説明

B−アリールボラジンの製造方法

【課題】工業上より有利な手法によりB−アリールボラジンを製造するための手段を提供する。
【解決手段】B−アリールボラジンを製造する際に、化学式1で表されるボラジン化合物と、化学式2で表される芳香族化合物とを、水素と結合していない窒素原子を少なくとも2個含み、前記窒素原子どうしが2または3個の炭素原子により結合しており、前記窒素原子の少なくとも1つが複素環を構成し、前記複素環が単環または奇数個の環からなる縮合複素環であり、前記複素環にはハロゲン原子が直接置換しておらず、前記複素環の窒素原子と炭素原子との結合軸の延長線上にいずれの複素環をも構成しない炭素原子が存在しえない立体構造を有する1種または2種以上の配位子、および金属触媒の存在下で反応させて、化学式3で表されるB−アリールボラジンを合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、B−アリールボラジンの製造方法に関する。B−アリールボラジンのようなボラジン化合物は、例えば、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層を形成するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
情報機器の高性能化に伴い、LSIのデザインルールは、年々微細になっている。微細なデザインルールのLSI製造においては、LSIを構成する材料も高性能で、微細なLSI上でも機能を果たすものでなければならない。
【0003】
例えば、LSI中の層間絶縁膜に用いられる材料に関していえば、高い誘電率は信号遅延の原因となる。微細なLSIにおいては、この信号遅延の影響が特に大きい。このため、層間絶縁膜として用いられうる、新たな低誘電率材料の開発が所望されていた。また、層間絶縁膜として使用されるためには、誘電率が低いだけでなく、耐湿性、耐熱性、機械的強度などの特性にも優れている必要がある。
【0004】
かような要望に応えるものとして、分子内にボラジン環骨格を有するボラジン化合物が提案されている。ボラジン化合物は分子分極率が小さいため、形成される被膜は低誘電率を示す。その上、形成される被膜は、耐熱性にも優れる。
【0005】
ボラジン化合物の一形態として、ボラジン環骨格上のホウ素(B)原子がアリール基により置換された、いわゆるB−アリールボラジンが知られている。このようなB−アリールボラジンの製造方法として、例えば特許文献1には、B−H結合を有するボラジン化合物とハロゲン化アリールとを、パラジウム−トリアルキルホスフィン錯体などの触媒存在下で反応させて、当該B−H結合の水素原子を当該ハロゲン化アリール由来のアリール基で置換して、B−アリールボラジンを製造する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−280637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1に記載の技術では、ボラジン化合物のホウ素(B)部位に導入されるアリール基は、ハロゲン原子を有するハロゲン化アリールに由来するものである必要がある。このように反応原料の一方にハロゲン原子を導入しておかなくてはならないことから、合成可能な生成物の種類が制限されるという問題がある。また、複数のハロゲン原子を有するハロゲン化アリールを原料として用いてB−アリールボラジンを合成しようとしても、本来は反応に関与させたくないハロゲン原子が反応に関与してしまうなど、設計したとおりに反応が進行するとは限らず、やはり合成可能な生成物の種類が制限を受けるという問題がある。さらに、特許文献1に記載の技術では、その反応機構上、有害なハロゲン化水素が副生するという問題もある。これらの問題はいずれも、B−アリールボラジンを工業的に製造するための障害となることから、これらの問題を解決できる工業上より有利なB−アリールボラジンの製造方法が望まれているのが現状である。
【0008】
そこで本発明は、上述したような従来の技術における課題に鑑み、工業上より有利な手法によりB−アリールボラジンを製造するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行なった。その結果、ホウ素(B)部位が非置換のボラジン化合物を、所定の配位子および金属触媒の存在下で芳香族化合物と反応させるという手法を採用することにより、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記化学式1:
【0011】
【化1】

【0012】
式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または有機基であり、少なくとも1つのRが水素原子である、
で表されるボラジン化合物と、下記化学式2:
【0013】
【化2】

【0014】
式中、Arは、置換もしくは非置換のアリール基または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である、
で表される芳香族化合物とを、
水素と結合していない窒素原子を少なくとも2個含み、
前記窒素原子どうしが2または3個の炭素原子により結合しており、
前記窒素原子の少なくとも1つが複素環を構成し、
前記複素環が単環または奇数個の環からなる縮合複素環であり、
前記複素環にはハロゲン原子が直接置換しておらず、
前記複素環の窒素原子と炭素原子との結合軸の延長線上にいずれの複素環をも構成しない炭素原子が存在しえない立体構造を有する1種または2種以上の配位子、および金属触媒の存在下で反応させて、下記化学式3:
【0015】
【化3】

【0016】
式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または有機基であり、Rは、化学式1におけるRまたは化学式2におけるArであり、少なくとも1つのRが化学式2におけるArである、
で表されるB−アリールボラジンを合成する工程を含む、B−アリールボラジンの製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、工業上より有利な手法によりB−アリールボラジンを製造するための手段が提供される。すなわち、本発明の製造方法によりB−アリールボラジンを製造した場合には、従来の手法では製造が困難であったB−アリールボラジン(例えば、アリール基がハロゲン原子で置換されたものなど)の製造が可能となる。また、有害なハロゲン化水素の副生の問題もなく、より安全にB−アリールボラジンを製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
本発明の一形態は、下記化学式1で表されるボラジン化合物と、下記化学式2で表される芳香族化合物とを、水素と結合していない窒素原子を少なくとも2個含み、前記窒素原子どうしが2または3個の炭素原子により結合しており、前記窒素原子の少なくとも1つが複素環を構成し、前記複素環が単環または奇数個の環からなる縮合複素環であり、前記複素環にはハロゲン原子が直接置換しておらず、前記複素環の窒素原子と炭素原子との結合軸の延長線上にいずれの複素環をも構成しない炭素原子が存在しえない立体構造を有する1種または2種以上の配位子、および金属触媒の存在下で反応させて、下記化学式3で表されるB−アリールボラジンを合成する工程を含む、B−アリールボラジンの製造方法である。
【0020】
【化4】

