Apo−2リガンド/TRAIL製剤
【課題】サイトカイン類のTNFファミリーメンバーであり、281アミノ酸のII型膜貫通タンパク質であるApo2リガンドを含有する安定な製剤の提供。
【解決手段】Apo2リガンドと、0.2〜0.5Mの塩を含有し、pHが6〜9である製剤。該塩としては、アルギニン塩、特に、コハク酸アルギニン、硫酸アルギニン、リンゴ酸アルギニン、クエン酸アルギニン、酒石酸アルギニン、及びリン酸アルギニンからなる群から選択されるものであることが好ましい。該塩は、硫酸ナトリウムであることも好ましい。該製剤は、界面活性剤を含有していることが好ましく、特に、ポリソルベート又はポロキサマーであることが好ましい。該製剤は、バッファーを含有していることが好ましく、特にTrisバッファーであることが好ましい。該製剤は、凍結乾燥させることも可能である。
【解決手段】Apo2リガンドと、0.2〜0.5Mの塩を含有し、pHが6〜9である製剤。該塩としては、アルギニン塩、特に、コハク酸アルギニン、硫酸アルギニン、リンゴ酸アルギニン、クエン酸アルギニン、酒石酸アルギニン、及びリン酸アルギニンからなる群から選択されるものであることが好ましい。該塩は、硫酸ナトリウムであることも好ましい。該製剤は、界面活性剤を含有していることが好ましく、特に、ポリソルベート又はポロキサマーであることが好ましい。該製剤は、バッファーを含有していることが好ましく、特にTrisバッファーであることが好ましい。該製剤は、凍結乾燥させることも可能である。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、Apo2L/TRAIL製剤に関する。特に、このようなApo2L/TRAIL製剤には、凍結乾燥された結晶組成物が含まれる。
【0002】
(発明の背景)
様々な分子、例えば腫瘍壊死因子-アルファ(「TNF-α」)、腫瘍壊死因子-ベータ(「TNF-β」すなわち「リンホトキシン-アルファ」)、リンホトキシン-ベータ(「LT-ベータ」)、CD30リガンド、CD27リガンド、CD40リガンド、OX-40リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド(Fasリガンド又はCD95リガンドとも称される)、Apo-2リガンド(Apo2L又はTRAILとも称される)、Apo-3リガンド(TWEAKとも称される)、APRIL、OPGリガンド(RANKリガンド、ODF又はTRANCEとも称される)、及びTALL-1(B1yS、BAFF又はTHANKとも称される)は、サイトカインの腫瘍壊死因子(「TNF」)ファミリーのメンバーとして同定されている[例えば、Gruss及びDower, Blood, 85:3378-3404(1995);Schmidら, Proc. Natl. Acad. Sci., 83:1881(1986);Dealtryら, Eur. J. Immunol., 17:689(1987);Pittiら, J. Biol. Chem., 271:12687-12690(1996);Wileyら, Immunity, 3:673-682(1995);Browning等, Cell, 72:847-856 (1993);Armitage等, Nature, 357:80-82 (1992)、1997年1月16日に公開された国際公開第97/01633号;1997年7月17日に公開された国際公開第97/25428号;Marstersら, Curr. Biol., 8:525-528(1998);Chicheporticheら, Biol. Chem., 272:32401-32410(1997);Hahneら, J. Exp. Med., 188:1185-1190(1998);1998年7月2日に公開された国際公開第98/28426号;1998年10月22日に公開された国際公開第98/46751号;1998年5月7日に公開された国際公開第98/18921号;Mooreら, Science, 285:260-263(1999);Shuら, J. Leukocyte Biol., 65:680(1999);Schneiderら, J. Exp. Med., 189:1747-1756(1999);Mukhopadhyayら, J. Biol. Chem., 274:15978-15981(1999)を参照のこと]。これらの分子のなかでも、TNF-アルファ、TNF-ベータ、CD30リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド、Apo-2リガンド(Apo2L/TRAIL)及びApo-3リガンド(TWEAK)は、アポトーシス性細胞死に関与していることが報告されている。
【0003】
Apo2L/TRAILは、サイトカイン類のTNFファミリーのメンバーとして、数年前に同定されている[例えば、Wileyら, Immunity,3:673-682(1995);Pittiら, J. Biol. Chem., 271:12697-12690(1996)]。全長ヒトApo2L/TRAILポリペプチドは、281アミノ酸長さのII型膜貫通タンパク質である。いくつかの細胞は、ポリペプチドの細胞外領域の酵素的切断を通して、天然の可溶化型を生じる[Marianiら, J. Cell. Biol., 137:221-229(1997)]。可溶化型のApo2L/TRAILの結晶学的研究により、TNF及び他の関連タンパク質の構造に類似したホモ三量体構造が明らかになった[Hymowitzら, Molec. Cell, 4:563-571(1999);Hymowitzら, Biochemistry, 39:633-644(2000)]。しかしながら、他のTNFファミリーのメンバーとは異なり、Apo2L/TRAILは、3つのシステイン残基が(ホモ三量体における各サブユニットの230位において)、一緒になって亜鉛原子と配位しており、亜鉛の結合が三量体の安定性及び生物学的活性にとって重要なものである点で、独自の構造的特徴を有していることが見いだされている[Hymowitzら, 上掲;Bodmerら, J. Biol. Chem., 275:20632-20637(2000)]。
【0004】
Apo2L/TRAILは、自己免疫疾患、例えば関節リウマチを含む免疫系の調節、及びHIVの治療において所定の役割を担っていることが文献において報告されている[例えば、Thomasら, J. Immunol., 161:2195-2200(1998);Johnsenら, Cytokine, 11:664-672(1999);Griffithら, J. Exp. Med., 189:1343-1353(1999);Songら, J. Exp. Med., 191:1095-1103(2000);Jeremiasら, Eur. J. Immunol., 28:143-152(1998);Katsikisら, J. Exp. Med., 186:1365-1372(1997);Miuraら, J. Exp. Med., 193:651-660(2001)を参照]。
【0005】
また、可溶化型のApo2L/TRAILは、結腸、肺、乳房、前立腺、膀胱、腎臓、卵巣及び脳の腫瘍、並びにメラノーマ、白血病、及び多発性骨髄腫を含む、インビトロでの多様なガン細胞においてアポトーシスを誘発させることが報告されている[例えば、Wileyら, 上掲;Pittiら, 上掲;Riegerら, FEBS Letters, 427:124-128(1998);Ashkenaziら, J. Clin. Invest., 104:155-162(1999);Walczakら, Nature Med., 5:157-163(1999);Keaneら, Cancer Research, 59:734-741(1999);Mizutaniら, Clin. Cancer Res., 5:2605-2612(1999);Gazitt, Leukemia, 13:1817-1824(1999);Yuら., Cancer Res., 60:2384-2389(2000);Chinnaiyanら., Proc. Natl. Acad. Sci., 97:1754-1759(2000)を参照]。さらに、ネズミ科動物の腫瘍モデルにおけるインビボ研究では、Apo2L/TRAILは、単独で、又は化学療法もしくは放射線治療と組合せて、かなりの抗腫瘍効果を発揮できることが示唆されている[例えば、Ashkenaziら, 上掲;Walzcakら, 上掲;Gliniakら, Cancer Res., 59:6153-6158(1999);Chinnaiyanら, 上掲;Rothら, Biochem. Biophys. Res. Comm., 265:1999(1999)を参照]。多くの種類の癌細胞に対して、殆どの正常なヒトの細胞型は、Apo2L/TRAILのある種の組換え体により誘発されるアポトーシスに対して耐性があると思われる[Ashkenaziら, 上掲;Walzcakら, 上掲]。Joらは、ポリヒスチジンタグ化された可溶型のApo2L/TRAILが、インビトロにおいて、単離された正常なヒト肝細胞ではアポトーシスを誘発するが、非ヒト肝細胞では誘発しないことを報告している[Joら, Nature Med., 6:564-567(2000);さらにNagata, Nature Med., 6:502-503(2000)を参照]。また、ある種の組換えApo2L/TRAIL製剤は、異常細胞対正常細胞に対する生化学的特性及び生物学的活性に関し、例えばタグ分子の有無、亜鉛含有量、及び三量体含有%に応じて変化し得ると考えられている[Lawrenceら, Nature Med., Letter to the Editor, 7:383-385(2001);Qinら, Nature Med., Letter to the Editor, 7:385-386(2001)を参照]。
【0006】
このようなTNFファミリーのサイトカインが介在する種々の細胞反応誘導は、特異的な細胞レセプターに結合することにより開始されると考えられている。以前、約55kDa(TNFR1)と75kDa(TNFR2)の2つの異なるTNFレセプターが同定されている[Hohman等, J. Biol. Chem., 264:14927-14934(1989);Brockhaus等, Proc. Natl. Acad. Sci., 87:3127-3131(1990);1991年3月20日に公開された欧州特許第417563号;Loetscher等, Cell, 61:351(1990);Schall等, Cell, 61:361(1990);Smith等, Science, 248:1019-1023(1990);Lewis等, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:2830-2834(1991);Goodwin等, Mol. Cell. Biol., 11:3020-3026(1991)]。これらのTNFRは細胞外、膜貫通及び細胞内領域を含む細胞表面レセプターの典型的な構造を共有していることが分かった。双方のレセプターの細胞外部分はまた可溶型TNF結合タンパク質として天然に見出される[Nophar, 等, EMBO J., 9:3269(1990);及びKohno, T等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 87:8331(1990);Hale等, J. Cell. Biochem. 増補15F, 1991, p.113(P424)]。
【0007】
1型又は2型のTNFR(TNFR1及びTNFR2)の細胞外部分は、NH2-末端から出発して、1から4とされる4つのシステインに富んだドメイン(CRD)の反復アミノ酸配列パターンを含む[Schall等, 上掲;Loetscher等, 上掲;Smith等, 上掲;Nophar等, 上掲;Kohno等, 上掲;Banner等, Cell, 73:431-435(1993)]。CRDの類似の反復パターンが、p75神経成長因子レセプター(NGFR)[Johnson等, Cell, 47:545(1986);Radeke等, Nature, 325:593(1987)]、B細胞抗原CD40[Stamenkovic等, EMBO J., 8:1403(1989)]、T細胞抗原OX40[Mallet等, EMBO J., 9:1063(1990)]及びFas抗原[Yonehara等, 上掲、及びItoh等, Cell, 66:233-243(1991)]を含む幾つかの他の細胞表面タンパク質に存在している。また、CRDはショープ(Shope)及び粘液腫ポックスウィルスの可溶型TNFR(sTNFR)様のT2タンパク質にも見出されている[Upton等, Virology, 160:20-29(1987);Smith等, Biochem. Biophys. Res. Commun., 176:335(1991);Upton等, Virology, 184:370(1991)]。これらの配列の最適なアラインメントは、システイン残基の位置が良好に保存されていることを示している。これらレセプターは、しばしば集合的に、TNF/NGFレセプタースーパーファミリーのメンバーと称される。
【0008】
リンホトキシン-ベータを除き、今日までに同定されているTNFファミリーのリガンドはII型の膜貫通タンパク質であり、そのC末端は細胞外にある。これに対して、今日までに同定されているTNFレセプター(TNFR)ファミリーのほとんどのレセプター類はI型の膜貫通タンパク質である。しかしながら、TNFリガンド及びレセプターファミリーの双方において、ファミリーメンバー間で同定された相同性は、主として細胞外ドメイン(「ECD」)において見出されている。TNF-アルファ、Apo-1リガンド及びCD40リガンドを含むTNFファミリーサイトカインのいくつかは、細胞表面においてタンパク分解的に切断され;各場合に得られたタンパク質は、典型的には、可溶性サイトカインとして機能するホモ三量体分子を形成する。また、TNFレセプターファミリーのタンパク質は、通常、タンパク分解的に切断され、同族のサイトカインの阻害剤として機能し得る可溶型レセプターのECDを放出する。
【0009】
Panらは、「DR4」と称される他のTNFレセプターファミリーのメンバーを開示している[Pan等, Science, 276:111-113(1997);また、1998年7月30日公開の国際公開第98/32856号参照]。DR4は、細胞自殺機構に関与できる細胞質死ドメインを含むことが報告された。Pan等は、DR4がApo2L/TRAILとして知られているリガンドに対するレセプターであると考えられることをさらに開示している。
【0010】
Sheridan等, Science, 277:818-821 (1997)及びPan等, Science, 277:815-818 (1997)においては、Apo2L/TRAILに対するレセプターと思われる他の分子が記載されている[1998年11月19日公開の国際公開第98/51793号;1998年9月24日公開の国際公開第98/41629号を参照のこと]。この分子は、DR5と称される(あるいは、Apo-2;TRAIL-R、TR6、Tango-63、hAPO8、TRICK2又はKILLERとも称される[Screaton等,Curr.Biol., 7:693-696(1997);Walczak等,EMBO J., 16:5386-5387(1997);Wu等,Nature Genetics, 17:141-143(1997);1998年8月20日に公開の国際公開第98/35986号;1998年10月14日に公開の欧州特許第870,827号;1998年10月22日に公開の国際公開第98/46643号;1999年1月21日に公開の国際公開第99/02653号;1999年2月25日に公開の国際公開第99/09165;1999年3月11日に公開の国際公開第99/11791号]。DR4のように、DR5は細胞質死ドメインを含み、アポトーシスのシグナル伝達が可能であると報告されている。Apo-2L/TRAIL及びDR5の間で形成された複合体の結晶構造は、Hymowitzら,Molecular Cell, 4:563-571(1999)に記載されている。
【0011】
最近同定されたレセプターのさらなるグループは、「デコイレセプター」と称され、シグナル伝達分子というよりはむしろ、阻害剤として機能すると考えられている。このグループには、DCR1(TRID,LIT又はTRAIL-R3とも称される)[Pan等, Science, 276:111-113(1997);Sheridan等, Science, 277:818-821 (1997);McFarlane等, J. Biol. Chem., 272:25417-25420(1997);Schneider等, FEBS Letters, 416:329-334(1997);Degli-Esposti等, J. Exp. Med., 186:1165-1170(1997);及びMongkolsapaya等, J. Immunol., 160:3-6(1998)]及びDCR2(TRUNDD又はTRAIL-R4とも称される)[Marsters等, Curr. Biol., 7:1003-1006(1997);Pan等, FEBS Letters, 424:41-45(1998);Degli-Esposti等, Immunity, 7:813-820(1997)]が含まれ、両者とも細胞表面分子であり、更にOPG[Simonet等, 上掲;Emery等, 下記]及びDCR3[Pitti等, Nature, 396:699-703(1998)]も含まれ、これら両者は分泌性の可溶性タンパク質である。Apo2L/TRAILは、DcR1、DcR2及びOPGと称されるこれらのレセプターに結合することが報告されている。
【0012】
Apo2L/TRAILは、細胞表面を通って「デスレセプター」DR4又はDR5に作用し、カスパーゼ、又は細胞死プログラムを実行する酵素を活性化させると考えられている。リガンド結合において、DR4及びDR5の双方は独立して、FADD/Mort1と称されるデスドメイン含有アダプター分子を通って、アポトーシス開始剤、カスパーゼ-8の漸増及び活性化により、アポトーシスを誘発可能である[Kischkelら, Immunity, 12:611-620(2000);Sprickら, Immunity, 12:599-609(2000);Bodmerら, Nature Cell Biol., 2:241-243(2000)]。DR4及びDR5とは異なり、DcR1及びDcR2レセプターはアポトーシスのシグナル伝達を行わない。
【0013】
サイトカインのTNFファミリー及びそれらのレセプターの概説については、Ashkenazi及びDixit, Science, 281:1305-1308(1998);Ashkenazi及びDixit, Curr. Opin. Cell Biol., 11:255-260(2000);Golstein, Curr. Biol., 7:750-753(1997);Gruss及びDower, 上掲;Nagata, Cell, 88:355-365(1997);Locksleyら, Cell, 104:487-501(2001)を参照。
【0014】
(発明の概要)
ある種のタンパク質、例えばApo2L/TRAIL及びサイトカインのTNFファミリーの他のメンバーは、タンパク質が三量体又は三量体形態にある場合に生物学的活性を示す。よって、治療目的、もしくは診断用途の目的に対してさえ、タンパク質が安定しており、三量体形態で生物学的活性で、特に安定したままであるこのようなタンパク質の製剤が望まれる。本出願人は、ある種の製剤成分、又は「賦形剤」により、Apo2L/TRAIL等のこのようなタンパク質が安定し、溶解度が高められる(すなわち、タンパク質の凝集及び沈殿を低減する)ことを見いだした。また本出願人は、驚くべきことに、Apo2L/TRAILは、ある条件下で容易に結晶化可能であることを見いだした。Apo2L/TRAILのこのような結晶化形態は、Apo2L/TRAILの懸濁液製剤の調製に有用であり、及び/又はタンパク質の精製のための効果的で効率的な方法を提供するものである。
【0015】
従って、本発明は、Apo2L/TRAIL、及びApo2L/TRAILの溶解度及び/又は安定性を高めるのに十分なイオン強度を付与する一又は複数の賦形剤を含有する組成物又は製剤を提供するものであり、ここで該組成物は、6(又は約6)〜9(又は約9)のpHを有していてもよい。場合によっては、十分なイオン強度を付与する賦形剤(類)は塩であり、アルギニン塩又は硫酸塩を含み得る。一実施態様において、組成物はバッファーをさらに含有してよい。場合によっては、組成物中のApo2L/TRAILタンパク質の濃度は、約1〜約100mg/ml、約1〜約20mg/ml、約10〜約20mg/ml、又は約20mg/mlである。本発明の組成物は液体製剤又は凍結乾燥製剤を含み得る。また組成物は、Apo2L/TRAILタンパク質が結晶形態である懸濁製剤も含み得る。場合によっては、組成物に一又は複数の界面活性剤を含有せしめることが望ましい。このような界面活性剤には、例えばポリソルベート又はポロキサマー(poloxamer)が含まれ得る。特に望ましい製剤は、賦形剤(類)がApo2L/TRAIL三量体の含有量を最適にし、Apo2L/TRAIL二量体の量又は凝集体形成を最小にするものである。場合によっては、製剤は、(製剤中のApo2L/TRAILタンパク質の全量に対し)Apo2L/TRAILを10%を超えて、又はApo2L/TRAIL凝集物を5%を超えて含有しない。
【0016】
任意的な実施態様では、本発明は、約1〜約20mg/mlのApo2L/TRAIL及びアルギニン塩を含有しており、ここで、組成物は約6.5〜約8.5のpHを有する。場合によっては、組成物は、Tris等のバッファー、及びポリソルベート等の界面活性剤をさらに含有する。場合によっては、Apo2L/TRAILは、任意のエピトープタグ分子(類)又はロイシンジッパー分子(類)を含まない(すなわち結合又は融合しない)。
【0017】
本発明は、約1〜約20mg/mlのApo2L/TRAIL、約0.4〜約0.5Mのアルギニン塩、及びバッファーを含有する組成物を提供し、該組成物は約7〜約7.5のpHを有する。Apo2L/TRAILタンパク質は、図1のアミノ酸残基114〜281を含有するヒトApo2L/TRAILタンパク質であってよい。場合によっては、Apo2L/TRAILタンパク質は、大腸菌等の宿主細胞において、組換え的に発現される。
【0018】
さらに本発明は、上述した組成物を調製するための方法を提供する。この方法において、組成物は、Apo2L/TRAILを、該Apo2L/TRAILの溶解度及び安定性を高めるのに十分なイオン強度を付与する一又は複数の賦形剤と混合するか、又は組み合わせることによって調製され、ここで該組成物は、6(又は約6)〜9(又は約9)のpHを有していてもよい。場合によっては、十分なイオン強度を付与する賦形剤(類)は塩であり、アルギニン塩又は硫酸塩を含み得る。また、組成物のpHを維持するために、場合によっては、約6.5〜約7.5のpHに維持するために、バッファーをさらに含有せしめてもよい。場合によっては、製剤におけるApo2L/TRAILタンパク質の濃度は、約1〜約100mg/ml、約1〜約20mg/ml、約10〜約20mg/ml、又は約20mg/mlである。特に望ましい実施態様では、得られる組成物が、製薬的に許容可能な製剤である。
【0019】
さらなる実施態様において、本発明はApo2L/TRAILタンパク質結晶を含有する組成物を提供する。
さらなる実施態様において、本発明はApo2L/TRAIL結晶を含有する組成物の作製方法を提供する。
またさらなる実施態様において、本発明はApo2L/TRAILの作製及び精製のための方法を提供する。
付加的な実施態様において、本発明は:
(a)ここで記載するApo2L/TRAIL組成物を収容する容器、及び
(b)Apo2L/TRAIL組成物の使用についての、例えば組成物が有効である疾患を治療するための使用についての使用説明書;
を具備するキットを提供する。場合によっては、前記疾患は癌、特に乳癌、肺癌又は結腸癌(又は結腸直腸癌)である。
【0020】
さらなる側面において、本発明は、本発明により提供されるApo2L/TRAIL組成物を有効量、場合によっては注射又は注入することにより哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における、癌又は免疫関連疾患等の疾患を治療するための方法を提供する。
【0021】
本発明のさらなる特定の実施態様においては、次のものが提供される:
Apo-2リガンドの安定した製剤は、Apo-2リガンドと約0.2M〜約0.5Mの塩を含有しており、ここで製剤は約6〜約9のpHを有する。場合によっては、塩はアルギニン塩又は硫酸ナトリウムである。場合によっては、製剤におけるアルギニン塩の濃度は、約0.4M〜約0.5Mである。アルギニン塩には、コハク酸アルギニン、硫酸アルギニン、リンゴ酸アルギニン、クエン酸アルギニン、酒石酸アルギニン、又はリン酸アルギニンが含まれ得る。Apo-2リガンドは、結晶化タンパク質を含有していてもよい。製剤は凍結乾燥又は懸濁製剤を含有していてもよい。場合によっては、製剤のpHは約6.5〜約8.5、さらには約7〜約7.5である。場合によっては、製剤は、例えばポリソルベート又はポロキサマー等の界面活性剤をさらに含有していてもよい。場合によっては、製剤における界面活性剤の濃度は、約0.005%〜約0.2%である。場合によっては、製剤は、Trisバッファー又はHepes等のバッファーをさらに含有していてよい。場合によっては、製剤は、一又は複数の、二価金属イオン又は保存料をさらに含有していてよい。場合によっては、製剤は少なくとも12ヶ月間、保存-安定している。
【0022】
Apo-2リガンドの安定して凍結乾燥された製剤は、約1mg/ml〜約20mg/mlのApo-2リガンド、約0.2M〜約0.5Mのアルギニン塩、バッファー及び界面活性剤を含有しており、ここで製剤は約6〜約9のpHを有する。場合によっては、アルギニン塩はコハク酸アルギニン塩又は硫酸ナトリウムであり、コハク酸アルギニンの濃度は、約0.4M〜約0.5Mであってよい。場合によっては、バッファーはTrisバッファーであり、界面活性剤はポリソルベートである。場合によっては、製剤は、一又は複数の二価金属イオンをさらに含有する。
【0023】
Apo-2リガンドの安定した製剤は、約1mg/ml〜約20mg/mlのApo-2リガンド、約0.2M〜約0.5Mの塩、バッファー及び界面活性剤を含有しており、ここで該Apo-2リガンドは結晶化タンパク質を含有しており、該製剤は約6〜約9のpHを有する。場合によっては、塩は硫酸ナトリウムであり、バッファーはTrisバッファーである。場合によっては、界面活性剤はポリソルベートであり、pHは約7〜約7.5である。
【0024】
Apo-2リガンドの安定した製剤は、約0.1mg/ml〜約2mg/mlのApo-2リガンド、糖、及び界面活性剤を含有しており、該製剤は約6〜約9のpHを有する。場合によっては、糖はトレハロースであり、製剤における糖の濃度は、約1%〜約8%であってよい。場合によっては、製剤は凍結乾燥されている。
【0025】
Apo-2リガンドの安定した製剤の作製方法は、(a)約1mg/ml〜約20mg/mlのApo-2リガンド、約0.2M〜約0.5Mのアルギニン塩、バッファー及び界面活性剤を提供し、(b)工程(a)の成分を組合せるか又は混合して製剤を作製し、(c)工程(b)の製剤のpHを約6〜約9に調節する工程を含む。場合によっては、アルギニン塩はコハク酸アルギニン塩であり、コハク酸アルギニンの濃度は、約0.4M〜約0.5Mである。場合によっては、バッファーはTrisバッファーであり、界面活性剤はポリソルベートである。
【0026】
結晶化されたApo-2リガンドの作製方法は、(a)Apo-2リガンド、バッファー及び一価カチオン性塩を提供し、(b)工程(a)の成分を組合せるか又は混合し、約20℃〜約30℃の温度で製剤を作製し、(c)工程(b)の製剤の温度を約2℃〜約8℃に低下させる工程を含み;ここでApo-2リガンドの結晶化は、工程(b)の製剤の温度が低下した際に生じる。場合によっては、塩は硫酸ナトリウム又は塩化ナトリウムである。塩の濃度は約0.1M〜約0.15Mであってよい。場合によっては、工程(b)の製剤を、温度が工程(c)にて低下した際に攪拌する。また場合によっては、本方法は、Apo-2リガンド結晶を乾燥させる、工程(d)をさらに含んでもよい。場合によっては、工程(d)の前に、Apo-2リガンド結晶を洗浄する。
【0027】
Apo-2リガンドの作製方法は、(a)Apo-2リガンドをコードするDNAを含有するベクターを含む宿主細胞を提供し;(b)Apo-2リガンドの発現に十分な条件下、培養培地において宿主細胞を培養し;(c)宿主細胞及び培養培地から、該発現したApo-2リガンドを得;(d)塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウムを含有する溶液に、該Apo-2リガンドを処方し、約20℃〜約30℃の温度で製剤を作製し、(e)工程(d)の該製剤の温度を約2℃〜約8℃に低下させる工程を含み、ここでApo-2リガンド結晶は、工程(e)の温度が低下した際に形成される。場合によっては、工程(d)の前に、Apo-2リガンドタンパク質は濃縮され、該タンパク質は、遠心分離、カラムクロマトグラフィー又は限外濾過により濃縮され得る。場合によっては、工程(d)はクロマトグラフィー用カラム(例えば陽イオン交換カラム)にApo-2リガンドを適用し、塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウム含有バッファーにApo-2リガンドを溶出させることにより実施される。場合によっては、陽イオン交換カラムには、SP-セファロース・ファースト・フロー、CM-セファロース・ファースト・フロー、又はマクロ-プレップ・セラミッックHSが含まれ、バッファー溶液は50mM Hepes、50mMTris、50mMトリエタノールアミン、0.05%トリトンX100、1mMのDTTを含有し、pH7.5-8.0である。場合によっては、製剤は工程(e)の間に攪拌される。場合によっては、工程(d)における製剤のpHは約6.5〜約8.5である。場合によっては、宿主細胞は原核生物細胞、例えば大腸菌である。
【0028】
哺乳動物にApo-2リガンドの製剤を投与する装置は、ここに記載したApo-2リガンド製剤の少なくとも1用量単位を保持する容器を具備している。場合によっては、装置はペン・インジェクター装置であり、容器はカートリッジである。
【0029】
製造品には、ここに記載したApo2L/TRAIL製剤を収容する容器、Apo-2製剤の使用について印刷した使用説明書が含まれる。場合によっては、容器はボトル、バイアル、シリンジ又は試験管である。場合によっては、製造品には、注射用水分、生理食塩水、リンガー液又はデキストロース溶液を収容する第2の容器が含まれる。
【0030】
哺乳動物の細胞にアポトーシス誘発させる方法は、ここに記載したApo-2リガンド製剤を有効量、哺乳動物細胞に暴露させることを含む。哺乳動物細胞は癌細胞であってよい。
哺乳動物において癌を処置する方法は、癌があると診断された哺乳動物に、上述したApo-2リガンド製剤を有効量投与することを含む。
【0031】
(発明の詳細な記載)
A.定義
「TNFファミリーメンバー」は広範囲の意味に使用され、構造又は機能に関し、腫瘍壊死因子(TNF)にある程度の類似性を共有する種々のポリペプチドを称する。TNFファミリーのポリペプチドに関連したある種の構造的及び機能的特徴は、当該分野において公知であり、例えば、上述した本発明の背景に記載されている。限定されるものではないが、このようなポリペプチドには、当該分野でTNF-アルファ、TNF-ベータ、CD40リガンド、CD30リガンド、CD27リガンド、OX-40リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド(Fasリガンド又はCD95リガンドとも称される)、Apo-2L/TRAIL(TRAILとも称される)、Apo-3リガンド(TWEAKとも称される)、APRIL、OPGリガンド(RANKリガンド、ODF又はTRANCEとも称される)、及びTALL-1(B1yS、BAFF又はTHANKとも称される)と称されるポリペプチドが含まれる[例えば、Gruss及びDower, Blood 1995, 85:3378-3404;Pittiら, J. Biol. Chem., 271:12687-12690;Wileyら, Immunity, 3:673-682;Browning等, Cell, 72:847-856 ;Armitage等, Nature 1992, 357:80-82 、国際公開第97/01633号;国際公開第97/25428号;Marstersら, Curr. Biol., 1998, 8:525-528;Chicheporticheら, Biol. Chem. 1997, 272:32401-32410;Hahneら, J. Exp. Med. 1998, 188:1185-1190;国際公開第98/28426号;国際公開第98/46751号;及び国際公開第98/18921号;Mooreら, Science 1999, 285:260-263;Shuら, J. Leukocyte Biol. 1999, 65:680;Schneiderら, J. Exp. Med., 1999,189:1747-1756;Mukhopadhyayら, J. Biol. Chem. 1999, 274:15978-15981(1999)を参照のこと]。
【0032】
「Apo2L/TRAIL」、「Apo2L」、「Apo-2リガンド」及び「TRAIL」という用語は、図1に示されたアミノ酸配列(配列番号:1)のアミノ酸残基114-281、95-281、残基92-281、残基91-281、残基41-281、残基15-281、又は残基1-281、並びに上記配列の生物活性な断片、欠失、挿入又は置換変異体を含むポリペプチド配列を称するために、ここでは使用される。一実施態様において、ポリペプチド配列は、図1(配列番号:1)の残基114-281を含み、場合によっては図1(配列番号:1)の残基114-281からなる。場合によっては、ポリペプチド配列は、図1(配列番号:1)の残基92-281又は残基91-281を有する。Apo-2Lポリペプチドは、図1に示す天然のヌクレオチド配列(配列番号:2)によりコードされ得る。場合によっては、残基Pro119(図1;配列番号:2)をコードするコドンは、「CCT」又は「CCG」であってよい。他の一実施態様では、断片又は変異体は生物学的に活性であり、列挙されたApo2L/TRAIL配列の何れかと、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%の配列同一性、そして更により好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。場合によっては、Apo2L/TRAILポリペプチドは、図1にて提供されるコード化ポリヌクレオチド配列(配列番号:2)と、緊縮条件下でハイブリッド形成するヌクレオチド配列によりコードされる。本定義は、少なくとも一の天然アミノ酸がアラニン残基によって置換された、Apo2L/TRAILの置換変異体を包含する。Apo2L/TRAILの特定の置換変異体は、少なくとも一のアミノ酸がアラニン残基で置換されたものを包含する。これらの置換変異体には、例えば「D203A」;「D218A」及び「D269A」として同定されているものが含まれる。この命名は、(図1に示される(配列番号:1)の番号を用いて)位置203、218及び/又は269で、アスパラギン酸残基がアラニン残基によって置換された、Apo2L/TRAIL変異体を同定するのに使用される。場合によっては、Apo2L変異体はPCT出願国際公開第01/00832号に公開された表1に列挙されている、一又は複数のアラニン置換基を含有していてもよい。置換変異体には、2001年1月4日に公開されている国際公開第01/00832号の表1において同定されている、一又は複数の残基置換が含まれる。また本定義は、組換え又は合成法により調製されるか、又はApo2L/TRAIL供給源から単離された、天然配列Apo2L/TRAILも包含する。本発明のApo2L/TRAILには、PCT出願国際公開第97/25428号及び国際公開第97/01633号に開示されたApo2L/TRAIL又はTRAILと称されるポリペプチドも含まれる。「Apo2L/TRAIL」又は「Apo2L」なる「用語は、一量体、二量体又は三量体形態のポリペプチドを含む、Apo2L/TRAIL形態のものを一般的に称するために使用される。特に記載しない限りは、Apo2Lに記載されているアミノ酸残基の全てのナンバリングが、図1(配列番号:1)のナンバリングに使用されている。例えば「D203」又は「Asp203」は、図1に付与された配列(配列番号:1)の位置203にあるアスパラギン酸残基を意味する。
【0033】
「Apo2L/TRAIL細胞外ドメイン」又は「Apo2L/TRAIL ECD」なる用語は、膜貫通及び細胞質ドメインが本質的にないApo2L/TRAILの形態を称する。通常、ECDはこのような膜貫通及び細胞質ドメインを1%未満、好ましくはこのようなドメインを0.5%未満有している。本発明のポリペプチドとして同定される任意の膜貫通ドメイン(類)は、疎水性ドメインのタイプのものを同定するのに、当該分野で常套的に使用されている基準に従い同定されると理解されるであろう。膜貫通ドメインの正確な境界は多様であるが、多くの場合は、最初同定されたドメインのいずれかの末端において、約5アミノ酸を超えないと思われる。好ましい実施態様において、ECDは、膜貫通及び細胞質又は細胞内ドメインのない(膜に結合していない)ポリペプチドの、可溶性の細胞外ドメイン配列からなる。Apo-2L/TRAILの特定の細胞外ドメインは、PCT出願国際公開第97/01633号及び国際公開第97/25428号に記載されている。
【0034】
「Apo2L/TRAIL単量体」又は「Apo2L単量体」なる用語は、Apo2Lの細胞外ドメイン配列の共有鎖を称する。
「Apo2L/TRAIL二量体」又は「Apo2L二量体」なる用語は、ジスルフィド結合を介して共有結合に連結した2つのApo-2Lモノマーを称する。ここで使用される場合の用語には、独立したApo2L二量体、及び三量体形態のApo2Lが範囲に入る二量体(すなわち、互いに結合した、第2のApo2L単量体)が含まれる。
「Apo2L/TRAIL三量体」又は「Apo2L三量体」なる用語は、非共有結合している3つのApo2L単量体を称する。
「Apo2L/TRAIL凝集体」なる用語は、自己結合した高級オリゴマー性形態のApo2L/TRAIL、例えばApo2L/TRAIL三量体、さらには六量体又はナノメートルサイズ(nanomeric)の形態のApo2L/TRAILを称するために使用される。
【0035】
Apo2L/TRAIL単量体、二量体又は三量体(又は他の凝集体)の存在性及び量の決定は、当該分野で公知の方法及びアッセイ(市販されている物質を使用)、例えば天然サイズ排除HPLC(「SEC」)、ドデシル硫酸ナトリウムを使用する変性サイズ排除(「SDS-SEC」)、逆相HPLC、キャピラリー電気泳動、及び以下の実施例にさらに詳細に記載されている方法によりなされ得る。
【0036】
ここで使用される場合、「タグ化」なる用語は、「タグポリペプチド」に融合したApo2L/TRAIL又はその一部を含有するキメラポリペプチドを称す。タグポリペプチドは、その抗体が産生され得るエピトープを提供するか、又は金属イオンのキレート化等の他のいくつかの機能を提供するのに十分な残基を有しているが、その長さは、一般的にTNFファミリーのサイトカインの活性を阻害しないよう充分に短い。また、タグポリペプチドは、好ましくは、タグ特異性抗体が他のエピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8〜約50のアミノ酸残基(好ましくは約10〜約20のアミノ酸残基)を有する。
【0037】
「二価の金属イオン」なる用語は、2つの正電荷を有する金属イオンを称する。限定するものでないが、二価の金属イオンの例には、亜鉛、コバルト、ニッケル、カドミウム、マグネシウム及びマンガンが含まれる。使用され得るこのような金属の特定の形態には塩の形態(例えば、製薬的に許容可能な塩の形態)、上述した二価の金属イオンの塩化物、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩及び硫酸塩の形態のものが含まれる。場合によっては、本発明で使用される二価の金属イオンは亜鉛、好ましくは硫酸亜鉛又は塩化亜鉛等の塩の形態をしている。
【0038】
「単離された」とは、ここで開示された種々のタンパク質を記述するために使用するときは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたタンパク質を意味する。その自然環境の汚染成分とは、タンパク質の診断又は治療への使用を典型的には妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様において、タンパク質は、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、N末端あるいは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに充分なほど、あるいは、(2)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性が得られるように充分なほど、又は(3)質量分光分析又はペプチドマッピング技術による均一性が得られるように充分なほど精製される。Apo2L/TRAILの自然環境の少なくとも一の成分が存在しないため、単離されたタンパク質には、組換え細胞内のインサイツのタンパク質が含まれる。しかしながら、通常は、単離されたタンパク質は少なくとも一の精製工程により調製される。
