B型肝炎を治療するための医薬組成物およびB型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品
【課題】B型肝炎を治療するための医薬組成物およびB型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品を提供する。
【解決手段】B型肝炎を治療するための医薬組成物は、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーと薬学的に許容される担体または塩とを含有する。B型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品は、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーを含有する。前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーは、下記式で示される。
【解決手段】B型肝炎を治療するための医薬組成物は、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーと薬学的に許容される担体または塩とを含有する。B型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品は、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーを含有する。前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーは、下記式で示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、B型肝炎を治療するための医薬組成物およびB型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品に関し、より詳しくは、B型肝炎ウイルス活性を抑制できるプロアントシアニジンオリゴマーを含有する医薬組成物および健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、全世界に3億5千万人の無症候性B型肝炎ウイルスキャリアが存在することが知られており、毎年30万人がB型肝炎関連疾患で死亡している。台湾では、B型肝炎関連疾患による死亡者が毎年8千人を超えている。目下のところ、B型肝炎に対する有効な治療薬は存在しない。しかし、インターフェロンやラミブジンなどの抗B型肝炎薬が開示されているが、これらの薬剤は患者に重篤な副作用を引き起こす。
【0003】
それゆえ、重篤な副作用を引き起こさない抗B型肝炎薬組成物が必要とされている。こうした状況の下、天然植物を含有する抗B型肝炎薬組成物が提案されている。
【0004】
天然の薬草であるカラムシ(Boehmeria nivea(L.)Gaud)は、重篤な副作用を引き起こすことなく、肝機能強化や抗消炎などの投与効果を示すことが開示されている。しかし、カラムシをB型肝炎の治療に用いることについては、まだ開示されておらず、その有効成分もまだ確定されていない。
【0005】
ところで、天然の植物から抽出されるプロアントシアニジンオリゴマーは、優れた抗酸化作用を有し、健康食品によく用いられている。特許文献1には、タウリン、β−カロチン、プロアントシアニジンオリゴマー(グレープシードから抽出)、ビタミンEおよびビタミンCを含有する栄養食品が開示されている。この栄養食品は、慢性肝炎の改善に効果があることが判明している。しかし、プロアントシアニジンオリゴマーがB型肝炎を有効に抑制できるか否かについては、まだ確認されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾特許第I274551号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した事情に鑑みて、本発明の目的は、B型肝炎を治療するための医薬組成物およびB型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、B型肝炎を治療するための医薬組成物であって、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーと薬学的に許容される担体または塩とを含有し、前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーが下記式で示される医薬組成物を提供する。
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHであり、R4は3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖である。]
【0011】
プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合は、好ましくは、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合またはC2−C7間の酸素結合、あるいは、それらの異性体で起こる。プロアントシアニジンオリゴマーの重合数は、好ましくは2〜30である。
【0012】
また、本発明は、B型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品であって、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーを含有し、プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーが下記式で示される健康食品を提供する。
【0013】
【化2】
【0014】
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHであり、R4は3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖である。]
【0015】
プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合は、好ましくは、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合またはC2−C7間の酸素結合、あるいは、それらの異性体で起こる。プロアントシアニジンオリゴマーの重合数は、好ましくは2〜30である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、植物から抽出されるプロアントシアニジンオリゴマーを有効成分として含有する医薬組成物および健康食品が提供されるので、重篤な副作用を引き起こすことなく、B型肝炎(および/またはB型肝炎関連疾患)を治療することができる。また、B型肝炎ウイルスの活性を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)〜(f)は、それぞれ、フラバン−3−オール、フラバン−3,4−オール、カテキン((2R,3S)および(2S,3R))ならびにエピカテキン((2S,3S)および(2R,3R))の化学式を示す。
【図2a】プロアントシアニジンオリゴマーの質量スペクトルの結果を示す。
【図2b】プロアントシアニジンオリゴマーの構造解析の結果を示す。
【図2c】プロアントシアニジンオリゴマーの構造解析の結果を示す。
【図2d】プロアントシアニジンオリゴマーの構造解析の結果を示す。
【図2e】プロアントシアニジンオリゴマーの構造解析の結果を示す。
【図3】精製プロアントシアニジンオリゴマー試料の赤外線分光分析の結果を示す。
【図4a】精製プロアントシアニジンオリゴマーの高速液体クロマトグラフィー−ESI+質量スペクトルを示す。
【図4b】精製プロアントシアニジンオリゴマーの高速液体クロマトグラフィー−ESI−質量スペクトルを示す。
【図5a】13C−核磁気共鳴分光分析の結果を示す。
【図5b】13C−核磁気共鳴分光分析の結果を示す。
【図5c】13C−核磁気共鳴分光分析の結果を示す。
【図6】(a)および(b)は、プロアントシアニジンオリゴマーの2つのモノマー間の結合を示す。
【図7a】部分精製したプロアントシアニジンオリゴマーのマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)分析の結果を示す。
【図7b】部分精製したプロアントシアニジンオリゴマーのマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)分析の結果を示す。
【図7c】部分精製したプロアントシアニジンオリゴマーのマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)分析の結果を示す。
【図8a】種々の科に属する植物から抽出したプロアントシアニジンオリゴマーによるB型肝炎ウイルス活性の抑制に関する分析の結果を示す。
【図8b】種々の科に属する植物から抽出したプロアントシアニジンオリゴマーによるB型肝炎ウイルス活性の抑制に関する分析の結果を示す。
【図9a】プロアントシアニジンオリゴマーによるB型肝炎ウイルス活性の抑制に関する分析の結果を示す。
【図9b】プロアントシアニジンオリゴマーによるB型肝炎ウイルス活性の抑制に関する分析の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面を参照にしながら、以下の実施形態においてより詳細な説明を行う。
【0019】
添付の図面を参照して下記の詳細な説明および実験例を読めば、本発明をより完全に理解することができる。
【0020】
以下の記載は本発明を実施するための最良の形態である。この記載は本発明の主要な原理を説明するためのものであり、限定の意味で解されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照に判断されなくてはならない。
【0021】
本発明は、B型肝炎(および/またはB型肝炎関連疾患)を治療するための医薬組成物またはB型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品の有効成分として、プロアントシアニジンオリゴマーを用いる。
【0022】
B型肝炎ウイルス抑制効果を有するプロアントシアニジンオリゴマーは、植物から抽出することができる。ある実施形態において、この植物としては、例えば、マメ科、ベンケイソウ科、シクンシ科、ガガイモ科、バラ科、シソ科、タデ科、ツヅジ科、マツ科、ブドウ科またはイラクサ科に属する植物を挙げることができる。これらの植物のうち、ツヅジ科、バラ科、マツ科、ブドウ科またはイラクサ科に属する植物が好ましく、イラクサ科に属するカラムシがより好ましい。抽出すべき植物の部位としては、例えば、根、茎、葉および/または果実の部分を挙げることができる。
