説明

BOP適合性ポリマー調製物中の過酸化物レベルを下げる方法

本発明は、運搬する薬物の酸化的分解の危険性を下げるポリマー性送達ビヒクルを形成する材料および方法、および生じる組成物に関する。方法は生体適合性ポリマー調製物中の過酸化物レベルを下げると記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2003年3月31日に出願された特許文献1の利益を主張する2004年3月31日に出願された特許文献2の一部継続出願である、2005年1月18日に出願された特許文献3の利益を主張する。また本出願は2005年2月3日に出願された特許文献4の利益を主張する。これら各出願の開示は引用により全部、本明細書に編入する。
【0002】
発明の分野
本発明は薬物製剤の調製に有用なビヒクル(vehicle)に関する。特に本発明は薬物製剤の活性成分の安定性を改善する環境を提供するビヒクルに関する。
【発明の背景】
【0003】
活性剤または治療薬を患者へ送達するための方法および材料を改善するために多大な努力がなされてきた。しばしば改善には薬物送達の効率を上昇させ、薬物標的を改善し、薬物送達プロファイルを改善し、副作用を減少させ、あるいは薬物の安定性を改善することが関与する。場合により改善は賦形剤、すなわちより詳細には薬物送達ビヒクルを使用することにより達成される。
【0004】
薬物送達ビヒクルは埋め込み可能な装置を採用することができ、その中には長期間にわたり所望の投与量の有益な活性剤を送達することができるものもある。例えば、特許文献5、6、7、8、9、10、11、12、13(各内容は引用により全部、本明細書に編入する)は、長期間(即ち、1週間より長く、1年以上までの範囲に及ぶ期間)にわたり所望の速度で、溶液または懸濁液等の活性製剤を送達することができる、浸透的に駆動する装置を教示する。他の一例としての埋め込み可能な装置には、有益な作用物質製剤の一定の流れ、調整可能な流れ、またはプログラム可能な流れを提供する調整型の埋め込み可能な装置を含み、これらは例えばマサチューセッツ州、レインハムのコッドマン(Codman)、ミネソタ州、ミネアポリスのメドトロニック(Medtronic)、ドイツのトリキュームド、メガンヂンテクニック社(Medinzintechnik GmbH)から市販されている。埋め込み可能な装置のさらなる例は、特許文献14、15、16および17に記載され、これらは引用により全部、本明細書に編入する。埋め込み可能な装置の種類は、長期にわたり治療的レベルで所望の活性剤を送達するように設計することができ、そしてそれ故にそのような装置に包含される薬物送達ビヒクルは、インビボでそのような長期間保証される(account)必要がある。
【0005】
本発明と共に使用することが企図される活性剤または薬物の例は、治療薬として使用することができる生体分子物質である。埋め込み可能な薬物送達システムを用いた長期にわたるそのような作用物質の送達は、多くの要因により困難であることが判明した。本明細書で使用する時、「生体分子物質」という用語はペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、ウィルス、抗体、および核酸もしくはアミノ酸を含め、他の任意の自然に由来する、合成的に生産された、または組み換え的に生産された活性剤を称する。他の取り組み(challenges)の中で、埋め込み可能な送達装置から長期にわたり生体分子物質を送達しようとする場合に2つの問題が装置および送達ビヒクルにより取り扱われなければならない。第1に、生体分子物質は装置の作働寿命にわたり高温(即ち、37℃以上)で物質の安定性を実質的に維持する製剤内に含まれなければならない。第2には、生体分子物質は、長期間にわたり所望の作動環境内に、埋め込まれた装置から生体分子物質の送達を可能にする様式で配合されなければならない。この第2の取り組みは、生体分子物質が低い流速(即ち、<100μl/日)で長期間にわたり装置から送達される流動可能な組成内に含まれる場合に特に困難であることが判明した。
【0006】
生体分子物質は、脱アミド化、酸化、加水分解、ジスルフィド間交換、および、ラセミ化を含む1もしくは複数の幾つかの異なる機構を介して分解され得る。有意には、水が関連する分解経路の多くにおける反応物である。さらに水は可塑剤として機能し、生体分子物質のアンフォールディングおよび不可逆性凝集を促進する。生体分子物質の水性製剤により形成された安定性にまつわる問題に働くために、生体分子物質の乾燥粉末製剤が既知の凍結乾燥、噴霧乾燥または脱水技術等のような既知の粒子形成プロセスを使用して形成された。生体分子物質の乾燥粉末製剤は適切な安定性を提供することが示されたが、長期間にわたり安定であり、そして埋め込み可能な装置を介して送達される場合に、流動可能でもあり、しかも埋め込み可能な装置から直ちに送達可能である製剤を提供することが望ましい。
【0007】
薬物送達ビヒクルがポビドン、クロスポビドンおよびコポビトンのようなポリマー性賦形剤を使用する場合、これらの賦形剤はポリマー性調製物中の過酸化物の存在により薬物製剤中の活性剤の酸化を引き起こす可能性がある。酸化に感受性となり得る活性剤、すなわち酸化感受性活性剤の例の中には、タンパク質、ペプチド、麦角アルカロイド、およびドキシサイクリン、メトホルミンおよびモルシドミン(molsidomine)のような抗生物質がある。ポビドン、クロスポビドンおよびコポビトンはこのように酸化感受性の活性剤を含有する製剤中の固体賦形剤としての用途に限界がある。酸化を減少させるために、一定期間保存されたものより新しく調製されたポリマー性賦形剤が典型的には低い過酸化物レベルを有するので使用することができる。しかし薬物製剤を調製するために新しく調製したポリマー性賦形剤の使用には、主に物資の管理上の問題が伴うことが多い。
【0008】
埋め込み可能な装置から送達することができる他の非水性薬物製剤は、高温で長期にわたり安定な生体分子物質を含む。非水性の賦形剤製剤は典型的にはポリマー、溶媒および表面活性剤を含む。特定の状況下で、これらの製剤が製剤の送達に使用される装置の送達導管内の生理学的流体のような水溶液に暴露されると、賦形剤に含まれるポリマーは溶媒から水性液体へ層分離する傾向がある。ポリマーは水性液体中で分配するので、水性液体中のポリマーの濃度は高度に粘稠なポリマー性ゲルまたは沈殿物が送達導管内に形成される程度まで上昇し、送達導管の部分的または完全な閉塞をもたらし、そして送達装置の所望する操作を妨害するかもしれない。そのような閉塞の可能性は、導管の形状が水性液体が比較的長期にわたり(例えば数時間または数日)限定した領域で薬物製剤と作用する(interface)ような場合に上昇する。
【0009】
したがって当該技術分野にはポリマー性調製物から形成される送達ビヒクル中、特に酸化感受性の活性剤を含んでなる薬物製剤中の過酸化物レベルを下げる方法のニーズが存在する。さらに送達導管を閉塞させる可能性が低いと同時に、送達を意図する活性剤の強化された安定性を提供する、埋め込み可能な装置から送達可能となるような送達ビヒクルのニーズがある。
【参考文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願第60/459,300号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/814,826号明細書
【特許文献3】米国特許出願第11/183,477号明細書
【特許文献4】米国特許出願第60/650,252号明細書
【特許文献5】米国特許第5,034,229明細書
【特許文献6】米国特許第5,557,318号明細書
【特許文献7】米国特許第5,110,596号明細書
【特許文献8】米国特許第5,728,396号明細書
【特許文献9】米国特許第5,985,305号明細書
【特許文献10】米国特許第6,113,938号明細書
【特許文献11】米国特許第6,156,331号明細書
【特許文献12】米国特許第6,375,978号明細書
【特許文献13】米国特許第6,395,292号明細書
【特許文献14】米国特許第6,283,949号明細書
【特許文献15】米国特許第5,976,109号明細書
【特許文献16】米国特許第5,836,935号明細書
【特許文献17】米国特許第5,511,355号明細書
【発明の開示】
【0011】
発明の要約
本発明の1つの観点では、メチオニンを生体適合性ポリマー調製物に加えることを含んでなる、薬物送達ビヒクルを形成することができる生体適合性ポリマー調製物中の過酸化物レベルを下げる方法を提供する。生体適合性ポリマー調製物のポリマーの幾つかの例には、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールまたはメチルセルロースを含む。幾つかの態様では、メチオニンが膜分離、透析または沈殿を含む多数の工程を介してポリマー調製物から除去される。
【0012】
本発明の別の観点では、さらに溶媒を含んでなり、そして薬物を含んでなる安定な非水性薬物製剤を形成するポリマー調製物が提供され、ここで薬物は薬物製剤の1もしくは複数の成分に不溶性であり、そして薬物は37℃で少なくとも2カ月間安定である。
【0013】
さらに本発明の別の観点では、過酸化物レベルが減少した水溶液が提供される。水溶液はポリマー調製物およびメチオニンを含んでなり、メチオニンは1対50〜1対2の範囲のメチオニン対ポリマーの重量比を生じるような量でポリマーに加えられる。
【0014】
本発明のさらなる観点では、安定な非水性薬物製剤が提供され、これはポリマー;溶媒;メチオニン対ポリマーの重量比が1対50〜1対2になる量のメチオニン;および薬物を含んでなる低下したレベルの過酸化物を有する。この観点では、薬物はポリマーまたは溶媒に不溶性であり、そして薬物製剤は37℃で少なくとも2カ月間安定である。
【0015】
前記の一般的説明および以下の詳細な説明は例および説明だけであり、そして添付する特許請求の範囲で定める本発明を限定するものではない。
【0016】
具体的態様の詳細な説明
本発明の観点には、生体適合性であり、そして水に混和性のビヒクルを生じるポリマーおよび溶媒の組み合わせを使用して形成される非水性ビヒクルを含む。そのようなビヒクルは非水性の薬物製剤を形成するのに有用である。本発明の幾つかの観点に従い、薬物ビヒクルに使用されるポリマーおよび溶媒は、示差走査熱量測定法(DSC)により測定されるように、これらを通して物理的および化学的の両方で実質的に均一である均一系を提供するように選択される。薬物送達ビヒクルは生体適合性であり、そしてビヒクルに使用するポリマーおよび溶媒は、生じたビヒクルが生体環境に応答して長期間にわたり崩壊または分解するように選択され、そして組み合わせられる。生体環境内でのビヒクルの分解は、例えば酵素作用、酸化、還元、加水分解(例えば、タンパク質分解)、置換または可溶化、エマルジョンもしくはミセル形成による溶解のような1もしくは複数の物理的もしくは化学的プロセスにより生じ得る。本発明のビヒクルが生体環境内で分解された後、ビヒクルの成分は吸収され、さもなければ身体および周囲の組織により散逸される。
【0017】
本明細書で使用する「水中で混和性」という用語は、選択された作業環境を表す温度範囲で、高粘度ポリマー相が形成されるような溶媒からポリマーの相分離を生じることなく
、全ての比率で水と混合することができるビヒクルを指す。本明細書で使用する「高粘度ポリマー相(highly viscous polymer phase)」は、ビヒクルが水と混合される前にビヒクルの粘度よりも大きい粘度を示すポリマー含有組成物を指している。開示するビヒクルの中には、水との混合時に高粘度ポリマー相を形成しないものもあるので、そのようなビヒクルは、製剤を投与するため使用する送達装置内に含まれる送達導管の部分的または完全な閉塞の発生を減少させるように作働する薬物製剤の形成を可能にする。
【0018】
本発明の幾つかの観点は、メチオニンをポリマー調製物に加えることを含んでなる、薬物送達ビヒクルを形成することができるポリマー調製物中の過酸化物レベルを下げる方法を提供する。幾つかのポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、メチルセルロースおよびビニルピロリドン/酢酸ビニルの調製物は、高レベルの過酸化物(最高400ppm)を含む可能性があり、これらは調製物が保存される期間にわたり増加する傾向がある。これらの方法は、水溶性であるポリマーの調製を含め、そのようなポリマーの調製物または薬物送達ビヒクル中の過酸化物レベルを下げるために使用することができる。ポリマー調製物が薬物製剤または薬物送達ビヒクル中で賦形剤として使用される場合、調製物中に存在する過酸化物は生体分子物質、例えば酸化に感受性の有効成分を不安定化する恐れがあり、これは生体分子物質を含有する製剤中のそのようなポリマー性賦形剤の用途を限定する。驚くことに出願人はメチオニンでのポリマー調製物の処置が調製物中の過酸化物のレベルを実質的に低レベルに下げることを見いだし、この処置は24時間未満、好ましくは約4時間にわたる。実質的に低レベルとは、ポリマー調製物が生体分子物質を含有する製剤中で賦形剤として成功裏に使用できるようになるレベルを表す。好ましくは実質的に低レベルとは過酸化物のレベルの約100倍の低下を指し、そしてより好ましくは10ppm以下、そしてさらにより好ましくは5ppm以下の過酸化物レベルを指す。
【0019】
本発明の特定の観点は、例えばポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよびメチルセルロースのようなポリマーの調製物中の過酸化物レベルを下げる方法に関する。本発明の好適な態様は、ポリビニルピロリドンの調製物中の過酸化物レベルを下げる方法に関する。本発明の特定の態様では、メチオニンおよびポリマー調製物がメチオニンをポリマー調製物に加えた後に混合される。好ましくはポリマー調製物およびメチオニンは少なくとも10分間混合され、そしてさらに好ましくは4〜16時間混合される。本発明の特定の態様においてポリマー調製物およびメチオニンは、最高4日間混合される。任意の手段がメチオニンおよびポリマー調製物を混合するために使用され得る。本発明の幾つかの態様では、メチオニンをポリマー調製物に加えた後のメチオニン対ポリマー調製物の重量比が、約1対50〜約1対2である。好適な態様では、メチオニン対ポリマー調製物の重量比は、約1対20〜約1対4である。さらに好適な態様では、メチオニン対ポリマー調製物の重量比は、約1対20〜約3対20である。