【0039】
「単離された」Apo2L/TRAIL核酸分子は、Apo2L/TRAIL核酸の天然源において通常付随している、少なくとも一の汚染核酸分子から同定され分離された核酸分子である。単離されたApo2L/TRAIL核酸分子は、天然で見出される形態又は配列以外のものである。よって、単離されたApo2L/TRAIL核酸分子は天然細胞に存在するようなApo2L/TRAIL核酸分子とは区別される。しかしながら、単離されたApo2L/TRAIL核酸分子は、例えば核酸分子は天然細胞とは異なる染色体位置にあり、通常、Apo2L/TRAILを発現する細胞に含まれるApo2L/TRAIL核酸分子を含む。
【0040】
ここで同定されている配列に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした、Apo2L/TRAIL配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセント核酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の知る範囲にある種々の方法により達成可能であり、比較される配列の全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。ここでの目的のために、パーセントアミノ酸配列同一性値は、ジェネンテク社によって作成され、ソースコードは米国著作権庁, Washington D.C., 20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている配列比較コンピュータプログラムALINE-2を用いて得ることができる。ALIGN-2プログラムはジェネンテク社、South San Francisco, CAを通して公的に入手可能である。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。
【0041】
ハイブリッド形成反応の「緊縮性」は、通常、当業者によって容易に決定され、一般的にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な計算である。一般に、プローブが長くなればなる程、適切なアニーリングのために温度を高くする必要があり、プローブが短くなればなる程、温度を低くする必要が生じる。ハイブリッド形成は、一般的に、相補的鎖がその融点より低い環境に存在する場合、変性DNAの再アニールする能力に依存する。プローブとハイブリッド形成可能な配列との間の所望の相同性の程度が高くなると、使用できる相対温度が高くなる。その結果、より高い相対温度は、反応条件をより緊縮性にするが、低い温度は緊縮性を低下させる。ハイブリッド形成反応の緊縮性の更なる詳細及び説明は、Ausubel等, Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers, (1995)を参照のこと。
【0042】
ここで定義される「高度の緊縮性条件」は、(1)洗浄のために低イオン強度及び高温度;50℃において0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを用いるもの;(2)ハイブリッド形成中に変性剤;42℃において50%(v/v)ホルムアミドと0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのpH6.5のリン酸ナトリウムバッファー、及び750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウムを用いるもの;又は(3)42℃における50%ホルムアミド、5xSSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5xデンハート液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、及び10%のデキストラン硫酸と、42℃における0.2xSSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中の洗浄及び55℃での50%ホルムアミド、次いで55℃におけるEDTAを含む0.1xSSCからなる高緊縮性洗浄を用いるものによって同定され得る。
【0043】
「中程度の緊縮性条件」は、Sambrook等, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, New York:Cold Spring Harbor Press, 1989に記載されているように同定され、20%ホルムアミド、5xSSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハート液、10%デキストラン硫酸、及び20mg/mLの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中の37℃での終夜インキュベーション、次いで1xSSC中37-50℃でのフィルターの洗浄を含む。当業者であれば、プローブ長等の因子に適合させる必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度等を調節するかを認識するであろう。
【0044】
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列を発現するために必要なDNA配列を称す。例えば原核生物に好適なコントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0045】
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に寄与するプレタンパク質として発現されているなら、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合している」とは、結合したDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにあることを意味する。しかし、エンハンサーは近接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、従来の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
【0046】
「保存-安定性」なる用語は、商業的流通網において、製品が、例えば付与された温度で少なくとも12ヶ月、好ましくは付与された温度で少なくとも24ヶ月の有効期間を有する製剤を記載するように使用される。場合によっては、このような保存-安定性のある製剤は、5%未満の凝集体、10%未満の二量体、及び/又は電荷不均質性又は生物学的活性における最小変化しか有さない。
【0047】
ここで用いられる「可溶性」とは、水性溶液中のポリペプチドが完全に溶解し、結果として、目視で評価して、可視できる粒子がなく透明からわずかに乳白色の溶液になることを意味する。溶液の濁度(又はタンパク質の溶解度)のさらなるアッセイは、1cmのパス長セルを用い、340〜360nmにおけるUV吸光度を測定することより実施され、20mg/mlの濁度は0.05吸光単位未満である。
【0048】
「オスモライト(osmolyte)」とは、溶液に浸透圧を付与する、張力変調剤又は浸透圧調節剤を称する。浸透圧とは、イオン及び非イオン化分子により溶液に寄与される、全浸透活性を称する。実施例には、無機酸、例えば塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、糖類、例えばスクロース又はトレハロース、グリセロール、アミノ酸、及び糖アルコール、例えばマンニトールで、一般的に安全であることが当該分野において公知であるもの(GRAS)が含まれる。
【0049】
「保存料」は、製剤における細菌、ウイルス及び真菌の増殖を防止するように作用することができ、抗酸化剤、又は他の化合物は、製剤の安定性を保持するための種々の方法で機能することができる。この例には、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム(アルキル基が長鎖の化合物であるアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド)、及び塩化ベンゼトニウムが含まれる。他の種類の化合物には、芳香族アルコール、例えばフェノール及びベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン、及びm-クレゾールが含まれる。場合によっては、このような化合物はフェノール又はベンジルアルコールである。保存料又は他の化合物は、液体又は水性形態のApo2L/TRAIL製剤に含まれるが、通常、凍結乾燥された形態の製剤には含まれない。後者の場合、保存料又は他の化合物は、典型的には、再構成のために使用される注射水(WFI)又は注射用静菌水(BWFI)に存在する。
【0050】
「界面活性剤」は、製剤におけるタンパク質の変性又は濁度が低減するように作用可能である。界面活性剤の例には、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート、中でもポリソルベート20、60又は80、ポロキサマー、中でもポロキサマー184又は188、Pluronicポリオール類、エチレン/プロピレンブロックポリマー、又はGRAS等の当該技術分野で公知の任意の他のものを含む。場合によっては、界面活性剤はポリソルベート又はポロキサマーである。
【0051】
ここで用いられる「バッファー」はGRASである任意の適切なバッファーであり、一般的にポリペプチドがApo2L/TRAILである場合、約6〜約9、場合によっては約6.5〜8.5、場合によっては約7〜約7.5のpHを付与する。この例には、Tris、Hepes、トリエタノールアミン、ヒスチジン、又は所望の効果を得るために当該分野で公知の任意の他のものが含まれる。
【0052】
「サイトカイン」という用語は、一つの細胞集団から放出されるタンパク質であって、他の細胞に対して細胞間メディエータとして作用するものの包括的な用語である。そのようなサイトカインの例は、リンフォカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインには、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラクシン;プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH)のような糖タンパク質ホルモン;肝臓成長因子;繊維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-α及び-β;ミューラー阻害物質;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子;血小板成長因子;TGF-α及びTGF-βのようなトランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成長因子I及びII;エリスロポイエチン(EPO);オステオインダクティブ因子;インターフェロン、例えばインターフェロンα、β、-ガンマ;コロニー刺激因子(CSF)、例えばマクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);及び顆粒球-CSF(G-CSF);IL-1、IL-2、IL-3、 IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、 IL-8、IL-9、IL-11、IL-12等のインターロイキン(IL);及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。ここで使用される場合は、サイトカインなる用語は天然源由来あるいは組換え細胞培養由来のタンパク質及び天然配列サイトカインの生物的に活性な等価物を含む。
【0053】
ここで用いられる「細胞障害剤」という用語は、細胞の機能を阻害し又は妨害し、及び/又は細胞の破壊を引き起こす物質を称する。この用語は放射性アイソトープ(例えば、I131、I125、Y90及びRe186)、化学療法剤、及びその断片、又は細菌性、真菌性、植物又は動物起源の酵素的に活性な毒素等の毒素を含むことが意図されている。
【0054】
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類、;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトセシン(合成類似体トポテカン(topotecan)を含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びバイゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン(cryptophycin)(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin );デュカロマイシン(duocarmycin )(合成類似体、KW-2189及びCBI-TMIを含む); エレトロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin );サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin );クロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;ニトロスレアス(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン、ラニムスチン;エネジイン(enediyne) 抗生物質等の抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンフィーI1、例えば、Agnew Chem Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)を参照のこと;ダイネミシンA(dynemicinA)を含むダイネミシン(dynemicin);ビスホスホナート類、例えばクロドロナート;エスペラマイシン(esperamicin); 同様にネオカルチノスタチン発光団及び関連色素蛋白エネジイン(enediyne) 抗生物質発光団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カリミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトロビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシンTM)(モルフォリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン(mitomycins)、例えばマイトマイシンC、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)のような抗-代謝産物;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)のような葉酸類似体;フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)のようなピリミジン類似体;カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone)のようなアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルラシル(eniluracil);アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine);メイタンシン(maytansine)及びアンサマイトシン(ansamitocin )のようなメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PKS(登録商標);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(特に、T-2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリデンA(roridin A)及びアングイデン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)、及びドキセタキセル(タキソテア(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;ゲンシタビン(gemcitabine)(GemzarTM);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン及びカルボプラチンのようなプラチナ類似体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;ミトキサントン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン(navelbine)(NavelbineTM);ノバントロン(novantron);テニポシド;エダトレキサート(edatrexate);ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);CTP-11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド類;カペシタビン(capecitabine);並びに上述したものの製薬的に許容可能な塩、酸又は誘導体が含まれる。また、この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように働く抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン(NolvadexTMを含む)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン(droloxifene)、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びトレミフェン(FarestonTM)を含む抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERMs);副腎におけるエストロゲン生成を調節する、アロマターゼ酵素を阻害するアロマターゼインヒビター、例えば4(5)-イミダゾール類、アミノグルテチミド、酢酸メゲステロール(MegaceTM)、エグゼメスタン(exemestane)、ホルメスタン(formestane)、ファドロゾール、ボロゾール(vorozole)(RivisorTM)、レトロゾール(letrozole)(FemaraTM)、及びアナストロゾール(anastrozole)(ArimidexTM);及び抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びに上記のものの製薬的に許容可能な塩、酸又は誘導体が含まれる。
【0055】
ここで使用される場合の「成長阻害剤」なる用語は、インビトロ又はインビボのいずれかにおいて、ここで同定された任意の遺伝子が発現する細胞、特に癌細胞の成長を阻害する化合物又は組成物を称する。よって、成長阻害剤とは、S相において、このような細胞が発現する細胞のパーセンテージを有意に低減させるものである。成長阻害剤の例には、細胞分裂周期の進行をブロックする薬剤(S相以外の場所において)、例えばG1停止及びM相停止を誘発する薬剤が含まれる。伝統的なM相ブロッカーには、ビンカ(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、TAXOL、及びトポIIインヒビター、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが含まれる。G1を停止させるこれらの薬剤、例えばDNAアルキル化剤、例えばタモキシフェン、プレドニソン、ダカーバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びara-CがS相停止に溢流する。更なる情報は、Murakamiらにより「細胞分裂周期の調節、オンコジーン、及び抗新生物薬」と題された、癌の分子的基礎、Mendelsohn及びIsrael編、第1章(WB Saunders;Philadelphia, 1995)、特に13頁に見出すことができる。
【0056】
ここでの目的における「生物学的に活性な」又は「生物学的活性」とは、(a)単一の薬剤として単独で、又は化学療法剤と組合せて、インビボ又はエキソビボで、少なくとも一種類の哺乳動物癌細胞又はウイルス感染した細胞においてアポトーシスを誘発又は刺激する能力を有する;(b)抗体、例えば免疫原を産生可能である;(c)Apo2L/TRAILに対するレセプター(例えば該レセプターには、DR4レセプター、DR5レセプター、OPG、DcR1レセプター、及びDcR2レセプターを含んでよい)に結合及び/又は刺激可能である;又は(d)天然又は天然発生Apo2L/TRAILポリペプチドの活性を保持していることを意味する。Apo2L/TRAILの生物学的活性を測定するためのアッセイは、当該分野において公知の方法、例えばDNA断片化(例えば、Marsters等,Curr. Biology, 6:1669(1996)を参照)、カスパーゼ不活性化、DR4結合、DR5結合(例えば、1998年11月19日公開の国際公開第98/51793号を参照)、DcR1結合(例えば、1998年12月23日公開の国際公開第98/58062号を参照)、DcR2結合(例えば、1999年3月4日公開の国際公開第99/10484号)、並びにPCT出願国際公開第97/01633号、国際公開第97/25428号、国際公開第01/00832号及び国際公開第01/22987号に記載されているアッセイを使用して実施することができる。
【0057】
「アポトーシス」及び「アポトーシス活性」という用語は広義に使用され、典型的には、細胞質の凝集、原形質膜の微絨毛の喪失、核の分節化、染色体DNAの分解又はミトコンドリア機能の喪失を含む一又は複数の特徴的な細胞変化を伴う、哺乳動物における細胞死の規則的又はコントロールされた形態を称する。この活性は、当該分野で公知の、例えば細胞生死判別アッセイ(例えばアラマーブルーアッセイ又はMTTアッセイ)、FACS分析、カスパーゼ活性化、DNA断片化(例えば、Nicolettiら, J. Immunol. Methods, 139:271-279(1991)を参照)、ポリ-ADPリボースポリメラーゼ、「PARP」、切断アッセイにより、決定し測定することができる。
【0058】
ここで使用される場合、「疾患」なる用語は、有効量のポリペプチド、例えばApo2L/TRAIL等により治療可能な任意の病気又は疾患を含む、ここに記載された組成物で治療することで恩恵を得るあらゆる症状を一般的に称する。これには、慢性及び急性の疾患、並びに問題の疾患に哺乳動物を罹患させる病理状態が含まれる。ここで治療される疾患の非限定的例には、良性及び悪性の腫瘍;炎症、血管由来及び免疫学的疾患、自己免疫疾患、関節炎(関節リウマチを含む)、多発性硬化症、及びHIV/AIDSが含まれる。
【0059】
「癌」、「癌性」又は「悪性」という用語は、典型的には調節されない細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を称するか記述する。癌の例には、これらに限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、白血病、芽細胞腫、及び肉腫が含まれる。このような癌のより特定の例には、扁平上皮細胞癌、骨髄腫、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、消化管癌、腎臓癌、卵巣癌、肝臓癌、リンパ芽球性白血病、リンパ性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、神経芽細胞種、膵臓癌、多形成膠芽腫、子宮頸癌、胃腸癌、膀胱癌、肝細胞腫(hepatoma)、乳癌、結腸癌、及び頭部及び頸部の癌が含まれる。場合によっては、癌細胞はDR4及び/又はDR5レセプター(類)を発現する。
【0060】
ここで使用される「処置する」又は「処置」又は「治療」とは、治癒的治療、予防的治療又は防止的治療を称する。連続的治療又は投与とは、一又は複数の日数、治療を中断することなく、少なくとも毎日であることを基本とし治療を行うことを称する。断続的治療又は投与、もしくは断続的な方法での治療又は投与とは、連続させることなく、むしろ事実的には周期的に治療することを称する。
ここで使用される「哺乳動物」なる用語は、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ及びネコを含む、哺乳類に分類される任意の哺乳動物を称する。本発明の好ましい実施態様において、哺乳動物はヒトである。
【0061】
B.本発明を実施するための例示的な方法及び物質
本発明は、Apo2L/TRAILの種々の製剤、このような製剤の作製方法を提供する。種々の製剤の賦形剤は、例えば製薬的使用に許容されるように、製剤におけるApo2L/TRAILの溶解度を高め、及び/又は生物学的活性を有する形態(例えば三量体の形態)にApo2L/TRAILタンパク質の安定性を高めることができる。例えば、本出願人は、このような製剤に種々の賦形剤(例えばアルギニン塩)が存在することで、Apo2L/TRAILの溶解度及び安定度がかなり増加可能であることを見出した。
【0062】
Apo2L/TRAILは容易に可逆的に結晶化するという予期しない発見が、Apo2L/TRAILの精製方法及び安定した製剤の基礎を提供する。特に、種々の方法で結晶を形成させ、続いて物質を乾燥させることで、タンパク質のバルク製剤は、長期間にわたって安定である。さらに、凍結乾燥された結晶組成物は、一連の温度を通して安定したままであることが予期される。また、乾燥した結晶は、例えば皮下又は筋内投与に適した懸濁製剤に使用することができる。実施例で記載するように、ナトリウム塩、特に硫酸ナトリウム(Na2SO4)は、タンパク質の再溶解時においても生物学的活性を保持したまま、素早く、かつ可逆的に結晶化させる。ついで、タンパク質の結晶は水又は水性バッファー、例えばアミノ酸のカルボン酸塩に容易に再溶解し、あるいはタンパク質の生物学的活性にとって重要な物理学的性質を喪失することなく、非水性媒体に懸濁することも可能である。
一般的に、製剤は、以下に記載する種々の賦形剤又は成分、及び所望の純度のApo2L/TRAILポリペプチド(タンパク質)を使用して調製される。
【0063】
Apo2L/TRAILの調製
以下の記載は、Apo2L/TRAILコード化核酸を含有するベクターを用いて形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞を培養し、細胞培養物からポリペプチドを回収することにより、Apo2L/TRAILを生産する方法に関する。
Apo2L/TRAILをコードするDNAは、Apo2L/TRAILのmRNAを融資、検出可能なレベルでそれを発現すると考えられている組織から調製された任意のcDNAライブラリから得られ得る。従って、ヒトApo2L/TRAILのDNAは、ヒト組織から調製されたcDNAライブラリ、例えばPCT出願国際公開第97/25428号に記載されたようなヒト胎盤cDNAのバクテリオファージライブラリから便宜的に得ることができる。また、Apo2L/TRAILをコードする遺伝子は、ゲノムライブラリ又はオリゴヌクレオチド合成からも得られ得る。
【0064】
ライブラリは、関心ある遺伝子又はそれによりコードされるタンパク質を同定するように設計されたプローブ(例えば、少なくとも約20〜80塩基のオリゴヌクレオチド又はApo2L/TRAILの抗体)を用いてスクリーニングすることができる。選択されたプローブを用いたcDNA又はゲノムライブラリのスクリーニングは、標準的な手順を使用して実施され得る(Sambrookら, Molecular Cloning:A Laboratory Manual;New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)。Apo2L/TRAILをコードする遺伝子を単離するための代替手段は、PCR法を使用してなされる(Sambrookら, 上掲;Dieffenbachら, PCR Primer:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995)。
【0065】
Apo2L/TRAILのアミノ酸配列断片又は変異体は、Apo2L/TRAILのDNAに適切なヌクレオチド変化を導入するか、又は所望するApo2L/TRAILポリペプチドの合成を行うことにより調製することができる。このような断片又は変異体は、細胞内領域、膜貫通領域、又は細胞外領域、又は図1に示す全長Apo2L/TRAILに示されるアミノ酸配列(配列番号:1)の内部、又はそれらの一端もしくは両端において、残基の挿入、置換及び/又は欠失があることを表す。挿入、置換及び/又は欠失の任意の組合せにより、最終的な構造物に到達し、最終的な構造物がここで記載するようなアポトーシス活性又は所望の生物学的活性を有するようになる。好ましい実施態様において、断片又は変異体は、Apo2L/TRAILの細胞内、膜貫通又は細胞外ドメインにおいてここで定義された配列、又はApo2L/TRAILの全長配列に対し、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも約90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。またアミノ酸変化は、Apo2L/TRAILの翻訳後プロセスを変化させる、例えばグリコシル化部位の数又は位置の変化、もしくは膜アンカー特性を改変する可能性がある。
【0066】
上述したApo2L/TRAILにおける変異は、米国特許第5364934号に説明されている保存的又は非保存的突然変異のための任意の技術及びガイドラインを使用して作製することができる。これらには、オリゴヌクレオチド媒介性(部位特異的)突然変異誘発、アラニンスキャンニング及びPCR突然変異誘発が含まれる。
【0067】
また、隣接配列に沿って一又は複数のアミノ酸を同定するのにスキャンニングアミノ酸分析を用いることができる。好ましいスキャンニングアミノ酸は比較的小さく、中性のアミノ酸である。そのようなアミノ酸は、アラニン、グリシン、セリン、及びシステインを含む。アラニンは、ベータ炭素を越える側鎖を排除し変異体の主鎖構造を変化させにくいので、この群の中で典型的に好ましいスキャンニングアミノ酸である(Cunninghamら, Science, 1989, 244:1081)。また、アラニンは最もありふれたアミノ酸であるため典型的には好ましい。さらに、それは埋もれた及び露出した位置の両方に頻繁に見られることが多い(Creighton, The Proteins, (W.H. Freeman & Co., N.Y.); Chothia, J. Mol. Biol., 1976, 150:1)。
【0068】
本発明の特定のApo2L/TRAIL変異体は、PCT出願国際公開第01/00832号に公開されている表1に付与され、列挙されている一又は複数のアラニン置換を含む、Apo2L/TRAILポリペプチドを含む。このようなApo2L/TRAIL変異体は、典型的には、少なくとも一又は複数のアミノ酸において、天然のApo2L/TRAILアミノ酸配列(例えば、図1に付与された(配列番号:1)のもの、Apo2L/TRAILの全長又は突然変異体、又はその細胞外ドメイン配列)とは異なる、天然に生じたものではないApo2L/TRAILアミノ酸配列を含む。場合によっては、天然のApo2L/TRAILと比較して、Apo2L/TRAIL変異体で異なっている一又は複数のアミノ酸は、国際公開第01/00832号の表1に示されているもののような、アミノ酸置換(類)を含む。本発明のApo2L/TRAIL変異体は、図1(配列番号:1)の残基91-281、92-281、95-281又は114-281を含有し、一又は複数のアミノ酸置換を有する溶解性のApo2L/TRAIL変異体を含む。好ましいApo2L/TRAIL変異体は、レセプター結合等の、生物学的活性を高める一又は複数のアミノ酸置換を有し、図1(配列番号:1)の残基91-281、92-281、95-281又は114-281を含有する変異体を含む。特に好ましい変異体は、図1(配列番号:1)の残基114-281を含有する。特定の実施態様において、Apo2L/TRAILは図1(配列番号:1)の残基114-281からなる。
【0069】
2001年1月4日に公開された国際公開第01/00832号に記載されたように、Apo2L/TRAILのx線結晶構造を同定し、そのレセプター接触領域をマッピングするためにアラニンスキャンニング突然変異誘発を実施した。Apo2L/TRAILにおいて得られた構造は、新規の二価の金属イオン(亜鉛)結合部位を含むホモ三量体タンパク質であることを示しており、該結合部位はApo2L/TRAIL三量体分子の3つのサブユニットの相互作用に配位結合したものである。TNFファミリーの他のメンバーと同様、Apo2L/TRAILは、約5100オンクスロトーム2(単量体当たり1700オングストローム2)の2つのゼリーロール単量体から形成されるコンパクトな三量体を含有し、球形の三量体を形成すると思われる。核ベータ-ストランドの位置は、TNF-アルファ又はTNF-ベータの核ストランドと比較した場合に、TNFファミリーの他の構造的に特徴のあるメンバー、TNF-アルファ、TNF-ベータ、及びCD40Lと比較して、より保存されていた。
【0070】
本発明の範囲に入るApo2L/TRAIL配列の変異は、アミノ末端誘導体又は修飾した形態に関する。このようなApo2L/TRAIL配列には、ポリペプチド配列のN末端に、メチオニン又は変性メチオニン(例えばホルミルメチオニル又は他のブロックメチオニル種)を有する、ここで記載された任意のApo2L/TRAILポリペプチドが含まれ得る。
【0071】
天然又は変異したApo2L/TRAILをコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)が、さらなるクローニング(DNAの増幅)又は発現のために、複製ベクターに挿入される。種々のベクターが公に入手可能である。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、次のものの一又は複数が含まれる:シグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び以下に記載する転写終結配列である。使用され得る任意のシグナル配列、複製開始点、マーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、及び転写終結配列は、当該分野において公知であり、さらなる詳細はPCT出願国際公開第97/25428号に記載されている。
【0072】
通常、発現及びクローニングベクターは、宿主生体により認識され、Apo2L/TRAIL核酸配列に作用可能に結合するプロモーターを含む。プロモーターは、Apo2L/TRAIL核酸配列等の、特定の核酸配列の転写及び翻訳を制御する、構造遺伝子の出発コドン(一般的に約100〜1000bp内)に対して上流(5')に位置する非翻訳領域であり、作用可能に結合している。このようなプロモーターは、典型的には、誘発及び構造の2つのクラスに入る。誘発性プロモーターは、培養条件のある変化、例えば栄養素の有無、又は温度変化に応じて、それらのコントロール下において、高められたレベルでDNAからの転写を開始するプロモーターである。現時点で、種々の潜在的な宿主細胞により認識される多数のプロモーターがよく知られている。これらのプロモーターは、制限酵素での消化によりDNA源からプロモーターを除去し、単離されたプロモーター配列をベクターに挿入することで、Apo2L/TRAILコード化DNAに作用可能に結合している。天然のApo2L/TRAILプロモーター配列及び多くの異種プロモーターの双方が、Apo2L/TRAIL DNAの直接増幅及び/又は発現に使用され得る。
原核生物及び真核生物宿主での使用に適したプロモーターは、当該分野において公知であり、PCT出願国際公開第97/25428号にさらなる詳細が記載されている。
【0073】
大腸菌において溶解性Apo2L/TRAILを生産するための好ましい方法では、生成物の発現を調節するために、誘発性プロモーターが使用される。コントロール可能な誘発性プロモーターを使用することにより、生成物の発現が誘発され、宿主にとってあまり耐性のない多量の生成物が蓄積する前に、所望の細胞密度に培養成長することが可能になる。
【0074】
3つの誘発性プロモーター系(T7ポリメラーゼ、trp及びアルカリ性のホスファターゼ(AP))が、本出願人により、Apo2L/TRAILの発現(アミノ酸114-281)に対して評価されている。これら3つのプロモーターのそれぞれを使用することで、結果として有意な量の可溶型の生物学的な活性のあるApo2L/TRAIL三量体が、集菌された細胞ペーストから回収される。テストされる3つの誘発性プロモーター系の中でも、APプロモーターが、より厳格なプロモーター制御性とより大なる細胞密度と集菌された細胞ペーストで得られる力価のために好ましいとされている。
【0075】
上述した一又は複数の成分を含有する適切なベクターの構築には、標準的なライゲーション技術に使用される。単離されたプラスミド又はDNA断片を切断し、あつらえ、必要なプラスミドが生産されるように所望の形態に再度ライゲーションされる。
【0076】
構築したプラスミド中の正しい配列を確認するための分析には、通例、ライゲーション混合物を用いて大腸菌K12 294株(ATCC31,446)を形質転換し、成功した形質転換体を適宜アンピシリンまたはテトラサイクリン耐性によって選択することができる。それらの形質転換体からプラスミドを調製し、制限エンドヌクレアーゼ消化、及び/又は当該分野で公知の標準的な技術を使用して配列化させることにより分析する(例えば、Messingら,Nucleic Acids Res.1981, 9:309;Maxamら,Methods in Enzymology 1980, 65:499)。
【0077】
Apo2L/TRAILをコードするDNAを哺乳動物細胞において一過性に発現させる発現ベクターを使用してもよい。一般に、一過性発現は、宿主細胞が、発現ベクターの多くのコピーを蓄積し、ついで、発現ベクターによりコードされる所望のポリペプチドが高レベルで合成されるように、宿主細胞において十分に複製可能な発現ベクターを使用することを含む(Sambrookら, 上掲)。適切な発現ベクター及び宿主細胞を含む一過性発現系は、クローンDNAによりコードされるポリペプチドの簡便なポジティブな同定、並びに所望の生物学的又は生理学的特性についてのかかるポリペプチドの迅速なスクリーニングを可能にする。よって、一過性発現系は、生物学的に活性なApo2L/TRAILであるApo2L/TRAILの類似体及び変異体を同定する目的に対して、本発明で特に有用である。
【0078】
組換え脊椎動物細胞培養でのApo2L/TRAILの合成に適応化するのに適切な他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gething等, Nature, 1981, 293:620-625 ; Mantei等, Nature 1979, 281:40-46;欧州特許第117060号;及び欧州特許第117058号に記載されている。
【0079】
ここでのベクターにDNAをクローニングあるいは発現するために適切な宿主細胞は、原核生物、酵母、又は高等真核生物細胞を含む。この目的にとって適切な原核生物は、限定されるものではないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体、例えばエシェリチアのような腸内菌科、例えば大腸菌、エンテロバクター、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ、例えばネズミチフス菌、セラチア属、例えばセラチア・マルセスキャンス及び赤痢菌属、並びに桿菌、例えば枯草菌及びB.リチェフォルミス(licheniformis)(例えば、1989年4月12日に公開された DD 266710に開示されたバシリ・リチェニフォルミス41P)、シュードモナス属、例えば緑膿菌及びストレプトマイセス属を含む。好ましくは、宿主細胞は、最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。
【0080】
