で高い溶媒接近性を示した残基を選択した。これらの基準に適合した残基には、限定されるものではないが、Glu144、Asn152、Ser153、Arg170、Asp234、Glu249、Arg255、Glu263、及びHis264が含まれる。また、Val114、Arg115、Glu116、Asn134及びAsn140をシステイン置換部位として選択した。これらの残基はApo-2L-DR5結晶構造において分子の乱れた部分にあり、このように溶媒接近性でありと推定され、レセプター結合には寄与しない。図3に示されるように、この残基群はApo-2L単量体の一面の頂部から底部までにかかっている。実験的に検査したシステイン置換Apo-2Lタンパク質のなかで、E116CがSK-MES細胞に対するアポトーシス活性を有意に低減させた(表Iを参照のこと)。R170C変異体は約10倍増加した能力を示した。また、Arg170をAla、Lys又はSer残基の何れかで置換したApo-2L変異体はApo-2L.0ポリペプチドに匹敵する活性を有していた。本発明のある実施態様では、好適なApo-2L変異体は、図1のApo-2L配列にけるE116、N134、N140及び/又はR255に対応する位置に天然の残基を含む(つまり突然変異していない)と考えられる。
【0044】
下記の説明は、核酸をコードするApo-2リガンド変異体を含むベクターで形質転換又は形質移入された宿主細胞を培養し、細胞培養物からポリペプチドを回収することによってApo-2リガンド変異体を生産する方法に関する。
Apo-2リガンドをコードするDNAは、Apo-2リガンドmRNAを有し、これを検出可能なレベルで発現すると考えられる組織から調製された任意のcDNAライブラリーから得ることできる。従って、ヒトApo-2リガンドDNAは、国際公開97/25428に記載されているヒト胎盤cDNAのバクテリオファージライブラリーのような、ヒト組織から調製されたcDNAライブラリーから簡便に得ることが可能である。また、Apo-2リガンドコード化遺伝子は、ゲノムライブラリーから又はオリゴヌクレオチド合成によって得ることもできる。
ライブラリーは、対象となる遺伝子あるいはその遺伝子によりコードされるタンパク質を同定するために設計された(Apo-2リガンドに対する抗体又は少なくとも約20−80塩基のオリゴヌクレオチド等の)プローブによってスクリーニングすることができる。選択されたプローブによるcDNA又はゲノムライブラリーのスクリーニングは、例えばSambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual(New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載されている標準的な手順を使用して実施することができる。Apo-2リガンドをコードする遺伝子を単離する他の方法はPCR法を使用するものである[Sambrookら,上掲;Dieffenbachら, PCR Primer:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995)]。
【0045】
Apo-2リガンドのアミノ酸配列断片又は変異体は、Apo-2リガンドDNAに適切なヌクレオチド変化を導入するか、所望のApo-2リガンドポリペプチドを合成することにより調製することができる。このような断片又は変異体は、完全長Apo-2リガンドについて図1(配列番号:1)に示したアミノ酸配列の、又は細胞内領域、膜貫通領域、又は細胞外領域(例えば114−281アミノ酸形態)の内部あるいは一方又は両方の末端に残基の挿入、置換及び/又は欠失を示す。最終構築物が例えばここに定義する所望の生物活性又はアポトーシス活性を有する限り、挿入、置換及び/又は欠失の任意の組み合わせで最終構造物に到達することができる。好ましい実施態様では、断片又は変異体は、Apo-2リガンドの細胞内、膜貫通、又は細胞外領域についてここで同定した配列、あるいはApo-2リガンドの完全長配列に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%の配列同一性、さらに好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。また、アミノ酸の変化により、グリコシル化部位の数と位置の変化、又は膜係留特性(膜アンカー特性)の改変のように、Apo-2リガンドの翻訳後プロセスを改変し得る。
【0046】
ここで記載されているApo-2リガンド配列における変異は、米国特許第5364934号に記載された保存的あるいは非保存的突然変異に関する技術とガイドラインの任意のものを使用して生じさせることができる。これらは、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)突然変異誘発、アラニンスキャニング、及びPCR突然変異誘発を含む。
近接配列に沿った一又は複数のアミノ酸を同定するために、スキャニングアミノ酸分析法を使用することができる。好ましいスキャニングアミノ酸は、比較的小さい中性アミノ酸である。このようなアミノ酸には、アラニン、グリシン、セリン及びシステインが含まれる。変異体の主鎖構造をあまり改変することなく、ベータ炭素を越えた側鎖が除去されるため、アラニンがこの群のなかで好ましいスキャニングアミノ酸である[Cunninghamら, Science, 244: 1081 (1989)]。またアラニンは最も一般的なアミノ酸であることによっても好ましい。さらに、アラニンは埋設及び露出位置の双方に頻繁に見出される[Creighton, The Proteins, (W.H. Freeman & Co., N.Y.);Chothia, J. Mol. Biol., 150:1(1976)]。
【0047】
本発明の特定のApo-2L変異体は、下記の表1に与えられた一又は複数の列挙された置換を含むApo-2Lポリペプチドを含む。このようなApo-2L変異体は、典型的には、少なくとも一又は複数のアミノ酸が天然配列Apo-2L(例えば、図1に提供のもの;Apo-2Lの完全長又は成熟形態あるいはその細胞外ドメイン配列)と異なる非天然に生じるアミノ酸配列を含む。場合によっては、天然配列Apo-2Lと比較してApo-2L変異体において異なる一又は複数のアミノ酸は、表1に示されたもののようなアミノ酸置換を含む。本発明のApo-2L変異体は、図1の残基91−281、92−281、95−281又は114−281を含んでなり、表1に記載されている一又は複数のアミノ酸置換を有する可溶性Apo-2L変異体を含む。好ましいApo-2L変異体は、図1(配列番号:1)の残基91−281、92−281、95−281又は114−281を含んでなり、表Iに記載された一又は複数のアミノ酸置換を有し、ここに記載されるような所望の生物活性を更に有する変異体を含む。
【0048】
また、本発明の範囲に含まれるApo-2リガンド配列の変異体は、アミノ末端誘導体又は修飾形にも関連する。このようなApo-2リガンド配列は、ポリペプチド配列のN末端にメチオニン又は修飾メチオニン(例えばホルミルメチオニル又は他のブロックされたメチオニル種など)を有するここに記載した任意のApo-2リガンド変異体を含む。
天然又は変異体Apo-2リガンドをコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)は、さらなるクローニング(DNAの増幅)又は発現のために、複製可能なベクター内に挿入される。様々なベクターが公的に入手可能である。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、次のものの一又は複数が含まれる:シグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサー成分、プロモーター、及び転写終結配列であり、それぞれを以下に説明する。用いられるであろう任意のシグナル配列、複製開始点、マーカー遺伝子、エンハンサーエレメント及び転写終結配列は当該分野で知られており、WO97/25428にさらに詳しく記載されている。
【0049】
発現及びクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識され、Apo-2リガンド核酸配列に作用可能に結合したプロモーターを含む。プロモーターは、作用可能に結合したApo-2リガンド変異体核酸配列のような特定の核酸配列の転写及び翻訳を制御する構造遺伝子(一般的に約100ないし1000塩基対)の開始コドンの上流側(5')に位置する未翻訳配列である。このようなプロモーターは典型的には、誘発的なクラス及び構成的なクラスの2つのクラスに属する。誘発的なプロモーターは、例えば、養分の存在あるいは不存在、温度変化などの培養条件のある変化に対応してその制御の下でDNAからの転写レベルを上昇させるプロモーターである。現時点において多種の可能な宿主細胞により認識される非常に多くのプロモーターがよく知られている。これらのプロモーターは、制限酵素の消化によって供給源DNAからプロモーターを除去し、ベクターに単離したプロモーター配列を挿入することで、Apo-2リガンド変異体をコードするDNAに作用的に結合している。天然のApo-2リガンドプロモーター配列及び多くの異種性プロモーターはいずれもApo-2リガンドDNAの直接増幅及び/又は発現に用いることができる。
【0050】
原核生物及び真核生物宿主に適したプロモーターは当該分野で知られており、WO97/25428にさらに詳しく記載されている。
大腸菌におけるApo-2Lの生産の好ましい方法には、生産物発現の制御のための誘発的プロモーターが用いられる。制御可能な誘発的なプロモーターの利用は、生産物発現の誘発、及び宿主によってよく耐えることのできないかなりの量の生産物の蓄積の前に、所望する細胞密度への培養成長を可能にする。
Apo-2L(114−281形態)の発現のために、三つの誘発的なプロモーター系(T7ポリメラーゼ、trp及びアルカリホスファターゼ(AP))が出願人によって評価された。これら三つのプロモーターのそれぞれの利用は、収集細胞ペーストから回収されたかなりの量の可溶性で生物学的に活性なApo-2L三量体を結果として生じた。しっかりとしたプロモーターコントロール、及び収集細胞ペーストにおいて到達したより高い細胞密度及び力価のために、試験されたこれら三つの誘発的なプロモーター系の中でAPプロモーターが好まれている。
一又は複数の上に列挙した成分を含む適切なベクターの構築には、標準的なライゲーション技術を用いる。単離されたプラスミド又はDNA断片を開裂させ、整え、そして必要とされるプラスミドの生成のために望ましい形態に再びライゲーションする。
【0051】
作成されたプラスミドが正しい配列であることを確認する分析のために、ライゲーション混合物を用いて、大腸菌K12菌株294(ATCC31446)を形質転換し、適当な場合にはアンピシリン又はテトラサイクリン耐性によって、形質転換細胞を好適に選択する。形質転換細胞からプラスミドを調製し、制限エンドヌクレアーゼ消化により分析し、及び/又は当該分野で知られている標準的技術を利用して配列を決定する[例えば、Messingら, Nucleic Acids Res., 9:309 (1981);Maxamら, Methods in Enzymology, 65:499 (1980)を参照のこと]。
Apo-2リガンドをコードしているDNAの哺乳動物細胞における一過性発現をもたらす発現ベクターを使用することができる。一般に、一過性発現は、宿主細胞が発現ベクターの多くのコピーを蓄積し、次にその発現ベクターによってコードされている所望のポリペプチドを高レベルで合成するように、宿主細胞中で効果的に複製できる発現ベクターを使用することを含む[Sambrookら, 上掲]。一過性発現系は、適切な発現ベクターと宿主細胞を含むが、クローニングされたDNAによりコードされているポリペプチドの簡便で確実な同定並びに所望の生物学的又は生理学的性質についてのポリペプチドの迅速なスクリーニングを可能にする。したがって、一過性発現系は、本発明において、生物学的に活性であるApo-2リガンドの類似物及び変異体を同定する目的のために特に有用である。
【0052】
組換え脊椎動物細胞培養でのApo-2リガンド変異体の合成に適応化させるのに適切な他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gethingら, Nature, 293:620-625 (1981); Manteiら, Nature, 281:40-46 (1979); EP117,060; 及びEP117,058に記載されている。
ここに記載のベクターにDNAをクローニングあるいは発現するために適切な宿主細胞は、上述の原核生物、酵母、又は高等真核生物細胞である。この目的にとって適切な原核生物は、限定するものではないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体、例えばエシェリチアのような腸内菌科、例えば大腸菌、エンテロバクター、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ、例えばネズミチフス菌、セラチア属、例えばセラチア・マルセスキャンス及び赤痢菌属、並びにバシラス、例えば枯草菌及びバシラス・リチェフォルミス(licheniformis)(例えば、1989年4月12日に公開されたDD266710に開示されたバシラス・リチェニフォルミス41P)、シュードモナス属、例えば緑膿菌及びストレプトマイセス属を含む。好ましくは、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌すべきである。
【0053】
大腸菌は、本発明において好ましい宿主細胞である。大腸菌は、グリコシル化の必要がなく、大きさが20kd未満であるポリペプチドである、Apo-2リガンド(114−281形態)の発現に特によく適している。生産宿主として、大腸菌は比較的に高い細胞密度で培養が可能であり、比較的に高いレベルの異種タンパク質の生産が可能である。
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、Apo-2リガンドをコードするベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。グリコシル化Apo-2リガンドの発現に適切な宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。CHO細胞を含むすべてのこのような宿主細胞の例は、さらにWO97/25428に記載されている。
宿主細胞を形質移入し、好ましくは上述のApo-2リガンド産生のための発現又はクローニングベクターで形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅するために適切に修飾された標準栄養培地で培養する。
トランスフェクション(形質移入)は、如何なるコード配列が実際に発現されるか否かにかかわらず、宿主細胞による発現ベクターの取り込みを意味する。多数のトランスフェクションの方法が当業者に知られている。例えば、CaPO4及びエレクトロポレーションである。このベクターの操作のあらゆる徴候が宿主細胞内で生じたときに成功したトランスフェクションが一般に認められる。
【0054】
形質転換は、染色体外の成分としてであろうと染色体成分によってであろうと、DNAが複製可能であるように生物体中にDNAを導入することを意味する。用いられる宿主細胞に応じて、そのような細胞に対して適した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。前掲のSambrookらにより記載された塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションが、原核生物又は実質的な細胞壁障壁を含む他の細胞に対して用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shawら, Gene, 23:315 (1983)及び1989年6月29日公開のWO89/05859に記載されたように、ある種の植物細胞の形質転換に用いられる。加えて、1991年1月10日に公開されたWO91/00358に記載されているように、超音波処理を用いて植物をトランスフェクションすることもできる。
【0055】
このような細胞壁のない哺乳動物細胞に対しては、Graham及びvan der Eb, Virology, 52:456-457 (1978)のリン酸カルシウム沈殿法が好ましい。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の一般的な側面は米国特許第4399216号に記載されている。酵母中の形質転換は、典型的には、Van Solingenら, J. Bact., 130:946 (1977)及びHsiaoら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979)の方法によって実施する。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いることもできる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keownら, Methods in Enzymology, 185:527-537 (1990)及び Mansourら, Nature, 336:348-352 (1988)を参照のこと。
Apo-2リガンド変異体を生産するために用いられる原核細胞は、前掲のSambrookらにより記載されているような適切な培地で培養される。大腸菌の培養に用いられうる培養培地の特定の形態は、下記の実施例にさらに記載されている。Apo-2リガンドを生産するための哺乳動物宿主細胞は、種々の培養培地において培養することができる。
【0056】
市販培地の例としては、ハム(Ham)のF10(シグマ)、最小必須培地(「MEM」、シグマ)、RPMI-1640(シグマ)及びダルベッコの改良イーグル培地(「DMEM」、シグマ)が含まれる。これらの培地はいずれも、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシンTM薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は同等のエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について以前から用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
一般に、哺乳動物の細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコル、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: A Practical Approach, M.Butler編 (IRL Press, 1991)に見出すことができる。
【0057】
場合によっては、ここに記載のApo-2リガンドポリペプチド組成物は亜鉛のような二価金属を含む。ここに記載の方法及び製剤において二価金属イオンが存在するとジスルフィド結合の形成から保護されうる。Apo-2L三量体の合成と構築の間に二価金属イオンを含有させると、正しく折り畳まれたホモ三量体Apo-2Lの蓄積と回収を更に改善しうると思われる。従って、本発明の他の側面では、宿主細胞の培養又は発酵のために、典型的には一又は複数の二価金属イオンが培養培地へ添加されるかあるいは含まれる。二価金属イオンは、好ましくは、貯蔵安定性を増すため、溶解性を増すため、又は一又は複数の亜鉛イオンによって調整される安定なApo-2L三量体の形成を補助するために十分な濃度レベルで培養培地に存在するかあるいは添加される。添加されうる二価金属イオンの量は、一部は培養中の宿主細胞密度又はこのような二価金属イオンへの潜在的な宿主細胞感受性に依存する。培養におけるより高い細胞密度では、二価金属イオンの濃度を増すことは有益である。宿主細胞による生産物の発現中又は発現後に二価金属イオンが添加される場合は、宿主細胞による産物の発現が増加するのに応じて二価金属イオン濃度を調節又は増加させることが望ましい。典型的な普通に入手可能な細胞培養培地に存在しうる微量レベルの二価金属イオンは、安定な三量体形成には十分ではないと一般的に考えられている。従って、更なる量の二価金属イオンの添加が好ましい。
