説明

BGAハンダボール過剰圧力検出機構および過剰圧力検出方法並びにBGAハンダボール過剰圧力防止方法

【課題】BGAによりプリント基板にハンダ付けされたCPUソケットにCPUを実装し、CPUソケット及びCPUを間に挟んで、CPUのヒートシンクをプリント基板にネジ止めする際に、BGAのハンダボールに過剰な力が加わったことを検出できるBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構の提供。
【解決手段】BGAによりプリント基板1にハンダ付けされたCPUソケット2にCPU8を実装し、CPUソケット2及びCPU8を間に挟んで、CPU8のヒートシンク9をプリント基板1にネジ止めする際に、圧力センサ4a,4bが、BGAのハンダボール3に加わる圧力を検知する。圧力センサ4a,4bはCPUソケット2とプリント基板1との間に介在させ、位置調整ネジ7a,7bにより、圧力センサ4a,4bをCPUソケット2に押し付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BGA(Ball Grid Array)付きのCPUソケットでプリント基板に搭載されるCPUの実装に関し、特に、CPUにヒートシンクを設ける実装構造において、ヒートシンクをプリント基板にネジ止めする際に、BGAのハンダボールに加わる圧力が所定値を超えたことを検知できるようにするBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構および過剰圧力検出方法並びにBGAのハンダボールに過剰圧力が加わるのを防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
BGA付きのCPUソケットは、リフロー工程により、プリント基板にハンダ付けされる。CPU(Central Processing Unit)は、プリント基板にハンダ付けされたCPUソケットに搭載され、CPUソケットを介してプリント基板に実装される。更にCPUの発熱量が大きいときには、CPUにはヒートシンクが取り付けられる。この種のヒートシンク付きCPUの実装構造においては、ヒートシンクは、CPUソケット及びCPUを間に挟んで、プリント基板にネジ止めされる。ヒートシンクとプリント基板とを固定するネジは、CPUソケットにおける4つの角に対応する4箇所に設けられる。ヒートシンクとプリント基板とに夫々4箇所に貫通穴を設け、各貫通穴に頭部付きの雄ネジを挿通し、雄ネジにナットを螺合し、雄ネジとナットとを相対的に回動し、雄ネジの頭部とナットとの距離を調節することにより、ヒートシンクをプリント基板に適切な圧力で固定するようにする。
【0003】
ヒートシンクをプリント基板に適切な圧力で固定するために、雄ネジとナットとを相対的に回動させる工具としては、トルクを3段階に設定できるトルクドライバが通常は用いられる。また、4本のネジは、所謂対角締めにより締められる。対角締めにより、ヒートシンクをプリント基板に固定する際に、CPUソケットのハンダボールはプリント基板に押圧される。このときにハンダボールに加わる圧力は、対角締めにより順次に少しずつ増大する。対角締めは、1箇所のネジだけ、又は隣り合う2本のネジが他の2箇所のネジに比べて格段に強く締められることを防止する。
【0004】
しかしながら、トルクドライバにおけるトルク設定の誤りや、或いは対角締めをしないこと等の不注意により、ネジが強過ぎる力で締め付けられ、或いは1箇所のネジだけ、又は隣り合う2本のネジが他の2箇所のネジに比べて格段に強く締められることがある。このような不注意により、4本のネジの締め付けにおける締め付け力に偏在が生じ、或いは4本のネジ全てが強く過ぎる力で締め付けられると、BGAのハンダボール(「バンプ」とも称される。)にクラック(ひび割れ)が生じることがある。
【0005】
BGAでプリント基板にハンダ付けされるCPUソケットを介して、CPUをプリント基板に実装するCPUの実装構造では、BGAのハンダボールにクラックが生じても、クラックは外部から目視できない。そこで、CPUを搭載したプリント基板の検査においてCPUと他の回路との間に何らかの不具合が見つかると、そのクラック等の障害がプリント基板のパッドとハンダボールとの接合部に生じていないかを調べる故障解析が必要となる。
【0006】