【0023】
また、本発明において、植物抽出のプロセスは、従来公知の方法により行うことができる。ある実施形態では、植物を乾燥後、その根、茎、葉および/または果実を切断または粉砕した後、抽出溶媒を用いて抽出する。ある実施形態では、好ましくは、カラムシの根および/または茎から抽出する。
【0024】
抽出溶媒には、水を用いるか、あるいは、水と極性の異なる溶媒との混合溶液を用いることができる。極性の異なる溶媒としては、例えば、エタノール、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルなどが挙げられる。これら溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、水と混合して用いることも可能である。抽出溶媒と植物との比率は、特に限定されるものではない。ある実施形態において、抽出溶媒と植物との比率は、好ましくは2:1〜1:2(w/w)、より好ましくは1:1(w/w)である。
【0025】
さらに、抽出温度は、抽出に用いる抽出溶媒により様々であり、特に限定されるものでではない。ある実施形態では、抽出プロセスは、室温の抽出溶媒中で行うことができる。別の実施形態では、抽出プロセスは、抽出に用いる抽出溶媒により、それぞれ異なる還流温度に加熱して行うことができる。抽出時間は、抽出温度に応じて、好ましくは1時間から10日間、より好ましくは2時間から7日間とすることができる。抽出の過程で、塩化ナトリウム、希釈された無機酸(例えば、希塩酸)または有機酸(例えば、ビタミンC、酒石酸)を、必要に応じて、抽出溶液に加えることにより、抽出溶液のpH値を調整してもよい。
【0026】
次いで、有効成分であるプロアントシアニジンオリゴマーを含有する抽出物を濃縮した後、乾燥する。あるいは、必要に応じて、抽出物をさらに部分精製または完全精製してもよい。ある実施形態において、部分精製のプロセスは、乾燥した抽出物を、例えば、95%エタノール水溶液および/または95%メタノール水溶液に再溶解した後、極性の異なる溶媒で、例えば、95%エタノール水溶液および/または95%メタノール水溶液から抽出して不純物を除去する工程を包含する。例えば、抽出物の脂質および非極性物質を、非極性溶媒(例えば、ヘキサン)で除去した後、その抽出物を、例えば、クロロホルムおよび/または酢酸エチルで抽出して、低分子量のフェノール化合物を除去する。その後、上記の溶媒で抽出した抽出物の水層を濃縮し、乾燥して、部分精製されたプロアントシアニジンオリゴマーを得る。
【0027】
完全精製のプロセスは、部分精製された抽出物を、例えば、エタノールまたはメタノール水溶液に溶解し、ゲル浸透クロマトグラフィーカラムに投入した後、様々な溶液および/または混合溶液で溶出して、プロアントシアニジンオリゴマーの精製および単離を行う工程を包含する。ある実施形態において、溶出に用いる様々な溶液は、例えば、95%エタノール水溶液、95%エタノール/メタノール(1:1、v/v)水溶液、50%メタノール水溶液および50%アセトン水溶液であり、この順で用いる。これらの様々な溶液により溶出された溶液をそれぞれ分画収集した後、液体クロマトグラフィーを用いて、波長280nmの吸収値により、その中のプロアントシアニジンオリゴマーの検出を行う。様々な溶液で溶出された溶液を収集することにより、分子量分布のそれぞれ異なるプロアントシアニジンオリゴマーを含む溶液が得られる。様々な溶液で溶出し、分画収集した溶液を、例えば、40℃よりも低い温度で濃縮した後、凍結乾燥して、精製プロアントシアニジンオリゴマーが得られる。ある実施形態において、ゲル浸透クロマトグラフィーカラムは、Sephadex(登録商標)LH−20カラム(GEファルマシア社製)を用いることができる。
【0028】
上記のプロセスにより精製されたプロアントシアニジンオリゴマーのモノマーは、下記式で示される。
【0029】
【化3】
【0030】
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHであり、R4は3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖である。ここで、「糖」は、単糖、オリゴ糖または多糖であり、好ましくはグルコースである。]
【0031】
また、上記のモノマーは、C4、C6またはC8の位置における(R)または(S)光学異性体を含んでいてもよい。
【0032】
さらに、上記のモノマーはフラボノイドを含んでいてもよい。フラボノイドとしては、例えば、カテキン、エピカテキン、エピアフゼレキン、ガロカテキン、ガロエピカテキン、エピガロカテキン、ガレート、フラボノール、フラバンジオール、ロイコシアニジンまたはプロシアニジンなどを挙げることができる。ある実施形態では、プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラバン−3−オールまたはフラバノン誘導体を含んでいてもよい。フラバン−3−オール、フラバン−3,4−オール、カテキン((2R,3S)および(2S,3R))ならびにエピカテキン((2S,3S)および(2R,3R))の化学式を図1(a)〜(f)に示す。
【0033】
プロアントシアニジンオリゴマーの重合数は、好ましくは2〜30、より好ましくは3〜20である。プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合は、好ましくは、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合またはC2−C7間の酸素結合で起こる。プロアントシアニジンオリゴマーの平均分子量は、好ましくは約600〜約10,000である。
【0034】
ある実施形態において、精製プロアントシアニジンオリゴマーは、単一重合度のプロアントシアニジンオリゴマーを含有する。別の実施形態において、精製プロアントシアニジンオリゴマーは、異なる重合度のプロアントシアニジンオリゴマーの混合物を含有する。
【0035】
ある実施形態において、プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーを示す式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHである。モノマーのR1が異なるプロアントシアニジンオリゴマーのB型肝炎ウイルス表面抗原に対する50%阻害濃度(IC50)は、約127〜164μg/mLであり、モノマーのR1が異なるプロアントシアニジンオリゴマーのB型肝炎ウイルスe抗原に対する50%阻害濃度(IC50)は、約44〜84μg/mLである。したがって、モノマーのR1が異なっていても、プロアントシアニジンオリゴマーがB型肝炎ウイルスを抑制する生理活性に影響しない。
【0036】
本発明において、上記の抽出したプロアントシアニジンオリゴマーは、B型肝炎を治療するための医薬組成物であって、プロアントシアニジンオリゴマーと薬学上許容される担体または塩とを含有する医薬組成物に用いることができる。
【0037】
ここで、薬学上許容される担体としては、特に限定されるものではないが、例えば、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤などを挙げることができる。上記の医薬組成物は、それぞれ異なる投与経路に応じて、従来公知の方法を用いて、様々な剤形に製剤化することができる。
【0038】
また、薬学上許容される塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、無機カチオン塩、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アミン塩、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩)、二価または四価のカチオンを含む塩(例えば、亜鉛塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩)などを挙げることができる。さらに、薬学上許容される塩として、有機塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、メチル−D−グルカミン、アミノ酸塩(例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン、グルタミン)などを挙げることもできる。
【0039】
本発明の医薬組成物は、経口投与するか、あるいは、非経口投与すればよく、例えば、吸入噴霧により、あるいは、植込型容器を介して投与することができる。非経口経路としては、例えば、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内および病巣内への注射および注入技術を挙げることができる。
【0040】
経口投与される医薬組成物の剤形としては、特に限定されるものではないが、例えば、錠剤、カプセル、乳剤、水性懸濁剤、分散剤、液剤などを挙げることができる。
【0041】
また、本発明は、プロアントシアニジンオリゴマーを含有する健康食品も提供する。それゆえ、この健康食品は、B型肝炎ウイルス抑制効果を有する。
【0042】
本発明の医薬組成物および健康食品における有効成分の通常の一日投与量は、約0.1〜10,000mg/kg体重、好ましくは約1〜5,000mg/kg体重、より好ましくは約10〜1,000mg/体重の範囲内であり、単一投与量または分割投与量で投与することができる。しかし、実際に投与される有効成分の量は、治療する疾患、選択された投与経路、患者の年齢、性別および体重、ならびに、疾患の程度を含む種々の関連因子を考慮して決定されるものであり、したがって、前記投与量は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0043】
≪実験例1≫
プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーの構造決定
ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて、プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーの構造を決定した。固体の精製プロアントシアニジンオリゴマーをガスクロマトグラフ質量分析計に投入し、段階的に昇温(50〜500℃)するか、あるいは、単一の温度まで急速に昇温した。加熱分解した試料を、ガスクロマトグラフ質量分析計の特定の金属カラムにより単離した後、質量分析検出器で検出して質量スペクトルを得た。その質量スペクトルから、プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーの構造を決定した。プロアントシアニジンオリゴマーの質量スペクトルおよび構造解析をそれぞれ図2aおよび図2b〜図2eに示す。図2b〜図2eの左側の部分は、図2aにおけるピークのm/z値を示し、図2b〜図2eの右側の部分は、左側の部分におけるピークのモノマー解析結果を示している。決定されたプロアントシアニジンオリゴマーのモノマーの化学式は、下記のとおりである。