大腸菌は本発明での使用において好ましい宿主細胞である。大腸菌は、グリコシル化の必要がない20kd以下のサイズのポリペプチドであるApo2L/TRAIL(図1のアミノ酸114−281を含む)の発現に特に適している。産生宿主として、大腸菌は比較的高い細胞密度まで培養可能で、比較的高レベルの異種タンパク質を産生させることができる。
【0081】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、Apo2L/TRAILコード化ベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。グリコシル化されたApo2L/TRAILの発現のための適切な宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。CHO細胞を含む、このような全ての宿主細胞の例は、PCT出願国際公開第97/25428号にさらに記載されている。
【0082】
宿主細胞は、Apo2L/TRAIL生成のための上述した発現又はクローニングベクターでトランスフェクト、好ましくは形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅するために適当に修飾された常套的栄養培地で培養する。
【0083】
トランスフェクトは、任意のコード化配列が、実際に発現するか否かにかかわらず、宿主細胞による発現ベクターの取り込みを称する。多くのトランスフェクトの方法、例えば、CaPO4及びエレクトロポレーションは、通常、当業者に知られている。成功裏のトランスフェクトは、このベクターの操作の任意の表示が宿主細胞内で生じる場合に、一般的に認識される。
【0084】
形質転換とは、DNAを、染色体外要素としてまたは染色体成分として複製できるように、生物体にDNAを導入することを意味する。形質転換は、使用する宿主細胞に応じて、その細胞に適した標準的技術を用いて行われる。塩化カルシウムを用いるカルシウム処理はSambrookら、上掲に記載されており、またエレクトロポレーションが、一般的に原核生物又は実質的な細胞壁障壁を有する他の細胞に対して用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、(Shaw等, Gene, 1983, 23:315 及びPCT出願国際公開第89/05859号)に記載されているように、或る種の植物細胞の形質転換に用いられる。加えて、植物は1991年1月10日に公開されたPCT出願国際公開第91/00358号の、超音波処理を使用して、トランスフェクトしてもよい。
【0085】
このような細胞壁を持たない哺乳動物細胞には、リン酸カルシウム沈澱法(Graham及びvan der Eb,A.,Virology,1978, 52:456-457)が使用され得る。哺乳動物細胞宿主系形質転換の一般的側面については、米国特許第4399216号に記載されている。酵母への形質転換は、典型的には、Van Solingen,P.ら,J.Bact.,1977, 130:946とHsiaoら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1979, 76:3829の方法に従って行われる。しかしながら、DNAを細胞に導入する他の方法、例えば核注入、エレクトロポレーション、無傷細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いられる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keown等, Methods in Enzymology, 1990, 185:527-537 及び Mansour等, Nature, 1988, 336:348-352 を参照のこと。
【0086】
Apo2L/TRAILを産生するために使用される原核生物細胞は、上掲のSambrookらに一般的に記載されているように、適切な培養培地で培養され得る。大腸菌を培養するために使用され得る特定の形態の培養培地は、PCT出願国際公開第01/00832号にさらに記載されている。Apo2L/TRAILを産生するために使用される哺乳動物宿主細胞は、種々の培養培地で培養され得る。
【0087】
市販されている培養培地の例には、ハム(Ham)のF10(シグマ)、最小必須培地(「MEM」,シグマ)、RPMI-1640(シグマ)及びダルベッコの改良イーグル培地(「DMEM」,シグマ)が含まれる。これらの培地はいずれも、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシンTM薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は同等のエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について以前から用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
一般に、哺乳動物細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach, M.Butler編 (IRL Press, 1991)に見出すことができる。
【0088】
Apo2L/TRAILの発現は、ここで提供された配列に基づき、適切に標識されたプローブを用い、例えば、従来よりの、サザンブロット法、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法(Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1980, 77:5201-5205)、ドットブロット法(DNA分析)、又はインサイツハイブリッド形成法によって、直接的に試料中で測定することができる。種々の標識を使用してよく、最も一般的には放射性同位体、特に32Pである。しかしながら、他の技術も用いることができ、例えばポリヌクレオチドに導入するためのビオチン修飾ヌクレオチドの使用等である。その際、ビオチンは、多様な標識、例えば放射性ヌクレオチド類、蛍光剤(fluorescers)又は酵素で標識されていてもよいアビジン又は抗体に結合する部位となる。あるいは、DNA二本鎖、RNA二本鎖及びDNA-RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いることもできる。次いで、抗体を標識し、アッセイを実施することができ、ここで二本鎖は表面に結合しており、その結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。
【0089】
あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な方法、例えば細胞又は組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液のアッセイによって測定することもできる。免疫組織化学的染色技術を用い、細胞試料は、典型的には脱水と固定、続いて対の遺伝子産物に特異的な標識抗体と反応させることにより調製され、標識は通常、視覚的に検出可能であり、例えば酵素標識、蛍光標識、発光標識等である。
【0090】
試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳動物で調製することができる。簡便には、抗体は、天然配列Apo2L/TRAILポリペプチドに対して、又はここで提供されるDNA配列をベースとした合成ペプチドに対して、又は特異的抗体エピトープをコードし、Apo2L/TRAIL DNAに融合した外因性配列に対して調製され得る。
【0091】
Apo2L/TRAILは、好ましくは分泌ポリペプチドとして培養培地から回収されるが、分泌シグナルなしに直接生成される場合は、宿主細胞の溶菌液から回収することができる。Apo2L/TRAILが膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン-X100)を用いて膜から放出させるか、又はその細胞外領域は酵素的切断により放出され得る。
【0092】
Apo2L/TRAILがヒト由来のもの以外の組換え細胞で生成される場合、Apo2L/TRAILはヒト由来のタンパク質又はポリペプチドを含有しない。しかしながら、Apo2L/TRAILとは、実質的に均質な調製物を得るために、組換え細胞のタンパク質又はポリペプチドからApo2L/TRAILを回収又は精製することが通常必要である。第1工程として、培養培地又は可溶化物を遠心分離にかけ、微粒状の細胞残屑を除去する。その後、Apo2L/TRAILを汚染可溶性タンパク質及びポリペプチドから精製されるが、次の手順は好適な精製手順の例である:イオン交換カラム、例えばSP-セファロース又はCM-セファロースでの分画;ヒドロキシアパタイト;疎水性の相互作用クロマトグラフィー;エタノール沈殿;クロマトフォーカシング;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過;及びダイアフィルトレーションである。
【0093】
Apo2L/TRAILはアフィニティークロマトグラフィーにより単離することができる。その残基が欠失、挿入又は置換されたApo2L/TRAIL断片又は変異体は、変異により誘発されるあらゆる実質的な変化を考慮して、天然Apo2L/TRAILと同じようにして回収される。例えば、細菌又はウイルス抗原等の、他のタンパク質又はポリペプチドとのApo2L/TRAIL融合体の調製は、精製を容易にし;抗原に対する免疫親和性カラム-含有抗体を、融合タンパク質を吸着するために使用することができる。
【0094】
フェニルメチルスルホニルフロリド(PMSF)などのプロテアーゼ阻害剤も、精製中のタンパク質分解減成を阻害するのに有用であり、外来の汚染物質の成長を阻害するため、抗生物質も含有され得る。天然Apo2L/TRAILに適した精製法が、組換え細胞培養での発現によるApo2L/TRAIL又はその変異体の特徴の変化のために、修正を必要とするかもしれないことは、当業者には理解されるだろう。
【0095】
このような任意の生成工程中、一又は複数の二価の金属イオンを含有する精製物質(例えばクロマトグラフィー用カラム又は支持体)、又は二価の金属イオンを含有する溶液に、回収されたApo2L/TRAILを暴露することが所望されている。二価の金属イオン及び/又は還元剤は、Apo2L/TRAILの回収又は精製中に使用されてもよい。場合によっては、二価の金属イオン及び還元剤の双方、例えばDTT又はBMEを、Apo2L/TRAILの回収又は精製中に使用してもよい。回収又は精製中に二価の金属イオンを使用すると、Apo2L/TRAIL三量体の安定性、又は細胞培養工程中に形成されるApo2L/TRAIL三量体の保持性が助成されると信じられている。
【0096】
製剤の調製
ここでの製剤の調製において、使用される成分の推奨される質又は「等級」は、製剤の最終的な用途に依存する。治療用途において、成分(群)は製薬品への添加剤として許容可能な等級(例えば「GRAS」)のものであることが好ましい。
【0097】
ある実施態様では、Apo2L/TRAIL、及びApo2L/TRAILの溶解度及び/又は安定性を高めるのに十分なイオン強度を付与する、及び/又は賦形剤を含有する組成物が提供され、その組成物は6(又は約6)〜9(又は約9)のpHを有する。Apo2L/TRAILタンパク質は、例えば上述した方法のような、所望の純度のタンパク質を達成するのに適した任意の方法で調製され得る。好ましい実施態様では、Apo2L/TRAILタンパク質は、図1のアミノ酸114−281を含んでおり、より好ましくは、Apo2L/TRAILタンパク質は、大腸菌宿主細胞において組換え的に発現される。製剤中のApo2L/TRAILタンパク質の濃度は、例えば製剤の意図される用途に応じて変わりうる。当業者であれば、過度の実験をすることなく、Apo2L/TRAILタンパク質の所望の濃度を決定することができる。治療用途に対しては、製剤中のApo2L/TRAILタンパク質の濃度は、場合によっては約0.1〜約100mg/ml、約1〜約20mg/ml、約10〜約20mg/ml、又は約20mg/mlである。
【0098】
Apo2L/TRAILの溶解度及び/又は安定性を高めるのに十分なイオン強度を付与する製剤中の一又は複数の賦形剤は、場合によってはポリイオン性の有機又は無機酸、アスパラギン酸塩、硫酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、カプチソール(Captisol)TM、Tris、アルギニン塩、又は他のアミノ酸、糖、及びポリオール類、例えばトレハロース及びスクロースである。好ましくは、十分なイオン強度を付与する製剤中の一又は複数の賦形剤は塩である。使用され得る塩には、限定されるものではないが、ナトリウム塩及びアルギニン塩が含まれる。使用される塩の種類及び塩の濃度は、製剤においてApo2L/TRAILが安定可能なように(すなわち、沈殿性が低下し、三量体含有量が高められる)、及び/又は可溶性タンパク質の濃度が2mg/ml、好ましくは5mg/ml、さらに好ましくは10mg/ml、最も好ましくは少なくとも約20mg/mlの濃度が達成可能なように、製剤が比較的高いイオン強度を有するようになされることが好ましい。場合によっては、塩は約20mM〜約0.5Mの濃度で製剤中に存在する。より好ましい実施態様では、塩はアルギニン塩又は硫酸ナトリウムである。場合によっては、アルギニン塩には、クエン酸アルギニン、酒石酸アルギニン、リンゴ酸アルギニン、コハク酸アルギニン、リン酸アルギニン、及び硫酸アルギニンが含まれ得る。より好ましくは、アルギニン塩は、約0.2M〜約0.5Mの濃度で存在する。ここで記載する製剤中の賦形剤としては酒石酸アルギニンが有用であるが、ビヒクルとして高濃度(例えば数百mM)での酒石酸の使用は、非経口投与又はヒトへの臨床的用途には望ましくないおそれもある。本出願人は、インビボでの動物研究で、5ml/kg/hrを超えて静脈より投与された0.25Mの酒石酸で中和された0.5Mのアルギニンのビヒクル濃度では、腎臓組織において有害な効果を有するおそれがあることを見出した。従って、当業者が臨床的、治療的用途には選択しないであろう上限閾値が酒石酸濃度にはあり得る。
【0099】
製剤中で、比較的低濃度のApo2L/TRAILタンパク質、例えば約5mg/ml未満、又は約2mg/ml未満、又は約0.1〜約2mg/mlが所望される場合、製剤に安定性を付与する賦形剤は、糖、例えばトレハロース、スクロース、グルコース、ラクチトース又はラクトースでありうる。場合によっては、糖は約1%〜8%の濃度で、製剤中に使用されうる。賦形剤はまた上述したようなアルギニン塩であってよい。
【0100】
組成物は、好ましくは6(又は約6)〜9(又は約9)、より好ましくは約6.5〜約8.5、さらに好ましくは約7〜約7.5のpHを有する。この実施態様の好ましい側面では、組成物は、組成物のpHを少なくとも約6〜約8に保持するためのバッファーをさらに含有する。使用され得るバッファーの例には、限定されるものではないが、Tris、HEPES及びヒスチジンが含まれる。Trisを使用する場合、pHは、場合によっては約7〜約8.5に調節され得る。Hepes又はヒスチジンを使用する場合は、pHは、場合によっては約6.5〜7に調節され得る。場合によっては、バッファーは、製剤中で約5mM〜約50mMの濃度、好ましくは約10mM〜約20mMの濃度で使用される。
【0101】
特に液体製剤(又は再構成された凍結乾燥製剤)においては、組成物に一又は複数の界面活性剤を含有せしめることが望ましい場合がある。このような界面活性剤は、例えば非イオン性界面活性剤、中でもトゥイーン(TWEEN)TM又はプルロニクス(PLURONICS)TM(例えばポリソルベート又はポロキサマー)を含みうる。好ましくは、界面活性剤はポリソルベート20(「トゥイーン20」)を含む。界面活性剤は、場合によっては約0.005%〜約0.2%の濃度で使用される。
【0102】
好ましい製剤は、賦形剤(類)が最適なApo2L/TRAIL三量体の含有量をもたらし、Apo2L/TRAIL二量体形成(凝集体の形成)量又は電荷分布を変化を最小にするものである。場合によっては、製剤はApo2L/TRAIL凝集体を5%未満、Apo2L/TRAILジスルフィド結合二量体を10%未満(製剤のApo2L/TRAILタンパク質の全量に対して)しか含有せず、及び/又は初期電荷分布の変化が10%以下である。
【0103】
好ましい実施態様では、本発明は、約0.1mg/ml〜約20mg/mlのApo2L/TRAIL及びアルギニン塩を含有する組成物を提供し、その組成物は約6.5〜約8.5(場合によっては、6.8〜7.5)のpHを有する。場合によっては、組成物は、Tris等のバッファー、及び/又はポリソルート20等の界面活性剤をさらに含有する。好ましくは、Apo2L/TRAILタンパク質は、任意のエピトープタグ分子(類)又はロイシンジッパー分子(類)を含有しない(すなわち、結合も融合もしていない)。
【0104】
より好ましい実施態様では、本発明は、約2〜約20mg/mlのApo2L/TRAIL、約0.4〜約0.5Mのアルギニン塩、及びバッファーを含有する組成物を提供するものであり、該組成物は約6.5〜約7.5のpHを有する。
【0105】
場合によっては、二価の金属イオンが製剤に含まれていてもよい。二価の金属イオンは、亜鉛分子、例えば硫酸亜鉛、塩化亜鉛又は酢酸亜鉛であってよい。二価の金属イオンは、場合によっては約50ミクロモル〜約400ミクロモルの濃度で製剤に含有可能である。
【0106】
本発明の製剤は、Apo2L/TRAILに加えて、上述した成分、さらには種々の例えばの賦形剤又は成分を含有していてもよい。場合によっては、製剤は、非経口投与のために、製薬的又は非経口的に許容可能な担体、すなわち使用される濃度及び用量で受容者に対して毒性がなく、製剤の他の成分と融和性のあるものを含有してよい。場合によっては、担体は非経口用担体、例えば受容者の血液と等張な溶液である。このような担体ビヒクルの例には、水、生理食塩水、又は緩衝溶液、例えばリン酸緩衝液(PBS)、リンガー液及びデキストロース液が含まれる。種々の任意の製薬的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th, Osol, A.編(1980)に、さらに記載されている。
【0107】
ここで、製剤は一又は複数の保存料を含有してよい。具体例には、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、ベンズアルコニウムクロリド(アルキル基が長鎖の化合物である、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリドの混合物)、塩化ベンゼトニウムが含まれる。他の種類の保存料には、芳香族アルコール、メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン、及びm-クレゾールが含まれる。酸化防止剤には、アスコルビン酸及びメチオニン;保存料(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド;塩化ベンゼトニウム;ブチルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖;又はポリエチレングリセロール(PEG)が含まれる。
【0108】
このような担体のさらなる例には、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばグリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩、又は電解質、例えば硫酸プロタミン、塩化ナトリウム、ポリビニルピロリドン、及びセルロースベースの物質が含まれる。ゲルベースの形態をした担体には、ナトリウムカルボキシメチルセルロース又はメチルセルロース等の多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリラート、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及びモクロウアルコールが含まれる。従来のデポー形態には、例えば、マイクロカプセル、ナノ-カプセル、リポソーム、硬膏剤、吸入形態、鼻スプレー、及び除放性製剤が含まれる。
【0109】
本発明の組成物は、Apo2L/TRAILタンパク質が結晶又は非晶質の沈殿物の形態をした、液体製剤(液状溶液又は液状懸濁液)、及び凍結乾燥製剤、並びに懸濁製剤でありうる。
【0110】
最終製剤が液体である場合、好ましくは≦20℃で凍らせて保存される。また、製剤は凍結乾燥することもでき、場合によっては2−30℃で保存されうる注射用の水で再構成されるパウダーとして提供することができる。
【0111】
治療投与に使用される製剤は無菌でなければならない。滅菌は、滅菌濾過膜(例えば0.2ミクロンの膜)を通した濾過により容易に達成される。治療用組成物は、一般的に無菌のアクセスポート、例えば、皮下注射針で貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルを具備する容器に配されている。
【0112】
組成物は通常、単位毎又は多数回用量容器、例えば封入されたアンプル又はバイアルに、水溶液、又は再構成用の凍結乾燥された製剤として貯蔵される。容器は、当該分野で任意の入手可能な容器で、常法を用いて充填されるものであってよい。場合によっては、製剤は、注射ペン装置(又は、ペン装置に嵌合するカートリッジ)、例えば製剤の治療的送達に適した、当該分野で入手可能なもの(例えば、米国特許第5370629号を参照)に収容されうる。凍結乾燥製剤の例として、10mLのバイアルに、滅菌濾過された2%(w/v)のApo2L/TRAIL水溶液5.5mLを満たし、この得られた混合物を凍結乾燥させたものが挙げられる。注射用溶液は、例えば注射用の水を使用し、凍結乾燥されたApo2L/TRAIL製剤を再構成することにより調製することができる。
【0113】
さらに特定の製剤の実施態様では、Apo2L/TRAIL結晶を含有する組成物が提供される。例えば、前記組成物は、Apo2L/TRAIL結晶を含有する懸濁製剤を含み得る。本出願人は、驚くべきことに、低イオン条件下で溶解するか又は非晶質の沈殿物を形成する、当該分野で公知の他の多くのタンパク質と異なり、5℃で固形状態のApo2L/TRAILタンパク質は、同様の条件下で、中程度の結晶性であることを見出した。さらに、固形状態のApo2L/TRAIL結晶は、周囲温度(すなわち室温)になった時、タンパク質の生物学的活性を喪失したり、あるいはタンパク質の生化学的特性の悪影響を与えることなく、可逆的に溶解することを見出した。この観察は、当該分野で公知の他のタンパク質で観察される変性又は不可逆的沈殿とは全く異なる。
【0114】
場合によっては、Apo2L/TRAIL結晶は、Apo-2L/TRAILタンパク質の過飽和溶液を、約20〜約30℃から約15℃以下、好ましくは約2〜8℃、より好ましくは約2〜8℃以下に冷却することにより調製される。結晶化は、数ミリリットルから数百リットルの溶液まで、広範囲のスケールで、バッチ又はセミバッチ式で実施される。結晶化速度はプログラムされた冷却及び攪拌により制御することができる。装置は、限定されるものではないが、表面及び/又は内部温度制御を具備する、攪拌又は静置タンクを含み得る。内部バッフル及びドラフトチューブもまた攪拌タンク中の混合を高めるために使用されうる。結晶核生成はシーディングによっても制御することができる[Moore, AIChE Practical Engineering Perspectives, Distillation and Other Industrial Separations, pp.239-245]。過飽和の程度、塩組成、冷却速度、攪拌速度及びシーディングが、結晶形成速度、結晶のサイズ分布、及び結晶収率に影響を与えうる。
【0115】
場合によっては、結晶を調製するために、Apo2L/TRAILタンパク質溶液は、硫酸ナトリウム又は塩化ナトリウムを含有する。場合によっては、塩濃度は約100mM〜約150mMであり、場合によっては、pHは約6〜約9(好ましくは、pHは約6.5〜約8.5)である。
【0116】
Apo2L/TRAIL結晶スラリーは、塩を除去するために洗浄されうる。場合によっては、結晶スラリーは水で洗浄されうる。また、結晶スラリーは低イオン強度に平衡化してもよい。その後、物質を、非経口用製剤として保存又は調製されるために乾燥させてもよい。結晶の乾燥方法には、限定されるものではないが、静的真空乾燥、乾燥空気/N2流により助長される振動、回転又は攪拌運動を伴う真空乾燥、凍結乾燥、スプレー乾燥及び流動床乾燥が含まれうる。
【0117】
乾燥した結晶は、液体製剤に再構成し、非経口注射用に滅菌することができる。また、乾燥した結晶は、皮下又は筋肉内投与用に、高粘度の生物融和性媒体に懸濁させることができる。懸濁媒体は水性又は非水性であってよい。水性懸濁液の例には、セルロースベース系、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、又はポリ乳酸-グリコール酸(PGLA)等のポリマーベース系が含まれる。非水性媒体の例は、N-メチルピロリドン、又は炭酸プロピレン、エタノール等の溶媒に予め溶解させておいたスクロースアセタートイソブチラート(SAIB)である。均一なサイズ分布の懸濁液は、例えばプローブホモジナイザー又はマイクロフルイダイザー(microfluidizer)を使用し、粘性媒体中に乾燥結晶をホモジナイズすることにより調製することができる。
【0118】
使用方法及び他の用途
本発明の一実施態様は、Apo2L/TRAILタンパク質を精製及び保存するための改善された方法を提供することにある。特に、精製方法は、Apo2L/TRAIL結晶化に使用され、該結晶は保存のために乾燥させることができる。本方法は、例えば、複数のカラム精製を必要とする精製プロトコルに対する効果的、効率的でコスト削減可能な代替法を提供する。結晶性物質を乾燥させることで、比較的低容量で、バルク容器内における精製された物質の凍結、及び凍結したバルク物質の解凍が回避され、効果的な方法でバルク保存することができる。
【0119】
本方法において、Apo2L/TRAIL製剤、例えば組換え的に発現するApo2L/TRAILタンパク質を含有する細胞ペーストが提供される。場合によっては、必要ではないが、細胞ペーストはプロセシング(例えば、一又は複数の還元剤、例えばDTT又はBMEに暴露させてもよい)、又は当該分野で公知の任意の適切な方法、例えば陽イオン交換クロマトグラフィー法を使用して部分的に精製してよい。陽イオン交換クロマトグラフィー物質は、場合によってはSP-セファロース、CM-セファロース、又はマクロ-プレップ・セラミックHS樹脂であってよい。製剤においてプロセシング又は部分的に精製されたApo2L/TRAILは、ここで記載された方法を使用し、攪拌度合い及び温度を低下させることによって、結晶化形態、例えば過飽和溶液にすることができる。ついで、結晶を収集し、バッファー(又は水)(好ましくは、約2〜8℃の温度の冷バッファー)で洗浄してよい。洗浄された結晶は、周囲温度で再懸濁されるか、又は再溶解させることができる。
【0120】
再溶解したApo2L/TRAILは、さらに、疎水性の相互作用クロマトグラフィーで精製し、再結晶化させ、洗浄し、湿った結晶性バルク物質として保存することができる。
また、疎水性の相互作用又は他のクロマトグラフィー工程は、簡単な再結晶化を選んで省略してもよい。湿った結晶性バルク物質は、−20℃で保存されるか、又は周囲温度(室温)、もしくは2−8℃で保存するために乾燥させることができる。好ましくは、乾燥した結晶性物質は、上述したコハク酸アルギニン含有製剤に再溶解される。場合によっては、このような製剤は、滅菌濾過されるか、及び/又は個々の投薬バイアルに充填されるか、後の再構成又は懸濁のために凍結乾燥することができる。場合によっては、乾燥された結晶性製剤は、バイアルにパウダーとして充填することもできるし、溶液又は懸濁液にすることもできる。
【0121】
ここで記載したApo2L/TRAIL製剤は、種々の治療又は非治療用途に使用することができる。これらの用途としては、疾患、例えば癌、免疫に関連した病状、ウイルス性の病状を治療する方法を挙げることができる。このような治療及び非治療用途は、例えば国際公開第97/25428号、国際公開第97/01633号、及び国際公開第01/22987号にさらに記載されている。
【0122】
ここに開示した製剤を使用して疾患を治療する本発明の方法では、Apo2L/TRAIL製剤は、注入又は注射を含む、任意の適切な技術により、哺乳動物に直接投与することができる。特定の投与経路は、Apo2L/TRAILの使用による、知覚又は予想される任意の副作用を含む、患者の医薬履歴、及び是正する特定の疾患などに依存するであろう。非経口投与の例には、組成物の皮下、筋肉内、静脈内、動脈内及び腹膜内投与が含まれる。製剤は、好ましくは繰り返し静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、又は筋肉内(i.m.)注射又は注入、頭蓋内注入として、あるいは鼻内又は肺内送達に適したエアロゾル製剤として投与される(肺内送達については、例えば欧州特許第257956号を参照)。
【0123】
注射の浸透圧は、皮下及び筋肉内注射において重要であり得る。注射用溶液が低張又は高張であると、注入時に、患者に痛みが生じるおそれがある。通常、ここで治療用の注射用製剤は、注射用溶液の相対浸透圧が約300mosm〜約600mosmになるようにされることが好ましい。
【0124】
また、Apo2L/TRAILは徐放性製剤の形態で投与することもできる。徐放性製剤の好適な例は、タンパク質を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、当該マトリクスは成形物、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリクスの例は、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース)、非水性媒体にスクロース-アセタート-イソブチラート(SABERTM)が入ったもの、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリラート)(Langer等, J. Biomed. Mater. Res., 1981, 15: 167-277 及びLanger, Chem. Tech., 1982, 12: 98-105又はポリ(ビニルアルコール) )、ポリラクチド(米国特許第3773919号、欧州特許第58481号)、L-グルタミン酸及びガンマエチル-L-グルタマートのコポリマー(Sidman等, Biopolymers, 1983, 22: 547-556 )、非分解性エチレン-酢酸ビニル(Langer等, 上掲)、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLupron Depot(乳酸-グリコール酸コポリマ及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能な微小球)、及びポリ-D-(−)-3-ヒドロキシブチル酸(欧州特許第133988号)を含む。
全身作用性の薬剤を送達せしめる任意の一方法は、連続注入(例えば、徐放性装置又はミニポンプ、例えば浸透圧ポンプ又は皮膚パッチ)、又は注射(例えば、単一ボーラス投与を含む、静脈内又は皮下手段を使用する)による投与に係る。
【0125】
組成物は、個々の患者の臨床的状態、組成物の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び実務者に公知の他の要因を考慮に入れ、良好な医療行為に矛盾することのない様式で調製され、投薬されるであろう。ここでの目的において、各成分の「有効量」はこのような考察に決定され、哺乳動物に対するApo2L/TRAIL又は他の薬剤の生物学的利用能に帰着する量である。
一般的な提案として、投与されるApo2L/TRAILポリペプチドの全製薬的有効量は、上述したように、患者の体重kgをベースにして約1mg/kg/日〜約20mg/kg/日の範囲であり、これは、治療的裁量に従う。
【0126】
注射が好ましいが、連続注入のための注入装置を使用してもよい。また、静脈内バッグ溶液を使用してもよい。
さらに付加的な治療が本方法において使用され得ることを考慮する。一又は複数の他の治療には、限定されるものではないが、放射線治療、サイトカイン(類)、成長阻害剤(類)、化学治療剤(類)、細胞傷害剤(類)、チロシンキナーゼインヒビター、ラスファルネシルトランスフェラーゼインヒビター、血管形成インヒビター、サイクリン依存性キナーゼインヒビターで、当該分野で公知であり、上のセクションIに詳細に記載されているものの投与が含まれる。さらに、治療は、RituxanTM又はHerceptinTM等の腫瘍抗原を標的にする治療用抗体、並びに抗-血管形成抗体、例えば抗VEGF、又はApo2Lレセプター、例えばDR5又はDR4を標的にする抗体をベースにしている。
【0127】
このような化学治療剤の調製と用量スケジュールは、製造者の指示書に従って使用されるか、熟練した実務者により経験的に決定されて使用される。このような化学治療の調製と用量スケジュールは、Chemotherapy Service Ed., M.C. Perry, Williams & Wilkins, Baltimore, MD (1992)にも記載されている。
また、他の抗原に対する抗体、例えばCD20、CD11a、CD18、CD40、ErbB2、EGFR、ErbB3、ErbB4、血管内皮因子(VEGF)、又は他のTNFRファミリーのメンバー(例えば、DR4、DR5、OPG、TNFR1、TNFR2)に結合する抗体を投与することも好ましい。別法として、あるいは付加的に、ここに開示した同一の又は二又はそれ以上の異なる抗原に結合する二又はそれ以上の抗体を患者に同時投与してもよい。しばしば、患者に一又は複数のサイトカインを投与することも有利である。一実施態様では、Apo2L/TRAIL製剤は、成長阻害剤と同時投与され得る。
【0128】
Apo2L/TRAILは、このような他の薬剤と同時に、又は連続して投与されてもよい。例えば、Apo2L/TRAIL製剤は前処理(このような任意の他の薬剤の投与前)として、例えば、さもなければApo2L/TRAILのアポトーシス効果に耐性のある癌細胞の前処理として投与されてもよい。
【0129】
また本発明は、ここで記載された製剤を収容するキットを提供する。典型的なキットは、上述した一又は複数の賦形剤にApo2L/TRAILのための容器、好ましくはバイアル;及び使用者にApo2L/TRAIL製剤の使い方を指示する使用説明書、例えば製品挿入物又はラベルを具備する。これにより、好ましくは製薬用製剤が提供される。好ましくは、製薬用製剤は癌又は免疫に関連した病状を処置するためのものである。適切な容器には、例えばボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管が含まれる。容器はガラス又はプラスチックのような様々な材料で形成することができる。容器は疾患の診断又は処置に有効なApo2L/TRAIL製剤を収容しており、滅菌したアクセスポートを有している(例えば、容器は皮下注射針により貫通可能なストッパーを具備する静脈溶液用のバック又はバイアルであってよい)。容器上の又は容器に伴うラベルには、製剤が、選択された疾患の診断又は処置に使用されることが示されている。製造品は、注射用水、製薬的に許容可能な溶液、塩水、リンガー液、又はデキストロース溶液を収容する第2の容器をさらに具備する。さらに、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用指示書を含むパッケージ挿入物を含む、市販及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含んでいてもよい。
全ての特許、特許出願、出版物、製品についての記載、及びプロトコルは、この出願を通して引用され、その開示は、それらの全てが参照としてここに取り込まれる。
【0130】
(実施例)
以下の実施例は例示目的のためにのみ提供されるものであって、本発明の範囲を決して限定することを意図したものではない。実施例に示されている市販試薬は、特に記載しない限りは、製造者の使用説明書に従い使用した。以下の実施例及び明細書を通して、ATCC受託番号により特定されたそれらの細胞の供給源は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、マナッサス、バージニア州である。
製剤を調製し、治療、診断及び/又は商業上の観点から所望の特徴を有するApo2L/TRAIL製剤を同定するためのアッセイを行った。特に、本出願人は、特に少なくとも20mg/mlまでの濃度で生物学的に活性なApo2L/TRAILの溶解度を高め、2-8℃又は周囲温度での保存時に安定性を付与する条件、及び製剤の成分を同定することを探求した。また本出願人は、タンパク質の天然の非共有三量体含有量、電荷分布、及び/又は保存中に生物学的活性を保持し得る、診療所で使用するためのApo2L/TRAIL製剤を同定することを探求した。
【0131】
実施例1:高められた溶解度及び安定性を有するApo2L/TRAILの液体製剤
アミノ酸114−281(図1を参照)からなるApo2L/TRAILタンパク質は、APプロモーターの制御下で大腸菌において発現させられ(2001年1月4日に公開された国際公開第01/00832号の実施例8(セクションA)に記載されている調製及び発現)、陽イオン交換、ヒドロキシアパタイト、及び疎水性の相互作用クロマトグラフィー(国際公開第01/00832号、実施例8、セクションC)からなる3つのクロマトグラフィー工程により大腸菌の細胞溶解物から精製された。第3のクロマトグラフィー分離において、Apo2L/TRAILタンパク質を、600mMの硫酸ナトリウム又は400mMの硫酸アンモニウム、50mMのTris、pH7.5で溶出させた。ついで、タンパク質を、表1に列挙した種々の製剤用賦形剤と、透析によりバッファー交換し、次にCentricon-10濾過を使用し、周囲温度で20mg/mLの濃度まで濃縮した。ついで、試料を0.22ミクロンのフィルターに通して濾過し、2−8℃又は30℃で保存し、溶解度及び安定性を評価した。
【0132】
表1に示されるように、約20の異なる賦形剤を試験した。以下に示すもの以外は、一般的商業的供給源(Sigma, Mallindkrodt)からの高純度のNF、USP又はEP等級の賦形剤を使用した:アルファ,アルファ-トレハロースジヒドラート(Phanstiehl又はSenn)、スクロース(Pfanstiehl)、カプチソールTM(Cydex)、アルギニンフリー塩基(Ajinomoto又はKyowa Hakko Kogyo)。当初の賦形剤スクリーニングに使用される基準としては、1)2-8℃での溶解度(バイアルに充填する前のバルク製剤の保存条件)、2)製造スケールの限外濾過及びダイアフィルトレーション工程下での溶解度、3)短期間での、液体の安定性及び凍結-解凍の安定性、及び4)凍結乾燥製剤の物理学的安定性が含まれる。2−8℃での溶解度は、1ヶ月までの定期的な視覚的アセスメントにより評価し、278nmでの減衰係数1.53を使用し、UV分光スキャンにより確認した。
表1には、比較的高いイオン強度である条件を有する賦形剤が、2−8℃において、10mg/ml以上のApo2L/TRAIL濃度で溶解度をもたらすことが示されている。
【表1】
【0133】
ついで、短期間(30℃で1週間の保存期間)の液体安定性を、約20mg/mlの濃度でApo2L/TRAILの溶解度をもたらした表1に示すいくつかの製剤に対して評価した。短期間での安定性を、濁度の視覚的アセスメント、製剤中の天然の三量体及び凝集体の量を測定するためのサイズ排除HPLC、及び電荷分布を測定するためのイオン交換HPLC(IEX)により評価した。SECはセファロース12カラム(Pharmacia)及び13mMのリン酸ナトリウム、400mMの硫酸アンモニウム(pH6.5)を使用して実施し、移動相を0.6ml/分の速度で流した。IEXは40℃でProPac WCX-10カラムを使用して実施し、NaCL勾配を0.5ml/分の速度で流した。
結果を図2に示す。硫酸ナトリウム、酒石酸アルギニン、カプチソールTM、及び酢酸ナトリウムの製剤が一又は双方のアッセイ(図2)において、最も高い安定性を示した。
【0134】
実施例2:アルギニン塩を含有する凍結乾燥Apo2L/TRAIL製剤
本出願人は、アルギニン塩を含有するApo2L/TRAIL製剤を、限外濾過又はダイアフィルトレーション により、>20mg/mLタンパク質まで、容易に濃縮することができることを見出した。タンパク質のApo2L/TRAIL 114−281アミノ酸形態のある種のインビボ薬物動態学液特性のために、本出願人は≧20mg/mlのApo2L/TRAILタンパク質を含有する安定した製剤を同定することを特に探求した。
【0135】
製薬的及び商業的に有益な凍結乾燥製品を提供するアルギニン塩を同定するために、種々のアルギニン塩を含有するビヒクル製剤の物理的安定性を評価した。アルギニン塩は、0.5Mのアルギニンフリー塩基を種々の酸(表2に示す)で滴定することにより調製し、20mMのTrisにおいてpH7の溶液を生じた。2mlの製剤を5ccのガラスバイアルに充填し、保存的に長いフリーズドライ(凍結乾燥)サイクルにかけた(−50℃で凍結、0℃で一次乾燥、及び42℃で二次乾燥)。また溶液の浸透圧(凍結乾燥前)を蒸気圧降下法を使用して測定し、臨床での設定においてIV投与するのに適した製剤を特定した。