故障解析によりそのクラック等の障害を見つけるには、プリント基板のパッドとハンダボールとのハンダ付け部分の断面を目視で観察し、或いは染料を染み込ませて、染料の染み込みの程度を見る等をすることが必要となる。染料を染み込ませて行う故障解析では、CPUソケットのハンダボールをプリント基板のパッドにハンダ付けし、CPUソケットをプリント基板に実装した状態で、ハンダボール及びパッドを挟んで対向するCPUソケットとプリント基板との隙間に染料を流し込み、その後にCPUソケットが実装されたプリント基板を硬い他の物体(例えば、机)に強く叩き付ける等して衝撃的な外力を加えることにより、CPUソケットをプリント基板から強制的に外し、外れた両者のハンダ面、即ちCPUソケット側のハンダボール及びプリント基板側のパッドにおける染料の染み込みの状況を目視観察し、クラックの有無を判断する。このような故障解析は、破壊解析となるので、プリント基板とプリント基板に既に搭載されていた他の部品を無駄にしてしまうので、プリント基板の製造コストの増大に繋がる。
【0007】
BGAにおけるハンダボールとプリント基板におけるパッド(「ランド」とも称される。)との接続が剥離し、或いはハンダボールにクラックが入るのを防止する構造として、特許文献1に記載の電子装置が開示されている。この電子装置は、BGA部品を覆うヒートシンクを有している。その電子装置では、プリント基板の表裏に対称にBGA部品を搭載し、各BGA部品を覆うようにヒートシンクがプリント基板に取り付けられている。この構造により、BGA部品の発熱による熱応力に起因した反りがプリント基板に生じず、熱応力の影響がBGA部品の接続端子(ハンダボール)とプリント基板の接続部(パッド)に及び難くなり(段落0011−0015)、ハンダボールとプリント基板のパッドとの断線やハンダボールのクラックの発生を防止できると説明されている(段落0022)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−270684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、引用文献1の電子装置の構造は、BGA部品の発熱による熱応力に基づく反りがプリント基板に生じず、熱応力の影響がBGA部品の接続端子(ハンダボール)とプリント基板の接続部(パッド)に及び難くなり、ハンダボールとプリント基板のパッドとの断線やハンダボールのクラックの発生を防止できるとしている。このように、引用文献1の電子装置の構造は、BGA部品の発熱による熱応力の影響を軽減することにより、ハンダボールとプリント基板のパッドとの断線やハンダボールのクラックの発生を防止する。したがって、引用文献1の電子装置の構造では、トルクドライバにおけるトルク設定の誤りや、或いは対角締めの失念などの不注意により、ネジが強過ぎる力で締め付けられ、或いは1箇所のネジだけ、又は隣り合う2本のネジが他の2本のネジに比べて格段に強く締められるといった事態があったときには、BGAのハンダボールにクラック(ひび割れ)が生じるという不具合は防止できない。
【0010】
(本発明の目的)
そこで、本発明は、BGAによりプリント基板にハンダ付けされたCPUソケットにCPUを実装し、該CPUソケット及び該CPUを間に挟んで、該CPUのヒートシンクを該プリント基板にネジ止めする際に、該BGAのハンダボールに過剰な力が加わったことを検出できるBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構および過剰圧力検出方法並びにBGAのハンダボールに過剰圧力が加わるのを防止する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため、本発明によるBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構および過剰圧力検出方法並びにBGAのハンダボールに過剰圧力が加わるのを防止する方法は、次のような特徴的な構成を採用している。
【0012】
(1)、本発明によるBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構は、BGA(Ball Grid Array)によりプリント基板にハンダ付けされたCPUソケットにCPUを実装し、該CPUソケット及び該CPUを間に挟んで、該CPUのヒートシンクを該プリント基板にネジ止めする際に、該BGAのハンダボールに加わる圧力を検知する圧力センサを有することを特徴とする。
(2)また、本発明によるBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出方法は、BGA(Ball Grid Array)によりプリント基板にハンダ付けされたCPUソケットにCPUを実装し、該CPUソケット及び該CPUを間に挟んで、該CPUのヒートシンクを該プリント基板にネジ止めする際に、該BGAのハンダボールに加わる圧力を検知する方法であって、
前記CPUソケットと前記プリント基板との間に圧力センサを介在させ、該プリント基板を支点として該圧力センサを該CPUソケットに押し付けることにより該圧力センサに初期圧力を与えておき、該圧力センサにより検知した圧力が所定値を超えたとき、前記BGAのハンダボールに加わる圧力が過剰であるとする
