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BAY43−9006トシレートの熱力学的に安定な形態
説明

BAY43−9006トシレートの熱力学的に安定な形態

【課題】トシル酸塩の、室温で熱力学的に安定な新規形態、その製造方法、それを含む医薬、および障害の制御におけるその使用の提供。
【解決手段】多形IIの式(I)の化合物を不活性溶媒中で処理し、多形Iの式(I)の化合物の結晶を加える、多形Iの式(I)の化合物の製法及び異常な血管新生または透過性亢進過程を特色とする障害、骨髄の疾患、癌腫または癌原性の細胞増殖の処置用の医薬組成物を製造するための、多形Iの式(I)の化合物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドのトシル酸塩の、室温で熱力学的に安定な新規形態、その製造方法、それを含む医薬組成物、および障害の制御におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドのトシル酸塩(tosylate salt)は、WO03/068228およびWO03/047579で言及されており、式(I):
【化1】

の化合物に相当する。
【0003】
WO03/068228は、なかんずく、血管新生が重要な役割を果たす障害の処置のための、例えば腫瘍増殖における、式(I)の化合物の使用に関する。WO03/047579は、癌の処置のための、細胞傷害性または細胞分裂停止性の化合物と組み合わせたアリール尿素に関する。
【0004】
化合物4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドは、WO00/42012に記載されており、式(II):
【化2】

