ApoBのRNAi調節およびその使用

【課題】本発明は、アポリポタンパク質Bの発現を調節するための組成物および方法、ならびにより詳細には化学的に修飾されたオリゴヌクレオチドによるアポリポタンパク質Bの下方制御に関する。
【解決手段】薬剤番号1〜74のiRNA剤のセンス鎖配列のうち少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するセンス鎖と、薬剤番号1〜74のiRNA剤のアンチセンス配列のうち少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖とを含んでなるiRNA剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アポリポタンパク質Bの発現を調節するための組成物および方法に関し、より詳細には、例えば化学的に修飾されたオリゴヌクレオチドによるアポリポタンパク質Bの下方制御に関する。
【背景技術】
【0002】
RNA干渉すなわち「RNAi」は、2本鎖RNA(dsRNA)がワームに導入されると遺伝子発現を阻害し得るという観察結果について述べるために、ファイヤー(Fire)および共同研究者によって最初に造られた用語である(非特許文献1)。短いdsRNAは、脊椎動物を含めた多くの生物において遺伝子特異的な転写後発現抑制を誘導し、遺伝子機能を研究するための新たなツールをもたらした。
【0003】
リポタンパク質は、タンパク質、リン脂質およびコレステロールの両親媒性コーティングによって囲まれた、アシルグリセロールおよびコレステリルエステルで構成されている。リポタンパク質のタンパク質成分はアポリポタンパク質として知られ、ヒトでは少なくとも9種のアポリポタンパク質が存在する。アポリポタンパク質B(ApoB)は、さまざまなクラスのリポタンパク質、すなわちキロミクロン、超低密度リポタンパク質(VLDL)、中間密度リポタンパク質(IDL)、および低密度リポタンパク質(LDL)に見出される。ApoBは、ApoB/E受容体による細胞の結合およびLDL粒子の取り込みの認識シグナルとして働く。アポリポタンパク質B含有リポタンパク質の蓄積または過多は、アテローム性動脈硬化症などの脂質関連障害をもたらす可能性がある。
【0004】
ApoBを減少させる療法の開発は、脂質関連障害を治療するのに有用である可能性がある。アンチセンス療法の形の1つのオリゴヌクレオチド系療法は、in vivoでマウスのApoBレベルを低下させることが示されており、これらの治療は続いて血清コレステロールおよびトリグリセリドレベルを低下させた(特許文献1)。これらの結果はApoBの適度な下方制御、および脂質関連障害を治療する際の標的としてのApoBの使用を実証した。本発明は、in vivoで血清ApoBレベルを低下させることが示されたiRNA剤を提供することによって技術を進展させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0215943号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ファイヤーら(Fire et al.)、Nature第391巻、p.806〜811、1998年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、アポリポタンパク質Bの発現を調節するための組成物および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、対象、例えばヒトなどの哺乳動物中のアポリポタンパク質B(ApoB)レベルを低下させるための組成物および方法を提供する。本発明の方法は、ApoB遺伝子を発現抑制(サイレンシング)するiRNA剤を対象に投与することを含む。iRNA剤は本明細書に記載するiRNA剤であってもよいし、あるいは活性を有する配列の1つに基づき、ApoB遺伝子、例えばヒトまたはマウス由来のApoB遺伝子などの哺乳動物ApoB遺伝子の同一領域を標的とするdsRNAであってもよい。iRNA剤は鎖当たり30個未満のヌクレオチド、例えば21〜23個のヌクレオチドを含む可能性があり、薬剤番号1〜74として本明細書中に提示される薬剤の1つで構成されるか、同剤を含んでなるか、あるいは同剤に由来するものでよい。これらの好ましいiRNA剤は、対象中の全ての非ApoB遺伝子配列に対し4ヌクレオチド以上のミスマッチを含む。
【0009】
本発明は詳細には、薬剤番号1〜74で本明細書中に提示されるiRNA剤、例えばセンス鎖配列が5’−cuuuacaagccuugguucagu−3’(配列番号153)、アンチセンス鎖配列が5’−acugaaccaaggcuuguaaagug−3’(配列番号154)の薬剤番号1に対して、薬剤番号1のセンス鎖配列の少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するセンス鎖と、薬剤番号1のアンチセンス配列の少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖とを含むiRNA剤を提供する。
【0010】
本明細書中に提示される幾つかのiRNA剤は特定の好ましい修飾ヌクレオチドのパターン、例えば薬剤番号54〜74を含むが、薬剤番号1〜53のiRNA剤はブループリント(設計図)として与えられていることは理解されよう。該iRNA剤は、薬剤番号1〜53のiRNA剤と同等であることが当業者には明らかな、例えば以降にさらに述べるような修飾を含むことが意味されている。該修飾は例えば、2’−O−メチル修飾、当業者には該iRNA剤の性質、特にその相補的相当物とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする2本鎖の能力が変化するとは予測されないであろう一般的な塩基置換などである。
【0011】
【表1−1】