ことを特徴とする
(3)また、本発明によるBGAのハンダボールに過剰圧力が加わるのを防止する方法は、BGA(Ball Grid Array)によりプリント基板にハンダ付けされたCPUソケットにCPUを実装し、該CPUソケット及び該CPUを間に挟んで、該CPUのヒートシンクを該プリント基板にネジ止めする際に、該BGAのハンダボールに加わる圧力を圧力センサで検知することにより、BGAのハンダボールに過剰が圧力が加わることを防止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、BGAによりプリント基板にハンダ付けされたCPUソケットにCPUを実装し、該CPUソケット及び該CPUを間に挟んで、該CPUのヒートシンクを該プリント基板にネジ止めする際に、該BGAのハンダボールに過剰な力が加わったことを検出できるBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構および過剰圧力検出方法並びにBGAのハンダボールに過剰圧力が加わるのを防止する方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態であるBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構を備えたCPU実装構造を概念的に示す断面図である。を示す図である。
【図2】図1のCPUの実装構造を組み立てるために、CPU及びヒートシンクを搭載する前の工程で形成された構造を概念的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構および過剰圧力検出方法並びにBGAのハンダボールに過剰圧力が加わるのを防止する方法の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。
【0016】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明によるBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構は、前述のとおり、BGAによりプリント基板にハンダ付けされたCPUソケットにCPUを実装し、CPUソケット及びCPUを間に挟んで、CPUのヒートシンクをプリント基板にネジ止めする際に、BGAのハンダボールに加わる圧力を検知する圧力センサを有することを特徴とする。
【0017】
本発明によるBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構および過剰圧力検出方法について、図1および図2を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態であるBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構を備えたCPU実装構造を概念的に示す断面図であり、図2は、図1のCPUの実装構造を組み立てるために、CPU及びヒートシンクを搭載する前の工程で形成された構造を概念的に示す断面図である。以下では、図1に示したBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構を中心に説明するが、その説明において、本実施の形態のBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出方法およびBGAのハンダボールに過剰圧力が加わるのを防止する方法の実施形態も併せて説明される。
【0018】
図1のCPU実装構造は、プリント基板1、プリント基板1に実装されたCPUソケット2、フィルム状の圧力センサ4a,4b、圧力センサ4a,4bに夫々接続された電極6a,6b、圧力センサ4a,4bをCPUソケット2に夫々当接させる位置調整ネジ7a,7b、CPU8、CPU8で発生する熱を放散させるヒートシンク9、ヒートシンク9をプリント基板1に取り付ける雄ネジ10a,10b、雄ネジ10a,10bに夫々螺合されるナット12a,12bを有してなる。3はCPUソケット2のハンダボールである。10a1及び10b1は夫々雄ネジ10a及び10bの頭部である。
【0019】
図1では、圧力センサ、電極、位置調整ネジ、雄ネジ及びナットは、何れも2個ずつが現れている。しかし、図1のCPU実装構造においては、これらの部材は、平面形が矩形であるCPUソケット2の4つの角に対応して夫々設けられており、何れも4個ずつ設けてある。図2においても同様である。以下では、図に現れていないそれら部材の説明は省略し、単に2個の部材の作用について説明することが多いが、実際は4つの部材が同様に作用する。
【0020】