の化合物に相当する。
【0005】
WO00/42012に開示されている化合物およびそれらの塩、例えばトシレート類は、そこで酵素Rafキナーゼの阻害剤として記載されており、障害、例えば癌の処置に使用し得る。
【0006】
式(II)の化合物は、WO00/42012に記載の方法で製造する。式(I)の化合物は、実施例の実施例1に記載の通り、トシル酸塩の製造に一般的な標準的方法に従い製造する。この方法では、式(I)の化合物は、以後多形IIと称する1種の結晶多形で得られる。多形IIは、194℃の転移点並びに特徴的なX線回析図、IRスペクトル、ラマンスペクトル、FIRスペクトルおよびNIRスペクトル(表1−6、図1−6)を有する。多形IIは準安定性であることが見出された。
【0007】
驚くべきことに、式(I)の化合物の2種のさらなる多形および2種の溶媒和物が見出された。多形Iの式(I)の化合物は、223−231℃で崩壊下に融解し、多形IIIの式(I)の化合物は、187−190℃で融解する。式(I)の化合物の一メタノール和物(monomethanol solvate)は4.8%のメタノールを、式(I)の化合物の一エタノール和物(monoethanol solvate)は6.7%のエタノールを含有する。本発明の式(I)の化合物の多形Iは、室温で熱力学的に安定であり、懸濁による処理の後でさえ保存安定性であり、従って、例えば懸濁剤またはクリームなどの医薬製剤における使用に特に適するが、例えば水性造粒または湿式粉砕で、懸濁された有効成分を介して製造される他の製剤における使用にも特に適する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、多形Iの式(I)の化合物を提供する。安定な多形Iの式(I)の化合物の本発明による使用は、望まざる他の多形への変換、および、付随する式(I)の化合物の特性、例えば溶解性またはバイオアベイラビリティーの変化を、確実に防止する。このことは式(I)の化合物を含む製剤の安全性および品質を高め、患者のリスクは低減される。
【0009】
式(I)の化合物の多形Iは、多形II、多形III、エタノールおよびメタノール和物と比較して、明確に判別できるX線回析図、NIRスペクトル、FIRスペクトルおよびラマンスペクトルを有する(図2−6)。多形Iの式(I)の化合物は、223−231℃で崩壊下に融解し、従って多形II(転移点194℃)および多形III(融点187−190℃)と明確に判別できる。これらの無溶媒形態と異なり、式(I)の化合物のエタノール和物および式(I)の化合物のメタノール和物は、熱重量分析(TGA)において、各々6.7%および4.8%の質量の損失がある(図1)。
【0010】
本発明の多形Iの式(I)の化合物は、医薬製剤において高純度で使用される。安定性の理由で、医薬製剤は、式(I)の化合物を主に多形Iで含み、他の形態、例えば式(I)の化合物の他の多形または溶媒和物を、有意な割合で含まない。医薬組成物は、好ましくは、組成物中に存在する式(I)の化合物の総量に対して、90重量パーセントより多い、より好ましくは95重量パーセントより多い、多形Iの式(I)の化合物を含有する。
【0011】
処置方法:
本発明はさらに、障害の処置のための、多形Iの式(I)の化合物の使用を提供する。好ましいのは、異常な血管新生または透過性亢進過程を特色とする障害、骨髄の疾患、例えば白血病の処置、または、癌腫、例えば肺の、膵臓の、甲状腺の、腎臓の、もしくは腸の癌腫の処置、または、癌原性の細胞増殖の処置にそれを使用することである。
【0012】
本発明は、さらに、障害の処置用の医薬組成物を製造するための、多形Iの式(I)の化合物の使用を提供する。好ましいのは、異常な血管新生または透過性亢進過程を特色とする障害、骨髄の疾患、例えば白血病の処置、または、癌腫、例えば肺の、膵臓の、甲状腺の、腎臓の、もしくは腸の癌腫の処置、または、癌原性の細胞増殖の処置にそれを使用することである。
【0013】
本発明の多形Iの式(I)の化合物は、raf、VEGFR、PDGFR、p38および/またはflt−3キナーゼと関係する1つまたはそれ以上の細胞シグナル伝達経路により媒介される疾患または症状を処置、調節および/または予防するのに使用できる。
【0014】
用語「媒介される」は、例えば、シグナル伝達分子が、疾患および/または症状において異常であるか、または乱されている経路の一部であることを示す。
【0015】
いかなる理論または作用メカニズムにも束縛されることを望まないが、本発明の化合物は、raf、VEGFR、PDGFR、p38および/またはflt−3キナーゼ活性を調節する能力を有することが見出された。しかしながら、本発明の方法は、いかなる特定のメカニズムにも、または、どのようにして化合物がそれらの治療効果を達成するかにも、限定されない。
【0016】
用語「調節する」は、その経路(またはその構成成分)の機能的活性を、化合物の非存在下でのその正常な活性と比較して変化させることを意味する。この効果は、増加、作動(agonizing)、増大、増強、助長、刺激、減少、遮断、阻害、低減、縮小、拮抗などを含む、調節のいかなる質または程度も包含する。
【0017】
語句「キナーゼ活性」は、アデノシン三リン酸(ATP)由来のリン酸を、タンパク質基質中のアミノ酸残基(例えば、セリン、スレオニンまたはチロシン)に移動させる触媒活性を意味する。ある化合物は、キナーゼ活性を調節でき、例えば、キナーゼのATP−結合ポケットに対するATPとの直接的競合により、その活性に影響を与える酵素の構造に立体構造的変化をもたらす(例えば、生物学的に活性な三次元構造を乱すことにより)ことなどにより、それを阻害する。キナーゼ活性は、常套のアッセイ方法を使用して日常的に決定できる。キナーゼアッセイは、典型的には、キナーゼ酵素、基質、バッファーおよび検出システムの成分を含む。
【0018】
raf、VEGFR、PDGFR、p38および/またはflt−3により「媒介される」疾患または症状は、これらの受容体の1つが、疾患の表現型のいずれかの局面に関与するシグナル伝達経路の一部であることを示す(例えば、受容体自体の欠陥が疾患を「引き起こす」のに関与する場合;そのリガンドによる受容体の刺激が、疾患の表現型をもたらす細胞の運動性、遊走および/または増殖を誘導する場合;受容体の刺激またはリン酸化が、再狭窄をもたらす場合;raf、VEGFR、PDGFR、p38および/またはflt−3の機能的活性が、不適切に発現されると、疾患の症候および/または表現型をもたらす場合)。
【0019】
用語「処置する」は、従来通りに使用され、例えば、疾患または障害の症状に対して、対抗、緩和、低減、軽減、改善するためなどの、対象の管理または治療である。
【0020】
処置できる疾患および症状には、上記および下記で言及するもの、並びに以下のものが含まれる:
Raf関連疾患には、例えば、細胞増殖性障害、癌、腫瘍などが含まれる;
【0021】
VEGFR−2関連疾患には、例えば、癌、腫瘍増殖、炎症性疾患、リウマチ性関節炎、網膜症、乾癬、糸球体腎炎、喘息、慢性気管支炎、アテローム性動脈硬化症、移植片拒絶、血管新生と関連する症状などが含まれる;
VEGFR−3関連疾患には、例えば、癌、角膜疾患、角膜炎、角膜移植、リンパ組織過形成、リンパ脈管新生と関連する症状などが含まれる;
【0022】
PDGFR−ベータ関連疾患には、例えば、細胞増殖、細胞マトリックス産生、細胞運動、および/または細胞外マトリックス産生を特徴とする疾患または症状が含まれる。特別な例には、例えば、腫瘍、悪性腫瘍、癌、転移、慢性骨髄性白血病、炎症、腎疾患、糖尿病性腎症、糸球体間質増殖性糸球体腎炎、線維性症状、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧関連動脈硬化症、静脈バイパス移植動脈硬化症、強皮症、間質性肺疾患、滑膜の障害、関節炎、白血病、リンパ腫などが含まれる;
【0023】