【0020】
本発明の特定の観点に従いポリマー調製物中の過酸化物レベルを下げるために使用するメチオニンは、L−メチオニンまたはD−メチオニン、あるいはそれらの組み合わせであることができる。好ましくはポリマー調製物がヒトまたは動物への投与を意図している場合、メチオニンはL−メチオニンである。
【0021】
本発明の特定の観点は、水溶性ポリマーの調製物中の過酸化物レベルを下げる方法に関し、この方法は水溶性ポリマーの調製物の水溶液を準備し、そして水溶液にメチオニンを加えることを含んでなる。本発明の好適な態様では、水溶性ポリマーの調製物の水溶液は、水溶液の単位容量あたり約0.5%〜約40単位重量%の水溶性ポリマーの調製物を含んでなる。さらに好適な態様では、水溶性ポリマーの調製物の水溶液は、水溶液の単位容量あたり約1%〜約20単位重量%の水溶性ポリマーの調製物を含んでなる。さらに一層好適な態様では、水溶性ポリマーの調製物の水溶液は、水溶液の単位容量あたり約2%〜約10単位重量%の水溶性ポリマーの調製物を含んでなる。
【0022】
特定の態様では、本発明は水溶性ポリマーの調製物中の過酸化物レベルを下げる方法に関し、この方法は水溶性ポリマーの調製物の水溶液を準備し、そして水溶液にメチオニンを加え、そして水溶性ポリマーの調製物の水溶液からメチオニンを除去することを含んでなる。メチオニンは例えばメチオニンの水溶性ポリマーのいずれかの膜分離、透析および沈殿を含む任意の手段を使用して除去することができる。
【0023】
本発明の別の観点は、水溶性ポリマーの調製物中の過酸化物レベルを下げる方法に関し、この方法はさらにメチオニンの除去後に水溶性ポリマーの調製物の水溶液から水を除去することを含んでなる。本発明の特定の態様では、実質的にすべての水が水溶性ポリマーの調製物の水溶液から除去される。水溶性ポリマーの調製物の水溶液から水を除去するために、例えば凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥および流動床処理を含め任意の手段を使用することができる。ポリマーが液体ポリマーである態様では、水は膜分離、抽出および沈殿のような多くの液体濃縮法の1つにより除去することができる。
【0024】
また本発明の観点は、特定の態様において水溶性ポリマーの調製物中の過酸化物レベルを下げる方法を提供し、この方法は水溶性ポリマーの調製物の水溶液を準備し、水溶性ポリマーの調製物の水溶液にメチオニンを加え、水溶性ポリマーの調製物の水溶液からメチオニンを除去し、水溶性ポリマーの調製物の水溶液から液体を除去し、そして場合によりメチオニンを乾燥したメチオニン処理した水溶性ポリマーの調製物に加えることを含んでなる。好ましくは、メチオニンが動物またはヒトへの投与を意図している場合、L−メチオニンが乾燥したメチオニン処理した水溶性ポリマーの調製物に加えられる。
【0025】
本発明の別の観点では、本発明によるビヒクル内に分散された薬物を含む薬物製剤を提供する。本発明による薬物製剤内に含まれる薬物は、粒状物質として提供されるのが好ましい。粒状物質は実親的に純粋な薬物物質であってもよく、あるいは薬物物質に1もしくは複数のコーティング、保存剤、賦形剤または補助薬を加えたものを含む薬物粒子から形成されてもよい。本発明によるビヒクルは粒状の生体分子物質を包含する薬物製剤を提供するのに特に適しているが、本発明の製剤はそのような例に限定されない。本明細書で使用されるとき、「薬物」という用語は治療的または有益な効果を提供し、そして医薬品、ビタミン、栄養物質および食品補給物のような化合物または物質を指す。しかし本発明の薬物製剤の各態様では、薬物がビヒクル成分の1もしくは複数に溶けないように、ビヒクルが選択され、薬物、好ましくは粒状の薬物物質が調製される。
【0026】
本発明によるビヒクルは、薬物懸濁液を作成し、そして維持するために適切な水と混和性の単一相の生体適合性であり、しかも安定な薬物製剤を提供することができるビヒクルを提供するために、溶媒と組み合わせることができる任意の製薬学的に許容され得るポリマーを含むことができる。本発明に従いビヒクルを形成するために有用なポリマーの例には限定するわけではないが、約0.5〜2.0i.v.の範囲の固有粘度を有するPLA(ポリ乳酸)および約0.5〜2.0i.v.の範囲の固有粘度を有するPLOA(ポリ乳酸ポリグリコール酸)のようなポリエステル、ポリビニルピロリドン(約2,000〜1,000,000の分子量範囲を有する)、酢酸ビニル、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーのような不飽和アルコールのエステルまたはエーテル、およびPluronic105のようなポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを含む。所望により1より多くの異なるポリマー、または単一ポリマーの種々の等級を使用して本発明によるビヒクルを達成することができる。
【0027】
様々なポリマーおよび溶媒の組み合わせを本発明によるビヒクルを形成するため使用することができるが、ポリマーおよび溶媒は、水と混和可能であるだけではなく、懸濁液が高温にさらされるときでも、薬物の安定性を維持するように働ク薬物材料の懸濁液を形成するのに適したビヒクルを提供する様式で選択され、そして組み合わせられる。「安定した」および「安定性」という用語は、本明細書で使用されるとき、薬物材料の化学的および物理的安定性の両方を指し、好ましくは薬物が薬物送達ビヒクル内にある期間に関する。特に薬物製剤は、2ヶ月間にわたり37℃で製剤を維持した後、酸化、脱アミド化および加水分解等のような化学的経路により薬物の約35%以下の部分しか分解されない場合には、本発明に従って化学的に安定していると考えられる。さらに薬物製剤は、同じ条件下で、凝集によって製剤に含まれる薬物物質の約15%以下の部分しか分解されない場合、物理的に安定していると考えられる。薬物製剤は、薬物物質の少なくとも65%が37℃で2ヶ月間後に物理的および化学的に安定している場合に、本発明に従い安定である。
【0028】
本発明の幾つかの観点では、高温で維持されるときに安定な薬物製剤が提供され、これは製剤が送達される送達装置、例えば埋め込み可能な装置の送達通路の部分的もしくは完全な閉塞が生じる可能性を最小にするように作用する。好ましい態様では薬物製剤は、製剤内に含まれる薬物のうち少なくとも約80%が、40℃の温度下で2ヶ月後に化学的および物理的に安定なままであるように配合される。特に好ましい態様では、薬物製剤は製剤内に含まれる薬物のうち約90%より多くが、40℃の温度で2ヶ月後に化学的および物理的に安定したままであるように配合され、40℃の温度で2ヶ月後に薬物の95%以上を化学的および物理的に安定して維持する製剤が特に望ましい。さらに本発明の薬物製剤は、それらが長期間にわたり高温にさらされる前に、放射線(例えば、ガンマ線、ベータ線または電子ビーム)による殺菌にかけるとき、安定したままであるように配合されることが好ましい。それらは本発明による薬物送達ビヒクルを使用して形成されるので、本発明の観点に従う特定の薬物製剤は、薬物剤製剤を投薬するため使用される送達装置の送達導管内に存在し得る水性液体と混和可能である。そのような混和性は、特に薬物製剤が低速(即ち、<100μl/日)で送達され、薬物製剤が長期間にわたり(即ち、約1日以上)送達される導管内で水性液体と接触する場合に、送達導管の部分的または完全な閉塞の形成の可能性を減少させるかまたは無くすように作用する。
【0029】
本発明の観点はさらに、本発明の薬物製薬、特に薬物ビヒクルを製造する方法を含む。1つの態様では、本発明によるビヒクルを製造する方法は、ビヒクル成分を組み合わせ、そのような成分を単一相材料が達成されるまで高温でブレンドする工程を含む。本発明による薬物製剤の中には、粒状薬物材料の所望の分布を有する懸濁液を提供するために、本発明によるビヒクル内に粒状薬物材料を分散させることにより調製される。1つの態様では、本発明による薬物製剤を調製する方法は、粒状薬物材料の所望の分布を有する懸濁液が達成されるまで、粒状薬物材料と本発明によるビヒクルとを高温で混合することを含む。本発明によるビヒクルまたは薬物製剤を製造する方法は、ビヒクルを形成する際に使用される成分、ビヒクル自身、または、ビヒクル内に分散される粒状薬物材料に、水を添加させることなく実行することが好ましい。
【0030】
提供されるビヒクル内に含まれる溶媒の幾つかは、製薬学的に許容され、そして水性液体と混和性のビヒクルを提供するために適当なポリマーと組み合わせることができ、単一相で、生体適合性があり、薬物懸濁液を作成し、しかも維持するために適し、そして安定した薬物製剤を提供することができる溶媒を含む。幾つかの態様では溶媒は水溶性であり得る。例えばベンジルアルコール(BA)は、BA自体が容易には水に溶けなくても、本発明による混和可能なビヒクルを提供するため使用することができる溶媒である。さらに本発明によるビヒクルを提供するため使用することができる溶媒の例は、限定するわけではないがグリコフロール、テトラグリコール、n−メチルプロリドン、グリセロールフルマル、グリセリン、およびプロプレングリコールを含み、所望の場合には2以上の溶媒を
使用して本発明によるビヒクルを提供することができる。特に水に可溶性であると共に選択された薬物の安定した製剤の製造を容易にするビヒクルを提供するために、2つ以上の溶媒を要求することができる。
【0031】
本発明の特定の観点では、ビヒクルはニュートン流体材料または非ニュートン流体材料のいずれであってもよく、そして該ビヒクルの粘度は変動する。しかしそのようなビヒクルは予め定めた期間にわたり特定の薬物材料のような選択した生体分子物質の所望の懸濁液を維持することができる粘度を提供するために配合され、これによって、所望の速度で制御された薬物送達を提供するように配合された薬物製剤の形成を促進することができる。従って、粘度は、とりわけ所望の用途、ビヒクル内に含まれるべき粒状薬物材料のサイズおよび種類、ならびに要求されるビヒクル装填量に依存して変動する。粘度は所望により、ビヒクル内に含まれる溶媒およびポリマー材料の種類または相対量を変えることにより変動させることができる。1つの態様では、ビヒクルは粘性ビヒクルとして配合され、該ビヒクルは約1,000〜10,000,000ポアズの範囲、そして好ましくは約10,000〜250,000ポアズの粘度を有することが好ましい。本明細書で言及する粘度とは一般に、平行プレートのレオメーターを使用して10−4/秒の剪断速度で37℃で測定されたものである。
【0032】
ビヒクル内に含まれるポリマーおよび溶媒の量は、所望の性能特性に依存して変動する。しかし一般にビヒクルは、約40%〜約80(重量/重量)%のポリマーと、約20%〜約60(重量/重量)%の溶媒を含む。場合により好適な態様には、以下の比率;約25%の溶媒および約75%のポリマー;約30%の溶媒および約70%のポリマー;約35%の溶媒および約65%のポリマー;約40%の溶媒および約60%のポリマー;約45%の溶媒および約55%のポリマー;および約50%の溶媒および約50%のポリマー(すべての割合は重量/重量比率で与えられる)で合わせたポリマーと溶媒から形成されたビヒクルを含む。しかし本発明のビヒクルはポリマーおよび溶媒のみを使用して形成される必要はない。
【0033】
ポリマーおよび溶媒以外では、本発明によるビヒクルは1もしくは複数の表面活性剤または保存料も含んでいてもよい。本発明によるビヒクルに使用することができる表面活性剤は、限定するわけではないがグリセロールモノラウレート等の多価アルコール等のエステル、エトキシルひまし油、ポリソルベート、乳酸ミリスチル等の飽和アルコールのエスエルもしくはエーテル(Ceraphyl50)、およびプルロニックのようなポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンのブロック共重合体を含む。いったん本発明による薬物製剤が作業環境に送達されれば、ビヒクルからの薬物の放出を促進にするために、1もしくは複数の表面活性剤を本発明によるビヒクル内に含ませることができる。あるいは1もしくは複数の表面活性剤を、中に懸濁されるべき薬物の安定性を維持させるため本発明によるビヒクル内に含んでもよい。表面活性剤が含まれる場合には、典型的には約20(重量/重量)%未満を占めるが、好ましい界面活性剤の範囲は約10(重量/重量)%未満であり、そして約5(重量/重量)%未満である。本発明によりビヒクル内で使用することができる保存剤には、例えば酸化防止剤および抗菌薬物を含む。役立つ可能性のある酸化防止剤の例には、限定するわけではないがトコフェロール(ビタミンE)、アスコルビン酸、パルミチン酸アルコルビル、ブチルヒドロキシルアニソール、ブチルヒドロキシルトルエンおよび没食子酸プロピルを含む。1もしくは複数の保存剤が本発明によるビヒクル内に包含される場合に、使用される量は用途、使用される保存剤および所望する結果に応じて変動する。一般には、保存剤は所望の保存的効果を達成するのに十分な量でのみ含まれている。
【0034】
本発明による薬物製剤に含まれる粒状薬物材料は、任意の混合、ブレンドまたは粒状薬物材料の所望の分布を有する薬物製剤を提供する他の分散技術を使用して、本発明による
ビヒクル中に分散させることができる。好ましくは粒状薬物材料は、水の添加を要しないプロセスを使用してビヒクル内に分散される。例えば、乾燥条件下でビヒクルと粒状薬物材料とを組み合わせ、そしてビヒクル内の粒状薬物材料の所望の分散が達成されるまで、高温好ましくは約40℃〜約70℃で真空下にて材料をブレンドすることにより、粒状薬物材料を本発明によるビヒクル内に分散させることができる。ビヒクルをブレンドするため使用するものと同じ設備および技術を使用して、粒状薬物材料およびビヒクルをブレンドすることができる。特に二重螺旋ブレードまたは類似のミキサーのようなミキサーを、本発明による薬物製剤を達成するため、粒状薬物材料およびビヒクルをブレンドするため使用することができる。高温でブレンドした後、生成された薬物製剤を室温に冷却することが可能となる。調製後、本発明の薬物製剤は、望ましくない水の混入を回避するため乾燥容器内で密封してもよい。
【0035】