【0058】
培養中の宿主細胞の成長期の間に二価金属イオンが添加される場合は、二価金属イオンは、逆に又は負の方向に宿主細胞へ影響しない濃度で培養培地へ添加されるのが好ましい。振盪フラスコ培養では、1mMより高い濃度でのZnSO4の添加は、結果として低い宿主細胞密度を生じる可能性がある。当業者であれば、細菌細胞は、細胞マトリックスと金属イオン複合体を形成することで、効果的に金属イオンを隔離することが可能であることが分かる。従って、細胞培養では、成長期の後(所望する宿主細胞密度に達した後)又は宿主細胞による生産物発現の直前に、選択された二価金属イオンを添加することが好ましい。十分な量の二価金属イオンが存在していることを確かめるために、更なる二価金属イオンを、生産物発現期の間に細胞培養培地へ添加又は供給することができる。
培養培地の二価金属イオン濃度は、宿主細胞に対して有害又は毒性でありうる濃度を越えてはならない。宿主細胞として大腸菌を用いる本発明の方法では、培養培地の二価金属イオンの濃度が約1mM(好ましくは≦1mM)を越えないことが好ましい。さらにより好ましくは、培養培地の二価金属イオン濃度は、約50マイクロモルから約250マイクロモルである。最も好ましくは、このような方法で使用される二価金属イオンは硫酸亜鉛である。金属イオン及びApo-2リガンド三量体が1対1モル比で存在することが可能である量の二価金属イオンを細胞培養へ添加することが望ましい。
二価金属イオンは、細胞培養へ如何なる許容可能な形態でも添加が可能である。例えは、金属イオンの溶液は水を使って調製することが可能であり、次に、二価金属イオン溶液は培養培地へ添加又は供給することが可能である。
【0059】
本発明の一実施態様では、選択されたApo-2L変異体は大腸菌で発現され、細胞培養の培養又は発酵の間、約40−50gm/L乾燥細胞重量につき約1.0−3.0mmoles/L-分の酸素取り込み速度で細胞活動が行われるようにプロセスパラメーターが設定される。新規に合成された新生Apo-2Lポリペプチドは、適切なタンパク質の折り畳み(フォールディング)及びApo-2L単量体の三量体化に十分な時間を有していることが好ましい。発酵プロセスの成長期は、好ましくは30℃で行われる。生産物発現の開始の直前において、プロセスの温度制御設定値は30℃のまま又は残りの発酵のために25℃へ下方制御されてもよい。場合によっては、細胞培養中の細胞密度を増加させることが望ましく、これに応じて、上において言及したパラメーターを調節(又は増加)させることが可能である。例えば、容積生産高を増やすために細胞培養中の細胞密度を増やすことは有利な可能性がある。当業者であれば、所望に応じて、当該分野で知られている常套的技術を利用し、細胞密度を徐々に増加させ、上述のパラメーターを徐々に増加させることができる。
Apo-2Lの発現は、例えば、ここに記載された配列に基づき、適切に標識されたプローブを用い、一般的なサザンブロット法、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法(Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:5201-5205 (1980))、ドットブロット法(DNA分析)、又はインシトゥハイブリダイゼーション法によって、直接的に試料中で測定することができる。種々の標識を用いることができ、最も一般的なものは放射性同位元素、特に32Pである。しかしながら、他の方法、例えばポリヌクレオチド中への導入のためのビオチン修飾ヌクレオチドを用いる方法もまた使用することができる。ついで、このビオチンは、例えば放射性核種、蛍光剤又は酵素等のような広範囲の標識で標識することができるアビジン又は抗体への結合部位となる。あるいは、DNA二本鎖、RNA二本鎖及びDNA-RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いることもできる。ついで、抗体を標識し、検定を実施することができ、ここで二本鎖は表面に結合しており、その結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。
【0060】
あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な方法、例えば組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液の検定によって測定することもできる。免疫組織化学的染色技術では、細胞試料を、典型的には脱水と固定によって調製し、結合した遺伝子産物に対し特異的な標識化抗体と反応させるが、この標識は通常は視覚的に検出可能であり、例えば酵素的標識、蛍光標識、ルミネセンス標識等である。
試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳類において調製することができる。簡便には、抗体は、天然配列Apo-2リガンドポリペプチドに対して、又はここで提供されるDNA配列をベースとした合成ペプチドに対して、又はApo-2リガンドDNAに融合し特異的抗体エピトープをコードする外因性配列に対して調製され得る。
Apo-2リガンドは、好ましくは培養培地から分泌されたポリペプチドとして回収されるが、分泌シグナル無しで直接産生される場合は宿主細胞溶菌液から回収してもよい。Apo-2リガンドが膜結合性である場合は、適切な洗浄液(例えばトリトン-X100)を用いて膜から引き離すか、又は酵素的切断によりその細胞外領域を切り離すことができる。
【0061】
Apo-2リガンドがヒト起源のもの以外の組換え細胞でつくられる場合は、Apo-2リガンドはヒト起源のタンパク質又はポリペプチドを含まない。しかしながら、Apo-2リガンドに関して実質的に相同である調製物を得るには、組換え細胞タンパク又はポリペプチドからApo-2リガンドを精製することが通常必要である。第一段階として、培地又は溶菌液を遠心分離して粒状の細胞屑を除去することができる。ついで、Apo-2リガンドを、汚染した可溶性タンパク質及びポリペプチドから、適切な精製手順の例である次の手順により精製される:イオン交換カラムでの分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ又はカチオン交換樹脂、例えばDEAE又はCM;クロマトフォーカシング;SDS-PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過;及びIgGのような汚染物を除くプロテインAセファロースカラムである。
好ましい実施態様では、Apo-2リガンドはアフィニティークロマトグラフィーによって精製される。残基が欠失され、挿入され、又は置換されたApo-2リガンド断片又は変異体は、その変異によってしばしば惹起される実質的な性質変化を考慮に入れて、天然Apo-2リガンドと同じようにして回収することができる。例えば、他のタンパク質又はポリペプチド、例えば細菌性もしくはウイルス性抗原とのApo-2リガンド融合体の調製は精製を容易にする;抗原に対する抗体を含む免疫アフィニティーカラムを、融合ポリペプチドを吸着させるために使用することができる。
【0062】
例えばフェニルメチルスルホニルフロリド(PMSF)のようなプロテアーゼインヒビターもまた精製の間のタンパク分解を阻害するのに有用であり、偶発的な汚染物質の成長を防止するために抗生物質を含めることができる。天然Apo-2リガンドに適切な精製方法は、組換え細胞培養の発現の際におけるApo-2リガンド又はその変異体の特性の変化の起因となる改変が必要となることは、当業者であれば分かるであろう。
このような精製工程では、回収されたApo-2Lを二価金属イオン含有溶液又は一又は複数の二価金属イオンを含有する精製物質(例えばクロマトグラフィー媒体又は支持体)へ曝露することが望ましいであろう。好ましい実施態様では、二価金属イオン及び/又は還元剤は、Apo-2Lの精製又は回収の間に使用される。場合によっては、DTT又はBMEのような二価金属イオン及び還元剤の両方を、Apo-2Lの精製又は回収の間に使用してもよい。精製又は回収の間に二価金属イオンを使用することは、Apo-2L三量体の安定性を提供するか、あるいは細胞培養段階の間に形成されるApo-2L三量体を維持すると考えられる。
原核生物宿主細胞(最も好ましくは細菌宿主細胞)から発現Apo-2Lを精製及び回収する好ましい方法は以下の工程を含む:(a)大腸菌細胞からApo-2L(細胞内)を抽出する;(b)二価金属イオン及び/又は還元剤を含んでなるバッファー液において適切に折り畳まれたApo-2Lを安定化する;(c)順次、カチオン(陽イオン)交換体、ハイドロキシアパタイト及び疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用するクロマトグラフィーによってApo-2Lを精製する、及び(d)各クロマトグラフィー支持体から、二価金属イオン及び/又は還元剤を含んでなるバッファー液へ選択的にApo-2Lを溶出する。このような方法に使用される二価金属イオン及び還元剤には、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸コバルト、DTT及びBME、そしてより好ましくは硫酸亜鉛又はDTTが含まれうる。
【0063】
以下の記載はまた一又は複数の化学基に共有的に結合した(以下「抱合された(conjugated)」)Apo-2リガンド変異体を製造する方法に関する。本発明のApo-2L抱合体に使用するのに適した化学基は好ましくは有意に毒性又は免疫原性ではない。化学基は場合によっては保存することができ保存に適した条件下で使用できるApo-2L変異体抱合体を製造するために選択される。ポリペプチドに抱合されうる様々な例示的化学基が当該分野で知られており、例えば糖タンパク質に天然に生じる炭水化物のような炭水化物、及び非タンパク様ポリマー、例えばポリオールが含まれる(米国特許第6245901号を参照)。
例えばポリオールは、上掲の国際公開93/00109に開示されているように、リジン残基を含む一又は複数のアミノ酸残基においてApo-2L変異体のようなポリペプチドに抱合されうる。用いられるポリオールは任意の水溶性ポリ(アルキレンオキシド)ポリマーとでき、直鎖又は分枝鎖を有しうる。好適なポリオールには一又は複数のヒドロキシル位置で1から4の炭素を有するアルキル基のような化学基が置換されているものが含まれる。典型的には、ポリオールはポリ(アルキレングリコール)、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG)であり、よって記載を簡単にするために、以下の議論においては、用いるポリオールがPEGである例示的な実施態様に関するものとし、ポリペプチドにポリオールを抱合させる方法を「ペグ化(pegylation)」と称する。しかし、当業者であれば、他のポリオール、例えばポリ(プロピレングリコール)及びポリエチレン-ポリプロピレングリコールコポリマーを、PEGに対してここに記載した抱合法を使用して用いることができることは理解できるであろう。
【0064】
Apo-2L変異体のペグ化に用いられるPEGの平均分子量は変動し得、典型的には約500から約30000ダルトン(D)の範囲でありうる。好ましくは、PEGの平均分子量は約1000から約25000Dであり、より好ましくは約2000から約5000Dである。一実施態様では、ペグ化は約2000Dの平均分子量を持つPEGを用いて実施される。好ましくは、PEGホモポリマーは未置換であるが、一端にアルキル基が置換されていてもよい。好ましくは、アルキル基はC1−C4アルキル基、最も好ましくはメチル基である。PEG調製物は商業的に入手可能であり、典型的には本発明において使用するのに適したPEG調製物は平均分子量に応じて販売されている非均一調製物である。例えば、市販のPEG(5000)調製物は典型的には分子量が僅かに変動し、通常は±500Dの分子を含む。
本発明のApo-2リガンド変異体は単量体形態又は三量体形態(3つの単量体を含む)でありうる。場合によっては、Apo-2L変異体三量体は、PEG分子が三量体Apo-2L変異体を構成する3つの単量体の各々に結合又は抱合されるようにペグ化される。そのような実施態様では、用いられるPEGは約2000から約5000Dの平均分子量を有するのが好ましい。また、Apo-2L変異体三量体は「部分的に」ペグ化され得、つまり、三量体を構成する三の単量体の一又は二だけがPEGに結合又は抱合される。そのような「部分的に」ペグ化されたApo-2L変異体では、用いられるPEGが約5000D又は5000Dを超える平均分子量を有することが好ましい。
【0065】
タンパク質をペグ化するための様々な方法が当該分野で知られている。PEGに抱合したタンパク質を製造するための特定の方法には、米国特許第4179337号、米国特許第4935465号及び米国特許第5849535号に記載された方法が含まれる。典型的には、タンパク質は、主に反応条件、ポリマーの分子量等々に応じて、ポリマーの末端反応性基にタンパク質のアミノ酸残基の一又は複数を介して共有的に結合される。反応性基を有するポリマーはここでは活性化ポリマーと命名する。反応性基はタンパク質の遊離のアミノ又は他の反応性基と選択的に反応する。PEGポリマーは無作為な形又は部位特異的な形の何れかの形でタンパク質上のアミノ又は他の反応性基に結合しうる。しかし、最適な結果を得るために、選択される反応性基のタイプと量、並びに用いられるポリマーのタイプは、反応性基がタンパク質上の余りに多くの特に活性な基と反応することを避けるために用いられる特定のタンパク質又はタンパク質変異体に依存するものと理解される。これは完全に避けることができないであろうため、タンパク質1モル当たり一般に約0.1から1000モル、好ましくは2から200モルの活性化ポリマーを、タンパク質濃度に応じて用いることが推奨される。タンパク質1モル当たりの活性化ポリマーの最終量は、最適な活性を維持し、同時に可能ならばタンパク質の循環半減期を最適化するためのバランス量である。
【0066】
残基はタンパク質の任意の反応性アミノ酸、例えばN末端アミノ酸基であってもよいが、好ましくは反応性アミノ酸はシステインであり、これは、例えば国際公開99/03887、国際公開94/12219、国際公開94/22466、米国特許第5206344号、米国特許第5166322号、及び米国特許第5206344号に示されているように、その遊離のチオール基を介して活性化ポリマーの反応性基に結合している。あるいは、反応性基はリジンであり、これは、活性化ポリマーの反応性基にその遊離のイプシロン-アミノ基を介して結合しており、あるいはグルタミン酸又はアスパラギン酸であり、これはアミド結合を介してポリマーに結合している。ついで、この反応性基は例えばタンパク質のα及びεアミンと反応して共有結合を形成する。簡便には、PEG分子の他端はメトキシ基のような非反応性基で「ブロック」されて、タンパク質分子のPEG架橋複合体の形成を低減させることができる。
好適な活性化PEGは多くの一般的な反応によって生成させることができる。例えば、PEGのN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(M-NHS-PEG)は、Buckmann及びMerr, Makromol. Chem., 182:1379-1384 (1981)の方法に従って、PEG-モノメチルエーテル(ユニオンカーバイド社から市販されている)から、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)との反応によって調製することができる。また、PEG末端ヒドロキシ基は、例えば臭化チオニルと反応させてPEG-Brを生成した後、過剰のアンモニアでアミノ分解してPEG-NH2を形成することによって、アミノ基に転換できる。ついで、PEG-NH2は標準的なカップリング試薬、例えばウッドワード試薬Kを使用して対象のタンパク質に抱合される。更に、PEG末端-CH2OH基は、例えばMnO2での酸化によってアルデヒド基に転換できる。アルデヒド基は水素化シアノホウ素のような試薬を用いる還元性アルキル化によってタンパク質に抱合される。あるいは、本発明における使用に適した活性化PEGは多数の製造元から購入することができる。例えば、Shearwater Polymers, Inc. (Huntsville, Ala.)は、メトキシ-PEGのスクシンイミジル炭酸塩及びメトキシ-PEGスクシンイミジルプロピオン酸塩に加えて、分子量2000のメトキシ-PEG-マレイミドを販売している。
【0067】
本発明のApo-2L変異体のペグ化の度合いを調節して、対応する非ペグ化Apo-2L変異体と比較してインビボ半減期(以下、「半減期」)を望ましく増加させることができる。ペグ化Apo-2L変異体の半減期は典型的にはペグ化の度合いが増加するのに応じて徐々に増加する。タンパク質のペグ化の度合いと部位は、例えば(1)ペグ化部位の数と反応性(例えば第一級アミン)及び(2)ペグ化反応条件によって、決まる。タンパク質におけるペグ化部位のいくつかは相対的に非反応性である可能性が高いので、標準的なペグ化反応では典型的には完全なペグ化にはならない。
標準的な突然変異誘発法を用いてタンパク質中の潜在的なペグ化部位の数を変えることができる。よって、アミノ酸置換がシステインやリジンのようなアミノ酸を導入又は置換する程度まで、本発明のApo-2L変異体は(図1に示された)天然配列Apo-2Lよりもより多い又は少ない数の潜在的ペグ化部位を含むことができる。ペグ化の度合いと部位はまた反応条件、例えば活性化PEG及びタンパク質の相対濃度並びにpHを調節することによって操作することができる。所望の度合いのPEG化に対する好適な条件は、標準的なペグ化反応のパラメータを変えることによって経験的に決定することができる。
R170CのようなApo-2L変異体のペグ化は任意の簡便な方法によって実施される。例示的な実施態様では、R170C-Apo2L.0のCys170側鎖(つまり、図1のアミノ酸114−281を持ち、位置170の天然アルギニン残基がシステイン残基に置換された変異体Apo-2L;このような分子はここではまた「R170C.0」と特定されうる)は、分子量2000Dのメトキシ-PEG-マレイミド(Shearwater Polymers)との反応によって共有結合的に修飾される。簡便には、R170C-Apo2L.0は、最初に約30分間、周囲温度で10mMのDTTを用いて還元し、ついでPD-10ゲル濾過カラムに通して、平衡にし、HICバッファー(0.45MのNa2SO4、25mMのTris-HCl、pH7.5)で溶出させて還元剤を除去することによって、修飾の準備がなされる。ついで、一定量のPEG-マレイミド溶液(dH20中10MM)を直ぐに添加する。完全な反応を確実なものにするために必要な時間と試薬濃度の条件は経験的に決定することができる。0.5から5倍の範囲のR170C-Apo2L.0単量体に対するPEG-マレイミドのモル濃度比と2又は24時間の反応時間を使用することができる。反応は、あらゆる未ペグ化Cys170チオールがカルボキシアミドメチル化されるように、R170C-Apo2L.0単量体濃度に対して10倍のモルの過剰のヨードアセトアミドを添加することによって停止される。ヨードアセトアミドでの修飾は約30分であり、その後、過剰な試薬は、平衡化されPBSで溶出されるNAP-5カラム(Pharmacia)でのゲル濾過によって除去される。
【0068】