Flt−3関連疾患には、例えば、免疫関連障害、血液細胞の障害、造血細胞(例えば、T−細胞、B−細胞、樹状細胞)の発生と関連する症状、癌、貧血、HIV、後天性免疫不全症候群などが含まれる。
【0024】
p38関連疾患には、炎症性障害、免疫調節性障害、および、異常なサイトカイン産生、特にTNF−アルファ、または異常なMMP活性に関連する他の障害が含まれる。これらの障害には、リウマチ性関節炎、COPD、骨粗鬆症、クローン病および乾癬が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明の方法は、腫瘍細胞増殖を調節することを含み、細胞増殖を阻害することを含む。後者は、腫瘍細胞の増殖および/または分化を、低減、減少、縮小、遅延させることなどを示す。用語「増殖」は、細胞の増殖および分裂に関するいかなる過程も含み、分化およびアポトーシスを含む。上記で論じた通り、rafキナーゼは、細胞増殖、分化およびアポトーシスに関与する細胞質のシグナル伝達カスケードの活性化において鍵となる役割を果たす。例えば、いくつかの研究により、アンチセンスオリゴヌクレオチドによるc−rafの阻害は、細胞増殖を遮断できると見出された。いかなる量の阻害でも、治療的とみなされる。
【0026】
本発明の方法はまた、哺乳動物の過剰増殖障害の処置も含む。過剰増殖障害には、乳房、呼吸管、脳、生殖器官、消化管、泌尿器、眼、肝臓、皮膚、頭部および頸部、甲状腺、副甲状腺の癌およびそれらの遠隔転移などの固形腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。これらの障害には、リンパ腫、肉腫および白血病も含まれる。
【0027】
raf、ras、VEFGR、PDGFR、p38および/またはflt−3並びにそれらが一部であるシグナル伝達経路の上流または下流の構成員に1つまたはそれ以上の突然変異を有する癌を含むがこれらに限定されない、いかなる腫瘍または癌も処置できる。先に議論した通り、癌は、その原因となるメカニズムに関係なく、本発明の化合物で処置できる。
【0028】
例えば、結腸、膵臓、乳房、前立腺、骨、肝臓、腎臓、肺、精巣、皮膚、膵臓、胃、結腸直腸の癌、腎細胞癌腫、肝細胞癌腫、黒色腫などを含むがこれらに限定されない、いかなる器官の癌も処置できる。
【0029】
乳癌の例には、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌および非浸潤性小葉癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
呼吸管の癌の例には、小細胞および非小細胞肺癌、並びに気管支腺腫および胸膜肺芽腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
脳の癌の例には、脳幹および視床下部の(hypophtalmic)神経膠腫、小脳および大脳の星状細胞腫、髄芽腫、上衣腫、並びに、神経外胚葉および松果体の腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
雄性生殖器官の腫瘍には、前立腺癌および精巣癌が含まれるが、これらに限定されない。雌性生殖器官の腫瘍には、子宮内膜、子宮頸部、卵巣、膣および外陰部の癌、並びに子宮肉腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
消化管の腫瘍には、肛門、結腸、結腸直腸、食道、胆嚢、胃、膵臓、直腸、小腸および唾液腺の癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
泌尿器の腫瘍には、膀胱、陰茎、腎臓、腎盂、尿管および尿道の癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
眼の癌には、眼球内黒色腫および網膜芽腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
肝臓の癌の例には、肝細胞癌腫(線維層板変異を伴うか、または伴わない肝細胞の癌腫)、胆管癌(肝内胆管癌)および混合性肝細胞性胆管癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
皮膚の癌には、扁平上皮癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚癌および非黒色腫皮膚癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
頭頸部の癌には、喉頭、下咽頭、鼻咽頭および/または口咽頭の癌、並びに口唇および口腔の癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
リンパ腫には、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキン病および中枢神経系のリンパ腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
肉腫には、軟部組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫および横紋筋肉腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
白血病には、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病および有毛細胞白血病が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
腫瘍細胞の増殖の阻害に加えて、本発明の化合物は、腫瘍退行、例えば、腫瘍のサイズまたは体内の癌の程度の低下も引き起こすことができる。
【0043】
本発明はまた、細胞を含む系における血管新生および/またはリンパ脈管新生を調節する方法に関し、それは、その系に有効量の本明細書に記載の化合物を投与することを含む。細胞を含む系は、患者の腫瘍などのインビボの系、単離された器官、組織または細胞、インビトロのアッセイ系(CAM、BCEなど)、動物モデル(例えば、インビボ、皮下の癌モデル)、処置を必要としている宿主(例えば、癌などの血管新生および/またはリンパ脈管新生成分を有する疾患に冒されている宿主)などであり得る。
【0044】
血管新生の不適当な異所性の発現(例えば、異常な血管新生)は、生物にとって有害であり得る。数々の病状が、外来性血管の増殖を伴う。これらには、例えば、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、乾癬、水晶体後線維増殖症、血管線維腫、炎症などが含まれる。加えて、癌性および腫瘍性組織に伴う血液供給の増加は、増殖を促進し、急速な腫瘍の拡大および転移を導く。さらに、腫瘍における新しい血管およびリンパ管の増殖は、反乱細胞に脱出路を提供し、転移および結果的な癌の拡散を促進する。
【0045】
本発明の方法はまた、血管透過性亢進を伴うか、またはそれに由来する障害または症状の処置および/または予防に関する。
【0046】
例えば、VEGFは、内皮細胞の透過性を高める。結果として、VEGFの放出を、特に正常より多い量でもたらすいかなる症状も、血管透過性亢進およびそれに伴う有害な結果を伴い得る。しかしながら、本発明は、その作用メカニズムに関係なく、血管透過性亢進を伴うか、またはそれに由来するいかなる症状または障害の処置または予防も提供する。
【0047】
浮腫形成は、頭部傷害、腫瘍、卒中、低酸素および高山病を含む中枢神経系の様々な疾患の、生命を脅かす合併症である。浮腫の根底にある原因は、血管透過性亢進である。本発明の化合物は、血管透過性亢進の処置および/または予防に利用でき、それにより浮腫およびそれに伴う有害な結果を処置および/または予防する。
【0048】