【0136】
表2には、ポリアニオン性の有機又は無機酸を含有する凍結乾燥製剤が、モノアニオン性の酸を使用して調製されたものよりも、より望ましい物理的安定性を示すことが示されている。ポリアニオン性塩の凍結乾燥製品は、溶融し、ゲル化し、つぶれた、有窓の、卵状の、又は粉砕した外殻構造(表2においては「いいえ」と示す)というよりはむしろ、固体状で無傷の乾燥ケーキに見える(表2においては「はい」と示す)。
さらに、ポリアニオン性の酸の0.5Mアルギニン塩は、モノイオン性のアルギニン塩(例えば0.5Mの乳酸アルギニンは3.1x高浸透圧溶液を付与する)、及び良好な溶解度及び液体安定性を示す他の比較的高イオン強度の製剤のいくつか(例えば、0.5Mの酢酸ナトリウムは3.4倍の高浸透圧溶液を付与する)とは異なり、IV投与に適した浸透圧(2倍高浸透圧未満)を示す。
【表2】
【0137】
ついで、表2で報告された研究で得られた結果に基づき、いくつかの凍結乾燥Apo2L/TRAIL含有製剤を、種々の温度で保存した後、タンパク質の生化学的安定性を評価した。Apo2L/TRAIL(残基114−281;実施例1に記載したようにして調製)を、限外濾過/ダイアフィルトレーションにより、0.5Mの酒石酸アルギニン又はクエン酸アルギニン中で10mg/ml、もしくは8%のスクロース又はトレハロース中で3mg/mlに調製した。これら全ての製剤は、20mMのTris、pH7.0、及び0.01%のポリソルベート20を含有している。ついで試料を上述したようにして凍結乾燥した。安定性は、SEC(実施例1に記載)を使用して天然の三量体及び凝集体の含有量、及びIEX(実施例1に記載)を使用して電荷分布を測定することにより評価した。
【0138】
40℃で4ヶ月保存した後、三量体の%及びIEX主ピークの%を、−70℃で保存した凍結乾燥対照溶液と比較して決定した(図3Aを参照)。図3Aのデータには、アルギニン塩を含有する凍結乾燥製剤は、スクロース又はトレハロースを含有する製剤と比較してより大きな安定性を示すことが示されている。
【0139】
Apo2L/TRAIL製剤の安定性において、アルギニン塩の種類による効果をさらに試験するため、4つの異なるアルギニン塩を含有する20mg/mlのApo2L/TRAIL製剤の液体及び凍結乾燥製剤の双方を、タンパク質の生化学的安定性についてモニターした。液体の安定性は、2-8℃及び周囲温度で、1ヶ月間モニターし(表3)、凍結乾燥されたものの安定性は、50℃で1ヶ月モニターした。
【0140】
実施例1に記載されたSEC及びIEXアッセイを実施することに加えて、変性条件下にてSECによりモニターした(SDS-SEC)。SDS-SECアッセイを、25mMのリン酸ナトリウム、0.1%のSDS、200mMのNaClからなる移動相において、0.6ml/分で流れるTSK-2000XLカラム(TosoHaas)を使用して実施した。50mMのTris(pH7.0)、200mMのNaCl、0.5%のSDS、pH9、及び5mMのヨードアセタミド(Sigma)を付与する溶液で、試料を1mg/mlのタンパク質に希釈した。ついで、HPLC分析の前に、試料を50℃で10分間インキュベートした。
【0141】
また、種々の製剤におけるApo2L/TRAILの生物学的活性を、生存細胞計測のために、SK-MES-1細胞及びアラマーブルー染色を使用して測定した。本アッセイにおいて、Apo2L/TRAIL製剤(2ug/mlで50uL)をアッセイ溶培地(0.1%のウシ血清アルブミン、RPMI1640)に添加し、2倍の滅菌希釈液を96-ウェルプレートに作製した。ついで、50uLのSK-MES-1細胞(ヒト肺癌細胞系、ATCC HTB58)を20000細胞/ウェル密度で、ウェルに添加した。プレートを37℃で24時間インキュベートし、24時間のインキュベート時間の最後の4時間に、アラマーブルーを添加した。染色強度を530nmの励起波長及び590nmの発光波長で、蛍光プレートリーダーにより測定した。0.1〜1000ng/mlのアッセイ範囲におけるデータに適合した4つのパラメーターは、ED50、すなわち50%の細胞の殺害を誘発するApo2L/TRAIL濃度を付与する。細胞殺害の可能性は、ED50の減少と共に増加する。
【0142】
表3に示すように、2−8℃で液体製剤を1ヶ月間保存した後、4つのアルギニン塩含有製剤は、Apo2L/TRAILの品質において、小さな差異しか示さなかった。硫酸アルギニンの製剤は、凝集体の形成度合いが最も高かった。リンゴ酸アルギニンの製剤は、二量体の形成度合いが最も高く、リン酸アルギニン又はリンゴ酸アルギニンの製剤は、IEX主ピーク%の領域において最も大きな変化を示した。
周囲温度で2週間保存した後、硫酸アルギニン及びコハク酸アルギニンの製剤は最も高いレベルの生物学的活性を保持していた(表3)。
全体的に、コハク酸アルギニンの製剤は、液体の状態のApo2L/TRAILが多少優れて安定であることを証明した。
【表3】
【0143】
また、50℃で1ヶ月保存した後、これらのアルギニン塩を含有する凍結乾燥製剤の安定性を、SEC、IEX及びSDS-SEC(上述したプロトコルを使用)により評価した。物理化学的特性に何の変化も観察されず(図3参照)、これはApo2L/TRAILの有意な安定性が、アルギニン塩を含有するApo2L/TRAIL製剤の凍結乾燥を通して達成されたことを示唆している。0.5Mの酒石酸アルギニン、20mMのTris、pH7.0、0.01%のポリソルベート20、0.33mMの硫酸亜鉛における、凍結乾燥された10mg/mlのApo2L/TRAIL製剤の加速された温度安定性を使用したアレニウス特性図を図3Cに示しており、2−8℃で比較的長い有効期間、周囲温度で>2年の有効期間が予測される。本出願人は、20mMのTris、pH7.2、0.5Mのコハク酸アルギニン及び0.02%のポリソルベート20における20mg/mlのApo2L/TRAILを含有する凍結乾燥製剤(「凍結乾燥(lyo)」)が、50℃と同程度に高い温度で少なくとも12ヶ月安定していることを見出した(表4)。IEX主ピークの%における動力学的変化は、図3Cにおいて上述した製剤と同様に、2−8℃(並びに周囲温度)で顕著に長い(>7年)有効期間が得られることが予測される。
【表4】
【0144】
実施例4:Apo2L/TRAIL製剤におけるpHの影響
2001年1月4日に公開された国際公開第01/00832号(また、Hymowitzら, Biochemistry, 39:633-640(2000)も参照)に記載されたように、Apo2L/TRAILタンパク質は、各単量体のシステイン230位において、亜鉛が配位結合したチオールとホモ三量体を形成し、システイン230における分子内ジスルフィド結合の形成の結果、タンパク質の生物学的活性が喪失する。システイン含有タンパク質は、ジスルフィド結合の形成を防止するため、典型的には、チオール基のpKaよりかなり低い、低pHで処方される(例えば、N. Derby及びT. Creighton, 「Disulfide Bonds in Protein Folding and Stability」, Methods in Enzymology, Vol40(B.A. Shirley編;Humana Press Inc, Totowa, NJ), 第10章(1995)を参照)。驚くべきことに、以下に論議する結果が明らかにするように、天然の非共有Apo2L/TRAIL三量体は、pHの減少に伴い減少することが見出された。
【0145】
アミノ酸94−281(図1)からなるApo2L/TRAIL(ここで、また図4において「Apo2L/TRAIL.2」と呼ぶ)を、HICの代わりにNi-キレート化アフィニティークロマトグラフィーを、第3のクロマトグラフィー工程として使用したことを除けば、本質的に国際公開第01/00832号に記載されたようにして調製した。製剤を、10mMのコハク酸ナトリウム(pHは5.5〜6.5の範囲)又は10mMのリン酸ナトリウム(pHは7〜7.5の範囲)中への透析により調製した。これらの製剤の液体安定性を、上述した実施例に記載された手順に従い、SEC及び生物学的活性のアッセイにより評価した。
【0146】
周囲温度での1日の保存の間に、約6.5以下のpHを有する製剤は、三量体含有量及び生物学的活性を喪失した(図4Aを参照)。このpH安定性の特性は、他のApo2L/TRAILタンパク質変異体で観察された。例えば、アミノ酸114−281(図1)からなるポリ-ヒスチジン-タグ化Apo2L/TRAIL製剤(His-Apo2L/TRAIL;本質的に、Ashkenaziら, 「Safety and Antitumor Activity of Recombinant Soluble Apo2 ligand」, JCI, 104:155-162(1999)に記載されたようにして調製)を、10mMのコハク酸ナトリウム(pH5.5〜6)又は10mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5〜7)で調製した。30℃で1週間保存した後、三量体の安定性及び生物学的活性(図4Aの製剤に対して上述したようにして測定)は、pH≧6.5で高められることが見出された。
【0147】
Apo2L/TRAILの結晶構造分析により、システイン230の3つの遊離のチオールに内在性亜鉛原子が配位結合することが、タンパク質の適切な折りたたみ、及び天然構造の安定に必要であることが示された(国際公開第01/00832号、及びHymowitzら, 上掲を参照)。十分に理解されているわけではないが、Apo2L/TRAILの予期しないpH安定性の特性は、チオール部分がより低いpHでプロトン化されるのと同様、三量体における亜鉛結合の喪失に関連していると考えられる(図5を参照)。約6.5〜約8.5の範囲における中性のpHがApo2L/TRAIL製剤の生物学的活性及び物理化学的安定性を維持するのに最も好ましいと考えられる。
【0148】
実施例5:Apo2L/TRAILの安定性に対する界面活性剤の影響
Apo2L/TRAIL製剤の安定性に対する界面活性剤の影響を試験するため、0.5Mのコハク酸アルギニン、20mMのTris、pH7.2、及び種々の濃度のトゥイーン20(0.005%、0.01%、0.02%又は含有しない(対照として))に、20mg/mlのApo2L/TRAIL(114-281タンパク質(図1);実施例1に記載したようにして調製)を含有せしめてなる製剤を調製し、水平に配されたガラスバイアルで、24時間、室温、70rpmで攪拌した。攪拌1時間の間の光散乱の増加度合い(340-360nmの範囲の吸光度で測定)を、トゥイーン20の濃度が0.005%以下に低下した時に観察した(図6)。
よって、非イオン性界面活性剤、例えばトゥイーン20をApo2L/TRAIL製剤に含有せしめることは、空気-水の界面でバルクタンパク質を変性可能な攪拌及び操作に対する安定性を高めるのに好ましいと考えられる。
【0149】
実施例6:Apo2L/TRAIL液体製剤の安定性に対する硫酸亜鉛の効果
残基114−281(図1)からなるApo2L/TRAILタンパク質の液体製剤(実施例1に記載したようにして調製)を、ゼロ、117uM又は330uMの硫酸亜鉛の存在下、20mg/mlのApo2L/TRAIL、0.5Mの酒石酸アルギニン、20mMのTris、pH7.0を使用して調製した。30℃又は2−8℃で2ヶ月保存した後、SEC、IEX、及びSDS-SECにより(実施例1及び2にて上述したように)、−70℃の対照試料に対して評価した。
図7に示すように、提供された製剤に硫酸亜鉛を添加すると、ジスルフィド結合した分子内二量体形成に対する安定性が増加した。硫酸亜鉛は、2-8℃で、Apo2L/TRAIL製剤の安定性に影響を与えないが、より高い温度での二量体の形成に対する安定性は改善された(図7)。
【0150】
実施例7:生物学的活性のある可逆的な結晶化
本出願人は、Apo2L/TRAIL溶解度の低い条件下(例えばイオン強度が中程度から低い)で、タンパク質を結晶化できることを見出した。ここに記載したように、結晶化速度、粒子径及び収率は、有用な精製のための工業的方法、バルク保存、及びApo2L/TRAILの放出性が制御された懸濁製剤を付与するように制御される。
【0151】
残基114−281(図1)からなるApo2L/TRAILタンパク質(実施例1に記載したようにして調製)を、20mMのTris、pH7.2及び種々の濃度の硫酸ナトリウムにおいてNAP5カラム(Pharmacia)溶出を用い、周囲温度で処方した。周囲温度で溶出させた後、時間内、多様な長さの六角形状の結晶を観察した(図8を参照)。試料を付与された温度で3〜4日間回転させ続けたときに、平衡溶解度に達した。約10−15mMのイオン強度で溶解度は最小であった。溶解度は、約0.3Mの硫酸ナトリウムで最大になるまで増加し、ついで塩の限界溶解度に達するまで減少した。パターンは高温の場合と類似していたが、溶解度は温度の増加と共に増加した。数百ミリモルの塩範囲において塩濃度が増加するとタンパク質の溶解度が増加する(よって結晶化を低減させる)という知見は、結晶化の傾向が塩濃度の増加と共に増加する傾向にあるとの、他のタンパク質で一般的に理解されていることとは異なる(例えば、A. Ducruix及びMM Reis-Kautt, 「Solubility Diagram Analysis and the Relative Effectiveness of Different Ions on Protein Crystallization」, METHODS:A Companion to Methods in Enzymology, Vol. 1, pp.25-30(1990)を参照)。
【0152】
図9に示すように、一価のカチオン性塩(例えば塩化ナトリウム)により、最も高い結晶化傾向がもたらされるが、二価の塩(例えば塩化カルシウム及び塩化マグネシウム)では、結晶化がかなり低減された。また、結晶化は正に帯電した(リジン塩及びアルギニン塩)及び負に帯電した(アスパラギン酸)アミノ酸溶液において、0.3モル濃度以下で生じるが(図9参照)、アルギニン塩は、同じイオン強度で結晶化傾向を低減させる。
【0153】
種々の結晶化プロセスのパラメータを同定するために、5mg/mlのApo2L/TRAIL(残基114−281;実施例1に記載したようにして調製)、0.1MのNa2SO4、及び20mMのTris、pH7.2を含有する0.5Lの溶液を、室温から5℃まで冷却する単一工程にかけた。0〜200rpmの範囲の攪拌速度で、4つの実験を行った。上清のApo2L/TRAIL濃度をUV分光法を使用し、10分間隔で測定し、結晶化の進行をモニターした。
【0154】
図10Aには、バルクを50rpm又はそれより早く攪拌した場合、2時間以内に、90%を超える結晶化が完了した。攪拌しないと、比較して結晶化が遅かった。冷却し始めて2日まで、静的結晶化が90%に達しなかった。結晶化速度は、攪拌速度の増加に伴い増加すると思われた。
【0155】
図10Bには、攪拌下におけるApo2L/TRAIL結晶の溶解特性を図示されている。各溶解実験において、同じ加熱速度で、結晶スラリーを5℃〜30−35℃で暖めた。上清におけるApo2L/TRAIL濃度を5分間隔で測定し、溶解速度をモニターした。攪拌速度を50rpm〜200rpmに増加させたときに、結晶溶解速度が増加した。タンクジャケットと結晶スラリーとの間の熱移動速度も、攪拌速度を増加させたときに高まった。100rpmの攪拌速度で、試料温度が約35℃になったとき、30分以内に完全な溶解が達成された。
【0156】
図10Cには、結晶化中の、攪拌速度の関数としての結晶サイズ分布が示されている。結晶サイズ分布は、Malvern MasterSizerX Particle Size Analyzerを使用して測定した。平均直径(D[v, 0.5])は、攪拌速度が増加すると減少し、結晶サイズ分布(D[v, 0.1]〜D[v, 0.9])は早い攪拌でより均質になった。よって、結晶化中に攪拌速度を操作することで、Apo2L/TRAIL結晶の平均直径、並びに結晶サイズ分布が効果的に制御されることが明らかになり、このことは徐放性製剤にとって望ましいとされる。
【0157】
実施例8:Apo2L/TRAIL結晶の乾燥
徐放性製剤又はバルク保存のために、Apo2L/TRAIL結晶を乾燥させることの実施適合性を評価するために、3つの異なる乾燥方法を評価した。
評価した第1の乾燥方法は静的真空乾燥である。Apo2L/TRAIL(アミノ酸114-281;実施例1に記載した方法に従い精製)を、20mMのTris、0.1Mの硫酸ナトリウム、pH7.2中で結晶化させ、冷水で洗浄し、過剰の塩を除去した。結晶スラリーを開講したガラスバイアルに充填し、周囲温度、29-30インチの水銀真空下で一晩乾燥させた。乾燥した結晶を、水又は0.5Mのアルギニン塩、20mMのTris、pH7.2において、2-3mg/ml溶解させた。
【0158】
評価した第2の乾燥方法は振動真空乾燥(SWECO Co.から得られた器具)であり、流れが良好であり、固体のクランピングが低減される。結晶スラリーを20umのフィルターに入れ、バルク液体を除去し、湿った結晶を冷Trisバッファー(20mM、pH7.5)又はエタノール-水の混合物(50%、63%、75%、100%v/v)で洗浄した。洗浄した結晶をフィルターの底から除湿した窒素ガスを通して乾燥させた。フィルターチャンバーの頂部から、わずかに真空(水銀で8-10インチ)にすると乾燥速度が促進される。さらに、湿った結晶を収容しているフィルターチャンバーを1800rpmで振動させ、乾燥プロセス中に、湿った固形物を微細なパウダーに粉砕した。乾燥プロセスを相対湿度センサーを使用してモニターした。乾燥した生成物を、排出ポートから回収した。エタノール-水の混合物での洗浄により、Trisバッファーで洗浄されたものよりも微細でより良好なフローイングパウダーが生成され、ついで、プロセス収率も増加した。これらの結晶を、真空乾燥された結晶で記載されたようにして、緩衝された0.5Mのアルギニン塩に溶解した。
【0159】
評価される第3の乾燥方法は凍結乾燥である。この方法においては、結晶スラリーを冷水で洗浄し、ガラスバイアルに充填した。結晶を静置させた後、過剰のバルク水を除去した。ついで、スラリーを−50℃で凍結させた。一次及び二次乾燥を、−25℃及び0℃でそれぞれ実施した。これらの結晶は良好なフローイングパウダーであり、緩衝された0.5Mのアルギニン塩に容易に溶解した。
【0160】
ついで、溶解した結晶におけるタンパク質の品質を、実施例1及び2で論議したようにして、SEC、SDS-SEC、IEX及び生物活性アッセイを使用して評価した。表5及び図11A-11Bには、異なる方法で乾燥したApo2L/TRAIL結晶が、結晶化されていない凍結した対照液体製剤に対して、生化学的等価性を保持していることが示された。
【表5】
上記データより、Apo2L/TRAILの結晶化、及び続く物質の乾燥が、タンパク質の構造又は機能に悪影響を与えていないことが示唆される。
【0161】
実施例9:硫酸ナトリウム中の結晶含有Apo2L/TRAILの凍結乾燥製剤
結晶含有Apo2L/TRAILの保存安定性を評価するために、20mMのTris、pH7−7.5、0.2−0.5Mの硫酸ナトリウム、及び0.01−0.05%のトゥイーン20において、結晶性Apo2L/TRAIL(残基114−281)を用いて調製した。試料を種々の温度で4ヶ月間保存した。滅菌水で再構成後、実施例1及び2に記載されたSEC、IEX及びSDS-SECアッセイを使用し、製剤の物理化学的安定性をテストした。表6には、0.2Mの硫酸ナトリウム、20mMのTris、pH7.2、0.01%のトゥイーン20において、3ヶ月保存した後の、20mg/mlのApo2L/TRAIL製剤のデータをまとめた。
【表6】
【0162】
疑似一次分解動力学を仮定して、アレニウス特性は、2−8℃でのこの製剤の有効期間が2年よりかなり長いことを予測している(図12を参照)。これらの製剤は、Apo2L/TRAILの透明液体として充填されているが、凍結乾燥サイクルの凍結部分中、種々の程度で結晶化し、結晶化されたApo2L/TRAIL及び硫酸ナトリウムを含有する乾燥製剤が、長期間の保存安定性を有することが示されている。
【0163】
実施例10:回収及び精製方法としてのApo2L/TRAILの結晶化
硫酸ナトリウム溶液におけるApo2L/TRAILの結晶化傾向を、大腸菌抽出物からのApo2L/TRAILタンパク質を精製する手段として使用した。タンパク質の品質に悪影響を与えることなく、組換えApo2L/TRAILを回収及び精製するために次のプロトコルを使用することができる。
大腸菌(実施例1に記載)から得られ、収穫された全細胞ブロスを1.5MのHepes(又は1.5MのTris)を用いてpH7.5に調節し、ついでホモジナイザー(Gaulin corporation, Everett, MA)でホモジナイズした。ホモジェネートを5mMのDTTで整調し、0.1%のポリエチレンイミンで1−2時間凝集させた。凝集した物質を、BTPX205(Alfa Laval Separation AB, Sweden)連続フィード遠心分離器で遠心分離し、デプス濾過により浄化した。ついで、浄化された細胞溶解物を、50mMのHepes(又は50mMのTris)/0.05%のトリトン-X100/1mMのDTT、pH7.5で平衡にされた陽イオン交換カラム(SP-Sepharose FF陽イオン交換樹脂、Amersham Pharmacia, Sweden)に充填した。Apo2L/TRAILはカラムに結合し、一方、非結合タンパク質はカラムを通って流れ、280nmの吸光度が基線に達するまで、平衡バッファーで洗浄することにより除去した。ついで、平衡バッファーにおいて、0.1MのNaCl3カラム容量で洗浄した。Apo2L/TRAILを、50mMのHepes、Tris及びトリエタノールアミン、0.05%のトリトン-X100、及び1mMのDTTバッファー、pH7.8において、0.1MのNaCl(又は0.1MのNa2SO4)を使用し、段階溶出させた。
【0164】
周囲温度でSPカラムから収集されたApo2L/TRAILプールを、加熱及び冷却のため、分離ジャケットを具備するステンレス鋼製タンクに配した。結晶化されたタンパク質を最大回収するために、円錐状の底部及びフラッシュボトムバルブをタンクに装備した。適度な混合条件下で、マリン・タイプのインペラーを使用し、プールを攪拌した。温度制御スキッドを使用し、1時間以上かけて、約25℃〜約4℃まで、直線的に温度勾配をつけた。プールが4度に達した後、数分の間に、自然発生的な結晶化が観察された。これらの条件下で12時間以上経過した後、平衡溶解度がほぼ確立された時に結晶化が完了した。ついで、20umのポリプロピレンフリットを含有する濾過アセンブリに、結晶を捕獲した。フィルター表面に結晶を付着した後、結晶を冷蔵された20-50mMのTris、pH7.5で洗浄した。ついで、Apo2L/TRAILのSPプール容量と比較して同量の洗浄用バッファーを使用し、付着した結晶から、残留していた母液(上清)を除去した。洗浄に続き、約30℃で結晶床を通して溶解バッファーを再循環させることにより、100mMの硫酸ナトリウム/20mMのTris、pH7.5に結晶を溶解させた。結晶の溶解は、約4時間以内に観察された。ついで、溶解し、精製されたApo2L/TRAILを容器内に滅菌濾過し、−70℃で凍結させて保存した。
【0165】
Apo2L/TRAIL製剤の純度を、全大腸菌タンパク質(ECP)のELISAアッセイ、リムルスアメーバ状細胞溶解物(LAL)アッセイ、及びSDS-PAGE銀染色により測定した。親和精製されたヤギの抗-全ECP抗体を、マイクロタイタープレートウェルに固定し、試料、ついでホースラディッシュペルオキシダーゼ-共役ECPをインキュベートすることによりECPアッセイを実施した。ついで、ペルオキシダーゼの酵素活性を、o-フェニレンジアミンを用い、マイクロタイタープレートリーダーで490nmの吸光度を読むことにより定量した。内毒素レベルを、リムルスアメーバ状細胞塊溶解物(LAL)アッセイを使用して測定した。SDS-PAGE銀染色を、0.1%のSDSを含有するTris-グリシンバッファーにおいて、10〜20%の勾配を有するポリアクリルアミドゲル(Daiichi Pure Chemicals)で実施した。染料の前線がゲルの底部近傍に達するまで、50mAの定電流にて電気泳動を実施した。ゲルを固定し、クーマシーブリリアントブルー又はメリル銀染色法により染色した。
【0166】
タンパク質の品質を、実施例1及び2に記載した方法に従い、SEC、SDS-SEC、IEX及び生物活性により評価した。
60Lの発酵スケールにて、上述した結晶化法を使用し、回収されたApo2L/TRAILの純度及び品質を表7に示す。比較のため、実施例1に記載された3つのクロマトグラフィー工程により精製された参照標準体を示す。
【表7】
【0167】
表7及び図13に示すように、製造規模におけるApo2L/TRAIL製剤は、治療用途に適した高準純度を有する。特に、Apo2L/TRAILと共精製される傾向にある、10kDaの大腸菌DNA結合タンパク質を、結晶化プロセスにより除去した。データには、「一カラム」工程で精製されたApo2L/TRAILタンパク質は結晶化に敏感で、実施例1に記載された3カラム精製法で精製されたApo2L/TRAILタンパク質に匹敵するか、又はこれよりも良好な純度を有することが示されている。図14には、一カラム工程で精製されたApo2L/TRAILの結晶化における、塩の種類の影響が示されている。二価のカチオンによる結晶化の「毒作用」が、図9に示した>99%精製されたApo2L/TRAILで観察されたものと同様、部分的に精製されたApo2L/TRAIL(図14)でも観察された。
【0168】
また、Apo2L/TRAILの生化学的特性は、部分的に精製されたApo2L/TRAILの結晶化によって悪影響を受けなかった(表7を参照)。データには、部分的に精製された状態で、組換え発現したApo2L/TRAILの結晶化が、その精製の効果的、効率的でコスト効率のよい手段とすることができることを示唆している。場合によっては、実施例8又は9に記載したように、徐放性製剤、又は保存のための乾燥したバルクの調製に、このような結晶を使用することができる。
【0169】
本発明は、ここに記載した特定の実施態様により、その範囲が限定されるものではない。実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に変更することは、前記の記載及び付随する図から当業者にとっては明らかなものである。このような変更は、添付の特許請求項の範囲に入ることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】図1は、ヒトApo2L/TRAILcDNAのヌクレオチド配列(配列番号:2)とその誘導されたアミノ酸配列(配列番号:1)を示す。ヌクレオチド位置447(配列番号:2中)の「N」は、ヌクレオチド塩基が「T」又は「G」であってよいことを示すために使用される。
【図2】図2は、30℃で1週間保存した後の種々のApo2L/TRAIL製剤に対するデータ(残留している三量体の%及び残留しているIEX主ピークの%)を示す。
【図3A】図3Aは、40℃で4ヶ月保存した後の種々のApo2L/TRAIL製剤に対する(残留している三量体の%及び残留しているIEX主ピークの%)を示す。
【図3B】図3Bは、50℃で1ヶ月保存した後の種々のApo2L/TRAIL製剤に対するデータ(残留している三量体の%、単量体の%、及び残留しているIEX主ピークの%)を示す。
【図3C】図3Cは記載されたApo2L/TRAIL製剤の有効期間を予測するアレニウスプロットを示す。
【図4】図4A−4Bは、様々なpHでの2つの異なった製剤の生物活性%及び三量体の%のグラフを示す。
【図5】図5は、Apo2L/TRAILの構造と、内在性亜鉛分子による配位構造を例証する。
【図6】図6は、Apo2L/TRAIL製剤の安定性に対する種々の濃度のポリソルベートの効果を示す。
【図7】図7は、Apo2L/TRAIL製剤の安定性に対する種々の濃度の亜鉛の効果を示す。
【図8】図8は、硫酸ナトリウム製剤中でのApo2L/TRAILの平衡溶解度と結晶化を示す。
【図9】図9は、種々の塩濃度中のApo2L/TRAILの平衡溶解度及び結晶化を示す。
【図10A】図10Aは、Apo2L/TRAILの結晶化に対する攪拌速度の影響を示す。
【図10B】図10Bは、攪拌下にあるApo2L/TRAIL結晶の溶解特性を示す。
【図10C】図10Cは、Apo2L/TRAIL結晶のサイズ分布に対する攪拌速度の影響を示す。
【図11A】図11Aは、真空乾燥結晶の再構成後のApo2L/TRAILのIEX特性を示す。
【図11B】図11Bは、真空乾燥結晶の再構成後のApo2L/TRAILの生物活性を示す。
【図12】図12は、記載されたApo2L/TRAIL製剤の有効期間を予測するアレニウスプロットを示す。
【図13】図13は、記載されたApo2L/TRAIL製剤の純度を示すSDS-PAGE銀染色ゲルを示す。
【図14】図14は、Apo2L/TRAILの結晶化に対する、種々の塩の影響を示す。
【発明の開示】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、Apo2L/TRAIL製剤に関する。特に、このようなApo2L/TRAIL製剤には、凍結乾燥された結晶組成物が含まれる。
【0002】
(発明の背景)
様々な分子、例えば腫瘍壊死因子-アルファ(「TNF-α」)、腫瘍壊死因子-ベータ(「TNF-β」すなわち「リンホトキシン-アルファ」)、リンホトキシン-ベータ(「LT-ベータ」)、CD30リガンド、CD27リガンド、CD40リガンド、OX-40リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド(Fasリガンド又はCD95リガンドとも称される)、Apo-2リガンド(Apo2L又はTRAILとも称される)、Apo-3リガンド(TWEAKとも称される)、APRIL、OPGリガンド(RANKリガンド、ODF又はTRANCEとも称される)、及びTALL-1(B1yS、BAFF又はTHANKとも称される)は、サイトカインの腫瘍壊死因子(「TNF」)ファミリーのメンバーとして同定されている[例えば、Gruss及びDower, Blood, 85:3378-3404(1995);Schmidら, Proc. Natl. Acad. Sci., 83:1881(1986);Dealtryら, Eur. J. Immunol., 17:689(1987);Pittiら, J. Biol. Chem., 271:12687-12690(1996);Wileyら, Immunity, 3:673-682(1995);Browning等, Cell, 72:847-856 (1993);Armitage等, Nature, 357:80-82 (1992)、1997年1月16日に公開された国際公開第97/01633号;1997年7月17日に公開された国際公開第97/25428号;Marstersら, Curr. Biol., 8:525-528(1998);Chicheporticheら, Biol. Chem., 272:32401-32410(1997);Hahneら, J. Exp. Med., 188:1185-1190(1998);1998年7月2日に公開された国際公開第98/28426号;1998年10月22日に公開された国際公開第98/46751号;1998年5月7日に公開された国際公開第98/18921号;Mooreら, Science, 285:260-263(1999);Shuら, J. Leukocyte Biol., 65:680(1999);Schneiderら, J. Exp. Med., 189:1747-1756(1999);Mukhopadhyayら, J. Biol. Chem., 274:15978-15981(1999)を参照のこと]。これらの分子のなかでも、TNF-アルファ、TNF-ベータ、CD30リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド、Apo-2リガンド(Apo2L/TRAIL)及びApo-3リガンド(TWEAK)は、アポトーシス性細胞死に関与していることが報告されている。
【0003】
Apo2L/TRAILは、サイトカイン類のTNFファミリーのメンバーとして、数年前に同定されている[例えば、Wileyら, Immunity,3:673-682(1995);Pittiら, J. Biol. Chem., 271:12697-12690(1996)]。全長ヒトApo2L/TRAILポリペプチドは、281アミノ酸長さのII型膜貫通タンパク質である。いくつかの細胞は、ポリペプチドの細胞外領域の酵素的切断を通して、天然の可溶化型を生じる[Marianiら, J. Cell. Biol., 137:221-229(1997)]。可溶化型のApo2L/TRAILの結晶学的研究により、TNF及び他の関連タンパク質の構造に類似したホモ三量体構造が明らかになった[Hymowitzら, Molec. Cell, 4:563-571(1999);Hymowitzら, Biochemistry, 39:633-644(2000)]。しかしながら、他のTNFファミリーのメンバーとは異なり、Apo2L/TRAILは、3つのシステイン残基が(ホモ三量体における各サブユニットの230位において)、一緒になって亜鉛原子と配位しており、亜鉛の結合が三量体の安定性及び生物学的活性にとって重要なものである点で、独自の構造的特徴を有していることが見いだされている[Hymowitzら, 上掲;Bodmerら, J. Biol. Chem., 275:20632-20637(2000)]。
【0004】
Apo2L/TRAILは、自己免疫疾患、例えば関節リウマチを含む免疫系の調節、及びHIVの治療において所定の役割を担っていることが文献において報告されている[例えば、Thomasら, J. Immunol., 161:2195-2200(1998);Johnsenら, Cytokine, 11:664-672(1999);Griffithら, J. Exp. Med., 189:1343-1353(1999);Songら, J. Exp. Med., 191:1095-1103(2000);Jeremiasら, Eur. J. Immunol., 28:143-152(1998);Katsikisら, J. Exp. Med., 186:1365-1372(1997);Miuraら, J. Exp. Med., 193:651-660(2001)を参照]。
【0005】
また、可溶化型のApo2L/TRAILは、結腸、肺、乳房、前立腺、膀胱、腎臓、卵巣及び脳の腫瘍、並びにメラノーマ、白血病、及び多発性骨髄腫を含む、インビトロでの多様なガン細胞においてアポトーシスを誘発させることが報告されている[例えば、Wileyら, 上掲;Pittiら, 上掲;Riegerら, FEBS Letters, 427:124-128(1998);Ashkenaziら, J. Clin. Invest., 104:155-162(1999);Walczakら, Nature Med., 5:157-163(1999);Keaneら, Cancer Research, 59:734-741(1999);Mizutaniら, Clin. Cancer Res., 5:2605-2612(1999);Gazitt, Leukemia, 13:1817-1824(1999);Yuら., Cancer Res., 60:2384-2389(2000);Chinnaiyanら., Proc. Natl. Acad. Sci., 97:1754-1759(2000)を参照]。さらに、ネズミ科動物の腫瘍モデルにおけるインビボ研究では、Apo2L/TRAILは、単独で、又は化学療法もしくは放射線治療と組合せて、かなりの抗腫瘍効果を発揮できることが示唆されている[例えば、Ashkenaziら, 上掲;Walzcakら, 上掲;Gliniakら, Cancer Res., 59:6153-6158(1999);Chinnaiyanら, 上掲;Rothら, Biochem. Biophys. Res. Comm., 265:1999(1999)を参照]。多くの種類の癌細胞に対して、殆どの正常なヒトの細胞型は、Apo2L/TRAILのある種の組換え体により誘発されるアポトーシスに対して耐性があると思われる[Ashkenaziら, 上掲;Walzcakら, 上掲]。Joらは、ポリヒスチジンタグ化された可溶型のApo2L/TRAILが、インビトロにおいて、単離された正常なヒト肝細胞ではアポトーシスを誘発するが、非ヒト肝細胞では誘発しないことを報告している[Joら, Nature Med., 6:564-567(2000);さらにNagata, Nature Med., 6:502-503(2000)を参照]。また、ある種の組換えApo2L/TRAIL製剤は、異常細胞対正常細胞に対する生化学的特性及び生物学的活性に関し、例えばタグ分子の有無、亜鉛含有量、及び三量体含有%に応じて変化し得ると考えられている[Lawrenceら, Nature Med., Letter to the Editor, 7:383-385(2001);Qinら, Nature Med., Letter to the Editor, 7:385-386(2001)を参照]。
【0006】
このようなTNFファミリーのサイトカインが介在する種々の細胞反応誘導は、特異的な細胞レセプターに結合することにより開始されると考えられている。以前、約55kDa(TNFR1)と75kDa(TNFR2)の2つの異なるTNFレセプターが同定されている[Hohman等, J. Biol. Chem., 264:14927-14934(1989);Brockhaus等, Proc. Natl. Acad. Sci., 87:3127-3131(1990);1991年3月20日に公開された欧州特許第417563号;Loetscher等, Cell, 61:351(1990);Schall等, Cell, 61:361(1990);Smith等, Science, 248:1019-1023(1990);Lewis等, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:2830-2834(1991);Goodwin等, Mol. Cell. Biol., 11:3020-3026(1991)]。これらのTNFRは細胞外、膜貫通及び細胞内領域を含む細胞表面レセプターの典型的な構造を共有していることが分かった。双方のレセプターの細胞外部分はまた可溶型TNF結合タンパク質として天然に見出される[Nophar, 等, EMBO J., 9:3269(1990);及びKohno, T等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 87:8331(1990);Hale等, J. Cell. Biochem. 増補15F, 1991, p.113(P424)]。
【0007】
1型又は2型のTNFR(TNFR1及びTNFR2)の細胞外部分は、NH2-末端から出発して、1から4とされる4つのシステインに富んだドメイン(CRD)の反復アミノ酸配列パターンを含む[Schall等, 上掲;Loetscher等, 上掲;Smith等, 上掲;Nophar等, 上掲;Kohno等, 上掲;Banner等, Cell, 73:431-435(1993)]。CRDの類似の反復パターンが、p75神経成長因子レセプター(NGFR)[Johnson等, Cell, 47:545(1986);Radeke等, Nature, 325:593(1987)]、B細胞抗原CD40[Stamenkovic等, EMBO J., 8:1403(1989)]、T細胞抗原OX40[Mallet等, EMBO J., 9:1063(1990)]及びFas抗原[Yonehara等, 上掲、及びItoh等, Cell, 66:233-243(1991)]を含む幾つかの他の細胞表面タンパク質に存在している。また、CRDはショープ(Shope)及び粘液腫ポックスウィルスの可溶型TNFR(sTNFR)様のT2タンパク質にも見出されている[Upton等, Virology, 160:20-29(1987);Smith等, Biochem. Biophys. Res. Commun., 176:335(1991);Upton等, Virology, 184:370(1991)]。これらの配列の最適なアラインメントは、システイン残基の位置が良好に保存されていることを示している。これらレセプターは、しばしば集合的に、TNF/NGFレセプタースーパーファミリーのメンバーと称される。
【0008】
リンホトキシン-ベータを除き、今日までに同定されているTNFファミリーのリガンドはII型の膜貫通タンパク質であり、そのC末端は細胞外にある。これに対して、今日までに同定されているTNFレセプター(TNFR)ファミリーのほとんどのレセプター類はI型の膜貫通タンパク質である。しかしながら、TNFリガンド及びレセプターファミリーの双方において、ファミリーメンバー間で同定された相同性は、主として細胞外ドメイン(「ECD」)において見出されている。TNF-アルファ、Apo-1リガンド及びCD40リガンドを含むTNFファミリーサイトカインのいくつかは、細胞表面においてタンパク分解的に切断され;各場合に得られたタンパク質は、典型的には、可溶性サイトカインとして機能するホモ三量体分子を形成する。また、TNFレセプターファミリーのタンパク質は、通常、タンパク分解的に切断され、同族のサイトカインの阻害剤として機能し得る可溶型レセプターのECDを放出する。