【0044】
【化4】
【0045】
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHである。]
【0046】
さらに、質量スペクトルには、グルコシドのピークも示されている。よって、R4の組成は、3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖であり得る。
【0047】
≪実験例2≫
プロアントシアニジンオリゴマーを含有するカラムシ抽出物の調製
手法1
カラムシの根と茎を洗浄し、自然環境中で乾燥した。乾燥したカラムシを厚さ5mmの切片に切断し、4℃で保管した。次いで、その保管しておいたカラムシを粉砕機で粉砕した後、篩にかけた。篩を通過した20メッシュより小さい粉末を取り、95%エタノール(粉末:95%エタノール=1:10、w/w)に加え、2時間加熱還流した(2回行った)後、室温まで冷却した。この抽出液を遠心バッグに入れ、遠心分離により濾過した。濾過した溶液を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。この凍結乾燥した抽出物が有効成分のプロアントシアニジンオリゴマーを含有する医薬組成物であり、B型肝炎ウイルス抑制活性を有するものである。なお、この医薬組成物には、薬学的に許容される天然植物由来の微量の担体または塩が含有されている。
【0048】
手法2
手法1において、4℃で保管したカラムシを研磨機で粉砕してから、篩にかけた。篩を通過した20メッシュよりも小さい粉末を取り、逆浸透膜を用いて精製したRO水(粉末:RO水=1:10、w/w)に加え、2時間加熱還流した(2回行った)後、室温まで冷却した。この抽出液をエタノール水溶液(95〜50%)に加えて混合した。抽出液を冷却して沈殿させた後、この上層液を遠心バッグに入れ、遠心分離により濾過した。濾過した溶液を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。この凍結乾燥した抽出物が有効成分のプロアントシアニジンオリゴマーを含有する医薬組成物であり、B型肝炎ウイルス抑制活性を有するものである。
【0049】
≪実験例3≫
カラムシ抽出物の部分精製
手法1
溶媒抽出−1
プロアントシアニジンオリゴマーを含有するカラムシ抽出物をヘキサン(抽出物:ヘキサン=1:10、w/v)に加え、6時間加熱還流して抽出物中の脂質を除去した。この固体抽出物を70%メタノール水溶液および/または0.3%ビタミンC水溶液に溶解し、40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮して溶媒を除去した。次いで、この抽出物をクロロホルム(抽出物:クロロホルム=1:1、v/v)に加え、30分間ボルテックス攪拌した(抽出を複数回行った)。この水層を酢酸エチル(抽出物:酢酸エチル=1:1、v/v)に加え、30分間ボルテックス攪拌した(抽出を複数回行った)。この水層を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。
【0050】
手法2
溶媒抽出−2
プロアントシアニジンオリゴマーを含有するカラムシ抽出物を水/エタノール溶液(抽出物:水/エタノール溶液=1:10、w/v)に溶解させてからヘキサン(溶液:ヘキサン=1:10、v/v)に加えた後、30分間ボルテックス攪拌し(抽出を複数回行った)、抽出物中の脂質を除去した。この水層を酢酸エチル(水層:酢酸エチル=1:1、v/v)に加え、30分間ボルテックス攪拌した(抽出を複数回行った)。この水層を1−ブタノール(水層:1−ブタノール=1:1、v/v)に加え、30分間ボルテックス攪拌した(抽出を複数回行った)。この水層を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。
【0051】
手法3
ゲル浸透クロマトグラフィー
手法1において、部分精製されたプロアントシアニジンオリゴマーを含有するカラムシ抽出物を、ゲル浸透クロマトグラフィー(直径4cm×長さ45cmのSephadex(登録商標)LH−20)により、極性比率の異なる溶液を用いて、単離して溶出し、その中の不純物を除去した。この部分精製された物質2.5gを95%エタノール0.5mLに溶解し、ゲル浸透クロマトグラフィーカラムに投入した後、一連の溶媒で連続して溶出し、それぞれ異なる溶媒で溶出した溶出液を収集した。溶媒は、それぞれ、95%エタノール300mL、95%エタノール/メタノール(1/1、v/v)300mL、メタノール300mL、50%メタノール水溶液300mLおよび50%アセトン水溶液300mLとした。95%エタノール300mLで溶出した溶出液を除き、その他すべての溶出液を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。凍結乾燥した物質を−20℃で保管し、後の使用に備えた。部分精製および/または精製プロアントシアニジンオリゴマーを含有する凍結乾燥したカラムシ抽出物の物理的および化学的な特性を分析した。この凍結乾燥した溶出物質が、部分精製および/または精製プロアントシアニジンオリゴマー成分を含有し、かつB型肝炎ウイルス抑制効果を有する薬剤である。
【0052】
≪実験例4≫
赤外線分光分析
精製プロアントシアニジンオリゴマー試料を塩化カリウムと混合し、プレスしてフィルムにしてから、透過型赤外分光光度計により検出を行った。その結果を図3に示す。このうち、より強い吸収ピークは、3412.38cm−1、1610.57cm−1、1521.40cm−1、1441.14cm−1、1284.86cm−1および1110.88cm−1である。
【0053】
≪実験例5≫
高速液体クロマトグラフィー質量分析
精製されたプロアントシアニジンオリゴマー試料を高速液体クロマトグラフィー質量分析計(HPLC/ESI+、HPLC/ESI−)(Micromass Quattro/Waters 2690)で分析した。重合度1〜6のプロアントシアニジンのモノマーおよびオリゴマー、ならびに、分子量164のグルコシドを含むプロアントシアニジンモノマーが検出された。精製されたプロアントシアニジンオリゴマーの高速液体クロマトグラフィー−ESI+質量スペクトルおよび高速液体クロマトグラフィー−ESI−質量スペクトルを図4aおよび図4bに示す。
【0054】
≪実験例6≫
13Cおよび1H−核磁気共鳴分光分析
精製されたプロアントシアニジンオリゴマー試料を13C−核磁気共鳴分光分析装置および1H−核磁気共鳴分光分析装置により測定した。13C−核磁気共鳴分光分析の結果を図5a〜図5cに示す。145.2〜145.7ppmに、二重項−二重項のピークが現れているのみで、他のピークは存在しない。それゆえ、このモノマーは、シアニジンを有するが、デルフィニジンは有さず、つまりB環が3つのOH基を有するものであった。これはEGA/MS分析の結果と一致していた。図5bにおいて、R1=HまたはOHであり、かつR2=H、OHまたはOCHである。
【0055】
13C−核磁気共鳴スペクトルおよび1H−核磁気共鳴スペクトルから、プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合は、図6(a)および(b)に示されるように、主に、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合およびC2−C7間の酸素結合で起こることがわかった。
【0056】
≪実験例7≫
マトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)分析
部分精製されたプロアントシアニジンオリゴマーの分子量分布をマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析装置により測定した。その結果を図7a〜図7cに示す。この結果より、部分精製されたプロアントシアニジンオリゴマーの分子量分布は、500〜5,000であることがわかった。この分子量分布の結果から、プロアントシアニジンオリゴマーの重合度は2〜18の範囲内であると推測される。
【0057】
≪実験例8≫
各種の科に属する植物より抽出した各プロアントシアニジンオリゴマー抽出物のB型肝炎ウイルス抑制活性試験
各種の科に属する植物に対して粗抽出を行った。凍結乾燥後、これらの抽出物のB型肝炎ウイルス抑制効果を分析した。B型肝炎ウイルスを含むプラスミドを細胞に導入することにより、B型肝炎ウイルスを産生するヒト肝細胞癌細胞株HepG 2.2.15または1.3ES8を調製した。これら細胞を1×105個の細胞/100μL/ウェルの密度で96ウェル細胞培養プレートに入れ、細胞培養器中に置いて一晩培養した。翌日、抽出試料を10%DMSOおよび90%滅菌水で濃度10mg/mLになるように調製した後、細胞培養液で試験に適した濃度に希釈した。96ウェル細胞培養プレート中の元の培養液を取り除き、この際、細胞は取り除かないようにし、次いで、希釈した試料を含んだ培養液を100μL/ウェルの量で96ウェル細胞培養プレートに加えた。B型肝炎ウイルス表面抗原(HBs)およびB型肝炎ウイルスe抗原(HBe)抑制試験を行い、4日後に、細胞毒性を有しなかった(細胞生存率>85%)希釈試料を含む共培養液を選択して分析を行った。B型肝炎ウイルス表面抗原は、SURASE B−96(TMB)(GENERAL BIOLOGICALS)キットで検出し、B型肝炎ウイルスe抗原は、EASE BN−96(TMB)(GENERAL BIOLOGICALS)キットで検出した。希釈試料を含む培養液を、抗B型肝炎ウイルス表面抗原抗体および抗B型肝炎ウイルスe抗原抗体でそれぞれコートした2枚の96ウェル細胞培養プレートに、それぞれ50μL/ウェルおよび1000μL/ウェルの量で加えた後、40℃下に置いた。抗B型肝炎ウイルス表面抗原抗体でコートした96ウェル細胞培養プレート中の希釈試料を含む共培養液は2時間放置した後に除去し、一方、抗B型肝炎ウイルスe抗原抗体でコートした96ウェル細胞培養プレート中の希釈試料を含む共培養液は一晩置いた後で除去した。次いで、2枚の96ウェル細胞培養プレートを洗浄バッファーで6回洗浄してから、ペルオキシダーゼと共役させた抗B型肝炎ウイルス表面抗原二次抗体およびペルオキシダーゼと共役させた抗B型肝炎ウイルスe抗原二次抗体にそれぞれ加え、40℃下で1時間放置した後、96ウェル細胞培養プレート中の溶液を除去した。そして、96ウェル細胞培養プレートを洗浄バッファーで6回洗浄した。室温下、暗所でTBSを96ウェル細胞培養プレートに100μL/ウェルの量で加えて30分呈色反応を行った後、2M硫酸を96ウェル細胞培養プレートに100μL/ウェルの量で加えて呈色反応を停止させた。次いで、2枚の96ウェル細胞培養プレートをそれぞれELISAリーダーにて450nmの吸光度を測定した。希釈試料を含む共培養液を添加していない対照群の吸光度を分母とし、対照群の吸光度と実験群の吸光度との差を分子として、抽出試料のB型肝炎ウイルス抑制率を算出した。