【0012】
【表1−2】

【0013】
本明細書の以下の実施例3に示すように、表1のiRNA剤、薬剤番号1〜53は、該iRNA剤と共にインキュベーションした後の培養ヒトHepG2細胞中に存在するApoBのmRNAの量を、該iRNA剤と共にインキュベーションしなかった細胞と比較して50%未満に減少させる、かつ/または培養ヒトHepG2細胞によって細胞培養上清中に分泌されるApoBタンパク質の量を50%未満に減少させるという、有利かつ驚くべき能力を有する(表8参照)。
【0014】
本発明はさらに、薬剤番号1〜19、24〜26、29、30および32〜42のiRNA剤のセンス配列の少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するセンス鎖と、薬剤番号1〜19、24〜26、29、30および32〜42のiRNA剤のアンチセンス配列の少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖とを含むiRNA剤を提供する。本明細書の以下の実施例3に示すように、薬剤番号1〜19、24〜26、29、30および32〜42のiRNA剤は、該iRNA剤と共にインキュベーションした後の培養ヒトHepG2細胞中に存在するApoBのmRNAの量を、該iRNA剤と共にインキュベーションしなかった細胞と比較して60%超減少させるか、または細胞培養上清中に分泌されるApoBタンパク質の量を60%超減少させるかのうち少なくともいずれかの、有利かつ驚くべき能力を有する(表8参照)。
【0015】
本発明はさらに、表1に提示される薬剤番号1〜12、15、17、24、29、30および32〜35の薬剤のセンス配列の少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するセンス鎖と、表1に提示される薬剤番号1〜12、15、17、24、29、30および32〜35の薬剤のアンチセンス配列の少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖とを含むiRNA剤を提供する。本明細書の以下の実施例3に示すように、これらのiRNA剤は、該iRNA剤と共にインキュベーションした後の培養ヒトHepG2細胞中に存在するApoBのmRNAの量を、該iRNA剤と共にインキュベーションしなかった細胞と比較して70%超減少させるか、または細胞培養上清中に分泌されるApoBタンパク質の量を70%超減少させるかのうち少なくともいずれかの、有利かつ驚くべき能力を有する(表8参照)。
【0016】
本発明はさらに、薬剤番号1〜5、7、および11のiRNA剤のセンス配列の少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するセンス鎖と、薬剤番号1〜5、7、および11のiRNA剤のアンチセンス配列の少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖とを含むiRNA剤を提供する。本明細書の以下の実施例3に示すように、これらのiRNA剤は、同剤と共にインキュベーションした後の培養ヒトHepG2細胞中に存在するApoBのmRNAの量を、該iRNA剤と共にインキュベーションしなかった細胞と比較して80%超減少させるか、または細胞培養上清中に分泌されるApoBタンパク質の量を80%超減少させるかのうち少なくともいずれかの、有利かつ驚くべき能力を有する(表8参照)。
【0017】
特に好ましい態様では、iRNA剤は、薬剤番号54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、または74のiRNA剤群から選択される。
【0018】
別の好ましい実施形態では、iRNA剤は、該iRNA剤と共にインキュベーションした後の培養ヒトHepG2細胞中に存在するApoBのmRNAの量を、同剤と共にインキュベーションしなかった細胞と比較して50%超減少させる、かつ/または培養ヒトHepG2細胞によって細胞培養上清中に分泌されるApoBタンパク質の量を50%超減少させる、かつ/またはC57Bl/6マウスの肝臓細胞中に存在するapo−BのmRNAの量を、体重1kgあたり50mgまたは100mg投与した後にin vivoで少なくとも20%減少させる。
【0019】
本発明によってさらに提供されるのは、センス鎖およびアンチセンス鎖からなるiRNA剤であって、センス鎖およびアンチセンス鎖の各々が、薬剤番号1〜74のiRNA剤の配列のうちの1つと(以下で定義するように)ほぼ同一の少なくとも16、17または18ヌクレオチドの配列からなり、鎖当たりそれぞれ1、2または3個以下のヌクレオチドが他のヌクレオチドによって置換されている(例えばアデノシンがウラシルによって置換されている)が、以下で定義するように培養ヒトHepG2細胞中でのApoBの発現を阻害する能力をほぼ保持しているiRNA剤である。
【0020】
1実施形態では、iRNA剤は少なくとも15ヌクレオチド長であり、センスRNA鎖およびアンチセンスRNA鎖を含み、そのアンチセンスRNA鎖は長さが30ヌクレオチド以下であり、iRNA剤の2重鎖領域は長さが15〜30ヌクレオチド対、好ましくは18〜25ヌクレオチド対である。iRNA剤は1〜4個、好ましくは2〜3個の非対(対合していない)ヌクレオチドを有するヌクレオチド突出部分をさらに含んでもよく、非対ヌクレオチドは少なくとも1個のホスホロチオエートジヌクレオチド結合を有し得る。ヌクレオチド突出部分は、例えばiRNA剤のアンチセンス鎖の3’端に存在してよい。
【0021】
1実施形態ではiRNA剤は、例えばヒトHepG2およびマウスNmuLi細胞中で、ヒトおよびマウスApoBの発現を阻害する。
1実施形態では、本明細書で記載するように、疎水性部分、例えばコレステロール含有部分を、好ましくはiRNA剤のセンス鎖、およびより好ましくはiRNA剤のセンス鎖の3’端と結合させることによって、iRNA剤を修飾することが好ましい。
【0022】
他の実施形態では、本明細書で記載するように、iRNA剤を修飾して安定性を改善することが好ましい。好ましい修飾は、ホスホロチオエート結合およびリボース単位への2’−置換基の導入、例えば2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル(2’−O−MOE)、2’−O−アミノプロピル(2’−O−AP)、2’−O−ジメチルアミノエチル(2’−O−DMAOE)、2’−O−ジメチルアミノプロピル(2’−O−DMAP)、2’−O−ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’−O−DMAEOE)、または2’−O−N−メチルアセトアミド(2’−O−NMA)置換基の導入である。
【0023】
好ましくは、これらの2’−置換は、iRNA剤のセンス鎖上、任意選択で同様にアンチセンス鎖上の、5’−UA−3’ジヌクレオチド、5’−UG−3’ジヌクレオチド、5’−CA−3’ジヌクレオチド、5’−UU−3’ジヌクレオチド、または5’−CC−3’ジヌクレオチドの5’ヌクレオチドに、あるいは全てのピリミジン塩基含有ヌクレオチドに施される。より好ましくは、存在する全ての配列モチーフ5’−UA−3’、5’−CA−3’、5’−UU−3’、および5’−UG−3’の5’端のピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドである。さらにより好ましくは、センス鎖中の全てのピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドであり、かつ存在する全ての配列モチーフ5’−UA−3’および5’−CA−3’の5’端のピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドである。最も好ましくは、センス鎖中の全てのピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドであり、かつアンチセンス鎖中の存在する全ての配列モチーフ5’−UA−3’、5’−CA−3’、5’−UU−3’、および5’−UG−3’の5’端のピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドである。
【0024】
他の実施形態では、本明細書で記載するように、(例えばセンス鎖の3’端上の)コレステロール部分、2’−修飾(例えば2’−O−メチルまたは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾)、および(例えばセンス鎖およびアンチセンス鎖の3’末端側の1個または2個のヌクレオチド上の)ホスホロチオエートが、同じiRNA剤中に存在する。
【0025】
好ましい実施形態では、iRNA剤、例えば本明細書で記載するiRNA剤の投与は、対象に存在する、ApoBの発現が役割を果たす疾患または障害を治療するためである。他の好ましい実施形態では、iRNA剤の投与はApoBに仲介される障害の予防処置をするためである。
【0026】
1態様では本発明は、ApoBを調節する、例えば阻害するiRNA剤の実質的に純粋な調製物または医薬として許容可能な調製物を含めた調製物を特徴とする。これらの調製物は、ApoBをコードする核酸を標的とするiRNA剤および医薬として許容可能な担体を含み得る。1実施形態ではiRNA剤は、薬剤番号1〜74のiRNA剤のセンス配列の少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するセンス鎖と、薬剤番号1〜74のiRNA剤のアンチセンス配列の少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖とを有する。
【0027】
他の態様では本発明は、薬剤番号1〜74のiRNA剤のセンス配列の少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するセンス鎖と、薬剤番号1〜74のiRNA剤のアンチセンス配列の少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖とからなるiRNA剤を、医薬として許容可能な担体とともに配合することからなる、医薬組成物を調製する方法を特徴とする。
【0028】
本発明の医薬組成物は、ApoBのメッセンジャーRNA(mRNA)の発現を低下させるのに充分な量で投与することが可能である。1実施形態では、ApoBタンパク質の発現を(例えば、少なくとも2%、4%、6%、10%、15%、20%あるいはそれ以上)低下させるのに充分な量のiRNA剤を投与する。
【0029】
本発明の医薬組成物は、ApoBの高発現または他の望ましくない発現、高レベルまたは他の望ましくないレベルのコレステロール、脂質に仲介される血管障害、および/または脂質代謝の調節障害によって特徴付けられる障害の危険があるかあるいは該障害に罹患している対象に投与することが可能である。iRNA剤は、該障害を有すると診断されているかまたは該障害を有する個体、あるいは該障害の危険がある個体に投与して、障害または障害の症状の発症を遅らせることが可能である。これらの障害には、HDL/LDLコレステロール平衡異常;脂質代謝異常、例えば家族性複合型高脂血症(FCHL)、後天性高脂血症;高コレステロール血症;スタチン耐性高コレステロール血症;冠状動脈疾患(CAD)、冠状動脈心疾患(CHD);血栓症;およびアテローム性動脈硬化症がある。1実施形態では、ApoBを標的とするiRNA剤を、スタチン耐性高コレステロール血症に罹患している対象に投与する。
【0030】
本発明の医薬組成物は、対象中の血清LDLコレステロールおよび/またはHDLコレステロールおよび/または総コレステロールのレベルを低下させるのに充分な量、投与することが可能である。例えばiRNAを、対象中の総コレステロールを少なくとも0.5%、1%、2.5%、5%、10%あるいはそれ以上低下させるのに充分な量投与する。1実施形態では、本発明の医薬組成物を、対象の心筋梗塞の危険を低下させるのに充分な量投与する。好ましい実施形態では、医薬組成物を繰り返し投与する。
【0031】
1実施形態では、iRNA剤の標的を肝臓とすることが可能であり、ApoB iRNA剤の投与後、肝臓中のApoBの発現レベルが低下する。例えばiRNA剤を、肝臓を標的とする構成部分、例えば抗体または肝臓細胞上の受容体と結合するコレステロールなどのリガンドとともに複合体化することが可能である。以下の実施例7G)中に示すように、コレステロール含有部分の結合によってsiRNAが肝臓組織に有効に取り込まれ、肝臓試料中のApoBのmRNAレベルを低下させた。これは、コレステロール含有部分との結合などの修飾により、肝臓中の遺伝子を標的とするためにiRNA剤をin vivoで使用することが可能になることを示している。
【0032】
1実施形態では、iRNA剤の標的を、腸などの消化管に、例えば腸の空腸などにすることが可能であり、ApoB iRNA剤の投与後、消化管中のApoBの発現レベルが低下する。予想外なことに、コレステロール部分と結合したiRNA剤を使用して、iRNA剤を消化管に向けることが可能であることが分かった。以下の実施例7G)中に示すように、コレステロール含有部分の結合は腸組織によるsiRNAの有効な摂取をもたらし、腸組織試料中のApoBのmRNAレベルを低下させた。このことは、コレステロール含有部分との結合などの修飾により、消化管組織中の遺伝子を標的とするためにiRNA剤をin vivoで使用することが可能になることを示している。
【0033】
1実施形態では、iRNA剤は修飾されているか、あるいは送達物質、例えばリポソームなどの本明細書に記載する送達物質と結合させる。1実施形態では、修飾は、例えばヒト血清アルブミン(HSA)などの血清アルブミン(SA)、またはその断片との結合を仲介する。
【0034】
ApoB遺伝子の発現を阻害すると考えられるiRNA剤を評価する方法であって、
a.iRNA剤を提供する工程であって、第1鎖がApoBのmRNAのヌクレオチド配列と充分相補的であり、第2鎖が第1鎖とハイブリダイズするのに充分な第1鎖との相補性を有することを特徴とする工程と、
b.ApoB遺伝子を含む細胞とiRNA剤を接触させる工程と、
c.細胞とiRNA剤を接触させる前、または接触させていない対照細胞のApoB遺伝子の発現と、細胞とiRNA剤を接触させた後のApoB遺伝子の発現とを比較する工程と、
d.iRNA剤がApoB遺伝子の発現を阻害するのに有用であるかどうかを判定する工程であって、細胞中に存在するApoBのRNAまたは細胞によって分泌されるタンパク質の量が、細胞とiRNA剤を接触させる前の量より少ない場合、iRNAが有用であることを特徴とする工程と
を含む方法。
【0035】
1実施形態では、工程b〜dをin vitroおよびヒト以外の実験動物におけるin vivoの両方で実施する。他の実施形態では、この方法は、末梢血単核細胞によるインターフェロン−α産生の活性化の際のiRNA剤の活性を測定することをさらに含む。
【0036】
本発明の方法および組成物、例えば本明細書に記載する肝臓の疾患および障害を治療するための方法および組成物は、記載する任意のiRNA剤と共に使用することが可能である。さらに、本発明の方法および組成物は、本明細書に記載する任意の疾患または障害を治療するため、および任意の対象、例えば任意の動物、任意の哺乳動物、任意のヒトなどを治療するために使用することが可能である。
【0037】
本発明の方法および組成物、例えば本明細書に記載する脂質代謝障害を治療するための方法およびiRNA組成物は、本明細書に記載する任意の用量および/または配合で、ならびに本明細書に記載する任意の投与経路で使用することが可能である。
【0038】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細について、添付の図面および以下の記載において述べる。本発明の他の特徴、目的、および利点は本記載、図面から、および特許請求の範囲から明らかであると思われる。本出願は、全ての引用文献、特許文献、および特許出願について、それらの全容をあらゆる目的で本願明細書に援用する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】コレステロール結合型RNA鎖の合成および構造を示す概略図。球体は固相(微細孔性ガラス、CPG)を表す。
【図2】siRNAであるAL−DUP5024の濃度を増大させて細胞を処理した後の、比[ApoB mRNA]/[対照のGAPDH mRNA]を示すグラフ。50%阻害濃度(IC50)の測定値は、以下のパラメータ、すなわち用量反応1サイト(Dose Response One Site)、4パラメータロジスティックモデル、fit=(A+((B−A)/(1+(((10^C)/x)^D))))、inv=((10^C)/((((B−A)/(y−A))−1)^(l/D)))、res=(y−fit)を使用するコンピュータソフトウェアXlfit(商標)を使用したカーブフィッティングによって決定した。
【図3】マウス血清ヌクレアーゼによるsiRNA2重鎖AL−DUP 5024、AL−DUP 5163、AL−DUP 5164、AL−DUP 5165、AL−DUP 5166、AL−DUP 5180、およびAL−DUP 5181の分解を示すポリアクリルアミドゲルのパネル図。siRNA2重鎖をマウス血清中で0、1、3、6または24時間(h)インキュベートした。「unb」で示すレーンは未処理対照を表す。
【図4】マウス血清ヌクレアーゼによるsiRNA2重鎖AL−DUP 5167、AL−DUP 5168、AL−DUP 5048、AL−DUP 5169、AL−DUP 5170、AL−DUP 5182、およびAL−DUP 5183の分解を示すポリアクリルアミドゲルのパネル図。siRNA2重鎖をマウス血清中で0、1、3、6または24時間(h)インキュベートした。「unb」で示すレーンは未処理対照を表す。
【図5A】100、33、11、3.7、1.2、0.4、0.14、または0.05nMのApoB特異的siRNA2重鎖AL−DUP 5163を含んだ培地と共にインキュベートした培養ヒトHepG2細胞による、上清中へのApoBタンパク質分泌の用量反応プロットの図。反応は、ApoB特異的siRNA2重鎖で処理した細胞の上清中のApoBタンパク質濃度と、コレステロール結合を有する(AL−DUP 5129、菱形)あるいは有していない(AL−DUP HCV、四角)非特異的対照siRNA2重鎖で処理した細胞の上清中のApoB濃度との比として表わされている。
【図5B】図5Aについて記載した方法による、ApoBタンパク質分泌の用量反応プロットの図。HepG2細胞を、図5Aについて記載した濃度範囲でsiRNA2重鎖5164と共にインキュベートした。
【図5C】図5Aについて記載した方法による、ApoBタンパク質分泌の用量反応プロットの図。HepG2細胞を、図5Aについて記載した濃度範囲でsiRNA2重鎖5165と共にインキュベートした。
【図5D】図5Aについて記載した方法による、ApoBタンパク質分泌の用量反応プロットの図。HepG2細胞を、図5Aについて記載した濃度範囲でsiRNA2重鎖5166と共にインキュベートした。
【図5E】図5Aについて記載した方法による、ApoBタンパク質分泌の用量反応プロットの図。HepG2細胞を、図5Aについて記載した濃度範囲でsiRNA2重鎖5180と共にインキュベートした。
【図5F】図5Aについて記載した方法による、ApoBタンパク質分泌の用量反応プロットの図。HepG2細胞を、図5Aについて記載した濃度範囲でsiRNA2重鎖5181と共にインキュベートした。
【図5G】図5Aについて記載した方法による、ApoBタンパク質分泌の用量反応プロットの図。HepG2細胞を、図5Aについて記載した濃度範囲でsiRNA2重鎖5167と共にインキュベートした。
【図5H】図5Aについて記載した方法による、ApoBタンパク質分泌の用量反応プロットの図。HepG2細胞を、図5Aについて記載した濃度範囲でsiRNA2重鎖5168と共にインキュベートした。
【図5I】図5Aについて記載した方法による、ApoBタンパク質分泌の用量反応プロットの図。HepG2細胞を、図5Aについて記載した濃度範囲でsiRNA2重鎖5169と共にインキュベートした。
【図5J】図5Aについて記載した方法による、ApoBタンパク質分泌の用量反応プロットの図。HepG2細胞を、図5Aについて記載した濃度範囲でsiRNA2重鎖5170と共にインキュベートした。
【図5K】図5Aについて記載した方法による、ApoBタンパク質分泌の用量反応プロットの図。HepG2細胞を、図5Aについて記載した濃度範囲でsiRNA2重鎖5182と共にインキュベートした。
【図5L】図5Aについて記載した方法による、ApoBタンパク質分泌の用量反応プロットの図。HepG2細胞を、図5Aについて記載した濃度範囲でsiRNA2重鎖5183と共にインキュベートした。
【図6A】例として本明細書の実施例7(H)に記載の実験で得た結果を示す、siRNAのアンチセンス鎖と相補的な放射標識プローブを用いたS1ヌクレアーゼ保護アッセイの図。このアッセイを使用して、生理食塩水(「−」)、AL−DUP 5386(「A」)、AL−DUP 5311(「B」)、AL−DUP 5385(「C2」)、およびAL−DUP 5167(「C1」)を注射した動物から集めた肝臓および空腸組織溶解物中のsiRNAを検出した。3種のコレステロール結合型siRNAは、肝臓および空腸中において比較可能なレベルで検出されたが、コレステロール非結合型siRNAであるAL−DUP 5385は、いずれの組織においても検出レベル未満に留まった。内在性miRNAのS1ヌクレアーゼ保護アッセイを、空腸(miRNA143、配列5’−UGAGAUGAAGCACUGUAGCUCA−3’、配列番号270)および肝臓(miRNA122、配列5’−UGGAGUGUGACAAUGGUGUUUG−3’、配列番号269)の装荷量対照として実施した。
【図6B】例として本明細書の実施例7(H)に記載の実験で得た結果を示す、siRNA処理後のマウス肝臓および空腸組織中のApoBのmRNAレベルを検出する分岐DNAアッセイ結果を示すグラフ。組織溶解物を用いてApoBおよびGAPDHのmRNAを定量し、ApoBとGAPDHのmRNAの比を計算し、群の平均として生理食塩水対照群と比較して表した。棒グラフは群の平均値を表す。エラーバーは平均値の標準偏差を表す。棒グラフ中の棒上の星印は、p<0.01で生理食塩水対照動物と比較して有意に異なる群であることを示す。
【図6C】例として本明細書の実施例7(H)に記載の実験で得た結果を示す、siRNA処理後の血漿中ApoBタンパク質レベルを測定するELISAアッセイの結果を示すグラフ。個々の動物の血漿試料由来のApoB−100を、マウスApoB−100に対する一次抗体LF3を使用して検出した。ApoBタンパク質レベルの群平均の値を、生理食塩水対照の平均に対して表している。棒グラフは群平均の値を表す。エラーバーは平均値の標準偏差を表す。棒グラフ中の棒上の星印は、p<0.01で生理食塩水対照の動物と比較して有意に異なる群であることを示す。
【図6D】例として本明細書の実施例7(H)に記載の実験で得た結果を示す、siRNA処理後の血漿中総ApoBタンパク質レベルを示すグラフ。コレステロール検出キット(Diasys)を使用して測定した血漿中総コレステロールレベルである。棒グラフは群平均の値を表す。エラーバーは平均値の標準偏差を表す。棒グラフ中の棒上の星印は、p<0.01で生理食塩水対照動物と比較して有意に異なる群であることを示す。
【図7A】ApoBのmRNAおよび5’−RACE PCRに使用したアダプタ連結型ApoB cDNAの概略図。この図は、AL−DUP 5167 siRNAおよびPCRプライマーの相対的な標的部位、ならびにPCR反応産物の大きさを示している。
【図7B】RACE−PCR増幅3のアガロースゲルの図。この電気泳動分析では、ApoB特異的AL−DUP 5167のみで処理したマウスの肝臓および空腸において特異的切断産物が示されている。ゲルのレーンは、処理群および対照群を示す大文字によって表されている。レーンの表示は、A:PBS、B:AL−DUP 5386、C:AL−DUP 5167、D:AL−DUP 5163、E:AL−DUP 5385、F:AL−DUP 5311、Fc:対照(C群のcDNAを使用して順方向プライマーのみ)、RC:対照(C群のcDNAを使用して逆方向プライマーのみ)。
【発明を実施するための形態】
【0040】
説明を容易にするために、用語「ヌクレオチド」または「リボヌクレオチド」を、本明細書中ではRNA剤の1つまたは複数のモノマーサブユニットに関して使用する場合がある。本明細書中での用語「リボヌクレオチド」または「ヌクレオチド」の使用は、修飾RNAまたはヌクレオチド代替物の場合に、以下でさらに記載するように、1箇所または複数箇所の修飾ヌクレオチドまたは代替置換部分を指す可能性もあることは理解されよう。
【0041】
本明細書で使用する用語「RNA剤」は、非修飾RNA、修飾RNA、またはヌクレオシド代替物であり、これらは全て本明細書に記載されている。多数の修飾RNAおよびヌクレオシド代替物について記載するが、好ましい例としては非修飾RNAより高いヌクレアーゼ分解耐性を有するものが挙げられる。好ましい例は、2’糖修飾、1本鎖突出部分、好ましくは3’側の1本鎖突出部分中の修飾、あるいは特に1本鎖の場合、1つまたは複数のリン酸基あるいは1つまたは複数のリン酸基類似体を含む5’修飾を有するものを含む。
【0042】
本明細書で使用する「iRNA剤」(「干渉RNA剤」の略語)は、標的遺伝子、例えばApoBの発現を下方制御することが可能なRNA剤である。理論に拘泥することは望まないが、iRNA剤は、当技術分野でRNAiと呼ばれることもある標的mRNAの転写後切断、あるいは転写前または翻訳前機構を含めた1つまたは複数の幾つかの機構によって作用する可能性がある。iRNA剤は1本鎖を含むものでもよいし、あるいは2本以上の鎖を含んでもよく、例えばiRNA剤は2本鎖(ds)iRNA剤であってよい。iRNA剤が1本鎖である場合、同剤は1つまたは複数のリン酸基あるいは1つまたは複数のリン酸基類似体を含む5’修飾を含むことが特に好ましい。
【0043】
本明細書で使用する「1本鎖iRNA剤」は、1分子で構成されるiRNA剤である。1本鎖iRNA剤は、鎖内の対によって形成される2重鎖領域を含む可能性があり、例えば1本鎖iRNA剤はヘアピン構造またはパンハンドル構造であってもよいし、あるいは該構造を含んでいてもよい。1本鎖iRNA剤は、標的分子に関してアンチセンスであることが好ましい。
【0044】
本明細書で使用する「ds iRNA剤」(「2本鎖RNA剤」の略語)は、2本以上、好ましくは2本の鎖を含むiRNA剤であり、鎖間ハイブリダイゼーションによって2重鎖構造の領域が形成されうる。
【0045】
哺乳動物細胞中では、長いds iRNA剤は、有害であることの多いインターフェロン応答を誘導する可能性があるが、短いds iRNA剤は、少なくとも細胞および宿主に有害である程度まではインターフェロン応答を誘導しない。本発明のiRNA剤は、哺乳動物細胞中でインターフェロン応答を誘導しない程度に充分短い分子を含む。したがって、(例えば本明細書に記載するように配合した)iRNA剤組成物の哺乳動物細胞への投与を使用して、インターフェロン応答を回避しながらApoB遺伝子の発現を抑制することが可能である。インターフェロン応答を誘導しない程度に充分短い分子を、本明細書ではsiRNA剤またはsiRNAと呼ぶ。本明細書で使用する「siRNA剤」または「siRNA」は、ヒト細胞中で有害なインターフェロン応答を誘導しない程度に充分短いiRNA剤、例えばds iRNA剤または1本鎖iRNA剤を指し、例えば該iRNA剤は60ヌクレオチド対未満、ただし好ましくは50、40、または30ヌクレオチド対未満の2重鎖領域を有する。
【0046】
さらに1実施形態では、インターフェロン応答の要素、例えばdsRNA活性化タンパク質キナーゼPKRを妨害するiRNA剤で哺乳動物細胞を処理する。
ds iRNA剤およびsiRNA剤を含めた本明細書に記載する単離iRNA剤は、例えばRNAの分解によってApoB遺伝子の発現抑制を仲介し得る。便宜上、このようなRNAを本明細書では発現抑制しようとするRNAとも呼ぶ。このような遺伝子を標的遺伝子とも呼ぶ。発現抑制しようとするRNAは、内在性ApoB遺伝子の遺伝子産物であることが好ましい。
【0047】
本明細書で使用する語句「RNAiを仲介する」とは、配列特異的な方法で標的遺伝子を発現抑制する薬剤の能力を指す。「標的遺伝子を発現抑制(サイレンシング)する」とは、薬剤と接触していないときにその標的遺伝子の特定の産物を含む、かつ/または同産物を分泌する細胞が、その薬剤と接触しているときに、その薬剤と接触しなかった同じ細胞と比較して前記遺伝子産物を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%少なく含む、かつ/または分泌するようになるプロセスを意味する。このような標的遺伝子の産物は、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)、タンパク質、または制御要素であってよい。理論によって縛られることは望まないが、本明細書に記載の薬剤による発現抑制は、RNAi機構またはプロセス、ならびにガイドRNA、例えば15〜30ヌクレオチド対のsiRNA剤を使用すると考えられる。
【0048】
本明細書で使用するように、用語「相補的」は、本発明の化合物と標的RNA分子、例えばApoBのmRNA分子との間に安定した特異的な結合が生じるような、充分な相補性の度合いを示すために使用される。特異的な結合には、特異的な結合が望まれる条件下、すなわちin vivoアッセイまたは治療的処理の場合の生理条件下、あるいはin vitroアッセイの場合は該アッセイを実施する条件下において、オリゴマー化合物と非標的配列との非特異的結合を回避するのに充分な程度の相補性が必要である。非標的配列は一般に、少なくとも4ヌクレオチド異なっている。
【0049】
本明細書で使用するように、iRNA剤は、該iRNA剤が細胞中で標的RNAにコードされるタンパク質の産生を低下させる場合、標的RNA、例えば標的mRNA(例えば標的ApoBのmRNA)と「充分に相補的」である。iRNA剤は、(SRMS含有サブユニットは除いて)標的RNAと「正確に相補的」であってもよく、例えば標的RNAとiRNA剤がアニーリングして、正確に相補的な領域中のワトソン−クリック塩基対のみで構成されるハイブリッドを形成することが好ましい。「充分に相補的な」iRNA剤は、標的のApoB RNAと正確に相補的な(例えば少なくとも10ヌクレオチドの)内部領域を含み得る。さらに、幾つかの実施形態では、iRNA剤は1ヌクレオチドの違いを特異的に区別する。この場合、1ヌクレオチドの違いがある(例えば7ヌクレオチド以内の)領域に正確な相補性が見られる場合にのみiRNA剤はRNAiを仲介する。好ましいiRNA剤は、表1に提示するセンス配列およびアンチセンス配列に基づくものであるか、あるいは同配列のみで構成されるか、あるいは同配列を含むことになる。
【0050】
本明細書で使用するように、「ほぼ同一である」は、第1ヌクレオチド配列に関して第2ヌクレオチド配列と比較して使用する場合、第1ヌクレオチド配列が最大1、2または3個までのヌクレオチド置換(例えばウラシルによるアデノシンの置換)以外は第2ヌクレオチド配列と同一であることを意味する。表1のiRNA剤と同一ではないがヌクレオチドの欠失、付加または置換によって該iRNA剤の1つから誘導されたiRNA剤に関し本明細書で使用する「培養ヒトHepG2細胞中でのApoBの発現を阻害する能力をほぼ保持する」は、その誘導iRNA剤が、同剤を誘導した元の表1のiRNA剤と比較して低下が20%阻害以内の阻害活性を有することを意味する。例えば、培養ヒトHepG2細胞中に存在するApoBのmRNAの量を70%減少させる表1のiRNA剤から誘導されたあるiRNA剤は、それ自体は培養ヒトHepG2細胞中に存在するApoBのmRNAの量を少なくとも50%減少させ、培養ヒトHepG2細胞中でのApoBの発現を阻害する能力をほぼ保持していると考えることが可能である。場合によっては、本発明のiRNA剤は、培養ヒトHepG2細胞中に存在するApoBのmRNAの量、または細胞培養上清中に分泌されるApoBタンパク質の量を、少なくとも50%減少させることが可能である。
【0051】
典型的な実施形態では、対象はウシ、ウマ、マウス、ラット、イヌ、ブタ、ヤギまたは霊長類などの哺乳動物である。より好ましい実施形態では、対象はヒト、例えば正常個体、または疾患もしくは障害を有する個体、疾患もしくは障害であると診断された個体、または疾患もしくは障害を有すると予想される個体である。
【0052】
iRNA剤仲介型の発現抑制はiRNA剤組成物の投与後数日間続く可能性があるので、多くの場合、1日当たり1回未満の頻度で、あるいは場合により治療計画全体の中で1回だけ、組成物を投与することが可能である。
【0053】
ApoBの誤発現との関連を有する障害
ApoBを標的とするiRNA剤、例えば本明細書に記載するiRNA剤を使用して、対象、例えば異常なApoB遺伝子発現または望ましくないApoB遺伝子発現、例えばApoBの過剰発現と関連のある疾患または障害を有するか、あるいは該疾患または障害を発症する危険があるヒトを治療することが可能である。
【0054】
例えば、ApoBのmRNAを標的とするiRNA剤を使用して、高コレステロール血症、例えば末梢血管疾患を伴う原発性高コレステロール血症などの脂質関連障害を治療することが可能である。他の脂質関連障害には、冠状動脈疾患(CAD)、心筋梗塞;HDL/LDLコレステロール平衡異常;脂質代謝異常(例えば家族性複合型高脂血症(FCHL)および後天性高脂血症);高コレステロール血症;スタチン耐性高コレステロール血症;冠状動脈心疾患(CHD);血栓症;およびアテローム性動脈硬化症がある。1実施形態では、ApoBのmRNAを標的とするiRNAを、スタチン耐性障害、例えばスタチン耐性高コレステロール血症に罹患している対象に投与する。対象は現在スタチン治療を受けている対象でもよいし、過去にスタチン治療を受けた対象でもよいし、スタチン治療には適さない対象であってもよい。
【0055】
ApoBのmRNAを標的とするiRNA剤を使用して、ApoB遺伝子またはLDL受容体の遺伝子突然変異または遺伝子多型を有するヒトを治療することが可能である。例えばiRNA剤を使用して、高コレステロール血症およびCADの多発をもたらす優性遺伝性のリポタンパク質代謝障害である家族性リガンド欠損アポリポタンパク質B−100(FDB)を有すると診断されているヒトを治療することが可能である。これらの対象においては、ApoB/E受容体の欠損によるLDL粒子のクリアランス不全のため、血漿コレステロールレベルは劇的に上昇する。
【0056】
iRNA剤の設計および選択
本明細書の以下の実施例2は、配列予測に基づく遺伝子歩行法を使用して、ヒトおよびマウスApoBのmRNAを標的とする81個のiRNA剤候補を評価したことを示す。与えられた結果に基づいて、表1にApoBを標的とする活性iRNA剤を提示する。活性配列の少なくとも一部分がiRNA剤中に含まれるように、本明細書で提示された活性配列の1つに基づく、該配列を含む、あるいは該配列のみで構成される他のiRNA剤を、容易に設計および作製することが可能である。
【0057】
本明細書の以下の実施例2に示すiRNA剤は、21ヌクレオチド長のセンス鎖、および23ヌクレオチド長のアンチセンス鎖から構成される。しかしながら、これらの長さがおそらく最適であるかもしれないものの、iRNA剤がこれらの長さに制限されることを意味するわけではない。ある長さの範囲内では、有効性は鎖の長さではなくヌクレオチド配列の関数であるので、より短いiRNA剤もより長いiRNA剤も同様に有効であり得ることは、当業者には充分理解されている。例えば、ヤング、ディーら(Yang、D.,et al.)、PNAS 2002、第99巻、p.9942〜9947ページには、21〜30塩基対の長さのiRNA剤に関して有効性が同じであることが実証されている。他の研究者は、約15塩基対の長さのiRNA剤による遺伝子の有効な発現抑制を示している(バイロム、ダブリュー、エムら(Byrom、W.M.,et al.)、「Inducing RNAi with siRNA Cocktails Generated by RNaseIII;テクニカルノート10(1)、米国テキサス州オースチン(Austin)所在のアンビオンインコーポレイティド社(Ambion、Inc.))。
【0058】
したがって、本発明によって可能であり企図されるのは、表1に記載の配列の1つに由来するiRNA剤を作製するための15〜22ヌクレオチドの部分配列を、表1に提示する配列から選択することである。あるいは、表1に提示する配列の1つに1個または複数個のヌクレオチドを加え、その加えたヌクレオチドが、必須ではないが好ましくは、標的遺伝子、例えばApoBの各配列と相補的であるようにすることが可能である。全てのこのような誘導型iRNA剤は、同剤が培養ヒトHepG2細胞中でのApoBの発現を阻害する能力をほぼ保持するという条件で、本発明のiRNA剤に含まれる。
【0059】
一般に、本発明のiRNA剤はApoB遺伝子と充分に相補的な領域を含み、ヌクレオチド長さとしても充分なので、本発明のiRNA剤またはその断片は、ApoB遺伝子の下方制御を仲介し得る。表1のiRNA剤のアンチセンス鎖はマウスApoB(GenBank受託番号:XM_137955)およびヒトApoB(GenBank受託番号:NM_000384)のmRNA配列と完全に相補的であり、同剤のセンス鎖はアンチセンス鎖上の2個の3’末端ヌクレオチドを除きアンチセンス鎖と完全に相補的である。しかしながら、iRNA剤と標的の間に完全な相補性が存在することは必須ではない。ただし、iRNA剤またはその切断産物が、例えばApoBのmRNAのRNAi切断によって配列特異的な発現抑制を誘導し得るように、対応性は充分でなければならない。
【0060】
したがって本発明のiRNA剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖からなる薬剤を含み、センス鎖およびアンチセンス鎖はそれぞれ少なくとも16、17または18ヌクレオチドの配列を含み、該配列は、鎖当たりそれぞれ1、2または3個以下のヌクレオチドが他のヌクレオチドによって置換されている(例えばウラシルによって置換されたアデノシン)以外は、表1の配列の1つと以下で定義するようにほぼ同一であり、以下で定義するように培養ヒトHepG2細胞中でのApoBの発現を阻害する能力をほぼ保持している。したがってこれらの薬剤は、表1の配列の1つと同一な少なくとも15個のヌクレオチドを有するが、標的のApoB mRNA配列に対して、あるいはセンス鎖とアンチセンス鎖との間に1、2または3個の塩基のミスマッチが導入されることになる。特にアンチセンス鎖中の標的ApoB mRNA配列とのミスマッチは、末端領域中では大部分が許容され、ミスマッチが存在する場合には一端または両端の領域中、例えば5’および/または3’末端から6、5、4、または3ヌクレオチド以内にあることが好ましく、センス鎖の5’末端またはアンチセンス鎖の3’末端から6、5、4、または3ヌクレオチド以内にあることが最も好ましい。センス鎖は、分子の全体的な2本鎖特性を保つ程度に充分にアンチセンス鎖と相補的でありさえすればよい。
【0061】
iRNA剤のアンチセンス鎖は、14、15、16、17、18、19、25、29、40、または50ヌクレオチド長であるか、あるいはそれ以上の長さでなければならない。iRNA剤のアンチセンス鎖は、60、50、40、または30ヌクレオチド長以下でなければならない。好ましい範囲は15〜30、17〜25、19〜23、および19〜21ヌクレオチド長である。
【0062】
iRNA剤のセンス鎖は、14、15、16、17、18、19、25、29、40、または50ヌクレオチド長であるか、あるいはそれ以上の長さでなければならない。iRNA剤のセンス鎖は、60、50、40、または30ヌクレオチド長以下でなければならない。好ましい範囲は15〜30、17〜25、19〜23、および19〜21ヌクレオチド長である。
【0063】
iRNA剤の2本鎖部分の長さは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、29、40、または50ヌクレオチド対であるか、あるいはそれ以上でなければならない。iRNA剤の2本鎖部分の長さは、60、50、40、または30ヌクレオチド対以下でなければならない。長さの好ましい範囲は15〜30、17〜25、19〜23、および19〜21ヌクレオチド対である。
【0064】
iRNA剤が該分子の一端または両端に1本鎖または非対領域を含むように、センス鎖およびアンチセンス鎖を選択することが好ましい。したがってiRNA剤は、突出部分、例えば1個または2個の5’または3’突出部分であるが好ましくは2〜3ヌクレオチドの3’突出部分を含むように対合したセンス鎖およびアンチセンス鎖を含むことが好ましい。大部分の実施形態は3’突出部分を有すると思われる。好ましいsiRNA剤は、それぞれの端に1本鎖突出部分、好ましくは1〜4ヌクレオチド長もしくは好ましくは2〜3ヌクレオチド長の3’突出部分を有すると思われる。これらの突出部分は、一方の鎖が他方の鎖より長い結果であってもよいし、または同じ長さの2本の鎖をずらして配置した結果であってもよい。5’端はリン酸化されていることが好ましい。
【0065】
2重鎖領域の好ましい長さは、例えば上述のsiRNA剤の範囲内で、15〜30ヌクレオチド、最も好ましくは18、19、20、21、22、および23ヌクレオチドである。siRNA剤は、長いdsRNA由来の天然のダイサー(Dicer)プロセシング産物と長さおよび構造が似ている可能性がある。siRNA剤の2本の鎖が結合している、例えば共有結合している実施形態も含まれる。必要とされる2本鎖領域と、好ましくは3’突出部分とを与えるヘアピンまたは他の1本鎖構造も、本発明の範疇にある。
【0066】
以下の考察の大部分は、1本鎖分子について述べるものである。本発明の多くの実施形態では、ds iRNA剤、例えば部分的にdsであるiRNA剤が必要であるか、あるいは好ましい。したがって、以下に記載する1本鎖構造で構成される2本鎖構造(例えば、2つの別個の分子が接触して2本鎖領域を形成する2本鎖構造、または分子内対形成によって2本鎖領域が形成される2本鎖構造(例えばヘアピン構造))は、本発明の範疇にあることが理解される。好ましい長さについては、本発明の他の箇所に記載する。
【0067】
候補iRNA剤の評価
候補iRNA剤を、標的遺伝子の発現を下方制御する同剤の能力に関して評価することが可能である。例えば、候補iRNA剤を提供し、該iRNA剤を、内因的に標的遺伝子、例えばApoB遺伝子を発現している細胞、あるいはApoBを発現させることが可能な構築物でトランスフェクトされている細胞、例えばHepG2細胞に接触させることが可能である。候補iRNA剤との接触前後の標的遺伝子の発現レベルを、例えばmRNAまたはタンパク質レベルで比較することが可能である。標的遺伝子から発現されるRNAまたはタンパク質の量が、iRNA剤との接触後では低いと判定される場合、該iRNA剤が標的遺伝子の発現を下方制御すると結論付けることが可能である。細胞中の標的のApoB RNAまたはApoBタンパク質のレベルは、任意の望ましい方法によって測定することが可能である。例えば標的RNAのレベルは、ノーザンブロット分析、ポリメラーゼ連鎖反応と組み合わせた逆転写(RT−PCR)、またはRNAseプロテクションアッセイによって測定することが可能である。タンパク質のレベルは、例えばウエスタンブロット分析によって測定することが可能である。
【0068】
iRNA剤の安定性試験、修飾、および再試験
候補iRNA剤を、安定性に関して、例えばiRNA剤が対象の体内に導入されたときのエンドヌクレアーゼまたはエクソヌクレアーゼによる切断の受けやすさに関して評価することが可能である。幾つかの方法を使用して、修飾、特に切断、例えば対象の体内に見られる成分による切断を受けやすい部位を同定することが可能である。
【0069】
切断を受けやすい部位が同定されたら、例えばその切断部位に2’修飾、例えば2’−O−メチル基を導入することによって、切断される可能性のある部位を切断耐性にするように、さらなるiRNA剤を設計および/または合成することが可能である。このさらなるiRNA剤を安定性に関して再試験することが可能であり、望ましい安定性を示すiRNA剤が見出されるまでこの方法を繰り返すことが可能である。
【0070】
in vivo試験
ApoB遺伝子の発現を阻害することが可能であるとして同定されたiRNA剤を、動物モデルにおいて(例えばマウスまたはラットなどの哺乳動物において)in vivoでの機能に関して試験することが可能である。例えば、iRNA剤を動物に投与することが可能であり、該iRNA剤の生体内分布、安定性、およびApoB遺伝子の発現を阻害する同剤の能力に関して評価することが可能である。
【0071】
iRNA剤は注射などによって標的組織に直接投与されてもよいし、あるいはiRNA剤は、同剤をヒトに投与される場合と同じ方法で動物モデルに投与されてもよい。
iRNA剤を、その細胞内分布に関して評価することも可能である。該評価は、iRNA剤が細胞中に取り込まれたかどうか決定することを含み得る。該評価は、iRNA剤の安定性(例えば半減期)を決定することも含み得る。in vivoでのiRNA剤の評価は、追跡可能なマーカー(例えば、フルオレセインなどの蛍光マーカー;35S、32P、33P、またはHなどの放射活性標識;金粒子;または免疫組織化学用の抗原粒子)と結合したiRNA剤の使用によって容易にすることが可能である。
【0072】
生体内分布を調べるのに有用なiRNA剤は、in vivoでの遺伝子発現抑制活性を欠いていてもよい。例えば、iRNA剤がその動物中に存在しない遺伝子を標的としていてもよいし(例えば、マウスに注射されるiRNA剤がルシフェラーゼを標的としてもよい)、あるいはiRNA剤が、いかなる遺伝子も、例えばいかなる内在遺伝子も標的としない無意味な配列を有していてもよい。iRNAの局在/生体内分布は、例えばiRNA剤と結合した追跡可能な標識(前述の追跡可能な物質など)によって調べることが可能である。
【0073】
iRNA剤は、ApoB遺伝子の発現を下方制御する同剤の能力に関して評価することが可能である。in vivoでのApoB遺伝子発現のレベルは、例えばin situハイブリダイゼーションによって、あるいはiRNA剤への曝露前後に組織からRNAを単離することによって、測定することが可能である。組織を採取するためには動物を屠殺する必要がある場合、未処理の対照動物が比較用に役立つと思われる。標的ApoBのmRNAは、RT−PCR、ノーザンブロット、分岐DNAアッセイ、またはRNAaseプロテクションアッセイだけには限られないが、これらを含めた任意の望ましい方法によって検出することが可能である。別例として、あるいは追加として、ApoB遺伝子の発現を、iRNA剤で処理した組織抽出物のウエスタンブロット分析の実施によって調べることが可能である。
【0074】
iRNAの化学的性質
本明細書に記載するのは、RNAiを仲介してApoBの発現を阻害する単離iRNA剤、例えばRNA分子(2本鎖;1本鎖)である。
【0075】
本明細書で論じるRNA物質には、他の非修飾RNA、および例えば有効性を改善するために修飾されたRNA、およびヌクレオシド代替物のポリマーがある。非修飾RNAは、該核酸の構成要素、すなわち糖、塩基、およびリン酸部分が、天然に存在する、好ましくはヒト体内に本来存在する構成要素と同じあるいはほぼ同じである分子を指す。当技術分野では、希少であるかまたは通常とは異なるが天然に存在するRNAを修飾RNAと呼んでいる。例えばリンバッハら(Limbach et al.)、(1994)Nucleic Acids Res.22:2183〜2196ページを参照されたい。このような希少または通常と異なるRNAは、(おそらく典型的には転写後修飾の結果であるために)修飾RNAと呼ばれることが多いが、本明細書で使用する場合、用語「非修飾RNA」の範疇にある。本明細書で使用する修飾RNAは、1つまたは複数の核酸構成要素、すなわち糖、塩基、およびリン酸部分が、天然に存在する構成要素とは異なる、好ましくはヒト体内に存在する構成要素とは異なる分子を指す。これらは修飾「RNA」と呼ばれるが、当然ながらその修飾のために、RNAではない分子を含むことになる。ヌクレオシド代替物は、リボースリン酸(ribophosphate)骨格が、ハイブリダイゼーションがリボースリン酸骨格で見られるのとほぼ同等であるように、正しい空間的位置関係で塩基を存在させることを可能にする非リボースリン酸構築物、例えば非荷電のリボースリン酸骨格模倣体で置換されている分子である。前述の事項の全ての例について、本明細書で論じる。
【0076】
本明細書に記載する修飾は、本明細書に記載する任意の2本鎖RNAおよびRNA様分子、例えばiRNA剤中に組み込むことが可能である。iRNA剤のアンチセンス鎖およびセンス鎖の一方または両方を修飾することが望ましい可能性がある。核酸はサブユニットまたはモノマーの重合体なので、以下に記載する修飾の多くは、核酸中で反復される部位に存在する。例えば塩基もしくはリン酸部分、またはリン酸部分の結合に関与していない0の修飾である。幾つかの場合については、修飾は核酸中の対象部位の全てに存在するが、多くの場合、実際ほとんどの場合はそうではない。例えば、修飾は3’または5’末端部位のみに存在してもよいし、末端領域、例えば鎖の末端ヌクレオチド上あるいは鎖の最後の2、3、4、5、または10ヌクレオチド中の部位にのみ存在していてもよい。修飾は2本鎖領域内、1本鎖領域内、あるいは両方に存在しうる。例えば、結合に関与していないOの位置におけるホスホロチオエート修飾が、鎖の一端または両端のみに存在していてもよいし、末端領域、例えば鎖の末端ヌクレオチド上あるいは鎖の最後の2、3、4、5、または10ヌクレオチド中の部位にのみ存在していてもよいし、あるいは2本鎖領域および1本鎖領域中、特に末端に存在していてもよい。同様に修飾は、センス鎖、アンチセンス鎖、あるいは両方に存在しうる。幾つかの場合、センス鎖とアンチセンス鎖は同じ修飾または同じ種類の修飾を有することになるが、他の場合、センス鎖とアンチセンス鎖は異なる修飾を有することになり、例えば幾つかの場合、1つの鎖、例えばセンス鎖だけを修飾することが望ましい場合がある。
【0077】
iRNA剤に修飾を導入する2つの主な目的は、以下でさらに論じるように、生物環境中での分解に対しiRNA剤を安定化すること、ならびに薬理学的性質、例えば薬力学的性質を改善することである。iRNA剤の糖、塩基、または骨格に対する他の適切な修飾は、2004年1月16日に出願された共願のPCT出願第PCT/US2004/01193に記載されている。iRNA剤は、2004年4月16日に出願された共願のPCT出願第PCT/US2004/011822に記載された塩基などの、非天然塩基を含み得る。iRNA剤は、非炭水化物環状担体分子などの非天然糖を含み得る。iRNA剤中に使用するための非天然糖の例示的な特徴は、2003年4月16日に出願された共願のPCT出願第PCT/US2004/11829に記載されている。
【0078】
iRNA剤は、ヌクレアーゼ耐性を増大させるのに有用なヌクレオチド間結合(例えば、キラルホスホロチオエート結合)を含み得る。加えて、あるいは別例として、iRNA剤はヌクレアーゼ耐性を増大させるためにリボース模倣体を含み得る。ヌクレアーゼ耐性を増大させるための例示的なヌクレオチド間結合およびリボース模倣体は、2004年3月8日に出願された共願のPCT出願第PCT/US2004/07070に記載されている。
【0079】
iRNA剤は、オリゴヌクレオチド合成用の、リガンドに結合したモノマーサブユニットおよびモノマーを含み得る。例示的なモノマーは、2004年8月10日に出願された共願の米国特許出願第10/916,185明細書に記載されている。
【0080】
iRNA剤は、2004年3月8日に出願された共願のPCT出願第PCT/US2004/07070に記載の通りのZXY構造を有し得る。
iRNA剤は、両親媒性部分とともに複合体を形成する可能性がある。iRNA剤と共に使用するための例示的な両親媒性部分は、2004年3月8日に出願された共願のPCT出願第PCT/US2004/07070に記載されている。
【0081】
iRNA剤のセンス配列およびアンチセンス配列は、パリンドロームであってよい。パリンドロームiRNA剤の例示的な特徴は、2004年3月8日に出願された共願のPCT出願第PCT/US2004/07070に記載されている。
【0082】
他の実施形態ではiRNA剤は、モジュラー複合体を特徴とする送達物質と複合体を形成する可能性がある。該モジュラー複合体は、(a)縮合剤(例えばイオン的または静電気的相互作用によって、核酸を誘引する、例えば核酸と結合することが可能である物質など);(b)融合剤(例えば、細胞膜を介して融合かつ/または輸送可能な物質);および(c)標的化基、例えば細胞または組織を標的とする物質、例えばレクチン、糖タンパク質、脂質またはタンパク質、例えば特定の種類の細胞と結合する抗体;のうち1または複数(好ましくは2以上、より好ましくは3つ全て)と結合した担体物質を含み得る。送達物質と複合体形成したiRNA剤は、2004年3月8日に出願された共願のPCT出願第PCT/US2004/07070に記載されている。
【0083】
iRNA剤は、iRNA2重鎖のセンス配列とアンチセンス配列との間などに、標準的ではない対合を有し得る。標準的ではないiRNA剤の例示的な特徴は、2004年3月8日に出願された共願のPCT出願第PCT/US2004/07070に記載されている。
【0084】
ヌクレアーゼ耐性の増強
iRNA剤、例えばApoBを標的とするiRNA剤は、増強されたヌクレアーゼ耐性を有していてもよい。耐性を増大させるための1つの方法は、切断部位を同定し、その部位を修飾して切断を阻害することである。例えばジヌクレオチド5’−UA−3’、5’−UG−3’、5’−CA−3’、5’−UU−3’、または5’−CC−3’は、共願かつ同時係属の米国特許出願第60/574,744号およびPCT/US2005/018931に記載されているように、切断部位として働き得る。
【0085】
ヌクレアーゼ耐性および/または標的との結合親和性の増大のために、iRNA剤、例えばiRNA剤のセンスおよび/またはアンチセンス鎖は、例えば2’修飾リボース単位および/またはホスホロチオエート結合を含み得る。例えば2’ヒドロキシル基(OH)は、幾つかの異なる「オキシ」または「デオキシ」置換基で修飾または置換することが可能である。
【0086】
「オキシ」−2’ヒドロキシル基修飾の例には、アルコキシまたはアリールオキシ(OR、例えばR=H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたは糖);ポリエチレングリコール(PEG)、O(CHCHO)CHCHOR;2’ヒドロキシルが例えばメチレン架橋によって同じリボース糖の4’炭素と結合
した「ロック型」核酸(LNA);O−AMINE(AMINE=NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)およびアミノアルコキシ、O(CHAMINE、(例えばAMINE=NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)がある。メトキシエチル基(MOE)のみを含むオリゴヌクレオチド、(OCHCHOCH、PEG誘導体)が、強固なホスホロチオエート修飾で修飾されたオリゴヌクレオチドに匹敵するヌクレアーゼ安定性を示すことは、注目すべきことである。
【0087】
「デオキシ」修飾には、水素(すなわち、部分的にdsであるRNAの突出部分と非常に関係があるデオキシリボース糖);ハロ(例えばフルオロ);アミノ(例えばNH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、またはアミノ酸);NH(CHCHNH)CHCH−AMINE;(AMINE=NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、またはジヘテロアリールアミノ)、−NHC(O)R(R=アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたは糖)、シアノ;メルカプト;アルキル−チオ−アルキル;チオアルコキシ;ならびに、例えばアミノ官能基により任意選択で置換されたアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニルおよびアルキニルがある。好ましい置換基は、2’−メトキシエチル、2’−OCH3、2’−O−アリル、2’−C−アリル、および2’−フルオロである。
【0088】
ヌクレアーゼ耐性を最大にするために、2’修飾を1個または複数個のリン酸結合修飾(例えばホスホロチオエート)と組み合わせて使用することが可能である。いわゆる「キメラ」オリゴヌクレオチドは、2個以上の異なる修飾を含むオリゴヌクレオチドである。
【0089】
幾つかの実施形態では、iRNA剤の全てのピリミジンが2’修飾を有しており、したがって該iRNA剤はエンドヌクレアーゼに対する高い耐性を有する。ヌクレアーゼ耐性の増強は、例えばウリジンが2’−修飾ヌクレオチドである少なくとも1個の5’−ウリジン−アデニン−3’(5’−UA−3’)ジヌクレオチド;5’−ウリジンが2’−修飾ヌクレオチドである少なくとも1個の5’−ウリジン−グアニン−3’(5’−UG−3’)ジヌクレオチド;5’−シチジンが2’−修飾ヌクレオチドである少なくとも1個の5’−シチジン−アデニン−3’(5’−CA−3’)ジヌクレオチド;5’−ウリジンが2’−修飾ヌクレオチドである少なくとも1個の5’−ウリジン−ウリジン−3’(5’−UU−3’)ジヌクレオチド;または5’−シチジンが2’−修飾ヌクレオチドである少なくとも1個の5’−シチジン−シチジン−3’(5’−CC−3’)ジヌクレオチドを生成する5’ヌクレオチドの修飾によって得ることも可能である。iRNA剤は少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個または少なくとも5個のこのようなジヌクレオチドを含み得る。存在する全ての配列モチーフ5’−UA−3’、5’−CA−3’、5’−UU−3’、および5’−UG−3’の5’側のピリミジンは2’−修飾ヌクレオチドであることが好ましい。センス鎖中の全ピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドであり、かつ存在する全ての配列モチーフ5’−UA−3’および5’−CA−3’の5’側のピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドであることがより好ましい。センス鎖中の全ピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドであり、かつアンチセンス鎖中に存在する全ての配列モチーフ5’−UA−3’、5’−CA−3’、5’−UU−3’、および5’−UG−3’の5’側のピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドであることが最も好ましい。本発明者らによって、後者のパターンの修飾が、所望の安定性に必要とされる修飾の総数を最少にしながら、ヌクレアーゼ分解に対する分子全体の安定化に対するヌクレオチド修飾の貢献を最大にすることが示されている。その全容を本願明細書に援用する、共願かつ同時係属のPCT/US2005/018931を参照のこと。
【0090】
オリゴヌクレオチド骨格にフラノース糖を含めることによっても、エンドヌクレアーゼによる切断が減少する可能性がある。3’カチオン基を含めることによって、あるいは3’−3’結合を用いて3’末端のヌクレオシドを逆向きにすることによって、iRNA剤をさらに修飾することが可能である。他の代替例では、3’末端をアミノアルキル基で、例えば3’C5−アミノアルキルdTでブロックすることが可能である。その他の3’結合体は、3’−5’エクソヌクレアーゼによる切断を阻害し得る。理論によって縛られるものではないが、3’結合体、例えばナプロキセンまたはイブプロフェンは、エクソヌクレアーゼがオリゴヌクレオチドの3’端と結合するのを立体的に阻害することによって、エクソヌクレアーゼによる切断を阻害するのかもしれない。小さなアルキル鎖、アリール基、または複素環の結合体または修飾糖(D−リボース、デオキシリボース、グルコースなど)さえも、3’−5’エクソヌクレアーゼを阻害し得る。
【0091】
同様に、5’結合体も5’−3’エクソヌクレアーゼによる切断を阻害し得る。理論によって縛られるものではないが、5’結合体、例えばナプロキセンまたはイブプロフェンは、エクソヌクレアーゼがオリゴヌクレオチドの5’端と結合するのを立体的に阻害することによって、エクソヌクレアーゼによる切断を阻害するのかもしれない。小さなアルキル鎖、アリール基、または複素環の結合体または修飾糖(D−リボース、デオキシリボース、グルコースなど)でも、3’−5’エクソヌクレアーゼを阻害し得る。
【0092】
2重鎖iRNA剤が少なくとも一端に1本鎖ヌクレオチド突出部分を含むとき、iRNA剤は高いヌクレアーゼ耐性を有し得る。好ましい実施形態では、該ヌクレオチド突出部