本発明の幾つかの観点では、ビヒクルは水の添加無しに所望の成分を組み合わせることによって製造されるのが好ましい。そのようなビヒクルは乾燥ボックス内で、または他の乾燥条件下で、乾燥成分(例えば粉末化された、もしくは低水分含有)を組み合わせ、そしてそれらを高温、好ましくは約40℃〜約70℃で混合して、それらを溶解させ、そして単一相ビヒクルを形成することを可能にすることにより準備することができる。本発明によるビヒクルが表面活性剤を含む場合には、ビヒクルの溶媒部分は、所望のポリマー材料がブレンドのため追加される前に、高温で表面活性剤と組み合わせることが好ましい。ブレンドは好ましくは真空下で行い、乾燥成分から生じる閉じ込められた空気泡を除去する。いったんビヒクル成分の液体溶液が達成されれば、液体ビヒクルは室温に冷却することが可能である。所望により液体ビヒクルはブレンド装置から除去され、冷却を可能にすることができる。ビヒクル内に含まれる成分が単一相材料が形成されるように組み合わせられたことを確認するため示差走査熱量測定法を使用することができる。ビヒクルの最終的な水分含量は5%未満であることが好ましい。
【0036】
本発明の幾つかのビヒクルは、特に装置が水性液体を含む作業環境内に埋め込まれるかまたは導入される場合に、長期間にわたり制御された速度で薬物製剤を送達するように設計された装置の送達チャンネル内で、部分的もしくは完全な閉塞の形成を減少させるまたは排除する薬物製剤の製造を容易にする。特定の機構に限定すること無く、そのような性能は少なくとも一部はビヒクルの水との混和性に起因していると考えられる。さらに本発明のビヒクルの水との混和性は、ビヒクルが水性溶液と接触するようになるときビヒクル内に含まれるポリマーおよび溶媒材料の相分離を減少させるかまたは防止するように働くと考えられる。その結果、本発明によるビヒクルを利用する薬物製剤が送達装置の送達チャンネル内で水性液体と界面を形成する場合には、ビヒクル内に含まれるポリマーは、ポリマー沈殿物により送達チャンネルの部分的または完全な閉塞を生じさせ得る様式で水性液体内への分配傾向の減少を現す。
【0037】
本発明による薬物製剤は、本発明によるビヒクル内に懸濁された一定量の薬物を含んでいる。本発明による薬物製剤で有用となる薬剤は、製薬学的に許容され得る塩の形態で提供することができ、該塩には、無機酸、有機酸、無機塩基または有機塩基との塩が含まれる。幾つかの態様では、薬物は粒状物質、例えばペプチドまたはタンパク質であることができる医薬品、ビタミン、栄養物または補助食品を含んでなる。好ましくはペプチドまたはタンパク質は生物学的活性を有し、そして病気もしくは他の病的状態を処置するため使用することができる。本発明による薬物製剤で使用することができる例えばペプチドまたはタンパク質等の具体例には、副腎皮質刺激ホルモン、アンギオテンシンIおよびII、心房性ナトリウムペプチド、ボンベシン、ブラジキニン、カルシトニン、セレベリン、ダイノルフィンN、アルファおよびベータエンドルフィン、エンドセリン、エンケファリン、表皮成長因子、ファータイヤリン、卵胞性性腺刺激ホルモン放出ペプチド、ガラニン、グルカゴン、GLP−1、ゴナドレリン、性腺刺激ホルモン、ゴセレリン、成長ホルモン放出ペプチド、ヒストレリン、人間成長ホルモン、インシュリン、インターフェロン、ロイプロリド、LHRH、モチリン、ナファレリン、ニューロテンシン、オキシトシン、リラキシン、ソマトスタチン、サブスタンスP、腫瘍壊死因子、トリプトレリン、バソプレッシン、成長ホルモン、神経成長因子、血液凝固因子、リボザイムおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれているが、これらに限定されるものではない。上記した例示的プチドおよびタンパク質の類似体、誘導物質、アンタゴニストおよびアゴニストも使用することができる。また生体分子物質は、作業環境に投与されたとき治療的もしくは有益な効果を提供することができ、そして所望の可溶性を示す粒状物質として調製することができる、任意の医薬品、ビタミン、栄養剤、または、食品補給物を初めとした、任意の化合物もしくは物質であってもよい。本発明によるビヒクル内に生体分子物質の懸濁物を形成するために、生体分子物質は、乾燥粒状物質として本発明によるビヒクル内に分散され、これは生体分子物質が固体状態(例えば、粉末、結晶、アモルファス状態)で存在することを意味している。本発明に従い薬物製剤を形成するとき、ビヒクルが選択され、そして粒状生体分子物質は、生体分子物質がビヒクル内で実質的に不溶性となるように調製される。適切な粒状生体分子物質、すなわち薬物とビヒクルとの組み合わせは、可溶性に基づいて当業者により決定されることができる。例えば、ギリマンらによる「治療学の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」第7版(1990)と、レミングトンによる「薬理科学(The Pharmacological Science)」第18版(1990)とを参照にされたい(これらは引用により本明細書に編入する)。
【0038】
本発明による薬物製剤に含まれる粒状薬物材料の量は、とりわけ薬剤の効力、所望する処置期間および薬剤の所望する放出速度に依存して変動することができる。典型的には、ビヒクルが約50%から約99.9(重量/重量)%の間を占めている状態で、粒状薬物材料は本発明による薬物製剤の約0.1%から50(重量/重量)%の間を占める。好ましい態様では、本発明による薬物製剤は約1%から約30(重量/重量)%の間の粒状薬物材料を含む。
【0039】
本発明による薬物製剤に含まれる粒状薬物材料を製造するために、任意の適切な粒状形成法を使用することができる。例えば本発明の薬物製剤に含まれる粒状薬物材料を形成するため使用することができる方法には、既知の噴霧乾燥、凍結乾燥、脱水、造粒、研削、製粉、沈殿、均質化またはコーティング法が含まれるが、これらに限定されるものではない。粒状薬物材料を形成するため使用される方法が、湿式研削または湿式製粉法を用いる場合のように、直ちに乾燥生成物を生じさせる場合、粒状薬物材料は、所望の水分含有量を有する乾燥生成物が達成されるまで任意の適切な方法によって乾燥させることができる。本発明による薬物製剤に含まれる粒状薬物材料は、実質的に純粋な薬物から構成されることができ、または例えばバルキング剤、安定剤、保存剤、コーティング剤もしくは所望の粒状薬物材料を提供する他の補助剤もしくは賦形剤のような1もしくは複数の他の物質を含む粒子を含んでいてもよい。そのような全ての物質で1もしくは複数の安定剤、バルキング剤もしくは保存剤を含む粒状材料として特定の薬物物質を調製することが所望されるか、または必ずしも必要とされてはいないが、分解生成物(例えば不安定な中間化学生成物)の形成を減らすことができる。安定剤、バルキング剤、保存剤およびコーティング剤、ならびに本発明による薬物製剤に含ませることができる粒状薬物材料の形成に有用となり得る補助剤もしくは賦形剤は当該技術分野で周知である。そのような作用物質の各々の種類および量は、他の因子の中でも送達されるべき薬物、および粒状薬物材料について望まれる安定性および可溶性といった特性に依存して変動する。
【0040】
所望の期間にわたり予め定めた速度で本発明によるビヒクルまたは薬物製剤を送達することができる任意の装置内に本発明によるビヒクルおよび薬物製剤を装填するか、または該装置から送達することができる。例えば本発明によるビヒクルおよび薬物製剤は、米国
特許第3,797,492、3,987,790、4,008、719、4,865、845、5,057,318、5,059,423、5,112,614、5,137,727、5,151,093、5,234,692、5,234,693、5,279,608、5,336,057,5,728,396、5,985,305、5,997,527、5,997,527、5,997,902、6,113,938、6,132,420、6,217,906、6,261,584、6,270,787、および、6,375,978号明細書(これらの内容は引用により全部、本明細書に編入する)で教示されたような浸透性駆動ポンプから送達されてもよい。しかし本発明のビヒクルおよび薬物製剤は、浸透性駆動式ポンプへの応用には限定されない。例えば本発明によるビヒクルおよび薬物製剤は、化学的もしくは電子機械式手段により駆動されるポンプを使用して送達されてもよい。そのようなポンプの例は当該技術分野で周知である。さらに本発明のビヒクルおよび薬物製剤が、埋め込まれた装置からの送達に適していたとしても、ビヒクルおよび薬物製剤は埋め込み可能ではない装置または埋め込まれていない装置のいずれからでも送達されてもよい。さらにビヒクルまたは薬物製剤は薬物デポとして装置なしで使用することができる。
【0041】
本明細書で使用する用語「送達ビヒクル」とは、最終的に放出または送達するために薬物を保持または懸濁し、そしてインビボに輸送するために有用な分子または組成物を指す。「送達ビヒクル」は、「ビヒクル」または「薬物送達ビヒクル」のような用語と互換的に使用される。ビヒクルは、当該技術分野で知られている1もしくは複数の製薬学的賦形剤から形成され、これは薬物に安定な環境を提供し、そしてその送達、好ましくはポリマー性物質の送達を促進する。より詳細には用語「単一相ビヒクル」または「単一相薬物送達ビヒクル」とは、とりわけ示差走査熱量測定法(DSC)により決定されるように、物理的および化学的の両方で終始、実質的に均一な系、すなわち均一である送達ビヒクルを指す。薬物と組み合わせた薬物送達ビヒクルは、「薬物製剤」を形成し、これは場合により他の薬物賦形剤を含むことができる。
【0042】
本明細書で使用する用語「ポリマー」、「ポリマー性物質」または「ポリマー性材料」とは、生体適合性であり、しかも結果として送達するために所望の薬物を運搬する送達ビヒクルを形成することができるホモポリマー(これは単一型のモノマー単位を含む)およびコポリマー(これは2以上の型のモノマー単位を含む)を初めとする反復モノマー単位からなる製薬学的賦形剤を指す。ポリマーの好適な例はポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールまたはメチルセルロースである。
【0043】
本明細書で使用する用語「ポリマー調製物」、「ポリマーの調製物」およびそのすべての変形は、本発明により意図するようなポリマー(またはポリマーの組み合わせ)の調製物を指し、そして薬物送達ビヒクルを調製するために使用される。ポリマー調製物は、所望する薬物の輸送およびそのような薬物を所望する部位にインビボで送達できるようにする望ましい特性を持つ薬物送達ビヒクルを形成するように選択することができる。
【0044】
本明細書で使用する用語「生体分子物質」とは、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、ウイルス、抗体および中でもそれらを模する分子を含む活性な作用物質を指す。用語「薬物」は「生体分子物質」の部分集合であるが、一般に薬物は生体分子物質が治療薬に使用されるものである場合、そして特に薬物が酸化的分解を受けやすい場合に、生体分子物質と互換的に使用することができる。本発明の生体分子物質は、安定な環境を提供し、そして生体分子物質をインビボに、そして時にはより具体的に所望する生理学的部位へ輸送する送達ビヒクル内で運搬されることを意図している。一般に生体分子物質は経時的酸化を受け易く、そして特に本明細書で「酸化に感受性の活性作用物質」と表した特定の生体分子物質は酸化に対する感度が高く、すなわちタンパク質、例えばオメガ−インターフェロン(オメガ−IFN)、ペプチド、麦角アルカロイド、および例えばドキシサイクリン、メトホルミンおよびモルシドミン(molsidomine)のような抗生物質のように酸化による活性損失が懸念される。
【0045】
本明細書で使用する用語「下げる」、「下げること」およびそのすべての変形は、ポリマー調製物中に存在する過酸化物のレベルを任意の測定可能な程度まで減少させることを指す。
【0046】
本明細書で使用する用語「水溶性」とは幾らかの測定可能な程度まで水に溶解され得る物質を指す。
【0047】
本明細書で使用する用語「水溶液」とは、少なくとも幾らかの測定可能な量の水を含む溶液を指す。
【0048】
本明細書で使用する用語「混合すること」、「混合する」、「添加すること」および「添加する」およびそれらのすべての変形は、一部分または成分が互いに極めて接近するように、一部分または成分の一緒の配置を直接的または間接的に引き起こす任意の手段を指す。この用語は、一部分または成分を1つの容器に一緒に配置し、一部分または成分を合わせ、一部分または成分を接触させ、あるいは一部分または成分を一緒に撹拌、ボルテックス処理もしくはかきまぜるような操作を含む。用語「混合物」は極めて接近して一緒に配置された一部分または成分を指す。
【0049】
本明細書で使用する用語「除去すること」、「除去する」およびそれらのすべての変形は、ポリマー調製物中に存在するメチオニンのレベルを測定可能な程度まで除去することを指す。用語「実質的にすべてを除去すること」およびそのすべての変形は、ポリマー調製物中に存在するメチオニンのレベルを少なくとも50%まで除去することを指す。
【0050】
特に定めない限り、本明細書で使用するすべての技術的および化学的用語は本発明が属する技術分野の当業者により通常に理解されている意味と同じ意味を有する。矛盾する場合は、定義を含める本明細書が統制する。
【実施例】
【0051】
以下の実施例は本発明の態様のサンプルの具体的説明であり、本発明の範囲を限定すると考えるべきではない。
【0052】
実施例1
本発明による3つの異なる例示的ビヒクルは、グリコフロール(Glycofurol:GF)およびポリビニルピロリドン(PVP)を使用して生成した。3つのビヒクルの各々に含まれるPVPは、BASF(17pf)から得られ、そして18,000MW未満の分子重を持っていた。第1のビヒクルは、42(重量/重量)%のGFおよび58(重量/重量)%のPVPを含んだ。第2のビヒクルは、40(重量/重量)%のGFおよび60(重量/重量)%のPVPを含み、そして第3のビヒクルは、50(重量/重量)%のGFおよび50(重量/重量)%のPVPを含んだ。各々の場合で、ビヒクルは最初に原料をミキサーに充填することにより形成された。次いで原料は単一相ビヒクルを達成するため2時間にわたり真空(約−91.4kPa(約−27インチHg))下で約60℃でブレンドした。これら3つのビヒクルの各々は、あらゆる比率で水と混和可能であった。
【0053】
実施例2
本発明によるリソチーム製剤は、実施例1の第2のビヒクルと、乾燥した粒状リソチーム材料とを使用して製造した。製剤で使用するリソチーム粒子は、1部のリソチームから