【0058】
プロアントシアニジンオリゴマーを含有する合計11種類の植物を抽出した。ここで、11種類のプロアントシアニジンオリゴマー含有植物とは、マメ科に属する植物1種、ベンケイソウ科に属する植物1種、シクンシ科に属する植物2種、ガガイモ科に属する植物1種、バラ科に属する植物1種、シソ科に属する植物1種、ブドウ科に属する植物1種、および、タデ科に属する植物3種である。これらの植物の各抽出物を、適切な濃度(74g/mLまたは25g/mL)で2日間および4日間、細胞とそれぞれ共培養し、B型肝炎ウイルス表面抗原およびB型肝炎ウイルスe抗原の抑制能を測定した。その結果を図8aおよび図8bにそれぞれ示す。
【0059】
この結果より、上記した11種類の植物に含有されるプロアントシアニジンオリゴマーは、B型肝炎ウイルス抗原の産生を抑制できることが示された。各植物中におけるプロアントシアニジンオリゴマーの含有量がそれぞれ異なるので、各植物のB型肝炎ウイルス抑制活性もそれぞれ異なっていた。
【0060】
≪実験例9≫
プロアントシアニジンオリゴマーのB型肝炎ウイルス抑制活性分析
95%エタノールで抽出したカラムシ試料7.0110gを粉砕し、ヘキサン300mLに加えた後、6時間加熱還流した。次いで、固体部分を取り(液体部分を除去し)、アセトン/水(70/30、v/v)に加えて抽出を行った。この水層を取り、アセトンを除去した。この水層をクロロホルムに加えて、その中の残留物を抽出した後、乾燥して試料1を得た。その後、2.3116gの試料1をゲル浸透クロマトグラフィーカラムに投入し、異なる溶媒で連続して溶出を行った。溶媒は、それぞれ、95%エタノール300mL、95%エタノール/メタノール(1/1、v/v)300mL、メタノール300mL、50%メタノール水溶液300mL、50%アセトン水溶液300mLおよびアセトン300mLとした。これにより、試料2〜6を得た(50%メタノール水溶液300mL、50%アセトン水溶液300mLおよびアセトン300mLで溶出した溶出溶液を合わせて試料6とした)。そして、試料1〜6について、実験例8と同様のB型肝炎ウイルス抑制活性試験を行った。CPB50μg/mLを含む培養液を陽性対照とし、いずれの抽出物も含まない培養液を陰性対照群とした。各抽出物を各濃度で二重に試験した。
【0061】
図9aは、2日目に試料2を除く全ての抽出物がB型肝炎ウイルスe抗原を抑制したことを示している。図9bは、4日目に試料2を除く全ての抽出物がB型肝炎ウイルス表面抗原およびB型肝炎ウイルスe抗原を抑制したことを示している。
【0062】
≪実験例10≫
異なるR1を有する異なるモノマーを含むプロアントシアニジンオリゴマーのB型肝炎ウイルス抑制活性分析
異なる試料AおよびBについて、実験例1〜7の分析により、試料AおよびBのプロアントシアニジンオリゴマーのモノマーのR1構造を特定し、これらが異なるものであることを確認した。ここで、試料AおよびBは、ぞれぞれ実験例9の試料4および6であり、図1(c)〜(f)で示される。これら2種類のプロアントシアニジンオリゴマーに対して、50%阻害濃度(IC50)試験を行った。B型肝炎ウイルスを産生する細胞を2種の試料と、異なる濃度で共培養した。次いで、2種類の試料のB型肝炎ウイルス表面抗原およびB型肝炎ウイルスe抗原に対する抑制率を測定した。これら試料を連続希釈した後、各濃度における抑制率を測定し、その50%阻害濃度(IC50)をグラフィット(GraFit)5ソフトウェア(Erithacus Software Limitedから入手)を用いて計算した。その結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
上記結果からわかるように、2日目の試料Aおよび試料BのB型肝炎ウイルス表面抗原に対する50%阻害濃度(IC50)は、それぞれ127.1±13.4μg/mLおよび158.8±15.5μg/mLであり、2日目の試料Aおよび試料BのB型肝炎ウイルスe抗原に対する50%阻害濃度(IC50)は、それぞれ84.1±38.4μg/mLおよび46.3±11.2μg/mLであった。そして、4日目の試料Aおよび試料BのB型肝炎ウイルスe抗原に対する50%阻害濃度(IC50)は、それぞれ47.4±3.9μg/mLおよび44.1±6.3μg/mLであった。このように、モノマーのR1が異なるプロアントシアニジンオリゴマーは、B型肝炎ウイルスを抑制する生理活性が似たようなものであった。
【0065】
以上、実験例および好適な実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらに限定はされないと解されるべきである。本発明は、(当業者には明らかであるように)各種の変更および類似のアレンジが包含されるように意図されている。よって、添付の特許請求の範囲は、かかる変更および類似のアレンジがすべて包含されるように、最も広い意味に解釈されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、B型肝炎を治療するための医薬組成物およびB型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品を提供するので、B型肝炎(および/またはB型肝炎関連疾患)の治療および/または予防に関連する分野において多大の貢献をなすものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、B型肝炎を治療するための医薬組成物およびB型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品に関し、より詳しくは、B型肝炎ウイルス活性を抑制できるプロアントシアニジンオリゴマーを含有する医薬組成物および健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、全世界に3億5千万人の無症候性B型肝炎ウイルスキャリアが存在することが知られており、毎年30万人がB型肝炎関連疾患で死亡している。台湾では、B型肝炎関連疾患による死亡者が毎年8千人を超えている。目下のところ、B型肝炎に対する有効な治療薬は存在しない。しかし、インターフェロンやラミブジンなどの抗B型肝炎薬が開示されているが、これらの薬剤は患者に重篤な副作用を引き起こす。
【0003】
それゆえ、重篤な副作用を引き起こさない抗B型肝炎薬組成物が必要とされている。こうした状況の下、天然植物を含有する抗B型肝炎薬組成物が提案されている。
【0004】
天然の薬草であるカラムシ(Boehmeria nivea(L.)Gaud)は、重篤な副作用を引き起こすことなく、肝機能強化や抗消炎などの投与効果を示すことが開示されている。しかし、カラムシをB型肝炎の治療に用いることについては、まだ開示されておらず、その有効成分もまだ確定されていない。
【0005】
ところで、天然の植物から抽出されるプロアントシアニジンオリゴマーは、優れた抗酸化作用を有し、健康食品によく用いられている。特許文献1には、タウリン、β−カロチン、プロアントシアニジンオリゴマー(グレープシードから抽出)、ビタミンEおよびビタミンCを含有する栄養食品が開示されている。この栄養食品は、慢性肝炎の改善に効果があることが判明している。しかし、プロアントシアニジンオリゴマーがB型肝炎を有効に抑制できるか否かについては、まだ確認されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾特許第I274551号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した事情に鑑みて、本発明の目的は、B型肝炎を治療するための医薬組成物およびB型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、B型肝炎を治療するための医薬組成物であって、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーと薬学的に許容される担体または塩とを含有し、前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーが下記式で示される医薬組成物を提供する。
【0009】
【化1】
【0010】
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHであり、R4は3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖である。]
【0011】
プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合は、好ましくは、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合またはC2−C7間の酸素結合、あるいは、それらの異性体で起こる。プロアントシアニジンオリゴマーの重合数は、好ましくは2〜30である。
【0012】
また、本発明は、B型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品であって、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーを含有し、プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーが下記式で示される健康食品を提供する。
【0013】
【化2】
【0014】
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHであり、R4は3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖である。]
【0015】
プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合は、好ましくは、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合またはC2−C7間の酸素結合、あるいは、それらの異性体で起こる。プロアントシアニジンオリゴマーの重合数は、好ましくは2〜30である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、植物から抽出されるプロアントシアニジンオリゴマーを有効成分として含有する医薬組成物および健康食品が提供されるので、重篤な副作用を引き起こすことなく、B型肝炎(および/またはB型肝炎関連疾患)を治療することができる。また、B型肝炎ウイルスの活性を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)〜(f)は、それぞれ、フラバン−3−オール、フラバン−3,4−オール、カテキン((2R,3S)および(2S,3R))ならびにエピカテキン((2S,3S)および(2R,3R))の化学式を示す。
【図2a】プロアントシアニジンオリゴマーの質量スペクトルの結果を示す。
【図2b】プロアントシアニジンオリゴマーの構造解析の結果を示す。
【図2c】プロアントシアニジンオリゴマーの構造解析の結果を示す。
【図2d】プロアントシアニジンオリゴマーの構造解析の結果を示す。
【図2e】プロアントシアニジンオリゴマーの構造解析の結果を示す。
【図3】精製プロアントシアニジンオリゴマー試料の赤外線分光分析の結果を示す。
【図4a】精製プロアントシアニジンオリゴマーの高速液体クロマトグラフィー−ESI+質量スペクトルを示す。
【図4b】精製プロアントシアニジンオリゴマーの高速液体クロマトグラフィー−ESI−質量スペクトルを示す。
【図5a】13C−核磁気共鳴分光分析の結果を示す。
【図5b】13C−核磁気共鳴分光分析の結果を示す。
【図5c】13C−核磁気共鳴分光分析の結果を示す。
【図6】(a)および(b)は、プロアントシアニジンオリゴマーの2つのモノマー間の結合を示す。
【図7a】部分精製したプロアントシアニジンオリゴマーのマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)分析の結果を示す。
【図7b】部分精製したプロアントシアニジンオリゴマーのマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)分析の結果を示す。
【図7c】部分精製したプロアントシアニジンオリゴマーのマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)分析の結果を示す。
【図8a】種々の科に属する植物から抽出したプロアントシアニジンオリゴマーによるB型肝炎ウイルス活性の抑制に関する分析の結果を示す。
【図8b】種々の科に属する植物から抽出したプロアントシアニジンオリゴマーによるB型肝炎ウイルス活性の抑制に関する分析の結果を示す。
【図9a】プロアントシアニジンオリゴマーによるB型肝炎ウイルス活性の抑制に関する分析の結果を示す。
【図9b】プロアントシアニジンオリゴマーによるB型肝炎ウイルス活性の抑制に関する分析の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面を参照にしながら、以下の実施形態においてより詳細な説明を行う。
【0019】
添付の図面を参照して下記の詳細な説明および実験例を読めば、本発明をより完全に理解することができる。
【0020】
以下の記載は本発明を実施するための最良の形態である。この記載は本発明の主要な原理を説明するためのものであり、限定の意味で解されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照に判断されなくてはならない。
【0021】
本発明は、B型肝炎(および/またはB型肝炎関連疾患)を治療するための医薬組成物またはB型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品の有効成分として、プロアントシアニジンオリゴマーを用いる。
【0022】
B型肝炎ウイルス抑制効果を有するプロアントシアニジンオリゴマーは、植物から抽出することができる。ある実施形態において、この植物としては、例えば、マメ科、ベンケイソウ科、シクンシ科、ガガイモ科、バラ科、シソ科、タデ科、ツヅジ科、マツ科、ブドウ科またはイラクサ科に属する植物を挙げることができる。これらの植物のうち、ツヅジ科、バラ科、マツ科、ブドウ科またはイラクサ科に属する植物が好ましく、イラクサ科に属するカラムシがより好ましい。抽出すべき植物の部位としては、例えば、根、茎、葉および/または果実の部分を挙げることができる。
【0023】
また、本発明において、植物抽出のプロセスは、従来公知の方法により行うことができる。ある実施形態では、植物を乾燥後、その根、茎、葉および/または果実を切断または粉砕した後、抽出溶媒を用いて抽出する。ある実施形態では、好ましくは、カラムシの根および/または茎から抽出する。
【0024】
抽出溶媒には、水を用いるか、あるいは、水と極性の異なる溶媒との混合溶液を用いることができる。極性の異なる溶媒としては、例えば、エタノール、アセトン、メタノールおよび酢酸エチルなどが挙げられる。これら溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、水と混合して用いることも可能である。抽出溶媒と植物との比率は、特に限定されるものではない。ある実施形態において、抽出溶媒と植物との比率は、好ましくは2:1〜1:2(w/w)、より好ましくは1:1(w/w)である。
【0025】
さらに、抽出温度は、抽出に用いる抽出溶媒により様々であり、特に限定されるものでではない。ある実施形態では、抽出プロセスは、室温の抽出溶媒中で行うことができる。別の実施形態では、抽出プロセスは、抽出に用いる抽出溶媒により、それぞれ異なる還流温度に加熱して行うことができる。抽出時間は、抽出温度に応じて、好ましくは1時間から10日間、より好ましくは2時間から7日間とすることができる。抽出の過程で、塩化ナトリウム、希釈された無機酸(例えば、希塩酸)または有機酸(例えば、ビタミンC、酒石酸)を、必要に応じて、抽出溶液に加えることにより、抽出溶液のpH値を調整してもよい。
【0026】
次いで、有効成分であるプロアントシアニジンオリゴマーを含有する抽出物を濃縮した後、乾燥する。あるいは、必要に応じて、抽出物をさらに部分精製または完全精製してもよい。ある実施形態において、部分精製のプロセスは、乾燥した抽出物を、例えば、95%エタノール水溶液および/または95%メタノール水溶液に再溶解した後、極性の異なる溶媒で、例えば、95%エタノール水溶液および/または95%メタノール水溶液から抽出して不純物を除去する工程を包含する。例えば、抽出物の脂質および非極性物質を、非極性溶媒(例えば、ヘキサン)で除去した後、その抽出物を、例えば、クロロホルムおよび/または酢酸エチルで抽出して、低分子量のフェノール化合物を除去する。その後、上記の溶媒で抽出した抽出物の水層を濃縮し、乾燥して、部分精製されたプロアントシアニジンオリゴマーを得る。
【0027】
完全精製のプロセスは、部分精製された抽出物を、例えば、エタノールまたはメタノール水溶液に溶解し、ゲル浸透クロマトグラフィーカラムに投入した後、様々な溶液および/または混合溶液で溶出して、プロアントシアニジンオリゴマーの精製および単離を行う工程を包含する。ある実施形態において、溶出に用いる様々な溶液は、例えば、95%エタノール水溶液、95%エタノール/メタノール(1:1、v/v)水溶液、50%メタノール水溶液および50%アセトン水溶液であり、この順で用いる。これらの様々な溶液により溶出された溶液をそれぞれ分画収集した後、液体クロマトグラフィーを用いて、波長280nmの吸収値により、その中のプロアントシアニジンオリゴマーの検出を行う。様々な溶液で溶出された溶液を収集することにより、分子量分布のそれぞれ異なるプロアントシアニジンオリゴマーを含む溶液が得られる。様々な溶液で溶出し、分画収集した溶液を、例えば、40℃よりも低い温度で濃縮した後、凍結乾燥して、精製プロアントシアニジンオリゴマーが得られる。ある実施形態において、ゲル浸透クロマトグラフィーカラムは、Sephadex(登録商標)LH−20カラム(GEファルマシア社製)を用いることができる。
【0028】
上記のプロセスにより精製されたプロアントシアニジンオリゴマーのモノマーは、下記式で示される。
【0029】
【化3】
【0030】
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHであり、R4は3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖である。ここで、「糖」は、単糖、オリゴ糖または多糖であり、好ましくはグルコースである。]
【0031】
また、上記のモノマーは、C4、C6またはC8の位置における(R)または(S)光学異性体を含んでいてもよい。
【0032】
さらに、上記のモノマーはフラボノイドを含んでいてもよい。フラボノイドとしては、例えば、カテキン、エピカテキン、エピアフゼレキン、ガロカテキン、ガロエピカテキン、エピガロカテキン、ガレート、フラボノール、フラバンジオール、ロイコシアニジンまたはプロシアニジンなどを挙げることができる。ある実施形態では、プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラバン−3−オールまたはフラバノン誘導体を含んでいてもよい。フラバン−3−オール、フラバン−3,4−オール、カテキン((2R,3S)および(2S,3R))ならびにエピカテキン((2S,3S)および(2R,3R))の化学式を図1(a)〜(f)に示す。
【0033】
プロアントシアニジンオリゴマーの重合数は、好ましくは2〜30、より好ましくは3〜20である。プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合は、好ましくは、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合またはC2−C7間の酸素結合で起こる。プロアントシアニジンオリゴマーの平均分子量は、好ましくは約600〜約10,000である。
【0034】
ある実施形態において、精製プロアントシアニジンオリゴマーは、単一重合度のプロアントシアニジンオリゴマーを含有する。別の実施形態において、精製プロアントシアニジンオリゴマーは、異なる重合度のプロアントシアニジンオリゴマーの混合物を含有する。
【0035】
ある実施形態において、プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーを示す式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHである。モノマーのR1が異なるプロアントシアニジンオリゴマーのB型肝炎ウイルス表面抗原に対する50%阻害濃度(IC50)は、約127〜164μg/mLであり、モノマーのR1が異なるプロアントシアニジンオリゴマーのB型肝炎ウイルスe抗原に対する50%阻害濃度(IC50)は、約44〜84μg/mLである。したがって、モノマーのR1が異なっていても、プロアントシアニジンオリゴマーがB型肝炎ウイルスを抑制する生理活性に影響しない。