ペグ化タンパク質はSDS-PAGE、ゲル濾過、NMR、ペプチドマッピング、液体クロマトグラフィー-質量分析法、及びインビトロ生物学的アッセイによって特徴付けすることができる。ペグ化の度合いは典型的にはSDS-PAGEによって最初に示される。10%のSDS中でのポリアクリルアミドゲル電気泳動は、典型的には溶出バッファーとして10mMのTris-HCl、pH8.0、100mMのNaCl中で実施される。どの残基がペグ化されているかを証明するために、トリプシン及びLys-Cプロテアーゼのようなプロテアーゼ類を使用するペプチドマッピングを実施することができる。しかして、ペグ化及び非ペグ化R170C-Apo2L.0の試料を、Lys-Cプロテアーゼのようなプロテアーゼで消化させ、得られたペプチドを逆相HPLCのような方法で分離することができる。生成されたペプチドのクロマトグラフィーパターンを、Apo-2L.0ポリペプチドに対して過去に決定したペプチドマップと比較することができる。ついで、各ピークをピーク中のフラグメントのサイズを証明するために質量分析によって分析することができる。PEG基を有するフラグメントは、通常、注入後にはHPLCカラムに保持されておらず、クロマトグラフから消失している。クロマトグラフからのそのような消失は、少なくとも一のペグ化可能なアミノ酸残基を含んでいるに違いない特定のフラグメントに対するペグ化を示している。ペグ化Apo-2L変異体は、Apo-2Lレセプターと相互作用し、及び/又は哺乳動物においてアポトーシスを誘導する能力について、及び/又は他の生物学的活性について、当該分野で知られている方法を使用して、更にアッセイすることができる。
【0069】
また、このようなApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する製剤が、本発明により提供される。このような製剤は、治療的投与のみならず、特に貯蔵に適している(及びApo-2L三量体の維持)。任意の製剤は、Apo-2L変異体及び亜鉛又はコバルトを含む。より好ましくは、この製剤は金属がタンパク質に対して<2Xモル比であるApo-2L変異体及び亜鉛又はコバルト溶液を含む。水溶性懸濁液が所望されるならば、製剤中の二価金属イオンはタンパク質に対して>2Xモル比であってもよい。当業者であれば、>2Xモル比では、金属が製剤にとって有害になりうるか又は治療用製剤として望ましくない製剤中の二価金属イオン濃度の上限範囲がありうることが分かるであろう。
製剤は、既知の技術で調製することが可能である。例えば、Apo-2L変異体製剤はゲル濾過カラム上でのバッファー交換によって調製することが可能である。
典型的には、適量の製薬的に許容可能な塩が、製剤を等浸透圧にするために製剤において使用される。製薬的に許容可能な担体の例には、生理食塩水、リンガー液及びデキストロース液が含まれる。製剤のpHは、好ましくは約6〜約9、さらに好ましくは約7〜約7.5である。好ましくは、亜鉛がApo-2Lへ結合したままであることを確かなものにするためにpHは選択される。pHが高すぎる又は低すぎるならば、亜鉛はApo-2Lへ結合したままではなく、結果としてApo-2L変異体の二量体が形成される傾向となる。例えばApo-2リガンド変異体及び二価金属イオンの濃度及び投与経路よっては、ある種の担体がより好ましくなることは、当業者には明らかである。
【0070】
Apo-2L変異体の治療用製剤は、凍結乾燥製剤、水溶液又は水性分散液の形態で、任意的な製薬上許容可能な担体、賦形剤又は安定剤(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16版, A. Osol, A.編 (1980))と、適切な純度を有する所望のApo-2L変異体分子を混合することにより調製される。許容される担体、賦形剤、又は安定化剤は、好ましくは用いられる投与量及び濃度で受容者に非毒性であり、トリス(Tris)、HEPES、PIPES、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤、アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベンのようなアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM、又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
【0071】
このような担体の更なる例は、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばグリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩、又は電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、コロイダルシリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、及びセルロースベースの物質である。局所用の担体又はゲルベースの形態は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース又はメチルセルロース等の多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及びモクロウアルコールを含む。あらゆる投与について、従来のデポー形態が好適に用いられる。このような形態は、例えば、マイクロカプセル、ナノ-カプセル、リポソーム、硬膏剤、吸入形態、鼻スプレー、舌下錠、及び徐放性製剤を含む。
Apo-2リガンド変異体の製剤としての有効な用量は経験的に決定することができ、このような決定は当業者の技量の範囲に含まれる。今日では、Apo-2リガンド変異体の有効用量又は量は、1日体重1kg当たり約1マイクログラム〜約100mg又はそれ以上の範囲であると考えられている。用量の種内スケーリングは、この分野で周知の方法、例えばMordentiら, Pharmaceut. Res., 8 1351 (1991)に記載されているように実施することができる。当業者はApo-2リガンド変異体の投与しなければならない用量が、例えばApo-2リガンド変異体を受容する哺乳動物、投与経路、及び哺乳動物に施される他の薬又は治療に応じて変化することを理解するであろう。
【0072】
インビボ投与に使用されるApo-2L変異体は滅菌されていなくてはならない。これは、凍結乾燥及び再構成の前又は後に、滅菌フィルター膜を通す濾過により容易に達成される。Apo-2L変異体は通常は凍結乾燥形態又は全身投与される場合には溶液中に貯蔵される。凍結乾燥形態にある場合、Apo-2L変異体は典型的には使用時の適当な希釈剤を含む他の成分と組み合わせて処方される。Apo-2L変異体の液体製剤の例は、無菌の、透明な、無色の生鮮溶液で、皮下注射用の1回投与バイアルに充填されている。
治療的Apo-2L変異体製剤は、一般的に無菌のアクセスポート、例えば、静脈内溶液バッグ又は皮下注射針で貫通可能なストッパーを備えたバイアルに入れられる。製剤は、好ましくは静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、又は筋肉内(i.m.)の繰り返し注射として、あるいは鼻内又は肺内送達に適したエアロゾル製剤として投与される(肺内送達については、例えばEP257956参照)。
また、Apo-2L変異体は、徐放性調製物の形態で投与することが可能である。徐放性調製物の適切な例には、タンパク質を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが含まれ、このマトリクスは、例えばフィルム又はマイクロカプセル等の成形品の形態である。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、Langerら, J. Biomed. Mater. Res. 15: 167-277 (1981)及びLanger, Chem. Tech. 12: 98-105 (1982)に記載されたポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号、EP58481)、L-グルタミン酸とガンマ-エチル-L-グルタメートのコポリマー(Sidmanら, Biopolymers 22: 547-556 (1983))、非分解性エチレン-酢酸ビニル(Langerら, 上掲)、分解性の乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注入可能な微小球)、及びポリ-D-(−)-3-ヒドロキシ酪酸(EP133988)が含まれる。
ここに記載されたApo-2L変異体及びその製剤は、種々の治療的及び非治療的応用へ用いられる。これら応用は、種々の癌(上記に提供されている)、免疫関連症状、及びウイルス性症状の治療の方法である。このような治療的及び非治療的応用は、例えば、国際公開97/25428、国際公開97/01633、国際公開01/00832及び国際公開01/22987に記載されている。
【0073】
ここに記載のApo2L変異体は種々の病理状態、例えば免疫関連疾患又は癌を治療するのに有用である。ここに記載した様々な病理状態の哺乳動物における診断は、熟練した実務者によって行うことが可能である。例えば、哺乳動物の癌又は免疫関連疾患の診断と検出を可能にする診断技術は、当該分野で利用可能である。例えば、癌は、限定されるものではないが、触診(法)、血液分析、X線、NMR等々を含む技術を通して同定され得る。また、免疫関連疾患は容易に同定できる。全身性エリテマトーデスでは、疾患の中心媒介物は自己タンパク質/組織に対する自己反応性抗体、及び引き続き起こる免疫媒介炎症の産生である。腎臓、肺、骨格筋系、皮膚と粘膜、眼、中枢神経系、心臓血管系、胃腸管、骨髄及び血液を包含する複数の臓器と系が、臨床的に影響を受ける。リウマチ様関節炎(RA)は、主に複数の関節の滑膜に係る慢性全身性自己免疫疾患であり、結果として関節軟骨に傷害が生じる。病原はTリンパ球依存であり、リウマチ因子、自己IgGに対する自己抗体の生成を伴い、結果として関節体液及び血液において高レベルに達する免疫複合体が形成される。関節におけるこれらの複合体は、滑膜へのリンパ球及び単球の顕著な浸潤と、続いての顕著な滑膜変化を誘発しうる;多数の好中球の添加により同様の細胞で浸潤されるならば関節空間/体液でもである。影響を受けている組織は、多くの場合対称的パターンで主に関節である。しかしながら、2つの主な形態の関節外疾患も生じる。一方の形態は進行中の進行性関節疾患及び肺線維症の局部的障害、血管炎、及び皮膚潰瘍を伴う関節外障害の発達である。関節外疾患の第2の形態はいわゆるフェルティー症候群であり、RA疾患経路の末期、時々は関節疾患が鎮静した後に生じ、好中球減少、血小板減少及び脾腫大の存在に関与する。これは、梗塞、皮膚潰瘍及び壊疽の形成を伴う多数の器官及び血管炎に付随する。多くの場合、患者では、発病している関節上にある皮下組織にリウマチ様小結節が発達し;小結節は、混合炎症細胞浸潤に包囲された壊死性中心を有する。RAで生じる可能性のある他の徴候には:心外膜炎、胸膜炎、冠動脈炎、肺線維症を伴う間質性肺炎、乾性角結膜炎、及びリウマチ様小結節が含まれる。
【0074】
Apo2L変異体は、周知の方法に従い、ボーラスとしての静脈内投与、又は一定期間にわたる連続的な注入、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、骨液内、くも膜腔内、経口、局所的、又は吸入の経路により投与できる。場合によっては、投与は、様々な市販の装置を使用するミニポンプでの注入によって実施することもできる。
Apo2L変異体の投与の有効な用量とスケジュールは、経験的に決定することができ、そのような決定を行うことは当業者の技量の範囲にある。単独又は複数の用量が使用されうる。単独に使用されるApo2L変異体の効果的な用量又は量は一日当り約1μg/kgから約100mg/kg体重あるいはそれ以上までの範囲であると現在は考えられる。用量の種間スケーリングは、例えば、Mordentiら, Pharmaceut. Res., 8:1351(1991)に開示されているような当該分野で知られている方法で実施することができる。
Apo2L変異体のインビボ投与が用いられる場合、正常な投与量は、投与経路に応じて、哺乳動物の体重当たり1日に約10ng/kgから100mg/kgまで、好ましくは約1μg/kg/日から10mg/kg/日である。特定の用量及び輸送方法の指針は文献に与えられている;例えば、米国特許第4657760号、第5206344号、又は第5225212号参照。異なる製剤が異なる治療用化合物及び異なる疾患に有効であること、例えば一つの器官又は組織を標的とする投与には、他の器官又は組織とは異なる方式で輸送することが必要であることが予想される。当業者であれば、投与されなければならないApo2L変異体の用量が、例えば、Apo2L変異体を受入れる哺乳動物、投与経路、及び哺乳動物に投与されている他の薬剤又は治療法に依存して変わりうることは理解できるであろう。
【0075】
更なる治療法を本方法において使用することも考えられる。一又は複数の他の治療法には、これらに限定されるものではないが、当該技術分野において既知であり、前述のセクションIにおいてさらに詳細に定義された、放射線療法、サイトカイン、成長阻害剤、化学治療剤、細胞障害剤、チロシンキナーゼ阻害因子、ラスファルネシルトランスフェラーゼ阻害因子、血管形成阻害因子、及びサイクリン依存性キナーゼ阻害因子の投与が含まれる。更に、治療法は、RituxanTM又はHerceptinTMなどの腫瘍抗原を標的とする治療的抗体並びに抗VEGFなどの抗血管形成抗体、又はDR5又はDR4のようなApo2Lレセプターを標的とする抗体に基づく。
化学治療剤に対する調製法及び用量スケジュールは、製造者の指示に従って使用されるか、熟練した実務家により経験的に決定される。そのような化学療法に対する調製法及び用量スケジュールはまたChemotherapy Service, M.C.Perry編, Williams & Wilkins, Baltimore, MD(1992)にも記載されている。また、化学療法剤は、Apo2L変異体の投与に先行し、又はその後に行い、又はそれらと共に与えられてもよい。
また、CD20、CD11a、CD18、CD40、ErbB2、EGFR、ErbB3、ErbB4、又は血管内皮因子(VEGF)、又は他のTNFRファミリーメンバー(例えばDR4、DR5、OPG、TNFR1、TNFR2)に結合する抗体などの他の抗原に対する抗体を投与することも好ましい。他の方法として、又は付加的に、同一の抗原又はここに開示した二又はそれ以上の異なる抗原に結合する二又はそれ以上の抗体を患者に同時投与してもよい。しばしば、患者に一又は複数のサイトカインを投与することも有益である。一実施態様では、ここにおけるApo2L変異体は、成長阻害剤と同時投与される。例えば、まず成長阻害剤を投与し、続いて当該発明のApo2L変異体を投与する。
【0076】
Apo2L変異体(及び一又は複数の他の治療剤)は同時的又は経時的に投与される。Apo2L変異体の投与の後、インビトロにおいて処理された細胞を分析することができる。インビボでの治療がなされた場合、治療された哺乳動物は熟練した実務家にとって周知の様々な方法によりモニターすることができる。例えば、壊死をアッセイするために腫瘍細胞を病理検査することができ、又は血清の免疫系応答を分析することができる。
ここに記載した疾患の診断又は治療に有用なApo-2L変異体を含むキットのような製造品は、少なくとも容器及びラベルを具備する。適切な容器には、例えばボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管が含まれる。容器はガラス又はプラスチックのような種々の物質から形成できる。容器は、状態の診断又は治療に有効なApo-2L変異体製剤を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は皮下注射針で穿孔可能なストッパーを具備する静脈内溶液バッグ又はバイアルであってよい)。容器上又は添付されるラベルには、製剤が選択した状態の診断又は治療に使用されることが示されている。この製造品は、製薬的に許容可能なバッファー、例えばリン酸緩衝塩水、リンガー液、及びデキストロース溶液を収容した第2の容器をさらに具備してもよい。さらに、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用説明書を備えた包装挿入物を含む、商業的及び使用者の立場から望ましい他の材料を具備してもよい。また、この製造品は、上述の他の活性剤を収容した第2又は第3の容器を具備してもよい。
【0077】
以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。本明細書で引用した全ての特許及び参考文献の全体を、出典明示によりここに取り込む。
【実施例】
【0078】
実施例で言及されている市販試薬は、特に示さない限りは製造者の使用説明に従い使用した。ATCC登録番号により以下の実施例及び明細書全体を通して特定されている細胞の供給源はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、マナッサス、バージニアである。
【0079】
(実施例1)
Apo-2Lの結晶学分析
Apo-2L(アミノ酸残基114−281)の結晶は、20℃で、50%のpeg 2K MMEのウェル溶液を覆う、40uLタンパク質(20mM Tris、pH8.0中の2.6mg/mL)、20uL 50mM Tris pH8.0、及び10uL 8% peg 2K MMEを含有する、70uLシッティングドロップ(sitting drop)の中で成長させ、非対称単位中に二つの単量体を有し、単位胞格子定数a=72.5、c=140オングストロームで室温では3.9オングストロームへ回折する空間群P63のメンバーであった。D218A変異体の結晶は、4℃で、32% MPDのウェル溶液を覆う4uLの4%MPD及び10uLタンパク質(20mM Tris pH7.5の1.7mg/ml)を含有する14uLシッティングドロップ中で成長し、非対称単位当たり1単量体で、単位胞格子定数a=66.4、c=197.7オングストロームで、シンクロトロン放射光で−180℃では1.3オングストロームへ回折する空間群R32のメンバーであった。データは、Apo-2L(残基114−281)の結晶に対して回折を3.9オングストロームに設定し、D218A変異体の1.9オングストロームは、MAR検出器が装備されているRigaku回転陽極X線発生装置で測定され、DENZO/SCALEPACKで処理された[Otwinowskiら, Proceeding of the CCP4 Study Weekend:Data Collection and Processing(eds. Sawyerら)pp56-62 Daresbury Laboratory, Daresbury, England, 1993]。D218A変異体のための1.3オングストロームの設定データは、アルゴンヌ国立研究所のアドバンストフォトンソースにおいて測定、及びHKL2000/SCALEPACKで加工されて、100%の完成性と12倍の冗長性、及びI/<I>=12.4を伴う6.4%のRsym(1.35−1.30シェルの中に34%)を有した。
【0080】
天然Apo-2L構造は、プログラムAmore[Acta Cryst., D50:760-763(1994)]によるTNF−α(pdbコード1TNF)を基礎とするモデルを利用した分子置換によって解明され[Brunger, X-PLOR:version 3.1, Yale Press, New Haven 1987]、35%のRfreeまで 厳密な2倍の非結晶学的リストレイン(non-crystallographic restraints)によって精密化された。この構造は、25%のRfree まで1.9オングストロームデータセットに対して、最後には、Refmac及びSHELXL [Sheldrickら, Methods in Enzymology, pp.319-343, Academic Press, San Diego 1997]によってRfree=22%及び良好な幾何学(rmsd 結合0.011オングストローム、rsmd角度1.7°)を有する20%Rfactorへ精密化された。すべての残基は、許容されるラマチャンドランプロットの領域の内側にある。精密化の間、電子密度の28シグマピークは、三量体軸上のCys230に関連する対称の間に観察された。この密度は、亜鉛イオンとしてモデル化され、B−因子の10へ精密化された。三量体軸上の塩素分子は、亜鉛に対して四番目のリガンドとして存在する。最終モデルは、170の溶媒分子及び1亜鉛イオンそして1塩素イオンをともなう残基120−130、142−194、203−281から構成される。残基91−119、131−141、及び195−202は秩序が乱れている。出発物質の質量分析が結晶が完全長であることを示す一方で、幾つかの結晶のN末端配列の決定は、N末端が原形態を保っていることを確かなものにした。