他の透過性亢進の症状(または血管透過性亢進をもたらす症状)には、組織浮腫(例えば、肺、腎臓、脳など)、血管原性脳浮腫、慢性炎症、創傷治癒、虚血、腫瘍、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、腹水症、滲出、滲出液、ネフローゼ性浮腫、原発性糸球体病、末梢動脈疾患、糖尿病性網膜症、糖尿病性網膜疾患、喘息および他の肺障害における気道の閉塞、敗血症における循環虚脱、急性肺傷害、急性呼吸促迫症候群などが含まれるがこれらに限定されない。
【0049】
血管透過性のアッセイは、日常的に行うことができる。例えば、Heiss et al., J. Clin. Invest., 98:1400-1408, 1996; Fischer et al., Am. J. Physiol., 276(4 Pt 1):C812-20, 1999; Fischer et al., Am. J. Physiol. Cell. Physiol., 279:C935-C944, 2000。
【0050】
本発明の多形Iの式(I)の化合物は、炎症症状、冠動脈再狭窄、腫瘍関連血管新生、アテローム性動脈硬化症、自己免疫疾患、炎症、糸球体または糸球体間質細胞の増殖と関連するある種の腎臓疾患、および網膜血管増殖と関連する眼疾患、乾癬、肝硬変、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、血管移植後再狭窄、ステント内狭窄、血管新生、眼疾患、肺線維症、閉塞性細気管支炎、糸球体腎炎、リウマチ性関節炎などの幅広い疾患のアレイの進行を処置または予防する幅広い治療活性も有する。
【0051】
本発明はまた、ヒトおよび/または他の哺乳動物における以下の症状の1つまたはそれ以上の処置、予防、調節なども提供する:糖尿病性網膜症を含む網膜症、虚血性網膜静脈閉塞、早産児の網膜症および加齢関連黄斑変性;リウマチ性関節炎、乾癬、または水疱性類天疱瘡、多形性紅もしくはヘルペス状皮膚炎を含む、表皮下水疱形成を伴う水疱性障害、リウマチ熱、骨吸収、閉経後骨粗鬆症、敗血症、グラム陰性敗血症、敗血症ショック、内毒素ショック、毒素性ショック症候群、全身性炎症反応症候群、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)、ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応、喘息、成人呼吸促迫症候群、急性肺線維性疾患、肺サルコイドーシス、アレルギー性呼吸器疾患、ケイ肺症、炭坑夫塵肺、肺胞傷害、肝不全、急性炎症における肝臓疾患、重篤なアルコール性肝炎、マラリア(熱帯熱マラリアおよび脳性マラリア)、非インシュリン依存性糖尿病(NIDDM)、うっ血性心不全、心臓病後の損傷、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、急性脳炎、脳傷害、多発性硬化症(多発性硬化症における脱髄(demyelation)および乏突起膠細胞の損失)、進行癌、リンパ性腫瘍、膵炎、感染、炎症および癌における創傷治癒の悪化、骨髄異形成症候群、全身性エリテマトーデス、胆汁性肝硬変、腸壊死、放射線損傷/モノクローナル抗体投与後の毒性、宿主対移植片反応(虚血性再灌流傷害、並びに、腎臓、肝臓、心臓および皮膚の同種移植片拒絶)、肺同種移植片拒絶(閉塞性気管支炎)または人工股関節全置換に起因する合併症、および、結核、消化性潰瘍疾患におけるヘリコバクターピロリ感染、クルーズ・トリパノソーマ感染に起因するシャーガス病、大腸菌感染に起因する志賀様毒素の効果、ブドウ球菌感染に起因するエンテロトキシンAの効果、髄膜炎菌感染、並びに、ライム病菌、梅毒トレポネーマ、サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルス、タイラー脳脊髄炎ウイルスおよびヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染から選択される感染症、乳頭腫、ブラストグリオーマ(blastoglioma)、カポジ肉腫、黒色腫、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、星状細胞腫、頭部の癌、頸部の癌、膀胱癌、乳癌、結腸直腸癌、甲状腺癌、膵癌、胃癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、ホジキン病、バーキット病、関節炎、リウマチ性関節炎、糖尿病性網膜症、血管新生、再狭窄、ステント内再狭窄、血管移植後再狭窄、肺線維症、肝硬変、アテローム性動脈硬化症、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、血栓性微小血管障害症候群、移植片拒絶、乾癬、糖尿病、創傷治癒、炎症、および、神経変性疾患、過免疫障害、血管腫、心筋血管新生、冠血管および脳の側副血管新生、虚血、角膜疾患、虹彩炎、血管新生緑内障、早産児の黄斑変性網膜症、創傷治癒、潰瘍性ヘリコバクター関連疾患、骨折、子宮内膜症、糖尿病性症状、猫ひっかき熱、甲状腺過形成、火傷後の喘息または浮腫、外傷、慢性肺疾患、卒中、ポリープ、嚢胞、滑膜炎、慢性およびアレルギー性炎症、卵巣過刺激症候群、肺および脳浮腫、ケロイド、線維症、硬変、手根管症候群、成人呼吸促迫症候群、腹水症、眼の症状、心血管症状、クロウ・深瀬(POEMS)病、クローン病、糸球体腎炎、骨関節炎、多発性硬化症、移植片拒絶、ライム病、敗血症、フォンヒッペル・リンダウ病、類天疱瘡、パジェット病、多発性嚢胞腎、サルコイドーシス、甲状腺炎、過粘稠度症候群、オスラー・ウェーバー・ランデュ病、慢性閉塞性肺疾患、照射、低酸素症、子癇前症、機能性子宮出血、子宮内膜症、単純ヘルペスによる感染、虚血性網膜症、角膜の血管新生、帯状疱疹、ヒト免疫不全ウイルス、パラポックスウイルス、原生動物、トキソプラズマ症および腫瘍関連滲出および浮腫。
【0052】
本発明はさらに、有効量の多形Iの式(I)の化合物を使用する、疾患、特に上述の疾患の、予防または処置方法を提供する。
【0053】
他の医薬物質との組合せ:
本発明の多形Iの式(I)の化合物は、唯一の医薬物質として、または、1種またはそれ以上の他の医薬物質と組み合わせて投与でき、その場合、その組合せは許容し得ない有害作用を引き起こさない。このことは、癌などの過増殖性疾患の処置に特に意味があり得る。この例では、本発明の化合物を、既知の細胞傷害性物質、シグナル伝達阻害剤と、他の抗癌剤と、または、制吐剤と、並びに、これらの混合物および組合せと、組み合わせることができる。
【0054】
ある実施態様では、本発明の多形Iの式(I)の化合物は、細胞傷害性抗癌剤と組み合わせることができる。かかる物質の例は、Merck Index の第11版(1996)に見出すことができる。これらの物質には、限定ではなく、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、コラスパーゼ(colaspase)、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、エトポシド、5−フルオロウラシル、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシ尿素、イホスファミド、イリノテカン、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、ラロキシフェン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、チオグアニン、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビンデシンが含まれる。
【0055】