2部のスクロース、および1部のメチオニンを含み、これらの粒子は25mMのクエン酸緩衝剤を含む溶液から噴霧乾燥した。模倣薬物製剤は、11.2(重量/重量)%のリソチームを含んだ。リソチーム製剤は、適切な量のビヒクルおよびリソチーム粒子をミキサーに装填することにより調製した。次いで粒子およびビヒクルは、リソチーム粒子の実質的に均一な懸濁液を有する製剤になるまで、真空(約−27インチHg))下で約60℃でブレンドした。
【0054】
実施例3
実施例2のリソチーム製剤の送達能力は、6つの浸透性ポンプを有する2つの群を使用して評価した。浸透性ポンプは、3ヶ月にわたり1.5μl/日でリソチーム製剤を送達し、35μg/日の目標とするリソチーム放出速度を提供するように設計された。リソチーム製剤により提供された放出速度の性能を評価するため、浸透性ポンプがリン酸塩緩衝系(PBS)を含み、そして37℃に維持された水性ビヒクル中に導入された。
【0055】
6個の浸透性ポンプからなる第1の群が次の部品を使用して準備された。
【0056】
リザーバー:チタニウム合金
ピストン:C−フレックス
潤滑油:シリコン医療流体
浸透性組成分:2つの浸透性錠剤(76.4%のNaCl、15.5%のカルボキシメチルセルロースナトリウム、6%のポビドン、0.5%のステアリン酸マグネシウム、および、1.6%の水を使用して形成された、40mgの浸透性エンジン錠剤)+PEG400充填剤
半透膜:所望のプラグ形状に射出成形されたポリウレタンポリマー
拡散モデレーター:0.25mmの直径を有する、10ミルの螺旋送達導管を提供するように構成された、高密度のポリエチレン(HDPE)
模倣た薬物製剤:60%のPVPおよび40%のGFのビヒクル中に11.2%のリソチーム粒子(リソチーム:スクロース:メチオニン(1:2:1および25mMのクエン酸塩))
【0057】
第1群の浸透性ポンプを準備するため、最初にピストンおよびリザーバーの内径をシリコン医療流体を使用して軽く潤滑化した。次いでピストンをリザーバーの膜端部で該リザーバー内に0.5cm挿入した。PEG400の量がリザーバーの膜端部内に導入され、2つの浸透性錠剤が浸透性組成物を仕上げるため同じ端部内に挿入された。浸透性エンジン錠剤の挿入後に、生じた浸透性組成物は、リザーバーの膜端部と面一となった。半透膜プラグ(以下では、「膜プラグ」または「プラグ」という)は、リザーバーの膜端部でプラグを裏打ちし、そして穏やかに押すことによりプラグの保持特徴部がリザーバー内で完全に係合されるまでリザーバー内に挿入した。リソチーム製剤は、注射器内に装填され、次いでこの注射器は製剤が端部から〜3mmとなるまでリザーバー内にリソチーム製剤を注入することにより出口端部(膜端部の反対側)からリザーバーを充填するため使用した。充填されたリザーバーは、充填中にリソチーム製剤内に捕捉された空気泡を除去するため遠心した(出口端部アップ)。拡散モデレータは、リザーバーの出口端部内に、完全に螺合されるまでねじ込んだ。拡散モデレータがねじ込まれると、リソチーム製剤の過剰量が送達導管から出ていき、均一な充填を確実となった。
【0058】
6個の浸透性ポンプの第2群は、該第2群の浸透性ポンプが拡散モデレータを利用したという点を除いて、第1群の浸透性ポンプを製造するため使用したものと同じ構成要素および方法を使用して製造した。螺旋形状の送達を形成するHDPEプラグから形成された拡散モデレータの代わりに、第2群の浸透性ポンプ内に含まれる拡散モデレータは、HDPEプラグ内に接着された0.3mm平方のガラス製毛細管から形成された。ガラス製毛
細管は、一般に直線の送達導管を形成した。
【0059】
第1群および第2群の両方を含む浸透性ポンプの各々により現され放出速度の性能を図1に示す。図示するように、各群からの3つの浸透性ポンプは、「湿潤状態から開始された」。各グループからの3つの浸透性ポンプは、「乾燥状態から開始された」。それらが本明細書で使用されるとき、「湿潤状態の開始」または「湿潤状態から開始される」という用語は、浸透性ポンプが放出速度のテストのためにPBSビヒクル内に導入する前にポンプ動作するように注入された(primed)ことを示しており、そして「乾燥した状態の開始」または「乾燥した状態から開始される」という用語は、浸透性ポンプが放出速度のテストのためPBSビヒクル内に導入する前には注入されていないことを示している。湿った状態から開始された浸透性ポンプの注入は、PBSビヒクル内の浸透性ポンプ内に含まれる膜を、浸透性ポンプが所望の速度でポンプ動作するまで、単に位置決めすることによって実行された。PBSビヒクル内での40日間の作働の後、12個の浸透性ポンプの各々は、まだ機能しており、そして一般に目標とする送達速度付近でリソチームの量を送達する。
【0060】
実施例4
本発明による追加のビヒクルが調製され、それらの混和性が評価された。溶媒としてベンジルアルコール(BA)を含み、そしてポリマーとしてPVPを含む4つの異なるビヒクルが調製された。BASFからの2つの異なる等級のPVP(12pfおよび17pf)が、これらのビヒクルの調製備に使用された。第1のビヒクルは、40(重量/重量)%のBAおよび60(重量/重量)%のPVP17pfを含んだ。第2のビヒクルは、38(重量/重量)%のBAおよび62(重量/重量)%のPVP17pfを含んだ。第3のビヒクルは、26(重量/重量)%のBA、37(重量/重量)%のPVP12pf、および37(重量/重量)%のPVP17pfを含み、第4のビヒクルは27(重量/重量)%のBA、36.5(重量/重量)%のPVP12pfおよび36.5(重量/重量)%のPVP17pfを含んだ。各々の例で、ビヒクルは最初に原料をミキサー内に充填することにより形成された。次いで原材料を真空(−28インチHg)の下で50℃で、60〜90分間にわたりブレンドし、本発明による単一相のビヒクルを得た。
【0061】
この実施例に従って調製された4つの各BA/PVPビヒクルは、望ましい混和性を現した。これらのビヒクルの混和性を評価するために、水またはリン酸塩緩衝溶液が各ビヒクルに、量を変動させて添加され、相分離があれば、その時をいつ観察できたかが決定された。調製された4つのビヒクルの各々で、相分離は水またはリン酸塩緩衝液の含有量が50%以上増大するまで観察されず、相分離が観察された時点では、ビヒクル内に含まれるPVPは、非常に希釈されており、沈殿することができず、すなわち高粘度のポリマー材料を形成することができなかった。
【0062】
実施例5
さらに別の例示ビヒクルは、ビヒクルが36(重量/重量)%のBA、32(重量/重量)%のPVP12pf、および32(重量/重量)%のPVP17pfを使用して配合されたことを除いて、実施例4に記載した方法に従って調製した。このビヒクルを使用して調製されたリソチーム製剤の混和性が評価された。
【0063】
4つの異なるリソチーム製剤が調製された。各製剤は、この実施例で調製されたビヒクル、ならびに4つの異なる粒状リソチーム組成物のうち一つを使用して調製された。粒状リソチーム組成物は、クエン酸塩緩衝液を使用して調製されたリソチーム製剤を噴霧乾燥することにより調製された。第1の粒状リソチーム組成物の粒子は、1部のリソチームから2部のシュクロースを含んだ。第2の粒状リソチーム組成物の粒子は、1部のリソチームから2部のシュクロース、および1部のメチオニンを含んだ。第3の粒状リソチーム組
成物の粒子は、1部のリソチームから3部のシュクロース、および1部のデキストランを含み、そして第4の粒状リソチーム組成物の粒子は、1部のリソチームから3部のシュクロース、1部のメチオニン、および1部のデキストランを含んだ。4つのリソチーム製剤の各々を調製するため、本実施例に従って調製されたビヒクルは、4つの粒状リソチームの各々と組み合わされ、各場合において10%の粒子装填を有する実質的に均一な懸濁液が達成されるようにした。粒状リソチーム組成物とビヒクルとのブレンドは、真空(約−28インチHg)下、60℃で行なわれた。
【0064】
いったん4つのリソチーム製剤の各々が調製されれば、リン酸塩緩衝溶液が各々に添加され、そして4つの製剤の相の挙動が観察された。実質的4で調製されたビヒクルについて当てはまったように、4つのリソチーム製剤は、望ましい混和性を示した。4つのリソチーム製剤の各々に関して、相分離はリン酸塩緩衝液の含有量が50%以上に増大するまで観察されず、相分離が観察された時点では、ビヒクル内に含まれるPVPビヒクルの各々は、非常に希釈されており、凝結することができず、すなわち高粘度のポリマー材料を形成することができなかった。
【0065】
実施例6
本発明による薬物製剤に包含される例示の薬剤の安定性が評価された。本発明による薬物製剤の安定性を評価するため、2つの異なる薬物製剤が調製され、5℃、25℃または40℃の温度で3ヶ月にわたりチタニウムリザーバー内に保管された。3ヶ月間にわたる薬物製剤の保管後に、各製剤に含まれる薬物の安定性が、逆相、高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して評価された。
【0066】
この例の両薬物製剤に使用された薬物は、オメガ−インターフェロンであった。オメガ−インターフェロンは、粒状組成物として調製され、これは1部のオメガ−インターフェロンから2部のシュクロース、および1部のメチオニンを含んだ。オメガ−インターフェロン粒子は、25mMクエン酸塩緩衝液を含む製剤から噴霧乾燥され、そして結果として形成されたオメガ−インターフェロン粒子は、4部のオメガ−インターフェロン毎に7部のクエン酸塩も含んでいた。噴霧乾燥されるべき製剤の調製には、2%固体含有量が目標とされた。オメガ−インターフェロン粒子を噴霧乾燥する場合、4ml/分のポンプ速度が使用された。入口温度は120℃であり、出口温度は85℃であった。
【0067】
両薬物製剤で使用されたビヒクルは、40%BAおよび60%PVP17pfを含んだ。しかしブレンドする前に、BAおよびPVP材料の両方が5ppm未満のレベルにまで過酸化物を除去するため処理された。BA材料から過酸化物を除去するために、アルミナが30分間、BAと混合され、その後BAは0.2μフィルターを通してフィルター処理され、そして窒素下で密封バイアル内で保存された。PVP材料から過酸化物を除去するために、PVPは1%L−メチオニン溶液で処理され、残余のL−メチオニンを除去するためミリポアTTFシステムを使用して膜分離され、そして凍結乾燥された。処理されたBAおよびPVP材料中の過酸化物レベルは、OXISテストキットを使用して測定され、そして処理された材料の湿度レベルが、カール・フィッシャー滴定を使用して測定された。BAおよびPVP材料の両方が処理されて、3%未満の湿度レベル、および5ppm未満の過酸化物が達成された。適切な水分含有量および過酸化物レベルが達成された後、適切な量の処理済みBAおよびPVPをミキサー内に充填し、そして単一相のビヒクルが形成されるまで(典型的には、60〜90分)、真空下(−28インチHg))、50℃でブレンドされた。ブレンドの後、ビヒクルの水分含有量および過酸化物レベルは、それぞれ3%未満および5ppm未満であることが確認された。
【0068】
第1および第2の製剤の両方が、この実施例に記載されたビヒクルおよびオメガ−イン
ターフェロン粒子を使用して形成された。しかし2つの薬物製剤は異なる量の粒状オメガ−インターフェロンを用いて調製された。第1の薬物製剤(製剤A)は、9.6(重量/重量)%の粒子負荷量で調製され、第2の薬物製剤(製剤B)は3.8(重量/重量)%の粒子負荷量で調製され、ビヒクルは各例で製剤の残りの部分を占めた。薬物製剤を調製するために、適切な量のオメガ−インターフェロン粒子およびビヒクルをミキサー内に装填し、そしてオメガインターフェロン粒子の実質的に均一な懸濁液がビヒクル内で達成されるまで、真空下(−28インチHg))、60℃で混合した。混合後、生じた薬物製剤は混合の結果として薬物製剤内にブレンドされ得る残余の空気泡を除去するため、50℃でオーブン内に配置され、真空にさらされる。
【0069】
調製された薬物製剤の安定性を評価するため、製剤はシリコン医療流体で潤滑化され、そしてフッ化エラストマーピストンで密封されたチタニウム製リザーバー内に装填された。製剤Aおよび製剤Bは、5℃、25℃および40℃で3ヶ月間にわたり保管されたチタニウム製リザーバー内に装填された。指定された温度条件でのチタニウム製リザーバー内の例示的薬物製剤の保管後に、酸化および脱アミド化によるオメガインターフェロンの分解がHPLCを使用して評価され、そして凝集によるオメガインターフェロンの分解が、SECを使用して評価された。その実験の結果を図2、図3および図4に示す。
【0070】
図2は、示した温度でチタニウム製リザーバー内に製剤を保管している間に製剤Aで生じたオメガインターフェロンの酸化および脱アミド化の増大を具体的に示す。図2を参照して理解することができるように、製剤Aは望ましい安定性を提供した。特に3ヶ月間にわたり40℃で製剤Aを保管した後でも、薬物の酸化は約0.25%増大し、薬物の脱アミド化は0.5%未満しか増大しなかった。
【0071】
図3は、示した温度でチタニウム製リザーバー内の製剤を保管している間に製剤Bに生じたオメガインターフェロンの酸化および脱アミド化の増大を具体的に示す。図3を参照して理解することができるように、製剤Bも望ましい安定性を提供した。特に3ヶ月間にわたり40℃で製剤Bを保管した後でも、薬剤の酸化は約0.25%増大し、薬剤の脱アミド化は約1.3%しか増大しなかった。
【0072】
図4は、3ヶ月間にわたり示した温度でチタニウム製リザーバー内に保管された時の製剤Aおよび製剤Bの両方で形成された凝集物の量を具体的に示す。図4を参照して理解することができるように、製剤Aおよび製剤Bは、ここでも望ましい安定性を提供し、即ちいずれの製剤でも、3ヶ月間にわたり40℃で保管した後でも、有意な量の凝集物を生じなかった。
【0073】
実施例7
ポリビニルピロリドン調製物中の過酸化物検出に関する定量的アッセイ
試験サンプル中のH(全ヒドロキシペルオキシド)の比色的定量測定が関与するBIOXYTECH(商標)H−560(商標)アッセイおよび試薬キット(OXISインターナショナル社(OXIS International Inc.)を使用して、ポリビニルピロリドン調製物中の過酸化物レベルを測定した。
【0074】
アッセイは酸性条件下での過酸化水素による第1鉄イオン(Fe2+)の第2鉄イオン(Fe3+)への酸化に基づく。第2鉄イオンは指示物であるキシレノールオレンジに結合して、560nmで測定することができる安定な着色複合体を形成する:
【0075】
【化1】