分は1〜4、好ましくは2〜3の非対合ヌクレオチドを含む。好ましい実施形態では、1本鎖ヌクレオチド突出部分の非対合ヌクレオチドであって一番端のヌクレオチド対と直接隣接するヌクレオチドはプリン塩基を含み、前記一番端のヌクレオチド対はG−C対であるか、あるいは端の4つの相補的ヌクレオチド対のうち少なくとも2個がG−C対である。他の実施形態では、ヌクレオチド突出部分は1個または2個の非対合ヌクレオチドを有してもよく、例示的な実施形態ではヌクレオチド突出部分は5’−GC−3’である。好ましい実施形態では、ヌクレオチド突出部分はアンチセンス鎖の3’端上に存在する。1実施形態では、iRNA剤は、2ヌクレオチドの突出部分5’−GC−3’が形成されるように、アンチセンス鎖の3’端上にモチーフ5’−CGC−3’を含む。
【0093】
したがってiRNA剤は、例えば対象の体内に見られるヌクレアーゼ、例えばエンドヌクレアーゼまたはエクソヌクレアーゼによる分解を阻害するように修飾されたモノマーを含み得る。これらのモノマーを、本明細書ではNRM、すなわちヌクレアーゼ耐性促進モノマーまたは修飾(Nuclease Resistance promoting Monomers or modification)と呼ぶ。多くの場合これらの修飾は、iRNA剤の他の性質、例えば、タンパク質(例えば輸送タンパク質、例えば血清アルブミン)、またはRISCの構成要素と相互作用する能力、あるいは互いに2重鎖を形成するかまたは他の配列(例えば標的分子)と2重鎖を形成する第1配列および第2配列の能力も調節すると思われる。
【0094】
理論によって縛られることは望まないが、iRNA剤中の糖、塩基、および/またはリン酸骨格の修飾は、エンドヌクレアーゼ耐性およびエクソヌクレアーゼ耐性を高める可能性があり、かつ輸送タンパク質およびRISC複合体を構成する1または複数の機能要素との相互作用を高める可能性があると考えられる。好ましい修飾は、エクソヌクレアーゼ耐性およびエンドヌクレアーゼ耐性を増大させ、したがってRISC複合体と相互作用する前のiRNA剤の半減期を延長させるが、同時に、標的mRNAの切断を誘導する薬剤としてのiRNA剤の目的の活性に関して不活化しない修飾である。再度、如何なる理論によっても縛られることも望まないが、アンチセンス鎖の3’および/または5’端あるいはその近辺に修飾を配置することは、前述の好ましいヌクレアーゼ耐性の基準に見合うiRNA剤をもたらす可能性があると考えられる。再度、さらに如何なる理論によっても縛られることも望まないが、例えばセンス鎖の中央への修飾の配置は、的外れな効果(オフターゲット効果)を示す可能性が比較的低いiRNA剤をもたらす可能性があると考えられる。
【0095】
前述の好ましいヌクレアーゼ耐性基準に見合うiRNA剤を生成するのに有用な可能性がある修飾は、以下の、糖、塩基、および/またはリン酸骨格の化学修飾および/または立体化学修飾のうち1つまたは複数を含み得る。
【0096】
(i)キラル(Sp)チオエート。したがって、好ましいNRMは、通常は酸素が占める位置Xに、非架橋位置にヘテロ原子を含む修飾リン酸基の特定のキラル型、例えばSpまたはRpを豊富に含むかまたは前記キラル型のみを含むヌクレオチド二量体を含む。X位の原子はS、Se、NrまたはBrであってもよい。XがSならば、豊富な、またはキラル型について純粋なSp結合が好ましい。豊富とは好ましい型が少なくとも70、80、90、95または99%であることを意味する。そのようなNRMについては以下により詳細に記載する。
【0097】
(ii)糖、塩基および/またはリン酸バックボーン部分もしくは修飾リン酸バックボーン部分のリン原子への1つまたは複数のカチオン基の結合。したがって、好ましいNRMは、カチオン基で誘導体化された末端位置のモノマーを含む。アンチセンス配列の5’末端は、末端に−OHまたはリン酸基を有する必要があるので、前記のNRMは、アンチセンス配列の5’末端では使用されないことが好ましい。このカチオン基は、水素結合形成およびハイブリッド形成への干渉を最少化する塩基上の位置、例えばもう一方の鎖の相補的塩基と相互作用する面から離れた位置(例えばピリミジンの5’位またはプリンの7位)に結合しなければならない。これらについては以下により詳細に述べる。
【0098】
(iii)末端での非リン酸結合。したがって、好ましいNRMは、例えばリン酸結合よりも大きい切断耐性を付与する4原子の結合などの、非リン酸結合を含む。例として、3’CH−NCH−O−CH−5’および3’CH−NH−(O=)−CH−5’が挙げられる。
【0099】
(iv)3’架橋チオリン酸および5’架橋チオリン酸。したがって、好ましいNRMは前記の構造を含むことが可能である。
(v)L−RNA、2’−5’結合、逆向きの結合、α−ヌクレオシド。したがって、他の好ましいNRMに含まれるものは、LヌクレオシドおよびL−ヌクレオシド由来のヌクレオチド二量体;2’−5’リン酸結合、非リン酸結合および修飾リン酸結合、例えばチオリン酸、ホスホルアミデートおよびホウ素化リン酸;逆向きの結合、例えば3’−3’または5’−5’結合を有する二量体;糖の1’位にα結合を有するモノマー、例えば本明細書に記載のα結合を有する構造が挙げられる。
【0100】
(vi)結合基。したがって、好ましいNRMは、例えば標的化部分、または、例えば糖、塩基もしくはバックボーンを介してモノマーと結合した本明細書に記載の結合リガンドを含むことが可能である。
【0101】
(vi)脱塩基結合。したがって、好ましいNRMは、例えば本明細書に記載されるような脱塩基モノマー(例えば核酸塩基のないモノマー)、本明細書に記載されるような芳香族モノマーまたは複素環式もしくは多複素環式芳香族モノマーを含むことが可能である。
【0102】
(vii)5’−ホスホネートおよび5’−ホスフェート型プロドラッグ。したがって、好ましいNRMは、好ましくは末端部位(例えば5’位)に、リン酸基の1つまたは複数の原子が保護基により誘導体化されているモノマーを含み、この1つまたは複数の保護基は、対象の体内成分、例えばカルボキシエステラーゼまたは対象の体内に存在する酵素の作用により除去される。例えば、カルボキシエステラーゼが保護分子を切断する結果チオエートアニオンが生じ、チオエートアニオンがリン酸のOに隣接する炭素を攻撃する結果として保護されていないリン酸が生じるリン酸プロドラッグ。
【0103】
1つまたは複数の異なるNRM修飾をiRNA剤またはiRNA剤の配列中に導入することが可能である。NRM修飾は、配列またはiRNA剤に2回以上使用することが可能である。一部のNRMはハイブリッド形成を妨げるので、取り込む総数は、許容可能なレベルのiRNA剤の二本鎖形成が維持されるものでなければならない。
【0104】
一部の実施形態において、NRM修飾は、対象の所望の配列または遺伝子を標的としない配列(センス鎖またはセンス配列)の末端切断部位または切断領域へ導入される。このことによりオフターゲットの発現抑制を低減しうる。
【0105】
ヌクレアーゼ耐性修飾に含まれる修飾は、あるものは末端のみに配置することが可能であり、他の修飾は任意の位置に配置可能である。一般に修飾はハイブリダイゼーションを阻害する可能性があるので、末端領域のみに修飾を使用することが好ましく、対象の配列または遺伝子を標的とする配列の切断部位または切断領域中には修飾を使用しないことが好ましい。iRNA剤の2配列間の充分なハイブリダイゼーションが保たれるという条件で、修飾はセンス配列中の任意の場所において使用することが可能である。幾つかの実施形態では、対象の配列または遺伝子を標的としない配列の切断部位または切断領域中にNRMを置くことが望ましい。というのは、オフターゲットの発現抑制を最少にする可能性があるからである。
【0106】
さらに、本明細書に記載するiRNA剤は、該iRNA剤の他方の配列と2重鎖構造を形成しない突出部分を有し得る。これは突出部分であるが、それ自体と、あるいは該iRNA剤の他方の配列以外の他の核酸と、ハイブリダイズする。
【0107】
大抵の場合、ヌクレアーゼ耐性を促進する修飾は、その配列が対象中の配列を標的とする(アンチセンス配列と呼ばれることが多い)か、あるいは対象中の配列を標的としない(センス配列と呼ばれることが多い)かに応じて分布が異なると思われる。配列が対象中の配列を標的とする場合、エンドヌクレアーゼによる切断を妨害または阻害する修飾は、RISC仲介性の切断を受ける領域、例えば切断部位または切断領域中に挿入すべきではない。(本願明細書に援用する、エルバシャーら(Elbashir et al.)、2001、Genes and Dev.15:188に記載されるとおりである。)標的の切断は20または21ヌクレオチドの誘導RNAのほぼ中央、あるいはこの誘導配列と相補的な第1ヌクレオチドの約10または11ヌクレオチド上流で起こる。本明細書で使用するように、切断部位とは、標的上または標的にハイブリダイズするiRNA剤の鎖上の、切断される部位のいずれかの側のヌクレオチドを指す。切断領域とは、切断される部位のヌクレオチドおよびいずれかの方向に1、2、または3個のヌクレオチドを意味する。
【0108】
このような修飾は末端領域、例えば対象中の配列を標的とする配列または対象中の配列を標的としない配列の、末端位置または末端の2、3、4、または5つの位置を加えた位置に導入することが可能である。
【0109】
係留リガンド
iRNA剤の薬理学的性質を含めたiRNA剤の性質は、例えば、リガンド、例えば係留リガンドを導入することによって影響され調節され得る。
【0110】
多種多様な物、例えばリガンドをiRNA剤に、例えばリガンド結合モノマーサブユニットの担体に結合させることが可能である。これらの例はリガンド結合モノマーサブユニットに関して以下に記載するが、それは単に好ましいものにすぎず、他の地点でiRNA剤に物を結合させることが可能である。
【0111】
好ましい構成部分は、介在係留部を介して直接的または間接的に担体と結合、好ましくは共有結合したリガンドである。好ましい実施形態では、リガンドは介在係留部によって担体に取り付けられる。リガンドまたは係留リガンドは、リガンド結合モノマーが伸長している鎖に取り込まれるときに、リガンド結合モノマー上に存在していてもよい。幾つかの実施形態では、「前駆体」リガンド結合モノマーサブユニットを伸長している鎖に取り込ませた後に、リガンドを「前駆体」リガンド結合モノマーサブユニットに取り込ませることが可能である。例を挙げれば、例えばアミノ末端結合を有するモノマー、例えばTAP−(CHNHを、伸長しているセンス鎖またはアンチセンス鎖中に取り込ませることが可能である。後の操作において、すなわち前駆体モノマーサブユニットの鎖中への取り込みの後、求電子基、例えばペンタフルオロフェニルエステルまたはアルデヒド基を有するリガンドを、続いて前駆体リガンド結合モノマーと結合させることが可能である。該結合は、リガンドの求電子基と前駆体リガンド結合モノマーサブユニットの係留部の末端求核基とを結合させることによって可能である。
【0112】
好ましい実施形態では、リガンドは、それが取り込まれるiRNA剤の分布、標的指向性または寿命を変化させる。好ましい実施形態では、リガンドは、例えばそのようなリガンドを含まないものと比較して、選択された標的、例えば分子、細胞または細胞種、区画(例えば細胞区画または臓器区画)、身体の組織、臓器または領域に対する高い親和性を与える。
【0113】
好ましいリガンドは、輸送、ハイブリダイゼーション、および特異性を改善することが可能であり、生成する天然もしくは修飾オリゴヌクレオチド、または本明細書に記載するモノマーおよび/または天然もしくは修飾リボヌクレオチドの任意の組合せを含むポリマー分子の、ヌクレアーゼ耐性を改善する可能性もある。
【0114】
リガンドは一般に、例えば摂取を増大させるための治療用修飾物質;例えば分布を調べるための診断用化合物またはレポーター基;架橋剤;ヌクレアーゼ耐性を付与する部分;ならびに天然または通常と異なる核酸塩基を含み得る。一般例には、親油性物質、脂質、ステロイド(例えばウバオール、ヘシゲニン、ジオスゲニン)、テルペン(例えばトリテルペン、例えばサルササポゲニン、フリーデリン、エピフリーデラノール誘導体化リトコール酸)、ビタミン(例えば葉酸、ビタミンA、ビオチン、ピリドキサール)、炭水化物、タンパク質、タンパク質結合物質、インテグリン標的分子、ポリカチオン性物質、ペプチド、ポリアミン、およびペプチド模倣体がある。
【0115】
リガンドは、天然に存在する物質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)、またはグロブリン);炭水化物(例えばデキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリンまたはヒアルロン酸);アミノ酸、または脂質を含み得る。リガンドは組換え分子でもよいし、合成ポリマーなど、例えば合成ポリアミノ酸などの合成分子であってもよい。ポリアミノ酸の例は、ポリリシン(PLL)、ポリL−アスパラギン酸、ポリL−グルタミン酸、スチレン−マレイン酸無水コポリマー、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル−マレイン酸無水コポリマー、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2−エチルアクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミドポリマー、またはポリホスファジンであるポリアミノ酸を含む。ポリアミンの例には、ポリエチレンイミン、ポリリシン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、擬似ペプチド−ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性成分、例えばカチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第4級塩、αヘリカルペプチドがある。
【0116】
リガンドは、標的化基、例えば細胞または組織を標的とする物質、例えばレクチン、糖タンパク質、脂質またはタンパク質、例えば肝臓細胞もしくは空腸の細胞などの特定の細胞種と結合する抗体も含み得る。標的化基は、チロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタントタンパク質A、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン、多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタミン酸(塩)、ポリアスパラギン酸(塩)、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、またはRGDペプチドもしくはRGDペプチド模倣体であってよい。
【0117】
リガンドの他の例には色素、インターカレート剤(例えばアクリジン)、架橋剤(例えばソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えばフェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えばEDTA)、親油性分子、例えばコレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、グリセロール(例えばそのエステルおよびエーテル、例えばC10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、またはC20アルキル;例えば1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、1,3−ビス−O(オクタデシル)グリセロール)、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メンソール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コレイン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)およびペプチド複合体(例えばアンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、リン酸、アミノ、メルカプト、PEG(例えばPEG−40K)、MPEG、[MPEG]、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射標識マーカー、酵素、ハプテン(例えばビオチン)、輸送/吸収促進物質(例えばアスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えばイミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター化合物、アクリジン−イミダゾール複合体、テトラアザマクロサイクルのEu3+錯体)、ジニトロフェニル、HRP、またはAPがある。
【0118】
リガンドはタンパク質、例えば糖タンパク質、またはペプチド、例えば共通リガンドに対する特異的親和性を有する分子、または抗体、例えばがん細胞、内皮細胞、または骨細胞などの特定の細胞種と結合する抗体であってよい。リガンドはホルモンおよびホルモン受容体も含み得る。リガンドは脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、コファクター、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン、多価マンノース、または多価フコースなどの非ペプチド性のものも含み得る。リガンドは例えばリポ多糖、p38MAPキナーゼの活性化物質、またはNF−κBの活性化物質であってよい。
【0119】
リガンドは、例えば細胞の細胞骨格を破壊することによって、例えば細胞の微小管、マイクロフィラメント、および/または中間径フィラメントを破壊することによって、細胞内へのiRNA剤の取り込みを増大させることが可能である物質、例えば薬剤であってよい。該薬剤は例えばタクソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャプラキノリド、ラトルンクリンA、ファロイジン、スビンホライドA、インダノシン、またはミオセルビンであってよい。
【0120】
リガンドは、例えば炎症応答を活性化することによって、細胞内へのiRNA剤の取り込みを増大させることが可能である。このような効果を有すると思われる例示的なリガンドには、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン−1β、またはγインターフェロンがある。
【0121】
1態様ではリガンドは、脂質または脂質系分子である。このような脂質または脂質系分子は、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン(HSA)と結合することが好ましい。HSA結合リガンドは、標的組織、例えば肝実質細胞などの肝臓組織への該複合体の分布を可能にする。HSAと結合し得る他の分子をリガンドとして使用することも可能である。例えば、ネプロキシンまたはアスピリンを使用することが可能である。脂質または脂質系リガンドは、(a)該複合体の分解に対する耐性を増大させることが可能であり、(b)標的指向性または標的細胞もしくは細胞膜への輸送を増大させることが可能であり、かつ/あるいは(c)血清タンパク質、例えばHSAとの結合を調節するために使用することが可能である。
【0122】
脂質系リガンドを使用して、複合体と標的組織の結合を調節する、例えば制御することが可能である。例えば、HSAと比較的強く結合する脂質または脂質系リガンドは、腎臓へ向かう可能性が低いと思われ、したがって身体から除去されにくいと思われる。HSAとあまり強く結合しない脂質または脂質系リガンドを使用して、複合体を腎臓に向けることが可能である。
【0123】
好ましい実施形態では、脂質系リガンドはHSAと結合する。脂質系リガンドは、複合体が腎臓以外の組織に優先的に分布するように、充分な親和性でHSAと結合することが好ましい。しかしながら、親和性は、HSAとリガンドとの結合が解消し得ないほどは強くないことが好ましい。
【0124】
他の態様では、リガンドは、標的細胞、例えば増殖している細胞によって取り込まれる成分、例えばビタミンである。これらは、例えば悪性または非悪性の細胞種、例えばがん細胞の望ましくない細胞増殖を特徴とする障害を治療するのに特に有用である。例示的なビタミンには、ビタミンA、E、およびKがある。他の例示的なビタミンは、Bビタミン、例えば葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサール、またはがん細胞によって取り込まれるその他のビタミンまたは栄養素である。HSAおよび低密度リポタンパク質(LDL)も含まれる。
【0125】
他の態様では、リガンドは、細胞浸透性物質、好ましくはヘリカル構造の細胞浸透性物質である。この物質は両親媒性であることが好ましい。例示的な物質は、tatまたはアンテノペディアなどのペプチドである。物質がペプチドである場合、ペプチジル模倣体、反転異性体、非ペプチド結合または擬似ペプチド結合、およびD−アミノ酸の使用を含めて、該ペプチドを修飾することが可能である。ヘリカル構造の物質はα−ヘリカル構造物質であることが好ましく、同物質は親油性相および疎油性相を有することが好ましい。
【0126】
増殖している細胞中に豊富なマーカーを標的とするペプチドを使用することが可能である。例えば、RGD含有ペプチドおよびペプチド模倣体は、がん細胞、特にαvβ3インテグリンを発現する細胞を標的とすることが可能である。したがって、RGDペプチド、RGDを含む環状ペプチド、D−アミノ酸を含むRGDペプチド、および合成RGD模倣体を使用することが可能であると思われる。RGD以外に、α−βインテグリンリガンドを標的とする他の成分を使用することが可能である。一般に、このようなリガンドを使用して、増殖している細胞および血管新生を制御することが可能である。この種の好ましい複合体には、PECAM−1、VEGF、または他のがん遺伝子、例えば本明細書に記載するがん遺伝子を標的とするiRNA剤がある。
【0127】
糖、例えばガラクトースおよび/またはその類似体を取り込む標的化物質は特に有用である。これらの物質は特に、肝実質細胞を標的とする。例えば、標的化部分は、互いに約15オングストローム間隔で配置された2個以上または好ましくは2〜3個のガラクトース部分を含み得る。あるいは標的化部分は、ガラクトースと結合したグルコースであるラクトース(例えば、3個のラクトース部分)であってよい。標的化部分は、N−アセチル−ガラクトサミン、N−Ac−グルコサミンであってもよい。マンノースまたはマンノース−6−リン酸の標的化部分は、マクロファージを標的とするのに使用することが可能である。
【0128】
リガンドはペプチドまたはペプチド模倣体であってよい。ペプチド模倣体(本明細書ではオリゴペプチド模倣体とも呼ぶ)は、天然ペプチドと同じ決まった三次元構造にフォールディングし得る分子である。ペプチドおよびペプチド模倣体とiRNA剤の結合は、細胞の認識および吸収を増大させることなどによって、iRNAの薬物動態分布に影響を与える可能性がある。ペプチドまたはペプチド模倣体部分は、約5〜50アミノ酸長、例えば約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長であってよい。
【0129】
iRNA複合体
iRNA剤は、第2の物質と結合、例えば共有結合させることが可能である。例えば、脂質障害などの特定の障害を治療するために使用されるiRNA剤は、例えばiRNA剤以外の薬剤などの第2の治療剤と結合させることが可能である。第2の治療剤は、同じ障害の治療を対象とする薬剤であってよい。
【0130】
5’−リン酸修飾
好ましい実施形態では、iRNA剤は5’リン酸化されているか、5’プライム末端にホスホリル類似体を含む。アンチセンス鎖の5’−リン酸修飾には、RISC仲介性の遺伝子発現抑制と適合性がある修飾が挙げられる。適切な修飾には、5’−1リン酸((HO)2(O)P−O−5’);5’−2リン酸((HO)2(O)P−O−P(HO)(O)−O−5’);5’−3リン酸((HO)2(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5’);5’−グアノシンキャップ(7−メチル化体または非メチル化体)(7m−G−O−5’−(HO)(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5’);5’−アデノシンキャップ(Appp)、および任意の修飾または非修飾ヌクレオチドキャップ構造(N−O−5’−(HO)(O)P−O−(HO)(O)P−O−P(HO)(O)−O−5’);5’−モノチオホスフェート(ホスホロチオエート;(HO)2(S)P−O−5’);5’−モノジチオホスフェート(ホスホロジチオエート;(HO)(HS)(S)P−O−5’)、5’−ホスホロチオレート((HO)2(O)P−S−5’);酸素/イオウで置換された1リン酸、2リン酸および3リン酸の任意の他の組合せ(例えば5’−α−チオトリホスフェート、5’−γ−チオトリホスフェートなど)、5’−ホスホロアミデート((HO)2(O)P−NH−5’、(HO)(NH2)(O)P−O−5’)、5’−アルキルホスホネート(R=アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピルなど、例えばRP(OH)(O)−O−5’−、(OH)2(O)P−5’−CH2−)、5’−アルキルエーテルホスホネート(R=アルキルエーテル=メトキシメチル(MeOCH2−)、エトキシメチルなど、例えばRP(OH)(O)−O−5’−)がある。
【0131】
センス鎖を不活性化して活性RISCの形成を妨げるためにセンス鎖を修飾することによって、おそらくオフターゲット効果を低下させることが可能である。これは、センス鎖の5’−リン酸化を妨げる修飾によって、例えば5’−O−メチルリボヌクレオチドを用いた修飾によって実施することが可能である(ニッカネンら(Nykanen et al.)、(2001)「ATP requirements and small interfering RNA structure in the RNA interference pathway」、Cell 第107巻、p.309〜321を参照)。リン酸化を妨げる他の修飾、例えばO−MeではなくHによって5’−OHを単に置換することも使用することが可能である。あるいは、大きく嵩高い基を5’−リン酸に付加し、ホスホジエステル結合にすることが可能である。
【0132】
組織および細胞へのiRNA剤の送達
肝臓に対する標的化
ApoBを標的とするiRNA剤は、例えば会合によって、例えばiRNA剤と親油性成分、例えば脂質、オレイル、レチニル、またはコレステリル残基との結合によって、肝臓に向けることが可能である。コレステロールとの結合が好ましい。iRNA剤と会合、例えば結合させることが可能な他の親油性成分には、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メンソール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コレイン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジンがある。別例として、iRNA剤は、該iRNA剤と低密度リポタンパク質(LDL)、例えばラクトシル化LDLとの会合(例えば結合)によって肝臓に向けることが可能であり、あるいはiRNA剤は、糖残基を有するポリマー担体複合体とiRNA剤の会合、例えば結合によって肝臓に向けることが可能である。
【0133】
iRNA剤は、糖残基と複合体形成したリポソームと該iRNA剤との会合、例えば結合によって肝臓に向けることが可能である。糖、例えばガラクトースおよび/またはその類似体を取り込んだ標的化物質は特に有用である。これらの物質は、特に肝臓の実質細胞を標的とする。標的化部分は2以上のガラクトース部分を含むことが好ましく、2個または3個含むことがより好ましい。標的化部分は、例えば互いに約15オングストローム間隔で配置された、3個のガラクトース部分を含むことが最も好ましい。標的化部分はラクトースであってよい。ラクトースは、ガラクトースと結合したグルコースである。標的化部分は、3個のラクトースを含むことが好ましい。標的化部分は、N−アセチル−ガラクトサミン、N−Ac−グルコサミンであってもよい。マンノース、またはマンノース−6−リン酸の標的化部分は、標的をマクロファージに設定するために使用することが可能である。
【0134】
ラクトシル化LDLなどの低密度リポタンパク質(LDL)との会合によって、iRNA剤を肝臓に向けることも可能である。糖残基と複合体形成したポリマー担体も、iRNA剤を肝臓に向けるために機能し得る。
【0135】
標的化物質は、例えば共有結合または非共有結合によって、iRNA剤や他の送達様式または配合様式、例えばリポソームと、直接結合させることが可能である。例えば、標的化部分を含むiRNA剤または含まないiRNA剤を、標的化部分を含む送達物質または含まない送達物質、例えばリポソームに取り込ませることが可能である。
【0136】
ApoBを標的とするiRNA剤は、例えばiRNA剤と血清アルブミン(SA)分子、例えばヒト血清アルブミン(HSA)分子、またはその断片との会合、例えば結合によって、肝臓に向けることが可能である。iRNA剤またはその組成物は、肝臓内の該iRNA剤またはその組成物のレベルがSA、例えばHSAの存在下で少なくとも10、20、30、50、または100%高くなるように、あるいは外来SAの添加により肝臓への送達が増大するように、充分に高いSA親和性、例えばHSA親和性を有し得る。上記の基準は、例えば外来のマウスまたはヒトSAの存在下または不在下において、マウス中での分布を試験することによって測定することが可能である。
【0137】
SA、例えばHSAを標的とする物質は、例えば共有結合または非共有結合によって、iRNA剤や他の送達様式または配合様式、例えばリポソームと直接結合させることが可能である。例えば、標的化部分を含むiRNA剤または含まないiRNA剤を、標的化部分を含む送達様式または含まない送達様式、例えばリポソームに取り込ませることが可能である。
【0138】
細胞内へのiRNA剤の輸送
如何なる理論によって縛られることも望まないが、コレステロール結合iRNA剤と、リポタンパク質を構成する幾つかの要素(例えばコレステロール、コレステリルエステル、リン脂質)との間の化学的類似性は、iRNA剤と血中リポタンパク質(例えばLDL、HDL)との会合、および/またはiRNA剤とコレステロールに対する親和性を有する細胞内成分、例えばコレステロール輸送経路の成分との相互作用をもたらす可能性がある。リポタンパク質およびその構成要素は、さまざまな能動的および受動的輸送機構、例えば(限定するものではないが)LDL−受容体に結合したLDLのエンドサイトーシス、スカベンジャー受容体Aとの相互作用による酸化LDLあるいは修飾LDLのエンドサイトーシス、肝臓中のスカベンジャー受容体B1仲介型のHDLコレステロールの取り込み、ピノサイトーシス、あるいはABC(ATP−結合カセット)輸送タンパク質、例えばABC−A1、ABC−G1またはABC−G4による膜を介したコレステロール輸送によって、細胞によって取り込まれ処理される。したがって、コレステロール結合iRNA剤は、このような輸送機構を有する細胞、例えば肝臓の細胞による容易な取り込みを享受するであろうと思われる。このように本発明は、iRNA剤の標的を、ある種の細胞表面要素、例えば受容体を発現している細胞に設定することに関する証拠および一般的方法を提供する。この方法は、前記細胞表面要素の天然リガンド(例えばコレステロール)をiRNA剤に結合させることによって、あるいは前記要素の天然リガンド(例えばLDL、HDL)と会合または結合する化学基部分(例えばコレステロール)をiRNA剤に結合させることによって行われる。
【0139】
他の実施形態
RNA、例えばiRNA剤は、例えば細胞に送達された外来DNAの鋳型から、細胞中in vivoで生成されうる。例えば、該DNA鋳型をベクター中に挿入して遺伝子療法用ベクターとして使用することが可能である。遺伝子療法用ベクターは、例えば静脈内注射、局所投与(米国特許第5,328,470号明細書)によって、あるいは定位注射(例えば、チェンら(Chen et al.)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA91:3054〜3057、1994を参照)によって、対象に送達することが可能である。遺伝子療法用ベクターの医薬調製物は、許容可能な希釈剤中に遺伝子療法用ベクターを含んでいてもよいし、あるいは遺伝子送達用媒体が埋め込まれた徐放性マトリクスを含んでなるものでもよい。例えば、DNAの鋳型が2つの転写単位を含み、転写単位の一方がiRNA剤の上部鎖を含む転写産物を生成し、一方がiRNA剤の底部鎖を含む転写産物を生成するものであってもよい。鋳型が転写されると、iRNA剤が生成され、遺伝子発現抑制を仲介するsiRNA剤の断片へとプロセシングされる。
【0140】
生理学的影響
本明細書に記載するiRNA剤は、iRNA剤とヒトおよび非ヒト動物の配列との相補性によって、治療毒性の決定が容易になされるように設計することが可能である。これらの方法によって、iRNA剤は、ヒト由来の核酸配列ならびに少なくとも1種の非ヒト動物、例えばげっ歯類、反芻動物または霊長類などの非ヒト哺乳動物由来の核酸配列と完全に相補的な配列で構成されうる。例えば、非ヒト哺乳動物はマウス、ラット、イヌ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、サル、ボノボ(Pan paniscus)、チンパンジー(Pan troglodytes)、アカゲザル(Macaca mulatto)、またはカニクイザル(Cynomolgus monkey)であってよい。iRNA剤の配列は、非ヒト哺乳動物およびヒトの相同遺伝子、例えばがん遺伝子または腫瘍抑制遺伝子内の配列と相補的であることも考えられる。非ヒト哺乳動物におけるiRNA剤の毒性を測定することによって、ヒトにおける該iRNA剤の毒性を推定することが可能である。より困難な毒性試験用に、iRNA剤は、ヒトならびに2種以上、例えば2種または3種あるいはそれ以上の非ヒト動物と相補的であってよい。
【0141】
本明細書に記載する方法を使用して、ヒトに対するiRNA剤の任意の生理学的影響、例えば毒性作用などの任意の望ましくない影響、あるいは任意のポジティブまたは望ましい影響を関連付けることが可能である。
【0142】
iRNAの生産
さまざまな方法によって、iRNAを例えば大量に生産することが可能である。例示的な方法には、有機合成およびRNA切断、例えばin vitro切断がある。
【0143】
有機合成。2本鎖RNA分子のそれぞれの各鎖を別々に合成することによって、iRNAを製造することが可能である。次いで要素鎖をアニーリングすればよい。
大型のバイオリアクタ、例えばファルマシアバイオテックAB(Pharmacia Biotec AB)[スウェーデン国ウプサラ(Uppsala)所在]のOligoPilot(商標)IIを使用して、所与のiRNAのための大量の特定のRNA鎖を生産することが可能である。OligoPilot(商標)IIリアクタは、わずか1.5モル濃度過剰のホスホロアミダイトヌクレオチドを使用して、ヌクレオチドを効率良く結合させることが可能である。RNA鎖を作製するために、リボヌクレオチドアミダイトを使用する。モノマー付加の標準サイクルを使用して、iRNA用のオリゴヌクレオチド鎖を合成することが可能である。典型的には、2本の相補鎖を別々に生産した後、例えば、固相担体からの切り離しおよび脱保護の後にアニーリングさせる。
【0144】
有機合成を使用して、別個の種類のiRNAを生産することが可能である。該iRNA種のApoB遺伝子との相補性を、正確に特定することが可能である。例えば、iRNA種は、多型、例えば1ヌクレオチド多型を含む領域と相補的であってもよい。さらに、多型の位置を正確に定義することが可能である。幾つかの実施形態では、多型は、内部領域、例えば一方または両方の末端から少なくとも4、5、7、または9ヌクレオチドに位置する。
【0145】
dsRNA切断。iRNAは、大きなds iRNAを切断することによって作製することも可能である。切断はin vitroで行われてもin vivoで行われてもよい。例えば、in vitroでの切断によってiRNAを生成するために、以下の方法を使用することが可能である。
【0146】
in vitro転写。両方向に核酸(DNA)セグメントを転写することによってdsRNAを生産する。例えば、HiScribe(商標)RNAi転写キット(New England Biolabs)は、ベクターと、該ベクターのT7プロモーターのいずれかの側に隣接する位置にクローニングされた核酸セグメントについてdsRNAを生産する方法を提供する。dsRNAの2本の相補鎖のT7転写用に別々の鋳型を作製する。T7RNAポリメラーゼを加えることによってin vitroで鋳型を転写し、dsRNAを生成させる。PCRおよび/または他のRNAポリメラーゼ(例えば、T3またはSP6ポリメラーゼ)を使用する同様の方法も使用することが可能である。1実施形態では、この方法によって作製したRNAを注意深く精製して、組換え酵素調製物を汚染している可能性のあるエンドトキシンを除去する。
【0147】
in vitro切断。例えばDicerまたは匹敵するRNAseIII系活性を使用することによって、dsRNAをin vitroでiRNAに切断する。例えば、ショウジョウバエ由来のin vitro抽出物中で、あるいは精製成分、例えば精製RNAseまたはRISC複合体を使用してdsRNAをインキュベートすることが可能である。例えば、ケッティングら(Ketting et al.)Genes Dev 2001年10月15日、第15巻、第20号、p.2654〜9.およびハモンド(Hammond)、Science 2001年8月10日、第293巻、第5532号、p.1146〜50を参照のこと。
【0148】
dsRNAの切断は一般に、それぞれが供給源のdsRNA分子の特定の21〜23ヌクレオチド断片である複数のiRNA種を生成する。例えば、供給源のdsRNA分子の重複領域および隣接領域と相補的な配列を含むiRNAが存在する可能性がある。
【0149】
合成の方法とは無関係に、配合に適した溶液(例えば、水溶液および/または有機溶液)中で、iRNA調製物を調製することが可能である。
例えば、iRNA調製物を純粋な再蒸留水中に沈殿および再溶解させ、凍結乾燥させることが可能である。次いで乾燥iRNAを、目的とする配合工程に適した溶液中に再懸濁させることが可能である。
【0150】
修飾iRNA剤およびヌクレオチド代替物iRNA剤の合成については以降に論じる。
配合
本明細書に記載するiRNA剤は、対象に投与するために配合することが可能である。
【0151】
説明を容易にするために、本項中の配合(物)、組成(物)、および方法は主に非修飾iRNA剤に関して論じる。しかしながら、これらの配合(物)、組成(物)、および方法は他のiRNA剤、例えば修飾iRNA剤に関して実践することが可能であり、このような実践は本発明の範疇にあることは理解されるはずである。
【0152】
配合iRNA組成物は、さまざまな状態をとり得る。幾つかの例では、組成物は少なくとも部分的に結晶であるか、均一に結晶であるか、あるいは無水状態(例えば水分が80、50、30、20、または10%未満)であるかのうち少なくともいずれかである。他の例では、iRNAは水相中、例えば水を含む溶液中に存在する。
【0153】
水相組成物または結晶組成物は例えば、送達媒体、例えばリポソーム中に(特に水相に関して)取り込ませてもよいし、あるいは粒子(例えば、結晶組成物に適している可能性があるミクロ粒子)中に取り込ませてもよい。一般に、目的とする投与法との適合性があるような形式でiRNA組成物を配合する。
【0154】
特定の実施形態では、以下の方法:噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、蒸発、流動床乾燥、またはこれらの技法の組合せ;または脂質を用いた超音波処理、凍結−乾燥、凝縮および他の自己凝集のうち少なくとも1つによって組成物を調製する。
【0155】
iRNA調製物は、他の物質、例えば他の治療剤、またはiRNAを安定化させる物質、例えばiRNAと複合体形成してiRNPを形成するタンパク質と組み合わせて配合することが可能である。さらに他の物質には、キレート剤、例えばEDTA(例えば、Mg2+などの2価カチオンを除去するため)、塩、RNAse阻害剤(例えば、RNAsinなどの広い特異性のRNAse阻害剤)などがある。
【0156】
1実施形態では、iRNA調製物は、他のiRNA剤、例えば、第2の遺伝子または同じ遺伝子に関するRNAiを仲介し得る第2のiRNA剤を含む。さらに他の調製物は、少なくとも3、5、10、20、50、または100あるいはそれ以上の異なるiRNA種を含み得る。このようなiRNAは、同じ数の異なる遺伝子に関するRNAiを仲介し得る。
【0157】
1実施形態では、iRNA調製物は、少なくとも1つの第2の治療剤(例えば、RNAまたはDNA以外の薬剤)を含む。
幾つかの実施形態では、iRNA剤、例えば2本鎖iRNA剤、またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えばsiRNA剤にプロセシングすることが可能である大きなiRNA剤、または、iRNA剤、例えば2本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはそれらの前駆体をコードするDNA)を、特定の細胞を標的とするように配合する。例えば、iRNAを含むリポソームまたは粒子または他の構造体も、標的細胞上の特定分子を認識する標的化部分を含み得る。標的化部分は、標的細胞に対する特異的親和性を有する分子であってよい。標的化部分は、標的細胞の表面上に見られるタンパク質を対象とする抗体、あるいは標的細胞の表面上に見られる分子のリガンドまたはリガンドの受容体結合部分を含み得る。
【0158】
1実施形態では、標的化部分をリポソームと結合させる。例えば米国特許第6,245,427号明細書には、タンパク質またはペプチドを使用してリポソームを標的化するための方法が記載されている。他の例では、リポソームのカチオン性脂質成分を、標的化部分を用いて誘導体化する。例えば国際公開公報第96/37194号パンフレットには、N−グルタリルジオレイルホスファチジルエタノールアミンのN−ヒドロキシスクシンイミド活性化エステルへの転換が記載されている。該生成物は次いでRGDペプチドと結合された。他の標的化法は、本明細書の他の箇所に記載する。
【0159】
治療法および送達経路
iRNA剤、例えばApoBを標的とするiRNA剤を含む組成物は、さまざまな経路によって対象に送達することが可能である。例示的な経路には、クモ膜下、実質、静脈内、鼻腔、口腔、および眼内への送達がある。iRNA剤は、投与に適した医薬組成物に組み込むことが可能である。例えば組成物は、1種または複数種のiRNA剤および医薬として許容可能な担体を含み得る。本明細書で使用する用語「医薬として許容可能な担体」は、医薬の投与と適合性がある、任意の全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むものとする。医薬活性物質用のためのこのような媒体および物質の使用は、当技術分野でよく知られている。任意の従来の媒体または物質が本発明の活性化合物と不適合でない限り、本組成物における使用が企図される。補助活性化合物を組成物中に組み込むことも可能である。
【0160】
本発明の医薬組成物は、局所治療または全身治療が望ましいかどうかに応じて、および治療する領域に応じて、幾つかの方法で投与することが可能である。投与は(眼内、鼻腔内、経皮を含めた)局所投与、経口または非経口投与であってよい。非経口投与には、点滴静脈注射、皮下、腹膜内もしくは筋肉内注射、またはクモ膜下もしくは心室内投与がある。
【0161】
送達の経路は、患者の障害に応じて変更可能である。
一般にiRNA剤は、任意の適切な方法によって投与することが可能である。本明細書で使用するように、局所送達とは、眼、粘膜、体腔表面を含めた身体の任意の表面、あるいは任意の内部表面へのiRNA剤の直接的施用を意味しうる。局所投与用の配合物は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴剤、スプレー、および液体を含み得る。従来の医薬担体、水性ベース、粉末ベースまたは油状ベース、増粘剤などが必要であるか、あるいは望ましい可能性がある。対象の表皮または真皮、またはその特定層、または下層組織にiRNA剤を選択的に送達するための手段として、局所投与を使用することも可能である。
【0162】
クモ膜下または心室内投与用の組成物は滅菌水溶液を含むことが可能であり、滅菌水溶液は緩衝剤、希釈剤および他の適切な添加剤も含み得る。
非経口投与用の配合物は滅菌水溶液を含むことが可能であり、滅菌水溶液は緩衝剤、希釈剤および他の適切な添加剤も含み得る。例えばリザーバと連結させた心室内カテーテルによって、心室内注射を容易にすることが可能である。静脈内で使用するためには、溶質の総濃度を調節して調製物を等張にしなければならない。
【0163】
iRNA剤は、肺送達によって対象に投与することが可能である。肺送達用組成物は、分散物を患者に吸入させて、該分散物中の組成物、好ましくはiRNAが肺に達し、肺で肺胞領域を介して直接血液循環中に容易に吸収され得るように送達することが可能である。肺の疾患を治療するために、肺送達は全身送達および局所送達のいずれにも有効である可能性がある。
【0164】
霧状、エアロゾル状、ミセル状および乾燥粉末系の配合物の使用を含めた様々な手法によって、肺送達を実施することが可能である。液体噴霧器、エアロゾル系吸入器、および乾燥粉末分散装置を用いて送達を実施することが可能である。定量装置が好ましい。噴霧装置または吸入器を使用する利点の1つは、装置内蔵式なので汚染の可能性が最少になることである。例えば乾燥粉末分散装置は、簡単に乾燥粉末として配合可能な薬剤を送達する。単独あるいは適切な粉末担体と組み合わせた凍結乾燥または噴霧乾燥粉末として、iRNA組成物を安定して保存することが可能である。吸入用組成物の送達は、タイマー、容量測定器、計時デバイス、もしくは時間表示器を含み得る計量計時要素であって、装置に組み込むとエアロゾル薬剤投与中の投与量追跡、コンプライアンス調査、および/または患者への投与誘導が可能な計量計時要素によって仲介することが可能である。
【0165】
iRNA剤は、該iRNA剤が血液脳関門を通ることが可能なように修飾することもできる。例えばiRNA剤を、同剤が関門を通るのを可能にする分子と結合させることが可能である。このような修飾iRNA剤は、心室内または筋肉内注射などの任意の望ましい方法によって、あるいは例えば肺送達によって投与することが可能である。
【0166】
iRNA剤は、網膜の障害、例えば網膜症を治療するために眼内に投与することが可能である。例えば医薬組成物を、眼の表面または周辺組織、例えば瞼の内側に施用することが可能である。医薬組成物は、例えば噴霧によって、滴剤で、目薬または軟膏として、局所施用することが可能である。軟膏または滴下可能な液体は、アプリケータまたは点眼器などの、当技術分野で知られている眼内送達システムによって送達することが可能である。このような組成物は、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリ(ビニルアルコール)などの粘液類似物質、ソルビン酸、EDTAまたは塩化ベンジルクロムなどの防腐剤、ならびに通常量の希釈剤および/または担体を含み得る。医薬組成物は眼の内部に投与することも可能であり、医薬組成物を選択した領域または構造に導入することが可能な、注射針または他の送達デバイスによって導入することが可能である。iRNA剤を含む組成物は、眼帯によって施用することも可能である。
【0167】
iRNA剤は、口腔または鼻腔送達によって投与することが可能である。例えば、これらの膜を介して投与される薬物は作用開始が早く、治療的血漿レベルをもたらし、肝臓代謝の初回通過効果を回避し、敵対的胃腸(GI)環境への薬剤の曝露を回避する。他の利点は、膜部位へのアクセスが容易であるため薬物が容易に適用、局在化および除去されうることである。
【0168】
投与は、対象者が行ってもよいし他の人間、例えば介護者が行ってもよい。介護者は、ヒトの介護に関与する任意の存在:例えば病院、ホスピス、医院、外来クリニック;医師、看護師、または他の従業者などの医療従事者;あるいは配偶者または親などの保護者であってよい。投薬は正確に測定した量で、あるいは一定量を送達するディスペンサーで提供することが可能である。
【0169】
疾患症状の改善または安定化に関して、対象を調べることも可能である。
用語「治療有効量」は、治療を受ける対象において望ましい薬物レベルをもたらして期待の生理学的応答を得るために必要とされる組成物中に存在する量である。
【0170】
用語「生理学的有効量」は、望ましい緩和または治癒効果を得るために対象に送達される量である。
用語「医薬として許容可能な担体」は、該担体が、肺に対する顕著で有害な毒性作用を伴わずに、肺に取り込まれうることを意味する。
【0171】
担体として有用である医薬賦形剤の種類には、例えばヒト血清アルブミン(HSA)などの安定化剤、炭水化物、アミノ酸およびポリペプチドなどの充填剤;pH調整剤または緩衝剤;塩化ナトリウムなどの塩がある。これらの担体は結晶形でも無定形でもよいし、あるいはこの2つの混合物であってよい。
【0172】
特に有用である充填剤には、適合性のある炭水化物、ポリペプチド、アミノ酸またはこれらの組合せがある。適切な炭水化物には、ガラクトース、D−マンノース、ソルボースなどの単糖;ラクトース、トレハロースなどの二糖;2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン;ならびにラフィノース、マルトデキストリン、デキストランなどの多糖;マンニトール、キシリトールなどのアルジトールがある。炭水化物の好ましい群には、ラクトース、トレハロース、ラフィノース、マルトデキストリン、およびマンニトールが含まれる。適切なポリペプチドにはアスパルテームがある。アミノ酸にはアラニンおよびグリシンがあり、グリシンが好ましい。
【0173】
適切なpH調整剤または緩衝剤には、有機酸および塩基から調製した有機塩、例えばクエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムなどがあり、クエン酸ナトリウムが好ましい。
【0174】
1実施形態では、iRNAを含む単位用量または測定用量の組成物を、インプラントデバイスによって投薬する。デバイスは、対象内のパラメータを調べるセンサーを含み得る。例えばデバイスは、浸透ポンプ、および場合によっては電子機器と連結したポンプなどのポンプを含み得る。
【0175】
天然のウイルスカプシド中、あるいは化学的に生成または酵素により生成した人工カプシドまたは該カプシド由来の構造体中に、iRNA剤をパッケージ化することが可能である。
【0176】
用量。iRNA剤は、体重1kgあたり約75mg未満/、または体重1kgあたり約70、60、50、40、30、20、10、5、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001、または0.0005mg未満の単位用量で、および体重1kgあたり200ナノモル(nmole)(例えば、約4.4×1016コピー)未満のRNA剤、または体重1kgあたり1500、750、300、150、75、15、7.5、1.5、0.75、0.15、0.075、0.015、0.0075、0.0015、0.00075、0.00015nmole未満のRNA剤の単位用量で投与することが可能である。単位用量を、例えば、注射(例えば、静脈内または筋肉内注射、クモ膜下注射、あるいは臓器への直接注射)、吸入投与、または局所施用によって投与することが可能である。
【0177】
臓器への直接の(例えば、直接肝臓への)iRNA剤の送達は、およそ約0.00001mg〜約3mg/臓器、あるいは好ましくは約0.0001〜0.001mg/臓器、約0.03〜3.0mg/臓器、約0.1〜3.0mg/眼あるいは約0.3〜3.0mg/臓器の用量であってよい。
【0178】
用量は、疾患あるいは障害を治療あるいは予防するのに有効な量であってよい。
1実施形態では、1日1回より少ない頻度、例えば2、4、8または30日毎よりも少ない頻度で、単位用量を投与する。他の実施形態では、単位用量は一定頻度では投与しない(例えば、規則的な頻度で投与しない)。例えば、単位用量を1回で投与することが可能である。
【0179】
1実施形態では、他の伝統的な治療形式で有効量を投与する。
1実施形態では、初回量、および1または複数の維持量のiRNA剤、例えば2本鎖iRNA剤、またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えばsiRNA剤へとプロセシングされうる大きなiRNA剤、またはiRNA剤、例えば2本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を対象に投与する。1または複数の維持量は一般に初回量より低く、例えば初回量の半分である。維持治療法は1日に体重1kgあたり0.01μg〜75mgの範囲、例えば1日に体重1kgあたり70、60、50、40、30、20、10、5、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001、または0.0005mgの1または複数の用量で対象を治療することを含み得る。維持用量は5、10、または30日毎に1回を超えずに投与することが好ましい。さらに、該治療法は一定期間続けることが可能であり、該期間は個々の疾患の性質、重篤度、および患者の全体的な状態に応じて変わると思われる。好ましい実施形態では、1日当たり1回を超えずに、例えば、24時間、36時間、48時間、あるいはさらに長い時間当たり1回を超えずに、例えば、5日または8日毎に1回を超えずに前記用量を送達することが可能である。治療後、患者の状態の変化に関して、および疾患状態の症状の緩和に関して、患者を調べることが可能である。化合物の用量は、患者が現行の用量レベルには有意に応答しない場合増大させてもよいし、あるいは疾患状態の症状の緩和が観察された場合、疾患状態が消散している場合、または望ましくない副作用が観察される場合は用量を減らすことも可能である。
【0180】
特定の状況下で望ましいかあるいは適切であると考えられるように、有効量を単回で投与してもよいし、あるいは2回以上の量で投与してもよい。反復注入または頻回注入を容易にすることが望ましい場合、送達デバイス、例えばポンプ、半透明ステント(例えば静脈内、腹腔内、脳槽内または嚢内ステント)、またはリザーバなどが妥当である。
【0181】
1実施形態では、iRNA剤医薬組成物は複数種のiRNA剤を含む。これらのiRNA剤は、天然に存在する標的配列、例えばApoB遺伝子の標的配列に関して重複せず隣接していない配列を有し得る。他の実施形態では、複数種のiRNA剤が、天然に存在する異なる標的遺伝子に特異的である。例えば、ApoBを標的とするiRNA剤が、異なる遺伝子を標的とするiRNA剤と同じ医薬組成物中に存在していてもよい。他の実施形態では、複数のiRNA剤は異なる対立遺伝子に特異的である。
【0182】
治療成功の後、患者に維持療法を施して疾患状態の再発を防止することが望ましい場合があり、この場合、本発明の化合物を体重1kgあたり0.01μg〜100gの範囲の維持量で投与する(米国特許第6,107,094号明細書を参照)。
【0183】
iRNA剤組成物の濃度は、障害を治療または予防する際に、あるいはヒトの生理学的状態を制御するのに充分有効な量である。投与するiRNA剤の濃度または量は、該iRNA剤および投与方法、例えば鼻腔、頬、または肺への投与に関して測定されたパラメータに依存すると思われる。例えば鼻腔用配合物は、鼻腔通路の炎症または火傷を回避するために、一部の成分の濃度がより低い必要がある傾向にある。経口配合物を10〜100倍まで希釈して、適切な鼻腔用配合物を提供することが望ましい場合もある。
【0184】
ある種の要因が対象を効果的に治療するのに必要とされる用量に影響を与える可能性があり、その要因には疾患または障害の重篤度、事前の治療、対象の一般的な健康状態および/または年齢、ならびに存在する他の疾患があるが、これらだけには限られない。さらに、治療上有効量のiRNA剤、例えば2本鎖iRNA剤、またはsiRNA剤(例えば前駆体、例えばsiRNA剤へとプロセシングされうる大きなiRNA剤、またはiRNA剤、例えば2本鎖iRNA剤もしくはsiRNA剤またはその前駆体をコードするDNA)を用いる対象の治療は単回治療を含むことが可能であり、あるいは好ましくは一連の治療を含むことが可能である。治療のために使用するsiRNA剤などのiRNA剤の有効用量が、個々の治療過程で増大または低下し得ることも理解されよう。用量の変更が、本明細書に記載するように診断アッセイの結果から実施され、かつ明らかとなる可能性がある。例えば、iRNA剤組成物の投与後に対象を調査することが可能である。該調査からの情報に基づいて、さらなる量のiRNA剤組成物を投与することが可能である。
【0185】
投薬は、数日間〜数カ月間、あるいは治癒するかまたは疾患状態の軽減が達成されるまで続く治療過程の間、治療する疾患状態の重篤度および応答性に応じて変わる。最適な投与スケジュールは、患者体内の薬物蓄積の測定値から計算することが可能である。当業者は、最適な用量、投与法および反復率を容易に決定することが可能である。最適用量は個々の化合物の相対的効能に応じて変わる可能性があり、一般にin vitroおよびin vivo動物モデルにおいて有効であることが分かっているEC50値に基づいて推定することが可能である。幾つかの実施形態では、動物モデルは、ヒト遺伝子、例えば標的ApoBのRNAを生成する遺伝子を発現するトランスジェニック動物を含む。トランスジェニック動物は、対応する内在RNAが欠損していてもよい。他の実施形態では、試験用の組成物は、動物モデル中の標的ApoB RNAとヒトの標的ApoB RNAとの間で保存されている配列と、少なくとも内部領域において相補的であるiRNA剤を含む。
【0186】
本発明を以下の実施例によってさらに例示するが、該実施例はさらに限定を加えるものとして解釈すべきではない。
【実施例】
【0187】
実施例1.固相合成によりsiRNAを生産した
試薬供給元
試薬供給元を本明細書に具体的に記載していない場合、かかる試薬は、分子生物学に適用するための標準的な品質/純度として、任意の分子生物学用試薬の供給元から入手可能である。
【0188】
siRNAの合成
Expedite(商標)8909合成機(アプライドバイオシステムズ、アプレラドイツ社(Applied Biosystems,Applera Deutshland GmbH)、ドイツ国ダルムシュタット(Darmstadt)所在)および固体担体として微細孔性ガラス(controlled pore glass)(CPG、500Å、グレンリサーチ社(Glen Research)、米国バージニア州スターリング(Sterling)所在)を用いて、1μmolスケールで固相合成により1本鎖RNAを作製した。RNAおよび2’−O−メチルヌクレオチドを含むRNAを、それぞれ対応するホスホロアミダイトおよび2’−O−メチルホスホロアミダイト(プロリゴバイオケミー社(Proligo Biochemie GmbH)、ドイツ国ハンブルク(Hamburg)所在)を用いて固相合成により作製した。これらのホスホロアミダイトを、例えば、「Current protocol in nucleic acid chemistry」、ボーケージ、エス.エル.(Beaucage,S.L.)ら編、(ジョンワイリーアンドサンズ社(John Wiley&Sons,Inc.)、米国ニューヨーク州ニューヨーク所在)に記載されている標準的なヌクレオシドホスホロアミダイト化学反応を用いて、オリゴリボヌクレオチド鎖の配列内の選択された位置に組み込んだ。ヨード酸化剤溶液をBeaucage試薬(クルアケム社(Chruachem Ltd.)、英国グラスゴー(Glasgow)所在)のアセトニトリル(1%)溶液で置き換えることにより、ホスホロチオエート結合を導入した。さらに補助試薬はマリンクロットベーカー社(Mallinckrodt Baker)(ドイツ国グリースハイム(Griesheim)所在)より得た。
【0189】
粗製オリゴリボヌクレオチドのアニオン交換HPLCによる脱保護および精製を、確立された手順に従い行った。収率および濃度は、スペクトル光度計(DU640B、ベックマンコールター社(Beckman Coulter GmbH)、ドイツ国ウンターシュレイフハイム(Unterschleissheim)所在)を用いて260nmの波長での各RNA溶液のUV吸収により決定した。アニーリング緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、pH6.8、100mM塩化ナトリウム)中で相補鎖の等モル溶液を混合し、水浴中85〜90℃で3分間加熱し、3〜4時間かけて室温に冷却することにより、2本鎖RNAを生成させた。精製したRNA溶液を使用まで−20℃で貯蔵した。
【0190】
図1に示したように、コレステロールをsiRNAに結合させた。これらの3’−コレステロール結合型siRNAを合成するため、適切な修飾固体担体をRNA合成に使用した。修飾固体担体は以下の通りに調製した。
【0191】
ジエチル−2−アザブタン−1,4−ジカルボキシレート AA
【0192】
【化1】