本発明の化合物と共に使用するのに適する他の細胞傷害性の薬物には、Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (Ninth Edition, 1996, McGraw-Hill)で新生物性疾患の処置において使用を認められている化合物が含まれるが、これらに限定されない。これらの物質には、限定ではなく、アミノグルテチミド、L−アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5−アザシチジン、クラドリビン、ブスルファン、ジエチルスチルベストロール、2',2'−ジフルオロデオキシシチジン、ドセタキセル、エリスロヒドロキシノニルアデニン(erythrohydroxynonyladenine)、エチニルエストラジオール、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸、フルダラビンリン酸塩、フルオキシメステロン、フルタミド、ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸塩、イダルビシン、インターフェロン、メドロキシプロゲステロン酢酸塩、メゲストロール酢酸塩、メルファラン、ミトタン、パクリタキセル、ペントスタチン、N−ホスホノアセチル−L−アスパラギン酸(PALA)、プリカマイシン、セムスチン、テニポシド、テストステロンプロピオン酸塩、チオテパ、トリメチルメラミン、ウリジンおよびビノレルビンが含まれる。
【0056】
他の実施態様では、本発明の多形Iの式(I)の化合物は、制吐剤と組み合わせることができる。本発明の化合物と共に使用するのに適する制吐剤には、抗ヒスタミン剤、H受容体遮断剤、5−HTアンタゴニスト、神経遮断剤、抗コリン剤、ドーパミンアンタゴニスト、セロトニンアンタゴニスト、グルココルチコイドまたはカンナビノイドが含まれるが、これらに限定されない。これらの物質には、限定ではなく、メクロジン、ジメンヒドリナート、フェノチアジン誘導体(例えば、チエチルペラジン、トリフルプロマジン)、ベンズアミドまたはベンズイミダゾロン誘導体(例えば、メトクロプラミド、ブロモプリド、ドンペリドン)、ブチロフェノン、スコポラミン、ピリドキシン、クロルフェノキサミン、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピセトロンおよびデキサメタゾンが含まれる。好ましいのは、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピセトロンまたはデキサメタゾンの制吐剤である。
【0057】
本発明のために、「組合せ」は、全ての成分を含有する投薬形(いわゆる固定された組合せ)および相互に別々に成分を含有する組合せのパックのみならず、それらが同じ疾患の予防または処置に用いられる限り、同時または連続的に投与される成分も意味する。
【0058】
本発明による組合せの有効成分は、既知の方法で、液体または固体製剤であり得る通常の製剤に変換できる。例は、錠剤、被覆錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、エアゾル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、液剤である。
【0059】
本発明による組合せは、良好に耐容され、低い投与量でさえ効果的な場合があり、幅広い範囲の製剤の変形が可能である。従って、一つの可能性は、本発明の組合せの個々の有効成分を別々に製剤化することである。この場合、個々の有効成分を同時に摂ることは絶対的に必要ではない;それどころか、連続的摂取は、最適な結果を達成するために有利であり得る。かかる別個の投与では、個々の有効成分の製剤、例えば錠剤またはカプセル剤を、同時に一緒に適する一次包装中にまとめるのが適切である。有効成分は、その一次包装中で、各場合で、例えばチューブ、ボトルまたはブリスター包装であり得る別々の容器中に存在する。このような合わさった一次包装中の成分の別々の包装物は、キットとも呼ばれる。
【0060】
本発明による組合せに適当かつ好ましいさらなる製剤の変形は、また、固定された組合せである。「固定された組合せ」は、本明細書では、その中で各成分が固定された量の比で共に存在する医薬形を意味すると意図している。かかる固定された組合せは、例えば、経口液剤の形態であり得るが、それらは、好ましくは固体の経口医薬製剤、例えばカプセル剤または錠剤である。
【0061】
医薬組成物:
本発明はまた、本発明の多形Iの式(I)の化合物を含有する医薬組成物、およびそれを必要としている患者に本発明の医薬組成物を投与する方法にも関する。
【0062】
本発明のために、患者は、特定の症状または疾患の処置を必要としている、ヒトを含む哺乳動物である。
【0063】
本発明の医薬組成物は、医薬的に許容し得る担体および医薬的に有効な量の本発明の多形Iの式(I)の化合物を含む。
【0064】
医薬的に許容し得る担体は、担体に起因するいかなる副作用も有効成分の有利な効果を損なわないように、有効成分の効果的な活性と矛盾しない濃度の、比較的非毒性かつ患者に無害な任意の担体である。
【0065】
化合物の医薬的に有効な量は、処置されている特定の症状に対して結果を奏するか、または、影響を発揮する量である。
【0066】
多形Iの式(I)の化合物は、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜または耳経路で、またはインプラントもしくはステントとして、適する方法で投与し得る。
これらの投与経路のために、本発明の化合物を適する投与形で投与し得る。
【0067】
経口投与には、適する投与形は、先行技術に準じて機能し、多形Iの式(I)の化合物を、迅速かつ/または改変された方法で送達するもの、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、胃液耐性であるか、または、溶解が遅延されるか、または、不溶であり、本発明の化合物の放出を制御する被覆を有するもの)、口腔で迅速に崩壊する錠剤またはフィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えばハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠剤、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、懸濁剤またはエアゾル剤である。
【0068】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または、吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内に)、行い得る。非経腸投与に適する投与形には、懸濁剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤の形態の注射および点滴製剤が含まれる。
【0069】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入用の医薬形(粉末吸入器、噴霧器を含む)、舌、舌下または頬側投与用の錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼用の製剤、膣カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えばパッチ)、ペースト、粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
【0070】
本発明の化合物は、列挙した投与形に変換し得る。これは、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と混合することにより、既知の方法で行い得る。これらの補助剤には、担体(例えば、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定化剤(例えば、アスコルビン酸などの抗酸化剤)、染料(例えば、酸化鉄などの無機色素)および香味および/または臭気の隠蔽剤が含まれる。
【0071】