【0021】
【化5】

【0022】
【化6】

【0023】
以下、本発明の製造方法について、詳細に説明する。
【0024】
[第1の原料;ボラジン化合物]
まず、原料として用いられる、化学式1で表されるボラジン化合物を準備する。
【0025】
化学式1において、各Rおよび各Rは、それぞれ同一であってもよいし異なってもよく、水素原子または有機基である。有機基としては、例えば、炭素数1〜20個(好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1個)の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数3〜20個(好ましくは3〜8個、より好ましくは4〜7個、さらに好ましくは5〜6個)のシクロアルキル基、炭素数6〜20個(好ましくは6〜8個、より好ましくは6〜7個、さらに好ましくは6個)のアリール基、炭素数7〜20個(好ましくは7〜8個、より好ましくは7個)のアラルキル基、炭素数1〜20個(好ましくは2〜8個、より好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2個)のアシル基、炭素数2〜20個(好ましくは2〜8個、より好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2個)のアルケニル基、炭素数2〜20個(好ましくは2〜8個、より好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2個)のアルキニル基などが挙げられる。なお、これらの有機基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ニトロ基(−NO)、アミノ基(−NH)、アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシスルホニル基などで置換されていてもよい。
【0026】
やRを構成するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イコシル基などが挙げられる。また、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、フェネチル基、o−,m−もしくはp−トリル基、2,3−もしくは2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、ピレニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基などが挙げられる。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基などが挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基などが挙げられる。アルキニル基としては、アセチレニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基などが挙げられる。
【0027】
化学式1で表されるボラジン化合物の例としては、下記化合物が挙げられる。ただし、これらに限定されるわけではない。
【0028】
ボラジン、N,N’,N”−トリメチルボラジン、N,N’,N”−トリエチルボラジン、N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(sec−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(iso−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(tert−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(neo−ペンチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−エチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン、N,N’,N”−トリシクロヘキシルボラジン
B−メチル−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリエチルボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリ(n−ブチル)ボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリ(sec−ブチル)ボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリ(iso−ブチル)ボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリ(tert−ブチル)ボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリ(1−メチルブチル)ボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリ(neo−ペンチル)ボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリ(1−エチルプロピル)ボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン、B−メチル−N,N’,N”−トリシクロヘキシルボラジン
B−エチル−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリエチルボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリ(n−ブチル)ボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリ(sec−ブチル)ボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリ(iso−ブチル)ボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリ(tert−ブチル)ボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリ(1−メチルブチル)ボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリ(neo−ペンチル)ボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリ(1−エチルプロピル)ボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン、B−エチル−N,N’,N”−トリシクロヘキシルボラジン
B,B’−ジメチル−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’−ジメチル−N,N’,N”−トリエチルボラジン、B,B’−ジメチル−N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、B,B’−ジメチル−N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン、B,B’−ジエチル−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’−ジエチル−N,N’,N”−トリエチルボラジン、B,B’−ジエチル−N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、B,B’−ジエチル−N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン、B−メチル−B’−エチル−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B−メチル−B’−エチル−N,N’,N”−トリエチルボラジン、B−メチル−B’−エチル−N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、B−メチル−B’−エチル−N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン。これらのボラジン化合物は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0029】
上述した形態のうち、Rおよび水素原子以外のRはそれぞれ、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアラルキル基であることが好ましく、アルキル基またはシクロアルキル基であることが特に好ましい。なお、これら以外の基がRや水素原子以外のRとして用いられてもよい。ここで、Rがすべて水素原子である場合のボラジン化合物の例としては、ボラジン、N,N’,N”−トリメチルボラジン、N,N’,N”−トリエチルボラジン、N,N’,N”−トリ(n−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(iso−プロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(sec−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(iso−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(tert−ブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(2−メチルブチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(neo−ペンチル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1,2−ジメチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(1−エチルプロピル)ボラジン、N,N’,N”−トリ(n−ヘキシル)ボラジン、N,N’,N”−トリシクロヘキシルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−エチルボラジン、N,N’−ジエチル−N”−メチルボラジン、N,N’−ジメチル−N”−プロピルボラジンなどが挙げられる。なお、ボラジン化合物の耐水性等の化学的安定性を考慮すると、ボラジン化合物は、3つのRのうち、少なくとも1つが有機基である(水素原子でない)ボラジン(N−置換ボラジン)であることが好ましく、3つのRのすべてが有機基である(水素原子でない)ボラジン(すなわち、ボラジン環骨格の3つの窒素原子のすべてに有機基が結合したボラジン)であることがより好ましい。
【0030】
ボラジン化合物の入手方法については、特に限定されない。ボラジン化合物は、公知の手法に従って合成されてもよいし、市販されているボラジン化合物が用いられてもよい。
【0031】
なお、自ら合成したボラジン化合物が本発明の製造方法の原料として用いられる場合、ボラジン化合物の合成方法により本発明の技術的範囲が限定されることはない。ここで、上記の化学式1で表されるボラジン化合物のうち、N−トリアルキルボラジンの好ましい合成方法の一例を挙げると、ABH(Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカウム原子である)で表される水素化ホウ素アルカリと、(RNHX(Rは上記と同様の定義であり、Xがハロゲン原子でありnが1であるか、または、Xが硫酸基でありnが2である)で表されるアミン塩とを、溶媒中で反応させる手法が例示される。
【0032】
水素化ホウ素アルカリ(ABH)において、Aは、リチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子である。水素化ホウ素アルカリの例としては、水素化ホウ素ナトリウムおよび水素化ホウ素リチウムが挙げられる。
【0033】
アミン塩((RNHX)において、Rは上記と同様の定義であり、Xは硫酸基またはハロゲン原子である。そして、Xが硫酸基である場合にはnは2であり、Xがハロゲン原子である場合にはnは1である。nが2である場合、Rは、同一であっても異なっていてもよいことは上述した通りである。合成反応の収率や取り扱いの容易性を考慮すると、Rは好ましくは同一のアルキル基である。なお、アルキル基およびシクロアルキル基の具体的な形態については、上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0034】
アミン塩の例としては、塩化アンモニウム(NHCl)、モノメチルアミン塩酸塩(CHNHCl)、モノエチルアミン塩酸塩(CHCHNHCl)、モノメチルアミン臭化水素酸塩(CHNHBr)、モノエチルアミンフッ化水素酸塩(CHCHNHF)、硫酸アンモニウム((NHSO)、モノメチルアミン硫酸塩((CHNHSO)が挙げられる。
【0035】