【0193】
4.7M水酸化ナトリウム水溶液(50mL)を、氷冷攪拌したグリシン酸エチル塩酸(32.19g、0.23mol)の水(50mL)溶液中に加えた。次いで、アクリル酸エチル(23.1g、0.23mol)を加え、TLCにより反応の完了を確かめるまで(19時間)混合物を室温で攪拌した。19時間後、該混合物をジクロロメタン(3×100mL)で分配させた。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、蒸発させた。残渣を蒸留すると、AAが得られた(28.8g、61%)。
【0194】
3−{エトキシカルボニルメチル−[6−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル−アミノ)−ヘキサノイル]−アミノ}−プロピオン酸エチルエステル AB
【0195】
【化2】

【0196】
Fmoc−6−アミノ−ヘキサン酸(9.12g、25.83mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶解し、氷で冷却した。ジイソプロピルカルボジイミド(3.25g、3.99mL、25.83mmol)を0℃で溶液に加えた。次いでジエチル−アザブタン−1,4−ジカルボキシレート(5g、24.6mmol)およびジメチルアミノピリジン(0.305g、2.5mmol)を加えた。溶液を室温にし、さらに6時間攪拌した。反応の完結をTLCにより確かめた。反応混合物を真空下に濃縮し、酢酸エチルを加えるとジイソプロピル尿素が沈殿した。懸濁液を濾過した。濾液を5%塩酸水溶液、5%炭酸水素ナトリウムおよび水で洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮すると、粗製の生成物が得られ、これをカラムクロマトグラフィー(50%EtOAC/ヘキサン)により精製すると、ABが11.87g(88%)得られた。
【0197】
3−[(6−アミノ−ヘキサノイル)−エトキシカルボニルメチル−アミノ]−プロピオン酸エチルエステル AC
【0198】
【化3】

【0199】
3−{エトキシカルボニルメチル−[6−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−ヘキサノイル]−アミノ}−プロピオン酸エチルエステルAB(11.5g、21.3mmol)を、ジメチルホルムアミド中20%ピペリジンに0℃で溶解した。溶液を1時間攪拌し続けた。反応混合物を真空下に濃縮し、残渣に水を加え、生成物を酢酸エチルで抽出した。粗製の生成物を塩酸塩に変換することにより精製した。
【0200】
3−({6−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルアミノ]−ヘキサノイル}エトキシカルボニルメチル−アミノ)−プロピオン酸エチルエステル AD
【0201】
【化4】

【0202】
3−[(6−アミノ−ヘキサノイル)−エトキシカルボニルメチル−アミノ]−プロピオン酸エチルエステルACの塩酸塩(4.7g、14.8mmol)をジクロロメタンに溶解した。懸濁液を氷上0℃に冷却した。懸濁液にジイソプロピルエチルアミン(3.87g、5.2mL、30mmol)を加えた。得られた溶液にコレステリルクロロホルメート(6.675g、14.8mmol)を加えた。反応混合物を終夜攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、10%塩酸で洗浄した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した(10.3g、92%)。
【0203】
1−{6−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルアミノ]−ヘキサノイル}−4−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル AE
【0204】
【化5】

【0205】
カリウムt−ブトキシド(1.1g、9.8mmol)を乾燥トルエン30mLにスラリー化した。混合物を氷上0℃に冷却し、ジエステルAD(5g、6.6mmol)を20分内で攪拌しながらゆっくり加えた。添加する間、温度を5℃未満に維持した。0℃で30分間攪拌し続け、氷酢酸1mLを加え、直ちに水40mL中のNaHPO・HO(4g)を加えた。得られた混合物をジクロロメタン各100mLで2回抽出し、合わせた有機抽出物をリン酸緩衝液各10mLで2回洗浄し、脱水し蒸発乾固した。残渣をトルエン60mLに溶解し、0℃に冷却し、pH9.5の冷炭酸塩緩衝液各50mLで3回抽出した。水性抽出物をリン酸でpH3に合わせ、クロロホルム各40mLで5回抽出し、抽出物を合わせ、脱水し、蒸発させて残渣を得た。25%酢酸エチル/ヘキサンを用いるカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製すると、b−ケトエステル1.9g(39%)が得られた。
【0206】
[6−(3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−6−オキソ−ヘキシル]−カルバミン酸17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルエステル AF
【0207】
【化6】