結晶学的データの要約は図2Cに提供されている。
【0081】
(実施例2)
Apo2Lシステイン置換変異体の設計と生産
システイン置換の部位はDR5・Apo2L複合体のX線構造(図3)の検査を元にして選択した。突然変異の際の活性の喪失又は導入されたシステイン残基の引き続いての修飾を避けるために、レセプター接触領域の外側の部位のみを突然変異誘発のために考慮した。システイン側鎖の効率的な化学修飾を確実にするために、結晶構造において高い溶媒接近性を示した残基のみを選択した。これらの基準に合致する残基には、限定されるものではないが、Val114、Arg115、Glu116、Asn134、Asn140、Glu144、Asn152、Ser153、Arg170、Asp234、Glu249、Arg255、Glu263及びHis264が含まれる。図3に示されるように、この残基群はApo2L単量体の一面を頂部から底部までをスパンしている。
Apo-2Lのシステイン置換変異体は、プラスミドpAPOK5.0の一本鎖型でのオリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発(Kunkelら, Proc. Natl. Acad. Sci., 82:488-492 (1985);Kunkelら, Methods in Enzymology, 154: 367-382 (1987))によって構築した。このプラスミドは、トリプトファン(trp)プロモーターにより推進されるApo2Lの114−281アミノ酸型の細胞内大腸菌発現のために設計した。pAPOK5.0はApo-2Lの残基91−113(図1)をコードしているDNAセグメントの欠失突然変異誘発によってpAPOK5(1999年7月22日公開の国際公開99/36535)から構築した。pAPOK5は、trpプロモーターを持つプラスミドpS1162へApo-2LcDNA(図1の残基91−281をコードする)をクローニングするためのPCRを利用して構築した。突然変異誘発後に、プラスミドの同一性をプラスミドのApo2Lの全体部分のジデオキシヌクレオチド配列決定(Sanger)によって確認した。
ついで、システイン置換タンパク質をコードするプラスミドを、発現のための大腸菌株294に形質転換した。培養物をLuriaブロス+50μg/mLカルベニシリン中で37℃にて飽和するまで一晩成長させた。続いて、飽和した培養物を50倍希釈してNa2HPO4(6g/L)、KH2PO4(3g/L)、NaCl(0.5g/L)、NH4Cl(1g/L)、グルコース(4.9g/L)、カザミノ酸(4.9g/L)、27mMのMgSO4、0.003%チアミンHCl及び適量の蒸留水+カルベニシリン40μg/mLからなる滅菌濾過培地中に蒔いた。A500が0.5−0.8になるまで培養物を37℃にて成長させた後、25μg/mLの最終濃度になるまで3-α-インドールアクリル酸(IAA)(Sigma, St.Louis, MO)を添加して発現を誘導した。振盪しながら細胞を30℃で一晩成長させ、遠心分離して収集し、以下に記載されたようなApo2Lの引き続いての回収のために−20℃で凍結保存した。
【0082】
モデルM110-Fマイクロフルイダイザー(Microfluidics Corporation, Newton, MA)を使用して、凍結した大腸菌細胞ペレットから、10容量(wt/vol)の100mMのTris、pH8.0/200mMのNaCl/5mMのEDTA/1mMのDTT中での均質化によってApo-2Lタンパク質を抽出した。ポリエチレンイミン(PEI)を0.5%(vol/vol)の最終濃度までホモジネートに添加して、これをついで遠心分離して細胞片を除去した。固形の硫酸アンモニウムを撹拌しながら周囲温度にて45%の飽和度の最終濃度になるまで抽出上清に加え、遠心分離によってペレットを回収した。硫酸アンモニウムペレットを50%の硫酸アンモニウム溶液で洗浄して残留EDTAを除去した後、50容積(wt/vol)の50mMのHEPES、pH7.5/0.1%トリトンX-100中に再懸濁させた。得られた溶液を遠心分離によって透明にし、5mLのHiTrapキレーティングセファロースカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)を使用して固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)によって精製した。カラムに、100mMのNiSO4/300mMのTris、pH7.5中のニッケルを充填し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の350mMのNaClで平衡化した。充填後、カラムを、PBS中350mMのNaClで洗浄し、PBS中50mMのイミダゾール/350mMのNaClで溶出させた。IMAC溶出液を20mMのTris、pH7.5に対して透析し、遠心分離によって透明にし、更に、平衡化し20mMのTris、pH7.5で洗浄した5mLのHiTrap SPセファロースカラム(Pharmacia)を使用する陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。HiTrap SPカラムを20mMのTris、pH7.5/0.5MのNaClで溶出させた。SPカラム溶出液を2mMのDTTで還元し、続いて周囲温度で45%の飽和度の最終濃度になるまで撹拌しながら固形の硫酸アンモニウムを加えることによって沈殿させた。硫酸アンモニウムペレットを3.5mLの20mMのTris、pH7.5/100mMのNaCl中に再懸濁させ、PD10カラム(Pharmacia)を使用するゲル濾過クロマトグラフィーによって20mMのTris、pH7.5/100mMのNaCl/2mMのDTTの最終バッファー中に交換した。精製したApo-2Lシステイン置換タンパク質を、クーマシー染色SDS-PAGE及び質量分析によって特徴付けし、−20℃で凍結して保存した。
【0083】
(実施例3)
インビトロでのApo2L変異体のアポトーシス活性
蛍光色素の代謝転換から細胞生存度を測定するバイオアッセイを、Apo2L変異体のアポトーシス活性を測定するために用いた。Apo-2L.0、Apo2L.2、又はApo2L変異体の2倍段階希釈物を、0.1%BSAを含むRPMI-1640培地(Gibco)中で作製し、50μlの各希釈物を、96ウェルのファルコン培養マイクロプレートの個々のウェルへ移した。50μlのSK-MES-1ヒト肺癌細胞(ATCC HTB58)(RMPI-1640、0.1%BSA中)を、2x104細胞/ウェルの密度にて添加した。これらの混合物を、37℃で24時間にわたってインキュベートした。20時間目に、25μLのアラマーブルー(AccuMed, Inc., Westlake, Ohio)を添加した。細胞数を、530nmの励起時に590nmで相対蛍光を測定することで決定した。これらのデータを、細胞生存度の50%減少を示すApo2L.0の濃度であるED50を計算するために、4パラメーターフィットを使用して分析した。
試験したシステイン置換Apo2L変異体のうち、E116CはSK-MES細胞に対するアポトーシス活性に有意な(>2倍)減少を示した(表I)。R170C変異体は約10倍増加した能力を有していた。R170C変異体の活性の増加はバイオアッセイ培地でのインキュベーション中のCys170の酸化に関連していると思われる。このアッセイにおいて、タンパク質はアッセイ培地で希釈され、貯蔵バッファー中に含まれる還元剤(2mMのDTT)が同時に希釈される。還元剤の濃度の減少により、ジスルフィド結合が形成されることになる。N-エチルマレイミド(NEM)(表I)又はヨードアセトアミド(図4)でのCys170の先のアルキル化が活性の増加を阻止した。また、Arg170がAla、Lys又はSer残基の何れかで置き換えられたApo2L変異体はApo-2L.0ポリペプチドに一層匹敵する活性を有していた。
【0084】
【表1】
「ND」=定量されず;タンパク質の91−281型からつくられた変異体S96C.2、S101C.2、及びS111C.2(「Apo2L.2」)を除いてApo-2リガンド変異体の全てがタンパク質の114−281型(Apo2L.0)としてつくられた。
【0085】
R170C-Apo-2L.0三量体間のジスルフィド結合形成の可能性を、空気酸化の速度を測定することによって更に調べた。2mMのDTTの存在下で保存したR170C-Apo-2L.0の1.4mg/mL溶液の一部を、DTTを除去するためにHICバッファー(0.45MのNa2SO4、25mMのTris-HCl、pH7.5)で平衡化したPD-10カラムに通した。この溶液(3.5mLの1.1mg/mL R170C-Apo-2L.0)を穏やかに撹拌しながら15mLのFalconチューブ中で周囲温度にてインキュベートした。一定量を様々な時点で除去し、R170C-Apo-2L.0に残る全ての溶媒接近可能なチオール類を10倍のモル過剰のヨードアセトアミドでアルキル化した。最初の時点は3分であるが、これはPD-10カラムからタンパク質を溶出させるのに必要な時間量であるためである。これらの試料を、上述のようにしてSK-MES細胞での生物活性について特徴付けを行い、また多角度光散乱検出(SEC-MALS)を備えたサイズ排除クロマトグラフィーによって分子量について特徴付けを行った。クロマトグラフィーを、平衡化されPBSで溶出させられ、光散乱検出器とUV検出器の双方を備えたFPLCシステムで操作されるSuperdex200カラム(1.6x30cm)(Wyatt Technology, Inc.)を使用して実施した。
【0086】
図5に示されるように、3分だけの空気酸化では、大部分がR170C-Apo-2L.0は70000Dの算定分子量を持つ三量体形態で見出される。2時間では、有意な量のより高分子量の形態が見出される。2時間での三つのピークは70000、140000及び600000Dの算定分子量を有している。空気酸化24時間の時点では、R170C-Apo-2L.0の殆どが600000D分子量の種として見出される。更なる24時間のインキュベーションでも600000Dを越える種は生産されない。SDS-PAGEの際に、より大きい分子量の形態がジスルフィド結合二量体として移動する。これらの結果は、R170C-Apo-2L.0タンパク質が、ジスルフィド結合を介して三量体が互いに結合したオリゴマー種を形成することを示唆している。140000D形態は互いに結合した2つの三量体に対応する一方、600000D形態は共有結合した8−10の三量体を有している。SDSでの変性の際に、これらのオリゴマーはジスルフィド結合二量体に分解する。24時間の空気酸化後に、R170C-Apo-2L.0は、アポトーシスバイオアッセイにおいてSK-MES細胞に対してほぼ20倍のED50の減少を生じさせた。生物活性の増加の時間的経過はオリゴマー形態の蓄積と同時進行する(図6)。Cys170ジスルフィド結合を通してのオリゴマー生成はまたDR5レセプターに対する親和性を増大させる結果となる。
これらの結果は、レセプター結合を排除しない形でのApo2Lのオリゴマー形成により腫瘍細胞に対して更に強力なデスシグナルを生じる分子が得られることを示唆している。
【0087】
(実施例4)
Cys残基でのApo-2Lのペグ化
システイン置換Apo2Lタンパク質を、メトキシ-PEG-マレイミド、分子量2000D(Shearwater Polymers)との反応により共有結合的に修飾した。PD-10ゲル濾過カラムを通過させて保存バッファー中に含まれるDTTを最初に除去して、Apo2L変異体の修飾の準備をした。カラムを平衡化し、HICバッファー(0.45MのNa2SO4、25mMトリス-HCl pH 7.5)又はアルギニン製剤バッファー(0.5Mのコハク酸アルギニン、20mMトリス-HCl pH 7.5)で溶出させた。一定量のPEG-マレイミド溶液(10mMのdH2O溶液)を直ぐに添加した。最初の実験では、完全な反応を行わしめるのに必要な反応時間と試薬濃度を決定するためにR170C変異体を使用した。1:1、2:1、5:1又は10:1のR170C-Apo2L.0単量体に対するPEG-マレイミドのモル濃度比及び2から24時間の反応時間を使用した。反応を、2mMになるまでDTTを添加することにより終結させ、周囲温度で30分インキュベーションした後、ヨードアセトアミドを10mMになるまで添加した。この反応停止手順によって、反応中に生じたあらゆるジスルフィド結合を減少させ、あらゆる未ペグ化Cys170チオールをカルボキシアミドメチル化させた。ヨードアセトアミドでの修飾は30分間で、その後、過剰な試薬を、平衡化されPBSで溶出されるNAP-5カラム(Pharmacia)でのゲル濾過によって除去した。これらの試料をSDS-PAGE及びSEC-MALSによって分析した。またSK-MES細胞に対するアポトーシス誘導活性を上述のようにしてアッセイした。図8に示されるように、PEG-2K-マレイミドでのR170C-Apo2L.0の処理によって単量体分子量のおよそ2000ダルトンのシフトがあることがSDS-PAGEにより分かる。2:1又はそれ以上のPEG:タンパク質の比を用いる反応によって同様の程度の修飾が得られた。これらの反応について、残留した未修飾単量体を観察した。クーマシーブルー染色ゲルの視覚検査によって、未修飾単量体が全タンパク質の<10%であることが示唆される。2:1未満のPEG:タンパク質モル比では、得られた修飾は少なかった。24時間の反応時間では生成物の明らかな変化は観察されなかったので、反応は2時間以内に完了するように思われる。
【0088】
PEG化R170C-Apo2L.0の水力学的性質を、Superdex200カラムに使用したランニングバッファーを0.4Mの硫酸アンモニウム、15mMのリン酸ナトリウム、pH6.5にした以外は上述のようにしてSEC-MALSによって評価した。この高イオン強度のバッファーを使用すると、カラム材料とのApo2Lの相互作用が低減される。ヨードアセトアミドでブロックされたCys170を有するR170C-Apo2L.0は、60000g/molとして光散乱法から算定されたモル質量で、10.65mLを中心とする単一の対称ピークとして溶出された。2:1のPEG比と2時間の反応時間を使用して調製されたPEG-2K-R170C-Apo2L.0はまた単一の対称ピークとして溶出されたが、溶出容積は9.25mL、算定モル質量は69000g/molであった。SDS-PAGEからの結果と併せると、これらのデータは、この試料が三量体当たり3つの共有結合PEG鎖を有しており、単量体当たり1PEG鎖を伴っていることが示唆される。PEG-2K-R170C-Apo2L.0の算定分子量(69000D)は測定の標準誤差(±10%)の範囲で予想質量(66000D)に一致する。三量体当たり3つの共有結合PEG鎖を有しており、単量体当たり1PEG鎖を伴っているApo-2Lのこの三量体形態は、有意な生物活性性状と腎臓濾過カットオフより大なるMWappを含む多くの共存する最適な特性を示すことによって本発明の好適な実施態様を表す複合体を生じる。IAM-R170C-Apo2L.0に対して50000D、PEG-2K-R170C-Apo2L.0に対して100000Dの見かけ分子量は相対溶出容積に基づいて計算された。既知の分子量の一連のタンパク質を使用して、見かけ分子量に溶出容積を関係づける校正曲線を構築した。IAM-R170C-Apo2L.0とまた未修飾のApo2L.0は予想よりも些か少ない分子量を示したが、三量体の緻密な形状と一致していた。PEG-2K-R170C-Apo2L.0に対して算定されたより大なる分子量は親水性で延長されたPEG鎖から生じ、修飾されたタンパク質の水力学的半径を大きく増大させる。
【0089】
上記の結果に基づいて、他のシステイン置換変異体での最初のPEG化実験では2:1のPEG対単量体モル比と2時間の反応時間を用いた。これらの反応条件は通常3つの結合PEG鎖を有する三量体を生じた。しかし、V114C及びR115C変異体は、実験では反応性に乏しく、より完全な反応を達成するにはより高いPEG比とより長い反応時間を必要とした。R255C変異体はより高いPEG比とより長い反応時間でも修飾できなかった。修飾実験はE116C変異体では実施されなかった。
システイン置換タンパク質の多くは、上述のようにPEG化されたときに減少した生物活性(表I)を示した。生物活性の減少はPEG-V114Cの2.1倍からPEG-N134Cの134倍まで変動した。R170C-Apo2L.0はPEG化の際に比較的高いレベルの活性を保持し、低PEG:タンパク質比で修飾が急速に完了まで進んだので、この変異体を更なる研究のために選択した。
より多量のPEG-R170C-Apo2L.0の生産のために、PEG:Apo2L単量体の2:1のモル比及び24時間の反応時間を使用した。70mgのR170C-Apo2L.0をゲル濾過した後、周囲温度で24時間の間、PEG-マレイミドと反応させた。10倍のモル過剰のヨードアセトアミドで反応を停止させた後、タンパク質を、製剤バッファー(コハク酸アルギニン)で平衡化したセファデックスG-25のカラムでのゲル濾過クロマトグラフィーによって遊離のPEGから分離した。この調製物はロット番号32176-87Cであった。精製したPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)はApo2L.0に対して測定したものと等価なDR4、DR5、DcR1、DcR2、及びOPGに対する結合親和性を示した(表II)。
【表2】
【0090】
ついで、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)を質量分析及びペプチドマッピングによって分析した。MALDI-TOF-MS(図10)は、少量の未修飾単量体(分子量=19440)の存在と単一の結合PEGを持つタンパク質に対応する主要ピークを示している。PEG分子はポリマー単位エチレングリコール(分子量=44)の増分だけ分子量が異なる質量不均一性を有することがよく知られている。その結果、約21680を中心とする広い質量範囲が、単一のPEGが結合したタンパク質に対して観察された。ペグ化及び非ペグ化R170C-Apo2L.0間の平均質量差は、PEGの平均質量が2200Dであることを示している。
PEG結合部位はペプチドマッピングによって確認された。ペグ化及び非ペグ化R170C-Apo2L.0の試料をLys-Cプロテアーゼで消化し、得られたペプチドを逆相HPLCで分離した(図11)。生成されたペプチドのパターンを、Apo2L.0に対して過去に決定されたマップと比較した。Lys150及びLys179後の切断により生成されたL4と標識されたペプチドはR170C-Apo2L.0の消化にCys170残基を含んでいる。このピークは消失し、ペグ化タンパク質において、広い、後で溶出するピーク(L4*)によって置き換わる。このフラクションのMALDI-TOF質量スペクトルは、予想されたペプチド質量より大きい1.9−2.6kDaの分布を持つ44Daによって分離された一連のピークを示している。MALDI-TOFでのインソースフラグメンテーションによる更なる分析では、L4*を、Cys170がPEGで修飾された151−179ペプチドと確認した。これらの結果と対照的に、L10ペプチド(225−233)は未修飾及びペグ化R170C-Apo2L.0の双方において同様のピーク面積を示す。これは、埋もれており亜鉛イオンのキレート化に関与する天然Cys230残基がPEG-マレイミドによって修飾されないことを示している。Lys残基の側鎖のような他の官能基の有意な修飾は観察されなかった。無傷のタンパク質のSDS-PAGE及びMALDI-TOF質量スペクトルと併せると、これらのデータは、各単量体がCys170に結合した一つのPEGを有していることを示唆している。よって、天然の条件下では、R170C-Apo2L.0三量体は3つの結合したPEG分子を有している。