本発明はさらに、少なくとも多形Iの式(I)の化合物を、典型的には1種またはそれ以上の不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤、例えば結合剤、増量剤などと共に含む医薬、および上述の目的のためのそれらの使用を提供する。
【0072】
本発明の医薬組成物の投与量:
上述の障害のいずれかの処置に有用な化合物を評価するために知られている標準的な実験室の技法をベースとして、標準的な毒性試験により、哺乳動物における上記で定められた症状の処置を決定するための標準的な薬学的アッセイにより、そして、これらの結果をこれらの症状の処置に使用される既知の医薬の結果と比較することにより、各々の所望の適応症の処置について、本発明の化合物の有効な投与量を容易に決定できる。これらの症状の1つの処置において投与すべき有効成分の量は、用いる特定の化合物および投薬単位、投与の様式、処置の期間、処置される患者の年齢および性別、処置される症状の性質および程度などの検討事項によって幅広く変動し得る。
【0073】
投与すべき有効成分の全量は、1日当たり約0.001mg/体重kgないし約200mg/体重kg、好ましくは約0.1mg/体重kgないし約50mg/体重kgの範囲にあり得る。単位投薬量は、好ましくは、約5mgないし約4000mgの有効成分を含有し得、1日に1回またはそれ以上の回数で投与できる。経口投与の1日の投薬量は、好ましくは0.1ないし50mg/総体重kgである。静脈内、筋肉内、皮下および非経口的注射を含む注射、および点滴技法の使用による投与の1日の投薬量は、好ましくは0.1ないし10mg/総体重kgである。1日の直腸投与量は、好ましくは0.1ないし50mg/総体重kgである。1日の膣投与量は、好ましくは0.1ないし50mg/総体重kgである。1日の局所投与量は、好ましくは0.1ないし10mg/kgであり、1日に1ないし4回投与する。経皮濃度は、好ましくは、0.1ないし10mg/kgの1日用量を維持するのに必要とされるものである。吸入の1日の投与量は、好ましくは0.1ないし10mg/総体重kgである。他の投与法および量は、日常的に選択できる。
【0074】
それにもかかわらず、体重、投与経路、有効成分に対する個体の挙動、製剤のタイプおよび投与を行う時間または間隔に応じて、特定された量から外れることが有利な場合もあり得る。例えば、上述の最小量より少ない量で十分な場合もあり得、一方特定された上限を超えなければならない場合もある。比較的大量に投与する場合では、これらを1日かけて数回の個別用量に分けるのが望ましいことがある。
【0075】
製造方法:
本発明はさらに、実施例1に記載の通りに得られる多形IIの式(I)の化合物を、不活性溶媒中、例えば50℃から溶媒の還流温度まで、好ましくは60ないし80℃の温度で、式(I)の化合物の溶媒和物の結晶の非存在下に、例えば式(I)の化合物のメタノール和物またはエタノール和物の結晶の非存在下に、1日まで処理することにより、多形Iの式(I)の化合物を製造する方法を提供する。混合物を−30℃ないし室温、好ましくは−25℃ないし10℃に冷却し、結晶を単離し、乾燥させる。かくして、式(I)の化合物は多形Iで得られる。
【0076】
本発明は、同様に、実施例1に記載の通りに得られる多形IIの式(I)の化合物を、不活性溶媒中、例えば10℃から溶媒の還流温度まで、好ましくは室温で、1日まで処理することにより、多形Iの式(I)の化合物を製造する方法を提供する。続いて、混合物に多形Iの式(I)の化合物の結晶を加え、例えば室温で、1時間ないし14日間、好ましくは2時間ないし7日間撹拌または振盪する。結晶を単離し、乾燥させる。式(I)の化合物は、かくして多形Iで得られる。
【0077】
本発明は、同様に、実施例1に記載の通りに得られる多形IIの式(I)の化合物を、不活性溶媒中、所望の変換の度合いが達成されるまで、好ましくは、多形Iへの定量的変換まで処理することにより、多形Iの式(I)の化合物を製造する方法を提供する。必要に応じて、多形Iの式(I)の化合物の結晶を添加する。得られる結晶を単離し、存在する溶媒を除去し、室温または高い温度、例えば40ないし80℃で、一定量まで乾燥させる。かくして式(I)の化合物は多形Iで得られる。
【0078】
多形IIの式(I)の化合物を不活性溶媒中で処理することは、例えば、多形IIの式(I)の化合物を完全に(溶液)または部分的にのみ(懸濁液)溶解することを意味する。混合物を、例えば、撹拌または振盪できる。
【0079】
適する不活性溶媒は、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノールなどの低級アルコール類、またはアセトンなどのケトン類、または、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどのアルカン類、またはテトラヒドロフラン、またはアセトニトリル、またはトルエン、または酢酸エチル、または上述の溶媒の混合物、または上述の溶媒の水との混合物である。好ましいのは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、酢酸エチル、上述の溶媒の混合物、または上述の溶媒の水との混合物である。イソプロパノール、酢酸エチルまたはこれらの混合物は、不活性溶媒として最も好ましく使用される。
【0080】
好ましいのは、実施例1に記載の通りに得られる多形IIの式(I)の化合物を、メタノール、エタノール、両溶媒の混合物または両溶媒の水との混合物、好ましくは水との1:1混合物中で処理し、50℃から溶媒の環流温度までの温度で、好ましくは60ないし80℃で、式(I)の化合物の溶媒和物の結晶の非存在下で、例えば式(I)の化合物のメタノール和物またはエタノール和物の非存在下で、1日まで振盪または撹拌することにより、多形Iの式(I)の化合物を製造することである。結晶を−30℃ないし室温、好ましくは−25ないし10℃に冷却し、単離し、乾燥させる。かくして、式(I)の化合物は多形Iで得られる。最も好ましくは、イソプロパノール、酢酸エチルまたはそれらの混合物を溶媒として使用する。
【0081】
同様に好ましいのは、実施例1に記載の通りに得られる多形IIの式(I)の化合物を、メタノール、エタノール、両溶媒の混合物または両溶媒の水との混合物中で処理し、10℃から溶媒の環流温度までの温度で、好ましくは室温で、1日まで振盪または撹拌することにより、多形Iの式(I)の化合物を製造することである。その後、混合物に多形Iの式(I)の化合物の結晶を加え、例えば室温で1時間ないし14日間、好ましくは2時間ないし7日間撹拌または振盪する。結晶を単離し、乾燥させる。かくして、式(I)の化合物は多形Iで得られる。最も好ましくは、イソプロパノール、酢酸エチルまたはそれらの混合物を溶媒として使用する。
【0082】
好ましいのは、同様に、実施例1に記載の通りに得られる多形IIの式(I)の化合物を、メタノールおよび/またはエタノール以外の不活性溶媒、好ましくはイソプロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエンまたはこれらの混合物中で処理し、10℃から溶媒の環流温度までの温度、好ましくは室温ないし90℃で、2週間まで、好ましくは1日から1週間まで撹拌または振盪することにより、多形Iの式(I)の化合物を製造することである。必要に応じて、混合物を室温に冷却し、結晶を単離し、乾燥させる。かくして、式(I)の化合物は多形Iで得られる。最も好ましくは、イソプロパノール、酢酸エチルまたはそれらの混合物を溶媒として使用する。
【0083】
式(I)の化合物は、同様に、多形IIの式(I)の化合物を195ないし222℃、好ましくは195ないし215℃に、例えば毎分10℃ないし30℃、好ましくは毎分15℃ないし25℃の加熱速度で加熱し、その後10℃ないし30℃、好ましくは室温に、例えば毎分1℃ないし4℃、好ましくは毎分1℃ないし3℃の冷却速度で冷却することにより、多形Iで製造し得る。