【0208】
b−ケトエステルAE(1.5g、2.2mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(0.226g、6mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)中の還流混合物に、1時間かけてメタノール(2mL)を滴下添加した。還流温度で1時間攪拌し続けた。室温に冷却後、1NのHCl(12.5mL)を加え、混合物を酢酸エチル(3×40mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、真空下に濃縮すると生成物が得られ、これをカラムクロマトグラフィー(10%MeOH/CHCl)により精製した(89%)。
【0209】
(6−{3−[ビス−(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メトキシメチル]−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル}−6−オキソ−ヘキシル)−カルバミン酸17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル−2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルエステル AG
【0210】
【化7】

【0211】
ジオールAF(1.25g、1.994mmol)を真空下にピリジン(2×5mL)と共に蒸発させることにより乾燥させた。無水ピリジン(10mL)および4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(0.724g、2.13mmol)を攪拌しながら加えた。反応を室温で終夜行った。メタノールを加えることにより反応をクエンチした。反応混合物を真空下に濃縮し、残渣にジクロロメタン(50mL)を加えた。有機層を1M炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、濃縮した。残留しているピリジンをトルエンとともに蒸発させることにより除去した。粗製の生成物をカラムクロマトグラフィー(2%MeOH/クロロホルム、5%MeOH/CHCl中Rf=0.5)により精製した(1.75g、95%)。
【0212】
コハク酸モノ−(4−[ビス−(4−メトキシ−フェニル)−フェニル−メトキシメチル]−1−{6−[17−(1,5−ジメチル−ヘキシル)−10,13−ジメチル2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17−テトラデカヒドロ−1Hシクロペンタ[a]フェナントレン−3−イルオキシカルボニルアミノ]−ヘキサノイル}−ピロリジン−3−イル)エステル AH
【0213】
【化8】

【0214】
化合物AG(1.0g、1.05mmol)を無水コハク酸(0.150g、1.5mmol)およびDMAP(0.073g、0.6mmol)と混合し、真空下40℃で終夜乾燥させた。混合物を無水ジクロロエタン(3mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.318g、0.440mL、3.15mmol)を加え、溶液をアルゴン雰囲気下室温で16時間攪拌した。次いでジクロロメタン(40mL)で希釈し、氷冷したクエン酸水溶液(5重量%、30mL)および水(2×20mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮乾固した。残渣はそのまま次のステップに使用した。
【0215】
コレステロール誘導体化CPG AI
【0216】
【化9】

【0217】
コハク酸塩AH(0.254g、0.242mmol)を、ジクロロメタン/アセトニトリル混合物(3:2、3mL)に溶解した。この溶液に、アセトニトリル(1.25mL)中DMAP(0.0296g、0.242mmol)、アセトニトリル/ジクロロエタン(3:1、1.25mL)中2,2’−ジチオ−ビス(5−ニトロピリジン)(0.075g、0.242mmol)を順次加えた。得られた溶液に、アセトニトリル(0.6mL)中トリフェニルホスフィン(0.064g、0.242mmol)を加えた。反応混合物は鮮やかなオレンジ色に変色した。Wrist−Action(登録商標)振盪機を用いて溶液を短時間攪拌した(5分)。長鎖アルキルアミン−CPG(LCAA−CPG)(1.5g、61mm/g)を加えた。懸濁液を2時間攪拌した。焼結漏斗を通してCPGを濾過し、アセトニトリル、ジクロロメタンおよびエーテルで順次洗浄した。未反応のアミノ基を無水酢酸/ピリジンを用いてマスクした。UV測定を行うことにより、CPGの装填能力を測定した(37mM/g)。
【0218】
コレステロール結合型RNA鎖の合成および構造を図1に示した。
実施例2.siRNAをヒトおよびマウスApoB遺伝子中の標的領域に対して設計した
核酸配列を、標準命名法と、特に表2の略語を用いて以下に示す。
【0219】
【表2】

【0220】
本明細書に記載した特定のオリゴヌクレオチドを、同オリゴヌクレオチドの3’末端にコレステロール部分を結合させるように修飾した(図1参照)。これらを5’−(n)(Chol)−3’と表す。
【0221】
本明細書において、あるヌクレオチド配列内の「n位」(nは整数)に言及するとき、該ヌクレオチド配列中のn番目のヌクレオチドに言及することを意味しており、その場合5’末端ヌクレオチドを第1番目のヌクレオチドとみなして3’方向に数え続ける。
【0222】
ヒトに使用するための治療薬は通常は最初に動物で試験されるため、動物モデル系ならびにヒトのいずれにおいても効果を有する可能性があるように、siRNAを設計した。選択された動物モデル系はマウスで、ハツカネズミ(mus musculus)であった。それゆえ、siRNA標的化のための配列を選択する第1の基準は、マウスおよびヒトのApoB間の交差反応性であった。
【0223】
ヒトと同様マウスにおいてもApoB遺伝子発現を潜在的に抑制すると思われるsiRNAを選択するために、マウスApoB(GenBank受託番号:XM_137955)およびヒトApoB(GenBank受託番号:NM_000384)のオープンリーディングフレームをコードする配列を、ペアワイズBLASTアルゴリズムを用いてアラインメントした。BLASTプログラムに使用されている数学的アルゴリズムは、アルチュール(Altschul)らの文献(Nucleic Acids Res.第25巻、p.3389〜3402、1997年)に記載されている。23またはそれ以上の連続したヌクレオチドにおいて同一性を有する領域(マウスのオープンリーディングフレームにおけるヌクレオチドとして:463〜494、622〜647、658〜680、701〜725、1216〜1240、1282〜1320、1299〜1328、1339〜1362、2124〜2155、2807〜2830、2809〜2837、2860〜2901、3035〜3057、3103〜3125、3444〜3467、3608〜3635、4130〜4167、4374〜4402、4503〜4525、5962〜5985、6696〜6724、9232〜9257、9349〜9372、10177〜10213、10477〜10505、10791〜10814、11020〜11045、12227〜12251、13539〜13572)を同定した。
【0224】
長さが23ヌクレオチドの全ての可能なヌクレオチド配列を決定した。このセットは、170のsiRNA標的領域候補となった。これらの配列を、ヒトおよびマウスのゲノムデータベースおよびmRNAデータベースに対するBLAST検索(ワードサイズ7、ミスマッチペナルティ−1、期待値1000)により比較した。マウスmRNAデータベースおよびマウスゲノムデータベースにおけるあらゆる非ApoB配列に対して配列ミスマッチが3以下の全ての23ヌクレオチド長標的領域候補を、最初のセットから除外した。残った84個の標的領域候補を、siRNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖を得るための鋳型として利用した。それぞれのsiRNAのセンス鎖は、前記標的領域候補のヌクレオチド3〜23(5’→3’)と一致させた。アンチセンス鎖は、標的領域23ヌクレオチド全長に対する逆向きの相補体と定義した。得られたsiRNAは、アンチセンス鎖の3’末端の2ヌクレオチド突出部分と、21ヌクレオチドの塩基対合領域とを有していた。これら84種のsiRNA候補のうち81種を合成し、培養ヒトHepG2細胞におけるApoB発現の阻害について有効性を測定した。未処理の対照細胞におけるApoB mRNAレベルの50%未満までApoB mRNA発現を抑制するのに有効なsiRNAについて、ヒトおよび/またはマウス血清中での安定性も測定した。
【0225】
84種の合成siRNA2重鎖のセンス鎖およびアンチセンス鎖の配列を表3に示す。センス鎖は、全23ヌクレオチドの領域のヌクレオチド3〜23に相当し、該領域は、(a)マウスApoB(GenBank受託番号:XM_137955)およびヒトApoB(GenBank受託番号:NM_000384)のオープンリーディングフレーム(ORF)間で相同であり、(b)ヒトおよびマウスのゲノムデータベースおよびmRNAデータベースにおける全ての他のエントリー配列と比較した場合に4以上のミスマッチを有することが見出された領域である。表3に示したアンチセンス鎖は、23ヌクレオチドのセンス鎖領域のヌクレオチド1〜23に相補的である。マウスApoBのORFにおける対応する23ヌクレオチドの領域の最も5’−側のヌクレオチドの位置も提示されている。
【0226】
【表3−1】

【0227】
【表3−2】

【0228】
別例として、同じ84種の標的領域候補について、siRNAは19の塩基対と2ヌクレオチドdTdTの突出部分とを備えて作製されてもよい。次いでセンス鎖は標的領域のヌクレオチド1〜19、2〜20、3〜21、4〜22、または5〜23と一致し、2つのdTヌクレオチドが該オリゴヌクレオチドの3’−末端に付加される。次いでこのように選択されたセンス鎖の逆向きの相補体を、アンチセンス鎖の鋳型として利用するということになり、また2つのdTヌクレオチドをその3’−末端に付加することになる。
【0229】
実施例3.siRNAは、mRNAレベルならびにタンパク質レベルのいずれにおいても細胞培養物においてApoB発現を阻害した
上記のsiRNAの活性を、HepG2細胞中で試験した。
【0230】
HepG2培養細胞を使用して、分岐DNAアッセイにより、ApoB特異的siRNAと共にインキュベートした細胞から単離した全mRNA中のApoB mRNAを定量し、かつ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により、ApoB特異的siRNAと共にインキュベートした細胞の上清中のApoB100タンパク質を定量した。HepG2細胞はアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(米国メリーランド州ロックビル(Rockville)所在、カタログ番号HB−8065)より入手し、10%ウシ胎児血清(FCS)(バイオクロム アーゲー(Biochrom AG)、ドイツ国ベルリン所在、カタログ番号S0115)、2mMのL−グルタミン(バイオクロム アーゲー、ドイツ国ベルリン所在、カタログ番号K0238)、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100μg/ml(バイオクロム アーゲー、ドイツ国ベルリン所在、カタログ番号A2213)、1×非必須アミノ酸(NEA)(バイオクロム アーゲー、ドイツ国ベルリン所在、カタログ番号K0293)および1mMのピルビン酸ナトリウム(バイオクロム アーゲー、ドイツ国ベルリン所在、カタログ番号L0473)を含むように添加されたMEM(ギブコインビトロジェン、インビトロジェン社(Gibco Invitrogen,Invitrogen GmbH)、ドイツ国カールスルーエ(Karlsruhe)所在、カタログ番号21090−022)中、加湿インキュベータ(ヘレウス ヘラセル(Heraeus HERAcell)、ケンドロラボラトリープロダクツ社(Kendro Laboratory Products)、ドイツ国ランゲンゼルボルト(Langenselbold)所在)にて5%COの雰囲気下37℃で培養した。
【0231】
siRNAでトランスフェクションするために、HepG2細胞を96ウェルプレート中1ウェル当たり1.5×104個の細胞密度で播種し、24時間培養した。oligofectamine(商標)(インビトロジェン社(Invitrogen GmbH)、ドイツ国カールスルーエ(Karlsruhe)所在、カタログ番号12252−011)を用いて、製造業者の説明どおりにsiRNAをトランスフェクションした。siRNA2重鎖のスクリーニング用には100nMの濃度で、用量反応/50%阻害濃度(IC50)を評価する際は100、33、11、3.7、1.2、0.4、0.14、および0.05nMの濃度で、siRNAをトランスフェクトした。トランスフェクション後24時間で培地を交換し、さらに24時間細胞をインキュベートした。下記に記載するように、酵素結合免疫吸着アッセイによりApoB100タンパク質濃度を評価するために、上清を採取して分析まで−80℃で保存した。下記に記載するように、分岐DNAアッセイによりApoB mRNAを測定するために、細胞を採取し、mRNAのbDNA定量のためにQuantigene(登録商標)Exploreキット(ゲノスペクトラ社(Genospectra)、米国カリフォルニア州フレモント(Fremont)所在、カタログ番号QG−000−02)の製造業者の推奨手順に従って細胞を溶解した。ただし、50μg/μlのプロテイナーゼK原液(エピセンター社(Epicentre)、米国ウィスコンシン州マジソン(Madison)所在、カタログ番号MPRK092)2μlを、組織および細胞溶解溶液(Tissue and Cell Lysis Solution)(エピセンター社(Epicentre)、米国ウィスコンシン州マジソン(Madison)所在、カタログ番号MTC096H)600μlに加えた。溶解液は分岐DNAアッセイによる分析まで−80℃で保存した。
【0232】
NmuLi培養細胞を用いて、分岐DNAアッセイ(bDNAアッセイ)によりマウスApoB mRNAを定量した。NmuLi細胞(正常マウス肝臓、ATCC番号:CRL−1638)を、10%ウシ胎児血清(FCS)(バイオクロム アーゲー、ドイツ国ベルリン所在、カタログ番号S0115)および2mMのL−グルタミン(バイオクロム アーゲー、ドイツ国ベルリン所在、カタログ番号K0238)を含むように添加されたDMEM(バイオクロム アーゲー、ドイツ国ベルリン所在、カタログ番号F0435)中で、加湿インキュベータ(ヘレウス ヘラセル(Heraeus HERAcell)、ケンドロラボラトリープロダクツ社(Kendro Laboratory Products)、ドイツ国ランゲンゼルボルト(Langenselbold)所在)で5%COを含む雰囲気下37℃で培養した。
【0233】
トランスフェクションの1日前に、ウェル当たり4×103個の細胞を96ウェルプレート上に播種した。oligofectamine(商標)を用いて、製造業者のプロトコル(インビトロジェン社(Invitrogen GmbH)、ドイツ国カールスルーエ(Karlsruhe)所在、カタログ番号12252−011)に従い、3連としてsiRNAで細胞をトランスフェクトした。トランスフェクション中の培地中のsiRNA濃度は、15種の未修飾または修飾siRNA2重鎖のスクリーニング用には200nMとした。トランスフェクション後に細胞を24時間培養し、その後増殖培地を、siRNAを含まない新鮮な培地に交換した。HepG2細胞について上記した通りに細胞溶解物を得て保存した。
【0234】
非コレステロール結合型対照として使用したsiRNA2重鎖の配列は以下の
【0235】
【化10】

【0236】
である。
AL−DUP HCVのセンス鎖は、C型肝炎ウイルス(受託番号:D89815)の3’−非翻訳領域の9472位〜9493位に対応する。
【0237】
コレステロール結合型対照として使用したsiRNA2重鎖の配列は以下の
【0238】
【化11】

【0239】
である。
センス鎖のヌクレオチド1〜21は、増強緑色蛍光タンパク質(GenBank受託番号:U57607)を有するクローニングベクターpEGFP−C3中の843位〜864位に対応する。
【0240】
細胞上清中のApoB100タンパク質レベルをELISAアッセイにより測定した。透明平底ポリスチレン高結合マイクロプレート(Clear Flat Bottom Polystyrene High Bind Microplates)(コーニングビーブイ ライフサイエンス社(Corning B.V.Life Sciences)、オランダ国スキポールライク(Schiphol−Rijk)所在、カタログ番号9018)をアッセイに使用した。抗ヒトアポリポタンパク質Bヤギポリクローナル抗体(ケミコンインターナショナル社(Chemicon International GmbH)、ドイツ国ホーフハイム(Hofheim)所在、カタログ番号AB742)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Ca2+、Mg2+を含まないPBSダルベッコ(Dulbecco)、バイオクロム アーゲー(Biochrom AG)、ドイツ国ベルリン所在、カタログ番号L182−05)中で1:1000に希釈し、この希釈物100μlにて96ウェルプレートを4℃で終夜コーティングした。PBS中1%のウシ血清アルブミン(BSA)(Carl Roth GmbH&Co KG、ドイツ国カールスルーエ(Karlsruhe)所在、カタログ番号8076.2)300μlでブロッキングした後、プレートをPBSで3回洗浄した。
【0241】
細胞培養上清を解凍し、0.1%トゥイーン(Tween)20(Carl Roth GmbH&Co KG、ドイツ国カールスルーエ(Karlsruhe)所在、カタログ番号9127.1)および0.1%BSAを含むPBSで1:1に希釈した。この希釈液100μlをそれぞれのウェルに加えた。室温で2時間インキュベーションした後、プレートを0.1%トゥイーン20含有PBSで5回洗浄し、続いてPBSで3回洗浄した。0.1%トゥイーン20および3%BSAを含むPBSで1:1000に希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗ヒトアポリポタンパク質B−100ヤギポリクローナル抗体(アカデミィバイオメディカル社(Academy Bio−Medical Company)、米国テキサス州ヒューストン所在、カタログ番号20H−G1−b)100μlを、それぞれのウェルに加えた。プレートを室温で2時間インキュベートした。0.1%トゥイーン20を含むPBSで5回、PBSで3回プレートを洗浄した後、0.03%過酸化水素(メルクバイオサイエンスゲーエムベーハー(Merck Biosciences GmbH)、ドイツ国バートゾーデン(Bad Soden)所在、カタログ番号386790)を含む24mmol/Lのクエン酸緩衝液(シグマ−アルドリッチ社、ドイツ国タウフキルヒェン(Taufkirchen)所在、カタログ番号C1909−1KG)(pH5.0)中0.9mg/mlのOPD(o−フェニレンジアミン2塩酸塩、メルクバイオサイエンスゲーエムベーハー、カタログ番号523121)とともにウェルをインキュベートした。0.5mol/LのH2SO4(メルクKgaA社、ドイツ国ダルムシュタット(Darmstadt)所在、カタログ番号100731)を加えることにより酵素反応を停止し、490nmでの吸光度を分光光度計(パーキンエルマーワラックビクトル3(Perkin Elmer Wallac Victor3)1420マルチラベルリーダー、パーキンエルマー エルエーエス ゲーエムベーハー(PerkinElmer LAS GmbH)、ドイツ国ロドゴウ(Rodgau)所在)で測定した。どのマウス遺伝子とも関連のないsiRNA2重鎖を対照として使用し、所与のApoB特異的siRNA2重鎖の活性を、処理した細胞の上清中のApoBタンパク質濃度の、対照siRNA2重鎖で処理した細胞の上清中のApoBタンパク質濃度に対する百分率として表現した。siRNA2重鎖のセンス鎖へのコレステロール部分の結合は、培養HepG2細胞中でのApoB分泌誘発効果を高めた。従って、1つのsiRNA2重鎖対照には、結合コレステロール部分を含めた(AL−DUP 5129)。
【0242】
分岐DNA(bDNA)アッセイによりApoB100のmRNAレベルを測定した。Quantigene(登録商標)Exploreキット(ゲノスペクトラ社(Genospectra)、米国カリフォルニア州フレモント(Fremont)所在、カタログ番号QG−000−02)を用いてアッセイを行った。冷凍された細胞溶解物を室温で解凍し、Quantigene(登録商標)Exploreキットを用いて製造業者の指示書に従いApoBおよびGAPDH mRNAを定量した。捕捉伸長プローブ(CE)、標識伸長プローブ(LE)およびブロッキングプローブ(BL)のための核酸配列は、QuantiGene(登録商標)ProbeDesigner(商標)ソフトウェア2.0(ゲノスペクトラ社(Genospectra)、米国カリフォルニア州フレモント(Fremont)所在、カタログ番号QG−002−02)の助けを借りてApoBおよびGAPDHの核酸配列から選択した。マウスおよびヒトのApoBの定量に使用したプローブヌクレオチド配列をそれぞれ表4および表5に示す。マウスおよびヒトのGAPDHの定量に使用したプローブヌクレオチド配列をそれぞれ表6および表7に示す。
【0243】
【表4】

【0244】
【表5】

【0245】
【表6】

【0246】
【表7】

【0247】
ApoB mRNAレベルは、試料中に存在するGAPDH mRNAに対するApoB mRNAの比を比較することにより、異なる試料間で正規化した。どのマウス遺伝子も標的としないAL−DUP HCV、およびコレステロール結合型のAL−DUP 5129を対照として使用した。所与のApoB特異的siRNA2重鎖の活性を、処理した細胞中のApoB mRNA(ApoB mRNA/GAPDH mRNA)の、対照siRNAで処置した細胞に対する百分率として表した。
【0248】
HepG2細胞培養物中のApoB mRNAレベルおよびNmuLi細胞の培養上清中のApoBタンパク質レベルを減少させる活性について、81種のsiRNA2重鎖をスクリーニングした結果を表8に示す。
【0249】
【表8−1】

【0250】
【表8−2】

【0251】
【表8−3】

【0252】
表8の中で最も活性の高い27種のsiRNA2重鎖を、残存ApoB mRNA/GAPDH mRNAが対照の<31%であるか、または残存ApoBタンパク質レベルが対照の<35%である2重鎖として決定した。これらのsiRNA2重鎖を、更なる分析およびIC50値の決定のために選択した。これらのsiRNA2重鎖は、AL−DUP 5000、AL−DUP 5002、AL−DUP 5013、AL−DUP 5022、AL−DUP 5024、AL−DUP 5028、AL−DUP 5029、AL−DUP 5030、AL−DUP 5035、AL−DUP 5036、AL−DUP 5038、AL−DUP 5046、AL−DUP 5047、AL−DUP 5048、AL−DUP 5049、AL−DUP 5060、AL−DUP 5083、AL−DUP 5084、AL−DUP 5087、AL−DUP 5088、AL−DUP 5089、AL−DUP 5093、AL−DUP 5094、AL−DUP 5097、AL−DUP 5098、AL−DUP 5100、AL−DUP 5101であった。
【0253】
上記27種のsiRNA2重鎖を用いて用量漸増実験を行った。該実験では、各siRNA2重鎖の100、33、11、3.7、1.2、0.4、0.14、または0.05nM溶液とともにインキュベーションした後に、ApoB mRNAをNmuLi細胞中で定量し、ApoBタンパク質をHepG2細胞の培養上清中で定量した。最小の残存ApoB mRNAおよびApoBタンパク質レベルを決定した。上記27種のsiRNAのうち、最小の残存ApoB mRNAおよびApoBタンパク質レベルを併せて最も低い15種に関して、用量漸増実験を3度繰り返し、得られたデータを、50%阻害濃度(IC50)を算出するために使用し、3つの測定値から平均値を算定した。IC50は、用量漸増実験のデータを、コンピュータソフトウェアXlfit4(アイディ ビジネスソリューション社(ID Business Solutions Ltd.)、英国ギルフォード(Guildford)所在)で所定のカーブフィッティング法に供することにより算出した。以下のパラメータを用いる線形フィッティングから得られたパラメータ化された式を用いて、IC50値を算定した:用量反応1サイト(Dose Response One Site)、4パラメータロジスティックモデル、fit=(A+((B−A)/(1+(((10^C)/x)^D))))、inv=((10^C)/((((B−A)/(y−A))−1)^(1/D)))、res=(y−fit) (例として、図2参照)。
【0254】
NmuLi細胞においてmRNAおよびタンパク質レベルの両方を70%以上(>70%)減少させた5つのApoB siRNAに関する平均IC50値を表9に示す。対照実験から、培養したNmuLi細胞中の最小残存ApoB mRNA/GAPDH mRNAを未処理対照の百分率として、およびHepG2細胞上清中の最小残存ApoBタンパク質を未処理対照の百分率として測定した。
【0255】
【表9】

【0256】
更なる検討のためにAL−DUP 5024およびAL−DUP 5048を選択した。
実施例6.siRNA2重鎖を修飾すると、ヌクレアーゼ耐性の改善を示した
例えば血清および細胞内媒質などの生体液中に存在するヌクレアーゼによる分解に対しオリゴヌクレオチド鎖の耐性を高めるために、siRNA2重鎖AL−DUP 5024およびAL−DUP 5048を種々の化学修飾で変化させた。具体的には、ホスホロチオエート結合を、アンチセンス鎖の21位と22位の間および22位と23位の間に、および/またはセンス鎖の20位と21位の間に導入(表10参照)することにより、エクソヌクレアーゼ分解に対するsiRNAの安定性を増大させた。
【0257】
【表10】