図1のCPU実装構造を作成する工程に先立って図2の構造を作成する。CPUソケット2は、ハンダボール3が多数配列されてなるBGA(Ball Grid Array)を片面に有し、BGAをプリント基板1のパッドにハンダ付けするリフロー工程により、プリント基板1に実装される。
【0021】
圧力センサ4a,4bは、フィルム状をなし、例えばピエゾフィルム素子でなる。ピエゾフィルム素子としては、例えば厚みが28μm、52μm、100μmのものが市販されている。ピエゾフィルム素子は、圧電効果により機械的圧力を電圧に変換して、電圧値を出力する。圧力センサ4a及び4bには電極6a及び6bが夫々接続されている。電極6a及び6bは、プリント基板1におけるパッドにハンダ付けされ、そのパッドを経由してプリント基板1に搭載されている圧力検出回路に接続される。
【0022】
位置調整ネジ7a及び7bは、CPUソケット2の角に対応した位置においてプリント基板1に設けられた雌ネジに螺合する雄ネジであり、前述の初期圧力付与手段に相当する。位置調整ネジ7a及び7bを回すことにより、位置調整ネジ7a及び7bの上端が圧力センサ4a及び4bをCPUソケット2の下面に夫々押し付け、圧力センサ4a及び4bをCPUソケットに固定する。CPUソケットに密着させて、圧力センサ4a及び4bをCPUソケットに固定するために、圧力センサ4a及び4bをCPUソケットに押し付ける圧力は、圧力センサ4a及び4bの初期圧力となる。
【0023】
図2の構造が作成されると、CPU8がCPUソケット2に搭載される。CPU8とCPUソケット2とはPGA(Pin Grid Array)構造のインタフェースを有し、CPU8底面の短く硬いピンがCPUソケット2上面の穴に嵌められることにより、両者の電気的接続が行われる。
【0024】
CPU8で発生する熱を放散させるために、ヒートシンク9が、雄ネジ10a,10b及びナット12a,12bで以ってプリント基板1に固定される。ヒートシンク9は、下面でCPU8の上面に接触し、CPU8及びCPUソケット2を間に置いて、プリント基板1に固定される。トルクドライバにより、雄ネジ10a,10bに対しナット12a,12bを相対的に回し、雄ネジ10a,10bの頭部10a1,10b1とナット12a,12bとの距離を短縮することにより、ヒートシンク9がプリント基板1に締め付けられる過程で、CPUソケット2のハンダボール3に圧力が加わる。
【0025】
ハンダボール3に加わる圧力が、ハンダボール3が耐えうる限界値を超えると、ハンダボール3にクラックが入り、CPUソケット2とプリント基板1との接続、ひいてはCPU8とプリント基板1との接続が切れたり、不安定になったりし、プリント基板1が不良品となる。ヒートシンク9がプリント基板1にネジで締め付けられる過程で、CPUソケット2のハンダボール3に圧力が加わるが過剰となったときに、その圧力が過剰になったことを示す機構が本実施の形態のBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構である。
【0026】
本実施形態のBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構は、BGAによりプリント基板1にハンダ付けされたCPUソケット2にCPU8を実装し、CPUソケット2及びCPU8を間に挟んで、CPU8のヒートシンク9をプリント基板1にネジ止めする際に、BGAのハンダボール3に加わる圧力を検知する圧力センサ4a,4bを有してなる。
【0027】
この実施形態は、圧力センサ4a,4bをCPUソケット2とプリント基板1との間に介在させ、プリント基板1を支点として圧力センサ4a,4bをCPUソケット2に押し付けることにより圧力センサ4a,4bに初期圧力を与える位置調整ネジ7a,7bを有する。
【0028】
更に、この実施形態における位置調整ネジ7a,7bは、CPUソケット2に設けられた雌ネジと、この雌ネジに螺合され、回転により先端で圧力センサ4a,4bをCPUソケット2に押し付ける圧力を調節する雄ネジである。圧力センサ4a,4b及び位置調整ネジ7a,7bは、CPUソケット2における4つの角部に夫々設けてある
【0029】
また、この実施形態は、ヒートシンク9をプリント基板1にネジ止めする手段を有する。このヒートシンク9をプリント基板1にネジ止めする手段は、CPUソケット2における4つの角部に対応してヒートシンク9に夫々開けられた4つのヒートシンク側貫通穴(9a,9b及び他の2つのヒートシンク側貫通穴)と、4つのヒートシンク側貫通穴に夫々対応してプリント基板1に開けられた4つのプリント基板側貫通穴(1a,1b及び他の2つのプリント基板側貫通穴)と、それらの各ヒートシンク側貫通穴とそれらの各プリント基板側貫通穴とに夫々挿通される4つの頭部付き雄ネジ(10a,10b及び他の2つの頭部付き雄ネジ)と、それらの各頭部付き雄ネジに夫々螺合され、回されることによる該雄ネジの頭部との距離の調整によりハンダボール3に加わる圧力が調整される4つのナット(12a,12b及び他の2つのナット)とでなる。