使用する水素化ホウ素アルカリおよびアミン塩は、合成するボラジン化合物の構造に応じて選択すればよい。例えば、ボラジン環を構成する窒素原子にメチル基が結合しているN−メチルボラジンを製造する場合には、アミン塩として、モノメチルアミン塩酸塩などの、Rがメチル基であるアミン塩を用いればよい。
【0036】
水素化ホウ素アルカリとアミン塩との混合比は、特に限定されないが、アミン塩の使用量を1モルとした場合に、水素化ホウ素アルカリの使用量を1〜1.5モルとすることが好ましい。
【0037】
合成用の溶媒としては、特に制限されないが、例えば、テトラヒドロフラン、モノエチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)等が挙げられる。
【0038】
水素化ホウ素アルカリとアミン塩との反応条件は、特に限定されない。反応温度は、好ましくは20〜250℃、より好ましくは50〜240℃、さらに好ましくは100〜220℃である。上記範囲で反応させると、水素発生量の制御が容易である。反応温度は、K熱電対などの温度センサーを用いて測定されうる。
【0039】
合成装置の大きさや種類は、環境や規模に応じて決定されればよい。例えば、大量のボラジン化合物を合成するのであれば、工業的規模の合成装置が用いられうる。
【0040】
合成されたボラジン化合物は、必要に応じて精製されうる。ボラジン化合物の精製方法としては、例えば、蒸留精製が用いられる。
【0041】
蒸留精製装置の大きさや種類は、環境や規模に応じて決定されればよい。例えば、大量のボラジン化合物を処理するのであれば、工業的規模の蒸留塔が用いられうる。
【0042】
蒸留精製の際の温度は特に制限されず、合成されたボラジン化合物の種類に応じて適宜設定されうる。一例を挙げると、通常は100〜150℃程度である。
【0043】
さらに、得られたボラジン化合物の純度を向上させることを目的として、濾過処理などの追加的な処理が施されてもよい。
【0044】
[第2の原料;芳香族化合物]
一方、ボラジン化合物と反応させるための他方の原料として、化学式2で表される芳香族化合物を準備する。
【0045】
化学式2において、Arは、置換もしくは非置換のアリール基または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0046】
ここで、Arが非置換のアリール基である場合、当該アリール基の炭素数は、好ましくは6〜20個であり、より好ましくは6〜14個であり、さらに好ましくは6〜10個であり、特に好ましくは6〜8個である。かような非置換のアリール基の例としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、フルオレニル基、トリフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられる。
【0047】
また、Arが非置換のヘテロアリール基である場合、当該ヘテロアリール基の炭素数は、好ましくは3〜20個であり、より好ましくは3〜14個であり、特に好ましくは3〜8個である。かような非置換のヘテロアリール基の例としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、キノリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基などが挙げられる。
【0048】
なお、化学式2におけるArを構成するアリール基またはヘテロアリール基は、自身の有する水素原子が置換基によって置換されていてもよい。かような置換基としては、例えば、炭素数1〜20個(好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜8個、さらに好ましくは1〜4個)のアルキル基、炭素数1〜20個(好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜8個、さらに好ましくは1〜4個)のアルコキシ基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子または塩素原子)、カルボキシ基、炭素数2〜20個(好ましくは2〜12個、より好ましくは2〜8個、さらに好ましくは2〜4個)のアシル基、アミノ基、炭素数1〜20個(好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜8個、さらに好ましくは1〜4個)のアルキルアミノ基、ニトロ基、メルカプト基が挙げられる。
【0049】
化学式2(Ar−H)で表される芳香族化合物は、芳香環に結合した水素原子を必須に有しており、当該芳香族化合物がボラジン化合物(化学式1)と反応する際には、この水素原子が脱離することになる。
【0050】
本発明において用いられうる芳香族化合物の例は、以上の説明から明らかであるが、一例を挙げると、例えば、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、o−ジフルオロベンゼン、m−ジフルオロベンゼン、p−ジフルオロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、チオフェン、フラン、2−メチルチオフェン、2−メチルフラン、3−メチルチオフェン、3−メチルフラン、3,4−ジメチルチオフェンなどが用いられうる。なお、これらの芳香族化合物は、通常は1種のみが単独で用いられるが、場合によっては2種以上が併用されてもよい。
【0051】
なお、本発明の好ましい一実施形態においては、化学式2におけるArが置換されたアリール基または置換されたヘテロアリール基であって、その際の置換基がハロゲン原子である。かような反応原料を用いた場合、特許文献1に記載の技術ではハロゲン原子がボラジン化合物との反応に関与してしまう。これに対し、本発明によれば、置換アリール基や置換ヘテロアリール基に対する置換基としてのハロゲン原子を反応に関与させることなく保存したまま、芳香族化合物とボラジン化合物との反応を進行させることが可能になる。このため、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはヘテロアリール基がホウ素(B)部位に結合したB−アリールボラジンを製造することが可能になるのである。
【0052】
[反応]
本発明の製造方法では、ボラジン化合物と芳香族化合物との反応を、所定の配位子および金属触媒の存在下で行う。
【0053】
金属触媒は、ボラジン化合物と芳香族化合物との反応を促進する機能を有していれば、特に限定されない。金属触媒としては、触媒活性の点からは、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)などが好ましい。より具体的には、[Ir(cod)(OH)]、[Ir(cod)(OCH)]、[Ir(cod)(OAc)]、[IrCl(cod)、IrCl、Ir(acac)、Ir(acac)(cod)、PdCl、Pd(OAc)、PdCl(cod)、PdCl(CHCN)、Pd(CCH=CHCOCH=CHC、Pd(CCH=CHCOCH=CHC、Pd(PPh、PdCl(PPh、PdCl(C)、PdCl[(CP(CFe]、NiCl[(CPCHCHP(C]、NiCl[(CPCHCHCHP(C]、NiCl[(CPCHCHCHCHP(C]、PtCl(cod)、Pt(PPh、CuI、CuClなどが挙げられる。なかでも、反応性に優れるという観点からは、金属触媒がイリジウム(Ir)を含むことが好ましく、特に好ましくは[Ir(cod)(OH)]、[Ir(cod)(OCH)]、または[Ir(cod)(OAc)]が用いられる。ここで、「cod」は「1,5−シクロオクタジエン(1,5−C12)」の略称であり、「OAc」は「アセトキシ(CHCOO)」の略称であり、「acac」は「アセチルアセトナト(CHCOCHCOCH)」の略称である。
【0054】
また、上記所定の配位子は、水素と結合していない窒素原子を少なくとも2個含み、前記窒素原子どうしが2または3個の炭素原子により結合しており、前記窒素原子の少なくとも1つが複素環を構成し、前記複素環が単環または奇数個の環からなる縮合複素環であり、前記複素環にはハロゲン原子が直接置換しておらず、前記複素環の窒素原子と炭素原子との結合軸の延長線上にいずれの複素環をも構成しない炭素原子が存在しえない立体構造を有する。この配位子は含窒素有機化合物であり、その具体的な構造は上記の規定を満足する限り特に制限されないが、一例を挙げると、フェナントロリン類、ピリジン類、キノリン類、ナフチリジン類、ビピリジン類などが挙げられる。ここで、配位子として用いられうるフェナントロリン類の化合物の具体例としては、例えば、1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、3,4,7,8−テトラメチル−1,10−フェナントロリンなどが挙げられる。また、配位子として用いられうるピリジン類の化合物としては、例えば、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルピコリンアミド、3−ヒドロキシ−N,N−ジメチルピコリンアミドなどが挙げられる。さらに、配位子として用いられうるキノリン類の化合物としては、例えば、2−ジメチルアミノキノリン、7−ジメチルアミノキノリン、8−ジメチルアミノキノリンなどが挙げられる。また、配位子として用いられうるナフチリジン類の化合物としては、例えば、1,8−ナフチリジン、ベンゾナフチリジンなどが挙げられる。さらに、配位子として用いられうるビピリジン類の化合物の具体例としては、例えば、ビピリジン、4,4’−ジメチルビピリジン、4,4’−ジ(t−ブチル)ビピリジン、4,4’−ジニトロビピリジンなどが挙げられる。なかでも、反応性に優れるという観点からは、配位子は、構成元素として窒素(N)、炭素(C)、水素(H)、および酸素(O)のみを含むものであることが好ましい。また、同様の理由から、配位子は、複素環として1もしくは2個のピリジン環のみを含むもの(例えば、ピリジン類)であるか、または1個のフェナントロリン環のみを含むもの(例えば、フェナントロリン類)であることがより好ましい。さらに好ましくは、配位子はピリジン類またはフェナントロリン類であり、特に好ましくは1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン、または4−ジメチルアミノピリジンであり、最も好ましくは1,10−フェナントロリンである。
【0055】
ボラジン化合物と芳香族化合物との反応条件は、特に限定されない。ボラジン化合物を含む溶液が用いられてもよい。ボラジン化合物および触媒は、溶媒中に含有されてもよい。ここで、本発明の製造方法における反応原料の1つとして上述した芳香族化合物は、一般的にその沸点が反応温度よりも高い。したがって、反応原料としての芳香族化合物を過剰量存在させた状態で反応を行うことで、当該芳香族化合物を溶媒としても機能させることが可能となる。もちろん、場合によっては溶媒を別途反応系に添加してもよい。かような形態においては、溶媒が反応に関与しないものである必要があるが、本発明の製造方法における反応に関与しない溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類などが挙げられる。
【0056】
反応の際の圧力および温度条件は、用いるボラジン化合物および芳香族化合物の種類に応じて制御すればよい。反応圧力は、常圧、減圧、加圧のいずれでもよいが、反応は通常、常圧下において進行しうる。なお、原料のボラジン化合物や生成物のB−アリールボラジンは水分との接触により分解しうることから、反応系への水分の混入を可能な限り防止するように反応を行うことが好ましい。例えば、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下で反応を行うことが好ましい。また、ハステロイ合金、インコネル合金等の合金からなる耐圧容器中で反応を行うことも好ましい。
【0057】
反応をより効率的に進行させるという観点から、反応温度は、120℃よりも高いことが好ましく、より好ましい形態として、125℃以上、130℃以上、135℃以上、140℃以上、145℃以上、150℃以上が挙げられ、これらの形態は温度が高いほど好ましい。一方、原料の重合(副反応)を抑えるという観点からは、反応温度は250℃以下程度であり、200℃以下であることが好ましい。反応温度は、K熱電対などの温度センサーを用いて測定されうる。
【0058】
ボラジン化合物に対する反応原料としての芳香族化合物の添加量は、ボラジン化合物の構造を考慮して決定されるとよい。例えば、3つのRの全てが水素原子であり、Rが結合した全てのホウ素(B)原子に対してアリール基を導入したい場合には、少なくともボラジン化合物の3モル倍以上の芳香族化合物を用いることが好ましい。Rの1つが水素原子である場合には、ボラジン化合物と同程度のモル倍の芳香族化合物が用いられてもよい。これらを併せて当量で表現すれば、芳香族化合物の添加量は、ボラジン化合物に対して、好ましくは3当量以上であり、より好ましくは10当量以上であり、さらに好ましくは30当量以上であり、いっそう好ましくは60当量以上であり、さらにより好ましくは90当量以上であり、特に好ましくは120当量以上であり、最も好ましくは150当量以上である。