【0091】
(実施例5)
PEG-R170C-Apo2L.0の薬物動態学
Apo2Lのクリアランスに対するPEG化の効果をマウスで試験した。時間ゼロにおいてマウスの尾部にApo2L.0(10mg/kg)又はPEG-R170C-Apo2L.0(10mg/kg)を静脈注射した。血漿試料を1、20、40、60、及び80分に収集した。Apo2L濃度をELISAによって定量した。
図12に示されるように、Apo2L.0は循環から迅速に排除されるのに対して、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)はよりゆっくりと排除された。注射後60分で、Apo2L.0の血漿濃度は1分での濃度の1%未満であった。これに対して、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)の血漿濃度はこの時間では50%減少しただけである。よって、Apo2Lに対するPEG-2000の部位特異的付着によりクリアランス速度が有意に減少した。
【0092】
(実施例6)
マウス異種移植モデルにおけるヒトCOLO205腫瘍の成長に対するPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)の効果
胸腺欠損ヌードマウス(Jackson Laboratories)に5x106のCOLO205ヒト大腸癌細胞(NCI)を皮下注射した。腫瘍を生じさせ、ノギスでの測定で約150mm3の体積になるまで成長させた。マウス(1グループ当たり8匹)にビヒクル(2x/週)、Apo2L.0(60mg/kg、2x/週)、Apo2L.0(10mg/kg、2x/週)、又はPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)(10mg/kg、2x/週)を静脈内注射した。腫瘍体積を三日毎に測定し、二週間後に治療を停止した。図13に示されるように、10mg/kgのPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)での処置はApo2L.0の等価な投薬量よりも腫瘍体積を大きく減少させた。10mg/kgのPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)の抗腫瘍効果はApo2L.0のより高い投薬量(60mg/kg)で観察されたものと同様であった。Cys170でのApo2LのPEG化はこのヒト癌異種移植モデルにおいて効果を達成するのに必要とされる投薬量を低減させる。
【0093】
(実施例7)
部分的にPEG化され、ジスルフィド架橋されたR170C-Apo2L.0の調製
上述したように、R170C-Apo2L.0の一晩の空気酸化により、SK-MES細胞に対するインビトロでの生物活性を有意に増大させた600000D分子量の種を生じる。しかし、予備的な結果は、この高分子量形態がマウスでは有意に増加した半減期を持っていないことを示している。また、酸化されたR170C-Apo2L.0はマウス異種移植モデルにおいて抗腫瘍活性を増大させず、ある種の正常な肝細胞に対して毒性であると思われる。ジスルフィド結合形態の生物活性の増加をPEG化Apo2Lの遅いクリアランスと組み合わせるための努力において、PEG化実験を、PEG-マレイミド:R170C-Apo2L.0単量体の不足化学量論比を使用して実施した。これは同じ分子に対して架橋とPEG化の双方を可能にすることになる。
HICバッファーで平衡化したセファデックスG-25カラムでDTTを除去することによりPEG化反応のためのR170C-Apo2L.0(95mg)を調製した。メトキシ-PEG-マレイミド、分子量2000D(Shearwater Polymers)を0.75:1のPEG:R170C-Apo2L.0-単量体の最終比になるまで添加した。単量体濃度は55μMであった。この溶液を周囲温度で一晩インキュベートした後、ヨードアセトアミドを100μMになるまで添加することによって反応を停止した。過剰な試薬を除去し、コハク酸アルギニン製剤バッファーで平衡化したセファデックスG-25カラムでの修飾タンパク質のゲル濾過によって、バッファーを交換した。この材料はPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)と命名され、増加したレセプター親和性(表II)及びインビトロ生物活性(図14)を示した。
【0094】
PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の水力学的特性を、カラムを平衡化しPBSで溶出させた点以外はロット32176-87Cに対して上述したようなゲル濾過クロマトグラフィーによって調べた。PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)は3つの主要ピークでカラムから溶出している(図15)。最初のピークは315000Dの算定分子量を有し、注入された材料の30%を占める。第二のピークは194000Dの算定分子量を有し、全体の23%を占める。第三のピークは108000Dの算定分子量を有し、全質量の46%を占める。SDS-PAGEによる分析は、全ての3つのピークがPEG化単量体とジスルフィド結合二量体を含むことを示す。これらの成分の比は、ピーク3が主として完全にPEG化された三量体からなり、ピーク2はほとんど「六量体」−ジスルフィド結合で結合した2つの三量体−であるように思われ、ピーク1はジスルフィド結合を介して結合した「九量体」であることを示唆している。六量体形態の模式図を図16に示す。ピーク1はアポトーシスアッセイにおいて最も高い活性を有しており、50の相対強度を示す。ピーク2は17の相対強度を示し、ピーク1は3の相対強度を有していた。
【0095】
マウス中のPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の薬物速度を、血漿試料を10分、及び1、2、4、8及び24時間で採取したこと以外にロット32176-87Cに対して上述したようにして定量した。PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の血漿濃度を図17にプロットする。2コンパートメントモデルに従ったこれらのデータの分析(表III)は、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)がApo2L.0に対して48倍の増加した半減期と15倍の減少したクリアランス速度を有していることを示している。
【表3】
【0096】
PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)を次の変更点の下で上述したマウス異種移植モデルにおいて試験した:1)全ての注射を腹腔内で行った;2)PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の注射を2週間の間、1、3、又は10mg/kgで2x/週、実施した;3)Apo2L.0の注射を共に2週間の間、60mg/kgで5x/週、又は10mg/kgで2x/週、実施した。図18に示されるように、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の3通り全ての投薬は各群の8匹全ての動物において完全な腫瘍後退を引き起こした。腫瘍体積はゼロまで低減され、治療停止後にそのレベルまで維持された。Apo2L.0の双方の投薬によって腫瘍体積の減少を生じたが、全ての処置動物において完全な腫瘍後退は引き起こさなかった。PEG-R170C-Apo2L.0処置の3つの群では、投薬計画完了後に腫瘍を有していた動物はいなかった。より高い投薬量が腫瘍のより早い除去を生じるという用量応答があった。Apo2L.0で処置した群はより少ない腫瘍消失%であり、腫瘍は60mg/kg用量を与えた8/8の動物と10mg/kg用量を受けた4/6で処置の中止時に再成長し始めた。PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)処置群では、腫瘍が再びあらわれるのにより長い時間がかかりゆっくりと成長した。1、3及び10mg/kgのPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)処置群では、腫瘍はそれぞれ2/7、4/8及び3/8動物において再発した。これらのデータは、部分的にPEG化され架橋されたR170C-Apo2L.0が、未修飾のApo2L.0で観察されるよりも低い投薬量で大なる抗腫瘍効果を有していることを示している。
カニクイザル由来の正常な肝細胞に対するPEG-R170C-Apo2L.0のロット番号32176-78及び32176-87Cの効果を図19において比較した。ロット32176-87Cは肝細胞に対して細胞毒性をあまり示さなかったが、ロット32176-78は中間の高くない濃度である程度の毒性を示した。この濃度依存性は細胞表面上でのレセプターの高次のクラスター形成から生じる毒性と一致していると考えられる。
【0097】
(実施例8)
PEG化K179C-Apo2L.0の調製
薬物動態学的及び効能実験をまたオリゴマー形成に対して減少した傾向を持つシステイン変異体を用いて実施した。(上記実施例に記載されたようにして調製された)K179C変異体がこれらの実験のために選択されたが、これは、その天然形態のこの変異体が野生型(天然)Apo-2リガンド分子に匹敵する活性を有し、予備ペグ化実験がCys179修飾の際に活性が2倍だけ消失することを示していたためである(表I参照)。この変異体はジスルフィド結合オリゴマーを直ぐには形成しないようであった(データ示さず)。K179C-Apo2L.0(40mg)を8mg/mLまで濃縮し、周囲温度で2時間、10mMのDTTで還元した。還元剤を、コハク酸アルギニン製剤バッファーで平衡化したPD-10カラムでのゲル濾過によって除去した。タンパク質濃度を吸光度測定で定量した後、2K-メトキシPEG-マレイミドを5:1のPEG:Apo2L単量体の最終モル濃度になるまで添加した。この混合物を周囲温度で一晩インキュベーションした後、DTTを5mMになるまで添加することによって反応を停止させた。90分後に、20mMの濃度までヨードアセトアミドを添加することによって還元剤をブロックした。アルキル化を60分進行させた後、混合物を、PD-10カラムでコハク酸アルギニン製剤バッファー中に交換した。
【0098】
2K PEG-K179C-Apo2L.0の水力学的性質を、平衡化しPBSで溶出させるSuperdex200カラムでのSEC-MALSによって調べた。2K PEG-K179C-Apo2L.0は85000の算定分子量を持つ溶出容積(11.8mL)の単一ピークとして溶出した(図23)。より早い溶出ピークは検出されず、この調製物にジスルフィド結合オリゴマーがないことを示唆している。PEG化は、K179C-Apo2L.0のヨードアセトアミド修飾形態が13.4mLで溶出し、70000の算定分子量を有するので、増加した見かけ分子量を生じた。
SK-MES細胞に対するアポトーシス誘導活性を、上記の実施例に記載されているようにして、2K PEG-K179C-Apo2L.0について測定した。PEG化タンパク質は非常に活性であり、未修飾Apo2L.0に対して生物活性が9倍減少しただけであった(図24)。
ヒトCOLO205腫瘍の成長に対する2K PEG-K179C-Apo2L.0の効果を、上述のマウス異種移植モデル(実施例6)を使用して定量した。マウス(一群当たり8)にビヒクル(5x/週)、Apo2L.0(60mg/kg、5x/週)、又はPEG-K179C-Apo2L.0(60mg/kg、1x/週)の腹腔内注射を与えた。血漿試料を最初の注射の1分及び24時間後に採取した。これらの試料中のApo2Lの濃度をELISAによって定量した。図25に示されるように、Apo2L.0と比較してPEG化タンパク質の場合に24時間後に更に高いフラクションの注射投薬量が血漿中に保持されていた。マウス中の腫瘍体積を三日毎に測定し、二週間後に治療を停止した。図26に示されるように、PEG-K179C-Apo2L.0の1x/週の投薬は、Apo2L.0での5x/週の治療より平均腫瘍体積を大きく減少させた。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】ヒトApo-2リガンドcDNAのヌクレオチド配列(配列番号:2)とその誘導アミノ酸配列(配列番号:1)を示す。ヌクレオチド位置447の「N」は、「T」又は「G」でありうるヌクレオチド塩基を示すために使用される。
【図2A】図2A−2CはApo-2Lの結晶構造に関する。図2Aは、3回転軸に沿った三量体の概略を示す。各単量体は同一である。秩序だったタンパク質構造は残基120から始まり、残基131−141は秩序だっておらず、残基195−201も同じである(破線で印が付けられている)。溶媒リガンドと三つの対称性に関連したシステインを含む亜鉛結合部位は空間充填図として示されている。
【図2B】図2Bは、亜鉛結合部位の斜視立体密集図を提供する;Sγ−亜鉛−Sγ間の角度は112℃で、Sγ−亜鉛−溶媒角度は107℃で2.3オングストロームの亜鉛−硫黄及び2.3オングストロームの亜鉛−溶媒結合距離を有する。図2は、プログラムMolscript[Kraulisら, J. Appl. Cryst., 24:946-950(1991)]及びRaster3D[Merritら, Acta Cryst., D50:869-873(1994)]を用いて作成された。
【図2C】図2Cは結晶データの要約を提供する。
【図3】DR5・Apo2L複合体のX線構造を示す。
【図4】SK-MES肺癌細胞に対するR170C-Apo2L.0のアポトーシス誘導活性を示す。R170C変異体の活性の増加はバイオアッセイ培地でのインキュベーション中のCys170の酸化に関連しているように思われる。N-エチルマレイミド(NEM)又はヨードアセトアミドでのCys170の予めのアルキル化が活性の増加を阻止した。
【図5】オンライン光散乱検出器(MALS)を備えたクロマトグラフィー系を使用しての(Wyatt Technology, Inc.)Superdex200カラム(Amersham Biotech)でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によるR170C-Apo2L.0オリゴマーの分析を示す。実線はUVのトレースを示し、符号は光散乱データから計算したモル質量を示す。3分だけの空気酸化では、R170C-Apo-2L.0は大部分が70000Dの算定分子量を持つ三量体形態で見出される(溶出容積=11mLs)。2時間では、有意な量のより高分子量の形態が見出される。2時間での三つのピークは70000D、140000D(9.5mLの溶出容積)及び600000D(6mLの溶出容積)の算定分子量を有している。24時間後には、600000Dの分子量の種のみが見出される。
【図6】R170C-Apo2L.0に対するオリゴマー形成の反応速度と生物活性の増加を示す。生物活性の増加の時間過程はオリゴマー形態の蓄積と同時に進行している。
【図7】カニクイザル肝細胞に対する酸化R170C-Apo2L.0の効果を示す。
【図8】PEG化反応のSDS-PAGE分析を示す。レーン(左から右)1、2−R170C-Apo2L.0、3−PEG-マレイミド無添加、4−NEM修飾R170C-Apo2L.0、5−1:1 PEG:R170C-Apo2L.0、6−2:1 PEG:R170C-Apo2L.0、7−5:1 PEG:R170C-Apo2L.0、8−10:1 PEG:R170C-Apo2L.0、9−分子量標準物、10−空気酸化R170C-Apo2L.0。PEG-マレイミドでのR170C-Apo2L.0の処理によって単量体分子量のおよそ2000ダルトンのシフトがあることがSDS-PAGEにより分かる。2:1又はそれ以上のPEG:タンパク質の比を用いる反応によって同様の程度の修飾が得られた。これらの反応について、残留した未修飾単量体を観察した。クーマシーブルー染色ゲルの視覚検査によって、未修飾単量体が全タンパク質の<10%であることが示唆される。2:1未満のPEG:タンパク質モル比では、得られた修飾は少なかった。24時間の反応時間では生成物の明らかな変化は観察されなかったので、反応は2時間以内に完了するように思われる。
【図9】SEC-MALSによるPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)の分析を示す。11.3mLのピーク溶出容積を持つカルボキシアミドメチル-R170C-Apo2L.0の曲線を比較のために示す。PEG化により溶出容積の減少と見かけ分子量の増大が引き起こされる。
【図10】質量分析によるPEG-R170C-Apo2L.0の分析を示す。MALDI-TOF-MSは、少量の未修飾単量体(分子量=19440D)の存在と単一結合PEGを有するタンパク質に対応する主要ピークを示している。PEG分子はポリマー単位エチレングリコール(分子量=44)の増分だけ分子量が異なる質量不均一性を有することがよく知られている。その結果、約21660Dを中心とする広い質量範囲が、単一のPEGが結合したタンパク質に対して観察された。ペグ化及び非ペグ化R170C-Apo2L.0間の平均質量差は、PEGの平均質量が2200Dであることを示している。
【図11A】PEG結合部位を確認するために使用したペプチドマッピングを示す。ペグ化及び非ペグ化R170C-Apo2L.0の試料をLys-Cプロテアーゼで消化し、得られたペプチドを逆相HPLCで分離した。生成されたペプチドのパターンを、Apo2L.0に対して過去に決定されたマップと比較した。Lys150及びLys179後の切断により生成されたL4と標識されたペプチドはR170C-Apo2L.0の消化にCys170残基を含んでいる。このピークは消失し、ペグ化タンパク質において、広い、後で溶出するピーク(L4*)によって置き換わる。
【図11B】図11Aと同様の図である。
【図11C】図11Aと同様の図である。
【図12】マウス中のPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)の薬物速度を示している。時間ゼロにおいてマウスの尾部にApo2L.0(10mg/kg)又はPEG-R170C-Apo2L.0(10mg/kg)を静脈注射した。血漿試料を1、20、40、60、及び80分に収集した。Apo2L濃度をELISAによって定量した。これらのデータは、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)がApo2L.0より長い半減期を有していることを示している。
【図13】マウス異種移植モデルにおけるヒトCOLO205腫瘍の成長い対するPEG-R170C-Apo2L.0(31276-87C)の効果を示す。胸腺欠損ヌードマウス(Jackson Laboratories)に5x106のCOLO205ヒト大腸癌細胞(NCI)を皮下注射した。腫瘍を生じさせ、ノギスでの測定で約150mm3の体積になるまで成長させた。マウス(1グループ当たり8匹)にビヒクル(2x/週)、Apo2L.0(60mg/kg、2x/週)、Apo2L.0(10mg/kg、2x/週)、又はPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)(10mg/kg、2x/週)を静脈内注射した。腫瘍体積を三日毎に測定し、二週間後に治療を停止した。10mg/kgのPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)での処置によりApo2L.0の等価用量よりも大なる腫瘍体積の減少が達成された。