【0076】
各実験用に新たな標準を以下の手順に従い調製した。25mMのHストック溶液は、142.5μLの30%Hを50mLにMilli−Q水で希釈することにより調製した。ストック溶液は、240nmでのHに関する全モル吸光係数として43.6M−1cm−1を使用して標準化し、そして実際の濃度をmMで算出した。
【0077】
標準100μM H溶液は100μLの標準化25mM Hストック溶液を25mLのMilli−Q水と混合することにより調製した。溶液の両成分(100μMのHストック溶液およびMilli−Q水)の重量を測り、そして生じた溶液の実際の濃度を各成分について1g/mLの密度に基づき算出した。
【0078】
さらなる範囲のH標準溶液を以下の表1に従い調製した。溶液の両成分(100μMのHストック溶液およびMilli−Q水)の重量を測り、そして生じた溶液の実際の濃度を各成分について1g/mLの密度に基づき算出した。
【0079】
【表1】

【0080】
以下のポリビニルピロリドンサンプル溶液を調製した:未処理ポリビニルピロリドン、または40ppmから300ppmの間のHレベルを有する過酸化物について処理するポリビニルピロリドンの40mg/mL溶液;300ppmよりも高いHレベルを有する未処理ポリビニルピロリドンの10mg/mL溶液;および過酸化物について処理したポリビニルピロリドンの100mg/mL溶液。
【0081】
ポリビニルピロリドンサンプル溶液の希釈は、表2および3に示す希釈因子を使用して調製した。
【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
試薬ミックスは、溶液R1(水中25mMの硫酸アンモニウム鉄(II)、2.5MのHSO)および溶液R2(水中100mMのソルビトール、125μMのキシレノールオレンジ)の比R1:R2=1:100の混合物からなった。
【0085】
SoftMaxソフトウェア バージョン3.13テンプレートは、アッセイに使用する96ウェルミクロプレート中のウェルの配置に従い設定した。標準曲線は線形に合うように設定した。
【0086】
200μLのMilli−Q水をミクロプレート中の各ウェルに分配し、そしてプレート物質からの妨害を排除するためにプレートを読んでバックグラウンドを確立した。
【0087】
70μLの各ポリビニルピロリドンサンプル、各標準溶液およびブランク水サンプルを700μLの調製した試薬ミックスと混合し、そして混合物を少なくとも30分間、室温でインキュベーションした。マルチ−チャンネルピペットを使用して、3つの各溶液の200μLアリコートをミクロプレートのウェルに分配し、そしてプレートはSpectraMax Plusミクロプレートリーダーを用いて560nmの波長で走査した。
【0088】
SoftMaxソフトウェア バージョン3.13を使用して各サンプル中のH濃度を算出した。
【0089】
実施例8
ポリビニルピロリドン調製物から過酸化物の除去
以下に記載する実験は、ポリビニルピロリドン調製物から過酸化物を除去するための種々の手段の効力を評価し、そして比較するために行った。評価した過酸化物除去手段は、メチオニンの使用、過酸化物除去触媒としてのパラジウムの使用、過酸化物を除去するための吸着物質としてアルミナ(Al)の使用、および過酸化物を除去するためのpH調整物としてアンモニア(NHOH)の使用であった。
【0090】
過酸化物を除去するためのメチオニンの使用
過酸化物を除去するために使用するメチオニンの量の至適化
以下の実験はポリビニルピロリドン調製物から過酸化物を除去するために使用するメチオニンの量を至適化するために行った。ポリビニルピロリドンの5つの10(重量/容量)%水溶液を調製し、そしてDL−メチオニンを表4に従いその溶液に加えた。
【0091】
【表4】