【0030】
また、この実施形態におけるプリント基板1には、圧力センサ4a,4bの端子に接続された電極6a,6bと、電極6a,6bから圧力センサ4a,4bの出力を受ける圧力検出回路と、この圧力検出回路により点灯が制御されるLEDとが設けてある。この圧力検出回路は、圧力センサ4a,4bの出力で表される圧力が予め定めた所定値を超えたときにそのLEDを点灯させる。
【0031】
圧力検出回路は、圧力センサ4a,4bの出力を増幅するオペアンプと、オペアンプの出力を予め定めた閾値と比較し、オペアンプの出力がその閾値を超えたとき、ハイレベルを出力し、オペアンプの出力がその閾値を超えないときはローレベルを出力する比較回路と、比較回路の出力がハイレベルのときにLEDを点灯させるLED制御回路と、LEDに並列に接続されたコンデンサとを有してなり、プリント基板1に搭載されているバッテリから電源を得る。その閾値は、ハンダボール3にクラックが入る恐れのある限界圧力に対応する値よりも、余裕を持った小さい値に設定する。即ち、閾値は、その限界圧力相当の値に対しかなりのマージンを設けて、設定する。
【0032】
トルクドライバにより、雄ネジ10a,10bに対しナット12a,12bを相対的に回し、雄ネジ10a,10bの頭部10a1,10b1とナット12a,12bとの距離を短縮することにより、ヒートシンク9をプリント基板1に締め付け工程では、LEDの点灯の有無を視認しながら、CPUソケット2のハンダボール3に加わる圧力が適切であるか否かを確認する。LEDの点灯が点灯したときは、過剰圧力がハンダボール3に加わったと判断し、ネジの締め付けを戻し、その圧力を低減し、LEDが消灯したときに、ネジの締め付けが適切であると判断し、ネジの操作を停止する。
【0033】
比較回路の出力は、その圧力が所定値(比較回路の閾値に対応する値)以下に下がった瞬間にローレベルになるので、比較回路の出力がハイレベルであるか又はローレベルであるかのみに基づいて、LEDの点灯を制御すると、ハンダボール3に加わる圧力が所定値以下に下がった瞬間にLEDが消灯する。このように、ネジを戻して、ハンダボール3に加わる圧力が所定値以下に下がった瞬間にLEDが消灯すると、ネジ締め付けを行う操作者にはLEDの点灯の視認し難い。そこで、LEDに並列にコンデンサを接続しておき、比較回路の出力がハイレベルになり、LEDが点灯している期間にコンデンサを充電し、比較回路の出力がローレベルに下がった時にも、その瞬間にLEDが消灯することなく、その時から一定の時間(例えば1秒)はLEDが点灯を継続するように設計してある。
【0034】
以上に説明したように、本実施形態のBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構によれば、BGAによりプリント基板1にハンダ付けされたCPUソケット2にCPU8を実装し、CPUソケット2及びCPU8を間に挟んで、CPU8のヒートシンク9をプリント基板1にネジ止めする際に、BGAのハンダボール3に過剰な力が加わったことを検出できる。
【0035】
図1及び図2を参照して説明した上述の実施形態については、発明の理解を容易にするために、詳細に具体例を示して説明したが、本発明がこの実施形態に減退されるものでないことは勿論である。例えば、ヒートシンク9をプリント基板1にネジ止めする手段は、CPUソケット2における4つの角部に対応してヒートシンク9に夫々開けられた4つのヒートシンク側貫通穴および4つのプリント基板側貫通穴に、夫々挿通される4つの頭部付き雄ネジと4つのナットとでなる例を挙げたが、これらの数は、必ずしも4つである必要はなく、例えば6つであっても差し支えない。
【符号の説明】
【0036】
1 プリント基板
2 CPUソケット
3 ハンダボール
4 a,4b圧力センサ
6a,6b 電極
7a,7b 位置調整ネジ
9 ヒートシンク
10a,10b 雄ネジ
10a1 雄ネジ10aの頭部
10b1 雄ネジ10bの頭部
12a,12b ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BGA(Ball Grid Array)によりプリント基板にハンダ付けされたCPUソケットにCPUを実装し、該CPUソケット及び該CPUを間に挟んで、該CPUのヒートシンクを該プリント基板にネジ止めする際に、該BGAのハンダボールに加わる圧力を検知する圧力センサを有することを特徴とするBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構。
【請求項2】