【図14】SK-MES肺癌細胞に対するPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)のアポトーシス誘導効果を示す。PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の活性はApo2L.0に対して39倍増加している。
【図15】SEC-MALSによるPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の分析を示す。PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)は3つの主要ピークでカラムから溶出する。最初のピークは315000Dの算定分子量を有し、注射された材料の30%を占める。第二のピークは194000Dの算定分子量を有し、全体の23%を占める。第三のピークは108000Dの算定分子量を有し、全質量の46%を占める。
【図16】PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の「六量体」の提案された構造の概略図である。2つのApo2L三量体がCys170を通してのジスルフィド結合にて示されており、三量体の残りのサブユニットはCys170に結合したPEG鎖を有している。
【図17】マウスにおけるPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の薬物速度を示す。マウスに時間ゼロにおいてApo2L.0(10mg/kg)又はPEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)(10mg/kg)の静脈注射を尾部に与えた。血漿試料を10分、及び1、2、4、8及び24時間で収集した。Apo-2L濃度をELISAによって定量した。これらのデータは、PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)がApo2L.0よりも48倍長い半減期を有していることを示している。
【図18】マウス異種移植モデルにおけるヒトCOLO205腫瘍の成長に対するPEG-R170C-Apo2L.0(32176-87C)の効果を示す。胸腺欠損ヌードマウス(Jackson Laboratories)に5x106のCOLO205ヒト大腸癌細胞(NCI)を皮下注射した。腫瘍を形成させ、キャリパー測定で判断して約150mm3の体積になるまで成長させた。マウス(一群当たり8匹)にビヒクル(5x/週)、Apo2L.0(60mg/kg、5x/週)、Apo2L.0(10mg/kg、2x/週)、PEG-R170C-Apo2L.0(10mg/kg、2x/週)、PEG-R170C-Apo2L.0(3mg/kg、2x/週)、又はPEG-R170C-Apo2L.0(1mg/kg、2x/週)を腹腔内注射した。腫瘍体積を三日毎に測定し二週間後に処置を停止した。PEG-R170C-Apo2L.0(32176-78)の3通り全ての投薬量が、各群の8匹全ての動物において完全な腫瘍の後退を生じた。
【図19】カニクイザル由来の正常な肝細胞の生存に対するPEG-R170C-Apo2L.0の効果を示す。ロット32176-78は中程度の濃度で効果を示す一方、ロット31276-87Cは肝細胞の生存に対して効果を持たない。
【図20A】完全長ヒトDR4のcDNAのヌクレオチド配列(配列番号:4)及びその誘導アミノ酸配列(配列番号:3)を示す。ヒトDR4に対する各ヌクレオチド及びアミノ酸配列はPanら, 276:111 (1997)にも報告されている。
【図20B】図20Aの続きである。
【図21】1998年11月19日に国際公開98/51793中で公開されたヒトDR5(Apo-2とも称される)の411のアミノ酸配列(配列番号:5)を示す。ヒトDR5のスプライシング変異体は当該分野で知られている。このDR5スプライシング変異体は図22A及び22Bに示されたヒトDR5の440のアミノ酸配列(配列番号:6)をコードする。
【図22A】1998年8月20日に国際公開98/35986中で公開されたヒトDR5の440のアミノ酸配列(配列番号:6)を示す。
【図22B】図22Aの続きである。
【図23】SEC-MALSによる2K PEG-R179C-Apo2L.0の分析を示す。
【図24】SK-MES肺癌細胞に対する2K PEG-R179C-Apo2L.0(図では「2KPEG-K179.0」と称される)のアポトーシス誘導活性を示す。
【図25】Colo205マウスモデルにおける2KPEG-R179C-Apo2L.0の薬物速度を示す。血漿試料を示された時間において収集し、示されたタンパク質の濃度をELISAによって定量した。
【図26】マウス異種移植モデルにおけるヒトCOLO205腫瘍の成長に対する2K PEG-R179C-Apo2L.0の効果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載のApo-2リガンド変異体をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離核酸。
【請求項3】
請求項2に記載の核酸を含んでなるベクター。
【請求項4】
請求項3に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
【請求項5】
上記宿主細胞は大腸菌、酵母細胞又はCHO細胞である、請求項4に記載の宿主細胞。
【請求項6】
(a)請求項4に記載のベクターを含んでなる宿主細胞を提供し;(b)培養培地を提供し;(c)Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを発現するのに十分な条件下で培養培地中で宿主細胞を培養し;(d)宿主細胞又は培養培地からApo-2リガンド変異体ポリペプチドを回収し;(e)Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを精製する工程を含んでなる、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの製造方法。
【請求項7】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの実際の分子量を増大させる一又は複数のポリオール基に抱合又は結合されている、請求項1に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項8】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドのインビボ半減期を増大させる一又は複数のポリオール基に抱合又は結合されている、請求項1に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項9】
一又は複数のポリオール基がポリ(エチレングリコール)である、請求項7に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項10】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、約2000ダルトンの分子量を有するポリ(エチレングリコール)の一分子に抱合又は結合されている、請求項9に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項11】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、可溶型細胞外ドメインApo-2リガンドポリペプチドである、請求項1に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項12】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドであって、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合するApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項13】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドであって、一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導するApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項14】
請求項12に記載のApo-2リガンド変異体をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離核酸。
【請求項15】
請求項14に記載の核酸を含んでなるベクター。
【請求項16】
請求項15に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
【請求項17】
上記宿主細胞は大腸菌、酵母細胞又はCHO細胞である、請求項16に記載の宿主細胞。
【請求項18】
(a)請求項15に記載のベクターを含んでなる宿主細胞を提供し;(b)培養培地を提供し;(c)Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを発現するのに十分な条件下で培養培地中で宿主細胞を培養し;(d)宿主細胞又は培養培地からApo-2リガンド変異体ポリペプチドを回収し;(e)Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを精製する工程を含んでなる、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの製造方法。
【請求項19】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの実際の分子量を増大させる一又は複数のポリオール基に抱合又は結合されている、請求項12に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項20】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドのインビボ半減期を増大させる一又は複数のポリオール基に抱合又は結合されている、請求項12に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項21】
一又は複数のポリオール基がポリ(エチレングリコール)である、請求項19に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項22】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、約2000ダルトンの分子量を有するポリ(エチレングリコール)の一分子に抱合又は結合されている、請求項21に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項23】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、可溶型細胞外ドメインApo-2リガンドポリペプチドである、請求項12に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項24】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる組成物。
【請求項25】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の次の残基位置のアミノ酸置換:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含んでなる組成物。
【請求項26】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の次の残基位置のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cに抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含んでなる組成物。
【請求項27】
一又は複数のポリオール基がポリエチレングリコールである、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
ポリエチレングリコールが約1000から約25000ダルトンの分子量を有する、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
ポリエチレングリコールが約2000ダルトンの分子量を有する、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含み、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する組成物。
【請求項31】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置のアミノ酸置換:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含み、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する組成物。
【請求項32】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cに抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含み、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する組成物。
【請求項33】
一又は複数のポリオール基がポリエチレングリコールである、請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
ポリエチレングリコールが約1000から約25000ダルトンの分子量を有する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
ポリエチレングリコールが約2000ダルトンの分子量を有する、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の次の残基位置:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に一又は複数のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体。
【請求項37】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含む少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体。
【請求項38】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含む少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合するApo-2リガンド三量体。
【請求項39】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含む少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導するApo-2リガンド三量体。
【請求項40】
三量体が少なくとも二の上記Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む、請求項36に記載のApo-2リガンド三量体。
【請求項41】
Apo-2リガンド三量体が三の上記Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む、請求項36に記載のApo-2リガンド三量体。
【請求項42】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合した少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置の次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含むApo-2リガンド三量体。
【請求項43】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合した少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cに抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含み、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合するApo-2リガンド三量体。
【請求項44】
三量体が一又は複数のポリオール基に抱合又は結合した三の上記Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む、請求項42に記載のApo-2リガンド三量体。
【請求項45】
一又は複数のポリオール基がポリエチレングリコールである、請求項42に記載のApo-2リガンド三量体。
【請求項46】
ポリエチレングリコールが約1000から約25000ダルトンの分子量を有する、請求項45に記載のApo-2リガンド三量体。
【請求項47】
ポリエチレングリコールが約2000ダルトンの分子量を有している、請求項46に記載のApo-2リガンド三量体。
【請求項48】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導する、請求項42に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項49】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、
(a)図3に示されたDR5・Apo2L複合体のレセプター接触領域の外側にあり;かつ
(b)図3に示されたDR5・Apo2L複合体の結晶構造において高溶媒到達性を示す;
残基位置となるように図3に示されたDR5・Apo2L複合体のX線結晶構造から同定された残基位置に一又は複数のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項50】
残基位置が、図3に示されたDR5・Apo2L複合体の結晶構造に示された上部から底部のApo2L単量体の一面に位置している、請求項49に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項51】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;N153;R170;D234;E249;R255;E263;H264の一又は複数を有する、請求項49に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項52】
単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドが一又は複数のポリオール基に抱合又は結合している、請求項49に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項53】
一又は複数のポリオール基がポリエチレングリコールである、請求項52に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項54】
ポリエチレングリコールが約1000から約25000ダルトンの分子量を有する、請求項53に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項55】