【0036】
本発明において、上記の抽出したプロアントシアニジンオリゴマーは、B型肝炎を治療するための医薬組成物であって、プロアントシアニジンオリゴマーと薬学上許容される担体または塩とを含有する医薬組成物に用いることができる。
【0037】
ここで、薬学上許容される担体としては、特に限定されるものではないが、例えば、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤などを挙げることができる。上記の医薬組成物は、それぞれ異なる投与経路に応じて、従来公知の方法を用いて、様々な剤形に製剤化することができる。
【0038】
また、薬学上許容される塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、無機カチオン塩、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アミン塩、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩)、二価または四価のカチオンを含む塩(例えば、亜鉛塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩)などを挙げることができる。さらに、薬学上許容される塩として、有機塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、メチル−D−グルカミン、アミノ酸塩(例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン、グルタミン)などを挙げることもできる。
【0039】
本発明の医薬組成物は、経口投与するか、あるいは、非経口投与すればよく、例えば、吸入噴霧により、あるいは、植込型容器を介して投与することができる。非経口経路としては、例えば、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内および病巣内への注射および注入技術を挙げることができる。
【0040】
経口投与される医薬組成物の剤形としては、特に限定されるものではないが、例えば、錠剤、カプセル、乳剤、水性懸濁剤、分散剤、液剤などを挙げることができる。
【0041】
また、本発明は、プロアントシアニジンオリゴマーを含有する健康食品も提供する。それゆえ、この健康食品は、B型肝炎ウイルス抑制効果を有する。
【0042】
本発明の医薬組成物および健康食品における有効成分の通常の一日投与量は、約0.1〜10,000mg/kg体重、好ましくは約1〜5,000mg/kg体重、より好ましくは約10〜1,000mg/体重の範囲内であり、単一投与量または分割投与量で投与することができる。しかし、実際に投与される有効成分の量は、治療する疾患、選択された投与経路、患者の年齢、性別および体重、ならびに、疾患の程度を含む種々の関連因子を考慮して決定されるものであり、したがって、前記投与量は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0043】
≪実験例1≫
プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーの構造決定
ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて、プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーの構造を決定した。固体の精製プロアントシアニジンオリゴマーをガスクロマトグラフ質量分析計に投入し、段階的に昇温(50〜500℃)するか、あるいは、単一の温度まで急速に昇温した。加熱分解した試料を、ガスクロマトグラフ質量分析計の特定の金属カラムにより単離した後、質量分析検出器で検出して質量スペクトルを得た。その質量スペクトルから、プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーの構造を決定した。プロアントシアニジンオリゴマーの質量スペクトルおよび構造解析をそれぞれ図2aおよび図2b〜図2eに示す。図2b〜図2eの左側の部分は、図2aにおけるピークのm/z値を示し、図2b〜図2eの右側の部分は、左側の部分におけるピークのモノマー解析結果を示している。決定されたプロアントシアニジンオリゴマーのモノマーの化学式は、下記のとおりである。
【0044】
【化4】
【0045】
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHである。]
【0046】
さらに、質量スペクトルには、グルコシドのピークも示されている。よって、R4の組成は、3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖であり得る。
【0047】
≪実験例2≫
プロアントシアニジンオリゴマーを含有するカラムシ抽出物の調製
手法1
カラムシの根と茎を洗浄し、自然環境中で乾燥した。乾燥したカラムシを厚さ5mmの切片に切断し、4℃で保管した。次いで、その保管しておいたカラムシを粉砕機で粉砕した後、篩にかけた。篩を通過した20メッシュより小さい粉末を取り、95%エタノール(粉末:95%エタノール=1:10、w/w)に加え、2時間加熱還流した(2回行った)後、室温まで冷却した。この抽出液を遠心バッグに入れ、遠心分離により濾過した。濾過した溶液を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。この凍結乾燥した抽出物が有効成分のプロアントシアニジンオリゴマーを含有する医薬組成物であり、B型肝炎ウイルス抑制活性を有するものである。なお、この医薬組成物には、薬学的に許容される天然植物由来の微量の担体または塩が含有されている。
【0048】
手法2
手法1において、4℃で保管したカラムシを研磨機で粉砕してから、篩にかけた。篩を通過した20メッシュよりも小さい粉末を取り、逆浸透膜を用いて精製したRO水(粉末:RO水=1:10、w/w)に加え、2時間加熱還流した(2回行った)後、室温まで冷却した。この抽出液をエタノール水溶液(95〜50%)に加えて混合した。抽出液を冷却して沈殿させた後、この上層液を遠心バッグに入れ、遠心分離により濾過した。濾過した溶液を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。この凍結乾燥した抽出物が有効成分のプロアントシアニジンオリゴマーを含有する医薬組成物であり、B型肝炎ウイルス抑制活性を有するものである。
【0049】
≪実験例3≫
カラムシ抽出物の部分精製
手法1
溶媒抽出−1
プロアントシアニジンオリゴマーを含有するカラムシ抽出物をヘキサン(抽出物:ヘキサン=1:10、w/v)に加え、6時間加熱還流して抽出物中の脂質を除去した。この固体抽出物を70%メタノール水溶液および/または0.3%ビタミンC水溶液に溶解し、40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮して溶媒を除去した。次いで、この抽出物をクロロホルム(抽出物:クロロホルム=1:1、v/v)に加え、30分間ボルテックス攪拌した(抽出を複数回行った)。この水層を酢酸エチル(抽出物:酢酸エチル=1:1、v/v)に加え、30分間ボルテックス攪拌した(抽出を複数回行った)。この水層を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。
【0050】
手法2
溶媒抽出−2
プロアントシアニジンオリゴマーを含有するカラムシ抽出物を水/エタノール溶液(抽出物:水/エタノール溶液=1:10、w/v)に溶解させてからヘキサン(溶液:ヘキサン=1:10、v/v)に加えた後、30分間ボルテックス攪拌し(抽出を複数回行った)、抽出物中の脂質を除去した。この水層を酢酸エチル(水層:酢酸エチル=1:1、v/v)に加え、30分間ボルテックス攪拌した(抽出を複数回行った)。この水層を1−ブタノール(水層:1−ブタノール=1:1、v/v)に加え、30分間ボルテックス攪拌した(抽出を複数回行った)。この水層を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。
【0051】
手法3
ゲル浸透クロマトグラフィー
手法1において、部分精製されたプロアントシアニジンオリゴマーを含有するカラムシ抽出物を、ゲル浸透クロマトグラフィー(直径4cm×長さ45cmのSephadex(登録商標)LH−20)により、極性比率の異なる溶液を用いて、単離して溶出し、その中の不純物を除去した。この部分精製された物質2.5gを95%エタノール0.5mLに溶解し、ゲル浸透クロマトグラフィーカラムに投入した後、一連の溶媒で連続して溶出し、それぞれ異なる溶媒で溶出した溶出液を収集した。溶媒は、それぞれ、95%エタノール300mL、95%エタノール/メタノール(1/1、v/v)300mL、メタノール300mL、50%メタノール水溶液300mLおよび50%アセトン水溶液300mLとした。95%エタノール300mLで溶出した溶出液を除き、その他すべての溶出液を40℃よりも低い温度にて真空エバポレーターで濃縮した後、凍結乾燥機で凍結乾燥した。凍結乾燥した物質を−20℃で保管し、後の使用に備えた。部分精製および/または精製プロアントシアニジンオリゴマーを含有する凍結乾燥したカラムシ抽出物の物理的および化学的な特性を分析した。この凍結乾燥した溶出物質が、部分精製および/または精製プロアントシアニジンオリゴマー成分を含有し、かつB型肝炎ウイルス抑制効果を有する薬剤である。
【0052】
≪実験例4≫
赤外線分光分析
精製プロアントシアニジンオリゴマー試料を塩化カリウムと混合し、プレスしてフィルムにしてから、透過型赤外分光光度計により検出を行った。その結果を図3に示す。このうち、より強い吸収ピークは、3412.38cm−1、1610.57cm−1、1521.40cm−1、1441.14cm−1、1284.86cm−1および1110.88cm−1である。
【0053】
≪実験例5≫
高速液体クロマトグラフィー質量分析
精製されたプロアントシアニジンオリゴマー試料を高速液体クロマトグラフィー質量分析計(HPLC/ESI+、HPLC/ESI−)(Micromass Quattro/Waters 2690)で分析した。重合度1〜6のプロアントシアニジンのモノマーおよびオリゴマー、ならびに、分子量164のグルコシドを含むプロアントシアニジンモノマーが検出された。精製されたプロアントシアニジンオリゴマーの高速液体クロマトグラフィー−ESI+質量スペクトルおよび高速液体クロマトグラフィー−ESI−質量スペクトルを図4aおよび図4bに示す。