【0258】
以前に、本研究室では、エンドヌクレアーゼによる分解攻撃を特に受けやすいsiRNA2重鎖中の特定の配列モチーフを同定した(共願かつ同時係属の米国特許出願第60/574,744号明細書参照)。具体的には、これらのモチーフは、5’−UA−3’、5’−UG−3’、5’−CA−3’、5’−UU−3’、および5’−CC−3’である。これらの配列モチーフを含むsiRNAは、これらのジヌクレオチドモチーフ中の5’側ヌクレオチドのリボースサブユニットの2’−OHを2’−O−CH3(本明細書では2’−O−メチルまたは2’−O−Meとも呼ばれる)に置換することにより、エンドヌクレアーゼによる分解攻撃に対して安定化できる。それゆえに、センス鎖上もしくはアンチセンス鎖上のいずれか、または両方の鎖上に、5’−CC−3’を除き、存在する上記ジヌクレオチドモチーフ全てにおいて各ヌクレオチドが2’−O−Me基を有するように、siRNAを合成した。
【0259】
次に試験した修飾は、siRNAセンス鎖の3’−末端へのコレステロール部分の結合であった(図1参照)。この修飾は、細胞内へのRNAの取り込みを容易にすると考えられる(マノハラン、エムら(Manoharan M.et al.)、「アンチセンスおよび核酸薬剤の開発(Antisense and Nucleic Acid Drug Development)」、2002年、第12巻、103〜128ページ)。
【0260】
表10に示したsiRNA2重鎖を合成し、培養NmuLi細胞により上清中に分泌されるApoBタンパク質の量を減少させる活性について試験するとともに、血清インキュベーションアッセイにて核酸分解に対する安定性について試験した。
【0261】
次のsiRNA、すなわちAL−DUP 5024、AL−DUP 5163、AL−DUP 5164、AL−DUP 5165、AL−DUP 5166、AL−DUP 5180、およびAL−DUP 5181のヌクレオチド配列は、以下の点を除いて同一である。
【0262】
AL−DUP 5024は、完全に非修飾ヌクレオチドのみで構成されている。
AL−DUP 5163は、アンチセンス鎖の21位と22位に2’−O−Me基を、ならびに21位と22位、および22位と23位の間にホスホロチオエート結合を有し、かつセンス鎖の3’−末端にコレステロール部分が結合している。
【0263】
AL−DUP 5164は、センス鎖の4位、6位、8位、12位、14位、および20位、ならびにアンチセンス鎖の1位、6位、7位、13位、15位、および17位に2’−O−Me基を有し、アンチセンス鎖の21位と22位、および22位と23位の間にホスホロチオエート結合を有し、かつセンス鎖の3’−末端にコレステロール部分が結合している。
【0264】
AL−DUP 5165は、アンチセンス鎖の1位、6位、7位、13位、15位、および17位に2’−O−Me基を有し、アンチセンス鎖の21位と22位、および22位と23位の間にホスホロチオエート結合を有し、かつセンス鎖の3’−末端にコレステロール部分が結合している。
【0265】
AL−DUP 5166は、そのセンス鎖の4位、6位、8位、12位、14位、および20位に、ならびにそのアンチセンス鎖の21位および22位に2’−O−Me修飾を有し、アンチセンス鎖の21位と22位、および22位と23位の間にホスホロチオエート結合を有し、かつセンス鎖の3’−末端にコレステロール部分が結合している。
【0266】
AL−DUP 5180は、そのセンス鎖の4位、6位、8位、12位、14位、および20位に、ならびにそのアンチセンス鎖の21位および22位に2’−O−Me修飾を有し、アンチセンス鎖の21位と22位、および22位と23位の間、ならびにセンス鎖の20位と21位の間にホスホロチオエート結合を有する。
【0267】
AL−DUP 5181は、そのセンス鎖の4位、6位、8位、12位、14位、および20位、ならびにそのアンチセンス鎖の1位、6位、7位、13位、15位、および17位に2’−O−Me修飾を有し、アンチセンス鎖の21位と22位、および22位と23位の間、ならびにセンス鎖の20位と21位の間にホスホロチオエート結合を有する。
【0268】
siRNA2重鎖AL−DUP 5048、AL−DUP 5167、AL−DUP 5168、AL−DUP 5169、AL−DUP 5170、AL−DUP 5182、およびAL−DUP 5183のヌクレオチド配列は、以下の点を除いて同一である。
【0269】
AL−DUP 5048は、完全に非修飾ヌクレオチドのみで構成されている。
AL−DUP 5167は、アンチセンス鎖の21位と22位に2’−O−Me基を、ならびに21位と22位、および22位と23位の間にホスホロチオエート結合を有し、かつセンス鎖の3’−末端にコレステロール部分が結合している。
【0270】
AL−DUP 5168は、そのセンス鎖の3位、6位、8位、11位、15位、および18位、ならびにそのアンチセンス鎖の2位、3位、6位、8位、10位、13位、15位、18位、および21位に2’−O−Me基を有し、アンチセンス鎖の21位と22位、および22位と23位の間にホスホロチオエート結合を有し、かつセンス鎖の3’−末端にコレステロール部分が結合している。
【0271】
AL−DUP 5169は、そのアンチセンス鎖の2位、3位、6位、8位、10位、13位、15位、18位、および21位に2’−O−Me基を有し、アンチセンス鎖の21位と22位、および22位と23位の間にホスホロチオエート結合を有し、かつセンス鎖の3’−末端にコレステロール部分が結合している。
【0272】
AL−DUP 5170は、そのセンス鎖の3位、6位、8位、11位、15位、および18位、ならびにそのアンチセンス鎖の21位および22位に2’−O−Me修飾を有し、アンチセンス鎖の21位と22位、および22位と23位の間にホスホロチオエート結合を有し、かつセンス鎖の3’−末端にコレステロール部分が結合している。
【0273】
AL−DUP 5182は、そのセンス鎖の3位、6位、8位、11位、15位、および18位、ならびにそのアンチセンス鎖の21位および22位に2’−O−Me修飾を有し、アンチセンス鎖の21位と22位、および22位と23位の間、ならびにセンス鎖の20位と21位の間にホスホロチオエート結合を有する。
【0274】
AL−DUP 5183は、そのセンス鎖の3位、6位、8位、11位、15位、および18位、ならびにそのアンチセンス鎖の2位、3位、6位、8位、10位、13位、15位、18位、および21位に2’−O−Me修飾を有し、アンチセンス鎖の21位と22位、および22位と23位の間、ならびにセンス鎖の20位と21位の間にホスホロチオエート結合を有する。
【0275】
表10に示したsiRNAの安定性を、マウス血清および95%ヒト血清中で試験した。マウス血清は、シグマ(シグマ−アルドリッチケミー ゲーエムベーハー(Sigma−Aldrich Chemie GmbH)、ドイツ国タウフキルヒェン(Taufkirchen)所在、カタログ番号M5905)またはチャールスリバー(チャールスリバーラボラトリーズ社(Charles River Laboratories)、ドイツ国ズルツフェルト(Sulzfeld)所在、カタログ番号MASER)から入手した。本明細書に報告したアッセイ結果は、試験した異なる血清供給源の間で一貫していた。ヒト血清中での修飾siRNAの安定性を試験するために、8名のヒトボランティアの血液(270mL)を採取し、室温で3時間保持した。次いで該血液プールを、Megafuge(登録商標)1.0(ヘレウスインスツルメンツ、ケンドロラボラトリープロダクツゲーエムベーハー(Heraeus Instruments,Kendro Laboratory Products GmbH)、ドイツ国ランゲンゼルボルト(Langenselbold)所在)を用いて20℃および3000rcfで遠心分離して、細胞画分から血清を分離した。上清を等分注して−20℃で保存し、必要に応じて使用した。シグマ(シグマ−アルドリッチケミー ゲーエムベーハー(Sigma−Aldrich Chemie GmbH)、ドイツ国タウフキルヒェン(Taufkirchen)所在)から入手したヒト血清(カタログ番号H1513)を対照アッセイに使用した。
【0276】
6μlのPBSに溶解した2本鎖RNA(300pmol、約4.2μg)をヒト血清60μlに加え、該混合物を、例えば0、15、もしくは30分、または1、2、4、8、16、もしくは24時間の様々な長さの時間、37℃にてインキュベートした。その後、RNA/血清溶液を含むチューブごと液体窒素中で冷凍して−80℃で保存した。
【0277】
非コレステロール結合型siRNAを分析するために、冷凍試料を氷上に置き、0.5MのNaCl(450μl)を加えた。完全に解凍した後、溶液をPhase−Lock Gel(登録商標)チューブ(エッペンドルフ社(Eppendorf)、ドイツ国ハンブルク所在、カタログ番号0032005.152)に移液し、500μlの50%フェノール、48%クロロホルム、2%イソアミルアルコール(カールロス ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー(Carl Roth GmbH&Co KG)、ドイツ国カールスルーエ(Karlsruhe)所在、カタログ番号A156.2)と混合し、さらにクロロホルム300μlを加えた。チューブを30秒間激しくボルテックスし、続いて4℃で16,200rcfにて15分間遠心分離した。水性上清を新しいチューブに移液し、3MのNa−アセテートpH5.2(40μl)、GlycoBlue(商標)1μl(アンビオン社(Ambion)、米国テキサス州所在、カタログ番号9516)および95%エタノール1mlと混合した。RNAを−20℃で終夜沈殿させた。
【0278】
コレステロール結合型siRNAを、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の存在下での熱フェノール抽出により単離した。血清試料(66μl)を、200μlのRNA緩衝液(0.5%SDS、10mMのEDTA、10mMのトリスpH7.5)および200μlの水飽和フェノール(カールロス ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー、ドイツ国カールスルーエ所在、カタログ番号A980.1)と混合した。反応チューブを65℃で20分間インキュベートした。相分離させるために、チューブを5分間氷上に置き、続いて4℃で16,200rcfにて10分間遠心分離した。水相を新しいチューブに移液した。残ったフェノール相を、RNA試薬150μlを用いて10秒間激しくボルテックスして2度目の抽出を行った。チューブを2分間氷上に置き、次いで4℃で16,200rcfにて10分間遠心分離した。2度目の抽出の水相を移液し、最初の抽出の上清と合わせた。2μlのGlycoBlue(アンビオン社(Ambion)、米国テキサス州オースチン所在、カタログ番号9516)および1mlの95%エタノールを加えることによりRNAを沈殿させた。−20℃で終夜にてRNAの沈殿を完結させた。
【0279】
変性ゲル電気泳動により、単離したRNAを分析した。沈殿したRNAの入ったチューブを4℃で16,200rcfにて10分間遠心分離した。上清を除去し廃棄した。RNAペレットを70%エタノール400μlで洗浄し、4℃で16,200rcfにて5分間遠心分離することにより再度ペレット化した。全ての液体を除去し、ペレットをSTOP緩衝液(95%ホルムアミド、5%EDTA0.5M、0.02%キシレンシアノール)20μlに溶解した。試料を92℃で3分間煮沸し、素早く氷上で冷却した。変性14%ポリアクリルアミドゲル(6M尿素、20%ホルムアミド、カールロス ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー、ドイツ国カールスルーエ所在)に10μlを載せた。45mAで約2時間RNAを分離した。「ステインオール(stains−all)」試薬(シグマ−アルドリッチケミー ゲーエムベーハー(Sigma−Aldrich Chemie GmbH)、ドイツ国シュタインハイム(Steinheim)所在、カタログ番号E9379)を用いて製造業者の指示書に従って染色することにより、RNAバンドを可視化した。
【0280】
非修飾型のAL−DUP 5024は、マウスおよびヒトの血清とともにインキュベーションした1時間後にはほぼ完全に分解したが、修飾siRNAは分解に対してより耐性であった(図3参照)。電気泳動分離した後、AL−DUP 5163に関しては最大でインキュベーション時間3時間まで、AL−DUP 5164、AL−DUP 5165、AL−DUP 5166、AL−DUP 5180、およびAL−DUP 5181に関しては最大6時間まで、ステインオール試薬で完全長RNAが染色された。最も大きな安定化効果はAL−DUP 5164、AL−DUP 5166、およびAL−DUP 5181において見られ、センス鎖中の分解しやすい部位を修飾することが最も効果的であることが示された。アンチセンス鎖をさらに修飾しても、ごく小さな安定化効果しか得られなかった(図3参照)。
【0281】
同様に、非修飾型のAL−DUP 5048は、マウス血清とともにインキュベーションした1時間後にはほぼ完全に分解したが、修飾dsRNAは分解に対する感受性が低かった。電気泳動分離した後、AL−DUP 5167、AL−DUP 5170、およびAL−DUP 5182に関しては最大3時間、AL−DUP 5169に関しては最大6時間まで、ならびにAL−DUP 5168およびAL=DUP5183に関しては最大24時間まで、ステインオール試薬により完全長RNAが染色された(図3参照)。
【0282】
インビボでさらに試験するための最も活性の高い2重鎖を選択するために、培養HepG2細胞による上清中へのApoBタンパク質分泌を減少させる効果について、表10に示したsiRNA2重鎖を試験した。
【0283】
HepG2細胞でのインビトロアッセイにおけるApoBに特異的なコレステロール修飾siRNAの発現抑制活性は、ApoB特異的な非修飾型siRNAの活性に匹敵していた。コレステロールが結合していない2つのsiRNA、AL−DUP 5024およびAL−DUP 5048は、200nMの濃度でマウスApoBのmRNAレベルをそれぞれ84±9%および72±9%減少させたが、対応するコレステロール結合型かつ修飾型siRNAであるAL−DUP 5167およびAL−DUP 5163は、それぞれ61±8%および68±9%の阻害活性を有していた。
【0284】
図5A〜5Lは、ApoB特異的siRNA2重鎖を100、33、11、3.7、1.2、0.4、0.14、または0.05nM含む培地とともにインキュベートした培養ヒトHepG2細胞の上清中へのApoBタンパク質分泌の用量反応曲線を示す。反応は、非特異的な対照siRNA2重鎖で処理した細胞の上清中のApoB濃度に対する、ApoB特異的siRNA2重鎖で処理した細胞の上清中のApoBタンパク質濃度の比として表されている。これらの結果を基に、マウスで試験するために、AL−DUP 5163、AL−DUP 5165、AL−DUP 5166およびAL−DUP 5167を選択した。
【0285】
実施例7.修飾siRNA2重鎖は、肝臓および空腸の組織切片中のApoB mRNA量、およびオスのC57B1/6マウスの血清中のApoBタンパク質のコレステロールレベルを減少させた
27G針を用いて、尾静脈注射によりマウスにsiRNAをボーラス投与した。siRNAをPBSに溶解して、体重1g当たり8μlの目的用量を送達可能な濃度とした。注射しやすいように、マウスを投薬前におよそ3分間赤外線ランプ下に置いた。
【0286】
投薬前の数日間、尾静脈から4〜7滴を採取することにより、処理前の血液試料を採取した。CO2窒息により屠殺し、約0.7mlの血液を心臓穿刺により採取し、肝臓および空腸を採取し、20〜40mgの組織分割物を液体窒素中で凍結し、分析まで−80℃で保存した。
【0287】
上述した通りに分岐DNAアッセイによりApoB100mRNAレベルを測定した。それぞれ約10〜30mgの凍結組織切片(肝臓および空腸)の3連の試料を、84μg/mlのプロテイナーゼK(エピセンター社(Epicentre)、米国ウィスコンシン州マジソン(Madison)所在、カタログ番号MPRK092)を含む組織および細胞溶解液(Tissue and Cell Lysis Solution)(エピセンター社(Epicentre)、米国ウィスコンシン州マジソン(Madison)所在、カタログ番号MTC096H)1ml中で、約150μmの振幅でそれぞれ0.9秒の3〜9パルスを用いて、超音波処理(Bandelin Sonopuls(商標)HD2070、バンデリンエレクトロニック ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー(BANDELIN electronic GmbH & Co.KG)、ドイツ国ベルリン所在)することにより均一化した。溶解物を分析前に少なくとも12時間(終夜)−80℃に置いた。
【0288】
凍結した溶解物を室温で解凍し、Quantigene(登録商標)Exploreキットを用いて、製造業者の指示書に従いApoBおよびGAPDHのmRNAを定量化した。捕捉伸長プローブ(CE)、標識伸長プローブ(LE)およびブロッキングプローブ(BL)のための核酸配列は、Quantigene(登録商標)ProbeDesigner(商標)ソフトウェア2.0(ゲノスペクトラ社(Genospectra)、米国カリフォルニア州フレモント(Fremont)所在、カタログ番号QG−002−02)の助けを借りてApoBおよびGAPDHの核酸配列から選択した。ApoBの定量に使用したプローブヌクレオチド配列を表4に示す。GAPDHの定量に使用したプローブヌクレオチド配列を表6に示す。
【0289】
組織試料中のGAPDH mRNAに対するApoB mRNAの比を各処理群で平均化し、未処理の対照群または無関係のsiRNA2重鎖で処理した対照群と比較した。
マウス血清中のApoB100タンパク質量を定量するために、ELISAアッセイを行った。アッセイを行うために、96ウェルプレートをマウスApoB100特異的モノクローナル抗体LF3(25μg/ml;ズロット シーエッチら(Zlot,C.H.et.al.)、J.Lipid Res.1999年、第40巻、76〜84ページ)100μlでコーティングし、同プレートを37℃で2時間インキュベートした。プレートをリン酸緩衝食塩水(PBS)(Ca2+、Mg2+を含まないPSダルベッコ(Dulbecco)、バイオクロム アーゲー(Biochrom AG)、ドイツ国ベルリン所在、カタログ番号L182−05)で3回洗浄し、次いでそれぞれのウェルに3%ウシ血清アルブミン(BSA)(カールロス ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー(Carl Roth GmbH&Co KG)、ドイツ国カールスルーエ(Karlsruhe)所在、カタログ番号8076.2)を含むPBS(300μl)を加えることにより、残った結合部位をブロッキングした。プレートを室温で1時間インキュベートした。次いでプレートをPBSで5回洗浄した。0.1%トゥイーン(Tween)(カールロス ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー、ドイツ国カールスルーエ(Karlsruhe)所在、カタログ番号9127.1)および3%BSAを含むPBS(100μl)で希釈したマウス血清0.2μlをそれぞれのウェルに加えた。37℃で2時間インキュベーションした後、プレートをPBSで5回洗浄した。抗マウスアポリポタンパク質B48/100ウサギポリクローナル抗体(アクリスアンチボディーズ ゲーエムベーハー(Acris Antibodies GmbH)、ドイツ国ヒデンハイム(Hiddenheim)所在、カタログ番号BP2050)の1:500希釈液100μlをウェルに加え、37℃で2時間インキュベートした。プレートをPBSで5回洗浄した後、ホースラディッシュペルオキシダーゼと結合した抗ウサギIgGロバ抗体(サンタクルーズバイオテクノロジー社(Santa Cruz Biotechnology)、米国カリフォルニア州サンタクルーズ所在、カタログ番号sc2004)100μlを加え、37℃で1時間インキュベートした。プレートをPBSで5回洗浄し、0.03%過酸化水素(メルクバイオサイエンスゲーエムベーハー(Merck Biosciences GmbH)、ドイツ国バートゾーデン(Bad Soden)所在、カタログ番号386790)を含む24mmol/Lのクエン酸緩衝液(シグマ−アルドリッチ社、ドイツ国タウフキルヒェン(Taufkirchen)所在、カタログ番号C1909−1KG)pH5.0中0.9mg/mlのOPD(o−フェニレンジアミン2塩酸塩、メルクバイオサイエンスゲーエムベーハー(Merck Biosciences GmbH)、ドイツ国バートゾーデン(Bad Soden)所在、カタログ番号523121)とともにウェルをインキュベートした。0.5mol/LのH2SO4(メルクKgaA社、ドイツ国ダルムシュタット(Darmstadt)所在、カタログ番号100731)を加えることにより酵素反応を停止し、490nmでの吸光度を分光光度計(パーキンエルマーワラックビクトル3(Perkin Elmer Wallac Victor3)1420マルチラベルリーダー、パーキンエルマーLASゲーエムベーハー(PerkinElmer LAS GmbH)、ドイツ国ロドゴウ(Rodgau)所在)で測定した。
【0290】
コレステロールFS試薬キット(ダイアシスダイアグノスティックシステムズゲーエムベーハー(DiaSys Diagnostic Systems GmbH)、ドイツ国ホルツハイム(Holzheim)所在)を用いて、製造業者の指示書に従いマウス血清中の血清総コレステロールを測定した。分光光度計(DU640B、ベックマンコールターゲーエムベーハー(Beckman Coulter GmbH)、ドイツ国ウンターシュレイフハイム(Unterschleissheim)所在)で測定を行った。
【0291】
注射後の肝臓および空腸組織ならびに血清中のsiRNAを検出するために、S1ヌクレアーゼ保護アッセイを使用した。分岐DNAアッセイ用に、動物組織の小断片(10〜30mg)を上述した通りに均一化した。これらの溶解物は、直ちに処理するか、または−80℃で保存してアッセイを行う前に室温で解凍した。溶解物100μlを新しい反応チューブに移し、200μlのSTE(塩化ナトリウム−トリス−EDTA緩衝液;500mMのNaCl、9mMのトリスpH7.5、0.9mMのEDTA)および200μlのフェノール(トリス−EDTA飽和フェノール、ロティフェノール(Roti−phenol)、カールロス エムベーハー ウント コー カーゲー(Carl Roth GmbH&Co KG)、ドイツ国カールスルーエ(Karlsruhe)所在、カタログ番号0038.1)と混合した。該チューブを、Vortex Genie(登録商標)2(サイエンティフィックインダストリーズ社(Scientific Industries,Inc.)、米国ニューヨーク州ボヘミア(Bohemia)所在、カタログ番号SI−0256)で30秒間最大速度にて激しく混合し、続いて4℃で16,200rcfにて10分間遠心分離した。約310μlの水性上清を注意深く吸引して新しい反応チューブに移液し、50μgの大腸菌tRNA(ロシュダイアグノスティックス社(Roche Diagnostics)、ドイツ国ペンツバーグ(Penzberg)所在、カタログ番号109 541)および95%エタノール900μlと混合した。−20℃で終夜、RNAを沈殿させた。
【0292】
S1ヌクレアーゼ保護アッセイに使用するDNAプローブを放射標識した。25〜27ヌクレオチド長のプローブは、siRNA分子の21ヌクレオチドのセンス鎖配列に相当するが、3’−末端にさらに4〜6ヌクレオチドの非相補的な伸長部分を含むものとした。該DNAオリゴヌクレオチドプローブをγ−32P ATPでリン酸化して、5’−末端に放射活性リン酸基を導入した。それぞれのプローブ15pmolを、γ−32P ATP(アマシャムジーイー−ヘルスケア(Amersham GE−Healthcare)、ドイツ国フライブルク(Freiburg)所在、カタログ番号AA0018)50μCiと混合し、10Uのポリヌクレオチドキナーゼ(ニューイングランドバイオラボ社(New England Biolabs)、ドイツ国フランクフルト所在、M0201S)を、ポリヌクレオチドキナーゼ緩衝液(ニューイングランドバイオラボ社(New England Biolabs)、ドイツ国フランクフルト所在、カタログ番号M0201S)中で全量が50μlとなるように混合した。この溶液を37℃で1時間インキュベートした。該反応混合物をMicrospin(商標)G−25脱塩カラムに製造業者(アマシャムジーイー−ヘルスケア(Amersham GE−Healthcare)、ドイツ国フライブルク(Freiburg)所在、カタログ番号27−5325−01)の指示書に従って通すことにより、標識反応を停止させた。得られたプローブ溶液は1〜3日以内に使用した。
【0293】
マウス組織溶解物からsiRNAを検出するために、溶解物から沈殿させた全RNAを、4℃で16,200rcfにて10分間遠心分離した。核酸ペレットを保持しながら、上清を注意深く除去し廃棄した。最初にこのペレットを50μlのS1−ハイブリダイゼーション緩衝液(300mMのNaCl、1mMのEDTA、38mMのHEPES pH7.0、0.1%のトリトンX−100)に再懸濁させ、次いで放射性DNAプローブ溶液1μlを加えた。ハイブリダイゼーション反応混合物を92℃に2分間加熱した。反応チューブを直ちに37℃のヒートブロックに移し、さらに30分間インキュベートした。室温でさらに2時間ハイブリダイゼーションを続けた。
【0294】
血清中のsiRNA濃度を決定するためには、血清1μlを、S1−ハイブリダイゼーション緩衝液50μlおよび放射性DNAプローブ1μlと混合し、上記のようにハイブリダイゼーションを続けた。
【0295】
以下のプローブを使用した:
【0296】
【化12】

【0297】
加えて、肝臓および空腸で内在的に発現しているマイクロRNA(肝臓;miRNA122、空腸;miRNA143)とハイブリダイズする2つのプローブを、装荷量の対照として使用した。
【0298】
【化13】

【0299】
ハイブリダイゼーション後、S1ヌクレアーゼ消化混合物450μlを各チューブに加え(450μlのS1反応混合物:333mMのNaCl、2.2mMのZn−アセテート、66.7mMのNa−アセテートpH4.5、0.02%トリトンX−100および100UのS1ヌクレアーゼ;アマシャムジーイー−ヘルスケア(Amersham GE−Healthcare)、ドイツ国フライブルク(Freiburg)所在、カタログ番号E2410Y)、ハイブリダイズしていないプローブを分解した。消化反応混合物を37℃で30分間インキュベートした。500mMのEDTA(pH8.0)7μl中のtRNA(ロシュダイアグノスティックス(Roche Diagnostics)、ドイツ国ペンツバーグ(Penzberg)所在、カタログ番号109 541)30μgおよび95%エタノール900μlを加えることにより、消化反応を停止させた。この保護されたプローブを−20℃で終夜または−80℃で90分間沈殿させた。
【0300】
沈殿後、前記の保護化プローブを変性ゲル電気泳動により分析した。沈殿した2重鎖RNAを4℃で16,200rcfにて10分間遠心分離した。上清を注意深く除去し廃棄した。ペレットをSTOP緩衝液(95%ホルムアミド、5%EDTA0.5M、0.02%キシレンシアノール)12μlに溶解した。チューブを92℃に2分間加熱し、次いで直ちに氷上で冷却した。該溶液を変性シークエンシングゲルの各レーンあたり4μl装荷した(変性シークエンシングゲル:12.5%アクリルアミド、1×標準TBE緩衝液、19cm×20cm×0.4mm(長さ×幅×奥行き)、Rotiphorese(登録商標)DNAシークエンシングシステム、カールロス ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー(Carl Roth GmbH&Co KG)、ドイツ国カールスルーエ(Karlsruhe)所在、カタログ番号A431.1)。およそ30V/cmの電圧勾配に相当する600Vで45分間ゲルを泳動した(EPS3501XL、アマシャムバイオサイエンス(Amersham Biosciences)、スウェーデン国ウプサラ(Uppsala)所在、カタログ番号18−1130−05)。ゲルを紙の上で乾燥させ、汎用性の蛍光スクリーンイメージャ(アマシャムジーイー−ヘルスケア(Amersham GE−Healthcare)、ドイツ国フライブルク(Freiburg)所在、カタログ番号63−0034−88)に終夜曝露した。翌日、放射性バンドをTyphoon(登録商標)9200高性能イメージャ(アマシャムジーイー−ヘルスケア(Amersham GE−Healthcare)、ドイツ国フライブルク(Freiburg)所在、カタログ番号63−0038−49)で可視化した。放射性バンド強度の定量は、ゲル上に装荷した60、20、6.6、および2.2fmolの希釈系列の各放射性プローブと比較することにより、Typhoon(登録商標)9200イメージャ付属のImageQuant(商標)TLソフトウェアバージョン2003.01を用いて実施した。
【0301】
以下に記載したヒトApoBを発現するトランスジェニック動物を用いる実験以外は、全ての動物実験を、実験その他科学的目的に使用される脊椎動物の保護のための欧州協定(European Convention for the Protection of Vertebrate Animals used for Experimental and other Scientific Purpose)の規制に準拠して行った。オスのC57Bl/6マウスはチャールスリバーラボラトリーズ社(Charles River Laboratories)(ドイツ国ズルツフェルト(Sulzfeld)所在)から入手し、使用する前の少なくとも5日間環境に馴化させた。動物を22±2℃および55±10%相対湿度で飼育した。昼/夜リズムは、6:00am(点灯)および6:00pm(消灯)で切り換える12時間とした。以下に別途特記しない限り、動物にはSsniff(登録商標)R/M−H飼料(スニフ スペツィアルディアーテン ゲーエムベーハー(Ssniff Spezialdiaeten GmbH)、ドイツ国ゾースト(Soest)所在、カタログ番号V1531)を自由摂取として与えた。
【0302】
以下の実験プロトコルを行った。
A)それぞれ3.5月齢の7匹の動物からなる3群に、AL−DUP 5163、AL−DUP 5166(配列は表10参照)を3日間連続で1日あたり50mg/kg用量として、または等量の担体を与え、4日目に屠殺した。血清総コレステロール、血清中ApoB100濃度、ならびに肝臓および空腸のApoB mRNAレベルを決定した。
【0303】
センス鎖の4位、6位、8位、12位、14位、および20位のヌクレオチドが2’−O−メチル修飾されているAL−DUP 5166は、その他の点で同一のAL−DUP 5163と比較して、血清中での分解に関して高い安定性を有していた(図3参照)。この実験は、マウスApoBに特異的なsiRNAについて、マウスの肝臓および空腸におけるApoB遺伝子の発現を下方制御し、血清中のApoBタンパク質レベルおよびコレステロールレベルを低下させる能力について試験するために設計された。この実験はまた、センス鎖に生体血清中での安定性を増加させる2’−O−Me修飾を有するsiRNAが、センス鎖の2’OMe修飾を行っていないsiRNAよりも、ApoB発現を下方制御する能力が高いかどうかをも試験した。
【0304】
肝臓および空腸組織中のApoB mRNAレベルを分岐DNAアッセイにより調べた。AL−DUP 5163は、肝臓組織試料中のApoB mRNAレベルを、対照動物の肝臓組織中に存在するレベルの50±13%に低下させることが見出された。空腸中のApoB mRNAレベルは、対照動物中のレベルの40±6%に低下した。
【0305】
AL−DUP 5166は、肝臓組織中のApoB mRNAレベルを、対照動物の組織中のmRNAレベルの59±9%に低下させることが見出された。空腸中のApoB mRNAレベルは、対照動物中のレベルの14±3%に低下した。
【0306】
B)それぞれ3.5月齢の7匹の動物からなる2つの群に、AL−DUP 5167(配列は表10参照)を3日間連続で1日あたり50mg/kg用量として、または等量の担体を用いて処理した。マウスを4日目に屠殺した。血清総コレステロール、血清中ApoB100濃度、ならびに肝臓および空腸のApoB mRNAレベルを決定した。
【0307】
ApoB mRNAレベルを分岐DNAアッセイにより決定した。AL−DUP 5167は、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoB mRNAレベルを、対照動物の肝臓組織中に存在するmRNAレベルの41±6%に低下させることが見出された。空腸中のApoB mRNAレベルは、対照動物中のレベルの29±9%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、対照レベルの101±9%でほとんど変化がなかった。血清コレステロールは、担体対照の60±22%に低下した。
【0308】
C)それぞれ2.5月齢の7匹の動物からなる3つの群に、AL−DUP 5165を3日間連続で1日あたり50mg/kg用量として、または等量の担体を与え、4日目に屠殺した。血清総コレステロール、血清中ApoB100濃度、および肝臓のApoB mRNAレベルを決定した。
【0309】
アンチセンス鎖の1位、6位、7位、13位、15位、および17位のヌクレオチドに2’−O−Me修飾を有するAL−DUP 5165は、その他の点で同一のAL−DUP 5163(配列は表10参照)と比較して、血清中での分解に関して安定性は増加した(図3参照)が、その安定化効果はAL−DUP 5166において見られた効果ほどは強くなかった。この実験では、マウスApoBに特異的であり、かつアンチセンス鎖に安定化修飾を有するsiRNAの、マウスの肝臓および空腸におけるApoB遺伝子の発現を下方制御し、血清ApoBおよびコレステロールレベルを低下させる能力について比較した。この実験はまた、血清中での安定性が増大するように修飾されたsiRNAが、ApoB発現を下方制御する能力が高いかどうかについても試験した。
【0310】
ApoB mRNAレベルを測定するために、分岐DNAアッセイを使用した。AL−DUP 5165は、処理群マウスの肝臓組織中のApoB mRNAレベルを、担体のみを与えた対照動物の肝臓組織中に存在するmRNAレベルの68±12%に低下させることが見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、対照レベルの63±6%に低下した。血清コレステロールは、担体対照レベルの99±26%であり変化が見られなかった。
【0311】
D)それぞれ2.5月齢の6匹の動物からなる4つの群に、AL−DUP 5167、AL−DUP 3001、AL−DUP 5311を3日間連続で1日あたり50mg/kg用量として、または等量の担体を与え、4日目に屠殺した。血清総コレステロール、血清中ApoB100濃度、ならびに肝臓および空腸のApoB mRNAレベルを決定した。
【0312】
AL−DUP 5167のヌクレオチド配列は表10に示されている。AL−DUP 5311およびAL−DUP 3001の配列は以下の通りである。
【0313】
【化14】