【0092】
メチオニンの添加後、溶液を室温で4時間混合し、0.2μmのフィルターを通し、そして1kDの膜分離膜を通して膜分離してポリビニルピロリドン溶液からDL−メチオニンを除去した。Milli−Q水を膜分離媒質として使用し、そして膜分離工程は溶液を通過する水の容量が初期のポリビニルピロリドン溶液の容量の13倍に達するまで続けた。次いで溶液を初期溶液容量の約60%に濃縮し、0.2μmのNalgeneフィルターに通し、10mLの凍結乾燥バイアルに分配し、そして凍結乾燥させた。凍結乾燥法のパラメーターを表5に示す。
【0093】
【表5】

【0094】
ポリビニルピロリドン調製物中に存在する過酸化物のレベルは、実施例1に記載した手順を使用して測定した。
【0095】
表6および図5に示すように、5%〜10%メチオニン(重量/重量のメチオニン/ポリビニルピロリドン)が10(重量/容量)%のポリビニルピロリドンの水溶液に加えられた場合、ポリビニルピロリドンの過酸化物含量は、〜350ppmから5ppm未満へと減少した。
【0096】
【表6】

【0097】
膜分離工程の至適化
以下の実験はポリビニルピロリドン溶液からメチオニンを効果的に除去するために必要とされる初期のポリビニルピロリドン溶液容量に対する水の量を決定するために行った。20グラムのポリビニルピロリドンをMilli−Q水に溶解して、200mLのポリビニルピロリドン溶液を得た。次いで2グラムのDL−メチオニンをポリビニルピロリドン溶液に加え、そして溶液を室温で4時間混合した。AMICON膜分離セルを膜分離に使用した。ポリビニルピロリドン/メチオニン溶液は0.2μmのフィルターを通して濾過し、そして膜分離セルに注いだ。供給液体リザーバーは最初に容量1(V、表7参照)のMilli−Q水で満たし、そして系は圧供給ラインを通して窒素を用いて加圧した。系はすべての水がリザーバーから消費された後に止め、そして5mLのサンプルを溶液から取り出し、そして冷蔵庫に入れた。セルを通過した水の量を記録した。この手順を8回繰り返し、そして表7に示すような各実験中、膜分離に使用した水の量を記録した。
【0098】
【表7】

【0099】
サンプルは表5に示す凍結乾燥法のパラメーターを使用して凍結乾燥させ、そして次に残存メチオニンについて試験した。
【0100】
表8に示すように、V/Vsol比が8.75から10の間である時、乾燥ポリビニルピロリドン中にメチオニンは検出されなかった。
【0101】
【表8】

【0102】
過酸化物を除去するためのパラジウムの使用
パラジウム粒子を水素化するために、図6に示すように電解槽を使用して2日間にわたり12ボルトの直流を使用した。8グラムのパラジウム粒子を負に荷電した電極に噴霧し、そして確実に十分なHイオンを供給するために、pH1.68でバッファーを電解槽中の水にpHがおよそ2になるまで加えた。
【0103】
10グラムのポリビニルピロリドンをMilli−Q水に溶解して、100mLのポリビニルピロリドン溶液を調製した。水素化パラジウム粒子をMilli−Q水ですすぎ、ポリビニルピロリドン溶液に加え、そして4日間撹拌した。次いでパラジウム粒子は0.2μmのフィルターを通して濾過することによりポリビニルピロリドン溶液から除去し、ポリビニルピロリドン溶液を凍結乾燥させ、そして固体のポリビニルピロリドンを過酸化物含量について試験した。
【0104】
以下の表16に示すように、パラジウム粒子で4日間処理した後、ポリビニルピロリドンの過酸化物含量は353.97ppmから50.31ppmへと減少した。
【0105】
ポリビニルピロリドンからの過酸化物の除去に及ぼすパラジウム粒子とパラジウムブラックの効果の比較
以下の実験は、ポリビニルピロリドンからの過酸化物の除去について、パラジウム粒子とパラジウムブラックの効果を比較するために様々な条件下で行った。1ロットの5gのパラジウム粒子、および3ロットの5gのパラジウムブラックは、白金ワイヤーの代わりに白金ホイルを陽極および陰極に使用することを除き、実施例6に示したものと類似する電解槽を使用して水素化した。各パラジウムロットを2日間水素化した。
【0106】
ポリビニルピロリドンをMilli−Q水に溶解して10(重量/容量)%のポリビニルピロリドン溶液を調製し、そして水素化したパラジウムの各ロットをMilli−Q水ですすぎ、そして別個のポリビニルピロリドン溶液のバッチに加えた。表9に示すように、水素製造機からの水素ガス(H)をパラジウム粒子を含有するポリビニルピロリドン溶液に、およびパラジウムブラックを含有するポリビニルピロリドン溶液の1つに通気した。パラジウムブラックを含有する別のポリビニルピロリドン溶液の温度を45℃に上げた。水素ガスをポリビニルピロリドン溶液に通気した実験、および温度を45℃に上げた実験は、ヒュームフード中で行った。サンプルをポリビニルピロリドン/パラジウム溶液から最初の2時間後、そしてその後周期的に採取した。すべてのサンプルは0.2μmフィルターを通して濾過し、凍結乾燥させ、そして固体のポリビニルピロリドンを過酸化物について試験した。
【0107】
【表9】

【0108】
表10に示すように、水素ガスで2時間処理したパラジウム粒子はポリビニルピロリドン中の過酸化物のレベルを277.82ppmに減少し;水素ガスで26.42時間処理したパラジウム粒子はポリビニルピロリドン中の過酸化物のレベルを217.36ppmに減少し;そして水素ガスで99.33時間処理したパラジウム粒子はポリビニルピロリドン中の過酸化物のレベルを79.12ppmに減少した。
【0109】
【表10】

【0110】
表11に示すように、水素ガスで2時間処理したパラジウムブラックはポリビニルピロリドン中の過酸化物のレベルを15.46ppmに減少し;水素ガスで26.25時間処理したパラジウムブラックはポリビニルピロリドン中の過酸化物のレベルを4.95ppmに減少し;そして水素ガスで98.92時間処理したパラジウムブラックはポリビニルピロリドン中の過酸化物のレベルを3.12ppmに減少した。
【0111】
【表11】

【0112】
表12に示すように、パラジウムブラックは室温で2時間後にポリビニルピロリドン中の過酸化物のレベルを19.60ppmに減少し;26時間後に3.72ppmに減少し;そして68.42時間後に0.77ppmに減少した。
【0113】
【表12】

【0114】
表13に示すように、パラジウムブラックは45℃で2時間後にポリビニルピロリドン中の過酸化物のレベルを23.40ppmに減少し;4時間後に19.87ppmに減少し;5.75時間後に18.91ppmに減少し;8時間後に9.96ppmに減少し;そして31時間後に2.62ppmに減少した。
【0115】
【表13】

【0116】
ポリビニルピロリドン対パラジウムブラックの比率の至適化
実験はポリビニルピロリドンから過酸化物を除去するために必要なパラジウムブラックの量を至適化するために行った。
【0117】
各3ロットの5gのパラジウムブラックは、白金ホイルを電解槽の陽極および陰極に使用する上記の手順を使用して2日間水素化した。水素化後、ポリビニルピロリドンの3つの10(重量/容量)%溶液を表14に示すように調製した。水素化パラジウムブラックをMilli−Q水ですすぎ、ポリビニルピロリドン溶液に加え、そして混合物を24時間、撹拌し、1時間、3時間、5時間、7時間、22時間および24時間にサンプル採取した。各ポリビニルピロリドンサンプルは0.2μmのフィルターを通して濾過し、凍結乾燥させ、そして固体のポリビニルピロリドンを過酸化物について試験した。
【0118】
【表14】