ポリエチレングリコールが約2000ダルトンの分子量を有する、請求項54に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項56】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する、請求項49に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項57】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導する、請求項49に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項58】
S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;及びH264Cからなる群から選択される図1(配列番号:1)の残基位置にアミノ酸置換を有することによって、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なるアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項59】
約2000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なるアミノ酸配列を含み、ポリエチレングリコール基はS96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;及びH264Cからなる群から選択される図1(配列番号:1)の残基位置に抱合又は結合している組成物。
【請求項60】
約2000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコール基に抱合又は結合した三のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なるアミノ酸配列を含み、ポリエチレングリコール基はS96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;及びH264Cからなる群から選択される図1(配列番号:1)の残基位置に抱合又は結合しているApo-2リガンド三量体。
【請求項61】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する、請求項60に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項62】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導する、請求項60に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項63】
製薬的に許容可能な担体と混合せしめられて、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる有効量の単離Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する製薬組成物。
【請求項64】
製薬的に許容可能な担体と混合せしめられて、一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなる有効量の組成物を含んでなり、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなり、組成物が、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する製薬組成物。
【請求項65】
製薬的に許容可能な担体と混合せしめられて、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の次の残基位置に:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264の一又は複数のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含んでなる少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなる有効量のApo-2リガンド三量体を含有する製薬組成物。
【請求項66】
上記製薬組成物は一又は複数の二価金属イオンを更に含有する、請求項63に記載の製薬組成物。
【請求項67】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導する、請求項63に記載の製薬組成物。
【請求項68】
DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるレセプターを発現する哺乳動物細胞を、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる治療的有効量の単離Apo-2リガンド変異体ポリペプチドに暴露することを含む、哺乳動物においてアポトーシスを誘導する方法。
【請求項69】
DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるレセプターを発現する哺乳動物細胞を、一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する治療的有効量の組成物に暴露することを含んでなる哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導する方法であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置のアミノ酸置換:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含んでなる方法。
【請求項70】
DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるレセプターを発現する哺乳動物細胞を、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなる治療的有効量のApo-2リガンド三量体に暴露することを含む、哺乳動物においてアポトーシスを誘導する方法。
【請求項71】
哺乳動物細胞が大腸又は結腸直腸癌細胞である、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
哺乳動物細胞における癌を治療する方法において、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる有効量の単離Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを上記哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項73】
哺乳動物細胞における癌を治療する方法において、一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する有効量の組成物を上記哺乳動物に投与することを含み、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置のアミノ酸置換:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含み、組成物が、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する方法。
【請求項74】
哺乳動物細胞における癌を治療する方法において、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなる有効量のApo-2リガンド三量体を上記哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項75】
上記癌が肺癌、乳癌、大腸癌又は結腸直腸癌である、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
哺乳動物細胞における免疫関連疾患を治療する方法において、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる有効量の単離Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを上記哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項77】
哺乳動物細胞における免疫関連疾患を治療する方法において、一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する有効量の組成物を上記哺乳動物に投与することを含み、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置のアミノ酸置換:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含み、組成物が、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する方法。
【請求項78】
哺乳動物細胞における免疫関連疾患を治療する方法において、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなる有効量のApo-2リガンド三量体を上記哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項79】
上記免疫関連疾患が関節炎又は多発性硬化症である、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
少なくとも二のApo-2リガンド三量体を結合させること含むApo-2リガンドオリゴマーの調製方法であって、各Apo-2リガンド三量体中の少なくとも一のApo-2リガンド単量体が、図1(配列番号:1)のアミノ酸残基位置170にシステインアミノ酸置換を有するApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含み、Apo-2リガンド三量体が、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの位置170のシステインアミノ酸残基間でジスルフィド結合によって結合している方法。
【請求項81】
少なくとも二のApo-2リガンド三量体を含んでなるApo-2リガンドオリゴマーであって、各Apo-2リガンド三量体中の少なくとも一のApo-2リガンド単量体が、図1(配列番号:1)のアミノ酸残基位置170にシステインアミノ酸置換を有するApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含み、Apo-2リガンド三量体が、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの位置170のシステインアミノ酸残基間でジスルフィド結合によって結合しているApo-2リガンドオリゴマー。
【請求項82】
容器と、該容器内に、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置の次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含む単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるキット。
【請求項1】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載のApo-2リガンド変異体をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離核酸。
【請求項3】
請求項2に記載の核酸を含んでなるベクター。
【請求項4】
請求項3に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
【請求項5】
上記宿主細胞は大腸菌、酵母細胞又はCHO細胞である、請求項4に記載の宿主細胞。
【請求項6】
(a)請求項4に記載のベクターを含んでなる宿主細胞を提供し;(b)培養培地を提供し;(c)Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを発現するのに十分な条件下で培養培地中で宿主細胞を培養し;(d)宿主細胞又は培養培地からApo-2リガンド変異体ポリペプチドを回収し;(e)Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを精製する工程を含んでなる、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの製造方法。
【請求項7】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの実際の分子量を増大させる一又は複数のポリオール基に抱合又は結合されている、請求項1に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項8】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドのインビボ半減期を増大させる一又は複数のポリオール基に抱合又は結合されている、請求項1に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項9】
一又は複数のポリオール基がポリ(エチレングリコール)である、請求項7に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項10】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、約2000ダルトンの分子量を有するポリ(エチレングリコール)の一分子に抱合又は結合されている、請求項9に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項11】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、可溶型細胞外ドメインApo-2リガンドポリペプチドである、請求項1に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項12】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドであって、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合するApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項13】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドであって、一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導するApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項14】
請求項12に記載のApo-2リガンド変異体をコードするヌクレオチド配列を含んでなる単離核酸。
【請求項15】
請求項14に記載の核酸を含んでなるベクター。
【請求項16】
請求項15に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
【請求項17】
上記宿主細胞は大腸菌、酵母細胞又はCHO細胞である、請求項16に記載の宿主細胞。
【請求項18】
(a)請求項15に記載のベクターを含んでなる宿主細胞を提供し;(b)培養培地を提供し;(c)Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを発現するのに十分な条件下で培養培地中で宿主細胞を培養し;(d)宿主細胞又は培養培地からApo-2リガンド変異体ポリペプチドを回収し;(e)Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを精製する工程を含んでなる、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの製造方法。
【請求項19】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの実際の分子量を増大させる一又は複数のポリオール基に抱合又は結合されている、請求項12に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項20】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドのインビボ半減期を増大させる一又は複数のポリオール基に抱合又は結合されている、請求項12に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項21】
一又は複数のポリオール基がポリ(エチレングリコール)である、請求項19に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項22】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、約2000ダルトンの分子量を有するポリ(エチレングリコール)の一分子に抱合又は結合されている、請求項21に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項23】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、可溶型細胞外ドメインApo-2リガンドポリペプチドである、請求項12に記載のApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項24】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる組成物。
【請求項25】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の次の残基位置のアミノ酸置換:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含んでなる組成物。
【請求項26】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の次の残基位置のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cに抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含んでなる組成物。
【請求項27】
一又は複数のポリオール基がポリエチレングリコールである、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
ポリエチレングリコールが約1000から約25000ダルトンの分子量を有する、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
ポリエチレングリコールが約2000ダルトンの分子量を有する、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含み、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する組成物。
【請求項31】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置のアミノ酸置換:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含み、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する組成物。
【請求項32】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cに抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含み、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する組成物。