【0009】
Panらは、「DR4」と称される他のTNFレセプターファミリーのメンバーを開示している[Pan等, Science, 276:111-113(1997);また、1998年7月30日公開の国際公開第98/32856号参照]。DR4は、細胞自殺機構に関与できる細胞質死ドメインを含むことが報告された。Pan等は、DR4がApo2L/TRAILとして知られているリガンドに対するレセプターであると考えられることをさらに開示している。
【0010】
Sheridan等, Science, 277:818-821 (1997)及びPan等, Science, 277:815-818 (1997)においては、Apo2L/TRAILに対するレセプターと思われる他の分子が記載されている[1998年11月19日公開の国際公開第98/51793号;1998年9月24日公開の国際公開第98/41629号を参照のこと]。この分子は、DR5と称される(あるいは、Apo-2;TRAIL-R、TR6、Tango-63、hAPO8、TRICK2又はKILLERとも称される[Screaton等,Curr.Biol., 7:693-696(1997);Walczak等,EMBO J., 16:5386-5387(1997);Wu等,Nature Genetics, 17:141-143(1997);1998年8月20日に公開の国際公開第98/35986号;1998年10月14日に公開の欧州特許第870,827号;1998年10月22日に公開の国際公開第98/46643号;1999年1月21日に公開の国際公開第99/02653号;1999年2月25日に公開の国際公開第99/09165;1999年3月11日に公開の国際公開第99/11791号]。DR4のように、DR5は細胞質死ドメインを含み、アポトーシスのシグナル伝達が可能であると報告されている。Apo-2L/TRAIL及びDR5の間で形成された複合体の結晶構造は、Hymowitzら,Molecular Cell, 4:563-571(1999)に記載されている。
【0011】
最近同定されたレセプターのさらなるグループは、「デコイレセプター」と称され、シグナル伝達分子というよりはむしろ、阻害剤として機能すると考えられている。このグループには、DCR1(TRID,LIT又はTRAIL-R3とも称される)[Pan等, Science, 276:111-113(1997);Sheridan等, Science, 277:818-821 (1997);McFarlane等, J. Biol. Chem., 272:25417-25420(1997);Schneider等, FEBS Letters, 416:329-334(1997);Degli-Esposti等, J. Exp. Med., 186:1165-1170(1997);及びMongkolsapaya等, J. Immunol., 160:3-6(1998)]及びDCR2(TRUNDD又はTRAIL-R4とも称される)[Marsters等, Curr. Biol., 7:1003-1006(1997);Pan等, FEBS Letters, 424:41-45(1998);Degli-Esposti等, Immunity, 7:813-820(1997)]が含まれ、両者とも細胞表面分子であり、更にOPG[Simonet等, 上掲;Emery等, 下記]及びDCR3[Pitti等, Nature, 396:699-703(1998)]も含まれ、これら両者は分泌性の可溶性タンパク質である。Apo2L/TRAILは、DcR1、DcR2及びOPGと称されるこれらのレセプターに結合することが報告されている。
【0012】
Apo2L/TRAILは、細胞表面を通って「デスレセプター」DR4又はDR5に作用し、カスパーゼ、又は細胞死プログラムを実行する酵素を活性化させると考えられている。リガンド結合において、DR4及びDR5の双方は独立して、FADD/Mort1と称されるデスドメイン含有アダプター分子を通って、アポトーシス開始剤、カスパーゼ-8の漸増及び活性化により、アポトーシスを誘発可能である[Kischkelら, Immunity, 12:611-620(2000);Sprickら, Immunity, 12:599-609(2000);Bodmerら, Nature Cell Biol., 2:241-243(2000)]。DR4及びDR5とは異なり、DcR1及びDcR2レセプターはアポトーシスのシグナル伝達を行わない。
【0013】
サイトカインのTNFファミリー及びそれらのレセプターの概説については、Ashkenazi及びDixit, Science, 281:1305-1308(1998);Ashkenazi及びDixit, Curr. Opin. Cell Biol., 11:255-260(2000);Golstein, Curr. Biol., 7:750-753(1997);Gruss及びDower, 上掲;Nagata, Cell, 88:355-365(1997);Locksleyら, Cell, 104:487-501(2001)を参照。
【0014】
(発明の概要)
ある種のタンパク質、例えばApo2L/TRAIL及びサイトカインのTNFファミリーの他のメンバーは、タンパク質が三量体又は三量体形態にある場合に生物学的活性を示す。よって、治療目的、もしくは診断用途の目的に対してさえ、タンパク質が安定しており、三量体形態で生物学的活性で、特に安定したままであるこのようなタンパク質の製剤が望まれる。本出願人は、ある種の製剤成分、又は「賦形剤」により、Apo2L/TRAIL等のこのようなタンパク質が安定し、溶解度が高められる(すなわち、タンパク質の凝集及び沈殿を低減する)ことを見いだした。また本出願人は、驚くべきことに、Apo2L/TRAILは、ある条件下で容易に結晶化可能であることを見いだした。Apo2L/TRAILのこのような結晶化形態は、Apo2L/TRAILの懸濁液製剤の調製に有用であり、及び/又はタンパク質の精製のための効果的で効率的な方法を提供するものである。
【0015】
従って、本発明は、Apo2L/TRAIL、及びApo2L/TRAILの溶解度及び/又は安定性を高めるのに十分なイオン強度を付与する一又は複数の賦形剤を含有する組成物又は製剤を提供するものであり、ここで該組成物は、6(又は約6)〜9(又は約9)のpHを有していてもよい。場合によっては、十分なイオン強度を付与する賦形剤(類)は塩であり、アルギニン塩又は硫酸塩を含み得る。一実施態様において、組成物はバッファーをさらに含有してよい。場合によっては、組成物中のApo2L/TRAILタンパク質の濃度は、約1〜約100mg/ml、約1〜約20mg/ml、約10〜約20mg/ml、又は約20mg/mlである。本発明の組成物は液体製剤又は凍結乾燥製剤を含み得る。また組成物は、Apo2L/TRAILタンパク質が結晶形態である懸濁製剤も含み得る。場合によっては、組成物に一又は複数の界面活性剤を含有せしめることが望ましい。このような界面活性剤には、例えばポリソルベート又はポロキサマー(poloxamer)が含まれ得る。特に望ましい製剤は、賦形剤(類)がApo2L/TRAIL三量体の含有量を最適にし、Apo2L/TRAIL二量体の量又は凝集体形成を最小にするものである。場合によっては、製剤は、(製剤中のApo2L/TRAILタンパク質の全量に対し)Apo2L/TRAILを10%を超えて、又はApo2L/TRAIL凝集物を5%を超えて含有しない。
【0016】
任意的な実施態様では、本発明は、約1〜約20mg/mlのApo2L/TRAIL及びアルギニン塩を含有しており、ここで、組成物は約6.5〜約8.5のpHを有する。場合によっては、組成物は、Tris等のバッファー、及びポリソルベート等の界面活性剤をさらに含有する。場合によっては、Apo2L/TRAILは、任意のエピトープタグ分子(類)又はロイシンジッパー分子(類)を含まない(すなわち結合又は融合しない)。
【0017】
本発明は、約1〜約20mg/mlのApo2L/TRAIL、約0.4〜約0.5Mのアルギニン塩、及びバッファーを含有する組成物を提供し、該組成物は約7〜約7.5のpHを有する。Apo2L/TRAILタンパク質は、図1のアミノ酸残基114〜281を含有するヒトApo2L/TRAILタンパク質であってよい。場合によっては、Apo2L/TRAILタンパク質は、大腸菌等の宿主細胞において、組換え的に発現される。
【0018】
さらに本発明は、上述した組成物を調製するための方法を提供する。この方法において、組成物は、Apo2L/TRAILを、該Apo2L/TRAILの溶解度及び安定性を高めるのに十分なイオン強度を付与する一又は複数の賦形剤と混合するか、又は組み合わせることによって調製され、ここで該組成物は、6(又は約6)〜9(又は約9)のpHを有していてもよい。場合によっては、十分なイオン強度を付与する賦形剤(類)は塩であり、アルギニン塩又は硫酸塩を含み得る。また、組成物のpHを維持するために、場合によっては、約6.5〜約7.5のpHに維持するために、バッファーをさらに含有せしめてもよい。場合によっては、製剤におけるApo2L/TRAILタンパク質の濃度は、約1〜約100mg/ml、約1〜約20mg/ml、約10〜約20mg/ml、又は約20mg/mlである。特に望ましい実施態様では、得られる組成物が、製薬的に許容可能な製剤である。
【0019】
さらなる実施態様において、本発明はApo2L/TRAILタンパク質結晶を含有する組成物を提供する。
さらなる実施態様において、本発明はApo2L/TRAIL結晶を含有する組成物の作製方法を提供する。
またさらなる実施態様において、本発明はApo2L/TRAILの作製及び精製のための方法を提供する。
付加的な実施態様において、本発明は:
(a)ここで記載するApo2L/TRAIL組成物を収容する容器、及び
(b)Apo2L/TRAIL組成物の使用についての、例えば組成物が有効である疾患を治療するための使用についての使用説明書;
を具備するキットを提供する。場合によっては、前記疾患は癌、特に乳癌、肺癌又は結腸癌(又は結腸直腸癌)である。
【0020】
さらなる側面において、本発明は、本発明により提供されるApo2L/TRAIL組成物を有効量、場合によっては注射又は注入することにより哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における、癌又は免疫関連疾患等の疾患を治療するための方法を提供する。
【0021】
本発明のさらなる特定の実施態様においては、次のものが提供される:
Apo-2リガンドの安定した製剤は、Apo-2リガンドと約0.2M〜約0.5Mの塩を含有しており、ここで製剤は約6〜約9のpHを有する。場合によっては、塩はアルギニン塩又は硫酸ナトリウムである。場合によっては、製剤におけるアルギニン塩の濃度は、約0.4M〜約0.5Mである。アルギニン塩には、コハク酸アルギニン、硫酸アルギニン、リンゴ酸アルギニン、クエン酸アルギニン、酒石酸アルギニン、又はリン酸アルギニンが含まれ得る。Apo-2リガンドは、結晶化タンパク質を含有していてもよい。製剤は凍結乾燥又は懸濁製剤を含有していてもよい。場合によっては、製剤のpHは約6.5〜約8.5、さらには約7〜約7.5である。場合によっては、製剤は、例えばポリソルベート又はポロキサマー等の界面活性剤をさらに含有していてもよい。場合によっては、製剤における界面活性剤の濃度は、約0.005%〜約0.2%である。場合によっては、製剤は、Trisバッファー又はHepes等のバッファーをさらに含有していてよい。場合によっては、製剤は、一又は複数の、二価金属イオン又は保存料をさらに含有していてよい。場合によっては、製剤は少なくとも12ヶ月間、保存-安定している。
【0022】
Apo-2リガンドの安定して凍結乾燥された製剤は、約1mg/ml〜約20mg/mlのApo-2リガンド、約0.2M〜約0.5Mのアルギニン塩、バッファー及び界面活性剤を含有しており、ここで製剤は約6〜約9のpHを有する。場合によっては、アルギニン塩はコハク酸アルギニン塩又は硫酸ナトリウムであり、コハク酸アルギニンの濃度は、約0.4M〜約0.5Mであってよい。場合によっては、バッファーはTrisバッファーであり、界面活性剤はポリソルベートである。場合によっては、製剤は、一又は複数の二価金属イオンをさらに含有する。
【0023】
Apo-2リガンドの安定した製剤は、約1mg/ml〜約20mg/mlのApo-2リガンド、約0.2M〜約0.5Mの塩、バッファー及び界面活性剤を含有しており、ここで該Apo-2リガンドは結晶化タンパク質を含有しており、該製剤は約6〜約9のpHを有する。場合によっては、塩は硫酸ナトリウムであり、バッファーはTrisバッファーである。場合によっては、界面活性剤はポリソルベートであり、pHは約7〜約7.5である。
【0024】
Apo-2リガンドの安定した製剤は、約0.1mg/ml〜約2mg/mlのApo-2リガンド、糖、及び界面活性剤を含有しており、該製剤は約6〜約9のpHを有する。場合によっては、糖はトレハロースであり、製剤における糖の濃度は、約1%〜約8%であってよい。場合によっては、製剤は凍結乾燥されている。
【0025】
Apo-2リガンドの安定した製剤の作製方法は、(a)約1mg/ml〜約20mg/mlのApo-2リガンド、約0.2M〜約0.5Mのアルギニン塩、バッファー及び界面活性剤を提供し、(b)工程(a)の成分を組合せるか又は混合して製剤を作製し、(c)工程(b)の製剤のpHを約6〜約9に調節する工程を含む。場合によっては、アルギニン塩はコハク酸アルギニン塩であり、コハク酸アルギニンの濃度は、約0.4M〜約0.5Mである。場合によっては、バッファーはTrisバッファーであり、界面活性剤はポリソルベートである。
【0026】
結晶化されたApo-2リガンドの作製方法は、(a)Apo-2リガンド、バッファー及び一価カチオン性塩を提供し、(b)工程(a)の成分を組合せるか又は混合し、約20℃〜約30℃の温度で製剤を作製し、(c)工程(b)の製剤の温度を約2℃〜約8℃に低下させる工程を含み;ここでApo-2リガンドの結晶化は、工程(b)の製剤の温度が低下した際に生じる。場合によっては、塩は硫酸ナトリウム又は塩化ナトリウムである。塩の濃度は約0.1M〜約0.15Mであってよい。場合によっては、工程(b)の製剤を、温度が工程(c)にて低下した際に攪拌する。また場合によっては、本方法は、Apo-2リガンド結晶を乾燥させる、工程(d)をさらに含んでもよい。場合によっては、工程(d)の前に、Apo-2リガンド結晶を洗浄する。
【0027】
Apo-2リガンドの作製方法は、(a)Apo-2リガンドをコードするDNAを含有するベクターを含む宿主細胞を提供し;(b)Apo-2リガンドの発現に十分な条件下、培養培地において宿主細胞を培養し;(c)宿主細胞及び培養培地から、該発現したApo-2リガンドを得;(d)塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウムを含有する溶液に、該Apo-2リガンドを処方し、約20℃〜約30℃の温度で製剤を作製し、(e)工程(d)の該製剤の温度を約2℃〜約8℃に低下させる工程を含み、ここでApo-2リガンド結晶は、工程(e)の温度が低下した際に形成される。場合によっては、工程(d)の前に、Apo-2リガンドタンパク質は濃縮され、該タンパク質は、遠心分離、カラムクロマトグラフィー又は限外濾過により濃縮され得る。場合によっては、工程(d)はクロマトグラフィー用カラム(例えば陽イオン交換カラム)にApo-2リガンドを適用し、塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウム含有バッファーにApo-2リガンドを溶出させることにより実施される。場合によっては、陽イオン交換カラムには、SP-セファロース・ファースト・フロー、CM-セファロース・ファースト・フロー、又はマクロ-プレップ・セラミッックHSが含まれ、バッファー溶液は50mM Hepes、50mMTris、50mMトリエタノールアミン、0.05%トリトンX100、1mMのDTTを含有し、pH7.5-8.0である。場合によっては、製剤は工程(e)の間に攪拌される。場合によっては、工程(d)における製剤のpHは約6.5〜約8.5である。場合によっては、宿主細胞は原核生物細胞、例えば大腸菌である。
【0028】
哺乳動物にApo-2リガンドの製剤を投与する装置は、ここに記載したApo-2リガンド製剤の少なくとも1用量単位を保持する容器を具備している。場合によっては、装置はペン・インジェクター装置であり、容器はカートリッジである。
【0029】
製造品には、ここに記載したApo2L/TRAIL製剤を収容する容器、Apo-2製剤の使用について印刷した使用説明書が含まれる。場合によっては、容器はボトル、バイアル、シリンジ又は試験管である。場合によっては、製造品には、注射用水分、生理食塩水、リンガー液又はデキストロース溶液を収容する第2の容器が含まれる。
【0030】
哺乳動物の細胞にアポトーシス誘発させる方法は、ここに記載したApo-2リガンド製剤を有効量、哺乳動物細胞に暴露させることを含む。哺乳動物細胞は癌細胞であってよい。
哺乳動物において癌を処置する方法は、癌があると診断された哺乳動物に、上述したApo-2リガンド製剤を有効量投与することを含む。
【0031】
(発明の詳細な記載)
A.定義
「TNFファミリーメンバー」は広範囲の意味に使用され、構造又は機能に関し、腫瘍壊死因子(TNF)にある程度の類似性を共有する種々のポリペプチドを称する。TNFファミリーのポリペプチドに関連したある種の構造的及び機能的特徴は、当該分野において公知であり、例えば、上述した本発明の背景に記載されている。限定されるものではないが、このようなポリペプチドには、当該分野でTNF-アルファ、TNF-ベータ、CD40リガンド、CD30リガンド、CD27リガンド、OX-40リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド(Fasリガンド又はCD95リガンドとも称される)、Apo-2L/TRAIL(TRAILとも称される)、Apo-3リガンド(TWEAKとも称される)、APRIL、OPGリガンド(RANKリガンド、ODF又はTRANCEとも称される)、及びTALL-1(B1yS、BAFF又はTHANKとも称される)と称されるポリペプチドが含まれる[例えば、Gruss及びDower, Blood 1995, 85:3378-3404;Pittiら, J. Biol. Chem., 271:12687-12690;Wileyら, Immunity, 3:673-682;Browning等, Cell, 72:847-856 ;Armitage等, Nature 1992, 357:80-82 、国際公開第97/01633号;国際公開第97/25428号;Marstersら, Curr. Biol., 1998, 8:525-528;Chicheporticheら, Biol. Chem. 1997, 272:32401-32410;Hahneら, J. Exp. Med. 1998, 188:1185-1190;国際公開第98/28426号;国際公開第98/46751号;及び国際公開第98/18921号;Mooreら, Science 1999, 285:260-263;Shuら, J. Leukocyte Biol. 1999, 65:680;Schneiderら, J. Exp. Med., 1999,189:1747-1756;Mukhopadhyayら, J. Biol. Chem. 1999, 274:15978-15981(1999)を参照のこと]。
【0032】
「Apo2L/TRAIL」、「Apo2L」、「Apo-2リガンド」及び「TRAIL」という用語は、図1に示されたアミノ酸配列(配列番号:1)のアミノ酸残基114-281、95-281、残基92-281、残基91-281、残基41-281、残基15-281、又は残基1-281、並びに上記配列の生物活性な断片、欠失、挿入又は置換変異体を含むポリペプチド配列を称するために、ここでは使用される。一実施態様において、ポリペプチド配列は、図1(配列番号:1)の残基114-281を含み、場合によっては図1(配列番号:1)の残基114-281からなる。場合によっては、ポリペプチド配列は、図1(配列番号:1)の残基92-281又は残基91-281を有する。Apo-2Lポリペプチドは、図1に示す天然のヌクレオチド配列(配列番号:2)によりコードされ得る。場合によっては、残基Pro119(図1;配列番号:2)をコードするコドンは、「CCT」又は「CCG」であってよい。他の一実施態様では、断片又は変異体は生物学的に活性であり、列挙されたApo2L/TRAIL配列の何れかと、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%の配列同一性、そして更により好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。場合によっては、Apo2L/TRAILポリペプチドは、図1にて提供されるコード化ポリヌクレオチド配列(配列番号:2)と、緊縮条件下でハイブリッド形成するヌクレオチド配列によりコードされる。本定義は、少なくとも一の天然アミノ酸がアラニン残基によって置換された、Apo2L/TRAILの置換変異体を包含する。Apo2L/TRAILの特定の置換変異体は、少なくとも一のアミノ酸がアラニン残基で置換されたものを包含する。これらの置換変異体には、例えば「D203A」;「D218A」及び「D269A」として同定されているものが含まれる。この命名は、(図1に示される(配列番号:1)の番号を用いて)位置203、218及び/又は269で、アスパラギン酸残基がアラニン残基によって置換された、Apo2L/TRAIL変異体を同定するのに使用される。場合によっては、Apo2L変異体はPCT出願国際公開第01/00832号に公開された表1に列挙されている、一又は複数のアラニン置換基を含有していてもよい。置換変異体には、2001年1月4日に公開されている国際公開第01/00832号の表1において同定されている、一又は複数の残基置換が含まれる。また本定義は、組換え又は合成法により調製されるか、又はApo2L/TRAIL供給源から単離された、天然配列Apo2L/TRAILも包含する。本発明のApo2L/TRAILには、PCT出願国際公開第97/25428号及び国際公開第97/01633号に開示されたApo2L/TRAIL又はTRAILと称されるポリペプチドも含まれる。「Apo2L/TRAIL」又は「Apo2L」なる「用語は、一量体、二量体又は三量体形態のポリペプチドを含む、Apo2L/TRAIL形態のものを一般的に称するために使用される。特に記載しない限りは、Apo2Lに記載されているアミノ酸残基の全てのナンバリングが、図1(配列番号:1)のナンバリングに使用されている。例えば「D203」又は「Asp203」は、図1に付与された配列(配列番号:1)の位置203にあるアスパラギン酸残基を意味する。
【0033】
「Apo2L/TRAIL細胞外ドメイン」又は「Apo2L/TRAIL ECD」なる用語は、膜貫通及び細胞質ドメインが本質的にないApo2L/TRAILの形態を称する。通常、ECDはこのような膜貫通及び細胞質ドメインを1%未満、好ましくはこのようなドメインを0.5%未満有している。本発明のポリペプチドとして同定される任意の膜貫通ドメイン(類)は、疎水性ドメインのタイプのものを同定するのに、当該分野で常套的に使用されている基準に従い同定されると理解されるであろう。膜貫通ドメインの正確な境界は多様であるが、多くの場合は、最初同定されたドメインのいずれかの末端において、約5アミノ酸を超えないと思われる。好ましい実施態様において、ECDは、膜貫通及び細胞質又は細胞内ドメインのない(膜に結合していない)ポリペプチドの、可溶性の細胞外ドメイン配列からなる。Apo-2L/TRAILの特定の細胞外ドメインは、PCT出願国際公開第97/01633号及び国際公開第97/25428号に記載されている。
【0034】
「Apo2L/TRAIL単量体」又は「Apo2L単量体」なる用語は、Apo2Lの細胞外ドメイン配列の共有鎖を称する。
「Apo2L/TRAIL二量体」又は「Apo2L二量体」なる用語は、ジスルフィド結合を介して共有結合に連結した2つのApo-2Lモノマーを称する。ここで使用される場合の用語には、独立したApo2L二量体、及び三量体形態のApo2Lが範囲に入る二量体(すなわち、互いに結合した、第2のApo2L単量体)が含まれる。
「Apo2L/TRAIL三量体」又は「Apo2L三量体」なる用語は、非共有結合している3つのApo2L単量体を称する。
「Apo2L/TRAIL凝集体」なる用語は、自己結合した高級オリゴマー性形態のApo2L/TRAIL、例えばApo2L/TRAIL三量体、さらには六量体又はナノメートルサイズ(nanomeric)の形態のApo2L/TRAILを称するために使用される。
【0035】
Apo2L/TRAIL単量体、二量体又は三量体(又は他の凝集体)の存在性及び量の決定は、当該分野で公知の方法及びアッセイ(市販されている物質を使用)、例えば天然サイズ排除HPLC(「SEC」)、ドデシル硫酸ナトリウムを使用する変性サイズ排除(「SDS-SEC」)、逆相HPLC、キャピラリー電気泳動、及び以下の実施例にさらに詳細に記載されている方法によりなされ得る。
【0036】
ここで使用される場合、「タグ化」なる用語は、「タグポリペプチド」に融合したApo2L/TRAIL又はその一部を含有するキメラポリペプチドを称す。タグポリペプチドは、その抗体が産生され得るエピトープを提供するか、又は金属イオンのキレート化等の他のいくつかの機能を提供するのに十分な残基を有しているが、その長さは、一般的にTNFファミリーのサイトカインの活性を阻害しないよう充分に短い。また、タグポリペプチドは、好ましくは、タグ特異性抗体が他のエピトープと実質的に交差反応をしないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6のアミノ酸残基、通常は約8〜約50のアミノ酸残基(好ましくは約10〜約20のアミノ酸残基)を有する。
【0037】
「二価の金属イオン」なる用語は、2つの正電荷を有する金属イオンを称する。限定するものでないが、二価の金属イオンの例には、亜鉛、コバルト、ニッケル、カドミウム、マグネシウム及びマンガンが含まれる。使用され得るこのような金属の特定の形態には塩の形態(例えば、製薬的に許容可能な塩の形態)、上述した二価の金属イオンの塩化物、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩及び硫酸塩の形態のものが含まれる。場合によっては、本発明で使用される二価の金属イオンは亜鉛、好ましくは硫酸亜鉛又は塩化亜鉛等の塩の形態をしている。
【0038】
「単離された」とは、ここで開示された種々のタンパク質を記述するために使用するときは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたタンパク質を意味する。その自然環境の汚染成分とは、タンパク質の診断又は治療への使用を典型的には妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様において、タンパク質は、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、N末端あるいは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに充分なほど、あるいは、(2)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性が得られるように充分なほど、又は(3)質量分光分析又はペプチドマッピング技術による均一性が得られるように充分なほど精製される。Apo2L/TRAILの自然環境の少なくとも一の成分が存在しないため、単離されたタンパク質には、組換え細胞内のインサイツのタンパク質が含まれる。しかしながら、通常は、単離されたタンパク質は少なくとも一の精製工程により調製される。
【0039】
「単離された」Apo2L/TRAIL核酸分子は、Apo2L/TRAIL核酸の天然源において通常付随している、少なくとも一の汚染核酸分子から同定され分離された核酸分子である。単離されたApo2L/TRAIL核酸分子は、天然で見出される形態又は配列以外のものである。よって、単離されたApo2L/TRAIL核酸分子は天然細胞に存在するようなApo2L/TRAIL核酸分子とは区別される。しかしながら、単離されたApo2L/TRAIL核酸分子は、例えば核酸分子は天然細胞とは異なる染色体位置にあり、通常、Apo2L/TRAILを発現する細胞に含まれるApo2L/TRAIL核酸分子を含む。
【0040】
ここで同定されている配列に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした、Apo2L/TRAIL配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセント核酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の知る範囲にある種々の方法により達成可能であり、比較される配列の全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。ここでの目的のために、パーセントアミノ酸配列同一性値は、ジェネンテク社によって作成され、ソースコードは米国著作権庁, Washington D.C., 20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている配列比較コンピュータプログラムALINE-2を用いて得ることができる。ALIGN-2プログラムはジェネンテク社、South San Francisco, CAを通して公的に入手可能である。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。
【0041】
ハイブリッド形成反応の「緊縮性」は、通常、当業者によって容易に決定され、一般的にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な計算である。一般に、プローブが長くなればなる程、適切なアニーリングのために温度を高くする必要があり、プローブが短くなればなる程、温度を低くする必要が生じる。ハイブリッド形成は、一般的に、相補的鎖がその融点より低い環境に存在する場合、変性DNAの再アニールする能力に依存する。プローブとハイブリッド形成可能な配列との間の所望の相同性の程度が高くなると、使用できる相対温度が高くなる。その結果、より高い相対温度は、反応条件をより緊縮性にするが、低い温度は緊縮性を低下させる。ハイブリッド形成反応の緊縮性の更なる詳細及び説明は、Ausubel等, Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers, (1995)を参照のこと。
【0042】
ここで定義される「高度の緊縮性条件」は、(1)洗浄のために低イオン強度及び高温度;50℃において0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを用いるもの;(2)ハイブリッド形成中に変性剤;42℃において50%(v/v)ホルムアミドと0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのpH6.5のリン酸ナトリウムバッファー、及び750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウムを用いるもの;又は(3)42℃における50%ホルムアミド、5xSSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5xデンハート液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、及び10%のデキストラン硫酸と、42℃における0.2xSSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中の洗浄及び55℃での50%ホルムアミド、次いで55℃におけるEDTAを含む0.1xSSCからなる高緊縮性洗浄を用いるものによって同定され得る。
【0043】
「中程度の緊縮性条件」は、Sambrook等, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, New York:Cold Spring Harbor Press, 1989に記載されているように同定され、20%ホルムアミド、5xSSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハート液、10%デキストラン硫酸、及び20mg/mLの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中の37℃での終夜インキュベーション、次いで1xSSC中37-50℃でのフィルターの洗浄を含む。当業者であれば、プローブ長等の因子に適合させる必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度等を調節するかを認識するであろう。
【0044】
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列を発現するために必要なDNA配列を称す。例えば原核生物に好適なコントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0045】
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に寄与するプレタンパク質として発現されているなら、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合している」とは、結合したDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにあることを意味する。しかし、エンハンサーは近接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、従来の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
【0046】
「保存-安定性」なる用語は、商業的流通網において、製品が、例えば付与された温度で少なくとも12ヶ月、好ましくは付与された温度で少なくとも24ヶ月の有効期間を有する製剤を記載するように使用される。場合によっては、このような保存-安定性のある製剤は、5%未満の凝集体、10%未満の二量体、及び/又は電荷不均質性又は生物学的活性における最小変化しか有さない。
【0047】
ここで用いられる「可溶性」とは、水性溶液中のポリペプチドが完全に溶解し、結果として、目視で評価して、可視できる粒子がなく透明からわずかに乳白色の溶液になることを意味する。溶液の濁度(又はタンパク質の溶解度)のさらなるアッセイは、1cmのパス長セルを用い、340〜360nmにおけるUV吸光度を測定することより実施され、20mg/mlの濁度は0.05吸光単位未満である。
【0048】
「オスモライト(osmolyte)」とは、溶液に浸透圧を付与する、張力変調剤又は浸透圧調節剤を称する。浸透圧とは、イオン及び非イオン化分子により溶液に寄与される、全浸透活性を称する。実施例には、無機酸、例えば塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、糖類、例えばスクロース又はトレハロース、グリセロール、アミノ酸、及び糖アルコール、例えばマンニトールで、一般的に安全であることが当該分野において公知であるもの(GRAS)が含まれる。
【0049】
「保存料」は、製剤における細菌、ウイルス及び真菌の増殖を防止するように作用することができ、抗酸化剤、又は他の化合物は、製剤の安定性を保持するための種々の方法で機能することができる。この例には、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム(アルキル基が長鎖の化合物であるアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド)、及び塩化ベンゼトニウムが含まれる。他の種類の化合物には、芳香族アルコール、例えばフェノール及びベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン、及びm-クレゾールが含まれる。場合によっては、このような化合物はフェノール又はベンジルアルコールである。保存料又は他の化合物は、液体又は水性形態のApo2L/TRAIL製剤に含まれるが、通常、凍結乾燥された形態の製剤には含まれない。後者の場合、保存料又は他の化合物は、典型的には、再構成のために使用される注射水(WFI)又は注射用静菌水(BWFI)に存在する。
【0050】
「界面活性剤」は、製剤におけるタンパク質の変性又は濁度が低減するように作用可能である。界面活性剤の例には、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート、中でもポリソルベート20、60又は80、ポロキサマー、中でもポロキサマー184又は188、Pluronicポリオール類、エチレン/プロピレンブロックポリマー、又はGRAS等の当該技術分野で公知の任意の他のものを含む。場合によっては、界面活性剤はポリソルベート又はポロキサマーである。
【0051】
ここで用いられる「バッファー」はGRASである任意の適切なバッファーであり、一般的にポリペプチドがApo2L/TRAILである場合、約6〜約9、場合によっては約6.5〜8.5、場合によっては約7〜約7.5のpHを付与する。この例には、Tris、Hepes、トリエタノールアミン、ヒスチジン、又は所望の効果を得るために当該分野で公知の任意の他のものが含まれる。
【0052】
「サイトカイン」という用語は、一つの細胞集団から放出されるタンパク質であって、他の細胞に対して細胞間メディエータとして作用するものの包括的な用語である。そのようなサイトカインの例は、リンフォカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインには、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラクシン;プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH)のような糖タンパク質ホルモン;肝臓成長因子;繊維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子-α及び-β;ミューラー阻害物質;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子;血小板成長因子;TGF-α及びTGF-βのようなトランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成長因子I及びII;エリスロポイエチン(EPO);オステオインダクティブ因子;インターフェロン、例えばインターフェロンα、β、-ガンマ;コロニー刺激因子(CSF)、例えばマクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);及び顆粒球-CSF(G-CSF);IL-1、IL-2、IL-3、 IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、 IL-8、IL-9、IL-11、IL-12等のインターロイキン(IL);及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。ここで使用される場合は、サイトカインなる用語は天然源由来あるいは組換え細胞培養由来のタンパク質及び天然配列サイトカインの生物的に活性な等価物を含む。
【0053】
ここで用いられる「細胞障害剤」という用語は、細胞の機能を阻害し又は妨害し、及び/又は細胞の破壊を引き起こす物質を称する。この用語は放射性アイソトープ(例えば、I131、I125、Y90及びRe186)、化学療法剤、及びその断片、又は細菌性、真菌性、植物又は動物起源の酵素的に活性な毒素等の毒素を含むことが意図されている。
【0054】