【0054】
≪実験例6≫
13Cおよび1H−核磁気共鳴分光分析
精製されたプロアントシアニジンオリゴマー試料を13C−核磁気共鳴分光分析装置および1H−核磁気共鳴分光分析装置により測定した。13C−核磁気共鳴分光分析の結果を図5a〜図5cに示す。145.2〜145.7ppmに、二重項−二重項のピークが現れているのみで、他のピークは存在しない。それゆえ、このモノマーは、シアニジンを有するが、デルフィニジンは有さず、つまりB環が3つのOH基を有するものであった。これはEGA/MS分析の結果と一致していた。図5bにおいて、R1=HまたはOHであり、かつR2=H、OHまたはOCHである。
【0055】
13C−核磁気共鳴スペクトルおよび1H−核磁気共鳴スペクトルから、プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合は、図6(a)および(b)に示されるように、主に、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合およびC2−C7間の酸素結合で起こることがわかった。
【0056】
≪実験例7≫
マトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)分析
部分精製されたプロアントシアニジンオリゴマーの分子量分布をマトリクス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析装置により測定した。その結果を図7a〜図7cに示す。この結果より、部分精製されたプロアントシアニジンオリゴマーの分子量分布は、500〜5,000であることがわかった。この分子量分布の結果から、プロアントシアニジンオリゴマーの重合度は2〜18の範囲内であると推測される。
【0057】
≪実験例8≫
各種の科に属する植物より抽出した各プロアントシアニジンオリゴマー抽出物のB型肝炎ウイルス抑制活性試験
各種の科に属する植物に対して粗抽出を行った。凍結乾燥後、これらの抽出物のB型肝炎ウイルス抑制効果を分析した。B型肝炎ウイルスを含むプラスミドを細胞に導入することにより、B型肝炎ウイルスを産生するヒト肝細胞癌細胞株HepG 2.2.15または1.3ES8を調製した。これら細胞を1×105個の細胞/100μL/ウェルの密度で96ウェル細胞培養プレートに入れ、細胞培養器中に置いて一晩培養した。翌日、抽出試料を10%DMSOおよび90%滅菌水で濃度10mg/mLになるように調製した後、細胞培養液で試験に適した濃度に希釈した。96ウェル細胞培養プレート中の元の培養液を取り除き、この際、細胞は取り除かないようにし、次いで、希釈した試料を含んだ培養液を100μL/ウェルの量で96ウェル細胞培養プレートに加えた。B型肝炎ウイルス表面抗原(HBs)およびB型肝炎ウイルスe抗原(HBe)抑制試験を行い、4日後に、細胞毒性を有しなかった(細胞生存率>85%)希釈試料を含む共培養液を選択して分析を行った。B型肝炎ウイルス表面抗原は、SURASE B−96(TMB)(GENERAL BIOLOGICALS)キットで検出し、B型肝炎ウイルスe抗原は、EASE BN−96(TMB)(GENERAL BIOLOGICALS)キットで検出した。希釈試料を含む培養液を、抗B型肝炎ウイルス表面抗原抗体および抗B型肝炎ウイルスe抗原抗体でそれぞれコートした2枚の96ウェル細胞培養プレートに、それぞれ50μL/ウェルおよび1000μL/ウェルの量で加えた後、40℃下に置いた。抗B型肝炎ウイルス表面抗原抗体でコートした96ウェル細胞培養プレート中の希釈試料を含む共培養液は2時間放置した後に除去し、一方、抗B型肝炎ウイルスe抗原抗体でコートした96ウェル細胞培養プレート中の希釈試料を含む共培養液は一晩置いた後で除去した。次いで、2枚の96ウェル細胞培養プレートを洗浄バッファーで6回洗浄してから、ペルオキシダーゼと共役させた抗B型肝炎ウイルス表面抗原二次抗体およびペルオキシダーゼと共役させた抗B型肝炎ウイルスe抗原二次抗体にそれぞれ加え、40℃下で1時間放置した後、96ウェル細胞培養プレート中の溶液を除去した。そして、96ウェル細胞培養プレートを洗浄バッファーで6回洗浄した。室温下、暗所でTBSを96ウェル細胞培養プレートに100μL/ウェルの量で加えて30分呈色反応を行った後、2M硫酸を96ウェル細胞培養プレートに100μL/ウェルの量で加えて呈色反応を停止させた。次いで、2枚の96ウェル細胞培養プレートをそれぞれELISAリーダーにて450nmの吸光度を測定した。希釈試料を含む共培養液を添加していない対照群の吸光度を分母とし、対照群の吸光度と実験群の吸光度との差を分子として、抽出試料のB型肝炎ウイルス抑制率を算出した。
【0058】
プロアントシアニジンオリゴマーを含有する合計11種類の植物を抽出した。ここで、11種類のプロアントシアニジンオリゴマー含有植物とは、マメ科に属する植物1種、ベンケイソウ科に属する植物1種、シクンシ科に属する植物2種、ガガイモ科に属する植物1種、バラ科に属する植物1種、シソ科に属する植物1種、ブドウ科に属する植物1種、および、タデ科に属する植物3種である。これらの植物の各抽出物を、適切な濃度(74g/mLまたは25g/mL)で2日間および4日間、細胞とそれぞれ共培養し、B型肝炎ウイルス表面抗原およびB型肝炎ウイルスe抗原の抑制能を測定した。その結果を図8aおよび図8bにそれぞれ示す。
【0059】
この結果より、上記した11種類の植物に含有されるプロアントシアニジンオリゴマーは、B型肝炎ウイルス抗原の産生を抑制できることが示された。各植物中におけるプロアントシアニジンオリゴマーの含有量がそれぞれ異なるので、各植物のB型肝炎ウイルス抑制活性もそれぞれ異なっていた。
【0060】
≪実験例9≫
プロアントシアニジンオリゴマーのB型肝炎ウイルス抑制活性分析
95%エタノールで抽出したカラムシ試料7.0110gを粉砕し、ヘキサン300mLに加えた後、6時間加熱還流した。次いで、固体部分を取り(液体部分を除去し)、アセトン/水(70/30、v/v)に加えて抽出を行った。この水層を取り、アセトンを除去した。この水層をクロロホルムに加えて、その中の残留物を抽出した後、乾燥して試料1を得た。その後、2.3116gの試料1をゲル浸透クロマトグラフィーカラムに投入し、異なる溶媒で連続して溶出を行った。溶媒は、それぞれ、95%エタノール300mL、95%エタノール/メタノール(1/1、v/v)300mL、メタノール300mL、50%メタノール水溶液300mL、50%アセトン水溶液300mLおよびアセトン300mLとした。これにより、試料2〜6を得た(50%メタノール水溶液300mL、50%アセトン水溶液300mLおよびアセトン300mLで溶出した溶出溶液を合わせて試料6とした)。そして、試料1〜6について、実験例8と同様のB型肝炎ウイルス抑制活性試験を行った。CPB50μg/mLを含む培養液を陽性対照とし、いずれの抽出物も含まない培養液を陰性対照群とした。各抽出物を各濃度で二重に試験した。
【0061】
図9aは、2日目に試料2を除く全ての抽出物がB型肝炎ウイルスe抗原を抑制したことを示している。図9bは、4日目に試料2を除く全ての抽出物がB型肝炎ウイルス表面抗原およびB型肝炎ウイルスe抗原を抑制したことを示している。
【0062】
≪実験例10≫
異なるR1を有する異なるモノマーを含むプロアントシアニジンオリゴマーのB型肝炎ウイルス抑制活性分析
異なる試料AおよびBについて、実験例1〜7の分析により、試料AおよびBのプロアントシアニジンオリゴマーのモノマーのR1構造を特定し、これらが異なるものであることを確認した。ここで、試料AおよびBは、ぞれぞれ実験例9の試料4および6であり、図1(c)〜(f)で示される。これら2種類のプロアントシアニジンオリゴマーに対して、50%阻害濃度(IC50)試験を行った。B型肝炎ウイルスを産生する細胞を2種の試料と、異なる濃度で共培養した。次いで、2種類の試料のB型肝炎ウイルス表面抗原およびB型肝炎ウイルスe抗原に対する抑制率を測定した。これら試料を連続希釈した後、各濃度における抑制率を測定し、その50%阻害濃度(IC50)をグラフィット(GraFit)5ソフトウェア(Erithacus Software Limitedから入手)を用いて計算した。その結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
上記結果からわかるように、2日目の試料Aおよび試料BのB型肝炎ウイルス表面抗原に対する50%阻害濃度(IC50)は、それぞれ127.1±13.4μg/mLおよび158.8±15.5μg/mLであり、2日目の試料Aおよび試料BのB型肝炎ウイルスe抗原に対する50%阻害濃度(IC50)は、それぞれ84.1±38.4μg/mLおよび46.3±11.2μg/mLであった。そして、4日目の試料Aおよび試料BのB型肝炎ウイルスe抗原に対する50%阻害濃度(IC50)は、それぞれ47.4±3.9μg/mLおよび44.1±6.3μg/mLであった。このように、モノマーのR1が異なるプロアントシアニジンオリゴマーは、B型肝炎ウイルスを抑制する生理活性が似たようなものであった。
【0065】
以上、実験例および好適な実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらに限定はされないと解されるべきである。本発明は、(当業者には明らかであるように)各種の変更および類似のアレンジが包含されるように意図されている。よって、添付の特許請求の範囲は、かかる変更および類似のアレンジがすべて包含されるように、最も広い意味に解釈されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、B型肝炎を治療するための医薬組成物およびB型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品を提供するので、B型肝炎(および/またはB型肝炎関連疾患)の治療および/または予防に関連する分野において多大の貢献をなすものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B型肝炎を治療するための医薬組成物であって、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーと薬学的に許容される担体または塩とを含有し、前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーが下記式で示されることを特徴とする医薬組成物。
【化1】
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHであり、R4は3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖である。]