【請求項33】
一又は複数のポリオール基がポリエチレングリコールである、請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
ポリエチレングリコールが約1000から約25000ダルトンの分子量を有する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
ポリエチレングリコールが約2000ダルトンの分子量を有する、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の次の残基位置:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に一又は複数のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体。
【請求項37】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含む少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体。
【請求項38】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含む少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合するApo-2リガンド三量体。
【請求項39】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含む少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導するApo-2リガンド三量体。
【請求項40】
三量体が少なくとも二の上記Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む、請求項36に記載のApo-2リガンド三量体。
【請求項41】
Apo-2リガンド三量体が三の上記Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む、請求項36に記載のApo-2リガンド三量体。
【請求項42】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合した少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置の次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含むApo-2リガンド三量体。
【請求項43】
一又は複数のポリオール基に抱合又は結合した少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cに抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含み、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合するApo-2リガンド三量体。
【請求項44】
三量体が一又は複数のポリオール基に抱合又は結合した三の上記Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを含む、請求項42に記載のApo-2リガンド三量体。
【請求項45】
一又は複数のポリオール基がポリエチレングリコールである、請求項42に記載のApo-2リガンド三量体。
【請求項46】
ポリエチレングリコールが約1000から約25000ダルトンの分子量を有する、請求項45に記載のApo-2リガンド三量体。
【請求項47】
ポリエチレングリコールが約2000ダルトンの分子量を有している、請求項46に記載のApo-2リガンド三量体。
【請求項48】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導する、請求項42に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項49】
図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、
(a)図3に示されたDR5・Apo2L複合体のレセプター接触領域の外側にあり;かつ
(b)図3に示されたDR5・Apo2L複合体の結晶構造において高溶媒到達性を示す;
残基位置となるように図3に示されたDR5・Apo2L複合体のX線結晶構造から同定された残基位置に一又は複数のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項50】
残基位置が、図3に示されたDR5・Apo2L複合体の結晶構造に示された上部から底部のApo2L単量体の一面に位置している、請求項49に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項51】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;N153;R170;D234;E249;R255;E263;H264の一又は複数を有する、請求項49に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項52】
単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドが一又は複数のポリオール基に抱合又は結合している、請求項49に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項53】
一又は複数のポリオール基がポリエチレングリコールである、請求項52に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項54】
ポリエチレングリコールが約1000から約25000ダルトンの分子量を有する、請求項53に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項55】
ポリエチレングリコールが約2000ダルトンの分子量を有する、請求項54に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項56】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する、請求項49に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項57】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導する、請求項49に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項58】
S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;及びH264Cからなる群から選択される図1(配列番号:1)の残基位置にアミノ酸置換を有することによって、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なるアミノ酸配列を含んでなる単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項59】
約2000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する組成物であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なるアミノ酸配列を含み、ポリエチレングリコール基はS96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;及びH264Cからなる群から選択される図1(配列番号:1)の残基位置に抱合又は結合している組成物。
【請求項60】
約2000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコール基に抱合又は結合した三のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるApo-2リガンド三量体であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なるアミノ酸配列を含み、ポリエチレングリコール基はS96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;及びH264Cからなる群から選択される図1(配列番号:1)の残基位置に抱合又は結合しているApo-2リガンド三量体。
【請求項61】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する、請求項60に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項62】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導する、請求項60に記載の単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチド。
【請求項63】
製薬的に許容可能な担体と混合せしめられて、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる有効量の単離Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する製薬組成物。
【請求項64】
製薬的に許容可能な担体と混合せしめられて、一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなる有効量の組成物を含んでなり、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなり、組成物が、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する製薬組成物。
【請求項65】
製薬的に許容可能な担体と混合せしめられて、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の次の残基位置に:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264の一又は複数のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含んでなる少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなる有効量のApo-2リガンド三量体を含有する製薬組成物。
【請求項66】
上記製薬組成物は一又は複数の二価金属イオンを更に含有する、請求項63に記載の製薬組成物。
【請求項67】
Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが一又は複数の哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導する、請求項63に記載の製薬組成物。
【請求項68】
DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるレセプターを発現する哺乳動物細胞を、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる治療的有効量の単離Apo-2リガンド変異体ポリペプチドに暴露することを含む、哺乳動物においてアポトーシスを誘導する方法。
【請求項69】
DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるレセプターを発現する哺乳動物細胞を、一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する治療的有効量の組成物に暴露することを含んでなる哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘導する方法であって、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置のアミノ酸置換:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含んでなる方法。
【請求項70】
DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるレセプターを発現する哺乳動物細胞を、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなる治療的有効量のApo-2リガンド三量体に暴露することを含む、哺乳動物においてアポトーシスを誘導する方法。
【請求項71】
哺乳動物細胞が大腸又は結腸直腸癌細胞である、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
哺乳動物細胞における癌を治療する方法において、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる有効量の単離Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを上記哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項73】
哺乳動物細胞における癌を治療する方法において、一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する有効量の組成物を上記哺乳動物に投与することを含み、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置のアミノ酸置換:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含み、組成物が、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する方法。
【請求項74】
哺乳動物細胞における癌を治療する方法において、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなる有効量のApo-2リガンド三量体を上記哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項75】
上記癌が肺癌、乳癌、大腸癌又は結腸直腸癌である、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
哺乳動物細胞における免疫関連疾患を治療する方法において、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる有効量の単離Apo-2リガンド変異体ポリペプチドを上記哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項77】
哺乳動物細胞における免疫関連疾患を治療する方法において、一又は複数のポリオール基に抱合又は結合したApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含有する有効量の組成物を上記哺乳動物に投与することを含み、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドが、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置のアミノ酸置換:S96;S101;S111;V114;R115;E116;N134;N140;E144;N152;S153;R170;K179;D234;E249;R255;E263;H264に抱合又は結合した一又は複数のポリオール基を有するアミノ酸配列を含み、組成物が、DR4レセプター及びDR5レセプターからなる群から選択されるポリペプチドに結合する方法。
【請求項78】
哺乳動物細胞における免疫関連疾患を治療する方法において、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置に次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含んでなる少なくとも一のApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなる有効量のApo-2リガンド三量体を上記哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項79】
上記免疫関連疾患が関節炎又は多発性硬化症である、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
少なくとも二のApo-2リガンド三量体を結合させること含むApo-2リガンドオリゴマーの調製方法であって、各Apo-2リガンド三量体中の少なくとも一のApo-2リガンド単量体が、図1(配列番号:1)のアミノ酸残基位置170にシステインアミノ酸置換を有するApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含み、Apo-2リガンド三量体が、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの位置170のシステインアミノ酸残基間でジスルフィド結合によって結合している方法。
【請求項81】
少なくとも二のApo-2リガンド三量体を含んでなるApo-2リガンドオリゴマーであって、各Apo-2リガンド三量体中の少なくとも一のApo-2リガンド単量体が、図1(配列番号:1)のアミノ酸残基位置170にシステインアミノ酸置換を有するApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含み、Apo-2リガンド三量体が、Apo-2リガンド変異体ポリペプチドの位置170のシステインアミノ酸残基間でジスルフィド結合によって結合しているApo-2リガンドオリゴマー。
【請求項82】
容器と、該容器内に、図1(配列番号:1)の天然配列Apo-2リガンドポリペプチド配列とは異なり、図1(配列番号:1)の残基位置の次のアミノ酸置換:S96C;S101C;S111C;V114C;R115C;E116C;N134C;N140C;E144C;N152C;S153C;R170C;R170K;R170S;K179C;D234C;E249C;R255C;E263C;H264Cの一又は複数を有するアミノ酸配列を含む単離されたApo-2リガンド変異体ポリペプチドを含んでなるキット。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2008−43335(P2008−43335A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−211072(P2007−211072)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【分割の表示】特願2003−532638(P2003−532638)の分割
【原出願日】平成14年10月1日(2002.10.1)
【出願人】(596168317)ジェネンテック・インコーポレーテッド (372)
【氏名又は名称原語表記】GENENTECH,INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211072(P2007−211072)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【分割の表示】特願2003−532638(P2003−532638)の分割
【原出願日】平成14年10月1日(2002.10.1)
【出願人】(596168317)ジェネンテック・インコーポレーテッド (372)
【氏名又は名称原語表記】GENENTECH,INC.
【Fターム(参考)】
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