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類、;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトセシン(合成類似体トポテカン(topotecan)を含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びバイゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン(cryptophycin)(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin );デュカロマイシン(duocarmycin )(合成類似体、KW-2189及びCBI-TMIを含む); エレトロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin );サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin );クロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;ニトロスレアス(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン、ラニムスチン;エネジイン(enediyne) 抗生物質等の抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンフィーI1、例えば、Agnew Chem Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)を参照のこと;ダイネミシンA(dynemicinA)を含むダイネミシン(dynemicin);ビスホスホナート類、例えばクロドロナート;エスペラマイシン(esperamicin); 同様にネオカルチノスタチン発光団及び関連色素蛋白エネジイン(enediyne) 抗生物質発光団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カリミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトロビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシンTM)(モルフォリノ-ドキソルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン(mitomycins)、例えばマイトマイシンC、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)のような抗-代謝産物;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)のような葉酸類似体;フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)のようなピリミジン類似体;カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone)のようなアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルラシル(eniluracil);アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine);メイタンシン(maytansine)及びアンサマイトシン(ansamitocin )のようなメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PKS(登録商標);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(特に、T-2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリデンA(roridin A)及びアングイデン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)、及びドキセタキセル(タキソテア(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;ゲンシタビン(gemcitabine)(GemzarTM);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン及びカルボプラチンのようなプラチナ類似体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;ミトキサントン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン(navelbine)(NavelbineTM);ノバントロン(novantron);テニポシド;エダトレキサート(edatrexate);ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);CTP-11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド類;カペシタビン(capecitabine);並びに上述したものの製薬的に許容可能な塩、酸又は誘導体が含まれる。また、この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように働く抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン(NolvadexTMを含む)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン(droloxifene)、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びトレミフェン(FarestonTM)を含む抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERMs);副腎におけるエストロゲン生成を調節する、アロマターゼ酵素を阻害するアロマターゼインヒビター、例えば4(5)-イミダゾール類、アミノグルテチミド、酢酸メゲステロール(MegaceTM)、エグゼメスタン(exemestane)、ホルメスタン(formestane)、ファドロゾール、ボロゾール(vorozole)(RivisorTM)、レトロゾール(letrozole)(FemaraTM)、及びアナストロゾール(anastrozole)(ArimidexTM);及び抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びに上記のものの製薬的に許容可能な塩、酸又は誘導体が含まれる。
【0055】
ここで使用される場合の「成長阻害剤」なる用語は、インビトロ又はインビボのいずれかにおいて、ここで同定された任意の遺伝子が発現する細胞、特に癌細胞の成長を阻害する化合物又は組成物を称する。よって、成長阻害剤とは、S相において、このような細胞が発現する細胞のパーセンテージを有意に低減させるものである。成長阻害剤の例には、細胞分裂周期の進行をブロックする薬剤(S相以外の場所において)、例えばG1停止及びM相停止を誘発する薬剤が含まれる。伝統的なM相ブロッカーには、ビンカ(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、TAXOL、及びトポIIインヒビター、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが含まれる。G1を停止させるこれらの薬剤、例えばDNAアルキル化剤、例えばタモキシフェン、プレドニソン、ダカーバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びara-CがS相停止に溢流する。更なる情報は、Murakamiらにより「細胞分裂周期の調節、オンコジーン、及び抗新生物薬」と題された、癌の分子的基礎、Mendelsohn及びIsrael編、第1章(WB Saunders;Philadelphia, 1995)、特に13頁に見出すことができる。
【0056】
ここでの目的における「生物学的に活性な」又は「生物学的活性」とは、(a)単一の薬剤として単独で、又は化学療法剤と組合せて、インビボ又はエキソビボで、少なくとも一種類の哺乳動物癌細胞又はウイルス感染した細胞においてアポトーシスを誘発又は刺激する能力を有する;(b)抗体、例えば免疫原を産生可能である;(c)Apo2L/TRAILに対するレセプター(例えば該レセプターには、DR4レセプター、DR5レセプター、OPG、DcR1レセプター、及びDcR2レセプターを含んでよい)に結合及び/又は刺激可能である;又は(d)天然又は天然発生Apo2L/TRAILポリペプチドの活性を保持していることを意味する。Apo2L/TRAILの生物学的活性を測定するためのアッセイは、当該分野において公知の方法、例えばDNA断片化(例えば、Marsters等,Curr. Biology, 6:1669(1996)を参照)、カスパーゼ不活性化、DR4結合、DR5結合(例えば、1998年11月19日公開の国際公開第98/51793号を参照)、DcR1結合(例えば、1998年12月23日公開の国際公開第98/58062号を参照)、DcR2結合(例えば、1999年3月4日公開の国際公開第99/10484号)、並びにPCT出願国際公開第97/01633号、国際公開第97/25428号、国際公開第01/00832号及び国際公開第01/22987号に記載されているアッセイを使用して実施することができる。
【0057】
「アポトーシス」及び「アポトーシス活性」という用語は広義に使用され、典型的には、細胞質の凝集、原形質膜の微絨毛の喪失、核の分節化、染色体DNAの分解又はミトコンドリア機能の喪失を含む一又は複数の特徴的な細胞変化を伴う、哺乳動物における細胞死の規則的又はコントロールされた形態を称する。この活性は、当該分野で公知の、例えば細胞生死判別アッセイ(例えばアラマーブルーアッセイ又はMTTアッセイ)、FACS分析、カスパーゼ活性化、DNA断片化(例えば、Nicolettiら, J. Immunol. Methods, 139:271-279(1991)を参照)、ポリ-ADPリボースポリメラーゼ、「PARP」、切断アッセイにより、決定し測定することができる。
【0058】
ここで使用される場合、「疾患」なる用語は、有効量のポリペプチド、例えばApo2L/TRAIL等により治療可能な任意の病気又は疾患を含む、ここに記載された組成物で治療することで恩恵を得るあらゆる症状を一般的に称する。これには、慢性及び急性の疾患、並びに問題の疾患に哺乳動物を罹患させる病理状態が含まれる。ここで治療される疾患の非限定的例には、良性及び悪性の腫瘍;炎症、血管由来及び免疫学的疾患、自己免疫疾患、関節炎(関節リウマチを含む)、多発性硬化症、及びHIV/AIDSが含まれる。
【0059】
「癌」、「癌性」又は「悪性」という用語は、典型的には調節されない細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を称するか記述する。癌の例には、これらに限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、白血病、芽細胞腫、及び肉腫が含まれる。このような癌のより特定の例には、扁平上皮細胞癌、骨髄腫、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、神経膠腫、消化管癌、腎臓癌、卵巣癌、肝臓癌、リンパ芽球性白血病、リンパ性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、前立腺癌、甲状腺癌、神経芽細胞種、膵臓癌、多形成膠芽腫、子宮頸癌、胃腸癌、膀胱癌、肝細胞腫(hepatoma)、乳癌、結腸癌、及び頭部及び頸部の癌が含まれる。場合によっては、癌細胞はDR4及び/又はDR5レセプター(類)を発現する。
【0060】
ここで使用される「処置する」又は「処置」又は「治療」とは、治癒的治療、予防的治療又は防止的治療を称する。連続的治療又は投与とは、一又は複数の日数、治療を中断することなく、少なくとも毎日であることを基本とし治療を行うことを称する。断続的治療又は投与、もしくは断続的な方法での治療又は投与とは、連続させることなく、むしろ事実的には周期的に治療することを称する。
ここで使用される「哺乳動物」なる用語は、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ及びネコを含む、哺乳類に分類される任意の哺乳動物を称する。本発明の好ましい実施態様において、哺乳動物はヒトである。
【0061】
B.本発明を実施するための例示的な方法及び物質
本発明は、Apo2L/TRAILの種々の製剤、このような製剤の作製方法を提供する。種々の製剤の賦形剤は、例えば製薬的使用に許容されるように、製剤におけるApo2L/TRAILの溶解度を高め、及び/又は生物学的活性を有する形態(例えば三量体の形態)にApo2L/TRAILタンパク質の安定性を高めることができる。例えば、本出願人は、このような製剤に種々の賦形剤(例えばアルギニン塩)が存在することで、Apo2L/TRAILの溶解度及び安定度がかなり増加可能であることを見出した。
【0062】
Apo2L/TRAILは容易に可逆的に結晶化するという予期しない発見が、Apo2L/TRAILの精製方法及び安定した製剤の基礎を提供する。特に、種々の方法で結晶を形成させ、続いて物質を乾燥させることで、タンパク質のバルク製剤は、長期間にわたって安定である。さらに、凍結乾燥された結晶組成物は、一連の温度を通して安定したままであることが予期される。また、乾燥した結晶は、例えば皮下又は筋内投与に適した懸濁製剤に使用することができる。実施例で記載するように、ナトリウム塩、特に硫酸ナトリウム(Na2SO4)は、タンパク質の再溶解時においても生物学的活性を保持したまま、素早く、かつ可逆的に結晶化させる。ついで、タンパク質の結晶は水又は水性バッファー、例えばアミノ酸のカルボン酸塩に容易に再溶解し、あるいはタンパク質の生物学的活性にとって重要な物理学的性質を喪失することなく、非水性媒体に懸濁することも可能である。
一般的に、製剤は、以下に記載する種々の賦形剤又は成分、及び所望の純度のApo2L/TRAILポリペプチド(タンパク質)を使用して調製される。
【0063】
Apo2L/TRAILの調製
以下の記載は、Apo2L/TRAILコード化核酸を含有するベクターを用いて形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞を培養し、細胞培養物からポリペプチドを回収することにより、Apo2L/TRAILを生産する方法に関する。
Apo2L/TRAILをコードするDNAは、Apo2L/TRAILのmRNAを融資、検出可能なレベルでそれを発現すると考えられている組織から調製された任意のcDNAライブラリから得られ得る。従って、ヒトApo2L/TRAILのDNAは、ヒト組織から調製されたcDNAライブラリ、例えばPCT出願国際公開第97/25428号に記載されたようなヒト胎盤cDNAのバクテリオファージライブラリから便宜的に得ることができる。また、Apo2L/TRAILをコードする遺伝子は、ゲノムライブラリ又はオリゴヌクレオチド合成からも得られ得る。
【0064】
ライブラリは、関心ある遺伝子又はそれによりコードされるタンパク質を同定するように設計されたプローブ(例えば、少なくとも約20〜80塩基のオリゴヌクレオチド又はApo2L/TRAILの抗体)を用いてスクリーニングすることができる。選択されたプローブを用いたcDNA又はゲノムライブラリのスクリーニングは、標準的な手順を使用して実施され得る(Sambrookら, Molecular Cloning:A Laboratory Manual;New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)。Apo2L/TRAILをコードする遺伝子を単離するための代替手段は、PCR法を使用してなされる(Sambrookら, 上掲;Dieffenbachら, PCR Primer:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995)。
【0065】
Apo2L/TRAILのアミノ酸配列断片又は変異体は、Apo2L/TRAILのDNAに適切なヌクレオチド変化を導入するか、又は所望するApo2L/TRAILポリペプチドの合成を行うことにより調製することができる。このような断片又は変異体は、細胞内領域、膜貫通領域、又は細胞外領域、又は図1に示す全長Apo2L/TRAILに示されるアミノ酸配列(配列番号:1)の内部、又はそれらの一端もしくは両端において、残基の挿入、置換及び/又は欠失があることを表す。挿入、置換及び/又は欠失の任意の組合せにより、最終的な構造物に到達し、最終的な構造物がここで記載するようなアポトーシス活性又は所望の生物学的活性を有するようになる。好ましい実施態様において、断片又は変異体は、Apo2L/TRAILの細胞内、膜貫通又は細胞外ドメインにおいてここで定義された配列、又はApo2L/TRAILの全長配列に対し、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも約90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する。またアミノ酸変化は、Apo2L/TRAILの翻訳後プロセスを変化させる、例えばグリコシル化部位の数又は位置の変化、もしくは膜アンカー特性を改変する可能性がある。
【0066】
上述したApo2L/TRAILにおける変異は、米国特許第5364934号に説明されている保存的又は非保存的突然変異のための任意の技術及びガイドラインを使用して作製することができる。これらには、オリゴヌクレオチド媒介性(部位特異的)突然変異誘発、アラニンスキャンニング及びPCR突然変異誘発が含まれる。
【0067】
また、隣接配列に沿って一又は複数のアミノ酸を同定するのにスキャンニングアミノ酸分析を用いることができる。好ましいスキャンニングアミノ酸は比較的小さく、中性のアミノ酸である。そのようなアミノ酸は、アラニン、グリシン、セリン、及びシステインを含む。アラニンは、ベータ炭素を越える側鎖を排除し変異体の主鎖構造を変化させにくいので、この群の中で典型的に好ましいスキャンニングアミノ酸である(Cunninghamら, Science, 1989, 244:1081)。また、アラニンは最もありふれたアミノ酸であるため典型的には好ましい。さらに、それは埋もれた及び露出した位置の両方に頻繁に見られることが多い(Creighton, The Proteins, (W.H. Freeman & Co., N.Y.); Chothia, J. Mol. Biol., 1976, 150:1)。
【0068】
本発明の特定のApo2L/TRAIL変異体は、PCT出願国際公開第01/00832号に公開されている表1に付与され、列挙されている一又は複数のアラニン置換を含む、Apo2L/TRAILポリペプチドを含む。このようなApo2L/TRAIL変異体は、典型的には、少なくとも一又は複数のアミノ酸において、天然のApo2L/TRAILアミノ酸配列(例えば、図1に付与された(配列番号:1)のもの、Apo2L/TRAILの全長又は突然変異体、又はその細胞外ドメイン配列)とは異なる、天然に生じたものではないApo2L/TRAILアミノ酸配列を含む。場合によっては、天然のApo2L/TRAILと比較して、Apo2L/TRAIL変異体で異なっている一又は複数のアミノ酸は、国際公開第01/00832号の表1に示されているもののような、アミノ酸置換(類)を含む。本発明のApo2L/TRAIL変異体は、図1(配列番号:1)の残基91-281、92-281、95-281又は114-281を含有し、一又は複数のアミノ酸置換を有する溶解性のApo2L/TRAIL変異体を含む。好ましいApo2L/TRAIL変異体は、レセプター結合等の、生物学的活性を高める一又は複数のアミノ酸置換を有し、図1(配列番号:1)の残基91-281、92-281、95-281又は114-281を含有する変異体を含む。特に好ましい変異体は、図1(配列番号:1)の残基114-281を含有する。特定の実施態様において、Apo2L/TRAILは図1(配列番号:1)の残基114-281からなる。
【0069】
2001年1月4日に公開された国際公開第01/00832号に記載されたように、Apo2L/TRAILのx線結晶構造を同定し、そのレセプター接触領域をマッピングするためにアラニンスキャンニング突然変異誘発を実施した。Apo2L/TRAILにおいて得られた構造は、新規の二価の金属イオン(亜鉛)結合部位を含むホモ三量体タンパク質であることを示しており、該結合部位はApo2L/TRAIL三量体分子の3つのサブユニットの相互作用に配位結合したものである。TNFファミリーの他のメンバーと同様、Apo2L/TRAILは、約5100オンクスロトーム2(単量体当たり1700オングストローム2)の2つのゼリーロール単量体から形成されるコンパクトな三量体を含有し、球形の三量体を形成すると思われる。核ベータ-ストランドの位置は、TNF-アルファ又はTNF-ベータの核ストランドと比較した場合に、TNFファミリーの他の構造的に特徴のあるメンバー、TNF-アルファ、TNF-ベータ、及びCD40Lと比較して、より保存されていた。
【0070】
本発明の範囲に入るApo2L/TRAIL配列の変異は、アミノ末端誘導体又は修飾した形態に関する。このようなApo2L/TRAIL配列には、ポリペプチド配列のN末端に、メチオニン又は変性メチオニン(例えばホルミルメチオニル又は他のブロックメチオニル種)を有する、ここで記載された任意のApo2L/TRAILポリペプチドが含まれ得る。
【0071】
天然又は変異したApo2L/TRAILをコードする核酸(例えば、cDNA又はゲノムDNA)が、さらなるクローニング(DNAの増幅)又は発現のために、複製ベクターに挿入される。種々のベクターが公に入手可能である。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、次のものの一又は複数が含まれる:シグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び以下に記載する転写終結配列である。使用され得る任意のシグナル配列、複製開始点、マーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、及び転写終結配列は、当該分野において公知であり、さらなる詳細はPCT出願国際公開第97/25428号に記載されている。
【0072】
通常、発現及びクローニングベクターは、宿主生体により認識され、Apo2L/TRAIL核酸配列に作用可能に結合するプロモーターを含む。プロモーターは、Apo2L/TRAIL核酸配列等の、特定の核酸配列の転写及び翻訳を制御する、構造遺伝子の出発コドン(一般的に約100〜1000bp内)に対して上流(5')に位置する非翻訳領域であり、作用可能に結合している。このようなプロモーターは、典型的には、誘発及び構造の2つのクラスに入る。誘発性プロモーターは、培養条件のある変化、例えば栄養素の有無、又は温度変化に応じて、それらのコントロール下において、高められたレベルでDNAからの転写を開始するプロモーターである。現時点で、種々の潜在的な宿主細胞により認識される多数のプロモーターがよく知られている。これらのプロモーターは、制限酵素での消化によりDNA源からプロモーターを除去し、単離されたプロモーター配列をベクターに挿入することで、Apo2L/TRAILコード化DNAに作用可能に結合している。天然のApo2L/TRAILプロモーター配列及び多くの異種プロモーターの双方が、Apo2L/TRAIL DNAの直接増幅及び/又は発現に使用され得る。
原核生物及び真核生物宿主での使用に適したプロモーターは、当該分野において公知であり、PCT出願国際公開第97/25428号にさらなる詳細が記載されている。
【0073】
大腸菌において溶解性Apo2L/TRAILを生産するための好ましい方法では、生成物の発現を調節するために、誘発性プロモーターが使用される。コントロール可能な誘発性プロモーターを使用することにより、生成物の発現が誘発され、宿主にとってあまり耐性のない多量の生成物が蓄積する前に、所望の細胞密度に培養成長することが可能になる。
【0074】
3つの誘発性プロモーター系(T7ポリメラーゼ、trp及びアルカリ性のホスファターゼ(AP))が、本出願人により、Apo2L/TRAILの発現(アミノ酸114-281)に対して評価されている。これら3つのプロモーターのそれぞれを使用することで、結果として有意な量の可溶型の生物学的な活性のあるApo2L/TRAIL三量体が、集菌された細胞ペーストから回収される。テストされる3つの誘発性プロモーター系の中でも、APプロモーターが、より厳格なプロモーター制御性とより大なる細胞密度と集菌された細胞ペーストで得られる力価のために好ましいとされている。
【0075】
上述した一又は複数の成分を含有する適切なベクターの構築には、標準的なライゲーション技術に使用される。単離されたプラスミド又はDNA断片を切断し、あつらえ、必要なプラスミドが生産されるように所望の形態に再度ライゲーションされる。
【0076】
構築したプラスミド中の正しい配列を確認するための分析には、通例、ライゲーション混合物を用いて大腸菌K12 294株(ATCC31,446)を形質転換し、成功した形質転換体を適宜アンピシリンまたはテトラサイクリン耐性によって選択することができる。それらの形質転換体からプラスミドを調製し、制限エンドヌクレアーゼ消化、及び/又は当該分野で公知の標準的な技術を使用して配列化させることにより分析する(例えば、Messingら,Nucleic Acids Res.1981, 9:309;Maxamら,Methods in Enzymology 1980, 65:499)。
【0077】
Apo2L/TRAILをコードするDNAを哺乳動物細胞において一過性に発現させる発現ベクターを使用してもよい。一般に、一過性発現は、宿主細胞が、発現ベクターの多くのコピーを蓄積し、ついで、発現ベクターによりコードされる所望のポリペプチドが高レベルで合成されるように、宿主細胞において十分に複製可能な発現ベクターを使用することを含む(Sambrookら, 上掲)。適切な発現ベクター及び宿主細胞を含む一過性発現系は、クローンDNAによりコードされるポリペプチドの簡便なポジティブな同定、並びに所望の生物学的又は生理学的特性についてのかかるポリペプチドの迅速なスクリーニングを可能にする。よって、一過性発現系は、生物学的に活性なApo2L/TRAILであるApo2L/TRAILの類似体及び変異体を同定する目的に対して、本発明で特に有用である。
【0078】
組換え脊椎動物細胞培養でのApo2L/TRAILの合成に適応化するのに適切な他の方法、ベクター及び宿主細胞は、Gething等, Nature, 1981, 293:620-625 ; Mantei等, Nature 1979, 281:40-46;欧州特許第117060号;及び欧州特許第117058号に記載されている。
【0079】
ここでのベクターにDNAをクローニングあるいは発現するために適切な宿主細胞は、原核生物、酵母、又は高等真核生物細胞を含む。この目的にとって適切な原核生物は、限定されるものではないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体、例えばエシェリチアのような腸内菌科、例えば大腸菌、エンテロバクター、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ、例えばネズミチフス菌、セラチア属、例えばセラチア・マルセスキャンス及び赤痢菌属、並びに桿菌、例えば枯草菌及びB.リチェフォルミス(licheniformis)(例えば、1989年4月12日に公開された DD 266710に開示されたバシリ・リチェニフォルミス41P)、シュードモナス属、例えば緑膿菌及びストレプトマイセス属を含む。好ましくは、宿主細胞は、最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。
【0080】
大腸菌は本発明での使用において好ましい宿主細胞である。大腸菌は、グリコシル化の必要がない20kd以下のサイズのポリペプチドであるApo2L/TRAIL(図1のアミノ酸114−281を含む)の発現に特に適している。産生宿主として、大腸菌は比較的高い細胞密度まで培養可能で、比較的高レベルの異種タンパク質を産生させることができる。
【0081】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、Apo2L/TRAILコード化ベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。グリコシル化されたApo2L/TRAILの発現のための適切な宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。CHO細胞を含む、このような全ての宿主細胞の例は、PCT出願国際公開第97/25428号にさらに記載されている。
【0082】
宿主細胞は、Apo2L/TRAIL生成のための上述した発現又はクローニングベクターでトランスフェクト、好ましくは形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅するために適当に修飾された常套的栄養培地で培養する。
【0083】
トランスフェクトは、任意のコード化配列が、実際に発現するか否かにかかわらず、宿主細胞による発現ベクターの取り込みを称する。多くのトランスフェクトの方法、例えば、CaPO4及びエレクトロポレーションは、通常、当業者に知られている。成功裏のトランスフェクトは、このベクターの操作の任意の表示が宿主細胞内で生じる場合に、一般的に認識される。
【0084】
形質転換とは、DNAを、染色体外要素としてまたは染色体成分として複製できるように、生物体にDNAを導入することを意味する。形質転換は、使用する宿主細胞に応じて、その細胞に適した標準的技術を用いて行われる。塩化カルシウムを用いるカルシウム処理はSambrookら、上掲に記載されており、またエレクトロポレーションが、一般的に原核生物又は実質的な細胞壁障壁を有する他の細胞に対して用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、(Shaw等, Gene, 1983, 23:315 及びPCT出願国際公開第89/05859号)に記載されているように、或る種の植物細胞の形質転換に用いられる。加えて、植物は1991年1月10日に公開されたPCT出願国際公開第91/00358号の、超音波処理を使用して、トランスフェクトしてもよい。
【0085】
このような細胞壁を持たない哺乳動物細胞には、リン酸カルシウム沈澱法(Graham及びvan der Eb,A.,Virology,1978, 52:456-457)が使用され得る。哺乳動物細胞宿主系形質転換の一般的側面については、米国特許第4399216号に記載されている。酵母への形質転換は、典型的には、Van Solingen,P.ら,J.Bact.,1977, 130:946とHsiaoら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1979, 76:3829の方法に従って行われる。しかしながら、DNAを細胞に導入する他の方法、例えば核注入、エレクトロポレーション、無傷細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いられる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keown等, Methods in Enzymology, 1990, 185:527-537 及び Mansour等, Nature, 1988, 336:348-352 を参照のこと。
【0086】
Apo2L/TRAILを産生するために使用される原核生物細胞は、上掲のSambrookらに一般的に記載されているように、適切な培養培地で培養され得る。大腸菌を培養するために使用され得る特定の形態の培養培地は、PCT出願国際公開第01/00832号にさらに記載されている。Apo2L/TRAILを産生するために使用される哺乳動物宿主細胞は、種々の培養培地で培養され得る。
【0087】
市販されている培養培地の例には、ハム(Ham)のF10(シグマ)、最小必須培地(「MEM」,シグマ)、RPMI-1640(シグマ)及びダルベッコの改良イーグル培地(「DMEM」,シグマ)が含まれる。これらの培地はいずれも、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシンTM薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は同等のエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について以前から用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
一般に、哺乳動物細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach, M.Butler編 (IRL Press, 1991)に見出すことができる。
【0088】
Apo2L/TRAILの発現は、ここで提供された配列に基づき、適切に標識されたプローブを用い、例えば、従来よりの、サザンブロット法、mRNAの転写を定量化するノーザンブロット法(Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1980, 77:5201-5205)、ドットブロット法(DNA分析)、又はインサイツハイブリッド形成法によって、直接的に試料中で測定することができる。種々の標識を使用してよく、最も一般的には放射性同位体、特に32Pである。しかしながら、他の技術も用いることができ、例えばポリヌクレオチドに導入するためのビオチン修飾ヌクレオチドの使用等である。その際、ビオチンは、多様な標識、例えば放射性ヌクレオチド類、蛍光剤(fluorescers)又は酵素で標識されていてもよいアビジン又は抗体に結合する部位となる。あるいは、DNA二本鎖、RNA二本鎖及びDNA-RNAハイブリッド二本鎖又はDNA-タンパク二本鎖を含む、特異的二本鎖を認識することができる抗体を用いることもできる。次いで、抗体を標識し、アッセイを実施することができ、ここで二本鎖は表面に結合しており、その結果二本鎖の表面での形成の時点でその二本鎖に結合した抗体の存在を検出することができる。
【0089】
あるいは、遺伝子の発現は、遺伝子産物の発現を直接的に定量する免疫学的な方法、例えば細胞又は組織切片の免疫組織化学的染色及び細胞培養又は体液のアッセイによって測定することもできる。免疫組織化学的染色技術を用い、細胞試料は、典型的には脱水と固定、続いて対の遺伝子産物に特異的な標識抗体と反応させることにより調製され、標識は通常、視覚的に検出可能であり、例えば酵素標識、蛍光標識、発光標識等である。
【0090】
試料液の免疫組織化学的染色及び/又はアッセイに有用な抗体は、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、任意の哺乳動物で調製することができる。簡便には、抗体は、天然配列Apo2L/TRAILポリペプチドに対して、又はここで提供されるDNA配列をベースとした合成ペプチドに対して、又は特異的抗体エピトープをコードし、Apo2L/TRAIL DNAに融合した外因性配列に対して調製され得る。
【0091】
Apo2L/TRAILは、好ましくは分泌ポリペプチドとして培養培地から回収されるが、分泌シグナルなしに直接生成される場合は、宿主細胞の溶菌液から回収することができる。Apo2L/TRAILが膜結合性であるならば、適切な洗浄液(例えばトリトン-X100)を用いて膜から放出させるか、又はその細胞外領域は酵素的切断により放出され得る。
【0092】
Apo2L/TRAILがヒト由来のもの以外の組換え細胞で生成される場合、Apo2L/TRAILはヒト由来のタンパク質又はポリペプチドを含有しない。しかしながら、Apo2L/TRAILとは、実質的に均質な調製物を得るために、組換え細胞のタンパク質又はポリペプチドからApo2L/TRAILを回収又は精製することが通常必要である。第1工程として、培養培地又は可溶化物を遠心分離にかけ、微粒状の細胞残屑を除去する。その後、Apo2L/TRAILを汚染可溶性タンパク質及びポリペプチドから精製されるが、次の手順は好適な精製手順の例である:イオン交換カラム、例えばSP-セファロース又はCM-セファロースでの分画;ヒドロキシアパタイト;疎水性の相互作用クロマトグラフィー;エタノール沈殿;クロマトフォーカシング;硫酸アンモニウム沈殿;例えばセファデックスG-75を用いるゲル濾過;及びダイアフィルトレーションである。
【0093】
Apo2L/TRAILはアフィニティークロマトグラフィーにより単離することができる。その残基が欠失、挿入又は置換されたApo2L/TRAIL断片又は変異体は、変異により誘発されるあらゆる実質的な変化を考慮して、天然Apo2L/TRAILと同じようにして回収される。例えば、細菌又はウイルス抗原等の、他のタンパク質又はポリペプチドとのApo2L/TRAIL融合体の調製は、精製を容易にし;抗原に対する免疫親和性カラム-含有抗体を、融合タンパク質を吸着するために使用することができる。
【0094】
フェニルメチルスルホニルフロリド(PMSF)などのプロテアーゼ阻害剤も、精製中のタンパク質分解減成を阻害するのに有用であり、外来の汚染物質の成長を阻害するため、抗生物質も含有され得る。天然Apo2L/TRAILに適した精製法が、組換え細胞培養での発現によるApo2L/TRAIL又はその変異体の特徴の変化のために、修正を必要とするかもしれないことは、当業者には理解されるだろう。
【0095】
このような任意の生成工程中、一又は複数の二価の金属イオンを含有する精製物質(例えばクロマトグラフィー用カラム又は支持体)、又は二価の金属イオンを含有する溶液に、回収されたApo2L/TRAILを暴露することが所望されている。二価の金属イオン及び/又は還元剤は、Apo2L/TRAILの回収又は精製中に使用されてもよい。場合によっては、二価の金属イオン及び還元剤の双方、例えばDTT又はBMEを、Apo2L/TRAILの回収又は精製中に使用してもよい。回収又は精製中に二価の金属イオンを使用すると、Apo2L/TRAIL三量体の安定性、又は細胞培養工程中に形成されるApo2L/TRAIL三量体の保持性が助成されると信じられている。
【0096】
製剤の調製
ここでの製剤の調製において、使用される成分の推奨される質又は「等級」は、製剤の最終的な用途に依存する。治療用途において、成分(群)は製薬品への添加剤として許容可能な等級(例えば「GRAS」)のものであることが好ましい。
【0097】
ある実施態様では、Apo2L/TRAIL、及びApo2L/TRAILの溶解度及び/又は安定性を高めるのに十分なイオン強度を付与する、及び/又は賦形剤を含有する組成物が提供され、その組成物は6(又は約6)〜9(又は約9)のpHを有する。Apo2L/TRAILタンパク質は、例えば上述した方法のような、所望の純度のタンパク質を達成するのに適した任意の方法で調製され得る。好ましい実施態様では、Apo2L/TRAILタンパク質は、図1のアミノ酸114−281を含んでおり、より好ましくは、Apo2L/TRAILタンパク質は、大腸菌宿主細胞において組換え的に発現される。製剤中のApo2L/TRAILタンパク質の濃度は、例えば製剤の意図される用途に応じて変わりうる。当業者であれば、過度の実験をすることなく、Apo2L/TRAILタンパク質の所望の濃度を決定することができる。治療用途に対しては、製剤中のApo2L/TRAILタンパク質の濃度は、場合によっては約0.1〜約100mg/ml、約1〜約20mg/ml、約10〜約20mg/ml、又は約20mg/mlである。
【0098】
Apo2L/TRAILの溶解度及び/又は安定性を高めるのに十分なイオン強度を付与する製剤中の一又は複数の賦形剤は、場合によってはポリイオン性の有機又は無機酸、アスパラギン酸塩、硫酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、カプチソール(Captisol)TM、Tris、アルギニン塩、又は他のアミノ酸、糖、及びポリオール類、例えばトレハロース及びスクロースである。好ましくは、十分なイオン強度を付与する製剤中の一又は複数の賦形剤は塩である。使用され得る塩には、限定されるものではないが、ナトリウム塩及びアルギニン塩が含まれる。使用される塩の種類及び塩の濃度は、製剤においてApo2L/TRAILが安定可能なように(すなわち、沈殿性が低下し、三量体含有量が高められる)、及び/又は可溶性タンパク質の濃度が2mg/ml、好ましくは5mg/ml、さらに好ましくは10mg/ml、最も好ましくは少なくとも約20mg/mlの濃度が達成可能なように、製剤が比較的高いイオン強度を有するようになされることが好ましい。場合によっては、塩は約20mM〜約0.5Mの濃度で製剤中に存在する。より好ましい実施態様では、塩はアルギニン塩又は硫酸ナトリウムである。場合によっては、アルギニン塩には、クエン酸アルギニン、酒石酸アルギニン、リンゴ酸アルギニン、コハク酸アルギニン、リン酸アルギニン、及び硫酸アルギニンが含まれ得る。より好ましくは、アルギニン塩は、約0.2M〜約0.5Mの濃度で存在する。ここで記載する製剤中の賦形剤としては酒石酸アルギニンが有用であるが、ビヒクルとして高濃度(例えば数百mM)での酒石酸の使用は、非経口投与又はヒトへの臨床的用途には望ましくないおそれもある。本出願人は、インビボでの動物研究で、5ml/kg/hrを超えて静脈より投与された0.25Mの酒石酸で中和された0.5Mのアルギニンのビヒクル濃度では、腎臓組織において有害な効果を有するおそれがあることを見出した。従って、当業者が臨床的、治療的用途には選択しないであろう上限閾値が酒石酸濃度にはあり得る。
【0099】