【0314】
AL−DUP 5311は、AL−DUP 5167に対して4、10、14、および19位の4箇所にG/Cスイッチを作製した、マウスApoB mRNAミスマッチsiRNAを表す。このsiRNAは、AL−DUP 5167と比較するための陰性対照とした。
【0315】
AL−DUP 3001は関連のない対照siRNAを表す。AL−DUP 3001のセンス鎖の1〜21位の配列は、クローニングベクターpGL3−Basic(プロメガ ゲーエムベーハー(Promega GmbH)、ドイツ国マンハイム(Mannheim)所在、カタログ番号E1751)、受託番号U47295のヌクレオチド1252〜1272に相当し、ホタル(Photinus pyralis)のルシフェラーゼをコードする配列の一部である。AL−DUP 3001は、AL−DUP 5167に対する別の陰性対照として機能するものとした。
【0316】
この実験は、AL−DUP 5167で得られた初期の結果を確かめ、AL−DUP 5167で見られた効果が配列特異的であることをさらに示すことを意図したものである。
【0317】
分岐DNAアッセイによりApoB mRNAレベルを決定した。AL−DUP 5167は、処理群マウスの肝臓組織中のApoB mRNAレベルを、対照動物の肝臓組織中に存在するmRNAレベルの36±11%に低下させることが見出された。空腸中のApoB mRNAレベルは、対照動物中のレベルの27±8%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルのおよそ29±16%に低下した。血清コレステロールレベルは、73±35%でほぼ不変であった。
【0318】
AL−DUP 5311では、処理群マウスの肝臓組織中のApoB mRNAレベルは、担体を注射した対照動物の肝臓組織中に存在するmRNAレベルの95±16%でありほぼ不変であることが見出された。空腸中のApoB mRNAレベルは、対照動物中のレベルの120±19%でありほぼ不変であることが見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの109±76%でありほぼ不変であった。血清コレステロールレベルは、担体対照の77±43%でありほぼ不変であることが見出された。
【0319】
AL−DUP 3001では、処理群マウスの肝臓組織中のApoB mRNAレベルが、担体のみを与えた対照動物の肝臓組織中のmRNAレベルの79±22%であり、ほとんど不変であることが見出された。空腸中のApoB mRNAレベルは、対照動物中のレベルの130±33%でありほとんど変化がないことが見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの104±55%でありほとんど変化がないことが見出された。血清コレステロールレベルは、担体対照レベルの108±46%でありほとんど変化がないことが見出された。
【0320】
E)それぞれ2.5月齢の6匹の動物からなる7つの群に、AL−DUP 5167、AL−DUP 3001、AL−DUP 5311を3日間連続で1日あたり50mg/kg用量として、または等量の担体を与えるか、あるいは3日間連続でAL−DUP 5167を1日あたり10mg/kg用量として与えるか、または3日間連続でAL−DUP 5167を1日あたり2mg/kg用量として与えるか、または1日目に50mg/kg用量を1回与えるかのいずれかの処理を行った。マウスを4日目に屠殺した。別の動物6匹の群には、1日目に、背部の肩甲骨よりもわずかに後方に、浸透圧ポンプインプラント(Alzet(登録商標)1007D、アルゼット浸透圧ポンプデュレクト社(ALZET Osmotic Pumps DURECT Corporation)、米国カリフォルニア州クパチーノ(Cupertino)所在)を皮下に埋め込んだ。このポンプを、0.33mg/μlのAL−DUP 5167溶液が0.5μl/時で7日間供給されるように設定し、動物1匹あたり1日に体重1kgあたりおよそ4mgの1日用量となるようにした。この群の動物は8日目に屠殺した。血清総コレステロール、血清中ApoB100濃度、ならびに肝臓および空腸のApoB mRNAレベルを決定した。
【0321】
AL−DUP 5167、AL−DUP 5311およびAL−DUP 3001のヌクレオチド配列は上記に記載されている。
この実験は、対照として担体、ミスマッチsiRNA(AL−DUP 5311)、および関連のないsiRNA(AL−DUP 3001)を用いて、AL−DUP 5167で得られた初期の結果を確かめ、かつ3日間連続の体重1kgあたり2または10mgのボーラス静脈注射投与が、または1日目に体重1kgあたり50mgの単回投与が、上記(C)および(D)において3日間連続で体重1kgあたり50mgを静脈内投与する際に見られた効果を導き出すに充分であるかどうかをさらに決定することを意図したものである。さらにこの実験は、上記投薬計画を、浸透圧ポンプから7日間にわたって1日当たり体重1kgにつき4mgの低用量を連続的に送達する場合と比較するように設定された。
【0322】
AL−DUP 5167を、体重1kgにつき50mgの用量で、3日間連続で静脈内投与し、続いて4日目に屠殺した場合、分岐DNAアッセイにより決定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料に存在するApoB mRNAのレベルは、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの69±17%に低下することが見出され、空腸中のApoB mRNAレベルは対照動物のレベルの24±8%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は担体対照レベルの69±9%に低下した。血清コレステロールは、担体対照レベルの95±29%でありほとんど不変であることが見出された。
【0323】
AL−DUP 5167を、体重1kgにつき10mgの用量で、3日間連続で静脈内投与し、続いて4日目に屠殺した場合、分岐DNAアッセイにより決定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoB mRNAのレベルは、担体のみを与えた動物の肝臓組織中に存在するmRNAレベルの81±32%でありほとんど不変のままであることが見出され、空腸中のApoB mRNAレベルは対照動物中のレベルの62±13%になった。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの101±19%でほとんど変化がなかった。血清コレステロールは担体対照レベルの101±29%で、ほとんど変化がないことが見出された。
【0324】
AL−DUP 5167を、体重1kgにつき2mgの用量で、3日間連続で静脈内投与し、続いて4日目に屠殺した場合、分岐DNAアッセイにより決定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoB mRNAのレベルは、担体のみを与えた動物の肝臓組織中に存在するmRNAレベルの109±38%でありほとんど不変のままであることが見出され、空腸中のApoB mRNAレベルは対照動物中のレベルの97±21%になった。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は担体対照レベルの115±13%であり、ほとんど変化がなかった。血清コレステロールは担体対照レベルの114±26%であり、ほとんど変化がないことが見出された。
【0325】
AL−DUP 5167を、体重1kgあたり50mgの用量で、1日目に1回静脈内投与し、続いて4日目に屠殺した場合、分岐DNAアッセイにより決定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoB mRNAのレベルは、担体のみを与えた動物の肝臓組織中に存在するmRNAレベルの41±20%に低下することが見出され、空腸中のApoB mRNAレベルは対照動物中のレベルの62±23%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの52±11%に低下した。血清コレステロールは、担体対照レベルの95±25%でほとんど変化がないことが見出された。
【0326】
AL−DUP 5311を、体重1kgあたり50mgの用量で、3日間連続で静脈内投与し、続いて4日目に屠殺した場合、分岐DNAアッセイにより決定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoB mRNAのレベルは、担体のみを与えた動物の肝臓組織中に存在するmRNAレベルの100±16%でありほとんど不変のままであることが見出され、空腸中のApoB mRNAレベルは対照動物中のレベルの100±20%になった。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの97±11%でほとんど変化がなかった。血清コレステロールは、担体対照レベルの129±37%でほとんど変化がないことが見出された。
【0327】
AL−DUP 3001を、体重1kgあたり50mgの用量で、3日間連続で静脈内投与し、続いて4日目に屠殺した場合、分岐DNAアッセイにより決定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoB mRNAのレベルは、担体のみを与えた動物の肝臓組織中に存在するmRNAレベルの97±28%でほとんど不変のままであることが見出され、空腸中のApoB mRNAレベルは対照動物中のレベルの101±16%になった。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの106±6%に低下した。血清コレステロールは、担体対照レベルの129±43%でほとんど変化がないことが見出された。
【0328】
AL−DUP 5167を、1日当たり体重1kgにつき4mgの用量で、浸透圧ポンプから7日間かけて送達し、続いて8日目に屠殺した場合、分岐DNAアッセイにより決定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoB mRNAのレベルは、担体のみを与えた動物の肝臓組織中に存在するmRNAレベルの79±24%でほとんど不変のままであることが見出され、空腸中のApoB mRNAレベルは対照動物中のレベルの70±19%になった。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの106±6%に低下した。血清コレステロールは、担体対照レベルの129±43%でほとんど変化がないことが見出された。
【0329】
F)それぞれ2.5月齢の6匹の動物からなる7つの群に、AL−DUP 5167を、1日目に体重1kgあたり50mgの単回ボーラス注射として与えた。対照群の6匹の動物には、等量の担体を与えた。siRNAを与えた動物群は、投与の12、24、36、60、84および108時間後に屠殺した。担体を与えた対照群は投与後84時間で屠殺した。肝臓および空腸のApoBのmRNAレベルを測定した。
【0330】
AL−DUP 5167のヌクレオチド配列は上記の通りである。
この実験は、肝臓および空腸におけるApoBのmRNAレベル、ならびに血清中のApoBおよびコレステロール濃度に対する、AL−DUP 5167の影響の経時変化を得るために設計した。
【0331】
50mg/kgのAL−DUP 5167の静脈内投与後12時間で屠殺した動物では、肝臓中に、担体のみを与えた動物の肝臓組織中に存在するApoBのmRNAレベルの100±32%が見出され、空腸においては、担体のみを与えた動物の空腸組織中に存在するApoBのmRNAレベルの145±78%が見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの124±14%であると測定された。
【0332】
50mg/kgのAL−DUP 5167の静脈内投与後24時間で屠殺した動物では、肝臓中に、担体のみを与えた動物の肝臓組織中に存在するApoBのmRNAレベルの85±21%が見出され、空腸においては、担体のみを与えた動物の空腸組織中に存在するApoBのmRNAレベルの84±32%が見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの92±52%であると測定された。
【0333】
50mg/kgのAL−DUP 5167の静脈内投与後36時間で屠殺した動物では、肝臓中に、担体のみを与えた動物の肝臓組織中に存在するApoBのmRNAレベルの64±20%が見出され、空腸においては、担体のみを与えた動物の空腸組織中に存在するApoBのmRNAレベルの88±19%が見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの55±12%に低下した。
【0334】
50mg/kgのAL−DUP 5167の静脈内投与後60時間で屠殺した動物では、肝臓中に、担体のみを与えた動物の肝臓組織中に存在するApoBのmRNAレベルの73±10%が見出され、空腸においては、担体のみを与えた動物の空腸組織中に存在するApoBのmRNAレベルの41±13%が見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの43±16%に低下した。
【0335】
50mg/kgのAL−DUP 5167の静脈内投与後84時間で屠殺した動物では、肝臓中に、担体のみを与えた動物の肝臓組織中に存在するApoBのmRNAレベルの72±13%が見出され、空腸においては、担体のみを与えた動物の空腸組織中に存在するApoBのmRNAレベルの68±22%が見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの54±15%に低下した。
【0336】
50mg/kgのAL−DUP 5167の静脈内投与後108時間で屠殺した動物では、肝臓中に、担体のみを与えた動物の肝臓組織中に存在するApoBのmRNAレベルの68±15%が見出され、空腸においては、担体のみを与えた動物の空腸組織中に存在するApoBのmRNAレベルの85±15%が見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの51±8%に低下した。
【0337】
G)それぞれ2.5月齢の10匹の動物からなる5つの群に、AL−DUP 5167、AL−DUP 5385、AL−DUP 5311、AL−DUP 5386のいずれかを3日間連続で静脈内に1日当たり体重1kgにつき50mgの用量として、あるいは等量の担体を与え、1群の7匹の動物には同じ投与法によってAL−DUP 5163を与え、全ての動物を4日目に屠殺した。血清総コレステロール、血清ApoB100濃度、ならびに肝臓および空腸のApoBのmRNAレベルを測定した。さらに、肝臓および空腸の試料中に存在するsiRNAの量を、S1ヌクレアーゼ保護アッセイによって概算した(図6参照)。
【0338】
AL−DUP 5167、AL−DUP 5163、およびAL−DUP 5311のヌクレオチド配列は上記の通りである。AL−DUP 5385およびAL−DUP 5386のヌクレオチド配列は以下のとおりである:
【0339】
【化15】

【0340】
AL−DUP 5385は、センス鎖の3’端にコレステロール部分がなく、センス鎖の20位と21位の間にホスホロチオエート結合を有すること以外、AL−DUP 5167と同一である。このホスホロチオエート基は、ホスホロチオエート含有コレステロール修飾と同様にエクソヌクレアーゼ分解に対する保護を付与することを意図したものである(図1参照)。
【0341】
AL−DUP 5386は、アンチセンス鎖の23位の2’−O−メチル修飾を除去し、21位に2’−O−メチル修飾を加えたこと以外、AL−DUP 3001と同一である。これは、AL−DUP 5386にAL−DUP 3001よりも優れた分解に対する安定性を付与すると考えられた。
【0342】
この実験は、上記の(E)で得た結果を確認し、コレステロール結合型のAL−DUP 5167の活性とコレステロール非結合型であるがその他は同一のAL−DUP 5385の活性とをさらに比較し、かつAL−DUP 3001に関して見られたApoB mRNA発現阻害活性の欠如が、処理群マウス血清中のAL−DUP 3001の急速な分解によるものではなかったことを確認するために設計した。
【0343】
AL−DUP 5167は、分岐DNAアッセイにより測定されたとおり、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの43±6%に低下させたことが見出され、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの27±10%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの32±14%に低下した。マウス血清中の血清コレステロール濃度は、担体対照レベルの63±11%に低下した。S1ヌクレアーゼ保護アッセイによって、組織1g当たり約100〜200ngのAL−DUP 5167が肝臓および空腸組織試料中で検出された(図6A)。
【0344】
AL−DUP 5163は、分岐DNAアッセイにより測定されたとおり、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの64±8%に低下させたことが見出され、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの49±13%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの66±20%に低下した。マウス血清中の血清コレステロール濃度は、担体対照レベルの94±10%でほぼ不変であった。S1ヌクレアーゼ保護アッセイによって、組織1g当たり約50〜150ngのAL−DUP 5163が肝臓および空腸組織試料中で検出された。
【0345】
AL−DUP 5385は、分岐DNAアッセイにより測定されたとおり、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの84±12%としてほぼ不変に保ったことが見出され、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの115±25%になった。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの101±24%で不変であることが見出された。マウス血清中の血清コレステロール濃度は、担体対照レベルの97±10%でほぼ変わらなかった。S1ヌクレアーゼ保護アッセイにおいて、AL−DUP 5385は肝臓および空腸組織試料中で検出不能な状態であった(図6A)。
【0346】
AL−DUP 5311は、分岐DNAアッセイにより測定されたとおり、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの96±16%としてほぼ不変に保ったことが見出され、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの96±28%になった。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの102±32%で不変であることが見出された。マウス血清中の血清コレステロール濃度は、担体対照レベルの104±10%でほぼ変わらなかった。S1ヌクレアーゼ保護アッセイによって、組織1g当たり約50〜200ngのAL−DUP 5311が肝臓および空腸組織試料中で検出された(図6A)。
【0347】
AL−DUP 5386は、分岐DNAアッセイにより測定されたとおり、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの89±11%としてほぼ不変に保ったことが見出され、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの85±14%になった。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの94±31%で不変であることが見出された。マウス血清中の血清コレステロール濃度は、担体対照レベルの104±10%でほぼ変わらなかった。S1ヌクレアーゼ保護アッセイによって、組織1g当たり約50〜200ngのAL−DUP 5386が肝臓および空腸組織試料中で検出された(図6A)。
【0348】
H)それぞれ2.5月齢の6匹の動物からなる6つの群に、体重1kgあたり100、50、25または12.5mgのAL−DUP 5167、または等量の担体の単回静脈内ボーラス投与を実施した。動物は投与後72時間で屠殺した。血清総コレステロール、血清ApoB100濃度、ならびに肝臓および空腸のApoBのmRNAレベルを測定した。
【0349】
AL−DUP 5167のヌクレオチド配列は表10において上記した通りである。
AL−DUP 5167に関する用量反応を評価するために、この実験を実施した。
体重1kgあたり100mgの投与量では、AL−DUP 5167は、分岐DNAアッセイにより測定されたとおり、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの48±13%に低下させたことが見出され、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの37±3%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの57±14%に低下した。血清コレステロールは、担体対照レベルの71±14%に低下した。
【0350】
体重1kgあたり50mgの投与量では、AL−DUP 5167は、分岐DNAアッセイにより測定されたとおり、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの79±15%に低下させたことが見出され、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの67±15%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの69±17%に低下した。血清コレステロールは、担体対照レベルの90±28%でほぼ不変であることが見出された。
【0351】
体重1kgあたり25mgの投与量では、AL−DUP 5167は、分岐DNAアッセイにより測定されたとおり、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの96±7%としてほぼ不変に保ったことが見出され、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの56±11%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの68±26%と測定された。血清コレステロールは、担体対照レベルの93±8%でありほぼ不変であることが見出された。
【0352】
体重1kgあたり12.5mgの投与量では、AL−DUP 5167は、分岐DNAアッセイにより測定されたとおり、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの90±14%としてほぼ不変に保ったことが見出され、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの77±22%であり不変であった。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの95±5%であると測定された。血清コレステロールは、担体対照レベルの91±14%でほぼ不変であることが見出された。
【0353】
I)それぞれ2.5月齢の6匹の動物からなる8つの群に、体重1kgあたり100mgのAL−DUP 5167(配列に関しては、表10を参照)、または等量の担体の単回静脈内ボーラス投与を実施した。AL−DUP 5167で治療した動物群を、投与後18時間、66時間、96時間、168時間、および336時間で屠殺し、担体で治療した動物群は、投与後18時間、66時間、および240時間で屠殺した。240時間後に屠殺した群を対照として使用し、全ての値はこの群で見られた平均に対する割合(%)として表す。血清総コレステロール、血清ApoB100濃度、ならびに肝臓および空腸のApoBのmRNAレベルを測定した。S1ヌクレアーゼ保護アッセイを使用して、肝臓組織中に存在するAL−DUP−5167の量を測定した。
【0354】
この実験は、肝臓および空腸中のApoBのmRNAレベル、ならびに血清ApoBおよびコレステロール濃度に対するAL−DUP 5167の影響の経時変化を確認し、かつ観察時間を延長するために設計した。
【0355】
投与後18時間で、組織1gあたり3.3μgのAL−DUP 5167が肝臓試料中で回収され、66時間後では組織1gあたり22ngに低下し、その後は検出限界未満に低下した。
【0356】
体重1kgあたり100mgのAL−DUP 5167の静脈内投与後18時間で屠殺した動物では、240時間の担体対照群の肝臓組織中に存在するApoBのmRNAレベルの37±16%相当が肝臓において見出され、240時間の担体対照群の空腸組織中に存在するApoBのmRNAレベルの87±29%相当が空腸において見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルのXX±X%に低下した。
【0357】
体重1kgあたり100mgのAL−DUP 5167の静脈内投与後66時間で屠殺した動物では、240時間の担体対照群の肝臓組織中に存在するApoBのmRNAレベルの47±7%相当が肝臓において見出され、240時間の担体対照群の空腸組織中に存在するApoBのmRNAレベルの43±8%相当が空腸において見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルのXX±X%に低下した。
【0358】
体重1kgあたり100mgのAL−DUP 5167の静脈内投与後96時間で屠殺した動物では、240時間の担体対照群の肝臓組織中に存在するApoBのmRNAレベルの38±9%相当が肝臓において見出され、240時間の担体対照群の空腸組織中に存在するApoBのmRNAレベルの78±14%相当が空腸において見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルのXX±X%に低下した。
【0359】
体重1kgあたり100mgのAL−DUP 5167の静脈内投与後168時間で屠殺した動物では、240時間の担体対照群の肝臓組織中に存在するApoBのmRNAレベルの57±5%相当が肝臓において見出され、240時間の担体対照群の空腸組織中に存在するApoBのmRNAレベルの87±27%相当が空腸において見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルのXX±X%に低下した。
【0360】
体重1kgあたり100mgのAL−DUP 5167の静脈内投与後336時間で屠殺した動物では、240時間の担体対照群の肝臓組織中に存在するApoBのmRNAレベルの94±10%相当が肝臓において見出され、240時間の担体対照群の空腸組織中に存在するApoBのmRNAレベルの109±12%相当が空腸において見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルのXX±X%に低下した。
【0361】
生理食塩水対照AL−DUP 5167の静脈内投与後18時間で屠殺した動物では、240時間の担体対照群の肝臓組織中に存在するApoBのmRNAレベルの83±21%相当が肝臓において見出され、240時間の担体対照群の空腸組織中に存在するApoBのmRNAレベルの109±26%相当が空腸において見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの51±8%に低下した。
【0362】
体重1kgあたり100mgのAL−DUP 5167の静脈内投与後18時間で屠殺した動物では、240時間の担体対照群の肝臓組織中に存在するApoBのmRNAレベルの104±19%相当が肝臓において見出され、240時間の担体対照群の空腸組織中に存在するApoBのmRNAレベルの97±21%相当が空腸において見出された。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの51±8%に低下した。
【0363】
この実験は、コレステロール結合型siRNAの作用は肝臓中で7日以上、消化管中で3日以上持続しうることを示すものである。後者は腸管細胞の平均寿命と一致する。
実験A)〜I)からの結論:siRNAを用いた遺伝子発現の阻害について重視すべきことは、観察された作用が特異的であるか、in vitroでのsiRNAおよび他のオリゴヌクレオチド系手法に関して報告された「オフターゲット」効果および起こりうるインターフェロン応答によるものではないかということである。我々の実験では、ApoB特異的なコレステロール結合型siRNAの作用は、ApoB mRNAの個別の配列領域を標的とする幾つかの別個のsiRNAに関して見られた。さらに、非特異的siRNAもミスマッチな対照siRNAも、ApoBのmRNA、血漿ApoBタンパク質レベル、または総コレステロールの有意な低下を仲介しなかったように、ApoBのin vivoでの発現抑制は特異的であった。コレステロール結合型ApoB特異的siRNAは生物学的活性を示し、非結合型ApoB特異的siRNAは示さなかったことから、全身性のin vivo活性を達成するためのコレステロール結合の重要な役割が実証され、化学的結合戦略による全身投与に基づいて活性をさらに最適化する可能性が示唆された。
【0364】
実施例8.コレステロールはsiRNA活性を安定化させる
in vivoで内在標的遺伝子を発現抑制する合成siRNAの可能性を調べる際に、本発明者らは、化学的に安定化されたコレステロール結合型siRNAが、in vitroおよびin vivoで著しく改善された薬理学的性質を有することを見出した。センス鎖およびアンチセンス鎖上に部分的ホスホロチオエート骨格および2’−O−メチル修飾を有する、化学的に安定化されたsiRNAは、血清および組織ホモジェネート中でのエクソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼによる分解に対して有意に高い耐性を示した。ピロリジンリンカーによるsiRNAセンス鎖の3’端でのコレステロールの結合(それによってコレステロール結合型siRNAが生じる)が、細胞培養物中の遺伝子発現抑制活性の有意な消失をもたらすことはなかった。トランスフェクトしたプラスミドからルシフェラーゼを一時的に発現するHeLa細胞において、かつトランスフェクション試薬またはエレクトロポレーションの不在下において、コレステロール結合型siRNAのみがルシフェラーゼ発現を阻害し(IC50200nM)、非結合型siRNAは不活性であった。コレステロール結合型siRNAとヒト血清アルブミン(HSA)の結合は表面プラズモン共鳴測定によって測定されたが、非結合型siRNAはHSAとの測定可能な結合を示さず、コレステロール結合型siRNAは推定KD=1μMでHSAと結合することが分かった。血清タンパク質との高い結合性により、IV注射によりラットに投与されたコレステロール結合型siRNAは、非結合型siRNAと比較して改善されたin vivo薬物動態を示した。50mg/kgでラットにIV注射すると、放射活性標識コレステロール結合型siRNAは血漿中でt1/2=95±13分を有し、一方非結合型siRNAは血漿中でt1/2=6.2±0.6分を有していた。これらの値は、2コンパートメントモデル、一次排出速度と仮定し、WinNonLin(登録商標)4.1(ファルサイトコーポレーション(Pharsight Corporation)、米国カリフォルニア州マウンテンビュー(Mountain View)所在)を使用してカーブフィッティングシミュレーションにより測定した。RNase保護アッセイにより測定されたように、コレステロール結合型siRNAはマウスへの50mg/kgの単回IVボーラス注射後24時間で広範囲の組織生体内分布を示した。非結合型siRNAは組織試料中で検出可能な量が観察されず、コレステロール結合型siRNAは組織1gあたり約200ngの有意なレベルで肝臓、心臓、腎臓、および肺試料中で検出した。全体として、これらの試験から、コレステロールの結合によりsiRNAのin vivo薬物動態が有意に改善されることが実証された。
【0365】
実施例9.ヒトApoB−100トランスジェニックマウスにおけるApoB発現は、ヒトおよびマウスApoBに特異的なsiRNAによって低下する
この実験手順はAlnylam Institutional Animal Care and Use Committeeにより承認されたものであり、マサチューセッツ州ケンブリッジ市の動物福祉に関する規制に従って実施した。
【0366】
ヘミ接合のオスのヒトApoB−100トランスジェニックマウス(系統名:B6.SSJL−Tg(APOB100)N20)を、タコニック社(Taconic)(Taconic、米国ニューヨーク州ジャーマンタウン所在(Germantown、NY、USA)、カタログ番号1004−T)から入手し、12時間の明/暗サイクル(6:30AM/6:30PM)で一定温度および一定湿度において飼育した。動物には放射線照射した標準的なげっ歯類用飼料(PicoLab(登録商標)Rodent Diet20、ピュリナミルズエルエルシー(Purina Mills、LLC)、米国ミズーリ州セントルイス所在、カタログ番号5053)を与えた。
【0367】
30〜32週齢の動物を、治療用に8匹の3群に分けた。1群には、リン酸緩衝生理食塩水(体重1グラムあたり10μl)を、1日1回として3回尾部静脈内注射した(投与間隔24時間)。第2群には、投与用量を体重1グラムあたり10μlとして体重1キログラムあたり50mgのsiRNA AL−DUP5167を、1日1回として3回尾部静脈内注射した(投与間隔24時間)。第3群には、投与用量を体重1グラムあたり10μlとして体重1キログラムあたり50mgのsiRNA AL−DUP 5311を、1日1回として3回尾部静脈内注射した(投与間隔24時間)。siRNA2重鎖はリン酸緩衝生理食塩水中に配合した。
【0368】
最後の注射後24時間で、CO2窒息により動物を屠殺した。肝臓全体、および空腸に相当する小腸のセグメントを各動物から採取し、液体窒素中で急速に凍結させた。凍結組織は乳鉢と乳棒を使用してすり潰し、微粉とした。
【0369】
各組織の粉末約10mgを氷冷1.5mlエッペンドルフチューブに加え、3.3μl(10μl/3ml)の50μg/μlプロテイナーゼKストック溶液(エピセントレ社(Epicentre)、米国ウィスコンシン州マディソン所在、カタログ番号MPRK092)を含む1mlの組織および細胞溶解溶液(エピセントレ社(Epicentre)、米国ウィスコンシン州マディソン所在、カタログ番号MTC096H)を加えた。チューブを渦流攪拌し、5分毎に攪拌しながら15分間65℃でインキュベートした。細胞残骸は室温で10分間5000rcfにてペレット状にし、800μlの上清を新たなチューブに移した。溶解物は、直ぐに(前に記載した)分岐DNAアッセイに使用し、ApoBとGAPDHのmRNAの相対レベルを測定するか、あるいは後で使用するために−80℃で保存した。
【0370】
ApoB特異的siRNA AL−DUP 5167はマウスApoBのmRNAレベルを低下させることが見出された(p<0.01で有意差あり)。AL−DUP 5167で処理した動物では、担体で処理した動物におけるマウスApoBのmRNAレベルに対し、肝臓中では43±10%、空腸中では58±12%であることが見出された。肝臓中のヒトApoBのmRNAは、対照動物の肝臓中のレベルの40±10%に低下した。ミスマッチな対照siRNA AL−DUP 5311は、ApoBのmRNAレベルをほぼ不変に保つことが見出され、AL−DUP 5167で治療した動物では、担体で処理した動物におけるマウスApoBのmRNAレベルに対し、肝臓中では93±20%、空腸中では104±13%が見出された。肝臓中のヒトApoBのmRNAは、対照動物の肝臓中のレベルの92±24%であることが測定された。
【0371】
実施例10.特異的ApoB切断部位は5’−RACE PCRによって同定することが可能である
プライマーはオペロンバイオテクノロジーインコーポレイティド(Operon Biotechnologies,Inc.)(米国カリフォルニア州アラメダ(Alameda)所在)から購入した。
【0372】
前述の実験(G.)(実施例7)の処理群のそれぞれから集めた肝臓および空腸中のApoB mRNAの、siRNA誘導型特異的切断産物を、エルラベら(Llave、et al.)Science(2002年)、297:2053〜6、およびイェクタら(Yekta、et al.)Science(2004年)、304:594〜6に記載の通りに5’−RACEによって同定し、該同定には以下の修飾および以下に記載のプライマーを用いた。この実験では、RNA試料中に存在する5’−リン酸含有RNA、例えばsiRNA複合RISCによるmRNA切断の3’−産物などとアダプタを反応させる。ヌクレアーゼによって触媒される核酸分解反応の、全てではないにせよ大部分の産物は5’−リン酸基を含まず、したがってアダプタとは反応しないと思われる。その後のPCR反応では、アダプタ配列と標的遺伝子配列の両方を含む分子のみが、適切に選択したプライマーによって増幅される。
【0373】
RACEアダプタ(「GeneRacer(商標)」アダプタ、インビトロジェン(Invitrogen))をライゲーションした後、遺伝子特異的プライマー5167GSPを使用してcDNA合成を実施して、「5167」cDNAを生成した。ApoBに対応する配列を、以下のプライマー対:
PCR反応1:GR5’−XbaI(順方向)+5167ApoB Rev2−SalI(逆方向)
PCR反応2:GS5’NestF−XbaI(順方向)+5167ApoB Rev3−SalI(逆方向)
を用いた逐次PCR反応により増幅させた。
【0374】
PCR反応1の50倍希釈物をPCR反応2において使用した。それぞれのPCR反応の産物はアガロースゲル電気泳動によって分析し、臭化エチジウム染色によって視覚化した。siRNA誘導型切断に対応する予想された大きさの特異的バンドが、AL−DUP 5167を与えた動物の肝臓中および空腸中、ならびに程度は少ないがAL−DUP 5385を与えた動物の空腸中で見られた(図7参照)。
【0375】
PCR反応1からの特異的バンドを切り出し、塩基配列を決定して(塩基配列決定用プライマー:5167ApoB Rev3−SalI)、RACEアダプタとマウスApoB(受託番号:XM137955)のヌクレオチド10226との間の接合部の存在を確認した。
【0376】
予想されるsiRNA切断部位に対応する断片を特異的に増幅させるために、PCR反応混合物1を50倍希釈し、以下のプライマー対:
PCR反応3:iApoB5167−XbaI(順方向)+5167ApoB Rev3−SalI(逆方向)
を用いて増幅させた。
【0377】
RACEアダプタと、AL−DUP 5167に仲介されたRNA干渉によって予想されるApoB mRNAのRISC切断産物とを組み合わせるPCR反応混合物1の中に、反応産物が存在する場合、かつ反応産物が存在する場合のみ、PCR反応3においてPCR産物が形成される。このPCR反応の産物を、前述のようにして視覚化した(図7)。増幅させたバンドを確認する塩基配列決定を前述のように実施した。
【0378】
プライマーの配列は:
【0379】
【化16】

【0380】
である。
実施例11.修飾siRNAに関するその他の試験
他の修飾siRNAの設計
AL−DUP 5002、AL−DUP 5035、AL−DUP 5048、AL−DUP 5089、AL−DUP 5097、およびAL−DUP 5098の修飾型に相当する他のsiRNAについて、ApoB発現の阻害に向けて安定性および活性に関して試験した。ピロリジンリンカーを介してセンス鎖の3’端にコレステロール部分が結合した、AL−DUP 5048の修飾型を合成した。非修飾型iRNA剤であるAL−DUP 5002、AL−DUP 5035、AL−DUP 5089、AL−DUP 5097、およびAL−DUP 5098のそれぞれについて、21ヌクレオチドのセンス鎖と、23ヌクレオチドのアンチセンス鎖とを有し、2ヌクレオチドの3’突出部分が形成され、センス鎖の3’端にはホスホロチオエート含有リンカーを介してコレステロール部分が結合しており、アンチセンス鎖の21位および22位に2’−O−メチルヌクレオチドを有し、かつアンチセンス鎖の21位と22位、および22位と23位の間にホスホロチオエート結合を有する、1つのiRNA剤を合成した。この構造はAL−DUP 5167において既に使用した修飾パターンに相当するものであり、エクソヌクレアーゼの分解活性からiRNA剤が保護されることを意味する。
【0381】
さらに、AL−DUP 5002、AL−DUP 5035、AL−DUP 5089、AL−DUP 5097、およびAL−DUP 5098の修飾型に相当し、ホスホロチオエート含有リンカーを介してセンス鎖の3’端にコレステロール部分が結合し、存在する全ての配列モチーフ5’−UA−3’、5’−CA−3’、5’−UU−3’、および5’−UG−3’の5’側のピリミジンの位置に2’−O−メチル修飾ヌクレオチドを有し、かつアンチセンス鎖の21位と22位、および22位と23位の間にホスホロチオエート結合を有する、第2のiRNA剤を合成した。これらの追加の修飾を施して、エンドヌクレアーゼの分解活性からこれらのsiRNA剤を保護した。対応する配列を表11中に列挙する。
【0382】
【表11】