【0059】
金属触媒の使用量は、触媒の種類によって異なるが、一般的には、ボラジン化合物の使用量1モルに対して0.00001〜0.2モルである。この範囲の触媒を用いることによって、反応が効果的に促進されうる。
【0060】
配位子の添加量は種類によって異なり、特に限定されない。好ましい形態としては、金属触媒1モルに対して、配位子を0.5〜5.0モル当量添加することが好ましく、より好ましくは0.5〜4モル当量であり、さらに好ましくは0.5〜2モル当量である。
【0061】
製造されるB−アリールボラジンは、化学式3で表される構造を有する。
【0062】
化学式3において、Rは、化学式1と同様の定義であり、水素原子または有機基である。また、化学式3において、Rは、化学式1におけるR(すなわち、水素原子もしくは有機基)または化学式2におけるAr(置換もしくは非置換のアリール基または置換もしくは非置換のヘテロアリール基)であり、少なくとも1つのRが化学式2におけるArである。これらの具体的な形態については、既に記載した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0063】
化学式3において、Rはそれぞれ、同一であっても異なっていてもよい。合成反応の収率や取り扱いの容易性を考慮すると、Rは好ましくは同一のアリール基である。
【0064】
B−アリールボラジンの具体例としては、B−フェニルボラジン、B,B’−ジフェニルボラジン、B,B’,B”−トリフェニルボラジン、B−フェニル−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’−ジフェニル−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリフェニル−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(2−メチルフェニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(3−メチルフェニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(4−メチルフェニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(3,4−ジメチルフェニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(2,6−ジメチルフェニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(4−エチルフェニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(4−ビフェニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(4−メトキシフェニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(4−フルオロフェニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(4−クロロフェニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(4−トリフルオロフェニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(1−ナフチル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(2−ナフチル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(4−ピリジル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(2−チエニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジン、B,B’,B”−トリス(3−チエニル)−N,N’,N”−トリメチルボラジンなどが挙げられる。
【0065】
合成されたB−アリールボラジンは、精製されることが好ましい。精製の方法については、蒸留精製や昇華精製などの公知の精製法から、適宜選択されればよい。
【0066】
蒸留精製の手法については、目的物であるB−アリールボラジンと、不純物とを分離可能であれば、特に限定されない。蒸留精製に先立って、有機合成の分野で一般的な処理が行なわれてもよい。例えば、反応溶液は、濾過され、エバポレータを用いて濃縮される。
【0067】
蒸留精製装置の大きさや種類は、本発明が適用される環境や規模に応じて決定されればよい。例えば、大量の粗製物を処理するのであれば、工業的規模の蒸留塔が用いられうる。少量の粗製物を処理するのであれば、蒸留管を用いた蒸留精製が用いられうる。例えば、少量の粗製物を処理する蒸留装置の具体例としては、3つ口フラスコにクライゼン型の連結管でリービッヒ冷却管を取り付けた蒸留装置が用いられうる。ただし、このような蒸留装置を用いる実施形態に、本発明の技術的範囲が限定されるわけではない。
【0068】
昇華精製とは、化合物の昇華温度の差を用いて、不純物と目的物とを分離する精製法である。昇華精製の態様については、特に限定されない。アルキルボラジン化合物の製造規模や製造環境などに応じて、適宜、昇華精製装置の形態が選択されればよい。ガスをフローし、温度調節を厳密に行うことによって、得られる目的物の純度が向上しうる。
【0069】
本発明の製造方法によれば、従来の手法では製造が困難であったB−アリールボラジン(例えば、アリール基がハロゲン原子で置換されたものなど)の製造が可能となる。また、有害なハロゲン化水素の副生の問題もなく、より安全にB−アリールボラジンを製造することが可能となる。このように、本発明の製造方法は、B−アリールボラジンを工業的規模で製造する際に、様々な有利な効果を有する。
【0070】
製造されたB−アリールボラジンは、特に限定されないが、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層、エッチストッパー層などの形成に用いられうる。その際には、B−アリールボラジンがそのまま用いられてもよいし、B−アリールボラジンに改変を加えた化合物が用いられてもよい。B−アリールボラジンまたはB−アリールボラジンの誘導体を重合させた重合体を、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層またはエッチストッパー層の原料として用いてもよい。
【0071】
重合体は、ボラジン環骨格を有する化合物をモノマーとして用いて形成されうる。重合方法や重合形態は特に限定されない。重合方法は、ボラジン環に結合している官能基によって、選択される。例えば、アミノ基が結合している場合には、縮重合によって重合体が合成されうる。ボラジン環にビニル基またはビニル基を含む官能基が結合している場合には、重合開始剤を用いたラジカル重合によって、重合体が形成されうる。また本反応で得られたアリール基にハロゲン基を有するB−アリールボラジンを用いた場合、ボラジン環のB−H結合とAr−X結合の、金属錯体を用いたカップリング重合により重合体が形成できる。重合体は、ホモポリマーであってよく、2以上のモノマーユニットからなる共重合体であってもよい。共重合体の形態は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれでもよい。他のモノマーと結合を形成しうる官能基を3つ以上有するモノマーを用いれば、モノマーがネットワーク状に結合した重合体を得ることも可能である。
【0072】
続いて、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層またはエッチストッパー層を形成する方法について説明する。なお、以下の説明においては、「B−アリールボラジン」、「B−アリールボラジンの誘導体」および「これらに起因する重合体」をまとめて、「ボラジン環含有化合物」と称する。
【0073】
ボラジン環含有化合物を用いて、半導体用層間絶縁膜、バリアメタル層またはエッチストッパー層を形成するには、ボラジン環含有化合物を含む溶液状またはスラリー状の組成物を調製し、これを塗布することによって、塗膜を形成する手法が用いられうる。その際に用いられる、ボラジン環含有化合物を溶解または分散させる溶媒は、ボラジン環含有化合物や、必要に応じて添加される他の成分を溶解し得るものであれば特に制限されない。溶媒としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジグライム、テトラグライムなどが用いられ得る。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。スピンコーティングを用いて成膜する場合には、ジグライムが好ましい。ジグライムまたはその誘導体を溶媒として用いると、製造される膜の均一性が向上する。また、膜の白濁が防止されうる。ボラジン環含有化合物を溶解または分散させる溶媒の使用量は、特に制限されるべきものではなく、低誘電材料の製造手段に応じて決定すればよい。例えば、スピンコーティングにより成膜する場合には、スピンコーティングに適した粘度になるよう、溶媒および溶媒量を決定すればよい。
【0074】
ボラジン環含有化合物を含む組成物は、所望する部位に供給され、乾燥することにより、固化される。例えば、半導体用層間絶縁膜を形成するには、スピンコーティングにより、基板上に塗布し、乾燥させればよい。一度のコーティングおよび乾燥では所望する厚さの被膜が得られない場合には、コーティングおよび乾燥を、所望の厚さになるまで繰り返しても良い。スピンコーターの回転数、乾燥温度および乾燥時間などの成膜条件は、特に限定されない。
【0075】
基板への塗布は、スピンコーティング以外の手法を用いてもよい。例えば、スプレーコーティング、ディップコーティングなどが用いられ得る。また、場合によっては、プラズマCVDなどのCVD法(化学気相蒸着法)等が用いられてももちろんよい。
【0076】
その後、塗膜を乾燥する。塗膜の乾燥温度は、通常、100〜250℃程度である。ここでいう乾燥温度とは、乾燥処理をする際の温度の最高温度を意味する。例えば、乾燥温度を徐々に上昇させ、100℃で30分維持し、その後、冷却した場合の乾燥温度は100℃である。焼成温度は熱電対を用いて測定されうる。塗膜の乾燥時間については、特に限定されない。得られる低誘電材料についての、誘電率、耐湿性等の特性を考慮して、適宜決定すればよい。
【実施例】
【0077】
以下、実施例および比較例を用いて、本発明の製造方法の作用効果をより具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、下記の形態によって制限を受けることはない。
【0078】
[実施例1:各種の芳香族化合物を用いた製造例]
[実施例1−1]
アルゴン雰囲気のグローブボックス中、耐圧容器に触媒としてシクロオクタジエン(μ−ヒドロキソ)イリジウム・ダイマー錯体([Ir(cod)(OH)]2)(9.5 mg, 0.014 mmol, 6 mol%)、配位子として1,10−フェナントロリン(5.4 mg, 0.022 mmol, 12 mol%)、ベンゼン(2.0 ml, 22.4 mmol)を加え室温で30分間攪拌した。次いで、ボラジン(20 mg, 0.25 mmol)を加え、150℃にて15時間攪拌した。
【0079】
反応終了後、溶媒を除去することなくベンゼン/水で抽出を行い、有機層を硫酸マグネシウムにより30分乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別し、濾液を濃縮後、ベンゼン溶媒を用い、約3cmのシリカゲルクロマトグラフィーに通した。その後、クーゲル蒸留(230℃, 0.5 mmHg(66.6 Pa))を行い、B,B’,B”−トリフェニルボラジン(60.2 mg, 0.195 mmol, 収率78%)を得た。
【0080】
(B,B’,B”−トリフェニルボラジン(実施例1−1)のスペクトルデータ)
クーゲル蒸留(230℃, 0.5 mmHg); 1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 5.90 (s, 3H), 7.48 (m, 9H), 7.78 (m, 6H); 13C NMR (100MHHz, CDCl3): δ 128.2, 130.0, 131.9; 11B NMR (128MHz, CDCl3): δ 32.8; HRMS (EI): m/z calc for C18H18B3N3, [M]+ = 309.1780; found: 309.1783.
[実施例1−2〜1−13]
上述した実施例1と同様の手法により、B−アリールボラジンを合成した。下記表1には、ベンゼンに代えて用いた芳香族化合物および対応する生成物、反応温度、並びに収率を示す。
【0081】
【表1】