前記圧力センサを前記CPUソケットと前記プリント基板との間に介在させ、該プリント基板を支点として該圧力センサを前記CPUソケットに押し付けることにより該圧力センサに初期圧力を与える初期圧力付与手段を有することを特徴とする請求項1に記載のBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構。
【請求項3】
前記初期圧力付与手段は、
前記CPUソケットに設けられた雌ネジと、
前記雌ネジに螺合され、回転により先端で前記圧力センサを前記CPUソケットに押し付ける圧力を調節する雄ネジと
を有してなることを特徴とする請求項2に記載のBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構。
【請求項4】
前記圧力センサおよび前記初期圧力付与手段は前記CPUソケットにおける4つの角部に夫々設けてあることを特徴とする請求項2または3の何れかに記載のBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構。
【請求項5】
前記CPUソケットにおける4つの角部に対応して前記ヒートシンクに夫々開けられた4つのヒートシンク側貫通穴と、該4つのヒートシンク側貫通穴に夫々対応して前記プリント基板に開けられた4つのプリント基板側貫通穴と、該各ヒートシンク側貫通穴と該各プリント基板側貫通穴とに夫々挿通される4つの頭部付き雄ネジと、該各頭部付き雄ネジに夫々螺合され、回されることによる該雄ネジの頭部との距離の調整により前記ハンダボールに加わる前記圧力が調整される4つのナットとでなり、該ヒートシンクを該プリント基板にネジ止めする手段を有することを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載のBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構。
【請求項6】
前記プリント基板は、前記圧力センサの端子に接続された電極と、該電極から該圧力センサの出力を受ける圧力検出回路と、該圧力検出回路により点灯が制御されるLEDとを有し、
前記圧力検出回路は、前記圧力センサの出力で表される前記圧力が予め定めた所定値を超えたときに前記LEDを点灯させる
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載のBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出機構。
【請求項7】
BGA(Ball Grid Array)によりプリント基板にハンダ付けされたCPUソケットにCPUを実装し、該CPUソケット及び該CPUを間に挟んで、該CPUのヒートシンクを該プリント基板にネジ止めする際に、該BGAのハンダボールに加わる圧力を検知する方法であって、
前記CPUソケットと前記プリント基板との間に圧力センサを介在させ、該プリント基板を支点として該圧力センサを該CPUソケットに押し付けることにより該圧力センサに初期圧力を与えておき、該圧力センサにより検知した圧力が所定値を超えたとき、前記BGAのハンダボールに加わる圧力が過剰であるとする
ことを特徴とするBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出方法。
【請求項8】
前記圧力センサに対応して前記プリント基板に設けられた雌ネジに、雄ネジを螺合させ、該雄ネジを回転させ、該雄ネジの先端で前記圧力センサを前記CPUソケットに押し付けることにより、前記初期圧力を調節することを特徴とする請求項7に記載のBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出方法。
【請求項9】
前記圧力センサ並びに前記雌ネジ及び雄ネジは前記CPUソケットにおける4つの角部に夫々設けてあることを特徴とする請求項8に記載のBGAのハンダボールに対する過剰圧力検出方法。
【請求項10】
BGA(Ball Grid Array)によりプリント基板にハンダ付けされたCPUソケットにCPUを実装し、該CPUソケット及び該CPUを間に挟んで、該CPUのヒートシンクを該プリント基板にネジ止めする際に、該BGAのハンダボールに加わる圧力を圧力センサで検知することにより、BGAのハンダボールに過剰が圧力が加わることを防止することを特徴とするBGAのハンダボールに過剰圧力が加わるのを防止する方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−69632(P2012−69632A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211856(P2010−211856)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】