【0383】
siRNA安定性試験
上記siRNA(配列を表11に示す)について、ヒト血清(シグマ‐アルドリッチケミー ゲーエムベーハー(Sigma−Aldrich Chemie GmbH)、ドイツ国タウフキルヒェン(Taufkirchen)所在、カタログ番号H1513)中でインキュベーションした後にHPLCで分離断片を単離することによって、安定性に関して試験した。各siRNAをリン酸緩衝生理食塩水(PBS、シグマ‐アルドリッチケミー ゲーエムベーハー、ドイツ国タウフキルヒェン所在)に溶かした50μM溶液を、血清と共に、血清:siRNA溶液の比を10:1として30分、1、2、4、8、16および24時間インキュベートし、試料を以下に記載したように分析した。
【0384】
血清試料のプロテイナーゼK処理後のHPLCによるsiRNA分解経時変化の測定 プロテイナーゼK(20mg/ml)をpeQLab(ドイツ国エルランゲン(Erlangen)所在、カタログ番号04−1075)から入手し、脱イオン水(18、2mΩ)で1:1に希釈して、終濃度10mg/mlのプロテイナーゼKとした。プロテイナーゼKバッファー(4.0mlのTRIS−HCl 1M pH7.5、1.0mlのEDTA 0.5M、1.2mlのNaCl 5M、4.0mlのSDS 10%)を新たに調製し、使用するまで50℃に保ち沈殿を回避した。
【0385】
40merのポリ(L−dT)である(L−dT)40を、ノクソンファーマアーゲー(Noxxon Pharma AG)(ドイツ国ベルリン所在)から入手し、内部標準として使用した。核酸のL−エナンチオマーのポリマーは、R−エナンチオマーのみで構成される天然の核酸と比較すると、核酸分解に対して驚くべき安定性を示すが(クラスマン、エスら(Klussman S、et al.)、Nature Biotechn.1996年、14:1112)、その他の点では非常に類似した性質を示す。
【0386】
siRNA分解を終了させるために、25μlのプロテイナーゼKバッファーを、各インキュベーション時間の終了直後に血清インキュベーション試料に加え、該混合物を最高速度で5秒間攪拌し(Vortex Genie(登録商標)2、サイエンティフィックインダストリーズインコーポレイテッド(Scientific Industries、Inc.)、米国ニューヨーク州ボヘミア(Bohemia)所在、カタログ番号SI0256)、8μlのプロテイナーゼK(10mg/ml)を加えてから5秒間攪拌し、最後に混合物を42℃および1050rpmにおいてサーモミキサー中で20分間インキュベートした。
【0387】
(L−dT)40の50μM溶液5μl(250pmole)を内部標準としてそれぞれのウェルに加え、溶液を5秒間攪拌し、チューブを卓上遠心分離機中で1分間遠心分離して、ウェルの内側表面に付着した全ての小滴を底部に集めた。溶液を96ウェルのCaptiva(商標)0.2umフィルタプレート(バリアン(Varian)、ドイツ国所在、カタログ番号A5960002)に移し、21900rcfで45分間の遠心分離によって濾過した。
【0388】
インキュベーションウェルを47.5μlの脱イオン水(18.2mΩ)で洗浄し、洗浄液をCaptiva(商標)フィルタユニットで21900rcfにて15分間濾過し、この洗浄工程を繰り返した。理論上の合計体積200μlのうち平均して約180μlが、第2の洗浄工程後に回収される。
【0389】
イオン交換クロマトグラフィーによる、siRNA1本鎖相互および分解産物からのsiRNA1本鎖の分離:
インライン脱気装置、オートサンプラー、カラムオーブンおよび固定波長のUV検出器を備えたDionex BioLC HPLCシステム(ダイオネクス ゲーエムベーハー(Dionex GmbH)、ドイツ国イドシュタイン(Idstein)所在)を、変性条件下で使用した。標準実施パラメータは:
カラム:Dionex DNA−Pac100;4×250mm
温度:75℃
溶出液A:10mMのNaClO4、20mMのTRIS−HCl、1mMのEDTA;10%アセトニトリル、pH=8.0
溶出液B:800mMのNaClO4、20mMのTRIS−HCl、1mMのEDTA;10%アセトニトリル、pH=8.0
検出:260nm
勾配:0〜1分:10%B
1〜11分:10%→35%B
11〜12分:35%B→100%B
12〜14分:100%B→10%B
14〜16分:カラムの再平衡化のために10%B
注入体積:20μl
とした。
【0390】
siRNAの2本の鎖の分離が十分ではなかったか、あるいは分解断片が一方の鎖と共に溶出した場合、温度、pH、NaBrによるNaClOの置換、アセトニトリルの濃度を変えることによって、かつ/あるいはセンス鎖およびアンチセンス鎖からのピークの個別定量を可能にする分離が達成されるまで溶出勾配の程度を調整することによって、クロマトグラフィーのパラメータを調整した。
【0391】
UV検出器(Chromeleon(登録商標)6.6;ダイオネクス ゲーエムベーハー、ドイツ国イドシュタイン(Idstein)所在)の製造業者によって供給されたソフトウェアを使用して、UV検出器のシグナルを積分することにより完全長の鎖のピーク面積を得た。
【0392】
データ分析:
センス鎖、アンチセンス鎖、および内部標準の積分したピーク面積を、全ての試料および標準化対照に関して得た。
【0393】
濾過工程および洗浄工程中の液体の消失を示す補正係数CFを、内部標準の実験上のピーク面積と理論上のピーク面積との比を計算することにより各試料に関して決定した。内部標準の理論上のピーク面積は、例えば(L−dT)40の50μM溶液の連続希釈液各50μlをHPLCカラムに注入することによって得た内部標準の検量線、ならびに該連続希釈系列からのピーク面積に線形最少二乗法をフィッティングして得た等式を用いて、25pmoleの(L−dT)40に対応する理論上のピーク面積を計算することから得る。センス鎖およびアンチセンス鎖のピーク面積に適用すべき補正係数CFは、以下の:
CF=ピーク面積内部標準(理論上)/ピーク面積内部標準(試料)
として得られる。
【0394】
この処理では、フィルタを2回洗浄することによって、合わせた濾液中にほぼ完全な回収が達成されると想定し、フィルタに残った洗浄水の種々の体積を補正して、異なる試料由来のピーク面積を比較できるようにする。
【0395】
次いで、各時点でセンス鎖およびアンチセンス鎖のピークに関して得たピーク面積を、補正係数CFと掛け合わせて、標準化ピーク面積(NPAセンス、NPAアンチセンス):
NPAセンスまたはアンチセンス=(ピーク面積センスまたはアンチセンス、t)×CF
を得る。
【0396】
時間tでのセンス鎖およびアンチセンス鎖について残存している完全長生成物の相対量(%FLP)を得るために、時間t=0分での各鎖の標準化ピーク面積(NPAセンス、t=0、NPAアンチセンス、t=0)を100%と設定し、他の時点でのNPAをこれらの値で割る。
【0397】
%FLP1,2,3...n=(NPAt=1,2,3...n/NPAt=0)×100
siRNAをアニーリングバッファーのみとインキュベートした対照試料から得た値は、方法の精度の対照値として役立てることができる。いずれの鎖の%FLPも、インキュベーション時間とは無関係に誤差範囲内で100%付近になるはずである。
【0398】
したがって分解半減期t1/2を、一次反応速度と仮定して、時間に対するln(%FLP)のプロットへフィッティングした線形最少二乗法の傾きから:
1/2=ln(0,5)/傾き
として、各鎖に関して計算することが可能である。
【0399】
表11に配列で記載したsiRNAの血清中半減期
表11に示す配列によって表されるsiRNAの完全長産物の分解半減期を、表12に示す。AL−DUP 5546のアンチセンス鎖の半減期が、そのセンス鎖またはAL−DUP 5167のアンチセンス鎖の半減期と比較して異なることから明らかなように、3’の最後から2番目のヌクレオチドの2’−O−メチル基およびホスホロチオエート結合による鎖の3’端の保護は、分解半減期の約6〜7倍の増大をもたらす。さらに、エンドヌクレアーゼ分解を特に受けやすい部位で2’−O−メチル修飾ヌクレオチド置換を行うことによって、AL−DUP 5543以外は半減期が約3〜4倍さらに改善し、平均して20倍改善した。
【0400】
【表12】

【0401】
エンドヌクレアーゼ分解耐性を有するように修飾したsiRNAのin vitro活性
表11のsiRNAのin vitro活性を、本明細書中で実施例3において上述したようにして試験した。結果は表13中に示す。
【0402】
【表13】

【0403】
表13のAL−DUP 5167およびAL−DUP 5546のIC50の比較から明らかなように、AL−DUP 5167においてアンチセンス鎖の21位と22位、および22位と23位の間にホスホロチオエート結合を、かつアンチセンス鎖の21位および22位の2’−O−メチル基を導入することにより、このsiRNAの活性に悪影響を与えることはなかった。さらに、AL−DUP 5536とAL−DUP 5537、AL−DUP 5538とAL−DUP 5539、AL−DUP 5540とAL−DUP 5541、AL−DUP 5542とAL−DUP 5543、ならびにAL−DUP 5544とAL−DUP 5545のIC50の比較からわかるように、存在する全ての配列モチーフ5’−UA−3’、5’−CA−3’、5’−UU−3’、および5’−UG−3’の5’側のピリミジンの位置への2’−O−メチル修飾ヌクレオチドの導入は、多くの場合これらのいずれの分子の活性に対しても悪影響はなかった。
【0404】
エンドヌクレアーゼ分解耐性を有するように修飾したsiRNAのin vivo活性
以下の実験は、上記実施例7に記載したのと同様の通常作業および手順を使用して実施した。
【0405】
それぞれ2.5月齢の5匹の動物からなる13の群に、体重1kgあたり100mgのAL−DUP 5167、AL−DUP 5536、AL−DUP 5537、AL−DUP 5538、AL−DUP 5539、AL−DUP 5540、AL−DUP 5541、AL−DUP 5542、AL−DUP 5543、AL−DUP 5544、AL−DUP 5545、または等量の担体を、単回で静脈内ボーラス投与した。動物は投与後72時間で屠殺した。血清総コレステロール、血清ApoB100濃度、ならびに肝臓および空腸のApoBのmRNAレベルを測定した。さらに、実施例7に記載したのと同様にS1ヌクレアーゼ保護アッセイによって各群から3匹の動物の肝臓、空腸、および血清試料においてsiRNAの濃度を測定した。ただし、放射活性バンドの強度の定量はバンドを希釈系列と目視で比較することによって行い、標準偏差は計算しなかった。
【0406】
AL−DUP 5167のヌクレオチド配列は上記の表10の通りである。AL−DUP 5536、AL−DUP 5537、AL−DUP 5538、AL−DUP 5539、AL−DUP 5540、AL−DUP 5541、AL−DUP 5542、AL−DUP 5543、AL−DUP 5544、およびAL−DUP 5545のヌクレオチド配列は表11に上記した通りである。
【0407】
この実験は、生物媒体中でのsiRNAの安定性を改善するために同siRNA中に導入した修飾による、in vivoでの該siRNAの遺伝子発現阻害活性に対する影響を評価するために行った。
【0408】
体重1kgあたり100mgの用量において、AL−DUP 5167は、分岐DNAアッセイにより測定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの42±12%に低下させたことが分かり、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの45±8%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの44±23%に低下した。血清コレステロールは、担体対照レベルの75±20%でほぼ不変のままであった。3匹の動物の平均iRNA濃度はおよそ、肝臓で70ng/g、空腸で14ng/g、血清で14ng/gであることがわかった。
【0409】
体重1kgあたり100mgの用量において、AL−DUP 5546は、分岐DNAアッセイにより測定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの95±9%としてほぼ不変に保ったことが分かり、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの102±16%であった。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの113±39%でほぼ不変のままであった。血清コレステロールは、担体対照レベルの132±10%に上昇した。3匹の動物の平均iRNA濃度はおよそ、肝臓で1ng/g、空腸では検出不能、血清では検出不能であることがわかった。
【0410】
体重1kgあたり100mgの用量において、AL−DUP 5536は、分岐DNAアッセイにより測定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの56±8%に低下させたことが分かり、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの28±8%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの46±6%に低下した。血清コレステロールは、担体対照レベルの74±33%に低下した。3匹の動物の平均iRNA濃度はおよそ、肝臓で2ng/g、空腸で6ng/g、血清で6ng/gであることがわかった。
【0411】
体重1kgあたり100mgの用量において、AL−DUP 5537は、分岐DNAアッセイにより測定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの72±11%に低下させたことが分かり、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの94±9%でほぼ不変であった。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの75±25%でほぼ不変のままであった。血清コレステロールは、担体対照レベルの118±9%でほぼ不変のままであった。3匹の動物の平均iRNA濃度はおよそ、肝臓で検出不能、空腸で検出不能、血清で1ng/gであることがわかった。
【0412】
体重1kgあたり100mgの用量において、AL−DUP 5538は、分岐DNAアッセイにより測定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの56±16%に低下させたことが分かり、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの75±1%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの102±27%でほぼ不変のままであった。血清コレステロールは、担体対照レベルの117±18%でほぼ不変のままであった。3匹の動物の平均iRNA濃度はおよそ、肝臓で35ng/g、空腸で7ng/g、血清で18ng/gであることがわかった。
【0413】
体重1kgあたり100mgの用量において、AL−DUP 5539は、分岐DNAアッセイにより測定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの76±18%としてほぼ不変に保ったことが分かり、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、担体対照レベルの62±12%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの108±23%でほぼ不変のままであった。血清コレステロールは、担体対照レベルの102±18%でほぼ不変のままであった。3匹の動物の平均iRNA濃度はおよそ、肝臓で7ng/g、空腸で4ng/g、血清で2ng/gであることがわかった。
【0414】
体重1kgあたり100mgの用量において、AL−DUP 5540は、分岐DNAアッセイにより測定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの54±12%に低下させたことが分かり、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの54±12%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの72±30%でほぼ不変のままであった。血清コレステロールは、担体対照レベルの91±10%でほぼ不変のままであった。3匹の動物の平均iRNA濃度はおよそ、肝臓で130ng/g、空腸で28ng/g、血清で25ng/gであることがわかった。
【0415】
体重1kgあたり100mgの用量において、AL−DUP 5541は、分岐DNAアッセイにより測定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの73±10%に低下させたことが分かり、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの68±5%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの90±8%でほぼ不変のままであった。血清コレステロールは、担体対照レベルの99±8%でほぼ不変のままであった。3匹の動物の平均iRNA濃度はおよそ、肝臓で72ng/g、空腸で10ng/g、血清で7ng/gであることがわかった。
【0416】
体重1kgあたり100mgの用量において、AL−DUP 5542は、分岐DNAアッセイにより測定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの58±9%に低下させたことが分かり、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの28±4%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの55±9%に低下した。血清コレステロールは、担体対照レベルの61±27%でほぼ不変のままであった。3匹の動物の平均iRNA濃度はおよそ、肝臓で8ng/g、空腸で17ng/g、血清で22ng/gであることがわかった。
【0417】
体重1kgあたり100mgの用量において、AL−DUP 5543は、分岐DNAアッセイにより測定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの77±5%に低下させたことが分かり、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの91±14%でほぼ不変であった。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの97±16%でほぼ不変のままであった。血清コレステロールは、担体対照レベルの128±24%でほぼ不変のままであった。3匹の動物の平均iRNA濃度はおよそ、肝臓で検出不能、空腸で検出不能、血清で検出不能であることがわかった。
【0418】
体重1kgあたり100mgの用量において、AL−DUP 5544は、分岐DNAアッセイにより測定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの63±6%に低下させたことが分かり、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの20±3%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの46±5%に低下した。血清コレステロールは、担体対照レベルの55±5%に低下した。3匹の動物の平均iRNA濃度はおよそ、肝臓で>900ng/g、空腸で60ng/g、血清で40ng/gであることがわかった。
【0419】
体重1kgあたり100mgの用量において、AL−DUP 5545は、分岐DNAアッセイにより測定されたように、処理群マウスの肝臓組織試料中に存在するApoBのmRNAのレベルを、担体のみを与えた動物の肝臓組織に存在するmRNAレベルの58±11%に低下させたことが分かり、空腸中のApoBのmRNAのレベルは、対照動物中のレベルの37±11%に低下した。マウス血清中の血清ApoBタンパク質濃度は、担体対照レベルの50±6%に低下した。血清コレステロールは、担体対照レベルの75±28%でほぼ不変のままであった。3匹の動物の平均iRNA濃度はおよそ、肝臓で70ng/g、空腸で7ng/g、血清では検出不能であることがわかった。
【0420】
実施例12.
免疫学的能力に関するsiRNAの試験
近年、siRNA剤は潜在的に有害な免疫応答を誘導する可能性があると主張する、幾つかの報告が発表されてきている(例えば、ホルヌングら(Hornung et al.)、Nature Med 2005、11:263〜270を参照のこと)。例えば、siRNAによって引き起こされる可能性のあるヒトでの一時的なインターフェロンα(IFN−α)の増大の、生物学的影響については、ほとんど知られていない。不必要な、危険な副作用を回避するために、検出可能な免疫賦活活性がほとんどあるいは全くない強力な抗ウイルスsiRNAを有することが望ましい。しかしながら、ヒトでの正確なプロセスを忠実にシミュレーションするのは不可能なので、本発明者らは、記載した実験が、オリゴヌクレオチドおよびsiRNAによる免疫賦活を予想するのに適していると考える。
【0421】
本発明者らは、siRNAであるAL−DUP 5167、AL−DUP 5536、AL−DUP 5537、AL−DUP 5538、AL−DUP 5539、AL−DUP 5542、AL−DUP 5543、AL−DUP 5544、およびAL−DUP 5545による末梢血単核細胞(PBMC)でのIFN−αの誘導を測定することによって、表11に列挙したsiRNAの免疫原性を試験した。AL−DUP 5311を、無関係な配列対照として含めた。IFN−αの強力な誘導剤であるODN2216(ホルヌングら(Hornung et al.)、Nature Med 2005、11:263〜270)を陽性対照として使用し、PBSを陰性対照として使用した。ODN2216のヌクレオチド配列は、
【0422】
【化17】

である。
【0423】
チャン、エイチ、エス(Chang、H.S.)およびサック、ディー、エー(Sack、D.A.)、Clin.Diag.Lab.Immunology 2001、8:482〜488に記載の通りFicoll(登録商標)勾配遠心分離によってPBMCを単離した。ただし、ドイツ国ズール(Suhl)所在のInstitute for Transfusion Medicine gGmbH、から入手した1人のドナー由来の無濾過で赤血球を含まない白血球濃縮物(Buffy Coat)を、PBSで1:1に希釈して、出発材料として使用し、RPMI完全培地(RPMI1640完全培地;10%FCS;1%L−Glu)中の最終懸濁液を細胞106個/mlに調節した。
【0424】
Opti−MEM(登録商標)またはOpti−MEM+トランスフェクション試薬GenPorter(商標)2(GP2;ペクラブ バイオテクノロギー ゲーエムベーハー(Peqlab Biotechnologie GmbH)、ドイツ国エルランゲン(Erlangen)所在)中で、ODN2216またはsiRNAと共に細胞をインキュベートした。96ウェルプレートのウェル当たり100μlの細胞懸濁液(100,000個の細胞)を、Opti−MEMにオリゴヌクレオチドを溶かした1.5μM溶液50μl(最終オリゴヌクレオチド濃度500nM)、あるいはa)6μlのGP2試薬と119μlのOpti−MEMの混合物、およびb)PBSにオリゴヌクレオチドを溶かした100μM溶液1μlとGP2キットの希釈液B124μlの混合物の、1:1混合物50μl(最終オリゴヌクレオチド濃度133nM)と組み合わせた。インキュベーションを37℃で24時間続け、50μlの上清をウェルの上部から注意深く取り出した。該上清を、huIFN−αインスタントELISA(ベンダーメドシステムズ(BenderMed Systems)、オーストリア国ウィーン所在、カタログ番号BMS216INST)を用いたIFN−α測定用に使用した。表14はその結果を要約したものである。
【0425】
【表14】

【0426】
実施例11および12からの結論:
a)幾つかの特に分解を受けやすい部位に修飾ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドは、生物媒体中in vitroでの半減期の点で利点を有し、一方in vitroおよびin vivoでの遺伝子発現阻害活性は大部分が影響を受けない。
【0427】
b)siRNAはその配列によっては、全般的にではないが、免疫賦活物質である可能性がある。
c)AL−DUP 5536、AL−DUP 5540およびAL−DUP 5542は、apoB発現を阻害するためのiRNA剤として、したがってapoBの異常発現と関係がある障害の治療剤として、特に有望な候補である。
【0428】
表15は、上述のiRNA剤を表すために本明細書で使用される場合のある薬剤番号を列挙するものである。
【0429】
【表15】

【0430】
その他の実施形態
本発明の幾つかの実施形態について記載してきた。しかしながら、本発明の思想および範囲から逸脱せずにさまざまな変更形態を作製しうることは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤番号1〜74のiRNA剤のセンス鎖配列のうち少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するセンス鎖と、薬剤番号1〜74のiRNA剤のアンチセンス配列のうち少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖とを含んでなるiRNA剤。
【請求項2】
薬剤番号1〜19、24〜26、29、30および32〜42のiRNA剤のセンス配列のうち少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するセンス鎖と、薬剤番号1〜19、24〜26、29、30および32〜42のiRNA剤のアンチセンス配列のうち少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖とを含んでなるiRNA剤であって、該iRNA剤が、同剤とのインキュベーション後に培養ヒトHepG2細胞中に存在するApoBのmRNAの量を、同剤とともにインキュベーションしなかった細胞と比較して60%超減少させるか、あるいは細胞培養上清中に分泌されるApoBタンパク質の量を60%超減少させるかのうち少なくともいずれかを特徴とするiRNA剤。
【請求項3】
薬剤番号1〜12、15、17、24、29、30および32〜35のiRNA剤のセンス配列のうち少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するセンス鎖と、薬剤番号1〜12、15、17、24、29、30および32〜35のiRNA剤のアンチセンス配列のうち少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖とを含んでなるiRNA剤であって、該iRNA剤が、同剤とのインキュベーション後に培養ヒトHepG2細胞中に存在するApoBのmRNAの量を、同剤とともにインキュベーションしなかった細胞と比較して70%超減少させるか、あるいは細胞培養上清中に分泌されるApoBタンパク質の量を70%超減少させるかのうち少なくともいずれかを特徴とするiRNA剤。
【請求項4】
薬剤番号1〜5、7、および11のiRNA剤のセンス配列のうち少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するセンス鎖と、薬剤番号1〜5、7、および11のiRNA剤のアンチセンス配列のうち少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖とを含んでなるiRNA剤であって、該iRNA剤が、同剤とのインキュベーション後に培養ヒトHepG2細胞中に存在するApoBのmRNAの量を、同剤とともにインキュベーションしなかった細胞と比較して80%超減少させるか、あるいは細胞培養上清中に分泌されるApoBタンパク質の量を80%超減少させるかのうち少なくともいずれかを特徴とするiRNA剤。
【請求項5】
センス鎖およびアンチセンス鎖からなるiRNA剤であって、センス鎖およびアンチセンス鎖の各々が、薬剤番号1〜74のiRNA剤の配列のうちの1つとほぼ同一の少なくとも16、17または18ヌクレオチドの配列からなり、鎖当たりそれぞれ1、2または3個以下のヌクレオチドが他のヌクレオチドによって置換されている(例えばアデノシンがウラシルによって置換されている)が、培養ヒトHepG2細胞中でのApoBの発現を阻害する能力、ならびにC57Bl/6マウスに体重1kgあたり50mgまたは100mgの該iRNA剤を投与した後に該動物の肝臓細胞中に存在するapo−BのmRNAの量をin vivoで少なくとも20%減少させる能力を、ほぼ保持していることを特徴とするiRNA剤。
【請求項6】
薬剤番号54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、または74のiRNA剤の群から選択されるiRNA剤。
【請求項7】
前記iRNA剤が、該iRNA剤とのインキュベーション後に培養ヒトHepG2細胞中に存在するApoBのmRNAの量を、同剤とともにインキュベーションしなかった細胞と比較して50%超減少させるか、あるいは培養ヒトHepG2細胞によって細胞培養上清中に分泌されるApoBタンパク質の量を50%超減少させるか、あるいは体重1kgあたり50mgまたは100mgの投与後にC57Bl/6マウスの肝臓細胞中に存在するapo−BのmRNAの量を、in vivoで少なくとも20%減少させるかのうち少なくともいずれかの特徴を有する、請求項1に記載のiRNA剤。
【請求項8】
前記アンチセンスRNA鎖の長さが30ヌクレオチド以下であり、前記iRNA剤の2重鎖領域の長さが15〜30ヌクレオチド対である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のiRNA剤。
【請求項9】
前記iRNA剤が肝臓を起源とするマウス培養細胞中に存在するApoBのmRNAの量をさらに減少させる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のiRNA剤。
【請求項10】
前記iRNA剤に生物試料中での高い安定性を付与する修飾を含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のiRNA剤。
【請求項11】
ホスホロチオエートまたは2’−修飾ヌクレオチドを含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のiRNA剤。
【請求項12】
ウリジンが2’−修飾ヌクレオチドである少なくとも1個の5’−ウリジン−アデニン−3’(5’−UA−3’)ジヌクレオチド;5’−ウリジンが2’−修飾ヌクレオチドである少なくとも1個の5’−ウリジン−グアニン−3’(5’−UG−3’)ジヌクレオチド;5’−シチジンが2’−修飾ヌクレオチドである少なくとも1個の5’−シチジン−アデニン−3’(5’−CA−3’)ジヌクレオチド;または5’−ウリジンが2’−修飾ヌクレオチドである少なくとも1個の5’−ウリジン−ウリジン−3’(5’−UU−3’)ジヌクレオチドを含んでなる、請求項11に記載のiRNA剤。
【請求項13】
存在する全ての配列モチーフ5’−UA−3’、5’−CA−3’、5’−UU−3’、および5’−UG−3’の5’側のピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドであるか、あるいは
センス鎖中の全ピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドであり、かつ存在する全ての配列モチーフ5’−UA−3’および5’−CA−3’の5’側のピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドであるか、あるいは
センス鎖中の全ピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドであり、かつアンチセンス鎖中の存在する全ての配列モチーフ5’−UA−3’、5’−CA−3’、5’−UU−3’、および5’−UG−3’の5’側のピリミジンが2’−修飾ヌクレオチドである、請求項12に記載のiRNA剤。
【請求項14】
前記2’−修飾が、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル(2’−O−MOE)、2’−O−アミノプロピル(2’−O−AP)、2’−O−ジメチルアミノエチル(2’−O−DMAOE)、2’−O−ジメチルアミノプロピル(2’−O−DMAP)、2’−O−ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’−O−DMAEOE)、および2’−O−N−メチルアセトアミド(2’−O−NMA)からなる群から選択される、請求項11〜13のいずれか一項に記載のiRNA剤。
【請求項15】
1〜4個の対合していないヌクレオチドを有するヌクレオチド突出部分を含んでなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載のiRNA剤。
【請求項16】
前記ヌクレオチド突出部分が2または3の対合していないヌクレオチドを有する、請求項15に記載のiRNA剤。
【請求項17】
前記ヌクレオチド突出部分がiRNA剤のアンチセンス鎖の3’端に存在する、請求項15または16に記載のiRNA剤。
【請求項18】
コレステロール部分を含んでなる、請求項1〜17のいずれか一項に記載のiRNA剤。
【請求項19】
前記コレステロール部分がiRNA剤のセンス鎖の3’端に結合している、請求項18に記載のiRNA剤。
【請求項20】
前記iRNA剤が肝臓の細胞により取り込まれるように標的化されている、請求項1〜19のいずれか一項に記載のiRNA剤。
【請求項21】
前記iRNA剤が消化管の細胞により取り込まれるように標的化されている、請求項1〜20のいずれか一項に記載のiRNA剤。
【請求項22】
脂質障害を有するかあるいは発症する危険があるヒト対象を治療する方法であって、iRNA剤を投与することからなり、該iRNA剤が、薬剤番号1〜74のiRNA剤のセンス鎖配列のうち少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するセンス鎖と、薬剤番号1〜74のiRNA剤のアンチセンス配列のうち少なくとも15個連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖とを含んでなることを特徴とする方法。
【請求項23】
前記脂質障害が高コレステロール血症、高脂血症、冠状動脈疾患、冠状動脈心疾患、血栓症、またはアテローム性動脈硬化症である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記iRNA剤を、前記対象の細胞または組織中のApoBの発現を低下させるのに充分な量投与する、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
a.請求項1〜21のいずれか1項に記載のiRNA剤、および
b.医薬として許容可能な担体
からなる医薬組成物。
【請求項26】
請求項1〜21のいずれか1項に記載のiRNA剤と、医薬として許容可能な担体を配合することからなる、医薬組成物を調製する方法。
【請求項27】
請求項1〜21のいずれか1項に記載のiRNA剤と、細胞を接触させることからなる、細胞中のApoB RNAの量を減少させる方法。
【請求項28】
in vitroで前記iRNA剤と前記細胞を接触させる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
対象においてin vivoで前記iRNA剤と前記細胞を接触させる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が、高コレステロール血症、高脂血症、冠状動脈疾患(CAD)、冠状動脈心疾患、血栓症、またはアテローム性動脈硬化症であると診断されている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項1〜21に記載のiRNA剤を製造する方法であって、前記iRNA剤を合成することからなり、センス鎖およびアンチセンス鎖が、核酸分解に対してiRNA剤を安定化する修飾を少なくとも1個含んでなることを特徴とする方法。
【請求項32】
前記対象が、脂質障害を有すると診断されている、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記対象が、高コレステロール血症、高脂血症、冠状動脈疾患、冠状動脈心疾患、血栓症、またはアテローム性動脈硬化症を有すると診断されている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記対象がヒトである、請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
ApoB遺伝子の発現を阻害すると考えられるiRNA剤を評価する方法であって、
a.iRNA剤を提供する工程であって、第1鎖がApoBのmRNAのヌクレオチド配列と充分相補的であり、第2鎖が第1鎖とハイブリダイズするのに充分な第1鎖との相補性を有することを特徴とする工程と、
b.ApoB遺伝子を含む細胞とiRNA剤を接触させる工程と、
c.細胞とiRNA剤を接触させる前の、または接触させていない対照細胞のApoB遺伝子の発現と、細胞とiRNA剤を接触させた後のApoB遺伝子の発現とを比較する工程と、
d.iRNA剤がApoB遺伝子の発現を阻害するのに有用であるかどうかを判定する工程であって、細胞中に存在するApoBのRNAまたは該細胞によって分泌されるタンパク質の量が、細胞とiRNA剤を接触させる前の量より少ない場合、該iRNAは有用であることを特徴とする工程と
からなる方法。
【請求項36】
工程b〜dを、in vitroおよびヒト以外の実験動物におけるin vivoの両方で実施する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
末梢血単核細胞によるインターフェロン−α産生の活性化の際の前記iRNA剤の活性を測定することをさらに含む、請求項35または36に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図5K】
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【図5L】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2013−75903(P2013−75903A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−275867(P2012−275867)
【出願日】平成24年12月18日(2012.12.18)
【分割の表示】特願2007−533724(P2007−533724)の分割
【原出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(505369158)アルナイラム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】ALNYLAM PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】