【0119】
表15に示すように、過剰なパラジウムブラックで24時間の処理が過酸化物のレベルを約1ppmに減少するために必要であった。
【0120】
【表15】

【0121】
過酸化物を除去するためのアルミナの使用
10グラムのポリビニルピロリドンをMilli−Q水に溶解して100mLのポリビニルピロリドン溶液を調製した。10グラムのアルミナをポリビニルピロリドン溶液に加え、そして混合物を4日間撹拌し、この時点でアルミナを溶液の底に静置させた。溶液は0.2μmのフィルターに通して濾過し、凍結乾燥させ、そして固体のポリビニルピロリドンを過酸化物について試験した。
【0122】
以下の表16に示すように、アルミナで4日間処理した後、ポリビニルピロリドンの過酸化物含量は353.97ppmから215.24ppmに減少した。
【0123】
過酸化物を除去するためのアンモニアの使用
10グラムのポリビニルピロリドンをMilli−Q水に溶解して100mLのポリビニルピロリドン溶液を調製した。アンモニア(NHOH)を、溶液のpHが8から9の間になるまでポリビニルピロリドン溶液に滴下した。次いで溶液を室温で4日間撹拌した。溶液のpHは周期的に検査し、そしてpHを維持するために必要ならば溶液にさらにアンモニアを加えた。溶液を凍結乾燥させ、そして固体のポリビニルピロリドンを過酸化物について試験した。
【0124】
表16に示すように、アンモニアで4日間処理した後、ポリビニルピロリドンの過酸化物含量は353.97ppmから118.89ppmに減少した。
【0125】
ポリビニルピロリドンから過酸化物を除去するための様々な手段の比較結果
表16および図7に示すように、メチオニンでの処置がパラジウム、アルミナまたはアンモニアでの処置と比較してポリビニルピロリドンから過酸化物を除去するために最も効果的な手段であった。
【0126】
【表16】

【0127】
実施例9
ベンジルアルコール/ポリビニルピロリドンビヒクル中のオメガ−IFNの安定性に及ぼす過酸化物の効果
以下に記載する実験は、ベンジルアルコール/ポリビニルピロリドンビヒクル中で過酸
化物レベルが経時的に上昇するかどうかを決定し、そしてベンジルアルコール/ポリビニルピロリドンビヒクル中の過酸化物含量に対するオメガ−IFNの安定性の感度を調査するために行った。
【0128】
ベンジルアルコール/ポリビニルピロリドン製剤の調製
異なるレベルの過酸化物を含む5つのベンジルアルコール/ポリビニルピロリドン製剤(40%ベンジルアルコールおよび60%ポリビニルピロリドン)を調製した。ベンジルアルコールは過酸化物含量を下げるために処理した。ポリビニルピロリドンはL−メチオニンで過酸化物を完全に、または一部処理し、それについて以下に詳細に記載する。一連の過酸化物レベルを含有する調製物は、処理したベンジルアルコールと未処理ベンジルアルコールとをブレンドし、そしてそのような調製物を完全に、および一部処理したポリビニルピロリドン調製物と混合することにより調製した。
【0129】
すべての手順は、開放ベンチ台上で行ったポリビニルピロリドン法からの過酸化物の除去手順を除き、窒素乾燥ボックス内で行った。
【0130】
ベンジルアルコールの調製
ベンジルアルコールを処理して過酸化物レベルを下げた。未処理および処理したベンジルアルコールは過酸化物含量について試験し(表18を参照)、そしてビヒクル4について中間範囲のベンジルアルコールの過酸化物レベルを5.5ppm(48%の未処理ベンジルアルコールおよび52%の処理ベンジルアルコール)と設定した。
【0131】
両ベンジルアルコールのバッチのブレンドは以下に記載するように、以下の条件下で窒素乾燥ボックス内で行った:
乾燥ボックスの温度:25℃
露点:−60℃
酸素レベル:129ppm
【0132】
未処理ベンジルアルコールの計算量を小さい琥珀色のガラスバイアル中で計量し、そして処理したベンジルアルコールの計算量をそれに加えた。撹拌棒をバイアルに加え、そしてバイアルを磁気撹拌プレートに置き、そして10分間撹拌した。サンプルを過酸化物含量を試験するために採取した(表18を参照)。
【0133】
ポリビニルピロリドンから過酸化物の除去
約200gのポリビニルピロリドンは、L−メチオニンで過酸化物について処理した。ポリビニルピロリドンをビーカー中で計量し、フタおよび撹拌棒を備えたガラス瓶に移し、そして磁気撹拌プレート上に置いた。Milli−Q水を2リットルの全容量になるように瓶に加え、そして溶液をポリビニルピロリドンが完全に溶解するまで撹拌した。約20g(10%)のL−メチオニンを舟形秤量器で計量し、そして撹拌しながら慎重に瓶に移した。溶液を一晩撹拌し、そして0.2μmのNalgeneフィルターに通して濾過した。L−メチオニンはミリポア(Millipore)TFF膜分離システムを介して膜分離によりポリビニルピロリドン溶液から除去し、そしてMilli−Q水を膜分離媒質として使用した。膜分離は15リットルの水がポリビニルピロリドン溶液を通過するまで行った。溶液は0.2μmのNalgeneフィルターに通して濾過し、10mLのラベルを付したストッパー付き凍結乾燥バイアルに分配し、そして凍結乾燥させた。凍結乾燥法のパラメーターを表17に示す。
【0134】
【表17】

【0135】
凍結乾燥が完了した後、サンプルを過酸化物含量について、および残存L−メチオニン含量についてアッセイした(表18を参照)。ポリビニルピロリドン調製物中の残存L−メチオニンは完全に処理したサンプルについて3.2ppmであり、そして一部処理したサンプルについて0.4ppmであった。
【0136】
上記と同じ手順を、20gの代わりに2g(1%)のL−メチオニンを使用することだけを変えてポリビニルピロリドンの一部過酸化物処理について続けた。
【0137】
種々の過酸化物含量を含むベンジルアルコール/ポリビニルピロリドンビヒクルの調製
ベンジルアルコールおよびポリビニルピロリドン調製物は、過酸化物除去処理後に過酸化物について試験した。一連の過酸化物レベルの5つの調製物は、処理したベンジルアルコールと未処理ベンジルアルコールとをブレンドし、そしてブレンドを完全に、および一部L−メチオニンで処理したポリビニルピロリドン調製物と混合することにより調製した。表18は5つの各ベンジルアルコール/ポリビニルピロリドン調製物の過酸化物含量を具体的に説明する。
【0138】
【表18】

【0139】
すべてのビヒクルは水分含量について試験し、そして以下の表19に示すように大変低い水分レベルを示した。ビヒクルの初期過酸化物レベルは混合時に測定して、測定値を計算値と比較し、そして対応する懸濁液(サンプリング後に冷蔵)について以下に記載するように同じ処理を受けた後t=0でも試験した。
【0140】
【表19】

【0141】
ベンジルアルコール/ポリビニルピロリドンビヒクルの調製
5つの20gのビヒクルバッチを、以下の条件下で、そして以下に記載する手順に従い乾燥ボックス内にて混合した:
乾燥ボックスの温度:26℃〜27℃
露点:−60℃〜−57℃
酸素レベル:94ppm〜205ppm
【0142】
約8gのベンジルアルコールをガラス結晶化バイアル(50x70mm)中に計量し、そしてホットプレート上に置いた。ホットプレートの表面温度は50℃であった。約12gのポリビニルピロリドンを舟形秤量器に計量し、スパチュラで混合しながらベンジルアルコールにゆっくりと加えた。混合はポリビニルピロリドンがベンジルアルコールに完全に溶解するまで続け、そして透明なゲルが形成した。混合を時折止めて、そして混合バイアルをペトリ皿で覆い、同時にホットプレートは気泡を一掃でき、そしてゲルを視覚的に
調査した。ビヒクルは前以て計量したジャーに移し、そして水分含量および過酸化物含量試験用にサンプリングした。ジャーを覆い、ホイルポーチに入れ、乾燥ボックスから取り出し、そして直ちに密閉した。
【0143】
サンプル調製
5つの4gの懸濁液バッチを、以下の条件下で、そして以下に記載する手順に従い乾燥ボックス内にて混合した:
乾燥ボックスの温度:26℃〜27℃
露点:−68℃〜−72℃
酸素レベル:27ppm〜100ppm
【0144】
各懸濁液について、3.6gのビヒクルをガラスバイアルに計量した。次いで0.4gの粒状製剤(インターフェロン/シュクロース/L−メチオニン/クエン酸塩)をビヒクルの上に計り入れ、そしてバイアルをホットプレートに置いた。ホットプレートの表面温度は50℃付近に維持し、そして周期的に熱電対温度計で検査した。粒子はスパチュラにより慎重にビヒクルに包含させ、次いで15分間混合した。サンプルを懸濁液から調製した。
【0145】
各製剤について、56個の凍結乾燥バイアル(5mL)にラベルを付した:24個は懸濁液サンプルについて、そして32個はビヒクルサンプルについて。〜144mgの懸濁液サンプルを24個のバイアルの底に入れ、そして各バイアルの正味重量を取った。バイアルはテフロンコーティングしたゴムのストッパーで止め、そして金属シールで密閉した。32個のサンプルのビヒクルのみ、懸濁液サンプルに使用した以下の手順に従い調製した。
【0146】
安定性の試験
各ビヒクルについて、2組のサンプルを乾燥ボックス内で調製した:1組はオメガ−IFN粒子を含み、そしてもう1組はオメガ−IFN粒子を含まなかった。タンパク質を含有するサンプルは1.73%(10%粒子負荷量)のタンパク質濃度を有した。アッセイの定量目的に、各サンプルに含まれるオメガ−IFN含量は少なくとも2.5mgとなるべきであった。サンプルバイアルを窒素下で密閉し、そしてポリ−ホイルポーチ中で熱−シーリングにより光から保護した。
【0147】
タンパク質を含むか、またはタンパク質を含まない各ビヒクルのサンプルを40℃でインキュベーションして最悪の場合の体温および65℃で刺激して、65℃での短期安定性の結果を40℃での長期安定性の結果と比較した。
【0148】
40℃および65℃でインキュベーションした2連のサンプルを、7および14日のタンパク質安定性および含量について試験し、そして40℃でインキュベーションした3連のサンプルを1.5および3カ月で試験した。他のすべての時点で得たデータと高度に矛盾したゼロ時の安定性データは、すべてのサンプルの大変高い酸化により(〜20%)最終データの分析から排除した。40℃および65℃でインキュベーションしたビヒクルに関する過酸化物試験は、ゼロ時点、7日および14日で3連のサンプルについて行い、そして40℃で1、2および3カ月間インキュベーションしたビヒクルについても行った。
【0149】
タンパク質を含有するサンプルはタンパク質純度について試験し、そして酸化および脱アミド化について逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を介して評価し、そしてタンパク質沈殿を評価するために、サイズ排除高性能液体クロマトグラフィー(SEC−HPLC)により試験した。タンパク質を含まないサンプルは過酸化物含量について試験した。
【0150】
結果
過酸化物の安定性
40℃でインキュベーションしたベンジルアルコール/ポリビニルピロリドンビヒクルの過酸化物含量は、3カ月にわたり上昇した(表20および図8)。この増加は、より低い初期過酸化物レベルを含有するビヒクルでより高く(〜200%)、そしてより高い初期過酸化物レベルを含有するビヒクルでより低かったが(〜38%)、試験したすべてのビヒクルについて4〜6ppmの範囲であった。
【0151】
ビヒクル2、3および4について、65℃で14日後の過酸化物レベルにおける上昇は、40℃で14日間インキュベーションした対応するビヒクルよりも高かった(表20および図9)。65℃で14日間インキュベーションしたすべてのビヒクルに関する絶対過酸化物含量は、40℃で3カ月間インキュベーションした対応するビヒクルの絶対過酸化物レベルとは実質的に異なった。
【0152】
【表20】

【0153】
ゼロ時および40℃で3カ月間インキュベーションした後のベンジルアルコール/ポリビニルピロリドンビヒクル中の過酸化物レベルを、原料(ベンジルアルコールおよびポリビニルピロリドン)中の初期過酸化物レベルの関数として過酸化物含量をモデル化することにより、JMP(商標)ソフトウェア(SAS研究所)を使用して統計的に分析した。表21に示すように、ポリビニルピロリドンの過酸化物含量における変化は、ビヒクルの過酸化物含量に対して、ベンジルアルコールの過酸化物含量における変化により生じる影響よりも3倍高い影響をもたらした。
【0154】
【表21】