製剤中で、比較的低濃度のApo2L/TRAILタンパク質、例えば約5mg/ml未満、又は約2mg/ml未満、又は約0.1〜約2mg/mlが所望される場合、製剤に安定性を付与する賦形剤は、糖、例えばトレハロース、スクロース、グルコース、ラクチトース又はラクトースでありうる。場合によっては、糖は約1%〜8%の濃度で、製剤中に使用されうる。賦形剤はまた上述したようなアルギニン塩であってよい。
【0100】
組成物は、好ましくは6(又は約6)〜9(又は約9)、より好ましくは約6.5〜約8.5、さらに好ましくは約7〜約7.5のpHを有する。この実施態様の好ましい側面では、組成物は、組成物のpHを少なくとも約6〜約8に保持するためのバッファーをさらに含有する。使用され得るバッファーの例には、限定されるものではないが、Tris、HEPES及びヒスチジンが含まれる。Trisを使用する場合、pHは、場合によっては約7〜約8.5に調節され得る。Hepes又はヒスチジンを使用する場合は、pHは、場合によっては約6.5〜7に調節され得る。場合によっては、バッファーは、製剤中で約5mM〜約50mMの濃度、好ましくは約10mM〜約20mMの濃度で使用される。
【0101】
特に液体製剤(又は再構成された凍結乾燥製剤)においては、組成物に一又は複数の界面活性剤を含有せしめることが望ましい場合がある。このような界面活性剤は、例えば非イオン性界面活性剤、中でもトゥイーン(TWEEN)TM又はプルロニクス(PLURONICS)TM(例えばポリソルベート又はポロキサマー)を含みうる。好ましくは、界面活性剤はポリソルベート20(「トゥイーン20」)を含む。界面活性剤は、場合によっては約0.005%〜約0.2%の濃度で使用される。
【0102】
好ましい製剤は、賦形剤(類)が最適なApo2L/TRAIL三量体の含有量をもたらし、Apo2L/TRAIL二量体形成(凝集体の形成)量又は電荷分布を変化を最小にするものである。場合によっては、製剤はApo2L/TRAIL凝集体を5%未満、Apo2L/TRAILジスルフィド結合二量体を10%未満(製剤のApo2L/TRAILタンパク質の全量に対して)しか含有せず、及び/又は初期電荷分布の変化が10%以下である。
【0103】
好ましい実施態様では、本発明は、約0.1mg/ml〜約20mg/mlのApo2L/TRAIL及びアルギニン塩を含有する組成物を提供し、その組成物は約6.5〜約8.5(場合によっては、6.8〜7.5)のpHを有する。場合によっては、組成物は、Tris等のバッファー、及び/又はポリソルート20等の界面活性剤をさらに含有する。好ましくは、Apo2L/TRAILタンパク質は、任意のエピトープタグ分子(類)又はロイシンジッパー分子(類)を含有しない(すなわち、結合も融合もしていない)。
【0104】
より好ましい実施態様では、本発明は、約2〜約20mg/mlのApo2L/TRAIL、約0.4〜約0.5Mのアルギニン塩、及びバッファーを含有する組成物を提供するものであり、該組成物は約6.5〜約7.5のpHを有する。
【0105】
場合によっては、二価の金属イオンが製剤に含まれていてもよい。二価の金属イオンは、亜鉛分子、例えば硫酸亜鉛、塩化亜鉛又は酢酸亜鉛であってよい。二価の金属イオンは、場合によっては約50ミクロモル〜約400ミクロモルの濃度で製剤に含有可能である。
【0106】
本発明の製剤は、Apo2L/TRAILに加えて、上述した成分、さらには種々の例えばの賦形剤又は成分を含有していてもよい。場合によっては、製剤は、非経口投与のために、製薬的又は非経口的に許容可能な担体、すなわち使用される濃度及び用量で受容者に対して毒性がなく、製剤の他の成分と融和性のあるものを含有してよい。場合によっては、担体は非経口用担体、例えば受容者の血液と等張な溶液である。このような担体ビヒクルの例には、水、生理食塩水、又は緩衝溶液、例えばリン酸緩衝液(PBS)、リンガー液及びデキストロース液が含まれる。種々の任意の製薬的に許容可能な担体、賦形剤又は安定剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th, Osol, A.編(1980)に、さらに記載されている。
【0107】
ここで、製剤は一又は複数の保存料を含有してよい。具体例には、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、ベンズアルコニウムクロリド(アルキル基が長鎖の化合物である、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリドの混合物)、塩化ベンゼトニウムが含まれる。他の種類の保存料には、芳香族アルコール、メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン、及びm-クレゾールが含まれる。酸化防止剤には、アスコルビン酸及びメチオニン;保存料(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド;塩化ベンゼトニウム;ブチルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖;又はポリエチレングリセロール(PEG)が含まれる。
【0108】
このような担体のさらなる例には、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばグリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩、又は電解質、例えば硫酸プロタミン、塩化ナトリウム、ポリビニルピロリドン、及びセルロースベースの物質が含まれる。ゲルベースの形態をした担体には、ナトリウムカルボキシメチルセルロース又はメチルセルロース等の多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリアクリラート、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及びモクロウアルコールが含まれる。従来のデポー形態には、例えば、マイクロカプセル、ナノ-カプセル、リポソーム、硬膏剤、吸入形態、鼻スプレー、及び除放性製剤が含まれる。
【0109】
本発明の組成物は、Apo2L/TRAILタンパク質が結晶又は非晶質の沈殿物の形態をした、液体製剤(液状溶液又は液状懸濁液)、及び凍結乾燥製剤、並びに懸濁製剤でありうる。
【0110】
最終製剤が液体である場合、好ましくは≦20℃で凍らせて保存される。また、製剤は凍結乾燥することもでき、場合によっては2−30℃で保存されうる注射用の水で再構成されるパウダーとして提供することができる。
【0111】
治療投与に使用される製剤は無菌でなければならない。滅菌は、滅菌濾過膜(例えば0.2ミクロンの膜)を通した濾過により容易に達成される。治療用組成物は、一般的に無菌のアクセスポート、例えば、皮下注射針で貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルを具備する容器に配されている。
【0112】
組成物は通常、単位毎又は多数回用量容器、例えば封入されたアンプル又はバイアルに、水溶液、又は再構成用の凍結乾燥された製剤として貯蔵される。容器は、当該分野で任意の入手可能な容器で、常法を用いて充填されるものであってよい。場合によっては、製剤は、注射ペン装置(又は、ペン装置に嵌合するカートリッジ)、例えば製剤の治療的送達に適した、当該分野で入手可能なもの(例えば、米国特許第5370629号を参照)に収容されうる。凍結乾燥製剤の例として、10mLのバイアルに、滅菌濾過された2%(w/v)のApo2L/TRAIL水溶液5.5mLを満たし、この得られた混合物を凍結乾燥させたものが挙げられる。注射用溶液は、例えば注射用の水を使用し、凍結乾燥されたApo2L/TRAIL製剤を再構成することにより調製することができる。
【0113】
さらに特定の製剤の実施態様では、Apo2L/TRAIL結晶を含有する組成物が提供される。例えば、前記組成物は、Apo2L/TRAIL結晶を含有する懸濁製剤を含み得る。本出願人は、驚くべきことに、低イオン条件下で溶解するか又は非晶質の沈殿物を形成する、当該分野で公知の他の多くのタンパク質と異なり、5℃で固形状態のApo2L/TRAILタンパク質は、同様の条件下で、中程度の結晶性であることを見出した。さらに、固形状態のApo2L/TRAIL結晶は、周囲温度(すなわち室温)になった時、タンパク質の生物学的活性を喪失したり、あるいはタンパク質の生化学的特性の悪影響を与えることなく、可逆的に溶解することを見出した。この観察は、当該分野で公知の他のタンパク質で観察される変性又は不可逆的沈殿とは全く異なる。
【0114】
場合によっては、Apo2L/TRAIL結晶は、Apo-2L/TRAILタンパク質の過飽和溶液を、約20〜約30℃から約15℃以下、好ましくは約2〜8℃、より好ましくは約2〜8℃以下に冷却することにより調製される。結晶化は、数ミリリットルから数百リットルの溶液まで、広範囲のスケールで、バッチ又はセミバッチ式で実施される。結晶化速度はプログラムされた冷却及び攪拌により制御することができる。装置は、限定されるものではないが、表面及び/又は内部温度制御を具備する、攪拌又は静置タンクを含み得る。内部バッフル及びドラフトチューブもまた攪拌タンク中の混合を高めるために使用されうる。結晶核生成はシーディングによっても制御することができる[Moore, AIChE Practical Engineering Perspectives, Distillation and Other Industrial Separations, pp.239-245]。過飽和の程度、塩組成、冷却速度、攪拌速度及びシーディングが、結晶形成速度、結晶のサイズ分布、及び結晶収率に影響を与えうる。
【0115】
場合によっては、結晶を調製するために、Apo2L/TRAILタンパク質溶液は、硫酸ナトリウム又は塩化ナトリウムを含有する。場合によっては、塩濃度は約100mM〜約150mMであり、場合によっては、pHは約6〜約9(好ましくは、pHは約6.5〜約8.5)である。
【0116】
Apo2L/TRAIL結晶スラリーは、塩を除去するために洗浄されうる。場合によっては、結晶スラリーは水で洗浄されうる。また、結晶スラリーは低イオン強度に平衡化してもよい。その後、物質を、非経口用製剤として保存又は調製されるために乾燥させてもよい。結晶の乾燥方法には、限定されるものではないが、静的真空乾燥、乾燥空気/N2流により助長される振動、回転又は攪拌運動を伴う真空乾燥、凍結乾燥、スプレー乾燥及び流動床乾燥が含まれうる。
【0117】
乾燥した結晶は、液体製剤に再構成し、非経口注射用に滅菌することができる。また、乾燥した結晶は、皮下又は筋肉内投与用に、高粘度の生物融和性媒体に懸濁させることができる。懸濁媒体は水性又は非水性であってよい。水性懸濁液の例には、セルロースベース系、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、又はポリ乳酸-グリコール酸(PGLA)等のポリマーベース系が含まれる。非水性媒体の例は、N-メチルピロリドン、又は炭酸プロピレン、エタノール等の溶媒に予め溶解させておいたスクロースアセタートイソブチラート(SAIB)である。均一なサイズ分布の懸濁液は、例えばプローブホモジナイザー又はマイクロフルイダイザー(microfluidizer)を使用し、粘性媒体中に乾燥結晶をホモジナイズすることにより調製することができる。
【0118】
使用方法及び他の用途
本発明の一実施態様は、Apo2L/TRAILタンパク質を精製及び保存するための改善された方法を提供することにある。特に、精製方法は、Apo2L/TRAIL結晶化に使用され、該結晶は保存のために乾燥させることができる。本方法は、例えば、複数のカラム精製を必要とする精製プロトコルに対する効果的、効率的でコスト削減可能な代替法を提供する。結晶性物質を乾燥させることで、比較的低容量で、バルク容器内における精製された物質の凍結、及び凍結したバルク物質の解凍が回避され、効果的な方法でバルク保存することができる。
【0119】
本方法において、Apo2L/TRAIL製剤、例えば組換え的に発現するApo2L/TRAILタンパク質を含有する細胞ペーストが提供される。場合によっては、必要ではないが、細胞ペーストはプロセシング(例えば、一又は複数の還元剤、例えばDTT又はBMEに暴露させてもよい)、又は当該分野で公知の任意の適切な方法、例えば陽イオン交換クロマトグラフィー法を使用して部分的に精製してよい。陽イオン交換クロマトグラフィー物質は、場合によってはSP-セファロース、CM-セファロース、又はマクロ-プレップ・セラミックHS樹脂であってよい。製剤においてプロセシング又は部分的に精製されたApo2L/TRAILは、ここで記載された方法を使用し、攪拌度合い及び温度を低下させることによって、結晶化形態、例えば過飽和溶液にすることができる。ついで、結晶を収集し、バッファー(又は水)(好ましくは、約2〜8℃の温度の冷バッファー)で洗浄してよい。洗浄された結晶は、周囲温度で再懸濁されるか、又は再溶解させることができる。
【0120】
再溶解したApo2L/TRAILは、さらに、疎水性の相互作用クロマトグラフィーで精製し、再結晶化させ、洗浄し、湿った結晶性バルク物質として保存することができる。
また、疎水性の相互作用又は他のクロマトグラフィー工程は、簡単な再結晶化を選んで省略してもよい。湿った結晶性バルク物質は、−20℃で保存されるか、又は周囲温度(室温)、もしくは2−8℃で保存するために乾燥させることができる。好ましくは、乾燥した結晶性物質は、上述したコハク酸アルギニン含有製剤に再溶解される。場合によっては、このような製剤は、滅菌濾過されるか、及び/又は個々の投薬バイアルに充填されるか、後の再構成又は懸濁のために凍結乾燥することができる。場合によっては、乾燥された結晶性製剤は、バイアルにパウダーとして充填することもできるし、溶液又は懸濁液にすることもできる。
【0121】
ここで記載したApo2L/TRAIL製剤は、種々の治療又は非治療用途に使用することができる。これらの用途としては、疾患、例えば癌、免疫に関連した病状、ウイルス性の病状を治療する方法を挙げることができる。このような治療及び非治療用途は、例えば国際公開第97/25428号、国際公開第97/01633号、及び国際公開第01/22987号にさらに記載されている。
【0122】
ここに開示した製剤を使用して疾患を治療する本発明の方法では、Apo2L/TRAIL製剤は、注入又は注射を含む、任意の適切な技術により、哺乳動物に直接投与することができる。特定の投与経路は、Apo2L/TRAILの使用による、知覚又は予想される任意の副作用を含む、患者の医薬履歴、及び是正する特定の疾患などに依存するであろう。非経口投与の例には、組成物の皮下、筋肉内、静脈内、動脈内及び腹膜内投与が含まれる。製剤は、好ましくは繰り返し静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、又は筋肉内(i.m.)注射又は注入、頭蓋内注入として、あるいは鼻内又は肺内送達に適したエアロゾル製剤として投与される(肺内送達については、例えば欧州特許第257956号を参照)。
【0123】
注射の浸透圧は、皮下及び筋肉内注射において重要であり得る。注射用溶液が低張又は高張であると、注入時に、患者に痛みが生じるおそれがある。通常、ここで治療用の注射用製剤は、注射用溶液の相対浸透圧が約300mosm〜約600mosmになるようにされることが好ましい。
【0124】
また、Apo2L/TRAILは徐放性製剤の形態で投与することもできる。徐放性製剤の好適な例は、タンパク質を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを含み、当該マトリクスは成形物、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリクスの例は、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース)、非水性媒体にスクロース-アセタート-イソブチラート(SABERTM)が入ったもの、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリラート)(Langer等, J. Biomed. Mater. Res., 1981, 15: 167-277 及びLanger, Chem. Tech., 1982, 12: 98-105又はポリ(ビニルアルコール) )、ポリラクチド(米国特許第3773919号、欧州特許第58481号)、L-グルタミン酸及びガンマエチル-L-グルタマートのコポリマー(Sidman等, Biopolymers, 1983, 22: 547-556 )、非分解性エチレン-酢酸ビニル(Langer等, 上掲)、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLupron Depot(乳酸-グリコール酸コポリマ及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能な微小球)、及びポリ-D-(−)-3-ヒドロキシブチル酸(欧州特許第133988号)を含む。
全身作用性の薬剤を送達せしめる任意の一方法は、連続注入(例えば、徐放性装置又はミニポンプ、例えば浸透圧ポンプ又は皮膚パッチ)、又は注射(例えば、単一ボーラス投与を含む、静脈内又は皮下手段を使用する)による投与に係る。
【0125】
組成物は、個々の患者の臨床的状態、組成物の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び実務者に公知の他の要因を考慮に入れ、良好な医療行為に矛盾することのない様式で調製され、投薬されるであろう。ここでの目的において、各成分の「有効量」はこのような考察に決定され、哺乳動物に対するApo2L/TRAIL又は他の薬剤の生物学的利用能に帰着する量である。
一般的な提案として、投与されるApo2L/TRAILポリペプチドの全製薬的有効量は、上述したように、患者の体重kgをベースにして約1mg/kg/日〜約20mg/kg/日の範囲であり、これは、治療的裁量に従う。
【0126】
注射が好ましいが、連続注入のための注入装置を使用してもよい。また、静脈内バッグ溶液を使用してもよい。
さらに付加的な治療が本方法において使用され得ることを考慮する。一又は複数の他の治療には、限定されるものではないが、放射線治療、サイトカイン(類)、成長阻害剤(類)、化学治療剤(類)、細胞傷害剤(類)、チロシンキナーゼインヒビター、ラスファルネシルトランスフェラーゼインヒビター、血管形成インヒビター、サイクリン依存性キナーゼインヒビターで、当該分野で公知であり、上のセクションIに詳細に記載されているものの投与が含まれる。さらに、治療は、RituxanTM又はHerceptinTM等の腫瘍抗原を標的にする治療用抗体、並びに抗-血管形成抗体、例えば抗VEGF、又はApo2Lレセプター、例えばDR5又はDR4を標的にする抗体をベースにしている。
【0127】
このような化学治療剤の調製と用量スケジュールは、製造者の指示書に従って使用されるか、熟練した実務者により経験的に決定されて使用される。このような化学治療の調製と用量スケジュールは、Chemotherapy Service Ed., M.C. Perry, Williams & Wilkins, Baltimore, MD (1992)にも記載されている。
また、他の抗原に対する抗体、例えばCD20、CD11a、CD18、CD40、ErbB2、EGFR、ErbB3、ErbB4、血管内皮因子(VEGF)、又は他のTNFRファミリーのメンバー(例えば、DR4、DR5、OPG、TNFR1、TNFR2)に結合する抗体を投与することも好ましい。別法として、あるいは付加的に、ここに開示した同一の又は二又はそれ以上の異なる抗原に結合する二又はそれ以上の抗体を患者に同時投与してもよい。しばしば、患者に一又は複数のサイトカインを投与することも有利である。一実施態様では、Apo2L/TRAIL製剤は、成長阻害剤と同時投与され得る。
【0128】
Apo2L/TRAILは、このような他の薬剤と同時に、又は連続して投与されてもよい。例えば、Apo2L/TRAIL製剤は前処理(このような任意の他の薬剤の投与前)として、例えば、さもなければApo2L/TRAILのアポトーシス効果に耐性のある癌細胞の前処理として投与されてもよい。
【0129】
また本発明は、ここで記載された製剤を収容するキットを提供する。典型的なキットは、上述した一又は複数の賦形剤にApo2L/TRAILのための容器、好ましくはバイアル;及び使用者にApo2L/TRAIL製剤の使い方を指示する使用説明書、例えば製品挿入物又はラベルを具備する。これにより、好ましくは製薬用製剤が提供される。好ましくは、製薬用製剤は癌又は免疫に関連した病状を処置するためのものである。適切な容器には、例えばボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管が含まれる。容器はガラス又はプラスチックのような様々な材料で形成することができる。容器は疾患の診断又は処置に有効なApo2L/TRAIL製剤を収容しており、滅菌したアクセスポートを有している(例えば、容器は皮下注射針により貫通可能なストッパーを具備する静脈溶液用のバック又はバイアルであってよい)。容器上の又は容器に伴うラベルには、製剤が、選択された疾患の診断又は処置に使用されることが示されている。製造品は、注射用水、製薬的に許容可能な溶液、塩水、リンガー液、又はデキストロース溶液を収容する第2の容器をさらに具備する。さらに、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用指示書を含むパッケージ挿入物を含む、市販及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含んでいてもよい。
全ての特許、特許出願、出版物、製品についての記載、及びプロトコルは、この出願を通して引用され、その開示は、それらの全てが参照としてここに取り込まれる。
【0130】
(実施例)
以下の実施例は例示目的のためにのみ提供されるものであって、本発明の範囲を決して限定することを意図したものではない。実施例に示されている市販試薬は、特に記載しない限りは、製造者の使用説明書に従い使用した。以下の実施例及び明細書を通して、ATCC受託番号により特定されたそれらの細胞の供給源は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、マナッサス、バージニア州である。
製剤を調製し、治療、診断及び/又は商業上の観点から所望の特徴を有するApo2L/TRAIL製剤を同定するためのアッセイを行った。特に、本出願人は、特に少なくとも20mg/mlまでの濃度で生物学的に活性なApo2L/TRAILの溶解度を高め、2-8℃又は周囲温度での保存時に安定性を付与する条件、及び製剤の成分を同定することを探求した。また本出願人は、タンパク質の天然の非共有三量体含有量、電荷分布、及び/又は保存中に生物学的活性を保持し得る、診療所で使用するためのApo2L/TRAIL製剤を同定することを探求した。
【0131】
実施例1:高められた溶解度及び安定性を有するApo2L/TRAILの液体製剤
アミノ酸114−281(図1を参照)からなるApo2L/TRAILタンパク質は、APプロモーターの制御下で大腸菌において発現させられ(2001年1月4日に公開された国際公開第01/00832号の実施例8(セクションA)に記載されている調製及び発現)、陽イオン交換、ヒドロキシアパタイト、及び疎水性の相互作用クロマトグラフィー(国際公開第01/00832号、実施例8、セクションC)からなる3つのクロマトグラフィー工程により大腸菌の細胞溶解物から精製された。第3のクロマトグラフィー分離において、Apo2L/TRAILタンパク質を、600mMの硫酸ナトリウム又は400mMの硫酸アンモニウム、50mMのTris、pH7.5で溶出させた。ついで、タンパク質を、表1に列挙した種々の製剤用賦形剤と、透析によりバッファー交換し、次にCentricon-10濾過を使用し、周囲温度で20mg/mLの濃度まで濃縮した。ついで、試料を0.22ミクロンのフィルターに通して濾過し、2−8℃又は30℃で保存し、溶解度及び安定性を評価した。
【0132】
表1に示されるように、約20の異なる賦形剤を試験した。以下に示すもの以外は、一般的商業的供給源(Sigma, Mallindkrodt)からの高純度のNF、USP又はEP等級の賦形剤を使用した:アルファ,アルファ-トレハロースジヒドラート(Phanstiehl又はSenn)、スクロース(Pfanstiehl)、カプチソールTM(Cydex)、アルギニンフリー塩基(Ajinomoto又はKyowa Hakko Kogyo)。当初の賦形剤スクリーニングに使用される基準としては、1)2-8℃での溶解度(バイアルに充填する前のバルク製剤の保存条件)、2)製造スケールの限外濾過及びダイアフィルトレーション工程下での溶解度、3)短期間での、液体の安定性及び凍結-解凍の安定性、及び4)凍結乾燥製剤の物理学的安定性が含まれる。2−8℃での溶解度は、1ヶ月までの定期的な視覚的アセスメントにより評価し、278nmでの減衰係数1.53を使用し、UV分光スキャンにより確認した。
表1には、比較的高いイオン強度である条件を有する賦形剤が、2−8℃において、10mg/ml以上のApo2L/TRAIL濃度で溶解度をもたらすことが示されている。
【表1】
【0133】
ついで、短期間(30℃で1週間の保存期間)の液体安定性を、約20mg/mlの濃度でApo2L/TRAILの溶解度をもたらした表1に示すいくつかの製剤に対して評価した。短期間での安定性を、濁度の視覚的アセスメント、製剤中の天然の三量体及び凝集体の量を測定するためのサイズ排除HPLC、及び電荷分布を測定するためのイオン交換HPLC(IEX)により評価した。SECはセファロース12カラム(Pharmacia)及び13mMのリン酸ナトリウム、400mMの硫酸アンモニウム(pH6.5)を使用して実施し、移動相を0.6ml/分の速度で流した。IEXは40℃でProPac WCX-10カラムを使用して実施し、NaCL勾配を0.5ml/分の速度で流した。
結果を図2に示す。硫酸ナトリウム、酒石酸アルギニン、カプチソールTM、及び酢酸ナトリウムの製剤が一又は双方のアッセイ(図2)において、最も高い安定性を示した。
【0134】
実施例2:アルギニン塩を含有する凍結乾燥Apo2L/TRAIL製剤
本出願人は、アルギニン塩を含有するApo2L/TRAIL製剤を、限外濾過又はダイアフィルトレーション により、>20mg/mLタンパク質まで、容易に濃縮することができることを見出した。タンパク質のApo2L/TRAIL 114−281アミノ酸形態のある種のインビボ薬物動態学液特性のために、本出願人は≧20mg/mlのApo2L/TRAILタンパク質を含有する安定した製剤を同定することを特に探求した。
【0135】
製薬的及び商業的に有益な凍結乾燥製品を提供するアルギニン塩を同定するために、種々のアルギニン塩を含有するビヒクル製剤の物理的安定性を評価した。アルギニン塩は、0.5Mのアルギニンフリー塩基を種々の酸(表2に示す)で滴定することにより調製し、20mMのTrisにおいてpH7の溶液を生じた。2mlの製剤を5ccのガラスバイアルに充填し、保存的に長いフリーズドライ(凍結乾燥)サイクルにかけた(−50℃で凍結、0℃で一次乾燥、及び42℃で二次乾燥)。また溶液の浸透圧(凍結乾燥前)を蒸気圧降下法を使用して測定し、臨床での設定においてIV投与するのに適した製剤を特定した。
【0136】
表2には、ポリアニオン性の有機又は無機酸を含有する凍結乾燥製剤が、モノアニオン性の酸を使用して調製されたものよりも、より望ましい物理的安定性を示すことが示されている。ポリアニオン性塩の凍結乾燥製品は、溶融し、ゲル化し、つぶれた、有窓の、卵状の、又は粉砕した外殻構造(表2においては「いいえ」と示す)というよりはむしろ、固体状で無傷の乾燥ケーキに見える(表2においては「はい」と示す)。
さらに、ポリアニオン性の酸の0.5Mアルギニン塩は、モノイオン性のアルギニン塩(例えば0.5Mの乳酸アルギニンは3.1x高浸透圧溶液を付与する)、及び良好な溶解度及び液体安定性を示す他の比較的高イオン強度の製剤のいくつか(例えば、0.5Mの酢酸ナトリウムは3.4倍の高浸透圧溶液を付与する)とは異なり、IV投与に適した浸透圧(2倍高浸透圧未満)を示す。
【表2】
【0137】
ついで、表2で報告された研究で得られた結果に基づき、いくつかの凍結乾燥Apo2L/TRAIL含有製剤を、種々の温度で保存した後、タンパク質の生化学的安定性を評価した。Apo2L/TRAIL(残基114−281;実施例1に記載したようにして調製)を、限外濾過/ダイアフィルトレーションにより、0.5Mの酒石酸アルギニン又はクエン酸アルギニン中で10mg/ml、もしくは8%のスクロース又はトレハロース中で3mg/mlに調製した。これら全ての製剤は、20mMのTris、pH7.0、及び0.01%のポリソルベート20を含有している。ついで試料を上述したようにして凍結乾燥した。安定性は、SEC(実施例1に記載)を使用して天然の三量体及び凝集体の含有量、及びIEX(実施例1に記載)を使用して電荷分布を測定することにより評価した。
【0138】
40℃で4ヶ月保存した後、三量体の%及びIEX主ピークの%を、−70℃で保存した凍結乾燥対照溶液と比較して決定した(図3Aを参照)。図3Aのデータには、アルギニン塩を含有する凍結乾燥製剤は、スクロース又はトレハロースを含有する製剤と比較してより大きな安定性を示すことが示されている。
【0139】
Apo2L/TRAIL製剤の安定性において、アルギニン塩の種類による効果をさらに試験するため、4つの異なるアルギニン塩を含有する20mg/mlのApo2L/TRAIL製剤の液体及び凍結乾燥製剤の双方を、タンパク質の生化学的安定性についてモニターした。液体の安定性は、2-8℃及び周囲温度で、1ヶ月間モニターし(表3)、凍結乾燥されたものの安定性は、50℃で1ヶ月モニターした。
【0140】
実施例1に記載されたSEC及びIEXアッセイを実施することに加えて、変性条件下にてSECによりモニターした(SDS-SEC)。SDS-SECアッセイを、25mMのリン酸ナトリウム、0.1%のSDS、200mMのNaClからなる移動相において、0.6ml/分で流れるTSK-2000XLカラム(TosoHaas)を使用して実施した。50mMのTris(pH7.0)、200mMのNaCl、0.5%のSDS、pH9、及び5mMのヨードアセタミド(Sigma)を付与する溶液で、試料を1mg/mlのタンパク質に希釈した。ついで、HPLC分析の前に、試料を50℃で10分間インキュベートした。
【0141】
また、種々の製剤におけるApo2L/TRAILの生物学的活性を、生存細胞計測のために、SK-MES-1細胞及びアラマーブルー染色を使用して測定した。本アッセイにおいて、Apo2L/TRAIL製剤(2ug/mlで50uL)をアッセイ溶培地(0.1%のウシ血清アルブミン、RPMI1640)に添加し、2倍の滅菌希釈液を96-ウェルプレートに作製した。ついで、50uLのSK-MES-1細胞(ヒト肺癌細胞系、ATCC HTB58)を20000細胞/ウェル密度で、ウェルに添加した。プレートを37℃で24時間インキュベートし、24時間のインキュベート時間の最後の4時間に、アラマーブルーを添加した。染色強度を530nmの励起波長及び590nmの発光波長で、蛍光プレートリーダーにより測定した。0.1〜1000ng/mlのアッセイ範囲におけるデータに適合した4つのパラメーターは、ED50、すなわち50%の細胞の殺害を誘発するApo2L/TRAIL濃度を付与する。細胞殺害の可能性は、ED50の減少と共に増加する。
【0142】
表3に示すように、2−8℃で液体製剤を1ヶ月間保存した後、4つのアルギニン塩含有製剤は、Apo2L/TRAILの品質において、小さな差異しか示さなかった。硫酸アルギニンの製剤は、凝集体の形成度合いが最も高かった。リンゴ酸アルギニンの製剤は、二量体の形成度合いが最も高く、リン酸アルギニン又はリンゴ酸アルギニンの製剤は、IEX主ピーク%の領域において最も大きな変化を示した。
周囲温度で2週間保存した後、硫酸アルギニン及びコハク酸アルギニンの製剤は最も高いレベルの生物学的活性を保持していた(表3)。
全体的に、コハク酸アルギニンの製剤は、液体の状態のApo2L/TRAILが多少優れて安定であることを証明した。
【表3】
【0143】
また、50℃で1ヶ月保存した後、これらのアルギニン塩を含有する凍結乾燥製剤の安定性を、SEC、IEX及びSDS-SEC(上述したプロトコルを使用)により評価した。物理化学的特性に何の変化も観察されず(図3参照)、これはApo2L/TRAILの有意な安定性が、アルギニン塩を含有するApo2L/TRAIL製剤の凍結乾燥を通して達成されたことを示唆している。0.5Mの酒石酸アルギニン、20mMのTris、pH7.0、0.01%のポリソルベート20、0.33mMの硫酸亜鉛における、凍結乾燥された10mg/mlのApo2L/TRAIL製剤の加速された温度安定性を使用したアレニウス特性図を図3Cに示しており、2−8℃で比較的長い有効期間、周囲温度で>2年の有効期間が予測される。本出願人は、20mMのTris、pH7.2、0.5Mのコハク酸アルギニン及び0.02%のポリソルベート20における20mg/mlのApo2L/TRAILを含有する凍結乾燥製剤(「凍結乾燥(lyo)」)が、50℃と同程度に高い温度で少なくとも12ヶ月安定していることを見出した(表4)。IEX主ピークの%における動力学的変化は、図3Cにおいて上述した製剤と同様に、2−8℃(並びに周囲温度)で顕著に長い(>7年)有効期間が得られることが予測される。
【表4】
【0144】
実施例4:Apo2L/TRAIL製剤におけるpHの影響
2001年1月4日に公開された国際公開第01/00832号(また、Hymowitzら, Biochemistry, 39:633-640(2000)も参照)に記載されたように、Apo2L/TRAILタンパク質は、各単量体のシステイン230位において、亜鉛が配位結合したチオールとホモ三量体を形成し、システイン230における分子内ジスルフィド結合の形成の結果、タンパク質の生物学的活性が喪失する。システイン含有タンパク質は、ジスルフィド結合の形成を防止するため、典型的には、チオール基のpKaよりかなり低い、低pHで処方される(例えば、N. Derby及びT. Creighton, 「Disulfide Bonds in Protein Folding and Stability」, Methods in Enzymology, Vol40(B.A. Shirley編;Humana Press Inc, Totowa, NJ), 第10章(1995)を参照)。驚くべきことに、以下に論議する結果が明らかにするように、天然の非共有Apo2L/TRAIL三量体は、pHの減少に伴い減少することが見出された。
【0145】
アミノ酸94−281(図1)からなるApo2L/TRAIL(ここで、また図4において「Apo2L/TRAIL.2」と呼ぶ)を、HICの代わりにNi-キレート化アフィニティークロマトグラフィーを、第3のクロマトグラフィー工程として使用したことを除けば、本質的に国際公開第01/00832号に記載されたようにして調製した。製剤を、10mMのコハク酸ナトリウム(pHは5.5〜6.5の範囲)又は10mMのリン酸ナトリウム(pHは7〜7.5の範囲)中への透析により調製した。これらの製剤の液体安定性を、上述した実施例に記載された手順に従い、SEC及び生物学的活性のアッセイにより評価した。
【0146】
周囲温度での1日の保存の間に、約6.5以下のpHを有する製剤は、三量体含有量及び生物学的活性を喪失した(図4Aを参照)。このpH安定性の特性は、他のApo2L/TRAILタンパク質変異体で観察された。例えば、アミノ酸114−281(図1)からなるポリ-ヒスチジン-タグ化Apo2L/TRAIL製剤(His-Apo2L/TRAIL;本質的に、Ashkenaziら, 「Safety and Antitumor Activity of Recombinant Soluble Apo2 ligand」, JCI, 104:155-162(1999)に記載されたようにして調製)を、10mMのコハク酸ナトリウム(pH5.5〜6)又は10mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5〜7)で調製した。30℃で1週間保存した後、三量体の安定性及び生物学的活性(図4Aの製剤に対して上述したようにして測定)は、pH≧6.5で高められることが見出された。
【0147】
Apo2L/TRAILの結晶構造分析により、システイン230の3つの遊離のチオールに内在性亜鉛原子が配位結合することが、タンパク質の適切な折りたたみ、及び天然構造の安定に必要であることが示された(国際公開第01/00832号、及びHymowitzら, 上掲を参照)。十分に理解されているわけではないが、Apo2L/TRAILの予期しないpH安定性の特性は、チオール部分がより低いpHでプロトン化されるのと同様、三量体における亜鉛結合の喪失に関連していると考えられる(図5を参照)。約6.5〜約8.5の範囲における中性のpHがApo2L/TRAIL製剤の生物学的活性及び物理化学的安定性を維持するのに最も好ましいと考えられる。
【0148】
実施例5:Apo2L/TRAILの安定性に対する界面活性剤の影響
Apo2L/TRAIL製剤の安定性に対する界面活性剤の影響を試験するため、0.5Mのコハク酸アルギニン、20mMのTris、pH7.2、及び種々の濃度のトゥイーン20(0.005%、0.01%、0.02%又は含有しない(対照として))に、20mg/mlのApo2L/TRAIL(114-281タンパク質(図1);実施例1に記載したようにして調製)を含有せしめてなる製剤を調製し、水平に配されたガラスバイアルで、24時間、室温、70rpmで攪拌した。攪拌1時間の間の光散乱の増加度合い(340-360nmの範囲の吸光度で測定)を、トゥイーン20の濃度が0.005%以下に低下した時に観察した(図6)。
よって、非イオン性界面活性剤、例えばトゥイーン20をApo2L/TRAIL製剤に含有せしめることは、空気-水の界面でバルクタンパク質を変性可能な攪拌及び操作に対する安定性を高めるのに好ましいと考えられる。
【0149】
実施例6:Apo2L/TRAIL液体製剤の安定性に対する硫酸亜鉛の効果
残基114−281(図1)からなるApo2L/TRAILタンパク質の液体製剤(実施例1に記載したようにして調製)を、ゼロ、117uM又は330uMの硫酸亜鉛の存在下、20mg/mlのApo2L/TRAIL、0.5Mの酒石酸アルギニン、20mMのTris、pH7.0を使用して調製した。30℃又は2−8℃で2ヶ月保存した後、SEC、IEX、及びSDS-SECにより(実施例1及び2にて上述したように)、−70℃の対照試料に対して評価した。
図7に示すように、提供された製剤に硫酸亜鉛を添加すると、ジスルフィド結合した分子内二量体形成に対する安定性が増加した。硫酸亜鉛は、2-8℃で、Apo2L/TRAIL製剤の安定性に影響を与えないが、より高い温度での二量体の形成に対する安定性は改善された(図7)。
【0150】
実施例7:生物学的活性のある可逆的な結晶化
本出願人は、Apo2L/TRAIL溶解度の低い条件下(例えばイオン強度が中程度から低い)で、タンパク質を結晶化できることを見出した。ここに記載したように、結晶化速度、粒子径及び収率は、有用な精製のための工業的方法、バルク保存、及びApo2L/TRAILの放出性が制御された懸濁製剤を付与するように制御される。
【0151】
残基114−281(図1)からなるApo2L/TRAILタンパク質(実施例1に記載したようにして調製)を、20mMのTris、pH7.2及び種々の濃度の硫酸ナトリウムにおいてNAP5カラム(Pharmacia)溶出を用い、周囲温度で処方した。周囲温度で溶出させた後、時間内、多様な長さの六角形状の結晶を観察した(図8を参照)。試料を付与された温度で3〜4日間回転させ続けたときに、平衡溶解度に達した。約10−15mMのイオン強度で溶解度は最小であった。溶解度は、約0.3Mの硫酸ナトリウムで最大になるまで増加し、ついで塩の限界溶解度に達するまで減少した。パターンは高温の場合と類似していたが、溶解度は温度の増加と共に増加した。数百ミリモルの塩範囲において塩濃度が増加するとタンパク質の溶解度が増加する(よって結晶化を低減させる)という知見は、結晶化の傾向が塩濃度の増加と共に増加する傾向にあるとの、他のタンパク質で一般的に理解されていることとは異なる(例えば、A. Ducruix及びMM Reis-Kautt, 「Solubility Diagram Analysis and the Relative Effectiveness of Different Ions on Protein Crystallization」, METHODS:A Companion to Methods in Enzymology, Vol. 1, pp.25-30(1990)を参照)。
【0152】
図9に示すように、一価のカチオン性塩(例えば塩化ナトリウム)により、最も高い結晶化傾向がもたらされるが、二価の塩(例えば塩化カルシウム及び塩化マグネシウム)では、結晶化がかなり低減された。また、結晶化は正に帯電した(リジン塩及びアルギニン塩)及び負に帯電した(アスパラギン酸)アミノ酸溶液において、0.3モル濃度以下で生じるが(図9参照)、アルギニン塩は、同じイオン強度で結晶化傾向を低減させる。
【0153】