【0082】
(B,B’,B”−トリス(3,4−ジメチルフェニル)ボラジン(実施例1−3)のスペクトルデータ)
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 2.32 (s, 9H), 2.35 (s, 9H), 5.82 (s,3H), 7.22 (d, J = 6.4Hz, 3H), 7.52 (d, J = 7.2 Hz, 6H); 13C NMR (100MHHz, CDCl3): δ 19.84, 19.86, 129.51, 129.55, 133.3, 136.2, 138.6; 11B NMR (128MHz, CDCl3): δ 32.8; HRMS (EI): m/z calcd for C24H30B3N3, [M]+ = 393.2719; found: 393.2722; Anal. Calcd for C24H30B3N3: C, 73.36; H, 7.70; N, 10.69. Found: C, 73.09; H, 7.50; N, 10.51.
(B,B’,B”−トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボラジン(実施例1−4)のスペクトルデータ)
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 2.41 (s, 6H), 5.82 (br s,3H), 7.12 (s, 3H), 7.39 (s, 6H)
(B,B’,B”−トリス−2−(2−チエニル)ボラジン(実施例1−9)のスペクトルデータ)
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 5.65 (s, 3H), 7.25-7.28 (m, 3H), 7.62 (dd, J = 13.6, 4.2, 6H); 13C NMR (100MHHz, CDCl3): δ 128.7, 130.5, 133.2; 11B NMR (128MHz, CDCl3): δ 31.9; HRMS (EI): m/z calcd for C12H12B3N3S3, [M]+ = 327.0473; found: 327.0471; Anal. Calcd for C12H12B3N3S3: C, 44.09; H, 3.70; N, 12.86; S, 29.43. Found: C, 43.55; H, 3.80; N, 11.68; S, 29.21.
(B,B’,B”−トリス−2−(2−フラニル)ボラジン(実施例1−10)のスペクトルデータ)
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 5.82 (br s, 3H), 6.56 (m, 3H), 7.01 (d, J = 3.68, 3H), 7.69 (br s, 3H); 13C NMR (100MHHz, CDCl3): δ 110.1, 119.1, 146.3; 11B NMR (128MHz, CDCl3): δ 29.2; HRMS (EI): m/z calcd for C12H12B3N3O3, [M]+ = 279.1158; found: 279.1161; Anal. Calcd for C12H12B3N3O3: C, 51.72; H, 4.34; N, 15.08. Found: C, 52.11; H, 4.48; N, 14.34.
(B,B’,B”−トリス−2−(5−メチル−2−メチルチエニル)ボラジン(実施例1−11)のスペクトルデータ)
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 2.58, (s, 9H), 5.47 (br s, 3H), 6.89 (m, 3H), 7.37 (d, J= 3.24, 3H); 13C NMR (100MHHz, CDCl3): δ 15.6, 127.4, 133.5, 145.6; 11B NMR (128MHz, CDCl3): δ 34.5; HRMS (EI): m/z calcd for C15H18B3N3S3, [M]+ = 369.0942; found: 369.0951; Anal. Calcd for C15H18B3N3S3: C, 48.83; H, 4.92; N, 11.39; S, 26.07. Found: C, 49.01; H, 5.00; N, 11.14; S, 26.19.
(B,B’,B”−トリス−2−(5−メチル−2−メチルフラニル)ボラジン(実施例1−12)のスペクトルデータ)
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 2.40 (s, 9H), 5.67 (br s, 3H), 6.07 (m, 3H), 6.90 (d, J= 3.20, 3H); 13C NMR (100MHHz, CDCl3): δ 14.0, 107.0, 120.3, 156.4; 11B NMR (128MHz, CDCl3): δ 29.0; HRMS (EI): m/z calcd for C15H18B3N3O3, [M]+ = 321.1627; found: 321.1624; Anal. Calcd for C15H18B3N3O3: C, 56.17; H, 5.6; N, 13.10. Found: C, 55.37; H, 5.65; N, 12.80.
[実施例2:各種の配位子を用いた製造例]
[実施例2−1]
アルゴン雰囲気のグローブボックス中、耐圧容器に触媒としてシクロオクタジエン(μ−メトキソ)イリジウム・ダイマー錯体([Ir(cod)(OCH3)]2)(15 mg, 0.023 mmol, 9 mol%)、配位子として1,10−フェナントロリン(8.1 mg, 0.045 mmol, 18 mol%)、ベンゼン(3.3 ml, 37 mmol)を加え室温で30分間攪拌した。次いで、ボラジン(20 mg, 0.25 mmol)を加え、140℃にて24時間攪拌した。
【0083】
反応終了後、溶媒を除去することなくベンゼン/水で抽出を行い、有機層を硫酸マグネシウムにより30分乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別し、濾液を濃縮後、ベンゼン溶媒を用い、約3cmのシリカゲルクロマトグラフィーに通した。その後、クーゲル蒸留(230℃, 0.5 mmHg(66.6 Pa))を行い、B,B’,B”−トリフェニルボラジン(47.2 mg, 0.153 mmol, 収率61%)を得た。
【0084】
[実施例2−2〜2−3、比較例2−1〜2−5]
配位子として、1,10−フェナントロリンに代えて下記の表2に記載のものを用いたこと以外は、上述した実施例2−1と同様の手法により、B,B’,B”−トリフェニルボラジンを合成した。その際の収率についても下記の表2に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
[実施例3:基質(芳香族化合物)の添加量を変化させた製造例]
[実施例3−1]
アルゴン雰囲気のグローブボックス中、耐圧容器に触媒としてシクロオクタジエン(μ−ヒドロキソ)イリジウム・ダイマー錯体([Ir(cod)(OH)]2)(15 mg, 0.022 mmol, 9 mol%)、配位子として1,10−フェナントロリン(8.1 mg, 0.045 mmol, 18 mol%)、ベンゼン(3.3 ml, 37 mmol)を加え室温で30分間攪拌した。次いで、ボラジン(20 mg, 0.25 mmol)を加え、140℃にて24時間攪拌した。
【0087】
反応終了後、溶媒を除去することなくベンゼン/水で抽出を行い、有機層を硫酸マグネシウムにより30分乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別し、濾液を濃縮後、ベンゼン溶媒を用い、約3cmのシリカゲルクロマトグラフィーに通した。その後、クーゲル蒸留(230℃, 0.5 mmHg(66.6 Pa))を行い、B,B’,B”−トリフェニルボラジン(54.8 mg, 0.178 mmol, 収率71%)を得た。
【0088】
[実施例3−2〜3−4]
芳香族化合物(ベンゼン)の添加量を下記の表3に記載の値に変化させたこと以外は、上述した実施例3−1と同様の手法により、B,B’,B”−トリフェニルボラジンを合成した。その際の収率についても下記の表3に示す。
【0089】
【表3】