【0155】
オメガ−IFN酸化
表22および図10に示すように、40℃で7日から1.5カ月間インキュベーションし、そしてビヒクルのある範囲の過酸化物含量を含むオメガ−IFNサンプルの酸化は、種々の製剤間で実質的に異ならず、そして2.34%〜3.04%の範囲であった。3カ月で、試験したすべてのビヒクルに関するタンパク質酸化のレベルは、2.56%〜2.72%の範囲であった。65℃でインキュベーションしたサンプルは、40℃でインキュベーションしたサンプルと比較してオメガ−IFNのより高い酸化を現した(図10および11)。
【0156】
【表22】

【0157】
図10に示すように、40℃で3カ月間インキュベーションしたサンプルに関するオメガ−IFNの酸化のレベルは、丁度7日間、40℃でインキュベーションした後に観察されたレベルに匹敵した。さらに種々の過酸化物レベルがオメガ−IFN酸化のレベルに対してほとんど効果を及ぼさなかった。
【0158】
オメガ−IFNの脱アミド化
表23および図13に示すように、40℃で3カ月間インキュベーションした後にビヒクルのオメガ−IFNの脱アミド化の程度において実質的な変化はなかった。したがって過酸化物のレベルは、脱アミド化の程度に影響しないようであった。試験したすべてのビヒクルについて、オメガ−IFNの脱アミド化のレベルは、0.99%〜1.72%の範囲であった。
【0159】
65℃で14日間インキュベーションしたビヒクルについて、脱アミド化のレベルは上昇し、そして3.69%〜5.42%の範囲であった。
【0160】
【表23】

【0161】
オメガ−IFNの凝集
表23および図14に示すように、オメガ−IFNの凝集の程度は、40℃でインキュベーションしたサンプルについて経時的に減少したが、過酸化物のレベルは凝集の程度に影響しないようであった。65℃でインキュベーションしたサンプルは、40℃でインキュベーションしたサンプルよりも実質的に高い凝集を示した。
【0162】
【表24】

【0163】
オメガ−IFNの回収
表25および図12に示すように、85.21%〜95.37%のオメガ−IFNを両温度でインキュベーションしたすべてのビヒクルについて回収し、そして経時的に実質的な変化は示さなかった。
【0164】
【表25】

【0165】
明瞭性のために別個の態様の内容で上記のように記載した本発明の特定の特徴は、単一の態様で組み合わせても提供できると考えられる。逆に簡潔にするために単一の態様の内容で上記のように記載した本発明の様々な特徴は、別個に、または任意に組み合わせて提供することもできる。さらに範囲で述べた値については、その範囲内のどの値も含む。
【0166】
この文書に引用または記載した各特許、特許出願および公開のすべての明細は、参照により本明細書に編入する。
【0167】
本発明は実施例により具体的に説明され、そして添付する図面により限定されることを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の態様によるビヒクルを使用して調製された、3ヶ月の期間にわたり1.5μl/日の速度でリソチーム製剤を送達配するように設計された浸透性ポンプから放出されたリソチーム製剤により提供される放出速度の性能を具体的に説明し、35μg/日の目標リソチーム放出速度を提供することを示す。
【図2】本発明により調製された第1の例示的薬物製剤(製剤A)に含まれるオメガ−インターフェロンの酸化および脱アミド化の増大を、そのような製剤が3ヶ月にわたり5℃、25℃および40℃で保存された後に示す。
【図3】本発明により調製された第2の例示的薬物製剤(製剤B)に含まれるオメガ−インターフェロンの酸化および脱アミド化の増大を、そのような製剤が3ヶ月にわたり50℃、25℃および40℃で保存された後に示す。
【図4】製剤Aおよび製剤Bにより提供されるオメガ−インターフェロンのモノマー安定性を、そのような製剤が3ヶ月にわたり5℃、25℃および40℃で保存された後に示す。
【図5】ポリビニルピロリドンから過酸化物を除去するために使用したメチオニンの量を至適化した実験の結果を表す。
【図6】パラジウムの水素化に使用した電解槽を表す。
【図7】ポリビニルピロリドンから過酸化物を除去するためのパラジウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、メチオニンおよびアンモニアの効力を比較した実験の結果を表す。
【図8】40℃で90日にわたりインキュベーションした種々のベンジルアルコール/ポリビニルピロリドビヒクルンの過酸化物含量を表す。
【図9】65℃で14日にわたりインキュベーションした種々のベンジルアルコール/ポリビニルピロリドンビヒクルの過酸化物含量を表す。
【図10】変動するレベルの過酸化物を含むベンジルアルコール/ポリビニルピロリドンビヒクル中で40℃にて90日にわたりインキュベーションしたオメガ−IFNの酸化の程度を表す。
【図11】変動するレベルの過酸化物を含むベンジルアルコール/ポリビニルピロリドンビヒクル中で65℃にて14日にわたりインキュベーションしたオメガ−IFNの酸化の程度を表す。
【図12】変動するレベルの過酸化物を含むベンジルアルコール/ポリビニルピロリドンビヒクル中で40℃にて7日または3カ月のいずれかにわたりインキュベーションしたオメガ−IFNの回収を表す。
【図13】変動するレベルの過酸化物を含むベンジルアルコール/ポリビニルピロリドンビヒクル中で40℃にて90日または65℃にて14日にわたりインキュベーションしたオメガ−IFNの脱アミド化の程度を表す。
【図14】変動するレベルの過酸化物を含むベンジルアルコール/ポリビニルピロリドンビヒクル中で40℃にて90日または65℃にて14日にわたりインキュベーションしたオメガ−IFNの凝集の程度を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチオニンを生体適合性ポリマー調製物に加えることを含んでなる、薬物送達ビヒクルを形成することができる生体適合性ポリマー調製物中の過酸化物レベルの低下方法。
【請求項2】
メチオニンを生体適合性ポリマー調製物に加えた後のメチオニン対ポリマーの重量比が1対50〜1対2である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリマーが水溶性である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
水中で水溶性ポリマーを可溶化して水溶液を形成することを、さらに含んでなる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
水溶液が水溶液の単位容量あたり0.5%〜40単位重量%の水溶性ポリマーを含んでなる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
メチオニン対ポリマーの重量比が1対50〜1対2である請求項4に記載の方法。
【請求項7】
水溶液からメチオニンを除去することを、さらに含んでなる、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
除去工程が、膜分離、透析または沈殿を含んでなる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
メチオニンの除去後に水溶液から実質的にすべての水を除去することを、さらに含んでなる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
実質的にすべての工程を除去することが、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥または流動床処理を含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
生体適合性ポリマー調製物がポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールまたはメチルセルロースを含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ポリマー調製物がポリビニルピロリドンを含んでなる請求項1に記載方法。
【請求項13】
メチオニンがL−メチオニンである請求項1に記載の方法。
【請求項14】
生体適合性ポリマー調製物がさらに溶媒を含んでなり、そして薬物を含んでなる安定な非水性薬物製剤を形成し、薬物が薬物製剤の1もしくは複数の成分に不溶性であり、そして薬物が37℃で少なくとも2カ月間安定である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
約35%未満の薬物が化学的経路により分解される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
約15%未満の薬物が凝集を介して分解される請求項14に記載の方法。
【請求項17】
薬物が粒状物質を含んでなる請求項14に記載の方法。
【請求項18】
薬物が医薬品、ビタミン、栄養物または補助食品を含んでなる請求項14に記載の方法。
【請求項19】
薬物がペプチドまたはタンパク質を含んでなる請求項14に記載の方法。
【請求項20】
薬物が副腎皮質刺激ホルモン、アンギオテンシンIおよびII、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ボンベシン、ブラジキニン、カルシトニン、セレベリン、ジノルフィンN、アルファおよびベータエンドルフィン、エンドセリン、エンケファリン、上皮増殖因子、フェリチレリン、卵胞性性腺刺激ホルモン放出ペプチド、ガラニン、グルカゴン、GLP−1、ゴナドレリン、性腺刺激ホルモン、ゴセレリン、成長ホルモン放出ペプチド、ヒステレリン、ヒト成長ホルモン、インスリン、インターフェロン、ロイプロリド、LHRH、モチリン、ナファレリン、ニューロテンシン、オキシトシン、リラキシン、ソマトスタチン、サブスタンスP、腫瘍壊死因子、トリプトレリン、バソプレッシン、成長ホルモン、神経発育因子、血液凝固因子、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはそれらの組み合わせ物を含んでなる群から選択される請求項14に記載の方法。
【請求項21】
生体適合性ポリマー調製物がポリエステル、ピロリドン、ポリエチレングルコール、メチルセルロース、不飽和アルコールのエステル、不飽和アルコールのエーテル、またはポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、またはそれらの組み合わせ物を含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
溶媒がグリコフロール、テトラグリコール、n−メチルピロリドン、グリセロールホルマル、グリセリンまたはプロピレングリコール、またはそれらの組み合わせ物を含んでなる群から選択される請求項14に記載の方法。
【請求項23】
薬物製剤が5ppm未満の過酸化物レベルを表す請求項14に記載の方法。
【請求項24】
薬物が懸濁物として薬物送達ビヒクル内に分散されている請求項14に記載の方法。
【請求項25】
生体適合性ポリマー、および
1対50〜1対2のメチオニン対ポリマーの重量比を生じる量で生体適合性ポリマーに加えられるメチオニン、
を含んでなり、生体適合性ポリマーがポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールまたはメチルセルロースを含んでなる水溶液。
【請求項26】
薬物を、さらに含んでなる請求項25に記載の水溶液。
【請求項27】
生体適合性ポリマーが水溶液の単位容量あたり0.5%〜40単位重量%である請求項25に記載の水溶液。
【請求項28】
メチオニンがL−メチオニンである請求項25に記載の水溶液。
【請求項29】
生体適合性ポリマーがポリビニルピロリドンを含んでなる請求項25に記載の水溶液。
【請求項30】
生体適合性ポリマー;
溶媒;
メチオニン、ただしメチオニン対ポリマーの重量比は1対50〜1対2である;および
薬物;
を含んでなり、薬物がポリマーまたは溶媒に不溶性であり、そして薬物製剤が37℃で少なくとも2カ月間安定である、安定な非水性の薬物製剤。
【請求項31】
生体適合性ポリマーがポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールまたはメチルセルロースを含んでなる請求項30に記載の薬物製剤。
【請求項32】
約35%未満の薬物が化学的経路により分解される請求項30に記載の薬物製剤。
【請求項33】
約15%未満の薬物が凝集を介して分解される請求項30に記載の薬物製剤。
【請求項34】
薬物が粒状物質を含んでなる請求項30に記載の薬物製剤。
【請求項35】
薬物が医薬品、ビタミン、栄養物または補助食品を含んでなる請求項30に記載の薬物製剤。
【請求項36】
薬物がペプチドまたはタンパク質を含んでなる請求項30に記載の薬物製剤。
【請求項37】
薬物が副腎皮質刺激ホルモン、アンギオテンシンIおよびII、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ボンベシン、ブラジキニン、カルシトニン、セレベリン、ジノルフィンN、アルファおよびベータエンドルフィン、エンドセリン、エンケファリン、上皮増殖因子、フェリチレリン、卵胞性性腺刺激ホルモン放出ペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−528699(P2008−528699A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554244(P2007−554244)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/003858
【国際公開番号】WO2006/084140
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】