【0084】
多形IIIの式(I)の化合物は、多形IIの式(I)の化合物を、不活性溶媒中、例えばメタノール中で処理することにより製造できる。1日ないし1週間後に濾過を実行し、生成物を乾燥させ、145ないし160℃で15分間ないし1時間、加熱処理する。式(I)の化合物は、かくして多形IIIで得られる。
【0085】
式(I)の化合物のメタノール和物は、多形IIの式(I)の化合物を、メタノール中で処理することにより製造できる。1週間後、濾過を実行し、生成物を乾燥させ、メタノール雰囲気下で5時間ないし1週間保存する。かくして、式(I)の化合物のメタノール和物は、メタノール含有量4.8重量%で得られる。
【0086】
式(I)の化合物のエタノール和物は、多形IIの式(I)の化合物を、エタノール中で処理することにより製造できる。1週間後、濾過を実行し、生成物を乾燥させる。かくして、式(I)の化合物のエタノール和物は、エタノール成分6.7重量%で得られる。
【0087】
本方法は、一般的に、大気圧で実施する。しかしながら、加圧または減圧下(例えば0.5ないし5バールの範囲)で行うことも可能である。
【0088】
以下の試験および実施例中の重量のデータは、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積をベースとする。
【実施例】
【0089】
実施例
Perkin-Elmer の DSC 7 または Pyris-1 示差走査熱量計および TGA 7 熱重量分析器を使用して、サーモグラムを得た。X線回折図(diffractogram)を、Stoe の透過(transmission)回折装置に登録した。Bruker の IFS 66v (IR, FIR)、IFS 28/N (NIR) および RFS 100 (ラマン) フーリエ分光計を使用して、IR、FIR、NIR およびラマンスペクトルを記録した。
【0090】
実施例1:多形IIの4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドトシレート
WO00/42012に記載の通りに製造した4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド903gを、最初にエタノール2700mlに入れる。p−トルエンスルホン酸一水和物451.7gをエタノール1340gに溶解し、室温で滴下して添加する。懸濁液を室温で1時間撹拌し、次いで、吸引濾過し、残渣を各回830mlのエタノールで3回洗浄する。50℃、減圧下で、空気を供給して乾燥を実行する。多形IIの表題化合物1129.6gを得る。
【0091】
実施例2:多形Iの4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドトシレートの製造
実施例2.1
多形IIの4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]−フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドのトシル酸塩5mgを、20℃/分の加熱速度で200℃に加熱し、その後、2℃/分の冷却速度で室温に冷却する。サンプルを熱分析的に試験し(DSC)、それは、多形Iの表題化合物と一致する。
【0092】
実施例2.2
多形IIの4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドのトシル酸塩75mgをエタノール/水(1:1)10mlに、約80℃で溶解し、濾過する。混合物を2つのサンプルに分け、サンプルAを冷蔵庫中+8℃で、サンプルBを冷凍庫中−20℃で結晶化する。溶媒混合物の蒸発後、サンプルAおよびBの2種の結晶を熱分析的に試験する(DSC)。両サンプルとも、多形Iの表題化合物と一致する。
【0093】
実施例2.3
各場合で多形IIの4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドのトシル酸塩400mgを、a)メタノール8mlおよびb)エタノール8mlに懸濁し、各々室温で2時間撹拌する。懸濁液に多形Iの表題化合物2mgを各々加え、その後室温で1週間撹拌する。濾過後、2種のサンプルの固体残渣を室温で乾燥させる。残渣を各々熱分析的に試験する(DSC)。これらは、多形Iの表題化合物と一致する。
【0094】
実施例2.4
多形IIの4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドのトシル酸塩200mgを、エタノール/水(1:1v/v)5mlに懸濁し、室温で2時間撹拌する。懸濁液に多形Iの表題化合物2mgを加え、その後室温で1週間撹拌する。濾過後、固体の残渣を室温で乾燥する。残渣を熱分析的に試験する(DSC)。これは、多形Iの表題化合物と一致する。
【0095】
実施例2.5
各場合で、多形IIの4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドのトシル酸塩50mgを、各場合で2mlのa)イソプロパノール、b)アセトン、c)テトラヒドロフラン、d)アセトニトリル、e)酢酸エチルおよびf)トルエンと混合し、各場合で、室温で6日間撹拌する。c)テトラヒドロフランおよびf)トルエンの場合、さらに1mlの各々の溶媒を添加する。懸濁液を各々濾過し、各々の残渣を室温で乾燥させる。残渣を各々X線回折により試験する。これらは多形Iの表題化合物と一致する。
【0096】
実施例2.6
多形IIの4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドのトシル酸塩200mgを、トルエン4mlに懸濁し、懸濁液を80℃で1週間撹拌する。室温に冷却後、残渣を濾過し、室温で乾燥し、X線回折により試験する。表題化合物を多形Iで得る。
【0097】
実施例3:多形IIIの4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドトシレートの製造
多形IIの4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドのトシル酸塩3.5gを、メタノール15mlに懸濁し、室温で撹拌する。1週間後、懸濁液を濾過し、残渣を室温で乾燥させる。その後、生成物を150℃で30分間加熱処理する。残渣をX線回折により分析する。それは多形IIIの表題化合物と一致する。
【0098】
実施例4:4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドトシレートのメタノール和物の製造
多形IIの4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドのトシル酸塩3.5gをメタノール15mlに懸濁し、室温で撹拌する。1週間後、懸濁液を濾過し、残渣を室温で乾燥させる。その後、生成物を乾燥機中、メタノール雰囲気下で1日保存する。残渣をX線回折により分析する。それは、メタノール含有量4.8重量パーセントの表題化合物のメタノール和物と一致する。
【0099】
実施例5:4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドトシレートのエタノール和物の製造
多形IIの4−{4−[({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]フェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドのトシル酸塩3gを、エタノール15mlに懸濁し、室温で撹拌する。1週間後、懸濁液を濾過し、残渣を室温で乾燥させる。残渣をX線回折により分析する。それは、エタノール含有量6.7重量パーセントの表題化合物のエタノール和物に相当する。
【0100】
表1:示差走査熱量分析および熱重量分析
【表1】