【0090】
[実施例4:イリジウム錯体を変化させた製造例]
[実施例4−1]
アルゴン雰囲気のグローブボックス中、耐圧容器に触媒としてシクロオクタジエン(μ−メトキソ)イリジウム・ダイマー錯体([Ir(cod)(OCH3)]2)(15 mg, 0.022 mmol, 9 mol%)、配位子として1,10−フェナントロリン(8.1 mg, 0.045 mmol, 18 mol%)、ベンゼン(3.3 ml, 37 mmol)を加え、140℃にて24時間攪拌した。
【0091】
反応終了後、溶媒を除去することなくベンゼン/水で抽出を行い、有機層を硫酸マグネシウムにより30分乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別し、濾液を濃縮後、ベンゼン溶媒を用い、約3cmのシリカゲルクロマトグラフィーに通した。その後、クーゲル蒸留(230℃, 0.5 mmHg(66.6 Pa))を行い、B,B’,B”−トリフェニルボラジン(47 mg, 0.153 mmol, 収率61%)を得た。
【0092】
[実施例4−2〜4−3]
金属触媒を下記の表4に記載の値に変化させたこと以外は、上述した実施例4−1と同様の手法により、B,B’,B”−トリフェニルボラジンを合成した。その際の収率についても下記の表4に示す。
【0093】
【表4】