【請求項2】
前記プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合が、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合またはC2−C7間の酸素結合で起こる請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記プロアントシアニジンオリゴマーの重合数が2〜30である請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記モノマーが、C4、C6またはC8の位置における(R)または(S)光学異性体を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラボノイドを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記フラボノイドが、カテキン、エピカテキン、エピアフゼレキン、ガロカテキン、ガロエピカテキン、エピガロカテキン、ガレート、フラボノール、フラバンジオール、ロイコシアニジンまたはプロシアニジンを含む請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラバン−3−オールを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記プロアントシアニジンオリゴマーが植物からの抽出物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記植物が、ツヅジ科、バラ科、マツ科、ブドウ科またはイラクサ科に属する植物を含む請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記イラクサ科に属する植物がカラムシを含む請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記植物がカラムシを含む請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
B型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品であって、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーを含有し、前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーが下記式で示されることを特徴とする健康食品。
【化2】
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHであり、R4は3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖である。]
【請求項13】
前記プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合が、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合またはC5−C7間の酸素結合で起こる請求項12に記載の健康食品。
【請求項14】
前記プロアントシアニジンオリゴマーの重合数が2〜30である請求項12または13に記載の健康食品。
【請求項15】
前記モノマーが、C4、C6またはC8の位置における(R)または(S)光学異性体を含む請求項12〜14のいずれか1項に記載の健康食品。
【請求項16】
前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラボノイドを含む請求項12〜15のいずれか1項に記載の健康食品。
【請求項17】
前記フラボノイドが、カテキン、エピカテキン、エピアフゼレキン、ガロカテキン、ガロエピカテキン、エピガロカテキン、ガレート、フラボノール、フラバンジオール、ロイコシアニジンまたはプロシアニジンを含む請求項16に記載の健康食品。
【請求項18】
前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラバン−3−オールを含む請求項12〜17のいずれか1項に記載のB型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品。
【請求項19】
前記プロアントシアニジンオリゴマーが植物からの抽出物である請求項12〜18のいずれか1項に記載の健康食品。
【請求項20】
前記植物が、ツヅジ科、バラ科、マツ科、ブドウ科またはイラクサ科に属する植物を含む請求項19に記載の健康食品。
【請求項21】
前記イラクサ科に属する植物がカラムシを含む請求項20に記載の健康食品。
【請求項22】
前記植物がカラムシを含む請求項19に記載の健康食品。
【請求項1】
B型肝炎を治療するための医薬組成物であって、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーと薬学的に許容される担体または塩とを含有し、前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーが下記式で示されることを特徴とする医薬組成物。
【化1】
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHであり、R4は3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖である。]
【請求項2】
前記プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合が、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合またはC2−C7間の酸素結合で起こる請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記プロアントシアニジンオリゴマーの重合数が2〜30である請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記モノマーが、C4、C6またはC8の位置における(R)または(S)光学異性体を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラボノイドを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記フラボノイドが、カテキン、エピカテキン、エピアフゼレキン、ガロカテキン、ガロエピカテキン、エピガロカテキン、ガレート、フラボノール、フラバンジオール、ロイコシアニジンまたはプロシアニジンを含む請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラバン−3−オールを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記プロアントシアニジンオリゴマーが植物からの抽出物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記植物が、ツヅジ科、バラ科、マツ科、ブドウ科またはイラクサ科に属する植物を含む請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記イラクサ科に属する植物がカラムシを含む請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記植物がカラムシを含む請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
B型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品であって、有効量のプロアントシアニジンオリゴマーを含有し、前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーが下記式で示されることを特徴とする健康食品。
【化2】
[式中、R1はOCH3、R2はOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1はOH、かつR2およびR3は共にHであるか、あるいは、R1およびR2は共にOH、かつR3はHであるか、あるいは、R1、R2およびR3はすべてOHであり、R4は3−(α)−OH、3−(β)−OH、3−(α)−O−糖または3−(β)−O−糖である。]
【請求項13】
前記プロアントシアニジンオリゴマーの隣接するモノマー間の結合が、C4−C8間の炭素−炭素結合、C4−C6間の炭素−炭素結合またはC5−C7間の酸素結合で起こる請求項12に記載の健康食品。
【請求項14】
前記プロアントシアニジンオリゴマーの重合数が2〜30である請求項12または13に記載の健康食品。
【請求項15】
前記モノマーが、C4、C6またはC8の位置における(R)または(S)光学異性体を含む請求項12〜14のいずれか1項に記載の健康食品。
【請求項16】
前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラボノイドを含む請求項12〜15のいずれか1項に記載の健康食品。
【請求項17】
前記フラボノイドが、カテキン、エピカテキン、エピアフゼレキン、ガロカテキン、ガロエピカテキン、エピガロカテキン、ガレート、フラボノール、フラバンジオール、ロイコシアニジンまたはプロシアニジンを含む請求項16に記載の健康食品。
【請求項18】
前記プロアントシアニジンオリゴマーのモノマーがフラバン−3−オールを含む請求項12〜17のいずれか1項に記載のB型肝炎ウイルス抑制効果を有する健康食品。
【請求項19】
前記プロアントシアニジンオリゴマーが植物からの抽出物である請求項12〜18のいずれか1項に記載の健康食品。
【請求項20】
前記植物が、ツヅジ科、バラ科、マツ科、ブドウ科またはイラクサ科に属する植物を含む請求項19に記載の健康食品。
【請求項21】
前記イラクサ科に属する植物がカラムシを含む請求項20に記載の健康食品。
【請求項22】
前記植物がカラムシを含む請求項19に記載の健康食品。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【公開番号】特開2010−155840(P2010−155840A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298284(P2009−298284)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】
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