種々の結晶化プロセスのパラメータを同定するために、5mg/mlのApo2L/TRAIL(残基114−281;実施例1に記載したようにして調製)、0.1MのNa2SO4、及び20mMのTris、pH7.2を含有する0.5Lの溶液を、室温から5℃まで冷却する単一工程にかけた。0〜200rpmの範囲の攪拌速度で、4つの実験を行った。上清のApo2L/TRAIL濃度をUV分光法を使用し、10分間隔で測定し、結晶化の進行をモニターした。
【0154】
図10Aには、バルクを50rpm又はそれより早く攪拌した場合、2時間以内に、90%を超える結晶化が完了した。攪拌しないと、比較して結晶化が遅かった。冷却し始めて2日まで、静的結晶化が90%に達しなかった。結晶化速度は、攪拌速度の増加に伴い増加すると思われた。
【0155】
図10Bには、攪拌下におけるApo2L/TRAIL結晶の溶解特性を図示されている。各溶解実験において、同じ加熱速度で、結晶スラリーを5℃〜30−35℃で暖めた。上清におけるApo2L/TRAIL濃度を5分間隔で測定し、溶解速度をモニターした。攪拌速度を50rpm〜200rpmに増加させたときに、結晶溶解速度が増加した。タンクジャケットと結晶スラリーとの間の熱移動速度も、攪拌速度を増加させたときに高まった。100rpmの攪拌速度で、試料温度が約35℃になったとき、30分以内に完全な溶解が達成された。
【0156】
図10Cには、結晶化中の、攪拌速度の関数としての結晶サイズ分布が示されている。結晶サイズ分布は、Malvern MasterSizerX Particle Size Analyzerを使用して測定した。平均直径(D[v, 0.5])は、攪拌速度が増加すると減少し、結晶サイズ分布(D[v, 0.1]〜D[v, 0.9])は早い攪拌でより均質になった。よって、結晶化中に攪拌速度を操作することで、Apo2L/TRAIL結晶の平均直径、並びに結晶サイズ分布が効果的に制御されることが明らかになり、このことは徐放性製剤にとって望ましいとされる。
【0157】
実施例8:Apo2L/TRAIL結晶の乾燥
徐放性製剤又はバルク保存のために、Apo2L/TRAIL結晶を乾燥させることの実施適合性を評価するために、3つの異なる乾燥方法を評価した。
評価した第1の乾燥方法は静的真空乾燥である。Apo2L/TRAIL(アミノ酸114-281;実施例1に記載した方法に従い精製)を、20mMのTris、0.1Mの硫酸ナトリウム、pH7.2中で結晶化させ、冷水で洗浄し、過剰の塩を除去した。結晶スラリーを開講したガラスバイアルに充填し、周囲温度、29-30インチの水銀真空下で一晩乾燥させた。乾燥した結晶を、水又は0.5Mのアルギニン塩、20mMのTris、pH7.2において、2-3mg/ml溶解させた。
【0158】
評価した第2の乾燥方法は振動真空乾燥(SWECO Co.から得られた器具)であり、流れが良好であり、固体のクランピングが低減される。結晶スラリーを20umのフィルターに入れ、バルク液体を除去し、湿った結晶を冷Trisバッファー(20mM、pH7.5)又はエタノール-水の混合物(50%、63%、75%、100%v/v)で洗浄した。洗浄した結晶をフィルターの底から除湿した窒素ガスを通して乾燥させた。フィルターチャンバーの頂部から、わずかに真空(水銀で8-10インチ)にすると乾燥速度が促進される。さらに、湿った結晶を収容しているフィルターチャンバーを1800rpmで振動させ、乾燥プロセス中に、湿った固形物を微細なパウダーに粉砕した。乾燥プロセスを相対湿度センサーを使用してモニターした。乾燥した生成物を、排出ポートから回収した。エタノール-水の混合物での洗浄により、Trisバッファーで洗浄されたものよりも微細でより良好なフローイングパウダーが生成され、ついで、プロセス収率も増加した。これらの結晶を、真空乾燥された結晶で記載されたようにして、緩衝された0.5Mのアルギニン塩に溶解した。
【0159】
評価される第3の乾燥方法は凍結乾燥である。この方法においては、結晶スラリーを冷水で洗浄し、ガラスバイアルに充填した。結晶を静置させた後、過剰のバルク水を除去した。ついで、スラリーを−50℃で凍結させた。一次及び二次乾燥を、−25℃及び0℃でそれぞれ実施した。これらの結晶は良好なフローイングパウダーであり、緩衝された0.5Mのアルギニン塩に容易に溶解した。
【0160】
ついで、溶解した結晶におけるタンパク質の品質を、実施例1及び2で論議したようにして、SEC、SDS-SEC、IEX及び生物活性アッセイを使用して評価した。表5及び図11A-11Bには、異なる方法で乾燥したApo2L/TRAIL結晶が、結晶化されていない凍結した対照液体製剤に対して、生化学的等価性を保持していることが示された。
【表5】
上記データより、Apo2L/TRAILの結晶化、及び続く物質の乾燥が、タンパク質の構造又は機能に悪影響を与えていないことが示唆される。
【0161】
実施例9:硫酸ナトリウム中の結晶含有Apo2L/TRAILの凍結乾燥製剤
結晶含有Apo2L/TRAILの保存安定性を評価するために、20mMのTris、pH7−7.5、0.2−0.5Mの硫酸ナトリウム、及び0.01−0.05%のトゥイーン20において、結晶性Apo2L/TRAIL(残基114−281)を用いて調製した。試料を種々の温度で4ヶ月間保存した。滅菌水で再構成後、実施例1及び2に記載されたSEC、IEX及びSDS-SECアッセイを使用し、製剤の物理化学的安定性をテストした。表6には、0.2Mの硫酸ナトリウム、20mMのTris、pH7.2、0.01%のトゥイーン20において、3ヶ月保存した後の、20mg/mlのApo2L/TRAIL製剤のデータをまとめた。
【表6】
【0162】
疑似一次分解動力学を仮定して、アレニウス特性は、2−8℃でのこの製剤の有効期間が2年よりかなり長いことを予測している(図12を参照)。これらの製剤は、Apo2L/TRAILの透明液体として充填されているが、凍結乾燥サイクルの凍結部分中、種々の程度で結晶化し、結晶化されたApo2L/TRAIL及び硫酸ナトリウムを含有する乾燥製剤が、長期間の保存安定性を有することが示されている。
【0163】
実施例10:回収及び精製方法としてのApo2L/TRAILの結晶化
硫酸ナトリウム溶液におけるApo2L/TRAILの結晶化傾向を、大腸菌抽出物からのApo2L/TRAILタンパク質を精製する手段として使用した。タンパク質の品質に悪影響を与えることなく、組換えApo2L/TRAILを回収及び精製するために次のプロトコルを使用することができる。
大腸菌(実施例1に記載)から得られ、収穫された全細胞ブロスを1.5MのHepes(又は1.5MのTris)を用いてpH7.5に調節し、ついでホモジナイザー(Gaulin corporation, Everett, MA)でホモジナイズした。ホモジェネートを5mMのDTTで整調し、0.1%のポリエチレンイミンで1−2時間凝集させた。凝集した物質を、BTPX205(Alfa Laval Separation AB, Sweden)連続フィード遠心分離器で遠心分離し、デプス濾過により浄化した。ついで、浄化された細胞溶解物を、50mMのHepes(又は50mMのTris)/0.05%のトリトン-X100/1mMのDTT、pH7.5で平衡にされた陽イオン交換カラム(SP-Sepharose FF陽イオン交換樹脂、Amersham Pharmacia, Sweden)に充填した。Apo2L/TRAILはカラムに結合し、一方、非結合タンパク質はカラムを通って流れ、280nmの吸光度が基線に達するまで、平衡バッファーで洗浄することにより除去した。ついで、平衡バッファーにおいて、0.1MのNaCl3カラム容量で洗浄した。Apo2L/TRAILを、50mMのHepes、Tris及びトリエタノールアミン、0.05%のトリトン-X100、及び1mMのDTTバッファー、pH7.8において、0.1MのNaCl(又は0.1MのNa2SO4)を使用し、段階溶出させた。
【0164】
周囲温度でSPカラムから収集されたApo2L/TRAILプールを、加熱及び冷却のため、分離ジャケットを具備するステンレス鋼製タンクに配した。結晶化されたタンパク質を最大回収するために、円錐状の底部及びフラッシュボトムバルブをタンクに装備した。適度な混合条件下で、マリン・タイプのインペラーを使用し、プールを攪拌した。温度制御スキッドを使用し、1時間以上かけて、約25℃〜約4℃まで、直線的に温度勾配をつけた。プールが4度に達した後、数分の間に、自然発生的な結晶化が観察された。これらの条件下で12時間以上経過した後、平衡溶解度がほぼ確立された時に結晶化が完了した。ついで、20umのポリプロピレンフリットを含有する濾過アセンブリに、結晶を捕獲した。フィルター表面に結晶を付着した後、結晶を冷蔵された20-50mMのTris、pH7.5で洗浄した。ついで、Apo2L/TRAILのSPプール容量と比較して同量の洗浄用バッファーを使用し、付着した結晶から、残留していた母液(上清)を除去した。洗浄に続き、約30℃で結晶床を通して溶解バッファーを再循環させることにより、100mMの硫酸ナトリウム/20mMのTris、pH7.5に結晶を溶解させた。結晶の溶解は、約4時間以内に観察された。ついで、溶解し、精製されたApo2L/TRAILを容器内に滅菌濾過し、−70℃で凍結させて保存した。
【0165】
Apo2L/TRAIL製剤の純度を、全大腸菌タンパク質(ECP)のELISAアッセイ、リムルスアメーバ状細胞溶解物(LAL)アッセイ、及びSDS-PAGE銀染色により測定した。親和精製されたヤギの抗-全ECP抗体を、マイクロタイタープレートウェルに固定し、試料、ついでホースラディッシュペルオキシダーゼ-共役ECPをインキュベートすることによりECPアッセイを実施した。ついで、ペルオキシダーゼの酵素活性を、o-フェニレンジアミンを用い、マイクロタイタープレートリーダーで490nmの吸光度を読むことにより定量した。内毒素レベルを、リムルスアメーバ状細胞塊溶解物(LAL)アッセイを使用して測定した。SDS-PAGE銀染色を、0.1%のSDSを含有するTris-グリシンバッファーにおいて、10〜20%の勾配を有するポリアクリルアミドゲル(Daiichi Pure Chemicals)で実施した。染料の前線がゲルの底部近傍に達するまで、50mAの定電流にて電気泳動を実施した。ゲルを固定し、クーマシーブリリアントブルー又はメリル銀染色法により染色した。
【0166】
タンパク質の品質を、実施例1及び2に記載した方法に従い、SEC、SDS-SEC、IEX及び生物活性により評価した。
60Lの発酵スケールにて、上述した結晶化法を使用し、回収されたApo2L/TRAILの純度及び品質を表7に示す。比較のため、実施例1に記載された3つのクロマトグラフィー工程により精製された参照標準体を示す。
【表7】
【0167】
表7及び図13に示すように、製造規模におけるApo2L/TRAIL製剤は、治療用途に適した高準純度を有する。特に、Apo2L/TRAILと共精製される傾向にある、10kDaの大腸菌DNA結合タンパク質を、結晶化プロセスにより除去した。データには、「一カラム」工程で精製されたApo2L/TRAILタンパク質は結晶化に敏感で、実施例1に記載された3カラム精製法で精製されたApo2L/TRAILタンパク質に匹敵するか、又はこれよりも良好な純度を有することが示されている。図14には、一カラム工程で精製されたApo2L/TRAILの結晶化における、塩の種類の影響が示されている。二価のカチオンによる結晶化の「毒作用」が、図9に示した>99%精製されたApo2L/TRAILで観察されたものと同様、部分的に精製されたApo2L/TRAIL(図14)でも観察された。
【0168】
また、Apo2L/TRAILの生化学的特性は、部分的に精製されたApo2L/TRAILの結晶化によって悪影響を受けなかった(表7を参照)。データには、部分的に精製された状態で、組換え発現したApo2L/TRAILの結晶化が、その精製の効果的、効率的でコスト効率のよい手段とすることができることを示唆している。場合によっては、実施例8又は9に記載したように、徐放性製剤、又は保存のための乾燥したバルクの調製に、このような結晶を使用することができる。
【0169】
本発明は、ここに記載した特定の実施態様により、その範囲が限定されるものではない。実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に変更することは、前記の記載及び付随する図から当業者にとっては明らかなものである。このような変更は、添付の特許請求項の範囲に入ることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】図1は、ヒトApo2L/TRAILcDNAのヌクレオチド配列(配列番号:2)とその誘導されたアミノ酸配列(配列番号:1)を示す。ヌクレオチド位置447(配列番号:2中)の「N」は、ヌクレオチド塩基が「T」又は「G」であってよいことを示すために使用される。
【図2】図2は、30℃で1週間保存した後の種々のApo2L/TRAIL製剤に対するデータ(残留している三量体の%及び残留しているIEX主ピークの%)を示す。
【図3A】図3Aは、40℃で4ヶ月保存した後の種々のApo2L/TRAIL製剤に対する(残留している三量体の%及び残留しているIEX主ピークの%)を示す。
【図3B】図3Bは、50℃で1ヶ月保存した後の種々のApo2L/TRAIL製剤に対するデータ(残留している三量体の%、単量体の%、及び残留しているIEX主ピークの%)を示す。
【図3C】図3Cは記載されたApo2L/TRAIL製剤の有効期間を予測するアレニウスプロットを示す。
【図4】図4A−4Bは、様々なpHでの2つの異なった製剤の生物活性%及び三量体の%のグラフを示す。
【図5】図5は、Apo2L/TRAILの構造と、内在性亜鉛分子による配位構造を例証する。
【図6】図6は、Apo2L/TRAIL製剤の安定性に対する種々の濃度のポリソルベートの効果を示す。
【図7】図7は、Apo2L/TRAIL製剤の安定性に対する種々の濃度の亜鉛の効果を示す。
【図8】図8は、硫酸ナトリウム製剤中でのApo2L/TRAILの平衡溶解度と結晶化を示す。
【図9】図9は、種々の塩濃度中のApo2L/TRAILの平衡溶解度及び結晶化を示す。
【図10A】図10Aは、Apo2L/TRAILの結晶化に対する攪拌速度の影響を示す。
【図10B】図10Bは、攪拌下にあるApo2L/TRAIL結晶の溶解特性を示す。
【図10C】図10Cは、Apo2L/TRAIL結晶のサイズ分布に対する攪拌速度の影響を示す。
【図11A】図11Aは、真空乾燥結晶の再構成後のApo2L/TRAILのIEX特性を示す。
【図11B】図11Bは、真空乾燥結晶の再構成後のApo2L/TRAILの生物活性を示す。
【図12】図12は、記載されたApo2L/TRAIL製剤の有効期間を予測するアレニウスプロットを示す。
【図13】図13は、記載されたApo2L/TRAIL製剤の純度を示すSDS-PAGE銀染色ゲルを示す。
【図14】図14は、Apo2L/TRAILの結晶化に対する、種々の塩の影響を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Apo-2リガンドと、約0.2M〜約0.5Mの塩を含有するApo-2リガンドの安定製剤であって、約6〜約9のpHを有する製剤。
【請求項2】
前記塩がアルギニン塩である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
製剤中の前記アルギニン塩の濃度が、約0.4M〜約0.5Mである、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
アルギニン塩が、コハク酸アルギニン、硫酸アルギニン、リンゴ酸アルギニン、クエン酸アルギニン、酒石酸アルギニン、及びリン酸アルギニンからなる群から選択される、請求項2に記載の製剤。
【請求項5】
アルギニン塩がコハク酸アルギニンである、請求項2に記載の製剤。
【請求項6】
前記塩が硫酸ナトリウムである、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
Apo-2リガンドが結晶化タンパク質を含んでなる、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
前記製剤が凍結乾燥されている、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
前記製剤のpHが約6.5〜約8.5である、請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
前記製剤のpHが約7〜約7.5である、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
Apo-2リガンドの濃度が約1mg/ml〜約20mg/mlである、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
前記Apo-2リガンドが、図1のアミノ酸114−281を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項13】
前記Apo-2リガンドが、エピトープタグに結合も融合もしていない、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
前記製剤が界面活性剤をさらに含有している、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
前記界面活性剤がポリソルベート又はポロキサマーである、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
製剤中の前記界面活性剤の濃度が約0.005%〜約0.2%である、請求項14に記載の製剤。
【請求項17】
前記製剤がバッファーをさらに含有している、請求項1に記載の製剤。
【請求項18】
前記バッファーがTrisバッファーである、請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
製剤のpHが約7〜約7.5である、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
前記製剤が一又は複数の二価の金属イオンをさらに含有している、請求項1に記載の製剤。
【請求項21】
前記一又は複数の二価の金属イオンが亜鉛である、請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
保存料をさらに含有している、請求項1に記載の製剤。
【請求項23】
前記製剤が少なくとも12ヶ月間、保存-安定している、請求項1に記載の製剤。
【請求項24】
前記製剤が少なくとも24ヶ月間、保存-安定している、請求項23に記載の製剤。
【請求項25】
約1mg/ml〜約20mg/mlのApo-2リガンド、約0.2M〜約0.5Mのアルギニン塩、バッファー、及び界面活性剤を含有する、Apo-2リガンドの安定凍結乾燥製剤であって、約6〜約9のpHを有する製剤。
【請求項26】
前記アルギニン塩がコハク酸アルギニンである、請求項25に記載の製剤。
【請求項27】
前記コハク酸アルギニンの濃度が、約0.4M〜約0.5Mである、請求項26に記載の製剤。
【請求項28】
前記バッファーがTrisバッファーである、請求項25に記載の製剤。
【請求項29】
前記界面活性剤がポリソルベートである、請求項25に記載の製剤。
【請求項30】
前記Apo-2リガンドが、図1のアミノ酸114−281を含有している、請求項25に記載の製剤。
【請求項31】
前記製剤が一又は複数の二価の金属イオンをさらに含有している、請求項25に記載の製剤。
【請求項32】
約1mg/ml〜約20mg/mlのApo-2リガンド、約0.2M〜約0.5Mの塩、バッファー、及び界面活性剤を含有する、Apo-2リガンドの安定製剤であって、前記Apo-2リガンドが結晶化タンパク質を含んでなり、製剤が約6〜約9のpHを有する製剤。
【請求項33】
前記塩が硫酸ナトリウムである、請求項32に記載の製剤。
【請求項34】
前記バッファーがTrisバッファーである、請求項32に記載の製剤。
【請求項35】
前記界面活性剤がポリソルベートである、請求項32に記載の製剤。
【請求項36】
約7〜約7.5のpHを有している、請求項32に記載の製剤。
【請求項37】
約0.1mg/ml〜約2mg/mlのApo-2リガンド、糖、及び界面活性剤を含有するApo-2リガンドの安定製剤であって、約6〜約9のpHを有する製剤。
【請求項38】
前記糖がトレハロースである、請求項37に記載の製剤。
【請求項39】
製剤中の糖の濃度が約1%〜約8%である、請求項37に記載の製剤。
【請求項40】
前記製剤が凍結乾燥されている、請求項37に記載の製剤。
【請求項41】
(a)約1mg/ml〜約20mg/mlのApo-2リガンド、約0.2M〜約0.5Mのアルギニン塩、バッファー及び界面活性剤を提供し、(b)工程(a)の成分を組合せるか又は混合して製剤を作製し、(c)工程(b)の製剤のpHを約6〜約9に調節する工程を含んでなる、Apo-2リガンドの安定製剤の作製方法。
【請求項42】
前記アルギニン塩がコハク酸アルギニン塩である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記コハク酸アルギニンの濃度が、約0.4M〜約0.5Mである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記バッファーがTrisバッファーである、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記界面活性剤がポリソルベートである、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記Apo-2リガンドが、図1のアミノ酸114−281を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
(a)Apo-2リガンド、バッファー及び一価カチオン性塩を提供し、(b)工程(a)の成分を組合せるか又は混合し、約20℃〜約30℃の温度で製剤を作製し、(c)工程(b)の製剤の温度を約2℃〜約8℃に低下させる工程を含み;ここでApo-2リガンドの結晶化が、工程(b)の製剤の温度が低下した際に生じる、結晶化Apo-2リガンドの作製方法。
【請求項48】
前記塩が硫酸ナトリウムである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記塩の濃度が0.1M〜約0.15Mである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
工程(b)の製剤を、温度が工程(c)において低下される際に攪拌する、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
Apo-2リガンド結晶を乾燥させる工程(d)をさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記工程(d)の前に、Apo-2リガンド結晶を洗浄する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
(a)Apo-2リガンドをコードするDNAを含むベクターを含む宿主細胞を提供し;(b)Apo-2リガンドの発現に十分な条件下、培養培地中で宿主細胞を培養し;(c)宿主細胞及び培養培地から、前記発現したApo-2リガンドを取得し;(d)塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウムを含む溶液に、前記Apo-2リガンドを処方し、約20℃〜約30℃の温度で製剤を作製し、(e)工程(d)の前記製剤の温度を約2℃〜約8℃に低下させる工程を含み、ここでApo-2リガンド結晶が、工程(e)の温度が低下した際に形成される、Apo-2リガンドの作製方法。
【請求項54】
前記工程(d)の前に、Apo-2リガンドタンパク質を濃縮する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
Apo-2リガンドタンパク質が、遠心分離、カラムクロマトグラフィー又は限外濾過により濃縮される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
工程(d)が、クロマトグラフィー用カラムにApo-2リガンドを適用し、塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウム含有バッファー溶液中にApo-2リガンドを溶出させることにより実施される、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記クロマトグラフィー用カラムが陽イオン交換カラムである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記陽イオン交換カラムが、SP-セファロース・ファースト・フロー、CM-セファロース・ファースト・フロー、又はマクロ-プレップ・セラミックHSを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記バッファー溶液が、50mMのHepes、50mMのTris、50mMのトリエタノールアミン、0.05%のトリトンX100、1mMのDTTを含有し、pH7.5−8.0である、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
製剤が工程(e)の間に攪拌される、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
工程(d)における製剤のpHが約6.5〜約8.5である、請求項53に記載の方法。
【請求項62】
前記宿主細胞が原核生物細胞である、請求項53に記載の方法。
【請求項63】
前記原核生物細胞が大腸菌である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
請求項1、25、32又は37のいずれか一項に記載のApo-2リガンド製剤を少なくとも1用量単位収容する容器を具備している、哺乳動物にApo-2リガンド製剤を投与するための装置。
【請求項65】
前記装置がペン・インジェクター装置である、請求項64に記載の装置。
【請求項66】
容器がカートリッジである、請求項64に記載の装置。
【請求項67】
請求項1、25、32又は37のいずれか一項に記載のApo2L/TRAIL製剤を収容する容器と、前記Apo-2L/TRAIL製剤の使用についての印刷された使用説明書を含む製造品。
【請求項68】
前記容器がボトル、バイアル、シリンジ又は試験管である、請求項67に記載の製造品。
【請求項69】
注射用水分、生理食塩水、リンガー液又はデキストロース溶液を収容する第2の容器を含む、請求項67に記載の製造品。
【請求項70】
請求項1、25、32又は37のいずれか一項に記載のApo-2リガンド製剤の有効量に哺乳動物細胞を暴露させることを含む、哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘発させる方法。
【請求項71】
前記哺乳動物細胞が癌細胞である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
請求項1、25、32又は37のいずれか一項に記載のApo-2リガンド製剤の有効量を、癌があると診断された哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における癌の治療方法。
【請求項1】
Apo-2リガンドと、約0.2M〜約0.5Mの塩を含有するApo-2リガンドの安定製剤であって、約6〜約9のpHを有する製剤。
【請求項2】
前記塩がアルギニン塩である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
製剤中の前記アルギニン塩の濃度が、約0.4M〜約0.5Mである、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
アルギニン塩が、コハク酸アルギニン、硫酸アルギニン、リンゴ酸アルギニン、クエン酸アルギニン、酒石酸アルギニン、及びリン酸アルギニンからなる群から選択される、請求項2に記載の製剤。
【請求項5】
アルギニン塩がコハク酸アルギニンである、請求項2に記載の製剤。
【請求項6】
前記塩が硫酸ナトリウムである、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
Apo-2リガンドが結晶化タンパク質を含んでなる、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
前記製剤が凍結乾燥されている、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
前記製剤のpHが約6.5〜約8.5である、請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
前記製剤のpHが約7〜約7.5である、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
Apo-2リガンドの濃度が約1mg/ml〜約20mg/mlである、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
前記Apo-2リガンドが、図1のアミノ酸114−281を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項13】
前記Apo-2リガンドが、エピトープタグに結合も融合もしていない、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
前記製剤が界面活性剤をさらに含有している、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
前記界面活性剤がポリソルベート又はポロキサマーである、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
製剤中の前記界面活性剤の濃度が約0.005%〜約0.2%である、請求項14に記載の製剤。
【請求項17】
前記製剤がバッファーをさらに含有している、請求項1に記載の製剤。
【請求項18】
前記バッファーがTrisバッファーである、請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
製剤のpHが約7〜約7.5である、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
前記製剤が一又は複数の二価の金属イオンをさらに含有している、請求項1に記載の製剤。
【請求項21】
前記一又は複数の二価の金属イオンが亜鉛である、請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
保存料をさらに含有している、請求項1に記載の製剤。
【請求項23】
前記製剤が少なくとも12ヶ月間、保存-安定している、請求項1に記載の製剤。
【請求項24】
前記製剤が少なくとも24ヶ月間、保存-安定している、請求項23に記載の製剤。
【請求項25】
約1mg/ml〜約20mg/mlのApo-2リガンド、約0.2M〜約0.5Mのアルギニン塩、バッファー、及び界面活性剤を含有する、Apo-2リガンドの安定凍結乾燥製剤であって、約6〜約9のpHを有する製剤。
【請求項26】
前記アルギニン塩がコハク酸アルギニンである、請求項25に記載の製剤。
【請求項27】
前記コハク酸アルギニンの濃度が、約0.4M〜約0.5Mである、請求項26に記載の製剤。
【請求項28】
前記バッファーがTrisバッファーである、請求項25に記載の製剤。
【請求項29】
前記界面活性剤がポリソルベートである、請求項25に記載の製剤。
【請求項30】
前記Apo-2リガンドが、図1のアミノ酸114−281を含有している、請求項25に記載の製剤。
【請求項31】
前記製剤が一又は複数の二価の金属イオンをさらに含有している、請求項25に記載の製剤。
【請求項32】
約1mg/ml〜約20mg/mlのApo-2リガンド、約0.2M〜約0.5Mの塩、バッファー、及び界面活性剤を含有する、Apo-2リガンドの安定製剤であって、前記Apo-2リガンドが結晶化タンパク質を含んでなり、製剤が約6〜約9のpHを有する製剤。
【請求項33】
前記塩が硫酸ナトリウムである、請求項32に記載の製剤。
【請求項34】
前記バッファーがTrisバッファーである、請求項32に記載の製剤。
【請求項35】
前記界面活性剤がポリソルベートである、請求項32に記載の製剤。
【請求項36】
約7〜約7.5のpHを有している、請求項32に記載の製剤。
【請求項37】
約0.1mg/ml〜約2mg/mlのApo-2リガンド、糖、及び界面活性剤を含有するApo-2リガンドの安定製剤であって、約6〜約9のpHを有する製剤。
【請求項38】
前記糖がトレハロースである、請求項37に記載の製剤。
【請求項39】
製剤中の糖の濃度が約1%〜約8%である、請求項37に記載の製剤。
【請求項40】
前記製剤が凍結乾燥されている、請求項37に記載の製剤。
【請求項41】
(a)約1mg/ml〜約20mg/mlのApo-2リガンド、約0.2M〜約0.5Mのアルギニン塩、バッファー及び界面活性剤を提供し、(b)工程(a)の成分を組合せるか又は混合して製剤を作製し、(c)工程(b)の製剤のpHを約6〜約9に調節する工程を含んでなる、Apo-2リガンドの安定製剤の作製方法。
【請求項42】
前記アルギニン塩がコハク酸アルギニン塩である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記コハク酸アルギニンの濃度が、約0.4M〜約0.5Mである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記バッファーがTrisバッファーである、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記界面活性剤がポリソルベートである、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記Apo-2リガンドが、図1のアミノ酸114−281を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
(a)Apo-2リガンド、バッファー及び一価カチオン性塩を提供し、(b)工程(a)の成分を組合せるか又は混合し、約20℃〜約30℃の温度で製剤を作製し、(c)工程(b)の製剤の温度を約2℃〜約8℃に低下させる工程を含み;ここでApo-2リガンドの結晶化が、工程(b)の製剤の温度が低下した際に生じる、結晶化Apo-2リガンドの作製方法。
【請求項48】
前記塩が硫酸ナトリウムである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記塩の濃度が0.1M〜約0.15Mである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
工程(b)の製剤を、温度が工程(c)において低下される際に攪拌する、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
Apo-2リガンド結晶を乾燥させる工程(d)をさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記工程(d)の前に、Apo-2リガンド結晶を洗浄する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
(a)Apo-2リガンドをコードするDNAを含むベクターを含む宿主細胞を提供し;(b)Apo-2リガンドの発現に十分な条件下、培養培地中で宿主細胞を培養し;(c)宿主細胞及び培養培地から、前記発現したApo-2リガンドを取得し;(d)塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウムを含む溶液に、前記Apo-2リガンドを処方し、約20℃〜約30℃の温度で製剤を作製し、(e)工程(d)の前記製剤の温度を約2℃〜約8℃に低下させる工程を含み、ここでApo-2リガンド結晶が、工程(e)の温度が低下した際に形成される、Apo-2リガンドの作製方法。
【請求項54】
前記工程(d)の前に、Apo-2リガンドタンパク質を濃縮する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
Apo-2リガンドタンパク質が、遠心分離、カラムクロマトグラフィー又は限外濾過により濃縮される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
工程(d)が、クロマトグラフィー用カラムにApo-2リガンドを適用し、塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウム含有バッファー溶液中にApo-2リガンドを溶出させることにより実施される、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記クロマトグラフィー用カラムが陽イオン交換カラムである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記陽イオン交換カラムが、SP-セファロース・ファースト・フロー、CM-セファロース・ファースト・フロー、又はマクロ-プレップ・セラミックHSを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記バッファー溶液が、50mMのHepes、50mMのTris、50mMのトリエタノールアミン、0.05%のトリトンX100、1mMのDTTを含有し、pH7.5−8.0である、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
製剤が工程(e)の間に攪拌される、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
工程(d)における製剤のpHが約6.5〜約8.5である、請求項53に記載の方法。
【請求項62】
前記宿主細胞が原核生物細胞である、請求項53に記載の方法。
【請求項63】
前記原核生物細胞が大腸菌である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
請求項1、25、32又は37のいずれか一項に記載のApo-2リガンド製剤を少なくとも1用量単位収容する容器を具備している、哺乳動物にApo-2リガンド製剤を投与するための装置。
【請求項65】
前記装置がペン・インジェクター装置である、請求項64に記載の装置。
【請求項66】
容器がカートリッジである、請求項64に記載の装置。
【請求項67】
請求項1、25、32又は37のいずれか一項に記載のApo2L/TRAIL製剤を収容する容器と、前記Apo-2L/TRAIL製剤の使用についての印刷された使用説明書を含む製造品。
【請求項68】
前記容器がボトル、バイアル、シリンジ又は試験管である、請求項67に記載の製造品。
【請求項69】
注射用水分、生理食塩水、リンガー液又はデキストロース溶液を収容する第2の容器を含む、請求項67に記載の製造品。
【請求項70】
請求項1、25、32又は37のいずれか一項に記載のApo-2リガンド製剤の有効量に哺乳動物細胞を暴露させることを含む、哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘発させる方法。
【請求項71】
前記哺乳動物細胞が癌細胞である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
請求項1、25、32又は37のいずれか一項に記載のApo-2リガンド製剤の有効量を、癌があると診断された哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における癌の治療方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−108040(P2009−108040A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−257273(P2008−257273)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【分割の表示】特願2003−544164(P2003−544164)の分割
【原出願日】平成14年11月12日(2002.11.12)
【出願人】(596168317)ジェネンテック・インコーポレーテッド (372)
【氏名又は名称原語表記】GENENTECH,INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257273(P2008−257273)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【分割の表示】特願2003−544164(P2003−544164)の分割
【原出願日】平成14年11月12日(2002.11.12)
【出願人】(596168317)ジェネンテック・インコーポレーテッド (372)
【氏名又は名称原語表記】GENENTECH,INC.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]