【0094】
[実施例5:反応温度を変化させた製造例]
[実施例5−1]
アルゴン雰囲気のグローブボックス中、耐圧容器に触媒としてシクロオクタジエン(μ−メトキソ)イリジウム・ダイマー錯体([Ir(cod)(OCH3)]2)(15 mg, 0.022 mmol, 9 mol%)、配位子として1,10−フェナントロリン(8.1 mg, 0.045 mmol, 18 mol%)、ベンゼン(2.0 ml, 22.4 mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。次いで、ボラジン(20 mg, 0.25 mmol)を加え、140℃にて24時間攪拌した。
【0095】
反応終了後、溶媒を除去することなくベンゼン/水で抽出を行い、有機層を硫酸マグネシウムにより30分乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別し、濾液を濃縮後、ベンゼン溶媒を用い、約3cmのシリカゲルクロマトグラフィーに通した。その後、クーゲル蒸留(230℃, 0.5 mmHg(66.6 Pa))を行い、B,B’,B”−トリフェニルボラジン(51.0 mg, 0.165 mmol, 収率66%)を得た。
【0096】
[実施例5−2]
反応温度を下記の表4に記載の値に変化させたこと以外は、上述した実施例5−1と同様の手法により、B,B’,B”−トリフェニルボラジンを合成した。その際の収率についても下記の表5に示す。
【0097】
【表5】