* = 崩壊下の融解
** = 変換点
【0101】
表2:X線回折
【表2】

【0102】
【表3】

【0103】
【表4】

【0104】
【表5】

【0105】
表3:IR分光測定
【表6】

【0106】
【表7】

【0107】
【表8】

【0108】
表4:ラマン分光測定
【表9】

【0109】
【表10】

【0110】
【表11】

【0111】
【表12】

【0112】
表5:FIR分光測定
【表13】

【0113】
【表14】

【0114】
表6:NIR分光測定
【表15】

【0115】
【表16】

【図面の簡単な説明】
【0116】
該当する記載なし。
【図1−1】

【図1−2】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多形Iの式(I)
【化1】

の化合物。
【請求項2】
多形IIの式(I)の化合物を、多形Iへの定量的変換まで不活性溶媒中で処理することを含む、多形Iの式(I)の化合物の製法。
【請求項3】
多形IIの式(I)の化合物を不活性溶媒中で処理し、多形Iの式(I)の化合物の結晶を加える、請求項2に記載の多形Iの式(I)の化合物の製法。
【請求項4】
多形IIの式(I)の化合物を195ないし222℃に毎分10ないし30℃の加熱速度で加熱し、その後10ないし30℃に毎分1ないし4℃の冷却速度で冷却する、多形Iの式(I)の化合物の製法。
【請求項5】
異常な血管新生または透過性亢進過程を特色とする障害、骨髄の疾患、癌腫または癌原性の細胞増殖の処置用の、多形Iの式(I)の化合物。
【請求項6】
白血病の処置用の、または肺の、膵臓の、甲状腺の、腎臓の、もしくは腸の癌腫の処置用の、請求項5に記載の多形Iの式(I)の化合物。
【請求項7】
異常な血管新生または透過性亢進過程を特色とする障害、骨髄の疾患、癌腫または癌原性の細胞増殖の処置用の医薬組成物を製造するための、多形Iの式(I)の化合物の使用。
【請求項8】
白血病の処置用の、または肺の、膵臓の、甲状腺の、腎臓の、もしくは腸の癌腫の処置用の医薬組成物を製造するための、請求項7に記載の多形Iの式(I)の化合物の使用。
【請求項9】
式(I)の化合物を主に多形Iで含み、他の形態の式(I)の化合物を有意な割合で含まない、医薬組成物。
【請求項10】
組成物中に存在する式(I)の化合物の総量に対して90重量パーセントより多い多形Iの式(I)の化合物を含有する、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
障害の処置のための、請求項9または請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
異常な血管新生または透過性亢進過程を特色とする障害、骨髄の疾患、癌腫または癌原性の細胞増殖を処置するための、請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項13】
白血病の処置用の、または肺の、膵臓の、甲状腺の、腎臓の、もしくは腸の癌腫の処置用の、請求項9ないし請求項12のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項14】
1種またはそれ以上の、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤を含む、請求項9ないし請求項13のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項15】
多形Iの式(I)の化合物または請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の医薬組成物の有効量を使用する、異常な血管新生または透過性亢進過程を特色とする障害、骨髄の疾患、癌腫または癌原性の細胞増殖の処置方法。
【請求項16】
白血病の処置のための、または肺の、膵臓の、甲状腺の、腎臓の、もしくは腸の癌腫の処置のための、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
多形IIの式(I)の化合物を、不活性溶媒に溶解または懸濁し、多形Iへの定量的変換まで撹拌または振盪することにより得られる、多形Iの式(I)の化合物。
【請求項18】
多形IIの式(I)の化合物を、不活性溶媒に溶解または懸濁し、それに多形Iの式(I)の化合物の結晶を加えることにより得られる、請求項17に記載の式(I)の化合物。
【請求項19】
多形Iの式(I)の化合物および1種またはそれ以上の他の医薬物質を含む組合せ。
【請求項20】
1種またはそれ以上の他の医薬物質が、細胞傷害性物質、シグナル伝達阻害剤、抗癌剤または制吐剤である、請求項19に記載の組合せ。
【請求項21】
1種またはそれ以上の他の医薬物質を含む、請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項22】
1種またはそれ以上の他の医薬物質が、細胞傷害性物質、シグナル伝達阻害剤、抗癌剤または制吐剤である、請求項21に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2013−100302(P2013−100302A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−278376(P2012−278376)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2007−533905(P2007−533905)の分割
【原出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(507113188)バイエル・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】