【0098】
[実施例6:溶媒にオクタンを用いた製造例]
アルゴン雰囲気のグローブボックス中、耐圧容器に触媒としてシクロオクタジエン(μ−ヒドロキソ)イリジウム・ダイマー錯体([Ir(cod)(OH)]2)(9.5 mg, 0.014 mmol, 6 mol%)、配位子として1,10−フェナントロリン(5.4 mg, 0.022 mmol, 12 mol%)、溶媒としてオクタン(1 ml)を加え室温で30分間攪拌した。次いで、ボラジン(20 mg, 0.25 mmol)、フラン(1.6 ml, 22.4 mmol)を加え、140℃にて24時間攪拌した。
【0099】
反応終了後、溶媒を除去することなくベンゼン/水で抽出を行い、有機層を硫酸マグネシウムにより30分乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別し、濾液を濃縮後、ベンゼン溶媒を用い、約3cmのシリカゲルクロマトグラフィーに通した。これにより、B,B’,B”−トリス−2−(2−フラニル)ボラジン(51 mg, 0.183 mmol, 収率73%)を得た。
【0100】
以上のように、本発明の製造方法によれば、工業上より有利な手法によりB−アリールボラジンを製造することが可能となることがわかる。より具体的には、本発明の製造方法によりB−アリールボラジンを製造した場合には、従来の手法では製造が困難であったB−アリールボラジン(例えば、アリール基がハロゲン原子で置換されたものなど)の製造が可能となる。また、有害なハロゲン化水素の副生の問題もなく、より安全にB−アリールボラジンを製造することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1:
【化1】

式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または有機基であり、少なくとも1つのRが水素原子である、
で表されるボラジン化合物と、下記化学式2:
【化2】

式中、Arは、置換もしくは非置換のアリール基または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である、
で表される芳香族化合物とを、
水素と結合していない窒素原子を少なくとも2個含み、
前記窒素原子どうしが2または3個の炭素原子により結合しており、
前記窒素原子の少なくとも1つが複素環を構成し、
前記複素環が単環または奇数個の環からなる縮合複素環であり、
前記複素環にはハロゲン原子が直接置換しておらず、
前記複素環の窒素原子と炭素原子との結合軸の延長線上にいずれの複素環をも構成しない炭素原子が存在しえない立体構造を有する1種または2種以上の配位子、および金属触媒の存在下で反応させて、下記化学式3:
【化3】

式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子または有機基であり、Rは、化学式1におけるRまたは化学式2におけるArであり、少なくとも1つのRが化学式2におけるArである、
で表されるB−アリールボラジンを合成する工程を含む、B−アリールボラジンの製造方法。
【請求項2】
前記配位子が、構成元素として窒素、炭素、水素、および酸素のみを含むものである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記配位子が、前記複素環として1もしくは2個のピリジン環、または1個のフェナントロリン環のみを含むものである、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記配位子が、1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン、または4−ジメチルアミノピリジンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記反応が、120℃よりも高い温度条件下で行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記金属触媒がイリジウムを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。

【公開番号】特開2012−224575(P2012−224575A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93057(P2011−93057)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 国立大学法人北海道大学大学院工学研究科 有機プロセス工学専攻(発行所)、北海道大学大学院工学研究科 有機プロセス工学専攻 生物機能高分子専攻 物質化学専攻 平成22年度修士論文要旨(刊行物)、平成23年2月16日 国立大学法人北海道大学(共催者)、国立大学法人北海道大学大学院工学研究科 有機プロセス工学専攻 平成22年度修士論文発表会(研究発表)、平成23年2月16日
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】